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31回国会衆議院1959/03/26

予算委員会 第18号

発言数
72
登壇者
11
会派数
1
開催日
1959/03/26

会議録

楢橋渡自由民主党

○楢橋委員長 これより会議を開きます。  昭和三十四年度一般会計予算補正(第1号)を議題といたします。  まず提案理由の説明を求めます。大蔵大臣佐藤榮作君。     —————————————

佐藤榮作自由民主党大蔵大臣

○佐藤国務大臣 政府は今回、昭和三十四年度予算補正(第1号)を国会に提出いたしましたが、ここに予算委員会の御審議をお願いするに当りまして、その概要を御説明いたします。  政府は、さきに昭和三十四年度一般会計予算を国会に提出いたしたのでありますが、その後、国際通貨基金及び国際復興開発銀行に対する出資の額が増額されることとなりましたので、別途法律案を提出いたしますとともに、これに関し必要な予算措置を講ずるため、今回予算補正(第1号)を提出することといたしました。  今回の予算補正による歳入歳出の追加は、それぞれ二百五十億余万円であり、これによって、昭和三十四年度一般会計予算の総額は歳入歳出とも一兆四千四百四十三億余万円となるのであります。  わが国は、昭和二十七年八月に国際通貨基金及び国際復興開発銀行に加盟いたしたのであります。この二つの国際機関はわが国経済の発展に著しく寄与したのでありますが、ひとりわが国に対してのみならず、広く戦後世界経済の復興発展のために果しましたその役割はまことに大なるものがあるのであります。しかしながら、最近の世界経済及び国際貿易の急速な発展に比し、これら両機関の資金量は十分とは言いがたく、わが国を初めとして加盟国の一部はここ数年来、これら両機関の資金充実の必要性を提唱して参ったのでありますが、昨秋ニューデリーにおける第十三次年次総会において、全加盟国の総意に基き、両機関の資本増加の方針が打ち出され、昨年十二月両機関の理事会においてそれぞれ資本増加に関する決議の草案が作成されたのであります。この草案によれば全加盟国について国際通貨基金は一律五割、国際復興開発銀行は一律十割の増資を行うほか、特に戦後において顕著な経済発展を遂げました日本、ドイツ連邦共和国、カナダの三国については、特別の増資を認める構想になっていたのであります。この草案に対し本年二月二日までを期限として加盟国総務の賛否投票が行われたのでありますが、この賛成投票はワシントン時の一月三十日に至り、国際通貨基金協定及び国際復興開発銀行協定の規定に基く多数すなわち国際通貨基金については五分の四、国際復興開発銀行については四分の三にそれぞれ達したことが確認されました。ここにおいてわが国といたしましては、国際通貨基金に対し二億五千万ドル、国際復興開発銀行に対し四億一千六百万ドルの追加出資を行うことを要する事由を生ずるに至ったものであります。この追加出資を行う結果、これら両機関に対するわが国の出資総額はそれぞれ五億ドル及び六億六千六百万ドルとなるのであります。従いまして、政府といたしましては別途国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案を提出いたしまして、追加出資のため所要の法的措置を講ずるとともに、今回予算補正により必要な予算措置をとった次第であります。  すなわち歳出の追加といたしまして、国際通貨基金及び国際復興開発銀行出資諸費二百五十億七千三百余万円を計上いたしておりますが、このうち、国際通貨基金関係は二百三十四億二千二百余万円国際復興開発銀行関係は十六億五千百余万円となっております。この歳出の追加に必要な財源といたしましては、先に申し述べました法律案の規定によって、日本銀行の所有する金地金の帳簿価格を改訂することにより生ずる再評価差額に相当する金額を日本銀行から国庫に納付せしめることにより二百五十億七千三百余万円を歳入に追加計上することといたしております。  以上、昭和三十四年度予算補正につきまして、その概略を申し述べました。なにとぞすみやかに御審議をお願いいたします。

楢橋渡自由民主党

○楢橋委員長 次に補足説明を求めます。主計局長石原周夫君。

石原周夫大蔵事務官(主計局長)

○石原政府委員 ただいまの御説明に対しまして計数の点につきまして若干補足して御説明を申し上げます。  お手元に昭和三十四年度予算補正(第1号)の説明というものをお配りしてございますが、その第一頁に歳出の内訳がございます。IMFの分が二百三十四億二千二百万円、国際復興開発銀行の分が十六億五千百万円でございます。IMFの分二百三十四億は、そこにごらんになりまするように三つの内訳からできております。今回のIMFの増資、規定の出資が二億五千万ドルでございますが、今回の増資に対しまする払い込みの措置は、金をもちまして二割五分、円現金をもちまして一%、円国債をもちまして七四%の払い込みをいたすことになっております。それに対しまして払い込みの経費として計上いたしましたるものは、一つは第一の二億五千万ドルの二五%、三百二十五億円、これが第一。第二の項目が出資用の金地金の購入取扱費といたしまして二千二百五十九万五千円。第三の項目は、今申し上げました円現金の出資九百億円の一%九億円というもので、国際通貨基金の二百三十億が成り立っておるわけであります。このほかに別途提出をいたしております法律に基きまして、円国債の先ほど申しました七四%、円国債をもって払い込みをいたしまする六百六十六億円というものがあるわけであります。  第二の世界銀行に対しまする分でございますが、これは規定の出資が二億五千万ドルございまして、今回は倍額増資の二億五千万ドルのほかに特別割当が一億六千六百万ドルございまして、合計が四億一千六百万ドルと相なるのでございますが、それに対しまする払い込みは、従来二〇%の出資をいたしました。それを今回は全体の増資分を含めまして一〇%ということになっておりますから、倍額までの分につきましては払い込みを要しないわけであります。払い込みを要しまするのは、もっぱら一億六千六百万ドルという特別割当分についてでございまして、この一億六千六百万ドルの特別割当に対しまして、ドル現金によりまする払い込み分が一%、一億六千六百万ドルの一〇%のまた一〇%、一%になりますが、それが百六十六万ドル、五億九千七百万円という金がドル現金の払い込みでございます。それに対しまして円の払い込み分がございまするが、これは一割の九割の一%ということに相なりまして、全体の九〇%の一%でございまするが、これが五千三百七十八万四千円という次に載っている金額でございまして、そのほかに国債で払い込みをいたしまする分、それに対しまして年度内に現金の償還を予想されます分十億円を加えますと、二に書いてございまする十億五千三百七十八万四千円という現金出資分が出るわけでございます。以上が予算措置を要しまする分でございまして、それ以外に別途の法律によりまして円貨の国債によりまする一億六千六百万ドルの残り残額四十三億二千四百万円というものが円国債をもちまして払い込みをいたす数字でございます。  歳入予算につきましては、以上の合計額でございまする二百五十億七千三百万円を日本銀行の所有をいたしておりまする金地金の再評価によりましてまかないまする分でありますが、現在の簿価は二百九十ミリグラムが一円、グラムに当りましては三円四十四銭何がしになりますが、再評価を昭和二十五年の金管理法の規定によりまするグラム四百五円ということに再評価をいたしますると、所要額が六十二トン四四二ということに相なります。これが接収解除を予定されるもののうちで特定せられることが確実に見込まれるという分がこれに大体見合いをいたしておるわけでございまして、以上の金額、再評価額の二百五十億という金をもちまして雑収入予算に計上いたしておるわけでございます。  以上をもって説明を終ります。

楢橋渡自由民主党

○楢橋委員長 これにて提案理由の説明は終りました。  これより質疑に入ります。野田卯一君。

野田卯一自由民主党

○野田(卯)委員 私は、ただいま議題となっております昭和三十四年度予算補正第一号に関連いたしまして、補正予算そのもの、及び国際金融、国内金融、日中問題等につきまして、総理大臣並びに担当各大臣に御質問いたしたいと思います。  最初に、補正第一号について御質問申し上げたいのでありますが、今回の補正第一号の特色と申しますか、予算としていまだかつて例のない点は、この補正一号が、本予算と申しますか、総予算というか、昭和三十四年度全体の予算が衆議院の予算委員会において審議せられておる段階に提出されたということであります。しかも、この審議が始まったばかりの二月の初めにこの補正一号が出されておる。これにつきまして、この委員会におきましてもいろいろと問題が起りまして、御承知のように、一度委員会からは撤回をされまして、今日再提出になっておるわけでございます。その問題になりましたのは、この補正第一号に盛られておる内容は、これは当然に昭和三十四年度の本予算に盛らるべきものではなかったか、この疑いがあるのであります。それを本予算とは分けて別の予算として追っかけにこれが提出されたというところに疑問を持たれまして、種々論議が行われたのでございます。  そこで、私が大蔵大臣にお尋ねしたいのは、IMF及びワールド・バンクにつきましては、その出資金の払い込みが今回が第一回ではございません。今回は第二回でございまして、第一回の払い込みは昭和二十七年に行われております。その二十七年に行われましたときには、予算問題といたしましては、昭和二十六年度の補正予算といたしまして必要な支出金額二百億円の予算がこの国会に出されまして審議をいたしておる。しかもその際の実情を申しますと、国会に予算を提出しました二百億円というのは、いわばつかみ金みたいなものでございまして、当時におきましては、提出されました日取り等もはっきりしておるのであります。提出されました当時におきましてはまだ内容がしっかりきまっておらない。昭和二十六年の十月十七日に提出されておりますが、そのときには、一体日本の政府が幾ら出資するのか、出資金額がわかっておらない。従って、当時のIMFなりワールド・バンクの規定と申しますか、規約と申しますか、定款と申しますか、そういうものに基いて、その国の持っている金準備の一〇%、あるいは出資額の二五%のいずれか低い金額というようなことになっておりますから、幾ら出資金が認められるかわかりませんので、一〇%という数字を一応とりまして、要するに、金並びに外貨の一〇%という数字をとって一応計上する。それからワールド・バンクにつきましては、当時私の記憶では、政府は三億五千万ドルの出資を期待した。それを基礎といたしまして、その二%を金で払い込むことになっておりますので、その二%、またそのほかに一八%を自国通貨で払い込む、そのうちの一%であったと思いますが、現金で払い込むというような規定になっておりましたので、三億五千万ドルの期待額を基礎といたしまして、今の数字をかけて出した金額を合計いたしまして、約二百億という非常にラウンド・ナンバースで国会に提出いたしておるのであります。いわば、まだ内容がわからないので、ある程度つかみ金でありまして、これはその後における実情によりましてなおさらはっきりしておるのでございますが、われわれの方で三億五千万ドル要求したものが二億五千万ドルしかワールド・バンクについては割当になっておらない。IMFにつきましては二億五千万ドル割当になる。こういうわけで、その後きまったものが、予算提出当時に想像したものより非常にかけ離れておる。そこで、初めの二百億円ではもう足りない、予算執行上図ってしまう、約二百五十数億——私の数字ははっきりいたしませんが、相当よけい金がかかるようであります。そこで、日本銀行の持っておりました金準備を、時価とか、当時の金管理法に基く金に評価がえして、こちらへ買い取るということは金がなくてできないというわけで、日本銀行からいわゆる帳簿価格、一グラム三円四十五銭という帳簿価格でもって譲り受けまして、そうしてようやく二百億円のワク内におさめて操作した、こういう事実があるのでございます。これは結局、この前の第一回の場合におきましては、政府は非常に手早く、非常に早い機会におきまして予算的措置を講じた。場合によっては早過ぎたかもしれません。これはあとで大蔵当局から御説明があると思いますが、金額もきまらぬ先に非常な早い機会において予算的手当をした。しかるに今回におきましては、先ほど御説明にございましたが、日本側といたしましては、どれだけの割当を受け、またどの程度の金額が日本として要るかということは、もうすでに昨年の暮れにはわかっておったと思うのです。申し込んである。しかも、それが今度確実に認められるということも想像がついておったと思われる。にもかかわらず、昭和三十四年度予算にはこれは計上しなかった。そうしてそれが確定をいたしました際にこれを補正第一号として出してきたというふうに、第一回の場合と第二回の場合とやり方が大いに異なっておる、こういう点があると思います。これにつきましていろいろな方面において疑問を持っておるわけです。疑問を持つにはある程度理由があると思います。でございますので、この点に関する大蔵大臣の明快な答弁をお願いしたいと思います。

