地方行政委員会青少年補導に関する小委員会 第2号
- 発言数
- 28 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1959/05/02
会議録
○丹羽小委員長 これより青少年補導に関する小委員会を開催いたします。 青少年補導に関する件につきまして調査を進めます。 この際、最近の青少年犯罪の実情及びその補導状況について警察庁長官の説明を求めます。柏村警察庁長官。
○柏村政府委員 最近の少年犯罪の傾向につきまして最初に申し上げたいと思います。 昭和三十三年におきまする犯罪少年、これは刑法犯のみでございますが、犯罪少年の総数は十二万四千三百七十九名でございまして、前年に比べまして九%、昭和三十二年は十一万四千三百二名でございまして、その前年に比べまして一三%それぞれ増加をいたしております。従ってここ二、三年の増加は、ただ激増の一途をたどっているというふうに考えなければならないと思うのであります。特に注意しなければなりませんことは、昭和三十年から今日に至りますまでのこの上昇の傾向は、十三万三千六百五十六名の犯罪少年を数えて、戦後の少年非行の統計カーブにおきまして第一の山を築きました昭和二十六年に次ぐ第二の山を築こうとしていることでございます。昭和三十三年の窃盗犯少年は五万六千八百五十六名でございまして、前年に比べまして五%減少いたしております。窃盗のほかにも詐欺、横領及び賭博の犯罪は減少しておるのでありますが、その他はすべて増加をしておる状況でございます。特に強姦及びわいせつの増加は著しくふえておりまして、その前年に対する増加率は、それぞれ六三%及び六六%に及んでおり、これらの性犯罪少年数は五千四百八十七名で、一日平均十五名という数を示しておるわけでございます。中でも強姦犯被疑者中に占めまする少年の割合は五四%でありまして、五二%を示した前年をさらに上回っている状況であります。殺人、強盗、強姦及び放火等の凶悪犯は七千四百九十五名でありまして、前年の三七%増加でございます。特に殺人犯少年は、三百五十九名で、一日約一名の割合になっているわけでございます。次に暴行、傷害、脅迫及び恐喝の粗暴犯は三万七千七百五十四名でありまして、前年よりも二八%増加いたしております。これらは一日平均約百三名の割合になっておるわけであります。 なおこれを年令層別に見ますと事態は一そう深刻であるように思われるのでございまして、刑法犯全体につきましても、十八才以上二十才未満の者の前年に対する増加率が三%でありますのに対し、十四才以上十六才未満のものは一一%、十六才以上十八才未満のものに至っては一五%という増加を示し、これら年少少年の増加率は平均して一四%となっております。ただいま申し上げました年少少年というのは十八才未満のものをさして申し上げておるわけでございます。このように年少少年層の増加率は、凶悪犯は四六%、粗暴犯は三六%、性犯は六四%と、きわめて高いのでありますが、特に強姦については、十四才以上十六才未満のものが七八%、十六才以上十八才未満のものが六二%ということになっておるのでございます。 ところで、これら少年非行の防止に関しまする警察の対策といたしましては、まず第一に、戦後におきまする少年犯罪の激増に対処いたしますために、昭和二十四年衆参両院におきまして青少年犯罪防止に関する決議がなされましたことに応じまして、少年の非行防止及び保護についての活動を主目的といたします少年警察活動を推進する主務課あるいは主務の係として少年課または少年係を全国の警察に配置をいたしたのでございます。 次にこの少年警察の具体的な任務といたしましては、第一に少年の補導でありますが、少年非行の防止と再非行防止を目的といたしまして、すでに罪を犯し、またはその一歩手前にあるような少年を早期に発見し、関係機関へ送致、通告をいたし、職場、学校、家庭等への連絡を緊密にいたしまして、必要な補導措置を講じておるのであります。 次に少年の環境浄化の問題でございますが、少年の保護と非行防止を目的といたしまして、暴力団とか、少年の福祉を害する成人の取締り、その他少年の非行を誘発助長する行為や環境の浄化に努めておる状況でございます。 第三に、最近特に警察と協力し、または将来とも努力していきたいと考えているおもな対策といたしましては第一に少年非行要因の検討を続けるということでございます。複雑多岐にわたります少年非行の要因の比重、相互関係の解明をしなければ真に抜本的な非行防止の対策を立てることはできないと考えるのでありまして、この意味におきまして、警察といたしましても専門的かつ統計的な研究に今後一そう努めて参りたいと思っておるわけであります。 第二に、少年警察関係の教養を充実して参りたいということでございます。すなわち、陣容の面におきましては、少年の補導におきまして効果をあげております婦人警察官または婦人警察補助員の活用に努めまして、専従員の教養として少年の面接処遇に必要な科学的教養を行いますとともに、補導の適正を期するため非行危険度を予測する簡単な方法を施行しつつあるわけでございます。さらに全警察官に対しましても、少年の特性を理解した処遇がなされるような必要な教養の実施を一般的にいたしておるわけでございます。 第三に物的な設備の整備充実という問題であります。すなわち少年その他関係者との面接調査にふさわしい少年補導室、その他少年の保護のための物的設備の整備改善に努めておるわけでございます。 第四に関係機関との協力の問題でございます。少年非行の防止につきましては、決して警察のみの力によってこれが完璧を期するということはとうてい不可能でございまして、関係の機関、団体はもちろんといたしまして、地域社会におきます有志者等が相互に協力して対処することが肝要であると考えられるのであります。この意味におきまして、警察が協力、推進しておりますおもな方策としては次のようなものがございます。 第一が地域補導組織でございます。最近各地域社会におきます補導組織として少年補導委員会等が組織され、少年の非行防止その他保護のための実際活動を行なっておるのでありますが、警察官がこれらの組織の構成員となり、または側面的な協力者となってこの地域補導組織を推進するという点であります。 第二は、補導センターの問題であります。