大蔵委員会 第15号
- 発言数
- 97 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1959/03/03
会議録
○早川委員長 これより会議を開きます。 昨二日予備付託になりました、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とノールウェーとの間の条約の実施に伴う所得税法の特例等に関する法律案を議題といたします。 政府より提案理由の説明を求めます。大蔵政務次官山中貞則君。
○山中政府委員 ただいま議題となりました所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とノールウェーとの間の条約の実施に伴う所得税法の特例等に関する法律案について提案の理由及びその内容を御説明いたします。 政府は、今回ノールウェーとの間に所得税及び法人税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための条約を締結し、その批准について承認を求めるため、別途御審議を願っているのでありますが、この条約に規定されている事項のうち、特に法律の規定を要すると認められるものについて所要の立法措置を講ずるため、ここにこの法律案を提出することとした次第であります。 以下この法律案の内容について申し上げます。 まず第一に、利子所得等に対する所得税法の特例を定めることとしております。すなわち、今回の条約によりますと、わが国及びノールウェー両国とも、国内に恒久的施設を有しない非居住者等に対して支払われる利子所得等につきましては、百分の十五をこえる税率で課税をしてはならないこととなっておりますが、わが国の所得税法ではこれら利子所得等に対する税率は百分の二十となっておりますので、条約の適用のある場合には、所得税の税率を百分の十五に軽減することとしているのであります。 第二に、特許権等の譲渡により生ずる所得に対する所得税法及び法人税法の特例を定めることとしております。今回の条約によりますと、わが国及びノールウェー両国とも、国内に恒久的施設を有しない非居住者の特許権等の譲渡による所得に対する租税は、収入金額の百分の十五をこえてはならないこととなっておりますが、わが国の所得税法及び法人税法ではこの種の所得につきましては、一般の所得と同様に、個人については累進税率により、法人については一般の法人税率により課税することとなっております。従って、条約の適用のある場合で、これら所得に対するわが国の税法による税負担が収入金額の百分の十五をこえることとなるときは、その負担を収入金額の百分の十五に軽減することとしているのであります。 最後に、今回の条約の実施に関して必要な手続その他の事項は、条約の規定の趣旨に従い、大蔵省令でこれを定めることとしているのであります。 何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御賛成賜わりますようお願いいたします。 —————————————
○早川委員長 関税定率法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案、揮発油税法の一部を改正する法律案、入場税法の一部を改正する法律案、砂糖消費税法の一部を改正する法律案及び関税定率法の一部を改正する法律案の五件を一括して議題といたします。 質疑の通告があります。これを許します。保岡武久君。
○保岡委員 ただいま議題となっております砂糖消費税法の一部を改正する法律案に関連いたしまして、二、三政府にお尋ね申し上げておきます。 このたび、北海道のテンサイ糖の保護育成のために、国内精白糖の消費税を従来の一斤二十八円から十二円六十銭に軽減し、そのため歳入減となる部分につきまして、輸入糖の従来の一斤八円八十銭から三十六円二十一銭に増額することにより補てんすることを中心として、砂糖消費税法の一大改正を断行せられんとする政府の御努力に対しましては、私ども砂糖に関係を持つ国民といたしまして、衷心より敬意を表するところであります。この際、鹿児島県南部の島嶼すなわち種子島、奄美群島及び沖縄に産出いたします含みつ糖たる黒糖につきましても、容器の制限、形状の差異による税率の相違という二点について従来の不合理を是正し、糖度を品質の向上に即応せしめて引き上げ、黒糖の税率を百斤四百円を一斤三円すなわち百斤三百円、一キロにいたしまして五円の減税を行わんとされておりますことは、砂糖消費税法が国際的制約を受け、容易に改正に着手し得なかった過去の事情にかんがみまして、政府の御努力を多とするところであります。しかしながら、翻って考えてみますと、含みつ糖たる黒糖は、税法にも示されております通り、サトウキビの搾汁を煮沸濃縮して、加工しないで冷却して製造するきわめて原始的な方法で、サトウキビを耕作する農民がほとんどみずから製造して販売している次第でありまして、農業の第一次的産業ではありませんけれども、第一次産業とほとんど変らないものと考えることができるのであります。これはちょうど澱粉がサツマイモを原料として原始的製法によるのと同じで、澱粉に税がかかるか、かからないか、というような問題と同一ではないかというふうに考えるのであります。かかる一次産業にもひとしい農産物に税が課せられている例は、他にほとんどその例を聞きません。しかも、他の生産地もそうでありますが、特に奄美群島は、三百年の昔から農民のほとんどがサトウキビを耕作し、キビから黒糖を製造して、唯一の換金産物として生活をして今日に来ておるのでありまするが、その農家の所得たるや、全国農家水準の四割程度で、全く貧困にあえいでいる次第であります。奄美群島の住民は、旧藩時代は藩庁がほとんど全島の黒糖を専売にし、きび横目という取締り役人を置いて監視するなど、その苛斂誅求により農民は困窮の極に達し、代官が農家がわずかばかりのサトウキビを私用に使ったというので、農民を牢獄につなぐなど、あまりにも悲惨であったのを見かねて、この当時竜郷村に流されていた西郷隆盛が代官にかけ合って島民を助けた。そのために、同地方では、今日なお西郷を心から崇拝していると伝えられているくらいであります。明治以後になっても黒糖消費税の重圧によって住民は苦しんで参りましたし、その減免は島民の多年の宿望で、私どもも日ごろ強くこれを主張して参ったのであります。しかも、この黒糖も、最近は国内文化の向上と経済の変化でその需要が漸次減少の傾向をたどり、生産の盛んな三、四月ごろの市価は極度に低落し、農民の手取りは百斤一たるわずかに二千七、八百円にも満たない現況であります。そのために農民の中には青葉を売って生活費や再生産費に当てている状態で、かかる悪循環のために浮ばれない生活をしているのが現状であります。政府は奄美群島が終戦後八年間の米国占領から解放されるや、奄美群島復興特別措置法により、同群島の復興に多額の国帑を投じて努力しておられますことは、感激にたえないところであります。特に産業的に見てサトウキビの増産こそ、同群島の農民の所得を増進する最大の道として、その増産にも努力が払われておりますが、前に申し上げましたように、すでに含みつ糖たる黒糖の需要は限界線にきておりますので、今後はこのサトウキビを原料として分みつ糖の製造に移行していかなければならない次第であります。しかし、同地方の特殊な立地条件からして、島内で産出するサトウキビをすべて分みつ糖にすることは不可能であります。かかる谷間に置かれた黒糖の保護と申しますか、黒糖の生産を余儀なくされます農民の保護のためにも、この際黒糖消費税の免除または大幅減税を断行されることこそが、国の行き届いた政治であろうかと存ずるのでありますが、このたび政府の提案されておりますところの案によりますと、従来の百斤四百円が三百円、すなわち四分の一の減税ということが中心になっているのであります。この点につきまして政府は今後いかなるお考えを持って進めていこうとされておられますか、御高見を承わっておきたいと存じます。
○山中政府委員 ただいま保岡委員の御指摘にありました通り、わが国の南方諸島は台風の常襲地帯下にありまして、その営農方式は、種々改良を加えても、なお非常に根本的な障害を解決し得ないでおるのであります。しかし、その中で、台風の常襲地帯下では、地上の作物というものはほとんど天候相手のばくちとまでいわれております条件の中で、長い歴史のもとに、サトウキビだけはかけがえのない国内唯一の生産源として、なおその困難と戦いながら栽培が続けられておりますことは御承知のところであり、御指摘の事実もその通りであると私も思うのであります。この砂糖に対します課税のあり方につきましては、理想といたしましては、ただいま保岡委員の御指摘の通り、消費税等もこれを全部撤廃をいたしまして、その苦しい条件の中で自由に生産するのを助けていかなければならないのでありましょうが、しかし実際には日本の必要量の大宗をまかなっております輸入糖に対する関税等との関係がございまして、国内産糖のみを一挙に理想に持っていくことはなかなか困難なのでございます。そこで、今回は、先ほどお述べになりました内容の消費税斤当り一円引き下げ等を含めまする、また質の面におきましては糖度を九〇%に上げまする措置等をあわせ行いまして、今回の国内産糖保護のために行いました関税への振りかえの措置に伴いまして、一応の施策といたしまして打ち出しておるわけであります。しかし、関係地区の代表でありまする保岡委員の立場からいうと、そういう措置ではまだまだ足りないという御指摘もまた私も当然のことだと思います。しかし、今回におきましては諸般の情況を考慮いたしまして、黒糖に対して措置し得る限りの措置をいたしたつもりでございまして、この際はこの程度のことで一応御納得をいただきまして、さらにもっと将来における台風常襲地帯、また日本にとってはかけがえのない、しかも唯一の暖地農業、亜熱帯農業と申しますか、そういうものの保護策等ともあわせまして研究を続けて、よりよい成果が得られますように、お互いに協力申し上げていきたいものと考えております。税法上の具体的な問題等を引き続き御質問に相なるかと思いますが、それらについては主管局長ないし担当官よりお答えいたさせます。
○保岡委員 ただいま、佐藤大蔵大臣の代理として山中政務次官から、現地の事情についてきわめて御理解のある御答弁をいただき、また今後に対しても島民が相当な希望の持てるようなお考え、御方針なりを承わりまして、私は非常にありがたく存ずる次第でございまするが、特に奄美群島の農民が、この際政府のありがたい措置にかかわらず、納得のできないところは、北海道のテンサイ糖保護という建前から、従来の精白糖の税金が二十八円から十二円六十銭と半分以下に下った、それにもかかわらず、奄美群島のごときはわずかに四分の一程度の減税しか政府は考えてくれなかったということについて、なかなか納得がいかないというところもあるわけでございます。私どもいろいろ承わっておりますと、政府の御苦心のあるところはよくわかるのでございますが、この四円を三円に下げたということを中心にして、今度の政府の御措置によって、一体今後奄美大島にどの程度利益がもたらされるかというふうなことについての大蔵省の御見解を、この際主税局長から承わっておきたいと思います。
○原政府委員 今回の砂糖消費税と砂糖に対する関税との振りかえに当りましては、砂糖の各種の種類の税の間の関係は、原則として従来の関係をそのままで参るという原則をまず立てたわけです。これは、氷砂糖、角砂糖と精製糖というような関係もありますし、あるいは再製糖との関係もございます。そういう原則を立てた。その中にあって、ただいまお話しの国内産の黒糖だけは、お話のような事情がいろいろありますので、かつ、年来そういう角度から御要望が多いというので、ただいま申した原則に例外を設けて、特別な優遇と申しますか、奨励と申しますか、これをやろうというふうに考えたわけであります。 しからば、お話の黒糖に対する保護措置はどれだけになるかということを申し上げますと、まず第一に、斤当りにして一円税率下げたということ。それから第二に、容器の制限を撤廃いたしましたために、これによるコストの減が私どもの見積りでは約一円程度あろうと思っております。それから第三に、今回の振りかえが、しばしば言われますように、砂糖消費税を下げた額より関税を上げた額が約二円高いということのために、これらがすべて価格に転化されるということになりますと、一般の砂糖の税込み価格は二円だけ従来よりも上るという結果になります。黒糖についてはその事情がないわけです。つまり、関税がかからないものですから、その事情がない。そうすると、ここに相対的に二円だけ国内産の黒糖が有利になるという事情があります。合計約四円、その上にかつ糖度を九十度までよろしいということに税法上改めることによりまして、いい品物であるのに安い税率ということになりますと、いい品物はそれだけ高く売れるだろう、つまり実質的にそれだけ減税だ。この辺どれだけそれでは値段が高く売れるだろうかということについては、かなりにむずかしい問題でありますが、私どもとしては、これも二円は欠かさぬであろう、二円余りになるであろう、総合計いたしまして約六円程度減税になるというふうに読んでおります。 南西諸島でできます国内産の黒糖は、約二万一千トンでありますので、糖度引き上げの分は必ず九十度に全部なるかどうかという問題がありますから、一応これをはずしまして、四円といたしましても、二万一千トンで約一億四千万円だけ、南西諸島の税が絶対的にまたは相対的に減るということになります。なお、その上に糖度引き上げの分が半分と見ましても三、四千万円影響があるというふうに、私どもごくラフな計算でははじいておるわけであります。
