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31回国会衆議院1959/03/17

社会労働委員会 第20号

発言数
123
登壇者
10
会派数
2
開催日
1959/03/17

会議録

田中正巳自由民主党

○田中(正)委員長代理 これより会議を開きます。  内閣提出の中小企業退職金共済法案を議題とし、審査を進めます。質疑を行います。多賀谷真稔君。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 まず中小企業退職金共済法案を質疑いたしまする前に、倉石労働行政としての中小企業労働者の労働政策全般について承わりたいと思うのであります。  第一に、現在の中小企業労働者の組合の組織率を眺めてみますと、この前も御議論がありましたが、非常にその組織率が低位であり、それが依然として推進をされてないという状態であります。この問題についてはかねてから御議論がありましたが、どうも大臣の考え方は、それは自主的であるから何も政府として積極的にやる必要はないんだ、こういうことを考えられておるようでありますけれども、各現地におきまして、かつて労政事務所が労働組合を作ることをずいぶん推進いたしました。これは何も干渉でもなく、政府の介入でもない。そうしてあるいは講習会を開くなり、あるいはパンフレットによっていろいろ教育したはずです。ところが今日、中小企業の労働組合の組織率が非常に低下しておるにもかかわらず、またそれが上昇しないにもかかわらず、何ら対策がとられていない、こういう点につきましては私非常に遺憾に考えるわけでありますが、その推進方法をどういうふうにお考えであるかお聞かせ願いたい。

倉石忠雄自由民主党労働大臣

○倉石国務大臣 労働者が自分の利益を増進するために、あるいは労働組合、あるいはまた職員団体等を作って共同の利益を増進するということは、これは非常にけっこうなことだと思います。しかしながら前にも申し上げましたように、そのことはやはりどこまでも他が干渉すべきことではない。これはやはり自主的に、そういうふうにしていくことが自分たちの利益であるということを自覚するように、そうしてまた、そこで結成されたものがもちろん当事者の相互利益にもなり、社会的にもそういう団体がやはり信頼される団体である、そうしてまた福利増進等について自分たちの力によってそれを増進することができるというふうに、みずから仕向けていただく。従って団体を結成することそれ自体よりも、真に自分たちが民主主義社会において、自分たちの持っておる持ち場に即して、そういう意味から団体を作っていくという、そういうことを全然何も知らない人々があっては不幸でありますから、やはり自分たちの立場に立って利益を増進していくには、どういうふうにやったらいいかということの教育は、これはいわゆる民主主義教育でありますから、それこそはもちろんあらゆる角度から推進すべきである、こういうふうに私は考えます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 中小企業における労働組合の組織率を眺めてみますと、規模別に見ますと、五百人以上の事業所が八九・二%、百人から四百九十九人が六〇%、三十人から九十九人が約二〇%ということを労働省では言われておる。ですから三十人未満は非常にわずかしか組織されていないことがわかるわけですが、この中小企業の労働組合を設立する場合に、ほとんどが使用者の不当労働行為によって実際は組織できない。それは不当労働行為だということを提訴いたしましても、現実の問題としてなかなか不当労働行為が成立しない場合が多い。たとえば証人を呼んでくるにいたしましても、組合側が推薦した証人が経営者の有利なような証言ばかりするのです。私は現地で労働委員関係をずいぶんやって参りましたが、全くこれには大弱りです、そうしてわれわれがバスで福岡まで連れてくると、途中でいなくなったりする。そうしてまたいつの間にか赤い顔をして経営者と一緒に酒を飲んでやってきて、まるきり違った証言をするというのが現実です。でありますから、私は中小企業の企業別労働組合というのは設立が非常に困難な状態にあるのではないか、そこでやはりこれは職種別組合なりあるいは産業別組合、こういうものの組織が、中小企業労働者の組織の問題としてどうしても取り上げられなければならない問題ではないかと思います。たとえば運転手の問題にいたしましても、神風タクシーである、こう言って非常に騒がれた。一体運転手という労働者は組合も結成しないが、何をしているのだろうかと運輸省がびっくりした状態です。ところがこの運転手の労働組合ができない。そうしてことに企業別労働組合になりますと、ほとんど組織を作ることが不可能である。これは運転手という特殊な職業で、全員を集めるということが不可能であるという点もありましょう。しかし一つだけ労働組合を作りましてもつぶれるわけです。ですから全市一本の労働組合を作るというような形でなければ、組織の確立はできない。このことが全部の日本の中小企業の労働者の労働条件に影響しておるわけです。一体職種別組合、そういったものをどういうようにお考えであるか。中小企業の労働者は職種別、産業別労働組合の中に入れて、そうして常に大きな組合がめんどうを見るとか、あるいは横の連係においてそういった脆弱な労働者を保護しながらやっていく、こういうことが必要ではないかと思うのですが、大臣はどういうようにお考えですか。

倉石忠雄自由民主党労働大臣

○倉石国務大臣 産業別労働組合と企業内労働組合——日本はその労働組合の発達いたして参りました沿革を見ますと、御承知のように、アメリカや英国のような発生の仕方と違いまして、企業内労働組合というものが自然発生的に出て参りました。今日本の企業内労働組合のあり方がどういうふうに変っていくだろうかということについては、学者の間でも、また実際家の間でもいろいろの見方がありますが、私どもは、やはりよって来たるところの淵源が遠くあるわけでありますから、そう一朝一夕に方向が変るとは思いませんし、また企業内組合のよさも日本の産業の中においてはあると思いますが、今お話のように、小さな企業の人たち、これが企業内組合も企業のスケールによってはありますけれども、なるほどそうしっかりしたものはない。けれども、そういうことについては、やはり一般労働者教育というものが必要であって、政府がやるべき仕事としては、労働者はもちろんのこと、企業を経営する人々、また第三者である一般国民にも、真に労働者の日本産業の中に占める役割というものがどの程度に重大であるかということの認識を持ってもらうということが、私は必要だと心から思っております。口では民主主義を唱えますけれども、一番民主主義を理解しておらなければならない日本の国会のあり方を見ても、しばしばわれわれが赤い顔をして外国人に話さなければならないような事態も行われるということそれ自体が、日本人全体に民主主義が浸透しておらない証拠である。いわんや日常の業務が忙しい労働者に真に民主主義的労働運動というものをすぐに期待することは無理だ、しかしながら少しずつでも国民全体が民主主義教育というものを身につけて、心から起るほんとうの労働運動、そういうものができるように政府としてはやはりあらゆる方面から援助し、指導して参りたい、こういうふうに考えております。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 大臣の援助し、指導するというのは、民主主義の教育ですか。どうもそういうように聞えるのです。具体的にたとえば中小企業の労働組合の組織率が非常に悪い、また組織化せんとするけれども、不当労働行為ということでなかなかうまくいかない、しかも不当労働行為の立証ができない、こういう段階ではやはり地域的にまとまった職種別組合といいますか、あるいは産業別組合というものを作って組織の推進をしなければ、実際問題としてなかなか困難ではないかと思うのです。ですからそういう方法を労働省としては推進をされたらどうですか、こう言っているのですが、そういうことはされないわけですか。ただ民主主義教育をやられるのですか。それは文部省がやるんじゃないですか。

倉石忠雄自由民主党労働大臣

○倉石国務大臣 労働運動、ことにわれわれが期待いたしておる健全なる労働運動というものは、日本民主化の大きな力であります。従って労働運動が現実に民主的に行われるようにならなければならない。まず第一には、国民全体が労働運動というものに理解をしてもらうような教育をする必要がある。労働協会などもやはりそういう出発から出ておると思います。さらに直接にはやはり正当なる労働運動というものはどういうものであるかというふうな労働教育、これが必要であると存じます。従って政府もあるいは出版物なり、あるいはその他の方法で、またあるいは現実に、多賀谷さんも御存じのように、このごろ基準協会というふうなものが地方の方にもできて参りました。これは企業者とそれから労働者諸君も一緒になって基準法を順守して、労使双方の福利を増進しよう、こういう考え方で、これらについても、非常にけっこうであり、われわれは積極的に協力をいたしておるようなわけであります。ただ個々の労働者に向ってすみやかに組合を結成せよとかいうふうなことについて、政府としてとかくの干渉がましいことはなすべきではないのであって、基本的に正常なる労働運動というもののあり方について、また労働組合を作ることの利益等について、これを啓蒙宣伝するということはやっておりますけれども、一つの企業の労働者に向ってどうこうというふうなことは、やはり政府としてはそこまで干渉しない方がよろしいのではないか、こう考えております。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 個々の労働組合の組織に援助するということはなかなか困難ではないか。しかし一般的に私は教育というものは必要ではないかと思う。ことに労働協会を作られたときには、そういうお話をなさっておる。ところが実際問題として最近労政事務所なんというものは、もう教育なんかしなくてもいい、こういうことになっているんですよ。中央からの予算もなくなり、県も削り、実際人間がおるだけです。事務員はないし、実際何もできないのです。金だけやるからとにかくお前たち遊んでじっとしておれ、現実はこういう仕組みになっている。ですから、かつて、少くとも昭和二十五年くらいまで労政事務所の末端は、相当積極的に、しかも各所員は熱意を持って労働行政に当ったが、今日は全く無気力な状態になっている。相談に来れば若干相談に乗るでしょうけれども、別に積極的な動きはない。しかも今出されておる退職共済金にいたしましても、あるいはこの間の業者間協定の最賃にしましても、もう少し労働組合の方にてこ入れをすれば解決する問題ではないか。そちらの方は全然やらないで、ただ業者だけを集めてやろうというところに問題があるのではないか、こういうふうに考えるわけですが、どういうようにお考えですか。

倉石忠雄自由民主党労働大臣

○倉石国務大臣 御承知のように、地方の労政事務所は地方自治体の機関でありますが、ここでどういうようなことをなすべきであるか。もちろん一般的労働教育ということも必要でありますが、私が、御指摘のように、地方を回ってみますと、労政事務所に対してとかくの批判を、労使双方からわれわれに訴えるものもあります。何をやっておるのだというふうなことを言われます。そこで私どもはせっかくあります地方機関である労政事務所というふうなものには、今度できます最低賃金についての一般的理解を求める、あるいはまた中小企業の退職共済の制度について十分にその趣旨を周知徹底せしめ、これが普遍して行われるように、それから中小企業の相談というふうなことに力を入れて参りましたならば、労政事務所の仕事というものは地方人に喜ばれる多くの仕事があると思うのでありまして、せっかくあります労政事務所のような機関には、そういうものの活動を期待して、そういうふうにやっていきたいと思っております。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 労政事務所は地方の機関でありますけれども、しかしこれは労働行政の末端行政になっておるわけであります。でありますからこれは単に地方自治体だけの問題というわけにはいきません。あなたの方の労働行政はこの労政事務所を通じてやることになっておる、こういう仕組みになっておるのですから十分考えてやっていただきたい、こういうふうに考えるわけです。そこで大臣、私は中小企業の労働者の組織の推進ということは、労働行政の一つの大きなテーマとしてやはり推進をし、指導をしていただきたいと思います。ただいかに業者間協定を作りましても、あるいは退職共済法を作りましても、それだけの熱意があるならば、中小企業労働組合の組織の推進ということにどうして努力されないか。ここに私は保守党の労働行政の限界があるというふうに考えるわけです。ですからそれほど考えられるならば、むしろ労働者の団結を願って、それによって解決するというのが労働行政のいわばオーソドックスなやり方である。それを糊塗せんがための業者間協定だとか、あるいはまたここでは業者任意の退職金という制度をお作りになるそのこと自体が、これは全く順序が転倒しておるのではないかと思うのです。どうなんですか。

倉石忠雄自由民主党労働大臣

○倉石国務大臣 平易な気持で、何もとらわれない立場に立って考えれば、私が申し上げておることが一番理解されると思うのです。やはり正常なる労働運動が行われるというふうなことについては、妙な立場にとらわれないで、労働教育というものが必要だ、そうして自分たちがあるいは団結し、団結せざることがどういうふうに自分たちの利益になるかということについての教育は、やはりわれわれが積み重ねていくべきである。そこで自主的に考えを持たれて、そうして自主的に御決定になることがよろしい。私はそういう基本的な考え方なんであって、従って労働組合というものが当然認められ、また労働組合というものがりっぱな活動をなすことによって国の産業が発展するのでありますから、そこで今私が申し上げましたように、基本的な労働運動、民主的労働運動というものはどうあるべきかというふうなことも、それぞれの労働者の自覚に待って初めてりっぱなものができる。そこで私どもはそういう立場から労働組合群動を指導していく必要があるということを言っておるのであります。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 そこで私がお願いしたいのは、中小企業の労働者を主として対象としての労働教育の講習というようなものに重点を置いてもらいたいと思うのです。ですからこの中小企業労働者は比較的余裕時間はありませんけれども、夜なら夜あるいは日曜であるとか、こういう時間を限って講習するとか、それは全く十分なことはできぬでしょうけれども、私はそういう労働者を対象に教育が必要ではないか、こういうように考えるのですが、どういうふうにお考えでしょうか。

倉石忠雄自由民主党労働大臣

○倉石国務大臣 先ほどちょっと申し上げましたように、地方にあります労働基準協会というふうなものを、たまたま私はそういう会合に招かれて参りますと、中小企業、ことに零細企業の経営者それからそこの組合——組合というか従業員の人も来ておりますが、ああいうところでしばしば相互に話し合いをしていくことは私は非常にけっこうなことだと思っております。そういうのも一つの例でありますが、先ほどお話しのように、せっかく労政事務所という機関があるのでありまして、社会から何をしているんだと言われるような指弾を受けないようにするには、地方はやはり主として中小企業でありますから、その中小企業の今日の実態、同時にまたそれに従事しておられる人々の福利を増進していくにはどうあるべきであるかということについて、啓蒙教育をすることはけっこうなことだと思います。そういう趣旨で、今度できます法律等にも関連して、労政事務所を有効適切に運営できるように指導して参りたいと思っております。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 先ほど基準協会のお話が出ましたが、私は必ずしも基準協会というのは、法の趣旨に沿うような協会であるかどうかという点については、かなり疑問を持っておる。基準監督署を作るときに寄付金を集めたり、あるいはまた逆に基準法違反の摘発をしないようにボスどもが動く、こういうような運営に今までなっておるという点も聞いておる。ですから外郭団体といいますけれども、これは民主的な団体ではなくて、われわれが十分承知しておるところによると、これが変な方向に運営されておる。そういうことは非常に遺憾であると考えるわけです。これについては、大臣においても一つ十分考え置きを願いたいと思います。  次に、中小企業労働者は、基準法はありますけれども実際長時間労働で、基準法違反がかなり行われておる。この問題については大臣はどういうように処置されんとしておるか、これをお聞かせ願いたい。

倉石忠雄自由民主党労働大臣

○倉石国務大臣 経済関係の法律はやはりできるだけ理想的なものを目標にして、それにすみやかに接近するようにあるべきであると思っております。戦時中統制違反というような事案がしばしばあって、そういう法律を犯すことをだれも何とも思わなくなるというふうなことになりますと、法の権威が失われ、社会秩序が乱れることになります。労働基準法ができまして以来日本の一般労働者の体格その他が非常に向上して参った。それはひとり労働基準法のみの恩典ではないかもしれませんが、労働基準法というものはそういう点において相当貢献があったと思っております。従って政府の労働基準当局には、できるだけ実情に合うように、労働基準の監督を厳にして——それぞれ小さいところではやりにくいところもありましょうけれども、基準法が守られるように、あらゆる努力をさせるように指導しておるわけであります。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 かって昭和の初めごろに、商工会議所の方で商店の従業員の労働時間についていろいろ問い合せをしたことがある。そのときの回答によると、午後十時後は売り上げが三%しかない、だからお互いに閉店時刻を規制してもらいたい、こういうことがありました。そして昭和十三年三月二十六日に商店法となって現われた。これは戦争中の統制的な面もございますけれども、労働法的に考えるならば、これは従業員の待遇、労働条件を向上さそうという面も出てきておる。そこでこの閉店時刻を規制をする、こういう面も私は基準法を側面から順守さす問題ではないかと思うのです。大臣は外国へ行かれてよく御存じの通りで、日曜日であるとか、ある時間以後はほとんど店が締っている。しかし国民がそういう訓練を得るならば、これはそうむずかしいことではないと思うのです。お互いに隣が起きているから、商売にはならぬのだけれども僕の方も起きていよう、こういう声をずいぶんと聞く。そこで閉店時刻の規制ということは、何も今法律でせよというわけではないのですが、これはかなりやるべき仕事ではないか。休日、週休制も同じですが、やはり商店街を中心として、そういう運動を起すべきではないかと考えられるわけですが、これについて中小企業庁長官はどうお考えになりますか。

岩武照彦中小企業庁長官

○岩武政府委員 お尋ねの商店の開閉店の時間、あるいは定休日その他の休日制度の問題でありますが、現在の法律制度としましては、中小企業団体組織法に基きます商工組合の調整事業の一部として取り上げて実施することは可能でございます。現に事実上東京におきましても商店街でいろいろ行われておりますが、それを商工組合の調整事業として調整規程に盛り込んで実施させるという方向で、現在かなり設立の準備が進められている組合もあるようであります。われわれといたしましても、それだけが調整事業ではございませんが、調整事業の一部として、そういうことを取り上げて実施しますことは望ましいことと思って指導していきたいと思っております。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 中小企業団体の組織に関する法律の商工組合ですか。

岩武照彦中小企業庁長官

○岩武政府委員 そうでございます。事業協同組合ではそういう仕事をやるには適当ではございませんから、やはり団体法の商工組合が適当かと思っております。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 商工組合というのは、不況要件がなければできない一時的な組合でしょう。これにあなたの方は恒久的な組合のような仕事をさすのですか。

岩武照彦中小企業庁長官

○岩武政府委員 不況要件に該当します業種につきましては、商工組合の設立を認めております。そういう組合ができるときにおきまして、調整事業の一部として実施することは適当かと思っております。ただし、すべての業種が不況要件に該当するわけではございません。そういうような不況要件に該当せずして認可できない組合につきましては、実際上の申し合せ等によって行わせるようにしております。なお、そういう仕事は、業種別等による商店街地域を限った範囲内で行わせている系統でございますから、そういうふうになりますと、商店街の商工組合の設立についてはなかなかむずかしい問題もございます。むしろ実際上やらせる方が適当かと思っております。     〔田中(正)委員長代理退席、藤本委員長代理着席〕

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 長官の答弁は、初めと終りとが違ってはっきりしないのです。商工組合というのは、私もこの法律を作るときには小委員の一人として参画したわけです。これは不況要件であって、一時的な組合ですよ。不況要件がなくなれば、これは消えていかなければならない組合です。消えなければならないという罰則はないですけれども、これは本来一時的な組合である。その一時的な組合が恒久的な調整をやるのですか。これは適当じゃないでしょう。

岩武照彦中小企業庁長官

○岩武政府委員 それは組合の存続中はという意味でございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 大体あなた方は法律を作るときの精神に違反して運用しておるから、こういう間違いが起るのです。これは一時的な組合である、不況要件がなければならぬということを盛んに強調しておって、法律の明文にも書いておって、現実は恒久的な組合のように取り扱っておる。また中政連も恒久的な組合のように宣伝しておる。中小企業庁もそう言っておる。これは、そういう考え方が間違っておるのじゃないか。恒久的なら恒久的な組合のように運営をすべきであろうと思う。法律では、不況要件がなければ設立の許可をしないことになっておる。その設立の許可をしてはならないものに対して恒久的な調整の仕事をさすということ、そういう法の運営が間違っておると思う。私は閉店時刻の調整をやることは賛成なんです。それは賛成なんだけれども、こういった商工組合にやらすという法の運営自体が間違っておりやしないか。あるいは、やっていないけれども、あなたが今困って答弁されたのかどうかよくわかりませんけれども、私はそういう法の運営というのは間違っておるというように考えるのです。

岩武照彦中小企業庁長官

○岩武政府委員 運用の問題につきましてはいろんな調整事業が考えられるわけでございます。不況事態がどの程度続くかという認定問題もございましょうし、いやしくも不況要件に該当するということで認可しました組合であるいは性質上永続的に実行することが望ましい事業でございますれば、その組合の存続中にそういう調整事業をさすことは私はむしろ適当かと思っております。組合が不況要件に該当しなくなって存立しなくなった場合には、むしろそれが事実上横行として行われる素地も作られるわけでございますので、私はむしろそういうことはやらしても適当だと思っておりますし、またそういう計画を持って準備をしておるものもあるようでございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 私は法の運営そのものには賛成できない。そういう立法当時と違った、また条文と違った運営をされるということは賛成できない。しかし閉店時刻の調整ということ、これは私はぜひ必要ではないかと思うのです。そういうようにしなければ、今のままでいきますとむだな開店をしておかなければならぬ。外国にも商店法的な法律がずいぶんあります。これは、商店従業員の労働時間の規制はむしろ商店法的な考え方でやった方がいいのだという考え方に基いたものであろうと思いますが、ずいぶん外国の立法にもある。日本もかつて商店法というものを設けたのですが、私は現在の日本の基準法があるのに商店法を設けて、日本の基準法を後退さすという考えはありません。むしろこれはすべきでないと思う。そこで、行政指導として側面からの閉店時刻の規制ということが必要ではないか、あるいは週休制ということが必要ではないか。そこで大臣は労働行政の面からどういうようにお考えですか、またどういう対策を持たれておりますか、お聞かせ願いたい。

倉石忠雄自由民主党労働大臣

○倉石国務大臣 法の運営をいたして参りますためにフリクションを起さないように、やはりできるだけ実情に合うように指導いたしたいということで、われわれはまず問屋街等において週休制の奨励をやるとか、そういうことをやっておるわけでありますが、週休制の奨励をいたしましても、もう全国各地でやはり週休制は非常に行われ、最近名古屋に行ってみますと、このことについて従業員も経営者も非常な喜びを持っております。そこでそういうように実情に合うように、しかも従業員も企業家も双方ともに喜ばれるようにしむけながら、労働基準法の建前が逐次完全に行われるように指導をいたしたい。従って今のお話のような点につきましても、やはり私どもは労働政策の立場から、今申し上げたように、実情に合うようにできるだけ奨励をして実際に移していくようにいたしたい、こういうふうに思っております。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 週休制のいわば取りきめといいますか、そういうものが行われている実情をちょっと御報告願いたいと思うのです。大体週休制の場合どのくらい月に休みを考えているわけですか。

