内閣委員会 第5号
- 発言数
- 135 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1959/02/06
会議録
○内海委員長 これより会議を開きます。 総理府設置法の一部を改正する法律案を議題とし、これより質疑に入ります。質疑の通告がありますので、順次これを許します。平井義一君。
○平井委員 皇居造営審議会を設置する件につきまして、宇佐美宮内庁長官にお尋ねをいたします。皇居を造営するかしないかという問題に関しまして、まず長官に天皇制のあり方について所感を承わりたいと思いますが、天皇制といえば神武以来の天皇制でございますので、非常に長期にわたりますので、これを三つに区切って所感を承わりたい。神武天皇から孝明天皇まで、明治天皇から終戦までの天皇制、終戦になって新憲法のもとに作られた天皇制、この三段階に分けて、天皇制のあり方について長官の所感を承わりたいと思います。
○宇佐美説明員 天皇制のことにつきまして御質問があり、歴史的に大へんに古いところからの考え方を述べろということでございますが、私どもは日本の歴史を振り返って、わが国において天皇を中心にした一つの日本民族の国家が発展してきたものと考えております。これを明治以降におきまして一つの近代国家として新しい憲法制度のもとに、はっきりと国法的にも規定的に定められて参った特徴があると思うのであります。しかし明治制の憲法というのは、今さら申し上げるまでもなく天皇主権という立場において制定せられたものでございますが、新憲法によりまして国の象徴としてのお立場であり、主権は国民にあるという建前に立って、いわゆる民主主義国家の建設を行われたと考えるのであります。私どもは現憲法の趣旨に基いて今後発展していくべきものと考えておるわけであります。
○平井委員 日本の天皇制が始まりまして、天皇または王様——あるいは外国の王様のごときは戦争をして、勝って王様になるというのが通例でございますが、日本の天皇制の場合、やまと民族の中心として天皇がおわしますというような観念であったのでありますが、長官は皇統連綿と続いて、たとい徳があろうとなかろうと天皇は皇統連綿として続いているのだ、あるいは非常に人格が高くてやまと民族の中心としてふさわしいお方が日本の中心になられておった、このいずれをおとりになりますか、お聞きしたい。
○宇佐美説明員 わが国の天皇制は世襲の制度でございまして、しかもその天皇の位につかれる方がやはり国民の崇敬の中になるようなりっぱな方であってほしいというのが国民の念願であろうと思います。
○平井委員 続日本紀でしたかに「武烈天皇は性さがなくましまし、悪しきというてなさざるはなし。ゆえにここに皇統絶えにき。」と出ておりますが、そこで日本の皇統は絶えております。ところが民族の中心がないというので、当時のやまと民族が非常に心配をされていろいろ徳の高い人を探した結果、河内の国の山奥に非常に崇高なお方がおられた。その人をその次の天皇に中心として迎えた。これが孝昭天皇でございます。そういうふうで非常に徳の高い、民族の中心としてふさわしい方が中心となられ、これを親として崇拝をしておったということは長官も御承知のことと思います。また北畠親房卿は「君は尊くましませど、民を苦しむれば天これを許さず」、こううたっております。そういうことで常に天皇と国民は一体の姿であられたということも長官は御承知の通りと思うのであります。そこで孝明天皇は、いよいよ王政復古の声が日本に立ち始めまして、当時御承知のごとく日本は徳川幕府によって支配をされておった。そのときも孝明天皇は「すましえぬ水にわが身は沈むともにごしはせじなよろづ国民」、これは若くして世を去られたとも聞き、あるいは切腹したとも私は承わっておる。明治天皇は幼少にして非常に苦労をされた。その結果明治天皇が王政復古の後に明治大帝とまで崇拝をされておるのであります。その後明治天皇は欽定憲法をしかれて、ほんとうに天皇主権のもとに天皇と国民は一体である。すなわち「罪あらばわれを咎めよ天つ神民はわが身の産みし子なれば」、全く一体の姿で来たのであります。その点から見まして日本の天皇制は諸外国と違って、ほんとうに天皇と国民が親子の姿であり、一体の姿であるところに天皇独裁ということでなく、ほんとうに国民と天皇といったような、決して天皇はオール・マイテイでないと私は考える。すべて民の世論、民の声を聞かれて、これで政治を行なったということが日本の天皇制の姿でなければならぬと思います。従いまして天皇は国民の親であり、ほんとうの中心である。それが戦争がだんだん敗戦の姿をたどって終戦になる。国民の中にはあるいは戦犯、あるいは数百万の戦死者を出しておる。国民の親であるべき天皇は近代天皇でありますが、いかなる親としての行動をされたか、これは私は強く追及をすることもいたしませんが、だんだん敗戦後に天皇制に対する観念が薄らいできておるということは長官も御承知と思います。しかも皇室の尊厳について今日の日本の姿、あるいは日本の青少年の気持、これを考えて今後の天皇制、皇室の尊厳がどうあらなければならぬか、過去のことでなくこれからの天皇制でよろしゅうございますが、皇室の尊厳、今後の天皇制のあり方、これに対してどういう確信を持たれ、どういう天皇制のあり方がいいと思われるか、この点を一つ長官にお伺いいたしたいと思います。
○宇佐美説明員 ただいま平井委員がるるお述べになりました点につきましては、私どもきわめて同感いたすところでございます。常に皇室が国民とともにあられるということ、昔から皇室の念願とされ、その実現に心を砕かれたのであろうと考えるわけでございます。いろいろ機構上の変化があるといたしましても、皇室と国民との関係というものは、常に皇室は全国民のために行動せられるということであろうと思うのでございます。明治憲法時代の憲法上の地位に基く諸制度と変りました今日におきましては、やはりそこに新しい憲法に基く皇室のあり方というものが立っていかなければならないと考えております。もとより先ほど申しましたような基本的な問題は変らないと思いますが、この現われというものは常にその方向に向って進むべきものであると思います。天皇の御位地は、今は政治あるいは文化それぞれの長という意味ではもちろんございません。国民の統合の中心ということにあられるわけでありまして、そういうような立場から国民の進歩とともに皇室もまた歩かなければなりませんけれども、常に国民の大多数とともにおられるということが必要であると思うのでございます。いろいろ一口に天皇制の民主化ということがいわれるのでございますが、そういう意味における民主化ということでございまして、やはり一般市民と全部同じになるという形式的な問題ではないと思います。やはり国民の象徴としてのお立場というものははっきりお持ちにならなければならないと考えますし、国民もまた、そういうわが国民、民族の象徴であるということに対する尊敬もあるのが当然であろうと私どもは思うのでございます。皇族と国民が相親しみ、その間におのずからな尊敬があって、ともに日本国の発展のために尽されるというお姿が将来の考え方の基本であろう、かように考えております。
○平井委員 昔は先帝陛下がおなくなりになりますれば、皇位をお継ぎになる皇太子は、少くとも一年ないし三年の高座の行事をやられて、これならば民族の中心になり得るという確信がなかったならば、即位をしなかったということを読んでおりますが、その昔の日本の天皇制に比べて、敗戦とはいえ、今日天皇制を維持するとするならば大きな差があると思いますが、この点長官はどう考えられますか。戦争が負けたからどうでもいいのだというふうに考えておりますか。
○宇佐美説明員 昔のいわゆる皇太子のお地位というものは、立太子の儀式によってその方に皇太子というものがきまったのでございます。必ずしも現在のような長子相続という形ばかりではなかったのでございます。その意味におきまして立太子ということは非常に重要な意味があったわけでございます。現在におきましては、法制上当然長子相続ということが定められておるわけでございまして、昔の立太子とただいま行われます立太子の意味は非常に違っておると思うのでございます。昔のような行き方につきましても一つの方法でございますが、同時に、そこに政治的なあるいはいろいろな紛淆も起り得るのであります。私どもは、そういうことが皇室に行われませずに、現在のようなはっきりとした皇室典範に基いてそれが行われることが明確であり、紛淆を来たさずにいけるものであると考えておるわけであります。
○平井委員 終戦後に、御承知の通り日本は、国民として非常によりどころがない。せめて天皇制は維持されたのでありますから、これが一つの希望であり、よりどころであったと思うのであります。新憲法のもと国民の象徴となられたのでありますが、象徴ということの解釈は非常にむずかしいと思うのでありますが、象徴といえば、少くとも全国民の崇拝されるべき皇太子でなければならぬ。しかも立太子の式を終了された。しからば宮内庁長官として、あるいはおそばについておる人としては、民族の象徴にふさわしい教育、ふさわしい姿にさせることが職責ではなかろうか。そうならなければ、民族のより場もない。将来の日本を考えたときに、一体どうなるか、これは人ごとでない、日本民族の問題でありますから、特に宮内庁長官はこの点をほんとうに真剣に考えなければ、これが一角がくずれていった場合には、宮内庁はもちろん要りません。宮城開放の問題も近く起ることは当然の話でありますが、現在のあり方が新憲法にふさわしい、あるいは日本民族が非常に尊崇して、喜んで天皇制を護持されると思われておるかどうか、この点を長官にお尋ねいたします。
○宇佐美説明員 私どももただいまお述べになりましたようなことを深く考えておるつもりでございます。今のような新しい憲法のもとにおける皇室におきましては、皇室の方々の御行動というものが非常に大事であると考えております。そういうような意味におきまして、皇太子殿下の御教育と申しますか、御研さんを願うことは、われわれとしても非常に強いわけであります。人を作るということは容易なわざではございませんけれども、われわれといたしましては、大きな一つの職責と考えておる次第であります。
○平井委員 皇太子殿下の御結婚につきましてお尋ねいたしますが、新憲法のもと恋は自由でございますから、皇太子殿下も人間だから恋をするだろう、こうおっしゃるでしょう。それもまことにけっこうでございましょう。しかし民族の象徴という観点から見まして、もしも天皇陛下が皇后陛下と銀座を毎晩散歩しておる、あるいは自分のしたいことをするということになっても、民族が尊敬をし崇拝をすると思われておるかどうか。私は決してこの御結婚に反対をするものではありませんけれども、要するに、もしも皇太子殿下、天皇が民族の象徴とするならば、国民の声によって——いろいろお相手を探したけれどもなかった、民間からぜひもらっていただきたいとあなたから進言をされて御結婚あそばすならば、これは民族の声である、ほんとうに国民の声でありますから、私は大歓迎でございますが、もしも伝え聞くように、皇太子殿下が軽井沢のテニス・コートで見そめて、自分がいいというようなことを言うたならば、ここにおられる代議士さんの子供と変りない。私の子供と変りない。これが果して民族の象徴と言い得るかどうか私は知りませんが、あなたから進言をされたものか、皇太子殿下が自分で見そめられたものか、この点をお尋ねしたい。
○宇佐美説明員 皇太子様の御婚約の実際についてのお尋ねでございます。これは世上いろいろ間違って伝わっておりますので、ただいま御質問がありましたので、私はこの機会にはっきり申し上げておきたいと思います。 今回の御婚約につきましては、数年前からいろいろ準備を事務的に進めておったのでございますが、もちろんその選考の方針その他につきましても、皇太子殿下御自身はもちろん、両陛下のお考えも伺って、われわれとしては慎重にいたしておったわけでございます。殿下御自身の御性格も非常に慎重な方でございまして、御自身の義務というようなことにつきましては、はっきりとお考えをお持ちになっている方でございます。今回の御内定になりました方につきまして、世上で一昨年あたりから軽井沢で恋愛が始まったというようなことが伝えられますが、その事実は全くございません。もちろん軽井沢でテニスを一、二度なさったことは事実でございます。しかしそれ以上の交際があったわけではもちろんございませず、この御婚約につきましても、その当時は何らそういう方がわれわれのあれにも入っておりません。しかしいろいろ候補者を選考して参りました過程におきましても、殿下に一々ごらんに入れているわけでございます。昨年の春ごろからいよいよ何人かの候補者をしぼって御相談申し上げ、そのうちからわれわれも御推薦申し上げ、殿下も冷静な観察をなさって御決心になったわけでございます。世上伝わるようなうわついた御態度というものは、私どもは実際において全然お認めすることはできません。むしろ非常に老成された考え方を持って注意深く進められたのでありまして、このことはあの当時の発表後におきましても私どもは外に向ってもはっきり申しております。世上そういうふうに伝わっておることは事実と反していると私は考えます。なかなか先に出ますとあとから幾ら申しても徹底をいたしませんで、この点は非常に残念でございます。ただいま御質問をいただきましたのは、私としましてはむしろありがたいことでございます。
○平井委員 長官の説明を了としますが、われわれ、世上というか、宮内庁係の新聞記者連中ともよく知っておりますし、いろいろ聞くところによれば、小泉さんと田島さんが非常な推薦者であった、あとはむしろそう賛成をなさらなかった、これはどうだか知りません。世上の話でございます。そこで小泉さんあたりの教育の仕方がいいと言う人もあるし、悪いと言う人もある。私、小泉さん、田島さんがどういう意味で強硬に推薦されたか知りません。推薦する方にもまた考えはあると思いますが、非常な推薦をして、ついに宇佐見長官も同意をしたというふうに聞いておりますし、また東宮御所において、皇太子殿下が学友を集めてわあわあ言うた結果とうとうきまったのだというようなことが、御婚約の後にぼつぼつ週刊朝日などに載るようになりましたときの責任や重大なるものがあると思いますが、この点長官いかがお考えになりますか。
○宇佐美説明員 今度の御選考につきまして、皇太子殿下の御教育に顧問として参画しておられる小泉博士あるいは前長官であります田島氏や、その他の方々といろいろ御相談したことは事実でございます。しかしながらこの間においてだれが反対をし、だれが強く推したということはございません。非常にこれは大事なことでありまして、一人の懸念もないということを私は慎重に考えて進めたわけでございます。こういうような点につきまして、私は内容について外に言ったこともございません。いろいろな憶測が出るようでございますが、これは全く事実と違うものと存じております。
○平井委員 これはなかなか大事な問題でございます。将来日本の天皇制が傾いた場合に大へんな問題になるので、私は国民代表として言うておかぬと困ると思うのですが、まず参考に申し上げておきますが、私が先般いなかに帰りましたとき、非常な天皇崇拝者のおばあさんがこういうことを言った。先生、日本も天皇制はしまいましたね、だから金持ちのお嬢さんをもらったのだろう、そういうふうに心から言うのであります。そういう年寄りが全国津々浦々に非常に多いということも長官は知らなければならぬ。いずれ天皇陛下になられるのでありますから、民族の象徴として、今日の皇太子がそれにふさわしいお方にならぬときは、日本はしまえるのですよ。今日われわれ中共だとかソ連だとか言っておるけれども、内輪でしまえるのですからこれは冗談じゃない。小泉さんあたり少しどうかしておられますまいか。よほど慎重に考えてくれなければ困る。もう皇室の尊厳というものは、小学校の本にもないし、だんだんなくなってくる。そういうお方を国民が崇拝して、宮内庁まで置いてああいう広いところで生活をする必要はないではないかというような段階まで行きはしないかと、私は非常に心配して言うのであります。長官は世上に伝わっておることはうそであるというけれども、一年前のテニスの写真を出したり、遊ぶところを写してみたり、ああいうことはあなたの責任ですよ。国民は決して喜んでいはしない。それを国民は非常に御結婚には賛成だ、いよいよ皇室も民主主義になったのだ、こういうふうにもろ手をあげて喜んでいるというふうに考えることは、私は大きな間違いだと考えます。しかし婚約が整ってもう式も近まったのでありますから、これに対して私はとやかく言いませんけれども、英国の例によりましても、これは皇帝にならなければ心配はない。恋愛は自由ですから。私は退位して会社にでも勤めましょうということになると、われわれは一口も差しはさみません。九千万の象徴となられる方だから心配をしておるのであります。その点義宮の結婚と非常な違いがあるということも考えなければならぬ。そういう場合には退位をされるといえば別でございますけれども、英国とは日本の皇室はかなり違った立場に置かれておるのでございます。英国ならば恋は自由でありますから、恋をなさい、そのかわり国民はあなたを養いませんよ、どうぞなさって下さいというようなことになると思いますけれども、日本はそこまで言わぬが、それだけに国民の気持というものは、あなた方が想像されるのとちょっと違いはすまいかと考えておりますので、今後の皇太子のあり方、今度婚約されるお方のあり方、写真等、これは宮内庁の宣伝と申しますか、そういうことについては特に私は留意をしなければならぬと思う。これは共産党であったら大歓迎です。要するに天皇制のあり方、皇室の尊厳ということをもう少し高める上において、何かあなた方は研究をされておりますか、まだ何も考えておりませんか。将来どういうふうに日本のこの皇室というものを持っていきたいというお考えですか、この点一つ。これはあなたが長官のときですから大へんな問題になる。将来問題になったときに、私があそこで質問したがその通りになったと言わないように一つ心がけ、また今後あなたとしては、どういうふうに天皇制を持っていき、皇室の尊厳を高めていくというお考えであるか。
