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31回国会参議院1959/06/08

法務委員会 閉会後第2号

発言数
74
登壇者
8
会派数
3
開催日
1959/06/08

会議録

古池信三自由民主党

○委員長(古池信三君) ただいまから、閉会中の第二回の法務委員会を開会いたします。  本日は、参議院通常選挙における選挙事犯取締り状況及びその方針並びに世田谷区における少年の傷害事件に関して調査を行いたいと存じます。  まず最初に、選挙事犯関係について御質疑の方は、御発言を願います。

一松定吉自由民主党

○一松定吉君 警察方面の方にお伺いしたいのでございますが、今度の参議院選挙について、ずいぶん違反がたくさんあったように思うのですが、第一、戸別訪問やなんかいうことについて、いろいろな理由を有権者に押しつけて、これを脅迫して投票さしたというふうなうわさがたくさんありまするし、あるいは金銭で買収したといううわさがあります。こういう方面について、警察方面でそれらの事実を捜査していらっしゃるでしょうが、そういうことについての大体抽象的でいいですから、具体的にお話になると、捜査の妨害になるようなことがあってはいけませんから、抽象的に一つ話して下さい。ことにある地区のごときは、今まで党員でも何でもなかった者が、にわかにその県の満場一致によって公選せられ、しかして長らく党員であり、名実ともに自由民主党の長老であることに疑いなかった人が公認を受けず、党籍証明も出されなかったというようなことがある。そういうことについても、裏面にいろんな醜聞を私は耳にしておるのだが、そういうような点について、警察方面はどういうような方針で捜査の手を進めておるか、あるいはまた、われ関せずえんという態度でおるのか、そういう点について、抽象的でいいのです。具体的に話をすると、かえって捜査の妨げになりましょうから、そういう点を一応報告してもらいたい。

中川董治警察庁刑事局長

○説明員(中川董治君) お尋ねの公職選挙法違反事件の捜査でございますが、われわれといたしましては、公職選挙法という法律の公正に施行されていることを期待するのでありますが、そのためには、いろいろ国民の御協力によってやることが大部分であろうと思いますが、捜査機関といたしまして、犯罪捜査が非常に徹底しない、こういうことによって公職選挙法の法律が期待する公正が担保できない、こういうことがあってはならないと思いまして、公職選挙法に定める各犯罪につきまして稠密に視察をいたしまして、この犯罪がありと考えましたものにつきましては、証拠に基いてこれを検挙する、こういう方針を一貫して参っておるのであります。ただいままで参議院の選挙でいろいろ違反事実を摘発しておりまして、内容には、自由妨害の罪で検挙したものもございますし、買収の罪で検挙したのもございます。戸別訪問あるいは文書等の制限違反、こういった犯罪容疑としてそれぞれ検挙をいたしたのであります。  最後に、一松委員のお尋ねの要点は、立候補に関して、あるいは脅迫的なことによって立候補を妨げるとか、こういうことがありましたら、もちろん違反でございますので、こういう点についての稠密な捜査をいたしておるのでありますが、そういう点につきまして、いろいろ犯罪になるかならぬかという点につきましては、犯罪の面しかわれわれ捜査機関といたしましてできませんので、犯罪になるかどうかということを念頭に置きまして、そういう方面の視察を一生懸命やっておるのでありますが、その視察の結果、これは公職選挙法その他刑法に定める違反であると、こういうことが明確に出て参りましたものにつきましては、徹底的に検挙する、こういう考えを持ってやっておるのでございます。

一松定吉自由民主党

○一松定吉君 今のようなことで捜査しておるというのですが、何ですか、告訴告発がなければ、ただ上っつらの捜査をやっておる、あるいは告訴告発ではなくても、職権をもって当然その内容にまで立ち入って捜査の歩を進めておるというのですか。その辺はどうです。

中川董治警察庁刑事局長

○説明員(中川董治君) 告訴の関係、告発の関係、告訴告発があればもちろんやりますけれども、告訴告発がないからといって、捜査をなおざりにすると、こういう考えは持っておりません。ただ、そういう犯罪を捜査するに当りまして、直接被疑者に当るとか、直接被疑者を任意なり強制なりによって検挙するという立場になりますと、相当犯罪の容疑が疎明できる、こういう状態が明かになるまでは手をつけないで、われわれの言葉で言いますと、捜査という、広い意味の捜査の概念に当るのでありますけれども、内偵と申しますか、あっちこっちそういった状況についてうわさを聞き、それに基いて、うわさが事実かどうかということを掘り下げる、こういう程度でございましたので、直接被疑者に当るとか、直接捜索をするとか、こういう段階になるに至らないものも相当少くないのでありますが、至らないものにつきましても、警察といたしましては、触覚を各方面に配って、状況が明らかになるように努力する、こういう態度を堅持いたしておる次第でございます。

一松定吉自由民主党

○一松定吉君 ある候補者の運動員は、有権者の宅を訪問をして、今度こういう人が立候補したから、お前の方がこれに投票しないと仏の罰をこうむる、だから一つ投票せえというようなことを言うて、これを脅迫して、もしお前がしなければお前の命がなくなるとか、あるいはお前の力に必ず何かの災害が来るとかいうようなことを言って、おとして投票せしめたというようなうわさが方々に散っておるのですが、そういうことは警察方面に耳に入っておりますか、どうですか。

中川董治警察庁刑事局長

○説明員(中川董治君) いろいろな選挙の事犯で、そういった種類のことがいろいろ耳に入りますと、その耳に入るということに基いて、耳に入るだけじゃ犯罪捜査がすぐ進行いたしませんから、そういううわさをあっちこっち聞いて参りまして、そういう具体的事例があったかなかったか、こういう点につきましては、各方面の警察で稠密に事実を調べておる、こういう状況なんでございます。

一松定吉自由民主党

○一松定吉君 その調べた結果は、今どういうことになっておりますか。

中川董治警察庁刑事局長

○説明員(中川董治君) 調べた結果については、いろいろ調べたもので、なおはっきりしないもので、まだ捜査を続行しているものもありますし、調べた結果、選挙の自由を妨害すると認められて、自由妨害罪で検挙された事件もございますし、自由妨害罪とまではいかないでも、戸別訪問の罪に当る容疑で検挙する、こういうことで、態様によりまして、今うわさのような戸別訪問事件が出てきたり、今お話のように、調べた結果、文書、図画の制限違反とか、調べた結果、選挙の自由を妨害する、暴行、脅迫によってこの行為が認められる、こういう場合には自由妨害で検挙する、こういうふうになりまして、いろいろ今たとえば申されましたようなうわさに基いて捜査した結果の態様は、あるいは戸別訪問事件なり、あるいは自由妨害事件がたくさん発覚する、こういう事件について調べた結果、まだ公職選挙法の違反だということが明確にならないで、まだ内偵を続けておるという事件も少くございません。

一松定吉自由民主党

○一松定吉君 そういうような事例が全国にびまんしているということを聞きましたが、それは、全国にそういう捜査の手が伸びていますか。

中川董治警察庁刑事局長

○説明員(中川董治君) われわれ全国の警察におきまして、公職選挙法の各条項の違反の捜査をたんねんにやっておりますので、今申されましたような諸般の状況についてもたんねんに調べておりますし、その他の、たとえば小さい新聞などを買収して選挙のいろいろの記事を出すとか、こういううわさもございますので、そういううわさについてももちろん調べている。各方面のうわさをたんねんに調べて、たんねんに調べた結果、事件として立件するものもあり、引き続き捜査中のものもある、こういう意味合いのものでございますので、公職選挙法の各犯罪について一様に全国でこういうことをたんねんに調べておるという、こういう実情かと考えております。

一松定吉自由民主党

○一松定吉君 それから、例のポスターについて、選挙管理委員会の方のいわゆる認印の判を押してないものがたくさんある。もしくは偽造の判を押してある。そういうようなことで、与えられたポスター以上にたくさんのポスターを張って違反をしておるというようなことが各所に行われておることを私は聞いておるのですが、そういう点も、警察の方の捜査の中に今数えられて捜査しつつありますかどうですか。その点、実情を報告して下さい。

中川董治警察庁刑事局長

○説明員(中川董治君) ただいま申されました事件は、全国的に相当多数ございまして、態様の中にいろいろありますが、一つの態様は、選挙管理機関のくりぬいたはんこですが、あれを偽造する事件が発覚いたしまして、各方面で捜査しておりますが、重要な事件もすでに検挙いたしまして、その検挙した事例なんか見ておりますと、いわゆる家内工業的にパンチをあける機械ですね。それを家内工業的にやっている。こういう事件が発覚いたしまして、これは検挙しております。これは、だいぶ前に発覚いたしまして、投票の開始前に発覚いたしまして、これを検挙しております。  それから、その次によくある事例は、御案内の通り、五号ポスターといいますが、公職選挙法の五号のポスターにつきましては、規格がきまっておりまして、くりぬきの判があるわけでありますが、そのほかに、一応弁解としては室内用という弁解をもちまして、室内用としては選挙運動に使わないという弁解だろうと思います。室内用という弁解のもとに、同じ型のポスターを作りまして、室内でだれも見えない所へ置くなら別ですけれども、比較的目につくところに置いておくという事犯でありまして、これも相当検挙しております。その他文書、図画の違反は、今度の選挙違反の一つの大きな特色かと思うのですが、各方面とも、文書図画の制限をこえて、あるいは偽造印を作り、あるいは室内用という弁解のもとに違反を敢行する、こういう事例が少くございませんので、各地におきましてそれが発見に努めて、発見して捜査の実をあげたものも相当多いのでありますが、今後もまた検挙をされることと思いますけれども、相当の検挙の件数を持っております。