最近市街地におきまして関係の機関、団体有志者等の共同活動の拠点といたしまして少年補導センターが設けられているところがあるのでありますが、その地の警察はこれを維持し、または係員を派遣して推進するという方法をとっておるわけであります。警察自体がその補導センターを維持する、あるいはそういうものが民間にできました場合に係員を派遣して推進するという方法をとっておるわけであります。 第三に非行防止の重点地区計画の問題であります。最近少年非行の多発する地域等を選びまして、青少年問題協議会その他有志等が中心となりまして、少年非行を減少させるために必要な総合施策を集中する計画が試みられておるわけでありますが、警察はこれらの機関とできるだけ協力し、これが推進に努めておるわけであります。 なお、少年警察活動の科学的基礎づけ、その改善のため今回四月一日から科学警察研究所に防犯少年部を置きまして、少年の非行の要因及び予測方法につきましての研究実験、非行少年に対する補導についての研究実験、少年の非行を誘発する社会的環境及び少年の非行の防止のための地域活動についての研究実験、性犯罪、アルコール中毒犯罪その他の犯罪防止についての研究実験等を行わしむることにいたしておるわけでありまして、これらの各種の機関あるいは方策というものを総合的に推進することによりまして、できるだけこの少年の非行化防止に努力をいたして参りたいと考えておる次第であります。
○丹羽小委員長 本件について質疑の通告がありますので、これを許します。亀山孝一君。
○亀山小委員 ただいまの御説明によりまして、青少年の補導がいかに必要であるかということを痛感させられたのでありますが、この際ちょっとお伺いしたいのは、今お話のありました青少年の犯罪について、厚生省よりの調査によりますと、最近今までになく三十二年、三十三年ごろから男子よりも女子の青少年に関する非行というのですか、それが非常に多いということを聞いておりますが、その状況をちょっと、もしもおわかりであればお漏らしを願いたい。これはわれわれとしては非常に重要問題で、従来非行青少年というのは男子がおもであった。ところが、とみに女子がふえたということは、われわれとしては憂慮すべきことだと感ずるわけでありますが、もし統計なりお調べがありますればお伺いしたいと思います。
○木村(行)政府委員 この点に関しましてこの前の地方行政委員会で亀山先生から御質問がありましたが、資料といたしましては「少年犯罪中女性の犯罪について」という資料を委員部の方に差し上げております。その内容を御説明いたしますと、少年犯罪中における女性の占める割合でございますが、昭和三十年からの大体の傾向を申し上げたいと思います。 昭和三十年で男女合計が九万六千九百五十六名、これは昭和二十九年の九万四千に比較しまして二・八%増、約三%の増になります。この九万六千九百五十六名のうちで女性の少年犯罪が七千百六十五名、これは二十九年の約七千四百名に比較しまして三・六%のマイナスになっております。減っております。また男性に対して女性の少年犯罪の占める率が七・四号でございまして、それから三十一年は男女合計で、これは刑法犯を申し上げておりますが、刑法犯の男女合計が十万七百五十八名、これは前年に比較しまして、三十年に比較しまして約四%の増になっております。そのうちで女性の数が六千百十四名、これが前年に比較しましてやはり減っておりまして約一割四分、一四%減っております。それから男性に対して女性の割合が約六%、それから三十二年は十一万四千三百二名、これは前年度に比較しまして一三・四%、非常にふえております。それからその中で女性の占めている数が六千四百三十二名でありまして、これは女性の少年犯罪は前年度に比較しまして五%以上ふえております。すなわち男女合計でも相当ふえているところに、さらに女性だけの分においても相当ふえております。男性に対して占める割合は約六%、それから昨年度は男女合計十二万四千三百七十九名、先ほど長官が御報告申し上げましたように非常にふえておるわけでありまして、約九%ふえております。その中で女性の少年犯罪は六千八百八十七名、前年に対しまして七%以上ふえております。男子に対しては五・五%の割合で女性の犯罪が占めておるわけであります。
○川村小委員 ちょっと、今の御説明の中で、あなたは最後の五・五%、五・六%の増加は男性に対してと説明しておりますが、そうですか。それは男女合計に対してではありませんか。
○木村(行)政府委員 失礼いたしました。男女合計です。男女合計に対する女性の割合です。Aに対するBの関係で、男女合計の率であります。刑法犯少年全体の犯罪の数に対しての割合でございます。それで人数の関係におきましてはただいま申し上げたような状況で、男女合計全体で犯罪少年の刑法犯犯罪は三十年以降非常に増加しております。しかし女性の関係におきましては三十年及び三十一年度は、ただいま申し上げたように減少しておるのでありますが、三十二年、一昨年からは若干増加しておりまして、全体の増加率よりは若干低いのでありますけれども、やはり女性の分においても増加している、こういうことが言えると思います。 それから年令の関係でございますが、この関係におきましては一応年令関係を十四才から十六才未満まで、それから十六才から十八才未満まで、十八才から二十才未満までに分けて説明しますと、これは第四表に出ている通りでありまして、これによりますと三十三年におきましても、あるいは三十二年におきましても、前年に比較して女性の少年刑法犯罪のうちで非常にふえておるのが十六才以上から十八才未満までで、いわゆる年少少年層、比較的年令の低い層の部分の増加が目立っております。もちろん十八才から二十才までの分もふえておりますけれども、一番目立ってふえているのが十六才から十八才までの間で、それから十四才から十六才までの間は、ことに三十三年は一二%もふえております。これはやはり注目すべき現象ではなかろうかと思われます。 それから犯罪の種類でございますが、これは第五表、第六表でごらんいただければおわかりになると思いますが、概況を申し上げますと、先ほど長官からもお話がありましたように、少年犯罪全体としては窃盗犯よりも凶悪犯、粗暴犯あるいは性的犯罪というのが非常に目立って最近数年来激増しておりますが、女性の場合におきましては一応窃盗がほとんど大半である、女性の刑法犯罪のうちで約八割が窃盗である、こういう状況が出ておるのであります。しかし、その女性犯罪の中におきましても若干粗暴犯の増加が見られるという点は注目を要すると思います。たとえば第五表によりますと、粗暴犯の関係で昭和三十三年の状況は四・三%の増になっております。もちろん男子の約三〇%の三十三年中における前年に対する増よりもそれは低い率でありますけれども、粗暴犯の関係においてやはり四%の増を見ているということは注目を要すると思います。 大体以上のような状況であります。
