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31回国会参議院1959/02/12

農林水産委員会 第7号

発言数
98
登壇者
14
会派数
3
開催日
1959/02/12

会議録

秋山俊一郎自由民主党

○委員長(秋山俊一郎君) ただいまから農林水産委員会を開きます。  小かん加糖れん乳等の製造の用に供するため売り渡す国有てん菜糖の売渡価格の特例に関する法律案(閣法第一三〇号)(内閣提出、予備審査)を議題にいたします。  まず、提案理由の説明を求めます。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(三浦一雄君) ただいま議題となりました小かん加糖れん乳等の製造の用に供するため売り渡す国有てん菜糖の売渡価格の特例に関する法律案の提案理由を御説明申し上げます。  御承知のごとく、今回畑作振興の一環といたしまして、てん菜生産等のより一そうの振興をはかり、国内産甘味資源の自給度の向上を期するため、砂糖に関する関税と消費税との振りかえが行なわれることになったのでありますが、この措置によりまして、現在、その原料として使用する砂糖の消費税が免税となっておりまする小かんの加糖れん粉乳につきましては、その原料として使用する砂糖の原価が消費税額の引き下げ分一キログラム当り二十五円六十七銭だけ一挙に増大することとなるのであります。  これは最近における酪農乳業事情等にかんがみまして、主として一般家庭の育児用として消費されているこれら乳製品の消費者価格の上昇、あるいはこれら乳製品の原料乳の生産者価格の値下げなどの好ましからぬ結果を招くおそれがあり、その与える影響は大きいと考えられるのであります。  ここにおきまして、政府は、新たに法律によりまして、当分の間、食糧管理特別会計において買い入れたてん菜糖を、政令の定めるところによりまして、これら乳業者に時価よりも低い価格で売り渡すことができることといたしまして、今回の税制改正による関税への振りかえ分が、これら乳製品の消費者価格や原料乳の生産者価格にはね返るのを防止し、もってこれら乳製品を適正な価格で消費者に供給するとともに、生乳の生産者価格の安定に資することとし、あわせてこの措置によりまして、てん菜糖の消費の拡大にも資したいと考えるのであります。  以上がこの法律案の提案の理由及びその内容の大要でございます。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。

秋山俊一郎自由民主党

○委員長(秋山俊一郎君) この法律案の審査は、日をあらためて行うことにいたします。

秋山俊一郎自由民主党

○委員長(秋山俊一郎君) 農林水産基本政策の件を議題といたします。  この件について、去る二月五日の委員会において、三浦農林大臣の御説明を伺ったのでありますが、この御説明に対し御質問の向きは、この際御質疑を願います。  なお、本日出席の農林当局は、三浦農林大臣、高橋農林政務次官、須賀農林経済局長、増田農林省振興局長、渡部食糧庁長官、大澤蚕糸局長、奥原水産庁長官、伊東農地局長の各位でございます。  それでは、これから御質疑を願います。通告がございますので、順次御発言を願います。

東隆日本社会党

○東隆君 農林政策に関連いたしましてお伺いいたしたいことがありますので、第一番目に、私は麦の問題を中心にして、畑作振興に関連をしてお伺いをいたしたいのであります。と申しますのは、国内における食糧の自給態勢の確立と、そういうような意味において、水稲の方面はこれは相当な成績をあげておると思うのであります。ところが、麦の問題になりますると、これは非常に問題がたくさん御承知のようにあるわけで、しかし、私は、今のように海外から麦を輸入をしてやったのでは、食生活の改善というような問題もこれは意味をなさないと思う。やはり国内に生産されたものを中心にして、粉食あるいは酪農食、そういうようなものが入っていくことによって、日本の食生活の改善というようなことが行われると思うのです。そういうような意味で、今の農林省がおやりになっておるようなやり方では、国内における麦の生産というものは、私はどうも非常に先がまつ暗でないか、こういうふうに考えておりますので、これに対して政府はどういうような考え方でもって麦の増産を進めるか、こういう点を伺いたい。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(三浦一雄君) ただいまお尋ねの麦の問題でございますが、私もこの問題につきましては、非常に実は手おくれをしている、こういう感じを持っております。施策におきまして非常に手おくれを感じている。と申しますのは、大麦、裸麦等は、主として粒食に供せられるもの、農家の重要な食糧なわけでございますが、なおそのほかに、国内におきましても、麦食のために相当の需要があるわけでございますが、現状におきましては豪州、ニュージーランド等では、日本にこのために輸出している、日本が向うから買ってきてこれを食べさせている、こういうふうな現況でございます。これなどは、第一にもっと生産力を高めまして、そして国内の需要にも充てなければならぬことと考えております。しかるところ、昨今は大体作付反別等も安定して参りましたけれども、比年麦作は滅って参っているような現況でございまして、昨年来あたりからは、大体作付反別等も一応落ちついたような傾きでございますけれども、かようなことでございますので、今後この問題につきまして一そう取り組みたい。  第一は、麦の品種改良をさらに再検討をして、この方面に施策を展開しなければならぬと考えております。御承知の通り、往年は小麦増産計画等を立てまして、そして麦の品種の改良その他にも努力して参ったのでございますが、その後、何といいましても、つい稲作の方に重点が置かれた。こっちの方面に実は手薄になっている。これをさらに強化拡大して参るということに第一考えたいと存じます。第二段は、麦作をいたしますためには、やはり生産面におきましていろいろ配慮しなければなりません。本年は特に畑作等につきましては、従来取り組んでおらぬ新規の事項等もございまして、予算も相当に増額されたのでございますが、これは後ほどまた詳細な説明は、関係の者から補足させていただきます。第三には、価格の問題でございますが、御承知の通り、現在は食糧管理の面におきましてきめているいわゆるパリティ計算でもってやっておりますが、この面につきましても、もう少しこれを改善するという方向に持っていかなければならぬかと思うのでございますが、ただいまのところ、一挙にこれを価格の面でもって解決してその増産を期待するというわけにも参らぬのでございますから、これらにつきましても、逐次改善の措置を作って参りたいと思います。  第一は、すなわち麦の品種の改良につきましての問題、第二につきましては、麦作の生産の拡大につきまして、第三には、価格の面、これらをあわせて日本の麦作の増収をはかって参る、こういうふうに考えているわけでございます。特に本年は畑作方面につきまして、相当に施策するところがあったわけでございますが、この点を振興局長等から一応補足説明させることをお許しを得たいと思います。

増田盛農林省振興局長

○政府委員(増田盛君) 麦の対策でございますが、これの前提となりますものは、裏作麦ももちろんございます。が、特に問題になりますのは、畑地におきます麦の生産であると考えております。特に麦に限定しているわけではないのでありますが、畑作全般の対策として考えていきますとき、麦は特に畑作の大宗でございまして、これを含めまして三十四年度におきましては、畑作改善の基盤といたしまして、土地条件の整備、これを大きく取り上げております。  主要な点を申し上げますと、第一は、耕種改善の問題といたしまして申し上げますと、地力保全の調査を大規模に全国的に行おうと考えているわけであります。これに対しまして、試験場に対しまして専任職員の設置並びに基本調査の実施を考えているわけであります。第二点におきましては、畑作土壊におきます病虫害、特にネマトーダ、土壌線虫の問題を取り上げまして、これに対して、昭和三十四年度におきまして、やはり試験場に専任職員を設置し、これを防除する、こういう態勢を固めておるわけであります。なお、特に麦の効率的な農法の確立に関しましては、これは地域性を重視しまして、地帯別に詳細に検討する必要があろうかと思うわけであります。一般に麦作が停滞しているような傾きがありますけれども、しさいにこれを地域別に考えまして、たとえば自給的な麦の生産地帯、あるいは関東地方のごとく商品生産地帯を考えますと、そこに大きな違いがあるわけでございまして、自給的な生産地帯におきましては、やはり停滞的な傾向が見受けられますけれども、商品生産地帯におきましては、反収その他相当伸びておるわけであります。しかし、麦作の限界的な地帯が相当戦後の食糧事情を反映しまして拡大しておったような傾向がありますので、こういう点ぱ麦作の限界地帯その他に関しましては、あるいは他の有利な作物、麦以外の有利な作物を経営全体の立場から再検討して取り入れていくという態勢に切りかえる必要もあるかと思うのであります。なお、麦の今後の農法といたしまして大きく注意すべき点は、ドリルまきの栽培であると思うのであります。麦の多条まきの機械によります施肥、耕耘とあわせて行うところのドリル農法でございますが、こういう点におきましても、最近ようやく試験研究の完成を見ましたので、今後普及事業によりまして逐次拡大して参りたいと、かように思っておるわけであります。

東隆日本社会党

○東隆君 私は、今お答えになったことから実は考えなければならぬ節があると思うのです。それは畑作振興という場合に、私は水田の裏作を、これを畑として考えることが、これが日本における畑作振興の中心でなければならぬ。水田の裏作は、これはもう完全に畑として使っているのですから、その畑として使っている水田に麦ができなければならぬ、こういうことが中心でなければならぬと思うのです。もちろん一毛作地帯における問題とこれは同様であろうと思うのですけれども、しかし、その場合に、私は基本的に考えていかなければならぬ問題があると思うのです。それは日本における土壌というものが麦作に適しないような形に変化をしているのじゃないか、こういうことなんです。それは水稲の場合を考えてみまするときに、非常に増産されているということであります。しかし、御承知のように水稲はこれは微酸性の所によくできるのであります。従って、今の水稲の品種は、おそらくことごとく微酸性のものにも適するような形でもってできていると思うのです。その上におきまして、品種改良が行われている。従って、酸性に対しては十分に耐え得るような形でもって日本の水稲の品種はできておる。それから畑の作物で酸性に適し得る作物というものはジャガイモがある。これは微酸性のもとでもよくできる。かえって酸性でない土地には、アルカリ性が強い場合には、痂皮病であるとか、その他のものができる。そういうふうに考えてくると、日本の国内で麦ができなくなってきたということは、これは土壌が酸性化しておるという点が、これが非常に大きな条件になっているのじゃないかと思うのです。御承知のように畑を考えてみたときに、麦ができる、そうして北海道ではビートができ、それから豆菽類、豆料の作物ができる土地はこれは最上の土地なんです。畑の条件として最上の条件なんです。この案件を具備するのにはどういうことかといえば、北海道ではビートを作ってみればすぐわかる。ビートは酸性の土壌には絶対できない。そうしてまたビートのできるような土地には麦は十分に育つ、こういう条件が備わっているわけであります。だから私は暖地ビートの栽培その他を進める考え方もおありのようだし、それから麦もお進めになるようなお考え方があるようだし、こういうふうに考えてくると、私は酸性の土壌に大改良を施していく、こういうことがこれが基本的な問題になってくると思う。私はそういうような意味で、農林省でお考えになっておる土地条件の整備の中に実は酸性土壌の改良という問題をこれを大きく取り上げていかなければ、これは国民の健康という問題から考えても、酸性土壌からできた農産物を食べれば食べるほど、国民の生活が悪くなる。これもわかっているのでありますから、そういうような点で根本的に考え直す必要があるのじゃないか、こういうふうに私は考えるのですが、この点はどうですか。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(三浦一雄君) 先ほど土壌等につきましても、いろいろ徹底的な調査を進める、こういうことで若干説明申し上げたのですが、これは基本的な考え方としてそういうふうにして参りたいと思うのでございます。従いまして、現在もこの土壌の生産力の試験研究等もいたしておりますが、それと相並んで今の点を考える一面においては、肥料の施用ということによりましてだんだん土壌の改良ということができてきましょうし、それからえてして酸性土壌が多い土地柄が多いのでございますから、その方面には特に土壌の改良の施設を拡充して参る、それとあわせて今の総合的な、麦その他の畑作の増収をするという考え方、方向でもっていきたい、こういうふうに考えているわけでございまして、お説は私たちまことに同感でございます。

東隆日本社会党

○東隆君 今の私の言ったことに大臣同感、こういうお話ですから、一つ酸性土壌の改良ということについて、畑作問題をお考えになるときに、またこれに対して基本的に一つお考え願いたい。  その次に麦の価格の問題でありますが、生産者の価格を引き下げるというような構想のもとに食糧庁関係でもってお考えになったこともあったようでありますが、現状のように進めていく、こういうことになったことは私は大へんけっこうなことだと、こう思っておりますが、私は麦の価格問題を考えたときに、どうしても輸入を削減するということが前提にならなきゃならぬと思うのです。輸入の削減ということを前提においてやることによって、もし不足をするならば、私はソフト小麦、軟質小麦の輸入を非常にたくさんやっておるのですが、そいつを減ずることは、何も国内においてはそう大きな影響を及ぼさないと思う。ただ。ハンの方に必要な硬質小麦が不足しておりますから、日本国内でもってなかなか生産が上りませんから、その分について輸入をするのはこれは考えられますけれども、いつも食糧庁は赤字をなくするためかどうか知りませんけれども、海外から安い小麦を、しかも、その小麦がソフトの小麦である、こういうような形になっておるのでありますが、この際、軟質小麦を輸入しない、こういうことを前提に置いて国内における小麦の生産を進める、こういう体系を一つ立てる必要があろう、こう思うのであります。もし不足をするならば、私はかえって南方の米を輸入した方がいいと思う。それぐらいの覚悟でもってやらんければ、国内における小麦の生産は進まぬと思うのです。南方の米とそれから軟質小麦のかね合いの問題です。これについてどういうふうにお考えになりますか。また輸入を削減するという考え方についてどういうふうにお考えになりますか。

渡部伍良食糧庁長官

○政府委員(渡部伍良君) 麦の種類の問題は、これは非常にむずかしい問題でありまして、先ほど大臣からもお話がありましたように、大麦、裸麦は粒食、小麦はパンあるいはめんで粉食、こういうことになっております。それで小麦の消費の傾向は減っておらないのであります。粒食用の大麦、裸麦の数量は年々減ってきておるわけであります。ところが、一方では日本の気候、風土では小麦の栽培というものは収穫が非常におくれまして、梅雨時期に入るのでありまして、これは大麦、裸麦もある程度同様でありますが、小麦の方がより収穫の安定性というものがむずかしいのであります。そこで、その関係をどういうふうに解決するかということはなかなか結論が出ないのであります。その上に土壌関係で小麦、大麦の適地というものがございますから、これらの各種の条件に合ったようにしなければならない、こういうことになるのでございます。そこでまず最初に、大麦、小麦、あるいはその輸入をもっと減らしたらいいじゃないか、こういうお考えがあるのであります。ところが、これは先ほどの消費の傾向からいって大麦、裸麦と小麦ではちょっと事情が異なるのでありまして、大麦、裸麦は粒食でありますから、米とまぜて食べる。従って、食糧の不足なときには、食糧の絶対量を増すために少々まずくても、少々値段が高くてもこれを消費する、こういうことになりますけれども、食糧の需給関係が緩和し、米の量がふえてくると、大麦、裸麦の消費の伸びは、値段を下げなければ売れなくなってくるわけです。そこで大麦、裸麦につきましては、もう輸入量を毎年どんどんどんどん減らしてきております。小麦についてはそう減っておりません。多少の減程度でございます。そこで、今度は、先ほどの日本の適地生産条件からいって、ある地方ではどうしても小麦では適さないわけです。やはり畑作の、あるいは裏作の植つけとしては、麦以外のものはないというところでは、やはり国内の麦を作って農家経済を立てていかなければならない。そうしますと麦の生産性を高めて、コストを安くして、安く消費に届けることができるというふうにしなければならない。現在は小麦、裸麦は約一割の逆ざやになっております。これ以上の逆さやになりますと、農家は作った物を全部売って政府から買った方が得になる、精麦で買った方が得になる、こういうことになります。考え方によってはそれでもいいじゃないか、こういうことが言えるのでありますが、両三年来、そういうことでは食管の負担というものは大きくなるばかりであるから、むしろもっと麦の生産性向上に政府の金を使った方が先の楽しみがあるじゃないか、こういうことでいろいろ研究しておったのでありますが、しかし、現在麦の買入価格を下げるということはなかなかむずかしいのだ、そうかといって麦の消費価格をこれ以上下げなければ、大麦、裸麦については、消費は減る一方、こういうふうに私たちは考えております。小麦の場合は、先ほど申し上げましたように、事情が違いまして、どちらかといえば、やはり粉食が伸びております。これはおもしろい傾向で、米の消費は所得の伸びに応じて統計的に見るとふえております。それに合うようにこの四、五年生産増が続いております。それから米に麦をまぜるかわりに、今度はパンとめん、うどんが非常にふえているわけであります。この傾向は、昨年の出来秋から今年の春にかけては、やはり粉の売れ行きは米の生産増にもかかわらず、相当ふえてきております。これは三十年の豊作のときとちょっと変った傾向で、米は米として食べ、麦はめん、パンでもって食べる、こういうようなことが現われてきております。そこで、今のソフトとハードの関係でありますが、やはりパンの消費量に見合うもの、めんの消費量に見合うもの、こういうことからソフトとハードの関係を考えまして、内地の小麦はほとんどソフトでありますから、パン用にはそうたくさん回っておりません。ほとんど大部分めん用になっております。そのめん用を補充するに必要な限度においてソフトの小麦を入れる、こういうことになっております。従って、日本では小麦は、先ほど申し上げました気候条件とか、土地の条件からいって、今後どれだけ伸ばせるかということに応じて消費をまかなう限度においてはソフトの輸入を減らすということは、私どもも当然のことであると、こういうふうに考えております。

