商工委員会 第7号
- 発言数
- 45 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1959/01/30
会議録
○長谷川委員長 これより会議を開きます。 まず、通商産業の基本施策について、大臣よりその所信を承わることといたします。高碕通商産業大臣。
○高碕国務大臣 通商産業政策の重点について申し上げます。 昨年停滞的に推移したわが国の経済も、最近国際収支の改善、生産出荷の回復等漸次好転の兆を示すに至りました。 しかしながら一方、繊維、石炭等一部の産業部門においては、今なお不況の域を脱し得ぬものもあり、今後産業政策の遂行に当っては強力な部門別対策を講じて、均衡のとれた経済発展を種極的にはかることが肝要と存じます。また昨年末断行された西欧通貨の交換性回復は、世界貿易の自由化に一歩を進めたものでありますが、わが国といたしましては、今後の世界的な輸出競争の激化に備えて、企業の体質の改善、自己資本の充実、コスト引き下げのための合理化、過当競争の是正等をはかることはもちろんのこと、特にこの際、国のあらゆる施策を輸出振興に結集して、これを推進していくことが必要であると考える次第であります。 以下今後とるべき施策につきまして、通商産業政策の四つの柱である一、貿易の振興と経済協力の推進、ニ、産業基盤の強化と産業体制の確立、三、中小企業の振興、四、鉱工業技術の振興の各分野について具体的に御説明いたします。 まず三十四年度の予算でありますが、その総額において三十三年度の約百八億円に対しまして、約二十一億円増額の百二十九億七千七百万円余を計上いたしておりまして、また当省関係の財政投融資の総額は千五百四十七億と、三十三年当初計画に比して四百七十五億円の大幅増額となっておるのでありまして、上記のごとく一般会計予算及び財政投融資の確保と運用によりまして、今後重点施策の積極的な推進を期することができるものと考えておる次第であります。 以下各項目ごとに具体的施策の概要を申し述べたいと存じます。 第一は、輸出の振興と経済協力の推進であります。 言うまでもなく、輸出振興の根本は、産業の対外競争力の強化と安定した海外市場の維持拡大をはかり、一時的な海外市況の変動に左右されない強固な輸出力を培養することにありますが、最近の実情をみますと、プラント類を中心とする重化学工業品の対外競争力は全般的には依然として弱く、反面、比較的競争力のある繊維、雑貨等の軽工業品につきましては、国内における過当競争傾向及び海外諸国における依然として根強い輸入制限傾向が見られますので、今後の輸出振興策はこれらの面に焦点を合わせて実施していく必要があると考えるのであります。 すなわち、三十四年度においては、まず第一にプラント類の輸出促進について特に意を用いることといたした次第であります。海外市場の調査、商品の普及宣伝、貿易のあっせん等を内容とする一般的な海外市場対策といたしましては、昨年度これがための国家的中核団体として特殊法人日本貿易振興会を設立し、引き続き三十四年度においてもその充実をはかった次第でありますが、今後におけるプラント輸出の促進のためには、後述のごとく輸出入銀行の資金源の充実をはかることはもちろんのこと、特に三十四年におきましては、その画期的強化のための第一ステップとして、プラント協会における技術相談業務のより一そうの強化に努めますほか、新たにプラント類のコンサルティングにかかるリスクに対し国家補償制度を創設し、その実務を上記プラント協会に委託して行わしめることとし、これに所要の立法措置を講ずる方針であります。 第二は、従来とかく施策の十分を期し得なかった雑貨輸出の促進のための施策の整備充実を期したことであります。 すなわち輸出雑貨の品質の向上とデザインの盗用防止をはかり、その輸出を促進するため、輸出品デザインの登録、認証制度の整備と優秀デザインの指導奨励を強化するとともに、輸出雑貨の共同検査場の設置につき助成を行い、これらの業務に携わる業界の中核機関を育成することにより、今後の雑貨輸出の伸長を期している次第であります。 なお、輸出振興のため業界における過当競争をいかにして排除するかという問題は、わが国経済の全般に関連する非常にむずかしい問題でありますが、これにつきましては、何よりも業界における自主的な調整活動を育成促進することはもちろんでありますが、これを補完するため最少限度に必要な法的措置として、輸出入取引法の改正法案を前臨時国会に引き続き今国会に提案し、御審議をわずらわしておりまして、そのすみやかな成立を希望いたす次第であります。 次に経済協力の推進でありますが、さきに断行された西欧通貨の交換性回復等により、後進国における外貨不足が今後ますます深刻化する傾向にありますので、これらの国の経済開発に協力いたしますことは、今後におけるわが国貿易の長期安定市場の培養、海外原料の安定した供給の確保、中小企業の海外への進出等をはかる意味におきましても、きわめて重要性を加えつつありますので、今後とも東南アジアを中心とする経済協力対策を積極的に展開する方針であります。すなわち円クレジットの供与、延べ払い方式の採用等による資本協力につきましては、さきに印度及びアラブ連合に対して決定を見たのでありますが、今後さらにその他の諸国についても検討中であり、その対象品目の拡大等につきましてもあわせて考えたいと存じます。 このため日本輸出入銀行の貸出資金につきましても、プラント輸出の促進をもあわせ考慮し、三十三年度当初計画に比し七十億円の増額に当る八百億円を確保することといたしまして、このため三百六十億円の財政資金の投入をはかる方針であります。 なお、海外技術センターの運営、海外における産業経済の調査研究等の事業につきましても、三十三年度に比し格段の予算的措置を講じ、その拡充強化を期している次第であります。 最後に、昨年末行われた西欧通貨の交換性回復の問題でありますが、いましばらくは、各国別の詳細な実情の把握に努めたいと存じますが、いずれにしても今直ちに完全な貿易自由化への突入がなされることはないと考えられますので、今後その国際的な影響をもしさいに検討しつつ、当面多少の貿易管理及び為替管理面の順応措置をとることにより、業界におきましても著しい混乱なくこれに対処していけるものと考えておる次第であります。 しかしながら今回の交換性の回復は、世界経済の貿易自由化復帰への大いなる第一歩であることは間違いないところであり、かかる点から早急に国内の産業政策、貿易政策等に全般的な再検討を加えることはもちろん、この際国をあげて経済の体質改善とその正常化に徹する決意を固めなければならぬと考える次第であります。 第ニは、産業基盤の強化と産業体制の確立であります。 さきに申し述べましたごとく、わが国経済も一ころの苦境を脱してようやく落ちつきを見せ始め、次第に安定成長への道を着実にたどるものと考える次第でありますが、このような発展は、ほうっておいて自然にもたらされるものでなぐ、文字通り官民の協力による努力が必要なことは言うまでもないのでありまして、この際以上に申し述べた輸出の振興と並んで経済の体質の改善強化をはかることが肝要と考える次第であります。 これがためには、まず第一に産業の基盤をなす道路、港湾、工業用水、工場用地造成、輸送施設等の画期的強化と、電力、石炭、鉄鋼等基礎産業部門の整備及びその価格の安定をはかることが要請され、第二に各企業の自己資本の充実をはかるため税制上等の面において根本的な再検討を行うと同時に、過当競争や経済変動に対処し、国際競争力の強化に資するため、業界自身が自主的に調整を行い得るようにすることが必要であると存ずるのであります。 また一方、繊維、石炭、肥料等構造上の問題点をはらんでいる一部の産業部門に対しましては、適時適切に部門別の対策を講ずるとともに、過渡期における経済発展に取り残されがちな中小企業等に対しましても、適切な配慮を行い、今後均衡のある経済成長をはかることが肝要と存じます。この際特に留意すべきは、今後における財政投融資の国民経済全般に占める役割の重要性についてであります。これがため、今後考えられる民間設備投資の減退を補いつつ、かつ、民間資金の誘導活用をはかることを目途に、三十四年度は大幅な増額を行うと同時に、緊要度の高い産業部門への重点的投入をはかることといたしている次第であります。 なお産業立地条件の整備に関しましては、特に緊急を要する工業用水道事業についてその助成を強化するとともに、三十四年度は特に工場の適正配置に関する施策の推進をはかるべく目下所要の準備を進めております。 第三に、中小企業の振興であります。御存じの通り、中小企業はわが国経済上きわめて重要な地位を占めている反面、その規模が零細であり、かつその数がおびただしいため絶えず経営の不安定に悩んでおり、またその設備技術等においても立ちおくれておりますので、今後とも中小企業の特質に応じました振興策を適時適切に講じていく所存であります。 まず中小企業の組織化によるその経営の安定をはかるため、中小企業団体組織法の円滑な運用をはかるとともに、小売商業の振興のため、小売商業特別措置法案のすみやかなる成立を期待しておる次第でございます。 次に中小企業の金融問題については、中小企業の旺盛な資金需要を充足するため、三十四年度は、中小企業金融公庫及び国民金融公軍に対してそれぞれ二百七十五億円及び二百五十億円を財政資金から融資し、運用額において三十三年度を上回るそれぞれ六百四十五億円及び九百十億円を確保いたすことといたしました。 また商工組合中央金庫については、三十三年度当初計画に比し二十億円増の百五十億円の貸し出し純増を行うため三十二億円の財政資金の投入を行うことといたしておりますが、一方その効果として懸案の金利引き下げを実現し得ることとなる予定であります。 中小企業信用保険公庫につきましては、三十四年度は、零細企業金融に重要な役割を果している保証協会の業務の拡大と保証料率の引き下げをはかるため、保証協会に対する融資基金として政府出資十億円を行うことといたした次第であります。 一方中小企業の体質を改善し、その経済的競争力を強化するため中小企業の生産性の向上と合理化をさらに促進する必要がありますので、共同施設の設置及び設備の近代化並びに各都道府県の試験研究機関の設備増強等に意を用いる所存でございます。 なお当面経済活動が安定的上昇線に乗るまでの過程において過渡的に中小企業面に生ずる影響につきましては今後とも財政面、金融面その他において適時適切に対策を講ずる所存であります。 最後に、三十四年度においては、初年度五百三十億円、平年度七百億円の大幅減税を断行するとともに、税制の合理化をはかる方針でありますが、特に中小企業の税負担の軽減は、中小企業対策の最も重要なものの一つである点にかんがみ、懸案の事業税について、個人事業税の基礎控除を十二万円から二十万円に引き上げるほか、中小法人の事業税についてもその軽減をはかることといたしておる次第であります。 第四に、鉱工業技術の振興であります。以上の諸施策を推進いたしますための基礎条件として、鉱工業技術の画期的な振興が特に必要であることを痛感するのであります。御存じの通り、欧米諸国の技術進歩はまことに目ざましいものがあり、わが国はこれに著しく立ちおくれていると存ずる次第でありまして、この際官民力を合せてその推進をはからねばならぬと存ずる次第であります。 これがためまず国立試験研究機関の設備の更新、近代化等によりその機能の強化拡充をはかり、産業界からの各種の要請に応じ得る体制を整備いたしますとともに、今後最も緊急を要する電子技術、オートメーション技術、分析技術及び生産加工技術等の基本的かつ新規の技術の研究のほか、新たにエネルギー技術、汚水処理技術等の研究につきましても、各試験所の総合的能力の発揮に努め、迅速な成果を得て各界の要望に応じ得るようにいたしたいと存じます。 また、民間研究活動の強化のため、特に電子技術、中型輸送機の設計研究、工作機械の国産化を初め、木材化学、石炭化学、新金属利用開発等の重要研究の実施についての助成を一そう強化し、あわせて研究成果の普及徹底及び企業化の促進に関し各般の施策を総合的に行い得るよう措置する方針であります。 なお中型輸送機の試作につきましては、このほか政府出資による特殊法人を設立するべく所要の立法措置を準備中であります。 また特許、実用新案、意匠、商標のいわゆる工業所有権関係四法につきましては、それぞれ大正年間の改定にかかるものであり、その後の時運の進展に即応するべく慎重検討中のところ、このたびそれぞれ根本的な改正の成案を得ましたので今国会に提案いたし御審議を願うことと相なっております。 以上により、今後における通商産業政策に関する基本的考え方と具体的施策の概要を申し述べた次第であります。よろしく御協力をお願いいたします。 —————————————
