議院運営委員会 第22号
- 発言数
- 48 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1959/03/31
会議録
○委員長(高橋進太郎君) これより議院運営委員会を開会いたします。 まず、衆議院回付案の取扱いに関する件を議題といたします。事務総長の報告を求めます。
○事務総長(河野義克君) 去る三月十三日、本院が修正して衆議院に送付いたしました特許法等の施行に伴う関係法令の整理に関する法律案につきまして、去る二十八日、衆議院はこれを修正の上、回付して参りました。回付案は、御承知の通り常任委員会には付託せず、衆議院の修正に同意するかいなか、直ちに本会議において議決することとなっておりますので、衆議院の修正の要旨を御参考のため御説明いたしたいと思います。 衆議院の修正は、本案の第四条、すなわち独禁法の一部を改正する部分を修正したものでありますが、原案は、今回成立した母法たる特許法において、特許の取り消しの制度を廃止いたしたので、これにあわせて、独禁法においても同様に、取り消しに関する規定を削除することとしたのでございます。これに対し、衆議院は、特許法においては取り消しの制度を廃止してはおるが、これとは別に、独禁法において取り消しを認めることは差しつかえないという考え方の上に立って、削除を認めないことといたしたのであります。ただ、「実施権」とありますのを、今回の特許法の改正に伴って、「専用実施権若しくは通常実施権」と改めるにとどめたのでございます。これが衆議院の修正の要旨でありますが、これに対しましては、本案を審査いたしました本院の商工委員の事実上の御意見としては、衆議院の修正に対しては特段の異議がないという模様でございます。 以上、衆議院の修正の要旨を御説明申し上げた次第でございます。
○委員長(高橋進太郎君) 以上の通りでございますが、別に御発言もなければ、本回付案に同意することに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(高橋進太郎君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(高橋進太郎君) 次に、委員派遣承認要求の取扱いに関する件を議題といたします。委員部長の報告を求めます。
○参事(渡辺猛君) 社会労働委員長から、委員派遣承認要求書が提出されております。その目的は、国民年金法案について、地方における利害関係者及び学識者の意見を聴取し、同法案の審査に資する。派遣委員は、第一班、柴田英君、木下友敬君、竹中恒夫君、第二班、谷口弥三郎君、坂本昭君、田村文吉君。派遣地は、第一班愛知県、第二班宮城県。期間は、第一班が四月三日から四月五日まで三日間、第二班が四月三日から四月五日まで三日間。費用概算四万六千八百円でございます。
○委員長(高橋進太郎君) ただいま報告のありました委員派遣承認要求の取扱いにつきましては、目下国会開会中でありますので、理事会におきまして協議を行いましたところ、事案の緊急性等にかんがみ、特に承認を与うべきものとの結論に達した次第であります。 右の通り、本要求に対し承認を与えることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(高橋進太郎君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。
○委員長(高橋進太郎君) 次に、職員に対する賄雑費支給に関する件を議題といたします。事務総長から説明を願います。
○事務総長(河野義克君) 国会職員に対しましては、国会職員の給与等に関する規程第十二条によりまして、議長が議院運営委員会に諮って賄雑費を支給することができることになっております。例年、年度末前後に一回これを支給いたしておるのでありますが、本年も例年の例にならいまして、二百四十五万円の範囲内で支給したいと存じます。なお支給に当りましては、事前に衆議院と協議いたしまして、同一歩調をもって行うものであることを申し添えます。どうぞ御承認をお願い申し上げます。
○阿部竹松君 異議はないんですが、去年と差があるのではないんですか。去年は三百幾らというように記憶しておるんですが。
