社会労働委員会 第29号
- 発言数
- 169 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1959/06/10
会議録
○園田委員長 これより会議を開きます。 厚生関係の基本施策に関する件について調査を進めます。発言の通告がありますので、これを許します。滝井義高君。
○滝井委員 いろいろお尋ねをいたしたいことがあるのですが、労働問題その他もありますので、きょうは中央社会保険医療協議会の委員の問題だけを御質問いたしたいと思います。この問題は三十二年の十二月にいわゆる診療報酬の基礎になる点数表の答申が行われて以来、医療協議会の機能が停止をして今日まで至ったわけでございます。それが、各商業新聞が伝えておるように、厚生大臣、医療協議会委員問題に断、十一委員任命を強行、こういう形になっておるわけです。従って今までは一種の利益を代表する関係団体として日本医師会を通して委員を推薦すると他の関係の団体が委員を出さない、だからこれは円満に解決をしなければいかぬのだ、こういうことであったわけです。ところが今度は、十一名を任命すると一つの関係団体である医師会側から委員が出ていない、結果は同じようなことになるわけです。こういうことになるのならば、これは結果論になりますが、三十三年一年と三十四年のこの半年というようなものは何も待つ必要はなかったのじゃないかというような感じもするわけです。しかし厚生省の説明は、まあ忍びがたきを忍び、耐えがたきを耐えた結果、その限界にきたからこういうことになったのだというようなことになるのかもしれません。しかしこの経過というものは、われわれ第三者の立場に立って見てみますとわからないところがあるのです。やはりこういう問題はガラス張りで行われなければならぬと思うのです。ところがどうもそれがはっきりしないところがあるので、まずその経過を、一年半にわたることを説明すると長くなるでしょうが、簡単に二、三分間で説明をしてもらいたいと思います。
○池田説明員 ただいま滝井委員から中央医療協議会委員の任命の問題につきましてお尋ねがございましたが、これはまことに大事な問題でございますので、厚生大臣が出席しまして御説明を申し上げるのが至当であると思いますけれども、厚生大臣は本日はスカルノ大統領を厚生施設を案内して回っておりますので、私がかわりましてお答え申し上げつることをお許しをいただきます。 中央医療協議会の委員が、昨年の六月でございましたか、半数が任期が満了いたしまして、その後空席になっておったわけであります。中央医療協議会は御承知のように社会保険におきまする大事な問題を審議していただく機関でありますから、一日も早くこれを充足いたしましてその活動をお願いしたいのは、やまやまであったわけであります。私ども厚生省といたしましては、前の橋本大臣を初め今の坂田大臣に至るまで、これが充足につきまして努力をして参った次第であります。そもそもこの委員の充足が思うように参りませんでしたところの経過をお話をするようにということでございますが、なお詳しくは事務当局が参りまして御説明申し上げた方がぴったりくると思いますけれども、私が存じております限りにおきましてお答えをさせていただきます。 この半数が任期満了する前におきまして、先ほどもお触れになりましたように医療報酬の甲表、乙表という問題がありまして、委員の中におきましてもそれぞれ意見を異にする方々があったわけであります。その委員を推薦していただいております母体の立場に至って考えますと、日本医師会の方々は乙表を、日本病院協会の方々は中表をということに話が進んで参ったわけであります。従いまして推薦団体であります日本病院協会と日本医師会との間におかれましても御意見が一致しないということにだんだんなって参ったようであります。そこでこの委員を充足するにつきましては、医師の利益を代表する団体の御推薦を得なければならないわけでありまして、私どもといたしましては日本医師会の方々にお願いを申し上げて委員を推薦することが最もよろしいことである、こういう根本的な考えのもとに努力して参った次第でございます。話はちょっと横道にそれますが、支払い基金の委員を任命するということが、昨年の八月二十五日にいたされたわけであります。これにおきましては日本医師会と日本病院協会と両方の方々が一緒に御相談をいただきまして、具体的に一致する方をお願いしたいということを両方に御相談申し上げましたところ、両方でこれに御一致をいただきまして具体的に一人の委員の方に両方が話をまとめられまして、これにつきましては厚生大臣と役所がいろいろ骨折りをいたしたことはもちろんでございますが、結果から申しますと、同一人間に一致いたしまして円満に支払い基金の委員の任命ができたという経過があります。中央医療協議会の委員におきましても、その両方の団体がお互いに意見を異にされることなく円満に一致していただきたいということで進んで参りましたことは先ほど来申し上げました通り。しかもまた日本と医師会にこの御推薦をお願いするということがよろしいということで、その方針で進んで参ったわけです。この際この委員といたしましては、現実に中表と乙表とありまする現在のことでありますから、この委員の構成において乙表の関係の方も甲表の関係の方もともにお出になっていただいた方がよろしかろうという考えのもとに、この委員の選考、推薦、御依頼に当りましてはそういう考えを基礎に進んで参ったわけであります。そういたしますと、先ほど申し上げましたように日本医師会の方々は乙表を、日本病院協会の方々は甲表をというのでありますから、これを日本医師会を通してやっていただくように努力をして参りました。その建前といたしまして、日本医師会の方々には、中表の方々をお選びいただくにつきましては日本病院協会の意見を尊重して進めていただきたいということをお願いを申し上げてきたわけであります。従いましてこのことは、表面におきまする推薦の問題といたしましては日本医師会が表面に出ることであり、日本病院協会の意見を尊重していただくということは日本医師会と日本病院協会との隠れたるお話し合いのことになって参るということで私どもは進めて参った次第であります。 〔委員長退席、八山委員長代理着席〕 この交渉に当りましては、両団体に対しまして厚生大臣や事務次官や局長等、それぞれその系統で交渉を数回にわたりいたしたわけであります。でありますから、その実際等はそれにタッチして参っていただきました大臣等が御説明する方が詳しいかと思いますので、私はこの辺でそのことは省略をさしていただきますが、どうしても日本医師会と病院協会との御意見が一致することができないという見通しに達して参ったわけでございます。ところが一方、中央医療協議会を開かなくちゃならないということが他の方の要請から現われて参りました。それは社会保険におきまして用いまする業剤の問題であります。パスとかストマイとか、そういうような問題を社会保険においてもっとよりよく用うるようにすることが療養上よろしいのだという結論も出て参り、このことを早く実施すべきであるということに考えが正至りまして、早く医療協議会を開きますために委員の任命を急いでやらなくちゃならない、こういうことになってはいました。そうなって参りましたのでありますけれども、一方推薦団体間における意見の一致を見ませんところから、とうとう最初の私ども厚生省の期待をそのまま実現することができませす、最悪の状態と申しましょうか、非常におもしろくない状態であるとは思いますけれども、やむを得ずして委員の委嘱をいたしたわけであります。それはすでに御承知のように、日本医師会に対しまして委員の一名を推薦して下さいということをお願い申し上げて、日本病院協会に対しまして一名の委員推薦をお願いする、こういうことをお願い申し上げました。その結果といたしまして、日本病院協会初め保険者あるいは被保険者の団体側におかれましてはそれぞれ委員の候補者の推薦がございまして、日本医師会からはいまだもってその推薦を得られない今日でありますので、推薦のありました方々につきましてのみ発令をいたしておる次第であります。
○滝井委員 そうしますと、内閣改造で橋本厚生大臣から坂田厚生大臣にバトンが引き継がれ、そのときに橋本厚生大臣は日医一本で推薦をする、こういうことをわれわれは仄聞いたして、おったのです。昨年八月二十五日の支払い基金の理事のときには、一応ああいう形で両者話し合いで、三長老だとかなんとかいうものが入って、目病側の委員も任命できたわけです。ところがそのときに同時に橋本厚生大臣は、次には日医一本の線でいく、こういうことが了解されておった、こういうことなんです。そうしますと、今のあなたのお話の中表の人を選ぶときには、それは日医で選んでもらうが、日病の意見を尊重してもらうということは、われわれそれに関知していないのでわからぬのですが、日病側委員を一人選ぶ、そうして日本医師会にそれを持っていく、日本医商会はそれをまるのみにして推薦をする、こういうことが橋本大臣から事務の引き継ぎに行われておったのですか。これはお互いに政党政治ですから、だから政治の筋だけは通しておかないといかぬと思うのです。そこでその点を一つ伺いたい。
○池田説明員 今の橋本大臣と坂田大臣と新旧交代の際における引き継ぎの内容のお尋ねでございますが、このことは残念ながら私同席しておりませんので、実際がうかがえないのであります。これは大臣自身でないとあるいはできないのかも存じません。
○滝井委員 そうすると、そこらはちょっとあとに残しておきますが、今後の委員会の運営の方針ですれ。今あなたの御説明によれば、パス、ヒドラジッド等のほかに新薬ができて、結核の耐性菌に対応するものをすみやかに社会保険に取り入れなければならぬという客観的な事態が起った。これは確かに当委員会で私も強硬に主張しました。そういう問題が起ったのでやむなく日病と日医から一名ずつ推薦していただくことにしたんだ、そしてすみやかに委員会を発足せしめなければならぬ、こういうことになったわけですが、今後の委員会の運営はどうなさる方針でございますか。
○池田説明員 今のお尋ねの中央医療協議会を急いでお願いを申し上げますが、明日さっそくそれをお願いすることに進めておるところであります。明日までに日本医師会から一名の御推薦がありますれば、それに間に合うように急いで発令をいたしまして、その方も御出席をいただき、全員そろったところで総会と相なるように進めたいところでございます。
○滝井委員 そうしますと明日日本医師会の一名の準備がなければ、委員会は開かない、こういうことなんですか。
○池田説明員 一名の空席のままで、ほかの方々はそろっていらっしゃいますし、医療協議会において御審議を願う事柄も迫っておりますので、一名の空席でありましても、やむを得ずそのままで開かしていただきたいと進めております。
○滝井委員 聞くところによりますと、新しく十一名任命される前には十二名の半数が残っておったわけです。従って半数の中の療養担当者代表というものは三名おるわけですね。これは多分歯科が一名と医師の方が二名おるのじゃないかと思っておるのですが、その三名の人たちは、新聞その他を見ると辞表を出して引き揚げたということですが、引き揚げたのですか、それともそのままおるのですか。
○池田説明員 今のお尋ねの日本匠師会側から出ていただいております現在の二名の方につきましては、どういうことになっていますか、私まだ報告を受けておりませんのでお答えができないのであります。
○滝井委員 これはなかなか大事なところですから……。
○八田委員長代理 保険局長が今見えますから……。
○滝井委員 太宰さん、今政務次官にお尋ねしたのですが、ちょっとわからないのです。明日日本医師会から一名の委員の推薦があれば医療協議会を開催する、しかしどうしても出てこられぬというならば空席のままやるんだ、こういうことまでわかったのです。そうしますと、あと十二人、半数が残っておった中に、医師の利益を代表する者として、歯科医師が一名と医師が二名おるわけですが、その二名の委員というものは多分日本医師会の推薦を受けて出てきておる二名だったと思う。その二名の人が辞表を出したということが新聞その他に出ておるが、それはどうなっておりましょうかと聞いておるのです。
○太宰説明員 お尋ねの現在なお任期がございます委員の方のうちで、日本医師会推繭の委員がお二人おられまして、その方々が辞表を一両日前に確かに私の方に出して参りました。私どもといたしましては、こういう際でございますし、なるべく穏やかに物事の進むことをこいねがっておるわけであります。なおかつ、この方々の任期は来月の九日で切れるわけであります。もう一月足らずというところでもございますので、相なるべくはそれまでは留任していただきたい、こういう希望を持っておりますので、さような点で御両人にお話を願いたい、こういう意味の依頼を日本医師会長あてに出してございます。その結果はまだ聞いておりません。
○滝井委員 そうしますと、政務次官、これでわかりました。二名とも辞表を出している。引きとめようとしておるが、まだナシのつぶてで返事が来ていない。こうなりますと、一名の推薦がなくても空席のままおやりになる。そうすると辞表を出した者が、この事態になってきて、常識で考えてまた辞表をもらいに来るというわけにはいかぬと思う。そうすると三名欠員のままでもあすおやりになるかどうか。
○池田説明員 二名のお方につきましては、保険局長まで辞表の御提出があり、保険局長といたしましては日本医師会長さんに頼みまして、その翻意方をお願いしておるという最中でございます。明日の問題といたしましては、その二名の方につきましては現在の委員といたしましてお願いをしたいと思います。従いまして現実に御出席がない場合においても医療協議会は進めていただく、こういうことにいたしたいと思います。
○滝井委員 よくわかりました。結局三人が出なくてもやっていくんだ、こういうことです。そうしますと、医療協議会の機能はそれで回復したことになりますか。
○太宰説明員 法的には回復したことになります。
○滝井委員 法的には回復したことになるそうでございますが、私があなた方に今までずっとこの委員会を通じての経過の説明を聞き、いろいろ質問をした過程では、きょうも政務次官みずからがおっしゃいましたが、日本の医療の現実というものは甲表と乙表で行われることになっておる。甲表の人がいないということは、医療協議会の機能から見ていけないことだ、だからこの甲表を支持している――端的にあなたの言った意味を申し上げるならば、甲表の入を委員に任命しなければならない、こうおっしゃっている。そうでないと、簡単にいえば、機能がうまくいかぬから無理をしてでも日病の人は出ていただかなければならぬ、こういうことだと思う。一方、あなた方の理論からいくと、片方の代表は乙表です、あなた方のようなものの考え方からいえば。私はそうは考えていないですが。乙表がいなくても、一体医療協議会はやれるかどうかということなんです。法的にはそれはよろしいかもしれませんが、これは政治の場ですから、それで医療行政がうまくいくかどうかという点なんです。その点、今までのあなた方の論理と矛盾をしてくる感じがするのです。甲表がいないから甲表を入れなければいかぬのだ、もうわが方においては甲乙二表を告示したんだからということだったわけです。ところが今度は乙表が三人空席のままでおやりになるということになると、これはみずからの論理と実践とが今度一致しない。こういう問題の解決というものにつきましては、そのままおやりになるということですが、出ないならばそのままずっとおやりになるのですか、今度一回だけ特におやりになるという意味なのか、この将来の運営の問題――今度緊急に結核対策上新薬を入れなければならぬ、だからこれだけをやるんである、それから先はまた説得だ、こういうことになるのか、それとも乙表が出なくても、法律的に機能が回復しているんだから押し進める、こういうことなのか、その二点を一つ……。
