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31回国会参議院1959/02/19

大蔵委員会 第8号

発言数
53
登壇者
8
会派数
3
開催日
1959/02/19

会議録

加藤正人緑風会

○委員長(加藤正人君) ただいまから委員会を開きます。  委員会を代表いたしまして、参考人の方に委員長から一言ごあいさを申し上げます。  当委員会におきましては、目下、企業資本充実のための資産再評価等の特別措置法の一部を改正する法律案及び株式会社の再評価積立金の資本組入に関する法律の一部を改正する法律案について、慎重に審議を進めておりますが、本日は特に、審査の一環といたしまして、参考人の方に御出席をお願いした次第でございます。参考人の方には、御多用中、せっかく御出席をいただきまして、厚く御礼を申し上げます。  これよりさっそく両案に対する御意見を拝聴いたしたいと存じますが、当委員会といたしましては、この両案に連関して、日本経済の体質改善というような面から見た率直な御意見をあわせて拝聴できますれば、まことに幸いと存じます。  では、どうぞ、これからお願いいたします。湊参考人。

湊守篤経済同友会幹事日本興業銀行常務取締役

○参考人(湊守篤君) ただいまのお話にございました日本経済の体質改善、この問題に関しましては、最近新聞面あるいは当国会においてもいろいろ議論の中で出て参っております。世上非常な注目を浴びておる問題であります。ことに、ことしの、政府としてのお考え方もそうでありますと同時に、われわれ財界としても同様な考え方を持っております日本経済の安定的成長、この安定的成長のためのきわめて重要な条件の一つとして、日本経済の体質の改善ということが特に強く提唱されることになっておるように思われるのです。しかし、体質改善といいましても、何だかわかったような、わからないような、議論をする人によっていろいろな角度から問題を取り上げておられますし、たくさんあります体質の悪さのいろいろな面を別々に突いて論じられる傾向がありますために、まあともすれば、この体質改善という問題のほんとうに大事なところが見落されがちな傾向があるように感じまして、われわれ同友会に集まつております人たちといたしまして、どうしてもこの体質改善という問題について、まあ定説といいますか、同友会としての考え方をまとめて発表する機会を持ちたいと思って、今せっかく検討しております最中でございます。従いまして、これから私、参考人といたしまして、皆様の御審議の過程で出て参りましたこの問題について意見を述べるわけでございますが、きわめて未熟でございますことをあらかじめ御了承いただきたいと存じます。  日本経済の体質がよくないということ、これは皆様方もいろいろの場面でお気づきになっておられる点であろうと思うのでありますけれども、私どもはこれを、非常にたくさんある中から、きわめて重要、どうしても早急に改善しなければならないと思われる幾つかの問題を取り上げて見ておるのでありますが、主要なものをあげてみますと、まあ第一に、これはまあわれわれ同友会、財界でありますために、まあ財界の自体の反省というのがまっ先に出てくるのは当然なんです。財界、これは金融界も産業界も入れまして、財界に戦後自主性といいますか、自立精神といった方がわかりいいかもしれません。そういった気風が非常に少くなっておるということ、これは、戦争中から戦後にかけて統制経済が続きました、統制経済のまあ当然の結果として、財界としては自立する、ひとりで歩くといった気風がとかく薄れています。何かといえば、政府に寄りかかる。俗な言葉でいえば、だっことか、おんぶとかいったような感じになるものでございますが、そういった統制経済時代の気風がまだ非常に残っておって、なかなか、政府あるいはその他の力をたよらないので、みずからの力で歩くといいますか、財界を持っていくといったような気風が非常に減ってきておる。これは戦前に比べてかなりひどく落ちておると思いますし、先進諸国に比べてこれは格段の違いがあるように思います。これが第一。  それから二番目には、企業と政府の関係、政府と企業の関係が、これが必ずしも正常だとはいえない。このことは、ただいまの統制経済の残滓が依然として残っておる、その残滓と自由経済とが不調和のままで併存しておる、という事実に現われておるかと思うのであります。  それから三番目に注目しなければならないのは、企業と金融の関係がゆがんでおるというふうにわれわれ見る。これは、今日まあこの委員会でお取り上げになっておられます企業資本充実のための資産再評価の問題に非常に関連のある点でありますけれども、もうすでに御検討いただいたと思います。日本の産業が戦後、外部負債に非常に大きく依存して資本の構成がきわめて悪いという点、まあ数字その他もおわかりのことと思いますので、省略いたしますが、戦前に比べて全く反対になっております。先進諸国と比べてまあ格段の違いがそこにある。こういった金融への依存度がきわめて高いということが、金融と企業の関係をかなりゆがめておるというふうに見るべきではないかというふうに思う。金融の側から見ますと、しばしばいわれておりますように、系列化といったような言葉で表現されておる企業との結びつき方が、本来の金融と企業の正常であるべき姿からは若干逸脱いたしておるといったような、まあそのことが過当競争を激化するといったようなことに、後ほど出てくる問題につながるのでありますけれども、そういうふうに企業の自己資本がきわめて少いということから、企業と金融の関係がゆがんだ姿になって今日あって、それが日本経済をいろいろな形でゆがめていくという傾向、これが三番目の欠陥であろうというふうに思うのであります。  それから四番目には、今まで申しましたことの結果として考えられることでありますけれども、先ほどもちょっと触れた過当競争であります。今次の不況の原因について、これはいろいろ異論はありますけれども、白書は御存じのように、在庫調整劇から過剰設備劇へといったような表現で説明しておるのでありますけれども、この過剰設備を作り出した原因のかなり大きなものが過当競争であったのだということは今日否定する人は非常に少いというふうに思うのです。そういった過当競争が、早過ぎた拡大をやつて、その反動として今次の不況が出てきたことは、これは私は間違いないというふうに思うのですけれども、そういう不況の原因になった、日本経済を大きくゆさぶる原因になったこの過当競争という問題についてどうしてもわれわれ考えてみなければならないということになるのです。  そこで、過当競争は確かに経済体質の悪い一面でありますけれども、その原因はというと、今申し上げた三つばかりの体質の悪さが原因だということにもなってくる。結局、いろいろ作用し合っておるというふうに思うのでありますけれども、そういった幾つかつ点が、今あげました四つばかりの点が最も重要な欠陥だというふうに見ていいのじゃないかというふうに思うのであります。  しかし、さらにもう少し広げて考えますと産業の設備、これは合理化であるとか、近代化とか、いろいろいわれた技術革新に沿って近年非常に改善されてきておりますけれども、この産業設備の近代化が、先進諸国と比べると、依然としてかなりおくれておる。それからもう一つ、これは重大な問題だと思うのでありますけれども、陳腐化した老朽施設が未償却で今日相当残つておるということ、これは先進諸国は、たとえば西独で申しますと、およそ償却は五年ぐらいの年数でやっております。アメリカは四年三カ月といったような償却の、税法が許容する年数で、また事実その許容される一ぱいの償却を実行し、あるいは若干超過償却もしておるのが実相でありますが、日本の場合は、これが再評価不足という問題を考慮しないで計算して、およそ十年といったことになっておりますし、ここでいろいろ御討議されました再評価不足という問題を考慮いたしますと、日本の場合は、これが十年よりもっとはるかに長い償却年限になっております。そういったことから、それだけが原因ではむろんありませんけれども、もともと企業の収益力が弱いというところが根本原因であると思いますけれども、そういったことが重なって未償却の陳腐化、老朽施設、これはもし西独であればとうの昔スクラップにしてしまっておるか、あるいは残っておったとしても帳簿価額がゼロになっており、借金はないといったような、そういった陳腐化した老朽施設が、日本の場合は相当たくさん今日残つておる。それが未償却であり、借金をしょっておるということになって、これが企業の体質を非常に弱くしておるというふうに思うのであります。  さらに、もっといえば、工業生産と、いわゆる産業基盤といいますか、道路港湾あるいは鉄道といったようなもののバランスがとれていないことであるとか、あるいはしばしば問題になる二重構造の問題であるとか、いろいろ体質の悪さという点をあげていきますと、まあ極端にいえば際限なくあるのでありますけれども、今申し上げたような、七つ八つのことが最も、先ほど申した緊要なといいますか、早急に手をつけなければならない欠陥だろうというふうに思うのです。  そこで、私どもはそういうふうに考えておるのでありますけれども、この委員会が当面問題にしておられます自己資本の充実というのは、その三番目でして、企業の、産業の自己資本が非常に過小であるという問題に関連しておると思うのです。自己資本が過小であるということがどういう意味で日本経済の運営にとってマイナスになっておるかというと、これはいろんな場合が考えられると思うのでありますけれども、最も大きな影響は、不況時における抵抗力がないということになってくる。御承知のように、借金は、いかな不況時にあっても、いかに会社の経理が苦しくても、利息は払わなければなりませんけれども、自己資本はそういった場合には配当を待ってもらうことができる。これが不況抵抗力ということになるのでありましょう。さらに、もっと根本的な問題になるかもしれませんけれども、自己資本が過小であるということから、株主の地位が後退しておる。従って、会社の経営について株主の発言権というものがかなり弱まつておる。こういうことが会社の経営、運営上いいことであるかどうかということは、これはもう論議を待たない。資本主義経済でいく限り、これは非常に重要なポイントであろうと思うのでありますけれども、結局、経営者としては、そういったことからして、企業を借金で拡大するということを非常に容易に考える。まあそういう風潮ができてきてしまっておる。そういうことから、とかくオーバー・ローンという問題も出て参りますし、先ほど申し上げた金融と企業の関係が正常でないということも出てくるわけなんです。結局、日本経済の体質の改善に何から手をつけるべきかと問われたら、どうしても、この自己資本充実から手をつけなければいけないということになるのじゃないだろうかというふうにわれわれは考えるのです。  そこで、先般来われわれ同友会の中で、その方向に沿っていろいろな角度からやつているのでありますけれども、一つ税制の面から援助するといいますか、そういった改善がやりやすいような環境を作つていただくというような意味で、税制の問題とも取っ組んで、今小さな委員会を作つてやつておるのでありますけれども、その税制の委員会で問題になっております点は、ここで目下討議されておりますこの問題が一つ。もう一つは、償却に関する問題でございます。そういうふうに、これはもう釈迦に説法でございますけれども、自己資本を充実することが必要なんだということをいかにお説教いたしましても、自己資本を充実することがきわめて企業にとって不利であるという事実があります限り、なかなかこれはやりにくい問題であります。ですから、税制ばかりではむろんございません、その他のいろいろな面がございますけれども、企業の経営者が今申したような自己資本の充実から手をつけて、逐次正常化の方向へ一歩心々進んで行くということのために、そういう気持になり、かつ、なることが自分の会社にとつても利益であるといったような、そういった環境が作られることが望ましいというふうに思うのであります。で、ここで討議されておられます今のこの問題は、その環境を作ります上に非常に大きな役割を果すものだというふうに、私としては考えておるわけでございます。  で、大へん簡単でございますけれども、要点だけ申し上げました。