○事務総長(河野義克君) 本年も例年の例にならいましてというのは、年度末前後に一回やっている、これを年度末のこの際にと、こういう意味で申し上げておるわけでありまして、金額につきましては、御指摘の通り昨年とは若干の差異がございます。
○阿部竹松君 その差のできた理由は何ですか。
○事務総長(河野義克君) 賄雑費の性質上、必ずしも上下差によることは必要でない、これは均等に支給してしかるべきではないかという意見が前からありまして、そういうことも、いわれのあることだと私ども考えたことが一つと、もう一つは、経理上の観点もありまして、全体を二百四十五万円程度にとどめたい、こういうことでございます。
○阿部竹松君 差というのは、去年と今年の差額ができているのですね。ですから、何のために金額を減らさなければならなかったかという理由が第一点。それから、配分するときには、どういうように配分するわけですか。やはり給与ベースか基本給ということで配分するのですか。
○事務総長(河野義克君) 配分につきましては、全部均等に配分するわけであります。前年までは、給与水準によりまして差等が設けられておりました。今回総額において減少いたしますのは、そういう差等を廃したこと等が原因でございます。
○委員長(高橋進太郎君) 別に御発言もなければ、本件をただいま説明の通り決することに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(高橋進太郎君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。 ━━━━━━━━━━━━━
○委員長(高橋進太郎君) 次に、お諮りいたします。先刻の理事会におきまして、本日の新聞紙上に発表されました国立国会図書館の金森館長の談話に関し、質疑を行いたい旨の発言があり、協議の結果、本日、本件を議題とし、質疑を行うことに意見が一致いたしました。ただいま館長の出席をお願いしておりますので、質疑のある方は順次御発言を願います。
○小林孝平君 昨三十日、東京地裁において、砂川基地立ち入り問題に関し、米軍の駐留は違憲であるという内容の判決がありまして、非常に問題になっておることは御承知の通りでございます。昨日、予算委員会においてもこれが取り上げられ、引き続きまして、衆参両院において問題を大きく取り上げ、非常な政治問題になっておるわけでありまするが、この際、本日の毎日新聞に、金森館長の名前で、「地裁判決をこうみる」、「米軍駐留違憲でない」という御意見が掲載されております。もちろん、これは最後に「談」という言葉が入っておりますが、この「談」という意味は、通常どういう意味であるかわかりません。ただ新聞記者が聞いて、それを原稿にして出す場合もあるようであります。ゲラ刷りを本人がさらに見て直される場合もありまするが、いずれにいたしましても、この金森館長の発言というものは、非常な影響を与えるわけであります。過去における経歴、現在における図書館長としての地位から、金森先生の発言というものがどれだけ一般に重大な影響を与えるかということは、先生御自身もよく御存じのことと思います。そこで、この内容は、「米軍駐留違憲でない」という御意見を出されておりまするが、私は、ここで米軍の駐留が違憲であるかないかということを申し上げようとしているのではありません。これは、他日他の委員会等において論議されると思いますので申し上げませんが、問題は、この記事の最後に、「ともかく裁判などというものはよほど甲羅(ら)を経た人間がやるべきものだ。若い人にまかせたのでは危くて仕様がない。もっとも、だからこそ三審制で、二審三審では甲羅を経たのが出てくることになっているのだが。それに安物にいい物はないのだから裁判官の給料を上げてやることも必要だ。」、こういう談話が出まして、これは、関係者は非常に驚いているわけであります。また、この記事はおそらく一般の人々に相当の衝撃を与えたのではないかと思うのです。 まず第一点は、この「裁判などというものはよほど甲羅(ら)を経た人間がやるべきものだ。」と、こういう御意見でございますが、そうしますと、一審はほとんどこれはでたらめのものである、甲羅の経ていない人間がやるのだから、これはだめなんだと、こういうふうにとれるわけです。甲羅という意味が私はわかりませんが、この裁判長は大体五十才のようであります。一体、甲羅を経た人間というのは、何才からこういうことが言われるのかどうか、問題であります。