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31回国会参議院1959/03/10

逓信委員会 第11号

発言数
104
登壇者
11
会派数
2
開催日
1959/03/10

会議録

手島栄自由民主党

○委員長(手島栄君) ただいまから開会いたします。  委員変更についてお知らせいたします。三月六日川村松助君が委員を辞任せられまして、その補欠に前田佳都男君が委員に選任せられました。   ―――――――――――――

手島栄自由民主党

○委員長(手島栄君) 日本放送協会昭和三十二年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書を議題といたします。  まず政府より御説明願います。

寺尾豊自由民主党郵政大臣

○国務大臣(寺尾豊君) ただいま議題となりました日本放送協会の昭和三十二年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書の国会提出について、概略御説明申し上げます。  日本放送協会のこれらの書類は、放送法第四十条の規定に基きまして、国会に提出いたすものであります。  協会から提出されました昭和三十二年度の貸借対照表等の詳細は、お手元の書類の通りでありますが、その概要について御説明申し上げますと、昭和三十三年三月三十一日現在における資本総額は四十八億六千三百余万円で、前年度末に比し六億九千三百余万円の増加となっております。また、これに対照する資産総額は百二億七百余万円で、前年度末に比し十二億二千八百余万円の増加であり、負債総領は五十三億四千三百余万円で、前年度末に比し五億三千四百余万円の増加となっております。  資産の内容をみますと流動資産十三億五千六百余万円、固定資産八十二億九千余万円、特定資産四億九千二百余万円、繰り延べ勘定六千七百余万円、となっております。また、負債の内容は流動負債五億九千三百余万円、固定負債四十七億四千九百余万円であり、固定負債の内訳は放送債券二十億九千六百万円、長期借入金二十六億五千三百余万円となっております。  次に損益につきましては、事業収入はラジオ関係百十三億二千七百余万円で、前年度に比し五億四千二百余万円の増加であり、テレビジョン関係は二十三億九千百余万円で、前年度に比し十三億五千四百余万円の増加となっております。  事業支出はラジオ関係百八億七千百余万円で、前年度に比し六億三千百余万円の増加であり、テレビジョン関係は二十一億五千三百余万円で、前年度に比し八億四千百余万円の増加となっております。従いまして、ラジオ関係においては四億五千五百余万円の当期剰余金を計上しておりますが、これは、昭和三十二年度の収支予算において放送債券及び長期借入金の返還等に充当するため予定した額の五億四千八百余万円を若干下回っております。  また、テレビジョン関係においては、事業開始以来六年目に初めて事業収支の均衡がとれ、かつ、二億三千八百余万円の当期剰余金を計上しております。  以上で概要の説明を終りますが、なにとぞよろしく御審査のほどをお願いいたします。

手島栄自由民主党

○委員長(手島栄君) 本日のところ本件に関しましては政府よりの概要説明の聴取のみにとどめておきます。   ―――――――――――――

手島栄自由民主党

○委員長(手島栄君) 放送法の一部を改正する法律案を議題といたします。前回に引き続いて御質疑のおありの方はどうぞ御発言を願います。

鈴木強日本社会党

○鈴木強君 私は個々の改正条文に入ります前に、一つこの際郵政大臣の御所見を承わっておきたいことがございます。それは前回の委員会で森中委員からも御発言があったようでありますが、今回の放送法改正に至るまでの経緯について、吉田内閣の末期ごろよりこの放送法改正の問題が出て参りましたが、そのねらいは諸般の情勢から当時放送に対する政府の監督権を相当に強化していこう、こういう基礎があったと思います。その後臨時の放送法改正審議会等が持たれまして、政府としても慎重に扱い方を検討したようでありますが、一変、三変、四変と変りまして、二十八国会に提案されたものがさらにまた修正されて今回出て参りましたが、今のところきわめて末梢的な改正になっておりますので、そう大きな放送事業に対する監督を強化しようという思想はございませんようですが、しかしわれわれはあくまでも放送の中立性ということを、不党不偏というこういった放送法第一条の規定というものを明確に貴いていただかなければ困ると私は思うわけでありまして、後ほど総理にこの点は質問いたしたいと思っておりますが、特に戦前のわが国の放送がNHKに独占的にやらせておったという経過、しかもその際は国際放送といわず、国内放送といわず、すべて検閲制度がとられておった。場合によるとスイッチを切られて放送者が知らないうちに電波がとまっておる、こういうことがございました。そういうような経過からわれわれの心配というものはまだ消えておりませんので、この法案改正の前提として、そういう放送に対する監督権を今後とも政府は強化する意思があるかどうか、こういう点を一つ大臣から承わっておきたいと思います。

寺尾豊自由民主党郵政大臣

○国務大臣(寺尾豊君) 今回の放送法の一部改正法律案に対する御質疑並びに御所見として、その沿革においてかつては相当強い検閲等も行われた、また吉田内閣の末期においてかなりこの放送法に対する規制を強化するのではないか、そういう考えにもいっておったのがだんだんそういう懸念も薄らいで、それほどきつい統制あるいはその強化というようなことはないようだ、というような御質疑並びに御所見でありますが、まことにそうした御見解をいただくことはわれわれとしても非常に意を強うするところでありますし、特に今回の一部改正につきましては、放送事業者がすべて旧主的にこれを行うということを主眼にいたしてやったわけであります。しかも放送法は、お示しのように、第一条に示されておる「放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによって、放送による表現の自由を確保すること」あるいは「放送に携わる者の職責を明らかにすることによって、放送が健全な民主主義の発達に資するようにすること」、こういう公共の福祉に適合するように規律をするということに全く根本精神を置いておるということは、今御意見の一端にもあった通りでありまして、私どもはこの放送法の改正は必要最小限度にとどめてはおるけれども、この内容というものは、自主的に放送事業者はその良識とその商い使命によって、よりりつぱな放送番組を持ちまするところの、たとえば番組審議機関といったようなものによって、放送する前、放送後において十分検討を加えていく、そういうことによって放送事業者自信みずからがよりりつぱな番組を放送していくというようなことでありまして、その業務に関しまする報告というような問題もこれを一応資料を提出してもらいたい、こういうように非常に自主性を尊重いたしまして緩和をしていっておるということでありますので、この点についてはわれわれはあくまでもただいま鈴木委員が御指摘のような自主的にして、しかも放送事業者がその良識において自由に放送が行える、という放送番組を放送させるということに最も重点を置きまして、さように案を作った、こういうわけでございます。

鈴木強日本社会党

○鈴木強君 大臣の御所見がはっきりいたしましたので私たちは安心をいたしますが、まあ率直にいって、当初の監督の強化という思想から申しますならば、今度政府が提案された内容は、先ほど申し上げましたように、その点は一応表面的に心配はないと思います。しかもそういう方向に努力された大臣の事業に対する理解というものに私はこの際深く敬意を表しておきます。私が非常にこういうことを申しますのは、たとえばこれは、石橋内閣が非常に短命に終りまして岸内閣が成立した直後、石田官房長官が個々の具体的なプログラムについて干渉した事実があります。石田官房長官には一度この委員会にも来ていただいて、私この点をただしたのでありますが、適当に逃げておりましたが、しかし御承知の通り政府がスポンサーになりまして民放あたりに政府の時間を設けておるわけでありますが、その際に、今大臣がおっしゃったように、番組編成の自主性というものは放送事業者にまかしてあるわけですから、政府が出したテーマに対してどういう人を選定するか、出ていただく方々、こういうのは少くともスポンサーの意見も民放ですからありましょうが、大体放送者の独自の立場でやられてしかるべきだと思うのであります。ところがその選定をした講師に対して、あれはいかぬからかえろというような差し出がましいようなことを言い出したという事実もこれはあるわけであります。そういうことが、すなわち第一条第二号の「放送の不偏不党、真実及び自律を保障する」、こういう放送法の目的、この点からいって私は非常に行き過ぎじゃないかということを当時主張し、追及もしたのでありますが、そういったことが必ずしも皆無だとは私は言えないと思うのであります。ですからこの点は非常にくどいようでありますが、少くとも今後内閣がかわっても、一つこの法改正の提案の思想として絶対にそういうことは今後ともないのだ、という確固たる保証を私はこの際とっておきたいと思うのであります。そういう意味で大臣は御熱心にやられて、もちろん内閣がかわっていくかもしれませんが、そういう点は一つ十分その際は、これは先のことを、言って大へん失礼でありますが、現政府の思想として永久にこれは一つゆるぎないものとして引き継いでいただくように特に希望するのでありますが、この点大臣のお考え方をちょっと伺いたいと思います。

寺尾豊自由民主党郵政大臣

○国務大臣(寺尾豊君) 御質問の御趣旨全く同感でありまして、さようなことに私のみならず、私がかわります場合の引継事項といたしましても、この点については十分相談をし、またこの放送法第三条に示された「放送番組は、法律に定める権限に基く場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。」こういったようなことは確固不動永遠に残していくべきだ、かように考えておりますので、御趣旨に従いましてそういった方針をとって参ります。

鈴木強日本社会党

○鈴木強君 次にお尋ねしたいのは、今度の改正によってNHKの経営委員会の組織がかわるようでありますが、従来会長が経営委員会のメンバーに入っておったのでありますが、これを今度ははずしております。前回前田委員からもこの点については御質疑があったようでありますが、私はやはり経営委員会のメンバーに会長がお入りになっておった方がよろしい、という考え方をもっておるわけであります。その理由はくどくど申しませんが、やはり経営委員会全体が国会の承認を得て政府が任命する手続なっていると思います。同意を得て任命することになっております。従ってやはりこの放送の中立性ということを考えた場合に、これは推測で大へん失礼かもしれませんが、委員の任命に当って、たとえば時の政府の方針として一つこういう面から放送にタッチをしてやろうじゃないか、こういうことがかりに今の大臣のお話でしたらばあり得べからざることでありますが、しかし将来にわたってそういう心配もありますので申し上げるわけでありますが、この政府の意向によって経営委員がきめられた場合に、そういう場合に非常に危険性が出てくるということを私は考えます。従ってもちろん経営委員会の任命で会長がきまるわけでありますので、その理論は同じじゃないか、こういう御意見もあるかもしれませんが、しかし会長は会全体の執行の責任を負っている方でありますから、私はそういう最高責任者である会長が、経営委員会の正規のメンバーとしてお入りになって、そして自分の持てる考え方を十二分に経営委員会に反映し、みずから責任をもってそれを実施する、私はこういう運営の方が非常によかろうと思うわけであります。前回田中郵政大臣のお話によりますと、国鉄あたりもそういうことになっておらぬとか他の例を引用されておりましたが、この点はわれわれ日本の政治家が、とかく議決機関と執行機関というものをあまりに明白に分け過ぎるように思うのです。たとえばアメリカのデトロイトあたりに私行ってみたんですが、あそこの市長というのは、議会の議長が事故ある場合は市長が議長の代理をする、こういうふうに伺っておりますし、先般オーストラリアから参りました上院議員のお話を聞きますと、上院議員でありある中の市長をしている、こういうふうなことも現実に行われておるのでありまして、私は必ずしも議決機関と執行機関というものを明確に分けるということは、われわれの通念的な頭の中の考え方からすれば、問題にならないのではないかと思うのです。現に電電公社あたりの経営委員会には正、副総裁が経営委員会としてお入りになっている。こういうふうな点から見ましても、あえて私はNHKの経営委員の中から会長をはずすということは当を得ておらないのじゃないか、とこう思うわけです。もちろん会長は委員会に出て発言をすることができることになっておりますので、そういう面から見ると多少融通性があるようでありますが、しかし経営の責任者でありその方が決定をする方針に参画をするということ、そして正委員として責任をもってやるということの方が、会今後の運営としてよかろうと思うのでありますが、なぜ会長を経営委員からはずしたのか、その理由を一つ承わりたいと思うのであります。私ももちろん理由がはっきりしますならば固執をするのではありませんが、私の思想は、やはり会長が経営委員会の正式のメンバーであった方がよろしいという考え方を強く持っているものでありますから、こういう御査問をするわけでありますが。この点一つお答えいただきたいと思います。

寺尾豊自由民主党郵政大臣

○国務大臣(寺尾豊君) このことは私は確かに御質問の中にある御所論のようなことは、一つのりっぱな御意見だと思います。ことに前回も前田委員の御指摘のように、会社の経営といったような場合における、こうした今御指摘のような機構をもってやるという場合が非常に能率的だと、実際的だというようなことも私は確かにあると思います。ただ現在の経営委員会というものが協会のいわゆる方針を決定いたしますが、そのいわゆる方針を定める議決機関であるということのほかに、役割はそういう使命のほかに、この業務の運営を指導統制をする、こういったようないかにも執行機関であるかのごとき感じを与える面がある。この点は、やはり公共事業である公共放送といったような高度の放送事業というようなものに対しては、やはり議決機関は議決機関として、はっきりしておく方がよくはないか、こういうことと、会長はやはり執行機関の長としてこの経営委員から一応はずしておいて、そして常時必要に応じてその経営委員会の会議ごとに出て、発言権は自由だ、しかしその所属するところは、やはり執行機関としての責任を持っていくということにおいて、議決機関と執行機関というものを明確にしておいて、しかもその会長は執行機関のヘッドであるから、そういう形をとる方がよくはないか。これはいろいろの検討、また多数の意見等を徴しまして、やはりそうすることがよくはないか。この会長の任命等は経営委員会において決せられるというようなことにもなっておりますので、この点、会長を経営委員からはずしまして、議決機関の長としてその所属をはっきりしたい、こういうことでありますので、私どもの考えといたしましては、そうしてはっきり区別をしておく、その責任を明確にしておくということがよいではないか、かように考えたわけでございます。

手島栄自由民主党

○委員長(手島栄君) 総理大臣の御出席がありましたので、これより放送法の一部を改正する法律案に関し、総理大臣に対する質疑に入ります。  御質疑のある方はどうぞ。

鈴木強日本社会党

○鈴木強君 総理大臣、大へんお忙しい中をおいでいただきましてありがとうございました。  実は本委員会に放送法の一部改正法案が上程されておることは御承知の通りでございますが、この放送法の改正は、非常に最近の電波事業の飛躍的な発展から見まして、きわめて重要なことだと思いましたので、わざわざ総理の御出席をわずらわしたのでございますが、私は二、三点について総理の御所見をこの際承わっておきたいと存じますが、その一つは放送の中立性と申しますか、放送というものが、あくまでも放送法の第一条にも明定されておりますように、放送の不偏不党、そして真実と自律を保障すること、こういう明確な規定がございます。従ってこの精神にあくまでものっとって、放送をやらなければならぬと思うわけでありますが、しかしこの今まで本改正法案が提案されるまでの経過の中で、私たち非常に心配しておりますのは、御承知の通り吉田内閣の末期ごろだと思いましたが、放送法の改正が盛んに主張されまして、当時のわれわれが把握する情勢としては、やはり放送事業に対する政府の監督権を相当に強化していごう、こういう思想が出ておったことは、これは明らかであります。  その後世論の攻勢もありまして、臨時放送審議会等も設けられて慎重に御検討の結果、その考え方がやや後退をして、ずっと石橋内閣から岸内閣等この問題が持ち越されて参りましたが、この出ておる今度の改正法案の中身から見ると、われわれの危惧は解消をしていると私は思います。ただこの条文の中からそういう点が解消しているとしても、必ずしもこの問題についてわれわれは安心はできない。従ってこの際内閣の総理大臣である岸総理にお伺いしたいことは、あくまでも節一条二項の目的に沿って、不偏不党のものであるし、真実と自律を保障するものである、こういう理想に立って、今後とも一つ放送専業に対しては、かりそめにも政府からこの監督を強化すると、こういうような思想をお持ちになっていただかないようにしていただきたいと、私は念願をしておるわけでありますが、この点総理の御所見を承わりたいと思います。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(岸信介君) 放送ということは、私が申し上げるまでもなく、一国の文化、経済、政治各方面に非常な影響力を持ち、重大な意義を持つ問題であります。この意味において、一面において非常に公共性の強い事業であるということは当然である。同時にそういうものでありますから、これが中立性をもっていかなければならぬ。その中立性を厳に体していかなければならない。政府がこれに対していろんな監督統制を加えて、その中立性を侵すようなことがあってならないことは、今鈴木委員の仰せの通りであります。従って放送法の中にもその趣旨を明瞭にしており、また今回放送番組の編成の準則に関する規定におきましても、政治的に公平であること、あるいは真実を曲げないように事実のままに報道する、あるいは意見が対立する場合においては、両方それを各種の角度から公平に国民に知らすようにする。いろいろこういう点におきましても特に意を用いているということも、この中立性の確保という趣旨に出るものであることは申すまでもないのであります。政府としましては、その趣旨を十分貫くように今後といえどもやっていきたいと考えております。

鈴木強日本社会党

○鈴木強君 総理は御存じがなかったかもしれませんが、あなたが第一次岸内閣を組閣された当時の官房長官が石田博英さんだと私思うのでありますが、ちょうどその当時文化放送ですかを通じて政府の放送の時間というのをとることになったようであります、ところが放送法からいいますと、政府から与えられたテーマに対して出席する講師その他技術的の運営については、やはり民間放送の自主性にまかされておるのが建前になっているのであります。ところがたまたまある放送会社で放送する場合に、選定をした出席者に対して時の官房長官から横やりが入って、事実その出演者を変えたということがございます。この点は当時私この委員会に石田官房長官の御出席をいただいて追及したのでありますが、適当に逃げておられたわけでありますが、その事実は事実としてございますわけでありますが、そういった点がどうも、政府の時間を持つことは私たちはけっこうだと思います。ただしかし、あくまでも放送法の精神に基いておやりになっていただきませんと、政府がどうもさしでがましい干渉をしてくる、こういう空気があるわけでありまして、私はそういった経過からして、非常に放送の中立性ということをわれわれこの委員会としては特に最重点に論議をしています関係で、今後そういうことが再びあっては困る、こういう強い考え方を持っておりますので、そういった経過のございましたことも一つ御了承いただきまして、ぜひとも今総理のおっしゃったような放送に対する不偏不党、中立性の堅持、こういう点については今後とも一つ十分御配慮いただきたいと思う次第であります。  次にお尋ねしたいのは、最近非常にテレビが発達をして参りまして、御承知の通り昨年の予備免許を与える際におきましても、多数の出願者があり、これを少いチャンネル・プランの中でどう許可していくか、こういう問題が重大問題になりまして、当時の田中郵政大臣も苦慮されたようでありますが、しかしその後大臣がおかわりになりましてから、一応予備免許を与えて、今日着々準備を進めておるようでありますが、その際、私は今の放送の中立性という見地からいたしましても、やはりマス・コミの独占ということを非常にまずいことだと考えております。たとえば新聞を経営する人が放送もやりあるいはテレビもやる。こういう姿が出て参りますと、勢いマス・コミの独占、それから金持であれば自由にできる、そういうことでありますと、非常に放送の中立性と申しますか、そういう点が脅かされて参りますので、われわれは一社独占という姿をなくするように強い意見を出したわけであります。幸いにして予備免許当時に、一つの条件や注意事項や要望事項をつけて、郵政省は免許を許可したのでありますが、その際につけられた特にこの条件、いわゆるマス・コミの独占排除という思想はやはり今後といえども堅持していかなければならぬと思うわけであります。この委員会は前回公述人のおいでをいただきまして、言論界その他学識経験者皆さん方からいろいろな意見をお伺いいたしましたが、その節にも郵政省がおとりになったマス・コミ独占を排除するという条件についてはきわめて適切である。できるならばこの条件が最近多少くずれるような傾向もあるので、法改正の中で明確にしておく必要があるのじゃないか、こういう意見も出て参ったのであります。私もその点はまことに同感でありまして、できるならば法律を改正して、そういったマス・コミ独占排除の法文化を明定して、今後そのことのないようにする措置をとられることが適切な方法ではないかと思うわけでありますが、これらの点につきまして総理の御所見いかがでございましょうか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(岸信介君) このラジオやテレビ放送の、先ほど来お話がありましたように、非常な重要な意味を持ち、またそれの中立性を確保していかなければならないというこの気持に立って考えますと、今おあげになりましたように、マス・コミを独占して放送事業が営まれるというようなことになりますと、やはりその一社なり一事業体の意見というものが支配的に一定の地域やあるいは国全体に影響力を持つということになるおそれがあるわけでありますから、これの独占化についてはこれを極力押えていくという従来の方針は私は正しいものと思います。ただこれを直ちに法律に明定したがいいかどうかということにつきましては、なお立法の問題として考究して参らなければならぬ点があると思いますが、方針としてはそれを貫いていく考えでございます。

