社会労働委員会 第3号
- 発言数
- 150 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1958/12/19
会議録
○園田委員長 これより会議を開きます。 国民健康保険法案及び国民健康保険法施行法案の両案を一括議題とし、審査を進めます。 質疑を継続いたします。まずおとといの本委員会における滝井委員の質疑に対する答弁の一部が留保されておりましたので、この際これを許します。保険局長。
○太宰政府委員 先日の滝井委員からの御質問の中で、第四条に関連いたしましてさらに補足いたして答弁を申し上げます。 その際申し上げましたごとく、国は国民健康保険事業につきまして最終の運営の責任者といたしまして、当然それの健全な運営に努めることは言うまでもございませんが、国民健康保険事業の性格にかんがみまして、単に国と市町村との間の責任のみにおいて運営せらるべきものではなく、その当該市町村を包括する広域の地方公共団体として都道府県もまたその社会保険事業の基準の維持に当り、またその運営の指導に当る、こういうことを明確にいたしたのが本条の趣旨でございます。これの具体的な現われ方といたしましては、たとえば第七十五条におきまして都道府県がその財政状況等に応じて国民健康保健事業に要する費用に対して補助金を出すというようなことが規定されておりますが、こういうようなものは都道道府県の立場においてこの指導に当るという精神の一つの現われだ、かように考える次第であります。
○滝井委員 この前、四十二条における「療養取扱機関が善良な管理者と同一の注意をもってその支払を受けることにつとめた」ならば、最終的な責任には保険者が持つという意味のことが四十二条に書いてあるわけでございますが、これに対する具体的な厚生当局の見解を、この法案が通るまでにはまとめて一つ御報告願いたい、こういう要請をしておったのですが、いろいろ御事情があろうかと思いますので、これに対する処置をどういう工合にやるのか、そのお気持をこの際お聞かせ願いたいと思います。
○橋本国務大臣 これはきわめて重大な問題でございまして、厚生省といたしましては、これを独断的な見解でやるつもりはございません。具体的にいろいろな事情等を調べ、勘案いたしまして、医師会でありますとか、あるいはまた保険者団体でありますとか、あるいはまた支払う側にあります被保険者の方の方々の御意見といったようなものを十分伺いまして、それによって何といいますか具体的な準則のようなものを設けて誤まりなきを期したいと考えておる次第でございまして、一案を作りました上におきましても、関係団体等には十分御相談の上で決定いたしたいと考えております。
○滝井委員 その問題はきわめて重要な問題でございます。それででき得べくんば、先般理事会等で話し合いまた国会の中に医療法なり医師法の根本的な問題を検討する小委員会でもできまして、これが運営が行われることになりましたならば、そういう準則ができたら、そこにも一つお見せを願いたいと思うのです。これは私、厚生省にも委員長にもその希望をいたしておきたいと思いますが、その際、特にきょうお伺いをしておきたいのは、健康保険法におきましては翌々月末までには保険者は診料報酬の請求を支払うことになっておったと記憶しております。もちろん翌々月末までにこれができなかったからといって延滞利子がつくものではございません。しかし翌々月末までに払わなければならぬことになっておることはなっておるのです。従って常識論として、善良な管理者の注意をもって取り立てをやる場合に、これはもう取り立てができないものであるという一応の認定を下す時期というものがやはりある程度あるだろうと思うのです。その下すについてのいろいろな客観的な条件は、これは保険者なり、療養担当者なりその他いろいろ学識経験者なる者の意見を聞いてきめなければならぬと思いますが、監督機関である厚生当局として、患者が大体払えぬという認定をする期間はどの程度のものを置いたらいいのか、これは非常に技術的な問題になりますが、すでに健唐保険においては基金法で翌々月末までこ支払うということになっているのです。その点、保険局長はどうお考えになっておりますか。
○太宰政府委員 通常の場合におきましては大体健康保険と同じような早さで、できるだけ早くお支払いを今までもいたしているわけでございますが、今お尋ねのような善良なる管理者と同一の注意をもってやっているにかかわらず入らない。その場合の問題につきましては、これはなかなか今すぐここでお答えすることは困難かと思いますが、私どもの根本的な気持といたしましては、前国会においても当時の保険局長から御答弁申し上げましたごとく、お互いに国保の制度をもり立てていく協力者として、療養取扱い機関においては誠意をもって取り立てていただいて、なおかつだめだという場合におきましては御迷惑をそれ以上かけない、保険者の方においてそれに取ってかわって適当な措置をする、こういう根本的な気持でいるわけであります。 従いましてそれをどういう時期に認定するか、これはなるべく早くそういうことをきめまして、取扱い機関の方にも御安心をいただくようにすべきことは当然のことだとは存じますけれども、それを一件々々でやるか、あるいはある程度の期間にまとめてやるか、事実具体的の場合としてのやり方は、先ほど大臣から答弁のございましたごとく、そういう点も含めましていろいろ関係者の方々のお話もよく承わってきめて参りたい、かように考えております。