それから、二審、三審は甲羅を経てくることになるからまあいいということでありますが、これは全部の裁判官を侮辱するものであるとして、われわれは裁判官自身にも相当影響を与えているのじゃないかと思うのです。さらにこの裁判官の待遇が適正であるかどうかということは問題でありますが、いずれにしても、「安物にいい物はないのだから裁判官の給料を上げてやることも必要だ。」、こういうことになりますと、私は総括的に、裁判官は安物であっていいものはない、こういうことで、これは一審とか二審でなくて、日本の現在の裁判官それ自身が、安物が裁判をやっているから工合が悪い、そういうことで、いろいろの点から考えまして、この記事は容易ならない記事だと思いますので、図書館長はいかなる心境でこういう談話をされたのか、この点をお伺いします。
○国立国会図書館長(金森徳次郎君) ただいまお尋ねになりましたことは、私もけさの新聞を見てやや驚いておりますけれども、これはゆうべ新聞記者の方が来られまして、そうしていろいろと御質問になった。そのときに、たまたまいろいろな点に触れられて、それが記事になっているのでございまして、それは全然縁もゆかりもない記事とは決して申し上げません。けれども口で言ったことが字になりましたときには、幾分調子が強くなりまして、意外な感じを持つこともございますが、今お尋ねになりました点に触れて申しますると、私は決して裁判官を軽べつするような考えも何もなく、本来、裁判官を尊重する立場でいるのでございますが、たまたま言がここに及びましたのは、やはり裁判官を優遇しなければいけない。特にイギリスの裁判官アメリカの裁判官のごとく俸給その他の点におきまして、ほかの行政官に劣らないように優遇しなければならない、こういう考えが頭の中に入っておりまして、その結果、まあ裁判官の月給も上げたらいい、こういうことを申し上げたわけであります。これは裁判官を軽べつする意味じゃなくて、ほんとうに裁判官を優遇しなければならないというところに重点があったわけでございます。 その骨子となりますもう一つの点は、やはり裁判官というものは、何といったって、三権分立の結果として、最後に判断するものである、もうこれが済みますれば、一応はこれを補正するということはできませんので、訴訟の中に三審制度がありますにしても、それにしても、裁判官はただ法律を知っているというだけでなくて、社会上の事実も知り、非常に修養の積んだ人であることが相当であるというわけで、私は今度の裁判をなされた方がどういう方か全然知りませんので、それについて触れているわけじゃございませんが、ただ、できたらば、こういうものは、相当社会経験を積んだ人に裁判をさせることが理想であり、それは大小の事件がありますから、そうすべての裁判官を特別にするわけにはいかぬにしても全体の着想としては裁判官というものは優遇しなければならないということを言ったわけであります。この間、何か検事の俸給と裁判官の俸給の関係で法律もできまして、そういうことも念頭に置いておりましたけれども、私の考えは、裁判官をよくしなければいけない、そこに持っていって、比較的経験の浅い人を裁判官にするということは、日本が三権分立を考えたからには、よほど気をつけなければならない、この趣旨であったのでございますが、それが書かれた結果、今の御批判でありますると、私の趣旨と反対のような結果を表わしておりますが、そういうわけでは、ございませんで、まあ言葉じりは、いろいろ、とり方、言い方があったでございましょうけれども、そうでないということで御理解を願いたいと思います。
○小林孝平君 私は、全然この記事が間違いである、私が言わなかったことを書かれた、こうおっしゃるなら別でありますけれども、今、金森館長が釈明をされましたそのことをお聞きいたしましても、この米軍駐留が違憲であるかないか、この今の最大の政治問題を取り扱う際に、同時に今の問題をおっしゃれば、それは、社会経験のない、また教養も高くない裁判官がおるから、こういう決定もあり得るのだということを、敷衍をされている発言だと、私も虚心たんかいに聞いても受けとれた。またあの表現から見て、この記事は金森先生のおっしゃる意味からいえば、社会経験も積み、非常に教養も高い人がこれを見ましても、この文章は金森さんの文章である、こういうふうにとる人もあるくらいなんですが、そういう点を考えまして、私は今あなたがおっしゃったことを考えますと、これは新聞記者に責任を転嫁するわけにはいかないのじゃないか、こういうふうに思います。