内閣委員会 第17号
- 発言数
- 56 件
- 登壇者
- 5 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1959/03/12
会議録
○内海委員長 これより会議を開きます。 総理府設置法の一部を改正する法律案、厚生省設置法の一部を改正する法律案、防衛庁設置法の一部を改正する法律案及び自衛隊法の一部を改正する法律案を一括議題とし、質疑を許します。石山權作君。
○石山委員 宮内庁の方にお尋ねいたします。先ごろ私たち内閣委員として皇居を見させていただきました。見て、一言に申しますれば、私たちがふだん考えているよりも大へん質素なあり方、特に清宮さんなどは前の侍従の方々のいられたというところに入っておられて、勉学だけでなくそれぞれの日常の炊事なども勉強されていられるという話、そしてそのうちなどもじかに見まして、ある意味では私たち安心をいたしました。同時に昔のイメージというものが消えた。これもまた私はいいことだと思って参りました。私たちが考えているような方向にだんだん大勢は向いているのだろうというふうに、私は印象として受けたのです。今度皇太子さんが御結婚なさることについて、これがまた一つのいわゆる平民化される、大衆化されるというか、国民に近しくなる一つの大きな手段にもなるし、それがまた一つの格づけとなってまた離れていくというような方向に向うことも予想されるわけなんです。この御結婚の式はそういう意味で、いろいろなことを考えた結果によって行わないといけない。大へん卑近な例だと思いますが、たとえば宮中で今度御結婚式の行われる場合の参加者の服装の問題、日本の伝統は洋式にあるのか和式にあるのか、いわゆる礼服なるものはどこへ一体根拠を置いているのか。これは大へん卑近な例だけれども、皇室というものが古い伝統の歴史の中に生きているということ、それから近代化されようとする問題、それからわれわれの生活と直結するという問題と入り組んで、ある意味では非常に苦悶しているのが今度の御結婚の式だ、そういう意味では側近の方々は大へん悩んでいる点もあるのではないか。そういう場合を見ながら、一体われわれの宮中その他の公式の服装なるものはどれを標準にしようとしているのか、これはもちろん御結婚なさる皇太子さん始め、これから式に参加するわれわれ等も含めましてお答えを願いたいと思います。
○瓜生政府委員 皇太子殿下の御結婚の儀式の場合の服装でございまするが、皇太子殿下並びに妃となられる方の服装は、皇室の伝統によりまして、皇太子殿下は結婚の儀の際は黄丹の御袍、黄色い色をした御抱、それから妃となられる方は十二単衣の古代の服装でございます。しかしそこに参列をなさいます方の服装は、モーニングまたはこれに相当する服装というふうにいたしております。これは一般の社会通念というか、社会常識というものとマッチするような線で考えられておるわけでありまして、普通の一般の社会常識ですと、そういうような場合にはモーニングを着たり、紋付羽織はかまを着て出られますから、モーニングまたはこれに相当する服装の中に紋付羽織はかまでもよし、制服のある方は制服でもいいわけで、その相当する服装の中にいろいろのものが含まれるわけであります。これをきめまする際の基本の考え方は、社会通念、社会常識に合せていくという考えでおるのでございます。
○石山委員 フロックコート、モーニングということは西洋伝来のものです。それがいわゆる通常社会に消化されつつあるということは、これはやはり大衆化がまだなっていないと思うのです。ある意味では上層部の方々の式事等に使用されているものであります。何だか新聞などを見ますると、例の二尺くらいの高い帽子、あんなのを今さら取り出してお使いになるようなことがあるのではないか、そうすると、どうも日本のいわゆる現実というよりも、外国の古い伝統だけが尊重されていくような格好だ。もちろん日本の伝統そのものは近代の生活にそぐわないといえば、それまででしょうけれども、私はそういうふうなものではないと思う。あなたの今の御答弁のモーニングに準ずる服装と言いました中で、制服と言われましたね。それは鉄道員なら鉄道員の制服がございますし、自衛官には自衛官の制服がある。そういうふうな意味も含まれているわけですか。