佐藤榮作自由民主党大蔵大臣

○佐藤国務大臣 今回の補正予算提出の時期につきまして、異例の扱いである。そういう意味から同時に第一回の出資の場合と今回の場合と扱い方が別になっておる。そういう意味で異例な時期に補正予算を提出することからいろいろ問題、疑問がある。こういう御指摘でございます。今回の補正第一号を出しましたその経過は、先ほど提案理由で御説明いたしましたように、最終的に十分確認を得た段階で予算案を作成し提案いたしたのであります。その関係で本予算の審議、しかもその早早においてこれを提案するようになりました。これなどは全く国際関係の出資であるという異例な扱い方から、その出資の理由がはっきりいたしました際に組んだ。こういう結果、今まで例を見ないような一般予算の総括質問中に補正予算案を提出するということに相なったと思います。言いかえますならば、予算編成後に生じた事由ということでございます。ただそれにつきましても、いろいろの御意見がありまして、もう少し前から予見されていたのじゃないか。予見されていたとするならば、当然本予算に組むべき筋のもので補正として出すべきじゃない、こういう御議論があろうかと思います。それをさらに裏づけるような意味において、第一回の出資の場合と扱い方が別だということで、御意見が今述べられたと思います。確かに第一回の出資の場合と、今回の扱い方とは非常に違っておる。第一回の場合は、まだきまらないうちから国会に予算案を提出して御審議をいただいた。今回の場合には最終的決定と見られるような時期においてこれを出してきたということでございます。この取扱い方の相違は、申すまでもなく御了承がいただけることだと思うのでございますが、第一回の場合は、わが国が国際経済の一員として国際機関に復帰するとでも申しますか、最初の加入でございます。そういう意味においてこの加盟国全般に対しても了承を得ることがもちろん必要でございますが、当方というか、わが国の意図を事前に明確にしておく方が、かような復帰、加盟が容易だという考え方も多分にあったのではないかと思うのであります。従いまして、ただいま御指摘になりましたように、予算案で組んだその金額を大幅に上回るような状態にもなったというようなことがございますように、これはもとがきまらない前に、日本政府としての意向というか、強い熱意を国会の審議を通じて明らかにしておくということがあったように思うのであります。今回は、私どもの考え方から申しますと、すでに昨年のニューデリーの年次総会においてわが国の意向は一応伝えてあり、それも特別増加出資を引き受けるという意図を表明いたしておりますが、御承知のように、一定の期間中に必要な支持票を獲得しなければならない。この支持票を獲得する前に、特別出資の額についてのわが国の意図を明確にすることが、国際的関係から見てこれが果していいだろうかどうだろうか。むしろこの点は慎重にかまえて、十分の支持票を得た上で必要なる国内処置をとるべきだ。そのように私は考えたのでございます。そこで先ほど御説明いたしましたように、ことしの一月三十日になりまして所要の支持票を獲得することができた、その機会に法律案を提案いたしたのでございます。そういう関係で、今まで例を見ないような総括質問中に補正予算を提出するというようなことで、皆様方にいろいろ御心配をいただいたのでございます。ただいま申し上げますように、事柄の性質が国際的な出資である、また国際的関係について十分の考慮を払った。しかも、その点は第一回の場合と今回はその性格が相当違うので、私の方としては慎重な処置をとったということでございます。

野田卯一自由民主党

○野田(卯)委員 この国際関係においていろいろ先方と相談をしたり、あるいは各国の賛成を得るとかいうわけで時間的にズレがある。その場合に、予算というものは御承知のように一年に一回組むものである。あるいは国会が開かれている時期は制限されておるというような関係からいたしまして、予算にどう取り扱うかということはなかなかむずかしい問題だと思う。今度の大蔵省のやり方につきましても、私は非常に苦心があったと思うし、また私ども社会党の諸君と話しているときも、社会党の諸君は、こんなものは九月十五日に間に合えばいいのだから、この国会が済んで臨時国会に出してもいいではないか、こういう議論も一部行われたのでありますが、私どもといたしましては、もし政府がそういう態度をとったとしたならば、おそらく逆に社会党の諸君から、もうすでに政府が二百五十億の出資金を持っているのだ。それを黙ってほおかぶりして知らぬ顔をしておる、何ごとであるか。そういう不まじめな態度、しかも一年度中にぜひとも出さなければならぬ二百五十億に対して何らの処置もしてないというようなずさんな予算はわれわれは審議できないといって、私が社会党ならおそらく審議を拒否しただろうと思う。こういうわけでなかなかこの点はむずかしい。むずかしいが、しかしながら事をやる場合には、やはり一定の秩序を立ててやらなければならぬという問題がある。  たとえばこの前大蔵大臣のお骨折りでできました三千万ドルの外債の問題がございます。三千万ドルの外債に関する予算措置はどうとられたかと申しますと、これは御承知のように、昭和三十三年度特別会計予算補正(特第1号)といたしまして、昭和三十三年十月二十八日にこの委員会に付託されており、そうして十一月一日に可決を見、参議院におきまして同月二十四日に可決を見ておる。このときには三千万ドルというものはおそらく見込みであったと思う。それが九十八ドルで発行できるのか、あるいは九十七ドルか、いろいろな点において非常に大きな見込みを含んでおる。確定しておりません。現に昭和三十三年の十二月に大蔵省の西原財務参事官以下の外債発行交渉団が渡米しておる。そうして向うと猛烈な交渉をいたしまして、一時は大へん悲観説も出たのでありますが、苦心惨たんの結果、とにかくいわゆる成功であるという条件にこぎつけて、二月十七日に朝海大使と引受団の代表フアースト・ボストンの社長との間に正式に調印がされておる。でありますから債務の確定は二月十七日なんです。もうすでに予算はとっくの昔に国会を通ってしまっておる。しかし、そのほんとうの契約は二月十七日にしか行われない、こういうことになったわけであります。私は、このやり方が悪いというのではない、いいと思う。いいと思うが、ただこれを比べてみると、今度の補正第一号のやり方と三千万ドルの外債に関する予算措置との間に非常に開きがあるということを申し上げている。非常に違いがあるということを一つ例としてあげておる。  それからもう一つこの際問題として取り上げてお話ししておきたいことは、先年一萬田大蔵大臣のときに、予算が国会に提出された。そのときにインドネシア賠償の問題が起った。インドネシアに対する外貨債権、これが焦げつきになっておる。それを向うとの交渉におきまして一億七千数百万ドルを帳消しにするということに話がきまりまして調印をしました。ところが、その後に国会に提出されました予算書には、これがそのまま載っておったというわけで、大へんに社会党の人が騒がれた。おそらく大蔵大臣も御記憶があると思うのです。私は、あのときの社会党の言う理屈は、必ずしも正しいとは思わないのです。私たちは、あれでいい、政府案でいいという考え方です。学者の中にも、これはよく今からお調べになるとわかりますが、財政学者の過半数はあれでいいと言っていたのです。しかしながら、政府の方では、私は国会運営の円滑を期すると、こう解釈するのでありますが、国会運営の円滑を期する意味において、一萬田大蔵大臣はあれを修正されておるのです。あのときはどういうことかというと、一ぺん調印はしたけれども、あの条約は批准条項がついておるのだ、批准をもって初めて確定するのだ、確定してから落せばいいのだ、こういう理論だったと思う。そういう理論で、大蔵省はその焦げつき債権を計上したものだと思うのです。その点において筋が通っておる。そしてその際は、批准条項について、批准ができてしまえば確定するから、そのときになって落せばいいんだ、——これは一番最後なんです。そういう行き方があるわけです。私はその態度も一つの態度だと思う。  そこで申し上げたいのは、今四つの例をあげましたが、第一回の払い込みの場合、第二回の今回の払い込みの場合、それから三千万ドルの外債に関する予算措置の場合、インドネシア賠償の予算の取扱いの問題、これをずっと比較してみますと、みんな違うのです。これはすぐに皆さん全部お気づきになると思う。そこで、大蔵当局に説明させますと、きっとそれぞれの説明をなさると思う。(「三百代言みたいなものだ」と呼ぶ者あり)それは私も理屈があると思うのです。思いますが、予算というものを国会に出して、国民の代表がここで論議をするというときには、なるべく複雑な理屈の助けを借りなくても審議が進むような形をとる方が私はいいと思う。そういう点におきまして、私は今四つの例を申し上げたのですが、なるべくその間にできるだけ一貫した方針、そして、そういうことのために、国会において、あるいは予算委員会において、いろいろな論議を巻き起すというその必要性を極力軽減されることが事務当局として必要ではないか、私はそう思います。その点について一つ大蔵大臣の御意見を承わりたいと思います。

佐藤榮作自由民主党大蔵大臣

○佐藤国務大臣 御指摘のように、あまり無用な論議を起さないような予算を組むのは、しごくもっともなお話だと思います。そこで四つの例をあげていろいろお話しになりました。別に三百代言的な話をするわけではございませんが、それぞれの扱い方でそれぞれの理由があると思います。私ども今回の補正予算第一号を提案するにつきましても、実はいろいろ議論いたしてみたのでございまして、全然議論抜きで、かような時期に、かような補正予算を提案したわけではございません。事前に予見できる状況ではないかということでございますが、先ほど来申しますように、今年は一律の増資を引き受けるのではなくして、特別割当を実は要望しておる。そこで予算に計上するのが非常にむずかしい。これで最初から特別増額のものを予算に計上いたしますれば、いかにも加入国に対してそれらの意図を軽く見たというような感じを与えて、この点もまずいように思う。それかといって、それでは一律の五割や十割だけ計上するといたしまして、第一回のようにあとで増加してもいいのじゃないかという議論がございますが、われわれは、特別増資割当を要求しておる、その熱意が実は不足なようにもなるわけであります。そこでまず十分はっきりした後にやることが国際関係としては望ましいのではないか、実はかように思ったのであります。そこで非常に私ども困りましたのは、総括質問の最中に提案をするようになる、その時期をはずせば一体どうか、もうあの段階になりまして考えてみますと、その時期をはずしていろいろ工夫することこそ、ほんとうに小手先の扱い方のように思う、国会の審議を第一に考えますならば、ありのままをそのままさらけ出すことが最も望ましいことじゃないか、かように考えまして、現実に引き受ける意思があるものを、努めて分科会の段階で出すというのでは、いかにも小手先過ぎる。これはむしろ率直に国会の皆様方にわれわれの必要の生じたことを披瀝して、そうして御審議をいただくことが望ましいだろう、実はかように考えたのでございます。しかし、全般の問題といたしましてもう少し何らかの工夫をしないと、四つの例を見ても、四つともそれぞれ違っておる。まあそれぞれの理由はあるというにしても、無用の論議を引き起しておるのじゃないか、こういうような御注意でございました。もともと外国相手の問題でございますから、そういう意味で何かと私どもが普通の問題とは別に意を用いなければならない点のあることは御了承をいただきまして、われわれもまた予算編成の衝に当る者といたしましては、通常予見される事態についてはやはり一般予算にこれを組んでいくとか、いろいろ今後工夫をいたしまして、この種の無用のとは申しませんが、こういうような点で論議をかもさないように私どもは注意したいものだ、かように考えております。

野田卯一自由民主党

○野田(卯)委員 次に、二百五十億円の予算補正のやり方についての問題でございますが、政府案によりますと、これは一般会計の補正になっておるのです。そこで、社会党と言って、社会党の諸君を刺激するわけではございませんが、社会党の諸君なんかに言わせますと、これは一兆ヨイクニという格好のいい予算ができ上った、そこへ持ってきて二百五十億円を加えると、どうも格好が悪くなる、あるいは予算が非常に大きくなる、だからこれはこれでやっておいて、あとからやったらいいじゃないか、こういうことを言われる。これは私はこの問題を云々するわけではなしに、ここは一つ考えなければならぬところがあると思う。というのは、この外国に対する出資という問題は、金額は相当大きくなるのです。どうしてもドルとかポンドでやるものを邦貨で換算いたしますと、相当大きな金額になる、そこでそういうものを一般会計に包括いたしますと、一般会計が非常にふくれ上るわけです。しかもその歳入は、一般の税収入でまかなうとかなんとかいうようなものでなしに、今回の場合のごとき日本銀行が保有しておる金を再評価して、そうしてその再評価の益でもって埋めるというのは、これは紙一枚で済む話なんです。国民生活とほとんど関係がない、こういうわけで非常に簡単に操作される、そういう性格のものを一般会計の中にほうり込む。一般会計というのは国家財政の基本的な問題だと思うのですが、そういうような、しかもある程度恒久的な性質を持った多くの経費が盛られる、あるいは歳入が盛られるというものだと思う。そこへもってきて、今みたいに全く紙一枚みたいな、ただ計算関係でできるだけの二百五十億の歳入を立てて、そうしてまた歳出に二百五十億を立てる。これがかりに五百億上っても同じことなんです。そうすれば、非常に大きな金額として両方がふくれ上ってくるのです。一般会計の予算がどんなにふくれ上ってもかまわないじゃないかとおっしゃるかもしれませんが、国民は必ずしも財政の専門家ではない。そこで、一般会計が前年度に対してふえたとか減ったとかいう議論をする。これは皆さんもおそらく議論をされると思うのです。それからまた、ある経費、たとえば農業予算が、どうしても一般会計予算の一割とらなければならない、あるいは社会保障の経費は、昨年は予算の何%に当ったけれども、ことしは何%に当るという議論をされる。これは一般会計予算に計上される経費が、いずれも国家運営の実態的な意味を持つという前提に立っておるので、これが毎年一時的な原因で非常に浮動するといいますか、上ったり下ったりするという前提に立たば、そういう議論は成り立たないわけです。少くともそういうようにみんな習慣づけられておる。そういう考え方になっておるわけです。その前提からいいますと、こういうように評価がえで二百五十億出た、それをただ出資するのだ、これは普通の消費的な、あるいは行政費とも違うわけです。そういう関係からいたしまして、この二百五十億というものを一般会計の中に入れないで、これを産業投資特別会計の中に入れまして、産業投資特別会計からIMFなりあるいは世界銀行に対する投資という形にならなかったか。もしそれが許されるならば、これは一般会計に何ら影響はない。そうして一般会計に対するいろいろな誤解とか、あるいは間違ったいろいろな問題を引き起さないで済んでしまうわけなんです。私はこれは一つの考え方だと思うのです。これについては、もちろんまた大蔵当局からいろいろな観点からいろいろな批判もなし得ると私思う。しかし産業投資特別会計というものをよく見ると、この産業投資特別会計というものは、御承知のように初め減税国債の収入金、それから例の見返り援助物資のかわり金、そういうものが財源になっておるわけです。そうしてこの産業投資特別会計は、できましてから二、三年たちまして非常にその性格が発展いたしまして、今日におきましては政府の投資、融資というものが、ほとんどこれに集中されてきている。こういうように産業投資特別会計の性格が変ってきております。また最近は、先ほど申しましたように、三千万ドルの外債を募って、その募った金はどこに入るかというと、産業投資特別会計に入る、そこから御承知のように電源開発の御母衣ダムの建設資金に充てられる、こういうことも新しい例として出てきたわけです。こういうように産業投資特別会計というものはいろいろな意味において活用されるようになってきた。こういう点から申しますと、産業投資特別会計にこの二百五十億を繰り入れて、産業投資特別会計からこれを出資するというような考え方も、私必ずこれはやれと言うのじゃありませんが、そういう考え方もできるのじゃないか。あるいはもう第一回の払い込みを一般会計でやってあったから、これを一般会計でやったらいいじゃないか、こういう議論も出ます。しかしながら第一回の払い込みのときには産業投資特別会計もまだできておりません。そうしてそれ以前には、たとえば開発銀行の出資金にいたしましても、輸出入銀行の出資金にいたしましても、これは一般会計から出ておる。ところが産業投資特別会計ができます際に、その一般会計からの開発銀行あるいは輸出入銀行に対する出資金は、この特別会計に移しかえられておる。従って今日におきましてはこういう開発銀行あるいは輸出入銀行といったものに対する出資は、もしするとすれば当然この産業投資特別会計からなさるべきだ、こう考えておるわけです。こういうふうな点から見ますと、私は必ずしもおかしくないというふうに感ずる。特にワールド・バンクというのは、その性格におきましては、大蔵大臣御承知のように世界的な開発銀行なんです。もし輸出入銀行みたいな国際的な輸出入銀行というようなものが将来できて、それに日本が出資するという場合には、やはり同じような問題が起ってくるわけです。日本の輸出入銀行は輸出入銀行、ただその国際的なものの国際バンク、あるいはさらに岸総理大臣なんかのお考えによれば、東洋バンク、AAバンクというものができるかもしれない。そういうようにいろいろな問題がここから発展してくる。その際に、それをみな一般会計でやるかどうか、ここに非常に問題があります。特に財源の問題なんです。財源の問題といたしまして、今度はよかったです。日本銀行が金を持っていって評価がえをやった六十二トン、今日本銀行が持っておる金は何トンあるか、私は正確なことは知りませんが、八十何トンとすれば、あと少しで種切れになってしまう。いろいろなインターナショナルな、あるいはアジア的な金融機関ができるという場合に、当然日本も出資しなければならないといった場合、その金はどこから出すか。おそらく現金出資を求められれば国債を発行せざるを得ないだろうと思う。そういうわけで、一般会計から国債を発行するということが起ってくる。もし一般会計から出すとすればそうなる。私はこういういろいろな将来に対する発展を考えた場合には、産業投資特別会計なら産業投資特別会計、あるいは名前が悪ければもう少し拡充するなりして、そこの会計で、必要があれば公債を発行する。外債発行を現にやっておるわけです。国債発行をするなり何かして資金を作って、それを国際的な機関に、あるいは国内的な機関に出資していく、こういうようなことを考えていいのじゃないかと思う。長い目で見て、一考に値するのじゃないか、そういうように思うのです。これらについて一つ大蔵大臣の御見解を承わりたい。