澁谷直藏労働事務官(大臣官房長)

○澁谷政府委員 ただいまお尋ねの件について資料がございますので、それを御報告申し上げますと、地域別業種別に分けてみまして、商店を見ますと、完全一斉週休制をとっているのが五、月三回一斉休日制が四十七、月二回一斉休日制が五百三十、月一回一斉休日制が八百六十七、合計が千四百四十九という数字になっております。それから同業組合で見ますと、業種別に見た場合に、問屋におきましては完全一斉週休制が百四十六、小売商におきまして五十、料理食料店が四、その他四百五十七、月三回一斉休日制は、問屋が三十六、小売商五十八、料理食料店が二、その他二百十六、月二回一斉休日制は、問屋が八十六、小売商が七百、料理食料店が六十七、その他二百四十六、月一回一斉休日制は、問屋が三十二、小売商が千百六、料理食料店が百五、その他が四十九、こういう状態でございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 完全週休制をとっているところはいいわけですが、月三回、二回、一回の休日制をとっている、ことに一回の休日制をとっているところは、従業員個々ではどういうように休んでいるのか。

澁谷直藏労働事務官(大臣官房長)

○澁谷政府委員 私詳細の点承知いたしておりませんので、基準局長を至急呼びましてその上で答弁申し上げたいと思います。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 おそらく休日制を月一回とっていることで事足れりとしているのじゃないかと思いますが、このことにつきましては後ほど局長が見えてからさらに質問をいたしたいと思います。  そこで、ついでに中小企業関係が出ましたから、中小企業政策について中小企業庁長官からお聞かせ願いたいと思うのですが、一体日本の政府には中小企業政策があるか、こういうように考えざるを得ないような状態にある。たとえば今度出て今審議されております小売商の特別措置法にしても、なぜ中小企業や同業である購買会やあるいは生協や市場だけの規制をやろうとしているのか、大企業対中小企業の調整をどうしてやらないのか、私は非常に不思議です。今の小売商の脅威というものは、メーカーが直接直売店をどんどん建てて市場に進出してくる、これが一番です。何といってもこれが一番大きな問題です。ところがそのことはやられないで、同業者だけ、同じようなものだけを調整されようとしているところに問題があるのではないか、こういうように考えます。あるいは独占禁止法の問題だってその通りです。大企業の直売というような問題、卸が小売に対して進出してくるという問題あるいは兼業の問題、こういう調整をなぜおやりにならないのか。どうしてこの点が、今まで非常にいろいろ言われましたけれども、政府はお取り上げにならないのか、これを一つ長官からお聞かせを願いたい。

岩武照彦中小企業庁長官

○岩武政府委員 中小企業政策の根本問題につきましては、これは私から答弁申し上げる筋合いでないかとも思いますが、今御質問ございました問題を、小売商の問題に限りまして、しかも関連しておりますところが現在国会で御審議中の小売商業特別措置法案の問題でもあるようでございますから、簡単に、われわれが小売商業問題について考えているところを申し上げますると、前提といたしまして二つの点を御了解願いたいと思っております。一つは小売商業といいますものは、この市場が割合個別的で地方的であるということでございます。全国的に同じような状態に置かれているのではなくて、各地々々でそれぞれ異なった問題を起しておるということがその一つかと思います。と申しまするのは、大資本の進出によって問題を起しておる小売市場もございまするりし、あるいは同業者の方のために起っておる問題もございまするし、あるいは先ほど御指摘ございました購買会、生協の関係等で問題を起しておるところもあるようです。それから第二点は、これも御了解願いたいと思いますのは、小売商業の発展という問題は、自分たちより力の強い者を押えただけでは達成できないだろうということでございまして、簡単にいいますれば、百貨店を抑えたからといって自動的に小売商が発展するとは限らないわけです。小売商業の維持発展の道は、むしろ小売商業者自身が適切な施策のもとに自分たちの努力を尽す、それを政府が——政府というとあれでありますが、要するに政策が上手に導いてやるということだろうと思っております。そういう点から見ますると、今度出ております法案は、これはここで申し上げるのもどうかと思いますが、簡単に申しますれば、自分たちと性質の違った者が行う小売行為を、しかもその行き過ぎを調整しようということでございます。百貨店法と同じような法律の趣旨でございます。従いましてあえて小売商業振興法案というような大それた名前を打たないゆえんでございます。それからメーカー、問屋等の直売も、これもいろいろ調整すべき点があると思います。しかしながらこれはいろいろな形態がございまするし、またその程度あるいは小売商業に及ぼしまする被害等もかなり違っております。一律一体にこれを法的に規制するということではなかなか円滑な運営ができず、かえって犯罪人ばかり作るということになりますので、この法案の考え方としましては、これは問題が起っておりますのを法的に、実際の行政措置として調整して参るというふうにしたいと考えております。従ってそういう趣旨で、都道府県知事のあっせん、調停、勧告といった制度を考えた次第でございます。まあいろいろな事態がございまするので、ことにこの小売商の問題は、国民全体の所得が上り、生活水準が上って参りますると、いろいろな形の小売行為がふえて参つります。問題はそのあとに起って参りまするし、また政府の考え方もそのあとを追っかけているということでございまして、なかなか実情にあとからあとから追われているという状況でございますので、まあ現在の法案の段階をもちまして、今まで起りつつある問題は一応この範囲で処理できるかと思っておりますが、問題はむしろそういうことを考えながら、小売商業者の共同行為の助成でありまするとか、あるいは商店のいろいろな顧客誘引の措置とか、あるいは顧客に対するサービスの改善とか、それに対するいろいろな金融、税制上の措置とかいうことを考えまして、正面から、増加する購買力を個々の小売商が吸収していけるように仕向けるという措置がむしろ小売商業対策の本道だろうと思っております。いわば現在出ております法案は、まあその名前に上っておるもの等の行き過ぎを調整しようという程度のことでございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 はしなくも小売商業振興法というような大それた名前ではない、こうおっしゃいましたけれども、私は小売商業振興法をかって政府は、政府というよりも中小企業庁では部内で立案をせんとして、そうしてついにそれが日の目を見ることができなかった経緯を知っておる。そこに私は今の政府の性格があると思います。なぜおやりにならないのですか。産業分野をおのおの別にする、メーカーはメーカー、卸は卸、小売は小売、はっきりさす、こういう法案がかって盛られたことがあるでしょう。あるいはまだそれは部内の問題であるとおっしゃるかもしれませんけれども、そういうアイデアがやっぱりあったわけだ。それが日の目を見ないで今のような変形された特別措置法が出てくるというところに、私は問題があるのじゃないかと思う。百貨店だって百貨店がなかった方がいいですよ。しかし既存の百貨店があるものですから、これをどう調整するかという問題があったのですね。小売商の方にとっては百貨店がなかった方がいい、それはきまっている。それははっきりわかっている。ですから、ことに電気器具のような一般家庭に直結するものを、大メーカーがどんどん直売店を設けてするような事態になってくると、これは大へんな状態になる。でありますから、むしろそういう脅威に備えて今から対策を立てておくべきだ、こう考えるわけです。退職金の問題ですから、あまり長官をいじめても仕方がないのですが、一つなぜおやりにならないのか、今のお話でもよくわからない。なるほど県知事のあっせん、調停の問題がある、県知事があっせん、調停をするというこのアイデアをなぜ拡大して法律の中に入れないか。それをただ一条で、条文でごまかしておるけれども、なぜ、そういう気持があるならばそういう規制する条文を法律案の中に入れないのか、私は非常に不思議だと思う。少くともあなたの方では認めているのでしょう。あるいは卸であるとか、あるいはメーカーが小売市場を阻害することを認めておられる。認めておられるから条文の終りの方に県知事があっせん、調停をするという条項がある。ですから、そういうことを遠慮されないで、堂々と本文の中に規制の法律を入れられたらどうですかと、こう聞いている。     [藤本委員長代理退席、田中(正)委員長代理着席〕

岩武照彦中小企業庁長官

○岩武政府委員 メーカー、問屋の小売行為を法律で禁止したらどうかということだと思いますが、これはこういうふうにお考え願いたいのでございます。そういうふうな法律をかりに制定いたしまして実行いたしますと、極端なことを申しますると、問屋は買いに来る人がこれは一体小売商であるか、あるいは一般の消費者であるか、何らかの形で識別しないと取引ができないということになるのじゃなかろうかと思うのであります。なぜそういうことを申し上げるかと申しますると、よく例に引かれまするが、大阪の船場の丼池筋の、これは有名な生地、織物の問屋街でございます。そこで売っておりまするのを見ますると、大部分は、あるいはほとんど全部が小売商相手のようでございまするが、中にはやっぱり消費者が買いに来ます。ところがやかましくそういう法律が出ますると、一々相手のいわば職業といいまするか、営業上の地位を聞きませんと安心して取引ができないということもあるかもしれません。またそのものは一体問屋であるかどうかということが判別に苦しむような事態も若干あるようでございます。従いまして私が申し上げましたのは、そういうふうな問題にならないような小売行為程度は、これはまだ法の対象にするのは適当ではないのじゃないだろうか、問題が起るような小売行為はこれを取り上げて調整したい。たとえば同じ大阪でありまするが、千日前の歌舞伎といいますか、あそこでいろいろなはでなあるいは行き過ぎた小売が行われております。これも問屋の行為だという人とそうでないという人もございますが、ああいうものこそむしろ取り上げて解決した方がいいと思っております。そういうふうな事態がほかにもあると思いますので、むしろ法律で一律一体に禁止ということで無用な不安を与えますよりも、具体的な問題の場合々々に即しましてこれを解決して参る、これが適当な行政の方法だろうと思いまして、現在御審議中のような法律案を提出いたした次第でございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 九牛の一毛にわたるようなことを拡大顕微鏡で見てそういうことがあるから法律が作られるというような議論は成り立たぬと思う。大勢を見て法律を作らなければ、小さなレア・ケースを見て、これによって法律が作れるなんということは私はいえないと思う。やはり法律を作る以上日本の小売市場の大勢を見てやる必要があると思う。たとえば電気器具のメーカーでも、PR問題としてあるところに陳列をする、ところがそこへ行っても売ってくれない場合がある。これは三菱なら三菱電機の製品を見るだけです、売って下さいといっても売ってくれない。しかし製品が並べてある。それを見て、それじゃ別の店に行ってこれを買おうという気持になる。ですからPRのために直売店を設けるという必要はない。これはある都市に一カ所そういうPR商店を設ければいい。これは売らない、陳列しておく、そういうのは東京にも幾らでもありますが、そういうことをメーカーとしてはもっとできるのではないかと思う。それを直売までして全部系列下に置く必要はないと思うのです。将来私は大きな問題になると思う。もうすでにこの問題は大きな問題になっている。このことは何も電気器具だけではないと思う。家庭に直結するものはあらゆる方法でこれが行われておる。そうすると小売市場というものはだんだん狭まる。しかもどんどんそれがふえていく。今のように就職難の時代に、わずかな資金をもってやるというのは小売以外にありません。第三次産業がものすごくふえているのはほとんど小売ですよ。ですからこの点を私はやはり規制をしていかなければ小売市場というのはだんだん狭まると思う。それが一体知事の調整機能として、しかもケース・バイ・ケースでやっていくというほど知事は機能がないですよ、問題にならない。大メーカーに比べれば一地方の知事なんというのは権限はない。実際問題としてそういう具体的な問題が起ったときにやり切れるか、やり切れない。でありますから私はやはり法律で規制をする必要があると思います。このことは私は大きな問題だと思う。こういうことが全部あらゆる政策にひっかかっておる。そうして賃金の格差というのは非常に大きい。大体今度の政府の予算は何ですか、これは中小企業対策費というのは四億七千万円くらいしかないでしょう、幾らあるのですか。今度の予算は総理大臣みずから中小企業の政策を施政方針で言われましたけれども、近代設備費の十億、それから中小繊維工業設備調整補助の七億円、これを除いたら何もないでしょう。一体一般の中小企業政策は何をやるのですか。あなたのところは大きな建物があるけれども、一体幾ら費用があるのですか。

岩武照彦中小企業庁長官

○岩武政府委員 大へん激励の言葉をいただいてありがとうございました。今中小企業関係の一般会計の予算は約二十四億ございます。御指摘のような費目も入っておりますが、そのほかにいろいろな仕事をいたしております。ここで詳細を申し上げる筋合でございませんが、願いますところはわれわれもう少し予算、ことに一般会計の予算も増加したいと思っておりますが、微力にいたしましてうまく参りません。明年度はこの程度でやって参りたいと思っております。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 近代設備の補助として十億は掲げられておりますけれども、一体現存の老朽施設の更新もしなければならぬということは盛んに経済白書にいわれておる。あなたの方の調査だけでも五百四十億あるでしょう。ですから一体これを十億ずつやっていっていつできるのですか。これはもうできたときはまた古くなりますよ。

岩武照彦中小企業庁長官

○岩武政府委員 設備近代化の補助金の制度はもう御承知とは思いますが申し上げますと、国から一定額を出しまして、それと同額を都道府県で追加いたしまして、それを都道府県に設けておりまする特別会計に繰り入れるわけでございます。特別会計ではこの補助金と申しましても、実は無利子の貸付金と同じ性質を持っておりますので、返済償還金があるわけでございます。それを繰り込んで当該年度のほんとうの補助金となるのであります。明年度は国から十億円、都道府県から十億円、それから償還金が五億になるのでありまして、合計いたしまして二十五億円の貸付ができるわけであります。これが事業費の三分の一という建前になっておりますが、大観いたしまして七十五億円の設備更新が行われる、こういうふうに期待しております。ちなみに本年度はこの額は大体三十五億円程度でありまして若干ふえたのであります。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 あなたの方の予算要求でも、補助率三分の一の四十億出されておるのですから、これから見ればいかに少いかということはわかる。当初のあなたの方の要求は少くとも三分の一の国庫補助で四十億なければならぬ、四十億ですから百二十億ですね、百二十億なければならぬ、こういわれておるのですが、これがむざんにもこれだけけずられておる、気持は同情しますけれども、こういうような政策のしわ寄せが全部労働政策や社会保障の問題にきておる。本来中小企業政策でやらなければならない問題、あるいは賃金問題で解決しなければならない問題が、全部社会保障の問題にきておる、ここに私は大きな問題があるのではないかと思う。今われわれの調査によりますと、確かに企業別に見ますと、日本の工場の付加価値は低い。低いけれども、低い原因は単に生産が低いというだけじゃない。付加価値が少いということはイコール生産が低いかというと、そうじゃない、必らずしもそうじゃない、そこに問題があると思う。最近各鉄鋼会社はストリップ・ミルを作りました。ところがストリップ・ミルを作って今までプルオーバーでやっておりました工程から、ストリップ・ミルの工程になって一人当り十三倍の能率を上げておる。一人当り十三倍の能率を上げておるのに、薄板が安くなったかというと安くならぬ。一体何のためにこの近代化をやっておるのか、近代化の恩恵というのは全然中小企業にこないじゃないか、むしろ企業の格差が大きくなるばかり、それだけ政府は財政投融資を出しあるいは外国から金を借りてまでそういうような近代化設備をしておるのに、中小企業は原料高で苦しんでおる。一体日本の産業政策というのはあるのであるかということをわれわれは疑問を持つのです。生産が十三倍になっておるのに値段が一つも下らぬというばかなことはないでしょう、常識から考えて。一体中小企業庁長官としてはどういうようにお考えですか。

岩武照彦中小企業庁長官

○岩武政府委員 大企業のことをあまり存じませんが、一般的に申しまして、一人当りの付加価値額が従業員の規模に比例して逓増的であるといことは、遺憾ながら事実であります。しかもその傾斜が海外諸国に比べましてかなり高いようであります。結局その原因を考えてみますと、いろいろ原因があると思いますが、一つはやはり労働装備率と申しますか、労働者一人当りの固定資産増加額が少いのが大きな原因だろうと思っております。その反面、これは労働集約的でございまするから、資本の回転率は非常にいいわけでございまするが、そういうことではやはり近代産業の一部として生産力の発揮はできませんので、何といたしましても、この労働装備率を上げまして、生産力を高めて参るということが第一だろうと思っております。  その次には、これは各企業間、あるいは業種間の生産関係の問題でございます。これはなかなかむずかしい問題がございまするが、中小企業対策の要諦は、要するにそういう劣った市場条件で活動している中小企業者に、できるだけ有利な条件で市場活動ができるように添え手をしてやるということだと思っております。いろいろ金融、税制上の対策、あるいは組織活動等も、そういう方正面のことを考えた政策をとろうと考えておりますが、なかなか一朝一夕に参りませんし、ことに大企業との格差は、海外諸国に比べまして、示そう開いておりまするので、今後非常にむずかしい点はございまするが、やはりこれは何といいましても一挙に解決する方法はございませんので、今申し上げましたような方向をさらに整備充実いたしまして、中小企業の生産力を高めて参る、それから、個々の中小企業の企業の経営管理につきまして、近代化の措置を講ずるということしか、実はやり方がないのじゃないかと思っております。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 私は大企業と中小企業との関係を野放しにしておっては、幾らあなたが力んでも、中小企業振興政策というのはできないと思うのです。だんだんつぶされてしまいます。中小企業はつぶすのだというなら別ですよ。あなたの方がそういう考えを持たれておるのなら別だけれども、中小企業を振興するというのなら、振興する政策をやらなければだめだ。今申しましたように、中小企業だけでは、いかに近代化しようといったってできないのですよ。大手の合理化が全部中小企業の不合理化になって現われておる。ここに私は非常に問題があると思う。大手の合理化が中小企業の不合理化になって現われておる。大手が操短をすると原料高になる、大手が下請代金の遅払いをすると、それが不合理化になって現われる。全部大手の合理化が中小企業の不合理化になって現われておるような状態では、私は中小企業は大手に拮抗していくわけにいかないと思うのですよ。そうして、大手と中小企業とのこの格差の問題を解決するどころか、だんだん格差がひどくなってきておる。しかも、格差を解決する問題はあるのだけれども、そのことをおやりになろうとしない。たとえば、先ほども申しました産業分野確保の問題でもそうですが、盛んに国会で論議された中小企業の官公需品の確保というのは、一体どういう状態になっておるのですか。少くとも中小企業の品物を買えというのなら、政府みずからおやりになったらいいのです。政府及び政府機関がおやりになったらいい。これは最低賃金でも同じです。日本政府は、自分っはやることをしないで、人にやらそう、人にやらそうとする、もってのほかだと思うのですね。政府みずからそういうことをおやりになったらどうですか。これは中小企業政策でも最低賃金でも、あるいはまた失業対策の問題でも、全部そうです。日本政府自体ができることをおやりにならない。日本政府はこれだけの膨大な政府及び政府機関の購買力をもってして、それをおやりになろうとしない。こういうところに問題があるんじゃないか。これに対して、当面の責任者である長官はどういうようにお考えですか。

岩武照彦中小企業庁長官

○岩武政府委員 官公需の中小企業から優先確保という問題は、これはアメリカで軍需動員に関連してとった制度でございまして、日本でそういうやり方がそのまま適用できますかどうか、いろいろ検討すべき余地もあると思いまするが、問題は現実に一体官公庁の購買がどういうふうなことになっておるか、中小企業者から納入あるいは請負しておりますものがどの程度にあるかということを、まず調査する必要があるかと思っております。実は私の方でも、その点どういうふうな形で調査したらいいか、目下準備を進めております。おそらくその結果を待ちませんと、果して中小企業の分野から買っておるのが、そう少いのか、あるいは思いのほかあるのか、あるいは需品とか何とかでかなり違うのじゃないかと思われますので、まず実態を調べたいと思っております。  それから分野確定の問題、これもいろいろ御指摘になった点も前々からわれわれも検討しておりますが、問題は、理想的に申しますれば、やはり適正規模による経営とその今の分野確定とが一致することでございまして、現実に中小企業者の面から、大企業は入るべからずというのは、経済的な合理性は少いように思われますので、問題はそこが一体適正規模であるかどうかということを見きわめる必要があるのじゃないかと思います。それから政策論としましては、かりにそういうことがいえましたときに、これを法律で、大企業は入るべからずというふうに措置して、一体実行可能かどうかという問題がございます。中小企業といえども、刻苦勉励しますれば大企業になることがたくさんございます。そういったことを考えますると、(「それほおかしいぞ」と呼ぶ者あり)現実にそういうものがたくさんございまするので、大企業が入るということと、中小企業が大企業になるということも両方ございますので、その点はもう少しわれわれも政策論としても検討したいと思っております。実はそういう面も含めまして、適正規模論をもう少し検討したいと思います。幸いに今度中小企業の基本調査もでき上りますので、これに基きまして規模別の適正配置といったことを検討したいと思っております。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 この中小企業の、政府及び地方公共団体あるいは政府機関の官公需品の確保の問題は、これは私はときどき聞いてみるのですが、いつでも調査をするというのです。実態把握ができないからという。いつになったらできるのですか。この前、石田労働大臣のときに、最低賃金法案が衆議院を通過する際に、岸さんに私は聞いてみた。総理は一体中小企業の官公需品の確保についてはどう考えるか。それはけっこうです、もう調査しております、と言っておる。速記録を見てごらんなさい。もう調査をやらしておるという。あなたの方は一体いつまでかかるのですか、いつ聞いても、調査をしておるとか、調査をやらしておるとかいうのですけれども、さっぱりそのデータが出ないじゃないですか。

