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31回国会衆議院1959/03/04

商工委員会 第23号

発言数
46
登壇者
8
会派数
2
開催日
1959/03/04

会議録

長谷川四郎自由民主党

○長谷川委員長 これより会議を開きます。  小売商業特別措置法案、商業調整法案、硫安工業合理化及び硫安輸出調整臨時措置法の一部を改正する法律案並びに輸出品デザイン法案の四案を一括議題といたします。審査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許可いたします。久保田豊君。

久保田豊日本社会党

○久保田(豊)委員 きょうはあまり時間をいただきませんので、ごく大きな問題だけきのうの続きとしてお伺いいたしたいと思うのであります。きのう大体この合理化の問題についての内容、方法等についていろいろ御質問をいたしたわけでありますが、それに続いて今後問題になる点をお聞きしたい。その次の問題は、おそらく操業短縮の問題が、何らかの時期において必ず出るものと思うのであります。大体において二十八年度に約六百万トンの生産能力がある。そうなってきますというと、国内の需要が年十万トンないし十二、三万トンはふえていこうと思いますが、それにしても、二百万トン程度のものを輸出をしなければならぬということになるわけです。この輸出の問題については次にお伺いをいたしますが、なかなかそう思う通りにうまく行くはずがないと思うのであります。そこで、どうしてもある時期には、これは操業短縮の問題が、必ず日程に今後五年間において上ることは必至の情勢だと思うのであります。  そこでその点について第一にお伺いしたいのは、ア系肥料工業は御承知の通り、ある意味においての装置工業です。従って操業度の短縮というものが相当大きくコストに響いてくることは、これは必至であります。そこで私は、操業度が今のところ九三%、大体実質においては一〇〇%の操業度と見差てしつかえないと思う。九二のあれというのは、実買上一〇〇%近い操業度と見て差しつかえないが、これが操業度が八〇に落ちた場合、あるいは七〇に落ちた場合——七〇より落ちるという場合はそうあるまいと思いますが、少くとも八〇ないし七〇に落ちた場合においてはコストにどういうふうに響いてくるのかという点、これは調べられておることと思いますので、これを大体一つ御説明をいただきたい。

森誓夫通商産業事務官(軽工業局長)

○森(誓)政府委員 輸出が将来非常に不安定でありまして、そのために操短をすることが必至であろうという第一段のお話でございますが、われわれのところでは、現在の見通しとしては、輸出がそうひどく減るということは、具体的にまだ予想することは必要がないというふうに考えております。一昨日も申し上げましたが、東南アジアの需要を日本が主たる目標としてやることが、他の競争国に比べまして、一番有利な立場に立てるのでございまして、従って東南アジアの需要ということを精細にわれわれ検討したのであります。これはOEECの資料とかあるいはイギリスの世界的に有名なエイクマンという調査専門の会社がありますが、そういうところの調査を基礎にいたしまして、今後の東南アジア各国の需要の伸び、それから各地で生産されるものを差し引いた要輸入量というのを一応想定、検討いたしております。それによりますると、昭和三十八年度には、東南アジアの要輸入量は、ア系窒素肥料四百五十万トンということになっております。そのうちで一番大きいのは中共とインド、これがほとんど同じくらいの大きさになっております。そういうふうなところから考えまして、操短が必至であるというふうには、われわれはまだ考えておりません。そういう需要の半分くらいを輸出するということにしましても、昭和三十八年肥料年度では、二百二、三十万トンの輸出が東南アジアだけに対して可能なわけでありますが、そのほかの市場におきましても、従来の実績から見まして、ある程度の輸出は期待できるわけでありまして、二百二十万トンの輸出というのは、そう無理なものではないというふうに考えておりますので、操短が必至であるという前提は、われわれとしてはとっていないわけであります。しかしながら、かりにどこかの市場で日本の輸出が実現できなかったという場合に操短がどうなるであろうか。これは操短をしなければならない場合が、一応考えられることは考えられます。そういう場合に備えまして、一応操短の場合のコストの上昇度というものについては作業をいたしておりますが、御承知のごとく、肥料工業は近代的な化学工業でありまして、装置によって作業するという状態でございますので、固定費の生産費に占める割合が非常に大きい。大ざっぱにいいまして、大体三割五分くらいは固定費が占めております。従って、生産量が減りますと、その製品トン当りに対する固定費のぶっかけの量が、だんだんふえていくということになります。そこで、一割かりに操短した場合には、大体トン当り二ドルくらい生産費が上昇する。それから三割操短をいたしますると、四・四ドルくらい上昇するということになります。輸出がかりに全部ないということ、これは単なる資料上の計算でございますが、それをやってみますると、十一・二ドルということで、大体二割くらいコストが上るということになるわけでございます。一割操短の場合でもやはり二ドル上るということで、これは相当大きい金額でございます。従ってわれわれとしては、こういう操短の事態の起らないように、極力輸出の振興策あるいは合理化の推進策を講じまして、予定の生産計画が円滑に内需なりあるいは外需によって消費されるように努力していきたいというふうに考えております。

久保田豊日本社会党

○久保田(豊)委員 輸出が順調に伸びて、操短の必要があるかないかという点については、次の問題で私は触れたいと思いますが、今お説のように、操短を一〇%すれば二ドル、あるいは二〇%すれば四・四ドル、三〇%すればおそらくこれは相当のコストの上昇になるということは明らかであります。そこで問題は、この合理化の進展の工合等と結びつけて、かりに操短をしなければならぬような事態が発生した場合に——これはもちろん当局としては、操短をするようなそういう事態に追い込まれないように、全体の運営をやることが重要であることは間違いありません。しかし今のように国際情勢も非常に変転の激しい時期であります。しかも、これはあとで触れようと思いますが、日本の硫安市場というのは、単なる経済問題としては片づかない、いろいろな政治的な要素が非常に大きい。こういう時期でありますので、私は必ずしも今経済的な見通しから見ているようなふうに、輸出の状況がスムーズにいくこととばかりは今の状況では考えられない。そこで、こういうふうに非常に操短がコストに大きく響くという場合に、それではその操短のやり方をどういうふうにやるつもりかという点であります。これについてのお考えもすでに固まっておらなければならぬと思うのであります。業界の方ではある意味において一律操短方式、全工場が十九か二十一かあるようですが、それの一律操短方式というふうなものを一部では唱えられております。また今のいわゆる需給安定法の建前からいうと、そういうことになりがちな危険もあるわけであります。しかしそうなると私は非常にコスト高ということもよけいになり、さらに輸出の伸展や、内需につきましても農業に非常に大きな影響を持ってくると思うのであります。そこで私の考えとしては何としてもコストの安い——価格やあるいは需給調整の観点からバルク・ライン方式を、とっておるわけでありますが、こういう線に沿うた独特の操短方式というものを実行するということが、やはり必要ではないか。それは十分法律にも根拠のあることであります。法律にもこういう規定があるわけであります。それは、法律に規定があるというのは、そういうふうなつまり傾斜式な操短方式といいますか、そういう規定はありませんけれども、いずれにしましても、生産量の指示その他はできることになっておるわけであります。そこで私どもとしてはぜひこのいわゆるバルク・ライン方式に沿うた、価格の方式に沿うた傾斜方式の操短方式というものをとらなければならぬ。もちろんこれについては業界から、ある意味においては非常に大きな抵抗があり、ある意味においてはまた歓迎する面もあろうかと思います。そうすることが私はコストを安くするという輸出ないし内需の面からの要請に沿い、さらに合理化を進める一つの大きなめどになると思うのでありますが、この点についての操短方式についてはどういうふうに今考えておるのか、ただそういうことができるだけ起きないように善処いたしますという形では困るわけです。ですから、仮定でもよろしいが、かりにそういう操短をする必要の起きた場合には、どういう方式でやるということは大体もうお考えがきまっておると思いますが、これらについてお聞かせいただきたいと思います。

森誓夫通商産業事務官(軽工業局長)

○森(誓)政府委員 ただいまの問題点につきましては、昨年の九月から十一月に至る間に肥料懇談会におきまして今後の肥料対策を検討した際に、やはり問題になったわけであります。そのときの肥料懇談会の一致した意見といたしましては、将来もし操短をやるという場合がありとすれば、これは業界に自主的にやらせるのではなくして、政府が十分行政指導をしてそのもとにやるのだというふうなことになっておるのでございます。法律の関係からいいますと、操短をやるような場合にはやはり生産計画、需給計画の改定をやることになろうと思いまして、これは肥料懇談会で付議さるべき、肥料審議会で十分審議さるべき事柄になっております。そういう際には消費者、生産者あるいは中立の方、いろいろ出ておられるものでございますから、その際当然そういう操短方式についても十分あらゆる角度からいろいろな意見が戦わされまして妥当な結論が、方針が一応出ると思っております。私のところで今すぐこれをどうするということを申し上げるのは、そういう肥料懇談会等の関係もありまして、少し言い過ぎであろうと思いますので省かしていただきたいと思うのでありますが、ただ考え方といたしましては、純粋に消費者の見地からいえば、ただいま先生のおっしゃったような方向に向うことになるのでありましょう。他方また生産者の側からいいますると、もし傾斜操短をやった場合には、都合のいいところと悪いところとが出てくるわけであります。これは説が分れてくるということになりますが、さらに国家的な立場からいいますると、国がある一つの作為をもって、ある工場の事業が継続できないような事態に追い込むというようなことに、もしなるとすれば、これは補償の問題等にもつながって参りまするし、あるいはその際にはそういう操業度が著しく低下して、適当な経営ができなくなった工場におきまする労務者の整理、そういう問題にまで発展していきまして、これは相当大きい社会問題を誘発するというおそれがあるわけであります。従ってそういうふうな点をいろいろ考え合せて——さらに生産減少の程度の問題もあろうと思います。それらの点をあわせ考えまして、一つ肥料審議会等でよく御検討願いまして、その御意見を聞いた上で処理いたしていきたいというふうに考えております。

久保田豊日本社会党

○久保田(豊)委員 今の当局の立場としては、肥料審議会のその場合その場合においての意見をよく聞いて、あらゆる面を検討してやりたい、こういうお話であります。ごもっともな話であります。しかしこれについてはやはり何といっても、当局のこういう点に対するはっきりした方針がはっきり立っておらなければ、肥料審議会もなかなか今の現状では妥当な結論にはそう簡単にはいかないと私は思います。しかしいずれにいたしましても、肥料懇談会の結論としましても、これは業界の方では大勢としては今の統制方式が続く限り一律方式というふうなことが、一応の公約数として出てくることはこれは必然であります。しかしながらそれは今は消費者の立場はいいが、生産者の立場は悪いと言われておりますが、消費者は国内だけではない、国外に対しても同じような問題が輸出の問題についてもあるわけであります。そういう点から見ても、私はこれはやはり基本的には傾斜方式による操短方式というものを——今お述べになりましたようないろいろの問題があります。ありますが、それと調整しつつやるということが、やはり基本的でなくてはならぬと思う。こういう点について基本の方針とその運用については、当局自体がもっとはっきりした方針をお持ちになることが、ぜひ必要だと思うのであります。合理化の過程におきましても、各会社の合理化計画を一応集めてきて、これでもって合理化をやりますというふうな大体の御計画であります。操短についても同じように、そのときの出方によって、あっちこっちの意見を聞いてやりますというだけでは、内需の面からいっても、あるいは合理化の点からいっても輸出の伸長の点からいっても、これは不十分ではないかというふうに私は考えます。この点については今ここであなたにはっきりした操短についての基本方針を言えといっても、そう言っては失礼ですが局長さんでは、これは無理だろうと思う。ですから、これは大臣に聞くべきことだと思いますので、あとで大臣にこういう点についてはっきりお聞きしたいと思いますが、この点について特に一つ留意をして、研究なりその他について方策を、今のうちから用意をしていただきたいということをお願いして、次の質問に移りたいと思います。  その次は輸出の問題であります。今度の第二次五カ年計画におきましても、現実に二百二十万トンないし二百数十万トンを輸出しなければならぬ、また輸出ができるという前提で、今度の合理化を進めるわけであります。昨日のお話では大体東南アジア関係で四百五十万トン、そのうちで二百二十万トンくらいは、日本が船運賃その他の関係で非常に有利な立場にあるからこれはとれる、その目標に向ってやっていく、それでいけば大体において操短をせずに行くのではないか、こういうお話ですが、私は日本の輸出市場の状況を見ますと、これはなかなかそう簡単にいかないと思うのであります。御承知の通り日本の輸出市場は、私は全体として四つに分けて考えられるのではないかと思うのです。一つは台湾、一つは朝鮮、一つは中共、一つはそのほかの東南アジア、特にインドを中心とした地帯、こういうことになろうかと思うのであります。そこでここに輸出の振興方策についてはいろいろ政府の方もお述べになっておるわけですが、これらについては私どもはもっと積極的にやらなければならぬと思うのであります。しかし時間がありませんから、私はこれらの点については触れることを、きょうは避けますが、ただ一番日本の硫安、ア系肥料の輸出市場の特性として、私は二つのことをあげなければならぬというふうに考えるのであります。  一つは、何といっても、これがすべていわゆる世界情勢による政治的な要因というものと、日本の市場というものは非常に強く結びついておるということであります。硫安の、ア系肥料の輸出市場が政治的な要因によって、非常に強く左右される要素を持っておるということ、台湾の問題にしましても、今はなるほどあれですが、基本的には台湾への輸出という問題は、これは結局アメリカの台湾援助ということに依存しておると私は思うのであります。しかもこれは中共と台湾の関係が御承知のような段階になりまして、アメリカと中共との政治関係の変化その他によって台湾の経済的な地位、実力というものも急速に変ってくることは、これは必須の条件になっております。さらに朝鮮にいたしましてもそうであります。御承知の通り朝鮮自体の金で買っているわけではない、アメリカからの援助資金をこれに振り充てているのが大部分であります。朝鮮の地位にいたしましても、政治的にアメリカの政策なり、アジアにおきまする全体の力関係の変化によって非常に変ってくる。中共についてももちろんであります。今あれだけ中共が大きな市場として期待をされておりながら、現実に日中関係あるいは中国とアメリカとの関係によって、貿易が全然なくなったり伸びたりするという条件が大体においてあります。この三つの最大の市場についてはそういう特性が非常にあるということであります。さらにまたインドを中心とするその他のアジア地域につきましても、これは政治的な要因が相当強く働いておることも、これも確実であります。というのは、やはりインドを中心とするアジア民族主義といいますか、その政治的な動向ということと、日本なりアメリカとの政治関係というものは、やはり貿易を左右する一番基本的な要素になる、こういう点についての考慮を抜きにして、私は、単に数量的にあるいは単なる経済眼から輸出がどれだけ伸びるかというようなことを考えていくことは非常に危険でもある、こう考えるわけであります。もちろんこれらの問題のほんとうの合理的な解決ということは、通産省の一事務当局では考えられないことと思いますが、しかし少くとも実務を担当する事務当局としましても、こういう点についてはある程度のはっきりした心がまえを持つことが私は必要だと思いますが、こういう点についての具体策というと語弊がありますが、実務当局としてこれらに対して、どういう見通しをお持ちになっておるのか、この点についてもお伺いをいたしたいと思います。

