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31回国会衆議院1959/02/10

農林水産委員会 第7号

発言数
63
登壇者
7
会派数
2
開催日
1959/02/10

会議録

松浦周太郎自由民主党

○松浦委員長 これより会議を開きます。  農林水産業の振興に関する件について調査を進めます。  本日は、先般承わりました農林水産行政の基本施策及び三十四年度農林関係予算について大臣に対する質疑を行います。質疑の通告がありますので、これを許します。角屋堅次郎君。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋委員 私は、先般農林大臣から昭和三十四年度農林関係予算の問題を中心にして関係法案の趣旨並びに今後の農林行政の基本方向についての説明があったわけでございますが、この問題に関連をして、重点的に二、三の質問を行いたいと思います。  まず第一に、三浦農林大臣は昨年農林大臣に就任以来すでに半歳を経過しておるわけでございますが、過去半歳の三浦農政というものを顧みますと、たとえば蚕糸の問題におきましても、あるいはまた酪農の問題におきましても、いわゆる後手々々を引きまして、よろめき農政の実態を示した、残念ながらこういうふうに感ぜざるを得ないわけでございます。私は、特別国会の冒頭に農林大臣に対しまして総括質問の際にも、農政の先輩であり、その手腕、施策に大きな期待を持っておるということを申し上げたのでございますが、遺憾ながらその後の実績は私どもの期待を裏切る点が多々あったろうと思うのでございます。しかし、年改まりまして、新しい昭和三十四年度の農政展開に当りまして、予算も決定され、関係法案も示されたわけでありますから、この機会に、心を新たにして、いわゆる六百万農家並びに百万になんなんとする漁民のために、大いに活動願わなければならぬと思うわけでございます。  そこで、大臣のいろいろ話の中にも出ておることでございますけれども、終戦後の農林水産関係の経緯を見て参りますと、第一次産業としての後進性というものがだんだん露呈されて参りまして、いわゆる第二次、第三次産業との較差が大きく出て参っておるわけでございます。そうして、農家所得方面を見ましても、あるいは農業、漁業、林業等におけるところの実態を分析いたしましても、幾多問題をはらんでおりまして、いわゆる農政の転換期に来ておるということも言われておるわけでございます。  そこで、まず大臣にお伺いをしたいわけでございますが、今度の昭和三十四年度の予算を編成するに当りまして、去年の年末に決定するまでの段階の中で、当初千五億程度の査定があり、その後五十数億の増額がありまして、千六十三億というふうに農林関係予算では決定をされたわけでございますけれども、予算編成の経緯で私どもが常に野党の側から見ておりまして感ずることでございますが、新しい年度の農林水産行政として、確固たる基礎の上に立って、あるいは土地改良の面においても、あるいは開拓の面においても、あるいはその他いろいろな諸施策においても、新しい年度にはこれだけのことをこういうふうにやらなければならぬという前提に立っての予算決定ということでなければならぬと思うのですが、一般にも言われますように、つかみ予算だ、こういうふうな批判を受けるような予算の決定の方式というのは、いかがかと思うわけでございます。同時に、きまりました農林関係全体の予算の場合も、私どもは、前々から、終戦後の農林予算の経緯を見ました場合に、だんだんと一般会計全体の予算の中における農林予算の後退ということを痛感せざるを得ないのでございます。今度の場合におきましても千六十二億、前年度対比五十五億の増加ということが言われておりまするけれども、しかし、一般会計そのものが全体的に膨張しました関係上、総予算におけるところの農林関係予算の比率は、従来の七・八%から七・四%に低落をする、こういう現況にあるわけでございまして、予算全体の総ワクから申しましても、いわゆる保守党農政として真剣に今日の苦難な農林水産に対処する予算を編成したとは考えられないわけでございます。こういう問題につきまして、昭和三十四年度の予算の編成過程並びに決定した予算のこの内容をもって、今日の曲りかどにきておるという農政を推進するに十分対処し得る予算であるかどうか、この点についてまずお伺いしたいと思います。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○三浦国務大臣 角屋君から来年度の予算編成についてのいろいろの批判がございましたが、私どもとしましては、第一に、長期的な観点をもちまして長期にわたって施策をしなければならぬ問題は、たとえば、今御発言にありました通り、土地改良であるとか、あるいは漁港の整備であるとか、これらはいずれも、従来農林省が持ってきておりました長期的な計画に即応しまして、そしていわゆる積み上げ方式でもって予算の編成をいたし、これを財務当局といろいろ折衝しておることでございまして、決してただ単につかみ金でもって解決して、これをもって足れりとしているようなことではございません。われわれとしましては、総額等におきましてももとよりだんだん拡大して参りたいという所存でございますけれども、すでに本会議で明らかにされました通りの予算編成方針に即応して、結果としまして、前年に比して大幅な増額は期待できなかったのでございますけれども、重点的に今のしようとする土地改良その他の面におきましても所定の予算を獲得をしましたし、同時にまた、農林省としましては長い間の懸案になっている事項等も相当解決していきましたので、来年度の決定をいたしたようなことでございまして、今後といえども、われわれ、万全を尽して、予算の策案なり、同時に農業政策の進展に寄与いたしたい、こういう考えでございます。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋委員 農業問題を考えます場合にも、あるいは漁業問題あるいは林業問題を考えます場合にも、農業一般、漁業一般こういう形で対策を講じないことは当然でございまして、やはり、農業の実態あるいは漁業の実態、こういうものの中身を見まして、そして、たとえば農業の場合で言えば、土地を比較的持っている、経営も豊かな富農層、あるいはその中間にある中農層、あるいは大体七割近くを占めているといわれる零細農、こういうふうな日本農業の実態というものの上に立って、国の農政についてどこに力点を注いでやっていくか、具体的に予算が決定されおろされる場合にも、どこにそれが均霑をしていくか、こういうことを責任を持って考えなければならぬかと思いますが、漁業の場合で考えましても、同様にこれは、遠洋漁業なり沖合いなり、沿岸漁業なり、さらに、資本の中身から見ましても、資本漁業といわれるものもあれば、また零細なる漁民のほんとうにその日の労働でかせぐというふうな経営の実態もあるわけでございます。従いまして、農業の問題にいたしましても、漁業の問題にいたしましても、あるいは山林関係の問題にいたしましても、農政一般として消化してしまう、解消してしまうということはできないわけでございますが、私どもは、従来から、保守党の農業政策というものは、ややもすればいわゆる上層階層のところに国の施策の恩典が行って、その下にある零細なる農漁民の方面にはその施策の均霑が行かないというふうな観点から、三割農政である。こういうふうな批判もしてきたわけでございますけれども、今日のような農林水産業の実態になって参りますと、農政を実施する心がまえとして、やはり、最も大多数を占め、そしてまた最も呻吟をしておる零細なる農林水産関係者に対して国の農林水産行政としてどうやるか、こういうことが必要な段階であると思いますが、そういう観点から見まして、新しい三十四年度予算あるいはそれに関連する法案の中において具体的にどういうふうに考えておるかという点を明らかにしていただきたいと思います。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○三浦国務大臣 農林漁業の政策転換につきましては、先ほど申し上げましたように、長期的な計画によるべきものを重点にとっておる、こう申しましたが、しかしながら、実行の面に至りましては、今御指摘にありました、ただ単に富農もしくは富裕階級の者を保護するという制度ではございません。  たとえば、土地改良等におきましても、従来小規模団地の整備事業の拡充ということが叫ばれておったのでございますが、これが直ちにもって零細農だとは申しませんけれども、従来大規模なものに重点を置いておったのでございますが、これが一つの現われであります。すなわち、今度は、従前までは二十七億五千万程度の投資をもちまして小団地の土地改良等をいたしておったのでございますが、本年はさらにこれを拡大しまして六十三億程度の計画に伸ばして参りたい、これらも従来均霑しなかったような零細農関係に関する一つの現われであります。  それから、同時に、山林方面でございますが、昨年以来製炭業者が非常に困っておる。これは需要最盛期まで持ちこたえることができない。つまり、集荷の方面におきまして、生産したものが低落する、それによって非常に困る。これは御承知の通り零細な林業労働者であります。これらに対しまして保護をしていきたいというので、その関係の団体等がこれに対します保管並びに値をささえるという制度につきまして、今度施策を転じて参る、こういうことであります。  第二には、大衆魚、サンマであるとかそういった問題につきましても、零細な漁民にとりまして非常に重大なことでございまして、これらに対しましても価格保持の若干の施策を今度創設いたしました。  これらはやはり今後転換せらるべき農林漁業の政策の方向だろうと思うのでございますが、従来手をつけておりませんでした。これから取り上げて参る。同時に、水産増殖等につきましては、特に零細漁民の方面の施策を強化するということは、昨年来取り来たったものを一そう強化拡大して参る。かように考えておりまして、決して一部富裕な者だけを保護するという制度はとらぬ、今後その方面に力点を置いて参りたい、かように考えております。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋委員 ここ数年来、農林水産関係の団体、特に農業関係の団体において、農業基本法の制定ということが強く叫ばれてきておるわけでございますが、これは今日における転換期を迎えた農林関係の実態から見て自然の形勢かと考えます。政府与党内においても、この農業基本法の問題については昨年来いろいろ検討もされたようでございますが、今度の通常国会を迎えるに当っての政府の態度といたしましては、この問題に関連をいたしまして、農林漁業基本問題調査会を設置する、こういうことにいたしておるわけでございます。もとより、私どもも、農林水産関係の問題はきわめて複雑多岐であり、しかも、これが単に農林水産関係だけで解決できるものでなくて、総合的な、日本の産業構造全体、日本の経済全体の中で考えなければならぬことはわかりますけれど、従来の調査会の経験等から考えてみますと、ややもすれば、今日苦難な事態にある農林水産関係の問題を、すべてこのようなものの中に逃げてしまう。これは大体二年間を目途としておるというふうに承わっておるわけでございますけれども、すべてそれは調査会でやることになっておる。あるいは、新しい昭和三十五年度等の予算要求の場合にも、そういうことで大蔵省その他から農林省に対するところの予算削減に追い込まれる危険なしともしない、こういう感じ等もするわけでございます。この調査会の問題については、政府自身といたしましても、農業の基本方針については大綱的にこういうことを考えておる、そしてこれの具体的な問題についてはもっと調査会で綿密に検討してもらうということでなければならぬかと思いますが、何ら農業の基本問題に対する方針を明示することなしに、単に学者等を集めた会合の中で、二年間かかって何かの答えを出してもらいたい、こういう無方針の姿ではいかがかと思いますし、かりに調査会を設置するということにいたしましても、これは政治全般に関係のある問題でございますから、単に学者等の学識経験者を構成要員とするばかりでなしに、さらに関係の必要な人々を加える、たとえば国会議員その他、当然この問題の中に考慮しなければならぬ者については十分配慮して考えるということが必要じゃなかろうかと思うのですが、この農林漁業基本問題調査会を設置する基本的な態度について、今申しましたようなことと関連をして明確にお答えを願いたいと思います。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○三浦国務大臣 今われわれの前に展開しております農業問題につきましても、農業の成立すべき対象としての土地自体ですら、日本は御承知の通り非常に利用率が少い。統計の示すところによりますと、土地総面積の一八%程度にすぎない。しこうしてこれに従事する者が非常に膨大な人口が控えておる。ここに過剰な雇用を農林は受けているわけでございます。しからば、この問題をどういうふうに切り盛りして参るかということでございますが、農林省の持っております長期的な計画におきましても、これはすでに御承知だろうと思いますが、なお五十万町歩程度の開拓等の予定はいたしております。しかしながら、この予定いたしております土地等につきましても、立地が悪い、あるいは土質等から考えて非常に劣位に立っておる、かようなことでございます。同時にまた、他面、北海道、東北等には機械開墾等を進めておりますけれども、この成果も今後期待しなければならぬと思います。これらの問題等をしさいに検討しまして、その実効を上げるという点につきましても、これは角屋さんも御承知の通り容易ならざることでございます。しかしながら、こういう問題を前提にいたしましても、われわれといたしましては、今後は、ただ単にのんべんだらだらにしてこれを他日に譲っていく、そういう態度は実はとらぬ覚悟でございます。すなわち、農業生産は絶対量もだんだんとふえて参る、しかしながら相対的には第二次産業第三次産業方面に比較しまして所得がだんだん減って参る、こういうことでございます。これはいずれの国といえどもその特質がございまして、われわれは先進国としてのアメリカあるいは西欧諸国のドイツ等々の例を見るのでございますが、これなんかを直ちにとり得ないことはもちろんでございますけれども、それらの国々でも経験しましたことは、やはりわれわれとしても他山の石としてこれを十分見なければならぬのでございます。  さような意味でもって、今後の最大の目標は、これらの農業の地位にかんがみまして、他産業との較差をなくす、同時にまた、年々歳々落ちていきますところの農山漁家の収入をもっと高めまして、これに力点を置くということが最大のねらいどころでございます。  同時に、先ほど御指摘のありました通り、これを予算編成等のための隠れみののようなことにする考えはございません。徹底的な検討を行い、周到な調査を進めてもらいますので、その点はさようなことはいたさない考えでございます。  同時にまた、この運用でございますが、これは今申し上げたような大きな目標ではございますけれども、各部門にわたって相当な検討をしていただくということが必要でございます。終戦後すでに十数年たっておるわけでございますが、この間の検討すら容易ならざることでございますし、そういう意味では学識経験者に思い切ったお働きを願いたいと考えます。同時にまた、国会方面との関係でございますが、国会方面におきましては、この通り常任委員会等の制度もございますし、皆さんの御協力によってその方面との連絡のつき得ることもあろうと思いますし、同時に、調査会等で得ました結論は、あるいは立法に、あるいは予算面に盛ってくる、同時にまた総合的な見地に立ちまして御意見を承わる余地もあろうと思うのでございまして、われわれは、そういう点におきましては、決して国会方面との連絡を欠くわけじゃございません。ただ、しかし、この調査会は、ほんとうに、従来いわば検討し尽されなかった問題を、客観的に、冷静にものを取り運ぶという観点から運用して参りたい、かように考えておるわけでございます。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋委員 この農業基本法の問題につきましては、大臣自身も御承知かと思いますが、われわれ社会党の方におきましても、農政の今後の問題として当面きわめて重要であるという観点から、前々から検討を加えて参りまして、一月の十六日の段階をもって農業基本法要綱案というものを作成をしたわけでございます。もちろんこれは今後さらに十分なる検討を加えなければならぬと考えておるわけでございますが、私どもは、今日の保守政党の農政のもとにおいて、苦難な農業問題あるいは林業、水産業等の問題が解決をするかということについては、大いに疑問を持っておるわけでございます。つまり、今も大臣は開拓問題にお触れになりましたけれども、たとえば開拓問題の場合においても、山林原野の開放を怠り、あるいは農用地の拡大を妨げておる。こういうふうな不徹底な開拓政策に放置しておりまして、未利用地の利用なりあるいは山林原野の実態調査すら積極的に行われておらない、こういうふうな問題もございますし、また、農民の生活協同化等の問題についても、ほとんど熱意らしいものも持たない。零細な独立自営農民のままで、農民のいわゆる団結あるいは協力というものを妨げておるような状態にあるんじゃないか。また、食糧の不足の緩和に伴いまして、だんだんと農民自身の保護政策というものが後退をして参りまして、農林予算が年々減少してきておる事実、あるいはまた、いろいろな補助金政策等がもっと合理的に行われなければならぬと思いますけれども、これが非常に複雑多岐にわたっておりまして、そういうことによって実際に農業の発展というものが抑制されておるというふうな観点に立つわけでございます。