P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
31回国会参議院1959/02/27

大蔵委員会 第11号

発言数
77
登壇者
10
会派数
3
開催日
1959/02/27

会議録

加藤正人緑風会

○委員長(加藤正人君) ただいまから委員会を開きます。  まず、委員の変更について御報告いたします。本日梶原茂嘉君及び前田久吉君が辞任されまして、その補欠として近藤鶴代君及び杉山昌作君が選任されました。   —————————————

加藤正人緑風会

○委員長(加藤正人君) ほどなく大田が出席されますので、ちょっと順序を変えまして、最初に、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とパキスタンとの間の条約の実施に伴う所得税法の特例等に関する法律案を議題とし、提案理由の趣旨説明及び補足説明を聴取いたします。

佐野廣自由民主党大蔵政務次官

○政府委員(佐野廣君) ただいま議題となりました所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とパキスタンとの間の条約の実施に伴う所得税法の特例等に関する法律案について、提案の理由及びその内容を御説明いたします。  政府は、今回パキスタンとの間に所得税及び法人税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための条約を締結し、その批准について承認を求めるため、別途御審議を願っているのでありますが、この条約に規定されている事項のうち、特に法律の規定を要すると認められるものについて所要の立法措置を講ずるため、ここにこの法律案を提出することとした次第であります。  以下この法律案の内容について申し上げます。  まず第一に、配当所得に対する所得税法の特例を定めることとしております。すなわち、外国法人の配当所得に対する課税の税率は、わが国の所得税法では二〇%になっておりますが、今回の条約によりますと、パキスタン側の譲歩により、配当所得に対する課税を相互的に軽減することとしており、日本の法人の議決権のある株式の三分の一以上を一または二以上のパキスタンの法人が所有ししいる場合には、そのパキスタンの法人で日本国内に恒々的施設を有しないものが支払いを受ける配当所得に対する税率は一五%をこえないこととしておりますので、条約の適用のある場合には、パキスタンの法人が支払いを受ける配当に対する所得税の税率を条約のある他国との例にならい一五%と定めることとしておるのであります。なお、パキスタンの国内法では、非居住者の受ける配当所得に対する課税の税率は、原則として二五%でございますが、今回の条約により、一定の条件に該当する日本の法人が特定のパキスタンの法人から支払いを受ける配当所得に対する税率は、六・二五%軽減されることとなっております。  第二に、パキスタンの租税の徴収につき必要な事項を定めることとしております。今回の条約によりますと、租税条約によって認められる軽減その他の特典がこれを受ける権利のない者によって享有されることがないようにするために、日パ両国は相互に相手国の所得税または法人税を徴収することができることになっておりますので、これに基き、わが国におけるパキスタン税額の徴収は、パキスタン政府からの嘱託に基き、国税徴収の例によって行うこととする等、所要の規定を設けることとしているのでございます。  最後に、今回の条約の実施に関して必要な手続その他の事項は、条約の規定の趣旨に従い、大蔵省令でこれを定めることとしておるのであります。  何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成下さいますようお願いいたします。

加藤正人緑風会

○委員長(加藤正人君) 塩崎税制第一課長に補足説明を願います。

塩崎潤大蔵省主税局税制第一課長

○説明員(塩崎潤君) ただいま提案理由説明の行われました、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とパキスタンとの間の条約の実施に伴う所得税法の特例等に関する法律案につきまして、補足説明を申し上げます。  御存じの通りに、わが国が租税の二重課税の防止のための条約といたしまして締結いたしておりますものは、すでに二つございます。一つは、日米租税条約でございます。もう一つは、日本とスエーデンとの間の租税条約でございます。最近におきまして、経済協力が東南アジア諸国との間に密接になりまして、東南アジア諸国との間の租税協定が要望されてきたわけでございますが、その一環といたしまして、まず最初に、パキスタンとの間に租税条約を結ぶことが今回でき上った次第でございます。  この法律は、別途外務委員会に付託されますところの条約に基きまして法律案を作ろうとするものでございます。内容は、ただいまの提案理由説明にありましたように、三点ばかりでございます。  第一は、配当課税の特例でございます。これも提案理由にございましたが、御承知の通り、パキスタンは現在非常な勢いをもちまして国内の経済開発に努力しておるわけでございます。そのために外国からの経済援助を期待しておるわけでございますが、わが国との経済協力も今後期待される状況にかんがみまして、パキスタンにおきましては、租税について経済協力を阻害することのないように特例を設けることに、条約において同意しておるわけでございます。その内容は、日本の公開会社でありますところの法人が、パキスタンの法人の議決権の三分の一以上を持ちます場合に受けますところの配当につきましては、その税率二五%を六・二五%軽減いたしまして、一八・七五%にしようとしております。この規定につきましては、三つばかり条件がございまして、先ほど申し上げました公開会社であること、それから産業的事業に従事するところのパキスタンの法人でなければならないという条件がついております。もう一つは、先ほど申し上げました議決権の三分の一以上、こういうふうになっておりますが、こういう条件を満たしております法人に日本の法人が投資いたしまして、議決権の三分の一を持った場合には、その配当に対しまするところの税率が、二五%の四分の一の六・二五%軽減される、こういうふうになっております。そこで、これに対しまして、御承知の通りに、租税協定はおおむね相互条件的でございますので、日本の方におきましても、パキスタンの法人が、一または二以上のパキスタン法人で、日本の法人の議決権の三分の一を持ちます場合には、その受けますところの配当について、日本の税率は二〇%でございますが、これを四分の一の五%を下げ、一五%をこえないことをするという条約を設けようとしておる次第でございます。  そこで、条約におきましては、最高限を定めておるだけでございますので、これは国内法におきまして何らか規定する必要があることになります。わが国がすでに結んでおりますところのスエーデンとの条約、あるいはアメリカとの条約におきまして、最高限を一五%といたしております場合の法律の規定は、いずれも一五%といたしておりますので、これの例にならいまして一五%にしよう、こういうふうにするものでございます。  なお、パキスタンとの間におきましての租税条約では、配当のみならず、ロイアリティ、利子につきましても、パキスタン側におきますところの経済開発の実態に応じまして、相互条件的に、二重課税防止あるいは有利な条件が定められております。ロイアリティにつきましては相互免税でございます。利子につきましては、政府が貸し付ける貸付金の利子、あるいは政府金融機関の貸し付けております利子につきましては、相互に免税いたそう、こういうふうになっております。  第二点は、徴収共助の規定でございます。これも租税条約には一般的に設けられておるところでありまして、パキスタン側から嘱託を受けましたパキスタンの租税につきまして、国税徴収の例にならいまして、日本国側で徴収しようとするものでございます。なお、この租税はどんな租税であってもいいというものではございません。この条約によりまして種々の軽減免除を受ける権利のない者が、偽わりまして軽減免除の規定の適用を受けたことがあとでわかったような場合、そういう場合の税金をあとで取り返す場合に徴収共助をする、こういうふうな規定でございます。これを国税徴収の例によって徴収するということを法律によって設けようとするものでございます。パキスタン側にも同様な規定が設けられております。  なお、第三点といたしましては、実施手続を法律によりまして大蔵省令に委任しよう、こういうものでございます。条約におきまして、実施手続につきましては権限ある当局が定めることができるとなっておりますが、わが国の国内法におきましては、条約に基きまして直ちに省令を設ける例はございませんので、条約から一応国内法に委任いたしまして、それから大蔵省令に委任する、こういう建前を、今まで結びました条約にならいまして規定しようとするものでございます。  簡単でございますが、以上御説明を終りたいと思います。

加藤正人緑風会

○委員長(加藤正人君) 質疑は後日に譲ります。   —————————————

加藤正人緑風会

○委員長(加藤正人君) 次は、企業資本充実のための資産再評価等の特別措置法の一部を改正する法律案、株式会社の再評価積立金の資本組入に関する法律の一部を改正する法律案、以上二案を一括議題とし、質疑に入ります。  それでは、大蔵大臣が出席されましたので、これより質疑に入ります。御質疑のある方は、順次、御発言を願います。

大矢正日本社会党

○大矢正君 大臣がお見えになりましたので、この際二、三点について質問をいたしたいと思います。  大臣も御存じのように、今度の国会には、特に参議院が先議となって、ここに書いてあります企業資本の充実、それから再評価の資本組み入れ促進に関する二つの法律が提案されておるのでありますが、これはもちろんのこと、日本の今の金融、財政その他全般の施策と非常に関連のある問題でございまするし、また、財界においても相当、過去においても、また今日においても、注目をいたしておる問題でございまして、特にこの点に関連をしてまず第一番に質問をいたしたいのでありますが、大臣の談話として、ごく最近旅先で、預金の金利についてはこれは当分引き下げる必要性はない、また引き下げるべきではないというような発表が新聞になされておりますが、預金の金利が現状で推移をするということは、とりもなおさず、貸出金利に影響する問題でありますし、そのことがこれまたひいては間接的に株式その他に対する影響も現われてくるものと考えるのでありますが、大臣の今申されました談話というものは、どういった背景のもとにそのようなお考えがなされたのか、この際承わりたいと思うのでありますが、私、別に引き下げるべきではない、あるいは引き上げるべきではないという先入観念があって、質問を申し上げておる気持はいささかもございませんので、ただ一つ、大臣の考え方の背景だけお聞かせいただきたい。

