大蔵委員会税制並びに税の執行に関する小委員会 第2号
- 発言数
- 105 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1959/02/18
会議録
○山本小委員長 これより会議を開きます。 税の執行に関する諸問題について調査を進めます。 質疑の通告がありますけれども、この際、その前に、政府当局より国税徴収法の改正についての説明を補足したいと申し出ておりますので、これを許します。吉国説明員。
○吉国説明員 先日徴収法改正案の要領を御説明申し上げました際に、数字的な計算がないとわからないからという仰せでございましたので、非常に簡単なものでございますが、お手元にお配りをいたしました資料で概略の御説明を申し上げたいと思います。 資料の第一ページでございますが、「抵当権、質権の優先順位の尊重」、そこに設例をあげてございます。例を、三十一年分の所得税につきまして、まず第一に、滞納国税が、昭和三十一年三月十五日申告された税が百万円そのまま滞納になったという前提。次に確定申告の修正申告が出た。それが三十二年の十月十五日に出たという前提で、これが百五十万、さらに、その修正申告に対して更正決定がございまして、これが三十三年二月一日に五十万円あった。こういう設例で御説明いたしたいと思います。 抵当権は、その間にありまして、三十二年の一月十日に、被担保債権百五十万円で一番が設定された。二番が五月十日に百万円の被担保債権で設定された。この関係を次のページでごらんいただきますと、順序が出ております。一番古いものが抵当権の設定一番でございまして、これが一月の十日、その次に二番目に、Bといたしまして、先ほどの申告の国税の納期限が参ります三月十五日でございます。それからその次に、抵当権二番が設定されておる。それから国税の申告による納期限がDでございます。これは修正申告。それからその次に、三十三年の二月一日が国税の更正決定で、三十三年の四月になりまして、これらの滞納税金について差し押えが行われた。こういった例でごらんをいただきまして、現在の優先順位はどうなるかと申しますと、そこに優先順位と書きまして、「換価した財産の売却代金は、まず、その滞納処分費に充て、以下次の順位により順次配当する。」現在でございますと、この順番が、御承知のように、現行法では、国税の納期限前一年以上前に設定された抵当権、質権でないと、これは国税に対抗できないわけでございますので、この抵当権の一番はここの国税の三十二年三月十五日及び十月十五日の国税には対抗できないわけでございます。従いまして、順番といたしましては、一番最初の順位に来るのがBの国税百万円、それから二番がやはりDの修正申告された国税百五十万円、その次にやっと最初の一番の抵当権が百五十万円で入って参ります。さらにその次には、更正決定の国税は三十三年二月一日になされておりますので、これより一年前ということになりますと、抵当権の一番はやっと間に合うということで、四番にEの国税が五十万円出てくる。最後にCの抵当権、五月十日に設定された抵当権の二番が一番あと回しになる。今度は、改正案で参りますと、この改正案では、租税の法定納期限以前に設定された抵当権は、その法定納期限の税については優先をする。さらに、更正決定があった場合は、更正決定に基く納税告知が発せられた日までに設定されておれば、その更正決定の税額に優先するということになりますので、改正案の順序になりますと、(2)でございますが、一がAの抵当権(一番)百五十万円、二番がBの国税百万円、三番がCの抵当権(二番)百万円、四番がDの国税百万円、五番がEの国税五十万円という順位、いわば時の順に従って優先権がきまる、かようなことになります。そこで、滞納処分費を控除したあとの配当し得る金額が三百万円だといたしますと、現行法では、まず国税の百万円に充て、次に同じく国税の百五十万円に充てますので、二百五十万円は国税に当てられてしまう、残りの五十万円がやっと抵当権の百五十万円の一部に充てられるにすぎないわけです。ところが、今度の改正案によりますと、三百万円のうち百五十万円はまず抵当権一番に充てられまして、その次に百万円が法定納期限の国税に充てられる、残りの五十万円は抵当権の二番に充てられるということになりますので、私債券の方に二百万円、国税には百万円ということで、非常に結果が違ってくるというのが、改正案と現行法の相違でございます。この大きな相違は、やはり納期限前一年までは国税——あるいは地方税も含むわけでございますが、これが他の担保権に優先するというところが、今の現行法の一番きついところであるわけでございます。 その次に、四ページでございます。「先取特権及び留置権の保護」、滞納国税及び差し押え年月日は没例の一の場合に同じといたしまして、先取特権といたしまして、不動産売買の先取特権が三十二年の四月十日に登記されたといたします。これは被担保債権が百五十万円、それから不動産工事の先取特権として登記をされたというのが百万円、その発生の時期が十一月十日ということにいたしますと、その次の表に出ておりますように、一番早いのが国税の納期限、その次が不動産売買の先取特権で登記されたもの、それからその次が国税の修正申告の納期限、そのあとに不動産工事をいたしまして、その工事の先取特権を登記した。それから国税の更正決定があり、四月一日に滞納処分が行われた。この優先順位を見ますと、現行法では、「国税のみに配当し、先取特権者は配当も受けられない。」この場合は、全部国税が取ってしまいまして、先取特権は登記してしまっても全く価値がないということになるわけであります。改正案では、まず不動産工事の先取特権は、登記をいたしますと、他の抵当権、その他時の先後を問わず絶対的に優先いたしますので、それを尊重して、これも税には優先するということになりますので、Dの不動産工事の先取特権が百万円、これがまず最初に参ります。その次は、Aの国税百万円、次は不動産売買の先取特権、特別の先取特権は納期限の前後によって国税と勝負をする抵当権その他と同じ扱いにいたしますので、これが三番目に入って参ります。四番、五番が国税である。従って、滞納処分費控除後の売却代金が四百万円とした場合には、現行法では国税の全額三百五十万円を国税に充てまして、残り五十万円は滞納者に返してしまいます。公売代金の残余は滞納者に返してしまいますので、せっかく五十万円余っても、その分は先取特権者は結局取れない。不動産は公売されてなくなってしまいますから、無担保債権になってしまうということになるわけでございますが、改正案では、先取特権の全額二百五十万円は配当を受けまして、国税は残りの百五十万円をもらうということで、私債権の満足が十分に得られるということになるわけであります。 それから、設例3、これは留置権の場合でございますが、滞納国税及び差し押え年月日は同じでございまして、留置権が三十二年四月二十日に成立した。被担保債権は百万円。これも全く同じでございます。その次のページに参ります。優先順位は、現行法は、「国税のみに配当し、留置権者は配当も管けられない。」改正案では、国税百万円——ここは若干間違っておりまして、留置権は、本来、その発生の形から申しますと、一定の、たとえば自動車であれば、修繕をしたその修繕代金の上に存するわけでありますから、それだけ、留置権が発生している場合には、その自動車なら自動車の価値が増加しておるという面から申しますと、留置権に一番先に配当すべきだという思想がありまして、最終的にこの留置権は他のあらゆる国税に先だつことになりますので、この順番がちょっと間違っております。1と2はひっくり返りまして、留置権の百万円が一番先で、その次にAの国税、それからCの国税、Dの国税ということになるわけであります。従って、滞納処分費控除後の売却代金が二百万円とすれば、現行法では、全額国税に充当されるわけですが、改正案では、国税には百万円、留置権には全額百万円を配当することになる、かようなことになるわけであります。 次は、譲渡担保に対する徴収措置でございます。設例は、滞納国税百万円といたしまして、三十二年の三月十五日に納期限が来る。先ほどの例と同じでございますが、申告所得税といたします。滞納者の甲の財産を二百万円、これが機械器具だといたします。譲渡担保権者乙の債権が百万円でありまして、これは昭和三十二年四月三十日に上記の機械器具に譲渡担保を設定する、こういう設例。これが、今度の考え方では、国税の納期限後に設定された譲渡担保については、国税の抵当権の場合と同じように処置できるようにするわけです。納期限前のものはさわりませんので、設例はその一つが出ております。現行法では、「たとえ担保であっても、譲渡により財産の所有権が甲から乙に移転しているため、甲の滞納税金では、その財産を差し押えることができない。(甲の手許に機械器具があるので、それを差し押えても、異議の申立があれば、差押を解除しなければならない。)従って、甲に他の財産がなければ甲の税金一〇〇万円は徴収することができない。この場合乙は一〇〇万円の債権の担保として、二〇〇万円の財産を取得したのであるが、課税面では、その差額一〇〇万円は乙の一時所得とせず、しかも、この機械器具の償却も甲の所有として認めている。」実際は、譲渡担保にいたしましても、機械器具等の償却等はやはり債務者甲の方でやっておりますし、持っている財産の占有も甲がやり、使用も甲がやっておるわけであります。もしこれを、譲渡を認めたとすれば、譲渡所得百万円が発生するわけでありますが、これは課税面ではとらえられていない。つまり、課税面では、譲渡担保にかかわらず、財産はすべて甲の所有に残っておる、こう考えるわけであります。八ページに参りまして、改正案は、「甲の滞納が生じた後に譲渡担保を設定したのであるから、抵当権の場合と同様に処理する。この方法は、甲に他の財産がないときに限り、乙に対し一〇〇万円の納付通知書を発し、十日以内に納付がなければ、譲渡担保財産である機械器具を滞納処分の例により差し押え公売する。公売代金二〇〇万円のうち、甲の滞納税金に一〇〇万円を充て、残余は乙に交付する。」ということでございますから、譲渡担保権者の名義で一応財産を処分して、二百万円のうち百万円は税に充て、それから残りの百万円を譲渡担保権者の債権に充てる。ちょうど抵当権と同じことになるわけであります。 それから、「担保のための請求権保全の仮登記に対する徴収措置」。滞納者の土地が二百万円、滞納者甲の税金が百万円、昭和三十二年三月十五日、前と同じであります。仮登記権利者乙の債権が百万円、この債権を担保するために、「昭和三十二年八月一日(B)に甲へ一〇〇万円貸し付け、弁済期限を昭和三十三年二月一日(D)とし、「債務不履行を停止条件とする代物弁済の予約請求権保全の仮登記」を甲の土地の上に行う。昭和三十三年二月十五日(E」に甲が弁済しないため本登記をする。」これは、ちょうど、請求権保全の仮登記を使いまして、譲渡担保もしくは抵当権と同じような効果を得ようとする方法でございます。その表にございますように、三月十五日に税金が百万円発生する。八月一日に仮登記が百万円の財産担保としてなされる。ところが九月一日に差し押えが行われる。差し押えが行われましたが、二月一日に弁済期限が到来して、その際にもう弁済をしないということになると、代物弁済の効果を生じまして、二月十五日に本登記をしてしまう。本登記をすれば、本登記の効果は仮登記のときにさかのぼりますので、他人の財産に対する差し押えがあったものとして差し押えは無効となるということで、実際上あとから出た担保が優先するということになるわけであります。そのことは1の現行法に書いてあるところであります。それから、2の改正案。「税金の納期限(A)の後にされた仮登記(B)による本登記(E)が差押(C)の後にされても差押の効力が失われないこととして、この土地を公売することができ、公売すれば、税金に百万円充て、残余を仮登記権利者乙に交付する。従って、仮登記(B)のときに、乙が抵当権を設定したのと同じ結果になる。」従って、債権は百万円を担保した分だけとれるということになるわけであります。 次は、五番目、「法定転担保権の設定」この点は、最後的にこの資料を作りましたあと若干修正がございましたので、変って参りましたが、それはあとで申し上げたいと思います。滞納者甲の土地が百万円でございまして、滞納者甲の税金が六十万円、昭和三十三年六月三十日に納期が来る法人税でございます。抵当権者の被担保債権が七十万円、昭和三十三年七月三十一日に設定登記がなされ、昭和三十三年十一月三十日に滞納者甲から乙にその土地を譲渡してしまった。売買価格は三十万円である。これは百万円の土地に七十万円の抵当権がついておりますので、実質三十万円で譲渡した。財産の譲受者乙の滞納税金は九十万円でありまして、これは昭和三十二年九月三十日が納期限の法人税であります。昭和三十四年一月三十一日にその土地を乙の税金で差し押え公売した。公売代金は百万円。こういう例で申し上げます。その下の図をごらんいただきますと、この抵当権は、滞納者甲の手元にあるときには、甲の税金、つまり六月三十日に成立をいたしました六十万円の税金には負けておるわけであります。ところが、それが十一月三十日に乙へ譲渡されてしまった。ところが、乙の税金は昭和三十三年九月三十日、これは、今度の新法の規定で参りますと、抵当権を設定した時期よりおくれておるわけでございます。現行法ではこういう場合にどうなるかと申しますと、解釈上は、乙へたといこの財産が譲渡されたといたしましても、その財産の上に設定されている抵当権は、やはりその譲受人の租税と比べまして、譲受人の租税に対して一年前にその設定がなければ負けるという解釈であります。これは、この例で申し上げますれば、譲受人の租税は三十三年九月三十日でありますから、抵当権の設定時期よりもおくれること二カ月であります。従いまして、この抵当権は、譲受人のところへ参りましても、譲受人の租税には負ける、かような解釈をしておったわけであります。ところが、昭和三十二年に最高裁の判決が出まして、その際に抵当権設定者は甲の担保力を見て設定したものである、従って、その財産が乙に移転された場合に、滞納税金がどうであろうかというようなことは考えてない、従って、もし甲が財産を譲渡した場合には、その上に抵当を持っていた人間は、少くとも甲のところで甲の税金に負けていた限度は別として、甲のところでとれたであろう額は、乙のところへ行ったってとれなければおかしいという判決をしたわけであります。今回の改正におきましては、その点を徹底いたしまして、譲渡があった場合には、譲受人の租税、つまり乙の租税はこの抵当権には勝てないということにしたわけであります。つまり、乙の租税などは抵当権設定者は全然考えてなかったのだ、あとで勝った負けたということはなかったはずだということにして、譲り渡しがされた場合には、譲受人の租税は譲り渡しがされたときに設定した抵当権には勝てないということにしたわけであります。 ところが、そういたしますと、極端な場合でございますが、甲のところで大きな税金があったために抵当権が負けてしまっておるという場合には、故意に財産を譲渡してしまいますと、負けていたはずの抵当権がぽんとふくれて勝ってしまう。これは不当ではないかというので、少くともその抵当権者に得をさせる必要はないということで、その場合には、負けていた額の範囲でその抵当権に転担保をつける、転抵当をつけておいて、その抵当権が弁済されたときには、その転抵当の効力で税が入ってくるという構成をとるべきだという考え方であったのでありますが、この場合には、その転抵当という場合の法律構成が民法上相当問題がありますので、最後の段階では、これを改めまして、法律案といたしましては、こういう場合には甲の抵当権者について税は代位することができる。ですから、甲から乙に移転された場合、抵当権の期限が来ておった場合、この抵当権のもとになっております被担保債権の期限が来ておった場合には、税はその抵当権者に代位をして抵当権を実行する、それから税の分だけをとって残りは抵当権者にやることができる、こういうような構成をとることにしたわけであります。そういたしますと、譲受人には何ら関係なしに、抵当権者がもし甲の手元にあったら公売されて無担保債権になるのと同じような格好になるということで、その程度にとどめる。転担保権という制度は改めておりますので、この点だけちょっと変って参りました。 以上、この間数字で御説明をしないとわかりにくいとおっしゃいました点を、数字で御説明をいたしました。
