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31回国会参議院1959/05/04

法務委員会 閉会後第1号

発言数
30
登壇者
3
会派数
2
開催日
1959/05/04

会議録

古池信三自由民主党

○委員長(古池信三君) これより閉会中の法務委員会を開会いたします。  最初に御報告申し上げますが、本日付をもちまして、大川光三君が法務委員として議長より指名されました。   —————————————

古池信三自由民主党

○委員長(古池信三君) 本日は、売春防止法全面施行一年間の経過並びに最近の売春の実態等につきまして、取締りの面から見た諸問題について当局の御説明を聴取し、その後委員会において懇談をいたしたいと思います。まず、警察庁保安局から御説明を願います。

町田充警察庁保安局防犯課長

○説明員(町田充君) 局長が参りまして御説明申し上げるはずでございますが、よんどころない用事のために出席いたしかねますので、私、防犯課長でございますが、代って御説明申し上げますことをお許しいただきたいと思います。  昨年四月売春防止法が完全実施になりましてから一年になるわけでございます。本年三月末までの一年間の数字は、ただいま集計中でございますので、昨年四月から昨年十二月まで、まる九カ月間の大体の状況をお話し申し上げたいと存じます。  まず、検挙件数から参りますと、四月から十二月までの約九カ月の間に検挙いたしました件数は一万六千七百四十一件、人員にいたしまして一万五千六百七十二人でございます。どういう売春防止法の罪種別かと申しますと、第一番目に多いのが、売春婦によります街頭での勧誘事犯、これでございます。これが、先ほど申し上げました一万六千七百四十一件の中の八千九百五十件ということで、五三・五%、約半数以上が売春婦による街頭での勧誘事犯ということになっております。その次に多いのが、いわゆるポン引き等によります周旋事犯、これが二千九百二十八件、全体の中で約一七・五%を占めております。第三番目は、旅館業者あるいは飲食店業者、そういう所におきまする場所提供事犯、売春のために使用するものであると知りながらその場所を提供する、こういういわゆる場所提供事犯が二千五百十二件でございまして、全体の中で約一五%を占めております。その次に、暴力団関係者や旧集娼地業者による売春業事犯、これが千三百六十件で、全体の中で八・一%、そういう状況でございます。  なお、月別の状況を申し上げますと、四月以降逐次増加をいたしまして、たとえば、四月は千三百六十七件、五月は千六百六十九件、六月は千七百九十四件というふうに、逐次ふえて参りまして、十月の二千百九十七件というのが九カ月間の最高の検挙件数を示しておる状況でございます。  これらの検挙件数を通じまして、全体として申し上げられる傾向といたしましては、まず、何と申しましても、売春婦による街頭の周旋事犯というものが街頭で目につきやすいということからいたしまして、最も多くの検挙件数を見ておるということでございます。それから第二番目は、こういう検挙された者の中でやはり一番数が多いのは、もとの集娼地業者でございます。集娼地業者は、一応昨年四月以降いわゆる転廃業いたしまして、旅館なりあるいは飲食店、喫茶店、バーというふうな風俗営業に転業はいたしましたものの、立地条件その他から、どうしても経営がかんばしくないというふうなことで、またもとの女を呼び戻して、ひそかに売春をさせるというふうな、旧集娼地業者の事犯が何といっても一番数が多いように見受けられのでございます。それから、次の傾向といたしましては、暴力団関係者による管理売春事犯というものが相当多く見受けられるのでございます。暴力団に対しまして徹底的な取締りを続けておるわけでございますが、そういうふうに一部から追われた暴力団が、何らかの資金源を求めるという意味合いから、最も簡単に手をつけやすい場所を管理して売春をさせるというふうな、こういう犯罪につながる傾向が見受けられるように思うのでございます。第四番目といたしまして、なるほど地域的な旧集娼地のような業者はなくなりましたが、これにかわりまして、一般の飲食店なりあるいは旅館業というふうなものが売春の場所を提供する、こういう傾向がだんだんに見受けられるように考えております。それから最後に、最近のまあ新しい売春の形態と申しますか、だんだん巧妙になって参りまして、特に目立ちますことはいわゆるガイド・クラブあるいは観光クラブというふうな名称のもとに女性の会員を募集いたしまして、その会員たる女性を、客の求めに応じて、あるいは映画のお供であるとか、あるいはお茶飲みのお供であるとかというふうなことで周旋をいたしまして、その女性が売春をしておる、いわゆるコール・ガール・システムというふうなことで呼ばれておりますが、そういったたぐいの事犯、これはなかなか、この会員を募集いたします業者と婦女との間にはっきりとした、売春をさせるとかいうような契約がありますれば、事犯としては比較的明確な根拠でもって取締りができるわけでありますが、必ずしも女性をしてそういう相手の男性と売春をさせるという契約がない。周旋をした、あっせんをしたグループの人間としては、それはあっせんをした男女の間のできごとであって、われわれの関知しないところであるというふうなまあ逃げ口上もあったりしまして、なかなか検挙に手がつけられない、こういう状況でございます。  なお、たとえば街頭で勧誘しております女性の検挙取締りに当りまして、これを妨害するために、いわゆるひもとかあるいは暴力団の一味と目されるような者が見張りをしておりまして、取締りに当る警察官に暴行を加えるというふうな事例も散見されるのでございます。  以上、大体検挙件数と、それからそれを通じて私どもの方から見ました最近の売春事犯の大体の傾向でございます。また御質問に応じましてお答えをいたしたいと思います。

