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31回国会衆議院1959/02/06

文教委員会 第5号

発言数
22
登壇者
4
会派数
2
開催日
1959/02/06

会議録

臼井莊一自由民主党

○臼井委員長 これより会議を開きます。  前会に引き続きまして、文教の基本施策及び昭和三十四年度文教関係予算に関し質疑に入ります。  なお橋本文部大臣に対する質疑は十二時三十分までといたしまして、その後は政務次官及び各局長に対する質疑を行なっていただきたいと存じます。  それでは質疑を許します。小牧次生君。

小牧次生日本社会党

○小牧委員 橋本文部大臣は、先般あなたの自由民主党の党内のいろいろな問題で、三人の閣僚の方が辞任をされた際に厚生大臣をしておられたわけでありますが、その補充の意味をもって一時文部大臣を兼任され、それからあとになって文部大臣の専任ということで今日に至っておるわけであります。厚生大臣をやめて文部大臣に就任されたということは、これはまあその当時の党内の人事の都合もあったわけでもありましょうが、厚生大臣をやめて、新しく文部大臣に就任された心境について、まず率直に御心境を御披瀝願いたいと存じます。

橋本龍伍自由民主党文部大臣

○橋本国務大臣 昨年十二月三十一日、これは率直に言ってはなはだ遺憾だと思いますが、やむを得ない事情がありまして、灘尾前文相がやめられまして、私が臨時代理を仰せつかり、次いで十二日の夜専任とされたわけであります。その間のいろいろな事情につきましては、私自身も、厚生大臣としても文部大臣としてもきわめて重要な職責でありますし、私は私なりに多少の意見も具申しながら結論は今日に至ったわけであります。その間の事情はいかにいたしましても、文部大臣の職責というものはきわめて重要でございまして、私も従来から多少なりと教育の問題、ないしはまた学術研究の問題に私自身も関係しながら、また衆議院議員といたしましても、そういう方面に相当政策的に関与しながらやって参ったわけでありますが、ある意味におきまして、教育の問題というものは、これは国がやっておりまする万般の行政施策の中で、一番基本的で、一番重要なものといっても過言でないと思います。その特徴をなしまするものは、あくまでもやはり基本は精神の問題であり、それと同時に産業施策については、何といってもやはり今日を過ごす国の歩みというものが表面に出ますけれども、教育の問題というもの、あるいは科学研究の問題というものは、当面の今日の国を動かしていくというよりは、今日の文教施策というものが、今後何百年か何千年かの後の日本を築いていく基礎になり、まさしく国家百年の大計というものを常に考えながら、当面の行政施策をやっていかなければならぬという点に十分思いをいたしまして、真剣に取り組んで参りたいと考えておる次第であります。  施策の面といたしましては、そういう教育に関しまする基本法令の趣旨を尊重し、前文相の跡を踏襲しながら、落ちついた長い施策をしながら、常にやはりその間において、また古きになずまないような検討というものを、落ちついてやって参りたいと考えております。

小牧次生日本社会党

○小牧委員 ただいまの御答弁で、新しい文部大臣としてのお気持が一応はわかったわけでありますが、岸内閣は、前に労働政策と文教政策に重点を置くということを声明をしておるわけであります。その声明された労働政策なり文教政策を、私どもの立場から、私どもの側からその内容をいろいろ検討いたしてみますと、労働者に対しては特に弾圧的な傾向が強くなって参っており、また文教政策については、これは前のような状態に引き戻す、いわゆる逆コースの強化というような面が受け取られるわけでありますが、橋本文部大臣は、新しい文部大臣とされまして、あなたのいわゆる橋本文政というものの抱負と申しますか、基本的な方針というものを、この機会に具体的にお示しを願いたい。先般あなたが文部大臣に就任をされました際に、この委員会で就任のごあいさつがあったわけでありますが、さらにまたわが党の櫻井委員から、主として文教の予算についていろいろ質問があって、御答弁があったわけでありますけれども、時間の関係でまだ不十分な点がたくさん残されておると考えておるわけであります。従いまして、この際今申し上げたような、橋本文政の基本的な抱負というものを具体的に明らかにしていただきたい。それによって私どもはいろいろとさらに突っ込んで御質問を申し上げたい、かように考えるわけであります。

