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31回国会衆議院1958/12/19

商工委員会 第4号

発言数
63
登壇者
10
会派数
2
開催日
1958/12/19

会議録

長谷川四郎自由民主党

○長谷川委員長 これより会議を開きます。  まず小売商業特別措置法案及び商業調整法案の両案を一括して議題とし、審査を進めます。  商業調整法案について提出者より趣旨の説明を聴取することといたします。提出者松平平忠君。     —————————————

松平忠久日本社会党

○松平忠久君 私は日本社会党提出の商業調整法について提案の理由を説明したいと思うのですが、この法案は前回提出しまして流れたものでありますので、ごく簡単に説明したいと思います。  わが国の中小企業の全産業の中に占める地位は事業所において九九・九%、従業員数において八三・九%、またその出貨数において五六%でありまして、その重要性は数字の示す通りであります。  今日の中小企業の悩みは過度の競争、金融難、税金高、原料高の製品安、施設の不備、技術の後進性、外貨導入の圧迫、アメリカの輸入制限、中共貿易の中絶など数え切れないほどあります。特に昨年以来の金融引締め政策の影響は深刻でありまして、その多くは生存の危機にさらされている実状であります。しかるに政府の中小企業対策は口先だけのごまかしで、当面の措置はもちろんのこと、恒久対策のごとき、実効を期待し得るものはほとんど何もないと言っても過言でありません。確かに二、三の立法措置は講ぜられましたが、しかし体系立ったものではなく、全くその場限りの思いつき程度のものに過ぎないのであります。  裏づけとなるべき予算化、あるいは金融措置なつどに至てはただ驚くのほかない少額であります。干天にしめりを渇望している気の毒な中小企業者に対して政府の与えようとしているものは何であるか、それは独禁法の緩和、輸出入取引法の改正、産業基盤の確立等の名による大企業への集中化であり、中小企業への犠牲ではありませんか。空腹にあえぎながらパンを求める中小企業者に対し、石をもってなぐりつけるがごとき冷酷な措置しか与えられないのであります。  わが社会党は、今日、中小企業の置かれたこの窮状をすみやかに打開するため、本国会に独占資本の不当な圧迫排除、産業分野の規制、金融、税制関係及び百貨店法、官公需の確保など、中小企業の振興をはかる一連の産業経済関係立法十余件を提案しているのであります。さらに法律改正十余件、行政措置四十余件等を含めて、中小企業対策を総合一貫的に推進しようとしている次第であります。要するにわが党の中小企業対策は常に国の産業経済全体の中で考え、立法措置だけでなく所要の財政経済的裏づけを並行せしめその実効を期待しようとするものであります。  ここに提案しました商業調整法について概要を御説明申し上げます。本法案の目的は卸売業、製造業と小売業の間にまたは小売業相互の間にいわゆる業務分野を調整し、適正な流通秩序を維持することによって一般小売業者を保護しようとするものであります。  今日、小売業者は、百貨店の新増設、あるいは大規模な月賦販売、予約販売等による不当な営業方法、大メーカーによるその製品の種々の手段による安売り、また卸売業者による直接販売等により、その利益を著しくそこなわれているのであります。  そこで本法案はまず第一に、調整を要すべき業種と地域を商業調整審議会の意見に基き主務大臣が指定することといたしたのであります。すなわち小売業の分野において、製造業者または卸売業者と一般小売業者間に競合が起り、一般小売業者の利益がそこなわれるような場合に、関係の業種、地域を限って一般小売業者の適正な経営を確保しようとするものであります。業種及び地域の指定を行う理由は、不必要に消費者の利益を害することのないように考えてのことであります。この際小売業者の団体に指定の申請の道を開いているのであります。  第二に、此の業種並びに地域指定があった場合、特別の事情がない限り、指定地域において指定業種につき製造業者、卸売業者の小売販売は新規に行うことを禁止したのであります。  第三に、このような禁止は新規開業のものだけでは不十分でありますので、既存の兼業者につき、指定地域内指定業種に属する小売業部門の設備、新増設その他経営規模の拡張をも禁止したのであります。さらに既存兼業者の小売活動が一般小売業者の存立に重大な影響を与える場合、これが圧迫緩和につき適切な措置をとるよう行政命令を出し得ることといたしたのであります。  第四に、以上の規制に対し、大資本による脱法行為が予想されるので、これが予防の措置を講ずることといたしました。たとえば東横百貨店における東光ストア、高島屋における高島屋ストアなどのごとく、資本的にまたは人的に支配する別会社を組織し、いわゆるスーパー・マーケット方式による事業の拡張が行われている実例もありますから、この種の事例は脱法行為とみなし、行政命令によって排除措置をとり得ることといたしております。なほ百貨店関係の分については、わが党はすでに本国会に提出しております百貨店法の一部改正法案の中で百貨店法の脱法行為として規制を加えることといたしております。  第五に、公設または私設小売市場の新設拡張については、これを許可事項とした点であります。小売市場については特に関西地方に見られるように、その乱立が目立ち市場相互間並びに周辺の一般小売業者との関係、調整を要する事態となっております。そこで乱立防止に必要な地域を政令で定め、その地域内における小売市場の新増設を許可制としたのであります。この場合五大都市においてはその許可の権限を市長にゆだねた次第であります。  第六に、購買会事業の規制を行うことといたしました。いわゆる会社購買会による小売販売事業は年間一千数百億円に上り、その員外者利用は周辺の一般小売業者に重大な影響を与えているのであります。会社購買会は会社経営にとって、その資金運営に寄与するばかりでなく、一方では労務管理にも利用されているのであって、その形態自体にも問題がありますので、わが党は別途、労働者の指導権による消費生協への組織がえを考えておりますが、ここでは当面、員外販売を禁止することといたしております。消費生協は購買会に比べて売上高はその四分一にすぎない微少なものであり、その組織は労働者の正当な生活権に基礎を置くものであり、購買会とは同一に論ずるわけには参りません。わが党は消費生協の存在意義を正当に評価し、わが党における小売事業活動の特殊な諸条件を考慮しつつ、消費生協に対し特に員外利用二〇%を認めることといたしました。  最後に、本法案の運用に重要な役割を果すべき商業調整審議会の構成については、小業売者代表、消費者代表の参加を法文に明記し、公正にして適切な運営を期待した次第であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げる次第であります。

長谷川四郎自由民主党

○長谷川委員長 両案を一括して質疑に入ります。小林正美君。

小林正美日本社会党

○小林(正)委員 関係大臣がおられませんので、中小企業庁の長官にお尋ねいたしたいと思うのでありますが、小売商は、言うまでもなくわが国の経済機構の中で末端の流通部門を担当しておりまして、きわめて重要なる役割を果しておるということは、ここであらためて申し上げるまでもないのでありますが、この小売商に対して政府の考え方はきわめて冷淡である。ただ過酷な徴税の一番しやすいところの対象ということには考えておるだろうけれども、何ら今日まで小売業者に対して見るべき保護助成の手が差し伸べられたということを私は聞かないのであります。全くあるがままに放置されてきたといっても過言ではない。たとえば、一方においては、購買会や消費生活協同組合などのとどまるところを知らない行き過ぎ行為は、小売業者の営業権をゆさぶっております。さらに近時大資本の圧迫はますますその激しさを加えて参りまして、百貨店の激しい割賦販売、スーパー・マーケットなどの販売攻勢、さらにはメーカーの直売、卸問屋街の小売販売など、いよいよ小売業者からその生活権さえも剥奪しようとする現状に立ち至っておるということは言うまでもありません。かてて加えて重い税金、苦しい金額がそう一そう拍車を加えておる。この現今にして、もし根本的な対等東を打ち立てるにあらずんば、重大な破局に到達するのではないかということを非常に心配するのでありまして、一体中小企業庁の長官は、この問題をどのように考え、どのように処理されんとするのか、一つそのお考えを承わりたいと存じます。

岩武照彦中小企業庁長官

○岩武政府委員 御指摘のように、小売商の問題は相当困難な問題をはらんでおると思います。従来商業面に対する中小企業の問題といたしましては、製造工業に比べまして若干おくれておるということはいなめないことでありますが、近年その経営を直しますために、積極的に若干の措置はいたしております。ことにこの小売商で一番問題になりますのは、一つは経営面の改善、合理化、もう一つは、その裏をなします顧客の誘引、サービスの向上という問題につながる問題でありますが、この点につきまして企業診断がかなり広く行われておりまして、昨年あたりの企業診断の件数の中で約六割は小売商であります。つまり積極的にどういう仕入れ方法をしたらいいか、どういう店舗の構造なり、商品の配列をしたらいいかというような点で、相談所並びに診断の利用をやっております。それからそういうことにつきまして積極的に各種の経営上の指導資料を作成いたしまして、積極的に指導を行なっております。それからいろいろな共同施設等に対する補助金等も、少額ではありますが、かなり出しております。ただ問題は、御指摘のように、一つは小売商内部の数が多いという問題、もう一つは外部の小売商にあらざる者の小売行為が相当行き過ぎて行われておる。この両方の原因からかなり経営上の苦しさが見られる。そこで数の方の問題は、これはわが国の人口問題あるいは社会構造等の問題と関連いたしまして、ひとり中小企業庁の力だけではどうにもならぬ点が多いと思います。いろいろ苦慮はいたしておりまするが、それには実は全般の経済政策、あるいは全般の労働対策等がございませんと、単に中小企業庁の関係する分野だけではとても片づかない問題がございます。はなはだ残念でございますが、そういう事情でございます。外部の異質のものの小売行為に対しましては、さきに百貨店法を制定しまして、百貨店業者による小売行為の行き過ぎを押えるということで、これもたしか先般の臨時国会で担当の局長から申したと思いますが、百貨店法施行っ以来かなり売場面積はふえておりますけれども、しかしそれは申請になりましたものを相当押えて、小売商との調整をはかりながら、あまり問題がないところを認めて参っておるという状況でございます。なお百貨店関係につきましては、その他の問題もございますので、目下いろいろ慎重に対策を考究中でございます。  それから異質のものの小売行為としましては、御指摘のありました購買会、消費生協、農協等がございます。いずれも問題の起りまする地域が、かなり地方々々で異なっております。地方の中都市におきましては購買会、消費生協が非常に問題を起しておる。それから農山漁村におきましては農協による小売行為が、かなり問題を起しておるという実情にございます。そこでこれらに対しまする対策といたしまして、先日御提案いたしました小売商業特別措置法によりまして、そういう異質なものの小売行為の行き過ぎを是正するということでございます。  なお問題になりますのは生産業者あるいは問屋によります小売行為、これはそれほど全般的な問題ではございませんが、やり方によりましてはかなりの問題がございますので、これらに対しましてはこの法案によりまして具体的にケース・バイ・ケースに解決をはかるということで、その手続等も規定しております。しかしながら問題はいろいろ困難もございますが、他方消費購買力は減税やベース・アップの関係で年々向上している。消費購買力の総額は、おそらくわずかではございましょうが毎年々々ふえている。それを扱います小売者の数並びにその内部の格差ということが問題になると思います。結局異質なものをある程度法律によって押え、あるいは小売商の目分自身の努力によりまして、経営の改善あるいは顧客の誘引ということに努めましても、やはり増加する購買力をそのまま中小の小売商業者に全部吸収するというわけには参りません。そこでわれわれとしましては、一方において個々の小売商の経営の合理化、サービスの向上等の努力を期待いたしますほかに、やはり共同の行為によりまして一つは施設なりサービスの向上をはかり、サービス条件の改善、つまり仕入れあるいは広告の問題というような点につきまして、共同行為等によって合理化をはかるということも期待いたしまして、商業関係の協同組合、あるいは団体法によりまする商業組合等の設立、並びに運営の指導を行なっておりますが、御承知のように商人は競争することが、実はその本来の行動に伴います性質でございますので、なかなか共同行為と申しますものがうまく参らない場合もございまして、組合活動等も製造工業に比べますれば、若干低調であるということはどうも否定できないのでございますが、何とかしまして自己努力並びに共同の創意工夫によります力を、われわれとしても外から十分援助しまして、何とか中小商業者の小売行為が乱されないように、また増加します購買力を上手に吸収するように指導して参りたいと思うのであります。