○長谷川委員長 次に経済総合計画につきまして、経済企画庁長官より、その所信を承わることにいたします。経済企画庁長官世耕弘一君。
○世耕国務大臣 このたび私は経済企画庁長官に就任いたしましたので、この機会に所信の一端を述べて、各位の御協力を得たいと存ずる次第であります。 日本経済が健全な発展を遂げつつ国際経済社会における高い地歩を確保するに至るには今後日本の経済がいかに処したらいいか、この点日本経済の堅実な成長と近代的にして能率的な経済活動が営まれることを期せねばならぬ、かように考えておるのであります。かねて政府は長期経済計画を策定いたしましたのは、このような趣旨、目的を達成するためであったのでございます。もとよりこの計画の達成には、民間の企業の創意と発展を大きく期待するところでありますが、もちろん政府は財政、金融、産業等の各般の施策を通じまして、この構想の実現をはかりたいと思うのであります。また政府の経済政策の樹立に当りましては、経済の長期にわたる安定成長を目途にして、常時内外の経済情勢を的確に把握し、そうしてこれを分析し、もって経済全般についての総合的な施策を講ずる必要があると存じておる次第であります。 さて、経済企画庁の任務は、日本経済の総合的な企画と調整をまず行い、真に経済基盤を強化して、もってこれが成長発展を期するところに真意がある、かように考えてみますと、私の役割は非常に重大であり、その重責を痛感するものであります。つきましては、関係方面との連携をさらに密にいたしまして、今後一そうその機能を発揮いたしたいと存ずる次第であります。 次に最近の経済動向を見ますると、昨年の秋口以来上昇に転じた日本経済は、その後も順次順調な過程をたどっておると認められるのであります。また米国経済は上昇を続けておりますので、西欧諸国及び後進諸国の経済情勢も、今後好転が期待されるものと思われます。このような内外経済情勢を勘案いたしまして、本年は民間経済の成長と財政の適度な処置によりまして、日本経済の健全な成長をはかり、かつ日本経済のうちに蔵する質的な欠陥を適宜是正していきたいと存じておる次第であります。しこうしてまたこの間におきまして、政府が公共関係の投資の拡充、産業秩序の確立、企業資本の充実、金融正常化などについて途次施策を推進して参りたいと存じます。また海外貿易、特に輸出につきましては一そうその振興をはかりたいと思うのであります。 次に最近の輸出競争の激化の傾向や西欧諸国の通貨の交換性の回復など、新たな事態に処しまして、わが国の輸出態勢の強化について一段と努力を払われねばならぬ、かように考えております。今後、以上のような観点から日本経済の発展を確保推進して参るつもりであります。 三十四年度の経済成長率は大体五・五%程度となる見込みであります。その規模は、長期経済計画が想定しておりまする水準とほとんど隔りのない見通しであります。また貿易収支は実質で約一億六千万ドルの黒字が期待され、物価はおおむね強含み横ばい程度に推移し得るものと思われます。日本経済の基盤をこの際確立しつつ安定した成長を達成していけるものだという見通しがついているわけであります。つきましては今後一そう各位の御協力と御鞭撻を切にお願いいたしまして、ごあいさつにかえる次第であります。 なおこの機会に、昨日の本会議の席上で本年という言葉を使って経済情勢のパーセンテージを発表いたしましたが、本年と申しましたのは、三十三年度ということをつけ足すことが足りなかったがために、新聞発表等にも誤解があったと思いますので、この際訂正いたしたいと思います。 —————————————
○長谷川委員長 それでは土地調整委員会委員長大池さんにごあいさつをお願いいたします。
○大池政府委員 私土地調整委員会の委員長の大池でございます。本調整委員会の所管事項はどういうものであるかという所掌事務の概要につきましては、お手元に簡単に概要を記載したものを差し上とげてございますので、それによって御了承を願いたいと考えております。 当設置法の三条並びに四条によりまして、きわめて広範なる複雑な所掌事務を与えられておりますので、おわかりにくいと思いまして、お手元に差し上げたような次第でございます。それにつきまして昨年度から本年度までに取り扱いましたものは、鉱区禁止指定の事件が一番多うございまして、これが十七件ございますうちで、十一件処理済みで、ただいま手元に残っておるものが六件でございます。なお裁定の事件が七件ございますので、これについては全部処理中でございます。なおこれに基きまして、執行停止の要求事件が三件ございましたが、これは全部却下処分にいたしてございます。なおそれ以外に訴願に関する事項が一件、承認事項が一件、こういうものを処理いたしてございますが、これらの詳細につきまては、お手元に至急に差し上げるために全部準備をいたしまして、ただいま印刷局に回っておりまして、数日中にお手元に達することと思いますので、それによって御了承を願いたいと思います。さようなことでございますので、今後とも皆さんの絶大なる御支援をお願いいたしたいと思います。 —————————————
○長谷川委員長 昭和三十四年度通商産業省関係予算について、説明を聴取することといたします。齋藤官房長。
○齋藤(正)政府委員 お手元に、通産省所管昭和三十四年度予算要求重要事項表という横書きの表がございますが、それによって御説明申し上げます。 貿易振興費から参りますが、その中の日本貿易振興会でございますが、本年度は二十億の政府出資がございまして、来年度は政府間資はございませんが、事業運営費につきまして、約二億円増額いたしております。それから新しい事業の内容は大体本年度と同じでございまして、ただ軽機械に関する輸出振興事業について新しく二千万円の予算をつけましたことと、若干国内における貿易のあっせんと申しますか、そういった業務について仕事を始めることになったという点が新しい点でございます。 次にブラント輸出関係でございますが、プラント輸出につきましてはいろいろ問題がございますが、その大きな問題の一つとしてプラント輸出に際してのリスクの保証ということを要求される場合が非常に多いわけです。それは一定の完成期日とか、能力とか、原単位とかいうものについて要求された性能が出ない場合に損失の補償を行うということでございますが、それがプラント輸出の非常な障害になっておりましたので、来年度から政府が直接にそのリスクの保証を行うことといたしまして、本国会に法律を提案する予定でございますが、その保証のための経費といたしまして損失補償費及びこの事務を日本プラント協会に委託いたしますので、委託費の予算が計上されてございます。なお予算総則に来年度の補償契約の締結限度といたしまして六十億の債務負担行為を行うことができるように計上されてございます。 それから海外市場開拓費でございますが、その最初の生糸、絹織物の輸出振興費でございますが、これは従来農林省と通産省と別々に計上されて別個の機構で運営されておりましたが、来年度から日本綿業協会という新しい団体に両省の補助金を一本に交付いたしまして、生糸と絹織物と一貫して、総合的な輸出振興事業をやることになりました。そのように予算を計上してございます。それからこの費目は本年度に比べまして来年度はだいぶ減少でございますが、その原因は次の二ページ目にございますが、巡航見本船の補助と、それからブラッセルの万国博覧会の参加費、この二つが本年度限りの事業でございまして、両方合せまして約二億六千万円ばかりでございますが、それが落ちましたので減少したようなわけでございます。 二ページ目でございますが、中共の国際見本市開催費等補助という欄がございます。これは本年度は六千万円で見本市を開催いたしたわけでございまして、本年度は実は前年度からの繰り越しの費用を使ったわけでございますが、来年度も全然新しく同額を計上してございます。これは将来の貿易再開に備えて準備いたしたわけでございます。 それからその次の意匠の向上関係では、最初にございます日本輸出雑貨センター設置軍営費がございますが、大臣からも御説明いたしましたように、雑貨の輸出について施策を強化する趣旨から、今度集合検査場を東京と神戸の二カ所に設置する予定でございまして、その設置費の半額を補助する目的で四千万円が計上され、なおデザインの盗用防止に関しましても、若干そのための補助費を増額してございます。あとは大体従来通りでございます。 それから三ぺ一ジ日に参りまして経済協力関係でございますが、海外技術センターの費用が相当大幅に増額になっております。これはインドとマラヤに設置する予定でございます技術センターの費用でございまして、大体今まで先方との話し合い、その他によって、この程度の予算が計上されれば実行できるという額を計上したわけでございます。 それからその次の海外経済事情等調査費でございますが、その最初に経済事情調査費という費目がございますが、これは本年度新しく設立されましたアジア経済研究所というものがございまして、アジアの一般的な政治経済事情を研究するところでございますが、これをさらに強化拡充いたしまして海外綜合研究所というようなものに変えたい。そのために補助費及び委託費を大幅に増額してございます。 それから来年度の新しい事業といたしましては、その下の海外技術者受入研修費の中で、民間機関受入費補助というところで、従来海外の技術者を国内に受け入れまして教育する施設に対する補助として国家の研究機関の分だけが計上されておりましたが、今度新しく民間でも技術研究機関を設けることになりましたので、これに対する補助と、それから技術者の海外派遣に関しましては本年度から登録事務だけを開始しておりましたが、来年度はさらに海外に渡航いたしました技術者の世話をするために駐在員を置く、その費用が新たに計上されております。 