岩武照彦中小企業庁長官

○岩武政府委員 事務当局がほんとうに今度こそはと思って調査を進めておることは今回が初めてでございます。これは御承知のように、生産というものはかなり時期的な波がございますから、おそらくこれをまとめるのにはやはり一年の経過を見なければいかぬだろうと思っております。そういうことで、今度はわれわれも事務的に今調査のやり方から形式等を慎重に準備しておる次第でございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 次に、私は中小企業の退職手当法に入る前に、中小企業の社会保険についてお尋ねいたしたいと思うのですが、この実態をまずお聞かせ願いたい。ことに五名未満の場合でございます。第一番には、失業保険の状態、五名未満の失業保険の状態はどうなっておるか、これをお聞かせ願いたい。これは昨年法律を改正いたしましたし、さらに五名未満の企業の失業保険の加入がその後推進されておるはずでありますが、それについてお聞かせ願いたい。

澁谷直藏労働事務官(大臣官房長)

○澁谷政府委員 御承知のように、五人未満の任意適用を促進する措置が昨年の十一月から実施されておるわけでございますが、大体私どもの推算によりますると、これの適用事業場数が約百十万、これの従業員が二百二十万人程度になっておるわけでございます。それでただいままでのあの法改正の実施後加入した員数を申し上げますると、大体十万人程度が失業保険に入ってきております。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 次に厚生年金はどうですか。——保険局長は来ていないようですが、これは私の調べたところによりますと、一九五七年の調査ですが、被保険者数が一万六千四百六十三人で、非常にわずかしか入っていない。ですから私はこの問題についてもあとから質問いたしたい、また健康保険についても聞きたいと思いますので、厚生省を呼んでいただきたいと思います。  そこで、さらに労災についてはどういう状態になっておるのか、これをお聞かせ願いたい。

堀秀夫労働基準監督官(労働基準局長)

○堀政府委員 労災保険につきましては、これは災害の度合いの多い事業場と、それから災害発生のおそれの少い事業場とに分けておりまするが、労災保険法によりますると、原則としては五人以上の事業場が強制適用になっておるのでございます。しかしながら、ただいま申しましたような見地から、五人未満の事業場でも、たとえばその所有しておる馬力数とか、あるいは危険有害な作業を行なっておる種類等を細目に調査いたしまして、そして災害あるいは業務上の疾病の発生率の高いような事業場につきましては、同じく強制適用事業としておるわけでございます。そこで、五人未満の事業場につきまして、これを危険度の少いものについても強制適用にしたらどうかというような御意見もあるわけでございまするが、私どものただいまの考えとしては、災害率の相当高い、そのおそれの多いものについては強制適用事業に全部なっておりまするので、この問題については、明年度においてこの実態を調査いたすことになっております。その調査の結果を待ちまして、ただいまのような問題については研究いたしたいと考えております。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 今強制適用になっておる五名未満の事業場の数、並びにその適用労働者……。

堀秀夫労働基準監督官(労働基準局長)

○堀政府委員 その点につきまして明年度調査を実施して、正確な把握をいたす予定でございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 強制適用ですよ。

堀秀夫労働基準監督官(労働基準局長)

○堀政府委員 その点につきまして、実は規模別の調査の結果が出ておりません。そこで五人以上、五人未満に分けまして、そういう点について正確な事業場数及び労働者数を把握して、そして検討いたしたいと考えておるわけでございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 いまだデータがないというのは、どうもわれわれわからないのですがね。強制適用にわざわざしておいて、まだ数字が把握できないというのはどういうわけですか。

堀秀夫労働基準監督官(労働基準局長)

○堀政府委員 ただいま労災の適用は業種別に把握しておるわけでございます。そのうち規模が何人以上が何人、何人未満が何人というようなことについては、現在把握しておりませんので、その点を調査いたすこととして明年度調査を実施する、こういう予定になっておるわけでございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 五人未満は原則としては任意適用になっており、有害な業務、危険度の高い業務だけは強制適用になっておるのですから、その数字がわからないというのは私たちはどうも解せないわけです。一体数字がわかっていないというのはどういうわけですか。

堀秀夫労働基準監督官(労働基準局長)

○堀政府委員 ただいま申し上げましたように、業種別に細分した数字はございます。そこて業種によってそれをごらん願いますと、中小の事業が多いようなこともわかるわけでございます。そういう点については現在正確な資料がございますので、これは後刻資料として御提出申し上げます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 有害業務で五名未満を指定している業種はどのくらいあるのですか。強制適用している業種をあげて下さい。

堀秀夫労働基準監督官(労働基準局長)

○堀政府委員 これは労災保険法施行規則第三条に基いて指定しております。すなわち原動機の馬力数合計三以上を使用するような事業、それから原動機の馬力数合計二以上を使用している事業の中で、これは非常に細分しておりまして、木材の切削加工、金属、陶器、磁器、石こう、コルク、セルロイド、エボナイト、合成樹脂、骨、角または貝の乾燥研摩、その他八つに分けて事業を指定し、さらに金属の融解、精練または熱処理その他四十二項目に分けて事業の種類を詳細に規定しております。そのほかに屠殺の事業等三つの事業をあげて規定しております。そのほかにもありますが、これらの事業場につきましては、危険、有害のおそれが相当高いという点から、労災保険の強制適用事業にしておるのでございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 では強制適用外の任意適用で、死亡その他の事故が発生したことがございますか。

堀秀夫労働基準監督官(労働基準局長)

○堀政府委員 任意適用の事業について事故が発生した事例がございます。これはむしろ事業場内で発生すると申すよりは、たとえば小さな商店の店員さんあたりが、仕事の関係で用足しに出かけて、交通事故にあったというような業務上の障害がこれに当るわけでございます。これらにつきましては大きいところは加入しておりますし、また五人未満であっても加入しておるところも相当あると思いますが、労災保険に加入しておれば、労災保険の業務上の給付を支給することにいたしておりますし、そうでない者につきましては、労働基準法の災害補償の定めるところに従って、使用者が補償義務を負うということにしておるわけでございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 実際そういった場合に、基準法が順守されますか。それだけの支払い能力がありますか。

堀秀夫労働基準監督官(労働基準局長)

○堀政府委員 これは場合によって異なると思いますが、われわれの方といたしましては、業務上の事故のために傷病を受けるというような場合には、いろいろな基準法の項目がありますが、他の項目に優先してこれは支払わなければならないという、重点的な項目とわれわれは考えておりますので、この点については基準監督署におきまして、基準法の条章にのっとり、使用者をして補償させるという点を厳重に監督しておるのでございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 監督をしておっても、実際支払われない場合が多いでしょう。

堀秀夫労働基準監督官(労働基準局長)

○堀政府委員 これは私どもの承知しておりますところでは、その支払い能力がないというような場合を除きましては、あらゆるものに優先して支払わなければ基準法の違反になりますので、その条章にのっとって監督し、是正さしておるところでございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 現実には大部分完全に支払われていない、こういう状態です。ことに五名未満の場合は、むしろこういうものこそ保険をかけてやらなければ、一人死ねば企業は倒れるのですよ。そういう状態である。高層建築のガラスふきはこの危険有害業務に入りますか。

堀秀夫労働基準監督官(労働基準局長)

○堀政府委員 これにつきましてはこの第三条におきまして、細目で業種を分けまして指定しておるわけでございますが、強制適用事業に入るかどうか、その点につきましては、調べまして後刻御返事を申し上げます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 最近この高層建築のけがが非常に多いのです。そのガラスふきがアルバイトの学生であるとか、そういう場合が多いわけです。しかもそれがほとんど下請の下請関係になっておりまして、五名未満という場合が非常に多い。そこで、名前を申しませんが、ある新聞社のビルから中央大学の学生が落ちて死んだことがある。ところが業者は一銭も持たない。大体幽霊会社みたいなものですから、とれない。新聞社の方が気の毒がって、見舞金を出したという例を知っております。そこで、おそらく五名以下の場合は、私はほとんど全額もらえないんじゃないかと思う。でありますから五名以下をむしろ労災なんかは全部強制適用にした方が妥当ではないか。一人けがをして死んだら、その会社が倒れるという状態になりますよ。なぜこれが今まで放置されておるのですか。私はこういった点が非常に問題だと思う。むしろ企業家を助ける意味においてもこれは強制適用にすべきなんです。あるいは保険料に平均賃金の算定ということでなくて——給付額は別です、保険料の方は大手と若干ランクをつけてもいいかと思いますけれども、私はこういったものこそ強制適用にすべきではないか、こういうように思うのです。

堀秀夫労働基準監督官(労働基準局長)

○堀政府委員 ただいまのところは、先ほど申し上げましたように、一つには危険有害な作業を実施しておる事業場については、規模のいかんにかかわらず強制適用事業にしたい。一つには労災保険法の適用がない場合には基準法による災害補償の裏づけがある。こういう見地から一応ただいまのような規定にしておるわけでございます。ただこの点につきましては、ただいまお話のように、五人未満の事業場であって、しかも危険有害でないような事業を営むものについても、やはりたまたま災害が起ることもある。その場合に補償能力がなければ困るのじゃないか、こういうこともあるわけでございます。この点につきましては、私どもといたしましては、失業保険につきましても、五人未満の事業場について先年改正がいたされまして、その実施状況等も他山の石として調査しておるところでございます。この実施状況とにらみ合せ、ただいま五人未満の事業場であっても危険有害のおそれのあるものにつきまして、これを拡張するかどうかというような点につきましては、いろいろ御意見を伺いまして十分研究いたしたいと考えます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 私は失業保険とか、厚生年金とか、健康保険と労災は違うと思うのです。事業主に支払の義務がなければこれはいいです。これは保険にも入れないけれども、義務はあるわけです。そこに問題があると思うのです。むしろ大企業の方は保険にかけなくても、自由自在に——支払い能力がありますからかけなくてもいい。むしろ零細企業を保護する意味から、これは事業者保険ですからね、事業者を保護する意味から労災保険というものは零細の方をかけてやる必要があるんじゃないか。そこの保険の行き方がまるきり逆になっておるんじゃないかと私は思う。これに対して労働大臣はどういうようにお考えですか。

倉石忠雄自由民主党労働大臣

○倉石国務大臣 御趣旨のこともその通りだと思いますが、多賀谷さん御承知のように、小さい方のところはその実態を把握するのに非常に困難であります。従って先ほど政府委員から読み上げましたようなああいう業種のものは、特に危険度が多いからということで強制加入ということにしたのでありますが、なお私どもは、もちろん今多賀谷さんの御説のようなことも大事なことだと思いますので、研究を進めて参りたいと思っております。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 私は危険有害の業務の方が調査ができて、ほかの方が調査ができないということはあり得ないと思います。  それから先ほどから言いますように、失業保険とか厚生年金とか健康保険ならば、それだけ事業主は負担を免れるということがあるのですが、この労災の場合は事業者は負担を免れない。これは基準法で全額支払わなければならぬことになっておる。むしろ大企業の方は保険をかけてやる必要もないから自由におやりなさい、しかし零細企業の方は保護してやりますよ、こういった法律の立て方が至当ではないか、むしろ区別をするならばその方が至当ではないかというように考えるわけであります。その点今までの厚生年金や失業保険や健康保険が五名未満は任意であるから、こういうことで逃げられない問題ではないかと思うのです。その点大臣はどういうようにお考えですか、こう聞いておるわけであります。

倉石忠雄自由民主党労働大臣

○倉石国務大臣 御趣意は私どもも全く同感であります。ただ御承知のように、零細な方はもし保険をかけないような場合には、強制執行もしてやらなければならぬということになります。つまり保険金をかけない場合には、大きな企業ならばそういうことは当然強制執行までいかないでもかけるでありましょうが、零細企業の方ではそういう掛金等についても、それを補償するためには行政機関としては相当大きな手数を要しますし、同時にまたその相手方のことも考えてみますと、なかなか困難な点が多い。従って現在のようなやり方をいたしておるわけでありますが、御趣意にはわれわれも賛成であります。一つ研究してみたいと思っております。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 実際そういった事故がありますと、わずか五人とか三人くらいの企業家ですから、一人労災の補償金を払いますと、ほかの連中の賃金未払いが起ってくる、あるいは退職手当がもらえなくなる。ですから同じ茶わんを一人が持っていくと一人の方がなくなるというのです。むしろほかの労働者が押えにかかる、こういう状態です。死亡の場合には同情があるでしょう。ましてやほかのけがなんかはとうていもらえるものではありませんよ。実際そういう状態になっておる。私も幾多こういう事件を扱いましたけれども、実際ほかの連中がきかないのです。おれの方は二カ月賃金未払いになるのだ、そういう状態ですから、死亡のような場合には同情があるでしょうが、お前ら中小企業におるのだからそのくらいのけがは当りまえじゃないか。そういうことを労働者自体が言うのです。少くとも退職金をやるくらいならば、まず労災の方から始めたらどうか。しかも零細企業ならば国庫補助をつけてもいい。どうですか、大臣。

倉石忠雄自由民主党労働大臣

○倉石国務大臣 社会保障についてはできるだけやることがけっこうだと思います。もちろん諸般のことを考えなくてはなりませんが、今退職金をやめておいてその方をやったらどうか、こういうことには私どもはにわかに賛成いたしかねるのであります。やはりできるところから徐々にいいことをやっていく。従ってそのできるところからいいことをやっていくということの現われが退職金の共済でありますから、こういうものはなるべく早く通していただいて、順にやっていきたいと思います。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 この労災という問題が、今までの社会保障のような考え方で見られておるところに問題がある。それで労災の問題は私は一番早く解決してやらなければならぬ問題だと思う。これこそ国庫補助金を出してもおかしくないですよ。それは零細企業だけですよ。もちろん大企業にも出せというと問題があるけれども、零細なら零細だけ出してもおかしくない。あるいは国庫補助金というのが直接いかなければ、率を下げてその差額を全般で見るというシステムにするか、とにかく何らかこれをやるべきです。今僕が指摘いたしましたような、高層建築のガラスふきだってないのです。こういうけがはずいぶん多い。ですからこれが泣き寝入になっているからといって放置すべきではないと思うのです。  私はまだ厚生年金あるいは健康保険、失業保険についても、さらに問題点を指摘して質問をいたしたいと思いますが、時間がきておるようですから、今のところこれで一応終ります。

田中正巳自由民主党

○田中(正)委員長代理 午後一時より再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時三十二分休憩      ————◇—————     午後一時三十七分開議

田中正巳自由民主党

○田中(正)委員長代理 休憩前に引き続き会議を再開いたします。  内閣提出の国民年金法案並びに八木一男君外十四名提出の国民年金法案及び国民年金法の施行及び国民年金と他の年金等との調整に関する法律案を一括議題とし、審査を進めます。質疑を行います。八田貞義君。

八田貞義自由民主党

○八田委員 社会党提案の国民年金法案について若干質問さしていただきます。  まず提案者の八木委員にお尋ねいたしますが、八木委員は衆議院の二月十三日の本会議におきまして、社会党国民年金法案の提案理由を説明されております。その中で、これに沿って質問を申し上げて参りますが、社会党では国民年金法案を作るに当ってどういう目標でやったかということを考えてみますと、こういうような言葉を述べられております。「すべての国民に、憲法で保障された、健康で文化的な最低限度の生活を維持できるようにすることに置いた」、これが目標でございます。ところでさらに提案された文面を拝見して参りますと、所得保障を強くうたわれております。その所得保障を「さらに、完全な所得保障によって不完全就労を減少し、労働力化率の低下するという好ましい効果の面を加えまして、完全雇用への道を進めるものと信じます。」こういう文句もあるわけでございまして、この今断片的に取り上げました文句を考えてみましても、この文句は、最低限度の生活を維持するという文句を使っておられる場合と、所得保障をやっていくのだ、さらにまた完全なる所得保障、こういうふうに言葉を三つに分けて、国民年金というものについて説明されておりますが、この国民年金制度の中の所得保障、どの程度のものが国民年金制度として考えられる所得保障かということを質問いたさなければならぬわけであります。というのは、こういうふうに三つに分けられておりますが、一体完全なる所得保障とか、あるいは最低生活の維持をするのだとか、あるいはただ単に所得保障をするのだ、こういうふうに三つに分けられておる意味ですが、私は法案を読んでみまして、この三つに使い分けられた意味がはっきりつかめないのですが、一体提案者である八木さんは、いわゆる年金でいう所得保障というのはどの程度のものをお考えになっておるのか、この点ちょっとお伺いしたいと思います。

八木一男日本社会党

○八木一男君 お答えをいたします。その前に、今までにあまり例がなかった野党案に対しまして、御質問を下さいました八田先生の御態度につきまして敬意を表したいと思います。今後与党の方が八田先生の例にならわれまして、そのように国会でりっぱな論議をされますことを心から期待いたすものであります。  今所得保障の定義について聞かれまして、完全なるとか、あるいはそれがついてない点についていろいろ御指摘になりましたが、質問者の御意図は、社会党の所得保障はどの程度やるべきかということに最後は要約されていると思いますので、その面でお答えをいたしたいと思います。なおお答えが足りませんでしたら、また再度御指摘を願いたいと思います。  完全なる所得保障ということは、結局、所得保障を私どもは制限がないと考えております。ほんとうは無尽蔵にやってもかまわないと考えております。その考え方は、将来は非常に産業がどんどん振興しまして、オートメーション化が各部面において行われまして、人間が生産分野にあまり働かなくてもいい。またあんまりたくさんの人が働いては困るという状態が当然現出してくると思います。その場合には、若い人であって元気な人が働く、しかもその働く時間が八時間が六時間、五時間、三時間になるという時代がくると思います。そういう場合に、生産の第一線からはずれる人がたくさん出てくるわけでありまして、その場合に、働かないから生活がある程度でいいということは言えないのであります。人間の幸福を追求する権利が当然ございまするから、状態に応じて無限大に所得保障が拡大してもいい。しかし、これは非常に遠い夢みたいな話でございますから、現在のところにおきましては、私どもは憲法で保障された健康で文化的な最低生活を維持できる、その程度に置くことがこの制度として最もよろしいと思いまするし、国民が守らなければならない憲法の条章を実現化する意味においても、その意味で考えなければならないと考えております。そしてそれの組み立てで、八田先生十分御承知の通り、その最低限度というもののめどをもっと高く置くべきだと思いましたけれども、諸般の事情にかんがみまして、一応月七千円、現在の貨幣価値の月七千円という点に置いたわけであります。それが憲法で保障された健康で文化的な最低生活に確実に当るとは私ども思っておりません。ほんとうは月二万円くらいまではいきたいと思っております。しかし諸般の事情で、その程度であれば、完全な形ではないかもしれないけれども、健康で文化的な生活とも言い得ると思いまして、一応七千円に置いた。七千円に置きました基礎の一つは、社会党の考えております最低賃金法とも幾分関係があるのであります。若い労働者が八千円で暮らす。労働の第一線につかない人は、労働力の再生産という要素が少し減りますので、この点で月七千円というところにめどを置いたわけであります。さらに高められるならば高めたいという意図のもとに、高め得る条件にある人は月七千円より高め得る方法を残したことは、八田先生の御承知の通りであります。

