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31回国会衆議院1959/02/26

予算委員会第一分科会 第2号

発言数
218
登壇者
21
会派数
2
開催日
1959/02/26

会議録

田中伊三次自由民主党

○田中主査 これより第一分科会を開会いたします。  昭和三十四年度一般会計中、皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣及び総理府所管、昭和三十四年度特別会計予算中総理府所管を議題といたします。  これより質疑に入ります。川崎秀二君。

川崎秀二自由民主党

○川崎(秀)分科員 国会の議院運営委員以外には一般議員はあまり知らぬものですから、少しこの機会に伺っておきたいと思うのであります。  衆議院の庶務部長に伺いますが、衆議院議長の公舎、それから参議院議長の公舎は、今度の予算に計上されていると思いますけれども、いつ工事に着手をして、完成をするのか。

知野虎雄衆議院参事(庶務部長)

○知野参事 ただいまお尋ねのございました衆議院及び参議院の議長公邸でございますが、これは現在進駐軍が入っておりますジェフアーソン・ハイツの跡に、撤収後に建てる予定になっております。大体現在のところでは、三月一ぱいをもちましてこの撤収が終りまして、あそこに建っております建物を大蔵省の方で払い下げ等をいたしまして、それが大体六、七月ごろまでかかるのじゃないかと思われますが、衆議院におきましては、先般庶務小委員会等の御了承を得まして、特にわれわれの方だけでございませんで、せっかく将来いろいろなことの接伴等も行われます公邸の性質上、部外のというか、大学の優秀な設計の能力のある教授等にも依頼しようということになりまして、現在、大体もとの東大総長の内田祥三博士を顧問にいたしまして、岸田日出刀博士が基本設計をやってくれるということになっておるそうでありますから、それらの設計ができまして実際の着手にかかりますのは、今年の八、九月ごろになるのではないかと思います。そうしまして、今年度には約九千六百万ばかりの予算が入っておりますが、今年一年では、ジェフアーソン・ハイツの撤収等の関係がございましてできませんで、来年もう一年延ばしておるわけでございます。従いまして、今年度から来年度までということに一応なっております。

川崎秀二自由民主党

○川崎(秀)分科員 明年は列国議会同盟の国際総会が東京で開かれる予定になっておると私は聞いておるわけです。従って、でき得ればその時期までに衆議院議長公邸並びに参議院議長公邸が完成した方が望ましいと考えるのでありますが、大体そういうことを予定しておりますか。

知野虎雄衆議院参事(庶務部長)

○知野参事 私どももやはり来年九月下旬に予定されております列国議会同盟の東京大会を一応目途にしまして、間に合せたいという考え方でおるわけでございますが、今の敷地があいておりません関係もございまして、間に合いますか間に合いませんか、できるだけそういうつもりではおります。

川崎秀二自由民主党

○川崎(秀)分科員 その次に伺いたいのは、衆議院の議員会館のことですが、今実際に国会の内容というものが果してりっぱであるかどうかわからぬときに、議員会館を本建築に直すということもいろいろ世の批判もあるとは思いますけれども、霞ケ関の官衙街というものが大体六、七年後を目ざして完成するということで建設省は計画を進めておるわけですから、衆議院の議員会館並びに参議院会館は、早く着手しなければならぬと思うのですけれども、それはどういう計画になっておりますか、伺いたいと思います。

知野虎雄衆議院参事(庶務部長)

○知野参事 議員会館の本建築の問題は、実はまだ計画するところまで至ってないわけでございます。これは、今、先生もおっしゃいましたように、建設省で計画しております中央官衙地区という都市計画がありまして、その中で現在の第一会館のありますところに本建築というものが、将来の都市計画としては、構想の中に入っておるわけでございます。ただ現在は、国会の建築としましては、大きいものでは御承知のように図書館の本建築でございますとか、それから議長公邸でございますとか、そういう問題がございますので、そういう問題が一段落しましたら、われわれの方ではいろいろな調査にかかりたいと思っております。何しろこれは非常に大きい建築になると思われますが、あそこの予定されております土地はかなり地質が弱いと見られておるわけですので、こういうような地質検査等の基本的な調査にかなりの日子も要するかと思われますので、現在そういうおもだった工事が終りますれば、それらの諸調査には早急に入りたいと考えております。

川崎秀二自由民主党

○川崎(秀)分科員 現在第二議員会館のあるところは、もと外務次官の官邸であって、あれは中央官衙街ができるというにとになると、大体霞ケ関公園の中に包括をされる。しかし、道路でだいぶ削られるようであります。あの第二会館の庭は徳川時代から非常に名所といわれておるところですが、あれが道路の中へ入ると、非常に古い歴史を研究しておる人あるいは文化財保護の見地から非常に重要な問題になってくると思うのですが、これについては、衆議院事務局ではどういう考えでおられるか伺いたい。

知野虎雄衆議院参事(庶務部長)

○知野参事 今の第二議員会館は、もとの霞ケ関離宮がありましたところで、議員会館の本建築が将来行われます場合には、第二、第三をみんな一括しましてこちらの方に移すことになると思います。そうしますと、あそこの跡はどうなるか、一応会館としては要らなくなる。その場合には、先生のおっしゃったようなことも考慮に入れまして、意見を申し上げたいと思っております。

川崎秀二自由民主党

○川崎(秀)分科員 その次に伺っておきたいのは、これは私の方がむしろ知っておるわけですけれども、特にこの会議の席上で記録にとどめておきたいと思いますので、発言をいたします。  現在三宅坂旧陸軍省跡に建設中の尾崎行雄氏の記念会館については、自民党、社会党あげての超党派的な国民運動を展開しておるわけであります。しかるに、衆議院庶務小委員会の申し合せによりまして、尾崎財団が作られまして、現在募金を行い、建設にかかっておるわけでありますけれども、この本年の予算を見ると、幸い大蔵省も査定をしてくれたようでありますが、つかみ金で百万円、こういうことですね。十一月の二十日にこれが完成することになりますと、それに要するところの管理維持費というものがある。われわれは間違いなくそれまでにやります。そうなりますと、百万円では済まないことになりますけれども、その場合には、予備費等で維持管理費を出すということを折衝したものでありましょうか、その点を伺っておきたいと思います。

知野虎雄衆議院参事(庶務部長)

○知野参事 ただいまの尾崎記念会館でございますが、これは今先生がおっしゃられましたように、十一月下旬にでき上る、そういう意味で、私どもの方の予算としましては、実は三カ月予算と申しますか、一月以降に維持管理でございますとかあるいはそれに要する管理要員でございますとかいうことで入っておるわけであります。従いまして、金額は今年は少いわけでございまして、管理要員としまして、尾崎記念会館の管理に要します人員が七名、それから初度設備としまして若干、その他光熱水料とか、維持費としてわずかな金でございますが、これは来年度平年度となりますと、もう少し増額することになると思います。

川崎秀二自由民主党

○川崎(秀)分科員 三カ月にしても、百万円という金では、とても維持管理ということはできない。特に初度設備か光熱費というものが出るわけはない。われわれの方も今細密な計画を立てて衆議院事務局と折衝しようということになっておるわけですけれども、その点では百万円というものは大体三カ月として見積ったというだけのことであって、実際の計画は整っておらなかったことと思いますけれども、いよいよこれが完成の暁に、あるいは完成に近づくときには、十分折衝していただきたい。そういう心組みで大蔵省当局とさらに実施予算について折衝されるつもりがあるか、この席上で承わっておきたいと思います。

知野虎雄衆議院参事(庶務部長)

○知野参事 実は大体の坪数等が判明しておりますだけで、初度設備といいますか。どの程度会館の方でやられますかということも関連がございまして、なかなか最終的にきめがたかった予算でございます。従いまして、将来の運営の上で新しい問題が起りましたり、なおさらに経費も必要とします場合には、そういう線で折衝いたしたいと存じております。

川崎秀二自由民主党

○川崎(秀)分科員 衆議院事務局の庶務部長に対する質問はそれだけでございます。

茜ケ久保重光日本社会党

○茜ケ久保分科員 衆議院におりながら、衆議院内部のことはなかなかわれわれ質問ができませんので、この機会にぜひお伺いしたいと思います。それは職員の待遇の問題でございます。もちろん国会の職員も公務員でありますし、公務員の規格に入るのでありましょうけれども、私が衆議院に参りまして感じますことは、一般の職員はさておき、一番ひどいと思われるのは、自動車の運転手であります。たくさんの運転手がおりまして、われわれに非常に奉仕をしてくれますが、伺いますと、こういった諸君の処遇は、給与の面は別として、身分的に非常に悪い。さらに多くの用人の諸君がおりますが、こういった者は何年勤めても一向身分はきまらないという不満を非常に持っているわけです。私どもは国政を担当して、この国会であらゆる問題を処理しながら、われわれの周囲にいるこういった多くの奉仕する諸君が、まことに身分の上で不安定な、しかも低い状態におることは、非常に遺憾であります。従いまして、われわれはまず大きな問題を解決することも、もちろん非常に大事でありますが、われわれのそばにいるそういった職員に対して、何もできないということであってはいかぬと思う。従いまして、冒頭にお伺いしたいのは、そういう見地から、現在の国会の職員の処遇その他の身分について、一般公務員とは異なっておる点もありましょうけれども、衆議院事務局の方針と申しますか、今までとって参りました処置についてお伺いしたい。

知野虎雄衆議院参事(庶務部長)

○知野参事 事務局の職員につきましていろいろ御配慮いただきましたことを、厚くお礼を申し上げたいと思います。ここは国家公務員のうちで一応特別職にはなっておりますけれども、その実態は、大体一般職の職員と同様なのでございます。たとえば、俸給表について申しますと、一般の職員は行政(一)の職員と同様でございますし、運転手、用人さんたちは行政(二)の職員と同じ俸給表の適用であります。ただ、ここは各省庁の職員と違いまして、たとえば、自動車なんかは非常に過労と申しますか、仕事が過激でありますことは事実でありまして、非常に夜おそくまで運転をいたしますし、非常に大きい建物の管理がありますものですから、用人さんたちも大へんなのであります。自動車の運転手さんにつきましては、そういう意味で、具体的には超勤というふうな問題がございます。これは、おそらく各省にもない程度の大きい超勤予算がついておりまして、私どもの方では、現在は自動車の運転手につきましては、大体超勤の実績をもって支出をいたしておりまして、その点につきましては予算の特別な御配慮によりまして、超勤も非常に多くなっておると思っております。それから用人さんの点でございますが、もともと初任給等も非常に低い職員でもありますので、そういう点につきまして、われわれの方は初任給の是正でありますとか特別昇給でありますとか、できるだけのことをしたいという方針であります。  もう一つ、今いつまでたっても上らないというお話がございましたが、衆議院は割と用人の数が多うございましたことは事実でありまして、今年は大蔵省ともお話ししまして、こういった人たちが普通の主事と申しますか、そういうふうなものにかなり切りかわるような措置を講じてございます。

茜ケ久保重光日本社会党

○茜ケ久保分科員 一般職の諸君も特別職の諸君も定員法がございまして、たとえば、農林省、建設省等も、職員等の問題がたくさんあるわけでありますが、国会の職員の定員化と申しますか、正式の職員にするための規定はやはり行政管理庁でやって、一般職と同様にやらなくちゃならぬのか、あるいは衆議院の今言った用人あるいは運転手といったものの正式職員の繰り入れについては、どのような処置をされておるのか、承わりたい。

知野虎雄衆議院参事(庶務部長)

○知野参事 各省でありますと、各省定員法でもってきまるわけであります。衆参両院の場合には、これは本会議の議決をもちまして定員というものがきめられますので、実質的には大差なく行われておるわけでございます。  今の雇用人の問題でございますが、これは、現在審議されております国家公務員の共済組合の法律が通ります場合には、そういう点では同様になるわけでございまして、もし十月一日にその法律が施行されることになりますならば、十月一日にそういう点について差異はなくなるわけであります。

茜ケ久保重光日本社会党

○茜ケ久保分科員 運転手にしましても雇用人にしましても、給与等については、私もそう——特に運転手等については、給与は低いとは思いません。しかし、運転手を十年しており、十五年しておっても、依然として職員になれないということですね。運転手という仕事は技術者でありまして、決して昔のもうろう運転手といったような考え方じゃいかぬと思う。従いまして、もしこれが本会議の議決を経て定員化できるものならば、われわれはそういった人たちの要望を満たしてやりたいと思う。これはよく聞くのでありますが、現在運転手が二百人近くおると思うのですが、その中で成規の職員はほとんどいないという。しかも、われわれはあらゆる自動車に乗っておりまして、衆議院の運転手ほど非常に精密というのですか、安全運転もしますし、素行についても非常に正しい。こういったような諸君は、その勤務状態なら年数によって、成規の職員にすべきだと思う。それができないということは、あなた方は、そういう指導監督をする立場として怠慢じゃないかと思う。もし議決をするなら、議員の諸君はおそらく満場一致だと思う。それを一向しないのは怠慢だ。事務総長以下幹部諸君は、幹部としてりっぱな処遇を受けておるから、痛痒は感じないでしょう。しかし、皆さん方を自動車に乗せて安全運転をする、しかも朝早くから夜おそくまで真剣に働いているこういった連中は、いつまでも運転手で、そうして一向成規の職員になれないということは、心外だと思う。さらに用人も同じです。もちろん学校も出ておりません。しかし、衆議院の仕事に対して、あなた方部長がやると同じように、用人諸君はやはり懸命にやっておる。衛視にしてもそうだ。そういった縁の下で一生懸命やっている人たちが、一生日の目を見ないということであってはいけないと思う。ただ給与だけではないんだ。人間は身分も大事だ。給与がたくさんあるからいいじゃ、済まないと思う。そこで、衆議院の本会議で可決すれば定員化できるならば、思い切って——どうせ給与法はあるのですから、運転手なり用人の諸君が——まだそのほかにもありましょう。成規の身分を保障されていない諸君に対して、全部でなくても、少くとも相当数の者が成規の職員になれる、しかも何年かまじめに働いておれば、われわれも必ず国会の成規の職員になれるという希望を与えて、働く状態に一つの楽しみを与えることが大事だと思う。従って、私はきょうここで即答は求めませんが、事務総長以下首脳部の諸君は真剣に検討して、そうしてわれわれに御相談願えれば、おそらくさっきも言ったように、満場一致で決定すると思う。聞くところによると、参議院の運転手諸君は、かなり成規の職員になっておるといいます。そうしますと、同じ国会でありながら、片方の参議院の運転手は成規の職員になれ、衆議院はなれないということはないと思う。ここに私はあなた方の怠慢かあるいは不人情か、自分たちの——事務総長はこれは一つの地位である。皆さん方が部長としてりっぱな仕事ができるのは、そういった諸君がみんな協力しておるからで、ほんとうの仕事はみんなそういう連中がしている。こういった諸君のそういったことを放擲してはいかぬと思う。それに対して、あなたは熱意のある、しかも温情のある、また必ずそれを実行するだけの決意のある御答弁を願いたい。

知野虎雄衆議院参事(庶務部長)

○知野参事 私は先ほど、定員のことでちょっと感違いをして申し上げたようでございます。実は、各省と同じように定員化はどうかということだったものですから、各省の定員法に相当するものは、ここの役所では本会議で議決されておるということを申し上げたのでありまして、運転手さんについての先ほどからの御質問でございますと、主事と申しますか、そういう身分的なものに切りかえるということのようでございますが、それは本会議の定員の議決とは、何ら関係はございません。これは総定員だけがきまっておりまして、そのワクの中で、たとえば主事補でございますとか主事にするということは、予算の区分書の中にあるだけでございます。そういう意味で、私どもは大蔵省とも話し合いまして、この四月からはかなり大幅に切りかえることを、大体予定しておりますから、運転手さんについても参議院に負けない程度のことはできると思っておるわけであります。なお、十月一日以降、共済の法律が通りますことによりまして、現在の身分的な差というものは事実上解消するわけでありますので、そういう線で進みたいと思います。

小平忠日本社会党

○小平(忠)分科員 関連質問でありますから、一問だけ、せっかくの機会でありますのでお伺いしておきたいと思います。それは、議員会館の火災予防の件であります。最近、学校、病院、公共施設物の火災がひんぱんとして起きているのですが、その内容は、電熱器を使用いたしますることから、漏電等による火災も多いように実は聞いておるのです。会館は、御承知のように、各部屋ごとに電熱器を使って、以前は火災予防に対しまする訓練なり注意を相当真剣にやっていることを私たち見受けておったのですが、この件に関しましてひとり会館だけでなく、常任委員会庁舎もそうでありますが、ああいう木造についての火災予防について、どうなっておるかお伺いしたいと思います。

知野虎雄衆議院参事(庶務部長)

○知野参事 ただいまお尋ねがありました火災予防の点につきましては、実は、会館、宿舎、それから常任委員会庁舎と木造のかなり古い建物がございますので、私たちといたしましても、日夜戦々きょうきょうとしておるような状態なのでございます。ことに冬になりますと、会館はみんな電熱器を御使用になります関係で、非常に危険状態でございまして、一応火災報知機でございますとか、初期におきまする消火器でございますとか、そういうようなもの、さらに各会館には地下水槽を約二百トンとか三百トンとかいうものをそれぞれ用意しております。たとえば、第一会館でありますと、三百トンの地下水槽と百トンの地下水槽が二つあり、第二会館には二百トンの地下水槽が二つ、それから第三会館には、これは地下水槽ではありませんけれども、プールみたいな格好で五百トンばかりの水槽を用意してあるわけでございますが、そういうものだけではなかなか本建築に至りますまての間、非常に火災予防については危険といいますか、われわれといたしましても不安な状況にあるわけでございますので、職員の火災予防の訓練につきましては、今御趣旨のように、さらに訓練を徹底するよう進めていきたいと考えております。

小平忠日本社会党

○小平(忠)分科員 今の御答弁では、私は完璧だと思えないんです。これは特に国会の議員会館が火災になったとなりますと、各部屋とも相当重要な書類がありますし。それからまた世論の反撃も相当これは想像にかたくないものがある。従いまして、一定度の加熱がしたならば、これを事前に発見できるような各般の施設を講じて、先ほど川崎分科員からも指摘されましたように、議員会館の改築問題もなかなかそう一朝にして永久不燃質の建築物ができることは困難でございましょうから、そういうことも顧慮いたしまして、私は衆議院事務当局の責任者はこの火災予防について直ちに——火災になってから水があるからかける、これじゃおそいのですから、やはり火災にならないように事前に発見し、また十分なる火災予防に対しての処置をしていただきたいということを強く要求申し上げまして、私の質問を終ります。

川崎秀二自由民主党

○川崎(秀)分科員 それではぼちぼち伺います。  宇佐美宮内庁長官に伺います。昨年の予算分科会の際におきまして私から御質問申し上げましたところ、皇太子妃の問題は、その際にも宇佐美君から今秋中にも御婚約に取りまとめたいとうなお話がありました。幸いに御発言のように今日は国家をあげての御慶事と相なったわけであります。来たる四月上旬にはいよいよ御成婚の慶事が行われるわけでありますが、私は、私見を述ぶるならば、皇太子の御成婚はきわめて質素に、莊重に行なっていただきたい、同時にこれが何か政略的なものに利用されたり、あるいは一部の階層のために利用されるものであってはならない、かように思っておるのであります。その意味では私は、果して党の代表が総理の施政方針の演説に手を入れたかどうかは知りませんが、総理大臣の施政方針の演説というものは、おのずから政治の大本を話すのか筋道である、民衆の生活をいかに向上し、外交関係をいかに調整してわが国を世界的水準に引き上げるか、これが今日のわが国に置かれた命題であるにもかかわらず、皇太子の御成婚を一番先に施政方針の演説に出しておる。そういう総理大臣が今度の御成婚のもとに首相の大任を果すのは、私はあまり、好みから言ってもまた政治見識から言っても、きわめて遺憾であると思っております。しかし、この際宇佐美長官に伺いたいことは、まず民間でいろいろな記念事業を企てる者がある。皇太子が各地へ行かれれば、そのことにかこつけて記念事業を計画したり、あるいはときには、四月は地方選挙でありますから、地方選挙に利用する者も——利用されるわけはないけれども、多少そういうような意味でのいろいろなプランをする者があります。閣議なども記念事業として何らかの方針を出すようにも聞いておりますが、宮内庁としては、各種の記念事業に対しなるべく質素にしてもらいたい、あるいは一部の階層、一部の者に利用されることに対しては、これはやはり宮内庁の長い伝統からしても発言をすべきものだと私は思うけれども、まず第一にそういう基本的な問題について、あなたはどうお考えになるか、承わりたいと思うのであります。

宇佐美毅宮内庁長官

○宇佐美説明員 今回の皇太子殿下の御結婚に関しまして、ただいま御質問の通り、各方面においていろいろなお祝いの企てがあるように聞いておるのでございます。もとより今回の御結婚につきましては、宮内庁といたしましては、あくまで今仰せの通りに、質素に厳粛に行いたいということで貫きたいと考えておるわけでございます。その奉祝一般の問題につきましては、私どもといたしましては、まあそれぞれで奉祝されることまで一々干渉もいたしかねる問題でございますが、こちらにお打ち合せになります場合に起きましては、お話の通りに、一部の者あるいはきわめてローカルなものということでなく、全国民的な問題に限って御相談に応じたいというふうに考えておりますし、ずいぶん今まででも商売と関連したような場合も多いので、そういう点は十分気をつけて参りたい、かように考えておるわけでございます。ただいままでは、たとえば東京都の奉祝行事あるいは各種スポーツ関係者の奉祝行事というようなことについて内々お打ち合せがある程度であります。ほかにはございません。

川崎秀二自由民主党

○川崎(秀)分科員 次にお伺いいたしておきたいのは、私が先ほど申し上げたように、皇太子の御結婚は、国事ではありますけれども、たとえば施政方針の演説の冒頭に申すのは、天皇陛下のことであるならば、国事を取り扱われる現在の象徴として、何らか大きなことがあれば、総理の施政方針の演説として組まれるのが当然でしょう。しかし、皇太子は将来のシンボルではあっても、今日はかような意味での公的な性格を帯びておるわけではないのであります。その点に対する截然たる認識が政府にもなければならぬし、また議員一般にもなければならぬ、こう考えて、あなたに対する質問ではなしに、自分の所見を申し上げたわけであります。記念事業が皇太子の好まれるスポーツとか、あるいは公共的性格を帯びるものであって、一部の階層に偏するものは断じてとらぬという方針が明示されましたので、けっこうだと思うのであります。今の質問の趣旨からいいますと、少しく筋は違いますけれども、皇太子の御成婚に際しまして、何か殿下は外国の貴賓に対しまして招待状でも出されておるのか、そういう筋のものが二、三でもありましたら、あらかじめ承わっておきたいと思うのであります。

宇佐美毅宮内庁長官

○宇佐美説明員 お答え申し上げます。今回の御結婚式及びそれに伴う祝宴関係につきましては、今の陛下のときと同様に、外国からの特派使節は迎えないということで、外務省を通じてそれぞれ申してございます。ただ祝宴等に在京の各国使節を招かれることは当然だろうと思います。

川崎秀二自由民主党

○川崎(秀)分科員 皇太子は、御成婚になりましたあと、伊勢神宮その他祖先の陵に参拝されるように聞いております。中には、殿下並びに妃殿下に対して、この際海外旅行をせよなどという進言をされる向きもありますけれども、私はこの際、皇太子が真に日本の伝統、歴史というものを身近に認識をして、そして将来日本の栄誉としての身を持される点においては、やはり国内の重要な都市を旅行されることの方がいいのではないか。まだ九州あるいは四国の辺際にまでは足を伸ばしておられないようにも思います。私はその方の地域でございませんけれども、かえって日本全国のおもなるところを歴訪されることの方が、むしろ意義がある。最近われわれが全国各地を遊説する際において非常に深く感ぜられることは、この二代の天皇陛下の足跡に比べて、非常に交通の阻害のあった明治時代において明治大帝が、大演習あるいはその他の行事もあったのでありましょうが、しかし全国ほとんどくまなく歩かれて、ことにわが国の歴史、文化というものに注目をされて行幸されておる跡を見ますると、やはり民利民福の向上に常に意を払っておられたということが、しみじみとわかるのであります。あなたは皇太子並びに陛下の側近におられるわけでありますから、今後の日本の象徴がどういうふうにして、成長していかれるか、小泉信三博士その他肝胆を砕いて起られるわけであります、その意味では、こういうじみな、つまり日本の歴史、伝統というものをほんとうに皇太子が身につけていただくためには、派手な海外旅行などというものよりも、まず日本国内の重要な地域、都市というものを歴訪されて、しかる後は皇太子にはやはり相当な休養の時間を与えて、何か皇太子殿下の御成婚が政権の交代のブームのような、あるいはまた何かそれに類するような、国民に人気のあるのはけっこうですけれども、そういう騒々しい姿で終始されることのないように気を配っていただきたい。これは私の宇佐美長官に対する一つの意見の提示でありますけれども、これらの問題についての御意見を承わっておきます。

宇佐美毅宮内庁長官

○宇佐美説明員 ただいまの御発言は、私も全く御同感に存ずる次第であり出す。全然御同感でございます。なかなかジャーナリズムも盛んでございまして、いろいろ小さいことまで追いかけられるような感じがいたしておるわけでございます。ほんとうに将来りっぱにその仕事をお果しになる上から見ましても、ただいまの若いときから、ほんとうに国内の各事情をすっかり御会得になることが非常に大事なことであるのであります。そういう意味で御結婚後におきましても、そういった意味の国内事情をよく御承知を願うということについては、十分考えて参りたいと思います。海外の問題も、将来殿下のお勤めの一つとして起る場合もあろうかと思います。終戦後皇族で外国に使いされた方もございますけれども、みな国交上非常にいい成果をあげていると考えております。そういうような使命を帯びて行かれることも起るかと存じますが、もとよりその基礎になりますのは、自分の国をよく御認識になり、その上に立って御行動願うということの必要なことは、その通りだと思います。われわれもその方向に向って努力をいたしたいと考える次第であります。

川崎秀二自由民主党

○川崎(秀)分科員 郵政省では、このたび御成婚記念切手を一般国民に発売するわけでありますけれども、この収益は、郵政省の計算によれば十億、それをめぐって早くもこれを何に使えというようなことがいろいろあるわけでありますけれども、これに対して宮内庁としては、たとえば皇太子殿下はお若いわけでありますから、青少年の育英事業に使ってくれとかというようなまとまった要望がありますか、ありますれば、この際伺っておきたいし、それから松野総務長官に伺っておきますが、これは大体どこでそういう問題をきめようとしておりますか、その点を伺っておきたい。

宇佐美毅宮内庁長官

○宇佐美説明員 今度の御成婚記念切手の売り上げにつきまして、ただいまのようなことは実はこの間新聞で拝見しただけでございます。われわれといたしましては、それが国民全般の幸福のために使っていただけますれば非常にけっこうだと思います。別段特に指定して御希望申し上げるようなことはただいまはございません。

松野頼三総理府総務長官

○松野政府委員 郵政省の特別会計の財源でございますから郵政省が主としてこれを決定するだろう、もちろんその用途によりまして関係の各省は関係いたしましょうが、今日はいわゆる収入の部に入っておりまして、使途の問題は明確にきまっておりません。

