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31回国会参議院1959/03/12

外務委員会 第9号

発言数
80
登壇者
12
会派数
3
開催日
1959/03/12

会議録

杉原荒太自由民主党

○委員長(杉原荒太君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  理事補欠互選についてお諮りいたします。一昨日理事鶴見祐輔君、理事苫米地英俊君が委員を辞任されましたので、理事に二名の欠員を生じておりましたところ、昨日再び委員になられました。よって、鶴見祐輔君、苫米地英俊君を理事に指名いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

杉原荒太自由民主党

○委員長(杉原荒太君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。   —————————————

杉原荒太自由民主党

○委員長(杉原荒太君) 次に、国際情勢等に関する調査を議題とし、藤山外務大臣に対し質疑を行うことといたします。

野村吉三郎自由民主党

○野村吉三郎君 これは新聞の報道でありまして、外務大臣お気づきになっているかどうか。また、これは新聞報であるから、どれだけ信頼していいかわからぬのでありまして、私はどっちを批評するという意思ではございませんが、一昨日のジャパン・タイムスに、アメリカは共通の敵であるという、これはまあ新聞社が出した見出しでありましょうが、淺沼さんが言ったということを書いて、これは共同通信でありますが、その内容はこういうことを言われたのかどうかということ。台湾はシナのものなのにかかわらずアメリカが占領しておると、沖縄は日本のものなのにかかわらずアメリカが占領しておると、そういう観念からして、共通の敵であるということを淺沼さんが言われたと新聞が報じておるのでございます。こういう問題を北京で向うの外交協会の人あたりと話ししたらしいのですが、非常に大きな問題じゃないか。こういうニュースについても、外務大臣はまあ関心をお持ちになっておるであろうと。行かれる前に、私は日本国民としては超党派で行かねばならぬということは、これはもう年来の自分の抱負でありますが、それはむずかしいにしても、大体の、外務省とこのたび北京へおいでになった社会党の方との間には、日本の国利民福を考えて、大体の外交方針についての範囲というものがあったんじゃなかろうか。こういうことを新聞に書かれると、私らは戦争前にアメリカにおったときの経験からかんがみて、まあ非常にやっかいな問題じゃないかというふうに感じまして、どっちの党を批評するというのではないのですが、日本国民の立場として、もう少し外国に対しては、国境を越えてそこへ行ったらば、できるだけもう少しお話し合いなんかがあったんじゃなかろうかというふうに想像いたすのであります。すべてが新聞報に基いたなにですからして、まあ適当にお答え下さったらけっこうでございます。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(藤山愛一郎君) ただいま野村委員のお話のありました点については、私も新聞紙上で見たわけでありまして、それ以外に、淺沼氏がどういうふうに正確に言われたのか、そこいらのところは的確な資料を持っておりません。従って、新聞の報道が正しいのか、間違っておるのか、あるいはどの程度のニュアンスで言われたのか、これは存じておりません。淺沼さんが立たれる前に、私のところに岡田さんと二人であいさつに見えられました。その際私としては、いろいろ社会党としては御意見があるかもしれないけれども、まあ政府も必ずしも中共を敵視しておるわけではないし、そういう点については、われわれの気持はできるだけお伝えを願いたいと、淺沼さんの立場から言われることと同時に、そういう機会があれば言って説明していただきたい。同時に、まあ外交上の何か問題でもあるような場合には、やはり政府は外交権は持っているのだから、その点については適当にお考えをいただきたいということは私から申し上げました。しかしまあ、一々どういう発言をされるかというようなことについては、打合せを別にいたしたわけではないし、こちらも特に希望を申し上げたわけでもございません。

野村吉三郎自由民主党

○野村吉三郎君 経済の問題だけでおいでになったのではないのですか。外交問題もやはり社会党の立場からシナといろいろの話をされるというような御了解のもとにおいでになったのですか。そうすれば、まるで外交は二元外交になって、まことに困るのではないか。私は、まあアメリカの経験で言えば、戦争の前にいろいろの人と会っておったですが、その人たちはやはり、国務省との了解なくしていろいろ君らと話をするというとかえって誤解を招くから、これは差し控えなければならぬというようなことを、非常に親日主義のセネターなんかで言うた人もありますし、まあ英米の状況なんかを見ても、大体外交というものは大筋においては一元的になっていると私は見ておるのでありますが、日本が根本的に違った考えを持っておって、そこまでは至らなくても、同じ日本人ですからして、外国へ行って、まあできるだけ日本の立場というものを尊重して、一元的に近いようなふうの話でなければ、まあシャドー・キャビネットかしらぬが、陰のキャビネットがいて二元的になったのでは、外務省の仕事というものは非常にむずかしくなるのではなかろうか、それは国利民福——国の利益にならぬというふうに私ども思っておるのでありますが、まあ互に切瑳琢磨しなければならぬことはむろんでありますが、程度があるというようなふうに思っておりますのですが、そういうところの話し合いは、前に一向詳しいことはなかったと了解していいですか。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(藤山愛一郎君) 特に詳しいお話し合いを、政府が、行かれるためにしたということはございません。むろん、今のあいさつにおいでになったときも、ちょうどその日の午前中の衆議院の外務委員会でしたか、淺沼さんの訪中をどう思うかというようなお話がありまして、われわれとしては、むろん社会党からそうした意味においての御連絡を受けてもおりませんし、外交上の問題で行かれるとも聞いておりません。友交親善を深める意味において行かれると、また中共の現地の視察をやられるということで行かれたと思っております。ですから、私としては、午前中の外務委員会でもそのことを申し上げ、同時に、質問もありましたので、こうお答えをしたのだということを淺沼さんに申し上げたので、淺沼さんが団長である限り良識を逸脱されることはないではないかということを実は私は答弁をしたのだと、淺沼さん、そう思っておりますからということを、淺沼さんに私は申し上げたのですが、そういう意味で、何も政府の外交の一翼を担うために行っていただいたとか、そういうことは全然ございません。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 時間も予算委員会の関係で非常に短いのだそうですから、羅列的に御質問します。  今の日ソ漁業交渉に関してですが、大臣の十日の衆議院外務委員会における答弁では、もう政治的段階に入ったのだ、政治的解決のほかはない。資源論争ではもう片づかない段階に入ったというような答弁を新聞で見たのですが、政治的解決というのは一体どういうことか。大臣のお考えになっている政治的解決の方法、内容を伺いたいことが一つ。  それからほかの、高碕大臣そして水産界の会長の談話とかあるいは赤城官房長官談話などでは、まだそういう段階、政治的に向うと接触を持つというのは早いじゃないかというような談話があって、食い違っておるのですが、この二点をまず伺いたい。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(藤山愛一郎君) 外務委員会で、正確に私の発言を記憶しておりませんけれども、おそらく私が言ったとすれば、先般のような突如としてああいう提案をしてきた。しかもそれは小委員会あるいは資源関係の論争の終ったときに、そういう規制措置の問題に入ると、とたんにああいう問題を持ってきたということを申し上げたわけだと思います。同時に、なおそれに対しての資源的な立場からの反駁論争をしておる段階でありまして、まだすぐ政治的解決に入ったとは申したつもりはないのでありますけれども、ただ、将来こういう問題か行き詰って参りますと、やはり政治的に何か解決の一方途を見出さなければならない、こういうふうなことを申したと思っております。