一松定吉自由民主党

○一松定吉君 そういたしますと、全国で選挙違反の検挙に従事している件数がどのくらいであって、そのうちで検察庁に送致した件数がどのくらいになっておりますか。

中川董治警察庁刑事局長

○説明員(中川董治君) これは、日々刻々ふえるわけですが、ただいまの状況について申しますと、これは問題を二つに分けてお答えいたしたいと思いますが、現在参議院の選挙、通常選挙と、いわゆる地方選挙が行われておるのでありますが、前者の参議院の選挙につきましては、捜査の途上にあるものが相当多いのでありますが、一応犯罪ありと認められて立件できたものの件数は、全国を通じまして、参議院につきましては、一千七百七名という被疑者を立件できまして、これを検挙しております。件数で申しますと、一千一百一件でございますが、この一千七百人余りを検挙したのであります。これは送致との関係でございますが、御案内のように、警察で検挙いたしました事件は、ことごとく所轄検察庁に送致されるのでありますが、だんだん書類を整えまして送致するのに、時間的スライドが若干あるかと思いますけれども、今申しました事件は相当数送致されておりますし、ただいま申しました数字は六月五日現在でございますので、六月五日現在でこれだけ検挙しておりますので、これは、送致の手続にそうたくさんの時間がかかりませんから、相当大部分は送致をされると、こういう結果になろうと思うのであります。ただいま申しましたように、これは六月五日現在でございますが、今後も立件できる数字が相当多数に上ると思いますので、今後の数字は相当増加しようかと考えておるのであります。  地方選挙につきましては、参議院の選挙よりも一カ月余り前に行われましたので、相当件数もふえておりまして、人数から申しますと、四万五千人弱の人間を検挙いたしまして、これを送致いたしておる状況でございます。

一松定吉自由民主党

○一松定吉君 その公職選挙法違反になるかならないかということは、ちょっと相当の経験を経ていない警察官では取り逃がすことが今までの例から見ると非常に多いのだが、そういうような捜査に従事する人に対しては、あらかじめ何か講習みたいなものでもして、こういうことは違反になる、こういうことは違反にならないとか、これは違反の疑いがあっても違反にならないとかいうような、講習会みたいなものでもあらかじめ開いたことがあるのですか。そういうことはしなくて、ただ各地方におまかせになっておるのですか。その辺はどうですか。

中川董治警察庁刑事局長

○説明員(中川董治君) お話のように、講習会——われわれ警察学校という施設がございまして、中央地方に警察学校がございますが、そういう警察学校におきましての講習会といいますか、教養あるいは公職選挙法自体をやる講習会は、中央でも地方でも各地でやっております。それで、先生の御質問に関連してお答えいたしたいのですが、全国に十数万の警察官がおるわけですが、それがことごとくこの犯罪に従事すべきことは当然ですけれども、しかし、得手々々と申しますか、比較的交番に立つ人は交番に立つ人の立場でやる。それから室内に入って被疑者を取り調べることを得意とするものがある。こういうことで、適材適所主義で人材を配置しておるのであります。第一線の交番に立つ人に対しては、端緒をつかむということを講習しており、それからもっぱら選挙違反に専従する職員につきましては、取調べを合理的にうまく犯罪の関係を証明していく、こういう面を中心に講習していく、こういうことを大体役割にして合理的にやっておりますので、触覚的な意味、いろんなうわさを聞いたり、最末端で発見する端緒を得るという面につきましては、端緒を得るという面の教養を中心にしてやっていく。取調べに従事する専従職員につきましては、専従職員に、証拠の収集あるいは聞き込みにいたしましても、物的証拠の収集にいたしましても、具体的に教える。しかし、まんべんなく十数万の者に同じことを教えるというわけではございませんので、その点は、従事する職責の内容に基いて教養の徹底をはかっておる次第でございます。

一松定吉自由民主党

○一松定吉君 ある候補者がある場所で非常にたくさんの得票を得た。しかしながら、この候補者は、その場所には別にたくさんの投票を得べき特別な事情はないのだ。しかるに、こういうような特別な票を得たということについては、いわゆる買収とかその他の選挙違反行為があるのだということが一応想像ができるのです。そういうような点について、一応の内偵をして、その疑いを解くというような方法をとっておりますか。そういうことはもう別に、そういう具体的な事実が現われただけでは、別に内偵も進めないで、そのままでほったらかしておくというようなことですか。その点はどうですか。

中川董治警察庁刑事局長

○説明員(中川董治君) 今おっしゃったような事例がございます場合については、一松委員のお言葉の通り、内偵をやっております。内偵をやった結果、犯罪ということが起ったということの端緒をつかむ場合もございます。一面内偵をいたしましても、どうも買収もなさそうだし、文書違反もなさそうだ、戸別訪問もどうもなさそうだというような事例がございますけれども、ただいまお説のように、あげられたような事案が起った場合には、内偵を開始いたしております。

一松定吉自由民主党

○一松定吉君 今のようなことは全国にだいぶあるようですが、たとえば、一部落の者があるボスの手を経て全部の有権者に金が渡っている。ボスはもちろん、金を受け取った人も口を緘して語らないということのために、買収の捜査というものは全く不能に帰しているという事例がたくさんあることを私は承知している。これは、私が在野におるからである。そういうようなことで検挙の手が伸びないということになると、年々そういう慣行が行われて、選挙界というものは国をあげて腐敗堕落に陥るという心配を私は持っておるのですが、そういう点については、よほど内偵に力を入れて、ほんとうに手腕力量のある人をその方面に差し向けて、内偵をして、検挙に従事するということが必要であろうと思うのだが、ただ、今中川局長の言われたようなことで、上っつらの捜査をすれば、ボスは口をあけない。全村こぞって一人残らず金をもらっていれば、どうしても自分に責任を追及されるおそれがあるから、口を緘して言わないが、そうすると選挙選反というものはあがらない。それが慣習になって、この次の選挙もその次の選挙もそういう手口によってやるということになると、非常に悪質な選挙違反行為というものが全く官憲の手によって検挙ができないという結果を招来することを私はおそれておりますが、そういう点について何か特別の注意でも払っておるのですか、どうですか。その点を一つ。

中川董治警察庁刑事局長

○説明員(中川董治君) お話のように、選挙違反事件は、他の殺人事件とか傷害事件と異なりまして、比較的外部に現われることから、殺人の場合には死体とか、傷害の場合にはけがということから事件が発覚しやすいが、選挙違反については、御指摘のごとく、やみからやみと申しますか、深夜ひそかに金の授受が行われるという事件でございますので、こちらがうかうかすると、見つかりにくいということは確かにございます。それで、みんなが口を合せて、村中が口を合せて、比較的これは被疑者から言えば防衛態勢をとっているということが少くないのであります。それに対しまして、警察側といたしましては、何といっても国民皆さんの御協力を得なければならないことはもちろんでございますが、職分として犯罪検挙に従事する立場でございますので、できるだけ隠しているものは隠しているような状況によって、引き出し方とか、内偵の仕方を工夫しております。工夫して、全国至るところ漏れなく検挙したというような、ここでいばるほどの実績はございませんが、相当村中聞きますが、相当広範囲を買収した事件、これは、部落一円を買収した事件なんかを発見して検挙を取り進めておりますが、そういう事件もございますので、警察としては相当努力をしておるつもりでございます。ところが、まだ皆さんから努力が足りないという御叱正があろうかと思いますので、今後、そういうむずかしい事件ではございますが、皆さんの御鞭撻に基きまして努力したいと思っております。