鈴木強日本社会党

○鈴木強君 非常に時間が制約をされておりますので次に移りますが、私は国際放送の問題についてお尋ねをしておきたいと思いますが、現在の放送法上、民放といえどもNHKといえども国際放送をやることについてはこれを制限しておりません。しかし現実にNHKはこの国際放送をやっておりますが、法律の解釈からいたしまして多少不明確な点もあるわけでありますが、われわれは少くとも国際放送は日本の国内事情を外国に伝えて、各国間の友好親善をはかるということも一つのねらいでありましょう。また海外に在留をする日本の邦人に対して、祖国のニュースや情報をお知らせするということも大きな任務だと思います。従ってこういう立場からいたしますと、協会に政府が命令をして国際放送をやることができると、こういう条文は正しいものであるし、またその費用については当然政府が負担をすべしと、こういうことでなければならぬと思うわけであります。ところがこの委員会でも何回か問題になっておりますが、法文上の多少の解釈の相違等もありまして、NHKがやる部分はNHKがおやりになる、政府がやる部分については国が負担する。法文上も国会が承認した範囲内において国際放送をやるのだ、こういうふうになっておりますが、しかし現在NHKは十([一二三四五六七八九])方向、十五時間の放送をやつております。そうしてこの放送は当然郵政大臣から協会に対して命令書が出ます。この命令書を見ますと、明らかにたとえば三十三年度、本年度の例を見ますと、士([一二三四五六七八九])方向、十五時間とはっきり書いてあるわけであります。そうしてその興用が少くとも五億程度はかかっておるわけであります。ところがこの費用が毎年査定を大幅に受けまして、ことしはたしか八千万円くらいしか出ておらないわけであります。で、三十四年度の国際放送の予算を見ましても、当初NHKから郵政省に対して、国際放送を十([一二三四五六七八九])方向、十五時間でやりますと、国が負担していただく額は五億三千二百八十万円になりますよと、こういう要求を出しておるのでありますが、それが郵政省段階において二億八百万円くらいに減らされております。結局、政府が支出をするのは九千三百万円程度になりまして、これでは、命令して十五時間十([一二三四五六七八九])方向に対してやれという、その命令と金が合わないことになりまして、非常に無責任な命令書を出していると私は思うわけであります。従って、国際放送の重要性を認識している政府が、この国際放送に対する予算をこれほどけちけち削るのは、どういうところに理由があるのか、私たちはどうも納得がいかないわけであります。しかも、この五億なんぼかかるうちで九千万円程度しか出してくれませんので、残されたものはNHKが負担をして、いわば国内放送の聴取者からとる放送料によってこれをまかなっていくという、こういう矛盾があるのであります。国内の聴取者は国内に対する放送をよくしてもらいたいという希望を持っているにもかかわらず、そのことに使われずに国際放送に使われておる。しかも一方には料金の値上げを今回十八円やる。こういうふうな矛盾がございまして、われわれは何回かこの問題について郵政大臣にもお願いしておったわけでありますが、今年もきわめて大幅に、五分の一程度に予算が削減されまして、これでは私は国際放送の使命というものが達成できないと思うわけであります。こういう点について、総理として十分この予算編成にはタッチをされたと思うわけでありますが、どうしてこんなに大幅に減らすのですか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(岸信介君) 国際放送はいうまでもなく公共的な放送であり、そういう意味において、放送法によって設立されたNHKにこれをやらしておるわけでありますが、政府の命令した事項については、必要最小限度の交付金なり補助金が行くという建前になっておると聞いております。今おあげになりましたように、命令と内容が、費用と政府の交付する金との間にギャップがあるという御指摘でありますが、実は詳しいその点についての何につきまして、大体NHKのやっておる海外放送については、NHKがやる分と命令でやる分とがあって、命令でやるものについては政府がその豊田を分担するという建前のように従来私承知をいたしております。なお、御指摘の点につきましてはもう少し検討してみまして、特にNHKに非常な負担をかけ、政府の命令通りのことをやらしておいて負担をかけるということのないように、検対してみたいと思います。建前としては、今申しましたように、NHKのやっておる国際放送のうちには、命令の分もあればNHK自身の分もあり、その区分に従って政府は必要なものを交付しておる、こういう建前のように実は伺っておりますが、なお検討いたします。

鈴木強日本社会党

○鈴木強君 総理はまあ、こういうこまかいといえばこまかいかもしれませんが、そこまで御存じないかもしれませんが、しかし実際にあとから見て下さい。命令書は十五方向十五時間と書いてあるわけですから、その士五時間の間に放送しろということでしょう。その十五方向十五時間のうちで一時間なり二時間なり時間を切って、そうして政府の支出した八千万円なら八千万円の範囲でやりなさいということならいいのですが、命令書はそういうことではないのです。そういう無責任なことをやられては困るので、一つ来年の予算については考えていただきたい。  もう時間がなくなりましたが、二、三分……。これは放送法と直接関係がないかもしれませんが、しかしマイクロウエーブの問題等からして電電公社の問題に関連がありますから、ちょっと総理にお考えを聞いておきたいと思いますが、御承知の通り、電電公社はその公社法が制定されてから、七年目になっております。この電電公社法が制定された当時は、あなたの弟さんの佐藤さんが大臣でありまして、よくその趣旨は御理解いただいておるわけでありますが、少くともこの公共企業体に切りかえたということは、経営はあくまでも電電公社にまかせて思う存分やらせる。そうして能率を上げ成績を上げサービスをよくして、国民の期待に沿うように努力をしていく。しかしそういう努力に報ゆる従業員の待遇の問題なり、あるいは労働条件の問題なりについても相当配慮をしていただくということが公社法の精神です。ところが最近の実情は、予算委員会でも昨年あなたに質問したときに、電電公社は非常に他の公社に比べて成績を上げておるということは認めていただいたわけでありますが、しかし待遇の面につきましては、一般公員務との権衡論があって、意見が分れてしまったのであります。しかし今日三十四年度の予算を見ましても収入が千八百六十五億円なんです。政府から出して下さる建設資金というのは、公募債二十五億と預金部資金二十五億で五十億です。八百五十億の建設資金のうちそれだけなんです。今電話は六十万積滞しておる。五年前に申し込んだ人が引けない。しかも毎年三十万の新規の希望者が出る。ところが公社が引けるのは二十五万で、五年たつと八十何万ということになってますます電話は窮屈になる。ですから問題は、文化の先端を行く、産業経済の中心となる電気通信事業というものをどんどん促進していくということが、大きく言えば日本のためになる。ですからもっと積極的に政府に建設資金を出していただかなければならぬわけでありますが、御承知の通り非常に少い。今年は六百三十九億――設備負担法等がありますからそれを入れましても六百三十九億が自己資金で、外部資金が二百十一億合せて八百五十億というような、こういう建設資金の求め方になっているわけです。そうして従業員は千八百億近い収入をあげて努力をするのでありますが、待遇の面につきましては、最近においては一般公務員との均衡論ばかり出てきまして、一昨年の仲裁裁定にとられたような措置によって勤労意欲がなくなってしまっておる。ですからテレビにしましてもたくさん引きたい人があるのに、公社のマイクロウエーブのチャンネルを使うわけでありますから、そういう予算も思うようにとれないということで、これがまた放送事業にも非常に重大な関係を持っておるわけであります。ですから私はもう少し電気通信事業というものに対して政府が真剣にお考えいただいて、六十万の積滞と年間三十万の新規需要を充たし得るような方針を一つきめていただきたいと思う。今年は自由民主党の政調部会の通信部会である程度拡大の方向に、与党の委員の皆さんもだいぶ心配していただいておりまして、結論を出して予算折衝に当っていただいたようでありますが、思いきりこれを切って参りまして、公募債も当時百十億くらいはいいだろう、運用部資金も百億くらいというようなことをわれわれは聞いておったのでありますが、それが最初はゼロだったのですよ。やっと第二次の復活で二十五億認められたという。これではあまりにも労働だけをしいて生産を上げさせて、その生地の上ったものはみな建設資金に持っていってしまって従業員の待遇には向けられない。これでは公社法というものを作った意味がなくなってしまう。公社法の岡積討論というものがここに出てきているのです。時間がないから多くを申し上げませんが、これは一つ総理みずからこの事業に対する御研究をいただいて、そうして何とか、非難ごうごう、何で電話がつかないのだといって毎日窓口に文句を言ってくる。ときには暴力ざたでやって来るというような、そういう状態を一日も早く解消していただいて、電話が申し込んだらすぐ引けると、こういうふうな形になるように今後一つ総理の絶大な協力を私たち期待しているわけでありますが、簡単でけっこうでありますから御答弁をいただきたいと思います。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(岸信介君) 電気通信事業のこの重大な使命はお説の通りであります。電電公社を設けましたゆえんも、この国営のときと違って、十分自主的、能率的に運営をさせるという趣旨に出ているものであると思います。そうして私は電電公社の事業の運営の状況を今まで聞いているところによりますと、その趣旨に沿うて実績を上げておられるように思います。しかし現在の状態でいいのか、あるいはさらに国家もこの電気通信事業の重大性にかんがみまして、この電電公社の努力と相呼応してさらに積極的な方策を考えるべきかという点につきましては、今後十分に一つ検討いたしまして、この使命を十分果すように一つ考えていきたいと思います。

森中守義日本社会党

○森中守義君 先だっての委員会で、若干党内の意見の調整を必要とするために、山田委員の発言を保留しておきましたが、その後調整ができましたので、当時の山田委員の発言と、今から山田委員が行わんとする発言に若干の重複するような点があるかもしれませんので、その点あらかじめ御了承の上、山田委員の発言の継続をお願いしたいと思います。

手島栄自由民主党

○委員長(手島栄君) どうぞ。

山田節男日本社会党

○山田節男君 ただいま議題になっておりますこの放送法の一部改正法案でありますが、これは総理も御承知のように、従来日本は公共放送一点張りであったわけでありますが、終戦後民間放送本許すということになりまして、昭和二十六年以来この民間放送というものが事業経営といたしまして非常な発達をいたしました。今日は公共放送のラジオが二百九局に対して民間放送は百一局。さらにまたテレビジョンにおきましても、これまた民間放送が始まりまして、この四月から発足すべく現在予備免許を与えられているテレビ放送局、これもまたNHKが三十八局、民間放送におきましても四十六局というものが実は発足するわけであります。総理御承知のように、東京都内におきましては今日六つのテレビジョンがダイヤルを回せば見えるということになっております。そういう工合で、放送業界というものは民間放送と公共放送とが共存の建前を日本の政府がとることになりましたので、しかもそれが非常な事業形態としての発達をいたしました。われわれ憂えていることは、この民間放送と公共放送との共存共栄、少くとも国民の経済、文化、政治、あらゆる面に非常な密接な関係を持っております。これをどういうように調整するか、おのおの進むべき道をいかにして伸ばしていくか、こういうことが大きな問題である。従いまして当時かほどの民間放送事業の発展を予想しなかった、わずか三カ条しか民間放送に関する規定のないこの放送法は、どうしても改正しなくちゃならぬ。これは民間のラジオ放送が始まりますと同時に、これは民間の声であり政府も十分な認識をされておった。そこで過去もうすでに六年以来この放送法の改正ということは朝野の問題になっておった。そこで鳩山内閣の村上郵政大臣のときに、どうしてもこれは踏み切らなければいかぬというので、遂に政府も踏み切りまして、鳩山内閣のときの村上郵政大臣が、ついに臨時放送法審議会というものを作りまして、もう少し根本的な今日の放送業界の一般に現実にミートするような放送法というものを実は審議し、その答申に基いて出しましたのがこの鳩山内閣の末期における村上郵政大臣の一部改正法案でございます。それを見ますと、われわれが、今日国民全般的の放送を根本的に改正しなくちゃならない、こういう輿望にこたえておるかと思って見ますると、その条項を一々私どもはまず見ましたところが、まず第一に感じますることは、いたずらにこれは言論の統制をする。それからたとえばNHKに対する立ち入り調査権を持つ。こういったような、あるいは資料提出、報告を提出せしめる強制規定であるという工合に、先ほど鈴木君も申し上げましたように、われわれ国民が放送自由の表現という立場からは、絶対にそういうものについては、これは一つのタブーであるというものにのみふれておるような感がございます。根本的の問題にふれていない。そこでこれが二十八国会、三十国会、さらに今回提出せざるを得ないような審議の破綻を来たしておるわけであります。  そこで私は総理にぜひこれは御意見も承わり、お願いを申し上げたいと思いますることは、この放送法についてはこれほどもうすでに深刻になってきておるのでありまして、まず第一に公共放送というものはどういう使命を持ったものだという目的を明確にするということが必要だ。これは法律に基く、いわゆる特殊法人であります。一種の公社であります。パブリック・コーポレーションであります。それは全然この法律には明確になっていないというところにいろいろの問題があるのであります。そうしてまたその明確になっていないことから、たとえば経営方面におきましても、先ほど鈴木君の言いました国際放送の問題にいたしましても、国が一体国際放送は国策としてやっているのかどうかということであります。そういうような線からいたしまして、今回のこの一部改正法案というものはいたずらに末梢的のものである。しかも言論統制とかいわゆる悪い意味の言論統制に陥る、という非常に危険性があるわけであります。そこに私どもは非常に危惧を持っておる。従いましてこういったような末端、末梢的な法律よりもむしろ先ほど申し上げましたように、今日この民間と公共放送とがせり合って、もう、一つの無政府的な混乱を来たしつつある。これをどういうように規制するかということの放送法の根本的な私は改正が必要である、かように思うのでありますけれども、これは、総理として、こういう放送法についての詳しいことはご存じないことはもちろんでありますが、少くとも、あなたがこの民主的な、民主主義に徹して日本の政治をやろうということをしばしば御披露になっているのでありますから、この放送法の根本的なそういう意味における改正等につきましては、これは私は一日もゆるがせにすべきものでない、かように考えるのでありますが、総理のお口を通じまして、こういう末梢的なものでなく、もっと根本的のものを、あるいは言論統制とかそういうものじゃなくて、いわゆる行政ということによりまして、非常に国民に密接な関係のある民間放送と公共放送との関係を規制することによりまして、結びつきを、発展の道をたどらせるということが必要であると思うのでありますが、この点についてあなたは、今回のこういうような末端的な法案でなくて、根本的な、一つあなたは内閣の首班として、そういうことをお考えになる必要があるのじゃないかと思うのでありますが、その点に対する御所見を承わりたい。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(岸信介君) 放送事業が持っておる非常に重大な意義、使命というものを考え、また日本の放送事業が特に戦後急速な発展をしてきておるそうして一般民間放送と公共放送との二本建てできておる。また新規の事業として、これに対する事業方面の意欲も非常に盛んであり、またこれを利用して広告の価値も非常に大きい。国民も非常にこれに興味を持っておる。こういうことから考えまして、現在のこの放送法というものが実態に適しないところがあり、根本的にこれを再検討する要があるのじゃないかという御趣旨でございますが、私ども今回のこの改正は最小限度の改正ということを実は企図しておるわけでありまして、根本的の改正については、将来これがさらに検討を要する大問題であると思います。もちろんそういうふうなこの放送事業につきましては、それのその基礎になります放送法の規定いかんによっては、憲法上の表現の自由であるとかいうものにも関係を持ってきますし、さらにこの放送法のあり方いかんによっては、放送事業のこういう発達の道程にあり、国民に非常に影響力の大きい問題を、もしも適当な法制を立てることを得ないとすると、非常な弊害を生ずるわけでありますから、現にこの改正につきましても審議会を融けて各方面の意見を聞いて、現在の状況に応ずる少くとも最小限度のものは、これだけのことはしなきゃならぬという結論を得て提案をいたしておるわけであります。根本的な問題についてはさらに各方面の意見を十分に尽して検討の上に将来考えていきたいと思います。

山田節男日本社会党

○山田節男君 それから、次に先ほど申し上げましたように非常に放送事業が発達いたしましたことの一面には、この戦後における科学技術の発展、発達というものが非常に寄与していると思うわけであります。ことに電子光学が発達いたしまして、従来の電気通信というものが一つの革命を起して、いわゆる国内的な電信電話業務にいたしましても、これはほとんど無線というものを使うようになってきまして、ドイツのごときは電話にもテレックスというものが非常に普及して使っておる。そういう工合にこの従来のような電気通信業務ではいけない、この電波の使用というものが電気通信業務というものにつきましては非常に重大なものであります。従って、今のままに電気通信行政をしておきますと、このままのような行政組織では非常に混乱を来たす。たとえば電波にいたしましても、防衛庁あるいは警察あるいは運輸省の港湾局、あるいは農林省関係では漁船の無線業務、今日も数万のものがありまするが、日本は戦後今日約三万五千ばかりの無線の免許をやっておる。アメリカにおきましてはもう五十万を余る免許、この無線の免許行政というのは莫大なものである。そうなってきますと、従来郵政省の内局の電波監理局というような、こういうような一機構でいいのかどうかという問題であります。これはアメリカにおきまして一九三四年に通信法を作って、それで各省にばらばらでやっておった無線行政というものを、どうしても統轄しなくちゃいかぬというので、この通信法によりましてFCCすなわち連邦通信委員会というものを作って、これがいわゆる内閣の外局にありまして一種の会計検査院的なものであります。というのは立法、司法、行政という三つの――たとえば免許という国民のいわゆるパブリック・ドメイン、国民の共有物であるということで、これは電波の用語でスペクトラムと申しますが、これをこまかく切って免許を与えるのであります。しかも国民に対しての、所有物を与えるのであります。そういうようなこと、いろんな方面から一種のこれは特殊な行政でありますから、どうしてもそういう広大な、しかも政治的な干渉を受けない行政官庁がいいのであります。私どもこの電波法あるいは放送法を作りますと同時に、この電波監理委員会、これはもちろん当時の占領軍政下におけるわれわれとしてアメリカのサゼッションを受けたのでありますけれども、これはアイデアとしては非常にいいわけです。ところが遂にこれの責任の所在が明らかでないというので、これを郵政省の中に入れたのであります。今申し上げましたように非常に膨大複雑、しかも国民の権利義務あるいは治安、文化等に関係ある行政でありまするからして、どうしてもこれは私は時の政治力に左右されない独立な、やはりこの行政省庁を作って、そうして公正な、しかも国の目的の達せられるような、そういう今日変ってきた電気通信行政全般を私は所管する官庁が必要なんじゃないかと思うのであります。過去、この電波監理局を郵政省の中に入れましてすでに七年有余になっておりますけれども、テレビジョンの予備免許をめぐってのまことに暗躍明動、これはおそらく総理の耳へも来ているでありましょうけれども、実に激甚な競争、しかも一方におきましてはこのマスコミのメディアの独占化ということが実にわれわれとして憂うべき状態になっている。ですからこういったような特に一つのものを作る必要があると私は思うのです。大臣としてこの方面にあるいはあまりお通じになっておらぬから即時の御返答できないかもしれませんけれども、しかしあなたも今日二年有余総理大臣としていろいろなことをお聞きになっていると思う。こういう点についての御所見を承わっておきたいと思います。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(岸信介君) 今山田委員から御意見を承わったのでありますが、言うまでもなく電波に関する科学技術の発達、また電波そのものに対する各方面からのこの観点から、この行政というものの公正な運営を考えていかなきゃならぬという御意見につきましては、私も全然同感でございます。ついてはこの行政機関を総合すると同時に、その中立性を明らかにするような機構を考えるべきではないかという御意見でありますが、これは一般の行政機構の全体の問題としてわれわれは行政機構改革の問題を取り上げて、それぞれその面の審議会等に目下付議いたしております。その電波行政の問題につきましても御趣旨のような点を含んで将来検討して参りたいと思います。