苫米地英俊自由民主党

○苫米地英俊君 昨年オホーツク海の問題で禁漁区のことが問題になりましたが、また今度も禁漁区がふえるようなのですが、あれは漁業協定だけじゃなくて、国際法上の問題になるので、外務省と連絡があったのですか、連絡なしでオホーツク海の漁業権を放棄するというようなことがきまったわけでございますか。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(藤山愛一郎君) 今回の提案は、まだ日本は決して受諾しておらない。そして私としては、あの問題を最終的にどうしてもソ連が譲歩しないときには、どうしたら一体日ソ漁業条約というものの本質論から見て、そういうものが、そういうところまで規制措置を強化するのが日ソ漁業協定の本質論に合うかどうかという一つの政治問題になるべきだと思うのです。その辺は、もう少し研究しなきゃならぬということも考えておるので、省内にもその研究を命じておるのですが、そうした意味で、むろん農林省にいたしましても外務省にいたしましても、緊密な連絡をとっておりますが、まだあれを受諾したという段階ではございません。かつ同時に、あの提案そのものに対して資源的な意味から今反駁論争をやっておるので、たとえばあそこに三地区を作って、あの狭い水路さえあければいいのだとかいうような問題についての実質的な意見の交換をやつております。

苫米地英俊自由民主党

○苫米地英俊君 ちょっともう一つ。  今年の問題はまだそういう状態ですが、今度あたりはオホーツク海という大きなものを禁漁区にする。これは漁獲量は漁業条約がきめるので、ああいう大きな公海から日本を締め出してしまうということは、これは漁業協定の範囲でないと思うのです。外務省が当然折衝されるべきものではないか。外務省はこれは御承諾になったのか、漁業委員会の方で独走したのか、そこのところは長い間私は疑問に思っておったのですが。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(藤山愛一郎君) この種の委員会の運営というようなもの、これは一般的に外交折衝でもありますが、同時に、国内各省の所管事務が内容としては相当多いわけでありますから、それぞれの内容を所管しております各省の実質的な立場というものを尊重することは当然だと思います。従って、われわれもそういう態度でおります。ただしかし、それが今お話のように、いろいろ外交関係に影響してくる、あるいはそうした論争をすることの外交上の方法論というものは、外務省としてもその意見を申して、それらの各省と連絡をしておるわけです。ですからあのこと事態は政府の決定であって、農林省が決定したとかあるいは外務省が決定したとかいうことでは終局的にないわけでありますが、むろん外務省も意見を申し、参画をいたしておることは当然でございます。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 そこで大臣は、この間の十日の発言は、将来政治的に取り上げなければならぬ段階がくる、こういうことをおっしゃったわけですね。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(藤山愛一郎君) おそらく資源論争に今日まで終始してきており、そして先ほど申し上げましたように規制の問題に移る初頭においてこうした問題が出てきたわけであります。そうしますと、その根拠というものはやはり資源論争になりますから、現在まだ資源論争としてそうしたことが不必要である、日本の資源研究の結果から見れば不必要であるという理由をもってソ連側の説を反駁することをいたしているわけでありまして、現在の段階ではまだその論争を続けていくだけの必要が私どもはあろうと思っております。しかし、そうした問題が行き詰まって参りますれば、何らかの形で政治的に考えていかなければならぬ、こういうことは当然起ってくると思います。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 それはあくまで資源論争は徹底的におやりになることは当然だと思います。どうも日本の北洋漁業というものは腰だめの議論ばかりが従来多いので、科学的の論争になりますと、ともすればソビエトに押されがちであるというふうな私は印象を持つのです。ソビエトの今回の態度を見れば、政治折衝は努めて避けて、科学的な問題を積み上げて日本とあくまでも戦う、堂々と正面からやってくるという態度のように判断するので、こっちも国民にわかるような個々の問題について具体的内容を持った反対提案を出して戦うべきことと思う。それについてのお考えと、内容がもうできておれば御発表願いたいと思います。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(藤山愛一郎君) 現在お話のようにむろん日ソ漁業協定による委員会の場というものは、そうした資源紛争の問題を基礎に置いて議論をする委員会なのでありますから、そしてそれによって結論を得る委員会でありますから、われわれとしてもできるだけそれに努力をして、最終的にこういうことで解決するのがいいというのは、これは初めからの建前であります。従って、むろんそういう問題について農林当局とも相談しながら、われわれも日本側の提案というものを、資源論の上から出していくということになろうと思います。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 資源論争では片づかないと新聞では外務大臣の十日の答弁を出しておりましたが、こういうことを言ったとすれば、少し短気であって、これは文明国相手の商売をやっておられる藤山さんあたりの感覚からすれば、片づかない、飽きるかもしらぬが、ソビエト交渉は、日ソ交渉史をごらんになればわかるように、とことんまで徹底的にやるのですから、心がまえとしてはまずそういうふうにやってもらわなければならぬと思うのです。そこで、外務大臣のまた十日の答弁の中に、ソ連の今回の漁業の規制措置の提案は、条約の精神からほど遠い、または違反のおそれも出てくると思うというふうに出ております。そこで、条約の精神とは一体どういうことか、日ソ漁業条約の根本理念は何と解釈をされているか、それをお伺いしたい。私の解釈では、この日ソ条約の前文と付属書あるいは河野・イシコフ・コミュニケなどを見ても、重点は漁業の規制と関連して、漁業の最大の持続的生産性の維持ということを繰り返して強調しております。持続的生産性の維持、これは三カ所もこういう字があるようです。それからまた、資源の保存と増大をはかる義務をうたっています。外務大臣は、十日には漁獲の確保に、とる方に重点を置いて答弁がありましたが、ソビエトの方はどんどんとるよりも大事に育てて、そしてお互いにとっていこうという方に条約の重点があったと思うので、この点、食い違いがあるのじゃないか、日本側はとる方が一生懸命で、育てる方についてはあまり重点的でないように感ずることが一つ。それからこの条約に、こっちの言い分が、たくさんとっていこうというなら、そういうことが十分かつ率直にその条約に盛られておるとは思わないのです。ソビエトびいきになるような形になりますが、どうも条約そのものから見た場合に、大臣の言う「精神からほど遠い」ということについては、若干の疑問があるわけです。この条約の精神の内容、解釈についてお伺いします。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(藤山愛一郎君) 私は、やはりこの種条約というものは、両国国民と申しますか、あるいは両国がサケ、マスその他をできるだけとる、しかし、できるだけとるためには持続的にとれなければならぬし、また種族の保存が完備して参らなければならぬということなんで、それはやはりできるだけとる場合でも、その範囲内においては規制をしていかなければ、永久的によけいとれていかない、そういうことがこの条約の本質だろうと思います。ですから、ただ持続的に種族が保存されればとる方は幾ら減らしてもいいんだという……、やはり一番よけいとるためには持続的なことが必要なんだという、とる方の面もやはり私は相当にこの条約に入っているということは解釈をしても不当ではないと思う。

