社会労働委員会 第15号
- 発言数
- 136 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1959/03/06
会議録
○園田委員長 これより会議を開きます。 内閣提出の国民年金法案、八木一男君外十四名提出の国民年金法案、及び国民年金法の施行及び国民年金と他の年金等との調整に関する法律案を一括議題として審査を進めます。 質疑を行います。八木一男君。
○八木(一男)委員 昨日に続きまして政府案の国民年金法案につきまして、関係各大臣に御質問をしたいと思うわけでありますが、労働大臣、大蔵大臣、企画庁長官がまだお見えになりませんので、厚生大臣に対する質問を続けさしていただきたいと思います。少し前後するかと思いまするが、昨日は年金制度の根本的な問題、拠出年金の重要な骨組みになる問題について御質問申し上げまして、続いて無拠出年金の骨組みにちょっと入ったところで終っております。それで無拠出年金の骨組みのところで、もう少し内部に入った問題をこれから質問をさしていただきたいと思います。 昨日の続きで、政府案の無拠出年金が所得保障が必要な程度の多い人に厚みをかけるという態度が少いということを申し上げたわけでございます。坂田厚生大臣の方もそれを、個々のこまかい点は別にしまして、そういう努力が足りなかった案であるということを大体においてお認めになったわけであります。その今の、特に必要の度の多い人に厚みが少いという点の極端なものは何か、それは生活保護階級であります。生活保護階級には、この法律を読みますると、年金は支給することになっておりまするけれども、支給する年金額は生活保護法の認定上の収入認定に入りまするので、無拠出援護年金が支給された金額だけ生活保護関係の各扶助が減らされることになります。結局現在の生活保護階級は老齢援護年金をもらってもそれだけ減らした生活費をもらうことになり、結局において老齢援護年金は全然ない、ほとんどなしにひとしいということになっておるわけであります。これは昨日坂田厚生大臣が、非常に必要度の多い人に厚みをかけなければならない、それについての配慮が少かったということをお認めになったのでありまするが、その極端なものであって、生活保護階級の老人なり、未亡人なり、身体障害者は一番所得保障が必要なんです。その人に実際上援護年金がいかないということであっては、この年金の少くとも無拠出部分はほとんどその価値がなくなるということになると思うのですが、それについてなぜこのようなことをなさったか、厚生大臣の御所見を伺いたい。
○坂田国務大臣 ただいま八木先生がお尋ねの点は、これは一番大事な点だと思います。この国民年金を全国民に及ぼす、しかもそれが一番困っておられる低所得者層、なかんずく生活保護法の方々に及ばないということであったならば、その意味は非常に少くなるということは、私全くお説の通りだと思います。従いましてこの法律では全国民に及ぶということになっておりますけれども、生活保護法の面におきましてこれが収入認定をされまして、結局何らの恩恵を受けないということであってはならないというふうに考えまして、この点につきまして私どもといたしましては、生活保護法の適用を受けておられる方々にも一つこの実質的な恩恵が及ぶようにいたしたい、こういうふうに考えまして、老齢、母子、障害ともどもに老齢加算、母子加算、それから障害加算をするということを実は閣議でも大蔵大臣と御了解を得たようなわけでございます。おそらくこれは認定しないということになるわけで、実質上はこの国民年金が及ぶということになるわけであります。ただ、まだ一点問題になっておりまする点は、その額をどうするか、幾らにするかということでございますが、御承知のように、まだその点は大蔵省と最後的な決定に至っておりませんけれども、私どもの気持としましては、八木委員と同じような気持を実は持っておるわけでございます。
○八木(一男)委員 坂田厚生大臣になられましてから、そのような老齢加給、身体障害加給、今別な面で少しありまするけれども、母子加給をふやす、また新設するというような方向に進んでおられることはこれは非常に新しい大臣の御努力であると敬意を表するものでございまするが、その御努力が、ただ宣伝だけで実を結ばなければ何にもならぬ。閣議決定といっても、閣議決定はしょっちゅう変ることがあります。それをほんとうに裏づけをしてもらわなければならない。そのためには、生活保護法の改正案を本国会に出していただかなければ、ほんとうの裏づけにならない。今のような行政措置の加算というようなことでは、内閣の方針でどう変るかわかりません。生活保護法の改正案を即刻準備にかかられまして、本国会中に提出をされる意思を表明していただかなければ、今おっしゃったことは、口の宣伝であって、ほんとうの内容はないと私どもは認めなければならない。そういう意味で、生活保護法の改正案を今国会に急速に出される意思ありやいなや、伺いたいと思います。
○坂田国務大臣 この点につきましては、法律にはっきりこれを書くかどうかという問題は、もう少し実は検討さしていただきたいと思うわけでございますが、私どもといたしましては、これをはっきり大蔵大臣ともお約束をしまして、来年四月に初めて援護年金が支給をされまするから、その際にはそれができることになると私は思います。これは、今事務当局から話を聞きますると、告示でできるということになっておるそうでございますから、法律に出さなくとも実はいいのではないかというふうにただいまは考えております。
○八木(一男)委員 今、来年四月からと言われましたけれども、来年四月じゃないでしょう。来年四月ということは、援護年金は来年四月から実施される、そうすると、ことしの十二月からは支払われないのですか。
○小山(進)政府委員 ただいま大臣が申しましたのは、言葉が足りませんでしたが、援護年金はことしの十一月分から支払いをいたします。支払いの時期が来年の三月になります。従って、生活保護法の問題として実際上形の上で解決が現われて参るのが来年の四月分から、こういうことを申し上げたつもりだったのでございます。
○八木(一男)委員 それでは食い違いはその御説明でけっこうですが、告示でできるということであれば、次に告示でそれをやめることができるわけです。ですから内閣が変るとか、あるいは厚生大臣や大蔵大臣がより非常に反動的な人になるということになれば、すぐ告示で変えられてしまう。ここでは国民年金法の審議に関連して、国民年金法の欠陥をどう埋めるかということを御答弁になっておる。国民年金法というのは法律なんです。法律にうたっておけば間違いないけれども、そういうものを法律の審議をやっているときに、告示で埋め合せをつけるということであってはいけない。これは検討されるといわれるのですけれども、当然法案でできる。告示でもできるということでありますが、法律でした方がいい。今まで告示でしたのは怠けているわけです。ですからそんなことくらいの条文は、厚生大臣や厚生省の有力な人が考えれば、一日か二日で考えられます。法制局の操作でも一日か二日でできます。ですから少くとも来週初頭くらいにその点の、生活保護法の改正をはっきり明記したそういう法律を出していただかなければいけないと思うんです。これについてどうお考えですか。
○坂田国務大臣 実はそういうわけで、法律にするかしないかということは、もう少し熟考さしていただきたいということを申し上げたわけなんです。ただここのところが、八木委員も御承知の通りでございまするけれども、その法律にいたします場合には、大蔵省におそらく額等について決定をこっちとしては迫ります。また向うも要求をしてくると思います。ところが私は、少くとも八木委員と同じような立場で、強くこの点は主張いたそうと思っております。しかし実際上の問題といたしましては、御承知のように、来年度の予算折衝にかかるわけで、そこでこれはおそらく八月くらいからこれが開始をされると思います。そして大蔵大臣と強くこの点は折衝申し上げたいと思いますし、また大蔵大臣もこれくらいの重要なことはおわかりいただくものとは思っておりますけれども、なかなかやっぱりきまるまでは私としては安心ができません。この二、三日中に決定を急がない方が、むしろ八木委員の趣旨を決定させることができるのではなかろうかと、実は私は私なりにそのように考えておるわけです。その後、一応その決定がありました暁には、それをどう固定させるということを法律において明記させることも場合によっては必要ではなかろうかとも考えているわけでございます。その辺のところは、もうしばらく御猶予願いたいと思うのです。趣旨は私は全く同感であります。
○中山委員 関連してちょっと伺いたいのでございますが、生活保護世帯に対して、私の記憶が間違っておりませんならば、何年か前に、母子世帯に五百円ずつ加算するという処置がとられたと私は記憶をいたしておりますが、そのときには厚生省におきましてどういう方法でもってこれに加算を可能にしていただいたか、そして同じような方法がまたこの点でもとられるのではなかろうかと私は今思うのでございますが、この二点について御答弁をお願いいたします。
○小山(進)政府委員 ただいま八木先生と大臣が話しておった問題が、ただいま中山先生がおっしゃった問題になるわけでございますが、現在生活保護法において母子加算あるいは身障加算として扱われておりますものは、生活保護法の第八条において、生活保護の基準はこの法律に基いて厚生大臣がきめることになっております。この規定に基きまして、御承知の通り一級地で一類何円、二類何円、大体一級地の標準性帯の生活保護費の基準額は一万円をこえるワクになっておりますけれども、そういうふうにきまっているわけでございます。これは一般的な基準でございまして、そのほかにさらに特別の基準といたしまして、母子世帯なりあるいは身障世帯なりについては、一定の要件のもとにそれだけを増額して生活費を認定する、こういうのがただいまの母子加算なりあるいは身障加算になるわけでございます。従ってこのやり方をするといたしますならば、同様に今度は老齢加算を設ける、また身障加算なりあるいは母子加算の増額をしたものをきめてこれを告示する、かようなことに形式上は相なっておるわけでございます。
○八木(一男)委員 ただいま坂田厚生大臣は、結局厚生大臣としてはかなり率直なほんとうの心境を披瀝しておいでになったと思いますが、一番最後にそういう交渉が済んだときに、生活保護の法律的な規定にするということが妥当だと思うというような御意見だったと思いますが、時期の問題についてはまた別にあとで御質問するとして、ほんとうにそれを法律に明記していただけるということを一つはっきりとこの委員会の席上で明言をしていただきたいと思うのです。
○坂田国務大臣 われわれの気持といたしましては先ほど答弁いたしました通り、これを何か法律的なものではっきり明文化した方がいいのではないかというふうに思います。思いますけれども、この点は技術的な問題もありましょうし、法制局等の意見もございましょうし、あるいは生活保護法自体をいじらなければならないということもございますので、よく検討さしていただきたいと思います。しかしながらここでこれを法文に明記するようにいたすということを私が申し上げなくとも、少くとも十分その気持を持って当ってみて、もしそれが可能でございますならばそういうふうにいたしたい、こう思うわけであります。
○八木(一男)委員 社会党案を作りますときに生活保護法との関連で、私どもも法制局といろいろと折衝をし一緒に検討いたしました。生活保護法の併給自体も法制上書けることになっております。ですから加給自体を書くようなことはそれよりももっとやさしいことであります。そういうことで法制局の中で、たとえば既存の概念だけにとらわれてちょっとした無理解な態度があるかもしれません。しかしそういうことがあっても、この国民年金法のほんとうの精神から考えれば、当然生活保護法というものがいじられるという議論の方が、法制局でもはるかに強くなると思うのです。その点はそう御心配にならなくていいと思う。問題は内閣でほんとうに国民年金を実効あらしめるためにそういうことをするのだ、あわせて都合の悪いときに告示を撤廃したり、告示を変えてしまうというようなことをしないのだという決意を、ほんとうに内閣がお持ちになったら法律化できるわけです。できないということは何らかそういうぼやかして、ごまかしていこうという意図があるということになるわけです。首をお振りにならなくても、あなたのお考えはそうでないということはわかりますけれども、あなたが永久に厚生大臣であるわけじゃない。今までずいぶんそういうインチキが行われてきた。ですからあなたがほんとうに首を振られるくらい御熱心であるならば、あなたの時代に法律化しておかないと、あなたの意思に反したようなことがここに行われる危険性が多分にある。またそれを法律化することで岸内閣の声価を高めることになるわけです。そういうことでほんとうに国民のために、ただ野党が追及したならば、はっきり言ったらめんどくさい、あとでうるさいということじゃなしに、私どもも国民のために言っておるつもりですし、厚生大臣も国民のためにお答えであろうと思うのです。そんな問題は何でもないのですから、もっと勇敢にほんとうにお答えになってしかるべきだと思う。そういうことで、とにかく法律化をして生活保護法をいじくるか、国民年金法にそれを入れるか、それはどちらでもけっこうです。それは明らかに法律で決定されて、あとで告示をいいかげんに変更されてだめになるというようなことにならないようにしていただくという御決心を御表明願いたいと思います。
○坂田国務大臣 その点は、やはり私はこれが可能であるならば一つ考えてみたいと思っております。またそのことを御答弁申し上げたいと思います。ただ私は、こういう問題は与党が天下をとろうとあるいは野党が天下をとろうと、こういうものを変更するということは、少くともできないと思うのです。たとえばそれが告示でございましても変更はできないと思うのです。そこで私の気持といたしましては、ただ法律で書いたからこれは非常な強い拘束力を持つというものではなくって、告示であろうとも、与野党が一致してやるような問題につきましては、やはり実質的にその裏づけをし、そうしてそれが長年あまねく国民の恩恵になるということであるならば、それこそ法律以上の非常な拘束力を持つというふうに私は私なりに実は考えるわけなんです。何でもかんでも法律にしなければならない考え方というものは、私は民主主義の発達しない段階においてはやむを得ないといたしましても、やはり民主主義がだんだん徹底いたして参りますならば、こういうような告示でも、政府としても責任を持って守っていくということをやらなければならないので、このような問題は私はそう八木先生の御心配になるようなことはないのではないかというふうに、私は私なりに実は考えております。しかしながら御心配のようでございますから、もしそのような法律に明記した方がいいし、またそういうことが可能であるとするならばこれは検討いたしたい、かようにお答えを申し上げたいと思います。 〔委員長退席、大石委員長代理着席〕
○八木(一男)委員 法律化をぜひともしていただくように強く要望しまして、そういう最大限の御努力になるという厚生大臣の御意思だと理解しまして質問を進めて参りたいと思います。その理解に誤りがあったらまた御答弁を願いたいと思います。御答弁がなければその理解通りということにさしていただきたいと思います。
○坂田国務大臣 大体八木委員の仰せになっている意図は十分私承知しておると思うわけでございます。
○八木(一男)委員 それから次に金額の問題でございますが、大蔵省との交渉の過程において、八月ぐらいにやった方がいい、やった方が有利な点もあるんじゃないかというような御意見でございました。政府内部のそういうような事情もかすかにわからないじゃないですけれども、もっと大きな立場で申しますと、今すぐの方がいいと思う。国民年金法案という政府の公約した法案、それが今審議をされている。そういう時期にこそこういう問題が重要な問題として、金を出ししぶる大蔵省の方にも反映するわけです。国民年金法自体は政府が出して通して実施をするのだということになって、片づいてしまうと、あとそれが実質的な一番大事なことでありますが、法律の条文で見れば一部分ぐらいのところですから、そういうものについての理解を大蔵省がしょうとしない。ただ大蔵省は今までのやり方で財布のひもを締めることに――金はほんとうに有効に使わなければ金というものは何も役に立たないということがちょっと頭から抜けているような大蔵省の役人ばっかしですから、そういうことで締められるおそれがある。この一番大事な法案が論議されているときに、その実質的な内容として一番大事な問題だということを背景にして交渉されることが一番大事じゃないか。この意味でこの国会の、特に衆議院で審議中に、その機会をはずされたならば、かえって不利になるのではないかという気もするわけです。これはすべて厚生大臣の行政手腕に期待するわけですけれども、とにかくこの審議の間にとっつけをしてやっていただきたい。それでこの審議中に実はこういう話になりましたということが御答弁願えるような御努力を急速に願いたい、それをなさる意思があるかどうか。
○坂田国務大臣 この点は非常にありがたい御要求であるわけでございます。しかし大蔵大臣は大蔵大臣のお考えがございましょうから、一つ大蔵大臣の意見もよくお聞きを願いたい。そのことが八木委員の考えておられること、私の考えておることが実現できる道かとも考えるわけであります。私としましてはとにかく努力をいたしまして、実質的にこの生活保護法の適用を受けておられる老人の方、あるいは障害を受けておられる方、あるいは母子家庭の人にもこれが全部及ぶようにいたしたい、かように考えております。
○八木(一男)委員 厚生大臣が言われましたように、大蔵大臣にはぜひともそういう点を御質問したいと思いまして、再三要求しているわけですけれども、まだおいでにならない。これは委員長代理に申し上げます。厳重に督促をしていただきたいと思います。さらに大蔵大臣だけでなしに、決裁をすべき総理大臣にこの問題の確言を得なければなりません。その意味で委員長にも御努力を願います。われわれも御要請をしますけれども、閣内においてもこの重大な予算に関係のある、そして国民生活に非常に長い間非常に関係のある法案について、総理大臣みずから何十時間でも委員会に出てきて野党の質問にも、与党の質問にも受け答えをするというような態勢を国務大臣として作っていただきたいと思います。 それから次に金額の問題であります。金額の問題については、必ずしもそれと今の老齢援護年金と同額じゃないような御発言なんです。これは非常に残念でありますが、厚生大臣の本旨ではないと思うという自信がないような御発言がさっきありました。そういうことで理屈を申し上げなくても厚生大臣十分御承知であります。一番大事な人には厚みをかけるということであれば、生活保護階級の老人や未亡人や身体障害者には、このような各種援護年金の額を二倍に上げてもいいところであります。それは三百億のワク内でごしゃごしゃされたのでできないとしても、そういう考え方には、きのうの御答弁だったら御同感だろうと思う。でありますから、少くともそれ以上にやってもらえればけっこうでありますが、どんなに少くも同額にしなければ意味をなさない。老齢擁護年金のときには月千円、障害援護年金のときには月千五百円、母子援護年金のときには月千円、そして家族の加算がつくというようなところまで完全に加給をつけていただかなければ、厚生大臣のお考えとわれわれの要望と相反することになる。その額を全額つけていただけるかどうか。私の質問が手ぬるい、全額などけしからぬ、厚みをかける意味で倍額にしろという御答弁をいただければ非常に仕合せだと思いますが、それについて一つ御答弁を願いたい。