佐藤榮作自由民主党大蔵大臣

○佐藤国務大臣 いろいろ教えられまして、私も大へんいい案があったように考えますが、ただいまあります産業投資特別会計法ですか、この会計法そのものから申しますと、やや明確を欠くように思いますので、ただいま一般会計にこれを入れておるのでございますが、将来のことを考えて参りますと、この会計法自体が、ただいま御指摘になりますような点を明確に取り扱い得るようにやはり規定される、そういう時期が、一つの望ましいときではないか。現行の法律のままだと、幾分かどうも国内だけの問題であって、あるいは直接の産業開発その他でない出資自身を扱うというのはどうか、いろいろな議論が実はあるのじゃないかと思います。将来の研究問題として預からしていただきます。

野田卯一自由民主党

○野田(卯)委員 次に、これは大蔵大臣でなしに、主計局長にでもお尋ねしたいと思うのですが、予算が出ましてすぐあとに、その予算に相当大きな変更が起る場合、補正予算という方法もありますが、予算修正というような方法もあるのじゃないかと思うのです。財政法規に規定してあるのですが、あるいは国会法、いろいろな関係から見て、予算修正という問題があると思う。その予算修正で許される範囲、やはりどうしても補正予算をもってしなければならぬという限界、どの程度のことは予算修正でいけるか、どの程度のことは補正予算を用いるべきか、こういうことを一つ事務当局の見解としてお述べ願いたい。

石原周夫大蔵事務官(主計局長)

○石原政府委員 お答え申し上げます。財政法の二十九条は、「内閣は、予算作成後に生じた事由に基き必要避けることのできない経費云々に不足を生じた場合に限り、予算作成の手続に準じ、追加予算を作成し、これを国会に提出することができる。」というのが第一項。第二項は、「内閣は、前項の場合を除くの外、予算の成立後に生じた事由に基いて、既に成立した予算に変更を加える必要があるときは、その修正を国会に提出することができる。」というふうに、一項、二項は条件を異にいたしておりまして、第一項のいわゆる追加予算というものは、予算作成後に生じた事由、これは追加であります。それに対しまして第二項の方は成立後になっておりまして、この方は修正という言葉を使っておるわけであります。両者をひっくるめまして、追加並びに修正減額を含みまする言葉といたしまして、今補正という言葉を一括して使っておるのでございますが、今の財政法第二十九条第一項、第二項、いずれを通じて見ましても、作成後に追加事由が生じまして補正をいたしまする——財政法の言葉を用いますれば追加をいたしまする場合、それから予算そのものが成立いたしまして、その後に修正減額を含みまする修正、追加ということが生じまする補正と、二つの場合がある。ただいま野田委員が御指摘に相なっておられますのは、もっと手前の段階におきまする修正の問題だと存じます。この点は国会法の五十九条にあります議案修正の問題だと存じます。これは実は財政法の扱っておるところではございません。国会法の五十九条に基きまして、まだ一院に提出をいたしまた院にあります間には、これは議案の修正という形で行われると思うのであります。この場合には、政府提出でありますから、当該院の承諾を要するという国会法の規定によりまして、動くものだというふうに考えます。従いまして、財政法の規定は、今申し上げましたような作成後の追加と成立後の修正、その以前の問題は、国会法の関係であるというふうに御承知をいただきたい。

野田卯一自由民主党

○野田(卯)委員 そこで今の問題ですが、予算の財政法と国会法の関係なんです。両方組み合わしたときにおいて一体どうなるかということを答弁してもらいたい。

石原周夫大蔵事務官(主計局長)

○石原政府委員 両方組み合わしたということをおっしゃるわけでありますが、これは野田委員御承知のように、旧会計法以来、いわゆる追加予算というものにつきましての立て方は、一ぺん予算を作りまして、その作成後に追加予算を作るという建前になっております。実は財政法二十九条の第二項は、新財政法によりまして新しくできましたので、旧会計法の時代におきましては、第一項のいわゆる追加予算の規定しかなかったのであります。従いまして従来は、もっぱら今の国会法の規定のような議案修正という形で行われておるわけでありますから、今両者を組み合せたというような考え方があり得るのかもしれませんが、従来からも大体そういうような国会の運営になってきておるものでございますから、議案の修正というものは当然あるわけであります。そのあとで特に財政法上のまかないをつける問題といたしましては、今申しました二十九条の第一項、新しくつけ加えられました第二項というような立て方をしておりますので、それで大体動き得るのじゃないかというのが、財政法を考えました当時からの考え方であります。

林修三法制局長官

○林(修)政府委員 私からもちょっと補足してお答え申し上げますが、今主計局長がお答えしたことで大体尽きると思うのでございますが、実は財政法の二十九条によります場合と、国会法の五十九条による議案修正でいきます場合、これは画然と区別することは実はむずかしいと思っております。財政法の二十九条は、今主計局長がお答えいたしました通りの要件がある場合には、当然ああいう形で追加予算あるいは補正予算を出し得ることになっております。従いまして、これを内閣としてとることは何ら差しつかえないわけであります。しかし一方予算がまだ一院にあります場合には、いわゆる議案修正という形でこれもやり得るわけであります。その内容いかんによっては議案修正の方がいいということになるのではないかと思います。そこでただ二十九条一項、二項を組み合せてみました場合に、御承知のように二十九条第一項、いわゆる追加予算の方は「予算作成後に生じた事由」云々となっておりまして、多少要件がルーズであります。ところが二項の方は、予算成立後の補正だけを言っております。従いまして、もしも予算を衆議院に提案したあとにおいて、まだ衆議院にあります段階において、いわゆる二項にいうような実は予算の減額補正をするとか、あるいは総則を変更しなければならないような事情が起った場合にはこれは原案修正でいくほかに方法がないのではないかという気がいたします。そういうことで原案修正を使わなければならない場合があり得るのじゃないか、かように考えておるわけであります。これは実は法律案の場合も同じでありまして、法律案も、たとえば財政法なら財政法の一部改正法案を出しまして、追いかけてまた財政法を改正しなければならないというような理由が起りました場合、前の財政法の一部改正法案を原案修正するやり方もございます。別な法案を、また同じような名前の財政法の一部を改正する法律案を出す場合もあるわけであります。実はそういう両方の道が開かれておるので、結局これはそのときの内容によって区分するほかにない。内容は今申しましたように、財政法の場合は、少くとも財政法二十九条の場合は、こういう場合には追加予算を出せる、こういう場合には補正予算を出せるということがありますから、法律の趣旨は、少くともあれに当る場合には優先的に二十九条でいくことも認めておるのではなかろうか。それでいけないような場合に原案修正だというようなことじゃなかろうかと実は思っております。

野田卯一自由民主党

○野田(卯)委員 予算に関する問題はその程度にしておきまして、次は外債についてお尋ねをしたいと思います。  先般アメリカで発行せられました三千万ドルの外債は、いろいろと批評がありますが、大体世界的な評価は成功であるというふうにいわれておるわけであります。私は、おそらく大蔵大臣もこれは成功したというふうに考えられるだろうと思うのであります。そこで三十年ぶりに出して売り出したところが、何倍かの申し込みがあって非常に工合がよかった。こういう点はわれわれとしても快くするわけでありますが、しかし、これは考えようによって、売り出した何倍も殺到するような、そんな甘い条件というか、有利な条件でやったのか、そういう悪い、変な考え方もあるわけでありますが、これはやはり私は、この話がまとまったときには非常にぎりぎりの線で、両方がようやく納得する線でまとまったと思う。ところが発表した後の金融情勢のいろいろの変り方で、これが売り出されたときには、非常に人気を博した、さような考え方でございますので、その後さらにアメリカにおきまして公定歩合の引き上げというようなことが起って参りまして、金融が梗塞して参りますと、あるいは売り出したときよりも日本の国債の価格が若干下るということもあり得る。そのときの情勢によっていろいろ変りますが、私は正確にあのときのことを考えますと、かなりの努力があった、さように考えるわけであります。  そこでこの問題についてはすでにいろいろ論議されましたが、大蔵大臣にお尋ねをしたいのは、大蔵大臣は今回の外債発行にある程度いい気持になっておられる。気をよくされたと思う。それで今後やはり同じような種類の——あれは国債でありますが、外債を、米国市場、あるいはさらに米国以外のいろいろな市場もヨーロッパにはあり得ると思いますが、そういうところで発行されるようなお考えを持っておられるかどうか、承わりたいのでございます。

佐藤榮作自由民主党大蔵大臣

○佐藤国務大臣 今回の外債につきましては、比較的久しぶりに出した外債といたしましては、わが国の経済状態について深い理解を持ってくれた、こういう意味で予想いたしました条件をやや上回るというようなことになったのではないかと思うのであります。また同時に、国際市場にわれわれも外債を発行し得るようなその地歩を築いた、こういう意味で、今後に期待をかけるという向きもあるように見受けるのであります。しかしただいまのところ、引き続いて外債発行の計画は持ってはおりません。ただ私ども今後の問題といたしまして、そのときどきの国際金融市場の状況等も勘案いたしまして、わが国に有利であるというような場合におきましては、具体的問題を取り上げてもいい、かように思いますが、ただいまのところ引き続いての具体的計画は持っておりません。

野田卯一自由民主党

○野田(卯)委員 大蔵大臣はさしずめのところは、あれに引き続いて外債を出すような考え方は持っておらないというようなお話であります。しかしながら、他の種類の外債と申しますか、世界銀行からの借款というものは、当然予想しておられるだろうと思う。この世界銀行の借款は、昭和三十三年度に属するものと昭和三十四年度に属するものとがあると思います。そこで政府は三十三年度に世界銀行から借り入れるべくしてまだ借り入れてない、あるいは三十四年において予定されておるもの、これをごく簡単にお話し願いたい。とともに、これは運輸大臣からでも大蔵大臣からでもけっこうでございますが、最近東海道新幹線に要する資金の一部を世界銀行から借りようという話がありまして、先般われわれの先輩である賀屋さんがアメリカにいらっしゃったときも、その話があったとかいうことも承わっておるわけです。この世界銀行からの各種の借款、これに対する計画と見通しについて、一つ大蔵大臣及び運輸大臣からお漏らしを願いたいと思います。