森元治郎日本社会党

○森元治君 これは日ソ国交回復の先ぶれとして、河野さんがモスクワに行かれて作った当時の両国関係の環境から見て、どうもソビエトの言い分の方が多く通っているというので、こういうふうな条約文になったのだと、振り返ってみると、どうしても私は思うのです。そこで、こんなようなひどい規制措置が出てきたのは、やはりオホーツク海の出漁停止が影響しているところがないか、赤城さんが去年四月に帰って来たときの言葉に、平等の立場で産院ですか━━これはお産婆さんの産院——を保護し、資源の増大をはかろうとする見地から、オホーツク海操業を差し控えたのだと。これは一本向うに確かにとられたので、この出漁停止という日本の約束が、彼らの主張を鼓舞してきたということは争えないと思う。このオホーツク海出漁停止確約が、私は、今申し上げたように向うの主張を強くしている、日本を弱くしている役割をしていると思う。規制する方に重点を置いて、この点が疑問なんですが、どういうふうにお考えになりますか。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(藤山愛一郎君) オホーツク海の問題については、ソ連が相当に強力に主張してきておりまして、昨年も御承知のように出漁を許さないという状態でありましたのを、少くも一隻だけは出すというところまでいったわけであります。しかし日本としては、オホーツク海、ソ連との当時共同調査も完全でございませんし、今日でもまだ完全でないわけで、従って、資源論争というものの学問的な見地からの論争というものは、必ずしもまだ両者一致はいたしておらぬのであります。しかし、ソ連の言うような問題について、それを譲ったから強くなったということは結果論だと思うのでありまして、やはり日本としては、今回の問題についてはそういうことを別にして、やはり強く主張すべきがほんとうであって、去年譲ったからまたことしもこういう強い提案が出てきたのだとは考えるわけにいかないと思っております。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 少しスピードアップします。今度は建設的な面に入って、この論争を見ても、新聞の論調を見ても、一体どこで和解点を見つけるかといえば、やはり科学的共同調査による結果というものを早く出して、そうするなら両者の歩み寄りも合理的な基礎の上で確立されるということがいわれていますが、まさにその通りと思うのですが、政府は、従来業者に野放しにしておったような態度を捨てて、積極的に予算もとって、暗黒の北海、北の方は気候も暗いが政治的にもいろいろなくさみがあるので、徹底的に一つ科学的共同調査に乗り出す御意思はないかどうか、そうすれば、へんな論争もよほど少くなって、毎年のこういう繰り返しはなくて済むのじゃないか、それが一つと、暫定協定といいますか、資源調査ができるまでは何万トンというようなものでいくというお考えがあるかどうか。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(藤山愛一郎君) むろん政府としても、こうした資源に対する学問的検討、その上に立ってこういう交渉が行われることでありますから、昨年は共同調査も提案し、ソ連側も受諾しているわけなんですが、昨年は必ずしも共同認否といいましても、一つの船で両国の人が乗っていたというわけじゃなくて、それぞれ別個の行動のもとに調査船を繰り出して、日本からも専門家が行って調査をいたしておるわけであります。さらに進んで、ほんとうに一体になって今後調査行動をともにするというようなことが望ましいわけでありますから、そうしてこういうような意味における今後の処置は、むろん政府としてもとっていき、ソ連側にも要請していく、またソ連側もおそらくそれを拒むことはないと思うので、そういうことが確定してくれば、おのずから資源論争としての問題は相当に解決し得るのではないかと思うのであります。現在まだその段階に至っておりませんので、こういうお互いの立場で、お互いの得た材料によって、あるいはお互いの見解によって論争を続けておるわけであります。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 すみやかにこっちから提案されて、これは長いおつき合いなんですから、長いことなんですから、期限もあと何年ありますか、七年くらいあるので、ぜひやってもらいたいと思うのですが、ソビエトに強く提案する御意思があるかどうか、もう一回……。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(藤山愛一郎君) むろん強く提案する意思は持っております。昨年からそういう提案をいたしているわけであります。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 ソビエトはこういうふうに出てくるというのを、藤山さんは何と言いましたか、不思議な提案ですか、三浦農林大臣は奇々怪々、何でも日本人は自分の思うようでないと複雑怪奇と言ってみたり、そんなことは決して私は複雑怪奇でも奇々怪々でも不思議でも何でもないと思う。大体が甘かったと思うのです。これが第一点。それはちょうどきょう奥原水産庁長官も来ておられますが、昨年の四月、ソビエトの交渉から帰って来たときに、一九五六年——昭和三十一年は十二万トン、五十七年は十二万トン、五八年の去年は十一万トンと約束ができたのだから、これは実績であるから、今年五九年昭和三十四年の交渉は有利になると思うと、こういうふうに語っておるのであります。この辺に政府側の甘さがよく出ていると思うのですが、大臣の御答弁と水産庁長官の御答弁を伺いたい。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(藤山愛一郎君) 詳しいことは水産庁長官から申し上げると思いますが、むろん相手側の態度を甘く見るか辛く見るかということはなかなかむずかしい問題でありますし、また相手国の、何と申しますか、過去におけるいろいろ政治的な、あるいはそうした主張等がどういうふうな形で現われてくるかというようなことを絶えず見ておりまして、おのずから各国にはこうした交渉における態度というものがあるわけであります。むろんわれわれとしても必ずしもソ連が非常に、何と申しますか、甘い相手だとは思っておりませんが、しかし、問題自身は、やはり資源的な基礎に立っての委員会の交渉でありますから、学問的見地を離れてそう突然変った主張もまああり得ないのではないかというのも、またこれ当然だと思うのであります。必ずしも甘かったとだけは言えないのではないかと思っております。