それから中小企業関係でございますが、設備近代化につきましては本年度六億円の分が、来年度十億円の補助金を支出することになりまして、この面では大幅に増額になっております。ただ補助率あるいは国の負担率の引き上げの問題につきましては、来年度もやはり本年度通りで行うことになった次第であります。 それから三番目の中小繊維工業設備調整補助という費目がございますが、これはいわゆる織機買い上げの予算でございます。本年度は予備費を含めまして七億円でございますが、来年度も同額を計上いたしております。従来これは一台二万円といたしまして三万五千合分の経費を計上しておったわけでございますが、その金額では買い上げが困難であるということで、単価を引き上げることになりまして、補助額一台当り二万七千円の予定になっております。従って台数が予定の本年度及び来年度を合せまして七万台が五万三千台ぐらいに減少する見込みでございます。 それから五番目に工鉱業汚水処理施設設置補助という費目が新しく計上されました。これは本国会で御審議願いました工場排水法関係の施行に要する費用でございますが、中小企業の排水処理施設の中で、組合の共同施設として適当なものがございますればこれに対して補助をするということで、補助の条件は現在の中小企業協同組本日の共同施設と大体同一の条件で補助する予定でございます。 それから技術研究関係では国立の研究所の研究費及び建物、施設の整備費が若干増額になっております。 それから三番目に中型輸送機国産化促進費という費目がございますが、昨年度及び今年度引き続きまして中型輸送機の国産化の研究に対して研究補助金を交付して参りましたが、来年度からいよいよ試験用の飛行機の試作を開始することにいたしました。この試作のために日本旅客機製造株式会社という特殊法人を設立することにいたしまして、その出資金として経済援助資金特別会計から三億円を出資し、民間から二億円を出資いたしまして、五億円の会社を設立する予定でございまして、このための法律の改正を今国会に提案いたしてございます。 それから産業基盤強化費の関係でございますが、工業用水道の事業費が本年度五億円から八億八千万円ということで、相当大幅に増額されました。 それから六ページに参りまして、四番目でございますが、鉱害復旧関係、これは家屋の復旧費が相当増額されております。 それから、その次の鉱山保安対策でございますが、昨年来毎国会で保安関係の経費が不十分であるというお話がございまして、今回ごくわずかでございますけれども、これは全部旅費その他の事務費がかなりその点は改善されたとわれわれは考えております。 以上、合計いたしまして、ことしの一般会計分は百八億の予算に対しまして、来年度は百二十九億、約二十一億ばかり、率にいたしまして二〇%程度の増加になっております。 —————————————
○長谷川委員長 次に、私的独占禁止及び公正取引に関する経過の概略につき、公正取引委員長より簡単に説明を聴取することといたします。長沼公正取引委員長。
○長沼政府委員 お手元に昨年中の公取の業務の内容につきましての資料を御配付申し上げております。ごらんのごとく、昨年度におきまする不況カルテル等の認可、中小企業団体組織法その他特別法によります業務、合併等の届出事務、公正取引法等の関係業務、独禁法違反に関する審査事務、さらに下請代金の支払い遅延防止に関する業務、その他の処理状況について詳細に書いてございますので、ごらんを願いとう存じます。 概略昨年一年間の状況を申し上げますと、御承知のごとく、いわゆるなべ底景気でございまして、この事態を打開するために、独禁法上の不況カルテルを結成する動きが相当活発でございました。また、中小企業団体法ないしは輸出入取引法等の特別法による調整行為あるいは調停というようなものもさらに活発でございます。さらにまた加えて、合併に対する動きも相当あったわけであります。一方、不況のために経済界が苦しくなりますと、とかく不公正な大企業の不法な行為が行われまして、そのしわが中小企業、なかんずく下請業者の代金に寄せられるというふうなよろしくない傾向もしばしば見られましたので、これに関しましては、特に厳重な監視の態度をとって参りました。最近の業務は格別増大いたしておりまして、なかんずく下請代金の支払い業務につきましては、非常な増加の状況にございますので、一そう事務が輻湊して参ることと存じますが、懸命の努力をいたしまして、御期待に沿いたいと存じます。 —————————————
○長谷川委員長 通商産業の基本施策に関する件及び経済総合計画に関する件について質疑の通告がありますので、順次これを許可いたします。永井勝次郎君。
○永井委員 私は最初に両大臣にお尋ねをいたしたいと存じます。 岸内閣の三十四年度予算の関係及び基本の方針は、わが国の経済はもら調整過程を脱したんだ、そうして企業経営及び雇用は安定しているんだ、従って新しく成長の段階に入ったんだ、こういうことが前提となりまして、三十四年度におきましては、通貨価値の安定をはかるのだ、国際収支の安定保持を期するんだ、このためには経済の安定的な成長に資するために、経済基盤の強化、経済の体質改善、こういうところに重点を置くんだということが明らかにされておるのであります。こういうような経済情勢に対する分析、現状に対する把握、前途に対する見通し、こういうようなものがちょうどかっての三十二年度におけるあのような失敗と同じような一つの甘い見方をしておるのではないか、こういう甘い見方が、岸内閣がしょっちゅう言うように、財界に与える心理的な影響というものは、こういう甘い見方で相当災いしておるのではないか、この心理的影響が今後いろいろな具体的な形で現われてくるんではないか、こういうことが一つ心配される点であります。さらに、こういうような甘い見方を土台にいたしまして、三十四年度の財政は約二千三百億の御承知のような散超になるわけであります。この予算は相当に景気に対して刺激的であります。またこれらの財政支出が下期に集中して参りますことは、これは避けられない事柄であります。一方政府は海外事情の好転を予想しまして、輸出は三十億、こういうふうに甘く踏んでおります。こういうような現状の分析に対して甘いことを言って、財界に相当刺激を与えており、財政支出においてこのような散超をして、しかもこれが下期に集中して支出される、こういうような結果といたしまして、民間投資を誘発する結果になりますことは、これは避けられない要因がここにあると考えるのであります。こういうようなことが経済を過熱せしめて、またぞろ三十二年度のあの失敗を——いろいろなケースは違いますけれども、そのような失敗を繰り返すのではないか、こういうことが一般に心配される点でありますが、この点について両大臣のはっきりとした所見を伺いたいと思います。
○高碕国務大臣 今の永井さんの御指摘になった問題は、私はやはり同様によほど警戒を要する点だと存じております。しかしながら全体的に現在の経済情勢を見ますと、昨三十三年度に比較いたしまして三十四年度は順次好転しつつあるというこの事実は曲げることはできないのでありますが、どの程度に好転するかという問題であります。これの見方によっての違いであります。従いまして、来年度二千三百億の散超になるということも事実でありますが、また民間の連中たちも銀行が貸し出し等を競争的にやるというふうな結果、また過剰的な設備をしないかと心配するのでありますが、一方全体の経済といたしましては、国際的に考えまして、アメリカの景気が必ずしもこれは非常に好転するとも考えられないということもあり、また欧州の共同市場問題、ひいては貿易の自由化等が叫ばれておる今日でありまして、日本の輸出産業は今後において非常な問題が多々あると存じますから、そういう点から考えますと、あるいは今日の情勢がこのままで続くかもしれない。こういうことになれば、景気の回復はしないじゃないか、こういう点も考えまして、政府といたしましても、この財政投融資面におきまして、ある程度の余裕をもってこれを民間の方に回し得るように、財政投融資をふやしておるわけであります。そういう点でありますが、今後の運営に当りましては、今の永井委員の御指摘のごとく、その運営については弾力性をもってやっていかなければならぬというふうな感じで、今後は進みたいと存じておる次第でございます。
○世耕国務大臣 お答えいたします。永井君の日本の経済に対する御心配は、ある意味において非常に大切な御忠告のように思うのであります。われわれは決してすべてを楽観的に見ているわけではございません。すなわち甘いところもあるが、からい面も十分見て考慮しておるということを御承知願いたいと思います。ことに今日なべ底景気ということをおっしゃっておられる。なべ底景気ということをいわれている反面、経済界では過熱の議論も出ておるようなわけであります。昨日の本会議での社会党の代表質問の中にも、上昇の機運濃厚というようなことを数回承わっておるようなわけであります。経済は次第に活気を呈しているということだけは一応お認め下さるだろうと思うのであります。ただ永井君も御承知のように、国民には一つの希望を持たせなくちゃならぬ。ただなべ底なべ底というかけ声だけでは、産業は活気を呈さない。というて気合をかけるだけでまた過熱傾向を起すという不健全性があってはならぬ。私の所管の経済企画庁がこの点を総合的に調節する、そうして健全な育成発達をはかるというのが目標でございまして、過日来御報告申し上げた三十四年度の経済の見通しというのは、かなり控え目に発表いたしておるということだけを、どうぞ御了承願っておきたいと思うのであります。
○永井委員 現場の通産大臣がなべ底景気では少し陰気くさいから景気をつけるのだ、とこういう話なら少しはわかるのですが、内閣の経済施策のかなめである経済企画庁が景気をつけるんだという科学的な基礎に立たないで、そうして、そうでなくても経済を過熱するんだという心配、それから下期にはインフレになるんだという心配、いろいろな心配がここにあるわけでありますが、そういうような条件の中で、意識的に景気をつけるんだ、とこういうようなことをやっておられるのでは、この経済企画庁のいろいろな国民の総所得にいたしましても、鉱工業生産の伸びにいたしましても、これはもう信用のおけない数字であるし、ますます経済を過熱するという心配が、この経済企画庁の長官の発言からも相当危険性がある景気をつけているのだというふうにわれわれは理解せざるを得ないのでありまして、そういうような一つの水増し景気で選挙対策をやるんだというならわかるのですけれども、これで一年間の経済をまじめにやるんだということになりますと、非常に心もとないと思うのであります。それはそれといたしまして、それならばこれらの景気が政府の考えておる事柄が正しいかどうか、正しい基礎に立っておるかどうかということは、政府が重点を置いているという貿易、しかも国際市場で相当景気が好転しているということを一つの考えに入れた貿易対策がここに出ておると思うのでありますから、その点を一つ調べてみたいと思うのであります。 三十四年度は輸入が二十九億で輸出が三十億、その他の貿易外収支を含めまして大体一億六千万ドルが黒字だ、こういう計算を出しております。しかし輸入の面からこれを見まして、最近の輸入物価は下げ渋っておる傾向であります。なまゴムに見ましても、金属にしましても、鉱産物にいたしましてもそれが具体的に現われておると思うのであります。それから輸入原材料の減少が相当に少くなっております。ことに御承知のように第三次の公定歩合いの切り下げもやろうというふうに金融も緩和して参っております。そういうふうなところから、メーカーなり商社の流動性向上というものは相当にこれを織り込んで考えなければいけない、生産水準の漸増傾向もここにある。こういうふうな中で、今のような手放しの楽観論、なべ底景気は陰気くさいから景気をつけるのだというような意識的な景気をつけるというようなことをやりますと、そうでなくても思惑輸入なり、あるいはまたぞろ三十二年度のような輸入を誘発する、刺激する条件というものはここに成熟しておるのでありますから、輸入の面から見ますと相当危険だ、危険な条件がここにあると見なければいけないのでありますが、これに対してどのように思惑輸入なり、何なり、輸入面においてチェックしていく具体的な施策というものを持っておられるのか、どういうふうに考えておられるのか、その点を一つ具体的にお伺いいたしたい。考え方だけではいけないのであって、具体的にどういうふうに輸入誘発の傾向をチェックしていくのか、こういう点について、黒字が一億六千万ドル出るのだと、こういう数字的な根拠を明確にしていただきたい。
