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31回国会衆議院1959/02/04

大蔵委員会税制並びに税の執行に関する小委員会 第1号

発言数
20
登壇者
6
会派数
2
開催日
1959/02/04

会議録

山本勝市自由民主党

○山本小委員長 これより会議を開きます。  この際、ちょっと私一言小委員長として申し上げておきたいのです。税制の小委員会が設けられましたけれども、これまで開く機会がなかったのですが、実は、小委員会としてこれから少し本格的に調査を進めてみたいと思いますのは、御案内の通り、日本の今日の国民、ことに中小企業者が、税務署を実に比叡山の坊主よりもおそれておるような状況であります。きつく言えば、蛇蝎のごとく税務署を思っておるといっても言い過ぎではないと思いますが、なぜこういうふうなことになるのかという原因を一つ突きとめてみたい。どこに欠陥があってこういうことになるのか。かって戦前の日本におきましてはそういうことはなかったのでありますから、私は日本人というものの性格からこういうふうになっておるとは考えられません。やはり戦後の税制において税が重過ぎるからか、あるいは税法そのものに不合理な点があるか、あるいは徴税に当ってのやり方にまずい点があるか、もしくは国民が戦争後非常に悪くなってきておるのか、いずれにしても、その原因を突きとめて、税務署員を国民が喜んで迎えるというようなことはできないにしても、少くともおそれおののくというようなことだけはないようにすることが、ぜひとも必要だと思うのであります。中小企業に対する保護育成というようなことは、党派を越えて強く叫ばれておりますけれども、しかし、中小企業者の税に対する気持というものは、もうただいま申した通りであります。今日は、とりあえず、主税局の局長、課長から、国税徴収法の改正を行いますので、その内容の説明を聞くということにいたしておりますが、来週から少くとも週一回、ただいま水曜日を予定しておりますが、やはり十時から会を開きまして、国税局に出てもらって、それで、国税局がいわゆる国税庁通達というもので各税務署が税の徴収をしておるのでありますが、その経験から、どうして国民がこんなにいやがるのか、あるいは脱税というものをやっておるからいやがるのでありますなら、なぜそういうふうに脱税をするのか、これをいやがらないで納得ずくで納められるような方法にするにはどうしたらいいかということの結論が出るまで、国税庁と一緒になって突き詰めていきたい、こういうわけであります。もし国税庁のやり方にいかぬところがあれば、もちろん責めねばなりません。しかし、われわれの作った法律そのものが無理があるのならば、忌憚のない国税庁の実際当事者の意見を聞いて、そして改むべきは改めていきたい。それで結局は国民生活の恒常的な安定ということが政治の目標でありますから、その恒常的な安定という終局目標に照らして、税が一体どういうプラスになっておるか、マイナスになっておるか、つまり恒常的安定というものを促進しておるか、それとも阻害しておるかというと、大きな見通しとして、私は、今日税ほど国民の少くとも安定生活を害しておるものはないのじゃないかと思う。これは源泉で徴収されておる月給取りは別であります。これは大蔵省にしても熱心にやっておりますけれども、やはり月給取りだし、われわれ国会議員にいたしましても一種の月給取りみたいなものであって、ほんとうにやみをやらざれば中産階級としての体面を保っていけないような中小企業のせっぱ詰まった実情というものは、私は十分理解していないのじゃないかというふうに思うのであります。そういう意味で、今日は国税徴収法の説明でありますが、来週からは、税の実際の徴収面を通して、今日の税制並びにその運用についての欠点を是正するために本格的努力をしていきたい、こういうわけであります。  原主税局長から、今回の国会に提案を予定しております国税徴収法の改正案の改正点について説明を聴取することといたします。原主税局長。

原純夫大蔵事務官(主税局長)