小林正美日本社会党

○小林(正)委員 今長官から、現在の小売業者というものの異質なもの、すなわち百貨店であるとか、その他生協、購買会などから非常な圧迫な受けている、同時にまた自分たち自身の問題としては過当競争で苦しんでいる、さらにまた小売業者の経営が合理化されておらないという点に問題があるというお話がありました。私も全くその点は同感であります。ただどうも企業庁がやっておられるところを見ておりますと、企業診断というこの一語に尽きると思います。ところが失礼な言い分でありますけれども、その診断たるやきわめてやぶ医者の診断であるというそしりを免れない。しかもその診断に塞ぐところのどんな特効薬が果して出されているのか、わずかに若干の助成金が——中小企業に対してスズメの涙のようなものが出されているにすぎない。こういうようなことで、果して中小企業に対する体質改善ができるとお考えかどうか。こういう点について私はもう少しお尋ねをいたしたいと思うのでありますが、大体私どもの承知するところでは、昭和三十一年におきまして商店の数は実に百二十万千五百軒というような膨大な数に上っております。特にこのうちでわれわれが注意して見なければならぬ問題は、そのうちでいわゆる零細小売商の占める比率が圧倒的に高いことである。すなわち従業員四人以下の場合におきましては、実にその九二・二%が四人以下の小売業者である。さらにまた一人の従業員も雇っていない、いわゆる家族だけで商店を経営しているものが全体の七五%に上っている。こういうことを私たちが考えたときに、この小売商の問題についてもう少しほんとうにこの辺で政府が広い視野に立って考えないと、これは大へんな問題が起きるのではないかと私は心配するわけです。現在一体なぜこのような小売業者の状態になっているかということを、私たちはこの際もう一度真剣に考えてみる必要があるのではないか。昭和十九年のいわゆる戦争中一番小売商が減ったときでありますが、そのときは百六十八万の小売商人であった、こういう工合にわれわれは承知しております。それが二十二年においては一百三十六万、さらに二十六年には五百十五万、三十一年は実に七百六万という工合におそろしいような飛躍的な数の増加ぶりを示している。こういう工合に戦後八年間に実に二百三十六万から七百六万、すなわち四百七十万も商業人口が増加しているという事実を、一体当局はどういう工合に見ておられるか。大臣はおられませんので長官に聞きますが、日本の政治の貧困から来るところの過剰人口のいわゆるはきだめにされているのが、現在の小売部門の実情であるということを、一体どのように説明されようとするのか、その点を伺いたいと思います。

岩武照彦中小企業庁長官

○岩武政府委員 小売商関係の店舗の数並びに従業員の数が戦後激増していることは御指摘の通りでございます。これにはいろいろな見方があると存じております。御指摘のように、戦争中の企業整備に基きまする配給面の圧縮ということが、戦後の統制解除に伴いまして復帰して参ったということが一番大きな要素だと思っております。それにしましても、なお地域によりましては、現在も若干の、統制とまでは申しませんけれども、異質的な商業、小売行為が行われておりまして、昔日のように小売商が復活して参っておらぬというところも若干あるようであります。しかし何と申しましても、全国的に、ことに大消費地におきまする小売商の数が購売力に比べて多過ぎはせぬかということは、これは数字的にはなかなか立証がむずかしいのでございますが、概念的には言えることだと思います。これはやはり雇用方面の停滞等もございますが、比較的簡単に開業できる、特別な才能あるいは資金等の準備がなくても開業できるということが一番の原因だろうと思います。サービス業方面と並びまして、小売商というものがどうしても簡単に生業を得る方法であるということは否定できない事実であります。さりとて、これを多過ぎるから抑えるということは、全般的な総合的な雇用政策あるいは計画的な経済政策をとられません限り、単に流れてくる水を防ぐということだけでは押えられないことでございますから、われわれとしましては、できてくる小売商を健全な経営にしたいということで努力いたしておるのであります。何と申しますか、計画的に世帯数あるいは消費者人口に合せて店の数を規制するというようなことは考えておらないのであります。

小林正美日本社会党

○小林(正)委員 この小売商業特別措置法の第一条に、「小売商の事業活動の機会を適正に確保し、」こういう文言があるわけです。これは私は大へんけっこうな文言だと思うのでありますが、ただこの文言が単なる抽象的な表現に終っては困る。ほんとうに事業活動の機会を適正に確保するという目的を果すために、具体的にどうしたらいいかということを非常に真剣に考えないと、今あなたの方で出されたこの条文だけ読んでみると、いわゆる小売商の事業活動の機会を適正に確保することはとても困難ではないか、こういう工合に私は考えるわけです。将来わが国の小売商をどんな工合に持っていこうとするのか、たとえばわが国産業経済の基盤の中で、小売部門の占める位置をどのように理解するか、適正な事業活動の機会を与えるためには、業者の数、従業員の数、またその取扱い品目や数量を一体どのように考えていくか、この場合、税金、金融の両をどのようにあんばいしていくのか、それとも今長官が言われたように、ただあるがまま、なるがままに放置しておいて、大きな問題が起ったときだけ責任のがれに彌縫策をとってごまかしてしまおうとされるのか。こんなことでは、小売商の事業活動の機会を適正に確保するということは、言うべくして非常に困難ではないか、こう思うのですが、この点はどうですか。

岩武照彦中小企業庁長官

○岩武政府委員 事業活動の機会を確保いたしますことは、これはやはり異質なものの小売行為、つまり本来の小売業者にあらざるものの小売行為をある程度抑えて、反射的に本来の小売業者の事業活動の機会を確保しよう、こういうことであります。ただ先ほど申しましたのは、積極的に商業者の計画的な配置というようなことは考えておらないと申したのであります。できておりまする、あるいはこれからできまする小売業者につきましては、これはもちろん金融の問題あるいは税の問題等につきまして、十分なる配慮をするのが当然でございます。税の問題につきましても、おそらくこの国会におきまして多年の問題でありました事業税、ことに個人事業税の軽減ということは実現するだろうと思う。もちろん十分じゃないかもしれませんが、何とかして軽減をはかって、零細な小売業者の経営活動を保護して参りたいと思っております。また金融等につきましても、これは組織のものにつきましては商工組合中央金庫、あるいは特殊のものにつきましては中小企業金融公庫、あるいは国民金融公庫等の方法によりまして、また市中のその専門の金融機関等によりまして、十分とは申せませんでも、できるだけ金融円滑の措置はとりたいと思っております。現にまたそういう方向で、これらの金融機関も動いております。ただいかんせん、何と申しますか、先ほど来申しましたように、比較的簡単に事業を開始できますものですから、十分な経験のない人、それにいわゆる適当な才能のない方が始められて、うまくいかない場合も若干あるだろうと思います。そういうことで、百何万ございましたかの全部の小売商に漏れなく十分な手を打つということはあるいはむずかしいかと思いますが、できるだけ広い範囲におきまして、政府の保護助長の手を加えて参りたいと思っております。

小林正美日本社会党

○小林(正)委員 今あなたの言われた全国の小売業者の数をどのくらいに押えていくかということは、今としては考えておらない、これはあなたの御説明で一応了解するのです。ただここでお尋ねしたいのは、しからばとにかくあるままにほうっておくということで、果して中小企業庁長官において現在の日本の国の中にあるところの小売業者の実態をつかめておるかどうか、極端な言い方をすれば、どういう商売をやっておるものが何軒あるか、その商売に一体何人の者が勤務しておるかというような、そういった詳しい小売業者のデータが、今直ちにここで皆さんに説明できるかどうか、お尋ねしたい。

岩武照彦中小企業庁長官

○岩武政府委員 小売商につきましてのある種のデータ、これは二年に一回ほど商業統計調査を行なっておりまして、ある程度のデータはそろえております。ただ、これは一応の統計調査でございまして、経営の内容やその特質等にわたりました具体的なものでございませんので、商業関係の対策を樹立する上におきまして若干不備もございますが、実は明年度商業関係の基本調査を大規模に行いたいと考えております。その関係の予算も目下要求中でございます。先年行いました主業関係の基本調査に引き続きまして、商業関係につきましても、こういうふうな中小企業対策に合いまするようなデータを得る目的で基本調査を行いたいと思っておりますが、その結果を得まするのを待つまでもなく、先ほど来申し上げましたように各種の対策を講じて参ることは、これは当然でございます。ただ、われわれが一番心配しておりまするのは、小売商と、もう一つはサービス業者の問題でございます。この二つの問題が中小企業対策全般の系列から見まして、比較的おくれているということは御指摘の通りでございます。さりとて、つとにわれわれ経済官庁が考えておりまするような経営面の指導、あるいは税、金融等を通じまする負担の軽減、あるいは助長、あるいは組織活動、これだけでは完全な対策にならぬことは御指摘の通りでございます。さりとて、その問題を根本的に解決するということは、経済全般の基礎の拡大の問題もございましょうし、あるいは雇用政策の充実等の関係もございまして、一中小企業庁だけではなかなかできないことは、先ほど申し上げた通りであります。

小林正美日本社会党

○小林(正)委員 今長官は、中小企業問題については、企業診断に重点を置いてやっていると言われたわけでありまして、これは私も賛成でありますが、ただ問題は、個々の商店の企業診断だけをどんなにりっぱにやってのけたって、それは何もならぬと思うのです。大事なことは、今日本の商業者が一番苦しんでいる問題が、何といっても過当競争であるとするならば、やはり日本全体の商業人口のあり方ということについてもっとメスを加えて、十分な日本全体の企業診断を行わないと、これはとんでもない間違いにならないか。かりに病人にしましても、ある一人の子供が肺結核になった。その肺結核の患者に対して適当な治療を行うだけではいかぬ。なぜ肺結核患者が生じたかというその生活条件とか、その環境の中で考えていかないと、幾らよい薬を飲ましてもだめだ。そういうことと同じではないかと思う。そこで私はこの際長官にお尋ねしたいのですが、私は、やはり場当り策でないところの恒久的な、しっかりした小売商の対策を立てなければならぬという現在の段階において、まずわれわれが一番最初にしなければならないのは、小売商の実態を把握しなければならないのじゃないかと思う。小売商の実態の把握なくして、私は商業対策はあり得ないと思う。そこでそうなると、私は一日も早く登録制というものをしいて、戦後雨後のタケノコのように、あるいはまた、はきだめのウジ虫のようにめちゃくちゃにふえていくという小売商のほんとうの姿を、数字の上で的確に、少くとも中小企業庁はつかまなければいかぬじゃないかと思う。小売商対策のまず第一のよりどころとして、私は登録制を実施することが必要ではないかと思うのだが、この点について長官の御意見を承わりたい。