橋本龍伍自由民主党文部大臣

○橋本国務大臣 具体的な問題についてはこれから逐次お話があると思いますから、それに応じて具体的に御答弁を申し上げたいと思います。その前の総括的な問題といたしましては、これは私、厚生大臣として所管行政について施策をいたしまする面にも、おのずから労働面の問題、教育面の問題にも触れることもございますし、また国務大臣として内閣全体の施策に責任を負っておるわけでありますが、ただいま小牧委員からお話のございましたような趣旨で、教育施策、労働政策をやっているわけでございません。これはあくまでも教育というものを正しい方向で実らせていきたいという考え方でありまして、戦後やはり教育面についても労働面についてもいろいろな動揺があり、その点の偏向を正して、正しい方向に実らしていきたいということでありまして、元に戻すというようなことを単純に考えているわけではございません。私、今回文部大臣となりましても、これは岸内閣といたしましての基本政策は変っておるわけではございません。私はあくまでもじみちに正面を切って、この教育に関しまする今日の基本の方針というものは、憲法につきましても教育基本法につきましても、あるいはまたその他教育組織に関する法規についても定まったものがあり、その底に流れる精神がある。私はすなおにそれに従って正しき方向に実らせていきたいと衷心念願いたしておる次第でございます。

小牧次生日本社会党

○小牧委員 ただいまの御答弁では抽象的で、まだあなたの考えというものをはっきりつかむことができないのでありますが、さらに突っ込んでお伺いをいたしたいと思うのであります。これは今までにも繰り返されて参った質問でもあろうかと思うのでありますが、一体今日のわが日本の教育というものはどうあるべきか、これは非常に大きな問題であると同時に、政府、文部省の具体的な方針なり施策が、今日のわが日本のこんとんたる教育というものを正常化し、そうして今言われるような百年の大計を打ち立てるために強く要請をされておる現実の問題であろうと私どもは考えて、これを解決をするには、とりもなおさず内閣を組織して教育を行なっておる岸内閣の、またその中の文部省、橋本文部大臣の力によってこれを解決していかなければならない、こういう大きな責任が課せられておると私は考えるわけでありますが、十数年前に私どもが戦争によりまして莫大な犠牲を払ったその代償として得たものは、御承知の通り新しい民主主義であり、またわれわれ人間の基本的人権の確立、こういうことであったと考えるわけでありまして、これも新しい憲法がはっきりとこれを規定をいたしておるのであります。従って私どもはあくまでもこれを守って、これを育てていかなければならぬ。これが私は今日の教育はいかにあるべきかということの基本的な精神でなければならない、こう考えておるわけでありますが、終戦以来の歴代保守党内閣の文教政策を静かに振り返って考えてみますと、私どもから考えてみますと、確かに終戦の直後はそういう意欲のもとにわが日本の教育が行われておった。しかしながらだんだんと年を経るに従いましてこれが変貌し変化し、私が先ほど申し上げたような戦前の状態に戻っていくのではないかという危惧が持たれるような段階に立ち至っておる。あなたはあるいはそうではないというふうにお考えになるかもわかりませんが、私どもの側から見れば、そういうふうに受け取れる傾向が強くなって参っておる。たとえば教育委員会の公選制、教育は国民の手によって行わるべきであるという新しい民主主義の上に立った教育委員会制度があったものを、前の時代に任命制に切りかえて参った、あるいはまた道徳教育を復活をして、特別な時間を設けて、そうして道徳教育を行なっていこうという、さらにまた教育課程を改定をいたしまして、数年前の教育課程の内容とは相当違って参った教育課程の内容になって参っておる。さらにまた最近におきましては人事管理という立場に立って勤務評定を強行し、遂に今日本の教育委員会は非常な混乱の状態に陥って参っておる。こういうことを静かに考えてみました場合に、私が先ほど申し上げたようなそういう逆コース的な傾向が非常に強くなって参っておると言わざるを得ないのでありますが、これについて橋本文部大臣はどういうふうにお考えになっておるのか。今日のわが日本の教育というものが、真に民主教育を守り育てるという新しい憲法の精神と、平和を守るという確固たる信念を持って一連の教育行政というものが行われて参っておるのかどうかということについて、橋本文部大臣のお考えをお聞きしておきたいと思うのであります。