佐藤榮作自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 御承知のように、金融機関で扱っておりますのは、私が申し上げるまでもなく、金を預かり、そうしてその金を今度は融資をしておる、こういうことが大きな仕事になっておりますが、融資いたします場合の金利が安くなるということ、これはぜひとも安くしなければならない。金利は一方で下げていかなければならないが、その融資財源はやはり預金によって大部分をまかなっていくといたしますと、預金も奨励していかなければならない。預金の金利が高ければ割合に集まりがいい。しかし、貸す方は安くしろということですから、そこにいかにも衝突するものがあるわけであります。かねてから、融資金利は国際金利水準にさや寄せするように指導しておりますということを申し上げておりますし、過去三回にわたりまして公定歩合も引き下げ、そのつど融資金利を引き下げておるわけでございます。そうなって参りますと、金融機関の経理状況は非常に苦しくなるということ、これはだれにもわかることでございます。そこで、私ども今日まで金融機関に指導いたしておりますことは、できるだけ融資金利は引き下げてもらいたいし、また貯蓄奨励ということもこれも大事なことなんだし、預金の今の金利をとにかく維持するように、これまた十分注意してもらいたい。その意味において、経営内容の改善については、できるだけ経営の合理化をはかっていただきたいのと同時に、また融資先についての信用等についても十分勘案してもらいたい、こういう方向で今日まで金融機関のあり方を指導して参っておるのであります。幸いにいたしまして、経理内容も順次改善されて参っておりますし、今回の公定歩合の引き下げに即応して融資金利を引き下げましても、今の預金金利をそのまま据え置いて、そうして一方で融資金利を引き下げましても、経営内容について非常な悪影響をもたらさないで今日やり得る見通しが十分立っておるということでございます。  しかしながら、この経営内容というものは、いろいろな条件のもとにおいて経営が成績を上げるかどうかということがきまるのでございますから、今回の公定歩合の引き下げ、それに即応しての融資の利子引き下げが経理面に必ず影響を持つことは当然だと思います。しかし、今回程度の引き下げで預金金利を直ちに引き下げる、反射的にそこまで考える必要はないのだ、これが私どもの考え方でございます。ただいま預金金利を引き上げるつもりもございませんが、ただいまの公定歩合の引き下げ、これに即応する融資金利の引き下げ、それから当然預金金利を下げる、こういうことはただいまのところ考える必要はない。この点が、旅先で率直に披露したその談話ではないかと思います。

大矢正日本社会党

○大矢正君 大臣が御説明の通りに、最近においては公定歩合の引き下げが再度行われて、これに伴って市中金利の引き下げも、自主的に業者の間の話し合いとして進んでおりますし、また実施に移されつつあることはその通りだと思うのでありますが、冒頭大臣が申しております通り、国際的な金利水準に日本の金利水準もさや寄せするという基本原則は、これは今日に始まったことでなくて、相当以前から議論をされておることでありますし、特に私どもが委員会の委員として各地に参ります際にも、よくこのことは指摘をされることでございますので、一日も早く国際的な金利の水準までわが国の金利水準も引き下げる必要性があるということは、申し上げるまでもないと思うのでありますが、今、日銀の公定歩合の引き下げを通じて、大体一厘程度の融資金利の引き下げが貸出手形の割引その他を通じて行われつつあるようでございまするが、実際のこれだけの引き下げでは、とうてい、まだまだ金利水準は高いのではないかというように一般的にはいわれもしますし、また考えられているのでありますが、もちろん、これを引き下げるということになりますと、今の銀行の経営状況、経営の合理化等ではついていくことができないという議論も出てくるのじゃないかと思うのでありますが、先般私どもが特に銀行の方々とお会いしていろいろ話し合った内容でも、一銭九厘程まではどうしてもコストがかかるというような話もございましたし、そういう点では、さらに、国際金利水準にさや寄せをするとするからには、当然預金金利に手をつけざるを得ないというように私ども考えるのでありますが、大蔵大臣としては、もう当分の間現存の金利をさらに引き下げるような方向に手を打つような考え方がないのかどうか、この点について御意見を承わりたいと思います。

佐藤榮作自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) もちろん、基本的な目標が、国際金利水準にさや寄せするということがねらいでございますから、私ども金融の情勢には絶えず注意をいたしまして、機会あるごとにそういう方向に進めて参りたい、かように考えておるのであります。まあそういう場合に、最初にお尋ねになりましたような預金金利に手をつけるかどうかということは、そのときにおいてさらに考えて参るという考え方でございます。

大矢正日本社会党

○大矢正君 金利と関係して、特に投資信託その他の証券事業の問題について、大臣の御意見を承わってみたいと思うのでありますが、最近特に非常に株高であって警戒を要するということは、もう新聞なんかでも最近非常に強まってきていると思うのでありますが、一般の金利の水準と、それから株の配当を含めた現在の株式の現況等を比較して、どちらかに何か経済の自主性を反映しないものがあるのではないかという気がいたすのでありますが、大臣はこういう点についてどうお考えになっておりますか。

佐藤榮作自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 御指摘のように、株価が適正であるということが望ましいことでありまして、他の表現をいたしますれば、株価が投機的に扱われているかどうかという点でございますが、まあ、これは私どもといたしましては、絶えず特に気をつけている次第でありまして、過去におきまして四回ばかりこれに対する対策を発表して参りました。しかしながら、私どもがとりましたこの対策では、依然としてやはり株は続騰しております。しかしながら、いわゆる投機的な変動は今回の株価の変動の上にはあまり現われておらない、こういうふうに私どもはただいま見ているのであります。言いかえますならば、いろいろの監督上、またいろいろ指導上、特殊な措置はとってきたが、じりじりと株は上ってきている。で、これは経済の実勢力そのものと見るわけではございませんが、いろいろ需要供給の関係等もありまして、株価の決定にはいろんな条件があることでございますから、一がいには申すわけにはいきませんが、いわゆる投機的な動きと、こう見ることはどうも当を得ないのではないかと、かように実は思っておるのであります。  そこで、御指摘になりました投資信託のあり方が非常な影響を来たしておるのではないかという点でありますが、確かに投資信託の最近のこの伸張状況等から見ますと、株式に及ぼしている影響は相当のものがあると思います。この投信のあり方について私ども特に意を用いて監督をしております点は、投信が、お得意を取るという意味において、過当競争の結果、事実そのものを広告その他においてあるいは誇大にしておるようなきらいはないか、こういうような意味で絶えずその点は注意をいたしておる次第であります。  また、最近の公定歩合の引き下げというものが株価に相当影響を持ったのではないか。これは確かに、公定歩合を引き下げるだろうという見込みが株価にも相当影響しておったに違いないと思います。しかし、今日、公定歩合の引き下げを実施いたしました今日においても、これに対して変動のないこの実情をごらんになれば、こういうことをも含みにしての株価ではあったが、それを実施した暁においても大した影響がないということを考えて参りますと、一応株価のあり方としては、私どもが一番心配しておるような投機的な傾向は今日まではないのじゃないか、現われていないのじゃないか、こういうような見方をいたしております。  いずれにいたしましても、株価が適正であるかどうかということは、ひとり企業のあり方の上において重大な影響があるばかりでなく、今日のようなこの株式市場に対する一般の投資状況等を考えて参りますと、一般の利用者、いわゆるお得意さんの利益、かようの観点に立ちましても、私どもは、株価の正常化、また証券取引の正常化というものについて、一そう意を用いていかなければならぬ、かように考えております。

大矢正日本社会党

○大矢正君 最近の、特にこの経済状況を見ていても、議論をされているのを見ますと、現在の株高というものは、それは確かに日本の経済の将来に対する期待というものが比較的強まったということもあるでありましょうし、その他いろいろな情勢があることは事実だと思いますけれども、一番原因となるものは、いわば絶対数が少いというところに最大の原因があるというのが通説のようであります。そうなって参りますと、これは投資信託のみを対象とするわけじゃありませんけれども、一部の証券業者のいわば力によって買い占めその他も行われる危険性も生まれて参っておることは御承知の通りでありますし。そういう点が株高に大きく影響していることを、この際特に注意をしなければならないのじゃないかと私どもは思うのであります。  最近のいわば金利の水準と、それから株の利回りの現況を比べてみますると、少くともまあ一割二、三分程度の配当で大体比較ができると思うのでありますが、今日の日本の全般的な業種を平均した利回りというのは、これまた、金利水準と比較すると、一割二、三分程度だということがいわれているとすれば、あながち株の配当がよいわけでもないし、それから日本の経済の先行きが、これはすばらしいものだといった、そういった特異の現象でもないし、結局のところ、品物が少いというところに最大の原因がある、こういうように私はなると思うのでありますが、政府も積極的に、こういった状態のもとにおける異常の株高に対する手配というものを今日やらないと、まだ国民の一部には投機的な心理の者もありますから、やはりそのものが株の上昇を来たさせるような結果になって、ますます今日の株高というものを生じさせる結果になるのではないかと私は思うのでありますが、今の大臣の説明を聞いていると、現状のままで放任しておいても、これは大体のところいいのではないかというような御説明もありまするし、そうかと思うと、経済の実勢を反映した株の値段ではないというような御説明もありまするし、どうも私としては理解に苦しむのです。

佐藤榮作自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 大矢委員の御指摘のように、今、株の高いのに、特にその理由として品薄株が高い、こういう表現をされておることは、もう日々の新聞でごらんになる通りでございます。しかし、品薄株だけに株が高いわけではない。その他の株の変動等はもちろんいろいろの理由で動いておるのであります。これらの点について投機的な形がないということを申しましたが、投機というものも一がいにけしからんという意味で私申し上げておるのではございませんが、価格決定上、非常な投機的な考え方で買いあさるなり、あるいは売りに出るとか、こういうような形によって操作されることはあまり望ましいことだとは思わないという意味で、その投機ということを申し上げたのでございますが、この点は誤解のないように願いたいと思います。  品薄株についての処置として、今回御審議をいただいております法律案なども、あるいは、こういう点には幾分か役立つのではないか、かように考えておるわけでございます。品薄株を絶対にふやすというわけにもなかなか参りませんし、品薄株が高いと申しましても、これは非常に飛び上った状況ではない。この事実を先ほど来、やはりある程度実勢力を示しておるような意味を持つことをも御了承願いたいと思います。

大矢正日本社会党

○大矢正君 企業の資本を充実しなければならない、そのための特別な措置を今後も継続をするということは、今の日本の国が、一般的に行われておる自己資本が非常に少くて借入金が多いという、こういったことが、諸外国と比べてみた場合には、比較的こういう面で後進地域だといわれておるのではないかという危険性すらあるような実態を是正するところに、大きな原因が私はあると思うのでありますが、この間からの委員会でもいろいろ論議され  ておるように、今の税制の仕組みそれ自身が、倍の利益をあげなければ、株  の配当の場合には借入金よりいわば損をするというような、こういった面が影響して、資本が過小で、自己資本の過小なるに比して借入金が膨大であるという結果が出てきておる。そこで、  こういう問題についてはもっと政府も積極的に、資本が充実できるような方向に税制の面でも努力すべきであるということは、これは今に始まった問題ではなくて、長い間の懸案事項だと私は思うのでありますが、今回の税制改正を通じてながめてみましても、あまりそういう面については、法人税の改正その他でも取り上げられていないようでありますが、実際問題として政府はそういう点について手を打とうとする考えがあるのかないのか、その点について伺いたいと思います。

