農林水産委員会食糧に関する調査小委員会 第1号
- 発言数
- 12 件
- 登壇者
- 4 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1959/04/30
会議録
○今井小委員長 これより農林水産委員会食糧に関する調査小委員会を開会いたします。 まず政府より米価の算定方式に関する説明を求めます。大和田企画課長。
○大和田説明員 それでは、お手元に四部資料が差し上げてあります。「米生産費分析資料II」というのと、「米価と農家経済及び家計の図表」、「農業パリティ指数の改正について」、「都市農村物価差について」、いずれも未定稿でございます。これは農林委員会の諸先生に御説明いたしましたときお配りした資料のあとで作成いたしたものでございます。 まず「米生産費分析資料II」の方の御説明をいたします。これは前に「分析資料I」として配付しました横に長い資料の増補でございます。一ページをお開きいただきますと、「生産費および反収の分散度」、これは昭和三十一年、三十二年につきまして最近の加重平均値、標準偏差、変異係数等について、いずれも石当りと反当生産費について調査してございます。三十一年産米について申し上げますと、石当り生産費につきましては、加重平均値、これは戸数で加重平均をしたものですが、六千百八十一円に対して、標準偏差が千七百五十六円で、変異係数が二八・四%、変異係数というのは、申し上げるまでもありませんが、平均に対するふれを示すものです。二八・四%というものは、平均生産費に対して最高最低及びその間にはさまる生産費の分布が相当分散していることを示すものでございます。反当生産費につきましては、二三%で、二八と二三とを比べますと、石当り生産費に比べて反当生産費は多少はまとまりがあるけれども、それでもこの分散は相当程度の高いものと考えられます。三十二年の方は、前にも御説明いたしましたが、三十一年に比べて三十二年は平均生産費では八十円ほど高くなっておりますけれども、バルク・ライン生産費では、たとえば八〇%では石当り二、三百円低く出ていることが示しますように、分布の幅が狭くなって、最低最高の幅が狭くなっております。従いまして、石当り生産費で変異係数が二五%、反当り生産費が二一%ということになっております。これも分布の幅は狭まっておりますけれども、これでも分布の程度は相当激しいことを示しております。 なお、二ページには、追加でございますが、「昭和三十一年産米販売農家(非災害)石当生産費高低別戸数分布」で、平均が五千七百円くらいでありますけれども、五千七百円の生産費は、ここにも書いてございますように、一番安いところは二千二百円、一番高いところは一万五千二百円程度の間に分散しておるので、三十二年にお示しをいたしましたのと結果は同じでございます。 それから、三ページをごらんいただきますと、これも前にお示しいたしましたのは三十二年の反当生産費でございますが、三十一年でも、最低が反当にして六千六百円、最高が三万五千六百円にもなって、非常に激しく分散をいたしております。ただ、前の資料でも申し上げましたように、この分散は、おそらくこれが農家の実態であって、統計調査上の間違いといいますか、粗雑さといいますか、そういうものに影響されるものよりは、農家の実態が複雑だということがほんとうであらうと思います。それはなぜかと申し上げますと、石当り生産費にいたしましても反当り生産費にいたしましても、いわゆる正規分布と言いまして、平均的なところがまん中に多く集中し、上下の幅が非常に狭まっているという状態を統計学上正規分布と申しますけれども、分布の幅は、形は三十一年、三十二年、何年をとりましても正規分布でございますし、それは反当にいたしましても石当りにいたしましても同様であるわけでございます。 四ページは略します。 五ページでございます。これは、前に御説明いたしましたときは、バルク・ラインにおける生産費に、それぞれ大体七〇でも八〇でも九〇でも似たような農家がそろっていて、たまたま七〇%あるいは八〇%のバルク・ラインに落ちついたということだけであって、バルク・ライン生産費の農家には固有の性格がないということと、しかも、同じバルク・ラインの中で幅が非常に広いということと、もう一つは、どのバルク・ラインに属するかということが年によってかいもく見当がつかないということを申し上げたわけですが、それを数値で示してございます。八〇%バルク・ラインのところをごらんいただきますと、石当りの生産費では、平均が七千三百十九円、ふれが一・二八%です。これは石当り生産費に見ならいましたから、行当り生産費ではそれが少いのが当然でございます。しかし、反当生産費で言いますと、平均一万八千三百八十円に対して標準偏差が三千三百円ほどで、これの変異係数が一八%、この幅は相当ひどいふれでございます。反当費用につきましては一六・四%。反当収量では一八・四%。