橋本龍伍自由民主党文部大臣

○橋本国務大臣 ただいまお話のございました問題は、私も実は自由民主党におりましても主として政務調査会に所属をいたしておりましたような関係で、ただいまお話のございましたような諸般の改革は、私自身が直接間接に責任者として関与いたしたり、あるいはまた直接の責任者でなくても相当真剣に考えてこの法の立案に参画をいたしたのであります。私は総体的に申しまして、戦後の教育制度というものは、これは戦争直後には多分に占領政策という面が非常に強く出た部面があったと思いまするが、それを日本の実情に沿わせながら、落ちついて仕事のできるようにだんだんに改革して参ったものの一環として、私はただいまおあげになりました問題は、新しい民主主義、平和主義というものを立てていきながら、しかも今日の日本の国家、社会の実情に沿うような方向への一連の改革だったと私は考えております。教育委員会の問題につきましても、これは教育方針というものをほんとうに国民社会の先達の中から生み出していくべきものだという基本的な考え方はあくまでも正しいと思いますが、現実に行われました教育委員会の選挙というようなものでも、どうもやはりあまり一般に関心を持たれないでほんとうに社会からすぐった人が立候補され、そうしてまたみんなが関心を持って投票するというよりは、どうもむしろ正確な国民社会の意見の反映が十分でないとまだ思われるというような節もございまして、ああいったような公選制によりまする知事が推薦をして、公選制によりまする議会が承認をして教育委員会を選ぶという間接の形に改められたのでございますが、そのこと自身は私は民主教育の基本という点からいきまして、決して反しておらないし、実情においてはけっこうだったのじゃないかと考えておる次第でございます。  それから私は道徳の教育の問題についても、教育自身が、本来ものを知らない子供が、算数一つ、国語一つでも師に教えを請うということ自体が、まだ白地である子供に対して何一つでも頭の中に形作っていくということ、先生が子供に教えるということは、これは受ける方からいっても、また授ける方からいっても、本来道徳的なものでなければならぬと考えておるわけでありまして、教えていただく者は真剣にこれを学び、そうして一生懸命覚えるということによって、正直だとか、勤勉とか、りちぎというような徳義を養っていくわけであります。教育自身が一から百まで本来道徳的なものだと思いますが、その間に、そうした精神で道徳を守ります以外、やはり道徳それ自体をまとめて教え、また考えるという時間を持つことは、非常にけっこうなことであって、むしろどの国の教育制度にもそういう面が見られることでございます。何か特殊の意図を持って考えたり議論をしたりすると問題も起りますので、そういう点については、日本の政治の中で、与党と野党の間においても、政府と民間の間においても、やはりもう少し相互の善意というものについての信頼がほしいと思うのであります。もちろんそれについては、人に求めるだけではなくて、政府自身も常に善意に、信頼を求めるに足るだけの誠意と熱意とを持ってやって参らなければならぬことは申すまでもないところでございます。  今日までやって参りました戦後の文部行政の変化というものは、一時わあっと与えられた形においてできました占領下の文部行政というものを漸次落ちついた形に移す過程において現われた施策でありまして、私は、基本においてよいことであったと考えております。ただ、実際問題といたしまして、そういった施策というものは、やはりいつでももろ刃の剣で、使いようによっていいことも悪いこともございましょうと思いますから、運営に当って、特に文部当局といたしましては、ほかの仕事でもそうでありますが、謙虚に耳を傾けながら、施策自身が誤まった方向にいかないように心して参らなければならぬと思いますが、大本の施策においては、私は間違っておらなかったと確信をしておる次第でございます。

