P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
31回国会衆議院1959/02/26

予算委員会第二分科会 第2号

発言数
130
登壇者
15
会派数
2
開催日
1959/02/26

会議録

綱島正興自由民主党

○綱島主査 これより会議を開きます。  本日は昭和三十四年度一般会計予算、同特別会計予算中、厚生省所管を議題として審査を進めます。質疑の通告がありますので順次これを許します。田中織之進君。

田中織之進日本社会党

○田中(織)分科員 私厚生省所管の問題で、政府の方では同和対策といっております部落問題、それから戦災者いわゆる内地における戦争犠牲者の援護措置の問題、それから今国会に、いわゆる未帰還者の身分確定に関する法案が出まして、すでに参議院を通過しておりますので、その問題に関連して一、二の事項、それから国立病院の整備に関連して若干の問題、こういうような大体四つの項目についてお尋ねをいたしたいのでございますが、同和対策の問題については、内閣に設置せられました同和問題関係閣僚懇談会の関係がありますので、官房長官の出席を求めておりますが、まだお見えになりませんので、それはあと回しといたしまして、まず戦災者の援護措置の問題について伺いたいと思います。  過般私から要求をいたしまして、戦災による死亡者数並びに戦災による死亡者等に対する援護措置について、資料として厚生省から提供していただいたのでございますが、このうちで人的被害の総計が二百五十三万三千二十五名、こういうことになっておりまして、そのうち死亡が百八十五万四千七百九十三名で七三%、負傷、行方不明一が六十七万八千二百三十二名で二七%、こういうことになっておるわけでございますが、このうち負傷、行方不明の関係の六十七万八千二百三十二名は、行方不明だからわからぬという点もあろうかと思いますけれども、先ほども申し上げましたように、今国会に提案せられておる——未帰還者の中で今日まで所在の明確でない人たちについては、身分を確定する法案を出すのでありますから、大体現在の時限においては、負傷、行方不明の中で、行方不明者と負傷者とがどの程度になるかということについてのお見込みは、ついているのではないかというふうに考えるのでございますが、この点はいかがなものでございましょうか。

坂田道太自由民主党厚生大臣

○坂田国務大臣 田中さんにちょっとお断わりを申し上げたいのですが、今援護局長がこちらへ参る途中でありまして、はなはだ申しわけないのでございますけれども、その問題はしばらく御猶予願いたいと思います。もう参ると思います。もしなんでございましたら、同和問題の一般の問題で、私でできる範囲でお答え申し上げたいと思います。

田中織之進日本社会党

○田中(織)分科員 それでは国立病院の関係の担当者は見えておりますか。

坂田道太自由民主党厚生大臣

○坂田国務大臣 おります。

田中織之進日本社会党

○田中(織)分科員 それでは国立病院の関係の、簡単な問題でお尋ねいたします。昨日大臣より、厚生省所管一般会計及び特別会計についての御説明を聴取いたしたわけでありますが、その中に、国民皆保険の問題に関連して、「公的医療機関の整備につきましては前年度に引き続き、僻遠の地で経済的に民間診療所の開設を期待できない地区に対して、公的病院の出張診療所を開設せしめるとともに、公的病院の整備を行うこととし、これらに対する補助九千四百万円余を計上いたしております。また国立病院の整備改善のため、十一億七千六百万円余を国立病院特別会計に繰り入れるとともに、国立療養所の整備改善についても所要の配慮をいたしております。」こういうように大臣は説明されたのでございまするが、御承知のように、現在福岡県における筑紫病院と福岡病院の統合問題、さらに和歌山病院の廃止問題、埴生療養所の廃止問題、こういう三つの問題は、私はむしろ公的療養施設の整備拡充というものとは逆行する処置であると思うのでありますが、これは一体どういう事情でそれぞれ統合ないし廃止をしなければならないのか、この際まず厚生省の考え方を伺いたいと思うのであります。

小澤龍厚生技官(医務局長)

○小澤政府委員 福岡地区におきまして、福岡病院と筑紫病院というのを統合いたしますが、これはいずれもかなり古い建物でありまして、施設としてもきわめて劣悪な状態になっておりますので、この際北九州一円に対する親病院的性格を持つ新しい病院を建設いたしまして、その病院の中に現在の筑紫病院と福岡病院を統合しようと考えたものでございます。さらにそういたします結果といたしまして、その地方におけるベッド数の減少することを防ぐために、筑紫地区には適当な病床を残すという考え方でございます。結果といたしましては、ベッド数はほとんど減少することなくして、新しい病院の建設によりまして医療の質的な向上がはかれると考えております。  それから山口県におきます埴生療養所の廃止の問題は、埴生療養所は——これに限らないのでございますが、最近結核の治療方法が非常に進歩して参りまして、高度の診療設備さらに高度の医療技術をもって結核を積極的に治療するような状態になって参ったのでございます。これに対しまして現在の埴生療養所の程度の療養所でありましては、高度の設備をすることも、高度の医療能力を備えることも困難でございます。そこでその近くにあります山陽荘という療養所にその施設を移転吸収せしめまして、入院患者に対していい医療を与えたい、こういう考え方からいたしまして埴生療養所を廃し、そのかわりに山陽荘を充実強化するという考え方をいたしたのでございます。  和歌山病院につきましては、次のような事情があるのでございます。それは戦争中和歌山市内にありましたところの陸軍病院が焼失いたしまして、その結果現在のきわめて不便な深山というところにある陸軍施設に、一時和歌山陸軍病院を移転したわけでございまして、そのまま厚生省の病院としてそれを引き継いだのでございます。ところが場所がきわめて不便であり、従って一般病院としての機能が十分発揮できない。入院患者もほとんど結核でございます。外来患者は一日数人の程度でございまして、一般病院としての機能を発揮することができないので、これを廃止いたしまして、同じく和歌山県内にあります田辺病院を拡充して、これに代替させるという考え方からかような措置をとろうと考えたのでございます。

田中織之進日本社会党

○田中(織)分科員 今三つの統合ないしは廃止をいたします関係のことについて理由の御説明があったのでありますけれども、それは私が先ほど読み上げました昨日の厚生省所管予算の大臣の説明で申されておる公的療養機関の整備拡充という精神に、私は全く矛盾しておると思う。その点にあなたたちは矛盾を感じないのですか。

小澤龍厚生技官(医務局長)

○小澤政府委員 病院なり療養所なり診療所なりは、それぞれの性格を持っておりまするので、そのそれぞれの性格に合致した運営を行い、機能を発揮するためには、それなりの場所が必要であり、それなりの設備が必要なのでございますが、ただいま申し上げましたような施設については、結核療養所なりあるいは病院なりとしての機能を発揮できないようなきわめて劣悪な条件下にありますために、やむを得ずかような措置をとろうと考えた次第でございます。

田中織之進日本社会党

○田中(織)分科員 そもそも昭和二十四年でありましたが——国立病院というのは私はやはり国で行うことが医療の一番理想的な形ではないかと思うのであります。それにもかかわらず、国立病院等について特別会計制をもって独立採算制をとったというところに、戦後における医療国営という方向に逆行する第一歩が昭和二十四年に踏み出されたと思うのであります。従いまして、国立病院の統合であるとか、廃止であるとか、あるいは地方自治体への移管の問題であるとかいうようなことは、今に始まったことでないことは私は十分承知をいたしておるのであります。しかし、今回の予算におきましては、たとえば公的病院の出張診療所のないような僻遠の地、こういう所に診療所なり療養所なりを設けることすら積極的にやろうというところに、私は坂田厚政の積極面が出てきておると考えるのであります。それにもかかわらず、ほかの福岡、筑紫病院の統合のことは、私も現地の事情をあまりつまびらかにいたしませんし、また山口県の埴生療養所の廃止問題についても、現地の事情はわかりませんけれども、具体的に問題になっておる和歌山の深山の病院の廃止の問題等については、私は厚生省は全くけしからぬと言いたいと思うのであります。かっては和歌山市内で二カ所に分れておりまして、しかも分れておったというよりも、和歌山の前の二十四部隊の庁舎の一部を利用して、深山と両方にまたがるような形でやってきております。最近は深山に引きこもっておりまして、その点から見て、場所として必ずしも適切な所だとは私自身も考えません。しかし、今日の交通の便の関係で、病院としてこれを存続せしめる、その意味において施設なり内容を充実していくということでありますれば、私ら和歌山県に住んでおる者、ことに紀北に住んでおる者といたしまして、やはり十分利用する意義があると考えておるのでございます。しかもこの点については、今度は加太町も和歌山市に編入されておるのです。あなたたちは現在これを海草郡加太町という形に、あたかもへんぴなところであるかのごとく印象づけるために——海草郡加太町というのはもう現在ございません。和歌山市にすでに編入されておるのであります。国会へ出す資料等におきましても、あなたたちがあたかも和歌山市からかなり離れた僻陳の地であるかのごとく一般の人には印象づけるような資料の作り方からして、医療行政に対する当局の熱意を私は実は疑うのでございますが、この点については、現在地元の和歌山県会においても、御承知のようにこれの廃止の反対決議をいたしておる。これは与野党一致をいたしまして、存続をせしめるということの意思表示をいたしてきておるわけであります。さらに厚生省の当局といたしましては、患者、職員に迷惑をかけないということの約束をされてきたと私は思うのでありますが、それは具体的にどういうようにされるつもりであるか。われわれは患者なり職員に対しては非常な迷惑をかけることになり、職員のある者については、これは生活問題にも響いてくる問題だと思うのであります。その点については、具体的にどういうように処置される考えであるか、この際伺いたいと思うのであります。

小澤龍厚生技官(医務局長)

○小澤政府委員 御指摘の点はまことにごもっともでございます。何分現在八十数名の患者をお預かりしておりまするので、患者さんの扱いが一番重要な問題だと考えておるのでございます。一応方針として六月末日を目標にしてこれを廃止することをきめたのでございますけれども、実施にあたりましては、非常に慎重にこれを取り扱わなければならぬ、こう思っております。現在近畿の医務出張所をして直接にこの仕事を担当してもらっておりますけれども、近く本省からも人を派遣いたしまして、患者さんの一人心々の御希望、御意見等を聞きまして、患者を移転するにあたりましては、患者さんのお気持を尊重いたしまして万遺漏なくこれを処理していきたいと考えます。また職員につきましても、いろいろ将来の問題もありますし、転勤等をなさる人には転勤先等の御希望もあるかと思いますので、これまた一人々々の職員につきまして希望なり家庭の状況等を聞きまして、全体が円満に行われるように極力努力しつつ、この廃止を実現していきたい、かように考えておる次第でございます。

田中織之進日本社会党

○田中(織)分科員 私の手元に届いておる資料によりますと、これはわれわれが、厚生当局に、和歌山市内に深山の病院だけでは不便だということでお話をいたしまして、市内に病棟を設けていただいたわけであります。ところが今から四年前でありますか、たしか昭和三十年であったと思うのでありますが、千五百万円でこれを売却して、そうして売却した金を田辺病院の整備に充てたということになるわけです。そういうような状況から、早晩これが今日のような運命をたどるのではないかいう点を私らは心配しておったのでありますが、その心配の通りに実はなってきておる。現に和歌山県の人口はざっと百万でございまするが、百万のうち紀北に住んでおる者は大体六十万、田辺病院等の関係になにします者は大体四十万ということです。ここで深山病院が廃止になるということによりまして、この六十万のところにはいわゆる国の関係において——もちろん県立医大もありますので、付属病院等の、その意味から見れば、いわば公的なものはございますけれども、国の関係の病院というものは、これで姿を消すわけなんです。大臣いかがですか。和歌山県の六割の住民が、全然国の医療施設の恩恵に浴するこができないというような事態になることは、これは全体として非常にへんぱなことになると私は思うのであります。患者は現在八十名、職員は六十一名で非常に少いし、医務局長が指摘するように、結核病床だけになっておるような実情は、私らも十分承知いたします。しかしそれだからといって、和歌山市内の病院を売った千五百万円を、離れたところの田辺病院の整備に持っていって、深山は古い軍の施設をそのまま、ほとんど荒れほうだいの状態に置いておく限りにおいて、他の患者が行きたくても行けないというのが、私は実情じゃないかと思うのです。その意味で、この点については患者なり職員なりが全面的に反対しておるばかりではなくて、御承知の通りに和歌山県議会の決議というものもあるわけです。この種の問題について、地元の意向なりそういうような点で、県議会の議決で存置を決定するというようなことは、私は非常にまれな例だと思うのでありますが、それだけに和歌山県には、これの存置についての切実な要求があるということになると思うのであります。これは一つ六月末で閉鎖するという方針を変更していただいて、存置し、むしろこれを拡充していく。風光明媚なところでございますし、御承知のように大阪府から深山に対する観光道路も作ることにすでになっておるのでございまして、そういう点から見て十分病院として——現状のままではもう朽ち果てたものでございますし、和歌山県はたびたび台風に見舞われるのでございますが、この病院のあるところは幸いに山合いにあるというところから、台風等の被害はございませんけれども、現状でいけば、一たび台風があれば倒壊するような危険な状態にあなたたちが放置しておる。それと一つは、国立病院の独立採算制というような、まるっきり国立病院の機能を無視したような政策をとる。これは間違った政策をとっておるからそういうことになるので、この点は一つ思いとどまってもらいたいと思うのでありますが、この際一つ大臣からこの点についての御所見を伺っておきたいと思います。

坂田道太自由民主党厚生大臣

○坂田国務大臣 国立病院の整備充実等につきましては、各地で、先ほどは福岡におきましてあるいは山口県の埴生等におきまして、多少地元の方々と紛争を起しておるということは私もかねて聞いておりますけれども、やはり私どもといたしましては、国民皆保険が三十五年度に完成をいたしまして、完成を目標といたしまして努力をいたして参るわけでございますが、現在国の病院あるいはその他公的医療機関等が、国全体といたしましてはやはりアンバランスもあるわけでございまして、たとえば国民皆保険制度が打ち立てられて、そしてそれがあまねく国民のすべてに完全な医療をやっていくという建前にはなったといたしましても、たとえば僻遠の地であるとか、あるいは無医村地区であるとかいうところの方々は、幾ら制度が打ち立てられましても、その恩恵に浴することができない、こういうことであっては、何のために国民皆保険を打ち出したかわけがわからないようになるかと思うわけでございます。何といたしましても、無医村地区あるいは僻遠の地におきまして、やはりこういった医療機関を整備していかなければならないということはいえるかと思うのでございますし、また同時に場所等によりましては、われわれの厚生省において所管をいたしておりますところのもののほか、別の省の、たとえば労災病院であるとかあるいはまた警察病院であるとか、あるいはまた逓信病院であるとか——もちろんそれにはそれぞれの沿革なりまたその目的を持って建てられておると思うのでありますけれども、やはりそれがあるところに固ってしまいまして、その地区においては医療機関は整備しておる、しかしながら一方において、僻遠の地あるいは無医村地区においては何らの医療機関がない、こういうことではどうであろうかというような考えもございます。やはりこれは日本全体を見回して、アンバランスのないように、バランスするように、そしてあまねく国民の方々が、どの地区に住んでおられましても医療機関の恩恵に浴するようにしていかなければならない、かようにわれわれは考えておるわけでございます。また同時に今日の医療の発達というものは、御承知の通り科学技術の進歩に伴いまして複雑になりあるいは総合的になりますし、お説の通りやはり国の病院というものが、どちらかといえば、総合的な診療というものを施せるわけでございまして、そういう意味から申し上げますならば、やはり国の病院というものが至るところに建って、そこを中心として高い水準の医療というものが施されるようにしなければならないのではないかというふうに考えておるようなわけでございます。たとえば九州の福岡に設置されるようにきまっておりまする基幹病院等につきましても、そこを中心として、いわば九州全体の医療の診療の水準を高めていくというような考え方から、実は基幹病院の強化、充実、整備ということを考えたわけでございますが、一面におきまして今までございましたところの病院あるいは療養所等におきましては、やはりそれにはそれなりの沿革があったとは思いまするけれども、今日の状況におきましては、やはりある程度の整備統合ということも、全体といたしましては必要かと思うわけでございます。その意味におきまして、和歌山におきましても、ただいま局長より答弁いたしましたような事情によりまして、これを廃止するというように実は決定したようなわけでございます。ただこれを実行いたします場合におきましては、先ほど局長より答弁いたしましたように、患者の一人々々の事情等をよく考えていただいて、その希望等によって、続いて診療が受けられる、安んじて療養生活ができるようにしてあげなければならないと思いますし、また同時に、今度は職員の方々の配置転換等についても、そういった親心をもってやらなければならないというふうに考えます。またお話によるならば、和歌山県議会がこれに対して反対決議をされておるということも承わりまして、これは私実はここで初めて聞いたわけでございまするが、このようなことにつきましても、十分話し合いをして御了解をいただきたいというふうに考えておるようなわけでございます。決定いたしましたことをここで変更するというようなことは、ただいま実は私考えていないようなわけでございます。