作付面積では五八・五%、これは、八〇%バルク・ラインに含まれる農家はたとえば近畿でありますとか中国地帯の三反歩、五反歩農家がここに集中していると言われますけれども、それは事実に反するので、八〇%バルク・ラインにある農家の作付面積の幅は非常に大きい。これがどんなに大きいかということは前の資料で申し上げたところであります。八〇%バルク・ラインばかりではございません。七〇でも七五でも、作付面積のふれは非常に大きいわけです。販売量率についても同様。行当り労働時間、反当労働時間についても同様でございます。 一々やりますと大へんですから、省略して、十ページをごらんいただきます。これは前に生産費で三十一年にたとえば八〇%バルク・ラインに属した農家が三十二年でどのバルク・ラインに属することになるかということを追跡いたしたものを資料として差し上げてございますが、それは家族労賃をいわゆる都市の平均賃金で評価がえをする前の原生産費であったわけです。従いまして、念のために、それでは家族労働を都市の製造業の平均賃金で評価をいたしますとバルク・ラインの移動はどうなるかということをやってみますと、これも同様でございまして、三十一年に八〇%バルク・ラインに属した農家は百八戸でございますけれども、三十二年に同様に八〇%バルク・ラインに属する農家は十四戸しかございません。あとは平均生産費以下になっている農家が二十八戸、あとはくまなく各層に分散をしているわけです。 以上は災害農家を除いたものでございますけれども、また災害農家を含めました数字が十一ページにございます。これも三十一年に八〇%バルク・ラインに属する農家が百十七戸ございますけれども、そのうち三十二年で同様に八〇%バルク・ラインにある農家は十七戸ございます。バルク・ラインのどこに落ちつくかということは、全く気まぐれであるということが実証されるわけです。 なお、反当の生産費についてどうかということを見たのが十三ページにございます。石当り生産費については、反当生産費と反収との関係で石当り生産費がきまりますから、相当なふれがあっても、一人の農家の反当生産費については相当落ちつきがあるだろうという予想を私たちはいたして作業をいたしましたけれども、反当生産費につきましても、三十一年も三十二年も八〇%バルク・ラインに落ちつく農家は百八戸のうち十四戸しかございません。従いまして、石当りにしろ反当りにしろ、生産費が移動するばかりではなしに、ある農家があるバルク・ラインにいるということは、いわば偶然できまることであって、特別の法則性はなさそうだということになるわけであります。 十五ページをごらんいただきますと、その一つの証明でございますが、三十一年に八〇%バルク・ラインの農家にあったものが三十二年においてどう変化していくかということを示しております。一番終りの行の第二次生産費というところをごらんいただきますと、左が反当りで右が石当りですけれども、三十一年に八〇%バルク・ラインに属した百戸ほどの農家の生産費の平均は七千六百五十五円でありますけれども、三十二年になりますとこの農家の生産費は七千四十二円に下っております。約七、八%生産費が安くなっているわけです。平均生産費においては五千七百円が五千八百円というふうに八十円ほどの上り方をしておりますけれども、三十一年に八〇%バルク・ラインに属した農家が三十二年になりますと平均は七千四十二円に下っておるわけであります。八〇%バルク・ラインの農家ばかりではなしに、かりに八五%を対象にして同様の作業をやりますと、三十一年に八五%バルク・ラインに属した農家の平均生産費が八千二百十一円であったのが、三十二年では七千三百十二円に落ちている。これもまた非常な変り方を示しているわけでございます。 そこで、生産費についていろいろな実は議論があるわけでございますけれども、石当り生産費と諸要因の相関図表、三十二年の米の生産費から計算いたしましたのが十七ページ以降にございます。 まず石当り生産費と反当収量との相関関係ですが、これは反当収量が多ければ石当り生産費が低いのは当りまえでありますけれども、この当りまえはアールが〇・五五となっているのはマイナス〇・五五の誤まりであります。〇・五五の相関度しかございません。この相関度は私たちが通常想像するよりは小さいものでございます。 それから、十八ページに同様に石当り生産費と反当肥料費との相関度がございます。これは〇・一〇、反当の肥料費がふえると石当り生産費も上っていくという度合いは〇・一〇で、相関関係があるというためには、少くとも〇・五か〇・六くらいないと問題にならないわけで、〇・一〇という数字では相関関係はむしろないと言った方が正しいだろうと考えます。(3)は石当り生産費と反当物財費で、肥料でありますとか農薬でありますとか、そういうものの反当りの費用がふえれば石当り生産費がふえるという割合も〇・三八で、これも意外に少いわけでございます。(4)は石当り生産費と反当畜力費との関係で、これも〇・三二でございます。(5)が石当り生産費と反当労働費との関係で、これはやや高く、〇・五八でございます。 