山田節男日本社会党

○山田節男君 最後に、これは実は御舎弟の佐藤大蔵大臣にも一緒に実は御質問を申し上げた方がいいかと思ったのでありますが、総理に御質問申し上げますが、ことしはこの日本の無線国策にとりまして最も重大な年であります。と申しますのは今日電波科学が非常に発達して参りまして、従来のこの有線あるいは同軸ケーブル等でやるような時代は、過ぎたとは申しませんさらに復活をしつつありますけれども、無線の電波の国際性というものが非常に通信国策として重要なものになってきたわけです。これは、ITUと申しますが、国際電波通信連合の会議が大体四年ごとにありますが、一九四七年はアトランティック・シティーであった、当時日本は占領軍政下で、一九五二年ブエノスアイレスで開かれた、それから七年後のことしの秋にはジュネーヴで国際通信連合会の全権会議が開かれる。その前にこの八月からは無線通信の主管庁会議がある、またこの来たる五月には東京におきまして、エカフェすなわち国連のアジア極東経済委員会の一部門としてのITU関係の会議を開くのであります。どうも従来日本におきましては、戦前からそうでありまするけれども、通信国策のことに関して非常に無知であります。しかも手おくれで、戦前におきまして日本の海外の通信はデンマークのグレート・ノーザン、大北ケーブル株式会社、あるいは英連邦系の会社あるいは無線におきましてはドイツ、こういう工合に全部牛耳られて、国際通信に関する限り日本は全く植民地化してきておったのであります。電波というものが発達して参りまして、国際的な通信に関する限り、無線通信に関する権利の獲得ということは実に競争激甚でございます。一九五五年に私も今の郵政大臣の寺尾君と新谷君などとアメリカに参りまして電電公社と国際電信株式会社、このために私どもは向うに行ったのでありますが、そのときもこのブエノスアイレスの会議には日本はぜひ一つ総力を結集して少くとも理事国になり、電波の有利な獲得をしなくちゃならぬということを言って、当時佐藤榮作君が電気通信大臣と郵政大臣を兼ねておられました。私そのことを申したのでありまするが、遺憾ながら力及ばずいたしまして、政府もあまり援助いたしませんので、日本は理事国になり得なかった。それが七年ぶりに今回ジュネーヴで開かれるのでございます。これは御承知でもありましょうけれども、たとえば日本から海外通信をいたしましても、日本の電信電話株式会社はいわゆる国際的に周波数というものを割り当てられておるのであります。それを得られませんとやはりその商売はできない。また日本のラジオ聴取者にしましても、ソ連とか中共というのが非常に今日無統制な強力な発信をいたしますので、北海道から島根県、ほとんど日本海に面したこの方面におきましてはラジオの聴取も困難である。あるいは北九州方面におきましては、沖縄あるいは中共の強力な電波発信のためラジオも聞けないという状態であります。こういうようなわれわれが非常に困っているときでありまするからして、国の通信国策からいたしましても、どうしてもこの今回のめったにないいろいろな会議に対しましては日本は全力を注いで、少くとも監理理事国の一員にならなければならない。のみならず、アジアにおけるわれわれは指導的立場とは申しませんが、事実におきまして日本はすべての……、これが前回におきましてはインドやパキスタンに理事国をとられ、日本はとれなかった。これが何としても政府のこれに対する関心と援助がなかったからであります。今回はこういうようなことを繰り返してはいかぬと、私ども逓信委員会の諸君もそうでありますが、諸君はこれに対しましてできるだけの援助をして政府の力を借りなければならぬと思っておったのでありますけれども、今回この郵政省の予算として出されたところを見ますると、少くとも最も重要な三つの会議を中心にしまして、政府の出しましたこの予算というものがわずか九百万である。開くところによりますと、所管の電波監理局は九千万円と出している。それを郵政大臣が四千二百万円にしぼって大蔵省に出したらこれがわずか九百万円。ことに無線の主管庁会議におきましては、国際周波数の登録委員会と申しまして、これに入るか入らぬかということは、今後の日本が有利な電波周波数をとり得るかどうかということのきめ手になるんです。それから全権会議におきましては、今のように監理理中国になるかならぬかということが、今後の日本の通信国策に非常な影響を持つのです。こういうようなわずか九百三十万円くらいの金を出して、そういう重大な使命を果そうというようなことは、私は国際会議に対する政府の無関心と申しますか、無知と申しますか、まことに私ははだえにアワを覚えるような感じがするのであります。予算の問題でありまするけれども、あなたも国連を中心にした平和外交政策をやる、あるいは大いにこういう点におきましても従来関心を持っておられるようなことを申しておられるにかかわらず、こういうような予算面におきまして無関心な態度が現われていることはまことに遺憾であります。どうでしよう、これは、総理大臣として。この千載一遇とは申しませんけれども、七年に一回きているこのチャンスをわずか九百三十万円で、金を節約することによってそういう大きな機会を逸するということはまことに私は残念だと思うのですが、総理として、こういう事態にあることに対してどういうお考えを持っているか、御所見を承わりたいと思います。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(岸信介君) 私も、この電波の関係におきまして、本年は特に国際会議で重要なものがあることは承わっております。いずれもこれに対しては日本が参加して、日本の地位を会議において確保するように方針として進んでいくということをしなければならぬという立場に立って、実はジュネーヴの全権会議またジュネーヴにおいての無線主管庁会議、また東京において行われる会議につきましても、それぞれ必要な経費として政府の予算の上に、また東京のなににつきましては電電公社におきましても相当な予算を支出するように承知いたしております。今御指摘のように、この金額が非常に少いのじゃないか、これでそういう重大な使命を達することを考えるというのは、非常に政府がむしろこれらの会議の重要性というものに対しての認識を欠いておるゆえんではないかというお話でありましたが、私はもちろんこれらの会議というものは非常な重要性を持っており、特に先ほど来お話のありました電波、そのことは国際的に非常な重大な関係があり、また日本としては日本の技術なりこの方面における研究やその他の点の進歩の点から考えまして、十分国際的な重要な地位をもって世界的に貢献ができ、日本自身の立場も十分に確保できるようにしていかなければならぬ、こう思います。  ただ、予算が果してこれで十分であるかどうかということにつきましては、主としてこれが旅費を中心としてのなにでありましょうから、従来の予算編成の基準によって作ったものだと思います。しかしさらにこれらの仕事をする上において、どうしてもこれだけの経費が要るということでありますならば、その活動を助けるに必要な経費の支出については政府としてももちろん考えなければならぬ。一応の見解としてはわれわれとしてはこれらの会議を重視してそれに必要な経費を盛ったということでございまして、果してそれで十分であるかどうかにつきましては、なお主管庁とも十分に一つ打ち合せをしていきたいと思います。

森中守義日本社会党

○森中守義君 総理にお尋ねしたい第一の問題は、今日公安調査庁あるいは検察庁における公安関係、警察庁における公安関係等が思想の調査を行なって、あるいはこれに関する情報の収集や資料の収集を行なっているようであります。かつまた図書あるいは出版の検閲等も行われているのではないか、こういうことがしばしば両院の法務委員会あるいは人権委員会等において問題を提起されておりますが、先刻総理が御指摘になりましたように、こういう国の行いというものは明らかに憲法二十一条の違反でありますのみならず、最近におけるこういう姿なき言論あるいは思想に対する弾圧は公然と表に出て参ったのであります。その顕著な例は三十一年十月十三日における砂川事件の当時取材記者に対して、警官が明瞭に新聞記者であるということを承知でありながら暴行を加えた事件がある。さらにまた和歌山県の勤評反対闘争デモにおいても同様な行為が行われ、あるいは全学連の勤評反対デモの際にもこういうことがあります。さらに菅生事件などは最も顕著な例であります。このように今日公安調査庁やあるいは検察、警察、国の行政機関がいろいろな形をもって思想や言論、報道の自由に対する弾圧を加えている事実を私どもは種々聞いているのであります。こういうことに対して総理はどのようにお考えであるか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(岸信介君) 公安調査庁やあるいは警察庁等がそれぞれの職責に応じまして、あるいは犯罪を未然に予防するために、あるいは破防法の施行に必要な調査としていろいろな調査をし、あるいは情報を集めるということは、当然法律やあるいは職責上やらなければならぬことだと思うのです。ただそれを実行する場合において、本来の職務権限を逸脱してそして職権乱用のあるということにつきましては、これはわれわれとしてその事実がありました場合においては、これに対して適当な処置を講ずるとともに、そういうことのないように、全体として厳に警察やあるいは検察庁あるいは公安調査庁等に、われわれは平素職権の乱用や権限の逸脱のないようには注意をいたしておりますが、さらにそういうような具体的の問題に関しましては、その都度その事情を調べ、これに対して十分な処灘をしており、また将来もそういうことで進んで参らなければならぬ、こう思います。

森中守義日本社会党

○森中守義君 公安調査庁の職務執行上の問題は後日に譲ることといたしますが、ただいま私が二、三例挙いたしました新聞記者、報道関係者に対する暴行事件あるいは取材拒否事件簿は、憲法二十一条にいう言論の保障ということになりますか。政府としてはこういう不祥な事件が勃発しても、なおかつ言論には保障を与えていると、こういうように言い切れますか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(岸信介君) 先ほども申し上げましたように、今私その具体的事実の事情を詳細には承知いたしませんが、今、森中委員のお話のような問題として考えるならば、これは私は警察官の職務執行上の当然やらなければならない範囲を逸脱しているものだと思います。これが逸脱すれば今お話のように、言論の自由であるとかその他意法で保障されている自由権の侵害になるわけでありますから、あくまでも警察官が本来法律で与えられておる職務権限の範囲内でこれが用いられていかなければならぬ。これはある程度において、国民の個々の人々の自由を制限することになるかもしれませんが、それは本来の法律上の権限としてやるということについては、私は憲法の全体の精神からいって、公共福祉のためにそういう権限が与えられておると思いますから、その正当なる行使の範囲内においては許されることであるけれども、それを逸脱することになれば、憲法に保障されておる報道の自由や、表現の自由や、言論の自由や、あるいはその他の自由権を侵害することになろうと思います。

森中守義日本社会党

○森中守義君 私はこういう言論機関に対する問題に対して、いやしくも総理大臣が御承知でないはずはなかろうと思う。明らかにこういう幾多の事例というものは、岸総理の手によって言論の保障ができていない。こういうことが私は断定的に言い得ると思うのであります。  そこで問題の第二に伺っておきたいと思いますのは、総理がしばしば言明される自衛のための自衛、この自衛隊が治安出動あるいは防衛出動に当って、戦略上機密が報道機関によって漏れた、そのために著しく治安出動、防衛出動の目的を変更せざるを得ないというような事態が発生をしたり、あるいは某地域においてかりに戦闘が行われ、かつて総理が指導された戦争と同じように、玉砕を玉砕でないということ、そのことが民心に不安を与えないということで、ひた隠しに隠すべき状況があったと仮定した場合に、報道機関が全滅をした、こういうような報道をしたといたします。そういう戦略機密が漏れることを極度に政府がおそれるという場合にも、この言論の保障ということは依然として変りありませんか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(岸信介君) かつて過去においてはいろいろな法制がございまして、そういう言論に対しても、ある場合におけるこれが制限等についての法律的根拠の規定もあったと思いますが、現在においてはもちろんそういうものはございませんし、機密保護に関する規定もそういうことには及んだものはございませんから、従ってそういう場合にそういう報道をするということを禁止したり、あるいは制限することは今日においてはできない、こう思います

森中守義日本社会党

○森中守義君 私は少くとも総理がそういう所見を永久に貫いてほしいと思う。ただし危険を感じますことは、本院の本会議で、あなたは二回、軍機保護法あるいは防諜法的なものを目下政府は検討中である、こういう所見を述べられたことがあります。しかもなお先般の警察法の問題とか、あるいはこの防諜法、軍機保護法的な、検討の時期がもはや政府には到来したというようなことをしばしば私どもは耳にいたします。そこで今総理が言われる通りであるとするならば全く問題はない。しかしそういう防衛出動や治安出動というようなそういう事態を考えた場合に、軍機保護法あるいは防諜法的なものの制定を検討し、あるいはお急ぎになっているのではなかろうか、こういうように私は考えるのでありまして、そういうことを毛頭考えていない、今ここでお答えになった通りに、たとえいかなる防衛出動、あるいは治安出動という事態に対処しても、言論を保障する憲法に変りはない、こういうことが明瞭にお答えいただけるかどうか、その点を私は伺っておきたいと思います。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(岸信介君) 私は、先ほどお答え申し上げましたのは、現在のこの日本の法制上こういうことになっておるということを申し上げたわけでございます。あるいは防諜法であるとか、軍機の秘密を確保するについての秘密保護法の必要があるかないか、あるいはその規定を作るについてはどういう内容を持たすべきが適当であるかということは、将来の問題としては私は研究の対象になると思います。と申しますのは、いうまでもなく、今日の国際情勢から見ますると、日本の不利になる、日本の平和や日本の治安が侵されて、多数の国民が因るような事態が生ずるような、いろいろな情報やあるいは群雲が利用される、国際的に利用されるという場合に、これは私は何びとも、そういう利用されて日本国民がそれによって非常な迷惑をこうむり、あるいはわれわれの平和が乱されていいという考え方はないと思います。ただ森中委員の御質問にもありましたように、現在の憲法における自由権の保護ということは、これは憲法の非常な大きな大精神で、これも十二条、十三条の規定をごらんになればわかるように、公共の福祉という立場において、これらの権利といえどもやはり制限を受けなければならぬということは、国民全体の利益や福祉、あるいはその幸福というものをあくまでも守っていくということが必要であるということに出ておるわけであります。そういうことにおいて、先ほど言うような防諜法というようなものが研究対象になることは、私は現在の国際情勢から見、いろいろな具体的の事例等を考えますというと研究しなければならぬと思います。ただそれが規定のいかんによっては、今申すように、憲法上の自由権を著しく侵害するおそれもあり、またそれに関連して取締り機関等の職権乱用が行われるとすると、それはゆゆしい事態にもなるわけでありますから、慎重に検討をしなければならぬ問題である、しかしそういう必要が全然ないのだということは言い切れる状態ではないと、こういう意味において従来私はこういう問題についても、政府としては今後慎重に検討していきたいということを申しておるわけでございます。

森中守義日本社会党

○森中守義君 今の総理のお答えを要約しますと、検討の対象になるということは、防諜法あるいは軍機保護法等の制定の必要をお認めになっておる、こういったように私は理解いたします。さらにまた今のような状態で将来もいけるということは言い切れないというお答えのようでありますが、それはやはり言論に対して統制を加えるというその意思がおありである、というように受け取っても差しつかえありませんか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(岸信介君) 前段のこういうものを研究し、あるいは適当な案を得るならば、そういうものを国会に提出して御審議を願うというこの必要はあると考えておるということについては、森中・委員のおっしゃる通りでありますが私はそういうことのために言論の統制をするという実は考えは持っておりません。いうまでもなく今のお話のこの点に関しましては、私の必要を認めておることは、これは憲法の趣旨からいっても、また国の、安全やあるいは平和を確保する上からいっても、必要の最小限度においてこれが取締りをするということは、広く言論を一般的に統制しようというような考えにつながるものでは私はないと、こう思っております。

森中守義日本社会党

○森中守義君 総理のお答えにはどうしてもマジックがあり過ぎて私は理解に苦しむ、矛盾があります。軍機保護法あるいは防諜法、こういう仮名のものがかりに総理の手で制定をされるとするならば、やはり軍機保護法あるいは防諜法的なものが、言論の抑制、言論の統制ということに手がつかないはすはない、またそういうような内容のものは、私はどういうものであるか想像できません。従って軍機保護法やあるいは防諜法が今総理のお答えによって検討されるとするならば、十二分にこれは言論統制、抑圧のおそれありとこう私は察知する以外にはないのです。それと、現状においては法律にそういうものがない、憲法がこれを保障しておるからこれでやむを得ないにしても、将来このままでいいとは言い切れないとする総理の心境には、やはり言論統制が将来には行われ得るという危険を私は感じるのであります。従ってもう少し端的にその辺の解明をお願いしておきたい。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(岸信介君) 今日どこの国におきましても、独立国としてその独立を脅かすような諜報活動というようなものにつきましては、これをやはり取り締るということになっていることは、これは御承知の通りであります。特に共産国におきましてはそのなにが最も厳格であるように私どもいろいろな資料等から見るのであります。私はやはり民主主義の国として国民の自由というものを擁護しなければならない、これがまた必要であると考えます。同時に今極端な場合を考えてみますると、またそういう極端な場合が全然ないということを保証できないような国際情勢から考えますというと、やはりこれらについて政府として検討していくということは、当然の職責であると私は考えております。ただお話のように、そのことが行き過ぎるとか、あるいはそれに関連しての行き過ぎが行われて、本来憲法で確保されておるところの言論の自由や、その他の自由権が侵害されるというようなことのないように、内容的に立法もし、また内容を定めなければならぬ問題でありますから、非常に私は立法しも困難な点がありまた慎垂にしなければならぬということを印しておるわけでございます。決して私は秘密保護法や防諜法の名のもとに言論統制をやり、言論の自由というものを大幅に制限しようということを考えておるわけではございません。