○太宰説明員 明日医療協議会を開きます趣旨は、お話のように結核治療指針を改正いたしたい。これは滝井委員御承知の通り、前々から各方面から迫られている問題でもございます。この点は明日医療協議会に諮問いたしたいと思っております。これはもとをただしますと日本医学会の御意見によって作った案でございますので、まあ差しつかえなかろうと存じますが、今後の点につきましては、お尋ねのように日本医師会の委員がかりにみな脱落するというような事態が起りました場合においては、それをそのままでこちらはかまわず運営していくというようなことは決して好ましいことだとは、私どもも考えておらないわけでございます。その点はお話のように今後できるだけこちらの誠意を尽しまして、日本医師会の方に説得と申しますか、話し合いをして、早く事態が正常な状態に戻るように努力することは当然厚生省としてなすべきことだと思っております。しかしまた、その間医療協議会は明日だけにして、あとは全然開かないのかということでございますが、これは問題の性質にもよろうかと思うのでございまして、議題の性質がやはり日本医師会の方々に出ていただかなければならない、たとえば乙表について議論するというような場合におきましては、私どもとしてはそういうことは強行すべき事柄ではない、事態が正常に戻ってからそういうことをするのが妥当じゃないか、かように考えておる次第でございます。
○滝井委員 厚生省の態度はよくわかりました。医療協議会は法律的には機能が回復した、従って緊急な問題があれば医療協議会はその機能を発揮していく、ただし日本医師会に関係のある――ということは、乙表と限定されたのですが、たとえば乙表について議論をするというようなときには差し控えなければならぬだろう。ということは、裏を返せば、甲表の議論は今後どんどんやっていける、こういうことにも今のお言葉からいうと、なりかねないのです。一応機能回復したということの言明がありましたので、厚生省の言明をそう承わっておきます。 そこで、日本医師会から出ておるパンフレットを見ますと、厚生行政に思想的な偏向があると言われておる。これは一体どういう工合にあなた方はお考えになっておるか、これを一つ政務次官から伺いたい。
○池田説明員 日本医師会のどのパンフレットに出ておるか存じませんが、厚生行政に思想的な偏向があるというようなことは絶対に認めません。
○滝井委員 よく自民党は日教組の思想的な偏向という言葉を使われるのです。今日、客観的にいえば、いわば非常に保守色の強い日本医師会が、保守党の内閣を思想的な偏向があると言っておるわけです。あなたは絶対にないとおっしゃる。ちょうどわれわれが日教組には思想的偏向がないと言うことと同じです、何も証明してない。だから、思想的な偏向があるかないかということは、たとえば厚生行政というものは、開業医を撲滅して医療国営の方向に向っておる、こういうことなんです。これが、いわゆる共産主義思想というような意味のことも書いてあるように思うのですが、こういう点は、外交でいえば自由主義陣営に入っている岸内閣のもとにおいて、厚生行政はいわば容共的な部面だ、こう言っておるのですね。この点、あなた方は思想的な偏向というのをどういう工合に受け取っておるのか、それを私は知りたいのです。私は私なりに解釈しますけれども、日本医師会という団体が、とにかく厚生行政の思想的偏向だ。「中央医療協議会委員の選出に就て」「思想的偏向による厚生行政の是正を望む」となっているわけですね。ちょうど自由民主党さんが社会党や日教組に言うことと同じことをあなた方言われておるわけだ。それで思想的偏向を直せということを社会党や日教組に言われるあなた方でございますから、今度の日本医師会から言われておるあなた方は一体どういうことなんだということをわれわれ聞かしてもらいたい。もって他山の石としたいのですよ。この思想的偏向をかわす術をあなた方から習いたいのだ。だから、これはあなた方はありませんというけれども、堂々と天下に発表した文書なんですから、それを二つ……。
○池田説明員 思想的偏向云々の問題にお答えをするということではないわけでございますが、お言葉の中に、日本医師会の方々のいわゆる開業医制度を尊重すべきであるという御高見がございましたが、これは私ども全く同感するところでございまして、従来厚生行政の医療の関係の柱といたしましては、その開業医制度というものが根本になっており、御協力をいただいて参っておりますることは滝井さん自身おわかりの通りであります。私ども厚生省といたしましては、どこまでもこれを尊重していきたいと思っております。開業医の方々でなければ開設のできないような地域もありますし、あるいはまた開業医の方々でなければ手の届かないような、いわゆる親身になってやっていただくというような医療も必要でありますから、どうしてもその制度は尊重していきたいと思っております。ところが開業医制度がだんだんにいろいろと他の方面から圧迫と申しますか、それを受けてくるということもお話の中にありましたが、たとえて申しますと、医療の社会保険制度というようなことが進んで参りますというと、少くとも医療報酬の関係等におきましては、開業医の方々が従来自由診療せられておりましたときと様相が変って参っておりますることは、これは御案内の通りであります。私ども厚生省といたしましては、開業医制度の尊重を基本といたしつつ、一方また社会医療の普及というようなことにも進めて参りたいと思っておるところであります。従いまして、繰り返して申し上げますと、思想的な偏向云々ということについてお答えをしたということではないのでありますけれども、私の考え方の根本を申し上げます。
○滝井委員 思想的な偏向の問題はこれは非常に大事なところですから、僕ら他山の石としたいところがあるので、また機会を改めて大臣にお伺いをさしてもらって、きょうはそれはやめまして、次にはこういうことが大臣談話にも出ております。日医が全医師を包含すべき団体であることを否定した意図に出たものではない、こういうことになっております。そうしますと、全医師というからには、病院あるいは公的医療機関に勤務している医師も医師会の会員ですから、当然だろうと思うのですよ。しかしその次に、日医が名実ともに全医師の団体としてふさわしい態度を示し、その責任を果されることを念願してやまないというようなことがあるのです。一体全医師の団体としてのふさわしい態度というのはどういうことかということと、いま一つは、七月の九日になりますと、半数の委員が任期が切れるわけです。そのときにおいても療養担当者、すなわち医師、歯科正医師の中から三名が出るわけですが、そのうち歯科医が一名ですから、医師が二名、二名のうちに中表一名、乙表一名という推薦形式をとるのかという、この二点について御説明を願いたい。
○池田説明員 日本医師会の傘下にすべての医師免状を有する方々がお入りいただくことを私は心から念願をいたしておるものであります。ところが今日までの統計を見ますと、医師免状を有する方々が約十万、その中で日本医師会に参加しておられる方が大体七万、そういたしますと、大体三人にお一人は日本医師会の傘下におられない、こういうわけでございまして、私見でございますが、日本と医師会というものをもっと強化いたしまして、医師免状を有する者は強制加入すべきであるという法制にしたらどうかというくらいに私は私見を述べておるものであります。大臣が、日本医師会は全医師の意思を代表するものでありたいということを述べられたのは、まさしく妥当であると私は思うのでありますが、その中におきさまして、日本医師会が医師全体の意向を代表するものであるということをそのまま念願し、その結果といたしまして、この医療協議会の委員の任命においてどうあるべきかということの大臣の希望といたしましては、日本医師会長さんにお願い申し上げております通り、日本病院協会と御相談いただきまして、委員の一人は両方が一致する者にしていただきたい、こういうことであろうかと推測をいたします。 第二点といたしまして、来月の九日でありますか、任期満了いたします二名の方が医師、歯科医師の方が一名というわけでありますが、その二名の中に、それを補充する際に、日本医師会と日本病院協会と一対一で頼むかどうかということでございますが、これは医師の利益を代表する委員のすべての中の比率的な考え方といたしまして、次に任期満了になられます二名の方々は、日本医師会のみにお願いする考え方でございます。
○大石委員 関連して。ちょっと政務次官にお尋ねいたしたいと思います。今日本の医師免許証を持っておる者が十万、日本医師会に加盟する者が七万というお話がございましたが、もう少し詳しく御説明いただきたい。何日現在で何人か、そして現在何人が病気で休んで、医療や診療に従事しているのか、していないのか。そういうことの比較が大事であります。十万で七万、七割でございますから、大多数の者は加入しておらなければならぬ。ことにこれは任意加入で強制ではございませんからね。現在診療できない者、あるいは休んでおる者、引退しておる者、そういう者は当然人っておらないだろうと思う。そういう人をどう見ておるか、それをお答えいただきたいと思います。
○池田説明員 私は約という文字をつけまして、ラウンド・ナンバーを申し上げておりますが、詳しいお尋ねでありますから、事務の方からお答えいたします。
○館林説明員 三十四年の調査資料は今ございませんで、最も新しい調査資料は昭和三十二年十二月現在、それの医務局の調査資料によりますと、医師数九万八千二百六十八名となっております。なおこれに対しまして、日本医師会の昭和三十二年十二月一日現在として公表しております日医の会員数は七万六十三人でございます。その内訓は開業医が四万七千二百二十八名、勤務医師一万九千七百十五名、無給勤務医師三千百十九名となっております。
○大石委員 そうすると今の勤務医師、無給勤務医師並びに開業医師が合計大体七万くらいだと思います。今の概算で七万前後だと思いますが、それ以外の三万近くの、いわゆる医師免許状を持っている者はどうしているのであるか、それをお聞きいたします。
○館林説明員 医師の免許証を持っておりまして日本医師会でない者であろうかと思います。
○大石委員 いや日本医師会員であるかないかということを聞いているのじゃない。そういう人は何をしているかということを聞きたい。勤務でもない、有給勤務でもない、無給勤務でもない、開業でもないという人は何をしているのですか。その実態を知りたいのです。三万近くの医師がいるというが……。
○館林説明員 日本、医師会員でない者が全部診療に従事していないというわけではございませんので、これらが全部休んでおるとか、医療機関以外に勤務しているというわけではないと思います。
○大石委員 わかりました。今の七万の三種類は日本医師会の所属というのですが、それ以外の者で、実際、一体何人が勤務している、医者であって、何人が開業医であって、何人が何もしていないか、そういうことを聞きたいのです。
○館林説明員 医務局の昭和三十二年十二月現在の発表では、みずから開業しております、医師、病院が二千四百七十四名、診療所が四万四千二百四十二名、勤務医師、病院が二方四千二十六名、診療所勤務医師が一万百八十四名、医育機関付属医療施設の勤務医師が九千六百五十三名、教育並びに研究に従事しておる医師が二千六百七十一名、衛生行政に従事しておる医師が二千四百五十七名、診療以外の関係者と思われるその他の分類の者が二千五百六十一名であります。
○滝井委員 さいぜんの第一点ですが、少し的がはずれておったのですが、全医師を包含すべき団体であることを否定した意図に出たものではないという大臣の談話はこういうことかという質問なんです。すなわち、今度あなた方は病院協会と日本と医師会と一名ずつにしたのだけれども、将来は、これは仲よくいきさえすれば日本医師会というものを全医師の団体として、いわゆる中央社会保険医療協議会法に基く関係団体として日本医師会一本でやるという、そういう意味の談話なのかということです。しかし、今度は日本医師会の態度がどうも全医師の団体としてふさわしくないから、今度はこうやったんだという意味ですかということを言っている。
○池田説明員 今度やりました措置は、全くこの際これによってやったことでございまして、日本医師会の方々が、先ほど大臣の談話にもあげられましたように、全医師の利益を代表するということが現実にできて参るということを期待をいたしております。たとえて申しますと、ずっと前にあったそうでありますが、前にはこの委員を選び出しまするために、日本医師会と日本病院協会とが相談をせられまして、日本医師会の窓口からそれを出しておられまするから、そういうことに帰っていただきたい、両団体は仲よくやっていただきたいという考えであるわけでございます。
○滝井委員 まいた種はみずから刈らなければならぬという背からのことわざがありますが、一体そういう種はだれがまいたかということは、結局あなた方がまいたのです。僕なんか、甲乙二表ではだめだ、一本にしなければいかぬ、それでなければいけないのだということをすっぱく言ったのだけれども、無理やりにああいう形をとってしまった。いわゆる優柔不断というものがこういう結果を措いておる。そうしますと、もう一つ聞いておきたいのは、日本病院協会というものに所属をしておる病院は幾らあるのですか。
○館林説明員 これも日本病院協会の発表でございますが、昭和三十三年一月現在で二千八十九、施設関係の会員がおることが発表されております。
○滝井委員 物の本で読むと、日病所属は八百病院と書いておるのですがね。ここらあたりが今後の厚生行政で大事なところなんです。もしこういう形のものができて、それが関係団体として推薦権が持てるということになると、これはだんだんできてきますよ。こういうことはないと思いますが、世の中が保守革新に分れると、ややもすると保守医師会、革新医師会というものができます。あるいは病院に厚生省党、日本医師会党というものができぬとも限らぬ。そうなった場合にあなた方はそれを認めるかということです。病院の数は幾らありますか。少くとも四、五千はありますよ。もし八百だとするならば、これは五分の一か六分の一かそこらです。それができたからそれの推薦権を認めるのだ、強硬に認めるのだと、こういうことになるのです。だからそういうことを認めるならば、病院を幾つにも区切って、われもわれもと出てこないとも限らない。野心家が出てくると、保守医師会、革新医師会、厚生省党、日本医師会党、日病党と、三つも四つもできたらどうしますか。みな関係団体ですよ、これは。だからこういう点は、あるいはこういうことも言えます。結核指定医の会、労災指定医の会、生活保護法指定医の会、これはみな関係団体ですよ。もし日病にそういうことで許すとするならば、結核の指定医会を許さぬというわけにいかぬです。そうでしょう。関係団体ですから。その人たもが集まってやれば、推薦権を持てますよ。だからそこらあたりのけじめつをやはりはっきりしておかなければいかぬと思うのです。そういう関係団体というようなことが不完全だ。第一、もう私がこの前から言うように、医療協議会というものは今の時代をになうだけの機能はないのですよ。一円単価を上げたら、一国の予算編成の根本を揺がしておるのです。そうしてあなた方の手によって新しくお金というものは医者にも払われないのです。医者は一個の歯車に転落させられているのだから、医師の利益を代表するというようなものは、それは一体何なのかということです。今やあなた方の診療報酬を支払うのは機関じゃないですか。あなた方はみずから機関を作っておる。一体この機関の利益をどうしてくれるのですか。もしその機関の利益を代表するものがいないとするならば、機関を削って下さい。健康保険と国民健康保険から療養取扱い機関と保険医療機関とを削って下さい。今の医療協議会をそのままにしておって、あの法律というものはちぐはぐじゃないですか。あるいは医者でも保険者になれますよ。それは今全国的に医師特別国保法ができつつある。もし医者が乗り取ろうとすれば、保険者として国保連合会に加入し、国民健康保険の連合会の会長になり得るのです。そういうように時代が変ってきておる。法律構成が変ってきておるのに、あの法律を後生大事に持っていくところに問題があるのです。だから少くとも次の通常国会には勇断をもって日本の医療の診療報酬を決定するものを作らなければいかぬ。あるいは私がすっぱく言うように、薬価基準についても同じです。薬価基準はわれわれの目に触れないところでいつの間にか決定されてしまっておる。しかもそれはあなた方が勝手に薬は十七円、注射薬は二十三円、三十四円というように決定し、甲表については全くわれわれにその基礎さえ示さぬものを勝手にやっておる。そういう議論というものはここで行われていない。そういうでたらめなもの――むしろ私に言わしめればでたらめです。いわゆるこの医療費体系に基く点数表――医療費体系というものを示さずして点数だけを示す。こういうばかな政治というものが日本の保守党政府のもとでは白昼公然と行われておる。