八田貞義自由民主党

○八田委員 老人の社会保障というのでございますか、今老人の生活保障として七千円というふうな、それを最賃と結びつけてのお考えのようでございますが、ただ老人の生活を保障する、それから維持していく、あるいは支持していくというふうに、いろいろ段階を分けて考えていかなければならぬと思うのです。というのは、社会保障と一口に言いますが、どうも日本における社会保障に対する理念というものが非常に錯雑しておりまして、人によって非常に違うのです。しかし、われわれが日本における進歩したりっぱな社会保障というものを樹立していくためには、その国の経済状態あるいは民情、そういった特殊性を十分に取り入れた社会保障というものを樹立していかなければならぬわけです。ところが、日本の社会保障というのはいつでもお手本としてイギリスの社会保障が取り上げられて参ります。イギリスの社会保障というのは、御承知のように、揺籃から墓場までという言葉で表わされておりますが、これが非常に間違って誤解されておるのですね。ゆりかごから墓場までという言葉は非常にきれいですが、イギリスのゆりかごというのは決して一定しておりません。高低さまざまである。というのは、生活によって貴族のゆりかごもあれば、貧乏人のゆりかごもあるということで、生活程度によって、イギリスの貴族国家においてはゆりかごが非常に違うのですね。ですからイギリスの社会保障制度というのを一口に批評してみますと、ゆりかごという出発点はあたかも同じように解釈されますけれども、出発点が先のものもあるし、うしろのものもあるということで、非常にばらばらなんです。ところが、ゆりかごはそういう状態でありますけれども、墓場のところでは一致するであろう、こういうのがイギリスの社会保障なんですね。簡単に言いますと、イギリスの社会保障を見ますと、総理大臣になるためには貴族出身でなければなれないわけです。     [田中(正)委員長代理退席、大石委員長代理着席〕 たとえばイーデンにしても、アトリーにしても、今のマクミランにしても、みな貴族出身です。貴族のゆりかごでなければ総理大臣になれないというような国柄なんですね。しかもまた、役人になって偉くなるためには、イートン大学を出て役人にならなければ偉くなれない。そういう状態なんです。かって戦前の日本が東京帝国大学を出なければ役人として偉くなれなかった、そういう矛盾が現在の社会保障国としてりっぱだといわれるイギリスにもあるのです。そういうふうに出発点が非常にばらばらです。ところが墓場のところではぴたっと一致させて、手厚く葬ってあげましょうというのがイギリスの社会保障で、非常に批判されているのです。一昨年コーリン・クラークというイギリスの金融経済学者が来まして、イギリスの社会保障は崩壊に瀕していると言っている。ですからこういったイギリスの社会保障が、ゆりかごから墓場までというふうに言われておりまするけれども、実際は非常に問題点をたくさん含んでおるわけです。その問題点の中でも、国民年金制度というものに対して、あとでいろいろと説明申し上げますが、今崩壊寸前にあるのですね。ですから、われわれはただよその国の報告を見て、あるいは宣伝をうのみにして、あちらの国は非常にいいのだから、日本もあの制度にとび込もうじゃないかというのは非常に性急に過ぎるわけであります。  ところで今、日本でこれからやっていかなければならないのは、一体イギリスのように墓場のところで統一するのか、あるいは出発点を統一するのか、一体どっちの方を統一し一緒にするのだ、こういうことが日本の社会保障をこれから樹立していく場合に大切な問題なんです。私はやはり社会保障というのは出発点を一致させる、これがほんとうに大切な社会保障を樹立していく問題点であろうと考えるわけです。ところで、そういった談義は省略さしていただきますが、この老人の生活を見ていかなければならぬ、あるいは障害者、あるいは生計中心者の死亡によるこういった貧困、こういうものに対して国民年金制度で救っていかなければならぬというこの社会情勢は、もうわれわれが十分に認識し、強くこれを知って、国民年金制度を打ち立てようとして考えておるわけですが、ただこういった老齢とか障害とか生計中心者の死亡とかいったようなものは長期的な事故なんです。こういった長期的な事故に対しては、おのずから国民経済との結びつきを十分に考えて、そうしてやっていかなければならぬわけです。ところで日本でいう社会保障は出発点をそろえていかなければならぬのでありますが、この社会保障の中の柱といたしましてはすなわち社会保険と公的扶助が三本柱になっておるわけであります。ところがこの社会保険ではなかなか適用者を全国民に及ぼすというまでには至っていないわけでございまして、なお社会保険の網の目から漏れておる人が三七%も全国民としてあるわけです。こういった三七%の人を一体どういうふうにして社会保険の中に入れていくか、あるいはそのままほうっておけば公的扶助の方にすべり込んでしまう、これをどうして防止するのか。それに対して社会保険というのは、一般に長期、短期をまぜた保険制度がしかれておるわけでありますが、この三八%近い国民の中で、社会保険にも入れない、しかしボーダー・ラインとして残っておる、この人を救うために一体どうするのだ。しかも長期的な事故だ。この長期的な事故に対してどのような施策をもって救っていかなければならぬかとなれば、国民年金制度です。その中で今八木さんがあげられましたところの、老人の生活補助あるいは生活保障としての七千円か、あるいは生活維持としての七千円か、その点はこれから質問を申し上げていかなければならぬのでありますが、ただ政府の出した三千五百円という計算、これの基準点の問題ですが、われわれはやはり国民年金で老齢者の生活を保障していこうという場合には、今日の日本国民の消費水準は一体どういうふうに動いているか、どういうふうに向上しているかということを考えてみなければならぬと思うのであります。というのは、老齢者の生活は年金だけの収入でもって生活をやらしていくのだ、こういう考え方は、これはちょっと誤まりなんです。年金だけでもうお前さんは生活していきなさいというふうなことは問題がございます。国民の生活消費水準はどのような動きをしてきておるか、その生活消費水準を上回る必要はないのですから、それより下のところで、一体どれくらいの額を出せばいいんだということが、やはり最低生活を保障するための額としては正しい見方であろう、こういうふうに私は考えるわけであります。そこでいろいろと資料を集めまして、国民一人当りの消費支出額をずっと調べて参った実績によりますと、二十五年から三十二年までの計算をされた数字を基本にして申し上げてみますと、三十二年における一人当りの消費支出額は六万二千二十五円となっておるわけです。この中で共通経費的なものが一体どれくらいかと申しますと、大体二五%と見るわけであります。ですから二五%を今の六万二千二十五円から差し引いて参りますと四万五千円となる。これが三十二年における一人当りの消費支出額というふうになっております。ところでこれは国民一人当りの消費支出額でありますが、一体老人一人が一カ月に現金支出をどれくらいやっておるかということの調査を、厚生行政基礎調査という資料に基いて見ますと、昭和二十九年では、老人一人の一カ月の現金支出というものは三千五百八十一円、昭和三十年には三千五百十円、昭和三十一年には三千九百四十五円、昭和三十二年には四千四百五十四円、こういうふうになっております。また社会保障生活実態調査によりましても、現物を含めた一カ月の支出額というものは四千八百五十一円となっております。こういったものから共通経費的なものを差し引いて考えますと、現金支払いでは三千三百五十円、現物を含めましても三千六百四十円となってくるわけであります。こういったような共通経費的な問題というものは、家族単位の生活の維持を前提とした場合の計算なんです。そうしますと三千六百四十円というものが大体老人一人だけの生活費、こういうように統計の上から見られてくるわけであります。こういった資料をもとにしまして、今度政府案では三千五百円というような数字になってきたわけでありますが、これはあくまでも現在の生活水準における金額を割り出してきたわけです。ずっと過去の消費生活に要するところの費用計算から、現在老人が生活していくためにはどれだけの金が要るだろうか、現在をもとにして計算された三千五百円なんです。ところが社会党の言われておる七千円というのは制度完成時なんです。出発点が違うのですね。政府は現実そのものをつかまえておる。それから過去の統計から現在の老人生活の場合にどれくらいの金をお上げしたら、生活支出的な金額になるかということで現在をつかまえた。ところがあなた方の方は将来三十五年後の制度完成時をつかまえて七千円とされておるわけです。この説明書を見るとそうです。ですからそこに出発点が違うというわけです。しかも政府案は第四条によって、これを五年ごとに調整していくわけなんです。ですから出発点が違うので三千五百円、七千円というものの開きもおのずと出てくるわけです。それを一般の世人は、三千五百円と七千円を一緒に比較して、政府案は半分少いじゃないか、けしからぬぞ栄養失調になるという単純な数字の計算でやってくるが、問題は現実のつかみ方なんですね。この点政府案の説明みたいになってしまったのですが、これはもちろん与党議員として一緒に苦労したので申し上げたのです。今盛んに滝井君がゾルレンの状態だと言うのですけれども、われわれはイスト・ツースタントを中心に考えなければならぬ。ゾル・ツースタントは理想案です。理想的です。将来かくあるべしだから……。しかしやはり正しい社会保障の車というものは後退を許しませんから、イスト・ツースタントというものをうんとつかまえて、それを伸ばすよにしていかなければならないわけです。後退を許さない車でありますから、やはり過去の資料をうんときつくつかんで、そしてその上に土台をしっかり置いて進めていかなければならない。ただゾル・ツースタントだけをやっていたのでは足もとがふらつきます。あまり背が伸び過ぎて失敗するわけでありますから、この点やはりイスト・ツースタントというものをはっきりつかまえて、そして制度を後退せしめないように進んでいかなければならぬのであります。  ところで社会党さんの方で出された国民年金法案というものを、制度面から見させていただきますと、制度の上において一貫性がないというような文句を言いたくなるのです。どうして制度上の一貫性が貫かれていないかと申しますと、今度社会党で出された四つの法案の中で、国民年金法案を見ますと、国民年金というものは社会党案によると、普通年金と特別年金に分けられておって、普通年金は一般国民年金と労働者年金です。給付の方を見ますと、一般国民年金と労働者年金というものは、老齢年金と障害年金と遺族年金、こういうふうに三種類に分けられておるのです。特別年金の方は養老年金、母子年金、身体障害者年金、こういうふうに分けられております。この言葉そのものには私同感です。こういった表現を使われることは非常にいいと思うのでありますが、ただ制度の立て方が、ちょっと一貫性がないのじゃないかというように考えられる。と申しますのは、国民年金制度の中の普通年金は、今申し上げましたように、一般国民に対するものと、労働者に対するものとの二本立になっておるわけでございます。これを一つの制度の中に入れておられるのでありますが、その一般国民年金の方を見ますると、これの拠出は保険税の形態でもって、均等割、所得割、資産割による応能拠出の方式をとっておられます。ところが低所得者に対しては、保険税の減税、免税という建前をとっておられる。こういった減免の方式と応能方式とをとられておって、さらにまた給付はフラットです。給付は全部定額制でやっておられます。このことは給付と拠出との対応関係を越えた関係です。これでは全然給付の方が高くなってくるのですよ。対応関係というものは全然ないのですね。こういった対応関係を越えたものは無拠出制だ、こう見てもいいわけです。やはり保険方式、年金というものをゆがめない制度、これから健全に進歩していくという制度を立てていくためには国家財政というものをよく見ていかなければならぬのですから、こういった制度をせっかく作られました以上、やはりその中の基本となる拠出と給付の対応関係というものは、はっきりつけておかなければならぬ。ところが一般国民年金に対しては、どうも拠出と給付との対応関係というものが全く度外視されて、無拠出に近い制度をとっておられる。これは非常に問題だろうと思って、それでは労働者年金はどうかと思って見ると、労働者年金の方は標準報酬による比例と応能拠出の建前をとっておられる。給付もまた報酬比例的な要素というものが入っております。こっちの方は拠出と給付との対応関係というものが構成されておる。  こういうふうに見て参りますと、労働者年金の方は、あなた方は保険税とか目的税というような言葉を使っておられましたけれども、これは結局標準報酬に比例した方式をとってやっておられる。しかも給付も拠出に比例して高くなってきているのです。こうなると保険料といわなければならぬ。また拠出制なんです。こういうふうに一般国民に対しては無拠出制に近いものをとっておられ、一方労働者に対しては拠出制をとっておられる。言うならば異質のものが一つの制度の中にごっちゃに入っているということになります。こういったことは、言うならば国民に対するものと労働者に対するものとの差別待遇というものが出てくることになる。しかも労働者年金の場合に問題になりますのは、労働者年金に入るのは労働者だけだから、その奥さんに対しては、お前さんは一般国民年金の方に入れということになってしまう。こういった差別待遇は立てられるべきではないと思います。一方労働者と一般国民とを、制度上において一貫した方法をとっていく、拠出と給付とをちゃんと対応させておきながら、片方は全然対応させないということは、やはり一つの制度を立てていく場合において問題があろうと私は思うのであります。と申しますのは、やはりり一つの筋道というか、ゾル・ツースタントという状態、かくあるべしという状態を進めていく場合には、あまり性急に、でっち上げてと言っては言葉が過ぎますけれども、何とかして一つ法案として作り上げていこうじゃないか、何でもかでも労働者年金と一般国民年金とを同じ制度の中に入れていこうじゃないか、こういうふうなことになって参りますが、こういった問題が包蔵されていると、それが将来だんだん大きくなってきて、つまり制度そのものが理想に過ぎて、健全な発達をしないということが起ってくるわけですが、この労働者年金と一般国民年金、この異質なものを一つの制度の中に入れ、また、言うならば差別待遇を与えられており、給付の面においても非常に違うが、社会党はなぜこういった異質のものを、しかも差別待遇をあえてされているような制度を打ち立てられたかということについての、八木さんのお答えを願いたいと思います。

八木一男日本社会党

○八木一男君 八田先生の御研究に満ちたいろいろの御説明があった後に御質問がございましたが、その前の背景についても私少し異論がございますので、順番に従って八田先生のおっしゃったことを、逐次私どもの考え方をそれに対応して申し上げて参りたい。  まず第一にイギリスの例を出されまして、これは反対ではないのですけれども、終点の一致も必要だけれども、出発点の一致が必要だというお考えであります。それは私どももその通りであります。そのために、出発点というのは大体において親に扶養されているという時期であります。その場合に、親は、生活者が同じように十分な生活ができるというような状態を作らなければならない。そのために私どもは社会保障制度の完成とともに、それ以上に先に完全雇用政策というもの、これは量的な意味だけではございません、質的な意味も加えまして、完全雇用政策というものをほんとうに完成しなければならないということを強力に主張して、そのためにいろいろな法案を出しておるわけです。全部が就職できる。そして賃金その他の条件がいい、労働条件がいい。それからまた自営業者の農業も、零細商工業者も全部成り立つようにしなければならない。零細企業が非常に苦しんで、大企業だけがもうかっているような世の中はいかぬというようなことを言っているわけです。そういうことによって商工業、農業あるいは労働者として、すべてが人間らしい生活ができるようになった場合において、その扶養さるべき子供が、ゆりかごの時代から十分な健康で文化的な生活をし、そのような教育を受けるというような状態になるわけであります。それでもう一つの部門の終点におけるものとして、こういう年金制度を完成しようとしているわけでございます。その点は八田先生も御同様の御意見だと思いますが、出発点を忘れたわけでない点を一つ御理解願いたいと思います。  たくさんいろいろ御意見を承わりましたので抜けるかもしれませんが、次に、御説明の中に年金の金額についてのお話がございました。三千五百円は、いろいろの数字をあげられまして、従来の生活から妥当というふうにおっしゃったようでございます。しかしながら政府の年金案は、八田先生十分御承知のように、四十年後に完成する年金なんでございます。現在の出発点で、もし八田先生の御説明で三千五百円でいいということにかりにいたしましても、四十年後には発展を見なければならぬという点で、非常に少きに過ぎると私どもは思っております。国民年金法、政府案の第四条によりまして将来ふやすんだというお考えのようであります。だから、それでいいというお考えのようでございますけれども、積立金方式をとっておりますと、三千五百円の目標で、今から積み立てていく、将来において、たとえば十五年後にそれを変えよう、目標を七千円にしようとしました場合に、前に少い金額で押えてあるものを全部補てんをしなければ七千円になりません。ですからその時点において非常に困難になるわけであります。従って七千円が妥当だと認めても、また財政その他の関係ということで、これが三千五百円を四千円か、四千五百円くらいにとどめてしまう危険性が多分にある。そういう意味で積立金方式をとっている以上は、あとでこれが非常に困難でございます。最初から目標をお立てになる必要があろうかと思います。  それから三千五百円の例で言われましたけれども、三千五百円というのは政府案における最高の金額であります。二十五年しか保険料を納められない場合には、月二千円、十年の場合は月千円なんです。十年以下の場合には減額年金もございません。三年未満の場合には、零細な人が困難な生活の中から一生懸命かけた保険料が仕合せの人に持っていかれてしまうというような、国民年金制度を通じて収奪が行われているというような内容すら含んでいるわけです。こういうようなことではいけないと私どもは考えております。そういうことでございますが、私どもはそういう意味で別な——それで今申しました反面では、七千円を私どもは少いと思いますけれども、どうしても七千円は必要であるというふうに考えているわけであります。  もう一つ国民年金法第四条には、坂田厚生大臣のお考えでは物価、貨幣価値の変動によるものもその中に含まれておるのであります。貨幣価値の変動によるものと、そういうように今少くしておいて将来多くしようという二要素をあそこに入れましたのは、あの文句一つで二要素について処置し得る条文であるというふうに御説明になっておりますけれども、二つの大事な要素を入れられたら、ごちゃまぜにされると二つの要素が、そのときの政府が最もまじめに考えても、百ずつやらなければならないのが、両方とも十五くらいずつになるという危険性を多分にはらんでおる。ですからこのような要素で、今少くして将来発展させる条文であるならばその条文を一つ、貨幣価値の変動に対応する条文であるならばその条文を一つ、明確に二つ作っておかなければ、八田先生が厚生大臣でおられるならばいいけれども、将来八田先生が総理大臣でも引退された後に、わけのわからない厚生大臣が出て参りましたときには、御趣旨のように参らぬと考えるわけであります。  それからその次に、労働者年金と一般国民年金を設けたことは差別ではないか。またもう一つは制度上で片方は応能の原則によっておるけれども、片方は応能の原則によっておるようにも思えない、制度上バランスを失しておるじゃないかという御質問が一番の焦点であったと思います。御承知の通り、私どもの一般国民年金は、年金税の徴収は応能の原則によっております。そこで片方の労働者年金も標準比例報酬でございますから、応能の方式によっております。この点では完全にバランスがとれておるわけであります。ところが片方の今度受け取る方は定額で八万四千円である、片方は金額が移動する、その点でバランスがとれておらないじゃないかという御指摘であります。先生御承知の通り、社会党の労働者年金は定額部分が八万四千円であります。でありますから八万四千円の定額部分はどんな状態の人ももらえるという状態に置いておるわけであります。八万四千円に関する限り、両制度とも完全に一致をいたしておるわけであります。  それ以上の制度を設けました理由を申し上げさせていただきますと、私どもは月七千円、年に八万四千円を十分な金額であるとは決して思っておらないのであります。当然月一万五千円、二万円、二万五千円の線まで持っていくべきである。その場合に、二万五千円くらいに持って参りました場合には、職種の差いかんを問わず全部一律に国民年金でよろしいとわれわれは考えております。ところが遺憾ながらわれわれの乏しい案ですら、政府あるいは与党においては、財政が持たないというような御批判をなさるような状態であります。でありますからそういう意味で七千円の線でがまんをしたのであります。ところが状態はそうではなしに、八田先生の御生活をお顧みになりましても、七千円の老齢保障が八田先生にあったとしても、六十才から七十才の間で十分であるとは決してお思いになるはずがない。現在それ以上の生活をしておる。世の中にはそういう人がたくさんあるのです。そういうことでは足りない。足りないということになると、その人たちの努力によってそれを上げ得る道を残しておくことが、法律上、制度上親切なことであると私どもは考えるわけであります。それから農民、自営業者——農民も自営業者でありますが、商工業、農業あるいは自由営業、あるいは無職者にもそういう制度を設けたかったのであります。ところが七千円を八千円なり九千円に強制をしますと、八田先生のおっしゃる保険料に当るべき年金税を高くするか、国庫負担をさらにたくさんにするかどちらかの方法をとらなければ計算上合いません。それは一定の限界がございましたので、七千円にとめる。これを八千円、九千円にして保険料を上げるということにいたしましたならば、農民の場合は凶作になったときに困る。商売をなさっておる方は、ことしならそのくらい平気だけれども、不景気のときには困る、そういうことが起るのであります。ですから、最小限度の七千円にとどめたわけでありまして、そういう方々には、政府の打ち出す——今の保険会社みたいに、一割五分で出しても四分に計算する不利なものではなしに、政府の正しい年金を打ち出して、その方の計算において、その方の目標において年金額をふやしていただこうと考えたわけであります。ところが労働者においてはいささか事情を異にいたします。というのは、労働者は普通の自営業者の方よりも年金の必要の度が性質上多いのであります。たとえば、熟田を持っておられる農業の方はたとい六十二才になられても、健康であれば収入を上げ得る道があるわけであります。たとい身体障害者であられても、非常に繁盛するたばこ店を持って商売をしておられる方ならば、収入を上げるわけです。工場の場合も同じ。かように生産手段を持っておる方と生産手段を持っておらない労働者の場合においては、年金の必要の度が違うわけであります。もちろん二万円になれば、必要度が違っても同じ金額でもけっこうであります。ところが七千円ということになっていて、そして必要度が多いということが一方にあります。それからもう一つは、必要度の多いことに対処すべき非常に工合のいい状態があります。労働者は低賃金でございますけれども、毎月大体において現金収入がございます。現金収入から源泉徴収でさっぴかれるということは、一応われわれはぶうぶう申しますけれども、ためておいて入れるよりは、実際上引かれる方は楽であります。そういうことで保険料を幾分高くして引かれてもそう苦しくない。そうしてその高い保険料があるからそれだけの年金額が高まるということは、労働者の年金を必要とする度合いが多いために妥当であろうかと思うのです。でございますから、現金収入が毎月あるという状態、そしてそういう必要度の多いという状態、そういう状態を全然無視して一律にする必要はない。一律は八万四千円で、差別待遇をしないでやっておる。その上にそういうものをかぶせて、そうして七千円が乏しいものであるから、その補てんを、労働者ができるだけ合理的に、工合よくできるように考えたわけです。お医者様なりあるいは商業をなさっておられる方はその仕事の収益に断層というか、非常に高低があるわけでありますから、その方の御計算によって、政府の出す有利な任意年金に入っていただいて、七千円を、一万五千円にでも、五万円にでも、なさっていただくといような方法をとるべきだと考えております。  もう一つ、誤解があるといけませんので申し上げておきますが、十四万七千円平均ということであれば、労働者の方が高いじゃないか、労働者重視政策じゃないかと言われる向きが多いと思います。これは国庫負担の内容は、八田先生は十分御承知でございますけれども、一般的になかなか御承知のない方があるわけであります。国庫負担は、労働者年金は二割、一般国民年金は五割、この点について労働者軽視の政策だと非難されても仕方がないような、表面的にはそういう内容になっております。ところが、これもそうではなくて、内容は違っておるのであります。十四万七千円に対する二割ということは、八万四千円という一般国民と同じ水準に換算をいたしますと、三割五分に当ります。そうして自動的に賃金水準上昇によって上る状態になっておりますから、完成時には大体五割程度になるものと私どもは推定をいたします。労働者も全部平等な考え方を持っております。制度が少しきちっとしていないのがけしからぬじゃないかというお考えもあるかと思いますが、皆様方御承知の通り国民健康保険法において平均二割五分の国庫負担、労働者の健康保険法において、つかみ金を十億というようなことでごまかしておる今の政府のお考え方を考えられまして、そして政府がその説明にいろいろ使う背景を考えられましたならば、この程度のことは御了承願えると考えるわけでございます。

八田貞義自由民主党

○八田委員 八木さんのお話で、私も金額は高い方がいいのですが、ただ問題は、社会保障というものをやり遂げていく場合には、もちろん出発点をそろえることが必要なわけです。これは八木さんも御同感でございますが、出発点をそろえていく場合にはどういうことを考えていかなければならぬかというと、公衆衛生の面なんですね。出発点をそろえて、あと一つマラソン状態で進める。そうして走っていって、おくれた人に対しては社会福祉で救っていこう、そしてあとの墓場のところでやはり手厚く葬っていこう。ですから、われわれの考えておる社会保障というのは、出発点も墓場のところも一緒に統一して、そして完全な社会保障を作り上げていこうではないか、そのためにはやはり医療保障というものを十分に完璧な状態に持っていかなければならぬ。そういうようないろいろな要請事項がたくさんあるわけであります。そうしますと、今度は、この労働者と一般国民と差別待遇をされたと私は申し上げたのですが、これはどういう点かというと、労働者年金ですから、賃金労働者というのは一般の自由業をやっておられる人々よりも年金が非常にほしい。年金にたよらなければならぬという生活面の要求は高いわけです。これは私どももよくわかります。ただ、だからといって、やはり一般国民に対して与えるならば、その倍額近い労働者年金が平均額では与えられるのですから、やはり退職したときに労働年金は与えらるべきです。ところがこの法案を見ますと、現在働いておっても六十才になれば年金がもらえることになっておる。そうすると、社会保障、社会保障といって、年金は社会保障制度の一環としてどうしてもやっていかなければならぬものなんだというふうなことを強くうたっておられながら、これを見ると、労働者年金の方は、退職しなくてももらえる。これが社会保障ということから見ると離れておるわけなんです。こういう点に私はいろろと問題があろうと思う。(「自営業者の場合や、恩給の場合はそうじゃないか」と呼ぶ者あり)恩給と社会保障とは違う。この点はやはり制度を立てていく場合に考えていかなければならぬと思うのです。あとでまた恩給の問題にも触れますが、その点においてちょっと社会党の案は同じ制度の中に異質なものを含めて、しかもその間において差別待遇というのが与えられておる。また金額は七千円、政府の方は半分しかないといって、金額の問題でいろいろと論議が出ておりますか、やはり私は年金だけでもって生活をする老人だけを作り上げていくんた、そういった老人だけを考えて老人年金を考えていくんだということは、やはりいろいろな経済全般からながめてみて、あるいは社会保障制度を打ち立てていく場合に、いろいろ問題があろうと思う。しかも社会党の国民年金を見ますると、国民年金だけに歳出の一三%が使用されることになっておるわけなんです。こういったことになりますと、国家財政上国民年金だけに歳出の一三%も使用するということは、医療その他の社会保障制度との関係上、非常に実現の点においては問題があろうと私は思う。この点について八木委員はどう思っておられますか。もう一度お答え願いたい。