森中守義日本社会党

○森中守義君 これは私は質問の中から、防諜法あるいは軍機保護法制定をお考えになっておるということが明瞭になりましたから、そのことによって言論統制になるかならないかということは、一つの常識的な判断を基礎にしても考え得ることであります。これ以上あなたにこの問題については質問を差し控えておきます。  そこで私はこの問題を最後にして質問を終りたいと思いますが、要するに現在の放送法が二十五年に制定をされました。そこで今日まで日本放送協会あるいは一般放送事業者が、この放送法の保障のもとに国民に放送を提供して参ったわけであります。しかるにこの立法当時の両院における審議の内容、少くとも立法の意図、精神というものを汲みとって参りますならば、いやしくも日本放送協会といい、ないしは一般放送事業者といい、きわめて控え目にすることが言論に対する国の保障である、憲法に忠実ならんとするゆえんである、こういうことが両院の審議の中で言われております。私はこういう言論機関に対するいかなる法律といえども、政府は控え目に控え目にやるのが、これが私は当然であろう、ということは総理も同感であろうと思うのです。しかるに昭和二十八年塚田郵政大臣、第四次吉田内閣のときにこの放送法の改正を発表いたしました。その意図は明らかに日本放送協会がどうも反政府的である、あるいは当時の吉田総理や各閣僚に侮辱、凌辱を加えたという、こういったような理由のもとにこの法改正が意図されて今日に及びました。もとより先刻鈴木、山田両君が質問の中で指摘をいたしましたように、当時の悪らつな政治的意思というものは、今日においては幾らか薄らいではおります、薄らいではおりますが、一たび法の運用を誤まったり、ちょっとした字句を挿入しただけでも、私は言論に対する非常な大きな不安を与えるということは、これは申し上げるまでもありません。従って今総理は、必要最小限度の今回の法改正である、勢い抜本的な改正を必要とする、こういう御所見のようでありますが、私はそのこと自体にすこぶる大きな不安を感ぜざるを得ません。もとより法体系を整備する、あるいは事務的に不備な面を整理する、こういう面における法律の改正はもとより必要でしょう、またそのことをわれわれは一々言あげして、あれもいけない、これもいけないという、そういうことは考えておりません。しかしあなたがだれよりも御承知のように、今日岸さんの手によって法案が出されてくると多くの者は疑惑を感じます。不安を感じる。すこぶるあなたの手によるすべてのものに対して多くの国民は反動性を感じておる。郵政大臣がおいでになる、今郵政省が二回も大恥をかいて、三たび国会に出して参りました郵政設置法を見てごらんなさい、単に官僚の郷愁を満たすだけのものである、何ら国民には百害あっても一利ありません。そういうものすらも、しかも法案の提案に当って一回、二回連続して廃案になり、性こりもなく三回も出してきたという、こういう前例をわれわれは知らない、執拗に執拗を重ねて国会に出して参る。朝日新聞、毎日新聞、けさの読売新聞もそのことに言及しておる。もとより私どもは新聞に先んじて、この郵政省設置法がいかに時代逆行的なものであるかということをしばしば指摘をして参りましたが、この一事をもってもわかるように、あなたの手によって出される法案に対しては、すべての国民が不安と疑惑と嫌悪を持っておる。そういう岸内閣によっていずれ、先刻あなたのお答えからいくならば用意したいという放送法の改正は、防諜法あるいは軍機保護法の制定がそうそう簡単にいかぬ。従ってこの機会に事務的あるいは法体系の整備という一つの口実を設けて、その裏に隠れて日本放送協会や一般放送事業者に対する悪らつな政治的意図のもとに法改正が用意されないとは、私は残念ながら岸総理のもとにおいてはどうしても信頼ができません。従って先刻申し上げましたように、言論機関に対する法律というものはきわめて控え目なものでなければならない。おそらく今回の改正で郵政当局、電波当局の一応意図された法改正の目的というものは、まず果されているのではないでしょうか、こういうように考えるのでありまして、さなきだに危険を感じせしめるような将来の法改正はしない、こういうお約束なり、言明なりが実は望ましいのであります。この点について総理の所見を伺っておきたいと思います。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(岸信介君) 先ほど山田委員の御質問にお答えをいたしまして、この放送法の根本的な改正というような問題については今後慎重に検討していきたいということを申し上げました。今回の改正の趣旨につきましては、それぞれ当局より御説明を申し上げたことと思いますが、いずれも今回の改正の点は枝葉末節の点であって、放送事業のこういう急激な発展とその将来を考え、また日本における公共放送と一般民間放送との乱雑な形を考えてみて、放送事業の将来健全な発展というものを考えてみると、時勢に合わない点もあるのじゃないかという点もいろいろの方面から私は意見を聞いております。しかしいずれの意味にいたしましても、今森中委員のお話のように、私は放送法を根本的に検討して、そして何かここに言論統制の意図を持ってこれを改正するというような考えは毛頭持っておりません。またその検討につきましてもそういう重大な問題でございますから、十分各方面の意見を聞いて慎重に検討をして参りたいということを、先ほど山田委員にもお答えを申し上げたように決して政治的な特殊の意図をもって、特に言論の自由を統制し制限するというような意図のもとに、いかなる意味においても将来も放送法をそういう意図をもって改正するとか、検討するという意思は毛頭持っておらないことをここに明白に申し上げておきます。

森中守義日本社会党

○森中守義君 今総理の御答弁でほぼ了承いたしましたが、しかし問題は防諜法あるいは軍機保護法的なものが、やはり総理の胸中ひそかに存在するということに対する危険に、私は多くの国民とともに不安を感じながら一応この問題については終るのでありますが、最後にもう一つだけ総理の見解を伺っておきたいのは、御承知のように今日アジア放送会議というものが日本放送協会が主催者で、外務省及び郵政省が後援として行われるようであります。このアジア放送会議の目的と内容と成果をもとより私どもは評価をいたします。そこで問題になりますのは、アジア放送会議というならば何も国民政府だけではありません、中共もこのアジア放送会議に参加をしてしかるべきであろうと思う。この主催国がいかなる国であるか詳しくは存じませんが、少くともアジアの一員である中共、ことに電波の問題につきましては最近いよいよ複雑になって参りました。私の出身である九州あるいは総理の隣である山陰地方におきましては、中共関係の強力な電波が多くの聴取者の受信機に入って参ります。ことに中共においては総理が毛虫のようにいみきらっているわが国の政治に対する厳しい批判、総理に対する痛烈なる攻撃をした日本語放送をどんどん発している。従って中共とわが国とのこの電波の協定等が行われているならば、こういう問題も私は発生しないと思います。アジア放送会議に中共が参加してほしいという呼びかけをすることや、あるいは中共との電波協定を結ぶという御意思がありや否や、前の田中郵政大臣は本委員会において私に中共との電波協定については具体的に検討をする、実現の方向に努力するということを田中君がここで約束したことがあります。その後閣議の中でどういう論議が行われているのか、あるいは今日の寿星郵政大臣になりましてこの問題を提起したことはありませんが、あまりにも問題が身近であり、しかも政府のやり方いかんによっては、このことは十二分に可能性があると思います。アジア放送会議に外務省、郵政省が後援している限りにおいては、政府は関係をしているということになりますし、このアジア放送会議に中共を呼ぶことや、さらに中共との電波協定を結ぶ用意があるかどうか、このことを承わっておきたいと思います。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(岸信介君) アジア放送会議というのは私の承知しているところによりますと、NHKが主催してアジア諸国に呼びかけてこれをやる。何か番組関係の会議をするように聞いております。従いまして一応NHKの考えによってどういう国を呼ぶか、参加を求めるかというようなことはNHKの関係においてきめられる、政府自体がこれをきめているわけではございません。(森中守義君「外務省と郵政省が後援しているではないですか」と述ぶ)しかし主催はあくまでもNHKであるように私聞いております。  それから第二の中共との間に電波協定についてどう考えるかという御質問でございますが、実は郵便協定であるとか、気象協定であるとか、あるいは電波協定であるというふうなものに関しましては、従来も何か適当な方法がつくならば、中共との間に政府間において話し合って、こういう協定ができれば作っていく方がいいじゃないかという考えを述べておりますし、また今日も私はそういう考えを持っておりまして、閣議におきましても別に閣議決定ということではございませんが、そういう問題について話が出たときに、こういう問題に関してはできるだけ進めるように一つ外務省も考え協力するようにということの話をいたしております。

森中守義日本社会党

○森中守義君 前段のアジア放送会議については、日本放送協会が主催者であるので、そちらの方の意見に従いたい、こういうことのようですが、私はやはり郵政省、外務省の政府機関がこれに関係している以上、総理としてはもう少し明確な立場がとり得ると思う。にもかかわらずNHKにそのことの裁量をまかせる、こういう答弁では納得できない。もう少し確固たる総理のこの問題に対する見解というものを明らかにされる必要がある。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(岸信介君) こういう会議は印すまでもなくある一つの目的をもって、それを円満に多数の人で話し合って、ある妥当な結論を見出そうということが会議の私は趣旨であろうと思います。そういうことからやはりこれを主催する者の意向を尊重することが、こういう問題については私は適当であると思います。政府がこうしろとかああしろとか言う筋合いのものではないように私は考えております。

手島栄自由民主党

○委員長(手島栄君) 他に御発言もなければ、総理大臣に対する質疑はこの程度にとどめておきます。  それではこの辺で一旦休憩しまして、午後二時に再開いたします。    午後零時三十一分休憩    ―――――・―――――    午後二時二十三分開会

手島栄自由民主党

○委員長(手島栄君) ただいまより再開いたします。  委員変更についてお知らせいたします。  本日、最上英子君が委員を辞任せられまして、その補欠に佐藤清一郎君が委員に選任せられました。   ―――――――――――――

手島栄自由民主党

○委員長(手島栄君) 午前中に引き続きまして、郵政大臣、政府委員、その他に御質疑のおありの方は御質疑を願います。

山田節男日本社会党

○山田節男君 この一部改正法案についての質疑につきましては、新谷君が相当長くやられたということでありますから、あるいはこれから私の質問する事項が、もし重複しておった場合には、これは御省略願ってもよろしうございます。  まず第一に、今回の改法法案の中で番組の育成、向上という面を改められて、その中に特にこの「善良な風俗」という一句を加えられた。これは御承知のように、風俗というものは、もう今日の世の中におきましてはことに変化が激しくて、たとえば一年前には不良な風俗であったものが、今年においてはそれは別に公安を害するというようなものでないと、これはきわめて風俗というものは一面においてはダイナミックなものであり、また世の趣味と申しますか、この変動によりまして変転きわまりないものですね。ですから、そういったようなものを、善良な風俗というものを、非常にダイナミックな変化のあるものを法文で規制するということは、事実上基準というものはむずかしいのじゃないかと思うのですね。で、この善良なる風俗というものを、たとえば一九、五九年の三月の中旬においてはこういうものだ、しかし、明年においてならばそうじゃない。これは常識問題として、善良なる風俗という言葉は美しいけれども、法律用語としては非常にばく然としているものである。同時に、悪くとれば、これによって不当な番組審議会の判定といいますか、あるいは放送法の施行監督者である郵政省が、いわゆる不当な、常識的に見て不当な干渉をするというような、それこそそういうような危険があるのじゃないかと思われるのですが、その善良なる風俗というものにつきましての具体的な、一体どういう点をつかもうとしておるのか、これは立案者においての意図を具体的に一つ示していただきたいと思います。

寺尾豊自由民主党郵政大臣

○国務大臣(寺尾豊君) この善良なる風俗という問題について、その時代時代の思潮、こういったようなものの変遷も考えるときには、これを法律的にこういったような、ある時代に通用する善良な風俗というこの言葉を、そのまま法文化することについてはどうかという御質問でありますが、まことに私はごもっともな御意見だと思います。ただ今回この「善良な風俗」というものを追加をいたしましたことの理由といたしましては、放送及びその受信の国民生活に及ぼす影響が非常に大きい。従いまして、健全な国民性をつちかって、健全な生活を営む上に、いわゆる日本の通俗語とでもいいましょうか、この社会通念的に使われておる善良な風俗を害しないようにすることが必要だと、こういうふうに考えまして、これをまあ追加をしたというわけでありまして、いわゆるこの言葉というものは、社会の一般的道徳観念をさすものと考えられまするし、従ってこれを害する、障害というものは、お示しのようにその時代における社会の一般的道徳観念、まあこういうものによって異なるということは認めざるを得ないのではないかという考え方を持っております。従いまして、これを具体的に述べるということは、かなり困難な事態である。結局、健全な社会通念というものによるということになろうかと思いますので、山田委員のおっしゃいまする点は私どもも十分わかるわけでありますが、一応、われわれが通常語として日常今日まで使ってきておる善良な風俗というような一つの表現をしたということであります。

山田節男日本社会党

○山田節男君 特に善良な風俗かいなかということは、主観的に見る場合と客観的に見る場合、いわゆる今大臣のおっしゃる社会通念ということは、客観的な見方なんですね。ですから、たとえばヌード、裸体でありますが、ヌードというものは果たしてそれじや善良な風俗に反するかいなか。これもヌードの仕方であって、きわめて崇高な芸術的なヌードもあれば、また浅草の花屋敷あたりでやっているような挑発的なヌード、これはまた善良な風俗に反すると言えますけれども、そこらあたりの、少くとも法文にそういうことを書くということは、その主観的と客観性、法律はやはり客観的に社会通念と、今おっしゃりますが、その社会通念によって明らかにこのカテゴリーに入るというものでなければならない。今おっしゃる風俗というものは、ことに、日本のような場合、欧米の風俗が入ってきて趣味も非常に変ってくる。そういうものを法律で書き入れる以上は、法律というものはそう、風俗が変って、その善良かいなかということで、趣味が変れば法律を変えるというわけにはいかないものでございますから、こういったような、具体的に見えまするけれども、非常に悪くすれば乱用され、また不当な干渉の憂えがある。あるインテリ階級においては、これはもう当然のことと思っても、興味のない者から見れば、これは悪くとるということかあるかもしれません。そういうふうな状態でありますから、これは非常にばく然とし過ぎて、法律用語としては不適当だ。実際に運用面におきまして、今申し上げましたように、主観的にこれは善良な風俗でないということになれば、いわゆる第三条の放送番組編集の自由、いわゆる不当な干渉ということで、これを侵すおそれがある。ことに、行政官庁において、こういうものを、番組審議機関を法制化してやるからには、これはどうも妥当でないと思うのですけれども、今申し上げたように、具体的にどうするかということですね。行政的にどこに一体基準を置いて善良かいなかということをきめるかということ、そこを私はお尋ねしているわけです。

荘宏郵政省電波監理局次長

○説明員(荘宏君) 山田先生から、善良の風俗という言葉は非常にあいまいな言葉であるから考えたらどうかという、こういうお尋ねでございますが、民法の規定の中にも、公けの秩序、善良の風俗という言葉が用いられておりまして、この意味につきましては、確かに時代によってそれぞれ解釈が違ってきておるかとも存じますが、しかし、すでに立法例として、しかも非常に重要な基本的な立法例であります民法の中にも用いられている言葉でありますので、放送法にこの言葉を持ってきてもよろしいのではないか、しかも、十分実益があるのではないか、かように考えてここに持ってきたわけでございます。

山田節男日本社会党

○山田節男君 戦後の民法に、従来、公序良俗といったものを、公安と善良な風俗ということで分けたことは私も知っています。しかし、民法関係と放送法というような――放送はこれは音になり絵になるのです。映像になって一般の視聴者にこれを見せるものです。いわゆる演出関係です。ですから民法のいう善良な風俗と放送法というものは違う。現実にいろいろな演出をやり、そして目に訴える、こういうような場合に善良な風俗という、これは極端にいえば、民法上の善良な風俗と文字は同じであっても、放送法という、こういうなまでもって一般の視聴者にこれを見せる、あるいは聞かしめるという場合の善良な風俗、これは演出の仕事なんですから、それだけに……。民法上の善良な風俗というのは、これはそう変化のあるものではございません。そこに同じ文句だからいいじゃないかということと、放送事業というものは、今申し上げているように、これは一つの事業体として、ほとんど映像に出しているのですよ。そこに非常なニュアンスというよりか、本質がもう違うのですね。ですから、法文が同じだからいいじゃないかということがいけないと思う。  実際上、これは例として、私の体験から申し上げますが、昨年の四月の初めだったと思います。名前もはっきり言いますが、ラジオ東京が「この一票」という現地ルポというのをテレビで放送していた。これはテレビ放送したあと、私は衆議院の代議士から訴えられたので調べてみると、果して録音もあります。これを見るというと、企画の方では、代議士というものはこういうあさましいことをして一票を得るのだという現地ルポとして、埼玉県のある代議士ですが、記者と一緒に歩いて、そして民衆にあいさつをしたり、あるいは将来はこの人は総理大臣になるだろうというようないわゆる民の声を入れてこれを放送したわけです。ところが、これの裏を見ますと、何だ、これはラジオ東京はその代議士に何か金をもらったのではないか、選挙運動をしているじゃないか、こういうようなことで、実はこれは取り上げてくれということまで私は訴えられたのですけれども、ラジオ東京によくその理由を聞きますと、向うも非常に恐縮しておったので追及しませんでした。これは意図はいいけれども、裏にもとれる、こういう場合。それから風俗の場合におきましては、非常に冗談の場合、これはいわゆる演出ですから、冗談にそういうことをやって、その裏を、いわゆる道義的の部面を国民に、見る人にそれを訴えようというようなことがあるかもしれない。ですから私は、どうも放送法というような特殊の、いわゆる演出といいますか、絵、映像として一般国民に見せるというものに対して、こういうばく然とした、適用の工合によっては非常に間違いを起しやすいものを私は用いる必要はない。むしろ外国でいえば、放送法ではやはりあります。ありますが、いわゆる。パブリック・インタレストであって、公共の利益に反するもの、あるいは従来持っておる公序良俗という言葉が私は一番いい言葉だと思う。だから、しいてこういう具体的な用語を使うのならば、政令か何かで、抽象的でもいいから、カテゴリーはこういうふうにするのだという基準をお設けにならぬと、非常に危険だと私は思うのですね。この点に対して、もし、どうしてもこの善良なる風俗という用語を、これを固執されるのならば、政令か、まあ規則でもよろしゅうございますが、何かほかにそういうようなばく然としているものを規制するような、政令か何かでおきめになる必要があるのじゃないかと思うのです。どうも先ほどの大臣の御答弁、あるいは監理局次長の御答弁では、私も法律を多年扱った者として、どうも不安なんです。どうでしょう。どうしてもこれを固執なさるならば、これをカバーするだけの、今申し上げたような危険性をカバーするような何か行政措置ができるかどうかということをお伺いしたいと思います。

荘宏郵政省電波監理局次長

○説明員(荘宏君) 今回新たにつけ加えようとします「善良な風俗」について、政令段階あたりでもう少し詳しい定めをしたらどうか、こういうお尋ねでございますが、放送の番組に関する規定につきましては、できるだけ番組の統制になるようなことのないように、放送事業者の自主性に待って番組をよくしてもらおう、こういう考えで立案をいたした次第でございます。従いまして、「善良な風俗」というものの内容を政令で書き上げますということは、一面確かにその内容はわかるということでいい面もあるようには存じますが、しかしながら、その政令の書きようによっては、どこまで入り込んでくるかわからぬという非常な危険もあるわけでございます。そして、今回、しからば、善良な風俗と言いっぱなしだけでいいかどうかという問題につきましては、今回の改正案におきましては、各放送事業者はそれぞれ番組基準を一定の手続を経て作らなければならないということを明らかにいたしておりますので、その番組基準を各事業者が作る場合に、今回、放送法の中に新たに入ったこの「善良な風俗」という言葉は、十分各事業者において着目して、よく考えてその基準を作ってくれるものと、かように考えております。そして、「善良な風俗」という言葉が入りましたゆえんは、現在世間でも非常にやかましく新聞、雑誌、その他にいわれております通り、現在の放送番組は、たとえば非常に殺伐なものが多いとか、あるいは子供の前で一家そろって見るにたえないようなものがあるというような声、これを考えまして、そういったようなことが起ることのないようにという趣旨で作ってありますことは、これをお読みになる各事業者の方々もすべてよくおわかりだと思いますので、先生の御指摘のようなこまかい内容につきましては、番組基準の上において十分現われてくるものと、かように期待しておる次第でございます。

山田節男日本社会党

○山田節男君 今この問題にさらに関連しまして御質問するのでありますが、この改正法により公共放送も商業放送も番組審議機関を作らなければならないと、番組審議機関を法制化したわけですが、なおその番組審議機関に、単に基準を決定するという義務を負わせるのみならず、もし、たとえば善良なる風俗に反するような放送をした場合には、これに対して批判を加える、いわゆる批判権というものをこの法律によって明定されておるわけです。従って、これで是正できるというのが、ただいまの荘次長の御答弁の趣旨だろうと思うのです。そうしますと、この放送法第三条のいわゆる放送自由の原則で、重要な番組編成については不当な干渉を受けない、そことの調整といいますか、実際の行政上においてきわめてデリケートな放送の自由、干渉を受けないということとの関係はどうなるか。ことに、今のような善良なる風俗というような、きわめてばく然とした、しかも常に変化するものをとらえて取り締ろうというのであれば、私は、この放送法の第三条の番組不干渉ということ並びにこの番組審議機関に対して一つの批判権を与える。批判されれば、これが正当のものであれば、行政府にそれを是正するような義務を負わせておるわけです。業者がそういう批判を受ければ、それを尊重しなければならぬということは、それによって直さなければならぬということが、この新しく作られる法律においては考えられるわけです。そういう観点で、第三条との関係は一体どういうようにこれを扱うつもりなのか。この点もお伺いしておきたい。