あなたが釈明をされましたけれども、私たちは、そういうあなたの釈明を聞きましても、なお、形は変えても、この地裁の決定がそういう適当でない裁判官によって行われたというふうに受け取れるのです。従って、これは非常に重要な問題じゃないかと思うのですね。それのみならず、この安物はだめだと、こういうことになっておりますが、こういうことになっていると、これは裁判官でなくて、現在の公務員はほとんどこの記事によれば安物なんです。そうしますと、今の行政機構全体がでたらめなことをやっていると、こういうことになりかねないと思うのです。この点をどういうふうにお考えになっておりますか。
○国立国会図書館長(金森徳次郎君) これは昨夜のことでございますから、私がそう記憶から離れたということはこれは言えませんのです。ただ問題の経過は、いろいろこの裁判についての議論を重ねてこられて、最後に裁判官のことをちょっと口を出されたときに、まあ私が乗ったのでございましたが、安物にはいい物はないということは言った覚えは実はないのでありまして、私の言ったに相違ないと思う点を一つ二つ拾ってみますると、やはり裁判というものは重要なものだからして、できる限り、りっぱな経験豊かな人にやってもらいたい、これは確かに言いました。そして、この裁判をした人が年が若かったかどうかということは存じませんで、ただ私が新聞に出ましたところの判決文の写しのようなものを見ましたときに、何となく軽佻……われわれの考えから言うと、少しく論理が飛躍しているというふうな感じがございまして、従って、そこにまた一そう裁判官は経験豊かな人が望ましいと、こういうことを言ったわけです。安物何とかということは、どうも言った覚えはございませんけれども、しかし万一、言ったとしても、座談の意味で、これはかなりの時間、座談しておったところを、うまく文章にされたわけでございまして、その個々の点まで私の言ったことであるとはちょと私自身にも思われないわけであります。その点は御理解を願いたいと思います。
○小林孝平君 私は、随筆やその他の場合は違いますけれども、今、これは最大の政治問題になっているわけです。金森館長が御存じないわけはないのですから、この問題をめぐって、駐留軍が違憲であるかないか、この問題が裁判所の判決とは別に非常に大きい政治的な論争として取り上げられている際に、あなたが、これは違憲でないという御意見を出されることについては、これはここで論じませんが、その裁判官の論理が飛躍しているからといって、裁判官というものはこうあらねばならないと、こういうことを最後につけ加えられますと、それがいかに短かい表現であろうがなかろうが、それはあくまでも、この地裁の判決というものが、そういう誤まった無定見の裁判官あるいは適当でない裁判官によってこういう決定が行なわれたということで、裁判の神聖とか権威というものが非常にじゅうりんされた印象を全国民に与えただろうと思うのです。これは、私が日ごろ敬愛する金森先生でございますけれども、この点は、ただいまのような御説明では納得できません。そして読者というものは、この新聞に出たものは、すべてこれは公正な、正しいものだと思って見ているのです。よほどひねくれたインテリとか何とかいうものは、いや、新聞も相当でたらめだということは言いますけれども、大部分の国民は、政府からしばしばでたらめな——でたらめといっては悪いけれども、片寄った報道なんかが新聞を通じて出ましても、それをそのまま率直に受け取っているのです。それを、まして金森先生のような方がこういうことを書かれますと、もう裁判などは、これは特に一審の裁判官などというものはだめなんだと、こういう印象を与えて、これは大へんなことになったと思うのですが、館長とされては、ただ国会の議運で、これは誤まりだった、多少言葉が足らなかったのだ、あるいは新聞記者が修飾したというようなことだけでは、この裁判の権威というものは回復されないのじゃないかと思うのですが、どういうふうにお考えですか。