ちょうどその裏に(6)で石当り生産費と反当労働時間がございますが、労働時間との対比で言いますと、相関係数は〇・三七で低いものでございます。反当労働費に直すと〇・五八になって多少高くなりますのは、石当り生産費というのは、幾ら何時間働くかというよりは、その近所における農業日雇い労賃の高さの方が生産費に対する影響が相当強いということを示すものであろうと考えます。(7)が石当り生産費と反当費用の合計、これも反当費用が大きければ石当り生産費が高いのが当りまえでございますが、その相関係数も〇・六四で、これも考えたよりは多くはございません。(8)の石当り生産費対反当第二次生産費、これも、いわゆる私たちが生産費といっているもので、第一次生産費というのは、反当費用から副産物収入を引いたものでございますが、第二次生産費は、それに資本、利子と地代とを加えたいわゆる生産費とお考えいただいてけっこうですが、石当り生産費と反当生産費との関係も〇・六三でございます。これは相関関係はあると言っていいわけですが、〇・六三で、〇・九とか〇・九九というふうに常識的に考えるほどは実際は高くはないわけです。(9)が石当り生産費と販売量の関係で、これも販売量が多くなるに従って石当り生産費が安くなるということが相当程度認められるかと思いまして作業をいたしますと、そうではございませんで、マイナス〇・二七で、多少は関係があるようでございますけれども、意外にその相関度は少いわけでございます。 二十六ページ、(10)で、石当り生産費と経営面積、これはマイナス〇・〇四でございますから、経営面積——この経営面積といいますのは、田畑を含めての経営面積ですが、田畑を含めての経営面積との対比においては、石当り生産費というのはほとんど関係はない。それでは水稲の作付面積との関係についてはどうか。普通は収量が——収量といいますか作付面積が大きくなるに従って石当り生産費が下るのが常識でございますが、この二十七ページの図表が示しますように、たとえば作付面積三反未満の農家が六十五戸生産費調査の中にございますが、六十五戸の生産費の内訳は、三千五百円ないし四千円のところに六戸、それから九千五百円ないし一万円のところに二戸、あとはその間に広く分散をいたしております。三反ないし六反のところでも二千五百円ないし一万二千円以上というところに六百七十七戸の農家が非常に広く分散をいたしております。従って、石当り生産費と作付面積との相関度を一つ一つの農家について検討をいたしますと、マイナス〇・〇七ということで、作付面積がふえれば石当り生産費が減るという関係は、あるといえばゼロではありませんからありますけれども、その関係は非常に少いものだということが示されるわけです。従いまして、この結論で参りますと、これは生産費が反収なりあるいは反当生産費なりと石当り生産費が相当の相関関係があるということ以外に、生産費の高低をきめる法則はなかなか見出すことができないということになるだろうと思います。 そこで、もう一つの資料の「米価と農家経済及び家計の図表」というのは、これはごらんいただけばおわかりになることと思いますので、説明は省略をいたします。 「都市農村物価差について」というのの御説明をいたします。これは、先般の農林委員会でも食糧庁の長官から、生産費及び所得補償方式の考え方を大幅に取り入れて三十四年の米価をはじくということを申し上げてございますか、その作業の一部でございます。 読みながら御説明をいたしますと、「生産費及び所得補償方式の考え方を大はばにとり入れて米価を算定する場合、基本構想として農家の自家労働に都市製造業平均賃金を当てはめるが、この賃金は具体的には都市製造業平均賃金を基準として都市農村物価差を考慮して算定する。」、物価菱に、従前農林省が使っておりますのは、三十三年の米価審議会に出しました資料によりますと〇・八三くらいでありました。これに対して農業団体は確か〇・八七という数字を使っておったと思いますが、この物価差を考慮して都市平均賃金を具体的に決定するということの意味は、都市と農村間の実質賃金をひとしくするという考え方に立つものでございます。従って基本的にはこの2にございますように、「農民に都市労働者と同等の購買量を確保せしめる」ということにあるわけでございます。これが生産費及び所得補償方式の基本的な考え方であろうかと思います。 そういたしますと「この物価差の作成については次の方式による。」として数字がこまかく入っておりますが、この式を要約して申し上げますと、uというのは都市で、rが農村関係でございます。Pは言うまでもなく価格でQが数量でございますから、PQというのは支出金額になります。そういたしますと、最初の式がΣのPuQu、これは都市の購入量といいますか生活構造といいますか、それを基準にして農村の物価を計ったものでございます。それからその右のPrQrというのが示しておりますものは、農村の購入量を基準にして都市の物価を計ったもので、これを農村と都市とを基準にしたものをいわゆるフィッシャー式で幾何平均をしたものでございます。この結果、昨年は〇・八三という数字が出て参ったわけで、ことしはどういう数字が出ますか、現在計算中でございます。 