予算委員会 第4号
- 発言数
- 55 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 1
- 開催日
- 1959/02/04
会議録
○楢橋委員長 これより会議を開きます。 十一時半に再開することといたしまして、この 際暫時休憩いたします。 午前十時五十三分休憩 ————◇————— 午後四時十九分開議
○楢橋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。昭和三十四年度一般会計予算、昭和三十四年度特別会計予算、昭和三十四年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。 質疑を続行いたします。床次徳二君。
○床次委員 私は外交問題並びに地方行政、財政の問題を主として質問いたしたいと思います。 まず外交問題より質問いたしたいと思います。第一に安保条約の問題につきまして総理にお尋ねいたしたいと思うのでありますが、政府はこの問題の改定に当りましては、広く国民の意図を聞きながら最終の結論を得たいというように言っておられるのでありますが、われわれ国民といたしまして今日最も聞きたいと思いますることは、第一に内乱条項の削除の問題、第二は沖縄、小笠原の問題であるのであります。 この第一の内乱条項の削除ということは、わが日本が独立しておりまする以上は当然のことと思うのでありますけれども、しかし一または二以上の外国によりまして教唆または扇動による大規模の内乱あるいは騒擾がありまする場合におきましては、自衛力のみをもってしては不足する場合も考えられるのであります。しかしもちろんこの場合におきましては、わが国の要請によりまして米国の援助を当然期待することができると思っておりますので、この点は心配ないと思うのでありますけれども、反面におきましてこの内乱をわが国が独自の責任をもって解決するということが表面に出ます以上、今後わが国の防衛力の充実という問題が問題とされるのであります。国民の一部の中におきましては、この内乱条項の削除の結果、急激に防衛費を増額されるのではないか、増額する必要が生ずるのではないか、かような疑念を抱く者もあると思うのでありますが、この点に関する総理大臣の御意見を伺いたいと思うのであります。
○岸国務大臣 われわれが日本の安全を保障するために外部からの不当なる侵略に対して祖国を守り、また同時に国内において内乱もしくはこれに準ずべきような事態が発生した場合に、その治安の責任を持つためにわれわれが自衛の組織を持つという立場で、それがしかも国力の国情に応じて漸増する方針のもとに今日まで着々とその増強をはかってきております。もちろん現在の国際的な情勢から見まして、またいろいろな各地に起っておる事態を見ますると、内乱といい、あるいは侵略といい、直接侵略といい、間接侵略といい、そういうことがきわめて複雑な様相において行われておるというのが現在の国際情勢、また各地におけるところの実情であろうと思います。こういうあらゆる場合に対処してわれわれが国内の安全を保障するという上から申しますと、いろいろな事態が考えられるのでありますけれども、どうしてもわれわれが独立しており、自主独立の国であって、そうして自衛の組織を漸増して今日まで来ておる実情から申しますと、外国との条約の上において内乱条項のごときものを明らかに書くということは、現在の安保条約の成立当時の事情ではやむを得なかったと思いますが、今日の状況においては、それは適当でないと思っております。しかしこれに伴って、それでは非常に防衛費が激増するということのおそれはないかということでありますが私どもは防衛計画の問題については現在三カ年計画を実行しておりますし、また将来の見通しを立てて日本の防衛の実態を作り上げていく、防衛計画を定めていくということになることは当然でありまして、決してこれを除いたから現在の状況のもとにおいて防衛費を急増しなければならぬというふうには、私どもは絶対に考えておりません。
○床次委員 第二の問題としてあげられまするのは、沖縄、小笠原の適用の問題であります。政府はこの沖縄、小笠原をいわゆる適用区域に入れるかどうかにつきましては国民の判断によって決したいということも言っておられるのでありますが、最も典型的な国民の願望は、沖縄、小笠原を早く返還せしめたいという考え方であるわけでありますが、しかし沖縄を適用範囲に含めます場合におきましては、わが国に対しまして、いわゆる連鎖反応によりまして戦争に介入することになるのではないか、すなわちNEATOの結成と同じ結果になるのではないかということをおそれているのであります。同時に、沖縄を含めましてもその危険の増大はないんだ、決して心配はないんだというふ夢に条約において取り扱うことができるとすれば、もちろん国民といたしましては、沖縄、小笠原を含ましめるように希望することは当然だと思うのであります。しかしこの議論に関しましては、現在の沖縄の持っておりますところの非常に特殊な法律上の地位と申しますか、複雑な関係がありますので、なかなか複雑めんどうな問題があるのであります。同時にこういう問題に対しましては、条約の交渉の相手方の意向もあるのでありますが、果してただいま申し上げましたような考え方から技術的に可能であるかということは十分検討いたしまして、そうして国民に知らせる。その上において国民が判断するということになるのではないか、なるべきじゃないかと思うのであります。またたとい沖縄、小笠原を防衛区域に編入いたしましても、実際上において条約上この適用を除外するということになり得るとも思うのでありますが、この点はいろいろ政府においても検討されておることと思うのでありますが、国民の判断の資料として総理大臣の御見解を伺いたいと思うのであります。
○岸国務大臣 沖縄、小笠原につきましては日本が潜在主権を持っておるということが、日米の間においても確認をされております。しかし潜在主権というものの内容はどうだという問題になりますと、いろいろな議論がまたあると思いますが、少くとも現在において施政権を一切日本はここで行使することはできない。すべてアメリカがこれを行使しておることは御承知の通りであります。しこうしてこの施政権返還の問題は沖縄住民のみならず、日本全国民の非常な悲願でありまして、われわれもあらゆる機会においてアメリカとその点についての話し合いをし、われわれの要望を強くアメリカ側に理解せしめておるわけでありますが、しかし現在の状況においては、アメリカはまだこれを日本に返還する意図を持っておらないという状況であります。しこうして安保条約の問題とこの施政権返還の問題とは、本来関係のない問題であると私は思う。ただ今度の安保条約に沖縄、小笠原を含めるか含めないかということが、国民感情として、今床次委員の御指摘になりましたようにわれわれが沖縄の返還を要望し、日本に復帰する日の一日も近からんことを望むという願望から、これをもしも適用区域外に置いた場合においては、そういう日本人の国民感情を無視して、あるいはこの施政権の返還の問題について、従来日本が主張しておることをあるいは放棄するといいますか、放棄に至らなくても、そのことについて従来の態度と変るのではないかというふうな懸念を、いやしくも国民に持たせるようなことがあってはならぬことは言うを待たないのであります。この意味において私は、安保条約の規定がどうなろうとも、施政権返還の問題、沖縄、小笠原の日本への復帰の問題は、この安保条約の規定いかんにかかわらず、われわれの終始一貫してこれが実現へ向って今後もあらゆる努力をすべき問題であるということを、国民がまずよく理解してもらいたいと思うのであります。しこうしてこの点に関して、なお条約もしくは条約に関連しての条文等におきまして、そういう点が明確になるかどうかということも技術的に研究をしなければなりません。さらに今おあげになりましたように、現在アメリカと韓国の間、あるいはアメリカと中華民国の台湾との間、あるいはアメリカとフィリピンとの間等にありますところの相互防衛条約の関連において、これらの国々との関係におきましては、相互に沖縄というものを含めて一つの条約地域、防衛地域というものを作っております。そこで日本の今度の安保条約にそれを含めた場合においては、これらの条約との関連において、今御指摘になりましたNEATOのような関係ができ上るのではないかという一つの議論があります。しかしながら、これまた技術的にいろいろの条文のこしらえ方いかんによっては、その間におけるところの関係を明瞭ならしめる方法も私はあろうと思います。またこれらのことは技術的に十分に研究を要することであります。 いずれにいたしましても、かりに沖縄を含め、小笠原を含めましても、私は現在の日本の憲法の規定の意味から申しますと、やはり日本の自衛隊がこういうところまで出動するということは考えられないと思います。われわれは安保条約の改定に当りましても、日本憲法の許す範囲内においてすべての義務や権利を持つということを前提として交渉に入っておるわけであります。アメリカ側もその点においては十分に理解をしておるわけであります。そういう点に関しましては、いわゆる沖縄、小笠原というものに対する国民的の悲願であるこれら早期復帰への要望と安保条約の規定との関係において、いろいろな国民感情が出るわけでありますから、その点は全然関係ないということをまず明瞭ならしめておくことが必要であり、それからいかなる場合においても、われわれは戦争の危険により巻き込まれ、あるいはその機会を多くするような考え方は、毛頭持っておらないということを、国民においては十分に理解していただきたい、こう思っております。