○坂田国務大臣 八木委員の仰せの通りでございまして、私の気持としては厚みをつけたいところでございますが、少くとも国民年金というものを全国民に及ぼすというからには、生活保護法の適用を受けておられる方に当然このものが実質的に及ぶということにならなければいけないわけで、私は同額ということで交渉をいたしたいと考えております。
○八木(一男)委員 それについては大蔵大臣、総理大臣にも申し上げますけれども、ほんとうにどうしても通す、それが通らなければ辞表をたたきつけても通す、それくらいの勢いでぜひやっていただきたいと思う。年金についてはいろいろ御苦労になりましたけれども、この一番大事な審議の場に、厚生大臣の立場におられます坂田さんの責任は非常に重大であります。坂田さんはそのことをやられることが、極端にいえば、同僚の滝井義高委員の発言によれば、国民年金をやることが第一の任務である。その国民年金の大体のワクは残念ながら政府の貧弱な案に大体きまってしまった。そこで国民年金をほんとうによくするという焦点はここと、きのう申しました基本年金の方の貨幣価値の変動に応じてやるということを明記する、そういうようなところが一番重点だと思う。そういうことを通すことのために、ほんとうに職をなげうってもやるという御決意を当然持っていただけると思うのです。それを一つ御表明願ってわれわれに安心をさしていただきたいと思う。
○坂田国務大臣 私といたしましては最善の努力をいたしたいという決心でございます。
○八木(一男)委員 それで一番骨子の問題は大体終ったわけですが、その次の柱になる残余の問題について申し上げたいと思いますが、労働大臣はどうなんですか。
○大石委員長代理 今参議院の予算委員会に入っておるそうであります。
○八木(一男)委員 きのうもそうですが、予算委員会に出ておっても、どうしても来てもらいたい。参議院の予算委員会では総理大臣、大蔵大臣、外務大臣が主役であります。労働大臣は端役なはずなんです。もし最低賃金法なんかで質問かあっても、最低賃金法よりこの法案の方が予算に関係がある重大な法案です。予算委員会においてもそういう問題について配慮があってもしかるべきだ。どんなことを言っても労働大臣は出てこない。労働大臣がだめなら総理大臣に出てもらいたい。そういう意味で委員長は強硬に交渉を願いたい。 それで次に無拠出年金の中の老齢援護年金について、少し中くらいの柱について申し上げます。老齢援護年金で、政府の方は配偶者所得制限という特別な条項を設けておられる。これは特別という言葉は当らないかもしらないが、政府案も日本社会党案も、内容は非常に違うけれども、形としては似ておる点がずいぶん多いわけであります。その中で特に違う点の一つとして、配偶者所得制限というものがあるわけであります。これはどうして設けられたか、一つその御意思を伺いたいと思います。
○小山(進)政府委員 配偶者の所得制限を設けました趣旨は、援護年金につきまして、恵まれた条件にある人にはこの際ある程度御遠慮願わなければならない、こういうような事情がありましたので、そういたしますと、夫婦が一体で、夫婦のどちらかに相当な資力があるならば他方には御遠慮願うということがつり合いからいって必要であろう、こういうことで設けられたものでございます。
○八木(一男)委員 そういう理屈はある程度成り立つと思うのですが、ちょっと薄弱ではないかと思うのです。老齢援護年金、国民年金所得保障というものは本人の所得がないことに対する保障です。ですから本人自体の所得がある、十三万の制限、これは妥当であると思います。それだけで、基本的に理屈を言えば、あと一切がっさい本人の所得能力がなければ所得保障の対象になるべき点だと思うのです。ところが無拠出年金の財源が残念ながらちょびっとしかない。そういうことで制限をつけなければならないという具体的な事実に対して、その暮しに対して制限をつけられることはやむを得ないと思います。暮しというものは、日本の現状では世帯を単位に置かれておるわけです。暮しの方の現実的な面を見れば、世帯単位の所得制限である。年金の本来のものでいえば、本人の所得能力で制限をつける。配偶者の所得能力ということは、それは今おっしゃった理屈は、無理やりつければつけられないことはないけれども非常に薄弱だと思う。特に配偶者の扶養義務ということに重点を置いて、そこに理屈の根拠を求めておられるのでしょうけれども、別な観点の、もっと大きな観点から男女同権であるとか、そういうような観点から見ると、非常にこれは薄弱な基礎だと思う。そういうものを排除してやられないと実際上工合が悪いと思う。たとえば配偶者所得制限では、二十万くらいの所得のときに老齢援護年金が入らない。二十万円という所得で入らない。ところが片方、五十万の所得までむすこさんがそういう収入を上げているときでも――五十万と二十万というのは大きな差です、普通の差じゃない。ほんとうにすれすれの食えるか食えないかというところと、ややゆとりがあるというところの差では非常に大きい。年収五十万で、親孝行なむすこさんのお嫁さんに孝養を尽されている人に年金が入る。片方は、これは特に強調するために一つ特徴的な例を申し上げます。奥さんが七十で動けなくて、もう中風かなんかになっている。そのだんなさんが七十二、三になっているけれども、長年連れ添うた奥さんを愛するから、よぼよぼの腰を伸ばしてほんとうに一生懸命働いている。それで二十万収入があった。そういう人の奥さんのところにはこない。本人にこないのはいい。本人にはそれだけの能力があるのですから、よくはないけれども仕方がない。予算全体のワクが少いから……。だけれどもその奥さんにこないということでは、奥さんに対してもあまりにも過酷であるし、またそれを支えているだんなさんにとってもあまりにも過酷であると思う。そういう点で十三万の所得制限をしても、これは本人にこなくてもその奥さんにはくる。だからそっちの方はいいけれども、とにかく配偶者所得制限というのは非常に根拠が薄弱だと思う。こういう三段所得制限というものはおやめになったらいいと思う。それについて厚生大臣どうお考えですか。
○小山(進)政府委員 大臣がお答え申し上げる前に、一応技術的な関係だけを申し上げたいと思います。 先生のおっしゃるように、でき得るならばこの種の所得制限は緩和されていることが非常に望ましいことだと私どもも考えております。ただ何分にも、ある程度世帯についても所得制限というものを導入せざるを得ないという事情にあるということになるといたしますならば、両者の関連から申しまして、たとえば政府案の五十万にいたしましても、おそらく七十以上の両親あるいは片親を扶養しているむすこには妻もあり子供もある、こういうようなことになるわけでございますので、それとの関係を考えますと、配偶者に二十万程度の所得がある。もしその七十以上の配偶者にさらにめんどうを見なければならぬ扶養親族がおりますならば、これは申すまでもなく税法の上で扶養控除をされますから、二十万という金額はそれに応じてさらに二十五万になりあるいは三十万というふうにふえていく、こういうような関係になりますので、 〔大石委員長代理退席、委員長着席〕 全体を通じて決して楽な所得制限だとは私ども申し上げかねるのでございますが、やるとすれば両者のつり合いから見て、そのあたりは夫婦一体でごしんぼう願うより仕方があるまい、かように考えてあのようにとりまとめをしたわけでございます。
○八木(一男)委員 厚生大臣の御答弁の前に、今ちょっと例にあげられましたことを伺います。夫婦の家庭で一人所得があって、奥さんだけ養っておるというときの扶養控除、これは二十万の世帯だったら幾らくらいになりますか。 〔委員長退席、田中(正)委員長代理着席〕
○小山(進)政府委員 現在の税法によりますと、老人には老齢者控除というのがございますので、七十以上の人を考えますとそれがあります。税額で五千円でございますが、これを所得に直しますと、年間所得で大体五万円程度になります。それから現在国会で御審議を願っておりまする所得税法の改正法案によりますと、第一人目の扶養親族の所得控除が七万になるはずだと思います。そういたしますと、基礎額として九万円に七万円と五万円が加わりますので、大体十九万円程度の所得を下回れば、奥さん一人であればかからない。それをこえますと、奥さんの一人ならば該当する。それにさらに孫を養っておりますとかあるいはその他の人を養っておるということになりますれば、さらに親族の扶養控除がかかって参りますので、この金額は二十三、四万あるいは七、八方というふうにふえるわけでございます。
○八木(一男)委員 小山さん、非常にうまい言い回しですけれども、誤解のないような御答弁を願いたいと思う。誤解のあるような答弁があったら、めんどうくさいけれども追及しなければならない。私は二十万ということは考慮に入れているわけです。おじいさんがおばあさんを養っているときに、十九万、二十万くらいだったら年金はもらえないということを最初に申し上げているわけです。その二十万に何も説明を加えないで、そのほかに控除があるから二十万になり三十万になる、そういうあやふやな話をして政府案を不当に擁護するようなことはしないでほしい。そういうことを言われますと審議に十倍くらい時間がかかる。一々突っ込まなければならない。私どもは無知で聞いているのではない。知って聞いているのです。二十万なら二十万で、すなおにそのことだけについて御答弁願いたい。二十万で夫婦一体だからこれでがまんしてもらうように考えた、そういうふうに率直に御答弁願いたい。尾ひれをつけられるとこっちも尾ひれをつけて聞かなければならない。めんどうくさいです。そういう点で、夫婦一体のときは二十万の人は結局もらえない。五十万の世帯の老人は子供に養われたらもらえるということになる。 ところでいろいろ言われましたけれども、五十万の世帯は扶養家族が多いかもしれないと言われるが、これは一つの例です。ところが二十万の人がそれをもらったところで一万二千円でしょう。二十一万二千円にしかならない。五十万から引いてごらんなさい。三十万近くになる。また扶養家族が何十人もいる人なんかない。だから、そういうような扶養家族が実際の生計費が要るということでなしに、援護年金額くらいしか政府が援助しないという立場をとれば、たとい五人、六人の子供があったって六万円の部分にしか当らない。そういう要素を取り去っても、四十四万の人がもらえて二十万円の人はもらえない、同じ人で比較してみても……。だから小山さんのさっきの基本的な御説明は、そういう立場がかすかにあろうと思いますけれども、とにかく片方の人がもらえても二十一万二千円にしかならない。二十万円の人はもらえることになっても二十一万二千円。ずっと下の方をとれば……。だから少しもおかしいことはない。もらえるようにしなければバランスを失しておる。夫婦一体という理屈を言われるけれども、年金のほんとうの主眼は、本人の所得能力のない者に年金給付をやるというのが主眼です。もう一つ、現実的に無拠出年金の財源が少いから、それを制限しなければならないということは、現在の生活状態ということから推して考えらるべきである。そうなれば生活状態は、御亭主に養われてもむすこさんに養われても、生活という問題は同じだ。この配偶者所得制限というものはまことに根拠薄弱だ。ただ予算三百億の少いワクで、年間、ことしは百億という少いワクに何とかぎゅうづめに詰めようということで、何でもいいから何か理屈をつけて減らそうということでお考えになったとしか考えられない。小山さんは夫婦一体ということを強調されるかもしれません。扶養の義務は配偶者が一番多いということを強調されるかもしれません。しかしそういうようなことでなしに、年金制度として考えた場合にはどう考えても少い予算にぎゅうづめに詰めるために何かそれの理由を考えているとしか理解できない。これは小山さんも御納得になると思う。そういうようなことで坂田厚生大臣に、この配偶者所得制限というものは非常に意味のないものだ。それで、当面その境目のちょっとしかもらえない人にとっては、非常にほかに対応して過酷なものだ。そういうものであるということは坂田厚生大臣も御同感であろうかと思う。これか排除される御努力をなさるかどうか、これを一つ御答弁を願いたいと思う。
○坂田国務大臣 何を申しましても、国民年金制度という新しい、しかも相当画期的な所得保障の法案を出したわけでございまして、そのために相当な財政というものが支出されるわけでございますが、そこで理想的に申し上げまして望ましいという観点から考えるならば、やはり八木委員が御指摘になりましたように、このような所得制限というものはないに越したことはないと思うのです。でございまするけれども、御承知のようなことできまりまして、そこにやはり多少所得のある方々と、そうでなくてほんとうに所得のない方々というものを比較いたしました場合に、どうしても仰せの通りに厚みを加えていくという操作をやります以上は、ある程度の所得があられる方々に対しては御遠慮を願うということが、昨日から八木委員が御指摘になりましたような厚みをかける一つの思いやりではないかということで、このようになったわけでございます。その五十万の所得の場合と夫婦の場合におきます二十万というものとは、アンバランスではないかというお尋ねでございますが、この点は小山審議官からお答えを申し上げました通りでありまして、実質上はさほどアンバランスではないというふうに私は聞いております。しかしながら冒頭に申し述べました通りに、理想的な形から言うならば、かような所得制限というものはないに越したことはないのではないかという気持は持っております。
○小山(進)政府委員 先ほど申し上げました数字が誤まり申し上げましたので、訂正をさしていただきたいと思います。現在の所得税法をもとにいたしますれば、配遇者の所得制限は十九万円でございます。現在国会で御審議願っておりまする所得税法の改正があの通り行われますならば三十一万という線になります。この点大へん恐縮いたしております。
○八木(一男)委員 今の点について今後最大の御努力を一つお願いしたいと思います。 それから次に七十才開始の問題でありまするが、これは根本的に御検討をし、変えていただかなければならないと思うのです。開始の年令が七十才ではあまりにおそいと思うのです。むしろこれは昨日申しました賦課方式を取り入れるなり、あるいはもっと政府が思い切って一般財源からほうり込むなりしてふやしていただかなければなりませんけれども、とにかく七十才開始では実効がないと思う。それについてどう思われますか。
○坂田国務大臣 確かにこれはわれわれが望ましい、あるいは理想的なことを申し上げまするならば、もう少し年令を引き下げるということが当然だとは思いまするけれども、やはりこれもただいまの段階といたしましては七十才からということで始まるわけでございます。しかしながらその七十才からやりましても、私は七十才以上の方々というものには相当に喜んでいただけるものだと確信をいたしております。 〔田中(正)委員長代理退席、委員長着席〕
○八木(一男)委員 一通りの御答弁でございますが、七十才というのは、たとえば都会で坂出先生なり小山君なり、それから佐藤さんなり岸さんが考えると、七十でもらえる人がずいぶんあるように思うのです。いい生活をしてこられた方は七十でも七十二才でもぴんぴんしておられます。あと十年も生きられるという人が、東京あたりには皆さんの回りにたくさんおられるわけです。裕福な階級のおつき合いの中にはたくさんおられるわけですが、農家にお入りになったら、六十七、八才になったらほんとうに廃人になるくらいの、老いさらばえて死を待つというような老人が多いわけです。そういう所得の少い、労働の激しい家庭ではもう六十五才になったら完全に年寄りだ。七十才まで生きる人は少いということですね。そういう貧しい階層の所得保障が一番必要なんです。そういう貧しい、必要な階層は、ほんとうにいい生活をしていければもっと長生きができるのを、自分で激しい労働のために、苦しい生活のために命をすり減らした人なんです。その人がただ形式上の年令という制限だけで――仕合せに暮らした人が七十人で国家のただの無拠出年金を、しかも相当のいい生活をしておられる人がもらえる。ところが六十六、六十七くらいで、貧困の生活で苦闘している人が一歩手前で、六十九で来年もらえるなあと思いながら死んでしまうということになるわけです。ですからほかの制限が強化されても、もう少し下げる必要があると思う。私は六十から必要だと思うのです。それをやるためにはもっと金を出さなければなりません。金は、政府としては、大蔵省が非常に無理解でなかなかむずかしい点もあるでしょう。しかしそこにやはりもっと考えようがあると思う。七十と切らなくともいい。制度審議会のあんな答申の例などはとっていただきたくないのです。ほんとうの坂田さんのお考えでお答えを願いたいと思うのですけれども、農村に行ったら、六十八くらいになったらほんとうに所得能力がないだけじゃなしに、もう何もできないというような老人がいるわけです。この案ではそういう人が一つももらえないで死んでいくわけです。ですから七十というような形式的なところでなしに、六十五に下げるとか、そういう配慮がしかるべきだと思う。所得で制限するというのが今論議の対象にずいぶんなっておる。しかしそれ以上に老齢に関しては年令制限というものが実際上非常に大きな影響があるということをぜひお考えをいただきたいと思うのです。たとえば六十九で死んだ人にとっては、社会党の案ではすでに十年間もらえるわけです。しかも六十五から倍額になっているわけです。十年もらえるのと、それから一つももらえないのとでは――われわれこれは宣伝いたしません。宣伝して政府の票が減ることがわれわれの目標ではない。ほんとうに国民生活がよくなることが目的なんです。ですから、少くともこれを下げていただきたい。それから坂田さん、七十をこえても、七十一か二になっても政府案では一年か二年しかもらえない。年金をもらっても、もうそれでお寺参りに行く元気がないということで、使わないまま死んでしまうという人がいるわけです。その人が六十五からもらえれば七年間もらえて、せめて老後を、ごくわずかですけれども楽しんでいただける一助になるのです。そういうことで年令ということをもっと重視して考えていただきたい。所得の、たとえば五十万の所得の方は――この方にもわれわれは幾らでも差し上げたいのですけれども、金額が制限されているものなら、所得の非常に少い、六十八くらいでもう命の終ろうとしておる老人に上げる方が実質的に大事なわけです。そういうことで七十才開始というのは再検討して、少くとも六十五才くらいに――無拠出ですから六十からが理想でありますけれども、政府の今の立場では六十からは無理でしょう。六十五くらいになら下げられる。そのためにはほかを少しくらい組みかえられても仕方がありません、組みかえない方がいいでありましょうけれども。とにかくこれを六十五に下げて、その金は出すというくらいの考え方で進まれていただかなければ困ると思う。それについての御意見をお伺いしたい。