佐藤榮作自由民主党大蔵大臣

○佐藤国務大臣 世銀からの借り入れの問題で、具体的なものとして近く交渉を開始いたしますものに、道路公団の名神間の世銀借款の問題がございます。これは近く交渉を具体的に開始することになっております。御承知のように、私どもの方の会計年度と世銀の会計年度が食い違っておりますから、その意味で、世銀の三十三年度計画の一部として今の道路公団のものがあるわけでございます。その後、引き続きまして、電力会社関係あるいは製鉄会社関係、これらのものは、すでに具体的に、世銀でも取り上げております。また、最後の問題として御指摘になりました東海道新幹線の問題、これまた世銀もいろいろ検討を加えつつあるところでございます。その最後の東海道新線の問題につきましては、十分具体的な年度実施計画等を立てた後に、その資金調達計画を十分勘案したい、かように考えております。幸いにいたしまして、賀屋さんの帰られてからのお話を聞きましても、今回の外債発行並びに過去の世銀からの融資など、それぞれ比較的好感を持たれておりますので、今後の世銀からの借り入れ等も比較的順調に参るだろう、かように考えます。同時にまた、世銀の方は、場合によりましては、自立できるような国柄に対しては、みずからで資金調達の方法を考えろ、こういうようなことも、希望として必ず申すだろうと思います。そういう意味で、先ほど具体的な外債発行の計画はないと申しましたが、これらの点は、十分金融市場のあり方に考えを及ぼしまして、そうして具体的な処置を講じたい、かように考えておりますが、ただいま世銀からの借り入れを第一の方法といたして、今後折衝を続けていく、こういう考え方でございます。

永野護自由民主党運輸大臣

○永野国務大臣 お答えいたします。東海道新幹線の資金計画は、本来は自己資金、それから国内の財政投融資あるいはその他の市中銀行からの資金というようなもので、経済の見通しとしてはその程度のことはできるであろうという予想のもとに、新幹線の計画は立てたのであります。しかし、これが外債融資の対象になりませばまことに仕合せでございますので、いろいろな面を通じまして、非公式にアメリカ側の打診をしたことは事実でございます。割合に理解がありまして、必ずしも不可能ではないというような見通しに今立っておるのでございますけれども、まだその瀬踏みの程度でございまして、この外債によって東海道新幹線を作るというほど具体的の案にはなっておりません。

野田卯一自由民主党

○野田(卯)委員 そこで次にお尋ねしたいのは、世銀の融資に関する方針は世銀は、先ほどちょっと触れましたが、日本の国内でいえば、いわば開発銀行の機能を営む。開発銀行はその法律に書いてありますように、普通の金融でできるものは世話をしない、一般の金融の方法ではむずかしいものを取り上げて融資をするのが開発銀行だ、こういうことになっておる。私は、同じような精神が世界銀行の中にも流れておるのじゃないか、かように考える。従って、先ほど大蔵大臣もちょっと触れられましたが、世界銀行から第一に考えるということでございますが、世界銀行としては、この間の四千万ドルの借款を、三千万ドルはあなた、市中でまかないなさい、千万ドルだけ私の方で出してあげましょう、こういうことになった、これは私は非常に意味深長であると思う。このブラックの考え方は相当重要視しなければならない。もちろん世銀は世話をする。現にブラック総裁は、二月の十七日に日本の外債発行の成功を祝いまして、非常に喜んでくれたわけであります。喜んでくれましたが、そのときに、日本は今後再び世銀より借款しないようになるだろう、こういうことを言っているのです。これはちゃんと新聞に伝わっているわけであります。だからブラック総裁の気持からいたしますと、今までは日本を一生懸命育ててやったんだが、ようやく赤ん坊から立ち上って、一人歩きができるようになったので、テストしてみた、そしたら堂々と歩いてアメリカの金融界からかっさいを拍した、これなら大丈夫だ、だから手塩にかけてきた日本がようやく成長したんだから、これから日本に一人歩きしてもらおう、一人歩きを原則としようという考え方を、私はこのブラック総裁の談から受け取る。先般の三千万ドルの外債にいたしましても、私は日本の当初計画においては、きっとこれは世銀から全額借りる予定だったと思う。それを世銀の方から、君も相当成長したんだから、一千万ドルは見てやるが、三千万ドルは自分でやってみたまえ、こういうように慫慂され、また支援されて、そしてやってみたところが成功した、こういうことになっております。先ほど来お話しになりましたあるいは名神国道にいたしましても、あるいは電力あるいは製鉄あるいは東海道新幹線、このような問題につきましても、われわれが世銀々々と言って、何もかも世銀に持ち込んで、世銀でやってもらおうという考え方は、相当反省しなければならないのじゃないか、相当考え直さなければいけないのじゃないかと思う。また世銀から世話になること、必ずしも名誉じゃない。一人歩きができれば、その方がいい。ただ金利の問題がございます。金利の問題はございますけれども、何もこういう特殊機関に世話になることが、必ずしも日本の名誉ではない。でありますから、できれば一般から相当のものを受け入れる、そして世銀にも世話になるということが適当ではないか。政府みずから、日本の国内におきましても、民間の機関が開銀から借りたいというと、開銀から、いや、それは少くして、お前の方でやりなさい、こういう指導精神がある。その指導精神がブラックの精神である。日本も相当成長したのだから、なるべく一般金融で、足らぬところは世銀から出してやる、こういうようにしなさい、これは、日本の政府が民間、国内でやっておる考え方と同じ考え方だと思う。だから私は、何でも漫然と世銀々々という考え方はこの際考え直して、場合によってはそれは世銀で一部やってくれるだろうけれども、多くは民間から期待しなければならないかもしれないという心がまえをもってこれに当らなければならないと思う。それから世銀は、従来は御承知のようにタイド・ローンと申しますか、その借りた金をアメリカで使う、外貨が要るので、米ドルが要るのだからその金は貸してやろう、しかし国内での建設、たとえば日本で道路を建設するのは日本の金で済むじゃないか、直接にアメリカのドルは要らぬじゃないか、そういういわゆるインパクト・ローンに対しましては、むしろ拒否的な態度で、タイド・ローン、つまり直接外貨が要るものについては認める、このような態度をとっておったとわれわれは考えておったのでありますが、今回のあれを見ますと、この態度に相当変更が起ってきて、世界銀行もインパクト・ローンを相当認めるに至ったのであるかどうかというような一種の疑いといいますか、そういう点ちょっとどうかと思われる点がございますが、その点に関する大蔵大臣の御所見を承わっておきたいと思います。

佐藤榮作自由民主党大蔵大臣

○佐藤国務大臣 前段のブラック総裁の所見でございますが、これは世銀自身の機能から申しまして、やはりみずから調達する力を持てば、いつまでも世銀にたよらないという考え方、これを端的に表明したものであると同時に、今回のが非常に成功であったというお祝いの意味も多分にあったろうと思います。しかし、御指摘のように、あの発言を軽く見るわけにいかない。問題は、御指摘にもありましたように、外国の金融市場における金利の問題が大きな問題でございます。最近は、米国の金融市場も金利がだんだん高くなっておりますので、そういうことを考えの中に入れて参りますと、やはり低金利、長期の世銀借款というものが第一に考えられるということでございます。ことにまた、外債等を発行いたすにいたしましても、世銀との抱き合せということが、やはり信用を高めるというようなこともございますので、今回の三千万ドルが成功したといって、われわれは急に従来の世銀に対する考え方を変えるような考え方は毛頭ございません。しかし、その自主的なもの、その力はやはり伸ばしていくことがわが国の経済を伸長さすゆえんでもある、かように考えます。同時にまた、世銀のタイド・ローンあるいはインパクト・ローンという点についての考え方でございますが、もともと世銀自身はタイド・ローンにきまっているとか、インパクト・ローンはお断わりしているのだ、こういう意味のものではなくて、世銀からの借款がその国の経済にどういう影響を及ぼすかということを絶えず世銀としては注意いたしておるものだと思います。言いかえますならば、インフレの危険があるというような場合だと、これはやはりタイド・ローン以上には出て参らないと思います。最近インパクト・ローンも日本に対しましては融資してくれるようになっておりますが、これは最近日本の金融状態も落ちついてきて、いわゆるインフレの危険がない、こういう意味を十分看取してくれた、言いかえますれば、わが国経済の成長あるいは金融の状態も正常化しつつある、これを世銀が認めてくれたゆえんである、かように考えております。従って、過去におきまして二億五千万ドルばかり借款を受けておりますが、そのうちの半額程度はいわゆるインパクトローンと見るべきものがあるのでございます。この点は、世銀のわが国経済についての見方がよほど信頼を置くようになったその結果だろう、かように考えます。

野田卯一自由民主党

○野田(卯)委員 なお、世銀関係で言承わっておきたいのは、このたび日本側といたしまして世銀に出資をする。先ほど申しましたように、一律一〇〇%の増資ということになっておったのが、日本側はさらに一億六千六百万ドルの特別の出資というものを強く要求されておる。その気持といいますか、その意図がどこにあるのか。また、私はこういうことを聞いておったのです。もう日本に対する世銀借款はこのくらいにしてもらいたい。——先ほど大蔵大臣もおっしゃいましたように、二億五千万ドルになってしまった。日本の世銀に対する出資金は、払い込んでないけれども二億五千万ドル、一ぱいになっている。だからこのくらいにしてくれ、こういうような意味合いが暗にあったのかどうか。今度日本側の出資がふえますと、そのワクが広がると申しますか、何か借りやすいといいますか、そういうような空気がかもし出されてくるわけです。そこで、日本側としても、世銀に今後御厄介にならなければならないのだから、やはり相当の増資を認めてもらっておいた方がよい、こういう御趣旨でこれを要求したのであるか、こういう点についてお聞きしたい。  それから、今度の三千万ドルの外債なんですが、これははしなくも一つの新しい金融形式がここに生まれてきている。と申しますのは、これは、要するに政府が公債を発行して、そうして金を借りて、それを民間に貸し付けるということなんです。これは産業投資特別会計でおやりになる。こちらでもって外債という名前はありますが、政府が金を借りて、これをまた民間の機関に貸し付ける。もしこれが円の公債発行だったら、非常な問題を起すことだろうと思うのです。たまたまこれが外債であったから、あまり国会でも論議されておらないように思うのです。しかし、これは、要するに政府が自分の信用を利用して、スタンディングを利用して、マーケットから安いよい条件で金を借りて、それを民間のいろいろな国家緊要の産業に従事している事業に投資をする、こういう形になるわけです。これは私は一つの大きな意義があると思うのです。でありますから、そういうことも十分今後の問題としって——政府は、いや、そういう考えでやったのではない、たまたまそういうふうになってしまったのだというのか、将来の方向としては、やはりそういうことも若干考えておるのだという意味合いでおやりになったのか、その辺のこともちょっと御意見を承わりたい、こう思います。

佐藤榮作自由民主党大蔵大臣

○佐藤国務大臣 今のお話でございますが、後段の、外債を発行してこれを産業投資に回していくという点でございますが、これは、もともとわが国の経済を発展さしていきます場合に、その資金の調達は国の内外を問わずしたいという気持が実はあるのでございまして、そういう点を考えて参りますと、借り入れが可能な場合、しかも外国資本であるというような場合におきましては、御指摘になりますように、国内で公債を発行する場合とやや趣きを異にいたしておりますので、比較的国内における論議をかもし出さない、こういうことも実は考えられるのであります。私は経済への所要資金は、国内において調達すると同時に、外国におきましても十分そういう意味のものを調達して参りたい、かように考えておって、まずその第一回の取扱いをした、かように御了承をいただきたいと思うのであります。  最初のお尋ねは何でございましたかね。

野田卯一自由民主党

○野田(卯)委員 世銀が特別融資の一億六千六百万ドルを認めましたね……。

佐藤榮作自由民主党大蔵大臣

○佐藤国務大臣 この特別増資を要求いたしておりますのは、ただいまお話の中にもありましたように、これは信用供与の範囲を拡大する、比較的日本の経済に対しての評価は大きくなり、日本自身としてもときに資金を必要とする場合もあるだろう、そういう場合のためにも拡大された日本に相応するような意味において、世銀に対する増資の必要がある、こういうこともございます。同時にまた、世銀に加入いたしまして以来、わが国の国際的な発言権というか、地位も高めたい、こういう感じが多分にございます。御承知のように、出資の額によりまして大体格づけされておるという状況でございますから、こういう意味では、今日のように経済が発達して、わが国の国際的地位も高まった、それに相応するような十分の発言権を確保したい、かような考え方でございます。

野田卯一自由民主党

○野田(卯)委員 外債の問題はその程度にしておきまして、その次に、金の問題についてお尋ねしてみたいと思います。ただいま日本で保有している金はどのくらいあるか、最近日本銀行がだいぶ買い入れておられるようでございますが、どのくらいあるか、ちょっと事務当局から……。

酒井俊修大蔵事務官(為替局長)

○酒井政府委員 お答え申し上げます。最近と申しましても、統計のとり方で三月上旬をとりますと、金は合計が一億三百万ドル保有外貨の中に持っております。

野田卯一自由民主党

○野田(卯)委員 大きな内訳は。

酒井俊修大蔵事務官(為替局長)

○酒井政府委員 日本銀行の持っておりますのが八千万ドル、これは接収貴金属は一切含んでおりません。それから貴金属特別会計の持っておりますのが二千三百九十六万ドル、合計いたしまして一億三百九十六万ドルという数字でございます。

野田卯一自由民主党

○野田(卯)委員 それでは外為では持っておりませんか。

酒井俊修大蔵事務官(為替局長)

○酒井政府委員 外為では金を保有いたしておりません。

野田卯一自由民主党

○野田(卯)委員 それでは接収貴金属で問題になっておる日本銀行ないし政府の保有金はどのくらいありますか。

正示啓次郎大蔵事務官(理財局長)

○正示政府委員 私から政府所有の分を御説明申し上げます。政府所有の分、すなわち御承知のように現在員金属特別会計が保有いたしております分でございますが、これがトン数にいたしまして約二十一トン。