東隆日本社会党

○東隆君 私は、今のお話しになった通りのことを承知いたしているので、実は大臣にお聞きしたわけであります。農家が生産したものと、それから配給価格、消費者価格とが開きができても一向差しつかえないじゃないか、というのは農家が生産したものを一つも農家で使わないものがたくさんある。たとえば繭のごときは、ほとんど使わない。みんな売ってしまう。牛乳なんかのごときも、ほとんど飲まないでみんな出しておる。何もそんなに自分のところで作ったから自分のところで食べなければならぬ、こういう必要はないので、全量を政府が買い上げたって、もし国内でもって生産ができるということを前提に置くならば、そういう態勢を作ってもいいのじゃないか、これは何もそんなに農家が作ったものはみんな自家用を保有しなければならぬ、そういう必要はない。で、そういう観点から考えて麦の価格を適正なものにしていかなければならぬ。その場合に食管会計が赤字になる、こういうことを前提に置かれておるのだけれども、それをなくしなければならぬということをお考えになるから、今の価格を、これ以上生産者価格を上げるわけにはいかない、そういう問題が出てくるだけの話で、だからこれはやはり踏み切る必要がある。それから大麦、裸麦はこれは粒食なんでありますから、これを農家が、もし安いものが入ってきて、そして農家の米の中に入れるというのなら、農家がもし麦を食べるというのなら、これを国民全般の消費者として当然買えばいい。何もそんな問題でない。次第にそれを減らしていくことができるのじゃないか。私は大麦、裸麦を国内でもって生産を増強するという必要があるならば、輸入をやめて、むしろ南方の米を輸入したらどうですか、こういうことを言っているのは、そこから出ているのです。南方の米を輸入して、そして米の、食糧のうち、主食の値段を安くしようという消費者の考え方は、それを入れて安くするという、こういう考え方でいっているのです。麦を農家に保有させるということを前提に置いて農家の食生活を云々するのは、これは問題があろうと思うのです。そういう点で安く国民全般のことを考えて措置をされるならば、やはり大麦、裸麦の輸入を阻止して、そして国内で生産されるような態勢を作り上げていく、こういうことを考える必要があると思うのです。それから小麦の場合になってくると、やはりソフトはこれは国内でもってできるのです。ことに水田の裏作でできるわけです。それである程度、時期を変えることもできるのじゃないか、梅雨にならない前にとれるような態勢をやはり考えられると思うのです。何もそんなに急いで梅雨のときにわざわざぶつけてやる理由は考えられないのであって、もう少し水稲を早くやるような態勢をやっていけば、麦の作付をもう少し早くやれる、そういうような問題が出てきましようし、いろいろな問題これは技術上の問題で一ぺんに解決つかぬと思いますが、それはできると思います。南の方は早くとれているのですから、だから、それに対応するようないろいろな方法を講ずることができる。だから今問題なのは、水田の裏作として、一つも使わないでそのまま放置している土地がたくさんあるから、少くも関東以西の方にかけては放置している土地がないような形にしていけば、それはもう相当に国内でできてくる、こういう考え方であります。私は戦争のときに、何らかの考え方から食糧の自給態勢のことを戦争中に非常に奨励して、国民に生産拡充五カ年計画なんかをやったりして大騒ぎをしたのですが、あれは戦争のために国内食糧の自給態勢にする、こういうふうな形に進めたのですが、私は戦争を避けるためにも、やはり国内でもって食糧の自給態勢を確立しておかなければいけない。海外から輸入するというような態勢になっておると、事がある場合に、やはり戦争に介入しなければならぬような状態になってくるおそれがある。そういうふうな面でやはり食糧の自給態勢をこの際確立して、戦争に巻き込まれないような意味において、新しい観点から食糧の自給態勢をやはり国内でもって農林省が立てるべきではないか、こういう考え方になるわけであります。これは海外から食糧を輸入することが戦争に巻き込まれないことだという考え方でなくて、逆の考え方なんです。これは御理解できるかどうか、その点もあわせてお伺いをしたいと思います。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(三浦一雄君) 私はやっぱり国の、国民経済の基本は、その国でもって食糧を自給し得るということは最も望ましいことと思います。論語の文句を引くわけではありませんけれども、食を足らしめるということは政治の要諦だと昔からいっておることでありますし、これは千古の名言だと思います。そこで、日本の状態でございますが、この大麦等の輸入とそれから外米の輸入とのかね合いでございますが、これはどうもいろいろ御議論があろうと思いますけれども、長年にわたって食糧を管理しておりますと、やはり国内の需給の状況あるいは海外からの輸入というようなのは経験に即して危なげのないことにすることがやはり食糧管理の面で非常に重要だと考えますので、今までの経験から、さようにしていることも御了解をお願いしたいと思うのです。同時に、私たちの考え方としましては、豪州であるとか、ニュージーランドで大麦を飼料として生産している国が、日本が輸入するために、わざわざ増産までしている事情等もかんがみまして、やはり畑作その他につきましては、先ほども御指摘があった通り、日本の施策等が徹底しておりませんからして、今度は品種の改良なり、往年小麦増産計画等も相当やったのでありますから、これらをさらに再検討しまして、そうして土地の、土壌の改良、品種の改良等々をもう少し計画的に推進しまして、そうして麦作の安定した増進を期待するということに、今後やっぱり方向を向けていきたいと考えておるわけでございます。と同時に、輸入の問題につきましては、彼此勘案して調整をとりながら、食管の弾力のある運用をして参りたい、かように存じておる次第であります。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 大臣のこの間の演説を拝聴しますと、農林関係の予算というのは、当初の要求額から見れば非常に少いことが目立つのでありますが、これは政党政派を離れて、農林関係の予算というものを予算総額の最低一割の線を確保したいというのが、自民党の農林委員の人すら一致した見解であったと思うのですが、それが一千六十一億というような大蔵省で削られたものから見れば、わずかに五十五億の復活程度にすぎなかったというのはどういう経緯によるものか、そのことを大臣から御説明願いたいと思います。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(三浦一雄君) 農林関係の予算でございますが、今御指摘になりました通り、本年の総予算は千六十数億にとどまったわけであります。実は私たちの方としましては、米麦、その他主要農産物、あるいは工芸農産物等々の長期的な増産を期待しまして、そうして長期的な計画等を持っておりますから、これをやりとげるために、一応、第一次のわれわれの要求と、しましては、年間千八百億程度ほしい、こういう念願でやったのでございます。しかるところ、御承知の通り、一昨年来やはり蚕糸の問題とか、あるいは酪農問題等で相当支出をさせられておる、かようなことでもあり、かたがた、本年度の予算の策定は、減税あるいは道路港湾の整備、さらにまた、長年の問題でありましたところの年金等の創設をするということに一応しぼられた関係上、農林関係につきましては、われわれの念願しておりました所要の復活には参りませんでしたことは、まことに遺憾でございまして、われわれとしましては、今後ともぜひともなお大いにがんばらなければならないと存じております。ただしかし、今度の予算のうちで、標準予算のとり方はいろいろございますけれども、昨年の予算のうちには例の経済基盤強化に関する資金六十五億を計算に入れまして千八億と、こう振り出しておったのでございますが、その後六十五億は本年もまた使われることになっておる。それを差し引きますと、標準の予算は、増減等をいろいろ考えますと、九百四十億程度の予算でございまして、本年はそれに比較しますと、約百億ちょっと程度の増額になっているということは、これは事実であると思うのであります。同時にまた、そのうちで特に本年は公共事業として、土地改良等に増額は出ておりまして——土地改良等も先年まで二百億台でございましたが、本年は幸い三百億をこえることになりまして、そこで、重点を今度は土地改良に主として置くのでございますが、これとても実は非常にわれわれとしましては、計画上からいいましてもっと推進いたしたいと考えるのであります。不幸にして、より以上の増額ができなかったことは、まことに遺憾でありました。しかし、この三百億をこえる土地改良等は、一応五カ年計画の線に沿うてまず近いものと言うてよかろうと思います。ただ林野等の方面につきましては、その長期的計画には不十分でございまして、国土保全のための治山関係の施設等はまだその線には達しませんでした。そこで一面におきまして、本年は特に投融資方面には、小規模の土地改良を推進するという意味で三十億程度の増額も出て参るということにいたしたので、これを重点的に運用しまして、そうして成果を上げていくように努力したのであります。総予算の問題につきましては、御指摘の通りでございまして、私もすこぶる遺憾でございますけれども、今後とも農林省は懸命に努力して農政の推進に一そうの努力を傾けたい、かように考えております。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 予算の総額は大体初めからわかっておるし、その上に立って最低一割というのは、この二、三年来の農林関係の議員が国会を通じてひとしく要望している点であって、その点がくずされたということは非常に遺憾であり、農林大臣は六十五億という問題をめぐって昨年との比較をしておりますが、しかし何といっても、予算総額から見れば、ことしは七・四%になり、三十三年度の七・七%よりは下っているのが事実でありまして、なお、今年度における予算関係におきましては、国際通貨基金と世界銀行への日本の出資分が約二百五十億円一般会計予算に加えられるので、総予算に対する農林関係の比率は、そうすると七・四%よりもずっと減少して、七%ぐらいになるわけなので、今までの農林予算として一番圧縮された予算でありまして、これはやはり農林関係の議員が、自民党内においても非常に圧力をかけて、五十五億の復活という点では活動されたことは認めるのでありますが、今の内閣の政策は、その政策をして独占資本強化の投資に向けているという事実は、何といっても拭いがたい事実なんでありまして、今、三浦農林大臣は土地改良の中に重点を注いでいるといいますけれども、土地改良は二百億から三百億円台にふやしたといいまするけれども、この土地改良の中においても、一般耕作農民が恩恵に浴し得るような土地改良の数字というものはほとんど見当らないといってもよいぐらいでありまして、しかも、農林大臣の説明によると「最近における農林水産業の生産は、技術の改良発達と投資の増大等により、長期経済計画の想定する生産目標に照らし、米を初めとして順調な伸長が見られ、」と述べておりますが、この投資の増大というふうに力説している点は、具体的にはどういう点をさしているのか、数字をもって示してもらいたいと思います。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(三浦一雄君) 農林政策につきまして御説明申し上げたのでございますが、終戦後、農業改良、土地改良等に累次増額して参りまして、これらが私は現在効果が出ていると思うのであります。本年度の具体的な予算につきましても、後ほど説明申させますが、そういうようなやはり積年の努力の結果がだんだん効果を上げて参ったということは、これは否定すべからざる事実だろうと思うのであります。現実に土地改良をいたしまして生産力を上げているのは、それらの土地改良の地区におきましても、もう顕著に出ているわけでありまして、これらが終戦後、土地改良その他の農業施設に投資を拡大して参ったということは、これは言えると思うのであります。本年度の予算が、総額に比して総体的に非常に減っているということの御指摘は、これは御意見として承わりますけれども、一面、投資を拡大して参るということは、これは言えると思うのでございまして、本年度のその方向につきましても、後ほど当局から説明をいたしたいと存じます。

齋藤誠農林大臣官房長

○政府委員(齋藤誠君) ただいまの御質問の中に、最近におきますところの農業の生産指数が経済計画の目標に照らして順調に伸展しておる、その投資の拡大の傾向が一つの要因になっているということの御質問がございましたので、それにつきまして、最近の傾向を若干補足して申し上げておきたいと思います。  農林大臣の農政に関する説明の中で、生産指数が伸びて参ったということの指摘をしております点につきましては、御承知のように、長期経済計画におきましては、農業は三・三%の成長率を一応の目標にいたしておるわけでありますが、現在までにおける生産の傾向を見ますると、三十三年度実績におきましては、大体三十一年を平準状態といたしました生産の伸びの傾向をたどってみますると、三・三%の成長率に対しまして五・七%の成長をいたしておるわけでございます。三十四年度の見通しにつきましては、御承知のように三十三年度から三十四年度の生産の伸びを、〇・三%の伸びというふうにしておりますけれども、これは御承知のように連年の豊作、米を中心とする豊作の関係もありまして、一応三十四年度の生産目標を立てます場合におきましては、平年作を予定せざるを得ない。御承知のように三十三年産米は七千九百九十五万石、来年度一応の平年作といたしまして七千六百五十万石。また蚕糸につきましても三千百万貫を、来年度におきましては、桑園の整理等を見込みまして二千八百数十万貫というような、平年の計画に従った目標を掲げておりますので、従って、生産指数としては〇・三でございますが、しかし、それでも経済計画における目標に照らして比較いたしますならば、なお、成長率としては平均三・七%程度になるのでございまして、われわれといたしましては、三十三年までの傾向並びに三十四年度におきましても、この生産水準に関する伸びの傾向を見るならば、一応経済計画の目標に照らして順調に伸びておるんではなかろうかと考えるのであります。これらの裏打ちになりまする農業投資についての状況がどうなっているかということでございますけれども、昨年度におきましても、土地改良を中心といたしますところの予算は、大体経済計画におきまする予想の投資量の線に沿って計画を立てておるわけでございます。御承知のように経済計画におきましては、土地改良関係の五カ年間における総投資といたしまして二千百億という計算をいたしております。これは一応の目標でございますけれども、その二千百億の計算の中には、もちろん府県の地方団体の投資分も入っておりますので、国費としては、おそらく二千三百億のうち約二千百億程度になるのではなかろうかと思います。そういたしますと、昨年度食糧増産対策を中心とする経費は二百九十五億でございますが、それらの事業面積あるいは事業量から、この二千百億に到達する年々の投資率というものを一応想定いたしますと、まあ約一六、七%に相なるわけでございますが、昨年度における食糧増産対策費並びに今年度の食糧増産対策費三百三十七億、これらを合計いたしますと、今後一七%ずつ年率にして投資が伸びていけば大体の目標に到達できるんじゃないか、そうしますと三十三年度、三十四年度の投資率は、それらの目標に照らしても、大体その計画の線に沿って、資金量としては、ほぼ見合って事業ができるんじゃなかろうか、まあかように考えておるわけでございます。もちろん投資の中には、財政直接の投資もございますけれども、なおそれ以外に、投融資として土地改良等に投ぜられるものもございますので、本年度は全体の財政投融資、食糧増産以外の全部を含めまして、投融資関係といたしましては、昨年度の三百一億から四百三十八億、百三十七億の増加を投融資としてみておるわけでございますが、そういうことで財政面における投資あるいは融資の関係を見まして、土地改良投資に関係いたしましては、ほぼ生産指数に見合う伸びの裏打ちとして財政投融資についても、計画の線に沿って今後進めていくならば、その目標に到達することができるのではなかろうか、かように考えておる次第でございます。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 今の数字において示されているように、前年度から見れば、わずか七億ふえただけで、投資の増大というものを特筆大書すべき数字的根拠はほとんどなかったと思うのです。技術の改良という点は、農民の自覚によってこれを認めることができまするけれども、食糧増産を目ざしての土地改良に対するところの投資というものは、一般が期待するより、まことに微々たるもので、全くお役所の申しわけ的な数字の羅列に終っているので、むしろこの生産の伸びというのは、米を中心としては、少くとも天候に恵まれた豊作というものが唯一の原因であって、それほどの、大臣が強調すべきところの面というものは、ほとんどないと思うのです。そこで、豊作の結果であろうとなんであろうと、食糧輸入量が減少したことと、外貨の節約に役立ったということを大臣は重ねて強調しておりますが、具体的にはいかほどこれは減少し、いかほど外貨が節約できましたですか。

伊東正義農林省農地局長

○政府委員(伊東正義君) 土地改良の予算の御質問ございましたが、先ほど大臣から御説明ありました約四十四、五億のものが農地関係でふえたというお話があったのでございますが、これは土地改良でありますとか、干拓でありますとか、あるいは開拓、そういうものを含めまして三十三年度の予算におきましては、生産基盤の強化ということで農地局関係の予算は大体二百九十億台であったのでございます。それが来年の予算におきましては、約四十五億ふえまして三百四十億台になっております。これはふえましたのは、御承知のように愛知用水でありますとか、八郎潟の干拓でございますとか、あるいは北海道の篠津というような大規模な事業で、そのうち約二十億足らずでございますが、ふえております。そういうものを含めまして、土地改良で約二十五億、それから干拓関係で十億、開拓で五億、それからいろいろな防災ため池でありますとか、そういうような防災事業で五億というような数字で大体四十四、五億のものが三十四年度の予算ではふえております。  それから、もう一つ投融資の問題でございますが、御承知のように、三十三年度からは非補助の小団地の土地改良基金利用による貸付三分五厘の融資をやっております。それからこのワクが、三十三年度におきましては二十七億五千万というものが公庫から融資されるということになっていたのでございますが、来年度は、これはワクが大幅にふえまして六十三億というものを、公庫の非補助の土地改良の方から融資をしましてということで、二十七億五千万が六十三億というように大幅にふえまして、三分五厘融資の対象になりますものにも、小規模の二十町未満のような開田、開畑でありますとか、あるいは干拓埋め立てをいたしますとか、あるいはコンクリート畦畔を作るというような三分五厘融資の対象もふえまして、実は六十三億というふうに大幅に融資事業もふやしたようなことになっております。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(三浦一雄君) 豊作に伴いまして、外国からの米等の輸入は、現実にその所要量を減じておるということでございますが、これはまあここ四年の間、相当に豊作の状況でございまして、この間だいぶん現実的には経過は変って参りますけれども、かりに生産の標準が四年前、五年前というふうに、非常に低位な場合との比較は、非常に大きいことは御承知の通りでありますが、食管の運用の面から一応の従来の経過、現在の現実的な計画の差はそこに出ておるわけでございますが、これは食糧庁から説明いたさせます。