○瓜生政府委員 制服の中には、今おっしゃいましたもの、あるいは警察官の服装だとか、あるいは自衛隊の人たちの服装ですとか、そういう制服は、モーニングに当るきちっとした場合に着る制服、実際問題として今は平常の服装と変らないので、モーニングと同じように扱っておられますから、それならそれでよろしいということであります。それからちょっとお話がありましたが、高い帽子というのはシルクハットのことだと思いますが、これは別にわれわれの方として、ぜひ持たなくてはいけないというふうに考えておりませんので、現在宮中でいろいろモーニングを着てお客さんをお迎えする場合も、シルクハットを持っていない方々が大部分でありまして、それは要求しておりませんが、持っておられる方が持っておいでになっても、モーニングの場合に正式に言うと、シルクハットを持っておれば、英国あたりではそれが制服といわれておるわけですが、われわれの方ではぜひそうなさいと言っておるものではありません。
○石山委員 あまり服装の話ばかりしてはいかぬと思うのですが、私はなるべく皇室の行事というものと、われわれの日常生活というものに近接化をはかることがある意味では大切だ、こういう意味で質問しているのでありま す。たとえばモーニングに準ずるというふうになりますと、モーニングを用意しなければ失礼に当る。そうしますと、たとえば国会議員の中でも、一世一代の皇太子さんの結婚ですから、われわれであってもやはり祝意を表して行きたい。こう思った場合に、さてモーニングがなくて困った、これは事実問題としてかなり聞いております。あるのでございます。ですから、通常的な観念というふうにおっしゃっても、あなた方はそういう意味ではまだ少し高いところに目を注いでいるような印象です。ある意味では国会議員というものは、国民の中から見れば指導的な立場をとっておりますが、その人たちさえも簡単に通常化されていないのがモーニングの姿だと思うのです。ですから皮肉を言うわけじゃないのですが、長官はたとえばモーニング階級ばかり見ていると、それが通常かと思うのですが、着られない人がいるということ、こういうこともやはりこの場合考え合せながら行事を行なっていただかないと、ちょっとまずいのではないか。ですから私先ほど申し上げましたように、今回の儀式はいろいろな意味で国民に近接するのに非常にいい機会なんです。ですからなるべく形式ばらないような立場で、参内を許すというふうな建前がとられないとまずいのではないか。たとえば招待状の中身に、これこれの服装をしなければいけないのですよというふうに、案内状の末尾にそういう注意書きをつけられますか。
○瓜生政府委員 服装と書きまして、男子はモーニング・コートまたはこれに相当する服装というふうに書きますが、これは書いておきませんと、よく電話で、どういう服装が建前なのかと聞いてこられて、かえって不親切になりますから、そう書きます。しかしわれわれの方の扱いといたしまして、今までいろいろな場合の例で、そうして出しておいた場合に、モーニングを着ないで来られた場合に玄関払いをするかといいますと、それはいたしておりません。
○石山委員 そこでちょっと私たちの持っている常識と違うようです。祝賀に参内する人々は、宮中側から見れば、やはりお客さんの部類じゃないかと思うのです。お客さんに、あなたはシャッポを持ってこいとか扇子を持ってこいとか、これは非常に行き届いた考え方かもしれません。しかし地方では、なに要らぬ世話だというのが通常の常識ですよ。お客さんにはかま、それも仙台平のはかまでなければいかぬとか、黒無地でなければいかぬとか注文をつけるのは、お客さんを遇する道ではない。これは宮中の御結婚の場合とは違うといえば、それまでですけれども、少くとも参内して祝賀を申し上げる者は、私は天皇の場合と皇太子さんの場合はちょっと違うと思う。特に参内する人はお客さんの一人だと見て差しつかえないのである。国家の行事から見て、祝賀の場合は特に親切であってもよろしい。今までの例のような考え方で末尾に何々をしてこい、そういう注意は注意じゃなくて、何か命令じみた考えではございませんか。