○国立国会図書館長(金森徳次郎君) 私の信念だけを申しますと、まあそれは別に役人の立場として言ったことでもございませんので、ただ、どういうわけか、新聞社の方が来られて、いろいろ雑談をしているその中から、虚心たんかいに私の言った言葉がこういうふうにとられて文字に表われた、この文字に表われたことについて、私はもとより責任を負わなければなりませんけれども、十が十まで私の言った通りではございませんので、正直に私の心の動き工合をたどってみますると、私は、この判決はそんなにいい判決ではないと、私自身の解釈から言うと、思っておりました。おそらくこういうのは非常に元気のいい、つまり闊達な方が書かれたのじゃないか、こういうことが念頭にございまして、それで、善悪は御批判を仰ぐよりほかにございませんけれども、だから裁判官というものは、やはり酸いも甘いもというか、いろいろなことを考えた後に判断をするような人でありたい、こう思ったものだからして、それが中心となりまして、月給が安いとか、そんなところは、そう言ったかどうか、たぶん言わなかったと思っておりますが、そうでなく、やっぱりいい裁判官がほしい、それには優遇しなければならない。若い人——これは実際伺ってみますと若くなかったのでございますが、しかし、何となく若々しい気分がありまして、そこで、その点に重点を置いておったわけでございますから、あとでどういう態度をとるべきか知りませんが、私はそれ自身、安物は云々、これはよくないのです。だけれども、それは私は言わないとひそかに思いますのですけれども、それはちょっと証明する方法がございませんが、趣旨は、全く裁判官はまことに三権分立の中の一つとしてりっぱな措置をとるべきものである、こういう気持で言ったわけでございます。
○小林孝平君 私は、この安物にこだわっているわけではございませんが、今、図書館長のおっしゃった言葉の中に、やっぱりこういう問題を引き起す原因があると思うのです。役人として言ったわけではなくて、ただ個人的に言ったと、こうおつしゃいましたけれども、あなたは国会図書館長であって、これは国会の特別職でありますけれども、そのあなたに意見を聞きに行った場合は、国会図書館長として、そういう立場で聞きに行かれたと思うのです。ちゃんと、これにも国会図書館長金森徳次郎、こういうふうになっているわけなんです。あなたが全くの自由人のような考えでおしゃべりになったというのはおかしいと思うのです。私は、そういうわけで、この館長としての立場で、米軍駐留が違憲であるとかないとかいう意見を出すことは、どうであるとかこうであるとかいうことは申し上げません。それは私個人の考え方でありますが、それはまあ場合によってはいいと思うのですけれども、この図書館長という立場を忘れて、自分は勝手に言ったといっても、あなたが全くの市井の人であって、そして何らそういう影響力がないという人であったら、新聞記者も聞きに行かなかったはずなんです。あなたの経歴なり現在の立場というものを考慮してあなたにお尋ねをし、こういうふうに第一面に大きく掲載をし、しかも、それが今後のこの違憲論争に非常なウエイトを持ってこれが利用される、こういうことは、あなただっておわかりになっただろうと思うのですね。そこを、いや、わしはこれは自由の立場で言ったのだ、こういうことをおっしゃっても、それは私は納得できない。これは老先生のあげ足をとったり苦しめたりするつもりで言っているのでなくて、この影響は非常に重要であるものですから私は申し上げる。また、こういう問題が今後しばしば起きて、大新聞が記事を出した、あれはもうでたらめだというようなことで、みんな言われたのでは、新聞としても困るのではないか、こう思いますので申し上げる次第です。
○国立国会図書館長(金森徳次郎君) どうも実は、そう非常に注意深く言ったわけではございませんし、肩書きなんかあとから新聞記者が書いたわけなのであります。私、そこまで意識しておりませんが、私にいろいろなことをお聞き下さるときには、その当時問題に関係した一人の意見を聞こうと、こういうような立場で来られたものと思っておりました。そうかといって、気軽にものが言えるわけではございませんが、私はその立場において、初めの部分は自分の意見そっくり、自分の平素思っている意見を述べたわけでございます。一番しまいの方の、いわば景物にくっついているようなところは、これは向うが帰りがけにつけ加えの言葉、何か言いかけた、それに乗ったのでございまして、私の言った言葉通りでもない、先ほど釈明した通りでございます。これは、何といいますか、非常に軽い意味で私が話し合ったことがここに出たことであり、それが大きな影響を持つとすれば恐縮でございますけれども、私は、その文句が悪いことは別として、意味として、優遇しなければならぬということは今日も確信しておりますから、その気持を述べたというように御理解願いたいと思います。どうもいろいろとり方の違いがありますけれども、私自身は個人的な意見として、今日ほんとうは政治の局面に関係も何もございません特殊な仕事をしている。昔、関係のあったことに触れて人がたずねてくる、だからその当時から持っている見解を率直に述べた、こういうわけでございまして、どうぞあまり深刻におとりにならないで、そのくらいにお願いしたいのですが。