○滝井委員 私はでき得べくんば、こういう点は保険者と療養担当者とが話し合わなくても、療養担当機関から保険者にその取り立てを移す期間ぐらいのことは、やはり立法の責任者として政府の方で一つの見解はこの機会に私は表明しても差しつかえないのではないかと思う。その取り扱うためのいろいろの条件は、善良な管理者の注意をやったというのは一体何回催促したのか、どういうことがそうなのだ、これはおまかせして差しつかえないと思います。しかし取扱いの機関から保険者に取り立ての義務が移行するのは、一体どの程度の期間があれば移行するのだということぐらい明らかにしておいてもらわぬと、三年も四年も後にならなければだめだということはあり得ないと思います。また健康保険は翌々月末までには払うということになっている。だからたとえば三カ月間だとか、長くても半年は出ないだろうと思うのですが、ここらあたりもう少し、くどいようでありますが、ここらあたりが私は一番大事なところだと思う。これは何も、こういう法文をお作りになったからには、具体的ないろいろな条件はそれは聞かなければなりませんが、ここらあたりははっきりしておく必要がある。
○太宰政府委員 その期間は、私ども今ちょっと引かれたような、三年とか、そんなふうなべらぼうなことは全然考えておりません。できるだけ短かい期間においていたしたいということを先ほど申し上げたわけであります。それは当然先生とそう大きな隔たりはないということは申し土げて差しつかえないと思います。
○滝井委員 常識的には三ヵ月くらいだ、それから長くても半年は出ぬ、こういうことだそうでございますから、さよう了承いたしておきます。 そうしますと、次に問題になるのは、いよいよその取り立てが今度保険者に移っていくわけです。そうすると保険者は、一体善良な管理者の注意をもってもとれなかったものを、保険者に移った場合に、保険者は、何ヵ月したら払うことになるのかということなのです。これはいわば「この法律の規定による徴収金の例によりこれを処分することができる」こういうことになっておるわけです。私はどうもそこがよくわからぬのですが、徴収金の例によって処分するということになると、それが今度は患者から取り立てられて、そして担当機関に払われることになるんです。その間の期間は、一体普通の規定による徴収金というものはどのくらいで取り立てることになるのですか。一般から徴収金を取り立てるというのはどのくらいで取り立てるのですか。手に入ればこれはすぐ払えることになるので、だからそこらの支払いに至る今度は期間、健康保険にしても国民健康保険にしても、翌々月末までには順当にいけば、今払ってくれておるわけですね。だけれども、これは順当にいっていないものなのですけれども、今度は保険者の方に取扱いの責任が移動をしているから、今度は逆に療養の取扱い機関に金がいくのは、一体どのくらいの期間かかるかということなんです。ここらあたりはやはり保険者とか担当者じゃなくて、こっちへ移ったからには、やはり早く払わなければならぬ、こういう形が出てくる。この点どういうことになるか。
○太宰政府委員 これは当然強制徴収ということにもなろうかと思いますが、さようの場合におきましては、普通国税徴収法などのやっておりますごとく、納期を指定して、その日までに納めさせる、それが納まらない場合において、あとは強制的な取り立てになるというような手続になろうかと存じます。従いまして、当然これもいわゆる通常の期間というものから、さらにうんと延びたルーズな取扱いに終るということは、私どもとしては全然考えておらないわけでございます。さよう御了承願いたいと思います。
○滝井委員 そうしますと保険者に責任が移ってから、翌々月末までには支払う、こういうことでございますから、結局そうしますと大体これで期間が出るわけですが、普通二、三カ月は担当機関の方でやる、それからまたもう二、三カ月は徴収その他のあれがあるので保険者がそれに当る、そうするとまあまあ半年以内には未収金というものは担当機関にくる、こういうことが常識論として出てきたわけです。政府もその常識論というものを尊重していきたい、こういうことなのですね。これは大臣に一つ、大臣からそこらあたりの御答弁だけは得ておきさたいのです。
○橋本国務大臣 大体そういうふうな方向に努めて参りたいと思います。
○滝井委員 了承いたしました。 次は四十三条の問題でございますが、四十三条は「保険者は、政令の定めるところにより、条例又は規約で、前条第一項に規定する一部負担金の割合を減ずることができる。」ということでいろいろ一部負担金の減じ方が書いてあるわけなんです。一昨日丙表の問題を出したのですが、こういうところからも丙表がくるのだろうと思いますが、その場合に四項の「当該療養取扱機関に対する支払に代えて、一部負担金を直接に徴収するものとすることができる。」こういう場合、これは出来秋などで一時的に金が入ってくる。従って、定期的に半額の負担というものは、病気になったそのつど医師に支払うことができない。だから一時的に金の入ってきたときに、半額医師に支払うのをまとめて、出来秋等の金が入ったときに、農村等ではやるように便宜をはかる、こういう趣旨の規定が四十三条のこの四項に当るのですか。この意味を一つお教え願いたいと思います。
○太宰政府委員 この条項は、お尋ねのごとく、純農村などにおきましては、なかなか現金というものは毎日のように入って参りません。従いまして、出来秋というようなときでないと、なかなか一部負担金というものも払えない、こういうような場合に関する便宜として特別の事情の取扱いを認めた制度でございます。