○原政府委員 本日国税徴収法の改正につきましてお聞きいただくように御配慮願いましたことをお礼申し上げます。これから御説明申し上げるように、全文改正ということで、なかなか重要な問題点を含んでおるのでありまして、三年余り努力して参ったのでありますけれども、なお法案の提出にここ一、二週間要するということで、今国会の審議の期間をも考えまして、ぜひ今国会で御審議を終えていただきたいと思うことから、大へん異例な形でありますが、正式に法案を御提案申し上げる前において、一つお聞きを願いたいとお願いしたわけであります。それについては、三年余りにわたってやって参りました徴収制度調査会の答申が昨年の十二月に出ておりまして、これが今回の改正の骨子になっておるという意味において——この答申はかなり詳しいもので、実質上改正法案の要綱にもなっております。そういう意味で、その問題点についてここで皆様に申し上げて御検討をお願いしたいと、大へん勝手なお願でございますが、そういうお願いをいたしましたところ、さっそく本日の機会をお与えいただき、ありがとうございます。  そこで、この改正の御説明を申し上げるわけでありますが、私から概略を申し上げまして、あと担当の吉國課長から詳細に申し上げさせるようにいたしたいと思います。  国税徴収法は明治三十年にできた法律で、その後若干の改正は行われておりますけれども、何分もう約六十年以上たっております。その間いろいろと世の中の状況は変遷して参っております。それで、それに追いつくのに十分でない点が多いということが年来いわれていたことでありますが、何分にも相当広範な関係を持つ法律であります。特に一般の民法、商法あるいは民事訴訟法等の体系と、かなり表裏した問題点がある。つまり租税債権というものをどうして確保し、どうやって徴収して参るかということを規定したものでありますから、一般の私債権との競合、あるいはそれとの先後をどうするかというような問題が、かなり複雑かっ広範な関係を持つということで、改正につきましては、やはり法秩序の相当広い分野にわたって目を通しながらやらなければならぬというような意味で、これの改正が何度か要望されましたが、延び延びになっておりました。それが、三十年の暮れ、ただいまから申して足かけ四年前であります。そのときに徴収制度調査会というものを作りまして、東京大学の名誉教授であられる我妻栄氏を会長とし、学者、経済界の方々、それから弁護士、関係官庁の方々というような、専門的なすぐれた方々を御委嘱申し上げて、御勉強願ったわけであります。自来三年の長い間中断することなく研究を続けていただきまして、会議も、八、九十回に及んだと記憶いたしておりますが、正面から問題に取り組んでいただきました。  概して申しまして、どういう角度で問題が取り上げられるかといいますと、大きくいつて二つの角度というふうにいえると思います。一つは、各国ともそうでありまするが、徴収上私債権に対して租税というものに優先的な地位を与えるという角度がございます。これは租税の本質からいうてどうしても必要だということでありますが、これをどの程度にいたすかということが特に重大な問題になるわけであります。で、その優先性をどうするかをきめるについて、一方で租税の面での優先のあや目をより詳しくしていく、同時に、他方私債権の方にどういう場合に保障を与えるといいますか、保護を与えるということのあや目をこまかくして参る、この両方のサイドを円満に妥当に組み合せるということが、この徴収法の改正についての大きな心棒でございます。従いまして、この調査会の検討、答申並びに法案の仕組みにいたしましても、一方では租税の徴収権の優先性というものをどういう程度にし、また具体的にどういう形で確保するか、他方、私債権の保護というものを、どういう程度に、またどういう形で行うかという両面からごらん願うということが便宜であると思いますし、大体の構成がそういうふうにできておるわけであります。  お手元に差し上げてございます「国税徴収法案の概要」というものもそういうような角度でできておりますが、最初に二ページの「法律案の主な内容」というところから、「租税の徴収の確保」、「私法秩序の尊重」というのが出ております。1の「租税の徴収の確保」というのは、いわば国税徴収法の目的の本命であります。その際私法秩序を十分尊重しなければならないというのが2に出ます。それで、四ページに参りまして「徴税制度の合理化」、つまり、徴収確保のために、いかに租税に各般の問題点についてどういう力を与えるかというような形で出ております。  そこで、私、初めに概論的な意味で、租税の優先性と私法秩序の尊重ということについて、概略してどんな考え方で法案を作っておるかということを申し上げます。まず租税の優先徴収権の問題でありますが、あらためて申し上げるまでもなく、国の運行のために財政の基礎を作るという意味で租税の徴収が重要であるということは、申すまでもございません。しかるに、租税は、通常の私債権の場合と違いまして、いわば直接の対価なしに権力的に国民から取り立てるお金であります。私法上の債権債務関係でございますと、債務者は金を払わなければならぬ。しかしあの人からはとにかく借りているんだというなにがございます。いわば対価があるということで、それにこたえるのは自然法的なものであるということが非常にはっきり出るのであります。租税も、非常にきつくいいますれば、財政サービスを国あるいは地方団体がする、それの大きな意味で対価であるわけでありますけれども、税をとられるという場面においては、なかなかそれまでの直観的な感覚はないというようなことから、やはり税というものは相当権力的な徴収として意識される。そういたしますと、やはりそういう自然法的な負い目を感じさせるという意味において弱いという意味から、租税の徴収に何らかの形で優先権を与えるということは、古来各国とも共通してとっております。わが国の現在の徴収法におきましても、その冒頭第二条に「国税及其ノ滞納処分費ハ総テノ他ノ公課及債権二先チテ之ヲ徴収ス」ということが書いてありまして、この点を第一に取り上げた。以下の各条においても、いろいろな担保物権との関係において、担保物権よりも強い地位を相当広く認める、あるいは仮差し押え、仮処分ということがありましても、租税はかまわずに執行していける、その他いろいろ強い地位を与えておるわけであります。各国の法制によって若干の差はありますが、いずれもそういうなにを持っておる。ところが、後ほど詳しく二課長から説明させますが、担保物権に租税が優先するという場合においても、いわば程度というものがある。あまりに強く優先いたしますと、世の中で担保物権を設けて安心して貸しておると思っておる人が、いやこれは大へんだという目にあうようなことになりますといけない。その辺が、古い法律であるかげんもあると思いますが、かなりに近来指摘されております。そういう点を、租税の優先性の必要な限度を確保しながら、私債権との調和をはかるというような問題が大きく出てきておるわけであります。私どもとしては、その際要するにそういう二つの面の角度の要求をどう調和させるかということでございますから、できる限り税の側が私債権に不当な迷惑をかけないように、同時に税としてここまでは優先させるという面を、虚心たんかいに穏当な線をにらみましてやっております。もちろん、それらをにらむについて、三年間研究されました調査会の答申というものが大きな柱になっておるわけであります。  優先性の問題で、特にゆるめましたと申しますか、税の側で引っ込みました点は、抵当権などが設定されておりましても、現在の法律では、その設定されましたあと一年以内に、たとえば更正決定で新しい税額がふえるというような場合に、それのために滞納処分いたしますと、その抵当権よりも税の方が先にちょうだいしてしまうということになっております。どうもあとから来たのが先になるのは困るというお話がありました。そこで、それは先に行かないようにという、これは非常に大きな点であります。第二には、現在では、第三者が持っております動産等についても、国税はいわば制限なく差し押えをいたさせるということになっておりますが、そういう場合に第三者に対してこれより丁寧な扱いをする。つまり他にその税を満足させるに足るものがあるということを指摘してもらう、指摘されればそれを押えて換価しなければいけないというような、第三者の権利の対象となっておりますものに対しての扱いをする。ただいまのは第三者の占有している動産の差し押えのことを申し上げたわけでありますが、その他の場合においても一般にそれらについてかなり配慮を払っておるという点が特に大きな点であります。  一方、税の側での優先権が、先ほど申しましたように、非常に無条件に第二条に書いてございますが、しかし、世の中がだんだん推移して参りまして、債権の担保に関する法律上の形が、単に法律で定められました担保権だけでなくて、いろいろな形の実質上担保であるものが出てきております。御案内の譲渡担保あるいは仮登記という形での担保権ができてきております。そういう場合に、どうも税との関係がなかなか思わしくいかぬというような具体例がかなり出て参っておりますので、こういう面については、法定担保権が税との関係で規制を受けるのと同じように、並行した規制を受けていただくのでなければ、やはり税の徴収は全きを期し得られないというような意味で、そういう規制にするようにお願いするというような点、その他、たとえば所得税法、法人税法での実質課税の原則というのがあります。子供さんの名義にある収入がなっておる、しかし実質上はお父さんのものだというような場合に、実質的な所得者であるお父さんのものとして課税し得るということになっておりますが、反面、そういう場合に、その収益を生むもとがあるとしますと、そのもとに滞納処分をしていくというような場合に、現在の徴収法はその備えができておらないというようなことがございます。そういうような場合、その他それに類した場合がいろいろ出てきておりますので、そういう場合にいわゆる第二次納税義務——滞納者本人でなく、それと密接な関連があり、税自体とも関連のある人に対して第二次納税義務を課するということでお願いするというようなこと等が、この税の面から、優先権を若干あや目をこまかく規定して確保したいという面での例でございます。その両面にわたりましての改正が、税の優先関係あるいは差し押え、換価、配当に至る手続の関係、ずっと縫って出ておるというのが、この法律案についての角度をつけての見方でありますし、ごらんになる場合の大きな角度でございます。  昨年の十二月の初めに答申をもらいまして、関係の各省とも連絡をとって鋭意法案の準備を進めております。冒頭申しましたように、一般私法との関係が表裏密接な関係でありますので、特に法務省方面の協力をお願いしておるわけです。そういうようなこともありまして、念が入ってまだ御提案に至らないのでありますが、できる限り早く、ぜひとも中旬末くらいまでには御提案申し上げたいというつもりで努力いたしておりますので、大へん恐縮でありますが、どうか実質的に話をお聞きいただき、ぜひ今国会で議了になりまするようにお願いいたしたいと思うわけであります。  御説明にお願いを大へんくどくどとつけて恐縮でありますが、私から概略の御説明をいたす程度にいたしまして、以下吉國課長から各項目について詳細の御説明を申し上げさしたいと思いますが、いかがでしょうか。

横山利秋日本社会党

○横山小委員 私はこういうことを感じたのです。今吉國さんから非常に論理的な問題について十分にお話を聞くことになるのですが、もう中旬にその法案も出てくるであろうし、あらまし局長からお話を伺ったのですから、今他の委員からもあらましのことについての御質問があるというならば、私もそれに関連して若干この種の問題について質問をいたしたい。それから委員長からお話が出た来週の予定についても御相談が願いたい点がある。従って、吉國さんの御説明は、いずれそれに関連して持っていったらどうであろうか。今ここで御説明になったら、おそらく一時間も二時間もおやりになるだろうから、昼飯にも差しつかえることになりはせぬかと心配しているわけです。

原純夫大蔵事務官(主税局長)