加藤正人緑風会

○委員長(加藤正人君) 質疑のある方は、順次、御質問をお願いいたします。

木内四郎自由民主党

○木内四郎君 どなたもなければ、私、一つだけ参考人にお伺いいたしたいと思います。参考人の方が、企業と資本充実の問題について非常に関心を持っておられる。よくわかるのです。で、まあ資本充実のために、自己資本充実のために、この二法案が非常に役立つという御意見、これはまことにごもっともでよくわかるのですが、今お話しになったこの自己資本充実に非常に障害になっておる税制上の大きな問題がある、その一つだと、こういうお話だったのですが、税制上もっと大きな障害がないでしょうか。

湊守篤経済同友会幹事日本興業銀行常務取締役

○参考人(湊守篤君) あると思います。

木内四郎自由民主党

○木内四郎君 何か、あるというお考えだったら、一つお考えを伺わしていただきたい。

湊守篤経済同友会幹事日本興業銀行常務取締役

○参考人(湊守篤君) これは、先ほど申し上げましたように、企業としては今の税制では、増資をいたしました場合と、借入金によって設備をやりました場合を比較いたしまして、まあ配当の率にもよりますけれども、まあ少くも二倍から三倍くらいのいわゆる金融費用と申しますか、増資の場合は配当でございますが、配当をするための所要利益が、借入金でいく場合の二倍ないし三倍くらいかかってしまうという事実がある。これは御承知のように、金利には税金がかかりませんけれども、利益には税金がかかることになる。その税金のかけ方に問題があるように思うのでありますけれども、ただいま申し上げましたような三倍も所要利益が必要であるということになれば、まあ企業を経営される方としては、自己資本を充実するということが大事だということは、十分御理解願えておっても、現実の問題として借入金の力に行かれるということになるというのは、これは自然の理ではないかと、こういうように思うのです。  ですから、どうしても、今後資本充実を誘導していくことが必要であるとすれば、既往のものはこれは仕方がないとしても、今後の増資について特別の税制上の配意があっていいんじゃないか。そういう環境を作つていただくということにならないと、いかにわれわれが声をからして体質改善だ、資本充実だということを言いましても、現実にそういう結果は出てこないじゃないかというように考えます。

木内四郎自由民主党

○木内四郎君 今の参考人の御意見は非常に重大な問題だと思うのですが、まあ自己資本充実が大事だということは、かねがね各方面で唱えられておりますし、今、参考人の方もお話しになりました。今、参考人のお話しになったことは、たとえば借入金でいえば、六、七分、八分というような利息を払えば、経費として十分。増資というと、八分の配当をするためには、税金も納めたり、利益処分をやるんだから、おそらく二割以上の、あるいはそれ以上の利益をもって、その半分近いものを税金に納めて、その残りのうちから配当をする。そういう制度になっておれば、事業を経営する人はどうしてもこの借入資本によるようなふうになるだろう。いやしくもそろばんのわかるような者なら、そういうふうになるだろうというような御意見だろうと思うのです。

湊守篤経済同友会幹事日本興業銀行常務取締役

○参考人(湊守篤君) そうです。

木内四郎自由民主党

○木内四郎君 そういう障害が制度上にあれば、これはいかに自己資本の充実ということを叫んだところで、なかなか自己資本の充実ということは言うべくして実現を見ることは困難なことだ。今度のこの二法案によるものは、一割五分とか一割二分をこえる配当をする場合には、百分の三十とか百分の五十とかというものを組み入れなければならぬというようなことらしいのだけれども、それは勘定科目の振りかえだけで、別に新しい資本を充実するわけでも何でもないように思うのですが、これでも役に立ちますか。

湊守篤経済同友会幹事日本興業銀行常務取締役

○参考人(湊守篤君) それは、今お話しのように、勘定の振りかえだけだと言ってしまえばそうだと思いますけれども、これは私どもの考え方は、この程度では私どもとしては非常に不満足。もっと積極的に資本組み入れを進めていただいてもいいんじゃないかというふうに、われわれは考えておる。これはいろいろな理由があるかと思うのでありますけれども、たとえば、今の株のブームの問題、これはどなたも十分御存じのように、企業の経理の実態を反映しているものとはとうてい言えない。本来そうあるべきものが、非常にゆがんだ形で株式相場としては出ておって、そのことが日本経済を、これは国外からよく見てくれるのはけっこうなんだけれども、国内でも非常にミス・ジャッジする原因になっておる。このまずさというものをわれわれ非常に感じるわけであります。その一つの原因が——一つの原因というよりは最も大きな原因が、株式それ自体の需給のアンバランスということにある。何とか株が本来の増資の形でふえていくことが最も望ましいのは当然でありますけれども、今申し上げましたような環境からして、なかなか株価が幾ら高くても増資がどんどん進むというような形にはなっていない。これからはそういうふうに持っていかなければならない問題でありますけれども、当面はなかなかそういうふうにはならない。そこで、こういう方法によって株式それ自体がふえるということが、一つ、利点として考えられるのじゃないかと思います。  しかし、さらに、こういったような問題から、経営者なり、あるいはこれは世論あるいは社会的な考え方といってもいいかもしれませんが、こういうことが大事なんだと。結局、今申し上げた体質を改善することが日本経済の安定的成長のための最も必要な条件であり、それによって国際競争力を付与して、経済をとにかく拡大へ持っていく、それによっていく、それによってできれば完全雇用ないしは国民の平均した生活水準の向上といったようなことを考えていかなければならない。そういう機運といいますか、そういう空気が出てくることが非常に大事である。どうも戦後、さっき申し上げます通り、自己資本を充実するということが大事なんだということが、これは経済学の本には書いてあるけれども、実感としてあまり出ていない。現に今、木内先生が御指摘になったように、そういった環境があるために、やりたくてもやれないということで今日まで来てしまった。そこで、このなべ底不況を体験したその反省の中から、体質改善という問題が出てきて、その中で資本充実ということが非常に重大なんだということが、今やだんだん認識されてきておる。これを盛り上げていくために、この法案がこういう形で通るということは、私は非常に意味があると思うわけであります。

平林剛日本社会党

○平林剛君 私も二つばかり参考人の御意見をお聞きしたいと思うのでありますが、今議題になっておる法律案の成立によって、一般の投資家に与える影響は一体どうなのか、それが一つであります。  ただいまお話がありましたように、日本経済の体質改善は行われなければならぬ。資本構成の正常でないこと、自己資本と借入金の比率などをいろいろ考えてみましても、これは何とか解決せねばならぬ。しかも、お話のように、自律的に、自分でも自主的にそれをやらなければならない。ところが、この解決のためには、増資をするとかあるいは長期の社債を発行せねばならぬ。しかるに、今回のような措置になりますと、体質改善の目標たるべき方向に対して、少し矛盾してくることができるのじゃないか。いろいろ意見があると思いますけれども、株の値段がまず落ちて——今の株の値段は正常だとは思いませんけれども、株の値段が下つてきてしまえば、自分で自立して増資や何かしたいと考えてそれができない。あるいは今回の対象となっている会社が軒並み無配当になってしまうという結果が現われはしないかというような議論もあるわけであります。  私は、第二としては、証券業界においてはどんなような意見を持っているか、この二つの点についてお聞かせを願います。

湊守篤経済同友会幹事日本興業銀行常務取締役

○参考人(湊守篤君) 今、御質問がございました点につきましては、極端な場合はあるいは起るかもしれませんけれども、通常の場合で考えますと、こういった措置をとることが投資家にとって不利であるというふうには、どうしても思えない。それは確かに株の供給がそれだけふえるわけでありますから、今申し上げました需給というだけのことからすれば、株価は下ることも起るでありましょう。しかし、今の株価がいかに異常であるかということは、これは投資家にもよくわかっておることで、これによって株式を投資家は無償で受け取ることになるわけでございますね。そうすると、配当率が同じであれば、これは非常にプラスになるのは当然である。そういった場合に、配当率が下ることがむしろ本来であって、そう考えなければならないのに、戦後はそういうこともやや異常になっている。増資をしてもなかなか配当を下げない。これは今資本過小の面からそれが可能だから、そうやっておるのだけれども、これは本来の姿ではない。従って、これで株式がふえて、ふえることによって配当率が何がしか下つても、手取りの配当金が同じであれば、利害は全くないということになる。今の株価の問題は、投資家というよりはむしろ投機家の方に問題があるのであって、投資家にとつてこれが利益であるか不利であるかということは、おのずから別の問題になってくるというふうに思います。  だから、投資家にとって本来何が利益であるかといえば、企業の実体がよくなるということが利益である。もっと大きくいえば、日本経済それ自体がよくなるということが利益であるのであって、その点で、この法案が、先ほどから申し上げているように、寄与するところが大であるとすれば、これが投資家にとつて、一、二極端な場合、例外はありましようけれども、一般論としては問題のないところではないかというふうに思います。  それから、増資の問題でありますけれども、株価が下ると増資がしにくくなるということは、一般通念として言えるわけでありますけれども、今日それでは株がこんなに高いのに増資がどんどんできるかというと、できない。今日の株価と増資との関係は、わが国の経済が正常でないために本来の議論では律し切れない面を持っておって、むしろさっき木内先生が御指摘になったような面からの助成が出てこないというと、増資が急速に伸びるということにはどうしてもならない。そういうことでありますから、この法案がその面に対する影響を何がしか持つということには、私はならないのではないかというふうに思います。