川崎秀二自由民主党

○川崎(秀)分科員 それからもう一つ、それは皇居の今後のあり方ということは、帝都の交通にも非常に大きな影響を持っておるものでありますから、ぼつぼつ伺ってみたいと思うのでありますけれども、まず第一に、皇居の造営については、天皇陛下のおぼしめしもあって、戦後住宅難が解消しない前にみずからの造営をすべきではないという非常にありがたいお考え方から延ばされておったと思うのであります。ところが昨年に至って、そういう事情もだんだん解消してきたことも反映してと思いますけれども、管理部長の鈴木菊男氏が海外に派遣されて、宮殿の調査に当らされたという事実があります。今後皇室費の中に当然頭を出してくるだろうと思われる新しい皇居の設計費あるいはまた新築費というものについては、われわれも非常に関心を持っておるものであります。ということは、先ほど述べたように、もとよりこのことについては今日まで御不便をお忍びいただいたわけでありますし、当然諸外国の使臣あるいは重要なる賓客があった場合において、今日のような宮殿のあり方では、十分にこれを接待することもおできにならないというようなことも万々承知をいたしておりますから、従って、皇居の新築ということに異議をさしはさむものではなく、むしろ賛成をするものでありますけれども、今日相当世論の中に高まってきておることは、皇居が今日日本の中心都市であるところの東京のこのおそるべき交通難、交通地獄の一大障害になっておるということです。むしろ都心部を離れて静かな地域に移るべきだというような皇居全面開放論もあるわけです。私は必ずしもそれに賛成ではない。やはり陛下が日本の象徴として、今日憲法の上に明らかになっておって、国事を行わなければならないということになるならば、東京の都心、ことに政府機関とは割合に離れないところにあるということは当然の理屈でありますから、皇居全面開放論にくみするわけじゃないわけです。しかし、現在確かに交通難がだんだん高まってきて、ことに自動車を利用するものが日に日にふえてきておる。その激増ぶりはお話にならないほどでありますのに、この交通の整理をすることに当局は非常に苦労をしておる。その苦労の種は、やはり皇居という大きな地域が交通を阻害しておることだということは明々白々であります。従って何らかこれのことを頭にえがきつつ、今後の皇居論というものを考えなければならぬのじゃないかというふうにも私は考えるのであって、そういう点で宮内庁の長官としては、現在のところに宮殿もお住まいも双方ともに建てようというプランのもとに計画を進められておるのか、あるいは世論の動きによっては、かりに宮殿の方は現在地に建設するにしても、お住まいの方については何らか新しい構想を持って対処しようとしておるのか、その点の皇居の造営計画に関連して、今日どういうプランで進められておるのか、これは一つ明確に伺っておきたいと思うのであります。

宇佐美毅宮内庁長官

○宇佐美説明員 皇居は不幸にして戦災で焼失いたしまして、現在まで元の宮内庁の役所の三階を仮宮殿として今日に至っておるわけであります。最近、仰せの通り、国賓、外国からの来訪も非常に多くなりましたし、いろいろな行事がふえて参りまして、きわめて不便を感じておるわけであります。ただいままでいろいろのことが考えられて参りましたが、やはり戦後の社会情勢からいたしましてその時期にあらずということで今日に至ったのでありますが、昨年度から二カ年間にわたりまして、一応宮内庁といたしましては、皇居を作る場合における一つの試案というもの、心組みを作りたいということで、若干の調査費をいただきまして、海外の事情も調べ、従来の宮殿のことも調べ、各種の点を調査して今日に至ったわけでございます。部内に一つの委員会を作って検討を続けて、何とか一応の結論を出したいということで進んでおるわけでございます。しかし、従来から皇居の問題につきましては、交通の問題でございますとが、皇居周辺の空気の汚染の問題でございますとか、なお建設する場合において、過去においても、各方面から献金をしたいという運動が何回か起りかかって参っております。そういうような点からいたしまして、ただ宮内庁だけで考えるというのではなくて、外部の有識、学識者の意見も十分聞いた上で、皇居全体の計画のもとに皇居と宮殿というものを再建したいということで、ただいま国会の方に皇居造営審議会の設置法案の御審議をいただいておるわけでございます。いずれその審議会における十分な御審議を伺って、われわれとしては最後的な考えをまとめたいと存じておりますが、ただ、今までの準備の過程におきましては、やはり単に一つの交通の問題あるいは一つの空気の汚染の問題とか、あるいは事務上の便宜という一つ一つの立場上の問題ではなしに、やはりいろいろな立場から総合的に考えなければならない、また同時に、勝手に理想的な案を作るということではなしに、やはりそこに経済問題とかいろいろな問題がございますので、そういった問題を総合しながら考えなければならない。やはり今の皇居というものの中に再建をするという前提のもとに調査をいたしておるわけでございます。ただ総括的な問題としましては、そのほかに交通の問題につきましても、いろいろその方の所管庁の意見も照合しつつございますが、ただいまのところでは、都市計画といたしましては、元の本丸、二の丸の方が緑地帯として指定されておるわけでございます。また道路計画といたしましても、まだ皇居の中の問題としては出て参っておらないわけでございます。しかし、現在の東京都の交通という問題から見まして、そういった各種な面と調和し得る問題ならば、われわれとしても一切手を触れないというものではもちろんございません。よくその方の意見も聞いて進めたいと思います。なお、空気の問題も世間に非常に悪いと伝えられておりますが、ただいまの調査では、都内におきましてはさほど悪くないというデーターが出て参っております。いろいろな点を今資料を集め、委員会における御意見も聞いて慎重に結論を出したいと思います。この問題はもちろん東京都の交通各所に及ぶ問題でございますが、しかし、全国民の皇居としての立場ということも十分また考える必要があろうと考えておる次第でございます。

川崎秀二自由民主党

○川崎(秀)分科員 皇居の新造については私賛成でありますし、また同時に現在の地域に宮廷のオフィスを置くということでは絶対に賛成であります。ただこれは将来のことを考えますと、やはりできればイギリスのバッキンガム宮殿とウインザー宮殿のような関係に将来はした方がよくはないか。たとえば二重橋を渡って相当の距離を歩かなければ、陛下には一般の民衆は接する機会がない、それは一年に二回だけだというようなことでは、実際に民衆と陛下並びに皇室との接触というものは非常に少い。イギリスでは、御承知のように、バッキンガム宮殿はわずか道路から三十メートルくらいしか離れておらない。従って、女王がいろいろな公務を終えられて帰られるときには、常に群衆が手を振って歓呼の声を浴びせるのに対して、これまた応答されるという非常になごやかな雰囲気が出ておるのであります。できるならばああいう状態にありたい。そういう意味では、皇居を横切っての道路というものがあってもいいのではないか。また同時に、少くとも現在の皇居の半ば以上は開放して、これを緑地帯として、また市民のオアシスの場として利用するということが非常に重要じゃないかというふうに私は考えるのであります。でありますから、全面開放論ではなくして、皇居の、ことに外国使臣を謁見されるオフィスだけは今日の宮城の内部に新築をされるということに賛成であって、お住まいの方は分離をした方がよかろうというのが私の議論です。まあそういう方向に将来行くのではないかというふうにも思いますけれども、この問題にちょっと関連をして、最近非常に重大な問題になっておる東都の交通問題について、警視庁からデータを発表してもらいたいと思う。これはかなり前から私質問を通告してあったのであります。一般質問の際にやりたかったのですが、いろいろな国会の審議のためにこれが果せませんでしたことは残念であります。しかし、これは皇居とは関連がありません。むしろ今日の日本の生産の約十五分の一を引き受けておるところの東京都の産業施設あるいは生産工場というものが、最近の自動車の輻湊状態によって非常にスピードが阻害されておる。これが経済企画庁あたりの統計に一体どういうふうに現われているかは私は知りませんけれども、ことに本年を迎えて、一、二月の自動車事故というものは、まるで天井知らずにふえてきておるそうであります。これもやはり国政上の重大問題であって、ひとり都政にまかしておくわけにはいかぬ。都政では都会議員は今日地方選挙の直前でありますから、いろいろな利害があって、警視庁が、思い切って、路面電車の三田通りをはずせ、あるいは銀座通りをはずせといろいろな要望を出しておるのに対して、区会議員でも都会議員でも、電車をはずすと何票か非常に響くそうであります。民衆の生活に直接影響のあることとは思いますけれども、これらの問題について一つ伺っておきたいのは、最近の事故件数、それから警視庁が将来東都の交通の整備についてどんな具体案を持っておるか。また最後には、ちょうど皇居の問題に関連しておるときでございますから伺っておきたいのは、警視庁の考え方としては、交通上の点から皇居を横断する道路というものができた方がよいのか悪いのか、これも一つ伺っておきたいと思う。

冨永誠美警視長(警視庁交通部長)

○冨永説明員 御存じの通りに、最近の東京の都内の交通事情は、非常に深刻化しておりまして、悪化しております。具体的に申しますと、人口の増加と、もう一つは車両の急激な増加でございますが、試みに昭和二十八年当時の車が約十六万台、現在が四十万台、つまり五年間に約二・二倍という急激な増加を示しておるわけでございます。従って、交通の状況が好転しておりませんので、車だけがふえておるという関係から、かなり混雑をいたしております。私の方の調査で見ますと、一昨年の秋に都内の百十カ所で約十二時間通行した車の数を調べましたところ三百十二万、ところが昨年の秋は三百五十四万台、一三・五%の増加をいたしております。本年はまだ入ったばかりでとっておりません。それから試みに、祝田橋がその最高でございますが、一昨年の秋、十二時間通行した車両が九万五千五百六十五に対して、昨年の秋は十三万五十六と二七%の増、一分間に百八十台という車両が通過しております。日比谷が八万四十三に対して十万千二百四十五と二一%の増、一分間百四十台の車が通過しておるような状況でございます。それからいわゆる交通渋滞をどういう場所で来たしておるかという個所を調べましたところが、約九十一カ所が交通渋滞を一日のうち何時間かは来たしておるという状況でございます。そのうちに都電の安全地帯のある場所が五十カ所、ない場所が四十一カ所、こういうふうになっております。  それから交通事故の点でありますが、年々ふえております。特に憂慮にたえませんのは、死亡事故と重傷事故が非常にふえておるわけでございます。昨年一年を見ましても、一昨年に対しまして約一四%増、昨年一年間の死者が九百三十名、一昨年が八百十三名でございます。それから特に御指摘のありました十二月から一月、二月とふえております。今まで平均一日死者が二・六人であったわけでございますが、昨年の十二月はこれが一挙に三・六名になったわけでございいす。一月はちょっとまた減りまして普通くらいでございますが、二月になりましてこれが現在までに大体三・五という数字を示しておるような状況でございます。昨日は五十一日ぶりに死者がなかったわけですが、私が本日ここへ来るまでに、けさの午前零時からすでに四名に至っておるという深刻な状況でございます。  自動車の事故件数は全体の交通事故の八割二分八厘、これは自動車の直接責任、つまり第一当事者と申しますか、自動車側に責任のあるものの比率が、全体の事故の八割二分八厘でございますので、自動車に関係する比率はもっと大きいのであります。九割以上ほとんどが自動車でございます。従って、交通事故を防止するためには、何と申しましても、自動車を運転する場合の注意、これが慎重な運転をやればもっと事故は減るというふうに考えておるわけでございます。  それから交通難に対する対策の点でございますが、いろいろ私どもは苦心をいたしておるわけでございます。もちろん何年か先の遠大な理想もありましょうが、私どもは一日々々の現実の問題と取っ組んでおるわけでございまして、いかに事故を防止するかということと、もう一つは交通難をどうさばくかということに苦心をいたしておるのであります。目下考えておりますのは、結局は道路が急に好転しない以上は、交通規則を強化せざるを得ない、特に一方通行といいますか、道路を一方に通行する、あるいは右折を遠慮してもらう右折禁止、右折が非常に交通の流れに支障を来たすわけであります。こういうものをさらに拡大いたすほか、現在やっておりますのは、おもな十一路線を選びまして、朝、郊外から都心に向ってくる八時ないし十時の二時間の間の規制、その道路は自動車がとまることもできない、それからその二時間だけの右折を遠慮してもらう、こういうような時間的な規制をやっておるのでございます。将来としましては、これでもまだ車がさばけない場合におきましては、車種別の規制と申しますか、トラックはどうするとか、三輪車はどうする、遠慮してもらうとか、自動車の時差出勤みたいな形をせざるを得ないというような考えを持っておるわけでございます。このほか日本の交通の特色は、一つの道路を自転車から三輪車からオートバイから、一切の車が一緒になって走っておるというのが日本の交通の特色でありますし、またこれがむずかしい点でございますが、道路によりましては、この道路はトラックだけだとか、あるいは乗用車だけだとかいうふうに道路ごとに区別していくことが肝要ではなかろうかというふうに考えておるのでございます。現在は銀座は時間的に大型トラックは通れないのであります。こういったふうなやり方をたとえば第一京浜——おそらく将来はトラックは海岸道路を回したいというふうにも考えておるのであります。しかしながら、こういった交通規制のやり方は影響も大きいので、学識経験者をもって一つの会議を開きまして、そこにかけてそれから規制いたしたい、おもな規制につきましてはそういうふうな考えを持っております。さらに、昨年の暮れから、私どもの方に情報のセンターというものを設けまして、ここが今混んでおる、どこが工事中であるという状況を刻々一般にお知らせする、また、きょうの何時ごろ、どこの路線は混むことがわかっておるというときは、事前に朝からお知らせするというふうな方法をやっております。こういうものも強化いたしたいし、さらに将来はヘリコプターによります空からの規制と申しますか、こういうようなことを考えておる次第でございます。  次に、お話の出ました路面電車の問題でございます。これは昭和三十二年に銀座線の路面電車を撤廃してもらえないかということを提唱いたしたのでございますが、技術的に、あそこには四系統がたしか入っておりまして、そんな面もあったわけでございますが、私どもが今考えておりますのは、とにもかくにもいろいろやってみるけれども、道路は急に広がらない、道は狭い、しかもどうしても車がさばけない、結局は電車の軌道が非常にじゃましておって、それでどうにもならないという区間だけでも何とかならないかということを考えまして、そういった意味で、今一番ひどい三田通り、札ノ辻から赤羽橋の間、延長約一キロでございます。これは御存じの通り第二京浜につながっておるところでございまして、あそこで非常に狭くなって、来た車がひしめき合っているというような状態なのでございます。ここの道路の幅は、車道が十三メートル、まん中に電車がありまして、これが五・八メートル、従って、それを除きますと、片側ずつがわずかに三・六メートル、これは自転車などの緩行車を除きまして、車が一台しか走れないというくらいな幅でございます。しかもここは系統が一路線でございまして、これは運輸省の交通審議会でも諮っておりますが、私どの方としましては、全般的に、系統別、時間別の電車の乗車状況を出していただきたいということを申し入れておりますが、まだ受け取っておりません。区間も短かい、下車する人も少い、そう人も混んでおらない。従って、これを神谷町から御成門の方に回してくれたらどうかということを提唱いたしておるのであります。こういった問題は、今後ここだけはどうしてもたまらないという場所を選びまして出したいというふうに考えております。

木村行藏警視監(警察庁保安局長)

○木村(行)政府委員 ただいま警視庁から相当詳細にわたってお話し申し上げましたが、警察庁の保安局といたしまして、交通問題を扱っておるものといたしまして、若干御説明いたしたいと思います。  東京都内の交通事故が非常に深刻になっていることは、御案内の通りであります。都内だけでありませんで、これは全国的にも非常に大きな問題であります。昨年一年に大体交通事故が十七万件近く起っております。死者が八千人をオーバーしておる。また大けがをしたり負傷した人が十五万人近くいる。日に平均いたしますと大体四百二十名くらいの者が死んだりけがをしたり、非常に人身の尊い際に、深刻な問題だと思います。つきましては、その中でも都内が一番深刻でありますので、警察庁におきましてもいろいろ交通規制あるいは交通の状況、これを高揚するべくいろいろな手を打っておりますけれども、しかし、それに関連しまして特に大きな問題は、都内の路面電車の問題でございます。先ほど交通部長からもお話ししましたように、これは現実に都内の主要道路の三分の一くらいの道路を占めております。このものすごい自動車通行量の観点からいたしまして、まあしろうとがお考えになってもわかりますように、全くこれは交通事故の原因になることは明らかであります。統計上も、この交通事故と関連がありまして、この路面電車、都電が存在しておりますことによって、交通事故が明らかにほかの路面電車のないところよりもふえておる。御案内の通り、世界各国の主要都市では、すでに路面電車は時代おくれのような形になっておりまして、だんだん廃止する方向にあります。従いまして、私たちもできるだけ早く、いろいろな条件がそろえば、路面電車が都内から全面的になくなることを、交通警察といたしまして、非常に希望するわけです。しかしそれにはいろいろな条件が要るかと思います。なかなか簡単にいかぬと思いますが、少くとも、非常に交通事故が多くて、また障害の非常に強いところ、また撤去し得るような条件が比較的にそろっているようなところについては、できるだけ早く、逐次思い切ってやるべきではないか。その一例としては、銀座の路面電車など、あるいは三田通りの札ノ辻から神谷町に至る停留所の関係、これは、あそこの乗降客が日に二千五百人くらいですから、比較的少うございます。また迂回の方法も考えられます。予算としてもポイントを作ったり、その他の関係もそれほど食うものではないと私たちも思うのです、だから、あの線については、いろいろな難関があってもぜひ早く撤去するように、警視庁が意見を出しておりますことを、私たちも強く要望するのであります。  それから、皇居の中の一部を貫通するような道路についてのお尋ねでありましたが、現実におきまして、皇居が都心の非常に重要な地点に存在しておりますことが全然交通に支障がないということは申しかねると思います。やはりある程度関係がありまして、支障があるのではないかと思います。しかし、その他に打つべき手が、交通警察なりあるいは交通行政の立場からいっても、まだたくさん残されている。打つべきものは打っていく。たとえば路面電車を、緊急なところから部分的にも逐次廃止していくというような手もあろうかと思います。それらもよく手を打っていただいて、なおかつ残された問題としては、今おっしゃったような、皇居の一部を貫通する道路の可否の問題があります。これについては、貫通することの可否は、交通警察だけでは論ぜられません。いろいろな面が幅広く関連して参りますので、今ここで、そうしていただきたいとか、そうすべきだということは申し上げかねますことを御了承いただきたいと思います。

川崎秀二自由民主党

○川崎(秀)分科員 ちょっと一言申し上げておきますが、世界の重要都市、ことに、パリ、ロンドンあたりは、今日はもう都電というものはない。市内電車はありません。またニューヨークでも、もうマンハッタンにはない。川向うの一部に残っておるにすぎない、そういうような状況下である。ことに東京のような狭い道路で、自動車が幾何級数的にふえておる、こういう状態を見ますると、どうしても早く交通制限についての大きな手を打たなければならぬ。機会は、今度の地方選挙の後における都議会に対する圧力というか、あるいは民衆の世論のかけ方によるだろうと思うのです。そういう意味で保安当局の考え方を聞いておきたいのは、どうしても東京都がこれに対して——銀座通りは、銀座から出ておる区会議員あるいは都会議員の関係からはずせない。私は、民利民福の上からいえば、都電というものの果してきた役割というものも非常に重大であって、ことに江東方面などは、将来といえども路面電車ははずせないと思う。しかし、銀座通りのごときは、世論が一致して早くはずせということを言っておるのですから、それでも聞かない場合には、何か重要都市交通整備法案というようなものを準備をして、そうして勧告を聞かなければ法律をもって規制するというところまで進まなければ、今日の交通地獄を打開することはできないし、それは生産に響き、経済の発展を大きく阻害するのであって、非常に重大な国政上の問題になってくるから聞いておるわけです。そういうような事態になった場合の決意はありますか。

木村行藏警視監(警察庁保安局長)

○木村(行)政府委員 今のお話に共鳴申し上げますが、現在道路交通取締法というものがございます。これは十年くらい前に制定されましたので、そのときと今日とは交通事情がまるっきり変りました。その間に何回か改正をいたしましたけれども、まだまだ現在の変化には対応できない面が確かにあります。従いまして、私たち事務当局といたしましては、道路交通取締法の改正について根本的な研究をいたしております。お説の通りの重要都市交通整備法、こういうふうな単独法で出すかどうかということは今申し上げかねますけれども、道交法の全面的な検討はいたしております。決意はいたしておりますので、その際にはよろしくお願いいたします。

田中伊三次自由民主党

○田中主査 皇宮に関連して、茜ケ久保さん。

茜ケ久保重光日本社会党

○茜ケ久保分科員 宇佐美長官にお尋ねいたします。皇太子の結婚のことでございますが、これは、あなたも御承知のように、近来になく国民が非常に明るい気持を持ったことでございます。国民がなぜ明るい気持を持ったかということにはいろいろな原因がございましょうが、一つには、婚約された正田美智子さんが今まで身分的に何も持っていない、さくい言葉で言えば、これは使いたくない言葉でありますが、平民といったようなことがいろいろな意味で明るい感じを与えたということは否定できないと思うのであります。ところが、最近、婚約後において、あなた方が中心になって、婚約者の正田美智子さんに対していろいろな教育をなされているようであります。もちろん、皇室という特殊な雰囲気でありますから、一般国民の生活条件といろいろ異なっておることはわかります。けれども、これがかっての——私たびたび内関委員会等であなたや瓜生次長に申し上げたのでありますが、かつての皇室のあり方に逆行するような情勢下にありますとき、婚約者である正田美智子さんに対する教育の内容によっては、国民の明るい期待を裏切るものが生まれる可能性がある。そこで、端的に現在並びに皇太子妃になられたあとにおける皇室関係の美智子さんに対する教育の基本的な考え方と申しますか、あるいは何か一般国民の理解のできないような特殊な教育がなされるのではないかという危惧が多分にございます。従いまして、ここで一つ現在なされておる教育と、さらに将来なされるであろう教育の概要についてお答え願いたい。

宇佐美毅宮内庁長官

○宇佐美説明員 御婚約者が御結婚式によって皇族になられるまでに——とにかく皇族という今までと違った境遇にお入りになるわけであります。ある程度の皇室の伝統としておられる考え方、また皇室の祭祀、お祭りということを大事に考えておられますことについては、一般の学校の教育においても何ら触れておりません。そういうこともよく聞いていただかなければならぬと私どもは思っております。そういうことを加えたわけであります。その他、憲法における皇室、皇族、天皇というものの立場、皇室典範あるいは宮内庁の制度、あるいは財政というものは、今、昔と違ってどうなっておるかというようなことは、おそらく学校で聞かれたこともないことだと思います。そういうことは、やはり皇族になられますについて御承知おきを願いたいと思いまして、その話を聞いていただいているわけでございます。そのほか御本人の御希望もございまして、語学でありますとか習字でありますとか、そういうことを御修養の一つとしてなさっておるわけであります。その後、結婚後における御教育でありますが、これは妃殿下として御自身の御修養だと私は思っておりますが、そういうことについてはやはり諸外国からの人にもお会いになることでありますから、国際情勢とか、日本の実際のことを、先ほど川崎委員からお話がございましたように、日本の社会、文化全体についての御勉強もなされなければならぬというふうに思いまして、特に何か非常に形にはまった神がかった教育をするのじゃないかという御懸念のような御質問でございますが、私どもといたしましては、そういうことでなくて、やはり皇室の一員となられたときの伝統について、十分身を立てられるという以外に、今の時代、国民とともに進まれる道というようなことを十分御修養を願いたいと考えておるだけでございます。

茜ケ久保重光日本社会党

○茜ケ久保分科員 大体今の御答弁がそのままスムーズに参りましたならば大したことはないと思いますが、私たびたび指摘したように、日本の民主主義の状態が進んで参ります過程を通じて、皇室と国民というもののあり方も非常に変ってきておると思う。今の天皇がかって経験されたこともない、夢想もしなかったことを今の皇太子はやっておられる。従って、私どもが子供から青年期を通じて、教育的にあるいは権力的に、天皇というものに対する考え方がまるで今から考えると全然むちゃというほかない状態できたわけであります。しかし、今の子供たち、少くとも今の大学から高等学校、中学という青少年諸君にとっての皇室というものは、全然違っておる。あなた方がどうお考えになろうとも完全に変ってきておる。たとえば、今度の皇太子の御婚約に対しまして、一部のいわゆる国粋主義者、あるいは非常に保守的な人の中には、いわゆる平民などから皇太子の妃殿下を選んではけしからぬという言葉もありましたが、その逆に青少年諸君の中には——これは私の言葉でなく、青少年、特に大学生の中にはむしろ逆なことを言っておる、正田美智子さんがいわゆる皇室に入ることはもったいないということを言っておる諸君もある。これは決して今の青少年諸君の気持を故意に出したものではないと思う。いわゆる平民から皇太子の妃殿下をもらうのはもったいなくて、けしからぬという半面には、逆なこともある。しかもそれが今の二十前後から下の諸君に多分にある。にもかかわらず、先ほど言ったように、国民の中に非常に明るい感じを与えたのは、戦前のあの皇室に対する国民の状態というものから解放されて、新しい日本、しかも新しい日本の中で新しい皇室が生まれようとするこの一つの現実、これは私は皇太子に対していろいろいい感じを持っておった国民が、あの事態の中で敢然として——この点私は宇佐美長官初め宮内庁当局の皆さんにも、この点だけは無条件に敬意を表するのでありますが、今までの日本の皇室の伝統からいえば、考えられ得なかった正田美智子さんとの婚約ということ、この実現に対しては、私はやはり将来に対して皇室のあり方の一部を非常に示唆していると思う。けっこうであります。ただしかし、私どもが心配するのは、そこまでこられた皇太子が、結婚ということを通じて、国民の前に、はっきり新しい時代のあり方、新しい民主的な日本の誕生の力強いバック・ボーンとしての状態を示されたものだろうと思う。そういった中でせっかくそういうものが生まれたときに、正田美智子さんが皇室の人になられたあとで、また今の皇后陛下が経験されたような状態、また今の天皇が経験されたような状態が再現されますことは、これは皇室にとっても非常に不幸だと思う。今の皇太子並びに美智子さんにとっても不幸であるとともに、国民全般にとっても不幸であります。私は皇室に対して何ら特別な感じは持ちません。持ちませんけれども、少くともいわゆる保守的な為政者は、ややもすると、かつて戦前の皇室と国民の中に立って、皇室の権力を利用して、国民に大きな権力をふるってきた政治家というものは、また今の皇室をそういう状態に戻していくことが一番やりやすい。皇室というものをいわゆる神格化して神様みたいにして、天皇の言うことは無条件に聞かせる。私はこれほどやさしい政治はないと思う。そういった一つの現われが紀元節の復活であり、いわゆるこういう復古的なものだと思う。これであってはならぬと思う。従って、私は皇室だけの幸、不幸ではなくて、皇室のあり方が国民に対していろいろな条件を持ってくるところに問題があると思う。私は去年のこの委員会でも、皇居を移転しなさいということは言ったのでありますが、あそこにあっては、川崎委員も指摘しましたが、交通上適切でない。もちろんある面にはいわゆる復古、懐古的な思想がありまして、皇居の前に行って皇室を遥拝する諸君もあります。これは明らかに復古主義である。そういう状態にある中に、まだ東京のどまん中にあれほど膨大な、一般国民は全然入り得ない別天地がある。これは時代錯誤もはなはだしいと思う。今、交通関係の報告をしたように、いろいろな意味で都内ではたくさんの死傷者が出ておる。その中でただ数人の人しかいないあの皇居は膨大で、しかもどまん中に存在している。依然としてがんとしてあることは、私は考えたいと思う。あなたはここでの答弁でたびたび皇居を移転する意思はないとおっしゃるけれども、これは九千万国民全体の中から選ばれておる。きょうの朝日新聞の世論調査によりますと、皇居を移転しないでもいいという世論が移転しろという世論の倍あるということを発表しておる。これはおそらくは四十、五十のかってのいわゆる日本人の思想だと思う。おそらく三十才以下の青少年諸君に聞いたならば、これは逆に皇居は絶対に移転すべきだという世論が出ると思う。私は今そういうことに対して大英断をふるわなかったならば、何年か先に必ず不幸な事態が招来されると思う。私は、川崎委員とは反対に、皇居絶対移転論者であります。それは、皇室のためにも私はそう言っておるのです。もしもあそこにああいう膨大なものをがんとして置いてごらんなさい。何年か後には必ず皇室と国民との間に不幸な事態が起らぬとは予言できない。私があなたに移転しなさいと申し上げても、これは即答願えませんけれども、そういう意味でお考え願いたいと思う。それと同時に、今言った正田美智子さんの将来についても、国民が期待している明るいしかも民主的なものが——これは長官をして、何といってもあなたが皇室のあり方についての中心的な存在でありますから、今あなたがおっしゃっていることをぜひ堅持されまして、再び皇室が国民と遊離しないようにしてもらいたい。今皇太子の御結婚を通じて国民とほんとうに解け合いつつあると思う。非常にいい機会だと思う。せっかくこうして解け合ってきて、新しい皇室と国民の関係が生まれようとしている。これは私は非常にいいことだと思う。この状態をぜひこわさずにおいてもらいたい。そうして一ついつまでも、先ほど川崎氏も指摘されたように、イギリスにおける皇室と国民の関係といったようなことが一日も早く生まれて、かつてのようなことがないように期待したいと思う。ぜひそういう意味で、これは、要望にもなりますけれども、私はおそらく全国民の一致した気持だと思う。また私も今までたびたびこの問題に触れて参りました者として、やはりそういったことをどうしてもこういう席上で要望し、さらに関係者の一段の御配慮を願いたい、こう思うのであります。従いまして、答弁としては、一つそういうことに対して宮内庁としては、特に長官としては全面的な配慮をするということをぜひ言ってもらいたい、そう思います。