○原政府委員 大へん押しつけがましゅうございますけれども、何分改正法案は徴収法だけで二百条にも及び、施行法がやはり百条くらいになるものであります。もちろん相当手続的な規定がありますから、実体的な規定はそれほど多くはないのでありますけれども、吉國課長の御説明にいたしましても順を追うて詳しくいたすというようなことで、本日たとえばもしお昼にお差しつかえならば、一時間とかあるいは四十五分とかお限りいただいても、一応もう少し聞いていただくとよろしいのじゃないか。私は非常に大ざっぱにいたしましたから、大へん押しつけがましくて恐縮でありますが、お差しつかえなければ、お聞きいただきたいと思います。

山本勝市自由民主党

○山本小委員長 それでは簡単にお願いします。

吉國二郎大蔵事務官(主税局税制第二課長)

○吉國説明員 簡単に御説明申し上げます。ただいま局長が要点は尽しておると思いますので、私は個々の問題についておもな大きな問題だけ詳しく申し上げたいと思います。  お手元に配りました簡単な概要がございますが、これについて御説明申し上げたいと思います。最初のページは局長がお話し申し上げました。二ページ目から申し上げますが、「法律案の形式及び内容、これは、今度提出を申し上げます法律案は、形といたしましては国税徴収法の現在の分野を全文改正するという形にいたしております。ここに「通則法」云々と書いてございますのは、国税徴収法は、御承知のように、他の法律に規定のない場合には、国税徴収法が適用になるという一般法的な性格を持っておりますので、これが、今の日本の法制といたしましては、若干いろいろな点で不備がございます。たとえば、ドイツの租税通則などに比べますと、納税義務者の代理とかあるいは権利能力、行為能力、そういうような問題については規定が欠けておって一般法によっておるというような点、いろいろございますので、通則法的なものにまとめるということが一つの宿題でございますけれども、今回はそこまでは調査会の審議も進みませんでしたので、現在の範囲の国税徴収法を全文改正して作る。それが局長の申しました二百条以内の程度でございます。さらに、この際、国税徴収法を準用いたしております法律が約六十ございます。この六十の法律を全部この徴収法にあわせまして、整理をいたさなければなりません。これが徴収法の改正に伴う関係法令の整理に関する法律といたしまして、徴収法の改正による租税法のみならず、他の一般の公課に対する滞納処分の規定を改めます。これが整理だけで百条くらい。そういった内容の二つの法律案が出る予定になっておるわけでございます。  次に、内容に参りまして、「租税の徴収の確保」という点でございます。これは先ほど局長が申しましたが、現在各国の税制を見ましても、すべて自力執行、つまり租税を税務官庁の手でみずから徴収するという原則である。従いまして、また一般の私債権に対しては優先するという原則が貫かれている。と申しますのは、現在でも、租税の滞納処分は、御承知のように滞納処分の前提でございます督促状が発布されますが、その件数は昨年一年でも四百万件近くございます。こういう大量の徴収手続を裁判所においてやるということはとうてい不可能でございますので、各国とも、これは別の系統で、行政組織としてやっておるわけであります。そういたしますと、裁判所のように強制執行の際に、他の一般私債権者がこれの配当に関与して平等弁済をするという形では、実際上行政機関に執行力を与える意味が薄れてしまいます。従いまして、その面からも、租税の優先権——他の債権に先だって、自分でとったものは自分でとるという制度が、いわば、一面においては、局長が先ほど申しました租税の特殊性から、優先権というものが出て参りますけれども、実行上の技術的な面からも、自力執行ということと優先ということとは車の両輪のようになって参っておるわけであります。今回の調査会におきましても、その点まで掘り下げて検討いたしましたが、この点は変えがたい、今の租税徴収の現段階では、この二つの世界各国共通している原則は採用せざるを得ない、こういうことになったわけでございます。従いまして、今回もその線で改正が行われるということになるわけでございます。  その次に、「私法秩序の尊重」という言葉が出て参りますが、現行法の租税徴収法では、先ほど私が申しましたように、第二条でいかなる私債権、公課に対しても絶対に優先をする。例外といたしましては、三条の租税の納期限から一年以上前に設定をした抵当権、質権、これに対しては租税はおくれる。しかし、その設定については、公正証書をもって証明しなければならないという非常な条件をつけて、一年以上前に設定したものには負けるという例外があるだけでございます。そういたしますと、他の先取特権、留置権その他の担保権につきましては、すべて租税が優先をするというのが現状の姿でございます。この一年前というのができましたにつきましては一つ理由がございます。と申しますのは、当時徴収法ができましたころの税制で申しますと、一番大きな税は地租と酒税であったわけでございます。地租にいたしましても台帳課税でございます。それから酒税は御承知のように造石税でございます。造石をいたしまして、そのときに納税義務が確定して、それを四期に分けて納めるという体制にあった。従いまして、最後の納期から見れば、ちょうど納税義務ができたときは、ほとんど一年前に当るわけでございます。ですから、造石をして納税義務が確定した。しかし、支払い期日はあとになるから、その間にもし抵当権を設定されてしまえば、租税が負けるということになりますので、一年前というのはそういうところからもきておったわけであります。その後の所得税等ができましても、御承知のように申告納税になりますまでは、前年実績課税主義がとられた。ですから、前年度の所得に対して、後年度において課税する。従いまして、一年さかのぼらないと、租税の発生した時期よりも、あとに設定した抵当権に負けるという現象が起る。そういうことから一年前ということが出て参ったのではないかということになるわけでございますが、現在におきましては、御承知の酒も月税になって、これは毎月々々庫出しのときに納税義務が確定する。所得税も法人税も、いわば当年度実績主義と申しますか、申告納税主義がとられている。租税の発生と同時に、租税に付設して申告が行われて納税義務が確定する。こういった時代になって参りますと、この一年前というのも考え直してもいい時期ではないか、こういうことになるわけでございます。今までの二条、三条の規定は、あまりにも租税が強過ぎるという点で批判があったわけでございます。今回の考え方は、そこに書いてございますが、第一に「公示制度の尊重」、担保付の私債権に対する租税の優先権の考え方を基本的に改めまして、一応租税が確定する時期、それ以後に設定されたものには租税が優先するけれども、租税が確定する前に設定した担保権は租税に負けないということにしないと、担保権者の地位というものが不当に脅かされ過ぎるのではないか。具体的に申しますと、たとえば、所得税であれば、三月十五日前に抵当権を設定しておけば、その三月十五日に確定する所得税に対しては絶対に負けないという安心感がございます。こういった点、ですから、法定納期限前に設定したものは、その法定納期限前には負けないというのが第一の原則でございます。しかし、御承知のように所得税、法人税いずれもあとで更正決定がございますと、更正決定の税額はそれだけふえます。しかも、その法定の期限はやはり三月十五日でございますから、その点では危険があるわけでございます。たとえば、ことしの三月十四日に百万円の申告をした人が二月十四日に設定すれば、もう絶対負けないわけでございますが、百万円しか税がないから、それでは自分としては安全を見て五月に抵当権を設定する。それでたとえば五百万円の財産に対して四百万円の債権で抵当権を設定している。これは百万円は取られても自分の四百万円は残るという安心感を持っております。ところが、そのあと十月に更正決定がきて、これがかりに四百万円であったといたしますと、この更正決定の税の法定の納期限はやはり三月十五日でございますから、その場合には安心しておった更正決定の四百万円があとからくつがえされるという危険がございます。そこで、更正決定等によって税がふえた場合、そのふえた税の部分は、具体的なふえた時期、つまり更正決定通知書が発せられて納税義務が確定したときを境にして、その前に設定されたものには勝てない、こういうことです。つまり、要するに税が幾らときまってからあとで設定した分は負けるけれども、まだ税が確定しない前に設定したものは、その後に確定した税には負けないという、非常に思い切ったことをやったわけでございます。つまり、最近よく言われます予測可能性の理論というものを採用いたしました。今までは、税は原則として絶対に担保権に勝っている、ただ一年前の古い抵当権だけは尊重する、こういう態度を基本的に改めまして、税が確定する前に設定した抵当権はその地位は脅かされない、質権もそうだ、こういうことにしたのでございます。  同時に、証明方法の簡素化というのが二番目に出ておりますが、現在は公正証書をもって証明しないとだめだということになりますが、質権などにつきましては、設定の際に一々公正証書を作成するということは普通やっておらないのであります。ですから、今では実際は質権は証明しないで、一年前でも負けてしまうというのが実情でございます。そこで、確定日付であるとか、あるいは内容証明の郵便であるとかいうものならば、これは第三者が確実に認定をするわけでございます。そういうものまでも認めなければ実際上効果がないという議論が起きてくる。今回はその点を思い切って広げまして、確定日付のある私製証書、それから内容証明郵便といったようなものも認めよう、さらに、一定の正確な帳簿を備えておいて、帳簿の記載が確実に検査を受け、確実なものについてはその内部帳簿でも認めていいのではないか。この点は、いろいろ問題がございまして、現在検討中でございます。  それから、第二に、今まで絶対的に無視されておりました先取特権、留置権につきましても、こういう考え方になって参りますと、もう一つ考えてみる必要があると思います。先取特権の中にも、特別の先取特権になりますと、登記を備えれば絶対に抵当権にも何にも負けないという強い先取特権がございます。こういう先取特権まで規定がないからというので今は負けておりますが、こういうものについては、やはり抵当権、質権と同じように考えて処置をしていく必要がある。