森誓夫通商産業事務官(軽工業局長)

○森(誓)政府委員 御指摘の点はまことにごもっともでございまして、現在肥料の東南アジアにおけるマーケットが、所によりましては非常に政治的な影響によって、動向が変ってくるという地域があるということは、われわれもよく承知いたしております。韓国、中共そういう国は特に政治的な要素によって動きやすい国でございますけれども、過去の実績についてみますと、ただ運がよいといいますか、一方が悪いときには一方がよいというようなことで、総合してみると一応相当な輸出量になる、こういう結果にはなっております。計で申しますと、たとえば昭和三十二肥料年度は、韓国が日本とほとんど取引をしないという強硬な態度を示したために、日本の肥料輸出は非常に減りました。ところが中共が非常に大量の買付をやってくれたということでございます。ところで三十二肥料年度では、中共が今度は日本と通商途絶の状態に入りましたが、韓国が今度はまた大量に買ってくれたというようなことで、二つの国のを合計してみますると、大体そう変っていない、大量の買付がやはり行われているという格好になっております。しかしながらこれは一種の偶然であるかもしれないので、そういうものだけにたよるということは適切ではありません。われわれとしてはなるべく政治的な影響を受けないようなそういう地域への大量輸出ができるような努力をすべきだということでやっておるわけでありますが、その結果として一つの成果が認められましたのはインドでございます。これは昭和三十二肥料年度では、おそらく十万トン以下のものでございました。ところが三十三肥料年度におきましては約三十万トンくらいの輸出が出ております。こういうふうなわけで、われわれ事務当局としましては、中共とか韓国以外のインドその他の地域の市場開拓に大いに努力いたすべきであるというふうな考えをいたしておりまして、実はバンコックに肥料のサービス・センターを置きまして、あそこを中心にしまして、その周辺の国への売り込みに、大いに努力をするという態勢をただいまとっておるようなわけでございます。

久保田豊日本社会党

○久保田(豊)委員 今の問題でありますが、私は、問題の基本点は二つあると思うのです。今のお話では、なるべく政治的にうるさいところは避けて、あっちもこっちも天びんにかけて、うまいところをやっていくという結果になると思う。これでは、百万トン以下の輸出ならば、ある程度安定をしましょう、しかし二百万トンないしは二百二、三十万トンということになりますと、実際には私は消化できないと思う。そこでこれはやはりアジア、中共を含めての日本の外交政策の基本問題に触れてくる問題でありますから、これは局長に御答弁をいただくのは無理であります。そこで次官にお尋ねいたしますが、少くともア系肥料のアジアを中心とする輸出については、今申しましたように大体将来大きな望みを持てるおもなる市場は、何といっても中共が一番大きい。それから韓国とか台湾——韓国、台湾ともに非常に大きな政治的な要因によって動かされておる、しかもそれは主として中共なりあるいはアメリカとの関係、従ってその間に介在する日本の対アジア外交の基本という問題に触れてくると思うのであります。周恩来中共首相が、ごく最近岩井君やあるいは安井さんとした談話の詳しい内容がここに来ておりますけれども、それらを見ましても、向うでも日本から中国へ輸出したいものとしては、やはり肥料の問題が、はっきり取り上げられております。これに対しまする中共側の態度というものは、実に明確であります。今の外交路線から言いますと、とても打開のできないような状態であります。これらについては、私は単に肥料の関係からアジア対アジアの外交路線というものを明確にするということは、なかなか今の政府ないしは自民党の皆さんとしては困難な問題だろうと思うのであります。しかしこの問題は単に肥料の問題だけではなく、ほかの鉄鋼の問題についても、機械の問題についても、すべての問題について、私は基本の問題としてあると思うのであります。アジアを一つの大きなマーケットとして、日本経済が立っていくという以上は、年一年この問題が肥料の観点からいいましても切実さを加えてくることは明らかであります。こういう問題について、政府部内では、今中共貿易について大使級のあれをやるとか、書簡を出すとかいろいろ言っておられるようですが、少くともア系肥料という関係からいって、どういうふうに進んでいくのがよいか、これらの点についても、私は通産大臣としては、単に高碕さんのようにウルシをちょっぴり何とか頼むという程度の問題ではありません。問題の重要性ははるかに大きい、こういう点についてどのようにお考えになっておるか、次官から一つ御答弁をいただきたい。

中川俊思自由民主党通商産業政務次官

○中川(俊)政府委員 今議題になっておりますのは肥料二法をめぐる問題だろうと思うのであります。しかしお説のようにただ肥料の問題だけを取り上げて中共貿易あるいは東南アジアに対する貿易を促進しようと思っても、これはなかなか容易でないと思います。やはり政治的、外交的の面において何らかの手を打たさる限りは、私は最終的の解決を見る問題ではないと思います。従って中共貿易というものは、日本にとりましては行き来二億ドル以上もあるのでありますから、これを放任しておくということは将来でき得ることではございません。ことに日本の貿易の将来性を考えてみますと、欧米先進国等に対して日本がいつまで貿易が続けられるか、たとえば中共のソ連援助による五カ年計画が完成した暁には、中共に対してすら従来のような貿易が、果して可能であるかどうかということにつきましては、疑問を持たざるを得ないと思うのです。従って日本としては、東南アジアであるとか、あるいはアラブ諸国であるとか、あるいは南米とかという方面に対して、重大な関心を持つ必要があると思うのであります。なかんずく今議題になっておりますこの肥料の問題は、そういう方面に対して相当輸出するという将来性がなかったならば、私は解決できない問題だと思います。従って今お尋ねになりました点について、中共に対してどういう考えを持っているのかということでございますが、これは新聞紙上等におきましてもしばしばごらんの通り、政府といたしましても何らかの手を打たなければならぬということは十分考えておる、ただ打つのには時期もございます。さらにいろいろな政治的情勢もございますから、社会党さんの方で使節団をお出しになるようでございますが、そういうようなことを果して今政府がすぐやってよいかどうか、こういう点につきましても、政府部内でいろいろ検討中でございます。御案内の通り、中には手紙を出したらよいだろうという説を唱える者もあります。また一部にはもう少し慎重に考え、大使級の会談をやったらどらかというようなことを言う者もあります。今日、自民党の中にもいろいろ意見のある人が多いようでございまして、簡単には実は決定をしかねておるわけでございます。しかし今お説のように、簡単に決定しかねるからといって、これはいつまでも放任できるような問題ではございません。従って、この点につきましては、早急に案を立てて、そうして日本の単にア系肥料ばかりでなく、貿易全般について再検討しなければならぬということを目下検討しておりまするから、そう簡単にいかないのでありますが、あなた方から考えれば、何をぐずぐずしておるのかというまどろっこしい点があるということは十分わかりますけれども、先ほど来申し上げましたように、やはりいろいろな時期がございます。いろいろな客観情勢もございまするから、まあ検討中であるということで、御了承願いたいと思います。

久保田豊日本社会党

○久保田(豊)委員 今私は中共の問題を中心に言いましたが、中共に対する政策というのは、日本の対アメリカ政策なり、日本のアメリカとの結びつきと関係をした対アジア政策全般の問題で、単に中共問題だけじゃありません。今後この五年間にはおそらくアジアの政治情勢は相当急変すると私は思う。台湾の問題についても、南朝鮮の問題についても、あるいはこれらといろいろな意味において中共と連関を持ちまするインドや、その他のアジアの諸国の動向にいたしましても、相当大きく変化するということは、これは必至の情勢です。ですから、中共へ、政治と切り離して貿易だけやろうなどといっても、これは応ずるはずがありません。私は、ここでは対アジア外交路線というものを、日本の独自の立場に立ってどういうふうにするかという基本の政策がなければ、アジア貿易、従ってその中におけるア系肥料の輸出の問題も、基本的な解決の方向というものはなかなかない。安定市場を確保するということは困難であるということを申し上げておるわけです。この点は、なかなか次官からも明確な御答弁はいただける問題でもありませんので、これはまた大臣が来ましたら、私はこの点についてもう少し突っ込んだ議論をしてみたいと思いますので、時間の関係もありますから、この程度にいたします。  その次は、輸出に連関した問題ですが、これはどうなんですか。私どもよくわからないのですが、大体五カ年計画によりますと、硫安はそう大して増産にはならない。主として尿素ないしは高度化成もしくは塩安、こういうものが非常に増産になる。従って、これらの輸出の中におきまするウエートといいますか、こういうものも相当よけいになってくるようなことになっておるようであります。農業技術が相当に進んでおりまする日本の国内でも、尿素の肥料としての使い方についてはいろいろ問題があるわけです。そういう際に、アジアのように技術的におくれた諸国——中共は別でありますが、おくれた諸国に尿素ないしは高度化成あるいは塩安というふうなものに重点を置いた今後の輸出政策というものが、果してうまくいくかどうか、技術的なギャップという点と比べてうまくいくかどうかということが、私は心配になるわけであります。こういうような点については、どのようなお見通しを持っておるのか。これは国内に対しまする尿素の比重が非常によけいになるわけですね。こういう点と結びつけて、なるほど理論的には無硫酸根肥料ということでいくことは明らかであります。しかしながら、今の技術の水準からいいますと、大体において日本の国内でも非常に問題があるわけですね。こういうのをアジア市場を中心にしてやるというようなことが果してうまくいくのかどうか、私はこの点は相当の疑問を持っておるわけですが、これらについてのお見通しなり、これらの問題を解決する具体的な対策というものをお持ちの上で、こういう輸出計画というものを立てられておるのか、これをお伺いいたしたいと思うのであります。

森誓夫通商産業事務官(軽工業局長)

○森(誓)政府委員 今後のア系窒素肥料の生産計画、あるいはさらに需給計画を想定する際には、内需については農林省とよく御相談をいたしまして、その肥料の種類別の伸びというものについての御意見、つまりそれを基礎にして計上していきたいと思いますが、内需の場合にも、総体的にいえば、尿素が硫安よりもうんとふえていくというような比率の問題でございますけれども、そういう傾向を顕著に示しておるのでございます。輸出につきましては、やはりおっしゃるような点の心配をしなければいけないことは申し上げるまでもございませんが、従来の実績から見ましても、特に最近の実績を見ましても、尿素の輸出あるいは高度化成の輸出というものは、やはり相当伸びてきております。そういうふうな傾向を基礎にしまして、一応五年後のア系窒素肥料全体の生産計画というものを作り上げたわけでありますが、おっしゃるように、肥料の種類が違いますと、またそれに特殊な技術が要るということもございます。われわれとしては、現在バンコックに肥料のサービス・センターというものを置きまして、これはタイ国だけで活動するものではございませんが、そこを拠点にいたしまして、その付近の東南アジア諸国に活躍することになっております。そこで土壌調査から始まって、施肥技術の指導というようなこともやることにいたしております。農業技術者がそこへ行ってやっているようなわけでありますが、できれば、もし中共貿易が再開するようなことになりますれば、中共方面にもそういう施設を作っていきたいというふうに考えておるわけでございます。そういうふうな技術的な指導、あるいはまた宣伝啓蒙ということについても、今後大いに力を尽していかなければならぬというふうに考えております。