小牧次生日本社会党

○小牧委員 抽象的にいえば、ただいま大臣の言われたような点、道徳教育なりあるいは教育委員の任命制ということについても言える部分があろうかと私は考えるのでありますが、しかし、今日文部省がとっておるいろいろな教育行政を具体的に取り上げて調べて参りますと、必ずしもあなたが言われるようなことであるとばかりは言えない、かように考えられる点が多々あるわけであります。橋本文部大臣は、就任されてまだ日も浅いわけでありまして、失礼でありますが、今日の文部省の行政をすみずみまで調べて、十分知っておられるかどうかわかりませんが、たとえば、学習指導要領と申しますか、これを文部省は変え、そうしてこれによって学校教育が行われるように指示をいたしておる。これについても、前の国会におきまして、同僚議員の方々からいろいろ質疑があった。従いまして、私は多く繰り返しませんが、たとえば、戦争という問題についても、どういうふうに文部省が考えておるのか、私どもはあくまでも平和憲法の趣旨に従って、戦争放棄、戦争を絶対に阻止しなければならない、これを強く打ち出して、そうしてわが日本の平和のみならず、アジアの平和、世界の平和を守り抜いていかなければならないということを私どもたびたび主張し、また強く要請をいたしておる。これに関連いたしまして、学習指導要領の中におきましては、きわめて抽象的にしかこれに触れられないで、日清、日露の戦争を経てわが日本の国際的な地位は飛躍的に向上して参ったというような表現をしております。もちろん、だからといって戦争を肯定しているとは申し上げませんが、表現の仕方はわれわれ十分考えなければならない点があるように思われるし、その戦争を放棄するという高い理想が薄らいで参っておるではないか。あるいはまた道徳教育の面に関しましても、戦前は、御承知の通り時の支配者に都合のいいような教育を行なった。その結果、国民の自主的な精神あるいは批判的な精神というものが失われた。そうしてわが日本はああいう戦争を引き起したという苦い体験を持っておるのであります。文部省が改訂いたしました学習指導要領がそういうことを明確にうたっていることは私必ずしも申し上げませんが、その中身を調べてみますと、柔順とかあるいは奉仕とか、また場合によってはあきらめという概念に近いようなものを打ち出している。こういうような傾向を見て参りますと、今日の文部省の教育行政は、あなた方は、いや、そうではないとおっしゃるでありましょうが、私どもの側から見るならば、非常に危惧の念を抱かざるを得ない。戦前の権威の思想、権力支配、絶対服従の道徳、こういうものを強く打ち出して参りまして、手も足も出ない、批判の自由も失う、こういう過去の誤まった道徳教育にならないようにわれわれは警戒し、逆に自律的な精神を涵養し、育成して、ほかのものから強制されないで、自主的に判断できる国民を養成していかなければならない。これが戦後の新しい民主教育、民主主義の大道であろう、こう考える。その立場からは、学習指導要領一つを取り上げてみましても、戦前の状態に逆行するのではないかと思われるような内容が次第に盛られて参っておる。こういうことを私どもは非常におそれておるわけであります。文部省の出しました学習指導要領の改訂の内容を詳しく御存じであるかどうかわかりませんが、今申し上げたような問題について、橋本文部大臣はどのようにお考えでありますか、お伺いいたします。