八木一男日本社会党

○八木一男君 最後の点以外、おっしゃった点について一つ一つ触れさせていただきます。今、退職しなくても六十でやるということは不公平じゃないかというような御意見があったように思います。これは先ほどわが党の労働大臣と目されております多賀谷真稔委員の不規則発言がありましたけれども、それと同じように、自営業者においても同じでございまして、そういうことは全然不公平だということにならない。自営業者はそれだけの収入を上げておられるのに、また店があれば収入が上るのに、やはり老齢で六十で年金になる。退職しなくてももらえるのは小公平であると言われますけれども、たとえば今の定年制という問題は非常に問題がありますが、五十五才定年制をとっておるところが非常に多い。これは批判に値すると思いますけれども、そういうことでありまして、総体的には六十才において職務を離れるということになることは今の雇用状態から見て普通の状態である。でありますから、今おっしゃった就職していても六十でもらえるということは、ごく一部の方の問題であります。それからそういう方々がまた就職したから要らないという場合には、六十五才まで延ばして増額年金をもらえる、あるいは五十五才からもらいたい人は五十五才からもらえるというような、有機的な親切な制度も設けておることは、八田先生御承知の通りであります。大体において、将来においてはオートメーションが進みまして、労働力が余って参りますと、六十においてはもう生産の第一線から離れていただく時期になると思う。人間働かなければ仕合せでないという議論が方々であるようですが、働くということは、何ももうけるということだけではございません。文化的な、あるいはまた原子的な、あるいはまた教育的な、あるいは政治的な指導ということは、人間の働く意欲を持っているうちでいい点でありまして、生産活動を離れてもそういう点で活動をされればいいわけでございます。少くとも六十からはその老齢年金をもらって生産活動から離れ、生産活動は若い元気な人にまかせるという時代に当然なるべきだと思います。三十五年後、四十年後というように、両案の完成のときには当然そういう姿が生まれておる。そういうことでこういうことになっておるわけであります。それからその次に年金だけで将来暮らすという考え方はどうかと思うということを、今も、さっきも前段においても言われたようであります。これはそうであってはならない、年金だけで暮らせることになっていなければいけないと思います。     〔大石委員長代理退席、大坪委員長代理着席〕 ほかの収入があるから幾分のカバーをすればいいという考え方では収入のない老人は健康で文化的な生活はできません。でございまするから全国民が年金で暮らせるという制度を作らなければ、年金の意味は半減をするわけです。お互いに幸いにして毎日の生活をやっておりまするから、そういう方々のことについてはうとうございますけれども、世の中には収入のない老人がたくさんある。そういう状態で政治は考えてもらわなければならぬ。そうなると年金だけで健康で文化的な最低生活ができるというような精神で、この年金法を作らなければならないと考えております。  それから一番最後に、財政の点について一三%という数字でございます。私どもはパーセンテージはそら大した意義はないと考えております。といってもある程度の意義はございます。国民年金だけで一〇〇%というわけには参りません。ある程度のパーセンテージということは必要でございまするが、問題は全国民にほんとうに均等に分けられるかどうかという問題であります。今の一部の官吏だけの恩給だあるいは軍人恩給だということであれば、そのパーセントが多ければ、同様に困難な生活を送っておるほかの国民から強い指弾がくるわけであります。一般に零細な人であっても、たばこの税金、砂糖の税金、酒の税金でボーダー・ラインが税金を払っている。それが一部の人のために使われておるということであれば、不平が起るのは当然であります。ところが全国民にいくのであれば、これは機構が違うだけであり、金の循環の方法が変るだけであって、自分のものが自分のところに返ってくる。だから全国民に全部くるような年金であれば、極端にいえばパーセンテージの問題ではありません、金額の問題ではありません。幾ら多くても文句はないはずです。ただ年金制度が今までなかったために、あるいは少かったために、あるいはありがた味を感じている人が少いために無理解なところがあって、そんなパーセンテージはいけないという意見が出るかもしれませんが、年金制度が発足してその恩典をみんな受けられるようになれば、これが一三%であろうが、五〇%であろうが、そのために増税が行われても問題はない。所得再分配の問題といたしましても、減税の問題よりも社会保障の問題がはるかに合理的であります。減税の問題であれば一定の免税点以下の人は同じ状態であります。免税点の中にも生活の困難度の大きな差がございます。一番下の人も、中くらいな人も、免税点すれすれの人も同じ減税になる。ところが社会保障はそうではない。その下の下まで生活の苦しい状態をカバーしようとする所得再配分ができるわけであります。そういう点でいけば、たとえば増税をして社会保障をやってもほんとうはいいわけです。ところが残念ながらこれは今までの自民党政府とは申しません、明治以来の歴代の政府がそういうことに非常にうとかった。徳川時代は全然そういうことがなかったために、年金制度は非常に大事である。そのためには減税を一部がまんしても、それの方がいいという思想が行きわたっておらない。またこの前のインフレによって、大衆の貯金なり国債なりあるいはまた定期預金なりがだめになったことから、そういう金を預けておいてもあとでだめになるのではないかという危惧があって、年金に対する理解が少い。そういう状態であるから、そういう年金の金額が多いという意見が出ると思うのですが、完全にこの問題が理解されたならば、パーセンテージが多かろうが少かろうが、実額が何千億、何兆億であろうと問題はないと私どもは基本的に考えております。ただし現在そういう状態でありますから、財政との関連で、わが党もいろいろ考えまして七千円を基盤とした案を作ったわけであります。先ほどの一三%という例は、先生が今そこで資料となさっておられるのは、いつか私が本会議で説明をいたしましたのをもとにしてお出しになったパーセンテージではないかと思います。八田先生に申しましたことは、財政と年金との関係を概括的に申し上げたわけでありまして、これを一つ一つ御指摘になりましたならば、その点についていろいろこれはこの数字ではないかという点が出て参ります。概括的に財政を心配する無理解な世論があまり強過ぎるために、そうでないということを抽象的に一点あげて申し上げただけであります。総体的な心配がないということをこれから説明をさせていただきたいと思います。  その前の、前段になっております減税をしても三兆三千億程度のものになり、四千二百億のときに一三%程度になるということを申しました。そのときの三兆三千億という問題であります。そこで四割の減税を見たならば、ということを入れております。四割の減税はする必要はないという考えもあり得るわけであります。社会保障でまかなったならば減税ということは社会保障よりは、所得再配分の意味では意味が少いわけであります。減税政策を社会保障政策に完全に切りかえましたならば、増税をしなくても、減税をストップしましたならば、これは五兆六千億という金額に相なるわけであります。ところがこれは四%という最低の数字をとっておる。これがことしの経済成長率であります五・五をとりましたならば、三十五年後において六・五倍になるのですが、経済伸張と同じく財政ワクがふえると仮定いたしますと、九兆二千億になるわけであります。政府の長期五カ年計画の六・五%を少し下回りまして、六%の計算でいたしましたならば十一兆になる。五兆六千億が五・五%の場合は九兆二千億、それから六%の場合には十一兆になるわけであります。これは三十五年という一番著しい時点においてであります。ところが社会党の年金案は三十五年からあとは、支給する金額は平準化いたすわけであります。でありますから、これが百年後においてはめちゃくちゃに小さな数字になり、財政は非常に楽になる。百年というのはあまり遠過ぎますので、もっと近い例をとりますと、五十年後に四%の経済伸張をいたしますと、七・一倍になりまして十兆の財政ワクになる。五・五にいたしますと二十兆の財政ワクになる。六%にいたしますと二十五兆の財政ワクになるわけであります。その場合にはパーセンテージはめちゃくちゃに小さな数字になる。三十五年後の一番苦しい時点において考えた場合に、五十年後とか六十年後とかにどれくらい楽になるかということは、その当時に明らかに推定がつくわけであります。もし苦しければ、そのときにおいて相当多額のものになっております積立金をその明らかな見通しにおいてその何分の一くらいかを流用いたしまして、金繰りを楽にすることが会計上できるわけであります。現在の予算ワクに対して厚生年金が幾分バランスが合わない。それを五年後に返せるというような状況をとっておられます。現在の財政ワクに対する厚生年金のバランスが合わない。金額を比較いたしますと、たとえばこのような十五兆というようなことに対応したものの相当の運用をしてもできる、十兆の運用をすることもできるということも言い得るわけです。そういうことで数字の一つ一つをお取り上げになりますと、これは説明の中で少し食い違いがあるのではないかという点は明らかに出て参ると思いますけれども、総体的に見てこの十一兆のところを、五兆六千億、さらに三兆三千億縮めまして計算しても、そのくらいだとどっちも異同はございませんし、神様じゃございませんから、厚生大臣が何十人そろっても、三十五年後の計算においては出し入れはございます。しかしこれだけの幅がありましたならば、どんなことが起っても心配はない、びくともしない数字だと私どもは考えております。

八田貞義自由民主党

○八田委員 経済の成長の伸びからいろいろ国民年金財政の不安でないというようなお話があったと思うのですが、その中に所得再配分というお言葉を聞いたわけですが、国家資本を投資して、今のお話しになるような経済の成長の伸びをいたすためには、やはり資本の蓄積ということが必要なのですね。ですから国家資本を消費的な部門に出していくというような考えは、過去の富を再分配しよう、新しく富を出産しようという意欲の面から見ますと問題があるわけです。ですからやはり国を富まして、そして国民全般がほんとうに社会保障的にも恵まれる国家を作っていく、文化的にして健全な国家を作っていくという建前からすれば、やはり経済も大きな伸びをしていかなければならぬのですから、国家投資を消費的部門にのみ重点を置いてやっていくということはいろいろ問題があると私は思うのです。ただ財源の問題がありましたからいろいろと御質問いたしたいのでありますが、社会党の出された国民年金制度を伸ばしていくためには、財源問題の調査というものが非常に精密に計算されていなければならぬわけです。先ほど、社会党の国民年金税法案というのは異質なものを一つの制度の中にひっくるめて、しかも差別的待遇を与えておるんだということを私が申し上げて、それに対して八木さんからはそうでないというような反対の説明がありましたが、ただこれを保険税の徴収面から割り出していきますと、それがだんだんわかってくるのです。たとえば一般国民年金の場合には減免税の制度を打ち立てられておりますが、この法文をずっと読んで参りまして、特にこれの第十条と十一条を見ますると、所得の少い人からも保険税が徴収されるということになってくるわけなんです。そうしますと、もちろん対象者の人数はつかんでおられると思いますが、一体減税の対象になる人はどれくらいな数で——数がはっきりされなければパーセントでおっしゃってもいいのですが、それから免税の措置を講ぜられる人は対象者として何%くらいに見込んでおられるか、それをちょっとお伺いいたしたいのであります。

八木一男日本社会党

○八木一男君 お答えします。人数は、ここに基礎数字があるのですが、三分ぐらい時間を拝借しませんと間違うといけませんから……。金額にいたしまして政府の減免補てん分が四十四億円であります。減免をいたしますと積立金の勘定に穴があきます。その分だけ政府がその年度に積立金方式で出すわけであります。そして減免を受けた分と同じだけを積み立てをして、年金会計のバランスが合うようにいたしております。この減免の補てん分が四十四億円であります。人数は、今のところ該当者は減免の方が八十万人であります。ちょっと間違っておるかもしれませんが、もう一回よく見ましてはっきり申し上げます。

八田貞義自由民主党

○八田委員 八木さん、今すぐでなくてよいですから、あしたまた早く質問いたしますから、社会党案で考えておられるところの免除者は全体の何%、あるいは減額される者は何%、こういう数字をパーセンテージでけっこうでありますから、あしたでもお願いしたいと思います。

八木一男日本社会党

○八木一男君 パーセンテージは、今おっしゃったように、あしたでも書類を整理しましてお出しいたします。もちろん八田先生御承知でありますけれども、どの程度から減額を受けるかと申しますと、結局世帯の全収入を世帯員数で割った金額が三万五千円以下のものでありますから、五人世帯の例でとりますと、十七万五千円の収入の世帯以下は——割合はだんだん違いますけれども、減額を受ける、免除を受ける方は、生活保護法の適用者の世帯総収入を世帯員数で割った金額が一人当り年額二万四千円以下の場合ということであります。人数につきましては、今一応お答えをいたしましたけれども、正確を期しまして、あした人数とパーセンテージを計算いたしまして申し上げます。

八田貞義自由民主党

○八田委員 そこで資料はあとで出していただくとしまして、この年金税法案の十条、十一条を見ますと、非常に低いところの所得者が徴税される。また徴税されるにしても、今ちょっとお話しになったように、世帯の人員で割った所得ですね、これは十一条に書いてございますが、二万四千円から三万五千円、そうすると十二万円から十七万五千円の収入者の所得ですね、こういう人からも保険税というのは徴収されるわけなんですよ、これはわれわれが考えておるボーダー・ライン層です、ボーダー・ライン層から徴収する保険税をあなた方が平均でやられたやつは百六十六円ですか、そういう金額が出ておるのですが、果してこれができるかどうかということが問題になるのです。ただ例をあげてみなければならぬわけです。例をあげて申し上げてみますと、標準世帯五人といたしまして、小売商をやっておるような家庭です。これは五人家族ですから、あなた方の社会党案によると、夫婦は受給権者というふうになって参ります。子供を三人持っておる。この三人は被扶養者ですから受給資格者ではないわけです。こういう五人家族の小売商店があって、その世帯収入が十五万円、ちょうどこのあなた方の言われる第十一条の五号ですか、それに当る例を取り上げてみますと、十五万円の世帯収入がある。そうすると十五万というのは全国平均の世帯収入というのは三十万円ですから、全国平均世帯収入から見ると半分です。しかも五人家族だ。それが年金税額としてどういうふうに取られるかと申しますと、第十条によって均等割、所得割、資産割によって応納拠出制をとっておられますから納めていかなければならぬ。この十条、十一条によって計算をいたしてみますと、大体提案の説明で均等割が五、所得割が三、資産割が二というふうに、五、三、二の国民健康保険の保険税の徴収と同じような方式をとっておる。ところでこの計算でいきますと、均等割は千円納めなければならない。二人ですから二千円納めなければならぬわけですね。所得割の方はどうかと申しますと、これは十五万円の百分の〇・二八をかけてみますと四百二十円という所得割を納めなければならない。資産割は、もちろんこれはあなた方の方ですと固定資産税ですが、こういったものには固定資産税がないものとしますと、資産割はゼロになります。これをさらに十一条の五によって百分の五十をかけていくわけですね。そうしますと千二百十円というものを納めなければならぬわけです。千二百十円の年金税を納めなければならぬということになってくるわけだが、十五万円の世帯収入で五人家族、こういった世帯は、政府案ではほとんど対象になっていない、三割の中にみな入ってしまう。ところが社会党の方はぴっちりと入っている。年間千二百十円というものを納めなければならぬわけです。しかも年間千二百十円と申しますと、国民健康保険なんかを計算いたしますと、国民健康保険で三千六百幾らですか納めなければならぬわけです。こういうふうになりますと、こういった零細な世帯収入者から千二百十円というものを年金税として徴収し、一方また国民健康保険から三千六百幾らというものを取らなければならない。そうしますと、この世帯のようなボーダー・ラインではとてもやっていけない。政府案ですと、もちろんこういった世帯に対しては均等割というものを納めなくてもいいわけです。均等割を納めなくても済みますとゼロになる。こういうことがありますのと、しかもせっかくこれだけ詳しい法案を作られておって、地方税法で特別に考慮されておるところの身体障害者、寡婦の場合は均等割をかけないということになっておるのです。これは法律二百二十六号でそういうことが規定されているわけです。ところがこういった考慮が全然ないもんですから、まるまる取られちまうのです。そうしますと、社会党は盛んに社会保障的な面から年金というものをやっていかなければならぬのだと声を大にして叫ばれておりながら、政府案では全然対象にしていないような零細な世帯収入者、たった十五万円しか世帯収入を上げ得られないというような、ほんとうの零細な家庭から、千二百十円の税金を徴収する。こういうことは問題であろうと私は思うわけです。この点、八木さんはいろいろやられたんでしょうが、こういった零細な、十七万五千円から十二万円というような所階層の家庭からは、市町村住民税を取っていないのですよ。それを年金税というもので取り上げるのですから、これは非常に問題であろうと私は思うのです。この点についてちょっとお伺いしたいと思う。

八木一男日本社会党

○八木一男君 二つの制度が大体似た制度ですけれども、細部の組み立て方はだいぶ違っております。片方の一番特徴的な点をとりますと、そういうような御議論が生まれてくるかもわかりませんが、総体的なバランスのある制度として御検討をいただくと非常に幸いだと思うわけであります。政府の方は免除規定があるというようなことになっておりますが、国民年金の免除規定というものはあいまいもこといたしております。それで政府がただ攻撃を受けた場合に、三割程度を免除するというようなことをここで言っておられますけれども、三割のどこまで免除するかということのはっきりとした規定がございません。今までの政府のやり方でいくと、これは生活保護法の適用を受ける人——生活保護法も政府の方は生活扶助という言葉を使っております。教育扶助その他を抜かしております。そういうような人、そのちょっと上のボーダー・ラインだけが免除の適用を受ける。ボーダー・ラインの上の、ただいま御指摘になったようなところが免除の規定の適用を受けるとは、あの条文と今までの政府のやり方から見て私どもは解せられないわけです。そういたしますと、政府の方は結局百円なり百五十円が強制的に適用をされるわけです。ここで減額の規定の上の方をとられましたから千二百十円ということになりますが、月額ほとんど百円ということになります。免除規定で月額九円くらいのところまであるわけです。高い方の例をとられましたけれども、この例で申し上げましても、政府案の百五十円や百円——百五十円は期間が長いのですが、それよりはぐっと払いやすいということになっております。政府案の免除の規定がある前提において言われましたけれどもあの免除規定のどこを探しても、ここが適用されるというほんとうの根本的な規定はございません。政府の今までのやり方にしてみたならば、この免除の規定はほとんど適用されないで、その上に上げられた線は百円と百五十円を強制的に徴収される。徴収ができなかったならば年金額が減らされるということになると私は理解いたします。そういう点において、社会党案の方がはるかにすぐれていると私は考えております。特に社会党案の特徴の出ない時点をあげて御説明になりましたところでもそうです。  次に身体障害者と母子の免税の点であります。それはこっち側でお考えになっていただきたくないと思うわけです。たとえば十五万の点で比較をいたしますと、社会党案では十五万の家庭において身体障害者と母子家庭には年金が入るわけであります。母子家庭においては月三千円、そして子供は月六百円、五人の母子世帯においては第二子から加算がつきますから、六百円三人分で千八百円と三千円で四千八百円、年額にすると六万円近くの金が入る。均等割の免除と、その年金を受けるのとどっちが利益があるか、これは天地雲泥の差があって、比較のしようがないくらいの差です。身体障害者年金においても同様であります。一つ一つ違った制度の一つの点だけを取り上げるといろいろな議論が起りますが、総体的にすべての気の毒な人にとってどうであろうかということをお考えいただけば、社会党案の方がはるかにすぐれている点をお認めいただけると思います。

八田貞義自由民主党

○八田委員 こういった市町村民税の対象にならぬような人から取り上げるということが問題であるということですね。一体こういった市町村民税の対象にならぬような人からどうして取り上げるかという問題と、こういったものは事務上非常に繁雑ですよ。実際きのうも滝井君が盛んに質問をしておりましたが、こういった零細なボーダー・ラインの階層は、なまの所得を市町村でもつかんでない。今日の状態ではつかみようがないのです。こういったようなこまかい規定をあげられたけれども、実際問題としてこれは現在の機構ではできない。それはあなたの方で、年金税専門の国税庁をもう一つ作ろうじゃないかという構想でもあれば別問題ですが、そうすると人件費が非常にふえます、事務費もふえます。私は問題点がたくさんにあろうと思うのです。こういった十二万円から十七万五千円というようなことは、税務署でも市町村でも全然つかんでない数字なんですね。これをどうしてつかんでいかれるかということの疑問が出てくるわけでございます。この点は八木さんも、これはしまったと思っておられるかもしれません。八木さんとしては提案者だから、あくまで強弁して、絶対そういうことはありませんと言われるかもしれませんが、現実問題としてこれは実務上不可能だということと、社会保障ということを強く言われながら、こういった零細な、政府も除外しておる所得階層から取り上げるということは、年金税額から見ましても、これは非常にむずかしいと私は思います。  ところで、さらに申し上げたいのは、特別年金制度は政府の無拠出年金になるものなんですが、社会党では盛んに政府の案は所得制限が非常にきびしいのだ、きびしいのだということを言っておられますが、この法案を見ますと、政府案より特別年金の所得制限というのは非常にきついのですね。この一点、私も実は非常に意外だったのですよ、この法案をずっと調べてみて。私らも実際政府案を作っていく場合に、非常に所得制限がきびしいということを盛んに問題にしたのですが、社会党案を見るとなおさらにきびしいんじゃないか。これは一体、社会党の言っておられることと行うこととが全然違うのじゃないかというような、異様な感じに打たれたのです。この点についてお伺いしたいのですが、例をあげて申しますと、たとえば八木さんが本会議で説明されましたものを見ますと、「世帯収入の境目について不均衡が起らないよう細目の規定をいたしております。」となっておりまして、養老年金については世帯収入の金額が三十七万二千円をこえるとき、母子年金については十九万八千円をこえるとき、また身体障害者年金については二十万四千円をこえるときは全額支給停止、こうなっておるわけであります。この点は政府より非常にきびしいのですね。しかも世帯所得金額の計算というものが、家族ぐるみの計算になっているんですよ。世帯主及び世帯員の前年の所得の合計額というふうになっているのです。ところが政府の方はどうかと申しますと、世帯所得によるところの制限というものは、五十万円を基準にしていることは八木さんもよく御存じのところであります。しかも政府の言う世帯所得というのは、受給権者を扶養する者の所得をいうのだと言うて、世帯主一人の所得をさしている。家族ぐるみじゃないんですよ。こういったふうなことになって参りますと、社会党案の老人年金は農村に私は均霑しないんじゃないかと思うのです。というのは、八木さんも御承知のように、今日の農家は七割近くは兼業農家ですから、家族ぐるみの所得を合せますと、全部これはオーバーしちゃうのです。そうしますと、農村における老人が非常に期待しておる老人年金は、もう農村にはいかない、こういう結果が出てくるわけなんですね。ですからこの家族ぐるみの所得というものは、私は政府案に比べると非常にきついと思うのですね。これは年金財政を何とかしてでっち上げていかなければならぬということで苦しまれたところでございましょうが、私に言わせると涙のないやり方だ、こういうふうに感ずるのですが、この点いかがでしょうか。