岩武照彦中小企業庁長官

○岩武政府委員 小売商の実態の把握につきましては、私どもの意見としましては、登録制よりもむしろ立ち入った統計調査の方がいいんじゃないかと思っております。と申しますのは、登録関係だけでは、ただどこにどういう店があるという程度にすぎないと思いますので、やはり問題は経営の内容特質等に立ち入った調査が必要だと思いますので、これはお話でございますが、私の方では登録よりもむしろ基本的な、あるいは立ち入った統計調査の方が必要だろうと思っております。それともう一つは、御指摘のような登録制度でございますと、御承知のように実は小売商関係は、新規開業、転業等が非常にたくさんございますので、なかなかそのトレースが大へんなようでございます。出先機関におきます登録事務の煩雑等がまた相当多くなりますので、そういうことはいかがかと思いますが、実はその関係の手数あるいは費用等が、それによって得られる効果よりもはるかに大きいものがあるようでございます。なかなか出先の機関におきましては登録制の実施につきまして、まだ十分な理解等もむずかしいようでございます。のみならず、登録ということは、御指摘のような趣旨でございますが、半面といたしますと、何かこれを基礎にしまして政府の方で制限的な措置をとるんじゃないかというような誤解も生みまして、かえって権利をとっておこうというような逆の現象が生ずるおそれもございます。私どもといたしましては登録制の御趣旨はわかりますが、それよりもむしろ立ち入った基本調査の方が小売商の経営の実態をつかむのには、手っとり早いんじゃないかと思っております。その意味で登録制の問題はこの法案にも採用しておらないわけであります。

小林正美日本社会党

○小林(正)委員 今あなたの答弁によると、もしそういうことをやったら、かえって業者がいやがるんじゃないかということでございましたが、少くとも今全国の小売業者は、打って一丸となって小売業者の登録制を強く要望しておる。やはりこの際あなたは耳を傾ける必要があるんじゃないかと思う。さらにこの登録制よりも大事なのは基本的な調査である、こうおっしゃる。私もそうだと思う。もしそうだとするならば、両方やったらどうですか。小売商の希望している登録制を実施して、さらにあなたが言われる基本調査をやられれば、ここに日本の明確な小売業者の実態が浮き彫りされるのではないか。あなたはなぜ登録制をことさらに回避されようとするのか、もう一度伺いたい。

岩武照彦中小企業庁長官

○岩武政府委員 私が申し上げたのは、登録だけでは実態がわからないということを申し上げたわけでございます。と申しますのは、登録制であると、何丁目何番地にどういう店があるということよりあまり深く入れないのじゃないかと思います。小売商の一番の問題は、店舗の規模、大きさ、仕入れの金額、売上金額、投下資本の回転状況、あるいは借入金の状況というふうな経営の中身のことが、実は一番大切でございます。店の数あるいはその分布状態ということは、必要でないとは申しませんけれども、むしろ先ほど申しましたような経営の実態をつかむ方が、われわれが小売商対策を考える上におきまして一番必要じゃないかと思っております。両方併用ということよりも、基本調査の方が大事でないかという工合に申し上げたのであります。

小林正美日本社会党

○小林(正)委員 どうも少しあなたはこだわっておられると思う。日本人の実態を知るためには、われわれはちゃんと戸籍を持っておるわけですね。個人の名前は全部役場に登録されて、そこで初めて男が何人、女が何人、幾つの子供が何人おるかということがわかるのです。ですから、これは実態調査をする前提条件として当然必要なことだと思う。どうもあなたはまだその点については十分な御理解をお持ちになっておらぬようでありますから、これ以上この問題で話をしても始まらぬと思いますので、その次に進めたいと思いますが、現在日本の小売業者が登録制を非常に強く要望しておるということだけは、あなたは記憶にとどめておかれないと、実態調査、実態調査といって、登録制を前提としない実態調査というものが果してあり得るのかどうか。これはもう少し勉強してほしいと思う。  その次に私がお尋ねしたいのは、第五条以下にしるされておるところの、小売市場の規定の問題ですが、政府の考えておるところは、およそ的はずれなものであると言いたい。なるほど世の中には、弱い者いじめの悪い人間が非常に多くおりまして、町のボスなどの連中が高い権利金や家賃で暴利をむさぼって、そのために小売業者を泣かせておる例は少しとしない。それに対する取締りも私は大いに必要であると思う。しかしながら、ここでも一つあなた方に考えていただきたいことは、今小売業者が一体何を望んでおるかということです。小売業者が真に国会に法の取締りを望んでおるものは、実はそのほかにある。そのほかとは何か。すなわち神戸、大阪、名古屋、横浜、札幌などにおいて、小売市場が現在もうどんどんと乱立しておる。そのために市場の相互間とか、あるいはまた市場対小売商との間に、実に見るに忍びないような過当競争が現在行われておる。市場内はもちろん、その周辺の小売商が非常に経営の困難に現在あえいでおるということは、私たちは十分知らなければならぬと思うのであります。この過当競争を防ぐためには、その新設、増設を許可制にしてほしいと現在小売業者は叫んでおる。しかるに何ぞや、この点には政府の原案というものは少しも触れておらない。小売商業特別措置法の第五条以下の関係条文は、一体何をうたっておるのかと私は言いたい。法律みずからがきわめて親切丁寧に店舗の賃貸しの仲介人に成り下ったような感じを私は持つ。この点についてあなたのお考えをお伺いしたい。

岩武照彦中小企業庁長官

○岩武政府委員 われわれの原案の趣旨は若干お説のところと違っておりまして、小売市場が五大市で乱設される原因は何だろうかというところから始まったわけであります。そう考えてみますと、市場の開設者、つまり市場という建物を賃貸しておる業者が、何か市場をたくさん新しく作った方が利益があるのではないか。そのために各地で非常に乱立する傾向を持つのではないか。現に同じ人が市場を五つも六つも持っておるのを聞いておるわけでありますが、それを分析して参りますと、利益ということは、結局権利金をかなり取って建物を建てるとか、あるいは、貸付料等において、中に入っておる小売商に、かなり過酷とまで申しませんでも、不利な条件でやっておるということから、そういうふうな市場を作ろうという動機になっておりますものを抑えようというのであります。この法律によりますれば権利金の微取は認められておりませんし、またよくありますが、売り上げの五%というふうな取り方の貸付金等は認めないというふうなことで、できるだけ中に入っておる小売商の地位を擁護しよう、こういう考えであります。反面から言いますれば、小売市場の開設者つまり賃貸業者にとっては、あるいはこれは不利な法律かもしれません。われわれの方といたしましては、中に入っておる小売商のことを考えるのが一つの問題ではないかと思います。もう一つ言いますれば、そういうふうな中に入っておる小売商をいわばいじめて、たくさん小売市場を作るということは困ることじゃないか、こう思っております。そういうふうな小売市場を作るという動機になっておりますところを抑えよう、こういうわけであります。

小林正美日本社会党

○小林(正)委員 その点もだいぶ私どもと考え方が違うのでありまして、私は長官に一つ申し上げたいのは、この市場というのは市民の生活に直接影響するところが非常に多い。特に考えなければならぬことは、市場というのはわれわれが生きていくためにほとんどその日の必要な食べものを扱っている。そういうようなことを考えたときに、その市場を経営する者とそこに入る小売業者との間にさえ、そういった極端な搾取関係がなければ幾ら認めてもいいというようなことでどんどん市場ができますと、なるほどその中に入っておる小売業者と市場経営者の間のトラブルは起らぬといたしましても、結局市場間市場、市場と小売業者との間に非常な過当競争が起りまして、悪いものを高い値段で売らなければやっていけぬことになってしまう。あるいは腐りかかった食べものを販売しなければ結局経営ができなくなってしまうというような非常な危険をかもし出すようなおそれがあるんじゃないか、私はそういう点を憂えるわけであります。  そこで私の言いたいのは、第七条が一から六までいろいろあげておりますが、その貸付契約の内容というものをよく調べてみると、周辺の小売業者との過当競争を未然に防ごうというような文句は遺憾ながら一言半句も載っていない。きわめて親切丁寧に、市場の所有者と小売業者との間の契約の関係を規定しておる、こういうような法文であろうと私は考えますので、この点をあなたにお願いしたいのだけれども、現在業者が騒いでおる。たとえば神戸で騒いでおる。大阪で騒いでおる。名古屋で騒いでおる。これはその市場の所有者と市場の中で店を出しておるところの連中のトラブルじゃない。市場がどんどん乱立し、その市場の中でのお互いの競争、あるいは周辺の小売業者との間のトラブルが起るからこれを何とかしてくれというのが、そもそもこの市場に対するいろいろの法律を作ってほしいという小売業者の声じゃないかと私は思う。ところがそういう点については、少しも当局の原案というものは考えていらっしゃらない。小売業者は今腹が減っておる。腹が減ったから泣いておる。そんなときにおもちゃであやしたり、紙芝居を見せて、それで一体何になる。問題の中心をばかさぬでほしいと思う。こんなことで小売業者はごまかされやしない。政府はもっと真剣に、しかも謙虚に、一体小売業者は何を考えておるのか、何を要求しておるのか、こういった点について、なぜもっとほんとうに業者の血の叫びをあなた方は聞こうとなさらないのか、その点についてもう少し私はお考えを承わりたい。

岩武照彦中小企業庁長官

○岩武政府委員 御指摘のところは市場開設者の声かと思いますが、中に入っておる小売商は、むしろこういうふうな適正な貸付金で行われることを期待するだろうと思います。市場の開設者は反対に、政府案ですと今後の拡張、新設、増設の余地はございませんので、かなり反対するのじゃないかと思っております。私たちは中に入っておる人の声も十分聞きたいと思っております。ただこういうふうに権利金を規定し、あるいは歩合制による家賃等を規定いたしました場合に、適正な貸付金だけで今後小売市場が乱設されるのではないかというお話がございましたが、私はそうでないと思う。権利金が取れなくなりあるいは売上歩合による家賃が取れなくなり、かつ家賃自身もかなり押えられるということになりますれば、今後小売市場を作ろうという意欲を持っている人も減ってくるのではないかと思う。だからわれわれといたしましては、乱設防止ということを表面から規定いたしませんでも、こういうふうなやり方によって小売市場の今後の乱設は防げるだろうと思っております。理想的に申しますれば、この相互間の距離あるいは付近におきます所帯数等から考えまして、計画的に配置するのがほんとうかもしれませんが、そこまではなかなか現在の態勢では参りません。このような経済的な増設の動機を押えることによりまして、大体所期の目的を速成できるだろうと思います。

小林正美日本社会党

○小林(正)委員 私はあなたの方の原案が間違っておると言うのではないのですよ。これはこれでいいと思う。ただ一番大事なことを抜けさしておるということなんです。先ほどあなたの言われた商業人の実態調査と私の言う登録制の問題を併用したらどうかと私は申し上げたい。それと同じように、今度の場合でも、あなた方の考えられるようなこういうような一つの規制の仕方ももちつろん必要である。しかしながら同時にそれ以上必要なことは、やはり市場が乱設されることを防止するために、ストレートの一つの法律を作るべきではないか、こういうふうなことを私は申し上げたい。この点も少しあなたの考え方と違いますが、私はあくまでこの点については、社会党の原案について両方兼ね行わなければ、ほんとうに市場問題の解決はつかない、かように考えるわけであります。その次に、第十五条以下の関係条文にいってお尋ねをいたしたいのであります。製造業者または卸売業者が小売を兼業する問題について一つ十分に考えてみたいと思います。政府案によりますと、製造業者または卸売業者が、小売商との間に紛争を起した場合に、都道府県知事があっせんまたは調停を行うということになっております。さらに、その紛争解決のためには、主務大臣において勧告ができるという工合にもなっております。しかしこの一連の考え方には、その中に私は多くの危険をはらんでおるのではないかということを心配するのであります。なぜなれば、問題の処理を大臣や都道府県知事にゆだねるという行き方に私は問題があるのではないかと思う。なぜなれば、これは勢い扱いがきわめて官僚的、独善的あるいは権力的な形となって現われるであろうということを僕らは心配するわけでありますが、そういう点について長官どのようにお考えになりますか。