従いまして、私どもは、農業基本法の目標といたしまして、日本農業の画期的な発展の問題、あるいは農家の経営を安定させ、農民の社会的、経済的地位を向上させる観点から、零細農の解消なりあるいは農産物価格安定の制度の問題なり、また、今日農村においての潜在失業者、農村二、三男関係の問題で深刻になりつつある雇用問題の解消の問題、こういうふうな各般にわたります目標の前提に立って、農業基本法要綱というものを作成し、今後さらに検討を加えて農政の万全を期するという心構えでおるわけでございますが、先ほどの質問でも関連をしましたが、調査会を設けるということで、あるいは学識経験者等にゆだねるということじゃなしに、当面の農政あるいは今後の農政についてどういうふうな方向に持っていくのかという、もっと基本的な態度をもって調査会を作るなら作る、こういうことでなければならぬじゃないかと思うのですが、重ねてその点についてお伺いしたいと思います。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○三浦国務大臣 社会党で御発表になりました農業基本要綱のことについても、よく拝見させてもらっております。しかしながら、これは、よく皆様の御意見を聞かないと、われわれ正しくまだ理解しにくいのでございまするし、同時にまた、正しい理解のもとに立ってするのでなければ、不用意な発言をするわけに参りませんけれども、皆様の方は基本的には社会主義経済政策をおとりになり、われわれの方は、自由民主党としましても、自由主義の立場をとる。同時にまた、私有財産制度を認めている政党でございます。さようでございますから、おのずからわれわれはその立場に立たざるを得ないのでございます。従いまして、ここに本質的な差異もあり、同時にまた、その皆様方の御案を理解する上においても、それを究明するのでなければ容易に結論が出ないと思うのでございますが、今日は皆さんの御案を批判する時期じゃございません。皆さんはわれわれに対する今の態度をどうするかということでございますが、われわれは、ただ漫然とこの調査会に一任して、そうして出てきたものをどうするという考えではもちろんございません。けれども、しかし、戦前、戦後にわたる従来の農業政策をしさいに、あるいは学問的立場から、あるいは実際の経験上からいろいろ究明してもらいます上におきましては、十分会の機能を発揮させてもらいたいと思うのであります。同時に、先ほど申し上げました通り、農業生産の持続、その生産性の向上ということは、今後といえどもこれは一貫したものであろうと思うのでございます。しかしながら、これを担当しておる農山漁家そのものの経済をどう豊かにして参るか、これがつまり今後の最大のねらいどころでなければならない。西ドイツあたりの考え方もそれに立脚しておるようでありますし、その他の諸国におきましても、最近の農政の傾向はさようになってきておる。ことに、他国はどうあろうと、日本の今後の農政の展開はそこに力点を置かなければならない。そういうことを大きな支柱としまして、今後この問題に対する結論を出していただきたい、これがわれわれの考え方でございます。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋委員 今の大臣の発言の、われわれの農業基本法要綱に対する考え方には、いささかわれわれの考えておるところと違った点がございます。私が聞かんとするところは、いわゆる政府として調査会に臨む農業基本方針はどうかという問題でございましたが、必ずしも明確なる答えがございませんでした。この点は、今後具体的にまたいろいろな問題について追及がなされるわけでございますから、この程度にいたしたいと思います。  次に、時間の関係もございますので、今後具体的な各論の問題について問題を進めて参りたいと思います。  まず、食糧自給度の向上その他の問題と関連をする食糧管理制度の問題から入って参りたいと思います。大臣の方針によりますると、米麦等についてのいわゆる食管の制度というものはそのまま維持していく、こういう方針を明示されておるようでございます。四年来の豊作その他の関係から食糧事情等も相当に緩和してきておることは間違いのない事実でございまして、その関連から輸入食糧等についてもこれが軽減がなされていくということに相なっていることは、ひとえにこれは農民諸君の大きな努力のたまものと言わなければなりませんが、食糧管理制度の問題で想起いたしますのは、これはたしか昭和二十六年でございましたか、講和条約の問題の当時、根本農林大臣の当時に、いわゆる米の統制撤廃という問題が出まして、大きく政治問題化し、ついに大臣自身も退陣せざるを得ないという状態になったことは、私どものまだ記憶にあるところでございますが、私どもがそういう経緯と関連をして心配をいたしておりますのは、どうなるかわかりませんけれども、岸総理大臣のお考えからいきますと、日米安全保障条約の改定問題等については、これはこの通常国会ではむしろ見送って、選挙等の終った臨時国会以降に上程をするお考えのようですが、この日米安全保障条約等の問題は、大きく今後の日本の独立と平和に関する問題でございまして、これの出される中身いかんによっては大きな政治問題になろうかと思います。従来の講和の段階における統制撤廃の問題との結びつき等から私どもが予想をいたしますところでは、食糧事情の緩和その他の問題と関連をして、今こういう方針を示されておりますけれども、いわゆる米あるいは麦等の統制の関係なり、あるいはこういう食糧管理制度の問題について将来変更する考え方があるんじゃないかという懸念もするわけでございます。従来、食糧事情が緩和してくればもう統制撤廃をやったらどうだというのが財界の常識でございます。今日そういうふうな緩和の状況にあるにもかかわらずなおかつ食糧の管理制度を続ける、こういう態度の考え方、さらに、将来こういう問題についてはあくまでも維持していくという見解にあるかどうかを明らかにしてもらいたいと思います。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○三浦国務大臣 食糧管理制度の推移でございますが、これは、当初断行しました当時の重さと今日の状況では、やはり変遷があると私は考えます。すなわち、当時食糧管理を強化しましたことは、御承知の通り、日本が戦争に直面しまして、いわゆる、乏しきを憂えずひとしからざるを憂える、国民平等のもとに食糧を確保しよう、こういうことが当時の最大の課題になっておりまして、これをやるためには強制的な管理制度をしかざるを得ないということになって参ったのでございました。その後この事情を見ておりますと、だんだん食糧事情は緩和して参りましたけれども、なお、日本人の好むところの、希望するところの米等については、まだ完全なる自給の態勢には行っておらぬと思う。そこで、御指摘にありました通り、一部には、この程度の状況になり、かつまたいわゆるやみ米として流通している面を見るならば、もはや解除をしたらどうだという意見もありますことは御承知の通りでありますが、しかし、今日では食管制度の重点は、食糧の公平なる分配、安定した食糧を確保するということはもとより重要ではありますけれども、一面におきましては、これは価格支持の非常に大きな支柱になっていることは申すまでもございません。これによってむしろ安定した生産を持続し、同時にまた消費者に対しましては安定した食糧を確保していく、こういうことでございますので、われわれはこの歴史的なだんだんの発展の過程も忘れてはならぬと思っているのでございます。従いまして、今日のわれわれの信念は、決してこの食糧管理制度を撤廃し、自由にするという考えではございません。ただ、しかしながら、この膨大な管理機構のもとにやっております問題には幾多の問題が包蔵されていることは申すまでもございませんから、これらの問題についても検討を重ねて参りたい。同時にまた、支持政策をとりましても、この間にまたいろいろな問題があります。国庫の負担の問題もありまするし、同時にまた、いかように支持価格制度をとるかという問題にも——やがてまた御質疑があるかもしれませんけれども、価格の決定等もありますで、これらにつきましては抜本的な検討を加えて整備して参りたい、かように考えておる次第であります。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋委員 食糧の増産問題に関連をいたしまして、土地改良あるいは開拓政策の問題についてお尋ねをしたいと思います。  まず、土地改良関係の問題につきましては、本年度から、同一水系の開発、こういう考え方で、国営あるいは県営につながる一貫作業ということを水系別に打ち出して参っておるわけでございますが、私どもは、この考え方そのものは一つの行き方としてけっこうだと思いまするけれども、そういう水系別の一貫的な事業計画というものと、一般に取り扱われておる計画との段差というものが生じないのかどうか、こういうふうな点が一つの問題になろうかと思いまするし、同時に、これが国営あるいは県営その他の補助率等のアンバラの問題等とも関連をいたしまして、そういう点がさらに大きく心配にもなって参るわけでございます。同時に、土地改良関係の問題といたしまして、私どもが各地区を回りましていろいろ問題としてお聞きします点では、土地改良を実施をする、あるいは災害復旧で一つの仕事を実施をする、これが予定の計画年度で達成されない。金も来ないから、結局農林中金その他で金を借りてそして仕事を進めていく。当時、国庫負担はどれだけ来て地元負担はこれだけだから、地元負担はこの程度で済むと思っておったのが、計画が伸びあるいは政府の金がじきじきにおりてこないということ等から関連をして、どんどん利子等が加わって負担がかさんでくる。結局そういうことから土地改良区におけるところの不振問題と申しますか負債問題というものが幾多生じておるのでございます。私はちょうど数日来自分の地元の方に帰りまして離島その他いろんなところを歩いたわけでございますけれども、そこでも聞きましたことは、たとえば漁港その他の二十八年災の災害復旧問題における金が予定通り政府からおりなかったために、中金等からこれを借りて、当初地元は一割負担でいいと思っておったところが、利子その他を重ねてくるというと、今日では三割にも四割にもなってきて、にっちもさっちも問題が解決をしない、こういうことから、数年前に当時の町長であった者が自殺をする、こういうことにまで相なった事態を承わっておるのであります。これは、愛知県の場合でも、豊浜町でございましたが、同じような問題があったと記憶しておりますけれども、土地改良の問題を進めるということはけっこうでございますけれども、これが計画的に実施をされない、実施が遅延をしてくる、あるいは金等も計画的におりてこない、こういう問題から、特に災害復旧等の場合には、金がおりようとおりまいと、災害復旧は早期にやらなければならぬという地元の要請には当然こたえなければならぬということで、これを推進する責任者としては積極的にこれをやろうとする、ところが、あと金の始末の問題でにっちもさっちもいかず、頭痛はち巻をするというのが全国に多く散在する例でございましょう。  こういう問題から、私は、土地改良の問題に関連をして、一つは、そういうことで負債を生じあるいは処理に困って焦げつき状態になっている、そういう改良区に対するところの対策を政府の責任においても考える必要があるんじゃないか。たとえば、農業団体の場合にも、あるいは漁業団体の場合にも、あるいは開拓組合等の場合にも、不振の状況にある場合にはこれに対して特別な配慮を払うということがなされるわけでございまして、そういう意味から言って、終戦後今日まで大きく進めて参りました土地改良事業の推進の過程において、今日多くの土地改良区においてこういう苦悩の問題を抱えておる、これをどう対処するかということは、これは一つには政府の計画なりあるいは計画の推進なりに一つの大きな責任があるわけでございますから、そういう観点から、低利の、据え置きも長くした融資等によってこの負債等の処理をしていくということが、今日の土地改良事業を進めていくための前提条件ではないかと考えておるわけでございまするし、同時に、大体三年なり五年なりの計画で進めるつもりでおりましたところが、七年なり十年なり、ひどいのになりますと十年以上も経過する、こういうことにも相なっておるところもあるわけでありますから、こういうすでに着手したところの土地改良区で、七年以上経過してまだ終ってないというところについては、まずこれを重点的に処理をする、しかもこれはだらだらやるのでなしに少くとも最小限三年以内にそういう残っておるものについては完成をしていく、こういう心がまえも必要じゃなかろうかと考えるわけでありますが、こういう土地改良事業に関連をした具体的なそれぞれの地域にある問題に対して、どういうお考えで対処されようとされるか、お考えをお聞きしたいと思います。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○三浦国務大臣 われわれは今後基本的な対策を見出したいということで申し上げたのでございますが、今の第一次産業に対しまする政府のいわゆる投資、——財政支出並びに投融資等をあわせての政府の投資でございますが、この面において非常に欠けておる。これがつまり日本の農政が進展せざる一つの大きな要因であると思うのであります。従いまして、今後のねらいどころとしましては、第二次産業、第一次産業の間に較差のない、バランスのとれた発展をさせるためには、国民経済の上において、国庫のいわば財政投資、こう言いますか、その投資そのものをもっと拡大するということに基本的の考え方を持っていきたいと思っております。同時に、今度の農地改革の要点は、水系別の計画はよろしいということで大体御了承を得たわけでございますが、この間において国府県営並びに公共団体が調整とれて進むということが重点なのでございまして、今年度は大体土地改良等においても四、五十億の増額になったわけでございますし、この運用につきましては、適切にその方向に持っていきたい考えであります。同時にまた、不振地区等に対しまする、特に災害等におけることを御指摘でございましたが、これは、皆様の御努力によりまして天災融資法等の特別の立法等もせられておるし、同時にまた、組合等の不振地区に対しまする金融措置等もありますから、この運用をはかって、そうして地元の要請にこたえて参りたい。同時にまた、漁港その他につきましても御指摘がございましたが、これは実情に即して最善を尽して参りたい考えでございます。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋委員 今の土地改良に関連した私の質問に対して、大臣のそういう考え方で今日の土地改良区のいろいろな不振問題というものが解決できるとは、これはあまりにも現状の認識が甘いと私は思うのでございます。時間の関係もありますが、いずれにいたしましても、今後土地改良事業を推進するに当って、終戦後の食糧増産のかけ声のもとに強力にしかも短時間の間に行われて参りました土地改良事業の今日の段階において、実態を見ますと、幾多解決をしなければならぬ問題がひそんでおる。こういう問題については十分具体的に実情を調査して、どう対処するかという方策をすみやかに立てる必要があると思いますので、この点の検討を要請しておきたいと思います。  次に、開拓問題に関連してでございまするが、御承知のように、終戦後の緊急開墾という要請のもとにおいて、戦後大体十五万戸の入植、五十万町歩にわたる農地の造成が行われ、さらにその他にも地元増反の戸数等も相当あるわけでございまするが、従来入りました既入植者の安定対策ということが今日一つの大きな政治問題になっておりまして、関係の本委員会におきましてもこれが安定対策のために従来から努力をされてきておることは、私どもも十分承知をしておるところでございます。しかし、このいろいろな諸施策をもっていたしましても、今日の段階においてなおかつ多くの問題が生じておるわけでございまするが、開拓者の実態等からいろいろ伺いますると、こういう開拓者資金融通法に基いての政府融資資金の貸し付けられておるものの貸付残、こういう問題を一括、新しい開拓者資金融通法の一部改正によって処理をしていく、こういうことを強く要請しておりますが、政府自身といたしましては、この処理に当りましては、いわゆる債権管理法によって、これは債権管理法は必ずしもこの問題のためにできたわけではございませんが、これを引用いたしまして処置をしよう、こういう考え方で従来おられるようでございまするけれども、これは手続も煩瑣であり、もともとそのことのために作られたものでないので、こういうものの処理によって今日のいわゆる政府資金の返済というものが順調に進むとは考えられないわけでございますし、同時に、やはり、既入植者の安定対策としては、特に政府の融資面についての低利、長期にわたる貸付措置、借りかえ措置を講じて、そうして、それ以外の公庫であるとか中金であるとか、あるいは自創資金であるとかいう方面の返済を促進をさしていく、こういう態度が私は必要じゃなかろうかと思うわけでございまするが、この際、政府自身といたしましては、開拓者資金融通法の一部改正によって、抜本的に政府の貸し付けておる融資についての長期にわたる計画的な返済によって、今日の既入植者の安定の促進をはかる、こういう御意図があるかどうか、お伺いしたいと思います。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○三浦国務大臣 開拓不振地区につきましては、このたびの来年度の予算におきましても、おくれておるところの建設工事をさらに進める。そのほか資金面につきましても特段の配慮をいたしまして、そして開拓融資保証法の関係につきましても八千万円程度の増資をするというふうな措置をとっております。なおこれに関しましての詳細な点は政府委員から補足説明させますが、そういうような方針によりまして、そして一面において開拓計画の再検討も進んでおるわけでございますから、それに即応して、個々の場合に応じてその不振地区を解消して参る、かように考えております。