平林剛日本社会党

○平林剛君 もう一つ、自己資本の充実が企業家にとつても大へん大事だし、日本経済の安定と成長のために必要である。これはだれでもそう考えるのでありますけれども、一方、現在の財界といいますか、企業家の風習として、最近、私はこまかい資料は知りませんけれども、なお交際費の額であるとか、あるいは何か仕事をする場合でも運動費などが相当多額に使われる。最近はあまり世間の口に上りませんけれども、まだ町へ行けばいわゆる社用族というようなことがあったりいたしまして、待合にいたしましても、料理屋にしても、自分のふところをいためない金でもっていろいろな消費が行われる。いわばむだづかいが行われる。今日この額がどのくらいになるか私はよく存じませんけれども、そういう傾向はまだ依然として続いているように思うのであります。やはり今お話しのように、日本の経済の体質改善のために企業家としても相当自粛せねばならぬ点があるにもかかわらず、一面これが放置されている。私どものいつも議論をしておりますのは、日本の国民経済、国民生活というものは、そのためにかえって相対的に貧困感を与える。つまり、そういう仕事に縁のない人は、割合生活水準は上っているのだが、相対的にそのために貧乏であるという感じを強く受けて、またそれを苦苦しく思っているわけであります。そういう意味では、この法律案そのものも、自己資本の充実という点に役立つかもしれませんが、一面、その面における反省が企業界になくてはならぬじゃないかと、かねがね考えておるのであります。そういうことについてはどうお考えでしょうか。

湊守篤経済同友会幹事日本興業銀行常務取締役

○参考人(湊守篤君) 私、今の御指摘された点については全く同感であります。私自身、新生活運動の仕事をしておりまして、そういう点についていろいろ、多少人よりも先に出ておる立場でありますので、よけいそう思うのかもしれません。この点については、しかし、非常に反省はあるんです。財界一般的に反省は年とともに非常に盛り上ってきておって、われわれのやつておる新生活運動も、相当な、これは目立ちませんけれども、実際計算してみれば、相当の効果を上げているというふうに私は思う。ただ、しかし、一般的に、非常にこの問題が言われるのでありますけれども、それがほんとうに、会社経営、企業経営のために必要なものであるかないかという、その分れ目の判別がきわめてむずかしい。  先年、私はアメリカからヨーロッパをずうっと回りまして、そのことが、自分のやつております仕事にも関連があるものですから、非常に気になりまして、ずいぶん向うの実例なんかも聞いてみたのでありますが、これらの国でも、かなり、この問題は相当問題になっておるほどあるんでありまして、これはやっぱり、戦後の民主化の進行とともに、社会的な批判が非常に強く出るということと、それから、収入といいますか、個人の所得が非常にカーブがねてしまったんですね。これは、日本は非常にねておるけれども、先進諸国は、日本ほどでないけれども、しかし、戦前に比べれば非常にねておるという、そういったようなことから出てくる問題じゃないかというふうな解釈をいろいろ聞いたんですけれども、まあ、先進諸国でも非常にこういった事実がある。ですから、その問題をどこで線を引っぱって、どこから先がいけないかというふうなことは、なかなか機械的にきめにくいんで、結局、今やつている新生活運動なんというもの、まあ非常に遅々としておるように見えますけれども、これをだんだん盛り上げていくという以外には、なかなか的確な方法はないんだというふうに考えて、やっております。

大矢正日本社会党

○大矢正君 この二つの法律に直接関係することじゃないんですが、現在の段階では非常に株高なんだけれども、実際に増資をするということになると、なかなか思うにまかせないという問題なんですが、考えてみると、結局、今の場合には、銀行の預金の方が株の利回りよりは、税制その他から考えてみまして、有利なことは事実でありまするし、そういう点にも一つ原因があるんだろうと思いまするし、また特に最近の投資の状況をながめてみましても、零細な投資家というのは直接投資をするんじゃなくて、間接投資が圧倒的なパーセンテージを占めておると思いますし、こういうようなことから考えて参りまして、やはり私は、戦後、株式が民主化をされた、証券民主化ということがよくいわれますけれども、事実においては、まだそこまでいっていないんじゃないかという気がするんですが、それには理由として、今私が申し上げた金利の問題や、それから税制上の問題や、あるいはまた、日本の経済というものが、今日までの間、非常に不安定であったということから、国民の特に零細な投資家においては、さっきおっしゃられたように、投資をするというよりは、投機的な考え方が強くて、利回りを本位にした株に対する理解とか考え方というものが案外薄い。安いときに買って高く売ってもうけようという、そういう投資家というものが比較的、日本の場合においては零細投資家において多いわけですが、こういうことを考えて参りますと、やはり何といっても、会社が増資をしても、証券の引き受け手が事実上として市中には多い——これは単に、金融機関や、証券会社や、あるいは保険会社というような大口ばかりじゃなくて、国民的な視野から、やはり株の引き受け手が市中において多いということが、私は必要じゃないかと思うのですが、そのためには、確かに証券会社はいろいろ企業の経理の状況や何かを盛んに宣伝をして、株に対する投資欲を高めているようですけれども、私は、証券会社が行う行い方というものは、ある程度、証券会社の利益本位と言っちゃ悪いんですけれども、まあそういう考え方もあるでしょうから、純粋な意味でやはり考えていけば、たとえばアメリカなんかの場合のように、ほんとうに株を民主化させるというような立場から考えてみましても、経営者みずからが国民の多くの階層の人に株を持ってもらうという方向に努力をすべきじゃないかという気がするのです。  これは、そういう点から考えていくと、どうも今の企業家のあり方としては、増資をするときは全部証券会社にまかせきりで、あと会社の宣伝とか、企業の内容とか、資本の現況とかいうようなことは一切まかせきりで、みずから努力しない。自分の会社で作った物はできる限り買ってもらうという努力はするけれども、自分の会社はこういう状況にあるということを国民一般に周知してもらう。そういうことで、自分の会社に対する株の引き受け手、投資家に対する努力がどうも足りないような気がするのですが、私は、もっと経営者みずからが、国民全般の中に、一部の証券会社、保険会社、金融機関だけにたよることも必要であるけれども、それ以外に、株主を求める方向で、証券民主化の戦後の基本的な考え方を貫く意味で、アメリカにならうべき点があるのじゃないか。そういう点では、株主を大事にする。同時に、株の利回り、配当をよくするということもありましようけれども、それ以外に、もっと株主に対するサービスに努めていくということは、企業家みずからやらなければならぬことじゃないかと思うのですが、こういう点はいかがですか。

湊守篤経済同友会幹事日本興業銀行常務取締役

○参考人(湊守篤君) お説よく、私、わかります。私どももそれと近い考え方を持っておりますけれども、ただ最後に言われた、会社の経営者みずからが大衆株主を求めて、そこへ向って積極的に働きかけていくということは、これは実際問題としてはなかなかできない。結局、会社の実態が、さっき申し上げたように、株価に正当に反映して、株式市場を通じて大衆が会社の資本に参加していくということ以外には、とり得ないわけですね。それが、さっきから申し上げておるように、株価が正当に会社の実態を反映していないという今の姿は、株式の民主化にとつて非常に障害になる。だから、やはりそれが正当に反映するような仕組みをみんなで考えていかなければならぬ。そうしなければ、今の証券の民主化という問題も、本来の投資へ大衆資金を誘引すべきものが、投機へ誘引してしまうというような結果を招来して、これはいわばガラといったようなものも出てくるかもしれないと思うのだけれども、そういったことを考えると、多少重大な問題であるし、どうしても今のああいった株価形成といったものには相当批判が加えられなければならないし、改善するための措置がとられなければならない。その改善するための措置の一つとして、資本の充実という一連の考え方も出てくるのであって、これはさっき申し上げたように、これでは手ぬるいというようなことを申し上げた理由は、そこにあるのであって、もっと、先ほど木内先生が御指摘のような点をあわせて考えて、株の需給が正常になり、その結果として、会社の経理の実態が株価に反映し、そこで大衆は投機ではなくて落ちついた投資ということで、市場を通じて資本に参加していくということになってくることが好ましい。  戦後、証券民主化は非常に進んでおりますけれども、現在、大衆資金は必ずしも全部が全部間接投資の方でなく、むしろ直接投資に向きかかっている。非常にいい方向に向いておると私どもは思うのだけれども、せっかくそういったチャンスを、こういった株式不足ということから逸してしまうのじゃないか。このことによって、かりに、これは万一ということでありますけれども、万一、大衆が大きな損をするということになると、せっかく直接投資の方に向いてきた気分がすっかりなくなって、まあ日本では銀行に預けておいた方が間違いがないということになったら、ほんとうの民主化ということからそれていくのじゃないか。そういうような感じを持つので、どうしてもこの資本充実ということについては、ここに御討議されている面もむろんありますけれども、先ほどの税制の問題なんかもあわせて御研究いただきたいというふうに、切に思うわけです。