○小林孝平君 この、あとにつけたりでくっつけたとか何とか言いますけれども、この最後のつけたりが大へんなんです。前の方の意見はどなたもたくさん出されますが、こういうつけたりで加えられたことによって、この全体の文章がまあ生きてくるといいますか、精彩を放ったというか、普通の米軍駐留違憲でないという意見が、この最後の十行くらいで非常に大きく浮び上った。これは悪く言えば、金森先生は非常に学者でいらっしゃるから、こういうわずかなことをつけ加えることによって、文章全体が生きてくるという、こういうコツを御存じでこういうことをおやりになったとは私は思いませんけれども、そうなんです。そこで、まあ軽く聞き流してくれということでございますが、ここでは私が金森先生のお人柄を日ごろよく知っていますから、ある程度わかりますが、これが記事になって出て、これは全国の人が見ます見てみんなそういう感じを持つ。軽く考えてくれなんていったって、軽く考えられないのです。これをどうするかということは今後の問題だろうと思う。あるいはこれは新聞の方で勝手に書いたのだから、私は責任がないというような御発言に近いものがあったのですが、それならばそういうふうに新聞社の方に申し込まれるとか何とかという方法を講じなければならない。それで、本日はこれ以上申し上げても、先生はお疲れでもあるかと思いますので、あらためてこの善後措置をどうするか、議運としても相談してみる必要があると思うのです。
○光村甚助君 金森先生はそう深刻に考える必要はないとおっしゃいますけれども、第一審の裁判官は、これは相当深刻に考えていると思うのです。あなたは、この一つの問題だけにそうおっしゃいますけれども、第一審の裁判官が安月給取りで、まだ若造で、さっきのように、お若い人が書いたんだろうとおっしゃっていますけれども、月給も少い、若造で、勉強も足りない者が出す一審の判決というものが、この一事だけではそうおっしゃいますが、あなたが批判されるということにおいて、第一審の裁判官は非常にこれは打撃を受けていると思う。そういう問題に対してあなたはどういう責任をお感じになりますか。影響するところはこの一つの問題だけではないのです。
○国立国会図書館長(金森徳次郎君) 私の言うところは、ほんとうに実は個人の発言だというつもりであったわけです。われわれは個人として、新聞社の人に対して発言する自由を持っているであろう、してみると、この判決というものについて、われわれの率直な第一次的の感覚からいうと、これは一国の裁判官としてもう少し注意深くあってよいのではなかろうか、こういうことからこの言葉が流れて来たわけでございまして、月給、安物云々ということは、先ほども申しましたが、そういう言葉を使った覚えはないのでございますけれども、これは相手仕事でございますから、向うが証明すれば別でございますが、そんなことを言った覚えはないので、第一審の判決のできが悪いとか、こういうことは申しません。第一審の判決であろうが何であろうが、おのおのの価値はあるのだけれども、ということは存じております。そして、第一審の判決が多少威勢がいいということも一応思っております。私の言わんと欲するところは、何といいますか、これにつきましてはどうも少し若々しい判決である、これがどうも念頭に入っておりまして、その結果、この言葉が出たわけでございまして、それがどういう影響を持ったかということは、今にして考えなければなりませんけれども、私、そういう意味のことを言ったことはたしかでございますから、その責任は負うべき場合に負うということより、しようがございません。