○山本小委員長 今の説明に御質問はありませんか。——なければ、横山利秋君。
○横山小委員 この徴収法については別の機会に承わることにいたしまして、二、三お返事をいただく予定になっておりますものを、お尋ねをいたします。 先般の小委員会で四つばかり御質問をしました第一番の保全担保の問題につきましては、別途御相談をしておられるようでありますから、きょうは保留をいたしまして、二番目の、税務署の御都合で納税者に不便を与える場合がある。確定申告の事後審査で、税務署の御都合でおくれても、利子だけはちゃんとお取りになるという点はどうか。これが第一ですね。それから、第二番目には、名古屋で起りました、時効にかかる直前に、書類を適当にお作りになって、時効を延長したということについての御報告。第三番目は、申告是認措置という制度はどうかという三点でございます。 それにつけ加えまして、ついでに一つお伺いをしたいことがございます。あと奧村委員も質問があるようですから、全部言ってしまいましょう。第一は、先般の際申し上げるべきではありましたけれども、この小委員会の審議をするに際して、前回の小委員会の続きのものの考え方を一つとっておきたいと思いますが、前の小委員会が中間報告をいたしました。そしてそれについて暫定的に国税庁のもののお考えを伺ったわけでありますが、あれはその後国税庁としてはどういう措置をおとりでございますか。本小委員会としても、前回の中間報告についての措置がまだなされておりませんので、適当な機会に委員長にお願いをして、措置をいたしたいと思っておるわけでありますが、政府及び国税庁においては、この中間報告をどういうふうにその後取りり扱っていらっしゃるか。これがお伺いしたい一つであります。 それから、第二番目は、先般来、新聞でも、それから与党でも非常に議論になっており、私どもとしても近く結論を得るのでありますが、農業法人の問題です。御説明を一つ簡単に、今日の政府のものの考え方を、農業法人について承わりたい。 それから、一つ、これは奥村委員の方の御質問に入っておりますから、その際にお伺いをすることにいたしますが、更正決定に伴う問題がございます。その際にお伺いすることにいたします。 以上の点について御説明を伺います。
○北島政府委員 大へん広範な問題が提示されたわけでございますが、私がただいまここでお答えいたすべきものは、昨年の税の執行に関する調査小委員会の中間報告に対する措置の問題と、それから農業法人の考え方の問題と、さしあたりこの二つということでよろしゅうございましょうか。——それでは、ただいまその二つに一応限定させていただきまして、現在手元にある資料のみでお答えいたしたいと存じます。 まず、順序をちょっと転倒いたしますが、いわゆる農業法人に対する国税庁の考え方、これを一つ御説明させていただきたいと思います。事柄の経緯といたしましては、昭和三十二年の森から秋にかけまして、徳島県の勝浦町という町がありますが、そこにありまする柑橘栽培農家百四戸の方が法人を設立されまして、そして、やり方としては、個人が農地を出資するわけではありませんが、個人がその法人に対しまして肥培管理その他の生産一切がっさい請け負ってもらうということにいたしまして、そうしてその収益のうち九割は請負契約に基くものということで法人に渡し、一割は個人がとる。それからまた、その個人は、その会社の重役として役員報酬等をとるわけでありますが、実はこの問題につきましてまず徳島県庁で問題になりました。と申しますのは、農地法第三条一項には、新たに農地について所有権を取得いたしましたり、あるいはまた農地について賃貸借その他使用、収益をなすことができる権利を設定、変更する、こういった場合には、都道府県知事または農業委員会の許可を要するということになっております。ところが、これについて、農林省当局においては、法人についてはそういうものは認めないのだという趣旨でもって、この柑橘栽培の農家の法人に対して否定的見解をとったわけでございます。そこで、税務の執行面においてもこれがクローズ・アップされたわけですが、当局といたしましては、農地法によりまして、ただいま申しましたように、農業法人が農業経営をするためには都道府県知事または農業委員会の許可を要する、それで、その許可を受けずいたしました行為は、単に罰則に触れるだけでなしに、私法上も無効である、こういう点に着目いたしまして、この法人としての申告は工合が悪いじゃないかということで、いろいろ折衝いたしまして、結局百四軒のうち百二軒が個人の申告ということに昨年なったわけであります。ただ、二軒の法人につきましては、この措置に不服でございまして、審査請求して参りましたが、この審査請求につきましては、先般請求を棄却いたしましたので、おそらくこれは訴訟までくるのではなかろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。考え方といたしましては、農地法によりまして、農地について所有権その他使用、収益をなすべき権利を取得する場合には許可が要る、許可を得ないでした行為は無効だということでありますので、ただいまのような場合におきましては、あくまでも個人にその農業経営の収益が帰属する、こういう考え方から、個人として課税すべきだ、かように考えておるわけでございます。ただ、なおこの問題を契機といたしまして、全国的に調べてみますと、各地にぽつぽつただいまのような形態の法人がございますので、あとの問題についてはこれを統一的に今後扱わなければならぬ、こういうふうに考えております。ざっと申しますと、ただいまの通りであります。 次に、昨年の当委員会の税の執行に関する調査小委員会の中間報告に対する国税庁の措置はどうか、こういう点でございますが、この中で、協議団関係につきましては特に有益なる御注意をいただいたのでございまして、たとえば、審査処理までの時間が長過ぎるということ、それから、ややもすれば、主管部局に制約されて、協議団本来の使命が発揮できないのではないかというような見方、それから第三には、人事の面からいって協議団が姥捨山になっているのではないか、こういった問題だったかと思います。これにつきましては、そういった御批判の出る素地につきましては、私ども十分反省する点がございますので、いろいろ部内で協議いたしまして、まず協議団機構の拡充の問題は一体どうしたらいいだろうというような話が出たのでありますが、結局、私どもの意見といたしましては、ただいまここで行政機構の拡充という問題を持ち出すよりも、当面現にある協議団という形をもっと運営面において改善したらよいのではなかろうか、こういうふうに考えまして、さしあたり、長い期間にわたりまして未済であったものにつきましては、昨年の夏に未済の一掃計画を立てまして、大体一年以上立ってなお片づかないものは九月一ぱいまでに片づけよという厳命をいたしました。ただし、この中でも、目下訴訟等になっているものや、査察等の関係でなかなか短期に片づかないものもございますが、おおむね各協議団におきましてこの趣旨を了解せられまして、秋までにほとんど大ていの長期の未済は片づいた、こういう格好になっております。 なお、協議団の運営の方法といたしまして、主管部局に制肘を受けるのではないかというような問題があります。こういう点につきましては、部内でも十分検討をいたしまして、大体こういうルールを立てたのでございますが、もともと協議団の協議決定を国税局長は原則として尊重すべしという国税庁長官の通達がございます。ことに、この協議団の決定と異なる審査決定をする場合には、協議団の本部長の意見をまず第一によく聞けということ、さらになお協議団本部の協議決定と異なった審査決定をする場合には、国税庁に上申するということになっておりますが、この方法をさらに再確認いたしまして厳格に行わせるということと、それから実は協議団内部と主管部局におけるところの審査のやり方を、相当考え方を変えまして、主管部局といたしましては、こまかく言うといろいろございますけれども、少額のもの、その他あまり問題でないもの等につきましては、主管部局による審査を省略するというやり方をいたしました。これで、大体審査事案の約半数が、協議団の協議決定がすらすらとそのまま通るべきものと思われますが、さらに協議団の内部の審査期間、これは原則として二カ月以内に片づけるようにということ、それから、主管部局に参りましたら、主管部局においては一カ月以内に結論を出すということにいたしました。この場合、従来国税局長を長といたします、審査事務の小委員会というのがございますが、これをさらに活用いたしまして、主管部局において一カ月以上を経過したものについては、できるだけ早くこの国税局長主催の審査小委員会の方にかけまして、そこで局長みずからが内容を検討して決定を下すということにいたしました。 それから、人事関係につきましては、えてして昔——これは昔のことでございますが、姥捨山といわれたこともございましたが、こんなことのないように、まず協議団本部長の地位を高めていこうじゃないか。これは内部のこまかい話でございますが、協議団本部長は国税局の部長格ではございますが、地方の小さい局に参りますと、人事といたしまして、協議団本部長をやった者が、さらに県庁所在地の一、二を争う枢要な税務署ではございますが、管内の税務署長にまた出るというようなことをいたしておりますが、そういうような人事はやめて、原則としてずっと部長扱いをする、こういうようなことも考えております。 以上言ったような方法によって、協議団事務につきましては今後刷新を加えていく、こういう方針でございます。大体ごく大ざっぱに御説明申しましたが、さらに御質問によりましてお答え申し上げたいと思います。 なお、御指摘のございました名古屋の西税務署の問題につきまして、次に御説明申し上げたいと思います。 名古屋西税務署におきまして、昨年の秋実はわかったことでありますが、すでに時効が完成し、不納欠損になすべきものを、外部の体裁をつくろうために、これを執行停止という格好をとりまして、執行停止、すなわち生活困窮者等に対しまして滞納処分の執行を停止して、三年の経過によって納税義務を消滅させる制度があるわけでございますが、時効完成という形でもって完結することを一応避けて、執行停止という格好にしまして、そうして日付をさかのぼって執行停止の処理をしておったものがございました。それからさらに、執行停止の処理をするための前段階といたしまして、納税者の無財産を証明するために捜索調書について作為しておったというのがございました。それから、時効が完成してないように内部的につくろうために、交付要求書等を作為したと証められるものが若干あったのであります。これらについてはもとよりとんでもないことでありまして、それ自体まことに申しわけないことでありますが、調べてみますと、その動機は単に表面をつくろうという意図に基くものと見られまして、少くとも、時効によって消滅した税金について、その消滅を知りながら、あえてこれを徴収して、納税者の権利を侵害するという意図に出たものではないと判断されたのであります。ただ、その結果、時効を完成した後収納いたしましたために、還付しなければならなくなったものが約十人ございましたので、三万二千二百円ございました。これはまことに申しわけないことでございましたが、直ちに還付の手続をとったのでございます。 一体どうして西税務署においてこのような事件が起ったかということを、私どももその当時厳命を下して十分調べたのでございますが、まず最初の背景といたしましては、昭和二十五、六年当時にまでさかのぼるのでありますが、昭和二十五、六年と申しますと、納税の非常に混乱した時期でありました。たしか昭和二十四年度末、二十五年の三月末の滞納額が千二百五十八億円というような大きな滞納だったかと思いますが、税務全般をあげて大混乱の時期でありましたそれが、その当時、原則として大口の滞納を片づけるということでやっておりましたが、時の経過とともにまたたく間に五年が過ぎて、そうして三十一、二年ごろにおきましては、この西税務署のような非常に膨大な納税者を持ち、錯綜した納税者をかかえておるところにおいて、時効を完成したものが出てきたのであります。ちょうどそのとき、三十二年の六月に、西税務署に新しく徴収課長が交代して参りまして、そうして前任者時代の滞納処分表をずっと見てみますと、今申しましたように相当多数の時効を完成したものが出てきたのであります。そこで、徴収課長としては相当悩んだようでありますが、前任者時代のことを自分が来てすぐ表に出すのはどうかというようなちゅうちょもあったと思います。それからまた、もともと徴収課員には時効を完成させるということはやっぱり不手ぎわだという観念が強いのでありまして、滞納処分表の内容をよく見ますと、無財産、財産なしというような状況でそのままほっておかれたのが大部分でありましたので、それではこれは執行停止にかければよかったのじゃないかというふうに考えた。そして執行停止にかけた。また日付をさかのぼってやることは非常に悪いことでありますが、日付をさかのぼって執行停止の措置をするようにというような指令をしたのが残っておりまして、そうしてこれに基いて徴収課員が執行停止の処分をして、三年たって自然に消滅した、こういうような体裁をつくろってきたのであります。ただし、中には、先ほど申しましたように、執行停止の前段階として、無財産を証明する捜索調書を作らなければならない。捜索いたしますと、今度は時効を中断されるわけであります。そこで、捜索調書によって、時効中断の一応格好になったわけですが、取扱いの職員が交代するとともに、これがほんとにやはり時効が中断されたものと考えて徴収したのがごく若干あった、こういうことでございます。この事件につきましては、まことに申しわけないことであったと思いますが、名古屋国税局をしてずっと西税務署を監査させまして、約三千六百の古い滞納について内容を見させました。そうしたところ、時効を完成しておったものが二百九十一人、五百七十三件というものがあったのであります。そのうちに、ただいま申しましたような方法で、表面をつくろっておったと認められるものが八十三人、二百二十二件という数字が残っております。私どもは、税務の執行について表面を整えるということは、まことに工合が悪い、ほんとに真実が一番強いんだ、決して、かりに不名誉なことであっても、過ぎたことはしようがないが、ちゃんと法の定めるところに従って、時効にかかったものは時効にかかったように処置せいというふうに、厳命いたしたのであります。そのようなことがないよう、今後十分気をつけたいと思っております。 それから、更正決定がおくれて、税務当局側の遅延のために利子税がかさむのはおかしいじゃないか、こういう御質問がございました。これは、実を申し上げますと、申告納税の建前までさかのぼる問題かとも思われます。御承知の通り、現在の所得税、法人税は、申告納税の建前をとっておりまして、納税者各位が自分でもって正当な所得の申告をされる、こういうのを根本といたしております。そうして、税務官庁といたしましては、あとで調査いたしましても、もし間違っておったらそれは直していただく、こういう建前であります。昔の賦課課税とやはり根本的に考え方が変っておりまして、あくまでも納税者が正しい申告を期限内にしていただくということを基調としているのであります。ただ、税務官庁がおくれるに従って利子税がかさむことは、これはまことに工合の悪いことが多いのでございます。私どもといたしましては、できるだけ早期に更正決定を片づけるものは片づけたい、こういうふうにいたしておるのでありますが、現在の陣容からいって、必ずしも思うようにいっていないのは、まことに残念でございます。 以上大体御説明を申し上げたわけであります。