○宇佐美説明員 先ほど御指摘になりました殿下の今回のことについての御態度は、先ほど私がはっきり申し上げた通りでありますが、おきまりになりました以上は私どもはやはり将来殿下と妃殿下がほんとうの愛情を持って、りっぱに結ばれていかれるということをわれわれは望むものであります。しかし今御指摘になりました御行動についてはわれわれも非常にこまかい点まで注意をいたしております。最近の週刊雑誌等を見ましても、そういった問題についてわれわれも国民の疑惑が起らないように、いろいろ報道関係にもお話し申し上げたのですが、雑誌を見ますと、宮内庁は反動化したというようなことを盛んに座談会でも言っておりますけれども、国民に筋の通った報道というものはやはりなければいけない、どういう生活をなさるかということは当然なければならないと思いますけれども、むやみに追いかけ回されるということについては、われわれとしても心外でございます。そういう点で、殿下の御行動については慎重な注意をいたしておるわけであります。しかし昔のようにすべてを不自由なと申しますか、当然あっていいことまで押えるということもどうかという気がいたします。殿下が伸び伸びと自身の立場を思いながら御成長を願いたいとわれわれは思うわけであります。やたらに何でもかでも押えるということもどうかと思います。ただりっぱな地位に対する御自覚から、すべての行動をよく考えていただいて、われわれもそれをお助けして、ほんとうに国民の将来の象徴としての素質を十分伸ばしていただきたいということでございます。これは大きな政策とか、そういうことが表面に出ることではなく、日々の行動が重なってそこに現われていくものと思います。私は日々のことにつきましても、東宮職のおそばにおります者にもちろんるる申しますし、小泉博士も皇室の将来ということとあわせて考えてやっていただいておりますが、私もよく国会における御質問等も伝えますし、私の考えも始終述べておるわけでございます。 なお今後の皇室のあり方につきましては、御指摘の通りに、ほんとうに真剣に慎重に私どもは考えなければならぬ。そういう問題について、ただ宮内庁の組織だけで考えていいのか。その間において世論を聞き、いろいろな立場から検討すべきはもちろんであります。そういう点についてもいろいろ今考えつつあるところでございます。まだ申し上げる程度にまとまりませんけれども、将来のためにこれはほんとうに考えていかなければならぬというふうに思っております。
○平井委員 皇室は、御承知の通りわれわれ国民と実は違うのでありまして、これは昔なら天皇学でございますが、今日の教育係というものの教育は、われわれ国民と違った立場においてされなければならぬと思うのであります。これはわれわれのようにちょっと代議士に立ちたいとか、金がほしいとか、名誉がほしいということ、全く教育に要らぬのであります。ほんとうに欲も得もない、ほんとうに人間の象徴としていかれればいいのでありますから、その教育は今あなたがおっしゃるように、あまり何もかにも押えるということではなく、民族の象徴にふさわしい教育、それを小泉さんはちょっとはき違えておりはしませんか。国民らしく育てるということが小泉さんの教育の方針では困る。これは事実欲も得も要らない、選挙の必要もなければ何も要らぬのですから、その点の教育はあなたが小泉さんに教えてやって、皇太子殿下の教育というものは、一般の学習院の生徒と別でなければならぬ。昔なら上御一人といわれたのです。一般の学習院の生徒並みに教えたのではこれは絶対に象徴になれない。われわれが欲しない点、またできない点、国民では及ばないという教育があると思います。そういう教育を教えない限り——ただ昔と違って自由である、自由に教育をするのであるという行き方もありましょう。自由主義者の中にはありましょうけれども、そこは一つあなたが小泉さんあたりに教えてやって、一般の生徒とは違う立場においての昔なら天皇学、今日なら皇太子殿下の教育というものをされなければ、これは象徴として国民が崇拝するかどうかわからなくなってしまう。早い話が、皇太子殿下が銀座へ遊びに行かれる、友だちと一ぱい飲みたい、そういうことになったら、これは民族の象徴ということは絶対に言えない。天皇は常に大自然とともにあらねばならぬ。そうしなければ英国の国体と同じになるのですよ。日本の天皇というものは、常にもう大自然、どこから見ても富士山の姿のように拝まなければならぬというぐらいのあり方でなければ、国民は崇拝しませんよ。そういう点から見て、いま少し厳格な教育をされたらどうですか。昔、北畠親房などはこれはもうけ飛ばしおったという話です。たたきまくって教育をされたということも聞いておるが、あまりにも自由奔放な教育をされておるのじゃないか。そういうことからきて皇太子殿下の感覚が違ってくる。自分の将来民族の象徴としての感覚が狂ってくる。どうもこのごろはわれわれが考えても——われわれは子供のときから天皇一本で育ってきた、教育を受けてきた者でも、ちっとおかしいではないか。まして終戦後の教育を受けた青少年は、全くそういうことがなくなってしまう。 そこで議題にありますところの皇居の造営ということになれば、これは非常にむずかしい。あなた方の教育いかんにより、天皇のあり方いかんによって、造営ができるかできぬかになるのです。お互いが天皇制護持者だから、何でもかんでも皇居を作れというふうなわけにはいかぬようになっておるのです。それを一つ長官は十分考えていただきたい。もしも教育があまり芳ばしくないというなら、小泉さんあたり入れかえたらどうですか。そんなことこそ民主主義だ。いつまでも、勤まっても勤まらぬでも、この人間をそこにつけておくということが一番封建的ですよ。もし皇太子殿下の教育係でも、これはちょっとあなたが悪いと思ったら、あなた方が入れかえたらいいじゃないですか。それが今日のあり方でございます。昔ならばかでも何でも一ぺんひっついたら、宮内省におればやめさせられなくなっておった。今日ではどんどんやっていいのですから、そういう新体制に切りかえていって、よりよく皇太子を教育するというふうにされなければ、天皇陛下は何もおっしゃらぬのですから、あなたがそういうふうに判断をしなければ、今後の、遠き将来というか近き将来というか、日本に変動が起った場合には、あのときの長官は宇佐美さんであったということになれば、あなたの人格はりっぱであるけれども、やはり時にぶつかればあなたの責任になりますから、その点、あなたが十分研究をされ、努力をされて、やはり皇室の尊厳を残していくというふうに努力をされなければならぬと私は思いますし、また皇太子殿下においても、これはあなたが直接進言できるのかどうかわかりませんけれども、十分そこを自覚されて、やはり国民の崇拝するに足る人間になってもらいたい。これは人間というか、昔は神様だったのです。御承知の通り明治憲法のもとにおいては、神聖にして侵すべからず。今日人間になったというだけで、やはり象徴ですから、象徴ということについての私の解釈が合うかどうか知りませんけれども、私は民族の象徴ということになれば、天皇は、国民が貧しければ貧しいものを食べ、国民の政治、経済に伴って生活をしていかれる、ああ陛下は銀座にも行かれぬし、映画も見られぬ、これはわれわれはひとしく崇拝しなければならぬという気持になっていくと思うのでありまして、民族の象徴というのはただ看板だけで、あとはわれわれ国民と同じ行動をとってよろしいのであるというふうに考えたならば、象徴とは言えないと私は思いますが、あなたは象徴ということをどう解釈されますか。
○宇佐美説明員 終戦後今まで皇室に対する一般的ないろいろな批判が行われて参りましたが、この大きな流れというものは、やはり一言で言われるような民主化、もっと自由にしてあげなければいけないのじゃないか、あるいは今おっしゃったような、銀座にもおいでになればいいし、喫茶店にもおいで願えばいいじゃないか、そういう議論が割合に多かったと思います。しかし私は決してそうは思っておりません。やはりすべて普通の国民と同じ生活をするということでは、ほんとうの象徴としての国民の尊敬を集め、親愛を得られることにはならない。それは、ある意味において自由が一部ないともいえます。しかしそれはやはり国民の中心となって、象徴としてお過ごしになるには当然負われるべき御責任であり、御義務であると思います。そういうことでなければ、何らわれわれと差がなくなってしまう、私は常にそう思うわけであります。最初に申し上げたような意見はいろいろございますし、いわゆる雲の上に上る行き過ぎた行き方は、もちろん直していくベき点があれば直さなければならぬのでございますけれども、やはりそこにはきぜんとしたことがなければ、秩序は保たれませんし、また尊敬や親愛というものも生まれてこないと私は常に考えております。そういう御修養もなさらなければなりませんし、そういう義務ということもしっかりとお持ちを願わなければならぬと私は考えております。しかしそういう点は御幼少のときからおそばの者が、そういういろいろな進言に対しては気持よく胸を開いてお受けになることをほんとうによく申し上げ、われわれが、あるいはそばの者が申し上げることは、よく御反省になる方だと私は思っております。もとよりまだお年もお若いことですし、御修養願うべきことは多々あるわけであります。小泉博士は、常に皇室の将来を最も心配しておられる一人だと私は考えております。しかし具体的にどういうことをということについては御相談もございますし、私も遠慮なく意見を申し上げておるわけであります。今後においても、そういったことについては最善を尽したい。今回のことにつきまして、大きなことを申すと仰せになるかもしれませんが、私が責任をとって済む事態ではない、それ以上の大きな事態であるというふうに考えて参ったつもりでございます。不敏でございますけれども、この覚悟だけはいたしておるつもりであります。
○平井委員 最後にお尋ねなりお願いをして終りたいと思いますが、御結婚式も近いのでありますから、今の長官の御説明で私は納得いたしましたが、なお宮内庁から国民が納得するようにしていただきたいと思うのと、これは長官に幾らわれわれが質問してもしようがないが、皇太子殿下並びに宮様のおつきの人は、悪ければ取りかえなければ教育というものはよくなりません。あなたが見はからつて、これはあまりよくないと思われる人はどんどん取りかえられて、そうしてりっぱな教育をされる方をお入れになって——今の人がいいか悪いか知りません。悪いと言う人もあり、いいと言う人もあるが、取りかえて教育をなさらぬと、将来非常に大きな問題が起るのではないか。天皇制のあり方ということは、日本の政治、経済あるいは世界の動静に従ってあらなければならぬと私は思うのであります。従って皇居造営の問題におきましても、まだ審議会はできないのでありますけれども、もしも審議会ができましたならば、時代に即応して、かつて三井、三菱の大財閥が十万坪の屋敷に住んでおったのが、今日一万坪の住居におるということを参考にして、今日の皇居のあり方はどういうふうでなければならないかというふうに、率先宮内庁は研究をされていかなければ、これまた非常な難関に到達すると思うのでありますから、日本の情勢、世界の情勢、東南アジア未開地のところにクーデターがあり、いろいろある世界の動向をよくながめて、ひとり日本だけが昔の風習ではいかれない、日本の皇室はこうあらなければならないという見地から、まず率先してあなたの方で案を立てられなければ、将来禍根を残すと私は思うのであります。どうか皇居の造営の問題につきましても、あなたの方で十分考えられて、先手を打つといってはおかしいのでありますけれども、この程度でよかろうとか、あるいはこうした方が今の日本の皇室にふさわしいのであるということを十分考えられてお作りにならなければ、将来禍根を残す。東宮御所の御造築のごときも、間組が一万円で引き受けた、こういう崇拝組も日本にはあります。また家がなくて困っておる国民もある。私は間さんに言いたい。そういう金があるならば、住宅のない人に建ててやったらどうかと間さんに言いたいが、あまり私は懇意でないから言うておりません。そういうお方もあるが、それが全部でないことも考えなければならない。そういう人もおります。いなかの年寄りの八十、九十の人は、日本が戦争に負けたことも知らないという人もおりますから、そういうことを十分考えて、あなたの方で考慮されて、現在の世の中にふさわしい皇居の造営を計画していただきたい。同時に今後の皇室の尊厳並びに天皇制のあり方を十分研究されなければ、日本の将来にいかなる変動が起るかわからぬということを肝に銘記して、今後長官としてりっぱに職責を全うされるようにあなたにお願いを申し上げて、私の質問を終ります。
○内海委員長 受田新吉君。
○受田委員 私は宮内庁長官並びに法制局長官並びに総理大臣にかわって御出席いただく官房長官に相次いでお尋ねを申し上げたいと思います。それは皇室に関係した事項で、今、平井議員よりお尋ねになった諸問題を別の角度からお尋ねしてみたいと思います。 私は最初に、日本の天皇制というものが新憲法で国民の象徴とされているということに一応うなずき、またこれを支持していく一人であります。ただここで問題となるのは、天皇の御地位というものに対して、新しい憲法が保障する基本的人権、いわゆる憲法の第三章に掲げられてある基本的人権と矛盾する面が相当起っておらないか。この点が第一のお尋ねの問題であります。具体的に申し上げますが、新憲法は天皇を人間天皇として宣言せられておる。そういう意味からいうならば、その人権もまた十分尊重をするという意味で、象徴としての天皇の権威を傷つけない限度におけるゆとりある人権尊重のあり方が示されておらなければならぬと思います。一例をあげますが、天皇はいつまでも天皇の御地位におられなければならないということになると、非常に窮屈なお感じをなさることもあろうと思うのです。従って、たとえば皇太子が成年に達せられ、あるいは御結婚をされる。そして十分後継者として天皇の地位を守ってもらえるということになり、また天皇御自身も、一般でいうならば定年退職に当られるくらいの年配になられる、こういうことになるならば、天皇の御退位の自由ということが一応認められていいのではないかと思うのでございますが、この問題は、宮内庁としては、また法制局としては、どういう御見解を持っておられましょうか。
○林(修)政府委員 ただいまの問題は、非常に重要な問題であると思います。これは御承知の通りに、新憲法が当時の帝国議会において審議された際に、あるいは現行の皇室典範が法律案として議会で審議された際にも、非常に議論されたところでございまして、いろいろの角度から御議論があったわけであります。しかし当時の政府として、皇室典範にこういう制度を認めなかった理由としては、次のようなことがいわれております。現在の憲法は、もちろん皇位継承のことにつきましては法律に規定を譲っております。法律である程度のことは書き得る範囲のことがあるはずでございます。しかしこれは憲法第一条が、天皇は日本国の象徴とし、それからその地位が日本国民の総意に基くというこの規定、それから第二条に皇位は世襲のものである。こういう規定と離れて、ただいまの問題を議論することはできないと私は思うわけであります。なるほど新憲法によって人間天皇としての地位はできましたけれども、しかしそれだからといって、一般の人と同じようにこれを扱うわけにはもちろんいかない。やはりこの象徴たる地位、あるいは国民の総意に基くこの地位というものと相いれない範囲におけるもの、そこに制約があることは当然だと思うわけであります。これはやはり皇位というものは世襲のものである。それから古来ずっと一つの系統で受け継がれてきているということと、それからそこに天皇が過去においてはもちろん譲位ということはあったわけでございます。そういうことはありましたけれども、ただいま申し上げたような御地位、それからこの天皇のそういう象徴たる地位から考えまして、御自分の発意でその地位を退かれるということは、やはりその地位と矛盾するのではないか、これはやはり幾多過去の例からいっても、いろいろ弊害があったこともございます。これは一言で申しまして、天皇には私なく、すべて公事であるという考え方も一部にあるわけであります。やはり公けの御地位でございますので、それを自発的な御意思でどうこうするということは、やはり非常に考うべきことである。そういうような結論から、皇室典範のときに、退位制は認めなかったのであるということを、当時の金森国務大臣はるるとして述べておられます。この問題は、実は皇室典範の審議されたときの帝国議会においては、皇室典範の論議の半分ぐらいを占めております。そういうことで政府案が通過したような関係であります。その当時における政府側の見解は、ただいま直ちに変更するほどの理由は私はないと思っております。従いまして今、受田先生のおっしゃったようなことも確かに一つの議論としてはあることと思いますけれども、軽々にこれはきめられない、かように考えております。
○受田委員 私はこの新しい憲法や皇室典範の審議の際の問題を今持ち出しておるわけではない。当時は天皇のお立場が戦犯としての批判を受けようとされたり、戦争責任が追及されたりという渦中にあられた。しかし今日はようやく世界の情勢も落ちついてきたし、日本の復興もほぼでき上ってきたという段階になって、しかも世継ぎになられる皇太子が御結婚されるという段階になられるということになるならば、もうそうした戦犯論議とかその他の戦争責任問題を乗り越えた新しい段階にきて、この問題を考えなければならぬ時期にきておると思う。ことに現在の天皇は二十才になられたときに摂政になられて、自来すでに四十年に近い間を、まことに筆舌に絶する苦労をされておられる。ことに大東亜戦争の責任などという問題になってくると、御自身も非常に痛切に感じておられる。しかしあの大東亜戦争を締めくくる終戦というところへ踏み切られたのは今の天皇であられた。そういう意味からも、私は今の天皇御自身がその悲劇的運命の中に苦労されて今日に及んでおられることを思うときに、皇太子が御結婚されて、一人前の世継ぎとしてもりっぱな資格を備えられておるということになるならば、ここに終戦直後の混乱の中で論議された憲法論議や皇室典範論議とは別の意味で皇室典範は法律でありますので、この法律を改正して、天皇の退位の自由を認めてあげるということが、新憲法の第三章に掲げられた基本的人権の尊重の条項にも合致するものだと思う。従って象徴の尊厳を傷つけないで、後継者がりっぱにおられる場合に、皇室会議の議を経て退位をすることができる、そういう考え方は、私は成り立つと思う。この問題は、新しくそういう事態に遭遇しておるという気持を私は持っておるので、新しく検討をすべき段階ではないかと思う。昔のものを引っぱり出して、今ごろまだ依然として古い感覚で、憲法、皇室典範の論議をされた終戦直後の空気をそのまま今に持ち込むということは、どうも時代感覚のずれはなはだしいものありと認めざるを得ない。いかがですか。
