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31回国会参議院1958/12/20

社会労働委員会 第4号

発言数
21
登壇者
4
会派数
2
開催日
1958/12/20

会議録

久保等日本社会党

○委員長(久保等君) ただいまより社会労働委員会を開きます。  委員の異動を報告いたします。十二月二十日付をもって藤原道子君が辞任し、その補欠として坂本昭君が選任されました。   —————————————

久保等日本社会党

○委員長(久保等君) 国民健康保険法案、国民健帳保険法施行法案、両案を一括して議題といたします。御質疑を願います。

山下義信日本社会党

○山下義信君 私は本案につきまして、次のような質問をいたしたいと思います。第一は、本案に対しまして、総括的に、厚生大臣の今後国民健康保険、この制度を運営していかれるについての基本的な考え方、いわゆる大臣の新国民健康保険に対する政策というようなものを伺いたいと思うのであります。第二は、本案の中心ともなるべき重要な点につきまして伺いたいと思うのであります。そうして最後に、具体的に法案の内容、条文について御所見を承わりたい、これが私の大体質問いたしたいと思いまする考え方でございます。  従いまして、第一に伺いますることは、今回御提案になりました新たなこの法案についてのいわゆる思想的背景いかんという問題であります。申すまでもなく、前国会に政府が御提出になりました原案、私はこれを第一次案とでも申しましょうか。それから衆議院において修正せられました衆議院の修正案、言うまでもなく、政府与野も御参加になりましたのでございますから、途中で若干の変化を来たした。今回、いろいろな事情を御勘案になりまして、第二次案というものが新たに提案をされたのであります。申し上げますならば、再三この法案の内容が変化いたしているのであります。今回、第二次案を御提出になりました事情につきましては、先般の理事会等でも、また、本委員会でも御説明がございましたので、当局の御苦心は了といたしているのでありまして、それに関連いたしまして、下院の方で、政府の方におかれましてもいろいろと御説明に御苦労になりました点も十分御了解申し上げております。ともかくも再三案の内容が変ってきた。ことに問題の諸点につきまして、その使用されます法律の字句が異なってきたのであります。私は再三にわたります法案のことに表現の字句の変化というものにつきまして、これをどういうふうに政府は考えているのか、どういうふうにとつているのかということの基本的な態度というものを、これを伺わなくちゃならない。また、きめてもらわなくちゃならないと思うのであります。一口に申しましたらば、これは単に表現の変化、実体には変りはないのだという考えをもっていくかどうかであります。この使用せられました法律の用語、これはただ単にこういう言い回しをしなければ承知をしない向きもあるし、そういう要求が強いので、なるべくそういう趣旨に沿うような表現を使ったのだ、実体には何も関係ないのだという考え方は、いやしくも法裡のこの条章、字句が変ってきた以上には、そういうような軽い見方で過したのでは私はいけないのではあるまいか、かように考える。あるいは腹の中には一部これは単に表現の変化、用語を変えただけだ、気に入るような言葉づかい、文字を使っただけだという考え方が腹の中にはあるかもわからない。あるいはこの法案を十分に解明して法理論を戦わしていったならばそうであるかもわからない、実体には何らの変化がないかもわからない。しかし、われわれはそう考えたくないのであります。いやしくも法律に用うる用語というものは非常に意義の深いものでなくちやならない。非常にそれが本来の根本的基礎に大きな害毒を流さない限りにおきましては、改められたその表現、新たに用いられたその字句に深い意義をわれわれは積極的に見出して、あるいは深い意義をその表現に付与して、そうしてここに新たなる法案にふさわしい今後の考え方というものが出てこなくちゃならぬのではないかと私は考えるのであります。つまり言いかえると、今回提案されたこの法案は、単なる字句表現のすりかえでごまかしたというものでなくして、新たなる生命がここに吹き込まれたのである、新たなる衣がえをして、そしてまみえたのである、私はこういう考えのもとに基本的な方針が立てられていかなければならぬと思う。たとえて申しますと、後刻伺いますが、たとえば機関のあり方につきましても、原案は言うまでもなく指定医療機関とありまして、それが衆議院の修正では療養担当者と変った。今回の新提出法案によりますると療養取扱機関と変った。これらの表現の変化はただいま申し上げましたように、単に御都合主義でそういう文字を用いたというのでなくして、そこに深い意義を私どもは見出すべきであろうと考えるのであります。端的に申し上げますと、今回の法案の一番大きな変化は、私はいわゆる機関中心主義から医師中心主義に大きな転換をしたのではあるまいかと、かように推測をするのでありますが、それらの今回御提案になりました第二次の新法案のその衣がえによりまして、基本的に今後の国民健康保険を推進していく当局のその政策、考え方、言いかえますればどういう筋を通していこうとなされるか、どういうところに大きな忘我があるのかという点を一つ大臣からお示しを願いたいと思うのであります。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○国務大臣(橋本龍伍君) 二十八国会以来、厚生省においては、引き続き国民健康保険法案を提案をいたしておったのでございますが、それがほんとうに一年たってようやく今日、参議院で正式に御審議を仰ぐのがきょうでありまして、責任者といたしまして非常な喜びと、また感激をいたしておる次第でございます。どうかよろしくお願いをいたします。が責任を負うのだ。療養の給付という経済行為は、あるいは開設者に一歩譲ってそれはやるべきであろう。今日のあらゆる法制の建前がそうなっているのですから、それでよろしいであろう。われわれは何も必ずしも、開設者は事務員であって、受付の事務だけやっていればいいのだ、そういうところまで極言しようとは考えませんけれども、実質的療養給付の実態、療養全般の責任者というものは医師である。従来は開設者であったのでしょう。療養の給付をする者も開設者、療養についての全責任を負う者も開設者、ただ診療行為をする者が医師であるぞよ、調剤行為をする者が薬剤師であるぞよといったようなことは、他の法律にこれは規定せられておる。従来の医療保障の関係の法律には頭を出していなかった。それを今回は療養というものの実体の責任者は医者であるぞよと、こう打ち出していったところに、医師というものの立場というものが非常にこれは尊重せられておる。従って、保険経済の許す、規定された範囲内におけるところの医師の自主性というか、医療の独立性というか、そういうものを認める、そのかわり責任があるのだよ。立場も認めて大いに尊重するが、同時に、療養についての責任を医師が負うのである。言葉をかえていうと、開設者と療養担当者である医師とのほとんど共同責任であると言わんばかりの立場にこれが置かれるようになったのであると、こう私は意義深く解釈をいたしたいと思うのであります。共同責任という、共同という言葉は法律の上に表われていないが、開設者と医師との関係が従属的関係でなくして、むしろ開設者と療養を担当する医師はこの国民健康保険の運営の上においては並列的なような立場に置きかえられたのであるというふうに私どもはこの法律の内容というものを見たいと思うのです。また、そう見えるのであります。そうでなければ、法律の書き方というものが私は意味をなさないと思う。この点におきまする大臣の一つ御所見を、御遠慮なく御披瀝を願いたいと思う。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○国務大臣(橋本龍伍君) 実は私が先ほど答弁をいたしましたのもそのつもりで申したのでありますが、この療養は、医師が責任者として担当するのだという趣旨のつもりであります。