○横山小委員 だいぶ問題が多いんですけれども、きょうは奧村委員もなかなか準備をしていらっしゃるようですから、一、二の点を申し上げて、御注意を喚起したいと思うのでありますが、なかんずく、この西税務署の問題であります。私は、自分の地元でございますし、また特殊な名前が出るということも何か特異な例に考えられると困るというわけで、昨年暮れ以来、わざと言っては失礼でありますが、問題を表面にするのを差し控えておったわけです。ただ、私があえてこの小委員会で処理したいというゆえんのものは、これは単に西税務署だけの問題でないという気がしてならぬのであります。今長官がおっしゃったように、何か時効になってしまうというのが、税務署の人たちとして、自分の腕が悪い、サボっておったというふうな気持、成績主義に関係するがゆえに、小手先の細工をしてそれをつくろうという印象が、この事件の中には非常に強い。そうだとすれば、私は名古屋の税務署をよく知っておるのでありますが、西税務署というのは、割合に、いわゆる言うところの成績の悪いというところではありません。そういうことから考えますと、単にこれは西ばかりではなくて、税務職員ないしはその責任者が必然的に陥るべき心理とみなされる点が非常に強いわけであります。だから、西税務署だけ誇張しまして、それだけけりがつけられまして、それで西税務署においてはこういうことは将来ないでありましょうという——まあそうではありますまいが、そういう印象を与える御答弁であっては、いささか私の質問と趣旨が反するわけであります。こういうような事例というものがどういうところに原因があるか。税務職員に対する成績主義、税務機構における指導のあり方ということが、こんなところに案外芽を出しているのではないか。もう少し納税者に対する良心的な立場、よくいわれるのでありますが、納税者が脱税するんじゃないかというような、そういう基本概念をなくして、良心的な親切な立場に立ったならば、かかることは言語道断でやれるはずがないと私は思うわけであります。しかし、それがなされておるところを見ますと、決して私はその関係をされた人だけの問題ではなくて、全体をおおうものの考え方ではないかという感じがいたすのでありますが、その点はいかがでありますか。
○北島政府委員 先ほど私が申しましたし、また横山先生が御指摘になりましたが、確かにこれは、徴収官吏の中には、徴収官吏一般をおおう気分といたしまして、時効によって消滅させるのは不手ぎわだという観念はございます。これはおそらく、自己の職務に忠実であればあるほど、そういう気持があるのかとも思いますが、しかし、さればといって、一ぺん時効にかかったものを、署内部の制度とはいいながら、執行停止というような表面をつくろうというようなことは、まことによろしくないのであります。これは、必ずしも御指摘になりました成績主義でしりを引っぱたくというようなことでなくて、おそらくどの社会においてもそういうようなことがあり得るのではなかろうか。それからまた、これは、役人自体として、私役人として反省いたしまするに、役所のいわゆる形式主義にもやはり相当深い根があるのではないか、こういう感じがいたします。 この問題は、単に西税務署だけじゃなくて、ほかにもあるじゃないかという点は、私実はそれを非常に心配したのでありまして、果して西税務署だけこうであったのかどうかという点について、名古屋国税局長をして西税務署以外の税務署を自己監査いたさせました。その結果、若干一、二の署において、やはりそういう事例が見受けられたのであります。これは全国的にそういうことを調べなければいけませんが、西税務署は、ただいま大して税務執行のむずかしいところでないようなお話がございましたが、実は名古屋国税局管内におきまして一番滞納が多いのであります。御承知の通り、名古屋の駅裏の辺も控えておりまして、名古屋の人口の約三分の一に当るところを持っておりまして、昭和二十五、六年当時から、名古屋局管内随一の滞納の多いところであります。そういう税務署におきまして、一時はたしか西税務署はアルバイトまで入れながら徴収課員を七十人ぐらいにいたしまして、滞納の整理に当ったのでありますが、大口滞納を重点的に整理するということで、小さい額はあと回しにしているうちに、時効にかかるというものが出てきたのであります。ほかにもあるのじゃないかという点は、実は私も非常に心配いたしまして、各国税局長に対しまして、会議のとき、それからまた部長会議におきましても、単に徴収の問題に限らず、どの問題をも、やはり結局真実が一番強い、あとで不手際をごまかすために表面をつくろうようなことは絶対やめてくれ、こういうふうに指示いたしたのであります。今後はこのようなことがないことを私どもは期待いたしておるのであります。
○横山小委員 まあほかでも調べたら出た、こういうお話でありますれば、よけいに全国におきましてもそういうような支障なしとしないのでありまして、私は今長官がおっしゃったようなことは同感であるから、そういう考え方、芽が出てこないような基本的な措置を、根本的な指導のあり方を何かの形でおとりになることを要望してやまないわけです。そこで、先ほどお話しになりました、申告納税の建前だから、あとになって利子をとるのが当然であるという第四番目の問題についても、同じことが私は言えると思うのであります。申告をしたのだから、これが間違えたのだから利子をとるのが当然だ。けれども、その場合に、たとえば協議団に持っていくと、協議団の実績におきましては、たしかこの前の御報告では大体六〇%くらいが通俗的にいえば負けてもらっておる。ないしは、正しく言えば、正しい額にきまったわけですね。そうすると、その協議団に持っていった六〇%までが、税務署が正しい納税の決定をしていなかったわけです。その是正をするために時間を使ったものが納税者の一方的な責任である、そういうことになります。また、今のお話で、協議団の期間をなるべく二カ月以内に、あるいは一カ月以内にというお話をなさっているわけでありますが、私も現にいろいろと税務署の協議団の運営状況についてお話を各所で聞きましたけれども、あれだけたくさん来ておって、順番というものがあって、それだけに専念するわけにもいきませんから、そうなりますと税務署の御都合でおくれている期間というものはきわめて多いわけであります。いわんやその利子額というものは他に比較して高利でありますから、その点について、むずかしい話か知りませんけれども、本人のゆえに基く期間、それから税務署の事情に基く延滞というような点が勘案されてしかるべきではないかという感じがいたしましたからこそ、お尋ねをしておるわけでありまして、基本的な原則的なお答えならばそうかもしれませんですが、それでは実情に合っていない御答弁ではないかという気がいたします。 それから、この間お尋ねいたしました第四番目の、申告をした者に対して最終的なイエス、ノーということをその場で言わないで、あとから遡及をしてやるという今日の制度について、お宅のこの申告については正しい、これでさよならですというようなはっきりした措置というものは一体とれないものであろうか。何年も何年もたってから、さかのぼってそれをほじくり返すということがないとも限りませんが、税務署でその商店なりその会社を調べて間違いがないという場合になったならば、何かその辺できちんとした措置をとり、そして明朗な関係といいますか、態度といいますか、そういうことができないものであろうかということをこの間お伺いしたのでありますが、それが御答弁がございませんでした。それも一つお尋ねしたいのです。 要すれば、本委員会が所期しておりますのは、税の徴収上における民主的な納得づくということ、納税者の立場にいま少し執行面も立ってもらうということが本委員会の重要な目的であろうかと思いますから、一つ、お答えの面におきましても、そういう立場でお答えが願いたいと思うわけであります。
○北島政府委員 先ほどは原則論で一応お答え申し上げたのでありますが、実は、税務官庁の更正決定がおくれるに従って、いつまででも長い間利子税をとられるのが不合理であるということでありまして、法律的には、更正決定が申告期限一年後の場合には、一年間だけ利子税をとる、あとはとらない、こういうことになっておることは御承知の通りでございますが、それにしても、おくれれば一応一年間は利子税がかかるということになっております。 それからまた、協議団の問題についてお話がございましたが、協議団では、現在大体半数程度が納税者の申し立てを全部または一部了承しているのであります。この場合におきまして、もしすでに納めておるならば税金を環付するわけでありますが、協議団の審査がおくれまして還付がおくれますれば、またそれだけ日歩三銭の還付加算金をつけて返す、こういう建前になっておりまして、税金をとる方がおくれればそれだけやはり利子税をとる、ただし更正決定は申告期限後一年間分の利子税に限るということになっております。還付加算金の方は、これは年限に制限がないのであります。いずれにいたしましても、更正決定がおくれることによって最大限一年間の利子税がかかるということにつきましては、納税者の方にとってなかなか納得ができない点もあるかとも思われますが、建前といたしまして、やはり申告納税で正しく申告していただくんだ、それで税の調査はあとでというのが、実は私たちの申告納税の考え方でありまして、あくまでも、納税者の自主的な申告及び納税を期待しております税法のもとにおきまして、漏れがありました場合にその分について利子税が徴せられるということは、他の正当に納めた方とのつり合いからやむを得ないのじゃないか、こういうふうに考えております。 それから、税務の調査に行った場合に、イエスかノーかということが即座に言えないだろうか、あとになってさらにそれを特別調査等でかき回して更正決定をするのはどうかという御疑問もあろうかと思いますが、実は、この点につきましては、現在青色申告のものにつきましては、調査いたしまして一応現在のところでは申告がのめるという場合におきましては、ただいまの調査のところでは、あなたの申告は是認されましたという処置を講じております。これは納税者各位の非常な要望によるものでありまして、一体税務署は調査に来てもういいのか悪いのか何も言ってくれないという苦情がだいぶありまして、そして、何とか是認できるものなら、あとで変ってもそれは仕方がないのだから、一応その当時の調査において是認できたら是認通知をくれないか、こういう納税者の要望がございまして、まことにごもっともでございますので、一応それまでのところの調査で申告が是認できるという場合には、是認通知を出すことになっております。ただし、是認通知をいたしましても、実はあとになってみればいろいろな資料が出まして、相当な漏れのある場合もあるのでありまして、この場合には、やはり正しい所得額に更正するということは、やむを得ないのじゃなかろうかというふうな感じは持っております。 以上、簡単でございますが、お答えいたします。
○横山小委員 私の質問いたしました点についての疑問は明らかになりましたから、適当の機会に、この本委員会の結論を一つつけるときに御留意いただきまして、私の質問を終りたいと思います。
○山本小委員長 今の最後の点ですが、最後の点は奧村君も問題にしておられたと思いますが、一応国税庁の見解はそれでわかったのであります。しかし、ただ見解がわかっただけではおさまらぬだろうと思いますので、一応奧村君からも質問があって、なお両方寄って、どうしたら納得のいくようにいくかということを国税庁と委員諸君とで真剣に練って、そうして結論を協力して出していくようにしたいと思います。 奥村君。
○奧村小委員 それに関連しまして、今の横山君の質問についての名古屋の西税務署の時効、又時効に対する執行停止のやり方については、これは過ぎ去ったことでありますが、ずいぶんゆゆしい問題だと思うのです。国の確定した債権の徴収について、そういういわば怠慢なことがあるということについては、もっと国税庁内部でも監督機関があるはずであるし、また国としても会計検査院などの外部からの監査機関もあるし、内部においても外部においてもこういうものを一体見のがしておったのかということです。そういうことであれば、ほかにも同じようなことがあると言われても抗弁ができぬのですが、こういう時効になって債権が取れなくなったというような怠慢なことのないように、国税庁内部ではどういう監督の機関があるか。また、会計検査院が特にこれに力を入れて検査しなければならぬが、これに対して会計検査院はどういう処置をとったのか。そこらの辺をちょっと参考に聞いておきたいと思います。
○北島政府委員 監査機構といたしましては、まず国税局で徴収部がおのおの各税務署の徴収事務の監督をいたしております。これはいわば自己監督といってもいいかもしれませんが、そのほかに派遣監督官が随時署を視閲して歩いておりるのでありますが、実は、西税務署の問題につきましては、昨年の秋問題になるまでわからなかったのであります。実は会計検査院の御検査もたしか受けておるはずでございますが、会計検査院の御指摘はございませんでした。
○奧村小委員 何百件ものことが会計検査院もわからなった、本委員会で取り上げて初めて明るみに出たというのでは、まことに心細い話ですが、これは一つ委員長もう少し具体的な資料をいだたいて調べてみなければいかぬと思います。それで、執行の期限以前にさかのぼって執行停止の表面上の取りつくろいをしたというのは、これは法律のどれに基いてどういう趣旨でやったのですか。
○北島政府委員 お答えいたします。国税徴収法十二条に「滞納者左ノ場合ニ該当スルトキハ政府ハ滞納処分ノ執行ヲ停止スルコトヲ得」とございまして、一号におきましては「差押ヘ得ル財産ノ価額滞納処分費及第三条ニ依リ国税ニ先チテ徴収スル債権額ニ充テ残余ヲ得ル見込ナキトキ」、それから第二号が「差押ヘ得ル財産ノ凡テニ付滞納処分ヲ為シタルモ仍徴収スベキ国税及滞納処分費ニ残余アルトキ」、それから第三号が「滞納処分ノ執行ニ因リ滞納者ノ生活ヲ著シク窮迫人状態ニ陥ラシムル虞アルトキ」、四号が「滞納者ノ所在不明ニシテ差押へ得ル財産不明ノトキ」、それで執行を停止いたしますと、三年の経過によってもし新しい事情がなければ債権は消滅する、こういう規定があります。
○奧村小委員 これは、当然時効で執行になったものを、ただ税務行政の上から責任をあいまいにするためにうわべを取りつくらおうとしたのですが、しかし、うわべを取りつくろうやり方としては、これはあまりひどいやり方で、要するに納税者に完全に納税する力がないとみなして、国の債権を消滅させるという法律的なやり方ですから、これは債権の額にもよるでしょうが、税務署長が決定する、あるいは少しまとまった金額なら国税局長が決定しなければならぬ。そういうまとまったものを、何百件ものものを税務署長やあるいは国税局長が判を押して決定するのですか。それはあくまでも署長や局長の責任が明らかにされなければならぬのですが、これは署長や局員に相談かけずに事務的に係官が適当に判を押してやったんですか。内部の規程としては署長が判を押さなければできぬはずです。それはどういうわけですか。