○亀山小委員 大体わかりましたが、厚生省の統計では、虞犯少年ですか、おそらく刑法犯までいかなかったが、この刑法犯における男女の比率よりも、女子の虞犯少年が顕著にふえておると聞いておる。これは補導された関係から出たのかよく知りませんが、虞犯少女ですか、この数がとみに増しているという統計をちょっと見たような気がしますので、その点をこの次の機会にでもお知らせ願いたい。 それから次に、資料というか、御研究願いたいと思う点を二、三申し上げたいと思います。 最近のテレビの影響というものは非常に重大だと思う。私は全部見たわけではありませんけれども、殺人を取り扱うテレビがほとんど毎日どの局でも一つないことはないといわれておる。捜査メモとか、いろいろな題名で出ている。ああいう犯罪を示唆するような問題について警察庁でも調査をなさる必要があると思う。映画あたりでは未成年の者は見せないといっておるが、テレビの場合はどんどんやっておる。映画でいえば簡単だと思う男女間のいろいろな問題が、テレビでは小さな子供まで見ていますから、ああいう影響はおそるべきものだと思う。昔は検閲されるというような経験もあったが、この程度では少し行き過ぎだと思うようなものを、一つ警察庁でも各テレビ局のテレビについて少したんねんに調査して、適当な機会に、一月くらいの各テレビ局のそういう青少年に及ぼす性的及び犯罪的のテレビというものがどのくらいあるか、これを一つできれば研究していただきたい。 それからもう一つは、最近の週刊雑誌とかいろいろな雑誌は、ほんとうにわれわれでも顔を赤らめるような記事が相当あります。これは警察庁当局も御存じと思いますが、それがどのくらいの数に上っているか。婦人雑誌等はかってはそういう記事もあったけれども、最近は週刊雑誌の小さなコントといいますか、小品集のところに、あっと驚くような記事がある。そういう点を少し調べていただいて、およそこういうものがどのくらいあるかということを一つ調査してもらいたい。私が友人から聞くところによりますと、中学生あるいは大学生までの子供が、親に隠れてこっそり読んでいる雑誌を見ると、ずいぶんひどいものがあるそうです。これは今はやかましいことは言えぬかもしれませんが、一応調査していただいて、テレビなり出版界にある程度考えてもらう必要があると思う。映画に映倫があるように、テレビ、雑誌にもそういうものがあるのが私は望ましいと思う。今の青少年の犯罪と同時に、青少年の非行というものが目立って多いということはよほど注目すべき問題です。それを一つ御調査できればお願いしたいと思います。一応参考になりますので、この次の小委員会、あるいは次の次でもけっこうですから、できるだけ調べていただいて、御報告願いたい。
○丹羽小委員長 纐纈君。
○纐纈小委員 先ほど来長官等の御説明によって、青少年犯罪が最近非常に激増しており、またそれが凶悪犯あるいは粗暴犯において非常に多くなっている。あるいは年令低下の点から申しましても、だんだん低下してきているという状況がはっきりいたしました。そこでこれに対する防止の対策についてもただいま伺ったのでありますが、私は、これはなかなかむずかしいかもしれませんが、青少年の犯罪が非常に激増した原因についての御説明を実は伺っていないように思います。これには家庭の状況とか、環境が悪いとか、テレビとかいうような問題もいろいろ出てきておりますが、激増いたします最も大事な原因がどこにあるかということは確かめておかぬと、補導の方法につきましても、取締りの方法につきましてもなかなかうまくいかぬと思いますが、そういう点については、どの程度の資料なり調べがございますか。その辺を一つ伺っておきたいと思います。 それからもう一つ、ついでに伺っておきますが、例の深夜喫茶の取締り、法律が四月から改正になって実施されることになっておりますが、これのその後の状況についてもこの機会に御説明いただきたいと思います。
○柏村政府委員 ただいまお尋ねの少年不良化の原因ということにつきまして、私どももいろいろ検討いたしておりますが、科学的にこれが主たる要因である、こういうものがまた付随した要因であるということを的確に申し上げるまでの研究は遂げておりません。ただ私ども考えておりますのは、何と申しましても、戦前におきましては、よかれあしかれ国民としての一つの柱があり、道徳律というものが確立されておったように考えるのでありますが、敗戦後におきまして、すべて過去の権威というものが失われ、また人間の心のよりどころというようなものがなくなってきた。申せばおとなの世界というものが精神的に虚脱状態と申しますか、そういうことになって、俗に申せば、全く自信を失ったということが言えるのではないかと思うのであります。同時にそこに非常な経済的、社会的な混乱と窮乏というものがありまして、こういうことが非常に深く国民の精神的な動揺不安というものを招いて、これは少年のみならず、社会全体として行き方に迷ったというふうな状況があったのではないか、そういうところに深く根ざしているものがあるのではないか。たとえばわれわれの家庭に一つ例をとってみましても、こういうことが昔のやり方がよかったかどうかということは、これはもちろん反省しなければならぬことと思いますが、少くとも親の権威というものが戦後非常に失われた。いいことでも子供に対して指導するということを怠った。明らかに子供に間違いがあっても、これを叱正するということを怠る。先ほど申しましたおとなが自信を失ったということが家庭においても同様に現われておって、結局、子供のしつけというようなことについての力がほとんど失われた。自由にということはけっこうなことでありますが、これは自由にしてよい方向に向けるという指導のもとに自由潤達な気分があって初めて道徳的な人間というものが養われるわけでございますが、そういう適切な指導監督というものがなしに、全く動物的な意欲のおもむくままの放縦な生活というものが見のがされてきたということが私どもは深い根因であると考えておるのであります。従いまして、こういうことについては、政治、経済、社会、各般の面において深い反省と新しい道徳律の確立というような問題が起ってき、家庭というものがとにかく単位としての中心となって子供を導いていくということに立ち直らなければ、ただ単に現象のみを追ってこれを予防していくというようなことは不可能ではないかと思います。なおこれらの点につきましても、学識経験に富んだ方の御意見を尊重して伺いまして、今後とも十分その遠因、近因ともに原因について究明をいたしまして、これに対する方策を考えていきたいと思っておるわけでございます。 なお、ただいまお話しの深夜喫茶のその後の状況につきましては、保安局長から御説明申し上げます。