○保岡委員 今主税局長の御説明によりまして、大体わかったようなものでございますけれども、しかしながら、奄美群島の黒糖は、先ほど申しましたように、谷間の産業と申しますか、結局だんだん文化の向上なりあるいは経済事情の変化によりまして需要が減退していく。また、奄美群島その他の南西諸島方面のサトウキビも、黒糖ではもう浮べないので、結局今後分密糖に移行していくという趨勢を助長して参らなければなりませんので、そういう面から、果して奄美群島の黒糖が、今主税局長が御指摘になりましたように、今度の税法の改正によって経済的に有利になるかどうかということは、私どもは非常な疑問を持っておるわけでございます。しかし、大蔵省のお考えが、政府全体の総合的な御施策の結果として実現することによって、奄美群島の農民が今度の税法改正によって恩恵がいただけますように、今後とも御努力をお願いすることを希望しておきさたいと考えております。 なお、税法の内容について、二、三簡単に御質問申し上げたいと思いますが、第二条第一項第一号の第一種甲類の中に、従来は使っていないサトウキビの搾汁を煮沸濃縮し、加工しないで冷却して製造した砂糖、従来は「加工しないで」という言葉がなかったのでありますが、今度特別に「加工しないで」という文句が入っている。加工するとかしないとかいうことは一体どういうことであるかということについて、相当疑問が今後出やせぬかということを懸念するわけであります。この点についての御解釈をお聞きしておきたいと思います。
○吉國説明員 それで、お答え申し上げます。御承知のように、従来奄美群島あるいは琉球におきます黒糖を特別に甲類といたしまして分類をいたしておりました基準は、搾汁を煮沸濃縮し、たるに入れて冷却し、そのまま製造場から移出する砂糖という表現でやっておったわけであります。つまり日本の特産物として搾汁を濃縮してそれをそのまま手を加えずにたるに流し込んで固めたものである。これがほかの国から入ってくる黒糖とは差別できる特殊なものであるということから、甲類を分類しておったわけであります。今度そのたるをはずしますと、その点ではかなり特色がなくなって参りますが、依然として煮沸濃縮したものをそのまま冷却をするという製造工程は特殊のものとして残るだろう、それを表わす意味におきまして、これを加工せずに冷却して製造したというのは、普通の外国から入って参ります粉になったあるいは粒状になったいわば直消糖に近いものと区別する意味で、「加工しないで」という文句を入れたわけでございますが、これは、ちょうど前のたるに入れて冷却しということで他の砂糖との区別をつけ得たものを、今度の規定では「加工しないで」という表現によりまして、従来と同じような区分ができるものである、そうして、それはさらに従来と同じように、その移出前に税務署の当該職員により当該砂糖であることの確認を受けたものであるという規定は依然残っておりますので、これによって甲類と乙類というものを明確に区分できるという趣旨のものでございます。
○保岡委員 従来の製法によりますと、どうしても煮沸濃縮したものを一応攪拌することになっておるのですが、攪拌することは加工ということの概念に入らないかどうか。
○吉國説明員 ただいまお尋ねの攪拌は加工には入らないという解釈でございます。
○保岡委員 もう一つ、同じ条文の中に、「政令で定める方法による濾過工程を経たものを除き、」という言葉が入っておりますが、現在濾過工程と申しまして行なっておりますことは、活性炭素、珪藻土を使ってフィルター・プレス等の濾過器の使用、あるいは糖汁の沈澱、金網等による不純物の摘出等、こういうことをやらなければ黒砂糖にならない。特に品質のいい砂糖にはならないのですが、こういうことは政令にきめられるかどうか、それを一つ聞かしていただきたいと思います。
○吉國説明員 この「政令で定める方法による濾過工程を経たものを除き、」と入れました趣旨は、今回糖度を甲類につきましては九十度に上げたわけでありますが、九十度に上げますと、加工の方法によりましては、実際上第二種の砂糖に類似したものができるわけであります。たとえば現在第二種で課税されております再製三温といったものは、八十八度ないし九十二度程度であります。それで、そういう加工度ができますと、この甲類を定めておる趣旨が砂糖全体として非常にくずれて参ります。従いまして、こうしたものを除くという規定を入れますと同時に、同じような趣旨で進んだ濾過をやった場合には、これが白い砂糖になって、いわば角砂糖の粗悪なものというような感覚のものになります。それになるとまた税率が非常に問題になります。そういう点で、「政令で定める方法による濾過工程」と申しますのはそういう進んだ濾過、イオン交換樹脂を用いる方法とか、骨炭法、炭酸包充法といった種類の、通常第二種糖を作ります際に用いられます本格的な濾過工程を除くという趣旨でございます。
○保岡委員 それでは従来やっておることは別に差しつかえないということに解してよろしゅうございますか。
○吉國説明員 従来やっておりますフィルター・プレス等による濾過、これは政令に定めるつもりはございません。
○保岡委員 それから、同じ条文の乙類に糖度八十六度以下のもの、甲類には九十度以下というふうに規定されておるのですが、乙類を八十六度で限定された趣旨を承わりたい。
○吉國説明員 従来から、分みつ糖と含みつ糖を区分する一つの基準といたしまして、八十六度という線をとっております。と申しますのは、第二種と第一種を分類いたします場合に、ただいま申し上げました再製三温は八十八度ないし九十二度程度で第二種になる。つまり厳密な糖度課税をしない限りは、含みつ糖と分みつ糖の境目は、かなり安全性を見ておきませんと危険なんであります。税差が非常に大きいために、外国から入って参りました砂糖などにつきましては、一々糖度で検査をするということになると、非常にむずかしい問題が出てくる。八十六度程度に押えるということによって、検査その他の区分のつけ方が比較的容易にできます。そういう執行上の問題と税差とを考慮いたしまして、大体従来は八十六度というのが限界だった。ただ、今回は、第一種の甲類につきましては、これが本来製造場が国内にある。従いまして、製造方法そのものが税務署によって確認されておりますから、含みつ糖の製造であるということが明らかである。分みつ糖として製造されたものでないことは、製造工程で明らかに確認できますから、九十度まで認めたのであります。外国から入って参ります砂糖は、製造方法自体がどんな方法をとっておるかわからない。九十度まで上げると、国内で、たとえば再製三温に相当するものが精製方法がわからないために、第一種だというようなおそれが出て参ります。その辺の危険を考えまして、乙類につきましては従来通り八十六度という線をとっておるわけでございます。
○保岡委員 いま一つ御質問申し上げておきます。三十三条の第二項でございますが、「前項の命令を受けた者は、当該移出又は引取の時までに、証紙を破らなければ砂糖類を取り出すことができない方法によって、」云々ということになっておりますが、従来砂糖は御承知のように県営検査を受けておるわけでございます。検査を受ける場合に、こういうことの規定がありますために、破ることができないとなると、検査がやれないということになるおそれがありますが、これについてのお考えを承わっておきたい。
○吉國説明員 この規定は、実は従来から実質上やって参りましたことを法律上明らかにしたわけでございます。従来と変えないやり方でやっていくつもりでございます。県営検査場までは未納税移出を認め、そこで検査が済んでから証紙を張るというような方法も認めていくという考え方で、従来通りの検査方式、証紙の扱い方でいきだいというように考えております。
○保岡委員 それでは、従来通りの検査で差しつかえないというお考えですか。
○吉國説明員 さようでございます。
○保岡委員 黒糖に関する消費税の改正につきましては、先ほど山中政務次官から御答弁もあり、また主税局長からもいろいろと御懇切な御答弁をいただいたわけでございます。私どもといたしましては、今度の税制改正につきましては、黒糖の保護という国家的な考え方、いわゆる政治の面から申しますならば、まだとても行き届いた考え方ではないというふうに一応思うのでございますが、しかしながら、四十年来できなかったこの黒糖消費税が多少ともこの際軽減になったということは、何と申しましても耕作農民のために非常にありがたい措置でありますので、今回はこの程度で納得と申しますか、がまんいたしますが、今後は、政府におかれましても、税をもって保護する、あるいはその他の諸施策によって保護する総合的な保護のことをいろいろ御検討いただきますことをお願いいたしまして、私の御質問を終ることにいたします。
○早川委員長 平岡忠次郎君。
○平岡委員 関税定率法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案につきまして、若干の質問をいたしたいと思います。 現在政府が、公約の線に沿いまして、いろんな品目の減税を考えておられますが、たとえば入場税にいたしましても十九億の減税、この金額十九億をめぐってかなり論争されております。それから、物品税につきましても、初年度三十四億円、こうした金額をめぐりまして、いろいろ検討も加えられ、論争されております。ところが、こうした入場税であるとか、あるいは物品税とか、相当世論の関心を持っているような項目にいたしましても、この程度の金額であります。ところが、この法律案に示されており、免税をなお一カ年送らんとする関税による減税というものは、何と年収見込額がこの改正案によって三百五億円、非常に大きな金額であります。私は、こうした点につきまして、案外関税定率法というようなものの関心が薄いために、こうした大きな点が見のがされていることに対しまして、まず委員会の注意を喚起する意味でも、この問題を取り上げてみたい、こういうことであります。つぶさにこの点を分析いたしますと、これは、米国からの小麦の輸入とか、あるいはまた原油とか、そうした原料的なもの、あるいは日本の食糧政策的なもの、こらしたものが大きな部分を占めておることもいなめません。そのことは承知いたしておりますが、そうした特殊的な、必要なものを抜かしても、なお百億くらいの減免措置が依然として来年度に持ち越される。このことにつきましては、やはり当委員会としては当然関心を持つべきものと思っております、 そこで、質問の第一点は、今度の暫定措置品目のうちで、原油及び粗油という項目がございます。これは金額にいたしまして九十九億九千二百万円、約百億円という大きな減免金額でございます。ところで、今回揮発油税百九十三億円の増徴をめぐりまして世論が沸騰いたしておりまするが、その揮発油税を世論の反対を冒してあえて増徴するという事態が一方にありながら、この基本税率一〇%のところ、現在では暫定税率として二%かけておるにすぎません。この二%を本年の三月三十一日でエックスパイアするのを、やはり依然として残して、ここに約百億円を減免しておくというのは、多少の矛盾が出てきておるように思います。その点につきまして、まず政府のお考えをお示しいただきたいと思います。