それをまた黙っている自民党もどうかしておる。だから私はあえて言う。この経過なんです。私は今度の医療協議会の経過を見てみると、いわゆる厚生省の味方にとってはやったことは万々歳なことだし、厚生省の敵にとっては憎みも余りあることだし、われわれ第三者から見ると、自民党はうまく日本医師会をちょろまかしたな、こういう感じです。だまかしたという感じです。十一名の委員の任命の目を見てごらんなさい。六月の二日に推薦状を依頼しているじゃありませんか。六月の二日は一体何の日ですか。参議院の投票の日じゃないですか。こういうことは堀木厚生大臣のときにも行われました。いわゆる選挙を前にして、医療行政が全く党利党略に使われておる。選挙を前にして堀木さんが追い詰められたときに、堀木さんに岸総理大臣が告示は待ったと言って、橋本厚生大臣に受け継いで、何かうまく話し合って、そして日本の医療行収を混乱せしめ、甲表、乙表を今度は少し鎮静したときでにはっと出した。そしてまたその同じ手を今度用いておる。参議院の選挙がたけなわのときに、日本医師会が五月二十二日に医師大会を開こうとしたときに、一体だれが中に立ったのですか。日本医師会の雑誌を見ると、「川名副議長「それから党六役とは、その後会っているのか。」武見会長、会っている。この問題は大野副総裁と川島前幹事長が預っているので、この前当局から本会の意向をきかれた際に、大野・川島両氏にきかないと答えられないといってある。私が第三者を交えて大臣と会うといったのは大野・川島両氏である。大野副総裁はこの問題については日医と約束したのだから日医のいい分通りやるといわれ、今また福田幹事長から電話があって、とにかく責任をもって、日医の線で解決するから大会はやめてほしい、との申入れがあった。私は党が責任をもつなら大会を止めてもよいと答えて電話を切った。」(決定事項)1、全国医師大会を取止める。取りあえず至急電報をもって「二十二日大会は取止めた、委細文」の通知を都道府県医師会長宛出すこと。2、委細の通知文は起草して急送する。」こういうことになっている。まさにこれは日本の医療行政を党利党略に利用しておる。そしてしかも政党の領袖が中に立ってきめたことをいつの間にかひっくり返して、選挙の投票が終ったならば十一名の委員を強硬に任命していくという姿、こういう形は一体何かということなんです。医療行政をそういう党利党略に使って、善良な末端の医師をごまかす。こういう姿というものは許されぬと思うのです。一体これはどういうことなんですか。まさに私たち社会党に言わせれば、実にうまく日本医師会は背負い投げを食ったということです。大野副総裁や福田幹事長は領袖ですよ。その中に入って日本医師会の線で片づけようと大会を中止させて、そして選挙が終って投票が終ったら、しり切れ観音じゃないですか。こういう不信の政治というものが保守党の政府で公然と行われ、しかも日本の弱い患者の生命に関する問題をこういう形で取引している、これがうそとは言われぬと思う。日本の医師会が重々として天下に発表している雑誌に書かれておる。そして大会が取りやめになっている。ところが大会を取りやめて投票が終ったならば強行していく。これはまるきり踏んだりけったりで、利党党略に利用して医師会はペテンにかかったということ以外には何もない。しかもあすからは委員会は機能を法律的には回復して進んでいくのだ。これで一体医療行政がうまくやれるかどうかということです。やれるというならば、私はやれるということで引き下っておきます。そのかわりやれないときには責任は追及させていただきます。あるいは場合によっては首をいただかなくてはならないかもしれない。その点は、医療行政を党利党略に使って、委員の任命を強行されておる。そうしてこれは法律的には機能は回復したとおっしゃった。それで医療行政がうまくやっていけるかどうかということなのです。大臣がおられぬですから、これだけお聞きして、それから先のことは、また結果を見てやります。ちょうどこの前も堀木さんがちょんと首になる前に受け継いだ。また内閣改造劇が始まって、坂田さんはちよんと首になる大臣なのです。そうするとあとの大臣は、そういうことは私は知りませんでした、こうのがれていく。こういううそからうそ、欺瞞から欺瞞、党利党略から党略、こういうことで厚生行政が毒されることは、九千万の国民の名において許されぬのです。だから、もっとすっきりした形で、ガラス張りの中で厚生行政の委員は任命されなければならぬ。そうでなくてお互いの圧力に屈服をしてやられるということはいかぬと思うのです。こういう委員の任命は、もっと国会の論議を通じてやるべきです。甲乙二表の問題でも同じです。これはわれわれ国会でやってくれということをどのくらい言ったかわらないが、それをやらない。だから、ああいう事項は国会で審議をする事項にしなければいかぬというのは、そのためです。そうなればわれわれは取引はいたしません。ところが、いつの間にかこういうように保守党の中のたらい回しというような姿でやられて、あとで被害をこうむるのは患者大衆、医師大衆なのです。一将功成って万卒は枯れておるじゃないですか。一体あなたは、こういう姿で、党利党略まで用いた委員の任命で厚生行政がうまくやれると言うか。やれると言うならば、やれるという言葉を次の新しい大臣に受け継いでおいてもらいたい。
○池田説明員 ただいまのお尋ねの中に、自由民主党の内部のこともございましたが、厚生大臣といたしましても、この委員の任命につきまして、先ほど申しまするように、医師を代表するところの委員については、日本病院協会の意向を尊重して日本医師会が推薦してくれるようにということで努力をいたし、その途中党の方にもそれぞれ連絡をいたした。たとえて申しますと、三役会議とか、七役会議とかいうようなところにも出まして、大臣はその間の情勢を説明いたして参っておるわけであります。なお、日本医師会の力におきまして、先ほどお話がありましたように、中に人を立てて話し合いをするということに至りまするまでの間に、大臣といたしましては数回武見会長にもお会いせられまして、お互いに胸襟を開いて話し合われた機会もあったわけであります。ところがその一点に至りますと、なかなか意思が疎通しないままに、中に人を入れて話をするということを武見さんの方で言われたように今伺ったのでありますが、大臣といたしましても、直接にも話をいたし、あるいはまた党の幹部の方々を通じても武見さんに話をいたしておったわけであります。ところが思うように進みませんで、まことに申訳なく進んで参ったのでありますが、先ほど申し上げましたように、薬品を取り入れるという問題は急を要するということからいたしまして、選挙に入る前に委員の任命をいたしまして、この委員会の発足をお願いしょうということで進んでおったのです。ところが今くどくど申し上げまするように、それができませんままに選挙に入ってしまいました。選挙じゆうにおきましても大臣は努力をいたしました。党の幹部の方々も骨を折っていただいております。それにもかかわりませず、どうしても妥結をすることができずして、選挙の終了するときを待ちまして、発令と申しますか、施行をいたし、委員の推薦をいただいて発令をして参った次第であります。 さて、明日医療協議会を開きましてお願いするわけでありますが、これは先ほども保険局長から申し上げましたように、臨時救急な事柄であり、日本医師会の方々も御参加を願うことを当然にお願いを申し上げておるわけでありまして、明日におきましては、この委員会といたしましては、円満に進めていただくことを期待しております。
○滝井委員 これで終ります。今後の厚生行政がうまくやれるかどうかについては言明がなかったのでありますが、私はこれだけ聞いておけばいいと思うのです。実は日本医師会雑誌を読んでみると、「今日まで、本会はいろいろ政治面ですっぽかされた、その事例はいくつかあるが、未だその政治責任を追求したことはない、只私が会長に就任の後、健保法改正で当時の神田厚生大臣の責任を追求して」云々と、こう書いておるわけです。何べんかすっぽかされた。すっぽかされたけれども、おそらく忍びがたきを忍んだんでしょう。しかし、今度は厚生行政の思想的な偏向とやらもあるし、すっぽかされ続けじゃ武見さんもなかなか大へんだ、こういうことでかんにん袋の緒を切ったんだろう、こう思うのです。そうなった場合に、甘く情勢を考え過ぎてはいかぬと思うのです。あなたがうまくやれるとおっしゃるなら私はきょうはそれで引き下っておきます。今後これでうまくやれますね。それだけ聞いておけばいいのです。
○池田説明員 中央医療協議会の明日の集まりにおきましては、しごく円満に進めていただきたいと思います。なお、将来長い問題といたしましては、医療協議会の存廃の問題について御高見がありましたが、私どもといたしましても、目下研究をいたしておるところであります。
○八田委員長代理 大石武一君。
○大石委員 ちょっと質問いたします。先ほど池田政務次官は、滝井君の質問にお答えしまして、あしたは日本医師会の委員が参加しなくともやる。しかし、七月九日以降の新しい委員の任命の場合には、日本医師会の推薦によってきめたいという御答弁をされました。今の御答弁、問題いございませんね。
○池田説明員 さようでございます。
○大石委員 政務次官を信用しないわけではございませんが、保険局長にも今の点はそのようなお考えであるか、正しいかどうか、それを一つお聞きいたします。
○太宰説明員 もちろんさようでございます。
○大石委員 これから質問いたしますことは、はなはだ恐縮ですが、政務次官ではなくて、局長以下の純粋の厚生省のお役人の方に質問いたしたいと思います。これは別に政務次官を信用しないわけではございませんが、政務次官は、おそらく近く内閣改造があるときにおやめになる方でございます。従いまして、前の厚生大臣堀木さんとかその他の方々の例によりましても、厚生省が前あるいは元の厚生大臣の言質、発言というものを実行しない経過がございますのっで、その点を考慮して、私はあえて御質問いたしません。また、このようなくだらない問題についてその責任を負わしたくないと思うから、ここで敬遠を申し上げる次第であります。これから御答弁をいただきます厚生省のお役人の方々は、その発言に対しては、絶対の責任をお持ちになることと思いますが、もう一ぺんお尋ねします。これから速記録に載りますことはあくまでも責任をお持ちになりますか。このことをもう一ぺん念を押します。
○太宰説明員 国会で御答弁いたしますことにつきましては、確かに責任を持ちます。
○大石委員 実はこの問題につきましてては、田辺事務次官が一番関係したはずでございます。私もこの問題が円満に解決しますようにできるだけ仲に入りまして折衝したことがございますので、経過を知っております。ただ、本日はどんな御都合か御出席がありませんので、あとで責任を問うとして、一応局長以下に御質問したいと思います。 中央医療協議会は一体どういうことをするものか御説明願いたいと思います。
○太宰説明員 すでに御承知のところと存じますが、社会保険審議会及び社会保険医療協議会法というものがございまして、そこに書いてあるわけであります。概略申し上げますれば、社会保険におきます診療報酬及び社会保険の医療を行います保険医療機関、保険医へなどの守るべき諸規定など、社会保険の医療に関する重要事項を審議する厚生大臣の諮問機関でございます。
○大石委員 その構成並びに法的根拠はどうなっておりますか。
○太宰説明員 それの構成でございますが、法律によりますと、中央と地方に分れておりますが、中央の協議会は、四つのグループからそれぞれ六人の委員を出して、計二十四人で組織するようになっております。その第一が健康保険、船員保険及び国民健康保険の保険者の利益を代表する委員、第二が、健康保険、船員保険、国民健康保険の被保険者、事業主及び船舶所有者の利益を代表する委員、第三が、医師、歯科医師及び繋剤師の利益を代表する委員、第四が公益を代表する委員、かようになっております。
○大石委員 委員はどういうふうに出ているか、そういうことです。
○太宰説明員 その委員の選出の方法でございますが、これは厚生大臣が任命する。四つのグループのうち第四番目の公益を代表する委員を除きました三つのグループの委員の任命は、各関係団体の推薦による。さようにして、委員の任期が二年で、一年ごとにその半数を改選する、こういうことになっております。
○大石委員 そうすると、関係団体の推薦されたものを厚生大臣が任命するということになっておるのですが、かりに保険団体なりあるは医療団体が委員を推薦しなかった場合にはどうなりますか。
○太宰説明員 委員を推薦しなかった場合の措置については法律に規定しておりません。そこで、この法律制定の趣旨にかんがみまして、当然妥当なる解釈を施して参らればならぬと思うのであります。これにつきましては、参考になりますものに社会保険診療報酬支払基金というものが特殊法人としてできております。そちらの方でも先ほど申し上げたものと同じ四つのグループから理事を出すことに相なっております。その場合に、これは所属団体と書いてありますが、その団体が推薦して厚生大臣が任命することになっておりますが、その推薦がない場合には厚生大臣が職権をもって委嘱することができるようになっております。支払基金法の方はそういうふうになっておるのでありますが、医療協議会の方はさような規定にもなっておらないのであります。支払基金の方は、この支払基金の執行を担当するのが理事ございます。それを構成する問題でございます。こちらの方は、厚生大臣が厚生行政を行います場合諮問いたします諮問機関でございます。従いまして、向うの場合とこちらの場合とにおきましては、おのずからそこにニュアンスの差がある。向うの場合は、その理事を欠きますならばどうしてもその執行が不可能になります。従いまして、職権委嘱ということが法律に規定されておるわけであります。こちらの方は大臣の諮問機関でございます。従いまして、かりにある団体が、先ほど御指摘のようなことで委員を出さないという場合におきましても、私どもといたしましてはそれによって、その委員が欠けておりましても、医療協議会というものは他の委員によって運営すべきであると考えております。
○大石委員 その中央医療協議会というのは大臣の厚生行政の諮問機関であるというお答えでございます。そうするとその結論というものは一体厚生大臣は重要視するのですかしないのですか、それをお聞きしたいと思います。
○太宰説明員 諮問機関でございますから、その意向というものは大臣としては尊重するということは当然のことであろうかと思います。
○大石委員 それから諮問機関でありますが、その目的をもう一ぺん聞きたい。何の利益のために――厚生行政を伸張すると申しますが、ただそれだけなんですか。その中央医療協議会のできておる目的は、何のためにそんな中央医療協議会というものをお作りになったかどうか、それをお聞きしたい。
○太宰説明員 これは先ほど申し上げましたように、社会保険における特に診療報酬の問題、それからこの保険医療機関、保険医等の方々に診療をお願いする、その場合のいろいろなルール、そういうようなものを審議するために厚生大臣が設けたところの諮問機関でございます。
○大石委員 そうすれば保険者あるいは被保険者あるいは診療担当者なり、そういう人の利益をできるだけ擁護したいという御意思でできたものと違いますか。
○太宰説明員 多介大石委員の御発言も、別に私の気持と変りないと思いますが、特殊な人たちの利益をねらうというよりは、むしろ公正に運営されるということのために、そういう人たちの意向が厚生行政を大臣が行います前に反映するようにという趣旨でできましたことは、大体先生のおっしゃったことと同じであろうと思います。
○大石委員 そうするとつまり公正に行われるということは、その構成されておるメンバーがそれぞれ妥当なる利益を得られるということと同じことだろうと思います。そういう場合、しからばなぜ一律一つの医療担当者の利益代表なり、医師会が全部出ない場合でもあえて押し切ってやらなければならないのですか。これは当然妥当を欠くと思いますが、そういうお考えはありませんか。