田中織之進日本社会党

○田中(織)分科員 大臣の言われていることは、昨日の説明なりあるいは前段に言われることと矛盾すると思うのであります。現に和歌山病院に入院中の患者の九〇%は生活保護法の適用を受けているのであります。その意味において、たとえば県立病院であるとかその他の関係の病床へ何するといたしましても、そこにはやはりいろいろな問題が起るのであります。大臣は、せっかく決定したものであるから変更することができないということでありますけれども、患者、職員とも一体になって、死んでも動かないといって反対闘争を続けていることは御承知の通りであります。現に今大臣が言われる通り、和歌山県議会においてこれの廃止反対の決議をしていることが、大臣の耳まで通っていないことは全く不都合だと思うのであります。ただ単に私の地元の問題だけでなしに、筑紫、福岡病院の統合の問題についても、医務局長はベッド数は変らないということを申されておりますけれども、統合する福岡病院の方にできる病床は五百床で、現在の筑紫病院の九百床のうち五百床は福岡病院にできるかもしれませんが、筑紫病院を統合する結果残り四百床は結局廃止されることになって、あなたの言うベッド数は変らないということにはならないと思いますが、その点はどうなんですか。

小澤龍厚生技官(医務局長)

○小澤政府委員 実は私ども一応、ただいま御指摘のように九百ベッドのうち五百ベッドは新規にできるので、残り四百ベッドはあるいは廃止したらどうかと考えたことは事実であります。しかしその後検討した結果、四百ベッドを現地に残す、しかもどういう姿で残すかということは、その地方の医療事情その他を検討いたしまして、最も効率的な医療機関として残しておこうというふうに方針を確定いたしまして、目下その方面に着々と検討を進めておるような次第でございますので、福岡地区におきましては国立の総ベッド数については大体変動がない、さよう御了解願いたいと思います。

田中織之進日本社会党

○田中(織)分科員 そういたしますと、これは地元からの要請あるいは職員の関係の全医労からの要請によるものだと思うのでありますが、そうすると筑紫病院の関係の四百床は存置する、こういうふうに理解してよろしいのですか。

小澤龍厚生技官(医務局長)

○小澤政府委員 大体その通りでございます。

田中織之進日本社会党

○田中(織)分科員 それから山口県の埴生療養所の廃止の問題でありますが、この療養所もちょうど和歌山病院と同じような形で、入院患者七十名、職員五十七名という形でございます。ここの事情も大体和歌山病院と似たり寄ったりの形で、われわれの方で伺うところによると、昨年の四月に所長が退職してからあと、専任の所長あるいは専任のお医者さんがいなかった、ようやく昨年の十二月お医者さんをきめていただいたと思ったら、今度は一月二十八日付で和歌山と同じように六月末でこれを廃止することになって、現に厚狭郡の山陽町議会もこれまた、和歌山と同じような形で存続のための決議を行なっているようでございます。これらの点についても、一年近くも専任のお医者さんもおらぬというような形にほうりっぱなしにしておいて、あげくの果てには今度は廃止するんだ、そんな形で、積極的な国民皆保険だ、いわゆる公的医療制度の充実だというあなたたちの坂田厚政の表看板が泣くようなことを、私はやるべきではないと思うのであります。この福岡病院の関係は、筑紫病院の四百ベッドでありますか、存置というようなことが地元との間の話し合いもついたということでありまするからなんでありますが、埴生療養所なり和歌山病院の問題、あるいはこれが進むと次の段階でいろいろそういう形のものが出てくると思うのであります。根本的に私は、戦後日本経済というものも安定してきた段階におきましては、いわゆる社会保障の充実、総理の言われる福祉国家の確立という観点から見るならば、現在国立病院にとっておる独立採算制、こういうような基本方針を改めて、むしろ充実すべき段階にきておるのではないかと思うのでありますが、現に問題になっておる和歌山病院なり埴生療養所の問題をひっくるめまして、大臣なりあるいは医務局長の方で、厚生省としてこれを再検討する考えはないかどうか、この問題の最後に念を押しておきたいと思います。

小澤龍厚生技官(医務局長)

○小澤政府委員 病院は病院としての機能を発揮しなければならない、結核療養所は結核療養所としての機能を発揮しなければならないと考えております。また診療所は診療所としての機能を発揮する。その機能を発揮するためには、病院の置かるべき地理的の要件とか、あるいは病院の設備とか維持とかいうようなものが同時に問題になってくるわけであります。ただいま御指摘の埴生療養所につきましては、場所柄何としても医者が得られなかったのでございます。国立の療養所でありながら、専任の医師がなくて数カ月も放置されたということは、まことに申しわけないのでございます。実はあの、療養所につきましては、かねてから九州大学で医者を派遣しておったのでございますけれども、ああいう貧弱な施設であっては、せっかく医者を派遣しても勉強もできない、だからこれからは医者を派遣するのはお断わりであるといってお断わりを受けた。引き続いて山口の県立大学の方にも医師の派遣方をお願い申し上げのでございますけれども、これまた当時御同意を受け得なかった。で、数カ月間放置して、ようやく昨年の暮れでございますが、千葉療養所の若いお医者さんを専任として派遣いたしまして、足らざるところは周囲の療養所から医者の応援を求めまして運営しておるような次第であります。つまり埴生療養所につきましては、その場所柄からいきましても、設備、構造、内容から申しましても、結核療養所としてどうも機能を発揮でき得ないという結論に達しましたので、やむを得ず山陽荘に統合するという措置をとらざるを得なかったということを御了承願いたいと思います。和歌山病院につきましても、一般病院としての機能を発揮するためには、どうしても現在の場所は不適当である、何としても一般病院としての機能を発揮したいという考え方からいたしまして、市内に出張診療所を作りまして、現在の病院と連携を保って、一体としての運営をはかったのでございますけれども、戦後だんだん和歌山市内にもいろいろな病院が整備されまして、御承知の通り、大学病院もありますし、済生会も日赤もございます。かなりりっぱな病院が整備されてきたためだろうと思うのでありますが、案外利用者は少いのでありまして、せっかく作っても効果的な運用ができない。そのことのために、やむを得ず出張診療所を廃止いたしまして、深山の本位も廃止せざるを得ないという段階に立ち至ったのでございます。この点相当時日をかけてその様子を見、また十分に検討いたした結果、かような方針を立てたことを御了承願いたいと存じます。ただこの実施に当りましては、ただいま大臣から申されましたように、患者さん、従業員、あるいは地元の関係各方面と十分に相談しまして、御了解を得て、納得ずくで円満に事を運ぶように最善の力をいたす考えでございますから、これもあわせ御了承願いたいと存じます。

田中織之進日本社会党

○田中(織)分科員 医務局長がお答えになりますように、療養所なり病院なりはそれぞれの機能を発揮するということから考えていかなければならぬということでありますが、それは私はその通りだと思う。しかし機能を発揮するためには、病院は荒れほうだい、療養所ではお医者さんがとにかく一年近くも行き手がないというような形では、療養所としての機能なり病院としての機能が発揮できる理由が出てこないじゃないですか。現に和歌山病院の場合においても市内になった。その当時には、御承知のように和歌山の赤十字病院等も戦災で焼けてしまいまして、今日のような和歌山病院の療養所が市内にあるときには、まだ赤十字病院もできていなかったのです。大学病院も、いわゆる大学設置等の関係から見、あそこは県立医大でありますが、最近になりまして、和歌山県民が大学として存置したい、こういう考え方の上に金を集めて病院として充実することになってきたのであります。その間においては、和歌山病院等に対して厚生省は病院としての機能の発揮できるような積極的な施策を何にも講じないでいて、いよいよ結核病床だけで生活保護の関係の人が九十%だというような形で、これはもう総合病院としての機能が発揮できぬからやめるんだ、そんなことでは——厚生行政というものは国民に対するサービスなんです。その意味で積極的なものがなければならぬのに、そんな事務的な事務局長の答弁では私は納得できません。これは和歌山の病院についてはお考え直しを願わないと、患者、職員ともに死んでもそこでも動かないという形になってきます。また県議会も、この存置を決議した建前から見殺しにするわけにはいきませんから、相当紛糾する問題でありますので、十分責任をもってお考えし直さないと、やはり相当深刻な社会問題になるということだけは申し添えておきます。  それから官房長官がお見えになりましたから、政府の方では同和政策と言っておる部落問題について一つ伺いたいと思うのであります。非常にばく然とした形ではありますけれども、私は日本の民族学なり民族の歴史を研究したことはございませんが、日本の民族というものは、その成立過程から見て、他の国における民族、人種の問題のような複雑な内容を持っておるとは私は理解いたさないのであります。しかしそれにもかかわらず、今日日本の国内に、われわれの調査するところによりますと、六千部落、その数三百万のいわゆる未解放部落が存在をいたしまして、今日これらの人たちは、都市においてはほとんど慢性的な失業者である。和歌山県に御坊市という町がございますが、御坊市の職業安定所にいわゆる失業対策の仕事に就労のために毎朝六時半、七時に約千五百人が集まるのでありますが、そのうちで八五%の者が未解放部落の人であります。こういう事例は私は全国至るところにあると思うのであります。都市部落において典型的な問題としてそういう型がある。それから農村部落におきましても、農村に生活しておりますけれども、農業によって生活を営むことができる者が、いわゆる農村における未解放部落の人口のうちでわずかに三分の一程度である、あとは日かせぎであるとか行商であるとかいうような形で一定の生業を持たない。従いまして都市、農村ともに未解放部落においては、いわゆる生活保護法の適用を受けなければならない老人あるいは母子家庭も非常に多い。私は別途文部省に資料の提出を要求いたしておるのでありますが、義務教育の年令に達しましても学校へ上ることができない、いわゆる不就学児童、あるいは学校へせっかく上りましても、家庭が貧困であるために少さい子供のお守等をさせられるために長期欠席をする、いわる長欠児童が、今日のように戦後十三年を経過いたしまして全般的に経済が安定したという中においても——まだ文部省からの資料は出て参りませんけれども、現実にそういう問題がある。その不就学児童あるいは長欠児童が一体どこが多いかということを調べてみますと、いわゆる未解放部落の地域が多い。これは未解放部落を持つ各府県の教育委員会等において悩みの種になっておるということは事実でございます。それだけではございません。部落の人と部落外の人たちとの間は自由なる結婚もできない。あるいは皆さん方はそんなばかなことがあるかとおっしゃられるかもしれませんけれども、現に最高裁にかかっておる、昨年私も国会で取り上げた問題でありますが、広島県のある部落の青年が部落外の娘さんと見合いの晩から話がとんとん進んで同棲生活に入ったことが不法監禁であり、結婚誘拐罪だということで、仲人さん夫婦とともに三人が懲役一年の実刑を課せられまして、現に最高裁判所でこれを争っておるわけであります。最高裁判所へ上告趣意書を出しましてから、ことしの四月が参りますともう二年になります。こういうような状態です。しかもそのときに私は問題にしたのでありますが、結婚誘拐罪で起訴するときの検事の起訴状の中には——これは和田利明君という青年でありますが、和田利明君は通称昭和部落という特殊部落の出身で一般の娘さんとは尋常一様の手段で結婚することができないから、だまかして女の子を引っ張ってきて無理やりに結婚するよりほかに方法がないということで、親たちと相談をいたしまして仲人さんたちと共謀いたしまして女の子を無理やりに引っ張ってきたということで、現に懲役一年、尾道の裁判所、それから広島の高裁でも同じような判決を受けて、現に最高裁で争っておる事件があるのです。それだけこの問題が深刻なのですが、この問題について政府の方では一体どういうようにお考えになっておるか、考え方の基本的な問題について、できれば総理大臣に伺いたいのでありますが、分科会でございますので……。     〔主査退席、楢橋主査代理着席〕 政府も昨年から同和対策閣僚懇談会等を持っておりますし、その幹事役が官房長官であろうと思いますので、赤城さんから政府の基本的な考え方について、また従来の例から申しますと、この問題の主たる窓口といたしましては厚生省が扱ってこられておりますので、坂田厚生大臣からも基本的な考え方について一つ伺っておきたいと思います。

赤城宗徳自由民主党内閣官房長官

○赤城政府委員 同和関係者の実態等につきましては、今お話の通りだというふうに私も承知しております。そこで同和関係の問題につきましては、戦前内務省等においてもこの問題に重大な関心を持って、一体として生活ができるようにという方向をもって検討しておったのでありますが、今お話がありましたように、内閣といたしましても非常に重大な問題と考えます。というのは、同じく日本人でありながら、とかく差別的な考えを持っておられるということは、これは徹底的にやめなければならぬ問題だと思います。問題は、生活環境が非常に悪い。今お話のように都会等においても雇用面などにおいて非常に不利な立場にある。あるいはまた地方農村等におきましてもせっかく農地解放等がありましても、当時耕作面積などが非常に狭かったために耕地を取得することができないで、大体零細農等が多い。こういうような面、その他たくさんありますが、生活環境が非常に悪い。これを向上さす。また厚生関係等の援護というようなことに力をいたして、生活状況のレベルを同じような状況に持っていくということが、一番中心の問題ではないか、こう考えております。  同和対策関係につきましては、なお厚生大臣からも御答弁申し上げることになっていますが、各省に予算なども散っておりますので、私どもの方で調べてみましたが、厚生省の地方改善事業振興対策費として四千九百九十二万円、建設省関係の不良住宅地区再開発事業関係経費五億二千九百十四万二千円、文部省の同和教育関係経費として約二百万、合計して約五億八千万円という予算を計上しておるわけでございます。昨年度は四億四千二百万ですから、昨年よりも予算はいささかよけいに計上しております。各省に非常に関係の多い問題でありますが、要は生活環境をよくしていく。同和教育の推進とか、不良住宅地区の改善とか、あるいは雇用、授産等によることもありますが、一言にしていえば、生活向上、生活環境をよくしていくということによって、同和関係者なるがゆえに生活事情もまずいとか、あるいは差別的な考えを持たれるというようなことのないように政策を進めていかなくてはならない、こういうように考えておるわけでございます。