八木一男日本社会党

○八木一男君 ただいまの御質問に対してお答えをいたします。政府案が非常に所得制限にきびしいと一般に言われている、ところがよく調べてみたら社会党案の方がきびしいと言われましたけれども、所得制限という言葉を使うことは当を得てない、給付制限という言葉が正しい見方であろうかと思います。政府案は給付制限がものすごくきびしい。給付制限の中の年令制限はめちゃめちゃにきびしくて、所得制限だけふわふわになっているというような状態です。  次に所得制限について申し上げますと、これは八田先生社会保障の大家でございますから、全部をおっしゃっていただきたいと思います。たとえば母子年金と身体障害者の所得制限は、政府の方は十三万円を基準としておられる。母子の加算について少しの弾力性はありますが、大体において十三万円。ところが社会党案の方は基本的に十八万円。十二万円との境を作ったのは下に厚みをかけるため、金額をたくさん差し上げるために境を作ったのであって、十八万円が基準。十八万円と十三万円とどっちがきびしいかと言えば、明らかに十三万円の方がきびしいのです。  次に十八万円のところが十八万円きっちりではありませんが、法案をよくお読み下さいますと、たとえば十八万円きっちりの人が、身体障害者年金十八万円では半額になりますから二万四千円もらえたときには二十万四千円になる。そうすると十八万円とびとび一円の人は十八万きっちりの人より損になるから、そういうことにならないように上に合わせるような方策をとる。そこには家族加給もその要素に入っております。家族一人について、身体障害者、配偶者の人も長子の人も入りますから、五人家族だったら四人、七千二百円の半分の四倍、一万四千四百円というものがそこに加給されて、二十万四千円にプラス一万四千四百円で二十一万八千円をオーバーするところまで障害者年金がいくわけです。母子においても家族加給を入れて加給二人分として十八万七千二百円、それに一万八千円で、二十万を突破するところまで母子年金が支給される。母子年金と身体障害者年金、政府の方でいわゆる母子援護年金、障害者援護年金の方においては、明らかに社会党の方は所得制限ははるかにゆるいということは断言してもちっとも間違いございませんし、八田先生もお認めなさるだろうと思う。  次に、老齢援護年金並びに養老年金であります。前にこの老齢援護年金、養老年金につきましては、制限のごく一部について社会党案の方がきついところがあります。私どもはこれはきつくすべきだと考えております。政府案の一番きついところは年令制限です。七十才以上の老人しかやらない。社会党は六十才以上の老人にやる、これが一番大きな要件であって、一番金を食う要件であります。社会党はどんな金を出してもこれは必要だと思いまして、ここで踏み切りました。ちなみに、八田先生にこんな釈迦に説法を申し上げて恐縮でございますが、六十九才の老人の場合、社会党案において一番多い方の部分をとりますと、十八万円の支給がすでに行われておる。政府案においては六十九才でなくなった場合には、ゼロ、猛烈な差であります。そのような差があることをお認めを願いたいと思います。これは年令制限であります。それから農村のことを言われました。農村においては老衰度が早いのでございますから、六十五とか六十七で開始しなければ農村の老人は実際上適用を見ません。七十才以上こえる人は、都会で会社の社長でもしている非常に健康状態のよかった人が多いのでありまして、農村の非常に勤労で苦しんできた人には、政府案は実際上はほとんどないも同様であり、社会党は六十才からもらえるという点で、農村の方の適用は社会党案の方がはるかに多いということを、年令の点で申し上げられるわけであります。  次に所得の点でも申し上げられるわけであります。所得制限は、政府案は三段階の制限をしておられます。まず本人所得制限十三万円であります。これは社会党案と同じであります。次に配偶者所得制限、現在、税法によりますれば、十九万円の限度であります。税法の改正が行われればこれが二十一万円の限度になります。そういうふうに配偶者所得制限という条項がもう一つよけいにあります。社会党案にはございません。次に世帯所得制限、これが政府案では五十万円ということであり、わが党案では基本的に三十六万、精密にいえば三十七万二千円までということになっております。このような差がある。その点については確かに一応その時点だけでは御指摘の通りきついということも、極端にいえばいえるわけであります。それからもう一つは世帯所得制限と扶養者の所得ということになります。扶養者の所得が五十万あって、世帯が七十万あっても、支給されるということを強調しておられます。扶養者が五十万の所得でほかの家族が二十万の所得があって、七十万の所得でも老人に差し上げるという特徴を強調しておられた。私はこの考え方が根本的に間違いであると思う。五十万の所得というのは月四万の世帯、七十万の所得というのは月六万の世帯、そのくらいの仕合せなことをしている老人に、なぜ国民の全部から徴収した税金によるただの年金を差し上げる必要があるか、極端にいえば、八田先生でも、住友吉左衛門氏が七十才を越えられた場合には月千円を上げようとはなさっておられません。所得税は金持だけが払うというけれども、砂糖の税金とかタバコの税金とか酒の税金、これは一般の庶民が払う。その庶民の払った財源をさいて住友さんが幾ら年寄りだからといってただのものを差し上げるわけにいかない。そういう考えの上から所得制限をされたわけです。これは正しい考えであろうと思う。社会保障制度審議会が根本的な間違いをしまして、それをフワフワとしようというような間違った答申をしたために、政府案が牽制をされましたけれども、賢明にもその牽制に乗らず所得制限をせられたことは、政府の正しい態度であると私は思います。金が無尽蔵にあればどんな老人にも差し上げていいのです。もちろん年金税や保険料を払う拠出年金の方では、私どもの方も政府案もどんな所得の人にも払うことになっている。私の方は特に住友さんでも一回年金税を払ってくれれば全部差し上げます。このように理想的な形においてどんな人にも差し上げる制度を持っております。しかしながら過渡的に限られた財源で差し上げる場合には、必要の度の多い人に差し上げるということは当然考えられなければならない、そこで五十万の所得は月四万、あるいは今おっしゃった扶養者以外の家族の収入制限がないと、ほかの家族の収入があったらもっと高いところまでいく、七十万の所得、月六万の世帯の仕合せの老人にも差し上げたいとは思いますが、もっと差し上げなければならない人をほったらかしにしておいて、そのような比較的恵まれた方々に差し上げるという考え方は、財源が限られでいる点を考慮に入れると、社会保障政策的の考え方ではないと思います。これははっきり申し上げますれば、そういう家庭の方々はつき合いが広いのであります。老人も息子さんもお嫁さんも——息子さんは職場で話す、会社のつき合いで話す、奥さんは婦人会の幹部になっている。岸さんはいいことをいった、うちの老人にも月千円くれる、うちは五十万円も収入があるから年金千円はあまり意味もないけれども、年寄りを敬う岸さんの気持はいいものだというようなことをお話になります。そうなれば選挙の票が非常にふえる、そういうような選挙を予想した年金であると私どもは考えます。ほんとうの社会保障の年金であれば、そういう方々にさし上げるお金があったならば、それを母子世帯の、姉が弟妹を養うとか、祖母が孫を養うという方々になぜ年金を差し上げませんか。二級の身体障害あるいは内科障害になぜ差し上げませんか。  もう一つ老齢の方にいたしましても、一千円と限定しないで、収入十二万円ぐらいのところの人に、千円を千五百円くらいにする配慮をしないかということがいえるのであります。特に私どもの指摘しなければならないのは配偶者所得制限であります。配偶者所得制限というのは意味をなしません。所得保障をすべきだということは、本人に所得がないということが一大原則であります。所得がない人に全部やるのが建前であります。ところが金額が制限されておるから必要の度の多い人に厚みをかけてあげるということにならなければならない。そこで次の要件は生活であります。生活の苦しい人に上げるということであります。ですから世帯の制限と本人の所得の制限だけでいいわけであります。そこで配偶者所得制限ということは実に意味のないことであります。これは実際には五十万の家庭は差し上げますといって選挙民の気持をひっぱっておいて、大部分の家庭は二十一万をこえたら上げませんよという内容を包蔵しておるわけです。農家におきましては、今の態勢上老人が隠居することはほとんどございませんから、その人たちは家督を譲らない、息子が働いても、嫁が働いても、老人の所得になると、これは本人の所得だということになって、本人にはくれません。そのほかに本人の配偶者、すなわちおじいさんに所得があるとおばあさんももらえない、本人がもらえないということは形式上仕方がないとしても、そういうことでおばあさんまでもらえない、そういうことでは農家は全く失望するでありましょう。八田さんは農家の方が適用に工合がいいといわれたことは一部の富農、ほんとうの富農の立場であって、日本全体の農民を考えると、日本社会党の案の方が、ずっと農民のためにいい、全国民のためにいいということを断言できます。  ちなみに数字を申し上げますと、社会党の案と政府案の比較におきまして、七十才以上の老人で三十六万ないし五十万、三十七万二千円を計算してございませんから、家族加給の方を入れても大体同じになるでありましょう。その間の対象者は二十五万、政府の方の年令制限において排除されるものは、本人所得のある人を入れて四百二十五万人と推定されますから、本人所得のある人は百万人くらいになりますから、その差約三百万人が排除されます。仕合せな二十五万を入れるために、不仕合せな三百万人を排除し、さらに母子年金、身体障害者年金をほったらかしにするという給付制限のやり方は、確かに間違っておると思うのであります。八田先生は私はかねがね尊敬申し上げておる、自民党で一番尊敬申し上げておる議員の方であります。先生御自身でこういうような政府案の間違った配分の仕方を直していただくように、お考えになっていただければ非常に仕合せと思います。

大坪保雄自由民主党

○大坪委員長代理 本会議散会後まで休憩いたします。     午後三時二十分休憩      ————◇—————     午後四時五十二分開議

園田直自由民主党

○園田委員長 休憩前に引き続き会議を再開いたします。  内閣提出の国民年金法案並びに八木一男君外十四名提出の国民年金法案及び国民年金法の施行及び国民年金と他の年金等との調整に関する法律案を一括議題とし、審査を進めます。  質疑を行います。八田貞義君。

八田貞義自由民主党

○八田委員 八木君に引き続いて質問さしていただきます。休憩前の質問におきまして、所得制限の規定というものは、社会党案の方がきびしいんだということを申し上げたのに対して、八木君からだいぶいろいろ説明がございましたが、説明を伺うとだいぶ苦しいようでありまして、顧みて他をいうというような格好で、どうも社会党案のきびし過ぎる案について、だいぶ反省をされたように思うのであります。それで、こういう問題を一々質問しておったのでは大へんな時間がかかる、何とかして国民待望の年金制度というものを打ち立てていかなければならぬわけですから、社会党の案について、理想案々々々というふうに言われておりまするが、今までのいろいろな質問展開によりまして、似て非なる理想案というような格好になってくるわけなんです。特に問題としなければならぬことは、社会党の委員の方が政府に対していろいろ積立金の運用問題について相当強く質問されてきておるわけなんですが、社会党の方でお考えになっておる積立金の運用問題、この点について国民年金特別会計法案というものを見させていただきますと、国民年金特別会計法案の十八条に、一条だけしか書いてないのですけれども、十八条にこういうことがうたわれておるわけです。「一般国民年金勘定及び労働者年金勘定の各積立金は、資金運用部に預託して運用することができる。」と書いてある。これだけなんですね。私ら今まで社会党の委員の方々のいろいろの質問を通してみて、社会党の主張からすれば積立金の運用問題については、当然被保険者の福祉になるような積極的な運用が行われなければならぬわけであります。ところが申し上げましたように、国民年金特別会計法案の十八条だけで運用することができるというふうに書いてあって、何ら積極的な意欲が盛られていないわけです。「できる。」ですから、この法文をそのまま読みますと、あたかも自主運用の余地があるかのように考えられるわけです。ところがこの自主運用をやっていくためには、資金運用部資金法というものの改正をやらなければならぬ。ところが全然やられないのです。いろいろな関係法律の改正はやられておりますが、この自主運用に最も大切な資金運用部資金法の改正は、全然やられていない。これでは社会党の主張が全然現われていないじゃないですか。積極的な意欲というものは全然ないわけなんで、この点は一つ大きな問題になると思うのですが、全然これでは自主運用の余地がないのです。この点についてちょっと御説明願いたいと思います。

八木一男日本社会党

○八木一男君 確かに適切な御指摘であろうかと思います。私どもはこの社会党の国民年金制度が、自由民主党の内閣もそれから政党も御賛成になって直ちにこの通り御実施になるのであれば、ある程度手入れをしなければならぬ点があると思います。しかし本来社会党内閣においてこの年金法案を施行するという建前でこの法案を構成したわけであります。この場合においてすべての点で社会党内閣の政策で財政も金融も運用されるというような考え方が基本にあるわけであります。資金の運用に関しましては、私どもは日本社会党の政策として資金運用委員会という行政委員会を設けることに相なっております。そこでほんとうに公共のために、国民のためにどういう運用をすべきかということを決定するという方針を打ち出しております。これは社会党の政策の中にございますので、八田委員御勉強家でいらっしゃいますのでお読みになったことがあるかと思います。そういうことに相なりますと、今度資金の軍用というものをいかにすべきか。その場合にはほんとうに公正にして国民に一番よく役に立つような資金の運用が行われるならば、その資金の方々に分担されるよりも集中されておった方がいいという条件になります。そういうことでこういうことになったわけであります。ただしそれは今資金運用部の資金運用の仕方が非常にまずい。大資本に重みがかかって、零細企業者やそういう国民に還元というような意味があまりとられていないという条件下においては、当然考えなければならないことでありまして、そういう条件を直すためには、資金運用部のやり方を直すということが行政的に必要でありましょうけれども、その問題を現在担当しておる内閣がやられて、すぐそれがなされない危険性が多い場合には、厚生省の特別会計であるとか、あるいは失業保険は労働省の特別会計であるとか、そういう部門に分けた方がこの弊害が少いと私どもは考えております。その意味において、政府の案が今やられておる資金運用部のやり方を根本的に変えるという意思表示をされない立場において、厚生省の特別会計でこれをおやりになるという点は、その点だけにおいて、資金運用部に全部預託するよりは三分の一ほど残せばと言われますが、それの方がいいと考えておりますので、基本的に資金の運用を全部がよく運営されて、その運用されるべき金が一つに集中されていくことが理想の姿であろうと私どもは考えます。  それからもう一つ、こういうものについて老人ホームであるとか、あるいは母子のいろいろの施設であるとか、孤児のいろいろの施設というものが当然必要であるということになろう、そういうものを作るためにこの勘定を使えという議論が当然起ることと思います。それも根本的に考え直しますと、老人ホームとか母子のいろいろな施設、孤児の施設というものは、この年金勘定の融資を受けて施設をすべきものではないと思う。基本的には国家の施策として財政支出をもって老人ホームを作る、あるいは孤児の施設を作る、これが基本的な立場であらねばならない。そういうことが行われておらないために、いろいろな会計において、自分たちの出した金だからそれを還元融資をしてくれということになっておる。還元融資をしたときに利率を非常に低くした場合には利息計算に穴があくということで、政府も苦心をされておる。基本的に考えれば、当然にこれらの施設は別の財政支出をもってやるべきだということになるわけです。そういうような小規模の直接の還元融資をたくさんやりました場合には、低利をもってしなければなりません。その場合に、この預かった資金を有利確実に回すということについては背反する立場になります。会計法を運用される厚生省でも苦心されておりますが、有利確実に回すということと、そういう必要な施設に使うという二つの要素があって、その二つのどっちを立てるかということは非常に困難である。私どもは基本的にはそういう運用はすべて国家的な、国民的な立場ですべての資金を集中して運用する。そしてそれに必要な資金は、融資というようなけちな形ではなしに財政支出をもって出す。これが基本的な立場であろうかと思います。ただしこれは基本的な立場を貫いた法案でございますから、自由民主党が社会党案に全面的に賛成された場合において、資金運用部の運用がその面において全面的に変らない危険性がある場合には、これは厚生省の特別会計として厚生省のみの運用として残して、政府の方のやり方をやるということに反対するものではございません。でございますから、政府の方が、もし政府案を撤回して社会党案に御賛成になるという意思表示をせられ、その意味において御相談下さいますならば、現実の時点において、私どもは八田先生の御高見を十分拝聴して、この点についていろいろの手を加える用意があるということを申し上げておきます。

八田貞義自由民主党

○八田委員 八木さんの説明は、どうも先ほど申し上げますように、顧みて他を言うということで、私の質問の核心に触れてこないのですが、やはりこの特別会計法案をお作りになるのにせっかく四つの法案を出されていろいろな関係法律なんかの改正をやられておるのですよ。ところが資金運用部資金法の改正をやらなければ画竜点睛を欠くという結果になってくる。今お話のようなこれだけの意欲があるならば、やはりその意欲を法文に表わしていく、明記しておくということが大切なわけであります。  そこでさいぜん休憩前にいろいろとお話になりましたが、社会党案を完全にやっていくためにはやはり財政面についての裏づけがなければならぬわけです。ところで本会議における八木さんの提案理由の説明を拝見いたしますと、社会党案を実施するために初年度にどれくらい要るかというと、約一千二百億ぐらい要るということになっておるわけであります。ところがこの一千二百億の所要額の計算に対しまして基本的な数字、いわゆる根拠資料というものがないものですから、何とも質問できないのですが、こういった千二百億というような大きな金が要るということとともに、もう一つ障害年金というものの範囲が非常に大きくとられている。数は非常に多い。これを社会党はどのように計算されておるかしりませんが、特に障害年金の範囲が非常に広いということは、まず対象疾患を取り上げてみますと、外部障害ばかりではない、内臓疾患も含まれているわけです。普通の内臓疾患も含まれておるというのは、厚生年金の三級程度まで広げられておるわけでありますが、この内部疾患の場合にどのような疾患を考えられて、そうしてどのくらいの対象人員がおって、どれだけの障害年金を出さなければならぬかというやはり基礎的な数字があっての計算だろうと思うのです。ところがこの千二百億円という所要額を、いろいろ先ほど申し上げましたような点から計算推定してみますと、どうもこれは障害年金についての計算がないのじゃないかと私は思うのです。そしてまた遺族年金に対する計算もないのじゃないか、こう思う。こういう点から考えますと、いろいろと疑問が起ってくるのですが、厚生年金は三級まで含まれておりますけれども、この厚生年金の場合には三年間は医療給付が行われることになっておるわけです。症状が固定してから初めて障害年金が与えられるわけです。ところが社会党の方はそういった線が何もない。そういった一級、三級、三級ということについてもすぐに年金は与えられる、いわゆる医療給付期間というものが度外視されておるわけです。ですから医療給付と医療給付期間を全く度外視されて年金給付の対象とされているわけですから、こういった点についていろいろ財政上の面において実際にやれないというような格好が出てきさやせぬかと思うのです。  そこで一つ具体的に質問申し上げたいのは、一体障害年金の対象者としてお考えになっておる対象人員をどのくらいと考えておられるか。内臓疾患も含めていかれるなら一体どういう内科疾患を考えて対象人員はどうだ、こういうことを一つお示し願いたいと思います。  それからもう一つは、問題になるのは社会党案の施行期日、これは三十四年の十月一日から施行される。そうすると身体障害者である三十才から五十五才の者は年金を受けるわけでしょうが、一体第何条に基いてこういった年金を受けられることになるのか、法文においてお示し願いたいのと、こういった三十才から五十五才の者について一体障害年金の給付対象者になる人員はどのくらいか、またその所要額というものはどのくらいか、こういった数字をまずお示しを願いたいと思うのです。