一松定吉自由民主党

○一松定吉君 これ以上お伺いはしませんが、ただ、私がお願いしておきたいことは、公職選挙法には、合法的に使われる金はこれだけだということがきまっておる。ところが、今日の実際を見ると、その十倍、二十倍というたくさんの金を使うて、そうして選挙界をと毒しておるという事例が多いということを私は承知しておる。そういう点について、今お話のように、関係者は自分から口を割りませんね。そうしてみると、結局これをどうして検挙の目的を達するかということについて、捜査官としては、その捜査の端緒を得べく、各方面からこれを研究しなければならない。そういうような考えをもって、こういう方面から研究し、ああいう方面から研究するということをよく考えて、それを捜査の手段として用いて、その隠されたる事実を明らかにするということをしなければ、何回選挙の不正を検挙しようとして手をつけても目的は達しませんね。そういうことについて一つ専門的に、まあ今すぐに今度の事件でそこをおやりなさいと言っても間に合わないだろうから、ふだん研究して、こういうふうな方法にすれば端緒をつかむことができる、ああいう方法にすれば彼らの緘しておる口を開かせることができるということを十分研究して、この犯罪検挙に応用するような考えを持っておらなければ私は役に立たぬと思うのだが、そういうことを十分に練っておっていただきたいということをお願いしておきます。たとえば、甲という候補者が非常なたくさんの票を得た。しかも、うわさには、あの方は何千万円という金を使って有権者を買収したといううわさが飛んでおる。それも、今中川局長の言われるように、うわさだけであって、なかなか端緒をつかむことができないということだけではだめなのだ。そうすると、その候補者の身辺を洗う。その候補者の銀行関係を洗う。その候補者の後援者を洗う。その候補者の行動に注意するとか、いろいろな方法があるでしょう。一番いいのは、その金の出所についてこれを洗って、それからその金がどういうように流れたか、どういうふうにしたかという一つの行方を追及するということになってくると、だんだん糸口が解けて、結局はその犯罪の捜査の端緒を得るようになって目的を達しはしないかと私は思っておる。そういうようなことは、あなた方のような上位に位しておる方が平素お考えになって、犯罪捜査の方法を研究して、それをその検挙官に十分に指示し、これを指導するという方法を平素おとりになっておく必要が私はあると思うのです。そういうようなことを今までやったかやらなかったかということは聞きませんが、将来そういう方針に向って進んで、悪質なものを逃がさないようにしていただかなければ、選挙界の廓清ということはできないと思います。それを一つ御留意を願っておきまして、私の質問を打ち切ります。

大谷瑩潤自由民主党

○大谷瑩潤君 私、一つ二つお聞きしたいと思いますが、地方公務員で、在職中一年ほど前から、出張々々というようなことで地方を回りまして、そうしていよいよ退職をしたあとで直ちに立候補する。そうして各市町村に政府からの補助金等を公約の中に入れる、橋をかけるというようなこと、こういうことで補助金をやるとか、道路をこうするとかいうことを公約にして、市町村の公務員を使って、各地へ票を割り当てて、そうして選挙運動をやる。そうして非常な高点を取られたというようなことが今回の選挙には現われておる。これを耳にしておるのであります。こういう工合にしていわゆる官僚がやられるということになれば、非常な私は公平を欠くと思うのです。しかも、公けの金をやるということの公約でそういうことをやられることは、非常に私としては公平な選挙だとは言えぬと思います。こういう点に対しまして、警察庁の方としてどういう工合にお考えになっておるか。また、こういうことは選挙違反になるのかならぬのか、一つ御意見をお聞かせ願いたいと思います。

中川董治警察庁刑事局長

○説明員(中川董治君) ただいまの大谷委員の御指摘のような問題は、一松委員のお言葉をかりて申せば、内偵を始める一つのチャンスになるわけであります。そうして公務員が公務のために出張するということは、これは当然のことでございますが、出張のみぎりに、自己に投票依頼の行為がありますれば、まず事前運動の違反だろうと思います。それから、大谷さんのおっしゃるように、一つのそういう役所の組織、市町村の組織を通じて組織的に票を割当てた結果、選挙民に対して戸別訪問をする、こういう行為がありますれば、それは戸別訪問の違反ということになる。それから全国的の政策として、一つの政策として、建設計画とか、道路計画とか、農業政策とか、改良政策、こういうことを政策にやられることはもちろん許されることで、一つの合法的選挙運動でございますが、特殊直接の利害を誘導して、自分が当選すればこの橋をかけてやるということを、橋の利用に当る特殊の利害関係人のある人に申せば、公職選挙法の利害誘導ということに相なろうかと思います。たとえば今申し上げたような犯罪を念頭に置きまして、警察といたしましては内偵をするわけであります。内偵をした結果、戸別訪問である、あるいは利害誘導罪、あるいは買収に当る、こういうことで、個々のケースごとに検挙して参る、こういうことに相なろうかと思います。選挙になりますれば、皆さん御案内のように、候補者につきましては、こうこうこういう団体が、こうこうこういう組織が応援するということがあるわけですが、応援すること自体は、許された公務員としての権利でございますからけっこうですが、応援するやり方において公職選挙法に定める違反行為がありはしないかということにつきましては、これは、特定の候補者だけねらい打ちするということは、われわれはやらないことにしております。そういううわさがある部面につきましては、うわさの真否を確かめるということの内偵を、一松先生のお話のように、内偵を続けていって、その結果犯罪たり得ると主張する場合には検挙に着手する、こういう方法を各方面でも講じておるわけでございます。

大谷瑩潤自由民主党

○大谷瑩潤君 もう一つは、ポスターですが、これは、私の選挙のときに実際に経験した。大谷のポスターを一枚取って来い、そうすればそれを買い上げてやるというようなことで、年端もいかない小学校の生徒を使って、ポスターを晩にみな取らせる、そうしてそれをある所に持っていけば、百円とか二百円で買い上げてやるということのために、子供としては、自分のお小づかいをもらうということのうれしさのために、そういう犯罪を知らず知らずのうちに犯していくというようなことは、少年の将来に大きな順法精神を欠くような問題が起ってくるのじゃないか。たださえ青少年の犯罪が悪質化しておる今日、そういうようなことをする選挙妨害は強く取り締っていただきたいと思うのですが、今までにそういうことはお聞きになったことがあるかどうか。

中川董治警察庁刑事局長

○説明員(中川董治君) ただいま御説例の、選挙ポスターをめくって歩くというような犯罪が前の選挙でもあったのでございますが、大谷さんの御意見のように、今度の選挙、地方選挙、参議院選挙を通じまして、相当特異な傾向として顕著に現われて参ったのです。警察といたしましては、非常に悪質な犯罪でございますので、深夜警らをこっそりやっておりまして、現行犯でつかまえてやっていく、こういうような工夫を講じ、警察官も、深夜に妨害して歩く連中が来やせぬだろうかと思って、非常に苦心して隠れて待っておる、それを現行犯で逮捕した、こういう工夫までして検挙をやっておるのでありますが、警察側でわかったものにつきましては検挙しておりますが、まだ未発覚の事例もなしとはしませんので、今後も大いに努力しなければならぬと思っております。お話の少年などを使うのは特に悪質でございますが、少年を使う事例もございますが、成人が、少年ならざる者が、ナイフなどでポスターをはがしていく、こういう事例を今回でも相当検挙しております。大へん悪質な犯罪でございますので、警察としては、努力を重ねまして、こういう犯罪を徹底的に検挙して参りたい、こう思っております。

大谷瑩潤自由民主党

○大谷瑩潤君 最後にもう一つ、この間新聞に出ておりました、ポスターのうしろへ金を入れてあったのを知らずに、そこの人がポスターをはずしたら、七千円とか八千円の金がポスターの裏から出てきたので、そこの人は非常に正直なので、早速警察に届けたということを聞いておりますが、あの事実はあったのですか、どうですか。

中川董治警察庁刑事局長

○説明員(中川董治君) 選挙違反の例は各地にたくさんあるものですから、今のお話の例は調べればわかると思いますが、私、今記憶してないのでございます。

辻武寿無所属クラブ

○辻武寿君 私から一つ。現在の選挙法では、人の家へ行って頼むと、これは戸別訪問でいけない。ところが、電話で頼むのは幾ら頼んでもいいわけなんですね。同じ頼むのに、電話ならば、電話の戸別訪問ですね、それならよろしくて、実際に頼むといけない、頼むに変りないのだけれども、そういう差異があるが、なぜ電話ならよくて、行くといけないか、そういうところの解釈が、当局ではどういうふうにとっておりますか。

中川董治警察庁刑事局長

○説明員(中川董治君) これは、お話のように、現行法では、電話で選挙運動を……届出前は、電話で頼むと事前運動の罪になりますけれども、一たび選挙が告示されて、立候補届出がなされて後におきましては、電話で幾ら投票依頼行為が行われても、これは許された行為になっております。それに反して、戸別に訪問して選挙依頼をやって参る、これは戸別訪問の罪に相なっておるのであります。電話は無罪であるし、戸別に歩くと罪である、これが現行法の規定でございます。これは、だいぶ前からの条文でございますが、そうなっておるので、現行法がそうなっておるという説明にしかすぎないのでございますが、われわれ警察当局の者として立法の趣旨を考えて参りますと、戸別に歩いて参るということになると、その間にいろいろな利害が錯綜したり、あるいは金銭の授受が行われたり、ないしは選挙の公正を著しく混濁するようなことが起りがちなチャンスが多いだろう、戸別訪問というものは禁止する、ところが、電話等によってやる場合におきましてはそういう弊害が少いだろう、こういう趣旨で現行法がそうなっておるものだと心得ておるのであります。

辻武寿無所属クラブ

○辻武寿君 そうしますと、頼むことがいけないんじゃないわけですね。頼み方の問題なんですね。そこの精神がよくわからなくて、何でも頼むのはいけないんだというところから、非常に行き過ぎた取締りをする場合もあるわけです。今度の選挙においても、警察官がひょっこり入ってきて、どうだ、驚いたか、こういったふうな事件もあったし、それから、検印のあるポスターを警察官自体がひっぱがして、これは間違っておると言って持っていった。それから署長さんに会って、どこが間違っているかと、検印がちゃんと押してあると、署長さんの方で非常に丁寧にあやまった。今度注意する、こういうような事件も私知っておりますが、取締りに当って、警察官が非常に行き過ぎをやっている部分もあるから、どれくらい行き過ぎをやっているか、どんな事件があったかというようなことも調べてみる必要があると私は思いますが、そういうことをやっておりますか。