久保田豊日本社会党

○久保田(豊)委員 私はバンコックのそれがどういうふうな具体的な活動をしているか知りませんが、実は私のところへインドの青年が二、三人来ております。御承知の通り、インドへ農業技術屋をあっちこっち出しておるわけです。ところが、その成績が大体においてよくありません。それは単に農業技術という点からだけで、向うの農民と接触しろということでして、向うの生活ないしは現実に対する認識その他も不十分で、その間にギャップがある、こういうことなんです。従って私は、こういう肥料を出すために——そういうことだけをやるわけではありませんけれども、もっとアジア各国の農業と日本の農業の全般的な交流ということを強めるという政策の裏づけがないと、日本のこういう肥料のほんとうの伸展というものはないと思うのであります。あなた方は、ただ結果だけを見て、結果がこういうふうな数字にまとまったから、これはこれで、こういう態勢で、こうやったらいいと言われるが、これは日本の農民の生産の立場に立って、これに対する全般的な指導なり援助なりという態勢をとっていかなければ、アジアのモンスーン地帯、こういう水稲を中心とする地帯に対する日本のア系肥料のほんとうの進出というものはないと思うのです。これについては、農林省等とももう一歩突っ込んだ検討をされて、単に技術指導とかなんとかいうことでなく、もっと深い、広い結びつきというものを作っていくということでなければ、これは肥料をよけい売るという目的にも沿いませんし、また日本のアジアの農業の中における役割というものは十分果せないと思う。これも多少の技術交流はやっておるようであります。やっておりますが、今のところはきわめて不十分であります。特にインドあたりのごときは、御承知の通り新しい農村建設の運動が、日本では想像もつかないような形において生まれてきております。そういうところに、主として日本の農業、肥料等も行っているようでありますが、こういう実態をもっと深くつかんでいく必要があると思う。御承知の通り、サルボダヤ運動というふうな、ああいう農民の基本的な運動というものと、肥料の輸出がマッチして参りませんと、本格的なアジア市場の安定確保ということは困難ではないかと私は思う。これらについても、一つ農林省と格別に御検討をいただき、新しい視角から肥料市場のアジアにおける安定的成長ということに、格段の御留意をいただきたい、こういうことを希望として申し上げておきます。  時間がありませんから次の問題に移りますが、問題は例の輸出会社の赤字の件であります。昨日の御答弁では今大体二十五億くらいある。今年三十三年度をやると数十億というが、民間では七十億くらいになるだろうと言っております。おそらくそれくらいになるでしょう。おそらく今後五カ年間といえども、これが黒字になっていく可能性はほとんどない。現実の見通しとしては赤字のだんだんの累積になろうと私は思います。それでは五年後に黒字になって、これが逐次取りくずし的に解消するかというと、この見通しも私は必ずしも的確ではないと思います。そこでどうしてもこれが肥料会社の売掛になっているということであり、これをこのままほっておけば、いやでも応でも何らかの形で内地の硫安価格なりなんなりに転嫁せざるを得ない。売掛代金なり貸し倒れ準備金なりという形におきまして転嫁せざるを得ない。およそ一つの会社で、これだけの企業であって、五十億だ何十億だという金が、単に売掛代金でそのままたな上げできるはずがありません。そこでこれについては今のところでは通産省も農林省も国としては補助をしないという考えのようであります。これは今の段階で二十五億やせいぜい五十億程度のものなら、その程度で、そういう一時的な措置はできるかと思うのであります。かりにこれが七十億にしましても、これから運賃を差し引いたり、利潤分を差し引いたりすれば、おそらくこれはもっと相当に詰まる金額ではないかと思う。これについては今後の累積分を含めて、国が全部これを財政的に補助金として出すというふうな措置をとるのがいいかどうか、あるいはこれをある程度見返りにして、あるいは金を貸してやって、その利子補給を政府が見てやるというようなことにするか、いずれにしてもこの輸出会社の赤字というものについては、今ただやってやらない、五年後になって、黒字になったら、それで逐次取りくずしてやっていくなんという、こういうばかな政策というものは私はないと思う。きのうの御答弁の中では、もし輸出補助金を出すということになれば、百億くらいかかる、ドイツでは二百何借出してやっているけれども、日本の財政事情からいえば百億ということは、とうてい負担ができない。できないし、同時に補助の建前というものがこれでくずれてくるので、今日ではなかなか困難であるという。困難であることは明らかでありますが、片方については操短についても明確な方針がないし、それから合理化についても既存施設を中心にして、まあ微温的なやり方だと見て差しつかえない。輸出に対しましても、今の御答弁では明確な御方針は立て得ない状況にある、そういういろいろな情勢は、いやでもこの輸出会社の赤字に累積されてくることは明らかである。これに対して全部補助金で穴埋めしてやれということは私は申しませんけれども、会社の経理をある程度健全にするには、少くとも無利息の資金融通くらいのことは、最低限考えてやる必要があると思いますが、この点については、どういうふうにお考えになっておるか。これは局長よりむしろ次官に、一つはっきり御答弁をいただきたいと思います。当面の問題は、二十五億なりなんなりの範囲はよろしい。よろしいにいたしましても、今後累積することは明らかなんです。これについてどういうふうに対策をとられるか、ただ補助をしてやらぬということで、あと五年先で取りくずし、なしくずしということだけでは、私は不十分だと思います。

中川俊思自由民主党通商産業政務次官

○中川(俊)政府委員 確かに久保田さんのおっしゃることも一理あると思うのです。今赤字が二十三億ある。これが五年後に合理化によって果して黒字に転化するかどうか、これは五年後でなければわかりません。おそらく今だれも予言できないと思う。そこでそういう場合に一体どうするか、こういうお尋ねのようでございますが、しかし現在のこの法律の改正によって、五年後には久保田さんの心配が一片の杞憂に終るかもしれない。これはもちろん先ほど来お話のありますように、いろいろ中共及び東南アジアに対します政治的の手の打ち方、それが大きな原因になるだろうと思いますが、その手の打ち方によっては、あるいは御心配の点も杞憂に終って、黒字に転化するようになるかもしれないと思うのです。これは私どもも、こういうふうな改正によって五年後には確実にこうなるということも、実は正直申し上げたら断定できないと思うのです。そういう計画ではあります。しかし物事は計画通りらまく進んでいけば問題ないわけでありますから、計画でありますが、今あなたの御心配のような点に陥ることがないとも限らない。しかし現在の段階といたしましては一応こういう法律を出して、そういう計画のもとに進んでおるのであります。これが来年も再来年もさらにその次の年もどんどん赤字が累積していく、こういうような情勢が事前にわかりますれば、そのときに私は手を打ってもいいのじゃないか、こういうふうに考えておるわけです。それは先ほど来お話のような点をいろいろ勘案して、万全の策をとらなければならぬことはお説の通りでございまするが、しかし一応政府といたしましては、これに基いて計画を立ててこれからやってみようというのでありますので、しばらく成り行きをごらん下さって、そうしてその後に一ついろいろ御協力を願いたいと思います。特に久保田さんはこういう方面に対しては非常なオーソリティーでいらっしゃるのですから、農林省だとかあるいは通産省は、こういう計画を立てておりますけれども、さらにこれを国会審議を通して、国会からも強力に、これらの問題について、先ほど来お話のありますようないろいろな手を打って、ああしたらいいじゃないか、こうしたらいいじゃないかということについて、一つりっぱな意見を出していただきまして、政府も鞭撻していただくし、また自民党に対しましてもいろいろな資料を提供していただいて、ともにこの問題が解決できるように御協力願いたいと思います。こまかいことは事務当局からお答えいたします。

森誓夫通商産業事務官(軽工業局長)

○森(誓)政府委員 ただいま政務次官から御答弁いたしましたが、その通りでございます。事務的に申しますと、これはおっしゃるようなことは十分考えていかなければなりません。輸出の赤字がかりに非常な巨額に達して、そのために日本のア系窒素肥料工業が危殆に瀕するというような事態が、もし出現いたしますならば、それは国としても捨てておけないということになろうと思いますが、それまでに一応現在の段階として輸出の振興なりあるいは輸出条件の改善なり、あるいは合理化の推進なり、そういうところに努力をいたすべき段階であろうと思うのであります。今急に最後の救済策を考えるというのは、まだ時期尚早ではないかと思いますので、われわれも事態の推移を見て、その事態によってはさらに突っ込んだ国家的な助成策といいますか、救済策といいますか、そういう手も考える用意を持っておるということを申し上げております。

久保田豊日本社会党

○久保田(豊)委員 もう少し様子を見てやろうというお考えですが、しかし大体今後五カ年後に四十五ドルで出せるようになるが、その過程は今日ではまだまだ続くわけですね。昨日もいろいろ論議になりましたけれども、その間のコスト・ダウンというものは、どうも外国の方がよけい早く進んでおるようです。同時に外国としては昨日も御指摘のありましたようないろいろな輸出振興の補助策もとられておる。一部では価格の問題で、国内価格との調整でもって、それをやれという御意見もあったようですが、これは日本の農業の得失から見て、それはできないと思う。そういうことで外国からの輸出競争というものは、当面の間はますます激化する以外にないと思う。これは国際的な協定を作れといっても、今の情勢ではそう簡単にできる問題ではないと思います。従ってこれはどうしても合理化が外国よりもおくれておるという点、それから輸出競争の背景が多少違うという点、それから輸出競争が激化するという点、日本の置かれておりますアジア市場におきとます政治的な不利な点、こういう点を考えると、どうしたって赤字は相当に集積するということは明らかであります。しかも売掛代金というような格好で今までのものはいいとしまして、三十二年度以降のものからいたしましても、相当大きなものが三年も五年も続くということが、少くとも企業経営をしていられてがまんのできるはずはありません。ですから私は今すぐとは申しませんが、できるだけ早い機会に、これらに対しては基本的な方針というものを明確にしてやることが必要だと思うのです。そうでないと、どうしたって売掛代金の、何なりかんなりという格好で、内地のものに転嫁せざるを得ないようになってきます。相当の金額になって参る場合、これは当然です。その圧迫というものは当然くることでありまするから、これらについては、私は全部補助金でまかなえというようなことは申しません。適当な具体的な方策はあるはずであります。これらについてもう少し早急に方針を御検討いただいて、そうして早く明示をするということが必要だろうと思います。この点をさらに御検討いただきたいと思うわけであります。  それからこれに連関した問題で、もしこの点があれになっておりますと、今度は独禁法なりあるいは輸出入取引法の一部改正というような問題が出て参りますが、これらについての基本的ないろいろの具体的な問題点については、私は農林委員会で、例の肥料需給安定法が審議される場合に、通産省の方からもおいでを願って、具体的に一つ御質問申し上げたいと思うのでありますが、その問題を未解決にしておきますと、いやでも会社としては輸出振興カルテルなり何なりを作って、これは何らかの形において規制せざるを得ないようになってくると思います。一点だけこの価格問題についてお聞きをしておきますが、このア系肥料については、今のところは輸出入取引法の一部改正の適用除外に、はっきりするというお考えですか、あるいはどうなのか。またこれを適用除外にするということならば、これについての具体的なはっきりした措置を、すでにとっておられるのかどうか、この点をはっきりお聞きをしておきたい。うわさによりますと、通産省と農林省の間で、ア系肥料については今度新しくできる輸出入取引法の輸出振興カルテルの適用除外にしてやるというふうな話し合いといいますか、あるいは協定ができておるというふうなうわさも飛んでおります。飛んでおりますが、その内容がどの程度のものであるか、実際にそういうようなものができておるのかどうか、この一点だけ価格問題についてお聞きをいたしておきたいと思います。

森誓夫通商産業事務官(軽工業局長)

○森(誓)政府委員 輸出入取引法の改正につきましては、通商局で主管してやっておりまして、私のところではないのでございますけれども、その立案につきましては、農林省と通産省でよく協議をしてやっておるわけでございますが、その運用についてもいろいろお互いの意見を出し合って、その調整をいたしておるわけでございます。ただいまのお話のように、ア系肥料を特に輸出入取引法の改正後のものからはずすというふうな明確な話し合いは別にできておりません。われわれとしては、輸出入取引法というのも一種の産業の基本を取り扱う法規でございまして、各産業共通にこれは一応適用せられることを予定しなければならないものであるというふうに考えるのでありまして、特に肥料をこれから除外するという差別扱いをする必要もないと思っております。しかし現実の運用の結果を考えてみますると、昨日も申し上げましたように、ア系肥料につきましては、現在生産価格の一番重要な点について、一応二法が押えておるわけでございまして、それ以外の事柄でカルテルをやるという必要もほとんどないように思われる。特に肥料につきましては、こういう二法がありまする関係上、大体行政指導が先頭になって、業界の形が整えられていくという行政の態勢になっておりまするので、輸出入取引法でそれを処置しなければいけないというような問題は、ほとんど出てこないのじゃないかというふうに想像いたしておるわけでございます。

久保田豊日本社会党

○久保田(豊)委員 この点については今の御答弁では私は不満であります。しかし問題を突っ込むのは、農林委員会で取引法をやるときに私はもっと突っ込んで話したいと思いますが、これについて農林省はどういうふうにお考えになっておるのか。従来私どもがうわさに聞いておるところでは、ア系肥料については、輸出入取引法の適用除外にするという話し合いといいますか、協定といいますか、そういうものが大体通産省との間にできておる、あるいは大体了解がついておるというふうなことを聞いておりますが、この点についてはどうですか。

須賀賢二農林事務官(農林経済局長)

○須賀政府委員 輸出入取引法と肥料との関係につきましては、ただいま久保田委員から御指摘のありますように、制度として輸出入取引法は、肥料に適用がされるような事態にならないということになっておるかという御趣旨の御質問でございますと、現在提案をいたしております輸出入取引法の一部改正案では、制度的に肥料がはずれるということにはなっておりません。ただ適用対象は政令で指定をいたすことになっております。しかもこの輸出入取引法の所管大臣につきましては肥料に関しましては当該物資の所管大臣ということで、農林関係も所管大臣として問題を直接担当して参ることになるわけであります。従いまして今後の情勢によりまして肥料を輸出入取引法の対象とするというような問題が、かりに万が一起きたといたしましても、両省間で十分協議をいたしまして、政令指定というような手続を経て実現をいたすというような筋合いになる問題でございますので、その問十分協議をいたす余地が残っておるわけでございます。ただいま私どもの考えといたしましては、肥料につきましては御承知のように肥料二法も現にあるわけでございますし、これらで十分必要な処置はとって参ることができると思いますので、実際問題として肥料を輸出入取引法の対象にするというような事態は、当面の問題としては今考えられるということにはならないのじゃないか、さように考えております。

