商工委員会 第13号
- 発言数
- 92 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1959/02/26
会議録
○委員長(田畑金光君) これより商工委員会を開会いたします。それでは、まず特許法案外九件を一推して議題といたします。 まず最初に、商標法案外三件の内容説明を求めます。
○政府委員(井上尚一君) 先般提案理由の説明がございました商標法案及び商標法施行法案、特許法等の施行に伴う関係法令の整理に関する法律案並びに特許法等の一部を改正する法律案、この四法案の内容について概略御説明を申し上げたいと思います。 お手元に配付しました各法案の要綱がございますので、恐縮ですが、これをごらん願いたいと存じます。商標法案の今般の改正の要綱でございますが、第一点は、不登録理由を追加したことでございます。現行法の二条では、商標権として登録しない理由を列挙しているのでございます。例を申しますれば、国旗でございますとか、菊花紋章でございますとか、勲章とかその他の公益性の強いもの等をいろいろ列挙しておるわけでございます。改正案は、その現行法の不登録理由に二項目を加えることとしたわけでございまして、その第一は、国際連合その他の国際機関を表示する標章で、通商産業大臣が指定するもの、第二が国地方公共団体、公益団体等を表示する著名な標章でございます。こういうような標章と同一または類似の商標は、これを登録しないこととしようというわけでございます、申すまでもなく、前者は現在国際連合等多くの国際機関が国際外交上重要な地位を有しておる事実にかんがみまして、これらのマークを外国の国旗等と同様に法律上保護しようというふうに考えたわけでございます。後者につきましては、たとえばオリンピックの五輪マークのような公的な目的に用いられておりますマークについては、これを一私人の独占権の対象とすることは適当でないと考えたわけでございます。 第二の改正点といたしましては、存続期間を十年としたことでございます。これは新法案の十九条の規定でございます。商標権につきましては、従来も存続期間の百更新ということが認められているのでございまして、その存続期間は現行法では二十年ということになっております。こういうふうに存続期間が設けられておりまする目的は、商標権者が積極的に存続することを希望しないような権利を整理するというのがそのねらいでございます。そういう趣旨を一そう徹底させるという考えから、現行法の二十年という期間を今回十年に改正しようというわけでございますが、もっとも言うまでもなく、商標権者が希望する場合には、同時にまた先刻申しましたような重要な不登録理由に該当しない場合には、いつまでも存続を続けることはもちろん可能でございます。 それから第三の改正点は、商標権を営業と分離して移転すること、すなわち商標権の自由譲渡を認めることとしたという点でございます。これは改正案には明文はございません。これは現行法の十二条という規定で、営業譲渡と一緒でなければ商標権の移転を行うことができない、こういう規定を削ることによりまして、商標権の自由譲渡が認められることになるわけでございます。現行法で商標権の自由移転を禁じました結果、商標権としましての財たというような場合の第三者の、一般需要者の利益の擁護という観点を考慮しまして、こういうような場合には商標権を審判によって取り消すということができるような道、弊害防止の保障を今回規定したわけでございます。 第五の改正点は、路銀料の値上げの問題でございまして、これは新法案の四十条に規定してございますが、現在権利としましての設定登録の際の五千円、更新登録の際の八千円という金額については、今般経済事情の変化等を考慮しましてこれを八千円と一万五千円に改訂しようというわけでございます。 それから改正の第六点でございますが、不使用取り消し制度を強化するという点、これは新法案の五十条でございます。商標権として登録になりましたものが使用されていない場合が多いということは、この制度本来の姿ではないわけでございまして、現行法では登録後一年間使用しない、あるいは登録後一たん使用しても、後に三年間使用を中止したというような場合には、商標の登録は審判でもってこれを取り消すというような規定を設けておるわけでございますが、実際の運用はこれは非常にむずかしいのでございますが、言いかえればその不使用取消審判請求と同時に商標の使用をやりだすということによって、この審判によっての商標の取り消しができないという結果になるという点と、もう一つは不使用ということの証明、立証が実際上は非常に困難であるというような関係で、従来現行法上の規定というものは事実上ほとんど活用になっていないというわけでございます。今回はこの点を改正しまして、不使用取消審判請求の時期において不使用であれば、その審判請求後において使用をやりだすという場合にも、これはやはり不使用という事実が続いているというふうに考えるという点が第一、それから第二は商標権者がその営業所または住所でその商標の使用をやっていない場合は、これは全国を通じてその商標の使用がないものと推定ずるという規定を設けたわけでございます。それからこれは小さな点でございますが、現行法では登録後一年閥不使用となっているのは、いろいろ営業の準備等の関係もありまして、これは実情に合わないというふうな理由で、今回はこれを中止の場合と同様にこの期間を改正しまして三年間というふうに規定したわけでございます。 それから次に改正の第七点でございますが、防護標章制度というものを新規に設けた問題でございます。これは新法案の策六十四条ないし第六十八条の規定でございます。商標権の効力の範囲というものは、言うまでもなく同一または類似の商品ということに限定されておるわけでございます。これは一般の商標については十分でございますけれども、著名な商標については、そういうような範囲ではこれは十分でない。そういうわけで経済界の実情等からしまして、今度は著名な商標につきましては、こういう新規な防護標章制度というものを設けて、この著名商標につきましての保護の強化を考えたわけでございます。防護標章について例として申しますというと、ここに書いてございますが、甲がAという商標をある商品について登録を受けている。そうすると乙という人間が同じAという商標を別の商品に用いたというような場合に、この場合の商品が相互に非類似であるというふうな場合には、その乙の行為というものは甲の商標権の侵害にはならないわけでございますけれども、しかしこの当該商標が非常に著名な場合には、一般需要者の方かう申しますれば、これが同一の出所、言いかえると、この商標権者としましての甲の商品であるかのように誤解を招く場合が非常に多いわけでございます。そういうような場合には、結果としまして甲の信用が傷つけられるというような場合がございますので、そういう場合に限定しまして防護標章制度を設けよう、こういうわけでございます。 それから第八の改正点は団体標章制度をこの際やめたことでございます。現行法では地域的あるいは業務上密接な関係がある業者が協同して同一の商標を使用することができる。そういうような制度を認めているわけでございます。信州みそというような商標をその信州地方の同じ業者が組合を作って、そうしてその同一商標をみんなでもって使うというような制度でございます。しかしながら先刻申しましたように改正の第四の問題としまして商標の使用の許諾の制度を新たに認めるという結果、こういう団体標章制度というような手続も繁雑であり、また料金も相当違うというようなめんどうな制度を続けていく実益というものはなくなったわけでございます。そういう理由で団体標章制度をこの際はこれを廃止しようと考えております。 このほか権利範囲の確認審判の問題でございますとか、権利侵害に関する規定、あるいは審級の一審制、そういった点につきましては、これは特許法案と同様でございますから省略いたします。 それから次に、商標法施行法案の要綱につきまして簡単に御説明申し上げます。 この商標法の施行の期日でございますが、これは昭和三十五年四月一日からの施行を予定しております。提案理由の説明でも申しましたように、普通は施行規則、こういうふうな経過規定というものは当該法案の付則でもってきめるのが通常でございますけれども、両様法の場合には特許法の場合と同様に権利関係の経過規定は非常に複雑でございますので、別個の法案としまして、商標法施行法案というものを提案した次第でございます。 この内容は今申しました施行期日の問題と、それから次には現行法によって発生しました商標権等の扱い方をどうなるかという点でございますが、これは新法の規定中に、現行法の権利と同じ性質の権利について規定が設けられておるというような場合には、新法による権利とこれをみなす、としたわけでございます。 それかう次に、係属しておる手続、ペンディングになっておる場合には、これをどうするかということでございますが、新法施行の際、現に商標登録の出願あるいは審判請求等、そういうような手続が係属進行中であるというよろな場合には、従前の例によることにしたわけでございます。 それから次に、商標の登録無効というような場合のその理由でございますが、現行法によって発生しました商標権を無効にする場合のその無効理由については、新法施行後においても現行法の規定によるということにしたわけでございます。今回の新法は、現行法と、無効理由という点についても範囲が違っているわけでございますので、こういうような道を講じませんと、現行法によって発生した商標権が新法によって無効になるという場合が免ずるわけでございまして、そういうようなことは穏当でないと考えたわけであります。大体以上であります。 次に、特許法等の施行に伴う関係法令の整理に関する法律案要綱がお手元にお配りしてございますが、この法律案は提案理由の場合にも御説明申しましたように、特許法案、実用新案法案、意匠法案、商標法案というものが可決になりまして施行になります場合に、その関係法令の改正について規定したわけでございます。すなわち弁理士法でございますとか、あるいは登録税法でございますとか、そういうふうに工業所有権法以外の法令におきまして、こういう工業所有権に関する法律の条文とか制度を援用しておる場合が多いわけでございます。これは特許法、実用新案法、意匠法、商標法に共通した関連した問題でございますので、一括しまして、そういう関係法令の整理に関する法律案というものを別個に提案したわけでございます。 で、この内容は詳しくは申しませんが、条文の改正、すなわち従来の法律と今度の新法案で同じ内容につきましても条文が変っているというような場合にはその条文の改正、該当条文の数字にこれを直すという点が第一でございます。それから次には、現行規定の失効に伴う経過規定でございます。それから次に、用語の修正でございますが、従来は「実施権」というものは一本でございまして「専用実施権」「通常実施権」というような区別はなかったわけでございます。従来は関係法令中に特許権等の「実施権」ということになっておるわけでございます。これを「専用実施権又は通常実施権」というふうに直すとかいうような、そういう用語の修正でございます。 