伊東正義農林事務官(農地局長)

○伊東政府委員 今、開拓者資金融通法を改正いたしまして、あるいは債権のたな上げをしまして、開拓者の既入植者の安定をはかれという御質問でございますが、来年度の予算におきまして、今大臣から御答弁がありましたように、一つは開拓の保証協会の出資を増額いたしますとか、あるいは開拓者資金融通特別会計の中で、実は、三十三年度におきましては、弁済期に来ました債権の償還を開拓者が七〇%償還するというような前提で三十三年度の予算は組んでいたのでございますが、これを七〇%を三〇%まで下げる、国に返ってくる償還率を非常に落すというような前提の予算も組みましたし、また、実は自作農創設資金の中でも、相当大幅なものを開拓者に貸しまして、従前の高利の借金の借りかえをするというような、いろいろの手段も講じたわけでございます。それで、われわれといたしましては、そういう手段を講じまして、先ほど先生のおっしゃいました国の債権の管理等に関する法律というもので三十四年度はやって参りまして、いろいろ十分調査をしました上で、なおかつ法律を改正いたしましてある程度債権のたな上げをするかどうかというようなことにつきましては、もう少し調査の上で判断をしたいということで、二十四年度の予算におきましては、今の現行法律の改正のもとでやっていくという考えでおります。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋委員 既入植者の安定対策の問題について、これは法律も作られて、今後去年から五カ年間に一戸当り三十五万円の年間所得というところに目標を置いた安定対策を講ずる、こういうことですべり出しておりまするけれども、現実に、今申しましたいろんな負債、こういうもののうちで、特に政府の貸しておる融資等に対するところの温情ある対策を講じて、その他の中金あるいは公庫あるいは自創資金等、そういうものの返済なりを促進をさせる、こういうことでやらないというと、五カ年の間に果して目標にしておる三十五万円の目標に達し得るかどうかということは、遺憾ながらそういうことは言えなかろうと思います。これは、開拓営農の実態調査等を見ましても、今日、所得十万円以下であるとか、十五万円以下であるとか、あるいは二十万円以下であるとかいうようなきわめて低位な所得の開拓農家が多いわけでございまするし、現実に十五万の開拓農家の中では生活保護を受けておるところの農家も少くとも三千五百戸あるというふうに言われておりますが、その後の経緯の中でどういうふうに推移しておるかわかりませんけれども、せっかく開拓地に入りながら、経営面積も、終戦後のどさくさの中で入ったために少い。そして実際にこれから入る新入植者については新営農類型によって相当な安定した将来の経営ができるような方針で進められようとしておりますけれども、そういう新規入植者と戦後緊急に入った入植者との間には極端な面積その他においてもアンバランスが起っておる。こういうものの調整もやらなければならぬ。こういうふうなこととかみ合せて考えてみますと、まず、今後の開拓政策の推進のためには、既入植者の安定を早急にやって、それがモデル地区として今後の推進の実績になるのでなければ、今後の苦難な開拓政策の推進はできなかろうと私は思う。そういう前提の上に立って考えました場合に、今申しました大臣なりあるいは局長なりの安定対策をもってして、果してここ数年の間に営農の目標に到達する安定した状態が実現できるとお考えか、明確にお答え願いたいと思います。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○三浦国務大臣 先ほど来、不振地区に対しまする対策についての重要施策は申し上げたのでございますが、これを縦糸、横糸といたしまして、同時に地方の実情に即した施策の推進をいたしたい、そして所定の目的を達するようにして参りたい、こう確信している次第であります。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋委員 昨年は、御承知のように、酪農関係、さらに蚕糸関係で大きな問題がございまして、冒頭にまことに恐縮でございましたが指摘したような、よろめき農政の実態を露呈したわけでございますが、こういう経験に徴しまして、本年度の新しい酪農対策の問題についてどう具体的に進めていかれようとするか。従来の教訓を生かして具体的にどう進められていこうとするか。酪振法の一部改正等も考慮されておるようでございますが、こういう問題と関連をし、生産、あるいは飼料問題その他等の問題も含めて、基本的な態度について明確にしていただきたいと思います。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○三浦国務大臣 昨年酪農問題がかまびすしくなりまして非常に苦心いたしましたことは同様であります。しかしながら、ただいまのところ、だんだん需給の安定も出て参りましたし、そして、過去におきまするいろいろな施策の欠点を補いまして今度酪農振興法の改正に盛り込んでおり、同時に、予算の措置等も、学校給食の拡大と同時に恒久化、同時に集団飲用奨励、同時に地元に対しまする飼料対策あるいは草地改良等の政策を織り込みまして、総合的にこれを推進するつもりでございます。詳細は政府委員から一通りの説明をさせることをお許しを得たいと存じます。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋委員 局長がお見えにならないので、大臣の今の答弁ではいささか不十分でございますけれども、次に、蚕糸問題に話を進めまして、昨年、蚕糸関係の問題については、海外の需給状況あるいは国内生産の増産状況等とも見合って、需給のアンバランスもあり、価格問題がこれがためにいろいろ紆余曲折を経たことは、私どもも委員会を通じあるいはその他の機会を通じて十分承知しておるわけでございますが、その結果の施策として、今日私どもが養蚕農民の気持からいたしましても心配をしておりますのは、果して政府自身が繭糸価格安定法を今後堅持していく気持があるのか、あるいは全くこれは有名無実であって、単に名前だけにとどめていくつもりであるのか。これは、最近におけるところの繭あるいは生糸の価格引き下げ等の問題を見ますと、現実に、繭なら繭の場合に、それぞれの養蚕農家の生産に要する費用に見合った繭の価格というものはきめられておらない。これは、生産費調査等もなされておりまして、繭の価格をきめるときには、いろいろ合理的な検討の上に立って価格がきめられるわけでございまして、昨年はそういう検討に基いて繭一貫目千四百円ということがきめられたわけでございますけれども、これが実質的には下げられてしまう。こういう状態でありますと、単に、繭糸価格安定法というのは、法が存在するだけであって、有名無実になる。それがために、養蚕農家が今後養蚕業を進める場合にどこによりどころを求めたらいいのか、こういうことが大きな不安の問題であろうかと思います。今度、政府におきましては、こういう観点から、いわゆる日本蚕繭事業団というようなものを作って、その方面にある程度の対処をしようというふうに考えておるわけでございますけれども、これらの実施状況その他を見ますと、かすに時日をもってしなければなりませんし、これが運営が果してそういうふうな要請にこたえるかどうかも相当な疑問があろうかと私は思いまするが、いずれにいたしましても、今日生産増強から減産方向へというふうな形の方針を打ち出しておりますけれども、今後の養蚕業というものをどういうふうに特っていこうというのか。その中においてのまず最も重要な問題である繭糸価格安定法におけるところの繭、生糸等の価格支持について、政府はあくまでもこの法に基いて運営していく方針であるかどうかをお伺いしたいと思います。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○三浦国務大臣 価格につきましては、現在の経済事情に即しましてこれを改定いたしまして、その点につきましては皆様から非常な御非難は受けたのでございますけれども、日本の蚕糸業の将来のためにやはり改定を必要とするという考えのもとにこれを改定したのであります。今後といたしましては、価格安定の制度は依然とります。しかし、従前の法律等はなお検討を要しますので、臨時的措置として臨時措置法の延長をお願いしまして、その間に蚕糸業振興審議会等の御意見も聞いて整備していきますが、価格支持政策はとって参りたい考えでございます。同時にまた、他面養蚕の合理化のための施設を講じ、また、昨年の経験にも徴しまして、生産者が経済的ないろいろな操作をする一つの実質的なよりどころがない、また経済的機構を持っておらないということにかんがみまして、そうして蚕糸業のスタビリティを作るために事業団というものを創設したいという考えでございまして、これらを総合いたしまして今後の蚕糸対策の根幹の施設として参りたいという考えでございます。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋委員 畑作振興等の問題とも関連をいたしますが、米の場合は大体生産量というものはコンスタントにある程度予測ができるわけでございますけれども、畑作の作付というのは御承知のように複雑多岐でございます。従って、価格安定の問題とも関連をして、いわゆる農業生産の生産計画というようなものについて、ある程度政府が一つの骨格的な腹案を持って生産指導あるいは増産指導というものをやる必要がある段階に来ておるのじゃないか。     〔委員長退席、丹羽(兵)委員長代理着席〕 私どもは農村の出身でございますから、ここ数年来の生産と流通、消費の状況から見て、農産物価格の暴落の経験というものをしばしば見聞をしておるわけでございまするけれども、今後の畑作振興の問題と関連をして、いわゆる農林水産物のうちの農業関係に限定をして考えておるわけでございますが、生産計画といいますか、あるいは増産等と見合った計画といいますか、これはもちろん国内の需給ばかりでなくて国際的な需給関係をにらんでの農業観測を基礎にした生産計画というものがなければならぬかと思いますけれども、具体的に今後の農政を進める一つの問題点として私は指摘しなければならぬと思いますが、どういうふうに大臣はお考えか、承わりたいと思います。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○三浦国務大臣 畑作振興の問題は、これは多年の懸案でございまして、従前におきましては施設の周到を期し得ないということでございました。しかし、日本における農業の地位の点から見ますと非常に重大でございます。そこで、本年は、とりあえず、営農改善をするために機械力を導入いたしたいということで、ホイール・トラクターとか、あるいはクローラー・トラクター等を導入しまして営農の改善を進め、そうして機械による振興によって生産力を増強するということが第一点であります。その次には、畑地の生産力上昇の阻害を除くものは、何としましても土壌自体の改良にあるわけでございまして、特に線虫等の畑地土壌の病害虫の防除が必要であろうと考えるのであります。このためには、一面におきまして、従来は手をつけておりませんでしたが、都道府県の農事試験場に専任職員を設置いたしまして、基本的な調査を進める。同時に、これに対する試験研究を推進するということにいたしておりますし、被害激甚地に対しましては防除事業をも行うように進めて参ります。同時に、畑作地帯の培養保全に関する総合的対策のために、畑地地方に関する基本調査事業を取り上げて、これを強力に推進するため所要の予算をとったわけでございます。かくして、これらの制度を将来拡充いたしまして、日本の耕作面積のほとんど半数以上は畑作地でございますから、特にこの方面につきましては、これらを基本としまして、そうして拡充計画を進め、計画的な生産を期待したい、こういうことにして参りたいと存じます。  なお、これに関連しまして、原種の確保が必要でございますので、この方面につきましても所要の予算を計上しております。同時にまた、これは北海道、東北のみならず、テンサイ糖につきましても、これは畑作振興上に寄与し得るものでございますから、暖地方面におきまする試験研究の強化、同時にまた、北海道のみならず東北方面につきましても導入をするということに着手をしたのでございますが、今後適当の措置を講じて畑作の振興を強化して参りたい、かように考えております。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋委員 大臣から、畑作振興、特に私が指摘した畑作における生産計画的なものの樹立、こういう観点については全くお答えがないのでございまして、通り一ぺんの回答のようでございます。水田の場合には作るものがはっきりしておるが、畑作等の場合は、御承知のように、地域性もあり、また作るものも複雑多岐にわたっておる。これがやはり流通あるいは消費等の面においていろいろな価格関係を形成してくることは言うまでもないのでございまして、そういうもののうちで特に重要な畑作等についての計画生産の樹立ということが、その後における流通、消費等と関連をして必要であるし、これがまた畑作を主体とした農家経済に与えるところの影響も大きい。従来私どもが聞きますことは、政府は増産奨励によっていろいろなものを奨励するけれども、それに飛びついてやってみて、やってみた数年後にはそれがだめになってしまって、結局一体何を作ったらいいのかという不安あるいは心配にやられる、こういうような率直な農家の声というものをしばしば耳にするわけでございます。少くとも、農業問題については、何を作るかということは、おのずから、田の場合、畑の場合にそれぞれきまってくるわけでございまして、特に畑の場合には地域性に応じていろいろ複雑多岐にわたっておるわけでございますから、こういう問題についての生産計画、生産指導が今後の農政指導の一つの重要な問題であるということについては、十分一つお考えおきを願いたいと思います。  そこで、流通の問題等についてもある程度触れたいのでありますが、これは他の委員からさらに触れてもらう機会もあろうと思いますから省略いたしまして、農業生産物に関連のあるところの農業の生産資材といいますか、肥料あるいは農機具、農薬、こういうものとの価格のギャップというものが農家経済に大きな影響を与えておるわけでございますが、当面の通常国会の問題の一つとして、肥料問題の点について、御承知の肥料二法案の効果の延長、こういうものが提案されておりますが、これは輸出入取引法の問題との関連の中において今後委員会でも十分論議さるべき問題でありますけれども、今後の肥料こういうものの取扱いについて大臣の考え方を一つ承わっておきたいと思います。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○三浦国務大臣 肥料二法案の検討並びに今後の取扱いにつきましては過般来肥料審議会等で、これは協議会の形式で熟談されたのでございますが、今日の段階におきましてはやはり二法案は必要であるということに大体結論が一致いたしました。ただ、その内容につきましては、業界の方では赤字に苦しむということで価格改定に関する法律案の改正を要望があり、それから同時にまた消費者側においてはこれに対するいろいろな反対意見等もあったようでございますが、これらはすべて現行の法律でもっていくということで大体意見が一致したのでございます。そういうようなことも大体協議会における意見の開陳があったわけであります。それを骨子にして二法案は提出するということでございます。ただ、二法案のうち需給安定に関する農林省関係の法案は、一部字句関係——何もわざわざ官報でもって公表する必要はあるまいということで、この点だけのわずかな修正にとどめまして、あとは従前の通りこれを五年間さらに延長したいということに取り運んで参りまして、いずれ御審議をいただくことになろうと思います。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋委員 問題を転じまして、林業、水産業等の問題について若干重点的にお尋ねをしたいと思います。  林業関係の問題については、最近の木材の需要量の増加等に伴いまして、今後の林業政策ということが一つの大きな問題になるであろうと思います。