橋本龍伍自由民主党文部大臣

○橋本国務大臣 私、今日の文部行政というものを考えまする際に、明治憲法下におきます文部行政とはやはり基本的に基礎の変ってきた点があると思うのであります。御承知のように、明治憲法下におきましては官制の大権、任命の大権というものを天皇が握りまして、そして特に教育制度に関しては、全部法律によらず、勅令による、勅令の中でも、御承知のように一般勅令によらずたしか学令というような名前で出しておったと思うのであります。まさしく教育方針というものは天皇の官吏というものが生み出して、左右をいたしておったわけであります。戦後の今日は、全く国民主権でありまして、われわれは真剣に、やはりたびたびの総選挙によって国民の批判を受けておるわけであります。今日の民主制度が十二分の効果を発揮しているかどうかということにつきましては、これは国民教育の高さと非常な関係がありまして、これで十分だと私も思いませんし、今後政治教育と一般教育とを並んで真剣にやっていかなければならぬ問題だと思いますが、何と申しましても、やはり今日は議院内閣制であり、民衆の反撃というものを受けたのでは、政権の維持はできないのだということは非常にはっきりした戦後の変化でございます。今日でも、ことにこうして、成年以上の国民の全部の普通選挙という形でありまして、われわれが選挙をやるに当りましても、制限選挙で何千人か相手にしていたときのように、特殊のグループにわたりをつけて当選するなどということはできないわけであります。私はそういう点から考えまして、それだから政党内閣はどんなことをやっても偏向は起らぬというふうには申しません。やはりその間において、特に教育の政治的中立というものを守るために、制度としても、運営においても、真剣に心して参らなければならぬと思いまするけれども、私はやはりごく根本的な問題としては、明治憲法下において教育制度というものが全部大権事項であったときと比べまして、われわれは年々の選挙で国民の批判を受けながら政権を維持して参らなければならぬ。その中において教育のようなものは、ことに国民の大きな批判の目をもって見られる問題だということは、私は戦後の民主教育の一番基本的な問題として、当事者としても心しなければなりませんし、また基本的な変化として、やはり安心の置ける要素として、私は考えていい大きな問題だと思うのであります。具体的にただいまお話のございました学習指導要領の問題でございますが、私も昨年学習指導要領の問題が出まして、その出ましたのを瞥見いたしましたけれども、私正直に申しまして、責任者としての真剣さと違っておりますので、私はあらためて今日また責任者として検討いたしたいと思いますが、従って就任以来今日までの間に私は非常に深く掘り下げたとは申しませんけれども、やはり終戦直後からずっと引き続いて参りまして、この占領下に非常に大きく変革された教育内容というものを、その後いろいろな変化なり考慮なりによって考え直して編み立てられておるものでありまして、私は大勢の問題としては、新学習指導要領の方向に切りかえて参りたいと考えておる次第でございます。ただ内容の問題として、これは小牧委員御心配のように、現実に社会にはやはりほんとうに古い考えを真剣に主張する人もずいぶんおりますししますので、学習指導要領の運用に当りましても、私はよほど心して参らなければならないと思いまするけれども、このわれわれが責任の当局としてやっておりまする方向というものは、あくまでもやはり民主主義、平和主義を目ざして、そして国民の自我の涵養というものは非常に大事な問題でありまするから、そういう問題については、基本の問題は小牧委員と同じような考え方で発足をしておるということをお互いに感じ合いながら、批判し合いあるいはみがいていくという方向にぜひ行きたいものだと実は私は考えておる次第でございます。特に御強調のありました自律の意識というものを高めて参る、国民の自我というものをほんとうに目覚めさしていくということは民主政治の根底でありまして、少しマスコミで何かというと、そっちへふらふらと動いちまうというふうな雷同性というものが、過去においても国の方向を非常に大きく誤ったと思うのであります。政治制度の関係もたしかにあったと思いますが……。従いまして何か大きな声とか宣伝とかに、すぐ動いてしまわないような、非常に根強い自我というものを十分に養うということは、私は教育の根本として非常に大切なことでありますし、同時によい民主政治というものを動かしていく上に非常に大事な根本的な問題だと考えておる次第でございます。

小牧次生日本社会党

○小牧委員 お話をお聞きしますと、一応民主教育なりあるいは道徳教育についても、われわれとしてもそう異論のないようなお考えを持っておられるような御答弁を承るわけでありますが、問題は、実際どういう教育行政が行われておるかということにあるわけでありまして、今日の日本の文部大臣の仕事を考えてみますと、あなたの前に灘尾文部大臣、それから松永文部大臣、いろいろ文部大臣がかわって参っておられます。しかも非常に短かい期間しか文部大臣を担当しておられない。半年くらいで文部大臣をかわっていく。次々に新しい文部大臣が就任される。その間文部省内におきましては、次官、局長その他の方々は、ずっと同じ人が一貫して仕事を担当して参っておりまして、反面最高責任省たる大臣は、わずかの期間で次々に更迭して参りまして、おそらく十分勉強して、自分の考える文教政策の抱負なり信念を十分な知識を持って、しかもその上に立ってこれを実施に移していくといういとまがない。私は、特に岸内閣においてそういう現象が非常にはなはだしいと考えておるわけでありますが、文教政策を担当する文部省なり文部大臣の仕事というものは、先ほど文部大臣が言われたように、きわめて重要な地位であり、大きな仕事が負荷されておる、こういう地位にある人を次々にかえていくということについて、私は岸総理、岸内閣が一体文部省、文教行政をどう考えておるのか、ほんとうに地についた国家百年の大計といわれるような、そういう重要性というものを岸内閣が考えておるのかどうかということについても、私は非常な疑問を持っておる一人でありますが、それはそれといたしましても、反面、先ほども申し上げましたように、局長やその他の人々がずっと同じような仕事を担当して、実際には文部省のほんとうの教育行政というものの実権は、そういう文部官僚の手によって握られて、表面には出ないで、そういうところで計画され、立案され、決定されたものが次々に打ち出されて参って、大臣は、失礼でありますが、十分そういうものと取り組んで、そしてそれが正しいかどうかということを判断し得る時間の余裕もないままに、またほかの大臣や、あるいはまた大臣をやめるというようなことになって、今日いわれておる教育の中央集権化、特にその原動力となっておるのは、いわゆる官僚であるということがよく新聞、雑誌にもいわれておるわけであります。もしそうであるとするならば、これはきわめてゆゆしい問題であり、新しい文部大臣とされては、この問題について十分検討されてしかるべきである、こう私は考えるわけであります。これについて橋本文部大臣はどのようにお考えになりますか。