○坂田国務大臣 ただいまの八木委員の御指摘の点は、確かに望ましい形といたしましては六十五才程度に下げたならばいいと私も思います。しかしながら現段階といたしましては七十才にいたしたようなわけでございます。また社会保障制度審議会の答申も実は七十才になっておるわけでございますことは八木委員も御承知の通りであります。八木委員も農村のことを御承知であると思いますけれども、私も農村出身で承知をいたしております。比較的年寄りになるのが早いということも私は承知いたしております。しかしながらまた一面において、農村においても非常に達者な人もまれにはございます。確かに米麦をあまりに中心にとる、あるいは、やはり最近営養のとり方というものが、牛乳とか、あるいは肉食というふうに転換いたして参りつつある都市地域を考えました場合に、私はやはり老人化するということは、むしろ農村の方に多いのではなかろうかと考えます。しかしながら、やはりこの年令の開始ということは年金制度としましては一番重大な問題でございまして、この年令を五才早めるということは、相当に実は財政の膨張を来たすわけでございますので、この点につきましては七十才といたしたわけでございます。
○八木(一男)委員 その御趣旨はよくわかりましたけれども、非常に不満足であります。五才の例をとりまして、これは私が申し上げたから五才という例をとられたと思いますが、政府でも、日本じゅう、われわれでも少しありますが、形式主義があるのです。七十才でなければ六十五才、六十五でなければ六十、七十でなければ七十五というように、十とか五とかいう数で区切りたがる癖がある。それで、大ぜいの人がそういう形式主義のために、受けらるべき恩典が受けられないということがある。政府が即時この六十五ができなければ、六十七でもいいのです。六十八でもいいのですよ。それだけ政府案の欠陥が少しでも埋まるわけなんです。今の内閣の情勢ではどうしてもできないというなら、六十七を考えたって、六十八を考えたっていいのです。それでそういう境目が救われるわけです。そういうことで、形式的に流れないで、また一つ努力をしていただいて、少くとも来年あたりには、非常に努力が実を組んだら、六十三から開始してもけっこうです。六十四から開始しても、六十六からでも六十七からでも、少ければ六十八からでも開始した方がいい。そういうことで、一年でも努力して下げる、――まあ六十七では因ります。少くとも、もっとたくさん下げてもらわなければいけない。それを、ことし不可能であっても、来年あたりにそういうことを直すというような努力を、ぜひとも最大限の努力をしていただきたいと思う。それについて、一つ御決心を伺わしていただきたい。
○坂田国務大臣 私どもといたしましては、年金を始めました以上は、日々進歩していきますこの社会の変化というものにも応じていかなければなりませんので、私も、もし許されて在任をいたしまするならば、その間は、少くとも毎日努力をいたしまして、年金をりっぱなものに仕上げていきたいというふうに考えております。
○八木(一男)委員 次に無拠出年金全体の問題でございまするが、社会党案は御承知のように、二段階に段階をとっております。ほんとうからいえば、限られた財源で厚みをかけるということであれば、段階をできるだけたくさん設けた方がそういう目的に沿うわけです。しかし、事務ということも全然無視することはできません。できませんけれども、一段階では、あまりにその段階の境目がほかのものに比して――それも非常に必要なんですけれども、ほかのものに比してちょっと有利になり、それから、がくんといったところは非常に不利になるというようなところがある。それから、並べられたら、もっと厚い保護を加えなければならない所得が少い人にとっては、一律であっては厚みがかからない。事務的にめんどうだということでなしに、少くともわれわれの案の二段階案――これでも少し不十分だと思います。われわれの事務能力の手薄のために二段階しか作れませんでしたけれども、政府はりっぱな事務陣を持っておられるのですから、これは何段階でも、作ろうと思えば作れる。今の一段階ということをもっとどんどん発展されるわけですが、その発展の過程において、二段階なり三段階なり、そういうことを研究して進めていかれる御意思があるかないか、一つ伺わしていただきたいと思います。
○坂田国務大臣 十分研究をいたして参りたいと思っております。
○八木(一男)委員 それでは母子年金のことで、ちょっと伺わしていただきます。母子年金につきまして、政府の案では十三万の所得まで出るということになっていると思います。小山さんでけっこうですから、一つ……。
○小山(進)政府委員 これは母子年金に限らず、障害年金の場合も、老齢年金の場合も、本人の所得が十三万円、ただし子供を扶養しています場合は一人について一万五千円増と、かようにいたしております。
○八木(一男)委員 子供を扶養している母子家庭で、子供一人母親一人の場合に、十三万円プラス一万五千円で、十四万五千円になるわけですか。厚生大臣に伺います。そういう加算は今はっきりいたしましたが、とにかく十三万円が基準であるということではこれは非常に過酷ではないかと思うのです。この点については、うちの方の案もそんなにいばれた内容じゃないかもしれません。これは私、八田さんにしかられたらあやまるつもりでございますけれども、そんなによくはないかもしれないけれども、少くとも政府案よりもいいわけです。私どもの案は十八万円が基準になって、七千二百円という多子加算がつきます。ですから三人子供があるときには、そういうものがふえますから、結局二十万円近くのものもできる。もう少し子供が多くなったら、二十万円以上の場合も母子年金がつくということになっています。政府の母子援護年金は、十三万円の所得に子供があった場合に十四万、十五万になりますけれども、この所得制限は老齢年金との対比において、きびしいと思います。それについてどうお考えですか。
○坂田国務大臣 この点についても、率直に申し上げまして、私どもといたしましては均等割所得というものの制限は初めは考えておらなかったわけでございます。これも実は私就任いたしましたとき、すでにきめられてしまっておりましたので、いたし方なかったわけでございますが、しかしながらそれでも十三万円にいたしましても、ただ老人の方だけで十三万円をもらえる場合は、悪いにしましてもまだいいと考えるのでございますが、もしそういうような方が子供を扶養しておるというような場合においては、なおさら悪いということで、実は子供一人について一万五千円、二人の場合は一万五千円ずつまた加算を加えるということで、実質的にもし三名の子供を扶養されておる老人の方には十七万五千円まではいいと、こういうような配慮を実はいたしたわけであります。決してこれが望ましい形だとは思っておりませんが、このような決定に至ったわけでございます。
○八木(一男)委員 その点は今後改善を進めていかれることとして、それでけっこうでありますが、母子年金額は月一千円が基準だ、加給がごく少いものだ、ということはあまりに少いと思うのです。それについても一つ伺っておきます。
○小山(進)政府委員 これは先ほど来繰り返して申し上げておりますように、決してこの額が適当だという考えできめたものではございません。考え方を申せば、むしろ少いということを前提にしてきめてある額でございます。財政上の事情その他もあるので十分な額は出せない、このような考え方は社会保障制度審議会におきましても出ておった考え方でございまして、むしろ、考え方としてはこの二倍くらいな金額を頭に置きまして、これは全額が国庫負担でもあるし、この際そういう多額の国費の支出はできかねるということで、審議会においてもその半分の千円もしくは千五百円と、かようにきめたわけでございます。そういうような事情がございましたので、政府案におきましても、それをそのまま取り入れて、精一ぱいの奮発をしたという次第でございます。
○八木(一男)委員 制度審議会のことはもうおっしゃらずに、私よく存じておりますから、おっしゃると文句を言わなければならないのです。千円または千五百円ということを千円に下げられた。審議会のときには、所得制限ということはあまり言っていないわけです。だから、審議会のあの貧弱な答申でも、あの答申通り出せば、もっとたくさんの金額を出さなければならない。そこを今の気の毒な人に厚みをかけるという政策をとれば、少くとも年収十二万円未満とか十三万円未満の人には、もっと二千円や何かのことができるわけです。審議会のあのか弱い答申通りにやられても、もっと金額を出さなければならない。その配分を、審議会の研究不足の点を変えられるのはけっこうです。厚みをかけて変えられれば、下の方に二千円や三千円はできたのです。それを形式的に、あれは所得制限をしてないので、そこを抜かして審議会が出した千円、千五百円という貧弱な答申を無理やりに引き出してきて、それとつじつまを合せようというのは困るわけです。審議会の答申に書いてある金額はもっと多いはずです。ですから、そういうことは何回も繰り返しておりますからもう申し上げませんけれども、坂田さん、結局母子年金の額をふやす、それからもう一つさっき言われたように段階を、額を徹底的にふやしていただいて、全部の母子家庭に十分なものが回るようになれば、これはかまいませんけれども、それが限界があるならば段階を慎重に考えられて、下の方に厚みがかかって、一番気の毒な母子家庭が月千円でほっておかれるというような、そういう貧弱な底抜けな援護年金の制度ではないように、そういうふうにしていただきたい。ところで、そこでももっと金にあまり関係なしに、こまかい配慮ができると思う。というのは、社会党案は十分御承知だし、審議会の論議にも入りましたが、お母さんが子供を養う場合よりも、おばあさんやねえさんが孫なり弟妹を養う場合の方が気の毒だ、そういうことがあったわけです。これは母子家庭よりも気の毒なので、当然適用がなければいないと思うのです。もし運用でされる用意があればけっこうですけれども、そういうことが御用意がなければ法案をちゃんと直して、そういうものも入るようにしていただく必要があると思う。それについて厚生大臣なり小山さんなりから伺いたい。
○小山(進)政府委員 ただいまお話がありましたおばあさんとかあるいは姉とかが、孫とかあるいは子供を扶養しているいわゆる準母子世帯といわれているものでございますが、この種のものについても考えるべきだという御議論は、これは有力な御議論でございまして、今までもずいぶん出ておったのでございます。ただ何分にも制度の立て方が、まず拠出年金制度を考えて、それとの均衡から無拠出の年金を経過的に組み立てていく、かような仕組みにいたしましたので、拠出年金の場合に支給範囲に入ってこないようなところまで無拠出の場合に広げるということが制度の性質としてなかなかつきかねる、かような事情があり、またいろいろ実務上の取扱いを考えますと、そういうふうに範囲を広げることと比例して、非常に事務上の手数が多くかかる。手数が多くかかるということは、言いかえますと正確に間違いなく、相手の納得のいくようにやろうとすれば予想以上に多額の事務費なり人間を要する、かようなことになりますので、今回のように整理をしたという事情でございます。
○八木(一男)委員 それでは実際上にはやられないということですね。
○小山(進)政府委員 この法案ではやらないということになっております。
○八木(一男)委員 厚生大臣に伺いますが、それでいいとお思いですか。
○坂田国務大臣 望ましいという観点から言うならば、望ましくないわけでございますけれども、現段階における法案にはそれを入れなかったわけでございます。
○八木(一男)委員 それも即刻変えていただかなければならない点だと思います。与党に折衝されて、それだけ現法案を変えるようにしていただきたいと思う。拠出制との関係と言われましたけれども、それだったら拠出制もやったらいいわけです。いろいろな関係と言われるけれども、関係を直されたらいいわけです。どう考えたってお母さんが子供を養うよりも、お父さんやお母さんが両方死んでしまってさびしい子供や、あるいは働き手のむすこや嫁が死んでしまったおばあさんが孫を育てている場合の方がはるかに気の毒なわけです。はるかに所得保障の必要があるわけです。十七くらいのお姉さんが八つや三つや五つくらいの弟妹を一生懸命働いて育てている場合には必要だ。そんなものをはずしている母子年金なんてあったものじゃない。運用で当然やるというような御答弁があるかと思って、最初は遠慮がちに聞いておったが、そういうものでやらないのだったら、法律を変えてもらわなければいけません。年金法を全部その点について変えられる必要があると思います。それを変える御意思を一つ表明していただきたいと思います。
○坂田国務大臣 ただいまは残念ながらこの程度にお願いをいたしたいというふうに考えますけれども、それらの点については私どもといたしましても今後十分研究をいたし、検討をいたしたいというふうに考えております。
○八木(一男)委員 今後というのでなしに――ほんとうに政治が貧困ですよ。一番気の毒な人には何もしないという法律ではいけないのです。そういうことも必要だということは坂田さんも小山さんもわかっているはずなのです。こんな頭のいい人がわからないはずはない。わからなかったらばかか気違いです。いいことがわかっている。わかっていることを直せないのは、金の問題は幾分あるけれども、大部分は法律を直す問題なのです。出してしまった法律を出し直すのは格好が悪いというあなた方の面子の問題なのです。あなた方の面子の問題で一番気の毒な人がほんとうに苦しい生活をして、あるいは心中をしてしまうというようなことになったら、極端にいえばあなた方の怠慢のために人が死ぬということが起る。そんなことは直されるのが当りまえです。国民のために面子は捨てて下さい。もう一回それについての御意見を……。
○坂田国務大臣 かわいそうな方々に対して努力をするということでは私は人後に落ちないつもりでございます。従って面子なんかは私は国民の幸福のためには考えません。しかしながら私どもの方で研究をし検討をするという御答弁を申し上げておるわけでございまするから、御了承を願いたいと思います。
○八木(一男)委員 研究をし検討をされることはいいです。研究をし検討されることで時間が延びてしまったら、この法案が成立するまでにそれが実現されなかったら、それだけ救われない人は救われないわけです。政治の責任を持っている人はそういうことに対しては遷延しない義務がある。時間をぼやぼやして、国民が苦労をするのをほったらかしてはいけないのです。今まで年金法案にいろいろな部分があります。われわれもした経験もあるけれども、相当論議がありますから、穴があっても、あなた方は非常にとんちんかんなことをやったと、その点については申し上げることはいたしません。だれだって一生懸命やったって一つくらい穴がある。けれども穴があってそれが悪いということがわかったら、即刻一両日の間にでも野田君なり岸さんなりに相談してそれを変えるということをされなければならない。手続上出して入れるのがめんどうくさかったら、与党の方と御相談になって、与党側でそういう修正案を出されたらいい。そのくらいのことはされるべきだと思う。そういう御努力を即刻なさるかどうか。
○坂田国務大臣 八木さんのおっしゃることももっともな点も非常に多いと思いますので、十分ありがたく御意見を拝聴いたしまして今後努力をいたしたいと思います。
○八木(一男)委員 この審議中にその結論が出るように強く要望しておきます。審議中に結論が出なかったら、ほかの委員も私も今のようなことを大声でどなり散らして国民に訴えますから……。 その次に、障害援護年金のことですが、そこの中のポイントだけ申します。障害援護年金が一級しかないということは非常に過酷であると思うのです。二級の障害はほかの母子世帯や老人と対比して見ますると、当然それと同等あるいはそれ以上に所得保障はしなければならない。基本年金の方の関係と、さっき小山さんはほかのことで言われたが、基本年金は二級までされることになっている。そうなったら無拠出の方も、障害援護年金の方も二級まで適用されてしかるべきだ。それをなぜされなかったか。それはすぐ変えていただきたいと思うのです。それについて……。
○小山(進)政府委員 先ほど来申し上げておりますように、援護年金は、年金として見れば非常に不十分なものだということは、先生おっしゃる通りわれわれ十分考えている点でございます。この点は先ほどおっしゃった老齢年金につきまして七十才とする問題につきましても、また先生は当然のこととしてお触れにはなりませんでしたけれども、母子援護年金において扶養すべき子供の年令を十六才としております点についてもあるわけでございまして、望ましい年金制度の姿としては、やはりこれはどちらも六十五才なりあるいは十八才程度まで引き上げていくということが望ましいわけでございます。その意味におきまして障害年金につきましても、できるならばやはり年金制度らしい年金制度として二級程度くらいまで入れていきたい、かような考えはあるわけでございますが、これも先ほど来援護年金全体について繰り返して申しましたように、少くとも現段階においてはある程度即時実施可能ということを考えなければなりませんので、この程度でごしんぼう願いたい。これもまた申し上げると大へんおしかりを受けるかと存じますが、制度審議会もそういう事情を考えまして一級にしておるということであります。
○八木(一男)委員 障害援護年金と母子年金についてまことに金額が少いし、それから対象の範囲が少いということは、とにかくもう口をきわめて言ってもいいくらいです。それで政府の無拠出制度である援護年金が、この点でほんとうにさかさまになってくるということが言えると思います。これにつきましては、さっき小山さんがお触れになったようなことは、先輩である堤先生が十分お触れになると思いますからそれくらいにしておきまして、ただ問題になりました点ですが、障害援護年金の中で内科障害の点です。内科障害は一級の障害であっても支払わないということになっているわけです。一級という以上は、これは手足の障害あるいは目の障害というような、そういうところから見ての障害と同じ程度に所得能力がなくて、肉体的に不自由をされて生活に困っておる。その同じ程度のものを内科障害だから入れないということは非常に間違った考え方だと思います。これはもう小山さんの御答弁を必要といたしません。坂田さんに一つ伺いたいと思います。