○瓜生政府委員 その服装は何々を着てこいというような命令的な書き方になっておりません。それが建前だ、そういうふうに書いておきませんと、よくだまっておりますと、モーニングとわかっているのならモーニングを着てきたのに、自分だけ違った服装だといって、違った服装の方が、ときによると、人によりましては何か気まずい思いをされる。建物はこうですということをお教えしておいた方が親切だろう。よく外国の大公使館から招待がある場合にも、ホワイト・タイとかブラック・タイとかなんとか書いてございます。違った服装をしてこられますと、その人が気まずい思いをされる場合がありますから、私の方ではお知らせするのは親切心だと思っております。
○石山委員 お祝いことですから、あまりじめじめした話もいけないでございましょうから、この程度で打ち切ります。ただ私が申し上げたい点は、あまり格式ばらないでほんとうの意味で心から——いろいろな工夫をして不自由な思いをして祝賀を申し上げるよりも、ありきたりの気持をそのまま誠実に生かしてお祝いを申し上げるという態度を、たくさんの人にとらせるような工夫が、この場合私は必要だろうと思ってお伺いしたのであります。あえてあれがいかぬとかこれがいかぬとか申し上げておるわけではございません。そういう建前で行事をやっていただくように要望いたしまして終ります。
○内海委員長 受田新吉君。
○受田委員 宮内庁次長にお尋ね申し上げたい二、三の点があります。あなたは先般憲法調査会の方々に対して、憲法に関する天皇の国事事項に対する御意見及び天皇の海外旅行の際における国事事項の代行者はだれであるかということがはなはだ不明瞭な点があるので、これを正さなければならないという御意見が報道されたのでありますが、これは事実あなたの御意見として出された問題でしょうか。あるいは単なる法制の解釈を率直に言われたのでありましょうか。
○瓜生政府委員 先般憲法調査会の方から、天皇に関する条項の運用の実際を聞きたいので、参考人として出てほしいという話がありました。その際は、特に意見を述べることではなくて、実際の運用が今までどうなっておるか。またいろいろ問題になったような点があったら、そういう点を述べてほしいということでありましたので、私は意見は一切言っておりません。一部の新聞に、だからこういう点を改正したらいいと言ったとか、こういう法律を作った方がいいと言ったというふうにちょっと出ておりましたが、それはっけ加えられただけで、私の方は意見がましいことは一切言わずに、事実をその際に申し述べただけでございます。
○受田委員 自民党の方で憲法改正草案なるものを出しておられることを拝見しておるわけです。結局自民党の憲法改正草案に迎合する発言が、宮内庁の責任者のお口から出たとなると問題があると思って私はお聞きしたわけでありますが、あなたはただ当時の事情を説明されたにとどまるということでありましたから一応了承します。しかし、ここで明らかにしておかなければならないことは、宮内庁をあずかる責任者とせられまして、特に天皇のおそばでいろいろと事務を御担当になっている立場から、天皇の権能ということについて御意見があると思うのです。それを今からお伺いしたいと思うのです。 この憲法の第四条には、「天皇は法律の定めるところにより、その国事に関する行為を委任することができる。」という規定があるわけです。たとえば天皇が海外に旅行せられるという場合に、その国事権の代行者として皇太子を指定するとか、その他の適当な人に、皇位継承の順序によって人を選ぶというようなことを法律で定めることになれば、皇室典範にそれを掲げるということになるわけでございますか。
○瓜生政府委員 それは必ずしも皇室典範というわけではございません。法律ですから、たとえば他の法律の中にそういうのが入る場合もあります。たとえば今御審議になっておりますかどうか知りませんが、栄典法あたり——政府の作られた栄典法の法案があるのでありますが、そういうものの中にも栄典の一部のことを委任されるようなことが入っているものがあります。ですからそういう法律の形からいけば、どの法律という制限はないわけでございます。
○受田委員 現行の皇室典範その他の法律をもってしては、天皇の海外旅行は不可能であると判断されますか。