野田卯一自由民主党

○野田(卯)委員 ドル・アマウントで。

正示啓次郎大蔵事務官(理財局長)

○正示政府委員 これが先ほど為替局長が申しました二千三百万ドルという数字に当る分でございます。そのほかにいわゆる接収分というのがございまして、これはただいま御承知のように国会で法律案を御審議いただいておるわけですが、この分が、貴金属特別会計の分が五トン余りになっておりますが……。

野田卯一自由民主党

○野田(卯)委員 金額を言って下さい、ドルで。

正示啓次郎大蔵事務官(理財局長)

○正示政府委員 金額は円で出ております。五トンでございますが、そのほかに代用といたしまして出しましたもの二トン、合せまして七トン六分ということになっております。そうしますと接収の分を合せますと二十八トン九分、これだけが政府所有の金ということになります。

野田卯一自由民主党

○野田(卯)委員 日本銀行は。

石田正大蔵事務官(銀行局長)

○石田政府委員 日本銀行の所有金で接収されておるものは八十五トンでございます。

野田卯一自由民主党

○野田(卯)委員 そうしますと大体の見当はつくわけでございますが、日本は相当な金を持っておるわけでございます。そこで金を持つことに対して、これは最近は一種の流行みたいになっておりまして、ヨーロッパにおきましては、御承知のように交換性を回復する前にずいぶんヨーロッパ諸国がアメリカから金を買っております。私は、そのアメリカから西ヨーロッパ諸国が金を買うという意味と、日本がアメリカから金を買うという意味とは少し分けて考えなければならぬと思うのです。要するに西欧諸国が買うから日本も買うのだ、こういう漫然たる気持で一体金を買っておるのかどうか。これは相当私は考えなければならないと思う。西欧通貨というものは、たとえば西欧を見ればわかりますが、スターリングとすればスターリングというものは、これは米ドルと対等に考えております。あるいはマルクということになれば、ドイツのマルクは自分は米ドルよりえらいと思っておるのです。ヨーロッパのカレンシーというものはその国々では相当の自信を持って米ドル対等と考えておる。だからその通貨がドルにつながっておる、ドルを通じてのみ金につながるというような考え方に対しては、やっぱり日本人の考え方と違った特別の考え方、感じがあると思う。そこで自分たちの通貨がしっかりしたんだ、りっぱになったんだということを誇示するというかそれをはっきり示すというときに、ドルを経由しないで直接金とつながりたくなる、こういう心情ほこれは経済的の問題として十分考えられると思います。そういうようなヨーロッパの気持というものと日本の円とドルの関係を同日にはなかなか論じられない、かように私は考える。  そこで大蔵大臣にお尋ねしたいのは、外国が買っておるからというわけで、あるいはただ金準備の率が少いから、こういうような理由で——これは一般的な理由です。きわめて常識的な普通に言われておる平凡な理由ですが、そういうものによって今後やはり外国におけるドルなりポンドなりを使って現ナマの金を買うという政策を、さらに推し進めていかれる考えありや、その点をお尋ねしたいと思います。

佐藤榮作自由民主党大蔵大臣

○佐藤国務大臣 御承知のようにわが国の保有金というものは非常に少額でございます。そこでかねてからいろいろお尋ねをいただいていたのでございますが、その際に政府としていつも答えておりましたのは、ドルを保有すること、これはドルはいつでも金にかえられるから別に心配は要らないといいますか、ドルは非常に金を裏づけにしておるという意味でドルを持つことがいいんだ、こういうお話をいたして参りました。しかしながら今外貨がだんだんふえて参りますから、外貨準備高もふえて参ってくると、やはり金の保有量があまりに少いことは、他の国に対しましても何かと批判を受ける状況にあるのであります。そういう点でやはり金保有も最近は少しずつ進めて参っております。今の率で申しまして、外貨準備九億四千六百万ドルに対しては最近のところで一〇%、まだ一一%まではいっていないと思いますが、約一割程度という状況でございます。これはやはりドルさえ持っておればいいじゃないかという議論も一応首肯できることのように思いますが、また別に流行を追うわけでもございませんけれども、ある程度の金は、今日のような状況になると、持つことが望ましいのではないかというような考え方で、少し準備をさせておるという事情でございます。

野田卯一自由民主党

○野田(卯)委員 大蔵大臣の言われることはきわめて普通の考え方だと私は思うのです。思いますが、日本の置かれておる特別な地位、また日本はこれからうんと発展をしなければならぬという点から申しますと、今後のやり方としては相当他のファクターも考えていく必要があるのではないか、かように考えるのであります。昨年じゅう西ヨーロッパ諸国が二十億ドル以上のドルを買い付けて、そうしてアメリカから引っぱり出した。これはドル不安というわけではないと思うのです。ドルが金から離れる、こういう気持ではないと思いますが、西欧通貨の自主性というか独立性というものを外にはっきり現わす、おれは金につながっておるんだ、金をバックに持っておるんだという、こういう意味合いから引っぱり出したと思うのですが、しかしそれがアメリカに及ぼす心理的な影響というものは相当だろうと思うのです。でありますから、それにはまず一部のものは、いやドルが不安だから、最近はアメリカがインフレだから、危ないからというふうなちょうちんがつくのです。おそらく私はそうじゃないと思うのですが、そういうちょうちんがつきまして、そしてアメリカの当局を非常に刺激したという事実は疑いないと思う。そこで日本までがその調子に乗って、そしてちょうちんをつけるというふうな感触を与えるということについては十分考えてやるべきだ、私はやるなとは言わぬけれども、この点は十分配慮してやらなければならぬのではないか。私は金を持った場合の得というものは、ドルが要するに金から離れて金の値段が上った、ドルを切り下げたという場合に初めて利益があると思う。それ以外には絶対利益がないと思う。そこでドルが果して金から離れるかどうか、この問題は容易な問題ではない。最近の欧米の権威者は、そんなばかなことはないとこれを否定しておるのです。今日世界における金の生産高、これは最近発表された昭和三十三年の実績を見ましても、アメリカで生産される金というのは非常に少い。世界全体というか、自由圏、ソビエト圏以外の各国で生産される金の中で、これは全体で三千二十万オンスといわれておりますが、この中でカナダを含む英連邦における生産が八三・一%を占めているのです。その他をその他の国で占めている。ですから、金の価格引き上げは英連邦には非常に仕合せなことなんです。しかしアメリカはそう大してありがたくもないことです。それからなお考えなければならぬことは、ソ連圏の産金高でございまして、これはもう大蔵大臣も御承知の通り、秘密のベールに包まれている。しかし海外市場に出て売っているその姿から大体このくらいとれるだろう、また戦前の産出高から想定しまして、一千七百五十万オンスくらいとれているといわれる。そうすると、世界の自由圏全体の生産が三千二十万オンス、それに対しまして——ソ連圏といってもソビエトなんです。ソビエトの生産が一千七百五十万オンス、これだけの生産をしているわけです。ですから、金価格を引き上げるということが、一面自由圏にとっては英連邦に非常な力を与えるでしょう。特に南アについて力を与える。その他にはソビエト圏に非常な力を与える。そういうようなこと。しかもアメリカ自身としては別に必要もない。アメリカ自身だって、今毎月三%くらいの増産になっているのじゃないかと私は思う。ですからペイするわけです。アメリカ国内ではペイする。価格を上げれば英連邦圏は相当得するが、その次の大玉としてソビエトが非常に利益するといったような政策を、米ソこういうふうに強烈に対抗して、今経済戦争を盛んにやっている最中に——このあたりを私は冷静に深刻に分析して批判する必要があるのじゃないかと思う。  そういうわけで、私はアメリカのドルと金とが完全に離れるとは思わない。しかもお買いになった金が、これは日本へ持ってきて置くのではなしに、アメリカの中にあるフェデラル・レザーブ・バンクの金庫の中に入れておく。これは無利息です。もしこれを活用されれば、最低三%の利益が上る。もし一千億の金をお買いになったとすれば……。三%といったら三十億です。大蔵大臣から見れば小さい金かもしれない。しかし何でもないことに三十億というものを損するわけです。ですからそのかねの金利の点が問題になる。また私はあとで申しますけれども、三億ドル、日本の一千億円という金をアメリカなりイギリスの市場で、これを最も有効に日本の利益のために、日本の国威伸張のために、あるいは日本の経済の伸張のために使ったらどういう働きをするか。ただそれを金にして、そしてフェデラル・レザーブ・バンクの中でそれを寝かせておく、それで一体どれだけ日本の国力が発揚するか、どれだけ経済にプラスになるか、こういう点も慎重に考える必要があると思う。私は先ほども申しましたように、ここに簡単に切り下げが起るということは、今ないという事実も論証しておるわけです。これはデマで言っているのではない。全くわからぬ人はそう言っていますけれども、専門家はだれもそう言っていない。であるから、ちょっと言い過ぎかもしれませんけれども、私はそういうような深い理解と深い分析のもとに、この海外における金買い入れというような政策をおやりにならなければいけないのじゃないか。私はやるなとは言いませんけれども、やる以上は、そういうこともいろいろと考えて、そうしておやりになる方が、日本のためになるのじゃないか。また日本の財政当局としては、そうしなければいかぬのじゃないか。こういうことを痛切に感じますので、この点を申し上げまして大臣の御意見を承わりたい。

佐藤榮作自由民主党大蔵大臣

○佐藤国務大臣 いろいろ金を保有することについての御批判があるようでございます。しかし私ども、御議論の中にもありましたように、各国とも最近通貨の交換性というようなことを申しておりますが、ドル自身を信用しないというわけではございませんけれども、同時に金を保有することによって、その独立性を保持する面もあるわけでございます。やはり通貨の交換性に対応していくという場合においては、この外貨準備に相応するある程度の金を持つ。同時にまた外貨そのものの非常な変動に備えて、いつでもかえ得る金を持っておるというようなことも、これは経済の本来から申しまして必要なことではないかと思います。もちろんわが国において、しからば金の保有率をどこまで上げればいいのかというような問題もございますが、今までのがあまりにも少いものですから、もう少し、とにかく適当なときに金を持っておる。そしてわが国のように、非常に変動の多い国際収支の状況から見ますと、ある程度準備を強固にしておく必要があるだろう、かように考えております。

野田卯一自由民主党

○野田(卯)委員 次に主として、外貨準備についてお尋ねしたいのですが、最初に大蔵当局から現在の、あるいは三月末推計でもよろしゅうございますが、外貨の保有高をちょっと説明願います6

酒井俊修大蔵事務官(為替局長)

○酒井政府委員 外貨の保有状況でありますが、二月末におきまして九億三千八百万ドルでございます。三月の上旬まで出ておりますが、これは九億四千六百万ドルになっております。三月中におそらく三千万ドルから四千万ドルぐらいの金保有の増加があると思いますので、まだ月末の数字あるいは中旬末の数字はわかりませんけれども、大体九億七千万ドル程度になるのではないだろうかと思っております。

野田卯一自由民主党

○野田(卯)委員 オープン・アカウントは入っておりますか。

酒井俊修大蔵事務官(為替局長)

○酒井政府委員 これはオープン・アカウントのように流動性のないものは一切除いております。中央銀行と政府の流動性のある外貨、及びさっき申し上げました金を含んでおります。

野田卯一自由民主党

○野田(卯)委員 さらにお尋ねしますが、最近は日本の外貨保有高は未曽有の多きになっておる、こういうことを新聞に書いておる。その未曽有というのは、以前の外貨の一番多かったときは、三十二年の十二月ですか、私ははっきりいたしませんが、そのときには九億四千一百万ドルあった。それが最高であった。最近はそれをさらに上回ろうとしておる、こういうことがいわれておる。これは非常にけっこうなことであります。けっこうなことでありますが、われわれの記憶では前に十四億ドルという数字が頭に残っておる。十四億ドル以上日本が外貨を持っておったときがあるということが頭にある。それはその後計算の方法等を変えられたのではないかと思いますが、その点をちょっと……。

酒井俊修大蔵事務官(為替局長)

○酒井政府委員 ただいまお尋ねのように、過去において最高でありましたのは、おっしゃるように九億四千一百万ドルのときでありました。かって十四億数千万ドルと申し上げました場合には、そのほかにオープン・アカウントのしり、こちらの貸し越しの残高、それからその他為替銀行等が運転資金として持っておりますもの、つまり中央準備になっていないものというようにものをはずしまして、正確にすぐ使える流動性のある外貨ということで計算いたしますと、九億四千一百万ドルというのが過去において最高であったと思います。それが三月の上旬末で九億四千六百万ドルになったということであります。

野田卯一自由民主党

○野田(卯)委員 次に大蔵大臣にお尋ねしたいのですが、大蔵大臣はせんだって——私は新聞で読んだのですからはっきりわかりませんが、ある社会党議員の質問に答えて、円為替の導入か何かの問題に関連して、思い切ったいろいろな措置をとるためには、日本が十億ドルくらいの外貨を持たなければいかぬと新聞に——これは誤まっておるのじゃないかと思いますが、出ておるのです。そこで私お聞きしたいのですが、一体今後の日本の国際収支の状況は、どういうふうになっていくという大体のお見通しを持っておられるかということ、それから日本において為替上、貿易上、相当思い切ったというか、相当闊達なる措置をとろうとするときに、大蔵大臣は日本の保有外貨が一体どの程度あったらまあいいというふうなお考えを持たれるか、これは非常にむずかしいのです。それはよくわかっておりますが、最近ヨーロッパにおきまして交換性を回復している。そのときに各国がどれだけの外貨を持っていたかということも、御承知だと思います。西独においては六十三億ドル持っております。それからイギリスでは三十億ドル持っております。イタリアが二十二億ドル、それからフランスが六億二千五百万ドル、非常に少いです。これが西欧の主たる国でありますが、その外貨をもって交換性回復というのは大事業だと思うのです。かなり思い切ったことですが、この交換性回復のときの外貨保有高が今のような数字なのです。これなんかを見まして、大蔵大臣は、為替並びに貿易上において相当果敢なる措置をとろうとするときに、どのくらい今の日本として、将来の国際収支見込みも加えて、必要であると考えられているか、その点ちょっとお伺いしたいと思います。