○太宰説明員 今度のことでお答えいたしますれば、私どももできまするならば全部それぞれの団体にお願いした通りの委員で御推薦をいただいて、そして全員そろって医療協議会が開かれる、これが建前でもありますし、望ましいことはもちろんでございます。そこで日本医師会につきましても委員の御推薦を依頼したわけでありますが、それが不幸にして先ほど政務次官から申し上げたような経過で、日本医師会はその推薦をただいまのところでは出してこないわけであります。私どもといたしましてはできるだけ話をつけて、そして出していただきたいつもりでありますが、不幸にしてそれが出てこない。どうしても出てこないということに相なりますならば、それは日本医師会にこちらが妥当なりと認めてお願いしたものを向うにおいて拒否されたわけです。もしそれによってこの医療協議会が成立しない、それから厚生大臣はそれに諮問すべきことは法律にきまっておることが諮問できない、従って厚生行政ができないということになりますれば、これは一つの団体に、言い方は悪いかもしれませんが、拒否権を認めるようなことになるわけでございまして、それはやはり法律の趣旨から見ても私は許されないことだと考える次第でございます。しかしながら私どもは先ほど申し上げましたように、医師会が最後までそういうことを拒否するというようなことを考えておるわけじゃないのでございまして、私ども今までの努力で、不幸今日のようなことになっておりますけれども、今後ともさらに誠意を尽して話しますならば、必ずやこれを円満にいくであろうということを私どもは期待し、またそのつもりで努力いたしておる次第であります。
○大石委員 さっきのお話では、七月九日の改選期には医師会から推薦を求めるといっておる。たった一ヵ月のあとにはそういう方針をとるといっておりながら、あと一ヵ月のところががまんできないのですか。そんな無理までしてなぜ今急いでそのあとの方針と変えて、無理々々医師会と日病の両方から推薦を求めなければならない理由がどこにあるのですか。一ヵ月後には医師会から推薦を求めるといっておる。日病というものは認めないということをはっきりいっておる。医師会というものは実質的には日病というものの存在を認めておらない。それをなぜ今度は六月に無理々々――これは一年前から延びたのですが、たった一カ月前に日病というものを認めて、そうして医師会との感情的な対立あるいは行政上の対立を招かなければならぬのですか。一体それほど日病というものから委員の推薦を求めなければならない状態なのですか。そこのところをはっきり聞きたい。
○太宰説明員 お尋ねの来月九日で残りの委員の任期が切れる。その際まで今度の任命も延ばしたらどうか、こういう御趣旨のお話かと思いますが、これは厚生省といたしましては、昨年の任期満了以来もう一年に近く、後任の委員の任命ができないということは、医療協議会にかける問題があろうとなかろうとにかかわらず、これは役所としては実は出しわけないことだと考えております。従いましてできるだけすみやかなる機会において任命をいたすような努力が、すでに昨年の任期満了から後においていろいろ払われておるわけです。その内容は先ほど政務次官が申し上げたかと存じますが、いわゆる議会の三長老と称する方々にもお願いをし、また参議院の方々のごあっせんもいただいて、いろいろ努力したつもりであります。しかしそれが今日までなかなか実を結ばなかった。これはいずれにしても早く任命すべきことは行政当局としては当然のことでございまして、あと一ヵ月たちまするならば、残りの半分も任期満了になるのであります。ちょうど時期がいいからあとでやろうという筋合いのものではないというふうな感じを持っております。まして御承知の通り結核の治療指針も、これは日本医学会からの御答申によりまして、結核予防審議会においてもこれが済んでおります。これを早く社会保険に取り入れてほしいという声は、これは全国的に相当高く、患者の方々からもきております。また国会におきましても、この当委員会におきましても、参議院の委員会におきましても、この医療協議会を早く開いて、そうして結核の治療指針の問題を早く解決して、国民の輿望にこたえてもらいたい、こういう御意見、あるいはなぜやらぬかという、むしろ私どもが叱咤されるような御審議がたびたびございました。また関係団体の間におきましても、早くこの医療協議会を開けという要望があるわけでありまして、医療協議会を早く開けということは、これは今日におきましてはもう全国至るところでの御意見だと考えておる次第であります。従いまして私どもといたしましては、これはそのつもりで努力をして参ったわけでありまするが、そういうふうな事態に相なりましたので、やむを得ず先般選挙の終了を待ってああいうことにした次第であります。これは決して一ヵ月あとで一緒にやるというふうな私どもの考えではないのであります。むしろ今日までこれが解決できなかったということについては、問題のむずかしさはさることながら、私どもとしては申しわけないというふうな感じでおる次第であります。
○大石委員 局長は答弁を少し勘違いされておる。私は委員はできるだけ早く任命してほしいと思う。この問題を今まで延ばしたというところに厚生省の不手ぎわがあった。たといむずかしくてもたった一人の委員を任命することが――ことに今までは日本医師会の推薦だけでやってきた。病院協会を入れるか入れないかというだけの問題なんだ。こんなことは天下の厚生行政には何も大した影響はない。こんなことを重大視して一年近くもきめ得なかったという厚生行政に私は非常な反省を求めるのです。私の言うのはそんなことじゃない。さっきも諸君はこう言った。七月の半数の改選期には日本医師会からだけ二名の委員の推薦を求めますとはっきり言っている。そういう方針がきまっておるのならば、なぜ今度だけたった一カ月前のこの六月に、委員をきめる前に、日病と日本医師会と二つに分けて委員を推薦で出して厚生行政を混乱させたかということです。今後とも日病と日医と両方から委員を推薦させていくという方針なら、いい悪いは別として、一つの方針として話はわかる。しかるに一カ月後の七月には日本医師会からだけ推薦させて目病からは出さないと言っている。そう言っておきながら、なぜ一カ月前の今、こういう方針を無理々々変えて厚生行政を混乱させてこんな委員会まで開いて問題を起さなければならぬか、そのことの反省を求めるのです。
○太宰説明員 先ほど政務次官から、来たる七月九日の委員の改選に当りましては、日本医師会に推薦の御依頼を申し上げるという御答弁を申し上げました趣旨は、現在二十四人の委員のうちで医師の利益を代表するものが四人おります。厚生省の方針といたしまして、そのうちのお一人を日本病院協会の意向を尊重して医師会から出してもらって任命したい、こういうことであります。たまたまその一人を選ぶ時期が今回の改選に当って出て参ったということでございます。残りのお二人の改選の時期は来月の九日でございますが、この方々につきましては、先ほどの比率の問題からいたしまして、日本医師会に全部お願いすべき筋の方々であるというふうに私どもは考えておるわけであります。従いまして、将来の問題といたしましては、厚生省の大臣のきめた方針が幸いにして全国の方々の御了解が得られますならば、大体将来は日本病院協会の意向を尊重して、窓口としては日本医師会を通して四人の方々が出てくることになれば円満にいく、また望ましいと思うわけでありますが、今日の段階におきましては、先ほど申しましたように四人のうちお一人は日本病院協会の方から出していただきたいということであります。
○大石委員 先ほどの滝井委員に対する政務次官の答弁では、今後は日本医師会から推薦を願うというふうに僕は開いておりますけれども、それはいずれ速記を見てからにいたします。そうすると今の太宰局長のお話では、今後の方針としては、当分日本病院協会からも四人のうちの一人の委員を推薦させるという方針であると解釈してよろしゅうございますか。
○太宰説明員 誤解のないようにもう一度申し上げさせていただきますが、厚生省といたしましては、日本医師会の立場、それから日本病院協会の立場、いろいろそういうものを考え、なお将来厚生行政を担当する厚生大臣としてはどうあってほしいかというようなことまでも考えまして、先ほど政務次官からお答えしたような厚生大臣の方針をきめたわけであります。今日きめました方針でございますならば、日本病院協会の意向は尊重する。これは今お話のように、私どもの現在の考えでは、大体四人の委員がございますならばそのうちのおでもって今のところは適当かと考えておるわけでありますが、その委員は一人を日本病院協会の意向を尊重して日本医師会から出してもらうようにしてほしい。これが厚生省の方針であります。これにつきまして将来日本医師会日本病院協会、いわゆる医界の大同団結と申しますか、みなが円満な常識で話し合うような時代が参りますならば、何も厚生省がそういうことについてとやかく言わないでも、医界の方でもって、しかるべく自分たちの中でもって話し合いがついて、そしてもう問題なく委員の交代が行われる、これは私どもこいねがっておるところでございます。さようなことができますならば、何も厚生省が一々どうということをお願いする必要はないかと思います。しかしその場合におきまして、もし話がうまくまとまらないということでありますならば、やはり厚生省が中に入っていかねばならぬかと思っております。その場合の方針は、先ほど申し上げましたように窓口はなるべく日本医師会の推薦という形を将来とも残していきたい、ただそのうちのお一人だけは日病の方を尊重してきめていきたい、こう申し上げたわけでありまして、私の申し上げようがあるいは誤解を招いたかもしれませんが、私どもの気持におきましては、先ほど政務次官がお答えしたのと何も変りはないはずでございます。
○大石委員 先ほど政務次官は滝井委員の御質問に対して、前の橋本厚生大臣の申し入れ事項は私は立ち会っておらないので聞いておらないということでした。私は橋本前厚生大臣からも現在の坂田厚生大臣からもはっきり聞いておりますが、この委員の任命に当っては、支払い基金の理事任命と相関連して、中央医療協議会の委員を任命する場合には日本医師会の推薦を求めます、ただし日本医師会でも病院協会の意思を尊重して、甲表病院、日本病院協会に所属している委員は選びますけれども、必ず医師会が推薦したという形はとるということを申し合せたということをはっきり聞いておりますが、そのような前からの申し入れ事項と申しますか、そういうことはございませんか、どうですか。
○太宰説明員 私は前大臣と今の大臣との引き継ぎに立ち会っておりませんので、そのことは存じ上げておりません。
○大石委員 そうすると立ち会っておらなければ、厚生省というのはすべての行政は言い伝えに伝わっていかないことになるのですか。少くとも重大な事項は、たとい大臣が変っても厚生省の方針として必ずあるべきだと思う。厳然として伝えらるべきだと思う。それを立ち会っておらないから知らないという言いぐさは、逆にいうと無責任だ、局長の資格がないと思うが、そこはどうですか。保険局長は保険行政という重大な問題に対して、私はあとからなったので、立ち会っておりませんから、そういう事項は知りませんと言えるかどうか。
○太宰説明員 私が先ほど申し上げましたのは、両大臣の間の引き継ぎを知っておるかということでございますので、そのときに具体的に立ち会っておらないからどういうお話が出たかということは存じていないということを申し上げただけでありまして、厚生省の方針というものは、お話のようにこれは一つの行政については筋が通ってずっとくるわけでございますから、これは御指摘のように前のことは私が知らないという筋合いのものではございません。その点から申しますれば、橋本大臣のみならず、その前の堀木大臣のときの線も、やはり厚生省の一貫した方針としてこれを考えていかねばいけない、その点につきましては、堀木大臣のときには、病院協会を代表する者が医療協議会に出ておることが必要だということを堀木大臣が言っておられるわけであります。それから橋本大臣になりまして窓口を日本医師会の一本にするというお話も確かに私ども承知して、また私どもそのつもりで先ほど申し上げました厚生省の方針と申しますもの――厚生大臣の方針と申しますものは、そういう前からの大臣の御方針を私どもが受け継ぎまして、そしてそれを現在の現嘱の面においてどのようにして生かして調整をはかっていくかということでございまして、先ほどの御方針は、おそらく御承知と思いますけれども、甲表、乙表両方から利益を代表する委員を出す、これは両大臣からの御方針であります。それからその後におきましても、日本医師会推薦の代表を出す、これも前の大臣からの方針であります。その場合においてさらに日本病院協会の意向を尊重してきめるということは、これは先ほども申し上げましたように、堀木大臣のときの方針であります。なお橋本大臣がいわゆる医界の三長老に仲介をお願いいたしました線では、日本医師会が日本病院協会と協議して、その意向を尊重してきめていくということがあるわけでございます。この点は不幸にして現段階といたしましては、日本病院協会と日本医師会というものがお互いに話し合うような態勢にはなっておらないものでございまするから、やむを得ず厚生大臣が乗り出してその間の取り持ちをするということでございまして、本質において変りはないと思います。
○大石委員 大体きょうはこのくらいにしておきますが、私が一言言いたいのは、なぜわれわれがこういうことを国会において問題にしているか。国会も政党もこんなことに関係しているなんて実にくだらないと思うのです。たかが中央医療協議会の委員を任命するというだけで、実にくだらぬことなんです。こんなことを一年もきめかねている厚生行政に対して、私は非常な反省を求める。もっとしっかりしなければならぬじゃないですか。それで日本の厚生行政がやっていかれると思ったら大間違いです。さらに許しがたいことは、先ほど滝井委員から厚生行政並びに自民党に対して非常な非難があったけれども、自民党に対する非難は当っておらないと思う。こんなことは自民党が口を出すべきことでない。口を出すべきさことでないけれども、いつまでもきまらないじゃないか。きまらないで日本の厚生行政はこんな現状になったので、見かねて党が――自民党が今内閣を作っているので、党が中に入ってまとめてやろうということで口をきいた。口をきいたその結果はあの通り、総理大臣から、これは今解決しにくいから参議院選挙が終るまで待ったらいいということで、厚生大臣はそういう名目で待ったはずなんです。参議院の選挙が終って、みんなが集まって検討して、できるだけ円満に話し合って解決するようにやりましょうということだった。それを投票が終って直後に厚生大臣が突如としてあのような発言をしたということは、裏切り行為もはなはだしい。これは厚生官僚が自民党に挑戦し、医師会に挑戦したということになる。なぜそんなばかなことを大臣にやらせるか。なぜ役人がもう少し自重しなかったか。今まで一年間がまんしたのならば、なぜ三カ月や四カ月がまんできなかったか。投票が終ってから厚生大臣や何か集まってゆっくり話をする機会を持たないで、なぜそんな卑劣な裏切り行為をしたか。このようなことをやらした厚生省は、これは政党に対して挑戦したわけです。そういうことで僕らは責めておるんだから、よくここのところを心して今後やってもらいたい。
○八田委員長代理 午後二時まで休憩いたします。 午後零時三十四分休憩 ――――◇――――― 午後三時十二分開議
○田中(正)委員長代理 休憩前に引き続き会議を再開いたします。 労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。発言の通告がありますのでこれを許します。大原亨君。
○大原委員 ただいまから、ことしの四月一日に出されました労働省、厚生省の共同通達に基くいわゆる失対事業における高齢者の排除、こういう問題につきましてお尋ねをいたしたいと思うのであります。 最初にお尋ねしたい点は、女子については六十才、男子については六十五才と、こういう年令の線を画して、失対事業から高齢者を排除しようとする、これは生活保護との関係がございますけれども、そういう法律上の根拠を一つお聞かせいただきたいと思います。