しかし、時期のいかんを問わず抵当権にも質権にも負けないという先取特権については、これは租税も負けることにしている。不動産公示の先取特権というようなものにつきましては、これは税も絶対に負ける、まずそちらに払ってから税をとる、こういうことであります。  それから、一般の先取特権につきましては、その中で登記を備えれば、その登記の先後によって抵当権との優劣をきめるという種類のものがございます。こういうものにつきましては、抵当権と同様に、租税の納期限より前に発生したものであれば、それは租税が負ける。また、あとに発生したものであれば、従来は、滞納処分をいたしまして、公売代金が入って、税に充てて、なお残りがあったら滞納者に返すのでございます。そのときに先取特権があっても全部無視して本人に返してしまう。先取特権は租税に負けるばかりでなくて、一般私債権と同じ形になっておりますが、これを改めまして、租税の納期限より前に発生している先取特権で登記のあるものであれば、これは一応税に優先して配当する、たとい税よりおくれておって負けたものであっても、残余があればその分を先取特権者に払う、こういうことにしようというのであります。  それから、留置権につきましては現在では、留置権があっても、その滞納者の財産であれば、税務官庁はそれを差し押えることができるわけであります。差し押えをいたしまして占有を奪ってしまうと留置権はそこで消滅してしまいますから、留置権としては租税に全く効力を見てないということになるわけであります。しかし、反面におきまして、留置権は物を押え込んでおることによって間接的に弁済を強制する。自分が優先弁済を受ける権利はございませんが、間接的に優先弁済を受けられるようにしてある制度でございます。その留置権を取り上げておいて知らぬ顔というのはひどい。従って留置権についても少くとも配当手続には入れる必要があるということになるわけでございます。同時に、民事の留置権と商事の留置権と若干効力が違います。それらの点を考えて、商事留置権は、抵当権と同じように、租税の納期限の先後によって租税との優先権をきめる。民事留置権はその点では常に租税におくれますが、残余の配当手続には、残ができて配当を受け得る、かようなことにして法定担保権についての全体の均衡をはかって参る。それを貫いておりますのは、税が確定した時期を先後にして物を考えていくという考え方でございます。  それから、次に、滞納処分手続における第三者の権利の保護という問題でございますが、それは、従来は、納税者の財産であれば、その差し押えの選択は税務官吏の自由にまかされておりました。従って、税務官吏の目につくような財産はまず押えるというのが普通になるわけであります。抵当権とか質権とかがついている財産は大体確実に見つかります。従ってそれを押えておくのが一番確実だ。普通は、抵当権にいたしましても、フルにつけているわけではなくて、五百万円の財産に対しては三百万円くらいの債権をつけておりますから、それを押えておけばまず税はとれるということで、先に押えてしまうということになるわけであります。ところが、税の差し押えをいたしますと、抵当権の実行ということはできなくなってしまいますから、抵当権者は非常な迷惑をこうむる。それが前回の国会で通していただきました滞納処分と強制執行等との手続の調整に関する法律、この点は、もし抵当権があって、それを政府が差し押えたけれども、一方実行できないということで、抵当権者も実行したくとも手がつけられないという場合は、例の調整法によって裁判所に申し立てをして、税を一ぺんあと回しにして強制執行を先に行かせることができるようにして保護したわけでございますが、それにしても、差し押えを食らと非常にめんどうだという点があるわけでございます。ですから、ただいままで申し上げました抵当権、質権のある債権、それから留置権つきの債権といったようなものは、いずれも第三者の権利の目的となっているわけでございます。しかし、こういうものは、そういうふうに税で押えられては非常に迷惑である。あるいは、交付要求と申しまして、強制執行手続を開始して競売をいたしますと、税の方はこの場合必ず交付要求をしなければならぬ。配当手続と同じように、税の分がこれだけあるからよこせということが出てくるわけであります。そういたしますと、大体においては税の方が優先しておりますから、先に取られてしまうということがある。しかし、税の方は、ほかに財産が取れるにかかわらず、強制執行をしてやったならば取れるということになると、税が横から入ってくるということになって、これは第三者の権利というものが全く無視されてしまうという点があるわけであります。こういう点から、今回の改正の実質的に最も大きな点は、第三者の権利の目的になっている財産につきましては、納税者に、ほかに財産がなくて、その納税者のフリーな財産からだけでは税が取り切れぬというときに限って、その第三者の権利の目的になっている第三者の財産を差し押えることができる。また、間違って、取れるにかかわらず、第三者の権利の目的になっている財産にいきなり手をつけたという場合には、第三者からそれを申し立てて差し押えがえを請求することができる、こういう措置をいたしまして、しかも、差し押えがえを要求したにかかわらず税務署がぐずぐずしておれば、三カ月たてば自動的に差し押えは解除になるということで、第三者の権利の目的となっている財産というものが押えられるのは一番最後の場合ということになりますので、先ほど申し上げましたように、抵当権に対する優先というものをぐっと引き下げましたが、引き下げると同時に、実際問題としてはそういう事態が例外的にしか起らぬ、つまり滞納者の財産がほかにないというようなときに初めて抵当権が問題になり、そうしてその抵当権も租税債務よりも先に設定されておれば、これは負けない、こういう保護をはかろうというのが趣旨であります。  それと並行いたしまして、現在では、第三者が納税者の財産を預かっておる、あるいは使用貸借しておるという場合には、これは、納税者の財産である限り、徴税官吏が行ってそれをすぐに差し押えることができるわけであります。差し押えて売ってしまう。そうしますと、第三者としては、自分が使っておった財産をひょっと持っていかれるというので、非常に不便であります。急にやられてしまう。事前に通告も何もなしに、一応納税者の財産だからといって、いきなり差し押えをすることができたわけであります。この点は税の必要から申しましても若干きつ過ぎるという点で、第三者が保持しておる物件、所持しておる物件を差し押えの場合には、やはり同様に他に納税者に財産がない、税を払うに十分な財産がないという場合に限って、第三者が持っておる財産にかかっていけることができるようにしよう、その場合も、第三者にあらかじめ通告をいたしまして引き渡しをしてくれということを言う、その期日までに引き渡しをしない場合に初めて差し押えをする、こういうことにするわけであります。第三者がその場合に賃借権を持っておって、借料を前払いしておるというような理由があれば、その借料は、破産法の場合と同じように、三ヵ分これは税よりも優先して、その代金の中から返してやる。もし、第三者が、自分はそれは要らぬから、前払いの期間だけは引き上げるのを待ってくれといえば、それは引き上げをしない、こういうことにしようというわけであります。  これに関連いたしまして、現在は、第三者が納税者の財産を持っていると認められるとき、あるいはそれを隠しておるという疑いがあるときは、第三者の家屋、倉庫等を調べられるという規定がございます。これは第三者としてははなはだ迷惑なわけで、滞納者の財産を持っておるだろう、確かに持っておる、こう言われれば、自分の家屋を捜索されてもしようがないということになる。これは、ある意味では、昔の法律でありながら、非常に猛烈な法律であります。そういう意味で、今度は、第三者の権利を保護する意味におきまして、第三者は原則として同意がなければ捜索を受けない。もちろん、その場合にも、第三者といっても、同居の親族、奥さんがだんなさんのものを預かっておるという場合には、これは別でございますが、そういう同居の親族でない、特殊な関係のない者が本人のものを預かっておるという場合に、調べに来ても、いや自分のうちは探してもらっては困ると言えば、そこは調べることができないというようなことにしょう。もちろん賃借契約その他がきっちりありまして、帳簿その他であることが証明されれば、これは調べることができるわけでありますが、ただ漫然と、お前は預かっておるだろう式の調べ方はできないということにしようというわけであります。  それから、次に参りまして、四ページの「徴税制度の合理化」、譲渡担保及び仮登記によって担保される債権と租税との調整、この譲渡担保は御承知のように判例法ででき上ってきたものであります。所有権を移転することを担保として債権を担保するわけでありますが、この制度は、形式上は所有権の移転ということだけが法律的に現われまして、あとは当事者間の契約によっておるわけであります。そういう面から申しまして、担保権であることは事実でございますけれども、事実上の担保権でございます。従いまして、形式論をやりますと、所有権が移っておるから滞納者の財産ではないという解釈で、差し押えができないわけであります。解釈によりますと、税はあらゆる私債権に優先するというのだから、事実上の担保権についても優先するのだという解釈もあり得るわけでありますが、これは長く税としては伝統的に、納税者の財産を確認するのは民法の原則によって対抗要件の有無によって発生するのだ、不動産であれば登記によってやるのだという考え方に立っておりますから、その点はあえてやっていないわけであります。ところが、譲渡担保は御承知のように所有権を移転してやりますから、先ほどの抵当権のような場合を考えてみますと、五百万円の債務のために一千万円の動産なり不動産を譲渡してしまう。しかしこれはどうせ返ってくるのだからというので、相当大まかな譲渡が行われるわけであります。しかし、普通の抵当権でありますと、千万円の財産に五百万円の抵当権がついておって、売却すれば千万円で売れる、そうすればあと五百万円は税が取れるわけであります。ところが、譲渡担保の場合は、所有権が向うにいっておりますから、その残りの当然滞納者に属すべき部分である五百万円分にも手がつけられないということになって、いかにも不合理でございます。