○坂田国務大臣 これも実を申し上げますと、財政が許しますならばやはり内部障害等も入れなければならないのかとも思ったわけでございますけれども、このようなわけで実は内部障害を入れなかったわけでございます。しかし一面その理由もございますけれども、内部障害と一口に申しますけれども、その把握というものはなかなか困難である。それを固定化するというものだけを取り上げましても非常にむずかしいのではないか。もちろん厚生年金等にはこれをやっておられるように承わっておりますけれども、やはりそういうようないろいろのことから考えまして、内部障害は今度の案には入っておりません。しかしながら今後やはり十年後あるいは十五年後にいきまして年金財政がよくなり、あるいは日本の経済というものが非常にスムーズな発展を遂げて参ります過程におきまして、これらのことを取り上げるような段階がきまするならば、われわれといたしましてもこれを取り上げていきたいというふうに考えておるようなわけでございます。
○八木(一男)委員 厚生大臣、財政の関係ということを言われましたけれども、一級の障害というのは各方面で同じだけの所得能力がない、所得保障をする必要があるということになる。手足の障害であっても内科障害であっても、必要度は同じです。政府の貧弱な案、まことに貧弱な案ですけれども、一級障害には千五百円の所得保障をしなければならないという態度なんです。それを一方養老年金は、そのバランスは失しておりますけれども、政府案の内容でも千両です。だから養老年金よりもほんとうは所得保障する必要があるということが政府案でも明らかに立証されているわけです。それなのに一級の内科障害には所得保障はしない。これは財源の問題だけでは、政府案の内容でも説明がつかない問題だろうと思う。それについて小山さんではなしに坂田さんの御答弁を求めます。
○坂田国務大臣 まあその点は八木先生のおっしゃることも私もわからぬわけでございません。しかしながら今日のこの法案としてはそれを入れなかったわけでございます。
○八木(一男)委員 この法案だけでは入れなかったと言われるけれども、政府案が貧弱でバランスを失している。政府案としてのバランスを失したら、政府案というものは恥かしいと思うんですよ。今どうしたってバランスを失していますよ。それも財源の問題ではない。これは小山さんの御答弁を勝手にこっちから言いますと、結局内科障害というものはよくわからぬ。それがあとになおることもあるが、固定した状態でなかなかなおらぬこともあって、わからぬじゃないか。だから内科障害をはずすということなんです、小山さんの答弁は。違ったらあれですけれども――違うようですから、それではおっしゃって下さい。
○小山(進)政府委員 やっと問題の焦点を明らかにする機会をお与えいただきましたが、私どもとしては八木先生のお考えは十分あり得る考え方だと思っております。望ましい姿としては内科的疾患も含めまして障害の程度に応じてそれぞれ年金を出していく、かような考え方が将来の姿としては当然頭に置かるべき考え方だ、この点では八木先生と全く同じに考えているわけでございます。ただ八木先生なりあるいは――この点おそらく八木先生はそうじゃないかと思いますが、社会保障制度審議会の人々と私どもの考えと違いますのは、今までの障害年金というのは、とにかく疾病にかかっている間は医療だけをする、そこでけりがついたあとで初めて障害年金というものに移すのだ、これが社会保険における伝統的な考え方であったわけでございます。このことは外科的な疾患についてはもうその通りでございまして、何らの支障を生じないわけでございますが、最近のように精神的な疾患とかあるいは結核というような疾患が非常に大きい比重を占めて参りますと、こういう疾病につきましては症状が固定する、固定しないというだけでは問題を処理することが適当でない。病状によりましては固定はしない。従って医療は加えていく必要はあるけれども、同時に疾病としては現在の医学水準から見るならば、もうこれ以上よくならぬ。その意味において労働能力なりあるいは生活能力の喪失ということが、ある期間をもっては相当確実に医学的に言い得るというようなものが非常に出て参ったわけでございます。そうしますと、そういう場合についてたまたまその症状が固定したとか固定しないとかいうことで精神疾患とかあるいは結核性の疾患に臨みますことは当を失することになるわけでございまして、この考え方は現在の厚生年金保険法でもそうでございますし、それから先生方の案でもそうでございますが、症状の固定する、固定しないを問わないで、精神疾患と結核性の疾患についてはもっぱら症状の重さというものをもとにして障害年金をきめていく。そうして病状に変化が生じたならばそれに応じて等級の改訂をしていく、かようにしておる事情であるわけでございます。私どももそういうふうにすべきだと、またしたいという考え方を持っておるわけでございます。ところがそういうふうに考えますと、何と言いましても被用者保険の場合でありますならば、前段に医療保障の態勢が整備しておりますから結びつきがうまく参りますけれども、今度の国民年金の場合には前段の医療保障の態勢とか、あるいはいろいろな技術的手段が十分に整っていない。加えて、精神疾患なりあるいは結核疾患を入れることによりまして、障害年金の利用は非常にふえて参ります。またふえるのが当りまえでございます。それだけ多いのでありますから。従ってこの問題は現在の段階で、小手先で、症状が固定した、固定しないということだけで扱う問題ではない。やはり当然いつかは解決しなくちゃならぬ。解決する場合にはやはりそういう内科的疾患の特性に応じた妥当な解決をしたいし、またすべきものだ、かような意味合いにおきまして、大臣は非常に安全性を見て十年なんということを申されましたが、私どもの気持では、これは次の五年目の料率計算のときまでには何か姿のついた段階に進みたいし、進むべきものだ、かように考えているわけでございますので、一つ時間の御猶予をぜひともお願いしたいのでございます。
○八木(一男)委員 今社会党案なり厚生年金保険のことを言われましたが、私どもはそれが一番正しい方向だと考えます。手続がめんどくさいから、調査がめんどくさいからということだけでは、所得能力が減っておればその所得に応じて、回復したら減らしてもいい、あるいは完全に減らしてもいいということになればなくしたらいい。これがほんとうの政治のやり方だと思う。社会党案は野党の案だとおっしゃいますが、厚生年金保険は現にやっております。現にやっていることはやらなければいけないと思う。どうしてやらないのです。
○小山(進)政府委員 実はただいまそれをやることが非常にむずかしいという事情を申し上げたつもりだったのですが、言葉が足りませんでした。たとえば現在の被用者保険でありますと、採用の際に少くとも精神的疾患がはっきり現われているようなものが入ってくることはございません。従って精神疾患が現われたか現われないかということの判定の時期その他はきわめて自動的にうまくいくような仕組みになっているわけでございます。結核についても同様な傾向があるわけでございます。これは精神疾患ほどはっきりしておりません。そういう意味合いにおきまして、発病の時期その他についての判定がきわめて間違いなくいきやすい自然の条件を持っておる。ところが国民年金のような場合におきましては前段にそういうふうな段階がございませんので、一体いつ発病したかというような時期のとらえ方等につきましては、一時点なり短かい間隔をとったのでは何とも押えようがない。どうしてもこれはその前段階といたしまして、ある程度の期間、しかるべき段階において医療を施していく。最新の技術に従った医療をいろいろやってみて――現在の医療技術では労働能力の喪失なり障害の残存ということは固定したものと見なくちゃいかぬ、症状としては固定しなくても、障害の残っている点については固定したものと見なくちゃいかぬという前段の扱いができるようになっていないと、軌道に乗ってきにくいわけでございます。そういう意味合いにおきまして、三十六年までに国民皆保険が完成して動き出しますならば、だいぶそういう条件が整ってくる。そこを見はからって直ちに次の五年目の料率改定の検討等の場合においては、この問題をあわせて解決していくようにいたしたい、こういうわけでございます。
○八木(一男)委員 今、専門的な、非常にもっともらしいお話をされましたけれども、いつ発病したということよりは、結局それがもう回復不能になるかどうかということが焦点であるわけです。非常に専門的なので間違って理解されるおそれがあると思いますが、焦点は、それが回復不能であるかどうかということで所得保障の対象になるかどうかということになる。医療保障との関係は、労働者の方であれば傷病手当金、あるときには所得保障が幾分ありますけれども、これは労働者年金ではありませんから関係はないし、それから労働者年金を包含したときも、それはある期間の問題です。片方は傷病手当金を永久にくれるわけではない。ですから結局、いろんなことをごちゃごちゃおっしゃるけれども、やらないという腹でごちゃごちゃおっしゃっておる。固定したらできるわけです。精神病は三年経過しなければなおるものかなおらないものかわからないということならば、少くとも三年たったら内科障害であるということは固定できるわけです。一年であれば一年後――一年の間は内科障害かどうかわからないからやれないが、一年たって調べた結果、それに該当するものはやれるという規定は明らかにできるわけです。そうでなくても厚生年金保険法のような実態に合ったことはできるわけであります。そういうことをやろうという気がないわけです。僕は医者じゃないからごまかそう――ここで医者の人が不規則発言をしてペースを乱そうとしておるけれども、医者でなくても知っておることは知っておるのですよ。医者だけが知っておるわけではない。結核の問題を言われたけれども、結核の中で明らかに回復不能のものがたくさんあるわけであります、たとえば結核が今なおるときに、肺切除というものが行われておる、肺切除して肺機能がなくなる、四分の三なくなったならば、男の成年の場合に肺活量四千の者は千になってしまう。四分の三なくなったあと病巣があったらもっと少くなる、成人男子だったら、肺活量が八百なかったら死んでしまう。肺炎にかかったら、肺炎がなおらない前にオーレオマイシンで首絞めのような格好になって死んでしまうわけであります。ですから絶対に歩くことも働くこともできない、そういうことは医学的にはっきりわかっておる。はっきり分っておる者まで排除しようとなさる。技術的に分らないもので、わからないものを排除するというなら、それも承知はできないけれども、ある程度がまんしないでもない。ところがそれをごちゃまぜにして、分り切っておる者も排除しよう、そういうことではほんとうに障害年金をやろうという気がないということです。肺活量八百の人であったら一日静かに寝ておらなければ死んでしまう。そんな者は死んでしまえというお気持か知らないけれども、生きておる者は生きたいという願望があり、生きる権利があるのです。生きるためには所得保障が必要なわけであります。足の点は非常に気の毒ですけれども、片足の人よりも、ちょっと動いてかぜを引いて死ぬ人の方がもっと重大な問題です。そういうことをあなた方厚生省にいたらわからないはずはない。御用学者のお医者が、いろいろ検討がむずかしいということはあります。そういうむずかしい部分は残念ながら専門家じゃないからわれわれは対抗した議論はできない。しかし明らかにむずかしくない部分がある。精神病にしろ白血病にしろ、肺の機能が少い者にしろ、あるわけなんです。それをわからないということと、一部わからないということをごちゃまぜにしてやる、そんな社会保障というものはない。内科障害を入れるようにしなければならないと思うが、お入れになるかどうか、坂田厚生大臣に伺いたい。
○坂田国務大臣 先ほどから御答弁申し上げておりますように、その点はアンバランスのないようにしなければなりませんし、ただいま八木委員もお話になりましたように、すでにはっきりしておるものだけをすぐやったらいいじゃないかという御議論もわからぬわけじゃございませんが、しかしながらそれと同程度の人で、つかめないけれども、やはりそれと同じ程度のものもあるわけでありますから、これらの不均衡ということがない限りは相当な研究をし、アンバランスがないような、平衡を失わないような措置をとるということが少くとも国といたしましても、また国民年金の障害年金についてわれわれがやります以上は必要ではないか、そのためにはただいま小山審議官が申し上げました通りに、次の五、六年後におきまして御要望の点を取り入れたものにしていきたい、こういう考えであるわけでございます。
○八木(一男)委員 ぜひそれを急速にやってにいただきたいと思います。今ちょっと厚生大臣の考え方から出た思想が私は気になるのです。たとえば内科障害というワクを勝手に人間に関係なく、官僚的にやって、内科障害でこの部分はわからない、この部分はわかっておる、わかっておる部分をやったらこっちと不均衡だということで例にとられた。問題はその障害の程度の所得能力がないかどうかということなんです。それがはっきり永続的にないかどうかということなんです。それは足が切れた、手が切れた、目の工合が悪いという者と内科障害のはっきりしたものと同じ範疇に属する。それらが自分たちの勝手な水準で内科障害とはっきりしないものをごちゃまぜにして、一部はっきりしないから、はっきりしたものもやらない、そういう考え方は非常に形式的で、ほんとうに国民のことを考えていない。所得能力が絶対に必要であり、所得能力回復の余地がないというものは内科障害などと同じなんです。そういうことでこの年金については筋を引かるべきだ。ところが形式的に筋を引いておかれるから、内科のはっきりしたものもぼんやりしたものもごちゃまぜになる。ぼんやりしたものもほんとうに誠心誠意やればわかる、わかるのをめんどうくさいからほったらかしてあると思うのですよ。それはほったらかさないようにしていただきたいし、それから過渡的に一部はっきりしたものをやろうというのだったら、そういうものをごちゃまぜにしないように、それが先行されるようにしなければいけないと思います。ですからそういう点で、ぜひ一生懸命やっていただきたいと思います。 委員長、労働大臣は……。
○園田委員長 連絡しておりますが、まだ参りません。きょうはちょっと無理でしよう。
○八木(一男)委員 とにかく二回も三回も同じことを聞くことは、委員長も名委員長で、自民党の中で非常に主張が通る委員長でおられるのに、そういうことじゃ困るんですよ。とにかく予算委員会で、私だって予算委員はやったことがありますけれども、ずっと大臣を並べておったって、聞くのは総理大臣と外務大臣と大蔵大臣、その人の特徴によって農林大臣に聞くか労働大臣に聞くか――朝から晩まで労働大臣がすわっていなければならないということはない。それはこっちの委員会がなかったら朝から晩まですわっていてもいいでしょう。それをきのうから要求しているのに、とんでもないですよ。
○園田委員長 交渉しております。
○八木(一男)委員 すぐ呼んできて下さい。労働大臣が来るまで待っています。(発言する者あり)社会労働委員会は参議院の予算委員会と同格なんだ。この法案自体についてはこっちの方が権限があるわけだ。(「参議院社会党が離さないんだ」と呼ぶ者あり)それなら社会党の言うことなら何でも聞くのか。何でも言うことを聞くというのならいいですよ。 それでは最後に――最後にというのはきょうの午前中の最後です。厚生大臣にはまだまだ質問申し上げなければならないことがあるのですが、実は総理大臣、大蔵大臣、労働大臣、企画庁区長官、農林大臣、そういう大臣にいろいろ御質問をして御答弁を伺って、それから厚生大臣に質問しなければならないことがたくさんあるわけです。もっとこまかいことも質問申し上げたいことがあるわけなんです。ですから、今続けてやるとそういう質問の順序がちょっと狂いますので、今はちょっと一時中止をいたしまして、後にまた十分御意見を拝聴したいと思います。
○園田委員長 それでは一時四十分まで休憩いたします。 午後零時五十五分休憩 ――――◇――――― 午後二時二十四分開議
○園田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 児童福祉法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。 質疑を継続いたします。滝井義高君。
○滝井委員 今回児童福祉法が改正をせられまして、少くとも日本の結核対策に対する新しいものの考え方として、児童の骨関節結核に対して思い切った施策がとられようとしております。先般一応日本における十八才未満の青少年に対する結核のアウトラインをいろいろお聞きしたのですが、特に私は結核と教育の問題について、文部省の意向を尋ねたいと思うが、文部省の局長さんがおいでになるまで、とりあえず空床から先に入りたいと思います。 最近における日本の結核病床は、一九五四年当時においては九四・一%であったものが、一九五六年に八五・九%、五七年、一昨年には八二・二%と非常な勢いで空床が増加しております。従って、この実態は一体どういうことになっておるかという資料の要求をいたしたのです。そこで手元に資料が届いたのですが、まず一つその資料を出された厚生省の公衆衛生局長でしょうか、医務局長でしょうか、とにかく御説明をまず願いたいと思います。