佐藤榮作自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 大矢さんの御指摘になりましたように、企業資本、その資本のあり方が借入金に依存しておるが、ことに長期資金の場合に、長期資金が借入金に依存しておるという状況は、私どもの考えでは望ましい姿だとは思っておりません。従いまして、これを自己資本にするとか、あるいは長期資金は社債によるように願うとか、いろいろ増資または社債にかわっていくように指導いたしております。これは企業の資金のあり方から、非常に重大なポイントだと思います。ことに、日本の企業が資金を確保する場合に非常に、金融に依存することが楽でありますから、短期資金ばかりでなく、長期資金についても銀行に非常に依存しておる。これにもいろんな理由がありまして、むしろ金融によっておる方がコストが安いというような考え方ももちろんあるようでございますが、景気が悪くなった場合には、この長期資金を銀行から融資を受けております場合には、金利負担が今度は非常にきつくなっておる、それがたまらない、こういうことで、企業のあり方が景気、不景気を反映する建前から見ますと、これは非常に改善さるべきポイントのように思うからこそ、先ほど来から申すような、社債に依存するかあるいは株式増資でこれを振りかえていくか、そういう方向をとってほしいと思うのであります。  その点で、税制上の仕組みでそういう点が十分考えられておらないじゃないかという御指摘でございます。いろいろ、この株式配当についての処遇なり、あるいは利益金の算定方法なり、従って耐用年数の問題なり、貸し倒れ準備金の問題なり、いろいろな点で税制上の影響があると思います。今回御審議をいただいておりますのでは、わずかではありますが、この登録税についての軽減を工夫して、御審議をただいまいただいておるのであります。この法人あるいは企業のあり方で見まして、税制上の仕組みも、ただいま申し上げるような点で、また御指摘になりましたような意味で、社債やあるいは株式によりやすいようにいろいろ工夫をしていく、経営上の問題がいろいろあると思います。政府自身がすでに表明しておりますように、税制の根本的な審議をするための税制審議会を設けると言っておりますが、この審議会を設けることも、今後の企業課税のあり方について特に私は根本的に掘り下げてみようということを実は申しておるのも、ただいま御指摘になりましたような点についての考慮を特に取り上げたいということでございます。今回御審議をいただいておりますものはきわめて少額のものでございますが、わずかづつでも、ただいま申すように、増資に便ずるようにということで、今回処置をとっておるのでありますから、御了承いただきたいと思います。

大矢正日本社会党

○大矢正君 大臣は、借入金をできるだけ社債の方向に切りかえることも一つの方法であるという御意見であります。実際問題として、非常に状況のよい会社でありますと、社債を受け入れる側も非常に多いと思いますけれども、実際問題として、企業の内容が比較的よくないという会社においては、なかなか社債の引き受けその他の問題で議論が出てくると思うのでありまして単に借入金が社債に肩がわりすればよろしいということではなくて、一番ガンとなっているところの、さっきも申し上げた税法上の矛盾をこの際是正をするということの方が、それこそ大臣が言われる経済の体質改善を行う意味においては最も必要なことだろうと私は思うのであります。  今、大臣のお説によりますと、特に税の問題についてはいろいろ議論の多いところでもあるので、何か調査会か審議会かわかりませんが、そういうものを通じて今後検討したいというふうに受け取れたのですが、それは一体どういう内容なのか、この際承わっておきたいと思います。

佐藤榮作自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 今回減税案を御審議をいただいておりますが、これは与党の公約事項を実現するという意味で、比較的短期間に、また臨時的な審議会として御意見を伺って、最終的な案を決定いたしたのであります。この審議会におきましても、税のあり方として、ぜひとももっと基本的な問題についての調査研究を一つ進めるべきだ。特に、その第一点としては、今後の企業課税のあり方、これをいかにすべきか、あるいはまた間接税のあり方について、あるいはまた、今問題になっております地方財源確保という意味において、国、地方を通じての税源の分配だとか、税源の確保だとか、こういう観点に立って、この税制を基本的に審議をする機関を作るべきだ、こういう実は答申を得ておるのであります。政府自身もかねてから、敗戦後十三年もたっておる今日でありますので、また経済もよほど発展して参った今日でございますから、こういう問題についてはやはり基本問題として取り組むべき時期に来ておる、かように考えますので、今回税制審議会を設けて、基本的な問題について一つ十分メスを入れて、権威のある結論を得たい、かように実は考えております。  しかし、この問題は、今一、二の例をとってみましても、非常に影響するところが大きいし、なかなか簡単な結論も出ないと思います。簡単に半年で結論を出すというような筋のものではございません。私どもは、これが一年かかろうが、一年半かかろうが、そういうことにはこだわらないで、やはり基本的な問題を十分一つ調査して、そうして結論を出して、そうしてただいま申すような三点、大柱になりますが、そういうものを十分一つ権威のある結論を得たい、こういう考え方をいたしているのであります。

大矢正日本社会党

○大矢正君 今、大臣の、三点を大柱として税制の改正について検討をしてもらうというような御意見でございます。これで読みますと、企業課税、間接税、地方税ということになって、一つの大きな柱である所得税の問題が抜けているわけですが、実際上、この企業課税ということになりますと、株の配当をする場合に、それが所得税とのかね合いにおいてはどういう影響をもたらすかというような議論も当然出て参ると思うのでありますが、一つの例を今申し上げたわけでございますけれども、単に企業課税だけの問題じゃなくて、個人の所得税にも当然論及しなければならぬように私は思うんです。所得税についてはやらないんですか。特に最近は、今度の税制改正では扶養家族に対する控除が中心であって、あまり所得税はいじられていない。給与所得者とその他との徴税においてなかなか不均衡もあるというような意見が、大蔵省においてすら私はあると思うんです。そういう点についていじる考えはないのですか。

佐藤榮作自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 今まで税制懇談会で、大柱としての三点を実は議論をいたしたのであります。税収の点から見ますれば、ただいま御指摘になりました所得税などはもちろん大きな税源でございますから、歳入の面から大きいということは、また納税者の負担も大きいということでもございます。私どもはそれを取り上げないというわけではございません。もちろん、全般にわたっての問題でございますし、企業課税のあり方を考えた場合には、直ちに所得税の問題にも影響を持つものでございますが、そういう意味ばかりでなしに、全体について取り上げて参ります。全体について取り上げて参りますが、この際特に先ほど来の三本を指摘いたしましたのは、三本についての税制のあり方がいかにもおくれているのじゃないかという感じが強いものですから、特にそういう点を指摘いたしているのでありまして、他をやらないというわけでは毛頭ございません。先ほど企業のあり方についてのいろいろの御意見を拝聴して、そういうことが問題である。また、それ以外にも企業課税のあり方にいろいろな問題がございますし、間接税のうちでも、今回物品税等については相当の減税案を出しております。これなどもまたいろいろ御意見の存するところでございますし、間接税全般についてやはり考えてみなければならぬ。国、地方の問題については、財源確保という点からの税源の分配という問題が大きい問題でございますが、納税される方から見れば、国だろうが、地方だろうが、同じに納税者の負担ということがあるわけでございます。そういうような意味で、特に最近問題になっている点を三つの柱として申し上げたのでございます。所得税を軽んずるとか、軽視するとか、こういう意味でないことを御了承をいただきたいと思います。  また、今回の所得税の軽減に当りまして、扶養控除については特に考えができているが、基本控除といいますか、その方はあまり考えなかったのじゃないかと、こういうような御指摘でございますが、過去の所得税の税制整理に当りまして基礎控除の点について特に力をいたしておりますので、今回の改正に当りましては、扶養控除を加味して、そしてやはり家族構成の面からも一つ工夫すべきではないかということで、かような措置をとったのでございます。これらの点は、御指摘になりますように、それぞれりっぱな筋のあることでございます。今回の税制調査会が発足いたしますれば、これは全面的に、そういう意味においての税のあり方全般についての見直し方をする、かように御了承いただきたいと思います。

大矢正日本社会党

○大矢正君 大臣は、この三つの柱に従って、税制審議会か調査会かわかりませんが、そういうものと類似する一つの審議会にお願いをして、税制全般に対する基本的な面にわたり、また細部の点にわたって、まあ日にちがかかっても検討してもらうという御説のようでありますが、そうすると、これをやる場合には、大臣としては全然白紙の立場で、この審議会か調査会かわかりませんが、これに委任をして、今の税制の基本的な問題も、また細部の問題についても、一つ案を出してくれと、こういう立場でいかれるのか、そうじゃなくて、大臣の方からは、ある程度こうこうこういう内容について一つ答申をしてもらいたいという形でいかれるのか、この点についての大臣の一つ考えを伺いたい。

佐藤榮作自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) もちろん、政府自身といたしまして特に指摘するような点もございますが、審議会が発足いたしますれば、審議会は審議会の立場において、政府の意見の有無にか、かわらず、必要だと思う点をやはり検討していくと、こういうことになると考えております。基本的に申せば、大へん大きいふろしきを広げるようで恐縮でございますが、いわゆる日本の戦後のシャウプ勧告による税制以来、ずいぶんいろいろな問題があるのでございます。基本的には総体の税の負担を軽くするという方向での努力はございますが、それこそそのつど一つ一つを取り上げられておるのでございますから、税体系そのものとして考えますと、いろいろな問題があると思います。こういう点は基本的な問題で、むしろ税制懇談会において取り組むべき問題でございます。そういうように考えて参りますと、今回の審議会では、過去の税制についてもう一度見直してみると、こういうような観点に立って、相当大ぶろしきを広げるようですが、そういう意味の税制の基本的な研究を遂げて、そして結論を出して参りたい、こういう考え方でございます。