久保田豊日本社会党

○久保田(豊)委員 今の御答弁でも、まだ私どもは問題がたくさん残っておると思いますが、価格の問題、需給調整の問題あるいは今のこういう輸出入取引法なり、あるいはこの国会に政府の方は独禁法を出すといっておりますが、それらとの調整については、農林委員会で私はもっと突っ込んだ御質問を申し上げたいと思いますので、この点は保留をいたします。  与えられた時間が非常に少いので、もう一点だけ私は御質問を申し上げておきたいと思います。それは肥料審議会の公正なる運用についての問題であります。今までの肥料審議会の役割というのは、御承知の通り大体において需給計画なりマル公をきめるということが重点でありました。簡単ではありませんけれども、割合に事態がすらすらいったと思うのであります。しかしながらこれから先はそうはいかない。今の合理化のやり方につきましても、私は通産省が、昨日来資料やその他によってお示しをいただいたように、業者が現に持っている計画をそのまま集計して、これが合理化計画だというふうなことでは、合理化の真の徹底ということもなかなか困難ではないかと思われる点がある。さらに操短の問題等については、やはりこれも相当むずかしい問題になる。今御答弁の中でも、肥料審議会の意見を十分に聞いて善処したいというふうなお話があった。こういうことでもって、ア系肥料全体の生産面についても、あるいは内需、外需、価格あるいはこれに対する操短その他の合理化の進め方というような点、すべての問題が、結局は肥料審議会で政府が持ち込まなくても問題にならざるを得ないということになろうと思うのであります。そこで今の肥料審議会のあり方というのを見ると、政府としては簡単な資料しか出さぬで、一つの形式にしかとどまらぬように、だんだん持っていっているように私どもは見ております。非常に資料等も不十分であり、また会合の時間、機会等も非常に少い。形式的な審議に終ってしまって、ほとんど突っ込んだ審議というものは行われておらないように私どもは見ておる。そこで私は、どうしてもこれについてはもっとはっきり、生産盲あるいは消費者あるいは取扱い業者あいるはその他の学識経験者というようなものでもって、肥料審議会の構成を、さらにもら一度再検討する時期が来ておるのではないか。さらに肥料審議会の権限等も、法律等の改正ができないといたしましても、実態に応じてもう少しこれを変えていく必要があるのではないか。従って構成、権限についても再検討する時期に来ておるのではないかという点、もう一点は、肥料審議会の委員だけでは、問題の具体的な調査なり基礎的なデータの調製というものはなかなかできないようであります。もっと具体的な検討をする必要が私はあるのじゃないかと思う。従って肥料関係の生産者、消費者あるいは官庁、その他そういうものを含めた、つまり委員会の審議を真に有効ならしむるためには、どうしても専門員というふうな制度を設けて、予備的な資料の収集なり検討なり、こういうものをやって、その結果を肥料審議会に公正に反映させるということが、どうしても必要な段階になってきておるように思うのであります。そういう点については通産省、農林省としては、どういうふうにお考えになっておるのか、この点をお伺いいたしておきたいのであります。

森誓夫通商産業事務官(軽工業局長)

○森(誓)政府委員 ただいま肥料審議会につきましていろいろな御要望がございましたが、肥料審議会も最初昭和二十九年に二法とともに設置されましてから今日まで、相当回数を重ねて、相当多方面の事項につきまして審議をやっております。もちろん結論としましては、需給計画あるいは公定価格の適否につきましてきめていくわけでございますけれども、しかしその二つの論議をする場合に、実にいろいろな点につきましての論議が行われております。ただいまお言葉がございましたけれども、配付資料も非常に簡単で、審議が形式的であるというふうなお話でございますけれども、必ずしも私はそうは思っておりません。一つの公定価格をきめる場合に、実に何回も審議をやるというふうなことも、最近にはそういう事例がございますし、十分りっぱな審議をいたしていただいておるというふうに考えておるわけでございます。現在の構成員は十五人で、生産者代表三人、消費者代表三人、技術関係の代表が二人、その他の学識経験者が七人、その学識経験者のうちで、国会からも五人ほど御参加願っておりますが、そのようにして各方面の権威者にお集まり願って、十分な御審議をいただいておるというふうにわれわれは存じておりまして、今われわれの考えとしては、すぐにその権限なりあるいは構成なりを変えようというふうな考えはございません。実は今回の二法改正に際しましても、今後の肥料対策の根本問題を検討するに当りまして、一応肥料懇談会というものを作りましたけれども、実はその懇談会の委員二十名のうち十五名は、この審議会の委員の方にそのままお入りを願いまして、実質上その審議会の方が中心になってやっていただいておるようなことでございまして、われわれとしては今後とも肥料審議会を中心にしまして形式的、実質的に今後の肥料行政全般についてのいろいろな御検討をお願いいたそうという希望を持っておるわけでございます。久保田先生の御要望される点も、われわれとしてはよく気にかけておきまして、今後さらにそういう改善の余地がないかどうか、さらに検討して参りたいと思います。

須賀賢二農林事務官(農林経済局長)

○須賀政府委員 ただいま通産当局からお答えになりましたのとやや重複をいたしますが、この点についてはわれわれ今回二法の延長を提案いたします過程におきまして、久保田先生からお話のありましたような点とも関連いたしましていろいろ検討いたしたのでございますが、大体現行法のワクの中で、今後の運用に十分留意をして参れば、今後の肥料行政その他によって、従来よりもさらに肥料審議会を積極的に活動していただくことは、十分可能であるというふうに考えましたので、今回の延長法案の中には、特にこの部分について改正の点を織り込まなかった次第であります。

久保田豊日本社会党

○久保田(豊)委員 私の質問は大体終りますが、今の肥料審議会の構成なり運用については、私はもう一歩突っ込んで実は御質問したいのでありますが、きょうは時間が非常に制約されておりますのでやめますが、この点については、さらにもう一ぺん両省で検討をして、真に肥料審議会が肥料行政のほんとうの中心の、しかも公正な立場でやれるような構成なり権限なり運用なりについて、もう一段掘り下げた御検討をいただきたいということを要望しておきます。なお価格の問題あるいは需給調整の問題、その他いろいろ重要な問題がありますけれども、これらについては、私は農林委員会で臨時肥料需給安定法の審議の際に、いろいろ御質問を申し上げたいと思います。この際、通産当局に特にお願いをいたしておきますが、その際は、できるだけ大臣を出すようにお骨折りをいただきたいと思う。問題の非常に重要な点については大臣でなければ、はっきりした御答弁をいただけない面が非常に多いわけでございますので、特にこの点を要望して私の質問を終りにいたします。

中川俊思自由民主党通商産業政務次官

○中川(俊)政府委員 久保田さん、先ほど来非常にいい意見を聞かしていただいて感謝しております。肥料審議会なんかも一つできれば、私はできるかどうか知りませんが、あなたのような方に入っていただいて、あなたが直接いやなら、あなたの方からも来ていただいておるのだから、そういう方に、先ほど来のような御意見を一つ吹き込んでいただきたい。ああいう建設的な意見でなければいかぬと思うのです。非常に参考になりましてありがとうございました。  それから大臣が来なければいけない、いけないとおっしゃるが、私は大臣の代理で来ておりますから、大がいのことは私は答えます。大臣もなかなか忙しいですから、からだが二つあるのならそれは来ますけれども、参議院の方もきょうから御承知のように予算委員会が始まっておりますから、大がいのことは私がなにしますから、その点についてはどうぞ一つ……。

長谷川四郎自由民主党

○長谷川委員長 野原正勝君。

野原正勝自由民主党

○野原委員 肥料二法が審議されておるわけでありますが、私は肥料とわが国の農業問題ということは非常に深い関連がございますので、その観点から、これから政府側の御意向をただし、あるいはまた今後の合理化の進め方等についての問題を明確にして参りたいと思うのであります。  肥料二法が成立した当時のことを思い浮べましても、わが国の農業生産力をいよいよ発展せしめ、食糧自給度の向上をはかるための一つの大きな至上命令とも申すべき観点から、肥料工業というものを育成して参ったのであります。また、戦前においても同様なことで、農村の振興は肥料の公平な分配にあると言った、かつての田中首相の言は、今も記憶にあるほどでありますが、こういう観点から常に肥料の問題と農業の振興というものは切っても切れないような大きな関連があって、今日に至ったのであります。戦後における肥料の不足から、農民が非常に苦しんでおります。そういう際に起きましたのが、たまたま国内の農民に対してさえもまだ十分供給ができていないにもかかわらず、輸出が行われるというようなことに相なりまして、農政上の大へん大きな問題になったのでありまするが、その当時国内における肥料の農業生産のために必要なものは、あくまでも確保しなければならないというようなことから臨時肥料需給安定法が生まれ、同時にまた硫安工業合理化及び硫安輸出調整臨時措置法ができたわけであります。いわゆるこの肥料二法というものは、国内における農業生産力拡充強化発展のための大きな使命を持って生まれたものだということもいえるのであります。また同時に、これは単に農業政策のためのみならず、大きく言うならば、わが国の戦後の産業構造の中におけるいわゆる化学工業としてますます肥料産業なるものが発展しなければならぬ、そうしてその発展した結果において、日本の農民ができるだけ安い肥料を潤沢に使えるようにならなければならぬ、同時にまたわが国の肥料工業が世界の名地に向って、その生産した肥料を輸出いたしまして、わが国の国家経済の上に大きく寄与するところがなければならぬというような観点から、肥料産業に対しましては特別なる保護を加え、あらゆる観点からその育成を実現すべく努めて参ったことは、もう明らかであります。そういう点からこの合理化法が昭和二十九年に制定をされまして、ちょうど本年の五月が一応法律の期限になっておるのであります。五カ年間に五十ドルまで生産コストを下げるという大きな目標で参ったのでありまするが、それが昨日来、この委員会で非常に深刻に論議されましたごとく、思うようなコストの引き下げが実現できなかったというところに問題があるのであります。私どもがこの問題に関しまして、この期間延長——今回の改正によりまして改正案が提案になりまして以来というものは、この五カ年の過去における経過と今後の構想というものに対しまして、一応この辺で問題を明らかにしておく必要があろうかと考えまして、これから納得のいくまで一つ質問をいたしたいと思うのであります。  そこでまず、すでに昨日以来いろいろな質問がありましたので、できるだけ重複を避けたいと考えておるのでございますが、中には二、三重複をするような問題もあるかと思うのでありますが、まず明確にいたしたい点は、一体今日メーカー側における生産のコストというものは、果してほんとうにあのようなものであるかどうかということに対して、非常に疑問を持たれる節が多いのであります。果してほんとうにわが国の肥料工業というものは、世界の国々に比べてみて依然として非常に合理化が進んでいないのかどうかという点を考えて、私どもはもしそうだとするならば、まことに遺憾なことであり、今日一刻もすみやかにその合理化のためにはあらゆる努力を払わなければならない、かように考えておるのでありまするけれども、一体その合理化の実態というものはどうであるか、また同時に現実にいろいろと報告されておる、あの価格なるものが、果してしからばわれわれがそのままうのみにしてよろしいようなものであるかどうかという点等に関しましても、私は多少疑問を持っておるのであります。それに関しまして二、三明確にしてみたいと思うのであります。この三月一日の日本経済新聞に、たとえば東洋高圧の野村副社長の意見というものが載っておりますが、「硫安工業政策はこれまで農家に安く肥料を供給するための農業政策の犠牲になっていた。優秀工場のコストを基準に生産者価格を決めるなど生産者を無視するのもはなはだしい。」農業政策に追随する硫安工業政策を根本的に改めない限りは、遠からず硫安工業はつぶれるだろう、近い将来に肥料二法を改正するよう努力しなければならない、というような記事が載っております。「農業政策の犠牲になっていた。」というような見方そのものが問題であるわけであります。私どもは決してさように考えない、むしろ私どもは硫安工業も農業政策と一体となってわが国の進歩と発展、国民経済を発展させるという大きな目標のために相協力してやって参ったと思うのであります。そういう観点から依然としてこういうようなふしぎな意見——果してこれがほんとうかどうかわかりませんが、東洋高圧の野村副社長が言ったということが新聞に出ております。まことに遺憾に思うのでありまするが、この点もいずれもっと明確にしてみたいと思います。あるいはまた肥料は大へん安いということを言っておるのでありまするが、現在の肥料価格においても、果してほんとうに損をしておるかどうか、私どもは疑問に考えている節が多いのであります。たとえば三十三肥料年度におけるマル公というものは、御承知の通り一かます当り七百四十三円十八銭であります。これで行きますと、例のバルク・ラインに乗ったもの八工場と言われておりまするが、おおよそわれわれが情報等で聞きますると、三菱化成、東洋高圧といったような三工場だけがマル公で行けば、一かます七百四十三円十八銭のベースに乗っておる、あとの十六工場というものはみんな赤字になるということを言われておる。ところがこれはダイヤモンド月報の報道でありますが、宇部興産の中安という社長が語った言葉が出ておるのであります。石炭ガス法による宇部工場の硫安原価が四十七トルだということを自慢しておるわけです。一かます六百三十四円五十銭になっているのであるから、赤字どころの話ではない、一かます当りマル公に比べてみても逆に百八円五十二銭の利益になっておる、のみならず通産省の発表でありますところの同社の生産費というものは、一かます七百七十九円と考えられますので、この点から見ましても一かます百四十五円のサバをよんでいるということが言われているのであります。通産省が出している数字というものは、昨日配付されましたが、あのバルク・ラインの中で、ちょうど九番目あたりに当っているのが宇部興産の宇部工場のようでございまするが、そうなってみると、一体通産省が出しているあのいろいろなデータというものは、現に社長がうちの方はおかげさまでこんなに安くなっているんだと、これはしかも先日来るる説明がありましたが、まだガス法やあるいは天然ガスやあるいは製鉄の廃ガス等によって、思い切ったコスト引き下げをやった工場でなくて、現に石炭ガスを使ってさえも四十七トルでできているんだという言明が新聞であるという、一体そういうことに対して、通商局長はいろんな資料をもって作ったのでありましょうが、果してそういうことになっておるのかどうか。四十七トルでできているようなものを、とんでもない高いことに発表して、そうしてそれが出ておるとすれば問題だと思う。その辺に対して、その資料に対してどういうような調査をされてそういうものができたか、その点をまず伺いたいと思います。