小酒井義男日本社会党

○小酒井義男君 一点だけ。これは今後の問題ですけれども、今回のこの法律には直接関係はありませんが、配当の率が一割二分以内、まあ一割二分というぎりぎりの線で、しかも資本金の倍以上の再評価積立を持っている企業がありますね。こういうものは将来どういうふうにしていくべきかというようなことについての御意見があったら、承わっておきたいと思います。

湊守篤経済同友会幹事日本興業銀行常務取締役

○参考人(湊守篤君) 私は、やっぱりこの今度のお考えになっております一割二分を一割五分に上げる、三〇%、五%というふうな比率を将来もっと上げて、やはりそれだけの資本繰り入れを、これを第一次といたしますれば、二次、三次と重ねて積み上げていくということが必要ではないかというふうに思われます。

岡崎真一自由民主党

○岡崎真一君 先ほど非常に簡単に要領を伺って、私は非常によくわかったのですけれども、一つ、これとちょっと違う問題なんですけれども、御意見を承わりたいと思います。  金利という自己資本充実という問題について、それから要するに償却ということ、税制という問題、こういう一連の関連性をもちまして、現在のいわゆる金利という問題ですね、金利というものは日本が非常に高いということが、あらゆる面でそういうものに関連性があるということは、これはわかると思うのです。そういう点からいって、現在の日本の金利というものと、それからいわゆる自己資本と株主の払い込みをしやすくするということ——株主という言葉は適当かどうかわかりませんけれども、そういう資本の充実という問題になると思う。そういうものと、それから先ほどちょっとあなたが、利潤という問題——利潤という問題は、そういうものが解決されれば、また別の角度から当然是正されてくると思う。そういう点から見まして、自己資本の充実ということと金利ということと結びつけて、税制もありますけれども、当然そういうことはそれに呼応して改善されるということを前提におきながら、そういうことについて一つ御意見がありましたら、お伺いしたいと思います。これはちょっと違いますけれども、根本の問題として。

湊守篤経済同友会幹事日本興業銀行常務取締役

○参考人(湊守篤君) 今小酒井委員から御質問になりましたことにも関連すると思いますけれども、どんどん資本の供給、株の供給をふやしていくということが望ましいということは、さっき申し上げました。ただ、しかし、企業の収益率との関係、これは金利にも関連が出てきますが、日本の場合は使用総資本に対する企業の収益率、最近は大よそ二%から二・五%くらいのところじゃないかと思います。これは戦前に比べるとおよそ半分くらいでありますし、アメリカあたりに比べると三分の一以下だと思います。こういうふうに日本の企業が非常に収益力が低いということが、いかにその環境を整備しても増資が進まないという一つの原因であります。そこで、今、小酒井委員から御質問のありました点については、さっき私ああいうふうに申しましたけれども、その収益力の限界があってなかなかやれないという面も出てくる。ただ、一割二分も配当する会社は大いに収益力がありますから、そういうところには大いに強制していってもいいのじゃないかというふうに思います。  そこで、収益力を上げるということ、さっきいろいろ申し上げましたけれども、結局、ねらいはそういうところにある。景気がいい、悪いということがよくいわれますけれども、景気とは何だというと、せんじつめていくと、そういうところである。結局、二・五%という収益率がもっと上っていくことが景気なんです。そういうふうにすることが望ましいことは言うまでもありません。そこで、これは最近ではありませんが、よほど前から、戦後の日本の金利が国際水準に比べてきわだって高い。それが今の企業の収益力を非常に低下さしておる。先ほど申し上げた、戦前に比べて約半分だということの原因のかなり大きな部分が金利であるのだというふうにいわれておるように思うのです。そこで、この金利の問題でございますが、これは大蔵省の法人企業統計に現われております数字で申しますと、全産業が負担しております金利は、その産業の総売上に対して三・五%ということになっております。  従って、これは確かに先進諸国に比べれば高い、金利それ自体が。金利水準が高い上に、借入金が、先ほども申し上げたように、非常に多いわけですから、この比率は確かに高い。でありますけれども、売上高に対して三・五%といった比率は、日本の場合には必ずしも、一般にいわれているように、それほどこれが決定的な利潤を低下さしている原因だというふうに見るわけにはいかない。そこで、この三・五%という数字だけで議論する人は、私が、今申したことと同じことを言うわけでありますが、しかし、この金利についてはいろいろな見方がありまして、その三・五%というのは直接の金利負担だけを計算しているので、実際の金利というものはそうではないのだ。一つの商品は幾つかの原材料を積み重ねてできているものであって、その原材料一つ一つがそれぞれ金利をしょっておるのだから、そのしょっておる金利を合計すると大へん大きな額になる。ある人は、おれのマクロ計算によるとそれは二割になると言い、三割になるという御意見もある。このことがもしほんとうであるとすれば、これは非常に重大なことであって、商品のコストの中で占める金利の割合は二割とか三割ということになると、今の金利水準を下げるということが非常に重大な産業政策ということになってくる。あるいは日本経済の安定的発展のためにまつ先にこれに手をつけなければならないということが言えるかと思うのでありますけれども、どうも私はそういった積み上げるということは、何か思い違いがあるのじゃないかというふうに考えるのです。  そういうことについてお話し申し上げてよろしいですか。

岡崎真一自由民主党

○岡崎真一君 あまり長くなると皆さんに御迷惑かもしれませんから、簡単に……。

湊守篤経済同友会幹事日本興業銀行常務取締役

○参考人(湊守篤君) 非常に重要な問題で、実は先日、小笠原全銀連の会長、衆議院で公聴会のときに御質問が出たようでございます。そのときには御説明がなかったようでございます。今のお話、ごく簡単に申しますと、全国の金融機関が収受しております利息は、金額にしまして大よそ八千億くらいだろうと思います。この八千億の金利を全商品が負担しておるということになると思います。そこで、全商品の売り上げというのはどれくらいあるかといいますと、これは的確な統計資料がございません。なかなか出しにくいのでありますけれども、大よそ二十兆から二十五兆くらいじゃないかというふうに思います。商社の段階で重複いたしますので、的確に言えませんが、二十兆といたしますと、八千億を二十兆で割ると四%ということになって大蔵省の企業統計と合致するわけなんです。ところが、これを議論をする方は最終商品に積み上げるということでございますから、最終商品は幾らかと申しますと、これはまた的確な統計はありませんが、八兆から十兆ぐらいというふうに考えていただきたい。そこで、八兆の最終商品で今の八千億を割りますと、一割という数字が出るわけです。もっと詰めていかないと、二割ということにならないと思いますが、どういう計算か私にはわからない。ただしかし、ここで、積み上げるということでございますけれども、積み上げるということを認めるためには、最も基礎的な原材料、これは最終商品に積み上げるわけですから、原材料屋が利息を払わないという前提がなければ、積み上げるということは出てこないわけで、しかし、現実には電力も石炭もみんな利息を払っておるのでありますから、積み上げて計算することはできますけれども、その結果出てきた合計が全産業の負担金利なんだというと、もうそこに間違いが出てくるのであって、私は、ですからやはり、日本の商品の負担しておる金利、商品のコストの中で占めておる金利の割合は、電力のように一三%というような高いものもあり、海運のような八%といったものもありますけれども、平均するとやはり三・五%といったようなことになってくる。従って、これを下げるということが必要なことはむろん言うまでもないことだけれども、しかし、ここでそいつをかりに二割三割下げてみても、原価に及ぼす影響はわずかに一%であるということをこの機会に申し上げて、そうだからといって、われわれ、利下げをすることを渋るいわれはさらさらないし、また、金融機関がいろいろ経費をかけ過ぎていて、戦前に比べて非常に経費が高いために金利に負担をかけているのだということを十分承知いたしておりますので、その辺は今後の努力に待ちたいということを申し上げておきたいと思います。

加藤正人緑風会

○委員長(加藤正人君) 皆様に申し上げますが、湊参考人は、きょう重役会から抜け出て来られたそうでございまして、非常にお忙しいので、湊さんに対する質問がございませんでしたら、お帰りを願う前に、ちょっと私も一言質問したいと思います。  先ほど、まっ先にお話しになりました点は、一々まことにごもっともと拝聴したわけでありまするが、その次に木内委員から質問がありましたように、これは日本の企業の資本構成、ひいては体質改善というものに連なる非常に重要な問題でありますから、何としても早くやらにゃあならぬと思うのでありますけれども、それには、企業が喜んでこれに従って経営の方針を進めていくことが必要だろうと思うのであります。いろいろ私の関係している経済団体あたりから陳情を聞いてみますると、木内委員の言われたようなこと、そのほか、増資配当に対しては昭和二十九年に税制改正が行われて、配当免税というようなことで、非常に結果はよかった。しかも、それがその後なくなったままで、そのままで今度はこれをやろうというようなこと、それから増資をさせるということを、まずその誘因になるようないろんなファクターを積み上げていかなくちゃならぬにもかかわらず、増資の登録税がそのままで何ら軽減されていないというようなもろもろの障害があるのですね。障害のあるままこれを急がなくちゃならぬかと、まあ私はこの前の委員会でも政府に質問をしたのでありまするが、やはり政府もそういうことはおわかりになって、この法律ができたらさっそく税制の研究に没頭すると言われるのでございますが、私は、前後が違っていやせぬかと、その方を先にやられてこれをやられるのが順序じゃないかと、こういうふうに申したのでありまするが、あなたは、少し延ばしても、そういう準備態勢が整った上でやられた方がいいかどうか。まあしかし、いい方面に一歩前進だから、まずやるべきだ、この法律を作るべきだというようなお考えなんでしょうか。その点をちょっとお伺いいたします。

