農林水産委員会 第15号
- 発言数
- 7 件
- 登壇者
- 3 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1959/02/28
会議録
○吉川(久)委員長代理 これより会議を開きます。 内閣提出、小かん加糖れん乳等の製造の用に供するため売り渡す国有てん菜糖の売渡価格の特例に関する法律案、日本てん菜振興会法案、及び臨時てん菜糖製造業者納付金法案の三案を一括して議題とし、審査に入ります。 まず三案の趣旨について政府の説明を求めます。 —————————————
○石坂政府委員 ただいま議題となりました小かん加糖れん乳等の製造の用に供するため売り渡す国有てん菜糖の売渡価格の特例に関する法律案外二案につき提案理由を御説明申し上げます。 まず、小かん加糖れん乳等の製造の用に供するため売り渡す国有てん菜糖の売渡価格の特例に関する法律案の提出理由を御説明申し上げます。 御承知の通り、今回、畑作振興の一環といたしましてテンサイ生産等のより一そうの振興をはかり国内産甘味資源の自給度の向上を期するため、砂糖に関する関税と消費税との振替が行われることになったのでありますが、この措置によりまして、現在その原料として使用する砂糖の消費税が免税となっておりまする小カンの加糖練粉乳につきましては、その資源として使用する砂糖の原価が消費税額の引き下げ分一キログラム当り二十五円六十七銭だけ一挙に増大することとなるのであります。これは、最近における酪農乳業事情等にかんがみまして、主として一般家庭の育児用として消費されているこれら乳製品の消費者価格の上昇あるいはこれら乳製品の原料乳の生産者価格の値下げなどの好ましからぬ結果を招くおそれがあり、その与える影響は大きいと考えられるのであります。 ここにおきまして、政府は、新たに法律によりまして、当分の間、食糧管理特別会計において買い入れたテンサイ糖を、政令の定めるところによりまして、これら乳業者に時価よりも低い価格で売り渡すことができることといたしまして、今回の税制改正による関税への振りかえ分が、これら乳製品の消費者価格や原料乳の生産者価格にはね返るのを防止し、もって、これら乳製品を適正な価格で消費者に供給するとともに、生乳の生産者価格の安定に資することとし、あわせてこの措置によりましてテンサイ糖の消費の拡大にも資したいと考えるのであります。 以上がこの法律案の提案の理由及びその内容の大要でございます。 次に、日本てん菜振興会法案につきまして、その提案理由の御説明を申し上げます。 わが国における畑作農業の振興と農業経済の安定をはかるとともに、海外からの輸入に対する依存度の高い砂糖の需供事情を改善することによって外貨を節約し、国際収支の改善をはかり、ひいては国民経済の安定に寄与するためには、この際、国内甘味資源の自給度の向上、特に最近において急速な発展を見せておりますテンサイ生産及びテンサイ糖工業につき、その健全な発展を確保することが緊要でありまして、このため、政府としては、今回テンサイの振興に関する一連の措置を講ずることといたしたのであります。 今このテンサイ振興措置の主要な内容を申し上げますと、まず第一には、原料テンサイ栽培の長期計画の樹立、原料テンサイ価格の安定、集荷区域の調整並びに新設工場設置の調整等を行うことによってテンサイ栽培の基礎を固めることであります。 第二には、関税税率及び砂糖消費税率の適正化によってテンサイ糖工業の自立を促進する条件を作り、さらに、原料価格の安定及びテンサイ糖工業の自立の促進のため、てん菜生産振興臨時措置法に基く今後の政府買い入れの具体的方針を明示いたすとともに、糖価の安定をはかるため砂糖の輸入の調整等の措置を講ずることであります。 第三には、新たに日本てん菜振興会を設置し、テンサイの試験研究等を強力に推進いたすことであります。 第四には、関税及び消費税の改定措置によって特別な利益を生ずるテンサイ糖製造業者から法律に基いて納付金を徴収することであります。 第五には、北海道以外の地域についてもテンサイ振興の措置を講ずることであります。 以上のテンサイ振興のための具体的措置方針に基き、今回日本てん菜振興会法案を国会に提案し、その御審議を仰ぐことといたしたのでありますが、以下この法案について御説明申し上げます。 