渡部伍良食糧庁長官

○政府委員(渡部伍良君) まず、米について申し上げますと、三十年産が非常に豊作でありました。二十九年は悪かったが、三十年産米は三十一年の消費になりますから、三十年の輸入が一番大きくて百二十九万トン、それから三十一年が五十六万、三十二年が四十三万、三十三年が四十七万、三十四年の計画が三十一万、こういうふうに計画しております。それから輸入の小麦は、三十年が二百十七万、三十一年が二百十八万、三十二年が二百二十二万、三十三年が二百十二万、三十四年が二百七万、それから大麦でありますが、三十年が六十八万、三十一年が九十三万、…十二年が七十九万、三十三年が六十七万、三十四年は五十九万、こういうふうになっております。  そこで、外貨の節約額は、大体米はトン当り百五十ドル見当とお考えいただいたらいいと思いますが、三十一年と三十二年では十三万トンの減でありますから、その間で約千六、七百万ドルの節約になると思います。三十二年は三十一年、三十年に比べて多少不作でありましたから、三十三年度は五万トンはかりふえております。そこでは七百万ドルほど増になっております。三十三年と三十四年では、ここで十六万トンの減になりますから、二千万ドル——千七、八百万ドルの減になっております。小麦、大麦は、平均で大体七十ドルと見ていただけばいいのでありますから、三十二年と三十三年の関係では、合計で約二十万トンばかりの節約になっておりますから、千四、五百万ドルの節約と、こういうふうな関係になっております。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 大臣が演説の中にも指摘するように、国内購買市場安定の有力な原因というものに、農村における生産の伸びをあげておりますけれども、まだ日本の農民の経済生活というものは安定された域に入ってないので——それは一九五七年八月から世界経済恐慌に入ったと経済学者が言っておりますが、一九二九年の経済恐慌の性格から違う点は、農業恐慌がその先頭に立ってないことでありまするが、それに対しては西欧諸国なり、アメリカ、カナダ等において価格政策と真剣に取り組まれておって、価格支持政策が行われ、農民の所得というものが減退してないということが、この購買力の強力な基盤をなしておるのですけれども、日本においては、それほど日本の農民の経済の安定性というものが政府の施策によって確保されているとは思えないのです。わずか農民の四九%の収入を占めるところの米の安定というものによってささえられている程度なのですが、それにしても日本の農林事情の立ちおくれというものが、他産業との間に相当の生産性と所得の格差があるということは何人も認めておるところなんですが、こんなふうな停滞した農業政策のもとに、この格差を縮めるということができるかどうか。それから小倉武一君のごとき篤学者も、朝日新聞の論壇で、価格政策と真剣に取り組むことがわが国農政の基本問題だという意見を展開しておるけれども、大臣としては、この問題に対して今後どういうふうに取り組もうとしておるか、その心がまえを承わりたい。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(三浦一雄君) さきの世界大戦争のあとの農業恐慌の影響は、当時昭和四、五年に現われてきて、日本ではまあかつて経験せざるひどい農業恐慌になったわけでございまして、その際は、いわゆる非常時内閣でもって救農事業をやったり、それから民間側では、当時経済更生運動等も展開されたのでございましたが、今回のこの大戦争のあとの様相の違いは、日本でのやはり諸制度の違いだと思うのです。その当時は、いわゆる価格支持政策というものがはっきり出ておらなかったということであります。もとより、その当時も米等につきましては、米穀統制法等あったのでございますけれども、現在のほどはっきりしたものではなかったと思います。今日では米麦のほかに、主要農産物として大豆、菜種あるいはテンサイ糖に至るまで、相当の価格支持政策をしておるので、農林省の調べによりましても、農業収入の七一%程度はその価格政策によって支持されておる、こういうことであろうと思うのであります。もとより私たちは、現在の価格支持政策そのものは、農民の収入方面をレベル・アップしておるのには十分だとは思いませんけれども、一応それだけの安定的な役割を演じておると考えておりますが、同時にまた、諸外国等の事例を見ましても、たとえばドイツ等に見ましても、ドイツの農民の方では、この格差が非常にひどいので、よってこれに関する政策を展開してほしいということが出て参りまして、そして農業に関する、日本では農業基本法といわれるような法制のいわば制定にも相なったように思います。同時に、その方面におきましても価格支持政策等も若干はとる、一面生産増強、生産費低減の方策をとっておる。ただ日本との非常な違いは、工業力の非常に大きいところでございますから、その方面の転換が早いということで、工業方面への転換、雇用政策によって一応成功しておるというように思われますが、さような事態でもあります。  日本の今後のなにとしましては、今、大観しますに、農業生産力は絶対量はだんだんふえて参っておるということでありますけれども、他産業との、第一次、第二次、第三次産業との格差を見ますると、総体的にだんだん減って参る。すなわち農家の収入は減って参る、こういうことでございますので、われわれ今後の農政の行き方としましては、そこに着眼せざるを得ない、こういうふうに考えております。従いまして、今後は農家所得の向上を目ざして、そうしてあらゆる施策を講じて安定的なものにして参るということが、今後の農政の焦点ではなかろうかと思うのでございまして、われわれとしましては、今後農林行政の中心をその方面にウェートを重く置いてやって参りたいと、こう考えております。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 農林大臣の施政方針の中には、今、説かれたような点が重点となって打ち出さるべきなのに、そういう点が少しぼけておったのは非常に残念だと思います。今農林大臣が農業基本法の問題なり、あるいは七一%価格政策が日本においても進められていると言いますが、日本における価格政策というものは、非常に私は農民が納得しがたい点が多々あるのじゃないかと思いまして、今、大臣が指摘された中におけるところの米、麦といいますか、米の問題は、あるところまで農民の意見というものが通っていると思いますが、麦の問題に至っては、政府が土地改良によって畑作奨励その他をやっておりまするけれども、価格の面において、アメリカ、その他からの小麦の輸入等が安いという、そういうことからのしわ寄せから、価格というものがひどくたたかれているのが現状であります。そういう形において、これをもっと有利な作物に転換したいという機運というものが農村にありまするけれども、そこでいつもぶつかるのは、政府が奨励するところの、たとえば米麦本位より酪農がいいといって、酪農に転換していけば、今度牛乳の値段が独占資本によってたたかれる。しかも、流通過程におけるところの矛盾ということを気づきながらも、それを是正しようとするだけの勇気と見識を政府が持っていない。また、果樹栽培に対する転換でも、工芸作物に対する転換でも、そういう先行きまっ暗なところに農民が一つの壁にぶつかっていると思う。農民が曲りかどに来ていながら惑っている姿に対して、政府の農政というものがそれを方向づけるということが、一番責任があるにもかかわらず、それに対する勇気というものを欠いておると思いますが、特に今後において、たとえば、安い小麦の輸入ということが、いろいろの点においてやむを得ない面もあるでしょうけれども、それによって日本の生産農民が輸出振興に名をかりて、かえって犠牲を受けている、人の犠牲を受けているのに対しては、どういう形においてそれを助けるかという配慮がなければならないが、この麦の問題はむずかしい問題だと思いますが、そういうことに対してはどういう考慮を払っているか。また、転換作物として、大臣もビート糖、テンサイ糖の問題にも触れたようでありますが、このテンサイは、もう今日の段階では北海道だけの、寒冷地だけの問題でなくて、イギリスにおいても、もうすでに自給の域にまで達し、一昨年からイタリアにおいても、暖地栽培が成功して輸出に転換しているというような成績を上げ、また、アメリカの中南部地方においてもこれを取り入れている。日本においても岡山やその他数県において、このテンサイの暖地栽培が、過去三カ年くらいその試作が成功している、こういう段階においてやはりイギリスやイタリアが行い、かつ成功した実績もあり、日本の試作段階において好成績を上げている場合にかんがみて、桑畑とか、あるいは麻とか、どうしても転換しなければならない、転換を余儀なくされているものがあるのですから、これに対して政府は思い切ったところの施策をやって、そうして砂糖のごときを専売にするかどうかということは一つの問題があると思いますが、今のような、日清戦争で日本が台湾をとって、そうしてサトウキビがとれていたときと違って、すべて原糖を、大部分がキューバなり、台湾なり、その他から仰ぐという形だと、どうしても外貨割当の面において、あるいは原糖割当の面において不明朗なものができて、二、三年前の三日景気といわれたときには、砂糖会社だけで一年間に四百億もうけたろうという説がまじめに経済雑誌等にも取り上げられ、去年からことしにかけても、もうけ過ぎた砂糖会社をめぐってのいろいろな不祥事件というものが白日のもとに暴露されているのですが、今、私はたばこの専売よりも、むしろ農民が安心して生産に従事できるような、砂糖の専売なら専売というものを政府が考え、そうして安定作物を農民に与えるというようなことも考えなければならない段階に来ているのだと思いますが、これはもちろん非常に重要な問題ですけれども、政府は全然そういうことを考えていないのか、研究していないのか、そういうことをこの際一つ承わっておきたい。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(三浦一雄君) 畑作物としての安定というようなものをやりたいということは、われわれも同感でございまして、すでに今年度の予算等におきましても、なお強化して進めたいと思っております。すなわち、麦、大豆、トウモロコシ、バレイショ、紫雲英、テンサイ等の主要畑作物の原種の改良と、原種の確保に重点を置いて参る、同時にまた、工芸作物としましても、茶、ラミー等につきましても同様な育成を行なって参りたい、こう考えております。同時に、今、御指摘にありましたテンサイでございますが、考えるどころじゃなくて、さしあたり、試験成績の出ておる、同時にまた、栽培の傾向の強い方面におきましては、今度は直ちに精糖工場をそこへ作るというわけにもなかなか参りませんので、主として東北方面にその傾向が出て参りましたから、その方面に対しまして、さしあたり、輸送費等を助成しまして、そうしてそれに応ずるところの措置をとっております。なお、岡山等でも試験研究をしておりますけれども、まだ試験研究の段階でございまして、まだ広くこれが普及しているというような状況でございません。従いまして、その事態の推移に従いまして、そうしてあるいは今後の情勢によりましては、中間的な加工設備を設け、あるいは精糖工場への輸送を助成するということで、その情勢に応じてやって参りたいと存じております。同時にまた、本日提案の趣旨説明をさしていただきましたが、糖価等も改訂しまして、そうしてある意味におきましては、糖価改訂に伴って、このテンサイの育成等にも寄与するゆえんでございますから、これを並行的に取り上げて参りたいと考えます。同時に、先ほど申し上げました通り、適作の新種を改良しまして、これを同時に適地適作の方策に従いまして、地方の実情に即して、そうしてこの方面に植え込んで参る、同時にまた、すでに重要農作物につきましても、価格支持政策等をとっておりますが、これは機に臨み適切を期して、安定したものを求めて参るという基本線に沿うて今後の問題を強く取り進めて参りたい所存であります。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 このテンサイ糖の問題に対して、政府の見解ばかりでなく、態勢というものがそういう方向へ向わなければならないということを、業界が早くもキャッチして、北海道あたりは精糖工場を設けること、押すな押すなの乱立状態だというが、こういうことによっていろいろな諸弊害もできると思うので、民間事業会社がいろいろな思惑を持って企画をやる前に、政府が確固たる信念を持って砂糖の問題なんかに対しては、当分、ビートを育成するような場合には、イギリス、その他においても、国家の保護政策を徹底的にとっておりますから、それなしには育成できない。それが生産農民との結びつきならいいけれども、今までのような精糖会社だけをもうけさせるような結果を導くと、私はその年代の農政を担当していた人の見識というものがあとで非常に非難されると思いますけれども、そういうことを言うのは、今の日本が酪農を発展させる段階に至って非常な障害になっておるのは、むしろ酪農関係の、乳業関係の五大メーカーであって、ああいうふうに日本の生産と消費という経済活動というものを十分に検討しないで、バターでも、チーズでもやたらに作ればもうかるだろうという考え方で作り過ぎて、暴落して、そしてそれは生産農民の方にその被害は転嫁されるというような不見識。輸出もできない、国内の消費量も拡大されていない、そういう幼稚なるやり方というもののしりぬぐいというものをだれも責任を持ってやらない、こういうことが砂糖の世界にも起きてきたら大へんなことなので、試作を岡山で私は二回ほど見ましたけれども、あるところまで成功と思いますが、ほんとうにこれから政府でやろうとするならば、岡山その他四県等で、瀬戸内海その他九州等でやっておるようですが、全国各地において試験的な試作というものを推し進めていなければ、一気に私は砂糖自給の態勢を政府が計画を立てても前進するわけにはいかないので、すでにイギリスにおいて成功し、イタリアにおいてさえ暖地栽培が成功しておるので、日本においてこれが成功しないということは、私はほとんどないと思いますが、問題は、政府が独占化されておるところの砂糖関係の資本の圧力に屈して、こういう重要な問題もちゅうちょしておるのじゃないかという懸念が国民一般に抱かれているわけですが、そういう点はどうなんですか。ほんとうに、私は今の砂糖とか、硫安とか、そういう独占的な、農民や一般国民に関係あるところの会社の独占の行き過ぎ、横暴というものは目に余るものがありますが、農林大臣としては、それに対してどういうふうに対処していこうと思っておりますか。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(三浦一雄君) 今のテンサイ糖その他の農業に非常に重要な関係を持ちます面におきましても、われわれはただ単に精糖業者の利益を中心には断じて考えておりません。むしろその弊害を除去しつつ、農業政策として織り込んでいくという方向にいくことは御承知の通りであります。同時に、先ほど戸叶委員からも、あるいは専売制のごとき御提唱がありましたけれども、現在のところ、専売制をとるという考えはございません。これにつきましては、なお十分に検討の要ありと考えております。同時にまた、硫安についてお触れになりましたが、御承知の通り、今度も御審議を仰ぎますが、硫安の需給の法制、同時に、合理化の方途もございますが、これは自然、業者の努力もございまして、だんだん肥料も下ってきておるわけでございます。同時にまた、今後の合理化の方向は固体原料から流体原料にするということによって一そう進むということでございまして、これも強く通産省等に要請しまして、その方向で進んでおる。必ずしも御指摘のように、ただ単に肥料会社等のいわば保護に充てるわけじゃなくて、現在ではむしろ従来の合理化のために経営の面においてはかなり苦しい面もあるわけでございまして、われわれの信念としましては、一会社等の利益を気にするというようなことは断じてないことを申し上げておきたいと存じます。

千田正無所属クラブ

○千田正君 関連して。農林大臣は、今度の明年度予算に対しては土地改良に重点を置いた、こういうお話でありますが、この項目その他をしさいに点検してみると、先般、私は予算委員会から阪神地方に査察を命ぜられて参りましたのでありますが、そのときに、建設省所管のいわゆる名神国道ですか、道路の建設と土地改良との問題の間に非常なそごを来たしておる。道路を作るために、従来の土地改良の計画は変更せざるを得ない方向に向ってきつつある。しかしながら、農民の意思が十分にそれは要望通りに進まないので非常に困る。そういうような問題が一つあることと、もう一つは、天災、早越であるとか、あるいは風水害等々が起きたたびに、今までの土地改良の事業が途中にして挫折といいますか、停頓する、早く予定の通り推進をしておればそういうことは免れるべきはずのものが、予算のつけ方がおそかったり、あるいは施行の面がおそかったりするために、天災がさらに災害を増していく、こういう状況のもとにあるものが相当各地に見受けられるのです。それに対しての建設省あるいは港湾関係では運輸省等との他省との間の関連における予算の措置はどういうふうにしているのか、この点をまず一つお伺いしたいと思います。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(三浦一雄君) 実は道路の構築に伴う関係と農林省所管の土地改良その他の問題でございましたが、これは千田さんの御説の通り、私も実は現地に臨みまして当該の知事さん方からも要請を聞いて参ったのでありまして、というのは、私たちに対する諸般の非難は、早く農地の関係を許可してほしいということでございまして、これはまあ遅滞のないように直ちに関係の者に督励いたして進めたわけでございましたが、むしろ道路をする場合には、それが何でもかんでも一番の優先だというので、どんどん道路を進める。しかし、土地改良の路線であるとか、あるいは地方の道路であるとか、あるいは河川改修であるとかいうこととおかまいなしに道路だけどんどん進めていく、これでは非常に事情にそぐわない、これをよく道路公団なんかでもって責任を持ってそれを随所に固めて、そうして進めるようにしてほしいというのが、実は非常に強い要望でございました。これは私ももっともだと思いまするし、現地の一、二の事例にも接しましたので、建設大臣等につきまして、その改善方を要請してきたようなことでございまして、今後、その問題はなお緊密な連絡をとりまして、そうして終始そごをしないようにいたしたいと考えます。同時にまた、工事の遅延によりまして、災害等に非常に迷惑する、これはごもっともでございまして、私は昨年山形、新潟等に行って参りまして、完成しましたのは災害を受けておらない、微動だにしない、実りの秋を迎えておる。ところが、経費が少いのでございましょうし、同時にまた、これはまあ経費だけを責めるわけには私は参らぬと思います。一定の工事量になりますと、金ばかり持っていきましてもすぐに済むものとは思いませんが、しかしながら、工事が遅延することによって、予期した災害の防止もできないということは、実情よく了承できまずから、今後におきましては、さような土地柄あるいは条件にあるものは特に実施上注意しまして、そしてそういうようなひどい目にあわぬようにする。それから同時に、先ほど来皆様から御指摘のありました通り、土地改良等は、ただ単に土地の質的改善ばかりじゃなく、災害防止の非常な大きな役目を持っているのでございますから、それに着眼しまして今後の土地改良、農業施設等の改善には特に注意して参りたいと、こう考えております。