○原政府委員 関税の暫定減免税の問題は、全体としては相当額が大きいのでありますけれども、これも、御指摘の通り、主食であるとかあるいは油の問題であるとかいうようなものが非常に多いのであります。ただいまお尋ねの油、いわば炭化水素油の関税問題でありますが、これは毎回一年冷々延ばしておる。そのときそのときにその情勢に応じて検討いたしておりますが、今回私どもの検討いたしました筋道といたしましては、やはりこのエネルギー源の一つをになうものとして、相当各エネルギー間のバランスの問題がある。そういうような意味で、かつて、炭主油従ということで、この暫定減免税を切り詰めたということが数年前にありますけれども、今回は、そういう意味で、主管省から特別にこの政策的な取り上げ方を要望されるというまでの事態に至っていないというようなことから、この際、関税としてのバランス論から、これを変えるということはなかろうという判断をいたしまして、お話の通り、約百億円前後になる項目でありますが、これをその通りもう一年続けたいというふうにお願いをいたしておるわけでございます。
○平岡委員 経過の説明だけで、理由の示し方が薄弱だと思うのです。というのは、百九十三億のガソリン税の増徴という事態が一方にあります。そのときにそのもとである油、原油、この品目の輸入税につきましてなお特例を設けていく理由というものが、ちょっと納得できぬのです。その焦点を一つ御解明をいただかないと困ります。
○原政府委員 そういうことでありましたらば、実は、今度の道路財源としての財源が要るという場合に、ガソリン税でやるか、あるいは炭化水素油の輸入関税の特例を狭めてやるかということは、私どもも検討いたしました。検討の結論は、やはり揮発油税でやるべきであろうということでありました。理由は、炭化水素油の方は一番道路に真正面にきます。揮発油税というものはありますけれども、しかし輸入揮発油はたかだか数万キロリットルのものでありまして、千万キロリットルをこえる総体の輸入量に対しては非常に少い。しからば、各般の原油、重油等について全体に割りかけて、そうしてそれを道路財源に使うかという問題になりますと、この方は、むしろ総体の動力源としての作用をしておって、道路に使うという関係がはるかに間接になりますので、それらの原油等からエキストラクトした結果として揮発油が国内でできる、その揮発油の段階で課税をする、あるいは軽油の段階で課税をするという方が、道路の受益との関係がぴったりいく、他の原油、重油等の形で課税するのでは、そり関係ほかなりに離れてしまうということから、ただいまのような結論に達したわけでございます。
○平岡委員 原さんの説明は、説得力はないです。委員の方々も聞かれておりますが、そう説得力があろうと私は考えておりません。しかし、その点は水かけ論になりましようが……。じゃ、こういうことが言えるのですか。原料関係というものは、工業的にもあれ、あるいは食糧——これは原料とはちょっと性質が違いますけれども、こうしたものは、各国におきましても、大体税はかけるものではないという一応の原則的な立場があると思うのです。そこで、もともと定率法に原油に一〇%と規定していること自身が改めらるべきなんで、ここでは、特例的というのでしょうか、時限立法として二%という特例措置をしているけれども、これは、なお深くこの点を検討するならば、二%とか〇%にするのが本来あるべき姿だという前提がない限り、原さんの御説明ではちょっと納得がいかないのです。今私が申しました点につきまして、要するに、原料関係の一つである油というものもともと最低位に定率を定むべきものであるということかどうか、この点を一つお伺いしたいと思うのです。
○原政府委員 原料であってもある程度の課税をするということは、各国において必ずしも例が少いというのではなくて、相当そういうなにが多いのであります。もちろん御指摘の点は確かに問題な点であって、ただいまの二とか六・五とかいうようなところで宙ぶらりんであるのがどっちの方向に行くのかというような点は、基礎的に横たわる大きな問題であります。いわば関税定率法の全体についてそういう角度で常に検討を怠っちゃいかぬ。特にこの暫定減免税は、一〇%を二%にしているのがあるかと思うと、六・五というようなものもある。それらについて十分下から積み上げた検討をするということは必要だろうと思っております。私ども、この問題だけでなく、全般的に検討いたしたい一つの問題として考えております。ただいまお願いしておりますのは、きわめて沿革的に日本の経済への大きな動力源であるこの油類というものに対する関税をここで動かすという事由はないという、いわばかなり消極的な意味で一年続けるということでありますから、お話の点はなお十分検討して参りたいと思います。
○平岡委員 今の私とあなたとの問答に多少関連することですが、通産省の方におきまして、今度の石油外貨割当は三十三年度に比較しまして約二割カットしているそうですが、まずその点をお伺いいたします。
○原政府委員 ただいま手元に資料がありませんので、取り調べまして、後ほどお手元に届けます。
○平岡委員 そうするともまだ法律が通らぬので何とも言えぬが、通った場合、百九十三億をどこが背負うかという問題が一応あります。たとえば、精製業者である石油メーカーが一部を負担するのか、あるいは純然たる運送業者、ハイ・タク、こういう段階におきまして全部背負うかの問題がございますが、昨年のガソリン税増徴のときに、次のようなことが起ったのです。ガソリンの税金が上るから、その前に買いだめしようというわけです。ところが、ドラムカンに詰めてどこかヘストックしておくというようなことはできないので、全部のガソリン・スタンドまで満ぱいにさせたわけです。その買いだめできる可能量というものは十七万キロリットルくらいらしいのです。そうしますと、特殊な需要が起るわけですから、石油メーカーの方も、足もとを見すかしまして、二円くらいずつつり上げていったわけです。ということは、トンに対して三千円つり上げたわけです。そうして、昨年は五千三百円でしたが、実際には七千三百円くらい高くなったということがあるのです。そうした事例にかんがみまして、この二割カットした石油外貨の割当を、少くとも一割くらい復活させる必要があろうと思うのです。需給関係からそういう配慮を政府としてするお考えがあるかどうか。 それから、もう一つには、鉱山局長の通達であるか何であるか知りませんが、指導いたしまして、こうした買いだめを押えるということ、買いだめに乗じて石油メーカーの方が不当に価格をつり上げるというようなことをさせない、こういう措置が必要であろうと思うのですが、これに対処すべき政府のお考えをお聞きしたいと思います。
○原政府委員 買いだめがあることは事実であろうと思います。ただし、いつでもそうでありますが、今回お願いしております法案におきましても、いわゆるストック課税を行うということを附則にうたっております。つまり、あまりこまかい量まではいきませんけれども、増徴法が施行になりますときに五キロリットル以上持っておる人につきましては、増税額を納めなければならぬというのが附則に入っております。もちろん漏れはあると思います。しかしながら、何分かさばる貨物でありますから、そう大きく漏れることはできない。従来もストック課税ということは相当いたしております。今回も五キロリットル以上についてその差額そのものを課税するというようにいたしておりますので、それがない場合の買いだめとはまるきり違うだろうというふうに思います。前回ストック課税で幾ら課税いたしましたかを概略申しますと、約十万キロリットル、ストック課税いたしております。お話の通り、貯油能力というものは一月分かそこらのものでありますから、満ぱいにして十五、六万から二十万キロリットルぐらいがせいぜいだろうと思いますので、あまり大きな弊害はこないのじゃないか。若干漏れはあるかもしらぬけれども、大部分はストック課税でとらえられて、そう買いだめしてみても仕方がないのじゃないかということになるものと私どもは考えております。
○平岡委員 鉱山局長もおいでになられませんから、その問題は一応打ち切って、次に進みます。 私が先ほど申し上げたように、こうした小麦とか原油を除きましても、約百億円の減免が依然継続されるということでありますと、この特免品目のそれぞれについて質問いたさなければならぬと思うのですけれども、そのことも非常に品目が多い。二十七ほどありますから、全部を尽せません。これは当るか当らぬか知らぬのですけれども、このうち、われわれが常識的に考えて、ちょっとこういうことはどうかなと思われる節の項目に限りまして質問してみたいのです。まず、この特免措置品目のうちの第十三百ですか、電子計算機についてお伺いいたします。電子計算機は、本則が一五%とるべきことになっております。それが二十九年以来暫定税率としてゼロということになっております。免税になっております。もとより電子計算機——正確には統計会計機械ということで従来は取り扱っておるわけですが、一応電子計算機ということで申し上げるわけですが、これが本則なら一五%であるのが、現在はセロです。それによって起る減免税額というものが八億円ということになります。そうすると、インヴォイス価格にして……。
○木村説明員 五十三億円です。
○平岡委員 何か知らぬけれども、五十億か六十億になるわけで、かなり大きな金額を占めておりますけれども、われわれの常識ですと、日本でできぬうちは、モデルとしてそれを入れるというような動機から、これは特免されたこ思うのです。それで今回予想されるインヴォイス価格六十億というのは、一台ですか、二台ですか。
○木村説明員 三十四年度の輸入見込みは五十九台になっております。
○平岡委員 ばかに多過ぎると思うのですが、それはどういう理由ですか。
○木村説明員 現在各社が事務能率を上げるために種々の合理化をはかっております。その関係で、ここ二、三年来、こういうカード式の統計会計機の輸入が相当ふえております。
○平岡委員 今の御説明ですが、この五十九台という機械が直接各会社の現場に持ち込まれるものですか。
○木村説明員 現場と申しますか、各会社に直接持ち込まれるものでございます。もちろん機械のメーカーが輸入するものもございます。しかし、大部分は直接これを使用する会社に持ち込まれているはずでございます。
○平岡委員 私がお伺いしたい点は、たとえばレミントンランド・カンパニーそれからIBMカンパニー、そうした外国商社の代理店があります。その商社の支店といいましょうか、日本国内の法人がその機械を入れて、ずっと賃貸ししまして、そこで収益を上げている、こういう事例の方が多いじゃないですか。
○木村説明員 多少御質問の御趣旨を受け取り違えておりましたが、いろいろございまして、使用するのは各会社でございますが、輸入社はレミントンランドの代理店あるいはIBMの代理店というようなものが輸入いたしまして、そしてレミントンにつきましては大体販売という形式をとっております。それからIBMの機械は賃貸しという形をとっております。大体そういうようでございます。
○平岡委員 五十九台の内訳は、どういう内訳になっておりますか。
○木村説明員 IBMが三十八台、それからレミントンが二十四台になっております。
○平岡委員 少し数が違いますね。
○木村説明員 失礼いたしました。IBM社が三十五台、それからレミントンが二十四台であります。
○平岡委員 数はどうでもいいのですけれども、IBMは貸付をもって商売としている。それに三十五台も入ってくるわけですね。ですから、どうして税金を負けなければならぬのですかね。これは、商売として輸入を独占して、それで各日本の会社に貸しまして、そしてロイアリティ的にその料金を徴収するわけですね。ですから、税金は負けてもらう、ロイアリティは吸い上げていく、そういうもののためになぜこの関税の恩恵を与えなければならぬかということは、われわれには納得はいきません。その点を得心できるように御説明いただきたい。
○木村説明員 IBMの貸し賃というのはきまっておりまして、もし関税を徴収いたしますと、その借り賃がそれだけ高くなるわけでございます。従って、IBM社から見れば、関税を取るかあるいは免除するかということは関係がございません。もちろん関税を免除することによって国内の需要がふえる、使いやすくなるという面はございますけれども、しかしそれだけ金銭的にIBM社が利益を得るという直接の効果はございません。ただ、ユーザーの側からいたしますと、既定の使用料のほかに関税を払わねばならぬか、あるいは関税分だけ助かるかという結果になるかと思います。