テンサイの生産の振興のためには、試験研究及び生産奨励体制を急速に整備し、その強力な推進をはかることの必要なことは言うを待たないところでありますが、テンサイの生産とその試験研究の特殊性を考慮して、特別法人を設立し、農民及びテンサイ糖製造業者等の意見を十分に反映させ、試験研究と生産奨励事業とを一体的に運用することが最も適切と考える次第であります。この法案は、このような目的を達成するために設立する特別法人日本てん菜振興会の組織、業務、管理等に関する事項を定めたものでありまして、そのおもな内容としては、おおむね次の通りであります。 先ず第一に、この振興会の資本金は、当初一千万円とし、政府がその全額を出資することとし、その後必要に応じて政府より追加出資ができることといたしております。 第二に、この振興会のおもな業務は、テンサイの試験研究、テンサイの原原種及び原種の生産及び配布、受託して行う優良なテンサイの種子の生産及び配布、委託して行うテンサイ糖の製造に関する技術の企業化の試験研究並びに国内産のテンサイ糖の消費の増進をはかるための普及等であり、さらに、以上の事業のほか、振興会は、テンサイの生産の振興及びテンサイ糖工業の健全な発展に寄与するための事業を農林大臣の認可を受けて行うことができることといたしております。 第三に、この振興会の組織といたしましては、役員の定数、任免等についての規定を設けるとともに、広く関係者の意見を聞き業務の円滑適正な運営を期するため、学識経験者十人以内で組織する運営審議会を設け、業務の運営に関する重要事項を調査審議させることといたしております。 第四に、振興会の財務及び会計につきましては、収支予算、事業計画等につき、あらかじめ農林大臣の認可を受けることとし、その他、借入金をすること及び余裕金の運用等についても所要の監督規定を設けることといたしております。 第五に、振興会を設立するため必要な手続規定を設けております。 以上、テンサイの振興につきましての今後の政府の具体的措置について申し上げますとともに、その一環としての法律措置であります日本てん菜振興会法案のおもな内容について御説明申し上げました。 さらに、臨時てん菜糖製造業者納付金法案につきまして、その提案理由の御説明を申し上げます。 畑作農業の振興と農家経済の安定をはかるとともに、国内の甘味資源の自給力を強化するため、政府は、今回テンサイの振興のための一連の具体的措置を講ずることといたしたのでありますが、その具体的措置の一環として、国内産テンサイ糖の保護に資するため、大幅に砂糖の関税率を引き上げ、砂糖の消費税率を引き下げることとしたのであります。 この措置によって今後国内テンサイ糖製造業者は自立が可能となると考えられるのでありますが、この振替措置は、大部分のテンサイ糖製造業者が自立できるよう、適正な利潤を見込んだ新設の工場の標準生産費を基礎としております関係から、その固定資産の償却が著しく進んでいる特定のテンサイ糖製造業者につきましては、この振替措置の結果、反射的に特別な利益が生ずることとなるのであります。すなわち、固定資産の償却の著しく進んでいる特定のテンサイ糖製造業者も、従来の関税及び消費税の体系のもとにおいては一般市場に販売することができなかったので、勢いてん菜生産振興臨時措置法による政府の買い入れに依存する以外に方法はなかったのであります。この場合、政府の買い入れ価格は、その生産費を基準として定められることになっておりますので、他のテンサイ糖製造業者に比較して特別な利益を生ずる余地がなかったのでありますが、今回の振替措置の結果、適正な利潤を確保し得て自立できるのみならず、その固定資産の償却が進んでいることからする低額の生産費に応じ、今後におけるテンサイの生産により特別な利益が生ずることとなるのであります。この特別の利益は、関税の引き上げ、消費税の引き下げという制度の切りかえによって生ずるものであって、これをそのまま放置いたしますならば、テンサイの生産の現状とテンサイ糖工業の特殊性から、テンサイ糖製造業者間における公正な競争の基礎が失われることになるものと考えられます。 また、このような特別テンサイ糖製造業者が今回の振替措置によって他のテンサイ糖製造業者に比し著しく有利な立場に立つに至った事由の一つは、てん菜生産振興臨時措置法に基く政府の買い入れ措置によるものであることも事実であります。従って、今回法律措置によってこのような特別利益を国庫に納付させることによって利益の調整をはかり、もってテンサイの生産の振興とテンサイ糖工業の健全な発展に寄与しようとするものであります。 以下この法案の概要について御説明申し上げたいと存じます。 