奧原日出男水産庁長官

○政府委員(奧原日出男君) ただいまの、今度の会談に臨みましてのわれわれの、ソ連側の態度についての予測でございますが、われわれは決してソ連側が甘い態度に出るとは会談の当初から予測をいたしておりませんでした。と申し上げまするのは、昨年の漁獲量が、御承知のごとくマスにつきましては豊漁年、凶漁年のサイクルが一年ごとに交代するので、昨年は凶漁年であって漁獲量が減るということは、これは当然のことではございましたけれども、そのサイクルがソ連の沿岸側でとる者にとりましては非常に少なかった、こういうことでございます。日本側が条約の規制区域内におきまして十一万トンとりましたのに対しまして、ソ連といたしましては七万三千トンの漁獲量しかあげられなかった、こういうことでございます。従って、こういう現実の事実の前にソ連側が日本の沖とりの影響を非常に過大に理解をいたしまして、そしてこの沖とりを規制しようと、こういうことについての資源論的なソ連側の見解の開陳ということは、これはこの日ソ交渉が始まりました当初から非常に強くあったのでございます。従って、規制措置に入ればこれはもう当然具体的にそれぞれの規制措置、さらに今後漁獲量の問題にまで及ぶ論議が積み重ねられるのでございますが、これが当然シビアなものが出てくるということは、これは当然われわれも十分予測をいたしておった次第でございます。ただ過般、北千島の東及びカムチャッカの東におきまして四つの操業区域をきめまして、しかもその中で一番東に寄っております区域にいたしましても、東経百七十度を限界といたしまして、その以外の区域は全部これは禁漁区にする、こういうソ連側の提案は、これは禁漁区に関しまして、従来この条約の付則で取り定めてきましたもの、及び今までの交渉の経緯から見ますれば、これはまことにきわめて不可思議なる案であるのでございます。と申し上げまするのは、従来は河川にサケ、マスの親魚が遡上するということを容易にするために禁漁区を設けて、そしてそれを保護する、こういうことから、沿海四十海里または二十海里、所によって違いまするが、線を引き、あるいはまたオホーツクの禁漁もまたそういう趣旨に出るものでございますけれども、今回のごとく一番乗に寄りましたものでも東経百七十度で、さらにその東の全部を禁漁区にするということは、これは今までの禁漁区についての観念と食い違ったものであります。この点は、今までの交渉経緯におきましても、常にいろいろな提案がソ連側から出まして、それをいろいろ論議を重ねまして、適当に相互の譲歩によって結論を得て参ったのでございます。その過程における一つの提案ではございまするが、これはわれわれとしましてもややこの日ソ交渉の舞台におきましてつちかわれておりまする一つの常識に反するものだ。そういう意味におきまして、外務大臣及び農林大臣が、ただいまお話の出ましたような表現を、私ほんとうになさったかどうか現実に伺っておりませんけれども、なさっても、これは別段意外なことではない。かように私としては考えまする次第でございます。  なお、先ほどの御質問の中に、科学的な調査及び資源の保護に関するお話が出たのでございまするが、科学的な調査に関しましては、日ソ両国におきまして協定いたしました共同調査あるいは学者の交換を含めまして、一そうわれわれといたしましても明年度におきましては試験場を動員いたしまして、調査の方法及び内容を強化をいたしておる次第でございます。  また資源保護に関しましては、北海道におきまして国営の孵化場をもって鮭鱒の人工孵化放流をいたしております。年間昨年は五億粒をこしまするものを、そこで放流をいたしたのでございまするが、そういう成果が上りまして、昨年北海道へ上って参りまする白ザケが最近にない豊漁であったといいまするのも、これもそういう人工孵化放流の成果であろうと思います。これはく後ともわれわれといたしましては一そう拡充をいたして参りたい。明年度の予算におきましても施設の若干の増加を予算の上に計上いたしておる次第でございます。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 今の奥原長官の御答弁の中に、実績主義というものが、一体日ソ交渉の中にあるのかどうか、あるかのごとき説明は、当を得ていないと思うのですが、どうですか。