○床次委員 ただいまの答弁の趣旨によりまして、戦争介入、戦争に巻き込まれる危険のないこと、また沖縄、小笠原の返還に対する政府の態度というものが明らかになったのでありますが、この沖縄の問題に対しましては、お説の通り、安保条約の改定と沖縄の返還とは全く別個の問題でありますが、技術的にいかにこれを書くかという問題があります。新聞紙上に伝えられるところによると、沖縄、小笠原は条約区域に入れて、その効力の発生は施政権の返還と同時にする、また沖縄、小笠原に対する日本の自衛権の存在を再確認するというような意味の主張があります。あるいは沖縄、小笠原を適用区域に入れるけれども、潜在主権に対して、潜在的自衛権とでも申しますか、こういうものを主張して、しかも施政権の完全復帰のときまで条約上の各種の権利の行使を停止するというようないろいろの考え方もできるのではないかと思うのでありまして、こういう問題に関しましては、さらに外務委員会等において十分検討を加えまして、われわれ万全の策を一つ作り上げていきたいと思うのであります。 いずれにいたしましても、今度の安保条約の改定交渉に関連いたしまして、沖縄、小笠原の復帰に対する国民の強い願望というものが如実にわき上って参っておるのでありますが、直接条約に関係がないといたしましても、今後外交ルートによりまして、沖縄、小笠原におけるところの民生の向上あるいは産業振興等に関しましては、それぞれ別途の道を持ちまして一そう日米が協力いたしましてこの目的を達し、そうして早期復帰に至るまでの努力を継続すべきものと思うのであります。かかる措置は当然とられることと思うのでありますが、御意見を承わりたいと思うのであります。
○藤山国務大臣 沖縄の民生向上につきましては、われわれといたしましても外交ルートによってできるだけこれが達成を期して参りたいと思うのであります。今後、教育の内容の充実でありますとか、あるいは産業振興でありますとか、また戸籍整備というような問題については、すでに若干の案を持っており、これを交渉して参りたい、こういうふうに考えております。
○床次委員 次に、日中貿易に関しまして外務大臣にお尋ねしたいと思うのであります。 日中貿易の促進に対しましては、政府も非常な熱意を持っておられるようでありまして、適当な時期、方法がありましたならば、あるいは大使級会談も行う意思があるかのように承わっております。また反面におきまして、社会党は使節団を派遣されて日中貿易の促進に努められるように聞くのでありますが、だれが交渉に当りましょうとも、日中貿易の促進ができるということは、けっこうなことと思うのでありますが、ここに考えなければならないことは、わが国といたしましては、従来からとっておりましたところの中華民国との国際関係の問題でありまして、中華民国との間に問題を生ずるがごときことはなし得ないのであります。従来の外交的、国際的立場というものを堅持しつつ、経済的あるいは文化的な交流の促進について折衝するという立場でなければならないと思うのでありまして、その範囲内においてしかも責任ある者がこれを行う、あるいは過般において御答弁がありましたが、郵便条約等の問題につきまして政府が介入するということもやむを得ないと思うのであります。当然のことと思うのでありますが、この限界というものをわれわれが乱るようなことがありましたならば、将来の日中貿易の促進という問題は、かえって逆効果になるのではないか、かように考えるのであります。かっての第四次協定と同じように、政治目的が介入されたような協定ができますと、今日の日中間の、ある程度まで平穏に常道に乗らんとしつつある状態をかえってこわすことになるのではないかと思うのでありますが、この点に関する政府の御意見を伺いたいと思います。
○藤山国務大臣 中華民国とは現在友好関係を結んでおりますので、むろんこの友好を続けていくことに特に害を与えるようなことをいたしたいとは考えておりません。われわれといたしましては、中共との貿易の問題につきましては、できるだけ政治的な色彩のない、純貿易的な立場でもって、しかも責任ある問題としてこれを取り上げて参りたい、こういうふうに考えております。そういうことを達成するためには、機会がある場合には、大使級会談もかえってそういう誤解を生むことのないような案を作り得るような道ではないかというふうに考えておるわけであります。
○床次委員 重ねて外務大臣に、日韓問題について一言触れてみたいと思うのであります。 日韓問題の打開は、現下の重大な懸案でありますが、最近北鮮人の帰国問題が急にクローズ・アップされておりますが、私どもの考え方によりますと、この帰国問題は、単にそれだけとして独立してあるのではなく、李ラインの問題、財産請求権の問題、あるいは文化財返還の問題、あるいは船舶の返還あるいは在日韓国人の処遇の問題等いずれも関連しております。しかもその一つ一つがきわめて複雑な問題なのでありまして、一つの問題を解決するために大局を忘れるというようなことがあってはならないのであります。従ってこの韓国問題を処理する場合に当りましては、国民にこの日韓問題の全体の姿というものをよく理解してもらって、そうして国民の世論の背景のもとにこれを遂行するということが必要なのではないかと思うのであります。今日までの状態を見ておりますと、日韓問題の全貌に対する国民の理解がいささか足りないのではないか。そのために、えてして一部の者に利用せられるというようなおそれもあったと思うのでありまして、この点は、政府におかれましても、全般的に解決する。同時に、そのためには、国民に対して、やはり日韓問題の状況、またあるべき姿というものを全般的に周知徹底せしめて、その国民の世論の背景のもとに折衝するという準備が必要なのではないかと思うのでありまして、すでにかかる時期に到達しつつあると思うのであります。この点に関しまして外務大臣の御意見を承わりたいと思います。
○藤山国務大臣 日韓会談は、わが国にとりまして重要な問題でありますので、十分各方面の理解を得てこの問題の解決に当りますことは当然なことだと思います。現在、先般の答弁でも申し上げましたように、ただいま御指摘のありましたような文化財返還の問題あるいは船の返還の問題、あるいは漁業委員会の問題等が並行して進められております。漁業委員会で扱っております李ラインの問題、日本にとりまして一番重要でもあり、また将来のわが国の国際的立場に対する影響もありますので、この問題の解決について、われわれとしてはできるだけ主力を注いで参り、この問題の解決のめどがつくに従いまして、漸次韓国側の要求しております文化財の問題なりあるいは船の問題なりの解決のめども見出し得るのではないかと考えております。漁業委員会におきましては十一月末に第二次的な日本の魚族資源の保護の見地から、一定の区域を限りまして、その中でとります魚の量もしくは出漁いたします船の隻数等を毎年両者で協定をいたして、そうしてやって参る。ちょうど日ソ漁業委員会もしくは日米漁業委員会のような方式を採用する案を提案をいたしておるのであります。それに対しまして今日まで何らの回答を、韓国側がよこしておりませんのが実情でございます。他方文化財の委員会等につきましては、国の所有しております、韓国から来ております文化財等につきまして返還の要求をいたし、また船の問題等につきましては、終戦のときに朝鮮に籍のありました船、その後さらに、当時の、われわれ置水船と呼んでおりますけれども、朝鮮水域にありました船というようなものにつきましての返還もしくは補償を要求いたしてきておりますけれども、これらに対しましては日本の政府といたしまして、まだ漁業問題が何らのめどがついて参りませんので、何らの回答をいたしておりません。そういうことが日韓会談の現況でございます。それらの点につきましては、交渉でありますから全貌を明らかにするわけにいかぬ場合もありますけれども、必要に応じまた国民の御理解を得るために、今後それらの内容等につきましては、できるだけ国民の御判断の資料を出して参りたい、こう考えております。