○瓜生政府委員 その委任の規定がございませんと、実際問題として国政のいろいろな面が、天皇陛下が外国に御旅行になっているその間に、法律とか政令とか条約とか、そういうものが公布を要する場合に署名がいただけませんから、わざわざ御旅行先まで持っていけばできるわけですけれども、持っていくのに相当時間がかかります。憲法の第七条の特にその第一号の関係のあたりで、いろいろ支障が起るおそれがあると思います。そういう場合に、どなたか代行者をきめてありますとすれば、その方がなされれば公布ができるわけでございます。事実問題として代行者がきまっておりませんと、相当期間御旅行になることは、やはりいろいろ差しつかえが起るだろうと考えられます。
○受田委員 そうすると現状においては、天皇の海外旅行ということは不可能だ、かように了解してよろしゅうございますか。
○瓜生政府委員 不可能とも言えないと思います。差しつかえがあるからあるいは不適当ということになるかもしれません。不可能ということは言えないと思います。幾らか問題を延ばしてもいいとか、非常にひまなとき、何もそういうような問題がないというような適当な時期がほんとうにあるならば、不可能とは言えないと思います。
○受田委員 不可能ではないが不適当であると今御説明があったと思うのです。もちろん衆議院の解散のときの天皇の国事権の発動というようなことなどは、いつ解散があるかわかりませんけれども、それは旅行先でも天皇の御意思を伝える方法があるわけです。旅行中に電報などで伝えることができるということが考えられはしませんか。
○瓜生政府委員 ですから不可能ではないと申し上げたわけであります。非常に手数がかかりますから、そういう面で国政の円滑な運営上いろいろ差しつかえが起るということは、感心しないのではないかということだと思います。
○受田委員 これは非常に大事な問題の一つだと思います。この間元号の問題をちょっとお尋ねしたのですけれども、それとこういう問題は、当面不適当な事態が起るというあなたのお言葉には、ある程度了承する点があるわけですが、しかし憲法を改正しなくてもそれはできるわけで、別に憲法直接の問題ではないわけですね。
○瓜生政府委員 ですからこの問題も憲法調査会の際には、その法律を作ってほしい、そういうようなことを言っているわけではないのでありまして、以前の憲法の場合でありますと、そういう場合に天皇の大権で監国というのを置けたのです。そういうのは以前の憲法の解釈上そういうふうになっておったのです。監国というものは、ずっと昔からそういう制度があって、憲法上どこにそれを置くという規定はないけれども、昔からそういうことが必要な場合に、置かれる場合には置かれるというものであった。美濃部さんの憲法あたりには、そういう場合には皇太子さんを監国にされるというようなことが、天皇の大権でなされたというようなふうに解釈上なっておったのです。現在の憲法でありますと、四条の第二項がありますから、天皇陛下が御自分でこれを代行させるというようなことはなされることはできないので、法律をもってきめるようになっております。そういう点が違っておりますというような事実を申し上げたわけであります。
○受田委員 天皇が外交上の権利義務関係を発動される権限としては、第七条の国事事項の中にある「批准書及び」云々のところもありますが、天皇直接のお名前が出ないために、外国と比べて非常に見劣りする、総理の名が出たりして困るのだという場合を考えておられるようでございますが、これは事実問題としてさような事態が起りますか。
○瓜生政府委員 それも新聞の記事によって違っておったから、そういうふうにおとりになったのだと思うのでありますが、その問題はこういうふうに言ったことを書いたものだと思うのであります。羽田の飛行場へ外国の元首が見えます。そうすると天皇陛下がお迎えに参って握手をなさる。それから自衛隊の儀佼兵がおりますが、それを元首が観閲される。それは一つの儀礼であります。観閲の際には天皇陛下はその案内をして御同行をされることはなさらないで、その途中でとまられる。外国の元首だけがその前に行かれる。これは現在陛下は自衛隊に対する指揮権をお持ちでない。総理がお持ちでございますから、指揮権がないということで、案内されるのをされないわけです。われわれが外国の大公使と話しておるのに、どうして来られないかということを聞かれた場合がございます。そういうふうに感じられた場合かと思いますが、なお外国の総理級の方が見えますと、その方が国賓の場合には、総理が迎えられて一緒にずっとその前を案内をしておられる、そういう場合は、そうでありますというようなことを言ったのを、どういうわけかちょっと違って、外国の元首を総理大臣も案内をしておられない、どなたも案内せずに自衛隊のあの指揮官が案内をしておる……。