そこで、4に移ります。「都市、農村間の物価不均等の理由は次のとおりであると考えられる。」ということで、なかなかめんどうくさい数字が書いてございますが、要約して申し上げますと、農村の製品と都市の製品をもって私たちの生活が成り立つわけで、その度合いは六ページと七ページをごらんいただきますと書いてございます。都市ウエートで言いますと、主食から始まりまして調味料までの、いわば食べもの関係が四二・六八%、これは一万で合計してございます。それから、嗜好品から始まって被服とか光熱とか住居とか交通通信その他が五七・三二%、これが都市ウエートでございます。それから、農村ウエートでいいますと、食べもの関係が五一%で、その他の嗜好品から修養娯楽までが四八・八三%というふうになっております。そうして、これを都市ウエートで農村の指数を出しますと、主食関係で七三・九六%、嗜好品なり教育費等々の項目で八八・七一%、その平均が八二・四二%、農村ウエートでやりますと、同様にして七七・二七%ということになりますが、都会の生活と農村の生活とを考えてみまして、主食物は、農村で消費された場合の方が、主食にしろ蔬菜にしろ卵にしろ牛乳にしろ当然安いわけです。農村において消費したものが都会において消費するよりも安い。工業製品につきましては、都会で作ったものを農村に運ぶわけでありますから、運賃なりマージンなりがよけいかかるわけでありますけれども、主食物その他の食物が農村において都会より安いという度合いよりは、工業製品なんかは農村において都会よりは高いという度合いは少い。これは、家計調査で申し上げますと、いい悪いは別として、米の配給とやみとか六対四の比率になっておりますけれども、農村におけるいわゆるやみ米の価格と都会における価格と、それから石けんとか歯みがき等々の工業製品における都会における価格と農村における価格とを比べてみますと、主食その他農村で作った野菜、果物、牛乳等々農家の手取りが都会の小売屋で売られるものの三分の一しかないといって絶えず問題になるところでありますけれども、そういうもののマージンなりあるいは運賃なりが、工業製品が都会から農村に行くよりははるかに大きいわけです。農村と都市との物価差はそこに根本的にあるわけでございますが、これは日本だけの問題ではございませんで、各国で都会と農村との物価差の問題はございます。十ページにございますが、これは、農村を一〇〇といたしますと、イギリスで一〇五、エールで一〇六ないし一〇四、カナダで一一三、スエーデンが一一〇ないし一一五、アメリカで一一四というふうにあるわけでございます。 それで、私は食物を主として申し上げましたが、その差は実は都会と農村だけの差ではございませんで、大都合と小都会、地方都市との間においてもございます。それは一応十一ページ々ごらんいただきますと、三十二年で東京を一〇〇として各都市の物価を示してございます。一番安いところはたしか松江で、東京を一〇〇とすれば松江が九〇・七、それからその次は松山とか熊本、青森とかいうところが九一とか九二というところで、都会の中で本東京と地方の小都市との間では一〇%弱の物価差が実はございます。農村と都会との関係ではさらにその物価差が大きくなるわけでございます。これが、都会と農村との物価差を私たちが生産費及び所得補償方式でとる場合の一つの基本的な考え方になります。 それから、もう一つは、農業パリティ指数の改正についてでございます。これは前にも申し上げましたけれども、現在のパリティ指数というものは昭和二十五年、二十六年を基準にして一〇〇と置いて、現在一二一幾つという数値を出しておりますけれども、二十五、六年当時に比べますと現在の農家の生活及び生産の構造といいますか内容が相当な変化を示しておりますので、できるならば最近の農家の実態をパリティ指数に表わすことがいいのではないかということで、これはまだ正式に結論を出したということではございませんけれども、大体三十二年を基準にしてパリティ指数を、現状をよりよく反映させるために改訂をいたしたいというふうに考えております。これは昨年の米価審議会において実はそういう御要望が委員の方からあった事情もございます。それが一ページの改正め理由でございますが、めんどうくさいことは省略して、一応ごらんいただきたいと思います。 採用品目について、肥料と農薬について申し上げますと、六ページの一番最初ですが、肥料で、二十五、二十六年には総支出金額は一万六千五百八十九円であったわけです。ところが、指数に採用している品目の合計額——これは肥料、農薬ばかりではございません。パリティ指数の採用品目は二十三項目で、たしか百六十九の品目を持っているわけでございますが、あまり支出額の少い品物をパリティ指数の中に込めますとかえって混乱をいたしますので、相当程度購入価格の高いものだけを品目として採用いたしておるわけでございます。その結果、二十五、二十六年では総支出金額は一万六千五百八十九円でありましたが、パリティ指数に採用している品目の合計額はそのうち一万四千二百六十円であったわけです。