○大堀政府委員 ただいまの御質問に対してお答え申し上げます。 輸入を二十九億ドル見ましたのにつきまして、一方では多いのではないかという御議論もございますが、今御指摘の点は、もう少し輸入がふえることもありはしないかという御心配かと思うのでありますが、私どもといたしましては輸入の一番の要点は生産が増加いたしますから、生産増加に伴いまして原材料の輸入が当然にふえる。生産は来年度六%程度上昇を見ておりますので、それに応じました輸入原材料が実質的に増加することは当然でございますが、それを約二億ドル程度考えておるわけでございます。原材料在庫のうちで、国際経済が昨年非常に停滞いたしましたが、これも漸次回復して参っておりますから、国際標準価格は今後上昇に転ずるであろうということも、今度の輸入計画に織り込んでおるわけでありまして、約六%程度輸入価格の値上りを見込んでおるわけであります。第三に三十二年度から三年度にかけまして、従来輸入が非常に多かったために、輸入在庫が非常に多かったわけでございますが、これが漸次減少に転じて参りますので、現に三十二年度の輸入は二十二億ドルでございましたが、三十三年度の輸入は約二十五億ドルに下っております。その間に輸入在庫も減少に転じておりまして、現在ある程度減って参っておりますから、三十四年度は若干在庫は増になる、かように考えまして在庫増分を約一億ドルと見ておりまして、これらを総合いたしまして二十九億ドルという推算をいたしたわけでございます。私どもはこれは少な過ぎることもないが、また多過ぎることもない、大体適当な見積りである、かように考えておりまして、経済がもし過熱するようなことがございますれば、もちろん輸入がふえるということに相なるかと思いますが、先ほど大臣から御説明申し上げましたように、来年度、三十四年度といたしましては、やはり設備の能力についてまだ相当の余力はございます。設備過剰と言われましたが、設備の供給力にかなりの余力がございまして、経済は上昇いたしますけれども、経済が過熱するような状態になることはあるまい、かように考えておりまして、またそういうおそれについては十分注意をして参りますと同時に、先ほど大臣からお話がございましたように、政策的には十分考えて参りますけれども、実情といたしましては、過熱するような状態は現出しないであろう、かように考えております。
○永井委員 その問題はまたあとにいたしまして、三十億ドルの輸出でありますが、どれだけの根拠があってこの三十億ドルの輸出を見込んだのか、仕向け地別、実情別に明確に承わりたいと思います。
○大堀政府委員 輸出の見込みにつきましては、私どもの推算をいたします場合に、一つはマクロ的と言っておりますが、大勢の見方、同時に商品の分析といたしまして、両面からこれは関係各省と十分打ち合せをして作って参るわけであります。また民間各方面の御意見を承わって予測をして参るわけであります。全体といたしましては世界貿易の情勢、世界経済の動きでございますが、昨年以来下って参って、世界貿易も約五%程度三十三年度は下っております。しかしながら御承知のようにアメリカ経済もすでに昨年半ば以前から上昇に転じております。ヨーロッパ経済もある程度上昇しつつございます。そういった国際経済の情勢から見まして、三十四年度は、大体三十三年に世界経済が、それに伴って世界貿易が五%ぐらい下っておりましたが、その五%下った谷間がかれこれ回復されるような世界経済なり世界貿易の情勢になるという判断をいたしておるわけでございます。世界経済がそういった意味で三十三年に比べまして三十四年は多少上昇する。しかしそう大きな期待をしておるわけでもない。昨年下った程度を回復する程度になるのではないか、かように判断をいたしております。 それから第二に、日本の国内の事情から申しまして、生産能力に相当の余力がございます。また物価も一昨年来相当低下をして参りましたので、輸出余力もありますし、また輸出の競争力も相当にある、かように考えますと同時に、数年来努力をして参りました輸出努力の結果がかなり実ってきておる。これを具体的に申しますと、東南アジアに対するプラント輸出が来年度は相当大きく期待をされる。これはすでに実を結びまして、各方面にプラント輸出が行われるわけでありまして、輸出入銀行の資金がそういった意味で相当増額をされておるわけであります。そういった成果と合せまして、全体といたしまして三十三年度の輸出が国際経済の低下に伴って停滞をいたしまして、前年度とあまり変化がない状態でございますが、三十四年度は多少上昇が期待できる。ところで三十億ドルといいますことは、為替べースで九%の増加でございます。九%の増加といいますと、国際貿易が大体五、六%伸びました場合に日本の貿易が大体二倍伸びておりまして、九%というのは決して過大に見積ったつもりはないのであります。同時に商品別に申しますと、今申し上げました点もございますが、繊維関係等は、昨年は非常に悪かったのでございますけれども、三十四年度は多少回復ができるのじゃないか。金属関係、鉄鋼等は相当な高い水準の輸出が行われると考えます。プラント輸出は、東南アジアを中心に相当に伸びがあります。これは相当契約ができて、すでに実行に入っておるところもございますが、そういった意味でかなりこの辺が増加をしております。また自由市場に対しましては、高級雑貨でありますとか、耐久消費財等が相当着実に伸びて参っております。これあたりは来年度はかなりの伸びが見られる、かように考えまして、積み上げました結果、大体三十億ドルの輸出はそう困難ではない。しかしもちろんいろいろ国際競争が激しくなりますので、さらに一段と努力が必要であると考える次第であります。
○永井委員 非常に計算の数字はわかるのですが、その数字が妥当であるかどうかということは、これは現在の輸出の実勢から見て、国際市場の実勢から見て、それの当否を判断しなければならぬと思う。たとえば今対米貿易関係のことを言われたのでありますが、これにいたしましてもたとえば洋食器において昨年はこの自主規制量及び第三国の経由のものを含めて御承知のように八百万ダースから輸出されておる。それが現在は米国側では、アメリカにおける国内必要量の五%、二百五十万ダースより認めない、こういうようなことで動いておりますことは御承知の通りです。それからサケとかマグロとか合板、こういったものについても輸入割当法の立法化を今はかっておる。あるいはくぎ、鋼板、洋食器については互恵通商法の免責条項を適用しようとしておる。あるいはミシンについては特許権の侵害の訴えを起しておる。あるいはカキについては衛生法による規格を厳重にしてこれを実際的には押えてしまおう、こういうふうにやっておる、あるいは関税委員会に対しまして輸入制限措置の権限を付与しようというような動きもある。こういうようなものをずっと見て参りまして、さらにこの消費者の関係からこれを突き上げるために消費者から報告をさせる。この買った商品はどこの国の製品だということを報告させる。こういうような実情から見ますと、繊維の関係はもちろんでありますが、対米関係において明るい見通しというものがどこにあるのか。しかし五八年度におきましては、鉄鋼関係が、アメリカにも輸出されておるのでありますが、この鉄鋼関係だって鉄鋼業者は、これは変則なんだ、こういう変則が長く続くものではない、こういうふうに言っておる。そうすると、対米関係で具体的にどういうものがどういう量でどれほどいく見込みがあるのか。こういうことを一つ伺いたいのです。あるいは東南アジアの関係にいたしましても、これは外貨の関係が悪化いたしておりますことは、御承知の通りです。今後たとえば東南アジアにおいて、日本の商品をあちらに輸出いたしますためには、向うの商品を輸入しなければならないという実情になっておりますことは、御承知の通りです。しかも東南アジア等に輸出いたしますために、まず借款を供与しなければならない。あるいは延べ払い制度をもっと拡充しなければいけない。こういったように、いろいろその前提条件を積み上げていかなければ打開できない条件がここにある。あるいは政府の方では、これも答弁の中で伺いたいのでありますが、オープン・アカウント制を廃止しようという、そういうふうにいたしますと、これはやはり結果として貿易縮小になる。そうすると、政府の考えておるいろいろなことと、それから実際に貿易界における実勢というものはずいぶん食い違っておる。こういうことについて、たとえば各地域別に、カナダがどうだ、ヨーロッパの共同市場の問題とか、もう地域別に相当問題があるのですが、まずアメリカ及び東南アジアにおける輸出がずっと伸びるのだ、アメリカが景気がいいから日本の商品が伸びるのだ、そういう素朴な計算基礎ではわれわれは了承しがたいのでありまして、そういった一つの条件の中で何がどれだけ伸びて、どういうふうになっていくのだということ、そうしてその前提条件となる貿易政策というものがどうなのかということを、一つ明確にしていただきたいつと思います。
○世耕国務大臣 永井さんの今のお話を承わっておると、なかなか機微に触れた非常に重要な御発言のように拝聴いたしました。ただここでわれわれが常に注意しなくちゃならぬことは、経済と外交というものは密接な関係がある、その経済と外交が国民感情を刺激して、そのためにあそこから持ってくる品物は買うなというような感情をそそることが自然貿易上に影響があるということを、これは日本の国民も考えなくちゃならぬと思うのであります。これはなるべくさようなことのないように、日本品なら何でも買うというような国民感情を特に今後留意していかなくちゃならぬように私は考えるのですが、この点は特に永井さんにも御協力を願わなくちゃならぬと思います。 なおその他の詳細の点に関しては、通産関係には先輩の大臣がそばにおられますので、私の足りないところは前長官でもありますから説明をしていただいて、なお具体的なこまかい点に関しましては政府委員から御回答申し上げます。 ただ重ねて申し上げまするが、永井さんの今のお話は非常に傾聴に値するものであり、うがった経済問題をとらえた御質問だと思いますから、十分参考にして今後の方針に処していきたい、かように考えております。