しかもこれは海外からの外材の輸入の問題、国内生産の問題、これがからむわけでございまして、この問題については、戦前の状況でいきますと、需要量が七千五百万石、そのうち国内が五千万石、外国から二千五百万石、こういう程度であったのが、昭和三十二年度の統計から見ますと、一億六千万石のうちで、国内から一億五千万石、外国から一千万石ということで、比島を中心にしまして、ソ連、アメリカ等から外材が入っておるという状況のように承わっております。そこで、こういうふうな需要量の増大が今後さらに増進をしていくだろうということに相なっておるわけでございますが、ここでお尋ねをしたいのは、外材の輸入の問題の関係からでございます。一つは、フィリピンが今外材の第一の土地になっておりますけれども、いろいろ私どもが聞いておるところでは、最近フィリピンはこういう面の仕事が近代化して参りまして、しかも日本でやるところの取扱いの問題をフィリピン自身がやりたいというようなことから、素材のこちらへの輸出等について相当悪い状況になってきておるということが言われております。同時に、ソ連の外材の輸入の問題につきましては、従来沿海州等へ日本の林業労務者が行って開発をした経緯もありまするけれども、しかし、最近では、これをソ連から直接木材として輸入するというようなことから、価格関係において必ずしも安くはないというような問題等も含んでおるようでございます。そういうふうな外国からの材の輸入状況、さらに国内におけるところの木材の需要量の増加等について見ますと、岸さん自身はよく東南アジアに対する経済協力とか何とかいうことを言っておるわけでございますけれども、私は十分この方面は承知しておりませんが、ボルネオあるいはニューギニア等に従来行っておった人の話を聞きますと、この方面はほとんど放置された状態であって、しかも材量等についても非常に膨大な蓄積材量を持っているということでありますが、平和的なこういうような問題については十分今後国内の需給とも見合って経済協力の一環としてこれの開発に当り、あるものは畑地にし、あるものは造林で再び山林に育てていく、こういうことについても私は積極的に考えていく必要があるのではないかと思いますが、まず外材の問題についてお答えをいただきたいと思います。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○三浦国務大臣 フィリピン等から輸入されますものは、あとで専門的なことがございましたら政府委員から説明させますが、大体において私の承知いたしておるのは、合板等の原料になる。これがアメリカに輸出されておりまして、現在ではその輸出量の重さは生糸などの比じゃなくなっているということは御承知の通りであります。同時に、比島方面においても、これを合板にしてやるという動きは私存じませんけれども、だんだん資源的に減っているということを聞いておるわけでございまして、関係者も非常に心配しております。できるならばインドネシア方面から必要な材を入れたいという動きもございまして、過般東畑移動大使が参った際にも向うの現地の模様等についてもいろいろ調査し、関係者におきましても調査団等を派遣しておるわけでございます。これらはまだ外交的には話が進んでおりませんけれども、かようなことがだんだん熟して参りますと、さらに今のインドネシア方面からの素材の入手等も考えなければならない、こういうふうにだんだん進んで参ります。決して林野庁等におきましてもこれを等閑に付しているわけじゃございませんから、機宜の措置をだんだんとらして参りたい、かように考えております。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋委員 私のあとで倉成委員が待っておられますし、時間の関係もありまするから、いずれまた詳しい点は各論で触れることがあろうと思いますので、簡単に要点だけを進めていきたいと思います。  国内の林野関係の問題についてはいろいろやるつもりでございまするが、ただいまは保留をいたします。  そこで、水産関係の問題についてまとめてお伺いをしたいと思いますが、一つは対外関係の問題でございまして、御承知の、今日日ソの漁業交渉が行われ、これがいろいろ資源調査の問題その他と関連をして討議がなされておるわけでございます。外交の過程の問題でございますけれども、これらの見通しの問題も一つあろうかと思います。同時に、日韓の漁業問題につきましては、御承知の、北鮮に対するところの朝鮮人の帰国問題に端を発しまして、数日来南鮮のこの問題に対処する空気がきわめて険悪なように私どもは聞いておるわけでございます。そうしますと、漁業問題に限定して参りますれば、あの地域におけるところの日本の出漁する漁民の拿捕の強化とか、あるいは抑留漁民の今後の待遇等の問題にまで響きはせぬかという心配等もございます。この六十万の北鮮への帰国ということがかりに具体的に実施されるということに相なりますると、これは数年を要する問題でございまするから、そういう経過の問題と関連をして、日韓の漁業関係の問題というのは、やはり農林省として慎重に万全の態勢を整えなければならぬのじゃないかとも考えるわけでございます。     〔丹羽(兵)委員長代理退席、吉川(久)委員長代理着席〕 同時に、日中の漁業問題につきましては、岸総理大臣が施政方針演説の中で、日中の問題について、貿易関係の問題については大使間会談ないしは場合によっては政府協定も考慮する、こういうふうな意見を出されておるわけでございまするけれども、私どもはこれはある程度春の選挙戦に対するところのゼスチュアを含んだものであるという批判を持っておりまするが、それはともかくといたしまして、そういうふうに日中の関係において前進をさせようという前提に立った場合には、日中の漁業交渉の今日の途絶状態から見て、具体的に漁業交渉の政府協定まで発展させるという前提で考えておられるかどうかということも一つの大きな問題になろうかと思います。同時に、今日の水産の世界全体的な資源調査の面におけるところの日本の今後の方針はどうかという問題についても、今日、世界的な漁獲高の中では日本が第一位である、水産日本であるというようなことを言っておりますけれども、こういう積極的な世界の資源調査の舞台において、あるいはアメリカ、あるいはイギリス、あるいはまたノルウエー、ソ連という各国の状況等と対比をして、日本のこういう方面に対するところの協力がもっと積極的に大きな視野から考えられていいんじゃないかという問題等もあるわけでございます。また、国内関係の問題といたしましては、冒頭に尋ねました問題とも関連をいたしまして、第二十八国会において漁業制度調査会が作られまして、漁業制度の基本的な問題についての討議がなされておりまするけれども、私どもはこの中間報告すら一回も承わっておらない。先ほど私は、水産問題は調査会へ、農業問題も調査会へと逃げる心配がこういう調査会関係の問題については起り得るのじゃないかということを申し上げたわけですが、漁業制度調査会等の問題についても、この際適当な時期にその審議の経過と中間的な結論についての報告を求むべき段階に来ておると私は考えます。これらの問題についてもいろいろ御質問をしたいわけでございまするけれども、これらの問題を総括をいたしまして大臣よりお答えを願いたいと思います。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○三浦国務大臣 日ソの関係につきましては、先般来漁業委員会におきまして資源の討議をいたしております。わが方からは本年度許可すべき数量等も提示したのでございますが、今折衝中でございまして、わが方におきさましては最善を尽してこの交渉の妥結に努力いたしておりますから、御了承願いたいと思います。  日韓の問題でございますが、これは、韓国側におきましては、従来の李ラインを平和ラインといい、同時に漁業管轄線、こう言うて、その範囲は韓国の漁業管轄圏、つまり統治権のもとに入る、その中にある一切の漁業は韓国側の許可なしではいけないという主張を繰り返し繰り返し執拗に持ってきておる。このことは、もう申すまでもございませんが、国際法の慣例にも反するし、わが方の漁業上の利益から言ってもとうてい容認できないのでございます。そこで、日韓漁業会談の過程におきましても、わが方からは、機船底びきの禁止区域あるいはトロールの禁止区域等を提唱して妥協をはかったのでありますが、韓国側はこれを受け入れない。依然李ライン、漁業管轄圏と称して譲らぬのでございまして、これがガンになっておるわけでございます。わが方としましては、公正なる主張をどこまでも貫き、同時にあの海域における漁業の保護に万全を期したい、牢固たる決心を持って進みたいと考えております。  日中の問題でございますが、これは昨年の夏以来中絶しておる非常に遺憾な点であります。本会議等におきましても総理大臣並びに外務大臣からもお話しました通り、政府におきまする考え方もだんだん変って参っておりますことは御承知の通りでございます。私は、漁業を担当しておる責任者としましては、一そう前進しまして、そして日中間の民間側の協定なり、あるいは要すれば大使会談等の上級会談等を契機にしてこの問題が打開せられるように、非常に切望しております。ただ、政府協定にするかどうか、今後の発展に待たなければなりませんし、同時にまた、中国側がこれに応じてくれなければ打開ができぬわけでございますから、外交当局に対しまして熱心にわれわれの立場を申し出しまして妥結をはかりたい、かように考えております。  なお、漁業制度調査会のことでございますが、これは御承知の通り、現在の漁業制度自体、終戦後大変革があったのでございますが、これに即していろいろな立場から検討しておる、こういうことでございます。これは御承知の通りなむずかしい問題を包容しておるのでございますが、まだ中間の報告がございません。大体本年の九月ころには一通りの結論は出はせぬか、こう考えております。これは、運用上から言いましても、調査会の会長その他にもお諮りをしまして、すみやかに結論を得るようにいたしたい、かように考えております。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋委員 最後に、農林省の機構、定員の問題について大臣の考え方を承わりたいと思います。  私ももともと農林省に籍を置いておりましたから、今日までの農林省の機構改革の変遷あるいは定員の変遷ということについては十分承知しておる一員でございます。今度、御承知のように、機構改革方面におきましては、根本的な機構改革の検討ということが保留されまして、いわゆる水産庁における漁港部の設置、あるいは農地部の関係におけるところの名古屋の農地事務局の設置、その他二、三のところの変更等がございます。定員の問題についても、具体的な内容を見ますと、あるいは漁港部の場合に五名増、あるいは名古屋の農地事務局の場合にも五名増、逆に統計調査部関係において百名の減、こういうふうな形になって、差引勘定が出ておるわけでございます。農林省の行政機構というものが、対象である農民、漁民、あるいは山林関係から見て、具体的に総合施策を進めるにはどうあるべきかということは、いろいろ論議のあるところだろうと思うし、これはやはり十分考えなければならぬ点もあろうかと思いますが、今日当面問題になりまする点は、こういう機構改革と関連をした定員法の修正の問題の中で、特に統計調査部の百名減という問題が出ておりまするけれども、私も統計調査部に籍を置いておった関係上、従来から統計機構の問題についてきわめて大きな波乱と幾多の変遷のあったことも承知しておるわけでございます。ことしは、新しく、一九六〇年の世界センサスを実施しなければならない、そのための必要な予算も組まれておる。また、従来の生産統計から、消費、流通等も含めた統計に発展をしてきておるし、また、従来の農産物を中心にした統計から、経済その他も含めた総合的な農林統計として、今日の科学的な農林行政推進のための大きな役割を果し、国際的にも農林統計に対する立場というものが高く買われておることは大臣も御承知のところであろうかと思います。元来、機構と見合った予算あるいは人員という合理的な立場に立つ観点からいたしましても、そういうふうに統計関係の業務も従来以上に増大をして、国際的な仕事のセンサスの問題もあるということにかかわらず、国民年金の実施に伴って、それでは統計から百名出そうかというような簡単な考え方でやられたのではたまったものではないというふうに私どもは考えるわけでございます。この定員法の問題については、昨年の通常国会の際にも本委員会でも十分論議がなされ、真剣な討議と協力のもとにおいて、従来のいわゆる定員外にある定員と同様な努力をしてきた人々に対する定員化も一部実現をし、いまだ解決しない定員外の職員も幾多抱えられておる状況の中において、こういう無計画な、無定見な、しかも何ら減員をすべき根拠のない定員減をやるということは、これは一体どういうことであるかということについては、私どもは絶対承服することができないわけでございますけれども、今後の農林の総合施策を進めるに当っての機構のあり方の問題、あるいは当面の機構改革と人員の問題の中で、特に新しく漁港部等を設置する場合、わずか五名くらいの増員でもって果して今後の漁港問題についての要請にこたえ得るかというような問題、あるいは名古屋における農地事務局なども、あの地域の予算関係としては、あるいは志摩の総合開発、宮川用水その他の幾多の問題を含んでおりまして、これから増大をしなければならぬ段階でございますが、これなどもわずか五名の増で済ませようとする。こういう機構と予算と人員の問題の相対関係についてどういうふうにお考えになっておるか。ややもいたしますと、農林予算というものは、農民、漁民あるいは山林業者等に対するところに目が向けられまして、そういうものを推進する中心となるべき農林省内の職員という問題については従来軽視される傾向があったのじゃないかと思いますけれども、真に農林行政を正しくしかも強力に推進するためには、農林省内の職員に正しい労働条件と給与条件等を与えながら、そうして積極的に農林行政の推進に当る基盤を与えるべきじゃないかと思います。こういう点で従来からの欠陥が再びここに現われておるように思いますけれども、大臣のこの点に対する明確なる見解を承わりたいと思います。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○三浦国務大臣 今般国民年金制度を創設するに当りまして、この方面で所要の国家公務員を相当な員数をふやさなければならない、こういうことになっておることは御承知の通りであります。この国民年金の創設も国民待望のことでございまして、いよいよ実施することに相なりました。そこで、その方面からの切なる御希望もございます。同時にまた、部内におきましていろいろこの問題に対する検討も重ねたのでございます。角屋さんも御承知の通り、統計調査事務所の使命、その職責の重いということは、私もよく存じております。かつまた、創設以来たびたびの変遷であり、私も、大臣になります前に、一議員といたしましても、重要な事情にかんがみまして、この問題について協議したこともあるわけでございますが、これだけの事情でございますけれども、やはり、新しい制度を創設する場合に、国家公務員の地位も変らず、同時にまた協力を要請されてきたのでございます。部内の事情をいろいろ検討をしましたところ、百人程度の融通ならば支障なくやれる、同時に、業務の改善につきましては、各所ともその要望が強いのでございますが、調査等に必要な機動力を与えてほしいということもありまして、この方面は予算等に措置いたしましてこれに対応することになったのでございますから、これを転用することにする、こういうことにいたしたのでございまして、決して部内の職員を軽視するとかいうようなことはございません。農林省としましても、適応の措置を講じて、だんだん職員の地位の向上と待遇の改善をはかりたい存念でございます。同時にまた、名古屋における農地事務局、さらにまた漁港部等の新設につきましても、名古屋地帯の事業分量も相当にありますし、そこには相当の人員も配置されておるということで、今度の予算措置でもって運用することは十分できる。同時に、漁港部につきましては、院議の関係もあり、かたがたどうしても改革しなければならぬものでございますから、さような措置をとったのでございます。この点を一つ御了承を得たいと存じます。