橋本龍伍自由民主党文部大臣

○橋本国務大臣 ただいまお話のございました点については、私真剣に検討をいたすつもりであります。ただ私は、なまいきなことを申すようにとられるとはなはだ恐縮でございますが、やはり国務大臣といたしまして大綱を誤まらず——何から何まで細目を見切ることはなかなかできぬことでありますが、真剣に取り組んで参りました場合に、大綱を誤まらない判断というものは、多少の時日をかけて勉強いたしますれば、私は政治家としてできるはずであると思いまするし、またその間におきまして事務当局は、これはいろいろにいわれておりますけれども、やはり大臣が真剣にものを考えます場合に、事務当局は必ず政治的方針には従って参るものだと私は考えております。ですから、むしろわきからごらんになって、あの大臣のもとにああいうことが行われておるが、大臣は知らないで官僚が勝手にやるのじゃないかということをお考えのような場合におきましても、それはやはり大臣が承知の上でのんでいると見た方が正しいのじゃないか。その場合に大臣としても、自分は知らぬで役人がそういう方向をとったんだという逃げ口上をしてもなりませんし、事実私はそういうことはないと思うのでございます。私もまだまだ十分は存じませんから、どうか一つ至らぬ者としての御意見を願いたいと思うのであります。ただ細目まで何もかも知り切るということはむずかしいことであると思いますが、しかし大事な問題であって、御指摘を受けて十分自分の責任においてものを考えなければならぬような大綱の問題につきましては、努めてこれを把握する努力をいたすつもりでありますし、そうした範囲内において、事務当局と私との間に意見のそごがあってどうにもならぬというふうなことは、あり得べからざることと信じておる次第でございますが、その点につきましては、私十分心して参るつもりでございます。お気づきのことがございましたならば、ぜひ御指摘を願いまして、私みずからの判断として再三再四今後も検討して参るつもりでございます。