そういう意味で、もちろん抵当権よりこれをきつくするということは考えられないので、譲渡担保につきましても抵当権と同じ条件で滞納処分をして、そしてその場合譲渡担保権者の方が優先しておれば、その分は先に払う、おくれておれば、それを政府がまず取って、残りを担保権者に渡す、こういうやり方をしようというわけでございます。  それから、仮登記の方は、御承知のように、仮登記は、仮登記のなされた後に本登記をいたしますと、本登記は仮登記の時期に効力がさかのぼるということになるわけであります。ですから、担保として考えます場合に、たとえば金を貸し付ける。そして担保に抵当権を設定する。しかし抵当権を設定しただけでは税に負けるおそれがある場合には、それに並行した仮登記をやっておくおけです。これが請求権保全の仮登記です。もしもお前が金を払わなかったならば、代物弁済としてこの財産を申し受けるぞという請求権保全の仮登記として仮登記しておく。そうしておきますと、いざ差し押えられたとなれば、そのときには、まず並行して差し押え等を受けた場合には、期限の利益を失うことを認めろという条項がついておりますから、そのときにすぐに本登記に移してしまう。そうすると、がらっと差し押えがひっくり返ってしまうということになる。これは仮登記がそういう本来の効力を持っているところをうまく利用すれば、担保権と同じように、いや担保権以上のものになるわけであります。この点は非常におかしなものでありますので、これも、税が発生してからとりあえず仮登記をしておくということをやった場合には、税より負ける。税よりも前に仮登記をしておっても本登記はしていない。しかもそれは担保のためだということが明確に出ている場合には、担保としての機能と同じでありますから、この場合には抵当権と同様に取り扱う、こういった考え方が一つであります。  それから、根質、根抵当と租税との調整でありますが、これも、根抵当を設定しておきまして、いよいよ税が滞納になって危いというときには、根抵当の額をどんどんふやしていく。そういたしますと、たとえば、最初は千万円の財産に百万円くらいの債権を担保にとって、根抵当の極度金額は千万円とつけておいた。ところが、この財産が取られそうだというときには、根抵当の貸付額をどんどんふやしていくと、税は全然取れない。つまり最初の根抵当を設定したのが税の納期限より前であれば負けないわけですから、それをどんどんふやしていく。極端な場合は、他の債権譲渡を受けてその債権を根抵当でふやしていけば、どんどんふえていくということになる。同じような関係で、根抵当の極度金額ですが、これは普通は根抵当の場合には千万円までは担保するということで、その間に百万円、二百万円と貸していくわけです。その極度金額自体をふやすということになると、抵当権をもう一つふやすということになるわけでありますが、今の法制では、極度金額を増加することは、不動産登記法では付記登記という方法でやっておりまして、付記登記は本登記と同様な効力を持つということになりますので、やはり極度金額の増加は最初のときにさかのぼって税に勝つ、こういう格好になっております。これは実際問題として私法関係でもおかしいといわれておるので、根本は根抵当、根質が租税に優先するのは、租税の差し押えを受けるときに貸し付けた債権の額をもとにおいて、それから貸し付けたものはあとの抵当権と見ていけるのですから、極度金額を増加したものも、そのときにその部分は設定されたと見て、それが納期の前かあとかということを確かめればいいじゃないかということになるわけでございます。  それから、担保権につき財産の譲渡と租税との調整でありますが、これは複雑な御説明しにくい問題でありまして、たとえば、今御説明申し上げたように、ある人が一千万円の不動産を持っておって、五百万円の税の滞納があった。そのときに抵当権者がその千万円の財産について七百万円の抵当権を設定した。そうすると、この抵当権は租税に負けるから、一千万円の財産の中から五百万円は税金に取られて、残りが抵当権者のところに参ります。そうすると、抵当権者は七百万円のうち五百万円しか取れないことになる。ところが、この担保権つきの財産をぽっと人に譲ってしまうということになると、今度は納税者が変ってしまいますから、租税の方が追っかけていけない。そうすると、五百万円しか取れなかったはずの抵当権が、急にもとに戻って七百万円になってしまうということになりますと、せっかく租税の優先権をきめておいても、財産が譲渡されたということで、その基礎がなくなってしまう。それで、その場合には、やむを得ないから、その財産がもとの滞納者にある限りは、抵当権者が取れなかったその二百万円を政府が取り得ることにしたわけであります。つまり二百万円だけを限度として、譲り渡しを受けたあとで、その抵当権者に民法上の転担保と同じ法定転担保権というものをつけて、抵当権者が七百万円の弁済を受けたそのうち二百万円は政府に払うという形にする。そうすれば、それによって負けておった抵当権者が勝ってしまうということが起らないで済むというのが、この第三の問題であります。  次に、租税相互間における調整という問題でありますが、これは、税固有の問題は地方税と国税の間では原則として平等だ、しかし平等では困るので、実際は先に差し押えをした者が全部勝つということにしております。それから、ほかの差し押えで、たとえば税務署が差し押えをした場合に、固定資産税とか酒税などが交付要求をすることがある。残りがあったら分けてくれという要求をする。その場合にどっちの要求をした者に勝たせるか。これは今非常に複雑な制度をとっておりまして、いわゆる群団優先主義といいまして、滞納処分をした場合、事前に納期がきているものと、それ以後にきているものの二つに分けまして、その中で平等弁済をするというめんどうな手続をとっておりますが、今度はそれを簡単にいたしまして、交付要求をしてくる順序に従って分けるということで、これを簡素化しております。これは今裁判所が強制執行をした場合には非常に困っておりますので、この点を直しておこうということであります。  それから、第二次納税義務者の拡充でありますが、これは、現在でも、たとえば親族間で無償譲渡をしたためにその税が取れなくなるという場合には、財産の限度において譲り受け人にその滞納者の税をかわって納めさせる制度があります。つまり実質的には滞納者の財産でありますが、形式的にはそれが遮断されている場合においては、一定の厳重な制限をつけまして、第二次納税義務者という形で、その財産の中からそれを取り立てさせる制度があるのであります。これは、先ほど局長が申し上げたように、株を子供の名義にしてやる、しかしこれは、名義だけで、実際は父親のもので、父親が使うというようなときにおいて、その税金を滞納しておる、こういう場合があるのであります。それで、滞納したからといってその株券を取ろうとすると、これは子供の名義になっておるからだめだということでは困るのでありまして、その場合実質的には父親の財産と同じでありますから、そのむすこに株券の範囲で父親の税金を払わせるというような点を、つけ加えて参っておるわけであります。  それから、第六番目の保全差し押え等による租税徴収の確保策でありますが、現在強制執行等においては仮処分とか仮差し押えとかいう制度があります。債権について争いがあっても、それを予防的に差し押えをしておく手段でありますが、税ではそういうことがないので、税金が確定してから初めて差し押えということになる。ところが、査察をした場合には、もう大体税が来そうだというときには、財産をみな散らしてしまうので、その場合予防差し押えができないと、みすみす大きな財産が逃げるということになりますから、この場合は保全差し押えができるということになっております。  以上がおもな点でございます。  さらに、滞納処分手続というのは、ただいまの国税徴収法ではほんの十数カ条しかありません。強制執行手続に当るような複雑な手続を、同じような規定で、いろいろ税の徴収に関係のある多くの人々の地位といったようなものは不明確であり、強制執行に準ずるような強い手続をいたしますにしては不十分でありますので、この点の手続をすべて法律できめてあやまりないようにする。そのかわりに、また法律できめます関係で、当然それに対する異議申し立てもどんどんできるようにする。現在では異議申し立ての範囲等もはっきりしてない、こういった点を大幅に合理化していこうというのが、手続法の改正でございます。  なお、最後のところで「差押禁止物件の合理化」というのがございますが、「差押禁止物件」というのは、民訴におきましても徴収法におきましても非常に古い規定でございまして、合理化がはかられない。ことに、給与債権の差し押えなどにつきましても、どんな零細な給与債権でも差し押えられるということになっております反面に、非常に大きな給与債権でも四分の一しか押えられないといったような不合理がある。今回は、その点を改めまして、非常に小さな給与債権は全額差し押え禁止にするかわりに、逓増的に給与がふえていけば差し押えを受ける部分をふやしていく、そして公平をはかるといったようなことをやろうというわけでございます。  以上かいつまんで申し上げた通りでございますが、なお、もう一つつけ加えて申し上げますと、そこの最後に「法律案の構成」といたしまして出ておりますが、そこに、十章に分けて規定するとともに、国税徴収法の施行に伴い、所得税法その他の税法及び関係法律の整理のため、別個に国税徴収法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案を作成する。現在国税徴収法を準用しております公課が先ほど申し上げましたように六十幾つございますが、このお互いの順序が非常に複雑になっております。国税、地方税に次ぐと書いてあるものがあったり、あるいは国税、地方税に次ぎ他の公課に先立つと書いてあるものがあり、いろいろな形式があって、租税を含めた公課の正優先順位というものが八段階に分れておりまして、その八段階の分れ方が論理的ではなくて、新しくできた法律は、前のやつに勝とうというので、だんだん強くしていく。同じ社会保険でもあとになったり先になったりというような非常な矛盾が出ておりまして、しかも非常に複雑なために、裁判所が困っておる。今回はその複雑さを一挙に整理して、そういう複雑な段階をなくしてしまうということで、公課自体も非常に合理化される、こういったことになります。  以上、簡単でございますが、かいつまんで御説明申し上げました。