○平岡委員 アディショナルな部分がどっちへつくかは大した問題じゃない。要するに、こうした変則的な、むしろ商売本位のものに関税定率の特例が適用されるということはおかしいです。私が最初に申したように、二台とか三台のモデルの機械を入れて、日本のメーカーにそれを与えて、それによってコピーを作る、そして逐次日本の企業においても計算の面において合理化してくる、こういう目的に沿うなら、関税定率のフェーバーの意味があるけれども、今言ったように、IBMとかあるいはレミントン、こうした完全な商行為的な普通の企業に対しまして、定率法を適用して特免規定をなお存続しなければならぬという理由はない。しかもこれは二十九年ぐらいからやっておるわけです。そこで、だんだん今日まできて、なおずるずるべったりにこうしたものを置くということは間違いだと思うのです。そういうようにお考えになりませんか。
○木村説明員 確かにおっしゃるような一面がございますことは、われわれも承知いたしております。ただ、カード式の統計会計機は、現在国内に生産がございません。一方、各企業の事務能率を向上させるために、いろいろの合理化が行われております。そういう段階でございますので、国産ができるまでの間免税をいたしてはという趣旨でございましたのが、今日まで至っておるわけでございます。 なお、電子計算機等につきましては近い将来に国産が可能であり、実際それが使用される段階に至るような形勢にございますので、これは国産品が実際に市場に出回るという時期には免税を打ち切りたいという趣旨で、提案をいたしてございます。
○平岡委員 私はこの機械は二つのカテゴリーに分れると思う。あなたが今おっしゃったのは穿孔カード式統計会計機械、このことであろうと思うのです。従来穿孔カード式統計会計機械が入っておった。そこへ持ってきて、それより程度の高い電子計算機が入ってきたので、わざわざ一つ項目を新たに起しまして特免規定をしているのでしょう。ですから、私は、新たに項を起された電子計算機は一台か二台をモデルとして入れるということであろうと思ったのですよ。そうしたら、あにはからんや五十九台を入れておるということです。これはけしからぬことだ。それから、あなたの申される従来入っておった穿孔カード式統計会計機械というものはすでに二十八年から入れていますから、日本のメーカーも相当この程度のものはできる状況にあると思うのです。そういうことではございませんか。
○木村説明員 穿孔カード式の統計会計機というものは現在国産がございません。それから、電子計算機につきましてはおっしゃる通り、中型、小型のものについては、最近試作の段階を経まして、今後製作にかかるという段階に至っておるということを聞いております。ただ一つ項目を設けましたのは、従来穿孔カード式の統計会計機を免除しておりましたところが、その後電子計算機でもってやはりカード式のものが入ってきております。これはやはり穿孔カード式の統計会計機の一種でございまして、これを従来税関では免税いたしております。しかしながら、最近におきましては磁気式の電子計算機もぼつぼつ入ってきておりますので、これとの関連、並びにこれを従来のように穿孔カード式のものに準じて免税するのは非常に不自然でございますので、電子計算機を別掲いたしたわけでございます。 なお、電子計算機を新たに免税するという形になりますので、国内の各メーカーの意見も聞いてみましたところが、まだ実用の段階には入っていないので、ことし一年ぐらいは免除してもらいたい、なお継続して今後使われるということになるとメーカー側では困るけれども、今年一年ぐらいは決して差しつかえございませんという回答を得ておりますので、この際暫定免税に踏み切ったわけでございます。
○平岡委員 二十九年からにいたしましても、ことしで足かけ六年目です。それで来年ならいいという段階が急にくるのですか。おかしいと思う。むしろモデルをとって、日本でそのコピーを作るという、こういう点では減免率まで適用して輸入する、こういう価値はあると思う。ところが、今はこの輸入税をとっていないために関税障壁がないから、これから育とうとするところの日本自身の企業をむしろ競合的に不利に陥れておる、そういう影響の方が私は大きいと思う。あなたは、日本のメーカーにも聞いてみたけれども、あと一年はいいのだという。それは、あなたの方は業者の首根っ子を押えているから、業者は反対もできないということであって、決して心からそう言っているというふうには考えるわけにいかない。実際において今後あなたの言う穿孔カード式という機械の方も大体三十四年度で八百五十台も入れることになっておりますが、それはおかしいですよ。
○山中政府委員 そのこまかい輸入の電子計算機が日本の商社等の事務能率化へのスピードにどう即応していくかということについて、所管省は通産省でございますが、私の方は、純粋に関税を所管する省として、この問題についてはいろいろ検討しました。
○平岡委員 御指摘のような国内の国産電子計算機等の現状から見て、ここらあたりから、原則フル課税でなくても、中間税率一〇%くらいは電子計算機はかけてみたらどうか、という具体的な構想等も過程においてはあったわけです。しかしながら、現在日本の電子計算機はまだその緒についたところであって、そのままでは非常に強いスピードでもって能率向上のために国内において需要のありますものをまかない切れないだろう、これはあくまでも暫定という構想で、ただいま一応出しておりますような免税措置をとりましたけれども、しかしながら、これはあくまでも需要と国内の国産機の供給のバランスの次第によるのであって、かたく考えてこの結論を下したのではないのであります。通産省の方から、まあしばらくと申しますか、暫定でもいいからもう少し見のがしてもらいたいという公的な要請等もありまして、ことしは踏み切ったのでありますが、ただいま税関部長が申しましたように、税の所管当局としては、そういう需給の状況を見合せまして原則に返るのが正しい筋だ、あるいはそれは時期的にいってそう長い先ではなしに、具体化についての検討を進めていく、こういうことでございます。
○平岡委員 暫定も六カ年たちますと居すわるということになります。ですから、この点は、通産省は、いろいろな関連から、メーカーとか輸入業者の言うことを聞きたいということもありましょう。しかし、やはり大筋からいきまして、この品目のうちただ一つだけあげて私が質問した事柄でも相当疑点が多いのですから、この問題は、いわゆるなわ張り的なことではなしに、そういうことを超越して、日本産業育成のための特免措置である、そういう精神に徹底してもらいたいと思うのです。先ほど申し上げたように、三百五億という巨額なものが、今回の法律改正案が通りますと、来年度もやはり特免のまま持ち越す、こういう事態は大いに吟味しなければならぬということを強く警告いたしまして、私の質問を終ります。また何か問題が出てきましたら、聞くことの権利は保留いたしておきます。
○早川委員長 横田利秋君。
○横山委員 愛知法務大臣並びに北島さんもいらっしゃるようでありますから御質問いたしたいのは、この間本委員会で佐藤大蔵大臣に私はただしたことがあるわけです。それは、法務大臣も御存じだと思うのですが、平年度が七百億、初年度五百五十億の減税を行う。行うけれども、去年とことしと比べて、八百億くらい実質的には徴税額がふえているわけです。去年よりもことしはたくさん国民は出すわけです。そこで、先般来予算委員会や本委員会で、何回も何回も、一体政府はどういう徴税の仕方をするのか、苛斂誅求をしはしないか、あるいはまた新しい手きびしいやり方をするのではないかということ、予算説明書にありましたような「納税成績の格段の向上による」という美名に隠れて何をするのかということを、何回も何回も追及をいたしたところです。それに対しまして、佐藤大蔵大臣、また予算委員会においては岸総理大臣に至るも、絶対にそのようなことはない、三十四年度における税金については決して無理をしない、民主的な方法で行い、納得づくでやろにやぶさかでないと、弁明これ努めてきたところであります。「納税成績の格段の向上による」という文章については、そのような苛斂誅求をやる気持はないということを盛んに言ってこられた。しかるに、その総理大臣並びに担当であります大蔵大臣の説明があります一方で、朝日新聞の伝うるところによりますと、二十六日、愛知法務大臣は、法務省に全国の高検及び地検の財政経済係検事会同を招集いたしまして、特に脱税事件に対する取締り強化の方針について協議をしたと伝えられる。その要旨を新聞に伝うるところで読んでみますと、「最近における財政経済事犯の動向をみると悪質な脱税事犯があとを絶たず、また貿易振興の名にかくれて巧妙に貿易および外国為替管理の規制を潜脱する事犯も少なからず発生しており、さらには法の禁止をおかして自己株式を取得する等の方法により会社財産を危くする事犯のごときも広く伏在している」等々をあげまして、その結論として、「徹底的に究明し、悪質事犯に対しては、適正かつ敏速に国家の刑罰権が実現されるよう努められたい。」とあなたは演説をしたわけであります。最初に断わっておきますが、私は、法務大臣として法律違反をしたらそれに対して処置をするということが職責であることは百も承知であります。しかし、われわれ政治家の仲間において、少くとも今日の政治的な話題である来年度の税制がいかに行わるべきか、いかに徴収が行わるべきかという議論がされて、それが新聞に伝えられ、そうして総理は一生懸命説明をしておる。そのうしろにおいて、断固として税金の取締りを強化しろと言うゆえんのものは、一体何でありますか。愛知法務大臣のまず見解を承わりたいのであります。
○愛知国務大臣 去る二十六日でありましたか、経済財政担当係検事の会同におきまして私が申しましたことは、大体ただいまお読み上げになった通りでございます。それに明らかでございますように、悪質な脱税事犯等につきましては峻厳に取り締まっていかなければならないということを初め、法規の適正な運営について、悪質にこれをもぐろうとするようなものがあります場合には、これを取り締まっていかなければいけないということは、適正な徴税を行うということとは私は完全に両立するものであると思うわけでありまして、私の意見としては、今後とも、従来もそうでありますように、なるべく国民の負担を下げていって減税を行うということがいよいよ必要であると考えますと同時に、税法の適正な運営については、法務当局といたしましても同時に御協力しなければならない、こういう考えを持っておるわけであります。
○横山委員 それでは御答弁にならぬのであります。胸に問い、腹に答えて一つ話をしていただきたい。それでは形式的な話だと思うのであります。少くともこれだけ八百億になんなんとする税金を昨年よりも本年余分にとろうという時期であり、総理大臣、大蔵大臣が弁明これ努めて、決して苛斂誅求はしない、また重箱のすみをつついてやるようなことはしない、こういうふうに言っておるときに、あなたの言う一般的なことであるならば、また常住ふだんのことであるならば、ことさらに今それを言わなくてもいいのではありませんか。私は、ことにその点について佐藤大蔵大臣に聞きましたところ、佐藤大蔵大臣も、実は私はけさの新聞を見てびっくりいたしました、法務省から私の方に何の連絡もございませんでした、こう言うのであります。そうして、佐藤大蔵大臣の見解をもってすれば、やや意外でございましたと言わんばかりの顔をしておる。少くとも、あなたが、税金を脱税しておるやつを徹底的に退治するということは今日の政治の焦的であるといたしましたならば、担当の大臣である大蔵大臣になぜ連絡ができませんか。なぜ連絡をしないのでありますか。大蔵大臣に本席上において意外でありましたというような顔をさせなければならないようなことをあえてするのは、一体どういうあなたの心理でありますか。その心理を一つお答えをいただきたいのであります。
○愛知国務大臣 大蔵大臣がどう申しましたかは私はわかりませんが、しかし、この徴税の問題と脱税事犯の捜査あるいは処理につきましては、常時国税庁と実に緊密な連携をとっておるわけでありまして、徴税当局の適正な徴税について私の方は第二義的に協力するという立場である、こう申し上げて間違いないと思います。連絡の悪いということは万々ございません。
○横山委員 万々ございませんとおっしゃるけれども、佐藤大蔵大臣が、本席上で、まことに意外なことでございます、これは連絡が何もございませんでしたと、この間言ったばかりであります。速記録を一つ見て注意してもらいたい。 それでは、北島さんに、あなたはものを言いたそうな顔をしておるからお尋ねいたしますが、北島さん、あなたは税金をとる責任者でありますが、一体あなたは大蔵大臣及び政府首脳部からこの愛知法相的な指導を受けておるのか。佐藤蔵相的な指導を受けておるのでありますか。私の言うことわかりますか。どうぞ一つ……。