○床次委員 特に大臣に要望いたしたいのは、今日までの日韓交渉におきましては、とかくわが国が受け身に立っておりまして、いわゆる正しい情報の普及に対しては、とかく韓国側に押されているのではないか。わが国が正当なる要求をいたしましても、これに対して韓国が拒絶遷延しておるので、責任は韓国にある場合に対しまして、あたかもわが国に責任あるかのように、これに対して報復手段をとっておるというのが、過去において往々行われた事例であると思うのであります。北鮮人の帰国問題等に関しましても、内容は単なる人道問題ではなくして、しかもその動機においては複雑なる政治的なものを多々含んでおると思うのであります。これは日韓交渉にも影響が予想せられるのでありますし、同時に国内におきましては、韓国人はわれわれとともに社会生活を営んでおりますために、いろいろの社会問題を派生するおそれのあるものでありまして、従ってこの帰国方針の決定を見るということ、そのものにつきましては慎重な取扱いを必要とし、同時にそれが決定いたしました暁におきましては、希望者は全員これを送還するというだけの慎重な手続をいたしまして、将来に問題を残さないようにする慎重な配意が必要であると思うのでありまして、この点に関しましては国民によく理解を求めなければならぬ問題だと思うのであります。 反面におきまして、われわれが今日李承晩ラインによります拿捕抑留漁業者を持っておるのでありまして、今なお百七十六名という数に達しておるのでありまして、この漁業者は、北鮮の帰国問題以上に、これは重大なる、むしろこの方が直接大きな人道問題なのでありまして、この点に関しましては、わが国内におきましても、また国外に対しましても十分な世論の喚起が必要なのであります。特に国際赤十字のごときも、北鮮人の問題を取り扱うことも理屈があると思うのでありますが、同時にこの未帰還の漁夫の問題に関しましても、もっともっと重大なる関心を持つ必要があると思うのでありまして、この点に対しまして政府も一そうの努力が必要と思うのでありますが、意見を伺いたいと思います。
○藤山国務大臣 抑留漁夫の諸君の問題につきましては、政府も非常に重要な課題としてこれを考えておるのでありまして、先般も六カ月ぶりに、一月二十三日でありましたか、漁船の抑留が行われたわけでありまして、二十数名の日本の漁夫が抑留されたわけであります。直ちに韓国に対して抗議を申し込み、返還の要求をいたしておるのであります。今日までの累積しております抑留漁夫の方々につきましても、われわれとしてはできるだけ日韓会談の中においても、あるいはそれと並行しましても、当然日本側からこの返還要求をいたすことを怠っておらないつもりであります。非常に困難な問題ではありまするけれども、できるだけこれまたお話のように人道問題でありますから、努力をいたすつもりでおります。
○床次委員 いずれにいたしましても、日韓問題解決に対しましては、この際根本的に一つ腹を据えて折衝に当られてもらいたいと思うのでありますが、過去の日韓交渉の経緯を見ますと、とかく日本側におきましては、韓国に対してはきわめて事情にうとい。また事実うとからざるを得ないのであります。反面におきまして、韓国側は日本に代表部を持っておりまして、日本の状態にはきわめて通暁しておる、かような状態でありますが、わが国が韓国を理解するということに対しましては、きわめて不十分であったと思います。ほんとうに交渉が円満に進行成立するためには、やはり双方の実情というもの、また主張というものを十分に理解し合えるという状態にあることが必要なのでありまして、この点におきましては、過去の交渉においてまだまだ足りないところがあるのではないかと思うのでありますが、この点外務省におきましても韓国の情報等に関しましては遺憾のない処置をとっておられるかどうか承わりたいのであります。
○藤山国務大臣 ただいまお話のありましたように、韓国の情報を十分にとって、しかもそれを参考にしながら、われわれも外交交渉をしていくということは非常に必要なことでありまして、できる限りの範囲でそういうものを収集し、かつそれらのものを分析して韓国側の考え、あるいは韓国側の事情等を周知の上で話を進めていくことは、今日までもやっておるつもりでありますが、なお一そうそれらの点につきましては十分な注意を払いまして、それらの情報収集その他につきまして努力をして参りたいと存じております。
○床次委員 次に経済協力に関しまして、総理大臣に伺いたいと思うのであります。経済協力につきまして、総理は東南アジアの経済開発について、技術と資金の両面において経済協力促進に努めることを明らかにしておられます。また外務大臣も諸国の要望にこたえて、各種の技術センターの設置に着手するほか、経済、技術の協力を通じて諸国の経済開発計画に一そう協力したいということを言っておられるのでありますが、事実の面を見て参りますと、第一に私どもが指摘いたしたいのは、賠償とともに実施を約束しておりますところの経済協力というものが、あまり実行されておらないのであります。第二の点といたしまして、岸総理が東南アジア、AA諸国を訪問されました際に、相手側とはいろいろと懇談せられておったのでありますが、この際話題となりましたところの経済協力も、きわめて実現の速度がおそいように見えるのであります。そのほか中近東あるいはAA諸国からの要望は、非常にたくさん来ておるのであります。しかしこれがはかどっておらないのであります。反面におきまして、中ソ等の共産圏のいわゆる経済協力の進出あるいは欧米諸国の協力は、まことに目ざましいものであるのでありまして、将来わが国が貿易を振興しようという際におきましても、今日において経済協力を十分にしなければ、これは悔いを見ることがあろうかと思うのであります。この原因に対しまして、一部におきましては、わが国の経済的な実力がまだそこまでいっていないんだというような認識に立っておられる方もあるのであります。しかし技術は十分にあるのでありまして、経済力から申しましても、この技術を活用し得るのになお相当の力があり得ると私ども考えておるのであります。現実において大きな障害になっておるのは、日本の経済力が弱いということではなくして、むしろ一部の——政府部内におきましても、経済協力ということをあまりにもいわゆるコマーシャル・ベースと申しまするか、採算、打算に、しかも近距離の、短時間におけるところの商業ベースということに固執せられておるんじゃないか、事務的な処理にわずらわされている結果のように思うのでありますが、この点はぜひ打開しなければならぬと思うのです。本年は幸いにいたしまして輸銀資金ワクも拡充されるし、あるいは開発に対する、経済協力に対する調査費等の計上を見ておるし、開発資金の活用ということも考えられるのでありまするが、この際政府におきましては、一そう高い政治的の見地から、経済の協力を実施するところの国策をやはり一つ立てていただく必要があると思うのであります。なお、このためにはいわゆる利子等におきましても、相当思い切った利息を考えなければならぬし、償還年限に対する制限というものに対しましても緩和する、あるいは損害補償等のいわゆる経済、技術協力の技術的面におきまして、今まで考えられておりました以上のものに、一つ改善をしなければならないと思うのであります。この点は何といたしましても政府が各省を統一されまして、一つ高い次元に立って実施するという強い決意を固められることが必要なんでありますが、この点総理大臣の御所見をお伺いしたいと思うのであります。
○岸国務大臣 東南アジア初めAA諸国に対する経済協力の点について、床次委員の御指摘になりましたことは、私は大体現状がそういうふうにあると思います。従って、われわれがこのことを強く考えておりながら、まだ十分な効果を上げ得ないという状況にあることは、いろいろな支障、あるいは事務的に、あるいは各地におけるところの実情が十分に把握されておらないというようなために起っていることは、これは事実であります。これらのことに対しては、政府としても今後の予算におきましても、相当各方面の技術協力や、あるいは経済調査等について考慮しております。御指摘になりましたように、輸銀の資金もふやしております。さらにその上に立って、全体的に見て高い次元の上に立って、こういう問題を推進する必要があるというお話でありますが、そのことにつきましても、昨年以来、総理大臣のもとに海外経済協力に関する協議会を設けておりまして、努力をいたしておるのでありますが、そういうことについても、今後さらに一そう留意して参りたい、かように思っております。
