本会議 第10号
- 発言数
- 25 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1959/01/28
会議録
○議長(加藤鐐五郎君) これより会議を開きます。 ————◇————— 議員請暇の件
○議長(加藤鐐五郎君) お諮りいたします。議員堤康次郎君より、渡米のため、一月二十九日から二月七日まで十日間請暇の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(加藤鐐五郎君) 御異議なしと認めます。よって、許可するに決しました。 ————◇————— 国務大臣の演説に対する質疑(前会の続)
○議長(加藤鐐五郎君) 国務大臣の演説に対する質疑を継続いたします。 中村梅吉君。 〔中村梅吉君登壇〕
○中村梅吉君 私は、この機会に、自由民主党を代表いたしまして、施政上重要と思われる数点について質疑を試みたいと思います。 第一に、私は、国際情勢と安保条約の改定に関して、総理大臣及び外務大臣の所信をただしたいと思います。 国際情勢の現状及びその見通しにつきましては、昨日、本議場において、総理大臣及び外務大臣より、るる述べられたところでありますが、まず、核兵器の禁止及び原子力の平和利用の実現が人類の幸福と世界の平和を保持する根本問題であることは申すまでもありません。戦争の惨禍を最も強く身にこたえておるものは、われわれ日本民族であると思います。国際間の平和を願うこと、日本民族ほど、この意味において切なるものはないと思います。ただ、大国間の冷たいにらみ合いが解けない現状におきましては、一体、どのようにすることが、わが国の安全をはかり、世界の平和を維持するゆえんであるか、これがお互い日本人の脳裏を日夜去来する問題であると思います。一部に言われておりまするような、手放しで、無防備中立などという安易な論法で、この複雑な国際社会に対処し得るとは、どうしても私ども考えられないのであります。(拍手)また、自由の発言も自由の行動も全く失われるような勢力圏に飛び込んでしまうがごとき議論にも、私どもは断じて加担するわけには参らないのであります。(拍手)あくまでも自由をとうとぶ人間の本質を保持して、自由な言論と自由な行動の保障を確保し続けたいのであります。かかる観点に立って国際間の信用を高め、国際舞台に活躍する方途を拡大して参ることこそ、現下の日本に課せられた外交の使命でなければならないと思うのであります。(拍手) 日米安保条約は締結以来七年の歳月を経過し、その間、国内情勢及び国際情勢は相当の進展、変化を迎えております。かような今日、七年以前に締結せられた安保条約の改定をはかるということは、当然過ぎるほど当然の事柄であると私は思うのであります。しかしながら、反対の立場にある人々の中には、安保条約の改定は、わが国の安全を何か一そう危うくするものであるがごとくに宣伝する向きが見受けられるのであります。従って、政府は、この機会に、この国会を通して、かかる言説の架空であることを進んで解明せられる必要があると思うのであります。この意味において、私は、これらの諸点について政府の所信を承わつておきたいと思うのであります。 次に、財政問題について若干の質疑をいたしたいと思います。 昭和三十四年度予算は、総理大臣の施政演説及び大蔵大臣の財政演説にも述べられましたように、わが自由民主党の公約を十分に盛り込んだ、きわめて適切な予算であることを確信するものであります。(拍手)しかし、三十四年度予算がこのような内容を盛り込むことができましたのは、一般会計において、いわゆるたな上げ資金や相当多額の剰余金収入があったことなどによるものと思います。ところが、三十五年度以降におきましては、景気の好転によって相当の増収が期待されるにいたしましても、他面、歳出は、国民年金制度の平年化等によって相当増加する要因を含んでおるのでございます。国の三十五年度財政は、従って、相当苦しいものになるのではないかという見方も世間の一部に行われております。このような見方に対して政府はどのような見通しと解明の資料を持っておられるかということについて承わりたいと思います。(拍手) さらに、三十四年度財政が景気を過度に刺激することのないようにするためには、どのような具体的配慮が払われておるかという点について伺いたいと思います。大蔵大臣の財政演説におきましても、この点については、金融、財政の一体的運営等、十分の配慮を払つていることを述べられておりますが、世上には、三十四年度財政が二千数百億円の散布超過になる見込みであるという点に基いて、インフレ要因を相当に含むものであるとの説をなすものがあります。かかる誤解を解くためには、さらに具体的な対策を明らかにする必要があると思うのであります。政府は、これらの点について、どのような措置を考えられておるかを、この際承わりたいと思います。 次に、私は、産業育成の根本策に関して、この際政府の施策の方向をただしたいと思うのであります。 年末の国際収支によりますと、苦しい中にも、幸い五億数千万ドルという戦後最高の黒字を生み出すことになりましたことは、まことに御同慶にたえないところであります。われわれは、しかしながら、過去に顧みて、あくまでも堅実な積み重ね方式を堅持いたし、経済基盤の強化と対外競争力を培養しながら、永遠の繁栄をかちとる努力を続けなければならないと思います。教育施設の充実も、社会保障制度の拡張も、雇用力の増大も、国民生活の安定向上も、そのことごとくが、産業の発展と磐石な経済基盤の上に立ってこそ、初めてその目的を達し得るものであることは、理の当然であります。この観点に立って、私の特に強調いたしたいと思いますことは、資本の蓄積と企業利益の分配についての妥当性ということであります。企業が獲得した利益は、その適量が、常に、資産の償却や設備の改良、自己資本の充実等、さらに生産を生み出すための再生産の方面に蓄積されていってこそ、産業の基礎を強固にして経済の安定が確保され得るものであると思います。大蔵大臣及び通産大臣は、これらの助長策について、いかなる所見を有せられるかについて承わりたいと思います。 さらに、見のがしてならないと思いますことは、分配の妥当性ということであります。日本産業は、申すまでもなく、中小企業によってささえられているといっても過言ではありません。いかなる大企業といえども、その部分品、関連生産等においては、中小企業の支持の上に立たないものは全くないのであります。従って、大企業に利潤を生じました際には、その利潤は、その大企業の従業員や株主のみがその恩典に浴すべき性質のものではなくして、当然にその企業に関連する中小企業にもその恩典が配分せらるべきであります。(拍手)しかるに、往々にして、中小企業に対しましては、相変らず単価をたたき、あるいは下請金の支払いに延べ払いの手形を押しつけているというような傾向にありますことは、まことに遺憾にたえないところであります。そのよって来たるところをただしますると、大企業の従業員のみが組織の圧力にものを言わせて金業利潤を食いつぶしてしまうがごとき賃上げを強行することがその原因の一つをなしているという事案を見のがすわけにはいかないと思うのであります。(拍手)このことは、ひとり中小企業の経営者を痛めつけるばかりでなく、中小企業従業員の賃金を常に低く押え、大企業と中小企業との賃金格差を大きくし、また、国民所得の均衡上からも芳ばしからざる事態を惹起しておるのであります。私は、この不均衡を是正するためにも、最低賃金法のすみやかなる成立を強く期待するものであります。(拍手)これらの点について、産業担当の通産大臣や労働大臣の所見を承わりたいと思います。 日本経済の発展、国民生活の安定の基盤をなすものは輸出の増強にあると存じます。輸出産業の隘路を打開し、さらに市場の開拓を推進するため経済外交の強化をはかることは、実に刻下の急務であると思います。特に、最近における自由諸国の為替自由化政策等に対しましては、すみやかにその的確な方針を樹立して、国際競争に即応しなければならないと思うのであります。これらの点についても、通産大臣及び外務大臣はいかなる構想をお持ちになっておりまするかを明らかにしていただきたいと思います。 次に、私は、農林漁業対策について農林大臣の所信をただしたいと思います。 顧みますと、従来、わが国の農林漁業対策は、その中心を生産の増強という点に置かれてきておつたように思われるのであります。しかしながら、経済情勢の推移等を考えまするに、増産政策とあわせて、適地適作、経営の多角化、価格の安定等による所得の増加と経営安定対策を強く推進する必要があると思うのであります。昨日、総理大臣の施政演説中におきましても、農林漁業振興のために新たなる調査機関を設置する旨を述べられたのでありますが、この際、所管大臣から、新設せらるべきこの調査機関の目的及びその使命について、できるだけ具体的な説明を承わつておきたいと思うのであります。 