○高碕国務大臣 先ほど御指摘の貿易の前途につきまして、アメリカが今日いろいろ日本品に対する制限運動を活発にやっておるということは事実であります。根本的に考えまして、アメリカ政府は日本の商品輸入についてはできるだけ寛大な処置をとっていきたいという方針を持っておりますことは事実であります。またアメリカの大衆も日本品が安くていい物だというものならば、ますますこれを使用したいという考えでおりますが、ただ日本の商品が相手方の産業に直接影響を来たすというものが、御指摘の洋食器にいたしましても、またそのほかの物にいたしましてもあるわけでございますから、この連中がいろいろな輸入阻止運動をするということは当然なことと思っておりまして、これに対する対抗策といたしましてはあの手この手をやっておりますが、これは結局はアメリカに対する日本の立場をよく説明し、向うの業者と日本の業者との間の理解を深める必要がある、こう思いまして昨年来その方針をとっておるわけであります。こういう意味から申しまして、私は必ずしもアメリカの方は大衆が日本品に対するボイコットというような感情がない以上は伸びていくものと、こう楽観しておるわけであります。 東南アジアの問題につきましては、御承知のごとく今なお彼らは外貨の不足に悩んでおるという状態は事実でございますが、今日東南アジアのためにはあの未開発の資源を一日も早く開発するということが必要であるということで、これらのためにはプラント輸出を十分にして、先方と協力しなければならぬという考えでございますが、ヨーロッパの連中も、東南アジアというものは日本と同じような考えをして、非常に重要な市場として考えております関係上、相当競争は激甚になるという考えで、日本といたしましても円クレジットの設定、延べ払い取引ということについて一段の努力をしなければならぬということのために、今回輸出入銀行の資金源をふやしていただくというふうになっておりますから、そういう方針で進んでいきたいと思っておりますが、個々の問題につきましては政府委員からお答えいたします。
○大堀政府委員 ただいまの御質問の点でございますが、やはりアメリカの経済が相当回復して参りますと、全般として消費購買力がふえますので、むろん制限品目等につきましては外交折衝その他の努力が当然要るわけでありますけれども、その他の品目では、まだまだ日本の品物は多少宣伝をいたしますれば、見込み得るものが相当多数あると思います。従いまして努力がもちろん加わらなければいかぬと思いますが、私の方といたしましては、来年度のアメリカの経済が六%程度は成長すると考えておりますので、輸出の面でもやはり全般的に伸びる、かように考えておるわけでございます。どうも国別、商品別にまでして作成すべきものでもございませんので、その詳細立ち入ったところまで計画はございません。ただ私どもといたしましても、たとえば鉄鋼のお話がございましたが、鉄鋼その他肥料等につきましては、やはり市場の情勢によりまして、国別の関係は、多少ある国の輸出が減退いたしました場合には、ほかの市場へ行くという代替性のあるものにつきましては、そういう点もございますので、商品別に考えて参りますと大体この程度の達成が可能である、かように考えたのでございます。 なお東南アジアにつきましては、御指摘の通りやはり信用供与ということが大事な要件でございまして、インドに対するクレジットでございますとか、高碕大臣がおやりになりましたエジプトの借款でございますとか、パキスタンその他の肥料工場、尿素工場の新設その他に相当輸銀の借款を与える、あるいはミナスの製鉄所も建設する、こういう面が日本の機械の輸出となって出るわけであります。そういう意味でプラント等は努力が実って輸出になっていく、こういうふうに考えておるわけであります。
○永井委員 私は政府が努力してないということを言っておるのじゃないのです。努力は認めるのですが、努力の具体的な積み上げ、さっきは積み上げて三十億ドルの輸出の数字を出したんだと言うから、その積み上げた内容を具体的に一つ示してもらいたいという質問をしているのですけれども、今のお答えですと、努力した努力したという抽象論だけで、何も三十億トルの数字をはじいたその数字的根拠を、第三者をして納得せしめるような御説明ではありません。ことにアメリカが景気がいい、景気がいいと手放しでアメリカの景気に非常な依存をしておるようでありますけれども、われわれの見るところによりますと、アメリカの景気回復というのはまだ十分でありません。過剰生産の条件もまだ相当にありますし、それから失業者も多いし、物価も上昇ぎみである、こういったいろいろな条件の中で、私はただ、アメリカの無気がよくなって、アメリカの鼻毛をうかがって輸出をしようというような依存的な形だけでは、対米輸出というものはそう伸びる条件はないと思う。また品目にいたしましても、この運動目標を、あるいは精密機械であるとか、電気計測機であるとか、あるいは化学製品であるとか、こんなところをねらっておるようにいろいろの印刷物では示されておるのでありますけれども、こういうものは、洋食器がだめだったからこっちの方の商品、あるいはカン詰がだめになったからこっち、あるいは繊維がだめになったからこっちだ、その代替商品として品目をあげているにすぎないのではないか、向うに売り込めるだけの何か根拠が築き上げられていて、そういうものがここに計算されているという、それほどのものではないと思うのであります。中近東にいたしましてもどこにいたしましても、ことに為替の自由化に伴う影響というものは相当に激化して参りまして、輸出における競争は一そう激化して参ろう、困難な条件が加わって参るだろうと思います。世界の各国における好況の問題は、これはこれからの見通しの問題ですからいろいろ違いもありましょうけれども、それはそれとして現実にアメリカにおいては、日本の商品を阻止しよう、制限しようという動きが全般的な動きとしてある。しかも世界の各国においては輸出競争が激化する。その中において、日本の商品をどんどん売り込んで三十億ドル以上確保できるような、そういう国内態勢が一体産業構造としてあるのかどうか、そういう国際競争力が蓄積されておるのかどうか、こういう問題が私は相当重要な段階に来ておると思うのであります。それについて大臣からも答弁がなかったのでありますが、後進地域に対する借款供与の問題、これはどういう方針であるか、それから延べ払い制度の拡充に対して、どういう基本的な態度をとられるのか、それから清算勘定、現金決済に対してどういう考えを持っておられるのか、それから為替自由化に対する、日本の為替管理及び貿易管理について相当考え直す段階に来ておるのではないか。先ほどの大臣のお話では、姿勢だけはちょっととるが、そう具体的にはやらないのだ、もう少し、岸内閣得意の静観をするのだというようなお話でありましたけれども、そんなのんきな状態ではいられないのではないか、こう思うのであります。そういうような点で、為替管理及び貿易管理の正面で、大蔵省と通産省との間には相当意見が食い違っているように聞いておるのでありますが、今までの話し合いにおいてどのような食い違いがあるのか、それからどんな姿勢で、どんな経過で、この世界の貿易情勢に対して対処していこうとしておるのか、この点を一つ具体的に伺いたいことが一つ。 それからもう一つは、何といたしましても中共貿易を再開しなければいけない、あるいは日ソ貿易をもっと推進しなければならない、こういうことはもう否定することができないと思うのです。これに対して今までは大きなことを言って、国内だけで——今の政府が障害になっていて、民間で築いた日中貿易というものが阻害されてきたわけでありますが、急に今度は低姿勢というのですか、外務大臣は大使級の人で話し合いをするとか、通産大臣はウルシを輸入するとか、ほんとうにウルシを輸入しようというならば、あんなに新聞に宣伝して、そしてはっきり向うの意向も確かめないで、一方的にああいうことをすることは、かえってこれからの日中貿易の正常化に対する支障にはなっても、推進力にはならないと私は思う。ほんとうにやるなら、もう少し向うの実情を聞いて、ある程度の成算があるところで花火を上げるなら上げてもいいのではないか、手をこまねいて何にもしないでおいてああいうものをばんとあげる。あれは外務大臣の意見にしても通産大臣の意見にしても、国内向け放送としてやっているのではないか。ほんとうに日中貿易を推進しようという熱意と、その手段方法において適切であるとは言えないのではないかと思うのであります。藤山さんにしても高碕さんにしても、日中、日ソの貿易については理解もあられるし、それから非常な熱意も持っておられるし、一つの見識も持っておられるとわれわれは期待しておるのであって、岸総理や何かはブレーキになっても、通産大臣はこれは弱い発動力でも、まあ推進力にはなるだろうと、こう期待しておるわけですが、この日中貿易を今後どういうふうな方法で推進されようとするのか。ほんとうに熱意があるならば、大使級の会談なんかでなしに、通産大臣みずから乗り込んで話をつけてくるというだけの熱意でないと、今言ったようにアメリカの方を向いても、東南アジアの方を向いても、中近東、中南米の方を向いても、貿易の環境というものはそんなに明るいものではない。少しでも条件の取りつけられるところは最善の努力をして取りつけて推進していかなければならない、こういうふうに思います。日中、日ソの貿易推進についての通産大臣のお考え、それから今後これを強力に推進していく上における一つの考え方、これを伺いたい。あわせて中共の国内における現在の生産体制、五カ年計画の推進の問題、及びソ連におけるところの七カ年計画の評価をどういうふうにされて、その評価の中において日本との貿易の結びつけをどういうふうに考えられておるのかを一つ伺いたいと思う。
