農林水産委員会 第2号
- 発言数
- 5 件
- 登壇者
- 3 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1958/12/17
会議録
○本名委員長代理 これより会議を開きます。 松浦委員長は都合によりちょっとおくれるとのことでありますので、私がその指名により暫時委員長の職務を行います。 去る十三日本委員会に付託になりました芳賀貢君外十一名提出、農家負債整理資金融通特別措置法案、及び、芳賀貢君外十七名提出、寒冷地畑作農業振興臨時措置法案を一括して議題とし、審議に入ります。 まず両案の趣旨について提出者の説明を求めます。芳賀貢君。
○芳賀貢君 ただいま議題となりました寒冷地畑作農業振興臨時措置法案の提案理由を御説明いたします。 まず、この法律を提案するに至りました経緯等について申し上げたいと存じます。 北海道を初めとする寒冷地帯の農業は、その開発以来、劣悪な自然条件のもとで、地域農民のたくましい努力により、食糧増産、酪農振興等、わが国農業の発展途上に多大の成果をあげて今日に至ったのでありますが、常襲的な冷害凶作及び経済事情の変動により農業経営はいまだに不健全であり、従って、農家経済もまた不安定の実情にあります。 すなわち、寒冷地帯の農業は、昭和二十八、二十九両年の連続冷害により、大きな打撃をこうむったのでありますが、さらに加えて昭和三十一年には四十数年ぶりという大凶作に見舞われましたため、農家負債は急増し、農業経営は著しく悪化するに至り、ために農民は営農意欲に燃えながらも苦境に呻吟しているのであります。 このような農民の窮状を打開するため、もとより、国としても、また地方公共団体としても、もろもろの応急対策を実施し、何とか再生産の維持に努めているのでありますが、今日までの施策は農民の当面する窮状の打開策にとどまっているにすぎないのでありまして、もし今後長く根本策の確立を怠りこのような事態を放置いたしますならば、寒冷地帯の農業は常に冷害凶作の災害に見舞われ、農民がいよいよ塗炭の苦しみに陥りますことは想像にかたくないところであります。 それゆえに、昭和三十一年の大凶作を契機に、寒冷地帯の農業振興のための恒久対策を樹立すべきであるとの意見がほうはいとして高まってきたのであります。 寒冷地帯の畑作農業経営の特色は、寒冷がはなはだしいという気象条件と、特殊土壌が多いという劣悪な土地条件のもとにおいて、農耕期間が短かく、土地利用が制約されている上、土地改良の立ちおくれと地方収奪的な農法により地方が著しく低下しており、生産手段が整備されておらず、営農技術の水準もまたきわめて低いため、農業生産力が著しく停滞しているのみならず、さらには農産物価格の変動等の影響をも受けて一そう不安定なものとなっているということであります。 従いまして、寒冷地帯における畑作農業の振興をはかるためには、このような自然的な制約条件に対応して、農業生産上における各般の基礎条件を整備するとともに、地方の維持増強、生産手段の整備、営農技術の向上等のために必要な措置を総合的に実施し、もって寒冷地帯に適応する農業経営、すなわち家畜を組み入れた主畜経営または混同経営を確立することが絶対不可欠の要件であります。しかしながら、これがためには多額の投資を必要といたしますので、冷害により経済的な苦境にある農民が多額の自己資本を投下し寒冷地帯に適応する農業経営を確立することはもとより至難のことであります。 また、農林漁業金融公庫資金その他の制度資金の融通、あるいは国庫補助等の方法により行われております各種の補助助成措置も、ともすれば米麦の増産に重点的に振り向けられる場合が多く、特に融資については、金利、償還期限等の条件が寒冷地帯における農民の経済状態に適合していないため、通常の金融ベースに乗らないという欠陥があると存ずるのであります。 政府においても、以上のような寒冷地帯の畑作農業の実情にかんがみまして、昭和三十二年度に実施いたしました寒冷地農業調査の結果に基き、本年度から農林漁業金融公庫資金の計画的ら融通による畑作営農改善対策を実施し、これまで組織だった政策としてほとんど取り上げられていなかった寒冷地農業振興対策を現行諸法規の許す範囲内で著しく前進させたのでありますが、この対策におきましては、農業生産の基礎条件の整備が並行して行われがたく、金利や償還期限等の融資条件がかなりきびしく、さらには指導の組織的な強化が容易でない等の難点があることを指摘せざるを得ないのであります。すでに衆議院農林水産委員会においても、昭和三十三年四月二十三日、全会一致をもって寒冷地農業振興対策特別措置の確立に関する決議を行い、これが立法化の必要を明らかにいたした経緯にかんがみましても、寒冷地帯の畑作農業を振興させるためには、その実態に即応した基本対策を総合的かつ計画的に実施する必要があると思うのであります。 以上がこの法律案を提出するに至りました経緯と趣旨の大要でありますが、次に本案の骨子について簡単に御説明いたしたいと存じます。 まず第一に、寒冷地畑作農業振興地域の指定についてでありますが、農林大臣は、平年度において、五月から九月までの積算温度が摂氏二千六百度以下、無霜期間が百七十日以下、または七月及び八月の平均気温が摂氏二十度以下であって、耕地利用率が百分の百十以下の畑作を主とする農業地域で主畜経営または混同経営によらなければその地域内の農業者の経営の安定が得られないと認められる道県の区域の全部または一部を寒冷地畑作農業振興地域として指定することとしているのであります。 第二に、以上の寒冷地畑作農業振興地域について、自然的、経済的、社会的条件に応じて、農業経営の目標を定めることでありますが、この農業経営の目標につきましては、道県知事の定めるものを農業経営基準、また市町村長の定めるものを営農類型としているのであります。 