宇佐美毅宮内庁長官

○宇佐美説明員 ただいまきわめて御熱心な御意見を拝聴いたしまして、われわれとしましては各方面の国民全体のお考えというものを常に頭に入れて、微力でございますが、努力して参りたいと考えております。

田中伊三次自由民主党

○田中主査 小平忠君。

小平忠日本社会党

○小平(忠)分科員 主査の方からの議事進行についての御意見がありますから、皇室の問題に関しまして宮内庁長官に二、三お伺いしたいと思います。  第一点は、皇宮警察官の配備の状況なり、現在の定員でありますが、これは直接の指揮監督は、警視庁とは離れまして、警察庁の管轄下にあるのではないかと思いますが、実際問題として、宮城内の警備等に関します問題やら、その他公式の場合の皇宮警察官に関しまして、宮内庁長官としましても重大な関係のあることでありますから、その関係がどうなっているのか、いわゆる指揮監督の関連性の問題、配備の状態あるいは定員の問題をお伺いしたいと思います。

宇佐美毅宮内庁長官

○宇佐美説明員 皇宮警察はただいま仰せの通り、これは宮内庁の所管でございませず、国家警察の部局であります。役所としては全然別個の問題でございます。しかし、御指摘の通りに同じ地域において職を奉ずる者でございますので、実際問題としてはいろいろな関係が出て参るわけでございます。現在では、一昨年でありましたか、両者の関係を密接にいたすということで、そうした警備上の問題につきましては、もし必要があるときは必要な措置を警察庁長官に宮内庁長官が求めることができるという一項が改正になったわけであります。実際問題といたしましては、常時の連絡が必要でございまして、関係の者が月々定期的な会合を持って、お互いに連絡をいたして、おるわけでございます。実際問題として、皇居の門でございますとか、警備の問題についてこまかいことが日時起ります、そういう点について密接な連絡をとって、そごを来たさないように努力いたしておる次第でございます。

木村行藏警視監(警察庁保安局長)

○木村(行)政府委員 皇宮護衛官は、現在定員を正確に覚えておりませんけれども、八百何十名かと思います。大体その辺でございます。  この職務関係は、国家公安委員会が皇宮警察本部長を通じて皇宮警察の仕事を管理いたしております。皇宮警察におきましては、皇居あるいは常盤松の東宮仮御所その他皇室関係の施設がございますが、その施設の警備に当り、また両陛下あるいは殿下が行幸、行啓なされるとき若干名が側近護衛あるいはその他の関係でついております。  皇居の中の配備につきましては、大体主要な門あるいは若干の個所、たとえば吹上御苑というのがございますが、あそこが陛下の御寝所あるいは日常の御生活に当てられておるわけでありますが、そういうところにも若干制服を配備いたしております。具体的に配備個所などは今手元に資料がございませんので申し上げかねますけれども、そういう状況で皇居関係の警備に当っておるわけであります。

小平忠日本社会党

○小平(忠)分科員 八百何名かの皇宮警察官がおるわけでありますが、実際問題としてその警察官としてのいわゆる必要性あるいは定員について、十分であるあるいは不足である、それから警視庁と皇宮警察との待遇、身分等について、それが全く同一であるか、あるいは変った点があるのか、そういう点、どうなんです。

木村行藏警視監(警察庁保安局長)

○木村(行)政府委員 八百何十名かの現在の定員につきましては、いろいろ警備実施その他両陛下あるいは殿下のお出ましになる回数が最近多うございますので、実情からいいますと必ずしも定員が十分でない、かと私たちは考えております。  また皇宮護衛官の待遇でございますが、これにつきましては、警視庁の、たとえば年令、拝命その他同じ条件の警察官と比較いたしました場合には、若干待遇が悪いのは事実でございます。必ずしも待遇はよくないということを申し上げ得ると思います。

小平忠日本社会党

○小平(忠)分科員 宮内庁長官にお伺いいたしますが、戦前は御承知のように、皇宮警察官のほかに近衛師団から派遣されるいわゆる近衛兵があったわけです。これが当時の禁闕の御守衛の大任を帯びて宮城内の警備に当っておったわけであります。最近いろいろ取りざたされておるのでありますが、宮内庁長官として将来この宮城内に自衛隊のいわゆる儀仗兵といったようなものが必要であるというふうにお考えなのか、全然必要でないとお考えなのか、その点いかがでございましょうか。

宇佐美毅宮内庁長官

○宇佐美説明員 現在の警備状況で宮内庁といたしまして特にもっと増強を願いたいという考えはございません。警察といたしましてはいろいろな治安の変化に伴いまして、相互に応援もできることでございますので、私どもといたしまして特にそういった考えを持っておりません。

小平忠日本社会党

○小平(忠)分科員 私が伺っておるのは警察ではなくて、自衛隊のいわゆる戦前にありましたように、近衛兵が宮城内の護衛に派遣される、こういったようなことを考えておられるかどうか。

宇佐美毅宮内庁長官

○宇佐美説明員 ただいま申し上げましたように、現在の状況においてただいまの警察で十分だと考えております。自衛隊のことについて全然考えておりません。

小平忠日本社会党

○小平(忠)分科員 次に四月の十日に皇太子の御婚礼があるわけでございます。その際のあらゆる儀式の方式でありますが、長官としましてはすでに対外的にも発表されておりますように、できるだけ簡素化していきたい。しかし宮城から東宮仮御所に至ります公式の鹵簿といいますか、こういったようなことに関しまして前例もあることでありますが、そういったようなことはどのようにお考えか。結局、従来皇宮警察官が担当いたしておりますそういった公式な儀仗の関係でありますが、そういうことについては具体的にどのようにお考えでありますか。

宇佐美毅宮内庁長官

○宇佐美説明員 四月十日に皇居の中の儀式が終りますと、皇太子殿下は初めて両殿下おそろいで仮御所にお帰りになります。そのお帰りになりますときに、やはり一種の儀式的な儀礼をもった馬車でお帰り願うことを今考えております。その場合は皇宮警察官が護衛という意味で、もちろん乗馬によっておつきするわけでございます。そういう儀礼的な服装をして護衛に当られることになるだろうと考えております。

小平忠日本社会党

○小平(忠)分科員 私の質問はこれで終りますが、私はあえて皇宮警察官に関しまする問題について、あわせて四月十日の皇太子の御婚礼の問題に触れましたことは、とかく警察官の任務が大衆の意思を離れるというところに、結局あえて護衛をしなければならないという問題が起きてくるのであります。  ヨーロッパの先進国を回ってみますときに、特にスエーデンのストックホルムあたりでは、一国の国王が何らの護衛もなしで市内を散歩している姿を見るときに、実に国民とその一国の国王との隔たりがないような感じがいたします。そのことはやはり護衛は護衛として十分であるが、反面に宮内庁長官といたしましても、護衛の方は全然おれは関係ないのだ、こういう見解でなく、やはり今後においてもそういったことは民主的に十分に警察庁の方とも連絡をとられまして、今お話を聞けば待遇が悪いということでありますが、少くとも警視庁の警察官との隔たりがあるようじゃいかぬと思う。そういうことにおいて十分な配慮を願いたいことと、同時に今後の皇室の運営については、国民がひとしく大きな関心を持って見ていることでありますから、十分なる注意をもって善処されんことを私からも要望いたしまして、質問を終ります。

田中伊三次自由民主党

○田中主査 川崎秀二君。

川崎秀二自由民主党

○川崎(秀)分科員 赤城官房長官に質問をいたします。  私はこの国会で予算委員会並びに一般質問の機会を失っておりました。それはある種の政情があるからであります。従って分科会に官房長官のおいでを願って質問をせんとすることは、岸総理大臣にかわって官紀の振粛あるいは総理大臣としての公私の身の処し方、それから岸政権が何年続くか知りませんが、少くとも先般の総裁公選に示された党内の世論というものに従って、正しい今後の身の処し方をしていただきたということの愛党並びに愛国の念願からして、私はあなたに質問をしようとしておるわけであります。従って予算分科会の前例を破って、私は本日は草稿を用意してあなたに質問をいたします。  第一に御質問申し上げんとする点は、岸首相になってからだいぶ多くの機密費、現在でいえば食糧費あるいは接待費などが大へんふえております。この数字をこの際明白にされて、それが鳩山内閣時代あるいはそれ以前に比してどのような変化を示しておるのか、まず最初に承わりたいと思うわけであります。

赤城宗徳自由民主党内閣官房長官

○赤城政府委員 外務省関係等の報償費等につきましては相当ふえております。報償費はふえております。それから内閣の報償費ですが、これも幾分ふえております。今突然の質問でありましたので、今数字を持っておりませんから、追って調査の上御報告いたします。

川崎秀二自由民主党

○川崎(秀)分科員 私もさだかに調べているわけではありませんけれども、このふえ方は、従来の内閣に比して非常にふえ過ぎておる。もちろん外交関係が近ごろは激増してきたわけであります。従って総理官邸における貴賓の招待、あるいはまた外交使節がしばしば訪れられることに対する定期の会見もあろうかと思います。しかし私の承わるところによれば、総理は機密費というか、接待費を相当大幅に引き上げることに非常に熱心である。従来の総理大臣のうち、名総理と呼ばれた者は、なるべく身辺をきれいにするとともに、機密費などの使い方にもこまかい気配りをしたものであります。鳩山内閣は御承知の通り、組閣をするとともに公邸の廃止をし、大蔵省の公邸並びに経済企画庁の公邸、さらに通産省の公邸のみを残したほかは全廃した。役人がマージャンをやめるということを申し合せとしてこれを実施した。さらにはまた、国産車の使用ということを大々的に奨励をして、とにもかくにも当時鳩山ブームというものが生まれた原因は、内閣の諸公が率先垂範をして、国民に範を示したからである。この風潮が石橋内閣になり岸第一次内閣になり、だんだん薄れてきたどころか、むしろ奢侈の傾向すら見える。はなはだ国家の前途にとって、また国民生活に対する率先垂範について、現在の岸首相の考え方というものは、私は根本的な誤まりを犯しておるのではなかろうかと実は思っております。あなたは、最近発行された「週刊朝日」の誌上における小汀利得氏の「天に代りて」という題で「岸君よ人生観を直せ」、こういう記事を読まれたことがありますか。

赤城宗徳自由民主党内閣官房長官

○赤城政府委員 お話の中で岸総理が機密費を非常によけいに予算を取れということに熱意を持っておる、これは間違いでございまして、総理が機密費をよけいに取れというような命令を私が受けたこともありませんし、そういうことはありません。  それから報償費でありますが、御承知の通り今の報償費は終戦前の機密費と違いまして、すべて会計検査院の検査を受けることになっております。でありますので、御趣旨はまことにもっともであります。報償費が乱費されないようには私ども細心の注意を払っておるわけであります。  それから「週刊朝日」の最近号に小汀利得氏が岸総理を批判している記事は、私も読んでおります。

川崎秀二自由民主党

○川崎(秀)分科員 読んでどういう感想を持ったのですか。

赤城宗徳自由民主党内閣官房長官

○赤城政府委員 まあ非常に反省させられる面もありますが、記事そのものには感情的な書き方が強く出ているような気がいたします。たとえばその記事の中に別荘の問題が出ていますが、別荘の価格の見積り等におきましても、土地の見積り等は現在ではそういうふうになっておるかもしれません、買い入れ当時は二百万円で買い入れたということを聞いておりますので、現在の評価にすればそういうことになるかもしれませんが、買い入れた当時の価格で示されれば、よほど土地の価格等につきましても、一般がその程度ならということかと思います。現在の価格で見積られたりなにかすると非常に多額の金を払ったということになろうか、ということを感じました。

川崎秀二自由民主党

○川崎(秀)分科員 私とあなたとは自由民主党の前の民主党を作るときの非常にかたい同志であり、また親友でもあった。今日は、岸内閣出現以来政治上、雲煙のかなたの人である。というわけば、戦争責任に対するきびしい考え方を持つ者とこれにくみしようとする者とが、これだけの世界の分けへだてをしたものだと私は思っております。しかし、あなたも官房長官として岸内閣を補佐していかれるわけですから、できるだけ、一月二十四日以降の新しい体制のもとに、われわれも同志として努力をする、しかし、岸首相が今日人気がないということは天下の世論が示しておる。一昨々日の前であったか、四、五日前の朝日新聞の世論調査には、明確に岸退陣を要求し、一方自由民主党を支持する、まるでわれわれがあなた方にお礼を言ってもらわなければならぬような今日の状態です。そうでしょう。岸内閣の人気がなくなるならば自民党も評判が悪くていいはずです、責任は同じです。しかし、なぜ自民党が人気があって、岸内閣が人気が悪いのか、そんなことは明々白々であります。党内にはやはり自由主義を愛し、多くの国民と同じ道を歩もうと思う者が多くあるから、国民は社会党に政権を渡せというところまでまだいっておらない、そうでなければこれは社会党政権だ。  そこでその前提に立ちつつ私はさらにあなたにいろいろ伺っておきたいことがあるから、あなたを通じて総理大臣が今後総理として長く在任をされるならば、こういう身の処し方でなければならぬ——これはちょうどかって戦時中に中野正剛氏が「宰相論」というものを書き、同時に日比谷公会堂で演説をした。そのときに多くの大衆はかっさいした、聞いた者はかっさいしたけれども、東条政府はこれを弾圧し、その結末は御承知の通りであった。私はあえて東条内閣と今日の岸政府とが同じであるとは言わない。やはり民主主義の基礎に立っておるのですから、世間の風評、世間の批判というものに耳を傾けざるを得ないはずです。ひどい総理大臣は自分の末期になると新聞なんか見るのもいやだ、新聞はでたらめを書いておる、こう言っておった総理大臣もかつてあった。しかし、そういうことを言い始めたら一月もたたないうちに内閣は瓦解した。われわれはちゃんと目の前にその実例を見ておる。ですから岸総理大臣がまずやらなければならぬのは、身辺の雑事をきれいに払って、人事とかあるいは小さな政策に興味を持たずに、一直線に自分の大きな政策——日米安全保障条約を達成したいならば、アメリカと運命共同体を築きたいならば、国民に明らかにしつつ進むことが、岸総理大臣の行くべき道です。ほかに政策があるか。しかるに安全保障条約一つでも党内をまとめ得ないではないか。自分の思いつきで言い出したといわれ、そして藤山外相に苦労させて、今ではいつこれを実施をするかという時期について第一確信を持たない。むしろ身辺におるところの赤城君が参議院選挙後の方がよかろう、こう言っておる。そうかと思うと藤山外相は三月にでもやるという、どっちなんです。安全保障条約はいつを調印のめどにしてやっておるのか、外務大臣との打ち合せの結果はどうなっておるのか、総理大臣はほんとうはどういう考え方でこの大問題と取っ組もうとしておるか、伺いたい。

赤城宗徳自由民主党内閣官房長官

○赤城政府委員 安全保障条約改定問題が思いつきだということは、お考え違いじゃないかと思います。

川崎秀二自由民主党

○川崎(秀)分科員 こっちが思いつきだというのではない。

赤城宗徳自由民主党内閣官房長官

○赤城政府委員 いや、岸総理大臣が思いつきということは、お考え違いじゃないかと思います。というのは、御承知の通り、一昨年でしたろうか、その前にとにかくこれは社会党もそういう考えでありましたが、占領が解除されて平和条約が締結された、その当時における安保条約であるから、日本が独立を回復したばかりで、主張する面も十分な主張ができなかったときにできたのだ、だからこれはいずれ改正しなければならぬということは長年考えられていたことと思います。そこで一昨年か総理がアメリカへ行きました際に——その前にずいぶん検討はしておったようでありますが、アイゼンハワー大統領などとも会いまして、日本の意向としてそういうことを伝え、アメリカはそれほど好んではおらなかったようでありますが、総理の熱烈な主張に同意をしまして、改定ということに進めていいということに同意して、それから外務大臣を通じていろいろ交渉しているのでありまして、その点は思いつきではないということだけを一つ申し上げておきます。  そこで安保条約がいつごろ調印になるのかという問題でございます。これは御承知のように実際問題として、また党内の意見も必ずしも一致しておるという点にいってないと思います。そこで、外務大臣としてはアメリカ当局にそれぞれの交渉を進めておるわけでありますが、二、三の点あるいは三、四の点において、国内のあるいは党内の意見の一致も見ておりませんので、党内の意見あるいはまた国内の世論というものも相当聞いて、進めていきたいということで進めておるわけでございます。調印の時期等につきまして、ただその目標を持たずに進めていくということは、外務当局としても、外務大臣としても非常にやりづらいということで、四月を内部的な目標としてスケジュールを進めていきたいということは、外務大臣も言っておりますし、総理も私どもも時期の目標を持たずに進めていくということはまずいので、そういうことはいかぬじゃないかということになっておりますが、事実上の見通しを私どもは言っておるのであります。まだ党内の調整、意見の一致ということにはいっておりませんし、また、どういう点が問題になっておるのかということも、新聞等には十分出ておりますけれども、正式に党内等にまだ諮ってもおりませんから、そういう手順を踏んで——また向うと交渉していくということになれば、私としては四月に調印ということは、なかなかむずかしいのじゃないかという見通しをしておるわけです。進め方としては、外務大臣のスケジュールに従って進めておるわけであります。そういう点におきまして、決して意見が一致していないというわけではありません。相手方もあることでありますし、国内の世論というものも十二分に考えに入れて進めていかなければなりませんので、その進め方の経過によっておのずからきまるといいますか、きまるのだと思いますが、外務当局のスケジュールとしては、四月までに調印をできるような進め方をしたい、こういうことで進めております。

川崎秀二自由民主党

○川崎(秀)分科員 私は安全保障条約の内容などについて、予算の分科会であなたに質問しておるのではないし、また、あなたの政治感覚を働かせれば何を言おうとしておるかということはわかるでしょう。すなわち、岸総理大臣が、今後政権を続けていかれるとするならば、一番大きな問題と取っ組むべきだということ、これはほんとうに好意的な忠告ですよ。だから大きな問題は、今日は日米安全保障条約ではないか。日米安全保障条約ならばどういう手段と順序でいくのか、大体のめどはどうなのか、総理大臣は、これを今後自分の内閣における重大な使命と考えて行動しておるか、一番重大な問題として考えておるか、私は、昨年議員総会のときにも総理大臣に申し上げた。吉田内閣は六年間政権をとっておって、施政長きにわたったけれども、とにかくサンフランシスコ条約というものを締結をして、自由主義諸国との間の国交を回復した。鎖国状態にあった日本が解放されて、世界的な交際を始めた最初のことであり、非常な歴史的な事業だった。その他幾多の業績を残しておる。鳩山内閣はどうか。保守党の内部で、共産主義の本尊であるソビエト・ロシヤと平和を回復しようというのは、非常な骨なことであり、三分の一程度は党内で反対した。非常に強烈な反対であった。にもかかわらず、病躯を押して鳩山総理大臣はモスクワに行き、ついにこれを貫徹した。脳溢血の患者でもこれくらいできる。さらに五体を持っておって、健全で、若くて、何年も政権をやるというものが、何にも大きな仕事をしていないじゃないか。何にも仕事をしておらぬ。警職法を出して国民にあざけり笑われただけです。そういう小手先のことをやらずに、日米安保条約の改定が日本の運命にとって重大なものであるなら、社会党と対決してもこれは押し切る、国民多数の声で押し切る。それが国民に徹底する方途と内容を持っておりさえすれば、国民は必ずかっさいするが、何だかわけがわからぬ。今度のことでも私は申し上げているのですが、安保条約を現在の総理大臣は最大の問題と考えて、これと真正面から取り組んで、責任を持って参議院の選挙の前にやろうとしているのか、それとも国内の世論の動向、あるいは党内の世論が帰結をしないからじっくりやろうとしているのか、この点をあなたの口から承わりたい。手だてはあなたが知っているはずであります。官房長官というものはそういう役目である。

赤城宗徳自由民主党内閣官房長官

○赤城政府委員 安保条約をぜひ改定しなくちゃならぬという熱意を持って進めていることは、その通りであります。その時期等につきましては、交渉中でもありますし、また、党内、国内の世論というものの帰趨についてまだはっきりしない点も残っております。でありますので、先ほど申し上げますように、できるだけ早くこの結論をまとめて改定を進めたいという熱意を持ち、また、その順序をとって進めていくということであります。  それからもう一つ。総理を弁解するわけではありませんが、鳩山内閣の日ソ共同宣言に持っていったことは、私ども賛成であります。非常によいことをされたと思っております。実はソ連に去年漁業交渉で行ったときも、フルシチョフ・ソ連の総理大臣に会いましたときに、岸内閣というものはけしからぬではないか、ソ連に対して冷やかではないかという話か出たこともあります。そのとき私は申し上げたのであります。これはよけいなことでありますが、鳩山総理にフルシチョフは敬意を表しておりましたから、私も敬意を表しているし、感謝にたえないが、当時今の岸総理大臣が幹事長として、日ソ国交回復につきましては、党内、閣内に相当異論があったけれども、やはりそれをまとめて、押し切って鳩山総理にあれだけの仕事をしてもらったということだけは了解してもらわなくちゃ困るということを申し上げました。総理大臣になってからどうこうという御指摘もありましたが、あらゆる意味において、ことに御指摘のような重点的な問題につきましては、熱意を傾けて国策を遂行していきたい、こういう気持は強く持っているということを申し上げて差しつかえないと思います。

川崎秀二自由民主党

○川崎(秀)分科員 顧みて他を言ってはいかぬ。鳩山内閣が日ソ交渉を貫徹されたのは、鳩山個人が不退転の決意を持ったからである。もとより幹事長は助けた。幹事長が総裁を助けないでどうします。最も信頼すべき幹事長が横を向いておったんではできるわけかない。あのときはしぶしぶ、仕方がない、何とかまとめようというのでまとめたのに相違ない。われわれはよく知っている。しかし、そんなことは今日の問題ではない。もう一度聞いておきますけれども、できるだけ早くよりも、できるだけ慎重に国民の世論の趨向を見定めて、そうして、たとえば、安保条約というものは戦争に巻き込まれる可能性があるのだ、これは社会党の言うきめ文句ですよ。そういうことがないということの立証をしつつ改定をしていくことがわが党の使命なんです。それにはまだ成熟しておらない。去年言い出したのは、私は確かに軽率であったと思う。そうして、党内で安保条約の問題がやかましくなりそうだから、これに、くさいものにふたをしろというので警職法を出した。とんでもない波乱が起った。私はそういうふうに歴史的に見ておる。この見方が間違っておるかどうかは後世の史家が決定する。  そこで伺っておきたいのは、岸総理の交際費の問題は、私が聞いて後に、何かの機会にこれを明らかにしてもらいたいと思います。もう一つの点は、何といっても、総理として身の処し方というものは、公的生活というものに奉仕的であって、そうして私的生活をきれいにするということである。私的生活の方はこの壇上で私が申し上げることではございません。また党員としては、予算分科会の席上などを通じて一々議論すべきことではないから差し控えます。しかし、たとえば岸首相は近ごろ官邸を退出された後によく宴会に出ておられる。これは私的生活か公的生活か区別のつかないもので、かなり各所へ出ておられる。これは外国高官とのバンケットかあるいはレセプションとかいうものは含まない。現に十二月の二十何日、池田、三木、灘尾の三大臣が時局を深憂して、今日の状態では党は救えない、むしろ自分らは党に帰ってほんとうの党の建て直しをしようということで、首相の考え方と相違して、そして辞表を出した。その晩どこへ行っておったか。赤坂の待合で遊んでおった。これは当時政治の問題が中心であったので、あまり多くジャーナリズムは取り上げなかった。しかしあの当時の動きなどというものは、総裁として、総理としてやるべき行動ではないです。  昔、軍が横暴であった時代に、国内においても、あるいは出先においてさえ、あの戦火の地帯においてさえ、軍の参謀や将校が、上海やあるいは南京やその他の地域で、夜通し酒を飲んで女を抱いて、見るに見かねた醜状というものを私は目撃したものである。その当時われわれはずいぶんそれに憤慨した。しかしあの当時の軍でさえ、軍司令官そのものはやはり神のような存在で、私生活を正しくしておったものです。ましてこの今日、日本における最高の権力者であるその者が、夜な夜などっかへ行って飲んでいる。そんな態度でほんとうに国政を審議していくことができるか。かわいい三人の大臣が決意をして、辞表を出そうと思って官邸へ行こうとしたら、総理大臣はいないという。どこで飲んでいるか、赤坂の中川だ。あなたは、だれだったかわれわれの同志から電話をかけたら、総理は今赤坂の中川にいるからしばらくは帰れない。早く帰ってくれと言うたら、南平台へ来いと言うた。そのとき私は、やはり池田勇人君というのはさすがだと思った。なぜなら、南平台の私邸などでは会えない、閣僚が辞表を出すんだから総理官邸へお帰り下さいと電話で言っておったです。私はそういう態度でなければいかぬと思う。その意味で、今後岸首相は、とにかく信任をされたのですから、過去のことはあまり言わぬが、ぜひ公私の生活のめどというものを明らかにしてやっていただきたい。私は赤城長官は前の石田長官より——石田長官も非常に懇意です。しかし赤城長官の方が公私の生活に正しい人だと思っておる。(笑声)むしろ従者の方が正しくて、おやじの方が何だかわけがわからぬです。そこで申し上げておくけれども、ああいう行動を繰り返してはならぬ。まず身を持するに厳であってほしいということを、私はきょうこの予算分科会で、党員の一人として愛党の熱意からあなたに質問しているのですよ。そういうことを伝えていただいて、そういうふうにさせる気持があるかどうかあなたに伺いたい。

赤城宗徳自由民主党内閣官房長官

○赤城政府委員 総理として身を持するに厳でなければならないということは、同感であります。ただ今御指摘の具体的な過去のことは言わぬといいますが、大きな間違いがありますから明らかにしておきます。  三閣僚が辞表を出した日に中川におったことは事実であります。実は私もおりました。それはあの日に毎日新聞の社長、政治部長、編集局長から中川に招待があったわけです。それで、前々からの約束なものですから、また新聞社の招待であるから、どうしようかという話もあったのですが、断わるわけにもいかぬじゃないかということで、私も、それから川島幹事長も行っておりました。しかし辞表を出されるというような状況も聞いておりましたから、内閣の方の事務当局にも連絡をいたし、また池田氏初めその方面にも、ここにおるということをはっきり申し上げておいたのです。ただ酒を飲むのが好きだからというようなことで行っておったわけではない。そのときには正当な理由といいますか、そういうことでありまして、それが非常に間違ったように伝えられておるのは、私どもも行き届かなくて遺憾だと思いますが、事実はそういうことであります。  それから全体としてのお話につきましては、総理にも、お話を受けるまでもなく、私の方からもときどきそういうことは申し上げておるのでありますが、なお川崎君のお気持等につきましては、またそうしなければならぬということにつきましては、総理にもよく話をいたしたいと思います。