古池信三自由民主党

○委員長(古池信三君) ただいま警察庁防犯課長からの概略の御説明がありましたが、本件の調査につきましては、委員の間で懇談をいたしたらどうかと存じますが……。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 一つ二つ聞かして下さい。

古池信三自由民主党

○委員長(古池信三君) それではその前に、高田委員より質疑がありますから、これを許可いたします。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 取締りの方面からの実態をお話しになったわけですが、今、取締りが大へん困難で、特にひもが暴力をふるうということを言われましたね。これは、一般にそういう傾向で、ために取締りがなかなか困難なのか、それとも、最近売春のほかにいろいろな事件が多いでしょう、そういうことのために取締り員数というものが少くて取り締れないのか。ずいぶん最近東京都内でも、夜になると、ずっと町に出てきちゃって、大っぴらでやっておるのですけれども、存外そういうのが見のがされておるような点がありますね。それは、どういうところにそういう原因があるのでしょうね。

町田充警察庁保安局防犯課長

○説明員(町田充君) 街頭での客引きと申しますのは、これはなかなか、御指摘の通り、一部の地域をとってみますと、あそこに立っておるじゃないか、なぜ警察はあれを取り締らないのだという声を聞くのでございますが、私どもといたしましては、とにかく街頭での客引きというふうなものは、社会の風教上から見ましても好ましくないし、非常に目に余るものでありますために、そういうことは決して見のがさないように、ただ問題は、制服の警察官が参りますと、クモの子を散らすように逃げてしまう。それが立ち去ると、またどこからとなく集まってくるということで、これは、繰り返し繰り返しやりませんことには、なかなか実効が上らないのだというふうに私ども考えておりますので、ときにはそういうふうに、たまたま制服の警察官の目を盗んで街頭に立っておるというふうな女性がまだ跡を断たないというふうに考えております。決してほかの事件にわずらわされてこの方面の取締りについて手を抜いておるというふうなことはない、かように考えております。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 それは、警察の方もずいぶん一生懸命やっておることはわかるのですよ。けれども、とにかく売春法が実施されてから、今お話があったように、四月から十月までの間でもざっと二倍以上に伸びておりますね。それから、これは十月までのお話ですが、それからあと、この四月までは、きっとそれと同じような比率で検挙件数が伸びてきておるのじゃないかと思うのです。そうなってきますと、やはり警察の方だって限られた人数、事件はどんどんふえるということになると、別になまけておるとか取り締らないとか、そういう意味で私申し上げておるのではなくて、あまりに数がふえ過ぎてきたために、手が回らない面だってふえることもあるのじゃないか、そういう意味での見方、今後おそらくもっとふえてくるだろうと私見ておりますが、それについて、取締りの人員には限界があるでしょう。労力にだって限界があるでしょう。これは工合悪いのじゃないですか。人員が、数が少くなってきておるのじゃないですか。そういう事犯がふえてきておるなんということはどうですか。

町田充警察庁保安局防犯課長

○説明員(町田充君) この売春取締法の実施に当っております警察の係員の数でございます。実際取締りに従事しておるものの数でございますが、これは、法施行当時と現在とで、決して少くなったというわけではございません。法施行当時に、いわゆる売春防止法の取締り専従員として指定をされました職員がそのままの数で現在もやっておるわけでございます。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 その専従員というのは、大体何人ぐらいなんですか。