次に、私は、占領政策の是正について政府の所信をただしておきたいと思います。 連合国が敗戦日本を占領いたしました当座におきましては、わが国に対するいわゆる弱体化政策が強行されたものでありますことは、隠れもない事実であります。これを一々あげ来たりますならば、枚挙にいとまがないところであります。しかしながら、とりわけ、教育の弱体化、行政の複雑化のごときは、まさにその最たるものであったと思われるのであります。道徳教育を廃し、地理、歴史の教育課程すらもこれを廃し、さらには、教育の民主化と称して、主権在民によって国民多数の意思に基いて構成されておる政府の意思すらも容易に教育の上に反映せしむることができないような事態が今日なお残存いたしておるのであります。(拍手) 今や、地球上にほうはいとして起りつつあります民族主義も、かかる現状のままでは、わが国において興隆せしむることが困難である。日本人同士の民族的団結もきわめて困難な事態に置かれておると思うのであります。いずれの国におきましても、その歴史と民族の伝統は常に尊ばれております。民族独立の誇りを失つたところに国家の存立はありません。共産主義の国においてすらも、その国の歴史と伝統とを強く教育の課程の上に教えておることは現実でございます。また、国力の貧弱な日本がとうてい維持するに困難であるようなアメリカ流の複雑な行政機構も、民主主義の名によって行われた、行き過ぎた占領政策の遺物であると私は思うのであります。この意味において、教育制二度の改善も行政機構の改革も思い切つてなされることが、われわれ日本民族の健全な発展を遂げる上に、最も必要にして、かつ根本的な措置であると考えるのでございます。(拍手)この点について、文部大臣及び山口国務大臣等の所見をただしたいと思います。 最後に、私は、政治の基本的な問題について総理大臣の所見をただしたいと思います。 近時、国内の情勢を見ますると、わが国政治の根本理念である民主主義の精神に全く逆行するようなできごとが、しばしば随所に現出されつつありますことは、まことに遺憾にたえないところであります。はなはだしきに至りましては、おのれの主張を貫かんがためには手段を選ばず、集団的暴力も違法行為もあえて辞さない。かくて善良なる国民の多くが多大の迷惑をこうむるような事態がしばしば見受けられますることは、まことに悲しむべき現象だと思うのであります。(拍手)特に、一部の勢力が、片寄つた認識のもとに、悪法は法にあらず、このようなことを公言してはばからず、これを実践運動に移しているがごときは、断じて容認することのできないところであります。(拍手)かかる事態を一掃するがためには、国民全体が、民主主義の原則である自主、自治の精神を基盤として議会主義を尊重していくという心がけに徹することが、私は先決問題であると思います。それと同時に、万一理性を失つて逸脱行為をあえてする者がありました場合においては、これに対して厳正なる処置が講ぜられなければ、社会秩序を維持することはできないと思うのであります。(拍手)政府は、かかる集団的暴力の排除について、今後とも引き続き努力を払うべきであると思うのでありますが、いかなる対処策を考慮しておられますか、まず、この点について総理大臣の所信を承わりたいと思います。 さらに、ただいまの事柄と関連いたしまして、議会政治のあり方について私は少しく触れてみたいと思います。 日本国憲法の冒頭には、「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、」云々と明記されております。真の民主主義は、主権在民のもと、議会政治を通じてのみその目的を達し得る本質のものであると信じます。しかして、議会政治の真髄は、言論の尊重、多数決原理の尊重ということであると思うのであります。国会正常化の問題も、実に、私は、この崇高なる民主主義、議会主義の原理が貫かれてこそ、初めてその目的を達し得るものであると存じます。先般世に公表されました、いわゆる向坂論文のごときは、全く議会制度を無視し、階級闘争をあおり、階級独裁を示唆する論理でありまして、まさに現行憲法の否定そのものであります。(拍手)ところが、驚き入つたことには、一方においては憲法擁護の運動に加担されておる人々の中に、かかる憲法否定の向坂論文に公然と共鳴されている人がありますことは、私どもの全く理解しがたいところであります。(拍手)私は、この機会に、あらためて総理大臣よりこの点についての所信を承わりたいと思うのでございます。 簡単でございますが、以上をもちまして私の質疑を終了いたします。(拍手) 〔国務大臣岸信介君登壇〕
○国務大臣(岸信介君) お答えをいたします。 国会政治を守り、真の民主主義政治を樹立するということは、現行憲法の精神であり、また、私は、だれが政治の衝に当つても、それは政治の根本理念として動かすべからざるものであると考えております。しかして、これに対して、最近の社会事象から見ていろいろな憂うべき事態が生じておる、あるいは、集団的な暴力でもって多数の善良なる人々の平和な生活を脅かすような事態、あるいは、自分の主張を、言論や、そういう憲法の民主主義の精神にのつとらずして、一つの暴力的な集団の力でもって実現しようというふうな風潮は、民主主義政治、国会政治を守る上からいって、私は、きわめて憂慮にたえないと思います。(拍手)この意味におきまして、すでに私の施政方針におきましても、そういう反民主主義的な考え方、あるいは国会を軽視するような風潮に対して、きぜんたる態度をもって、自由民主党並びに日本社会党の両党は対決するという根本的な態度を堅持しなければいかぬということを申しておりますのは、これにほかならないのであります。私は、すでに、この前の臨時国会のあとにおきまして、鈴木委員長と率直な話し合いをして、国会の運営の正常化並びに国会政治を守り、国会の権威を高めるために、両党とも責任を持って、今後心国会の運営や、あるいはこういう反民主主義的な動きに対して対決しようというお話をしてきたのであります。それも一にこういうところに出でているわけでありまして、われわれが、国会の運営に当りまして、いたずらに数だけをたのんでやるということは、これについては反省すべき点もありますが、同時に、少数党が、暴力をもって言論を妨害したり、あるいは議事の進行を妨げるというようなことは、決して国会政治の運営の上からいって望ましい形ではありません。国会の信用を高めるゆえんでもないのでありまして、われわれは、今後、国会運営につきましても、特にそういう点についても留意して参りたいと考えております。(拍手) 〔国務大臣藤山愛一郎君登壇〕
○国務大臣(藤山愛一郎君) 核実験の禁止、核兵器の禁止、これらの問題につきましては、わが国といたしましては、被害国としての一人としても、国民の総意をもちまして、絶えずこれを主張して参ってきたわけであります。幸いにして、最近のジュネーヴにおきます国際会議におきましては、一般軍縮問題と切り離して、ソ連と英米の間に話し合いが進行するようになりつつありますのは、わが国の主張に近づいてきておるわけでありまして、将来これが結果を得ますことを私どもは待望し、かつ、その促進についてできるだけの努力を払つて参りたいと思っております。なお、平和利用を進めて参りますことは大いにやつて参らなければならぬことでありまして、その点につきましては、国際平和利用の機関におきます理事国として、日本は、できるだけこれらの機関が整備して参りますように、現在努力をいたしておるわけであります。 安保条約の改定問題は、御承知のように、七年前にできました安全保障条約というものが、十分に今日まで効果は上げておりまするけれども、しかし、現在になってみますると、日本の置かれておりまする立場から見まして、いま少しく対等に、かつ、自主的にこれらの条約が締結されることを希望することは当然でありまして、従ってその線に沿いまして、われわれはこの改定を提議いたしたわけであります。従って、今回の改定に当りましては、アメリカが日本防衛の義務を負うことをわれわれは要求いたしておりまするし、また、配備、装備につきましては、協議事項にいたして参りたいということを申し入れいたすのであります。この配備、装備の問題につきまして、そうした協議事項にいたしますことは、核兵器の持ち込みでありますとか、日本に直接関係のない戦争の騒乱に巻き込まれることを防止する一つの方法でありまして、これを条約上に規定いたしますことは、日本の防衛を全ういたしますと同時に、日本が無益な戦争に巻き込まれ、あるいは日本の好まない方法によって兵器が使用されることのないようにいたすわけでありまして、決して、今度の改定そのものが、何かアメリカの従属的立場をもっと深めるとか、あるいは戦争に巻き込まれる危険を非常に増大させるとかいうのでなくて、全く逆な結果を生むようにわれわれは努力いたしておるのでありまして、その点は御安心をいただいて差しつかえないと思います。 