大矢正日本社会党

○大矢正君 従来まで毎年のように税制調査会を作って、ある場合には、こういう内容について答申をしてもらいたいというようなことも申して、今日まで来ておるわけでありますが、私どもがこの三、四年の間見ておりますと、調査会や審議会の答申や意見というものが一多少の変化はあっても、大部分これが受け入れられたという実例はあまり見ない。卑近な例では、ことしの税法改正に対する政府の諮問にしたところで、出てきた結論というものは、大臣御存じのように、大臣がやられたかだれがやられたか別にして、審議会の結論などとは、内容的には相当変化があるように私は思うのです。五百億なら五百億の減税の範囲で何をいじるかという議論をしても、そういうように実際に法律の改正として提案をしてくる内容は、非常に変化を私は見ていると思うのでありますが、大臣が漠然と審議会にこの際検討してもらうというようなことでありとすれば、私どもは、その審議会や調査会の結論というものがほんとうに尊重されるかどうかということについて、非常に疑問があるのですね。  特に、最近の政府の傾向を見ていると、これは単に税制審議会、調査会にとどまらず、労働問題についても、その他一切のものをながめてみても、どうも審議会の答申通りに、一〇〇%とはいわないまでも、せいぜい八〇%以上これを有効に使ってくれればいいのじゃないか。そういうものはあまり使っていないという現況から見て、どうも大臣の答弁では私は納得できないですね。もっとはっきりと、税制審議会にまかせるならまかせると、この際言い切ったらどうですかね。そうでないと、審議をする方だって、どの程度手直しされるものか全然わからないので、言うならば、大臣も指摘している通りに、抜本的なとにかく改正をやりたいと、こうおっしゃるのでありますから、抜本的な改正が大蔵省の手によって手直しをされれば、抜本的な改正でなくなってしまいますからね。結局、調査会がほんとうに現在の企業や個人の実態に照らして税体系というものを加味してきた場合、それが大蔵省でさんざんいじられるということになれば、結果としては、審議会の機能というものはほとんど意味をなさないという結果に私はなるのじゃないかと思う。  だから、最近の政府の、予算委員会その他に対するたとえば公述人や参考人を呼んでみても、悪いことを言うようだけれども、みんなりっぱな見識の持主は逃げたがっている。言ってみたって、全然参考にもしてくれないし、言わせるだけじゃないか、こういう意見が強まってきております。これは、特に良識をお持ちになる大蔵大臣には、十二分に考えていただかなければならない問題ですから、せめて大蔵大臣くらい先鞭をつける必要かあるのじゃないかと思うので、税制調査会、審議会を作って検討する限りにおいては、十二分に参考意見として、今後の税制と取り組んでいくのだというような表明をしてもらわなければならぬと思う。

佐藤榮作自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 大体私が考えているのと、大矢さんの御意見伺いましても、別に変りないようでございますが、私、この審議会の発足に当りましても、ことに私、大臣になりましてから発足いたしました審議会、このあり方については、審議会の発足に当って、皆様方から、法律に基く審議会でなぜやらないのか、こういう強い御批判をいただいたものであります。これは当時、私ども、緊急な、また暫定的な措置として、この種の減税を計画しているのだからというようなことで申し上げました。これがまず第一に、出発の点においても、今度は十分考えなければならない事柄でございます。ただいま申し上げますように、今回は相当の期間をかけて、そうしていわゆる権威のある答申を得たい、かように考えておりますから、その意味では、もちろん法律に基く、また各界の権威を網羅するような審議会にいたすつもりでございます。  過去の審議会におきましては、間々、一つの問題につきましても、二、三の意見が並列して書かれているようでございまして、そういうような意見のうちからいずれをとるかというような点が政府にまかされた例もございますが、今回のような審議会を発足いたしますとすれば、少くとも審議会においては最終的な一本の意見にまとめて、そうして政府にそれをお示しをいただくというようにならないと、先ほど来御指摘になりますように、審議会の意見通りにやらないじゃないかというおしかりを受けるようなことにもなると思うのであります。これらの点は、今後の審議会にお願いをいたします委員の方々にも大へん責任のある事柄だと思いますが、私はそういう意味ではほんとうに責任を持っていただいて、そうしてやはりいろいろの審議する途中におきましては、それぞれの関係の方々からいろいろの意見は出ましても、最終的には一本に何とかして結論を出していただくようにして、そうしてそれを政府がそのまま実行できるようにいたしたいものだと思うのであります。この点は、お示しになりましたように、私どもも扱って参るつもりでございます。  別に弁解をするつもりではございませんが、過去の懇談会等の答申には数種の意見が出ており、そういうために、多数の意見、あるいは少数の意見、あるいはまた違う立場からの意見など、いろいろ出た例もございますが、こういうことはなるべく避けて参りたいし、また政府自身も、過去においても答申をいただきましたものを基礎にして最終案を決定いたしておりまして、御指摘のような、答申を無視するようなことは絶対に私はなかったと確信はいたしておりますが、今後におきましては一そうそれらの点は、御意見もよく伺った上で、善処して参る決意でございます。

平林剛日本社会党

○平林剛君 ちょうどいい機会でありますから、私も大蔵大臣に若干お尋ねをしておきたいと思います。全般的な経済政策につきましては、いずれまた予算委員会でこまかくお尋ねする機会もあると思いますから、きょうはその予備的な知識を得るという意味で、大臣の所見を承わっておきたいと思います。  最初、一度、大蔵委員会に来られてこういう話をしたとき、聞いてみたいと思っていたことがあるのです。それは、昨年の臨時国会で補正予算を提出したときから、政府、特に大蔵大臣が、日本経済の体質改善という言葉をしきりに使い始めた。まあ今経済政策を議論すると、必ずこの体質改善論というのがだれの品からも出てくるわけです。一体体質改善てどういうことだと言われると、聞く人によって、あるいは答える人によって、それぞれ少しずつ変ってきておる。そのくせ、みんなわかったような顔をして、体質改善論が今はやっておるわけであります。しかし、本年度の予算案あるいは政府の経済政策の中心になるものがここにあるとすれば、一度これは大蔵大臣に全般的な構想を聞いておいた方がよろしいと、私はこう思うのでございます。財政演説その他で大体お聞きしてわかっておりますけれども、この機会に、大まかに大蔵大臣としての抱負、考え方をお聞きしておきたい。同時に、ただ考え方だけでなくて、今度の国会に提出をした具体的政治として、どういうものが実行に付されているかということを、私の頭を体系づける意味においても、一つ御高説を拝聴いたしたいのであります。  また、おそらく今度の国会ではその一部だけが実行に付された、ただいま議題になっている法律もその一部に違いありませんけれども、今日までお聞きしておるいわゆる体質改善論からいくと、今後もなお引き続き行うべきもの、あるいは検討中のものもあると思う。大臣として、今後こういうことは実施したいのだというような点がありましたら、これもっけ加えてお聞かせを願いたいと思います。

佐藤榮作自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) まあ経済の基本的な問題についてのお尋ねだと思います。三十三年度の経済は、御承知のように、非常に苦しい思いをして参りました。その際におきまして、財政の面から経済の立て直しについて何か工夫はないかという、いわゆる補正予算を提出してここで何かする手はないかというような御意見が強く出たことは、私ども記憶に存するところであります。政府はどこまでも、三十三年度の経済状況は、三十三年度予算編成の際に予想された事態が起きているのだから、この三十三年度の予算を完全に実行することがまず第一だということで、いわゆる刺激を喚起する、あるいは内需を喚起するような政策には大して耳を傾けないで、ただ三十三年度予算の実行を強く要望して、実効の上るように実はいたして参りました。  その際に、私どもの政府にありますことは、経済はどこまでも成長はさしていかなければならないが、これに対しては特に強い刺激を与えてこれを成長さすという意味のことは、できるだけ避けるべきではないか。言いかえますならば、財政の面で経済に寄与することができるならば、この経済の成長にふさわしい財政計画を立てるということだし、またこの経済の伸びが非常に強ければ、これはむしろチェックするような働きを金融政策等において考えるべきではないか。あるいはまた、経済が非常に沈滞の方向にある場合に、これを支えるような政策をして、実体はというか、その主体、原動力はやはり政府の政策と申すよりも、経済自体によってそれが成長していくということだが望ましいのだ。言いかえますならば、健全なる成長、安定した方向においてこの健全成長ということを実は願って参ったのであります。  過去の経済の動き等を見ます場合に、日本経済が国際競争場裏に伍した場合に、それぞれの国々の経済のあり方から見まして、必ずしも同一な競争場裏には置かれておりませんが、そういう点が日本経済の一つの特異性というものがある。いい意味においての特異性もございますが、悪い意味において今後改善していかなければならないものが非常にあるということを痛感させられたのであります。いわゆる健全な経済の成長、こういう建前に立って、その経済の健全成長にふさわしい体質を作るということ、これがいわゆる体質改善論の基本でございます。  そこで、そういう抽象的な議論をいたしますよりも、具体的な問題について申し上げる方が非常にわかりがいいと思いますが、大きく見て、いわゆる国のやっております財政投融資で取り上げておるような事業と民間事業との均衡が果してとれておるかどうか、戦後におきまして動力確保というような観点に立って、石炭政策が大きく出たり、あるいは電力問題が大きく出たりした。ところが、最近になりますと、海洋、海の方の輸送の状況はすっかり変ってきた。大きな船になってきたと。しかるにかかわらず、港は依然として旧態そのもので、いわゆる大きな船を出入りさせるにはもう不都合になっておる。あるいは国内の交通そのものを見ましても、道路の整備なりあるいは鉄道の整備等において経済の成長にマッチしないものがある。こういうような点から、ことしの予算などでは特に道路整備なりあるいはこういう意味の産業経済の基盤の事業についての整備計画を進めて、少くともそこらのアンバランスを一つ除去していこう、また将来の経済の発展の場合にもそれにふさわしいものであるようにしよう、こういうことをまず一つ取り上げております。  さらにまた、今度は個々の企業そのものの状況について見た場合に、あるいは繊維工業だとか、あるいは肥料工業だとか、また今回審議をいただいております塩田整理の問題等にいたしましても、新技術の導入ということによって生産形態がどんどん変ってきている。こういう場合に、いわゆる科学技術の導入というか、新技術の導入ということを十分考えていって、経済そのもののあり方もこれを近代化していく、これも一つの体質の改善ということだと思います。そういう意味において、税制においても、特別措置の方法がとられておるとか、あるいは特別な科学奨励の方法をとっておるとか、それぞれ予算的にもそういう具体的なものが出ております。  もう一つは、大企業、中小企業、あるいは零細企業、これらの関係をいかに調整していくな、あるいはまた、農業と近代工業、生産工業との関係、農業、漁業等のいわゆる原始産業といわれるもの、それと近代工業、生産工業といわれるようなものの間をいかに調整していくか、あるいは均衡のとれたものにしてこれを発達さしていくか、これなども大きな体質改善の面から考えていかなければならない問題だと思います。この面で、私は過去におきましても御指摘申し上げておりますが、この大企業と中小企業、零細企業との関係、あるいは工業と農業、漁業、林業との関係が、一面でいわゆる大資本と小資本という関係から、大資本が小資本を圧迫するという、あるいは競争の関係のものも強く出ておるが、他面においてやはり協力の立場にあるというものもこれは見のがせないのだということを、指摘いたしておりますが、そういうようなことをも考慮いたしまして、それぞれの分野においての十分の機能を発揮するように、そうして全体としての経済の発展に寄与するあらゆる努力をいたしておると私はみずから信じておるのであります。中小企業対策なり、あるいは零細企業なり、あるいは農村振興方策なり、あるいは漁業対策、林業対策というようなものが、予算の面においてそれぞれ奨励方策なり、あるいは補助金政策なり、その他各般にわたって盛られておりますことも、ただいま申し上げるような方向において、これが十分の実効をあげるということにほかならないように思うのであります。  例をあげて参りますれば、これはもう枚挙にいとまがないほど、今後私どもの目の置きどころが体質改善という方向にとにかく持っていくということでなければならないと思うのであります。この点は、国内において、国内の消費という面から見ましては、これはどこまでもお互いの生活に寄与するという方向の体質の改善でもあると思います。それこそが経済の繁栄をもたらすゆえんでもあり、ひいては国民生活の向上ということにもなると思いますが、同時にまた、国際的な関係においては、外国の品物と競争してひけをとらないということになる、こういうようにも考えるのであります。そういう意味においての体質改善、これは拾い上げて参りますと、まことに広範であり、まことに大きいものであると思います。  ただ、この際に、私どもが個々の具体的な問題をいろいろ取り上げておりますものの、一面、もうすでにわかっておることであり、各人も指摘しておることでもあり、特に絶えず注意しなければならないことは、いつも私どもの考えますことは、通貨価値を安定していくというこのポイント、これは忘れないで、先ほど来申し上げますような方向で経済を進めていく、こういう考え方でございます。