○尾村政府委員 これは公衆衛生局の方でお出しいたしましたので、私から御説明申し上げます。 そこにございますように、昨年の十二月の一カ月間の一日平均の利用率ということを出しております。従いまして、その利用率を引きましたものが空床率ということになっておりますが、そこにありますように、結核療養所、これは主として結核患者を入れておりまして、療養所といたしまして統計しておる病院、それから一般病院の中で結核ベッドを持っておりますもの、こう分けてありますが、結核療養所のベッドが一番下の計の一番左の欄にございますように、日本全国で十二万五千余ベッド、それから一般病院の結核病床が、それよりやや多うございまして、十三万八千余ベッド、合計いたしまして、合計欄にあります通り二十六万三千二百八十三ベッドということでございまして、これに対して、十二月中の一日平均、要するに三十一日間の延患者数を三十一日で割ったものでございますが、結核療養所では十万五千九百八、これだけ在院をいたしておりまして、病床の利用率が結核療養所では八三・四%、従って空床率はこれを逆にいたしますと一六・六%、それから一般病院の方では十万六千二百三十七名利用いたしておりまして、これの利用率が七五・五%、これは結核療養所に比しまして約八%利用率が悪い、こういうことでござごいまして、従って空床率は二四・五%ということに相なります。この全体を合計いたしまして二十一万二千百四十五名が利用をいたしておりまして、七九・二%の利用率、従って御意見のございます空床率は二〇・八%、こういう利用状況でございます。 これをさらに先般当委員会で御意見のございました地域別の問題でながめてみますと、ここでは県別に一応締めくくってございまして、この平均率より高いところと低いところがございますが、特に自立ったところを申し上げますと、一番低いのが山梨県、まん中くらいにございますが、山梨県の五七・二%という利用率でございます。従いましてやや半数に近いものが利用されておらない。空床になっておる。しかもこの山梨県のベッド数は、これは県民数と対比すべき問題でございますが、多い方ではなく二千余ベッドのものでございます。それから最も利用率の高い方は、比較的九州方面に多うございます。八〇%をこす利用率は主として西の方にございまして、福岡県が八五・八%でございまして、これは非常に特徴がございます。と申しますのは、県内の結核総病床数が東京に次ぎまして第二番目に多いというところでございます。そこにございますように、東京の二万八千余ベッドに対しまして福岡県は一万六千二百九十七ベッドという第二位のベッドを持っておりまして、これは大阪とかあるいは北海道に比較いたしまして相当多い。ベッドも多くてしかも利用度も高い、こういう特徴を持っております。全国を通じましてベッドの利用率も最も高いのでございます。その最も高いうちの第二位でございます。最も高いのが下から三行目にございます大分県の八七%、これが第一番目でございます。福岡県が第二位でございます。従いまして福岡県がベッド数は東京に次いで第二位、それから利用率は、福岡県に比較いたしましてベッドはその八分の一にすぎないのでございますが、利用率の高い大分県の八七%に次いで第二位、こういう特徴を見せております。その他そこでごらんのように、九州地区が比較的利用度が八〇%をこえたものが多い。なおそのほかにもう一つ大阪の八六%というようなところが、近畿地区が若干目立っておりますのと、それから山梨県の先ほど一番低いと申し上げましたが、北陸、甲信というようなところが、そこにありますように比較的全国では低い地区、こういうことでございます。あとは群馬が八〇%をこえ、それから東京が八〇%をこえるという以外は、東北の一番北の果ての北海道、青森、岩手、これはいずれも結核死亡率が現在なお北の方で高くて残っておる少い県の一つでございます。これと比較的比例をいたしております。 なおこれと比例になります結核死亡率、これは昔戦前には石川県等を筆頭といたしまして、都会地並びに都会に連関のあります府県が非常に高かったのでございますが、現在は比較的温暖であるにかかわらず、九州地区、中国の一部こういうものが高く、あとただいま申しました東北、北海道の北の端の県、あと近畿、関東の大都会がそれに次いでわずかに高い地区、こういうような現状でございます。
○滝井委員 今結核空床の概要を御説明いただきましたが、とにかく日本の二十六万三千二百八十三の全結核病床の中で二割というものがあいておる、こういうことがはっきりしてきたわけです。しかもその状態というものは一昨年以来大体そういう傾向が横ばいの状態になっておる。絶えず二割前後のものはあいておるのだ。こういうことがはっきりしてきたわけです。そこで今度の政府の出しました予算案を見てみますと、結核対策について私は二つの特徴が現われておると思う。一つは今われわれが審議をいたしております児童福祉法における骨関節結核というものについて、国が八割の医療費を出そう。しかも同時に、そこにおいては教育をやろうという、こういう新しい政策です。いま一つは濃厚感染源に対する対策として、七千件の対象者の中でそのうちの四千件に対しては三分の二の国庫補助をやろう、すなわちこれは公費負担を二分の一を三分の二に引き上げる、こういう政策だと思うのです。こういう二つのニュー・フェースが出てきたことになるのです。児童福祉法のついでにこの際、結核の問題をいろいろ討議する場所がございませんので、お尋ねするのですが、政府の御説明によると、まず第一の七千件の濃厚感染源に対しては、全国二百の保健所の地域を指定をして、結核の特別推進地区として、濃厚感染源をいわば隔離をしていく政策をとるのだ。そうしますと現在御存じの通り保健所においては、二百カ所の保健所もひっくるめて、医師の充足率というものは六割前後なのです。多分四千七、八百ぐらいの定員について二千ちょっとぐらいしか医師は充足をされていない。特に東北とかというような日本の辺陣地における保健所の医師の充足率というものは二割七、八分程度である、こういうことなんです。そうしますと、一体まず濃厚感染源の隔離政策として二百の保健所の地域というものを特別に推進地区にした場合に、その医師というものを一体どのくらいに補充していくかということです。私がなぜそれを持ち出すかというと、濃厚感染源と児童並びに乳幼児の結核というものは不可分だからです。広い社会生活をやらない児童の結核感染というものは、実に家族感染というものが大部分を占めておる。こういう観点から考えてみると、この二つの新しい政策である骨関節結核に対する対策と濃厚感染源に対する隔離政策というものは、まず前者が確実な形になってくると、後者は現実に骨関節結核になっておる児童以外には増加をしないという問題が出てくるわけです。従って骨関節結核に対する政策というものをぐっとやって、こいつを一年ないし一年半で治癒せしめてしまう。そのあとに続く骨関節結核に対する財政負担が減っていく、こういう財政効果があるのです。きょう大蔵省にも来てもらっておるのは、そういう点も一つ大蔵省に知っていただきたいし、大蔵省の今後のものの考え方を承わっておきたいから来ていただいておりますが、そういう観点なのです。従ってまず第一には濃厚感染源の隔離政策を遂行していくためには、その濃厚感染源をとらえる第一線の保健所における医師の充足率というものが、今の状態ではどうにもならない。これは二百の地域を指定をして、そうして医者の俸給を十九万円を二十五万円程度に引き上げるというような政策が多分あったと思うのですが、そこらの政策は一体どういう工合に具体的に展開をしていくのか、これを一つ御説明願いたいと思います。
○尾村政府委員 今度の結核対策の中での一番重点であります、また新規の味の出ました濃厚感染源の実行策でございますが、これは今度の四分の一の保健所の地区をまずモデル的に始めるというのもそこにございまして、全保健所の管区を一挙にやりましても、御意見の通り全部の保健所に結核の特別対策のための能力を付与するということが、一挙には困難でございますので、まず四分の一から始める、こういうことになったのでございます。従いましてこの四分の一の保健所地域を指定されますと、県下の全体をあげましてこの地域の結核対策にはできるだけ他の一般保健所業務に差しつかえない範囲で、重点的にいろいろな能力を集中する、これが一つの考え方でございます。それからもう一つの問題は、今度の濃厚源対策そのものにつきましては、これは医師の診断を日常受ける、すなわち届出登録が年々行われておるわけであります。昨年ですと全国的には約五十万結核患者としての届出が行われる。従いましてもしこれを四分の一地区にいたしますと、それだけでも十二万何がしという届出患者があるわけでございます。まず第一にこの登録届出の患者、これは一度開業医なりあるいは病院なりあるいは保健所なりのスクリーニングを受けておるわけであります。これの中で今度選別をいたしまして濃厚感染源になっているかどうか、これが主たる今度の対策のまず中心になるわけでございます。いきなりその保健所管内の全町民の健康診断を集団的にやりまして、それから初めて発見するというよりも、現在被害を起しております過去三年間くらいの届出患者の洗い出しというようなことがまず中心になりますので、もちろんこれは医師の仕事、保健婦の仕事とともに事務的に登録整備をする、把握をする、これも重要な仕事でございまして、それが今度の新予算にも管理登録票の再整備という新規のも入っております。さような考えでございます。しかしながらその場合にも医師と保健婦の医学的な能力の充実ということはむろんこれは並行して必要でございますので、この場合には、先ほど言いましたような県下全体としての能力の集中とともに、これは専従の保健所の医師が新たにとれればそれに越したことはございませんが、三十四年度全部それに充てることは不可能でございますので、むしろパート・タイムを利用する。結核の専門的な部分は、たとえば大学の所在する県におきましては、大学の結核の専門的な教室からパート・タイムで医師に精密検診の大撮影のフィルムを判定してもらい、さらにその後の濃厚対策をやるというような場合には、これをできるだけ活用するということも一般として考えておる次第でございます。さような形で何とか施行していく、こう存じておるわけであります。
○滝井委員 今の濃厚感染源の把握については、重点的に保健所の機能を指定をされた地区の保健所がやる。それから大学等の結核の専門家をパート・タイムで利用する、こういうことでございますが、実際今の大学の内科なり小児科の教室というものは、御存じの通り博士号の関係でもはや教室に人がいなくなりつつあるのですね。特に基礎なんかそうなんです。そして大学院の制度ができましたときに、教室に助手とか副手としておるということは、博士号がないものですから魅力がなくなった。それで非常に手不足なんです。そこからこれは、九州にしても東北にしても大学はぼつぼつありますが、医師も年々三千人と人口増加に比べたら非常に多くの者ができておりますが、教室の現状から考えて、パート・タイムで保健所に行って、そして積極的にやるということ自体はなかなか机上プランとしてはできるんですが、それが具体的に今度はほんとうに結核対策を指導推進をするという面になると、なかなかできないのではないかという感じがするのです。現在保健所における保健婦でさえもがなかなか不足をしておって、事務に追われて、現場の患者の家庭訪問というものが、かゆいところに手が届くようには行き届いていないというのが現状なんです。いわんや医師においておやです。従ってこれはいい政策ではございますが、そこにそれを推進する技術者が大きな欠陥を呈しておる、非常に不足を呈しておるということが、非常に問題ではないかと思うのです。そこで何か新聞等の報ずるところによると、国立療養所をパート・タイムに当てるのだ、そうすると二百の推進する地域と二割の空床の地域とが合致をしておればいいのですよ。ところがさいぜんの公衆衛生局長の御説明にもありました通り実は最近における結核というのは九州とか中国が高くなった。九州の福岡あたりの結核療養所の利用率は高いのです。ということになりますと、推進地域と結核療養所の医師のあいておるのを動員するとか、あるいはそれらの結核の死亡率が高いということは、結核の浸潤が深いことを意味するのですが、そういうところの保健所の医師の動員ということはなかなかできない、こういうことになってくるのです。数字の上でそういうことを言いたいために、実はこれを出してもらったのです。そうなりますと、せっかく新しい政策として濃厚感染源をやっていただいたということは非常にいいことだと思うのです。将来は厚生省が、待望してやまなかったいわゆる三分の二の公費負担制度、結核予防法における二分の二の公費負担制度というものが、これによって一つの橋頭堡を築いたという意味において私は非常にいいことだと思うのです。そこで一体二百の地域の指定というものは、いかなる基準といかなる方法で行なっていくかということです。
○尾村政府委員 二百地域の指定の基準につきましては、先般一月上旬に各府県の衛生部長を集めまして、そのときに厚生省としてこういうふうに選びたいという原案を示しまして意見を聴取中でございます。来る三月末に担当の課長を集めまして、最終の話し合いの上で、能率の上る方法を確定いたしまして、予算成立とともに新年度から入る、これがそのときに私の方から示しました案でございますが、これは総合的に考えておりまして、濃厚感染源対策としましても、まだまだ七千件では、――この七千件のうち三千件は全国一般の保健所に使うように残してあります。そのうちの四千件だけを二百保健所に割り当てるということでございますので、保健所の地区によりまして多寡はございますが、平均いたしまして二十名ということなんです。一保健所二十名がこの三分の二の補助になる。しかもこれは年間を通じてでございます。従いましてこれはどうせ一定の線を引きまして、全部が全部これで年間の必要なものを入れるわけにはいきませんので、最も必要な度合の高いものから入れる、こういうことになる。またいわゆるモデル的と申しますか、サンプル的にならざるを得ない、こういうことでございますので、その場合は単に濃厚感染源の患者が非常にその地域に多いということだけの因子でなくて、今の御意見の通りに結核対策として総合的にやる場合に、濃厚感染源対策だけが非常に盲点になっておる、ほかの健康診断とかいろいろな結核対策でございますが、これは今までできるだけのことは十分やっておる。この濃厚感染源をやれば画龍点睛で、これだけでもやると非常な効果が上るというように、何といいますか、他の結核対策も熱心にやっておるというようなことも重要な選択の一つになっております。たとえば今度一般町民についても、五〇%程度は集団検診が三十四年度は大体できるという見込みの立ちそうなところを一つの大きな選択基準にいたしておるわけであります。そのほかに管内の結核による被害が多いところはもちろん優先的に取り上げることはもとよりであります。そういう意味でございますので、結局それから出てきますのは、医師や保健婦の活動能力がある程度整っておるということが、逆にまたおのずから条件になるわけでございます。そういうふうにいたしまして、ただ机上だけで患者が多い、結核死亡率がその地区に多いから、まっ先にこれを指定するんだというような簡単なものではないように、三十四年度はさしあたりいたしたい。最終的には、全面的にやる場合にはもちろんこれは被害をまっ先に減少するということになりますが、これはまだ三十五年度、三十六年度と拡大して続ける場合に、ただそういうことを一年間だけで狭く考えましてつまずいてはいけませんので、以上のような形で選択をいたすことに、大体原案を示してあります。
○滝井委員 これは本論ではございませんので、このくらいにしますが、具体的に二百の保健所の推進地区の指定の基準が、衛生部長等の意見を聞いてでき上りましたら、一つ当委員会にお示しを願いたいと思います。 そこで次は、かように二百の地域は四千人については三分の二の補助金を出すことになりますが、これと結核予防法との関係はどうなりますか。
○尾村政府委員 結核予防法では、政令で二分の一ということになっております。従いまして、この四分の一地区だけに率を高くする、これはけっこうなことなんでございますが、その点は若干疑問がございますが、これはいろいろと財政当局、会計検査院とも相談いたしました結果、いわゆる奨励補助、過半がまだそうなるわけでなくて、まず実際にいいことをサンプル的にやっていくということでございますので、この三十四年度は奨励補助という意味で、予算補助といたしまして、この三分の二の国庫補助を府県の支出に対して見る、こういうことで現在のところは進んでおるわけでございます。
○滝井委員 現在結核予防法では、国が四分の一で県が四分の一の負担だ、それを三分の二にして六分の一をふやした場合に、そのふえた六分の一というものは国が見て、県の負担は依然として四分の一だ、こういうことですか。
○尾村政府委員 ただいまのお話の点は、いわゆる一般の結核の基準医療のことでございまして、今度の濃厚感染源対策は、すなわち従業禁止命令ないしは強制入所命令の対象でございますので、この方は現在も全額公費で、国が二分の一、この二分の一を三分の二にいたしますので、県の負担は二分の一から三分の一に減少する、こういうことでございます。
○滝井委員 わかりました。 次は骨関節結核の方でございますが、先般当委員会で、大体骨関節結核の子供、多分この対象になり得る子供の数は二百九十人。そこでこれは文部省、大蔵省に問題が移ってくるんですが、まず大蔵省に、この結核の対策というのは、こういう特殊な重い一握りの患者によりよき補助率で国費をつぎ込むということも必要だけれども、現在の日本の実情を見てみますと、こういう特殊のわずか二百九十人そこらの人は、これは生活保護法における医療扶助でもやろうと思えばできるものなんです。特にこういうものに何か列記して、新しい政策を掲げたというような感じを与えることも、それは保守党の政策としては一つの政策かもしれません。しかしそういう政策は、私は政策としては必ずしもいい政策ではないと思うんです。実は現在の日本においては、昭和二十八年でございましたかの統計を見てみますと、政府の説明では学令児童で大体六万人くらい、小学校、中学を合せたならば二万七千くらいが把握をされておる、こういうことだったのですが、そのうちに、現在入院をしておる者は、国立が千九百人で、私立その他を含めて二千人くらいだろう、こういうお話があったんです。 そこで私、大蔵省の鳩山さんの方の見解をお聞きしたいのですが、大蔵省は一体結核対策というものについて、こういうように一握りの、非常にたくさん菌を出しておる人とか、非常にめずらしい日本の結核患者、たとえば学童だけに限って六万の療養を要しなければならぬという学童がおるのに、その中の二百九十人だけに一つの政策を持っていく。しかもその政策というものは相当莫大な金を食う。こういう政策は、一体政策としてオーソドックスなものかどうかという点です。これは私はどうも日本の結核対策というのが少し横道にそれて、間違っておるような感じがするんですが、この点今度ニュー・フェースとして、濃厚感染源対策と児童福祉関係で骨関節結核の結核児童の療養費の補助が出ておるんですが、そもそもこれを出したあなた方のものの考え方を一つお聞かせ願いたい。