経済外交の強化につきましては、われわれ全く同感でありまして今日、経済外交を強化して参りますことは当然のことであります。同時に、最近起りました、ヨーロッパなどにおきます為替自由化等の問題によりまして、一方では、なおヨーロッパにおきまして貿易管理等の問題が残存いたしておりまするが、他方、また、やはり為替自由化に伴いまして競争も激しくなって参るわけでありますから、それらに対して十分に対処して参らなければならぬと思っております。従いまして先進国に対します貿易拡張というような問題につきましては、十分なそれらの市場調査をいたし、また、通商協定等を締結いたしまして、できるだけ円滑にそれらの国と進んで貿易が振興できますようにやり、なお、進んで、ガット三十五条の援用等につきましても、これが廃止を各方面に対して努力をして参らなければならぬと思っております。同時に、一方、日本の貿易を拡大いたしますためには、東南アジア方面、中近東方面等の、いわゆる今後経済発達の過程にあります国々に対しまして、経済協力の手を差し伸べて、そうして、その経済協力の結果、生活水準が向上し、購売力がふえることによって日本の貿易拡大をはかつていくことも必要なのであります。従って、経済外交のうち、経済協力という問題が相当に私どもとしては重要なる課題になってくると思います。従いまして、外交の上におきましても、それぞれそれらの国々の実情に適しまして、また、それらの国々の経済発達の段階に応じまして、技術的にあるいは援助のできるものはできるだけ援助をいたしまして、そうして、東南アジアなり、あるいは中近東方面の将来の貿易拡大に資していく外交施策をとつて参りたいと存じております。(拍手) 〔国務大臣佐藤榮作君登壇〕
○国務大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。 三十四年度予算編成に当つて、三十五年度の財源についてどういう考慮をしたかという第一点でございますが、三十四年度の予算を編成するに際しましては、義務的支出も増加することでございますので、三十五年度予算、三十五年度の財源をいかに考えるか、もちろん考慮を払つたところでございます。ただいま、まだ年度が始まつておりませんので、正確な数字を申し上げるわけには参りませんが、財政演説でも説明いたしましたように、経済の成長に伴いまして、租税収入並びに税外収入は相当増加が予定されるのでございまして、三十五年度の予算編成に当りまして特に窮屈な思いをすることはないものだと確信をいたしております。 次に、三十四年度の予算の実施に当つては二千四百億の散布超過を現出するのであるが、そういう状況のもとにおいて、インフレを招来するような危険はないかという御指摘でございます。政府といたしましても、この散布超過に対しまして十分の考慮を払うという決意でこの予算を組んでおりますが、私どもの考えるところでは、財政演説でも申し上げましたまうに、かような二千四百億に上る散布超過こそは、金融正常化を招来するのに最もいい条件だと考えるべきではないだろうか。金融機関の指導なり、また、財界に対する指導よろしきを得ますならば、この程度の金融緩慢が特に経済に強力な刺激を与えるものだとは考えないのでありまして、むしろ、ただいま申し上げるような正常化を実現する条件をこれは備えておる、そういう方向で指導して参りたいと思うのであります。言いかえますならば、日本銀行の持つ金融調節機能の弾力的運用と政府の財政投融資計画を合せまして、一体的運用によって、健全な、正常な経済活動を招来するように、最善の努力を払つていく決意でございます。 次に、産業育成についての資本の構成と企業利益の分配についてのお尋ねでございました。産業を健全に発達さすということは私どものねらつておることでございますので、昨日の財政演説でも説明をいたしましたように、今後は企業そのものが自己資本の充実に特に意を用いること、従いまして、増資または社債等によりまして所要資金を獲得するように努力を払うことを要請いたしましたが、同時に、税制の面におきましても、かような資本蓄積を進め得るような税制をここに実現いたしたいと考えておるのでございます。 また、企業利益の分配について、中小企業等に対する利益分配、これを十分考えろというお話でございますが、産業の系列の面におきまして、特に大企業と中小企業との関連を十分見きわめ、そうして緊密な連携をとつていくことが望ましいと思いますし、またそれぞれの独立している中小企業に対しましては、事業税の改正であるとか、あるいは金融の面において、いわゆる政府の三金融公庫を通じて資金の量を潤沢にすると同時に、これらの貸付金利も下げる等、あらゆる面においてこれが育成強化に努力して参る決意でございます。(拍手) 〔国務大臣高碕達之助君登壇〕
○国務大臣(高碕達之助君) ただいまの御質問に対しましては、大体大蔵大臣がお答えした通りでございます。産業基盤の強化につきましては自己資本を蓄積せしめると、大蔵大臣がお答えしたところでありますが、戦前におきましては、大体六〇%ないし七〇%が自己資本でありまして、借入金が三〇%ないし四〇%であったのでありますが、戦後これが逆になっておりまして、借入金が多い。これを、どうしても税制その他の方法によって自己資金を充実させて、せめて戦前の比率に返りたい、こういうふうな方針をとりたいと存じております。 それから、中小企業と大工業との賃金の格差が非常にある、ここで中小企業の最低賃金制を設けろ、こういうことの御意見でございますが、これは、一律に、今強制的にそれをやるということは、さなきだにかよわい中小企業に対しまして非常な打撃を加えることと存じますから、できるだけ自主的の協定によりまして、その最低賃金をきめるということのために、最低賃金法の成立を期したい、こう存ずる次第でございます。 それから、最後に、昨年末ヨーロッパで起りました為替の自由化、これに適応してどういうふうな方針をとるか、こういうことでありますが、為替の自由化は、これは、わが国におきましても、ガットとかIMF等を通じまして必ず相当圧迫があると存じまして、為替管理制度等も改正いたしまして、逐次これを実行に移したいと存じております。ただ、為替の自由化ということは、すぐにこれが貿易の自由化になると見ることは大きな誤まりでありまして、各国とも、為替自由化によりますその内地における産業に対する圧迫を貿易の自由化によって防ぐというふうな方針をとるだろうと思いますから、各国の出方をよく見まして、そうして後に、わが国の貿易の自由化問題については十分の検討を加えたいという所存でございます。(拍手) 〔国務大臣三浦一雄君登壇〕
○国務大臣(三浦一雄君) 来年度の予算の上に農林漁業の基本的問題の調査会を計画しておりますが、これに関するお尋ねでありました。最近の農林漁業の生産は顕著に拡大して参りまして、わが国の国民経済の発展の上にも大きな貢献をなしておることは申すまでもございません。しかしながら、反面におきまして、他の産業との所得の格差の増大して参りましたことも、われわれとして寒心にたえないところであります。従いまして、今後は、他産業との均衡をはかりつつ、農林漁業の安定した施策を求めたい、これが今回の調査会の目的でございまして、このためには、農林漁業に内在します諸事情、さらにまた流通の問題、価格等の支持政策をとつておりますが、これらの問題につきましても、国民経済全体の関連におきまして徹底的な検討を重ねて、そうして基本的な政策を求めたいという考えでございます。なお、このために総理府に調査会を置き、そうして、学識経験者の意見を広く聞きまして、その所期の目的を達したい考えでございます。(拍手) 〔国務大臣橋本龍伍君登壇〕
○国務大臣(橋本龍伍君) お答えをいたします。 御趣旨のように、今日の国民教育において最も重要なことは、新しい時代を理解しつつ、わが国の歴史と伝統とに正しい認識を持って、日本人としての自覚と誇りに満ちた青少年を育成することであります。今回の義務教育におきまする教育内容の改善につきましても、小学校は三十六年度、中学校は三十七年度からこれを実施することにいたしておりまするが、その義務教育内容の改善につきましても、以上の点について特に配意をいたしまして第一には、道徳教育を推進いたしますること、第二には、国語、算数の基礎学力の向上をはかりますること、第三には、地理、歴史教育の改善充実をはかりますること、第四には、科学技術教育の振興をはかることを主眼といたしたのであります。来年度におきましては、所要の予算を計上いたしまして、教職員に対しまするこの新しい教育課程の趣旨の徹底をはかる所存であります。また、正しい教育方針を徹底させまするためには、勤務評定の実施その他教育行政の秩序を確立することが重要な課題でございまして、政府は、今後とも、教育行政の正しい進め方につきまして十分検討を加え、地方教育行政当局に対しまする適切な指導を強化していきたいと考えております。(拍手) 〔国務大臣山口喜久一郎君登壇〕