角屋堅次郎日本社会党

○角屋委員 ただいまの機構並びに定員に関連した問題については、大臣の答弁はきわめて不満でございまして、決して私の質問に対し正しい回答をしておられるとは私は考えません。しかし、この問題は、法案としては内閣委員会にかかっておる法案でございますので、私はそういう関係委員会の中でも十分今後究明をして参りたいと思いますが、同時に、本委員会におきましても、私が先ほど申し上げましたような趣旨におきまして、農林行政を推進すべき関係者の実際に推進できる体制というものについての配慮から、この定員法の問題について、統計調査部の百名減という問題がきわめて不合理だという観点に立って協力をお願いしなければならぬと考えておるわけでございます。  最後に、時間の関係等もありまして、いろいろ問題の焦点があちこちに多岐にわたったわけでございますけれども、私は、この質問の終始を通じ、大臣自身も痛感しておられますように、昨年度の経験にかんがみましても、蚕糸、酪農でにがい経験をなめたわけでございますが、本年度の世界経済なり日本経済の動向の中で、農林経済というものがどういうふうに推移していくか、そういう中において先手先手とどういう手を打たなければならぬか、また、農業一般、漁業一般とかいうふうに一般問題でとらえるのでなしに、農業者、漁業者の各階層別の実態、そういうものに対するところの農林政策を具体的にどう講ずべきであるか。これは単に土地改良、開拓その他の問題ばかりでなしに、農業金融という問題からして階層別金融も必要であろうと思いますが、いろいろそういう面で、真に農家を対象にし、漁家を対象にしての、かゆいところに手の届く、わが党の委員長の鈴木さんが岸総理に総括質問で与えましたように、愛情のある農政をやってもらわないと、いつまでも三割農政の姿にとどまっておったのでは、農家の場合においても、専業から兼業へ、兼業から転落へという道を歩まなければならぬ、こういう姿が日本の農業に出てこようと私は思うわけでございまして、今後とも科学的、合理的な基礎の上に立った正しい農政の発展ということに大いに意を用いていただきたいことを希望して、私の第一回目の質問を終らしていただきたいと思います。