○北島政府委員 執行停止処分は署長決裁でございまして、多額のものは国税局の承認を要することになっておりますが、本件の場合は金額はいずれも小さかったので、税務署都内において処理したわけでございます。そこで、その当時のいきさつを調べてみますと、先ほど申しましたように、新任の徴収課長が参りまして事務を見た。そうしたら時効にかかったものが相当あって、そのまま放置されている。そこで、実は署長に相談したところが、やはり前任者時代のことで、今ここで明るみに出すのはどうかという気持もあったのでしょう。まともに時効で消滅したという処置をするのは、何と申しましても徴収官吏としては一般的に不面目だという気分もございますし、これは戦前はたしか、時効などにかかりますと、検査院から一々相当厳重な御指摘があったわけでございます。そういうような気分がいまだに残っているわけであります。それと同時に、徴収官吏自体が時効にかけるのは工合が悪い、そういう感じを持っております。業務といたしまして内容を見ますと、財産なしというのが大部分でありまして、それならば執行停止にかければよかったのではないかという判断をしたわけです。執行にかけておけば三年のあれによってなくなるのだ、それをほったらかして時効にかかったというのでは非常に不面目だ、そういう考えがありまして、そこで日付をさかのぼって執行停止の処分をするようにというふうに、課長が指示したのであります。
○奧村小委員 これはもう少し詳しい資料をいただきたいと思います。委員長一つこの審査については御善処を願いたいと思います。
○山本小委員長 北島長官が非常に遺憾であるというので、だいぶ問題は明らかになったと思いますが、今後二度とそういうことのないようにということも決心しているようです。これは私も非常な大問題だと思いますが、それよりも、ここの調査としては、決算委員会ではないので、今後どうしたら納税者が納得していくかという方法を発見する。その意味で、私はあなたの予定した質問が行われていると思うので、これを一つやってもらうようにお題いしたいと思います。
○奧村小委員 それでは、私の質問に移りたいと思います。私は、今日以後、更正決定のいろいろな問題について一つお伺いしたい、かように思っておりますので、その質問の大体の要綱は、政府委員にもお手元へ差し上げてあるようなことでいたしたいと思いますが、それは、昭和三十四年度の政府の税収見積り、特に所得税の税収見積り、法人税の税収見積りが過大でないかということからいたしまして、その見積りの中の更正決定の見積りが過大でないか、もし過大であるとすれば、予算額に達するためには、いわゆる苛斂誅求も行われるじゃないか、こういうことが予想されるので、予算審議にも関連してお尋ねをしていきたい。もう一つは、最近、各地の裁判所において、更正決定に対する政府の処置について、違法として取り消しの判決があちこちで行われておる。相当政府も無理をしておるように思うので、そういう実態を詳しく調べて、妥当なやり方に改めていただくように一つお尋ねをいたしたい、かように存ずる次第であります。ところが、あらかじめきのう長官のお手元まで私のお尋ねする要綱を差し上げまして、その要綱の中でも、特に昭和三十年度、三十一年度、三十二年度の過去三カ年の所得税、法人税の更正決定による増差税額の実績などの資料をお出しいただくようにお題いしておいたのですが、残念ながらまだ間に合わぬので、審議の上で非常に困るのですが、また後ほど表にしてお出しをいただくことにいたしまして、私のお尋ねすることについて、特に関連することは今御答弁をいただきたい、かように存ずるのであります。 まず、私がこの際明らかにしておきたいのは、社会党の諸君から、予算委員会において、特に所得税の税収見積りについては、昨年度の予算額と比べると、二割五分ないし三割、ずいぶん自然増収を見込み過ぎておるじゃないか、こういう御質問があって、政府もいろいろ御答弁に苦心されたようでありますが、これはいずれ本委員会でも別の角度からよくお聞きをしなければならぬ。私のお尋ねする更正決定に関係する部分だけを取り上げてみましても、昭和三十四年度の予算の税収見積り、この表にあります「租税及び印紙収入予算の説明上、それの十三ページないし十五ページ、申告所得税の課税見積りですね。これは大体両方同じことですが、Bとして、過年度申告所得に対する徴収決定額百六十六億を見込んでおられて、それに対して徴収歩合八三%かけて百三十八億を見込んでおられる。昨年、昭和三十三年度は百五十三億を見込んで、収入歩合は八〇%として百二十二億を見ておるのですが、昨年と比べれば、かなりよけいに見ております。そこで、これは過大でなかろうかと私は思うのですが、これが過大かどうかということは、やはり先ほどの資料をいただかなければ、はっきりしたことは申し上げられません。そこで、国税庁の長官にお尋ねいたしたいのですが、所得税に対する最近の更正決定は、大体納税人員に対して五%ぐらいの率で更正決定をしておられるということですが、過年度分の所得に対する徴収決定額、要するに、これは更正決定でお出しになるんでしょうが、百六十六億というものは、更正決定の人員の数と比較すると、これはずいぶんたくさんに見積っておられるんですが、これはどういうものですか。
○塩崎説明員 直接私の所管ではございませんが、いずれまた調査課長を呼びまして、詳しく御説明することにいたします。私の聞いておるところでは、最近の申告納税の執行状況といたしまして、更正決定が五%くらいにすぎないのに、この額は大きいではないかという御質問だと思います。執行状況を見ますと、更正決定はなるほど少いようでございますが、昭和二十八年でございましたか、申告期限を二月二十八日から三月十五日にずらしたわけであります。それからまた、調査のやり方を、その前に決定するよりも、申告書が出まして後に決定する、あるいはまた、もう一つ、修正申告をできるだけしていただく、こういう関係で、翌年度にわたりまして決定する、あるいは申告書を出していただきたいというようなことが一つでございます。もう一つ、ここにもございますが、その他所得が非常に多いわけでございます。その他所得は、御承知の通りに、給与あるいは資産所得、その他の所得の資料を毎年一月三十一日までに出していただきますが、それが非常におくれまして、完全な資料の提出がおくれます関係上、それらを合せまして、納税者の方々にこの程度は資料として来ておるから出していただきたいというような所得が、それぞれあるわけでございます。そのような関係で、毎年毎年最近過年度の所得の徴収決定額が多いのではないか、こういうふうに私どもは見ております。必ずしもこれ全部が更正決定額によるものではない、こういうことが言えるのではないかと思います。いずれ詳しくは調査課長から御説明申し上げる機会があるかと思います。
○奧村小委員 それじゃ実績をお尋ねいたします。昭和三十二年度、あるいはもし資料がなければ昭和三十一年度でもいいですが、過年度分に対する更正決定による増産税額は、実績を一つ……。
○金子説明員 申告所得税の更正決定による増差税額を申し上げます。三十年度は九億二千九百万円、それから三十一年度が十五億七千万円、三十二年度分が十一億八千四百万円、こういうようなことになっております。
○奧村小委員 この予算で百六十六億を見ているんですね。それから昭和三十三年の予算についても百五十三億見ているんですが、実績が今の十億やなんかだったらけたが違うんですが、この実績というものはどういうことですか。長官の御答弁では、人員において五%くらいの更正決定をやる、そうすれば、今のお話は合うてくるが、予算と比べると、えらく何かその実績が違うじゃないですか。
○金子説明員 主税局の方から出しております歳入予算の説明につきましては、後刻調査課長からこまかく説明申し上げてもいいのでありますが、今の数字が違いますのは、最近、私どもの方では、事後調査ということで、申告期限までに全都をイエスかノーかをきめないで、半分くらいのものを半年なり八カ月あとにずらして調査する。三月十五日に申告が出ましたものは、むろん大体九月、十月くらい、おそくても十二月くらいまでには全部締めくくりをつけるわけでありますけれども、時期的に翌年度にずれてくるものが相当出てこようかと思います。それから、先ほど塩崎課長の方から話がございましたような各種の資料の合算事務というようなものは、やはり三月十五日の申告のあとの夏から秋にかけて、事務の繁閑を見計らって税務署が資料を集めて、申告と照らし合せてみてやるものが相当やはりあると思います。全部が全部申告が正しくなかったからといって私どもが更正をぶつわけではございません。相当のものにつきましては本人においでをいただきまして修正していただくというようなものもございますので、今の数字はやはり相当の開きが出てくるんじゃないかというふうに考えます。
○奧村小委員 昭和三十四年度のこの予算における過年度の所得に対する徴収決定額の百六十六億を見積ったものは、これは昭和三十三年度分の所得税に対して五月以後政府が更正決定した増差税額をここに見積ってあるのでしょう。そうじゃないですか。昭和三十三年慶の歳入に入るものは四月まででしたか。
○塩崎説明員 昭和三十三年度の収入に入りますものは、昭和三十四年の三月三十一日までに調定したもの、これが入りますが、それは四月まで、こういうことになっております。
○奧村小委員 それまでの修正申告も入るわけでるか。
○塩崎説明員 修正申告は、四月一日以後に行われますと、翌年度の収入になります。なお、もう一つ、この分が全都三十三年分の所得税に対する更正決定というふうなお話がございましたが、三十三年分だけではございません。三十年の分もございますし三十一年の分もございます。三十二年、三十三年、ずっとあるわけであります。
○奧村小委員 法人税の場合は、修正申告というものは期限後でも法律にちゃんときまっているからいいが、所得税の場合の修正申告は原則として三月十五日の確定申告期日までに出すべきもの、それ以後は大体私は更正決定と見なければならぬと思うのですが、期限後の修正申告というのは、一カ月以内は過誤による修正申告は認められておるのですね。だから、原則として修正申告というものは当年度に入るべきもので、過年度のものではないと思うのですが、いかがですか。
○塩崎説明員 お答え申し上げます。奧村委員のおっしゃいましたのは、今、回改正案を出しておりますが、法人税の更正の請求のことではないかと思います。更正の請求は、所得税におきましても申告後一カ月以内、法人税も今回の改正案で一カ月以内になっておりますが、これは申告が過大である場合の更正の請求でございまして、所得がふえ税額がふえます際の修正申告の規定は、所得税法の二十七条にございますし、法人税法にもございます。これは期限がございません。
○奧村小委員 そうしますと、私のお尋ねしたいのは、「租税及び印紙収入予算の説明」の十五ページの百六十六億の過年分所得に対する徴収決定額、これは何を意味するかということです。あまり回りくどくなってはいかぬが、要るるにことしの三月三十一日までに申告したり修正申告したりした分は昭和三十三年度分として入る。そうすると、四月以後の過年度分、昭和三十三年度あるいは三十二年度、三十一年度分の主として政府の更正決定による増差税額、こういうふうに思うのですが、そうじゃないのですか。
○塩崎説明員 昭和三十四年分の課税見込みがどうなるかということにつきましては十二ページ、十三ページとあわせて見ていただきますと、現行法におきましては、十二ページに「営業」「農業」「その他事業」「その他」といたしまして、全部表われておるわけであります。そのうち本年度課税になるものがどの程度かといいますと、十三ページの前段にありまして、「翌年度への繰越課税見込額」、それが一番右の欄に五十三億八千万円となっております。改正法につきましては、十四ページ、十五ページに同じような格好でその点が示してございます。
○山本小委員長 今聞いておる意味は、過年度の税収額というのは主として更正決定によってやったものと認めていいか悪いか、この質問なんです。それに対してはどうですか。
○北島政府委員 これは調査課長が参りましたので、具体的に説明してくれると思いますが、私の考えでは、これはとても過年度分の更正決定だけではございません。おそらくは三月十五日までにすべきものを期限後の四月に申告しますと、次の年度の歳入になりますから、そういうものも一切がっさい入ったものと考えておりますが、詳細は調査課長から答弁をいたします。
○奧村小委員 調整課長の答弁はまた別の機会にいたしまして、それでは聞き方を変えます。直税部長、あなたの先ほどの御答弁では、昭和三十、三十一、三十二年度における所得税の更正決定による増差税額が十億とか十五億とかという話でしたが、それは間違いがないですか。
○金子説明員 間違いがございません。ただ査察関係のものなどは別でございますが、十億なり十五億ですか、先ほど申し上げた数字は間違いがございません。
○奧村小委員 もう一ぺん繰り返して下さい。
○金子説明員 三十年分が九億二千九百万、三十一年分が十五億七千万、それから三十二年分が十一億八千四百万、これが調査査察部所管、税務署所管の申告納税のものの更正決定による増差税額でございます。
○奧村小委員 そのほかに調査査察部の査察による更正決定額……。
○金子説明員 査察部も全部入っております。
○奧村小委員 そうしますと、過年度分に対する徴収決定額の百六十六億を見込んでおるうちの国の更正決定による部分が十一億、そのほかは何による部分ですか。
○塩崎説明員 調査課長がちょっとつなぎがうまくつきませんので、簡単に内訳だけを申し上げます。百六十六億の内訳は、この三十三年度繰り越し見込額が四十一億四千二百万円、徴収猶予見込額が四十億でございます。それから三十三年八月以降分四十五億円、それから三十二年以前の徴収決定はここに出て参りまして四十億、計百六十六億四千二百万円、かようになっております。
○奧村小委員 われわれが想像したよりも更正決定による増差税額というものははなはだ僅少だということがわかりました。しかし、調査査察による増差税額も含めて総額で十一億というのは、これは何か間違いじゃないですか。そんなら、これは何も査察をして無理に税収を上げなければならぬこともないと思います。これは資料が違っておるのじゃないですか。どうも、更正決定による増差税額が総額で十一億なんて、そんなことは常識で判断できぬ。部長の資料が何か間違うておらぬですか。
○金子説明員 大体資料は正確だと思いますが、なお査察による増差税額を申しますと、先ほど申しました三十二年分の十一億の中には、約二億七千万ばかりの査察の結果による増差税額が入っております。
○奧村小委員 わかりました。それでは一つ法人の方の更正決定による増差税額、これは同じく三十年、三十一年、三十二年、査察も含めての増差税額をお尋ねいたします。
○金子説明員 法人の方を申し上げます。三十年度におきましては三百二億、三十一年度におきましては二百六十六億、それから三十二年度におきましては三百九十四億、大体以上の通りであります。