○木村(行)政府委員 深夜喫茶の点に入ります前に、ただいま長官からお話しいただきました原因の若干の数字を御報告申し上げたいと思います。 これは三十一年と三十二年の統計でございますが、三十一年は刑法犯の少年犯罪が十万七百五十八名、その中で家庭の原因で犯罪を犯したというのが二万八千八名、三割近くが、家庭が非常に厳格過ぎたとか甘過ぎたとかあるいは家庭の中の不和、そういういろんな家庭の原因から少年が犯罪を犯すに至ったというふうに考えられます。それから三十二年でございますが、これが十一万四千三百二名。この少年犯罪全体の数に対しまして、家庭の原因でなりましたのが二万九千三百五十一名、これは約二七・八%、三割近くで、家庭の原因というのは最も大きい原因ではないかと思います。 それ以外に、たとえば小づかい銭がほしいとか、あるいは映画などに誘われて行くとか、いろんなことで映画を見たいというような原因を九つばかり考えております。その原因が、三十一年では十万に対しまして約三万四千、それから十一万の三十二年に対しまして三万六千。その他競輪、パチンコというような射幸的競技にこったことで、そこから犯罪に陥ったというようなのが、三十一年は約一千百名、三十二年は約九百名でございます。それから、出版物、映画、演劇などの刺激を受けて、その方からくるいわゆるマス・コミの影響からくる犯罪に陥ったというのが三十一年では二千九十五名、三十二年では二千百七十五名。しかし、これはマス・コミの直接的な影響でありますので、間接にからんでくるいろんな影響を考えてみますと、実際はマス・コミの影響はもっと大きいのではないかと観察いたしております。それから酒を飲んでめいていして、そこから粗暴犯や性犯罪を犯すというような、酒の関係からくる犯罪が、三十一年には三千七百三十七名、四千人近くありまして、これは相当の分量を占めておると思われます。三十二年には約三千六百名でございます。それから魔薬覚醒剤などの中毒といいますか、それによる原因というのが三十一年では五十名、三十二年では三十一名、 こういう状況でありまして、家庭の原因、その他マス・コミの原因というのが相当大きな原因ではないかと思いますが、ただ、ただいま申し上げた数字は、一応警察が従来の警察の持っております統計と、それから警察がタッチしておる今までの経験法則から割り出した原因なり動機の分析でありますので、若干限界があるのではないか、やはり科学的に、もっと客観的にまた精密にその犯罪形成に至るまでの過程なり要因なり原因なりというものを研究する必要があると思いまして、今回、科学捜査研究所を科学警察研究所というものに改組いたしまして、少年部を設置し、この方面の研究をいたすことに相なったわけであります。 それから深夜喫茶の状況でございますが、これにつきましては法律が四月一日から施行になっておりますけれども、第一線警察当局に対する方針といたしまして、改正の趣旨なり改正の法文の解釈なりその他万般にわたりまして警察官自体に対する教養、それから業者に対する法の趣旨の周知徹底——できるだけだんだん新しい改正の線に沿うように指導して参るというようなことで、一カ月間指導期間を置きます。しかし、この一カ月間の経過を見ますと、われわれが期待したほどまだまだ効果が出ておりません。全国的にまだ全部統計が出ておりませんけれども、新しい改正法律によって風俗営業として新しく申請を受くべき業態と見られる営業があるのでありますが、それの約一割前後が申請を受けておるような状況であるのでありまして、まだまだ大半は若干情勢待ちというような状況にありますので、最近警察庁の方から第一線の方に通達いたしまして、法の趣旨を厳重に徹底をさせる、また公正に妥当に運営するために、第一線に通知をいたしまして、今月からは取締りの強化をやる。そうして悪質な者はどんどん検挙し、法の趣旨に浴うように措置して参りたい、こういうふうに考えております。
○纐纈小委員 大体の状況はわかりました。私は、特に殺人だとか強盗、傷害、放火、強姦というような問題について何か具体的な全般的な資料を——この問題は相当重要な問題ですから今後とも掘り下げてやって参らなければならぬと思いますから、必ずしもすぐというわけではありませんが、そういったような原因調べ等についても資料を、できますれば適当の時期に提出していただきたいということをお願い申し上げておきます。
○丹羽小委員長 この際、小委員外の発言についてお諮りいたします。本小委員会におきまして、小委員でない委員から発言の申し出がありましたときは、そのつど小委員会に諮ることなく、その取扱いを小委員長に御一任願っておきたいと存じますが、これに御異議ありませんか。一 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○丹羽小委員長 御異議なしと認めます。よってそのように決しました。加藤精三君。