平林剛日本社会党

○平林剛君 いろいろ聞こうと思いましたけれども、大体今まで聞いた話の繰り返しになるから、やめました。先般も、日本経済の体質改善について参考人の意見を聞いたりして、いろいろ今お話しにならなかった面、聞きたいこともあるんですけれども、時間がかかるから、またあらためてやることにします。  そこで、まあ大要、大臣のお話は、昨年われわれが要求いたしましたような財政面から来るいろいろな刺激、あるいは内需を喚起して経済政策の転地をはかるということを押えて、そしてただいまお話しになったような、全訳じゃないけれども、方向でいこうという方針をきめて、予算案を提出をされたのであります。しかし、政府の一献には、あなたの考え方と全く逆な方面をとりつつある有力な意見もある。たとえば、先般の池田前蔵相が関西の財界人との懇談会において、あなたとは全く反対の経済政策の積極論を強調されておるわけであります。これは、昨年来私どもが主張しておった考え方と同じで、私もわが意を得たりという感じをいたしたのであります。いろいろ調べてみると、これは下村再三の持論で、「経済成長率のために」という本が種になって、そこいらの説があの人の考え方として述べられておるようでありまするけれども、やっぱり一つのりっぱな意見だと思うのであります。特に、具体的に指摘をしておりましたけれども、御承知だと思いますけれども、昭和二十八年、九年を境にして、日本の経済自体は大へん底は深くなって、設備投資の振興で供給力も持っておる、そしてインフレの心配はない、むしろデフレの懸念があるんだ、政府の考え方は、物が足りない時代の頭で政策を立てているから、経済政策そのものが憶病過ぎて、経済の成長を押えておる、という説明をしておるのであります。具体的に数字をあげておるのであります。昭和二十六年から三十一年の六カ年間に、約五兆円の設備投資があった、そしてその結果国民総生産としては四兆四千億円も増加をした、ところが、三十一年から三十三年の間は、四兆四千億円の設備投資があったにかかわらず、国民総生産は一兆二千億しか増加していない。こういう説明を種にして、今日はむしろ経済の積極政策が必要なんだという所論を述べているのであります。  私は、これは今後の予算審議、あるいは政府の経済政策を検討する上におきましても、大へん重要視すべきものである。特に社会党は昨年来これを唱えてきているわけでありますが、たまたま政府部内の有力者からもこういう意見が出るということになりますと、私は、今政府のおやりになっている体質改善を中心とした政策そのものが、保守党の中でも二分しているのじゃないかとという意味で、重視をしているわけであります。単にこれは池田前蔵相が言ったことだということで逃げないで、今数字をあげて政府の考え方と相反する意見を言っている考えに対して、一つ対抗して、佐藤大蔵大臣の高邁なる政策を聞かしてもらいたい。

佐藤榮作自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 池田君が大阪で談話を出しまして、いろいろ支持される方もあり、いろいろ批判される方もございますが、大体同一の意見は、昨年ドイツのエアハルト副首相が参りまして、大体同じような考え方を申しております。さらにまた、ことしの正月は中山伊知郎君も同じような記事を出している。これは御記憶に存することだろうと思います。そこで、まあ非常にわかりいい表現をいたしますならば、うんと生産をふやして給料を二倍にすることも可能だ、こういう表現の仕方がしてあります。そういう意味では、社会党の諸君も、その内需喚起論というものはおれたちがかねて主張しているところで、大へんけっこうだ、こういうので、まあ賛意を表しておられるようですが、社会党の方々も都合のいいところはお取り上げになりますが、われわれ、池田君にしても、私ども自由主義経済を唱えている、その基本的考え方から生まれた結論だけを御批判なさるように私は思いますので、それは根本的に御賛成であろうとは思いません。思いませんが、そういうようなことがまず冒頭に言えると思うのであります。  そこで、私の考え方と池田君の考え方が根本的に違っていると、こういう御指摘でございますが、私が大蔵大臣に就任いたしました際にも、池田君の所説を出されて、意見が対立しているのではないかというお話でございましたが、私は別に対立しているとは思いません。ただ表現の仕方が相当違っているように思うだけであります。私は先ほども、健全な経済の発展ということを申し上げました。非常な画期的な経済の膨張というものは、これは危険なんだということを実は指摘したいから、申し上げているのであります。一面で非常な画期的な膨張を来たす、ときに画期的な縮小を来たす、こういうようなことでは、経済として、また安心してその事業を遂行していくということはなかなか期せられないのであります。そういう意味において、経済が健全であり、堅調を持して、やはり成長していくということが望ましい。成長という点においては同じ考え方を持っているということをまず第一に指摘いたしたいのであります。  その表現の仕方は、私の場合においてはいかにも地味な表現をしている。しかしながら、この表現は、わが党のかねての長期経済計画からごらんになりましてもおわかりになるように、毎年々々経済は成長している。そうしてその適当な成長率ということを考えて、その成長率に沿っての経済のあり方を意図いたしておるのであります。それがたとえば給料が二倍になり、生産が二倍になる、こういう表現をいたしますと、非常にわかりいいことでございますが、池田君の場合においても、何年かかって二倍にするのか、一年の間に二倍にするのか、そういう点はちっとも話をしておらないのであります。そういうふうに考えて参りますと、この経済の成長ということ、これを意図しておることであることは、これはもう私どもの考え方も池田君の考え方も同一でございます、そうして私はあえて積極的な財政政策ということは銘は打ってはおりませんが、三十四年度の予算などは、しばしば皆さん方から指摘されておるように、これこそは積極財政じゃないかと実は御指摘を受けております。池田君が大阪で申しましたのも、三十四年度の予算規模は大体適当だと実は申しておるのでございます。従いまして、この点などは池田君の所説と私どものやってやることが食い違っておらない一つの証左であります。私はかように考えております。  そこで、内需の問題でございます。あるいはまた生産増強の問題でございますが、この取り上げ方が、また表現の方法がいろいろございますから、いろいろ違っておるのではないかというような批判があろうと思います。池田君は必ず生産の向上、これに対応しての給与ということを考えておるに違いないが、社会党の皆さん方からお考えになれば、給与をいきなり二倍にすることによって需要は必ずふえる、この需要に対応するために供給もふえる、こういうようにお考えになるに違いない。しかし、池田君の給与、賃金二倍論は、おそらく生産性向上ということを基礎づけ、それと対応しての賃金二倍論、こういうふうに私どもは理解しておるのであります。  こういう点を考えて参りますと、基本的な相違のないことは御了承がいただけるのではないかと思います。私は、先ほどの基本的な問題で御指摘いたしましたように、やはりこういうように経済が発展いたして参ります場合において、絶えず注意しなければならないことは、これこそ通貨価値の安定ということにあるのだ、かように実は思っておるのであります。この通貨価値についての考慮が十分払われ、経済そのものがりっぱに成長いたして参ります場合においては、インフレなどの心配はないことであろうと思います。  ただ、経済の底は非常に強いのだから、この際、金が現実になければ借金をしてもいいという考え方、これも表現が非常に強いと、ときに間違ってくるのではないかと思います。幾ら借金をしてもいいと申しましても、みずからの力を十分相手方が認識しない場合においては、借金の条件の非常に悪いこともこれは覚悟しなければならないのでございます。借金の条件が悪いということは、借金をしてはならぬということにも実はなるのだと思います。  そういうようなことを考えて参りますと、経済の体質がりっぱに改善され、そうして健康である、健全であるということが望ましい。通貨価値が維持されるということであり、またそういうもとにおいて内需がふえるということはちっとも心配は要らない。また、私どもが通貨価値を維持するという意味において、やはり貿易の進捗もはかっていくというようなことも私どもの政策の大きなものになるわけでございます。一部で言われておりますように、みずからが作り、みずからが消費していくというだけでは、経済の真の発展ということにはならないであろうと思いますし、また、経済自身を小さな地域に閉じ込めることになりまして、これこそは真の経済の発展とは実は言えないのであります。池田君の所説そのものの、その片言隻句を取り上げましていろいろな批判をされますと、必ず私がただいま指摘したような誤解を生じておる点が非常に多いと思います。しかし、そうではなくて、池田君と十分お話しはいたしませんが、基本的な考え方においてはやはり私どもは何ら違っておらない、実はかように確信いたしております。御了承をいただきます。