中川董治警察庁刑事局長

○説明員(中川董治君) 先ほど一松委員、大谷委員の御質問のありましたように、警察といたしましては、犯罪が現に行われたにかかわらず、そいつを知らぬは警察官ばかりなりということで、犯罪があるにかかわらず、検挙されないということになりますと、公職選挙法の期待する法の目的を達成できませんので、身を粉にして、夜も寝ずに内偵を続けたようなわけでございます。ただし、その内偵にいたしましても、捜査にいたしましても、すべて定められた法律のワク内であることを要するのでありまして、内偵をこっそりやるのは、これは許されてしかるべきと思いますが、人の意に反して、令状などなしに住居に侵入するようなことは、これは違反である。それから、むやみに職権を乱用するようなことがあってはいかないことは当然でございますが、そういう警察官の内偵を含めた犯罪捜査において、いわゆる行き過ぎがないように、言いかえれば、警察活動においての合理性を担保せねばなりませんので、このことにつきましてはわれわれの職責でございますので、全国の捜査に従事する者に対しまして、そういうことのないように、個々に厳重に指導もし、教養も徹底しておるのでございます。ところが、たくさんあるわけではございませんけれども、犯罪があると思ってやっておったが、そうでなかったという事例が、ごく少数であるけれども、あり得るわけです。たとえば、検印の場合におきましても、検印の押し方が非常に不鮮明であって、結局一見したところでは検印がないポスターだと思って持ってきた、ようしさいに明るみで見てみると検印があった、こういう事件が、あまりないと思いますが、ごく一件か二件あり得るわけでございますが、そういう場合におきまして、そういう間違いが……警察といたしましてもミステイクがないように指導いたしておるのでございますけれども、検印がないと思ってよう調べたところが、検印の押し方がまずくて、選管の検印の押し方が、たくさんあるものですから、そのうち一枚ぐらいは押し方が不鮮明であると、こういう事犯がないとは私は断言できませんけれども、そういう点が少くなるように、警察活動がケアフルに行われるということについては、周密な調査もいたしますし、われわれの方でそういう監督組織を持っておりましてそういう方面に十分注意を喚起するとともに、厳正な取締りが担保できるように指導いたしておるわけでございます。

辻武寿無所属クラブ

○辻武寿君 まあ行き過ぎがないようにしっかりやれ、注意しなさいということだけでなくて、この前に警察の取締りでこれこれこういうような事件でこれだけの数の問題があったぞと、今度は一つないようにと、具体的に統計でもとってやる必要があると私は思うんです。  それから、先ほど一松先生の方からお話が出たんですが、強迫的な投票依頼ですね。頼んだ人、入れないと仏の罰をこうむる、そういうような強迫的に投票を依頼したという事件があったように聞いたんですが、これも慎重にやらないと、たとえば、私も宗教関係には関係しておりますけれども、非常にその宗教に対して反感を持っている、そういうような警察官が、事実無根であるにかかわらず、ちょっとした方面からうわさを聞いただけで引っぱって実際調べてみたら何でもなかったというようなこともあるわけで、こういうことに関しては、特によく認識してから評価するように、くれぐれも注意して下さい。そういうことを私要望いたします。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 まずお尋ねしたいことは、皇太子様の御成婚に関連して、恩赦の問題がありましたが、その場合に、私ども国会の意思としては、選挙違反を含めるべきではない、こういう強硬な意見が圧倒的でありましたが、政府側は、最終的には選挙違反はこれに該当しないということで、非常にゆるい取扱いをされたわけです。私どもがこの恩赦の中に選挙違反を除外するということは、来たるべき選挙にも非常に影響を及ぼすと、従って、選挙違反はこの恩赦の中に当然含めないようにというような主張をしておったわけでありますが、今度の選挙、つまり参議院だけではなく、地方自治体の長の選挙並びに地方議員の選挙、選挙が重なって行われておりますが、恩赦の中に選挙違反を含まないというこのことと、今度の選挙の数々の違反事例について、相当に関係がないとは考えられないと思いますが、この点は、どういうふうに当局としては見ておりますか。この点を大まかに答えていただきたい。

竹内壽平法務省刑事局長

○説明員(竹内壽平君) ただいまお尋ねの恩赦の点でございますが、仰せのように、選挙違反を含めないという御意見もあったわけでございますけれども、当局といたしましては、大赦の中に選挙違反を含めると、つまり選挙違反を大赦によって恩典に浴せしめるというような趣旨の恩赦はあくまで避くべきものであるという考えに立ちまして、結局御承知のように特赦、復権、減刑というような特別恩赦という形になったわけでございます。従来の実際を見ますると、政治犯と申しますか、この選挙違反関係の犯罪を恩赦から除外した例がむしろないわけなんでありまして、今回の恩赦問題のいろいろの議論を通じて見まして、要するに、この大赦というような形で問題を処理すべきでないというようなところにわれわれ事務当局としても考えましたし、政府もそういう方針で貫かれた次第でございます。そこで、特にこの大赦にいたしませんで、特別恩赦という形をとりましたのは、一つには、この差し迫って参りました当時の地方選挙、統一選挙並びに参議院選挙というものに影響が極力及ばないという趣旨も一つ含まれておるのでございます。それは、特赦の基準を見ましてもおわかりのように、四月十日以前において一審の判決があった者について、確定はその後になりましても、そういう者についてのみ特赦の恩典に浴せしめるということになっております。これは、すでに十日以前に一審の判決ということでございますので、ほとんど統一選挙には影響は——若干はそういう早く検挙された事前運動もありますけれども、大部分のものは、すべて恩赦から除外されているという趣旨を考えておった次第でございます。それで、現実の選挙違反の状況を見ますると、先ほども警察当局から統計上の御報告がありましたが、統一選挙につきましては、まあこれは必ずしも前回に比較はできない。選挙の数も非常に違いますので、一概に比較はできませんけれども、取締りいたします方の手のうちというものは同じでございますので、その同じ手のうちの方から見ました前回の選挙と今回の選挙を比較してみますると、その数におきましても、おそらく四割以上の違反が出ておるのでございまして、この恩赦がありましたために警察が検挙意欲を失ったとか、あるいは検察当局がそのために消極になつたというようなことも心配されたわけでございますが、現実にはさようなことはなく、あくまで公正に検挙の職責を尽しておるというのが現況であると、かように考えておる次第でございます。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 検挙意欲を失うか炭わないかということは、これは当然問題にならないことで、お役目柄当然これは検挙意欲を旺盛にされて、違反事例をあげておられることだろうと思います。しかし、今日までの選挙違反の事例から見ましても、買収事犯というものが非常に多くなってきておりますね。昭和二十七年の十月から三十一年の七月までの統計を見ますと、受理された買収事犯というものは加速度的に伸びてきているようです。おそらく今回の選挙も、内偵はまだ進められておらないだろうと思いますが、当局として、買収事犯というものは相当な増加率になるのではないかというような予想をなされますか、この点はどういうふうにごらんになっておられますか。

中川董治警察庁刑事局長

○説明員(中川董治君) これは、日本の選挙界の残念なことなんですが、公職選挙法で、戸別訪問も犯罪だし、買収も犯罪だし、利害誘導も犯罪、いろいろ制限があるわけですが、いつの選挙でも、比較的金員を授受して投票を依頼する、ないしはごちそうする、こういう事件が多い。また、政策といたしましても、ほかの犯罪もさようでございますけれども、こういうようなことは相当悪質でありますので、大いに努力しておる、こういう関係でございます。ここで、いつの選挙の例をとりましても、分類の仕方にもよるのですけれども、買収、利害誘導の罪というものが相当数を占める。これが残念ながら日本の選挙界の一つの特質みたいになっておりまして、こういった買収、供応等の罪が公明選挙運動の結果少くなることを期待してやまないのですけれども、二十八年の選挙も三十一年の選挙も、買収罪が相当多数を占める、こういう現況でございます。あるいは御答弁にならぬかもしれませんが、そういうのが選挙界の実情でございますので、今回も比較的買収が、この前にくらべると多いかどうかは別といたしましても、買収罪が相当数を占めておる、こういう現況でございます。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 今回も多数を占めているというのは、どういう根拠でそういう御答弁になられたわけですか。

中川董治警察庁刑事局長

○説明員(中川董治君) これから捜査する結果については、もちろん予測にしかすぎないのですが、現にただいま私が数字で申しました一千七百七名、参議院の選挙で被疑者を検挙しているわけでございますが、そのうち買収及び利害誘導罪が五百四十名を占めておる、こういう状況でございますので、相当多い比率を占めておるということが言い得るのでございます。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 それは、今度の参議院の選挙での中間報告ですか。