まず第一に、この法律によって政府に対し納付金を納付すべき者、すなわち納付義務者は、第二条に規定するところでありますが、てん菜生産振興臨時措置法施行以来すなわち昭和二十九年から昭和三十三年まで毎年引き続いてその製造したテンサイ糖の全部または大部分を政府に売り渡していたテンサイ糖製造業者が本年一月一日現在テンサイ糖の製造の用に供していた製造場についてこの法律施行以来テンサイ糖の製造を業とする者であります。具体的にこの規定を適用いたしますれば、納付義務者の範囲は、日本甜菜製糖株式会社が現に所有する帯広、磯分内、士別の三工場について今後テンサイ糖の製造を行う者となるのであります。 第二に、納付金の額でありますが、このような特別テンサイ糖製造業者が前記の製造場において製造したテンサイ糖を昭和三十四年十月一日から昭和三十九年九月三十日までの五年の製糖期間においてその製造場から移出したときは、その移出した重量に応じ一キログラム当り六円の割合で計算した金額を毎年一カ年分をまとめて十月三十一日までに政府に納付させることにいたしております。 第三に、その製造場が災害によって著しい損害を受けた場合または長期にわたり砂糖の価格が異常に低落した等の場合には、納付金を軽減または免除することができることとするとともに、砂糖の価格が政令で定める価格水準より低落した場合等には、政令で定めるところによって五年を限りその納付金の徴収を猶予することができることとしております。 第四に、その他の納付金の徴収及び督促等についての手続規定を設けるとともに、納付期限までに納付せず、さらに督促状に指定する期限までに納付金を納めないときは、国税滞納処分の例によりこれを処分することとしております。 以上臨時てん菜糖製造業者納付金法案のおもな内容について御説明申し上げました。 以上をもちましてこの三案の提案理由の御説明をいたしたわけであります。何とぞ三案とも慎重御審議の上すみやかに御可決下さいますようお願い申し上げます。 —————————————
○吉川(久)委員長代理 次に、内閣提出、酪農振興法の一部を改正する法律案を議題とし、審査に入ります。 まず本案の趣旨について政府の説明を求めます。石坂農林政務次官。 —————————————
○石坂政府委員 ただいま議題となりました酪農振興法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明申し上げます。 戦後わが国の酪農は、農業経営の近代的改善等をはかるとともに、また国民食生活の改善に資するために最も緊要なものとして、目ざましい発達を遂げてきたことは御承知の通りであります。牛乳及び乳製品に対する需要もまた著しく伸長し、ときにはその増産にもかかわらず品不足という現象が生ずることすらあったのであります。このような酪農事情のもとに、昭和二十九年、酪農を急速に発達させることを目的として酪農振興法が制定され、今日に至っております。同法は、酪農の合理的な発展の条件を整備するため、農林大臣による集約酪農地域の指定及びその地域についての都道府県知事による酪農振興計画の制度並びに生乳等の取引の公正をはかるための契約文書化等に関する措置その他を定め、酪農の急速な普及発達を期することを内容といたしております。 法律施行後現在までにおいて二十六道県において七十五の集約酪農地域が指定され、この地域における乳牛の頭数は約三十万頭、牛乳生産量は年間約五十万トン——約二百七十万石と飛躍的に増大し、その他の地域におけるものを加えますと、全体では乳牛約七十四万頭、年間生乳生産量約百五十五万トン——約八百四十万石に達するに至ったのであります。この間牛乳及び乳製品の消費もまた若干の波こそあれ生産の伸びと並行して急速に伸長して参りました。 しかしながら、最近に至ってこの消費の伸長率もようやく鈍化し、一般経済情勢の影響もあって、牛乳、乳製品の過剰化の傾向が逐次現われるに至り、特に昨年夏におきましては、乳業者から夏乳価の引き下げが生乳生産者に通告されるような事態が生じ、これを契機といたしまして、乳価、牛乳及び乳製品の需給、牛乳の取引、牛乳及び乳製品の消費等の各般にわたって酪農に関する種々困難な問題が顕在化して参ったのであります。 政府といたしましては、このような事態に対し、関係業界の自主的な努力を期待するほか、特に牛乳、乳製品を学校給食に振り向けること等の緊急対策を実施いたしたのであります。また、第二十八国会において成立した法律に基く酪農振興基金の業務も開始せられております。