佐藤榮作自由民主党大蔵大臣

○佐藤国務大臣 今後の外貨準備高がどうなるかということは、たびたび御説明いたしておりますように、三十四年度が貿易収支の関係で、一億六千万ドル程度の黒字だろうということを申しております。それは経済成長からいろいろ割り出しておることであります。最近の状況等で、もっと黒字がふえるかもしれませんが、これはこの経過で一つ見ていただきたいと思います。そこでこの通貨の交換性を回復する場合に、どの程度持てばよいかということ、これは過日の参議院におきましても、いろいろお尋ねをいただいたのであります。この金額を明示することは非常に危険でありますし、非常に困難であります。私ども申し上げますのは、外貨の準備が今後どうなるか、言いかえますと、わが国の経済状態は一体どうなるのか、経済が着実であり堅実である限り、この外貨の保有高の多少にかかわらず、交換性は回復し得るものである、かように考えるのであります。ただいま御指摘になりましたように、独英伊などは、相当多額のものを持っておる。フランスは少額だがすでにやっておるではないか、こういうことでありますが、先行きの問題が、交換性を回復した場合に多分に問題になるのだ、かように考える次第でありまして、今幾らが適当だということは、なかなか申し上げかねる状況であります。

野田卯一自由民主党

○野田(卯)委員 私は先般の新聞記事は誤報であると思います。十億ドルくらいあればということが出ておりましたが、誤報だと思います。そこでその次に、当面の問題として外貨保有のことが現在日本では一元化されておりません。大きな流れとしては、外貨保有の形が日本銀行とそれから大蔵大臣、この二つの大きな流れになっておるわけです。そこでこれを統一するという議論もあります。統一すべきではないという議論もある。最近の外貨は外為会計でたまると日本銀行へ持ってこられますが、日本銀行の保有すべき外貨というものについて、大蔵大臣勘定において保有すべき外貨と、その間に一体何かの基準があってやっておられるのか、あるいはただ漫然とやっておられるのか。今はどちらが多いか私は数字を言っていただきたいのでありますが、その間の方針が那辺にあるか一つ大蔵大臣に承わりたいと思います。

酒井俊修大蔵事務官(為替局長)

○酒井政府委員 ただいまの御質問のMOFの所有と日本銀行の所有外貨をどういう基準で分けているかというお話でございますが、大体大蔵大臣勘定におきましては、これは貿易をやっていきます上の運転資金的なものを大体はじきまして、大蔵大臣勘定で持っております。それ以上のものは日本銀行に持たせる。もちろん外貨資金の変動がありました場合に、それを日本銀行からまた外為会計に売り上げて、これをいつでも役に立てるという約束にはなっておりますが、当面の貿易を動かしていくに足るだけの外貨をMOFが持っておるということを方針としてやっております。なお日本銀行と大蔵大臣勘定との間で、外貨をどのくらいずつ持っておるかという点に関しましては、これは国際的に各国ともそういう数字を発表しておりませんし、資金操作等を外国がうかがい知ることができるような資料を発表することは適当でないので、その内容については発表いたしかねますので、御了承願いたいと思います。

野田卯一自由民主党

○野田(卯)委員 そこで次に、日本は外貨保有まさに十億ドルになんなんとしておるわけでありますが、その保有外貨の活用、運用の問題があると思うのです。この十億ドルというのは、ほんとうの実質的な中身のある十億ドル、この十億ドルの金を、あるいは外国銀行に預ける、あるいは日本側の銀行にあずける、あるいは外貨証券を保有する、いろいろな形で持っておられると思います。ところが私がここで大蔵大臣に特に注意を喚起したいことは外貨保有の形において日本側の銀行が持つ分が非常に少いと思います。これは金額は求めませんが、外銀に対する預け金が多くて、日本側銀行に対する預託が少い。これは私はゆゆしい問題であると前から思っております。このくらい日本の自主性を失った問題はないと思っていつでも私は注意を喚起しております。戦争前をお調べになればすぐわかると思います。戦争前はほとんど日本側の銀行にお預けになっておった。ところが最近は外国銀行にはばっと大きく預けて、日本側には一部しか預けないというようなことがある。これはわが国の為替貿易政策上重大な問題であると思います。日本側の銀行に預けたものは外貨準備にならないというような考えがあるかもしれませんが、この点は間違いなんです。あるいは外国銀行に預けなければ、貿易上必要なLCを発行した場合に支障を来たすのじゃないかというような説をなす者があるかもしれませんが、しかしこれはお調べになればわかると思います。そんなことは絶対にございません。各国とも日本に対する貿易はやりたいのです。確実であればやるのです。ですから日本の保有外貨を外国銀行にたくさん預けておかなければ日本の為替を取り扱ってくれないというなら、おやめになったらいいと思います。これはお調べになったらわかると思います。そこで大蔵当局としては勇断を持ってこの外銀に預けた金は極力日本側の銀行に移しかえてもらいたいと思います。もし日本の銀行に預けた場合に金が危ないという心配があれば、それは昔やった指定預金制度でもよい。たとえば日本側の銀行に預けた金をどう使うかということは、大蔵大臣が御指定になって、海外における大使あるいは参事官に監督させたらよろしい。かりに日本側の持っておる金を、ナショナル・シティに預けてしまえば、日本側に対して感謝をするかもしれないが、これでは日本の勢力というものはふえないんですよ。為替銀行の地位はちっとも高まりません。かりに日本側の東京銀行——例を引いて悪いかもしれませんが、日本側の為替銀行に預ける。そうすると為替銀行がナショナル・シティに預ける。そうすれば日本の銀行のナショナル・シティに対する威力というものは非常なものになる。これはやってみればすぐわかると思います。いわゆる宝の持ちぐされというか、十億ドルというものは大きな金です。これはたといアメリカに行っても、十億ドルというものは相当な金です。それを活用して日本の為替銀行の育成あるいは日本の貿易、為替の伸張に役立てない手はないと思います。この点について詳しいことは私は知りません。しかしこれは大蔵大臣に勇断を求めます。これは預けられておる銀行は抵抗するかもしれませんが、各国のやつでおる例から見ても、これはおやりになって差しつかえないと思います。今後よく御研究になって、佐藤大蔵大臣のほんとうに政治的な観点からの勇断をもって実行していただきたいと思います。そうすれば、日本側の銀行は非常に活発に動くでありましょうし、また日本の商社その他に影響いたしまして、日本の為替、貿易の伸展に必ず大きな貢献をすると思う。外国銀行にただ預けて、漫然とそれを置いておいて、向うにただ利益を得させているというやり方は、私はよほど考慮を要するということを特に申し上げまして、この点に対する大蔵大臣の御答弁を伺います。

佐藤榮作自由民主党大蔵大臣

○佐藤国務大臣 為替貿易の伸張は私どもの念願でございます。こういう意味におきまして、いろいろ御指摘になりましたような点については、今後十分検討して参るつもりでございます。

野田卯一自由民主党

○野田(卯)委員 それでは、次に私はこれからの国際金融における日本の地位という観点から大蔵大臣にお尋ねをしたいのでありますが、今日、日本は外国から金を借りるということが盛んに問題になっている。先進国であり、また通貨の日本よりもっと安定した国から金を借りるということは、悪いことではございませんが、同時にやはり日本が最近迫られておりますことは、日本よりおくれておる国に対する信用供与の問題でございます。円借款の問題であるとかあるいは円クレジットの問題とかいうわけで、日本は一方におきましてはアメリカ等からは金を借りるという立場にございますが、一方東南アジアその他に対しましては日本は貸してやるという立場にある。この二つの面を持っておる。これは日本としては非常にこの点を十分に考えていかなければならないところでありまして、御承知のように日本が世界銀行に出資しております円も今日百億以上解除されまして——日本が世界銀行に出資した金のうち百億以上、将来は百五十億とかだんだんふえてくると思うのでありますが、それが解除されて、インドとかあるいはその他の国に貸し付けられて、これらの国が日本からものを買い入れる資金に充当されておる。今日日本は金融面において非常な国際的な働きをなしておる。これは一般にはあまり知られておりませんが、貴重な、相当すぐれた働きを東アにおいて日本は金融的にいたしておる。こういうことはこれからさらにこれを程度を高め、この点を強調して、アジア各地の後進国の発展に日本は大いに寄与しなければならない、こういうふうに考えられるのでございます。これにはもちろんいろいろと問題もあり、順序を踏んで進めなければならぬと思いますが、日本のこの二面性と申しますか、この点につきましては十分に大蔵大臣も御存じだと思いますが、注意を払って、その両方のコンビネーションを巧みにやることによって、日本の国際的地位の伸張というものをはかっていただきたいということを特に感ずるのであります。  そこで次に私は国際収支の改善の問題について若干お尋ねしたいのは、国際収支の中で占めております特需の問題でございます。これは最近われわれは特需によらずして、日本の貿易収支あるいは国際収支を均衡させるという大きな方向に向って進んでおるのでございます。しかし特需が四億、五億という相当大きな金額に上っておるのに照らしまして、これは私は相当重要視して、開拓にやはり注意をしていかなければならない、かように考えるのでございます。この域外調達につきまして、御承知のアメリカのICAの働きというものが大へん大きな部分を占めておるのでございますが、これに対して通産大臣は、域外調達を日本において可及的に多くさせるという意味合いにおいて、今までいかなる御努力なりあるいは施策をとられたか、その点についてお答えを願いたいと思います。

高碕達之助自由民主党通商産業大臣・科学技術庁長官

○高碕国務大臣 お説のごとく域外調達は年々減少するものという覚悟を持っていきたい、こういうように思っておりますが、現在の情勢といたしましてはMDAP、つまり相互防衛援助計画、この方は逐次ふえて参りまして、ICAの資金の方は順次減ってきているようでございます。ただいままでの情勢から申しますと、三十一年、三十二年、三十三年等におきまして、これらの域外調達を含めた特需全体として大体合計いたしまして、三十一年が五億九千五百万ドル、三十二年が五億二千九百万ドル、三十三年が四億七千万ドルになりまして、三十四年は四億一千万ドルという予算をもって進みたいと存じております。順次経済援助の方が減って軍事援助の方がふえるという状態でございます。

野田卯一自由民主党

○野田(卯)委員 為替問題についてもう一点お伺いしておきたいのは円為替の問題であります。これは大蔵大臣も各委員会で問題になっておることは御承知だと思いますが、円為替の導入ということが、西ヨーロッパの交換性回復に伴いまして日本でも大きく今クローズアップされて参っております。御承知のように貿易為替において相当国際的に活躍しておる国は、どこの国だって自分の国の通貨を決済通貨にしていないところはない。この意味におきまして円為替の問題は当然今後の課題として研究しなければならないと思います。ところが円為替の導入については、私はいろいろと準備も要り、これに関連してなすべきことがたくさんあると思っております。それをしないでもってあまり過早に円為替の導入を考えるということは、よほど慎重にしなければならぬというふうに考えるのでございます。円為替々々々と申しましても、一番問題になっておりますのは非居住者の円資金、これに交換性を与えるということでありまして、先般の西ヨーロッパでやった事柄の逆になるわけでございますが、そういうことだと思う。そうすれば日本に居住せざる者が日本に何ほど円を持っているか、これがこの問題をいろいろ究明する際、あるいはこの問題をいろいろ検討していく際の一つの基本的な事実になるわけです。  そこで私お尋ねしたいのは、円為替を早くやれということではない、慎重にやれという意味ですが、その基礎になるところの非居住者の日本に持っている円資金というものが現在どのくらいあるか。またこれが大きく分けてどういう源泉から生まれてきておるか、また将来非常にふえていくかどうか、こういう問題について簡単に御答弁を願いたいと思います。

酒井俊修大蔵事務官(為替局長)

○酒井政府委員 数字のことでございますから私から御説明申し上げます。  現在の非居住者円預金勘定の総額でございますが、三十三年の十月現在の数字が今出ております。合計で参りますと、約五百億円でございます。この中の大部分のものがいわゆる連合国のといいますか、駐留米軍の必要な経費、それからまた世銀の持っております円資金、あるいは外国公館が持っております円資金というようなものが大部分でございまして、その他にいわゆる映画の蓄積円というものが十月現在では四十五億ございました。これはその後十二月に送金処理いたしまして、現在では約十二億程度になっておると思います。こういう外国駐留軍の名義とか、外国公館の名義とか、あるいは外国銀行の名義とかいうようなものは、必要があって円預金を置いておるのでございますから、これは非居住者の円預金を順次整理していく場合に問題になるところではございません。それらをすっかり除きますと、大体におきまして約四十二、三億が、今お話のありました意味での非居住者の預金勘定だと思います。ただその中でも、たとえば連合国財産補償のうちで、ある程度相当資本勘定的なものがございます。これは御承知のように、西欧各国におきましても資本勘定の預金につきましては大部分交換性を回復しておりません。それからまた映画の蓄積円についても、これは特別に扱っております。そういう点を考えますと、大体三十数億程度のものが対象になるのではないか、そういうふうに考えております。なお現在そういう点につきまして、こまかい個々の勘定ごとの預金の性質を調べておりますが、大体三十数億というところが、お話にありますような非居住者円預金の整理の対象になると思います。各外国におきましては、これが非常に大きかったのでありますが、日本におきましては、敗戦と同時にいろいろなものが占領下におきまして整理されましたために、ただいま残っておりますのはその程度のものだということを御了承いただきたいと思います。