○床次委員 ただいま総理が言われましたように、技術協力懇談会等をうんと活用していただいて、そうしてほんとうに各省の意思を、何と申しますか、一元化しまして、強力な実施を一つ要望する次第であります。 次に、似たような問題でありまするが、一例としてこれは外務大臣、大蔵大臣にお尋ねいたすのであります。日本とブラジルとの貿易の問題であります。過般貿易支払いの取りきめができたのでありまして、ここに清算勘定取りきめ廃止を契機といたしまして、両国間の通商が、いわゆる縮少均衡の状態に陥りつつあるのでありまして、これはまことに遺憾な点であります。天然資源の豊富なしかも将来性のあるブラジルのことであります。わが国とは、移民問題その他きわめて長い伝統的な関係を持っておるのでありまして、貿易の問題、産業界、海運局の問題、移民等の問題から見まして、ヨーロッパに負けないところの活発なる施策が、ブラジルに対して行われてしかるべきものと思うのでありまするが、それがきわめて事務的な結論というようないわゆる清算勘定方式によりまして、今日あらゆる面において打撃を与えておるということは、非常に残念に思うのであります。今後かかる問題に関しましては、もう少し高い政治的な立場から、ただいま経済協力について申し上げましたと同じような立場から、一歩前進して考えることができないか。ブラジルに対しましては、さしあたりクレジットの設定も考えられると思います。いろいろな方法がありまして、現在の状態に対しましてもっと積極的な手が打てると思うのでありまするが、これに対して政府の御決意を伺いたいと思うのであります。
○藤山国務大臣 ブラジルとの関係は、ただいま御指摘になりましたように、移民の関係もございます、また経済協力等の関係もございますし、貿易の面におきましても、わが国輸出振興の上から非常に重要なことだと思うのでありまして、両国の親善を増し、この両国の関係をますます経済的にも強めて参りますことは、今後の日本が国連におきます外交をやります上においても、中南米を通じて問題を扱って参ります上においても、非常に重要なことだと思います。従いまして、われわれといたしましても、できるだけ両国のそうした意味の経済協力、貿易の増進というような問題につきましては、努力をして参りたいと思っております。昨年ちょうど六月に貿易協定が切れまして、その後現金決済方式に切りかえるように相なったわけであります。これはむろん単なる技術上の問題ばかりでなく、IMF等の長い間の方針も反映しておるわけでありまして、単純な日本の財政上の問題あるいは貿易政策だけの問題ともいえないわけでありますが、そうしたいろいろの立場から現金決済方式に変えたわけであります。十月十五日からこれが実施されておりますが、残念なことに今日貿易はあまり活発でございません。むろん日本が輸入先行によりまして輸出を増進していくということに相ならなければならぬのでありますが、たまたま綿花でありますとか、あるいは砂糖でありますとかが時期的にずれておりますので、日本が輸入先行をいたすという時期が、若干おくれているような関係もありまして、現在必ずしも貿易の上からいいますと活発でございません。ただしかし、この活発でないというのは、そういう理由もありまして、必ずしも現金決済に変えたからだけども言い切れないのじゃないかという点もございます。しかし、何といたしましても貿易を増進いたして参りますことは、非常に必要なことでもありまして、今後もそれらの問題を考えて参ります場合に、経済技術協力とあわせて、貿易振興のために今お話のようなクレジットとかその他いろいろな方法があろうかと思いますので、それらの問題は十分これを考慮しつつ、貿易振興に向える方向を考えて参りたい、こう存じております。
○佐藤国務大臣 ただいま外務大臣から詳しくお話になりましたから、私からつけ加えることはないようですが、先ほどの総理に対するお尋ねがございました東南アジア諸地域、同時にまた中南米、特にブラジル、こういう後進諸国に対しましてのわが国の貿易伸張なり、あるいは経済協力の推進なり、特に今まで意を用いて参っております東南アジア諸地域に対しては、技術援助の面でも、もうすでに八十件に上っております。比較的にこの方は経済協力の推進ができたように思っております。しかし中南米の方は技術の面がおくれておりまして、現実には投資と申しますか、あるいは資金と申しますか、相当融資残高がかさんでおるのでございます。これは後進諸地域につきましては、お話にもありましたように、長い目で見てその国の経済を伸ばしていく、そういう意味でいわゆる大所高所に立っての協力が必要だと思います。ブラジルについてただいま外務大臣から詳しく御説明になりましたが、綿花その他の物資の生産時期等のずれがちょうどございまして、今日現金決済後は、日伯間の貿易は思うように進んでおりません。これはまことに遺憾でございます。しかし綿花等の買付の時期等が今参っておりますので、今後は相当期待はできるだろうと思いますが、御意見のありますように、大所高所に立って、経済協力、しかもそれが長期において相手国の経済発展に協力する、こういう立場でないと貿易の振興は思うようにいかない。そういう点で十分注意するつもりでございます。
○床次委員 それで、外交問題に対する質疑を終りたいと思うのですが、一言、昨日の周東委員の質問に対しまして総理が答えられましたことについて、ニューギニアの開発の問題についてお尋ねいたしたいと思うのでありますが、政府の答弁は、インドネシア共和国等が未開発のニューギニアの開発を希望して、その開発についてこれを国連の協力に依頼するというような場合におきましては、国連もこれを歓迎することだろうし、またこれが喜ばしいことであるというふうな御趣旨だと思っておるのであります。日本は何もこの問題を直ちに国連に要望するという問題ではなかったと思うのでありまするが、この点総理の御意見をお伺いいたすものであります。
○岸国務大臣 昨日周東委員に対して私の答えました趣旨は、もちろん具体的な地域について、日本が提案国となってこれに対する提案をするという意思ではございませんで、ただ一般論として、未開発地域が発開をされ、人口問題等の点において、国連において審議されるということならば、この趣旨に賛成だということであります。今おあげになりましたニューギニアの題問等につきましては、やはりニューギニアについて主権を持っておる国において、その開発の方法その他のことを国連に提訴するようになるべきことは当然でありまして、他国がこれを提案するということは私どもは毛頭考えておりません。
○床次委員 以下地方財政について御質疑を申し上げたいと思うのでありますが、地方財政の基本的な問題でありますので、まず第一に総理に伺いたいと思います。 地方財政に関しましては、ここ数年の間、国、地方を通ずるところの財政の健全化に努力せられまして、経済の好況に伴うところの税収の増加によりまして、全体としては著しく改善されて参ったのであります。本年度におきましては、特に国税の減税を行いますとともに、地方税にありましては事業税、住民税二百二十九億の減税が行われたのであります。半面におきまして地方交付税において一%の増率を行いました。地方財政の基礎をさらに強化し、行政水準の向上と住民の福祉の増進を期したというふうに政府は言っておられるのでありまするが、果して政府の予想するがごとく、地方財政は好転しているかどうかということに対しまして懸念する向きがあるのであります。地方財政を確保するということに対しましては、従来の長い間の努力によりましてやっと今日に至ったのでありまするが、これが一朝にしてつぶされるということになりましては、まことに大へんだと思っておるのであります。元来地方財政の立場から申しますると、政府予算が新年度におきまして一兆四千百九十二億でありまするが、地方財政計画におきましては、ほとんどこれに匹敵するところの一兆三千三百四十一億という大きな規模を持っておるのであります。しかし実際予算の編成等に当りますと、とかく地方財政計画の編成につきましては、従来におきましてはこれが閑却されがちであった。その規模が大きな割で住民に直結している地方自治の状態に対しまして、ややこれが国の直接関係のある事業の執行に関心が奪われまして、これが軽く見られがちである。直接国の予算において審議せられますのは、交付税あるいは国から補助金を出します場合におきまして、これが取り上げられる傾きになっておるのであります。従って、どうも地方行政水準の向上ということが軽視される風がある。その結論といたしましては、国の予算の編成のしわ寄せを地方が受けるというような傾向があるのでありますが、この地方自治の向上、地方行政水準の確保ということに対しまして、総理はいかなる信念をお持ちになっておりますか、まずこれを伺いたいのであります。
○岸国務大臣 地方財政が一時過去において非常に行き詰まった時代もありましたが、その後、国、地方関係者等の努力によって漸次健全化の方向にいっていることは、大へんけっこうなことだと思います。しかし根本的にいって、この地方財政の基礎である安定的な財源を持ち、これを確立することも、地方財政の健全化からいって必要であります。また地方の行政水準というものは、ただ単に歳入と歳出とが黒字になったからそれでいいというものではなくて、実際の行政水準というものを見ていくと、これをだんだん向上させていかなければならないことは当然であります。こういうことを考えてみますと、なお国として地方、中央を通じての財源の配分や、財政健全化についての根本的な検討が私は必要であると思います。そういうことが今度の地方税、国税を通じての税制調査会においても審議すべき一つの題目であり、御指摘のように地方財政の健全化をはかって、その行政水準を高めていくということは、国の大きな目標でなければならぬ、こう思っております。