平林剛日本社会党

○平林剛君 私は、今、池田前蔵相の経済政策の積極論、ただ労務者の給与が二倍になるからそれで賛成だなんという、単純な考えで指摘をしているのじゃありません。あなたは一生懸命、同じだ、同じだと言うけれども、ちっとも同じじゃないんですよ、これは。私も少し基礎となる本を読んでみた。あなたの考え方とは根本的に違う。一生懸命同じだと言う。社会党の中でも積極財政論じゃないかと言われるけれども、私に言わせるならば、今度の予算も積極的にやっておるということとはまた議論は別なんです。そう単純に、私、二つに分れておる議論に対して尋ねておるのじゃない。ただ言葉だけで同じだと言うことは、賛成できない。成長率においても、そういう点は同じ考えだ。経済の成長率についても、自由民主党の新長期経済計画についてお述べになって、やはり経済の成長という考え方で同じだと言うけれども、池田君は新長期経済計画に対しての一つの批判を持っておるんです。たとえば、この昭和三十一年までの設備投資資金を五兆円と見ながら、国民総生産の増加を四兆五千億円に押えておる。先ほど触れましたように、今日の日本経済の実力を不当にこれは押えておる。この点は違うにしても、私は、政府の与党である自由民主党の新長期経済計画における今後の見通しの述べ方についても、数字をあげて根本的——根本的とまではいかなくても、強い、弱い、この違いははっきりしておるのですよ。そういう意味では、私はせっかくの大蔵大臣の御説明でありますけれども、同じだとは考えていない。やはりこれは政府の今後の政策については、現在国際収支じりも黒字になったのだから、この機会にこそ設備投資に見合った需要を喚起すべきではないか、こういうところが骨になっておるのですから、政府の今日おとりになっておる政策とは私はかなり幅がある。少くとも去年社会党が主張した線だ、こういうふうに考えておるのです。あなた、同じだと言うけれども、私はわからないのでね、もっと具体的に数字をあげて一つ説明してもらいたい。

佐藤榮作自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 根本的な考え方が違うと言われると、積極論に対して根本的に違うのは消極論でございます。これはもうはっきり、私が申し上げるまでもない。根本的に違うと言われるから、私は消極論をとっていないということを先ほど来るる言っておる。この点は御了承いただきたい。  また、数字そのものについての見方がいろいろあること、これは私、全然同一だとは申しません。それぞれ御指摘の通り違う。それはもう了承していいことであります。ただ、しかし、経済がだんだんよくなったから、それに対して積極的に投資その他をやれと言われるその意見について一番はっきりするのは、先ほど私がお答えいたしましたように、三十四年の予算、財政投融資の規模は、これは適正だということを池田君自身が言っておるということを指摘いたしたのであります。この点が非常な相違のない証拠でありまして、この点を私は先ほど来強く言っておるのでございます。

平林剛日本社会党

○平林剛君 まあ、これはいずれあらためて議論することにいたしましょう。一般的なことはこれで終ります。あとどなたかあれば続けていただいて、あとで法律案に関係してお尋ねいたします。

加藤正人緑風会

○委員長(加藤正人君) 大蔵大臣に対する質疑はございませんか。

平林剛日本社会党

○平林剛君 それでは、大蔵大臣に一つ、今度は法律のことについて少しお尋ねいたします。  先ほど大矢委員と質疑応答をしておりまして、現在の株高を妥当な水準にする根本的な対策、そこまで触れませんでしたけれども、根本的な対策は、一つには増資によって株式の供給をふやすということにある。これは先般、私、政府委員といろいろ議論をいたしたのでありますが、そのときのお答えにそういう答えがあったのであります。しかし、今回の法律案の対象となるのはごくわずかでありまして、しかも、全般的では三百億円に満たないという数字にしかすぎないということになりますと、この法律自体の効果がどこにあるかという点をわれわれは一つの疑問にしておるわけであります。  それに比較をして、昭和三十二年の十月に、これは一昨年ですが、一昨年政府では、資本組み入れ八割案というやつが大蔵省内で検討されておったという話を聞くのであります。たまたま当時は、日本の経済が下の方へ下っていったときでありますから、諸般の影響を考えてこれをお取りやめになったという話でありましたけれども、それにいたしましても、大蔵大臣が、今日しきりに日本経済の体質改善、あるいは企業資本の充実ということを考えておられるのに比較すると、きわめて徴温的なものになっているのじゃないか、こういう感じをいたすのでありますけれども、その点はいかがでしょうか。

佐藤榮作自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 御承知のように、この評価益というものがございましたが、その評価益を資本に組み入れるということを過去においても慫慂しておる。ただいま御指摘になりましたその八〇%組入案というものも、当時そういう議論はあった。それは最終的に大蔵省が決定したわけではございません。しかし、こういうものをそのまま残しておくことが、企業のあり方から見ましてどうかと実は思いますので、まずこれを一つ取り上げてみよう。そうしてこれで増資をする。増資する場合に、配当なりあるいはまた登録税なりについてのいろいろの工夫をしてみる。また、これを増資しない場合において、そうしてこれを取りくずしていくような場合にどういうような措置をとるか、こういうような点を工夫いたしておるのでございます。  同時に、かような評価益の組み入れというものについていろいろな方法をやっておりますが、これはこの組入額だけでなく、これに伴って有償及び無償の増資等を一般にも勧めておるわけでございます。そこで、いろいろその増資計画を各企業でも持っておられるようでございますが、増資計画が、時期的に見まして、同時に並行してやられることも、経済に及ぼす影響等を勘案いたさなければならないのでありますから、増資にかえていくといたしましても、非常に短期間の間にこれを急速に実施することはなかなか困難な問題がある。これは一つ御了承いただきたいと思います。ただ、基本的な考え方をこの増資の方向へ持っていくという、その気持で指導しておるという点を御了承いただきたいのであります。私どもの関係いたします銀行等におきましても、いろいろ増資の意向があるやにうかがえますが、こういうものが、一時に一齊に増資などをいたしますことは、資金の変調等も来たしますから、増資の扱い方——本来なら増資であるべきでありますがそういう場合に、この実行については十分時期を考えていく必要があるように思っております。

平林剛日本社会党

○平林剛君 もう一点お伺いいたしますが、そうすると、私はもうこの点は比較的単純に考えてものを言った方がわかりやすいと思いますから、端的に言いますが、昭和三十二年十月当時、資本八割組入案というものが検討されたことは、これは事実であります。大蔵省内においても、この際これは積極的に行うべきだという議論もあった。しかるに、その後資産再評価審議会におきまして検討した結果、これは一つ強過ぎるということで、今回のようなことになった、さようにお聞きしたのであります。そのメンバーまでいろいろ聞いたのでありますけれども、かつてこういう、この種の議論をされましたときに、特に証券業界から猛烈な反対運動があって、政府がそれを屈服をした時代があったことを御承知だと思うのであります。当時、小笠原三九郎という大蔵大臣がおりまして、そして相当程度企業資本を充実するために、資本の組入案の提出を議会にいたした。ところが、その後証券業界から猛烈な運動があって、そして一度政府が提出したのにかかわらず、政府与党の議員の間で修正案を出して、みっともないことには、大蔵大臣みずからがその修正案に賛成しちゃって、政府原案を否決したという事件があったことは御承知の通りだと思うのであります。私は、今度の提出をした案が、ここに至るまでの間に、何か運動があったなどということを聞くつもりはないのでありますが、昭和三十二年十月時分の八割組入案に比較すると、あまり幅が小さくなっているものだから、二つの疑問を起しているのです。  一つは、大体佐藤大蔵大臣も、また池田さんも、日本経済の底は強い強いとか言いながら、こういう問題になるというと、なるべくしり込みをして、少しずつやっていく。それからお話のように、増資が一ぺんにあれば日本の経済に破綻を来たすということが想像はされるけれども、ふだんの持論とやることが何か幅があるのじゃないかという気がするのであります。皮肉を言うわけではありませんが、そうなれば、今回出された程度の法律案が、日本経済の実態を表わす一つのバロメーターと思って見ていいのかどうかということがあるわけで、こういう私の疑問に対して大蔵大臣の考えを聞きたい。  もう一つの疑問は、今回約百社以内、三百億円程度にとどめて、資本の組み入れの率もまあまあというところにしてあるのは、どうも先ほど大矢委員が指摘をいたしておりました企業課税との関係があるのじゃないか。この企業課税の問題について、多少色をつけるというか、何といいますか、資本の組み入れがしやすいような態勢をとってくれなければいやだ、こういう議論もあることは事実だ。ところが、今日なお企業課税に対する根本的な結論がついていないので、それを待ってからやらせる、今度は少な目に押えておくという配慮が、大資本の中にあるのじゃないか。政府は、一生懸命、企業の資本充実だとか体質改善とお題目を唱えているけれども、そういう方面では、なかなか協力が得られないような形がここに現われているのではないか、こんな疑問を抱いておるわけであります。  二つの疑問について、一つ、お答えを願いたい。