従って、総支出金額のうちでパリティ品目に入れているものの額が八六%であったわけです。これはカバーレッジといっております。どれだけパリティ品目が総支出金額を代表し得るかという一つのめどになるわけです。ところが、それが、三十一年になりますと、肥料の総支出金額は三万三百三十九円でありますけれども、指数に採用している品目の合計額はそのうち一万六千二百九十六円になって、カバーレッジが五三%に落ちたわけです。従いまして、この五三%で八六%を割りますと一六〇%ということになって、現在パリティ指数に採用している品目で農家経済の実態を把握しようとすると、多少のひずみが遺憾ながらあるということになるわけです。農薬につきましては、同様にこれはいろいろこまかい品物がございますから、カバーレッジは最初から低いわけですけれども、二十五、二十六年に四二・一%あったものが三十一年では二三%に下っておるわけです。さらに、七ページのまん中ごろに参りますと、化成肥料というものがございます。この化成肥料というのは、二十五、二十六年では、肥料総額一万六千五百八十九円のうちで三百十四円しか支出しておりませんから、その比率は一・九%であったわけですが、三十一年になりますと、三万三百三十九円のうらで五千三百九円、実に一七・五%にふえております。しかし、二十五、二十六年当時は支出金額が小さいところからパリティ指数の品目としては採用していなかったわけであります。これを、新しいパリティ指数ではこういうものも採用して参りたいということであります。 同様、八ページに参りますと、農薬について申し上げますと、2・4Dとかパラチオン剤等は、二十五、二十六年ではほとんどその影を見なかったものが、三十一年では農薬総支出額四千八円のうちで、2・4Dが百二十九円、パラチオン剤が四百九十円というふうになっておるわけでございます。 さらに、次の「項目ウエイトの変化」という横の表をごらんいただきますと、二十五、二十六年ではこれが種苗から賃借料までが経営部門の項目でございます。この中にまたいろいろこまかく分れておりますが、経営部門のウエートが千分の三百三十、それから家計部門のウエートが六百七十であったわけですけれども、三十一年の農家経済調査で見ますと、経営部門の比率が三百七十三、家計部門の比率が六百二十七という数に相当な変化を示しておるわけでございます。あとでも申し上げますけれども、三十二年から農家経済調査の農家をすっかり変えておりますから、この比率はまた多少変るかと思いますけれども、とにかく、二十五、二十六の基準でやって参りますと、現在は農家の経済なり家計なりの構造が相当変化していることになるわけでございます。 あとは、項目間のウエートが相当変っておりますということと、ラスパイレスで二十五、二十六年のウェートを基準にしてやっております私たちの指数を三十一年なり三十年なりの比較年次のウエートでやりましてパーシェ方式でチェックいたしますと、二%程度のずれがあるが、二十五年、二十六年の旧パリティ指数は使えないという程度のものではございませんけれども、新しくした方がいいではないかというようなことが十ページ、十一ページにかけてございます。 それで、結論を申し上げますと、二十五、二十六年を一〇〇とする基準は変えません。二十五、二十六年を一〇〇と置きます。そうして三十二年の農家経済調査で項目、品目のウエートを変えます。そうして旧パリティで三十二年のパリティ指数があるわけですから、それを一〇〇と片方で置いて、かりに旧パリティで三十二年が一二〇であったといたしまして、新パリティで三十二年が一〇〇で三十三年が一〇一であるといたしますと、一二〇かける一〇一という形で三十三年の新パリティを出し、三十二年でリンクさせるという方式をとってはどうであろうかということを現在検討いたしておるわけでございます。 以上、生産費及び所得補償方式の考え方を取り入れるということで作業をいたしますと、非常にむずかしい問題が数多くございまして、まだ結論がなかなか出にくい部分が多いわけでございますけれども、物価差の問題と農業パリティの問題についてはこういうふうに現在考えて、なおその他についても作業を進めておる次第でございます。
○今井小委員長 質疑の通告がありますので、これを許します。石田宥全君。
○石田(宥)小委員 いろいろ御説明を伺ったわけでありますが、根本的にはどうも生産費及び所得補償方式にはよりがたいというその資料がたくさん出ておる。特に、先般来御説明を伺っておりますように、バルク・ラインの問題がどうも非常に不安定であって、一定の線が出てこない、これが新しい生産費及び所得補償方式を全面的にとりがたいという基本的の問題のようでありますが、この問題は、さきの資料にも出ておりますように、生産費そのものが石当り六千六百円から三万五千六百円というふうに非常に幅がある。こういう生産費そのものに非常に幅のあるものの中で、これを地域別、地帯別な集計というものを見ないで、これを全国ベースではじき出すというところに根本的に非常に無理があるんじゃないかと思うので、これはやはり、地域性、地帯性の激しい日本農業の現状から見て、地域別、地帯別のものをとって、そうしてそれをまたさらに全部重ねて平均値を見るというような一つの試算がなされてしかるべきであったのではないかと思うのでありますが、そういうことについての試算は行われなかったかどうか。