坂田道太自由民主党厚生大臣

○坂田国務大臣 ただいま官房長官からお答えされましたように、やはりこれは総合的な各省の関係において改善をしていかなければならないものではないかというふうに私も考えておるわけでございます。  実を申しますと、私も大学を出ましてから最初に御厄介になったのが厚生省でございますが、その厚生省の中でも生活局生活課に席を置きまして、同和問題と取り組んだ一人でもございます。私は日本の民族においてこのようなことがあってはならないというふうに考えます。同時に、私今回厚生大臣になりました機会に、この方面につきましても一つ努力をいたして参りたいというふうに考えておるようなわけでございまして、戦後におきましても、昭和二十八年度以降毎年約二千万円程度の予算を計上いたしまして、隣保館あるいは共同浴場の設置助成に努めて参ってきておることは、田中委員も御承知の通りでございます。今年度の予算におきましては、昨年度二千四百四十万円でございましたのが、四千九百九十二万円、隣保館あるいは共同浴場等に加えまして、さらに下水の排水路であるとか、あるいは共同作業場等を新規に予算に組みまして御審議を願っておるようなわけでございまして、この問題につきましても私は就任早々で、あるいはまだ十分にわかっておらないところもあるかと思いまするが、どうか田中委員等の忌憚のない御忠言等を承わりまして、できる限りのことをやっていきたいというふうに考えておるような次第でございます。

田中織之進日本社会党

○田中(織)分科員 分科会での他の諸君の質疑の関係もありますので、これの根本的な問題については私あまり議論をする考えはございません。しかし今官房長官なり坂田厚生大臣が述べられた点については、私は部落問題の本質というものの理解が十分できておらないと思うのです。問題は、やはり経済的に貧困だからこの人たちが差別されるというものではないと思うのです。私は、日本の民族の発生の歴史は、今日複雑なものではないと思うのです。問題は、やはり封建的な身分制の結果が、今日のように部落の人たちを経済的にレベル以下の生活をしいる状況に置くと思うのです。たとえば百メートルを競走する場合に、同じスタート・ラインに立っても、なまける者あるいは心臓の弱い者と強い者があられた、文部省の関係についても三分の一になっている、建設省の関係におきましても三分の一だ、こういうようなことでは、同和対策閣僚懇談会ができて政府の方でも部落対策については積極的に取り組むんだという言葉のしりから、一兆四千億からの予算の中で、窓口と言われる厚生省の関係でわずかに五千万円切れるような予算、不良住宅の問題についても、第二種公営住宅の千二百戸というものは、これは全部部落に振り向けてもらうわけにはいかないのであります。こういう具体的なものが現われてくるから、この点については審議会において積極的な案を立てるべきではないか、私はこういうふうに考えるであります。  それからさらに同和関係地区数及び世帯調査集計表、これは三十三年四月一日の厚生省社会局生活課の調べでございますが、これは府県の考え方でありますから、府県を改めさしていかなければならぬわけでありますけれども、このうちで同和対策を必要としないと報告のあった府県が九つございます。それは秋田、山形、東京、神奈川、新潟、石川、山梨、宮崎、鹿児島というふうなところがあげられておりますが、一番最後の鹿児島には五十四部落ございます。それから新潟につきまして、これまた五十九部落ございます。これは秋田であるとかあるいは山形であるとかいうのは、私どもの調査の中には漏れておるのでありますけれども、山形県においても秋田県においても福島においても、やはり未解放部落あるということで、私らが政府にいろいろ要求するというときには連絡をしてこられるのであります。こういうような形の府県からの資料に基いて対策を立てているのでは、百年河清を待つと同じような形で、部落問題の根本的な解決というものは前進しないと思うのであります。この際、私らの方では行政組織法に基くところの審議会設置法案を今国会に提案しようということで、すでに法制局の審査も終えていただいたわけでありますけれども、政府の方から出していただけるものであれば、われわれから議員提案という形でなく、これはまた昨年の国会における総理大臣としての約束なんですから、閣僚懇談会とは別個に審議会設置の具体的な実行に踏み出してもらいたいと思うのですが、その点について重ねて官房長官の御所見を伺います。

赤城宗徳自由民主党内閣官房長官

○赤城政府委員 第一段、非常に予算が要求額より少いじゃないか、これは予算全体の関係からして非常に少いとは存じますが、予算編成過程におきまして各方面の事情がありまして、その程度におさまったのであります。ただ同和関係といって、今申し上げた、また田中委員が御承知の額、これだけがプロパーの同和関係予算でありますが、そのほかにも御存じのように同和関係につきましては、いろいろな施設、予算等も組まれておるわけです。一、二申し上げてみますと、農林関係で申し上げますなら、同和関係者の住んでおるところは、やはり土地改良などもおくれておったり、そういうことがありますので、たとえば土地改良の費用を割り当てるという場合に、同和関係者であるがゆえにその予算を割り当てるということはむずかしいのですけれども、同和関係者がおる部落等においては、やはり土地改良の必要が緊迫しておるというようなことを見て、そういうところへ土地改良なら土地改良の予算も割り振るように、あるいはまた教育関係におきましても腐朽校舎等がどうしても同和関係者の多い町村等においては多いのでありますので、そういう場合にも、そういうことを頭に入れて予算の割り振りをするようにという指導は、各大臣あるいはまた内閣としても考えておるわけであります。  それから行政組織法による審議会設置法案を今国会に出したらどうかという御意見でありますが、先ほど申し上げましたように、閣僚懇談会においていろいろ検討しておるところでありますので、閣僚懇談会あるいはまた内閣の方においても、今国会にそういう法律案を出すかどうかということにつきまして、よく協議してみたいと思います。私の見通しといたしましては、今国会にはむずかしいというふうに考えておりますけれども、なお御意見の点をよく頭に入れまして、相談してみたいと思います。

田中織之進日本社会党

○田中(織)分科員 前段の予算の問題についての考え方は、私は官房長官赤城さんの考え方が正しいと思うのです。われわれも実は部落対策費、同和対策費というような形で特別のひもつき予算だとかあるいはそういうものを組めということは言わない。むしろ一般行政費の中から最重点的にやらなければならぬ施設として、たとえば環境改善やその他のことについての支出はできると思うし、むしろそれをやってもらいたいというのが私らの基本的な考え方なんです。しかし問題はウエートを一番置くというか、基本的な考え方については、部落の人たちがなまけているためにそういうことになっているのではないので、私は、長い身分差別と圧迫によるところのいわゆる終結点として、現在の社会的、経済的な後進性ということが出てきておる。そういうところは、やはり行政のまず第一ランクに重点を指向しなければならぬ。こういうような考え方を一貫していただけますならば、われわれは、窓口である厚生省の関係において、端的にいって環境改善のために隣保館であるとか、共同浴場であるとか、下水道、あるいはトラホームの診療所であるとか、こういうような環境衛生上問題になるような点について、すぐ例にあげられるのは部落でありますから、そういう面の厚生省全区体の予算を拡充していただいてやっていくということについては、私ら賛成するものであります。しかし基本的な考え方ということについては、今、鈴木さんは官房副長官をやられておるわけでありますけれども、自治庁で、たとえば交付税の配分を考えるような場合においても勢いそういう考え方が出てこなければならぬ。今たまたま官房長官が農林大臣時代の経験から土地改良の問題についても、やはり農村部落の実情から見て重点を置くと言われました。ところが農村に関する土地っ良の関係の予算がふえているかといったら、ふえていないというところに問題がある、私らはこういうことを申し上げておる。そういう意味で、今私が申し上げているようなことは、審議会で政府の関係官にもわれわれの考え方を十分申し上げるし、これは私らが持っておる同盟の部落名簿で、どこには何という部落があって、少くとも何戸あるということについての台帳なんです。それだから報告がないとか未開発部落がないとかいうようなでたらめな報告をしておることに対しては、一つ厚生省よりの資料をもらいたい。そうすればわれわれがそういう府県にわれわれの組織は組織として持っておりますから、話し合うということも、この間生活課課長さんとお話をしたような状況でありますから、われわれもわれわれとして、自分たちの問題として、取り組んでおるわけでありますから、材料も提供いたします。そういう上に立って総合的な施策を考えていただきたい。それだから法律による審議会がいろいろな関係からできないということは、ちょっと私には理解できないのでありますけれども、かりにそれができるまでの間、まるきり、われわれ、あるいは民間のそういうような方面の意見というものが取り入れられないかといえば、私はそうではないと思うのであります。内閣の審議室の関係でも担当官を持たれておるということでありますれば、われわれはそういう面に前進のための材料を提供することにおいて決してやぶさかではないのであります。そういう考え方を持っていただきたい、こういうことです。できれば権威ある審議会を内閣に設けることのために、これは総理が一年前に約束したことなんでありますから、実行していただきたいと思うのです。その点について重ねて官房長官に所見を伺って、部落問題についての質問はいろいろ具体的な問題がごいざいますけれども、いずれまた社労その他の関係で伺うから、この点についての官房長官の重ねての言明をいただいて、部落問題についての質疑をこれで打ち切ります。

赤城宗徳自由民主党内閣官房長官

○赤城政府委員 今国会において同和問題関係の審議会を設けるのは、ちょっとむずかしいじゃないかと私は見通しを申し上げました。しかしそれだからといって、同和関係者の意見及び実情等を調べないでこの問題を進めていくということは、全然考えておりません。ぜひそういう問題等につきましては、厚生省なり内閣の方へいろいろ有益なる御見解、御意見を御開陳願って、その資料を参考といたしまして御趣旨に沿うような方向へ推進していきたい、こう考えております。

楢橋渡自由民主党

○楢橋主査代理 田中さんよろしゅうございますか。官房長官は隣から呼ばれておりますが……。

田中織之進日本社会党

○田中(織)分科員 それでは部落問題についてのなおいろいろの質疑はまた別の機会に譲ることにいたしまして、官房長官は第一分科会へ行かれる関係もあるようでありますから……。     〔楢橋主査代理退席、主査着席〕  では後ほど厚生省関係について具体的にただすのでありますけれども、実は今度の国会に未帰還者で、戦後十三年余を経過いたしまして、おそらく生存しておるということが考えられないということで、身分確定の法案を出されて、すでに参議院も通過してきているように理解をいたしておるわけであります。このことについても今いろいろ問題がございますけれども、戦争犠牲者の問題に対するいろいろな行政措置について、政府としてもこれで大体一応の締めくくりをつけようというお考えではないか、こういうふうに私は察知するわけであります。なお戦没者の遺家族に対する補償等の問題については遺族会の方から引き続きやってもらいたいというような要請がございますけれども、一応これは遺族年金等の処置が講ぜられておりまするので、問題はそれをいかに充実するかということにかかると思うのでありますが、私はここで戦争犠牲者のうちで内地及び外地の関係もありますけれども、直接軍務に従事する、あるいは徴用によって戦争事務に携わっておったというような関係ではなくて、率直に申し上げれば空襲によって、戦災によって焼け死んだ、あるいは爆弾の破片のためになくなった、こういうような関係の人たちが相当数あると思うのです。この点については戦時中の戦時災害保護法によって、一応なくなった人たちに対して当時の金でわずかの見舞金が出された程度で、そのままほうられてきていると思うのです。ところが各地で、私の和歌山市などもこれは昭和二十年の五月七日の空襲であったと思うのでありまするが、現在慰霊塔の建っているところだけでも数百人の避難者が結局火焔に包まれて焼死いたしておるのであります。現在供養塔が建てられておるような状況でございます。そういう意味で、戦争犠牲者の問題について諸般の行政措置を進めて参りましたものを、大体未帰還の身分確定の問題によって一応終止符を打たれようとするならば、国として私はやはりあらためてこれらの人たちが眠れるような慰霊、それからそのために今日なお生活保護を受けなければならぬ、あるいは戦災バラックにそのまま生活せざるを得ない、ことにそういう意味で孤児になっている者もだんだん成長はしてきておりますけれども、援護処置というものがきわめて不十分というか、戦後戦没者の遺家族等に対する処置に比べればまるっきり何もやっていないというのが実情ではないかと思いますので、この問題は政府として特に取り上げてもらいたいと思うのでありますが、政府の方のお考えをこの際官房長官から伺っておきたいと思う。

赤城宗徳自由民主党内閣官房長官

○赤城政府委員 ただいまお話がありましたように空襲等によって災害を受けた方々に対しては、また遺族に対しては戦時災害保護法によって一応きまりをつけたという形になっていますので、今の援護関係と同時にこれを取り上げるということは非常に困難かと思いますが、実態が非常に生活に困窮しているとか、その後も非常に困っているというような問題につきましては特に留意して、社会保障制度の面においてそれぞれの措置をとるように厚生省においても考えておると思いますが、なお一そうそういう点に力を注いでもらうように取り計らいたい、こう考えております。

田中織之進日本社会党

○田中(織)分科員 もう一つだけその点に関連して。今度資料としていただいたのと、戦災都市連盟を中心といたしまして、戦災によって死亡した者あるいは負傷者の私の手元にいただいておる資料との間に、実は食い違いがあるわけなのです。同時に戦災によって死没した者の遺族会というようなものが、戦災のひどくあった都市に現在できつつあるわけなのです。その意味でもちろんどのような援護処置を講じていただくかということについては、そういう遺族会等からの資料の提出等も待って検討しなければならぬ問題があると思うのですけれども、引揚者については先年在外資産についての、全くこれも申しわけ的であるけれども、補償もなされた、戦没者はやられた、それでいて戦災による死没者に対するものがなされていない。これは金額の多寡の問題ではなくて、戦災による死没者の遺族の立場から見れば、同じように戦争犠牲者じゃないか、そういう考え方において、もうわれわれは戦争の痛ましい思い出というものを忘れる意味において、政治的な配慮をしてもらいたいというのがその考え方だと思うのであります。その意味で具体的に生活援護の面でどうとかこうとかいうことから一歩進めていただいて——現に私の和歌山市など、あるいは姫路市だとか大阪府だとか、そういう形で現在あまり強力なものではございませんが、熱心な人たちが集まって、いわゆる戦災による死没者の遺族会というようなものを結成して、政府へ要望したいということになっておりまするので、具体的に見舞金を幾ら出してやってくれというようなことは、今日の段階では私も申し上げませんけれども、問題は戦争犠牲者についての平等な取扱いという政治的な配慮はしてもらいたい、国民の一人としてそれは当然ではないかと考えるのであります。その点に対するお考えを重ねて伺いたいと思います。

赤城宗徳自由民主党内閣官房長官

○赤城政府委員 そういう御趣旨はごもっともだと思います。先ほど申し上げましたように、一番関係の深い厚生省の方におきましては、御趣旨のようなことをよく翫味して制度の上に現われるようなことにいたしたい、制度の中から御趣旨のような気持が実現するようにいたしたい、こう考えております。