須賀賢二農林事務官(農林経済局長)

○須賀政府委員 肥料工業の原価の調査につきましては、肥料二法で有権的にその資料を収集できるようなことになっております。出した報告にもし虚偽の記載があれば罰則が適用できる。また政府は、その報告が真実であるかどうかを調べるために、工場や事務所に立ち入り検査をすることができる、こういうことになっております。しかもこの資料は、こういう調査は通産省だけでございませんで、農林省と共同して行なっております。生産費の調査は、常に両省でそれぞれ共同した班を作りまして、いたしておるわけでございます。従いまして私たちがいろいろ公表しておりまする数字は、常に農林省とも相談をいたしまして出しておるわけでございまして、通産省でこれを故意にメーカーに有利なように直しておるということは毫もございません。そういう報告自身が、そういうふうに有権的にしっかりやっておる、こういう点はほかの産業と違っておるところでございます。そういう意味では、われわれの出す数字というものについては信用を置いていただきたいと思います。それから宇部興産の話が出ましたが、私は現実に宇部興産のコストが幾らでありますと、数字を確かめることはできません。ここは石炭を原料にしてやっておりますが、ほかの工場に比べて、幾分安いと見られますのは、同時にここは炭鉱を持っておる。つまり自分でその原料を供給できるわけであります。そういう点では、原料を相当安くしておるということが考えられると思いますけれども、しかしやはり四十七ドルで果してできるか、これは私ども非常に疑問に思っておりますが、なお後ほどよく調査をいたしたいと思います。一般的に申しまして、石炭法による製造コストは、本日資料をお配りいたしましたが、そんなに安いものではございません。これは何か社長のお言葉でもありますが、また別途の営業的な目的をもって発表されたものであるというふうに、私は解釈いたします。それから現に宇部興産が石炭ガスで非常に有利だとはいえない証拠が一つあるのです。それは能力の半分を今度ガス化しようという計画をもって、現に技術の導入を進めておるわけであります。そういう事実から見ますと、石炭法によって宇部興産が今後も楽々とやっていけるということは言えないかと思います。

野原正勝自由民主党

○野原委員 通産省が出しておられるこの資料が信を置けないというわけではない。価格決定についてのいわゆるバルク・ライン方式によるマル公決定までについては、法律に基いていろいろな調査をなさるということでありまして、また肥料価格決定までのいろいろな計算の方式等も法律的に調べられておるということで、それは承知しております。また虚偽の報告をしたものに対しては罰則もつける。しかしその罰則なんというものもあるにはあるが、今の時代に何億という商売をしているところに、何をしたら三万円の罰金というようなことは、およそ書いたというだけの話で、おそらくこっけいのようなものでありますけれども、一応そういう罰則も出ておりますので、そういう虚偽の報告をするはずはない。私どもはあくまでそれを信頼したいのであります。ただ不用意にそういうようなことが出ておるということ、現実に社長がいい調子で、あるいは一ぱいきげんでお話しになったのかもしれませんけれども、とにかくうちは四十七ドルになっているのだ、石炭ガス法でやったって、君それはもうかっているのだというようなことを壮語された。私はこれを聞いて非常にけっこうなことだ、そうあるべきだ、肥料メーカーの方々は、最初の肥料二法が成立した当時には、設備の近代化のため、合理化のためにいろいろな資金はかれこれ二百億もあれば、どうやらやれるというような考え方で合理化を進めたわけで、結果は六百億以上の資金が投下されたようであります。六百二億九千九百万円という数字であるようでありますが、これほどの合理化のために資金を投入されてやったんでありますから、すでにもう相当コストの引き下げができたと、私どもは実はひそかに期待しておるのであります。しかもそれのみならず、肥料工業のためには昨日も局長のお話にありましたように、あらゆる観点からコスト引き下げのためにいろいろな手が打たれておる。たとえば電力料金なんかにしましても、われわれの使っておる電気は一キロワット十円になっておるが、硫安工業については一円四十五銭で供給されておるというようなこと、とにかく驚くべき低い料金で電気の供給もされておるのであります。あるいはまた硫安工業に対する特別措置として、すでに昭和二十九年から三十二年までに免税額だけでも二十四億円からの免税をされておるということが発表されております。あらゆる面で財政投資が行われ、あるいは投融資が行われたり、あるいは免税が行われたり、あるいは電力料金が特別料金で出ておる。あるいはその他あらゆる面での肥料産業というものを、いかにして一刻も早く合理化させるか、そうしてまたその結果として日本の農業にも大いに安い肥料を潤沢に供給してもらいたい、農業生産力を発展させて、食糧の自給をやり、増産をやって、国民もまたできるだけ安定した安い食糧が食べられて、国民生活が安定するようにという大きな期待のもとにやって参った産業なんであります。これがすでに五カ年もたっておりますから、当然相当下っただろうということは、これはひとり農民のみならず、あらゆる方面がその期待をしておるというところに持って参りまして、最近においては安い価格で輸出をする、国際競争というものはいろいろな事情がありまして、ときには出血を覚悟でも競争しなければならぬ事態があり得ることは、私どもは十分に想像するものであります。しかしながら何といたしましても不思議なことは、やはり素朴な農村の人たちにその点を十分納得させるためには、今までの肥料行政というものはどうも理解ができないというような気持が、農村の方たちに多分にあることもまた事実であります。そういう点からこの際明らかにしておかなければならぬと思うのでありますが、先ほども申しましたように、すでに合理化が相当進んで価格もおかげでこれだけ下ったというようなことを、現に言っておる人もあるくらいでありますから、きわめて有力なその経営に当っておる方々が言っておられるとするならば、実態はある程度下っておるのが事実ではないだろうかということ。それからまた幾ら法に基いた調査をされ、時と場所によっては立ち入りの検査もしておるとおっしゃるけれども、一体今の肥料工業というものは、単に肥料だけ作っているのじゃない。ただいまお話の宇部興産にしましても、自分が隣で掘っておる石炭を使うのだから、安くできるのだ、これを高い値段で買ったことにすると、こういう価格になるので、そうして自分のところではバルク・ラインのむしろ下位に属するけれども、ほんとうはこうだというようなこともあり得るのじゃないか。あるいはまた他の関連産業の面から見れば、相当もうかっている面もある。しかし肥料という、ある一定のバルク・ラインで押えられ、あるいはまた輸出には当然ある程度の出血を覚悟して出さなければならぬような事態になっておる今日からすれば、これはやはりあまり正直な価格を出すよりは、まあ理屈のつく限り通産省で、どうにか通してもらえる程度の値段ということにでもしてもらった方がいいというような考え方も多少あるんじゃないだろうか。私どもは肥料のことはよくわかりませんけれども、いろいろな化学工業の関係の諸君から聞きましても、どうやらそこらのところは、多少言葉のあやかどうか知りませんが、非常に成績のいい工業は、工場においてはすでにもう四十ドルを割るくらいなところまで合理化が進んでおるのじゃないだろうかということを言っておる人さえあるのであります。でありますから、これが五年かかって今日五十五ドルでございますというようなことで、しかもあなたの御答弁によると、今後五カ年間に四十七ドルまで下げるというような程度の話では、何としても納得できないという気持が多いのであります。昨日もこの問題に対しましては、かなり突っ込んだ話もありました。私も拝聴しておりましたけれども、どうもわれしわれとしましては肥料工業というものの実態が十分わかっていませんので、その点いかんとも明確にわかりませんけれども、ただ私どもが心配いたしますことは、ただいま大臣も来られましたから、大臣にもこの際聞いていただきたいと思いますが、私どもは一刻も早く日本の肥料産業がりっぱに合理化をやりとげて、世界の国際競争に十分打ち勝っていくようなところまで、堂々と行ってもらわなければ困ると思うのであります。それによって日本の食糧自給の問題に大きく寄与し得ると同時に、今日日本の経済というものは、いわゆるなべ底景気から少しでも浮かび上ろうと、国をあげて戦っておる最中であります。お隣の中国は御承知の通り、最近非常に目ざましい発展をしております。中共の姿を私どもはこの目で見ておりませんけれども、文献その他で知るところによると、最近の中共は非常な発展をしておる。その中共は、今こうした近代産業としての肥料工業は多少あるかもしれませんが、きわめて供給力が不足である。従って何としましても日本の肥料工業がお隣の中共と手を握るならば、これは非常に大きな力となり、輸出産業として発展できる希望が持てる産業だと私は思う。今はそれに対しましてはなはだ遺憾ながら、せっかく第三次貿易協定で一九五七年には三十三万トンからの肥料が輸出され、あるいは昨年の肥料年度においては四十万トンの肥料の輸出契約が結ばれ、いわゆる第四次貿易協定で非常に明るい見通しで、輸出問題が進められたのであります。硫安において四十万トン、尿素五万五千トン、塩安三万五千トン、総額八十五億円余に上る契約がされたにもかかわらず、例の長崎の国旗事件という、まことに不幸な事態からして巻き起された日中貿易協定の全面的なストップというような事態になりまして、そのままで今日に至っておるのであります。本日たまたま社会党が日中問題打開のために、わざわざ淺沼さんを団長として大挙中共を訪問されたことに対しましては、私個人として衷心から敬意と感謝を捧げるものでありますが、一体高碕通産大臣は、今日の中共問題特に中共貿易についての御所見はいかにお持ちであるか。そしてまたそれがわが国の肥料産業の将来の問題に対して、きわめて重大なきめ手であると考えておるときにおいて、いかなる考えを持っておるか。その点を一応説明していただきたいと思うのであります。

高碕達之助自由民主党通商産業大臣・科学技術庁長官

○高碕国務大臣 昨年五月以来、日中貿易が停頓状態にあるということは、日本全体の輸出貿易の上から論じましても、はなはだ遺憾しごくに存じまして、これが一日も早く打開されんことを、私どもは念願しておる次第であります。特に肥料工業から申しまして、今日の肥料工業が、従前は国内の消費をまかなうということにのみ重点が置かれておったのでありますが、その価格を下げるということのために、勢い増産をしなければならぬ。増産をした結果、ここに相当の数量を輸出しなければならぬ。輸出しなければ価格は下げることはできない。こういう意味からしまして、今後の肥料政策というものは、どうしてもある程度輸出産業として立っていくということにしなければ、国内の価格を下げることができない。こういう羽目に陥っております関係上、輸出市場として一番大きな相手方である中共の市場を一日も早く打開するということは何としても肥料工業から申しまして必要欠くべからざることと私は信じておるわけなんであります、その意味におきましても、できるだけ早く中共貿易を打開したいと思っておりますが、御承知のごとく今日の状態は、現在の岸内閣といたしましては、中共の政治的の情勢、社会的情勢、あるいはイデオロギーからいたしまして、日本と非常な違いがあるというわけでありますが、この両国の間の政治情勢というものはお互いに相尊重し合って、そうしてその間に友好親善関係を傷つけないで、そうして貿易あるいは文化交流をやることを希望しておる次第でありますが、その間両国の間に、ある程度の誤解があるかのごとく私は存じておるわけなのであります。そういうふうな誤解を打開するために社会党におきましても、今日多数の方々が御足労願っておるということは、そういう意味から申しまして、現政府としては非常に喜ばしいことと存じておる次第でございまして、一日も早くこの打開策を講ぜられんことを念願する次第であります。

野原正勝自由民主党

○野原委員 そこで先ほども久保田委員から質問がございましたけれども、この際大臣の御所見を伺いたいと思いますことは、実は一昨年中共に対しましてアジア農業交流懇話会の力で、わが国の農業技術者が派遣されまして、向うの米作等に対して長期滞在いたしまして技術指導をし、両国の親善と友好に非常に大きな役割を果したことは、すでに御承知の通りであります。肥料の輸出ということは、これは単なる貿易ということで、商社側の問題としてまかしておくわけにいかない。やはり農業技術の進歩と発展に伴いまして、化学肥料の需要が伸びていくということになるわけであります。今回バンコックに肥料のセンターを設けられるということ、大へんけっこうなことでありまして、私どももそうした試みに対しましては非常に敬意を表するものでありますが、この際中共に対しましても、今後積極的に、少くも農業技術の問題であるとか、あるいはそうした向うの農業の問題に関しましてのあらゆる点で協力をするという方向で行くべきことは当然だと思います。そこでこの際私は、今の御答弁にもありましたように、岸内閣がその立場において、まだ中国との間に外交的な交渉を正式に持つことができない状態でありながらも、あくまでも日中問題の相互の理解を深めるように積極的に努力をしたい、そうしてこの問題の打開をはかりたいという通産大臣の御意向に対しまして、私は衷心から敬意を表するものでありますが、今日私どもは、すでに中共問題に関しましては大きく踏み切っていかなければならぬ段階が来たと思うのであります。むしろ今までいろいろな点でなし得ない点がございましても、静観主義はこの辺でやめて、むしろ中共の問題その他に関しましては、特段の深い識見と理解を持っておられる通産大臣が、積極的にこの際中共問題に関しては努力をするということでお進みいただきたい。私どもは今後のわが国の肥料問題を解決する際においては、どうしても中共問題をおいて解決の方法はないとさえ考えておるのであります。この間の肥料懇談会におきましても、中共向け輸出問題の解決を見ないうちは、生産規模を決定し、あるいは第二次合理化計画を立てることは困難であるという意見があったということを伺っております。また中国市場に対する肥料の供給なくしては、わが国の肥料工業の安定的発展はあり得ないということは、もうすでに常識であります。そういう点から、大臣があくまでも中国問題に対しては、単にこれは肥料問題だけではないのであります。大きく見て日中の平和友好の問題、そしてまた貿易の打開に対して、今後あくまでも積極的な努力を払うという御決意を示していただきならば、私どもは非常にうれしく思うものであります。その点の御所見を、もう一度拝聴いたしたいと思います。