○鳩山説明員 ただいまのお尋ねの点は、カリエスに限りまして今回非常に手厚い保護というような点と、もう一つ濃厚感染源対策ということに非常に力を注いだということで、一般的には結核問題とは少しピントがずれていはしまいか、こういうお話でございましたが、私ども結核問題につきまして、いろいろ社会保障制度審議会その他から勧告のあったことも承知しております。結核につきましては、医療費を一般の保険あるいは生活保護、そういうような面で従来通りやっていくか、あるいはこれと別個の医療費対策を講ずるか、こういう点が非常に大きな問題としてあるわけであります。これに対して、医療保険が非常に赤字を生じました当時においては、結核がいろいろそういう医療保険に非常な障害になるというような考え方も出たように思うのです。今日私どもとしては一応一般的結核対策といたしましては、やはり根本的には国民皆保険というものを通じていくという考え方をとっております。しかしながら当面の問題といたしまして、骨関節結核の場合におきましては、五年、十年というような長期療養を要する方があるわけでございまして、このような方々は、たとい中流以上の家庭の方でありましても、五年、十年と子供を長期療養させることは並み大ていのことではないのであります。こういうような点から、骨関節につきましてそういう長期間の教育がまたブランクになるということは、その児童の一生の問題として非常な大問題である。その点につきまして、たとえば結核以外の事由で手足の不自由な方につきまして、いろいろ肢体不自由児の施設等がありまして、相当手厚い保護を受けておるわけでございます。そういうような関連も考えまして、骨関節結核につきましては、そういう教育も兼ね合せたような施設がぜひ早急に必要であるということから、とりあえず骨関節結核について医療費の点につきましても考えるということをいたしたわけでございます。他方、濃厚感染源の対策につきましては、これはやはり先ほどの結核医療費の問題とも関連がございますが、現在すでに生活保護に対して結核の医療費が出ております。これは滝井先生もよく御存じの通りでございまして、生活保護費の相当部分を結核が占めております。なお月々非常に増加をいたしておるわけでございます。こういった生活保護法の運用によって行き得る階層は、一応今不自由はしてないのであります。それを若干越えました、いわゆるボーダー・ライン層というようなところにおきまして、一つの非常に恵まれない階層が生ずるわけでございます。この階層につきましては、国民皆保険の普及とともに、国保の方で今後は給付が受けられるという状態になるのでございますが、さしあたり国保につきましてもいろいろ問題がございます。そこで一面、こういった濃厚感染源対策として、命令入所という手段によりまして、必要な金額は全額公費で見る。またそれに伴いまして、国民健康保険の方の財政が苦しくなるようなことも考えられますので、その面については調整交付金の運用によって、結核の入院費がかさむような場合には、特別な国庫の補助金を交付して参る。こういうようなことを総合的に考えて、結核対策を重点的にやって参りたいという考え方に立ちまして予算を編成いたした次第でございます。
○滝井委員 いろいろ御説明がございましたが、もう一ぺん鳩山さんに御登場願います。文部省の方は一体学童の結核の実態というものをどういう工合に把握しておるかという点でございますが、今度の、児童福祉法の一部を改正する法律というものは――たとえば今まで未熟児には養育医療というものがありました。それから身体障害者、たとえば小児麻痺のような者には育成医療というものがあった。今度これで療育医療――骨関節結核の子供を国立療養所に入所せしめて、あるいはその他それに準ずる病院に入所せしめて、そして結核の治療もやるが、同時に教育もやる、こういう思想なんです。この法律では対象はわずかに二百九十人でございますが、こういう制度ができるとだんだん普及していって、入所する者も多くなってくるだろうと思うのです。そうすると必然的に、教育の場における学童の結核というものがどういう実態になっておるかということの把握の上に、初めてこういう政策が立ってくるのじゃないかと思うのです。一体文部省は学童の結核というものをどういう工合に把握しておられるのか。これを一つ内藤さんの方から御説明願いたいと思います。
○内藤政府委員 私どもの調査によりますと、大体五十日以上の長期欠席者が最近は小中学校とも十万程度でございます。これは二、三年前に比べますと大へん改善されました。数年前は三十五万あるいはそれ以上あったかと思います。十万のうち小学校の場合は約半分、五万程度が疾病異常の関係であります。それから中学校の場合は四分の一程度、二万五千くらいが疾病異常の関係でございます。疾病異常のうち結核性疾患の者が小中とも大体二割から二割五分、せいぜいその四分の一程度が結核性疾患といわれておるものであります、大部分は家庭において療養しておるものでございます。
○滝井委員 そうしますと、結核の者が小学校でいえば一万そこそこ、中学校でいえば五千くらい、こういうことになるわけですね。そうしますと、実は今内藤さんの言われたように、二十八年か九年ごろにおきましてはこれは二十才未満になっておるのですが、五十六万くらいの医療を要する者があったのが、三十三年には二十才未満では二十四万と非常に減ってきた、その傾向を表わして文部省の統計によっても最近は非常に減少をしてきておるわけであります。そうしますと、学童の結核――われわれが現在結核予防法で結核の検診をやる場合に、学童の検診の受診率が非常に高くて、多分八割を越えておったのではないかと思うのです。一般人をこれに加えるともう三割そこそこに下ってしまう、しかし学童だけは多分八割かそれ以上になっておったと思うのですが、こういうことでその中からいわゆる間接撮影をやって、さらに療養を要するというような者を直接撮影まで持っていって、そこに出てくるのが厚生省の統計によりますと、十七才以下で大体五万人くらい、今あなたのおっしゃるところによると、一万五、六千、こういうことになるわけです。厚生省の把握と文部省の把握が必ずしも一致しておるかどうかはわかりませんが、学齢児童で入院治療を要する者は六万人だというのが、先般の二十八年を基礎にした厚生省の御答弁だったわけです。そうしますと、今内藤さんの御説明で疾病異常が小学校で五万、中学が二万五千、結核が一万五、六千ということで、そこにだいぶ数字の開きがあるのです。一体学校におけるこういう統計というものは、当然保健所が学校に行って校医の協力を求めてやるのだと私は思うのですが、この保健所と学校医の関係というものはどういう工合になっておるのでしょうか。
○尾村政府委員 若い者の患者数の把握について、いろいろまちまちな数字があるようだがというお話でございますが、ただいまのお話で文部省側の資料は長期欠席ということで、それから先ほど滝井先生が申され、また先般私の方で申しましたのは、いわゆる要医療患者数の把握ということになっております。従いましてその間、要医療と判定された者が必ずしも全部そのまま長期欠席するということには当りませんので、もちろんこれは相当部分含むべきであるし、含んでおりますが、その点の差はございます。別に今の点で非常に参考になると思いますことを申し上げるとおわかりになると思いますが、たとえば年令階層別の届出患者数の詳しい把握を厚生省の方でいたしております。ちょうどきょう持って参りましたのは三十一年度の統計でありますが、これは五才から十四才まで――私の方で五年刻みにやっておりますので、五才から十四才までというと、それを一年ずらしますと小中学校全部入るわけでございます。従って概数は同じだと思いますが、この十年間で約千五百万の人間がいると思いますが、これに対して三十一年度中に五才から十四才までの結核にかかって届け出られた患者数がたしか十万人当り七百人、すなわち〇・七%ということでございます。この届け出るというのは、いやしくも長期欠席あるいは休まないは別として、医者にかかった者でございますから、これは非常に確実性がございます。そういたしますと、千五百万人の○・七%ということから類推いたしまして、小中学生で三十一年中に医者にかかって結核と診断されて保健所に届け出られた患者は約十万人であろう、こういう推定がつくわけであります。これは先般、日本全国の二十才未満の要医療患者が二十六万ということを申し上げましたが、ほぼ合うのでございまして、この二十年間のうちの十年階級、すなわち十五才以上は非常に濃厚になって参ります。下の方は希薄になりますが、ほぼ半分――、半分より少し減っておりますが、大体この実態調査における要医療のつかみ方、それから医師側から届出された年代別の比率から推定した数というのは合うと思いますので、それほど著しい誤まりはない。そのほかに、先ほど文部省から御意見のありました長期欠席という面からつかんだ形があろうと思います。これはなかなか結びつけて考えることは困難でございますが、少くともこちらの数の中には必ず入っておるだろう、かように考えるわけでございます。
○滝井委員 私が言いたいのは、そういうように、文部省の統計は長期欠席児童から推計をして結核患者を出している、厚生省の方は三十一年の五才から十四才までの千五百万の中から推計をして、人口十万について七百人で、〇・七%だからおそらく十万くらいだろう、こういうことでは私はほんとうの政策は立たぬだろうと思うのです。というのは、私がさいぜん指摘したように、昭和三十二年においては一般人の結核検診率は三割六分です。今ちょっと数字を探し出しましたが、学童は八割六分ですよ。そうすると、検診した八割六分の中に一体療養を要する学童は何人おるかということが把握できていないのはおかしいのです。これは莫大な国費を使っておるのですよ。大蔵省はよく聞いておって下さい。こういうことがやられておって、それが具体的に国の政策に現われてこないというこんなナンセンスなことはない。ここに日本の結核対策の大きな欠陥がある、あるいは学校教育における一つの欠陥があるのです。少くとも学校という集団で校医も置いて、そして保健所もポータブルを持っていって八割六分の人のとにかく検診をやってしまうのですから、その中で今度はあなたはツベルクリンが陽転しました、だから今度はあなたは間接撮影をおとりなさい、そしてとったら今度は何月何日に保健所に行って直接撮影をやることになったという書きつけを持って家に帰るでしょう。そうすると親は非常に心配する、うちの子は結核になってしまったと、必ず近所の医者に連れていって心配している。だからレントゲンの直接撮影のときに出てきた者の数が一体幾らで、間接撮影のときに疑いのあると言われた者の数が幾らというようなことが、国会で答弁できなければ、莫大な金を出してやった価値がないですよ。今の答弁では、これすなわち結核予防というものが政策に現われてきていないという証拠です。道徳教育をやるとか、勤務評定をやる前に文部省はまずここをやってもらわなければいかぬですよ。健全な肉体があって初めて健全な精神が宿るのです。その肉体の問題を忘れて道徳だなんだといっても話にならない。国の金をつぎ込んでおりながら、税金をつぎ込んだんですから、税金の結果は国会に報告してもらわなければならぬと思います。だから長期欠席児童というものは、八割六分の検診をし、結核と認定された者の中から一体幾ら出たのか、これが私はほしいのです。これのないところに幾らあなたがここで議論を並べたってそんなものは私は信頼することはできないのです。われわれが信頼することのできるものはこれなんです。この八割六分検診をした学童が一体どういう形で次の段階における骨関節結核とつながっていくかということの途中が切れて、政策が一番重くなったときに出てきたって、これは役に立たないのです。一連の予防検診をやるときから濃厚感染源になるであろう、その一貫した政策、社会保障でいえば揺籃から墓場までの政策ですよ、結核対策の。それが出ていないところに問題がある、私はこう言うわけなんです。鳩山さん、私は結核検診の費用を削れなどとは言わないけれども、大蔵省がいやしくもお金を出したからには、出したお金が次の段階ではその政策の組み立てに役立つようなものは、統計として国会に上ってくるだけの指導は、金を出したところに私は要求したいと思います。ただ大蔵省はけちに削って、最後の段階だけに金を出してはいかぬですよ。やはり金は合理的に使われなければならぬ。出した金は次の段階の政策の足場にならなければいかぬと思う。そういう濃厚感染源とかなんとかいうものは、危なくて死にそうだから金を出してくれと言うと、あなたの方はほろりとして金を出すけれども、その金というものはほんとうに日本の再生産に役立つ金とはならないのです。非常にその経済効果を言われる大蔵省としては、私は出し方がまずいと思う。そこで私は出し方を今から言うのですが、その前に八割六分のものについて念を押しておかなければならぬ。八割六分の検診をした学童なり中学校の生徒は、一体どの程度要療養と長期欠席と結びついているか、文部省に何かこういう統計はありませんか。
○尾村政府委員 まず私の方から今の八六%の学童の中から発見された数の比率と数を申し上げます。これはございます。ただこれは学童に切って統計をとっておりませんで、少し上の学校でやったもの、従って高校、大学の一部が入るので少し人数がふえますが、これでいきますと、学校長のやりましたものが一千八百九十六万七千人、これだけの集団検診を三十二年度にやりまして、そのうちから発見いたしました患者数は三万五千、これの患者発見率は〇・二%でございます。なお今申し上げました一千八百九十六万人実際にやりましたが、これは八六%でございますので、実際にやらなければいかぬ在籍数は二千二百二万、そうするとこの差の約三百万人というものが集団検診にかかっておらない。そういたしますと、先ほど申しましたように、届出の患者数から推定すると〇・七%くらいあるわけです。ところがこの八割六分やった健康診断からは〇・二%しか発見されない。これは若干届出の方の患者としての限界と、それからこの集団検診との限界というものは少しは違う点もあるかと思いますが、要するにこれだけ開いておる。そうなりますと、長期欠席で欠席している者は相当数が集められて、何百人か毎日学校なりあるいは保健所なりでやる集団検診には参加しておらぬのだ。従って参加しておらなければ、患者とはわかっておりましても、集団検診の対象から発見した患者としての報告はいたしません。不正確でございますから……。明らかにやったものから出すということになります。従いまして、やはりこの残りの一四%の中に、学童といえども相当数が家に寝ておって、集団検診以外の者がいる。これをつかむのは、先ほどいいましたように、医師からの届出数で保健所がこれを登録いたします。従ってこの健康診断によるものと、それから医師からの年々届出によるものと両方を登録の上で折衷いたしまして、そこで具体的にどこの何という子がどういう病気にかかっているかということを確定しているわけです。それが今度の感染源対策になりまして、そういう子供とそれが受けた親なりあるいは同居者の開放性の状況に結びつける、大体今のところは御意見の通りに結びつけてやっておる、こういうことでございます。これはまた別の観点から申しますと、全国のあの実態調査では相当にああいうふうに濃厚に出ておりますが、毎年やります三千数百万、四千万ほどの集団検診で発見される、全国民としてならしての発見率は約〇・三%でございますが、約十万そこそこです。ところがその残りの検診を受けない方に相当患者がひそんでいる証拠には、十万の約五倍である五十万人が一年間に結核として届け出られて保健所が把握する、こういうふうになっておりますので、やはりこの間の関連は同様ではない。従って折衷して確実につかむ、これが第一の要件であるとわれわれも心得ております。
○滝井委員 私はやはり今の公衆衛生局長の説明の通りだと思います。いわゆる学校における検診というものには、長期欠席児童というものは現われてこないと思う。特に今、五十日以上を内藤さんから御説明いただきましたが、一カ月くらいの軽い初感染程度のものも、ツベルクリンその他をやると、また反応が起るかもしれないというのでやらない者が多い。従って、やはり私はそれらの者は――氷山というものは海の下に沈んでおる。露頭だけが検診に出てきて、あとのものは沈んで、その沈んでおる方が重いんだ。水中にあるところの方がもっとひどい、こういうことなんです。ところが政策というものは、その水中にある一部に対してとられておる、こういう形が出てきておるわけです。ところが水中にいったその重いものは何かというと、軽いことから重くなっていくという、この過程が無視されている。私が日本の結核対策に修正をしてもらいたい点は、当面はこの重い者ばかりに金を出しておるけれども――重い者にも金を出さなければいかぬが、まず第一に将来に向って日本財政効果を現わし、財政を節約しようとするならば、少くともこの八割六分の千八百九十六万の、学校長の行う予防検診の中から出てきたところの結核患者を把握するということですよ。これはこの前私はここで大臣にも言って、御考慮をわずらわしたのですが、これは大臣が今までのように文部委員長ならばいいのですが、すでに厚生大臣になって、今度は実際にその政策を推進する側に立ちました。そこで私は内藤さんと鳩山さんの方に今度はお願いすることになるのです。と申しますのは、療養を要する学童の数というものは大体五万か六万程度だということは今御指摘の通りです。まあ出てきたものは三万五千人、そのほかに重い者もおりますが、重い者の政策というのは大体何とかいける。ところがその三万五千というような出てきたものに対する政策というものが欠けておるところに、その前のツベルクリンが陽性になってレントゲンをとった結果、あなたはこれは療養しなければいかぬぞ、こういう注意を受ける者が相当おるわけです。そこで、それらの子供に一体今どういう指導が行われておるかということです。これは結核検診をやったけれども、あとは野となれ山となれで、家庭にまかされちまっておる。そこで家庭では、日本には御存じの通り九人に一人の割合でボーダー・ラインの階層がおるといわれておるくらいに、低所得階層というものは多いのです。これについてはあとでまた文部省にお尋ねしますが、一体文部省はこれらのものをどう処置されるのかということです。これは厚生省にまかしておいて、おれの方は教育だけやっておればいいのだということになるのか。それとも何か文部省で、一つ学童の結核だけは厚生省と協力をしながらなくそうという政策でもお持ちなのか。こういう点何かおありになれば、内藤さんの方なり――これは体育局長になるのですか、そちらでもけっこうですが、文部省としての学童の結核対策というものは、一体具体的にどういう工合におやりになるのか、対策をどう立てられるのか。
○内藤政府委員 学童の結核対策につきましては、これは原則として、御承知の通り厚生省が結核対策の、環としてやっていただいておるわけでございます。文部省はこれに十分協力いたしまして、学童の結核の予防をいたしているわけでございまして、結核検診の後におきまして自後の措置、特に重病の者につきましては、病院に入れるなり、あるいは自宅において療養するなり、それぞれ適切な措置を講じておるわけであります。特に何と申しましても結核につきましては厚生省が一元的に御処置いただいておりますので、文部省としてはこれに十分協力して参りたい、かように考えております。