○北島政府委員 私は、税金というものは常に適正にいただくべきものである、そして悪質な脱税は断固摘発すべきものである、こういうふうに考えております。ただ、実行になりますと、その辺のところは実にむずかしいのでありまして、基本観念といたしましては、私は税金というものはそう気ばって取るべきものではない。えてして気ばってとると、やはりそこに足元の乱れが出てくることが多いのでありまして、われわれといたしましては、実態をよく見て、そうして税納音の身になって、ほんとうにこれでもって納税者の琴線に触れるかどうであろうかという点は、これは頭に入れてやるべきだ、こういう考えであります。もちろん悪質な脱税の摘発は、私は、やはり正直に納税しておる方々が、正直者がばかを見ないということのためにも、絶対必要であると考えております。
○横山委員 法務大臣に、あなたがそういう詭弁を弄せられるならば、私は一つあなたにおきゅうを据えたいのでありますが、あなたの足元でとんでもないことが起っておることは、あなた御存じでありましょうか。私は、先般来一ぺん監獄の脱税事件を取り上げようと思っておったわけでありますが、あまりえげつないので言いませんでしたけれども、あなたは、こういう今の政治情勢にちょっともそぐっておらず、あるいは関係大臣に何にも御連絡もなしに、そうして自分の独断のごとく、脱税取締りを強化しろ、しかもその中で「さらには法の禁止をおかして自己株式を取得する等の方法により会社財産を危くする事件のごときも広く伏在しているやに見受けられる。」自己株式の問題について、私は、法務省の見解と大蔵省の見解と通産省の見解が違っていることを指摘せざるを得ぬ。それらしいものですから、ここばっかりは「広く伏在しているやに見受けられる。」どういう言い方であります。これはどうしようというのでありますか。こういうイン千キなことを言って、じゃ足元はどうなんです。私の知っている限りでは、全国の監獄で、残飯で豚を養っておるというのでございますが、これは残飯でない。わざと御飯を余分に作っておるのであります。残飯でない余分な御飯を作って豚を養う。だれが養うかというと、名義は職員でありますが、実際やっているのは囚人であります。囚人は自分の労務があるのですから、やらぬでもいいのでありますが、職員の仕事を手伝えば調子がよろしいらしく、実際は囚人が残飯にあらざる残飯をもって豚を養う。豚が肥えると豚を売る。売って得た代金はどうなるか。これはその職員の任意団体——あそこは残念ながら労働組合がございませんので、任意団体の職員が任意団体として規約を持っておる。その規約は、ある監獄にありましては会計の定めがない。そうすると、国家の費用で肥えた豚を売る。収益が上る。その収益が何に使われるかといいますと、驚くなかれ、これが署長さんの交際費なんです。本省からおいでになる人の接待費に使われる。何かかんかの用事で監獄にいらっしゃる方の接待費に使われる。北島さん、私の話があなたに初めてかどうか知りませんが、お答えはできるものと思います。これの税金は一体どういう関係になりますか。私の話が事実であるかいなかという余分な心配はしないで下さい。私の聞いた限りでは、その収益によって得た金は職員の任意団体の収益になるわけですよ。あなたのお得意の人格なき法人ですよ。豚の税金をあなたは取るつもりがありますか。その法律的根拠を伺いたい。
○愛知国務大臣 ただいま横山君から御指摘の問題は私も承知いたしております。たしか前にも本件についてお取り上げになったと思いますが、その関係もありまして、かりにも私のひざ元から脱税というようなことが起ってはなりませんので、この点については部内におきましても十分取り調べました。それから、税務署を通じまして、国税庁の方でもたしか啓明会という人格なき社団——御指摘の通りでございますが、それの経理状況、あるいは残飯の処理方法、豚の養い方、それからできたものの処理、刑務所に収容されておる者に対してどうやっておるかというようなことは詳細に調べました。この点は私の方の政府委員からも詳細に御説明いたしたいと思いますが、同時に、税金の問題について万一にも間違いがあってはならぬと思いましたので、その実情をさらけ出して税務当局の検討にゆだねたわけでございますから、それから先は国税庁長官から一つお聞きを願います。
○北島政府委員 人格なき社団の収益事業に対しましては課税措置を講ずることになっております。ただし、人格なき社団と申しましても、世の中にございますPTAの会に課税するとか、あるいは校友会に課税するとか、いろいろ微妙な問題も生じますので、人格なき社団の課税につきましては、個々について国税局において認定いたしまして、そして相手方の人格なき社団に通知することになっております。今お話がありました啓明会とか申す人格なき社団に対しましてどういう措置が講ぜられておりますか、私ちょっと手元に資料がございませんので、存じませんが、おそらく、東京国税局においてその内容を検討いたしまして、課税に値する程度のものであれば通知をいたしておることと存じますが、ちょっとただいま手元に資料がございませんので、お答えいたしかねます。
○横山委員 法務大臣、あなたは私の質問の趣旨を知っておられたのですが、北島さんには連絡がないのです。今の北島さんの答弁では答弁にならぬのであります。むしろ法務大臣の方がよく調べていらっしゃったのでありましょうから、今刑務所の中における残飯、豚がいかに飼われておるか、税金がどうなっておるか、あなたの方から聞いた方が話のわかりが早そうでありますから、簡明に率直に御答弁を願いたいと思います。
○愛知国務大臣 政府委員から……。
○渡部(善)政府委員 私からお答え申し上げます。仰せのごとく、刑務所の方で職員会で豚を飼っておるところがあるのでございます。この点につきましては横山委員から御指摘を受けまして、ただいま法務大臣が御答弁申し上げました通り、さっそく地元の税務署とも連絡をとりまして、その実態を調査していただき、そうしてさらに国税庁の方に上申をしていただきまして、国税庁の方からこの取扱いにつきまして御指示があったのでございます。刑務所における豚の飼育でございますが、ただいま仰せのごとく残飯で豚を飼っておるということでございますが、なるほど残飯も使っております。しかしながら、現在刑務所におきましてはこの食料の問題は非常に重大な事柄なんでございます。従いまして、この食料の点につきましては十二分に検討を加えまして、そうたくさん残飯の出るようなことにはいたしていないのでございます。残飯で豚を飼っておるというのは、豚の飼料のごく一小部分にすぎないのでございまして、これにつきましても必ずその残飯を調定いたしまして、収支の計算をいたしておるのでございます。そしてこの豚は、他から飼料を買い付けまして豚の飼育をいたしておるのでございます。従いまして、余分な食事を食べさせて残飯をこしらえて、それで豚を飼っておるというような性格のものではないことを、よく御承知おきを願いたいと思うのであります。
○横山委員 私は本問題をこれが中心で法務大臣に来ていただいたわけではないのであります。別に豚と残飯のいきさつを、この際重箱をひっくり返すような話をするつもりではございません。けれども、今のお話のように、残飯ばっかりが豚のえさではありません、こうおっしゃるけれども、大体いつも私の調べたところによると残飯なんであります。残飯がいつも残るということを予定に入れて豚を飼っておるわけであります。ということは、豚がそこにおる限り残飯がいつもあるということであります。あなたがどういうように御説明になりましょうとも、これはだめなんであります。私が愛知国務大臣に言いたいことは、妙な話になってしまいましたけれども、とにかく今の税制のもとで来年度の税制について議論をしておるところに、あなたが脱税取締りを強化しろ、こういうことを言われた。この言われたことが——調べてみますれば、あなたのおっしゃるように、中に悪質事犯ということが書いてあります。書いてはありますが、一般的にだれしも新聞を見て感じましたことは、これは一体関係大臣と大臣との間で話し合いがあって行われたものか、なくて行われておるものか。あって行われたとするならば、これは岸内閣というのはけしからぬやり方である。話し合いがなかったといたしますれば、これほど連絡の不一致というものはない。これは法理論の問題ではありません。従って、今日政府の徴税の問題において重大なそごがあるということが指摘をされたわけであります。私は、この際特に愛知法務大臣に申し上げておきたいのですが、きょうも、新聞を見れば、検察フアッショの目で、裁判官と検事の給与の問題で大問題が起きておるように報じておるのでありますけれども、とかくこのごろは法務省の問題でろくな問題がないという定評があるわけであります。この際、少くとも税金に関する問題であるならば、失礼ではありますが、私ども大蔵委員会としても、いかに徴税をなさるへきかという議論をしておるわけであります。大蔵省も国税庁もそれ相当に一つの政策を持っておるわけでありましょう。それを、あなたが、独断といっては失礼かもしらぬけれども、何らの御連絡もなくて、脱税は刑事罰に処して断固としてこれをやれというふうに号令をされるということが、私は軽率に思えてならぬのでありますが、この点は大臣の心にかかることはないのでございますか。もし、私が言っていることが、全然私には心にかかることはございません、私の仕事でありますから、勝手にやりますというお考えであるならば、これは何をか言わんやであります。私はこれ以上御質問をする勇気がございません。けれども、もしもあなたが多少なりとも、これは大蔵大臣に話をしなかったのはまずかった、大蔵委員会でこれほど一生懸命審議をしておるのに、自分の言ったことはまずかったと思うなら、そのような御答弁があってしかるべきだと私は思う。これを私の最後の御質問といたしたいと思います。
○愛知国務大臣 先ほど国税庁長官からも答弁がございましたように、要するに、税法を的確に守ってもらえなければ、正直者は損をするというわけだと思います。実は、ここで一々事例を申し上げることは、捜査中のものもありますから申し上げにくいのでありますけれども、実に悪質な脱税犯がおるわけなんでありまして、こういうものに対しましては、検察当局としては国民の信頼を受けるゆえんでもあると思いますが、断固たる処置をとるのが私として当然の職責であると考えるわけであります。しかし、同時に、従来といえども、たとえば国税庁の調査査察部というようなところと第一線の係検事とは、常に緊密な連絡を一般的にもとっております。それから、具体的な事犯につきましても、十分に徴税当局の見解もただしておりますので、そういうふうな政府部内の連絡不一致ということは断じてないということを、私は明らかにしておきたいと思います。ただ、いろいろと御心配の御忠告に対しましては、私は今後とも十分に配慮いたしたいと思います。
○早川委員長 午前の会議はこの程度にとどめ、午後一時三十分より大蔵大臣の出席を求め再開することとし、暫時休憩いたします。 午後零時二十四分休憩 ————◇————— 午後二時開議
○早川委員長 これより休憩前に引き続き会議を開きます。 日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案、揮発油税法の一部を改正する法律案及び入場税法の一部を改正する法律案の三案を一括して議題といたします。 質疑の通告があります。これを許します。平岡忠次郎君。
○平岡委員 当委員会の審議対象になっております為替政策につきまして、質問をいたしたいと思います。 世界の為替は、欧米諸国を中心にいたしまして、戦争直後のきびしい為替制限を離れて、次第に自由で正常な姿に戻ろうといたしております。一方、わが国の為替制度も、初期の為替のない時代から今日の整った制度を持つようになるまで、いろいろの困難を乗り越えまして正常化の道をたどって参りました。たとえばLUAの廃止とかオープン勘定方式の整備等いろいろございますが、正常化の道をたどってきたことは事実でございます。さて、ヨーロッパ諸国の昨年末の通貨交換性の回復をきっかけといたしまして、為替の正常化という言葉が最近の合言葉になっておるのであります。このヨーロッパの十カ国が最近スタートをし、その直後に四カ国が加わりましたので、ヨーロッパのおよそ目ぼしい国々というものが、全部自国の通貨を米ドルと交換せしめるという自由化に踏み切ったわけであります。このことは、ヨーロッパにおける戦後の処理の懸案の解決であることは間違いがございません。その結果といたしまして、自由貿易の促進、世界経済の自由化ということが大きく前進せられたわけであります。従いまして、このヨーロッパの通貨交換性の回復というものがわが国の為替制度、貿易政策に非常な影響を与えるべきことは、論を待たぬと思うのであります。大蔵大臣は、その財政演説におきましても、または予算委員会等を通じまして、この問題に多少触れておるのでありますが、断片区々のものでありまして、わが国への影響とこれに対処すべき政府の政策についての所信が必ずしも明快ではない。そこで、私は、この機会に、ヨーロッパにおける通貨の交換性回復がわが国に与えるべき影響をどう考えておられるか、これを大臣から御見解を承わりたいのであります。