それか一番最後は、商標権の質権の設定の問題あるいは商標権につきましての使用権の設定、そういうようなことが今度新規に認められました結果、こういう問題に関連しまして登録税法中の該当の条文を改正を加えるということと、それから特許につきましては従来あった取消制度というものがなくなりましたので、この事態、こういう問題に関連して独禁法中の該当条文を削る、そういう改正でございます。 それから最後に、特許法等の一部を改正する法律案の内容について申し上げたいと存じます。これは特許料あるいは登録料を現行の二倍にこの際引き上げるという問題が特許法案、商標法案中規定が設けられておるわけでございます。で新法が公布になりましてから施行になりますまで相当な期間が、準備の期間が設けられるわけであります。それで他方特許料等につきましては、あらかじめ数年分を全納するということが制度上認められているわけでございますので、そういうような点をこの際考慮しまして、今回現行法としましての特許法等の料金に関する部分だけを改訂しまして、そうして来年新法施行と同時に現行法から新法への移行を円滑にしようという、これは趣旨でございます。これは方法としましては新法の料金に関する部分だけを公布と同時に施行するというような方法も考え得るわけでございますけれども、今回は大きな法律の大改正というその結果としまして、新法の特許権、特許権者というものの実態が現行法の特許権、特許権者というものの実態と相当変って参ります。そういう関係上新法の料金に関する部分だけを公布と同時に実施をするということは、法律技術的にきわめてむつかしいということに相なりましたので、やむを得ずこういうふうに現行法中の料金に関する部分の改正という法案を別個に提出したような次第でございます。 なお、提案理由の場合に御説明を申しましたように、これは料金改正ということを内容とする法案ではございますが、特許法等の関係法律の改正ということに実体的にも関連しましたケースでございますので、例外の場合としまして、衆議院先議でなく、参議院の先議ということで、国会の方で御方針が決定になった問題でございます。 以上簡単でございますが、内容の概略を申し上げた次第でございます。
○委員長(田畑金光君) これより前回に引き続き質疑を行います。
○小幡治和君 今商標法案についていろいろ詳しい御説明を伺ったのですが、ここで今度新たに設けた商標法、初めは要するに出所への信頼という見地からのものを、今度は財産権にしてしまってそれの売買ができるということにしてしまったのですが、商標というものは第一条にあるように、「業務上の信用の維持を図り」という、要するに「業務上の信用」というのが一番大きな商標の観点だと思う。それを違った業者にどんどんそれを使わせる、売買ということが財産権としてできるということになりました。そこで非常な公衆の信頼に混乱が起る、それを防護する方法というものを、それでは今度の法律でどういうふうにしておるかというと、今伺ったところでは、それを日刊新聞に公告するということですが、まずその日刊新聞に公告する内容というものは、一体今言った第一一条の目的に沿うように、内容というものを、これだけの内容を公告しなければならぬというようなものはきめてあるのかどうか、まずその点伺います。
○政府委員(井上尚一君) これは、商標権は、その商品を指定した権利ということになっておるわけでございますので、この日刊新聞紙等に公告します場合には、権利者の移動と、そうして商品につきましても、当該権利者がこういう商品について使用しているという商標ということが公告の内容になろうかと存じます。
○小幡治和君 そうすると、そのあとであなたが説明された、要するにその物の品質というものが非常に悪い、また悪くなった、そういう場合に、商標の元所有者——元というのは、元の所有者と、それを譲り受けた所有者の品質の差異というのが非常にひどくなってきましたという場合に、これを取り消すことができるということをおっしゃったのですか。その取り消しというのはだれが申請してやるのか、それは元の所有者がやるのか、あるいは官庁がやるのか、あるいは一般大衆もやり得るのか、その点はどうですか。
○政府委員(井上尚一君) 取り消すことができますのは、使用権だけの場合でございまして、権利の移転のあった場合にはこれは考えておりません。で、その使用権者の品質が低下しまして、需要者に品質の誤認という結果を生じましたような場合には、これはだれでも商標権の取り消しの審判を請求することができるということになっております。
○小幡治和君 そうするとAという業者が一つの商標というものを持って、非常な民衆の信頼というものを博しておった。そのAの業者がBという業者に商標を使うことを認めた。そうすると、そのBという業者は同じ商標で非常に質の悪いものをやり出したというときに、公衆の信頼度というか、第一条にいう「業務上の信用の維持を図り」という、そういう目的を維持するのに、いかなる救済方法というものが考えられるか。
○政府委員(井上尚一君) 商標権というものは、言うまでもなく長年権利者によって築いて参りました信用の結晶と申しますか、そういう大きな財産でございますので、その商標権の移転がございました場合には、新権利者としましても、その商標権による信用の移譲ということには当然十分新権利者の注意というものは期待ができるわけでございます。そういうように新権利者がもし品質を低下するというような場傷つくことになりますので、そういう事業者としましての本能的な信用維持の努力というものに期待することで十分ではないかと思うわけでございます。
○小幡治和君 どうもそこは私と逆なので、他人の作った商標を高い金を出して買い取るというふうなことは、要するに自分の商品というものに自信がないから他人の、民衆に対する信用のある商標というものを買い取って、そして自分もそれで質は悪くてもその商標によってある程度ごまかして商売していこうというふうな場合も相当あり得ると思うので、そういう場合は要するにその商標と同じだけの品質を保持するつもりとあなたは言われるけれども、むしろそうじゃなく品質の悪いものを商標でごまかして売っていくというふうなことになると思うので、そういうものを日刊新聞に、譲渡するときにこれこれのこういう品質のもので、元の所有者のものとそう違わないのだということがはっきりするのか。ただそうしないで譲渡の公告だけをやるということにしますと、国民として、公衆として非常にその商標に対する、第一条にいう「業務上の信用の維持」というものが混乱してくる。その混乱というものを、今度の改正ではじゅうりんして、そうしてただ財産権というものの方に重点をおいて、商標権の売買というものを行なったということになるのだが、公衆としては、これでは非常に商標についての信頼性というものを失うことになるので、それじゃそれをお役所としていかに守っていくかいうことに対する配慮というものが足りないのではないかという気もするのですがね。この点どうも私は疑問に思うので、長官の今の御説明ではちょっと納得しかねる面もあるのだけれども、さらにそういう公衆の信頼というものを確保していく何らかの方策というものは、法制上あるいは行政行為として何か考えられているかということ、今の御答弁じゃちょっと足りないような気がするのですが、まあ一応それだけ、もしお答えがあれば聞いておきます。
○政府委員(井上尚一君) 今の御質問の趣旨を徹底させて参りますというと、商標権者自身の商品の品質の低下を来たした場合にはどうするかという問題にもなってくるのじゃないかと思います。
○小幡治和君 そうじゃないのだ、譲り受けたその者の……。
○政府委員(井上尚一君) 商標権者がかわりました場合において、結局従来の権利者としましても、非常に大事な財産権を譲渡するというのはよほどのことでございまするし、そしてまた新権利者の方も、先ほど申しましたように、その商標によりましての営業上の自己の信用の保持、維持ということについては、十分な努力をするということを、これは期待できると考えましたので、先刻申しましたように、前もってあらかじめ第三者に新聞紙等を通じて、商標権者の移動、かわるということを公告することによって大体弊害がないものと、われわれとしては考えた次第でございます。
○小幡治和君 そこはそれじゃ意見の相違ですから。 それから特許法の方に入って、きのうの参考人のいろいろな意見を聞いても、この解釈という問題については、要するに立法の趣旨が、決定を簡素迅速化するというところにあって、そうして合議制というものもやめて、三人以下、一人でもいいというふうなことでやったあるいは除斥、忌避というものもなくなしてしまって、要するにまあ簡単にやつちまえ、どうせ解釈なんだということで、非常に決定の権威というものを、簡素迅速化のために落しておるような感じがするわけなんです。で、そういう意味で、もう少しこれを権威を持たせるためには、合議制とかあるいは除斥、忌避というものも現行法のように残して置くとか、そういうことを考えた方がいいんじゃないかと思うのだが、それを特にやめられた理由、またそれが実際必要であるとするならば、それを法律上まあやめておいて、あるいは政令なり何かでやるつもりはあるというのか、その点を一つ伺いたいと思います。
○政府委員(井上尚一君) 権利範囲につきましての確認審判という問題は、制度改正審議会におきましても、最も多くの時間を費して議論した問題でございます。これをなぜ解釈に直したかという理由は、今仰せになりました簡易迅速にするというところに三隅があるわけではむしろなく、もっぱら法律的理由に出ておるわけでございます。と申しますのは、こういう重要な確認審判の審決の効力というものが非常に不明である、そういう状態を長く続けることは、これはとうてい許されない、妥当でないと考えたわけでございます。すなわち、従来審決、確認審判の審決の効力につきましては、おおむね三つの考え方があるのでございまして、第一には審決の効力を鑑定的なもの、すなわち何ら法律的拘束力のないものというふうに考えろ考え方。それから第二には、これとは反対にきわめて強い、第三者をも拘束する対世的拘束力を持つそういう考え。それから第三の考え方が、その中間でございまして、当事者だけを拘束するという説がございます。この点につきましては学者、裁判所あるいは特許庁自体におきましても、非常に不明確なままで今日まで長年制度の運用を続けて参りました。審議会としましての答申も、いろいろ議論はございましたが、一応現行法の通りに認めようかという妥協的な結論に達したわけでございますけれども、いよいよ新法文を作るという段階になりますと、また同じ問題が出て参りまして、立案当局としましては、従来のような制度を続けることは何としても説明がつかないと、かように考えましたので、結局そういうような、こういう大事な制度のその審決の効力が法律的に不明であるというような事態をぜひ改善したい、そういう意味から、結局方法としましては、対世的効力を持つものというふうに強い方向に改正するか、あるいは解釈といいますか、鑑定といいますか、そういう法律的拘束力のないものとして考えるか、どちらかになるわけでございますが、われわれは従来の考えの通説と申しますか、多くの説は、むしろこれは法律的拘束力のないものであるというその考え方を採用しまして、今回はこれを解釈と改めた次第でございます。なお、御質問の点は、審判官が解釈をするわけでございますが、その審判官につきましての除斥、忌避の制度をどうするかとかあるいは合議制のやり方をどうするかとかあるいは両当事者の言い分を聞くか聞かないか、そういう当事者のいわゆる対審構造と申しますか、そういうものを設けるかどうかということが、本法上はこれは何らの規定がないわけでございますが、これは解釈というその制度が変りました結果、本法中に規定を必要としない、むしろ本法事項でないと、かように考えたわけでございますが、そういう点について、解釈につきましてのその方法の厳正、十分厳正に解釈をすることの必要ということはもちろん御同感でございまして、われわれとしましては命令でもって、これが政令がよいか省令がよいか、そこはなお検討を要するかと存じますが、そういう御質問の事項につきましては、命令で規定することを予定いたしておるわけでございます。