この緊急対策等の効果を維持し、さらに酪農を健全に発達きせるためには、酪農経営の改善合理化を計画的に進めるとともに、生乳取引の公正化をはかる措置を一段と強化し、また牛乳及び乳製品の消費を増進し、過剰乳製品について適切な計画保管を行う道を開く等、実情に即した措置の制度化を進めることが緊要と認められる次第であります。 以上がこの法律案の基本的な理由でございます。 以下この法律案の主要な内容を御説明申し上げます。 第一に、以上に申し上げました基本的理由に基きまして、牛乳及び乳製品の生産から消費に至るまでの各段階を均衡きせつつ酪農を健全に発達させるように、この法律の目的を改めることといたしました。第二に、市町村長による酪農経営改善計画の作成とその実施に関することであります。すなわち、集約酪農地域内はもとより、地域外の適当な酪農地域について、当該市町村長は、その区域内の酪農経営農業者や農業協同組合等の意見を聞いて酪農経営改善計画を作成することとしたのであります。この計画の作成に当りましては、都道府県が助言、勧告その他の援助を行うこととし、また、その実施につきましては、国が必要と認める経費の補助を行い、必要な資金の融通のあっせん等を行うことといたしました。また、計画に含められるべき事業中特に重要な草地改良事業につきましては、市町村、農業協同組合または同連合会がこれを実施する場合にも、都道府県が酪農振興計画に基いて実施する草地改良事業に関する規定を準用することといたしております。 第三に、集約酪農地域にかかる酪農事業施設についての都道府県知事に対する届出制を設け、その配置を適正なものとするために都道府県知事が勧告を行う制度を設けたことであります。 第四に、生乳等の取引をより一そう公正化し、または、その安定に資する等のために、次の三点について規定を追加改正したことであります。従来の生乳等の取引契約の文書化等に関し規定してあることのほか、契約内容中の価格、数量等の重要事項につき、期間開始前に十分協議して約定することを努めさせることといたしました。 生乳等取引に関し、生乳等の販売事業を行う農業協同組合等の乳業者に対する生乳等取引に関する契約または団体協約の交渉申し込みについて応諾させるために、農林大臣または都道府県知事が必要があると認められる場合、勧告することができる制度を設けることといたしました。 さらにまた、生乳等の取引に関する紛争のあっせん等について、現行制度を改め、地方及び中央においても紛争のあっせんまたは調停ができることといたしました。地方においては、知事はみずからあっせん及び調停を行うこととし、さらに、一定の場合には、農林大臣が中央生乳取引調停審議会の委員の中から調停員を選び調停を行わせることといたし、これらに関する規定を設けました。 第五は、酪農の健全な発達に資するため、国内産の牛乳及び乳製品を学校給食用に使用することを促進して消費の増大をはかるための措置を講ずることを法定するとともに、その他の消費増進に関する措置についてもあわせて規定することといたしたことでございます。なお、国は学校給食にかかる措置の実施に要する経費を補助することができることといたしました。 第六は、緊急の場合における乳製品の計画的保管に関する規定を新設いたしたことであります。この場合には、農林大臣は文部大臣に協議し、かつ酪農振興基金の意見を聞いて、学校給食に供し得る乳製品を乳業者が保管する場合の計画を定めることができることといたしました。この場合におきまして、国は保管に要する経費を補助することができることといたしております。 第七は、以上の各改正に伴い、農林大臣または都道府県知事の報告徴収及び立ち入り検査の権限につきまして、その適用の場合及び対象を広げることといたしたことであります。 以上がこの法律案のおもな内容でございます。何とぞ慎重なる御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願いいたす次第であります。
○吉川(久)委員長代理 これにて四案の趣旨説明は終了いたしました。 なお、四案に対する質疑は後日に譲ります。
○赤路委員 資料の要求をいたします。日本てん菜振興会法案の関係でございますが、振興会の事業計画案ができておると思います。その事業計画案を提出していただきたい。
○吉川(久)委員長代理 次会は来たる三月二日午後一時より開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後一時四十八分散会