山本勝市自由民主党

○山本小委員長 大体説明を終りましたが、何か御意見、御質問がありますか。

田万廣文日本社会党

○田万小委員 大体のお話は国税徴収法案の概要の中に書いてあるのですが、それにいろいろ説明を加えられた程度で、われわれわかったところと、なおわかりにくいところがあるのです。従って、具体的にやはりもっと詳しく聞かしてもらわないと、この国税徴収法というものと、他のいわゆる民法、商法その他の関連したものが今承わっておると相当ありますので、法律を知っておる人はともかく、そうでない人はちょっとわかりにくい点が多々あると思います。従って、この委員会が所期の適正な国税徴収法を研究する上において、もっと掘り下げたものにして、各委員に法の精神を徹底するようにしてもらいたいと思うのです。やはり具体的に一つ一つの例示をしていただいて——今もちょっとしていただきましたけれども、もっと掘り下げたものをしていただいた方が委員によくわかるんじゃなかろうか、こう思うのです。これは私の意見です。

山本勝市自由民主党

○山本小委員長 これは制度調査答申の中にそういう例など詳しく書いてないですか。例を上げてくれるとよくわかるのです。いずれ、本委員会でも、審議も何も拒むわけではないのですが、しかし掘り下げたやつはなるべく小委員会でという原則で……。

田万廣文日本社会党

○田万小委員 やはり委員会に正式にかかってきた時分に、議論する対象としてこの法案を研究する必要がある。その意味でこの小委員会ではやはり具体的に勉強さしてもらいたい、こう思うので、一つお手数ですけれどもお願いしたい。

原純夫大蔵事務官(主税局長)