○渡部(伍)政府委員 まだその試算は私の方でやっておりません。ただ、先般から申し上げますように、いろいろな試算をやっておりまして、今まで、たとえばバルク・ラインの方式をとるといったときに今までの考え方だとこういう問題があるということで問題点を指摘いたしまして、しからばもっと研究をこういうところをやったらどうだという御注意をいただいているのが今の段階でありますから、今のお話も十分私の方では検討する必要があるのではないかと思っております。
○石田(宥)小委員 新しい方式によるとすれば、バルクの問題の次に労賃の問題、それから地代の問題、それから資本利子の問題、今御説明になった物価差の問題等あるわけですね。いづれも相当議論のあるところでありまして、そういう議論のある問題については、一応農業団体は農業団体独自の見解を持っておりますし、これはまた素朴な農民の要求もあり、同時にまた団体としてはそれぞれ専門的な学者や評論家の意見も十分取り入れて検討を進めておる段階のように承わっておりますので、問題点の多い、今申し上げたような点については、やはりこれは共同試算と申しますか、そういうふうな手続を経て、そうしてどうしても統一見解に到達し得ないという問題もあるかもしれないが、あるいはまた若干の修正でお互いにとり得る問題もあるのではないかと思うのです。そういう点についてここでは私は詳しい議論をしようと思いませんが、計数の整理に当って共同に試算あるいは計数整理等を行う用意があるかどうか。
○渡部(伍)政府委員 御説ごもっともでございまして、結局、データも違う、それから考え方も違う、こういうので、幾ら議論しておりましても、これは行政としては非常にまずいのでありまして、はっきり見解の一致するところと、どうしても見解が分れるところと、これは立場によって違うわけでありますから、その点は、ここはこういうわけで見解が違うのなら違うのだということを関係者が十分のみ込んで、現在の段階ではその点はこうとるよりしかないということで初めて結論に到達できる、こういうふうに考えております。従って、御説のように、私どもの方も、今度は私どもの方の手持ちの資料を各方面に出しまして、この資料について当方の研究の程度はこういうことである、しかし、これはあくまでも当方の研究であるということで、今御指摘にありますように、こういう考え方もあるのだということをいろいろ伺っております。従って、今も資料を差し上げましたように、いろいろ問題が指摘されれば、こちらからこちらの見解はこうだ、これはこうだということをやっております。従って、もう数回農業団体の方にも説明し、農業団体の方からもいろいろ伺っております。従いまして、実質的には、御指摘のような、何と言いますか、これは最後の表現の方法として共同の計算として出した方がいいのか、あるいは別々に出した方がいいのかは、これはまた考えなければいかぬと思いますけれども、実質的には十分突き合しまして検討を加えていく方が一番いい、こういうふうに考えております。
○石田(宥)小委員 大体僕らの考えておるような方向に向いておられるようでありますから、そういうふうに努力を願いたいと思いますが、中にはなかなかむずかしい問題もあると思うのです。計数的に割り切れない問題もありますから、そういう問題については政策的にその取扱いを決定する、それ以外になかなか算定方式というものはきまらないと思うのですよ。たから、今後そういうふうに取扱いを進めてもらいたいと思うのです。 そこで、さっきも課長の説明の中で言っておられるように、生産費及び所得補償方式を大幅に取り入れる、こういう表現を用いておられますね。ただ、その大幅に取り入れるという取り入れ方がいろいろありまして、あれもむずかしいこれもむずかしい、ここにもきめ手がないあそこにもきめ手がないということになると、やはり従来のようなつかみ勘定にならざるを得ないと思う。私どもは、食糧事情がずっと変ってきておるのだから、終戦以来ずっと抑制米価でやってきたのだけれども、今度、米価維持の見地に立って、今の食糧管理法第三条の趣旨に従った米価の算定方式によらなければならない、そういうふうに情勢が変ってきておりますから、そういう情勢の変化に基いて考えなければならないのであって、やはりそれには生産費及び所得補償方式というものが、ある程度の生産費を補償し、また労賃部分においてその所得を補償するという最も理想的なものであって、それが割り切れるとすれば、かりに昨年より低くなっても、これは将来長い目で見てやむを得ないと思う。