佐藤榮作自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 過去の経過、私の存じ上げない点がございますが、ただいまの最初のお尋ねの御意見は、当時一部大蔵省にありました意見——これは大蔵省の省議ではございません。それと、それから提案をいたしました法案とがごっちゃになっておるんではないか、こういうように思うのであります。なるほど、一部大蔵省の役人の中に八割案ということを申した人もあるようでございます。これは別に委員会にはかかっておりません。従いまして、この八割案というものは、一時そういう意見は出ていたが、これが明るみに出ていないものだ、かよう御了承いただきたいと思います。そして今の法律、これは二十九年の国会で衆議院で修正され、さらにまた参議院で再修正をされたのでございます。それがただいま言われる小笠原君の際の問題だ思います。これは八割案とは別のものであって、当時は三割であったと、かように実は考えております。  そこで、問題は、資産再評価の跡始末の問題で、一応現行法ができ上っておりますが、その後、実際に資本に組み入れた事柄も少いし、今回はそれが期限が到来する。そこで、残っている資産再評価の処置をいかにすべきかということで、今回、さらに期間を延長すると同時に、内客についても幾分か工夫をこらして、ただいま御提案いたしておるのであります。で、もうすでに一時的に資産再評価についての組み入れをした後でございますから、残りはこれは非常に減っていることは、これはもう御了承はいただけるだろうと思います。  そこで、今回これを実施に移しますについては、これを容易ならしめるという意味で、登録税の軽減を計画いたしております。同時にまた、この組み入れのパーセンテージの高によりまして、現在の配当率を維持さすかあるいは減配さすかということを考えて、むしろ配当をそのままにしておくことはなかなか困難だ、組み入れの額が多い場合においては、これはやはり下げることが当然だということで、その指導を一面にいたしております。それからまた、他面におきましては、この資産再評価の益というものが一つの蓄積にもなっておりますので、事業そのものによりましては、最近の事業成績等から見まして、これを取りくずすことが比較的容易であったりするので、そういうことはあまり望ましいことではないから、そういう場合についての取扱い方をこの際きめていくということをいたしたのであります。従いまして、今回の修正点は、先ほど来からいろいろ御議論いたしております体質改善、それに資するというような意味で、非常にこまかな点でございますが、幾分か工夫をこらした、その跡のあることを一つ御了承いただきたいと思います。

平林剛日本社会党

○平林剛君 最後に、この法律案と企業課税との関係について尋ねておきたいのでありますが、私は、この法律案を通過させることが、将来企業課税について政府が積極的に何か手当をするということになるということは、困るのであります。それはもう十分政府の方で適当な審議会に諮問をして、そこで結論が出てくるものと思いますから、必ずしも企業課税がすぐこの法律案の結果として出てくるというようなことを了承するものではない。特に、企業経営の健全化とか、あるいは体質の改善という美名に隠れて、今回でもいろいろ批判がある法人税と所得税との矛盾を拡大をすることだとか、あるいは政府がしきりに企業資本充実だけに走って、一般の経済あるいは国民生活というものとの比較を、権衡を失うというような方向に走ることには、あまり賛成しておらぬ。でありますから、端的にお尋ねしておきますが、この法律と企業課税との関係は結びついたものでないというふうに理解をしておるのでありますが、さよう考えてよろしゅうございますか。

佐藤榮作自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) その結論でよろしいと思いますが、しかし、まあ今回もこの増資を容易ならしめるという意味で登録税を軽減しておりますが、その点が影響のあるといえばあることですが、しかし、直接関係はございません。先ほど来からも申しますように、今後の企業課税のあり方ということになりますと、これは非常に問題は広範でございます。法人税や法人事業税を幾らかけるというような簡単なものじゃなくて、これはもう損益——益金にするかあるいは経費として落すか、そういう問題から、あるいはまた設備の耐用年数の問題もありましょうし、あるいは特許に関する問題があったり、各方面各般にわたって検討すべきもので、簡単に結論の出ないものである、かように御了承いただきたいと思います。

平林剛日本社会党

○平林剛君 大体、私、これに関する質問は終りました。  そこで、きょう必要というわけでありませんけれども、この機会に政府に資料を要求しておきます。再評価積立金の現在額につきましては、先般、昭和三十三年九月末現在の資料として、約一兆三百九億円あることがわかりました。これはそのときの調査で異なることはわかると思いますけれども、最近二、三年でも、あるいは四、五年でも、どういう傾向をたどってきたかということが知りたいのであります。国税庁調べによると、取りくずし額の内訳などもいろいろ出てきてはおりますけれども、大体今日まで再評価積立金の現在額はどんなふうに推移してきたか。去年はどのくらいであったか、おととしはどうであったか、その前はどうであったかというような傾向がわかるような資料をいただきたい。きょうの審議に必要なわけではありませんけれども、一つこれがほしいのであります。  それから、国税庁の長官来ておるから、あなたにも資料を一つ要求しておきます。それは、先般、私、指摘したのでありますが、企業資本充実のためには、最近の日本の資本家、企業家たちが大へん交際費を使っておる。もうどんな仕事をするのでも、すぐ待合かキャバレーかどこかへ連れて行かなきゃ仕事が成り立たぬというわけで、一方には企業資本充実のためいろいろな手当の法律が出されるかと思うと、そっちの方は何か野放しのような気がする。現在のいろいろな税の措置だけではまだ押えきれない面があるのじゃないかということを指摘したのですが、私は、そのときに使ったのは、大体、昨年ですか、配当金が千二百億円ある中で、交際費は八百億という膨大な額が使われておる。もう配当にするのには千二百億円で、交際費の方には八百億円も使う。お互い委員会で、そんなものかねというので、驚いたのであります。そこで、これはある特定の、あるグループの、何といいますか、ある範囲のわかっているやつだけの資料だと思いますけれども、この資料を、これもできればここ二、三年の傾向がわかっておりましたら、古い資料になって恐縮でありますけれども、調べてもらいたい。この資料を一ついただきたいと思うのであります。

岡崎真一自由民主党

○岡崎真一君 一言、大臣に伺います。先ほど体質改善のお話がございました。これについて一言だけ簡単にお答え願いたいのですけれども、体質改善というのはいろいろ方法があると思います。これはたとえ何かもしれませんけれども、まあ栄養剤を飲むということでからだがよくなるということになろうかと思うのです。ところが、この際に、たとえば——変な例を申し上げますので皆さんお笑いになるかもしれませんが、たとえば、体質改善をしてからだがよくなれば、髪の毛も黒くなる、ひげも黒くなる、こういうことが起ってくると思うのであります。そういうような体質改善、全体からいっての体質改善というようなお話なのか、それともひげがあまり濃くなつちゃ困るから、むしろ毛が濃くなった方がいいと、こういうことで、たとえば毛はえ薬でも少し余分につければというような意味で、毛はえ薬にも少し回して、毛はえ薬を少しよけいにつけるというのか、こういうことについて。自分は毛はえ薬の方に回すのだというお考えなのか。からだ全体がよくなればいいというお考えなのかということなのです。これは、たとえて申しますが、要するに、重点的に全体を期してということか、あるいは重点的、部分的についてもさらに考えるかということだと思うのですが、たとえが変ですけれども、それだけ一つ、毛はえ薬がいいか、営養剤がいいかということ、これだけのことについて御答弁を願いたいと思います。

佐藤榮作自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) 岡崎さんは大へん健康に恵まれたおからだでございますが、残念なことには髪が白い。そこで髪が黒くなる方法を希望するかという御意見かと思いますが、私ども考えますのに、本質的な欠陥と見られるような事柄は、部分的でも許してはいかぬ、こういうように思います。問題は、全体としての健全体であることが望ましいのであります。しかし、それが幾ら小部分でありましても、全体に影響を持つようなことなら、これは一つ直していただきたい、かように思っております。大へん、たとえで申し上げまして、申しわけございません。岡崎さんの頭の白いことは健康に影響のないことでありますから、御心配のないように願います。

加藤正人緑風会

○委員長(加藤正人君) 他に御発言もなければ、これにて質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。

大矢正日本社会党

○大矢正君 一点だけ。この法律のこれからの実施について、従来も実施はしてきたけれども、行政的な措置として何か特別にやられるようなお考えはあるのですか。これは大臣でなくて、局長でけっこうです。

正示啓次郎大蔵省理財局長

○政府委員(正示啓次郎君) お答えを申し上げます。先ほど来お話のありましたように、今回の施策はこれだけではございませんで、いろいろこれに伴ってプラス・アルフアの効果を期待していることはたびたび申し上げている通りであります。従いまして、この法律を適正に実施していくことは申すまでもございせまんが、なお、企業資本の充実その他経済の体質改善につきましては、われわれ主務省といたしましても、機会あるごとに一般の関心を高めていくような心がまえをもってやって参りたい、かように考えております。

大矢正日本社会党

○大矢正君 そうすると、特別に行政的にはどうこうしようという考え方はないように聞き取れるのだけれども、特別措置法の十八条の三の「資本組入の促進については、別に法律で定める。」というのは、何をさして言っているのですか。

正示啓次郎大蔵省理財局長

○政府委員(正示啓次郎君) 御指摘の条文は、先般も当委員会で御質問のございました二カ年経過後にどうするかという問題につきまして、一応法律をもちまして、そのときの情勢を考えましてあらためて法律に規定すると、こういうことをはっきりとうたった趣旨でございます。

大矢正日本社会党

○大矢正君 こういうものをあらためて作らなければならないというような何か理由があるのですか、別に。これはあなた、特別措置なんだから、特別の措置をやるのに、さらに特別の措置のあとには法律を作ってまたやるんだという特別措置は、どうも理解できないのですがね。

正示啓次郎大蔵省理財局長

○政府委員(正示啓次郎君) これは先ほども申し上げましたような趣旨をはっきりとうたいましたのでありました、時限法、いわゆる時限法の規定の仕方といたしましては、全然こういうことをうたわずに、ただ一定の期間を限ってこの法律を実施するという定め方もあろうかと存じます。しかしながら、すでに御承知のように、これは二十九年の法律をさらに今回、若干の内容を盛りまして、二カ年延長をするわけでございます。かような方向というものを特にうたいまして、御議論のございましたように、そのときの情勢に従ってやるのでございますが、これはどこまでも再評価積立金の資本組み入れを促進するという見地において法律で定める、かような方針を打ち出しておるわけでございます。

大矢正日本社会党

○大矢正君 収益がなければ増資ができないことは当然な話ですが、収益が向上しなければ増資ができないという、そういうものの考え方からいけば、かりに配当率を大幅に引き下げるということも不可能だとすれば、いろいろこれは議論もされていることなんだが、結局、その企業の合理化ということに通じてくると思うのだが、企業の合理化をするということになると、勢い特に従業員に対する人件費の抑制とか何とかということが行われる危険性をなしとしないわけなんだが、どうもここに別法律として定めるとか、あるいは行政措置の範囲内において、とにかく徹底的に合理化をして、その合理化というのは、特に労務費その他の切り下げなんかをやらせることによって配当を維持するなんということを、才蔵省はやらないとも限らないのだが、どうも危険きわまりないのだが……。