○加藤精三君 青少年の補導の問題は、私、わが国の国政のうちで非常に大きな問題だと思っておったのでございますが、所管があるいは文部省、あるいは内閣の青少年問題協議会、あるいは警察当局、法務当局、厚生省当局等、非常に多岐にわたっておりますので、全貌をつかめなかったのでございますが、本日の小委員会に、特に小委員外でございましたけれども、亀山理事に何回も催促されて出席いたしましたおかげで、わが国における青少年補導問題の中心命題だとか、解決の糸口をつかむ努力をされている状況の全貌を知ることができまして、非常に幸福に存じますので、この点あらかじめ感謝申し上げておきます。非常に時間を長くとるくせがあるそうでございますので、短かくいたしまして要点だけを申しますから御了承いただきたいと思います。 まず第一に申し上げたいことは、この青少年補導の問題につきまして、ことに地方行政委員の方に御協力願って今回成立いたしました社会教育法の改正案が非常に大きな関係があるということでございます。具体的に直接に関係ある部分は、従来社会教育委員が市町村教育委員会の諮問機関であったのでございますが、今度市町村教育委員会に委嘱する問題について市町村教育委員会が指定した社会教育委員に限り、第一線の社会教育団体、あるいは青少年のための特別の団体、また個々の社会教育活動を指導し得るという規定ができたことでございます。このことにつきましては、私特に感ずるのでございますが、今度警察系統、各警察署ごとに青少年補導の専任の係ができ、そしてその組織が確立いたしましたことにつきまして、具体的に個々の警察署の青少年補導の係と、当該市町村の社会教育委員のうちの特に教委が委嘱した人との間の連絡を十分にとることができますれば、従来以上に教育と警察とが融合しまして、共同作戦ができることになるのじゃないかという点であります。また、従来そうしたようなことに働く社会教育委員も実際おったのでございますが、従来社会教育委員には報酬手当を支給できなかった。無理にいろいろ活動してもらうことをお願いできなかったのでありますが、今度幸い地方行政の方の御理解を得まして、社会教育委員全部に報酬手当を支給しなければならぬことになったわけでございますから、遠慮なくそういう社会教育委員を使っていただくことができるのじゃないかと考えております。 それから第二に私考えますのは、どうも従来この青少年補導につきましては、かゆいところに手が届かないところがあった。すなわち少年刑務所とか矯正院あるいは保護観察所とか、そういうところに収容されてしまってから、その子供たちの処置をいろいろ民主的に、そして刑事政策的に指導していくということになるようでありまして、あらかじめ社会教育的に大きく個別指導ができないといううらみがあったように思います。これは私のかねがねの持論でございまして、私の意見に対しては、地方行政委員会、あるいは与党の地方行政の部会等もあまり尊重しないので、非常におもしろくないのでございますが、こういうような社会教育委員が青少年補導に直接携わることができたのを機会に、こういうふうにしたらどうかと考えておるのであります。小さな町村でも社会教育主事が必置されることになったのでございますから、それとつり合いをとっておかしくないことでございますから、各府県の公安委員会事務局の中に県教委の方から社会教育主事を駐在させていく。そしてその駐在させておきました社会教育主事は、当該公安委員会の警察本部長の区処を受けていただくということにすれば、何といいましても少年教化事業は、そういう社会教育主事等は、ジャの道はヘビでございますので、予防的方面で相当働くことができると思う。そしてまた、とかく抽象的になりがちな府県の社会教育活動というものが、警察のケース・ワーカー的な実際末端の末端まで入って指導する。その具体的な事例を取り扱う経験に基きましていろいろ示唆を受け、教育を受けることができると思うのであります。そんな経費は、青少年指導並びに補導の効果から見れば非常に小さいわけでございますから、府県教委から府県公安委員会事務局に社会教育主事を駐在させて、そして各警察署にある青少年補導組織と、それから各警察署の青少年補導組織に特別関連を持たせられておるところの市町村社会教育委員との間に連絡をとる、また原因究明等に当ることが非常に効果があるんじゃないかということを考えるのでございます。で、もうそろそろ青少年補導の問題、指導の問題等は、具体的に強力な仕事をしなければならない時期に達しておると思うのであります。最近のわが国の警察庁というものは、ヒロポンの退治とか、暴力団の取締りとか、騒音防止とか、なかなか昔の警察ではこんなふうに能率を上げられないと思うほどいい仕事をどんどんしておるのでございます。それで具体的に警察は力があって、しかも非常に民主化して、態度から何から全部よくなった。それにもかかわらず、今のわが国の警察を信用しないような顔をして警職法に反対するということは、全く非常に不愉快なのです。警察は、最近七、八年間の間にめちゃくちゃにいい仕事をして強力に実効を上げておるのですから、青少年補導、指導の組織についても、警察は思い切って手柄を立てていただきたい。私、国会の方におきまして、地方行政のみならず、文教の方にも若干関係しておりますので、十分意見具申もいたしますから、従来のように本委員の意見があまりいれられないというような慣習にとらわれず、大いに意見を尊重して警察はやっていただきたい。こう思うのでございますが、特に私感じましたのは、本日の警察庁長官の御意見が、従来の警察行政官のような狭い範囲ではなしに、青少年不良化の最大の原因を家庭教育と家庭環境という面に置きなすったことについては、私は非常な尊敬を払うのでございまして、現在の警察庁長官は従来のようなただの警察行政官ではない。そういうことを私は非常に感謝するものでございます。 今度社会教育法の改正に伴って社会教育法十三条が変りまして、いいことのためには婦人会にも青年団にもどんどん補助を出せることになったのですから、そういうところで警察と教育委員会、市町村当局が一緒になりまして、そしてこの青少年補導問題を一挙に解決するという態勢の組織を作っていただきたい。また家庭教育には母親が非常に大事なわけでございますが、母親学級、おしゅうと学級、老人学級、青年学級とか、そういうものを公民館を中心にして開設していくというようなことのほかに、家庭教育振興の大きな一つの運動を起していただきたい。 言いたいことは非常にたくさんあるのでありますが、大体私のお願いする方向がわかったと思います。時間を短縮するように非常な御警告でございますので、残念でございますが、私の意見を申し上げまして、これについてよく勉強せられましたる警察庁当局の感想をちょっとでも聞かしていただきたい。長くなくていいのでありますからお願いいたします。