○原政府委員 大へんけっこうな御要望でありますので、問題点について具体例ないし計数資料というものをできる限り整備いたしまして、御審議できるようにいたします。

横山利秋日本社会党

○横山小委員 私は、徴収法に直接関係があることとないことがあるのですが、次の小委員会までに、今から申し上げることについて、口頭でもけっこうですが、例示をあげて一つ御説明をいただきたい。  それは、まず第一に、税の予納制度の問題であります。税金を先に払わなければ商売をやらせぬという制度が予納制度です。たとえば入場税がそうでありましょう。あるいは、地方税におきましても、たしかパチンコ屋ですか、マージャン屋ですか、そういうものがあるはずでありますが、そういうことが一体どういうところから出ておるのであろうか。興行をやるためにはまず税金を払え、そうでなければ切符を渡さぬ、つまり相手が持ち逃げをするという前提、危険を防止をするために、税務署の便宜措置としてそういうものがあるのではなかろうか。これは一体納税者側に立った議論であるか、また国の側に立った議論であるか、どちらが一体法理論の上から正しいのであろうかということに、私は深い疑問を持つわけです。予納制度の実体及びそれはどういうふうにしたらよろしいかということを、委員長としても題材として取り上げて、その実体に対する、私の疑問に対する解明をしていただきたい。  第二番目は、税務署の御都合で納税者に不便を与える場合がある。たとえば三月十五日が確定申告です。それに申告をします。それが事後審査ということでずっと審査をおくらされる。そうしてきまったときにはそれに対する延滞利子をとるというしかけになっておるわけです。あるいはまた協議団へ持ち込む。協議団が非常に多忙であるためにおくれる。そのために納税者が不利を招く。つまり税務署のお仕事の多忙であるとかあるいはサボっておるとか、そういうような事情、そればかりではもちろんないのですが、それが働く場合が多いのにかかわらず、その間の利子は全部納税者持ちということは、いかがなものであろうか。これはその段階方々において区別をされ得る問題もあるのではなかろうかという役所の——明確に分離はし得ないかもしれないけれども、多分に役所の都合で納税額の決定がおくれる場合において、全部利子が納税者持ちということはいかがなものであろう。この第二点についてのお答えを願いたいのであります。  それから、第三番目は、先般名古屋でこういうことがありました。これは原さんには先年お話をしておいて、後刻結果を承わりますという御連絡はしてあるのですが、五年間の時効にかかる直前に、その税務署において納税者を脅迫するというか慫慂をして、そうして督促をしたことにしておいて、時効を中断をしないでやった。ないしは、書類を作成して——これはまさに公文書偽造という格好になるわけですが、そういう書類を作成をして、時効を中断させなかったという事実がありました。これは実害としては大したことはなかったのですが、その中に二つの問題がありました。一つは、税務署の成績主義といいますか、五年もほうっておいたということについての税務署長の立場、担当者の立場、そういうことがあって、成績主義のために時効にかかるようなことをさせないように、人為的に努力をしたというやり方の問題が一つ、第二番目は、実害が少かったからいいようなものの、これは少いということはあったわけでありますが、そのあったことについて、一体どういう措置をしたのであろうか、また、その結末はどういうふうになさったのであろうか、この点について、御報告がいただきたいのです。  それから、第四番目は、この国税徴収法の中にも、いろいろ議論が出てくるわけでありますけれども、申告をして、一応それで話がついたというか、税務署でそれでいいというから払った。それが将来になって特徴班とかあるいは査察とかでやられるわけですけれども、申告した者に対して、イエス、ノーを税務署としては一体言えないのであろうか。一応それで済ましておくということよりも、申告是認措置というものをきちんとして、もうそれで納税者も安心をする、税務署もそれに対して責任を持つということはどうしてできないのであろうか、このできない理由は何か。  以上、さしあたりこの四点について、次回の小委員会で御報告をいただきたいと思います。私、こればかりでなく、徴収の問題についてたくさんの問題があるのでありますから、これらの中で、小委員長におかれては、問題の解決に一つ御尽力をお願いいたしたいと思います。

山本勝市自由民主党

○山本(勝)小委員長 ちょっと横山君、きょうは国税庁が来ていないのですが、この次から国税庁の長官及び関係者を呼びまして、あなたの今おっしゃったような問題は国税庁の関係が多いと思うのですから、それは一つ徹底的にやりますから、ぜひ出席して、それから、私が皆さんにも問題を出してほしいと思いますのは、私の希望からいうと、先ほど申しましたが、今度の徴収法の改正を聞きましても、これは法律上の関係が明らかになって、納税義務者に対する債権者と国の関係というものはうまくいきましょう。それが経済全体に大きなプラスの影響を持つということは考えますけれども、しかし、納税者自身が税を納められない、債務も負うておるというものとしては、とられるのはどっちでもいいのだ、むしろ苦痛は、大多数の国民がそういう場面にぶつかった場合、税務署をおそれるのはほかの点にあると思うのです。それで大多数のまじめな中小企業者が税務署をおそれおののくということのないようにという点からいうと、どうも今度の国税徴収法の改正はそのポイントには触れてないのじゃないか。そこで、これは頭を百八十度の転換といいますか、大転換をしないと、私が最初申しましたこの問題は解決できないと思う。それはもう中小企業者というようなものとサラリーマンなんというものとが、国家のわれわれの生活にとっては価値が違うのだ、極端にいいますと……。税の方からは同じ納めておりましても、社会的な一つの安定力としての独立企業者というようなものの重みは非常に重くなければならぬ。それから、個人の独立営業者が形だけ会社にするというふうなことが盛んに税法上の関係からはやりますけれども、実際は個人営業で自己の責任でやっておりながら、形だけ会社にして、社長だの専務だのというので、月給取りになっております。こういうことは税法の関係から主としてくるのだが、それが果して日本の国家にとって——単に経済といいません。広く日本の社会にとってそういうことは望ましいことか、望ましくないことかということを検討する必要がある。もしそういう自己の責任においてやるという民主主義社会における柱になるような人間が単なるサラリーマンになってやっていくというふうなことを税法の七から招来するということは、非常に日本国家を弱体化していくのじゃないか、こういう大きな問題も私は考えねばならぬと思います。そういう点はただ法律関係だけをいじくって調整したというようなことでは片づかぬのじゃないか。税が要するに日本の国民生活全体に対してマイナス的な影響を与えておるという大きな面ではないかというふうにも思われるのであります。  それから、こういう点も私は問題になるのじゃないかと思うのです。中産階級というものは国にとって非常に大切であるのですが、その中産階級が相続税というものによって中産階級たる地位を失って、プロレタリアに転落してしまうのじゃないか。これは、子供がたくさんあって、たくさんの子供に分ける場合は仕方がありませんけれども、たとえばたった一人の子供がある、二人の親からたった一人の子供に相続する、健全な中産の事業家がその一人の子供に相続したという機会に、これがもう中産階級の地位を失うというようなことが、大きい見地から望ましいことかどうか。ただ個人の負担の平等などというふうな見地からだけでなしに、日本全体の社会構成の上からいって、望ましいことかどうか。大きな大所得者から累進税でとるということは大賛成です。しかし、ほんとうに国の堅実な中核をなすところの中産階級、ことに自分の責任において物事を決していくというふうな中小企業者などが、一人、二人の子供が、親の数と同じだけの相続をした場合にも税金で持っていかれるために、財産を失って、その基礎を失うというようなことも、これは税の関係から大きく考えねばならぬのじゃないか。  それから、物品税などでもそうですが、金を財産にかえたということと、財産を金にかえたというだけの事実から——新しく財産を得た、金を得たというのに税をかけるということではなくて、これまですでに持っておった金を財産にかえた、あるいは財産を持っておったものを単に金にかえたというだけで、そこで国が税をとっていくということは、これはその担税力というふうな点だけならば理由は立つかもしれぬが、先ほど言いましたわれわれが大いに育成していかねばならぬ中産階級というものが、自分の財産の形態をただ金という形態と物という形態とに転換したという事実だけで国が税をとっていくというようなことは、その人間はやはりプロレタリア化していくことになり、どうもおもしろくないのじゃないか、これも検討の一つの問題ではないかと思うのです。  まあこういったいろんな問題がありますが、どうか委員の諸君からもそういう問題を、平岡君あたりからもうんと出してもらって、この間は、春日一幸君が、本格的にやれ、そうすればおれもやるということでしたので、私もこれは党派を越えて一つ徹底的にやりたいと思いますから、一つ協力を願います。