吉川久衛自由民主党

○吉川(久)委員長代理 倉成正君。

倉成正自由民主党

○倉成委員 私は、昭和三十四年度農林予算案を中心に、農政各般にわたり農林大臣の所信を伺わんとするものでございます。  三十四年度予算案は、総額千六十三億円で、三十三年度当初予算に比して五十五億円の増加でありますが、三十三年度予算中には、非補助小団地等土地改良基金六十五億が含まれておりますので、実質的には百二十億円以上の増と申すことができるのであります。また、自作農維持資金におきましては百億の声を聞いたことは、まことに喜びにたえないところでありまして、この点に関し農林大臣の御努力に対し深く敬意を表するものでございます。  また、特に、本予算の中において、新たに水産庁に漁港部を新設し、また農政の基本問題を検討するための農林漁業基本問題調査会設置の予算が計上されたことは、今日の農村、漁村に対する大臣の真剣なる意欲を示すものとして、これまたその御努力に対し深甚の敬意を表するものでございます。  しかしながら、昨年以来の農政のあり方を見ておりますと、酪農問題、蚕糸問題を初めとして、現実の施策について幾多の混乱があったことは、まことに遺憾にたえないところでございます。これはひとり農林当局の責任のみに帰するのはいきさか酷ではございますけれども、これは農政に対する基本的な考え方に国民経済における農業の位置づけが明らかでないという点でこの農政の混迷が来ておるものと考えるのでございます。諸外国の例をとるまでもなく、資本主義の発達の過程において、農業、林業がその地位を相対的に低下していくことは争うことのできない事実であります。この中にあっていかに農林漁業を安定させ発展させていくかというのが農林政策の基本課題であろうかと思うのでありますが、先ほどから角屋委員との質疑応答を通じまして、農林漁業基本問題調査会の一応の構想は明らかになったのでございますが、この問題に関連して大臣の基本的な考え方について二、三お尋ねをしてみたいと思います。  まず第一に、今日の農村において言い得ることは、人口が過剰であるということであります。土地が狭くて人口が多いという日本経済の宿命というべき課題は、特に自然を相手とする農林業において考えなければならない一番大きな問題でございます。そこで、お尋ね申し上げたいのは、これらの過剰人口、これから発生すべき増加人口をどのように処理するかということについてお伺いしたいと思うのでございます。  新長期経済計画によりますと、第一次産業の就業者を三十一年度に比して三十七年度では八十五万人の減少を一応の努力目標といたしております。これは農林大臣の言われる他産業との所得の均衡を得しめる基本的な前提条件と思われるのでありますが、この問題に関しまして、どのような施策を農林の政策の面から考えておられますか、具体的にお伺いしたいと思うのでございます。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○三浦国務大臣 今の人口問題でございますが、これはわが国にとっていわば宿命的な困難な問題であります。例を申し上げるまでもなく、西欧の諸国におきましては、耕地の利用面積等、はるかに人口は多いけれども利用率が高い。一々申し上げるまでもございません。しかるに、わが国におきましては、総地積は三千七百万ヘクタール程度ございましょう。けれども、その七割以上は磽かくたるいわば山地地帯であり、その中に五百十万ヘクタール程度の耕地しか持たぬ、こういうことでございます。しからば、どうも外国から輸入するわけにも参りませんので、これをいかに活用するかが当面の農業政策の重点であると思うのでございます。そこで、これを深く耕し、これを改良し、そうして生産力を上げるということで、土地改良等を非常に飛躍的なものにして参っております。同時にまた、耕種の改善等につきましても、特に日本は米を重点にしてやってきた。これも相当の効果を上げたことと思うのであります。しかしながら、現に千六百万を数えるところの農村の人口は、率直に申しまして、農業の生産力から言いますと過多であるということであろうと思うのでありますが、たとえば例を西ドイツ等にとってみましても、これは直ちに工業力の方に転用して参った。そこで、農業の従業員等も非常に少い。同時にそっちの方面に転用し得たのでございますが、日本ではそれがなかなかできかねる事情であります。しかしながら、それでは日本が従前の通りでいいかと申しますと、私はそうは参らぬと思うのであります。しからば、これをどう持っていくかということになりますと、これはただ単に農林行政のワク内で解決するわけに参りません。すなわち、第一次産業、第二次産業、第三次産業の総合的な観点において大きな政策の転換をせざるを得ない、こう考えるのであります。従いまして、この基本問題等は、先ほど来角屋君のお尋ねに対しましてもお答えしたような線に沿って将来の明確な線を打ち出すと同時に、当面の問題としましては、やはり現在の農林漁業に従事する人々にできるだけの職場を与えるということに力点を置かざるを得ないのでございます。三十四年度の耕地改良等につきましては相当の伸びが出たのでございまして、五カ年の長期計画にもほぼ即応しているものと思っております。ただ、林業、水産業等につきましては長期計画には若干そぐわないのでございますが、さようなことでございます。でございますから、当面の問題としては、今の具体的な事項を強化して参るということでございますし、将来の問題につきましては、前段に申し上げたような考え方でこれを取り進めて参りたい、かように考えております。

倉成正自由民主党

○倉成委員 ただいまの農林大臣の御答弁にありましたように、農村の過剰人口問題は国民経済的視野から考えていかなければならない。また、既存の耕地を総合的に活用し、その利用度を高めていくという点については、私も全く同感であります。しかしながら、具体的に農村における過剰人口をどのような形で近代産業に吸収さしていくかということになって参りますと、ここに大きな問題がございます。たとえて申しますると、農村における技術教育等が問題でございます。農林大臣は現在農業高等学校におきます教育の内容、またその卒業生がどのような形で社会に出ていっているかという現実を御存じでございましょうか。アメリカ等におきましては、御承知のように、農村のそういった技術教育という面について非常に深い関心を持っておるのでございます。また、同時に、イギリスの一九四七年の都市農村計画法のごときものも、都市と農村との総合的な土地利用を十分に考えて農村に雇用の機会を与える、そういう見地のもとに作られたものと聞き及んでおるのでございます。こういった配慮が果して農林大臣にあられるかどうかということをお伺いいたしたいのでございます。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○三浦国務大臣 今御指摘の問題は、これはひとり農林省の関係ばかりではなく基本的には日本の教育制度をどうするかということにも関連するわけでございますが、この農村にある青少年の問題は看過できません。そこで、農林省としましては、農業を中心とした技術的な修練と申しますか研修と申しますか、これは比年努力してきたことは御承知の通りであります。あるいは農業講習所、あるいは伝習農場というふうなことでだんだんやって参りました。これは、ただ単に耕作をどうするとか耕種改善をどうするとかいうことの農業プロパーのことよりも、近代になりましては農業機械を操作するとかあるいはトラクターをどうするというふうにだんだん進んで参りまして、それを進めて参ったのでございますが、本年からは特にこれをもう少し高度なものにしたいというので、中央、地方を通じて青年の一つのセンターを作って、そこでもう少し技術的ななにをしたいということにして参りました。同時にまた、一面におきましては、この技術的な修練を重ねた者を現実に郷土の建設あるいはまた産業の開発等にも動員するということになりまして、産業建設隊等のありますことも御承知の通りであります。規模が小さくて、これを雇用政策の面に活用するということは、ただ単に農林省だけではいかないのでございますが、今後ともその面だけは、特に治山治水事業であるとか、あるいは土地改良事業等についての動員等はできるだけ配慮して、その方面に持っていきたい、こういうことでございます。同時にまた、一般雇用政策につきましては、なお全体の雇用計画に即応しまして、そちらの方にも持っていくようにしなければならない、かように考えておる次第でございます。

倉成正自由民主党

○倉成委員 ただいまの大臣の御答弁を承わっておりますと、農業を中心とする技術教育についてのお答えであったと思いますが、私の申し上げましたのは、近代産業に農業の過剰人口を出していくためには、近代産業にふさわしいような教育を農村においても行なって、積極的にこの人口を外に出していく、こういったアメリカ的な考え方が今日の農村においては必要な段階に来ておるということを申し上げたのでございます。この点につきましては、もちろん農林省のみの所管ではございませんけれども、農林大臣はもっと自信を持って、この所信を政府部内に反映していただきたいと存ずるのでございます。この点については特に将来の御研究をわずらわしたいと思います。  次に、人口問題と関連して、海外移住の問題について御所見を承わりたいと思うのでありますが、昭和二十七年以来、ブラジル、パラグアイ、ドミニカを初め、中南米諸国に対する移民は二万六千余に達しているのでありますが、これらの国々が今日日本の農業移民を希求しておる状況は、まことに最もよい条件にあるのでございます。事外交の問題でありますから、この状態がいつまでも続くとは考えられないのでございまして、鉄は熱いうちに打たなければならない。こういったときに、飛躍的な拡大振興をはかることが必要だと思うのでありますが、これに対する大臣の御抱負を承わりたいのでございます。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○三浦国務大臣 本件につきましては、私をお助け下さっている政務次官から一通りお話をいたします。

石坂繁自由民主党農林政務次官

○石坂政府委員 ただいま大臣からのお話でありますから、私からお答えいたしますが、戦前・戦後の日本の海外移住の問題につきましては、倉成委員とくと御承知の通りであります。ことに、戦後、昭和二十七年十二月、初めて十八家族がブラジルに送出されましてから、昭和三十三年度まで、大体二万七、八千の人間がブラジルに、主として中南米に行っていると思います。  そこで、昭和三十四年度の移住計画でありますが、自由民主党におきましては、昭和三十四年度を初年度といたしまして五カ年計画を立てまして、昭和三十四年度の送出目標を一応一万一千人と定めたようでありますが、昭和三十四年度の予算面におきましては一万人を送出する予算が獲得されているのであります。従いまして、今後農林省は、外務省と協力いたしまして、この一万人の目標を昭和三十四年度におきましてはぜひとも実現いたしたい、この目標に向って努力いたすつもりでございます。  しかるに、昭和三十三年度の送出の実況を振り返ってみますと、いささか移民が頭打ちの状況にあるのでありまするが、これは国内におきまする啓蒙、宣伝、選考等に支障を来たしますことと、選考に際して現地においての計画が不十分があったということに大きな隘路がありますと同時に、移民船の船腹の不足、こういう点を指摘しなければなりませんから、現地における問題、あるいは移民船建造の問題等につきましては、これはしばらく別といたしますが、農林省といたしましては、従来外務省所管でありました日本海外協会連合会及び地方海外協会を農林省の管轄におさめまして、啓蒙、宣伝、選考、送出等の事業は、中央におきましては日本海外協会連合会、地方におきましては都道府県を積極的に参加協力させ得る態勢をとりまして、その業務は県を通じ、もしくは県から地方海外協会に委嘱するという方法をとっているのであります。一面、青年の訓練あるいは移住希望者に対する訓練等によりまして、中央においては訓練のセンターを設ける、こういうふうの計画をもちまして、少くとも昭和三十四年度におきましては当初計画の通りに一万人を十分に送出し得るような態勢と努力を進めて参りたいと思っております。  移住問題につきまして、もう一つ考えなければなりません問題は、受け入れ国との間の移住協定の問題でありますが、日本と外国との移住協定の問題は、ウルグアイだけでございます。目下ブラジルとの間の移住協定が交渉中だということでありますが、すみやかにその成立を期待いたしております。  その他、移住関係の問題につきましては、私も私見を持っておりますけれども、当委員会は私見を申し上げるべき場所ではございませんので、日を改めまして、私の考えているところを倉成委員にも申し上げ、倉成委員の御教示も仰ぎたいと存じます。

倉成正自由民主党

○倉成委員 御造詣の深い政務次官の御答弁を承わったのでありますが、移住問題に関するいろいろな隘路は、もうすでにはっきりしております。要はこれを勇敢に実行するかどうかということにあるわけでございます。移住問題について非常に御研究なさっておる政務次官がおられながら、移民船一つの問題についてもまだ十分片づかない。もちろん農林省の所管ではないとおっしゃるかもしれませんが、私はもっと勇猛果敢に今日の国策として移民の問題を取り上げていただくことを希望するものでございます。  私は、次に、所得の均衡という場合に、兼業の問題を忘れてならないと思うのであります。今日の農家の所得は、農業所得だけから得られるものではなくして、今日農家所得、農業所得という概念が非常に混淆いたしまして、農林政策を誤まっておると思うのでありますが、兼業農家は六五%に達しており、農外収入がその四割に達しておるという現況でございます。これらの兼業農家、ひいては零細農に対する考え方を農政の面でどのように考えるかということについて、大臣の御所見を伺いたいのでございます。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○三浦国務大臣 先ほど角屋委員からのお尋ねもございましたが、われわれが今度農林漁業関係として特に新しい施策をとりましたものは、製炭労務者の木炭の保持等に対する保護政策、それから、大衆魚の漁業者に対して、これは流通の過程におきまして価格を支持してこれを助けて参るということでございます。同時にまた、今後、開拓政策等につきましても、不振地区はいずれも貧困な階層をなしており、この点が従来手をつけ切れなかったのでございますが、さらに一段と努力しまして、建設事業その他のなにを行使していくということにだんだん向いて参っております。同時にまた、土地改良その他の点におきましても、増反の施策等もその一翼をなすものでございますが、農林行政の範囲だけでは実際はなかなか片づきません。そこで、われわれとしましては、災害のあるときには災害の関係、また、必要に応じましては、昨年の秋九州方面に対します若干の施策等をいたしたのも、そういう配慮のもとからだったのでございますが、農林行政の立場からやり得るものは最大にこれを動員して参りたいと考えます。同時にまた、林野庁関係におきましても、森林経営をしているわけでございますが、山村の方面のそういうふうな人々にぜひとも救済の手を伸べていきたいということで、従来とも零細な人々の労力を動員しておる、かようなことでございます。なおこれらの線に沿うて今後これを拡大して参る。さらに、先ほども申しましたが、農家の収入所得をもっと向上するということでございますので、普通の健全な自作農ですらだんだん弱り目になってくる。いわんや、今御指摘になりました方面の問題は、今後の農政の最大の問題としてわれわれは取り組まなければならない。国民経済の広い視野に立って、そうして各般の関係においてこの問題に取り組んで参りたい。かように考える次第でございます。