町田充警察庁保安局防犯課長

○説明員(町田充君) 大体の数を申し上げますと、まず、各都道府県警察本部と、それから実際に第一線の警察署と、この二通りあるわけでございますが、警察本部の方で全体が百十三名でございます。おもな県を申し上げますと、警視庁が六十五名、愛知県が十一名、神奈川県が同じく十一名、新潟県が五名、これが警察本部におきます専従員、それから警察署におきます専従員が百九十七名でございます。これは専従者、名前の示します通り、もっぱら売春取締法の施行にのみ当っておる人員でございます。これ以外に、担当者と申しまして、ほかの事務をも兼ねてやっておりますが、大体その処理しております事件の八〇%以上が売春防止法の違反事件だと、こういうふうになっております。警察官の数が、都道府県警察本部の方で百四十五名、それから警察署の方で千七十二名、従いまして、この専従者と担当者と合計いたしまして、警察署の方で約千三百名、それから、都道府県警察本部の方で約二百五十名余りの警察官が、実際に日夜第一線で売春取締法の施行に当っておる、こういう状況でございます。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 都市の大小にもよるでしょうけれども、そうすると、大体一つの県で平均して三十人くらいの方ですね、今の数から。

町田充警察庁保安局防犯課長

○説明員(町田充君) 大体そのくらいの数字になると思います。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 三十人の方がこれを昼夜を分かたずやっていらっしゃるのでしょうが、こういう工合にだんだんふえてくると、とても三十人ではあれですね、どうにも手のつけられないような姿ですね。しかし、まあ私ども見た実態からいうと、ずいぶんお骨折りだと思うし、ますますこれからふえてくるのじゃないかという心配が非常に多いわけです。  その次にお尋ねしたいことは、旅館、飲食店等の場所提供、この場所提供というのは大へん取り締りにくいのだと、法が制定されるときにも、やはりこれは問題になったところです。しかし、二千五百十二件のものがあげられておるわけです。これは、どういうふうな形であげていっているのですか。

町田充警察庁保安局防犯課長

○説明員(町田充君) これは、御指摘の通りに、なかなか立証がむずかしい事犯なのでございますが、検挙いたしました実際の事例を見てみますと、大体まあいわゆるその旅館というのは、札つきの旅館であるというふうな風評が前からあり、かつ、そこに出入りいたします女性がかつて売春婦としての経験のあった女性であるというふうな事柄、あるいは、その旅館の経営者と売春婦との間に、前もって、お客を連れていった場合には部屋を提供するというふうな了解なり契約があったというふうな事柄、それから、確かにその場所に、その旅館に男の客と女が同伴で入ったというふうな状況、そういうあらゆる状況証拠を固めまして、これで間違いないと思われるようになって、初めてまあ検挙しておるような事例が多いわけでございます。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 そういうふうな証拠をつかむということもなかなか大へんなことでしょうね、実際に。

町田充警察庁保安局防犯課長

○説明員(町田充君) それは、御指摘の通りでございまして、それを目撃した証人の証言を求めたり、あるいは売春婦の相手方となりました客の証言を求めたり、あらゆる苦労をして証拠を固めておる。こういうのが偽わらざる実情でございます。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 社会党は、この場所提供のときに人権侵害のおそれがあるということで、この点は非常に重視をしておった点なので、今までにそういったような文句があったようなことはございますか。

町田充警察庁保安局防犯課長

○説明員(町田充君) この売春防止法取締り事犯については、私生活にわたる面が非常に多いわけでございますから、捜査については、極力人権の侵害にわたらぬようにということを、再三私ども注意をいたしておりますので、今日のところ、まだそういったことで苦情を受けたという報告に接しておりません。大体間違いなく、円滑にこの種の事犯の取締りができているのじゃないかというふうに私ども考えております。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 これは、今の法律の建前からは、女の人の方がやられる率が多いでしょう、売春をしたその女の人が。しかし、買った者については存外寛大なんでしょう。これはどういうふうになっていますか。この街頭勧誘八千九百五十件、五三・五%を占める、この中で、相手の男の人はどういうふうな取扱いを受けていますか。