○三治説明員 法律では、失業者について失対事業を行うというだけしか規定してございませんが、その失業者について、どういう失業者、また失業対策事業をどういうふうに持っていくかということについては、従来とも行政措置としてやっておるところでございまして、高齢者の問題につきましては、従来保護機関とわれわれの方の職安の出先機関と、その取扱いについて種々問題があったところでございます。従って、従来とも厚生省とわれわれの方と、何とかそういう人たちについての取扱いをやってほしいというふうに話し合いをしてきたわけなんですが、それがやっと本年度の出発に立ち至って、御承知のような通牒にまで両省の意見が一致したというふうに御了承願いたいと思います。 それで、われわれの方として厚生省に提示しました考え方の基本は、現在各国で行われている勤労者の老齢年金の支給最低基準は六十才、六十五才が大体において共通でございます。日本の厚生年金では、たしか法律の附則の方で、将来六十、六十五才にするというのが理想の規定になっております。そういうふうな関係で、六十、六十五才を、勤労者が一生働いて、それ以上になったならば、本人が特別自分の自由意思で働くのは別として、職を離れれば老齢年金の支給開始の最低年令とするというように世界共通的に年令制限がされているので、それ以上の方が失業して生活に困るという場合においては、まず第一に厚生省の方でめんどうを見てやる。われわれの方では、その年令より下の階層の方で失業者として生活に困られる方は失対事業でやるというふうに規定したわけでございます。
○大原委員 今の答弁だけをとってみましても、厚生年金の六十、六十五というのはそういうことなんだけれども、しかし失対に働いている人は今の政府の厚生年金の適用者の範囲からいうても、条件からいっても、これは全然架空のことではないですか。外国なんかにそういうことがあるというのは、外国は社会保障との関連においてあるのであって、そういうことを無視しては六十、六十五の線を画するということの根拠にならぬと思うのですが、もう一度。
○三治説明員 それはいわゆる最高の労働年令としての線の引き方についてそういう制度を参考にした。従って六十才、六十五才までの人はやはり働いて生活を立てていく、それ以上の人はやはり社会保障の線で国がめんどうを見る、社会保障と労働政策とを加味したものであるということで、今度そういう基本線を出したわけであります。
○大原委員 あなたの最初の答弁はごまかしであって、現在の日本の社会保障制度とこの高齢者排除とは関係がない、ただ年令をそういうふうに切る場合の参考資料とした、こういうふうに考えてよろしいのですか。初めの答弁とは違うのです。
○三治説明員 その通りでございます。老齢年金のそういう年令を参考にして、失対事業に吸収する失業者としての最高年令を六十、六十五の基本線でやったということでございます。
○大原委員 それでは六十才と六十五才、女と男の差を設けた根拠を聞きたい。差別扱いをしてもよろしいのですか。
○三治説明員 これは先ほど申し上げましたように、各国とも、またわが国の厚生年金につきましても、老令年金の開始時期についてそういうように男女五才の差をつけているので、従って失対の方におきましてもそういうふうな線を画した方が適当ではないかということで、そういうふうにしたのであります。
○大原委員 そういうふうに、失業対策事業の性質からいろいろ論議しなければいかぬけれども、日本にはそれ以降の社会保障制度というものが実在しないにもかかわらず女は六十才、男は六十五才という線を引いた。そうして男と女について何らの根拠もないのに差別の扱いをした、行政上の措置で一方的にやった、そういう答弁だけれども、それでよろしいですか。
○三治説明員 何らの根拠がないということでなくして、そういうふうな労働階層、労働する年令階層としてそういう制度が現在あるから、それを参考にして、それを根拠として労働階層の、失業者の吸収の、労働者としての範囲を限定した、こういうふうに解釈していただきたいと思います。
○大原委員 次官も十分考えてもらいたいのですが、この日雇い労働者といえば、よくよく踏み切らなければなれないことなんです。無責任に遊んでいるとかいうようないろいろな言葉があるけれども、賃金も入ってこないし、腹は減るし、たくさん家族をかかえているのだから、それはいろいろな条件があるのだが、ことに老齢になって日雇い労働者になる人は、やはり今の若い人の所得とか、いろいろな家族内の条件で、よくよく考えて働きに出るわけです。そういう生きんがための最後の手段として、ここに一応失業対策事業というのがある。それで私、呉市の例を調べてみましたが、いろいろ事情を聞いてみたら、これは昭和三十三年度の資料だけれども、失対の方で、女で六十才、男で六十五才以上の新規求職者で、そういうものに適用しておるその問題について調査しておる。呉は御承知のように二万数千の失業者があって、登録者が七千名近い多発地域ですよ。駐留軍やいろいろ軍部という関係で……。その問題について調べてみたら、約六割程度の者は生活扶助を受ける資格がない。いわゆるボーダーラインなんです。そういうところに対して、私は厚生省の社会局長の見解を聞きたいけれども、事実上どういうふうになっているかということを聞きたいが、あなたの方は冷酷に、これは進歩なんだというふうなことで、局長が説明されておるように、一片の通牒で処理しようとしているけれども、そういうたった四割程度の者が実際に生活保護の該当者に一応なる。既得権は剥奪されるけれども、該当者になる。六割は該当しない。こういうきびしい事実があるわけです。そうしたら、六十才、六十五才で線を引いて、政府のやる施策においてそういう年令的な、あるいは性別的な差別扱いをする、そういうことは憲法第十四条にもあるけれども、いわゆる政府がやる仕事の中において、個人々々の労働能力差等も考えないで、実際上、一律にこういうふうに職場から排除するというのは私は憲法違反だと思う。行政措置で、そういう一片の机上のプランで、そうして通牒でそういうことをやろうと思ったら、これは大きな問題が起きると思うのだけれども、そういう点について、一つ政務次官にお尋ねしたい。
○生田説明員 六十才と六十五才で男女の区別をしたことが少しお気に召さないようなお話でございますが、それは男女ともに、実際に男女の健康、労働能力、その他いろいろなことを勘案してみて、両方とも六十五才にした方がいいか、あるいは六十才、六十五才にした方がいいかということは、これはお互いに議論のあるところでございましょうけれども、一応六十才、六十五才の方が実情に適するのではないかという考えできめておるわけでございます。しかし、そのきめたのが、別に不公平にやろうとか、差別をつけようとかいうのではなしに、六十五才と同じにした方が、かえって弊害が起きるかもしれませんので、その辺のところは、こちらがいいだろうというのでやってみたのでございます。おっしゃるような差別とか、そういうふうな考え方はないわけでございます。
○大原委員 今の質問いたしました内容は二つあるのですが、たとえば東電で結婚したらやめろということがあった。これは民間ですよ。政府の機関じゃない。民間にそういうことがあって、協約がないのに、一方的にそういうことをやるのは憲法違反だというので、こうごうたる非難があった。憲法では、やはり男女性別によって差別扱いをしてはならないのだ、それを一片の通牒でいろいろな事情のあるそういうような失対の就労者について、六十才と六十五才の差別扱いをしておる、これは憲法違反じゃないかと、こういうように一つは聞いておる。そのことを質問しておるのです。次官一つ答弁して下さい。
○生田説明員 お尋ねの、直ちに憲法違反であるとかないとかいうことを私がお答えをするのは、どうも私としてははっきり答えましょうという気にはなれないのであります。どうもこれでいいのではないかという考えでございます。(大原委員、理由を言っててごらん」と呼ぶ)もし悪ければ悪いで、将来の問題として訂正すればいいのでございますけれども、今はこれでいいのではないかという考え方でございます。その点が憲法違反であるかないかという議論は、私はこれでいいと思います。
○大原委員 どういう理由でいいのですか、次官。
○生田説明員 六十五才といっても、労働者の方からいいますれば、女の方はか弱いのだからもう六十才でやめてほしい、そして同じ収入があるなら生活保護にしてもらいたい、こういう希望がないともいえません。また、いやおれは同じ収入でも生活保護よりはやはり失対の労働者として働かしてもらいたいのだ、こういう人があるかもしれません。私はまだ働けるのだから、私は働いて収入を得たい、何も生活保護をしてもらわなくてもいいという御意見の人もあるかもしれません。それは個々のケースによって違うのでございますから、私は男女の性別あるいは肉体的能力、そういうものを考えてみれば、やはり六十才と六十五才と差をつけてやる方が現実に即するのじゃないか、こういうような考え方でございます。
○大原委員 では、この通牒というのは、本人の希望に基いてやるのですね。今の関連があるから政務次官、答弁して下さい。大切な問題だから一つ聞きたい。本人の希望や実情に基いてやるのだね、この通牒は。
○生田説明員 お尋ねのことがよくわかりませんが……。
○大原委員 それではもう一回。この通牒は、六十才、六十五才以上の高齢者を失対事業から排除する通牒なんだ。第二項の基本方針の第一を見ても明らかなんだが、そういうのは本人の希望あるいは本人の実情、そういうものの納得の上に、自由意思に基いてそういう高齢者の排除を行うのか、そういう趣旨の通牒か。
○生田説明員 私が今申しましたのは、政府が判断をいたしました資料を申し上げたのでございまして、何もそれは対人関係で希望があるとかないとかいうことで、個々のことで申し上げたのではございません。私たちがそういうことを勘案した判断の資料として、そういうことを申し上げただけでございます。
○大原委員 あなたが今答弁した中で、そういうことは、六十才以上の女子の失対就労者でそういうことを希望しておる人もある、そういうものを一つの判断の材料にしておるのかということを言っておるのだ。
○生田説明員 速記録を読んでいただけばわかりますが、かもしれません、そういうことを希望する人があるかもしれません、こういうように私は用語を使っております。かもしれません、ということを申し上げておりますから、個々の具体的な実際の事実をつかまえて私は申し上げたわけではございません。そういうようなことがあるかもしれませんということを、私はあらゆる角度から判断をして、六十才、六十五才が妥当であろうということをきめた、こういうように申し上げておるわけでございます。
○大原委員 それではこの通牒は、六十、六十五才以上の就労者を、女と男について、そういう失対事業から排除する、こういうのは、これは一つの政府の判断に基いてやる一方的な行政行為なんですか。
○三治説明員 だから、それの判断をする基準について、この通牒を書いたわけでございます。一方的といっても、この通牒の基準に従って本人に通知する。その中で一方的にというふうにここで解されるものは、現に六十、六十五才以上の失対適格者であって、生活保護を受けながら働いておられる、これは今の生活保護法から見れば、失対で働いた収入は全部差っ引かれたが、失対事業をやめても、その失対でもらっていた部分だけは、生活保護費が今度は増額されるわけですから、それはいいんじゃないか。それからあと、現に生活保護を受けておられない方を生活保護に回す場合に、その本人の所得、現に失対事業で働いて得ている所得と比較考量して、保護機関ともよく個別的に連結して、働いておられる所得も、それから今度保護機関で受けられる所得も大体変りないというようなことで六十、六十五才以上の線は大体こちらの方として吸収する対象としての線が出てきた。だから保護機関の方から、もしも失対事業をやめられるならば生活保護法を適用しましょう、こういうふうに保護機関とも話し合いがついているからどうですかというふうに、受けていない方については個別的に折衝するように指示してあるわけであります。強制的というのはその六十、六十五才以上で現に生活保護を受けながら働いておられる、俗な言葉で言えば働き損になっている人たちについて、この際こういう基本線で生活保護でやっていただけないか、また現に生活保護を受けておられないが、やはり失対適格者、からだが健康だからというような関係で失対で働いているのだから、生活保護へいっても、もうどちらでも同じくらいかもしれないというようなことで、その分については見る、こういうふうにしてさあるわけであります。ですから現在適格者として働いている方にはそういう考慮を払う。適格者以外の新規の求職につきましては、あらかじめこういうふうな通牒で今後労働省と厚生省との境をはっきりして、第一線機関としては六十、六十五才以上の人が窓口に現われた場合には、保護機関としては失対でも働きなさいというふうな勧告はしないで、生活保護のことを検討する。それから失業対策事業につきましては、そういうふうな年令制限で今後は失対事業に吸収はしないということでございます。
○大原委員 これは新規就職者の問題をやっておくと、あとの問題がはっきりするから言うのですが、新規就職者で四月以降については六十、六十五才以上は全国的にほとんど一名も採用していないのですか。
○三治説明員 四月一日付になっておりますが、そのときの厚生省との修正や何かで、実際の通達は地方には四月十二、三日ごろ、遠いところは四月の半ばごろに着いたところもあると思います。従って原則として四月一日ということにしてありますから、四月一日から絶対に一人も入れていないという保証はないと思います。実際の通達がいきましたのは、そういうような関係で四月中句になって県へ着いたところもあると思います。従って絶対ないとは言いませんが、大体において四月以降においては六十、六十五才以上の方の新規求職についての失対への吸収はしないように処置していることと思います。
○大原委員 次官の答弁との関係をはっきりするために申し上げるのですが、そういう高齢者を新たに就職させないということは、本人の希望とかそういうことではないのですね。一方的な行政措置でやっているのですね。
○三治説明員 新規に入れる入れないは、これは本人の意思ということではなくて、一つの基準でこういうふうに今度したのであります。これは一面労働能力の規定で、そういう六十、六十五才以上の方を働かせて生活を得せしむるというより、そういうような生活保護という社会保障の方で見るというふうに規定したわけです。
○大原委員 先ほど私は呉市の地方の例を引いて言ったわけでございます。昭和三十三年に新たに高齢者で職を求めた百人について調査したところが、六割は生活保護に該当しない。それが三十四年度は排除しているからそういう現象は起きないわけだけれども、やはり日本の――世界的にもそうだけれども、平均年令が高齢化していて、七十ぐらいの人はざらにおるわけです。あなた方はよく社会保障ということを言われるが、日本では生活保護一つをとっても非常に低いし、ボーダー・ライン層が多いから、こういう問題が起きている。しかも厚生省との連携をとるというようなことを口では言っておりながら、あちらに行ったりこちらに行ったりしていて、なかなか片がつかない。りしかも職業定安所としては、職業を紹介する義務があるわけだ。また就職する権利があるわけだ。年寄りであっても、六十、六十五才であっても、国家の保護を受けられないというばかなことはない。失対事業は他に就職する場合の能力において一つの足がかりになるわけだ。法律的な趣旨からいえば、恒久的な職業でなしに、失業者をそういうふうにして適職につかせるためのやはり一つの段階である。そういう機会をはぎとってしまうということは、生活保障の実情からいっても、あるいはそういう就職の機会均等というサービスをする政府の義務からいいましても、これは非常に差別扱いになっておる。それが私は実質上においては憲法に違反しておると思うのです。国の機関自体が一方的にいろいろやるということは、これは許せぬことではないかと思っておるのですが、次官の答弁をお伺いいたしたい。
○三治説明員 われわれといたしましても、国民に対する政策として、また労働者に対する政策という意味において、その間のほかの政策との限界というものはどうしてもある一定の線、また現実に動いていくところを見ながら行政措置としてある一定の規定をしていくことは、これはあらゆる行政面で行なっていることでございます。それでわれわれの方として年令制限と申しますけれども、大体において六十、六十五才というのはやはり一般の勤労者として働くいわゆる労働年令としては最高年令として世界各国でも規定しているし、わが国においても六十、六十五才という年令によって、それ以後は厚生年金を支給するというように、労働の最高年令の規定を各法律にもしてあるわけです。そこでそれ以上の人を労働者として働かせなければ生活の保障をしないということは、やはり労働政策以外の問題ではないか。そういう人たちを現在の生活保護ではだめだと言うのだったら、これは現在の生活保護そのものがやはり国民の実際の最低生活に合うとか合わぬとかいう議論になるので、失対における六十、六十五才以上のいわゆる労働力生産としての限界が高過ぎるとか低過ぎるとかいう議論については、私の方としては現在の状況から見れば最高年令を規定しているというふうに与えておりまして、そういうふうな規定というものは、やはり労働年令というものについて一定の制限を設けたから、これでどうこうという、何に違反するということはない。やはり価値判断の問題で、行政をやる上における、名それぞれの行政分野の限界を示す意味において、そういう行政措置は当然とり得るものだと判断している次第でございます。