○国務大臣(山口喜久一郎君) 行政機構改編に関する御質問にお答えをいたします。わが国の行政機構が、占領政策の行き過ぎから複雑となり、また、非能率化しておることは、御意見の通りであります。行政管理庁におきましては、これをわが国力と国情に適したものに改めたい所存であります。最近、行政審議会から機構改革に関する答申も受けましたので、ただいまの御質問の御趣旨を尊重いたしまして、すみやかに政府部内の意見を調整して、成案を得て国会の御審議を願いたい所存であります。目下せつかく作業中でございます。(拍手)
○議長(加藤鐐五郎君) 三宅正一君。 〔三宅正一君登壇〕
○三宅正一君 私は、日本社会党を代表いたしまして、昭和三十四年度予算に関連して岸首相並びに関係閣僚の所信をたださんとするものであります。 〔議長退席、副議長着席〕 岸内閣は、さきの臨時国会において警職法改正案を突如提出し、その結果、こうごうたる世論の反撃を買い、勢いのおもむくところ、国を三十八度線に分割する情勢をもたらし、七十日の会期を完全に空費するという空前の不始末を起したのでありますが、かかる不始末を招来した岸内閣は、当然、辞職して責任をとるべきにかかわらず、それによって起つた党内の混乱をわずかに弥縫して、本国会の再開に臨んだのであります。しかも、内外重要なこの時期に当り、ただ予算案の通過だけを念願して、時局に処する何らの経輪をも示さず、ひたすら政権にかじりつかんとするの態度は、われわれの深く遺憾とするところであります。(拍手)岸内閣は当然政権担当の資格なきものといわねばなりませんが、このすでに不適格を証明された岸内閣によって編成されました明年度予算案を見るに、岸内閣の反動性はいよいよ明らかであり、われわれは国民の名において弾劾せざるを得ないことを心から遺憾に存ずる次第であります。(拍手) さて、明年度予算案を見て私の第一に疑問に思いまする点は、「景気は明るさを加え、不況対策の必要はない」と述べておられた政府が、あさるだけの財源をあさつて、一般会計予算において千七十一億円、財政投融資計画において千二百三億円を増額して、財政規模を大膨張させておられることであります。すなわち、本年度の財政対民間収支バランスが二千億をこえる大幅な散布超過となろうとしておるのに続いて、三十四年度もまた二千億をこえる散布超過となると政府みずからが予測しているのであります。不況対策の必要なしという政府が、かかる経済刺激力の強い予算をあえて出した真意は、一体どこにあるのかを疑わざるを得ないのであります。(拍手) 私は、国の財政が経済政策の先頭に立ってこれを方向づけるのは当然であり、むしろ有効需要増加のためには積極方針をとるべきであると考えております。しかしながら、現在のような国の総予算一兆四千億円と並んで、五千余億円の莫大な財政投融資資金が、確固たる計画性もなければ、国民経済全体を考慮する資金需要調整の見通しもなく、行政措置で独占大企業に回されている現状を批判せざるを得ないのであります。事実、また、財政支出の使途についての会計検査院の監査は非常に不十分であつて、その不十分な監査によっても、財政支出の放漫ぶりは目に余るものがあります。このような財政支出の現状をそのままにして組まれるところの膨大なる予算は、もつぱら独占資本に奉仕するものであり、大企業の投資競争を誘発して、再び設備過剰と生産過剰を招き、三回目の不況を来たすおそれすらあると存ずるものであります。もし、また、この膨大予算に含まれる経済基盤強化を名とした公共事業費の大幅増額が選挙目当ての人気取りの意向から出たり、大企業への投融資の激増が選挙資金目当ての利権予算であったりするならば、その罪万死に値するものといわなければなりません。(拍手)政府の所見はいかがでございましょうか。 さらに、この予算が、三十五年度以降の財源を食いつぶした、いわゆる食い逃げ予算になっている点であります。来年度予算において、たな上げ資金を使いつぶしてしまい、かつ、剰余金は減るところへ、減税は平年化する一方、支出において国民年金、防衛費、軍人恩給、国民保険等、いわゆる当然ふえる費目がメジロ押しの状態であることは明らかであるにかかわらず、その財源をことごとく食いつぶし、翌年はまた翌年の風が吹くという方針をとつていることは、まことに無責任きわまるものといわざるを得ません。(拍手)勢い、三十五年度予算の財源補てんは、外債募集によるか、国廣発行の手段に訴える必要が出てきてわが国財政を不健全化するおそれありと存じますが、その点、いかなる用意があるかを伺いたいのであります。 次に、減税の公約についてお伺いいたします。 岸内閣は、昨年の総選挙において七百億減税と、国民年金制の実施を公約いたしました。今回の予算においては、なるほど、所得税を中心にして、初年度四百三十億円余の減税を税法上やられておりますが、一方、租税収入の見積りを過大に評価して税法上の減税は簡単にこの増収の中にのみ込んでいる状態であります。(拍手)加うるに、揮発油税キロ五千五百円の大幅増税などによって、差引減税分は約百六十億円にしかすぎません。羊頭狗肉という言葉があるが、増税の方は計算に入れずに公約実施を宣伝しておるのは、まことにあつかましいといわざるを得ないのであります。(拍手) 揮発油税の増税が、バス、トラック料金の値上げとなって、簡単に大衆の負担に転嫁されるであろうことは、あらためて指摘するまでもありません。加うるに、一月早々の私鉄、バス運賃の値上げを突破口として、明年度は電気、水道、ガス、NHK料金、新聞代金までの値上げが計画されておるのであります。このような公共料金の値上げは、たちまち消費者物価にはね返つて全般的な物価値上げとなることは明らかであります。また、厚生年金保険等の料率引き上げが実施されて、被保険者の負担もまた重くなろうとしております。かくて、減税効果は差引ゼロとなるばかりでなく、国民の七〇%を占める、所得税を払わぬ低所得の人々は、減税のかけ声だけで、物価値上げの苦痛をまともに味わわされておるのであります。(拍手)減税を看板の、弱い者いじめの政治は、断じて許すことができません。 しかも、一方、大企業に対して不当に税負担を軽くする租税特別措置には、ほとんど手をつけておられません。このため、大企業は国税のみで八百億以上も免税されておるのでありまして、この租税特別措置法は、敗戦後の激しいインフレ時代、戦後復興のための資本蓄積を促す見地からして、べらぼうな特別待遇を与えた遺物でありまして、今や、インフレは終息し、経済指標はほとんど戦前水準を上回り、資本の独占が再び形成されつつある現在、引き続きこの恩恵を与える理由はどこにあるのか。これを廃止するのはもちろん、さらに進んで、借入金中心の不健全な企業に対して、むしろ新たな課税方針をもって臨むべきではないかと存ずるのであります。(拍手) 第二の公約の国民年金については、政府みずから援護年金といわれるごとく、資格制限をきびしくし、支給単価を切り下げた結果、当然生活保護費を支給すべき国民の一部にこれを適用する形となつたのであります。国民年金制度は、社会保障政策として見る場合、すべての国民に対して文化的な生活を最小限度に保障することは言うまでもなく、十八世紀的救貧政策として扱われてはならないのであります。さらに、今日の段階においては、購売力培養の経済政策として考えるべきでありまして、その意味で、拠出年金制を至急発足させ、その発展に見合つて、無拠出の年金についても支給資格の緩和並びに支給額の増額を行うべきであります。 以上を要約してここにお尋ねしたいことは、減税といい、国民年金の実施といい、その内容と効果とは、国民を愚弄するもはなはだしいものであります。政府はこれで選挙公約を形式上果したつもりかもしれませんが、減税は勤労国民の実質収入の増加には寄与せず、国民年金は生活保護の延長にすぎないのであります。公約の実質は一体いつ果されるのか、岸総理の所見をお伺いしたいと存じます。(拍手)特に、佐藤蔵相からは、低所得層に対する中央、地方の税制を通じて減税はいかにあるべきか、その具体的構想ありやを伺いたいのであります。 さらに、経済企画庁長官は、明年度の個人消費水準を六形上昇と見積つていますが、これには公共料金の値上げや保険料率の引き上げを計算済みであるか。個人消費水準引き上げの見地からして、経済企画庁長官は、このような物価引き上げに対していかなる見解を持っておるか、賛成か、反対か、わかったら御答弁を願いたいと存ずるのであります。 来年度予算における歳出の膨張は、長期にわたる経済計画資本計画を持つことなく、かつ、民間金融機関等に対する規制等も考えずに、ただ大企業への発注という既往のパイプを通じて行われまする限り、再び三十一、二年の設備競争、銀行の貸し出し競争を現出して、二重投資、過剰設備を作つて生産過剰を招来し、不況を招く危険の多いことは、先に申し上げた通りでありまして、すでにその徴候は随所に現われておるのであります。