○委員長(田畑金光君) ちょっと速記をとめて。 午前十一時五十八分速記中止 —————・————— 午後零時十一分速記開始
○委員長(田畑金光君) 速記を起して。
○小幡治和君 今長官は、結局解釈という問題を、簡素迅速化じゃないと、要するにそれは法律的効力の法律論から来ているのだと、こう申されましたが、私としては、法律的効力というものをどういう節の中にどこに解釈しようと、結局行政行為によってやる以上は、その解釈というものに慎重審議をして、やはり行政庁としての行政行為である以上は、権威を持たせにやあいかんと思う。そういう意味における権威づけというものが、やはりあるいは合議制の問題なりあるいは除斥、忌避の問題なりというものを排除する必要はないのじゃないか。要するに、行政行為をやる、その行政行為というものが、慎重にやるという意味において、間違いなくやるという意味において、また国民に不安なからしめるという意味において、たとい法律的効力というものがないとしても、その行政的な行為に対して信憑力と権威を持たせるというためには、ある程度のものは考えてもいいのじゃないか。解釈ということのために、それをしも排除することは、行き過ぎじゃないかという気持を持っているわけです。まあそういう点について、一つ長官の考慮を促したいというふうな気持を持っておるわけです。それだけ申し上げまして、いろいろあとの問題で、今議事進行でお話ししたような意味において、一つわれわれとしても考えてみたいと思っておるわけであります。これは長官、御答弁があれば一つしていただきたい。
○政府委員(井上尚一君) 御趣旨は十分了承しましたので、十分われわれの方でも研究をしたいと思っております。
○栗山良夫君 私、質問ではないですけれども、商標法の中で、連合商標とそれから防護標章とありますね、それの使い分けというのは、商品が類似しているかしていないかということで区分しているわけです。従ってその類似しているとかしていないとかという判断はどういう基準でやっているのか、これを具体的に——たくさん商品があるからむずかしいかもしれませんが、連合商標のワクに入れるものと防護標章に入れるものと大体二、三のサンプルを一ぺん出してもらえませんか、僕はどうも頭が……。先ほど長官の御説明で酒と酢の話があったのですが、酒と酢はどちらも液体だし飲料だし、連合と防護の両方の関係から言えば、どうも類似のようなふうに解釈してもいいように思うのですが、それがどういう思想でなっているのか、ちょっと私わからないのですが、また醤油と酢はいいのか、ジュースはどうなのか、なかなかむずかしいでしょう、液体だけれども。液体と固体はいかぬとか、また用途が全然違うならいけないとか、そういうのを一つお願いしたい。 もう一つは、過日長官から、特許庁の人々が欧米の主要各国の特許のいろいろな行政の進め方について特に調査に派遣したことがあるかという質問に対して若干あるようなお話でありましたが、おそらくその出張報告書は長官なり大臣のところに出ていると思いますが、それをなまで出していただく必要はありませんが、どういう係官がどこの特許組織なり制度を見てきて、こういうことがあったとか、大体の、今の視察して来られた内容のほぼわかる程度のものを出していただけないものですか。そうするというと、欧米各国の進んだ特許制度というものを特許庁がどの程度吸収しておられるか判断できると思いますから、一つそういう意味で出していただきたいと思います。
○政府委員(井上尚一君) 御要求の資料は近百中に提出したいと思います。
○委員長(田畑金光君) じゃ一時まで休憩いたします。 午後零時十七分休憩 —————・————— 午後一時五十三分開会
○理事(島清君) これより商工委員会を開会いたします。 工場立地の調査等に関する法律案を議題といたします。 これより質疑を行いますが、順次、御発言を願います。
○大竹平八郎君 少しく御質問申し上げたいのですが、他の委員から質問がありまして重複をした点がございましたらきわめて簡明に御答弁願えればけっこうだと思います。 まず第一に伺いたいのでありますが、三十三年度において五十六地区について都道府県に委託をして調査を行なった。それから三十四年度においては前年度に引き続いて六十地区について調査を行う予定だ、こういう予定のようでありますが、これは工業の地帯によってまた工業の内容によって非常に面積というものも違ってくるだろうと思います。たとえば今やっておる大阪府の堺地区ですか、これあたりは八幡製鉄所が大体予定されておる。大体百万坪を要する。それから近畿でさらに有力なところといたしまして播州方面をやっておるようですが、いずれも大企業を中心に考えておられるように見受けるのでありますが、この点がどういうことになっておるのか。それから大体坪数といいますか、まだたしか坪ということは言っていいのだと思うのですが、大体どのくらい程度以上を目標にして、そういう調査をやっておられるのか、その点を伺いたい。ことにはならないようであります。と申しますのは、従来は各府県でいわゆる自分のところへ工場の誘致をしたいというだけの一心で資料を作られる場合には、今御指摘のようなことのようにややもすれば陥りやすい結果になるかと思いますが今回の場合には、そのような従来の資料ももちろんできるだけ活用はしていただきますけれども、その活用する際にも、調査地区ごとに産業界の代表あるいは学識経験者あるいは通産省の各地方通産局のこの方の担当職員等で調査班の編成をいたしまして、その調査班が府県知事のもとにいわば相談役として諮問、相談にあずかりまして、その調査の客観保持に努めて参ります。そういう配慮をいたしました結果、本年度の実施状況を見ましても、そのような懸念はないというふうに私どもは考えておるのでありまら。
○大竹平八郎君 大臣の時間に関係がありますので、松尾局長にはあとでお伺いするとしまして、一点大臣にお伺いいたしたいのであります。先ほど団地の問題につきまして企業局長に答弁を求めたのでありますが、どうも私どもは実際に候補として見せられるような地区を実際において側ってみましても、何か大工業、それから特に重工業的な視野に立っての計画が多いようにわれわれには考えられるのであります。今局長の御説明を聞きますと、大体五千坪から一万坪ということを言っておるのでありますが、これはいろいろ工場の内容において三千坪でも間に合うところもありましょうし、百万坪も要するというところもありますが、押しなべて中小企業でやられるというようなものは大体五千坪までがせいぜいじゃないかとわれわれは考えるのでありますが、こういう点において将来の中小企業の進出というものは大臣もよく御承知の通り、今のこの本案の目的が輸出振興に大いに役立たせる、そういう意味においてあすの日本の経済の基本的なものを作る一つの基礎として本案を立せられたわけなのでありますが、そういう意味でやはり中小企業の立場にも立って十分この調査事項というものをやうなければならぬと思うのでありますが、この点について大臣の一つ御見解を承わりたいと思います。
○国務大臣(高碕達之助君) 大規模の工場というものにつきましては、これは主としては基礎産業のものがおもなものだと思いまして、たとえば石油のようなものは、これはこれとしての見方をしなければなりませんが、これとやっぱり相並行した中小企業というものであって、三千坪あるいは五千坪以下でございますが、ときによると二千坪ぐらいのものというふうなものにつきましては、これはこれとしてのやはり立て方を考えなければならない。それはやはりいろいろ労務の関係だとか、大工業とのつながりもあるのでありますが、そういうふうな点を考えて並行的にやっぱり考えていく必要があると考えております。
○栗山良夫君 法律の第一条には、「工場立地の適正化に資するため、」とありますが、工場立地の適正化ということはどういうことを目途していらっしゃるか、ちょっと伺っておきたいと思います。
○国務大臣(高碕達之助君) 工場立地と申しますというと、これは住宅地だとか、そのほかの関係もありますが、そういうふうな点から考え、社会的の意味から考えることもありますが、技術的に考えまして、考えられる点は、水道——水が十分得られるかどうかあるいは交通がどうだろうか——交通といいましょうか、原料出し入れ、製品出し入れはどうだとか、同時にまたその工場を作ることによってほかの事業に差しつかえを来たさないか、影響を来たすことがないだろうか、こういうふうないろいろの点から考えていかなければなりません。同じ工場といたしましても、工業の性質によって違う点もありますかう、特に近ごろのごとく、農業政策から申しまして、農地をどんどんつぶされるというふうなことも困るわけでありますから、そういうふうな点も一つ考えていきたい。あれやこれやいろいろな点から考えていかなければならないと存じております。
○栗山良夫君 大体大臣のお考えになっている「工場立地の適正化」ということはわかりましたが、何ですか、ただいま東京、大阪あるいはその他の特短の地区に人口密度がどんどんふえている、たとえば東京など私がこの間ちょっと調査いたしましたが、有権者だけでも東京は昭和二十二年と昭和三十二、三年と比較しますと八八%ふえておるのですね。大阪辺でも五〇%をこえております。そういうふうに非常に人口が都市に集中しているのは、これはやはり産業の関係だと思いますが、中心になっているのは。従って勤労者の職場を作る上においても、またその土地のいろいろの意味の発展、住民の所得そういうものを考える意味においても、産業立国でいくということにするなうば、もう少し広い視野に立っての工場立地の適正化ということが大臣の構想の中におありにならなくちゃいかぬのじゃないかと思いますがね、どうなんでございましょうか。
○国務大臣(高碕達之助君) それはまさにその通りでございまして、一例を申しますと、東北地方のごとき、これは人が多くて、割合仕事がないということになっております。それで天然の資源も相当持っている。かりに八戸港あたり、あるいはあの辺に、あの付近にできる硫化鉄鉱をあすこまで積んで来てあれから横浜—東京に送って加工する、こういうふうなやり方はすでに間違いである。現地においてこれをやれば、運賃も節約できるし、また現地の方に人間を集中できる、都市に多数の人が集中するということは、これは根本的な問題として非常に考えていって、これを工業といたしましては地方に分散するというふうな考え方が根本的に必要だというふうに考えまして、そういう点から工場立地を適正にするということが重要な一つのファクターであることは明らかであると思います。
○理事(島清君) 御質問していただく前に報告しておきますが、衆議院の本会議は二時半に予鈴が鳴るんだそうです。従ってそういうわけでございますので、大臣に対する御質問はそういう御配慮のもとで進めていただきたいと思います。