○大原委員 今言っておることについて、もう一回私は重ねて聞きますが、働く能力のある人は個別的にも違うわけなんだ。六十をこえても元気な人がおる。十河総裁は幾つだ。七十五になってけっこういろいろなことをしておる。代議士だって最高年令を制限するわけにいかぬだろう。だから個人によっても違うのだ。しかも働く能力がある、就職する機会を求めたいと願っておる、職安に対してそういう要求をした際に、その一つのステップとしては、失業対策事業が法律上ある。憲法がその背後にあって、しかも法律があるのに、一片の通達をもって権利を奪うということができますか。
○三治説明員 失対事業に失業者を吸収してやるというのは、それは法律に規定して、そういうふうにやるわけなんですが、その失業者についてどういう範囲の人々またどういう失業者を吸収して、失対事業としてで、失業者対策を労働力対策としてやるかということについては、政府としてその限界を設けることについては、その程度の問題はありましょうが、当然そこに一定の対象を具体的にきめていかなければ行政はできないものというふうに考えております。
○大原委員 それだったらもう一回もとに返って問うのですけれども、男と女をそんなに差別を設ける根拠はどこにあるのですか。
○三治説明員 これは先ほども一番初めに申し上げましたように、わが国の厚生年金におきましても、働く勤労者一般として考えた場合に、現存の規定では六十才以上になれば厚生年金がもらえる、五十五才になればもらえるというふうに年令の差がある。ほかの国においても、男子と女子と五才ないし十才の差をつけているところも二、三あるわけでありまして……。
○大原委員 そんな他の例でなしに……。差別扱いをしてはいけないのだ。
○三治説明員 差別扱いということでなくして、そういう男子、女子の労働者の適性からいって、社会保障をする年令としてそういうふうな規定があるわけであります。これはわが国ではまだ批准しておりませんけれども、社会保障制度の最低基準に関する条約でも、男子についてほ六十五才、婦人については六十才をその老齢給付の年令とするのが原則だというふうになっておる。こういうふうなわけでして、われわれの方としてはそういう働く階層の、働く年令の最高限度のそういうふうな制度を――今までの多年の経験で、そういうのが働く人口として、働く労働力としては適当であろうという規定の線があるのを参考としてきめた、こういうことでございます。
○大原委員 それは全然根拠にならぬのです。文化的な生活を保障するというのは、社会保障制度の法律の原則が憲法にある。今の話だと、国民年金は七十七才以上の男女について月千円ほどあるのだ。年令は政府の案はそうですけれども、もっと一般的な国民年金は七十才以上について男女とも区別がない。生活保護をもらっている際に差つ引くということになっていたんだけれども、国会の審議を通じて一応法律を改正して加算することになっている。これは生活保護がやはり実態に合わないということ。ボーダー・ラインということをそれぞれの条件の人については認めているわけなんだ。老齢加算をやったり、母子加算をやったり身体陣容加算をやったりする。とにかく失対事業として就職の機会を求めて、完全雇用の政策をとっていく、それを目標にして失対事業をやっていく、そうして、これを適用されない人については、社会保障制度をやって、国民の最低の生活を保障していく、こういうのが原則であるのに、あなたはILOの社会保障の其準なんか持ち出して、そこに差別があるから六十才、六十五才について差別を設けました、あるいは政府の事業に対する就職についての機会均等を無視しているんじゃないとか、そういうことをいったって、これは逆じゃないですか。憲法違反じゃないか。趣旨からいえば、こっちからやって、こっちもができてさえおれば必然にそういくんだ、そこで初めて法律が全体として完備するんじゃないですか。あなたが言っているのは、抽象的に国際的な慣行であるとかそういうことをばく然と持ち出して、日本の制度や法律に根拠がないことを逆にとって、そうしてそういう差別扱いをしている。就労の機会をそういうふうに奪っている。これは政策として、あるいは憲法の法律論からいうて、二つの両において間違っておる、こう思うんだけれども、次官どうですか。
○生田説明員 先ほどもお答えしました通り、男女同じ年令にきめた、それが公平なのか不公平なのかということになると、男女の実態からいえば、労働能力からいっても、五才の差をつけた方がむしろ公平なんじゃないか、そういうような考え方でございます。
○大原委員 部長、答弁して下さい。社会保障制度関係の答弁になっていないじゃないですか。日本には実際にないのに、こんなに失対事業だけばんとやる、そんなことはないじゃないですか。
○三治説明員 私が先ほどから申し上げておりますのは、そういう社会保障制度を持ち出しましたのは、そういう年令について、労働年令の最高年令としてどういうふうな規定があるかということを見るためにそういう制度を参考にしたということです。われわれの方の失対事業の吸収対象とする失業者としての適格性について、六十、六十五才以上の人まで失業者として吸収の対象にするのは、やはり労働力政策について行き過ぎじゃないか。そこである一定の制限を設けるべきじゃないか。それはまあ最も卑近な例を申し上げますと、先ほど政務次官も言われましたが、実際第一線に参りますと、それ以上またはそれに近い年令層の人が生活保護を受けようと思って保護機関に行くと、まず失業対策でもまた職業紹介でも受けなさい、それで職業紹介を受けて、仕事がなければ失業対策事業にでも入れていただきなさい、とにかく生活保護は少しもほかのところから所得がない、どうしてもないというときに適用になっているんだから、まず職安の窓口に行きなさいというふうに言われる。そうして職安の窓口に来ると、そういう方についてなかなか適職もない。失対についても、そういう方を屋外において暑いとき寒いときに働かすというのも実際の問題として酷じゃないかという議論も出てくる。その間に実際老齢者は、生活保護機関に行けば失対で働きなさい。安定所の窓口に来ると、それよりかもっと若い人で失対事業なりまたそのほかの職を世話しなければならぬのがたくさんあって、むしろ本人は初めは生活保護を受けたい希望なのに、失対なりほかに職業紹介をされて、それである程度待たないとどうしても職につけない、また安定所から再三証明書を出さないと生活保護を受けられないというのが実情です。もちろんその間に、見かねて失対事業に入れた場合も相当あるやにわれわれの方では聞いているわけです。やはり第一線の機関になりますと、どちらの窓口がその老齢者に対して――あるいは働きたいといって職安の窓に先に現われる人もありましょう。それから政府保護機関に先に現われて相談される方もありましょう。そのどちらが多いかと申しますと、どちらかといえば、われわれの方としては、そういう保護機関の保護を受けたいというのが、実際の高年令者、六十、六十五才以上の方については実際問題として多いんじゃないかということで、厚生省と相談して、厚生省の方もそこに書いてありますように、六十、六十五才以上の方が保護機関に現われてきたならば、そういう人に対してまだ働きなさいとはいわない、これはやはりそういう労働年令層として、いつまででもとにかく国の救済措置と申しますか、生活に困窮し、また生活の保障としての所得が確保されない人に対する対策として、そのどちらを優先すべきかということについては、やはりそういう年令階層以上の方は、一つ厚生省で生活の困られる方については全面的にめんどうを見てもらいたい。そういうような労働年令階層についてはできるだけ失対事業の方で見よう。そこで厚生行政と労働行政の第一線における行政の始末をつけた。従ってそういうどちらの機関に現われた人も、第一線としては非常に取扱いがよくなる、こういうふうにわれわれの方としては考えておるわけであります。
○大原委員 僕が言っているのはこういうことなんです。もう一回言うけれども、失対事業というものは最後の機関なんだ。国が設けておる適職を得るための最後の一つの制度なんだ。そういう制度において、次の社会保障制度、国民年金、厚生年金、こういう年金制度、所得保障の制度、そういう問題について政府の一貫した施策がないのに、六十才と六十五才で一方的にいわば定年制みたいな線を引くということは不当じゃないかということを第一に言っておるのです。たとえば地方公務員もそうでしょう。一般公務員も定年制を設けることについては法律できめる。今まだいろいろ論議になっているのですよ。それを国民に対して、国が設けておるそういう失業対策事業について線を引くというようなことは順序から言って不当じゃないか。社会保障制度を作っておいて、生活保護とか、いろいろな所得保障の年金制度等を作っておいて、そして、ここに初めてこれが第一線の機関において相互に話し合いをして連絡をとった上で、有効適切なそういう法律の適用をやっていく、こういうならいいけれども、それをやらないでおいて一方的にこういうふうに排除していく。新規採用者を排除しながら、現在おる人々についても逐次そういう方針をとっていく。こういうことは、言葉の上からはともかくとして、現在の実情から言うと、実情に即さないのじゃないか。二つの面から考えてそういうことを言っておるのですよ。
○三治説明員 社会保障制度で厚生年金なら厚生年金の受けられる現在の日本の制度から行きますと、男で六十才以上、女子で五十五才以上で、厚生年金をもらっても食えないという問題になりましょうし、あるいは老齢の国民年金は七十才以上だという問題もありますけれども、今度線を引いたの、そういうのと直接の関係はなく、労働力としての限界を六十才、六十五才で引いたということなんで、六十才、六十五才以上の人で生活が困れば、今の社会保障制度としての生活保護で救済していく。六十才、六十五才以下の方で失業を原因として施策を要する人に対しては失対事業なりでやる、こういうことになっておるのです。
○大原委員 それでは実情について質問したいのだけれども、失対事業に就労しながら生活扶助を受けている者が日本全国で大体何人おるか。それからその中で年令制限を受ける人員は何人おるか、それを答弁して下さい。
○三治説明員 昨年の十月一日現在の調査で、高齢者で生活保護を受けていられる方が全国で七百一十名でございます。六十、六十五才以上の方で現在働いておられる方は、七百二十名を含めまして一万九千七百七十人。
○大原委員 じゃ、ほとんどが年令制限を受ける人で、そうして生活保護を受ける人には入らないということですね。
○三治説明員 六十才、六十五才以上の方で現在生活保護を受けながら働いておられる方は、今申し上げましたように約二万人のうちで七百人ということでございます。
○大原委員 それなら、六十才、六十五才以上で就労の機会をシャット・アウトされた人は、ほとんどが現状の就労の機会を含んだ、期特権を含んだ既得権が剥脱りされるということになりますね。
○三治説明員 この六十才、六十五才以上の方は、ほとんどが数年前あるいは三、四年前、そういうふうに長く入っていた結果として、こういうふうな高齢者になった方が多いので、そういう高齢者を新規に失対に吸収しておるのは、われわれの方として正確な調査は過去とっておりませんでしたけれども、わずかしかない。むしろこういう約二万人おられる方の大部分は、数年失対事業に入られて、自然に毎年々々一つずつ年をとった結果として、こういう方がこれだけの数になってきた、こういうふうに御承知願いたい。だから、新しくそういう六十才、六十五才以上の方が、現在の二万人のうちの毎年五割とか三割も失対に働かしてくれという求職申し込みはないわけでさあります。実際即題としてそうたくさんはないと思います。
○大原委員 これは先ほど申しました呉市の実態ですが、昭和三十三年中として失対事業就労の新規求職者を調べた数字によりますと、制限年令をこえる者が二百三人おる。制限年令に達しない者が二千九百五十二人おるわけであります。高齢者が約一割おるわけです。これは去年の例です。だから本年四月以降においても、やはり駐留軍とか、いろいろ企業整備があったり、石炭地域とか、そういう多発地域においては、相当数の人が、やはり就労の機会を持ちたいといいながら政府の年令制限を受ける。これは場所によって違いますが、一割おるというわけです。これは僕が行って調べたのだから間違いない。それじゃ本年こういう措置をとって以降、現在失対に就労しておる人、そうして新たに就労したいと思っておる人で、この通牒に基いて話し合いの結果生活保護を受ける方、そういう例が何人あるか答弁して下さい。
○三治説明員 これは報告するようにこの通牒にも書いてありますが、おそらく七月の終りごろじゃないと四月以降の状況はわからないと思います。
○大原委員 厚生次官にお尋ねしますが、今高齢者排除の共同通牒の問題で話しておるのです。それで問題は、労働省の方では、今まで厚生省の方が頑強に――頑強かどうか知らぬが、反対しておった生活保護と失対事業の関連について一歩譲ったというか、了解したからこの共同通牒になったんだ、あなたを扇動するわけじゃないけれども、簡単にいえばそうだ。そこで私ども質問したい点は、現在そういうふうに六十、六十五でも相当元気な人がおる、平均年令は六十五、六になっておるのだから。そういう能力のある人までそういうことで排除するのだが、生活保護には該当しない人がたくさんある。今の日本の生活保護は非常に低いわけですよ。それは今まで政府も厚生大臣も答弁している通りなのだ。そういう実態の中で、たとえば年金にいたしましても七十才以上なのですよ。そういうときに、唯一のよりどころであるところの失対事業から締め出された人間が社会保障制度へ円滑に移行していくようなそういうことの保証なしに――憲法には最低生活を保障するとなっているのだ。生活保護法の前文にもあるし第一条にもあるし、社会保障、国民年金だってみんなそうだ。そういうときに、簡単にこういう通牒にサインされて一緒に出されたあなたの方の見解を一つ間きたい。
○池田説明員 失業対策の関係におきまして年令の制限をされるということは、労働省でも長いこと御研究になっていたと思います。なおまた私の方の厚生省にもいろいろ交渉があったと承わっております。その両省の意向が一致をいたしまして、御承知のような両局長名の通牒をもちまして地方に指導をいたしてさおる、こういう段階であります。今御指摘のようにこれを実施して参っておりまする今日におきましては、年令だけをたてにとりましても、その年令で阻害されるという方が相当にあります。その年令日で制限を受けられる方々は、体力においても労働力があり、労働しようという意思もおありの方が相当いらっしゃると思うのであります。ところがそういう措置ができますというと、失対事業の中におきまして、そういう年令層の方は雇用されないということでありまして、結局勤めるところがないという実情になってくる方がおありだと思います。その方につきましては、これは御案内の通り生活保護法の対象といたしまして、生活保護法の示しまする限りにおきまして生活の保護をいたして参りたい、こういうことで進んでいくわけでございます。
○大原委員 そういう話の順序なら大体いいのですが、しかし六十、六十五才以上の人で、実際上生活保護を受ける人は、労働省の発表ではきわめて少い。場所によると一割くらいあるのですけれども、しかしながらほとんどの人はそういう生活保護の適用を受けないでちまたに放り出される結果になるということは、今までいつも論議になっているように、日本は生活保護、社会保障制度が貧弱な中において、そういう失対事業という、とにかくいろんな世間体も考えながら、最後のよりどころとして、そこに決意して入ろうとしてずっとそこへ入ってきた人が――これは一日方々が失対事業の本質だけれども、五年も八年もの人がたくさんあるのです。五年以上の人が八割もあるという資料がある。そういう場所もあるわけなのです。そういうときに、六十、六十五才以上の人をそこから排除するということは、社会保障制度を担当しておる厚生省から考えてみても、そういう一方的な無理をするな、憲法や人権の問題からも、一片の通牒をもってこういうことをやるのは実情に沿わぬのじゃないか、そう言ってしかるべきじゃないかと思うのですが、それはどうですか。