倉成正自由民主党

○倉成委員 農林政策の面で零細農の問題を今後真剣に考えていく、零細農問題を決して農政から見捨てないという、力強い大臣のお話でございますから、私は、この問題についても、今後とも、真剣に、ただ単なる本委員会における答弁としてではなくして御研究を進められんことを要望するものでございます。  次に、所得の均衡を得るためには、現在の農産物価格支持政策が重大な役割を占めると思うのでありますが、その大宗であります米に対する考え方を承わりたいのであります。今次の予算案においては従来の予約減税を廃止しておられますが、大臣はこれを適当とお考えになりますか、また、ことしの米価をどのようなやり方できめていこうとするか、お伺いしたいのでございます。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○三浦国務大臣 予約減税の問題でございますが、過般来所得税の減免は数次にわたって行なって参りました。従いまして、農村における所得税を納める階層は非常に変って参っております。今度も減税をやりましたから、来年等におきましても、所得税を納めます階層は変って参ります。そうしますと、一村におきまして、ほとんど特殊の人だけが所得税を出す、同時にまた、米の予約収買の場合におきましても、特定の数人だけがその減税の恩典にあずかるということになりまして、いかにもここに公平を欠くような事態になって参ったのでございます。それよりも、これは予約収買制度を開始します際にも要請があった通り、むしろ予約奨励金としてもっと増額せいということもあったわけでございましたが、それに関連を持つわけでございますけれども、これをむしろ米価として還元した方がこの際としては妥当ではないか、こういうことになったわけでございますから、税の均衡を失しておるようなことを避け、むしろこれを予約収買に応ずる耕作農民に米価として還元してやる方策をとるということは、この際としては妥当であろうと考えてきたわけでございます。  それから、来年度の米価の問題でございますが、現在は、法規に基きまして、いわゆるパリティ方式によってやるということになっております。昨年の米価審議会等におきましては、多年論議されておった生産費補償方式をとれということを要望されておったのでございますが、農林省としましては、この算定方式につきましても、理論的また実際の取扱い上非常に困難な問題があるということで、その態度を打ち出しておらなかったのでございますが、せめてその算定方式の研究をしようということで、昨年来当局に命じましてその研究をしておるわけでございますが、遺憾ながらまだ結論は出ておりません。今のところではこのパリティ方式をとらざるを得ないのでございますが、昨年来の研究の成果でかりにいいものが出ましたならば、それらも加味して、そうして米価の算定についての一段合理的なものを出したい、こういう考えでございます。

倉成正自由民主党

○倉成委員 ただいまの大臣の御説明には多少議論がございますが、私は米価に関してここに一つの提案を持っておるものでございます。これまでの農林省のとり来たったパリティ米価、あるいは農業団体の主張する生産費・所得補償方式は、現実の米価決定のいきさつから見れば、いずれもあまり意味がなく、まことに失礼な申し分でありますが、いたずらに政府並びに関係当事者のお祭騒ぎをするだけで、現実の農民には非常に縁の遠い事柄と考えるのであります。むしろ、大きな価格変動を別とすれば、スイスでその事例があるかに聞いておりますが、米価を三年間ぐらい一定して、この米価で政府は買い上げるのだということをはっきり打ち出した方が、実情にも即応した、安定した農政ができるのではないかと考えるのでありますが、これに対する大臣の御所見を承わりたいと思います。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○三浦国務大臣 先ほどの説明にちょっと補足させていただきたいと思いますが、減税に伴う措置としまして若干の加算をしたい、これは予約加算ということの意味でやりたい、こういうことでございますから、誤解のないように。  ただいまの御提唱でございますが、一つの御案だと思っております。しかしながら、御承知の通り米価決定につきましては非常に論議の多いものでございますから、十分に研究させていただきたい、こう考えます。

倉成正自由民主党

○倉成委員 今日の日本農業の発展を考える場合に、特に今後の農政の発展の方向というのは、先ほどから角屋委員とのお話の中にもありましたように、畑作振興というふうに考えるのでございます。畑作の問題についてはその重要性については私から申し上げるまでもございませんが、従来、政府の取り来たった政策が水田偏重であり、営農技術の改良についても、農地の改良についても、水稲あるいは水田に重点が置かれまして、畑地については、土地改良はもとより、研究は不十分な状態でございました。また一般に畑作物は陸稲、麦などを除いては価格及び流通面においてほとんど見るべき対策もとられなかった。従って、時においては生産過剰、これに伴う価格の下落を繰り返して、畑作農家の経営を非常に低調かつ不安定にしておるのでございます。ここに積極果敢な畑作対策を講ずることが必要であろうかと思うのであります。特に、畑作振興に関して、土地及び水条件の整備、土壌改良、耕種改善、畜産の導入、流通対策等、一貫した積極対策が必要でございますが、農林省の出されました農地行政白書によりましても、土地及び水条件の整備を要する畑地面積は延べ約二百万町歩に及んでおるのでありますが、畑地灌漑、灌漑排水事業について事例をとりますと、昭和二十五年現在における要改良面積と、昭和二十五年より三十二年までに改良された延べ面積の実施を見ますと、北海道においては、水田三一%、畑はわずかに二%、内地においては、水田二五%に対し、畑は九%にすぎないのであります。これらの事実について大臣はどのようにお考えになるか、伺いたいのであります。  同時に、畑作振興といいますけれども、もう少し端的に申しますと、畑の反当の収量を上げていくということであります。一般に、水田の一町歩よりの粗収入が三十五万ないし四十万、畑地一町歩から二十五万ないし三十万といわれておるのでありますが、せめて水田並みの収入に上げるためには、一町歩当り十万円の収入を上げるという目標を掲げることです。非常にわかりやすい目標を掲げて畑作振興というのをやることが必要じゃないか。具体的な事例をあげますと、畑地灌漑によりまして、陸稲の反収を一石増しますと、一町歩当りでは十万円の収量がプラスするということになります。こういう端的な目標を掲げて畑作振興をやっていかなければ、ただ単に畑作振興、畑作振興というお題目では決して畑作振興はできないのであります。しかしながら、これを取り戻すためにはとうてい一般の負担能力の乏しい畑作農家ではできないのでありまして、昭和二十七年に成立しました特殊土じょう地帯に関する法律、あるいは急傾斜地帯農業振興臨時措置法、こういった法律がございます。こういった法律による現在の進捗状況、またこれらに対する大臣の御所見を承わりたいと思うのでございます。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○三浦国務大臣 畑作の振興方策につきましては、先ほど角屋君の御質問に対しましてもお答えした通り、ただいままでのところ非常に手薄でございます。さきの赤城さん時代からこの問題に着目されまして、だんだん手をつけて参ったのでございますが、本年におきましては、予算面におきましても、営農改善のための畑作用のトラック、機械等の導入のための予算、さらに土壌病虫害の防除、地力保全、それからさらに機械化の促進、畑作農家の結合指導施設、そのほか畑作の試験研究の強化等を総合いたしまして、前年に比較いたしまして相当な増額の予算を組んだわけでございます。これはいわば基礎的な問題についての施設でございまして、これをもって十全を期し得ないことはもちろんでございます。今後、この総合的な指導等もするわけでございますが、できますならば各地区に応じてこれらの計画をも策案しまして、今だんだん新しく取り上げました施設を集中的にして、お説のような畑作振興のものに持っていきたい。今申し上げたのは営農改善の方面でございますけれども、なお、土地改良等の所要の予算も計上されましたので、これを打って一丸としてこれを各地区に実地に即応した計画的な施行を進めて参りたい。ことに、今御指摘になりました麦作あるいは果樹、養蚕、酪農等、総合した畑作を土地々々に即してだんだん進めて参りたい。かように考えております。

倉成正自由民主党

○倉成委員 ただいま畑作振興に関する御説明がございましたが、昭和三十四年度の予算に照らしてみますと、畑作に関する農地関係の予算は非常に不十分であると思いますので、今後追加計上の面について努力あらんことを切に望むものでございます。  そこで、畑作の問題で一番大きな問題の一つであります麦についてお尋ねしたいと思いますが、今日の麦が米に次ぐ主要作物であり、戦前百四十四万町歩の作付面積から、戦後百六十八万町歩、昭和三十二年は百五十六万町歩と減少しております。この主食として、飼料として重要であり、また麦作収入は農家収入全体から言えば必ずしも大きなものではございませんが、冬期間の農地の利用、収入枯渇期における収入の関係から、農家としては非常に貴重なものでございます。一戸当りの年間収入は全国平均で一〇ないし一三%、関東地方のような主産地では一六%に達しておるのであります。こういった状況をいろいろ考えてみますと、戦前の日本の麦は御承知のように自給自足でございます。戦後の食糧事情の激変に伴って、小麦は四丁三%、大麦は六二・五%と、その自給率が低下して、大半を輸入に仰いでおるのでございます。また、今日の麦の価格は、一九五二年、米国の小麦の大豊作以来、輸出国の過剰が増大して、価格も著しく下回っておるのであります。また、この麦作の管理が食糧管理会計の膨大なる赤字の原因ともなっておるのであります。この時に当って、わが国としては麦に対する基本的な方針を確立する必要があると思いますが、大臣は、国内において麦を増産するのか、それとも輸入に依存するのか、このいずれの方向をとるのかということを明らかにすることが最も肝要なことであろうかと思います。この点について大臣の御所見を伺いたいのでございます。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○三浦国務大臣 麦の重さというものはもう御指摘の通りでございまして、これはどうしてもわれわれとしては考え直さなければならぬと思います。かって小麦の増産計画等を立てて参ったのでございますが、その後日本が戦争に突入しまして、従って、その計画等も改変せざるを得ないことになったことは御承知の通りであります。現在の大麦、裸麦等は、これは食糧の麦でございますが、これを海外から仰いでおり、豪州あるいはニュージーランド等では、日本にこの食糧の大麦等を供給するために増産しなければならない、向うでは飼料にしか使わぬことは御承知の通りでありますが、増産して日本にやっている、さようなことでございます。われわれとしましては、この大麦、裸麦等につきましては特に重視しなければならぬと思うのであります。小麦といえども、これは実は日本のものは非常に品種が悪いので——輸入するもの等は劣るそうでございますが、これはまたなにとしましても、大麦、裸麦等につきましては特段の考え方を持たなければならぬかと思うのであります。現在、試験研究におきましても、実は部内を検討してみますと、非常に手薄になっておる、思い切った補助がしてないということでございますので、本年度は品種の改良、特に原種の改良につきましては相当の試験研究を強化することにしておりますが、そのうちには、大豆であるとか、あるいはまた麦、あるいはテンサイ糖もだんだん入っておりますが、これらと並んで、特に大麦、裸麦につきましては、品種の改良と、それから同時に畑作の改善方策、先ほど来申し上げておりますような諸施策を講じまして、そうしてもっとやっていきたい。同時に、これは価格支持政策によってやっておりますけれども、海外との価格によって逆ざやになっておる。そうしてここに大きな問題があるわけでございますが、これらの問題等につきましても、なお研究を重ねまして、そうして合理的な措置をとれるようにだんだんして参りたい、かようなことでございます。  これを要するに、大麦、裸麦等につきましてもなお増産をする、同時に農家の経営に寄与するような方向にこれを持っていきたい、かように考えておりますし、小麦等につきましても、困難はありますけれども、適地に品種改良をしまして、そうしてなるべく輸入防遏に寄与したい、こういう考えでございます。