たとえば、鉄鋼産業において二千二百万トン生産の英国、二千八百万トン生産の西独が、おのおの三台ずつのストリップ・ミルしか設備していないのに、その半分の千二百五十万トンしか生産力を持たぬ日本の製鉄所が六台のストリップ・ミルを持つがごとき過剰投資の実例は、至るところに見られるのであります。富士製鉄は東海地区に、八幡製鉄は堺市に新設備を作らんとしており、製鉄所の廃ガス利用の硫安製造工業もみずからの手でやつて、硫安工業の設備過剰にいよいよ拍車をかけ、銀行もまた、そのしり馬に乗つて貸し出上競争をやろうとしておるのであります。石油化学工業が、十三社が拡張を競いまして、第一次八百二十億の設備資金の取り合いをやつていると伝えられておりますが、八百二十億を十三社別々でやれば、規模は適正を欠いて不経済なだけでなく、多きは四割以上の操短をやつておりまする繊維工業をますます過剰生産に追いやることとなるのであります。硫安工業もまた過剰生産に悩み、内地の農民に五十五ドル相当の価格で売つておる肥料を四十一ドル八十セントで韓国に輸出し、輸出会社の赤字をふやしておるのでありますが、その赤字を一般国民や日本の農民に転嫁されては、たまつたものではないのであります。(拍手)通産大臣及び農林大臣から、この点について明確な御答弁を得たいと存ずるのであります。このような設備投資の行き過ぎに対して、政府は漫然これを継続して怪しまないが、このような政策は、汚職利権の温床となるだけでなく、一そう設備の過剰を呼び起して不況を来たすものと思われますが、これに対し、政府はいかなる用意があるかを伺いたいと存じます。 次に、明年度の国際収支は、輸出三十億ドル、輸入二十九億ドルを見込んでおられますが、この計画には、一月に入って発表されました西欧の為替貿易の自由化の及ぼす影響は含まれていないようであります。この影響としましては、海外輸出競争が激化することは必至であり、かつ、明年度の輸出を増加する唯一の切り札である中国貿易についていえば、最近、政府が中国よりのウルシ輸入を断念したことを見ても明らかなことく、これを期待することはできません。膨大予算による経済刺激に並行して、独占諸物価の値上り、設備投資競争の激化は再び思惑輸入の増加を招き、輸出競争の激化と、中国、東南ア貿易の不振、途絶とも関連して、政府の予測よりも国際収支は悪くなり、むしろ、下期には赤字基調に転換するおそれありと考えるので侮ります。経済企画庁長官より、あらためて明年度の国際収支の見通しを伺いたいのであります。また、通産相より貿易の見通しを伺いたいのであります。 また、わが国の為替及び貿易の自由化の構想につき、岸内閣としていかなる統一的構想を持っておられるかを伺いたいのであります。外国為替管理による為替及び貿易の制限を緩和せざるを得ないとすれば、いかにして円価値を維持され、いかにして国内産業を保護助成されるのか、これが対策が大企業のみに集約されるならば、これは国内市場の縮小をもたらすものでありましょう。通産、大蔵両大臣の所見を伺いたいのであります。 さらに、政府は、明年度経済の基本方針の重要な目標の一つといたしまして、経済の体質を改善すると言っておられますが、そのポイントはどこにあるかを捕捉するのに苦しむのであります。私は、経済の体質改善とは、日本の経済政策を、従来の無計画、放漫なる大企業への設備投資拡充一本やりの方針を転換することが第一の前提条件なりと考えておるのであります。(拍手)そして、転換いたしましたあとの方針といたしましては、その第一に、長期計画の確立とその実施を通じて国内市場を培養し、雇用をふやし、勤労者購買力を引き上げ、有効需要増加の基調を築くべきであると存ずるのであります。生産はすでに戦前の三倍になり、貿易はまだ戦前の水準に達せない、三倍になつた品物は、外国へは出ない、国内は二重構造によって購買力が少いというところに、私は過剰生産恐慌がくる必然性があると考えておるのであります。(拍手)従いまして、国内の有効需要を培養するために、体質の改善とは、すなわち、国内市場を拡大することに政策を集中することが第一であると考えますが、総理大臣はどうお考えになるかを承わりたいのであります。(拍手) 第二には、中国の五カ年計画、ソ連の七カ年計画等の経済成長とかみ合つた経済発展を実施するために、これらの国との積極的経済交流が必要であるということであります。ソ連の七カ年計画は、シベリヤ開発がその大きな一翼をなしておるのであります。これに対応して、これまでの対米依存の貿易構造を転換し、平和外交を基調といたしまして、世界全体、特にアジア地域を軸とする構造を作り上げなければならないと存じます。この二点が経済の体質改善の中心課題だと信じますが、首相のその御所見はいかがですか。しこうして、昭和三十四年度の予算は、かくのごとき中心点に対して何らの策もないところの全くの無方針、放漫予算であるとわれわれは考えるが、これに対しても御答弁を得たいと存ずるのであります。(拍手) 日本経済の体質改善を語るときに何人も指摘いたしますのは、大企業と中小企業、農林漁業等との賃金、企業規模等、すべてにわたる格差、すなわち、経済の二重構造といわれる不均衡の是正であります。さらに、これと並行して、人口、産業、文化、資本等、経済発展の地域的不均衡の是正から考えなければならぬと存じます。 その第一は、わが国国民経済発展の現状は、小範囲の京浜地区、名古屋地区、京阪神地区、北九州の大都市周辺地域だけが異常に発展をいたしまして、広範囲のその他の地域は、多かれ少かれ、経済僻遠の後進地域として取り残されておるという、地域的な大きなアンバランスであります。この結果が、近代産業発展のための重要なかぎとなっている国内市場の拡大をはばんでいるのであります。一方、大都市地域への人口及び産業の過度集中は、公共施設投資の異常な努力にもかかわらず、その労働条件と立地条件の劣悪化を来たし、公共施設投資の効率を低下してとまらないのであります。このまま推移すれば、地方経済の貧困はいよいよきわまり、民主的地方自治の組織は根底からくずれ去るでありましょう。過大都市は、犯罪と混乱と、そうして不徳と病気がはびこり、また、貧困と非文化性が地方に残るという、大きな資本主義の矛盾を直すことが、体質改善のまず前提条件であると私は考えざるを得ないのであります。(拍手) そこで、国土の総合開発、人口、工場、文化の地方分散のために先行するものは道路政策であります。戦前、内務省は、権力行政の手段といたしまして、右手に警察力を行使し、左手に道路予算を握つて党勢拡大の具といたしましたことは、われわれが今日も深く不快に感じておるところなのであります。しかるに、明年度予算で大幅に増額されました道路予算が、他の公共事業とともに、選挙目当ての党勢拡張の道具とされ、旧態依然たる観念によって左右される傾向を見るのは、はなはだ遺憾なところであります。道路を、単なる交通政策の見地からでなく、産業発展、国土開発の有力手段として整備し、産業の発展と産業の立地に先行し、さらに進んで、確たる国土計画、国土総合開発計画に基いて道路政策を遂行する必要があると考えるのであります。われわれは、この見地に立って第二十六国会に、本院議員四百三十名提案の国土開発縦貫自動車道建設法を通過さしたのでありますが、この際、政府は、この基幹道路の建設を推進さるべきであると存ずるのであります。縦貫自動車道路の構想は、これを根幹として僻遠未開発地帯の産業を興し、人口の再分布を促し、資源開発、完全雇用、土地造成等の一石数鳥の目的を持っていることは言うまでもありません。しかるに、政府の道路政策に、この構想がいつしかたな上げされているのは、奇怪にたえないと存ずるのであります。いやしくも、国会の協賛によって法律として現存するものを、目前の政治的考慮と、官僚的セクショナリズムと、道路公団的採算主義から、これを無視するがごときは、立法府に対する許すべからざる挑戦なりと考えるのであります。(拍手)政府は、誠意をもってこれを実現する意思ありや、岸首相の答弁をわずらわしたいのであります。 次いで、日本経済体質改善の立場から、農村問題につき、二、三の質疑を行いたいのであります。 私は、日本の農業は、世界的に見て、大きな転機に立っていると思うのであります。その理由は、米麦等、穀作を中心とする日本農業の行き詰まりであります。戦後における農業技術の進歩と、農地開放以後の農家経済の向上とは、四年続きの豊作となって農村を潤しておるようでありますが、少しく農家経済の実態に触れますと、経営費の増加や、農家の社会的支出の増大によりまして、決してよくなってはおらないのであります。政府は、日本の米麦価格が国際的水準より高いというところから、絶えずその引下げの機会をねらつているようでありますが、これはもってのほかであると存ずるのであります。日本の農家の消費水準は、戦前よりかなり高まつたとはいえ、都市勤労者世帯のそれに比べてなお低位にあることは、御承知の通りであります。平均規模の農家が家族総がかりで一年間に得る農業所得が月二万円に足らない現状であります。しかも、三十年以後、農業収支に関する限り、支出はふえて所得は減つておるのであります。