奧原日出男水産庁長官

○政府委員(奧原日出男君) やはり日ソ交渉は条約でうたっておりまするように、資源の状況等から考えました科学的な根拠に立って漁獲量をきめ、規制方法を定める。こういうことを本旨といたすのでございます。従って、たとえば昨年が規制区域内で十一万トンとった。一昨年が十二万トンとったというふうなことは、その二カ年におきまする北洋漁業の安定ということにおいては寄与いたしたのでございまするが、それが当然今年の一つの前提になるというふうなことには、われわれは考えておりません。それは、やはり資源論に基きました両方の科学的な論争の上に、地道に相談をして、譲り合って、そうしてまとめていくべき問題であると、かように考えております。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 そうだろうと思うのですな。この実績というのは。  そこで、外務大臣に伺いますが、どうもこの北洋漁業というのは業界も政府もそのとき限りの大騒ぎをして、継続的な努力、勉強が足りない。それで、いつも国力を背景に勝手気ままにやった昔の夢といいますか、くせといいますか、そういうものから抜け切れておらないので、この心がまえを、一つこの際根本的に是正しなければならぬ。大臣は砂糖の方は専門家のようですが、北の方の商売というのは、非常に業界がのさばって、政府というものは単なる代弁にすぎない、大企業の代弁にすぎないので、ソビエトが昔のソビエトではなくて、今日の大ソビエトになってきますと、そのような夢を持っていたのではなかなか解決しないので、大臣に、業界代弁業をやめて高い外交的見地から処置していくという心がまえ、こういうものがほしいと思いますが、いかがでございますか、それが一点。  それから第二点は、規制の問題は、条約のうちの付属書の中に書いてあることが全部でありますが、付属書は条約と不可分の一部をなしているということです。ソビエトの今回のいろいろな提案というものは、この付属書の内容を非常に変えてしまう。規制の区域にしても、あるいは魚をとり終る時期にしても、魚の網の目の大きさ、そういうようなものについても言ってきておりますが、これは条約改正の問題になるのじゃないか。一体、現条約でそういうことができるのか。条約改正ができるのか。現状のままで、ソビエトのようなことができるのか、あるいは改正しなければならぬのか、しなくてもやれるのかの点、この二つをお伺いします。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(藤山愛一郎君) むろん政府としては、業界だけの代弁をいたしているわけではないのでありまして、農林大臣においても外務大臣においても、やはり高い見地に立って、こうした問題は処理して参らなければならぬことは当然であります。同時に、こうした問題については、やはり資源調査の問題を根幹にしてやっておりますから、粘り強くそうした問題を検討し、解決しながら、やはり進めて参らなければならぬ、やはり持続的にこうした問題については努力をしていかなければならぬと思っております。従って、決して毎年々々会議があれば、そのとき騒いで、あとは何か忘れ去っちゃうというようなことは、政府においてはとっていないわけで、その意味において、やはり資源調査団の派遣とか充実とか、あるいはそうした問題に対する提案とかもしているわけであります。その点は、われわれとしてもなお一そう努力しなければ相なりませんけれども、しかし、今日まででも絶えず政府としてはそうした態度をとってきていることは、御了承いただけると思います。条約付属書の改定が条約にどう及ぶかということについては、条約局長から……。

高橋通敏外務省条約局長

○政府委員(高橋通敏君) ただいまの御指摘の点でございますが、条約上の点から申し上げますと、条約の第二条に「両締約国は、魚類その他の水産動物の資源の保存及び発展のため、条約区域においてこの条約の附属書に掲げる協同措置を執る」この「協同措置」が適当であるかどうかを検討する、そうして必要に応じてこれを変更するということになっておりますので、この付属書の措置が、この条約の目的に掲げた協同措置である限り、またこの協同措置の範囲内において随時変更ができる、こういうふうに考えております。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 条約局長に伺いますが、今度のソビエトの提案を大体あの線でのむとしたならば、この条約を改正——修正というのですか、改正ということになるのですか、どうですか。

高橋通敏外務省条約局長

○政府委員(高橋通敏君) それは今度の措置の内容によるかと思っております。すなわちその措置が、本条約に掲げられました保存発展のための必要ある協同措置であるかどうかと、個々の具体的な提案が、それに合致しているかどうかということによって、もしそれが合致しているならば、当然この付属書に記載し、またこの付属書に記載された協同措置を変更するという措置はとっていい。従いまして、その具体的な提案、個々の具体的な措置によって決定されると思っております。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 この条約は早急に作ったと見えて、ソビエトに少し都合のいいような抜け穴があるように思うのです。今そういうことで言っていても始まらないので、この五月からの魚とりについてですが、ソビエトと話をする場合の根本的態度としては、現存の条約に従ってやるのだということで進まなくては、これは話にならぬと思う。いつでもこれは変えられるのだというふらふらの前提でやったらば、どこへいっちまうかわからないのですが、外務大臣はこの条約の通り、ことにこの付属書の通りに押し切るつもりかどうか。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(藤山愛一郎君) むろん条約がありまして、その条約の範囲内で委員会を作って、そうして交渉をやることでありますから、条約に従ってやっていることは当然であります。ただ法律論は別として、おそらくこの日本とソ連とがこうした条約を結ぶということは、先ほど申し上げておりますように、両国の国民生活の上からいっても、あるいは漁業者の立場から考えても、できるだけ両国が最大なる範囲内においてとれるようにするのにはどうしたらいいのかというので、やはりたくさんとるということを主題にしている。とらないということを主題にするならば、制限区域なぞ設ける必要も何もないのです。やはり最大にとるということのためには、その持続的生産性をどうして維持するかというところに、私は精神があると思います。従って、やはりとらなくていいのだという立場であれば、何も種族保存などちつともする必要はないのですから、やはり精神的には、相当われわれとしてもその点を考えていかなければならぬじゃないかと、私はこう考えている、法律論は別として。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 大臣の話も、御趣旨はよくわかりますが、交渉が始まらない前から、業者の方から勝手に風船をあげて、政府を拘束するような十六万五千トンと、とてもとれっこないことは過去二回の交渉でわかっているのだが、ただとるのだというだけが強く世間に印象されているから私は申し上げたので、ああいう数字なんかを出して、初っぱなからやっていくというような従来の行き方は、この際改めなくちゃならないという意味で、私は御質問をしてみたのです。  そこで最後に、ずっと忘れられていた安全操業ですね、いわゆる安全操業というものの問題、政府はそういうことを大いにやれと言って門脇大使を激励してやっていましたが、近ごろは事件がないせいか、どういう関係か、あまり表面化しないのですが、安全操業の交渉はどういうことになっておりますか。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(藤山愛一郎君) 昨年の五月に、文書をもってさらに日本側の主張をソ連に申し入れております。その後はほとんど月に一回ぐらいずつ門脇大使がソ連の外務次官等に会いまして、その問題についての日本側の立場また申し入れに対して、説明等をいたしておりますが、ソ連側は言を、日本とソ連との平和条約等の問題にかりて、今日まで何らの回答をいたしておりませんところが実情であります。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 基地独航船がオホーツク海から船団による漁獲をやめたと解してもいいのじゃないかというようなふうにわれわれは理解をするのですが、これは奧原水産庁長官がおらなければ西村次長でもよろしいのですが、あれは許可証を与えなければ出られないのですか。それが一つ。  それから大臣は小さい独航船の出漁というものについて、何とかソ連とこの際話を持ち出す御意思があるかどうか、この二点を伺いたい。