千田正無所属クラブ

○千田正君 大臣の御趣旨はわかりますが、その施行あるいは予算のつけ方において、そういう面を十分に検討した上で重点的にそういう面に向いていくものかということを私はお尋ねしたわけであります。  次には、私は先ほどからいろいろ各委員から日本農業のあり方その他御質問ありましたが、いろいろ新聞や、あるいはその他でいうように、日本の農業のあり方というものに対しては、まさに曲りかどに来ておる。国内の人口のふえていくというに従って、日本の食糧対策なり、生活改善なり、あらゆる面において基本産業であった農業の従来の行き方というものは変っていかなければならないという面に、これは私ばかりでなく皆せん御同感だろうと思うのですが、そのうちに、農村の二、三男対策としてのいわゆる移民の問題並びに国内においては開拓その他に対するところの入植の問題、この点。  もう一つは、漁業に関する問題であります。先般来、漁業は国際的に考えましても、あらゆる面においてもう各国から締め出しをくっておる日本の今までの行き方をもっていくならば、おそらく国内においてこれを整理しなかったならば、日本の漁業というものは壊滅に瀕するであろう、こういうわれわれは予想をせざるを得ないのでありまして、そうした面からいいましても、海外に漁場を求める面からいいましても、漁業移民なり、あるいは漁業の調査に基いて各国との間の提携を新たな面において開拓していかなかったならば、日本の水産業というものは壊滅する。この面に対する農林大臣のお考えと施策の面において、どういうふうにあなたが方針を立てられておるか。特に私は海外移住の問題につきまして、昨年の行き方よりも一歩進んだ方向に先般から大臣のお話がありましたが、これは私は一歩踏み込んでお願いしたいというのは、海外に移住をしていっても、経済生活にはなかなか容易でない面が多々あるのであります。それで御承知かもしれませんが、かつてイタリアがアメリカに移民したときには、人間ばかりは持っていかない。バンク・オブ・イタリアがそのあと押しとして海外に移住した人たちの生産した余剰価格値を吸収して、あるいは立ち直れない者に対しては、イタリアが国の投資をして、そうして海外の移住の生活を助けて、今日においては、アメリカにおきましても、ほかの国におきましても、同様にイタリア移民の地歩を確保しておる。従来の日本の行き方は、為替銀行だけしか行かない。移民の働いた金を本国に送る一つの為替ルートしか持っていなかった。そういう行き方では今後の移民の発展などはとうてい望めないのでありまして、海外における開拓地に入植した者に対する経済的基盤の裏づけは何をもってするか、こういう面は私は十分に大臣は考えておられると思いますが、そういう面とそれから今の水産業としまして、漁場の圧縮された今日の国際事情のもとに、遠くさらに新たな漁場を求めて日本は海外発展をしなければならないのじゃないか、そういう点に対する農林大臣の方針並びに施策としてどういうことを考えておられるか、お伺いしたいと思います。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(三浦一雄君) 第一の農村における人口問題でありますが、これは非常に困難な問題であることは、もう御指摘の通りであります。しかしながら、手をこまぬいてこれを漫然として見のがすわけに参りませんから、そこで、われわれとしましては、開拓の予定計画等におきましても、なお現状約四、五万町歩のものは、戦後の緊急開拓等でいたして参りました。しかし、一面においてはつぶれ地がだんだん出て参りまして、この三万町歩ないし五万町歩のつぶれ地の回復だけでも容易でないことであります。しかし、これとてもわれわれは手をこまぬいておるわけには参りません。そこで、今後、農林省の予備的調査によりますと、なお五十万町歩程度の開拓地も予定いたしておる、こういうことでございますが、これをかりに機械開墾なり、あるいは高度の機械力を使いました開拓等を進めましても、とうていこれは焼石に水程度だろうと思います。けれども、これはなさなければなりませんので、ぜひともその開拓の方向は強く進めて参りたいと存じます。同時にまた、土地そのものが約五百十万ヘクタール程度なんでございますが、これとてもこれを深く耕し、そして生産力を高めて農村の需要に応じて参るということも捨てがたい重要問題だろうと思うのであります。しかし、同時に、幸い中南米方面を初め、日本に非常に期待を持つ方面もございまして、同時にまた外交関係におきましても非常によろしいという地帯に対しましては、先年来しかれております海外移住の方策を強く推進して参らなければなりますまいと思います。本年特にやりましたことは、先ほど御指摘になりましたが、私も先年カルフォルニア等に参りまして、日本の人たちが移住して相当ななにをやっておる、にもかかわらず、それをバックアップするものがない。イタリアにはイタリアの銀行があって、そうしてやっていることも見て参ったのであります。にわかに今、中南米方面に出ております者をバックアップするために、それだけの機構を整備し得るかどうかは、これは容易ならざることでございますけれども、少くとも現在の海外の移住会社等を整備いたしまして、そしてそれを増強して、今、御指摘にあったような、行って開拓しましたならば、それに応じて発展し得るような道を開き、同時に、これを強化しなければならないかと思うのであります。国内の問題につきましては、実は農村から出かけるといいましても、やはり跡始末をしなければならぬのでございます。借金もございましょうし、若干の土地を整理しなければなりません。家屋敷も残っている、こういうようなことにつきまして、先般来、海外移住に関する協同組合等を作りまして、そこで国内の跡始末の素地を作ってやるということにして参ったのでございますが、この方面ではさらにもう一歩進んで組合等が結束して進む場合には、土地も買いたいというふうなことでございまして、ある程度の資金の造成を希望して参ったのでございましたが、今回の予算につきましては、若干ではございますけれども、その資金の計上をするようになりました。同時に、外務省とのこの移住問題につきましては、国内から送出される者の予備的訓練等につきましても、相当農林省が力を貸して、そして海外の移住に即応して努力するということにいたして参ったのでございますが、漁業者等につきましても、仰せの通り日本の漁業の状況は南北といわず、相当の国際的な圧力を加えられている、年々歳々苦境に立っておりますことは御指摘の通りであります。同時にまた日本の漁業者は、地中海といわず、地中海をさらに延びて大西洋方面にまで延びている。同時にまた東南アジア方面にも相当進出しておるわけでございますが、まだ関係国との間に熟してはおりませんけれども、漁業技術等の話し合いもだんだん進んでおるわけでございますから、新しい漁場の調査、同時にまた関係国との話し合いがだんだん熟しましたならば、その方面に漁業基地等を設けまして、そうしてもっと飛躍的進出をしなければならぬと考えております。これらは東南アジア方面との協力の強化によって、そうしてともに進むというふうなことに考えていきたいと存じます。  海外移住の問題は、まだ農林省関係以外に相当片づけなければならぬ問題があるものでございますから、われわれが非常に意気込んでおりましても、十分には参りませんことも御了承いただき、われわれとしましては、この打開と同時に、国内の方面の整備をし、できるだけの配慮をして参りたいと、こういう所存でございます。

千田正無所属クラブ

○千田正君 時間がありませんから、あと一点だけにしぼってお伺いいたします。今の問題、私は、この開拓農民の面におきましては、先般来、農林省並びに国会等においていろいろ協議した結果、融資法の改正その他によって、開拓者に対する農家経営のバックアップはある程度はできておりますけれども、しかしながら、まだまだその指導の面に欠けているのではないか。これはまあ畜産局長がお見えになっているからちょっとお伺いしますが、先般などは、ジャージー種の乳牛を入れてやった、ところが、子牛ができた、そのできた子牛を牛の足りない開拓地に配分してやればいいのにかかわらず、これは農林省の指導が悪いのか、あるいは県の指導が悪いのかわかりませんけれども、そういうものは買い上げてもらえなかった。生まれた子牛は、仕方がないから、途中軒先の売買で博労に売ってしまう。せっかくある程度の価格で売れるべきものを、つい金がないから仕方がない、たたき売りに売ってしまう。これではやっていけないから何とかしてくれという陳情を私は受けておる。やはり入れた開拓農民の経済基盤というものをある程度育成強化するという意味からいえば、国においてそういう指導面を強化していかなければならないのではないか、こういう問題がございますので、これは畜産局長から今までやった指導方針を承わっておきたいと思います。  もう一つの問題は、先般、東大の教授がオランダに旅行して、きのうの新聞に出しておりましたが、オランダが開拓民を入れるためには、役人がみずからその家族を引き連れて開拓地に行って、入植者に渡すべき開拓地をある程度開拓して、そうして十分これでいいものができるというときに初めて導入する、これでなければ、二百年たっても開拓者というものはやっていけない、こういうのをまのあたり見て、痛感して、新聞に載せておりましたが、私は、オランダのような富裕な国じゃございませんから、そこまでいかないとしましても、国としては、ある程度の経済基盤が確立するまでは、金融とか、そういうような問題じゃなく、根本的な一つの日本の国の施策として、立ち上るだけの基盤だけは国としてみてやるべきじゃないか。そうじゃなければ、終戦後十年たって今日に至っても、なおかつ国の借金は返せない、次から次へと借金の増加になっていくというような開拓民の姿であっては、私は、農林行政が少くともそうした面において十分いっていないのではないか、こう思わざるを得ないのであります。これに対しては、先ほどから大臣が鋭意その方面に力を注ぐとおっしゃられておられるから、了承しますけれども、ほんとうの施策の面において、その点を私は、たとえば農家が生産した生産物をどうしたならばそうした人たちの手に還元していくか、あるいはその売り先の方法にしましても、十分に指導していかなければ、こうした開拓民がなかなか立ち上れないんじゃないかという面を一つお伺いします。  もう一つは、水産の問題におきましては、従来、海外に進出しておる者は、いわゆる業界の五大会社——大洋とか、日水とか、日冷とか、日魯とか、あるいは極洋というような五大資本家の会社は膨大な資本のもとに海外に進出しておるけれども、国内において整理しなくてはならぬ段階に立ち至るのは、こうした大きな会社ではないのであります。北洋漁業におきましても、あるいはイカの一本釣にしましても、あるいは李承晩ラインでつかまり、あるいは太平洋のまん中に行って原子爆弾の実験によってへたばる、そうした所に行くのは、みなほとんど中小企業、零細企業からようやく毛のはえた中小企業の性格を持つところのそうした業者なんでありますから、そういう人たちをどういうふうにして海外に向けていくかという、そういうはっきりした政策をこの際、国際漁場から締め出される今日、やはり考えていかなければならぬのじゃないか、こういう面における私は施策が大切じゃないかと思いますので、この点をお伺いしたいと思います。  最後に、先般、糸価安定法に基きましたところの養蚕を営むところのいわゆる桑園の転換の問題に対して、その目標として、今後、養蚕農家に対して、桑のかわりに一体何を目標にして指導していくかは、これは大きな一つのやはり国内農業に対する対策の目標でなければならぬ。この点に対しての考え方、それに対しての予算等に対してはどういうふうに考えておりますか。  時間もありませんから、その程度にしまして、いずれ後日また時間をちょうだいしてお伺いしたいと思いますので、以上の点をお伺いします。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(三浦一雄君) 簡単にお答え申し上げます。酪農地帯における牛の問題は、畜産局長から答弁させていただきます。  海外の開拓といわず、国内の開拓といわず、指導者の問題でございますが、千田さんも御承知の通り、その開拓部落における指導者の適任者があるかいなかによって非常に違いのありますことは、私もよく存じております。従いまして、できるだけそれだけの指導力を持つ人に行ってもらいたいということでやって参ったのでございますが、国内におきましても、一そうそういう着眼で今後指導して参りたいと存じます。同時に、それに対応して建設事業の手おくれ、それらを直してありませんと、どうしてもこれは立ち直っていきませんから、本年は特に不振地区の開拓の改善についての予算もある程度取りましたから、それを強化して参りたい所存でございます。  海外における問題につきましては、今、千田さんが御指摘になったと同じような趣旨の意見を海外移住会社の方にも申し上げ、また時々外務省の方にも申し上げておるのでありますが、これはその方面におきましてもぜひそうありたいと考えておりまして、今後、われわれの方もこれを強く具体的に反映さしたいと考えております。  それから中小のものの海外の漁業への進出のことでございますが、実は海外漁業協力会というものの活動を促進するということで、本年特に漁場調査のための助成を五百万程度、ほんのわずかな金でございますけれども、組んでございます。できますならば、その方面の海外漁場の調査、先ほど申し上げたような線で伸び得るものは、ぜひ力点を置いて、中小企業の人たちをそっちの方に出していきたいと考えております。  桑園の転換につきましては、これは一応こう考えております。その地帯地帯によってよほど事情が違っております。山形県等に行きますと、小規模の土地改良等を許すならば、むしろ米作に転換したいという地帯もあるようでございます。これはその地帯々々に応じまして適切な措置を講ずる。できまするならば、先ほど畑作の重点作物としてとるもの、同時に、価格支持政策等のあるものを織り込んでこの転換をして参るようにしたい、こう大ざっぱに考えておりますが、これは蚕糸局長等からももう少し詳しいことを申させていただきたいと思います。

千田正無所属クラブ

○千田正君 ちょっと大臣に今の桑園の転換に対しまして、大ざっぱに大臣がお話しになっておりますが、もう一つ、私は農林行政のうちに足りない点があるのではないか。これは農林省の各位が見えておりますが、それは果樹の面においては、実際農林省においては果樹を担当する部門があるのですか。私は今日の柑橘類であるとか、あるいはリンゴであるとか、あるいはイチゴであるとか、ブドウであるとか、そうした畑作において適地適作を主張しております。農林省としましては、果樹園芸その他に対しても政策が十分でないのではないかと私は思う。今の転換の方式からいっても、そういう面にも重点を置くべきではないかと私は考えるのですが、農林省にそういうものを担当するところのしっかりした課なり部なりがあるのですか。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(三浦一雄君) 現在では、この果樹方面につきましては、実は三つに分れておりまして、これで指導の統制も行き届かない点は率直に私は認めます。今後としては改善して参る所存であります。同時に、果樹園芸等につきましても、これは民間側の非常な努力の結果、進歩発展したことは私否定いたしません。しかし、基本的には、やはり農林省としましては、試験場等によって相当指導して参って、これがやはり地帯々々に相当なものを生み出し、同時にまた、発展の素地を作ったということはこれまた否定すべからざることだと思います。ただ今まで助成金をやるとかなんかということはしておりませんけれども、海外にこの市場を開拓するというふうな場合には、これは助成も指導もしてきたことは御承知の通りであります。今後、果樹園芸等につきましても、この輸出面につきまして、なお改善の余地がありますから、主として西ヨーロッパ方面における市場の開拓、さらにまた現在市場としております方面につきましても、この成果を維持し、そうして日本の果樹園芸作物等から来るところの、あるいはカン詰等の類も需要が伸びるように努力して参りたい、こういうふうに考えておるわけでございます。特に行政上のことは、現在まあ食品課としては食糧庁、それから市場関係は経済局、特産課は振興局というふうに分れておりますが、これもわれわれの方としましては、検討の上で整備したものにいたしたい、かように考えております。