岩武照彦中小企業庁長官

○岩武政府委員 これはやり方の問題であろうと思いますが、御指摘のような、政府機関あるいは地方団体の一方的なことがあってはいけませんので、場合によりましては調停というような制度を設けたのであります。第三者によります公平なあるいは実情に即した解決をはかりたいという意味で、調停制度を設けております。この問題は調停の問題でありますので、通産大臣が勧告されます場合、あるいは都道府県知事が勧告調停を行います場合の心がけにつきましては、これは御指摘のようなことのないように十分気をつけなければいかぬと思っております。

小林正美日本社会党

○小林(正)委員 今、調停員の話が出たのですが、そこでお聞きしなければならぬと思うのですが、第十六条にいう知事の委嘱する三人ないし五人の調停員、私はここにも非常な問題があると思う。それは、公益を代表する者及び当該紛争の当事者の事業に関して学識経験のある者という工合になっております。しかしこれはきわめてばく然たる規定となっておりまして、この点は私は非常に大きな危険を中に含んでおるのではないかと思うわけです。大体これまで政府や都道府県知事の委嘱するところのどんな委員会の委員も、もしその問題の利害関係人の人数とか比率までも明確に規定した上で選ばれたものでない限りにおきましては、いつの場合言でも必ずといってよいくらい有力者、ボスすなわち比較的大企業の経営者か、その縁故者が委員の委嘱を受けることは、今日までしばしば私たちがいやというほど体験させられてきた過去の事実であります。大体私はしゃくにさわるのは学識経験者という言葉であります。最近は学識経験者という言葉が非常によく使われておりますが、これはもっと極端に言うならば学識経験業なのです。こういう学識経験業者というものほど時の為政者にとって都合のよい代弁者は私はほかにないと思う。ここにもまた弱き者、すなわち小売業者の声が正しく行政の上に反映されないままに泣き寝入りをしいられてしまうような結果を招くのではなかろうかということを、私は心から憂うる次第であります。公正にしてかつ適正な問題の解決を期するために、果してこのような政府の考えておる調停員でいいのかどうか。少くとも小売業者の代表あるいは消費者の代表というものをはっきりと比率をきめて、そうして商業調整審議会というようなものを設けて審議をしなければ審議の公正を期しがたいのではないか。相変らず学識経験業者を選んで、あなた方の代弁者として政府の考えておる、そういう都合のいいような結論を引き出そうとするのかどうか。その点もう一度お伺いしたい。

岩武照彦中小企業庁長官

○岩武政府委員 学識経験ある者というのは最近の法律用語でございまして、今御指摘のような公平な人を選ぶというときの一つのきまり文句でございます。この中身につきましては、御指摘のように大企業の方に関係のあるような人に小売商業のことを調停してもらうという気持は全然ございません。そういうことはないように十分注意したいと思います。これは特にこの法律施行におきましては、都道府県知事にわれわれの方も施行に関しまするいろいろな通牒を出すわけでありますが、そのうちにもこの問題につきましては、そういう御指摘のような疑惑を生じないように十分注意するつもりでございます。審議会の案がちょうど小売商業調整法案の方に出ておりまするが、これは若干意見の相違かと思いまするが、普通審議会と申しますると、両方集まって案件について議論を戦わす。そうしてこの結論を設置者に対して答申するという一つの諮問機関が通常でございます。こういうふうな具体的なケスを片づける問題は、そういうふうな討論の場ではなくて、むしろじっくり両方の言い分を聞いて話を落ちつかせて、そうして解決をはかる。そういうことになりますと、審議会みたいな大きな組織よりも調停という形で、じっくりやった方が効果をあげるだろうと思います。あえて審議会がいかぬとは申しませんが、政府案で調停という制度を設けましたのは今申し上げたような趣旨でございます。どの業界から何者というふうなことは、これはわれわれも施行の際の通牒等におきまして、御指摘のような点も含めまして十分考えたいと思います。ただ消費者代表というようなものは必要と思いますが、うまく選ばれるかどうかということが一応問題となると思います。できるだけ公平に物事を見る人を選びたいと思っております。

小林正美日本社会党

○小林(正)委員 今の答弁の中に、調停員の中に小売業者の立場を代表する人を入れることについて考慮するという御答弁がありましたので、一応私も了承するわけでありますが、しかしながらどうもこういった調停員というような形でございますと、長官の気持が正しく末端にしばしば反映しない場合が多い。だからこれはあくまでも社会党案のような商業調整審議会を設けて、はっきり比率をきめて、法律の上で明示して、そうして下の方におろしていかないと、結局は非常な間違いを起すことになりはせぬかということを私はおそれるのであります。先ほど来長官の御答弁を承わっておりますと、まだ中小企業庁の長官に御就任になってから間もありませんし、あまり自信もないような御答弁で、これ以上私は追及したくないのでありますが、あなたにお尋ねしますが、あなたは手形をお書きになったことはありますか。

岩武照彦中小企業庁長官

○岩武政府委員 手形のような商行為を行なったことはございません。

小林正美日本社会党

○小林(正)委員 私はいつも思うのですが、少くとも中小企業庁長官なんかは、一ぺん野に帰ってほんとうに自分で商店を経営して、前だれをかけて、いらっしゃいませといって、朝から晩までやってみて、初めて中小業者の気持がわかると思う。私は終戦までは実は国策会社におりまして比較的恵まれた地位にあったのですが、終戦後引き揚げて参りまして商店の経営を現在十何年やっております。何が苦しいといったって、手形を切ってその期日に手形を落すまでの努力というものは容易なものではありません。ほんとうにつらい。私は代議士になるために総選挙で戦いましたが、ほんとうに選挙で当選するくらいの苦しさを、業者というものは毎日々々手形を落すために苦労しておる。あなたは長官の部屋でソファーに腰かけておって、そんなことでは私は業者の気持はわからぬと思う。だからあなたは少くとも中小企業問題を論じようと思ったら、ほんとうに一ぺん業者の気持になって、業者の中に入っていって、もっと真剣に取り組んで勉強してほしいと思う。ただ学問で、デスク・ワークでもってこんな問題を解決しようと思ったら大きな間違いなんです。あなたの体験、あなたの足で中小企業問題を解決してほしい。たとえば百貨店の月賦販売の問題、これはずいぶんやかましくいわれておりました。一体どういうことになったのか、何も結果は現われてこぬじゃありませんか。スーパー・マーケット問の題、一言半句もあなたの原案のうちに入っておらぬじゃありませんか。こういうことを私たちが考えたときに、こんなことをここであなたに言っても始まらぬが、少くとも手形の苦労を知っている者が中小企業庁の長官にならなかったら、手形の切り方もわからぬような者が、中小企業庁の長官でございますというようなことでは、あまりえらそうな顔はできぬと思う。私はきょうはこれ以上言いませんが、まあ手形用紙をごらん下さい。手形用紙をあなたのところに持っていって、これを書いて下さいといってもよう書けぬと思う。番号を入れて、支払い場所を書いて、あれはできませんよ。そういうこともよく勉強して、たとえばあと五日たったら二十五万円の手形を落さなければならぬというときの業者の苦しみ、売り上げが伴ってこない、どうしても八万円足らぬというときに、朝から自転車でかけずり回っておる姿、こういう姿をあなたがよく御認識にならぬと中小企業問題は解決できない、血の通った政治というものはできぬと思う。一そうの御勉強を特に希望しまして、私の質問を打ち切ります。

長谷川四郎自由民主党

○長谷川委員長 松平忠久君。

松平忠久日本社会党

○松平委員 若干時間があるようですから中小企業庁の長官にこの際お伺いしたいと思います。  今来年度の予算折衝が始まっておるのでありますが、中小企業関係の予算折衝の段階において今日まで中小企業庁の要求されておる項目並びに金額並びにその折衝の状況を、この際ここで時間の許す限り一つ御発表願いたいと思います。