○林(修)政府委員 決してその当時のいわゆる戦犯論議とかいうこととの関連のみで申しておるのではございませんので、やはり確かに受田先生のおっしゃるような基本的人権の尊重ということもございますけれども、憲法第一条、第二条等で規定しております象徴たる地位、あるいは国民の総意に基く地位、皇位世襲の継承ということと切り離して、この問題は解決できないと実は思っております。従いましてやはりそういう今おっしゃったようにいろいろ個々的の場合には、いろいろの事情が起ることはございましょうけれども、今おっしゃることであれば、結局制度としてそれを認めろということになるわけでありますが、この制度として認めろということは、国民の総意に基く御地位、象徴である御地位ということを考えますと、私はそう適当なものではない、過去の歴史を見ましてもそういうことは適当なものではないのじゃないかということも考えるのであります。あるいはこれは制度として認めれば、皇位継承の順位に異動を来たすこともあり得るわけであります。そういうことから考えまして、これはやはり慎重に扱わなければならない、軽々にきめられない問題だと思います。
○受田委員 もちろん軽々にきめるべき問題ではないでしょう。しかし世襲制度というこの憲法第二条の規定によっても、世襲には間違いないわけです。だから隠居する制度も考えられておるのですから、御隠居なされるという形になればいいわけです。従って世襲制度というこの憲法第二条の規定に矛盾する形にはならないわけです。お世継ぎがちゃんと成年に達しておられる、御自身も定年に達しておられるということになれば、当然そういう自由を認めてあげるという規定が、しかもそれが皇室会議という一応の機関の議を経てきめられるわけでありますから、軽々にきめるわけではありません。こういう制度を考えて差し上げることが、憲法の精神にマッチした皇室典範の改変であると思う。 もう一つそれに関連して、天皇の行為の自由ということにもしばしば問題が起ってくる。たとえばただいまの陛下は、弟さんの秩父宮がなくなられるときに、ぜひ臨終の弟宮を見舞いに行こうとされたときに、ついに宮内庁は見舞いを押えたといわれる。ただいまの皇后は、お母さんの倶子さんがなくなられるというときに、これまたついにお母さんの臨終にもおもむかせしめられなかったという、おそるべき人権侵害をやっておると私は聞いておる。肉親の死に宮内庁がそういう圧力を加えて、人情の自然と美しさを押えるという、こういうことは一体どういうところに原因があるか、そういうことは絶対なかったかどうか、その事情をこの際あわせてお伺いしておきたい。
○宇佐美説明員 前段の陛下の自由な御意思に基く御退位ということにつきまして、法制局長官からお答えがございました。私も全く同様に考えておるわけでございます。現在の場合のみを考えるのでなく、日本永久の将来のことを考える場合に、自由なる御意思による御退位というようなことを、その象徴たる位地から見て、常に国民が全部異論なく認めるかという問題は、いろいろな将来のことを考えますと、容易なことではない。私どもはこれにつきましてすぐ御賛成を申し上げる気持になれないのでございます。 また後段の御質問でございますが、これは宮中のいろいろな昔からの風習がございます。今の陛下は、そういう点について勇敢に直すべきものは直すお気持でございます。われわれといたしましても、そういう御趣旨に基いて、自然にそういった点につきまして十分考慮をいたしております。御指摘になりましたような点につきましては、われわれは宮内庁において阻止をしたというようなことは全然ございません。事実不幸にしてお間に合いにならなかったということでございます。
○受田委員 そういうお間に合いにならなかったというようなことで、その場をごまかすべきものではないと私は思う。こういうことは、お工合の悪い肉親がおられる場合に、自由にお見舞いができ、その臨終に立ち会われるという努力を、宮内庁がなぜなさらないのです。間に合わなかったのだという言い分は、はなはだ重大な問題だと思うのです。宮内庁としてそういう人情の美しさを押えるような措置をされたと解釈しても、これはやむを得ないじゃありませんか。今度皇太子が結婚される正田さんの場合でも同じことです。つまりこういう場合に正田家が非常に心配しておられる問題として、そうした人間としての自由性を圧迫される点はないかという点がおそらくあったと思う。そういうことについて宮内庁としては、人間としての美しさ、人情の自然というものを十分尊重して、一切こういう問題については人権を侵害するようなことはない、今後は絶対にさようなことはしないということをお約束できますか、まずそれを伺っておきます。
○宇佐美説明員 皇室の方々が、御両親その他の御不幸の場合にお見舞いなさることを、われわれは阻止するというようなことは考えてもおりません。しかし実際の場合に、やはり象徴としてのお立場から、今の例でなくても、そうあそばしたくてもなされないときもあろうかと思います。そこはやはり外から見ますと自由を押えているとわれわれは考えるわけであります。
○受田委員 九重雲深きあたりの一般国民に理解できないような形の宮内庁の措置は、やはり感心できません。宮内庁としては、そういう問題についてはもうあけっぱなしで、たとえばお見舞いに行かれるのに途中の警戒の問題などがあるとかいうことを気がねされて、肉親の死にも会うことができないというような御心配があるならば、そういう問題についてはあたたかい心組みをもってお役目の方をやられればいい。そういうことを十分含んで、何らか一般国民との間を隔離申し上げるような形のないように、一つ宮内庁としては御努力願いたいと思う。 私はもとに話を戻しますが、もう一つこの御退位の問題に関係するのですけれども、もし退位の自由を認めたならば、皇位継承の順序にも問題があると今長官が仰せられました。これは私はどこに問題があるかということをお尋ねしてみたいのですが、たとえば皇族から、皇位継承の地位にある皇族の身分を離れるという申し出があったという場合のことですが、いかがですか。
○林(修)政府委員 これは仮定の問題ですから、そのつもりでお聞き願いたいと思いますが、かりにそういう制度がございました場合に、たとえば天皇が退位せられる、そのときに実は皇子がおられない、従って皇位継承が皇弟に行ったという場合に、あとから皇子が生れるという場合のことを考えれば、いろいろ問題があると思う。これは過去においても日本の国史を見れば問題があったと思う。そういうことも一つの形態としては考えられるということを申し上げたのであります。
○受田委員 私は、後継者がはっきりして御本人も相当の年令に達しておられる、こういう場合に皇室会議の議を経てきめられるのだと申し上げているわけです。皇子もおられない、もう本人はおやめになった、そのあとに皇子が生れた、そういう仮定の問題を今持ち出したら皇室会議の議が通りますか。皇室会議の議を経るということになれば、やはりそこにはっきりした後継者がおられる、天皇の長期にわたる御苦労に対してもいたわりの気持をもって御退位をお認めするという形になる場合です。そうでない場合には皇室会議の議は通りませんから、あなたの御懸念の問題は解決するのではありませんか、私はそう思うのですが、いかがですか。
○林(修)政府委員 先ほどから申し上げております通りに、今受田先生のおっしゃることは、やはり制度としてそういう制度を設けたらどうかというお話でございます。従いましてそれはやはり皇室典範の中にそういう規定を取り入れることになるわけであります。そうなればこれは一つの制度として将来に向っての問題になります。いろいろなことももちろん考えなければならないことになるわけであります。そういうことを考えてみました場合に、今の自発的な御退位の制度というものが、果して天皇の世襲制、皇室の世襲制、皇子の世襲制、あるいは天皇の象徴たる地位、あるいは国民の総意に基くという国民の信念から見た考え方、そういうところにマッチするであろうかどうか、これはやはり相当疑問のあるところだと思う。今、受田先生のおっしゃるような御議論ももちろんあることと思いますが、それに反対する議論も相当強い根拠を持っていると思います。従いまして私どもとして今簡単にそういうことに踏み切る決心はないわけであります。むしろ先ほど宮内庁長官が言われました通りに、簡単には賛成できない、こういうことでございます。
○受田委員 あなた方は天皇のお立場というものを考えていかなければならない。そこで、あなた方だけの御都合で、天皇の人権をいつまでも侵害していくことは問題だ。だから御用学者という立場であるなら仕方がない。しかしながらもっと純粋な理論的な立場でものを考えていく、あるいは日本の将来を考えてこう解釈したいというような、あなた方はやはりある程度の余裕のある解釈をしなければならぬ。 もう一つ、これに関係するのですけれども、女帝です。皇族女子には皇位継承権がないわけですが、この皇族女子の皇位継承権を容認するという典範の改正というものは、これは決して差しつかえないわけです。今の憲法では男女平等である。憲法の十四条で、法のもとの平等、貴族の禁止、栄典というところにも、人種、信条、性別云々で差別されないことになっている。そういうところからいっても、国民の象徴だけを差別するということがあり得ますか。そういう意味からも新憲法の精神にのっとって、皇族女子の皇位継承権を認めるということは、私は当然考えられていいことだと思う。いかがですか。
○林(修)政府委員 これも皇室典範のときに議論されたところでございまして、一応議論済みのことだと私は思っております。重ねて申し上げますけれども、確かに憲法では男女平等、あるいは婚姻における男女平等、あるいは相続についての男女平等の原則をきめております。しかしこれはむしろ普通一般の家であれば、昔のような家の制度はもちろんないわけでありますから、主として財産相続についての男女平等でありますが、皇位あるいは象徴たる地位というものは、必ずしも今申しました民法上の相続と同じように考えるわけにはいかない問題が一つあります。そのほかにやはり古来の日本の国民の一つの総意と申しますか、国民の信念と申しますか、つまり男系相続ということで実は一貫して参っておるような状況でございます。従いまして男系相続ということを認める以上は、女帝を認めれば、そこで男系は断絶するわけです。別の系統に移動するということになってくるわけであります。そういうことから一つの問題点がある。また女系による相続を認めれば、これは別の問題でありますけれども、やはり日本のいろいろの古来の国民の感情あるいは現在における国民の感情からして、果していかがであろうかという問題があるわけであります。また過去における女帝の例、日本には幾つかの女帝の例がございますが、これはいろいろな特殊な事情に基いた例だと思っております。そういうところから、やはりこれは慎重に考えるべき問題だということで、皇室典範のときにもその問題はいろいろ話題に上りながら、そういう規定はされなかった。その事情を今直ちに——おしかりを受けるかもしれませんが、そういう事情を今直ちに解消するだけの事由はないのじゃないかと思っております。
○受田委員 この問題は、どうも男系相続が日本の伝統であるからなどという古くさい考えで御答弁されておるようでありますが、すでに英国においてもそういう制度が長期にわたって保持されている。ただ英国の制度には、女帝の場合には男子の兄弟がおらぬというような場合に、女子だけだというようなときに、女帝ができておるわけでありますけれども、一応程度の差はありましても、皇位の継承権に女子の相続権というものは認められておる。こういうところから見て、世界の大きな流れというものを見たときに、昔の古い伝統を今ごろ持ち出されて、男系相続が日本の伝統などというこの論議は、どうも法制局長官としてまずい論議じゃないか。新憲法の精神というものを——ここにおられた自民党の方の中にも、退位の自由と女帝は大賛成だという意見が出ておる。そういうふうな意見が……(「反対だ」と呼ぶ者あり)与党は分裂状況です。そういうことからも皇室典範に対して、もう少し人権を尊重し、象徴としての権威を傷つけない限度において人権を尊重するという配慮をなさるべきではないか。特に宮内庁長官とされても、そうした宮内庁の事務を担当される責任者として、常に日本の将来、国民の皇室に対する感情等の問題を十分洞察して、長い目で見た日本の皇室の将来への見通しを持った努力をしておかれないと、思いがけないところから、今回の御結婚を契機として、皇室に対する重大な国民の悪感情が起ってきたりするおそれが私はあると思うのです。そういう意味から、少くとももう少し大衆と溶け込んだ皇室という、同時に象徴としての立場は保持されるような配慮を払いながらという気持は必要でございますが、そういう努力をしておかれないといかん、かように思うのです。 そこで、三笠宮に例をとりますけれども、三笠宮が紀元節に対する見解を表明されたというので、中にはこういう三笠宮のような皇族がおられては、皇室の尊厳に関係するから、皇族をやめてもらおうじゃないかという意見がある。宮御自身も皇族をやめたいというお気持を表明されたとも承わっておるのであります。宮が、皇族が、そういうことを発言されたということについて、これを政治問題として見ようとするならば、それはけしからぬじゃないか、皇位の継承予定者がそういうことではいかぬじゃないかという議論が成り立つかと思いますけれども、宮の学者としての良心から叫ばれたこの言葉に対してかれこれ議論する。自民党の諸君の中にそういう声があるわけです。そういうものに対して宮内庁としては、また法制局としては、皇族の身分にある者の発言について、何か常に注意をしておるとか、あるいは圧力を加えておるとかいうことがあるのかないのか、また三笠宮の皇族を離脱したいという気持を持っておられるという表明があったことがあるのかないのか、これも一つお答え願いたいと思います。
○宇佐美説明員 三笠宮様のことについてのお尋ねでございます。殿下は、終戦と同時に軍籍を離れられまして、将来のために東大にお入りになって歴史を御勉強になっておられます。非常に熱心に御勉強になっておるのであります。しかし私は、皇族であられることがまず第一でございまして、国民は学者になっていただくということにおいて皇族におなりを願っておるのじゃないと思います。やはり皇族としてのお立場、義務というものを第一にお考え願うべきであると思います。同時に、お仕事として御勉強になり、それを通じて国家、社会に貢献されるということも私はけっこうだと思う。しかしそれはあくまで学問的なことでありまして、そのお地位から申しまして、政治的問題に関与されていかれるということ、どうも私どもとしては御賛成できないと思います。そういうことにつきまして私も殿下とお話を申し上げておることがございますけれども、しかし今お話しになりましたような皇族の籍を云々ということは、何も私は伺ったことはございません。いろいろ著書等も御発表になるようであります。私といたしましては、もっと慎重な御態度を希望しておるところであります。
○受田委員 宮内庁長官、えらいかたくお考えですが、三笠宮は、紀元節の問題などについても、これは天皇一家の、皇室の私事であるという見解を表明され、これを国民の行事として取り上げることについての意見を持っておられるわけなんです。そういうことについて、これが政治的な見解であり、学者としての立場では行き過ぎだというような御注意を申し上げるということは、これはどうかと思います。皇族の御発言は何事もそれではできないということになる。純粋な御意見も述べられないということになる。それが多少でも述べられると、すぐどこかにひっかかるというような問題であれば、何事もこれは発言できないということになる。これこそ人権侵害もはなはだしいものになってくる。こういうことについて、もっと自由な気持で皇族としての立場を御自身が十分考えておられるのですから、もし皇族の立場をお考えにならなければ、もう皇族を離脱されることになるのですから、そこは成年に達せられて、しかも良識を持たれたりっぱな三笠宮の御言動に対して、一々御注意申し上げ、おしかり申し上げるということは、私は宮内庁長官としては行き過ぎだと思う。そうなりますと、皇族の身分に生まれた人は、そういう発言やらすべての行動にわたって非常に不幸な立場になる。(「もちろんだよ」と呼ぶ者あり)そういうことこそ人権侵害なんです。私が今申し上げていることは、あらゆる面に不幸な立場に追い込むということでなくて、許される限度内の御自由を認めてあげる、新憲法の御自由を認めてあげるという努力もしておらないで、すべてワクの中にはめ込んで、非常に窮屈な生活をさせていくというようなことは、お役人たちのとるべき道ではないと私は思っておる、そういうことを私は今指摘して、人権の尊重を可能な限りにおいて認める努力をしてあげるという、その配慮を希望しているわけなんです。これはもちろんと言われるかもしれないが、皇族の身分にあり、あるいは天皇の御地位にある人は、あらゆる角度からその人間性の豊かな暮しを押えられるということになる。いかがでしょうか、こういう点について、高い立場から今後の皇室のあり方、皇族の立場というものについての配慮をどうすべきかということについて、何かあなたはお考えになっていらっしゃることはないでしょうか。
○宇佐美説明員 重ねてのお尋ねでございますけれども、一つの学問をせられましてある結論に達せられるということは、これはだれも押えることはできません。またそれを周囲の人に多少お漏らしになるというようなこと、それもいけないとは思っておりません。しかしながらそのお考えが、言葉は悪うございますが、左右いずれにしろ政治的な問題になり、皇室に非常に影響するというようなことを国民が心配するときには、慎重な態度をとらるべきであるということは私は誤まりないと思います。
○受田委員 左右いずれにせよ、それが政治的な方向へ行ったとおっしゃっているのですが、三笠宮御自身としてはそういう政治的な気持はみじんもないわけなんです。そういう問題を政治的にこじつける人々がおり、それを悪意にとる人々がおるわけなんです。この問題は、つまり三笠宮の言動に対しての影響力というものを、外部から不純に利用しようということになるわけなんです。あなたはむしろその外部を押え、宮の考えておられることは正しいのだ、学問の研究の自由は尊重しなければならぬという立場で、特に政府与党の諸君などに厳重に御注意される方が、むしろ筋が通ると思う。 もう一つ、皇室典範の規定の中で、退位の問題にも触れてきたのですが、天皇が崩ぜられたあとへ新しい天皇が即位されることによって元号が変るわけなんですが、その元号がどういうふうに変るかということは法律では規定してない。これはもし御退位が実現され、あるいは天皇がなくなられたという場合に、どういう規定が用意がされておるのか、法制局長官から一つ伺います。