主要食糧の生産が増加し、毎年豊作が伝えられても、農家の経済はかえつて悪化しておるのであります。しかも、階層分化の傾向が強くなり、零細規模農家の経済はますます苦しくなっておるのであります。このことは、日本の現在の主穀農業の行き詰まりを物語るものであります。そこで、われわれは、当然、目を畜産を取り入れた有畜農業に向けねばならないと思うのであります。畑作農業の振興、草地農業の開発が、数年前からその声が上っているにかかわらず、目に見るごとき実績を上げるに至っていないのは、政府の腹がきまつていないからであると存ずるのであります。もし、日本の農業を新しい見地から見直しまするならば、現在の耕地五百万町歩を倍加することは決して空想ではないのであります。未利用地帯の草資源を改良、開拓することによって日本の農業は、その生産基盤を拡大し、既耕地とともにその生産性を高め、農業労働の受容量を広げ、零細農家の二、三男に大きな光明をもたらすことは至難ではないのであります。政府は、かかる日本の農業の将来について、いかに考えているか、まずお伺いをいたしたいのであります。 また、従来の水稲収穫において数年来の豊作にもかかわらず、その基底において生産力低下の傾向が顕著であつて、稲作技術の飛躍的進歩にもかかわらず、すでに西日本において反収が頭打ちの傾向を示し、穀倉地帯といわれる北陸地方においても、やがて頭打ちがくるであろうと懸念されておるのであります。金肥多投と連作による地方減退を防ぎ、これを維持培養いたしまする道は、畜産振興をおいてほかに有力なきめ手はないのであります。しかるに、北海道、東北などの寒冷地帯、南九州などの災害常襲地帯、多くの開拓地などの農業は、畜産の導入なくして改善も安定も望めないにもかかわらず、かかる畜産の導入を必要とする地帯は、農家の貧困がはなはだしく、農協もまた不振なものが多いために、家畜の導入、畜舎、サイロ等の設置、牧草地の造成等に必要な資金にも事を欠いておる状況なのであります。適切な対策が急務であると存ずるのであります。また、乳であるとか肉であるとか、卵等の畜産物の消費の増大が、国民体位の改善向上に至大の関係を持つことは言うまでもありませんが、国民一人当りの消費量は、欧米各国のそれに比べて十ないし数十分の一の低さであります。畜産物の消費増加のための施策に、さらに大きな工夫をこらすべきであると信ずるのであります。昨年来の懸案である酪農振興の問題とともに、生産から消費に至るまでの総合対策をさらに強力に推進する必要があると思うのであります。 長期経済計画によれば、昭和五十年には畜産物の粗生産額は米の生産額と同額になるという見通しを立てながら、農林予算千六十三億に対し、畜産局予算わずかに三十七億五千万円で、うち、学校給食十五億三千万円を除けば、わずかに十五億円余にすぎないのであります。これは、いかに畜産を軽視しているかの明白なる証拠といわなければならないであります。(拍手)政府に弁解の辞あらば承わりたいと存ずるのであります。この予算のどこに、国内市場の培養、国民購買力の増強について関心が払われているか、首相及び蔵相にあらためて見解を承わりたいと存ずるのであります。 最後に、私は、民主主義政治運用に関する岸総理大臣の信念をお伺いいたします。 去る二十四日行われました貴党の総裁選挙に、松村さんが、「金力政治から金のかからぬ政治へ」、「権力政治から国民とともに行く政治へ」のスローガンで争われまして、立候補されてわずか三日でもって百六十六票を得られたことは、その意味実に大きいと存ずるのであります。(拍手)このことは、岸内閣が金権政治の象徴である事実について、党内が太鼓判を押したことであると存ずるのであります。(拍手)と同時に、国民投票をやれば、あるいは松村さんが勝たれたかもしれない、ということを考えざるを得ないのであります。(拍手)岸さんは深く反省されなければならないと存ずるのであります。 それよりも、もっと重大なことは、警職法が廃案になりました、あの七十日間の臨時国会の経過について、岸さんはいかなる反省と教訓とをくみ取つていられるかということであります。それは、何が警職法改正案を廃案にさせたかということの究明であります。英国のことわざに、「多数党にしてなし得ざることは、女を男にし、男を女にすることだけだ」という言葉があります。しかも、岸さんの場合は、反対党の数は百五十人に対し、あなたの党は三百人の絶対多数党であります。この絶対多数の与党を率いて、警職法案のためには政治的生命を賭しても通過させると気ばりながら、ついに通し得なかったのは、いかなるわけでありましようか。何が警職法を廃案にさしたか。実に苦い薬ですが、「良薬口に苦し」という教えもありますから、深くあなたは考えられなければならないと存ずるのでございます。私は、あの警職法を廃案にさしました力は、主権者たる国民の良識であり、世論の力であったと信ずるものであります。(拍手)金力、権力、暴力、あらゆる力よりも世論の力が決定力を持つということが立証されましたことは、日本の民主主義が戦後十三年にして初めて地についた力を持ってきたことの証拠であり、これこそ、わが党の党是である、平和的に議会を通じて社会主義を実現するという確信を裏づける大きな根拠なのであります。(拍手)岸さんの御感想を承わりたいものでございます。 この教訓をかみしめながら、党首会談で国会のごたごたを収拾されましたあと、岸さんは辞職されるのが当然の行き方であったと信ずるものであります。議会政治におきまして、重要なる法案が廃案になつたり否決されたりいたしました場合は、解散の手段に出るか、辞職するかが議会政治のABCなのであります。民主主義を尊重し、これを育てようと言われるならば、この警職法の廃案は、実に、国会によって否決されたのではなくして、もっと大きな、国民の世論によって否決された意味においても、あなたは当然辞職か解散をされるべきであったと存ずるのであります。(拍手)総裁選挙を繰り上げられて再選されたことによって、あなたは責任をとり得たという態度をとつておられますが、自民党への責任はとられたかもしれませんが、主権者たる国民への責任はまだとられておりません。(拍手)国民への責任をとるには、辞職することが国民への責任をとられることだと存ずるのであります。 この折り目をつけられぬことは遺憾でありますが、次に伺いたいことは、やがて、あなたの内閣もつぶれるときが参りましょう。そのとき、あなたはどうなさいますか。あなたは、昨日の施政方針演説において、「二大政党制こそは、憲政の常道を確立するものと、私はかたく信ずるのであります。」と演説をされました。二大政党対立のもとにおいて、内閣が重大なる失敗を重ねて倒れましたあとには、当然反対党に政権を渡すべきことは、二大政党下の犯すべからざる鉄則であると私は信ずるのであります。(拍手)万々一にも、このルールを犯して政権たらい回しをおやりにならぬと私は確信いたしまするけれども、こういう重大な根本的なルールに対して、私は、この際、あなたから明白なる御答弁をいただきたいと存ずるのであります。(拍手) 私は、くどく申し上げませんけれども、かつて社会党が百四十何人の議席を獲得いたしましたときに、吉田元総理大臣は、社会党の片山哲氏に投票されることによって民主主義のルールを立てられ、それによって、そのあと大きな勝利を得られたことは、御承知の通りであります。私は、二大政党制を岸さんが唱えられます限り、あなたが内閣を投げ出しましたあとに、俗論にこびたり、権力欲にこびたりいたしまして、変な理屈をつけて——大きな道筋である二大政党対立のもとにおいては、一方の党派がやめた場合には、反対党に政権を渡すというルールを確立されるべきであると存じますが、この点についての筋の通った御答弁をいただきたいと思うのであります。万一、これらの点について、私のふに落ちない御答弁がありますならば、私は再質問のチャンスを留保いたしまして、再びあなたにお伺いをいたしたいと考えるのであります。(拍手) 〔国務大臣岸信介君登壇〕