○奧村小委員 法人の更正はかなり大きいのですが、個人の更正は少い。実は私は更正による増差税額が多かろうかと思って、私の質問の中心にして参った当てが違ったということです。しかしこれはまだ突っ込んでお尋ねしてみないとわからぬ。というのは、更正決定すべきものを話し合いで修正申告に切りかえておられるということがずいぶんあるので、増差税額が少いからそれで安心というわけにはいきませんから、やはり既定の方針によって更正決定をじわじわとやっていきます。 資料が整っておりませんから、順番を変更いたしまして、まず三番目の青色申告納税者に対する更正決定取扱いの実績についてお尋ねいたしたいと思います。主として東京国税局長を相手取って小石川税務署管内の鵜殿何がしという人の訴訟事件についてお尋ねしたいのですが、その前に、この種の訴訟事件が各地に起って、しかもこれが政府の方が違法なりとして負けておる。私どもで調べただけでも、京都、奈良の裁判所で昨年の十月にやられておるし、広島の裁判所で同じく去年の十月。そのほかいろいろありますが、ごく最近においては、今これからお尋ねしようとする小石川税務署管内の鵜殿何がしという人が訴訟いたしまして、ごく最近ついに裁判所において政府の処置が違法なりとして無効の判決が下っております。そこで、たびたびこういうことが起って、政府のやったことが無効なりとされておるならば、もっときょうまでに政府は反省して、こういうやり方を改めねばならぬのに、同じことを何べんも繰り返すということは、政府はあくまでも政府のやったことは正しいんだということで、がんこに突っ張っておるような態度が現われておる。それから、これは再審査の決定に関係してくるので、再審査、再調査の手続を踏んでおるにもかかわらず、税務署のやったことは頭から正しいんだというので、十分再審査もせずに、再審査の理由も明確にせずにやっておる。こうなると、大蔵省はもう本庁から局から税務署の末端に至るまで、がんこに大蔵省のやり方を張り通しておるとすれば、これは一事件じゃない。全国的にこういう傾向があるんじゃないか、こういうふうに考えられますので、小委員会において特にこの問題に重点を置いてお尋ねを申し上げる次第であります。 そこで、まず小石川税務署の鵜殿何がしについての問題ですが、お尋ねに入る前に、ちょっと私は失礼ですが一言長官に申し上げておきます。私どもの審査のために十分な資料をお出し願いたいということを、かねてからたび方び長官にお願いしてあったのですが、政府の方からお出しになったのは判決理由書くらいなもので、ほんとうの実情のわかるような資料は何ら今日までお出し願っておらぬ。そこで、われわれ、やむを得ず納税者の出した審査請求の理由書とか、その他手を尽して調べた。それでは本委員会の審査に大蔵省として、国税庁として十分御協力願ったことにはならぬ。われわれも何もただ政府をいじめるのを手柄に思っておるのではないので、何とか法律に基いて妥当なやり方を考えていただきたいというのですから、もう少し資料をお出しいただきたい。それもない資料ならですが、審査請求の理由書というようなものは、国税庁にあることはもうしろうとでもわかっておる。それをお出し下さいということを重ねてお願いしておるのに、今日までとうとう出して下さらぬ。仕方なし私は納税者からもらいましたがね。だから、今後の審議についてはどうぞ御協力をお願いしておきます。
○山本小委員長 資料は一つよく出して下さい。あなたの方でも、ほしいものをこういう資料、こういう資料ということを言っていただいて、それを整えるようにして下さい。
○奧村小委員 そこで、私のお尋ねしたいのは、裁判において無効の判決が下ったことについての事情を調べる前に、なぜこういうことが起ったかという以前の、税務官吏の調査のやり方から一つ調べていった方がいい。そして全般的に今の税務官吏の所得調査のやり方を頭に置いてもらいたい、こういうわけです。そこで、鵜殿何がしの審査請求の理由、東京国税局篠川局長にあてた理由書を読んでみますと、青色申告の納税者でありますが、この所得調査に五月二十七日に渡辺係官殿が来店し、店先で四、五分間、つまり四分間か五分間ちょっとお聞きになった。それから、第二回目は七月十一日に宮本係官殿がお越しになって、これは午後二時ごろから夕方まで御調査を受けました。私は常々青色の誠実記張を念として毎日記帳していましたので、すっかり帳簿をごらんにいれた。その係官は、調査の最後に、どうも差益が他店より少いと言われましたが、具体的に帳簿のどこに不備があるかは指摘されませんでした。そして、係官殿は、私の店からお帰りになるときに際して、翌日印鑑を持ってきなさいと言った。そこで翌日出頭したところ、税務署の調査では十万円くらい所得漏れがあるが、修正申告の意思がありますかと尋ねられましたが、私はその意思のないことを御返事いたしました。それで結局更正決定でもって十三万五千円と決定してきた、こういうことです。これは審査請求の理由として書いてあるのですから、おそらくこの調査のやり方は事実に違いないと思うのです。そうすると、青色申告の帳簿に対して十分帳簿が記載してあるならば、最初あるいは二回目、決定までに御調査に行ったときに、この帳簿のどこに記載漏れがあるとか、この経費は事実に相違しているとか、帳簿に基いてお話がなければならぬと考えるが、帳簿に基いてのお話が全然ない。ただよその店と比べると利益率が少いから、十万円くらい出しなさい。そこで修正申告を相当勧められて、気の弱い者ならそこでおとなしく出すわけなんです。ところがそうはならなんだので、更正決定した、こういうわけです。そうしてみると、どうも、青色申告の納税者に対しても、白色の申告者と同じに、所得標準率で、見込みでぶっかけるやり方を一般的にしておられるような印象があるのでありますが、この点どうですか。
○金子説明員 今のケースでございますが、私ども東京国税局について報告を受けましたところでは、これは三十一年分の申告を三十二年の七月に調べております。調査に参りましたところが、この店はくつの小売と修理をやっているごく小さい店です。しかも現金売りが大部分である。いろいろ調べましたところが、やはり現金脱漏が相当見受けられるというのです。調査に行った日も三千三百円ばかり抜けておったというようなことでありましたので、その店で取り扱っておる十九の品目につきまして加重平均をいたしまして、どの品物へどのくらいウエートがあるかという加重平均をやってみまして、仕入れ量によって正札と購入価格の差を見まして、加重平均した差益率を見てみますと、大体二六%程度になる。それでかけてみると、今お話しのように申告は三十万円ばかり出ておったのですが、約四十四万円程度の所得が出てこなければならぬ。仕入れとかあるいは経費は向うのをそのままのんで、結局差益率で見ていくとそれくらい出てくるのだ。しかもそれは税務署で持っている標準率というようなものではございませんで、その店の品物について、個々の商品についての差益率を具体的に出してみてこういうことになるので、これはおかしいじゃないですかということで修正申告を求めた。しかし、その結果は修正を出していただけなかったので、更正をやりました。こういうことでございまして、多少先生危惧なさっていらしゃる、青色申告についても一般に標準率でそのまま更正決定をやっておるのではないかということは、このケースにつきましては全然ございませんし、また青色申告一般につきましても、今のような標準率なり高率で全面的に最終的な所得を出させるということは私どもやる意図もございませんし、また各税務署でもやっておらないかと思います。ただ、実際問題として、申告がいいか悪いかを見ました場合に、あるいは一つの目安として標準率式なものでこの店は案外少いなという場合はありましょうが、しかし、それぞれの特殊な事情がありましょうから、そういう事情を御説明いただけば、申告がかりに低くても、なるほどそういうことで特別の経費が要ったのか、あるいは売り上げが少かったのかということで、税務署も納得いたしているはずでございます。
○奧村小委員 当委員会は、われわれ専門的にこういうことを研究しておるのだから、青色申告納税者に対する更正決定などの調査のやり方は非常にむずかしいので、もしかりに私が税務官吏であっても困難だ。特に人員の手不足の際に、これは困難ということはわかっている。しかし、何とか法律の精神通りにうまく青色を育成していかにゃいかぬという立場から、どの程度までできるのかということで、これは相談すくの話ですから、政府のあらを無理に探そうというのではないから、局にしたってこういう問題でたびたび会合を開いて知恵をしぼっておられるのだから、そう他人行儀でなしに、われわれも率直に実情を聞かしてもらえば、できぬことはできぬでわかる。 そこで、今の御答弁で引き下るのではわれわれの役目が勤まらぬのでお尋ねする。というのは、青色申告というものを今後とも政府は指導奨励していこうとするのか。青色はもうここらで一つ方向変換してあまりふやしちゃ困るというのか。青色申告の指導に対す政府の方針も私は分岐点に来ているのではないかという気持も持っているので、そこまで踏み込んで考えてみたい。ちょっと参考にお聞きしますが、新得税の納税申告者の中で、青色申告者の歩合、それから法人税の青色申告の現在の歩合を承わります。
○金子説明員 所得税につきましては、大体半分以上が青色申告と申していいと思います。それから法人につきましては七五%が大体青色申告でございます。
○奧村小委員 大体今のところ、過去三年の実績を見ると、年に二万ないし三万ぐらい青申告者がふえてきているように思うし、それから年に一万ぐらい青色を取り消しているというふうに国税庁の年報を見ると書かれているのですが、大体そういう傾向ですか。
○金子説明員 最近の数字はお話の通りでございます。法人につきましては大体限度一ぱいにきたのではないか。それから、白色につきましても、私どもは、できるだけ、質的にいいものあるいはあくまで入りたいというお気持のある方、この方の青色は極力数をふやしていきたいという気持でやっているのですが、やはり帳簿をつけなければならぬという前提がございますので、五割のものが七割になり八割になるというわけには参りませんけれども、毎年着実に伸びております。
○奧村小委員 法人の場合は七五%も青色ということであれば、法人といっても、いわゆる名前だけで実体のない法人もかなりあるのだから、ほとんど大部分の法人は青色申告をしている、こういうことになりますが、事実そうなんですか。
○金子説明員 お話の通りでございます。
○奧村小委員 そうすれば、この青色申告に対する政府の更正決定のやり方は、政府の税務行政の中の非常に重大な部分になると思う。そこで、青色申告をお勧めになる理由としては、青色申告の帳簿、納税者の帳簿を政府が信頼いたします。青色申告を取り消さない以上は、あなた方の帳簿を信頼いたします。もし更正決定いたしますならば、あなた方の帳簿の誤まりを具体的に指摘して、それによって更正決定をいたしますから、あなた方も御安心です。こう言って青色を勧めてこられた。そういう趣旨であり、また法律もそういう趣旨で書いてあるとすれば、法人と言わず、個人と言わず、その青色申告者の帳簿に基いて、売り上げが漏れておれば幾ら漏れている、この分が漏れている、あるいは支出においては、帳簿に記載してあるやつで、これはこの中で書く記載だ、こういうのが実際のやり方ではなかろうか。ただいまの御答弁では、何か平均しての収益率がどうとかこうとか言われるが、そういうものをはじき出す根拠はやはり帳簿に基かなければいかぬですね。そういうことが建前で、あくまでも帳簿に基かなければいかぬ。そこで、御答弁がそこへいくとなかなか引き出しにくいから、もっと突っ込んで言いますと、青色の帳簿について増差税額を出そう、更正決定をやろうとすれば、よほどの税務官吏で帳簿を見抜くだけの力がある人でなければなかなかできない。税務官吏全体にそういう優秀な帳簿をよく見抜くような人を求めようということは、これは無理なんで、無理なことは私はよくわかるのです。そして、それなら、一つこの制度をもう少し何とかやり方を変えるというならわかる。けれども、法律をこのままにし、納税者にもそういうことを呼びかけておきながら、実際はそういうことはできぬということなら、これはごまかしになるから、そこを明らかにしていただきたい。 巷間伝うるところによると、青色になれますと、失礼ですが、青色の方が脱税が楽である。それは売り上げから毎日かりに五百円ずつピンはねしておけば、これは絶対にひっかからぬといえるでしょう。そういうふうなことも私はかなりあり得ると思うのです。しかし、それを税務官吏がどう捕捉するのか。これは神様でない限りできぬ。毎晩張り込みをしておったって、それは店の中でやっておることをつかまえることはできぬ。そこに税務官吏の苦しみがあるのだから、そう法律通りにいかぬことはわかっておる。いかぬことはわかっておるのだが、趣旨としては、ここに記載漏れがある、ここに架空の仕入れがあるということを具体的に帳簿に基いてしなければならぬのだが、その方針通りにやっていかれますか、いきますか。
○金子説明員 青色申告の納税者の帳簿の調査のやり方が非常にむずかしい点はお話の通りであります。建前として、一応帳簿がすっかり整っておる青色申告者につきましては、これはあくまで一々帳簿をチェックして、あるいはトレースして不備な点をはっきりつかんで、これはあなたはここが間違っておりますというように、これは更正の理由の付記に具体的個所あるいは金額をはっきり書いてやれるわけなんですけれども、今先生からお話しの現金の多いもの、これにつきましては、やはり毎日ついていても、実際脱漏がございました場合にあるいはわからぬかもしれません。そういう場合に、先ほど申しましたような一般的な標準率がございませんので、そこにある品物の実際につきまして差益をはじき出していく。大体個々にある品物についてはみなこの程度はあるはずじゃないか、あなたのこの記帳も、現に現金が記帳してあるし、これくらいあったでしょうと言って説明を求めるのは、私は税務署のやり方としては正攻法ではないかと思うのです。そういった場合に、かりになるほどその通りですといって修正申告に応じて下されば、けっこうなんです。修正申告に応じられない、しかも帳簿全体を達観してみて明らかにおかしいというときには、やり方としては、あるいは青色申告を取り消して一般の差益率で更正をするというやり方もございましょうし、そのままにしておいて、現実の差益率があなたのところはこれくらいですから、これくらいはございますぞということで、更正をるるやり方もあろうかと思います。
○山本小委員長 ちょっと。あなたの話は根本的な重大な点だと思いますが、国税庁あるいは大蔵省としても、詰問する、それに対して言いのがれをするというふうな考えは全部抜きにして、どこにむずかしさがあるかといえば、これは非常に苦心しておるに違いないのですが、実際の所得をつかむということは非常にむずかしい。そこで、申告制度というものをとっておって、青色ですらも信用できない。いわんや白いやつは信用できない。信用できないという前提ならば、申告制度そのものに矛盾があるのではないかというふうなことも考えられるわけです。大体ごまかしておるのだというふうに一応大蔵省が判定しておるのかどうか。これも打ちとけたところですよ。それはみんなごまかしておるのだ、だから申告そのままをのむなんということはできない、そこで帳簿によってやらなければならぬということはよく知っているのだけれども、帳簿を一々見抜くということもなかなか時間的にもむずかしいし、そこで実際にこれだけの税をとるという目標で、そうして一般的にこれくらいもう増加したはずだというような率でもきめて、それで行って、個々具体的な場合に一人々々にぶつかっていったときには、調べるというのは原則だけれども、なかなか調べられぬ。そこで、およそ二割とか三割とかいうことで、これで押してみて、それでへこたれれば済ます、がんばってきたときには、また今の品物まで調べていろいろやってみるというようなことが実相じゃないか。そうだとすると、どうしたら申告なら申告を正確にやらすことができるか、あるいは青色申告なら青色申告だけでも間違えないようにやらせられることができるかということを、私は現場の人に考えてほしいということなんです。結局、この間の今取り上げられた裁判の問題でも、新聞で見ると、更正決定の理由のところに納得いくだけの理由を書いてない、こういうことなんですね。中には理由というところを一字も書かないで更正決定をしたのも事実ある。それから、更正決定しておるのも、ただ記載漏れだと書いてある。どこの記載漏れやら何もわからぬ。ただどこそこにちょっとでも記載漏れがあれば、たとえば十円の記載漏れがあっても、十万円くらいお前のところは多いだろうというふうなことを実際やっておるのじゃないか。十万円の記載漏れがあったから……。