○受田委員 自民党の憲法改正草案の中には、天皇を元首とするという規定がある。天皇を元首としなければ、外交交渉の場合、外交文書の交換の際などにおいて非常に困る場合にぶつかるのだという意見が出ておるわけであります。このことは直接天皇の国事事項に関与しておられる次長としてどうお考えでございましょうか。
○瓜生政府委員 その元首の問題については、現在は象徴という立場におられるわけで、日本の憲法では元首という立場ではない。象徴ということです。象徴のお立場で外国との交際をされておる。ところが外国の方から見ますと、外国に皇帝とか国王とか大統領とかいう元首がある。そういう方は日本のだれと対等の立場で交際をするかという場合には、外国の方では天皇陛下を考えられる。総理大臣が出られると、どうも自分を軽く見たように先方の元首の方はとられる。そういう事実はありますけれども、しかしわれわれとしてはそれをとやかくどうこうということを考えておるわけではございません。
○受田委員 これは非常に大事な問題でして、自民党の天皇元首論の根底には、国家を代表する者としては天皇が元首でなければならないという御意見があるようです。しかし象徴天皇として政治には関与しない、政務に関する一切の権限を有しないということが憲法の第四条にはっきり書かれてあるのですから、政治的な責任者としての天皇の御地位でないことになる。それが元首ということになると、政治的な責任の主体者になるということをわれわれは憂えるのでございますが、あなたはさようお考えでございませんか。
○瓜生政府委員 それは政治的な意見になりますから、われわれ宮内庁の者といたしましては政治問題になっていることに対して、とかくの意見を言うことはやはり控えるべきだ。天皇なり皇室は政治には関与されないというお立場でおられますから、従ってその近くに働いているわれわれも、政治問題についてどうこうというような意見を言うことは差し控えるのが、憲法の建前上そうあるべきだというふうに考えておりますので、意見としては申し上げない方がほんとうだと思います。
○受田委員 現在の制度で差しつかえない、ただ儀式をする際に天皇のお立場があまりにも哀れである、総理があまりにもクローズ・アップして、天皇はそのそばに暁の星のごとく立っておられる、これは非常にお気の毒に思われるということだけが次長のお気持でしょう。
○瓜生政府委員 別にそういう意味で言ったのではありません。さっき申しましたのは、外国の方から見て、何かけげんに思って質問を受けたことがありますということ申し上げたので、あわれとかなんとか、そういうような感想を別に申し上げておるわけではございません。
○受田委員 これはやはり大事な問題だと思う。つまり現在の制度で、非常に欠陥があるということが宮内庁の御当局の御意見にあるとするならば、その欠陥は那辺に存するかということになる。その那辺に存するかをただしてみますと、すなわち天皇の御存在が哀れであるという儀式上の問題である。すなわち国と国との権利義務関係上の地位の問題でなくて、ただすわられる位置とか立たれる位置とかいう問題に関する面だけであるということになるならば、これはむしろ天皇が自衛隊の責任者として指揮されたときよりは、その圏外におられて、もっと高いところでそれをながめておられる位置の方が、象徴としての権威があるのじゃないでしょうか。自衛官の総指揮官としてその指揮をされるような形よりも、むしろそうした独特の御地位に立たれて、自由な立場で象徴らしいお立場に立っておられる方が、天皇の権威を保持する上においてはいいのじゃないかと思うのですがいかがでし、よう。