川崎秀二自由民主党

○川崎(秀)分科員 これはほんとうにそうしてもらわないと困ると思うのですよ。われわれは今党内野党か何かわからぬようでなにしておりますが、やはり厚生大臣をしていたときには、酒は好きでも料亭へ行くのは多少は遠慮した。ところが岸総理大臣は、昨年の暮れは十何回か夜料亭へ行っておる。そういうことはよくないですよ。それは各大臣まではいろいろなことがあるでしょう。しかし毎日新聞が岸総理大臣を中川に招待しようというのも、あれはこういうところが好きだろうと思うからそういう宴席を作るのですよ。(笑声)それは鳩山さんや吉田さんに待合へ来てくれと言うても、そんなところへ行くかと言うて行きはしない。そこに問題点がある。  それから、なおちょっと聞いておきますが、首相官邸を大いに開放されるのはけっこうですけれども、あれは玄関では面会人のメモをとっておりますか。それから総理に面会されるときには、中で記録がありますか。一応だれだれが面会したという……。

赤城宗徳自由民主党内閣官房長官

○赤城政府委員 総理官邸の出入につきましては、相当厳格にやっておりますので、メモはとっております。たまたま知らぬうちに入ってくる人もないわけではありませんけれども、原則として受付において、ほんとうに必要な人だけということに整理しております。それから総理と会っていることにつきましては、大てい総理の秘書官室を通ずるか、また非常に重要な人の会見を申し込まれた場合には、私の方でそれを取り上げておりますので、これも記録に残っているはずであります。

川崎秀二自由民主党

○川崎(秀)分科員 総理が官邸で会われる場合に、やはり政治の問題をひっさげて、たとえば外交官とか、党の要人とか、あるいは社会党の陳情とか申し入れとか、さらには一般公共団体の陳情というものは、私は先にしてもらいたいと思う。どうも今私どもの聞いている、また事実見ている限りにおいては、財界のおえら方だとか、学友とかいうような特殊な人が相当早く、仲介人も何もなしに総理にお目にかかる機会が非常に多い。この点は従来の総理大臣と非常に違った点だと思うのです。たとえば木下商店の商店主などが、総理官邸で二、三回も会っておるという。私はその記録の正確なものを持っておりませんし、また汚職などというものにそんなに興味を持たないから……。しかし経済人などが来られるのを先にしたり、政商が来られるのはどんどん歓迎するというような考え方で今後処せられると間違いが起る。ことに政治中心でありますから、政治的な要請というものを先にしてやられると……。これを要望いたしておきます。  私はあなたにまだまだいろいろとお話を申し上げたい問題があるのであります。ことに首相の公的態度ということに対して、いささか危惧を持っておるけれども、これだけ分科会の席上を通じて申し上げておきさえすれば、必ず多少の反応もあると思う。あべこべに人に恨みを持ってもらっては困るけれども。あなたは非常に清浄な生活をしておるから、一つあなたの気持で岸内閣をクリーン・アップしてもらいたい。「筑波嶺の峰より落つるみなの川」というのがあるが、「赤城川水清ければ岸も洗えん」、こういう歌を私はあなたに呈したい。赤城長官は公的に正しい生活態度をとっておられるが、岸総理はそれ以上でなければならぬ。それでなければこういう論文がどんどん出てくるわけです。小汀さんの場合は感情問題だと赤域長官は言う。そうなると私も岸さんにある種の感情を持っておることになるかもしれぬが、しかしそのことを越えて現実に現われている。昔、日本の政治家は、「井戸塀」という言葉があって、みんな昔持っておった財産を放擲して、三、四回代議士になれば何にもなくなった。近ごろは違う。この「週刊朝日」に書いてあるように、「懐中無一文のゴロツキ見たいなのがのこのこ政界へ打って出て、失うべき何物も持たないかわりに、何だかだと利権を漁り、金をもうけを一生の目的として念願している商人を尻目に、悪銭をしこたまたくわえて全国富豪番付にのろうというのが少なからず現われた。岸君のごときその悪例の標本みたいなもの」であると小汀利得が書いている。「週末には外車を駆って温泉地にはしり、ゴルフに興じて次の週初、ゆうゆう山を下って政務を見るがごときは、下手な戦争をして国を破産に導いた日本の政治家などの、真似すべきことがらでは絶対にあり得ない。」私もそう思う。この文章の通り、そういう私生活を営む者は、「終日カネに苦労し、カネ故につまらぬ政治家や小役人にぺこぺこ頭を下げることを余儀なくされる実業家なる者共にゆるさるべき生活態度」だ。そうでしょう。昼からわれわれ陣笠に頭を下げ、また一般の小役人に頭を下げておるから、家庭生活だけでも自分のもうけた金で裕福でありたい——。政治家が実業家と同じような生活をするなら、こんなうまい話はないですよ。われわれは名誉こそ得るが、絶対に金銭の利を追ってはならぬ。総理大臣をしておって、そして金持になるということは、終末は決してよくないということを鳩山前総理大臣は言っております。鳩山前総理大臣は、東京のかっての資産家である。これは少し違う。しかしやはり総理大臣をしておる最中に多少の貧乏をした。あべこべに━━━━というのはどういうことだ。どうか一つ岸首相に対して、——今のはちょっと訂正する。━━━━ということはない。金に縁のありそうな話が出るというのはどういうことだ。速記を訂正して下さい。━━━━というのは少し……。

赤城宗徳自由民主党内閣官房長官

○赤城政府委員 取り消されたからけっこうでございますが、政治家となって岸総理が━━━━━━━という気持は一つもありません。また私生活も非常につつましやかであります。━━━━━━というようなことはないので、その点は御懸念ないようにお願いいたします。  それからまたお言葉の中に、陣笠ということを申されましたが、川崎さんは、厚生大臣をやられて、政界の有力者でもあります。分科会で御質問もけっこうでございますが、党員でもありますから、いろいろ御意見がありましたら、総理に率直に申し上げてもらいたい、こういうふうにお願いしたいと思います。

田中伊三次自由民主党

○田中主査 それではこれで休憩いたします。午後は二時から正確にやりますから、政府委員の方もお願いいたします。     午後一時五分休憩      ————◇—————     午後四時三十八分開議

田中伊三次自由民主党

○田中主査 休憩前に引き続いて会議を開きます。  永井勝次郎君。

永井勝次郎日本社会党

○永井分科員 総務長官にお尋ねをいたします。前国会以来、独禁法の改正案が用意されて上程されておったのでありますが、今国会にはまだ提出されておりません。独禁法改正に対する政府の扱い及びそれに対する態度について伺いたいと思います。

松野頼三総理府総務長官

○松野政府委員 前国会において独禁法の改正案を提案いたしましたが、国会の諸般の都合によりまして、審議を終了するまでに参りませんでした。今国会におきましても、独禁法の改正案を提案いたす方針には変りはございません。しかし御承知のごとく、今日この国会の審議の状況と見合せて、提案いたしましたならばぜひ可決するという方向がきまりませんと、経済基本法という性質のものでございますから、経済界に不安を与えてはいけない、そういう意味合いにおきまして、今日提案をいたす方針に変りございませんし、経済の事情におきましても、この前提案したときと今回と特に大きな変革はございません。議会の審議を通じまして提案をいたしたいという方針で、今日いまだに準備をいたしております。

永井勝次郎日本社会党

○永井分科員 独禁法を政府が必要とする経済的な環境、条件というものは変らない、出す考えである。しかし政府の提案及び日本の国内におけるいろいろな独占強化の方向、こういうものが国際的に非常に悪影響を与えておる、国際的な批判というものが非常に高まってきておる。こういうことは長官も御承知の通りだと思う。アメリカあたりではずいぶん問題にしておるようであります。三井物産が独占を強化してきたというような、そういう国際的な条件及び国内におけるいろいろななべ底景気はもう終った、これから景気はよくなるのだというような、そういうような条件の上に立って、前回国会に提案した内容に対して再検討して提出するというお考えがあるのか。あるいはそのままの内容において提出の時期を今考えておる。こういう段階なのか、その点を伺いたい。

松野頼三総理府総務長官

○松野政府委員 永井委員も御承知のごとく、この前の独禁法の改正の大きな要点は三つございました。第一は過当競争に対する防止策、第二番目が企業の合理化、第三番目が取引の公正、この三つの改正点を焦点としてこの前の国会に提案をいたしました。  今日の経済界の事情を見ますと、この三つの大きな項目につきましては、過当競争がそれでは急に排除されたかというと、いまだに商社及び一般の生産は過当競争の弊を脱しておりません。企業の合理化につきましても、いまだに合理化が万全というわけにも参りません。公正の取引ということは、いまだに過当競争の一つの現象といたしまして、景品的取引あるいは値引き取引というものが、ちまたにはんらんしていることも忘れてはならないことでございます。それでは今日ときどき指摘されております独占傾向が過当に進んだかどうかというのは、これは公取法による独占的傾向がふえたにあらずして、いわゆるある場合におきましては、公取の審議をせずにあるいは審議外にあるいは公正取引以外の方法によって、今日相当独占的傾向がふえておることは私も否定はいたしません。従って私たちの提案いたしますことは、できるならば公正な場面、明るみに出して、これが正当か不当かということを議論するためにも明るみに出したいという感じを私は持っております。この状況は、この前出しました経済の事情と今日は変っておらない、私はこういう趣旨で申し上げました。

永井勝次郎日本社会党

○永井分科員 御承知のように、この国会は、四月には各種選挙を控えていて、会期の問題はともかくとして、議会における審議の実勢というものが、おのずから法案提出の条件を制約してくると思うのであります。政府は独禁法改正案をこの国会に提出するかしないか、こういう決定はどういう時期に行うのか、その時期を伺いたい。

松野頼三総理府総務長官

○松野政府委員 今日議会の法案の審議の状況を見まして、予算の成立及びその担当の商工委員会及び本会議の状況を見て私は判断をいたしたい。同時にこの問題は、近々のうちには提案するかしないかということを決定しなければならない、こう考えております。

永井勝次郎日本社会党

○永井分科員 ほかの雑件法案とは違いまして、経済憲法ともいわるべき重要法案であり、また日本の経済的な情勢への一つの転換を画するところの重要法案でありますから、審議も相当に慎重でなければならないし、あるいは相当の時間を要することと思います。そういうような所見に立ちまして、大体いつごろまでにこの法案を出せば、この国会で通過するというような長官の判断であり、あるいはまた見通しであるのか。もうこの時期にきますと、出すのか出さないのかということはほぼ決定しておらなければならないはずであるし、すでに内部においては決定しているのではないかと思うのであります。率直に一つお答えを願いたいと思います。

松野頼三総理府総務長官

○松野政府委員 内部で実はまだ決定をいたしておりません。ただ国会の審議の状況を見て、これはなかなかむずかしいのじゃないかというふうな考えを、今日関係省の中で持ちつつあることは事実でございますが、まだ私自身は望みを捨てず、この国会で提案をいたしたいと今日でも努力しております。関係省のこともございますので、私一存で今日提案を断念するとか断念しないとか、そういう変更はいたしておりません。今日でも提案をいたしたいと私は真に考えております。なお何日ぐらいと言われますけれども、これは国会の審議の模様もございます。この前も相当長い間委員会に提案をいたしまして、審議日程というのはまことに短かい時間で、わずか数時間しか実は審議をいただいておりませんので、これは何日というよりも、審議の内容によってきめていただく以外はなかろう、こう考えております。

永井勝次郎日本社会党

○永井分科員 審議の内容が今言ったように相当重要な内容であり、あるいは広範な分野において検討しなければならない、あるいは国際的な影響等も考慮しなければならない、こういうような問題でありますから、そう簡単には扱えないと思う。大体長官の心組みとして、今月末に見通しがきまるのか、あるいは来月の上旬中にはこれがきまるのか、大体の心づもりを一つ聞きたいと思います。

松野頼三総理府総務長官

○松野政府委員 私の心づもりは提案いたす方向で今日もおりますけれども、議会の状況によって、まだ出してよろしいというほど党内及び閣内でそろっておりませんが、私の今月中にも出したい気持は変っておりません。

永井勝次郎日本社会党

○永井分科員 そういたしますとこの予算書によりますと、公取の予算の中に独禁法改正に伴う人員増加及び審議会の新設に伴ういろいろな費用、こういうものが計上されておるようであります。この独禁法実施に伴う予算書の中に含むこれらの内容について、はっきりした具体的な数字を伺いたいと思います。

松野頼三総理府総務長官

○松野政府委員 独禁法改正案が通過いたしました際及びその法律の施行のために部を新設したいということが規定されております。人数も十六人かと記憶しておりますが——ちょっと定数のことは政府委員から後ほど答弁いたさせます。

永井勝次郎日本社会党

○永井分科員 人員は十六名、一部一課の増設ということを内容としている、あるいは審判官の増員というようなものも内容としておるようであります。また公取の予算は開設以来減る一方でふえたことがないのですが、本年は珍しく一千四百数十万円という予算がふえております。これはやはり内容にもよりますけれども、独禁法を改正するという、そうしてそのかわり陣容を強化するという、こういう方針に基いて予算が編成されたもの、こういうふうに考えるのでありますが、人員十六名の増員のほか、独禁法改正に伴う予算の増というものが、どこの部分にどういうふうに入っているのか、これを予算の上からはっきりと御説明願いたい。

松野頼三総理府総務長官

○松野政府委員 正確な数字でございますから、政府委員から答弁させます。

吉兼三郎内閣参事官(内閣総理大臣官房会計課長)

○吉兼政府委員 公取の関係で今の御質問の予算増に伴いますものは、先ほど総務長官からお答えがございました十六人の増員に見合う人件費系統で六百六十三万円、それから独禁法の改正に伴う審査事務の増に備えますものとして三百五十万円であります。

永井勝次郎日本社会党

○永井分科員 そういたしますと、先般の本会議においてわが党の堂森氏の質問に対し、岸総理は目下考慮中である、できるだけ出したい、こういうような保留された意見が述べられておる。ただいま長官から、やはりできるだけ出したい、しかし議会の政治的情勢はだんだん困難な状態になっていくだろう、内部にはそういう意見があるが、近くそれを決定したい、こういうことであります。この予算には、公取において独禁法改正に伴うこういう人員及び経費というものが入っておるわけであります。もし今国会においてこの法案を提出しないときまりました場合には、これらの予算補正を行わなければならないのが順序であろうと思う。財政法第十七条第二項、第十八条には、予算の内訳の変更に対してはこれの補正を出さなければならないとなっています。そういたしますと、独禁法の改正を出さないということになれば、その補正予算を提出するお考えでありますかどうか。

松野頼三総理府総務長官

○松野政府委員 財政法の中に明文がございますように、その解釈といたしましては、その当該国会中に問題が起きたときにこうするというわけでありまして、必ずしも同時に出さなければいけないとか、一緒にやらなければいけないというわけでもございませんし、ことはかっての国会でも税法と予算を同じときに出しまして、増税案がかりに否決されたときにどうなるのかという場合がございましたが、その場合には歳入欠陥のまま、財政法の命ずるままに実行いたしたこともございます。私の方は、この国会中においてこの問題をきめることが当然財政法に対する忠実な考え方である、こう考えておりまして、特にこの国会中に補正を出すという考えはございません。

永井勝次郎日本社会党

○永井分科員 言葉の上では法案を出したい、そういう答弁をしているだけであって、実際は党内の、実情からいい、あるいは閣内の実情からいって、もう独禁法改正法案をこの国会に出さないことは確定的であると断言して差しつかえないと思う。そういうことがもうすでに発表されておるにもかかわらず、この予算書の中には、独禁法を改正するがごとく、それに伴う予算が内容として出されておる。これは財政法で許されないことだと思う。この点について補正をする考えはない、こういうことであります。もともと国会の決議においてこれが動きました場合は別であります。全然出す意思もなければ、実際において出されておらないという一つの事実の上に立ってこのような予算を審議いたしますことは、財政法の許さないところでありますし、また議会の権威の上からいいましても、こういうことを看過するわけにはいかない性質のものであると考えるのであります。なぜ補正を出さなくてもよろしいのか、その法的根拠を重ねて明確に伺いたい。

松野頼三総理府総務長官

○松野政府委員 この予算を編成しましたときには、当然独禁法改正法案を出さないという意味にあらずして、出すという意味においてすべての予算編成をいたしたわけであります。従って政府の方針としては、予算に計上すると同時に独禁法改正法案を出すという方針、この二つが同時に決定されて予算書の中の数字に入っておるわけでありまして、私たちもこの国会中に変えることは軽々にいたすものでもなければ、また私の気持も今日変っておりません。

永井勝次郎日本社会党

○永井分科員 今の段階は、長官は出す考えである、こう言っておるのであります。まあ会期もあることでありますから、それは出すと言えば出すでありましょう。しかしこれはもう時間的な経過によって、出せるか出せないかという情勢が明確になって参ります。そうすると提出するときは出す考えであったが、この会期中に提出が困難になってそれが変更されたという場合には、予算の内容が変更してくるわけであります。これは国会の意思によって、この変更された議決がされるのとは違うのであります。政府の出した提案の内容がうそになってくるわけであります。そういう場合に、政府はみずからその修正をするということは当然の措置だ、こう考えるのですが、そういう出さないという変更が行われました場合でも、なおかつこの予算の補正は出さなくてもよろしいのだ、出さないつもりだ、こういうことでありますか。もしこういうお考えであれば、それの扱いの法的根拠を明示していただきたい。財政法の中にも明文がございますように、予算というのは当然その提案理由というものを明記して、独禁法改正に伴う予算という意味で今回提案いたしております以上、独禁法改正を当然出すということは、予算に対する忠実なことでありまして、もし万一これを提案いたしましても成立いたしません場合には、執行ができないわけであります。できないときは、どうなるんだといえば、財政法のいわゆる執行不能予算ということになると私は思う。そういうわけで、これはただ表面の忠実ならば、出しさえすればいいじゃないかという議論も出ましょうが、私たちは実にこの予算を編成しますときは、提案して成立させた。させなければ、この予算は執行できないのですから、そういう意味におきまして今日いたずらにこれは形式的だというおしかりを受けるのはごもっともでありますけれども、私は今日でも出すべきであるし、出したい。  そこで成立させるにはどうすればいいか、一部やはり独禁法に対する不安が世間にございます。たとえば農業団体に、この前の国会以来非常な不安がある。それならば十分納得させるように一つ説得しようというので、手分けをいたしましてこの前もよく説明をいたしましたが、なかなかそういう方向が出てきません。従ってこれはただ国会だけの問題にあらずして、国民全部に独禁法を支持させ、あるいは私たちの意図を理解させるためにも、今日時間をかけておるわけでございます。方針としていまだに変っておりません。

永井勝次郎日本社会党

○永井分科員 私は、独禁法に対する是非の問題、内容の問題についてかれこれ言っておるのではない。この予算には独禁法改正を前提として、人員の増なり経費なりの予算が組まれておるわけです。しかし事実においてそういう法案は出てこないのです。また今後出る場合は、これはまた別でありましょうが、現在出てこない。また実勢からいって、おそらく不提出に終るであろう。そうすると、この予算はうその内容になってくるわけです。提出したというそれが、この国会において可決せられぬ、継続審議になった、こういう一つの議会の情勢で動く場合はこれは別です。しかし政府がそういう提案をしておきながら、それに伴う法案の裏づけも行動も何もなしに、そしてこれが不執行に終るのだから補正も出さなくてもいい、何も出さなくてもいいというようなことは財政法で許されないことだと思うのです。ですからもし補正を出さなくてもよいというなら、その出さなくてもいいという財政法の法的根拠を明示してもらいたい、こう言うのです。

松野頼三総理府総務長官

○松野政府委員 私のお答えしておりますのは、出さないというのではなしに今でも出すつもりだ、出す方向で今日おる、こういう意味でありまして、ただ私が仮定に申しましたことは、こういう場合に独禁法そのものの一つの例をとったわけで、独禁法改正案を出すのか出さないのか、私は予算を出しましたときに独禁法改正案を出すことに決定しておりますから、その方向でおる、こういうわけであります。

永井勝次郎日本社会党

○永井分科員 さっきの長官の話は、もし不提出のような場合でも、議会で否決される場合もあるし、あるいは継続審議になって予算が不執行になる場合もあるのだ、それと同様なワクにおいて補正予算を出す考えはないのだ、こう長官は答弁されたのです。だから提出されないような事態になっても予算の補正は出さない考えだ、出さなくてもよろしいというならその法的根拠を示してもらいたい、こう言うのです。さっきの話と今のことと答弁が違うわけです。そういう点、出さなくてもよろしいというなら、その根拠を示してもらいたい。

松野頼三総理府総務長官

○松野政府委員 多少私の方の言葉が足りませんで誤解を招いたかと存じます。財政法及び法律条文から申しますならば、当然私どもは議会で予算をきめました通りの方針でいかなければなりません。ただ私が申しましたのは、その執行の話を実はいたしましたから、多少私の説明が混線したかと思います。予算を審議していただいておる今日の段階では、予算を決定したと同時にそれに関連法案として出すことは当然な事柄であります。

永井勝次郎日本社会党

○永井分科員 今の段階でその答弁は了承いたしましょう。しかし今国会にもし独禁法改正案を提出できないという事態が起った場合は、当然そこには時間的な、あるいは政治的ないろいろな条件がありましょう、それはあした閉会になるのだ、そういうときにぽかんと出してきてこれでよろしいのだ、そういうことは許されるわけのものではないと思います。そういうような法案不提出の状態が起った場合には、この予算の補正は行わなければならないと思うのですが、その点はいかがでありますか。仮説に立って答弁はできないなどという逃げ口上ではなしに、明確にその点は答弁できるはずです。

松野頼三総理府総務長官

○松野政府委員 私もただ答弁だけをしようという意味でお答えをしておるわけではありません。かりに今回はこの国会で独禁法改正の成立ができなかった、あるいは提案ができなかった、予算と違ったという場合にはという前提の御質問である、そういうわけでございますね。

永井勝次郎日本社会党

○永井分科員 そうです。そういう事態が現実にできた場合です。

松野頼三総理府総務長官

○松野政府委員 そういう場合がすでにできたときには、当然あるものは予算の執行における欠陥ができる。歳入の場合には歳入欠陥ができる。歳出の場合には当然執行不能ができる。もちろん、忠実に申しますならば補正ということができましょうけれども、過去におきましても大体歳入欠陥あるいは歳出欠陥というものは、今日直ちに補正しなければならないという厳格な運営というわけでもございません。従って今日仮定の話でありますが、私どもの方は独禁法改正案に関しましては出す方針でいっております。

永井勝次郎日本社会党

○永井分科員 長官の答弁とも思えないのですが、予算の不執行だとか、欠陥だとか、それは予算の執行過程においてできてくる問題です。これはそういう事態とは違うのです。偽わりの提出をして、そうしてそのままほおかむりして予算の不執行だからといって、そういうような始末をつけられる性質のものではない、こう思うのであります。しかしこの問題については予算の上における重要な案件でありますから、金額はわずかでありましても、そういう見解を政府の要路の者が持っており、こういうような予算の内容でけっこうなんだ、補正をしなくてもけっこうなんだ、こういうことで予算を編成し、あるいはこれを議決をして執行に当るということになりますと、これは財政法の上から見ましても、国の予算の執行から見ましても、決議権限から見ましても、私は重要な因子を含んでおると思いますから、後日さらにこの問題は明らかにして参りたいと存じますが、きょうはなお同志の北山君等が重要な質問を持っておりますので、私はこの問題については不満である、非常に重要な答弁の内容を含んでおるのでなお追及をいたします。こういうことで私はこれをもって質問を終ります。

松野頼三総理府総務長官

○松野政府委員 今の質疑の中に、御承知のように独禁法改正に関しての質疑と、それから財政法の今後、こういう仮定があったときの質疑というものがある程度混淆されておりまして、私の答弁も明確でございませんでしたので、あらためて私もこの問題について明確にもう一度私の方も一つよく注意しまして答弁をいたしますから、いずれこの分科会が終るまでにもう一度今後正確なものを答弁いたしますから、暫時保留をさしていただきたい、こう思います。

田中伊三次自由民主党

○田中主査 北山愛郎君。

北山愛郎日本社会党

○北山分科員 私は法務、警察、自治庁関係予算にわたって若干お尋ねいたしたいのでありますが、時間もありませんようですからそのものずばりでお伺いします。  法務省についてまず第一に予算書を見ますと、非常に法務省の収入が多いわけなんです。六十億円の収入がある。こういう収入のある省庁というものはあまりほかにはない。大蔵省は当然でありますが、文部省とか、あるいは病院収入なんか持っているような省はありますけれども、法務省みたいなところがこのような収入が六十億もあるというようなことは、私もびっくりしたわけなんです。それがまたふえておる。その内容を見ますと、罰金とか、科料が非常にふえておる、増収しておるのです。昨年よりも十億円も罰金、科料がふえておるわけなんです。おそらく、この内容は交通取締り関係の罰金なんかが相当多いのじゃないか、こう思うのですが、この罰金、科料等の収入がふえておる、三十二億もあるという、この内容についてまずお伺いしたいのであります。  法務省がおらぬようでありますから、それでは警察から始めますが、警察については、これもいろいろな疑問があるわけなんです。まず第一にこの前の警職法を審議した際に、やはり警察の機能というものを民主化するためには、警察官の待遇をよくしなければならぬ、こういうようなことが論議をされたわけなんです。警察官は団結権も、職員団体を作る権利もありませんし、団体交渉の権利もありませんから、やはり政府の側において十分この待遇については考慮をしてやらなければいけない。ところがその給与の条件についても、むしろ他の一般職員あるいは教職員よりも待遇が悪いというのが実情ではないか、こういうふうに思うのでありますが、その警察官の給与の状態、これをほかの一般職員等に比較して御説明が願いたい。と同時に警察官は特殊な職務を持っておりまして、二十四時間あるいは二十五時間勤務ということをやっておる。二十五時間勤務をやって、しかもその間には四時間くらいしか眠れぬというような相当特殊な勤務をやっておるわけなんです。従ってその超過勤務手当なりそういった手当が十分に払われておるかどうか、こういう点についてまずお伺いしたいのであります。

坂井時忠警視監(警察庁警務局長)

○坂井政府委員 ただいまのあたたかい御質問をいただきまして恐縮でございます。警察官の待遇問題でございますが、お説の通り、きわめて大事なものでございまして、特に警察官の職務執行につきましても及ぼす影響は大きい問題であると思います。現在の給与体系を申し上げますと、すでに御承知かとも思いますが、一般の職員よりも二号俸の差をつけておるわけでございます。これは各府県の財政状態に応じまして多少のでこぼこはあるのでございますが、国の警察官につきましては二号俸の差をつけておる、地方におきましても地方の職員との間につきましては二号俸の差を維持するように、各府県とも努力をいたしておるのでございます。  さらに超過勤務手当等につきましては、いろいろ自治庁とも折衝をいたしまして、約三%ほど地方財政計画上引き上げをしてもらっておるわけでございます。しかしながらこれらも地方財政が非常に窮屈な関係から、九%という地方財政計画上のパーセントが維持されておる県はきわめてまれでございます。この点は残念なことでございますが、今後も努力しなければならぬと思っております。  お願いしております昭和三十四年度の予算につきましては、こういう給与そのものの問題は解決できながったのでございますが、他面警察官の待機宿舎というものにつきまして、国費で補助をいただくようお願いしておるのでございます。警察官の宿舎が非常に不足しておりますので、いつでも飛び出せる態勢にならなければならない刑事、あるいは警備等の警察官につきまして、所要の宿舎を確保するために、一億二千万円の補助金を来年度は計上さしていただいておるのでございます。  さらに地方財政計画上では、駐在巡査の家族に対する協力謝金と申しますか、駐在所は御承知の通り、警察官が一人で一生懸命仕事をいたしておるわけでございますが、主人が留守の間には妻君が電話の応答から、それからいろいろな民衆からの訴え等も主人にかわって聞いて、主人にこれを告げるというようなことになっておりますので、これに対しまして一カ月約千円ほどの謝金を出すということに、地方財政計画上でお願いをいたしておる次第であります。  そういうような配慮を来年度はいたしておるのでございますが、さらに今後解決しなければならぬ問題がいろいろあると思いますので、御援助をお願いしてやまない次第であります。