西村健次郎水産庁次長

○政府委員(西村健次郎君) 基地独航船につきましては、国会の他の委員会等におきましてもしばしば農林大臣からもお答えしたと思います。昨年の第二回会議におきまして、オホーツク海の一九五九年以降オホーツク海に出漁をやめるという決定がありました以上、いかなる形態であっても、これは出るわけには参らない、こう思っております。問題は、将来においてかりに考えられる場合に、この形態がどうであろうか、これはまた別の議論がそこに出てくると、そう思っております。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(藤山愛一郎君) 私といたしましても、農林大臣の考え方を支持しておるわけであります。全く同様と考えております。   —————————————

杉原荒太自由民主党

○委員長(杉原荒太君) ただいま委員の異動がございました。岡田宗司君が委員を辞任され、その補欠として椿繁夫君が選任されましたので、御報告いたします。   —————————————

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 はなはだきょうはかけ足でどうもせかされているような気がしますが、一つ問題を変えまして、北鮮帰還の問題ですが、私今度の交渉で気のつく点は、どうも人道上の問題だからという点を強調する政府が、少し政治的に乗り出し過ぎる。いつも政府政府という声が出て、まかせた日赤というものが、何か外務省の出先機関のような感じがするのです。たまたま井上外事部長が、外務省の公使クラスですか、大使クラスですか、外務省の役人であるものだから、井上君自身も行動する場合にいつも霞ケ関の方を向いて、日赤の方に向き方が少いように思う。これは国際委員会のあっせんという閣議の大きな方針がきまったら、あとは日赤に自由な行動をとらして、大きな逸脱がない限りは見てやろうという方が、仕事の進みがよろしいのじゃないか。かような印象を受けるのですが、大臣はどうお考えですか。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(藤山愛一郎君) もちろん今回の問題は政府の方針が決定し、それを日赤を通じてこの問題の処理を依頼しているわけでありますから、一々こまかいことについて政府が日赤に指示していることはございません。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 出先のジュネーブの井上君からの新聞電報によれば、八〇%成功というふうなことを言っておりますが、私らから見ていると逆で、二〇%くらいが成功であるように思うのですが、この現在の北鮮赤十字の動き、あるいは韓国政府、赤十字の動きから見て、どのような進行状態になっているか、望みがあるのか、見通しを伺っておきたい。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(藤山愛一郎君) 日赤を通じてわれわれの入手しております情報によりますれば、必ずしもまだ国際委員会が最後的決定をいたしたわけでもございませんし、好意的な考慮を加えながら、実際的に問題をどう扱うかということを考えている範囲なのでありまして、八〇%成功なのか、何パーセントとかは申し上げかねますけれども、世上に若干言われておりますほど、私どもはまだ悲観をいたしておらないのであります。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 円滑な進捗ができない、障害があるとすれば、どの点とわれわれは了解してよろしいですか。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(藤山愛一郎君) この問題につきましては、いろいろ日本の人道的な立場というものを曲解し、あるいは誤解しておるというような点もあろうかと思います。そういうことが何か政治的関係によって、日本がそういうことをやるのじゃないかというような意味の誤解が起っている場合もあるように思います。従って、問題はそういうところにやはりあるのではないかと、こう思っております。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 韓国政府の方から、北鮮問題、帰還問題には触れないで、釜山の抑留者問題を日韓会談に乗せて話し合おうじゃないかというような提案があったのですか、これは……。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(藤山愛一郎君) 特別な提案はございません。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 そうすると、諸士多きといいますか、これは日韓関係はいろいろな人が動いておるようですが、そういうものの情報の段階ですか。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(藤山愛一郎君) と御承知いただいてけっこうだと思います。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 日韓会談はこっちからこの間沢田顧問を通じて再開しようじゃないかというようなことを申し入れましたが、その後の動きはどうなっておりますか。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(藤山愛一郎君) 沢田代表は柳公使に会っておられるようであります。二回ほど。しかし、まだ向うは日韓会談を再開するということを言明いたしておりません。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 私らの感じでは、北鮮帰還の問題と韓国に抑留されている問題を同時にあそこへ持ち込んだということが、果してよかったかどうかということにちょっと疑問を持つのですが、やはり一つ一つ片づけた方がよかったのではないか。意地の悪い見方をする人は——私は意地悪ではありませんが、そういう人は、藤山大臣が韓国と中共との国交回復ないしは商売の再開について大いに乗り気だというようなところから、共産圏にも私はそれほど無理解な男ではないというゼスチュアを示したのではないか。どうせできてもできなくても、帰還させるのだということだけでも成功だというふうに見ている向きもあるのですが、その点が一つと。  二つの問題を一挙に持ってきた。しかも北鮮と南鮮に関連している問題では、プラス・マイナス・ゼロになってしまうおそれもあるように感ぜられるので、その点はどんなふうにお考えになりますか。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(藤山愛一郎君) 北鮮帰還の問題は、むろん長い間の問題でもありますし、これが何か日韓会談にでも支障を来たすのではないかというような議論もあったわけであります。これは全く純粋な人道上の立場から、居住地選択の自由という点から決定したことでございまして、日韓会談とは何の関係もございません。  ただ、当時の事情から申しますと、韓国側はこの問題を非常に誤解して扱っておったと思いますし、韓国側の態度からすれば、これは正式に表明された、申し入れられた問題でもございませんけれども、しかし、抑留漁夫を釈放せぬというようないろいろな問題が放送されておったわけであります。従って、この問題についても国際赤十字に訴える時期がきたのだという判断のもとにいたしたわけでありまして、私としては全然これらの問題について、相互関連なりあるいは相互関連をさせることによって、政治的なゼスチュアを行うとかいう意味では毛頭ございません。ただ、結果において将来どういう判断がされるかは別として、私としてはそういう純粋な気持でやったつもりでございます。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 今、北鮮が話に乗ってくれるか、日本側の代表と、要請に応じて一緒に相談をすることに同意してくれるかどうかということが問題ですが、ソビエトの赤十字が、国交関係のない北鮮のかわりとして、積極的に北鮮の代表になるということで、こちらに交渉してきた場合には、これは一つ話の相手になるんだというのですが、この点はどうでしょうか。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(藤山愛一郎君) むろんこの問題を正当に理解してもらうためには、日本政府としても各国政府に対してこの問題の本質を正当に伝えるということが必要でありますし、あるいは日赤におきましても各国の赤十字に対してその点を正当に伝えていく必要があろうと思いますから、ソ連に対してもそういう意味の正当な理解を得るように努力することはあり得ると思います。