○瓜生政府委員 今の自衛隊の儀佼隊の関係のことについては、宮内庁ではそれを何とも思っておりません。しかし憲法調査会ではいろいろ他から問題にされたりしたことがあったから、それを言えと言われたものだから、そういうこともあった、あのときの話を約一時間にわたって、こまかいいろいろなことにわたって言ったその一こまでございます。
○受田委員 私は現在の憲法を順守する立場の議員の一人でありますから、憲法第一条及び第四条のこの規定は、あくまでも守られねばならない。それをいろいろと周囲から天皇のお立場がお気の毒だということで、天皇元首論の復活の根拠にされると大へん問題があると思うのです。そこを一つ次長さんの方で十分お考えをいただきたいと思うのです。次長さんのお人柄、人格には、私たち議員だれ一人として敬意を払わない者はないのですが、特にこうした政治面に影響するような御発言があると、結局この憲法改正で、国の元首とした方がいいのじゃないかという自民党の草案を裏づけるおそれがあると思います。この点一つお含みを願いたいと思います。 私さらに皇室典範の規定に波及をいたしたいのでありますが、皇室典範は憲法の第二条に基いて作られておりますけれども、しかしこの前私が御指摘したような男系尊重の傾向が強い。この点についても女帝論の意見があることをあなたは報告されたわけですけれども、これはこの前ちょっと議論されましたので、詳細は申し上げませんが、憲法第二条の規定については法制局としては意見がある。たとえば世襲であるという以上は、女帝論を認めるということにも疑義があるし、また天皇退位論にも問題がある、こういうお言葉があったわけでございますが、世襲ということと天皇退位ということとの関係は、宮内庁としては別に差しつかえない問題じゃないかと思うのですが、法制局の見解は、いずれもう一度たださねばならぬ問題です。世襲である以上は、天皇が崩ぜられて皇太子が継承されるというのが順序だ、こういうお言葉があった。あのとき私、一般の民間にも従来家督相続制度があって、隠居という制度があるということを質問したのですが、憲法の第二条にはそれは感心しない規定だということで御解釈されておったのですが、宮内庁の御見解は、退位とかあるいは女帝ということは、決して憲法第七二条の規定には違反しないものであるとお考えでございましょうか。
○瓜生政府委員 憲法の解釈の問題になりますと、宮内庁の所管ではなくて、やはり法制局の権威によってやられますものですから、その解釈についてわれわれがとかくのことを申し上げない方が、先ほど申しましたようにわれわれの立場としてはそうあるべきだと思います。
○受田委員 名答されたわけですが、これは大事な問題だと私は思いますので、また法制局の問題としてお尋ねしたい。 私はいま一つ、今回の法案に関係することでございますが、皇居造営に関する問題として、現在の形で皇居が開放される面がないか。たとえば皇居の地下を地下鉄が通る、こういうことは一向差しつかえないわけです。東京から半蔵門にまっすぐに地下鉄を作れば、あの交通が非常に緩和されると思いますけれども、そういうことで適宜地下鉄に使うことは差しつかえないとお考えになるかどうか。
○瓜生政府委員 皇居の部分によると思いますけれども、これはいろいろ御審議の上できまることでありますが、もしあそこに宮殿ができると、その地下を相当深く基礎工事をやりますから、ちょうどそういうような下とかいうことになりますといけませんでしょうし、場所によっていかない場所もありましょうけれども、しかし特に支障のない場所であれば、これは別に差しつかえないというふうに考えます。その計画をよく拝見しないと、具体的には回答はむずかしいです。一般論として申し上げればそういうことでございます。
○受田委員 計画の問題と関連するということでございますが、それに差しつかえさえなければ、皇居の地下を交通網に利用しても差しつかえない、かように了解してよろしゅうございますか。
○瓜生政府委員 その計画自体によって考えられるということでございます。