○奧村小委員 委員長、私の質問を先取りしてしまうと、こっちは種切れになります。
○山本小委員長 それならあなたにやってもらうが、私は、そこの言いのがれなんということを全然抜きにして、実際困って、こういうわけで実際はこうやっています。これより仕方がないのです。もしそれがいかぬのなら、もっと根本的に法律を変えてもらわなければならぬし、変えるとすれば、こういうふうにしてもらえば、また実際の経験からよかろう、というような点を話してほしいのです。
○北島政府委員 これは青色申告制度の根本につながる問題でございまして、非常に大きな問題でございますので、私の気持を率直に申し上げたいと存じます。所得税法、法人税法ができまして、申告納税制度を採用したわけでございます。その趣旨は、納税者どいうのはお上から賦課せられて納めろというのじゃなくて、いわば自己賦課で、自分でもって誠実に所得を計算して申告するのが建前だということでできたわけでございます。理想としては非常に私はいい制度だと思っております。そこで、しかし幾ら誠実な申告をするといっても、もとはやっぱり帳簿でございますから、帳簿を正しくつけて、そうしてそれにのっとって税法により正しい申告をしてもらうということを考えた。それには、帳簿の記帳を奨励するという意味で、青色申告という制度を設けまして、これに特典を付与した、こういうことでございます。そこで、税法の趣旨といたしましては、ほんとうに納税者の方々が誠実にありのままを書かれるべきだということを前提としておるのでありまして、もしそうでない場合には青色申告には値しないということで、青色申告などの取り消しなどをするという建前になっております。そういう建前から申しますと、理由の付記などにしましても、非常に理由がよくわかるのであります。青色申告者につきましては、更正をする場合には、原則として、帳簿書類を調査した上で、所得の計算に誤まりがあることを発見した場合に限って更正できるということをいっております。これは、たとえば、誠実に書いておりましても、税法上経費と認められないものを経費とあげたり何かした場合を想定して、そうしてその場合にこれは経費じゃないじゃないかという理由を指摘して更正するという建前じゃないか、こう考えているのです。ところが、青色申告制度ができましてすでに九年になりますが、実際に状態を申しまして、これはほんとうに納税者の方が、全部そのまま、ありのまま書いていらっしゃるという方ももちろんあると思いますが、そうでない場合がやはり相当多い。しかし、申告納税制度の趣旨、青色申告制度の趣旨にのっとって、国税庁としては、やはりできるだけ納税者をそういう方に持っていって、言葉は悪いですが、納税者にできるだけ誠実な帳簿を記帳していただく、こういう意味におきまして、青色申告制度というものは、やはり現実の姿においては相当妥協していかなければならぬ。相当実際の法の要求する要件よりも隔たっておる、それに備えてない場合におきましても、この方は将来やはり青色申告で正しい申告をされる方だというならば、やはり、言葉は悪いですが、指導的に考えて、青色申告として残して、そうしてだんだん誠実な記帳をしていただきたい、こういう工合に考えているわけでございまして、実際の面におきまして、俗な言葉ですが、青色申告でなくて灰色申告だという言葉が相当実際に使われております。それから、青色申告者におきましても、青色申告になればかえって脱税が楽だというような、先ほどの奧村先生のお話のように日銭を抜いてやる、その場合に、税務官吏が行って、帳簿を書いていませんし、帳簿を指摘してもなかなかできないという問題になるわけであります。そういう点に実は根本の問題がある。税法には、青色申告というのはかくあるべしという理想の姿を描いて、そうして理想に近づく手段として、それに基いての規定がしてある。ところが現実の姿においてはなかなかその理想には遠い。国税庁としては、現実の姿を見て納税者の方に協議をなさって、そうしてだんだんに手をとって正しい方にいこうじゃないか、こういうことで参ったのが青色申告制度の今までの発展の姿だと思います。そこで、この数年前、さきに平田長官のときあたりに非常に奨励されまして、青色申告の数が非常にふえた。ところが、実際税務署なり国税局なりが帳簿について見ますと、やはり青色申告にふさわしくない方が相当ある。実は、それではやはり本来の申告納税の趣旨、青色申告の制度にもとるものでありますから、この際一応、質的向上をはかる意味において、青色申告にもとることはなはだしい方は、やはり取り消しも相当していかなければならぬじゃないかというのが、この二、三年の現実ということになっております。私も、この青色申告者について更正の理由を付託する点については、非常に法の趣旨はよくわかる。ところが、現実の姿においてどの程度までそれが許されておるか、どの程度までの理由の記載でいいものだろうかという点につきましては、今までの判決が私は必ずしも納得し切れないものがあるというふうに感じておるのであります。ただし、更正の理由につきましては、できるだけやはり納税者について具体的にわかりやすく書くのが当りまえでございます。昨年の下半期において、数地方において判決がございまして、国税当局が負けておりますが、裁判所の考えもよくわかりますので、できるだけそういう今後のトラブルを生じないように、いかにしたら裁判所を納得させるような更正の理由の付記になるかという点について非常に腐心しておるわけでありまして、先般の地方国税局長会議におきましても、その問題を重要な課題として取り上げて検討することにいたしておりました。
○奧村小委員 私は少し遠回しにお尋ねしたので焦点をはずれますので、今度は単刀直入にお尋ねしますが、昨年から本年にかけて、青色申告に対する更正決定の理由が不十分であるとして、無効の判決がたくさん出ておる。そこで、私どもは私どもで調べたが、国税御当局としては、これは重大な問題ですから、そういう無効の判決が出たのは、去年からことしにかけてどこどこがあるかということをまず伺いたい。
○北島政府委員 理由の付記に対するケースはいろいろありますが、東京高等裁判所で昨年の十一月二十九日に出ております。これはたしか青色申告の更正につきまして理由を全部書かなかった。白紙です。白紙のは、これはいかぬというのですが、ただ、先ほどお話がありましたように、青色申告の理由付記については、これは書かなければ無効だという意味ではなくて、瑕疵がある、行政行為だから取り消すべきだ——大よそ行政行為の中で理由を書けというようなことが各行政部にちょこちょこありますが、これについては、かりに理由を書かない場合に無効のものかどうか、取り消し得べきものかどうか、あるいはまた効力に影響がないものかどうか、いろいろ学説、判例一般の理由の付記の問題といたしまして、青色申告の場合だけでなく、まだいろいろ議論の分れておるところであります。ただいまの判決の東京高裁のは、全部白紙だった場合に、白紙では瑕疵があるから取り消せということであります。それから、昨年の五月二十九日に広島地方裁判所において判決がありまして、その内容を調査しております。
○奧村小委員 あとでそれでは資料で出して下さい。
○北島政府委員 かしこまりました。出しましょう。
○奧村小委員 大体概数で何件ほどありますか。
○北島政府委員 五件です。
○奧村小委員 これもきのうからちゃんと資料を請求してあるので、あとで一つお出しをいただきたい。 そこで、こういう判決に至るまでには、御承知の通り、再調査願いが出て、税務署内で再調査して、間違っておるかどうかということを反省なさっておるわけです。そうして、今度は国税局で再調査をやって、税務協議団の協議を経て、裁判にかかって、そうして無効の判決を受けたのでありますから、これはどうも非常なあやまちであるということになるわけであります。そこで、こういうことをたびたび無効の判決を受けたのでありますから、個々には納得のいかぬ点もありましょうが、この判決に対して国税当局は今後どうなさるか。そうして、これらの判決に対しては不服を申し立てて、上級裁判の方に控訴しておるのか、またもう一つ今度の鵜殿何がしの判決に対しては、これは不服を申し立てて控訴するのか、またあるいは反省すべきものは認めて反省するのか、これは青色申告に対する更正決定の税務行政上の非常に大きな局の方針ですから、お尋ねいたします。
○金子説明員 ただいまのお話でございますが、実はどの程度書けばいいかというその限界の問題が非常にむずかしいのでございます。先ほども長官よりお話がございましたように、考え方といたしましては、いろいろの……。
○奧村小委員 いや、お尋ねするのは、不服を申し立てるのか、あるいは局の方針を変えるのか。それだけですよ。
○金子説明員 相手方にある程度納得のいく、こういう理由で更正をいたしましたという程度を書けばいいのか、あるいは具体的にどの帳簿のどの部分にどれだけの漏れがあったと書かなければいかぬか、そこら辺の具体的な限界につきましては、いろいろやはり考え方があろうと思います。裁判所も、大体において、従来出ております判決では、納税者に一応わかる程度の理由を書けばいいんだという判決を出しておるわけであります。今度の東京地裁の判決におきましては、今の具体的に調査した差益率によって計算すると、所得金額には間違いがございます、こういう書き方をした場合の差益率ということの具体的説明ですね。どういうふうな調査をやったか。十九品目についてですよ。加重平均を求めて差益率を出しましたその結果、これこれしかじかの……。
○奧村小委員 私の尋ねたことに対して要点だけ答えて下さい。私の言うのは、不服を申し立てたのか、あるいは今度の事件について不服を申し立てるのか。それだけですよ。
○金子説明員 不服を申し立てます。
○奧村小委員 それから、過去の五つの案件については、不服を申し立てておるのですか。
○金子説明員 白紙で出したというのは、これはおかしいと思いますので、不服申し立てをいたしておりません。今のケースですね。限界点が非常にわれわれの考え方とそれから裁判所の見方と違っておるものにつきましては、一応はっきりした線が出るまで争いたい、こういう気持でおります。
○奧村小委員 そうしますと、今の国税庁の御方針としては、従来の青色申告に対する更正決定のやり方、またこれに対する理由の付記は、従来通りのやり方で間違いないんだ。従ってこれに対してこの判決に不服を申し立てるんでしょう。そうじゃないんですか。私の聞くのは、国税局の方で反省する事情はないのかどうかということです。
○金子説明員 先ほど私その経過を一応説明しようと思ったのですが、結論だけ申せということでございましたから、結論だけ申したのです。白紙でやるとか、単なる売り上げ脱漏がございましたというだけの理由では、私はやはり理由にならぬと思います。相手方が一応納得できる具体的な理由あるいは金額をやはり書くべきだろうと思います。さような意味合いにおきまして、昨年末の直税部長会議におきましても、こまかく説明をしております。でございますので、先生御心配のように、従来のようなやり方で、これまでと同じような調子で今後もいくのかという点につきましては、極力詳細に相手方の納得のいくように理由を書くように指導いたしております。ただ、このケースにつきましては、表現が多少まずい点もあるのかもしれないのですが、一応相手方も、かくかくしかじかのやり方によってこの差益率を求めたんだということがわかっておりますので、相手方も金額がこういったやり方によってこの程度の差が出たということはわかっていなければならぬと思うのです。そこら辺の裁判所の考え方と税務当局の考え方が若干食い違っておる、あるいは非常に食い違っているといっていいのかもしれませんが、その点は訴訟によってはっきりいたしたい、こういうわけでございます。
○奧村小委員 私は、こういう問題はあくまでも具体的にはっきり突き詰めて御答弁を求めなければいかぬ。これは全国の関係者が非常に注目しておるのですからね。そこで、私どもは、一方、法律を作るんですから、現行法がまずいということであれば、今所得税法、法人税法の改正案が出ておるんだから、あすにでも改正しますよ。そこで、この現行法のあの規定で、納税者の帳簿を調べ、計算に誤まりのある場合は、その理由を指摘してと、この法文に照らしていけば、私は今度の二月のこの鵜殿何がしに対する裁判所の決定が正しいんだ、こういうふうに私は考えます。それで、あんまり話の焦点をぼかしちゃいかぬから、それではこの鵜殿何がしのこの判決について、国税庁の考えとわれわれの考えとを一つ一ぺん照らし合せていきたいと思うのであります。そこで、その前に、この再審査がまたでたらめな——私はこれは明らかにでたらめだと思うのですな。この再審査のやり方の理由の説明が、これまた非常に不親切、あいまい、従って法律的にも不当である、こういうように思うのです。つまり訴訟の一番の根本になっておるのは、更正決定の理由として、「売買差益率検討の結果、記帳額低調につき、調査差益率により基本金額修正、所得金額更正す」これでは、納税者としては理解ができない、また法律の規定にももとる、こういうことで、これが訴訟になっておるのでしょう。そうして、売買差益率というのは、これは国税庁の中あるいは税務当局の方の言葉であって、納税者には売買差益率ということはわからぬ。また記帳額低調につきの「記帳額低調」というのは、これはどういう意味ですか。これはわれわれもわからぬです。また「調査差益率」という率は何ですか。それから「基本金額」とあるが、私は税法上の言葉はかなり勉強したが、この基本金額修正という基本金額というのは、税法上どっかにあるのですか。これがわからぬので、違法なりと裁判所が言うてきているのですな。これをまた、再調査では、これでいいのだ。今度は再審査に持っていったら、税務協議団で協議しながら、なおかつこれはもう昔からこの通りやっておるのだから、これでいいのだ。だからこの再審査の理由についても、これは違法なんです。だからどうですか。あなた方はこれでいいと抗弁して言えますか。
○金子説明員 御指摘のように、この理由の書き方は、確かに、あまりに税務署の専門的な言葉を使い過ぎて、ぴったりこない点があろうかとも思います。ただ、相手方に対しましては、あなたのところの売り上げなりあるいは仕入れの状況あるいは所得の状況、この数字をにらみ合せてみると、どうもやはり記帳漏れがあるじゃございませんか。それで、実際に現実の品物、現実の値段について調べてみますと、これくらいの売り上げがあったはずだ。だから従って所得もこういうふうになりますと、まあ平たくいえばそういう言葉を、こういう表現で、まあ非常にかたい言葉で書いちゃったのだろうと思うのでありますが、この調査を受けた方は、あるいはやはりこの程度の書き方でもわかったのじゃないかというふうにも私ども考えられます。ただ、この文句だけを見ますと、奥村先生も御指摘のように、もう少し相手方にわかりやすい言葉でやった方がいいなあという感じはするのでありますが、しからば、それじゃ毎日の特に現金の売買の多いものにつきまして、いつ幾ら受け取りました、いつ幾ら受け取りましたというような言葉で書くことは、とうてい、今日の税務官吏の能力、あるいは青色申告者の数からいいまして、これは煩にたえないところでございまして、結局どの程度具体的に書けば法定の要件を満たすのか、そこら辺のあれがやはりむずかしい問題だろうと思います。更正決定は、裁判所の判決等とは違います。あるいは訴願の裁決とは違いますので、非常にこまかく一々事実をあげる必要はないかとも思うのでありますが、まあ、しいていえば、もう少し親切に、あるいは具体例をあげて、こういう点で全体においてあなたの所得金額は過小でありましたということを書いた方がよかったんじゃないかという気持はいたします。