○柏村政府委員 ただいま大へん身に余るおほめをいただき、また激励を賜わりましてありがたく存じております。 社会教育主事の青少年非行化防止に対する役割は非常に重要なものがあると思います。これらと、先ほども申し上げましたように警察の活動が緊密に連携をとって行われるということは必要であろうと思うのであります。ただ、ただいまのお話の中に、警察の中に社会教育主事を駐在させるということになりますと、これはまたお互いに独立した機関であって、それぞれの立場を守っていき、その間に連絡を緊密にするという建前からいたしまして、そこまでいくのは私どもとしていかがか。ただ、お説の御趣旨はよくわかりますので、今後とも十分に緊密な連携を保って効果を発揮して参りたいというふうに考えておる次第であります。
○川村小委員 いろいろお聞きしたいことがあるのですが、一つだけお聞かせ願いたいと思います。 毎年十万以上の犯罪件数が青年関係だけでも起っている警察当局で取り扱われたところのいろいろの事件、あるいはこれをいろいろ処分なさったような事件も多いと思うのですが、そういうような皆さん方のお世話になった青少年が、その後どうなったかというような問題は、やはりぜひとも考えておかなければならぬ重要な問題だと思うのです。皆さん方の手にかかった、あるいはお世話になったそういう青少年が、補導なりを受けてその後どういうふうになっておるかということです。それで反省して、まともに正業について当りまえの正しい人間として活躍しておるのかどうか。あるいは一度手にかかった者が、やはり幾たびかそういうような罪を犯して世間のつまはじきを受けておる、あるいは非常に苦しい立場に追い込まれているというような事態がありはしないか。そういうような青少年の立場というものはどういうことになるだろうかということを考えるのが重要ではないかと思いますが、何かそういう点について資料でもございますか。あるいはたとえば一万なら一万の皆さん方の世話になった青少年が、大体これくらいはりっぱに更生したとか、あるいはまだこういう状態だというようなことがおわかりでございますか。
○木村(行)政府委員 虞犯少年などの扱いは非常に数が多いのであります。昨年でも七十万でございますが、その他犯罪少年も、ただいま申されましたように最近毎年十万をこえているような状態であります。これらの警察でタッチしました犯罪少年あるいは不良少年、虞犯少年、そういうものがその後果してどういう割合で改心したり、変ったりして、その後犯罪に移行するおそれもないというような数字は、ただいま具体的には持っておりませんが、確かに個々的な例としてはなまの材料はございます。ただ、こういう統計からある程度の推察ができると思うのでありますが、私どもの方で調べた統計によりますと、犯罪少年の再犯状況——一度犯罪を犯してその後初犯で終った、再犯あるいは累犯というようなことがない。これが全然なければ非常に理想的にいっているわけであります。どの程度の状況かということを統計上申し上げて、それからある程度の割り出しができるかと思うのであります。それによりますと、昭和三十年は、刑法に違反した犯罪少年が九万六千九百五十六名でございますが、その中で初めて犯罪を犯したのが七万十二名、約七二%であります。それから昭和三十一年でございますが、犯罪少年の全体の数字が十万七百五十八名でございます。そのうちで初犯が六万九千五百八十二名、約六九%。それから昭和三十二年は犯罪少年の全体の数字が十一万四千三百二名、初犯が八万二百名、約七〇%であります。結局それ以外が再犯、累犯でございまして、三十年は結局再犯以上のものが二八%くらいあるわけであります。三十一年は約三一%。それから三十二年は約三〇%、大体三割前後が再犯でございまして、完全に再犯を防ぎ得るような状況にはなっておりません。またこれをおとなの再犯状況に比較しますと、昭和三十年は、おとなの初犯者は六七%、子供の方は先ほど申し上げましたように初犯者は七二%。それから三十一年は、おとなの初犯者は六五%、少年の方は六九%。三十二年は、おとなの方が六五%、子供の方が七〇%でありまして、子供の方が初犯者が多くて再犯者が少いということは言い得ると思います。以上であります。
○川村小委員 今の初犯、再犯という統計の数字で、私がお尋ねしたようなことは一応類推されると思います。ところが、これは申し上げるまでもなく、実に青少年の補導ということは、ただ単なる一つの保護とかあるいは単なる補導で解決できないいろいろな問題があると思うのです。加藤先生からもいろいろ御意見がありましたが、加藤先生の御意見が必ずしも青少年補導に完全な対策であるかということは非常に疑問なところも出て参ります。そういう点はいずれこの委員会でじっくりお互いの意見を出し合っていい方向を研究していく必要があると思いますが、ただごく最近の例で、私が二年の間に四名ほどこういう非常に家庭に心配のある子供を何とかしてあやまちを犯さないようにということで手がけて参った実例なんですが、その四名のあれから見ますと、やはりわれわれの努力が実を結んだとは私は言いません。どこかに手落ちがあったと思いますけれども、一つ度警察のやっかいになって、それから親類、家庭、われわれも協力いたしましてちゃんと仕事も与えて、そうして正しくやっていくようにという道を開いてやったのですが、どうもこういう一度警察のやっかいになった子供というのは、やはりいつも警察の目がついているようでして、その後友達関係等でちょっとあやまちを犯した。そうすると、やはり前にもそういうことがありますから、二度目ということになりましょうか、そういうことで警察からまたいろいろときびしい取扱いを受ける。そうしてどうしてもそれを一つのきっかけにして何かしら大それたぐれ方をしてしまって、どうも親も手がつけられないというようなことで、遂に少年の刑務所ですか、そういうところに入るという事態になってしまう。青少年にはよほど注意して参りませんと、皆さん方の方の世話になりますと、一度取扱いが間違っていきますと、箔がつくとでも申しましょうか、世の中の人間にいばって見せたいというような気質ですか、そんなのが出てくるのでありましょうか、どうも普通の人たちがこれを扱っておる間はそう問題はなかったけれども、何かちょっとしたあやまちを犯して警察官の世話になったということになりますと、それが一つのきっかけになって変な方向に行ってしまうという実例を持っているわけですが、こういう点については、よほど研究していただかなければならぬ問題が多いと思うのです。 