山下義信日本社会党

○山下義信君 私と同意見であるとおっしゃいますれば、それで言葉は短こうてもけっこうでございます。  私はもう一つ、今回の法案に意義深いものを感ずるのでありますが、私だけが力んで意義深くとって、案外政府の方では意義浅いのであっては困る。しいて深いところへおいでなさいとは言いはしませんが、私どもは深く味わっていきたいと思う。しかし、政府の方におかれては、いやそんなに深くは考えないのじゃとおっしゃられれば、それはそれでもいい。無理にお誘いはいたしませんが、私はそういうふうに一応は見ていこうとしておるのです。  いま一つは、療養の担当を医師がするということ、このことは何を意味するかというと、被保険者の方に向って今度は医師が向きましたときには、被保険者はただ機関から療養の給付を受けるという建前にのみ従来はなっておったように思うのであります。しかるに、今回の御提案によりますというと、患者は機関から受くるのみではなくいたしまして、法律の表面には表われておらぬが、この法の精神を汲み取りますというと、機関の選択の自由と同時に、機関の中におけるところの療養を担当する医師についての選択の自由も私は、この法案の御趣旨からいいますというと、被保険者にとっては十分にあり得るのではあるまいかということを考えるのであります。これが今回の法案の医療機関並びに療養担当者との関係等から患者の医師選択の自由というのが明々のうちに確保せられてきたと、かように私は考えるのでありますが、その点はどういう御見解でございましょうか。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○国務大臣(橋本龍伍君) 山下委員のお考えの筋等は非常にわれわれは考えております。さきにも申し上げましたように、今度の提案は、これはもう山下委員が言っておられるだけでなしに、ほんとうにわれわれ自身がそれを考え、厚生省内におきましても、相当その意思統一までには、いろいろ前々からの考え方もありまして、議論も行いながらまとめて参ったところでございます。二十八国会に提案をいたしました法案は、医療機関が、要するに患者の相手になるという思想が非常に強くて、ただ医者や薬剤師は手足として使うのだという感じだけでありましたが、これはもう全く本法案を提案するに至りました基本の考え方——患者を診察し治療をする者は医者なんだという考え方であります。この三十六条の四項なども、そういう趣旨で、当りまえといえば当りまえのような話でありますが、もう本来的には患者は医者に見てもらうのだ。従いまして、医者が個々の患者を見ますということを表明しておる。そのお医者さんに対して、開設者も協力をして、個々の診療行為がうまくいくように必要な措置をやらなければならないというような趣旨のことも書いてあるわけでありまして、この考え方は、あくまでも患者が見てもらうのはお医者さんだということをはっきりさせておるわけであります。従いまして、現実の診療機関の中で、いろいろなお医者さんがいろいろな部門を担当して診療行為をやると思いまするけれども、考え方の基本は、あくまでも患者は個々のお医者さんに診療してもらうのだという考え方でございますから、基本的におきまして、ただいま山下委員のお話にもございましたような趣旨を考えております。