○林(修)政府委員 御承知の通りに、これも旧皇室典範には規定があったと思います。それが新しい皇室典範を規定するときには、皇室典範のきめる事項ではなかろうということではずされておるわけであります。そこで残っておりますものは多少問題がございますが、明治初年の行政官布告というものがあるわけであります。しかしいずれにいたしましても元号の問題は、確かに天皇の御退位あるいは天皇がおなくなりになったあとの新しい天皇の即位という問題と相関連する問題でございますけれども、これは今の憲法のもとにおいて、そういう新しい元号を立てるということは、私はやはり法律できめるべき事項だろうと思っております。これはかつて新憲法施行当時、そういうような法案も予定されたこともあったようでございますが、当時の占領軍政策の事情でもってこれは消えております。その後御承知かと思いますが、当時の参議院の文教委員会において、いわゆる西歴紀元を採用したらどうかということも御議論になったこともございます。そういうようなこともございますが、いろいろな事情を考えて、これは将来のことでございますが、元号制をどう立てていくかということについては、法律をもってきめるべき問題である。かように考えまして、一応そういうことは私ども考えなくてはならないというふうに思っております。
○受田委員 元号の問題を考えなければならぬという御意見のようでございますが、これは西歴を用いるとか、いろいろなことがあるにしても、日本の立場からの特別な規定を設けておくということは大事なことだと思っております。大へんおそれ多い話ですが、天皇がいつなくなられても、ちゃんとした用意をされておくということが必要だと思う。 あとお二人御質問があるので、最後に一言お尋ねしておきますが、今度の御結婚につきましても、天皇の国事事項としての御結婚の儀式と、天皇の御一家あるいは皇太子御自身の個人的な御儀式というものがある。こういう国事の儀式あるいは個人の儀式というものの限界線は、一体官内庁としてはどういう形でおとりになっておられるのか。もちろん国事に伴う費用というものは当然国会の承認で出されるものでありますけれども、国会の承認を要しなくても済む支出の面もありますので、そういう限界線をはっきりしておいていただきたい。今回の御儀式の中で国事として取り扱える儀式と、皇室の私事として取り扱える儀式の分別をちょっとお聞かせ願いたい。
○宇佐美説明員 今回の御結婚に関しまして、御婚約、いわゆる御結納のことから式の終りますまでいろいろの計画、すでに済みましたものもございますが、今後進められるものも研究中でございまして、こまかい点を今検討中でございますが、大綱につきましては、過日の閣議の決定におきまして、当日行われます結婚の儀と朝見の儀、それから引き続き行われます祝宴の儀が、国の儀式として行われるということが正式に決定になったわけでございます。そのほかの儀式につきましては、実は旧来の諸規定をもとにいたしまして、なるべく簡素に行う、あるいは時代に即するようにするという趣旨のもとに整備をいたしているわけであります。いろいろございます中で、特に国の儀式として考えましたものは今申しました三つでありまして、結婚の儀というのは、これはあくまで両殿下が誓い合われるという結婚の中心をなすものであります。朝見の儀と申しますのは、両陛下に両殿下が正式に会われてあいさつをされるという意味のものでございまして、これは前回の立太子礼、成年式礼の際にも国の儀式として行なったので、その例に従ったわけであります。最後の祝宴と申しますのは、天皇陛下が内外の人に御披露をなさるという公的なものとして、これを国の儀式の一つに入れたわけであります。その他お内輪でなさいますもの、あるいは皇室の御例によって神宮その他に参拝されるということは、一切内輪のこととしていたしたわけであります。
○内海委員長 高瀬傳君。
○高瀬委員 実は赤城官房長官においでを願いたいと申し上げてあったのですが、それはどうでしょうか。
○内海委員長 赤城さんは参議院の本会議に行っておりまして……。
○高瀬委員 実は私は皇室会議のあり方について私の所見も述べ、あるいは内閣あるいは宮内庁の意向も伺いたい、こういうことであるのであります。特に今回の皇太子殿下の結婚に関しまして、皇室会議のあり方について一言お伺いしたい。そして私の所見も述べたい、こういうのであります。もちろん前提条件として、私は皇太子妃が今回きまりまして、御成婚があるということについて、日本国民として心からお喜びを申し上げておる一人でございますから、そういう点は誤解のないようにお願いしたい。 私は皇室のあり方というものについて、平井君などと意見が違うかもわかりませんが、敗戦直後陛下もおっしゃったように記憶しておるのでありますけれども、つまり英国の皇室のようなあり方、これが日本としては非常に望ましいということを陛下がおっしゃったように記憶しておるのであります。御承知のように私から申し上げるまでもなくいイギリスは今日存在しておるところの君主制の国家の典型的、代表的のものであると言ってもいいのでありまして、皇室と国民とが真に一体になっておるということは事実のようであります。従って敗戦後、日本が民主主義の国家として再出発した際に、英国流の皇室のあり方、あるいは英国流の議会の運営のあり方、あるいは英国流の国民と皇室の関係、こういうものを陛下は理想にしておられたのではないか、そういうふうに拝察される節があるのでございます。しかし現在必ずしも皇室と国民とが一体になっておるとは私は思えない点もございます。たとえば、これは言葉のあやでありますから、こんなことは理由にはならぬかもしれませんが、菊のカーテン、こういうような言葉をよく耳にいたします。従って現在の皇室に対する国民の感情というものは、今回の皇太子妃の選定に当りまして、端的にこれらの点を現わしておる点がなきにしもあらず、一般の世論というものは非常にお祝いを申し、私もその一人でありますが、必ずしもそればかりではない。先ほど平井君もちょっと触れたようであります。しかも憲法の第一条に明記してあります通り、天皇は日本国民統合の象徴でありますから、皇室と国民とが密接なつながりを持つということは当然でございますし、天皇御自身ももちろんそういうふうにお考えになっておると私は拝察いたします。ところが現在の、特に今回の結婚で国民感情から多少離れているような印象がある。これは実は私はあの発表の形式とか、そういうものをかれこれ言うのではありませんが、実際のところ皇太子妃の選定に当りまして、宮内庁の宇佐美さん初め関係者は長い間大へん御苦労になったと思うのです。この点私は敬意を表しておりますが、国会も何ら御結婚について知らされておりません。公式発表の十日前、つまり十一月十七日のニューズ・ウィークには事こまかに、全部私は翻訳して持っておりますが、「皇太子の恋」という表題で詳細に報道されております。結局知らないのは国民だけだ。私はこういう問題がありましたときに、宮内庁に電話をかけまして、宇佐美さんは当時お留守でありましたが、そういう事実があるかどうか、私はそれを尋ねたのでありますが、電話に出た人は相当の方だと思いましたが、全然知らないというお話でございました。それはいろいろ都合があったかもしれませんが、現在結納もかわされた今日ならば、その辺のいきさつを相当詳細に御報告を願って、そうしてやはり国会の記録に残しておく必要がある。これはやはり一つの国事でございますから、その点はぜひとも——先ほど、いろいろうわさされておるような事実はないとか、断片的におっしゃったようでございますが、ニューズ・ウィークにいろいろなことが書いてあります。特にこれは恋愛という言葉を盛んに使っております。たとえば「二人は恋愛中だが、果して因襲に刃向って結婚ができるだろうか、これが事情を知っている連中がもう何カ月も抱いている疑問である。」というようなこと、それから「皇太子が正田美智子さんに初めて会ったのは軽井沢のテニス・コートである。」それから、非常に反対があったということも載っております。「反対は大へんなものだ。一番驚いたのは米国の占領下に皇室を除いて爵位を全廃された元の公爵、伯爵、子爵、男爵などであった。天皇の義妹に当られる秩父宮妃のお母さんの松平信子前子爵夫人を先頭に、華族たちは皇族出の他の候補者を立てて運動したが、民主化がとうとう皇位にまで及んだことに一斉にろうばいした。」こんなことが書いてあります。これはもちろん単なるニュースでありますから、私はその信憑性のいかんは知りませんけれども、特にあのとき宇佐美長官もおっしゃったと思うのですが、あれは恋愛ではない、たとえば結婚は相互の合意のみによって成立し、相互の協力によって打ち立てなければならないという憲法の条章そのものとは関係がない、普通の恋愛ではないのだということを非常に強調されたようでございます。従ってこういうような問題について、先ほど長官も非常にいい機会を与えてもらって感謝すると言われましたが、私はやはり国家の一つの重大な国事でございますから、こういう点についても詳細に系統的にいきさつを説明されて、国会の記録に残しておく方がよかろう、私はこういうふうに考えるので申し上げているようなわけであります。ここで一問一答をして宇佐見さんをどうこうしようというのではございません。 それから、特に私の念頭に浮びましたことは、皇室会議というものはただ一度しか開かれていない。結局皇室会議を一度開きまして、決定をやったのは既成事実をただ承認しただけ、椎熊前副議長などに聞きますと、その日に正田家の家系その他いろいろ書類を渡されて、それにただ無言で賛成しただけだというふうにも聞いておるのでありますが、こういうふうになりますと、皇室会議などというものは非常に形式的なものであって、国民や国体と重大な関係にある皇太子妃を決定するということは、あまりにも非民主主義的なやり方じゃないか。皇室会議というものは非常に形式的なものになって、たった一回、既成事実を承認するというだけになってしまったのでは、皇室会議のあり方としては非常に危険じゃないか、こういうふうに思うのであります。特にたとえば皇室典範の第三条を見てみますと、世継ぎの方、皇嗣に重大な事故があるときは、皇室会議の議によって皇位継承の順序を変えることができる、こういうふうに述べてあります。従ってこの皇室会議を開くのは、議長であるところの総理大臣ではありますけれども、形式的には宮内庁がイニシアチブをとることになりますから、これが非民主主義的に運営されるということになりますと、非常に重大な結果を及ぼすと思うのであります。従ってこれは宮内庁だけを責めるわけには参りません。政府の重大なる責任でもあると思いますが、一体こういうような点で、ただ既成事実だけを皇室会議に形式的にかけて、たった一回だけの会議でああいう重大な国事をきめるということが果していいのかどうか、その点が非常に私は重大だ、こう思うのであります。 それからもう一つ、こういうような問題について、これは例は違いますけれども、イギリスなどの例をとってみますと、たびたび非公式の閣僚会議などを開いております。たとえば私はここにノーマン・バリメインの書いた「ザ・ストーリイ・オブ・ピーター・タウンゼント」という本を持っておりますが、これによりますと、あのプリンセス・マーガレットがタウンゼントと婚約するときに、非常に衆人環視の中で国民が納得するような状態でああいう問題を解決したようであります。従ってその当時のサー・アンソニー・イーデンはたびたび閣僚会議を開き、あるいはカンタベリー大僧正とも相談をし、あるいは上院の枢密院議長のソールスベリー卿などとも相談をして、慎重な手続をとってあのプリンセス・マーガレットの問題を解決した。私は当時ロンドンにおりました。非常にその点の合理的な国民と密着したやり方について、敬意を表して帰ってきた一人なのであります。従ってそれと比較して、この皇太子妃のきめ方が一回の皇室会議できまる。しかも私は、きょう内閣側からだれも出ておりませんが、この皇室会議の構成自体についても非常に疑問を持っております。両院の議長、副議長が出ているが、副議長というものは議長が事故あるときにだけこれを代理するものであって、院を代表して出るとすれば議長だけでいい、こういうような点も私の聞きたい点でございますが、答弁する人がおりません。 そこで私は、この皇室会議の構成についても疑問があるし、ああいう皇位継承をきめるような重大な皇室会議というものはもっとたびたび開くなり、あるいは内閣と連絡するなり、そういうふうにして国民が納得するような状態であの御結婚をきめていただいたらなおよかったのじゃないか、こう思いますが、これらに対する宮内庁の見解、それから内閣の見解、それから宮内庁は内閣などとどういうふうな折衝をされたか、小泉という人は皇太子殿下の先生でありましょうけれども、大体田島、小泉などという方だけがイニシアチブをとって、きまったものを総理大臣に報告し、総理大臣はただ正田美智子さんの信仰の問題だけをお聞きになったというふうにしかわれわれは受け取れない。それの前にたびたび閣僚会議を開くなり、あるいは皇室会議を開くなり、こういうふうにして念には念を入れてきまったものならば私は非常にけっこうだと思うのですが、われわれ国民はその点は全然知らされてない。知らないのは国民だけだという結果になったわけであります。十一月十七日のニュースでこういうこともちゃんと出ているわけであります。それで私は電話をかけた。 しかも十二月六日号の「エコノミスト」に日本の皇室と題して、宮内庁の役人の各位には非常に痛いことを書いてあるのであります。これは読むとはなはだ妙なことになりますが、一応読んでみましょう。「古くからの皇室の伝統のうち、残っているものは天皇一家が守っているよりも、むしろ皇室の役人が守っているといった方がいい。宮内庁の役人の数は一万人から一千人に激減したが、依然強力である。彼らは野心を持たず、別に悪い人間ではないが、強い義務感に縛られる傾向があるので、時代に取り残されがちである。彼らは渉外のセンスがないので、他の官庁のより進歩的な役人たちからきらわれ、一般国民から疑惑の目で見られている。」これは非常にお気の毒ですが、これはただ書いてあるので、私の意見ではございませんから……。「皇太子の婚約発表の際、発行部数の多い日刊紙「読売」は十一月二十八日の社説で辛らつに論じている。「天皇を独占することによって特権を維持しようとする暗い勢力が、かたくなに民衆への接近を妨げていたのである。皇太子の婚約は、これらの人たちの態度に対して、痛烈な反省のむちを与えたものと言ってよい」以上の言葉は、正しいと思っていることをやってきただけの役人たちにとって、やや点が辛いかもしれない。だが、大ていの日本人は、宮内庁の官僚が皇太子に、一般民間人と決して結婚させないと考えてきたが、今では皇太子みずからがこれら官僚に分を知らしめることによってのみ、自分の望みを貫徹したと信じ、皇太子の勇気ある行為に対して、熱烈な拍手を送っていることは事実だ。」というのであります。非常に長くかかりましたが、こういう批評もあるのでございますから、私は宮内庁の、特に皇室会議なんかに対するやり方に対して反省を促したい、こういうことでございます。 それから先ほど三笠宮の問題で受田君からお話がありましたが、私は少くとも皇族方というものは政治的にもあらゆる点で中立性を持って、インパーシャルでなければいけないと思うのです。特に選挙権もない、被選挙権も行使されない、こういう地位にあるのでありますから、やはり政治的な影響のあることは発言されない方がいいと思うのであります。そういう点で宇佐美長官が率直に三笠宮におっしゃったことは私は正しいと考えております。従って今後も三笠宮殿下の学問のいろいろ結論とかなんとかを、そういうふうな中立の立場にある特殊な皇族方は、ぜひとも積極的に発表されないことを望む一人でございます。 自分の意見だけを長々と述べましたが、これらについて実は内閣並びに宮内庁の意見を拝聴したい。特に私は宇佐美さんを責めるよりも、国家組織法によりましても、宮内庁は内閣の一つの庁になっておるのでありますから、内閣委員会としては赤城官房長官の臨席を願って、この点の所見をはっきりと聞く必要があると確信いたしておるのでありますが、どういうわけか来ない、それでは答弁を得ることもできませんが、宇佐美さんに一つ所見をお伺いしたい。
○宇佐美説明員 きわめて多岐にわたっての御質問でございます。今回の御結婚に対しまして、もう数年前から、私が長官になる前からいろいろな準備が始まっておった、調査があったわけであります。もちろんその調査につきましては先ほどもちょっと申し上げましたように、これは御両親陛下としても御心配になることであり、皇太子様自身のお考えということもございまして、十分お考えも伺いながら方針を立てて参ったわけであります。もとより御選考の基準と申しますものはこれは皇太子様の妃殿下にふさわしい方ということで、御健康にしろ何にしろ最上級、お尋ねがあればそう申し上げるよりほかないわけでございます。しかし現実の場合にはそういったすべて万全を備えるということはなかなか困難でございます。ただ国会においても各報道が漸次現われるにつれまして、ほとんど毎国会ごとに宮内庁の考えの御質問がございました。それにつきましてはお尋ねに従って、われわれは考えるところを率直に申し上げて参ったつもりでございます。その当初の考えは国会でもお答え申し上げたと思いますが、そういった諸要件がすぐれた方であられるのはもちろんでございますけれども、その御選考の範囲というものについてもお尋ねがあったわけでございます。御承知の通り前の皇室典範におきましては、皇族の結婚は皇族または華族に限るという規定がございました。それが新しい憲法に従ってできました新しい皇室典範におきましては、憲法の精神によって、華族制度はもちろん貴族の制度というものが廃止されたのでございます。従って、皇族男子の御結婚につきましては、何ら法制的には制限はございませんけれども、やはり皇室自体が長い歴史を持ったお家でありまするし、旧来の範囲から選考が始まるというのが、むしろ常識的であるということをわれわれも考えておったのでありますが、しかしそういったときにも、ときによっては、その範囲外に出ることもあり得る。御質問の中にも、全国民を対象にして選べというようなこともしばしば伺ったわけであります。われわれとしてはそういうようなことでお答えしたと記憶するのであります。実際の選考に当りますると、やはり終戦後の各家庭生活の変化でございますとか、あるいは優生学的な見地からの制限でありますとか、いろいろな点でなかなかむずかしい問題に逢着いたしました。従って、第一段の方針から一歩出るということにつきましても、実に時間をかけて慎重に考えたわけでございます。単純に考えたわけではなかったのであります。しかし実際問題といたしまして、一般と申しましても、どこでもいいというわけではございません。やはり日本の良識のあるりっぱな家庭ということを考えなければなりません。これのうちからまた候補を選ぶということにつきましては、相当苦心をいたしたわけであります。だんだんそれをしぼって参りまして、何人かの候補をあげ、殿下にもよく御説明をして、私どもの申し上げることと殿下の御決心も合致いたしまして、ことしになりましてようやく進行するようになったわけであります。その間私どもといたしましては、前内閣あるいは現内閣におきましても、総理大臣にはそういった経過を申し上げ、それからそういった大きな根本の方針の変更等についても説明申し上げて参ったのであります。 