湊守篤経済同友会幹事日本興業銀行常務取締役

○参考人(湊守篤君) 私も、今御指摘の点がこの法案よりもはるかに重大だということは、先ほど木内先生の御質問に対してお答え申し上げたときも申し上げた通りでございまして、ぜひ積極的な増資——今の振りかえではなく、積極的な増資ができやすい環境を作ることが先だと言われれば、その通りだと考えるわけでございますけれども、しかし、これは、ここで申し上げるまでもなく、なかなかむずかしい問題で、これから政府としてもおやりになるようでありますし、私どもも、財界として、この問題について先ほど申し上げておるように研究もいたしておりますし、また意見も出そうと思っておりますわけでありますが、なかなか急に運ぶというふうに思いません。  そこで、この問題だけを切り離して考えましても、私が先ほど申し上げたように十分意味がありますし、これは特に企業家心理といいますか、そういう経営の経営態度といったようなこと、あるいはもっと大きくいって、経営の社会性といいますか、民主化といったような問題にも連なる問題だと思うのでありまして、ぜひこれは急いでお取り上げいただく方がいいのじゃないか。直接ではないにいたしましても、間接かもしれませんが、いろいろの先ほど申し上げた日本経済の体質改善に効果のある法案だと考えておりますので、前後ということには特にこだわる必要はないというように考えております。

加藤正人緑風会

○委員長(加藤正人君) 一歩前進ですか。

湊守篤経済同友会幹事日本興業銀行常務取締役

○参考人(湊守篤君) そういうふうに思います。

加藤正人緑風会

○委員長(加藤正人君) ありがとうございました。きょうはお忙しいところお時間をおさきいただきましてありがとうございました。代表してお礼を申し上げます。

湊守篤経済同友会幹事日本興業銀行常務取締役

○参考人(湊守篤君) ありがとうございました。   —————————————

加藤正人緑風会

○委員長(加藤正人君) 次に、土屋清さんにお願いいたします。きょうはまことにお忙しいところおいでいただきまして、ありがとうございました。では、口述をお願いいたします。

土屋清朝日新聞論説委員

○参考人(土屋清君) 戦後の日本経済の成長発展にはかなり著しいものがございまして、量的には、西ドイツと並んで世界の驚異だと言ってもいいかと思います。昨年はなべ底型の不況で、ほとんど成長がストップしたような形になりました。しかし、三十四年度はおそらく、ちょっと景気がよくなれば五・五%ぐらいの成長が見込まれる。五・五%の成長といいますと、これは英米が数年前の好況時の絶頂において経験した成長率であります。ちょっと景気がよくなれば英米の最高の成長率を達成するというのは、やはりどっか日本の経済に底力があると見ることができる。その点は意を強うするものがあるのだ。しかし、そういうふうに量的にはかなりはなばなしい成長を遂げておりますけれども、翻って質的にはどうかということになりますと、これはかなり問題があるのじゃないか。量的には英米を凌駕するような発展を示しているけれども、日本経済の内部に立ち入って見ると、多くの弱点あるいは脆弱性を擁しているのじゃないか。そこに今日、経済の正常化とかあるいは経済の体質改善というような声が出てきた理由があるように思う。  経済の正常化というのは、結局同じことになると思うのですけれども、正常化という場合には、何か戦前の方がよくて今が悪いので、それを正常化するというような感じになる。経済の体質改善という場合には、一応戦前を離れて、今の体質を前提にして、しかも、この体質に弱いところがあるからこれを強くしよう。多少感触が違いますが、私は、経済の正常化、体質改善というのは、結局、日本の経済が量的にはすばらしい発展を遂げているけれども、質的な弱味があるということを示していることだと思います。  その経済の体質改善あるいは正常化が一体どういう面に要求されるかと申しますと、これもいろいろございます。なるほど、日本の企業、特に工業の発展がすばらしいというけれども、その経済の基盤になっている道路、港湾はちっとも整備されていないじゃないか。道路などはほとんど封建時代のままの道路がちょっとよくなった程度であって、工業が近代的な工業であるのに比べて、まことにお恥かしい状態だ。こういう経済基盤を強化していかなければならぬということもあるかと思います。あるいは工業が非常に近代化されておるというけれども、日本の経済には非常におくれた部門があるんではないか。たとえば、農業あるいは中小企業等が非常に後進的であって、非常な欠点を蔵しておる。工業だけ非常に近代的に進んだが、中小企業や農業の後進性を何とかしなければいかぬじゃないか、こういう問題もある。あるいは資本主義経済というものは大体金融で動くのが原則である。金融で動くということは、金利でもって資金が流れるということでなければならぬ。ところが、日本の経済は金利体系がゆがんでおる。そうして金利政策というものが経済を動かすようになっていない。その金融を正常化さす必要があるんじゃないか、こういう問題も出て参ります。そうしてさらに、経済が量的に成長したといいながら、国民の所得分布を見ますと、非常に高額の所得者もあるけれども、同時に、水準以下の低所得層が一千万もいる。そういう分裂が起っておる。これもやはり経済の体質としては好ましいといえない。これもやはり直さなければいかぬ。  そういういろいろな問題があると思いますが、そのほかに、私は、今言った近代的な工業、日本の産業のチャンピオンである近代的な工業そのものも、よく見てみると、必ずしもまだそれほど強化されているとは言えない。それはなぜかというと、企業の自己資本の充実が欠けておる。つまり、借入金依存の事業経営であって、借金にたよって商売をしておる、こういう状態にある。つまり、日立、東芝とか、これは西欧の近代的な企業に比べて、外観は遜色はないと私は思うのですけれども、しかし、その企業が大体借入金を中心にして事業経営が営まれておる、自己資本が足りない、そういう状態。これが日立、東芝に限らず、日本の企業一般に見られる現象であって、それでは近代的な工業の担当者としての資格において欠けるものがあるので、これをやはり充実、強化しなければいかぬ、こういう問題が出てくるのであります。従って、私は、自己資本の充実というものは、企業の体質改善、日本経済の体質改善の中の一つの項目として考えるのでありますが、近代的な企業が日本において担当しておる役割の重大性から考えまして、一つの項目ではあるが、かなり重要な項目であるように考えるのであります。  そこで、自己資本の充実ということに問題をしぼって考えますと、戦前は、御承知のように、自己資本が七で他人資本が三くらいであった。ところが、最近は他人資本が七で自己資本が三くらい、あるいは六対四くらいかもしれませんが、ともかく戦前と比率が逆転しておる。これを自己資本中心の事業経営の姿に改めるということが必要であることは、これは最近の不況などに徴しても明らかであります。つまり、借入金への依存度が高いために、金融引き締めが行われれば、たちまちその波を強くかぶってくる。それが必要以上に経済の動揺、混乱を惹起するということにもなっているわけで、私は、企業が正しい発展を遂げるためには、この自己資本と他人資本のバランスを、戦前あるいは戦前に近いところまで回復するということでなければならぬのじゃないかと思います。  その自己資本充実の方法としてどういうことがあるかと申しますと、第一は、言うまでもなく、増資であります。この増資は、純粋に外部から資本を取り入れてくるというのが理想でありまして、この増資を推進するという各種の措置が考えられなければいけない。たとえば、増資のためには相当やはり法律的な、あるいは税制上の措置が私は必要じゃないかと思う。これは現在の場合では、利子でもって、借入金によって経営をした方が、増資によって配当を払ってやるよりははるかに有利な態勢になっておりますので、こういう点を是正することが急務だと思います。  それから第二に、自己資本の充実をはかるためには、内部留保、償却を厚くする、こういう問題がございます。内部留保は、各種の準備金その他がございまして、それにはいろいろ税制上の優遇の措置も講ぜられております。こういうものを手厚くする、あるいは償却を手厚くする、こういう方法が考えられなければならない。これもいろいろと法律上、税制上の措置が必要だろうと思います。  それから第三の問題は、これは自己資本ではありませんけれども、その過大な借入金が今日では社債という形をとつていない。他人資本であっても、それが社債であれば、単純な借入金よりは、かなり企業経営に安定性が増していくわけであります。社債というのは借入金と増資との中間に位するものですが、その社債の発行が今日では規制されておって、社債市場が育成されていないために、借入金がなかなか社債にかわらない。社債の発行が行われない。これをできるだけふやしていって、社債市場を育成するということが、やはり自己資本の充実の一環として必要だろうと思います。  それから第四番目には、この本日の問題になっておる評価益の資本繰り入れによる資本構成の是正という問題であると思います。つまり、自己資本の充実には、以上申しました三つの方法と並びまして、私はこの評価益の資本繰り入れという問題があると思います。これは今度の法案によりますと、一割五分をこえる配当をする場合には、五〇%の資本繰入率を持たなければいけない、あるいは一割二分をこえる配当を行うためには、三〇%以上の繰入率を持たなければいけないと、こういうことが骨子として考えられるのでありますが、私は、こういう措置は国民経済的に見ていろいろ重要な意義がある、ぜひともこれはやっていただきたいというふうに考えております。  それはどういうわけかと申しますと、理由が五つございまして、第一の理由は、今度の措置を通じまして、評価益が結局株主に帰属するもので、そして資産再評価による評価益というものは一体どうしたらいいかという、そういう最終処理の方法がこれによって明らかになっているということであります。で、資本の再評価に伴う評価益というものは、これは当然株主のものだと私は考える。従って、それは資本に繰り入れて、資本構成を是正するということに使うのがまず第一義だと思います。ところが、これまでの例を見ますと、それがふらちな経営者によって、損失の補てんに充てられる。評価益をくずして損失を補てんするといったことに使われる場合が少くない。これでは資本の構成が是正されるということにはならないのでありまして、今度の改正案によりますと、そういう損失補てんのための評価益の繰り入れは、従来は取締役会の決議でされたものが、今度は総会の特別決議を要するということになって、それに対する抑制を加えようとしておる。その反対に、この評価益の資本繰り入れ、つまり株主に帰属させる場合においては、従来は総会の決議が要ったものが、今度は取締役会の決議でいいことになった。つまり、今までの関係が逆になったのでありまして、そのことは、評価益が結局株主に帰属すべきもので、同時に、この評価益の最終処理の方向がいずこにあるかという方向を示すものとして、私は重要であるというふうに考えます。  それから第二に、資本の繰り入れがこれによって間接的に促進されるわけでありますが、その結果、まあそれほど大した金額ではない、まあ三百億円くらいといわれておりますが、それだけ資本金がふえて、適正資本になっていくと同時に、対資本金の利益率がそれだけ低下するということになるので、これは見かけだけのものであって、資本金に繰り入れたからといって、格別その結果償却がふえるとか何とかいう問題ではないから、あまり重要ではない、こういう議論があるかもしれませんが、私は、評価益を資本に繰り入れて、その結果資本金が大きくなる、対資本金の利益率が下るということは、重要な意味があるように思います。と申しますのは、今日資本金が故意に小さくなっておる、いわば過小になっておる。その結果、資本金に対して過大な利益が発生しているような外観が生じておる。繰り入れるべきものを繰り入れていない。その結果、資本金に対して五割、六割というような利益率が出ている場合も珍しくない。これは資本金を適正化してみれば当然利益率は下りまして、三割とか二割とかに低下すべきものなんです。それが資本金が小さいために利益率がよけい出る。よけい出るということになると、これは見せかけの利益率でありますけれども、やはり経営者の心理として、何とかもうかったような気持になるわけで、もうかっているから重役賞与をよけい出そう、あるいは賃金の引き上げもよかろうというようなことになりがちなんです。私は、それは正当な利益であれば当然、それは重役賞与をふやすのもいいし、あるいはもうかっているということで賃金を上げることもいいと思いますが、実は故意に過小な資本金にしているために、見せかけだけの利益率が高まったためにそういうことが行われるということは、結局、会社を食いつぶすことになっていると思う。形の上だけの問題でありますが、資本金の繰り入れによって適正資本に近づくということは大いに意味があるように思うのであります。  それから第三に、評価益の資本繰り入れを行うということになりますと、それはいわゆる無償交付の形で繰り入れが行われる場合もありますと同時に、その場合に、有償増資が抱き合わされる場合も私は多いと思います。おそらく、実際として見ますと、無償増資だけではなく、有償増資がつけ加えられる形になるのじゃないかと思われる。というと、ただ評価益を繰り入れるだけじゃない、有償増資によって外部から資本を吸収するので、それだけつまり企業の自己資本の充実が実質的に可能になるわけなんです。  これはやはり少からざる利益だというふうに考えられます。  それから第四に、資本の繰り入れが行われて資本金が大きくなれば、先ほど申しましたように、利益率も低下するし、それに応じて当然配当水準というものが下つてこなければならぬものであります。戦後、異常に資本金が小さかった時代に、二割配当くらいが基準であったようなときもあった。それが最近は一割八分に下り、一割二分に下り、やがて一割に下るというように、だんだん配当率というものは下ってくる傾向にある。戦前の配当率というものは大体六分ないし八分、一割配当というのは特別の優良会社であったわけなんです。今日では過小資本のために配当水準が高くなっているのでありまして、これは資本の是正に伴って当然水準は下つてこなければいけない。また、配当水準が下ることによって増資がしやすくなるわけであります。増資を行う場合には、その増資後の資本金に対して配当がなし得るかいなかということを考えて増資をするわけでありますが、そのときに配当水準が高いということは、増資の実行に踏み切ることを経営者をしてちゅうちょせしめる大きな理由になる。配当水準が下つてくれば、その次の増資の場合にはそれだけ、配当水準が低いために増資がやりやすくなる、こういう利益がある。私は、配当水準が下って全体の株式利回りが訂正されるということがやはり好ましい。これは株だけが先行するわけではありません。ほかの利回りとの関連においてでありますが、次第に配当水準が下つてくるということは重要な意味があるように思うのでございます。  最後に、これは湊さんもお触れになったようでありますが、こういう資本金繰り入れの増資並びにそれに伴う有償増資の結果として、株式の供給がふえて、現在の株式市場における株の供給不足現象が是正されるのじゃないかということが考えられる。私は今の株式の高いのは需給関係によるところも多少あると思うのです。ほんとうのところはそこにあるのじゃないので、これは大証券会社の買いあおりによるものだと思うのでありますが、一つのまた理由としては、この株の供給が少い、しかも需要が多い結果として、それが四大証券を中心とする証券会社の買いあおりに名をなさしめておるという、こういう形になっていると思う従って、今後こういう有償、無償の増資が促進されれば、株の供給もふえて、それだけ株の異常高を是正する、株式市場の正常化に役立つということになるのじゃないか、その点にも意味があるように思います。  以上の五つの理由によって、私は今度の法案の改正は非常にけっこうだと思う。ただ、欲を言わしてもらえば、少々手ぬるい。間接的な強制でやるということが建前になっておるので、いささか手ぬるいような感じを受けるのですが、しかし、なかなか産業界というものは、われわれが希望するように、おいそれと自己資本充実をやらないということを考えると、まあまあ今の日本の段階ではこの程度の手ぬるい方法でもやむを得ないのじゃないかというふうに考えます。  それから、先ほど御質問を伺っておりますと、先に増資等についての法制上の措置を講じてからこういうことをやるべきだというような御質問があったように思いますが、私は、この点は、この法律が近く期限切れになる。ほうっておけば期限切れになるので、期限切れになってって空白が生ずるということはおもしろくないので、やはり継続してこの法律の趣旨というものは生かさなければならない。その生かす機会においてその精神を強化するということは重要だと思います。先ほど申しましたように、もちろん、増資に伴う各種の法制上の措置あるいはその他の措置はいろいろ考えなければならないと思いますが、その準備ができないからこの法律の改正を見合せるということではならないので、やはりこの法律をできるだけ早い機会に改正、強化するという態勢を整えるということが、私は必要ではないかという、ふうに考えます。この法律によって資本の充実、強化がはかられるということになれば、つまり、近代的な工業が借金経営でやつているというような方向が次第に是正されてくる。それだけつまり日本の企業の体質が改善され、ひいては経済の体質改善に役立つのでありまして、同時に、その利益は企業の所有者である株主並びに従業員、経営者にも及ぶものだと考える。つまり、企業が強化されない限りは、その関係者は利益を受けるはずはない。企業が強化されて、その体質がよくなれば、その利益は株主にも、経営者にも従業員にも当然及んでくるものと考える。その意味におきまして、この法案の改正に私は賛成であり、できるだけ早く成立させていただきたいというふうに考えてます。