○床次委員 次に大蔵大臣に伺いたいのでありますが、国の予算と地方の予算というのは、常に総合的にこれが見合って、均衡のとれたものを作るべきであると思うのでありますが、しかし、実際の過去における予算編成の実況を見ますと、国の予算がきまりまして、そうして地方財政計画があとできまるという形であります。ことしは比較的早かったのでありますが、昨日になって地方財政計画が発表されておるという形であります。しこうしてこの昨日発表されました地方財政計画を見て参りますと、先ほど申し上げましたように、昭和三十四年度における国の予算は一兆四千百九十二億、前年一兆三千二百十二億に対しまして九百八十億の増、パーセントとしますと七%弱、六・八%ぐらいの増になっておるのであります。しかるに地方財政を見ますと一兆三千三百四十一億というのが三十四年度の計画でありまして、前年度一兆二千三百二十三億、これに比しますと千十八億の増でありまして、七%の増という形になっております。普通で考えますと国の財政の伸びに応じまして地方財政も同じような割合で伸びていいのではないかというふうに考えられるのでありますが、今回におきましては国の財政に対しましてその伸びが少いという形をとっておるのでありますが、この点、国と地方との財政に対しまして果して十分な均衡がとり得るのであるかどうか、これを大蔵大臣に伺いたいのであります。
○佐藤国務大臣 ただいま御指摘のような数字になっておりまして、私ども今回のこの地方財政の予算を立てます場合、大蔵省は自治庁とも十分意見を交換いたしまして、この程度がふさわしい、かように考えた次第であります。
○青木国務大臣 大蔵大臣は総括的なお答えを申し上げましたが、私が自治庁の立場に立ちまして、先ほどお話のありました明年度の地方財政計画を立てるに当りまして、私どもの考えましたこと、また現実にとりました方針につきまして概略御説明申し上げまして、御了解いただきたいと思います。 お話しのように明年度の地方財政規模は一兆三千三百四十一億と一応概定いたしたのであります。しこうして地方財政計画を立てるに当りまして、私ども最も重点を置きました点は、第一点は、先ほど総理もお答えになりましたが、せっかく安定しかけて参りました地方財政でありますので、この安定した地方財政をくずさないようにしなければならぬということ。それから一方住民の零細負担の排除、負担の均衡を得るために減税を行うことになっておりますので、減税による減収をどう考えるか、この問題。それから第三点といたしましては、国の予算におきまして、明年度公共事業を大幅に増額いたしておりますので、その公共事業を遂行するに当りまして、地方がこれをやっていけるような形にしなければならぬ。こういう点からいろいろ検討いたしたのであります。しこうして明年度における地方財政の増額は、地方負担だけについて考えてみまして約六百七十七億ほどの増額になるのであります。そのうち最も大幅に増額になりますのは給与費と、それから公共事業関係の費用になってくるわけであります。そこでこの増額する地方負担の増加、これをどうまかなうかという問題が一番大きな問題になってくるわけでありまして、私どもは減税による対策といたしましては、御指摘もありましたように、交付税の一%増加、これによってある程度カバーし、また公共事業の増加につきましては、道路整備五カ年計画による地方負担につきまして、三十三年度同様の国の負担率を見る、さらにまた軽油引取税によってその不足を若干カバーする、また国の施策として公立学校の施設の充実を計画いたしておりますので、このために地方債を増額する。こういうようなことによりまして、明年度地方負担として新たに加わって参りまする六百七十七億、これを一方におきましては交付税の増額の問題、あるいはまた起債の面、さらにまた道路財源における軽油引取税、そういうような方面で補うもちろん一方におきましては、国の予算編成方針に対応いたしまして、地方におきましてもできるだけ経費の節約を行なっていただくように、物件費あるいは旅費におきまして三%程度の節減をやっていただく。こういう方針で、国の施策に対応いたしまして地方がこれを受けて事業を遂行していくことができるように財政計画を作った次第であります。
○床次委員 ただいま長官から御答弁がありましたが、この財政計画の性格というものを見て参りますると、第一は減税、第二は公共事業費、人件費が非常にふえている。公共事業費が画期的にふえているということ、同時に臨時特例法が廃止されておるということが、影響として大きいものだと思うのであります。自然増収と交付税の一%でもって大体補てんいたしたといたしましても、あと残るものはどうかというと、減税の影響によりまして、府県においてことしは非常にその財源を失っておるという点が現われておるのであります。同時に第二点といたしまして、義務教育費、公共事業費の増大ということは、これはただいまも御指摘がありましたごとく、直接、間接公共事業費は前年度に比して非常にふえておる。これがために一般単独事業費を圧迫しておるぐらいに大きい数字になっておるのであります。第三といたしましては、臨時特例法の廃止による影響が相当大きかった。公共事業費の増加に伴いましてさらにふえてきました。見方によりますと、これは九十億の財源を失う結果になっておるのでありまして、結局その影響を受けますのは、地方団体の中におきましても府県が多いというわけでありまして、都道府県の立場から申しますと、減税と事業の実施の負担と二重に重圧を受ける形になっておるのであります。半面におきまして、財政の貧弱な団体に対しましては、しかもこの荷がさらに片寄ってくるというのが、一つの現象として見られるのであります。従来財政計画を作られます場合におきまして、いろいろと自治庁と大蔵省との間において検討を続けられるわけでありまするが、直接の当事者でありまするところの全国知事会なんかの意見によりますと、財政計画によるところの穴は二百億に達するのではないかというような懸をいたしておるのであります。この点に関しまして、今大臣は大体無理はないような査定をされておるように言われるのでありまするが、とかく自然増収の見積りに対しましては過大に陥りがちであり、また事業の執行は押えがちであるというような点から無理が出るのじゃないかと思うのでありまするが、この点に関しまして長官の御意見を伺いたいと思うのであります。
○青木国務大臣 お話のように、明年度の地方財政におきましては、減税が最も多く行われますのは府県であり、さらに公共事業の負担がかかりますのは府県でありますので、府県の財政は相当苦しくなるということは、当然予想されることでありますから、私どもも、その点については最も深い関心を持ち、また財政計画の編成に当りまして、その点に重点を置いた次第であります。しこうして府県の実施しまする公共事業につきまして、国の計画が今年度非常に膨大となり、さらに加うるに、いわゆる臨特法の廃止によりまして府県の負担が多くなるということでありますので、府県は二重に苦しい立場に置かれるのではないか、かように考えるわけであります。そこで明年度の交付税の配分に当りましては、私ども必然的に町村よりもむしろ府県の方に重点を置いて、そういう点を見ていくようにしなければならぬのじゃないか、かように考えておるわけであります。たお、現実の問題といたしまして、いよいよ予算が執行になりました暁におきまして、十分省庁とも連絡をとりまして、また公共事業関係の予算の消化の工合を十分検討いたしまして、そうして御指摘のように公共事業費を返還するというようなことのないように、細心の注意を払っていきたいと存ずる次第であります。一応の財政計画といたしましては、増大する公共事業の府県の負担というものをカバーすることができるように立てておるわけでありますが、しかし年度の途中におきまして、実際の実施状況等を見る必要があると思うのでありまして、いずれ年度の途中におきまして、そういう点も十分検討いたしまして、府県がやるべき仕事をやれるように注意いたして参りたい、かように考えております。