皇室会議を開きますことは、先ほど仰せになりました通りに、議長たる内閣総理大臣の招集でございます。もちろん一国の官吏としての立場、議長としての立場から、私どもといたしましては、過去においても十分な御連絡と御意見を伺うということには意を配って参ったつもりでございます。そういうことで皇室会議が開会せられたわけでございます。実際先ほどお述べになりました通り、皇室会議を開くにつきましても、実は皇室会議が設置せられましてから第二回の例であります。第一回は御承知の通りに、新憲法の実施の当時に多くの皇族が下られまして、そのときが一回で、第二回であります。私といたしましてもこの取扱いについては、内々皇室会議の委員であられる方の御意見も聞きながらやったつもりであります。会議が開かれまして、できるだけ経過と資料を申し上げ、私といたしましては、世上でいわれまするいろいろな不安と申しますか、心配ということも率直に申し上げて、御説明をしたわけであります。その結果、満場一致でおきめをいただいたのであります。ただ今回の問題を離れて、将来のことを考えます際に、先ほど摂政の場合の例をお引きになりましたが、要するに結婚の場合におきましては、あくまで憲法の原則と申しますか、これは新しい憲法ばかりでなく、従前からも、これは人間の本質であろうと思いますが、結婚される方の合意がなければならぬわけでございます。事前にいろいろなものを多くの人が公式に論議をして、これを配合するというものではなかろうと思っております。皇室会議におきまする皇族男子の御結婚、将来も起るのでございますが、これはやはり両性、両方の合意というものがなければ、皇室会議の議にはならないのではないかというふうに思います。こういった選考の経過というものを国民に周知させてやるということは、その事柄の性質上、私は避けねばならないことだと考えております。その間においていろいろ派生的な問題が起りますし、人権の問題にも及ぶことであろうと思います。ただ皇室会議に慎重に審議を願うという意味から申しまして、私も今の皇室会議があのままでいいかどうかということは、実は今回当りまして、いささか考えたことでございます。今回の現実のことを申すのではなく、全体を進める上において、たとえば御結婚会のような重大なことを進めます際に、今の制度のままでいいかどうかということは多少私も考えました。まだこうしたらいいのではないかという結論はここで申し上げかねますけれども、単に御結婚のことばかりでなく、摂政の選定等いろいろ重大なことを議する制度でございますから、慎重に検討しなければなりませんが、私も正直に申し上げて、多少当時は考えて、幾らか申したこともございます。そういうような点から考えますと、皇室制につきましても、御発言のようなことが一つあるのかもしれません。どういうふうにしたらば、ほんとうに事を運ぶに容易であって、しかも慎重な審議を尽せるかという行き方について、将来検討すべきものであろう、こう考えます。申し落したことがあるかと思いますが、以上でございます。
○高瀬委員 私は別にこれ以上伺うことはありませんが、実はこういうふうな重大な国事というものは、やはり国会というものは国民の代表というか、国権の最高権威のところですから、こういうことはやはり内閣において公式に国会に報告があってしかるべきものだと思うのです。それは宇佐美さんに申し上げてもなんでありますが、私はその点を特に官房長官に念を押しておきたかったのでありますが、おりませんから、委員長を通してこれをお願いします。委員長、いいですか。特にこういう問題については、やはり公式に国会に内閣が報告する義務があると思うのです。そういうことを特に私は確かめたかったのですけれども、おりませんから、委員長を通してお願いいたします。それから、特に皇室会議のあり方ということについては、宇佐美長官もいろいろ考えておられるようでありますから、内閣においても慎重に考える必要がある。うまくいったときはいいのですが、いろいろ事が紛糾した場合に、あんなやり方、ほんとうの形式的な、イエスかノーかというようなやり方では、非常に国民が安心しない。私はこういう考えでございますから、どうぞ御善処方を要望いたしまして終ります。
○内海委員長 柏正男君。
○柏委員 今までの各委員の御質問を聞きまして、私もいろいろと考えさせられる点がございます。私は、国民の大多数は、自民党の委員さんの言われるような意味で皇太子の御成婚を考えてはいないのではないか、もっと明るい、朗らかな気持でこの御成婚を迎えておる、これが実態ではないかと感ずるものでございます。そうでなければ、これからの天皇制、これからの皇室というものに対して、私どもは安心ができないというように思います。そういう立場において私は、今度の皇太子の御成婚を契機として新しい皇室制度というものが自然に生まれてくるのではないか、そういう感じをいたしておるものでございますが、そういう観点から以下の質問をやってみたいと思います。 今回の皇太子の御成婚は、皇太子御自身があるいはどの程度に意識されておったかはわかりませんけれども、古い封建的な皇室制度から、新しい時代に即した皇室制度に移っていこうというようにお考えになっておるのではないか、そういうように私どもは感ずるものでございます。すなわち従来の皇太子妃の選定方法と今度は、これが一変してしまっておる。皇太子みずからが、今までは日本民族の上に立つ皇室というようなものから、日本民族の中に溶け込んでいく皇室というような姿に変っていっている。古い意味の皇室制度というものは厳としてやはり中にはあるのでございましょうが、それに挑戦するように今度の新しい御成婚がわいてきておる。これに私ども国民の大多数は明るい希望をつないでおるのではないか、そういうように私は思います。しかしこういう御成婚の問題をまた違った意味で、何か皇室の尊厳を傷つけるように考えておる人たちも、今までの質問の中に出ておりますので、むしろ私どもは意外に思うくらいでございます。私どもは、戦後に民主主義の教育を受けられました皇太子が、身をもってこの時代の流れの中で、封建的なものではない、民主的なものを打ち立てよう、それを実践しようとしておられることに対して、ほんとうに力をかして、皇太子のお考えになる道を実現さしてあげねばならない、そういうように感じます。その意味におきまして、私どもはこのたびの御成婚の式につきましても、ほんとうにそういう皇太子のお気持がどの程度現わされておるだろうか、そういう点について、尊厳というよりもかえって、もっと違った意味合いの心配を感じております。しかしその点について先はほど長官からお話もございましたので、重ねて御質問する必要もないわけであります。皇太子が御婚約をされ、御婚礼の式をあげられて新しい生活にお入りになるという場に入ったわけでございますが、そのことはまた新しく次の天皇としての生活への第一歩でございます。そういう意味からして、果して皇太子のこれからの生活設計が、皇太子の意図されるような、国民の中に溶け込んでいくような皇室というようなものを、これからの生活設計の中に宮内庁としてお考えになっておるかどうか。そういう点について、新しい皇居の造営の問題とか、あるいは皇居の開放論とかいうふうなものと関連を持って、宮内庁ではどういうふうにお考えになっておるか、御見解を承わっておきたいと思います。
○宇佐美説明員 このたびの皇太子様の御婚約が、国民の大多数に非常に明るい気持を与えておるという点は、各種の面から見て間違いのないことだと私も考えております。しかし国の内外を通じまして、こういう問題にそれぞれの立場から他の意見を持ち、あるいは心配をなさる方があるということは、これまた間違いのないことだろうと思います。過去のこういった大きな問題につきましても、常にあったことであります。ただ先ほど来、非常に真情を披瀝しての御質問がございましたが、そういった一部における——将来のために御質問があったことと私はありがたく拝聴しておるわけであります。今回の御結婚がこれによってすぐどうなるということでなく、私が常に申しますように、御結婚は第一歩であります。今後これをスタートとしてりっぱな御家庭を作り、皇室の中心に立っていだたくということこそ願うべきことであろうと思います。そういうような点につきまして国民もまた相協力して、そうしてお互いに日本の将来のために進んで行くべきものであるということを考えるものでございます。われわれそのお手伝いをする立場におります者といたしましては、よく将来のこと、あるいは国民の気持を洞察して、日々そういうような問題を具体的な問題で現わしてこたえていきたいというふうに考えておるわけであります。
○柏委員 今の御答弁で私ども考えております明るい皇太子の御成婚ということに対して、皇室を初め関係者その他においても同じく考えておられることが私どもよくわかるのでございます。それだけに私は、こういう明るい日本の皇室を、再び昔のような菊のカーテンの中に追い込んでしまう、雲の上に押し上げてしまうというような形にならないように、これから天皇側近の皆さん方において特に留意をしていただきたい、そういう感じをいたしております。また正田美智子さんは民間人として宮中に入られるわけでございますから、それだけにいろいろと因襲のあるところにお入りになるので、心配もおありだろうと思います。国民もひとしくそのことを心配しております。普通の家庭でも家風の違うところに参りますと心配でございますが、それ以上の心配を国民がひとしく持っておる。この御成婚がうまくいかないようなことでもあったならば、その責任は一体どこに出てくるだろう。私ども国民のひとしく願うところは、この御成婚がやはりともにしらがの生えるまで、ほんとうに偕老同穴のりっぱな御生涯を送られますように、これを願っております。しかし宮中はなかなかむずかしいしきたりもあるそうで、先ほどお話のありましたように、肉親の方にも会いに行けないというような、あるいはおいでにならなかったというようなことがあるというようなことを聞くだけでも、胸のふさがるような思いがいたします。そういう点から人間美智子さんが人間としての生活を、これからの生涯を宮中において平穏無事にお過ごしになれるように、皆様方、特に御配慮を願いたいという気がいたします。 その次に私の申し上げたいことは、従来とは異なって民主主義の教育を受けた天皇の時代がくる。今までのような帝王学を身につけられた天皇ではなくして、民主主義を身につけて、ほんとうに人間天皇として初めから教育された方が天皇の地位につかれ、国民統合の象徴としておふるまいになるという、今までと違った新しいケースができていく。その意味におきまして、決して帝王学が天皇に必要なのでなくして、良心至上主義に徹した、りっぱな人間としての天皇をお作りになっていくということこそ私どもは願いたいのでございまして、天皇が特別の教育を受けて、人間とかけ離れた者になっていかなければならないというお考えを持っておられるような発言に対しては、私どもはどうしても賛同いたしかねる。今の小泉さんがやっておられるような教育の仕方をこそ、私ども国民の大多数の者が、ほとんど全国民と言っていい、すべての人々がそういうことを願っているのではないか。今の皇太子に対して私ども日本民族が希望をかけ、期待をかげておるゆえんのものは、りっぱな人間としてすくすくと成長しておる純真な人である——そう頭脳明晰だというような感じをみんな持っておりません。そうでないが、人間としては実にりっぱな皇太子が、この次には天皇になられるのだというところに、日本民族の希望があるのだ、そういうふうに声なき国民の声というものを私ども感ずるものでございます。それだけに曲げられた教育をされていくというようなことはなるべくチェックしていただいて、今のようなりっぱな民主主義の教育を身につけられた天皇ができていかれることをお願いいたしたいと思っております。今まで明治憲法のもとにおきましては、確かに天皇は最終の決定権者でございました。それだけに私どもは最終の決定権者である天皇に対しましては、ほんとうに人間としての能力の最善なるものを要求しなければならなかったと思います。ある意味におきましては、明治天皇は確かに人間としても私らが考えられる能力の面から見ましても、最上級のお方であらせられたと思います。しかしそれに続く大正、昭和におきましては、明治天皇に求めた最上級のものを求めることは不可能であったと思います。明治憲法のようなほんとうの天皇制のもとにおきましては、天皇の人間としての能力が問題になっておったと思います。しかしながら新憲法におきましては、天皇はもうすでに最終の決定権者ではありません。その意味におきまして私は天皇が最終の決定権者でないそういう事態に即して、天皇が生物学をおやりになろうと、歴史学をおやりになろうと、それは天皇の自由であり、天皇もその意味において人間として十分にお好きな道をお進みになってけっこうだと思います。しかしながら私どもは天皇が国の象徴であるという点から見まして、皇室の天皇はいつもりっぱな状態であるようにおしつけを願いたいと思うのでございます。その意味からいきますと、先ほど受田委員からもお話がございましたが、現天皇におかせられては少しく身体的障害というようなものもこのごろはおありになるのではないかという懸念を私どもは感ずるのでございます。たとえば最近にございました開会式当日の天皇の御様子を見ましても、顔色はなはだすぐれられない、あるいは御歩行においてもまだ五十何才のお方にしてはしっかりされていない、言語もあまりきちっとされていないというような点から見ますと、あるいは天皇御自身に身体的障害というようなものでもおありになるのではないかという懸念さえ持つものでございます。かりにもしそういう事態でもございますものならば、皇室典範にも憲法にも規定されております摂政を置かれるということを、当然に宮内庁あるいは側近において何らかの形でお考えを願うことが出てくるのではないかという感じがいたします。そういう意味で今は一つの段階に来ておる。先ほど天皇退位のお話もございましたが、退位はいろいろの面でもし実現できないといたしましても、摂政を置かれるということは、憲法においても皇室典範においても定められておることでございますから、その限度においてこの際皇太子の御成婚を一つの機会にして、摂政を置かれるということについて何らかお考え合せになったようなことがございますかどうか、そういう点について伺いたいと思います。
○宇佐美説明員 皇太子殿下の明るい御結婚について、こういった気持を発展して明るい皇室、明るい国ということにつきましては、先ほど申し上げました通り私どもが今日がスタートで、この気持がほんとうに実りますように努めるべきものであると考えております。明治時代と現在におきましては、天皇の地位も変って参り、明治、大正、昭和と比較いたしまして、そのときの国家の情勢、社会の情勢、そういった諸制度、あるいはおそれ多いことでございますが、各天皇の御人格またそれぞれ御特徴があることと思います。常に同じ方ということはあり得ないわけでございます。日本将来のためにこの新しい感じ、国民とともに進まれるというお気持を大いに今後発展すべきであるということにつきましては、私どもそういうことで努めて参りたいと思います。ただお述べになりました陛下の御健康につきましては、最近数年間おかぜもおひきになったことございません。何ら御支障ございません。従ってただいまお述べになりましたようなことは夢にも考えたことはございません。
○柏委員 健康の点につきましては、おそばにおられる皆さん方の方がいつもごらんになっておられるので、かえってお気づきにならないのではないかというようなことさえ私どもは考えます。私どもはほんとうにときたま天皇にお目にかかるわけでございますが、ときたまのものであるがゆえになお、過去数年来の健康がお悪いのじゃないかという懸念を持つものでございます。そういう点は民間でございますればすぐ、顔色が悪いよ、人間ドックにお入りなさいということが言えるのでございますが、そういう精密検査というようなことをおやりになったことがございますか。
○宇佐美説明員 両陛下初め皇太子様、皆様方の御健康につきましては侍医が数名おりまして、常に拝診をいたしております。一切御心配ないことと存じます。
○柏委員 それではその点は私ども安心いたしますが、次に憲法改正の問題と天皇制との関連につきまして、現在憲法調査会においては第三委員会か何かでもって、すでにこういう問題は取り上げられていると思っております。こういう現在の流れの中におきましては、天皇制が憲法改正の問題の中に取り上げられるときに、昔の天皇制に返していくというような力が非常に多く動いております。民主主義政治への反動の形として、憲法改正と天皇制の問題とが結びついております。そういう状態ではございますが、しかしながら私どもが皇室の永遠の安泰という点を考えますと、現在皇太子御成婚において見られるような、すなわち皇室が今までの菊のカーテンをはずして、国民と一緒に溶け込んでいくというような姿、また先ほどお話のございました三笠宮の紀元節反対の態度と申しますか、お話というものが、かえって国民には皇室を身近なものとして感じさしていく。ある一部の人は、皇族の身分でそういうことを言うのはけしからぬというように言われるかもしれませんが、国民の大多数は、そうじゃない、なかなか三笠宮様は公平にものをお考えになっておる、皇室をして誤まらしめないようなものの考え方を持っておられるのだというように感じておるのじゃないかと私どもは考えるものでございます。そういうように、いろいろな意味合いから見まして、皇室が菊のカーテンをみずからおはずしになって、国民に溶け込もうという状態にありますだけに、この憲法改正の問題の中に天皇制が昔の姿になって返っていくというようなことは、かえってひいきの引き倒しになっていくのではないかということを私どもはおそれます。そういう意味で、宮内庁としては、こういうことに対して積極的に、天皇制をどういうようにするのか、あるいはまた将来においてもっと違う形に変えていこうとするのか、また皇室会議のようなものにそういう問題をかけて考えてみるというようなことがありますものかどうか、そういう点についてお話を承おりたいと思います。
○宇佐美説明員 憲法改正と皇室というものとの関係についてのお尋ねでございますが、現に政府では憲法調査会を設置せられまして調査の途中でございます。それはわが国としてきわめて大きな、全国民が関心を持つ政治的な問題でございまして、特に皇室のお世話をいたしております宮内庁といたしまして、そういう問題についてただいま意見を申し上げることは適当ではないと私どもは考えております。ただ歴史というものは昔のままには返らぬ、そのままには返らぬということを私はいつも考えております。