高碕達之助自由民主党通商産業大臣・科学技術庁長官

○高碕国務大臣 ただいまの御説はごもっともでございまして、私は、その方針で十分進んでいきたい。それで一日も早く中共貿易というものが打開できるように、微力ながら努力いたしたいと思っております。

久保田豊日本社会党

○久保田(豊)委員 連関して。大臣がおいでになりましたので、二、三の点について御質問をいたしたいと思います。  すでに現実に日本のア系肥料工業というものが、少くとも四割ないし六割の輸出をしなければやれない状態になってきていることは明らかなんです。今後合理化によっては、さらにこのパーセンテージが上ってくることも明らかであります。その市場はアジアであります。そのアジアのうちでやはり今後一番重点になるのは中共であります。今、野原委員からもいろいろお話がありましたが、問題はどこにあるかということを今の政府なり、特にあなたは肥料なり鉄鋼なりの責任者として、御承知になっているのかどうかという点が、私どもには疑問なのであります。そこで、ごく最近日本から総評の事務局長ないしはそれらの諸君が、周恩来首相と約三時間にわたって懇談をしております。その際における周恩来首相が、日本の貿易についてどういう基本的な態度をとっておるかということをはっきり認識しなければ、大使級の会談をやったって、そうして書簡を出したってだめであります。そこで私はこの点をはっきり申し上げてみたいと思う。まず第一に、今の政府では政治と経済と離すと言っておられる。これに対しては、明確にこういうように周恩来ははっきり言っておる。西方だから、帝国主義だからといって取引をしないというのではない。敵視したりののしったりしてはいけない。よって政治と経済は切り離せない。マルクス・レーニン主義は政治と経済を切り離せないというふうに考えておる。こうはっきり言っております。政治と経済を切り離して貿易だけやろうという根性は、もう通用しないということを、はっきり自覚をされなければならぬと思うのであります。ウルシの問題あるいはアマグリの問題は、どういうふうに取り上げておるかというと、これは一番最後に約十分間の会談の中に言った言葉でありますが、条件が六つか七つついております。どういう条件かというと、それはほんとうに困っておる、失業をして困り、解決を迫られておる小企業、つまり零細企業だけであります。中小企業というようには言っておりません。それからもら一つは、友好団体の紹介と保証があるということが、その次の条件であります。数が多くない、品目を多くはやらないということであります。もら一つは、これは試験的だということであります。ためしにやるということであります。さらにそういう零細な業者の救済措置として、ごく少数やるというだけでありまして、これを人民貿易の窓口なんて考えるのはもってのほかであります。あなたがウルシだけは何とかしてくれと頼んでやったって、これはこういう性格のものであるということを明確にしていただかなければならぬ。さらにもう一点重大な点は政府に申し上げておきたいのは——つまりこう言っておるのです。われわれは自民党政府だから貿易しないとは言っていない。鳩山内閣とは貿易してきたし、石橋内閣とも貿易した。岸に当初のころは望みをかけていたが、だんだんとなってないことがわかってきた。こう言うのであります。そのなってないことの理由としては、こういうことをあげております。岸は台湾に行ったときに大陸反攻の支持をした。インドまで行って、新中国に反対する言説を、岸はネールに対してやっております。それからアメリカでは、中共は結局滅びるだろうと言って悪口を言った。それからさらに例のブラウン記者に対する問題等もあげております。さらに国旗問題等が出ております。現実の問題としてこういう考え方ではいけない。さらに現実の政策としては三つのことをあげておる。安保改定の問題であります。これは日本が独立をするという意味での安保改定であり、その意味において軍隊を持つのなら、ちっとも反対しないと言っておるのであります。はっきりこれは言っておる。台湾についても、向うは台湾をどう見ておるかということ、台湾の国土をアメリカが占領して、そのかいらい政権が今の台湾政権だと見ておる。これに対して支持をし、援助をし、これを後援しておるというふうな、少くとも今すぐ台湾とは手を切れとは言っておらぬが、積極的な支持、しかもこれを大陸反攻の拠点にしようというような岸の考え方では貿易はできないと言っておるわけであります。もう一つは、日本の軍国主義の復活であります。こういう三つの条件がとれて——アメリカとの関係においても直ちに今の安保関係を断絶せよとは言っていないのであります。また台湾の関係についても、直ちに今の関係を断絶せよとは言っていない。基本の考え方、政策というものを、方向としてはっきり敵性視でないようにしろと言っておるわけであります。過程の問題としてはいろいろあるが、これはそれぞれの国の実情もあるし、情勢の動きがあるのだから、これに沿うてやっておるということは差しつかえない、こう言っておるのであります。この点を政府自民党がはっきり認識して、そういう意味においての政策路線の基本的な変更をしない限り貿易は何年たってもやりませんと、こう言っております。今やるのは小さな人の救済であり、しかもその救済は日本の国内の内政干渉にわたらない範囲においてやっておる、この点を私は高碕さんが——あなたに申し上げるのは無理かもしれません。しかし岸内閣の一員として、この点を明確に認識をされなければ、アメリカと軍事同盟を結んで、片方において中国をやっつけろと言いながら、片方においてそろばんだけ出してこれをやるというのは、これが帝国主義の考えならば戦争をしながら物を売り買いしてもうけるやつもおるのですから、いいですが、中国はそういうことは絶対に受け付けないということを明確にこれで言っておるのであります。できれば私は政府がこの周恩来の談話の内容を、これはかなり詳しくしさいにやっております。これをもう一度熟読翫味される必要があるのではないか、こう思うのです。しかもこの中国との関係は肥料だけではない、鉄鋼の問題についても触れております。鉄鋼資本であろうと、肥料資本であろうとこれとは取引する、独占資本でもけっこうだ、ただし今言ったような意味において友好でなければならぬ、過程の問題は二の次として、基本の方向としては友好的な方向をとることが根本であるということを繰り返し言っておるのであります。これを正確に一つ御認識をされることが私は第一段だと思うのでありますが、岸内閣の閣僚として、あなたはこういう点についてどうお考えになっておるのか、これを一つお聞かせいただきたいと思う。

高碕達之助自由民主党通商産業大臣・科学技術庁長官

○高碕国務大臣 ただいま久保田委員の御指摘になりました周恩来の談話というものが、私はどの程度であるかまだ詳しく検討いたしておりませんが、ただいま読み上げられたようなことは大体新聞でも聞いておりますことで、それだけ詳細には私よくわかりませんでしたが、周恩来にそういう気分があるということは、私は想像するにかたからざることだと思うのでありまして、先方としてはそれぐらいを想像し、それだけのことを言っておるのは当然だと思います。しかしまた一面日本の側といたしましても、つまり岸内閣といたしましても、政治と経済を分離するからといって、決して友好親善関係を無視するのではなくて、また敵対行為を示すのではなくて、これは岸総理は各方面においてはっきり言っております通りに、決して敵対の考えを持っておるのではないというようなことも言っておるわけでありますから、その両方の言い分というものを、やはりよく話し合いをつける必要があるだろうということを私は信ずるわけなんでありますが、その話し合いをどういうふうな方法でやるかということは今後に残された問題でありまして、それにつきましても先ほど私が申しました通りに、早く親善関係、友好関係というものをはっきりして、そうしてお互いの政治的の立場というものを尊重し合いつつ、そうして文化なり貿易なりその他の交流をするということは、一日も早く打開をいたしたいと存じておるわけであります。もっともまたこちらの——こちらと申しますか、岸内閣の言うことも考えていることも、また先方がよく了解していただけば私はこれは打開するものだ、こう存じております。

久保田豊日本社会党

○久保田(豊)委員 今の御答弁は、岸内閣の一員としては無理ないことだと思いますが、はっきり向うでいつ、どこでこういう悪口を言ったということまで出ておるのです。そうして今やろうとしておることについても、向うの態度がはっきりしているわけです。それはうそじゃないと思うのです。幾らそういうことを言ったり、やったりしておっても表面だけで、あなたの方は敵と考えていない、立場が違うなんて言ったって、これは通ずるはずがありませんよ。ですから私はやはりこの点を岸内閣としてはもう一歩、単に中共という関係だけではなくして、全体の外交路線というものを——決してアメリカと手を切れとか、台湾とすぐに絶交しろなんて向うは言っていないのであります。そういう点で、中共をすぐ承認しろとも言っていないのであります。そこをはっきりしなければ、幾らあなたの言うようなことを言ったってだめですよ。この点を一つはっきりしていただきたいということです。  同時に、私はさっきも申し上げたのですが、日本の硫安工業は、今後何としてもアジアの市場を主たる対象にしていかなければうまくいかない、しかもこれがうまくいかなければ、国内の農業の方に対するはね返りが非常に大きくなることは明らかであります。しかもこのアジアの市場というものは、おそらく今後五カ年ぐらいの間に、つまりこの合理化の期間において成長線も大きく変るだろうと思います。同時に経済情勢も相当基本的に変ることは、中国の五カ年計画、その進行状態、その他から見ても明らかであります。そこでたとえば朝鮮問題にしましても、台湾問題にしましても、あるいはその他の東南アジアの全般の問題にしましても、これは基本的にはアメリカと中国との関係、その間に立って日本がどういう外交路線をとっていくかということによって、安定市場になるか不安定市場になるかということが、政治的な要因によって動いてくることは明らかであります。こういう状態でありますから、単に問題を対中共、これが本質でありますけれども、それだけでなく、単に商売という観点のみならず、政治的な観点から動くアジアの情勢、これを中心として——アメリカもこれから変るかもしれません、変る気配も多少は出ております、イギリスはすでに変りつつある、こういう点も日本の独自の立場から、岸内閣なりあるいは与党の諸君がしっかり本格的に取り上げないと、今のような感情論やデマ論や、ああいったことでやっておったのでは行き詰まりがくるだけであります。これは単に硫安工業だけの問題じゃなくて、製鉄の問題しかり、その他あらゆる問題がそうであることは、私が言うまでもなく御承知の通り。この点一つ総体的にどういう外交路線に持っていくかということを、これは一つ大臣としても、特に経済上の重要な責任を持っておる大臣として、重要にお考えをいただきたいということを希望として申し上げておきます。  それからもう一点お聞きしたいのは、さっきもお聞きしたのでありますが、合理化のやり方であります。今の通産省のやり方は、現在ある施設というものをそのまま生かすという前提に立って、そうして流体化をはかってコストを安くしていこう、こういうことであります。従って地域的な諸関係等もあって、その流体化の基本は何に置かれるかというと、大体原油とガス化ということになろうかと思います。今通産省からいただいた資料によりますと、これはほかの方のいわゆる廃ガス関係は余力も非常に少い、コスト必ずしも安くない、こういうような資料をいただきました、重油のガス化というようなことの方が、むしろコストの点では安くなっているという点、これは私どもは、しろうとでありますからよくわかりませんが、そうばかりでもないようであります。業者の意見を聞けばそうなろうと思います。ですからたとえば天然ガスにいたしましても、あるいは石油の廃ガスにいたしましても、コークスのガスにいたしましても、製鉄所の廃ガスにいたしましても、こういうものは相当の余力があるように私どもは聞いております。こういう点についても、これはもちろん企業化できなければなりませんが、こういう点をしっかり調べた上で、持って行き方としてはこれはコストの安くなるものについては、積極的に新しい施設をどしどし作らせる必要がある、その半面において合理化のできない、流体化のできないようなものについては、業種の転換なりその他の方法を講じて、全体としては六百万トン程度でけっこうでありましょうが、この中でもって新陳代謝をもっと積極的にやるだけの意欲がなければ、世界の大勢に合っていくよらな合理化は、とてもできないと思いますが、こういう点については大臣としては、今の通産省が業者からの申告、計画を集めてこれを計画化したというような行き方でなしに、もう一歩積極的な指導政策といいますか、その土台としてはっきりした資源調査な政干渉にわたらない範囲においてやっておる、この点を私は高碕さんが——あなたに申し上げるのは無理かもしれません。しかし岸内閣の一員として、この点を明確に認識をされなければ、アメリカと軍事同盟を結んで、片方において中国をやっつけろと言いながら、片方においてそろばんだけ出してこれをやるというのは、これが帝国主義の考えならば戦争をしながら物を売り買いしてもうけるやつもおるのですから、いいですが、中国はそういうことは絶対に受け付けないということを明確にこれで言っておるのであります。できれば私は政府がこの周恩来の談話の内容を、これはかなり詳しくしさいにやっております。これをもう一度熟読翫味される必要があるのではないか、こう思うのです。しかもこの中国との関係は肥料だけではない、鉄鋼の問題についても触れております。鉄鋼資本であろうと、肥料資本であろうとこれとは取引する、独占資本でもけっこうだ、ただし今言ったような意味において友好でなければならぬ、過程の問題は二の次として、基本の方向としては友好的な方向をとることが根本であるということを繰り返し言っておるのであります。これを正確に一つ御認識をされることが私は第一段だと思うのでありますが、岸内閣の閣僚として、あなたはこういう点についてどうお考えになっておるのか、これを一つお聞かせいただきたいと思う。