中川董治警察庁刑事局長

○説明員(中川董治君) お答えいたします。  今次参議院の通常選挙における六月五日現在の報告であります。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 これは中間報告になるわけですが、おそらく最終ということになれば、二十七年から三十一年までの統計によっても、買収事犯というものがふえているわけですから、当然今度も含めて二倍あるいは三倍ぐらいの増加率になってくるのではないかと思われますが、まことにこのことはゆゆしい問題であって、当然これは厳正な態度でもって一つ御臨み願わなければなりませんが、竹内さんにさらにお尋ねしたいことは、実際問題として、恩赦とそれから選挙違反との関係で今御説明になったわけですが、二十七年のときの買収事犯として受理された件数が三万三千百二十二件あるわけです。これは、私が調べたのですが、そのうちで起訴されたものが一万五千六百七十件、その起訴されたもののうちで、第一審の起訴人員として残った者が百三十五人です。第二審まで残ったのが三十四人、こういうことになっているわけで、結局買収事犯として受理した三万三千以上の者が、これはもう無罪放免という形になってしまっているのじゃないか。それから、その次に行われた選挙では、さらに買収事犯がふえて、幾らですかね。十一万くらいですか、十一万くらい買収事犯として受理されて、そのうち起訴されている者が三万五千七百六十九件というふうに、これは、あとで的確な数字はお知らせいただくことにして、多くは起訴されない、微罪放免という形で、いいかげんに処理されているのじゃないかというような気がするわけですがね。こういうことになってくると、買収をしても何しても、勝った方がいいということになって、めちゃくちゃな選挙が行われるのは当りまえのことなんです。今度も、中間報告だからわかりませんけれども、この買収事犯というものは相当の増加率になっているのじゃないかと思います。これも微罪放免という形でいいかげんにされたのでは、とても公明選挙とか何とか言っても、お話にならないと思いますが、こういう点はどういうことなんでしょうかね。

竹内壽平法務省刑事局長

○説明員(竹内壽平君) 参議院議員の選挙の方につきましては、私の方でとっておりますのは、ちょっと警察よりも古いのでございますが、六月二日現在の集計によりますと、全体で四百二十五名の受理中、百九十五名が買収事犯でございます。前回の参議院選挙のつまり投票日一日たったときの集計が、買収が七十六人でございますから、それに比較しますと百九十五人で、多くなっておるわけでございます。それから、先ほど私が五割もふえたということを申し上げましたが、これは、地方選挙の場合も同じような意味で、統計を見ますると、五月三十日現在の報告によりますと、総受理人員が四万七千二十一名でございまして、そのうちで四万一千四百六十五名が買収事犯でございます。この四万一千の受理人員が、前回の三十年のときの選挙の同じ期間の同期の統計と比べますと、そのときは二万七千五百三十名でございましたから、同じ同期を比較してみますと、買収事犯において非常に多くなっておる。こういう意味におきまして、買収事犯がふえておるということを申し上げたわけでございます。それで、今後参議院の方は、先ほど警察からも御説明がありましたように、本格的な検挙に着手したばかりでございまして、今後どういうふうに事件がふえて参りますか、にわかに予測はいたしかねるわけでございますけれども、過去の選挙並びに統一地方選挙の実績等から推測いたしますと、相当数の買収事犯が検挙されるであろうということを推測できるかと思うのでございます。これらの買収事犯が、検察裁判の過程におきましてだんだん消えていってしまうのじゃないかという御心配、これは、私どもも実は検察の処理につきましては責任を持ってお答え申し上げ得るのでありますけれども、裁判の過程にいきまして、一審で実刑の言い渡しがありましたものが、控訴審におきましては執行猶予がついたり、あるいは一部無罪になったりして、最高裁判所まで参りました事件で実刑として残った事犯というものはきわめて少いので、その点がまことに司法的な処理といたしまして適切であるかどうかということにつきましては、実は心を痛めて、検討いたしておる状況でございます。それでは、その半数以上が不起訴になって、うやむやになっておるじゃないかという御心配でございますけれども、買収事犯の中に数えておりますのは、買収をした者と受けた者と両方が計算に載っておるわけでございます。特に下っ端の方へ参りますと、百円、二百円といったような買収を受けた者もある。そういうのもあるわけでございます。そういうものを一々立件といたしまして、そうして広くすべて裁判にかけるというようなことは、刑事政策上の見地からいたしまして適当でございませんので、起訴猶予になりますものが相当たくさんあるわけでございますが、それは、そういう理由によるものでございます。そのほか買収事犯で不起訴になりますのはそういったようなもので、大部分が起訴猶予ということになっておる状況でございます。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 数字を伺えば、まことに寒心にたえないような数字を伺っておるわけですが、この買収事犯を検挙する場合に、相当やはり注意をされたやり方をなさらないと、大へん気の毒な事例が起ったこともあるわけです。私は、買収というのはうんときびしくやってもらいたいと思いますがね。きょうちょっと私資料を持って参りませんでしたが、女の人は、特に農村の女の人はとても純朴で、百円もらったのから調べていかなければ大物はつかまらないわけですが、その百円ぐらいもらったのを調べるのには、女を連れていくのが一番いいというふうなことで、農村の全く知識のないような女の人を連れていって、順々に聞いていく。その聞かれた人が今度村八分にあって、その結果自殺した事件が今度出ていますね。私は、これは何県の事件でありましたか、今具体的に覚えておりませんが、週刊雑誌で読みましたときに、非常に複雑な気持になった。こんなふうに買収がどんどんふえてくるのですから、当然こういう問題はきびしく取り締らなければなりませんが、その内偵を進めるに当って、一番弱い婦人層だけを連れていって、そうして聞き出していくというようなやり方は、これはどういうものかという疑問が残るのです。非常に複雑なんですがね。実績を上げるのには、やっぱりこういうところを突かなければならないでしょうがね。

竹内壽平法務省刑事局長

○説明員(竹内壽平君) 今お尋ねの事件は、私も承知をいたしております。これは、名古屋管内に起った事件でございます。それで、捜査の方法としまして、弱い者から突いていくということは、これはある程度やむを得ないことかもしれませんが、それにしても、弱いものは婦人であるというふうには必ずしもいかないのでございまして、捜査官としての私どもの経験からしますと、婦人というのは苦手のものでございます。ことに選挙につきましては、婦人の有権者もまた男性と同じ程度あるわけでございますので、婦人みずからが婦人層の中に入っていってやるということも、現に手広く事件の中にも現われてきておるのでございまして、婦人なるがゆえに先に検挙するというようなことは私は万々ないと、これはもうケース・バイ・ケースで、その事件はその婦人を取り調べざるを得なかったというふうに考えるのでございます。ただ、お尋ねのように、買収事犯に関連いたしまして、自宅で身をつつしむといったような事件が起りますことは、これは非常にいろいろな角度から考えなければならない問題でございます。もちろん捜査の行き過ぎというようなことから、そういう問題が出されるということになりますと、これは人権上ゆゆしい問題でございますが、今回の事件はそういう観点ではなくして、むしろ自分の自白をしましたことが他人に迷惑を及ぼしていくとか、あるいは村の中で何某を推薦しておるのに、違った処置をしたというようなことが村八分的に冷遇されたというようなことで、命を縮めた人もあるように聞いておるのでございまして、この選挙にからむ一つの社会相という、社会問題として私どもはこの種の事件を先生同様に深刻に見守っておる状況でございます。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 婦人なるがゆえに特別にそういうひどい調べ方をしたというふうに私は申し上げているわけじゃないのです。ただ、選挙ボスというのは特に農村にいけばありますよね。特に小さい選挙のときには、このボスの活躍なんていうことは、これは日常茶飯事のことです。ところが、その地方のボスと村の駐在というものは非常に密接にくっついている。それで、そのボスを摘発する能力を持たない警察がおって、しかし、上の方からは厳重に捜査せよという命令が下ってくるから、従って警察は、ボスは一応知っておっても知らぬ顔しておいて、一番弱い婦人あたりを連れて行って、それで自白させて、それから今度本家本元の方へいくというようなことになっておるようですね。これはけしからぬことだと思うのです。毎度々々選挙があればふところがあったかくなるんだといって喜んでるようなボスが、まだ農村あるいは漁村、そういうところにはかなりいるはずなんです。警察当局の方では、こういう組織的にいつでも動いている、いつでもホシをつけられているような人物のリストというものを私は作ってあるんじゃないかと思う。そういうリストに基いたものを厳重調べるというならわかるけれども、そういうものは一応さておいて、そうして一番弱い、おまわりに口でもかけられればがたがたふるえるようなのをジープに乗せて連れて行っちゃって、それで調べるというようなやり方については、私は、買収はきびしく取り締れと言うけれども、そういうやり方についてはどうも納得がいかない。どうもこの村のボスというものと、それから村の駐在というものは、いろいろの意味でもって親しくしなきゃならないわけなんですが、くっついてしまってて、見のがしてるんですね、それを。リストなんていうのはできてないんでしょうかね。どういうふうになってるんですか、この選挙ボスといわれる者の取扱いというのは。今まででもどういうふうにしてるんですか。