○柏委員 では最後に、実は私は昨日あるところから印刷物を届けられたのですが、その中に非常に不敬なことが書いてありますので、ちょっとそれを御披露します。その中には、粉屋の娘が殿下と呼ばれるようになり、さらに陛下というように敬われるということ自体からして、皇室の尊厳がなくなる、国民の尊崇というものが薄くなるのではないか、天皇制がそういう点から廃止されるのではないかというようなことを書いた印刷物を受け取りましたが、そういう点を考えますと、私どもは全く反対の考えを持っておるものでございます。これらは明らかに国粋主義の——昔国粋主義というのがございましたが、そういう国粋主義というか、あるいは右翼的といいますか、そういう非常に偏向したところではそういう考え方を持っておるということが考えられるのでございます。そういうことは、天皇を神格化しようという考えがあればこそ、今のような言葉が出るのでございまして、こういう考え方は、伊勢神宮を特殊化していこうとか、あるいは二月十一日の紀元節の復活をしようとかいうようなことに対する一連の連なりのある考え方であるといわざるを得ないと思っております。こういうことは、一つの皇室への忠誠のように見受けられるのでございますが、ほんとうはただひいきの引き倒しになっていく。皇室の永遠の安泰のためには、皇太子妃の選定に見られますような民主的な皇太子の考え方の方向が、私は実に大事な方向ではないかと考えます。そういう意味におきまして、宮内庁におきましても歴史の進み方に歯車を合せて、新しい社会制度がどういうように変革をいたしましても、永遠に日本民族とともに繁栄していける皇室制度を確立する。単なる目の前に見えるものだけでなくして、永遠に日本民族とともに生きていく皇室制度というものについて深くお考えを願って、国民の上に特殊な存在として作っていくという考え方よりも、もっと国民の中に溶け込んで、日本民族のほんとうの象徴として伸びていくというように一つお考え願い、新しい皇室制度もお考えいただくようにお願いいたしまして、この質問を終りたいと思います。
○内海委員長 次に菊池義郎君。
○菊池委員 宮内庁長官にお尋ねいたしますが、この皇太子殿下の御成婚につきまして諸説ふんぷんとして、国民はいろいろの誤解を抱いておるのでございます。私は、皇太子が平民の娘をそのきさきとして選ばれたことを非常に喜んでおります。平民であろうが新平民であろうが、粉屋の娘であろうが何であろうが差しつかえないと私は考えておるのであります。こういう点において、私は欣快にたえないと考えておりますが、その婚約の過程においていろいろの謀略、策略が行われておるということが、最近の週刊雑誌やその他の刷りものにおいて世間に流布され、これによって国民が非常な疑惑を抱いて、国民の頭は割り切れないような感じになっておるのであります。この際それが事実であるかいなかを長官から明確に発表されて、そうして流説の真偽を明らかにして下さるならば、国民は晴れやかな気持になり得ると思うのであります。私はもう時間がございませんので、端的にせんじ詰めて要点々々だけ申し上げますから、長官も簡単にお答えを願いたい。 まず第一にお伺いしたいのは、この婚約の前に、美智子嬢は二十五人の見合いをしておられた。そして最後に波多野という青年と婚約、これを破棄して皇太子の方に振りかえたというようなことが流布されております。週刊雑誌に出ておりますが、これは事実でありましょうかどうか。
○宇佐美説明員 非常にりっぱな方で、従前にもいろいろ結婚のお申し込みがあったように伺いますけれども、お尋ねのようなことは全く聞いたこともございません。
○菊池委員 片一方にそういう婚約がありながら、これを破棄して婚約をするということは、世俗、人情に反し、道義をじゅうりんし、将来の国民の象徴たるべき人を作り上げるにはふさわしいことではないと思うのでございます。そういう婚約者があるかどうか、その点をお伺いいたしたい。波多野という青年です。
○宇佐美説明員 全くないものと考えます。
○菊池委員 もう一つ重大なことは、この婚約を運ばれた方々、運動に当られた方々が全部カトリック教徒である。前の田島長官もカトリック教徒であり、それから宇佐美長官もカトリック教徒であり、小泉信三氏もカトリック教徒であり、それからしゅうとになられる正田英三郎氏もカトリック教徒である。それから最高裁判所長官の田中耕太郎氏もカトリック教徒である。カトリック教徒の一連のからくりによってこの婚約が運ばれたという説が流布されておるが、これはいかがであるか、承わりたい。
○宇佐美説明員 関係なさった方々がどういう宗教であるかということは、私調べたことはございませんので、責任を持ってお答えいたしかねますが、私がカトリック教徒であるなどということはとんでもない間違いであります。ただ出身せられた聖心学院というのはカトリック系の学校でありますが、御本人は洗礼を受けておられない。あるいはカトリックが将来皇室に対して何らか影響を持たないかという心配をせられた方々が世上あるということは聞いたことがございます。しかし、もちろん美智子さんは洗礼を受けておられませんし、学校当局においても非常に慎重な態度をとっておられまして、この問題に対しては何ら御心配はないと考えるのでございます。従って、過去においてこの問題についてカトリック系の陰謀があったなどということは全然根拠がございません。
○菊池委員 もう一つ、この御結婚の話について、天皇皇后両陛下を初め皇族の方々がみな反対されたという説が流布されております。皇室会議が終りまして、その報告を宇佐美長官から天皇陛下に申し上げると、天皇陛下は怒られたお顔で、ふんまんやる方ないお顔で一言も発せられなかったというようなことも流布されておりますが、これはいかがでありますか。
○宇佐美説明員 今回の御結婚につきまして、御両親陛下であります両陛下その他皆様の御反対があって、進め得られるものではございません。ましてやただいま申されたようなデマは、取るに足らぬものと私は思います。
○菊池委員 さらに、皇室会議が開かれたのは十一月二十七日でございますが、その前十一月二十四日に、宮内庁は公電をもって館林に通知しております。こういうことは、皇室会議を無視し、皇室典範を無視し、国民を愚弄するもはなはだしき行動であるといわれても弁解の余地はないと思うのでありますが、この点はいかがでありましょう。
○宇佐美説明員 皇室会議の前に館林に電報を打ったなどということは、思いもよらぬことであります。ましてや館林に宮内庁がどうして電報を打つか、了解に苦しむところであります。
○菊池委員 別の問題に移りますが、東宮御所の造営であります。われわれは、赤坂離宮がありますので、国会図書館がドイツ大使館の跡に建ちますと、そこへ国会図書館を移して、東宮殿下が移られるものと考えておりました。ところが、もうその国会図書館の引っ越しまでそう長くもないのに東宮御所を建てるということは、費用は少いといたしましても、国民に与える影響がいかにもおもしろくないと思うのであります。それで、こういうことについては長官から天皇陛下にも進言し、東宮御所の造営は見合せて、御所ができてから赤坂離宮に引っ越されてはどうかというくらいのことはおっしゃられてもよかったのじゃないかと思いますが、この点はいかがでございますか。
○宇佐美説明員 御質問の趣旨は、皇居の建設と皇太子殿下の御所の関係でございますか。赤坂離宮でございますか。
○菊池委員 東宮御所です。
○宇佐美説明員 赤坂離宮が国会図書館に移管されまして、今国会図書館の所管になっておるわけでございます。それがあるのに東宮御所を作るのはおかしいじゃないかという御質問のように伺いましたが……
○菊池委員 引っ越しまでしんぼうせられてはどうかということです。
○宇佐美説明員 国会図書館がいつ新しいところに移られて、あとどうなるかということはまだきまっておらないことでございます。しかも一方皇太子様の御殿というのは、お一人でも非常に狭いのでありまして、御結婚を控えましてどうしても早く建設しなければならないという事情に迫られてお願いいたしたわけであります。あるいは世上説をなしで、皇居ができないのに東宮様の御所を作るのは早いのじゃないかという説を聞いたこともございますけれども、しかし実際の必要に迫られていたしたことでございます。御了承をいただきたいと思いますし、もう一つは、今国会図書館の入っております赤坂元離宮は、住居としてはとうてい使いにくいところでございます。これだけは申し上げておきたいと思います。
○菊池委員 そうすると、赤坂離宮ががらあき状態になったときには何に使うのですか。
○宇佐美説明員 現在国会図書館の所管でございまして、その後につきましてはどう措置されるか、まだはっきり決定はいたしておりません。しかしながらあれを国会図書館に移管いたしましたときに、皇室経済会議にかけておるわけでございますが、そのときの議事録を見ますると、希望としては、国会図書館が不要になりましたときは皇室の用に供するようにしてもらいたいという希望は出ておる。しかしそのあとのことはまだはっきりきまっておるわけではございません。
○菊池委員 そうしますと、東宮御所を今度新築するということは、要するに結婚のためにというだけでございますか。
○宇佐美説明員 現在お一人だけで外交団にお会いになりますとか、そのことでも困っております。また御結婚になりますればいよいよそれが激しくなるわけでございます。そういう全般的の考慮からいたしたわけでございます。
○菊池委員 国民の中には、家なくして困っております数百万の同胞がありますし、また失業者も三百万もあるということですが、そのくらいなら皇居を利用することもできようし、今の仮御所を利用することもできましょうし、どうにでもできると思いますが、皇室に限ってはそういう融通がきかぬものでございましょうか。
○宇佐美説明員 皇居の中の諸建物もきわめて狭隘でございます。またそういうわけで彼此融通すると申しましても簡単でございません。お述べになりましたように、国民の生活を重視しますならば、いろいろ問題もございましょう。しかし私どもといたしましては、昨年来国会の慎重な御審議を経て予算をいただいておるわけでございます。
○菊池委員 間組から七千万円の工事を一万円で受けると好意的に言ってきた。ああいう話は喜んで受くべきではないかと思いますが、いかがでございましょうか。向うはせっかく寄付しようと言っておるのに……。
○宇佐美説明員 東宮御所の建設につきまして、御審議になりました通りに、宮内庁の予算に上って、それを建設省に全部委託してございます。建設省が入札その他を進めておられることでございます。この間の問題につきましては、そういう申し出をせられた方の純粋なお気持をわれわれはもちろん疑いたくはございません。そういう意味で申すわけではございませんが、そういった全国民の上に立っておられる皇太子様、皇族、皇室の方々としては、一人の方の恩恵を多く受けるということはできない。これは憲法のいろいろな条章から見てもはっきり出ていることだと思います。
○菊池委員 最近皇居の移転論が盛んに行われて、読売新聞あたりで取り上げて議論まで起しておりますが、私は欧州あたりの宮城を見て、日本の皇居は世界の名城であると考えております。イタリアのローマ城、シナの北京城、エジプトのカイロ城を見ましたが、外観の美において日本の宮城に及ぶものはない。あそこから皇居を取りのけたら、世界の使臣は楽しみに来るのでありますから、彼らは失望するだろうと思います。宮城の上空の空気が悪いとかなんとか言っておりますが、それなら下町のあんな空気の悪いところに住んでおる何百万の住民は、死んでもいいのかということになるのであります。長官はこの皇居移転論についてどうお考えになりますか。また陛下はこれについてどういうお考えを持っておられますか。それを伺いたい。
○宇佐美説明員 皇居は戦災によって焼失いたしまして、その後事務所の一部を使って今日に至られたわけであります。講和条約ができましてから諸外国からの使臣もふえますし、国賓その他来訪者も非常に多く、国の力の充実とともにそういった行事も非常に多くなっております。前から国民の中におきましても、早く皇居を作るべきではないかということが盛んにわれわれの耳にも入って来るわけでございます。しかし陛下の従前までのお気持と申しますのは、戦後の国民の生活上の困苦をしのばれまして、常に先憂後楽というお気持から、今までこういう問題について触れることを私どもにはお許しにならなかったのが事実でございます。しかしいずれかはこれは建てなければならないという問題が起って参るわけでございます。われわれとしてもいろいろ調査をいたしておったわけであります。しかしその過程におきまして、皇居の位置その他についていろいろな意見が昔からございます。最近起ったわけではございません。新しく皇居を作るといたしますれば、その位置とかあるいは今までしばしば熱烈に出ております、国民が献金をしたいという各地における希望、その他建築のやり方につきましてもずいぶんいろいろな意見を申されます。ほんとうに全国民の皇居として考えるということにおきましては、単に宮内庁だけで事務的に結論をつけてしまうということは適当でないということで、今回皇居造営審議会を作り、広く御意見も聞いて、その上で慎重に進めたいというふうに考えておるのであります。ただ私どもはこの問題を解決するについては、宮殿あるいはお住居、あるいはまた陛下の御日常の模様でありますとか、世間でいわれます各種の条件を考え、しかも単に理想論でなくて、日本の経済にも合う点を考えなければならないというふうに考えております。私どもは今の皇居は一つも手をつけてはいけないというような考えはもちろん持っておりません。そういった意味におきまして、これは将来のために慎重に考えなければならない問題でありまして、単純な開放論という問題については、私は直ちに賛成いたしかねる次第でございます。
○菊池委員 つまり開放ということは、あの宮城から皇居を移転することでございますが、あの宮城から皇居を別のところに移転するということについて、長官はどうお考えになりますか。これをお伺いしているのです。現在の宮城内に皇居を置いた方がいいとお考えになりますか。ほかのどこかに移転した方がいいとお考えになりますか。陛下はこれについてどういうお考えを持っておられますか。その点をお伺いしたいと思います。
○宇佐美説明員 私どもの今までの事務的な調査では、諸種の条件から見て宮城内に作るということでいろいろな資料を集めつつございます。しかし今お尋ねのありました陛下がどうお考えになっているかは、審議会を作ろうという前に申し上げる時期でないというふうに私は考えております。
○菊池委員 結婚式に招待する外国の使臣の席順はどういうふうになるのですか。
○宇佐美説明員 今回の御結婚式において、多少他国の例もございますが、特派使節というものは前例によって受けないということでございます。ただ外交使節、外国使臣というものは、おそらく祝宴にお招きがあるだろうと思います。その席順ということでございますが、これはおのずから国際慣例によって、外務省とよく打ち合せたものがございます。おそらくそれによることだと思います。
○菊池委員 英国のエリザベス女王の戴冠式に皇太子が行かれたときに、その座席が実に右を見ても左を見ても黒人種ばかりであった。それで皇太子は憤慨されたということであった。今度の結婚式においては、英国の大使だけは黒人種の中にまぜてすわらせてもらいたいと思います。その点どうでしょうか。
○宇佐美説明員 皇太子様が戴冠式においでになって、そういう御感想を漏らされたということは、私は聞いたことはございません。席順はおのずから国際慣例があるので、今のようなまぜるということは、どうも解しかねることだと思います。
○菊池委員 それから結婚式が昔ながらの衣冠束帯、これはどうも南方の風俗のようで、世界各国に何となく日本が野蛮国のような印象を与えやすいと思うのであります。衣冠束帯というものはやめにして、最近の流行の洋風で一切がっさいやってしまったらどんなものですか。
○宇佐美説明員 過去の歴史に基かないで、新しくここでものを考えるとなれば、あるいはその場所柄も考えていろいろな案も立とうと思います。やはり皇室は一つの伝統に立っておられる、こういった大きなおめでたい儀式、結婚式場の場所柄を考えましても、やはりこれに合った服装をなさるべきだと思います。祝宴その他のときの服装は、これはまだはっきり決定いたしておりませんけれども、殿下が洋装をなさるか、あるいは妃殿下になられる方が和服になさるか、そういう点は今慎重に考えつつございます。
○菊池委員 別のことでございますが、皇太子殿下にしても陛下にしても、政治、経済学をさっぱり研究せられないで、生物学ばかり研究しておられるのでございますが、これからは皇太子にも政治、経済の学問を熱心にさせ、国際情勢も勉強させなければならぬというように私は考えておるのです。生物学の研究ばかりではどうも心配だと思う。日本が第二次大戦に突入したのも、天皇陛下が国際情勢を知らないで生物学ばかり研究して、カエルの目玉やホタルのしりばかりいじっておられた結果、とうとう軍部に押し切られて、ああいう悲惨な目に日本を陥れたのでございますが、これを考えるにつきましても、やはり天皇というものには政治経済学をしっかりやっていただかなければならぬと思うのでありますが、そういう点は長官はどうお考えになりますか。
○宇佐美説明員 ただいまの御発言は私どもはきわめて意外で、私どもはそういう認識は全然持っておりません。特に陛下や皇太子様が生物学ばかりというようなことは、全く根拠のないことでございます。現に外交問題については、毎週のように外務省の専門家に聞いておられます。経済問題についても、時々その道の人を呼んで聞いておられますし、皇太子様も御勉強になっておられます。皇太子様も今後だんだん学校を出られまして、そういう政治、社会、あらゆる問題についての御認識を深めていただく方針のもとに現に進めつつございます。御安心をいただきたいと思います。
○菊池委員 それから天皇という名称でございますが、外国語に訳しようがないそうですね。ヘブン・エンペラーというような訳はない。天皇という実に古めかしい、いかにも新興宗教のような名前で、われわれは聞き苦しいのでありますが、何とかこれを改めて——日露戦争当時には、宣戦の詔勅にも、大日本帝国皇帝となっていました。皇帝とか大帝というように現代語に改めてはどうかと思いますが、そういうことについて長官に何か構想はございませんか。
○宇佐美説明員 天皇ということにつきましての御発言でありますが、長い歴史と、現代の憲法、日本国民の大多数の感情から、そういうことは、私はないものと考えておるのでございます。
○菊池委員 さらに宮内庁の機構でありますが、一万人から現在は千人近くに減らされている。けれども、世界の宮廷を見ましても、千人もの吏員を擁している宮廷はどこにもない。日本がこういう貧弱な国家でもって、千人近くの吏員を擁しておるということは、いかにも不均衡であると思うのでありますが、これを敗戦の今日において、また陛下も今までの大権を失われた今日におきましては、そうたくさんの吏員は必要はないと思う。これは二分の一でも、あるいは五分の一でも私は間に合うのではないかと思いますが、これを大々的に削減して、三分の一ぐらいに減らす、そういったお考えはございませんでしょうか。