八木一男日本社会党

○八木一男君 今計算の基礎その他ということを言われましたが、計算の基礎はできております。事務局がおりませんし、非常に複雑な計算ですから、直ちに数字をぺらぺらと言うわけにいきませんけれども、社会党の計算の基礎がないように見ておられますので、ちょっとその点、そうじゃないということをお示しを申し上げたいと思います。  御質問がございませんでしたけれども、養老年金の方は、六十才以上の該当者が六言四十五万八千人であります。六十五才以上は倍額になりますので、その養老年金の方の該当者は四百三十万五千人でございます。それから母子年金につきましては、該当者が、十二万未満と十二万から十八万の間と両方合せまして八十一万二千人になっております。家族は大体一・九六人として計算しまして、第二子を排除して、九六を切り上げて一人の多十加算があるという計算をいたしております。これだけが計算の全部ではございません。実は先ほど申し上げましたうわ上げ分というものがあります。三十六万というのが三十七万二千円まで、ただし三十七万一千九百九十九円のところは一円しかもらえませんから、そういう点も精密に計算した点がございます。それからすべての境目が政府案みたいに非常に簡単単純なものではありませんで、すべてに二段がまえの状態があり、その境目の適切な調整がすべてにございますので、この計算は非常にむずかしいわけであります。すべてについて計算は精密にいたしてございますが、ただ一ぺんに口で申し上げるほど簡単なものではございません。  それから障害年金の方は、結局この範囲に対する該当者は、全体の額が、十五才以上十九才以下のものが二万人、五十五才以上のものが二十八万であります。この中に一級、二級、三級の差別があるわけでございますが、この点が政府案と非常に違う点でございまして、私どもの方の身体障害者に対する手当は、十九才までは幾分親がかりだということで、これは無拠出年金の方を該当させております。これは自分に所得能力がないということであります。それで、保険料支払い能力がない、年金税支払い能力がないということで無拠出にいたしております。それから社会党の年金制度全体を通じて申し上げられることでございますが、これは時代的な過渡的なことで、いたし方なく五十五才以上をその無拠出の低い方の制度にした。五十四才以下は壁をなだらかにいたしておりますけれども、拠出年金全部入れて、所得制限等を行わずに、全国民に適用させるというような組み立てになっております。  身体障害者につきましてはいろいろと考えたわけでございますが、結局身体障害という所得能力のない事態、これは、老齢年金のような拠出年金の根本的な年金の該当年令になったときに、保険料を幾分払ってから身体障害者の年金を適用するという考え方が一般的のようでございますが、私どもの考え方では、所得能力喪失という状態が老齢よりも度が強い、そしてその時点からすぐ払うのだということで、二十才以上はすぐ拠出年金の障害年金が適用されるという組み立てに相なっておるわけでございます。でございまするので、一般に政府側の身体障害者に対する計算とはここで食い違うわけであります。二十才から五十四才までの人数が、社会党の場合はその対象からはずれるわけであります。でございまするから、社会党の身体障害者年金は額が高いにかかわらず少いという感じが、ちょっとごらんになると、直ちにいたすわけであります。そういう点で違うわけでございます。たとえば無拠出年金について私どもの計算と政府の計算されましたのが食い違うという点も、全部とは言いませんけれども、この点の計算違いに相当大きな原因があるのではないかというふうに私ども考えておるのであります。条文についてはただいま探しますのでちょっとお待ちを願いたいと思います。条文は、拠出年金の障害年金の方に入っておるわけでありますが、何条か探すにはちょっと時間の御猶予を願います。

八田貞義自由民主党

○八田委員 八木さん、その条文は幾ら探してみてもないのですよ。そこで問題があるのです。それがないから私お尋ねしたのです。  そこで私八木さんにお伺いするのですが、あなた方の法案の障害年金をつかまえてみて、発生時点が非常に不明確だということですね。内科疾患を含めておられるのですから。この点についての発生時点のつかみ方が非常に不明確になっておる。範囲が非常に広いのですね。労働者年金を考えてみると、あなた方の方では、厚生年金なんかとは併給されるようになっておるのです。医療給付を受けて、さらに障害年金を受ける。内臓疾患を含めているのですから、財政面から見ても、支給から見ても非常に過剰になってくるのです。あなたが今言われた数は、たとえばこの法案でいく無拠出分に近いものですね。たとえば、年令が二十才未満の者、それから五十五才以上の者についての数字なんですよ。特に私問題にしたいのは、社会党の方では、これに対する費用として、四十五億円といわれておるのです。ところが、あなた方がおあげになった別表を参考にして、三級まで含められておる厚生年金の表をそのままもってこられたわけなのです。ところが、これによって三級まで含めて、そうしてあなた方がお考えになっているようなことをこちらの方で推計していろいろやってみますと、大体身体障害者は三百万人くらいが給付対象になるのですね。それを今度はさらにこまかく分けてみると、結核のような場合、もちろんこれは入るわけですね。結核のような場合は、入院患者だけをつかまえて給付をする社会党の方のお考えでしょうから、そうしますと百三十万人くらいになるわけですね。精神病、これも入るのです。これが八十万人、外部障害が六十万人、それから脳卒中を起した、いわゆる中気になった人々も考えに入れていくと——最近は精神病が非常にふえてきましたから、こういったものを入れますと三十万、これが合計約三百万になるのです。ところが社会党の調整法案を拝見いたしましても、社会党でいっておられる五十四億円というのは、先ほど申し上げましたように、二十才未満及び五十五才以上の者について特別年金による身体障害者年金を支給した場合、これだけを取り上げられておるようなんです。ですから二十才から五十四才までの者に普通年金による障害年金を支給するというふうに、この法案を考えていかなければならぬのですが、そういうふうな対策はもちろんあるものだと私は思っておったのです。ところが、これがないのですよ。そうすると、これに支給するとしまして、一体どれだけの金額が要るかということです。いわゆる整理資源ですね。この整理資源のものについて何らの考慮がなされていないということなんです。こういった整理資源に対する対策としては、当然、社会党から出された国民年金の施行及び国民年金と他の年金との調整に関する法律案に基く費用として計上しておかなければならぬわけです。こういう点がちょっと私にははっきり飲み込めないのですが、一体こういった財源処置をどういうふうに考えておられるか。これは十月一日から動かさなければならぬのですよ。あなた方の法案でいけば、当然こういった整理資源に対するおもんぱかりと申しますか、これは、やはりああいう調整法案を出されたのですから、調整法案に基く費用として計上されておらなければならぬ。それがどこにもないのですよ。

八木一男日本社会党

○八木一男君 結局、これは基本年金の方の障害年金について、そこから適用されない条文がないということで、この人たちが適用されるという書き方をしているはずであります。それについては今法制局の作りましたものがきますから、お待ちを願いたいと思います。  財源の方については、これは厚生省の統計の一部を見ますと、八田先生も御承知になると思いますが、老齢の者に対して障害の数は二百分の一ないし三百分の一くらいの数字が将来の予測に出ているわけなんです。そういうことで、大体大数計算において整理をされることであろうと私どもは考えております。  それからもう一つは、障害が今非常に多いということですね。障害が多いということは、過去の戦争によって障害が多かったという事例が多いと思う。将来においては、戦争による障害ということは、世の中の政治が非常に間違った状態をとらない限りにおいては、なくなるだろう。それに対しまして、私どもはこれをやってみた場合の整理資源その他の手当は、もちろんしなければならないと存じますが、これについて今後起るべきさ障害の大多数は交通事故によるものではないだろうかと考えておる。飛行機事故あるいは自動車事故、トラックの事故、電車の衝突というようなものが、増大する要因であって、ほかの身体障害者の増大する要因は、医学の進歩なり戦争をなくするということによって減ってくる。今の状態で身体障害者のことを計数上でそう心配なさる必要はないと思う。ただ交通事故だけは非常に心配な要素である。これにつきましてはこの法案には載っておりませんで、その点御指摘をいただくかもしれませんけれども、私どもは当然そういう交通関係の人の責任があると思う。現在自動車保険その他においてやられておりますけれども、障害を受けた本人の将来の所得その他に関しては、非常に少額な補償しかされておりません。そういう障害を受けた者に十分な手当をするということに対して、責任のある交通機関がそっぽを向くというようなことであってはならないと思う。そういうことで、飛行機も国鉄も私鉄もあるいはトラック会社もハイヤー会社の使用人も、そういう責任を当然分担すべきである。ただ金があるから乱暴な運転をしてもいいということじゃありませんから、事故が起らないように、重大な過失において事故を起したものに対する刑事責任は別にもちろん作っておかなければなりませんけれども、この金の方の手当は、国家の今の整理資源がおっしゃるようにふえるべき部分は当然交通機関が負担すべき分だと考えます。この説明の中に、こまかい点でありますから、申しておりませんけれども、そういう点については、交通機関自体の安全措置をたくさんすべきであるし、そういう事故が不幸にして起った場合も補てんはさすべきである。自動車保険を非常に高くしたものの、財源を国民年金会計に補てんすることによって、今おっしゃった整理資源の問題を解決しなければならぬと考えております。

八田貞義自由民主党

○八田委員 この整理資源の問題は非常に大切なんですよ。これは英国なんかでもこういったところで失敗しておるのです。たとえば英国なんかについて見ますと、英国の国民保険制度の保険料というものは、被保険者がすべて十六才から年金受給開始年令、男の場合は六十五才、女の場合は六十才、これまで保険料を納めていくという前提に立って計算された数理保険料を基礎としておるわけです。ですからこういった数理保険料を基礎として発足したものですから、この制度が発足したそのときにおいて保険加入年令をこえていた者などについて生ずるところの積立不足額、こういったものについては何らの処置が講ぜられていなかったわけです。ですからこういったことになってくると、英国の学者も盛んに指摘しておりますが、将来において百三十五億ポンド、日本の金にすれば約十三兆五千億円、こういったような赤字ができるんだということで、整理資源に対する考慮が非常に大切なんですよ。特に今障害年金について社会党案は発生時点が非常に不明確だ、範囲が非常に広い、医療給与とかぶさって給付されるようなかっこうになるということを申し上げましたが、現に傷病にある人、いわゆる経過処置分、そういった整理資源に対する財政的な裏づけがなければならぬ。これを私はさがしたところがないのです。そうしてしかも調整法案にこの金額ははっきりと載せられていなければならぬわけです。これがないのです。今あなたの方の事務的な方が来られたようですから……。

八木一男日本社会党

○八木一男君 先ほどの条文上のことについて御説明を申し上げます  第二十一条に、「障害年金は、受給資格者が別表に定める程度の障害の状態にある場合に、その障害の程度に応じて、その者に支給する。」と書いてございまして、年令についてはその部分の制限要綱が一つも載っておらないわけでございます。基本的にこれで適用するということになって、それでその部分の、二十才と五十四才についての制限要綱がついておりませんので、その解釈でできるということになるわけであります。実際のことはそういうことであります。法律の構成が複雑になっていますので、ちょっと読みにくいと思いますが、これはそういうふうになります。

八田貞義自由民主党

○八田委員 法律構成が複雑になっておっても、大切な点はやはりあなた方の案を十月一日から動かしていかなければならないのですから、所要額がどれくらい要るかということは書いておかなければならぬわけです。あなた方の調整法案を見ますと、何にも金額が書いてない。他の法案には書いてあります。

八木一男日本社会党

○八木一男君 整理資源についての……。

八田貞義自由民主党

○八田委員 整理資源ではなくて、「国民年金法の施行に関して必要な事項及び同法で定める年金の支給と他の法令で定める年金等の支給との調整に関する事項について定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。」こういう場合には障害についても所要額というものを載せておかなければならない。

八木一男日本社会党

○八木一男君 御質問は所要額でございますね。法律的な適用対象が入るかどうかという問題ではありませんですね。前の問題はさっきの御説明で御了承願えたと思う。金額の方の問題は八田委員の御計算では入らないといわれますけれども、私どもの方では厚生年金保険の例によって、一級、二級、三級の計算——金額については、先ほど申し上げました四十四億円という計算を、整理資源としてではなしに、一般会計の支出の中に入れてある。八田委員はその額が少いとおっしゃるのでありましょうけれども、私どもは厚生年金保険法の分析、分類によりまして、一級、二級、三級をおよそ十九才以下の障害者の人数にその率をかけ、五十五才以上の障害者の年令にその率をかけ、それだけの給付をし、家族加給をし、さらに上積み分のものについてまで計算した金額が四十四億円になるということが出ているわけです。それは一般財政支出の全部を、本法の方に四十何億というものを明らかに出しているわけでございまして、将来起るべき整理資源について、われわれに自信がありまする以上は、現在の時点において今から整理資源を出しておく必要はないと思います。整理資源について将来そういう必要が、八田先生の御指摘のように起るかもしれません。このような大混乱が起るときに、そのようなことは政府案においても——政府案は印刷を出していろいろ数字を書いてある。だから信用できるように見えますけれども、政府案の方の統計ですら、ここに小山年金準備局長がおられますけれども、この障害者の一級、二級、三級がどのくらいであるか、その所得がどのくらいであるかという統計は日本国中どこを探してもございません。     〔委員長退席、田中(正)委員長代理着席〕 でありますから、障害者の等級分けあるいは世帯の収入分け、そういうものを組み合わして、そして的確な資料のないものについては、それを拡張しあるいは類推してこれを作らなければならないわけであります。厚生省においても同様な方法をもって数理計算をしておられるわけであります。私どもが少数の人数と少い金でやっているのは信用ができないというふうにおとりになられるかもしれませんけれども、同じ統計によって同じような努力をしてやっている点を御了承願いたいと思います。そういう点でその計算した金額を、本法の方で障害者年金の給付額として出しているわけであります。整理資源はおっしゃったように、将来目測が違う場合は当然ございます。これは政府の方でもおありになると思います。そのときには私どもの方は幸いにして賦課方式をとっております。無拠出の方に重点を置いておりますから、それは積立金がないから、あと困るということではありません。そのくらいの、一千二百億の中の差の、たとえば一%とか二%狂った場合は、翌年においてそれだけの財政支出をすればこれが埋まるわけであります。そういう点で金額は別といたしまして、会計的には弾力的にうまくできております点を、どうか御了承願いたいと思います。

八田貞義自由民主党

○八田委員 八木さん、私が申し上げているのは、あなた方は厚生年金に基いて計算をしたんだ、障害者の対象者をきめたのだと言われますが、厚生年金の方は、発生時点をはっきりつかまえるために、医療給付三年間というものをちゃんと置いてあるのです。あなた方のは発病とか初診とかそういう関係なしに、発生時点なんかここにはっきりないので、だからあなた方が計算されたものは資料の取り方が非常に違うのですよ。あなた方の発生時点が不明確なんだ、そうして範囲が非常に広げてある、こういうことから考えると、約三百万人の障害年金対象人員というものを計算しなければならぬ。出てくるのです。これも内輪に見積ってですよ。これを一級、二級、三級なんてやったらもっと膨大になります。こういうイスト・ツースタントに対するところの検討が非常に少いのです。実際これでは十月一日からできませんよ。こういう点は私はこの法案を見てあまり範囲を広げ過ぎた。やはり厚みをかけるんだ、厚みをかけるんだと言っておりますが、そして六十才と六十五才に分けて、六十才千円ならば、六十五才になれば二千円やるんだ、そういうようなことで厚みというのですが、こういった問題になれば、これは生活保護法との関係において、現在の生活保護法を改正していくとか、そういう問題になってくるのです。年金というものの性格から離れてくるのです。こういったところ、それから整理資源に対するところの考慮というものがどこにも見られないという点が、社会党案として問題点であろうと私は思うのです。実際こういったことに対する詳細なる資料を掲げておかなければ実際行い得ないと私は考えるのです。十月一日を控えて大へんな大きな問題であろうと思うのです。

八木一男日本社会党

○八木一男君 何回も同じようなことを申し上げますが、八田先生は厚生省側の計算せられた資料を正しいものとし、社会党の計算した資料を不十分なものであるという立場において言われていると思いますが、三百万ということの中には二十才から五十四才までの障害者を加えた数字が入るのではないかと私は考えるわけであります。そうなりますと三百万と、今言った二万と二十八万、三十万という大きな差、いかに私どもが一生懸命計算しましたものが、いかにわれわれの人数が少かろうとも、そんな大きな差が出るはずはありません。そこで二十才から五十四才までを入れた数字が三百万ではないかと私は考えるわけでありますが、不明でありましたら、さらに御指摘をいただきたいと思いますけれども、そういうような違いではないかと一応考えます。  それからもう一つは資料の点でございます。資料の点につきましては、今言ったように、具体的な統計は日本中どこを探してもありません。国民年金ではいろいろ資料を組み合せて推計を入れてしなければできない状態に残念ながらございます。厚生省の方も同じ状態でいろいろな推計をされたわけです。その推計においていろいろな点で違いが出てくることは当然起り得るわけであります。こういうことを排除するために、私たちといたしましては、橋本龍伍厚生大臣のときに厚生省の資料を拝見し、幾分の御援助を願いたい、社会党が国会でこういうことをやる場合において、当然政府の方の参考になるべき案であるから、その意味で御援助を願いたいということを申し上げました。と申しますのは、私どもの努力が足りないわけではございません。厚生省の年金準備局の何十人の方々、これの背景になる労働省の統計の方々、あるいは国勢調査その他の何百人の方々と、私どもがほかの職務を持ち、書記局の一人々々がほかの任務を持ってやったのとでは、その精密度が違う危険性がございます。でございますから、根本的な骨子において、それから大体の概数においては、違わない確信を持っておりまするけれども、たとえば二十八万と申し上げたのが三十万という場合はあり得るかもしれない。そういうことの精密を期したいために、厚生大臣に申し入れをしたわけでございまするが、それはどういう意味かお断わりになりました。それで私どもの乏しい人間と乏しい資金でやったわけでございます。しかしながら、それだからといって数字があいまいであるということは私どもは考えておりません。根本的に諸統計でできました数字で、その中の十九才以下の身体障害者の数、五十五才以上の身体障害者の数、それに対しまして一級、二級、三級の分類をいたしまして、そこにこちらの年金案の該当すべき金額をいろいろの形で乗じ、それに家族加給を考え、それに上積み分も考え、そうして計算した数字がこれでございます。私どもが数字的に無能力であると御指摘になるなら別でありますが、私どもとしても一生懸命やっております以上、この金額にたとえば二十八億に対して一億や二億の差は出てくる危険性はあるということは認めたいと思います。しかしながら、二十八億、三十億のもりが、三百億という差があるというここは、根本的にさっき言った考え方の遅いのもとにおける計算の違いであろうかと思います。

八田貞義自由民主党

○八田委員 八木さん、この問題幾らつついてもしようがないのだけれども、結局発生時点に対する考慮というものが、こういった年金を与えていく場合には、一番大切なんですよ。ただ厚生年金の場合には、病気になった場合三年間というものは医療給付をやって、症状が固定した場合において初めて厚生年金が与えられるという仕組みになっているのです。ところがそういった仕組みはすっかり御破算にされてしまったから、私の今のような疑問か出てくるわけなんです。ですから、これは今後やっていかれる場合に、やっぱりこういった発生時点をはっきりしておくということはどうしても必要なことなんですね。これなくしては線を引こうにも引けないですよ。これは非常に不均衡が起ってきましょう。非常な問題が起りますから、線を引くならば、はっきりした基本資料というものをもとにしてやらなければならぬわけです。

八木一男日本社会党

○八木一男君 別表の状態になれば入ることになりますが、たとえばこの年金の施行については、一週間の間身体障害の状態にある——ひきつけを起してたとえば一日間その状態だという場合は、事実上入り得ないわけであります。事実上一週間の間ひきつけを起して子供が動けないという場合は、これはすべての諸法令のやり方で、一年を単位にしなければなりませんから、そういうものは入り得ない。それからまた結核で猛烈にシューブを起して、そして一時的に八百くらいの肺活量になった、肺切除もしていない、そういうものは当然今の医療法ではストレプトマイシンなりそれに順応した同じような療法によって、急激なシューブは一月くらいで鎮静するものであります。これは八田先生お医者様で、釈迦に説法でございます。でございますから、病気の過程において身体障害が起ったということは、普通の病気ではこの年金の該当し得ない状態になるわけであります。ところで病気の過程においてそれ以上にならないということでございましたならば、これは政府案に対していささか御批判を申し上げなければならないわけでございますが、症状が固定しなければ、初級障害にあっても一級障害にあっても支給しない。症状が固定しない場合があるから、内科障害で一級障害として認められても支給しないという条件を政府案としてはとっておられます。外科の障害は足なり目なり手だからはっきりする。ところが内科障害であれば症状が固定するかどうかわからないから支給しないというのが、政府の立場です。ところが私の乏しい医学知識をもっていたしまして、八田医学博士に申し上げるのは恐縮でございますが、白血病という病気は、これは現在の医学では回復不能であります。精神病の中の極端なものである躁欝症その他については、回復不能と私ども考えております。四分の三肺切除をした場合に、いかにこれから療法が発達いたしましても、取り去ってしまった肺の機能が回復するはずはございません。でございますから、そのように絶対回復できないというものまでも含めて、症状が固定しないからやらないという考え方は、これは形式的に何か障害という点で分類をされたわけでございまして、一級障害であって、所得がないから所得保障をしなければならないという社会保障の分類をされましたならば、そういうことにはならない。わかったものは、内科であっても外科であってもこれをやるということになるべきだと思います。それに対しまして、固定をしないからということで政府案は逃げておられる。八田先生には社会党案についていろいろ御指摘いただきました。この点は非常にありがたいと存じますが、私はほんとうは、半年か一年の間には、それがなおるものであるか、なおらないものであるか、今の進歩した医療方法でははっきりと結論がついている、その場合に、当然固定して障害状態にある者は支給すべきだと考えております。ただし半年なり一年なりで結核の症状が回復する者は、これは事実上そのような単価では支給が困難だ。特に子供のひきつけであるとか、事実上一時精神異常になったとか、それから一時けいれんを起して手足が動かなくなったけれども、病状を回復したという者は、実際上においてこれは支給できない。でございますから、八田生生御指摘の、症状の固定しない者に支給することによる異常なる対象者の増加という点の大部分は、実際上の問題で解決がつくのではないかと考えております。