中川董治警察庁刑事局長

○説明員(中川董治君) 警察とボスがつながりがあるとおっしゃいますけれども、まことに心外なんですが、結局どういうことかと申しますと、すべて犯罪捜査というのは証拠によってやるものでありますから、たとえば、私が何か犯罪をやったという疑いがありました場合に、私から調べてもうまくいきません。これは、私が犯罪をやったという場合におきましては、私の犯罪を見聞した人、ここから証拠を固めていって私を検挙する、こういうのが証拠主義の犯罪捜査の根本でございますので、その最初から悪い人たちのところから先に調べるということは、全く現行の民主憲法の根本にさかのぼる問題なんでありますが、われわれ犯罪捜査をやるにつきましては、証拠に基いて検挙しております。こういうことなんでありますので、証拠と申せば、物的の証拠もございましょう。見聞した人の聞きとりをやっていく。それで、村で犯罪が行われた場合におきまして、犯罪を見聞した人たちの事情を聞いて参って、そして犯罪を敢行した人を割り出していく。割り出した結果、証拠隠滅のおそれがある場合におきましては逮捕する。証拠隠滅のおそれがない場合におきましては任意に調べる。こういうことでありますので、いろいろ状況をだんだん人から聞いていくということを否定していただくと、犯罪捜査はできませんので、その点一つ、われわれ人権を尊重し、しかも活発に犯罪捜査をやっていく、こういう立場から御了解いただきたいと思うのであります。  それから、ボスの点でございますが、ボスという言葉も、いろいろ考え方もありますけれども、ボスという言葉の中に、その支配力が相当大きくて、しかも犯罪をやっている、こういうような人をさしていらっしゃるんだと思いますが、そういう人間は、警察ではリストを作っております。そのリストに基いて、そういう人たちが犯罪を犯すと、先ほどしばしば大谷委員から御質問がありましたように、ボスというのは犯罪を起しやすいので、そういう人たちについて犯罪がありゃしないかということをずっと聞き込んで、そして調書をとって、そのボスが犯罪を起している確証を握って検挙していくという方法をとっておるのでありまして、ボスを遠慮して警察がやらないというのは、どうも私は受け取れないのでありますが、犯罪捜査の実情と、日本国憲法施行後の犯罪の捜査の根本義は、そういうところにおくみ取りいただきまして、一つ誤解のないようにお願いしたいと思います。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 ここで事実を出して言えば一番いいのですが、水掛論になるようなことは避けますが、そういう点があるという点については、上に立つ者は注意していただかなければならぬということを指摘しておるわけです。私は架空のことを言っておるのじゃないのです。おれのうしろには警察がついておるのだというようなことで、それは、ボスの力というものは最近なかなか大したものですよ。そういう点を十分にこれは注意していただく意味で申し上げているので、誤解のないようにお願いしますというおっしゃりようは、少し思い上っていることではないかと思う。なぜ私はそういうことを申し上げるかというと、この委員会で、最終の委員会でありましたが、青木自治庁長官をこの席にお呼びいたしまして、そうしてやはり選挙の問題について政府当局のお考えを伺ったのですが、その中で、当然取締りは厳正にしなければならない、しかし、警察が全力をあげても、やはりこれは無理な話なんですというような御答弁でした。取締り強化だけではやはり完璧ということはできない。ですから、抜本的ないろいろな方法を考えていかなければならないという御答弁で、私も、自治庁長官の御答弁はなるほどというふうに考えたわけです。警察が全力をあげてこの選挙事犯というものを、特に今度のように各種の選挙が重なった場合に、やっぱり相当な無理だろうと思いますが、何%くらいの一体効果をあげられるものなんですか、実績は。

中川董治警察庁刑事局長

○説明員(中川董治君) 私は、自治庁長官のおっしゃったことも、私も事実そう考えておるのですが、結局選挙をよくするのには、警察とか検察官というようなのがやっぱり捜査官でございますので、犯罪捜査ということも一つの役割を果そうと思います。ところが、犯罪捜査だけで選挙がよくなるというふうには、民主主義下の私たちとしては考えられない。それで、やっぱり選挙は国民が選挙いたしますので、国民全体が民主主義の上に立脚されまして、公明な選挙をするということに徹していただくということが根本でありますので、その意味におきまして、その捜査機関だけが一生懸命やることによって選挙がよくなるというふうにうぬぼれて考えていない。私自身も申し上げたことがあろうと思いますが、青木国務大臣も、そういう意味で申されたわけでございますので、捜査の機関だけが選挙をよくするといううぬぼれは申し上げておりませんので、その点におきましてわれわれは仕事をしておるつもりであります。ところが、現在の公職選挙法を施行するにつきまして、私たち国民がほんとうに自分たち国民の選挙だということを徹していただくのが根本なのでありますが、不幸にして、日本の選挙界の状況から見て、犯罪捜査の一つの役割を果すということには、その点につきましてはよくわかりますので、それにつきましては、身を粉にして警察としては捜査活動をやっておるので、これが正しい姿だと思います。そういうふうにして、身を粉にして犯罪捜査をやって参るのでございますけれども、多数行われる犯罪につきましては、警察としては発覚するように、たとえて申せば、ボスの名簿を作ったり、あるいはブローカーの名簿を作って、一生懸命やっておりますけれども、一ぱい行われる犯罪について、百パーセント警察が全部あげ切ったというふうには思い過ぎておりませんし、ただ、何%くらいだという御質問なんですけれども、われわれ警察として、証明できるものは百パーセントやっておるのでありますけれども、証明できない犯罪、すなわちその証拠が収集できない犯罪、ただいま一松先生からお話がありましたけれども、われわれ努力いたしますけれども、何ぼ聞いても、村の人たちはそういうことは行われていないと言う、こういう物的証拠が全然ない、神様から見れば犯罪が行われたかもしれませんが、人間どもがやる犯罪捜査につきまして証明できない、こういう面が相当数あるだろうと思います。これは潜在化しておる犯罪でありますので、数字的に何%ということは出て来ない性格なんでございますので、われわれ全部百パーセントやったといううぬぼれは持っておりませんが、何%というパーセンテージを知る性格のものでございませんので、一つこの点も御了承を願いたいと思います。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 私は、最近のいわゆるボスの隠然たる勢力というものが選挙に大きなかぎを与えているということを、警察当局は否定なさっておるようですけれども、現実の問題としてこれは否定できない問題だということで、非常に重視しているわけです。たとえば、ボスの手からこういうような文書が配られていますね。「御願ひ有権者の皆様、参議院選挙の投票日六月二日(火曜日)も近づきました。投票は皆様の権利であると同時に民主国家の一員としての最も大切な義務であります。万障を繰合せて御一票を投じて下さい。特に参院議員選挙はなほざりにされ常に五割を下廻る投票率です。特にわが党を支持される方はこぞって投票される様御願ひ申上げます。扨て今回の参院選挙は自民党、社会党の天下分け目の決戦でありまして、わが党は多数同志の当選を確保せねばなりません。わが党の公認候補はいづれも各地で善戦いたして居りますが、全般的に容易でないといふのが現在の情勢であります。特に左の二氏は今一歩で当選確実となりますので、皆様方の清き御一票を項きたく、御願いいたす次第であります。」全国区参議院候補何の何がしと、ちゃんとこう大きく書いてあります。それから地方区参議院候補何の何がし、そうして何々党本部何々々、全部以下同文、ずっと名前、こういうようなものがボスの手から白昼堂々と有権者のところに配られている。こういうことは、私どもは、選挙のまつ最中にこういうものが堂々と配られているというようなこの事実というものはおそるべきものだと思うのです。そうしてこういうような人は平気ですよ。警察がちゃんと私のうしろについているのだというようなことで平気です。こういうものが全般にばらまかれまして、そうして選挙違反でも何でもない、こういうことをやっても何もあげられるわけじゃないのだからということで、実にこれは大胆なものです。こういうようなことが見のがされているということは、やはりボスに対する警察当局というものは、相当やはりリストがおありであれば常時御注意になって、これは徹底的に追及される用意がなければ、弱いものだけを取り締っても、大魚を逃がしてしまうということになるのではないか、こう私は思うのです。  そこで、これの根本問題に触れるわけですが、先般の委員会で、自治庁長官が、個人の選挙運動に対して、もう十分にこれは個人的なこととして監視していかなければならないけれども、政党本位の今後運動になってくるのだから、政党自体の運動に対する対策についても、私どもとしては十分研究しますという意味の御答弁がありました。従って、この政党本位の運動に対する対策というものは、何か政府当局として特別なものを今度の参議院選挙に検討されたのでしょうか。この点、御存じでしたら承わっておきたいと思います。

中川董治警察庁刑事局長

○説明員(中川董治君) 当時私も一緒に、青木大臣とここで伺ったのですが、青木大臣は、御案内のように、選挙管理をする機関である自治庁の長官でもありますので、この選挙法の改正について自治庁長官として御研究でございます。その一つの考え方として、今日の選挙について、個人主義と申しますか、個人ということを中心にして選挙運動を規制されているものが多いのですが、政党というものの規制について、もう少しその関連を考えたらどうかというふうな御意見をここでお述べになったことも事実でございます。そういう点を含めて、自治庁を中心にいたしまして、これは立法論として、いろいろ自治庁を中心として研究していることは事実でございますが、私どもの承知している限りにおきましては、まだ改正の推進状況ということは、伺うという段階に至っていないのでございます。そういうことは、あれやこれやの内容を考えて、自治庁を中心に検討しておる、こういう実情であります。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 これは一つの例ですが、これは明らかに政党をバックにした違反行為ですが、当局は、政党のこういう堂々とした違反行為等については、あれですか、十分に勧告をされたり、あるいは注意を喚起したりするようなことがされておるでしょうか。特に山梨県の甲府におけるパレードの問題です。あの問題については、検察当局は、何ら選挙違反ではないという見解を出しておられるようでありますけれども、あれは何に基いて違反ではない……。