野田卯一自由民主党

○野田(卯)委員 次は高碕通産大臣にお尋ねしたいのですが、貿易の問題で御承知のように、最近の新聞でも毎日にぎわしておるのでありますが、アメリカにおける日貨排斥、日本の輸入を抑制しようという運動でございます。これは御承知のように、日本とアメリカとは、日本は非常な輸入超過になっている。この輸入超過の是正ということはやらなければならぬ。そういう意味において、日本からできるだけ物を買ってもらいたいということが、歴代内閣の非常な熱望であり、御努力なさっておることだと思います。しかしながら形勢はちっとも緩和されないで、次から次へと排斥運動を受けておるわけであります。これに対してどういう手を打とうとされるのか、よほど思い切った手を打たぬと、ただこうしたい、ああしたいと思っている程度では、この問題は解決しないと思うのです。その一つといたしまして、アメリカ人が日本との貿易において、日本とアメリカとの貿易というものはやはりアメリカにおいては相当の部分を占めておると思いますが、日本から相当物を買ってやらなければならない、そうでなければ日本は困るだろうという意識が、全部ではなく相当の有識者なりあるいは外国貿易に従事しているその他の人々、政治家なりが日本から相当物を買ってやらなければならないという根本の考え方を持ってくれませんと、この問題はなかなか解決がつかぬと思うのです。ただその場その場に起った問題を火消し的に立ち回っておるということにすぎません。でありますから、日本とアメリカとの非常に友好的な関係、日本が非常に逆調であるというような点から申しまして、私は相当思い切った手を打つべきではないか、かように思うのでございます。  私が最近アメリカの大使館から配付を受けました資料によりますと、私は日本のこういう問題が解決される一つの原因がここにあるのではないかということを発見したのであります。これは本年三月五日付の米国大使館からの「無線報道」という大使館発行の文書があるのです。その中に最近アジア訪問旅行から帰ったカーンズという米商務次官補——これは大臣もお会いになったかもしれませんが、この人が帰って記者会見をしておるわけですが、記者会見の中でこういうことを言っておるのです。「一九五六年以来実施されている日本の自発的対米輸出割当制度で、日米間の多くの貿易問題が解決されたが、なお調整を要する問題があるので毎年この取りきめを検討して修正が加えられている。現在日米両国は日本製品の対米輸出量の増大について話し合いを進めている。」これはいいのです。その次が問題でありまして、「私は現在のところ日本商品の輸入量を増大すべき理由はないが、ある種の製品の輸入を増大し、他の製品は減らすというように、現在の水準内で調整することはできると思う。」こういうことを言っている。これは公文書なのです。私はこの考え方がどうもおかしいと思うのです。根本において日本の商品の輸入量を増大すべき理由はないということを言っている。ただその間で片方を減らして片方をふやすということを考えておる。こういうような根本的な考え方をカーンズ君というような人が持っておられたのではたまらない。アイゼンハワーがいかに上の方でいろいろ申しましても、ほんとうの担当官であるカーンズ君がこういう考え方を持たれているのでは、これはなかなか厄介なのです。  そこで私は向うの方の人の考え方をただすように、あるいは新聞を通じてPR運動その他によってどうしてもある程度日本から買ってやらなければならないのだ、今日本は輸入量の半分くらいアメリカから輸入して、二割四、五分を出している。その間に多いときは十億ドルも差がある。だから日本から相当買ってやらなければならないという考え方を少くも関係の人々が共通に持ってくれませんと、この問題は百年河清を待つことになりはしないか、こういうような憂いを抱くものでありますが、これに対する御見解と、また思い切って何か措置をとる必要があるということについて——今朝も高碕大臣みずから出馬して、アメリカへ行ってこの問題の打開に当ろうという悲壮な決意を持っておられるかのごとく新聞紙は伝えておるのでありますが、この問題についての御意見を承わりたいと思います。

高碕達之助自由民主党通商産業大臣・科学技術庁長官

○高碕国務大臣 対米貿易は現在わが国といたしましては最も重要な問題であります。お説のごとく昨年は十億ドルの輸入に対して約六億ドルの輸出でありましたから、三十三年度はさらに増加いたしまして六億九千万ドルの輸出をいたしましたが、輸入はやはりそれでも十億ドル輸入しておる。常に輸入超過になっておるということは事実でございます。大体先般カーンズが参りましたときに私会ったのでありますが、これは当事者としてはそういう意見の出ることは無理ないかと存じますが、実際アメリカの政府といたしましても、できるだけ日本の貿易を増進せしめて日本からもっとよけい買ってやりたい、こういう気分がありますし、またアメリカの大衆におきましても、日本の商品がもっとよくなればもっと買いたい、値段も安い、こういう点がありますから、いわゆるボイコットとかいうような意味はないわけでありますが、不幸にして日本から輸出いたします商品は、大体アメリカの斜陽産業に属するものが多いのであります。中小工業でありまして、たとえば繊維製品にいたしましても、またはベニヤ板にしましても、またはマグロのカン詰にいたしましても、洋食器類にいたしましても、そういうものでありますから、その生産業者がすぐに日本からの輸入によって打撃をこうむることが多い。その声が国会において響き、毎年四月、五月ごろにはこの問題が持ち上るわけでありますが、大体アメリカの貿易は、輸出は一昨年に比較いたしまして三十三年は一三%増加しておりますから、それくらいの増加は当然できるものだと思っております。つきましては、この問題の解決のためには、できるだけ相手方の生産業者、つまり斜陽族の業者と日本の業者とがよく話し合って、先方に対してもある程度の利益を与える。一例を申しますれば、輸出いたします合板にいたしましても、合板の原料をある程度先方の業者にも供給するとか、あるいはマグロのカン詰にいたしましても、冷凍マグロを向うのカン詰業者に供給するとか、あるいは共同の販売政策を立てるとか、こういうことにしていけば、もっと増加し得るものだと存ずるわけでございますが、要するにアメリカの業者と日本の業者とが、よく手を握って進んでいけば、さらに増加し得ると存じまして、その点につきましては今後十分考慮していきたいと存じております。

野田卯一自由民主党

○野田(卯)委員 次に総理大臣に、日中問題について質問をいたしたいと思います。数点ずっと申し上げまして、あとで一括して御答弁を願いたいと思います。  一昨年社会党の使節団が中共を訪問して、毛沢東や周恩来と会談した際に、当時の政治情勢から見て、中共承認のごときことは困難と認められる。そこで経済あるいは技術等の関係で、できるものから解決していこうという、いわゆる積み上げ方式でいこうという態度をとったことは周知の事実であります。しかるにこのたびの使節団に対しましては、政治と経済とは分離できない、従ってまず政治問題を解決できなければ、貿易等の経済問題は処理できないと態度が豹変しております。このような中共側における態度の豹変は一体何に原因すると認められるか。これは国内情勢あるいは国際情勢等もあるだろうと思いますが、総理の御見解をただしたいと思います。  第二の点は、今回の使節団に対しまして、中共側は政治が経済に先行すべきものだと言って、中共を承認しない限り、日本との貿易関係を続けるわけにいかないと言っておりますが、すでに御承知のように、現に西ドイツ、フランス、ベルギー、オーストラリア、ニュージーランド等中共を全然承認していない国と中共が経済関係を結んでおりますのは、どうも理論が一貫していない。理屈がわからない。このような事実はわれわれのふに落ちないところでありますが、こういう理屈にも合わないことを言われて、これに賛成したり、また国に帰ってこれを宣伝している社会党の態度は、まことに私はこっけいしごくであると考えるのでありますが、この点に関する総理の見解をただしたいのであります。  第三は、今回の中共側と淺沼使節団との共同声明におきまして、社会党側は安保条約の廃棄、日華条約の破棄を主張し、中共側はこれに同意をしておるのであります。今日における現実の国際関係を直視しますときに、日本の立場としてそれが実現不可能であることは明瞭であると思われる。また社会党の諸君もよく承知しておられるはずであるのに、社会党側の諸君よりこれを言い出すことは、中共側に迎合しようとする以外の何ものでもないというふうに考えられる。かかる社会党の態度は全く無責任であり、日本の情勢に対し誤まった認識を与えまして、日本と中共との間の関係をいよいよ困難ならしめるはなはだ考慮を欠いたところの軽率な態度であると考えますが、この点に関する総理のお考えを承わりたいのであります。  第四点は、淺沼書記長は外交学会における演説におきまして、米国の帝国主義は日中共同の敵であると申しておりますが、これはアメリカが現在帝国主義をとって他国を圧迫したり侵略したりしているということを前提として、そのアメリカを敵と呼ぶ態度であります。そうとらなければならない。従って帝国主義アメリカというのは結局現在のアメリカそのものをさしておるというふうに解釈しなければこれは意味をなさぬのであります。これはわが国が非常に深厚な関係を持っております友好国アメリカをしいるものであり、アメリカを侮辱する言動ではないかと考えられます。これは単に一個人が発言するのであればまた何をか言わんやでございまして、われわれはそれを歯牙にかける必要はないと思う。しかしながら、日本における二大政党の一つである社会党、自民党の次には政権を担当しようということを豪語しておられる社会党の代表者がかかる暴言を吐くことは、ほとんど世界にその比を見ないところであります。私どもは国会議員としても、あるいは一国民としても、かくのごとき淺沼団長の行為を糾弾せねばならず、また国民の名においてその撤回と陳謝を求むべきと思うのでございますが、わが国の政治の最高責任者として総理は何とお考えになりましょうか。  第五点は、今回の使節団の行動というものは淺沼君によって代表されておりますが、完全に中共側のペースに引き込まれてしまっておる、それにひたすら阿諛追従いたしまして、日本人としての、また日本の大政党としての矜持を完全に失い、その言動は日共の宮本書記長と何ら選ぶところはありません。今回の共同声明の基本的考え方は、昨年十一月の陳毅外務大臣の日本中立化声明と同一の思想であり、三月三日の宮本日共書記長と毛沢東中共主席との共同声明と表現は若干異なっておりますが、全くその焼き直しであります。この外交政策から見まして、社会党と共産党というものは全く合体したような印象を受けざるを得ないのであります。  また社会党はたまたま淺沼書記長の留守中に従来共産党と一線を画するために共同闘争をせずという態度をとってきたのでありますが、その社会党が総評のみならず、共産党まで中心となって組織している安保条約反対国民会議に党として正式参加を決定してしまい、今後各地で社会党と共産党の共同闘争をせざるを得ない立場にみずからを追い込んでしまいました。これらの事態は社会党の極左化、共産化を示すものであり、わが国政治の将来のため、きわめて憂慮すべきものであります。また二大政党の相手方としてその健全な成長をわが党も、また国民もこいねがっておりましたその社会党にとって、まことに遺憾千万なことでございますが、これに対し総理はどうお考えになりましょうか。かかる社会党を相手としての二大政党政治というものを、やはり国民のためになる政治形態であると考えておられるかどうか、この点に対し総理の率直な御見解を伺いたいのであります。  第六点は、今回の社会党使節団の中共訪問の結果を見て、中共政府は日本の岸政権に非常に反感を持っており、これをきらっておるが、社会党に対しては非常に好意を持っておるのだ、社会党が行けば少しはおみやげがあるだろうというような考え方が、現実のきびしさの前にいかにも甘い考えであることを痛感させられるのであります。三大政党の一つで野党である政党に属するものが、よその国に行って自分の国の政府を非難罵倒し、すっかり自分のぺースを失って、先方に追従これ努めるような態度は、全く百害あって一利ありません。国際的に活躍している世界の各国は、外交問題につきましては、おおむね与野党が意見を調節して超党派的に一致の行動をとっておりますが、かくてこそ初めてその国の対外的地位を高め、その主張を貫徹することができる。現在のわが国の社会党のごとき行動は、いたずらにわが国の対外関係を不利と困難に陥れるのみならず、中共の態度が、日中関係の改善という見地から見れば、前回の社会党の諸君が中共を訪問せられました当時に比べまして、むしろ後退しておると見られるのでありますが、その主たる原因が社会党の日本の現実と国民の真の幸福を忘れた独善的な態度、行動にあるとも考えられますが、この点についての総理の見解を承わりたいのでございます。  次に高碕通産大臣にお尋ねしたいのでございますが、先般総評の岩井事務局長が中共に参りまして、ウルシと甘グリの話をつけてきたということでありますが、これは日本の漆器業者、甘グリ業者が渇望していることはわれわれもよく存じているのであります。しかし、この輸入について、総評を窓口にしてもよろしいということが新聞に伝わっておるのでありますが、私はこれは問題であると思います。総評は、何も貿易団体でもなければ、経済団体でもございません。ウルシや甘グリと全く関係のないところの団体であり、むしろ共産党的は色彩の強い政治団体ともいうべきものである。それを通じてならウルシや甘グリを売るというならば、これはまさに中共の日本に対する内政干渉ではないかと考えるのであります。中共が日本に物を売る場合に、日本の共産党の口添えがなくてはいけない、また、日本の共産党が、日本の国内において、党員でなければ扱わせないということになりましたならば、私はこれはゆゆしい問題であると考えるのであります。この種の危険な問題は、いつでもこちらの弱みにつけ込んで起ってくるものでございますが、こちらに弱みがあるときでも、やはり日本の長き生存とその繁栄のために慎重に考えて、将来のためをはからなければならないと考えるのであります。従って、かかる場合は、対中共輸出入組合をして取り扱わしめるとか、あるいはウルシ、あるいは甘グリの同業者の団体をして輸入の申請をさせるというような方法によって、極力かかる問題に政治的な色彩の介入を回避すべきであると考えられるが、いかがでございましょうか。この点については、あるいはすでに総理は知っておられるかもしれませんが、新聞に出たのがそのままになっておりますので、高碕国務大臣にこの席におきましてこの点を明瞭にしていただきたいと存ずる次第でございます。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○岸国務大臣 日中関係の問題について、数点にわたっての御質問でございます。  第一に、この前の、すなわち一九五七年に社会党の使節団が中国に参りまして、中共政府との話し合いをした当時と、今日の淺沼君を団長とする中国訪問団の折衝の場合において、著しく中共側の態度が変っておるということでありますが、御指摘のように、従来は積み上げ方式で、政治と経済はこれを分離して、貿易の問題におきましても、国民同士の間において話を進めて積み上げていって、そうして将来政治上の関係も築き上げていく、こういう態度であったのであります。ところが今度は、政治と経済は不可分である、むしろ経済に政治が先行すべきものであるという態度であり、また従来のような積み上げ方式や、あるいは国民外交というものは限度にきておる。いわゆる外交権のない社会党との話し合いというものはある程度限度にきておる、むしろ政府間の話し合いにすべきものであって、しかも、それがためには、日本政府の外交方針なり、あるいは特に中共に対する考え方を転換しなければならぬ、社会党はそれに対して全力をあげ、社会党をして日本政府の方針を変えさせよう、こういう意図に出ているように思われるのであります。  そういうふうに政治と経済は不可分であるという考え方は、従来は、昨年の五月以前はとっていなかったことも事実であり、なおまた、今日におきましても、御指摘のように、西ドイツ初め数カ国との間にそういう問題は分離してやられております。先般ニュージーランドのナッシュ首相が日本に来た場合におきましても、その点に関してニュージーランドに対する態度と日本に対する態度とは非常に違っておる。そういうふうな、いわゆる一貫性を持ってではなくして、日本に対して特にその点を非常に強く要望しておるということには、私はやはり意図があるのであろう。ということ、今度の声明にも表われておりますように、日華条約を廃棄するとかあるいは安保条約の廃棄を強く述べておるということは、要するに日米の従来の関係というものを、何らかここで分離的な方向に持っていこう、あるいは日本の国際的な従来の関係というものをここで急転回させよう、こういう意図が盛られておるものであろうと思います。特に淺沼君が、演説におきまして、米国の帝国主義は日中両国の共同の敵であるというふうな声明をしたというようなことが伝えられておりますが、これらは全く現在の日本とアメリカとの関係を分離せしめるということをねらっておるものとしか考えられないのであります。  われわれは、従来国連を中心として平和外交を展開していく上において、自由主義の国々と十分な提携協力をして、アジアの一国としての立場をあくまで堅持していくという、いわゆる外交三原則を貫いてきておるのであります。従って、われわれ岸内閣に対して、従来、われわれが敵視政策をとっておる、あるいは二つの中国を作り上げようとする陰謀に加担しておるというような、全然事実のないことまであげて、われわれを非難しておるのでありますが、私どもはあくまでも平和的に、今日の国際情勢から申しますと、積み上げ方式によってこの日中の関係をお互いに理解を深め、そうして友誼を厚うしていくべきものであって、その究極は、当然国交が正常化される時期があるのでありますから、そういう積み重ね方式を重ねていくという従来の方針が、現実に即した最も正しい行き方であると私は信じております。決して敵視やいろいろな陰謀に加担して、中共側に対して不利な工作はわれわれはとっておらないのであります。  この点は十分に社会党の諸君も理解をされておるべきところであり、また日本の有力なる公党として中国に行かれたというような場合においては、日本政府が一貫して非友好的な、あるいは敵視政策やあるいは二つの中国の陰謀に加担するような政府ではないということを、私はむしろ中国に十分に理解せしめられることが、今度の親善使節の一つの大きな使命ではなかったかと思うのであります。しかし結果においてそういうことにならずに、いろいろ社会の世論のきびしい批判もありますように、むしろ中共側のぺースに引き込まれて、そうして向うに追随し、あるいは社会党が従来党の議決とし党の方針としてきめられておる、共産党と一線を明らかに画していくというようなことに対しても、疑問が持たれるような行動がとられたということは、私は非常に遺憾に思っております。特に、友好国であるアメリカに対して、これを共同の敵とみなすというふうな極端な言葉で表現するということは、従来の責任ある公党には見られないことであり、いわんや、従来社会党が主張しておられる中立外交政策にもむしろ反するのであって、こういう点に関しても世論のきびしい批判もあるようでありますが、私は、二大政党として、将来自民党が、政局が行き詰まれば、当然政局を担当しなければならない地位にある社会党として、今回のそういう態度については幾多の遺憾を感ずるものでありまして、十分、一つこれらの点については社会党としては反省もされ、将来国民政党として十分その重大な任務を果されるように、健全な発展をされることを願ってやまないのであります。外交は超党派外交であるべしという議論も、私はこれは望ましいことであると思います。しかし現在のところにおきましては、とてもこのことは望み得ないのであります。しかしながら少くとも対外的に行動される場合においては、やはり日本の責任ある政党の一つとして、自重した立場、行動をとられることが望ましい、かように考えております。