北山愛郎日本社会党

○北山分科員 われわれの見るところでは、今までそういうふうな考慮というものは、ある程度は払われておるけれども、しかしきわめて不十分だと思うのです。これは私警視庁の服務規程というものを拝見してみますと、相当警察官の服務というものはやかましい条件がある。まず第一に非常な災害とか、あるいは非常な事変その他実力行使を必要とする場合には迅速果敢、身をもってこれに当れ、こういうふうに書いてあるし、また一方では応接に対しては親切、丁寧を旨として、常に温容と理解をもってこれに当れというように、実にいろいろな条件が書いてあるのです。特に行状としてみだりに酒を飲んではいかぬとか、あるいは旅行する場合にも必ずその所在をはっきりしていつ何どきでも出動ができるような状態にしておけとか、あるいはむちゃくちゃに借金をしてはいかぬとか、いろいろな条件がついているのです。特に警視庁の服務規程の第三十二条には、職務に支障を及ぼすような宗教的または政治的論議をしてはならない、こういうふうなことまで書いてあるわけです。私この服務規程を見て、もしこの通り実行しようとするならば、現在の給与の三倍くらいはもらわなければとても間に合わない、こういうふうに思うのですが、まずこの服務規程なるものが私はちょっとおかしいのではないかと思う。ことに今申し上げたように、宗教上あるいは政治上の論議をしてはならぬというのは、一体憲法の自由の侵害じゃないか、わい談はしてもいいのか、こういうことになるわけです。政治上、宗教上の論議をしてはならぬが、別な話はしてもよろしいというように聞えるわけなんですね。こういうような規定を服務規程の中に入れるということ自体がよくないのではないか、こういうふうに思うのですが、どうなんです。

坂井時忠警視監(警察庁警務局長)

○坂井政府委員 警察官の一挙手一行動、またその言論というものは、聞く人によって非常に影響を与えるところが多い、また誤解されるような点も多いことを考えなければいかぬと思うのでございます。お説の点でございますが、政治上の論議をしてはいけない。これはやはり警察が政治に中立的な立場でなければならないということからして、そのような服務規程を設けておる次第でござまいす。

北山愛郎日本社会党

○北山分科員 宗教上の論議をしてはならぬというのはどうなんです。一体そういう趣旨から政治的な中立を守らなければならぬということは、これは警察官のみならず、公務員でも教員でも同じことなんです。公職にある者は、公職を行う立場としてはそうだと思うのです。当然のことだと思うのです。特にこういうふうに書かなければならぬというのはおかしいのです。やはり基本的にはだれでもこれは自由の論議が許されてしかるべきものなんであって、それがどんな宗教上の論議であろうが、政治上の論議であろうが、あるいはわい談であろうが、職務に支障のあるような論議はいかぬです。いかぬでしょうが、特に政治上、宗教上の論議をここで制限するというようなことは、これはおかしいじゃないかと思う。少くとも今申し上げたような、いわば個人的な行状に至るまで服務規程でもって規定しておる。こういう規定自体が私はおかしいと思う。やはり公務員の服務のことでありますから、これは警察法の規定によって、都の条例でまず服務の準則がきまって、それに基いた規程が作られなければならぬと思うのです。それがこういうことになっておるので、私はそれ自体がおかししいと思うのですが、少くともそういうようなきびしい勤務なりあるいは行状を要求されておる者に対する給与としては、勤務条件としてはもっともっと考える必要があるのではないか、こういう角度から十分お考えを願いたいのです。  さらに今度地方財政計画の中では、たしか警察費は四十億ふえておるはずでありますが、それは一体そういう質的な給与あるいは勤務条件の向上のための経費なのか、あるいはまた増員の経費なのか、その辺のことを警察あるいは自治庁の方からお伺いをしたい。

奧野誠亮総理府事務官(自治庁財政局長)

○奧野政府委員 警察関係の経費が特に増額することになっております事情は、主として給与関係の経費でございます。人事院勧告に伴いまして給与制度の改正が行われることが予見されましたし、あるいはまた昇給財源を考えなければならない等に基くものであります。増員に伴いますものは数億円でございます。

北山愛郎日本社会党

○北山分科員 警察官の増員は何名予定しているか、これをお伺いしたい。

坂井時忠警視監(警察庁警務局長)

○坂井政府委員 三千四年度に各都道府県の警察官の増員二千五百名を予定しておる次第でございます。この予算がもし御承認いただけば、これを各都道府県の実情に応じましてどの県はどのくらい、どの県はどのくらいという基準を示すことになっております。

北山愛郎日本社会党

○北山分科員 その二千五百人というのは、ただ三十四年度限りのものか、あるいはその後一定の増員計画によって増員をするというものか、これも伺いたいのですが、一体私どもは二十九年の警察法の改正のときに、これは警察費をできるだけ安くして合理的に運用するというための改正だ、こういうことを聞いておる。そのときにたしか二万人ばかりの警察官を減員するということになっておったのですが、それも初年度しか減員は行われないで、そしてまた増員するということになってきておる。また警察費についても安くなるはずのものがどんどん上ってきておるのですが、私の計算では七百八十億くらい中央と地方を通じて警察費がかかっておると思うのですが、これは国の方が百三十五億それから地方の方がどのくらいか、六百五十億くらいになっておると思うのですが、その数字に誤まりがあるかどうか、その増員の計画があるかどうか、これもお聞かせ願いたいのであります。

坂井時忠警視監(警察庁警務局長)

○坂井政府委員 増員の点を申し上げますと、各都道府県の実情からいたしまして——と申しますといろいろあるわけでございますが、交通事情が私から申し上げるまでもなくこういう状態なの、と、それから青少年犯罪が非常にふえておる、それから住宅団地等の建設によりまして、一般的な人口の増加はともかくといたしましても、局部的に非常に人口がふくれてきておる小さい都市がどんどんできておるというようなことで、非常に警察官の不足を訴えてきておるわけでございます。各府県当局からあるいは県会からの決議等も私たち申し入れを受けておるのでありますが、県会当局あるいは県知事当局等からも強い要望がありまして、これらをかりに集計いたしますと、一万六千人ほどになるわけでございます。一万六千人まるまる増員できますと非常にけっこうなのでございますが、私たちもいろいろ考えまして、一応一万名ほど増員をお願いできれば非常に仕合せである、こういうふうに現在の段階におきましては考えておる次第でございます。ただ一万名を来年度で一ぺんに増員するということになりますと、財政的にも非常に困難な点もありますし、またいい警察官をとるという点からいたしましても、ある程度選んだ方がよかろうという考えもございまして、来年度二千五百名、さらに来々年あたりは数千名増員をお願いしたいと思っておりますが、これは現在のところ希望でございます。

北山愛郎日本社会党

○北山分科員 それは今のような仕事をやっておるというと、そういうふうな要求が出てくるんじゃないかと私は思うので、警察が各府県から要望されておるような今のたとえば少年の犯罪であるとかあるいは交通の取締りとか、そういう要求だけを考えてそれを中心にして予算を組んでおればまだいいのですが、ことしの警察庁の予算なんかを見ましても、警備警察というものに重点を置いているのではないか、こういうふうに思われるのです。たとえば午前も交通警察の話が出ましたが、交通の方については相当な罰金とか科料をとっておりながら、収入の方は上っておりながら、それでは今度の警察庁の中に交通警察の分としてははっきりこれは示されておりませんが、その他の少年の犯罪とかそういうものを合せても二億六千万ぐらいしかない。交通上の問題は運輸省その他の予算を見てもほとんど見当らないのですよ。だから私どもから言わせるならば、交通の取締りから出てくる罰金とかそういう収入はどんどん上げておいて、その対策については予算を組んでおらない、言葉の上ではうまいことを言うけれども、数字の上でははっきりとそれが示されておるのじゃないか。だから警察庁としては、今問題になっておるこの交通の問題、これについてどうも予算面にはっきりしたものがなくて、警備の方の費用に重点を置かれておるのじゃないか、こう思うのです。特に私お伺いしたいのは、今の警察法の建前では、国が直接負担するいわゆる国費負担の分と、都道府県の支弁の分と二色あるわけなのです。そこで都道府県警察の方で使う国費支弁の分が、この予算書でははっきりわからないのですが、これは警察法の第三十七条によって出す金でありますが、それがどのくらいになっておるのか、これをお伺いしたい。

後藤田正晴警視監(警察庁長官官房会計課長)

○後藤田政府委員 お答え申し上げます。警察庁予算のうち都道府県警察に流れます直接国費支弁の経費は五十五億九千二百万円でございます。

北山愛郎日本社会党

○北山分科員 その内容にはそれぞれ種類があると思うのですが、特に公安犯罪等の捜査に関する経費、このものがどういう費目でもってどの程度に流れておるか。  それからもう一点はいろいろな機材を国費で買っておるわけなのです。その機材を国で買って、それを地方の都道府県警察で管理をするというような形なんですが、一体その管理はどういうふうな会計上の操作をしておるのか、こういう点が疑問でありますから、以上の二点についてお答えを願いたい。

後藤田正晴警視監(警察庁長官官房会計課長)

○後藤田政府委員 警備関係の経費は、事項としましては集団暴行取締りに要する経費と外事警察に要する経費の二本でございます。合せまして十七億五千七百万円になります。  それからいま一点の国費で調弁した物件が、都道府県の警察に流れた場合に、どういうように管理をしておるかという御質問でございますが、これは警察によりまして都道府県警察が無償使用をする、こういうことになります。

北山愛郎日本社会党

○北山分科員 今のたとえば集団犯罪ですね、そういう項目が予算の中にないのですよ。予算の項目の一体どこからどう出しているのかさっぱりわからない。これは実はことしからか去年からか、警察庁の予算の項目が変ったのです。もとはもっとこまかく書いてあった、今度は大ざっぱに書いてある。ですから今のような集団犯罪に幾らとか、こう言われますけれども、どっちみち予算の項目から出していくのでしょう。その項目が該当するものがないのですよ。だからこの予算書の項目に従ってお話を願いたいのです。

後藤田正晴警視監(警察庁長官官房会計課長)

○後藤田政府委員 お尋ねのように本年度は大蔵当局等から警察庁の予算が各省庁に比べて事項が非常に多過ぎる、少しわかりやすく整理をしたらどうだというようなお話もございまして、従来の事項を整理いたしました。お尋ねの経費は本年度の予算書に出ております事項では、警備警察の運営に要する経費の中に一括して入っておる、こういうことに相なっております。

北山愛郎日本社会党

○北山分科員 このこまかい項目の中には、ちょっとわからないのですが、今お話のような項目もはっきりないのですよ。ただ、ここに第八の項目として、活動旅費、十五億二千九百十二万円とありますが、この活動旅費というのは地方で使う金ですか。

後藤田正晴警視監(警察庁長官官房会計課長)

○後藤田政府委員 お尋ねの点は、事項の方は先ほど申し上げました通りでございますが、予算書はそのほかに例の科目別に掲示いたしてあるわけでございます。その科目で申しますと、警備関係のは警備費、活動旅費、捜査費、こういうものがおもなものになっておるのでございます。活動旅費は、都道府県警察が主として使いますけれども、国の地方支分部局もこれを使用する、こういうことになります。

北山愛郎日本社会党

○北山分科員 これが私は問題だと思うのです。とにかく十五億も都道府県警察の経費を国費で支弁しておるということなんです。言うまでもなく警察法、実際の具体的な警察の運営というものは都道府県の警察にあるわけなんです。ですから、普通ならば、その経費というものは、都道府県の自治体の仕事でありますから、自治体の予算をくぐらなければならないわけです。それをくぐらない経費が国から出て、しかも国の予算書を見ると、どれだけのものが地方の自治体警察で使う分として支弁金としてあるのか、この内容を見ても一つもわからない。聞いてみなければわからない。こういう予算の立て方はおかしいと思う。ことに活動旅費のごときは、これはいかに考えても、今の警察庁の人員というのは八千人ぐらいでしょう。八千人の人が十五億もの旅費を使うわけがないのだから、これは地方の警察職員の旅費だと思うのですが、この活動旅費はどういう基準によって支給するのですか。

後藤田正晴警視監(警察庁長官官房会計課長)

○後藤田政府委員 お答え申し上げます。警察庁の予算の配賦の方法は、活動旅費もその中に当然入るわけでございますが、一般的に同じ考え方でやっておるのでございますけれども、当該都道府の事件の発生の件数、事件の罪質、あるいは警察署の数、警察官の人数、あるいは当該県の地理的な広狭、そういうような一応客観的な基準をもちまして基礎配賦をいたします。ところが突発的に大きな事件が起ることがございますので、それらについてはあとにとめ置いておる経費の中から突発事件の際に配賦予算として流してやる、こういうやり方をやっております。

北山愛郎日本社会党

○北山分科員 この活動旅費というものは、旅費でありますから、旅行した人にやるわけなんですね。従って個々の旅費を受け取る人の受け取りをちゃんと国費だからこちらの方にまとめなければならぬわけですよ。そういう経理はしていらっしゃるに違いないと思うのですが、一体何の基準によってその旅費を支給するのか。旅費規程というものがあるでしょう。何の基準によってやるのですか。

後藤田正晴警視監(警察庁長官官房会計課長)

○後藤田政府委員 御承知のように旅費規程によっております。

北山愛郎日本社会党

○北山分科員 それは国家公務員の国の旅費規程でありますから、国家公務員には適用します。ですけれども、地方公務員には適用がないのじゃないですか。警察庁の旅費規程では……。

後藤田正晴警視監(警察庁長官官房会計課長)

○後藤田政府委員 身分によらないで、経費の負担区分に応じて国家公務員の旅費規程によって支給いたしております。

北山愛郎日本社会党

○北山分科員 しかし警察職員というのは、警視正以上は国家公務員ですから、それは国費から国の旅費規程によって支給しても差しつかえないでしょう。しかし警視正以下は地方公務員なんですから、都道府県の職員なんですから、地方公務員法の規程によってやっているわけです。ですから、自治法の規定が適用になるわけです。自治法の二百何条かを見ると、給与とか給料とか手当とかあるいは旅費、こういうものは条例でやらなければならぬと書いてある。同時に、条例できめないもりは、いかなる給与も支給してはならぬ、給付も支給してはならぬと書いてある。こういうものを侵虫しているじゃないですか。どうなんですか、それは。それからこれについては財政局長のお答えを願いたい。

奧野誠亮総理府事務官(自治庁財政局長)

○奧野政府委員 御指摘のように、地方公務員であります警察職員の旅費支給の基準は、条例におきまして旅費規程が定められておるわけであります。従いまして国から委託費等の形において地方公務員に対し支給されますものについては、県の歳入に受け入れまして、今申し上げますような条例に基いて旅費の支出が行われておるということになっておるのであります。

北山愛郎日本社会党

○北山分科員 だから地方公務員の地方の警察官の旅費は、国の方から一応地方団体の歳入の中に入って、そうして支出をされておる。これはそうじゃないのじゃないですか。この分は直接支弁金なんだから直接旅費として出しておるのでしょう。今の財政局長の言われたのは補助金とか、そういう分についていうのであって、国庫支弁金については、それは当てはまらない、そうじゃないのですか。

後藤田正晴警視監(警察庁長官官房会計課長)

○後藤田政府委員 ただいまの奥野局長のお話では、おそらく補助金関係の旅費と、それから純都道府県支弁の赴任旅費等についてのお話であろうと思います。国費関係につきましては、先ほど私が申した通りの旅費規程によってやっております。なお旅費等につきましては、警察法に基きまして、三十七条を受けて、施行令の二条の中に、明瞭に国で支弁するということを書いておるのでございます。

北山愛郎日本社会党

○北山分科員 しかし、旅費のことは何も書いてありませんよ。ただ、そういうふうな捜査の費用だとか、いわゆる警察法施行令の第二条に列挙をしたようなことに使う経費については、国費支弁だということが書いてあるだけとであって、国家公務員の旅費規程で、地方公務員に旅費を支給してもいいなんということはどこにもないんですよ。それこそ地方自治法の第二百四条、あるいは二百五条に、地方公務員については、いかなる給与も、条例に基かなくては支給してはならぬとやかましく規定してあるのです。それを横から国が地方公務員の旅費規定を作って、どんどん旅費を支給しているのはおかしいじゃないですか。私の見ているところでは、警察庁に旅費細則がある、細則規程があるんです。それを見ると、地方公務員の分まで規定しておる。そんなばかなことはどこにあるんです。自治体警察の職員なんですよ。警視正以上についても、これは自治体警察の職員なんですよ。ただ身分が国家公務員であるというのにすぎない。それを自分の子分のように使って、みずから旅費規程を作って、そうして地方公務員にどんどん旅費を出している。ここにおかしいところがあるのじゃないですか、地方自治法の違反じゃないですか、どうなんです。

後藤田正晴警視監(警察庁長官官房会計課長)

○後藤田政府委員 どうもお言葉を返して、はなはだ恐縮でございますが、実は旅費につきましても、第二条の八号に「旅費」ということが書いてあるのでございます。また、旅費と給与というものとは完全に区別して扱われておりますので、旅費については、先ほど来お答え申し上げたようなやり方で、国費の都道府県における支弁につきましては、都道府県警察本部長が国の支出官に現在なっておるのでございます。従って、国の支出官たる都道府県警察の本部長が出張者に対して、所要の旅費を支出をする、こういう扱いになっておるのでございます。

北山愛郎日本社会党

○北山分科員 しかし、今の建前は、やはりおかしいのであって、旅費というのはやはり旅費なんですよ。しかも、都道府県警察というのは、国家警察じゃないのですから、それは当然自治体の職員としての給与を受けるべきです。それを国の公務員のものを、警察庁の方で規程を作って、そしてそれを地方公務員の旅費として出すなんということは自治法と矛盾しているんですよ、自治法の二百四条なり、二百五条に……。そういうふうなやり方をやっておる。たとえば、今の警察本部長を支出官にしておるのだが、一体出納はだれがやっておるんです。国の会計法なり会計の規程からいけば、支出官と出納をやる者は別個にしなければならぬと書いてある。一体どんな経理をしているんです。本部長だけを会計担当官というような——会計担当官というのは、一体どういう名前なんです。国の会計法上、そんなものが一体ありますか。会計担当官というのが……。

後藤田正晴警視監(警察庁長官官房会計課長)

○後藤田政府委員 地方の会計の組織は、本部長を支出官といたしまして、その下に会計組織がございますので、当該組織で出納事務をやっております。

北山愛郎日本社会党

○北山分科員 しかし、そんなことはあくまで警視正以上の国家公務員しかできないと思うのです。国の規定によりますと、今お話があったように、地方の本部長は警察庁長官の官房付かなにかで、会計担当官というふうな変則な名前で処理をしているのですが、それ以外の職員、警視正以上の職員を出納官にするのですか。地方公務員である者が、一体国の金を、会計事務を扱っていいということがありますか。何かそういう準則があればそれをお示し願いたいと同時に、こういうことを申しますのは、この前地方行政の委員会でも十分お話をしたのですが、一体五十億もの金を何かわけのわからぬルートでもって使っておるというところに問題がある。そうして国の予算の方を見てもわからない。もちろん地方自治体の予算の中には入っておらぬ。そうして地方警察の中で使われておる。いわゆる機密費的に使われておる。そこに問題がある。なぜ一体補助金でできないかというのです。そういうふうに直接金を警察庁が持っておって、これを地方に適当に分配をして使うようなやり方で、変則的なやり方をしなければならぬという理由がどこにあるか、なぜこれを改正をしないのですか。この前はそういう私の言ったような理由が十分わかっておられて、考慮されるようなお話があったはずなんです。一体今度の予算を見てもちょっとも直っていないじゃないですか。なぜ直さないのですか。

後藤田正晴警視監(警察庁長官官房会計課長)

○後藤田政府委員 御指摘の点は、たしか先国会でも北山委員から御質疑を受けたのでございます。私どもも検討は加えたのでございますが、何分にも現在の警察事務というものが国家的な色彩を持つと同時に、地方的な色彩も持っておる。これをどういうようにかね合せをするか。経費の面から見ましても、国家的な色彩を持っておる事務であるとか、あるいは当該府県に負担を命ずるのは無理である、たとえば二つ以上の府県にまたがる経費というようなものについて、当該府県に負担を命ずるということは建前としてもおかしいのではなかろうか、こういうような点もあれこれ考えまして、何分にもこの問題が警察制度の根本に触れる問題であるだけに、私どもとしても、現在のところは、従来のような国家的色彩を持つ経費とか、あるいは当該都道府県に負担させることを不適当とする経費のようなものについてはは、やり国費支弁でやるのがいいのではなかろうか、こういうように実は考えておる次第でございます。

北山愛郎日本社会党

○北山分科員 その現在の都道府県警察の性格というのは、あなたが解釈をするのじゃなくて、警察法の中にはっきり書いてあるのですよ。あれは第五条ですか、警察庁の仕事が書いてある。都道府県警察の任務も書いてあるのです。それはもう十分論議されているのです。論議された結果、警察庁の所掌事務というのは範囲がはっきりしているでしょう。それから地方の都道府県の警察というものは、自治体警察の直接の運営については、あくまで自治体警察として都道府県の公安委員会の管理のもとにやるのだという建前がはっきりしているのですよ。だから今のような政治論で、予算の運用についてだけそうされたのでは、そんな勝手な解釈をされたのでは、それはむしろ警察法違反なんです。警察法の範囲で議論していけば、確かに警察のことは国にも関係があれば自治体にも関係がある、その通りなんです。その通りの考え方で現在の警察法ができておる。警察法の明文にはっきりしておる通り、またあの当時論議されたところではっきりしておる通りに、その地区の警察の運営はあくまでその都道府県警察の責任なんです。だから警察庁は直接には警察運営については何も指揮監督権はないのでしょう。そうでしょう。だったら、なぜ一々あっちへ旅行したりこっちへ活動したりする経費を国で、中央でもって一々配分するような経理をしなければならぬかというのです。今のように事件によってはよけい費用の要るような警察もある。そうでない場合もある。いろいろな場合があっても、それは補助金としても経理ができないはずはない。自治体警察である以上は、やはりその自治体の予算をくぐらして使うということが建前ですよ。それが今の警察法の趣旨にかなう経理なんです。三十七条の国庫支弁でやるというのは、あくまで例外なんです。その例外の方が五十億もあって、補助金分が三十五億しかないというような運営は、むしろ警察法の精神を乱すものなんです。どうして補助金で運営合できないのですか。この前の委員会の話では、できないこともないような話だったのじゃないですか。なぜ一体警察庁は、あくまで自分のところで金を握って、これを変則的な格好で地方に配分をするような指示をしなければならぬのか。そこに私は問題があると思う。だからこの活動旅費にしても、機密費に使われてしまうのです。果してこれが正当に各人の旅費として支給されているかどうか、ほんとうをいえばこれも私は疑問なんです。今度大阪で出てきたような事件、あれに対てスパイ活動の費用として二千円、三千円というふうに渡しておる。あの金は、大阪の本部長の話によると、地方費じゃない、大阪府の警察費じゃなくて国の方から来ている、こう言っている。一体この中のどの費用からそういうものは出ているのですか。

後藤田正晴警視監(警察庁長官官房会計課長)

○後藤田政府委員 どうもまことにたびたびで恐縮なんですけれども、警察の経費をどういうような振り合いにするかということは、警察法改正の際におそらく十分論議されただろうと思います。その結果私どもとしましては現行警察法の三十七条に基いて一定の経費は国で出す、こういうことにいたしておるのでございます。その経費が、都道府県の方が五十五億、補助金がわずか三十三億、なるほど主客転倒のような気がいたしますけれども、なおそのほかに都道府県警察は、先ほどの御質問にもございましたが、国費、地方費全部合わして総警察費用は七百三十五億程度になると思います。従いまして大半の経費は都道府県の支弁、こういうことに相なっておりますので、ぜひ一つその点も御了承を賜わりたいと考えるのでございます。  最後の御質疑にございました大阪のような経費につきましては、私実は事件の内容をよく存じておりません。どういう使い方をしたのか詳しいことは存じておりませんが、まさにその経費は国費であるという大阪府の本部長の言明であるとするならば、それは捜査費の中から出るべき筋合いのものである、こういうふうに私は考えます。

北山愛郎日本社会党

○北山分科員 それで、補助金にできないという理由を聞きたいのです。補助金としての運営ができないから——やはり自治体警察である以上は、その自治体の予算をくぐらして、議会の議決を経る、出納機関もあるのですから、出納長が出納、処理をするというのが、公金の処理としては正しい。それを府県の本部長が会計担当官というような変則な経理をするということは、国の費用を経理する建前からいってもおかしい。そしてそれが五十億にもなっている。そんなばかな経理というものはないのです。だからこれは府県の補助金なら補助金、これは国費で物を買って無償交付、使用させる、そういう建前をはっきりしていくべきなんです。なぜ補助金にできないのですか。

後藤田正晴警視監(警察庁長官官房会計課長)

○後藤田政府委員 御指摘のように、  一切の経費を都道府県費とするというのも確かに一つの方法でしょうし、補助金を出すというやり方をするのも一つの方法でしょうし、現在のようなのも私は一つのやり方であろうと思います。従ってやってできないことはなかろう、こういうように思います。ただそれをやるべきかどうかということになりますと、いま少しく検討しなければ今直ちにどうこうということは申し上げられないのではないか、かように考えます。

北山愛郎日本社会党

○北山分科員 警察の政策的な問題もありますが、これはこの前も十分論議されたのですが、時間があればもっともっとそういうような捜査費あるいは旅費、こういうものがどういうふうに配分されてるか、どういうふうに経理されているかという点も詳しく聞きたいのですけれども、とにかくこれはまじめにお考え願いたいと思う。なるほど一括調弁をして、機材のようなものは国費で買って、そうしてこれを配付した方が合理的な場合もある。しかし活動費というものは、あくまで自治体警察が自治体の事務である以上は、それを横から金を本部長に渡して、おそらくこれは府県の公安委員も知らないでしょう、そういう金が渡って、それが主として警備費に使われるというようなことは、表面は警察法が民主的にできておるけれども、中身の方は、金のつるでもって昔の国警に戻っておる、こういうふうに言わざるを得ないんです。その点は十分お考えを願いたいのであります。  それからなお先ほど服務規定のお話をしたのですが、服務規程について警察庁としては一つ考慮してみる気持はありませんか。一体公務員についての服務の原則は、公務員法にいろいろのことがはっきり書いてあるのです。それをあれも書け、これも書けとなれば、公務員についてのいろいろの行状から何から、私行上のことから、書きたいことはたくさんあるでしょう。しかしやはり人間として労働関係という問題もあるので、個人の権利なり自由というものは、憲法で保障された範囲では十分考えていかなければならぬのですから、かりに警察官であっても、そんな余分な要求、宗教上あるいは政治上の議論をしてはならぬ、これは職務に差しつかえるような論議はしてはならぬと書いてありますが、それならわい談の方はやっていいか、こういうことになるので、いかなる論議であろうと、職務に差しつかえるような論議はいかぬでしょう。しかしそれ以外においては、どんな論議でも警察官であっても自由だと思う。これは警視庁の服務規程でありますが、おそらく警察庁がこの基準を示しておると思う。警察庁としてお考えになる気持はありませんか。