しかし、予約減税問題等いろいろ副次的なものもありますから、そういうものも勘案してきめらるべきであるが、ただ、大幅にこれを取り入れるといっても、従来のパリティ方式を中心的に考えて新しい方式で勘案するという考え方と、新しい方式を柱にして今度はパリティの改正もやったならばそれに修正するのと、いろいろあるわけですね。それをどっちつかずにチャンポンにするということは、これは木に竹をつぐようなことで、何ら理論的な支柱がなくなっちゃって、すっかりぼけちゃう。そういうことは最も戒めなければならない問題でありますので、これはやはり新しい生産費及び所得補償方式というものを柱にして、そして改正されたパリティに修正するというふうに、ことしこそは一つ割り切ってもらいたい。これは昨年の米価決定に当っての農林大臣の言明でもあり、ことしの春以来の大臣の言明でもありまして、だんだんと取り入れるようにしたいということを言っておるわけでありますから、それはただ政治的な発言だとばかりは言えないのでありまして、長官の方で、その長官自身の考え方、どういう考え方の基礎のもとにその試算をするか、資料を整備するかということが問題なのだから、そういう点は混同されないように、それから逆にならないようにやってもらいたいと思う。この間は長官出先でだいぶ景気のいい発言をして、消費者米価は大体前年通りになるだろうが、生産者米価は前年より算定方式を変えるから若干上るのであろうというようなことを言っておられるわけです。これはどうですか、今までのところの考えではどういうふうに考えておられるのですか。大体ほぼ腹をきめて資料を整備したりそれぞれ試算をやられたりしなければならない段階だと思うのですが、これは率直に長官の意見を承わっておきたい。
○渡部(伍)政府委員 御指摘のように、私どもでは、米価審議会の再三にわたる要望を実現したいというために詳しい資料の分析をして、もし生産費及び所得補償方式を第一義的にとるとしても、これにはこういう問題があるという前提の上で、こうなるのだということを得心していただかなければならないから、今いろいろな分析をしておるわけでございます。従って、全面的にこれによるのだとは最終的結論が出ておりませんから言えないので、生産費及び所得補償方式を大幅に取り入れた価格決定方式を採用する、こういうことを申し上げておるわけであります。その点はある程度来年度の基準米価を決定するについて採用すべきいろいろな数字が五月末でないと最終的に寄りませんから、今はそれを度外視していろいろな試算をしてみておるわけであります。新しい数字に当てはめて、これならばはっきり言えるというところの段階に達するまでは、はっきりしたことを申し上げることはお許しを願いたいと思います。ただ、いかなる方式をとるにいたしましても、これは私の個人の考えでございますが、パリティ方式にいたしましても、それだけで米価をきめるということではなしに、第三条の方式ではいろいろな経済事情も考慮してきめなければならない。生産費及び所得補償方式をとるにしても経済事情も考慮しなければならないということになりますれば、結論的に申し上げますれば、一つの価格が現存するわけでありますから、それと非常に離れた結論を出すということは、出しても無意味じゃないか、非常に経済上の変動があるなら格別でございますけれども、そういう変動がない場合は、現在ある価格と非常に変った価格を出すことは、結論としてはむずかしい。そこで、新聞記者に突き詰められて、上か下か幾ら聞かれても、上になっても下になってもそう大幅な開きはないはずだ、これだけ申し上げたのでありますが、そのときの記者の諸君の印象で、下に書かれたことはないので大てい上に書かれておるのでありますが、僕は上になると申したこともないのでありまして、ただ、去年の予算米価に比べてことしの予算米価が上っておるから、そういう説明をしたことにヒントを得てみんな上向きに書いているのではないかと思います。これは全く白紙でございますが、ただ、結論的に、これは私個人の見解として聞いていただきたいのでありますが、現在の価格をそう大幅に変える、こういうことは上にしても下にしても非常にむずかしい。従って、現在の価格を中心にして説明のつくいろいろな生産費及び所得補償方式、経済事情の参酌、そういうものも当っていかなければならない、かように考えております。
○石田(宥)小委員 まあ一つ、われわれの多年の要望でありますから、その線に沿うて準備を進めていただきたい。 それから、もう一点伺っておきますが、先般資料の御提出を願ってここで審議をいたしました予約減税の問題であります。これは質疑をいたしました当時もはなはだあいまいな点が多かったようでありますが、なおその後農業団体側でかなり広範な資料を集めて計算をしているようであります。どうも当時私が指摘したような点が明確になってくるようです。そういたしますと、所得税の十五億、住民税の八億という数字がかなり大きく変ってくるのではないか。同時に、所得階層によるけれども、石当りにしても相当にマイナス部分が出てくる、持ち出しの部分が相当出てくる、こういことがやはり資料に明らかになってくるようです。