石川義憲郵政省電波監理局法規課長

○説明員(石川義憲君) お答えいたします。放送法は、御承知の通り、第一条におきまして、「放送を公共の福祉に適合するように規律し、その健全な発達をはかることを目的」としておりますが、その準則といたしましていろいろ書いてありますが、そのうち第二点といたしまして「放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによって、放送による表現の自由を確保すること。」ということにいたしております。そして第三条を見ますと、「放送番組は、法律に定める権限に基く場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。」という規定になっております。従いまして、裏から見ますと、この法律に定めた場合には若干の規律を受けますが、それによってりっぱな番組を出してもらう。そういう構成になっておりますので、ただいま御指摘の第四十四条の番組審議会の任務、ことに批判的な機能というものは、この第三条でさすところのまさに法律に定める権限でありまして、これを番組審議会に与えるということで、ある意味では放送事業者に対する若干の規律になりますけれども、それは放送法の一条から三条の法律に定める権限というところに該当する条文として入れたつもりでございます。

山田節男日本社会党

○山田節男君 今の法規課長の御説明も私わかる点があるのですが、これをもっと、あなた方は専門だから、私から法規的に解釈すると、この番組審議会を法制化し、第三条の権限を番組審議会に与えるということ、そうしますと、番組審議会は公共放送の相当学識経験のあるりっぱな人をメンバーにするだろうと思うのですが、重ねて申し上げますと、善良なる風俗というものが、健全なる行動というものが、Aという番組審議会では、これは善良なる風俗であると、しかし商業放送ではそうかもしらぬが、公共放送のAという番組審議会が同じようなものに対しても、これは片方では善良でないと言えば、片方では善良であると言うかもしらぬ。そういう実際上の不統一が起ることがある。番組審議会を全部講習会を開いて、一つの同じレベルの善良なる風俗という定義を示すということは、これは技術的には可能かもしれない。しかし、風俗そのものがしょっちゅう変っているんですから、実際問題として私は非常にむずかしいことだと思うんですよ。そこに放送行政からいえば、少くとも番組の決定、公表について、悪く解しますと、ABCとおのおの違った基準を持った場合に、ことに商業放送の場合には不当な干渉であると言うかもしれない。おれの方は損したと、こういうようなトラブルが起るんじゃないかということを私今までの経験上から考えます。ですから、あなたは今第三条によって番組審議機関に法的に干渉をする権限を与えたということを言われますが、それはもっともですけれども、善良なる風俗というそのものが非常にダイナミックなものであるから行政上不可能である。いわゆる民間、公共、それもABCというものを、あらゆる番組審議機関に同じような頭をもって裁定させるということは、私は実際不可能だと思う。そこを一体どういうふうにしてカバーするのか。

石川義憲郵政省電波監理局法規課長

○説明員(石川義憲君) ただいまの御懸念は、先生の御説ごもっともだと思います。ことに、一つの基準というものが各業者、あるいはNHKと一般放送事業者と異なる場合があり得るんじゃないかという御指摘であります。その点は、実は私の立案当局者として非常に苦心をしたところでございますが、それにつきましては、一つの原則として、たとえばお示しのように政令もしくは省令で善良な風俗の定義をいたすということも非常にむずかしいと思いますが、そういうこともあり得るわけでありますが、そのことは逆に政府がこれを見ていかなければならぬ、そうすると業者の自律性を害するということになるのではないか。そういうことで、私どもはその点をやめまして、実はこういう格好にしたわけでございますが、実際問題としてどうなるかということでありますが、先般、大臣からもお答え申し上げましたように、事実上現在でも放送連盟もしくは民間放送連盟というふうなものもありますし、業者との話し合いの場というものも現実に持たれておりますので、そういうもので十分話し合うごとによりまして、事実上統一した基準というものも持ち得るのではないか。あるいはそういうふうに行政指導によりまして適当なものを作るように指導をするということにもなります。結局、世の良識に期待をするということになって、この基準はものさしのように一がいにはいきませんが、大体の線が出るのではないか、こういうふうに考えております。

山田節男日本社会党

○山田節男君 その気持もよくわかりますが、今私の申し上げた点は、この番組の審議機関の法制化されない今日において、そういう機関を持ちながら、ことに商業放送がこうしてふえますときに、しかも、東京のごとき大阪のごとき名古屋のごとき、複数の商業放送がある場合は、どうしても番組編成、ことに演出について激甚な競争をするわけです。これは商業主義ですからどうしても軌道を逸脱するという危険がすでにあるわけです。ですから、そういう今日の資本主義経済のもとで商業放送ということになりますと、勢い刺激の強い、また国民の目によりアトラクティブなものを作ろうという当然の誘惑と戦っているわけです。そういう場合に、番組審議会によって、これはどうも善良な風俗に反するというようなこと、しかも、今申し上げました重要な尺度になってきておるのでありますから、今申されたようなことでは、私どもは納得できない。私は、これは政府は、こういうものを出して、おそらく通過するでありましょうが、そういう今申し上げたような実際さような危険があるということは、これは私は断言できると思うのであります。ですから、この番組審議会に対して、審議機関に対して、今のこの善良な風俗についてはかなり動的なダイナミックな解釈ができると、しかし、それについてはこの善良な風俗という解釈はこういうようにとるべきものだというだけの、これはワクは一つ与えておきませんと、これは商売でやるだけに、商業放送局間におきましてはいろんな苦情が出るということを私は予想するわけです。ですから、このことは、本法案が通ったあと、行政的にこのきわめて異例な「善良な風俗」というこの用語については、私はあやまちのないように一つ解釈のできるような措置を政府が周知せしめるということは、これは絶対必要だと思いますから、このことを重ねて申し上げておきます。  大臣はお見えになりますか。

手島栄自由民主党

○委員長(手島栄君) 今ちょっと社労へ行っておられますから――来られます。

山田節男日本社会党

○山田節男君 その次には、面接にはこの放送法一部改正案には関係ないような質問でありますが、しかし、これはやはり重要な関係があると思いますので質問をしますが、一体このラジオの免許、再免許がこの五月ですかにあるということも承わっておりますし、それからテレビがこうして多数の予備免許を受けたわけでありますが、電波法による予備免許の条件でありますが、過日、テレビの予備免許のときに、電波法の七十九条、これはまあ取り消し規定でありますけれども、その免許条件に合致したもの、さらに大臣から一つの条項を示して、これをのめば予備免許を与えるという条件をつけられたわけでありまするが、この条件というものが、これは私は、今までの電波法なり、あるいは放送局の開局基準規則ですか、そういうものもありますが、郵政省としてこの過去四カ年ですか、三年間のですか、免許期間がある。そうすれば再免許する場合には、その予備免許を得て、過去の業績が非常に本来の使命をよく果したということになれば、これを再免許を当然受けるべきだ。しかし、さもない場合には、これは郵政官庁として、ことに放送業界を粛正し、それこそ文化向上をせしむるような適正な番組と経営をやらせるということの唯一の機会だと思うのです。そういうことによって、過般テレビに対する予備免許が与えられたわけでありますが、今度のラジオ放送の予備免許の、この再免許をするかいなかということに当りましては、過日テレビの予備免許において法律以外の行政的措置としての条件をのむかのまぬかという条件を持たれたわけでありますが、この条件がラジオ放送の再免許の場合にもこれは適用されるつもりなのかどうか、この点をお伺いしたい。

荘宏郵政省電波監理局次長

○説明員(荘宏君) 田中大臣の当時に大量のテレビ局予備免許に際し、いわゆる条件という言葉で申請当事者との間に、先般私の申し上げました言葉では約束事ができたということでございますが、その内容につきましては、当時役所として考えまして、こういうあり方が望ましいということの線を出したものであります。その内容につきましては、現在においても望ましいということにおいては同様でございますけれども、ただ一昨年のその十月に一斉免許の際に付しました条件そのものにつきましては、いろいろ民法とか商法とか、現在の法律との関係において再検討を要する部分も全然ないというわけではございません。従いまして、ただいま私どもにおきましては、今後の再免許、あるいは新たな免許処分においてどういう立場をとるべきであるかということは、目下慎重に検討中ということが正直な段階でございます。

山田節男日本社会党

○山田節男君 過日の当委員会で開かれました放送法一部改正に関する参考人の意見を口述させたことがあるのでありますが、そのときにも、この新聞社が、ラジオ、テレビジョンといういわゆるマス・コミュニケーションの手段を独占化する傾向にある。これは私は厳然たる事実で、よく御承知のことと思う。で、これまた少数の例外を除きましては、ほとんどこのラジオとテレビはもう兼営になっておる。そうしてしかも、そのラジオ、テレビの兼営の放送業者の、これは大部分とは言いませんけれども、かなりの部分が新聞社の資本、それから経営者の主たる部分を占めておるということも、これも現実の事実です。でありますから、テレビジョンに対しては、田中郵政大臣がああいったような条件を付して予備免許を与えた。私はその中をつまびらかにしませんけれども、あの条件の中には、たとえば資本的な構成において新聞社がある限度以上持ってはならない。それから重役においても制限をする、こういう点があったように私は思うのです。これは少くとも過日参考人の意見の場合にも強く主張された。このマス・コミュニケーションの独占化ということを防止するのには、これは非常に適当な措置であったと思うのです。ですから、ラジオの再免許の場合にも、これはテレ、ビジョンと兼営をしておるものが多いのでありますから、やはりそういうかつての田中郵政大臣が行政措置として付した免許条件、これは私は当然とらるべきものじゃないか、私はさように考える。ただ、その条件が十幾つあったやに私は聞きますが、その中で、全部ではなくても、今申し上げた資本構成あるいは人的な、ことにトップ・レベル、経営の責任者の構成等につきましては、やはり政府としてマス・コミュニケーションの、特に新聞社のごときものが独占するということになりますと、これは私は非常に将来国民に対しても一つの危険をもたらすんじゃないか。しかも、北海道から九州に至るまで、こういう大臣の行政的な条件つきでテレビに予備免許を与えたにかかわらず、隠然としてそういう放送企業体を少くとも独占するか、あるいは支配的にこの地位を確保しようという暗躍明動が盛んに行われておるわけでありますから、前にも申し上げましたように、郵政省、ことに電波監理局という監督官庁としましては、こういう再免許をするかいなかの問題のときにですね、私は一番政府としてそういう悪風・悪風というか、悪い傾向を矯正する絶好のチャンスだと思うのです。ですからラジオの再免許の場合においては、テレビジョンに与えた大臣のいわゆる行政的な措置としての条件を私は当然付すべきものだと思うのです。その点はどうですか。少くとも電波監理局長なり政務次官として、政治的にこれはどういうふうにお考えになりますか。

廣瀬正雄自由民主党郵政政務次官

○政府委員(廣瀬正雄君) ラジオ、新聞、その他報道機関が大きな資本によって独占されるということが、社会公共に最も好ましくないということは、私同感でございます。さような見地から、お話のように、先般のテレビの予備免許に当りましては法的に完全な条件、並びにそれに添えまして、いわゆる条件というようなものもたくさんつけて予備免許いたしたのでございます。テレビにつきましては、その後かような条件はぜひとも守ってもらいたいというような強い行政指導をいたして参りたいと、かように考えておりましたわけでございますが、ラジオの再免許につきましても、御説ごもっともだと思いますので、先刻荘君からお答えいたしましたようなことも関連いたしまして、省におきまして十分一つ検討してみたいと思っております。

山田節男日本社会党

○山田節男君 行政的な一つ責任者としてのこれは廣瀬政務次官の正式な何がありましたけれども、あなたは実際、田中郵政大臣のときにああいう条件をのませられたときの責任者でありますから、ラジオの場合においてそれをやってきき目があるかどうかという点を……。

濱田成徳郵政省電波監理局長

○政府委員(濱田成徳君) マス・コミュニケーションの独占排除につきましての山田委員の御意見には全く同感でございます。先ほど荘次長が御答弁申し上げましたように、テレビジョンの一斉免許の際につけましたいわゆる条件のようなものは、当然ラジオの再免許等の場合にはその精神は適用されるべきだと自分は考えております。しかし、この前のテレビジョンの一斉免許の際につけましたような、かような条件のようなものを、今度再免許するラジオに対しても、あのようなものをそのままやるかどうかにつきましては、検討を要するのでありまして、これにつきましては、先ほどの御答弁のように、目下鋭意検討いたしております。しかし、このマス・コミュニケーションの独占排除というものは、テレビジョンの際に私どもが最も心配して、かようなことが起らないようにしようという配慮からやったというその精神はラジオの場合でも全く同断でありまして、なるべくできるだけただいま申し上げましたような方針に沿いまして再免許その他を実行しよう。今後の免許に当りましても、かようなことにしようと、かように考えております。

山田節男日本社会党

○山田節男君 大臣が今退席中でありますから、大臣にちょっと念を押しておきたいと思うのですが、これは大臣がお見えになってからいたすことにいたします。  次に、やはり改正法案に潤しましての国際放送の問題でありますが、今朝鈴木君からも岸総理に話をしておりました。私は多少これは解釈を異にするのですが、これについて質問をいたしたいと思いますが、まずその前に、NHKに一つお聞きをしたいのですが、NHKが創立以来、国際放送をいつ始めたのか、それからこの放送法が昭和二十五年にできて、そのできた当時の国際放送というものに対して、政府の補助金を国際放送に関してもらうときに、どういうその当時の政府の了解があったのか、NHKからその間の事情を一つ簡単にお聞きをしたい。

前田義徳日本放送協会理事

○参考人(前田義徳君) NHKの組織とは違っておりましたが、NHKが国際放送を始めましたのは昭和十年でございます。で、昭和二十五年の放送法によって、NHKが特別の法人として以後、国際放送を始めましたのは昭和二十七年でございます。昭和十年以降の状態につきましては、その当時の放送協会の性格並びにその国際放送に対する行政的措置も、今日とは全く別なものでございまして、これは行政機関の構成も全く別のものでございまして、従って私がお答え申し上げる範囲は、放送法によってNHKが設置され、そしてそれに基いて昭和二十七年国際放送を再開した以後のことで御了承願えれば幸いと存じます。  昭和二十七年以降の私どもの考え方といたしましては、国際放送を放送するに当って、まず放送法第九条によって国際放送を行うことは、NHKの本来業務の一つであるという前提に立って、さらに放送法の三十三条によって、郵政大臣が方向、範囲、その他を命令するという項と並行して国際放送の実施に当るべきではないかという考え方を持っておりました。ただ、前項の本来業務でありながら、その費用をどこから出すかという点につきましては、現在の聴取料の性格がどうであるかと関連を持つ問題でありまして、この点につきましては、従来からも聴取料の性格はどうであるかという点でいろいろな御議論もございますし、またいろいろな示唆あるいはいろいろな御忠告もいただいて、私どももその点を慎重に検討して参ったのでございますが、最近の私どもの考え方といたしましては、NHKが本来業務として放送法九条に基いて国際放送をなすべきことと、それからまた、三十三条に基いて郵政大臣の命令を受けてなすべき部分とを、やはり取扱い上は方法を異にして取り扱うべきであり、それからまた、放送法の原則として、公共放送としての本来業務として国際放送を行うべき責任と立場に置かれているということを考える場合には、聴取料が単なる国内放送のサービスとしてのみ割り切ってしかるべきかと、この一つのギャップを埋める実際的な方法としては、大部分の国内放送にNHKが主力を注ぐのは当然でありますが、ことに平和条約の締結、国際連合への加盟、国際社会と国内社会との直結という事実に立脚いたしまして、NHKとしては国民の機関として、国民を代表して海外に放送を行うべきであるという方向に実は踏み切っておるわけでございまして、しかしながら、その費用は最小限度をもって最大の効率を上げるべきだという責任感においてこれを実施して今日に至つた次第でございます。

山田節男日本社会党

○山田節男君 そうしますと、この戦前、戦前というか、むしろこの放送法のできる昭和二十年六月までは、NHKはこれは法的に何ら根拠のない社団法人だったのです。社団法人とはいいながら、ほとんど税金にひとしいような受信料というものを徴収して経営に充てておったわけです。で、その放送のできる、いわゆる法によってスタチュウトリー・コミッティ、すわわちステイタスの上からは公法人、公社と何ら違わない地位を与えられた。その前は、これは戦前におきましては、国際放送は社団法人NHKとしてやることは自由だった。それから戦争中には軍が相当な財政的な援助もした。こういうことは、これは私は今さら詮議しようとは思いません。しかし、少くともこの放送法第九条によって国際放送を行う。さらに第三十三条、第三十四条によって、明らかに国際放送、あるいは特に命じた事項について、政府の命令によってやる場合においては国庫でこの費用をまかなうということが明記してあること。それから社団法人のNHKの受信料の性格、いわゆる放送法の三十二条によって、いわゆるNHKの放送を聞く受信設備を設置した者からは受信料を払わせるという契約を定め、それによって払うという建前になっておる。そうなりますと、少くともこの放送法の制定前と制定後におきましては、この受信料というものの性格が少くとも変ってきている。すなわち、この第三十二条にも示してあるように、NHKの放送を受信するために所定の受信料を払うのでありますから、受信者の建前からいえば、外国放送、国際放送までやるという金を、そういう方に使ってもいいという法的根拠がないわけです。ですから、これは、今までずっと戦前から社団法人のNHKからやっておったことを、NHKは国民の代表機関であるから、これも当然やるべきだというようにやっておったけれども、法律ということになれば、法律できめられたからには、国際放送というものはこれは国庫の負担で全額やるべきだという建前、これは少くとも三十二条の規定からいいますと、国内の受信者は国内のを受信するために金を払っておるのであって、その金は全面的に国内放送の何といいますか、向上といいますか、のためにいいプログラムを作ってもらいたい。これはもう暗黙のうちにそういう契約になっておるわけです。それをこの国際放送に、従来そうであったから国際放送にNHKが国民の金を多額に使うということは当然だ。たとえば三十二年度の予算を見ますと、国庫からは九千何百万円の補助金に対してさらに三億二千何ぼという金をNHKから支出して、合計四億一千万を国際放送に使おうとしている。ここが私、どうもNHKとして国際放送というものを、従来社団法人であった場合と、法律でNHKという地位が確立した後における国際放送というものの扱い方といいますか、考え方が変っていないという点、ここに非常に私は大きなNHKとして矛盾といいますか、これは極端にいえば放送法に違反しているのじゃないか。特に予算面に見て、こういう政府の補助金の三倍以上の金を使ってまで国際放送をするということは、果してNHKにそういう権限が与えられているのかどうかということが私は考えられると思うのです。  先にもお聞きしたのですが、二十七年からいよいよ国際放送を開始してもいいという、当時の占領軍政下のアプルーバルがあって始めたのですが、その当時、政府と一体この国際放送に対する費用の分担は三十三条によってどういう具体的な取りきめをしておったのか、この点を一つ具体的に承わりたい。もっと具体的に言えば、まあNHKが従来国際放送で相当の金を使っているが、この外国放送だけの金は出してやろう、あとの国際放送に関する費用はNHKがまかなえと、こういうような工合に、政府とNHKの当局者との何かそこに了解か取りきめがあったのかどうかですね、この点を一つお伺いします。

前田義徳日本放送協会理事

○参考人(前田義徳君) NHKの立場から申し上げたいと思います。NHKといたしましては、政府の命令の内容、放送の分量、それから方向の数、それから放送機の使用の限度などを考えまして、郵政当局を通じて予算を出しておりましたが、先ほど非常に不十分な御説明でありましたが、私どもの考え方といたしましては、政府が命令される部分だけを放送することによって、放送効果を完全に上げ得るごとに疑問を持っておりまして、その命令を中心として、それに多少の相手国民あるいは相手国におる在留邦人から聞いてもらえる演出をしなければならないという考え方で、実は従来も政府からいただく金と、それからNHK自体が出す金とを数字にはっきり出しまして、そうして従来、毎回国会の御審議を経て、それの了承をいただいて実行に移して参ってきたような次第でございます。