○栗山良夫君 そうすると、今の工場立地の適正化ということは、最初に大臣がお述べになった構想に加えて、私が述べた意見も十分入れられて、さらに積極的な日本全体の視野に立って考えられる、こういうふうに努力せられるということに理解してよろしいですね。
○国務大臣(高碕達之助君) まさにその通りでございます。
○栗山良夫君 そうしますと、そこで問題になるのは、この工場立地の調査等に関する法律案がねらっておいでになる工場立地というものは、全国的な分布の問題はわかりましたが、しからばその分布の目標の中で、方々で作っていらっしゃる、調査をしていらっしゃるその対象となる工場敷地というものは、今言われたように、五千坪とか一万坪とか、そういうような単位のものがこれは中心になるわけでございますか、その法律でおやりになる調査というものは……。
○政府委員(松尾金藏君) 技術的な点にわたりましたので、私かう御説明を申し上げたいと思います。 先ほど私から御説明申し上げましたのは、この調査に着手をいたしました初年度の計画が、やはり比較的大きな団地を含む地区にまあ重点を置いたということでございます。しかし、先ほど申しましたように、来年度さらに六十地区について新たな調査に入るわけでありますので、その際の選定の考え方、その他につきましては、だんだんといわゆる新しい地区、新しい、従来見落されておったような地区、従いまして、必ずしも大規模工場が大規模な敷地を求めていくというような地区だけではなくて、そういう意味では必ずしも適当でないけれども、あるいはたとえば大きな揚水型の大工場には必ずしも適当でないという意味で、水には若干乏しいけれども、そのあたりの環境なりあるいは空気が非常にきれいだから、あるいは中小の機械工場が適当であるというような新しい地区もだんだん探していくことになると思います。先ほど申しました本年度に着手いたしました分では五千坪以下の団地のものは少うございます。だんだんとそういう方向に広げて、新しい地方分散の方向を見出していかなければならないだろうというふうに考えます。
○栗山良夫君 これはまたあとで大臣が御退席になってからもう少し伺いたいと思います。 問題は、この法案で調査をされる団地なり用地というものは、その近所にある農地というものを対象にせられるかどうか。農地ですね。農地を対象にせられるか。 それからもう一つは、今とにかく、陸地、工場用地として現に存在しておる土地、そういうものだけを対象にしておられるのか、あるいは海面の埋め立てというようなこと、あるいは沼の埋め立てというようなこと、そういうようなことも対象としていらっしゃるのか、この点がよくわからないのですがね。
○政府委員(松尾金藏君) 従来も工場敷地を求めます際に、農地との調整はしばしば問題になつた点でございますので、この地区調査地区の調査をいたします際には、その調査地区内の団地、工場敷地の団地として想定されます周辺なり付近の農地の状態がどういう状態であるか、そういう農地をつぶさなければ工場の敷地を求めることが非常に困難であるかどうかというような点がやはり調査の内容になって入って参る。もちろんその農地を具体的につぶすこと云々の点は、当然農林省の方との関係が出て参りますが、その関係という意味でやはり調査の中に入っております。 それから第二の従来土地造成の進んでおる地区はもちろんでございますが、その調査地区を、活用するためにその近くに土地造成をやった方がさらにその利用の度合いが、効率がいいというような場合には、当然埋め立て計画というようなことも、土地造成計画というようなことも頭に置いてやはり調査も当然やることになると思います。そういう意味で両方とも調査の対象の内容としては関連的に含まれてくるということに相なると思います。
○栗山良夫君 そこで大臣に伺いますが、実はまだお尋ねするとあるいは考えが変るかもしれませんが、ただいままでのところではこの法案というものを見ますと、これは今まで通産省がやってこられた工場立地に関する調査の実務を審議会という一つの機構をこしらえて法制化されたにすぎないのですよ、実際に。内容的にはきわめて空疎なものです。その一番いい証拠は予算が五十三万円です。ですからそういうものであるということは御理解になると思う。僕が指摘したいのは、これは特に大臣に指摘してお伺いしておきたいのは、今の日本の工場用地の調査なんというものは、こういう程度のものではなくて、もっと広範なものでなければいけないのじゃないか。たとえば今工場分散のことをおっしゃいましたけれども、中小工場の小さいのをあっちこっちへ出そうと思っても、そう簡単に出ませんよ。やはりそこには二十万坪なり五十万坪なりのいわゆる近代的な大産業というものが一つできて、それが母体になって関連産業がずっと発展していくのだから、それは二千坪なり五千坪なりの土地をあっちごつち探して工場を作れと申したってできるものじゃない。そういうことが真実だとお考えになっておるならば、最近の産業の近代化の姿を十分に理解しておられないと思う。そういう意味で、問題はもっと総合的な大規模な、国民総生産が今の三倍なり四倍になる将来を見越して、工業用水のことも考えに入れて、大産業の開発の構想というものがなければならぬと思う。そういう構想というものは表に出ていない。この間伺ったのですが、政府の方では工業地帯開発公団法というものをこしらえて、ある程度の草案というものをいただいておる。これは聞くところによるというと、予算が取れないので本年度はだめだという。問題は、産業人が熱望しておるのは、こちらの方だと思いますよ。五十三万円のこの法案じゃないと思う。だからそういうことがきわめてはっきりしておるのに、通産大臣としてはどうしてこういうような法案の取扱いをなさったか、それを伺いたい。
○国務大臣(高碕達之助君) お説のごとく将来日本の、工業地帯というものを今のようにでたらめにやっていくというところに、いろいろな間違いがありまして、どうしてもやはり工業地帯というものは従前の農地となるべく抵触しないところということ、それから、今後の産業というものは海岸に寄るところが多いと思う。海岸地帯に持っていく。海岸地帯に持っていけば淡水の供給という問題もあるし、そういうふうなことを考えまして、実はこの三十四年度の予算におきましても、通産省と運輸省と建設省とが三省寄りまして御指摘の工業地帯開発公団法というものを出したかったのですが、これは予算の関係でどうしても通過しなかったわけです。しかし、これは何としても、私は、この日本の工業の根本を解決する上においてやっていかなきゃならない。それには、工業地帯をきめて、そこにまずもって大工業の基本産業の工場を置き、その周囲に中小工場を置くというふうな遠大なる計画を持っていかなきゃならぬ、こう思っておるわけですが、この工業地帯開発公団法というものにつきましては、これは決して捨てたわけではありませんですから、この積極政策をさらに推進するために、その調査というものを完全にして、その調査を完全にするためには、これを法制化するというのが、今回のこの法律案を出した理由なんでございます。これは、今回の法律というのは決してそれがすべてではなくて、大規模の積極政策をとる前提の一つの仕事というふうに御理解願いたいと存ずるわけでございます。
○栗山良夫君 それはこういう法制化した方が、現状よりはあるいは一歩前進するかもしれません。しれませんが、私はやはりしっかりと力説しておきたいのは、工場立地の調査等に関する法律案、あるいは工場地帯開発公団法案、こういうものの構想の上に、もう一つ何か母法になるべき法律案というものが必要ではないか。たとえば、私が自分で作るならば、工場地帯開発法というような法律ができて、その開発法という基本法があって、それからさらにこういう付属法が要れば、調査についてはこれでやるとか、実際、団地なり工場地帯の造成に国費を投ずる必要があれば公団法でやるとか、そういうような工合に一つの体系というものが必要である。もし、通産省なり運輸省なり建設省等、関係省がいろいろ寄っておやりになるとすれば、少くとも総理がみずから主管されるぐらいの工場地帯開発法というような、そういう雄大な計画というものが必要ではないかと私は考えますが、どうですか。
○国務大臣(高碕達之助君) ただいまのお説でございますが、これはやはり、全体の法律のあるものとよく総合的に考えまして、そこで、総理府において、そういうふうなことをまず実行し得る工場地帯開発法こいうようなものを作るという必要があれば、これは出発したいと存じますが、そういうものを出発するまず第一の前提といたしましては、この調査というものをまずやる必要があると、こう存ずるわけでございます。
○海野三朗君 今の、栗山君の質問にちょっと関連して。そういう場合に、工場側の方の意見と通産省の意見とが違った場合にどうしますか。
○国務大臣(高碕達之助君) まず、なんでございましょう、工場地帯につきましては、審議会というものを作りましてそれで各方面の意見もよく聞いた上で、その調査の経過等を聞いてやっていきたいと存ずるわけでございます。
○海野三朗君 今の、意見が違った場合に、審議会があるからいいと言いなざるけれども、その審議会の方の意見と、工場を建てたいという人の意見とが食い違った場合はどうしますか。それを許可せぬということになるんですか、どういうことですかということを聞いておる。
○国務大臣(高碕達之助君) これは、前もって、それがどういうふうな条件でどうなるかということを調査する機関でありまして、調査した結果、工場を建設したい人がおれば、あなたの工場はここを工場にしたらどうですか、こういうことを御相談に応ずるわけでありまして、意見が異なるということになれば、その調査の結果によって、その工場の所有者が、新しく発足する前にほかの方にかえるとかいうことは自由でありまして、これによって、ここへその工場を持ってこいとか、どうこうということは、これは関係がないわけでありますから、さよう御承知願いとうございます。
○栗山良夫君 私の先ほどからの工場地帯開発の構想そのものには、大臣も別に御反対はないようでありますが、問題は、そういう構想でなければ、私はとてもうまくいかないと思うから申し上げておるので、そういう構想について、通商産業大臣は建設大臣あたりと一ぺんよく相談されて、もう少しすぐ実施に移す移さないは別として、そういう構想のもとにおける青写真を一ぺん作るなり、プランを作るなりということが必要なんじゃないですか。今、必要があればとおっしゃるのですが、あればということは、まだあるということを確認していただいていないようですけれども、私はどうもそういう気がしてしようがない。必要があるということを前提にして一ぺん具体的なプランを立ててみる、それぐらいの御答弁があってしかるべきじゃないかと思うのですが、いかがですか。
○国務大臣(高碕達之助君) 国全体としての考え方といたしますれば、国としては御指摘のような青写真なりプランがあるべきものだと考えまして、御趣旨に沿うような方向に進んでいきたいと存じております。
○栗山良夫君 これで終ります。