○佐藤国務大臣 ただいま御指摘になりますように、昨年末以来欧州各国におきまして通貨の交換性を回復して、これが為替貿易に重大な影響を持つ、その観点からどういうように日本の円について考えるか、あるいは通貨対策はどうかというお尋ねであったと思います。御承知のように、一応交換性を回復したと申しますが、各国の貿易の基本的な考え方には変更なしというのが、ただいまの建前でございます。しかし、貿易あるいは為替貿易のあり方についての基本的考えに変更なしとは申しましても、通貨が交換性を回復した今日でございますから、受け入れる側におきましては当然影響のあることは見のがせないのでございます。そういう意味において、私どもの方でも、いわゆる指定通貨というものについて、交換性を回復した通貨をそれぞれ指定して参りまして、今後のわが国の貿易のあり方、同時にまた円為替の導入等についても、もちろん研究していかなければならぬ段階になっておるのであります。さしあたりとりあえずの措置はただいままでとりましたので、一応の応急的な問題は対処し得るようになっていると思いますが、基本的には、やはり今後は、円為替の導入ということについて、私どももさらに一歩も二歩も前進していかなければならぬ。いろいろ問題はあるのでございますが、とりあえずの問題としまして、為替の自由化なり、あるいは国内の非居住者の円資金の解放と申しますか、そういうような点をまず取り上げてみたい、こういう考え方でおるのであります。基本的の問題といたしましてはこういう場合に、通貨としての円の価格安定といいますか、これはやはり一そう強固なものにして参らなければならないと思います。政府におきましては、特に貿易を振興し、外貨の点でドルを多額に保有するような政策をとると同時に、国内におきましても金の保有量を増していく、こういうような政策もあわせてただいまとっている段階でございます。しかしながら、ただいまは研究の段階でありまして、これが直ちに一歩も二歩も急速に前進する、かようにお考えをいただきますと、やや期待はずれのものがあろうと思いますし、また事柄の性質上いついつまでにどうするとか申し上げるべき筋のものでもないようでありますが、基本的の線といたしましては、欧州諸国に負けないように、基本的な問題としてこれと取り組んでいく、こういう考え方でございます。
○平岡委員 私は最初にヨーロッパの一連の通貨の自由交換性回復のわが国に与えるべき影響をお尋ねしたのですが、対策まで今お答えがあったのです。しかし、私としましては、技術的な対策の問答の前に、大きな影響のあることですから、もう少しお伺いしてみたいのであります。 私は、欧州諸国の今回の通貨交換性回復は、単純な戦前の自由為替への復帰ではないということを考えております、これが当っておるかどうかわかりませんけれども。と申しますのは、十二月の交換性回復に踏み切ったときの経過あるいは内容を見ますと、約十四カ国が一斉に歩調を合せて踏み切ったということ、それが一つ、それから、従来のヨーロッパ決済同盟、EPUの発展的解消を行なっているということ、もう一つは、弱いフラン貨のてこ一入れのために同志愛的な手を差し伸べているということ、こういう点から考えまして、私はヨーロッパ共同市場の促進であるというふうに考えているのです。この方が具体的なヨーロッパの今回の処置の成果であるべきであって、単なる抽象的な戦前の自由為替への復帰だということにいきなり飛躍しては、問題の所在を誤まるであろうと私は考えております。抽象的な世界経済の自由化、自由貿易の促進などという復古的な通貨交換性の単純な回復ではないということ、こういうふうに考えますが、その点はどうでございましょう。
○佐藤国務大臣 欧州の共同市場化またはその紐帯を一そう強固にする、そういう意味においての通貨の交換性、従って経済圏としての欧州共同市場の活発な活動ということが予想される、こういう御意見、私どもも、そういう見方も当然ある、かように考えております。
○平岡委員 欧州共同化のための具体的な第一歩ではないかということを特に念を入れて申し上げたいのは、あとの対策と関係もしてきますので、ヨーロッパの戦後の事情というものは一応どういうものであったか、その背景を考える必要があろうと思うのです。第二次世界大戦後に、次の世界制覇のために、ソ連とアメリカがヨーロッパをいかに味方に入れるか、こういう観点からそれぞれの工作に入ったことは事実です。単純にいえば、ソ連の場合においては、東欧から兵力を引き上げないことによって、親ソ政権を樹立しよう。片方アメリカは、この点で全部兵を帰してしまう。そこで西欧の民主主義陣営に呼びかけまして、まず西欧をそのまま放置しておったならば、その点はバランスがくずれるわけですから、まず共産主義の脅威を西欧諸国に入れまいということは、当然アメリカとしても考えてきたことであります。それには、ヨーロッパの国々の国内の経済態勢というものを早く復活させることが、その予防策でありますから、例のマーシャル・プラン等によって、じゃんじゃんヨーロッパの経済復活に力を入れてきたはずであります。それには反対給付としてNATOの防衛の義務が多いということはありましたけれども、いずれにいたしましても、経済の復活のために米国がこれにてこ入れをしまして、ソ連と対抗してきたことは事実です。ところが、大体イギリスにしてもフランスにしましても、そうした高い水準の国を作り上げた能力のある国ですから、このマーシャル・プランを足がかりとしまして、急速にヨーロッパの諸国は経済におきましても著しい回復を見たのです。そういたしますと、やはり世界経済に対して自分たちの発言権を求めたいというのは当然でございます。ところが、現在アメリカに対してイギリス一国を比べてみれば、これは全然問題になりません。それから驚異的な経済躍進を遂げた西独をもってしても、ソ連と比べればものの数ではない。そうすれば、戦後の世界経済にものを言うためには、やはりヨーロッパを打って一丸として、その全資源と全人口とをひっさげて世界経済にものを言っていきたい、こういう点がヨーロッパの戦後の大筋であろうと思うのです。ですから、この十二月におきまして、ヨーロッパの諸国が足並みをそろえて交換性回復に踏み切った直前において、イギリスとフランスの利害が対立し、片や交易市場であるとか、片や共同体であるとかという点で大いに論争されて、これがうまくいかぬかと思っておったのですが、やはり今言った大きな観点からいいまして、ヨーロッパは運命共同体としてヨーロッパ統合を進める、こういう歴史の新しい一つの大きな流れというものから、今言うた現象的な一つの不安というものは全部消し飛んで、ここにヨーロッパの一連の交換性の回復というものができたわけであります。ですから、私は、ヨーロッパの共同体を側面から促進するという意義の方が、今回のヨーロッパにおける通貨の交換性回復という点において意義があるのではないかと思うのです。そういたしますと、もし私の所論にして青紫に当るならば、日本の貿易政策という問題が、向うの方もヨーロッパにおいて全部自由化したから、わしの方もやるのだというような甘っちょろいのじゃなしに、やはり目的的な一つの政策を立てなければならぬと思うのです。単なる追随とか、単なる自由化がどうやら世界の動向だからというような甘っちょろい考えではなしに、やはり積極的な施策というものは出てこなければならぬと思うのです。そういう点につきまして大蔵大臣はどのように対処せんとするか、お伺いいたしたいと思います。
○佐藤国務大臣 いろいろ御意見を拝聴いたしましたが、少し見方が飛躍的ではないかという感じが私にはいたしております。なるほど、マーシャル・プランなり、その他欧州の経済強化のいろいろの計画が戦後とられたことは、御指摘の通りでございます。これは、必ずしも、二つの陣営の対立という意味において、自由主義陣営強化の意味から、このマーシャル・プランに引き続いての今回の通貨の交換性だと、ここまで考えることは、少し私は飛躍的のものではないかと思います。御承知のように、欧州共同体という言葉が使われ出してもう数年になっておりますから、そこにおいて、いわゆる自由主義陣営の共同体、同時に、ソ連を中心にする共産主義陣営が、その他の諸衛星国をその傘下に収めて、その二つの対立、こういうようなことも言えないではないでございましょうが、それは経済、同時にもっと強い意味においての政治的な構想であるというように、私どもは理解いたしておるのであります。今回の通貨の交換性を見ましても、しからば共産主義陣営と一切交易をしないのかと申しますと、そうじゃない。共産主義との間においても、交易はなかなか活発であるし、また、ソ連を中心にする諸衛星国との、その個々の国々との交易ももちろん活発であります。そういう場合に、欧州共同体としての活動ではなくて、やはり欧州の共同市場を形成している個々の国々との取引だ。イギリスとソ連なり、あるいは西独と東独なりあるいはチェコなり、あるいはイタリアとオーストリアなり、そういうように、それはもう個々の国々の交易である。ただ共通の面が多分にある、こういうような意味で御指摘になりましたように、一つの共同市場としての紐帯と申しますか、つなぎ合せをこれから強化するだろう、こういう役立つ面のあるということは見のがせないと思いますが、同時に、かような通貨の交換性を回復した今日においては、やはり共同市場内においてもおそらく競争は激化しておるに違いないと思います。たとえば、対エジプトに対する貿易の状態一つを考えてみても、あるいは対南米諸国に対する貿易一つをお考えになりますと、そのことは直ちに指摘ができることでございます。言葉をかえて申しますならば、在来ならばやはり国際的な決済通貨というもの、これをいつも確保することを考えて参ったに違いないのであります。エジプト・ポンドでは困る、やはりイギリスのポンドならまだ国際通貨決済用にわれわれも考えていく。しかしながら、今度は、ポンドだろうが、イタリアのリラだろうが、フランスのフランだろうが、ドイツのマルクだろうが、どれでもいいのだということになりますと、エジプトの関係においては各国が競争せざるを得ない立場になる。南米に対しても同じようなことがあるということが指摘できると思うのであります。また、この交換性を回復した国々相互の間においては、非常に貿易は楽になっておる。楽な方向にいくだろう、こういうことは予想できます。従って、交換性を持たない日本が欧州の市場に割り込むという場合に、これはなかなか苦しい思いをするということは指摘されるわけでございます。また、同時に、日本がエジプトやあるいは南米等において欧州の諸国と競争する場合に、円為替というものが導入されておらない今日だとしたら、非常に窮屈な思いをする、こういうこともあろうかと思うのでございます。従いまして、交換性が現在の程度より以上に進んで——現在のところは主として非居住者のその国の通貨、パリならパりにおける非居住者が持っておるフランだとか、あるいはローマならローマにいる外国人が持っているリラ、そういうものを解除するという程度でございますから、大したことはただいまのところは考えられない。しかしながら、さらにこれが進んで貿易の自由化の方向に向っていった暁は、その競争の面から、私どものような円為替を導入しておらない国は、取り残されるというか、貿易上非常に激しい競争に当面せざるを得ないのじゃないか、かように思います。 かように考えて参りますと、欧州諸国が一斉にこういう交換性を回復した。これは、一面から見ますと、過去においてはポンドは非常に強かった。そしてポンドを国際為替の決済通貨に準ずるものとして扱っていたが、このポンド並みにフランもマルクもリラもとにかく歩調をそろえる。言いかえますならば、欧州共同市場を形成している各国の間において、やはりポンドに追随するというか、ポンドに負けないようにするためには、そういう処置もとらなければならないのじゃないか。従いまして、今日のような状況の程度なら各国も追随できるだろうと思いますが、これがさらに為替貿易の自由化の方向に大きく踏み出した場合には、各国の力にはおのずから限度がございますから、なかなかそこまではついていけないのじゃないか、かように実は思います。 一面、御指摘になりますように、自由主義陣営が相互に協力するという意味で、また欧州のコモン・マーケットというような言葉も行われておる今日でありますから、そういう意味合いにおいて非常に意義があるようにとられますが、この交換性回復は必ずしも直ちに一本化されると考えるわけにはいかない。各国ともそれぞれの国の経済を伸ばすようにお互いに競争している。その競争場裏で負けないような格好に歩調を合しているという面も大きくて、これも見のがすことのできないものじゃないか、私はかように考えております。