加藤正人緑風会

○委員長(加藤正人君) ありがとうございました。  御質問がおありの方はどうぞ。

平林剛日本社会党

○平林剛君 ただいまは大へんけっこうな御意見を聞かせていただきまして、まことにありがとうございました。ただ、その結論として賛成の御意見でございましたけれども、この実施時期につきまして、なるべく早い方がよろしい。いろいろな措置、準備が整つてからよりも、むしろ早目にやった方がいいということで、大体御意向はわかったのでありますけれども、今やることと、それからもっと前に、神武景気が当時あったときにやったならばどういう効果があったか、あるいは昨年のような不況、政府の言葉でいえば経済の渋滞時期にやればどうだったろうか。多少さかのぼって、死んだ子の年を数えるような話になるかもしれませんが、そういう時期について御意見がございましたら、この機会にお聞かせを願いたいと思います。

土屋清朝日新聞論説委員

○参考人(土屋清君) 私は、こういう措置はできるだけ早くやった方がいい一と思うので、むしろやはり昨年あたりにやつてもよかったのじゃないかと思っております。昨年景気が悪いから、こういうことをやっても、すぐそれに応ずる会社があったかどうかは疑問でありますが、この法律の施行期限というものは一年に限られているわけじゃない、二年あるいは三年ということでありますから、多少の景気の波がございましても、景気が好転すれば当然まあそういうことを考えると思うので、その意味においては昨年あたりがやはり一つのやるべき時期であったように思います。神武景気のときはどうか。これは三十一年でありますが、たしか二十九年にあの資産の第三次評価を行なった。それであの法律ができたと思うので、まああまり時間的に接近しております。一応その前の法律の効果が現われて、そうしてまあ期限がだんだん近づいてきた、そのまあ時期あたりとして昨年ごろやつてもよかったのじゃないかというふうに考えております。

平林剛日本社会党

○平林剛君 先どの参考人の御意見でございましたが、今の日本の経済の欠陥といいますか、その幾つかがあって、その体質改善の一つの方法としてこれが行われることはけっこうだという、やはりあなたと同じような趣旨の御意見があったのであります。その中に幾つかの欠陥が述べられたのでありますけれども、第一の理由にあげられた中に、今の日本経済全般をながめて、最大の欠陥ともいうべきものは、財界に自立性がなくなっていることだという非常に反省的な御意見がございました。一体これはどういうところに原因があるのか。今度の場合でも、いろいろな法的措置をしなければ自己資本の充実がやれない。それは借入金でやった方が損だ得だということがありますけれども、もっとそれ以上に大きなものがあるんじゃないか。一つ、参考人はそういう批判的な角度から、財界に自主性がなくなっている理由、原因というものがどこにあるか、お考えを聞せていただけたら幸いだと思います。