○宇佐美説明員 宮内庁の陣容につきましては、今仰せになりましたが、終戦当時においては約六千二百名でございました。現在千人以下でございます。もっとも六千といううちには、農林省に移管いたしました帝室林野局、それからただいまの国立博物館、学習院等、仕事とともに移ったものを除きましても、当時の三分の一でございます。終戦後十回以上にわたって徹底的に一人々々の仕事の内容を見て、減らしてきたわけであります。しかもわれわれといたしましては、中の配置転換につきましても、急不急を見ながら極力増員を避けていたしておるわけであります。われわれとしまして、終戦後とあまり変らないいろいろの諸施設を擁して、三分の一以下の人で全力をあげてやっておる状況でございます。外国との比較もございましたが、イギリスの王室等につきまして、幾ら向うへ行って調べてもなかなか実はわからない。しかし最近統計年鑑等を見ましても、課長ぐらいの幹部だけでも四百人、その下は幾らいるかわからないのであります。そういうようなことで、数というのは全国に散っている御陵七百八十カ所の管理まで含んでのことであります。私どもは現在の状況が多過ぎるということは現在考えておりません。しかし将来事務の必要によって——たとえば外国関係が非常にふえつつございますけれども、増員もいたしておりません。それは中のやり繰りをしてやっておるような実情でございます。
○菊池委員 千人ということは外務省とほぼ匹敵しているのでありますが、外務省にほぼ匹敵するぐらいの人員を擁するということは、今の宮内庁としてはあまりにも多過ぎると考える。この点一つ御工夫を願いまして、私の質問は終ります。
○内海委員長 高橋禎一君。
○高橋(禎)委員 もう時間もだいぶおそいようですし、あともう一人いらっしゃいますから、簡単に今日の委員会で出ました問題に関連して、長官に二、三お伺いをいたしておきたいと思います。 私は宮内庁に対して非常な理解者といいますか、同情者といいますか、そのお立場を理解して、ほんとうにお気の毒だ、かような感情がわいてくるのであります。と申しますのは、昭和二十年、敗戦後占領政治の時代、これは日本の天皇制に対するいわば革命期といいますか、国民の天皇制に対する考え方が非常に動揺をした時代であります。ところが独立いたしました今日においても、一部には天皇制を否認するような考え方の人もありましょう。それからまた一部には、今の憲法の表現しておる天皇が日本国の象徴である、日本国民統合の象徴であるという、そういう言葉をもってしたのでは、まだいわゆる天皇制に対しての表現としては不徹底であるといったような考え方の人もありますでしょうし、天皇制についての考え方はいろいろあるわけであります。その間にあって、憲法は天皇制を認めているわけでありますから、天皇制を擁護し、憲法を守っていこうということに非常に関係の深いお仕事をしておられる宮内庁としては、なかなか仕事のやりにくい面があると思うのであります。しかしそのむずかしいことは、国民大多数は承知しているわけでありますから、憲法その他の法制の精神に従って、強い信念を持って私はお仕事をやっていただきたいと思うのであります。 そこで、それに関連いたしましてお尋ねをいたしますが、天皇、摂政については、憲法に憲法擁護の義務を明らかに規定をしているのであります。御承知の通り第九十九条に、「天皇又は摂政」云々は、「この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。」こういうように規定しておりますから、私は天皇御自身は、天皇制を擁護していこうということに対しての国家的な大きな責任をやはりお持ちになっておるように思われるのであります。ところが一般の皇族の方は、一体どういうふうな御関係にあられるか。お尋ねいたしますのは、国民全体が憲法を尊重し、憲法の認めている天皇制を守らなければならない責任があると思いますが、皇族の方々は、いわゆる普通国民と同じような意味においてであるか、あるいはまた天皇と格別御関係の深い方々であるから、天皇に準じての立場において天皇制を擁護していく責任をお持ちになっているのであるかどうか、その点についてのお考えがありましたらお聞かせ願いたいと思います。
○宇佐美説明員 皇族のお立場の御質問でございますが、現在の皇室典範におきまして皇位継承権の義務をになう方、皇室として法律的にも、その経済的な面においても、いろいろな規定があるわけであります。それはあくまで皇位継承権者としての責務であろうと思います。それだけに国家的な配慮がなされておる。従ってそういうお立場でございますから、よけい中立な立場におられて、それぞれの立場においで国のためにお尽しになるということであろうと思います。昔の規定によりますと、天皇は皇族を監督するというような規定もございました。今はございません。またその経済の立て方の問題、あるいはそこに勤めます職員の問題にいたしましても、あの規定のできましたのがまだ占領下の時代でございまして、占領軍の方のいろいろな意向も相当多く入ってきたのではないかと想像されます。今から見ますと、いろいろ実情に合わないような点もあろうかと思いますが、そういう点のはなはだしいところは多少訂正を国会でお願いしたこともございます。そういうような意味で、皇族という方が、やはり天皇の御一族と申しますか、そういうお立場から今申し上げましたようなふうに、りっぱな行動をしていただくようにわれわれは念願をするわけでございます。
○高橋(禎)委員 今長官のお話のありましたように、やはり皇族は一般国民とは異なった立場において、天皇制を擁護していくという責任があると私は思っておるのであります。そういうことになりますと、その責任を果されるために、やはり教育の問題も起ってくると思うのであります。学校教育、それから世間でいうその他の社会教育と言ってはちょっと表現が正しくないかもしれませんが、学校教育以外の教育によって、その線に沿ってほんとうにその職責を果されるようなことが必要であると思うのでありますが、皇族の方の教育に関して、宮内庁ではどういうふうな配慮がなされておるか、また制度上どうなっておるか、それについてお尋ねいたしたいと思います。
○宇佐美説明員 皇族と申し上げましても、陛下の御膝下にあらせられます未成年であられる方は、清宮様だけであります。そのほかの方はすでに成年に達しまして、学校を出て、それぞれ研修を積んでおられるわけであります。そのほか秩父、高松、三笠宮関係は、すでに相当のお年でございまして、一家をなされておりますので、特に私どもは教育というような面について何らいたしておりません。ただ三笠宮様のお子様が御五方おられますが、これは御両親が慈愛の目でもって教育なさっております。まだお小さいのでございまして、宮内庁としてはただいまのところ特に御方針なり、いろいろなことについて申し上げたこともございません。その御家庭において今御教育をお進めになっておるわけであります。まだ上の方が中学でいらっしゃる程度でございます。
○高橋(禎)委員 天皇それから皇族の点については今のお答えによりましてわかりましたが、今度は皇族でない、いわゆる御親族の方々については、これはもう一般の国民と同じであるか、あるいはまた先ほど来お話のあったような立場にあられる方々の親族であるという立場で、宮内庁としては、いわゆる皇室を守り、そして日本の天皇制、すなわちそれは憲法ということになりますが、守っていくために格別の配慮がなされておるか、あるいはそうでないか、その点いかがですか。
○宇佐美説明員 ただいま仰せの通りに、皇族でおられて御結婚等によってすでに皇族の籍を離れられておる、あるいは新憲法と同時に皇族籍を離れられた各宮家、あるいはその他の御親族の関係は、今お話のございます通りに、これは一国民としてのお立場でございまして、宮内庁でとやかく干渉すべきではございません。ただわれわれ皇室の私的な面についてのお手伝いをいたしておりますから、何か御連絡でありますとか、何かの御希望等がございますれば、お世話するときもございますが、これはあくまで役所の仕事ではありません。
○高橋(禎)委員 天皇及び皇族の方々が、先ほど来話に出ました人間としての幸福な生活を送っていただくように、国民は一人残らず念願しているわけであります。さらにその上に憲法上りっぱな立場にあられるのでございまして、またそれが確立擁護されていくということを、国民の大多数が念願しているわけでありますから、国民のその気持を尊重し、それを失望さすといったようなことのないように、私どもは現在のごとく将来もあっていただきたいということを念願しているわけでありまして、やはりそれには教育という問題が非常に関係があると思いますので、それらについても特段の御配慮が願いたい。また法制上必要なものについては、やはりその制度を確立する必要もあると思いますので、それらについてお考えがあれば伺いたいと存じます。 次に、今度は物的設備の問題であります。皇居運営に関しての審議会設置法が提案されているわけでありますが、私どもりっぱな皇居の造営されることを希望する者の一人でありますが、ただこの場合に考えなければならぬと思いますことは、私、外国をちょっと回ってみましたところから受けた印象、あるいは日本の歴史及び現在残存している有名建築等を見まして、りっぱな建物というものが何かそこにやはり人間に対して大きな影響を与え、意味を持っているということを痛感しているわけであります。従ってやはり日本の国の象徴としての天皇のお住居なり、または憲法上認められておるお仕事をなさる関係、それからさらに国際的な影響というようなことを思いますときに、私は日本的な、そして非常にりっぱなものを造営されることが必要だ、いたずらに外国式のまねをしただけの建物で、バラックのような印象を与える。とても外国のまねをしましても、外国の宮殿のような大きなものを作るということはなかなか容易でない。それにまねをして洋間を作っても、それがまた貧弱であるということではいかぬので、やはり天皇制はその制度そのものが日本のいい伝統といいますか、国民の気持の現われでありますから、天皇がお住まいになりあるいはお仕事をなさる場所というものも、やはりそういう考えをくんでやられる必要がある。もちろんこういうことについては審議会等において十分検討されることであると思いますけれども、それらについての資料、お考えというようなものを、十分国会あるいは審議会等に出していただくようにされることがいいと私は考えておるのでありますが、それらについてはどういうふうなお考えでしょうか。
○宇佐美説明員 将来建設さるべき皇居の様式等についての御発言でございますが、私どももいたずらにヨーロッパのまねをする必要はないのじゃないか、私参ったのではございませんが、宮内庁から調査いたしました報告を見ましても、非常に歴史的なものが多いのでございまして、とうていそれをそのまままねることができないのは当然でございますし、日本で建てます以上は、日本の建築の技術と日本的な現代の建築最高の技術を合せて取り入れてやるべきだろう。もちろん様式等は周囲の風光その他にもよることでございますし、なお大ぜいの方が入られることでありますから、利用の面からも十分考えなければならぬ。またこれは何事でもそうでございますが、やはり質素にやってはどうかということ、いや豪華でやれという説もありましょうが、しかし宮殿と申しますか、皇居としてふさわしいものでなければならないと私は思っております。また昭和のほんとうにいい建築だといわれるような工夫をしなければならないというふうに思っております。
○高橋(禎)委員 では最後に同じようなことになりますけれども、希望を述べておきます。こういう問題については、いろいろの意見が出ますが、ただそのときに出た雑然とした思いつき等に押し流されるというのではなくて、憲法の認めておる天皇制を守るために、私はやはり皇居というものの規模その他が非常に影響すると思うのでありまして、人の問題、物的設備の問題等を十分総合的に考えて、大いに天皇制を守っていこう、憲法を守っていこう、そういう考えで一つ進めていただきたいということを特にお願いをいたして、私の質問を終ります。 —————————————
○内海委員長 次に国の防衛に関する件につきまして調査を進めます。質疑を許します。茜ケ久保重光君。
○茜ケ久保委員 防衛庁長官に簡単な質問をいたしますが、一つ端的な御答弁を願いたいと思います。もちろん現在の自衛隊の中で自衛隊の専門家というものはないわけであります。どなたがおなりになりましてもしろうとでありますが、しかし防衛庁の長官として、国の防衛を担当するということになりますならば、いろいろと御研究もしておることでありましょうし、それぞれ防衛に対する御信念もあろうと思います。伊能長官は、現在自衛隊には陸海空がございますし、さらにその中でいろいろ分化されておりますが、航空自衛隊における飛行基地というものは、どういう条件がそろった場合にほんとうに飛行基地としての面目を発揮していくものであるか、たとえば、飛行基地といたしますならば、もちろん飛行機がなければならぬでありましょうし、建物や滑走路あるいは補助滑走路、そういったものが当然必要でありましょうが、その中でもこれだけはどうしてもなくちゃならぬという最重点的な要素があるはずであります。伊能防衛庁長官は、航空自衛隊における飛行基地の設定について、何が一番重要な要素であるか、これらについて明快な御答弁をお願いしたいと思います。
○伊能国務大臣 ただいま御意見がありましたことにつきましては、私も今後の日本の自衛隊につきましては、日本の平和と独立を守るために、国民からほんとうに理解をされ、愛される自衛隊を作って所期の任務に邁進したい、かように考えておるわけでございます。今お尋ねの航空基地の条件ということでございますが、その点については、いろいろと考えられることと存じまするが、純粋の装備の点から申しますれば、近代的な航空機を飛翔せしめるに足る十分な地域、と同時にこれが飛翔に適正な各種の通信、レーダー装置、また飛行機の整備に十分なる施設、と同時に飛行場において航空自衛隊が十分鍛錬をするのに必要な各般の条件が備わらなければならぬ、かように考えておる次第でございますが、それには、もちろん日本の国防の基本方針等にも一般論としてはうたわれておりますし、私が当初に申し上げましたように、日本の自衛隊というものが国民から理解されるという点についても、私どもは十分な配慮をもって、今後ひとり航空基地といわず、自衛隊の各般の部隊の設営等については努力をいたしていこう、かように考えております。
○茜ケ久保委員 質問の要点でありました飛行基地設定の一番重要な要素についての答弁がなかったと思います。あなたは二十数万に上る自衛隊を擁して、毎年千数百億の税金をお使いになっていらっしゃるのでありますから、いろいろな問題もありましょうけれども、一番重要な飛行基地設定の要素についてのお言葉がなかったと思うのですが、飛行基地が完全な飛行基地としての用を足すためには、いろいろ要素がございますが、その中で最も重要な要素は何かという点についての答弁が落ちたと思うのです。
○伊能国務大臣 御指摘の点については、さいぜん私の御回答のうちにも申し上げたと存じまするが、現在の航空自衛隊の飛行機が十分その機能を果し得るように飛翔し得、またその飛行機の機能についても万遺憾なからしめるような整備、各般の条件が備わることが、飛行基地として一番大切だろう、かように考えております。
○茜ケ久保委員 端的に申しますが、飛行基地を御設定になるときに、たとえば格納庫も要るでありましょう、兵舎も必要でしょう、ターミナルも必要でしょう。しかし兵舎やターミナルができましてもあるいは飛行機がありましても、やはり滑走路というものもなくてはなりませんし、滑走路があっても、先般新聞に出ましたように、飛行機があっても滑走路があっても乗員がなければなりませんし、こういった意味で、私たちは現在の自衛隊の運営上欠けるところがあってはいかぬと思うのですが、そういった意味で、私の質問の要点は飛行基地というものはやはり滑走路というものがなければ、幾ら建物が建っても飛行機があっても、飛行場としての用には立たぬであろうということを質問したのでありますが、やはりなりたての大臣であるだけに、私の質問の要点がおわかりにならない。それでは困るのでありまして、今後はしっかり勉強していただいて、私どもの思いやりのある質問に対してはずばりとそのまま答えが出てくるような御答弁を願いたいと思うのであります。 私が今お尋ねしているのは、ちょうど私は今帰ったばかりですが、御承知のように茨城県の百里原に飛行基地が設営されている。しかもあそこではあすが町長リコールの問題が起ってその投票日であります。これはあなたは御承知かもしれませんが、百里原の飛行基地設定にからんで町の重大問題でございます。町民はよかれあしかれ非常な混乱と迷惑をこうむっておる。その原因が百里原の飛行基地設定について起っておるという点でございましたので私は御質問したのでございますが、あそこは御承知のように、聞くところによると、日曜日に建設業者はターミナル、兵舎、それから格納庫、その他の付属建物の完成祝賀会をやるそうです。ところが肝心かなめの滑走路はいまだに一寸もできておりません。こういう実態を私は考えまして、防衛庁ではどういうふうな考えであの基地をお作りになっておるのか。それは建物は確かに鉄筋コンクリートのりっぱなものができておりますが、今言ったように飛行基地というものは幾ら建物を建てても、滑走路がなければ飛行機は飛べない。こういうものをお作りになってどうされるのか。昨年の十一月臨時国会での私の質問に対して、当時の左藤防衛庁長官は、見通しはつかない、なるたけ早く作りたいということでありましたが、もうすでにそれから三カ月たっている。いまだに滑走路は一寸もできていない。最近行ってみると補助滑走路をあわてふためいて無理にお作りのようですが、補助滑走路がいかにできましょうとも、主要滑走路というものができなければ飛行機は飛べない。これについて防衛庁長官はどのようなお考えを持っていらっしゃいますか。あとたくさん質問がございますが、まず冒頭に百里原基地の、滑走路の一寸もできないあの飛行基地を、しかも建物はりっぱにでき上って完成祝賀会をするそうでありますが、これを今後どういうふうにされるおつもりか、一つお答え願いたいと思います。
○伊能国務大臣 滑走路の点については御指摘の通りでありますが、私どもとしては地元の御援助、御協力をいただいて、できまするところから逐次飛行場整備に努力をして参りたい。また御指摘のように、中の地域についての少数の反対者もございまするので、それらについても今後できるだけ円満に話し合いを進めまして、賛成者を得て飛行場滑走路の整備を急速にはかりたいというふうに考えております。