山下義信日本社会党

○山下義信君 そういたしますと、これは基本的な問題を一つ御相談を申し上げておきたいと思います。ときどき、ところどころで、少し私の質疑と橋本厚生大臣の御答弁とマッチしていないところもあるのでありますが、具体的に問題を出しまして、一つ大ざっぱに、私ども何も法律家でありませんから、大臣が御明晰な人でありますから、あまりこまかいことの解釈はさておきまして、大筋のところ、しからば療養の給付はだれから受けるのか、という問題を一つ御相談申し上げておかなければならない。被保険者と療養担当者である医師との関係、これを一つ今回の御提案の中身では、どういうような考え方でいくのであるかという点を伺っておかなければならない。そこで、保険者の方へ向きました顔を見ますというと、これは開設者、これは開設者がその方に顔を向けていなければおさまりがつかぬことは言うまでもない。ところが、被保険者の方へ向いたときは、この療養取扱機関と療養を担当する医師とこの両者の顔は被保険者に向ったときはどうなっておるのかということをお聞きしたい。その御相談申し上げておる間に、患者はお医者さんから治療を受けるのだ、自分の好きなお医者さんから治療を受ける選択の自由ももとよりあるのだ。そういうことも今回字句の上にうかがえるところもあったのだということであります。その治療を受けるのか受けぬのかということでなしに、この療養の給付というものはだれがするか。それで、保険者に向いたときには開設者で私もいいとと思う。被保険者に向いたときの顔が二つ出ておる、ここに。開設者と医師と、二つの顔が出ておる。保険者に向けたときの顔は一つしか出ていない。療養の責任を負う医師と保険者との間の関係はどうなっているかということがこの法律には出ていない。これは不十分であるのか、出さなくてもいいのか、出すべきでないのか、それはわかりませんけれども、出ていない。けれども、一応は現在の諸法制の建前からいいまして、保険者との関係は、それは開設者ということも一応認める。われわれは、その意味においては、これは実態は依然として二重指定制だということも言えるでしょう。しかしながら、今回の大きな変化は、この医師の立場というものが療養の全責任を負うという観点に立ったときに、被保険者に向いたときの顔が出てきている。そこで、被保険者に向いたときの顔はどういうふうに出てきているかというであって、これはそういうふうに運営その他において考えるべきではないかと思うのですが、私はあげ足ばかりとらないで、きょうは建設的な意見を言うたつもりなんです。当局のお考えを一つ聞いておきたい。

太宰博邦厚生省保険局長

○政府委員(太宰博邦君) 最初の八十七条の点でございますが、八十七条の、三分の二に達しない場合の連合会——連合会の三分の二に達しない場合においてはどうするかという問題でございますが、これは四十五条の第五項によりまして、保険者が審査権を持っておりますが、その審査は健康保険団体連合会または社会保険診療報酬支払基金に委託することができると、こうなっております。そこで、三分の二に達しない場合は、健康保険団体連合会に委託できません。そこで、法律上の解釈としては、保険者みずからやるか、あるいは社会保険診療報酬支払基金に委託するということのどちらかになろうかと存じますが、御指摘のごとく、私どもはやはり個々の保険者がやるということは、事務の能率、あるいは審査の公正という立場から好ましくないと思いまするので、さような場合においては支払基金の方に委託をすると、こういうふうな指導をして参る。また、その方がよいという趣旨でございます。  それから、第二項の点につきましては、お話の点はまことにごもっともだと存じ、私どもその具体的な人選その他につきましてはお話のような線で進めていくつもりでございます。