倉成正自由民主党

○倉成委員 ただいまの大臣の御答弁は必ずしも麦作に対する基本的な考え方について明確ではないと思います。大麦、裸麦についてはある程度考えるが、小麦について、大臣はいろいろ世界の事情等を考慮して若干疑問を持っておられるようでございます。しかし、この問題は、もうすでに今日の段階では研究をする段階というよりも結論を出さなければならない段階というふうに私は考えるのでありますが、この点についてなお一そうの御努力をお願い申し上げます。  次に、私は防災事業についてお尋ね申し上げたいと思うのであります。日本農業の大きな特色は、毎年と言っていいくらい災害があるということです。一昨年は諌早を中心とする九州災害があり、昨年は伊豆を中心とする災害に見舞われたのでございます。風水害による農作物、農地、農業用施設の被害は甚大なる額に達し、農地及び農業施設災害復旧予算は、総予算の一割から、多いときには二割の大きさに達することさえあるのであります。しかして、これらの災害は自然の力で、いかんともなすことができぬ部面が相当あるわけでございますが、また一面、もし真剣に積極的にその対策を講じたならば、災害を未然に食いとめることのできる部門が相当あるのでございます。具体的に申し上げるならば、全国各地に散在しております老朽ため池の問題、農林省の調査によりますと、昭和三十三年以降五カ年間で補強すべき個所が二千八百二十地区、関係面積が九万八千六百六十町歩、この数字については、いささか調査漏れがあって少いと私は考えるのでございますが、農林省の調査ではこのようになっております。ところが、三十四年度予算を見ますと、わずかに二億四千万円、二分の一補助でありますから、事業費に直しますと四億八千万円、一カ所四、五百万円見当、事業個所にいたしますと百カ所前後の修理ができるわけでございます。この計算でいきますと、計画に対して二十八カ年間の歳月を要するということになるわけであります。もしこれらが決壊するということになりますと、非常に大きな災厄をもたらすのであります。これらの災害のないうちに、補強して、かさ上げして有効に利用すれば、その地方の生産力をいかほど上げるかわからない。また旱害対策に寄与するかわからないのであります。これらの問題は非常に農政の面で陰に隠れた面でございますけれども、もう少し真剣にこういった問題を取り上げていただきたい。私は老朽ため池の一例をここにあげたのでございますけれども、昨年九州、関東地方を襲いました旱害に対しまして、閣議決定におきまして旱害応久対策というものを決定され、私はその敏速なる、また真剣なる決定に対して快哉を叫んだものでございますが、三十四年度予算の内容を見ますと、これに対する施策が非常に微々たるものである。せっかく大臣の御努力によって閣議決定があったにかかわらず、現実の予算面には盛られてないということになって参りますと、政治の貧困を物語るものと考えざるを得ない。これに対して農林大臣はどのようにお考えになるか、伺いたいのでございます。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○三浦国務大臣 基本的な考え方といたしまして、土地改良その他の農業施設は、やはり後進性の地帯の開発、同時に防災地区の施設を拡充するということに力点を置きまして、そうして三十四年度の土地改良その他農業施設等の予算を編成させたのでございますが、これは申すまでもなく、ただ単に防災という名目のついた項目だけじゃございません。これを実施しておりますところは完全に災害を防止し、そうして生産力を上げておりますことは御承知の通りであります。しかしながら、この防災事業としてのカテゴリーに入りますものも、お説の通り拡大して参らなければならぬことは当然であります。同時に、国営あるいは県営の関連事項としまして、小団地等につきましても相当拡大して参りましたから、その事態に応じて適切な措置を具体的な場合には講じて参りたい。なお今後防災事業の問題につきましての拡大強化ということにつきましてはせっかく努力して参りたいと存じます。  なお、防災事業のあり方についての詳しいことは、また政府委員等から説明をさせていただくことにいたします。

倉成正自由民主党

○倉成委員 私は、大臣のただいまの御答弁に対して特に御要望を申し上げたいのでありますが、防災事業は、単に防災の項目に掲げてある事業のみに限るものでないということはよく了解できるのでありますが、焦点をどこに合わせるかという問題。災害が一たん起りますと、総理大臣以下農林省をあげて、これに大騒ぎをする。しかし、災害が起らない前に、前向きの農政で、防災という点に焦点を合わしてこの農政を推進していくということはこれは農政の面について非常に重要な役割を示すものである。これは単なる事務的な積み上げではできないのでありまして、大臣の勇断をお願い申し上げたいのでありますので、特に真剣な対策を要望申し上げるものでございます。  次に、私は、新しい問題として国民年金制度がことしから設けられることになっておるのでございますが、これは今まで日の目を見なかった農村漁民の人たちにとって一大福音をもたらすものであると考えるのでありますが、この農村に対して国民年金制度がどのような影響を及ぼすものであるか。また、同時に、農家の負担能力が、現在言われております国民年金制度の中で耐え得るものであるかどうかという問題。それから、徴収方式について、農家は現金支出ということを非常にきらう性向があると同時に、現金収入が時期的に片寄る傾向がございます。従って、その徴収について、農家の場合に一般普通の徴収の方式ではなかなかやりにくい面がある、こういう面をどのように農林大臣としてお考えになっておるか。また、災害等が起った場合には、農家としてはこういう負担をするということは非常にむずかしいわけでございます。こういった点についてどのような御用意、農林大臣として国民年金制度の実施に対して政府部内においてどのような御要望をなされているかということを承わりたいのでございます。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○三浦国務大臣 当分のうちは無拠出の年金をやるということになって、拠出制度によるものは三十五年からやるというふうにだんだんなっております。従いまして、この実施上の問題につきましては、厚生省等にも、立案に先だちまして、農村は非常に重大な利害関係を持っておるから、その方面の意向を十分に聞いてほしいということを申し上げまして、厚生省もそれはもっともだということで、農業団体方面との懇談会等も持ちまして、そうして意見の調整をしたのでございます。  なお、第二段の、災害時におけるいわば拠出金の延納でありますとか、取扱い等につきましては、これは租税との関係もあるし、特に農村ではしばしばこれらの問題について周到な用意をしたことであるから、この方面についてもそごのないようにということは、これは当の厚生大臣にも直接申し上げたようなことでございまして、なお、この問題につきましては、細目にわたって農村方面の意向を十分に反映さして適切な措置を講じたいという存念でございます。

倉成正自由民主党

○倉成委員 国民年金の問題につきましては、やはり実施目睫の間に迫っておりますし、これは特にこの年金制度の恩恵を受けるのが農民、漁民の中に非常に多いわけでございますから、この実施が適切に行われるように、農林大臣としても十分な申し入れを厚生当局にいたしていただいて、この制度の円滑なる運営をなしていただくように配慮をいただきたいと思うのであります。  次に、果樹振興の問題について、この問題については同僚綱島議員より予算委員会において御質問があったかと承わっておりますので、私は果樹の重要性について今さら申し上げるまでもないのでございますが、わが国の農産物の生産額のうちで、昭和三十二年度では果実の生産が六・九%を占めておるという現実、また、一戸当りの反当労働報酬で計算しますと、米、いもは反当一万円、麦が三千円、果実はリンゴでは二万五千、ブドウが三万九千、ミカンが四万三千五百円、夏ミカン七万円という、これは農林省の統計を利用しておるのでございますが、非常に大きな収入を得るのでございます。従来果実については何か富裕な農家がこれをやるのだというような誤まった考え方が一般に行われておりますが、畑作振興、その他農家の所得を増大していくということを具体的に進めて参りますならば、日本のような気象条件のところにおいては、果実産業の振興ということは国策としても非常に真剣に考えていかなければならない問題であろうかと思うのであります。ところが戦後果実の価格は高くて、昭和二十八年、二十九年ごろまでは上昇の傾向をたどったのでありますけれども、東京市場の主要果実の一貫平均価格は昭和二十五年の百四十二円から、昭和二十八年、二十九年両年で二百一円になりました。その後次第に下落しまして、昭和三千二年の平均は百七十七円ということで、昭和二十八年、二十九年に比しますと、リンゴが七十四、モモが八十、ブドウが八十一、ナシは八十五に下落して、ある産地のごとき、たとえば鳥取の二十世紀のごときは、栽培の利益のない状態になっている。また、特に値下りの激しい、しかも十年後には産額三億八千万貫をこえると予想されますリンゴについては、今全体の六五%を占める青森の御出身である農林大臣はどのように今後のリンゴ栽培ということをお考えになるか、果樹全体についてお考えになるか、こういうことをまず第一段にお伺いしたいと思います。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○三浦国務大臣 どうも、リンゴのことを御指摘になりましたけれども、私はほんとうは詳しいことは存じません。ただ、県の産業として重要なものでございますから、この値の安定を期したいと思います。その中におきましても、取引の条件であるとか、あるいはまた問屋と生産者の関係であるとか、なおなお理想的な観点に立ちますといろいろ改善を要すべきことだと考えておりますけれども、率直に申し上げて、その詳細なことは存じませんから、そのことはしばらく略さしていただきまして、果実全体についての農林省の考え方を一通り申し上げたいと存じます。

倉成正自由民主党

○倉成委員 要点のみ一つお願いします。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○三浦国務大臣 まず第一に、取引の改善につきましては、卸売市場等の面において改善を要しますから、今国会に御審議を仰いでおります卸売市場の調査会等を活用いたしまして、その方面の改善を第一に加えて参りたい。同時に、生産地方面におきましては、あるいは貯蔵設備であるとか、あるいは加工設備等の助成はいたしておりますが、これらも既存の施設を拡充するということによって、その効果を期待しておるわけであります。同時に、海外に輸出させたいものだということでありますが、日本は果実のカン詰等につきましては後進国でございまして、他の先進の国々と比較いたしますと非常に劣位な立場にあるわけであります。しかしながら、ミカン等につきましては、これは英国であるとかその他の国々に相当出ておるわけでありまして、これは依然消費の宣伝のためにも努力して参ります。同時にまた、過般英国との間にいろいろな果実輸出につきましての通商上の協定をした場合にも相当な努力をして参りました。これを継続して海外にも輸出していくようにしたい、こういうふうに考えております。  なお、農林省におきましては、この果実を取り扱う場合、あるいは振興局であるとか、経済局であるとか、あるいは食管の方の食品課というふうに、実はばらばらになっておって、統一的な面についても遺憾がある、こう言われておりますし、今後、この問題につきましては、この方面につきましても改善をはかって、統一的な考えで、そうして有機的にこれらの問題に対処して、その振興に寄与いたしたい、かように考えております。

倉成正自由民主党

○倉成委員 果実の問題につきましては、大臣もまだ十分御研究でないようでありますから、これ以上お尋ねするのも無理かと思いますが、大体三つに集約できるわけであります。国としての方針を確立して、現在の都道府県の増産計画を野放しにしないで、計画的にやるということが一つ。それから、今大臣の御指摘になりましたように、果実に関する行政機構です。特に農林省の中でばらばらにやっておられる。たとえば振興局園芸特産課では果実なんて専任職員が三人です。そうして販売のことは野菜と合せて経済局の企業市場課、加工のことは食糧庁、貿易事務のことは経済局の経済課。どこに係がいるかわからない。こういう状態でありましては、全生産額の七%に近い果実の行政としてはまことにお粗末ではないかというように考えるのでございます。この点については、今後十分な御研究をいただいた上で御質問を申し上げたいと思いますから、要望を申し上げておきたいと思うのであります。  最後に、角屋委員からもお話がございましたが、私は、日中、日韓問題のうちで、特に日韓問題についてお尋ね申し上げたいのであります。日韓問題については、先ほどから大臣からもいろいろお話がございましたように、いろいろむずかしい問題もあろうかと思いますが、私は、この正月に対馬に参りまして、現地の漁民の実情あるいは出漁の状態を親しく見て参ったのであります。現地の漁民は非常に不安におののいておる。また、抑留されて帰ってきました船員というのは、ほとんど半病人の状態で、あの血気盛んな漁夫が見違えるようにやつれた姿で帰ってきて、半年、一年は生活できないのであります。こういった現実を大臣が実際御承知であるかどうか、もちろん十分御承知であろうかと思うのでありますが、もしほんとうにこれを御承知であるならば、たとえばあの李ラインの監視船の増強の問題、これも農林大臣の所管ではございませんが、こういった監視船の増強のために大臣が真剣に先頭に立ってこれにはだ脱ぐ、あるいはまた、先ほどから水産庁が小型漁船に対する無線機を大蔵省に要求いたされましたが、これを全削されておる。つい最近対馬の沖合いで拿捕されました小型漁船というのは、もし無電機を持っておったならば拿捕されないで済んだだろう。これは結果論でありますけれども、そういうことが言えるのでありまして、私はそういった点についてもう少し真剣な御配慮をお願い申し上げたいと思うのでありますが、一言御所見を承わりたいと思います。

三浦一雄自由民主党農林大臣

○三浦国務大臣 ただいま御質疑になりました点は、実はきょうの閣議でも問題に取り上げられまして、海上保安庁、水産庁とも具体的なお話し合いを進めることにまでしておりますが、第一の監視船の増強は、本日も運輸大臣ともにその対策につきましても提唱しておるようなことであります。それから、無線機の装備の問題につきましても、海上保安庁、水産庁と話し合いを進めまして、そうして日韓のあの地帯における漁船の保護に十全を期したいという考え方をもって、今後とも努力いたしたいと考えております。

倉成正自由民主党

○倉成委員 日韓問題については、今後慎重な、また真剣な御努力をお願い申し上げることにしまして、最後に農林大臣に申し上げたいことがございます。今日の農林水産業の問題は、いろいろの意味において、日本の政治、経済の基本的な方向を決する大きな問題を含んでおるのでございます。三浦大臣は、一つ信念を持って堂々と所信を政府の部内に主張せられまして、勇敢にその施策を推進せられまして、全国の一千八百万の農林漁家の期待にこたえられんことを切望いたす次第でございます。  私の質問はこれで終ります。

吉川久衛自由民主党

○吉川(久)委員長代理 午前の会議はこの程度とし、暫時休憩いたします。     午後一時二十四分休憩      ————◇—————     〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕

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