岩武照彦中小企業庁長官

○岩武政府委員 せっかくのお話でございますので本席を借りまして、目下要求中の中小企業庁関係の予算の概要を申し上げて御協力を得たいと思います。  重要な項目について申し上げまするが、一般会計におきまして特に力を入れておりまするのは設備近代化の補助金の問題でございます。これは三十三年度予算に六億円計上されておりまするが、この補助金につきましていろいろ実行上の問題といたしまして、会計検査院並びに大蔵省方面で若干の誤解もあるようでございまするので、この際設備の近代化の制度を立て直してやりたいと思っております。中央で重要な中小企業関係の輸出雇業あるいは基礎産業等につきまして業種を指定いたしまして、それについて近代化の長期の計画を立てようという考え方でございます。今までも業種を指定しておりまするし、ある種の設備近代化の目標を持っておりましたが、これをもう少し具体的にきめよう、そのねらいとしましては、最近御承知のように東南アジア諸国におきまする工業化、経済開発の結果、ある程度の雑貨、軽工業品等がかなり生産されつつあるようであります。勢いある程度日本の輸出市場も狭まらざるを得なりいような状況に加えまして、有力な競争国——中国でありますとか、あるいは香港でありますとかいう方面から日本の輸出市場に競争をいどまれておる。そういうことで日本の中小企業の製品ももう少し新しいデザイン、高度の性能、品質等を持ったものにレベル・アップいたしませんと、こういう輸出競争並びに需給下の影響を受けて、将来はかなり困難になりやせぬかと思うのでございます。この際中小企業の設備を近代化いたしまして、あとで申し上げまするが、府県市等の公設の研究機関によりまする技術指導と合せまして体質の改善、レベル・アップをはかりたい、こういう考えでございます。そういうことで少し見当をはっきりさせまして、なお内容も計画的に行なって、何といいまするか中小企業の体質改善の一翼をになわせようと思っております。  御参考までに申し上げますると、本年度は国の補助金六億円、これに府県が六億円負担いたしまして、それからすでに貸し付けておりまするものの返って参ります金が三億五千万円、合せまして十五億五千万円の貸付を行なっております。これが大体三分の一の貸付率でございますから、現実の設備近代化の投入額は四十六億程度になる見込みでございますが、明年度は貸付率も今このような三分の一ではなかなか中小企業者の負担も多いわけでございまするから、これを二分の一まで引き上げたいと思っております。  それから国と都道府県との負担の割合でございますが、これもでき得れば国の方の負担を多くして、都道府県の財政に影響を与えることを少くしたいという考え方を持っております。そういうふうなことでございまして、今年度は国からの要求を大幅に減らしたいと思いまして、金額といたしましては一応四十億円程度を要求中でございます。そういたしましてわれわれの計算通りになりますれば、大体本年度は返って参ります金も五億二千万円程度ありますから、合計いたしますと百三十億程度の設備の近代化が行われるのではないかと思っております。これは予算の金額のことでもございますのでまだ予断は許しませんが、一応この制度の考え方を若干しぼって考えたいとうことを申し上げたわけであります。  その次に一般会計といたしましては今年設立されました中小企業信用保険公庫に対しまする出資金を増額いたしたいと思っております。これは今年度融資基金といたしまして二十億、保険基金として六十五億、合計八十五億出資をいたしております。実情を申し上げますると融資基金二十億の方は、そのまま低利長期な条件で五十二の信用保証協会に貸し付けております。その貸付の利幅によりまして保証料を引き下げさす。大体正平均一割は下っております。それからもう一つは保証をとりますワクをふやす。なおこの信用保証協会に貸し付けました金を、さらに地方の金融機関に預託しまする結果、それだけ中小企業金融の金がふえるわけであります。いわば一石三鳥の役割をしているのがこの融資基金でありまして、本年も引き続きまして二十億ほど出資してさらに保証料の高いところを引き下げて参りたいと思っております。現在平均しまして大体二分一厘ないし二厘くらいでございますが、中にはだいぶ高いのもございまりすので、これも少し下げてもらいたいと思っております。同時に、大体二十億といたしますと保証のワクが三百億程度よけい保証がとれるのであります。これは一石三鳥にもなりますのでぜひ実現したいと思っております。それから保険基金の方は最近操短基金その他等によりまして、若干まとまった団体融資がふえておりまして、商工中金あたりから方々の組合等に対しまして、かなりまとまったそういうつなぎ資金を出しておりますが、それを保険でカバーする必要もありますので、保険基金の方も少しふやしたいと思っております。そうして保険基金に出資いたしまする結果、そういうような新しい保険の制度を創設いたしますると同時に、その利幅を利用いたしまして保険料も下げたいと思っております。ただこれは御承知のように保証保険にはいろいろ種類がございますが、特に保険料の高い第二種の包括保険の保険料を引き下げたいと思っております。これもしかしこういうふうな基金の出資が少いとできませんので、実現したいと思っております。  その次に都道府県や市のやっておりまする各種の試験機関、研究所、指導所等につきまして、今年度も補助金を出しまして設備の近代化、改善を行わせておりますが、都道府県のこれらの機関は第一線の技術機関としまして、日常中小企業者と非常に接触が深く、いろいろ新しいアイデアあるいはやり方等を中小企業者に積極的に普及しておりますので、さらにこういう仕事を行わせまするために、明年度も引き続きましてこれらの機関に技術設備の改善、それから技術指導員の設置、それから中小企業の技術者の再訓練、この辺の仕事を行わせたいと思いまして、一億八千万円余りの予算を要求しております。先日も大阪に参りましていろいろ実情を見て参りましたが、中小企業者の利用率が非常に高いようであります。われわれのねらっておったこともむだでなかったと思っておりますが、この技術指導の問題は先ほど申しました設備の近代化とうらはらになりまして、中小企業者の体質の改善に大きく役立つだろうと思っております。  それからずっと行なっておりまする先ほどもお話のございました診断事業でございます。これは本年度一億円弱の予算を計上しておりますが、明年はさらに診断員を若干ふやす。それから補助率等も合理的なものに改めたいと思っております。これも一億六千万円余り要求しております。  それから相談所の仕事でございまするが、これも現有全国に五百余りの相談所がありまして仕事をやっておりますが、中には財政上非常に困難になっておる相談所もありまするし、あるいは人が足らぬのでどうもうまく相談の仕事に応じていけないというのもございますので、これも相談所の内容を充実したいと思っています。補助対象の相談所の数も少しふえております。  それから輸出振興の関係でございますが、これも先年以来輸出品の試作の補助金あるいは技術研究所の補助金等きわめてわずかでございますが、三千万円余り計上しております。本年度はこの仕事をふやしまするほかに、特産品の輸出という問題を積極的に取り上げまして、今まで日本に隠れておる特産品でアメリカ、ヨーロッパその他の方面の嗜好に合いまするようなものを輸出いたしまして、これをジェトロを通じて積極的に海外に宣伝し、売りさばきたいと思っています。御承知のように特産品の仕事は先方の好みに合うかどうかという一つの問題がありまするので、この辺につきましては専門のデザイナー等も今年もアメリカから呼びましたが、こういうふうな専門家の目で見たものを選ぶということと、それからもう一つは先方におきまする売り込みの努力を十分させませんと、普通の商品みたいにただカタログなり、あるいは普通の規格の注文で物が売れるというものではございませんし、また展示場に展示しておけば自然にお客がつくというものでもございませんし、積極的に足を棒にして売り込んで参るという努力も要るようでございますから、これはまず手始めにジェトロ等町の機構を通じてやりいたと思っております。  その次に、これは明年度新しい仕事でございますが、先ほどお話しがございました中小商業の基本調査を明年度行いたいと思っています。これは商業問題が漸次重要性を加えて参りますので、経営の内容その他のことにつきまして、中小企業政策に合いまするような調査をいたしたい。昨年行いました中小工業の方の基本調査は集計がだんだん進みまして、来月の下句には多分第一巻が出ると思っております。いろいろ各方面に期待されておりますが、明年度は引き続きまして商業の方を行いたいと思っております。  それからその次は全国及び都道府県の中央会の事業補助で、今年度五千万円計上しておりますが、明年度はさらに補助対象になります事業をふやしまして、労働関係の問題につきましても、もう少し中央会等におきまして積極的に指導して参りたいと思っております。御承知のように最低賃金法あるいは退職共済金等の制度もだんだんと整備される方向にございますし、また労働組合運動等も各地で中小企業界にも浸透して参っております。中小企業者が今までのような労働関係の問題につきまして関心が薄いということでは、今後の健全な経営はできませんので、ぜひそういう問題についての指導を充実したいと思っております。  それからちょっとお話が前後いたして恐縮でございますが、協同組合の共同施設の補助でございます。これも本年度一億円計上しておりますが、明年度もいろいろ製造工業方面あるいは商業方面につきましても、かなり共同施設設置の要望がございますので、この補助金はぜひ明年度も続けて参りたいと思っております。  財政投融資といたしましては、これは大きな数字でございまするが、第一番目は商工組合中央金庫の金利引き下げの問題でございます。これは御承知のように、中金の金利は現在短期のものつまり一年未満のものが日歩二銭六厘五毛でございます。それから一年ないし二年のものは一割でございます。二年以上のものが年一割五厘、ほかの政府機関に比べますとかなり高い金利でございますが、そのほかに転貸手数料等が加算されますし、また保証等をつけまする場合には、先ほど申しました保証協会の保証料等がこれに加算されますので、末端におきましてはかなり高い金利になります。これは前々から国会方面でもいろいろ御指摘をいただいておりましたが、何せこの中金の資金調達のもとが、御承知のように大部分七割までが商工債券の発行によるものでございます。しかも市中の引き受けによりますものがかなり多いのでございます。そうしますと、どうしても発行者の負担が七分前後になりますので、コストは非常に高くなる。また預金の方もそう簡単に中小企業者から集まる状況ではございませんので、この際政府から大幅な出資を行いまして、無利子の資金によりまして金利を下げたいと思いまして、明年度三十億の出資を要求しております。三十億の出資を入れますと、大体先ほど申しました長期のものがなべまして九分八厘程度になるものと思います。短期のものが二銭六厘、これは下げる幅が低うございますが、大体その程度に下げたいと思っております。一番力を入れてやっております。  それから債券の引き受け、これは資金運用部で利付及び割引の商工債券の引き受けをいたしておりますが、これは資金需要もかなりふえて参りますので、九十億程度必要かということで要求しております。  中小金融公庫の方でございますが、この公庫の方の引き下げの問題は、積極的な政府出資を大幅に行わなくても、貸出準備金の処理等によりまして、若干下げられる見込みでございますので、そのためには特別な手当はいたしませんが、むしろ明年は資金運用部から借りておる金を返済するのが非常にふえて参ります。今年度よりも七十億程度償還期限が来るのがふえております。従って借りかえになりますが、借りかえの元を、運用部から来ます金を、本年は二百九十五億ですが、これを少くとも三百九十億程度入れませんと、実は貸付の元が本年に比べてあまりふえないことになりますので、この際この融資の増額はぜひ実現したいと思っております。  それから、これは直接中小企業庁の監督下にはございませんが、中小企業対策と非常に関係のあります国民金融公庫の問題であります。実は国民金融公庫の資金需要の様子を見ておりますと、非常に申し込みが多くてそれに応ずる資金にいつも苦しんでおるようでございますので、来年は融資、つまり運用部からの借り入れを、本年度に比べまして百十億程度ふやしまして三百六十三億というふうに要求しております。これは主として一般貸付の方に回る金でございます。そのほかに御承知のように国民金融公庫では、恩給担保貸付でありますとか、あるいは帰還者の引き揚げ資金の貸付というような特別貸付の制度、これは年六分の金利でございまして、これは相当回っておりまするが、実はその方の年六分という貸し出し金利を維持しまするための原資といたしまして、五十億余りの出資を要求しております。  大体以上が財政投融資のおもな項目でございますが、御承知のように財政投融資は資金運用部の原資が足りないとか、あるいは産業投資特別会計の方からの出資源がどうも少いとかいうようなことで、かなり難航するようでございますが、ぜひ一つ皆さん方の御協力によりまして実現したいと考えております。よろしくお願いいたします。     —————————————

長谷川四郎自由民主党

○長谷川委員長 この際、新潟県下における天然ガス採掘に関する問題について発言を求められておりますので、これを許可いたします。櫻井奎夫君。

櫻井奎夫日本社会党

○櫻井委員 私は過般来大きな問題となっております新潟地区における地盤沈下の問題につきまして、特に天然ガスの採掘に関する問題について質問を申し上げたいと思うのであります。  これは過般当委員会にも地元の有志が参られまして、新潟市の沈下の現状については、地域住民の方が直接委員の皆さん方に陳情を申し上げたわけでございます。この地盤沈下は御承知の通りすでに三年前から始まっておりまして、沈下のひどいところは一メートル八十、二メートル近くの沈下をいたしております。年々一日平均一ミリ一分の速度で進行しておるのであります。政府におかれましても、この沈下の現象というものが思ったよりも非常な速度で進行しておる、これは一日も捨てておくわけにいかないということで、復旧の事業は建設省、通産省方面を通じて着々やっていただいておるわけでありますが、しかし沈下は今日一つもとどまっていない。昨年度よりもむしろ今年度においては沈下の速度が進んでおるというのが、今日の事態でございます。これはもちろん地元といたしましても、また国といたしましても、一日も放置することができない重大な問題であろうと思いますが、今年度は特に沈下の状況がひどいので、二十四億の災害に伴う復旧費を要求いたしております。地元はこの二十四億の復旧を、どうしても単独立法をいたしても国庫の方から支出をしていただきたい、こういう要望が強いのでございますが、私は問題はそのような彌縫的な、沈下していく、波浪が入ってくるとか、高波が寄せてくる、こういうのをとどめるために防波堤を築かれたり、かさ上げをするということだけではなくて、やはり今日の沈下をとめる、このことが一番の抜本的な対策であろうと思うのです。従って地元におきましても、また政府におきましても、地盤沈下の原因を究明するためにそれぞれ審議会が置かれておるようでありますが、科学技術庁にもこの審議会が設置されまして、鋭意この原因の究明に今日当っておられるわけであります。しかしまだ確固たる結論に達していないということを、私どもは聞いておるのであります。しかし地元といたしましては、御承知のように昨年度よりさらに急速に下っておるということ、このことはいたずらに学問的究明の結果を待っておるわけにいかない、こういうのが今日の実情であろうと思います。しかももうこれは万人の見るところ、今日沈下の原因の大半は天然ガスの採掘であろうということが一致した意見でございます。これはもちろんほかに付随した原因はあるかもしれませんけれども、このガスの採掘がその有力なる原因である、こういうことは地元ではほぼ——科学的に裏打ちされたものではございませんが、住民の意見でございます。今日一日平均五十万トンの地下水が汲み上げられておる。こういう状況の中で、やはり地盤が沈下していくというのは当然であろうという見方が強いのでございます。従ってやはり私は、このガスの採掘を何とか考慮願うということが、今日の沈下を阻止する大きな対策の一つであろう、こういうふうに考えるわけでございますが、この原因について、今日の段階においてこの審議会においてはどのような結論を出しておるのか、その点をまず科学技術庁の資源局長にお尋ねいたしたいと思います。

黒澤俊一総理府技官(科学技術庁資源局長)