安田善一郎農林省畜産局長

○政府委員(安田善一郎君) 千田先生から、開拓地に導入いたしましたジャージーの生産の子牛の政府買い上げの御質疑がございましたが、お答えを申し上げます。来年度予算に関しましては、開拓地のジャージー種の乳牛から生まれました子供を開拓農家が自分で飼わないで、他に売ろうという希望があります場合は、利子補給、損失補償、有畜農家創設資金融通法におきます措置の予算も計上してありますから、それについては援助したいと思いますが、御質問は、これを政府で買い上げて他の適当な所へ導入しないか、あるいは同一の開拓地区に政府に買い上げて売るか、あるいは国有貸付の方式でやるか、開拓地区の農業生産物の手配も国でもって適宜すべきではないかという御趣旨だと思います。この点につきましては、ジャージー種につきましては、世界銀行の資金で輸入いたしまして開拓地に導入をいたします措置は、最近ずっと続いておりまして、来年度もそのようでございますが、それから生まれました子供を国が買い上げる措置は、一応三十一年度をもってやめになっておるのでございます。やめになったまま来年度の予算も一応政府としては予算編成要求中でございますが、ただ寒冷地農業振興のために、国有にいたします乳牛、和牛を五千頭、来年度二億三千万円余の予算をもちまして、国が買って農家に貸し付ける形で事業をし、助成をいたすことを考えておりますが、この中には、沿革上はこの乳牛はジャージーを考えておりません。しかし、私は運営によりまして、もしそういう御希望がありましたならば考えるように努力をいたしたいと思っております。予定はいたしておりませんでしたが、そう考えております。ただ、最近までは農林省がジャージー地区を指定いたしまして外国から輸入したものを導入しましたものは、直接の導入が一つ、三十一年までに国有貸付をして貸し付けましたものが一つ、貸し付けましたものは生まれた子供を返していただきまして、さらにその付近に貸付をまたいたしまして、なるべく早く相当多数の密集したジャージー地区を作ろうとすることにいたしておりましたので、県がこの趣旨に従いまして、その地区から外へジャージー種の生まれた子供が出ていくということをなるべく押える指導方針をとっている地区もございます。ある県では条例が出ている県もございますが、開拓者そのものの経営上あるいは販売収入上、必要でない場合、そういう場合につきましては、県を指導いたしまして、以上のように措置したいと思います。私どもといたしましては、東北地方からジャージーの生まれた子供を政府で買い上げよというのは、ここ一カ月以内に初めて実はお聞きしました程度でございますので、御趣旨に沿うように研究中でございます。

大澤融農林省蚕糸局長

○政府委員(大澤融君) ただいまの桑園整理の問題でございますが、御承知のように今年、来年にかけまして、二万九千町歩を目標に桑園の整理をいたしております。本年度中には約一万五千町歩)これに対しまして今年の補正予算、それから来年度の予算をもちまして、大体一ヘクタール当り二万六千円程度の補助金を出すことにいたしております。総額にいたしまして約七億でございます。  そこで、掘り取り後の作物がどういうふうになっていくか、あるいはこれに対する助成金の措置をどうしていくか、こういう御質問題だったと思うのでありますが、私どもは、先ほど大臣からもお答えございましたように、その地方々々によりまして、適地適作ということで農民の意向等も聞きまして、いろいろ指導を地方庁を通じてしているわけでございます。ただいまのところ、さしあたり、抜いた跡に麦を植えようというようなのが多いようでございますが、県によっていろいろ差がございまして、飼料作物が入る、たとえば福島県のごときは、三割は飼料作物が入るというようなことがございます。あるいはまた山梨県のごときは、果樹に大きく転換をして参るということでございます。そこで、跡作の問題についてのいろいろの問題は、これは私ども蚕糸局の狭い範囲だけからでございませず、たとえば畜産局におきましては、特に跡作として飼料作物、養蚕をやめる農家に対してめん羊を貸し付けて農家経済を維持していこうというような予算も特に御心配願っております。あるいはまた果樹にいたしますれば、改良資金で果樹苗の世話をするというふうなことで、各局それぞれの力をあわせて跡作の問題の措置をしていただく、こういうことになっております。

秋山俊一郎自由民主党

○委員長(秋山俊一郎君) 大臣に対する質疑はまだ残っておりますが、時間が経過いたしましたので、午前中はこの程度にしまして、午後二時から再開いたしたいと思います。  暫時休憩いたします。    午後零時五十一分休憩    —————・—————    午後二時二十八分開会

秋山俊一郎自由民主党

○委員長(秋山俊一郎君) 委員会を開会いたします。  引き続いて農林水産基本政策の件を議題にいたしまして、御通告に従って、大臣に対する質疑を続けることにいたします。

清澤俊英日本社会党

○清澤俊英君 まず、大臣にお伺いしたいのは、河野農林大臣のころには、食糧増産対策を後退さして、経済生産、農作品の伸展に重心を置いた政策をとるのである、こういう説明を受けておったのでありますが、このたびの大臣の御説明を聞きますと、大体昔に返って食糧増産第一主義の形をとられて、経済基盤強化等を推進していかれる形になっておるのでありますが、それにつきまして、第一が、そういうふうに政策の基本が変りました原因がどこにあるか、こういうことを主点としてお伺いしたいのでありまして、第二番目には、それを中心にして農村の経済伸展というものを、河野さんの言われる経済伸展というものをどういうふうにそれとマッチしていかれるのか、全然捨てていかれるのかと、こういうことをお伺いしたいのであります。と申しますことは、昨年までは河野農政を引き継いで、新農村建設総合計画の伸展というようなものに経費、予算は別にいたしましても、一応農林行政の柱としてうたわれておりますが、今年の大臣の説明には、これが柱が抜けたようであります。その点について、わかりやすく御説明を願いたいと思います。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(三浦一雄君) 私も国会を通じて河野さんのお考え方等も若干了解しておったのですが、河野さんも従来の食糧増産第一主義から農家経営そのものを見てやらなければならない、農家の経済そのものを見てやるというふうに配慮せられたということは、そうだろうと思いますけれども、食糧増産制度をえらい軽視されたというふうに私は考えておりません。というのは、やはり農政の基本というものは、それはそのときに応じ、情勢の変化に即応しては動きがありますけれども、やはり農政の基本的なものは、国民の食生活を安定させ、そうして国民生活の一つの安定化を得させることは、農政の基本的な考え方だと思うものでございますから、時に政策の変遷消長はあると思いますけれども、そうお捨てになったとは私は考えておりません。同時にまた、農家の経済を豊かにするということで、いわゆる多角的農業その他を推進をさせるというお考えを打ち出されたことは、当時私は予算委員会等でもお聞きしたのでありますが、私は今度その考え方を捨てて、昔のようにまた食糧増産一点張りのように返ったというふうに御指摘でございますが、実は予算の策定の過程におきましても非常に批判があった通り、私は今度の予算の最後の締めくくりの際には、後進地域における農業開発に力点を置きたい、それから災害頻発地における防災的農業施設をやはり眼中におきたいということで、最終のときにはそういう線を打ち出しまして、そうして重点をそこに取りまとめたのでございますが、ただ単に農家の経済を考えずに、さらにまた他の面を捨ててしまって、そうして無理な農業増産をやるという考え方になったのではございません。その点を御了承をいただきたいと思うのであります。同時にまた、先ほど来申し上げました通り、農家、農山漁村の経営面におきまして、もう少し収入を高める方策に今後は向わなければならない、こう考えておるわけでありますが、これとても御承知の通り非常に多岐多端でございまして、何から手をつけても事足りるというわけには参りません。そこで、従来準備しておったことと申しますか、当面の焦眉の急に備えるという意味で、山村方面につきましては、まず木炭の問題に手をつけたい。これは価格安定に全然今まで手を打っておりませんでしたから、その面にも手を触れていきたい。  第二には、大衆魚の方面につきましても、今度は手を染めて参りたい、これもいきなり価格支持政策というわけにいきません。買い上げて、もって措置するという方式はとれなかったのでございますが、組合等を通じて共同して保管をする、そういうようなことによって値をささえるということに手を注いだのでございまして、農産物等につきましても、主要農産物について、さらに菜種であるとか、大豆その他等があるのでございますが、これは従前通り支持をして参るということでございまして、決して、ただ食糧増産一点張りに考えて、そうしてその他の面については目をおおうていくという考え方ではございません。ただ、われわれの考えております点は、まだ十分に熟しておらぬ、同時にまた、その重さについても十分でないということは遺憾でございますけれども、基本的な考え方としましては、さようなことでございますから、御了承いただきたいと存じます。

清澤俊英日本社会党

○清澤俊英君 私はお伺いしたい一番の基本が、河野さんのとにかく考え方としては、農業経営を中心にして、安い、いいものをどう作られるか、こういう建前から、ただ単に、増産という面があるかはしれないが、そろばんの合わぬような土地改良や、あるいは開墾、干拓等のものをやっていくよりも、むしろそろばんに合った農業経営に向けた方がいいのじゃないか、こういう御趣旨であったと思う。そうしますると、私はその考え方自身には非常に疑惑を持っておりますし、満幅の信頼も持っておりませんで、相当批判的でありましたが、この考え方を全体の上に推し進めていくならば、私は非常に日本の農業、ことに今、壁にぶつかっているという線を打破する大きな力を持つ。ところが、その後、井出農政、赤城農政等推移していく中に、これがまたあと戻りしているのじゃないか、こう思われる線も出てきている。と申しますのは、前には開墾、干拓等によりました国営によってでき上りましたところの土地の払い下げ等は、農地法によって国は払い下げておった。それがそのあとにこの法律が一部改正などになりまして、実質的にかかった金を負担する、こういうことになって最高が七万円か八万円、最低が三万円ぐらいのもので、当時の説明によりますと、払い下げられる、果して七万円の土地をもって採算がとれるのかどうか、ということは、基本的な考え方が戦前から見ました国内の主食である米麦等を増産して、そしていくのだという増産第一主義の考え方によりますと、投資、採算を無視した農地造成が行われている、こういう形が出てきた。それがまだ全く改まらないでおりまする際に、なお、このたびの予算などの御説明を聞きますと、いろいろ御親切な施策があらゆる方面に、農業基盤の強化に対しては行われておりますが、最近ちょっとした土地改良をやりましても、負担金が反当十万円もかかる。従って、貧農などはこれにこたえかねて土地を放さなければならぬというような問題が出ているわけであります。その点を改めないで、ただ増産施策である、これだけでは私は問題にならないと思うので、それでお伺いしたわけでありますが、そういう点を少しも改めないで、昔のような、ただ日本の自給度を高めるというだけのことでやっていかれますることは、これはまた昔に農政が返ったのじゃないか、少しも進歩性のあるものを、芽をつまんでしまったのではないか、こういうふうに考えられるが、その点どうお考えになられますか。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(三浦一雄君) 開墾、干拓等の土地の払い下げの問題に触れられたのでありますが……。

清澤俊英日本社会党

○清澤俊英君 一例ですよ。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(三浦一雄君) 一例ですが、そのところに基本的な問題がひそんでいると思うのでありますが、もしそれ、非常な投資が不経済のものであり、同時にまた、農民の買えない高いものにするということでは、これは土地改良の本義に反すると私は考えております。まあ例をもって申し上げるならば、お国等の一例をとるならば、荒川の揚水等も今度完成したわけですね。あれほど年々歳々水のために不安定な農業経営をしておる、幸いにも、あれだけの投資をして、しかも、あれは予算の範囲内でできたのですが、こういうことになりますと、水の点も安定するし、また昨年のごときはかなりひどい災害があったにもかかわりませず、その防災の作用も期待し得るし、増産の効果も出ておるということでありまして、間々、それは一、二の例外的なものはあるかもしれませんが、基本的にはそういう考え方で、あるいは防災的な作用を期待し、あるいは増産の効果をねらい、同時にまた、経営自体が安定するということを土地改良の大眼目としておるのでございますから、このことは私は別に変りがないと思うのであります。もしそれ、農民の負担にたえない土地改良等がございまするならば、これはもう改めなければなりませんし、同時にまた、しかし、かりに国の犠牲が多くても、その地帯の農業経営を改善し、農家経済の安定を期する上において必要でありますならば、負担の軽減等もこれは考えなければならぬと、こう思います。従いまして、われわれとしましては、それで農業増産、食糧増産等をやります場合にも、その面を考えつつ、農家の経済、農家の経営自体を安定させるということに主眼を置いて、そしてものの判断をして参りたいと、こう考えております。

清澤俊英日本社会党

○清澤俊英君 それは全部ですね。土地改良や灌排水、災害復旧その他のものが採算に合わないと、こう私は申し上げているのではありません。基本的な考え方が、この補助金等の関係上、非常に負担が過重のものでないかと思われる点がさらに改善せられないということになりますと、昔の考え方と同じものである、こういうことを言うている。従いまして、河野さんの考えが中心であるといたしますならば、その農政がほんとうに推し進められるとするならば、もっと別な施策が根本的に考えられなければならぬと、こう私は思う。と同時に、今、一番日本の農村で、零細農が集まっておって農業経営に困難しておる地方は、私は山間部だと思う。耕地は少いし、非常に土地条件が悪いし、こういうものを一人前の農家にしまするためには、これは河野さんの言われるような方式がほんとうに考えられるならば、私は土地を持っているだけ楽になるじゃないか、いろいろ利用すべき土地がそこに存在するだけこれは楽ではないかと思う。ただ問題は、農民が持つ投資資力と、これを耕地として造成するまでの投資額、これがマッチしないでいろいろ行きますれば、したくてもやれないという結果が出ますし、やってもそろばんに合わない、こういう問題がそこにあると思います。だから、それを国がほんとうに農家経済の安定を中心にしてやっていくということになりますれば、こういう問題に対して、国が徹底的な投資を行い、そうして耕地の増大をはかって参りまするならば、私は、山村の零細化とか、山村農家の疲弊とかいうような問題は、非常に楽に解決せられるのじゃないかと思う。そういう点に対しては、さらに施策が今のところ見えていません。これは、なるほど国の財政面もありましょうから、そう簡単にはいかないけれども、いささかなりともそういう点が方向づけられておらないところを見ますと、何かしら昔の、ただ増産第一主義に、国の自給度だけが基本になっていくような考え方が強くなっているのじゃないか、逆戻りして考えているのじゃないか、こういうふうにわしらは考えるのですが、その点をお伺いしたい。予算にはちっとも見えていません。そういう点を十分考慮してやっておられるという形は一つも見えない。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(三浦一雄君) 負担の問題でございますが、これは、まあその条件、立地並びに条件によって異なることでございますが、たとえば、先年来寒冷地の北海道もしくは東北地方では機械開墾をしておる。この投資等はボリュームにおいても膨大なものが入っておるわけであります。この場合の国の負担もしくは農民自体の負担そのものが均衡を得て、それが農家経営に役立たなければならぬということで進んでいるわけでございますが、この場合にバランスを失ってはいかぬということはよく了解されます。  同時に、山間部の問題を御指摘になりましたが、土地がありまするならば、これはまだ解決の余地はあろうと思う。ただ、しかし、日本は総面積三千七百万ヘクタール程度のうち耕地がわずかに五百十万ヘクタール程度、まあ割合にしますと二割足らず、こういうことでございまして、耕地そのものが各自に割当ててみましても、耕地の拡大を予期し得ない、同時にまた、土地がありましても、農業上の条件から見れば非常に劣位にあるということ、これらが、つまり私は、日本の宿命的な問題だと思うのであります。従いまして、これらをほうり投げておくわけにいきませんから、そこで、私は、今の農業の生産性の向上をねらいつつ、それが同時に一面において、関係する農家の経営を安定させるという両面から、後進地域における農業の増産並びに改良計画を進めるし、一面、災害等の頻発する土地については、その方面の施策に重点を置いていく、こういう考え方で今度の農林予算等につきましても、農地改良その他の農業施設の改善等につきましては、そこに力点を置いて参りたい、こういうことで編成にだんだん取り組んできたわけであります。しかし、御批判によりますと、何にも新しいものはない、ないといえばそれきりでございますけれども、それはそういう意図をもって編成し、そういう意図でもって運営していきたいと、こういう考え方でおるわけであります。

清澤俊英日本社会党

○清澤俊英君 そうしますと、わしは、新農村建設の総合計画というものをもっと進めさして、そうしてその上に立って国が徹底的な財政投資をして、造成した土地を安く売っていく、こういう形がとられるべきだと思うのです。ところが、ことしは、農林大臣の御説明によりますと、昨年までは四本の柱が三本になって、今度は新農村建設と総合計画が除外されてある。これはどういうわけなんですか。こういうことをお伺いしておるのです。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(三浦一雄君) その政策を捨てたわけじゃございません。従前の通り、これは一つの計画的な年次計画等で進んでおりますから、それは採用して予算にも仕組んでございます。

清澤俊英日本社会党

○清澤俊英君 その予算が、だから計画をした場合に、徹底的な補助、助成、あるいは場合によっては、国が土地を造成して預けるという点まで考えておられるのですか。今この予算にはないと思うのですけれども、将来にはそこまでのことを考えられるのですか。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(三浦一雄君) 新農村建設計画のような形態でいくか、あるいはこれをアジャストしていくかということは、将来の問題でございまして、今のところ、三十四年度に対しましては、従前の計画を踏襲しまして、その精神をくんで、それは従来の計画通りに実行されると期待して今後運営していきたいと、こう考えております。これを拡大し、これを倍加するというようなことはいたしません。