○藤田藤太郎君 今、先生のお話を聞いていると、若々しい、注意が足らぬ、こういう御意見というものは、違憲かどうかという論理的な見解の問題から出てくる論理だと思うのです。経験の深い先生ですから、おのおののそういうものの見方をお持ちになることは、私は先生の権威だと思いますけれども、法律的な処理を担当されている裁判官というものは、やはり国の仕組みの中で研さんを経て、国がそれを裁判官として認めて、その職をおとりになっているという立場におられるということになると、私は、その違憲かどうかということは見解の相違で、それをおっかぶせて、甲羅が足りぬとか、安月給取りだから安物はろくなことができぬ、まあ先生のお気持は、そういう言い方はしないとおっしゃいますけれども、そういうものが一般国民につながると、この違憲かどうかという論理的な論争と離れて、全般に若造はつまらぬのだ、こういう形の印象を受けるということに国民がなると思うのです。だから私たちは、先生も御意見があると思いますけれども、新しい世の中を背負っていく若い人の芽をつんではいかぬ、新しい世の中を背負っていく若い人がどんどんといろいろな新しい合理性を積み上げていくところに、まあ理屈っぽくなりますが、近代社会の進歩があると思うのです。だから、その論理的な論争と見解の違いを、それをおやりになることは、またいろいろな立場なり場所によって、私は論理はあると思います。しかし、それが甲羅がないとか、安物じゃろくなことはできぬというところにこの記事がつながってくるということになると、私はやはり最高権威者と人が尊敬している金森先生の言としては、この記事が現われてきたことは、本意であったかどうか、それはいろいろお話がありましたけれども、どうも私はそういうことが出てきた動機というものが、どの辺からどういうことになっているか私は知らぬけれども、これはもう少し考えてもらわなければならないことじゃないかと思うのです。私は、先ほどから小林委員の話を聞き、質疑を聞きながら、そういうことを強く感ずるのですがね。
○国立国会図書館長(金森徳次郎君) 何べん釈明しても、これはちょっとお聞き届けになりそうもないけれども、ほんとうに言わなかったつもりだったのです。しかしそういう問題が、何かこう判決ということによって多少精神をいら立たしく━━こういうわけではないのだ、こういうふうな気持があったことは、もう意表外だという感じが基礎になって、それから次第に、何か裁判官のことが雑談のその最後に出てきましたものですから、ちょっと口がすべったというわけであります。いわんや安月給云々ということは、ほんとうに言わなかったと思うのですが、まあそれはどちらにしても、そういう気持━━裁判官はやはり法律ばかりを知るものではない、一つの理念ばかり知るもののではない、いろいろなことを知っている人にやってもらいたいものだというふうな気持があって、それ自体、言葉は非常に不穏当でございましたが、あるいは私の言わなかったことが新聞に出たかもしれませんが、結果としてそういう精神が現われた。こういう精神が現われたことについて、私はそういう精神を持っていなかったとか何とか申しませんです。ただ経験の高き人が裁判官にならなければ、大きな国の問題に触れるときに、金の貸し借りや何かの簡単な問題と違うという、司法制度に対する一種の庶民的な理念、庶民の持つ理念を述べた、こういう気持でございまして、まあ、おしかりは覚悟の前でございますが、私の気持はそういう気持であったわけでございます。
○委員長(高橋進太郎君) お諮りいたします。予算委員会で金森館長の出席要求がございますので、簡単にお願いいたします。
○斎藤昇君 先ほどから小林委員その他の委員と金森館長との問答を伺っておりますと、金森館長は、あの判決をごらんになって、館長のお考えとしてはまあ意外な判決だったというので、一種の義憤を感じられたために、あとでああいうものが出てきたように感ずるのでありますが、いずれにしましても、館長の考えておられた御意図というものは大体明瞭になったわけでありますから、本日はこの程度で終っていただきまして、小林委員が言われましたように、これをあとで議運でどうするかしないかというようなことがもし問題があるとすれば、理事会でさらに話をしていただきたいということで、一応この程度で終りにしていただきたいと思います。
○阿部竹松君 館長、今あなた、斎藤理事のお話を聞いたでしょうけれども、あの通りの心境なんですか。
○国立国会図書館長(金森徳次郎君) そうです。
○阿部竹松君 それでは、判決が出たので義憤を感じてやったというのですか。
○国立国会図書館長(金森徳次郎君) 義憤というと少し……意外だというふうな感じ……。
○阿部竹松君 意外と義憤とは違いますよ。