○高碕国務大臣 第一の御質問の東南アジア、中近東あるいは中南米に対する延べ払いの点についてでございますが、これは私ども輸出振興という点から申しますというと、相手方の情勢をよく判断して、危険のない範囲においてはできるだけ頭金も少く、延べ払いの年限も長くしたい、こういうふうな感じで進んでおるのでありますが、相手方の経済情勢がいろいろ変化いたすのでありますから、この点につきましてはよく外務省なり大蔵省とも協議いたしまして、その危険のない程度においてこれを進めていきたい、こう考えております。 それからオープン・アカウントの問題につきましては、これは原則といたしましては世界の情勢がだんだん廃止の情勢に進んでいっておりますから、これは大きな障害のない範囲においてはやめていきたい、こういう方針で進んでいきたいと思っております。 また為替の自由化それから貿易の自由化ということで、ヨーロッパ各国が昨年未発表いたしましたことにつきましては、これは相当大きな影響は来たすことと存じておりますが、為替自由化が必ずしも貿易の自由化と一致すべきものではない、こう思っております。それから今日為替の処置につきましては、今日の状態として逐次実行に移していくことのために、為替管理法等につきましても順次これを改善を加えていきたいと思っておりますが、貿易の自由化につきましてはこれは現在ヨーロッパ方面がどういう態度に出るかということが、実際問題としてよほど重要な点でありますから、この点は今こういうふうにやる、ああいうふうにやるということは一々申し上げかねますが、個々の別々の場合、ケース・バイ・ケースによってこれは考えていきたい、こう存じております。 それから第二の御質問のソ連及び中共との貿易でありますが、日ソの関係は今日まだ平和条約は締結されておりませんが、しかしながらすでに貿易協定はできまして、昨年末片道三千五百万ドル程度の輸出入をやろうということになっておりますが、相手方はどうしても輸出と輸入との金額を一致させたい、こういう考えでありまして、日本としては輸出するべきものはたくさんありますが、相手方から買うものは割に少いのでありまして、そのことにつきまして今いろいろと折衝を重ねておりますが、これはできるだけこの三千五百万ドルの金額を伸ばしていきたいという考えで進めたいと存じておるわけであります。 中共の貿易につきましては、昨年五月来今日の状態にあるということはまことに残念でございまして、いろいろ考えておりますが、御承知の政治組織、社会機構、イデオロギーにおきまして、全然両国は違っておる関係にあるのでありますから、政治問題を離れて経済問題でお互いに両国の間に結びつくことは、両国民のために私は悪いことではないと思う。両国とも例のバンドン精神によりまして、お互いの内政に干渉しないということの前提で、政治問題に触れないで、経済問題だけで解決し得べきものと私は信じておりまして、いろいろ手を打っておるわけなんでございますが、例のウルシの問題等も、日本のウルシ業者が今日中国から得る以外にほかに道がない。それに中国筋におきましても、ウルシがあれは長らく貯蔵することができない。いわゆる有無相通ずるという、友好親書を保つという上においては、政治問題は何であろうとも、両国民が必要としておるもの、両国民としてこれは大事だというものなれば、これは当然政治問題を離れてできなければならぬものだ、私はそう信じておる、こういうことなんでございまして、それでいろいろ手を打ったのであります。これは私は決して新聞に宣伝する考えも何にもありませんが、近ごろ新聞社が非常に勉強いたしまして、あっちこっちから聞いてこられて書き立てる結果、ああいうふうなことになっておるわけでありまして、お説のごとく、これは宣伝すべきものでなく、よく相手方の意向を尊重して聞いて、そうして実行に移したい、こういう所存で進みたいと存じております。
○永井委員 政治と貿易を分離して処理していこう、これはせっかく大臣のお考えですけれども、これでは問題の解決にはならぬと思います。これはほかの動きから見ても、日中貿易の問題は政治的解決以外にはないのです。それはもうその限度はありますけれども、全然政治の問題を分離して、貿易だけをやるのだ、そういう手ぎわのいいことはできるものではないと思う。この根本的な問題の認識を根本から変えないと、違ったところをなんぼつついておったって、これは道は開けてこない。大使級の会談なんということは、これはアメリカの模倣であって、みっともないからこういうことはもうやめたらいいと思うのです。何といってもこのココム禁止品の解除等、その実情から見ましても、世界的に中共の問題というものが、もうおそかれ早かれ相当開放されてくる、自由になってくる、国際的な社会に入ってくるということは、これは不可避な条件であって、それをいたずらにイデオロギーが違うんだという、あるいは政治的な問題は全然タッチしないんだ、そこにはおのずからバンドン精神ならバンドン精神の限度において、話し合いのできる限度というものがあるわけですから、私はそういうことをしてやらないと、日中貿易というものを今推進しなければ、全くこれは日本はアジアにおりながら取り残されてしまう危険がある、かように思うのであります。この点について重ねてお伺いいたしたい。 もう一つは、輸出入取引法の改正であります。独禁法は反対の国民世論に謙虚に耳を傾けたのか、あるいは自民党の党内事情からか、この独禁法をおろしたことは大へんあっばれ、見上げたやり方だ、こう思うのでありますが、それの一環であるこの取引法を継続審議にして取りおろさないというのは、これは高碕通産大臣の処置ともわれわれは考えられない。何と申しましても、これは原料生産部門に至る一切のカルテルをやろう、こういうのです。そして買い取り機関を設置するわけで、こういうひどいやり方というものはないのでありますから、これは通産大臣の良識によってこれを取りやめる方がけっこうだと思うのでありますが、これはどういうふうにするお考えでありますか、伺いたいと思います。 それから日ソの貿易について、一部では日ソ輸出入組合を作ろう、窓口を一つにしようというような動きがあるやに聞くのでありますが、これは日中貿易の場合官製組合が何にもできなかったということは、前例として明らかなんでありますから、こんなものでなく、こういうものを作ろうというような、官僚統制を何か形を作ろうというようなこんなことでなく、ソ連の七カ年計画という大幅な躍進、それがシベリアの開発へずっと地域的に伸びてくる。そういうシベリア開発と日本の貿易との結びつきというものは、もっと高く評価さるべき段階まで来ておる、こういうふうにわれわれは考えますので、この点については、日ソ貿易についてはどんな方式で考えておるのか、これを推進する一つの方式なり考え方なりを、この場合伺っておきたい、こう思うのであります。 もう一つは、輸入の面において、大臣はどこかで三十三年の下期はもうたっぷり予算だ、こういうようなことを言っておられるのであります。そして使い残りもたくさんあるのだ、こういうようなことを言っておるのでありますが、現在の輸入の状況から見ますと、かえって手持ち外貨予算よりも上回るような状態がくるのではないか、もし三十三年の下期においてこれを上回るようなことがあれば、これが三十四年の上期に響いてきて、輸入を相当大幅に刺激していく、輸入意欲をいたずらに刺激するというような結果になりかねないと思うのであります。そこで今輸入についてはグローバル方式をとるべきだ、こういうようなことがだいぶいわれてきておるのでありますが、輸入の面におけるグローバルについてはどのようにお考えでありますか。雑然としたようでありますが、整理して御答弁を願いたいと思います。
○高碕国務大臣 まず第一に日中貿易の問題でございますが、私は原則として永井委員のおっしゃることはほんとうだと思います。ほんとうにやれば政治と貿易を一つにしていかなければならぬと思いますが、政治問題は今日台湾政府が依然としてある以上は、これは通産大臣の権能から離れておりまして、外務大臣にやってもらわなければならぬということでありますから、政治問題になりますと、私がここでいろいろ申しますことはいわゆる二元外交になりますから、私は純粋の経済閣僚として、これを経済問題として取り上げることになれば、私はここでお答え申し上げたいと思っております。 それから輸出入取引法の改正についてでございますが、この問題は、独禁法の改正を政府は全然捨ててしまったというふうに永井さんはおとりでございますが、私自身といたしましては、あの独禁法が制定されてすでに十年でありまして、当然これを改正すべきものだと信じております。すでに中小企業は中小企業団体法の運営によってこれが緩和されたのでありますから、従いまして一般の産業につきましても独禁法をある程度緩和するということは、これはひとり大企業だけでなくて、中小企業のためにも必要だ、私はその信念であります。何となれば一国の産業の基礎というものは、物価をいつも安定させなければならぬ。今日のような状態であって、ときには鉄が三万円、それが一年か半年の間に八万円になる、こういうようなことでは中小企業は非常に困難をするわけでありますから、物価を安定せしめるという上からして私は今なおこれは必要だと信じております。しかしこれを提出するかいなやということは、政府全体が考えることでありますから、なお政府といたしましても十分各方面の意向を聞いた上でやりたいと思いますが、輸出入取引法につきましては、これは先ほど申しました通りに国際競争はだんだん激化するという状況でありまして、これに対応するためには国内の体制を定めて、それで不当なる競争のないように、そしてできるだけ原価を安くする必要があるという点から考えまして、どうしても今回の案を国会でぜひ十分御検討願って、そして通過させていただくようにお願い申し上げたいと思っております。 それから日ソの関係につきましては、これは先ほど申しましたような場合に何をソ連側から買うかということが一番必要でありまして、それがためには七カ年計画に対してシベリア開発の計画を持っておるわけでありますけれども、それでだんだん両国の関係を密にいたしまして、そして長期に契約するということにしなければなかなか買うものはないのであります。かりに石炭を買い入れるにいたしましても、今持っておるものを買うだけでは、これは数字はわずかのものであります。また木材にいたしましても同じであります。そうすると木材なり石炭というものを、日本が長期に契約することになりますれば先方も開発し得るということになり、それに対する輸送計画等もつきますから、相当の数字は出てくると思いますが、現在の情勢といたしましては、まだそこまで進んでいない状態でございます。今後ともシベリア開発については日本からこれに要する開発資材を送り、そうして先方でできたものを日本に持ってくる、こういうような方針で進んでいけば、これはもっと増大し得るかと存じておりますが、これは逐次進めていきたい、こう思っております。 輸入の問題につきましては、これは現在のヨーロッパ諸国がどういう態度で出るか、貿易勘定に出るかということの問題とからんで考えたいと存じております。
○永井委員 貿易の問題については同志の板川君が次に主として質問されるということでありますから、私はあまり立ち入らないで、いろいろまだ意見がありますけれども、次には産業の関係についてお尋ねしたいと思います。 鉄鋼関係でありますが、鋼材については公開販売の方式をとって、できるだけ値上げをしない、値上げは押えていくんだ、こういう方針をとって、ずっときていたと思うのであります。ところが最近に至って急に大幅な値上げを決定いたしました。これを政府はもう無条件で承認を与えたようでありますが、この値上げと増産、こういう方針に何か突然変異でも起って、天変地異でもあって、そしてこういうような突然転換をしなければならないような事態があったのかどうか、こういう値上げと増産への転換についての理由を伺いたいと思います。
○高碕国務大臣 鉄鋼の価格が不当に暴落いたしましたのは昨年でございますが、昨年御承知の日本経済があんなに予想外に悪くなった結果、自然鉄鋼価格の暴落がはなはだしかったのであります。従いましてあの価格ではとても製鉄事業は成り立っていかない。こういう状態でこれに対抗するために、いわゆる公販価格というものができたのでありますが、公販価格自身においても現在の製鉄事業というものは必ずしもこれでペイしないというような状態でありまして、これがある程度の値上げをするということにつきましては、通産省としても賛成しておるわけであります。これ以上大きな値上げをするということにつきましては、できるだけ行政指導をいたしまして押えていきたい、こう存じておりますが、消費の面から申しますと、昨年鉄鋼の値段が安くなったために、鉄鋼そのものの輸出も予想外に増加いたしました。これは輸出振興と外貨をかせぐ上においてはよかったわけでありますけれども、あまりにこれが出過きてしまって、国内の消費がまた支障を来たすというふうなことになっては因りますから、この点につきましても政府は十分考慮いたしまして、現在の輸出の情勢、現在の鉄鋼価格、現在の日本の産業のあり方等から考えまして、今日鉄鋼業者が計画いたしまする増産の数字は、あの程度ならば正しいと私は思っております。