○大竹平八郎君 次に、松尾局長にお尋ねをいたしたいのですが、三十三年度の工業地区の調査をされたものをグラフで拝見いたしたのでありますが、これを見ると、九州が七カ所、四国がわずかに四カ所、それから北海道が六カ所、こういうようになっておるのでありますが、狭い日本でありますが、結局、工業立地条件といったところから、運輸とか工業用水とか、そういった条件に制限させられるのでありますので、限度があることは言うまでもないのでありますが、この種の三十三年度のこの案とか、あるいは、これから三十四年度に行おうというような工業地区の調査というものは、大体これは常識的にわれわれでも見当のつくところだと思うんであります。問題は、三年後か四年後か知らぬのですが、数年後からの調査というものは、私は非常にむずかしくなっていくのじゃないかと思うんであります。そういう意味で、調査地区の選定の基準といいますか、常識的に工業用水とか運輸、港湾、そういうものは、これはわかっておるわけなんでありますが、そういうような場合に、いろいろ開発計画というようなものがなされなければならないと思うんであります。そういう意味において、そういった選定の基準というようなものはどういうところに置かれておるのでありますか。
○政府委員(松尾金藏君) ただいまお話のございましたように、本年度——初年度においては五十六地区の開発地区を探す以上に今後だんだんむずかしくなっていくと思います。そういう意味で、この法案の内容に盛っておりますように、その地区の選定の考え方、基準等につきましては、審議会に諮って、それぞれの学識経験者その他の意見を十分聞いた上できめなければならないと思います。そういうふうに仕組みしておるのでありますが、一般的に、常識的に申し上げますと、その地区の、どういう地区を求めるかということになりますれば、やはりその地区内に工場用地となり得るような、ある規模のいわゆる団地が相当豊富にあるというように想定される土地で、さらに、まあ、その地区の水の問題でありますとか輸送の関係等が有利であればあるほど、その対象地区としてはいいわけであります。しかしさればといって工業地帯としてすでにもう発展し尽されておるか、あるいはもう非常に大きく発展しておって、これ以上工場の集中が望ましくないというような所を調査するはずではございませんので、その今申しましたような有利な立地条件を持っておって、しかも従来そのようないい条件にあるにかかわらず工場が必ずしも発展していない、むしろ今後にその発展が予想されるような地区、あるいは既成工業地帯の周辺にあって、既成工業地帯と相関連して今後の発展を予想されるような地区でありますとか、あるいはある地区において天然資源の開発に特に大きな期待の持てる地区で、それと関連するような工場を持ってくるのが適当であると思われるような地区、というようなものが対象地区として想定ざれるわけであります。いずれにしましてもだんだんむずかしくなって参ります。調査地区の選定基準につきましては、審議会で十分検討していただきたいというふうに考えております。
○大竹平八郎君 話はよくわかるのですが、なかなか二年あるいは三年度ぐらいまでは比較的、今の通産省の通産局、あるいは県庁に従来やっているようなやり方でわかるかもしれませんが、結局ある年度がたってからの調査ということになると、やはり各関係官庁の非常な協力を待たなければならぬ、そういう意味におけると、この鉱工業地帯整備協議会ですか、こういうものと結局同じような形にある年代がたっとなっていくのじゃないかというような感じもするのですが、その点はどうですか。
○政府委員(松尾金藏君) この審議会のメンバーとして本来の委員の中には、関係各省の職員は予想しておりませんけれども、専門委員という形で関係各省の職員が一緒になって、今申しましたようなことの専門的事項の調査、審議をすることになると思います。今お話のございました鉱工業地帯整備協議会の方は、これは実はそのような調査の結果に基いて、まあそれぞれの産業の側から要求するような立地条件の整備、産業関連施設の整備の要求をその整備協議会に出しまして、そこで公共事業費の運用の仕方が最もそのような要求にマッチするようにする連絡会議でございますが、片方は、この法律の審議会は調査を主目的とした審議会であります。その調査の結果でどのように公共事業費を運用していくか、どのように産業関連施設の重点的整備をはかるということの連絡協議会とは両方相関連しては参りますけれども、仕事としては全く違った仕事を受け持つような形であると思います。
○大竹平八郎君 それから通産省の中に調査簿というものが今もできておるか知らぬが、これも一そうこの法律が通ると重要になるわけなんですが、この調査簿の閲覧によって一体どのくらい立ち入ったことを知ることができるか。 それといま一つ、助言という問題があるのですが、助言は通産大鹿の所管する事項に限られておるのかどうか。 それからいま一点、助言に対する通産大臣の責任の問題、この点いかがでありますか。
○政府委員(松尾金藏君) 本年度からスタートしました調査に基きまして、一応工場立地指導室が発足いたしました。そこには工場立地調査簿が現在すでに備わっております。しかしこれはとりあえず初年度五十六カ地点について現在までの調査の集積ということでございまして、これはすでに調査をしております五十六カ地点につきましても、今後さらに状況の変化に応じて補修、訂止もいたさなければなりませんし、今後、すでに五十六カ地点の調査が終ったということじゃなくて、さらにその資料の内容をできるだけ詳細に整備していく必要があると思います。今後の新しい地点についてはもちろんでありますが、そのような点は現状で十分であるというのではなくして、さらに十分なものに完備をして参りたいというのが私どもの希望でございます。 それから助言の内容でございますが、これはこの法律の条文にも、うたっておりますように、通産大臣の所掌する事項についての助言だということは、これは法律の建前からいって当然のことであろうと思いますが、もともとこの法律のねらいとするところが工場側から見てどのような合理的な立地を求めるかという点にあるわけでありますかう、その求める主たる点は当然企業のいわゆる生産工場の生産技術と相関連して、どのような地点が適当であるかということについて調査資料の調査の結果を利用するでありましょうし、助言も主としてそのような点に求めてくると思います。従いまして通産大医がいわゆる産業所掌大臣として、そのような観点から所掌事務についての助言をするのは当然でありますが、しかしさらに広い視野からいいますと、あるいはその近くに一体どういう文教施設があるか、あるいはその地区についてどういう文教政策的な考え方が文部省なり何なりにあるかというような点も、非常に広い意味からいいますと、これは工場立地を探す際に関連してくることも考えられるのであります。しかしそのような点について通産大臣が助言をするわけには参りませんので、そのようなことについてかりに工場側が何らかの意見を聞きたいということでありますれば、当然それは文部大臣、文部省の方によく問い合せをしてほしいというようなことに相なると思います。 さらに第三の点といたしまして、助言のまあ効果といいますか、今責任というふうにお話があったと思いますが、これはこの法律の建前から申しまして、当然工場立地の最終的な判断と決定は企業自身の自主的な決定になるわけであります。ただ従来の実情で参りますと、そのように判断をするのに非常に大きなロスがあったという点を補うためでございますので、ここで通産大臣が助言をいたしますのは、企業の自在性はもちろん尊重して、最終的には企業の判断によるのでありますが、やはり国としてもまた企業のためにも、工場を適地に誘導するということは当然必要なわけでありますかう、その意味の助言である。それによって直ちに法律的な義務あるいは制限が課せられるというような性格のものではないし、もちろんそのような助言に従って工場が二場立地をされますれば、当然予想されたいい条件の土地に工場立地をされるわけでありますかう、おのずから産業関連施設の整備におきましても自然とついていくであろうということがございますが、それが法律上の効果として特別どうということの助言の内容ではないのであるということになると思います。
○大竹平八郎君 先ほど私ちょっと触れたのでありますが、全国にわたってこの調査を通産省が一律的にやるということは、予算の問題を一つ取り上げてもこれは不可能なことであって、しかも地方の通産局やそれからあるいはまあ都道府県というようなものにまあ委託をするということは、これはさっき御質問申し上げたわけでありますが、しかしそれによって果してこの何といいますか、秘密ですね、厳秘性が保証されるかどうかということ。さっきもちょっと申し上げました通り、都道府県などはどちらかというと、今までは工場誘致に熱心のあまりにややともすると公平を欠くというような、まあ欠陥が従来あなたの答弁の中に申された通りあったわけでありますが、この法律が通って、そうして通産省がこの調査をおやりになるという場合に、こういったような欠陥というものが、果して克服できるかどうかということについて一つお尋ねしたいと思います。
○政府委員(松尾金藏君) この法律の条文の中にも、四条の第二項に、事業者の秘密に属する事項を調査簿に記載をして、公開をしないようにという規定を設けております。これは今御指摘のございましたような点に対する配慮でございますが、このような点は、いずれにしましても、この法律を施行するものは、当然いわゆる公務員であります。公務員は御承知のような機密保持の義務が課せられております。従いまして、このような調査簿によって一般に公開しないと同時に、他に漏らしてはいけないような機密の事項が、かりにこの調査の段階で浮んで参りましたなうば、それは当然このような機密保持の義務は、公務員は身分的にもございますし、法律の上では調査簿に書いてはならないという配慮をいたしておるのであります。
○大竹平八郎君 それから法案の第二条第二項に地形あるいは地質その他の自然条件、それから川水事情、輸送条件その他の立地条件ということがあるわけでありますが、これらは先ほど来お話の審議会の意見を聞いてきめられるものと思うのでありますが、そのうちには法律的条件、たとえばその付近の川が、先般法律で通りました公共用水域の水質の保全に関する件ですね、こういったような指定地域になっているかどうかというようなことも含められて、この調査というものを進められるのかどうか、この点を伺いたい。
○政府委員(松尾金藏君) 工場立地をいたします際に、今の汚水の問題等は非常に重要な問題でございます。当然ある地区において予想される汚水の問題、いわゆる産業公害の問題がどういうふうに予想されるかというような点は、調査項目の中でも重要な項目であろうというふうに考えております。
○大竹平八郎君 それからこの工場立地の助言の問題なんでありますが、どの程度のことまで受け入れられるのかどうかということ、たとえば費用はこれくらいでこういう業種の工場を設立したいんだが、どこかいい所はないかというような質問に対して、通産大臣は答えられるのかどうか、この点を一つ。