坂井時忠警視監(警察庁警務局長)

○坂井政府委員 個人生活関係はもちろん自由でなければならぬと思います。ただ警察官というのは非常に目立ちやすい存在であることは御承知の通りでございましまして、公的な関係、私的な関係が非常に限界があいまいな点もございますので、そういう点も考慮いたしたいと思いますが、お述べになりました点はよく検討してみたいと思います。ただ各府県の服務規程を私全部読んでおりませんが、よく勉強してみます。

北山愛郎日本社会党

○北山分科員 それ以外にも問題がありますけれども、次に自治庁にちょっと関連したことを聞きたいと思います。  警察費は、昭和二十九年の改正によって、従来の国費の負担というものが地方団体に転嫁されたような形になっておる。その負担が今でも地方財政に対する相当な圧迫になっておるのですが、六百五十億が地方費である。これは財政計画で考慮されておる、こう言いますけれども、地方財政が苦しい現在においては、警察官の主として給与の分を地方団体が負担しておるわけですが、その負担がどんどん多くなってきておるというふうに思える。たしか二十九年ごろは五百億くらいが地方の負担じゃなかったかと思う。現在では六百億、あるいはそれ以上になっておるのではないか。そういう関係について、警察費のために地方財政が負担をしておる状態、特にいわゆる持ち出しですね。基準財政需要額で警察費が計算をされて、そして実際はそれ以上に警察費を府県が負担しておる。そういう分も現在あろうかと思うので、そういう状況について財政局長からお伺いしたい。

奧野誠亮総理府事務官(自治庁財政局長)

○奧野政府委員 北山さんよく御承知のことだと思いますが、市町村警察から府県警察に切りかえになります際に、どれだけ府県において財政負担をしなければならないか、その金額の見積り方に、若干誤算があったようでございます。従いましてその後それを是正するという問題をめぐって、若干紛糾いたしました。しかし今日においては、その問題は解決を見ておるわけでございます。府県警察の費用が地方財政を非常に圧迫しているという御指摘でございますけれども、何分給与費が大部分を占めているという関係から、弾力性のない経費でございます。そういう意味において、府県の財政運営を窮屈にしている、こういうことは言えると思うのでございますけれども、警察費だけが地方財政を圧迫しているというようには考えたくない、こう思っております。基準財政需要額の算定に当りましても、そういう性格でございますので、できるだけ地方財政計画において見込んでおる額を、各府県に割り振ってしまうというような気持をかなり強く持っておるわけでございます。しかし政令で定めております定員は、必ずしも従来置いておった実員をそのまま切りかえたわけではございませんので、政令定員を基礎にして基準財政需要額を算定いたしますと、従来の実績からいって、若干事務職員等において、そういうところから割り出される数字よりは多い職員数をかかえているという団体においては、かなり窮屈であると思いますので、そういう面については特別交付税の配分に当って考慮を加えるというようなやり方もいたして起るわけでございます。何分給与費が漸次増加して参っておりますので、警察費もかなりふえて参ってきておるわけでございまして、三十二年度の決算では六百十億円ということになっております。その後三十二年、三十三年と増加して参りましたので、七百億円近いところの数字に三十四年度はなるのじゃないか、こういうふうに考えております。

北山愛郎日本社会党

○北山分科員 七百億が地方自治体の警察費、それから国費が百三十五億、補助金を引けば百億、八百億は警察費にかかっていく、こういうことになるのですね。そうすると、昭和二十九年当時よりは二百億以上警察費がふえているのじゃないか、こういうふうに考えるのです。  警察の問題はまだあるのですけれども、ほかに質問者もあるようでありますし、時間もおそいので、法務省に簡単にお伺いしますが、一体罰金、科料……。

田中伊三次自由民主党

○田中主査 法務省はあすになっておりますから……。

北山愛郎日本社会党

○北山分科員 それでは、これは松野さんでわかるならお伺いしたいのですが、午前の川崎委員の質問の中にもありましたが、内閣の情報調査費が非常にふえておるわけなんです。ことしは二億二千数百万、たしか昨年よりも八千万ばかりふえておるのです。これは情報調査委託費ということになっていますね。一体どういうことをやるのか、なぜ七千七百万ばかりふえているのか、これを松野さん御存じだったらお伺いしたいのです。

松野頼三総理府総務長官

○松野政府委員 これは内閣官房長官の所管でありまして、私は正確にわかりませんので、そのときにお願いいたします。

北山愛郎日本社会党

○北山分科員 それではあとの法務その他に対する質問は保留して、一応私はこれで終ります。

田中伊三次自由民主党

○田中主査 茜ケ久保君。警察庁長官も間もなく参ります。

茜ケ久保重光日本社会党

○茜ケ久保分科員 質問に入る前に、実はけさから警察庁長官を呼んでいるのですが、いまだに顔を見せぬというのはけしからぬと思います。これは松野長官も聞いていただきたいが、それぞれの委員会に、警察庁長官が来ないということはけしからぬと思います。今同僚の北山君の質問を聞いても。会計課長でなくて、ああいうことは当然長官が責任を持って答弁しなければならぬと思う。ところが来ないというのはまことに遺憾でありますから、これは一つ総務長官も御注意になっていただきたい。どんなことがあっても——今治安維持上どうしても長官が来られないというような、そういう事態はないのでありますから、一つ御注意を願いたい。  長官が来たら長官に質問することがありますが、そこにいるのは警務局長ですか。あなた方は地方行政委員会ないしこの予算委員会の分科会に出席して、毎回答弁をしておるわけですが、国会の答弁をどのように考えておるか、私には納得のいかぬ点がある。あなた方はこういう場合に衆議院議員から質問を受けて答弁する。その答弁したことに対して責任を感じておるかどうか。ただ単にそのときの質問に対して、その場あたりと言っては語弊があるかもしれないけれども、答弁しておけばいいとお考えかどうか、あるいは答弁したことについては、責任を持って遂行する決意でやっておるか、この点を冒頭に聞きたいと思う。

坂井時忠警視監(警察庁警務局長)

○坂井政府委員 もちろん誠意を持って事に処しております。

茜ケ久保重光日本社会党

○茜ケ久保分科員 昨年の予算委員会の分科会のときは、荻野警務局長でありましたが、それからあなたにかわられた。前任者の警務局長さんの答弁についても、あなたは後任者として当然責任を負うべきであると思うが、その意思がありますか。

坂井時忠警視監(警察庁警務局長)

○坂井政府委員 もちろんその通りに考えております。

茜ケ久保重光日本社会党

○茜ケ久保分科員 それではお尋ねしますが、私はここに昨年の通常国会の予算委員会第一分科会の会議録を持ってきております。そして私は二、三の点について強く質問をし、要望しておる。それに対して警務局長も、今そこにおられる後藤田会計課長も答弁をされておる。しかもそれぞれみな誠意を持って実現するために努力するということをおっしゃっておる。ところが残念ながらまる一年たった今日、ほとんどその答弁と実際とは違って、何もなされていない。従って、私は昨年の会議録を基礎にして今からお尋ねしますが、それこそはっきりと——できないならできないでしょうがない。努力すると言った以上は努力した跡があるはずです。どういうように努力したか、その点を一つお尋ねしたいと思う。  第一点は、日本の警察制度の中でいい面もありましょうし、またわれわれが考えてもあまりよくない点もいろいろあると思う。その中で一番私が感じたことは、警察官全体の中で、その大部分を占めているのは、いわゆる巡査から身を起した諸君である。一部幹部の諸君が、いわゆる大学なりその他のところを出てきた諸君である。ところが日本の警察界というものは、いわゆる昔の内務官僚といいますか、大学を出て高文を通った諸君がみな要職を占めておって、長い間巡査をしてほんとうに国の治安に尽力した諸君は、ある一定の段階までしかしれない。こういうことじゃいかぬ。もちろん能率なりその他その人その職務にもよろうけれども。私はあの多くの巡査の諸君の中には優秀な人間もおると思う。そういった者が逐次上って、いわゆる本庁の局長にもなれるしあるいは警察庁長官になってもいいと思う。遺憾ながらその実態がない。昨年お尋ねしたら、いわゆる地方の府県警察本部長の中に、たった十人しかいない。私はこれを半分か三分の二にしたらどうかということを申し上げた。ところが警務局長は、できるだけ御期待に沿うにいたしましょうと言って、全然なっていない。警視正にしても警視長にしても、ほとんど県警察の首脳部は巡査の経験もなければ、ほんとうに民衆と接触して苦労をともにしたものはいない。そこにいろいろな警察行政の欠陥も出ておると思う。昨年私の質問に対して十名程度だとおっしゃったが、一年たった今日では、地方の府県の警察本部長で巡査から上った諸君は何名であるか、この点を一つ明白に御答弁願いたいと思います。

坂井時忠警視監(警察庁警務局長)

○坂井政府委員 私は前警務局長の方針でもそうであったし、またその気持で昨年御答弁をしたと思うのでありますが、別に大学出とか、あるいは巡査から上ってきたとか、そういう観点ではなくて、真にその人が幹部として適任であるかどうかという見地から、その職につくべきものであるということを考えておるのであります。前警務局長もそういう観点から、かりに巡査から上った人でも有能な人があればそうしたい、こういうことで御答弁を申し上げたと思うのであります。現在本部長でそういう巡査からどんどん上ってきた人は十二、三名おると思いますが、御承知のように本部長と同クラスの者がたくさんあります。管区警察学校の学校長であるとか、あるいは管区警察局の部長であるとか、まあ同じクラスで交流しておりますが、そういう者を入れますと三十四、五名になっておると覚えております。

茜ケ久保重光日本社会党

○茜ケ久保分科員 もちろんあなたは、学校出とか巡査だとかいうことは考慮しないとおっしゃるけれども、実際にはそれははっきりしているのです。私は全日本の巡査ないしは警部、警視級の諸君の中に、地方の本部長なりあるいはその他の要職につき得る有能な人がたくさんあると思う。ところが、遺憾ながら現実においてはそれはそうなっていない。あなた方は表面はそうおっしゃるけれども、実際には依然として警察の要所々々は、先ほど言ったような人たちで占められておると思う。あなた方はどういうふうに考えるか知りませんが、第一線の警察官の諸君は非常に不満を持っている。これは給与の面でもそうである。また自分の将来を考えてもそうである。しかも今北山君も指摘されたように、いろいろな服務規程を作って縛って、身動きできないような状態にしておいて、給与は低い。そこで不満がある。不満がありますとその不満が結局上司に向っては出せないので、勢い民衆に向って反発してくる。これは当然であります。そういうところに、日本の警察行政の悪い面があるのだと思う。それを是正するためには、またあとで指摘しますが、給与の問題も考えなければならないし、その他の面も考えなければならない。しかし私は一番大事なことは、努力すれば努力しただけ、ちゃんと身分なりいろいろな面で上っていく、一巡査でも努力すれば、あるいは警察庁長官にでもなれるし、あるいは警務局長にもなれるという道を開くことが、警察制度においては大へん大事だと思う。ところが現在の警察組織というものは全然そういうものがない。今あなたが言ったように、十二、三人の地方本部長、あるいはそれと同格の者が三十四、五名あるとすれば、十何方の警察官の中で、あなたの言われるような意味の資格者と称する諸君は一割あるか、ないかだと思う。その諸君が警察組織の重要な部分と高い地位にすわっておるが、下から上ってくる道をみんな閉ざしておる。これはあなたが幾らここで、その識見、力量に応じてやるとおっしゃっても、それは言うだけであって、実際は何らなされていない。ここに問題があると思う。今私の聞いたのは、去年のこの委員会でお聞きしたところが、なるべく御期待に沿うようにすると言われたが、それが全然なされておらない。あなた方は去年のこの委員会で答弁しっぱなしである。具体的には出ていない。一体去年の委員会の当日から一年の間に具体的にあなた方がどういうことに対して考慮を払われ、また実際になされたか、その例があったら示してもらいたい。それでなければあなた方は国会を侮辱しておる。できませんとおっしゃるなら何も言いません。ごもっともです、そういう趣旨でいたします、努力いたしますと言っておる。言った以上は——あなた方がここではっきりと、今のいわゆる第一線警察官の中には、そういう資格のある者はありませんということをお答えになるなら何をか言わんや。しかしおそらくあなたはそうは答弁をなさるまい。一つここで去年のそういう人数と今年の人数とはわかるはずであるので、そういう実績があったらはっきりとお示し願いたいと思います。

坂井時忠警視監(警察庁警務局長)

○坂井政府委員 お話の趣旨は全く同感なのでありますが、実際問題といたしましてそういう結果になっていないとおっしゃるのでございますが、不幸にしてそういう適格者を発見できなかったということになろうかと思います。実際おっしゃる通り、私も府県の本部長をやっておりまして、五十数歳になった有能な警視正の人たちも知っておるのでありますが、その人たちに具体的に、ほかの本部長をやってみたらどうかということも勧めてみる機会もあるわけであります。ところがやはりいろいろ家庭の状況とか、あるいは子弟の学校の関係等を申されまして、やはり自分の故郷の県で一生を過ごしたい、県の警察のために一生をささげたい、こういう気持の人が多いので、非常にその点は残念に思っておるわけでありますが、ほんとうに適任者でよい人があれば、どんどん抜擢する気持に少しもやぶさかではないのでございます。

茜ケ久保重光日本社会党

○茜ケ久保分科員 あなたはさっき、遺憾ながらそういう適格者はなかったとおっしゃったようでありますが、これはやはり全警察官に相当の影響があると思います。あなたがほんとうにやる気ならば、私はあなたも知っておる一つの例をあげて言いますが、A県の適格者をC県、D県に移すとおっしゃっても行かぬ、これは当然なことだと思います。私の方の群馬県でもそういう例がある。今成という優秀な警察官がおりました。おそらく特進でこれだけ優秀な人はないと思うほどりっぱな人であった。この人が幾たびか群馬県以外の県の本部長になることを要請された。しかし本人は行かない。なぜ群馬県で本部長にしないのか。そこにあなた方の非常なセクトがあると思う。群馬県の巡査出身でなぜ群馬県の本部長にできないのか。群馬県からほかの県に行って本部長が勤まるくらいなら、群馬県でも勤まるはずである。なぜその県の本部長にしないのか。そこに先ほど指摘したようにあなた方のセクトがある。よい人があったらどんどんその府県で当然登用すべきである。一体なぜその県で登用できないのか。あなたも知っているように、この今成という群馬県のかっての名警察官も、これはもう本部長も本部の部課長も十分勤まる人物であったが、遺憾ながら他県に行くことができないで、ついに警視正でやめてしまった。そして今前橋の市役所で有能な幹部として働いておられます。なぜその県の巡査出身の幹部がその県の本部長になれないのか。この点について明確な御答弁を願いたいと思います。

坂井時忠警視監(警察庁警務局長)

○坂井政府委員 私も昔群馬県で社会課長をしておりましたが、その社会課長をしておったときから今成君はよく存じております。非常にりっぱな警察官でありまして、御指摘の通り、どこの県の本部長をやらせてもりっぱに勤まるような人だと私は観察しておったわけであります。ただ、なぜ群馬県の本部長にしなかったかというお話でございますが、私その当時の事情はよく存じませんが、われわれとしましてはその県の本部長をすることを絶対にいけないというふうには考えておりませんけれども、実際問題としましてその出身の県の本部長という職につきますと、いろいろ個人的に困ることもありますし、かえってその人が不幸になるような場合もありますので、できればほかの府県の本部長がやりやすいという考えから、ほかの府県の本部長をやったらどうかということを言ったと思います。  さて、しからば、彼の場合に群馬県の本部長をやらして非常にやりにくかったかどうかということは、これは見る人によって違うであろうと思うのでありますが、その県の本部長をやらしては絶対いかぬというふうにはもちろん考えておりませんが、やはり人間としてやりにくい面があるということもわれわれは考えておる次第でございます。今成君の場合の具体的な実情は、私その当時おりませんので不幸にしてお答えできませんが、御了承願います。

茜ケ久保重光日本社会党

○茜ケ久保分科員 資料として、現在の警視正以上の幹部警察官の出身別身分、巡査から出た者がどういうポジションに幾人という表、それからいわゆる大学出、資格者と申しますか、そういった諸君との比率を、一つぜひ早急に提出してもらいたいと思います。その上でさらにこれはまた地方行政委員会なりで質問させてもらいたいと思います。  本日はこの点はこれ以上申し上げませんが、やはり警務局長もその点よほど考えてもらわないと、警察官がかわいそうだけでなくて、警察官が接触する民衆、その保護すべき国民が、警察官から何か事件を摘発するために脅かされる状態になりがちなんです。その点をよほど注意しないと——私は十何万の制服の警察官が国民に与える影響を考えるから言うのです。そういう見地から十二分の御考慮を払っていただいて、来年の予算委員会ではりっぱな実績を示すだけの努力をしてもらいたいと思う。  次に、北山委員もちょっとおっしゃったのでありますが、給与の点で、私は去年、平均三万円くらい支給したらよかろうと言った。これは一つの言葉でありますが、しかし何といっても警察官は職務に比して給与が低いので、その低いところにも今言ったいろいろな不満が出てくる。従ってまた、交番の炭をもらうとか、付近の住民からいろいろな恵みを受けておるという実態が多分にある。これでは相ならぬと思う。そこで簡単にはいかぬけれども、国会でも警察官の給与の改善についてはおそらくだれも反対しないと思う。ここに二千五百人の増員があるのですが、私は現在の情勢の下で警察官をふやすよりも、給与を上げてほんとうに真剣な態度で働く警察を作った方がいいと思う。数をふやすだけが能でないと思う。幾ら数をふやしてもほんとうに心から仕事に当る気持がなければだめです。ところが遺憾ながら現在の警察官諸君はあまりにも待遇が悪い。処遇が悪い。従って不満があるから——もちろん私は怠慢とまでは申しませんよ、申しませんが、ほんとうに心から事に当るという熱意が少いと思う。そこで、増員をするよりも、この際給与の点を考えてやった方がいいのじゃないかと思う。私は人の多きを可とはしない。従って警察官の給与を般の公務員給与からはずして、特殊な——防衛庁は特別な給与をもらっている。たとえば飛行機に乗った諸君は五割もふやす。落下傘部隊は五割ふやす。こういうふうに職務内容によって防衛庁は非常な多額の給与を与えておる。警察官もときには自分の身の危険を冒して飛び込んでいく。こういった職務なら、私はこれは一般の公務員の給与とは別なものを考え、特殊な手当を出してもいいと思う。そうすることの方が警察の能力を上げる結果になると思うのだが、これもこの前申し上げた。しかし、やはり何ら具体的に出ておらぬ。もう一ぺん、ここで申し上げる。去年の答弁に対して文句を言うのではないが、どうしてもそういったことができないか。従って警務局長は——あなたは新任早々だからあと二年や三年警務局長の地位におるでしょう、警務局長在任時代にそういったことを実現する努力をされるならば、国会はおそらく全員が賛成をしてくれると思う。その点いかがでしょう。

坂井時忠警視監(警察庁警務局長)

○坂井政府委員 非常にありがたいお言葉をちょうだいいたしまして恐縮に存じます。現在警察官の俸給は、すでに御承知の通り公安職という職種になっておりまして、初任給を比べてみますと、普通の他のお役所に初めて入ってくる者と約千円の開きをつけてあるわけでございます。ただ千円だけの開きでは、まだ警察官の職務の特殊性から考えまして足らないということはわれわれ痛切に考えておるわけでありまして、関係当局にも極力お願いをしておるわけでございます。しかしながら、給与体系の問題というのは、事務的にきわめて困難な問題でありまして、私ごとき一警務局長がどうこうすることのできないほど大きな問題でございますので、皆さんのあたたかい御援助をお願いいたしたいと思うのであります。  先ほども北山先生にお答えいたしました通り、昨年は給与体系の問題は非常に困難でありましたので、超過勤務手当の率を六%から九%に上げまして、その面で多少のめんどうを見て参ったのであります。  来年度におきましては、住宅の問題あるいは駐在所の奥さんに対する謝金の問題というような面で、及ばずながら努力しておるわけでございますが、今後とも努力をいたしたいと思います。

茜ケ久保重光日本社会党

○茜ケ久保分科員 松野総務長官にお尋ねいたしますが、今私が質問した警察官の給与に対して特別な法律を作って、防衛庁の特殊な業務に参画される自衛官が非常な好遇を受けておることに類して、警察官の給与に対して特別な給与関係の措置ができるのかどうか、また政府としてはそういったことを考えることができないものか、この点について総務長官の御意見を伺いた  い。

松野頼三総理府総務長官

○松野政府委員 今日の給与は御承知のごとく、一般職に関しましては人事院の勧告というものが第三機関として公正に行われておりますが、今日人事院は特別職にさわることをやっておりません。従って、第三者というわけにも参りませんので、今日は予算の財政的見地から給与を一般職に比較して決定するという以外にございませんし、ただいま茜ケ久保委員のおっしゃったような関係から、やはり将来は——今回は、実は人事院と打ち合せの中に、特別職も人事院でやった方がいいのではないかとという意見もございますので、やはり第三機関というものがあってある程度やることの方が給与については妥当だという意見も出ておりますので、その方向で自衛官及び警察官というものは、今日国家公務員が総理府の所管というわけにもなっておりませんから、そういうことを考えながらやって参りませんと、予算、財政ばかりに縛られておっては、その特殊性というものはなかなか出てこないと、実は私もそういう考えを持っております。

茜ケ久保重光日本社会党

○茜ケ久保分科員 この点は私どもも内閣委員会におきまして給与の問題をやっておりますから考えて参りますが、少くとも警察行政は国民を威圧する警察でなく、国民から愛され、国民を常に守っていくだけの余裕のある警察官にするためには、やはりそういったことが重要でありますから、私どもも真剣に考えますが、当局も関係方面と十分な御検討を願いたいと思う  次に、これもやはり昨年申し上げたのですが、服装の問題です。警務局長、あなたは警察官としての資格を持っているのでしょう。あなたは制服がありますか、あったら着たことがありますか。きょうはなぜ着てこなかったか。ちょっと伺いたい。

坂井時忠警視監(警察庁警務局長)

○坂井政府委員 私も警察官でございますので制服はございます。ただ、私がこの席に制服を着てこなかった理由でございますが、やはり仕事の性質上、制服を着るよりもこういう服の方がいいということで、われわれ本庁に勤めておる者は第一線の仕事ではございませんので、こういう服装をしておるのを長官から許されておるわけでございます。

茜ケ久保重光日本社会党

○茜ケ久保分科員 私は昨年服装についてもずいぶん申し上げた第一はピストル、ああいうものははずしなさい、こん棒もはずしなさい——あなたは見ていますか、第一線の警察官の諸君が、からだの小さい諸君が大きな拳銃を下げてこん棒を下げて、腹にバンドを締めておる格好は、私はあまりいい格好じゃないと思う。私は去年もずいぶん一線の警察官諸君を調べた。だれもあのこん棒と拳銃を下げて歩くのは好きでない、できればはずしたいと言っているこれは当然だと思うしかも、去年もここで指摘したのだが、あの拳銃を下げて警察官としての職務を執行する上に、拳銃が必要なことよりも、あの拳銃のためにいろいろな事件を起しておることの方が多い。こう言うとあなた方はすぐに、いや、凶悪犯とかその他の事件があった場合に必要だからという答弁をする。しかし拳銃を与えてからの警察官が拳銃を使って、果して強盗を取り押え、重大案件を処理したことがあるかどうかという事例と、拳銃のために暴発ないしは拳銃を取られるとか、あるいはまた拳銃を持っておるために危害をこうむったという事例と比べると、後者の方が多いのです。しかも見た格好もああいうふうにぶざまである。去年の質問について答弁を見てみると、何か服装などはばかにスマートになったようなことを言っている。私はどう見ても、今の日本の警察官の服装というものはよろしくないと思う。もしも、どうしても暴動等が起って、こん棒、拳銃等がなければならぬというときには、あなた方は昼夜を分たず警備しているのだから、幾らでもそれを持っていく余裕があると思う。そんなに、もうあの服装をつけていくだけの余裕がない事件はないと思う。にもかかわらずああいうふうにやられておる。あなた方は職務上とおっしゃるけれども、自分でああいう服装がいいなら、長官以下やったらいい。私は残念ながら地方本部の本部長ないしは部課長諸君が制服を着ているのを見たことがない。もしもあの服装にプライドを持つなら、みんな、幹部初め着て歩いたらいい。拳銃を下げて、こん棒を下げて歩けばいい。ところが残念ながら幹部諸君はほとんど常用していない。職務上とおっしゃるが、警察官なら、制服があるならば、堂々と制服を着るべきである。やはり、私は、長官以下常用しないというところには、何か自分自体にあの服装に対してあまり好感の持てぬものがあると思う。一般大衆もそうなんです。何もそこら辺を警備している交番のおまわりさんが拳銃を腰に下げ、こん棒を下げる必要はない。家庭を回って訪問する場合でもあのまま下げている。こういう必要はどうしてもないと私は思う。やはりあなたは、この当面の責任者であるが、ああいう服装でなければならぬという確信を持っていらっしゃるのか、あるいはまた、これも去年の質問を見てみると、十分に検討して善処しますと言っておる。全然善処していない。私はまたさらにその質問をしたあとでも、多数の警官諸君に会って聞いてみると、みんなできるならばはずしたい、もちろんいざ事のある場合には、いつでも拳銃もこん棒も持つけれども、普通の平常の勤務においては、できるならああいうものはない方がいいということをみんな言っておる。巡査自身もそう願い、一般の国民自身もそう願っておるものが、なぜやられないか。あるいは、全部倉庫かどこかにしまっておきなさい、派出所に装備しておくなり警察署に置くなり、それはけっこうです。今度自衛官はなかなかスマートな服装を作りました。あれはずいぶんよくなったと思う。以前の自衛官の服装と今日の服装と比べて、相当好感が持てる。警察官もダブルにして、もっときれいなネクタイをつけてやったら、警察官自身の気持もずいぶん変ってくると思う。接する国民も違ってくる。給与の問題とともに、私は警察官の服装は決してそう簡単には扱えぬと思う。これ以上言わなくてもあなたにはわかると思うのだが、一つこの辺で思い切って警察官の服装についてほんとうに検討して、もっと警察官自身も喜び、民衆も接しよいようなことにやるだけの、これはあなた自身が考えればわかることであろうと思う。それができるかどうか、この点を一つ重ねてお尋ねします。

坂井時忠警視監(警察庁警務局長)

○坂井政府委員 制服着用あるいは拳銃、警棒等の着用についての御質問でございますが、警察署長以下が第一線の仕事をやっておられるわけでございます。警察署長以下は全員毎日制服で勤務いたし、またその際には拳銃及び警棒も持っておるわけでございます。ただ勤務の性質が拳銃を必要としない、たとえば交通に従事しておる警察官、そういうようなものは拳銃をはずすとかいうような勤務の性質に応じた特例は設けておりますが、その他の第一線に勤務する警察官は、やはりそれらのものを必要とするというふうに考えておるのであります。ちなみに、昨年度警察官の殉職者、いわゆる事故で死んだ者ばかりでございますが、これが三十人にふえております。一昨年までは毎年四、五人くらいであったのでありますが、三十人にふえております。そういうことも考えますと、第一線勤務に従事する警察官については、現在のところその必要があるのではなかろうか、こういうふうに考えておる次第でございます。  なお、服装がスマートでないというお話でございますが、この前、警視庁で各国の警察官の服装の展覧会を池袋の某百貨店で行なったのであります。各国の警察官の制服をずらっと並べて、それに拳銃をつっておるところと、つってないところと、それぞれありのままの姿でやったのでありますが、そのありのままを見ておりますと、必ずしも日本の警察官の服装はスマートでないとは言えない。私はスマートだと思って見たのでございますが、ただ日本の警察官といいますのは、日本人が外国の警察官より背が低いものでありますから、多少見ばえがしないのではなかろうかとも考えております。来年度警察官を採用するについては、ある程度やはり身長の高い者を選びたい。今、うちの長官は非常に背が低いのでありますが、長官みずからが高い者を選べ、こういうお話でございます。スマートな警察官をたくさんとりたい、こう考えております。