田中織之進日本社会党

○田中(織)分科員 それでは厚生大臣なり当局になお三、四点伺いたいと思います。今官房長官から述べられた点で私非常に不満足でありますけれども、たとえば昨日も予算委員会で、同僚の小平君から一般質問の最後に、農林大臣に対して質問したのでありますが、戦後の農地改革による農地を買収された人たちに対する補償の問題すら、特に政府なり、与党である自民党が調査費名目によって莫大な数千万円という予算を計上して取り組んでおると思うのです。それでいて全国に、こちらの出された数字によると、空襲によるものまたは艦砲射撃その他によるものとして総計六十六万、このうち死亡者が約半分の二十九万九千四百八十五名。四五%が死亡しているということになるわけでありますが、私はこれは実際はもっと大きな数字になると思うのです。私らの方で戦災都市連盟の関係を通じて出てきております資料では、全国でもっとある。少くとも八十万くらいの死没者があるのではないか。この資料はいずれ私の方から厚生省の方へも差し上げることにいたしますけれども、それだけ莫大な人でありますので、私はこの問題も重要な国策の一つとして、厚生省でそういう遺族代表の方々との間で、よく死没者の数あるいは現在どういうような状況にあるか、生活援護の問題もさることながら、やはり同じ戦争犠牲者に対して、政治的な配慮によるところの国からの平等な扱いをする処置を考えていただきたいと思うのですが、この際厚生大臣の御所見も伺っておきたい。

坂田道太自由民主党厚生大臣

○坂田国務大臣 戦争中におきまして国の強権と申しますか、そういう形においてやられた方々に対する国としての措置は一応進んで参ったわけでございますが、同時にまたお話の通り戦災等によりまして被害を受けられた方々も、受けられた方々の立場から考えるならば戦争の被害者ということになるわけでございまして、この点については全く御趣旨と同感でございます。しかし、実際問題といたしまして、戦災による被害を受けられた方々が一体どれくらいおられるか、あるいはその方々がどういうような生活状況であるのかというような具体的問題によりますと、この把握は今日の段階ではなかなかむずかしいのではないかというふうにも考えるのでございますが、今仰せになりましたような趣旨によりまして、私どもといたしましては、この段階におきましてできるだけの資料の収集をはかり、こういった方々の状況等を把握することを心がくべきだと考えるわけでございまして、こういう問題は単に私たち厚生省の人たちが調べましても、実はなかなか把握が困難かと思いますので、そういった各都市等における遺族の方々の資料等がございますれば、それを参考といたしましてその実態の把握に努め、実態が出て参りますならば、おのずとそれに対する具体的な対策、あるいはこれをどういうふうな形において犠牲者の方々に同等の援護の手を差し伸べるかという道も、実は開けてくるかと思うのでございます。ただいまのところでは何せその数も不明確でございますし、事情等もわかりませんので、私どものやっております社会保障制度のもろもろの政策を通しまして、取り上げるべきものは取り上げていくということを、今日の段階におきましてはお答えする以外にないかと思うわけでございますが、やはりそういうような気持をもちまして、今後ともその実態の把握に努めたいと思う次第でございます。

田中織之進日本社会党

○田中(織)分科員 これは引揚者団体あるいは戦没者の遺族会のようないわゆる強力な圧力団体にまで、戦災による死没者の遺族会はなっておらないから、案外今日まで取り残されてきたと思うのでありますが、私は、やはりここらで戦争犠牲者の問題について、国として分け隔てのないものをやったという気持で、新しい日本の建設をさらに前進させるために、これらの人たちをも勇気づける意味において、従来の惰性ではなしに考えていただきたい。圧力団体ではございませんが、いずれ遺族会の代表と厚生大臣とお目にかかることにいたしまして、次の質問に移ります。  それは先ほど質問しかけて、援護局長が見えませんので保留になった関係でありますが、ここにいただいた資料によりますと、負傷行方不明で六十七万八千二百三十二名というのがあるわけであります。これは陸海軍の関係では三十万九千四百二名、この中で行方不明者というのは、未帰還者三万三千三百三名については、今度この人たちはもう生きていないものだということの身分確定の処置をとられるわけでありますが、いただいた資料によると負傷行方不明でまだ六十七万八千二百三十二名という多数に上るわけであります。この中で負傷者と行方不明者の比率というか内訳が、厚生省でつかまれていなければならないと思うのでありますが、いかがでありますか。

河野鎭雄厚生事務官(引揚援護局長)

○河野政府委員 ただいま御引例になりました六十万という数字、私ちょっとどういう数字か実ははっきりしないのであります。現在未帰還者として把握しております数は、ただいま御引例がございましたように昨年の十月一日現在で三万三千三百三名ということに相なっております。これが全部死亡しておるのではないだろうかという意味では考えておりません。中には比較的新しく生存の資料があるけれども確認ができないというふうな人も含まれております。大部分の方は、終戦直後の混乱期に消息を断ったということで、死亡の公算が非常に高いと考えられますが、全部が全部そういうことには考えておりません。従いまして、今回成立いたしました特別措置法の対象として戦時死亡宣告を受ける数は、ただいま申し上げました三万の中から現実に何名になるかはっきりいたしませんが、三万とは若干開いた数字になってくると思います。  それから未帰還者の中で負傷者と死亡者とどういうふうになっておるかというふうなお尋ねのようでございましたが、これは消息をはっきり把握していない人の数でございますから、生きておるか死んでおるかわからないということが実態でございますので、その中に負傷者がどのくらいあるかというふうなことは実はわからない次第でございます。御了承願いたいと思います。

田中織之進日本社会党

○田中(織)分科員 これは厚生省の方から出たのですが、経済企画庁の方から出た資料ですか。私ら予算委員会で資料として要求した中に、戦災による死亡数として、人的被害が総計二百五十三万三千二十五名、死亡が百八十五万四千七百九十三名、負傷行方不明が六十七万八千二百三十二名、銃後人口の被害ということで、これが六十六万八千三百十五名、このうち死亡が二十九万九千四百八十五名で、負傷行方不明が三十六万八千八百三十名、その後ずっと参りまして、そのうちで陸海軍の関係の負傷行方不明が三十万九千四百二名、そのうち行方不明者が何名あるかということが私らの方にはわからぬ。  それからその次に、先ほど申し上げた銃後人口の六十六万八千三百十五名のうちで、これは負傷、行方不明合せてちょっと数字が合わないのでありますけれども、三十六万八千八百三十名に対して、人的被害のうちで負傷が——重軽傷両方合せておるわけでありますが、重傷が十四万六千二百四名、軽傷が十六万七千三百十八名、負傷が三万一万二百九十八名、行方不明が二万四千十名、こういうように出てきておる。私の伺いたいのは、陸、海軍軍人軍属の被害の場合の負傷、行方不明の三十万九千四百二名のうちの行方不明者というものが、いわゆる未帰還者の三万三千余名のものと同じだと見ていいのかどうか。これも厚生省から出していただいた資料だと思うのですけれども、どんなつもりでしょう。

河野鎭雄厚生事務官(引揚援護局長)

○河野政府委員 ただいまお手元の数字を私手元に持っておりませんので、はっきりいたしませんのですが、いわゆる未帰還者の数字と今の数字とは、全然別の数字のように考えます。未帰者と申しますのは、留守家族から届出を得まして——あるいはこちらの方で死亡を確認したものが若干ございます。それで留守家族から届出をもらいまして、それを基礎としていろいろな調査をいたしまして、年々判明した者を落していくというふうなことで処理をいたしておる数字でございます。ただいまお述べになりました数字は、それとは全然別個の角度からの数字じゃないだろうか、かように考えるわけであります。

田中織之進日本社会党

○田中(織)分科員 同じ政府部内で、角度の違う関係の数字で、わずかのことであれば何ですけれども、大きな食い違いがあると私思うのです。そういうことをおっしゃられると、実は私の弟がフィリピンに行ったまま、これは航行隊関係でございますが、まだ帰らない。しかし、これは未帰還者ということにはならない。昭和二十年の一月一日に行方不明になったという公電が来た。これは終戦後であります。それからまた一年くらいたってから、昭和二十年の六月一日に戦死したという通知があったのでございますけれども、どこでどういう形で何したのか、弟の部隊が現在どうなっているかということもさっぱりわからぬまま、来ているのです。それだけから、私は先年フィリピンへ参りましたときに、フィリピンの新聞記者時代からの友人と話し合うと、田中さん、あなたの弟さんはどこか山の中で生きているかもしらぬ、こういうことを言われたようなわけで、僕と同じような、殺してもなかなか死ぬような男ではないので、一つ気を配っておいてくれ、こういうことを、これはじょうだん話じゃなくて、後ほど申し上げる小野田君の問題等に関連をいたしまして、向うの警察関係者との間にも話をしたような実情なんです。そういう意味で、これはたまたまここへ、あるいは経済企画庁の方から私の要求に対して出してきたかもしれませんけれども、別途こういうことで、いろいろ負傷者と一緒にやっておりますから何ですが、この中で、大まかに陸海軍軍人軍属の被害者百八十六万四千七百、死亡が百五十五万で、負傷、行方不明が三十万九千四百と出てきておる。それだから、現在の未婦還者として出てきておる人たちも、この数字の中における行方不明者の中に出ているんじゃないか。行方不明になったということが確定している者と未帰者の——これは援護局長の立場から見れば分けられるのかもしれませんけれども、私らから見れば、その点についてどういう分け方をすればいいのかという点の区別がつきませんので、伺っておるわけなんです。

河野鎭雄厚生事務官(引揚援護局長)

○河野政府委員 現実の死亡確認ができませんでも、諸般の情勢から死亡だと考えられる方々に対しましては、死亡処理をいたしております。先ほど、フィリピンで部隊の行動等がわからないまま公報が来たというようなお尋ねもございましたが、部隊の行動等もかなり詳細に把握しております。ただ、従来留守家族なり御遺族の方との連絡が十分でなかった面も実はございまして、こちらで調べた結果が十分届いておらないという欠陥が、確かに御指摘のようにあったと思います。これは主として府県を通じて、遺族あるいは留守家族の方に御連絡申し上げることになるわけでございますが、この点は今後十分注意いたしまして、こちらの調査の結果が十分留守家族あるいは遺族の方々に届きますように、配慮いたしていきたいと思う次第でございます。  今おあげになりました三十万という数字は、おそらくこの大部分は、もうすでに処理済みの数が含まれておるかと思います。現在、邦人と合せまして、三万三千の未帰還者を掌握しておるわけでありますが、そのうち軍人軍属は約半数でございます。処理のできない未帰還者というのは、それ以外にはないはずでございます。

田中織之進日本社会党

○田中(織)分科員 これはおそらく経済企画庁の方から出されたと思いますので、援護局の方で調べて、これについての負傷者と行方不明者、それから援護局長が今言われた未帰還者との関係については、できれば数字的な資料で出していただけばけっこうだと思います。

河野鎭雄厚生事務官(引揚援護局長)

○河野政府委員 調べまして、御連絡申し上げます。

田中織之進日本社会党

○田中(織)分科員 もう二点ばかり伺います。  そこで、今たまたま未帰還者の問題で、生存していることが最近になってわかったのがあるということで、例のルバングにおける小野田君のお話が出ました。実は私の郷里の出身の者でございまして、私の中学校の後輩にも当るわけでございます。先日お母さんが見えられて、引揚特別委員会の関係の方々あるいは政府方面に要請をいたしましたが、今向うのフィリピンの方々からは、小野田が出てきた場合においては、警察関係としては生命の保障をするということが打電されてきたというような明るい報道がなされておるので、小野田君救出のために同窓生を中心として結成しておる団体といたしましては、非常に喜んでおるわけでありますが、一昨年、たまたま私が国会から東南アジアへ派遣されましたときに、フィリピンで、日本の大使館の関係から小野田君の生存についての確認を得ましたので、その後非常な希望を持ってきておるようであります。そういう意味でこれの救出の問題について積極的にすでに手を打たれておることと思うのですが、この機会にあらためて思うのですが、この機会にあらためてフィリピン側との連絡の問題あるいは外務省関係への厚生省との連絡等の関係について事情を明らかにしていただければ、地元の関係者としても非常に喜ぶし、またそういうような関係が国内で報道されたことも何らかの機会に向うへ伝わることと思いますので、  一つ明らかにしていただきたいと思います。

河野鎭雄厚生事務官(引揚援護局長)

○河野政府委員 簡単に従来の経過を申し上げたいと思います。ルバング島に駐在をしておりました部隊は、ちょうど昭和二十年の初めにあの方面に編成されました臨時歩兵第一中隊の第二小隊が配置されておったのでございます。米軍が上陸して参りましてその戦闘間にかなりの戦死者を出したわけです。終戦後米軍の投降勧告によりまして九名の人たちが投降いたしました。その後さらに三十一名投降いたしまして四人だけが残ったというふうな格好になったのであります。その後二十六年に至りまして、そのうちの一人赤津さんという方が帰って参りまして、四人のうちのもう一人の方はその後二十九年になくなった。赤津さんが帰ってこられまして、小野田さんと小塚さんが残っており、その当時は島田さんという方がもう一人残っておったのでありますが、その一人はなくなりましたので、現在二人が残っておるのではないだろうかというふうに伝えられておるわけであります。こういったような情勢が赤津さんが帰ってみえましてからわかりましたので、政府といたしましてもなんとか処置をしなければならぬということで、二十六、七年にかけまして、数回にわたりまして投降勧告を行なったのでございます。家族の手紙もそのときビラに印刷をいたしまして散布をいたしたわけであります。しかし何らの応答がなく、失敗に終ったのであります。その後二十九年になりまして小野田さんのにいさん、小塚さんの弟さん、それから厚生省から係官が一人行きまして現地に相当徹底した呼びかけを行なったのでございますが、このときもついに失敗をいたしたわけでございます。昨年さらにフィリピンに遺骨収集団が参りました際にも同様の措置を繰り返しまして、いろいろと呼びかけをいたしたわけでございますが、これも失敗に終ったのでございます。今回新聞紙上に載りましたように、ルバング島において二件の殺傷事件があったというようなことから、またこの問題があちこちに取り上げられるようになったわけでございます。フィリピン当局におきましても非常に深い関心を持ちまして、日本側に救出工作について協力してもらいたいというふうな申し出もございました。こちらからビラ等を用意いたしまして届けましたし、また大使館からも二名の方が同行いたしまして、現地に行って二回にわたって工作を行なったのでございます。この二回目の工作は今進行中であろうと思うのでありますが、まだ何らの手がかりが得られない。今回の殺傷事件は、必ずしも日本兵がやったというふうに断定できない、むしろ消極的な見方の方があるいは強いのではないだろうかというふうに考えられておるわけであります。今までも相当できるだけの手段を尽して工作をいたしたつもりでございますが、今後とも外務省あるいはまた現地の当局あるいは住民の御協力を得まして、できるだけの努力をいたしたい、かように考えておる次第であります。

田中織之進日本社会党

○田中(織)分科員 いろいろ御努力なさっておることについては私も了承をいたしますが、何しろ今までの間に事情を知らないで、食糧等をあさりに出るためにそのつど現地人を殺害しておる。その意味で、かりにうまく救出ができても、場合によればフィリピン政府はそういう現地人を殺傷したという点について裁判にかけなければならぬかもしれぬ、こういうような意向も現地に出ておることも私伺ったのであります。幸い救出がうまくできた場合には、そういう全くやむを得ない事情のために出たことでございますので、そういう殺傷をされた人たちの遺族に対する慰謝の方法は別に考えることにして、向うでまた裁判を受けてどうこうというようなことのないような処置を、これは特に外交折衝との関連も出てくると思うのでありますけれども、一つ厚生省の方としては御配意を願ってなお格段の努力をしていただきたいと思います。