○永井委員 どうも大臣の答弁とも思われないのですが、鉄鋼は第一次合理化を二十六年から三十年まで、御承知のように一千七十億をつぎ込んで近代化をし、さらに三十一年から三十六年にわたって四千億をつぎ込んで第二次合理化を今進めておるわけであります。その第二次合理化を進めている過程において、さらに——第二次合理化が進みますと、三十一年に比して約二倍の生産を上げるわけです。その第ニ次合理化の進行過程において、さらに第三次合理化が内容となってこれが進められておる。そうして現在でも一方においては操短をやりながら、そうして値下りの実情に当面しながら、一方においては富士鉄は今東海製鉄、八幡は堺に高炉の建設をやり、川崎は千葉にやって光製鉄の拡充をやっておる。神戸製鋼は灘浜でやっておる。住友金属は和歌山でやっておるというふうに、これは何を目標にして、どういうところをねらって、どういう成算があって、第二次合理化過程においてさらに第三次合理化へのこういう発展的な膨大な施設拡充をやるのか、その結果一体国内市場はどうなるのか、輸出市場はどういうふうになるのか。大臣が賛成であると言うからには、そういう一つの展望を持ちながら、その確信を持ってこれに賛成しておられることと思うのでありますが、あるときは値段を引き下げて、そうして操短をやる、こういうことをやっていたと思ったら急に増産だ、今度は値上げだ、こういうふうに基礎産業である製鉄関係、鋼鉄関係が、こんなに一年に何回も波動していくというような、こういうばかなやり方というものは、おそらくまともにはわれわれは受け取れないのであります。でありますからこういう不況状況を内容としながら、こういうような第三次合理化の膨大な施設拡充をやるということは、一体どこに根拠があるのか示していただきたいと思います。
○高碕国務大臣 御説のごとく、製鉄事業、鉄鋼業がわが国の産業の基礎になるということのために、この価格を変動のないように常に安定せしめたいということは全く同感でございまして、それがためには同時に鉄鋼価格をどうして引き下げるかということも同時に考えていかなければならない。こういう点を考慮いたしまして将来の計画等も立てていかなければならぬわけでありますが、今のところ鉄鋼各社におきましては、やはりそれぞれの増産計画を持っておりますが、増産計画というものは全体的に見てやはりタイミングがあるわけでありますから、そのタイミングに合わして各自が進んでいくというような方針で行政指導をとっていきたい。その行政指導の方針はどこにあるかと申しますと、先刻申し上げましたように、価格の安定と価格を引き下げること、そうして需要がどうなるかということを、よく見きわめた上で進んでいきたいと存じております。
○永井委員 大臣の答弁ではさっぱりわからないのです。こういう増設をすればコストが下るのですか。そして第三次合理化計画が完成すれば、これで価格が安定して、生産が、長期にわたって需給計画が安定した形になる、こういうようにおっしゃるのですか、そういうものはわからないけれども、なるだろうということでやろうとしているのですか、その点は一つ明確にしていただきたいと思います。海外の関係だって、現在のように後進地域に銑鋼を輸出できるというふうに永久に考えたって、そんなことはできません。後進地域では今製鉄事業をどんどんやっていますから、日本の国内において第三次合理化計画ができたときには、もう向うの方では自国生産ができるでしょう。ですから、永久に後進地域に輸出しようなんと思ったって、これはそら頼みです。でありますから、これはどうしたってプラント輸出、どんどん精密機械なり何なりに転換していかなければならぬ。そういうときに、大臣の期待はけっこうなんです。価格の安定と需給の安定……。しかし安定する条件があるのですかどうですか伺いたい。
○高碕国務大臣 価格の安定ということは、これは一にかかって消費の数量と生産の数量の調節ということに帰着するわけでございまして、全体から申しまして鉄鋼生産というものはもっと増額していかなければならぬ。しかしそのテンポをどうするかということは、長期経済計画と一緒になって考えていかなければならぬと思います。現在各社が計画しておりますことは、今直ちに、明年あるいは本年から着手するというのではなくて、それはおのずからテンポを合せていかなければならぬ。それにつきましては私どもは行政指導をやる、こういう考えでございます。
○永井委員 時間があまりありませんし、この問題はまた別個に一つの項目をとっていろいろ掘り下げていかなければならぬ問題でありますから、いかに計画もなく、それからこういう基礎産業ががたがたしているかということがわかっていただければけっこうということで、次に進みたいと思います。 石炭の問題でありますが、政府の長期エネルギー計画の線に沿いますと、三十三年度は五千六百万トン、三十四年度は五千八百万トン、三十七年度は六千四百万トン、五十年度は七千二百万トンと、こうなっている。これは経済企画庁長官からも答弁願いたいのですが、こうなっている。ところが三十三年度はどうであったかといえば、五千万トン前後、三十四年度はどうかというと四千九百万トン、そして現在貯炭はどうかというと、山元に四百七十万トン、大口工場に七百七十万トン、こういうような貯炭をもてあまして不況だ不況だと騒いでいる。不況だということになるとすぐ重油だとなる。何も基本的な対策を持たないで、エネルギー総合計画を立てて出発していったと思うと、その計画はどこへふっ飛んでいったか、実勢は違った形になっている。そうして、貯炭ができると今度は前池だ、そしてあるときは重油を石炭に転換させて補助金を出してやっていた、こう思うと、また石炭が足りなくなると重油の方を奨励する。鉄鋼と同じように基礎産業である石炭というものが、常に重油と炭との問を行きつ戻りつ、こういうことをやって合理化計画を進めてきておるのでありますが、その合理化計画というものは一体何をねらって、どういう効果を上げているのか。合理化計画なんというものは現在の状態ではどこかにふっ飛んじゃっている。こういう合理化計画というものは、結局むだなことをしている結果になっているのですが、一体こういうような石炭対策でいいのですか、どうですか。 こういう状態に当面すると、すぐ重油を規制するというようなことでお茶をにごしておいて、一方においては総合エネルギー計画というものを持ち、あるいは石炭の合理化計画というものを持って、それに金をつぎ込んでいる。何にもならないことをやっているのですが、これに対してどのような反省とどのような見解を持っておられるか。現在の石炭対策についてどういう対策を持っておられるか、お示しを願いたい。
○高碕国務大臣 お説のごとく一昨年の石炭の生産計画を立てました当時から申しまして、昨年における日本の経済の不況、それから石炭の大きな消費者である電力会社が豊水に恵まれて石炭の消費が減ったということのために、五千六百万トン計画が五千二百万トン、ことしは五千万トンという計画になっているのですが、それでもなおかっここに御承知のごとく千三百万トン以上の貯炭があるという現状でございます。私どもは最初、エネルギー計画から申しまして、石炭はできさるだけ予定通りに掘って、そのエネルギーの不足額は油で補う、そして油の輸入は、つまり石炭の状態、国内のエネルギーの消費の状態によってかげんする、こういうような方針をとって進みっつあったわけでありますが、今日予定以上に貯炭があるということは、私どもは大へん遺憾と存じます。今後の方針といたしましては、石炭の原価をもっと安くしなければ油とは対抗できない。私ども最初考えておりました当時は、原油の価格が比較的高くて一カロリー当りが一円十銭前後、それに対して石炭が九十銭かあるいは一円程度であったが、今日の状態から言いますと、大体石炭と油とはほとんど同じの九十八銭ぐらいになっているわけです。これでは消費する人といたしますと、油の方がメリットが一割ないし二割違うわけですから、油を使う。これをただ単に政策として押えるということは、そこに無理があるというふうなことを感じまして、何としても石炭の原価をどうして安くするか、これが現在当面いたしております一番重大な問題だと考えます。原価を安くするためには、合理化ということをしていかなければできないわけでありますから、合理化をする。ということになれば、当然また従業員を整理するというふうな問題になり、これは非常に大きな問題でありますから、従業員に対する働き口をよく見つけた上でこれをやっていきたい、こう存じております。
○世耕国務大臣 お答えいたします。永井さんのお話を承わって非常に私は関心を深くしました。石炭と重油と同時に原子エネルギーという問題がからんで、より重要な問題が今日の施策の上に現われてきているわけであります。過般私が就任した当時に、石炭問題を中心に今後のエネルギー源をどうするかという問題を庁内でも相談したようなわけであります。そういう関係から、エネルギー部会というものをば作って、根本的に研究しようという態度をとっておりますから、どうぞ御了承願いたいと思います。
○永井委員 今合理化をやっておる、こう言っているのですが、合理化もこれは五年間やってきた。五年間やって、そして現在の体たらくです。合理化がどこへいったのかわからなくなっているわけです。それから炭価の引き下げということも、これも期待することはけっこうなんですつが、それでは現実に炭価を引き下げられるかというと、なかなかこれは重油と競争するような炭価まで引き下げることは不可能でしょう。そうするならば、たとえば電気の関係で火力発電の方がどうであった、船の方がどうであったと、くどき話のように大臣から聞くのなら、これは炭鉱業者のところにいって慰めのつもりでお悔みを言う程度ならけっこうなんですが、しかし経済対策として、現在政策としてここで論議するのには、そういうくどき話を何ぼ聞いたって、これは対策にはならないわけです。ですから私は、それは豊水のときもありましょうし、あるいは渇水のときもありましょうし、あるいは経済界の浮沈がありましょう。そういうものはあっても、石炭というような基礎産業は、ことに地下資源の産業というようなものは常に伸び縮みして、人を使ったりまた人を解雇したり、そういうことをやっていられない産業であることは大臣先刻御承知の通りであります。従って、これはやはりそういうような景気にわずらわされないで安定した条件で経営できるようにやることが石炭対策の基本でなければならぬ。そこが政策でなければならぬと思う。そのためにはどうしたらいいかといえば、余ったときにはどこかでこれをかかえるところのクッツションの役割をする、そういうものをシステムとして作る以外にないと私は思うのであります。あるいは買い取り機関を作る、あるいは石炭の販売公社のようなものを作って、そこに貯炭をさせるとかなんとか、実際の生産と経済の実勢と、その中におって浮動するもののクッションの役割をする何かの機関、そういうものが必要であろうと思うのでありますが、これに対して大臣はお考えがないのかどうか、くどき話はけっこうですから、どうかこれから踏み出す対策についての所見を伺わしてもらいたい。