○国務大臣(岸信介君) お答えをいたします。 第一点は、三十四年度の予算に対して、自民党の公約である減税及び国民年金の創設について、この予算に現われておるところは羊頭狗肉である、公約に忠実なものでないという御意見でありましたが、私どもは、最も忠実に公約を実現する意思を持ち、また、そういう考えのもとに本予算が編成されております。詳しい数字的の見解につきましては、なお委員会等において十分御納得のいくように御説明を申し上げます。 経済政策の基調としての体質改善問題に関して、国内市場の確立こそが非常に重大な問題であり、また、不均衡を是正することが必要であるという御意見でありました。もちろん、そういう点においても必要があると思いますが、特に日本の経済は、言うまでもなく、輸出に依存している部分が非常に多いのであります。また、それは日本の産業資源の関係から申しましても、あるいは食糧自身の現状から申しましても、日本の輸出を大いに振興しなければならないことは言うを待たないのでありまして、国内市場の拡大だけでもって、それで立っていくものでないことは、言うを待ちません。しかし、国内市場を培養することも必要であることは言うを待ちませんが、体質改善として特に考えなければならないことは、日本産業の生産性を向上し、その近代性を高めるということであろうと思う。ことに、日本産業の非常に大きな部分を占めておる中小企業の内容におきましては、この点が非常に重要視せられる。また、労務者の生活の状況に関しましても、その待遇の問題につきましても、労働条件の問題につきましても、中小企業につきましては特に改善を要することが、私は非常に多いと思う。こういう点については特に意を用いていきたいつもりでございます。 道路政策について、国土開発の重大な意義、縦貫自動車道路の建設に関する御意見につきましては、全く私も同感であります。ただ、日本の道路は、御承知の通り、きわめて劣悪でありまして、産業経済の基盤としての道路をまず建設し、これを整備することが何よりも急務であることは、万人の認めるところであります。この意味において、今回の一兆億円を投入しての五カ年計画というものが立てられておるわけであります。御指摘の縦貫自動車道路につきましては、まず名古屋と大阪についてのものができまして、これに引き続いて名古屋—東京間のものが考えられ、なお、その他の縦貫鉄道も、順次計画に従ってこれを推進していくつもりであります。 最後に、民主政治と世論のことにつきましての御意見でございました。私は、民主政治というものは常に国民世論に対して謙虚に耳を傾けて政治をしていくことであるということは、御説の通りと考えております。ただ、この上におきまして、国会政治というものがその現実の政治の運営の中心となるべきことは、民主政治の機構からいって当然であろうと思う。これが、真に、審議の場所として、自由なる言論により十分に審議が尽されて、国民の、正当なる、正しい批判、これから生ずるところの世論というものに、われわれが常に耳を傾けて政治を持っていくことが、最も必要であろうと思う。この審議を暴力で妨げるとか、あるいは多数の威力でもって言論の自由を封ずるというようなことは、国会政治を守る上からいって、お互いに厳に慎しまなければならぬことであると私は思います。(拍手) 私は、警職法を成立せしめることができなかったことは大へん遺憾と思います。また、この警職法の改正を必要とするような社会事情がなお存しておることも、私の施政方針の演説で述べておる通りであります。しかしながら、これに対しましては、世論の各方面の御意見もございますので、十分に慎重に検討していきたいということを申し述べております。こういうつもりで検討を加えて参りたいと思います。 二大政党と政権の移動の問題についてのお話であります。私は、今三宅君の御指摘になつたように、この二大政党で、一党の政治が何か責任をとらなければならないような事態において、その政権を投げ出さなければならないということであれば、当然、反対党の立場にある人が政権を担当することになることは、二大政党政治の根本であると思います。このためには、両党ともに、国民政党として、真に国民の全般の支持を受けるような二大政党であることを、私は心から念願しており、民主政治の健全な発達のために、それを望んでおる次第でございます。(拍手) 〔国務大臣佐藤榮作君登壇〕
○国務大臣(佐藤榮作君) 三十四年度予算の性格が不明確だということでございます。昨年、ちようど臨時国会に際しましては、社会党の諸君から、不景気だから特に刺激を与えるような措置をとれという強い要望がございました。しかし、当時、私どもは、三十三年度予算は、三十三年の経済の動向を予定して、それに対応する予算を作つておるから、特に特別の措置を講ずる必要はないということを申したのでございます。従いまして、そのときの考え方と今日の予算編成の考え方と、実は変えておりません。どこまでも、財政経済、予算並びに財政投融資というものは、経済のあり方についてその動向を見きわめて、それにふさわしい予算なり財政投融資計画を作るということはいたしますが、特に経済を伸ばすために特別な留意をする、あるいは、特別な、財政上の観点から特に刺激を与えるような措置をとる、こういうことは望ましいことではない、かように考えておりますので、さような考え方は持っておりません。 今日、三十四年度の予算が非常に増額されたといわれますが、これこそは、日本経済の上昇していく、成長にふさわしい、実は予算を作つたのでございます。これこそは……(「内容だよ」と呼ぶ者あり)内容といたしましても、その経済の成長にマッチした、対応した予算である、かように私どもは確信をいたしておるのであります。 そこで、御指摘になりました、たとえば二千四百億に上る散布超過というものが金融緩慢を来たし、同時にまた、金融機関の貸し出し競争等によって、また設備の過当投資を生ずるのではないかというような点を御指摘になりましたが、この散布超過の問題にいたしましても、財政演説で申し上げましたように、これこそは、日本経済を正常化する、金融を正常化する最もいい条件である、かように考えることができるのではないか。言いかえますならば、日本銀行依存の金融機関の姿をこの際に是正することが可能ではないか。同時に、また、この金融政策そのものから見ましても、どこまでも民間金融機関の自主的調整に待つべきものが多いのでありまして、私どもは、いわゆる統制などする考え方はございませんが、この日本銀行の持つ金融の調整機能と、民間の自主的調整機能、また、政府自身が、金融のその時折における状態を十分認識いたしまして、民間、政府一体的な立場に立ってこれに対処することが最も望ましいことであり、このことこそが、外国の通貨の自由化等に備え、いわゆる貿易競争の激化するそれに備えて、そうして、日本の通貨価値を長期にわたって安定さしていく、日本の経済自身も、国際競争場裏においてひけをとらないような、堅実な、内容の充実したものに作り上げる絶好の機会ではないかと思うのであります。かような意味において、今回の予算並びに財政投融資を計画いたしておるのであります。若干の問題はもちろんございますが、どこまでも、その体質の改善ということに留意し、国際競争に負けないように進めて参りたい、かように考えておるのであります。 次に、税の問題につきまして、いろいろの御批判をいただいたのでございます。その詳細は、いずれ委員会等に譲りたいと思いますが、特に租税の特別措置の問題に触れられました。この租税特別措置を作つておりますのは、それぞれの理由がありまして特別措置を設けたのでございますが、これは、絶対に長期にわたる措置ではないのでございまして、臨時の措置であることには間違いございません。従って、時々刻々と変つて参ります経済情勢に応ずるように、この税制の特別措置についても対策を立てていかなければならないと思います。今回も、長期預金の利子課税を復活するとか、あるいは輸出設備等についての特別措置等もやめていくとか、二、三の改正等を加えておりますが、これまた、その詳細は委員会に譲らしていただきたいと思います。 なお、今回の三十四年度予算を作つたが、三十五年度は非常に困るのではないか、財源を使い果して、無責任ではないか、というような御批判がございました。その点につきましては、先ほど中村君の質問に答えたところで、私の方のお答えをお許しをいただきたいと思います。(拍手) 〔国務大臣世耕弘一君登壇〕
○国務大臣(世耕弘一君) 三宅君にお答えいたします。 三宅君の御所説は、おおむね敬服して拝聴いたしました。ただし、よくその所説を分析してみますると、決してわれわれの考えるのとそう変りないということを発見することができたのであります。ただ、真正面からものを見るのと傾いた形でものを見る差において変りがあるわけであります。(拍手)この意味から申しまして私は、三宅君の御所説は政府に対する御忠言と伺つて、深く傾聴した次第であります。 なお、この際、この機会に、二、三の点に触れて私は申し上げてみたいと思いますことは、われわれは、今後の日本の経済は明るく見通しておるのであります。この観測は、必ずしもこちら側の勝手な観測じゃないということは、経済界の各面から論議されているその事実によって明らかであるということは、今さら弁明する必要はないと私は思います。ただ、申し上げたいことは、経済の見通しが常に慎重を期さなくてはならぬ。同時に、また、安易な楽観論は、われわれはいたしておらないのであります。この意味におきまして、現在の段階におきまして、景気上昇の状態にはありまするが、政府は、この景気の上昇の機会をとらえて健全な経済調整に今苦心しているということは、ただいま大蔵大臣の説明においても明らかである、かように考えるのであります。特に、三宅君は、広範にわたるところの高邁な識見をお持ちになって、欧州の為替関係の自由化、わが国におけるところの財政支出の大幅散布超過状態について非常に御心配下さつておつたように承わつたのでありますが、この点に関しましても、相当政府は十分の警戒を要して、この際体質改善に重きを置かなければならぬということも配慮いたしておるのであります。