坂田道太自由民主党厚生大臣

○坂田国務大臣 このルバング島に二人の方がなお生存をされておるということは、もしそれが事実といたしまするならば、何とかしてわが方でそれを救出いたさなければならないということで、先般も実は外務大臣ともお話を申し上げまして、万能の方法等を講じまして、一日もすみやかにこの両名の方々を救出するように努力いたしたいということをお話を申し上げておるわけでございまして、どうかそういう事態になりますことをわれわれといたしましては願っておるような次第でございます。

田中織之進日本社会党

○田中(織)分科員 これでおしまいにいたします。あとは一つ希望でございますが、未帰還者数の調査の中に出てきておりまするように、ソ連、中共、北鮮以外の地域の関係にも八百二十二名を把握しておるということで、これがこの三万三千名にプラスされることになるわけでありますが、今度法案が出まして、このうちからいわゆる死亡と確認される人も出てくるわけでございますけれども、特に中共の関係、あるいは北鮮の関係等においてはこの地域で国内的な、たとえば昔の満州の地域においては国共両軍の戦いの過程の中に死亡した人もあるのじゃないか、そういうような関係で現在向うに抑留されておるとか、あるいは生存しておるというような関係については、私も昨年十月中国へ参りましたが、そういうような点については向うの方でこれはジュネーブにおける総領事折衝が一時行われた過程もあります。そういう意味で、こういうような発表がなされると、やはりそれだけの人間を中共はまだ置いて、日本へ帰さないような印象を持たれることは心外だ、こういうことが昨年十月に向うの紅十字へ参りましたときにも話が出ました。私は、問題は、やはりそのときにも説明したのでありますが、あるいは北京政府の責任ではない事情によって行方不明なり、あるいは死没したのではないか。こういうことが考えられる事情の方を含んでおるのだということで、そういう点については今後国交回復ができます、あるいは国交回復ができなくとも、具体的に、たとえば留守家族等の関係からこの地域で、こういう事情で、何日どこそこへ連れて行かれてから消息がわからない。こういうような事情が出て参りますと、今日国交がなくても、友好団体等の関係で、その後の事情の調査を向うの紅十字等に依頼することの道ができますので、今までの何でございますから、大して問題にならぬと思うのでありますけれども、こうした未帰還者の問題で、特に中共あるいは北鮮等の関係については、今度の北鮮送還等の関係との関連をもって、向うの方もそういうことの調査については全面的に協力してもらえる態勢が私はできておると思いますので、その点を一つ今後御留意を願いたいということを最後に申し上げまして、私の質問を終ります。

綱島正興自由民主党

○綱島主査 次に佐々木良作君。

佐々木良作日本社会党

○佐々木(良)分科員 ただいま主査からお話がありましたように時間が大へんないようでありますから、私は厚生省関係の問題の中で問題を一点にしぼりまして、せんだって大臣が説明をされました説明の中の第六の児童保護の問題につきましてお伺いをいたしたいと思います。  この児童保護の問題中、また特に問題をしぼりまして対保育所の行政につきまして次の三点から。第一点は三十四年度の予算に盛られておりますところの保護措置費の内容につきまして、第二点は低額所得者の保育料の負担軽減の問題につきまして、第三点としまして保育所関係の災害保護整備について、この三つの観点から保育所行政に対する政府の見解を明らかにしていただきたいと思います。  坂田大臣は誠実なお人柄でありますから、また今委員長の要請もありましたので、私も具体的にお伺いいたしますから、一つ簡単明瞭にお答え願いたいと思います。  第一に、今申し上げましたところの三十四年の予算案に盛られておりますところの保育所関係の費用についてお伺いをいたします。予算案によりますと、この関係費用といたしまして約二十八億五千万が計上されておりますが、厚生省はもともとぎりぎりの要求として、大体プラス十億の三十八億程度を要求されたと聞いておりますけれども、事実でありますか。

高田浩運厚生事務官(児童局長)

○高田(浩)政府委員 大体三十八億を要求いたしました。

佐々木良作日本社会党

○佐々木(良)分科員 それが二十八億五千万円になったわけであります。従いまして二十八億五千万円を前提として措置費、いわゆる単価を構成されて対策を立てておられると思いますが、その平均単価並びにその内容につきましてお伺いいたしたいと思います。

高田浩運厚生事務官(児童局長)

○高田(浩)政府委員 二十八億五千万円、三十四年度の予算として計上されました。前年度の予算二十五億三千万円、約三億二千万円増額になりましたが、その内訳は、御承知と思いますけれども、職員の期末手当○・五カ月分約九千九百万円、それから保育料の徴収の緩和、これが約二億円、それから北海道におきます石炭手当、これが約六百万円、それからその他自然増、そういうようなことになるわけでございます。従いまして徴収の面におきましては、いわゆるC階層、所得税を納めないで市町村民税を納めておるクラス、これは月四百五十円というものを、その中の均等割のものにつきましては三百五十円にする。そういうような緩和の措置をはかることになるわけでございます。それから職員の給与等を含めましたいわゆる保育所単価という面につきましては、この期末手当〇・五カ月分の増というものが加重されるわけでございまして、これを単価に割りますと、これは規模別あるいは地域別によって違いますけれども、大体最高四十円、最低十円の間の上昇になるわけでございます。

佐々木良作日本社会党

○佐々木(良)分科員 その単価の内容、人件費、事務費等があるでしょう。

高田浩運厚生事務官(児童局長)

○高田(浩)政府委員 御承知のように、従来予算の問題としまして、保育所その他の児童保護措置費につきましては、人件費、事業費、さらにそのうちたとえば飲食物費というふうにこまかに分けて令達をするというふうな格好をいたしておりましたけれども、保育所につきましては、御承知の三十三年における改正によりまして、それらをぶっ込みまして単価としてこれを交付する、そういう制度に改めたわけでございます。従いましてほかの収容施設等におきますのと違って、その内訳というものはむしろ考えないで、ぶっ込みでやる、そういうふうなことにいたしたのでありまして、その単価というのは、三十三年度、すなわち本年度におきましては、たとえば甲地、これは東京都でございます。それにおける、たとえば六十人収容のものにつきましては千二百五十円、それからいなかの方のたとえば丙地の六十人収容の場合には九百六十円、そういうふうな単価を設定いたしておるのでございます。もちろんこれの算定の基礎といたしましては、それまでのあるいは事務費でありますとか、あるいは飲食物費でありますとか、そういったものをすべて加算をいたしまして、計算をいたした次第でございます。

佐々木良作日本社会党

○佐々木(良)分科員 ですから、その計算の根拠になった平均の算定基準をお示し下さればいいのです。

高田浩運厚生事務官(児童局長)

○高田(浩)政府委員 人件費につきましては、職員一人当りの平均月七千五百円でございます。それから給食費につきましては、これは昼飯の副食費ということでございますが、一日に八円十銭、それから修繕費につきましては坪当り三百円、庁費につきましてはこれは職員一人当り年三千円、そういったようないろいろな要素を加味して計算したわけであります。

佐々木良作日本社会党

○佐々木(良)分科員 時間の関係がありますが、その内容は全部伺えますね。今出されたようなものの平均単価、給食費、あるいは修繕費あるいは庁費の例でございますが、これは全部出せますね

高田浩運厚生事務官(児童局長)

○高田(浩)政府委員 それは出せます。

佐々木良作日本社会党

○佐々木(良)分科員 もし時間の関係がありますならば、この委員会のあとでもいいですから、すぐお出し願いたいと思います。それはこの予算委員会の付属資料として、一つお出し願いたいと思うのです。それを全部平均いたしますと、多分今度の〇・五の期末手当を入れまして、九百十四円程度になろうかと思います。そんなものでございますか。

高田浩運厚生事務官(児童局長)

○高田(浩)政府委員 これは地域によって、あるいは規模別によって違いますが、たとえば先ほど申し上げました東京の、すなわち甲地の六十人収容のところにおきましては大体千二百九十円、その程度でございます。

佐々木良作日本社会党

○佐々木(良)分科員 その中で人件費の中の保母は、今どのくらいになっておりますか。

高田浩運厚生事務官(児童局長)

○高田(浩)政府委員 これは先ほど申し上げましたような趣旨で、とにかくこれは人件費の分だ、これは庁費の令だ、従って役所の予算のように流用してはいけないとかいけるとか、そういうようなことをせずして、要するに単価制度として、これを保育所の実情に合った児童のためになるように最も適切に使って保育所を経営をする、そういう眼目でできたものでございます。従ってその後におきまして保母の給与が幾ら、何の給与が幾らということは出していないわけでございます。

佐々木良作日本社会党

○佐々木(良)分科員 さっきあると言われたじゃないですか。積み上げ作業の中の平均があると言われたでしょう。それを全部出せると言われたでしょう。それならこの委員会が終ってからではなしに、今出して下さい。たとえば今の給食費であるとか、あるいは修繕費であるとか言われたのと同じ格好で、人件費の中の保母なり所長なりというものもあるし、事務費の中の備品から修繕費、通信費、みんなあるわけでしょう。その中の一、二の例を今言われた。全部言っていただくのはめんどうくさそうだったから、あとで資料を出してほしいと言ったのですよ。その中の中心は保母でありますから、それと同じ数字がなければいけないわけでしょう。

高田浩運厚生事務官(児童局長)

○高田(浩)政府委員 たとえば東京のいわゆる四級地におきまして、約九千九百円、それからその他の地域におきまして、約七千百円。

佐々木良作日本社会党

○佐々木(良)分科員 平均何ぼになりますか。

高田浩運厚生事務官(児童局長)

○高田(浩)政府委員 平均は約七千六百円でございます。

佐々木良作日本社会党

○佐々木(良)分科員 重ねて事務当局に要請しておきますが、そうすると先ほどの単価の中の大見出しとしての人件費、その中には今の所長、保母、それから庁費、調理費等の数字があるわけですね。それからさらに通常事務費の中には、備品から消耗品、修繕費、通信費、あるいは灯燃料、水道費、図書印刷費、旅費、その他のものが全部ありますね。

高田浩運厚生事務官(児童局長)

○高田(浩)政府委員 先ほど申しましたたとえば給食費でありますとか、庁 費でありますとか、そういうものはいわゆる予算の単価であります。それからいわゆる人件費、保母等の給与につきましては、それまで御承知のように現員現給制をとっておりました関係上、高いところもあるし低いところもあるし、そういうような状況であります。そういう現状というものを検討し比較して計算してみますと、大体今のような数字になる、そういうことでございまして、その人件費の分と、庁費あるいは給食費の分とは、性質は多少違うわけでありますけれども、計算の基礎としてはございます。

佐々木良作日本社会党

○佐々木(良)分科員 ですから、要するに厚生省の方で三十八億を要請される。そうして今度査定になった二十八億、その二十八億の内容の積み上げ作業が行われました。それらの平均の単価というものはずらっとあるわけでしょう。

高田浩運厚生事務官(児童局長)

○高田(浩)政府委員 先ほど申し上げましたように、三十三年度の予算が二十五億三千万円ということに対しまして、三十四年度におきましては二十八億五千万円ということでございまして、このふえた内訳は先ほど申し上げました通りでございます。従ってその前年の改革をやりました以後における内容というものは、先ほど申し上げたように、〇・五カ月の期末手当の増ということだけがプラスされるわけであります。

佐々木良作日本社会党

○佐々木(良)分科員 それを聞いておるのではないのです。私がこれから聞こうとしておるポイントは、三十三年度の改革によってどのようによくなっておるか、あるいはまたどこが不明確になっておるか。制度は改正されたように見えておっても、案外そうではなくて、御承知のような今の予算の単価のワクと、先ほどの最低基準のワクと、両方の縛りが現実にあるわけです。そうでしょう。今でも両方の縛りがあるわけだ。従って役所の方としては包括的に渡したような形になっておっても、内容についてはほとんど変りがないはずなんです。従来の場合には、単価に従ってその単価の内容をこまかく責任を持つ意味じゃないが、具体的にあったわけです。それが今度の改正によって、今言ったようなある程度の流用を認められたような形になって、そうして包括的に渡される。包括的に渡されるから、そこで適当になるんだというお考えなんだろうけれども、それが適当にならないおそれがあるというところをこれから聞こうと思ったわけです。従いまして、作業中にやられたものは、改正前と同じような形で、積み上げ作業が行われたに違いない。あるいは、その信憑性は別にいたしましても、二十八億の根拠がなければならぬと思うわけでありますから、従って、その確実さといいますか、拘束性といいますか、それは違ってきたといたしましても、人件費の内訳が今のような保母から所長、調理費に至りますまでの大体の見当がついており、事務費につきましても、各項目について見当がついており、それを合計いたしまして、そうして平均してぽんと割って、大体平均の目安をつけておられる、その積み上げ作業は地域別にも違う、これは承知なんです。そういうシステムになっておるんでしょう。従いまして、検討の材料として、私はその計算の根拠をいただきたいということなんです。しかし時間の関係がありますから、今すぐ出せないということでありますれば、この委員会が済んだあとでもけっこうなんです。しかし今のようなお話で、三十三年と比べて上っておる、何もあなたにそう言ってもらわぬでもここに書いてある。ちゃんと三つ書いてある。だからこの分のふえたことはわかっておる。ふえたことはわかっておるんだが、システムが違ったのにもかかわらず、そのシステムが変ったということで、保育所に対する責任はのがれられない。やはり同じように措置費として渡してそこで子供が預かられた費用が、そこから全部出されているわけあでりますから、従いまして流用がきくような形にはなっており、そして包括的に渡されたような形になっておるけれども、合計額なり、その単価の内容なりが多くふえておらなければ、前と同じことがあるわけでしょう。そのことを検討したいということなんです。従ってそういう資料を出していただけますね。

高田浩運厚生事務官(児童局長)

○高田(浩)政府委員 三十四年度の増額の内訳は、今申し上げた通りでございます。従ってその他の費用というものは、三十三年度と同じであるということでございます。これらの内容につきましては、あとお出しいたしたいと思います。

佐々木良作日本社会党

○佐々木(良)分科員 そこで厚生大臣にお伺いいたしたいのであります。この保育所の問題というのは政治の谷間みたいなもので、今、三十三年度の改革によりまして一応簡単化されたとは言い得ると思います。しかしながらそれは役所の事務の簡単化でありまして、実際のやり方というものは、ほとんど変り得ない状態になっておる。従いまして、そこでいろいろなこまかい問題が起きつつある。たとえば今例に出ましたところの保母を例にとってみましても、御承知のように平均にして七千六百円見当が、今お話がありましたように単価ワクに一応拘束されており、そして今度人数の方は基準のワクでしぼられておる、このワクの中で操作されておるわけであります。両方とも片一方は金、片一方は法律で縛られておる。そういたしますと、大体人数を動かすべからざることになってくる。そうすると第一に保母の問題として出てくるのは、だんだんと年月勤めておれば、ほんとうならば高くならなければならぬ、昇給しなければならぬ。しかしながら今のワクに縛られて昇給はできないということになっておる。しかも減員はできないことになっている。その関係とさらにもう一つ例をあげるならば、保母というのはやはり労働者でありますから、労働基準法の適用があるはずであります。そうすると当然にたとえば産前、産後の休みももらわなければならぬことになる。この産前、産後の休みをもらうことは、基準法に規定されておるところである。ところが休んだら、今のような実情では、ほとんど保育所の仕事ができない状態になっておる。この福祉法の最低基準のワクと、それから労働基準法の要請、この二つは、今のところ三十三年度の改革をなされたようには見えていますけれども、内容はほとんど変っておりませんから、従ってこの二つのワクから二律背反みたいなことになって、忠ならんと欲すれば孝ならず、孝ならんと欲すれば忠ならず、こういう実情になっておるのではないかと思いますが、御所見を承わりたい。