町田充警察庁保安局防犯課長

○説明員(町田充君) これは、御案内の通り、街頭で客引きをした女性は、処罰の対象にされておるのでございますが、その相手方となった男性は、必ずしも売春防止法の上では処罰の対象にはなっておらないのでございます。街頭で客引きをいたしました女性は、そういうように刑罰の対象になるとともに、それよりも、保護といいますか、補導といいますか、そういう方面を重視しなければいかぬということでありまして、刑罰の規定と同時に、補導処分の規定があわせて設けられておるわけでございます。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 男の方からからかって、一つこれをものにしようといったような意思をもって行く男の人だってこのごろふえていますよ。女の方ばかり男の人を誘惑するのじゃなくて、男の人だっても、あそこに何時ごろ行けば立っているから、立っているのを適当にものにしようというふうな意思をもって行く場合、こういう場合は、やっぱり私のところの当初からの主張では、男が女を買うという意思をもって行った、そのこと自体がやはり取締りの対象になるというような見解を持っていたわけです。今日まで男の方がそういう意思をもって女の人の方を、昔の言葉で言うと買う、買うという意思をもって実際に買った男、その男は今まで何も刑罰の━━防犯の方では知らぬ顔をしているのですか。

町田充警察庁保安局防犯課長

○説明員(町田充君) 売春防止法の上で、女性を買った男性の方を処罰する建前になっておりません以上、これを刑罰の対象として取締りをするとかいうことはできないのでございまして、まあそういう不心得なことをしないように極力注意を喚起し、あるいは指導をするということ以上には、実は警察としては処置ができないわけでございまして、これは、一般的には、大きな社会道徳の問題として考えなければならぬものではなかろうかというふうに私ども考えております。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 そうすると、今まで警察の方では、法律の建前上男の人には何にも言わないで、たとえば、その売春をしている現場に踏み込んだ場合ね。場所を提供した場合には、踏み込む場合だってあり得るでしょう。そういう場合に、相手の男というのは何も説諭も何もしないで、女の人だけ補導処分にするだけですか。

町田充警察庁保安局防犯課長

○説明員(町田充君) 結局、女の相手方となりました男性は、それはもちろん、場所提供事犯なりあるいはその他の売春防止法上の犯罪の証人あるいは参考人として、いろいろ捜査の面で協力をしてもらうということはございますが、それ以上に、犯罪の被疑者として捜査をし、あるいは取調べをするということはできない建前になるわけでございます。従いまして、まあそういう相手方となるような不心得なことをしないようにという意味の注意といいますか、そういった、まあ健全な社会人として考えていただかなければならぬようなことについては、もちろんそういった機会にいろいろ話をすることもございましょうけれどもそれ以上のことはできない建前になっておるわけでございます。で、売春をいたしました女性も、売春をしました限りにおいては、決して刑罰の対象になるわけではございませんで、あくまでそういう場所を提供しました旅館なりあるいは飲食店の営業者が処罰をされるわけでございまして、売春をいたしました婦女というものは、もっぱら保護更生の措置を講ずる。こういう建前になっておるのでございます。

高田なほ子日本社会党

○高田なほ子君 あなたの方で保護更生の面で何か御意見があれば、この際聞かしていただきたい。

町田充警察庁保安局防犯課長

○説明員(町田充君) これは、私どもの所管外でございますけれども、まあいろいろ取締りをやって検挙をいたしましても、なかなかその収容施設がない。たとえば、先ほど御指摘の街娼でございますが、これは何回となく検挙をし、検察庁へ送るわけでございますが、そういった女性が婦人相談所とか、そういった施設へ収容されるわけでございますけれども、その施設が十分でないことも一つの原因であるように聞いておりますけれども、それがせっかく婦人相談所に収容されておりながら、夜間はこっそり出て、相変らず街頭でかせいでおるというような事例もあるやに聞いております。そういったことからいたしまして、何としても検挙一点張りではこういった問題は片づきませんので、それにあわせて、保護更生の施設を充実整備していただきたいという点を痛感する次第でございます。

古池信三自由民主党

○委員長(古池信三君) ちょっと速記をとめて。    午後二時五分速記中止   ━━━━━━━━━━━━━    午後二時二十二分速記開始

古池信三自由民主党

○委員長(古池信三君) 速記を始めて。  本日は、これにて散会いたします。    午後二時二十三分散会

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