そこで、先ほど長官の初めの説明にもありましたように、やはり青少年の補導にタッチして下さる警察官の方々のいろいろの教養の問題、あるいは青少年の心理をどういうようにつかんでいくかというような、そういう問題等も勉強していただかなければならぬ面が多いと思うのですが、私が今申し上げましたような一つ二つの実例から考えましても、よほど注意していかなければ、第一に質問いたしましたように、せっかく補導だといって手をつけても、再犯を犯させる。結局、あとでその子供たちが世の中に顔出しができないような立場に追い落してしまう。こちらのわれわれの方に罪があるというようなことにもなりかねないのでありまして、そういう点、一つこれからも警察当局におかれまして、いろいろ原因はありましょうけれども、一度あやまって罪を犯したような青少年のその後の問題、その後どういうように更生していくかということについては、やはりただ単につかまえてこれを調べるということでなく、十分皆さん方の方でも研究して大きな関心を持ってやっていただきたいものだという気持がするわけです。その点につきましても、これから先あるいは従来おとりになったいろいろな対策の中から、何かわれわれに対して有効な資料でもございましたら、いずれお示しいただきたい、これだけ希望いたしておきます。
○柏村政府委員 ただいまお話しの、警察官の取扱い方によってかえって悪の道に深く入っていくおそれのある場合があることは、これは確かにあると私は思います。そういうことで、警察の取扱いにつきましてはきわめて慎重に、また少年の心理をよく考えて、これを更生させ、善化していくということに最大の努力を払っていかなければならないと思います。警察の補導といたしましては、そういう人間が悪に陥らない、よい方に導かれていくということを念願いたしますと同時に、またそういう風潮がびまんしないという一つの観点からも検討をしなければならぬ問題だと思いますが、しかし、ただいまお話のような点につきまして、警察としては将来そういう児童少年について十分に関心を深め、これをよくなるように見守っていくということについては、非常に深く関心を持たなければならぬ問題でございますが、同時にその関心の持ち方が粗雑である。関心は持つが扱い方が荒いとか、あるいはちょっとしたことで、ただいまお話のように、また警察ですぐに呼びつけてしかるというようなことになりますと、お話しのような深みに落ち込んでいくということも事実起ってくる問題と思いますので、警察としては、あるケースについて、その後の状況というものについても十分注意をし、関心を持つと同時に、取扱いにつきましては、ただいまお話しのような御趣旨を十分に尊重していかなければならぬというふうに考えております。この面につきましては、特に今回少年防犯部等において、中心的な研究事項の一つとして、取扱いには慎重を期して参りたいと考えておるわけであります。また今回増員された定員につきましても、こういう問題を取り扱うための優秀な婦人警察官の養成というようなことにも努力をして、御趣旨に沿うように努めたいと考えておる次第でございます。
○加藤精三君 ちょっと一分だけ。警察庁長官の先ほどの御答弁のうち、どうしてもふに落ちないことが一つある。私、名案と思って申し上げたのですが、県教委から県の公安委員会事務当局の方へ社会教育主事を配属して、そうして警察庁長官の区処を受けたらどうかという問題でありますが、警察庁長官の御意見は、異なった範疇の行政のものを警察部内に入れるのは賛成できないというお話でございますが、果してしからば、法務行政、行刑行政でも教戒師というものがあるのですね。そういうものを行刑行政の中に入れて実効を上げている例が何十年前からあるわけです。それは補導の範囲じゃないかとおっしゃるかもしれませんが、これはわれわれ政治家の始終言うことでございますが、最良の防御は攻撃である。何といいましても、少年には不良になるための誘惑が多いのだから、その誘惑を受けないうちから排除する。最良の防御は攻撃であるという点から、もう少しお考え直しいただいてはどうか。各官庁の割拠主義のそういう壁が突き破れないうちは、わが国の行政はどうもうまくいかないと私は思っているのです。そういうことから、これは御答弁は要りませんけれども、十分御研究いただきたい、こういうことでございます。
○丹羽小委員長 阪上安太郎君。
○阪上小委員 先ほど警察庁長官が、原因はどこにあるかという質問で答えられておりますが、決してあげ足を取る意味ではございませんが、あなたの御答弁によると、まず戦後権威が失墜したという概念というか、考え方を持っておられます。事青少年対策でございますので、私としては何か少し納得できないものがある。私は、むしろ権威の失墜ではなくして、権威の転移ではないか、移り変りではないかと思う。そこからくる混乱というふうに考えるのが妥当じゃないかという考え方を持つわけであります。先ほど加藤さんから、警職法とからんだ御質問がありましたが、何か符牒が合っているような答弁で、どうも私その点で不安を感ずるのです。この前の警職法のときもずいぶん問題になった青少年保護の問題ですが、やはり何かここで、ことに警察権威の失墜というようなことでもって、権力的な青少年対策というようなものがかりに頭にあるということであれば、私は非常に問題じゃないかと思う。そんなことはないと私は思うのですけれども、その言葉からどうもそういうふうにとれる、これが一点。 いま一点は、原因の一つとして、社会的な経済的な最近の窮乏が人間を精神的な混乱に導いている。私、これは非常にいい見方だと思いますが、そこをもう一つ突き進んで考えておいていただく必要があるのではないか。ただ漫然と社会的、経済的窮乏というようなことよりも、より一歩進めてこれを考えてやらなければ、なかなか青少年対策というものはいいものが出てこない、こういうふうに私は思うのです。最近西ドイツ、ヨーロッパあたりでも、非常にこれを問題としておりまして、御案内のように、非常に科学的な調査をやっております。西独あたりではかなりのものが出ております。彼らが出しておる結論としては、こういった社会的、経済的窮乏というか、ここからくる原因としては、一つは近代機械文明の中で労働をやっている。