山田節男日本社会党

○山田節男君 これは、今回のこれから審議するNHKの受信料の値上げの問題にも関連してくるわけなんですが、この受信料の値上げの理由の一つとして、やはり国際放送を充実しなくちゃいかぬ、三十四年度においては十五方向二十五時間まで持っていきたい、こういうことがわれわれに述べられておるわけであります。これを具体的に聞きますが、三十三年度において国際放送の予算として二億一千九百二十六万円計上し、その中で八千九百八十六万円というものを政府から出している。残りの約一億三千万円というものをNHKのふところから金を出しているわけです。そうしますと、今の前田理事の話を聞きますと、政府の出している約九千万円の金では、国際電電株式会社の総費用を通じて、十五方向十五時間、しかも一方向に対して電波は一波じゃ足りないから、二波ぐらいまで同一方向に送るという処置をしておられるようでありますが、この九千万円というものではもちろん足らないのだろうと思います。あとの約一億三千万円というものは、そうするとどういう方面に支出しておられるのかですね、この点一つお伺いしたい。

前田義徳日本放送協会理事

○参考人(前田義徳君) 大体の御説明を申し上げますと、郵政当局から命令を受けます範囲はニュース及びニュース解説、それと関連するものでございまして、送信機につきましては、放送をなし得る、単に放送ができるという限度では一台でもできるわけでございます。しかし、その放送を安定させ、それからまた、いかなる気候あるいは空中条件でも、とにかく現地に放送が届くという状態を実施するためには、放送機が複数である方が安全であるということは当然でございまして、その意味では、NHKといたしましては、放送機の使用につきましても、NHK自体の負担において万全を期することがNHKの責任である。第九条から考えましても、そうでなければならないだろうという建前で、毎回そういう予算をもって御審議を願って今日に至っている次第でございます。

山田節男日本社会党

○山田節男君 これは先ほども申し上げましたように、放送法の第三十二条の受信料の規定ですが、これは受信者側、すなわちNHKに聴取料を払うのは、国際放送の料金まで入るということは何も法的根拠はないのです。ただ、従来のNHKが社団法人時代にやっておったことを、これはNHKがやるべきものだ、やるべきものだということは、これは法規に明記してあります。あるが、三十二条とからみ合せて、一般の国内の聴取者からとった金を国際放送にこれを使うということは、経理上重要な問題である。すなわち、受信者からいえば、そんなよけいなことをしないで、政府から全部もらって、たとえば、今年度においても約一億三千万円というものを国際放送に使っているじゃないですか。これを機器の償却なりあるいはプログラムの充実したものをやるというふうにするのが、これはNHKにとって当然じゃないか。この第九条の、単に国際放送は、足らないところはNHKのふところから金を出してもりっぱなものを国際放送しなければならぬ、そういう義務づけは現行放送法にはないわけです。で、そういうことが、大蔵省と郵政省なり、あるいはNHKとの間に、この解釈の仕方が非常にまちまちであるためにこういうことが起きておるのだろうと思う。  これは私は、前に三十国会でも大蔵省の者を呼んで聞いてみたところが、いや、これはわれわれとしては三十三条、四条によって政府から命じたものに金を出すべきもので、国際放送に全部金を出すべき責任はわれわれはありませんということを言っておる。それが今第九条というものを、NHKは本来の事業という国際放送を自分で金を出してやるべきものだという、そういう心がまえをNHKも持っておるし、大蔵省も持っておる。あるいは郵政省も持っておるからこういうことになる。受信者から、法律的にもしこれを疑義あるとして、先ほど申し上げましたように、国際放送にNHKの金を使ってもらっては困る、全額政府から金をもらってやってくれ、こういう理屈は立つのです。そこに、毎年三十三条、三十四条にからんで、しかも岸内閣になってから従来よりも減って、三十四年度は若干、四百万円ほどふえておりますが、政府はむしろこれを削ってくる。これでは、国際放送というものを日本からやるという立場からいって、現状のような国際放送ではいけない。三十四年度に四億二千万円ほど計上しておられますけれども、こんなはしつぱな、けちなものじゃとても今日、東南アジアにおける日本の地位からいえば少な過ぎるのです。これは、イギリスのごときは、ああいうはしっこにある国が年間約六十億円の海外放送をやり、全額国庫がこれを負担しておる。アメリカもヴォイス・オブ・アメリカの放送は、全部これは国庫で負担しておる。それを日本だけこういったようなわずか九千万円くらいの金をもらって、ちゃちな国際放送をやるということは、これは私は、けさ岸総理にこの問題について一つ所見を伺いたいと思ったのですが、時間がないので私は質問をしなかったのですけれども、これは郵政省にも重大な責任があり、またNHKがもう少ししっかりしなければいかぬと思うのです。今までの、戦前の国際放送を独占したということの気持が今日もあるから、貴重な国内の受信料を、国内放送に向けるべき資金を国際放送に使う、こういう非常に法的に言えば疑義のある経営をやっておるということを私は考えざるを得ないのです。  これは今大臣がいらっしゃいませんが、一体政府として、三十四年度に計上されておるがごとく、NHKが三億二千五百万円、政府は九千万円ちょっと余ったくらいの金しか出さないという、こういうようなことで、一体この十六方向二十五時間に対するということを言いますけれども、私はこんなようなことでは、いかに戦争に負けたといえども、国際放送というものはあまりに貧弱過ぎるのではないか、こう思うのですが、その間のNHKからの予算の要求、それから郵政省から大蔵省への予算の折衝の経過がある、私はあったであろうと思いますが、これは郵政政務次官なりあるいは濱田監理局長から、一体NHKはどれだけ要求してきて、郵政省はどれだけ削って、さらに大蔵省で幾らにされたか、こういう結果になったのか、一つその間の事情を簡単に御説明願いたい。

廣瀬正雄自由民主党郵政政務次官

○政府委員(廣瀬正雄君) 国際放送につきましての御質疑でございますが一番いいことは、NHKのやっておる国際放送につきましては、ことごとく国家の公金によってまかなうということが好ましいとは私どもは考えておりますわけでございまして、明年度の予算の折衝につきましては、金額はあとで申し上げさせますが、私はっきり記憶いたしておりませんけれども、NHK、あるいは私どもの最初考えておりました要求額と非常に隔たった金額で決定を見ざるを得なかったということは、まことに遺憾に思っております。政府といたしましては、九千五百万でございますか、という程度の、十五方向、十六時間というような命令しか出し得ないという、NHKの方では十五方向、二十五時間ということで、三億二千万でございますか、というような予算を組んでいただいておるようでございますが、私どもといたしましては、まことに残念に思っております。しかし、お説の中にありました三十二条の受信料の性質からいたしまして、NHK自体で自己負担において国際放送ができないと思うという解釈は、どうも私どものとることができないところなんでありまして、NHKの本来の業務といたしまして、九条でございますか、国際放送ができると、そしてNHKは国内放送、国際放送というような放送におきまして、非常に公共性を持った特殊法人であって、その特殊法人をまかなうには受信料というものによってまかなう。その受信料は、受信機を設備してNHKの放送が聞ける設備をした者が契約いたしまして、それに基いて受信料を払わなければならないというような建前になっておるのでございまして、さような法律の建前から申しまして、受信料のうちから全然国際放送に払ってはならないという根拠はないと、私は思うのでありまして、NHKの本来の業務の一つといたしまして国際放送があることになっておりますので、また理想的に申しますと、勢頭に申しましたように、国際放送につきましてはことごとく国家の公金によってまかなうということが好ましいと思いますけれども、しかし法的に絶対にいけないというようなことになってはいないと思うのでありまして、私どもの解釈といたしましては、国際放送につきましての最小限度の費用、明年度の予算で申しますると、やはり十五方向、十六時間の最小限度の費用は国から交付しておるというように解釈いたしておりますわけでございます。

荘宏郵政省電波監理局次長

○説明員(荘宏君) 政務次官から申し上げましたことにつきまして、少し条文上の点を補足させていただきます。  先ほど山田先生から、NHKが自分の金、言葉は悪うございますが、政府交付金ならざる、結局受信料から入った金を用いて国際放送をやるのは法律上おかしいではないか、違法の疑いがあるのではないか、こういうお尋ねがございました。この点につきましてはかように考えております。ただいま、政務次官から申し上げましたように、現行法の第九条第一項には、「国際放送を行うため、放送局を設置し、維持し、及び運用し、又は政府の施設を使用すること。」として、NHKの業務としてあげております。そしてさらに、放送法の現行法第三十九条という規定がございまして、この三十九条では「協会の収入は、第九条第一項及び第二項に掲げる業務の遂行以外の目的に支出してはならない。」、かように定めまして、第九条一項及び二項に掲げる業務には協会の収入を用い得るという定めをいたしております。その九条の一項の中に国際放送のことも掲げてございますので、受信料で入りました協会の収入は国際放送に充ててよろしいということが現行法に書いてあると、かように考えております。ただ、その金額においてどのくらいの額を国際放送に回したらよろしいか、国内放送にはどのくらいをかけたらよろしいか、あるいは協会の研究活動にはどのくらいの金を使ったらよろしいかというようなことが、具体的な毎年度の予算の問題となるわけでございます。従いまして三十七条においてその点を国会の御審議をいただく、協会の事業計画、収支予算等は国会の御審議をいただく、かような定めになっておるわけであります。従いまして、国際放送をどのような規模において行うのか、国内からとった受信料の使い方としてよろしいかということは、毎年の御審議でもって御審査いただく、こういうふうに放送法はなっておると存じます。  もちろん、政策の問題といたしまして、受信料から国際放送へ回すものは少く、なるべく多く政府の交付金によるべきではないか、こういうことが問題となるわけでございますが、法律上違法なことをやっているという次第ではございませんので、その点御了承をいただきたいと存じます。なお、政務次官から事務的にあとで返答させると言いました郵政省の昭和三十四年度の交付金要求額は一億八百万円強ということになっております。

山田節男日本社会党

○山田節男君 これは今、荘君の御答弁ですが、この三十二条の受信料これを無心に読むと、この法律は、決して国際放送までNHKにやらすために受信料を払うのではない、これははっきりしている。そのあとにおいても、その気がない者ならば金を払う必要はないという、念のためそういう規定までしておるのです。ただ第九条と第三十七条ですか、これは私は、どうもこの国際放送を日本がいつまでも、いかに四等国になったとはいえ、世界各国でも一番見劣りのする国際放送である。これは寡聞にして、私間違っておるかもしれませんけれども、少くとも国際放送に関してはもう全額国庫負担、アメリカを見ても、民放を中心にしている国を見ましても、やはり全額国庫負担をしております。イギリスしかり、おそらく、他のヨーロッパ諸国も国営が多いのでありますから、国際放送に関してはもう当然全額国庫負担ということになっているのではないかと思います。  最初私がお尋ねしましたように、NHKは社団法人時代に国際放送をやっておった。その伝統がそのままこの放送法においては規定されて、しかも政府の交付金の三倍以上の金を自腹を切っても国際放送をやろうということは、今日のいわゆる重要な国際放送、国策としての国際放送という観点から見れば、これはNHKも悪いが郵政省も私は悪いと思うのです。しかも、わずか二億円ぐらいの補助金を要求したのに対して、これを五割以上も値切るというようなやり方は、一体政府として、この国際放送に対する理解と熱意を持っているかどうかということを私は疑わざるを得ない。で、三十国会におきましても大蔵省の諸君は、今、荘君の言われたような法的解釈をもって言いのがれておるのでありますが、これはNHK、公共放送は国民のものであるという建前、それから国民の代表機関だ、従って国際的な仕事するならばこれは合法的である、当然だということが言い得ることも私は理解できます。しかし、先ほど申し上げましたように、国際放送ということの通念並びに国策ということを考えれば、こういうように一般の聴取者から集めた金を、政府の補助金の三倍以上も使ってなおちゃちな国際放送をやっていかなくちゃならぬという、しかも国際放送は、受信料を値上げしなければならぬという一つの要素として、国際放送を充実しなければならぬということは、ますます一般国民に対しての犠牲を私は大きくするものである。かように私は解釈をしておるから以上のような御質問を申し上げたわけであります。  これは、三十四年度のNHKの収支予算の点においてなお重ねて私は大蔵省も呼んでこの点は一つ応答を重ねてみたいと思いますが、これは郵政大臣におかれては、これは寺尾郵政大臣としては、国際放送の重要性というものは、各国を見てきておられるのですから、十分に御認識のことだと思いますが、どうも私は、いつも問題になるのは、これは社会党の立場というよりか、そういうような立場でなくて、もっと国民的立場から見れば、私はどうもこの点は解せない。法律的にできるのじゃないかと言いますが、実際問題として、そういうことは、あたかも公共放送というものの金をそういう方面に使い過ぎるということは、NHKに犠牲を多からしめ、しかも、こんな三億や四億の金では、今日の日本が期待しているような国際放送は、とてもそんなはした金ではできないのです。これは今後の問題として、郵政大臣は国際放送の認識は、一つ総理にも機会があったらば強くこの点を認識していただくように進言していただきたいということをお願い申し上げておきます。  次に、受信料の問題でございますが、今回のような根本的な放送法を改正するということになれば、これは受信料こそ一番私は政府がまつ先に取り組んで、これを合理的なものにすべきものだと思うにかかわらず、今回は、核心となるべき放送法の改正に全然手を触れていないということは、私はこれはけさ申し上げましたように、非常に末節的な理論に拘泥して、木賢的な改正要点を見失っているという根拠になっているわけです。この放送法第三十二条によりますと、NHKの放送を受信する受信設備を設置した者は受信料を払わなければならぬ、こういうこれは明らかな規定があるわけです。これは、今まで各委員からも何度も言われましたように、民間放送がこれほど普及して参りますというと、ことに、東京のごとき、今日テレビにおきましては六つのダイヤルを回して異なったプログラムを視聴できるということになって参りますと、この受信料に対する法律をこのままにしておくならば、少くともこれによって経営しておるNHKの経営の健全性というものを保つためには、もし今回これをこのままにしておくならば、私は、政府として何かの一つこれに対する行政措置でも考えておかないと、これは重大なNHKの経済問題が起るのじゃないかと思います。と申しますのは、これは法的に申せば、第三十二条によりまして、NHKのラジオ・ニュースをラジオ、テレビジョンで視聴しておらなければ金を払わなくていいのでありますから、これは技術的にも聴視者が、NHKをしてこれを視聴していないということを確認できるようなことをしておけば、金を払う必要はないのです。ことに今回受信料が、ラジオの受信料が八十五円になりますというと、テレビジョンと一緒に払うということになれば、これを両方備えるということになれば、年間四千円の金が要るわけです。そうしますと、いわゆる庶民階級にとりまして年額四千円という金はこれは相当な金なんです。そういたしますと、やはり経済的理由からいたしても、また法的な理由からいたしましても、NHKに対して納める受信料というものが、これはまだ今日は予想でありますけれども、案外近い将来において重大なこれはNHKの財政問題として上ってくると私は想像いたします。前の国会でも、これは私は現地で視察したときのいろいろな世論等から察知いたしたのでありますけれども、大都会におきまして民間放送がすでに二つ以上やるということになれば、この問題が私はかなり近い将来において問題になると思うのです。そのことは、先ほど申し上げましたように、NHKの財的な方面に響いてくるわけです。そうしますと、現行法ではこれはどうも払わなければしょうがない。しかし、これがもしテレビジョンにいたしまして、五万、十万、あるいは三十万というようなものが、この法律の存在を知りまして、ないならば納めなくていいということになった場合、一体年に数億なり、あるいは数十億に上るような受信料をNHKに納めない者ができたらどうするか。こういうことを私は政府として予想しておられるのかどうか。今私が申し上げるようなことが起きるとする場合に、何か受信料というものをNHKにやはり納めなければならないのだということを行政措置でも何かできる方法があるのかどうかということを実は考えてみて、私にはそういう方法が見つかりません。しかし政府としても、やはりこういう改正法を立案されるときに、このことは当然私は改正の対象として御審議になったろうと思う。それから、電波監理審議会あるいは臨時放送法の審議会おきましても、この問題について審議されたやに私は聞くのであります。一体、この問題を今回の改正法案の中に入れられなかった理由と、それと、先ほど私が申し上げたようなNHKの財政に響くほどまでに受信料を払わない者がふえた場合には、一体どういう対策を政府として持つか。この二つについて政府の所信をお伺いいたしたいと思います。

寺尾豊自由民主党郵政大臣

○国務大臣(寺尾豊君) このことは全く御指摘の通り、この法律案の改正に当りましても、一番今後のNHKの運営に当っての聴取料の問題というようなものがきわめて重大な問題として、いろいろ論議されたことは御指摘の通りであります。しかし、今それでは現行の聴取料制度にかわって適切な、しかも大衆が、加入者が納得をし得るもの、また政府もそれによって確信を持ち得るものというものについては、遺憾ながら、これは山田委員もごらんのように、そういったような適切な受信料制度というものを求め得なかった、そういう結果を得られなかった。まあこういうことは事実でございます。従いまして、この受信料の根本的な改正、こういうことについては、今後の問題として、きわめて重要な問題としてこれを検討するということをきめて、現行法の今回の改正に当っては、受信料制度はこれに触れない、こういうことにきめて、改正案が結論を出したわけでありますが、このことにつきましてのいろいろの懸念は、私は確かにあろうかと思います。現在でも、すでにそういったような問題が若干の個所に出ておるということも報告を受けております。従いまして、できるだけ、これはやはりNHKの公共放送としての使命と、そうして、いわゆる受信者との契約に対する放送法に定められたこの法規等、十分徹底をさせると同時に、またNHK自身が、公共放送としてのいわゆる商い使命と、よりりっぱな、より内容の豊富な、大衆の生活のかてともなるべき番組の放送に専念をする。こういうことによって、まず加入者が考えたときには、ある特殊なものは別としても、NHKの私は番組を、必ずダイヤルをそこに合さなければ自分たちのその日が――あるいはテレビなりこのラジオというものにはそうした魅力を持たせる。またNHKの放送に対して信頼と非常な興味を、あるいはこれに対する希望を持たせる。こういうことにこれ努めて、できるだけこの受信料というものに対する加入者の一つの、加入ということに大いに努力をしていかなければならぬ、かように考えておるわけでありますが、なお、この受信料問題についての経緯、また、どういったようなことが受信料について方法が考えられておるかというようなことにつきましては、荘次長に一つ答弁をさせていただきたいと思います。