○政府委員(松尾金藏君) 助言の内容がどういうものが予想されるかという点は、これはただ予想という範囲にとどまると思いますけれども、今一つの例としておあげになりましたような点も、現在予想される土地の価格等も調査資料の中に一応ございますけれども、さらにその後の新しい状況で、あるいはそれ以上にくわしい調査資料がわれわれの方にありますれば、それも助言の内容としては、今の文字通り助言という意味ではあり得ると思います。しかし、おそらく土地の価格等につきましては、それ以外に、たとえば水の状況がどうなっておるか、あるいはこれくらいの大きさの地区の面積の工場用地であって、しかもこれくらいの輸送力の伴っておるような場所がほしいがどうか、というような助言を求める形の方が比較的多いだろうと思いますが、助言を求められてどういう助言をするかという点は、現在では予想という程度にとどまろうかと思います。
○大竹平八郎君 それから工場立地に関する事項の中に、むろん通産省所管のものも多いんだが、さらに建設省とかあるいはまた運輸省その他の所管に属するものが、あるいはあるかもしれないし、そういう事項について助言を求められたら、通産大臣はこれに対してどう答えられるのか。それから「その所掌する事項に関し」とあるのでありますが、そういった場合に、通産大臣は助言をするのかどうかということ、もしそうだとすれば、工場地帯に関する事項というものは、建設省とかあるいは運輸省関係のものが少くないと思うのでありますが、そうするとこの助言制度というものは何か著しく狭められるような気もするんですが、その点に対する御意見はどうなんですか。
○政府委員(松尾金藏君) この法律の建前が、通産大臣が、所管工場について、その所管工場の求める生産条件に合致した立地条件を求めるということでありますかう、大部分の問題は通産省の所掌事務の中でまかなえることが多いと思います。しかし今御指摘がございましたように、どういう例があるかわかりませんが、たとえば将来の問題として、現在鉄道の輸送状況はどうなっておるか、道路がどうなっておるか、港の設備はどうなっておるかということは、これはもう事実の問題でございますかう、調査資料の中にもすでにあるでありましょうし、あるいはたくさんの地点の調査資料があるわけでありますかう、こういう港の設備を持っておるような地点が現在どこどこにありますか、これは助言というよりも答弁かもしれませんが、そういうものについては当然通産大臣は答え得ると思います。しかしこの地区について将来専用埠頭設備を作ってもうえるでしょうか、鉄道を敷いてもうえるでしょうかというようなことについての質問なり助言ということになりますと、これは通産大臣としては何とも申し上げようのない、助言のしようのない問題でありますかう、そういう点はそれぞれの所管省で、よくその辺のことについて尋ねていただくようにするしか方法はないという問題が、周辺に幾らかあるというふうに私どもは考えております。
○大竹平八郎君 それからこの助言の問題が、たとえば間違っていた。それからあるいは古い資料を根拠としていたために、非常に不正確であったというようなことも起り得ることだと思うんですが、そういう場合に通産大臣は何らかの責任を負うのですか。
○政府委員(松尾金藏君) 今お話のございましたような点から考えてみましても、助言については十分慎重を期さなければならないことは当然であります。また単なる事実がどうなっておるかというだけのことでありますれば、企業側で資料を見ていただいてもいいし、あるいはその資料以上に何か資料の提供をしてほしいということであれば、事実の資料の提供をいたすわけであります。問題は、それ以上に若干判断の入ったような助言をした場合について今大竹先生のお話のような点があろうと思います。これはまあ行政府の立場として十分慎重を期さなければならないことは当然でございますが、かりに今御指摘のようなことがあるとしますと、これはいわゆる行政責任として十分戒心をしてしなければならないということで、特にこれで特別の規定でどうというようなことではなく、十分戒心をしてやるということに考えざるを得ないと思います。
○大竹平八郎君 最後に一点伺いたいんですがこれは諸外国の例なんでありますが、これは日本だけでなくいずれの国でもイギリスあたりでもああいう狭い所でありますので、非常にこういう問題については大きな関心を持っておると思うのでありますが、これはこまかくお話し願うと長くなりましょうかう、もし資料でもあればちょうだいしたいのでありますが、簡単に御答弁ができれば、米国のやり方あるいは英国のやり方、それから西ドイツのやり方というようなことについて一つ承わりたいと思います。
○政府委員(松尾金藏君) 私どもの手元に必ずしも十分完璧な調査資料があるわけではございませんが、私どもの承知しておる限りで幾つかの例を申し上げますと、たとえばアメリカにおきましては、これはまあ主として国防的な見地からであろうと思いますが、一九五一年かういわゆる工場分散計画が立てられております。その工場分散計画を実施をしていくために、それもいきなり工場配置の許可とかというような形をとらないで、いわゆるインフォメーション・サービスの提供というような形で、アメリカには立地情報室というのが各地に設けられておるようであります。そこに行って国の工場分散計画というのはどういうもので、またそれについてどういう立地条件の実情になっておるかという点をそこでインフォーメーションの提供を受けて、自分の工場立地を求めていくということがあるようであります。それから英国におきましてはすでに一九四五年に工場配置法の制定を見ておるようであります。その主たる内容とするところは、それぞれの地区におきまして失業者が多く発生することが予想されるような地域、まあ英国の産業構造その他にもいろいろ変動があろうと思いますが、そういうことをにらんで失業者の多く発生しそうな地域を商務省が中心となりまして調査をして、それを開発地域ということでその地域を指定いたすようであります。その開発地域につきましては、商務省の所管管轄下に産業施設会社というようなものを一設けて開発をするところもあるようでありますが、そのほかに全般的に工場側に対しましては立地計画室というものを用意をいたして、その立地計画室に行けば、やはり先ほど申しましたと同じような意味でインフォーメーションサービスの提供を受けるという形で、そのような工場配置の配慮をいたしておるのであります。さらにそのほかに西独あるいはオランダというような国々におきましては、もっぱら未開発地域の促進という意味から、おくれた地域の工業化というような意味の工場誘致ということをやっておるようであります。またフランスにおきましては、主として首府のパリー中心にあまり過度な産業集中が起らないように、という意味の立地規制をやっておるというふうに伺っておりますが、いずれのこれらの主な国々の例を見ましても、いきなり工場の設置の許可とか、直接的な規制という例はあまり見受けないようであります。大部分の場合が国として望ましいような地点に工場を誘導するために、今申し上げましたように、国がアドバイスをやりインフォーメーションの提供をやる、というような方法でやっておるというのが多いというふうに伺っております。
○栗山良夫君 先ほどちょっと漏らした点で二、三お尋ねをいたします。 その一つは農地の転用もある程度調査の対象になるというお話でありましたが、そこで局長、もし資料お持ちになっていましたうばちょっとお聞かせいただきたいのですが、過去何カ年かの実績で農地を工場用地に転用した面積と、それから実際農地を開拓した面積とどんなふうになっておるか。
○政府委員(松尾金藏君) 今御質問の点はここに詳細な資料を持ち合せておりませんので別途用意いたしたいと思いますが、概略のところで私どもの承知いたしておりますのでは、つぶされる農地の中で工場敷地として使われるものは二二%くらいの比率だというふうに概略聞いております。いずれ資料を整備いたしましてお答えいたします。
○栗山良夫君 おそらくどうせ農林省とも御連絡をとっていただくでしょうかう、ちょっと五カ年間ぐらい毎年農地を転用した総面積とその内訳ですね、今おっしゃったように住宅用地とか工場用地とかありましょうかうその内訳と、それからそれと反対に農地を開拓した面積、開田、新しく原野を農地にした面積、それに投じた費用がもしわかればほしいのですがね。それを一つ資料としてお願いいたします。 それからこれはまああるいはこういうことを申し上げると、建設省から非常にわれわれ怒られるかもしれませんが、覚悟の上で申しますが、最近大河川の海岸に近い所には相当広い河川敷がたくさんあるのですよ、河川敷がね、それがたまにはゴルフ場になってみたり畑になったり、いろいろしておりますが、これはもう河川敷だからいかんともいたしかたないのですね。おそらくあれは公式に貸していないだろうかう、まあ黙認程度でああいうことをしているのだろうと思いますね。ところが大河川のいよいよ海に注ぐ近くなどというものは、臨港地帯の造成をやるにしても、工場地帯はできますが、ああいう河川敷というものは工員の住宅地ぐらいには十分私はできると思うのですよ。ところが洪水の問題がありますから、建設省はなかなかそう踏み切りはつかぬと思いますが、最近大河川の上流にはもういわゆる要するに貯水用のダムがどんどんできて、洪水対策はできているわけです。それから下流の方は今のお話の工業用水、農業川水を常時相当なトン数をとっているわけですかうね。ですからそういう近代的な施設で河川の洪水調節を全然しなかったときと現在とでは、もう全然様相が変っていると思うのですよ。ですからそういう点もやはり科学的に検討を加えて、あれだけ広い河川敷がもし有効に利用できるということであれば、これは私は利用をすべきだと思うのですよ。だからそういうことについて通産省としてお考えになったことがあるのかですね、あるいは建設省の方の意向を確められたことがあるのか。ないとすれば、一ぺんやってみるというような気持がないか、その辺のことをお尋ねしたいのです。
○政府委員(松尾金藏君) 河川の問題につきましては、まあ建設省が総合的な管理その他を責任をもってやっておるわけでありますかう、当然河川敷についてそのような利用をやろうとしますと、河川法による許可というようなことになって参ると思います。まあ今御指摘のように、河川敷の利用につきましては、河川そのものの安全度といいますか、安全度を見て建設省としても相当慎重にならざるを得ないということは、われわれもよくわかります。この問題で特に従来建設省と特別な話し合いをしたことは実はございませんけれども、今後の調査地区の場所いかんによりましては、そういう問題を含んで議論をせざるを得ないような地点が出てくるということは、当然予想されるところでございます。そういうような意味で、調査の過程でもそういうことを十分頭に置いて進めて参りたいというふうに考えます。
○栗山良夫君 これは私は常識的にそういう問題を取り上げたのであって、きわめて重要な問題ですかうね、あらゆる専門家のやはり新しい時代に立ってこれは研究を願わなければならぬと思いますがね。常識的に確かに大河川の流域を見ますと膨大な面積がある、あれはもう少し、もう一メートルも上げれば水は絶対に洪水でもつかないし、工合よく利用できると思う所が全く荒廃のままにしてありますね。ですからぜひ一つ、まあいずれまたの機会にお尋ねするときもあろうと思いますけれども、少し研究項目として取り上げてもらいたい。全国的にはたくさんないでしよう、ないですが、おそらく今後この前お話したように、大工場というものは大河川の流域、下流地帯に海岸まで含めて造成して行く以外に道はないと思いますから、そういう意味でやはり総合開発の一環の中へ十分入れていいのじゃないか、こう考えます。 それから第七条の審議会の委員十人以内というのですが、これはなんですか、「学識経験のある者」という中には行政官庁の職員は入るわけですか、入らないわけですか。