坂田道太自由民主党厚生大臣

○坂田国務大臣 ただいま佐々木員からお尋ねのありました点でございますが、今日の保育所問題はかなり行政の谷間になっておるということは、一応いえるのではないかと思います。しかしながら、本年度の予算におきましては、かように決定をいたしたわけでございますけれども、なおこの点につきましては十分今後とも研究をして参らなければならぬ多くの問題があると思います。私どもも国に帰りまして保育所等を見ました場合において、今お述べになりましたような関係から、保育所の保母さんなんかの人件費がくぎづけにされておるがために、結局配置転換もうまくいかない、あるいは安心して保育の仕事に没頭することもできないというようなことを、たびたび聞かされるわけでございます。私といたしましても、十分この点は留意いたしまして今後考えてみたい思っております。

佐々木良作日本社会党

○佐々木(良)分科員 実は、今の単価の内訳を聞いて、その一つ一つが昨年以来ほとんど実情に沿わない部分が相当あるはずでありますから、それでもってワクを縛ってはいけないのじゃないか。二、三の例をあげて具体的に——今の保母の例から始まって、通信費にいたしましてもあるいは教材費にいたしましても、採暖費にいたしましても、似たような問題がありまするので、私はそういうようなものを審議するのがほんとうは予算の審議ではなかろうかと思って始めようかと思ったのですが、役所の方が思いがけないような話で、出せば出せるような話で、当惑をいたしておる次第であります。時間の関係で縛られるならば、これはやむをないと思いますが、ただ、終りましてあと、社労なりその他の委員会で内容を十分承わりたいと思いますから、この委員会が済みましたら、今のような内訳をすぐ一つ局長の方はお出し願いたいと思います。それはおそらく局長自身が内容を十分承知しておられて、しかも予算要求をされて、削られて、多年の懸案になってておる問題だと思うのです。従って、それを全部出していただきまして、われわれ大いに手伝いをいたしますから、お願いをいたしたいと思います。  そこで、本論が抜けてしまったようなことになりますが、第二の問題といたしまして、今度の予算でCクラスの保育料の負担軽減を行うために、二段的な措置をとられたことを説明されたわけであります。この二段的な措置によってどの程度窮状を打開し得るか、私は非常に疑問だと思います。御承知だと思いまするけれども、昨年度の改革以来現実に低額所得者が保育料が払えないがために、園児の退園やら保護者の滞納やらが相当増加しておると思いますが、その辺の調査はできつつありますか。あるいは資料を整えつつありますか。

高田浩運厚生事務官(児童局長)

○高田(浩)政府委員 昨年の改革にまでさかのぼる必要はないと思いますけれども、御承知のように、保育所の費用につきましては、児童を出しておるいわゆる保護者の方から徴収し得る金額の徴収をする、こういうことになっておりまして、従来の制度が非常に複雑多岐にわたっており、実際上これの運用が現在の実情として非常に困難であり、しかもまた現われた結果といたしましては、あるところにおいては全体の費用の二四%しかとっていない、あるところにおいては六三%とっている。その間地域によって非常な開きがあり、非常な不公平な状態にある。従ってこれを実行可能なやり方にして明確化するということが、一つのねらいであったわけでございます。今回のみならず去年から四つの段階に分けまして、たとえばC階層については四百五十円というふうに出しておりますけれども、これはもちろん市町村と国との決済基準でございまして、実際に親から徴収する場合においては実情を考慮して、一方においてこれを引き下げ、一方においてはこれを引き上げるようにするということは、もちろん地方の実情にまかしてやっておった次第でございます。しかし今申し上げましたようにずいぶん徴収の率、状況において開きがございましたので、ところによりましては、従来徴収率の高かったところにおきましては徴収が緩和されたところもあるし、逆に徴収率が非常に悪かったところにつきましては、たとえばAB層が多かったところについては別でございますが、CD層が多いにかかわらず、しかもなおかつ徴収率が低かったというところにおきましては、これはおのずからまた徴収の強化になる、そういうような結果を惹起したことは事実でございます。その切りかえの過程におきましてそういうふうな過去との関係からいたしまして、ところによりましてあるいは摩擦があり、あるいはまた今お話のような退園の疑いなきにしもあらずというような点もありましたので、この辺は私どもとしても地方庁を十分指導督励いたしまして、摩擦等がないように努めて参ったわけでございます。児童福祉措置に欠くるところがないように努めて参ったのでございます。特にその関係で昨年の十月全国児童課長会議を開いて、地方の実情も聴取し、また趣旨の徹底をはかるということもいたしましたし、その後も引き続いてそういうふうな努力をいたしておるのでございます。ところによりまして退園をいたしたところも私ども承知をいたしておりますが、しかし一がいに、これは保育を受ける児童がこの改正措置を機縁として、保育料が払えないために退所をするというふうには言えない面も多々あることは、十分御推察のできる点でございます。この点につきましては結局措置の適切云云の問題とも関連をして考えなければなりませんので、一がいに世上いわるるごとく、これを機縁として集団退所が起った、そう単純には私どもは物事を考えていないのでございますけれども、いずれにいたしましても、保育を真に必要とする児童が放置されるということは、児童福祉上ゆゆしい問題でございますので、そういうことがないように十分気をつけて参っておりますし、今後もその点は気をつけて参りたいと考えております。

佐々木良作日本社会党

○佐々木(良)分科員 私はそういう抽象論を言っているんじゃなしに、三十三年の改革以来どの程度退園した子供があったか、さらにまた保護者の滞納分がどれくらいにふえておったか、その傾向を統計にとっておられるかどうか、さらに重ねて言うならば、元保育所におった子供が退園した後に、あっちこっちで事故を起しておるが、その事故発生件数等も調べておられるか、具体的なことを聞いているのです。

高田浩運厚生事務官(児童局長)

○高田(浩)政府委員 詳細の点につきましてはあとで申し上げたいと思います。

佐々木良作日本社会党

○佐々木(良)分科員 この内閣は調査内閣と言われるほど、いろいろなことを調査されようと企画されておられるのでありますから、従って厚生省でこれだけの改革をやろうと思うならば、その後の経過を十分に調査される必要があろうかと思う。現実にこの関係者は全国にわたって全部そういうことを調査しておりますよ。どれくらいの滞納があり、さらにまた子供がどれくらいやめていったかということも調べつつある。同時にまた出ていった子供が起しておる事故発生状況についても調べておられる。役所の方であなた方が知らなくて、抽象的にいい改革だったであろうと思うなんて言ったって、それは役に立たぬと思う。従いましてこれらを十分に早急に調査されて、いいところがあればなお助長すればいいんだし、悪いところがあれば改革するような措置を講ぜられるように特に希望しておきたいと思います。  その際につけ加えて申し上げておきたいと思いますが、今の滞納を中心とした保育料の負担軽減をなされるつもりであったのがなされない状況になったというのは、主としてCクラス以下に多い。しかもそれは御承知のようにりちぎ者の子だくさん、従いまして子供が多い。前の制度でいくと、御承知のような収入認定によって数十階層に分けたでしょう。その場合には子供が  一人あろうが三人あろうが、とにかくその世帯から出る費用は一つであったはずです。今度はそうではなくて、徴収額によって分けられましたから、従って二人子供が行っている場合には二人分を払わなければならぬということになっているはずです。それがりちぎ者の子だくさんという社会現象と一緒になりまして、特に低額所得者に対して相当な負担の転減ではなくて、増加になっている傾向が見られる。これらにきましても十分に調査をされて、次の措置を講ぜられたいと思うわけであります。  時間が来てしまいましたから中途半端になりますが、仕方ないので最後に  一点お伺いをいたしたいと思います。最後に入る前に、今いろいろ言われますけれども、要するに児童福祉法というのは、福祉国家という一つの理想形態を目ざして出発したわけであります。従いましてその法の目的に従えば、措置を要する子供については措置をしなければならないという社会的な命令を受けた法律になっており、しかも市町村長の認定によって入所をさせることになっております。それが今度の改革によって、ややもすれば希望によって、金のある者の方だけすればいいという方向に持っていかれつつある危険がある。児童福祉法に基いた保育所の根本原則がいつの間にか失われて、金のある保護者の希望によって預かればいいのだという方向に運営される危険性がある。これは法の根本的な目的に反するところでありますから、従って、今度の改革が事務の簡素化だけでなしに、まかした、まかしたということでありながら、予算のワクは握っている、最低基準は握っているということであれば、今のような結果になる危険性があるから、先ほどの予算関係並びに改革後の傾向を十分統計的に調べられて、内容を検討されて、対処されるように特に強く希望をいたしておきたいと思います。  最後に保育所関係の災害補償の制度について、一言お尋ねをいたしたいと思います。これはもちろん児童も含めば保母等の職員も含みますけれども、今度文部省で学校安全会法案というものを準備されておりまして、これが制定されるというふうに聞いておりますが、もしこれが制定されるようになりますと、御承知と思いますが、これまでは任意の加入でありましたから、事実上愛知県等の例を見ましても、保育園も入っておって、今度はそれが締め出される危険性がある。これに対しましていろいろな考慮が払われ、いろいろな運動が行われているように思いますけれども、厚生省は文部省に対しまして、前と同じような形で、保育所も幼稚園と同じ格好で安全法に加入できるよな措置を考慮されているかどうか。もしそれが考慮されていないとするならば、これらの災害補償に対する問題をどう扱われるお考えであるか。

高田浩運厚生事務官(児童局長)

○高田(浩)政府委員 最後の御質問にお答えする前に、ちょっと申し上げさしていただきたいと思います。  第一に徴収の点でございますが、これは従来ありました徴収基準、たとえばいなかにおきまして三人世帯で七千五百円の収入がありましたならば、五百円取らなければならない。そういうような基準よりも緩和した形において、実情を加味して先般の措置をとったわけでございます。特に従来の基準に比べまして、さきに改革をいたしました徴収の案というものが、徴収を強化したというふうには一がいには言えないのではないかと思います。  それから人員の異動でございますけれども、要するに低所得層が締め出されて、そうでない階層に入られる危険があるのじゃないかというようなお話でございますが、実情は、A、B、C、D層のうち、A層は生活保護クラスでございますが、A、B層がふえまして、CD層が減っている。そういうふうな現象になっておりまして、どちらかと申しますと、これは当初からのねらいでありましたけれども、低所得層の方がむしろふえている。そういうふうに実際の状況としてはなっております。A、Bがふえたと申しますのは、A階層というのは生活保護の階層、B階層というのは税金を何も納めていないクラス、C階層というのは、先ほど申しましたように市町村民税を納めているクラス、D階層というのは所得税を納めているクラスで、従ってA、B層がふえてC、D層が減ったというのはむしろ御質問の趣旨に合致している結果になっていると考える次第でございます。  それから調査等につきましては、もちろん地方庁から随時報告をとって検討いたしておるのでございますけれども、世上言われるがごときいろいろの現象というものは、私どもの承知している範囲内ではそう言われるほどのことではないと考えております。  それから災害補償の問題でございますが、これはもちろん保育所でございますから、災害が起きないようにすることが保育所の仕事でございますし、私どもとしてはそういうような方向で十分、指導、監督いたしたいと思いますが、しかし現実に絶無というわけには参らないのが実情でございますので、これの提出については従来関係者から要望のあった点でございますが、ただいま提出されております文部省からの法案というのは、結局義務教育の児童を中心にして幼稚園の児童を含めてやる仕組みになっているのでありまして、これを保育所の関係についてどうするかということについては、現在保育所におきます事故の実情等を考慮して十分今後検討いたしまして、災害に対する手当を行なっていきたいと考えております。

佐々木良作日本社会党

○佐々木(良)分科員 それは答弁になっておらぬじゃないか。私が聞いているのは、学校安全会法というのができて、従来の任意設定のときには保育所も入れたのが、今度文部省所管だけになって保育所がはみ出したんだ。従って義務教育者が中心になっておることはわかっていますよ。しかしこの安全会法には幼稚園も高校生も入れることになっているのに、保育所だけが所管が違うということではみ出したわけだ。従って厚生省の方は従来と変りがないんじゃない。従来の任意設定の場合に比べるとマイナスの点ができるのです。従来、任意設定の場合には、愛知県等においては保育園も入っておった。それが今度法案化されると文部省だけに入れてしまうから、厚生省が入れなくなる。従来より悪くなるのです。従って従来と同じようにしようというならこの法案の中に保育所も入れるようにしなければならぬ。そして、どうしても所管争いでこれが具合が悪いというなら、何か方法を考えなければならぬ。そう言っているのです。

高田浩運厚生事務官(児童局長)

○高田(浩)政府委員 当面の問題としては、これは事実上の措置として、従来のやり方を踏襲して、保育所だけは維持していけるように指導していきたいと考えております。

佐々木良作日本社会党

○佐々木(良)分科員 それでは大臣から承わりたいのですけれども、そうすると今の安全会法の中に保育所も入れるように措置するということで了解してよろしいですか。

坂田道太自由民主党厚生大臣

○坂田国務大臣 この安全会法案は、御承知のように一応学校教育という立場からあの法案が提出をされたという形でございますので、法といたしましては一応保育所は除外をされておるというふうに承知をいたしておるわけでありますが、ただいま局長から答弁をいたしましたように、相関連する問題でございまして、愛知県等においてはすでに任意適用を受けておる会が現に存在をいたしておるわけであります。この点につきましてはさっそく打ち合せをいたしまして、もし同法案におきましてこのような措置がとり得るならばとりたいというふうに考えておるような次第でございます。

佐々木良作日本社会党

○佐々木(良)分科員 最後に伺いますが、御承知のように保育園だけだと、保険経済上の事実上の建前からこれはできない。従いまして従来はその学校の関係と一緒にして任意加入をしておったわけです。従いまして法律から締め出されて、今局長が言われるような形で締め出されたままで、保育所だけで似たような災害補償の制度を作れといいましても、それは人数が少いのと、それらの関係から保険経済上の事実上の建前からほとんど不可能に近い、それを前提にして少くとも前よりもマイナスのような状態が出ないようにしようと思うならば、私はこの安全会に入れるような法的措置が必要だと思います。法的措置がとられない場合には今のところほとんど不可能ですよ。そのことを十分にお考えになりまして、そうして文部省と厚生省との所管争いみたいなことでなしに、同じようなことですから、含められるように一つ厚生省でも努力されるように特に希望しておきたいと思います。時間がありませんので、これで打ち切ります。