清澤俊英日本社会党

○清澤俊英君 それでは、その問題はそれだけにしておきます。  その次にちょっとお伺いしておきたいことは、農地解放の賠償問題について、今度内閣に調査機関を設けられると、これにつきまして、われわれはその必要なしとして反対しておるのでありますが、農林大臣としては、この機関のできますことについては、もちろん、閣議等でも問題になったので、反対とは言い切れませんでしょうが、取扱いによりましては私は重大な結果が出るのではないかと思いますので、これに対する農林大臣の御見解をまずお伺いしておきたいと思う。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(三浦一雄君) この問題が、終戦後に農地改革というようないまだかつて見ざる大改革が行われたのでございました。農林省の立場は、従前よりもしばしば歴代の大臣から申し上げました通り、この農地改革は合法的であって、そうして同時にまた、補償等もその当時の事情としては合憲的にこれをやっておる。従って、これをやり直すとか、あるいは補償し直すという考えはないということで終始して参りました。私におきましても、それには変りはございません。しかしながら、これだけの大きな問題が生起されましたので、農村におきましては、いろいろな事情の生じておりますことは、皆さんも御承知の通りであります。そこで、これらの重大な社会的変革に伴いまして生起されておる問題の所在をよく見きわめる、検討してみる、どういうふうな事情にあるか、あるいは従来の地主であって非常に貧困に堕しておるのもありましょうし、あるいは解放したところの農地と、しからざる方面との間に非常に不公平な問題等も起きているであろう、これらについて、よく事情をきわめてほしいということ、同時にまた、これらの問題に対して何らかの措置を講ずべきかいなかの問題も研究をすべきではないか、同時にまた、何らかのほかの考え方、あるいは社会保障的にやるかどうかという問題につきましても、いろいろこれはよく冷静に物を見きわめる必要があると、こういうことで措置をとることの要否、もし、とるとすれば、いかなる方法があるかということについて、やはり一つ調査してみるということも問題であるからということで、今度内閣で多方面にわたって事情を調査するということになったものでございますから、私もその事情のやむを得ざることを了承したわけでございまして、あらかじめこれを補償するとかしないとかということをわれわれは予定したことではございません。これに伴いまするいろいろな事情を調べて後にいろいろな措置を講ずべきだということでおりますから、農林省もその限度において、了解したわけでございます。

清澤俊英日本社会党

○清澤俊英君 いろいろ新聞等を通じました総理大臣等の答弁などを聞きますと、その調査の根源が、社会的に見て農地改革によって生活を非常に脅かされているというような人があるから社会問題としてこれを取り扱うんだと、こういうふうに聞いておりましたし、今も大臣の言われるように、それがどういう取扱いになるかまだはっきりしないというけれども、最近聞きますと、その調査の項目の中に、農地法の改正というのですか、農地法のあり方もあわせて研究するんだという項目が入っているそうですが、これはどうですか。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(三浦一雄君) その調査項目等につきましては、まだ政府内で取りきめしたものはございません。まず調査会自体でもってどういうふうなことをするかということでございまして、政府内では調査項目の予定はいたしておりません。

清澤俊英日本社会党

○清澤俊英君 もし、農林省として、こういうものが閣議に出ました際に、農地法にまで及ぶ調査等が行われるといたしましたならば、大臣はどういう態度をおとりになりますか。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(三浦一雄君) これは、総理府に置きましたゆえんは、ただ単に農政に関する問題をするというならば、これは農林省で取り扱うべきものでございますが、たまたま農林行政に関して生起された問題でございますけれども、その他の面においてむしろ考うべきことがあるというので、私は総理府に置かれるものと了解しております。従いまして、今、御提唱になりましたような問題はよもや起きようとは思いませんけれども、さようなことになりました場合には、私は農政の立場から、従前の施策を維持するという観点で善処する考えであります。

清澤俊英日本社会党

○清澤俊英君 善処するということは、そういうものは要らないと、こう言い切るのですか、そういう調査は要らないと。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(三浦一雄君) ちょっとそれはアンビギュアスな言葉でございますけれども、私は従来の農政を進める上に、従来とってきたる農地制度等は検討して参るという考え方から申し上げたのであります。

清澤俊英日本社会党

○清澤俊英君 その次にお伺いしてみたいことは、農業経済五カ年計画につきまして、だいぶ当初の計画がずれてくるものがあるのじゃないかと思います。たとえてみれば、蚕繭の問題であるとか、あるいは酪農の問題であるとか、これらは現実に非常な壁にぶつかって問題を起しておりますが、こういうような点を中心にしていま一度五カ年計画を練り直す必要があるのじゃないかと思いますが、この点についてどうお考えになりますか。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(三浦一雄君) これは御承知の通り、経済計画は企画庁で作案しておりまして、その考え方に農林省も協力していろいろな素案を出しておるわけでございます。従いまして、農林省としましては、御指摘になりましたような計画をがっちりと農林省の計画だとしてこれをやっているわけでは実はございません。その点を一つ御了承をいただきたいと存じます。

清澤俊英日本社会党

○清澤俊英君 そうすると、経済五カ年計画という企画庁案と農林省とは関係ないと、こうおっしゃるのですか。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(三浦一雄君) ちょっと、この問題は誤解を生じてはいけませんから、取扱い等につきまして、一応政府委員から説明させます。

齋藤誠農林大臣官房長

○政府委員(齋藤誠君) ただいま経済五カ年計画と農林計画との関係はいかようになっておるか、あるいは今後どのような考え方であるか、こういう御質問でございますが、ただいま大臣から申し上げた通りでございますが、若干補足さしていただきますと、経済五カ年計画は、当委員会におきましても御説明いたしたかと思いますけれども、経済企画庁におきまして、最近の経済変動を見ますると、非常に投資その他の面において経済の変動が激しい、従って、できるだけ経済をなめらかな形においていわゆる安定的な成長をはかりたい、こういうことを一つの目標にいたしまして、それには、五カ年後における目標というものを立てまして、そうしてその目標に照らしながら毎年の経済計画を立てていった方がよろしいのではないか、こういう見地に立って作成されたものでございます。従いまして、この経済計画のおおいますところの経済部門は、農林関係ばかりでなしに、他の産業部門あるいは財政、金融、貿易等にわたっておることは、御承知の通りであります。従って、これらの経済計画の一環として農林漁業経済部門が入っておりますことはもとよりでございまして、全体の経済の成長率を算定する基礎資料として、農林漁業の成長率もその中に織り込まれて、御承知のように年の成長率六・五%、農林漁業につきましては三%、こういう目標を作っておるわけであります。従って、その経済計画の中に織り込まれました農林部門の経済計画につきましては、もとより農林省としましてもその作業に全面的に協力してでき上ったものでございまして、農林省としましては、この計画目標に照らして農林施策を実施して参っておるわけでございます。従って、ただいま御指摘になりました繭の問題あるいは米の生産の問題ということと照らして、最近の情勢を織り込んで修正すべきではないかということでございますが、これは一番初めに申し上げましたように、五カ年後における目標を今申しましたような趣旨で作りまして、それに照らして年々の経済政策を行なっていきたいという一つの尺度にいたしておりますので、むしろ年次別の計画というものは、必ずしもその計画の骨子にはなっていないわけであります。従って、農林省の生産部門におきましても、年々の変動がもちろんあります。ありますけれども、すぐそれによって計画を修正すべきかどうかということにつきましては、経済計画の性質からいいまして、必ずしもその必要はなかろうかと考えたのであります。しかし、御指摘になりました大きな生産目標が変動してきます場合、個別の作物について大きな変動が来ますような場合におきましては、全体の生産目標に変動が来ることも、もちろん予想されるわけでありますが、しかし、今申しましたように農林業全体として年成長率を三%あるいは農業について三・三%、こういう目標を掲げておりますので、もちろんその中における個別の作物の変動はその中に生ずると思いますけれども、全体としてそういう伸びを経済計画では考えておる、こういうことでございます。従って、今後個別の作物についての変動によってすぐ経済計画を変更するかどうかという点は、今申しましたような角度からいいますと、これまた、別の見地で検討すべきものである、かように考えておるわけであります。

清澤俊英日本社会党

○清澤俊英君 何だかわかるようなわからぬような……。そこでですね、私のお伺いしておるのは、たとえば昨年までは蚕糸業にする五カ年計画、こういうものはあったわけですね。今年は、今度は二万五千町歩というものを減らす、二カ年間に。これは大きな変動です。従って、生産も減るし、価格も大変動を来たす、こういうものが出てきておるし、それから畜産等に対しましても、酪農等は現に頭を打っておることは皆さん御承知の通り大問題になっておる。こういうものをこのまま、今までやってきた方式でやっていくのだ、こう言ってもやっていけないでしょう。ですから、そういうものをどうするか、こういうことを聞いておるのです。

齋藤誠農林大臣官房長

○政府委員(齋藤誠君) 先ほど、あるいはくだくだ申し上げまして御了解得なかったかと思いますが、経済計画としての一番のねらいは、年の経済全体としての成長率をほぼ六・五%にしたい、この六・五%の基礎になるのは、各産業部門からいろいろ計算して六・五%程度が一番望ましいし、また可能であるということに到達したわけであります。それの六・五%の算定の基礎には農業が三・三%あるいは農林水産業が三%とか、こういう計画にいたしたのであります。そこで、三・三%なりの内訳に、農業部門として五カ年後においては蚕繭の生産量を三千六百万貫にするとか、あるいは畜産については、乳牛を倍にするとか、こういうような計画を算定の基礎資料として一応見通しを立てて三・三%の裏打ちにいたしたのであります。しかし、個々の具体的な計画が即経済計画として確定したものでは実はないのでございまして、目標として農業全体として三・三%の目標が達成すれば一応経済計画の目標としては目的を達成する、こういう性格のものでございます。従って、三・三%が実際問題として達成できない場合が起り得る。桑園面積が非常に減ったために蚕繭量も減った、従って、蚕糸の面においては当初の三・三%の基礎資料になった目標には達成しない。しかし、畜産の面において大いに伸びる、あるいは米麦の面において伸びるとか、こういうようなことがありますならば、計画としては依然として三・三%を達成し得るわけです。そういう場合においては、経済計画としては一応目標の通り実現したということになると思うのであります。今御指摘になりましたのは、その基礎資料になっている農業部門の計画が具体的の基礎資料に使った計画と違っているじゃないか、あるいはまた現に違いつつあるじゃないか、これをどうするのかという御指摘でございますので、これは、それらの生産の現実に即して具体的な年々の目標なり計画を立てて指導すべき事柄じゃなかろうか、かように考えます。

清澤俊英日本社会党

○清澤俊英君 その次にお伺いしておきたいのは、農業法人の問題ですが、私どもが考えるところによりますれば、非常に狭い耕地を持っている日本の農業としては、この上の近代的な経営をして参りますには、どうしてもこれを共同作業的な経営形態に移していくことが一番合理的なものじゃないか、こう考えております。それをやる上からも、農業法人等の組織によって耕地の共同化、作業の共同化、従って、経営の共同化というようなことが進められることが、次の段階に移る私は非常にいい契機になるのではないかと思う。これに対して大蔵省は何か税金の関係かなにかで反対している。農林省の方も農地法と抵触するとかどうとかいうので、やはりこれに反対しておられるということを聞いているのでありますが、この点は、私はかりに農地法に抵触するものがあるとするならば、これを合理的にもっていかれるような農地法の改正も考えていいのじゃないか、こう考えておりますが、これに対する農林大臣の考え方はいかように考えておられるか、一つ承わりたい。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(三浦一雄君) 農業経営における能率を強化する、あるいは農業の利益を向上させるという意味での共同的作業につきましては、これは御同感であります。従来、各般の施設について共同施設を奨励したゆえんもそこにあります。ただし、これを法人という形態によって律していくことの可否は、これは問題があろうと思うのであります。まあソ連方面におきましては、コルホーズ、ソホーズの形態で非常ななにをしたのも実例があろうと思いますし、それからまた中共等におきましても、それらの運動もあることも聞きますが、日本での基本的な考え方は、やはり自作農——みずから耕やしてみずからやるというところに農地法の根源を置いているわけであります。ただこれをその共同経営といういい面だけをみて直ちに法人化を促進するというわけにはなかなか踏み切れないと私は思います。ことに昨今やっておりますものは営利法人——むしろ営利法人としての形態をかねてやっている。そこにいろいろな実は解決されない問題があるわけでございまして、当局としましては、これを法人として経営させる、そしてその法人のいわば被用者として報酬を受けるということが、わが国の農政を推進する上においていいか悪いか、制度上の問題としてもまだ熟さない問題があるものでございますから、にわかに賛成しかねる、こういう立場でございます。

清澤俊英日本社会党

○清澤俊英君 私らが農業法人の形態などを考えますと、大部分がまだ税金のがれの法人組織が多い。こういう点は、反対の理由もある場合においては大蔵省としてはあるかもしれませんが、そういう形態でなく、一つの事業法人としていく傾向は共同施設、共同作業的な傾向は最近農民の中に自然発生的に出てきております。これは農林省は御存じだろうと思います。特に山間部におきます放牧の形態などは、だんだんそういう形態で畜産を放牧によって一応部落なり、県なりの放牧場まで要求したりして、それができない場合には、部落経営によって共同放牧地を作って農閑期等を利用してそれを飼育するというような非常にいい傾向が出ておる。そういうものを助成するためからも、私はむしろ農林省が先に立ってそういう方向に指導していかれることが、これから先農業経営の面に非常な一つの大きな進歩を遂げるであろう、こう思っているのです。ただ個人だけのことで今まで通りのことを中心にしてお考えになっていくことは、どうもいろいろの共同施設とか、あるいは農業の共同化とかいう指導面と逆行した考え方がちょっと出ているのではないか、幸い向いてきたものは向いてきたものとしていい方向へ持っていって、それによって機械の合理化——私どもの方へ参りましても、こういう言葉がございます。二町歩ぐらい持っておるものがすべての農機具を全部個人で持っている、隣が持っているからというので、一町歩以下ぐらいの者も同じものを持つ、従って、農業機械で貧乏になっている、いつもその借金をおえないうちにまた次の機械を買わなければならぬ、こういう言葉が今はやっております通りに、これらはいろいろの面で指摘せられておる。そういうものを合理的に直して参りますにも、私はできるだけ共同化する方針をとって、経営上のそういうロスを全部整理させていく方針が、たまたま農民の中に起きた農業法人化という問題と結んで大きく取り上げられるのがほんとうじゃないかと思うのです。しかるに、今のような自作農を中心にして、昔通り狭い耕地の中にごつごつとやっていけという方針は、私はとるべきものでないと思う。ただ大臣の言われるのは、今の場合だけなのか、それとも研究してそういう方向がいいとなれば考えると言われるのか、それぐらいのことを言ってもらいたいと、こう思うのです。ただ、今までのようなことでは個人が土地の取り合いをすることぐらいが関の山で、地価だけをぐんぐんせり上げて、先ほど申しました通り、一反六十万円出して買ったの、八十万円出して買うたのと、そんなばかげたことをしていて、日本の農業というものは私は成り立たないと思う。だれかさんの言いぐさじゃないですけれども、そうやって売った農民は大体転業してしまって他の職業にかわる。そしてたまたま蓄積を持った農民はそういうものに投資に合わない高い土地をせっせと買って、そして蓄積というものを全部なくしてしまう。そうするとせっかく農村に残るべき金というものは全部銀行の手元に集まってしまう。三反や五反売って農民がほかの仕事をしてみましたり、事業をしてみましても、みんな失敗して一文なしになってしまうのだ。現在そうやって移動して農村の蓄積が、銀行の手元に逆に返っていく金がおそるべき数字に上っている。こういうことを考えまするならば、私は当然農業共同化等を推し進めて、そういうものを防止していくという考え方が正当じゃないかと思う。農林大臣の考え方はちょっと間違っているのじゃないか。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(三浦一雄君) 清澤さんの御意見、それは非常に私ども傾聴しました。ただ、今御指摘になりました通り、たとえば牧野であるとか、あるいは林野であるとか、これはもう御承知の通り、日本に固有の慣行がございまして、そうして一見まあ法人的な面もありますが、同時に、ドイツ方面におきましても同様なマルクゲノッセンシャフトであるとか、こういうのは類似しております。しかしながら、日本でもありました通り共有的な、特に入会でございますが、これは一種の共同体であります。一種の生産共同体とも見受けらるべきものであります。しかし、いい面だけ見ますと、それは御指摘の通りになりますし、理想的にごうあれかしということから考えればなんでございますけれども、現実の姿からいくと、これは非常に弊害のあったことは御承知の通りです。すなわち、生産共同体のごときで経営しておったところが、まあ使用収益の面では勝手にやる、そして共同の利益を増進するという面は非常に欠けておった、そうして山を荒廃させたり、あるいは牧野等につきましても、利用度を非常に悪くしたということもあり得るわけであります。従いまして、その後の明治の末からも幾多の変遷があるわけであります。同時にまた、農地関係にもございますが、農地改革の際には、法人の経営であったものすらこれはやっぱり解放しまして、そうして自作農創設主義に返ってしまったのでございます。でございますから、われわれとしましては、ただ単に法人化ということだけでこの問題を考えるわけには参りません。従来とても共同化を進めるということには異存がありませんし、それで進んで参りましたけれども、今まで出ておるのを見ますと、土地は提供する形にしておる、同時に、土地の定着物であるところの柑橘そのものを、これを提供する、そういう場合にあるいは請負なのか、あるいは投資なのか、なかなかそこに困難な問題もあるわけでございまして、にわかに、ただ単に農業経営をする法人を認めると同時に、農業生産を高めるというだけでわれわれが解決するわけにも参りません。特に日本の農地は、一面においては均分相続制をとることに憲法上されておりますし、これらの諸点を総合的に考えませんと、この問題は解決されぬのでございますから、私たちはこの農業法人の問題は今後のもう少し研究課題としてしばらく時日をかしていただきたい、かように考えるわけでございます。今、政府の奨励施策として法人化を促進し、そして共同経営の形態に移すということにつきましては、まだ消極的態度であるということを申し上げたいと存じます。