○床次委員 自治庁長官も、公共事業費の増大によりまして、府県財政の圧迫ということから、さらに公共事業費の消化について懸念をしておられるように承わるのでありますが、この点は私は簡単でありまするから数字をもって指摘してみたいと思うのですが、公共事業費の増加の経過を見ますると、国は本年が三千八百四十八億、これに対しまして新年度におきましては四千二百八億になっておりまして、三百六十億の増であります。九・三%の増といえると思います。地方団体におきましては、本年が三千二百五十七億、これに対しまして新年度は三千七百四十五億、四百八十八億の増でありまして、そのパーセントは一二・七%くらいの増になる。先ほど指摘いたしましたごとく、予算の総額におきましては、国の伸びに対しまして地方財政は伸びがきわめて少い。ところが公共事業費になりますと、国の伸びよりも地方の方が非常に上回っておるという状態、いかにこの点が大きい圧力になっているかということをおわかりいただけると思うのであります。予算の伸びにつきましては、ただいま申しましたように、公共事業費と予算との伸びが全く逆になっておる、これが非常に苦しいというわけであります。しかも地方団体の方から申しますると、国の負担を伴いまするところの公共事業費が非常にふえておるのでありまして、県の単独事業というものはきわめてわずかなんであります。逆に申しますると、府県が独自の立場において実施するところの仕事がなくなってきた。だんだん自治体としての機能が少くなってきて、政府の方針によるところの事業を行う歩合がふえてきたという形になっておるのありまして、この点は、地方において単独事業の実施に相当苦労するのではないかと思うのでありまするが、同時にこれが地方の行政水準の低下になるのではないかと思うのですが、長官の御意見を伺いたい。
○青木国務大臣 お話のように、一般的の問題として、御承知のように国税、地方税を含めて、国の方に入る税収入が大体七割近く、地方税が三割程度でございます。しかし実際に仕事の面になりますと、国の方で使うのが四割、地方で使うのが六割ということでありますので、地方は財源は非常に少くて、しかも仕事が多い。さらに私は常にこういうことを考えておるのでありますが、たとえば昭和三十二年度の地方財政の決算を見ますると、昨年の秋発表されましたように、一兆四千幾らになっております。昭和三十二年度の国の予算は一兆三千億程度、従って決算面を見ますると、むしろ地方の方が多いのであります。このことはどういうことかと申しますると、要するに地方公共団体としてやらなければならないたくさんの仕事があるわけでありまして、地方公共団体は、その当然やるべき仕事をかかえておりますので、やらざるを得ない。外国の例を私詳しくは存じておりませんが、いろいろ聞くところによりますと、どこの国にも、国の財政よりも地方財政が多いという国は外国にない、こういわれております。日本だけなぜ多いか、これは地方がやらなければならぬ仕事がたくさんまだ残っておる。道路にいたしましても下水にしても、その他いろいろな公共事業があるわけであります。そこで地方公共団体としては、どういたしましても国の公共事業のほかに、御指摘のように単独事業をやらざるを得ない。これが私は日本の公共団体の実際の姿であり、またそうしなければならぬと思うのであります。そういう意味におきまして、地方の単独事業が各公共団体の希望するごとく、また自治体としての当然あるべき姿として、単独事業のワクをもう少しふやす必要は当然あると思うのであります。ただ明年度の財政計画におきましては、何分国の公共事業が非常にふえて参りましたので、この機会に国の公共事業の関係もやるし、単独事業も大幅にやるということは、財政的にも、また各公共団体の側におきましても、両方を急速にやるということもなかなか困難とも考えますので、明年度財政計画におきましては、一応単独事業は七十五億程度の増ということで財政計画を編成した次第であります。
○床次委員 ただいまお話のように、明年度の地方財政は、従来と非常に変りました形をとっておるのであります。しかも国のきめましたところの公共事業を予定通り執行するのに対しましては、相当これは努力を要するのでありまして、私何と申しますか、地方財政が苦しいのあまり、いわゆる公共事業費を返上して、そうして事業ができないということに陥らないように、これは特別な努力が必要だと思うのであります。場合によりましたならば、一例を申しますると、臨特法の廃止に伴いますものが九十億くらいの負担になっておりますが、これに対しまして、臨特法を延ばしてくれという希望もあるのでありますが、こういうことも考えられる。あるいはこの分に対しましては、起債等をもって見なければならぬという状態も出てくるかと思うのでありますが、これはよく一つ事業の実施を見まして、考えられ、善処される必要があると思うのでありますが、これに対して大蔵大臣はどうお考えでありますか。
○佐藤国務大臣 ただいまの公共事業費で床次さんの言われるような御意見もあろうかと思いますが、私ども、一応国の補助を伴う事業は非常に金額がふえ、いわゆる単独事業は減っておる、この意味では御指摘の通りでありますが、総体の公共事業の量というものは、双方合計してやはり見るべきものではないか、こういう見方をいたしております。なるほど一部において、自治体の自主的な意向が十分反映しないというきらいはあるかもわかりませんが、総体の公共事業の量としては、この意味において適切ではないか、こういう考え方をいたしております。 臨時特例法の問題でございますが、これは御承知のように地方財政、特に悪い時分に臨時特例法を設けまして、この財政の立て直しの一助にするということであったと思いますが、ちょうど三十三年でその期限が参ります。時限立法の期限が到来しておりますので、今回臨時特例法を廃止する、同時に工事量はこれによって非常に増大するのではないか。地方の財政負担ももちろん考えなければなりませんが、公共事業の工事量をふやすという意味から、財政の面が一応一段落ついた今日であるから、これは一つやめていこう、こういう考え方をいたしておるのであります。しかし先ほど来、自治庁長官からもお話がありましたように、もちろん一応予算はできておりますから、これの完全実施というか、実施の面において非常な支障を来たさないよう、私ども十分な配意をするつもりでございます。
○床次委員 次に伺いたいのは、新年度において実施されますところの所得税の軽減というものは、三十五年度以降におきまして、地方のいわゆる住民税の減税になって現われてくるのでありますが、この財源の減収の補てんのためには、たばこ消費税四%ということが予定されておるように聞くのでありますが、今回提案されるというところの法案には、この規定が入っておらぬようでありますが、明年度の改正においてこれを実施せられることと思うのでありますが、地方におきましては、この減税によるところの減少しました財源の補てんが確実に行われるべきことをもちろん期待しておるのであります。その通り実施せられることと思うのでありますが、この点政府の方針を確認いたしておきたいと思います。
○佐藤国務大臣 三十五年度になりまして、ただいま御指摘のように住民税、これが減額されるということでございます。もちろん三十五年の財政計画は、一応想定といいますか、非常な支障を来たさないというような見通しは立てております。ただいま数字がはっきりしておるわけではありません。ことしなども、先ほど来お話のありましたように、地方税等で減税をいたしましても、三百二、三億の自然増収の伸びが計画されておりまするから、ただいま言われます住民税の減だけで直ちにその対策を立てるということもいかがかと思います。これはよく地方財政の全貌を見きわめまして、そうして対処すべきは対処する、こういうことにいたしたい、かように考えております。
○床次委員 地方財政はだんだん動くものでありますから、いかなる程度の赤字が出るかという見通しにつきましては、これは確定はいたし得ないと思うのでありますが、現在のところ大体たばこ消費税の四%は必要ではないかということが認められておるのであります。とかく予算の査定の際におきましては、これが厳格に失すると申しますか、非常に実情に合わない、無理な査定になるおそれもありますので、一つこの点は、実情に沿うごとく、十分なる必要な財源を確保するということを配意せられんことを特に要望する次第であります。 次に先ほど来公共事業費の増額の点について申し上げたのでありますが、大体将来の予算のあり方から申しまして、国、地方全体として財源を十分に検討した上で、両者に対して公共事業費を計画的に配分するということが必要なのではないか。かくして初めて中央、地方において調和を得たところの事業が行えるものと思うのであります。今までの予算編成にいたしますと、国が優先して地方があと回しになるということを指摘しておるのであります。今後におきましては、もっともっと調和した、バランスのとれた予算であってほしいということを思うのでありますが、これに対する大蔵大臣の御見解を承わりたいと思います。
○佐藤国務大臣 ただいまお述べになりましたような考え方と申しますか、とにかく地方の財政状況を正確に把握することが第一だと思いますし、国と地方とを通じましての税源の分配と地方税のあり方等、いろいろ研究しなければならない問題があると思います。大へん時期的にはおくれておりますが、政府は、この地方の財源だけの観点だけではございませんが、税のあり方等について、特に国と地方を通じての税源の分配の問題であるとか、あるいはまた企業課税のあり方等、こういう問題を十分精査して結論を出すような意味におきまして、税制調査会を法律に基いて設置するという考え方でございます。しかしこの地方財政のあり方なり税源のあり方なり、なかなか広範な問題でございますので、短かい期間のうちに結論を出すということは、なかなか困離かと思いますので、私ども十分税制調査会と取り組みまして、御説のような点について十分研究を遂げて参りたい、かように考えております。