小牧次生日本社会党

○小牧委員 時間はどうですか。

臼井莊一自由民主党

○臼井委員長 大臣はちょっと都合がありますので、あと一問くらいにしていただきまして、また次の機会に……。

小牧次生日本社会党

○小牧委員 大臣がどこかお出かけのようで、あまり時間がないようでございますので、いずれまた次の委員会あたりでも、もっと具体的にいろいろお聞きしたい、かように考えるわけでありますが、最後に一つお聞きしておきたいと考えるのであります。  それは、わが国の教育界の当面の最大問題である勤評の問題であります。この問題については、先般の本院の本会議におきまして、わが党の代表質問の中にも触れられて、橋本文部大臣もごく短かい答弁ではございましたが、一応の答弁がありまして、私もそれをお聞きいたしたのでありますが、私は率直に申し上げまして、今日の勤評の問題については、やれ政府や文部省が悪いとか、あるいはまた日教組が悪いのだとか、いや日教組は悪くないのだとか、いろいろな批判が行われておりまして、政府のいう勤評にも賛成をしている人もあるようでありますし、もちろんまた日教組の反対している勤評反対の態度に、たくさんの方々も賛成をしておられる。しかしながら、いずれにしてもこの問題は非常な混乱を引き起して、わが国の教育行政上重大な問題と化していることは、まぎれもない現実の姿でございます。従いまして、これをいかなる形において収拾して、そして日本の教育界を正常化し、安定した上に立って日本の民主教育が行われなければならないということは、これは国民大衆の非常に強い要望であり、また当然そのような結果にならなければならない問題であると私は考えるのであります。これについてはまた後ほどいろいろ御質問申し上げましょうし、ほかの同僚議員の方からもおそらく御質問があろうかと思うのでありますが、ただ私が申し上げたいのは、だれの責任であり、どっち側の責任であるとか何とかいっても、要するに最後は、時の内閣を組織し、権力をもっていろいろ政治を行い、行政を行なっている政府、同時に文部省、同時に橋本文部大臣が、ただ単にこれは法律にあるからというような、従来の文部大臣がとってこられたような法律一点張りで、文部省がやることは何でも正しいのだ、それ以外のものは正しくないのだと思われるような、そういう態度ではなくして、何らかの方法によって、何らかの形によって、責任を持って文部大臣が、政府がこれを解決していかなければならない重大な課題であると私は考えるわけであります。この問題はほかのもので簡単に解決はできない。何といってもその最高の責任者である文部大臣が、全心全力をあげてこの問題と取り組んで解決しなければならない義務があると私は考えるのであります。たとえば前の灘尾文部大臣は、昨年の九月十五日に、日教組が統一行動に入る前、国民大衆、識者それぞれ非常にこれを憂慮し、何とか円満にこの問題を解決してもらえないであろうかという非常に強い要望が巻き起った際に、学者のグループの方方、識者の方々がそのあっせんに乗り出して、灘尾文部大臣と面会して大臣の意見を聞いて何とかこれを解決する方法はないかという調停の態度に出られた。しかし残念ながら灘尾文部大臣はこれに会われなかった。たとえば何か審議会というような機関を作って、これによって勤評を行うべきかどうか、そういうような方法も提示をされるやに新聞紙は報じておった。それにもかかわらず大臣が会わない、こういう態度は私どもはまことに遺憾に考えております。それからもう一つは、日教組の幹部の諸君とも文部大臣は最高の責任者として随時会を開いて忌憚のない意見の交換を行う、率直にそういう諸君の意見も聞いてお互いに話し合ってこういう問題の解決に乗り出す、こういうようなことも私は一つの方法であろうと思うのでありますが、今申し上げたようなことをひっくるめて最後に橋本文部大臣の現在のお考えをお聞きいたしたいと思います。

橋本龍伍自由民主党文部大臣

○橋本国務大臣 勤務評定の問題につきましては本会議で御答弁を申し上げたのでありますが、基本の考え方はその通りに考えておる次第でございます。私は昨年以来の勤務評定の問題を見ましても、ほんとうに政治というものには与党、野党の間に、また政府と民衆との間に行おうとする施策についてのお互いに善意の信頼感というものがないとうまくいかないということをつくつく痛感をいたす次第でございます。私はもう勤務評定自体は法律に書いてあるとか書いてないとかいうようなことでなしに、勤務評定というものは当然行わなければならない問題である。ことに教育のような重要な問題については、先生の得手、不得手もありましょうし、また東京都内におきましても山の手と下町とでは非常に気風が違っておりまするし、また男の子、女の子でも違っておるわけでありまして、勤務実績というものを評定しながらそれに向いたところに人事をやっていくというところに教育行政の非常に重要な観点があるということは、私はもうすなおに考えてみればそうならなければならぬものだと考えております。私自身はかりに勤務評定を、法律に書いてなかったら、むしろそれは法律に当然作らなければならぬと考えるくらいでございます。ただ実施の時期でありまするとか、実施の仕方でありまするとか、それをめぐる雰囲気というものについてはいろいろな問題があると思います。事柄自身は、私は勤務評定というものは法律にあるからやりますというようなことでなしに、私は法律にあってもなくても当然やるべきものだし、また現実にやるように配慮されつつあると思っておるのであります。従いまして今日勤務評定も灘尾前文部大臣の時代にいろいろ骨を折られまして、北海道等四つの府県を残して、あととにかく軌道に乗りつつあるのでありますが、どうか一つ全般的な問題に、これはほんとうに勤務評定というものを善意に考えてみて、必要じゃないかということをお互いに信じ合うような方向へ、どんなに骨が折れてもやっていきたいと思うのであります。その間に何かいろいろあっちの顔を立てたりこっちの顔を立てたりするような策のようなことによってどうこうやるということも考えておりませんし、そういうふうなことも私はいいとも考えておらないのであります。  なお面会の話がありましたが、灘尾前文部大臣もただ勤務評定の問題については、実力で阻止するということではちょっと話にならないので、そういう建前で何べん会ってもしょうがないというので会われなかったそうでありますが、一般的に意見を聞くということは、前文部大臣としても会うにやぶさかでなかったに違いないのでありまして、私も今日文部行政の責任者といたしまして、文部大臣としての仕事をやるのに、団体交渉のようなことで日教組の諸君と会うということは筋が違うと思いますが、これは何といっても教育を当面やっておられる先生たちでもあるし、待遇の問題についてももちろん強い要望があるだろうと思うし、私は話をしたいというときに常に聞くのにやぶさかでないつもりでおりますし、日教組の諸君から会って話をしたいと言って参りますれば、その話はどんな話であろうと私は真剣に耳を傾けて聞く所存であります。ただ勤務評定自身については、私自身ほんとうにどうしてこんな問題がこれほど大騒ぎになるかというのが情なく思われるくらい、勤務評定というものをしなければならぬと考えております。どうか一つ私が何かこれを使って悪い方向へ教育を持っていってしまおうというような底意があるというふうには毛頭お考え下さらないように、お互いの信頼感というものをもう少し回復して、この問題は趣旨通りやって参りたいと考えておる次第であります。