杉原荒太自由民主党

○委員長(杉原荒太君) 途中でちょっと委員長から申し上げます。  予算委員会の方から外務大臣に要求があっておりまして、かねて予算委員会の方との打合せによりまして、先にこちらに出席していただいておったのであります。いよいよ向うの方、質問が始まっておりますので、外務大臣には、これできょうは予算委員会の方に出席することをお許し願いたいと思います。

杉原荒太自由民主党

○委員長(杉原荒太君) 委員長から政府側に一言申し上げます。他の委員会との関係もありまして、時間の配分等、本日のこの委員会の運営につきましては、委員長として他の委員諸君の協力を得まして、苦心を払ってやっておるのであります。しかるに、政府側の出席ぶりを見ますと、外務大臣が十時十五分、他の政府委員に至っては十時二十分から三十分の間でありました。はなはだ遺憾であります。今後のこともありますから、この点、政府側に警告いたしますとともに、政府側の釈明を求めます。

竹内俊吉自由民主党外務政務次官

○政府委員(竹内俊吉君) ただいま委員長からお話がございました通りの事実が出来いたしましたことは、きわめて遺憾に存じます。実は、本日省において午前八時から幹部会を開催しまして、重要問題について討議いたしましたのでありますが、そこを出てこちらに参る交通の都合上によって、大臣よりおくれて参ったというような次第でございまして、御了承を願いたいと思いますとともに、今後十分注意いたしまして、かようなことが起らないようにいたしたいと思います。

杉原荒太自由民主党

○委員長(杉原荒太君) 二月二十六日の委員会における石黒委員の質疑に対し、政府から答弁を保留されておりますブラジルとの移民協定について、発言を求められておりますので、これを許可いたします。

伊關佑二郎外務省移住局長

○政府委員(伊關佑二郎君) ブラジルとの移住協定につきまして、大臣からごく概略御答弁いたしておりますので、私から詳しく御説明申し上げます。  時期の問題につきましては、ブラジル内にも一部の排日論者もないわけでもございませんので、いつ交渉を開始するかという点につきましては非常に慎重を期した次第でございまするが、昨年の五十年祭等に引き続きまして、大へん空気がよくなって参りました。現地の大使も交渉開始の時期がきたということを言って参りましたので、そこで昨年の十月末から交渉を開始いたしまして、ただいままでに予備交渉という形におきまして、第二十回の会合を重ねております。予備交渉と申しますのは、大使と外務大臣とでやりませずに、その一つ下のレベルでただいまやっております。将来の木交渉において、ただいま話してきめましたことを変えてもいいという了解のもとでやっておるわけでありますが、予備交渉と申しましても、お互いにやはり上に相談しながらやっておりますので、木交渉になりましてそれほど変るということは考えておりません。  討議されております中身につきましては、基本方針は、日本の技術と労力を活用して、そしてブラジルの経済開発に協力するというのが基本方針になっております。それから移住の種類ということにつきましては、計画移住というものを主として考えておりまして、それから自由移住についても規定するということに話しております。それから移住者の数の問題でありますが、これにつきましては制限もいたさず、かといって何万というふうなワクをとるということもいたしませず、大体日本からの送出し得る送出能力、先方の日本の技術並びに労力に対する需要との見合いにおいてきめていく、これは合同委員会というものができますので、そこできめるというふうなことに今まで話はなっております。次に携行荷物の無税通関、これは話がついております。それから移住者の選考、これに日本政府とブラジル政府の両者がいかに関与するか、もちろん日本政府で選考いたすわけでありますが、ブラジル政府がその選考についてどの程度の関与あるいは発言をするかという点は、今議論になっております。ただいままでが今までに議論いたしました問題でございまして、今後取り上げます問題といたしましては、移住者の一般的待遇、すなわち内国民待遇を与えるというふうな問題、それから両国の財政的負担の問題でございます。渡航費をどうするか、先方の港に着きましてからの交通費は向うで負担するかどうかというふうな問題でございます。そのほかにブラジルには二分制限法とか、いろいろな日本の入植者に対しまする制限がございました。たとえば一つの場所には日本人は一七・五%以上は、一カ所——一つの固まった土地でありますが——に入れない。これは日本人だけでございませんが、そういうふうな規定もございます。こういう点を実際問題としていかに緩和するかというふうな問題もございます。それから移住者の送金の問題がございます。最後にいろいろ細目をきめます合同委員会をどういうふうに組織し、どういうふうに運営していくかというふうな問題もございます。ただいままでは約二十回、一週間に一回程度の会合をいたしておりましたが、今後は一週間に二回くらい会合をいたしまして、ただいま両国で話し合っております予定によりますれば、まず四月一ぱいぐらいに予備交渉を終りまして、五月中にはできれば本交渉を終り、六月には調印できるようにいたしたい、こういう目途のもとに両方で努力いたしておる次第でございます。

石黒忠篤緑風会

○石黒忠篤君 私はこの問題について前々回に質問をいたしたのでありますが、大体大臣の御答弁で、各方面の意向もできれば聞いてきめたい、こういう御答弁で私は満足しております。今日重ねて移住局長からの御説明がありまして、非常によくわかりました。私は国会が外交の行政権を持っておる政府に対していろいろなことを干渉しようと思っておるのではありません。ただ内閣に移住審議会が設けられていますから、そこには各政党の人たちも、また各関係方面の人たちも選ばれて入っておりまするから、そこいらに十分に御諮問になってお進めになることがよくはないかと、こう考えますので、そのことを申し上げておきます。  質問をいたしました機会のついでに、なお二、三伺っておきたいのであります。ただいま局長のお話でありますというと、ブラジルに対して日本が労力及び技術の援助をなし得るような所に移住をさせるよう取りつけていきたい、こういうお話であります。従って、ブラジル国の連邦開拓地として非常にたくさんあります所に、その開発の計画に従って計画移住をさせることが主になるということは、今の御説明でここに主点が置かれるということは、私はけっこうだと思います。これに対しましては、いろいろな二分制限その他いろいろななにがございましょうが、ぜひ例外を認めるような移住協定にしていただきたいと思う。それでありませんというと、アマゾンであるとか、あるいは大きな川の沿岸の湿潤地の水田開発というような所に相当の集団が入らないというと、成功はしないと思います。その点の御注意を願っておきたいと思うのであります。  それから労力、技術を欲しているという所に入れますのに、ブラジル自体は予算では計上してあるが、連邦開発地に実際の金が送られていないために、過去に送りました日本の水田開発の移民のごときが、仕事ができなくて困っておる状態であります。これらに対しましては、東南アジアの開発の十分でない所に対しましての開発基金という現岸総理大臣の意向とは、多少趣きを変えないというと、国際間においていかぬかと思いますが、日本移民を送り込むために、あちらの連邦開発計画の金の至らない所に対しては、やはり開発を協力をして実現するという形において、ある程度の日本の資金の投下が必要であると、私は見て帰ってきたのであります。この点を御考慮を願いたい。  それからブラジルの移住協定と連関をいたしまして、今、日本と外国との間にあります移住協定といたしましては、ボリビアの協定があるのでありますが、この協定によりまして移住した日本人移住者の何か事件が起ったようにけさの新聞で書いてあるのであります。よく見ますというと、沖縄人であるがゆえに、あちらでの監督がアメリカの領事に所属をしておる。そこで移住協定と沖縄人との関係につきまして、ひいては外国における沖縄人の保護監督の件につきまして、外務省はどういうふうにお考えになっておるか、これを伺っておきたいと思います。