この点に関しましても、同様、三宅君と異なつた判断でないということがおわかりだろうと思うのであります。 次に、さらに農林漁業、土地改良、開拓、林業の開発、農産物の流通改善、金融等に関しましても、あらためて私が説明するまでもない、皆さんの御主張と何ら変りはないのであります。ことに、質的改善を論ずる場合に、長期計画の一番大切なことは質的改善であります。その質的改善ということは、とりもなおさず、産業界の新しい知識とその技術を取り入れることに今後の質的改善の要諦がなければならぬと思うのであります。この質的改善並びに体質改善が行われて、初めて三宅君の言う健全なるところの経済が確立されるということは、これまた論のないところであります。 最後に申し上げたいことは、三宅君の、物価値上りの問題について非常に憂慮されたことが特に耳に残されておるのでありますが、ただ、この際つけ加えて申し上げたいのは、物価の値上りに御心配になる三宅君が、賃金の値上げについて十分の御論議がなかったことは、いささか矛盾があるように私は拝聴したのであります。(拍手)この点は、どうも三宅君と私の方の意見とは食い違いがあるように思いますが、その他は全く三宅君の御意思を尊重して、今後長期計画のもとといたしたい、かように考えておる次第であります。 以上、お答え申し上げます。(拍手) 〔国務大臣高碕達之助君登壇〕
○国務大臣(高碕達之助君) 昭和三十四年の財政支出の大幅散超によって設備の投資が増大するだろうという御心配でありますが、この点につきましては、大蔵大臣及び経済企画庁長官がお答え申しました通りであります。 第二の、貿易の見通しの問題でございますが、これは、御承知の、この一月以来発足いたしました欧州共同市場問題とか、あるいは為替の自由化等によりまして、当然、輸出競争は激化するものと考えなければならぬと存じます。それにつけましても、わが国といたしまして、生産原価を低下することと、それから、一方、輸出入銀行における資金源を大幅に増加いたします等、あるいは輸出の不当競争を取り締る等の方法によりまして、これを実行いたしますれば、経済企画庁が計画いたしております来年度の輸出三十億ドルは、これは必ず実行し得ると私は信じております。 中ソ両国の経済力がだんだん発展してきた、従って経済交流をこれらの国と積極的に展開する必要があるのじゃないか、こういう御質問でございますが、輸出振興をモットーといたしますわが国といたしましては、自由主義の諸国との貿易拡大を心がけますとともに、ソ連及び中共との貿易もだんだん拡大いたしたいと存じておりましたが、ソ連とは先般来貿易協定をいたしまして、片道三千五百万ドルの輸出入を実行することに相なっております。これらの国との関係は、輸出と輸入との権衡をとらなければならぬということのために、さらに一段の拡大をするためには、先方から持ってくる物をもっとふやすという方針をとらなければならぬと存じております。 中共との関係につきましては、中共は、御承知のように、政治組織が異なっておりますが、この間、お互いに、お互いの国の政治の組織を十分認識し、それを尊重して、貿易を切り離して、友好親善、有無相通ずるの原則のもとに貿易が促進し得るよう、われわれは心から念願しておる次第でございます。(拍手) 〔国務大臣三浦一雄君登壇〕
○国務大臣(三浦一雄君) お答えを申し上げます。 まず肥料の問題でございますが、通産省とも緊密な連絡をとりまして、その合理化をはかり、ただいま問題になっております通り、輸出価格におきましては赤字を出しておるのでございますが、これらの解消をはかると同時に、国内におきましては、なお低廉なる肥料を供給するようにいたしたい考えでございます。 その次に、有畜農業が農業政策上非常に重要である、これを強く推進するように、というようなお話でございましたが、同感でございます。同時に、来年度からは、草地の改良等につきましても施設をすることにいたしております。同時に、また、西南地方に対しまする家畜の導入等でございますが、御承知の通り、ただいままでは、寒冷地帯あるいは高冷地帯における農業上の立地から、その方面に力点を置いておつたのでございますが、漸次この方面の手当もできましたので、御指摘のように、西南地方への家畜の導入等をはかりたいと考えます。なお、これに関する予算等につきましても、まことに十分ではございませんが、今後さらに格段の努力をいたしまして拡大して参りたい、こう考えております。(拍手)
○副議長(正木清君) 三宅君から再質疑の申し出がありますから、これを許します。三宅正一君。 〔三宅正一君登壇〕
○三宅正一君 ただいまの総理大臣の御答弁は、私は、社会党を侮辱しておると存じます。一つは、警職法の廃案になりました経過について、その責任の問題をお伺いいたしましたところ、暴力云々という言葉が出た。今度の警職法におきまして、警職法が廃案になりましたのは、社会党が暴力をやらずに、国民に訴えた点が大きな点であるということを、お考え願わなければならぬのであります。(拍手)それだけでなしに、国会におきまして、予鈴だけでもって……(発言する者多し)予鈴だけでもって、本鈴も鳴らさずに、副議長が先頭になって数十人議場に入って、議席において会期の延長をやるというようなことは、これは集団暴力であり、クーデターであると私は考えるのであります。(拍手) さらに、二大政党における政権の移動に対しまして、当然一方がやめたらば一方にくるのが筋だが、国民政党云云の言葉を使われたのであります。諸君、自民党に対して財閥を先頭にした保守的な財閥の階級政党であるという批評もつくのであるし、われわれは国民八割の勤労者を基盤にしておつて、こちらの方がその意味において国民政党であるという議論もできるのである。(拍手)従いましてそういう、あげつらうことを言うのではなくして、問題は、二大政党のもとにおいて、あなたの方がやめられたならば反対党に渡すので、判断は主権者たる国民がやるという態度をおとりになりますることが、私は当然の態度だと思うのであります。(拍手) さらに、世耕経企長官に関しましては、世耕さんは意味を取り違えておられます。私が今度の予算を指摘いたしました点は、大企業に金を回して、しかも、これを規制しなければ、設備過剰競争になつたり、中小企業をつぶしたりする、だからして、大きな企業が私的営利だけで動かずに、公益的な規制を政府の方でやるようにしなければ、ほんとうの意味における景気、不景気の波を押えて永遠の繁栄をやるというようなことはできないという意味を言つたのでありまして、すなわち、ある意味において社会主義的な感覚を持つた経済政策をとるべき段階ではないかということを言つたのを、全く取り違えて、資本主義と同じようなことを言われました点は、まだ就任早々でありまするから御無理もありませんけれども、大へんな間違いだと思います。 それだけでなしに、もう一つ大きな誤解があります。経企長官がこういう誤解をやられますということについて、私はほんとうに残念に存じます。それは、私どもは、過剰生産恐慌のもとにおいては、賃金をもっと上げなければ国内購買力がつかぬというのであります。物価は上げてはならないが賃金は上げよというのに対しまして、その反対のことを言っておられます。この感覚こそ、私は実に危険であると考えるのでありまして、議論の違いかもしれませんが、場合によれば御答弁を下さらなくてもよろしいが、この点だけは明らかにいたしておきたいと存ずるのであります。(拍手) 〔国務大臣岸信介君登壇〕
○国務大臣(岸信介君) お答えをいたします。 民主政治の基本は、主権が国民にあるのでありますから、国民が最終の決定をなすことは、これは当然であります。私は、二大政党制の意味は、先ほどお答え申し上げましたように、一党が政権を担当して、その政権について責任を負わなければならない事態ができたときに、他の党がその政権を担当し、その判断については国民に求めるということが、民主政治の二大政党の結論であると思います。ただ、そのために、国民が、二大政党につきましても、現在の二大政党のあり方については非常に不安に考えているものがありますから、私は、両政党とも、十分に国民政党としてりつぱに民主政治を担当するに足るように、お互いに努めていきたい、こういうことを申し上げたわけであります。 ————◇—————
○松澤雄藏君 国務大臣の演説に対する残余の質疑は延期し、明二十九日定刻より本会議を開きこれを継続することとし、本日はこれにて散会せられんことを望みます。
○副議長(正木清君) 松澤君の動議に御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(正木清君) 御異議なしと認めます。よって、動議のごとく決しました。 本日は、これにて散会いたします。 午後四時一分散会