○茜ケ久保委員 そういう答弁は今まで何回も聞いておるのです。しかも今言ったように建物等は全部できてしまったにもかかわらず滑走路はいまだに一寸もできないということは、もはや今のあなたのような答弁では間に合わないのですよ。私どもが汗水たらして出した税金がむだ使いをされておる。私はこれほどむだはないと思う。もしそんな金があるなら、自衛隊としてもほかに使うところがあると思う。どういうつもりでああいうことをされるのか、いまだにあなたの答弁では納得いかないのです。私はきのうもあの滑走路のまん中に住んでいる諸君に会って参りましたが、トレーラーでひかれても私は反対だと言っている。それほど反対な土地が、今まであらゆる方法を通じて——買収的な方法も、脅喝も、あらゆる方法を通じたけれどもどうにもならぬ現実なのです。それがしかもいま今日、私どもはトレーラーの下にひかれても反対です、この土地は一寸もやれませんと言っておる。これに対してどういうふうな方法で説得をされ、納得をさしていく自信があるか、私は具体的なことをお伺いしたい。ただ単に納得のいくまで待ちますとか、あるいは誠意を込めてやりますということでは、すでに一年かかってもできないようなことなんだから、今さらできるはずはない。これに対して防衛庁長官は——あれだけ膨大な国費を使ってやっておることが、もしも滑走路ができなければむだもこれ以上ない。一つ具体的に、あなたがきっといついつまでにはやってみせるという確信があったら、その点も伺いたい。
○伊能国務大臣 御説の点につきましては、これは今日までの努力によって、従来非常に反対であった方々も逐次われわれに同調していただき、日本の防衛の趣旨に御賛成をいただいて、ほんの少数になっておることは御承知の通りだろうと思いますので、そのほんの少数について、今後私どもは具体的にと申しましても相手のあることでございますので、今後力を尽して、あくまで了解を得、説得をするという以外には道がないのではないかと思うのでありまして、その方向で全力を尽したいと思っております。
○茜ケ久保委員 まああなたの答弁ではとても納得できませんけれども、これ以上申し上げてもあなたも答弁のしようがないと思う。 経理局長に伺います。今までに百里原の第五航空団基地の予算は幾らになっておりますか。
○山下(武)政府委員 現在までに支出いたしました経費は、完成しました工事といたしまして約三億円、現在進行中の工事で約一億円、買収済みになりました土地買収費が約一億七千万円でございます。全体の予算といたしましては、このほかに滑走路その他のいわゆる飛行場の仕上げに使います未買収の土地の代金を含めまして、約五億円見当と考えております。
○茜ケ久保委員 五億というのは、いわゆる現在までに使ったのを除いてあと必要なものが五億ですね。
○山下(武)政府委員 そうです。
○茜ケ久保委員 そういたしますと、今まで使ったのは約五億七千万円、今後約五億、約十億の金を使うわけであります。すでに五億七千万円使われておる。しかも現に、今も私が指摘したように、また防衛庁長官もお認めになったように、滑走路は全然手がついていない。その滑走路の中には反対委員会の委員長以下十名近い人たちが、完全にがんばっているという状態でございます。そこで持ち上ったのが、あの小川町における飛行基地設定賛成派と反対派における町政の運営——現に町長である山西きよ女史は、この航空基地設置反対によって町長になれた方である。ところが最近、自衛隊誘致派の諸君がリコールをして、現にあすの投票を控えて非常に血みどろな闘争を続けておる。こういう段階において私が現地に行って非常に遺憾に感じたことは、去る一日に防衛庁はどういう気持でありますか、もちろん自衛隊の今後の建設に協力してもらいたいという意図であろうと思うのでありますけれども、時もあろうにリコールの非常な激戦のさなかに、ヘリコプターを持っていって町民その他の諸君を乗せて、そして何か視察といったようなことがなされておる。これは私は防衛庁としては他意があろうとは思わぬですけれども、もう長い間いわゆる自衛隊誘致反対によって町政が運営され、町民もそれに対して非常に関心を持ちまた混乱をしている。しかも今はリコールのために投票を七日に控えたその一日、自衛隊がああいうことをされたことはまことに遺憾千万にたえない。従ってわれわれは去る先月末長官に対して、それは政治的な意図も感じられるし、一般に対する影響も非常に大きいのでありますから、この際中止したらどうかということを申し出たのです。それを押し切って一日にああいうことなさったのでありますがこれに対して長官はいかようにお考えか。きのう、おととい私は行って参りまして、その結果がやはり町民の中に非常に微妙に響いておる。あなたはいい結果が出るようなことを期待してやったと思うのでありますが、具体的にはむしろ逆な面も大きく出ているという点を感じるのでありますが、あえてリコール騒ぎの最中にああいうことをなさった防衛庁の真意を、はっきり表明してもらいたいと思います。
○伊能国務大臣 去る一月一日、当庁として農道廃止並びに空から百里原の全体の状況を視察するという東京建設部の要請、かたがた茨城県の農地課からも同様の趣旨の要請が去年十一月からあったのでございますが、御承知のようにヘリコプターは浜松にございまして、事務上の必要その他いろいろと輸送関係で適当な機会をつかまえることができませんで、ちょうど二月一日に東京方面へ飛翔してきたヘリコプターに余裕ができてきたので、その機会に百里原の所要の調査をしようということで、かねて計画いたしておりましたところ、あの企ては御指摘のようにリコールにもいろいろと影響があるからやめてほしいという御希望もありましたが、私どもとしては当初あの東京建設部並びに茨城県の農地課からの要請につきましては、かねて小川町の町長さんの方面へも事情をお話しして、町長さんにも御希望があればお乗りを願いたいということで了承を求めて参りましたところが、町長さんはお乗りにならぬ、数名の町議の方がそういった趣旨のものであれば乗せてもらいたいということで、かたがた現地の報道関係の人々からも御希望がありましたので、そういう計画で一月一日に実施しよう、こういうつもりでございました。全くさような事務的な事情の関係にありましたが、なお町長さんが乗らないということで、希望の町会議員の方々が乗るということについても御指摘のような心配、あるいは誤解を受けることはわれわれとしても差し控えるべきだ、ただ純粋に事務的な調査だけにとどめ、また報道関係の自由な報道の内容だけにとどめる方が適当であろうとかように考えまして、町会議員さんの方々の航空機への乗り込みもお断わりして、純粋な事務的な見地で実施いたさせましたので、何ら他意なく、ほかに、これを遷延いたしますとヘリコプターがまた東京方面へ飛翔してきて余裕を生ずるという時期等にも、しばらくの間日当てがつかぬということでありましたので、既定計画通り実施した、かような状態でございます。
○茜ケ久保委員 ヘリコプターの東京飛翔と余裕ということをおっしゃられるのですが、防衛庁長官が自分の配下のヘリコプターを自衛隊の発展のためにお使いになるならば、わざわざ呼んで使ってもいいのです。何も東京へ来たついでに時間があるから飛ぶということは少しおかしいと思う。防衛庁長官のそういう御答弁ではとても私ども承知できません。特にいろいろな場合にヘリコプターをわざわざ呼んで使っていらっしゃる。私ども便乗したこともあります。従って二月一日にちょうど東京に浜松から飛んできた、時間の余裕があるからやったというだけでは御答弁になりませんよ。そんな子供だましの御答弁をされては困ります。実際必要ならば、どんな飛行機でもどんどん使ってもらってもわれわれはいとわない。従って重要なときならば、二月一日でなくとも、私はあしたの投票が済んでからゆっくり、しかも反対者も賛成者もともに便乗してやるくらいのことがなくちゃならぬと思う。私は故意には防衛庁の意図をそう曲解はいたしませんけれども、現在のあのリコール騒ぎの状態においてそういうことをなさることは、あなた方は最も慎しむべきことだと思う。以前にも軍楽隊を連れて行ってやったこともある。これも問題になった。ああいう問題の地にそういうことをされることは、私はむしろ自衛隊にとってプラスにはならないと思う。今後は一つぜひそういう点も十分注意してもらいたいと思う。 そこで今も経理局長が答弁したように、現に五億七千万円の金を使い、さらに五億使うという百里原の基地設定が、肝心かなめの滑走路ができぬためにどうにもならぬ状態でありますが、私の調べたところによりますと、あそこの留守部隊というのがいるのですが、その留守部隊長が二月一日の参観をさせた日にこういうことを言っている。滑走路は三年後か五年後になるか全くめどがつかない、こういうことを参観者に話している。これは事実なんです。なかなか正直な留守部隊長だと思う。今の状態ではおそらくこの留守部隊長が言ったように、この滑走路の建設は三年後になるか五年後になるかわからない。しかしながら私どもは必ずできると思っている、こういう説明をしている。これは私は全く正直な説明であると思うのですが、防衛庁長官は先ほどの御答弁で、いろいろ懇切丁寧に反対者に説明をし、説得をして必ずなし遂げるとおっしゃいますが、しかし私が昨年の十一月の臨時国会にお尋ねしたとき、いつできるのだという質問に対して、なるだけ早くという御答弁だった。それから三カ月、いまだに何もできていない。こんなことを知ったら国民は怒る。五億円もの金を使ってあそこに建物を作って、それが雨ざらしなんです。あなたは長官としてはっきり大体いつごろには滑走路の反対者を説得して、滑走路を完成して、あの百里原の飛行基地が完全な飛行基地として——十億以上の金を使った大事な飛行基地として、自衛隊に使用させ得る自信があるか。あなたの自信でけっこうです。具体的にこういう説得をしてこういう方法を講じてということは省いて、あなたは大体今の状態から何年後に必ずあの飛行基地を設立して、りっぱな飛行基地として使用可能にするか。その時期を明確にしてもらいたいと思う。でなければ、こんなことでは国民は納得しません。自信のほどを示して下さい。
○内海委員長 ちょっと速記を止めて下さい。 〔速記中止〕
○内海委員長 速記を初めて。
○茜ケ久保委員 委員長のせっかくのお気持でございますから、私はあえてここで無理は申しません。しかしこれだけの重大な問題でございますから、ただ防衛庁長官が答弁ができないから後日に延ばす、だけでは困ると思うのです。この委員会で防衛庁長官はついにこの問題に対して、建設の時期の明示もできないし、答弁もできなかったということを私は確認しませんと、この問題は打ち切れぬと思うのです。そういう確認のもとならば、次の機会にこの質問は譲って、その間に防衛庁としても一つこの問題について相当検討をされまして、答弁をしてもらいたいと思う。
○伊能国務大臣 この点についてはせつかくのお尋ねで私も明確なお答えができないのをはなはだ残念に存じますが、他にもいろいろ飛行場あるいは各種の基地もしくは試射場等の建設に際しましても、現在の日本における過去から今日までの状況にかんがみまして、一つの飛行場を設置するにはいろいろの困難が伴っておることは、茜ケ久保先生も御承知いただけることと存じます。私どもは今日まで日本の防衛の実態についての御理解を国民各位に絶えずお願いをしつつ、こういう問題についての解決に全力を尽しておりますので、やはり若干でも反対の方がありましたときに、これを非常に非融和的な態度で進んで事をかまえるということは厳に慎しまなければならぬと存じまして、あくまでも協調をして相手の御納得を願う、この気持でもって最善の努力をいたす以外に道はなかろう、かように存じます。防衛庁としても従来この問題については長い間そういう態度で努力をいたして参りましたが、私も今申し上げたような気持であらゆる努力をして、できるだけ早く本件の解決をはかりたい。しかしこの点について、それではいついつまでに完全にできるのかということにつきましては、単にプランニングの上で工事自体としてはこういうようにできるというような、きわめて意味のないお返事はいかようにもできると存じますが、実際に所有者の納得を得て、ほんとうに工事にかかれるという点については、一人といえども反対者のある間はその方を説得して、円満な形で飛行場の設置を完成いたしたいと考えておりますので、絶えず相手方とも折衝して極力御了解を願う、これ以外には道はなかろうと私は考えます。
○茜ケ久保委員 この質問は伊能長官には私も無理だと思う。しかし一応長官でありますから、これは責任者でありますから、やはりあなたの責任ある答弁を求めたい。 しからば経理局長に伺いますが、防衛庁はいろいろな基地を作る場合に、それは問題もありますけれども、いまだかつてこういうケースはないはずなんです。飛行基地を作る場合に、滑走路の見通しがつかず基地を作るばかはありません。あまりにも国民を愚弄している。先ほど指摘したように、飛行基地というものは何がなくても滑走路がなければなりません。飛行機は雨ざらしでもよろしい。ジェット戦闘機はどこでも雨ざらしです。工作場や特殊な作業をする場合にはこれは天蓋が要りますが、飛行場におけるジェット機はほとんど野天である。格納庫はあとでもよろしい。さしあたっては兵舎は雨露しのげればよろしいのだ。築城の基地にしても、神町の基地にしても、自衛隊の諸君が雨の漏る、風の吹き通す兵舎に現に寝泊りしておる。従って兵舎などはさしあたってバラックでも済む。しかし何といっても滑走路がなければ飛行基地にならない。その肝心かなめの滑走路の見通しもつかないのに、ああいう莫大な金を使ってああいう設備をするところに、私は防衛庁の非常に不届きなものがあると思う。何を基準にしてやったのか。五億七千万というものは国民の血税ですよ。それをむだ使いしておる。やる以上は何か自信があったはずだ。自信がないままに、ただ予算があるから作らなければならぬということだけでやるのではいかぬと思う。しかもその結果が、あの肝心かなめな地元の小川町長に対して、ああいう問題を起しておる。あなた方はどう見ておるか知らぬけれども、町民がまっ二つに割れて、しのぎを削ってやっておる姿は全く悲惨です。あの悲惨な状態がなぜ起ったか。あなた方が無理やりああいうことをなさる。しかも自信のないままにするから、ああいうことになっておる。その責任は重大です。私はもしこれが今国会の会期中に目鼻がつかなかったならば、防衛庁も責任があると思うし、岸総理も責任があると思う。私ども社会党としても、あの問題がただ単に町長のリコールだけでなくて、そういう実態に陥れた防衛庁の無責任きわまる態度、無定見、しかも国民を愚弄するような態度に対しては、絶対に承服できません。従って私どもは今国会の会期中に何らかのめどがつかないならば、重大な決意をしなければならぬ。そこで経理局長、あなたは当面の責任者として、どういう確信を持ってあの工事をやられたのか、いつ完成する予定で始められたのか、この点についてはっきり御答弁願いたい。
○山下(武)政府委員 今お話のありましたように、私たちの期待に反しまして非常に全体の進行がおくれておるということは、はなはだ遺憾に存ずる次第でございます。あの基地につきましてはすでに百四十名ばかりの地主の方の御承諾を得まして、土地の買収を終ったのでございます。百里原基地につきまして、現在未買収になっておるところは、ただ一人の土地の所有者のところでございます。防衛庁といたしましても、非常に航空基地の整備を急ぐという観点から、ここまで進めてくればもう見通しがついたということで工事に一時着工いたしたのでございまして、もちろん滑走路の位置につきましてもまだほんとうに確定したということではございません。現在未買収の地になっておるところが、一番滑走路としては希望される地点でございますし、できればそこを買って滑走路を作りたいということで長い間折衝いたしておるわけでございまして、かりにそこを避けて通りましても、これは技術的には不可能ではありませんけれども、しかし土地の中にそういう未買収地を残したままで飛行場を作るということは、いろいろと将来に問題を残すもとにもなろうかと思いまして、あくまで所有者の方との懇談でもって事を解決したい、かように考えておる次第でございます。いつまでに必ずできるということを申し上げられないのははなはだ遺憾でございますが、われわれの意のあるところをおくみとり願いたいと思います。
○茜ケ久保委員 今経理局長にお尋ねしたのは、いつまでにできるということではないのです。あなたはどういう自信を持ってああいう仕事をなさったかというのです。これははっきりする必要があると思う。あれだけの金を使って膨大な仕事をするのに、全然無定見に、ただ買えたところから作っていくというのでは済まぬと思うのです。それが一部兵舎が建たぬとか、あるいは道路ができないとか、または付属建物ができぬというなら了承します。一番肝心かなめの滑走路ができないということであるから問題にしておる。これは一番先に作るべきだ。私は内閣委員として全国の自衛隊を調査して参りましても、どこでも建物は建たぬけれども滑走路はできておる、そうすれば訓練ができる。ここだけです。建物が全部りっぱにできている、滑走路は一寸もできてない、こんなことがあっていいと思いますか、あなたは責任を感じませんか。一生懸命やります、納得させますでは済みませんよ。私はこの問題は重大だと思う。もっとあなた方は謙虚に、しかも先ほど言ったように、二月一日にああいう視察をしておるが、今見ておると、いろいろなことをなさって攻めていらっしゃる。なぜもっと虚心たんかいに当っていかないか。相手も人間です。あなた方が誠意と真情を披瀝すればこたえるはずです。あるときは変なろうらくするみたいな、あるときは何かこう強圧的な態度で、あるいは町のボスを使ってそういうことをしたのでは、これは絶対にいかぬはずなんです。あなたが誠意を示しても反対している人もあるけれども、やり方自身がおかしいのだ。先ほど委員長の御意思もあり、時間もだいぶ過ぎましたから、一応きょうはこの辺でやめておきますが、あなた方のそういう態度では、絶対にできない。私は断言します。はなはだ失礼だけれども、私もまたそういう防衛庁の態度には協力できるものではない。むしろ私は、あの滑走路とともに、あの飛行基地を絶対に作らせないだけの努力をこそするかもしれない。あまりにもひど過ぎる。従って次の機会までに、委員長の言に従って、長官ももっとこういうことを御勉強なさるし、事務当局の諸君ももっと真剣に取り組んで、この次の機会には一応われわれに、この委員会においてはっきりしためどをつけるぐらいの努力をしなければならぬと思う。次の質問はそのときに譲りますが、その点を防衛庁当局に強く要望して、私の質問を終ります。
○内海委員長 次会は公報をもってお知らせいたします。 本日は、これにて散会いたします。 午後二時十三分散会