○池田説明員 今のお尋ねのことにつきましては、両省の間で長いこと相談をしておりまして、今日まで厚生省といたしましては同意をしていなかったことだと思います。その同意をしなかったゆえんのものは、今御指摘になるような趣旨に基いておったと思うのです。ところが労働省におかれましても、失対の関係におきまして、より若い方々を収容したいということや、失対事業による態率も進めていきたいというような新しいお考えからいたしまして、そういうような制限をするということがやむを得ないというようなお話等によって、私どもといたしましても御協力を申し上げて、両局長の通牒と相なったものと解します。
○大原委員 仕事の能率を上げるということが労働省のねらいの一つだと思うのです。それについては、それぞれの人々の能力においてやることはいいのですが……。厚生次官にお尋ねいたします、あなたは賢明だから。通牒で六十才、六十五才と男女の差別を設けてある。これは本人の希望に基いてやるのかというと、そうじゃない。一方的な強制措置でやる。しかも、その先に社会保障が連なっておれば生きていけます。ほとんどの人が既得権を保持して――失対事業は最低の基準だから、そのくらいの既得権を保持できて、大体においてやっていけるという基礎があるならば別だけれども。六十才になりましてもまだ働いておられる方もあります。あなたは六十才になったらおやめになるということについて、法律で作ることは不賛成だと思う。そういうことで働ける人がちゃんとおる。そういうのに一方的に、社会保障制度ができておらぬのにそういうことをやるというのは――これはあなたの方として社会保障制度についての態勢を整備して、そして本人の希望に基いて勧奨してスムーズにできるような、そういう条件の中でやるべきなのが憲法の当然の趣旨じゃないか、そう思うのです。それについてあなたの方は職務怠慢じゃないかと思うが、どうです。
○池田説明員 男女の間におきまして六十と大十五という差別を設けたゆえんのものは、これは労働省におきましても相当研究された結果だと思います。あるいは男女の体力の関係とか労働意思の関係とか、そういうことでそういうことになったと思うのであります。そういうことになりましても、すでにそういう年令以上の方々を収容しておる失対におきましては、それを直ちにちまたにほうり出すということはなされないだろうと、厚生省として労働省を信頼しておりますし、これから後出てくる方につきましては、そういう年令制限をもちましてその他の年令の中に入らない方、除外される方で、いわゆる生活おできにならないということでありますならば、現実の問題といたしまして、私ども厚生省として生活保護の関係でこれをごめんどうみましょう、こういうような相談の結果これが出たものと思います。
○大原委員 生活保護の問題について論議すればきりがないのでありますが、生活保護のところまでいったらなかなか立ち上ってくることはあできないのです。それは統計の示すところです。とにかく野犬を警察につないでおくよりも安いのだから、それはきびしい事実なんだ。手をひっぱり足をひつぱりして、国民年金でもレベルを引き下げているのだ。これが日本の社会保障制度の実態じゃないですか。しかもそういうことについて法律にも規定がないじゃないですか。それを単に通達をもって年令をぴしゃっと制限して就業の機会を制限する。特に女の方が弱いということを言われたが、弱いことはない。平均年令からいったら女の方が二才か三才多くて、六十七、八才です。女の方が行儀がいいから長生きする。あなたの言うことはうそじゃないですか。そういうことを一片の通牒をもってやることは間違いじゃないか。社会保障制度を担当している厚生省はがんとしてそういうことについてやるべきじゃないですか。これはあなたの方が怠慢ですよ。三治部長の答弁しておったことだってそうです。外国の厚生年金でも、あるいはILOの社会保障の基準でも、六十と六十五の差別があるということでありますが、それは制度としてあって、引き継げる場合にはスムーズにいくのです。そういうことがないのに――国民年金は七十才じゃないですか、七十才の男女じゃないですか、同じじゃないですか。それであるのに生活保護も国民年金も同じような社会保障制度、所得保障制度の中において全きを期そうというのじゃないですか。そういう場合に六十、六十五という外国の例を一方的に持ってきてやるということは、これは政府は勝手のいいときだけ労働政策の中で外国の例を持ってきている、実際の予算を伴う場合、勝手の悪いときにはそれを逆に利用していく、そういうことは不当じゃないか。あなたの方はがんとして社会保障制度を守るんだから、守る責任があるんじゃないか、こういうことを言っているのですよ。もう一回答弁して下さい。
○池田説明員 御承知のように生活保護の関係といたしましては、国民の中で働く意思があり、働く力がある方はお働きいただきまして、その働いたことで生活がおできにならない方とか、あるいはまた実際に働くこともおできにならない方、そういう方につきましては生活保護法におきまして生活の保護を申し上げましょうということが建前でございますから、どういう原因でそういう状態になられたかということは申すまでもなく問わずに、生活保護といたしましては、これに該当する方はすべてこれを生活保護法の対象として保護申し上げる、こういうことで進んで参りたいと思います。
○大原委員 それでは一つ双方に質問いたしますが、結局は生活保護に適用を勧奨するのならばいいのですよ。しかし勧奨とかあるいは本人の希望とかいう域をこえて、一片の通達をもってこういうふうな過酷な一方的な措置をとる、そういうようなことは今の条件においては不当であるというのですよ。前の労働次官だって、そういうことを言っているのですよ。本人の希望とかあるいは本人の仕合せということを言っている。そういうことを一つの理由にしながら、しかもそれでいくならいいですよ。通牒の趣旨もそれならいいけれども、それを出まして、現在おる人についても逐次そういう措置をとると一緒に、現在から新規採用の者については高齢者を、年令をびしゃっと切って、しかも男女の差別を設けて一方的に行政上の措置で排除していく、そういうようなことは今日までの長い失対事業の本質からいうても、社会保障制度の現状からいうても不当なことです。政治じゃないです。一片の官僚の通達です。官僚は言葉の上で、机の上で満足しているかもしれないけれども、実情というものは、そういうふうな日本の一番の社会の暗い谷間にいる人の生活を考えない、あるいはそういう家族を含めて将来立ち上ろうとしている人々の努力というものを一方的に無視していることです。そういうことは不当だと思う。これは労働次官と厚生次官はどっちがいい答弁ができるか、答弁して下さい。
○生田説明員 大原さんのお尋ねを承わっておりますと、非常に過酷であるというふうにお話があるようでございますが、労働省としましては、厚生省とよく相談をした結果、現在高齢者であって排除しなければならない者、それにつきましては生活保護に回しましても収入は従来と変らないように、そういう十分の配慮もいたしておるわけでございます。具体的には三治部長がおりますから御説明をさせますが、現に高齢者であって、そうして生活の保護の方に回す者について、その実収入は現在と少しも違わないように、落ちないように、同じような収入があるように考えておるわけでございます。もし間違いがあるとおっしゃるならば、それは私の方では三治部長が来ておりますから御説明させてよろしゅうございますが、大体そういうふうに配慮はいたしておるわけでございますから、そんな過酷な考え方で人の生活を扱っておるというような考え方はないわけでございます。
○滝井委員 ちょっと関連して……。大崎さん、あなたに伺いたいんだが、今三治部長から、六十ないし六十五才以上は一万九千七百七十人、その中で生活保護を受けておる者七百二十人を含んでおるということだった。従って、この七百二十人が、これは新しくなる人から排除していくわけですが、現在のものがやめる、そして生活保護を全部受けたい、こういうことになりますと、七百二十人の生活保護を受けておる人は、これは生活保護プラス失対でもらう金で目分の生計をまかなっていっておるわけですから、その失対でかせいでおったものを生活保護でくれますか。今の政務次官の説明は、そういうことなんです。くれますか、既得権を守っておるということであるが……。
○大崎説明員 生活保護法で定められた金額を差し上げることになるわけであります。ただ、今政務次官がおっしゃいましたことは、これは推測でございますが、おそらくその間の移行をできるだけ円滑にするために、ほぼ同じ程度の方々を排除していくようにして、できるだけその間において収入の変動がないような御配慮をされながら労働省がおやりになる、こういうふうに私お聞きをいたしておるわけであります。
○滝井委員 そうしますと、こういうことですね。労働省は失対事業からは排除する、しかしながら、たとえば失対事業で報酬を五千円もらっている、そしてほかに家族や孫がおるから生活保護の方は二千円だった。そうして今度はその老人が全部途中で生活保護にいってしまうと、五千円はゼロになる。しかしその五千円がゼロになってしまっては大へんだから、今度は三千円ぐらいの軽い職をつけて二千円だけ保護する、そういうことですか。そういうことはできないはずだ。だからあくまでも一人の老人が生活するためには、生活保護には基準が出ているわけです。たとえば二千円なら二千円ということでやめて、六千円かせいでおっても二千円しかやらないのでしょう。厚生省社会局の立場はあくまでもそういう立場だと思う。既得権だといって、生活保護に切りかえたからといって、六千円まるまる保障することはない、そういうことですね。それははっきりしておいて下さい。
○大崎説明員 生活保護法において定められた金額はやはり同じように平等に差し上げることになっております。ただし、今まで生活保護法の適用を受けておられる方で失対に働いておられる方がいるわけでございますが、それについては、その金額はほとんど変らなくなるわけでございます。
○滝井委員 たとえば私が今まで六千円取っていたのが失業した、そこで行ったら、今度は六十五才だからもう君はだめだということで生活保護を受けると、これは二千円になるということなんですよね、今の説明では。老人一人だった場合には二千円になるということです。だから失対に行った方が得です。政府の予算の面から言えば、三人分出るわけですから、生活保護ならば三人養える、失対ならば一人だ。だから六十五才以上の者はもう働かないでいい、最低の生活だけは保障するから働きなさんな、こういう政策ですよ。そうでしょう。うんと言っているからそういう政策でしょう。
○三治説明員 新規のこれから六十五才以上の方で生活保護を受けられる方は、今先生のおっしゃったようなことになるわけですが、現在失対事業で働いていられる方で六千円の所得のある人を二千円の生活保護に切りかえるということはしないのです。
○大原委員 今の点は、私は全然納得できないから、議事録を調べて、あとでもう一回大臣を呼んで質問します。今の答弁は全然納得できません。支離滅裂だ。それだけは一つ保留しておきます。
○田中(正)委員長代理 八木一男君。
○八木(一男)委員 労働、厚生両政務次官に最初にお伺いしたいのですが、政務次官というものがこの委員会に出てこられるときには、大臣のかわりとして出てこられると私ども確認しているのですが、そのようなお気持でもちろん出てきておられると思いますが、いかがですか。
○生田説明員 その通りでございます。しかし人間が違いますから、場合によっては表現の仕方とか、またニュアンスが違ってくると思いますが、しかしそれはいたし方ないことでございます。ただしお尋ねの御趣旨はその通りでございます。
○池田説明員 生田政務次官の御意見の通りでございます。
○八木(一男)委員 両政務次富に大へん失礼なことを伺いましたけれども、今までの委員会の経過において、私どもは生田さんや池田さんは、倉石さんや坂田さんに比べてまさるとも劣らないりっぱな人物であると思っております。ところが大臣という名前を持っていないために御遠慮になって、はっきりと物事をおっしゃらない。はっきりと物事をおっしゃらないのは、ほかの個人的なときならいいですが、国会の審議のときに大臣のかわりに出てこられて、大臣のような確信のある答弁をなさらないのでは国会の審議が渋滞する。ですから、きょうは大臣のつもりでお答えになっていただきたいと思います。大臣がいないからとか、聞いてなかったというような御返事じゃなしに、はっきりとした御返事を伺いたい。 その次に、政府の国会に出てこられる態度について、労働大臣と厚生大臣としての御意見を伺いたいのです。そのときには論議は、政府の法律案であるとか、政府の政策であるとか、行政措置であるとか、そういうことを絶対に正しいものとして一歩も譲らないという態度で委員会に出てきておられるのかどうか。論議の過程で、今までやったことよりも別な方がいいと思ったときには変えるという気持で出てこられなければいけないと思うのです。何でもかんでも政府のやったことを守ればいいということで、それで御了承願いますということで通せばいいということであるなら、国会の価値は半減するわけですから、そういう気持じゃないと思いますけれども、どうも今までの御答弁には、何でもかんでも政府の措置を守り抜けばいい、あやまり抜けばいい、時間をかせげばいいというようなお気持の政務次官が今まであった。そういう政務次官ではないと思いますけれども、生田さんと池田さんの、国会の論議については、もし政府側のことが間違っていれば虚心たんかいにそれを撤回する、改める、そういうお気持を持っておられるかどうか。間違っておらなかったらいい。そういうお気持をはっきり持っておられるかどうか、そこを伺います。
○生田説明員 委員会でいろいろ御質疑も承わりますし、またわれわれも御答弁申し上げるわけでございますが、私たちも十分に誠意を披瀝して申し上げます。しかし御質問を受け御答弁をしたこの席上ですべてのものが解決するというような性急な考え方も私はどうかと思います。御意見のありまするところは御意見としてわれわれも十分に拝聴して、そうしていいことでございましたならば、今後の行政にそれを取り入れていくことは当然のことでございます。その点はあまり性急な考え方も私はどうかと思います。しかし責任を持って、御意見のりっぱなところがございましたならば、われわれの方が改めていくことは申すまでもございません。
○池田説明員 政府あるいは各省といたしまして、ことに私の方の厚生省といたしまして、一つの案を作りますにつきましては、各方面から調査研究をいたし、厚生大臣を初めといたしまして、これが最善であるという考え方で、結論を持ちまして、一つの案を作り上げてこれを国会に御審議をお願いする、こういうことに進めておるわけであります。従いまして、私どもの方の厚生省の範囲におきましては、最善なものとして皆様方に御批判を仰ぐ、こういうわけでございます。ところがまた国会はもっと広い立場におきまして、そしてまたもっと高い立場におきまして、自由に御審議を賜わることでございまするから、その結果改めた方がよろしいということに相なりまするならば、私どもといたしましてはこれを是正するにやぶさかでありません。