○滝井委員 そうしますと、厚生省が一元的にやっておる、こういうことになったわけです。そこで鳩山さんにお尋ねすることになるのですが、文部省は厚生省に全面的に御協力をいたそう、こういうことでございます。また今までもやっておるのだ、こういうことでございますが、そうしますと問題は、病が起ってしまってどうにもならなくなってから金を出す。たとえば濃厚感染源の対策としてわずかに七千件、しかも今まで前年までは多分二千件ぐらい出しておったのですから、七千件、七千人の人に今度は三億五千九百四十八万円、二千件に対して昨年は九千七百五十一万四千円、今度は三億五千九百四十八万円、すなわち二億五、六千万円多く金を出すことになったのです。さらに今度は骨関節結核で昨年はなかったものを、今年は千四百五十一万円出すことになった。これは必要だと思う。だがこういうように結核が重くなってから金を莫大に注ぎ込むということは、悪い言葉でいえばどろの中に金を捨てるようなことにならぬとも限らぬ。幸いに最近は新しい結核の療法が出たために、非常に死亡率も減って参りましたし、おかげで健康保険も黒字になりました。三十二年度の決算でおそらく七十九億円くらいの黒字が出たし、それから積立金も多分百三十三億くらいになったんじゃないかと思います。これは一体なぜかというと、全く結核の入院が減ったおかげです。空床が出たということは入院が減っているということです。そこで私は、金をどぶに捨てるということは、言葉が悪いですが、そういう方向でなくして、もうここらあたりでいわゆる揺籃のところに金をつぎ込む必要が出てきた。それには八割六分の結核検診をやってそうしてレントゲンをとって、こいつはどうも結核感染をして療養を要する、ほんとうはその前のツベルクリン反応が陽転したものまでさかのぼりたいのですが、そう言うと鳩山さんが目を回すといかぬから、そこまでさかのぼらずに、まずあなたは療養を要するのだというのが今五、六万人の数です。入院は御存じの通り学童で二千人くらいしか入院していないのです。だからこの五、六万人に今パスとかマイシンとかヒドラジドという並用療法が行われておるわけです。そこでこれを思い切ってパス、ヒドラジト等を学童に無料でやる、これは無料でやるというと莫大なお金が要るとお考えになるかもしれませんが、要らないのです。今、館林さんに登場願いますが、パス一グラム幾らですか。
○館林説明員 パス一グラム一円七十銭で薬価基準では取り扱っています。
○滝井委員 そうしますと今御存知の通り一円七十銭、これは原価でしたらその三分の一を割ります。おそらく六十銭以下ではないか。あるいは二、三十銭でできるかもしれません。国が政策として学殖に無料でやるといえば、結核の抗生物質というのは今日本ではあり余るほどあります。一人に一日五グラムずつ一カ月のまして百五十グラム、そうしますと一円にして百五十円、半年のまして九百円です。これは一人千円と見ても五万人の子供に一年五千万円です。これを三年間実行してごらんなさい。三年間実行しますと、骨関節結核に千四百何十万円ことしつぎ込みましたが、一年、二年やっているうちに骨関節結核の子供の入院する者はなくなってしまいます。私はやはりこういう政策を行わなければならぬと思います。重くなってどんどん結核菌を出して、感染させるようになってから二億、三億の金をつぎ込むということは、これは一文惜しみの百文失いということです。まずその揺籃のときから始める。すなわち学童にちょうど肝油をのませ、サントニンの虫下しをのませるように私はこれをやるべきだと思うのです。これはどうですか。私はことしは予備費でやれとは言いません。しかしことし基礎的な調査を――どうせ三十四年度予算ではさらに政府は馬力をかけて結核の予防検診をやられると思うのです。そうしますと、私はもうこれだけ言っておるのですから、今度は八割六分の検診の中からがちっと直接撮影に行った子供を把握して、そうして何か今度は校医の給料が一年に五百円から一万五千円ですが、これでは校医をほんとうに活用することはできませんから、二、三万円の金を出して、やはり一カ月に二、三度学校に来てもらって、そうして検診をしたら、校医が責任を持ってこれを保健所に行って届け出す、保健所はその見合いにパスを無料で贈る、このくらいの政策というものをやったら、私は日本の医療費というものはぐっと減ってくると思う。そうしてこれはどういうところに減っていくかというと、生活保護に減ってくる。現在生活保護で一番金を食っているのは何かというと、これは結核の医療です。しかもその結核の医療でも入院です。だから少くとも今の四百何十億の生活保護費の中で、その半額以上を占める医療補助というものを減らそうとするならば、こういうところに金を一億か二億ぶち込んだらこれはたちどころに減ってきます。その政策をやったらおそらく五年を出ずして減るだろうと私は思う。これは全学童のツベルクリン反応の陽転をした者までに拡大をするならば、五年を出でずして日本の結核というものは非常な姿で改善すると思う。少くとも青年には結核はなくなるだろうと思う。そうして今、年をとっておる三十五か四十以上の結核だけが残る。これはマッカーサーじゃないけれども、老兵が消えるようにやがて消えるのですよ。そういう点で鳩山さんどうですか。ことし来年のことを言うのはおかしいけれども、今ごろ言っておかないと、八月には予算折衝が始まるのですから、冬来たりなば春遠からじでないけれども、春のうちに夏のことを論議しておかぬとなかなかうまくいかぬと思うのですが、これを私はやはりやるべきだと思う。わずか五千万円です。どうでしょう。
○鳩山説明員 専門家の滝井先生から貴重な御意見を承わりました。ただ先ほど濃厚感染源対策を、いわば墓場としての結核対策としてやっておるかのごとき御説でございますが、児童の感染というものを考えますと、根元はやはり大人からうつるのであります。しかもまたその濃厚感染源一人おるために、それが何人かにうつっていく。そういう意味合いにおきましてゆりかごのもう一つ前の段階で濃厚感染源対策をやる必要がある。そういうような意味で濃厚感染源対策をぜひやるべきだというふうに考えておる次第であります。従来はやはり早期発見、早期治療という線で非常に健康診断を重要視して、私どもといたしましても、早期発見で墓場に至らない前になおしてしまうということでありますから、そういったことには予算も十分第一義的に考えてつけておったわけでございます。ところが現実におきましては、なかなか一般検診におきましては実績が上って参らない。いろいろ今まで工夫して参ったにもかかわらず、地方財政の関係あるいは保健所の医師の問題、それぞれいろいろな問題が全部相関連いたしまして、計画通りの結核対策が進まないというようなきらいがあったと存ずるのであります。これらの点をいろいろ各方面から検討いたしまして、早急に手を打てるものから打って参りたい。 またただいま化学療法関係のものを全額無料でというお話がございましたが、これも来年度の問題といたしましては十分検討に値する問題と思いますが、一応現在におきましては化学医療に対しては二分の一公費という制度がありまして、これがたとえば、各保険等のある者につきましても優先して結核予防法が適用されております。これらは先ほどボーダー・ラインというお話がございましたが、これはいわば貧富にかかわりなく二分の一補助が出ておるのでございます。私どもは、やはり補助をしていく場合におきまして、そういうふうに無差別に出すのであれば、全額公費というのはどうか。私どもはいわゆるボーダー・ライン対策というような意味合いにおきまして、支払いが非常に困難な家庭に対しまして公費で見て参るという意味合いにおきまして、命令入所というようなことを考えたわけでございます。なお来年度の問題といたしましては十分検討して参りたいと思います。
○滝井委員 今鳩山さんから重要な発言があったのですが、検診の実績が上らない、従って揺籃の前の段階の濃厚感染源からやるのだ。私は結核対策というものは、現在の日本においては濃厚感染源を隔離するということは非常に大切なことだと考えております。これは墓場のところをきちっとやってもらわなければならぬと思うのです。やってもらわなければならぬが、一体それは何のために起ってきたかということなんです。結局日本の結核対策というものが、揺籃のところから一連のものが行われなかったからふえてきている。これをやろうとするならば、ますます最後の墓場の濃厚感染源というものがふえるだけでしょう。全部のものに私は結核対策をやってくれと言いたいのだ。しかしそれを言っては鳩山さんの方が目を回すだろうから、学童についても、ツベルクリンの陽転をした者について、パスとかヒドラジドを飲ますことが一番いいのだが、そういうことにはいかぬだろうから、レントゲンをとって、直接撮影をやって、療養しなければなりませんよという。これらの五万人の患者についてまずこれをやるべきだろう。そうするとそこでまずある程度揺籃のところで、逐次将来開放性結核に発展していくものをがちっと抑えつつ、濃厚感染源の隔離政策をやっていく。ともかく頭としりとを抑えればウナギでもつかまえられますよ。それと同じですよ。ウナギを握るときは頭をちょっと握ってあとしっぽを握りますが、それと同じに、それにまん中を握ることができれば、中央を抑えれば一番いい。ところがそれではなかなか金がかかりますから、一番大事なところを抑えましょう。こういうことです。頭を押えれば一番金が少くて済む。濃厚感染源は七千件ですよ。片一方は五万人ですよ。こういう点から考えると、やはり金のつぎ込みというものは結核対策全般をにらんで、一体どこに重点を置くか、この重点政策というものがなければいかぬと思うのです。この点は文部省も異存はないと思うのです。厚生省は一体この政策について、御推進をやっていく意思があるのかどうかという点ですね。
○坂田国務大臣 先般来この問題につきまして滝井委員から非常に御熱心なお話がございまして、私といたしましても非常におもしろい問題だと実は考えておりまして、その揺籃の時期を押えるということが、児童結核対策における一番の重要点だと私は考えます。まだ固まっておりませんけれども、少くとも来年度の予算要求には、そのような要求をいたしたいということを申し上げておきたいと思います。なおまたこの五万人の問題について現在予算がきまってしまっておりますから、この国費でもってまかなうということは、これは不可能でございますけれども、何らか方法等がございまするならば、直ちに試験的に、あるいは地区的に考えてみたいという熱意を持っておることを、滝井さんにお答えを申し上げたいのでございます。
○滝井委員 まあ文部省も協力をいただけるし、厚生省は一つ来年度予算に要求をしてみたいし、今年も試験的にやってみたいということでございますので、鳩山さんの方も一つ十分来年度は考えていただきたいと思うのです。これは衆議院の予算の通る前に言っておきたいと思っておったのですが、時間がなかったので言えませんでした。そこで今パスの問題を出しましたが最近は、結核は鳩山さんがさいぜん御指摘になったように、そういうものは結核予防法でやって、そうして抗生物質は結核予防法で半額を公費で負担しているのだ、だからそれはもう無差別にだれもかれもやれという問題も一つあるわけです。しかし数は十万以下だ。一億以下の金でできるのだということになれば、これは考えてもらわなければならぬことになるのです。 そこで館林さんにお尋ねをしたいのですが、これがそういう形になった場合に、これは結核の治療指針というようなものとの関係、あるいは健康保険との関係、いろいろなものが出てくると思うのですが、その場合にパスよりかもっと安い薬がいろいろ私はあると思うのです、そしてしかもよくきくというものが。あるいはパスだけでなくていろいろなものを併用するというものがあるのです。昨年でありましたか、結核審議会でサルファ剤のサイアジンとか、サイクロセリンというもの、これは抗生物質、こういうものが現在の化学療法の中に加えられるべきであるという結論が出ておると思うのです。ところが今までそれが実際に加えられてこない。こういう形というものは一体どうしてそうなっておるのですか。結核審議会の医療部会か何かで結論が出ておるのだが、それが加えられないという理由は……。
○館林説明員 日本医学会の方の御意見は昨年の夏の初めころ参っておるわけでございますが、従来から治療指針は答申が参りましてから、それをもとにいたしまして政府の原案を作りまして、医療協議会にかけまして、医療協議会の答申を得て告示をいたしておるわけでございます。従いまして結核の治療指針を改定いたしますにつきましても、やはり筋道といたしましては、従来と同じように医療協議会にかけまして改定を諮るという扱いになるわけでございます。そのような事情もございまして、なおこれが具体的に告示の運びにならないという状況もございますが、また昨年の夏の初めに答申のありました内容につきましても、多少また学者の方にも訂正の部分もあったような点もございまして、これもまた取扱いが多少遅延いたした一因にはなっておるわけでございます。
○滝井委員 そうしますと、たとえば安い薬が次々にできて、そうしてそれが現在耐性のできた、たとえば特に濃厚感染なんかをする、パスとかヒドラジドに対して耐性のできた患者に、今度は新しいものをやるべきだということができても、医療協議会が今のような状態では、開店休業ですから、これはどうにもならぬわけですね。そうすると、日進月歩の学術の結論というものが三カ月も六カ月も八カ月も放置をせられなければならぬ。しかもたとえば学童に安い薬を使おうといったような場合でも、それができない、こういうことにもなるのですが、これは一体どういうことになっておるのですか。医療協議会がなければこれは永久にだめだということですか。そういうことになると、これは医療協議会を早くやってもらわなければならぬという政治責任を追及しなければならぬことになる。法治国家であなた方が法律違反になる。六カ月に一ぺん開かなければならぬものを開かぬ、こういうことになるのですが、これは大臣、一体どういうことなんですか。いや、実は児童にこういうものを使ってもらう場合にも幅広く、安いものを選択して使ってもらうということになるわけです。そうしますと、学者がこれがいいのだというものが出てきているのに、一時的な、空洞でなくて、浸潤でもこういうものが役立つのだ、こういうことになるのに、医療協議会ができないからこれはだめでございます、こういうことでは納得ができない。医療協議会は一体いつできるか、こういうことになる。これはなかなか答弁ができぬからしばらく待って下さい、こういうことになれば、一番ばかを見るのはだれかというと患者です。耐性ができて、耐性の薬を飲んだって役に立たぬ、新しいものができたからそれを飲みたいといっても、これはだめだという。医学会はこれは新しい治療指針にも入れてよろしい、化学療法にこれが一番安くていいのだという結論を出しておるのに、あなた方がそれができないということもおかしいと思うのですね。こういう場合にはどうですか、便法はとれないものなんですか。医療協議会はいつ開けるか目途立たず、そういう場合に行政というものは動かない。これでは日進月歩の医学に健康保険なり、こういう対策というものは立たぬじゃないですか。
○館林説明員 治療指針は担当規則によって定められておりまして、法律の定めによって担当規則は医療協議会に諸問をすることになっておるわけでございまして、担当規則の条文の中に結核の治療指針という名前があがっておるわけでございますが、従来の取扱いはすべて医療協議会にかけてその御意見を得て告示をいたしておったわけでございます。ただ同じような関係がございます薬価基準も、やはり担当規則の中に名称があげられておりまして、具体的の薬価基準の個々の改訂につきましては、医療協議会にかけないで取扱っております。そのように薬価基準と治療指針との取扱いが従来異なっておるわけでございますが、これは治療指針が保険経済に相当関係があるということもございまして、そのような取扱いを従来からいたしてきておる筋合いのものであろうかと思います。ただお尋ねのような問題点につきましては、いろいろ検討いたしておるところでございます。
○滝井委員 薬価基準に載っている薬が結核にきく、結核に効果があるのだという新しい発見がされて、しかも学界がそれに太鼓判を押した、そしてそれが今度は使われない。なぜ使われないか、医療協議会が開かれないからわれわれとしてはいかんともしがたい、こういうことじゃ、では医療協議会は一体いつ開催されるのか、こう言わざるを得ないのですよ。それを大臣は待ってくれ、医療協議会は待って下さい。そうすると、新しい学術の成果というものが一体いつ取り入れられるのだということになってしまうのです。今言ったように、パスより、ヒトラジドよりかもっと安い薬というものが、たとえば今度できたそういうものにあるかもしれません。だからそういうことで政策をぐずぐず延ばすということはいかぬと思うのですよ。法治国家ですから、六カ月以内には一回開かなければならないことになっている、なっているのにやらぬということでは、そうなると、これは政治責任を追及せざるを得ない。それができないならばできない間は行政責任をもって必ずやる、自後は必ず大臣の責任をもって医療協議会に承認を得ますということになるのかどうか。あなた方自身も困るでしょう。日進月歩で医学がどんどん進展しておるのに、半年も一年も医療協議会が開かれない、何も了承が得られないということでは大へんだと思うのです。
○坂田国務大臣 ただいまの問題は非常に重要な問題だと私も思いますし、中央医療協議会は、この間滝井委員に御答弁申し上げました事情でございまするが、この問題も実は内々は相当進んで参っておるようなわけでございます。従いましてしばらくこの点は御猶予を願いたいと思います。もし従来の行きがかりが円満解決というようなことになりまするならば、非常にこれはありがたいことだと思うわけでございますが、もし不幸にいたしまして、どうしてもそれが手を握る事態に至らないというような状態が近く参るということになれば、今滝井委員御指摘のようなこともございまするので、何らかの便法を考えなければならないのではないか、そうして日進月歩するところの薬というものを、治療に使っていただくという非常措置をとらなければならないと私は思うのでございまして、その辺のところをも準備を進めておるようなわけでございます。
○滝井委員 ちょっと法律上の見解をただしておきたいのですが、そういうように医療協議会というものがここ二、三カ月開く見通しが立たないというような場合に、結核予防審議会等で結核予防法の化学療法の中にこれらのものを加えるとか、あるいは新しく薬価基準に登載すべきであるというような結論が出たものを、医療協議会が開かれないために、やるということが、大臣のいわば専決処分と申しますか、そういう形でできる法律上の根拠はどういうことですか。ちょっとそれだけ聞かしてもらっておけばいいのです。
○尾村政府委員 ただいまのにぴったりといきませんが、そのうちの半分のお答えになって恐縮でございますが、結核予防法の医療につきまして、先ほどからの補助が出るということが、結核予防法に基きましていろいろな補助対象になります項目を施行規則できめておりまして、さらにその中で使うべき薬等を告示をいたしております。それの意味が先ほどのサルファ剤等でございます。従いまして結核予防法によるものは、これは保険と関係なしに法律的に予防法の方の告示改正でできるわけでございます。従いまして自費患者、全然保険に入っておらない者が結核にかかりまして予防法の申請をするならば、そちらの改正をしておけばできるように、これは法律的にはなっております。予防審議会の答申もございましたので、ただいまいろいろとそういう準備はいたしておりますが、七割以上が被保険者でございますので、混乱を起さぬようにというので、できる限り健康保険の方の改正と歩調を合わすという意味で今準備中でございますが、法的には場合によっては結核予防法の部分だけはできるというわけでございます。