茜ケ久保重光日本社会党

○茜ケ久保分科員 それは我田引水といいますか、日本の警官の服装が非常にスマートだということでありますが、私はおあいそうにもスマートとは言えませんし、これは今言ったように、一般の国民の感情が許さない。それを言っておるのです。それでなければ、私はこのことは言いません。先ほど言ったように給与を上げることは警察官にゆとりを持たせ、気持も広く持たせることであり、従って民衆に接する態度が違ってくる。と同時に服装も、あなたが背広でいらっしゃるときと、あのいかめしい制服を着たときと違うはずです。相手も違う。あなたがここに制服を着てきたら、あなたはおそらくここには出てこれぬでしょう。同じなんですよ。われわれはまだいい。一般の民衆というものは、まだまだ昔の警察が頭から離れないから、警察とはおっかないものだ、われわれを取り締まるもの、これが頭の中に強くあるのです。従って、そういった頭でいるところにああいう格好で接しられたら、これはもう一般の人は全然感じが違う。あなたは大将で、握っておるからこれは平気です。しかし、一般の民衆はそうでないのです。そこを考えないと、私は日本の警察は幾ら民主警察といい、幾ら民主化せしめる警察だといっても、なかなか容易でないと思う。これはあなた方もそう簡単に言えぬと思うけれども、やはり検討してみる必要があると思う。残念ながら長官が来ない。これは主査、警察庁長官が来ないというのはいかぬと思うのですよ。今もってまだ来ない。これは国会軽視もはなはだしいものだと思う。こういうことはいけないことだと思う。見えたらまた言いたいと思っておりますが、こういったものを、きょうここであなたの口から、変えますとはおそらく答弁できないことは私はわかっておる。従って、もう少しそういったことを考えながら検討して、どうしても変えることができぬのならこれはやむを得ぬが、私は少くも国民の一人としての立場から考えて、できないことはないと思う。全然なくしてしまえというのではない。事がある場合には使いなさい。ところが、いまだかつてこん棒で——これは砂川あたりは別だ、普通の状態の場合に、こん棒を持って警官がときの声をあげていくということはないはずだ、特に交番勤務のときなどは……。拳銃もその通り。従って、こういうものは私はちゃんと厳重に保管をして、いつでも使えるようにしておいて、普通の場合にはああいうものはなるだけはずして、もっと一般の民衆と接しやすいようにするということを要望しておきます。  それから、もう時間もだいぶ過ぎましたから、またほかの問題については地方行政委員会等で申し上げますが、交通課長が見えているそうですが、最近クラクション、警笛の自粛と申しますか、これをやって、非常に各地とも騒音防止が確かに効果をあげている、これはけっこうであります。ただ少しその行き過ぎが最近出ておる。と申しますのは、やはり今の特に若い層の諸君の中にはいろいろな人がいまして、わざと自動車の来たことを知りながら、よけないという者もあるわけなんです。そうすると、自動車というものは早いのが生命であって、のろのろ走るのなら自動車ではない、ある程度の速度を出さなくちゃならぬ、ところがその車の前をのろのろ歩く人がいる。その場合にも、警笛を鳴らすと、これが呼ばれて怒られている。これは私は行き過ぎだと思う。あの騒音防止は、あなた方の立場からどういう規則のもとにやっておられるのか、これは一般に対してはやはり厳重な処分をされているのか、この点を一言伺っておきます。

内海倫警視長(警察庁保安局交通課長)

○内海説明員 お答えいたします。騒音の問題につきましては、御承知のように、昨年の三月ごろから、運動をもって各県ごとに実施いたしたわけであります。その成果にかんがみまして、昨年の十月に道路交通取締法施行令の一部を改正しまして、今まで鳴らさなければならないとされておったものについて再検討を加えまして、たとえば前の規定では雑踏のしておるところを通るときには鳴らさなければならない、あるいは見通しのきかない曲り角等では鳴らさなければならない等、数個の条、並びに追い越しの場合には警笛を鳴らすというふうなことをきめておりましたのを、鳴らすことの義務づけをはずしたようなわけでございます。なお、しかし、今おっしゃられましたように、あまり警笛を鳴らさないことによって生ずる危険等も予想されましたので、特に危険を予想されるような場合においては、むしろ鳴らさなければならないという規定も存置いたしておりますし、またそういう必要のあるところにおいては、都道府県公安委員会でその場所を指定して、そこでは鳴らすというふうにいたしておりますので、これをうまく運用していけば、一方において騒音を防止するとともに、他方においてそれによって生ずる事故を防止し得るものと考えております。ただ、今までも、何と申しましても、警笛を鳴らしたから処罰する、あるいは鳴らさないからこれを取り締るということは、実際上あらゆる状態において起っておりますので、取締りが非常に困難であって、いずれも運転者諸君の自覚に待っており、また他方歩行者なり自転車等で運行する人の注意に待つということを私どもとしては大いに期待しておるわけでございます。私詳しくその状態を数字においては記憶いたしておりませんが、まだ政令改正後に、警笛を鳴らしたからということで特にきびしい取締りということはやらず、できるだけ自発的な措置で、制度に慣熟するような方針で指導していくというふうな方針を各県にはとるように私の方から申しておるようなわけであります。

茜ケ久保重光日本社会党

○茜ケ久保分科員 その方針でいいのですが、実際にやはり各府県に参りますと、相当行き過ぎがある。群馬県の例を見ましても、どうしても動かない、そこで警笛を鳴らしたら、今あなたが指摘したように、公安委員会で指定をした場所でなかったということで呼び出しを食って、一日待たされてえらいお小言を食って帰った、そういうようなことは私は行き過ぎだと思う。運転手諸君は、一日働かなければ食っていけない。単に危ないのと行けないので警笛を鳴らした、たまたま交通整理かあるいは警官にわかって、なぜ鳴らした、これは決して警笛を鳴らさなければ非常に危険な状態じゃないということで、そのあくる日に呼ばれて一日置かれて、しかもえらいお目玉を食って帰った、こういうことをこぼしておる。こういうことはよほど注意していただきませんと、大へん騒音がなくなるのはけっこうですが、やはりその陰に非常に運転手諸君が泣く面が出てくる。それでなくても今自動車がふえて、運転手諸君は非常に過労で神経を使っておる。特に現在の警察は何といいますか、交通取締りが非常に厳重である、運転手というと目のかたきだ、従って、運転手諸君も警官の目のあるところは非常に自粛するが、逆に今度その反動として、いないとまたむちゃをするということが出てくる。そういう意味でぜひこれは一つ親切な指導をして——あなた方の立場から取り締ることも大事でしょうが、取り締られる運転手の立場にもなって、よほど注意してもらわぬと、いわゆる行き過ぎがあって、えらい結果を招来することもありますから、一つぜひそういう意味で各府県の交通警察に十分な指導と督励をしてもらいたいので、この点を一つ要望しておきます。

田中伊三次自由民主党

○田中主査 石山權作君。——石山君、瀧本給与局長もそれから増子調査室長も来ております。

石山權作日本社会党

○石山分科員 長官、大へん長らくお待たせいたしまして御苦労ですが、予算が上りますと、給与問題は、実際からいって、幾ら論じられてもこれは響きがうといわけでございます。きょうは、岸内閣が大へん前々から心がけていた最賃法が三年がかりで衆院を通過した。それらの関連もあって、公務員の給与というのは、ある意味では、私は別な目で見直される時期にきているのではないかと思う。将来の問題については、内閣委員会等で内容等も突き合せて御説明を伺えばいいのでございますけれども、きょうはとりあえず予算と密接な関係のある人事院勧告を政府が受け取った理由というふうなものをまず一つお聞きしたいのでございます。今までは人事院勧告がありましても、いろいろな理由をおっしゃってなかなか率直にそのままのみませんでしたが、去年の期末手当の人事院勧告は、長官等の努力かどうか知りませんけれども、そのままのんだ。今度の給与の場合は、人事院の勧告をそのままのんだということは是なりだ、よろしい、こういう観点で、私たちみたいなものから見れば、受け取るわけにはいかぬわけです。政府は政府として相当な理由がありまして、今まではなかなかすなおに人事院勧告をおのみにならなかったが、今回はのんだ。そののんだ事情について、それぞれの理由をあげて、人事院勧告をすなおにのんだというような御説明があると思うので、その理由を一つお聞きかせ願いたいのです。

松野頼三総理府総務長官

○松野政府委員 人事院勧告をなぜすなおにのんだかということでありますが、今回だけすなおにのんだわけではございません。昨年も交通費という勧告がございまして、それもすなおにのんだ。遠い昔の歴史を考えますれば、財政資金上においてのまなかったこともあったかもしれませんが、今回だけとたんにのんだからおかしいじゃないかというわけでもなかろうと思います。昨年も実は交通費というものをのみました。なお一そう今後とも人事院勧告は全部のもうというよい慣例という意味で、昨年に続いて本年も完全実施をいたしたわけで、特に他意はございません。

田中伊三次自由民主党

○田中主査 石山君、ちょっとおそれ入りますが、今警察庁長官が見えましたから、途中で済みませんが……。

茜ケ久保重光日本社会党

○茜ケ久保分科員 警察庁長官にけさから本分科会に出席方を要請しておったのですが、本日の分科会はさらに本会議終了後やるということが言われておるにもかかわらず、今まで本分科会に出席できなかった理由をお述べ願いたいと思います。

柏村信雄警察庁長官

○柏村政府委員 本日は午前中にこちらへの出席要求がございましたことは私承知いたしておりました。しかし、きょうは参議院の地方行政委員会におきまして、私どもの提案いたしておりまする警察法の審議がございまして、また衆議院の法務委員会におきましても、私に対する出席要求がございまして、こちらと合せ三つ朝から要求があったわけでございます。従いまして、警察庁といたしまして、私どもの法案を出しておる参議院の地方行政委員会に私が出席をいたし、法務委員会には警備局長を出席させ、またこちらには官房長、警務局長を出席させるということで、あるいは私の思い違いであったかもしれませんが、そういうことで手分けして出るということで御了承を得たものと思っておりましたので、また、ただいまも実はある会合がございまして、そちらの方の要求もございましたものですから、もう代理出席で御了解を得たものという認識のもとに出席いたさなかったわけでございます。その点、私の思い違いであったとすれば、非常に恐縮に存ずる次第でございます。

茜ケ久保重光日本社会党

○茜ケ久保分科員 午前中はそれでいいのですが、午後本会議終了後再開することがはっきりしておった。しかも私の方から長官と警務局長は名さしで言ってあった。ほかに会合があったとおっしゃるのだが、国会のあなた方の予算を審議するこの分科会に長官が出ないことは、私は非常に不謹慎だと思う。あなたに言わせれば、何か理由があるかもしれませんが、われわれがこうおそくまで国政の審議をやるのも、重大な問題だからやるのです。あなたは警察庁の長官として、どんな用事もおいて、当然出席しなければならぬと私は思う。しかも同僚委員からもいろいろな重要な質問があったり要望されておる。あなたの下僚から聞くこともそれは必要でありましょう。あなたが直接国民の代表の声を聞くことは、非常に重要だと思う。さらにやはり国会の審議には、あらゆる案件に優先してあなた方は出るべきだと私は思う。どうか一つそういう意味で今後連絡を密にして、そういうことのないように願いたいと思います。私が先ほど来警務局長やその他の諸君にいろいろ質問をし、要望しておきましたが、この点を十二分にお聞きになって、また地方行政委員会等で、あなたに対して質問なり要望することにいたしますから、どうか一つ万遺憾のないようにしてもらいたい。今後は十分に、国会の審議について、出席方に留意せられんことを要望しておきます。

田中伊三次自由民主党

○田中主査 石山さん、お待たせいたしました。

石山權作日本社会党

○石山分科員 長官は、私が人事院勧告をそのまま施行したのがどこが悪いんだ、よいことをやったのがどこが悪いんだというようなお顔ですが、今まではなかなかやらなかったのですよ。一体なぜやらなかったと思いますか。あなたは給与担当の大臣でございますから——なぜ今まではやらなかったんでしょう。そうして今回はなぜするするとあまり文句も言わないでやったのでしょうか。そこにちょっと差異があるわけなんです。差異はやはりあなたが説明する義務があるように思いますので、一つお聞かせ願いたい。

松野頼三総理府総務長官

○松野政府委員 完全に実施する方が妥当で、しなかったときになぜしないかという議論が出るのが普通だと思いますが、きょうは逆になぜ今までしなかったかと言われると、なかなか答弁がむずかしいのですが、ただ私はこう考えます。経済事情というものがある程度安定したときには、給与というものが目がこまかくなってくる。それだけに勧告する方も慎重になり、また受ける方もそれを完全に実施するという目がこまかくなったのではなかろうか。インフレ時代には、給与体系は民間も公務員においても非常に乱れておったために、勧告の一部はのめても一部はのまなかった、それはお互いに異論があったと思います。しかし、今日は大体給与体系というものが安定した生活状況の上に立って参りますと、あとはこまかい技術的というか、安定した上に給与の異論が出てくる。経済事情と給与体系全般のものが安定したというところで、議論の非常に大きなかけ隔てがなくなったんじゃなかろうか、その意味で私は一番大きな前進じゃなかろうかと思います。もちろん今回の人事院勧告にもいろいろ議論がございましょう。政府においても意見はございましょうし、また皆さん方にも御意見はございましょう。しかし、それはお互いの意見は第二として、一応人事院の勧告というものを公平妥当にのむことが今後の給与体系の確立には一番よいんだ、こう考えて、私は完全実施という勧告を受け取りました翌日、実は発表いたし、今回の予算にも昨年の期末手当からこれを実施いたしたわけで、今後ともこの慣習というものは続けられるものだ、こう信じております。

石山權作日本社会党

○石山分科員 長官は自信を持って、今後とも人事院勧告は完全実施をする、こういうふうな御答弁をなさったのは、私は確かに一つの進歩だと思います。これは私は明記しておきたい事柄だと思います。ただ私が今の長官のおっしゃったことで奇異に感じられるのは、人事院はだんだん権力が薄れつつあると私は思います。公務員のストライキと代替に、いわゆる仲裁機関として、あるいはむしろ判定機関でしょう、判定機関としての絶対的な権威を持った人事院が、だんだん権力がなくなってきた。そして政府がやりいいような段階が現実的に迫ってきた。それを長官は混乱がなくなって安定の姿だというふうに言っているのですが、そうすると、実際からすれば、人事院がやってきたのは、混乱の中に巻き込まれて、その作業がでたらめだったということになりかねないと私は思うのです。あなたの表現を借りれば、そういう格好になるのです。そして、最近になって権力を失ってきた。権威はなくなってきたが、その作業は非常に正確になってきた。だから政府はのんだということになるんでしょう。前のはでたらめであったからのめないという格好なんですよ。私はそこに一つの疑問を持つ。私は貧乏者ですから、貧乏者の何とかというたとえごとがあるのですが、政府がのんだのは、やりやすいからのんだのではないということは、まっ正面から受け取れない。今までは難儀であったから、正しいことであったけれども、のむことができなかったのだ。しかし今度は、いかにもやさしくて、政府がのんでもいいから、あなたの方では判こを押したような格好をしておられますけれども、実際あなたの方でこの程度なら受け取ってもよろしいというふうなところへ、まるでキャッチャーがサインをして待っていてたまを受け取るような格好で、そこへぽいんと稲村投手みたいに肩のいい投手からすぽっとアウト・コーナーの低目をねらって入ってきたのが今度のいわゆる初任給大学出千円、短大、高卒の四百円というような姿、あるいは暫定手当の本給繰り入れの姿だと思います。しかもこれもみみっちいじゃありませんか、給与は四月からやって、暫定手当本給繰り入れば七月、ここに私は人事院にいつも言っておる問題があるのです。施行期日をはっきりしないところにこういう問題が起きてきて、あなたの方で全くうまいことを言って、人事院の勧告をそのままのんだなんておっしゃるけれども、人事院が勧告したのは一体いつなんですか。それから日にちがたった。日にちがたったのは、経済界は横ばいだとか、なべ底だとかいろいろいっているけれども、これはアメリカと同じですよ。物価は下らない。企業は横ばいから少し下った傾向にあっても、物価はなかなか動かない。これは私は偉大な独占企業の力だと思うのです。物価は下らなかった。むしろ上向いてきておる。そういうふうな中で今のような結果が来ても、これは人事院の勧告をそのまま受け取ったというふうな表現には、実際からいって決してならないと思う。なぜかというと、これは三十三年三月の時代の勧告なんです。資料はおそらく三十二年の民間の資料です。それからほんとうに人事院の勧告が民間の実情に合わせた公務員の給与を設定するというふうなことになれば、二年くらいさかのぼったところのポイントが、実際からいえば人事院勧告そのままを受け取ったということになるわけですが、実際はそうじやなかったと思うのです。そして今も申したように実施期日が明記されていないものだから、政府は思うつぼに、いわゆる予算に合わしたというような格好になるのではないか。  もう一つあわせてお聞きしたいのですが、政府は、公務員の給与を考える場合に、国家予算と人件費ということをおそらく考えられると思うのです。国家予算と人件費というワクを最初設定されてしまうと思うのです。この設定では大蔵省の給与課とかあるいは主計局あたりで綿密にやると思うのですが、そういうふうなところで設定されたワクの中において、逆算的に実施期日を何月にするのだ、こういうふうなやり方をとっているのではないか。私は今回特にそういうふうな不信感を持ったのですが、実情はどういうふうになっておりますか。

松野頼三総理府総務長官

○松野政府委員 人事院の勧告を受け取りましたのは、七月十六日かと存じます。それから一番早い給与の改定が、期末手当と勤勉手当が、十二月のものをまず実施いたしました。今回は初任給及び勤勉手当、期末手当一年分を繰り入れました。人事院勧告を受け取りましてから、一番早い時期の給与から手をつけたわけでございます。  なお予算の総額において給与を幾らにきめるかということは、これはなかなかそう逆算もできません。給与というものは一つの実績でありますし、いかに予算があろうがなかろうが、人件費の支払いは最優先的にしなければなりませんので、今回の予算ではどの程度の給与総額があるか、いろいろ計算もむずかしいかと存じますが、私が今日念頭に覚えておりますのは、一兆四千億の中で二千六百億くらいは給与だという体系において計算ができるかと存じます。従って、私どもはそういう割当で給与を払うべきものではない、従って、だれがきめるかということは、お互いに予算で数字をはじいたのではいけませんので、人事院という第三者が、民間の給与、生活物価、すべてを勘案して給与体系を勧告する、これば人事院ではいわゆる総予算には関係なしに勧告されるのでありますから、そこに財政上において全然のめないという例が、個々にはあったかもしれません。というのは、財政を考えずに、給与そのものの純粋さから人事院は仕事をすべきものだ、従って、今回の勧告も、あながち少いからといって私たちがのんだとかのめないとかいうものでなしに、給与そのものの水準はかくあるべきだという姿が今回の勧告であった。私は何らサインをしたこともございませんし、人事院総裁にお会いしたこともございません。そういうことはない方がいいと私は思います。従って、その御疑念はどうかお晴らしをいただいて、純粋に人事院の勧告を実施することが一番妥当だ、こう考えます。

石山權作日本社会党

○石山分科員 そうすると、こう解釈してもいいと思います。昔の人事院の作業も正確であったが、いわゆる国家財政というようなワクで縛られて、それを受け取ることはできなかったということでないと、今日の説明はわからぬわけですね。今日になると、人事院勧告に従ってもいいような財政状態になった。そうすれば、逆説をとれば、苦しいときは下から積み上げてきても否定しなければならなかったが、今度は下から積み上げてきても受け取ることができるようになったから受け取る。そうしますと、自民党内閣は、昔を考えてみますと、公務員の給与に対してはあまり努力をしなかったという証拠にも私はなりそうに思いますが、その点はいかがでしょう。

松野頼三総理府総務長官

○松野政府委員 人事院の勧告をのむ、のまぬということは、当然人事院から勧告が出ましたならば、それは政府は忠実に守って、予算編成をしなければならないわけであります。ただ、人事院の勧告の給与が議会において修正されて、これが一部実施されたということで、実施の時期はおくれたかもしれませんけれども、人事院の勧告を全く葬ったという例は、実は私の記憶にはございません。もちろん議会において修正されたために、一部人事院の勧告と違った給与体系ができた、あるいは人事院勧告の実施の時期がある程度ずれたという記憶はございますけれども、人事院勧告を政府の財政の都合で拒否するとかあるいはこれを抹殺するということは、人事院という存在からできない、そういう精神で今日も記憶しております。

石山權作日本社会党

○石山分科員 公務員の給与は、御承知のように民間給与との比較をされながら、年間五%の物価変動によって人事院が作業を起すわけですが、今度現われた結果、民間給与よりかなり下っているわけです。ある資料から見れば、全般的に見て、民間より一一%下ったというふうにいわれております。こういうふうな資料も出ておりますが、こういう姿はどういうものかと思う。特にこの公務員給与法が、いわゆる民間の給与よりも越えてはいけないというような一つのワク、それから物価変動が五%でなければいかぬというふうな一つのワク、こういうふうなワクは、つまりマル公、いわゆる最高を押える考え方、賃金を押えるという形なのです。ですから、たとえば民間でどういうふうなことが行われてきても、ここで防ぎとめる、五%上らないような場合防ぎとめる、こういうことがあるわけです。この給与法はそろそろ変える必要があるのじゃないか、検討する必要があるのではないかと私は思うのです。下から積み重ねていくものとすれば、もっと人事院の勧告なり、そのものを信頼しながらやっていく必要があるのではないか。特にきょう最低賃金法が衆議院を通過して感ずるのは、あの法律は業者間の協定が主眼点でございます。だれが何と言っても、業者間の協定が主眼でございますから、私から見ますれば、あそこで民間のいわゆる零細企業、中小企業の給与が押えられてしまいます。ここに私は問題がまた複雑になってくると思います。  人事院にお聞きしますが、人事院の民間の基礎数字の取り方としまして、非常に小さな方の、いわゆる五十人以下あるいは百人以下というふうな事業場の例を多くとっている跡があります。そうしますと、中小企業の最高、マル公が、今度の最低賃金法によってきめられるわけなんですね。そうしますと、必然的に政府が意図する民間の低賃金というものがそこに現われてくるわけなんですよ。その低賃金の比較において、いわゆる公務員の賃金が査定されていく。しかも、民間の賃金は、御承知のように、大企業と中小企業の格差がうんとあるわけですね。これは農業でもその通り、いわゆる富農と貧農の差が自然の形で間隙が広がっていたと同じに、統制経済のワク内においても、自由競争が行われると、そういう傾向が出てきております。特に世帯が大きくなればなるほど——公務員なんか特にそうですが、世帯が大きくなればなるほど、同じ企業の中でも上下の差が出てくる。公務員の場合は十二倍くらいの倍率になっている。これも批判の的になっているわけですが、人事院に伺います。私が今懸念しているような、最賃法が通ったために、中小企業、零細企業の賃金が、業者間協定によって頭打ちされる可能性がある。そこへあなたの方が、私たちがかなりにウエートをかけた基礎数字をやはりとってこられるものですから、公務員の給与が今後相当な影響を受ける。影響というより痛手を受けるのではないかというのが私の心配ですが、人事院はどういうふうにお考えになりますか。

瀧本忠男人事院事務官(事務総局給与局長)

○瀧本政府委員 お答え申し上げます。人事院が民間と比較いたしまする際には、これは職種別に比較いたす原則に立っておるわけであります。ただ、われわれか調査をいたしまするのに、そういう比較し得る職種がどういう規模の事業場にあるかと申しますると、これは五十人以上の事業場ならばそういうものがとり得るということで、五十人以上の事業場ということを調査の対象にいたしておるのであります。これは、人事院の調査方法といたしましては、全部の事業場を調査するわけではございませんで、いわゆるランダム・サンプリングという方法によりまして、五十人以上の事業場を全員調査したと同じになるような仕方によりまして調査をいたしておるのでございます。よく日本の事業場には、大事業場と小さい事業場との間に、賃金格差が相当あるといわれるわけです。これは二、三日前に出ました労働省発表によりましても、たとえば三十人末満、五人以上二十九人の事業場の賃金と、それから三十人以上の事業場の賃金の間には、約四割くらいな格差があるというようなことが出ております。私の方でいろいろやってみておるのでありまするが、五十人以上の事業場を調査いたすということになると、全事業場におきまして、これは調査の種類によって、土建の事業場を調査しないということはございますけれども、大ざっぱのことを申しましてどういうことになるかと申しますと、全従業員の五五%——おおむねその四五%程度をカバーしておるということに相なりまするし、事業場で申しまするならば、これは非常に数は少いのでありますけれども、労働者数ということで参りますと、相当大きなウェートを占めておるということになりまするし、またわれわれの調査では、これは五十人以上を調査いたしておりまするので、かりに五百人以上のところを調査した場合とどれくらいの賃金の違いがあるか、三十二年の十月の数字で、平均賃金で申してみますと、五百人以上のところを調査いたしますと、平均賃金が一万九千九百七十六円、それに対して五十人以上のところは一万七千二百六十一円、この程度の違いになっております。われわれといたしましては、公務員の給与というものは、やはりあらゆる方面の納得を得なければならぬ。そのためには、大体五十人以上の事業場におきまして比較し得るものを調べればよろしいというような見地に立ちまして、調査をいたしておる次第であります。

石山權作日本社会党

○石山分科員 給与局長、私はきょう衆議院を通過した最賃法によるところの公務員への影響、そういうことをお聞きしたわけですが、まだ研究不十分だということならば、これは論議外でございますが、あなたが研究されておるとしたならば、お聞きしたい。きょう、政府が提案したのが、無修正で通過をいたしました。先ほど私申し上げましたように、業者間協定になれば、いわゆる零細企業、中小企業の賃金が頭打ちされる懸念がある。その頭打ちをされた給与を対象にして、あなたの方で査定されておるわけです。その頭打ちの影響が公務員の給与にすぐさま影響してくるのではないか。それでなくても、五%とか、民間給与の云々というふうなところに押えられている公務員は、二重の給与のワクというものがこの場合設定されたことになるのではないか、私はこういう懸念を持っておるのですが、あなたの研究はいかがでございますか。

瀧本忠男人事院事務官(事務総局給与局長)

○瀧本政府委員 ただいまも申し上げましたように、これは最低賃金ができてみなければわからぬことでございますので、できた上でわれわれの方といたしましては十分研究いたしたいと思うのでありますけれども、従来の人事院の調査方法からいたしますならば、ただいまも申し上げましたように、これは人事院の調査いたしまする対象で出して参りまする賃金というものと、それから大規模事業場の賃金とそれほど格差はないのでございます。このことは、ただいまも数字で申し上げましたような状況でございますので、これは将来のことになりますから、予想というより仕方がないのであります。また将来研究いたしてみるつもりでございますけれども、ただいまの予想といたしましては、やはりそれほどの影響がないのではなかろうかというように感じている次第でございます。

石山權作日本社会党

○石山分科員 きょう通った法律をお役人が悪いなどと言ったらこれは穏やかでないでしょうから、これはやむを得ません。これは後にあなたの方でも一つ研究していただいて、われわれも一つわれわれの考えを申し述べて、そこで討論して、被害のないように有効に使うように協力していかなければならない実情だろうと私は考えております。  次にお伺いしたい点は、私の得た資料の中にはこういう資料がございます。民間給与より現在全般から見て一一%近く下ったのではないか、こういうふうな資料が入っております。それから大学出が大体千七百円程度、短大が九百円、高校卒が六百九十円ぐらいが民間より数字的に低くなっている、こういうふうな資料でございます。この資料についているのでは、三十二年も三十三年も、それぞれ公務員の給与は民間の給与よりもかなりに下回った数字も出ておるわけですが、結果的に今言ったようなことは、人事院としてはどのぐらいに評価いたしますか。