○黒澤説明員 ただいま御質問のございました調査機構につきましてまず申し上げます。  科学技術庁の付属機関に資源調査会というのがございまして、その資源調査会は委員の定員二十名で構成されております。その資源調査会に新潟地盤沈下調査特別委員会というものを設けまして、ただいまその委員長は、科学技術庁の審議官で、資源調査会の委員でございますが、安芸皎一先生がそれを勤めておられます。先日まで私がその委員長をやっていたわけでございますが、行政の方と付属機関である資源調査会ということとあまり混同しても工合が患いと思いましたので、安芸皎一先生にかわっていただいたわけでございます。  それで実は本年の三月からずっと調査を続けておるわけでございますが、簡単に申しますと、まだ最終結論を得る段階に至っておりません。何分にも非常に広範な地域に非常に急激な沈下が見られますので、その沈下の下降そのものを測定するために種々考慮いたしまして、水準測量を反復実施し、それから重力測定をいたしますし、潮位観測をいたしますし、それから地下深く観測井をおろしまして、各深度別の収縮量を調査するというようないろいろなことが各方面で行われておりますので、その観測のデータを総合して結論を出すべくただいま努力中でございます。それでこれは後ほど鉱山局長の方から説明するのがほんとうかとも思いますが、ただいまございます層別観測井は、運輸省が主管いたしますものが二十メートルが二本、それから二百六十メートルが一本、三百八十メートルが一本、六百十メートルが一本、これだけの観測井を置いているわけでございます。それで先日つきました予備金支出の調査費から、さらに運輸省においても千二百メートル一本、それから通産省において、これは深度は大体G5層でございますから、四百ないし六百メートルと思いますが、それが三本おろされることになりまして、ただいまおそらく掘さく中であります。これが動き始めますのは年度内と思われますが、その結果が出て参りましたならば、さらに一そうの観測データがそろいますので、結論が早く出せるようになるんじゃないかと思いますが、ただいまのところでは、運輸省のやっております山ノ下地区だけのデータにつきましていろいろ議論がございますので、もう少しデータを固めていこうということになっております。現在までに得られました観測結果をごくかいつまんで申しますと、沈下の最も激甚なところは、新潟の港口の臨港地帯から先の方でありまして、一日に一・二ミりくらいの沈下が見られております。うしろの方になりますと、だんだんに減っておりますが、一日に一・二ミリと申しますと、年率にいたしまして五十センチをややこえるというところでございます。検潮儀の記録は、日本海の北は酒田港から鼠ケ関、新潟、それからずっと西の方に参りまして柏崎、伏木、これだけの調査をして見ましたところ、新潟だけの潮位が上っているわけでありまして、これは新潟だけの局部的沈降ということになるかと思われます。それから深井戸の抜け上りは、ガス井については今まで数十本の観測をしておりますが、なかなか区々でございまして特に抜け上ったとかいうような顕著な事実は認められておりません。それから重力測定をいたしましたところが、重力測定の結果〇・三ミルバールの電力減少が見られております。この事実をどう解釈するかということにつきましては、ただいま研究中でございます。  次に観測井でございますが、ただいま申し述べました山ノ下地区における観測井は六百十メートルの深さのところで一日に〇・七ミリぐらいの収縮が起っているように観測されております。浅い方にいくに従いましてその収縮量は減少しております。ただいま山ノ下地区だけの観測だけではちょっとデータが不足でございますので、さらに深い千二百メートルの井戸、それから通産省において別の個所に二ヵ所ということでただいま井戸掘さく中ということは、先に申し述べた通りであります。そういうデータが整いましたならば、それで結論に進む段階になるかと思いますが、現在のところはそういうわけでございまして、天然ガスであるというまで、かっちり言うことは、ちょっとまだ時期尚早かという工合になっております。ただし天然ガスでないということを確言するということは無理でございまして、天然ガスにも疑いがございます。ほかの方にも疑いがございますので、それが沈下の役割をどのくらいのパーセント引き受けておるかということをはっきりと見きわめたいと思って、ただいま調査中でございます。

櫻井奎夫日本社会党

○櫻井委員 大体調査会の調査の現段階は了承いたしましたし調査会といたしましては、これは科学的にあくまでも綿密に御調査を願って、確実なデータに聴いた結論を出されるべきであろうと思います。しかし今日この状況は、先ほど申し上げました通り地元の方では寸刻を争うという事態まで来ておるわけです。調査会の方では学問的にこれをりっぱな一つの体系として結論を出したい、こういう気持もわかるわけでありますが、一方現象は、これは大へんな一種の天災でございまして、人命財産、こういうものに関する問題であります。これはもちろん沈下は徐々にしておりますが、これは一たび高潮あるいは暴風雨が来ました場合は、沈下しておるところは今日相当のかさ上げなり、防波堤を作っておりますけれども、台風とか、そういうものの規模いかんによっては、たちまちこれは埋没されるという危険がございます。従ってそこに住居しておるところの市民、こういう人たちが日夜まくらを高うしておるわけにいかないという状態があるわけでございます。こういうことで地元ではやはり結論を持っておるわけにはいかないという声が非常に高い、そこに非常に矛盾したところの事態が生じておるわけでありますが、現在のところこの結論は大体いつごろまでに出るものか、見通し等はいかがでございますか。

黒澤俊一総理府技官(科学技術庁資源局長)

○黒澤説明員 見通しの件について申し上げますが、従来他の地域におきまして地盤沈下が起ったことが、現在も続いておるわけでございますが、大阪あるいは尼崎、東京というようなところで沈下が起っております。これの原因につきまして現在まだ完全な定説というところまではないのでございまして、おそらく地下水くみ上げの過剰であろうということが大体言われておりますが、一、二それに対しての反論をしている学者もあるように聞いております。この新潟の場合には従来の東京、大阪、尼崎というようなところと違いまして、地下水をくみ上げております深さが六百メートルというように非常に深いところでございますので、これの機構を究明して完全なる定説ということにするまでには相当の期間がかかると思いますが、ただしそれを待っているというのでは何年かかるかわからないというようなことでは困りますので、なるべく早くただいまも申し上げました資源調査会、新潟地盤沈下特別委員会の方で中間報告でも出そうかということを、よりより協議中でございますが、それにはただいま申し上げましたように、もう少し資料を集めてからということになっております。大体ただいま掘さく中の井戸が年度内に完成する予定でございますので、それが少し動きましてその記録がとれましたならば、資源調査会の方から結論と申しますか、少くとも中間報告くらいのものが出てくるのではないかと存じておりますが、これにつきましては資源調査会の方でございますので、行政的に出してくれと申しましても、学者の全部がそういう意見に一致する段階にいかなくても出してくれということは、私の方からは申しますが、出せという命令をするわけには参りませんので、あちらの方の委員長の安芸先生の御意思を私個人的には伺っておりますが、なるべく早く出したいと言っておられますが、まあ年内というようなことにはちょっといかないかと存じます。

櫻井奎夫日本社会党

○櫻井委員 大体局長さんの御意向もわかりましたけれども、実は地元は中間報告の発表を一日も早くと待っておるわけです。     〔委員長退席、小平(久)委員長代理着席〕 それはこういう大きな問題でございますから、いろいろな風説が飛びまして、中間報告を伸ばしておるのじゃないかというような考え方も巷間に伝わっておる。私はそういうことはないと思うのですが、この特別委員会はやはり科学技術の立場に立って、純学問的立場に立って発表せられるべきだと思うのでありますが、ガス業者からの圧迫があるとか、そういう代表が、この報告を延ばしておるのだというようなうわさもあるわけでありますので、私はそういう疑惑を解くためにも、一応の中間報告は、事人命に関する重大な問題でありますので、早く発表をしていただくように、また格別の御努力を願いたいと思う。

黒澤俊一総理府技官(科学技術庁資源局長)

○黒澤説明員 ただいまの点につきましては、さっそく資源調査会の方に連絡をとりまして、御意思を伝達いたしまして、しかるべく善処をいたすつもりであります。

櫻井奎夫日本社会党

○櫻井委員 そこでこの科学技術庁の方の技術的な調査については大体わかりましたけれども、しからば行政的に一体このまま——ほかに相当原因はあるかもしれないかという、ほかの原因をあげることは、今のところこの科学技術庁としての有力な原因というのは見当らないというような御意向のようでありますが、かりに今日のこの急速に沈下していく現象の原因の大半がガスにあるとするならば、そういう疑いがあるとするならば、これは日本の産業政策の上から見ましても、放置しておくわけには参らないと思うのです。私は、今日この天然ガスの化学工業が、新しい日本の化学工業の花として登場して参りまして、これは将来大いに日本の地下資源を育成、発展させる意味からも、通産行政としては大いに力を入れなければならない重要な国策の一つであろうと思うのであります。しかしこの産業が勃興すると同時に、地元にそういう大へんな迷惑をかけるということになりますれば、これはやはりガス化学工業というものに対する通産省の適切なる育成の方法が考えられてしかるべきだと思う。そういう意味合いから見ましても、これはやはり一新潟という地点におけるところの問題ではなく、やはり将来の日本のガス化学工業をどのように育成していくか、採算がとれるようにこれを企業として成り立たせるためには、通産省としてはどういう方法をとるべきであるか、こういうことがやはり私は当然もう真剣に考えられてきていい段階であろうと思うのであります。そういう大きなガス化学工場が集中してくると、そこに地盤沈下の現象が起きてくる。これは必ずそういうことになると思うのです。私は今日この水溶性のガスの採掘については、そういう事態が起きないということは、今日の化学では断言することができないと思う。従って鉱山局としては、この問題に対してどのような見解を持って臨んでおられるか、御意向を承わりたいのであります。

福井政男通商産業事務官(鉱山局長)

○福井説明員 新潟の地盤沈下の問題につきまして、ただいま櫻井先生からいろいろ御意見が出ましたが、大局的には、私ども先生のおっしゃる御意見と全く同じような方向で検討いたしておるわけでございます。新潟のガスの開発につきましては、御承知のように、終戦後新潟の県民あげて誘致対策を講じまして、新潟地区にガスの開発が非常に伸展いたしたわけでありまして、それに伴いまして化学工場等が非常に勃興してきた、かような経過をたどって参っておるわけでありますが、そういうところに地盤沈下の問題が出まして、もちろんただいま御指摘のように、通産省といたしましても、この問題に非常に頭を悩まして研究をいたしておるわけであります。ただ私どもがこのガスの開発につきまして、何らかの処置をするというようなことにいたしますには、そこに地盤沈下とガスの開発との結びつきがなければ、国の行政として簡単にはいかないわけでありまして、そこで科学技術庁の資源調査会で、各権威の先生方が、この原因究明の委員会を組織していただきまして、御検討いただいておるわけであります。ただ先ほど黒澤資源局長からも御説明申し上げましたように、従来の観測井と申しますのは、わずかに運輸省が山ノ下地区に掘っております一地点の観測井だけでありまして、その観測井から出ますデータだけでは不十分ではないかというようなことで、先般予備費を流用いたしまして、先ほどお話のございましたように、運輸省、通産省でさらに適当な地点に観測井を掘る準備をいたしておりまして、私どもの方の所管の井戸につきましては、すでにボーリングを始めております。そういうようなことで、さらに来年度予算でも観測井を掘ることを進めておりますが、さらに先般十一月には、御承知かと存じますが、コスモス計画と申しまして、この沈下のはなはだしい地区を中心にいたしまして、一定の地区の下降中の井戸を適当な配合でとめて参りまして、最後には全部の井戸をとめるという措置もとったわけでありまして、そういうことで、その結果の資料を現在科学技術庁の方で御検討いただいておるわけであります。そういうようなことでありまして、この原因究明につきましては、政府の方でも、また民間のガス業者の方でも、いろいろガスに疑惑がかけられておるという観点から、自発的にこの問題につきましては協力いたして参っておるわけでありますが、先ほどお話のように、まだ両者の結びつきにつきましての意見が検討されておる。そういう意見がまだ出て参っておりませんで、調査会の方で慎重に御検討願っておるようなわけでありまして、私どもその調査会の意見として、どういうふうな意見が出るかということを、実は見守っておるわけであります。しかしながらこのガスを掘ってそれに伴いまして水も多最にくみ上げておりますので、通産省といたしましては、研究は研究でお願いいたしますと同時に、さらにこの応急対策の方につきましても、地元民が非常にお困りになっておるということも何とかしなければならぬということを痛感しておりまして、経済企画庁の力を中心にお願いいたしまして、応急対策の取りまとめを、先般来ずっとやっていただいておるわけでありまして、過般応急対策の経費を予備費で出していただいたような次第でございます。そういうようなことで、いろいろ手は打っていただいておるわけでありますが、何分にも原因がどういう原因によるものであるかという正確なる結論が、今後なお検討されて発表されるという段階でありますので、私どもといたしましては、今申し上げた対策と同時に、現在やっておりますのは、新しく鉱区の申請をするというようなものについては、この際はやめてもらうとか、あるいはまた新しく問題になっておりますような地区にボーリングをおろすようなことは差しとめるというような、行政的にできますことは地方通産局と協力いたしまして、できるだけの手を打っておるようなわけであります。もちろんそういうことは現在くみ上げておりますものについて、抜本的に影響を与えるものではございませんけれど、さらに大きく掘り上げるというような問題につきましては、差しとめるというような手を打っておるわけでございます。