○滝井委員 確かに半分か三割の答弁にはなったわけですな。結核予防法の告示の方はいい。ところがこれは、政府は皆保険対策をとって、少くも今年六百十万を入れて、来年は全部の独立自営業者なり、農民、中小企業者ですか、これらの者を皆保険してしまう。三十五年末までには入ってしまうわけです。三十五年末まで医療協議会が開かれぬということはないのですが、あとの七割の方の何か便法はありますか。医療協議会がストップしておる、機能を停止しておるのですから……。
○館林説明員 今日の担当規則の中に、厚生大臣の定める医薬品以外の医薬品は使ってはならないということで、その医薬品名は薬価基準として告示されておるわけでございます。そのような条文の形の上で実態上は医薬品の個々の指定追加は、個々には医療協議会にかけないで扱っておりますし、医療協議会においてもそれは了承いたしておりますし、厚生省としてもその方針をとってきておるわけでございます。同じような形の条文が別にございまして、厚生大臣の定める療法は左によれということになっております。その中に結核治療指針というのがあるわけでございます。これにつきましても、細目の点でございますので、実際上は薬価基準と同じような扱いができないでもない筋合いのものでございます。従来からその扱いは必ず医療協議会にかけて扱ってきておりますので、やはり厚生省としての考え方並びに医療協議会としての考え方は、その部分に関してはかける扱いが妥当である、かようなことでやってきておるわけでございます。ただ、ただいまお尋ねの点は、特に非常手段として何らかの便法措置ができないかということでございますが、これは違法的措置であるかどうかについてはなお検討中でございます。
○滝井委員 そのできないか、というそこを、できるところまでは説明したけれども、その七割の方が、医療協議会がストップしておるときに何かできる方法があるかということですが、これはもう実際できない、こういうことですか、そこらあたりの答弁を求めたいのですよ。これは責任が一体どこにあるか、大臣が腹をきめれば、医療協議会というのはすぐできるものなのです。ところが全く大臣が腹をきめていないために、ずるずると引っぱられてきている。迷惑の及んでおるのは患者大衆です。これをやろうとする医師自身が困っておるのだ。だから、非常のときには非常の手段というものが、政治ではいつもとられるものなのです。一カ月か二カ月先に医療協議会が開かれますという見通しならば、私は言いません。今見通しが立たない。大臣も、まあ滝井さん、言わぬでもわかっとるだろうがと言うけれども、わかっとるかもしれぬが、いつかは開かれるかもしれぬのだから、ここは問題ですよ。
○館林説明員 法律の条文は、諮問するものとするという言葉になっております。従って、しなければならないというような強い表現でないという点が一点であります。また便法としては、医療協議会を構成いたしております関係団体あるいは現に医療協議会の委員である中立委員等の意見を十分聞きまして、それらの意見が一致した上で一たん実施をいたしまして、そのかわり医療協議会が開かれました暁に、正式に医療協議会にかけて了解を求める、かような手段ができないかどうか、検討中でございます。
○滝井委員 非常に明快になってきました。これは諮問するものとするということであるから、必ずしも諮問しなくてもいいかもしれぬ、こういう問題が一つと、それから便法としては、医療協議会に関係のある何らかの利益を代表するという、そういう団体にいって意見を聞く、これは五団体とか七団体とか、ああいうことになるのだろうと思う。それから中立委員の意見を聞く。これは私はいいと思うのです。これはお互いが蝸牛角上の争いをやるためにこういうことになっておるのです。それと、大臣が、言葉は悪いが優柔不断、大臣が五重塔から飛びおりるつもりでやれば、この問題はすぐいくのだ。従って、私は今の中立委員なり関係団体の意見を聞いて、やはりこれはすみやかに処置をしてもらう必要があると思う。そうしないと、こういう結論が出たものが、ずるずると半年も一年もやられるということになって、非常に困ると思うのです。だから、それだけ今度は、療養担当者の側からいえば、医療の腕をふるうワクが狭くなっているし、患者からいえば、それだけ医療の恩恵を受けることが薄くなる、こういう結論になる。ですから、そういう点、もう少しせっかく御研究の上、すみやかに実践をしていただきたいことをお願いしておきます。 次はこの骨関節結核の療育を受ける者は主としてボーダー・ライン層になると思うのですが、その場合に、私がお尋ねしたいのは、低位所得階層というか、準要保護児童というものは、一体どういう基準で選び出してくるのかということです。これはまず厚生省にお聞きしたい。
○高田(浩)政府委員 この骨関節結核児童の療育の対象になりますのは、これはもちろん生活保護を受ける者も、それからボーダー・ライン層の者も、それ以外の者も入るわけでございますけれども、しかし現実に、それらの費用については、親から徴収できるものは徴収する、負担できないものは公費でめんどうを見る、そういう仕組みでございますので、結局費用負担の対象になるのはおのずから低所得者の階層、そういうことになるわけでございます。これらの判別につきましては、地方にあります福祉事務所の社会福祉主事、これの認定によってきめるつもりにいたしております。
○滝井委員 内藤さんにお尋ねしたいのですが、ことしの文部省の予算で非常に進歩的なものとしてわれわれが喜んでいるのは、要保護、準要保護児童の生徒対策として五億九千六百二十万八千円、昨年度に三億八千四百八十一万七千円、これは小学校、中学校の最高学年についで総員の四・五%に当る、いわゆる修学旅行費の補助とか、そのほかに教科書とか、学校給食とか、保健医療費の補助等がありまして、五億九千万になっているわけです。この要保護児童生徒二・五%、準要保護児童生徒二%、合せて四・五%、これは中学の三年と小学校の六年の総員の四・五%に当ることになるのですが、あなたの場合における要保護世帯の数はわかるのですか。準要保護児童というのはどうしてお選びになったのですか。
○内藤政府委員 この点につきましては、従来から教科書及び学校給食については、準要保護世帯についてすでに支給しておるのでございます。これは主として一つは文部省及び都道府県で行う場合には児童数に按分し、また生活保護の世帯数に按分するという方式をとって配当しておるわけでございます。ですから実際今度それぞれの市町村におかれましては、特に低所得階層であるところの者、具体的に申しますならば、たとえば日雇いとかあるいは何らかの意味で公私の扶助を受けておる者あるいはPTAの援助を受けておる者、その他生活が困窮しておって特別の援助を要するような者が具体的に選ばれると思います。
○滝井委員 生活保護を受けている家庭の児童の数に配分をするということになると、準要保護児童というものを一体どういう工合に把握するかということがちっともわからないのです。厚生省の政策というのは骨関節結核の子供を今から療育をやるのです。しかもこれは生活保護のところは私は医療瀞でいけると思うのです。問題はやはりボーダー・ライン層です。家庭で払える能力のあるところはこんなもののやっかいにならなくても自分でいく。あるいは健康保険があるところはそれでいく。そうすると健康保険もないか、健艇保険があっても国民健康保険で、半額負担ができないというボーダー・ライン層がひっかかってくるのです。そうすると文部省の準要保護の学童、いわゆる給食補助を受けたり教科書を無料でもらったり、三年になったときに修学旅行の金を負担してもらう、それらの子供と、こちらの骨関節結核の子供を選ぶ標準がちぐはぐということであってはいかぬと思うのです。これは鳩山さん、あなたの方はどういう考えでお出しになっておりますか。これはあなたの方が出しているのですが、準要保護世帯を出すのですから、文部省の出し方と厚生省の準要保護児童の基準が違うということはあり得ないと思うのです。準要保護という言葉はこれは国会でも適用語です。大通りを通っている言葉です。この言葉の考え方が厚生省と文部省で違ったら、政策を立てる上において大へんなことです。だから少くともそのボーダー・ライン層とは一体何なのかという定義というものは、たとえば三反以下の耕作地を持っておる農家とか、都市における標準世帯とは一万三千円とか一万五千円以下だとか、おぼろげながら定義はあると思う。準要保護児童というものが一体それらのものに属するものかどうか、こういうことをはっきりしておかないと、今言ったように、福祉事務所の主事にまかせるということになれば、地域的に非常なアンバランスができてくるでしょう。だから、それを社会福祉主事にまかせるにしても、その主事の意見というものが学校教育の給食その他にも反映するし、それからあなたの方の骨関節結核の正医療補助をやる場合にも、それが適用していくという何か不変な一本の線がなくちゃいかぬと思うのです。これは大蔵省が予算を査定するときに、ものさしをもって査定しておると思うんですがね。
○鳩山説明員 ボーダー・ライン層の定義というものは、いろいろ厚生省の自書等に出ておりますが、実際問題といたしまして、厚生省の行政は負担できない者を見るという思想になっております。そういたしますと、修学旅行へ行く金は千円くらい、ところが結核で入院する場合は月に一万五千円もかかる、こういう問題がございまして、必ずしも同一に論ずることができないので、実際問題といたしまして、各地方が実行いたしますのは、あるいは相当区々になっておるものがあるかとも存じますが、実際格世帯の収入を福祉事務所等で調べてみまして、その収入によりまして、医療費が、たとえば入院患者の場合には、払えるかどうかということを決定いたしておるわけでございます。必ずしもボーダー・ライン層という画一的な定義がなかなかむずかしいのでありまして、その点はあるいはばらばらとの感があるのでございます。実際は所得の調査というのは、これは税務署がやりましてもなかなかむずかしいのでございます。厚生省の行政につきましては、社会福祉事務所の収入の調査というようなものを基礎にしてやるということでございます。
○滝井委員 いや、それはなるほど修学旅行は千円だし、結核の入院は一万五千円かかる。しかし対象の人間は同じなんです。修学旅行に千円出せない人は、それが結核になったら一万五千円は出せないということなんです。では、一万五千円出せない人が修学旅行の千円がすぐ出せるかというと、これは修学旅行ばかりじゃない、給食費も何も全部かかってくるのはボーダー・ライン層ということは変らない。文部行政におけるボーダー・ライン層と厚生行政におけるボーダー・ライン層というものが、そんな大きな凹凸があっていいはずはないと思うのです。だから、どこかボーダー・ライン層というもので、その政策を当てはめていこうとするならば、何かそこに一つのものさしというものがなくてはならない。国家としては福祉事務所の主事に全部それをまかしておくということなら大へんだと思うのです。その地域の貧富によってものの考え方がずいぶん違うのです。だからこういうものは大蔵省で予算を査定する場合に、準要保護世帯というようなものは一体どういうものなのだ、それはここに四・五%十九万人という数が文部省の数では出てきたわけです。そうすると、われわれはこの十九万人というもののうちで、結核になれば、これらの者の医療費というものは、骨関節結核については、当然右ならえして見られるものだということなら、非常にわかりやすくなる。これが千万人もおるというのなら大へんですよ。しかし十九万人です。さいぜん言うように、大学も含まれておりましたが、約二千二百万人、小、中学合せてどうでしょう、千五、六百万人ですか、それよりちょっと多いでしょうか。その中のとにかく十九万人です。これは四・五%ですから、逆算していけばわかるでしょうが、その十九万人の中から今度は結核対策なんかやっていくのですから、そのほかの者は生活保護の医療扶助でやっていけるのです。そこらあたりに明確なものがなくて、ただ準要保護世帯だ、準要保護児童だ、こういうことではちょっとやっぱりわかりかねると思うんです。これはそれ以上私は追及いたしませんが、やはりこういう点各省がばらばらではいかぬと思うんです。こういう準要保護児などというものはどこでもみな用いておる言葉です。それがあちらこちらで全部ものの考え方が違うのだ、ものさしが違うのだということでは大へんだと思う。政策が非常に不公平になると思うんです。そういう点は一つ今後十分お打合せを願いたいと思うんです。 次には、骨関節結核の現状について、これはどういう現状にあるのか、そしてその骨関節結核の子供のうちつの二百九十人に当るというものは、一体学童の骨関節結核の何パーセントに当るのか、こういう点が知りたいのです。
○高田(浩)政府委員 骨関節結核にかかっておる全体の児童の数、これは厚生省の方の資料に基いて推定いたしましたのと、文部省の方でいろいろ調べましたのと多少食い違いはありますけれども、大体の見当としまして、約千五百人と見ておるわけでございます。これらのうち、現実に国立療養所等、そういった公立の療養所において治療を受けておりますのが約二百人でございます。従いまして、現状その程度のものが目的とする施設に入っておる状況でございます。従って予算的には二百九十ベッドということになっております。これらのものは、今後における増加の努力を見込んで考えられたわけであります。
○滝井委員 予鈴が鳴ったから急ぎますが、そうしますと、それらの骨関節結核の子供が指定医療機関に入るわけですね。この指定医療機関の指定の基準というものは、政令で定めることになっているわけです。一体この指定医療機関というものはどういうものを指定をして、その基準というものはどういうものなのか。
○高田(浩)政府委員 指定の基準は政令で定めることになっておりますが、その定める条件、要素というものは大体次のように考えております。第一は小児の結核専門の病棟または病室を持っていること、第二に、専門的な治療の人的及び物的な設備があること、第三に、学習ないし生活指導の態勢があること、第四に、義務教育を行い得る態勢が整っていること、具体的に申し上げますと、特殊学級なりあるいは愛機学級なりが設けられるということ、大体そういうようなことを条件といたしまして指定をするつもりでおります。従いまして、結局、現状の結果といたしましては、国立の結核療養所、これがほとんど全部になると考えられます。
○滝井委員 国立療養所が全部になるのですか。いわゆる国立療養所でも、今言ったような専門的な治療をする人的、物的な要素なり、教育のできるような施設の整備ができておる、こういうところだけでしょう。
○高田(浩)政府委員 ちょっと表現が悪うございましたが、国立療養所でそういう条件を備えておるところ、そういう条件を備えておるところは、現状といたしましてはほとんど全部国立療養所で、ほかの種類の療養所には該当するものがほとんどない、そういう意味でございます。
○滝井委員 そうしますと、小児結核の療養所等で、そういう施設が、基準が整えば、これをもってやはりこの骨関接結核の療育をやり得る、こういうことなんですか。
○高田(浩)政府委員 その通りでございます。
○滝井委員 その場合に、そういう施設で学習援助を行う具体的な方法というのはどういう形で行われるのですか。それと、いわゆる学校教育法との関係ですね。そういう国立の施設で、具体的に学習の援助が行われるわけです。教育費として一人二千九百六十四円補助されることになる。こういう関係は、当然いわば僻地教育というか、複式教育というか、そういう形が行われることになる。僻地教育みたいな状態になる、複式教育が行われる。その場合における文部省との関係、こういう問題ですね。
○高田(浩)政府委員 この教育それ自体は文部省の方のお仕事でございますし、従って具体的な教員の派遣、あるいは特殊学級の設置ということは、地方におきます教育委員会の権限において行うことになるわけでございます。従って、現実には、その教育委員会と十分話し合いができまして、そういう条件が整うということが一つの条件になるわけでございます。そういうような状態になりました場合に、いわゆる学習に必要な物品の給与を行うということになるわけでございます。
○滝井委員 内藤さん、これは養護学級みたいなものと普通学級と、こういう二つの編制になると思うのです。そうしますと、これは必然的に僻地の複式教育みたいな形に、一年、二年三年を一緒にするとか、二年、三年を一緒にするとか、こういう形になると思うのです。こういう場合に、文部省としてはどういうことになるのですか。そしてしかも平均して一年半そこそこしか療養所にいないわけです。そうしますと途中からで、必ずしも四月にみな来るとは限らないのです。夏の暑い八月の夏休みが終ってから来るというようなのもあるのです。そうすると、その教育の進行過程というものがばらばらなんです。しかも都会の子供あり、いなかの子供あり、教科書の内容も違う、こういうことが出てくるのです。こういう問題については厚生省と文部省とがどういう打ち合せをして、そこでどういうことをするのか、新しい教科書を作ってやることになるのか、そこらの関係というものはどういう工合になっていますか。
○内藤政府委員 国立病院における養護学級の問題でございますが、この点につきまして、文部省といたしましても、都道府県の教育委員会にすでに通達を出しておるのでございまして、できるだけこれに協力するようにと……。と申しますのは、昨年の学級規模の適正化及び教職員の定数の標準に関する法律によりますと、養護学級の場合には十五人で教員一人という算定基準を持っておるわけなんでございます。ですから、十五人を教育するということは結局個々の生徒の特性や性格その他を見ながら教育するということで、決して一律に教科書を使うわけには参らぬと思うのであります。ですからむしろそれぞれの生徒の進度や能力適性を考えながら、個別指導になろうかと思うのであります。そういう点ですでに学校教育法でも教員の派遣という制度を認めておりますので、教育委員会がそれぞれの市町村の分教場というような扱いをしていただけば、教員の派遣も可能であり、また適切な教育も行えると思うのであります。ただここにいる者が全部その対象になるかどうかは、知能の程度と学習能力の調整の問題があろうかと思います。ある程度の学習能力にたえ得る者でなければならぬかと思うのであります。ですから大体私どもは十五人に一人という基準をきめておりますので、御指摘の御心配の点はなかろうと思っております。
○園田委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。 次会は来たる九日、午前十時より開会することとし、これにて散会いたします。 午後四時二十六分散会