高碕達之助自由民主党通商産業大臣・科学技術庁長官

○高碕国務大臣 ただいま御質問のウルシと甘グリの問題でありますが、甘グリのことは私は存じませんが、ウルシの方は御承知のごとく、日本のウルシ業者が大体一年に二千六百トンばかりのウルシを使っております。そのうち二千トンはいわゆるカシュー・ウルシと称してインドのものを使っております。その六百トンのウルシの中で約八割、九割は中共から入っておったものでありますが、昨年の十月ごろまでは香港経由でそれが入っておったわけであります。それが十月以来途絶してしまったということで、ウルシ業者が悲鳴をあげまして、通産省に参りましたものでありますから、その連中を香港にやって、いろいろ折衝をしておったわけであります。ところが当時たまたま総評の岩井さんがおいでになって、中共政府においては少量であるけれども、日本の業者が困っておるならばこれを渡してもいいという、いわゆる情報が参ったのでありますが、これは情報でありまして、実際これが入ります場合におきましては、ウルシはAA制でございますから貿易管理令において適法であるならば、これは業者の手において入ってきた場合には許可する方針でございますが、いやしくも貿易管理令において適法でないという場合においては、いかにわれわれが困っておりましても許可しない方針で進みたいと思います。

野田卯一自由民主党

○野田(卯)委員 もう一点だけ中共問題について申し上げたいと思いますが、中共で今度淺沼君が、中国人民政治協商会議講堂において演説しておりますが、その中のごく一部だけを申し上げますが、こういうことを言っておる。「台湾は中国の一部であり、沖縄は日本の一部であります。それにもかかわらず、それぞれの本土から分離されているのはアメリカ帝国主義のためであります。アメリカ帝国主義についてお互いは共同の敵とみなして戦わなければならないと思います。この帝国主義に従属しているばかりでなく、この力をかりて反省のない再び致命的に間違った外交政策をもってアジアに臨んでいるのは岸内閣の外交政策であります。それは昨年末、特に日米軍事同盟の性格を有する日米安保条約の改定と強化をし、さらに将来はNEATOの体制の強化へと向わんとする危険な動きであります。この動きは中国との友好と国交正常化を阻害しようとする動きでもあります。これらの動きはあるいは警職法反対の日本国民の戦いや、平和を要求する国民の勢力によって動揺しつつあるが、しかしこれが今日日中関係の不幸な原因を作っている根本になっています。以上の日米安保条約の改定と日中関係の不幸な状態とは、いずれも関係し合って、岸内閣の基本的外交方針であり、アメリカ追随の岸内閣の車の両輪であります。」云云、こういうことを言っておりますが、それを受けまして、周恩来首相は淺沼団長や新聞記者に会見をいたしまして、こういうことを言っておる。この一点を聞いていただきたいと思います。「彼らは」——彼らというのは自民党をさしております。「彼らは引き続き中国を敵視し、二つの中国を作る陰謀を捨てず、両国関係の正常化を妨げている。田崎氏は、日本政府は中国政府と往来したいと望んでいると言ったが、彼らは大事なときになると敵視政策を暴露する。」——このことが問題なんです。「私は淺沼団長の演説に感謝する。これで岸政府の真意が暴露されたからだ。要するに周恩来が今まで言っておったことは、想像して言っておった、自分はそう思っておった。ところが、なまなましい日本の大政党の、日本の国内をよく知っておるところの淺沼君が来て、堂々とこうだ、こう言ったから、これによって岸政府の真意が暴露された、これで確認されたということをはっきり言っておるのですが、このことは私は聞き捨てならぬことだと思う。これが今度の中共訪問団のなした一番大きな仕事なんです。一体これを日本国民は何と見るか。社会党は自民党を不信任するというけれども、自民党を不信任する前に、まず日本国民が社会党を不信任するであろうと思う。私はまことに今回のことを遺憾しごくに存ずるのでございます。  最後に、私は皇室関係について一言総理大臣にお尋ねしたいと思います。来たる四月十日には皇太子殿下と正田美智子嬢とが結婚式をあげられ、われわれは議員提案をもってこの日を国民的休日として祝意を表することにいたしましたが、このおめでたいニュースの陰に暗いニュースがあるので、このことについてお尋ねをいたしたいと思います。  本年の二月二十三日号のニュース・ウィーク誌の第五ページに、東京通信として次の記事が載せられています。これは翻訳でありますが、かつて敗戦の日間もなく退位を欲せられた日本の天皇は、再び深刻に引退を考慮されつつある。いつか。皇太子と正田美智子嬢が結婚され落ちつかれた後、昭和三十五年中のサムタイムズ、いつかと書いてあります。何ゆえか。側近者の語るところによれば——側近者とはインサイダー、第二次世界大戦の汚辱をなお強く感じておられ、皇太子と平民出身の皇太子妃が日本に新しい強固な平和のシンボルを作り出すことができると信じておられる、そういう記事でございます。  これを受けまして、二月十七日の東京新聞は、「天皇陛下、退位を考慮」という大きな見出しで報道しております。  一体天皇の退位については憲法ないし皇室典範によって規定さるべきものと考えられます。皇室典範には、第四条には、「天皇が崩じたときは、皇嗣が、直ちに即位する。」とあります。また旧皇室典範第十条には、「天皇崩スルトキハ皇嗣即チ践祚シ祖宗ノ神器ヲ承ク」と書いてございます。  そこで、天皇の退位については、法律上は皇室典範の規定によりまして、天皇の崩御が唯一の原因と考えられております。さらに任意に天皇が退位をされることは種々の理由によりまして、好ましくないと考えられます。その二、三をあげてみますと、第一点として国民の象徴としての天皇の地位から退かれることは好ましくない。第二には天皇たることは国民の総意に基いているという憲法の規定であるから、この総意によらない退位は問題ではないか、この点であります。第三は、歴史上譲位とか退位には弊害が伴なっておりました。特に皇位継承の問題ともからみまして、生前の退位は望ましくないと考えられておりました。本件は外国の雑誌に掲載されている事実もあり、側近者が漏らしたということも書いてある。またさきには日本の新聞にまだ発表されない前に、皇太子と正田美智子嬢との婚約の内定がいち早くニュース・ウィーク誌に堂々と写真入りで出たことなど考えまして、この件については私は相当重要視すべきであると考えます。総理大臣のこの問題に対する根本的な考え方を承わり、また法制局長官から法律的な見解、また宮内庁長官から、一体このニュースはどこから出たのか、インサイダーと書いてあるから、宮内庁方面から漏れたともとられるから、この点に関する事情というようなものが想像し得るなれば、一つ納得のいく明快なる説明をお願いしたいと思います。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○岸国務大臣 天皇の退位説が外国雑誌に出ておるという今引用されました記事でございますが、私には全然その出所についての見当はつかないのであります。私は、戦後一時、一部の人の間にそういう意見があったことは承知いたしておりますが、最近においてさようなことは全然承知をいたしておりませんし、また法律的なことは法制局長官から申し上げますが、私は、現行の法制でそういうことはあり得ないことである、かように考えております。

林修三法制局長官

○林(修)政府委員 現在の皇室典範から申せば天皇の退位の制度はございません。従いまして現在の皇室典範のもとにおいて退位ということはあり得ないわけでございます。同時にまた憲法の趣旨から申しまして、憲法特に第一条あるいは第二条の趣旨から申しまして、かりに皇室典範にそういう制度を置くことの是非いかんという問題でございますが、これは御承知の通りに現在の皇室典範が制定されました昭和二十一年において相当論議があったところでございますが、やはり憲法の趣旨から申しまして、そういうことは適当でなかろうということで現在の皇室典範はできているわけであります。これは現在の皇室典範上できない。そういうことはあり得ないのみならず、法律改正問題といたしましてもやはり相当慎重な配慮が必要なことで、むしろそういうことは好ましくないことじゃないか、かように考えております。

楢橋渡自由民主党

○楢橋委員長 野田委員、宮内庁長官は呼んでいませんから、どうぞ一つ御了承願います。

野田卯一自由民主党

○野田(卯)委員 これでもって私の質問を終ります。

楢橋渡自由民主党

○楢橋委員長 明日は午前十時より開会することといたしまして、本日は、これにて散会いたします。     午後七時三分散会

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