○政府委員(松尾金藏君) この正式委員の「委員十人以内」というこの中には行政官庁の職員は入らない、専門委員の方に予定しているわけでございます。
○栗山良夫君 先ほどそういう御答弁があったものですから重ねて伺うわけですが、審議会の委員というのは、各省においても、また一つの省の中でも、委員の選び方というものは実にまちまちですね、非常にまちまちです。これは委員会の性格、権限その他にももちろん関係するでしょうけれども、どうしてこういうものがきれいに、ある程度体系的にできないのか、非常に私いつも不思議に思いますが、これですとやはり通商産業大臣の諮問機関ではあるけれども、今までの構想を聞きますと、この一番、工場立地の調査に関する今までの行政の範囲内でやってこられたことについての仕上げというか、取りまとめ方として審議会というものを置かれたわけでしょう。そういう意味では学識経験者ということで非常に民主的なような格好にできているのですが、実際の運営は、これじゃなんじゃないですか、今までの官庁機構の通常の実態を知っている者からすれば、あまり権威あるものにならないということになりはしないかとおそれますが、ここまで遠慮されなくても、もう少し行政官庁の中の方も若干入って、そうして学識経験者と一緒にやられていいのじゃないか。
○政府委員(松尾金藏君) 今お話のございましたように、審議会の構成なり形は必ずしもすっきりした形にならない。いろいろな形があると思います。ただこの審議会の形を行政管理庁と相談をしました際の経過を御参考までに申し上げますと、やはり政府の諮問機関として作られる審議会には、原則的には政府職員が入らない方が望ましい、できるだけ政府職員以外のところの意見を十分に聞かしていただく意味の審議会だから、できるだけまあ行政機関の職員が入らないことが原則だということから、この審議会の構成には、委員の中にはそういう意味で行政機関の職員は入れませんでした。むしろこのような審議会の委員の数があまり多くなることは必ずしも望ましくないということで、委員を十名以内というふうに限定されたのでありますが、かりにそういうふうにこれに各省からの行政職員を入れるということになりますと、とても十名以内というようなことではなくて、それだけでも十名をこすというようなことになるおそれもありますので、それぞれの行政機関の立場はむしろ専門委員という立場で十分に意見を述べ、連絡調整もできるのだし、その辺は専門委員の段階で十分調整をとりたいというような考えで、このように落ちついたのであります。
○栗山良夫君 そこで私は二点疑問が起るのです。一点は、そうあなたはおっしゃるけれども、専門委員には行政官庁の職員を入れる。これは全然部外の学識経験者で審議会を作って諮問機関として、執行は通産省がやる、そのときにそういう意味の審議会というものは、今の官庁組織からいって完全にロボット化せざるを得ないと思う。行政官が入って専門委員会を作って、そこで専門的な視野に立ってどんどん作ったものについて、学識経験者が全然独立の立場で若干ものを申しても、くちびるが寒い程度のことで、完全に私はその委員会というものはロボット化してしまう。やはり行政官も学識経験者も若干まざって、同じ権威の中で議論をし合ってまとめるということであれば若干権威があるけれども、下の方はもう固めてしまう、上も握ってまん中だけそういう格好で作るというのでは、完全にロボット化してしまうという、そういう危険があるということが私は心配であるということが一つ。 もう一つは、一番最初の質問で私は申し上げましたように、それだからこそ第二条と第六条の審議会の仕事というものについて、この文章では私は非常にわかりにくいということを申し上げた。それは第七条の審議会の構成その他から考えて、一体この審議会なるものはどういうことができるのか、第二条、第六条は、そういう疑問が今でも消えないのです。この前だいぶ局長から懇切な答弁をもらったことになっているのですが、これはどういうのですか。
○政府委員(松尾金藏君) この審議会の運営につきまして、今お話のございましたようなことに陥らないようにということで、運用面に十分配慮しなければならないのは当然でございますが、その運営ということだけではなくして、この法文の中に書いてございます構成の中にも、私どもの立場から十分配慮したつもりではあるのであります。と申しますのは、この専門委員会が、これが行政機関の職員だけで専門委員会ができて、その行政機関の職員の作った案がそっくり本審議会の方にまかり通るというようなことになりますと、今御指摘のような弊害に陥ると思いますが、この八条の第二項にもございますように、専門委員会の構成自体が行政機関の職員と工場立地に関する民間学識経験者と、一緒にこの専門委員が構成されており、そこで十分解け合った議論がなされるということを期待いたしております。もちろん運用しではそういうことに陥らないように十分気をつけて参りたいというふうに考えております。
○栗山良夫君 そうすると専門委員は今何名ぐらい予定されていて、そのうちで行政機関の職員、工場立地に関する学識経験者、これを何名ぐらいの振り割りにしようとしておられますか。
○政府委員(松尾金藏君) こういうような点はさらに検討をしなければならないことだと思いますが、現在この問題の予想される点を追って、関係各省のこれに関する専門的な事項の担当部門を拾って参りますと、大体十名程度になるように思います。同時に民間の方からの学識経験者にも、これは特に制限をするつもりはございませんが、かりに行政機関のそれぞれの担当の部門が十五名程度でありますれば、民間学識経験者を十五名にいたしますなりあるいは二十名にいたしますなり、全体合計して、本委員が十名でありますから、専門委員の方は二十名、三十名くらいが適当なところであろうというふうに想定いたしております。
○栗山良夫君 ぜひこの原案通りにおきめになるとすれば、この八条の専門委員の選び方は学識経験者の方はうんとふやしておいていただきたいと思いますね。そうしないと今いったような弊害に陥りますよ。役所の人というのはなかなかあなた方自分で毎日体験していらっしゃるけれども、そう簡単に民間の意見が聞かれない場合が多いのですよ。特に各省から出てくるのですから、通産省の内輪だけならまだいい、どうしても民間の声を権威づけるためには、どうしても数をふやしてもううということになる。そこでまた予算のことに戻りますが、専門委員なんかの手当なんかは出されるのですか、もし報酬があるとすれば五十三万円の中で出るのですか。
○政府委員(松尾金藏君) これは予算の形の問題になるのでありますが、この予算の内訳として現在予想いたしておりますのは、本委員の方につきまして委員手当を予定いたしております。それかうその委員手当として三万六千円計上されておりますが、あと旅費、これはかりに遠隔の地の方に委員をお願いすればその旅費が出て参ります。あとは審議会の運営の諸費その他のものが含まれております。
○栗山良夫君 事実上ほとんど無報酬に近いのですね、今の案では。無報酬で仕事を頼んでしかも権威づけて、なかなか合理化しているのですね。まあ大体今申し上げましたような、その他のも若干ありますが申し上げましたような点を一つ、私の意見に若干でも賛成されるならば、十分配慮して運営を、もし可決になったならば、されたい。
○豊田雅孝君 この法案を見ますると、大工業には非常に役に立つだろうと思うのでありますが、中小工業に対してどの程度これを役に立たせるかという点についての質問は、すでにどなたかからあったかと思うのでありますが、その点をもう一度お尋ねをしておくことと、むしろ私はそういう制度と相並んで、中小工業自身の開業の場合の合理的な指導対策制度、というものが確立せられていいじゃないかというふうに思うわけであります。すでに御承知でしょうが、アメリカの中小企業対策というのは全部中小企業の開業対策なんでありまして、日本の中小企業対策は救済対策であるが、アメリカの中小企業対策は全く開業対策、要するに開会の辞と閉会の辞が違うほどアメリカのと日本の中小企業対策は違っておる。この点に非常に問題があると思うのでありますが、今回こういう工場立地の調査を基本として、大工業に対しては合理的な開業対策というものが制度的にその一端として出てくることになると、これに関連して中小企業の開業対策の合理化についてどういう構想を持っておるのか、これは大臣に質問した方がいいので、あったかもしれぬと思うが、きょうは質問も打ち切りたいということでありますかう、議事の進行上あらためて大臣を要求せずして、最も局長の中の有能なる松尾局長のことですかう、一つ松尾局長から通産省を代表して雄大なる構想を伺いたい。
○政府委員(松尾金藏君) この点はこの工場立地を探します際に特にむずかしい、つまり工場の適地条件を探すのにむずかしいのは、やはりその敷地面積が非常に大きい。またそれに伴う輸送条件等も輸送量も非常に大きい、また水も非常にたくさん使うというようなものについての工場の敷地を探すことがむずかしいということは、これは当然一般的に言えることだと思います。そういう敷地を求める工場企業は、いきおい大企業であることが当然でありますが、大企業はもちろん自分で相当程度の独自の調査能力を持っておるはずであります。しかしそのような大企業といえども、全国的に最も適した地域を探すということは、これは大企業といえどもなかなか非常にむずかしい問題でありますので、そのような点については、たとえ相手が大企業であっても、このような調査資料を整備して大企業の利用に供するということも、この法律の一つのねらいであります。しかしまた同時に、そのような大企業が立地し得るような地域の周辺なりあるいはその関連の所に、中小企業もまた関連産業として当然立地条件を求め得るはずであります。中小企業は自分の立地条件をかりに全国的にとまではいわないまでも、相当広い地域にして立地条件をみずから調査をするということは、非常に困難であろうと思います。そのような中小企業にこのような調査の結果についての調本資料々十分活用していただくことは、この法律の当然期待しておるところでありますし、またこの調査項目の内容につきましても、これはさらに審議会等で十分練っていただかなければならない点でありますけれども、たとえばある地区には現存すでにこういろ中小の機械修理工場があって、そこに工場立地を求めることは、大企業のためにもいいし、同時に中小の機械修理工場のためにも役に立つというような、機械修理工場の能力というような点も、当然調査項目の中に織り込まれることを予想されるわけであります。この法律によりますと、法律の内容では、すでにその地区内にあります既存の工場から現在の状況について報告を求めることにいたしており直すが、新しい工場地帯と申しますか、新しい調査地区につきましては、おそらく既存の工場というものは大部分が中小の工場であることが多かろうと思います。そのような中小の工場から報告を出していただきますと同時に、その地区に将来予想される立地条件がどういうものであるか、自分の工場がその地区内においてどういう立地条件の上で役割を果しておるかということが、その調査集計の結果で出て参るわけであります。既存の中小工場もまたその資料を十分活用していただいて、自分の工場の今後の経営の方向を求めるのにも役に立っていただけると思います。いずれにいたしましても、この調査地区の調査の対象が、比較的広い面積のものを調査の対象にするということではありますけれども、その調査の結果は大、中小企業を問わず、十分活用していただけるものだというふうに期待をいたしております。 なお先ほど私から、団地の平均的な面積といえば大体五千坪以上が多いだろうということを御説明をいたしましたけれども、これも先ほど申し上げましたように、初年度の五十六地区については確かにそのようなことでありますが、今後の調査についてはだんだん五千坪以下の団地の調査もやっていかなければならないだろうというふうに考えております。