山下義信日本社会党

○山下義信君 私が伺う具体的な条文についてはこれで済むのですが、施行法案の第十八条の第一項を見ますと「新法の施行前に行われた療養の給付に係る診療報酬の額及びその審査の基準については、なお従前の例による。」と、こうあるのです。これはどういう意味ですか。私ちょっと読みづらいのですが、これはなんですか、従来いろいろな特別の契約、特別の基準をきめておったものは当分まだ認めてやるという意味ですか、どういう意味ですか。第十八条の第一項の読み方。

太宰博邦厚生省保険局長

○政府委員(太宰博邦君) これは、新法の施行は三十四年の一月一日という予定で御審議を願っておる次第であります。従いまして、その前に行われました療養の給付に関する診療報酬のいろいろな算定とか、審査というものは、現在、つまり本日現在やっておる、それに従ってやるということになりまして、三十四年一月一日以降の分につきましては新法の規定によって取り扱うのである。かような趣旨でございます。

山下義信日本社会党

○山下義信君 わからぬのですが、新法の施行前にそれぞれ保険者と療養担当者とがいろいろの契約をしておった。そういう特別の契約等も当分認めてやるという趣旨ですか。

太宰博邦厚生省保険局長

○政府委員(太宰博邦君) さようではございません。

山下義信日本社会党

○山下義信君 どういう意味ですか。もう一度お答えいただきたい。

太宰博邦厚生省保険局長

○政府委員(太宰博邦君) つまり新法の施行になりますのは明年の一月一日からでございます。その前に療養の給付が当然あるわけでございます。それについて請求というようなものはこれはおそらく一月以降において保険者の方に請求が出てきて、それをまた法律の条文によるそれぞれ審査委員会でもって審査して支払う、こういうことであります。その支払い時期は新法の施行後になりまするけれども、しかし、その前の給付に関する分については現在のやり方でやることを認めるという趣旨でございます。

山下義信日本社会党

○山下義信君 わかりました。  二、三の点、先ほど申し上げました諸点を留保しまして、一つ最後にいろいろと御質疑を承わり、また、関連して伺う点もあるかもわかりませんが、最後に私が結論的にお伺いすることを留保しておきまして、そうして資料として、先ほど高野委員からも御要求がありましたが、私はお願いしたいと思う。  それはこの種の重要法案を審議いたしますときに、言うまでもなく関連して多くの重要点が政令にあるいは省令等にゆだねてある。そういう場合には両院とも審議を入念にいたしますためにこの政令案、省令案を資料としてお示し願うことが従来の例になっております、重要法案につきましては。そこで、私ども野党でも当局を信頼いたします。特に今回の新提出の法案につきましては、先ほど質疑の中に申し上げましたように、一部分におきましては、私どもといたしましてもなかなか意味慎重にうかがう点もある。ありますが、大体は法律にきめましても実際の運用はみな政令、省令等で実態は動いていくわけなんであります。この両法案を伺いますと、政令関係のものが幾つありますか、政令に委任されてあるものが。幾つの政令を作られ、幾つの省令を作られますか。相当多数だろうと思うのですが、ちょっと政令が二十くらいありますね。それから省令関係のものが国民健康保険法案の本法、母法のみで二十くらいありますね。これ、一つ資料として御提出を願いたいと思う。

太宰博邦厚生省保険局長

○政府委員(太宰博邦君) 実は政令の方はただいま鋭意作っておる段階でございまして、年内に何としても間に合わせねばならないというのでやっておるわけでございますが、資料とした形で、整った形でお目にかけるところまで準備が進んでおりますかどうか、ちょっとあれでありますが……。

久保等日本社会党

○委員長(久保等君) 速記をとめて。    午後一時二十六分速記中止    —————・—————    午後一時四十一分速記開始

久保等日本社会党

○委員長(久保等君) 速記を起して。それでは本日の質疑はこの程度にいたしたいと思います。  なお、資料の提出につきまして、先ほど高野委員、それから山下委員等から最初に御要求になりました資料につきましては、御提出を政府の方からお願いをいたしたいと存じます。その点について政府の方から一応……。

橋本龍伍自由民主党厚生大臣

○国務大臣(橋本龍伍君) 山下委員から御要求のございました政令等の趣旨を内示として出させていただきたいと思います。  なお、高野委員からございました点につきましても資料を提出いたしたいと思います。

久保等日本社会党

○委員長(久保等君) それでは本日はこれにて散会いたします。    午後一時四十二分散会    —————・—————

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