綱島正興自由民主党

○綱島主査 柳田君。

柳田秀一日本社会党

○柳田分科員 もし大臣ほかに御用がありましたら、私は分科会ですから政府委員から承わりますから、すぐまたお戻りにならないでもけっこうであります。  新しい国民健康保険法案が本年一月一日から実施されましたが、これは昨年末厚生省もやきもきして、われわれ社会党の国会対策へ来て、この法案を早く上げてくれということでずいぶん厚生省側からも御要求がありました。わが党は非常に不満でありました、不満であって、結果は本会議においては反対せざるを得なかったのでありますが、しかし何といってもこれは国民皆保険の母体になるものでもあり、少くとも国民皆保険に一歩進めるということに対しては、われわれはこれに全面的に賛意を表しておる。しかしながら的社会党が少くとも反対せざるを得なかったということは、何といっても療養給付に対する国庫負担が、たった二割であるというところに一番大きな原因があった、ほかにも原因があったのですが……。そこで真に果してこの二割というものが確保できるかどうか。昭和二十七年でしたか、二十八年の初めでしたか、山県厚生大臣のときに初めて国民健康保険に国庫補助の道が開かれたのですが、このときも二割ということは大体きまっておりましたが、実質は二割を割っておるわけです。そこで昨日の説明を承わりましても、百三十七億円ほどで、前年度から約五十四億円ほどが療養給付費あるいは補助金、財政調整交付金でふえておるのですが、実質的に療養給付の費用の二割が決算的にもきちっと確保できるかどうかということ、まずそれを承わっておきたい。

太宰博邦厚生事務官(保険局長)

○太宰政府委員 それは今度の新しい法律の七十条によりまして、その費用の十分の二を国が負担するとはっきり明言いたしておるのでございます。従いまして、私どもも予算措置に当りましても、それに合うだけの予算を計上しておるわけでございます。なおそれは実際の実績によりまして、足りないことが生ずることもあると思います。その場合においては必ず次年度におきまして、これは補正予算において精算する、こういう建前をとってきております。

柳田秀一日本社会党

○柳田分科員 そこで今御引例になりました七十条でありますが、こういうことは政令にゆだねられておるのですが、その政令でございますが、これは大体いつごろ公布されますか。

太宰博邦厚生事務官(保険局長)

○太宰政府委員 ただいま準備中でございまして、非常におくれて申訳ないのでございますが、なお今年度内には十分間に合いますから、もうそう長くなく政令が出せると思います。

柳田秀一日本社会党

○柳田分科員 そうすると、今の局長の御答弁では、大体結果的には精算交付方式をとるというわけですね。さように了承していいですね。

太宰博邦厚生事務官(保険局長)

○太宰政府委員 足りない場合は精算いたします。

柳田秀一日本社会党

○柳田分科員 そうすると国民健康保険法によりましても、国民健康保険というのは市町村が実施する場合もあるし、また健康保険組合というものが実施する場合もあるのですが、これは全部ひっくるめて調整交付方式ということで了解してよろしゅうございますね。

太宰博邦厚生事務官(保険局長)

○太宰政府委員 その通りでございます。

柳田秀一日本社会党

○柳田分科員 それじゃ確かめておきますが、市町村に対しては二割負担となって、これは精算交付式でもしも足らざるときにはそういうふうにきちんと精算する。また同様に私今確かめましたように、国民健康保険組合というものに対しても、これは当然今のお答えの通り精算交付方式によってやる、さように再確認してよろしゅうございますか。

太宰博邦厚生事務官(保険局長)

○太宰政府委員 ちょっと御質問の趣旨をとり違えておったのでありますが、組合に対する補助でございますね。この点は七十三条に規定がございまして「十分の二を補助することができる。」こういうことになっておりますので、先ほどの市町村に対して国が負担するというのとは違う点が出て参ると思います。

柳田秀一日本社会党

○柳田分科員 そうすると、市町村と組合とそういうふうに分けられた理由はどういうことです。

太宰博邦厚生事務官(保険局長)

○太宰政府委員 これは国民皆保険計画を実施いたして参ります場合において、何と申しましても、基本はやはり市町村にあろうと思います。市町村がその住民の福祉のために、かような国の手当も入れまして、健全なる運営を確保して参りますためには、国がやはりその責任としてそれだけの十分の二なり何なりというものを分担する。これはやはり国の責任という意味において明確にしておく必要があろうかと思います。  それからこの組合の方の関係は、これは柳田委員御承知の通り、当然その市町村の国保に入ることはできるのでありますが、それはやはり同業の方々が集まって、一つの組合として自主的な運営と申しますか、そういう意味において運営していく。これもいわゆる皆保険思想、社会保障の思想を徹底し、また自主的の運営によってこの運営もうまくいく、こういう点もあるから、従来からそういう組合というものの存在の意義を認めておるわけでございます。従いまして、そういうようなものにつきましては、国も若干の手伝いをすると、いうことは、私はあるかと思うのであります。それで今度のこの新しい法律につきましても、そういう組合に対しましてもその十分の二を補助するという建前をとっておるわけでございますが、市町村の場合におきましては、国の方はやはり社会保障を実施いたします最終責任者という建前からして、これは負担するという義務的な規定をここに置いたわけでございます。組合の方は、ただいま申し上げましたような趣旨から申しまして、これを国の義務的な負担とするということは妥当ではあるまい、かようなことから「補助することができる。」こういうふうにいたしたのであります。

柳田秀一日本社会党

○柳田分科員 今局長の答弁で、国の補助の場合で、組合は二割以内というふうに言われましたが、これは審議の過程において二割以内の以内は削ったのですから、あなた方頭の中にあるからつい出てくるのでしょうが、これは速記録に載っておりますから、あとで一つ御訂正になっていただきたい。  そこで私は、その国の負担の二割も決して多いとはいえない。だから社会党は反対したのです。たとい組合が自主的におやりになるのでも、市町村と違うことはよくわかります。また国民皆保険の実施母体を市町村がやることもよくわかるのですが、二割そのものが多くないのに、さらに補助することができるということで、まあ暗に二割を割ることはいたし方なかろうというようなにおいのある答弁は、二割そのものが多いのじゃないのですから、これは明確になぜ負担とされなかったか。かりに法律では七十条、七十三条で、片一方では「負担」片一方では「補助することができる。」となっておっても、実質的には二割くらいをお出しになることは、これは国民皆保険を推進していく上に、これは最小限度——これはミニマムに至っておらぬと私は思うのですが、そのくらいのことは持たれてもいいと思うのですが、どうですか。

太宰博邦厚生事務官(保険局長)

○太宰政府委員 まあ二割の国の負担が必ずしも十分でないという御議論は、伺っておることもございました。しかし御承知の内閣に設けました社会保障制度審議会の答申によりましても、これは国が三割というふうにいっておりますが、それは同時に給付の方も大体七割ほど交付する。つまり一部負担の方は三割程度に下るというふうなことが相伴って、答申なり勧告が出ておるわけであります。今日私どもも、国民健康保険制度がほんとうに普及しますためには、今の大多数が五割給付であるということは決して満足すべきものではない。まあ何と申しましても制度に魅力を持たせますためには、やはり七割くらいの給付に持っていきたいと思っておりますが、直ちにそこまで持っていくということは、いろんな事情がございますから、これはなかなか困難であります。しかし政府といたしましては、できるだけそういう方向に持っていくという意味において、三十二年度予算からこの二割はすべての保険者に国が義務的に負担する。それにプラスいたしまして五分の調整交付金制度というものを設けまして、この制度の活用によりまして、財政の苦しいところも考えまして、また同時に保険者の中でも給付率をよくしていこうという者がありますれば、そういう点も考慮して、この五分の調整交付金で、そういうふうに全面的に保険の給付内容を充実していく、こういう考え方でおるわけでございます。従いまして、この市町村の場合におきましては、そういうような国の責任を明らかにすると同時に、市町村の方においても御承知の第三条におきまして「国民健康保険を行う」こういうふうにしておりますので、これは国がそれを負担するという建前になっております。それから第三条の二項におきまして「国民健康保険組合は、この法律の定めるところにより、国民健康保険を行うことができる。」これは義務づけているわけではない、先ほど申し上げましたように、同業の方々や何かが集まってやろうじゃないかといった場合に、それがうまく乗っていくということになりますれば、これは私どもとしてとてもけっこうだという意味において、私どもはこれを法律の中にも取り入れておるわけであります。従いまして、これと先ほどの基本になります市町村の実施を義務づけられている場合とは、これはやはりそれに対する国のてこ入れの方法といたしましても、若干のニュアンスの差は、今日の段階においては私は考えられない、かように考えております。

柳田秀一日本社会党

○柳田分科員 資料によりますと、本年度は年間三千六百万人から三千九百万人へ三百万人くらいの被保険者の増を見ておりますが、この三百万人増の根拠ですね、これはどういうところから。

太宰博邦厚生事務官(保険局長)

○太宰政府委員 大体計画は、私ども三十五年度末までの間にいわゆる皆保険計画を達成するために、その中軸といたしまして国民健康保険の実施を計画的に進めておるわけでございます。それはただ数字的にどうこうということではございませんで、各府県を通じましてそれぞれの市町村に、その実施をなるべくすみやかにやるようなことを指導しかつ御相談申し上げておる。そういう各市町村におきましても、大体国の方針がそういうことでありまするならば、また自分のところの市町村民の福祉が増進することでありますので、非常に協力してくれているわけでございます。しかしながらそのやる順序にはやはり市町村財政なりいろいろな都合がありますので、段階があるだろうと思います。その段階を私どもでいろいろ調査いたしまして、大体三十三年度に実施していただけるものは三十三年度に、それから三十四年度の分につきましては三十四年度に実施していただけるというような私どものそういう見通し、今までの御相談から、そういうものを含めまして、大体先ほどの年間平均三千九百万人というものを出したわけであります。

柳田秀一日本社会党

○柳田分科員 国民皆保険四年計画の第三年目ですが、三百万人の増を見込まれたのですから、当然各都道府県から集約をされて大体三百万人というものをはじかれたと思うのです。従いまして今ここで御発表を願えればけっこうと思うのですが、各都道府県別に、大体増加の積算根拠があると思うのですが、そういうものはありますか。

太宰博邦厚生事務官(保険局長)

○太宰政府委員 ちょっと精細なあれは今手持ちがございませんが、たとえば三十四年度の国保開始の私どもの今予定しております——まあそこで大きな主要都市の分を私どももくろんでおりますが、これによりましても大体五百二十四万人ほどを都市部として私ども予定しております、四月から来年の年度末までの間に。そういうような点からいたしまして、私どもといたしましては、これのほかになおいわゆる郡部の方でもやって下さるところがあるだろうと思うのです。もちろんこの都市の中には百パーセント全部やっていただけるかわからない、あるいはずれが出るかもしれません。そういう点から多少の出入りはございますけれども、私どもといたしましては計画は十分達成できる。それから三十三年度分につきましては、もうすでに私どもの方が、昨年の十一月末現在におきまして三百八十万でございましたかの実施を見ておるのでございます。それ以降年度末までの分を予定いたしますと、三十三年度の計画は大体予定通り実現できる。こういうような点を考えましても、三十四年度以降においても皆様方の御協力を得られるならば、順調に私はできるものと考えておるわけであります。

柳田秀一日本社会党

○柳田分科員 後ほどでけっこうですから、やはり各都道府県別、さらにおもな大都市別の三百万人の根拠を一つ明らかにしてもらいたい。そこで国民皆保険を推進したいがために私が一番憂えるのは、四カ年計画の三年目くらいまでは比較的順調に伸びてゴールへ行ったが、手前で息切れして、そこでとまってしまうということを一番心配しているわけだ。特にこれは五大都市といわれるところ、そういうような大きなところでは、なかなかこれは実施困難だろうと思います。三十二年度から三年度、三年度から四年度と、このカーブで伸びましたから、これでいくとは思わない。ここでもう頭打ちをして、あとはもう伸びないだろうということを心配しているわけです。そこで最初に戻りまして、国民健康保険組合の設立されておるところは、今局長がおっしゃる都市部ですか、郡部ですか、大体どういうところですか。

太宰博邦厚生事務官(保険局長)

○太宰政府委員 大体都市が多いと思います。

柳田秀一日本社会党

○柳田分科員 そこで私が質問したのは、結局最後になって息切れするのは大都市なんだ。ここで私はおそらく国民皆保険はもう頭打ちをしゃしないかと非常に憂えているのです。ところが、ここで一応便法といえば便法、本来からいえば、国民皆保険をするならば、国民健康保険の実施母体というものは市町村がやるべきだが、大都市等の特質的事情をかんがみるならば、やはりここに国民健康保険組合の存在価値というものも、あながちこれは今局長の言われるような考え方では私は済まされぬと思う。補完的作用といえばこれは少し言い過ぎになるけれども、おそらく最後になってくると、国民健康保険組合というものをある程度助長することによって、一番隘路であるところの大都市の方の国民健康保険が、国民皆保険の実をあげるときに非常に大きな要素になってくるということを私は予想するわけです。そのときに国民健康保険組合と市町村と、こういうふうに負担率あるいは補助率、あるいはその法的措置等寸において明確に差がつくということは、一番憂えるところの国民皆保険に対してはこれはガンになってきやせぬか。むしろこの際私は国民健康保険組合へも市町村同様くらいの国の明確な、負担と補助というような法律用語はともかくとして、実質的に精算方式で二割、療養給付費の二割は少いのですから、それくらいは確保して、ある意味においてはそれを助長することが、結局厚生省が考えておられるところの国民皆保険をむしろ側面的に援助することになりはせぬか、私はそこを考えるから最初にそういう質問をしたのですが、これに対して局長どうですか。

太宰博邦厚生事務官(保険局長)

○太宰政府委員 基本的には私どもは、ただいまはやはり市町村の線で、これを中心といたしまして皆保険計画を実施していかねばならぬ。それから実際にもおそらく——おそらくといっても東京都が大都市で一番多いわけでございますが、これが三十四年度の十月には実施に相なるものと私どもは今までのあれから考えております。引き続きまして他の大都市がこれにならって実施されるというようなことで、三十四年度、三十五年度と終りの方になりました場合に、実施が困難になるんじゃあるまいかという御心配でございますが、これは私どもも実は過去においてやはりそういうことを心配したこともございました。しかし今度の新しい法律の制定によりまして、先ほど申し上げた二割国庫負担、それから調整交付金五分、こういうことで相当市町村の財政その他にも、事務費の問題なんかでも国庫負担の増がございます。こういうような国のてこ入れによりまして、相当今まではいろいろな点で足踏みしておった各市町村も、最近非常に積極的にあれを持ってきたように思いますので、私どもの計画は達成できるというふうに考えておるわけであります。その場合におきまして、組合というものの取扱いでございますが、私どもとしては、やはり市町村が何としても中心になる、それと組合というものが全然同じでなければならないというふうには感じていないわけでございます。しかし、療養給付費というようなものにつきましては、やはり市町村でやります場合にも、組合でやります場合にも、二割は何とかして確保したい、かように考えております。

柳田秀一日本社会党

○柳田分科員 同じでなければならぬと私も言ってはおらぬのです。二割そのものが少いのだから、二割が割れるようでは国民皆保険にならぬから、少くとも調整交付金もあって、二割あるいは二割以上になるんだから——少くとも、アット・リースト二割を割るようなことがあってはならぬ。そういうようにしたらどうかと言っておるのです。そこで、三十四年度の予算で療養給付費の補助金の総額は大体百四十億円でありますが、この百四十億円を市町村分と国民健康保険組合分に分けるとどうなりますか。

牛丸義留厚生事務官(保険局次長)