荘宏郵政省電波監理局次長

○説明員(荘宏君) 今回の放送法改正案を立案するに当りまして、確かに受信料制度の問題も大きな問題であるということで、私ども慎重に検討をいたしました。その結果は、ただいま大臣からもお話しがございましたように、現在の制度にとってかわるべき名案がどうしても出ないということで、現在のところ、今までのまま据え置くということにいたした次第でございます。  それで、今までの臨時放送法審議会の答申はどういうものであったか、また、どういうふうな案を考えたかという点についてお答えを申し上げますと、まず審議会の方の答申は次のようなものでございました。臨時放送法審議会といたしましては、三十一年の七月十三日付の答申においてこのように申しております。すなわち、NHKの収支予算等は、これは、ただいまは国会にお出しして御承認をいただいておるわけでありますが、少数意見としては現行法の通りすべきであるという意見もございましたが、多数意見としましては、協会の収支予算等は郵政大臣の認可事項とすることが適当であるとしております。そして、これに受信料が関連をしてくるわけでございますが、現在の法律によりますと、受信料は国会に収支予算等をお出しして、それを御承認願うことによって定まるということになっておりますが、ただいまの答申のように収支予算等は郵政大臣の認可事項といたしました場合には、受信料がどのようにしてきまるかという点が問題になるわけでございます。この点について答申におきましては、かように印しております。「現行法においては、受信料の額は、国会が収支予算を承認することによって定めることとなっており、事業年度ごとに新たに決定されるのであるが、これは予算編成の基礎を不安定にし、事業の運営上好ましくないので、収支予算とは別に決定すべきものと考える。」、すなわち予算と受信料の額というものは別にきめるという立場をとっております。そうしてそのきめ方については次のように申しております。「また、受信料の額の決定は、国民生活に対する影響を考慮し、慎重に検討すべき問題であるから、法律をもって行うことが適当であると考える。」、かように申しまして、受信料の額は予算と切り離し、法律をもってきめていただくと、こういうふうにするがよろしいと、こういう答申でございました。  さて、今回の改正案を作るに当りまして、私どもにおいて検討いたしましたところは、次のような工合でございました。現在の放送法の第三十二条によりますと、「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。」、かようになっております。このくだりの前半分、すなわち「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、」というとり方を、このままにしておくのがよろしいか、あるいは、およそ日本国内において放送の受信設備をした者はどこの放送が聞けようと、とにかく受信設備をした者はというように、すべての者に広げるかという点が、この前半分で問題となるわけでございます。それからあと半分は、協会と契約をしなければならないというふうになっておりますが、これについて、イギリスでやっておりますように、国に納めるというようなやり方をしたらどうかという考えが一つございます。それからまた、NHKに納めなければならない、契約をしなければならないではなくて、NHKに金を納めなければならないというふうにやったらどうかというような考え方があと半分にあるわけでございます。それで上二つ下二つのいろいろの組み合せ方があるわけでございますが、そのうちの主要なものについて申し上げますと、欧州各国等において行われている一番代表的な制度は、あらゆる受信設備をやったすべての人は国の許可をもらわなければならない、受信機設置の許可をもらわなければならないといたしまして、その許可を受けた者は年に幾ら幾ら払わなければならないという許可料の制度にすることでございます。そのやり方によりますと、大前提といたしまして、あらゆる受信機を設置した人は国の許可を得なければならないという新たな制度を起す必要があるわけでございます。日本におきましても、電波法が施行される以前におきましては、すなわち無線電信法の時代でございますが、当時におきましては受信機の設置も自由でなくて、すべて逓信大臣の許可を要するということになっておりました。それが電波法によって、受信設備の設置は自由であるということになって今日に至っておるわけでございます。この受信機設置の自由をもう一度昭和二十五年以前の状態に便して、国の許可にかからせるということは、国民の間に非常な抵抗があるのではなかろうか。現在そこまで制度を戻すということは、言うべくして行いがたいのではなかろうか、かように考えたことが、そのやり方についての一つの難点でございます。  それからもう一つ、そのやり方をやりますと、金は一応国庫の収入に全部なってしまうわけでございます。その国に入った金をNHKに対して交付してNHKの経営をまかなう、かような姿になるわけでございます。そういたしますと、いわばNHKは財政的には国のまるかかえという格好になるわけでございます。もちろん、イギリスのBBCのごときはそのやり方でやっておるわけでございますから、世界に例のない制度であるというようなことにはならないわけでございますけれども、わが国においてそのようなやり方をとることが、果して適当であるかどうかということにつきましては、まあ言論報道機関としてのNHKの自主性を努めて維持すべきであるという見地からしましても、いささか問題がある。かように考えまして、この制度はやはりこの際とるというところまで踏み切れなかったわけでございます。  それからもう一つのやり方といたしまして、NHKの放送を聞き得る設備をなした者あるいは受信機を設置した者はNHKに受信費を納めなければならない。契約をしなければならないというのではなくて、納めなければならないというところまで踏み切ったらどうか、こういうことも考えてみたわけでございます。かようにいたしますと、この場合には、納めなければならないと言い切っただけではNHKには金は入ってこないわけでございます。と申しますのは、受信機を設置した人は、自分が受信機を設置した、これははっきりしている。それから納めなければならないということもわかっている。しかし、取りにくるまでは納めないでほうっておけばいいということにこれは当然まあなると覚悟しなければならないわけでございます。そうしてNHK側としましては、どこに受信機ができたかということを知る手だてはない。従って、金を取りにいけないということになって、協会の財政ががたがたになるというおそれが考えられるわけであります。従いまして、納めなければならないという制度を作りました場合には、少くとも受信機を設置した人は、国または協会に届出をしなければならないということを、どうしても制度として組み立てなければならないわけでございます。そういうふうになりますと、先ほど申しました許可制度の場合と非常に似て参るわけでございまして、現在自由にその受信機を設置している者が届出をする。結局、許可をもらうと同じようなことになりまして、そこらあたりにもいろいろ問題がある。  それからさらに、法律的に申しますと、現在の二十二条は、契約を強制している。もちろん契約締結の強制になりますが、納めなければならないということにいたしますと、契約強制よりももう一だん強い、直接の負担が国民の上にかかって参るわけでございます。その点につきまして、法律的に果してそこまでやれるかどうかということも、もちろん疑問が相当ございました。また、このように納めなければならないとした場合に、その金というものは、法律的にいかなる性質のものであるかというようなことについても、なかなかむずかしい問題があったわけでございます。そういうようなことを考えまして、ただいま申し上げました、まあ代表的な二つのやり方は、いずれも現在のやり方に比べてまさるものだ、これならばよろしいというところまでどうしても踏み切れなかったというところでございます。さらに現在の……。

手島栄自由民主党

○委員長(手島栄君) 速記をとめて。    〔速記中止〕

手島栄自由民主党

○委員長(手島栄君) 速記を始めて。

荘宏郵政省電波監理局次長

○説明員(荘宏君) さらに、現在の制度そのものでございますが、確かに山田先生御指摘のようにいろいろ問題がございます。また、今後いろいろ問題が大きくなっていくであろうということも推察できるのではございますが、とにもかくにも、現在までのところは、わが国民の、何と申しますか、醇風美俗と申しますか、大へんな協力によりまして、とにもかくにも、一応円満に動いておる実情がございます。そこらあたりをいろいろ考え合せました結果、今回は一応改正提案を見送らしていただいた。なお、しかし、今後十分検討いたしたい、こういうわけでございます。

山田節男日本社会党

○山田節男君 今、荘次長から詳細に放送法の改正に受信料を入れなかった事情を承わったわけでありますが、私の憂えますのは、たとえば現在八十五円にラジオの聴取料が上げられたといたしますと、年間ラジオ、テレビで四千円受信料を払わなければならぬ。これを払わぬという者が十万できれば四億円、五十万とすれば二十二億円という財政収入というものがNHKにとりましては減るわけであります。しかし、今、荘君の言われましたようないきさつで、なかなかむずかしい。しかし、一面から非常に甘い考えと、また、変にNHKに官僚が、干渉するのじゃないかといわれるのをおそれて、今日未解決のままに見送られたたという事情はわかりますけれども、現実問題として、ラジオ、テレビの視聴者が今日二百万になんなんとする。テレビジョンを持っておる者は大体ラジオを持っておるわけでございますから、その十万人の者がNHKには、三十二条によって、放送料、受信料を納めぬ、見てないのだということになれば、それだけNHKとしては減収になることは確実であります。そういった場合に、今のような政府の態度だと、もし不幸にして、年間NHKとの解約者が五十万出た。二百万の聴取者の中に五十万の不払いという事実が起きた場合に、そうした場合に、一体NHKの財政、特にこれから五カ年計価という雄大な予算をここに、われわれにも示しておるわけでございます。そういうことがにっちもさっちもいかなくなった。いわゆるデッド・ロックにぶつかった場合に、今のような政府の思いやりといいますか、受信料に対するそういうような心がまえでいった場合に、さらにこれは、ラジオ、テレビジョンの受信料を上げて収支を償わなくてはならぬような場合に、やはり受信料値上げということを結果として、政府として認めなければならぬことになるのじゃないか。これは要するに、特にわれわれとしては、公共放送というものはあくまで堅実に、あくまで一種の、商業放送より国民の生活に密接に直結したいい放送をするのが、NHKをしてそういうふうにさすべきものだ、こういう建前からいいますというと、むしろ政府の思いやりがあだになるということを私は多分に憂えるわけです。これは大臣おられませんが、不幸にして、今私が予想しているようなNHKに対する受信料の不払いの者がふえた場合には、それによって生ずるNHKの財政的な危機というものに対しては、一体どういうようなことを政府の責任においてNHKにやらせるのか。私は少くとも今回の放送法で、こういう重大な問題を、今、荘次長が述べられたような事情があるにしろ、そういうことを見送りしたということによって起る問題は、やはり政府の責任だと思う。NHKよりは、むしろこの場合においては政府の責任だと思う。これは廣瀬政務次官なり濱田監理局長でもよろしゅうございますけれども、そういうことが不幸にして起きた場合に、再び受信料を値上げしなくちゃならぬということになるのです。こういう場合に政府は一体どうするつもりですか。

廣瀬正雄自由民主党郵政政務次官

○政府委員(廣瀬正雄君) 受信料の問題につきましては、先ほど来荘次長が御説明申し上げましたように、免許料でもいけない、税金でもいけないと、そういうような公的な方法によって徴収するというような方法はよろしくないということで、結局、受信機を設備する、その契約によって、対価として受信料をおいただきまするというようなことしか現在考えられません。しかしこれは、将来の根本的な大きな課題でありますことは、たびたび私が申す通りなんでございまして、こういう問題は大いに検討して参りたいと思っておりますが、しからば、今回八十五円に値上げいたして、さような受信料の性格からして、徴収不能のものがだんだんふえてきたときはどうするか。私どもといたしましては、もう八十五円というのがここ当分最終的な値上げの料金であると、かように考えておりますので、これ以上絶対に受信料の値上げには私どもは同調できないと思っておりますわけでございますが、そこで、だんだんさような徴収に応じないというような者ができた場合どうするかということになって参りますが、私どもといたしましては、NHKの公共放送としましての使命を十分果してもらって、つまり良質にして豊かな放送を、そうして文化のかおり商い放送、さようなNHKの本来の使命を十分果してもらいまして、皆が喜んでNHKの放送を聴取するというようなことにNHKの御努力を願わなくちゃならぬとともに、受信料の徴収につきましては、三十二条でございますかの制度を十分聴取者に御理解いただきまして、従来同様、あるいは従来に増しまして聴取率を上げていただきたいと、かように考えておるのでございまして、さしあたり、最悪の場合の予想というようなことにつきましては、具体的に考えておりませんが、NHKが公共の使命といたしまして、りっぱな放送をやってくれ、NHKらしいあり方で進んでもらえますならば、さような不幸な事態は発生せずして済みやせぬかと、かように考えておる次第でございます。

山田節男日本社会党

○山田節男君 最後にNHKの当局者にちょっと私確かめておきたいと思うのですが、従来、NHKは自発的に放送番組の審議会を持っておるわけであります。国際放送においてもそういう番組の審議機関を持っておるわけです。私、第三十国会で参考人を呼んだ場合に、特に私は、NHKの国際番組の審議をやっておる人も来てもらっていろいろ意見を聞いたのでありますが、その方は相当国際的な、いわゆる国際人であって、国際知識の深い有名な人であるにもかかわらず、放送法というものに対しての、あるいは番組というものに対する認識が、わずか数分間の質疑応答においても疑わざるを得ない。このことは何を意味するかというと、少くとも、今日まで公共放送の建前で番組審議機関というものを持っておる。しかし、その番組審議機関というものが、十名なら十名の人が、全員でないかもしれませんけれども、少くとも数年間そこの番組審議機関の審議をしておれば、国際放送の番組はどうあるべきかという相当の私は識見を持っておるべきだと思う。それがないところを見ると、実際、名義はそういう番組の審議会がありますけれども、実際上においてはあまり、これを利用していないのじゃないかという私は疑いを実は持つわけです。今回放送法の改正によって、番組審議会が法制化される。法制化された審議会というものは、この法案にも示しておるように、非常な権限を持ち、いわゆる第三条による、法律によって一つの番組に対して干渉もできる、是正できるという権能も持つわけでありますから、法制化された番組審議会が、公共放送並びに商業放送において有効に法的根拠に基いてこれが実施されないと、この番組の適正向上化ということは画餅に帰する憂いが多分にあるわけです。  そこで、NHKとしては、この法律によれば、中央番組審議会、地方番組審議会それにまた国際放送については国際放送の番組審議機関というものを作るわけでありますけれども、これは今後の話でありますが、この法制化された番組審議機関の委員の選定というものについて、私は従来の経験から見て、新たな責任ある番組審議委員を選定しなくちゃならぬと思うのですが、NHKにおいては、従来の番組の編成についての審議機関を私は利用されたごとではあると思いますが、結果において私はそういう疑わざるを得ないような実は現状にぶつかったわけであります。まあ法制化された後の番組審議会の委員の選定というものについて、単なる学識経験というのじゃなくて、どういうような構想でもってやろうとしておられるか。それからこの番組審議会のうち、国内放送の番組ということになれば、これは私はあらゆる分野から人を選ばなくちゃいかぬ。実業家あるいは金融家あるいは官吏、いろいろな人、あるいは労働組合のいわゆる組織労働者の代表、いろいろな私は網羅する範囲があると思うのですが、こういう方面について何かの基準を定めてやられるのかどうか、この点を一つ念のためにお伺いしたいと思います。  それから、なお、中央審議会の番組審議機関でありますが、これは現在の中央放送局の所管地域を、これを範囲として中央番組審議会を作るのか、あるいは過日民間放送、民放連からの要求がありましたように、そうでなくて、地域的にある統合した広い範囲を単位として番組審議機関を作らしてくれ、こういう要望があるのですが、NHKとして、中央の番組審議機関の何といいますか、区域というものをどういう範囲にきめるおつもりなのか、この点を承わっておきたいと思います。

前田義徳日本放送協会理事

○参考人(前田義徳君) 番組審議会の委員をお願いする件並びにその運営、国内放送並びに国際放送にわたって、従来は法律上の、法制上のものではなくして、これはもう山田先生の御承知の通り、定款二十八条に従って会長の諮問機関として実はお願いして参ったわけでございます。で、国内放送につきましては、この番組審議会は、その後、おととしの十一月にさらに拡大強化いたしまして、現在では四十二名になっております。ただいま、私どもの考え方からは、一人欠員がおりまして、実数は四十一名でございます。番組審議会を最初に作りましたのは、現行放送法が制定されるのに基いて、それを定款二十八条によってはっきり作り上げるという精神で作りましたもので、最初は昭和二十五年の十月、十二名をもって発足いたしました。その後テレビジョン放送が始まりましたので、昭和二十八年の一月にテレビジョン部門の審議委員を加えまして、その総数を十九名にいたしております。さらに昭和三十一年にはこれを二十一名にいたしまして、そして先ほど申し上げましたように、昭和三十二年の十一月に四十二名に増員した次第でございます。  この四十二名に増員された方々は、会の運営といたしましては、従来は会長の諮問機関として会長がこれを招集し、会長がこの番組審議会に諮問事項を出すことにいたしておりましたが、三十一年の十一月以来、私どもは、これをもっと放送番組審議会そのものに権威を与えて、自由に御審議願うことが、放送番組の改善により必要であるという考え方に立ちまして、放送番組審議会を三つの部会に分けました。これは報道、教育、芸能の三部会でございます。そして番組審議委員会の委員長が随時審議会を招集する。また各部会の部会長は同時に審議委員会の副委員長になっておりまして、部会も部会長の発意に基いて随時必要に応じて招集していただくという自主的な運営を番組審議会にお願いすることにいたしました。もちろん、番組審議会は、関係事務の処理のための部門を持っておりませんので、一切の庶務的事務はNHKの編成局がこれをお引き受けするという建前にいたしました。さらに、番組審議会ができ上った当時は、単に会長が諮問するという諮問事項の提示にとどまったのでございますが、三十二年の十一月以降は、今申し上げたように運営の基本方針を変えると同時に、会長が単に諮問するだけでなく、番組審議会が自発的に編成上の、あるいは番組内容についての重大な問題については、私ども、いわゆるNHKの執行機関、会長を通じての執行機関に対して勧告または建議をさしていただく、そして諮問された事柄あるいは勧告をいただいたこと、あるいは建議をいただいたごとの処理については、はっきりとその処理方法、どういうふうに処理したかということを番組審議会に御報告申し上げるという自律的責任をNHKが負うことにいたしました。  御承知のように国内放送につきましては、放送法の制定以前からNHKは放送準則を定めておりまして、ことに放送法制定以後は、放送法の第一条の自律を基礎とするという建前をさらに強化いたしまして、その準則に従ってあらゆる放送番組の製作あるいは基本方針の決定を行う、あるいは実施をいたすという方向をとつておるわけでございますが、この放送準則の監視についても、放送番組審議会に自律的にやっていただくという態度を三十二年の十一月以来とって参っているわけでございます。国際放送につきましては、従来国際放送に関する放送準則という独立のものはございませんでしたが、放送番組審議会は、国内放送番組審議会と別の建前で放送番組審議会委員をお願い申し上げており、これはその時によって委員の数が異なるようなことがございましたが、大体十五名ないし十六名をお願いしております。国内放送審議会の委員は、先ほど申し上げましたように三部会にわたるという意味で、それら各界の権威者、良識者あるいは教育、報道、芸能、その他に関係して実務のうんちくを持っておられる方に委嘱申し上げ、そして委嘱する方法は、局内的には各局からそれぞれ適当と思われる候補者を選定しまして、それを理事会において検討し、さらに経営委員会において承認を経るという手続をとってきて参っております。国際放送におきましても、大体事務当局である国際局が候補者の原案を作りまして、そしてこれを理事会で慎重に検討し、さらに経営委員会においてこれを御承認いただくという自律的な方法をとって今日に至っております。国内放送の番組審議会の開催につきましては、総会部会をあわせて、およそ各月に一回の会議があるというのが実情でございます。ただ、四十二名を総員とする総会の開催につきましては、いろいろ御多忙の方もおられ、必要な方の御出席を常に確保することは事実上困難でありますので、現在まで実施いたしましたのは、年に三回ないし四回でございます。しかし総会の間に各部会の会合が行われておりますので、実質的には、私どもといたしましては、きわめてひんぱんに自主的にこれらの会議を開いていただいておると、こう考えております。国際放送番組審議会につきましても、同じようなやり方をしておりますが、ただ国際放送番組審議会は総会ばかりでございまして、今までのところ、部会的な会合を開いたことはございません。ただ二、三の審議委員の方々が、ほとんど常時NHKの国際局あるいは国際局長の要望によっておいでを願い、あるいは自発的においで下さって、それぞれの問題について御意見を述べていただき、また実施した放送の結果をお持ち下さって、あのやり方には多少の疑問があるというような御意見を直接述べていただく。それによって放送の内容を改善していくという措置をとってきております。そういう意味では、正式会合は国内放送審議会に比べて国際放送審議会の回数は少いのでございますが、実質的にはいずれの番組審議会も、それぞれ日常業務と関連いたしまして、私どもにいろいろ御示唆をいただく機会を与えられておることを、私どもはむしろ非常に感謝いたしておる次第でございます。  それから、第二点のこういう放送番組審議会が、今御審議中の改正法案が成立されますと、これは法制上の制度になるわけでございます。この制度の運営につきましては、私どももすでに検討を開始いたしております。まず国際放送について申し上げますと、これを機会に国際放送に関しましても放送準則を作りたいと思っております。そうして新たに従来の見地とは違った建前で、一そう広般に適当な審議委員を得るよう努力いたしたいと考えて準備中でございます。それからまた、国内放送の番組審議会につきましても、放送準則は先ほど御説明申し上げましたように、従来長くございますが、この機会にこの内容を再検討すると同時に、従来お願い申し上げておる四十二名の放送番組審議委員につきましても再検討いたしまして、これを中央の放送番組審議会に改編、それから充実させて参りたいと、こう考えております。  国内放送の中央放送番組審議会と地方番組審議会の問題につきましては、従来地方番組審議会はNHKの放送を行政的な規定に従いまして、各中央局に放送番組審議会がございましたし、またそのほか一種局、――NHK的呼び方をお許し願えるならば、一種局にも放送番組審議会を持っておりまして、三種局でもすべて持っておりましたが、放送法の改正が成就いたしますと、これをかなり整頓いたしまして、私どもの現在の考え方といたしましては、中央局を中心としてその地域全体を包含する強力な放送番組審議会の地方体系を打ち立てたいと考えております。従来の考え方によりますと、中央審議会的な東京の番組審議会は、会長直接の諮問機関でございましたが、放送法の改正案が成立された場合には、私どもの考え方は、地方番組審議会も直接に機構としては会長の諮問機関でなければならないという考え方を持っております。ただ審議の目標が、中央審議会では全国的な視野に立って御審議をお願い申し上げるのに対して、地方審議会は、先ほども申し上げた、地域内の、地域社会に直結する目標をもって審議をお願いいたしたい、かように考えております。  最後に全般的な結論として申し上げますと、私どもが予備的に検討を開始しておる人選の範囲につきましては、階級、職業、その他特殊性を中心としてこれを選ぶという考え方はまだ固まっておりません。私どもは、いかなる職業、いかなる立場におられても、NHKの放送を審議する委員として適当な方がおれば、いわゆるその方の御経験と御良識と、そういうことを中心にして審議委員をお上願いいたしたい、こう考えております。