中川董治警察庁刑事局長

○説明員(中川董治君) これは、高田さんも御案内と思いますが、公職選挙法が非常に円滑に施行されるためには、犯罪という形になった違反について検挙していくことも一つの方法でございます。そのほかに、そういったことが行われないように、みんな関係の方々が一つ注意してもらう、こういうこともさらに根本の問題だと思います。それで今度、参議院議員の公示のあった日だと思います。五月七日の日に、警察庁長官から、両政党及び関係政党の方に、政党の政治活動の違反がないように一つ御注意いただくという旨の文書を出したことも、その趣旨からにほかなりません。そういった警告措置、検挙取締り措置、両々相待ちまして、公職選挙法という法律が円滑に施行されていく、こういうことを私ども微力ながら期待しておるのでございます。それで、いろいろ文書事件がありました。内容によりまして検挙する者が出てくる、警告措置によってやめていただくことができるということもございますので、そういうことによってやっていく、そういうことでやって参っておるのが実情でございます。それから文書違反というのは、先ほども私お答えしたつもりでございますが、今回の選挙につきましても、相当多数出て参りまして、ポスター関係の違反、ビラまたはパンフレット類の文書違反が一ぱいございまして、そういった点も、捜査を着々遂げております。しばしば申し上げておりますように、われわれ警察としては、すべて見つけるように努力しておりますが、見つけ切れない面もあろうかと思いますので、国民の御協力のもとに、すべてが見つかるように一つ御貢献を願いたいと思います。  さっきの最後の御質問の、山梨県下におきまして、特定候補の関係で、いろいろ政党の関係者が選挙運動の目的をもって向うにおいでになった、こういうことも事実でございますが、われわれ、違反かどうかという点につきましては、すべて事実によるのでございまして、事実関係が、選挙運動のためにずっとパレードしておる、こういう状況であったか。それでなしに、選挙運動には違いないが、トランスポーテーションと申しますか、土地を移動するための目的であったか、こういうことも一つ事実認定の判定の基準でございます。そのほかに態様が、実際行為そのもの自体が選挙運動的な行為の態様であったか、そうでなかったか、こういうことが問題の第二のきめ手だろうと思うのでありますが、いずれも現実に行われた行為によるのでありまして行為の状況がはっきりして参りませんと、明確に申し上げられないのでございますが、当時の状況で、第一線の方でやったときの状況、さらに今調べておりますけれども、東京を立っていくということは選挙運動の目的であったと思うのでありますが、本題の自動車を数台連ねていくという状態のときに、選挙運動のために連ねたかどうかという点について、消極的に考えられる問題があり得ることと、そのときに、選挙運動の車がそこにずっと入っていなくて、その車は全くの別の方、一キロも前の方にあった、こういう状況等も考えて、公職選挙法に定める違挙運動のための示威運動である。こういう線が認められるかどうか、相当疑義がございますので、事実関係は第一線の方でも調査しておると考えるのであります。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 甲府問題は、そうすると、結論は、まだ事実関係がよくわからないから結論が出ていないのだ、こういうわけですか。

中川董治警察庁刑事局長

○説明員(中川董治君) 一応公職選挙法に定める選挙運動のための示威運動と当該行為を一応認められるか、さらに念のために調べておる。こういう状況でございます。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 とにかく、いろいろ言い方はあるでしょうが、これは社会党とだいぶあそこで激突をした問題で、私どもの方でも重視しておるわけです。きょうは、十分な証拠物件も私のところに手持ちはありませんが、候補者の自動車を何台も何台も連ねてきて、それで、気勢を張る行為でないという断定をして、これを通過させようとしたという警察のやり方というものもどうかしておると思いますがね。われわれは、トラックの上で演説をして、演説の終りがけにちょっと動いたときでも、大騒ぎをして警察がとんでくるのに、目の前で何台かの自動車が候補者の名前を連ねて動いているのを、それを示威行為でないという断定をするというやり方については、私ども納得いかない。これは、きょうここで出しませんで、日をあらためて私どもの方で材料を集めて、一つ当局についてさらに御質問申し上げたいと思います。

古池信三自由民主党

○委員長(古池信三君) それでは、本件に関する調査は一応この程度にとどめます。   —————————————

古池信三自由民主党

○委員長(古池信三君) 次には、少年の傷害事件について調査を進めます。  御質疑の方は、御発言を願います。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 これは朝日新聞、六月六日の土曜日のでありますが、小さな子供が、自転車に乗った男から胸を刺されてお気の毒になくなった事件がございました。警視庁の方でも、ずいぶんやっきになって捜査をしていらっしゃるようですが、こういう不幸なことがないために、私どもも、当局とも十分と協力をいたしまして努力しなければならないと、思いを新たにしたわけでありますが、これに関連して、警視庁の方で、合同公安委員会で、飛出しナイフの禁止立法への方向へ進むべきであるというような結論を出されておるようでありますが、最近の飛出しナイフ等による子供の危険な遊びで、どういうふうな被害の実情が起っておるか。そのまず被害の実情からお話しをいただいて、飛出しナイフ禁止立法に踏み切るに至った警視庁の考え方、こういうものについて詳細に御説明を承わっておきたいと思います。

木村行藏警察庁保安局長

○説明員(木村行藏君) お答えいたします。まあ念のために、飛出しナイフの規則についての沿革なり、若干つけ加えておきたいと思います。御案内の通り、飛出しナイフが法律によって規制を受けることになりましたのは、昭和三十年の十月一日からであります。改正になりましたのは、法律として成立しましたのは、昭和三十年七月四日の銃砲刀剣類等所持取締令の一部改正という法律が国会で成立しまして、実際に施行になりましたのは十月一日からでございます。その法律施行によりまして、御案内の通り、刃渡り五・五センチメーターをこえる飛出しナイフにつきましては、その所持が禁止されたのであります。この禁止措置がなされました当時の状況は、あるいは御承知かと思いますが、当時飛出しナイフが犯罪に使われました危険が相当ありましたので、それにからみまして世論もだいぶ高まって参りまして、一応われわれ事務当局といたしましては、全面的に禁止の法律案を用意いたしたのであります。しかし、当参議院におかれまして審議されました結果、当時犯罪に使われた状況なども、具体的に飛出しナイフなどを並べまして、いろいろ勘案判断しまして、現行法のような、刃渡り五・五センチメートルを基準としまして、これをこえるものについては、その所持が禁止されたのであります。その後、この所持禁止の措置がなされました以後の状況について若干申し上げますと、大体約三年間における飛出しナイフの殺人、強盗、強姦、傷害、恐喝など、いわゆる凶悪犯罪に供用されました、使用されました状況は、規制を受ける以前の年、昭和二十九年におきましては、こういう凶悪犯罪に使用されました事件が七百八十八件でございます。で、これが昭和三十一年には七百十五件となりまして、若干減少いたしておるのであります。しかし、昭和三十二年には八百六十一件、増加を示しておる。さらに、昨年の昭和三十三年には千二百五件でございまして、相当の増加を見ておるのであります。しかし、これは一応刃渡り五・五センチメートル以上のものだけでなしに、以下のものも、一応飛出しナイフ全体として申し上げた数字であります。こういう状況から考えまして、昨年は相当ふえたということは事実でございます。  で、この飛出しナイフの犯罪供用状況を、飛出しナイフ以外の、日本刀、あいくちなど、他の凶器といいますか、こういう他のそういう類の法律によって規制されておるもの、あるいは法律によって規制されていない刀剣類なども含めた、いわゆるそういうナイフ等の状況全体と比較して、どれくらいの率になるかというふうに申し上げますと、全体では、一万一千六百七件となっております。その中で飛出しナイフは、先ほど申し上げましたように、千二百五件でございますので、約一割強、正確に申し上げますと、一〇・三八%に当るのであります。たとえば、あいくちの使用状況を申し上げますと、千二百七十七件でございますので、約一一%。あいくちが一番多く使用されておりまして、その次に、ほとんどこれと同じくらいの程度で飛出しナイフが次いで多く使われておる。その次に、その他の刀剣類というのが九百九十六件でございまして、八・五八%。それから日本刀が二百五十四件で、二二一九%——二%強であります。で、この飛出しナイフの千二百五件は、昭和二十九年、すなわち改正以前の昭和二十九年におきましては、全体の率としては八・八%であります。一割以下であります。それに比較しまして、一割をこえる状況になっておりますので、若干比率としても上回っておる。ウエートとしても上回っておる。こういう状況になっております。これに対しまして取締りの状況について申し上げますと、飛出しナイフの所持違反として取り締った状況を申し上げますと、昭和三十一年には千四十八件で、人員で千六十二人であります。で、その凶器の物件は千百七十二であります。それが昭和三十二年には、所持違反検挙といたしまして九百件、さらに人員が八百八十八名、凶器物件が八百八十。それから三十三年は、七百四十八件、人員で六百八十一、物件にして六百六十一件でございまして、三十一年をかりに一〇〇といたしますと、その一〇〇の指数に対しまして、三十二年は八五、三十三年は七一%にしか当っていない、こういう状況から見ますと、先ほど申し上げましたように、犯罪に供用されている飛出しナイフの状況は相当ふえている。しかし、取締りの件数は若干減っておる。こういう状況が率直に申し上げまして出ておるわけであります。その原因について考えてみますと、これは、先ほど申し上げましたように、規制の対象になる大きさのものだけでなしに、規制の対象外の大きさのものも含めまして、飛出しナイフ全体について申し上げたわけでありますが、従いまして、取締り件数が若干減っているということは、この現行法で所持禁止として検挙でき得る以外のいわゆる規制対象外のような大きさのもの、たとえば五・五センチメーター以下の飛出しナイフというものがある程度ふえてきている、多くなってきておるのではなかろうかと思われます。これらの実情に関しまして、実は先ごろの全国の公安委員会の代表者会議においても、飛出しナイフについてのもっと規制を強化してもらいたい、全面的禁止といいますか、規制を強化してもらいたいという要望も出ております。これに関しまして、私たちの方も、現在いろいろな実情を研究しております。果して改正すべきや、強化すべきや、その点について、課題として研究しておりますが、まだ結論は出ておりません。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 公安委員会の提案の中で、理由になるところは、この五月十四日ですか、イギリスの政府が全面的に飛出しナイフの禁止を法律でしたようですが、それも根拠になっておるようですが、イギリスでこの飛出しナイフを禁止した理由というのは何かあるわけですね。そういう点は御存じでしょうか。