小牧次生日本社会党

○小牧委員 大臣がお急ぎのようで時間がないので、大へん残念ですが、今申し上げたような問題なり、さらにまた先般櫻井委員から予算に関してもいろいろな質問がございましたが、相当まだ残されておるわけでありまして、いずれまた次の委員会ないしは適当な時期に質問を継続させていただくということにいたしまして、私の質問はこれで一応打ち切りたいと存じます。

臼井莊一自由民主党

○臼井委員長 堀昌雄君から資料の要求についての発言の要求がありますのでこれを許します。堀昌雄君。

堀昌雄日本社会党

○堀委員 文部省所管昭和三十四年度予算要求額事項別表というものをいただいておりますが、この中の一番の義務教育費国庫負担金の積算の基礎になりますものについて御提出をいただきたい。その次は二番の文教施設の義務教育諸学校施設整備という欄がございますが、この中で校舎、小学校、中学校とそれから一番下の危険校舎改築という部分につきまして額が掲示されておりますけれども、これに相当いたします学級数を一つできる範囲でけっこうですからいただきたいと思います。それから七番の教育の機会均等、四ページでありますが、ここで準要保護児童生徒教科書補助金、こうございまして、対照人員三十四年度児童生徒の二%、こういうふうに書いてあるわけでございます。それについての実数を、以下同様に要保護児童生徒二五%、いろいろ出ておりますので、これについての実数をいただきたい。以上お願いいたします。

臼井莊一自由民主党

○臼井委員長 ただいま堀君より要求のございました資料は、文部省においてすみやかに提出されるよう要望いたします。  ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕

臼井莊一自由民主党

○臼井委員長 速記を始めて下さい。  皆様にお諮りいたしますが、南極観測隊の使命を持ってあちらに参りました宗谷が、今回は非常に成績よく成功せられまして、十四名の越冬隊を残して帰路につくことになりました。そこで永田隊長、松本船長、それから村山越冬隊長あてに、本委員会の決議をもって祝意とあわせて御成功に対する御慰労の電報を委員長の名前で打ちたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

臼井莊一自由民主党

○臼井委員長 それでは異議なしと認めまして、ただいま申し上げました趣旨の電報をお打ちすることにいたしますが、なお全国民を代表してはるかに御一行の御健勝をお祈りする、そうして無事に御帰還せられるようにお待ち申し上げておるという趣旨の電報を打ちたいと思います。文案につきましては御一任いただいてよろしゅうございますか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

臼井莊一自由民主党

○臼井委員長 それでは御異議なしと認めまして、ただいま申し上げましたような趣旨で直ちに打電をいたします。  それでは本日はこの程度といたしまして、次会は公報をもってお知らせいたします。  これにて散会いたします。     午後零時五十六分散会

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