第三に、農業振興計画の樹立及び実施に関することでありますが、これは、寒冷地畑作農業振興地域内の農民の経営を以上のような目標に到達しやすくするため、市町村長及び道県知事並びに農林大臣が農業生産基盤、農業生産手段及び生産物の流通機構の整備に関する農業振興計画を定め、政府はこの計画を実施するために必要な経費を予算に計上しなければならないとしているのであります。 第四に、寒冷地畑作農業振興地域内の農民の経営がさきに述べました目標に到達するために必要な長期低利資金を融通しようとするものでありますが、これは、まず農民に自己の農業経営改善計画を樹立させ、次にこれを道県知事が認定し、その認定を受けた者に対し、農林漁業金融公庫から、当該計画を実施するために必要な資金を、利率三分五厘、償還期間三十年以内で計画的に融通することとしているのであります。 第五に、指導の強化に関することでありますが、これは、農業経営改善計画の作成及び実施を指導させるため、特に道県に農業経営改善指導員を置くことができることとし、この設置に要する経費の一部を補助しようというものであります。なお、道県知事及び市町村長が指導を行うに当っては、自主的な協力組織として作られた農家群と密接な連絡を保って指導を行い、その効果を高めることとしているのであります。 以上がこの法律の主眼点となっているのでありますが、これらの五つの事項の実施によりまして、寒冷地帯における農民の営農を具体的に改善し、自然的、社会経済的な悪条件に対応する強靱な農業経営を確立し、すみやかに農業生産力の発展と農業経営の安定をはかり、もって国民経済の発展にも大きく寄与せしめたいと存ずるのであります。 何とぞ御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。 次に、農家負債整理資金融通特別措置法案の提案の理由を御説明いたします。 北海道を初めとする寒冷地帯並びに常襲水害地帯の多くの農家が、二十八年以降数次にわたって連続災害をこうむりましたことは御承知の通りであります。国及び地方公共団体は、そのつどそれぞれ金融対策等の応急措置を講じ、急場をしのいで参りましたが、これらの災害時に借り入れた資金のうち多額のものが、ついに過度負債として固定化するに至っているのであります。 しかも、これらの地帯におきましては、いまだ災害を未然に防止する諸施設の整備がおくれ、かつ一般に土地生産力が低く、加えて平常年でも通常の借入金を返済した場合はその余剰でどうやら家計を維持することができる階層の農家が大部分を占めておりますため、災害時に累積しましたこれらの過度負債は、それ自体が年々延滞利子を加算して膨張し、現在では農家経済の循環過程において重大な悪影響を与えるようになっているのであります。このような事態をこのまま放置いたしますならば、多くの農家は、農業経営の正常な発展をはばまれるのみならず、農家経済の破滅を招来するものと予測せられ、その結果は債権者たる系統金融機関等も甚大な打撃をこうむる結果となるのであります。特に北海道等一部地域におきましては、社会不安の様相を呈しつつあり、非常に憂慮すべき状況にあるのであります。 かかる事態に対処いたしますためには、北海道等の災害常襲地帯において過去の天災のため現在すでに償還能力以上の多額の過度負債を有しその経済が撹乱されている農家に対し、新たな立法措置を講じ、政府の金融調整による負債の長期分割償還、農家負担金利の低減等の措置をすみやかに講じ、これらの地帯の負債問題を早急に解消し、農業再生産の基礎を確固たらしめることが緊急の要務であると信ずるものであります。 以上がこの法律案を提出するに至りました経緯と趣旨の大要でありますが、次にこの法案の骨子を簡単に御説明いたしたいと存じます。 その第一点は、すでに天災による多額の固定化負債を有する農家であって、現在その農業経営が著しく不安定な状態にはあるが、今後積極的に農家経済の再建をはかろうとする意欲を有している者に対し、農林漁業金融公庫が低利、長期の負債整理資金を融通し、農家の固定化負債を流動化せしめようとすることであります。 第二点は、農林漁業金融公庫から負債整理資金の貸付を受けようとする者については、負債の整理計画等を含む農家経済再建計画を樹立せしめ、その再建計画を都道府県知事が認定し、その認定を受けた者に対し、農林漁業金融公庫から当該計画を実施するために必要な資金を利率三分、償還期間三十年以内で融通することにしているのであります。 第三点は、負債整理の所期の成果をあげしめるためには、農家の再建計画の樹立、実施に関する重厚な指導、助言並びに条件緩和等に関する債権者、債務者間の調停、あっせん、勧告等が必ず伴わなければ効率的な成果を期待することができないことは過去の経験に徴し明らかでありますが、これらに要する経費のすべてを常襲災害地帯の地方自治体に負担せしめることは、現在の地方財政の実情に照らしきわめて至難であり、かつ適当でないと思われますので、都道府県が農家経済再建指導員を設置いたします場合、その設置に要する経費、及び都道府県が農家負債整理についての調停、あっせん、勧告等を行う機関を設置する市町村に対し補助を行う場合はその補助に要する経費につきまして、政府は予算の範囲内でその全部又は一部を補助することとし、この負債整理対策の成果を完全なものにしようとしているのであります。 以上簡単に農家負債整理資金融通特別措置法案の提案の趣旨と内容を御説明いたしましたが、何とぞ御審議の上すみやかに御可決あらんことを御願い申し上げる次第であります。
○本名委員長代理 これにて両案の趣旨説明は終了いたしました。
○石田(宥)委員 ただいまの御説明の中にもありましたように、本委員会において昭和三十三年四月二十二日全会一致をもちまして寒冷地農業振興対策特別措置の確立に関する決議を行なったのでありますが、その決議の内容をここに審議の参考といたしたいと思いますので、委員長において委員会に配付せられるように要求をいたします。
○本名委員長代理 承知いたしました。本日はこれにて散会いたします。 午前十一時三十四分散会