○高碕国務大臣 石炭の需要と供給とが一時的の現象において大きなギャップが起るというときには、これのために買い取り機関を作り、貯炭機関を作るということは必要だと思います。これは今後とも十分持っていきたいと思っておりますが、原則といたしまして石炭の価格は下げることができないということになれば、この石炭鉱業の前途は非常に暗いものだと私は思うのであります。それで、今日の重油の価格は必ずしも正当であるとは思っておりません。重油の価格は運賃が上ればもっと上る、こう思っておりますから、重油価格にマッチするように、石炭の価格を下げていかなければならぬ、これが根本原則である。その場合に、合理化ということは、炭鉱夫一人当りの出炭が現在は十四・五トンになっておりますが、この一人当りの出炭をもっとふやすということより以外に私はないと信ずるのであります。そうすればここに過剰の人員が起る。これをどう吸収するかということは、ただ業者だけにまかしておく問題ではなく、政府といたしまして、これはひとり通産省だけでなくて、建設省なり農林省なり、政府全体としてこの問題を解決していかなければならぬと存じまして、それを基本的に解決する必要があると私は存じておるわけであります。
○永井委員 この問題もなお相当問題がありますから、後ほどこれはやはり掘り下げていかなければならぬと思います。 その次は電力の問題ですが、広域運営が発足して半年になります。この広域運営の効果についてに伺いたい。どのようなことを具体的にやってきたか、その具体的なやり方、一年後、二年後にはどういうふうな形になるのか、こういうことについて伺いたいと思います。
○高碕国務大臣 昨年来広域運営をやりまして、ある一会社において電力が不足しておる、一方において電力が余っておるという場合は、ある一定の価格でこれを不足している方に供給するのみならず、重要なる方面に非常に大きな不足をしておるという場合には、ある程度余力のある電力会社はこれに対して十分の援助をするというふうな方針で進んでおりまして、今私の手元には詳細な数字はございませんが、今日まで、単に営業関係からいえば人が不足しておるときは値を高く売ればいいじゃないか、こういうのが営業関係でありますが、それをやらさないで、人が困っておるときには自分の原価をある程度切ってもこれを助けていくという方針でやれ、こういうのが広域運営の方針でございまして、これは私は今後とも十分奨励していきたい、こう存じているわけであります。詳細の数字は御入用でございますればお答えいたします。
○永井委員 ここで説明するような数字があったら伺います。
○小室政府委員 ただいま大臣からお話し申し上げたように、九電力が分立しておりますけれども、電力連携を強化いたしまして、電力融通を今まで以上に円滑に行おうということがとりあえず広域運営の目標でありまして、そういう意味の数字としましては、昨年の四月から広域運営が始まっておりますけれども、十一月までの間に経済融通が四億キロワット・アワー、これは前年同期が一億キロワット・アワーでありまして、約四倍であります。それから経済融通以外に事故の際の融通であるとか、あるいは応援融通であるとか、補給融通であるとか、いろいろな形があるのでありますが、この融通量が非常に多くなり、また円滑に行われてきておる。これはしょっちゅう協議会でもって給電上の連絡をやっておりますので、そういう成果がすでに上っております。それから将来の開発計画について、九電力と電源開発会社と一つの場所で話し合って、お互いにむだを省き、重複を省いて、協力態勢のもとに開発を進めていくということの具体的な話し合いをやっております。これはだんだん実を結んでくると思います。また、一年にならない広域運営でありますが、九電力と電発とが話し合って、全国的規模において合理化された態勢がここにできてくるということをわれわれは期待しておるわけであります。
○永井委員 時間がないそうでありますから、最後に伺いたい。広域運営の一つの試験時代を経て、次はやはり合併といくのが私は当然の筋道ではないかと思う。広域運営で経済効率を上げることが期待できるならば、さらに大きな地域の合併をしたら、もっと効果が上ることは子供でもわかることだと思うのでありますが、そういうことについて考えたことがあるかどうか、一つこの点は大臣に伺いたいと思います。そしてこれは二重施設を増加させない、資金の効率的な運営をはかるとか、あるいは企業の格差をなくすとか、いろいろ広域運営についてのお題目はいいのでありますが、実際はどうかといえば、ほんとうはその広域運営の中における自分の会社の発言権を強化するために、かえってそういう自分の方の施設を拡大して発言権を拡大しようとする。そして独立の地歩を固めようとする逆な方向に動いておるというようにわれわれは聞いておりますし、その事例を知っている。逆効果になってきておる。この点については、一つ今後とも広域運営のねらいと約束したことをその通り実行する方向に持っていっていただくように、そして五年後には一五%上るべきものが一三%料金が下った、こういう数字的根拠をこの委員会で示してもらうことができるように奮発していただきたい。 そこで電力問題についてお伺いしたいのですが、過般の委員会において、一月十九日ですか、答申された案によりますと、料金問題は一番問題なんですが、これについては何ら内容のある答申がなされておらない。これに対してあのような委員会では料金問題は私は出ないと思う。ですから、何らか大臣の構想によって、この基礎産業である、しかも公益性のある、そして地域独占の電力会社の料金問題については、やはり今のうちに基本的な態度を決定する方針をきめる必要がある。その方針をきめるための何らかの委員会というものを作って、そこで審議して決定するというお考えがあるかどうか、この点を一つ伺いたいと思う。 それからこの暫定措置でありますが、料金の三割頭打ちというのが、ことしの三月末日で切れる予定になっております。この三割頭打ちは三月で切れたらそのままにするのか、あるいはさらに継続延長するのか、これに対するお考えをはっきりとさせていただきたい。 それから電気事業法は一体いつ出すのか、この点を伺いたいと思う。 それから政府は、何か九電力会社の社長に対して、お前はやめろというようないろいろな内政上干渉をしておるように伺うのでありますが、内政干渉がいけないということは、国際間の問題ばかりでなくて、国内問題でもやはり内政干渉はいけないと思うのですが、どのような権限でそのような営利会社の社長の進退の問題まで容喙されるのか、その根拠と理由を示してもらいたい。今後九電力会社の社長はみんな政府の考んで入れかえするか、その点を一つ伺いたいと思う。 それからガス会社の料金値上げ問題ですが、これをどう扱うか。きょうの新聞では、地方の会社の方の値上げはやるような話でありますが、地方の会社及び東京、大阪、東邦と、こういう中心会社の値上げ問題は、どのようなお扱いになさるおつもりであるか、これらのことを伺いたいと思います。 なおいろいろありますけれども、本日はこの程度で質問を終ります。
○高碕国務大臣 第一の電力の三割の頭打ち制度、これは二十九年にやりまして以来、一年こっきりでありましたが、これを三年延長して、御説のごとく今度その期限がきております。政府といたしましては、この一年こっきりのことは今度はやらぬつもりでありまして、十分これは従来のいきさつ等も検討してきめたいと思います。それには先般来電力料金調査委員会の出しました報告、これには大体原価主義を確認しておる、報酬率の算定の方法を合理化した、それから現在の平水計算というものはもう一ぺん再検討しよう、こういうふうな筋が出ておりまして、この三つの柱を中心といたしまして、今の三制の頭打ち制度と一緒にからんで、早い機会にこの電力料金については検討を加えたいと存じております。 それから電気事業法はこの次の国会に出したいと思っております。今度は出ませんが、この次出したいと思っております。 それから各会社の重役を政府はいつでも罷免してどうこうする、そんなことは全然考えておりません。ただ公益事業でありますから、この中にあるいは汚職があるとか、あるいはこれに対して内部の闘争があるとかいうことにつきましては、行政指導として、できるだけそういうことを避けるように忠告をいたしておるのでございますが、決して首切りをしてどうこうというようなことまで考えておりませんから、さよう御承知願いたいと思います。 それからガス料金の問題でございますが、近来人口の——人口というよりも住宅が各方面にふえて参りまして、それに対して、従前のガスのやり方では、とても需要者を満足せしめることができないと思います。昨年のごときも、私が九州に参りますと、九州の八幡製鉄所で、社宅はできたけれどもガスが引けない、料金は高くてもいいから、これを一つ引くようにしてくれ、こういう申し出がありまして、これは許可したというようなことがありますから、今後各地方におきましても、そういう情勢に応じて消費者を満足せしめるというふうな方針で、ある程度ガス料金は考えなければならぬ、こういうように思っております。
○永井委員 最後に私は、政府の三十四年度予算の編成方針には、この三十四年は非常に景気がよくなるのだ、いろいろなものが安定するのだ、そうしてそれをさらに強化するための施設としての経済基盤の強化及び体質改善としてのいろいろな施策及び貿易の振興というようなことが、三十四年度における政府の柱だというふうにうたってあるので、それらの諸点について二、三触れて参ったわけでありますが、貿易についても、輸出三十億ドルというのは、これは何も根拠のない数字のように見えます。それから輸入の点についても、これは思惑輸入をチェックするような万般の手配というものが十分ではないように思う。あるいは基礎産業である電力、石炭、鉄鋼等においても、これは長期安定の基盤の上にそれが強化されておる方向ではなくて、常にその波動を受けてがたがたしていて、何ら政府の定見というものがなくて、目先々々のことで動いておる、こういうふうな基礎に立って三十四年度の予算が執行され、経済の問題が運営されるならば、全くこれは心もとない限りであると思いますし、それが心もとない程度で済めばいいのでありますが、この政策の破綻からくるしわ寄せは、大企業に重点的にこれが施策されて、そのしわ寄せが、農民や労働者やサラリーマンや中小企業、こういう勤労大衆にしわ寄せされて、そうしてますますこの民族の中の階層分化が激化していく方向がとられる、こういうようなことが、わずか一時間前後の質疑の間でも明白にされて参りましたことは、われわれの非常に遺憾とするところでありまして、さらに今後この委員会において、各項目を掘り下げて、これらの面を明確にし、政府の反省を求めて参りたい、かように考えるわけであります。
○長谷川委員長 本日はこの程度で終ります。 これにて散会いたします。次会は明三十一日正午前十時より開会をいたします。 午後一時十九分散会