従って、この問題は、予約を開始するまでに明確にしなければならない問題であります。特に本年度の米の買上量はかなり多く計画を立てられたようでありますが、そういたしますと、予約減税があるかないかということが、かなり米の集荷上に及ぼす影響が大きいと思いますので、当局でもやはり、大蔵省や自治庁とも連絡をとられまして、もう一度試算をしていただきたい。同時に、これを廃止するということは、農民のほんの一部の階層には若干プラスの面があるのではないかと思いますけれども、全体的に見てはなはだしく不利益であるというわれわれの考え方がいろいろな資料によって正当づけられた場合に、これは長官の分野でなくてもっと政治的な問題であるかもしれないが、それはそれなりで、やはり長官の手元でよく整理されて、政治的に処理のできるようにしていただきたい。願わくば、この算定方式が明確になるまでやはり温存すべきだ、こういうふうに私どもは考えておりますので、一つそのように努力をしていただきたい。もしどうしても困難だというならば、これは昨年と一昨年は政府提案でありますけれども、それまではずっと議員提案で参っておりますから、また自民党の諸君とも協議をいたしまして、場合によっては議員提出でこれをやることも考えなければならないと思います。これは十分一つ慎重に考慮していただきたい。 それから、もう一点、最近この米の集荷について地方で説明会をおやりになったようでありますが、包装の問題です。先般もだいぶここで紙袋の問題などが出ておるようでありますが、食糧庁は麻袋を使用するということに——もちろんこれは任意制であることは言うまでもないことでありますけれども、麻袋を使用するということに踏み切ったようでありますが、紙袋との関連、それからまた紙袋ならば国内で生産できるけれども、麻袋となりますと国内ではとうていまかない切れるものではないのであって、ほとんど輸入に依存しなければならないということにもなりますので、それらの関係はどういう事情で麻袋ということに踏み切られたか、一つ御説明を願いたいと思います。
○渡部(伍)政府委員 第一の予約減税の問題は、先生は私の方の手持ちの資料があいまいだとおっしゃるようですけれども、これは非常にむずかしい問題でございまして、今の所得税を納める農家は米だけの収入による所得税じゃありませんから、従って、私の方で、米についての所得、それに関連する所得税あるいは住民税ということで割り切って説明しておりません。そこで、結局国税庁のそういう包括的な資料から推定して、米販売農家はどのくらいの所得税のウエートを持っているであろうかということでやっておるものですから、いろいろな制約で説明が十分できておりません。そこで、私どもの方では、大局的には私の方の考え方でいいと思いますけれども、しかし、これは従来の制度を変えることでございますから、慎重にやるべきが当然でございますので、今月の末くらいまでに実態調査をいたしまして、その上で既存の資料に基いて判定したことが果してこの際強行していいかどうかということを最終的にきめる資料にしたいと思っております。これは地方的にまた階層的に利害が相当開くのでありますから、そういう点も十分説明ができるようにした上で実施しなければならないと思っております。 それから、包装の問題でありますが、現在麦には古麻袋を使用しております。そこで、麦に新麻袋を使わしてもいいじゃないか、これは大体私どもも腹をきめております。米に麻袋を使うかどうかということにつきましては、これはもう少し検討しなければならないと思います。現在軟質米地帯と硬質米地帯の関係がございまして、技術的にも問題が少しある。それからまた、麦だと、わら工品に対する影響が比較的少い。しかし、米に麻袋を使うということになれば、すぐ紙袋の問題も追っかけて出てくるということになりますので、わら工品生産地帯の状況ともにらみ合せて慎重に取り上げなければならぬであろう。今秋の方では、これを画一的に全国的にやるとしても、——やるつもりはございませんが、府県のわら工品の生産事情等をにらみ合せて、そしてかりに俵、かます以外のものを使うにしても、徐々にいけるようにするにはどうしたらいいかということを、府県の経済団体、農業団体、食糧事務所と具体的に検討して、もしやるとすればどういう順序でしたらいいかということを県ごとに意見をまとめてみてくれ、その上でこちらが判定して、やる時期なり方法なり、何年度からやったらいいかということをきめたい、こういうことで調査をしておる段階でございます。昨年ごろまでは麻袋とか紙袋を使うということについては全然そういう具体的な問題に入っておりませんでしたけれども、多少具体的に、これは一方、麻袋なり紙袋を使わしてくれという、強制をするのでなしに使う方法を認める、ほかの商品ならばそういうやかましいものはないのだけれども、米は全部政府が買うのだから、政府がそういう道を開くのが当然である、こういう強い要望も一方ではございますから、具体的に検討いたしておる、こういう段階でございます。
○今井小委員長 本日はこれにて散会いたします。 午後三時二十九分散会