清澤俊英日本社会党

○清澤俊英君 これが一番さっきの山間部の農村経営形態と非常に結ばれておるのであります。今御指摘になったような昔の入会山というものは、取れば得だ、取っただけ得なんだ、こういう考え方なんです。従って、あとをどうしようというような考えが非常に薄かったと、こう思いますが、それ自身を農業法人化という一つの形態的なものを作ろうとする機運を高めていこうと。そして国が決定的な投資をやって、ことに最近は農耕の、農耕というよりは農業土木の機械が、ブルドーザーとかその他いろいろな機械が非常に発達しておりますので、従って、耕地を造成する上に非常な昔と違った形ができてくる。そういうふうな形によって耕地を広げていく、そこに一つの共同体としてこれを管理する道を開いて、その上に立って農業法人化というような形を推し進めていきますれば、私は山間農村などの悩みは平場よりは楽だと、こういう考えを持つ、実際を見て。平場におきましては、何としても、平場農家においては、農業の基盤である土地をふやそうとしても、これはふやすことができない。隣りから隣りまできちんと何されている。なかなか余分の土地を持たない。山間部に行きますれば、裏からすぐ山なんです。そしてブルをかけて平らにすれば、使われる場所が幾らでもある。また、そういうものを使うようにしてやっていこうという機運も非常に起きている。また、現にやっているところもある。そういうことを計画しているものもある。こうやって自分の耕地を広げていこうという大きな動きの中に、個人だけでやっていくということはできない。私は、さっき言う通り、ほんとうに農村の経営体というものを考えることが中心である農業政策であるならば、国がもっと投資をして、そういう土地を造成して預ける、こういうことにならなければならぬ。  現に今、十万になんなんとする開拓帰農農民が、非常にこれは失敗だといわれている。経営が困難であるわけです。われわれが行って見ましても、彼らが要求するのは、北海道や青森などに参りますと、あの機械公団のやった姿を見て、わしらのもこうやってくれればいいんだ、これからでもいいからしてもらいたい、こういう願いがある。もし、あれを全部ああいう形でやって預けましたら、今日の失敗はなかったと私は思っておる。それを、土地は預けたわ、ちょくちょく金はつけるわしてみましても、人間の労力には限度がある。限度のある労力で、二町歩耕せの、三町歩耕してそれで経済安定をはかれ。これは神様でない限りは私はできないと思う。そこに失敗があると思う。それと同じ状態が現在の山村農家に充満していると思う。  何も山村の零細農家がたくさんだといって歎くことは私は要らないと思う、利用すべき土地はたくさん持っているのだから。ただ、問題になりますのは、山村の土地の所有権の問題で、これを総合さして、そういうものに利用する上に非常に大きな一つの困難性がありますので、ただこれを農地法が、あるいはまあ教育するなりして、土地がスムーズに提供せられるものがあるとすれば、私は、いろいろの問題を解決する上に、非常な別な日本の農業対策ができ上るのじゃないか、かえって平場よりもいいものができ上る。こういうことを考えまするとき、一番先申しましたのもその点で、ただ自給度を高める、増産だとか、三%どうなればいいんだとか、これだけでは私は問題にならない。従いまして、河野さんの言われたことには私は疑問を持っております。疑問だし、不満な点もありましたが、農業経営を中心にした一つの農業体系を作る。それがためには農村人自身からが新農村建設計画を立って、そこに総合計画を立ったものに対して農林省は積極的に一つの方針をとるのだと、こう言われるので非常な期待を持っておりましたが、それはあまりぱっとしないで、まだ今日いるうちに、また昔のような自給度を中心にした増産第一のような形に変りましたので、そのあれはどうかと、こういってお伺いするわけです。これと非常に私は関係が深いと思う。こういうことを考えられませんか。  そういう点については、しばしば私は申し上げているけれども、少しも進展しておらないのは、一体日本の農業の上における一番疲弊しておる山村というものに対してどういう考えを持っているか。あれはだめなものだから、零細農は切り捨ててしまえ、こういう考えなのかどうか。私は、切り捨てる必要がなしに、国がある程度までの投資をやっていきましたならば、かえって平場よりは楽なものができ上る土地を持っているのです。土地があるのです。従って、平場におけるあの混雑した状態が、それらによってあるいは解決せられる道が開かれるかもしれない。二、三男対策等もそれらによって道がある部分切り開かれるのじゃないか、こういうことも考えられます。農林大臣、どうお考えになっておりますか。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(三浦一雄君) 土地の開拓、開発ということを考える場合には、もう申し上げるまでもなく、大規模なものは機械開墾等の形態をとっております。このことは私は今後とも推進すべきであるし、同時にまた、この予算におきましても拡大しております。ただし、かくして得たところの開拓地を法人の形態でもって経営することに問題があるわけでございまして、これは開拓すべき形態としての国もしくは公共団体がやるということについては別段異存がありません。のみならず、むしろ私は大規模のものは国でやる方が近代の実情に合うと思うのであります。ただ、細分化されている農地そのものを、法人化のもとにそいつを集約して、そこでいろんな関係のある農業経営を共同してやるということについての疑問はまだたくさん残されている、こういうことであります。  もしそれ、開拓を急ぐのあまりに、この法人等を認めるという場合に、現在はまあおおむね自然発生的に出ましたものが、商法による一つの法人でございますが、もしもこのまま、われわれが農地法でとっている精神を十分にここへ反映するのじゃなければ、往年の土地兼併その他のこともだれがこれを防止ができるかと、こう考えらるがゆえに、私たちとしましては、共同の利益を増進するという施設は進めるけれども、農業自体の経営を法人の形態のもとにやるの可否はまだ十分に検討しなければならぬと、こう思うのでございます。決して、開拓等につきまして国もしくは公共団体等がこれをやるということについては、われわれ反対しているものではございません。  特に開拓等につきましては、大規模なものは特別の開拓地区として計画を周到にし、そうしてこれを進めるということ、同時に、その次の段階になるものは市町村等の公共団体の手によって進めるということもいたしております。同時にまた、新農村建設計画は、その町村でもって農業経営の上に、あるいはその他の関連の産業を進める上においても、有効適切なものを計画して、その基礎的なものを整備するということが、新農村建設計画のいわば重点であって、すべて今の法人化による施策をするということでないことは、もう御承知の通りでありますから、そういうような心がまえでこの問題に対処いたしたいと、こう考えております。

仲原善一自由民主党

○仲原善一君 今の法人の問題に関連して……。ただいまの農業法人の問題で、大臣のお話をよく承りまして、まあまことにごもっともだと私は考えております。まあ農政の一番基本に触れる問題でありますので、慎重に御研究願いたいと思いますが、ただ、当面の問題として、実は私の県にも六つばかり農業法人があります。従来やはり法人としての課税を受けておりまして、非常に安い税金になっております。ところが、最近国税庁の方で参りまして、個人課税に切りかえる、従来のは認めないというので、切りかえ方を今始めておるわけであります。これが三月の十五日には申告の時期に参っておりますのですが、そういうトラブルが現状の問題として地方に起っております。もし、これが個人課税に切りかえになりますと、全国で百数十件あるそうでありますが、みな農業法人の形で、そういうふうに違法であるという建前でつぶされてしまうという現状を今控えておるわけでございますが、この際、農業法人のいい悪いは別として、もしかりに将来いい考え方だという結論になるとすれば、せっかく芽ばえているのを今つぶしてしまうのもどうかというような気もいたしまするし、根本問題は将来いろいろ御研究になろうと思いますけれども、とりあえずの問題で、三月十五日を控えた今の問題としてどういうふうに処置すべきか、この点について、農林当局の方はどういうお考えであるか。大蔵当局の方は、農林省の方が合法的だと言えば、これはやはり従来通りに法人課税をする。農林省の方で農地法三条の関係でこれは違法だということになれば、全部個人の課税に切りかえていくのだという方針のようでございまして、この当面の問題についての御見解はどういうふうでありましょうか、その点だけをお伺いいたします。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(三浦一雄君) この法人が違法なりやどうかという問題は、法人成立の問題と農地法との関係は、実は私はそう言えないと思うのです。これはやはり、税法は税法の関係に立って判断していただくより仕方がなかろうと思います。しかも、いわゆる農業法人は、今までの設立しておりますものは、別に認許可を必要としない。同時に、一種の宣言的な有限会社でもって設立しておるということでございまして、農地法の有効無効の問題よりも、そっちの方はそっちとして、税法上の観点から判断してもらうより仕方がないと実は思っております。ですから、その場合に、農地法の関係で違法だからやめてくれということはもちろん申しませんし、同時にまた、有限会社として成立しておる問題であって、それの有効無効は、これは具体的な場合に農林省としても判断すべきことかどうかも私は問題だと思うんです。従いまして、これは税法の関係の問題は、主としてやっぱり大蔵省の判断てお取りきめを願う問題である。ただし、われわれの方の農地法の問題になりますと、これは先ほど来論議いたしました通り、いろいろの問題がありますから、かようなことを農地法として是認し、農業経営の上にその何をどうするかということが、農林省の重要なことでございまして、これは今後の研究検討に待たねばならぬと、こう考えておるわけでございます。仲原さんのお尋ね、まことにごもっともでございますけれども、今のところは農林省はさような立場にございます。

東隆日本社会党

○東隆君 今の清澤さんの質問に関連してお答えになったところを見ますと、自作農を中心にと、こういう表現をされたのですが、私は生活と経営を分離するのは差しつかえないと思いますが、その点はどういうふうにお考えでありますか。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(三浦一雄君) これは、観念的にはそういうことは是認できると思うんです。しかしながら、農業経営全体を見た場合に、そうしかく判然として区別できるかどうかは、これは問題だと思います。同時にまた、農地法の基礎は、やはりみずから耕す者ということを中心にして、その農地に対する利益をも認め、これを保護していくということは、これは一貫したものだと思うのでございます。

東隆日本社会党

○東隆君 今の問題で、自作農を中心にお考えですが、私は、その場合においても、やはり所有と耕作とはっきり分離できるのじゃないかと思う。現に、村内の地主でもって耕作をしていない者もあるんですから、従って、土地所有と耕作権、これは完全に分離できるものじゃないか。そういうふうに考えてきたときに、私は、耕作権を——所有権はこれは、各人が持てばいいんですけれども、しかし、その耕作権を出すことによって会社をこしらえて法人になってそうしてやっていくのに、これは何ら差しつかえのないものじゃないかと思うんですが、この点はどうなんですか。農地法にひっかかるんですか、これは。

伊東正義農林省農地局長

○政府委員(伊東正義君) 今、御質問でございますが、われわれ、農業法人についての考え方でございますが、先ほど大臣から御答弁がありましたように、今この問題につきましては、慎重に検討をするという立場をとっております。それで、その原因でございますが、われわれとしましては、やはり農地法の大きな精神は、耕作者がみずから農地を持てることが適当だという考え方、それから自家労力で経営をやっていくということを基本にいたしまして、所有の上限も平均しまして内地三町というように考えております。こういうふうに今の法律の建前自身がやはり自作農主義という建前をとってやっておりますので、今言われます法人化の問題になりますと、これは一人の人があちこちの法人の、まあ今商法上の法人でございますから、そこの株主なら株主というような形になりますが、いろいろな形であちこちに土地を持ちますとか、あるいは不在地主が発生するおそれがあるのじゃないか。といいますのは、事務所をその農地の所在地にさえ置けばそこでは不在地主にはならぬというような形で、いろいろな不在地主の形も出てきやしないかというような、今の農地法の根本精神と基本的にいれないような問題が出るおそれが多分にあるのじゃないかということを考えまして、われわれとしましては、先ほど大臣から御答弁がありましたように、これはやはり所有権を持った人が耕作していくんだという今の法律の精神からいいまして、この問題は慎重に農地法自身の問題として、また、これは農業法人化になりますと、農業協同組合との問題も非常にいろいろな問題が出てくると思います。そういう立場から、既存のいろいろな法律との関係から考えて、この問題はどういうふうに扱うかということで実は慎重な態度でこれは研究をしていきたいというような考えでございます。

東隆日本社会党

○東隆君 自作農というものを中心にお考えになるから、そういう形が出てくると思うんですが、経営と生活を分離して、そうして農業というものを一つのエンタープライズとして考えていく。そうすると、資本とそれから土地ですけれども、土地は耕作権の形でもって十分に表現できると思う。それに労働。こういう三者が集まって農業経営が成り立ってくるんですから、そのことができる一つの法人を作り上げれば、これに文句のつけどころはないのじゃないですか。農地法でもってひっかかりますかな。各人が、土地の所有をしている者が耕作権を提供する、そうして土地を所有している者がそこに労力を提供する、そういうような形式をとるんですから、形は。

伊東正義農林省農地局長

○政府委員(伊東正義君) 今の法律で参りますと、第三条で、農地について賃貸借権あるいは使用、収益の権利、こういうものを設定します場合には、御承知のように、農業委員会なりあるいは知事の許可ということになっております。それで、実は今行われておりますものは、賃貸借契約を結んでいるものが方々にございます。それから、全面的な請負というような契約の内容になっているものもございます。これは農地法から参りますと、みな実は第三条違反、許可を受けずやっておるわけでございます。農地法から参りますと、無許可でそういうことをやっておるということにつきましては、これはやはり違法だというふうに見ざるを得ないと思っております。

東隆日本社会党

○東隆君 今、違法だといってきめつけられたんですけれども、しかし、許可を受ければ違法でないということにはなるわけですね。

伊東正義農林省農地局長

○政府委員(伊東正義君) これは知事なり農業委員会の許可の問題がございます。それで、行政の方針といたしましては、先ほどから大臣が御答弁になっておりますように、この問題はいろいろな重要問題を含んでおりますので、そういうものについては許可をしないという方針で、われわれ、今まではずっと指導しているわけでございます。

東隆日本社会党

○東隆君 その、今の問題を、それは今までの解釈の仕方であって、それの変更はこれは可能な問題じゃないですか。これはどういうようにお考えですか。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(三浦一雄君) これは、今仰せの通り、法律の改正をするとかあるいは方針を変えればそれはできますが、それによって来たる影響というものは、そう簡単じゃ私はないと思う。これは、皆さんとこれを一々論議するわけじゃございませんけれども、農地の変遷というものは、もうこれは幾多の経済史上重要問題を差しはさんできた。でありますから、ただ単に、この一角、法人がよいということになりますれば、他に兼併するような場合において果してこれを防げるかどうか。このことがいいと、こうなってきて、そして法人の経営でよろしいと、こうなってくるならば、これはおそらく非常に大変革に私はなると思う。そういうことがございますので、われわれとしましては、現在の農地制度を守りつつその推移を見ていると、こういうことでございます。果して法人の制度をとって、そして法人の社員なりあるいは法人の小作人として農業経営に参加させるの可否というものは、農政上の重要な問題だと思うのでございます。まあ共産国あるいは社会主義国では、相当なコルホーズ、ソルホーズの形態はやっておりますけれども、これはもう国自体によりましても、いろいろ問題があろうと思いますが、われわれの現行法の制度のもとに農地法を扱う者としましても重要なことでございますから、そこで今にわかに変更するという態度は私はとっておりません。なお十分に検討させ、そして研究さしていただきたいと、こういうことでございます。

東隆日本社会党

○東隆君 ちょっと、私、もう一言。実はインドが最近農地解放をやって、そしてそれの目的は、農業の近代化、共同経営をいかにして達成するかということを前提に、農地解放をやる、こういうようなことが報道されておると私は聞いたのです。そうだとすると、これは非常に私は進んだ考え方でないかと思うのです。日本における農地解放は、自作農創設というような意味においては一応成功したかもしれません。しかし、農業の近代化あるいは社会化、そういうような面は一つもこれによって進められておりませんし、かえってじゃまになっているような現状じゃないかと、こういうように考えておるので、私は、農業法人が出てきたのは、これは税金のがれのために出てきたことに相違ないけれども、しかし、これを契機に農地法そのものを、もう少し大きな眼目を一つ置いて、そうして改正をすべきもう機会に到達しているのじゃないか、こういうふうに考えるのですが、これもあわせて一つお考えを願いたい。