○八木(一男)委員 そこで実は今度の失対帝業の問題です。男子六十五才、女子六十才以上は実際的には首切るというようなやり方ですね。これは今まで労働大臣並びに厚生大臣の施政方針演説では、そういうことをいたしますということははっきり言っていられない。はっきり言っていられないで、参議院の選挙中に急遽厚生省と労働省の意見がまとまったので、通牒でこれを強行していられるわけです。それは行政措置であって、行政庁の権限であると言われるかもしれません。言われるかもしれないけれども、影響するところは国政全体に非常に大きなものがある。少くとも労働大臣なり厚生大臣の各委員会における施政演説では触れておかれなければならない問題であるけれども、それをはっきりと触れられないで、三治君なり百田君なり、そういう人たちが厚生省とちょこちょことやってしまって、両政務次官が完全な理解をまだすっかり持っていられないくらい、お役所の局長なり部長なりが勝手に相談してやっているというのが実情なんです。大臣知っていられるかどうか知らないけれども、聴明な両次官であるけれども、今までの質疑の間では、その点に関して了解しておらないと思う。そこで今大原委員の質問によっても、憲法違反であるかもしれないということが、一官庁の中の一局と一局の話し合いできまる、そういうことが強行されてしまう、そんなことはとんでもないことなんです。労働省の局長、部長の方は実に思い高ぶっておる。どんなに理屈があったって、そういう憲法の条項に反するようなことは、疑義があるようなことは、少くとも労働大臣や厚生大臣は、それができなかったら内閣総理大臣から、こういうことをしようと思うがどうか、そういうことを審議してからすべきものであって、それを厚生年金の年令が少し差があるとか、ILOがどうとか、日本にやっていない、あるいは現実にその労働者に関係のないことを持ち出して、ぐちゃぐちゃ論議していますけれども、そういう労働官僚の非常に思い上った態度、こういう態度で大臣なり次官をうまく言いくるめて、これは両方の意見が完全に一致した、非常にいいことだ、合理的だ、そういうことを言っているに違いない。そういうことでやってしまったことは、断じてこれからほんとうに考え直して――課長が何と言おうと、部長が何と言おうと、局長が何と言おうと、これはあなた方の下僚ですよ。ほんとうの政治的な立場からそういうことを考えて、間違ったものは即時撤回をしなければいけない。明らかにこの通達は憲法違反だ。憲法違反のことを、下僚のすることを許すようなことは、その内閣の総辞職の原因となってしかるべきものなんです。憲法をあまりに無視した政府の今までのやり方のために、その下僚の局長とか課長がそういう勝手なことをする。追及を受けても平気な顔をして理屈を並べる。この憲法の条文を見てごらんなさい。国民は法の前に一切差別せられない。明らかに差別をされておるようなことをぬけぬけと、政府のお役人が平気でにやにや言えるような、そういうようなことで政治ができるのですか。労働政務次官、労働大臣のかわりとして答弁して下さい。
○生田説明員 今度の労働省より厚生省がとりました措置は行政上の措置でございますが、これは従来検討されておりました失業対策事業の欠陥を是正するためにとりました必要な行政措置でございます。 憲法違反という考え方は、私たちの方はそうはとっていないわけであります。
○八木(一男)委員 あなたは国会議員でいらっしゃるが、国会議員は憲法の条文を順守する責任を持っておる。第十四条には、「すべて国民は、法の下に平等であって、人権、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」と書いてある。男女六十五才と六十才の差は明らかに法のもとにおける性別の差です。だれが考えてもこれは憲法違反です。そんなことを憲法違反じゃないと思うようなことでは国会議員は勤まらぬ。あなたはりっぱな国会議員だから、そういうことはわかっているはずなのに、そういうことを言うのはお役人に遠慮しておる。そういうことだから日本は官僚国家になり、日本の民主主義は進歩しないのです。三治君なぞ気をつけなければいけないですよ。憲法のことを、厳粛なことを、にやにや笑って答弁できるような問題じゃないのです。ほんとうならば総理大臣をすぐここに呼び出して、この問題をやらなければいけない。今の通牒をすぐ撤回するということを答弁なさい。今まで一月半のことは大目に見てあげてもいいのですが、ほんとうはそれもいけない。即時それを撤回しなければ内閣全体総辞職しなさい。
○田中(正)委員長代理 速記をとめて。 〔速記中止〕
○田中(正)委員長代理 速記を始めて。
○八木(一男)委員 労働政務次官は、その点について今何か答弁がないようだけれども、どうですか。
○生田説明員 先ほどからたびたび御答弁を申し上げておるのですが、女六十才、男六十五才ときめましたことは、別に女性に対して侮辱をしたつもりもございませんし、またこれが実情に即して一番いい方法であろうと考えておりますので、憲法違反というような考えでやってはおりません。
○八木(一男)委員 生活保護の方は女の方が早く受けたらいいと思ったら生活保護を選べるのです。それをあなたの方では生活保護でなければいけないというふうに追っ払った。勝手に女の方が生活保護の方がいい、働くのがしんどいと思ったら生活保護を受けられる。それをあなたの方が無理やりに女の方はいかぬといっておる。これは明らかに憲法違反である。あなたは日本語を読めるはずだ。これはどう考えても憲法違反です。――総理大臣を呼んで下さい。そしてあした開会して下さい。
○田中(正)委員長代理 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○田中(正)委員長代理 速記を始めて。
○八木(一男)委員 今の憲法違反の問題は第十四条と二十七条の問題で、十四条だけの問題ではありません。三治君、変な知恵を出して、男女を同じ年にしたらそれでいいのだというような妙な知恵を出さないように。憲法違反は二十七条にも関係がある。この通牒は全部憲法違反です。それでは年を並べますというような変な知恵を出さないように。撤回しなければ承知しませんよ。 それからもう一つ、三治君の方はその理由として、憲法の論議は一応総理大臣に総計職をしてもらうということで追及するけれども、それは別として、あなたは人の人数の状態とかなんとかでこうこうというようなことをさっき言った。労働の能力とか時間とか人数とか、いろいろなことを言ったはずだ。あなたの方は労働能力というような、そういうことばかり考えておる。ところが労働省というのはそんなものじゃない。株式会社じゃないのです。あなた方は労働者に対するサービスという方が本分なんです。能力、能率などという問題は通産省や何かで考える問題です。あなたは考え方が逆転しておる。あなたばかり言うけれども、労働政務次官もそうです。労働大臣以下所管局長もみなそうです。失対事業に対する労働省の最近の一貫した考え方は、労働省のサービス官庁としての立場を失っておる。失対事業の労働者をなるたけ低賃金で押えつけて、首切って能率を上げよう、失対事業株式会社の社長、専務か支配人のつもりでは労働省の立場は保てない。そういうことを三治君はほんとうにわかるはずなんだけれども、あなたは、緊急失業対策法の第四条第三項の「失業者の情況に応じて、これを吸収するに適当な事業」、そういうことを労働省は一つも考えていない。失対事業は重労働の土建事業だけときめておるが、土建事業でなければいけないということは一つも書いてない。労働能力がないというけれども、軽作業の失対事業をやれば十分あるのですよ。七十くらいの女の人でも働けるものだってある。それをもっこ運びだけしか仕事がないと考えている。そのもっこ運びでもまだできる人、やりたいと言っている人を首切ろうとしている。労働政務次官は親心で、苦しげに働いているのを見ていられないと言うけれども、ほかにもっとそういう人たちがやれるような軽作業もある。事務失対だってある。サービス失対だってある。そういうことを一つも考えないで、労働省はもっこ事業だけにきめている。もっこ事業が苦しくても、それで働いて暮したいという人を首切ろうとしている。老齢で労働能力の百が八十か九十くらいでかわいそうだ、気の毒だというならば、なぜほかの失対事業を考えないのか。事務失対だって、サービス失対だってあるはずなんです。それをただもっこ運びに限定して、そのもっこでもいいから一生懸命働きたいという人を首切っている。そんなことで労働省が勤まるか。労働省は労働者に対するサービス官庁であるが、今や労働者弾圧官庁、首切り官庁である。反労働者省である。そのような役員を果している。政務次官、あなたによく申し上げておきたいのですが、三流君などの考え方はそうなんですよ。いろいろ大蔵省に責められて、忠勤であって一生懸命やったかもしれない。三治君の立場は一応あるかもしれません。しかし労働省の政策、それに制約を加えている大蔵省の政策自体が、そういうような間違った方向に向っている。間違った方向に向っているのに、あなた方は同じようなものをもらえるだろうと言う。同じものはもらえやしない。そのくらいの説明でごまかされて、それでいいことだ、別に悪いことじゃない、そういうふうにあなた方は思っているから、官僚政治になる。少くとも労働政務次官は、官僚がちよこちよこと大蔵省との話し合いでインチキの反動政策をやったときは、しかりつけて、それをさせない、もしやったならばそれをやめさせる、そこまで気がつかないで、国会で論議になったら、即時やめさせる、私の責任においてあしたからやめさせますというくらい言わなければ、政治家じゃありませんよ。それについてどうですか。――労働次官、御即答なさらないが、僕ら若造がなまいき言って恐縮ですけれども、しかしほんとうに世の中を憂えて、けしからぬ政策だと思っているから申し上げておるのです。あなたはめくらにさせられてそういうふうになっておる。めくらでなしに、目を開いていただきたい。間違っているのは局長ですから、あなたは上位なんですから、事務次官と相談してすぐやめさせられる。少くとももっと検討して――国会においても自民党ざんが全面的に賛成で、われわれが反対しているというならまだいいですよ。論議が済むまではこの通牒をストップさせる、前回の何々通牒というのは撤回する、そういう指令を出されたらどうですか。
○生田説明員 八木さんも御存じだと思うのですが、失業対策事業については、創設したときと今とはだいぶ世の中が違ってきたので、いろいろの点で実情にそぐわなくなったということは、八木さんも御存じのはずであります。そこで全然無能力者であったり、老齢であっても、失対事業にそのままこびりついておる者もある。それからまた生活保護に当然回すべき人であっても、そのまま残っておる人もある。またそういうことが一つのお手本になるといいますか、働く能力のある者でも労働意欲がなくなっていって、そして毎日失業対策事業というものにこびりついてそのまま生活しておる。労働する能力もあり、年令の若い人であっても、労働者としての純粋な労働意欲を失っておるような人もある。少くとも今の失業対策事業というものは、根本的に再検討を要するときにきております。そのことは皆さん方も御承知の通り、おっしゃる通りでございます。ところが、それでは何から手をつけたらいいかといえば、やはりこの問題は、老齢者で働く力がない人を社会保障の方に回す、そして失業対策事業はやはり政府といたしましても、これはやみくもに予算を消費してそれでいいというわけじゃございませんから、やはり賃金を出すという場合呈には、その賃金に相当した労働力というものがそこに出てきて、失業対策事業でありましても、その事業にある程度金が有効に使われたというような結果が出てくるのでなければ、政府といたしましても、それがなかなか予算の点で心配なところでございます。それでは何から手をつけていったらいいかということになりますと、失業対策事業というものは、この点も手をつけなければならない、この点も手もつけなければならない、たくさんございましょう。しかし当面一番問題になっておることは、ともかくも老齢者の問題をどうするか、これは従来ずっと議論になったところでございます。しかしながらそれを生活保護に回すということになれば、日本の生活保護というものは一人当り二千円ですから、家族の少い者は減収になって、そこで生活不安が生ずるというような点でなかなかやりずらいところがありました。ところがそういう問題について厚生省と労働省の間で、そういう欠点をなるべくなくするようにして、そうして失業対策から生活保護の方に回しましても、本人の収入としては減じないようにする、そういうふうにして少しでも失業対策事業というものを調整したいという考え方で、今までやってきたわけであります。そのうちの一つとして今度労働省と厚生省との間で、ともかくも今度の通牒を出した程度の相談がまとまったものですから、これを行政上の措置としたわけでございますから、私どもとしてはこれで一応やってみて、それをごらん願って、もし私どもの考え方に誤まりがあって非常な弊害が出てくるならば、改めるにやぶさかではございませんけれども、一応これはこれでやってみる価値がある、またやってみるのが至当だ、こういうふうに考えて行政上の措置をしたわけでありますから、この辺のところはよく皆さんもすでに御承知のことだと思いますので、労働省なり厚生省が相談しましてできた結果については御了承を願いたい、こう思うわけでございます。
○八木(一男)委員 全面的に一つも了承できませんから、それだけははっきり言っておきます。それから労働政務次官に申し上げますが、政務次官の考え方に、先の通りの考え方がある。労働省は労働者に対するサービス官庁であるという建前を全然忘れ果てておる。失業対策事業の能率の問題だけを言っておられる。失業対策事業の能率の問題だけでは、労働省の仕事はできないわけですよ。労働者に対するサービス官庁ということが建前であって、失業対策事業株式会社の、公共企業体の総裁やなんかじゃないです。もし百歩譲って能率の方を考えても、もっこ事業ばかりやるから、そういうことになる。年寄向きの失対事業を考えなさいと前から言っておるけれども、一つも考えたことがない。失対事業はもっこかつぎ、道路整備、それより考えない。そんな頭の悪い役人ばかりしかいないから、労働省は何もできない。年寄り向きの紙くず拾いでもいい。観光地の紙くず拾いだってある。外国の人が日本に来て金が落ちれば、それだけ外貨が入るんです。どこかの都会に来て、右も左もわからない人がある、そこでここに行けば警察がありますよ、郵便局がありますよ、ここに行けばホテルがありますよという、ホテルの利益本位の客引きでなしに、もっとまともなことを教えるような人を置いておく、そういうこともできる。これは一例ですよ。やる気があれば幾らでもできるんです。ところがあなた方は年寄りを失対事業で雇うのはいやだ、雇いたくない、何とかしてはね出そうという気持を持っているから、一つも知恵が浮かんでこない。ほんとうにあなたみたいに能率だけ考えても、その人に見合う仕事を与えたら能率が上る。それをもっこかつぎだけやらせようというからそういうことになる。そういうことを一つも考えない。しかもお年寄りからやめてもらう。これは池田さんの方です。国民年金は七十からしか無拠出年金をやらない。六十五などといっても完成するのは先の話です。厚生省が六十からきっちり無拠出年金をやるということになればまだ話はわかりますよ。そっちの方は七十でとめておいて、七十でいいだろうという答弁ですり抜けて、厚生省が労働省と話し合ってそれでいいでしょうという。厚生省もそんなことじゃだめですよ。生活保護、生活保護と言うけれども、生活保護では一年にパンツが一つしか買えない。そんなものが人間の生活と言えますか。方々でぜいたくな連中が飼っている犬の方が人間の五倍ぐらいの生活をしている。そういうような実態で、何も受け入れ態勢はない、お年寄りはやめてもらうのが順序だと思う、間違いがあったらあとで直します、何たることだ。考えなくたって間違いにきまっている。今でも生活保護を受けたい人は、失対に行かなくても受けられる。失対に出たいという人は働く意欲があるんだ。それだけ自分の健康に自信がある。幾ら労働政務次官だって、職安の部長だって、人間の微妙な心の一つ一つまでわかるはずがない。その人が働いて少しでも生活をよくしたいという希望すらもあなた方は形式的にぶった切ろうとしている。どんな観点からいっても今度の行政措置はとんでもないことだと思う。しかも卑怯未練だ。国会が開かれてない、参議院の選挙でごちゃごちゃやっているときに勝手にやって、やっちゃえば泣き寝入りするだろう、そういう卑怯未納なやり方だ。理論は一つもない。考えている理論は、失業対策株式会社の利潤を上げよう。何たることだ。
○田中(正)委員長代理 暫時休憩いたします。 午後四時五十三分休憩 ――――◇――――― 午後六時七分開議
○田中(正)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。 本日はこれにて散会いたします。 午後六時八分散会