櫻井奎夫日本社会党

○櫻井委員 これはそういう通産省の今日の態度がやはり地元の住民の気持を非常に刺激していると思うのです。なるほど十一月からコスモス計画というのを実施しておる。しかし、このコスモス計画というのは、まことにこれは何といいますか、私どもにとっては納得のできない一つの計画であって、このガスを調査しておるのだということを、いかにも前面に掲げてやっておられるようでありますが、その内容を検討しますと、これはほんとうに原因を究明していくという手段としてやっておられるのかどうか、疑問にたえない。このコスモス計画は、ある地区を三日ぐらいとめる、今度はこっちの地点を三日ぐらいとめるというふうに、非常に狭い範囲をとめているのです。全体的にとめられた場合もありますが、それも時間的に三日か四日なんです。そういう調査の仕方で、この原因が究明できるはずはないのです。技術者も私はそういうふうな考えでおられると思う。このコスモス計画をやって調査しておるというのは一つのごまかしにしかすぎない、そういう声が今日は非常に強い。そういうことで、一方では資源局の方の特別委員会からの報告が結びつかないとこれは通産省としてはどうもできませんというふうにして、延ばしていっておる。しかし、そこに住んでおる住民は、沈下していく地盤の中から五十万トンの水がくみ上げられていく現実を児ながら、これはガスだというふうに今日いきり立ってくるのは、無理ないと思う。しからば、ガス以外に今日急速に沈下していく原因がどこにありますか。通産省で、別に、ガスじゃない、これだという犯人があがるならば別問題です。今日沈下の犯人——といっては語弊がございますけれども、主要な原因というものは、ほかに認められない。そうして、これは繰り返して言いますが、そこに住んでおる人には生命財産の問題ですよ。こういうことになれば、住民がいきり立ってガス会社を襲撃する、こういうふうな空気になるのは、私は当然だと思う。これに対して、やはりもう少し結論が出てからどうかというようなことになれば、先ほど黒澤局長の報告でも、この結論はまだいつになるかわからないということである。その結論が出てから通産省ではそろそろ考えるのだ——地盤は毎日一ミリ二分ずつ沈下していく。冬でございますから、沿岸の住民は、絶えず荒波にさらされておる。こういうことであれば、やはり非常に地元の者が、ガスというものに対して、何といいますか、一種の反抗ですね、これに対して疑惑を持ってくるのは当然であって、この特別委員会の結論とは別に、かりにこういうことは、ガスがほんとうの主因であるとするならば、一体このガス化学を育成するためにどうしたらいいかということを、これは特別に考えられてもいいと思う。たとえばそういう沈下のないところの地帯から、パイプをもって天然ガスを持ってくる、そういうようなことをやった場合に、企業としてのガス化学の生産が成り立ち得るかどうか、こういうことも、私は当然真剣に考えていいと思う。今日やわらかい、何世紀層というのですか、学問的な言葉はわかりませんが、要するに新潟港というのはデルタ地帯です。その港の中に、実に何百本という井戸を掘っておるそうしてそこに、新しく許可はしないが、今までのはとってよろしいということで、どんどん水をくみ上げておる、こういう行政措置では、地元の住民は納得できない。こういうことを通産省は——大島次官もこれは自分の選挙区で、一日もほうっておけない問題だと思う。真剣にこれは一つ通産省の通産行政として考えていただきたい。その点は局長さんから一つ御答弁願います。

大島秀一自由民主党通商産業政務次官

○大島政府委員 名前が出ましたから、私が話すのはどうかと思いますが、櫻井さんの言われるのはまことにもっともだと思うので、私も選挙区でもあり、これには非常な関心を持っているわけなんです。ただ考えなければならぬことは、確かに生命財産でもあり、むろんおっしゃられる通りであるけれども、ただ学問的にまだはっきりとした答えが出てこないというところに、通産省としては手の下しようのない内容があることは、先ほど鉱山局長の御説明の通りであります。でありますので、通産省として何もガス会社に別に味方しなければならない理由も三文もないのですから、そのことは少しもありませんが、やはりはっきりとしたある程度の答えが出ることを待って、そのときには国家はどのようにこれを解決するか、それが私は重大だと思うのです。たとえばパイプ・ラインをかりにどうするにしてもそのものは会社自体として簡単にできるかどうか、それにはやはり国家としてこれに相当協力しなければならぬ面があると思う。いろいろな点から考えますと、とにかく責任のある答えを出して、そうして責任のある結論をつけなければ国家、政府としては相ならぬことであろうというような建前から、今急いでその結果を究明中なわけなんでありまして、決して放任しておくとかあるいはまたガス会社に肩を持つとか、そのようなことは全くみじんも考えておりません。またそのようなことがあっては相済まぬことだと思っておりますので、これには一刻も早く結論を出して住民諸君を安泰にいたしたい、かように考えております。

櫻井奎夫日本社会党

○櫻井委員 私は大鳥さんの政治的発言ということは了承いたしますが、局長に、ガス化学の将来ということについて真剣に考慮を払っておられるかどうか、この点を一つ……。

福井政男通商産業事務官(鉱山局長)

○福井説明員 ガス化学の問題につきましては、御指摘の通り私どもといたしましても非常に真剣に考えておるわけであります。実は先ほどお話ございましたが、民家に関係のない奥地の方へ移動するというようなことも考えてはどうかというお話がございました。もちろん私どもも内部でいろいろ検計いたしておりますし、それからまたこれにつきましては何と申しましても県市、地元の当局の態度がどういうふうなお考え方で進むかということも非常に大きい問題点であろうと思います。先般も私県市の方がお見えになりましたときに、原因の問題は別といたしまして、この沈下に関係のない地区の方のガスの開発を促進する、こういうことを考えるべきではなかろうか、それについてはちょっと考えてみましたがけでも大きい難関と申しますのは、桃水路の問題でございます。こういう牲水路の問題を考えました場合に、農拙地の買収ということを考えますと、これは一企業家だけではなかなか簡単にいかない問題でありますので、県市の方で奥地の方の開発を促進する、それには県市としてもこういうふうな排水路計画を作ってやるから、県市も金を出すし、また企業家も金を出そうし、収府の方にも一つ補助金を頼みたい、こういうような考え方で計画を進めていくべきではなかろうかというようなことも話し合ったわけでございますが、その点につきましては先ほど御指摘のございましたように、私どもといたしましても、原因の関係は別といたしまして、どういうふうに開発を持っていったらいいかということを、内部でも真剣に考えておりますし、県市の方にもさようなことを申し上げておるわけであります。

櫻井奎夫日本社会党

○櫻井委員 ただいまの県市の問題でございますが、これは先ほどもどなたからかちょっと御発言があったように、県市というのは、ガス化学工場誘致のために非常な努力を払ったわけなんです。これは御承知の通り全く新しい産業でございまして、この産業の結果どういう事態が起きるかということは新潟市がモデル・ケースだと思うのです。従って県市は大きな工場さえくれば固定資産税も入るんだというようなことで、盛んに誘致運動をやったことは事実です。自分たちが先頭に立って今の理事者がおのおの大きな工場を誘致された結果、こういう事態が起ってきておるので、県市当局として工場をどうする、ガスをこうするということは今日なかなか言いがたい立場にも一応あるわけです。従ってこれは通産省のガス化学としての大局的見地から、当然こういう新しい工業が起きる場合に、このような一つの弊害というものが起きてくる、こういうことが考えられるとするならば、それを排除してこの産業を育成するという立場から、ガス化学工業の育成のための大きな方針というものが——この新潟地区のガスの採掘に当って日本の一つのモデルケースが出たわけでありますから、ガス化学工業の将来の育成の方針というようなものは、当然通産省当局として立てられるべき問題ではなかろうか。やはり県市の方からそういうことを言ってくるのを待っているということでは、今のような県市と業者との関係もあり、なかなか自発的にはそういうところまでは気のつかない点もあるでありましょうから、そういう立場から指導なさるのが、今日の段階では一番緊急にとらるべき方針であろうと私は思うのであります。それで一方資源局の調査特別委員会の結論というものは非常に地元では今日期待をして、一日も早くこれの中間報告でもけっこうでありますから——あそこにおられるのは日本の優秀な最高レベルの学者が集まっておられることは周知の事実であります。そういう学者が一体この沈下にどのような判定をなさるかということを非常に注目をしている。ところがこれがじんぜん日を経まして沈下が進んでいくにかかわらず、国が一本井戸を掘ってみなければわからない、また二千メートルまで井戸を掘ってみなければわからないというようなことになりますと、やはりそこに相当な疑惑が生ずるわけでありますから、中間報告でも私はけっこうだと思う。学者としての信念に立った報告を、ぜひ近いうちにとりまとめて、この委員会に発表されることを私は局長さんの方からも推奨していただきたいと思います。それと同時にこの問題は建設省、運輸省だけが力を入れて、落ちたところの地盤の修繕をやっておるのです。根本の原因というものは通産省にある。通産省がやはりそういう立場からこれを御指導いただく、ガス化学工業の立場に立って、そういう非常に軟弱な地点のガスの採掘は中止する。こういう立場に立たれて御指導をなさる、これはもちろん特別委員会の結論もありましょうが、やはり県市というものの意向にかかわらず、そういう産業の今後の指導という高い見地から、これを積極的に指導していかれないと、災害が起きて、災害の犯人だからというので騒がれてこれをやっておられるようでは、どうしても後手に回っていくのではないか。幸いにして大島さんが次官でおられるわけでありますから、新潟の地盤沈下の問題は人ごとでないわけでありますから、次官が大いに政治力を発揮されて、ぜひ地域生民の不安を一日も早く除去されるように、あなたの政治生命をかけて御努力を賜わりたいことを、特にお願いしておく次第であります。

松平忠久日本社会党

○松平委員 関連して。その問題は、今お聞きすると尼崎の場合においてはやはり結論が出ない、出ないけれども工業用水の法律を作って地盤沈下を避けていく、こういうことを通産省はやったわけであります。そういたしますと、この問題についても尼崎の例と同じような工合に、地盤沈下を最終的な結論を待たずして、立法措置を講じてやっていくということができないはずはない。すでに先例があるわけです。そこで一体これを通産省でやっていくというなら、どういう構想でおやりになるおつもりであるか。構想というものは今日ないのかどうか。言いかえるならば、やはり臨時的な措置法か何かということで、これを取り扱っていくという構想があってしかるべきだと思うのだけれども、その間の構想がもしおありだったら、ここで発表してもらいたい。