○豊田雅孝君 ただいま松尾局長の説明を聞きますと、中小企業にも十分配慮するような答弁ではあるのでありますが、この法律案の提案理由あるいはこの法律案の要綱を見ますと、何人もこれはもう大企業に専属する制度であるというような、私は誤解すら出てくるんじゃないかと思うのでありまして、質問が質問なものですから、松尾局長、実に巧妙なる答弁をせられておりまするけれども、それはほんとうに立案の際にそういうねらいをあわせて持っておったのかどうか、それをすら疑われるような感じがするのですが、そういう点について率直に答弁をしてもらいまして、そして足らざるところがあるならば、これとはおのずから別個の制度を作るとかいうようなことでもいいのでありますから、そういう点においてこういう制度ができたのを何にでも適当に使っていくのだ、そうすればせいぜい刺身のつまみたいに扱う。すべての扱いにおいて中小企業が刺身のつまになっておるところに、日本の、産業政策として非常な禍根を残し、それを今後積み重ねておるようなわけでありますから、道具立てについてはそれぞれ大向きと中小向きとこれはあるわけなのでありますから、大は大なりにこうだということでも、それはまたわれわれどうということはないのでありまして、そういう点で中小向きの制度をまた別個に作るということでもいいのでありますから、その点を率直に、しかも具体性を持った答弁をしてもらったらと思うのであります。
○小幡治和君 関連して。今豊田委員から中小工場、中小企業のためのあの御質問でありましたが、今府県で非常に、今の五千坪以上というふうなところまでいかないで、千坪くらいのもので、とにかく今第二条に掲げてあるようなこと全部を微に入り細に入り調査して、そして工場誘致の一つの資料というものはどこの府県にだってこれは真剣に作られておる。そういうようなものを、大体今中小企業者が、何かこういうふうに適当ないい所がないか、各府県に照会してやっていかなければならないという繁雑なところがあると思う。いよいよこれができますれば、何か通産省にそういう意味の閲覧室というのか、資料室というものができると思うのだ。そのときにその資料室の中に今鶴田委員の心配される五千坪以上のような大きな所しかないのだ、中小の業者が相談する何ものもないのだということなら実にさびしいものだから、あなた方の方が調査するという余力があるならば別だが、なければ各府県でできているそういうものでも総合して、そこに全部集めておいていかなる資料にも、中小企業者の資料にも当てはめるということをやってもらいたい、こういう点できるのかどうか、それもあわせて一つ御答弁願いたい。
○政府委員(松尾金藏君) 先ほど私から御説明をいたしました際に、当初に申し上げましたように、工場立地を求めるのに非常に条件がむずかしい。従って探すのに骨が折れるのは、やはり大きな面積を擁し、大きな関連施設あるいはむずかしい条件の、水その他を多く使うような、いわゆる大企業型のものであるということは、まあ当初に申し上げたようなことであります。そういうものについて大企業は大企業なりに自分の調査能力は持っておりましょうけれども、それでもなお現在までに一工場の立地条件を探すのに三年も五年もかかったというような例が多分にあります。しかもそのそれぞれの企業が、自分である地点に行って調査をして、そこが自分でどうも適当でないと思うと、その調査した結果はそっくり金庫の中にしまってしまって、それは一般に公開されない、またほかの企業がそこに行って同じような調査をやるような非常に大きなロスがある。その点をまず直すことだけでも、つまり公開された資料でまず大まかな調査ができるだけでも、そのようなロスをなくし、同時に工場の適地誘導ができるという点が、この法律の第一の着目点であることは先ほども御説明いたしました通りであります。しかし実際に、現在すでに第一次の調査で、全整備しております立地条件の指導室の調査資料を、現実に利用しておる人の状況を私ども見ておりますと、これは現在通産本省と各通産局にそれぞれそういう指導室を設けて、資料を配布して閲覧に供しておるわけでありますが、われわれの見るところでは、実際に利用するのは、たとえば自動車の部品製造工場でありますとか、あるいはまあ電気機械の修理工場でありますとか、そういう比較的中以下の工場側の利用度が相当高いように私どもは見受けておりますが、従いまして最も大きなねらいとするところは、今申しましたように、一番立地条件の求めがたい大きな規模の敷地、また水も多く使い、輸送条件も大きくなければならぬ所をねらいといたしますけれども、それとつながって中小企業も十分利用していただけます、また調査対象も今後漸次そのような小さい地域も探して、調査対象は広げていきたいということに私どもは考えております。中小企業の点はもちろん私ども十分考えていかなければならぬ点でありますし、また小幡先生からの御質問の点につきましても、この調査を実際にやっていただきますのは、各府県に委託調査をやり、ますので、従来すでに府県が持っておられた資料は、もちろんその資料に客観性がないと困るわけでありますが、その点は先ほど御説明をいたしましたような調査班を編成をして、府県にすでにあります資料を十分検討して、それを取り入れるべきものは調査資料の中に取り入れるということにいたしますので、すでにありますそのような資料は十分活用できると思います。またその調査地区といいますのは、先ほど来御説明いたしております団地を包括したもっと広い地区でございますから、その地区内には大きな団地、小さな団地、あるいは団地というのにも値いしないような小さな面積の所も幾つか、はまり込んでおるわけです。そういう点は調査資料の中には一括して配布されて、利用に供されるということになります。現状ではそういう点がもちろん十分でないと思いますが、漸次そういう点を整備して一般利用に供していくようにいたしたい、こういうふうに考えております。
○豊田雅孝君 ただいまの説明によりますと、この制度は大企業のみならず中小企業にも十分均霑させるようにしていくんだということは、単なるおざなりの答弁でない、そういう考え方をもってすでにおるんだというような趣旨の答弁でありまするので、それならそれなりに今後大いに運用してもらわなければいかぬと思うのですが、それについて審議会の委員にはどういう人を大体構想に持っておられるか。特に中小企業について経験を持ち、またその方面の情熱のある人を入れるか入れぬかによりまして、これまた非常に審議の行き方が違ってくると思いますので、答弁のごとく中小企業にもこれを活用するんだということならば、中小企業に向く委員をぜひとも入れていく必要があると思うのでありますが、それの構想を一つお尋ねをしておきたいと思います。
○政府委員(松尾金藏君) この審議会の正式委員は十名以内ということにいたしておりますので、この十名以内の方々にどういう方面の方をどの程度入っていただくかはまだ十分検討しなければならない点だと思いますが、しかしこの委員の大部分の方は、たとえば経済地理に詳しい方でありますとか、あるいは港湾とか水とかそういう土木工学に詳しい教授というような方でありますとか、あるいは立地条件について非常にむずかしい、水を多く使う産業あるいは原料について大きな輸送力を必要とする産業、あるいは製品輸送について大きな輸送力を必要とする産業、というような産業部門の代表の方も入っていただかなければならぬと思いますが、それ以外にやはりそれぞれの地方の立地条件の調査でございますから、地方行政なりあるいは地方の事情について明るい、という方も参加していただかなければならないだろうと思います。今御指摘のございましたそういう点と関係なしに、ただ中小企業代表というだけの理由でこの委員に選定をする、ということが適当であるかどうかは疑問があると思いますが、中小企業の立場から見て、やはり今の経済地理あるいは経済立地というような点から、特にそのような学識経験のある方がございますれば、委員として選考の際に十分考えなければならないと考えております。
○豊田雅孝君 工場誘致についての学識経験ある人というようなふうになりますと、どうしても学者中心になり、そしてまた学者というものは大企業しか頭にないような人が日本じゃ多いものですから、そういう点から見てこの委員というものは、うっかりすると全く大企業中心になってくると思うのであります。従っていかに松尾局長が答弁せられておっても、実際はまるで大工業本位になってしまうということになる懸念が多分にあると思うのでありますが、そういう点から単に中心企業代表といってもいろいろな意味がありますが、中小企業の能率研究をやっておるその方の専門家なんというものは相当出てきておるのでありますかう、そういう要するに中小企業の指導面について、相当合理的な行き方を内外の文献等によって研究しておる人も、御承知のようにある程度出てきておるわけでございます。こういうような人はぜひ入れておく必要があるのじゃないかというふうに思うわけでありまして、そういう点についてその構想実現の意思がおありになるかどうか。それを一つ伺っておきたいと思います。
○政府委員(松尾金藏君) この審議会は、今お話のございました工場誘致というような観点から、今俗にいわれております地元繁栄策としての工場誘致というようなものの視点からの審議会でないことは、これは法律という建前から当然でございます。そういう観点からむしろ逆に誤まった工場誘致を行われる事例さえあるのであります。そういう点は十分注意して運営しなければならないと思います。ざらに中小企業の関係について、今お話のございましたような角度から適任者がございますれば、当然これは本委員になりますか、あるいは人数の制限で専門委員という形にしますか、いずれにしても中小企業の観点からのそういう特殊の技能者と申しますか、そういう方の意見は十分拝聴して参りたいと思います。
○豊田雅孝君 それではただいまの答弁で一応私は満足いたしますが、今委員のことをあげたのは単にその一例でありまして、運用の上において外般の面にわたって大企業並びに中小企業にも十分の配慮をきれるように、ことに大工場誘致をいたしました場合に、その原材料を基本として加工工業を同時にそこへ配属きせていくというようなことは、これは原材料工業自身にとって繁栄策として非常に必要なことでありますから、そういう面もあわせて中小、工業、加工工業、これに対して十分に情熱のある行き力を示されるように、この際特に強く要望いたしておきまして質問を終ります。
○理事(島清君) 他に御質疑はございませんか。……御発言もないようでございますので、以上をもって本案に対する質疑は終局いたしました。 それではこれにて委員会を散会いたします。 午後三時三十六分散会