土屋清朝日新聞論説委員

○参考人(土屋清君) これは非常に大きな問題だと思うのですが、つまり、戦前の場合には、それなりのやはり経済界に自主的な調整が行われる態勢ができていたと思うのです。たとえば、財閥というものがありまして——いいか悪いかを言っているのじゃない、財閥というものがありまして、財閥が企業については中枢部でコントロールしていた。財閥があったから、めちゃくちゃな競争をしていなかったところが、財閥解体がされ、企業がみなある意味では同等になってしまった。そういう中心的なコントロールするものがなくなってしまった。これは経済の民主化で、その方が、かつての財閥のもたらした弊害を考えれば、前進なんです。同時に、コントロールするものがないということが言えると思います。  それから第二に、戦前は各業界において大企業の発言権というものが非常に強かったと思うのです。つまり、その業界で指導的な一社もしくは三社というものがある方向をきめれば、大体においてその方向にその業界がついてくると、こういう態勢であった。ところが、戦後大企業が分割されたり、あるいは経済民主化によって同等の発言権を持つということになってきました。戦前のように業界のリーダーシップをとるものがいなくなっている、こういう状態になっている。そこに非常な悩みがあるわけであります。たとえば、例で申しますと、戦前は日本製鉄という特殊会社があって、日鉄が鉄の方針をきめれば、あとの各社は問題にならぬです。鋼管にしても何にしてもついてきた。今それが、日鉄が八幡、富士に分割され、しかも銅管その他の会社が大きくのし上ってきて、八幡、富士が何を言っても聞かない、こういう状態がある。そういう業界におけるリーダーシップをとるだけの下地ができていない。こういうことが第二の理由だと思うのです。  それから第三に、これはいい悪いを言っているのじゃないのですが、戦前の場合はかなり日本の政府と企業との関係が密接で、あるいは密接過ぎて、相当政府が統制的な干渉を業界になしたと思うのです。いわば業界が自主的にやる場合においても、実質上は裏に政府があって陰に陽に指導をするということが、業界のまとまりをよくしていたわけなんです。ところが、戦後はそういう政府の干渉というものは非常に少くなって、戦争中の統制に対する反動でそれがなくなったということでもって、これまた、そういう面からの規制というものが行われていない、こういう状態にある。  それから第四は、これも善悪の問題じゃありませんが、戦前は銀行がある程度産業に対して強力な発言を持って、銀行のイニシアチブによって産業界の調整が行われるという事例がかなり多かったのです。たとえば電力業が非常な競争をした場合、時の銀行資本が電力連盟の結成を促して、そして自主的に銀行資本と電力連盟との話し合いをして調整をしたというのが、代表的な例だと思うのです。ところが、現在銀行の力はどうかといいますと、独占金融資本といったような言葉が使われますが、それほど強くはないのです。むしろ、われわれから見ていると、金を借りている企業の方が、一たん借りてしまえば立場は強い。借りた企業はつぶすわけにはいかないから、銀行がずるずると引っぱられて、どうにもならぬという場合がある。そこにまた銀行の過当競争というものが加わりまして、銀行同士が競争しているから、企業に対してどうしても弱からざるを得ないような状態になっておる。戦前に比べると非常に銀行の発言権が弱まり、統制力が非常に弱化しておる。そういう状態です。これがいいか悪いかの議論ではないのです、現実として……。  戦前は自主的調整が行われたのに、今は何ら行われていない。そこへもってきて、戦後非常に経済規模が小さくなった。その中で大ぜいの人が何とか生きていかなければならないというので、各業界みんな血みどろの競争をやつておるということになりますから、ますます収拾がつかないような状態になっているんじゃないかというふうに考えます。

平林剛日本社会党

○平林剛君 それから、先ほどの御意見の中で、自己資本の充実のための方法として幾つかあげられまして、増資であるとか、あるいは内部留保、償却を厚くする、あるいは社債に関する御意見、今回の措置、四つほどおあげになったわけでありますが、私、先ほどの参考人にも御意見を聞いたのでありますが、もう一つ、企業家が自主的に行うべきものに、交際費の額あるいは運動費、そういうお金が非常に高くなっておる。これはお互いに競争する上においてある程度必要なものもあるかもしれませんけれども、一般の国民からはひんしゅくをかうくらいそれが目立っておる。これは戦後からずっとありましたけれども、今でも消えたわけではない。こういうことについてやはりみずから反省し、自粛していくということも大事なことではないか。一方においていろいろな政策的な措置が行われても、みずからの気持がしっかりしておらなかったら、自己資本の充実というようなこともなし得ないじゃないか、こういうお尋ねをしたわけであります。ところが、その説には大へん賛成してくれまして、そのために、新生活運動というものを行なっておる。しかし、私は意見になりますからそこでは言わなかったのでありますが、今の新生活運動というものは春の雪のごとく消えてしまって、実際の力といいますか、実行力というものはないようになっておる。むしろ、これは積極的な何らかの措置をとるべきじゃないかというような感じさえしておるのであります。この問題について何か積極的な御意見がありましたら、お伺いしたい。

土屋清朝日新聞論説委員

○参考人(土屋清君) 私は交際費の制限というのが持論でして、税制調査会の委員をずっとやったことがありますが、そのときも強硬に、交際費の一定限度以上を経費として否認する率を強化すべきだ、毎年々々強化していけということを毎回唱えてきておるのです。私は、たしかあれは昭和三十一年度の税制調査会だったと思いますが、そのときに主税局長に調べていただいて実はびっくりしたのですが、そのときの日本の会社の配当金総額が千二百億円、それから交際費が八百億円、そういう金額だったと思うのです。私は、配当金が千二百億円、交際費が八百億円、その中にはやむを得ない交際費ももちろんあると思うが、何も八百億円でなければならないという理由はない。もっと思い切って交際費の経費否認の限度を上げて強化すべきじゃないかということを主張しております。そのときの税制改正はそうなったと思う。今度もそういう問題が出ていたようですけれども、私は日本の交際費というものは多過ぎると思います。これを直さなければだめだと思います。こういうような経営をやっておって、その全部が事業経営に必要だということは論証できないというふうに考える。これは日本の商取引あるいは社会生活の慣習が必要ならしめておるものだというかもしれませんが、戦前はそれほどじゃなかったですね。われわれが知っていた戦前の財界を考えると、これほどのことはない。これは税制にも関係がある。昔のように所得税がきつくなければ、自分の金で宴会をやったり、人を招いたりできた。今それが税金が高いために、自分の金ではなかなか人を呼ぶようなゆとりがなくなっておるということもあって、全部社用交際費に依存するという傾向になってきておると思いますけれども、これは私は、交際費の経費否認の限度を上げて極力押えていくことを毎年やるべきだと考えております。

平林剛日本社会党

○平林剛君 これはあとは意見になりますが、何かこの点については、私は、今やつておるよりほかに、何かほかの適当な措置が必要じゃないかということを考えております。確かに税制の問題もありますけれども、税の面で相当軽減が行われているにかかわらず、依然として交際費の額については総体的に減少していないということから考えて、それだけじゃない、もっと別なものがあるのじゃないかという気がしておるのであります。まあこれはまた別の機会に述べたいと思っております。  最後に、お尋ねしておきたいと思うのは、どうも最近日本経済の体質改善という議論が各方面で行われておるのであります。しかし、私ども大へん不満にしておりますのは、どなたの御意見を聞いても企業、あるいは資本の充実ということだけが日本経済の体質改善というふうに議論をされておる、またそのように理解をして、それだけの議論が多いように思うのであります。むしろ、私は、今日、これはいろいろ意見があると思いますけれども、日本経済の体質改善の中の最も大事とまでは言わないけれども、十分検討していかなければならぬのは、国民生活水準ということを中心にして、そこからほんとうの意味の体質改善というものが出てこなけりゃいかぬ、あるいは今日唱えられている貧困、あるいは貧富の格差の増大という点について、もっと積極的な手が打たれなきゃならない、こう考えておるわけであります。岸さんは、あるいは政府与党としては、このために国民年金やその他のことを言われておりますが、それで救えないまだいろいろな面があるのじゃないか。それだけではとても救えない日本の、大きくいえば国民経済の欠陥がある、やはりこういう点については、われわれとしても今後積極的に発言をしなきゃならぬことでありますが、この機会に何か御意見があったら、参考のためにお聞かせ下さい。

土屋清朝日新聞論説委員

○参考人(土屋清君) これは先ほど申しましたように、経済の体質改善をやるべきことが五つある。その中の一つが、低所得層の所得水準を上げて、貧富の懸隔を是正するということだと思うのです。これは社会保障の主たる問題になる。政府が今度の国民年金を提案したのも、そういう趣旨だと思うのです。それと同時に、やはり農業、中小企業の低所得水準を上げるといったような方法ですね、これも考えられなきゃいけないので、要するにこの低所得水準を上げるということは、社会保障でその一部の所得の配分を下の方に持っていくという問題もあるが、根本は私はやっぱり全体の国民所得の成長をはかるということが基本で、そのもとが大きくなってそれをどう分けるか、こういう問題になる。もちろん、これは社会保障を今やるなということではないんで、それはできるだけ金の許す範囲内でやっていくということは必要だと思いますが、低所得層の対策というものは、ただ福祉国家で、持てる者から取ってやればいいということじゃないので、基本的には国民所得の成長をどう増大せしめるか、こういう一般的な経済政策の問題があることを忘れてはいけないのじゃないかというように思っています。もちろん、従って、その結果、社会保障を軽視していいということじゃないので、これは大いに考えなきやいけないし、また、あるいは最低賃金法といったようなことも、これも私はやっぱり一つの低所得層対策だと思うのですが、そういったことを総合的に考えていかなければなりませんけれども、基本的には、国民所得の成長を全体としてはかり、その所得が成長したものをどう分配するかという問題がそこに出てくるわけなんで、基本の所得の増大なくして、なかなか低所得層の問題の解決はむずかしいと、こう考えております。