○奧村小委員 もうすでに裁判所で、こういうやり方は違法なんだといって判決が下ったんですよ。税務当局のやったことは違法なんだといって判決が下ったのだから、要するに、私の言うように、こういう更正決定の理由ではだめなんだということの判決がきまった。それにもかかわらず、それは不服なんだというのだから、一たんきまった判決をはね返すほどの、それだけの理由がなければならぬ。その理由が今の御答弁では何も理由にならぬ。まるでえこじに争っておるだけで、私に言わせれば、もうここらで国税庁長官も、この現行法の規定では税務行政上実際はやれません、この法律規定を改正してもらいたい、こういって主税当局からこの国会に法律改正を提案するのが、民主的なやり方です。だから、その意味で、私はもう少し率直な御答弁の出るまではもっと突っ込んでいきます。 それじゃ、基本金額というのは何ですか。私も税務行政で初めて読んだんですが、これは何であるか。しかもこれは修正するというのですが、修正するなら幾らに修正するという、これはすべて具体的金額を書かなければ納税者は納得できぬ。それは金額を書かなくてもいいというのですか。
○金子説明員 基本金額というのはおそらく売り上げのことをいっておるのだと思います。
○奧村小委員 売り上げならなぜ売り上げと書かぬ。裁判で争いになったことをここでどちらが正しいかということをきわめようというのだから、もっとはっきり——基本金額というのは売り上げ金額のことですか。そういう税法上の解釈はどの通達、どの規定によるのですか。
○金子説明員 税法には別に基本金額ということは書いておりませんが、何十年かの間、税務で基本といえば売り上げ収入、それから所得といえばそれから経費を引いたものだ、こういうことで税務官吏の頭はすぐわかる。即収入というふうに結びついておりますので、そういう気持で納税者に対しても説明しておる場合が多いのでございます。おそらくこの場合は相手方もおわかりだろうという気持で基本金額という言葉を率直に使ったのだ、こういうふうに感じます。
○奧村小委員 そうしますと、基本金額というのは所得金額のことなんですか。
○金子説明員 収入です。
○奧村小委員 収入金額ですか。それはわかりました。そうしますと、これが基本金額ではわからぬということで再調査願いをした。それから再審査をやった。その過程において、なぜそれなら基本金額は収入金額をさすのだ、しかもこれは修正するというのだから、幾らに修正するのだ、そのくらいの親切をなぜやれなかったか。われわれの疑うのは、そういう具体的な数字がないから、それでぼかしてある。そのぼかしたことでは青色申告の更正決定の理由にはならぬじゃないか。そこです。
○金子説明員 再調査審査の段階におきましては、争いのポイントは所得金額が幾らかという点にポイントが置かれたわけでございます。従いまして、標準的な差益率で更正したのじゃなくて、実地について調べてやったのだということを理由にも簡単に付記してあるわけでございまして、この理由の付記の取り上げられましたのは、訴訟で初めて取り上げられたというような経緯がございますので、その点は御了承いただきます。
○奧村小委員 そこで、今度は裁判の方へ入っていきますが、裁判において、今度は国が、大蔵省の方が被告になったのですね。被告の弁明、理由というのが、これがまたずいぶんむちゃなことをいっておるように思うのです。というのは、つまり今度の鵜殿何がしの訴訟は、更正または審査決定の課税標準額及び税額に不服があるのじゃないのだ。その他の点についての不服があるのだ。つまり更正決定の理由が明確でないからという不服なんだから、従って理由を明らかにしてもしなくとも課税は変らぬのだから、法律上の効果は変らぬのだから、そういう訴訟は不適法である——なるほどこれも理屈になるかしらぬが、それでは国のなすべき——訴訟のねらいは、更正決定に対しては法律上明記してある理由をつけなければならぬというのです。その理由がつけてないから無効なんだという訴訟をやっておるのに、その国のなすべき理由づけを明らかにせずに、納税者はそんなことを訴訟したところで税額に変りはないのだから訴訟は無効である。これは裁判ではそれは理屈になるのかもしらぬが、一般納税者にこんなことを聞かしたのではとても納得がいかぬのですが、この訴訟に対する大蔵省の弁駁の理由というものはそれなんですか。
○金子説明員 あとの方にも出て参りますように、理由の付記については、一応の見解を述べておりますが、訴訟の攻撃防御の手段といたしまして、実は、本件につきまして私の了承しておりますところでは、御本人は所得なり税額自体については争われておられかい。これは確かに現金で受け取ったどいうことを言っておられますので、形式的に理由の付記が非常にこまかく書いてない、親切さに非常に欠けるのではないかという争いに対して、こちらしては、あなたはそう形式的なことをおっしゃるけれども、所得なり税額についてはお争いにならないのだから、これはいいじゃないですかという一広の主張をこの第一段においてやっておるのだと思います。
○奧村小委員 第一段のなにはわかりました。要するに、理由は何であれ、税額はきまっておるのだから、納税者には変りはないじゃないか、こういうことです。そこで、裁判所がこれに対してこういう反論を加えております。というのは、裁判所としても理由が問題であるからして、もしその理由が明らかでなければ、もっと理由を詳しくつけて納税者を納得させればいいのに、当初の理由一点ばりで、何ら納税者を納得さしておらぬというところに、裁判所の判決がある。そこで、これほど再調査、再審査の議を経ておるのでありますから、青色申告の納税者に帳簿に基いてそれほどお調べになったのなら“こういう水くさい更正理由のほかに、再調査、再審査の経過において、もっと具体的に、売上金額は幾ら落ちております、経費は幾ら余分でありますということを、なぜ言ってやらなかったか。言ってやらないということは、何も調査をせずに見込みでかけたということになる。その行為がなぜできなかったか。ここが私はこの問題の一番の根本であると思う。初めからしまいまで、これは昔からやっておる通りだといって、がんこに押し通したやり方はどうですか。それなら、再調査も再審査も要らぬ。しかもこれは判決で負けておるのですよ。にもかかわらず、大蔵省、国税庁は反省する必要はないというのかどうですか。
○金子説明員 先ほども申し上げましたように、これが一般の標準率をぶっかけて更正したというなら、これはいかぬにきまっておるのでありますが、言葉が若干足りなかったにいたしましても、調査を税務署でいたしました。その差益率でこの売上金が脱漏しておるということを認めて、所得を更正いたしました。こういう程度のことで、一応相手方にも納得してもらえるのじゃないかという気持がございます。これは白紙ならもう全然問題にならぬだろうと思いますし、あるいはまた売り上げの計上漏れとかあるいは経費が過大というような項目だけを掲げて、それで更正の理由だということでは、納税者も具体的に一体どこの点が実際問題として違っておるのかわからぬという問題がございます。しかし、この場合におきましては個々の商品について差益を調べておりますから、相手方もある程度わかっておるし、またこの書き方の問題もございます。先生の御指摘のような点はございますが、一応調査いたしまして、その差益率でやったものがかくかくしかじかでございますということを言っておりますので、法律問題といたしましても、私はやはりこれはぎりぎりのところじゃないか。行政の問題としてもっと具体的に丁寧に親切に書いたらいいじゃないか。これは行政の問題としてあります。ただ法律的に一体どこまで要求されておるかということは、これはやはり裁判所には裁判所の考え方もございましょうし、またこちらはこちらの考え方がございましょう。やはりそこら辺が非常にむずかしいところじゃないかと思います。行政的に措置する点につきましては、すでに昨年こまかく指示いたしておりますが、しかしこの程度の理由の付記でいかぬとなると、これは今後も私どもの仕事のやり方としては相当やりにくい点が出てくるのじゃないかというふうに考えております。
○奧村小委員 もうこれ以上は水かけ論になりますが、私は、裁判所のこの去年以来の幾つもの判決でいくと、今の御答弁のような理由づけでは法律上無効なんだ、こう裁判所は出ておるので、国税庁としてはそれをすなおに受けて——しかし、今の税務行政の能力からいったら、そんな裁判所の判決のような、具体的に一々帳簿に基いてでなければできぬという現行法の規定では、とても国税庁の仕事はやれません、もう少し法律の規定を変えてもらいたいと、国税庁長官が主税局に申し出るべきはずのものなんだ。それが私の一番の論点ですが、長官はそこまではまだ踏み切れぬというのですから、これはきょう踏み切ってもらうわけにはいくまいから、もう一日待ちます。 そこで、もう一つ、これは納税者鵜殿さんから国税局長にあてた再審査の請求の理由書にはっきり書いてあるのですよ。こんな訴訟になるまでに、これは穏やかに出ておるのです。棄却決定の通知をいただいた——つまり再調査の際に棄却したということで、それで異議を申し立てるために税務署に行ったところ、青色申告の係長に会うた。そしてその理由を一つぜひ聞かしてくれと言うたところが、青色申告の係長が、「具体的な理由はいうわけにゆかない通知書に書く文言は極まっていて、あの文言で承知して貰うほかない。」、これが審査請求の中に書いてあるのだから、少くともこういうことは長官お読みになったでしょうな。お読みになったら、これは係長は間違うておるなら間違うておるで直さなければならぬ。審査請求といえば私は相当重大な書類と思うのですが、どうですか。これは結局お読みになったかならぬか知らぬが、全体をはねつけて、通り一ぺんの審査の理由をお出しになった。どうですか。
○北島政府委員 私は率直に申しまして審査請求書を読んでおりません。それから、本件につきまして、ただいま直税部長がるる申し述べましたが、私どもの考え方は、最近数件において、あるいは全然理由を書かないで、単に仮払金幾らと書いただけで、今度のような事例の場合員けておりますが、しかしこれを反省する必要ないというのじゃ全然ございません。現に、先ほど申しましたように、直税部長会議におきまして、今後重大な問題になるので一つ十分検討して、少くとも今までのような白紙とか単に仮払金幾ら、売り上げ脱漏幾らということでなく、もう少し書くようにと指違いたしております。しかし、本件の場合について申しますと、私は、裁判官があるいはこの税務署の署長の書いた意味が理解できなかった、あるいはさらに申しますと、わが方の弁護の仕方が足りなかったのじゃないかと思われる節があるのです。と申しますのは、この判決の中で、「右記載は単に更正した理由の結論を概括的に提示したにすぎないというべきでその説明に具体性を欠き」、ここまではいいのですが、「(差益率がいかにして作成されたものか、本件についてそれによることがどうして正当かは全然分らない。)」こう書いてあります。こういうところから推断いたしますと、どうも私の方の弁護が十分でなかったせいか、調査差益率とか売買差益率というものは一般のものによったのだ、こんなふうに見ているのではないかと思うのです。ところが、実際調べますと、先ほど直税部長が申しましたように、実際十九品目について、それで全体の差益金額と経費はこれは正しいと認める、そして差益を計算したところが、この帳簿によればたしか二一%、ところが実際の十九品目について加重平均でもって算出すると二六%、しかもその当日において数千円の売り上げの脱漏があったというのがわかっておるのであります。こういうふうに調査いたしたのは正当だと思うのですが、その際に、おそらく、税務官庁側といたしまして、納税者との調査の際の応答からいって、この程度書けば足りるというふうに漫然と今までの考え方で役所のテクニカル・タームを使って書いてある。ここにやはり裁判官が本件の実態を把握し得なかった実情があるのではないかと思います。ところが、たとえば今奧村先生がおっしゃったことで、私も実際その通りと思ったのは、基本金額といいましても、税務官庁は収入金額というけれども、一般の方にはわからない。しかし納税者の方には話はわかるのですから、税務署はこう書いてある。この記載の理由を実際に翻訳いたしますと、こういうことになるのでございましょう。あなたの帳簿について調査いたしましたところ、差益金額は正しいと認めました。これによって帳簿の差益率を見ますと二一%だ。ところが当日にこれだけの売り上げ脱漏があり、しかもあなたの実際の十九品目について調査いたしますと、差益が二六%でございます。そうすると、年間を通じてこの程度の売り上げの脱漏があった、こういうふうに思います。それによって売上金額を修正いたしまして、所得金額を更正する。こういう翻訳なんですが、それがやはり非常に税務官吏がのみ込み過ぎておってこういう書き方をしたわけで、相手の納税者にもわかっておったのだろうと思っておったのだと思います。従いまして、一体どの程度書けば納税者にわかっていただけるか、こういう点につきまして、やはり客観的に一般にどの納税者にもわからなければいけないのか、あるいは具体的に調査の段階においてその納税者の方にわかっていただけるならいいのか、こういういろいろの考え方があると思うのです。本件につきましては、やはり一応国としてもう一ぺん一つ控訴いたしまして、上級審の方の判断を仰ごう、こう思っております。ただし、繰り返して申しますように、あくまでも今までの態度を固執するのだということは毛頭考えておりません。こういう事例がありますと遺憾でございますので、できるだけ丁寧に書くようにということを目下検討いたしておるわけであります。
○山本小委員長 奧村君、大へん時間がたったから、この次の来週の水曜日に引き続いてやってもらうということで、きょうはこの辺でおきたいと思うのですが、いかがでしょう。
○奧村小委員 それでは、まだまことに審議が不十分でありますが、あときょうじゅうにお聞きしたかったのは、こういう場合には、本来法律通りにいくのなら、青色申告をまず取り消しておいて、そうして更正決定をなさる。そうすれば今度は挙証責任は納税者にかかってくるのだから、そういうふうになさるのが、私は法律に基いたやり方だと思う。青色申告を認めておきながら、青色申告納税者に対する理由が明確でないから……。しかし、それでいくと、今度はまたそれになれてきて、むやみやたらと青色申告を取り消しておいて、やりやすいようにして、今度は納税者に挙証責任をかけていく。それからいくと、青色申告を取り消すのはいいが、青色申告を取り消した場合、取り消しの通知に対して取り消しの理由を付記しなければならぬ。これは一つ法律改正をして、そいつを一本入れておかぬと、やたらと取り消して税務署の都合のいいようにやられては、これはまた納税者はたまらぬ。今度の所得税法、法人税法の改正、これを主税局の方がお考えいただいて、あまり誠意のない、あるいは未熟な青色申告は、これは取り消すこともやむを得ない。しかし、取り消す場合には、その通知に理由を付記する。それは、理由を付記しなくてもいい、あるいは税務署でその話はできると、こうおっしゃるかしらぬけれども、理由をつけることによって、また正当な訴訟、異議申し立ての道が開くわけですから、これはぜひ私はこの際法律改正しなければいかぬと思う。 こういうこともありますが、きょうは時間がありませんので、次会に譲りまして、あと一つ私が昨日お願いいたしました資料を、ぜひ表にしてお出しをいただくようにお題いいたしまして、私の質疑を終ります。