久保田鶴松日本社会党

○久保田(鶴)小委員 これは原局長なり課長さんからいろいろ説明がございましたが、もともとこれを作られましたのも、学問上雲の上の人たちばかり寄っていろいろ研究されて作られたものであって、私は、もっと、税というものについて非常に国民が苦しんでおるのだ——今小委員長からもいろいろ話がございましたが、国民の生活、それが税の徴収というようなことによっていかに苦しんでいるかというようなことを、もっと掘り下げて検討されてないですね。そういうようなことは税制小委員会においていろいろ私たちが寄って検討して、そこにいかに雲の上で作られたものであっても、それを修正して、国民にぴったり合う法律にしていくことがわれわれの立場でありますけれども、しかし担当者である方々もやはりこうしたものを作られる場合に考えてもらいたい。一例をあげますと、租税特別措置法に基くそうした大きな税金をごまかして、何でもかんでも必要経費、必要経費に落して税金を一つも払わないような人たちの徴収方法は、一体どうするのかというようなことなんかも、一つも考えていらっしゃらない。ほんとうに困る人たちを、何といいますか、今の税法からいくならばいじめていくのだ、困らせるというようなことになっている。その点がこれを見ましても一つもございません。税務署にいたしましても、税務署の署長さんは、私は最後の決定権を持っておりますというけれども、やはり係員がみな仕事をしているのだから、やはり係員の人たちの意見を尊重されます。そうすると、その係員の人たちは、若い人たちで、差し押えなんかしてきて、帰ってどんなことを言っているか。差し押えをしてきたときに、向うのばばあやおやじが泣いておっておもしろかったな、こんなことを税務署に帰って言っているのだ。そういうようなことできめられたものがどんどん徴収されていくというようなことで、非常に矛盾がある。これはなかなか問題ですが、きょうはこの説明を聞かしていただきましたけれども、私たちぴんときませんので、これからそういう点をもっと深く掘り下げて、私は、小委員長は非常に名小委員長だと思いますから、そういう点で研究をもっと進めていきたい、こう思います。

山本勝市自由民主党

○山本小委員長 ちょっと原局長に伺います。この委員会は五年間もやったと言いますが、最初に名前をずっとあげていますが、これは職業は書いてないけれども、全部サラリーマンじゃないか。どうもよくわからぬが、大学の先生だとか大会社のサラリーマンとか官庁の何とか、結局サラリーマンばかりで作ったのではなかろうか。それで、サラリーマンのサイコロジーというものは、要するにきまった月給をもらって、そうして大体きまった支出でやっているのです。これにはサラリーマン以外の者も入っていますか。

原純夫大蔵事務官(主税局長)

○原政府委員 お話の通りサラリーマンがほとんど全部であります。サラリーマンでない方といえば、江川六兵衛さんという方は、弁護士でありますから、サラリーマンではございません。そのほかはサラリーマンであります。この構成にサラリーマン以外をよけい入れろという御意見は、確かに御意見として伺いますが、委員のメンバーとして私どもこの調査会が決してそういう面を見のがすというような方々でなくて、答申書の一番初めに書いてございますが、いずれもりっぱな方であり、かつそういうサラリーマン以外の税の問題もおわかりになる方々を多く含めておるというふうに思っております。具体的には、この臨時委員であられます岡松成太郎さんは、日本商工会議所の常務理事として、いわば中小企業的問題についてはよく知っておられる。言い過ぎかもしれませんけれども、日商が中小企業関係の問題を取り上げるというときには、この人は幹事役になってものを言うというような方でございますし、楠見さんは、農林系統の学識経験者として、そちらの方のこともいろいろ御存じである……。

山本勝市自由民主党

○山本小委員長 それはわかりますが、楠見君だの岡松なんという人は、税務署員を見てふるえ上って小便が出てきたというような生活をしていませんよ。税務署員を見たら身ぶるいして小便するような、そういうような生活の経験を経た人は——自分自身は今そうでなくても、そういう経験を経てきたという人でないと、この税の問題は私のねらうようなことは根本的には解決できないと思う。

田万廣文日本社会党

○田万小委員 委員長なかなかいいことを言うので感心して聞いておるのです。原主税局長から話のあった委員の点ですが、商工会議所の会頭というようなのを入れる必要もあるかもしれませんが、中小企業を代表するとすれば、やはりそういう側の委員は——これは一応できてしまったんだからいい悪いはあとで言うとして、これから先、大蔵省でいろいろの委員会を持たれる場合には、ほんとうの中小企業層とか労働者層とかいろいろの層がある、その各層の意見を総合していくという意味において、委員のとり方をもっと研究して、民主的なやり方をやってもらいたい。このことについて私はその点を思いついたから申し上げておきたいと思います。

原純夫大蔵事務官(主税局長)

○原政府委員 ごもっともなお話で、私どももそういう点を十分考えなければならないと思っております。昨年の税制懇談会、その前の調査会あたりでは、そういうことを相当考えたつもりであります。  なお、先ほど久保田委員から言われました点につきまして、私どもは決して小さいものからかっきり取り立てるというようなセンスでこの改正案を用意しておるのではないということを申し上げておきたいと思います。先ほど申し上げましたような世の中が進んでいろいろな仕組みを考え出される、考え出される向きというのが、やはり知恵のあるといいますか、いろいろそういうことを知り得る相当力のある納税者が考えるという場合が多いので、そういう場合に、実力があるのにいわば税を回避するというようなことのないように、この概要書でいいますと、徴税制度の合理化というところにおきまして、いろいろ措置をとろうとしておるのは、これこそおっしゃるような力があるのに税を回避するということのないように、いろいろな手だてを十分にいたしておるということでありまして、この差し押え禁止物件の合理化のところにおきましては、たとえば給与を押えます場合に、現在では一律に四分の三は押えてはいけないということになっておりますが、年に千万円という給与もございます。そういう方も七百五十万円は押えてはいけないということになっておる。そういうことはないじゃないか、やはり下の人には厚く、上の人にはそんなに残さなくてもよろしいというようなことも入れておりまして、そういう点はできるだけ配慮いたしておりますので、今後具体的にいろいろお聞き願う場合に、問題点についていろいろ御指摘をいただき、またお答えさしていただきたいと思います。

山本勝市自由民主党

○山本小委員長 本日は、この程度にとどめ、次会は十一日午前十時より開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時十九分散会

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