木村行藏警察庁保安局長

○説明員(木村行藏君) イギリスの立法例につきましては、実は私の方も取り寄せて目下研究しておりまして、まだ詳細な細目についてはわかっておりませんが、やはり最近イギリスにおきましても、少年が飛出しナイフを使いまして、いろいろな凶悪犯罪を起している、こういう実情があるように思われます。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 最近の飛出しナイフでいろいろの危険なことが行われていることで、夜なんかでも、うしろから自転車にさっと乗ってくると、わきへずうっと逃げたくなるような気持が一人歩きのときなんかするのですが、どうも非常に飛出しナイフの危険性というものを最近つくづく感じますが、公安委員会の方でも、せっかく飛出しナイフの禁止立法の方向を進めておられるようでありますが、もしこれを出すとすると、相当早い機会にお出しになるようなおつもりで研究しているわけですか。将来、近い将来というようなおつもりで研究していらっしゃるわけですか。その辺はどんなふうですか。

木村行藏警察庁保安局長

○説明員(木村行藏君) 念のためにちょっとつけ加えて申し上げたいと思いますが、公安委員会からの要望は、国家公安委員会の正式な要望ではありませんで、実は各府県に公安委員会がございまして、それの代表者会議、連絡会議がございまして、そこで出された意見でございます。そこで、ただいまの御質問に関しましては、先ほど申し上げましたように、一応事務当局としては、実は一応の案といたしまして、全面禁止という案を出したわけでありますが、しかし、産業に対する相当な制約になりますので、若干その方面からの強い要望もあり、また、当時の状況もいろいろ勘案し、具体的に飛出しナイフの長さなり形態なりを並べて検討いたしまして、一応五・五センチメーターをこえるもので線を引こうではないか、こういうように当時きまりましたので、そういう参議院の当時の意向もありますし、国会の正式の審議の過程として、そういう点について慎重に審議されましたので、よほどはっきりした事情がない限りは、新たに改正をいたします場合には根拠が必要だということは当然だと思いますが、従いまして、私たちの方におきましては、ただいま注目しておるような状況でありまして、いろいろな飛出しナイフの状況についても、五・五センチメーター以下のものについてどの程度使われておるか、また、現にどの程度殺されておるかというような状況についても、率直に申し上げて、まだ具体的なデータが正確ではありません。で、これを集めまして、さらに検討いたしたいと思いますが、それがすぐ結論として今直ちに改正するというふうな結論が出るか、あるいは将来の問題として改正するかということについては、若干今お答えしにくい状況なのでありまして、まだ用意ができていないということを申し上げておきます。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 そうすると、これはまだいろいろ業者との関係もあるようですし、早急にというわけではなさそうですが、五・五センチの刃渡りでなくったって、人は幾らでも殺せるわけでしょう。

木村行藏警察庁保安局長

○説明員(木村行藏君) まあ殺傷の能力といいますか、機能といいますか、それは長さと、それから刃の幅と、それから峯の太さといいますか、いろいろな条件がからんでくると思いますが、一応五・五センチメーターをこえるものは明らかに殺傷の機能があるというふうに思われますが、それ以下についても、たとえば、これが御承知の切先でありますが、ここに峯まちという境があります。この切先から峯まちまでの最短距離といいますか、これが刃渡りという定義になっております。その場合に、あご下、峯まちから下のあご下、これがあまり長いと、やはり殺傷の能力がある。従いまして、あの当時審議されました当時においても、脱法的にならぬようにということで、この峯まちについては、非常に脱法的に長いものについては自粛してもらうということで、いろいろ審議されたのであります。従いまして、五・五センチメーター以下が全部殺傷能力があるとも言えないし、また全然ないとも言えない、いろいろな状況がからんでくると私どもは思います。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 念のために伺っておきますが、私は、こんなおそろしい飛出しナイフなんというものは必要ないと思うのですよ。これは私の主観ですから、まあ研究してみなければまだわからないでしょうけれども、とにかく夏場なんというものは、薄いシャツ一枚で遊んでいるのですから、五・五センチの刃渡りがなくても、がしゃっとやれば、刺しどころが悪ければ、これは参ってしまうということもあり得るので、これは、飛出しナイフをどうしても使わなければならないというような、そういう公的な仕事なんというものがあるものでしょうかね。登山やなんかのときには、飛出しナイフがあった方が大へんに便利だということは伺うのですが、その他の場合で、飛出しナイフがなければならないという理由というものはありましょうかね。

木村行藏警察庁保安局長

○説明員(木村行藏君) 飛出しナイフの社会的効用といいますか、これは実はあまりないように私たちは思います。ただしかし、飛出しナイフが輸出用にずいぶん出されておりましてここに出ております数字を見ますと、五・五センチメーター以上のものが二十三万一千百八十四丁、それから、それ以下のものが二十一万二千百九十二丁で、合計四十四万で、大部分が輸出用に向けられているという点もあります。そういう状況でございます。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 ありがとうございます。そうすれば、これは業者も、そういうほしいという所にどんどん輸出をして、国内では、飛出しナイフというようなものは、登山の専門家なんかは、これは身元もおわかりですから、そういう方は、お使いにならなければならない場合もあるでしょうけれども、一般の小学生とか中学生とか、最近危険な遊びというので、テレビあたりでも大へん親切に取り上げておりますが、できれば、こういう危険な遊び道具に類するようなものはなくした方がいいので、あれば買いたくなるし、あれば使いたくなるし、使いたいという意思を持たなくても、ひょっとしたはずみに事故を起すというようなこともありますから、合同公安委員会の提案というものについては、かなり私も重要視しまして、できれば全面的にこれらが持てないという形にしておく方が望ましいのじゃないかという気がしておるわけです。これは私の意見ですから、また御研究いただくことにして、最後にお尋ねしたいのは、これは今、捜査段階でありましょうけれども、なくなられた金子隆嗣ちゃんの犯人というものは、相当捜査範囲が狭まってきておりますか。どんなですか。

中川董治警察庁刑事局長

○説明員(中川董治君) この事件は、警視庁も非常に重要視いたしまして、いろいろな捜査をいたしております。ところが、関係者が、御案内のように、少年関係ですから、少年に対していろいろな動揺その他を与えることについては、捜査としては非常に慎しまなければいかぬものですから、そういった点も考慮いたしまして、なるべく少年の心理件用に悪影響を及ぼさないというようなことで、慎重な考慮を払いつつ、しかも徹底した捜査をするという意味で、私の方の言葉で、たとえば地取り、足取りの捜査をやっているんですが、まだ日にちのめどがつかない。いろいろな角度から捜査を進行しております。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 ついでに、荒川の通り魔事件の捜査は、その後どういう段階に入っているんですか。

中川董治警察庁刑事局長

○説明員(中川董治君) これは、当委員会においても非常に御心配いただきました事件でありますが、この事件も、これも少年関係という関係もありますので、非常に慎重な態度で捜査を進行しております。いろいろな点であらゆる努力をいたしておりますが、ただいま、だいぶ時間も経過いたしましたけれども、被疑者を検挙する段階に至っておりません。警視庁としましても捜査を続行しております。

古池信三自由民主党

○委員長(古池信三君) それでは、本日の調査はこの程度にとどめることにいたします。速記をとめて下さい。    〔速記中止〕

古池信三自由民主党

○委員長(古池信三君) 速記を始めて。本日は、これにて散会いたします。    午後三時十四分散会

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