○山村(庄)小委員 ちょっと一つ。 私はあとから来てわからぬのですが、主税局の方はきょうは来ておるのですか。——これは国税徴収法の一部改正だろうと思うのですが、抵当権、質権等の問題その他の点がありますけれども、これば何か徴収法、税法の行き過ぎを是正したり、また行き足らぬところを直したりすることだろうと思うのです。大体ここに書いてあるこれだけを見てみると、これは国税が主体ですが、地方税の方はどういうふうになっておるのか。本家さえとれればいいのだ、分家や親類はほったらかしてもいいというような考え方でおるのか。地方税は国税に準ずるというような方法をもって考えておるのか。やはり、自治団体というて、お前のところは団体だ、協会か組合みたいなものだという考え方で、往々にして、税だけではない。あらゆる問題について、ままっ子扱いを受けるようなことがある。地方自治団体の集合体が国家というものを形成しておる。その細胞である下の方が、権力がないからやりにくいのです。それだからして、これは地方の方も、特にこういう所得税なんかについては、それについて事業税なんというものが付随しておるのですが、これは一体どんなことでしょうか。
○塩崎説明員 山村先生御指摘の通り、地方税も国税徴収法と同じような考え方をとっておりますので、国税徴収法が直りますと、これに伴いまして、地方税法の改正法律が出る予定でございます。考え方はこれと同じような考え方で、その内容が盛り込まれることになっております。
○山村(庄)小委員 地方行政委員会あたりにかけるのですか、何かその通りの名目に直して。——わかりました。
○山本小委員長 国税庁と大蔵省、特に国税庁に研究してもらいたいのであります。私が今申し上げることに対しての考えは、まとめていつか聞きたいと思うのですが、どうも今の税法が日本人の生活の実態あるいは事業の実態というものに沿わぬのではないか。この前に申しました通り、五十五万の法人の中で九三%は同族会社であるということを長官は言われましたが、それはほかの言葉でいうと実体は個人である、しかし形は法人である、こういうことだと思うのです。そこに、法人税の場合で申しますと、やっぱり実体は個人ですから、そこの主人公はこれは全都おれのものだという意識があるのであります。だから、会社であるから、自分は会社のサラリーマンであって、サラリーマンというか、月給をもらって一つの会社から託された仕事をやっておるのだという考えよりも、自分のものだという考えがあるのではないか。そこに売り上げの中からちょっと金を持っていって、たばこを買ったり、勝手にちょっと出せというようなことが起ってくるのではないかというふうに私は思う。それで、これが税法の上で法人の方が有利だというような、事実か錯覚か、とにかくそういうことからこういうふうになってきたと思うのですけれども、この実質と形とが違うということが、税務署と国民との間にトラブルの起きる大きな理由になっていやせぬかという、これが一点です。これはどうしても実質と形式は合わすようにしていかないといけない。その立場において、私は、広い立場から申して、独立して自分で全責任を負うてやっていくという人間が民主主義国家においてはとうといものだと思う。それが税法の関係で一種のサラリーマンになってしまうというふうなことは好ましくないのですから、形式と実質が違っておる場合には、むしろ形式の方を変えて実質の方に帰る、それでりっぱにやっていけるように、社長だの副社長だのという名刺など作らなくても、ちゃんと旦那だとか親方だとかおやじだとかいうことで堂々とやっていけるように変えていくべきではないかということが一つ。 それから、もう一つは、正直に申告するということを前提としておる、制度はそういうふうになっておるというお話でありますが、その通りだと思います。しかし、これは税率の問題に関係するかもしれませんが、正直に申告をしたら、これは個人というか、実質的に個人の場合でありますが、正直に申告をしたら中産階級としての体面を維持することができない。たとえば、旦那さんとか親方とかいわれて、近所隣で多少どっちかというと顔をきかしているような人々だと思いますが、そういう人たちが、近所に葬式があっても、香典も詰める、あるいはちょっと熱海に行くから一升買えといっても、それも買えないといったような——要するに、実際に日本の中産階級としての機能を果している。その土地における相当な力になっている。そういう生活を前提として、今の税法でぎりぎりとったのでは、その体面を維持していくことはできないのじゃないか。決してぜいたくをするというのじゃない。とにかく、日本の社会構成において、中産階級としての大切な役割をしていくことができないほど重いという点があるのではないか、こういうふうに思う。そこに青色申告でさえも脱税をやるということが起ってくるのではないか。どうも最近計理士というものだけがえらい金もうけをして、そうして県会議員に出るの何に出るのというので、へっぽこ計理士でもやれるということは、要するに、実質的に個人であって、そういう経理のことはあまり知らぬ連中が、会社の社長になったり重役になったりするものですから、計理士まかせです。そうすると、計理士に月三千円ぐらい出しておいて、そうして三月に一ぺんか、半年に一ぺんか、ひどいのになると決算のときだけ帳面を作ってもらうというふうなことが非常に多いのではないかというふうに私は見るのですが、こういうふうなことはまことに実質と形式が違うところからきておるのです。日本人の生活というものは大体非合理的な部分が多い。これが欠点ではありますけれども、また非常に長所でもあると思う。くどいことは申しませんけれども、たとえば満州やシベリアから引き揚げてきましても、兄弟や親戚が引き揚げてきたら、食うものがなくても喜んで迎える。これが非常に合理的であれば、帰ってきたら経費が増すということで、帰ってくるのを拒むのでしょうけれども、食うものがなくても喜んで迎えるというような非合理的なところが非常によいところです。非合理的なものですから、一々出入りを帳面につけておいたらよいんだということを言ったって、そういうようなことは、実際大蔵省の皆さんでもそう一々支出を帳面につけるなんというのはへんくつなやつであって、これは例外だろうと思うのです。そんなことをしておったらとても仕事も何もできない。いわんや中小企業者で親方でやっているような場合には、一々そうやれない。そこで計理士にまかしておいて適当にやってもらう、こういうことになるのであって、日本人の髄から髄まで合理的でないところが非常によいところでもあるのだから、そういうものを前提として、あまり合理主義の税法で当てはめていくと、今言ったように抜けるところが出てくる。抜けてきたやつを法律で取り締っていけば確かに抜けているんだから、悪いことは知っておるけれども、ちょっとでも手落ちがあったらそれで突っ込んでやろうと、とにかく本委員会で山村さんが言われたけれども、税務署といったら親のかたきみたように思っておる国民が非常に多いというような原因は、そういうところに基いていやせぬかということです。これを一つ頭に置いて、従来の法制から言えば、非常なけたはずれのような質問かもしれぬですけれども、これを念頭に置いて、簡単な方法、日本人の生活の実態に即したような、理屈には多少合わぬでも、国民がよしわかったと言って納得して納められるような簡単な方式を一つ編み出してみる必要はないか。これは塩崎課長どうですか。これは今すぐ即答は得られぬでしょうけれども、あなたもそういう感じがしませんか。
○塩崎説明員 非常にむずかしい問題でございます。十分検討いたします。
○山村(庄)委員 税の問題で裁判をあっちこっちでやって、このごろちょいちょい負けておるが、一ぺんでも国が負けるということは非常に権威、威信にかかわる。私は、裁判というものは、国が相手方になるときは、絶対に負けないという確信のあるものでなかったら裁判には持っていかないように、もし向うが持っていきそうなら、そこでよく話し合いをして妥協して、いいかげんなところで合理的におさめるようにしてもらいたい。国民が裁判にいくというのは、よほど勇気のある人でなかったらようしませんわ。ことに、小売商なんかが、国家を相手に、大蔵大臣を相手に戦うのです。そうしてやはり弁護士や何かを頼めばずいぶん費用がかかる。今の話を聞いておったら十万円ということですが、一つの裁判に国を相手にして勝とうと思ったら、十万円どころか、三十万円ぐらいは使いますわ。だから、真剣になってくるのですから、それをまた国の方も弁護士を雇うのかどうですか知らぬが、いろいろ経費も要るんだが、これは親方日の丸だ。しかし、これは、国民から取った税金の金を、弁護士に何ぼかかってもかまわない、どんどん使ったらよいんだ、そういうような考え方で、なまいきにやってくるならこいというような考え方であったら、よけい事件が出てくるのです。裁判になるようなことはなるべくないようにやってもらいたいと同時に、やれば国は必ず勝つという確信のあるものでなければ、やってもらっては困る。 その次に、納税は、さっきも委員長から話がありましたように、納得納税にしなければ、それは権力をもって取るというのでなくして、進んで出してもらうように、取れるような方法にする。いろいろお考えになっているだろうと思うけれども、私は、ここに一つの方法として、地方ではあちらこちらでやっているのが非常に成績がよいのです。これは納税組合というものです。この納税組合は同じ町内の小売商などがやっておるのです。日本人の商売人は、外国の商売人と違って、伝票に書いて計算機で一々出していくようなことはしない。一軒の店に三人も五人も入っていって、これは何ぼだ、あれは何ぼだ、じゃ負けときます。おつりは何ぼだと、一人で多数の客を相手にして、かごからお金を出したり入れたりしてやっている。外国人が見るとびっくりする。聖徳太子さん以上の人ばかりです。五人が一緒に店へ来ておっても、八人が一緒に店へ来ておっても一ぺんに商売する。そんなものを一一帳面につけておれない。だから、納税組合というものを作って、町内一帯、商店会あるいは同一種類の組合が業界発展のためにもあるが、それをまた納税組合即組合というふうにしてやっておる。あの成績が非常によい。あなたは、さっきの説明の中に、お前のところはよそと比較したら売り上げが少いじゃないかというようなことでやっておる。今の裁判では証拠が問題だが、その証拠は何をもって証拠とするのか。推定に関するものをもって証拠とは言われぬのです。税務署の勝手な考え方で押しつけるのは、推理小説みたようなもので、推理していって判定するというようなことは無理なんです。それが納税組合なら推理できるのです。ここの店はどのくらい商売しているということは、近所隣のことだからよくわかる。それでうまくいっている。毎日の売り上げが上ってくる中から、納税のためにということで組合が貯金して、そうしてスムーズにずっとやっておる。あれは工合よくいっているのです。国税関係における納税組合は全国府県あるいは市町村にどのくらいできておるか。また税務署の方はそれをどういうふうに指導育成または助長しておるか。これを一ぺん資料を出して下さい。成績がどうなっているか。私はよいと見ておるのです。これは大いにやっていって、そうして納得納税に持っていくようにしたらよいと思います。私は、国の方は知らぬが、大阪府だけのことはすっかり知っておる。この成績はきわめてよいのです。国税局というのは大阪にもありますし、また税務署もあっちこっちにたくさんありますけれども、率直に言うて、国税局長さんや税務署長さんの方は、関心はあってないようなもので、お前しかるべくやれというようなことで、何かの会合でもあれば、たまに行って祝辞でも述べる。おつき合いで仕方なしに、税金関係だから出ていくくらいのことではいかぬ。国税の方も同じだ。そうして、税金をうまいこと納めてくれるから、橋もできれば道路もできる、学校の教育もできるのだ、難儀の人も助かるのだと言うて、国税局長がほんとうに頭を下げるのです。税金を納める人はお得意様です。そんなつもりでやってもらわぬと、おれは天皇の官吏じゃというような気になってそっくり返っておったのでは、税金は納まらぬ。納税組合はいいところもあるでしょう。中には多少の欠点もあるでしょう。納税組合の一部の役員なんかはボスだとかで、自分の税金を負けてもらおうと思って、役員になって人の世話までやっておるのだというような欠点もありますけれども、大体において成績はきわめて良好です。これは、国の方でも、地方の方でやっておることでも、いいことであったらみなまねしたらよろしい。人のまねをするのは大きらいだといって、がんこな頭でおったのではいかぬ。いいことはみな奨励指導して、わいわいけんかをせぬように——それでなかったら、税務所の役員を何ぼふやしてもあきません。どのくらい国税関係の納税組合ができておって、どういう活動をしておるか、一ぺん資料を出してもらいたい。これだけお願いしておきます。
○北島政府委員 まず第一点の、国はできるだけ訴訟が起らないようにせよ。まことにごもっともでございまして、私どもも、あえて訴訟の起るようなことをやるのは納税思想にも非常に悪影響を及ぼすわけでありますので、できるだけあとで訴訟などが起らないような税務行政をやって参りたいと思っております。ただ不幸にして訴訟になりました場合には、一応国として申し述べるべきことは申し述べますが、かりに負けた場合におきましても、何でもかんでもあくまでも訴訟をもって争うということは私どもいたしておりません。たとえば理由を全然書かないとか、こういうようなことに対してはもちろん上告などはいたしませんが、今度の場合におきましては、若干弁護側におきましてもよく説明できなかった点もあるやに私は感じております。審理も必ずしも十分に行われなかったのじゃないか。裁判官の方も若干誤解もあったのではないかと思われるふしもありますので、こういう点につきましては一応控訴はいたして、こちらの申し述べたいことは十分申し述べて、判決を仰ぎたいと思っております。 それから、納税貯蓄組合でございますが、納税貯蓄組合は現在全国で約七万ございまして、その中に国税関係だけのものが五万余ございます。お説のように納税貯蓄組合は納税成績の向上に今まで非常にあずかって力がございまして、大体現在個人の営業者の約半分近くが納税貯蓄組合に入って納税をしている状況でございまして、国税庁といたしましても、その育成助長には今まで力を尽して参ったつもりでございます。ただ、補助金、交付金につきましては遺憾ながら相当きびしいハンディを受けておりまして、昭和三十三年度におきましてはたしか五千百五十万円の補助金でございまして、三十四年度は、さらに千万円足らずでありますが、納税貯蓄組合に対する交付金が増加になっております。納税貯蓄組合の育成助長は税務行政上非常にプラスになりますので、そのように補助金、交付金を出しますほか、優良な納税貯蓄組合につきましては、国税局長あるいは国税庁長官さらに大蔵大臣の表彰というような面まで講じまして、力を尽しておるわけでございます。 なお、具体的な数字の資料につきましては、さらに正確なものを後日提出いたしたいと思います。
○山本小委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は来たる二十五日午前十時より開会することとし、これにて散会いたします。 午後四時四十四分散会