○受田委員 さらに今度は地上の方でありますが、この間特に宮内庁の御便宜をいただいてわれわれ見せてもらったのですけれども、ここを陛下御一家の生活に差しつかえないところとして、開放していただいたらいいなというような場所がなきにしもあらず、たとえばあのヵモの住まっているお堀などというものは、一般民間人が一部見せてもらえるような場所を提供していただいても、国民とともにある陛下としては御満足じゃないか、かように思うのでございますが、皇居の内部の一部を民間に参観等のために開放するということはいかがでございましょうか。
○瓜生政府委員 皇居の一部について、いわゆるお住居としてお使いにならない、あるいは宮殿の運用上も特に差しつかえがないというような部分についてどういうふうに扱うかということも、皇居造営審議会の際に、あわせていろいろ御意見を聞きながら検討したいと思うので、今あそこの地域全体についてこれを一歩も広げないのだというような気持ではないので、現在でもあの中の約十万坪のところは馬場があり、テニスコートがあり、そのクラブ員は自由に入っておると思います。夏ですと、林間学校で小学校の人も利用しているわけでありまして、その点は皇居造営審議会が発足しまして、皆さんの御意見の妥当なところでよく考えたいと思います。
○受田委員 皇居造営審議会の方へすべてをおまかせしておられるようでございますが、これはやはり宮内庁としてのある程度の原案というものが私は必要だと思うのです。宮内庁としては、今ある程度幅のある御発言があったのでございますが、それは皇居造営審議会にお諮りになる原案としてお考えになった問題として了解してよろしゅうございますか。
○瓜生政府委員 皇居造営審議会の方にお諮りする原案はまだ固まっておりません。今盛んに整理いたしておりますが、その整理しておる際の気持は、今申し上げたような気持でありますから、そういう気持で宮内庁の方の考えも整理をしているというふうに御了解いただいたらよろしいかと思います。
○受田委員 皇居の周囲にあるお堀などは、一般国民の舟遊に開放しても差しつかえない問題じゃないかと思います。白鳥の浮ぶあのお堀ですね、いかがでありましょう。
○瓜生政府委員 あのお堀になりますと、これは宮内庁の管轄ではないのでありまして、厚生省の国立公園部の管轄になっております。
○受田委員 そうすると森本さんはちょうど厚生省の官房長ですから、御意見を伺いたいと思います。
○森本政府委員 ただいまお話のように、皇居の外堀の水面と、それから皇居の反対側の土手は、厚生省所管の国民公園になっております。これの使用の仕方でございますが、これはただいま公園という形をとっておりますが、いろいろ方法が考えられておるのでございます。水の上でございますので、鳥を浮かせることもございますし、あるいはボートを浮かべることもありますし、あるいは自然のままの姿で、ながめて楽しむという見方もあります。いろいろありまして、その方法のうちでどれが一番あそこの環境にふさわしいかという問題になるだろうと思います。ただいまのところ管理しております厚生省としましては、ああいう形をそのままにしておきまして、そしてあの石垣の景色あるいは水鳥が浮ぶ、そういうような環境を保持した形において使用と申しますか、一般の大衆の利用に供するというのが、最も適当でないかと考えております。
○受田委員 これは一つの見方でありますけれども、もう少し積極的な、ただながめるだけでなくて、もっとじかに楽しむ道もあるわけです。それも一つ御検討願いたい問題です。 それからもう一つ、陛下の御外出について自由が束縛されておるようですが、外国の王室のように、自由にデパートにもおいでになられ、劇などもごらんになられるというような形、つまり天皇の外出に形式を除いて、非常に自由な立場をお与えするということはいかがでございましょう。これはデパートなどで、両陛下が自由に買いものされるところを国民が見る方が、むしろ国民の皇室としての貫旅があると思うのです。
○瓜生政府委員 陛下の御外出は、以前に比較いたしますと年々ふえております。以前はおいでにならなかったような劇場だとか、時によると音楽会だとか、そういうことにもだんだんおいでになっておるのでございますけれども、しかし普通の方のように、自由においでになることは、やはり今の一般の社会の環境から見て、非常にむずかしい点があるのであります。やはりおでかけになりますと、たくさんの方が集まってこられますし、そういう整理の関係等もございまして、ひんぱんにおいでになることもむずかしい点があることも事実でございますけれども、だんだんにはもっとお出ましを多くして、今までごらんにならなかったところもごらんになられるように、お世話ができればしたいと思っております。