その労働が、時間的にも、あるいは機械に押された意味においても、あらゆる面で、交通面もかねて、非常な強い労働の緊張というか、精神的な緊張をしいている。これが一つのノイローゼを起しているのだ、こういう原因が一つ出ております。それからいま一つは、これは近代資本主義文明が生んだこの世の中に散らばっているあらゆる不良文化財といいますか、どぎつい刺激が青少年にものすごく悪い影響を与えている。この二つの原因を除去する方法として何がいいかということに今研究の目が向けられている。その経済的な面の中には、これは一番大事なことは、御承知のように雇用問題が一つあります。完全雇用を青少年に与えないでもって、青少年対策はないとまでいわれておる。それで私言いたいのは、こういう問題は警察行政だけではいけない。福祉行政が大きく伸びなければいかぬ。大きな意味で教育行政の中に含まれると思う。先般の社会教育法の一部改正などでも、文部省の考え方など、私らから考えてみても、何か訓練とか鍛練とか説明がついております。何か鍛練をやるというようなものの考え方でああいったものが出てきておる。それが青少年の家などを作る原因になっておる。諸外国の例では、青少年の家というようなものは、そんな目的で作られたものは一つもない。そういうことから、ここの委員会としては警察が主体ですが、全体的な総合的な何か対策を立てる一つの道として警察庁で一つお考えを願いたい、こういうことなんです。 そこで一つ私、この際お願いしておきたいのは、今申し上げましたような諸外国が——今世界的な青少年の犯罪動向ですから、そのデータを、どういう対策をもってやっておるのだ、たとい二、三の国でもいいです。アメリカとかあるいは西ドイツ、イタリアが非常に犯罪の多い国ですからイタリアのやり方、そういったものを一つ出してもらいたい。それからいま一つは、ここに女性の罪種別の統計が出ております。ところが、われわれやはり知りたいのは、原因別を握らぬとこれから対策が立てられないのじゃないか、こういうふうに考えますので、この二つの資料。それから先ほど言いましたように権力の考え方、こういった点について一つ御質問申し上げます。
○柏村政府委員 第一点の、権威が失墜されたということを私申しました。これは確かに申しましたが、権威の転移ではないかというお話、そういうことであるかもしれません。しかし、少くとも今までよりどころとしておった精神的な支柱というものがくずれた。これは事実であって、そのあとによりどころとなるべきものが確立されてないということは私は事実だと思う。現実の問題としてはやはり権威が失墜された形であって、そのことが、やはり影響している面があるのじゃないか。いいことであるとか悪いことであるとかということを抜きにいたしまして、そうした社会の現象としてそういう問題がある。 それから特に私は、警察の権威が失墜されたので、今度は警察の権威を高めて少年を補導してやるというような考え方は毛頭ないので、その点は阪上先生もよくわかっていただけるのではないかと思うのであります。前々から申しておりますように、この青少年問題におきます警察の役割というものは、非常にわれわれ重大視いたしておりますが、ごく一部であるというふうに考えておるわけでございまして、警察の権威によって少年を指導し補導するということは毛頭考えておらぬわけでございます。ただ、この前の警職法で、保護の問題のとき阪上委員からお話がございましたが、こういうものに並行してと申しますか、これに先んじて福祉行政の面が伸びなければどうにもならぬじゃないか。私は、確かに福祉の行政面が伸びて、これと相並んで矯正の問題がなければ完璧でないということは重々承知いたしております。しかし、そういうときまで待たなければ今の現実にこたえるすべを考えていけないかというと、そうじゃないのじゃないか。やはりやれるものからやるということと、同時にそういうものがやれれば、ますます一方の必要なものも強化していただくということになってしかるべきでないかというふうに考えておるわけであります。
○阪上小委員 あなたの方から先に結論が出てきたのですが、そこでその警察行政の中だけで少年の保護という考え方ではない、福祉行政というものとの関連性において、それから先ほど言われた対策の中にもそれが入っております。そこで、こういった対策ばかりじゃなく、雇用関係等については、厚生省なり労働省なりが考えることだと思うのです。それからこの女性の犯罪についても、これを見ますと生理的な原因の時期に非常に特定のものが出ておるようであります。そんなことも考えて参りますし、それからその他いろいろな福祉行政が伴わなければなりません。あるいは文部行政が伴わなければならないですが、あなたの方でもそういう観点におありになるならば、一つそういったものを取り入れられたらどうかという気がするのです。これはスポーツなど一部やっておられます。しかし、もう少し思い切っておやりになったらどうか。映画、ダンス、音楽、手芸、それから今申し上げましたスポーツ、その他旅行ですね。こういったものを、それは向うの行政のワクだ、こうおっしゃらずに、少し取り入れられて、警察行政の中で頭を出していく。私はそれを長い間市の行政をやっておってしみじみ感じておるのですが、そういうことをおやりになる余裕というものは一体あるのですか。
○柏村政府委員 ただいまお話しのような、警察本来の行政からはみ出して、たとえばスポーツにいたしましても、柔、剣道、野球いろいろやっております。また音楽につきましてもコーラス隊を作るとか、あるいはこれは警察自体で音楽を盛んにして、そしてこれで青少年なりあるいは一般民衆に理解を深めていくということも、間接的にはそういう問題に関連しているかと思いますが、そういうことで、絶対ワクをはみ出さないで、何と申しますか、冷たい警察のあり方だけで終始するという考えは毛頭ございません。しかしながら、あまりほかの部局の行政を取り入れると、これは警察国家というようなことをまた言われるようなことになりますので、これはやはりほどほどにいかなければならぬ。よくこういうことについても、また警察のあり方等についても御指導を願えば幸いだと思います。
○丹羽小委員長 ほかに質疑の通告がございませんので、本日はこれにて散会いたします。 午後零時二十一分散会