高碕達之助自由民主党通商産業大臣・科学技術庁長官

○高碕国務大臣 ただいま久保田委員の御指摘になりました周恩来の談話というものが、私はどの程度であるかまだ詳しく検討いたしておりませんが、ただいま読み上げられたようなことは大体新聞でも聞いておりますことで、それだけ詳細には私よくわかりませんでしたが、周恩来にそういう気分があるということは、私は想像するにかたからざることだと思うのでありまして、先方としてはそれぐらいを想像し、それだけのことを言っておるのは当然だと思います。しかしまた一面日本の側といたしましても、つまり岸内閣といたしましても、政治と経済を分離するからといって、決して友好親善関係を無視するのではなくて、また敵対行為を示すのではなくて、これは岸総理は各方面においてはっきり言っております通りに、決して敵対の考えを持っておるのではないというようなことも言っておるわけでありますから、その両方の言い分というものを、やはりよく話し合いをつける必要があるだろうということを私は信ずるわけなんでありますが、その話し合いをどういうふうな方法でやるかということは今後に残された問題でありまして、それにつきましても先ほど私が申しました通りに、早く親善関係、友好関係というものをはっきりして、そうしてお互いの政治的の立場というものを尊重し合いつつ、そうして文化なり貿易なりその他の交流をするということは、一日も早く打開をいたしたいと存じておるわけであります。もっともまたこちらの——こちらと申しますか、岸内閣の言うことも考えていることも、また先方がよく了解していただけば私はこれは打開するものだ、こう存じております。

久保田豊日本社会党

○久保田(豊)委員 今の御答弁は、岸内閣の一員としては無理ないことだと思いますが、はっきり向うでいつ、どこでこういう悪口を言ったということまで出ておるのです。そうして今やろうとしておることについても、向うの態度がはっきりしているわけです。それはうそじゃないと思うのです。幾らそういうことを言ったり、やったりしておっても表面だけで、あなたの方は敵と考えていない、立場が違うなんて言ったって、これは通ずるはずがありませんよ。ですから私はやはりこの点を岸内閣としてはもう一歩、単に中共という関係だけではなくして、全体の外交路線というものを——決してアメリカと手を切れとか、台湾とすぐに絶交しろなんて向うは言っていないのであります。そういう点で、中共をすぐ承認しろとも言っていないのであります。そこをはっきりしなければ、幾らあなたの言うようなことを言ったってだめですよ。この点を一つはっきりしていただきたいということです。  同時に、私はさっきも申し上げたのですが、日本の硫安工業は、今後何としてもアジアの市場を主たる対象にしていかなければうまくいかない、しかもこれがうまくいかなければ、国内の農業の方に対するはね返りが非常に大きくなることは明らかであります。しかもこのアジアの市場というものは、おそらく今後五カ年ぐらいの間に、つまりこの合理化の期間において成長線も大きく変るだろうと思います。同時に経済情勢も相当基本的に変ることは、中国の五カ年計画、その進行状態、その他から見ても明らかであります。そこでたとえば朝鮮問題にしましても、台湾問題にしましても、あるいはその他の東南アジアの全般の問題にしましても、これは基本的にはアメリカと中国との関係、その間に立って日本がどういう外交路線をとっていくかということによって、安定市場になるか不安定市場になるかということが、政治的な要因によって動いてくることは明らかであります。こういう状態でありますから、単に問題を対中共、これが本質でありますけれども、それだけでなく、単に商売という観点のみならず、政治的な観点から動くアジアの情勢、これを中心として——アメリカもこれから変るかもしれません、変る気配も多少は出ております、イギリスはすでに変りつつある、こういう点も日本の独自の立場から、岸内閣なりあるいは与党の諸君がしっかり本格的に取り上げないと、今のような感情論やデマ論や、ああいったことでやっておったのでは行き詰まりがくるだけであります。これは単に硫安工業だけの問題じゃなくて、製鉄の問題しかり、その他あらゆる問題がそうであることは、私が言うまでもなく御承知の通り。この点一つ総体的にどういう外交路線に持っていくかということを、これは一つ大臣としても、特に経済上の重要な責任を持っておる大臣として、重要にお考えをいただきたいということを希望として申し上げておきます。  それからもう一点お聞きしたいのは、さっきもお聞きしたのでありますが、合理化のやり方であります。今の通産省のやり方は、現在ある施設というものをそのまま生かすという前提に立って、そうして流体化をはかってコストを安くしていこう、こういうことであります。従って地域的な諸関係等もあって、その流体化の基本は何に置かれるかというと、大体原油とガス化ということになろうかと思います。今通産省からいただいた資料によりますと、これはほかの方のいわゆる廃ガス関係は余力も非常に少い、コスト必ずしも安くない、こういうような資料をいただきました、重油のガス化というようなことの方が、むしろコストの点では安くなっているという点、これは私どもは、しろうとでありますからよくわかりませんが、そうばかりでもないようであります。業者の意見を聞けばそうなろうと思います。ですからたとえば天然ガスにいたしましても、あるいは石油の廃ガスにいたしましても、コークスのガスにいたしましても、製鉄所の廃ガスにいたしましても、こういうものは相当の余力があるように私どもは聞いております。こういう点についても、これはもちろん企業化できなければなりませんが、こういう点をしっかり調べた上で、持って行き方としてはこれはコストの安くなるものについては、積極的に新しい施設をどしどし作らせる必要がある、その半面において合理化のできない、流体化のできないようなものについては、業種の転換なりその他の方法を講じて、全体としては六百万トン程度でけっこうでありましょうが、この中でもって新陳代謝をもっと積極的にやるだけの意欲がなければ、世界の大勢に合っていくよらな合理化は、とてもできないと思いますが、こういう点については大臣としては、今の通産省が業者からの申告、計画を集めてこれを計画化したというような行き方でなしに、もう一歩積極的な指導政策といいますか、その土台としてはっきりした資源調査なアンバランスでありました。従ってまず絶対要件としまして、国内における食糧自給のために必要な肥料だけはあぐまでも確保する、あるいはまた端境期等においても、ある程度備蓄をさせる必要があるというようなことで、それに対する資金の手当をするとか、備蓄の蓄積をさせるとかいうような必要もあって、需給調節までやったのであります。需給計画を立てまして、そうした措置をとったと同時に、輸出についても、あまり極端な数量を輸出してもらっては困るというようなことを申しまして、価格問題については、バルク・ラインを設けましてマル公を設定する。またできるだけ価格を引き下げたいということから、合理化を促進するというようなことで、いわゆる肥料二法というものができたことは、大臣よくおわかりの通りであります。この肥料二法ができました大きな意義の一つは、すでにそうした切迫した国内事情においては何ら心配のない事態である、そう言えば言えないこともないのであります。でありますから需給計画であるとか、最高価格決定というようなことをすることは、現在のような供給過剰時代にはもう必要がないというような見方も、これはしごくごもっともと言わざるを得ない。しかもここに問題は、いろいろな見方もありましょうけれども、割高な価格統制によってささえられてきた、そのために合理化意欲が十分伸びなかったことであり、ましてや国際競争に十分打ちかつだけの力を失わせた、だからあまりに手厚い保護政策というものはむしろわが国の産業の合理化、肥料工業の合理化にプラスにならないと思うから、これはむしろやめた方がいいのだ、こういう主張なんであります。いやしくも日本経済新聞ともあろうものが、産業界のあまりに不利になることを書くはずはないのです。むしろ産業界の中にいろいろと流布されておる、あるいは話されておることを聞きながら、これはほんとうにまじめに日本の産業経済の将来の発展の動向を考えつつ、日経は責任を持って社説として書いております。これは単なるニュースじゃない、七月十三日の社説にはっきりと出ております。さすがに日本経済は書くだけのことは書くと、私は敬意を表したのであります。最近スクラップを調べておるうちに、そういうものが出て参りまして、私も今さらのごとく実は敬意を表したのであります。こういうことも言われておるのでありますが、今の時代においてこうした過当競争を防ぐとかいうようなことは、もちろん一つの統制というかコントロールは必要でありまするが、統制の上にあぐらをかくようなことではいけないと私は思う。従ってこの肥料二法がほんとうに合理化の意欲を減殺をし、国際競争に打ちかつだけのみずからの努力を積み重ねる意欲を失わせておるというような見方が一部にあるとするならば、これはこの際考えるべきじゃないか。そうまで言われておって国が手厚い保護を加えたりなんかすることは、かえってマイナスになるというような見方のようであります。一体その点に関しまして大臣いかようにお考えか、承わりたいと思います。

高碕達之助自由民主党通商産業大臣・科学技術庁長官

○高碕国務大臣 今日のような肥料の供給が相当過多になっておるときには、従前丘年前にきめられたあの肥料二法というものは必要がないのじゃないか、もっと自由にやっておけ、こういう日本経済の考え方は、これは私は一面真理であると思います。そうすることによってのみ、やはり全体の産業が自由経済の機構のもとにおいては発展するものだと存じております。ただし肥料というものは御承知のごとく、今日まで政府は肥料二法によって生産計画を一緒にきめる、また公定価格をきめるということで、政府は相当責任を持っておったわけである。ところがそれがどうだというと、何らそれに対して政府は助成をしていなかった、それで値段を下げさしておった、その結果ここに赤字が出てきた、輸出について二十五億という赤字が出た、こういうことだったのでありますから、業者がこの赤字を政府が消してくれるのだ、こう思っておるというならば、これは業者が統制の上にあぐらをかいていることになると思っております。昨年の六、七月ごろは当然政府がこの赤字を消すべきものだというような議論が相当盛んだったのであります。私は初めて今度通産大臣になりまして、これは政府が責任を持つべきものではない、業者の自粛によってあるいは業者の努力によって、いわゆる合理化をやっていかなければならぬということが、はっきりしたのであります。その方法でやりますれば、必ずしも業者がこれによってあぐらをかいておるものと私は認めないわけなんであります。といって、これを日本経済のいうがごとく、今日自由にやってしまったときには、おそらくはまた非常な減産をしてしまって、肥料価格は上ってしまう。そうして農村に負担を来たすというふうなことがなきにしもあらずというふうなことも心配でありますから、私はここいましばらくこの肥料二法というものもこのまま持続しておって、政府の監督、政府の進むべき道をはっきりしていけば、これで初めてこの仕事は安定するだろう、こう思うのでありますから、しばらくこの肥料二法を現状に置いておいていただきたい、こう存ずるわけであります。

野原正勝自由民主党

○野原委員 大臣の明快な御答弁で、輸出会社の赤字というものを政府にしょってもらうとか、あるいはましてや農民に転嫁させるというようなことは断じてないという御方針を承わって、非常に意を強うしておるものでありますが、十一月八日、肥料懇談会が政府に出しました意見書によりますと、輸出赤字の処理についてはメーカーの負担としないで、国の財政措置を含む必要な措置をとることということが、多数決できめられたということも伝えられております。これが政府に対して十一月八首付で意見を提出したということでございますが、そういう意見が出ましても、どうもまことに勝手きわまる意見だと私は思うのであります。この肥料懇談会のメンバーは先ほども局長から説明がありましたが、肥料審議会のメンバーが大部分であり、そのほかにいろいろな方々が入っておるようでございます。とにかく多数決でこれがきめられたということが、新聞情報として発表になっております。これに対する大臣のお考えはいかがでございますか。

高碕達之助自由民主党通商産業大臣・科学技術庁長官

○高碕国務大臣 赤字を政府が消すなんということは考えるべきものじゃないと私は思います。ただし今まで肥料工業に対して政府は何ら手を打っていなかった。原価を下げるために手を打っていなかったということのためには、これは肥料産業がいかに重要な産業であるということを考えたときに、あるいは造船工業に対しては低金利のものを出しておるとか、ほかのものには開銀融資をたくさんしておるといいながら、肥料にやっていなかったということは間違いでありますから、その面で手は打っていきたいということで進んで行きたいと思います。

野原正勝自由民主党

○野原委員 日本硫安工業協会というのがありますが、そこが肥料対策として出しておる問題があります。これは合理化に対しては低利な国家融資、開発銀行の融資を要請する。これは大臣の御説明で、硫安工業協会の要望はある程度実現できるわけであります。それから二の設備の新増設に規制を加える。つまり既存工業を優先さして、大臣のお話のようなたとえば製鉄所の廃ガスの利用というふうな工場を作ることに対してはなるべく積極的でないような様子でございます。むしろ既存工場優先主義というような考え方が、現在の硫安工業協会の中にあるようであります。これはまことに不思議な話なんで、わが国の硫安工業というものを、ほんとうに国際競争にたえ得るようなりっぱなものに育てるためにはやはり現在通産省がはっきりとお示しになったようなコスト引き下げのためのあらゆる対策を立てる、新設の工場もまたやむを得ないというような大臣の御方針で、あくまでも進んでいただきたいと思うのであります。  それからこの工業協会が出しました価格対策でありますが、バルク・ライン方式を破棄して、全工場総加重方式にしてもらいたいという意見もあるようであります。これは私どもとしましてももってのほかの話で、今日の肥料問題と農村振興という問題を考えたときに、これは何としても絶対に許されない問題だと思います。また中には肥料価格においては、いわゆるマル公とメーカー側の要請する価格とを、中間折衷をしてもらいたいという意見もあるやに承わっております。とにかく価格についてはいろいろな業界の要望があるにしましても、現在の少くも多少欠陥はあるにしましてもバルク・ライン方式というものは、あくまでも堅持していただきたいということをお願いいたしたいと思うのであります。輸出についてはやはり公的性格を持つ輸出機関を設けて、輸入農産物とのバーターをやる、賠償の繰り入れ、円借款の供与、代金延べ払い、特別外貨割当、輸出金融免税等の措置を講ずる、輸出損失の軽減をはかるというふうな、まことにいろいろなことを並べております。たとえば輸入農産物のバーターの問題、賠償に繰り入れる、これは政府もすでに方針を立てられたようでありますから賛成でありますが、円借款の供与、これもある程度は考えてもよろしい、たとえば輸出入銀行等を通しまして相手方に対するクレジットを考えてやるというふうなことは、当然輸出振興のための措置であると私は思うのであります。また代金の延べ払いということも考えられると思います。特別外貨割当ということは、どういうことを意味するのかわかりませんが、これはやはり輸入についてのいわゆる赤字解消のためのいろいろなことだと思いますが、こういったような、いわゆる業界側のいろいろな要望等があるようであります。これはやはり肥料産業の重要性にかんがみて十分検討して、お進めいただくことが必要だと思うのでありますが、私どもは何としましても今日の国内価格、特に農家経済に及ぼす深刻な影響を考えますときにおいては、あくまでもこれは合理化を進め、進行速度に応じて必ず肥料価格は漸次安定し低減して、農家の負担が軽減される方向に進むのでなければ、断じて肥料合理化の意味はない。もしそれをやらないならば、日本経済が言うように、むしろこの際肥料二法なんというものは存置の意味がない、さように私は考えておるのでありますが、重ねて大臣の御方針を拝聴いたしたい。