○受田委員 正田美智子さんの外出のときも、今相当強い警戒裏にやっておられます。これなど国民が見て、むしろ奇異に感ずるのじゃないかと思うのですが、この途中の警戒を——これはいかに厳重に警戒をやっても、警戒網をくぐる道もあるので、そういうことでなくて、国民の皇室として、国民に親しまれたならば、そういう警戒の必要のない、かえってりっぱな効果が上るのではないかと思うのですが、警戒についていかがでしょうか、これを緩和する方法はないのでしょうか。
○瓜生政府委員 警戒といいますか、主として交通整理の関係だと思います。それでやはり交通整理の関係上、お出かけになると雑踏する。そのために交通網がとまるとか、場合によっては、雑踏の場合にけが人が出るというようなことになりましても困りますし、その点は警察の方でそういうことのないようにやっておられるわけで、主として交通の雑踏整理ということが主だと思うのです。それでたとえば今ちょっと例にあげられました正田美智子さんの場合でも、今はまだ皇族さんでもございませんから、われわれの方として別にどうということは言っておりませんけれども、警視庁の方としますれば、世間の方が相当関心を持っておられるものですから、どこかへお出かけになるとどっと集まってこられたりして雑踏する、そういう場合にけが人が出てもいけないというような、いろいろな考慮があって、ある程度のことをされておるのだろうと思っております。
○受田委員 かって吉田元総理は、大磯からノン・ストップで登院をなさっておられた。総理の車が行くところ可ならざるはなしという登院であったわけですね。これは総理であるからといって、そういう独断的なやり方というものは大いに批判をしなければならぬと思うのです。そういうことは国民に迷惑をかけるわけですからね。そういう交通警戒をすることがむしろ国民に迷惑をかけるのです。そういうことをしないで、自由に外出をする、そして一般国民とともに、ストップのところはとまるというようにして、初めて国民の皇室としての権威があり親しみもある、かように思うのでございます。私は特定の人だけが交通上支障のない旅をするということには問題があると思っているのです。今のお顔を見たいというので人がのぞき込むおそれがあるという場合の警戒ということであるならば、まだほかに方法がありませぬか。その以前の整理という問題もあるわけです。むしろそういうことをすることで交通が渋滞してくるわけで、しない方が自然であるということになるのじゃないかと思う。そこを前から警戒しておると、これは何者かと思うから人が寄るので、黙っておれば寄るものではないのですからね。それを先に予告するから人が寄るのです。自由に黙って旅行されれば、決してだれも何とも思いません。予告した交通上の支障ということはどうでしょう。
○瓜生政府委員 皇太子殿下のお出かけになる場合、日曜日に——日曜以外でもありますが、テニスコートに行かれたり、日曜あたりに皇居においでになるごく非公式な場合においては、去年の春からゴー・ストップの場合にはちゃんととまっておられます。特別の警戒が見えないようにしてやっておられるわけであります。それはあまり交通が込まない時間を選んでやっておられますけれども、そういうことは現在すでにやっているわけです。だんだんこういう問題はいろいろ検討して、一歩一歩と研究はいたしていきたいと思っております。
○受田委員 防衛庁長官はいかがですか。
○内海委員長 防衛庁長官は午前中から午後に引き続いて参議院の方でどうしても答弁に出なければならぬということで、まだ何時に来られるということがはっきりしておりません。 ちょっと速記をとめて下さい。 〔速記中止〕
○内海委員長 速記を始めて。 本日はこの程度といたしまして、次会は公報をもってお知らせすることとし、これにて散会いたします。 午前十一時五十五分散会