山田節男日本社会党

○山田節男君 その最後の点ですがね。経営委員会の任命ということについても私はかねてだいぶ前から申し上げておるのですけれども、ましてや、公共企業体としての経営委員会においては、今日千五百万の組織労働という者がある。これは総評、全労、すべてそれが赤いとか赤くないとかいうことではなくて、組織労働の勤労者のやはり声を取り入れる、これは公共企業体としての経営にも入れるべきだと思う。ましてや番組の編成ということに対する審議については、今、前田理事も最後に言われたこと、これは抽象的でありますけれども、やはり今日のこの千五百万という組織労働の代表の6つとりっぱな人を選んで、そこから入れることが絶対必要だと思う。この従来の例から見ましても、審議会の委員になる人は、なるほど学識識見のある人であります。それは学者であり、あるいは評論家であり、個人としての学識、達識な人だということも基準になりますけれども、しかし、他の多くの審議会を見ますと、やはり団体の代表者が多いわけです。そういうような点から見ても、私は、法制化される番組審議会になれば、千五百万の組織労働者の意思を代表する者を参加させることは、特に中央、地方においても私は絶対必要なことではないか。従来、どうも労働組合関係の者は思想が赤い、社会主義者だ、あるいは共産主義者だというような目をもって見ていくのでありますけれども、しかし、これは非常に狭い見解であります。天下の公器を運営するに当りましては、普通の事業の経営においても、ドイツのごときは共同決定権で労働組合の代表を入れる。まして、こういう文化機関については漏れなくいわゆる各界の人を網羅するという点におきましては、私は、今回のこの放送法の改正によって番組審議会を法制化されるということになれば、特に公共放送の建前としては、絶対的な条件として、私は委員の選出、選択というものには十分御考慮願わるべきだと思うのです。これは郵政省としても、従来非常に狭い見解を労働組合について持っておられた。しかし、これは私は、むしろそういうことをしないことによって、労働組合組織、労働組合主義というものをかえってひがますので、進んでそういう者を参加させるというのが民主的な寛容な態度である。この番組審議会の編成に当りましては、少くとも政府、郵政省としては、そういう点も十分一つ意を用いていただきたいということを私は強く要望しておきます。  それでは、もう一つお尋ねしますが、この今までずっといろいろ私御質問を申し上げたことでありますが、これに関連して、最近私、岸総理並びに大臣に申し上げましたように、民間放送が非常な経済的、金融的な一つの勢力となっている。そうして商業放送の、これはどこでも、ことにアメリカにおきまして、商業放送で問題になっておることは、商業放送の広告の過剰ということです。いわゆるエクセッスィヴ・アドバタイズ、民間放送になってくると、とにかく写る映像のパーセンテージは広告が多過ぎる、それから広告がどぎつすぎる、こういう非難も出ておる。こういう点につきましては、ああいう相当自主的な訓練を経たアメリカにおきましても、過度のいわゆる広告については非常に困っておる問題です。このことは、商業放送の建前と、それからこれこそ政府が国民の一般視聴者を保護するために監督というか、規制を加えなければならぬ。これはまた、視聴者が三百万、五百万になりますと、大きな社会問題となると思います。こういうことが今回の放送法の改正については全然うたわれてもいなければ、そういうことについての深い認識があるかどうかということを疑われるくらい、今日までの質疑応答を通じまして、これは法律にはありませんけれども、たとえば三十分間のテレビあるいはラジオの放送において、その何パーセント以上を広告にしちやいかぬ、あるいは広告にする時間のパーセントのみならず、映画の映像の演出中に、いわゆる広告の出し工合によっては、これまたアメリカのように科学の進んだ国においては社会問題になっておりますが、光学的な、目の神経に悪い結果を来たすと、テレビジョンの視聴者に対する医学的な弊害というものがここに大きな社会問題となっていると思うのです。これは私はあえて法の規制をもってどうのこうのとは申し上げませんけれども、少くとも行政的に見て、今日二百万、やがて五百万に達する多数の国民の視聴者というものの衛生といいますか、健康から見ても、今のような商業放送の広告の仕方がいいか悪いか、これは大きな問題だと思います。幸いまだ日本としてはそれまでの世論が出ておりませんが、やがてこれは問題になってくると思います。商業放送の、ことにテレビジョンにおきまする過度の広告というものを規制するということが私は必要だと思うのです。これは決して民主主義に反するのではないのであります。公共の利益、衛生を守るという立場から絶対に必要だと思うのですが、これに対して郵政当局は、この問題に対して検討したことがあるのかどうか、また、これについて省令なり規則をもって民間放送に対するそういう不健康な演出というか、プロダクションを規制するというようなそういう御意図があるかどうかということを私は最後に承わっておきたい。

廣瀬正雄自由民主党郵政政務次官

○政府委員(廣瀬正雄君) 広告につきましては、御指摘のように、わずかに教育放送につきまして、教育効果を阻害してはならないということがうたってあるだけでございまして、他は全然今回の法律案にはうたっていないわけでございます。しかし、私どもといたしましては、教育、教養番組、報道番組、娯楽番組といったようなものが、立場を保ったものでなくちゃならないというようなことを考えておりますとともに、広告につきましても、同様に考慮しておるわけでありまして、そういうことにつきましては、番組の基準で適当な規制をやってもらいたいと思っておりますし、また実際の放送につきまして、新しくできます番組審議会が良識によって過当な広告というものを阻止するというようなことで、ただいま御指摘のようなことのないようなことを期待いたしておるわけでございます。

山田節男日本社会党

○山田節男君 私は非常に意外に思うのですが、少くともこれは、むしろ厚生省というよりも郵政省だと私は思うのですが、今申し上げたようにテレビジョンの映像が目を通じ、従って神経という、むしろ衛生的に非常に弊害があるということが、これは数年前からアメリカでは医学界の大問題になっております。日本はまだそういうことはないということを言われるかもしれませんけれども、しかしこれは日本に必ず起きてくる問題だと思う。私は何も強制的には申し上げませんけれども、少くとも、将来を考えれば、郵政省が電波関係からそういう特殊な科学者とか心理学者と申しますか、そういうような人を嘱託しまして、こういうテレビジョンの視聴衛生という面から、これは私はやはり放送行政の建前から、今からそういうものを研究するとか、そういうデータをもって民間放送の過度の広告による、あるいは演出者のよしあしというものを、これによって一つの規制を加えるというためにも、そういうものが私は必要だと思う。すでに私はその時期に来ていると思う。こういうことに対して全然関心がないということは、私は少しこれは……。決してこれは民間放送自体でやるべきことではない、国家がやるべきである。日本でもそういうものに関心を持った医学者、心理学者がいるわけです。そういう人に委嘱して、事前にそういうようないい意味の規制を私は考えるべきじゃないか、そういうつもりはないというように私は政務次官のお言葉で了解するのです。どうでしょう。実際問題として、郵政省もっと慎重に私は考えるべきものだと思う。予算に制約されるという問題以上にこれは至要な問題だと思う。いかがでしょう。

濱田成徳郵政省電波監理局長

○政府委員(濱田成徳君) 山田委員の御懸念は、まことに私も同感に思うものでございます。しかし、私どもの考え方といたしましては、秘結の最大の批判者は国民であるという判断でございまして、ある人が、テレビジョンが盛んになってきましたとき、一億総白痴化ということを申しました。非常に心配されましたが、私は一億総評論家になることが最も理想であります。そのために私どもは、いろいろな機会を通じて宣伝、普及等をしたい、そういう念願でおるのでございます。  つきまして、過剰広告の問題でございますが、私がただいま申しましたような次第で、案外国民は利口であります。スイッチをひねって聞かない、見ないということで、私は抑制すると考えておるのであります。今思い出しますが、終戦後、日本で卑猥な書物がたくさん出てきて非常に心配になりました。どうなるかと思っておりますと、大衆は案外英和を持っておりまして、だんだんそういうものは売れなくなってきたということもあります。私は楽観論でありませんけれども、非常に低俗な番組あるいは過剰な広告は、スイッチをひねっても見なくなるだろうということを従来考えておりました。しかし、ただいま山田委員の御注意、御態念もありますので、何とかそういう方面につきましても研究を進めまして、対策等を考究して参りたいと思っております。

山田節男日本社会党

○山田節男君 今の横田局長のは、番組の過当広告ということについての御答弁であって、私の最後に御質問申し上げた点は、いわゆるテレビジョンの視聴衛生といいますか、そういう点から政府が考慮する必要があるのじゃないかという点、番組の過当についてはもっともな御意見でありますが、視聴者の衛生といいますか、いわゆる光学的に、あるいは神経心理的にこれは重なりますというと、非常に国民の健康上ゆゆしき問題になってくる。現にある。これに対する対策を政府として特に考えておく必要があるんじゃないかということを御質問申し上げたのです。

濱田成徳郵政省電波監理局長

○政府委員(濱田成徳君) 番組の心理的な、あるいは衛生的な効果につきましては、山田委員が仰せられますように、私も必要だと考えております。特に、将来カラー・テレビジョンになりますと、なおさら子供に対する影響だとか、いろいろございまして、やはり衛生学的にも番組の効果等を考える必要が起るだろうと思いますので、何かいい方法を講じたいと存じております。

山田節男日本社会党

○山田節男君 これで終ります。

鈴木強日本社会党

○鈴木強君 大へん恐縮ですが、資料を二つばかり出していただきたいので、委員長を通じてお願いしたいと思います。それは協会に対してですが、一つは国際放送の各国における受信の状況でございますね。特に波長一つにした方向に対するものを、できれば詳しくお調べになっておりましたら出していただきたい。  もう一つは、これはまだおわかりになっているかどうかわかりませんが、とかくNHKが薄謝協会といわれておるのですが、民放と比べてまあ相当出演者を呼ぶ場合に苦労されていると思うのです。今後は料金改定を契機に多少はそういうものを改定する御意思があるのかどうなのか。ここで時間をとってもあれですから、もし、できるならば、一つ明日か、この次の機会に質問する参考にしたいと思いますから、そういう改定の意思がありましたらその基準、そういうものがございましたら、一つ出していただきたいと思うのですが、これ委員長の方から一つ。

森中守義日本社会党

○森中守義君 さっきの山田委員の質問に対する国際放送の費用負担の問題について、政務次官と荘君の御答弁がどうも私は少し詭弁じゃないかというように思われるんです。なぜかといえば、国際放送の実施命令というのが三十三条にある。この実施命令の三十三条以外でNHKは国際放送ができますか。私は、この三一三条以外には国際放送はできない。従ってこの三十三条に対して三十五条は費用負担を義務づけておる。にもかかわらず、政務次官と荘次長は、三十九条を引き合いに出して、ここで九条の一項、二項に掲げる業務の遂行以外の目的に支出してはならないとあるから、これは当然日本放送協会は支出し得るという解釈をお持ちのようです。しかし、三十九条の解釈を他との関連なしに考える場合にはそれは成り立つ。しかし国際放送の実施命令、この三十三条によるならば、あくまでも三十五条がこれに対する関連条項として生きてこなければ、国際放送はでき得ません。もとより、総則にいう五条に一般的な国際放送をうたっておりますが、こういうようなことは、日本の放送協会以外には国際放送ができないというのを規定しておるのであります。その規定によって三十三条の実施命令を発しておる。この実施命令以外に日本放送協会は放送ができますか。これを実は鈴木委員あるいは山田委員あるいは新谷委員も、その点に言及したようですが、先刻の政務次官と荘君の答弁からいえば、両建でできるということを意味しておる。しかしこの九条の一項の二号を見た場合に、「国際放送を行うため、放送局を設置し、維持し、及び運用し、又は政府の」云々、こうなっておる。ここで施設の確保、施設の運営を表現しておる。一切がっさい国際放送に必要な経費全体をさしておるんじゃない。国際放送にはプログラムの編集も要りましょう。あるいは解説者を招致する必要もある。そういう費用までも九条の一項二号は指定しているとは思いません。だからして、私はあくまでも三十三条の実施命令以外はNHKは国際放送をなし得ない。勢い三十五条が国の負担という義務を課しております。当然、日本放送協会に行わしむる国際放送に対しては、政府が金額負担でなければこの条文は価値がないと、こういうように私は思う。しかるに先刻の答弁はそうでなくて、政府も金を出すが、NHKも出していいのだと、こういったような答弁のように私は聞き取れました。これは根本的にこの条文の解釈を政務次官と荘君は誤っておいでになる。私はこう思う。どうです。

廣瀬正雄自由民主党郵政政務次官

○政府委員(廣瀬正雄君) 私は、第九条の解釈によりまして、その他の条文もいろいろございますが、NHKは本来的に国際放送ができるという考えと、それからまた、他面、NHKに対しまして政府が国際放送の実施を命令することができると、かような二本建でいけるものだと、かように解釈しておりますが、詳しい法律的な解釈につきましては荘君から答弁いたさせることにいたします。

荘宏郵政省電波監理局次長

○説明員(荘宏君) 私も、ただいま政務次官が御答弁申し上げました通りに考えております。すなわち、現在の放送法第九条の、協会はこういう業務を行うと書いてございまして、その中に協会の行う業務を羅列しておるわけでございます。そして、その中に国際放送もやれるということが書いてございます。ただいま森中先生の御指摘の九条一項二号は確かに「放送局を設置し、維持し、及び運用し、」云々となっておりまして、番組を作るというようなことは、この中に入っていないではないかという点が問題になりますが、この書き方は、一号前の国内放送のところの書き方も全く同様でございまして、「全国的及び地方的放送を行うため、放送局を設置し、維持し、及び運用すること。」と、かようになっております。従いまして、国内放送と国際放送とを一号、二号、形をそろえて書いており、さらに次の号へいきまして番組の関係、それを書いておるということでございますので、特別、国際放送について国内放送と違った書き方をしているものではないと、かように考えます。  それから、命令に関します第三十三条でございますが、この条文がない場合には、NHKはこの九条及びそれに関して金を出せるという三十九条の規定によって、NHKの独自でどんどんやれるというだけのことでございます。これに対して三十三条があることによって、初めて郵政大臣はNHKという国家以外の事業体に対してある特定の仕事をやらすことができるということになるのでございまして、三十三条によって郵政大臣にある力を与えたというのが、この条文のいわれである、かように解します。ただし、郵政大臣は勝手に命令はできない。その金を裏づけなければいけない。しかもその裏づけをする金というものは、予算にして成立している範囲の中であるということがあとの条文にある。こういう構造になっていると考えます。

森中守義日本社会党

○森中守義君 非常に今の荘次長の御説明といい、政務次官の説明といい、もう少し私は法制局なり何なりを呼んで、この条文については正確を期する必要があります。私はどうしてもそういう説明は承知できない。この条文から解釈してもですね、また実態として、郵政省の見解のもとに日本放送協会に国際放送を行わしめておるとするならば、これはまた相当重大な問題です。なぜかというならば、この一般の総則の五条で、もとよりこの条文は非常に消極的ですが、「国際親善を害するものであってはならない。」という、こういう字句は私は表現としてもおかしいと思う。およそ、進んで国際親善に利すというのが国際放送の目的でなければならぬので、この五条の書き方そのものにもいささかどうかと思う点がありますが、問題は、この一般総則を受けて国際放送がなし得るという事項は三十三条の実施命令以外にはない。どこにもそういう条文はない。従って荘君の言われる解釈は、この三十三条の実施命令に対する拡大解釈というよりも、他にいずれかの条文があるならばともかく、一つの想像なりあるいは認識による勝手な国際放送に対する解釈だ、こういうことが私は成り立つと思う。三十三条以外に国際放送をなし得ますか。私は、どういう形で郵政大臣が政府を代表して日本放送協会に命令を出しておるか、その内容はここでは論議しない。私も知っておるから、それは言いませんが、少くとも、国際放送の実施の可能性、実施の権限というものは、三十三条の実施命令以外には発見できない。勢いこの三十三条によっての国際放送であるならば、三十五条の国が経費を負担するという条項がそのまま背景として、表裏一体として成立をしなければ、国際放送は成り立たない、私はこう思う。大臣だいぶお調べのようですが、あなたどう思いますか。

寺尾豊自由民主党郵政大臣

○国務大臣(寺尾豊君) これはやはり、私も法律についてはさっぱりずぶのしろうとでありますが、この九条というものは、第一項の一号において国内放送を示し、二号において国際放送を示しているので、条文の書き方については確かに何かはっきりした書き方ではないけれども、同じように、国内放送、国際放送、同じ形で同じ表現で示してあるということにおいて、国際放送はやはり九条一項二号において規定してある。要するに協会自身がやる国際放送というものを規定してある。左の放送を行うことができるということによって、NHK自身国際放送ができるのだと、こういう解釈を私はいたしておりますが、ただ、法的根拠はどうだ、法制局長に聞けということであれば、さっそく一つ聞きまして、十分検討いたしてみたいと思います。

森中守義日本社会党

○森中守義君 これは重要だから、ぜひ法制局長あたりの意見を徴する必要がありますよ。そうしたいと思う。しかし、今大臣も政務次官あるいは荘次長と同じような御所見のようですが、九条の一項二号、これは固定した施設を確保する、ないしは固定した施設を運用する、こういうことを言っておる。それじゃそのあとはどういうことになるのか。つまり動的に、番組を編集する、あるいは運用にかけるにはどうするかというのは、これは三十三条だ。九条の一項一号、二号、いずれも園内放送、国際放送の施設を確保し、施設を運用し、維持するのだ、そういう固定した施設を動かして放送するにはどうするかということが、国際放送の場合には実施命令なんだ。あくまでも施設の運用であり確保であり維持なんですよ。これは放送そのものをここにうたっているのじゃない。

寺尾豊自由民主党郵政大臣

○国務大臣(寺尾豊君) これは森中先生、「国際放送を行うため放送局を設置し、」と、こうありますね。「設置し」ということは、NHKがいわゆる九条に「第七条の目的を達成するため、左の業務を行う。」、そうすると国際放送を行うところの放送局を設置するということが、業務として行う、こうなると、やはりNHKがやることじゃないでしょうか。

森中守義日本社会党

○森中守義君 それで、「行う」というのは、NHK以外には行い得ないのだから、それはその通りですよ。行うには何によって行うのか、それが三十三条だと、こう言うのです。

手島栄自由民主党

○委員長(手島栄君) 速記をとめて。    〔速記中止〕

手島栄自由民主党

○委員長(手島栄君) 速記をつけて。  ほかに御発言もなければ、本案に対する質疑は本日のところこの程度にとどめておきます。  これにて散会いたします。    午後五時二分散会

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