○平岡委員 私が申し上げましたのは、マーシャル・プラン等を得まして、ヨーロッパの各国が一応経済の繁栄を取り戻す。やはり昔はものを言った国々ですから、何とか次の世界経済にものを言いたい。そうでなければ、ソ連による指導下に入るが、アリメカによる指導下に入ってしまうということだ。そういうことであるから、一応経済の繁栄を取り返してきたヨーロッパの諸国が、一対一であれば、先ほど言うたように、ソ連と西独を比べてみましても、アメリカとイギリスを比べてみましても、一対一であればものが言えぬのだから、ヨーロッパの全入口と全資源をあげてヨーロッパ統合——いわばヨーロッパ統合ですよ。これをもって次の世界経済にものを言いたい。これがヨーロッパの共通の、これは運命共同体的なんだが、宿願になっていると私は思う。そのことを抜きにしては、ヨーロッパの動向、経済の動向、そうした為替政策の本体はつかみ得ない、こういう私の見解なんです。これが間違っていれば、あとの論議はやめてもいいくらいのものだけれども、そういう点につきましてもう一回大蔵大臣の御所見をお伺いします。
○佐藤国務大臣 御所見は間違ってはおらぬと思います。そういう面も多分にある。ことに、御指摘になりますように、欧州と申しましても、それは非常に強い国もございます。強い国もございますが、同時に小さい弱い国もあるわけです。これがお互いに接し合っている。そして経済の面でもずいふん共通なものがある。そういう面から見まして、やはり共同体を強化していかなければ困る、こういうものもある。これは見のがせない事実でございます。しかし、これはおそらく欧州のものにおいてはそういうことを考えるでしょうが、外へ出ていく場合においては、そのおくれておるものが全部一緒にいくわけにもなかなかいかないのじゃないか、という意味のことを先ほど来申しておるわけです。御指摘になりましたような共同の意味も多分にある、同時にまた、なかなか不徹底きわまるから、私が申し上げるような一面競争の場もなかなか激しくなっておる、こういうことでございます。
○平岡委員 かなり私の見解をお認めになっての御答弁ですが、もう少しその点を徹底的に大蔵大臣としては認識してもらわなければならないと思うのです。たとえば、あなたのおっしゃることですと、ヨーロッパで主権国家としての各国々の政策が大体同じような立場にあるから、偶然に一致したというふうにもとられないことはない。しかし、一七・何%かのフランの切り下げもさして、共同歩調でこうした体制に踏み切ったというところが、非常に意義があることであろうと思うのであります。レッセフェールなそんなフランスの市場なんかかまうことはないですから、じゃんじゃんやりますよ。そうでないところに問題があると思う。われわれヨーロッパを回ってみましても、少くとも経済指導者エアパルトとかフォッケとか、こういう人は、年配からいえばフランスに対してうんと敵意を抱いていた人であろうと思いますけれども、そういう人たちがえらくヨーロッパの共同基盤ということを主張いたしております。ですから、そういう国の指導者たちは、いわゆる狭い意味の愛国的な考えよりも、ヨーロッパ自体を運命共同体としてやっていくという気概にも燃えておるし、その方途をとってきておることは事実です。それだけに、今回の自由化措置、交換性の回復措置は、ヨーロッパの決意を表明したものとして受け取るべきであろうと私は考えております。 これは一応議論になりますから、その程度でとどめておきますが、ただここでやはり補足的に触れておかなければならないことは、すでにヨーロッパの六カ国におきまして、鉄鋼と石炭に関する限りは共同体を作る——共同体を作ったというのは関税を撤廃したということです。このヨーロッパの共同体は、一回におきまして多少現在の利害関係があるので、イギリス等はいわゆるウエーティング・メンパーという格好で、一応アドヴアイザー的な立場に立つわけであります。しかし、OEECの十七カ国がやがてこの六カ国に参加して、共同体それ自身の参加国がふえていくであろうことも、私は必然のコースであると思っておる。それから、品目それ自身は、石炭と鉄鋼だけに限らずに、商品、原料の全品目にわたって、十三年ないし十五年の後には一切関税障壁を撤廃するという計画が立てられ、条約の批准がなされ、本年はこの第一年度目としてそこに踏み切っておるわけです。ですから、十四、五カ年後におけるヨーロッパというものは、やはりヨーロッパ統合体としての機能を果してくるということ、これは私の独断ではないと思うのです。そういたしますれば、日本との利害関係は、東南アジアとか、アラブ諸国とか、そういう点におきましてえらく競合的な立場を展開します。そういうときは、単なるイギリスとかフランスとかの一国相手ではなしに、ヨーロッパが関税障壁を全部撤廃するということは、原料が安くなることです。それによって、一番得意なところで、一番得意な生産をしてくるのですから、生産コストがうんと下るわけです。今つま立ちをしてアジア市場で競争しておる日本というものは、その体制ができてくれば一たまりもないわけであろうと思うのです。そういうところから、お題目的にはちょいちょい近ごろ言葉に出されております円為替の導入ですか、こういう円貨をもって決済し得る地域というものを、少くとも日本の戦前くらいには回復しなければならぬと思う。戦前は中国もそうです。インドもそうであります。それから東南アジアも円為替をもって自由に取引されました、ですから、そういう問題が当然次の対策として出なければならぬ。しかし、イギリス自体をとらえましても、イギリスが今度の交換性に踏み切るためには、金ドル準備というものは約六十億なければならなかったはずであります。しかし、イギリスは現在為替のパランスにおける黒字が約三十二億ドルです。それから、IMFと世界銀行のスタンドパイ・クレジットがまだ十億ドルほど残っておる。それから、昨年大蔵大臣自身が御参加になったインドの会議においてそれぞれ五割、十割増の増資をいたしまして、それから期待できる十数億のドル、それを合せますと約五十億ドルになった。そこで六十億ドルなければ困るのだけれども、五十億ドルなら大体いいだろうということで踏み切っておるわけであります。日本におきましても、円為替の導入ということを実行する前提として、日本の保有外貨の問題、そういうことが当然大きなファクターになります。 そこで、今ここでお伺いしたいのは、この日本の為替の自由化をどういうステップを踏んでやっていこうとするか。それから、今私の後段に指摘しました日本として使い得るドルというもの、今イギリスについて私が説明した五十億ドルに相応するようなものが、日本の立場において計算されるはずです。IMFにこの間一億二千五百万ドル返しましたね。そうすると、それは使い得るのだろうと思うんですよ。そのほか今度は増資によるところの日本国として使い得る分、そういうものを合せましてどれだけの金ドル保有、と申しましょうか、保有ではちょっと行き過ぎですが、まあ金ドル保有と同じ程度の効果を上げ得る金額は幾らになるか、その点も一つ。これは為替局長からでけっこうです。
○酒井政府委員 ただいま御指摘のありましたように、IMFから借りましたといいますか、買いました外貨一億二千五百万ドルは昨年中に払いました。現在の外貨保有高でございますが、二月の末につきましては一両日中に精算できると思いますが、おそらく九億ドルちょっとこえているのじゃないかと思います。正確な数字はまだ精査中でございます。まあ大体それに今度この秋IMFの増資が決定されまして、その前提としていろいろ予算、法律を要するわけでありますけれども、それができますると、大体割当額の半額程度までは借りられる、ということにしますと、そこで二億五千万ドルある。そのほかに、たとえば日本の信用いかんでございますが、長期、短期の借入金というのが時に応じてできるわけであります。それがどのくらいできるかというのは、これは実行してみないとわからないのでありますが、それだけの金ドル準備がございますが、一方におきまして相当多額の確定債務がございます。ですから、それを差し引きまして幾らになるかという計算は、ただいまやっておりませんけれども、債務の方もなかなか大きいものであるということだけ申し上げておきたいと思います。
○平岡委員 要するに、日本の金ドル保有は、あるいは保有と同じような効果を期待し得る総額というものは非常に少いですね。今回イタリアが十三億ドル、それからフランスが十億ドル——フランスはそのためにイギリスを初め他の諸国から二億五千万ドルクレジットを得ております。そういう水準から比べまして、日本の保有が大へん少いですね。従いまして、一ぺんに為替を自由化するとか、円為替の導入ということはできないと思うので、ステップ・バイ・ステップの方策がとられると思うのですけれども、それには順序というものがありますね。ですから円為替の交換性回復のためにいかなるステップをこれから踏んでいくか、それで年次的にどういうふうな計画を持ってやろうとするか、その辺のところをやはり大蔵大臣からお伺いしたいのです。
○佐藤国務大臣 なかなかむずかしい、というより非常にデリケートな御質問でございます。従いまして明確にするわけにはなかなかいかない問題でございます。しかし、先ほど来お話がございますように、欧州における通貨の交換性を採用いたしまして、その際にとりました順序というものは、これは普通採用するものでございましょう。ただいま御指摘になりましたように、金ドルなりあるいは金そのものの保有なり、そういうことが十分の準備行為として、これなら大丈夫というものがなければならない。それと並行して、やはり非居住者円の解除という方向へいくべきでありましょう。その次が相当広範にわたっての為替の自由化、貿易の自由化といいますか、その方向へ踏み出していくということになるのだと思います。ただいつの時期にどういうことをするかというこの問題が一番大事な問題でございます。先ほど来の平岡さんのお話を伺いましても、欧州コンモン・マーケットの話にしても、非常に時期的な問題というか、時間的な問題が大きな要素であることは御指摘になった通りで、十四、五年先になったらどうなるだろうというようなお話をしていらっしゃる。問題は、ポイントは一にそこにかかっていると思います。だから、欧州における決済同盟というものが、国際貿易の面で相当幅をきかしているといえば幅をきかしていることにもなっている。こういう決済同盟に加入できていない国としては、貿易の競争の面から見まして非常に不利な立場にも置かれているということでございますが、先ほど言われますように、コンモン・マーケットが相当形が整ってくるのにどのくらいの期間を要するだろうかということは、これは、見る人によりまして、いろいろ十三年の計画、あるいは十五年になればどうなる、かように言っておられるわけであります。従って、今の交換性を回復したと申しましても、それが非常に進んでおる状況でないことだけはもうよく御了承いただいておることだと思います。そういうこととやはりピッチを合せていくという考え方が望ましいのではないか。従って、私どもの申しておるような経済の正常化であるとか、金融の正常化であるとか、各面における健全な発達であるとか、こういうようなことが結局はわが国の経済に力をもたらすゆえんでもあるし、また国際的信用回復が同時に将来に対する対策だ、こういうことも言えると思います。問題は、欧州は各国相当基本的な話し合いをしておる、日本はひとり取り残されておると言われる。一体どの圏内に入るのだというような問題もあると思います。こういうところから、根本的な政治問題、同時にまた経済問題として基本的な考え方をしていくべきだと思います。非常に抽象的なことを申して恐縮でございますが、最近の経済情勢の動きから見まして、一部非常な先物を買っている向きもあって、いわゆるドル円、そういう意味の動揺も来たしておるようです。私は、こういうような、何といいますか、十分の事態の認識なしに先走った財界方面の一部の動きに対しては、ただいま注意もいたしておる最中でございますが、しかし、世界の大勢というか、趨勢というか、それにはおくれをとらないように、やはり準備はそれぞれ着々と進めていくべきものだ、かように考えております。