○国立国会図書館長(金森徳次郎君) まあしかし似たような━━この場合は、これは私は憲法に……。
○阿部竹松君 その通りですか。斎藤さんのおっしゃった通りですか。義憤を感じてやった……。
○国立国会図書館長(金森徳次郎君) 大体そうです。義憤というか、義憤はちょっと強いけれども、何となく心に満足しないものがあって、そこであの裁判について批判が強かった。私の頭の中で、つまりこれは悪い裁判だ、こういう気持が強かった、こういうことでございます。
○阿部竹松君 悪い裁判とか、いい裁判とかいうことは次々とやっていかなければわからないのだから。しかしその瞬間、少くとも毎日新聞といったら天下の大新聞ですよ。朝日、毎日、読売から始まって。あなたが、国会図書館長がいきなり判決文を見て、義憤を感じて毎日新聞に記事を出した。これは大問題ですよ。
○国立国会図書館長(金森徳次郎君) そういう意味ではなかった。言葉は向うが勝手に━━私はほんとうに申しますと、病気で、今、一日に三、四時間動くと、あと非常に苦痛を感じますから、断わったんですけれども、向うからやってきて━━これは弁明になりませんですが、初めの部分について議論したわけですが、義憤というと少し荒いけれども、何となく、こういう裁判ではわれわれの平素の考えとは食い違いを生ずるようである。願わくは老巧な人に裁判をしてもらいたいのだと、こういう気持を持ちまして、それを義憤といえば義憤ですが、一ぺん言葉を変えて翻訳しますと、少し強くなりますが……。
○光村甚助君 最後にもう一点だけ。義憤を感じられようと何であろうと、私は個人なら勝手だと思うのです。裁判の問題に対して私も義憤を感ずることがあります。それがいけないのです。それが私は反省してもらいたいと思うのです。私がさっき言ったように、一審の裁判で服役する人もあれば、刑の確定するのもたくさんあるのです。そういうことを考えて言っていただかなければ、一審の裁判官がやつたのが軽卒であり、練達の士でないのだったら、一審で確定して、それに満足して刑に服したりした人、これは救われないのです。また、裁判官の中で先生の教えを受けた方が私はたくさんいると思うのです。その人たちはどう考えるか。私は第一審の裁判官の士気にこれは非常に影響する問題だと思うのです。練達の士でなければならないということを、あなたはおっしゃっているんです。この点だけは何か少くとも反省される必要があると思うのです。
○国立国会図書館長(金森徳次郎君) 反省するという━━言葉が必要以上に強かったということは考えておりますが、その他は、やはり日本の裁判官というものは、その権限、権力というものと比べて、十分いい人が出てもらいたいということまでは、それは言っていいだろうと思います。別に特定の人を言うのじゃなくて、おのおのの裁判官というものはと、一般的に言っている、そういう点まではいいと思います。で、月給云々とかいう、あそこらへ行って、少し私みずからかえりみて、こんなことは言わなかったろうと思っておりますが、これは別の問題として、だから御趣旨の点において尊敬いたします。しかし、一審、二審、三審とあれば、やはりこの一審の方は威勢がいいということは、ある意味においては賞めていい、心に賛成していいことであって、その気持で言っておったわけでございますが、ただ何となくそこに感情が現われたという形でございます。
○阿部竹松君 館長のおっしゃることは、この新聞に書いていることと全然違いますよ、どう解釈したって。ですから僕たちはその上で━━それでいいと思うのですが、しかし、館長はお帰りになったら、御多忙中でしょうけれども、どういう記事が載って、あなたのおっしゃったことが何割入っていますか、よくお読みになっていただく方がいい。反省しなさいとは言いませんけれども、議事録におそらく載っているでしょうけれども、全然違いますよ。僕の解釈も間違いかもしれませんけれども、そんなあいまいなことだったら、わざわざここまでおいで願って、館長、これはうまくないですよなんということは申し上げません。僕の理解するところでは、館長の今までのお答えとこの新聞に出ている内容と全部違いますよ。しかし、この新聞の記者がでたらめを書いたとか何とかいうのなら別問題ですが。
○委員長(高橋進太郎君) 予算委員会からの館長の出席要求もございますので、本件はこの程度でとどめまして、本会議の関係もありますので、これにて暫時休憩いたします。 午前十一時四十分休憩 〔休憩後開会に至らなかった〕