福井政男通商産業事務官(鉱山局長)

○福井説明員 お話のように、一般工業用水につきましては、尼崎の例が今御指摘になった通りでございますが、ただ新潟地区の地盤沈下の問題につきましては、先ほど来いろいろお話が出ておりますように、学説としましてもいろいろな学説があるわけでござまして、その結びつきが工業用水のくみ上げと尼崎の地盤沈下との結びつきのように定説と申しますか、とにかく結論を生むような段階になっていないということが、資源調査特別委員会の説になっておるわけでありまして、従いまして私どもとしましては現在この特別委員会の究明の結果を待っておる、こういうことでございまして、これ以上のと申しますか、何らかの結びつきが考えられますれば、現行法で足りなければ、特別立法ということももちろん考え得るわけでありまして、そういう構想はいろいろ考えておりますけれども、そこの結びつきが出ないだけに、国の行政としては簡単にやるわけにいかない、こういう立場にあるわけでございます。

松平忠久日本社会党

○松平委員 さっきの答弁によると、尼崎も最終的な結論が出ないのだということを、あなたか資源局長のどっちかが答弁されておる。そういう最終的結論が出ないのに、尼崎については特別立法をやったわけであります。尼崎はどういうわけでやったのですか。

黒澤俊一総理府技官(科学技術庁資源局長)

○黒澤説明員 結論が出ないと申しましたが、全部の学者が完全に一致した結論になっておらないということでございまして、大多数の方は地下水のくみ上げだということを尼崎、東京方面については言っております。大多数というのは何%かということで、一〇〇%ではないが九〇%、あるいはそれ以上ということでございますが、現在新潟につきましては九〇%というようなところまでは、まだ一致しておらないということなのでございます。

櫻井奎夫日本社会党

○櫻井委員 それではかりに中間報告において、特別委員会の大部分の委員の方が、これはやはり天然ガスにあるのだ、こういう御意見でございますならば、通産省としてはこの問題に対して具体的に何らかの手を打たねばならないというふうにお考えでしょうか。最終の結論が出なければできないとおっしゃるのですか、これは重大な問題だから一つ。

福井政男通商産業事務官(鉱山局長)

○福井説明員 中間報告を拝見いたしまして、十分検討いたしたいと思っております。

松平忠久日本社会党

○松平委員 ちょっとお伺いしたいのですが、このガスをとったあとの水が、さっき聞けば一日五十万トンという膨大な水だけれども、これをどこか廃坑というか、またもとの穴へ戻してやるということはやっておらないわけですか。そういうことをやらせるという条件付で許可するとか、何かそういうことは簡単にできそうだと思うのだが、これは採算の点もあると思うが、どうですか。

福井政男通商産業事務官(鉱山局長)

○福井説明員 お話のような点は技術としては研究をされております。それからまた地域によりましては、これは水溶性ガスではございませんが、石油をとりますときに出ます等量の水を、地下に還元するという方法をとっておるようでございます。ただ一般に水溶性ガスの開発につきましては、ガスとほとんど等量くらいの水が出ますので、この水を地下に還元するということは、実際問題としてなかなかむずかしいようでございまして、ただそういう還元する技術につきましては、現在研究が進められております。

松平忠久日本社会党

○松平委員 鉱山行政として、鉱業法の命ずるところによると、廃坑、たとえば石炭を掘ったあと充填物をやらなければならぬというようなことがあると思うのだけれども、最近はほとんどどこでもやっていないというのでもって、鉱業法に命じておるところすら、今日の鉱山業者というのは採算の上からやらない。そうしますと、一体ガスを掘るということはやはり鉱業法の適用を受けておるのですか。

福井政男通商産業事務官(鉱山局長)

○福井説明員 さようでございます。

松平忠久日本社会党

○松平委員 そうすると、そこで鉱害があった場合には、鉱害を復旧しなければならないのか、あるいは鉱害の防止ということを当然考えなくちゃならぬと思うのだが、そうすると今言うような工合に水をどんどんどんみ上げるということは、何らかの鉱害があることを予想しなければならぬと思うのです。そうすると、それに充填物をするとか何かそういうことをしないと、鉱業法並びに鉱害防止の精神に反するように思うのだけれども、この点はどうですか。

福井政男通商産業事務官(鉱山局長)

○福井説明員 この点は鉱山保安法の問題になるかと思いますが、ただ石炭と違いまして流体鉱物でございますので、とります場合に下の方に充填するような形ができておりますかどうか、これも問題だろうと思います。掘り上げますのはただパイプで掘り上げるだけでございまして、下の方にはおそらくそういった空間がそうたくさんないのじゃないか。

松平忠久日本社会党

○松平委員 地下のことを問答しておるからわからぬけれども、しかしながら空間がなければ上から落ちるはずはない。空間があるから落ちるというふうにならざるを得ないと思うのです。そこだけ取り上げれば、そこに空間が出てこないはずはないと思うが、どうですか。

福井政男通商産業事務官(鉱山局長)

○福井説明員 松平先生の非常に明快なる一説が出たのですけれども、さほど簡単に結論が出ますならば、ガスの採取と地盤沈下の問題は、これほどむずかしい問題にはならないというのが学者の見方なんです。

板川正吾日本社会党

○板川委員 聞いておると原因がわからないから対策が立たない。しかし結果は毎日何ミリか沈下しておる。これは生命、財産にかかわる重大な問題だと思うのです。とにかく一日も早くその原因を突きとめることが大切だと思うのです。その場合法律的な根拠は別として、一カ月なら一カ月ガス採取をやめて沈下速度をはかってみて、ほんとうにガス採取のためにそういう原因があるのか、あるいはそれと関係なく沈下しておるのかどうか、そういうことを確めて、一日も早く原因を確めることが先決なのだが、そういう方法でもやって一つ確めたらどうかと思うのですが、それはできないものですか。

黒澤俊一総理府技官(科学技術庁資源局長)

○黒澤説明員 ただいまのお話、一カ月か二カ月というくらいでは、何分にも深いところのことでございますので、一カ月、二カ月でそういう結果が出るかどうかということも少々疑問があるわけでございます。東京、尼崎の場合には戦災を受けまして工場が全部やられてしまいまして、一年半から二年くらいとまったわけでございます。それで沈下がずっと落ちついたというのでございますが、しかしあれは空襲で工場が焼けて一年半もとまったのでございまして、それを試験するから一年半とめてみろというようなことまでは、あまりにも大へんなことになるのじゃないかと思いますので、そういう強硬手段ではなく測定したいと思いまして、アイソトープを使いますとか、あるいは観測井の構造とかあるいは重力測定、水準測量というように外からたたいていって——切開手術をするとかいうことを思い切ってやるかどうかということは問題があると思います。

櫻井奎夫日本社会党

○櫻井委員 私は、せっかく鉱山局長、資源局長等技術関係の方が見えておられますのでお伺いするのですが、これは非常にしろうとくさい質問で奇想天外のことを言うと、あなた方専門家から見ると思われるかもしれないが、私はこういうことを考えているのです。水溶性ガスを採掘することから、こういう事態が起きてくるんだから、ガス化学にも打撃を与えずに、地元の沈下にも影響を及ぼさないという唯一の方法は、このガスを地下において分離するという技術が成功して、水とガスとの分離が可能になれば、これは全部両方が解決するんだ。今日の原子力を発見しているような科学技術において、そういうことが一体不可能であるとは考えられないのですが、技術的に、科学的に、水溶性ガスの地中における分離ということが可能かどうか、これには毎年国費を使っておるが、今年は七億出しましたよ。来年度は二十億出してくれ、総額は二十四億ですけれども、四億を負担して二十億国で出してくれというのです。再来年はまたどうなるかわからない。こんな膨大な金を出しておっても、まだまだ地盤が下っているのですよ。そういうことでもっと大所高所から考えるならば、五億か十億のそういう科学技術の研究機関を置いて、真剣に総力を動員して研究すれば、そういうことができるのではないか。そうすれば日本の将来のガス化学というものに対しても明るい前途が開けてくるのではないかと、きわめて空想的な考え方ですが、そう考えざるを得ないのです。技術的にそういうことが可能であるか、不可能であるか、お聞かせ願いたい。

黒澤俊一総理府技官(科学技術庁資源局長)

○黒澤説明員 ただいまのお話は実は資源調査会の委員会でも出たことがございます。できるとすれば非常によいじゃないかということがあったのでございますが、まだ世界じゅうどこでもやっておりませんので、これからそういうことを研究していく段階であろうということになりましたが、議論は出たわけでございます。現在ではまだ技術はそこまでいっていないようです。

松平忠久日本社会党

○松平委員 ガスに問題があるわけです。鉱山つまり鉱業とインダストリー、工業あるいは普通の一般国民との利害関係というか、こういうものが非常に問題になってくると思うのです。ことに国土が狭くて日本の人口が密集しているという関係で、鉱業をやっていくという場合に、これは必ず突き当る問題が起るたろうと思うのです。そこでこの場合、新潟の問題をどういうふうに解決するかということは、実際を言いますと鉱業全般の問題にわたっていくのではないか、こういうふうに思うのです。そこで鉱業法の改正ということもあるだろうし、あるいは鉱山保安法の改正ということも、からみ合ってくると思うのですが、今日の日本の鉱業行政というものには確固たる政策はない、私は今まで毎々言うんだけれども、日本の鉱業政策をどういうふうに持っていくかということについて、通産省には今まで一貫した政策がないのです。ときどきそのつどつど変化するのです。それで外国のものを入れてきた方がよい、こういうふうなことになると外国のものを入れてくる、それからまた国内の業者が非常に騒ぐと、またそうなっていくというので、早い話が石炭と重油との関係がいつもごたごたしておる、ここに一貫性がないのですよ。ですからどうしてもここで日本の鉱業というものに魂を打ち込んで、どういうふうにしていくべきであるかということ、従ってまたそのことはやがて鉱山に伴う弊害というものを、どこでどういうふうに調整していくか、それに国家がどういうような保護政策を加えていくかということを、私は真剣に一つ考えてもらいたい。こういうふうに思うのです。同時に今櫻井君も言われましたけれども、科学の非常な進歩がありまして、そうしてこの科学の進歩につれて日本の鉱山というようなもののあり方も変えていかなければならぬじゃないか、こういうふうに私どもはつくづく考える。たとえばガスにいたしましても、最近聞くところによると、もはや石炭なんかを掘ってたいてやるよりも、むしろ非常に石炭の安いイギリスとか、あるいはアメリカあたりの石油からガス化をするところに行って、そこでもって液化ガスを買ってきて——マイナス三百七十度くらいにすれば、これは液化するのですよ。そのための特別のタンカーを作って液化ガスを買ってくるというので、今日安西副社長が行ったのはその意味で行っておる。安四君は英国へ行って、それをまねて何とかしてその技術を知ろうというわけで、そしてアメリカから、あの石油をガス化してそれを液化したものを、特別のタンカーを作って持ってくる、その方が日本で石炭を買ってやっているよりずっと安上りになる。こういうことでもって、すでに業者はそういう研究をして、ことしの春か八月ごろアメリカからヨーロッパへ行ってきております。そういう工合に非常に進歩してきておるわけなんだから、そういうところもあわせて考えて、日本の工業政策の今後行くべき方向を、この際至急立案することが非常に大切じゃないかということを特に申し上げまして、私の質問を終りたいと思います。

小平久雄自由民主党

○小平(久)委員長代理 本日はこれにて散会いたします。  次回は来る二十三日、火曜日、午前十時より開会いたします。     午後一時二分散会

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