伊關佑二郎外務省移住局長

○政府委員(伊關佑二郎君) 私の方、移住に関します限りにおきましては、沖縄人でありましても、たとえば南米に参ります前に神戸の移住あっせん所に参りまして、そこから船に乗って行くというふうな人たちにつきましては、日本の旅券を発行いたしまして、そして日本の政府から渡航費を貸し付けてやっておりまして、これらは向うに参りますれば、完全に日本人として扱っておるわけでございます。  それから沖縄の旅行証明書でもって沖縄から直接現地に参りました者も、在外の公館に出頭いたしまして、日本の旅券をほしいと申しますれば、これはすぐ旅券を出して日本人として扱っておるわけであります。日本の旅券を取りまぜず、沖縄の身分証明書だけを持っております君たちにつきましては、私はこれは日本人でありますし、かつまたアメリカ側も世話をする義務を感じてやっておるようでございますから、両方でめんどうを見るというふうな、現実にはそういうことじゃないかと思っております。

石黒忠篤緑風会

○石黒忠篤君 そういたしますというと、ボリビアとの間の移住協定に五カ年間千家族という日本人移住者の数の規定があったように思うのでありますが、今度のブラジルの移住協定におきまして、日本人移住者という文字を使うというと、やはり沖縄人も考慮に入れての規定になるのでありますか。

伊關佑二郎外務省移住局長

○政府委員(伊關佑二郎君) 先ほど申し上げましたように、一たん神戸に参りまして、神戸から日本の旅券で出て行きます者は、今度の協定では日本人移住者として入って参ります。この点につきましては、まだ最終的には話がついておりませんけれども、私たちはそういうふうにしたいというふうに考えております。

石黒忠篤緑風会

○石黒忠篤君 その点をよく一つ御研究いただいて、本日の新聞に現われました沖縄人のあちらにおける原地民との間のトラブルのようなものを、どこが保護をするかといったようなことについて、多少の食い違いがあるように報道されております。新聞報道でありますから、どの程度までのなにかわかりませんが、意見もいろいろ内外両方の意見が出ておりますから、よく御考慮いただいて、十分な保護が行き届くように御規定あらんことをお願いいたしておきます。  ついでに、私先ほどの野村委員の御発言に連関をいたしまして、委員長から社会党に対して、野村委員の御質問にありました共同宣言といったようなものを、新聞が伝えたところでははなはだ不確定なものである、これを有権的なものを獲得をいたしますのは、社会党に求める以外にはないと思うのでありますから、委員長においてもし社会党とお話し合いがつきましたらば、一つお示しをいただくようにお取りはからいが願いたいと思います。

杉原荒太自由民主党

○委員長(杉原荒太君) 承知しました。

加藤シヅエ日本社会党

○加藤シヅエ君 移住局長おいでになりますので、ちょっと伺っておきたいのでございますが、今回カナダから長い間向うに移住していた人たちが、たくさん故国に観光に帰って参りました。と同時に、カナダの二世の人たちがまあ集まりまして、この観光の人たちをいろいろあっせんするというような計画が立っているようでございます。で、この人たちからの情報を聞いておりますと、カナダにおける移住者及び二世の人たちは、戦争のときにやはり収容所に移された。その後の処置が非常に何にも考慮されていない。アメリカの加州における同様の境遇にあったものは、その後非常に合衆国政府から相当な待遇を受けて、今日はある程度満足をしている。これに対してカナダからは何もそういうようなことがないというような情報を受けておるんでございますけれども、外務当局ではこの問題をどういうふうにお考えになってらっしゃいますか、承わっておきたいと思います。

伊關佑二郎外務省移住局長

○政府委員(伊關佑二郎君) 実はその問題になりますと、私の方の所管でございません。アメリカ局の所管でございますので、お答えいたしかねます。

加藤シヅエ日本社会党

○加藤シヅエ君 きょう適当な御答弁いただけませんでしたらば次回でけっこうですけれども、もしございましから、きょうカナダの人たちが集まる承のですから、大へんにみんな心配している問題だと思いますので、さっき外務大臣に伺いたかったのですけれども……。

竹内俊吉自由民主党外務政務次官

○政府委員(竹内俊吉君) この次の機会にアメリカ局長なり適当な事務当局から答弁いたさせます。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 石黒さんのお話、もう一ぺん伺いたいのですが、委員長はどういうふうに御了解になっているのか。さっきの、私よく新聞を……。

杉原荒太自由民主党

○委員長(杉原荒太君) 私の了解しましたのは、野村委員の質問に出ました新聞に伝えられておる社会党と中共側の共同宣言というようなものがありとするならば、それの正確なものを入手したい。こういう御趣旨だったと私は了解しておるのですが。

石黒忠篤緑風会

○石黒忠篤君 その通りでございます。

森元治郎日本社会党

○森元治郎君 入手したいのですね。

杉原荒太自由民主党

○委員長(杉原荒太君) そして、それは社会党以外からオーセンティックなものは得られないだろうから、社会党に委員長からお願いしてくれ、こういうことだったと思います。  速記をやめて。    〔速記中止〕

杉原荒太自由民主党

○委員長(杉原荒太君) 速記を始めて。  他に御質疑ございませんか。それでは、本日はこれにて散会いたします。    午前十一時四十九分散会

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