清澤俊英日本社会党

○清澤俊英君 今の問題ですが、そういう今東さんの言われるような形で、実は農村では法人化もしませんし、協同組合も作らない。が、現実にやっていることは、ぼつぼつ出ている。たとえば、これはある村なんですが、どうしても耕地が少いので畑を二百町歩開墾しよう。村長が中心になって土地をみなあっせんして、一応村で買い上げた。二百町歩全部買い上げた。そしてブルドーザーを買ってきて、これを地ならしをやって、土壌改良をやって、そこへ次には、そうしてでき上りましたものを、土地を区画して、一応個人に土地を分けた。大体もとの土地をどれくらい持って、どれくらいだれにふやしたらよかろうということで、こういうことがとられた。その次には、その土地のまず耕耘の問題です。そういう場合には何か深耕機とかいう土地を耕す機械がある。そういうような機械までも買い入れて、今まで二センチか三センチのものを、六センチか十センチぐらい深耕をやって、そうして深耕をやって肥料をまいた。それを今、分けた土地の人が入ってそのあとは経営する。従って、作りますものは共同の耕作物を作って、そうして、りっぱな商品として、統制のとれた品質にして共同出荷をやっていく。こういう形なんです。  それをそのまま一つの法人化することは、大して面倒な問題じゃないし、非常にいいことじゃないか。こういうものは自然的に発生しておる。ある部落もやはりそういうものをまねして、そうして、一方においては、冬はスキー場にする。スキー場にしたあとは、春になりますと、これを全部そういう形で、もう非常な貧困の村落が最後に考えたことは、これを平らな土地を作って、そうして適当なスキー場を作る。傾斜をもったスキー場を作って、そして冬はお客を呼んで収入を増す。春先になりますと、そこへ牧草を植えて、酪農、共同放牧をやる。刈り取りをやって、サイロを全部作った。サイロからは共同じゃないので、個人の飼育になる。これで村の振興をやるのだというので、非常にはずんでいる。こういうことが自然的にできている。できているところへ、農業法人のようなものが一応農民の意識の中に浮き上ってきたとしたならば、これを取り上げて農林省が何らかの形で助成して、そういう形で一番今まで土地のない困っていたところを、思い切った投資をして誘導していかれるのが、私はいいのじゃないか。こういう意味合いにおける農業法人というものは考えられないか、こういうことなんです。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(三浦一雄君) これは御承知でもございましょうけれども、今のような類似形態は、たとえば隠岐島にも沖縄等にもあった。現に開畑等もやっております。そうして、その耕地自体は農民全体のいわゆる総有形態になっている。そういう場合でさえも、清澤さんがおっしゃったように、何もかもいいものずくめの面はあるかもしれませんけれども、しかし、同時に、過去に、少くとも旧藩時代から長い間の慣行、自然発生的に出ましたそういうような地帯におきましても、必ずしも農業経営の面においていいことばかりではないのでありまして、いわんや、スタートはそういうふうなことでいっても、後に制度化していって、果してそれだけのいいものを保ち得るかどうか。同時に、他の面の土地の兼併であるとか、あるいは各自の経営の巧拙によって格段の相違が出てきて、そうして、むしろまた一部のものは非常に肥大し、一部のものは転落するというようなことがあってはいけないものでございますから、いやしくも農業法人というふうな恒久的な制度をとる場合においては、ただいい面だけを見るだけでなくて、後に及ぼすいろんな影響なども、これに関連する事項もよく念には念を入れて検討し調査した上でなければ、恒久的な制度としてとりがたいと考えますがゆえに、われわれの方としましては、直ちに法人形態としての何はどうかと、こういうことでございますけれども、清澤さんが今御指摘になったいい例があるでございましょう。同時にまた、旧来の慣行としていろんな面もありますことも、またわれわれとしては忘れることのできない点でございますから、その点を申し上げておるわけでございます。

清澤俊英日本社会党

○清澤俊英君 これは、農林大臣は、戦前の農村の体系ですな、非常にボスがたくさんおった体系を中心にして考えておる。最近は変りましたよ。変りまして、ちょうど終戦後往々にして、ここに農地局長もおられるが、開墾地等の失敗は、軍人などがやった場合、何人もあそこらのところへ逃げてきておる。大佐なんというのが開墾地に入るのだ。いや、政府との折衝だとかあるいは金を借りるということには飛び出しますけれども、耕作などは一つもしない。全部入ってきた若い手合いにだけ、自分の分まで耕作さしておる。昔はそういうものがあった、兼併が出たりするが、最近は土地の管理は徹底的に民主的なものになっている。そういうところが仕事を始めるのです、従いまして、ここのうちが主人が死んだ、あるいはせがれが転業した、からだが悪くて転業した。労働力がこれだけ減ったとなれば、そこの所有権なり耕作権は村で見ているのです。からだが回復するまで見ているが、次の者が、一応合議の上で、何年間なら何年間ちゃんとこれを、だれだれが持っているのだ。その人がまた耕作能力を失ってしまえば、それを話の上で、全部三十人なら三十人の人が寄って、そこで話し合いをつけて、最も公平なものに割り返しをして——これは耕作権だけの割り返しですがね。そうやっているのですから、そういう間違いはなかなか出ないのです。時代が変っています。農村のものの考え方、やり方、基本的な民主的な考え方が、敷衍してきている。こういう舞台の上に立って考えますれば、私は、例の兼併であるとか、あるいは一つの経営をすることによって、馬乗りして役人づらかいて、そして人にかせがしていばっている、支配者ぶっているというような不純なものは私はないと思う。  だから、非常にいい傾向なわけですから、これは農林省もそういう悪いことを、昔の悪いことだけを中心にして考えられないで、そして新しくでき上りました民主的な運営を中心にした農経のやり方を、もっと私は突っ込んで考えていただきたい。これは何か、こうお伺いしていると、農林漁業の共同化というようなことを進めるのは、社会党が言うておるのだから、共産党のまねしてコルホーズを作るのじゃないかというお考えだったら、とんでもない間違いで、そういうことは考えておりません。実際そういう形で民主的にみなやっておる。昨年、県から補助金を二十万円ばかりもらって、そうして二十人の青年を引き連れて、県外の先進地を視察をするため、島村さんとか江田君とか重政さん等から、いろいろ酪農地帯などの示唆をいただいた。それから兼松——さん御承知の畜産局の前の草地課長をしておった先生などから指導をしていただいて、一応それを視察して参りました。三人現に、ことし硲谷の久保田農場へ実習に行っております。そうしてああいうものを本気でやる気でしかかっておる。これが実態だと思うのですよ。その行きまする金は、部落の青年が集めて、そうしてこれだけ持っていけ。そしてその青年自身が集金して、汽車賃やその他のものを全部めんどう見てやってくれる。こういう盛り上ったものを一つ育成していくくらいのことを農林省は考えなければならぬのに、過去にこうであったこうであったといって足踏みさしているのでは、もってのほかの考えだと思う。一つ十分にお考えを願いたい。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(三浦一雄君) 私は、決して討論するつもりはございません。われわれとしては冷静に、同時にまた、歴史的の発展の過程においてこれはみなしなければならぬ点もたくさんございますから、先ほど来たびたび申し上げました通り、農地制度の基本的な問題にも触れておりますから、十分にわれわれとしましても検討を重ね、一ついい結論が出ますように研究さしていただきたい、こう考えます。

雨森常夫自由民主党

○雨森常夫君 ちょっと一言、農林大臣のお考えを承わりたいのですが、先般の御説明の中で、農村人口の圧力緩和と農村の二、三男対策として、海外送出事業の体制を強化するというお話がございましたが、体制を強化するというものの内容はどんなものを言われるのか、その点についてちょっとお尋ねしたいのでございます。  私が知っておる範囲では、戦後十何年の間に、現在までに海外へ送り出されている人数は一万にも満たないだろうと思うのですが、これから後に相当各地へ農民が送り出されるだろうと思いまするし、またそうでなくてはならぬと考えております。ところが、今までの海外移民の国内の施策をよく見てみますというと、外務省が窓口になって、そうして農民を海外へ送出するということが中心な考え方で、向うへ行った者は一日も早く安定した農業が得られるようにという、あたたかいと申しますか、十分な施策が伴っていないから、向うへ行った農民というものは非常に長い期間かかって一人前に安定してくるということでありますので、これからの移民というものは数がふえるのでありますが、もう少し十分な施策を加えて、そうして一日も早く短期の間に向うで成功するようにしていかなければならぬ。それがためには、各地においていろいろ事情が異なりましょうが、結局、一日も早く安定するためには、たとえば、送り出す前に現地の事情を詳しく調査するとか、あるいはまた根幹となるような、たとえてみますれば道路とかいうようなもの、そういうふうなものは当初から十分何して、送り出しても、安心して翌日から作業ができるというようなところまで考えていくというのが、先ほど私ども申し上げましたが、方法だろうと思うのです。そういう点をお考えになっているだろうと思うのですが、当初申し上げました送出事業の体制を強化するお考えとなってうたわれておりますが、その強化するということはどういうふうなことをお考えになっているか、お聞きします。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(三浦一雄君) 実は、今まで海外に終戦後出ましたのは、大体二万八千人程度のように伺っております。本年度外務省との打ち合せによって、海外へ移住の計画は大体一万名ということになっております。そして今までのこの移住者を送ります場合の実情を見てみますと、最後になりますと、まあ選考募集等も行き届かないために、気の向いた者を入れていくというわけでありまして、これは非常に効果を減殺しておったということでございます。従って、向うへ行っても、さあ農業はやれるかどうかわからぬ、行ってみたところが定着する見込みがないという者があったというようなこと、こういうことでございます。これでは、せっかく海外移住の計画を進める上におきましても、満足されないわけだし、かようなものが持続することによって、せっかくいい関係にあります国までも、これに対して非常に考え直すということになってはいけないものでございますから、過般来外務省とだんだん打ち合せましたとき、事情は、内地の事情、ことに農業関係の移住面につきましては、何といいましても、外務省にその知識経験を持つ人はおりません。農林省から人事の交流によって外地に人を出しております。  それから、その次には、募集する場合に、御承知の通り、海外移住協会が中心になっておりますのですが、これは、これを実際に選考し、これに予備的知識を与え、準備的ないろいろなことをしなければならぬのでございますが、同時に、移住者がいよいよ渡航されますにつきましても、持っておりますところの財産を処分するとか、あるいはその人たちがその居村の組合に負債を持っている、こういう問題があるわけでございまして、これらがてきぱき片づきませんと、実際移住の場合にスムーズにいかないことは御承知の通りでございます。従いまして、こういうことにつきましては、海外移住を目的とする協同拓殖農協等もありますのでございますが、これらの連合会におきまして、この農協の持つ組織を動員して、そして農民の立場から海外移住事業推進に協力させるということに今度一そう進めることにいたしまして、そうしてこの方面に指導をだんだん重ねるということが第一点であります。  同時にまた、これらの連合会等が援護事業の一環として、三十三年度については、ブラジルに移住地の取得をしたのでございますが、農民団体の自主的な意欲に基いて、計画的に移民、移住を行う条件を作り出すことは非常に大切なことでございますので、この事業を適切に進めるにつきましても、この農協等に対する一つの資金の設定等もいたしておりまして、そういう意味では、移住政策を内部的に推進するということを、農林省で今回若干の予算措置等も講じまして前進さしたわけであります。同時に、先ほど千田委員のお尋ねの際にも申し上げました通り、移住会社に対しましては、土地の選定、取得、同時に、その立地条件に基きました諸計画を早く立てる。そこに、できるならば知識経験を持つところの指導者を配置しまして、そうして営農等が直ちに進むように、われわれとしましては特に移住会社等にこれを慫慂し、その方面の計画の推進にも当っておるわけでございます。  同時にまた、農林省としましては、農山村方面の青年の人たちにも、現地に対する知識を持つ、認識を持つということが必要なために、本年度の予算には、若干ではございますけれども、それらの地方の青年たちを派遣するという制度も進めております。これによりまして、やはり海外移住の空気も促進されると思います。また、現地に臨んで、勇躍して海外移住の方に行くということの何も助長されるかと思うのでございまして、これらが来年度の予算に計上し、もしくは来年度から着手いたしたい、こういう項目でございます。

秋山俊一郎自由民主党

○委員長(秋山俊一郎君) 本件は以上をもって終りまして……。

東隆日本社会党

○東隆君 質問がないようでありますから、今後の運営に関連して……。今度の第三十一国会に、農林水産委員会に関連をしている法律が、だいぶよその委員会に出ております。そこで、それをそのままにするわけには参りませんし、こちらの方でも相当研究をしなければ、審議をしなければならぬものがあろうと思います。それで、たとえば、今の農地に関係をした審議会が総理府にできるのであります。これも農地補償に関連して非常にこちらの方に関連があります。それから定員法の問題、これは主として農地に関係をした問題でありますけれども、一応これは内閣その他と関連がありますから、これについて連合審査なり、あるいはこちらの方で十分審議をする機会を、もう一度作っていただきたい。これが一つ。  それから、農林漁業の基本問題の調査会が、これも総理府にできるようになっておりますが、これは中心はやはり農林水産委員会の問題になろうと思います。これを一つ、十分にこちらの方でもって審議をする機会を作っていただきたい。  それから、輸出入取引法の一部改正法が出ておりますが、これは独占禁止法の一部改正と関連——うらはらの問題になると思います。そこで、これに関連をして、農林水産物の貿易関係の問題、これをあわせて一つ審議を進める機会、そしてこれに対するいろいろな資料、そういうものをも一つ用意をしていただきたいと、こう思うわけです。  それからもう一つ、甘味対策を中心にして、砂糖問題に関連をして、大蔵委員会の方に、関税、それから消費税の問題があるのであります。これと、それからきょう提案された小かん加糖れん乳云々のこの関係、あわせてこの問題についても、いろいろな問題をやはり相当資料を一ついただいて、そして審議を進めていっていただきたい、こういうふうに思うのですが、今考えついたのはそういうような四つほどの点でありますが、委員長で一つお取り計らいを願いたいと思います。

秋山俊一郎自由民主党

○委員長(秋山俊一郎君) 承知いたしました。

仲原善一自由民主党

○仲原善一君 公共事業費の問題についてお伺いいたしたいのでございますが、これはまあ大臣の御努力でずいぶん公共事業費もふえましたけれども、これを運営実施する場合に、結局、都道府県に配分されることになろうと思います。ところが、この予算の実行にはやはり都道府県の裏づけの予算が相当要ります。ところが、この地方交付税も一・五去年ふえまして、相当なふえ方はいたしておりますけれども、先般貧乏県の知事が十数人寄りまして、いろいろ地方計画、財政計画とにらみ合せながら、この公共事業を研究した結果、相当の県はこの公共事業を返上せねばならぬというような財政状態だということを申しております。で、この公共事業、まあこれは農林省だけではありませんが、建設、運輸等もございますけれども、その公共事業の予算を組まれた場合に、自治庁関係の地方財政計画とよく調和がとれて、マッチした計画になっておるかどうかですね、その点を一つお伺いいたしたいと思います。  特に後進県の貧乏県の方は、大へん、これは具体的な例を申しますと、鳥取県は非常に後進県でございまして、この公共事業も裏づけがむずかしい県でございますが、去年は十一億程度の公共事業ができたのが、ことしは交付税の標準の関係等もあって、現状であれば二億円くらいしかできない、そういうことを申しております。これに類した県がずいぶんございますが、これは結局前年に対比しまして、交付税の伸び方が非常にふえた県と、それから伸びない県があります。一般にこの裏日本後進県は伸びが非常に悪くて、貧乏県ほど伸びていなくて、裕福な県だけ伸びている。まあそういうことになりますと、公共事業は貧乏県では返上して、裕福な県の方でこれを消化するというような、そういうアンバランスな施行方法になりはしないか。そういう点を大へん心配をいたしておりますが、自治庁関係とその点はよく打ち合せの上で公共事業費が組まれておるかどうかということと、そうして交付税の方がどうしても現在の標準が変らぬということになれば、そういう結論が出ますので、そういう際に、先ほど大臣のお話がありましたが、後進県の農業を振興するという方針だというお話もありましたが、そういう意味を含めて、この救済策は何かあるかどうか。その点、もしできればそういう財政窮乏の県の公共事業というものにしわ寄せがこないように、何らかの措置をお願いいたしたい。その辺の事情をお伺いしたいと思います。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○国務大臣(三浦一雄君) 簡単に私からお答えいたします。その点が重要な点でございますが、過般地方財政計画をきめます場合におきましても、自治庁長官からは、今度の組みました国の予算に即応して公共事業費の負担をよく見ておくと、こういう御説明であります。ただし、単独事業でございますね、都道府県の単独事業におきましては、相当窮屈であるということでございましたが、国の公共事業に即応するものは一応地方財政計画におきましても確保しておる、こういう御説明でございます。ただし、この配分はまた具体的な問題になりますですから、そのもとに十分に考えていかなきゃならぬと思います。  今、御指摘がございましたから、農林省関係のもの、ただいまのところ最終的な御案まで一々府県別にお示しできるかどうかは何でございますが、なるべく大綱でもお示しするようなことは努力して、資料等も差し上げたいと存じます。同時に、農業県の問題でございますが、実は米の生産県に対する奨励金を出せと、こういうことでございますが、この終末はやはり交付税の配分の場合に基本的には考えて加味すると、こういうことで自治庁の方でも取りきめしたようでございますが、それも私は閣議で承わった程度をこの際御披露するよりほかはございませんけれども、さようなことでございました。後に御検討の際には、われわれとしましては資料はできるだけのことをいたします。

秋山俊一郎自由民主党

○委員長(秋山俊一郎君) それでは、本件は以上をもって終りまして、本日の委員会はこれをもって散会いたします。    午後四時十三分散会

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