瀧本忠男人事院事務官(事務総局給与局長)

○瀧本政府委員 お答え申し上げます。民間給与とどういうふうにして比較するかということであるわけでございます。たとえば三十三年の三月現在で民間の給与を調べてみますと、平均給与が一万六千二百八十三円、公務員の方は一万九千三百九十円、こういう平均賃金が出ております。一部にはこの数字に着目いたしまして、公務員は低くないのではないかという説をなす向きもあるのであります。また、ただいま御指摘になりましたような一〇%ぐらい違うという見方が、これは見方によってはあるかもしれません。ただ人事院といたしましては、民間と公務と比較し得るようなものを全部込みにいたしまして——民間と公務とでは職員構成が非常に違うのであります。たとえば民間の事業におきましては、紡績事業なんかで女子職員が非常にたくさんおる。年令の低い勤続年数の短かい女子職員がおる。そうすると平均給与が下るということになりがちでありますし、また学歴構成からいいましても、公務には上級の学校を卒業いたしました者の割合が民間に比べまして非常に多いわけであります。給与はやはり学歴と相当深い相関がございますので、そういうことを無視しまして比較するということもおかしいではないか。われわれといたしましては、学歴も、それから男女構成、勤続年数、こういうものも大体公務も民間も同じような状態にして比較するのが適当ではないかというような関係でそういう比較をいたしておるのであります。そういう比較をいたしまするならば、昨年現在におきまして、この行政職俸給表の(一)というものだけ比較いたしますれば、これは八%ぐらいの差がございます。しかし、公務の中には特別な待遇をしておりまする警察官でありますとか、また税務職員でありますとか、教員というようなものがあるわけであります。そういうものがございますので、まず税務とか警察、これは民間と比較はできませんから、これは問題の外にいたしまして、比較できるだけを全部平均いたしてみますと、公務と民間との差は四・一%である、こういう計算に相なっておるのでございます。従いまして、人事院といたしましては、全般的に給与改善ということを考える程度には、公務員法の二十八条によりますとなっておるというわけに参らないのでありますが、しかし、初任給等はよほど差がある。ただいま大学卒について千七百円違うとおっしゃったのでありますが、これは大きな事業場だけ特に抽出してみますると、そういうことになるかもしれません。しかし、われわれの調査ではやはり実証的に調べるよりは仕方がない。去年の三月現在におきましては、昨年採用されました者の給与というものはわからぬ。会社が総ワクとしてきめておるものよりほかはない。非常に不確定でございます。従いまして、われわれは、その前年に入りました者が昨年の三月現在でどのような給与になっておるか、その間に昇給がどのくらいであるかということから逆算をいたしまして、大学卒については千円という数字が妥当である。このような結論に達しまして、千円を増加するということをいたしたのでありますが、要するに人事院は、民間と比較し得るものの平均におきましては、公務は昨年の現在におきましては四・一%低かった、このような結論に達しておる次第であります。

石山權作日本社会党

○石山分科員 先ほど長官にちょっと聞いたのですが、これに対して説明がございません。給与改善は四月、暫定繰り入れが七月となさった理由はどこにありますか。

松野頼三総理府総務長官

○松野政府委員 暫定は十月一日から本年の予算に繰り入れました。一番適当だと思ってやったわけであります。

石山權作日本社会党

○石山分科員 私の言うのは、給与というものはあまり政治論をやっちゃいかぬと思うのですよ。適当という言葉は、実際からいうと、われわれには当てはまらぬ言葉なんですね。適当という言葉は、これは何かの方で適当にやっておけといって、長官は、課長とか秘書には適当にやっておけというようなことで済むかもしれません。しかし、給与というものは適当にやれない。たとえば適当にやれと言っても、人事課あたりになりますと、何かの基準があって、その基準の通りきちっと当てはめなければ給与にならぬですよ。この十月が適当であると言われても、なぜ給与が四月で、給与に付随した暫定手当なるものが十月にならなければならぬかというふうなことは、実際から適当じゃないのです。なぜ四月にやらないかというのが給料取りの心理です。

松野頼三総理府総務長官

○松野政府委員 御承知のように、暫定手当を支給しないという意味ではございません。暫定手当を本俸に繰り入れるのを十月一日にやるということで、暫定手当を全然支給しないというそういう不人情な意味で私は適当だと言ったのではございません。なぜ適当だという理論は、暫定手当は、昭和三十四年四月一日以降において、これを整理し、その一定の額を職員の給与俸給に繰り入れ措置をとるものとするというこの条文が、三十四年四月一日以降ということならば、三十四年四月一日以降いつでもいいのか、こういう議論ではこれは適当じゃありませんので、昭和三十四年中においてこれをやればいいのだという理論も立ちます。それで一番公平なことは三十四年のまん中というならば一番適当だという適当でありまして、ただいわゆる私が秘書に一週間で適当にやれという適当じゃないので、これはほんとうに三十四年四月一日以降ならば、三十四年四月一日から一年間のうちにやればいいのじゃないかという議論も成り立ちましょうが、それではあまり適当でないから、一番公平妥当な中心をとるならばこれは適当だろうというので十月一日、半年分を繰り入れた、こういう実は非常に理論的な適当でございます。

石山權作日本社会党

○石山分科員 どうも私はそういう理論なのがおかしいと思うのですよ。あなたは政党人で、お役人にならないとすれば事情はよくわからぬでしょうけれども、四月という月は公務員にとっては大切な時期なんです。その月に本給が何ぼになっておるということがみんな影響してくるわけです。それが十月にやって、半分やったからといって恩を着せたようなことを言うけれども、四月にやったとやらないじゃ大へん違うと思うのですよ。これはおそらく半年やる、十月にやるなんというのは、長官みたいな温情主義の理解のある人はそんなことを言わないと思う。大蔵省あたりでつまらぬさしがねが入って、あるいは人事院がさしがねをするわけはないのだろうと思いますから、大蔵省の給与課あたりがやったと思うのだが、実際からすると、これはだれが考えても、給与改正をなさるのですからそれと同じようになさることがいいと思う。今まで不遇であるといわれている公務員諸君は、このことによって、やっぱり自民党内閣もなかなか味なことをやるものじゃないか、見直したということになりかねなかったわけですが、どうしてもこれは十月でなければならないという理由は、私は探してもないんじゃないかと思う。どこを押しても、そこでなければならないという理由はないと思います。

松野頼三総理府総務長官

○松野政府委員 なお御承知のごとく、この暫定手当の問題は、昭和三十二年十月一日から今日まで懸案事項がございまして、昭和三十二年十月一日から昭和三十三年三月三十一日までの間においては五分の二、今年四月一日からこれが五分の五に、給与というものが、いわゆる暫定手当の過去の分が整理されます。四月一日から初めてこれが五分の五になるのですから、これが一応実施されたあとというと、その次には十月一日にこれがさらにもう一段階本俸に繰り入れられるというふうに考えていただきますならば、私の言うことはやはり適当じゃなかったかという御理解もいただけるのじゃないかと存じます。

石山權作日本社会党

○石山分科員 あまり水かけ論をやる時間がないので残念に思いますが、長官の言う適当は、私から見るとあんまり適当じゃない。不適当な処置であると考えます。それからこれは地域給で、人事院では瀧本局長などは大へん苦労なさっていろいろ心配して、給与の一本化というふうなものを考えていられるようですけれども、政府として、たとえばこれをしおにして諸手当の一本化などを考えているかどうか。それから給与自体の体系が非常にまずい。上が厚くて下が薄い、しかも中だるみが激しい。こういうような批判は一般的です。民間でもそうですが、特に公務員の場合は学閥等の関係があって、大へんに問題を暗くしていると思うのですが、給与の体系の改正というふうなものは、あなたの管轄でなさっている公務員制度とにらみ合いでなければいじれない。こういうようにお考えになっていられますか。

松野頼三総理府総務長官

○松野政府委員 給与のことについていろいろ議論があります。私個人も議論がございますが、しかし、給与のことについて人事院という独立機関の存在を尊重いたしますれば、やはり人事院からの勧告というものを中心に私たちはやることが一番妥当だ。またそのために人事院というものの尊厳を維持すべきだ。こう考えまして、私たちはあくまで人事院の勧告あるいは審査というものを忠実に受けることが間違いのないことだ。あるいは内閣によって非常にふえた、あるいは減ったということは、公務員の制度としてはあり得べからざることだと考えますので、そういう意味においても、人事院というものの制度を尊重いたします以上、人事院にまかせる。意見があるときに言うことは自由でございますけれども、人事院の尊厳を傷つけてはいけないと考えますので、将来人事院から勧告がございましたならば、そういう意味でそのときにおいて当然それを尊重すべきでございますが、今回は人事院の勧告というものがそこまでいっておりませんので、これはまだしばらくあとの問題じゃなかろうかと考えております。

石山權作日本社会党

○石山分科員 長官はしおらしいことを言うけれども、機構改革でいつも一番やり玉に上るのは人事院ですよ。人事院を内閣直属にするとか、査定機関を大蔵省へやったらよかろうか、総理府へやったらよかろうかなどと極言しているじゃありませんか。査定機関を動かすというのでは人事院の価値ばありませんよ。そういうことを言っているあなたが、いかにも人事院を尊重するようなことをおっしゃるのは、ずいぶん政治家とか大臣というものは口ではうまいことを言えるものだと思います。あなたは私の信頼している一人ですから、あなたはあなたなりにやっているのだろうと思いますけれども、現実に動いていっでいることは、人事院を何とかしようという考え方でございます。人事院の方に何か案がなければ、尊厳を傷つけるからこっちから言ってはいけない。こういうのは非常にいいように思うけれども、責任ある行政の担当者としては、やはり私はこう思うという考え方、あるいは人事院に対する助言というものがあっても何ら差しつかえないし、人事院を傷つけるものではないと思います。私は、給与担当の大臣としてはこういうふうに進んでいき、一本化というものを——たとえば今の場合五等級あるわけですね、そのうちの一等級だけ削って、まだ四つ残っているわけですけれども、そのほかに薪炭手当、石炭手当、寒冷地手当、同じようなところに三つの名目の手当が出ているわけです。ですからあなたには給与担当の大臣として、なるべくこんなかっこうで一本化した方がいいのか——これは政治的な感覚だと思います。それがいいのか、それとも公務員制度とからみ合せながら人事院にハッパをかけて作業を進めて、大幅に一挙に体系を直した方がいいかというようなお考えをなさったことがあるか。あるならば一つお聞かせ願いたい。

松野頼三総理府総務長官

○松野政府委員 実は公務員制度の改正ということの考えを持っております。その大きな問題は、先般公務員制度の改正はいかにあるべきかという諮問をいたしましたところ、ことに人事行政というものは、給与まで含めて人事行政の一本化をすることがより能率的であり、より妥当だという勧告をいただきましたので、人事行政の一本化の中に、人事院の勧告とか尊厳とかはあくまでも厳然と存置するという気持で今回の公務員制度改正というものを思い立ちましたけれども、人事院の給与の実施ということにつきましては、人事院はなかなかまだ話し合いがついておりませんので、いたずらに私たちの方が人事院をいわゆる弱体化するのだというふうな印象にとられては、これは私の本意でございませんので、人事院から御返事が来るのを今日暫時待っておるという姿であります。かりに私の構想ができたといたしましても、人事院の勧告権というものはあくまでも残し、その任用権、公正な人事権というものは人事院に残すつもりで実はおりました。そういうわけでありまして、何ら本論に触れるようなことはございません。それでは将来どうするのかということになれば、これは人事行政、ことに公務員制度という問題と給与とは一体なものでありますから、これはやはり政府というものを中心に考えていただかないと、人事院が独立機関だ、いつまでも全然無関係だということでは、人事行政の一元化はできない。それでは人事院を内閣の直属にするのかというふうな意見も出て参りますが、まだ実はそこまで踏み切っておりません。しかし、やはり人事院の勧告というものと実際の行政というものとが非常にかけ離れて、人事院と政府とがうまくいかないというときには、やはり人事院というものを内閣と関連の深い機構に変えなければいかぬという時代が来るかもしれません。しかし今日は人事院、内閣ともに円満に行っております。私は、この今日の姿は悪いとは思っておりません。しごく円満に行っております。しかし、人事院というのは国家行政組織法以外になっておりますので、内閣総理大臣といえども人事院に対して権限、発言というものは非常に薄いのであります。こういうにとも行政及び人事管理の一元化ということから考えますと、ある時期にはこれを考えなければいくまい。こう考えて、そのときに私はただいま申しましたように、自分の意見と給与に対する政府の考えを十分述べられる機会がありはせぬかと思います。今日ではまだ人事院は内閣の直属の中にありますが、独立の機関で、私どもは何にも権限がありませんので、意見を言うこともたくさんあることはありますけれども、言えばまるで干渉がましくとられても困りますので、今日は一言半句も言わずにおりますが、構想を述べろといえばたくさん持っております。しかし、今日は人事院の悪口を言うことはよしあしだと思います。今日はこの程度でどうぞごかんべんを願います。

石山權作日本社会党

○石山分科員 これは政府委員でいいです。内容のことですが、たとえば人事院が、今度の官公の二千円プラス・アルフアあるいは三千円に一律というふうなことを要求しておるわけです。それを人事院の勧告からすると、四・一%だから、まあ昇給しなくてもでこぼこくらい直せばいいのじゃないか、初任給を直せばいいじゃないか。この初任給を千円上げろ、上の方は二号上げたのでしょう。そうすると、中へどのくらいつくのです。私が勘定しますと、中へなんぼもつかぬわけです。今でさえも中だるみがあるといって不平不満なんです。無理もないと思う。中だるみの個所にいる人は、みんな三十から四十代の働き手のぱりぱりですから、働いているだけに家族数も多い、費用もかかるという階層なんです。ですから、そこにいる人は今回の場合損はしないのですよ。百円か二百円くらいつく人もいるから損はしない。しかし、できた姿からすれば初任給が千円上る。それから次官級が二号上る。そうしたら線を引っ張ってみたら、今までよりもずっと中だるみになるということになるでしょう。損はしない。損はしないけれども、中だるみの現実が与える影響というものは私は大きいものじゃないかと思う。これが一つ。  それから、今どこのお役所の課長さんもほとんど官学出に占められているということです。この問題が公務員の諸君に与える影響がやはり大きいのではないか。営々として働いても、私学出であるがゆえに、定年まぎわになると、何といいますか、あまり派手でない、責任度合いの少いような閑職にある課長さんにお情につけてくれるというのが一省で二つ、三つあるというふうな報告を受けているわけなんですが、実情はどうでございましょう。以上二点をお聞きします。

増子正宏総理府事務官(内閣総理大臣官房公務員制度調査室長)

○増子説明員 初めの御質問でございますが、御質問の御趣旨が十分のみ込めなかったのでございますが、今回の改正におきましては、一般的に言いますと、高等学校、新高卒につきましては、行政職の場合では六千三百円から六千七百円に引き上げる。それから短大卒につきましては、同様七千四百円を七千八百円、大学卒につきましては、九千二百円でありましたのを一万二百円というように千円上げましたが、その他医師とか研究員等につきましては千二百円になっておる。これはもう御承知の通りだと思いますが、それに伴いまして、その前後の俸給をそれぞれ若干づつ引き上げておるわけでありますから、行政職について見ますと、俸給表の俸給月額一万七千三百円までのものにつきまして、それぞれ千円ないし九百円づつ上っておるわけで、引き上げを行なったわけでございます。それからなお、一等級につきまして二つの号俸を新たに加えたのでございますが。今申し上げました大体一万七千円程度をこえるものにつきましましては、初任給の引き上げに伴ういわゆる利益といいますか、そういうものは受けていないわけでございます。その結果、いわゆる俸給の中だるみがひどくなったのではないかという御意見でございますけれども、この中だるみという意味が、実は非常にいろいろ考えられるわけでございまして、いわゆる給与のカーブの曲線が一そうひどくなったというような意味では確かにそういうことになるわけでございますが、そういう意味での中だるみがいいのか悪いのかということにつきましては、またいろいろな見方もあろうかと思います。要するに、公務員の給与体系につきましては、先ほどからお話がございましたように、人事院が一応民間の給与につきまして調査いたしました結果、それをもとにしまして、大体それとつり合いのとれたような形で給与体系を作っているということでございまして、もし中だるみということだけを言いますならば、一応民間においてもそのような中だるみというものがあるのではないか、あると思われるわけでございます。  それから、実際の各省庁における任用に関しての御意見がございました。これはいわゆる初任給の決定あるいは採用というようなところから出発するわけでございますが、採用に当りましては、御承知のように、それぞれの職種につきまして人事院の行います試験の合格者から採用いたしておるわけでございます。官学出身者というような者が、いわゆる上級公務員の試験の合格者の中に現実の姿として相当多数を占めておるということから、その後の昇格昇任等におきましても、官立大学等の卒業生といいますか、そういう出身者が比較的昇任等の条件に該当してくるということになろうかと思うのであります。なお、昇格昇任あるいは任用の基準等につきましては、人事院で定めたところに従いまして各省がやっておるわけでございます。従いまして、その実際の実施状況につきましては、もし非常に支障がありますれば、人事院が国立公務員法に基きまして、それぞそ各省庁に対する指揮が可能なはずでございます。それらの状況につきましては、私どもから申し上げるよりも、人事院の任用あるいはその他の関係の部局から御聴取いただきたいと思います。

石山權作日本社会党

○石山分科員 きょう人事院においで願ったのは、いろいろな出ておる資料とか、そういうものを認定してもらいたくてお呼びしたので、政府は受け取っておりますから、人事院はほとんど責任がないといえばないわけであります。その評価なさる政府の態度がむしろ問題なのでございますからあなたにお聞きしておるわけでございます。そうすると、あなたは一応中だるみが図面から見ればはなはだしくなったことは認められている。認められているが、原図は民間のを写したのだから、民間の給与が悪いだろう。それは少しく責任回避ですよ。あなたの意見をそのままとると、民間が悪いから、私たちはそのままにやっているんでしょうがないじゃないか。生まれた現実はおれに責任はない。こういうふうに聞きとれるので、ちょっと聞き苦しいと思います。ある種の中だるみは、必要悪みたいなものでやむを得ない面もがなりあると思います。しかし、あなたの方で今まではこういうことをやっておったのです。暫定定数制度というのがあったわけですね。中だるみ是正、あるいは不遇な人の是正、あるいはいわゆる頭打ちをされておる人たちに対して、救済制度として暫定定数制度というのがあったと思っておりますが、それが昨年では十八カ月、今年では二十一カ月というふうになっておるが、これは間違いございませんか、人事院にお聞きします。

瀧本忠男人事院事務官(事務総局給与局長)

○瀧本政府委員 給与の実施は、ただいま人事院でやっておるのでございますが、暫定定数ということをいたしております。これは人事院で予算の範囲におきまして各等級別の定数をきめるわけでございます。その範囲におきまして、その資格に該当いたしまする者から順次上っていくわけでございまするけれども、なおかつ非常に長期在職しておる職員等につきましては、場合によりましては、暫定定数というような方法によって定数以外に上げていくということをやっております。ただ、去年においては十五カ月である、十八カ月である、あるいは二十一カ月であるとおっしゃった意味がちょっと理解しかねたのでありますが、もう一度おっしゃっていただきたい。

石山權作日本社会党

○石山分科員 十八カ月で昇給さす、二十一カ月で昇給さすのだというふうに私は理解していたのですが。

瀧本忠男人事院事務官(事務総局給与局長)

○瀧本政府委員 暫定定数を運用いたしまする場合には、これは等級別定数がきめてございまして、その範囲で上っていくわけではございません。これはほんとうをいえば、あくまでできないところを、やはり人事行政の円滑化のためにやるわけでございますので、そこは普通の場合に比べまして多少昇格の条件をきつくいたして運営しておるというのが実情でございます。

石山權作日本社会党

○石山分科員 それからもう一つ人事院の方にお伺いしたいのですが、最高最低のいわゆる格差ですね、これの倍率が約十二倍くらいになっているというふうに報告されておりますが、これもその通りでございますか。

瀧本忠男人事院事務官(事務総局給与局長)

○瀧本政府委員 最高最低の倍率ということでございますが、これはどこをとってものを言うかということであります。形式的に言いますならば、現在俸給表できめてございます一番下の等級の最下の初号の金額、それから俸給表上の最高の金額、これをとって比較するということも技術的にはできるわけであります。しかし普通には、やはり新制高等学校を卒業いたしました者程度の給与と、それからたとえば局長級の給与を比較するというようないろいろな方法があると思うのであります。今私、数字を記憶いたしておりませんので、十二倍というのがどういうことになっているのかちょっと申し上げかねるのでありますが、もし場合によりましたら、あとで資料を整えて御提出申し上げてもよろしいと思います。  ただ申し上げたいことは、今回の人事院の勧告並びにそれをそのままお出しになりました政府の法律案におきまして、俸給表で一等級に二号追加してあるわけでございます。これは従来一般職の給与というものは特別職の給与を越えることができない一つの制限があったわけでございまして、そのために従来人事院が給与の改善の勧告をいたしまする際にそれができなかった。特別職は改定がないものでございますから、それとの均衡で押えてあった。こういう状況になっておったのでありますが、今回特別職の給与の改定がございまして、その辺が上りまして、その余裕ができてきたというところを上げたのであります。これはおくれを取り戻したということでございまして、そのような意味に御了解願いたいと思います。

石山權作日本社会党

○石山分科員 私は、今回の給与を見ますと、特にきょうの最賃法の出たこと、それから室長のお話などを聞くと、民間の給与がいかに公務員の給与に大きな影響を与えておるかというふうに思われるわけなんです。これは長官にも聞いていただきたいのですが、せんだって——幾日でしたか忘れたのですが、たしか二十二、三日ごろだと思うのですが、あなたの方の仲間である大蔵大臣をやった池田さんが生産性をちょっと上げて給料を二倍くらいにしたらどうか——これは麦飯を食えという大臣には珍しい発言だと思って私喜んだんですよ。そういう人もたまに出てもらわなければ、この世の中は暗くて困ります。そういう人が出たけれども、いずれにしても経済がよくならなければ民間の給与というものはよくならぬ。民間給与がよくならぬと官公吏給与もよくならぬ。室長の話を聞くと、体系までも民間の給与から影響されるというふうになりますから、これは非常に影響するところ大きいと思います。民間給与の場合を私考えてみますと、今度の最賃法などで見ても、やっぱり低賃金が据え置かれる。今回の予算などを見ますと、財政投融資が大きい。表面から見れば企業が非常に盛んになるでしょう。盛んになると同時にインフレを呼びますね。それを防ぐためにいろんな施策をなさるだろうと思いますが、今回減税をやっていただいたんですが、昨年からの物価の値上りと税金と比べてみると、これはちっとも割前がよくなっておらぬですね。下っていっておりますよ。むしろ、運賃が少し上ったり、電気料金が上ったりしておるものですから、減税分だけ——特に初年度ですから減税分が公約通りいかぬわけでしょう。七百億円かで実質百五十何億ですか、それくらいしか実際は下っていないというのですから、今のままでいけば四、五百円多く出るという格好になるわけです。インフレを防ぐためには、われわれのふところに銭こをよけい入れさせるよりも、なるべく吸い出すような工夫をさせておいた方が、物をよけい買われるということになりかねない。しかもそれが私鉄の運賃だとか、あるいは鉄道運賃だとか、あるいは電力料金だとか、こういうような大きな基幹産業に吸われていけば、これは当然インフレにならぬで済むだろうと思いますけれども、そのしわ寄せが、結局、減税などといわれても、さっぱり恩恵を受けない民間の給料取りにくるわけですね。民間の給料取りを基礎にして公務員をやるわけですから、低賃金になることには間違いない。あなたは農林の方に大へん詳しいのですから私が言うまでもないけれども、低賃金、低米価の思想というものは、今の自民党の一つの経済政策として、思想的に用意された考え方だと思います。それがあなたをして独禁法を出さすとか、倉石さんをして三年越しに最賃をやらせるというふうに通じていく一つの考え方だと思うのですが、あなたの方の仲間の池田さんでさえも、やり方によっては、所得を倍にしてもその方が日本の産業の生産性を高めるゆえんだ、こういうように言っているわけなんです。ここら辺は、私が先ほど申したように、公務員の考え方、たとえば二千円プラス・アルフア一律の支給ということは、何もむちゃな理論じゃないと思うのです。それから諸外国と比べて——これは瀧本給与局長など、何言っているんだ、諸外国と比べるなんて簡単にできっこないじゃないかという御意見もあるかもしれませんけれども、あまりに格差があるから比べられるわけですね。四、六くらいならなかなか比べられないけれども、何倍という差ですから簡単に比べられる。いずれにしても、貿易、輸出等を考えてみても、もう少し政府の考え方が、所得をふやしていくような考え方、この前もちょっと申し上げたのですが、所得をふやして国民に買わして、そして七掛、八掛くらいは国民によって国内市場を安定さすのだ。購売力をふやしてそこに安定感を置いて、あとの二割五分ないし三割を貿易によるのだ。そういう方策をとれば、そんなにむちゃな投げ売りもしなくても済むのじゃないかということも私たち考えられるわけなんで、若い割合に私たちに理解のある長官、それから瀧本さんなど、長くずっと給与を担当しておられる方ですから、そこら辺は十分考えていただきたいと思います。  これは長官のあれと関係があるかどうか知りませんけれども、最後に一つだけ。今までは日本人は、おかしなことですが、偉い人は給与というものをあまり問題にしてなかったのです。それが偉い自民党の政府が、最賃法を出す、出す、出すと言ってがんばっているところに、私は、悪い法律ですけれどもある種の進歩があると見ております。それから二、三日前の新聞を見ますと、象牙の塔にこもっている裁判官が、給与の話でいきり立った発表をしております。私は、これはいいことだと思うのだ。裁判官が何だ給与のことを言っておかしいじゃないかと言う方が、私はむしろおかしいと思う。今の資本主義の世の中で、お金が第一なんですから、お金を基準にしてすべてのものが運行されている現実ですから、給与問題を等閑にして道徳を論じてみたって、給与を等閑視して規律正しい生活をしなさいなんと言っても無理だと思います。ですから、あなたが常日ごろ考えている官公全般の汚職を払拭して誠意のある日常活動を行政に表わすとすれば、やはり給与問題を一番第一に取り上げてから、公務員の服務規律というものが論じられてしかるべきだと思います。今の場合はそうじゃないと思いますね。そっちの方は、役人なんてあまりけちけち言うものじゃない、国家に奉仕するものだ。そういうことばかり先行して、そして道徳的であれ、武士は食わねど一生懸命やるものだ。こういうふうな理論だけで吏道刷新をなさっておるようですけれども、それではやはり続かぬと私は思います。一つそういう点も十分考えあわせていただいて、いい給与体系を作る。今公務員たちが要求している要求額というものは決して不当なものではない。それから公務員たちがいろいろ苦情を並べている。たとえば先ほど申しました暫定手当の繰入れの実施期日等、あるいは部内におけるところの中だるみによるところの不平、あるいは上下の格差のはなはだしい点、こういうようなことは、やはりそのときだけ聞き流すのではなくして、研究する価値があるし、研究すればするほど能率が上るというふうに私は考えているものでございます。一つこれらも私は内閣委員会において、もっとこまかく内容にわたってお聞きしたいと思うのですが、きょうはたいへんおそくなったものですから、ここら辺でやめておきますが、長官あたりは、裁判官の給与問題などは人のことだと思わないで、給与担当の長官として十分注意して経過を見定めておく必要があるのではないか、こういうふうに申し上げて終ります。

田中伊三次自由民主党

○田中主査 明日は午前十時より開会をいたします。  本日はこれにて散会をいたします。     午後八時三分散会

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