○早川委員長 平岡君に申しますが、あと奥村君と横山君から質問の要求がございますが、大体本会議が三時から始まる予定でございますので、どうしますか。平岡さん、だいぶ時間が……。
○平岡委員 なるだけ要約して申します。要するに、抽象的に円為替の導入はどうだとか、こういうことで言われますと、ぴんとこないと思うのです。それで、円為替の導入というのは日本円を指定通貨の一つに加えていくということです。現在およそ、世界の主要国で、自国の通貨が指定通貨になっていないところはあまりないわけです。このあまりない例外の光栄を日本がになっているわけです。そういうことにつきまして、私は、大蔵大臣としては相当な腹をきめての施策をお持ちにならなければならぬと思うのです。日本円を指定通貨の一つに加えるということ、日本と外国との間の取引の決済に円を使うようにするということ、このことはさっそく始めなければならぬと思います。戦後は外国との取引決済に円を用いることは今まで許されてきませんでした。しかしながら、戦前はかなり広い範囲で円は使われておったのです。とりわけ中国、インド、東南アジア諸国との貿易は大部分円決済であったのです。だから、ここで円為替を導入するということは、決して新しい経験ではないのです。むしろいい意味においての戦前の姿に帰ることですから、この問題は、相当大蔵当局としては具体的な一つの政策をもうお持ちになって差しつかえないことと思うのです。 結局導入の効果がどういう点にあるかということを申しますと、円為替を導入することは、日本にとりまして外貨の節約になります。これだけは円で決済できるのですから、円が決済通貨として用いられる限り、わが国は外国からの輸入代金を円で払うことができるわけであります。もちろん外国は日本からの輸入にもこの円を使うから、その場合わが国は輸出代金を外貨で受け取ることはできない。しかし、円決済を前提とするならば、外国の銀行は運転資金として常に一定の円を持っていなければならぬ。残高を持つことが必要です。少くともこの残高は日本側にとって外貨の節約になるわけです。だから、第一点は外貨の節約です。 それから、第二に、外国との取引が円で決済される場合、円と外貨との切りかえはすべて外国側で行われる。日本側ではこれは行なって参りません。従って、外国相手の取引とはいいながら、日本側業者にとってそれは国内の取引とほとんど一緒になりますので、相違がございませんので、為替相場変動の危険が生じない、こういう効果があります。 それから、第三番目に、円が国際通貨として用いられるようになりますと、円為替の金融が自然東京でされるわけです。これはちょうどポンドがロンドンにおいて、それからドルがニューヨークにおいてと同じことです。それだけ日本側の銀行の業務がふえてきますし、保険収入というような問題、これはすべて円為替で決済されるわけです。こういうサイド・エフェクトというか、そういう副次的な効果というものがあるわけです。 こういう点はすでに戦前に経験済みなことなのですから、これは早く具体的な施策をやっていかなければならぬと思うのです。先ほど、大蔵大臣はしょっぱなに、こうした導入はけっこうな話なんだ、自国の通貨を指定通貨にすることは望ましいのだ、ただし導入の条件が整わなければということで、それはあなたの消極的なお考えを、あるいは制約のついたお考えをお申し述べになったかと思うのですけれども、私は、戦前にすでにこのことをやっておった。戦後十三年たって、日本がその問題に対していまだ何らの具体策も持ち得ないということ、大蔵当局としては、重大な手抜かりというのでしょうか、日本の経済のよってもって立つ一番大切な外国貿易の問題に対して少し策がなさ過ぎる、かように考えます。どうぞ大蔵大臣の御所見をお述べいただきたいと思います。 それから、時間の制約がありますから、技術的というか、もっと小さな問題ですが、この際もう一つお尋ねしまして、私の質問を終ります。それは、きょうまさに三十四年度予算が上らんとしておるが、そこでこの第一次補正のうちの二百五十億円、この問題は、例の接収貴金属の法案とからまって、かなり論議の多かったところであります。この第一次補正の二百五十億円につきまして、これは評価益を財源にしたという点で、しかも直接的にインフレ的の効果というか、悪影響がないという点で、政府側では知能をしぼったなかなかいい思いつきであろうと思うのですよ、社会党は反対ですけれども。それで、私がお伺いしたいことは、あの場合に現送した金は六十五トンですね。
○酒井政府委員 金が現送いたしておりませんと、評価益の対象となるのは六十二億円でございます。
○平岡委員 そうすると、まだ八十五トンあったのですから、残りがあるわけです。それを評価の差額にかけ合せますと、約百億円出てくるわけです。これを将来評価益としまして、勝手な政府のずさんな政策のための資金源に使う、そういうお考えはないであろうと思うけれども、この際一つその点につきまして政府の明確なる御答弁をお願いします。
○佐藤国務大臣 円為替の導入、今御指摘になりましたように、円が国際通貨になった場合にはどういう効果があるか。御指摘になりましたような効果がございます。しかし、その前提といたしましては、円がやはり価格が安定するというか、十分の信用を持っておるということが前提でなければならないのでございます。たとえば円払いで済んでしまうから外貨の節約になると言われますが、この円はいっだって外貨に切りかわるものでなければならぬことは申すまでもないことであるし、また、第二点でいろいろ為替相場の変動がこれで起らないということを御指摘になりましたが、円自身が信用がなければ、また価値が安定しないならば、為替相場は絶えず変動するわけなんで、こわいのはそういうことなんです。だから、この円を決済に使いました場合に効果が上るといわれる。それはその通りなんだが、外貨の節約になるとか、その他の支払いが簡便になるとか、いろいろなことがございますが、それはどこまでも円そのものの交換性というか、信用というものが十分でなければならないということでございます。戦前の例をとられてお話しでございましたが、戦前は政治的にはいわゆる大東亜共栄圏というようなものもあった。こういうところに一つのものがございましたが、そればかりでなしに、やはりずっと古くは金本位制というような貨幣制度があった。今日金本位制というような考え方は各国持っておるわけではないと思いますが、それにいたしましても、最後の裏づけとして金を幾ら保有しておるということが問題になってくる。昨年も、皆さん方から、日本は金の保有量がいかにも少いじゃないかという御指摘があったと思いますが、最近はときどきドルを金にもかえておりますので、そういう意味で国内金の保有量もふやすような政策をとっておりますが、いずれにいたしましても、通貨価値が安定し、十分な信用を持っているということであると思います。それが、金を保有するとか、あるいはドルをたくさん保有しておるとか、こういうようなところから生まれてくるのでございまして、先ほど御指摘になりましたように、日本の外為で持っているものは少いじゃないかというような御指摘も、その点から出ておるのでございます。私が申し上げますのは、やはりおくれをとらないような意味において、円を国際決済の金に使えるようにしていく場合に、やはり円が持つ信用度なりその価値を十分高めていく準備がないと困る、ということに実はなるのであります。もうすでに凍結しておるところの、いわゆる非居住者の円そのものなる金額は非常に少いことでございますが、ただいま御指摘になりましたような円為替ということになりますと、その流通の範囲は非常に拡大されるのでありますから、そういう場合のことを考えますと、これは十分の準備がないと、それこそ逆な結果をもたらすということに実はなるのでございます。その点を特に私ども心配いたしておりますから、十分の準備をしてという表現をいたしておるのでございます。 第二の問題といたしましての、日銀保有の金の評価差益の問題でございますが、この問題はいろいろお尋ねがおありだろうと思います。いずれ近く法案の審議を私ども心から願っておりますが、ただいま提案されましてまだ審議に入っておりません。あまり先走ったことを申し上げることもいかがかと思いますので、この点はしばらく預からしていただいて、いずれ審議が始まりました暁におきましては、明解に一つ答弁さしていただきます。今しばらく預からしていただきます。
○早川委員長 横山利秋君。
○横山委員 時間がないようでありますので、大臣に対する質問は別の機会にいたすことにしまして、この間私が質問をいたしまして、国税局、国税庁の方で御検討願っておりました問題について、御回答を願いたいのであります。それと申しますのは、入場税の保全担保の問題でありまして、先般私から提案をいたしまして、少くとも今日全面的に保全担保を取るというような実情については、立法上ないしは通達の上からいっても不適当であろうし、また実情からいって改善の余地が相当あるから、この際すべて検討を願いたいという要望をいたしたのであります。この点につきまして検討の結果を御報告願います。
○泉説明員 横山委員から先般お尋ねのございました入場税法第十四条の規定に基きまする保全担保、特に臨時開催の場合におきまする保全担保の取り方の問題でございますが、これは、法律に書いてございますように、国税庁長官、国税局長または税務署長は、入場税の保全のため必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、担保の提供を命ずることができるということになっておるのでございます。実際問題といたしましては、政令の規定及び通達に基きまして、担保はどういう場合に取る、どういう場合にはどの程度取る、どういう場合には取らなくてもいいというふうに、一応規定いたしておるのでございます。その後の実施の実情を調べてみましたところ、税務署におきましては比較的画一的に担保を取っております。また、実情からいたしますと、必ずしも担保を取らなくてもいい、あるいは全額担保を取らなくてもいいといったような場合にも、入場税の保全ということに意を注ぐの余り、画一的に取っておるという傾向を発見いたしましたので、これではわれわれの考えておる趣旨に合致いたしませんので、なお取扱いをさらに検討いたしまして、取扱いを改正いたしまして、入場税の保全担保を取らなくてもいい場合を拡張するという方向で検討いたしております。根本的な方針につきましては、横山委員のおっしゃる方向で検討いたしておりますが、なおいろいろ技術的なこまかい問題がございますので、これらにつきましてなお検討の時間をいただきたい、かように存じておる次第でございます。
○横山委員 時間がありませんが、要するに、いつごろその結論はつきますか。また、その方法は、先般私が申し上げた点は、少くとも保全担保の提供の状況のいいもの等については、次回からこの担保提供を免除したらどうかという意味のことを申し上げたわけですが、今検討願っておるやり方はどのようなやり方ですか。簡単でよろしいから、その結論の到達すべき時期と、その大体の概要を、固まったものでなくてもけっこうですから、御報告願いたいと思います。
○泉説明員 取扱いを直す時期といたしましては、御承知のように、現在入場税法の一部改正の法律を御審議いただいております。この法律の改正によりまして、相当入場税につきまして税率その他改正が行われますので、その改正の機会に担保の問題につきましても、そういう取扱いの改正をいたしたい、かように考えておる次第でございます。 その改正の方向につきましては、先般横山委員からお話のございました、いわば保全担保提供の記録と申しますか、それによって、この臨時開催をする主催者は、保全担保を提供して、きちんと入場税を納付した、という事績をつけるようにいたしまして、そういう事績のはっきりしている人には担保の提供を免除するというのも、一つの方法であろうと思っております。ただ、そういう証明書制度と申しますか、そういうものが果して実情がうまくいくかどうか、こういう点につきまして目下検討いたしておる段階でございます。もし証明書の制度がうまくいかないとすれば、なおほかの制度をとらなければならないと思いますが、現在のところ、一応証明書の制度でうまくいくのではないかと思って、その技術的なこまかい点の検討をいたしておるわけでございます。
○早川委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は明四日午前十時十五分より開会することとし、これにて散会いたします。 午後二時五十九分散会