高碕達之助自由民主党通商産業大臣・科学技術庁長官

○高碕国務大臣 御承知のごとく、終局の目的はもっと低廉なる肥料を農家に供給するには、どうすればいいかということがやはり根本の問題でありますから、その問題をはずれて肥料政策は立たないものだと存じます。同時に輸出の振興ということも外貨をかせぐという上におきましても、対アジアなり、豪州なり、ニュージーランドなり、この方面の肥料工業の発達していないところに向って、欧米と競争し合って、これを輸出していくという輸出産業の意味から申しましても、この方向に進んで参りたい。この二つの大きな柱のもとに、全体の政策を講じていきたいと存じまして、そういう点につきましては肥料懇談会ともよく話し合いをつけて進んでいきたいと存じております。

野原正勝自由民主党

○野原委員 最後に一点だけ大臣に伺いますが、これは立も消えになったと聞いておりますけれども、今後も出てくると思いますが、たとえば現在の硫安輸出会社を解散して、輸出並びは国内販売を一本とする共同販売会社を設けるというので、硫安工業協会特別対策委員会がいろいろなメンバーをもって、こういう硫安共販会社なるものを設けようという構想が、昨年の六月十九日にやはり日経に載っております。そして特に見返り物資輸入権の獲得、輸出に対する一切の免税措置というようなものをうたっておりますが、私はこういう構想は、どうも肥料二法として合理化を促進する一つの大きな国家的配慮のもとにできておる輸出会社に対しまして、こういういわば身勝手ともいうべき共販会社を作るという考え方自体が、私は間違っておると思います。そういうことに対しまして大臣の所見をお伺いしたい。

高碕達之助自由民主党通商産業大臣・科学技術庁長官

○高碕国務大臣 ただいま政府といたしましては、内需と外需というものを一括した共販会社という方針はとっておりません。輸出は輸出だけでやっていけばたくさんであるから、輸出だけは進めていきたいと存じておりますが、御指摘のような考え方はただいま抱いておりません。

久保田豊日本社会党

○久保田(豊)委員 時間がもうないようでございますから、簡単に私は重点について三点だけお尋ねをいたします。  第一点は、今度の第二次合理化計画によるコスト・ダウンの目標は国内四十七ドル、海外四十五ドルであります。これは私はあらゆる面から言って甘過ぎると思う。世界各国の硫安工業のコスト・ダウンの趨勢から見ても、あるいは硫安のアジアにおきまする今の入札価格の実情から見ましても、今後五年後に四十五ドルというようなことでは、とても競争にたえるはずはありません。そこで私は少くとも今日の段階で政府として立てるべきコスト・ダウンの目標は、五年後に省くとも四十ドルないし四十二ドルという線に当然やるべきだと思うし、またこれはやりようによってできると思います。こういう点について再検討をお願いしたいという点が一点ですが、この点についてはどうお考えになっておるか、詳しいいろいろなことは時間がございませんから申し上げません。この点が一点。それに関連してさっきお話しいただきましたように、合理化は思い切った荒っぽい相当なやり方をやりませんと私はだめだと思うのです。現在の企業の工場をただ生かそうというだけの考えではだめだ。その点はもうすでに終った、質問したことですから、コスト・ダウンの目標をもう一度再検討するお考えがあるのかないのかという点を伺いたい。  それから第二点は、これは政府としましても業界としましても、操短というふうなことにぶつからないように運営していくことは当然のことであります。しかし国内の市場は比較的安定しておりますけれども、海外の市場は御承知のように非常に不安定であります。これは経済的な要因だけで不安定というのではなくて、政治的な要因によって非常に不安定になることがあるのであります。単なる経済的な問題だけでこれが解決するとは考えられない。しかも片方において操業度を落せば、非常にコストに響いてくるという特殊な産業であります。そこで操短ということは当然今のうちから用意しておかなければならぬ。事務当局の御説明では、今後肥料審議会の御意見を聞いて実情に合ったようにやります、こういうことであります。しかしそういうことではだめであります。政府としてはこれに対してもはっきりした方針と準備を今のうちから持っていることがぜひ必要だと思うのであります。そこで私は今業界で言われているような一律操短方式というものはいかぬ、どうしてもバルクライン方式にのっとった傾斜操短方式というものを具体化して、そのやり方等について今から用意しておかなければ、その事態にぶつかってあわ食ってやったって、今までの肥料行政のやり方ではうまくいかないと思う。こういう点について私はバルク・ライン方式にのっとった傾斜操短方式というものを今のうちから具体的に準備される必要があると思いますが、この点についてどうお考えになるかという点が二点。  第三点は、今もお話がありましたが、輸出会社の赤字であります。これは今大臣のお話の通り、私は原則的には政府が行政補償をしてやるというようなことは間違いだと思います。しかしながら今のような統制方式をとっている限り、この赤字を令部政府が補助金で埋めてやる必要はないと思いますが、しかしざつくばらんに言いまして、何らかの方策をとって、少くもこの売掛代金の流動化をはかってやる必要があると思います。売掛代金の一部が赤字になってそのままこげついている。これが五年後に黒字になったら、それでもって埋めていくといったって、黒字になるかどうか今のところわからぬ。しかもこういう赤字が五年も累積しておってということでは、私は必ずこれは何らかの形において内地の国内価格に転嫁されることは明らかだと思う。従ってこれに対しては私は最低限十分な精査をいたしまして、運賃とか今のような国内価格をそのまま積み上げて赤字を出すという格好ではなくて、その中の運賃であるとか、利潤部分であるとかそのほかの落せる部分を落してしまって、ほんとうの赤字部面を精査した上で、これに対しては状況に応じて少くとも利息を政府が負担して、経理の道をつけてやるとかなんとかということを私は考えることが、これはどうしても合理化の上がらいっても、価格を安くするという点からいっても、輸出振興という点からいっても、ぜひ必要だと思う。この程度のことはやってやらなければ——私は決して肥料工業の味方じゃありません。むしろ肥料工業なんていうのは大いにやっつけたい方であります。やっつけたい方でありますが、少くとも今日のような経済構造の中で、私は肥料工業が完全に合理化が進んでいくためには、ただいじめるだけでは私はだめだと思う。従ってその程度のことは——まだもっとほかにも方法があるかもしれません。これは方法は政府でもって一番合理的な方法を考えられるがいいと思いますが、私はその程度のことは考えてやる必要があると思いますが、この点は大臣としては——今まで事務当局は、そういう必要はない、まあ状況によってだ、そしてとにかく今合理化その他輸出振興等に一つ補助をして、そしてやがて五年後には黒字になったら、その黒字の部分でもって、それまでたまった赤字を埋めていくというふうなお考えでありますが、私はこれは言いのがれだと思う。この点について大臣のはっきりした御所見を承わりたい。この三点の御質問を申し上げます。     〔委員長退席、中村(幸)委員長代理着席〕

高碕達之助自由民主党通商産業大臣・科学技術庁長官

○高碕国務大臣 第一の、このコスト・ダウンの目標が、五年間に四十七ドルにして、輸出を四十五ドルにするということは、甘くないであろうか、こういうことですが、これは私はもっと検討を要すると思います。現実において四十一ドル八十セントの輸出をしておるのであります。これは高いのは四十五トルというわけでありますから、こういうふうなことは、もっと検討すると同時に、輸出はやはり一文でも高く売るのが原則でございますから、そういう意味から申しまして、これはドイツなりあるいはアメリカなりともよくある程度市場協定等をして、東洋における肥料——特に先般参りましたニュージーフンドの総理とも会いますると、やはりあの牧場で数百万トンの肥料を使っておるようであります。そういうふうなものにつきましても、ある程度販路を開拓するということ、それから市場協定をするということにいけば、ある程度は持っていけると思いますが、四十五ドルでこれを見るということは、少し無理かと思っておりますから、これはさらに十分検討いたしたいと思います。  それから第二の、他日操短をしなければならぬという場合を想像いたしまして、現在のところそういう意味からいって、むやみに設備をどんどん増設するということは、よくないというので、ある程度の抑制を加えておることは事実であります。しかしその場合にはもちろん、これはだれが何といったところで、バルク・ラインに入らぬようなそんな高いところは自然に落後するわけでありますが、といって、肥料審議会がある以上は、それを捨てておくわけにもいかない。どういう程度にこれを打開するかという道は講じますが、これは実行できない場合は捨てていくということは当然であります。といって、当然だといって、捨てておいてたくさんの失業者が出ても困るというふうな点がありますから、そこらの点はその実情に応じてよく方針を講じていきたい、こう存じております。  第三の方の問題につきましては、輸出の赤字ですね、これは今二十五億だなんていっておりますけれども、これははなはだ僕はよくない数字だと思っております。たとえば国内の値段が五十五ドルだから五十五ドルで全部引き取ったものとしてやっておる。それには運賃も入っておるし、いろいろなものがありますから、これを洗い立てれば、やはり半分くらい入っているだろうと思っていますから、その点は十分検討を加えて、どうしてもいかぬというものにつきましては、これを消費者に負担さすこともできないだろうし、国家がすぐにこれを補償すなということもできませんから、どうしても必要なものだとすれば、ある程度の金融の道を講ずるとかいうことで、これを長期に検討していくという方針でやりたい、こういうふうに存じておる次第でございます。

野原正勝自由民主党

○野原委員 ただいま大臣の久保田君に対する御答弁で、赤字問題あるいはまた現在の赤字と称するものに対する大臣のお考えを承わって、私も全く同感でありますが、これは今後農民に転嫁されるようなことは絶対にあり得ないものだと私は考えておるのであります。またこの輸出会社ができました当時の経緯にかんがみましても、絶対さようなことは考え得べきものでもないというふうに思うのであります。現在の赤字と称しておりますものも果して真に赤字でありやいなやということに関しましては、私は非常な疑問を持っておりましたが、ただいまの大臣のお話で、これ全部が全部赤字ということはむしろけしからんというようなお話、全く同感であります。ただ私どもは、この政府から提案になりました硫安工業合理化法、硫安輸出調整臨時措置法、この法律が審議されるに当りまして考えますことは、何としましても肥料工業というものはわが国の近代産業における先端を行くべき大きな意義を持っておるものだ。もしこれで国際競争にどうしても打ち勝てないようなことであるならば、わが国の化学工業というものの将来を、私は非常に心配するものであります。何とかして一日も早くりっぱに、いかなる国際競争にも耐えるだけの実力を今のうちに養っておかなければならぬ。すでに過去五年間においてあらゆる努力を払ってもらったはずだ、私どもはさように考えておった。それが合理化法であったのでありますが、遺憾ながらいろいろ聞いてみますると、いろいろな事情があって思うような合理化が進まなかったという点については、業界もこの際大いに反着してもらわなければならぬと思うと同時に、また政府の措置も、やはりその合理化を進める以上は、できるだけ合理化ができるようなあらゆる面での措置をとってやる必要もあるということを、私どもは言いたいのであります。決して私どもは、農村の立場のみを強く言うものでもないので、日本の産業構造全体の中からこの大事な肥料産業が健全に伸びて、そうして国際競争に十分に耐えて、わが国の経済基盤の強化のために役立つものでなければならぬと同時に、またそれによって、日本の農民が今日非常に過重な肥料の負担に苦しんで、生活が依然として非常に低い状態に置かれておる、この状態から脱却して、十分安い肥料が供給されて、それによって農業生産力がいよいよ高まっていくということによって、日本農業が新しい一つの発展の方向に着実に進み得ることが望ましいのである。同時にまた、先ほども話が出ましたが、お隣の中国があれほど大きな人口を擁しながら、今日非常な意気込みで新しい国家の建設に向って進んでおる。特に農業生産力の発展はまことに目ざましいものがある。私どもは深く敬意を表しておるのでありますが、思想的な違いはともあれ、あの国がああした努力を積み重ねておるときにおいて、わが国が、肥料産業があり余るほどの生産力を持ちながら、すぐ隣の中国にその安い肥料を供給できないでおるということはまことに遺憾な話であります。何とかして一日も早く日中問題を打開して、そうして日本で作った安い肥料を中国の人々に安心してたくさん使ってもらう、それによって日本の産業が大いに発展する、日中両国が共存共栄して、将来大きな国際社会における友好的な関係を確立できるということが、私は可能であると考えております。その点におきましても、私は、今の中国問題が打開を見ずして今日おる、この低迷の状態をまことに悲しむ一人でございます。どうぞそういう点から大臣も、肥料産業という大きな産業を育成すると同時に、その産業の生きる道は、やはり大きく言うならば、アジア、中国あるいはアフリカ方面までも含めた後進国の、あの恵まれない、おくれた工業地帯の多数の人々に対してあたたかい手を差し伸べるという、大きな外交的な問題もあるという点の御理解、御認識の上に、一つ今後大いに御指導をいただきたいと思うわけであります。  いろいろと質問の準備をいたしましたが、大臣の非常に明快な御答弁がありましたので、一応これをもちまして私の質問を打ち切ることにいたします。

中村幸八自由民主党

○中村(幸)委員長代理 本日はこれにて散会いたします。  次会は明日午前十一時より開会いたします。     午後一時十一分散会

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