正示啓次郎大蔵省理財局長

○政府委員(正示啓次郎君) これは、先般もそういう御議論につきましてお答えを申し上げたのでございますが、私どもはどこまでも、企業全体の基盤を強化して参る、こういうことをねらいにいたしており、労使の関係が円満にいってこそ企業は基盤が強固であるということが言えるわけでありまして、いたずらに企業の内部におきまして使用者と労働者の間の関係が険悪になるというようなことでは、企業の基盤もまた強固というわけには参らないのでございまして、今御指摘のことはわれわれとしては毛頭考えておりませんので、この点はあわせて御了承願いたいと思います。

大矢正日本社会党

○大矢正君 私どもは、明確に社会党の立場で考えてみても、企業の資本が充実をされて、その企業がより安定をするということに対する法律再延長の大蔵省の考え方は了解するけれども、しかし、そのことが将来において従業員の生活やその他に影響する問題であるとすれば、これは大へんなことなんで、特に今申し上げてみているわけなんですが、私どもがこの法律に賛成するというのは、そういうようなことは絶対ない、とにかく将来において企業合理化ということを積極的に進める、その合理化は人件費の抑制その他を通じてやるのだということによって配当だけは維持しようというような考え方はない、こういう前提に立って私はこの法律は了解したいと思う。

佐藤榮作自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまの大矢さんの御意見でございますが、私どもも全然同一の考え方をいたしております。事務当局の説明で十分かと思いましたが、事柄の性質上、大臣といたしましてもはっきり他意のないことをこの機会に申し上げておきます。

加藤正人緑風会

○委員長(加藤正人君) これにて質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

加藤正人緑風会

○委員長(加藤正人君) 御異議ないものと認めます。  これより両案の討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。  別に御意見もないようでありますから、これて討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

加藤正人緑風会

○委員長(加藤正人君) 御異議ないものと認めます。  これより採決に入ります。企業資本充実のための資産再評価等の特別措置法の一部を改正する法律案、株式会社の再評価積立金の資本組入に関する法律の一部を改正する法律案を、一括して問題に供します。両案を原案通り可決することに御賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕

加藤正人緑風会

○委員長(加藤正人君) 全会一致でございます。よって両案は、全会一致をもって、原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、諸般の手続等につきましては、先例によりまして、これを委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者」あり〕

加藤正人緑風会

○委員長(加藤正人君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。   —————————————

加藤正人緑風会

○委員長(加藤正人君) 次に、接収貴金属等の処理に関する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は、順次御発言を願います。

土田國太郎自由民主党

○土田國太郎君 大蔵大臣が御出席になっておりますので、簡単に一点だけお伺いいたしたいと思います。  この法律案でありまするが、この法律案を参議院先議にいたしました経緯につきまして、御説明を願いたいと思います。

佐藤榮作自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) この法律案の参議院先議につきましては、ただいま土田委員から、どういうわけで先議にしたかということでございますが、私どもにもいろいろ耳に入っておりました。予算に関係する法律案だから衆議院の方が本筋じゃなかったか、こういうような御意見があるやにも伺っておるのでございます。しかし、これはまあ必ずしも、過去において予算に関する法律案で参議院の先議にかかった法律案が全然ないかと申しますと、必ずしもそうではございません。ただ、総体といたしまして、なるべく衆議院でやるというのが通例かと思います。私どもは、その法律的手続もさることでございますが、実は非常に常識的に、あるがままの姿で実は考えたのでございます。と申しますのは、この法律案は前国会で御審議をいただいたものと、これは全然一字一句も違わない法律案でございますが、衆議院においては一応通過し、参議院に回付された。そういう状況のもとにおいて、この結論を得ないでそのまま終ったと、こういう経過があるものですから、その意味で、まあ法律案も衆議院に殺到する際ではありまするので、衆議院で過去において一度通過した法案であり、ちょうど参議院にかかっていてそれが結論を見ないで消えていった法律だから、まあ常識的に考えまして、普通の状況で今回は参議院にお願いをし、衆議院の荷を少しでも軽くしたというような意味で、別に他意なしに、すなおに実は御審議をいただいておる次第であります。どうかよろしく御了承賜わりますようにお願いいたします。

土田國太郎自由民主党

○土田國太郎君 わかりました。

平林剛日本社会党

○平林剛君 本日はこの程度で一つ……。

加藤正人緑風会

○委員長(加藤正人君) せっかく大蔵大臣出席中でございますから、なるべく大臣に対する御質疑をやって下さい。

平林剛日本社会党

○平林剛君 あらためてやります。   —————————————

加藤正人緑風会

○委員長(加藤正人君) 本案に対し他に御質疑がなければ、これより昭和三十三年産米穀についての所得税の臨時特例に関する法律案、酒税法の一部を改正する法律案を一括議題とし、質疑を行います。

平林剛日本社会党

○平林剛君 一つだけお尋ねしておきます。今回のこの法律案を見ますと、特定の地域に対して期限についての配慮が加えられておるのであります。これは一体どういう理由ですか。つまり、秋田県とか、その他、昨年来の農業事情等の変化によって、期日の面で政治的な配慮をしようというお考えで、法律案が前回より少し変っておるのでありますか。

原純夫大蔵省主税局長

○政府委員(原純夫君) これは、農林省のお米を集めます上において、ちょうどこの地域の当該時期における天候が予想外の事態があったというようなことで、期限のまぎわに若干猶予をしてやりたい。で、若干おくれたものも期限内のものとして早場米の奨励金をやりたいというお話があり、これは何も税の、というよりも、食糧管理上食糧を集荷いたします政策の上から、農林省はそういう期限の若干の猶予をしたわけであります。そういたしますと、私どもの法律も、そういう場合にはそれにこたえる措置をとってやるのかほんとうのことであろうというふうに思いましたので、対応する措置をこれでお願いするということであります。

平林剛日本社会党

○平林剛君 そうすると、たとえばこういう問題があるのです。タバコの耕作地帯におきましても、昨年は二十二号台風、あるいは冷害、長雨、旱害、いろいろな災害が相重なりまして、はなはだしく減収になっておる地域が各地に存在するのであります。ところが、葉タバコを収納する最終的段階になって初めて、三割以上の減収があるということに気がついて、気のついたときにはすでにそういうことの届出をする期限がはずれてしまっておった。で、私どもはこれを何とか救済をしてやりたい、関係法律の期限があるけれども、まあ実際上何とか手当をしなければならぬ問題ではないかというふうに考えて、ただいま政府との間で議論をしておる問題があるのです。米の場合にこういう配慮をせられるということになりますれば、同様に、そちらにも与えていいのではないかという考えを持っておるのであります。あなたの直接担当じゃなけれども、農林省側では全般の問題についても配慮して、こういうものを出したものだとは思いませんけれども、そういうことと似た性格の法律案と、こう理解してよろしゅうございますか。

原純夫大蔵省主税局長

○政府委員(原純夫君) 食糧集荷の政策、また葉タバコを集めます方の政策について、私ちょっと申せる立場にありませんので、よく、ただいまのことは専売関係の方でありますから、御趣旨のほどをお伝えするようにいたします。

土田國太郎自由民主党

○土田國太郎君 原局長にお尋ねいたしますが、みりん甲類の税率引き下げ、これ御提案になっておるわけですね。前年度の集計でいいのですが、みりん甲類の総生産高を……。

原純夫大蔵省主税局長

○政府委員(原純夫君) 約二万石であります。付言いたしますが、この減税したいと思う事情の大きな一つは、戦前においては本みりんの生産は約八万石あった。他の酒類はもう非常に生産が復活して参りまして、もう戦前の塁を摩するようになってきたということを、ちょっと本案に関係ありませんけれども、つけ加えて申し上げます。

土田國太郎自由民主党

○土田國太郎君 この二万石のメーカーのうちで、二、三大きなメーカーの名前と、生産石数はどんな程度か。私はよく存じませんので、御参考に一つお聞かせ願いたい。

原純夫大蔵省主税局長

○政府委員(原純夫君) 恐縮でございますが、私、ただいま手元に資料を持っておりませんので、後ほど調べまして、委員会なりあるいはお手元に差上げるようにいたします。

土田國太郎自由民主党

○土田國太郎君 このみりん税率引き下げについての局長の御説明が、調味料なるがゆえに減税されるというような御説明に承わっておるのですが、現状におきますると、料理屋方面で使うのが主ですが、今日料理に使うというものは、一般大衆を相手にした料理店では大体使わないのが原則で、砂糖でもって間に合せるということになっております。でありまするから、これが消費者は、つまり一般大衆のレベル以上の料理屋のところが大体お使いになるというのが、私の知っている範囲では現状だと思っておりますが、そうしまするというと、あまり国民経済に関係のないような税率引き下げだという感じがするのですが、これは反対する意味で申し上げるのじゃないのですよ。それよりも、この前業界から陳情いたしました一級酒であるとか、あるいは一般の二級酒の税を引き下げるとかというようなことに、一つ御努力願った方が、国民経済にとりましても、清酒の七〇%も家庭で消費するという現状なのですから、どうか一つ、これはせっかく御提案になったのでありまするから、賛成はいたしますけれども、ほかの酒類の問題につきましても、一つ、もう少し御関心をお持ちになって、また来たるべき国会には適当に一つ御考慮に相なった方がよろしいかと存じます。その程度で、私の質問は打ち切ります。

原純夫大蔵省主税局長

○政府委員(原純夫君) みりんにつきましては、ごもっともなことでありまして、私どももやはり調味料としてもかなり高価なものであるということを考え、調味料なら、もう酒というアイデアを抜いて、うんと安いのにするかという考え方もありますが、そういうことをとらないで、やはり他の酒類とのバランスも考えまして、二級酒よりも二割くらい高い税率を盛ったようなわけであります。  なお、本みりん以外におきましても、酒類の税率につきましていろいろ問題点があるというのは、おっしゃる通りであります。私どもも今後十分検討いたして参りたいと思っております。

加藤正人緑風会

○委員長(加藤正人君) 他に御発言もなければ、本日はこの程度をもって散会いたします。    午後三時五十三分散会

国会会議録検索システムで原文を見る ↗