八田貞義自由民主党

○八田委員 私は受給権の発生時点の不明確ということは、社会党案としては率直に認めなければならぬと思うのです。特に今白血病なんかの例をとられましたけれども、いろんな内科疾患を取り上げていけばたくさんになるんですよ。先ほど私が約三百万人とやったのは、内輪に見ての数字なんです。これはもちろん年令によって分けておるわけなんですが、たとえば二十才未満から五十五才以上の者について、これは特別年金を支給しなければならぬわけですね。そうしますと、社会党の方は四十五億円と計算されておりますけれども、四十五億円と計算されたのは、厚生年金の支給適用というようなことからやられたのですが、厚生年金の方は医療給付を三年間というふうに切ってある、その上に障害年金を与えるのですから、そこにやっぱり三年の差があるわけですね。こういったところを計算していきますと、この無拠出分の人に対しても四十五億円ではまかない切れないんですよ。それでいろんな計算をすると、百四十五億円が要るのだ、整理資源に対しては六百九十億円くらい要る、こういうふうな大きな金額になってくるのです。それをあなたの方は四十五億円要る、非常に内輪に内輪に見られて、金額の点から見て非常な差があるのです。  もう一つは保険税の額の問題なんですが、あなたの方は一般国民年金の方は平均して百六十六円、労働者年金の方は約二百円、こうされておるのですが、これに基いて計算してあなた方の出された年金税法案というもの、これに要する費用を計算いたしますと、老齢年金分だけの計算なんですね。障害と遺族の年金計算がないわけなんです。金額計算からいきますと、これが抜けているのです。しかもこの百六十六円と二百円の保険税の計算ですが、一体予定利率を幾らと計算されてのことなんですか。これは老齢年金だけについてのあなたの説明であると私は思うのですが、この場合を取り上げてみましても、百六十六円、二百円という予定利率を一体どれくらいに計算されたか。御参考までに申し上げますと、政府の方は五分五厘にやっております。

八木一男日本社会党

○八木一男君 お答えをいたします。さっきの厚生年金の点で、最後におっしゃいましたことについてもう少し申し上げます。厚生年金の一級、二級、三級の分け方で分けたというわけでありまして、厚生年金勘定の資金で計算をしたわけではないのであります。厚生年金の一級、二級、三級の金額で分けて、全国の身体障害者にそういう比率をかけて、さっき申しましたような計算でいたしましたので、厚生年金で医療給付をはずしたという条件は、この場合それに抵触しないことになると私どもは考えております。  その次に、何と申しますか百六十六円と二百円、年金の保険料の計算の点でございます。この点につきましては母子年金の方は、これは母子年金をもらうことによって——母子年金は基本的に半額であります。遺族年金をもらう場合には、遺族に対して基本的に半額でございますから、その場合にその方が未亡人になると一〇〇%のものを支給しなくてもいいという状態になります。ですから遺族が出るということは年金会計上プラスということになる。その点年金会計上のプラスという点が出ますので、母子年金——それは早く未亡人になった場合にはこれはプラスになるかどうかわかりません。これは長生きする場合と短かい場合とありますが、総体的に見て老齢年金は一〇〇%は何年間かしなければならぬ。未亡人は早い人もあるけれどもおそい人もある。ですから総体的に見てそんなに長い期間ではありません。特に子供が成長するのはそんなに長い期間でありませんから、それで全体が一〇〇%支給すべきところを片方では五〇%もあるということで、母子年金の方は会計上黒になると私ども考えるわけです。  それから身体障害者の方は確かに御指摘のように赤になる要素がございます。しかし先ほど申しましたような総体計算において、三百分の一くらいの計算であります。これは大衆計算において処理できる問題である。国民全体の何千万人が入る計算においては処理できる問題であると思いますし、この原因を探索いたしますと、今後は戦争のごときものは起らない、身体障害者は激減する、ふえる要素は交通事故のみである。その交通事故においての部分は、私先ほど申し上げましたように、交通の責任者から、これは国税あるいは保険として取り立てて、この特別会計に埋めるという考え方を持っておりますので、その点は御了承願いたいと思います。

八田貞義自由民主党

○八田委員 いろいろ質問したいことがたくさんあるのですけれども、時間の関係もあるからやめなければならぬのですが、今の百六十六円と二百円の関係は、今の御説明にもあったように、老人年金だけについての計算と私はお聞きしたのですが、ここで障害と遺族年金を加えるとこの保険税の額はこれの五割増しくらいにはなってくるのです。正確にいうともっとふえてくるのです。その二つの年金の計算が除外されていますから、これを入れると、今の百六十六円から二百円という保険税額は、これの五割増しを見込んでいかなければならぬ。しかも問題なのは整理資源に対する何らの考慮がなかったということを申し上げたのですが、それとともにいわゆる高年令で給付を受ける場合に、こういった場合の整理資源に対するところの計算がないということと、それからあなたの方で保険の減免税に関する条文を掲げておられるわけなんですが、この減免に基く費用ですね。いわゆる保険税の減免に伴う財政補てんと申しますか、これが全然調整法案にも出ていないんですね。ですから先ほど申し上げましたように、非常に低い零細な所得者から、政府は取り上げないような階層に向ってきびしく取り上げるというようなことをやられておる。そういったことになって保険税の減税に伴う国の財政補てんをやる、これが全然調整法案を見ましてもないんですよ。

八木一男日本社会党

○八木一男君 先ほどの八田さんの五割増しという計算は、どういう計算かわかりませんけれども、これは、私はそんなに信用できる数字ではないと思っております。遺族年金というものは、私がさっき申しましたように、老齢年金の半額である。遺族が出た場合には会計は黒になる。保険料は同じで取っておきましても、年金というものは出存した場合に支給する建前ですから、不幸にして早く死んだ人が多い場合には会計が黒になる。かわりに遺族年金があるから黒になる。これは半額になりますけれども、その点では黒になるわけであります。その黒分がほかの方に補てんをされるというように、年金会計全体でなると考えております。減免の方は四十四億円という金が、これは明らかに出すということを申し上げておりますので、これは国家の政策として出すことで、それで別に差しつかえがないと私どもは考えております。

八田貞義自由民主党

○八田委員 五割増しというのは、前のところで質問したように、障害給付の範囲が広過ぎるのだといったこと、それから遺族年金といった点から計算すると、当然五割増しの保険税額を見込んでいかなければならないわけです。しかもあなた方の方の計算はこういうことなんですよ。保険税は二十才加入、全期間完全拠出という、こういった整理計算を基準にしてやっておられるのですね。だから整理資源とかあるいは高年令で入ってきた場合拠出額が少い、こういったものに対してのおもんぱかりというか、考慮が全然ないわけです。こういったところを計算して参りますと、非常に膨大な国庫負担というものを考えていかなければならぬのですね。あなた方の方では、将来のこの国庫負担というものについて、大体四千二百億円くらいになるんだ、これは経済の成長率から見て当然問題がないのだというようなことを言われておるのですが、しかしこの数字の根拠というのは、先ほど申しましたように、いろいろな点において問題があるわけです。こういったことになりますと、あなた方の方は、さらにまた生活水準が、あるいは賃金水準が上ったような場合には、これにスライドしていくのだということを言われておるわけです。そうすると、生活水準はこのままで押えられておると仮定しても、賃金は上っていきますね。賃金が上っていけば、それにやはりスライドしていかなければならぬ。こういったことをずっと考えて参りますと、将来のこの国庫負担額というのは、あなた方が三十五年後に考えておられるような数字ではないのですね。これからは四倍も五倍もかけた数字を予定しなければならぬ。これはとてもわが国の財政から見て——あなたの方は、かまわない、どんどんやっていけばいいんだというようなさいぜんのお話もあったのですが、これは私が先ほどいろいろと減税に伴う財政補てんの国の出資、そういった額とか、整理資源に対する考慮とか、こういったものが欠けておるので、非常に多くなるだろうということを申し上げたわけであります。こういったことが社会党の中にもやはり疑問を持つ人があって、それで今度の予算組みかえ案——ですか、社会党から予算組みかえ案も出されずに済んでしまったのではないか、私はこう思うのです。私は昭和三十年から国会に出ておりますが、あのときは暫定予算でしたから、社会党から別に予算の組みかえ案は出されませんでしたが、昭和三十一年には予算の組みかえ案を出してこられたのですよ。しかし昭和三十二年には予算組みかえ案というのは出てこないんですね。予算大綱というものを示してこられたわけです。何で予算大綱を示されたかというと、結局その当時、総評から公務員の給与ベースを二千円上げろというような要求があった。ところが、財源がないから、しようがないから、生産者米価の切り下げをやってやろうということで、社会党内部に異論続出して、だいぶもめて、結局予算組みかえ案はやめようということで、予算大綱だけを出してこられた。これは作文といえば作文的なものです。三十三年もやはり予算大綱の作文的なものを出してこられたですね。数字は載っていないのですからね。予算には数字を載せてくるのが組みかえ案でしょうが、組みかえ案が組めなくて、そうして数字の載っていない予算大綱を出された。ことしはどうかというと、今申されたようなことから、いろいろとどうしても財源が出てこないんですね。従ってこれは今度社会党は、予算大綱も出してこられないのですよ。ただ方針だけ示されておる。そこにやはりこういった点の問題点が結びついているんじゃないでしょうか。

八木一男日本社会党

○八木一男君 なかなか方々に波及した御質問をなさいました。どうも長々と、最初は整理資源のことを言われましたが、整理資源ということは、私も低姿勢で答弁しておりましたから、黙っておりましたけれども、整理資源というものは、積立金方式で、かちっと動きがとれないワクをきめたときに必要であって、われわれのように賦課方式で出すときには整理資源というものはその必要なときに出せばいいのであって、そんなものは今考える必要はない、そういうことで御了承を得ようと思って、非常におとなしく返事しておりましたけれども、整理資源なんというものは、社会保障制度審議会の学者があんなことを言い出したからはやり言葉になったもので、そんなものは絶対不可欠のものじゃない。毎年必要のものを出していけばいいのであって、そんなものは問題ではないと私は思います。  次に、だんだん生活水準が上るからというようなことを言われましたですね。私どもの方は正直に言っております。政府のように、第四条で、生活水準が上ったら上げるんですというようなまやかしのことは言っておりません。年金というものはそんなものではないのですね。年金というものは今からはっきりときまっておらなければならない。わが党案は今の貨幣価値で月七千円の金額を保障しよう。であるから、貨幣価値が半分になれば一万四千円にしようということをはっきり約束したのであって、ほかの生活水準がどうのこうのということは考えておりません。ほかの生活水準がほんとうに上って、それが上げることができるということになったときは、法案を改正いたします。今の場合の法案としては、生活水準を上げるなんというようなまやかしを言っておりません。今の貨幣価値の七千円を完全に保障しようということでありますから、生活水準というものは関係ありません。  次に、賃金の上昇でございます。賃金の上昇については、現在のところで二割ですから、全然あの計算をしなくてもいいのです。しかし将来賃金が進むとして、実質的に八万四千円に対する五割程度となるであろうと私は説明を申している。現在の状態だったら、それより少いわけです。  それから、八田先生が聡明なる方で、いろいろ突っつかれますから、今から申し上げておきます。四千二百億円ということを申し上げましたことは、これは社会党がこんなに一生懸命にやって、こんなに国民のために考えた案を、ただ理解の少い人を扇動して、理想案だ、理想案だということを保守党の諸君は言われる、また一部無理解な評論家も言われるというようなことで、それをわかりやすく説明したにすぎません。四千二百億円という数字は、これは厚生省の統計でいったので、私が計算したら七千億円になります。厚生省の統計の資料は九十年を出しておる。百二十年、百三十年は出しておらない。それから老人の人間は滅ってくるのですから、やや意識的にふえるところまでしか出していない。将来の年金制度というのは、三十五年で終るものじゃございません。何百年の将来まで続かなければならぬ。その場合においてどうなるかということを、私は概念的に申し上げた。それで、人口は一億といいますけれども、今の人口趨勢であれば、八千万、七千万と減る傾向の人口カーブになっております。それまでに老人人口の比率は一時高くなるわけであります。一時高くなるけれども、それから老人の比率は減ります。総人口が減るに従って老人人口の総数は減ってくる。そのときに、フランスのように人口をふやしていかなければならぬという空気が出たら、今度は赤ん坊がたくさん生まれることになるかもしれぬ。そうなると、今度は赤ん坊が生まれる比率はふえる。それからまた年金制度が永久に存する制度としてお考えいただきましたら、私どもは、人口は一億である。今の老人の比率はもっと少い比率でありますけれども、     〔田中(正)委員長代理退席、委員長着席〕 それがいろいろなものを入れて一割と見て一千万人である。それで八万四千に掛けて八千四百億円の年金が要る。その半分の国庫負担であるから、四千二百億円だということ年金制度の全般を通じて正しい意見であると私は考えております。しかしながら、一時点においては、人口カーブがぐしゃぐしゃになっているから、それを上回る点がございます。そこでたとえば、野田卯一君とこの間ほかで討論をしましたときに、社会党の案は三十五年には一兆になるというようなことを言われました。そういうような計算をされたなら困ります。社会党の案は、八田先生のようにまじめに質問していただきますので詳しく御説明申し上げるチャンスがあるわけでございまして、たださえ私の説明が長過ぎるということで、そこまで説明ができきれなかったわけでありますけれども、幸いに説明の機会を得させていただきましたことをお礼を申し上げたいと思いますが、そういうことで総体的に四千二百億円、一時点においてはそれをオーバーする。厚生省の資料によってそういう計算でやりますと、私はその計算は正しいものと一応見てみますと、七千二百億円でございますけれども、その半面の私が先ほど説明申し上げました——先ほど申し上げましたのでもう一回申し上げなくてもいいと思いますが、四%の経済伸長としての計算だったら財政が五兆六千億になり得る。ところが五%になったら、これはたしかさっきの計算——ちょっと忘れましたが、さっき申し上げた方が数字が正しいのです。六%だったら三十五年の時点において十一兆になる。それからまた五十年の時点においては六%として二十五兆になる、そういうことであります。そうなると、もし三十五年後の一番苦しいときにおいて何がしかのことが起りましても、五十年後に一番大きな計算だったら二十五兆、少い方の計算でも十兆というような計算が出る。そのように将来楽になることを見越して、財政的に苦しいときにはたくさんの積立金を運用して、一時二、三年のピークをのがれることができるわけであります。それから将来五十年、六十年、七十年たてば、国家財政の方は莫大になるにかかわらず、年金の方は八万四千円と限られている。そのときになると、こんな小さいものはけしからんという世論がわき上るでありましょう。そういうことで、総体的に一番小さいと見て五兆六千億。そこで厚生省の資料による私どもの計算によりまして、七千億になる。そんなものは問題じゃない。それから四%じゃなくて、五・五%で八兆になった場合は、先生の言われるように、一三%の率ではるかに少い。少い点においておしかりをこうむるべき金額であろうと思います。次に六%であればさらに率は少くなる。それが一番苦しいときであります。それから十五年くらいたてば、それが三倍、四倍ぐらい少い比率になる。それどころじゃなく、一三%の七分の一、八分の一という率になるわけでありまして、そんなことは問題ではない。特に金額が多いとか率が多いとかいうことは、最初申し上げましたように、国民の一部に支給されます場合には問題になりましょうが、全国民にあらゆる場合に支給される場合は、そんなことは問題でなしに、もし国民が国民年金を理解したならば、今直ちに四千億の増税をしても、それをやるべきだということになるだろうと思います。今の政府の施策がよくなくて、既存の年金制度に対する運営がよくないから、あるいは今までそういう制度を全国民に作らなかったという現状において、こういう制度をとったわけでございますから、財政というような点に心配のないようにしていただきたいと思います。財政について心配するということは、財政にかこつけて社会保障制度を前進させないという考え方であると、私どもは考えておるわけであります。

八田貞義自由民主党

○八田委員 だいぶ時間も参りましたから、八木さんとまたこまかい点はいろいろお話することにしますが、財政は心配しなくてもいいということになりますと、私はもっと理想の案を作るのですよ。やはり財政が基礎になって、そうしてよりよき理想案を作っていくんだということが基本方針でなければならぬと思うのです。やはり財政問題というのは大切なんで、財政は心配しなくてもいいんだということになれば、私はもっと理想的なきれいな案を作る、こういうことを申し上げておきたいのです。いろいろとまあ四千二百億円が七千億になるんだ……。

八木一男日本社会党

○八木一男君 それは厚生省の計算ですよ。

八田貞義自由民主党

○八田委員 それはあなた方の四千二百億円というのは、スライドもしない、賃金水準も上らないんだという前提からいくと、こういう計算が出てくるわけですね。それから、まあいろいろありますが、先ほど申しましたように、時間も来ましたし、国会職員の方にも非常に御迷惑ですから、これくらいにとどめますが、ただ、先ほどいろいろと申し上げましたように、事務上、実務上の問題について非常に疑問があるのです。これらについても、ほんとをいうといろいろ申し上げなければならぬし、さらにまた、たとえば遺族年金の適用者を見ますと、第六十五条に「女子であって配偶者(届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。以下同じ。)のない者又はこれに準ずる女子であって政令で定める者が現に児童(二十才未満の者をいう。以下同じ。)を扶養している場合には、その扶養している者に母子年金を支給する。」こういうふうに書いておられまして、こういった遺族、これは母子年金の受給者ですね。こういう場合——今申し上げたのは母子年金の受給権者ですが、女子の扶養する厚童について、親族関係というものは全然問題にしておられないわけなんですけれども、この中には「政令で定める者」というふうに書いてありますが、一体政令の内容がどういう内容を持っているのかはっきりわからぬけれども、この中には、もちろん女子であって扶養しておれば全部母子年金をやるのだといって、寡婦とか、離婚女子とか未婚女子が全部含まれるのでしょうが、離婚という問題になりますと、これは相当私は擬装離婚というものが起ってくる場合も考えていかなければならぬと思うのです。こういったことは非常に問題点があろうと思うのですが、このつかみ方の問題点。それからさらにまたやられていったところで、厚生年金とか被用者保険による年金受給者は、国民年金制度による給付と併給されるようになっているわけです。ところが恩給とか特殊の被用者に関する制度による年金給付というものは、国民年金制度から適用除外になっておりますね、こういうふうにちゃんと差別待遇してあるのですよ。こういうことはちょっと均衡を失しているんだというふうに言っても差しつかえないと私は思うのです。やはりこういった制度を立てていく場合には——時間がありませんから問題点だけ申さしていただいて、これはあとで、答弁は非常に時間がたくさん要るでしょうから、あなたとそのうちゆっくり話しましょう。それでただ問題点だけを申し上げておきまして、答弁はきょうはいただかなくてもいいのです。ただこういった問題点が相当たくさんありますけれども、これくらいにしておきましょう、きょうは。あとは八木委員と、よくお互いに勉強したい、とっくり話し合うことにいたしましょう。

八木一男日本社会党

○八木一男君 そのことに対する答弁だけ。今の財政の点について、私は問題を明らかにするために非常に強調して申しましたけれども、そういう八田先生のおっしゃるような、財政を考えなければならないという点で、月二万円案にして全国民をほうり込みたかったのを、月七千円という程度でがまんをしたという点で、財政に十分配慮をしてこういうような格好になった。大きくいいものを作りたいという点で、このわれわれの年金案が配付されておるという点を、聡明なる八田先生に御理解を願いたいと思います。  それから、今の女子の点でございますが、これについては政令で厚生大臣がやることになりますから、ここにお取り上げになったときに、厚生大臣がりっぱな方法をとられると思いますけれども、ともかく今まで扶養しておった者ということになります。大体においてこれから後は被用者年金に入りますから、そうなりますと、逆選択で、子供に年金が出るから、無理やりにいやがる子供を自分が養って、母子年金をとるということではなくて、今まで子供を愛して育てておった人に、親族関係でない場合にもくるというので——それから親族関係はもちろんです。そういうことで子供が年金のために悪用されないように配慮されておるわけでございます。実際的な手続も、もちろん厚生大臣がりっぱな政令を出されるときに、十分に配慮されるであろうと考えるわけでございます。  次に、併給の点については、さっきちょっと聞き漏らしたのですが、生活保護法の併給と遺族扶助料の併給の点ではないかと思いますが、生活保護の併給は、常々申しましたように、断じてこれをしなければ年金としての意味をなさないと思う。遺族扶助料の方でございますが、遺族扶助料は、たとえばお母さんで子供さんを持っておられる方は、今五万三千二百円ですか、この前聞きましたらたしか五万三千二百円というような年金をもらっておられるわけです。この年金によれば三万六千円です。基本と家族多っ子加算で少しふえる。大体一名の多子加算しかありませんから大体四万一千円ということになる。私どもとしては、ほんとうの社会保障の理念としては、軍人遺家族の方であっても、また一般の、交通事故でだんなさんをなくされた方であっても、気の毒な状態は同じであろうと思います。でございますから、基本的にはこの金額を高めて、全部同じ状態で支給するのが当りまえではないかと思うわけでございますが、一応軍人に対する、今まで国家の至上命令で、御主人をなくされたという状態で、国家において結論として五万三千二百円というものを差し上げることができておるわけです。そういう状態はわからないではありませんし、これは既得権でございます。この点から見て、五万三千二百円はそのまま差し上げましょう。そのほかの理由で御主人をなくされた方は三万五千円差し上げる。そこでそれを差別してはいけない。これはあまりに一方に厚過ぎる、全体的に不公平が起きる、そういうふうに考えまして、その点供給をいたさないということにいたしたわけでございます。

八田貞義自由民主党

○八田委員 八木委員には長時間にわたり社会党案についていろいろお話をいただきまして、ありがとうございました。厚く感謝申し上げます。なおこれらの問題につきましては、さらにまた互いに検討して参りたいと思います。困った人に厚みをかけるという問題は、当然生活保護法の改正にもつながる問題でございますから、社会党の、特に八木さんは社会保障に御熱心な方ですから、お互いに勉強してやっていきたいと思います。ありがとうございました。

八木一男日本社会党

○八木一男君 どうも今まで当然していただかなければならないことでございましたが、八田委員から野党案に熱心な御質問をしていただいたことを、ほんとうにうれしく思うわけでございます。この点私どもの説明について、大いに一生懸命説明申し上げたわけでございますが、なお、いろいろの点がございましたらおしかりをいただいてもけっこうでございますが、私ども八田先生の御質問になりました点についてさらに検討いたしまして、わが党案で、さらによりよくすべきだという結論に達しましたら、わが党案にみがきをかけるというようなことは当然いたすつもりでございますし、また、私どもの党の案のいいものをお取り上げ願いまして、政府案をぜひ与党たる自民党の中の社会保障に一番熱心な先生方において前進せしめる努力をしていただくことを、特に八田先生がその中心になってやられますことをお願いいたしまして、お礼にかえます。

園田直自由民主党

○園田委員長 次会は明十八日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後六時二十分散会

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