○床次委員 次に、公共事業費の増大にやはり関連しておりまするが、公共事業費中、特に直轄事業の増加に伴いまして、地方債の増加が大きいのでありまするが、なかんずく、直轄事業は交付公債によって行われるのでありまして、この交付債の増加ということが、地方財政に相当大きな悪影響を与えておることを、指摘いたしたいと思うのであります。河川、砂防等の事業の多いために、地方債が比較的地方的に偏在しておるのであります。それで案外その府県には負担が重いということが言えるのです。と同時に、交付公債の利子の累増というものが、将来のガンになってくるのであります。すなわち、今後毎年度の交付公債は大体二百十億を発行する趨勢にあるのでありますが、こういたしますると、昭和四十年におきましては、元利の償還費が大体発行費を上回るところの二百十九億になる。四十七年度におきましては、三百三十三億というふうに考えられるのでありまして、非常に交付公債というものが一つの障害になるのであります。とかくこの交付公債というものは、国の事業費の計上に当然くっついてくるという形になりますので、国から申しますと非常に事業がやりやすいために、どんどんこれが活用されるということになります。また特別会計等におきましても、一そうそういう形があるのでありまして、安易な傾向に流れるというような一つの癖があるのであります。そういう傾向が一そう助長せられまするようになりますると、これは地方の財政の命取りになると思うのであります。従って今後はこの交付公債というものの形式は、これは再検討すべきでありますが、同時に、その利息というようなものに対しましては、その利子負担に対しましては、その軽減、免除ということに対してもっと積極的にこれを考慮すべきものと思うのです。これが地方財政の再建に対しまして、従来から残されておったところの一つの大きな懸案である、かように私は信ずるのでありますが、これに対する政府の御意見を伺いたいのであります。
○佐藤国務大臣 直轄事業に対する負担金の問題だと思いますが、これは本来ならば現金で支払わるべきものであります。しかし直轄事業の現在のあり方なりまた地方の財政の実情等から見まして、今の交付公債によってこれを納付しているということでございます。そういうように考えて参りますと、利子そのものがついておることは、これは普通の状態で考えられることです。私どもは交付公債であることは望ましい姿だとは思いません。しかし直轄事業の量も相当ふえていたり、また地方の財政等から見ましても、御指摘のように、交付公債によることが比較的安易な道だということで、今日まで交付公債によっておるように思います。このことは御指摘の通り、必ず地方財政の負担を増すことであるし、健全化の面から見ましても、これはさらに工夫を要することだろうと思います。しかし私どもただいまのところ、そういうような本来の建前に物事が返っていくことを望んでおるのでありまして、交付公債自身これで利子を免除する、こういう考え方はただいま持っておりません。交付公債のあり方は、必ずしも交付税の交付団体ばかりでなく、不交付団体の富裕団体等においてもこれを使っておる向きもあるようでございます。この点は指導上からも、また直轄事業の総量等もやはり工夫していかなければならない問題ではないかと考えておるわけであります。
○床次委員 次に、公債の中の一つでありますところの公募債について伺ってみたいと思います。地方住民の生活向上のために各種の公営事業が非常にふえて参りました。近代生活におきましては当然の趨勢であろうかと思います。しかもその公営事業に対しましては当然収入を予定いたすのであります。従って公募債によって事業が行われるのでありまして、新年度におきましても千百億の地方債中、公募債が二百五十億認められておるのでありますが、元来千百億の地方債は、地方行政水準維持、向上のためには、なお非常に不足しておる。地方の要望を充足するに足らないと思われておるのであります。特に上水道、工業用水あるいは地下鉄、病院というような事業が明年は相当ふえておるのでありまして、今後この公営事業に対するところの公募債というものも、相当増額が要望されるのでありまするが、今日までにおきましても、この公募債というものは地方債の計画のワクの中において処理せられておるのであります。今日の財政上の関係から見ますると、これをワク外といたしまして、もっともっと必要に応じまして増加発行せしめるということが、むしろ地方の公営事業の充実のためにも役立つし、またこれが財政投融資等におきましても悪影響はないものと思うのでありまするが、この点大蔵大臣の御意見を伺いたいと思います。
○佐藤国務大臣 ただいままで公募債を出しておりますのは、六大都市であるとかあるいは大阪府、兵庫県等富裕団体でございまして、比較的弊害は少いことだと思います。こういう意味から、このワク外にしたらという御意見が強く出ておると思いますが、民間資金の活用といいますか協力というような意味から見ましても、全然ワクをはずすというわけにも実はいきかねると思います。しかし実際の運用につきましては、よく私どもも御意見のあるところを念頭に置きまして対処する考えであります。
○床次委員 次に、自治庁長官に伺いたいのでありますが、地方債の発行の状態を見ますると、従来はこのワクが少いために、初年度において頭を小さく出して、そうして数年度計画によってこれを実施するという形をやっておるのが少くないのであります。そのためにかえって事業経営の経済的な見地を無視するという結果になるのであります。むしろ当初において必要な公債を発行せしめて、そうして事業の全体から見まして適切なる計画を実行せしめるというふうに配意すべきだと思うのであります。この点に関しまして方針を改められるお考えはないか承わりたいと思います。
○青木国務大臣 御指摘の点まことにごもっともでありまして、私どもといたしましても、今年度三十三年度の起債のワクを決定するに当りまして、初年度をただきめるということでなしに、全体の計画とにらみ合せまして、そうして後年度における起債をつける額、こういうものをきめまして、そうして全体として通知をいたすようにいたしております。そうしませんと、お話のように、各地方団体も非常にお困りと考えますので、お話のように逐次改めておる。現に三十三年度はおおむねその方針でワクをつけてあるような次第であります。
○床次委員 過般の大蔵大臣の説明の中に、地方団体の財政の調整の問題があります。地方団体間の財政力の格差が増大する傾向にかんがみて、地方財源の配分の適正合理化を促進するため、地方交付税に所要の措置を講ずるということを言っておられるのでありまするが、大蔵大臣はいかなる方法によってこれをやろうとしておられるのでありますか、明らかにされたいと思います。
○佐藤国務大臣 御指摘のような問題がありますので、ただいま関係省、自治庁と相談中でございます。その内容は私どもまだ申し上げる段階になっておりません。
○床次委員 この交付税の配分に関しまして二、三問題を指摘してみたいと思うのであります。ことしのごとく減税の影響の大きい際におきまして、重ねて財源の調整を行いますと、一部にしわ寄せが重なってくる。そのために行政水準が著しく低下するということがありますので、この点は慎重に考慮しなければならないと思うのでありますが、将来たばこ譲与税等財源の調整を行うということも必要であろうと思うので、この点に対しまして自治庁においては何か御意見を持っておられるか、伺いたいと思います。
○青木国務大臣 お話のように、財源の配分と申しますか、各公共団体間の均衡化と申しますか、この問題は、単に地方団体の内部における均衡化というだけでも解決できない問題と思うのでありまして、やはり国との関連において、全体として考えていかなければならぬ点も多々あるわけであります。そういう点につきましては、先ほど大蔵大臣の御説明にもありましたように、税制調査会等におきまして、国と地方との財源配分という面において取り上げていかなければならぬと考えるのであります。また地方団体内部における均衡化の問題につきましては、上の富裕団体を下げるという考え方もあるでありましょうが、逆にまた貧弱団体を上げるという考え方もあると思うのであります。上の富裕団体と申しましても、決して行政水準が十分であるということは言い得ないのであります。単に上の方を削って下へつけるという考え方でなしに、むしろ私は、基本的な考え方としては、貧弱団体を上げるという考え方に重点を置くべきではないかと思うのであります。なおまた、そのためには、単に交付税の問題に限らず、その他現在も行われておりますが、いろいろ入場税の配分の関係あるいは義務教育費の国庫負担の頭打ちの問題、いろいろな面から検討していかなければならない、かように考えている次第であります。