○牛丸説明員 市町村に対する負担金の総額は、大体百三十五億円くらいでございます。それから組合に対する補助金の総額は四億五千万程度でございます。

柳田秀一日本社会党

○柳田分科員 たった四億五千万でしょう。百四十億の四億五千万、せめて二割くらい、調整精算交付方式にしたところで、あるいは一番悪い場合には、予算だけきめておいて、そうして打ち切り補償になるかもしれない、それにしたところで、百四十億の中のたった四億か五億までのものでしょう。これが打ち切り方式となって、そうして実質は一割八分とか一割七分——従来の国民健康保険、市町村分でもそうだったんです。そういうことに厚生省ももう少し親心を持ったらどうかと思うのです。厚生省の方では、むしろそこまでいきたいらしいのだが、そこに鳩山主計官もおられるが、どうもそちらの方から半畳が入っておるようです。鳩山主計官、ちょっと説明して下さい。

鳩山威一郎大蔵事務官(主計官)

○鳩山説明員 ただいま御質問の点につきましては、実は厚生省の御当局の方と相談中でございます。法律を作ります段階におきましては、先ほど保険局長から御答弁がありました通り、やはり皆保険の実施地帯としては、市町村が中心になっているべきであるというような思想に立ったわけであります。そのような法律構成をとったわけでございますが、組合の実態につきましてただいまいろいろ検討を加えております。組合の運営と市町村が運営する場合、やはり公共性という点で相当違いがあります点、それから一人当りの給付から申しますと、組合の方は何としてもやはり全体的にその所属の階層のレベルが高い方が多い。一がいには申せませんが、同じ場合、地域保険に加入した場合には、国民健康保険税というものが所得の高いものには非常な高率になっております。そういうような点から総体的に見まして、市町村に対する一人当りの国庫負担、組合に対します一人当りの国庫負担、こういうものを比べまして、組合の方が相当高いということは、またいかがなものであろうか、組合の給付の額をいろいろ検討いたしておりますが、その辺が総体の二割ということは——もちろん三割に引き上げろというような御意見もございまして、これを高いというふうに考えているわけではありませんが、両者のバランスというものもやはりある程度考える必要があるのではあるまいか。そういうような点から、今後組合に対して国がどの程度監督できるかということも考慮に入れまして、やはりある程度——実績で完全に精算するという方針をきめるのもどうかというようなことで、厚生省の当局と御相談いたしました。もちろん従来よりもよくなるような方式で、しかも通常の場合二割を補助するという建前を貫きまして、なお極端なところには若干制限的なことも設けた方がいいのではあるまいかというようなことを御相談したわけであります。

柳田秀一日本社会党

○柳田分科員 従来の実績で、予算の範囲内で補助されたわけですが、実質的には二割を出るわけがない。一割何ぼくらいになったと思いますが、三十一、三十二、三十三年はどのくらいになっておりますか。

牛丸義留厚生事務官(保険局次長)

○牛丸説明員 大体一割五、六分でございます。

柳田秀一日本社会党

○柳田分科員 だからやはり羊頭狗肉のようなことになる。二割と書いても実質は一割五、六分です。一割五、六分では国民皆保険にならぬ。だから、市町村は二割だが、二割では少いのだから、少くとも健康保険組合も二割くらいは確保しておいて、その上に市町村を、われわれが言ったように、あるいは社会保障審議会から答申があったように、二割あるいはそれ以上というところに持っていかなければ、国民皆保険、国民皆保険と名ばかりは宣伝するけれども、実際は一割五分くらいの補助ではなかなか国民音保険とは申しにくい。押し問答になりますが、特に大都市においては、これがおそらく最後にネックになってくると思うのです。そういう意味において、むしろこういう同種同業のものの国民健康保険組合は、もっと積極的に助成する必要があると思う。この点、理想はお前の言う通りだが、財布がそうはいかぬとおっしゃるかもしれませんが、それはものの考えようで、出す気なら出せると思うのです。これは強く要望しておきます。  私は、昨年末の国民健康保険の法改正で大きな収穫があったと思うのです。特にこれは附帯決議で明らかになったのですが、国民皆保険になってくると、その診療を担当する実体は医師である。そしてその医師の身分、権利義務を規定した医師法と、またその医師が勤務する場所、病院、診療所を規定した医療法、そうして国民皆保険の健康保険あるいは国民健康保険等の、この間の思想体系というか、医療体系、根本理念がむちゃくちゃになっておるという点がやや明らかになりかけて、これに対しては、今度予算措置をとって期間をかけて検討されるようになっておると思うのです。これは、私はある意味においては従来の厚生省の怠慢であったと思うし、ある意味においては審議した立法当局もそれに対する検討が不十分であったということも言えると思うのです。そこでお尋ねしますが、医師法によると十七条で「医師でなければ、医業をなしてはならない。」と書いてある。医業というのは、定義はどういうことですか。——これは保険局長じゃなしに、医師法だから医務局長だろうな。まあ保険局長としての医業の定義解釈を聞きましょう。それから所管局長である医務局長から答弁を聞きます。

太宰博邦厚生事務官(保険局長)

○太宰政府委員 医を業とするものでございます。

柳田秀一日本社会党

○柳田分科員 それが医業、なるほど医を業とするのが医業。そうすると、医療法の一条では病院、診療所というものを定義しております。「病院」とは、医師または歯科医師が、公衆または特定多数人のため医業または歯科医業をなす場所である。その医業というのは医師以外の者はやれない。診療所も大体同じことが書いてある。ただベッド数がどうこうとか書いてある。ところが現実の病院または診療所において、医師以外の者が医業をなしておると私は思うのですが、これはどうですか。

森本潔厚生事務官(大臣官房長)

○森本政府委員 医師法によりますと、そういうことはできないことになっておりますが、おそらくないと思います。なお所管の医務局長が参りましてから、詳細お答えいたしたいと思います。

柳田秀一日本社会党

○柳田分科員 それでは病院の開設者あるいは管理者というものと、それから医業をなす者の実体との関係はどうなりますか。

森本潔厚生事務官(大臣官房長)

○森本政府委員 開設者と申しますのは、病院を開いてそれを経営するものでございまして、これは必ずしも医師でなければならぬということはございません。それから現実にその医療機関におきまして、医療行為をする者は、これは医業でございますので、医師でなければなりません。

柳田秀一日本社会党

○柳田分科員 そういうことになってくると、医師でなければ医業をしてはならぬというかわりに、医師でなければ診療をなしてはならぬ、それで私は十分だと思う。医業というのは経済行為ですから、医師でなければ診療をしてはならぬと書くなら話はわかる。その間の区別が非常に不明確なのですが、これは医務局長が来ませんか、ちょっと待ちましょう。

池田清志自由民主党厚生政務次官

○池田政府委員 今のお尋ねは、医療制度の根本にわたる問題でございますが、官房長からもお答えを申し上げましたように、病院、診療所等の開設につきましては、必ずしも医師に限定をいたしておりません。病院、診療所を管理する者は必ず医師、歯科医師でなくちゃならないというふうに法定をいたしております。なお病院、診療所で診療をなす者は医師あるいは歯科医師でなくちゃならない、こういうわけであります。ところが医業をなすことは医師、歯科医師である、こういうわけです。たまたま医業というのでありまして、医の行為を反復継続いたしまして、いわゆる業態と認められる度合いのことを医師、歯科医師が専門にやることに法定されております。単に診療をしちゃいかぬと申しますと、たとえば私がここを切った。これに隣におる人が包帯をして下さる、これも一個の診療であるわけです。そういうようなことは、いまだ業態をなしておりませんのですから、そこまで医師、歯科医師に専門的にやらせるということは法律にきめていない、こういうわけであります。

柳田秀一日本社会党

○柳田分科員 厚生政務次官は、かつて内務官僚として医師法等にも関係されたので、私はごたんのうだと思うのですが、しかしここは非常に不明確なんです。これは今あなた方がどうにか答弁されておりますけれども、非常に不明確なんです。医師でなければ医業をしてはならぬ、医業というものは医をもって業とする、そういうような、雨が降ったら天気が悪いというような保険局長の答弁では、私はそんなものは法律用語の解釈にならぬと思う。医業というものは、少くとも医をもって業とするというのではなしに、医師が行う診療行為をもって、やはりこれは一つの経済行為をやっておるわけです。ところがその後にこの医師法というものは途中で国民医療法になったりなにかしたが、明治三十何年にできた。そのときにはまだ健康保険も国民健康保険もできていなかった。国民皆保険の事実もなかった。だから医師法で足りたのです。医師でなければ医業をなしてはならぬ。またそのときには病院というものは非常に少かった。だから医師でなければ医業をしてはならぬというのが昔から一貫した思想です。そこに持ってきて、その後病院形態というものがどんどん入ってきた。そうすると、この病院形態の病院開設者といいますか、医師でない、そういうものが出てきた。そうしてその医師でないものが病院、診療所を経営しておる。これはやはり医業です。これは明らかに医業です。そこで医師法と抵触してきた。そこに持ってきてこんどはたくさんの公的医療機関というものが出てきた。あるいは国の病院も出てきた。あるいは今度いわゆる健康保険等で保険医療機関というものが出てきた。そうなってきて、ここに雑然と法的体系というものが、思想体系が全然乱れてきたというのが実態なんです。だからこそ附帯決議であなた方の方も予算措置をとって、その問題にメスを加えようとしておるのですから、もう少しこの問題は根本的に解決を加えなければ今度の国民健康保険法の改正に当って、医師は療養を担当する、病院の開設者、管理者は療養の給付を取り扱うだとか、そういうようなむずかしい言葉を使うことはなかったと思うのです。またこの医師法にしても、国民健康保険法にしても、健康保険法にしても、一には医療といい、診療といい、療養といっておる。それでは聞きますが、診療と医療と療養と、日本語は不明確ですから、私もこの間から自民党と折衝しておりますが、非核武装の決議案でも日本語の不明確さに困ったのです。やはり条約等でも条約案文の解釈がわからぬというような場合には、日米両文とか、あるいはその国の用語で、そしてそれでもなお疑義が起きたときにはどっちかの言葉を使うというようになっております。だから医療という言葉と療養という言葉と診療という言葉を、かりに英語でもドイツ語でもけっこうです。一つ英語でやって下さい。

太宰博邦厚生事務官(保険局長)

○太宰政府委員 どうも英語が十分できませんので、調べてあとで申し上げますが、そういうことを抜きにしまして、国民健康保険法の立法の際に、療養は国民健康保険医が担当する、こういう規定があるわけでありますが、この場合の療養というのは、診療及び調剤、つまり事実上医師がその責任において行う医療行為をこの場合療養という、こういうことに申すことに私どもは解釈しておるわけでございます。従いまして言葉が療養といい、また健康保険法では診療、調剤というような言葉の使い方が必ずしも同一でない、こういう点については、御意見が出るのは私は筋かと思います。かような点につきましては、御指摘のように根本をだんだん尋ねて参りますれば、やはり医師法、医療法というものが今日におきましては何らかの検討を加える必要ができておる、そういうようなことも私どももだいぶ感じておるわけであります。御指摘の医療制度調査会を予算において御審議願っておるわけでありますが、そういうものができましたならば、そういうものでこういうような問題を含めて調査して、ほんとうにすっきりしたものを作って参りたい、かように考えておる次第であります。

柳田秀一日本社会党

○柳田分科員 英語ですぐお答えできなければ、医療と療養ではどう違うか、これはどちらも法文に出てくるのです。言葉を使い分けされたところは、やはり概念というものがおのずからあって使い分けされるので、医療と療養はどう違うか。

太宰博邦厚生事務官(保険局長)

○太宰政府委員 国民健康保険法では医療という言葉は使っていないと思います。

柳田秀一日本社会党

○柳田分科員 ほかに医療を使ったところがあるでしょう。医療機関とかその医療と療養とどう違うか。

太宰博邦厚生事務官(保険局長)

○太宰政府委員 その言葉の点につきまして、医療という場合はどちらかと申しますれば、これは私の今の感じでございますから、そんなことを申し上げてははなはだ恐縮であると思いますけれども、それは若干その辺に幅の根拠があると思います。それはやはり先ほど申し上げましたように、そういう言葉がいろいろ法律の中に出てくる。法律用語としてはなるべく統一する。世間で使われてる概念、常識的な社会通念による概念、そういうものとのにらみ合せにおいて、これはなるべくすっきりしたものにしていきたい。そういうような面につきましては、先ほど申し上げました医療制度調査会において検討していく。それはお話のように単なる言葉だから言葉の魔術で逃げる、そういうようなことはよろしくないと思いますので、これは十分検討してすっきりしたものにしていきたい。

柳田秀一日本社会党

○柳田分科員 医療と療養、これはちょっとはっきりした区別が御答弁できない。どうも療養と医養はやはり多少ニュアンスが違うようにわれわれは考える。療養の中には医という行為以外のこともちょっと入ってくるようにわれわれは常識で考えておる。医療と診療はどう違うか、これはおそらく答えられぬと思う。このように言葉というものはやはり概念から出てきておる。それを法律の中にむやみやたらに雑然と持ってこられたのは、厚生当局が今日の国民の医療をどういうふうに持っていこうかという確固たる根本的な考え方が、統一されておらぬというはっきりした証拠だと思うのです。こういう考え方でこられるものだから、医師法も医療法も、国民健康保険法も健康保険も、ごちゃごちゃになってきておる。これは厚生省の怠慢だと思う。こういう問題に対しては少くとも厚生省は、保険局も医務局もみんなの間で一ぺん思想統一をされて、こういうような混乱を起さぬようにしなければならぬ。国民皆保険ということになってきますと、健康保険法、国民健康保険法を離れて医師法も医療法も存在しない。そのときに医師法と医療法に規定してあることと健康保険法、国民健康保険法において規定したことが、木に竹を継いだようなことになっては国民皆保険の実が上らない。国民皆保険の実を上げるには、療養担当者と被保険者あるいは保険者というものが三位一体でなければ円満な運営ができない。今回政府もそこに気づかれて、審議会なんか設けられるのですから、よほど腰を入れて、ほんとうに国民皆保険の実の上るように努力されんことを私は要望しておきます。きょうは医務局長は来ておりませんので、保険局長にかわって答弁していただきましたが、あるいは医務局長はまた別の角度から答弁されるかもしれませんが、それはやめましょう。

池田清志自由民主党厚生政務次官

○池田政府委員 ただいま柳田さんから根本的な御発言があり、しかも御鞭撻を賜わりまする、むしろ激励の御発言がありましたことを感謝申し上げます。  御指摘の通り、医師法を初めといたしまして、社会保険の関係法やあるいはまたこの国会で成立させていただきました国民健康保険法などにおきまして、用語が統一を欠いておるのであります。法律の用語でありますから、その内容がきちんとしておるはずであります。内容がきちんと同じでありますならば、同じ法律用語を用うべきであります。この点につきましては御指摘のこともございまして、私ども厚生省といたしましても、省内にそういうような研究をいたす機関を設けまして、せっかく努力をいたしておるところでありますし、さらにまた医療制度調査会というものもその設立をこの国会でお認めいただきました後におきましては、この機関に諮りましてしかるべく解決を進めて参りたいと思いますから、一つ御了承お願いいたします。

綱島正興自由民主党

○綱島主査 以上で昭和三十四年度一般会計予算、同特別会計予算中、厚生省所管に関する質疑は一応終了いたしました。  明日は午前十時より開会いたし、労働省所管に対する質疑を行うことといたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後二時十七分散会

国会会議録検索システムで原文を見る ↗