大矢正日本社会党

○大矢正君 土屋さん、先ほどの御意見では、まあ非常に弱いけれども、こういう法律をすみやかに通して実施をすることはいいことじゃないかという御意見なんですが、御存じのように、大体対象になるのは金額では三百億程度だということは、先ほど土屋さんの言われた通りですし、今までのこの組み入れの内容を見ますと、一七%程度にとまっておるという現況からながめてみますと、確かにこの法律を新たに延長をし、そうして修正をしたとしても、他に特別な措置をしない限りにおいては、これまた現状においては一七%か二〇%どまりということになりますと、組み入れの額というものも比較的少い金額で終るという結論に私はなるのじゃないかと思うので、そういう意味では、確かにいいことには違いないけれども、あまり効果の上るものではないという気もするのですね。もっと積極的に組み入れをさせるためには、やはりそれに沿うたまあ対策、措置というものが必要で、たとえば、この対象になる評価益を持った会社に対して特別の税制措置とかその他をやることによって、抱き合せでより積極的な推進をはからないと、掛け声だけで、法律を延長してもあまり効果が上らないという結果になりやせぬかと思うし、そうなると、私どもがこの法律を通しても、結論としては効果のない法律を通したということにもなりますので、もちろん、政府もよくこの税制の問題については、抜本的な検討をすみやかにしたいという御意見はあるようですけれども、私は、それは総体的な法人その他に対する税制の仕組みであって、特にこの法律を進める、そして資本の充実を評価益の中からより組み入れを大きくするというこのことに限っても、特にこの具体的税制上の特例、対策というものが必要じゃないか。抱き合せでやらないと、あまり効果を将来期待することが困難じゃないかという気がするのですが、そういう点はどうです。

土屋清朝日新聞論説委員

○参考人(土屋清君) 私はその点ちょっと違いまして、これは当りまえなんですね、やることが、経営者としては。つまり、本来株主に帰属すべきものなんです。その帰属すべきものをいつまでも評価益のような中途半端な形で置く経営者が、どうかしておると思うのです、実は。会社が自己資本が不足した場合に、それだけの増資をやればいいが、それだけの利益のめどがない。それで、借入金依存をやっているのは、経営者の根性が間違っておる。これをやるものに優遇するのは、もってのほかだと思う。それはむしろ、和がさっき手ぬるいといったのは、こんなものは間接的に強制するのじゃなくて、直接強制でいいくらいに思っている。当りまえのことを、やるべきものを経営者がやつていない。ただ、やらないのは、それだけの利益があがらないということはありますけれども、むしろ直接強制すら考えるべき段階なんで、これを間接強制を奨励するために税制上の優遇措置を講ずるということは、経営者をいたずらに甘やかすだけだと思っております。

小酒井義男日本社会党

○小酒井義男君 土屋さんがもっと直接にやらせると……。もし、お説のように、これを今直接にやってしまうと、どういうふうな形で今後の最終的な組み入れが終るかと、こういう間接的な方法で手ぬるいことをやっていけは、それのでき上るのはどういうようなコースをたどっていくかと、こういうようなことについて何か御意見ありましたら、お聞かせ願います。

土屋清朝日新聞論説委員

○参考人(土屋清君) これはなかなかむずかしいと思うのですがね。つまり、間接的にやっていくということは、また先ほど湊さんも言われたように、この次にまた期限が来たときに、この配当の方は一割二分を五〇%にしてやっていくと。その次には今度は、一割二分の配当ができれば三〇%にすると。いや、もっと強化する。だんだんにそういうふうに率を変えていく以外にないわけですね。そうしていっても、なおかつ、その評価益というものがやはり宙ぶらりんな形で残りやせぬかと思っておる、間接的な方法でいく限りは。ですから、非常に時間がかかる。その間経済情勢がよくなって、そしてまた全体の財界の気風が自己資本の充実をはからなければいかぬといって積極的にやるようになれば別ですけれども、どうも間接的にいく限りは、徐々にこれを積み重ねる以外ないと思うのです。相当時間がかかりやしないかと思うのです。  直接的に強制するというやり方をした場合は、それをやらない場合にどういう一体罰則というか、制裁というか、それをつけ加えるかによって、強制が違ってくるわけですね。つまり、法律できめたその基準までやらないのは配当さしちゃいかぬと、ここまでは一番徹底している。そうなれば、びっくりしてやるでしょうが、そのかわり、その配当ができない会社はどうなるか、そういう問題も起ってくることになるので、直接的にやるといっても、実はそう短兵急に責め立てるわけにもいかないのじゃないかと思います。ですから、手ぬるいけれども、一応この程度でもって今の段階はやむを得ない、こう申し上げたわけです。

小酒井義男日本社会党

○小酒井義男君 それから、これは私がそう思い込んでいるというほどではないのですが、こういうことは言えるのじゃないかという気がするのですが……。先ほどから、再評価の増資は株主に当然行くべきものだと。政府の今回の案も非常に株主を保護することに重点を置いて、端株の処理方法まできめているのですね。非常に親切だと思うのです。しかし、日本経済が戦後今日まで成長をする過程では、これは資本だけの力じゃないですね。いろいろなファクターがあると思うのですよ。その中には従業員の努力というものも相当私は入っているというふうに分析ができるのであります。そういうことは、それは労働組合があって、いろいろの待遇改善の要求をして解決をしていけばいいんじゃないかと言ってしまえばそれきりなんですが、それを強い内容のものをとつておれば、企業が今日ある姿というものは、今日までの成長は遂げておらなかったのではないか。だから、そこに無償株の配当が株主だけに行くのが当然だという論議に、若干反論をする論拠というものは私はあってもいいのではないかという気がするのですが、どう思われますか。

土屋清朝日新聞論説委員

○参考人(土屋清君) これはつまり一体、会社というものはだれのものかという法律論に結局はなると思うのです。お話の通り、会社というものは、株主と経営者と、それから労働者と、三者が構成しているものだと私は思うのです。ただ、法律上の帰属権からいいますと、これはやはり株主です。株主がその所有権を持っていることは明白なんです。社会的通念として、あるいは実態としては、その三者構成だと思いますけれども、法律上の所有権からいえば、これは一点疑う余地もなく株主のものだと私は思います。従って、その法律論をやれば、私はまあ株主にやらざるを得ない。ただ、無償交付といったような場合に、一種の利潤分配のような考え方で、会社が適当と認めて、利益をあげるための功績も多いし、特に従業員に分けようという株主総会の決議があれば、それも私は可能だと思う。そういうような措置もとれないことはないと思うのですが、一般論としては、やはり法律論でやらざるを得ない。所有権の問題ですから、そういうことになるのじゃないかと思いますね。

小酒井義男日本社会党

○小酒井義男君 これは議論をしても何ですが、それではもう一つ、こういう問題はどうお考えになっておるかということをお尋ねしたいのですが、今月の文芸春秋にも、直木賞ですか、総会屋というのがあって、株主の意向なんというものが総会に反映するということはちょっとないんですね。ああいう形があのままの形でいいのかどうか、何かあなたの御意見を伺いたい。

土屋清朝日新聞論説委員

○参考人(土屋清君) 私は、今の株主総会というものはナンセンスだと思います。今の商法の規定なんかも、私は、やはりこの株主平等の原則にこだわり過ぎて、明らかに不平等になっていると思いますし、それからまた、会社の経営者もだらしがないと思います。ただ、もう総会を終ることだけに終始して、総会屋に対しては、総会屋操縦のための人を使って、故意に発言を封じてやるような風潮があります。あそこの株主総会でもって、ほんとうの会社の経営方針を虚心に聞こうという心がまえがあっても、できない。株主も経営者も悪い。両方じゃないですか。私は、やはり基本は商法の改正までいかなければこの問題の解決はつかないのではないかと思う。現状においては、株主総会というものはあってなきがごとし、全く形式上の形骸化しているものじゃないかと思います。

加藤正人緑風会

○委員長(加藤正人君) ほかにありませんか。それでは、土屋参考人、ちょっとお伺いしますが、先ほど大矢君の御質問でしたか、平林君のときでしたか、交際費のことですが、あのときのお話に、当時の企業の利益が千二百億の場合に、八百億をとつている。どうも実に私は大きいのにびっくりしたんですけれども、そうなってきますと、交際費とは何ぞやということですね。これはどうも招待したり何かするような金としては、あまり大きいように思うんです。その中には、何か広告費とか宣伝費とかいうようなものが入るんじゃないですか。そこらはどうなんですか。八百億というと、どのくらい遊ぶか知らぬけれども、ちょっと私は大き過ぎるような気がするんですが。

土屋清朝日新聞論説委員

○参考人(土屋清君) 私もそのときにびっくりしたんですけれども、そういうものは入っていないと思います。交際費はやはり交際費だと思います。その交際費が何でそんなに多いかということをそのときに聞いたんですけれども、やはり何といいますか、業者間の接待、銀行の接待、官庁の接待ですね、それが積り積つてそうなる。場合によっては、労働組合の幹部の接待までやらなければならぬ。みな寄ってたかって、寄生しているような形になっている。これはもう交際費が多からざるを得ない形になっていると思いますね。

加藤正人緑風会

○委員長(加藤正人君) 私の関係している業界なんかは、有名なけちといわれている業界だから、びっくりするんですけれども、よそにはそんなことがあるんですかね。

土屋清朝日新聞論説委員

○参考人(土屋清君) 三十一年度の税制調査会ですから、おそらく三十年の数字と思います。私の記憶に間違いがなければ、そうだと思っております。外国の会社には、こういう交際費というものはほとんど認めていない。私の知っている男が、外国資本が半分入っている大会社の重役なんですけれども、実に困る……。外人の重役がいるわけです。それに交際費というものを見せると、これは何だというので、一々説明しなければならぬ。日本はこういうものがなければやつていけないんだということがなかなか理解できない。これはやはり日本の社会のいろいろな欠陥がそこに集中的に出ているんでしようね。

加藤正人緑風会

○委員長(加藤正人君) ほかに御質問ありませんか。それでは、土屋参考人には、お忙しいところを非常に御迷惑でした。ありがとうございました。おかげで非常に参考になりました。それでは、きょうはこれで散会いたします。    午後三時八分散会

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