○床次委員 さらにこの配分調整の問題について数点意見を伺いたいのでありますが、最近米の移出県におきましては、いわゆる県外移出米に対して特別な交付金の要望があるのであります。半面から考えてみまして、いわゆる後進県と申しますか、農業を主とする地方におきましては、土地改良その他農業生産確保のために相当大きな負担が必要となっておりまして、この負担に対しましては、現在行なっておりますところの交付税の配分方式が、必ずしも妥当とは思われないのであります。むしろ相当増額を必要とすると思うのであります。この点に関しまして、どういうふうに考えておるか伺いたいのであります。 第二点におきましては、台風常襲地帯に対しまして、従来からある程度まで台風の被害に対する補正を必要とするのじゃないかということが言われておったのでありますが、なかなか、いかにして補正するかということに対しては困難であった。幸いにしまして、台風常襲地帯の災害防除の措置法等もできて参りました。大体地域基準等も相等明瞭になって参りましたので、こういう見地に立って補正を行うということが必要であろうと思うのであります。この点に関しましても、御意見を伺いたいと思うのであります。なお、補正の一つの形式といたしまして、各地方団体におきまして、非常に中央から偏在しておるところと申しますか、中央との距離の遠近によりまする補正ということも相当必要なのじゃないか、あるいは府県の中における市町村、いわゆる県庁所在地から相当遠いところのものに対しましても、相当大きな負担がかかっておるのであります。こういうことに対する補正、調整ということも必要かと思うのであります。なお、昨年自治庁において実行されましたところの交付税の配分にかんがみ、多少の基準の改善をはかられましたが、実際にそろばんを当って配付してみますると、多少実情を上回ったものもあり、安外不公平になったというような結果もあるのでありまして、この点は一つ十分慎重に考慮いたしまして、ほんとうに実情に合うような配付をやっていただきたいと思うのであります。これに対して長官の御意見を伺いたい。
○青木国務大臣 第一点の米の移出県に対する交付税の何らかの措置という問題であります。御承知のように、申し上げるまでもなく、交付税につきまして、その使用目的を限定して配分するわけには参りませんので、移出県に対する移出数量に対応して交付税を出す、これをそれだけの目的のために使うということはもちろんでき得ないわけでありますが、しかし、お話のように、農業県における行政費というものは、他に比べまして地方の負担が非常に多いのでありますので、今回の交付税の改正に当りまして、農業県に対しまして、そういう点を考慮して、特別の配慮をいたしたい、かようなことで、せっかく準備中であります。 また台風常襲地帯に対する問題でありますが、普通交付税としてこれを見るということにつきましては、いろいろその範囲をどうするか、程度をどうするか、いろいろの検討を要する点があろうかと存じますので、この点はなお十分引き続いて検討いたしたいと存ずるのであります。ただしかし、特別交付税におきましては、従前と同じように、やはり三十四年度も当然考えていかなければならぬことだ、かように存じております。 第三点の遠隔地、僻陬の地域におけるいろいろの行政費の問題でありますが、これは従来も特別交付税で見ておったのであります。普通交付税の中に入れることにつきましては、なかなか単位費用をどうきめるか、むずかしい問題等もありますので、やはり特別交付税で見ていくのが適当ではないか、かように存じておる次第であります。なお、また、最後の二十三年度の交付税の配分の結果に基くいろいろなお話でありますが、私どもこの点は十分考えなければならぬ点もあろうと存ずるのでありまして、今回交付税を改正するにあたりまして、三十三年度の経験にかんがみまして、御指摘のようなことのないように、もっと公正に、そしてまた現実に適合するような配分方法を考えたい、かように存じます。
○床次委員 次に地方の総合開発について一言触れてみたいと思います。ただいままで申し上げましたが、各団体の財政負担力というものは非常に不均衡があるのでありまして、いろいろ調整いたしましても、なかなかその適正なる調整ができがたい限界が示されておるのであります。要するに、これは根本的には、国民の所得に著しい懸隔があるということであります。単なる地方団体の交付税による調整では補い得ないほど大きな差が県民所得の間にあるということは、まことに大きな問題であります。この欠陥を補いますために、すでに北海道、東北地方については、いわゆる地方の総合開発についての振興法によるところの開発が実行せられておりまして、相当成果をあげておるのでありまするが、なお全国においては残されておりますところも少くございません。一例をあげますると、九州における鹿児島あるいは宮崎のごとく、いわゆる県民所得におきましては全国の最下位、次位を占めるというような状態なのであります。このためには、やはり県民がその所得を増加するだけの産業方面におきまして特別な振興を策さなければならぬのでありまして、今日行われて、要望せられておりますところの九州の総合開発もその一例だと思うのであります。かかる地方の総合開発振興という問題に対しまして、地元の熱意に対しまして政府も十分善処していただきたいと思いますが、これに関して総理のお考えを承わりたいと思うのであります。
○岸国務大臣 国民の所得の非常に差のあることに対しまして、これがなるべく国民生活の向上をはかる意味において、そういう地域に対しての、そういう所得が少い原因がどこにあるかということを十分見きわめて、これに対する対策を立てることは、当然政府として考えなければならぬことであります。いろいろな地方における総合開発の問題等につきまして計画があることは私も承知いたしておりますが、これらの問題につきましては、よく、実情を調査し、そういう総合計画を立てる必要性並びにそれの期待できる効果等を十分に検討した上でこれに処すべきであると思います。私は北海道やあるいは東北地方におけるところの総合開発の問題あるいは南九州のそういうような問題等につきまして、十分に一つ実情を調査した上で善処したい、かように思っております。
○床次委員 最後に地方行政制度の問題について伺ってみたいと思うのですが、先刻来、地方のいわゆる財政状態に対する税源調整あるいは起債等の問題についていろいろと伺ったのでありまして、なお大蔵大臣よりは、将来において、この地方財源、国税と地方税を再検討するためのいわゆる税制審議会の設置等の構想を述べられたのであります。われわれは、かかる意味において、財源を調整するということも一つの方法でありますが、同時に考えなければならないのは、地方団体の一つの再編成という問題ではないかと思うのです。今日におきましては、いわゆる合併によるところの新市町村というものが相当に育成せられまして、これが建設をどんどんと進めておるのであります。従って、本来の自治団体、基礎的自治団体でありますところの市町村に対しましては、ますますその国有財源というものを充実いたしまして、その事務の実施に当らせる。同時に、何と申しますか、固有事務としてふさわしいところの行政事務に対しましては、もっとこれを市町村団体に移管いたしまして、そうして、りっぱな基礎団体としての形を作らせるということが必要だと思います。反面におきまして、いわゆる府県制というものの改正を考えまして、これには当然国の出先機関というものの整理という問題も付随して参ると思うのでありますが、いわゆる府県制の改正というところに新しく歩を進むべき段階にきている。税制審議会等におきましても、単なる現在あるところの地方団体の税の配分、国税との区分をいたすというばかりでなしに、同時に、かかる行政制度そのもののあり方というものに対しましても、十分考慮して結論を出すべきものと思うのでありますが、これに関しまして大臣の御所見を伺いたいと思います。
○青木国務大臣 基本的にはまさにその通りと私も考えております。また、申し上げるまでもなく、地方制度調査会におきまして、将来の日本の地方制度のあるべき姿として、すでに府県を統合した地方制度についての答申もいただいておりますので、われわれはやはり今後の日本のあるべき姿として、その方向に向うようにしなければならなぬと考えるのであります。ただ問題は、町村合併の場合もそうでありますが、特に府県の統合の問題になりますと、現実の問題としていろいろ考慮しなければならぬ問題もありますので、私どもは将来のあるべき姿として、このことを念頭に置いて、慎重に検討していかなければならぬ。町村合併も済んだ次の段階として、当然次の課題として慎重に検討いたしたい、かように考えておる次第であります。
○楢橋委員長 明五日は午前十時より開会することといたしまして、本日はこれにて散会いたします。 午後五時五十三分散会