○滝井委員 その特別の事情があると認めるということの、その特別の事情というのは、農村のような、出来秋でなければ季節的に金が入らないということのほかには、何か特別の事情があると認める場合がありますか。
○太宰政府委員 私ども今考えておるところでは、大体純農村のようなところというように考えております。
○滝井委員 この規定は非常に農村の被保険者にとっては、私はいい制度だと思うのです。その場合に、昔から農村では、定例払いと申しますか、盆と暮れになれば、お米を金のかわりに医師のところに持って行くというならわしがあったのですが、今米は食糧管理法違反になるからできないのですけれども、そういう農村の昔からあった非常なうるわしい伝統を、今度は暮れとか盆に金が入ったときに支払ってもらうのだ、これは非常にいい制度です。ただしかしこの活用の仕方をよほどうまくやらないと、療養担当機関なり被保険者との間に、いろいろ問題が起ってくる可能性のある条文でもあるわけです。十分この運用については御検討をいただきたいと思うのです。特にこれが条例で定めていいことになっておるわけですから、十分一つ御検討をいただきたいと思います。 次は四十四条で、特別の理由がある被保険者に対して減免の措置が講ぜられることになるわけです。「特別の事情」という言葉がたくさんあって、前は「特別の事情」ですが、今度は「特別の理由」、こうなったわけです。その「特別の理由」ということをどういうように限定をするかということです。これはやはり別にその条件を政令や省令で定めるわけではなくて、まさに文章はこの通り「保険者は、特別の理由がある被保険者」、こう書いてあるわけですが、その「特別の理由がある被保険者」の「特別の理由」というのは一体どういうことなのか。もちろん生活保護はその中へ入らないのですから、そうするとボーダー・ライン層か、そこらあたりのことになると思うのですが、このものさしを一つ教えておいていただきたい。
○太宰政府委員 ここの「特別の理由がある被保険者」というのについて私ども考えておりますのは、大体御指摘のようにボーダー・ライン層の人たち、あるいは災害などの関係で同じような状態に陥った場合というようなふうに考えておるわけであります。それの具体的な線の引き方につきましては、先ほどの四十二条の場合と同じように、やはり慎重に考えて何かの基準を示したい、かように考えております。
○滝井委員 そうしますと、それは国民健康保険の取扱いの準則みたいなものをお作りになるわけですか。
○太宰政府委員 多分通牒でこれをきめて出したいと思います。
○滝井委員 次には四十四条の第二項の文章ですが、「前項の措置を受けた被保険者は、第四十二条第一項及び前条第二項の規定にかかわらず、前項第一号の措置を受けた被保険者にあっては」とあります。ここの「前項の措置を受けた被保険者は」というのは、被保険者についてはという意味なのですか。どうも専門家でないので、そこの文章がよく読めないのですが……。
○伊部説明員 大体、ついてはという工合に解釈していいのじゃないかと思います。
○滝井委員 わかりました。どうもしろうとで意味がよくわからなかったもので、そういうことじゃないかと思ったのですが……。 四十五条の三項でございます。保険者が都道府県知事の認可を受けて療養取扱機関との契約をした場合には、療養給付の費用について別段の定めをすることができることになっておるわけです。これは甲表、乙表によって定められた額より安い額でやることができる、こういうことだと思うのですが、そういう理解をして差しつかえございませんか。
○太宰政府委員 その通りでございます。
○滝井委員 そうしますと、これは具体的にはどういう場合でしょうか。たとえば国立病院なんかの場合とか、国立療養所の場合とか、この前出ましたいわゆる保健所の場合とか、そういう場合ですか。
○太宰政府委員 その通りでございます。国立病院は現在そういうことをしておりませんが、国立療養所あるいは保健所、これは健康保険法第四十三条の九に同様の規定がございました。これはそういうようなところでは一般の人たちに対しましても国の特殊な政策の面から割引をしておる、そういう施設でございますので、国民健康保険の場合におきましても、そういう恩恵にはやはり同等に浴せしめるという必要があろうかというので、この規定を設けた次第でございます。
○滝井委員 今国立療養所、保健所以外に何かそういう機関はありますか。そしてこの規定というものを他の療養取扱機関に拡大をする意思があるのかないのか。それからもう一点は、「別段の定をすることができる」ということは、単価十円より以上に別段の定めをすることができるのかできないのか。
○太宰政府委員 ただいまのところ私どもは他の医療機関に拡大することは考えておりません。なお将来ともそういうことについては特に慎重を期して参らねばならない、かように考えております。それから単価の十円というものと別にする云々ということについては私どもは考えておりません。
○滝井委員 理論的な筋としては、十円以下にすることができるのに十円以上にすることができないというのもちょっとおかしなことになると思うのですが、これは非常に根本的な問題でございますので、それ以上私はここでかれこれしたくありませんので論議をいたしませんが、軽費診療の機関がいろいろ出てくるということは、結局単価を十円にきめったりあるいは甲乙二表を作った権威にもかかわる問題に発展をして、安いものをいろいろ認めると高いものも認めなければならぬという、こういう差額徴収的な議論が出てくるおそれもありますのっで、ここらあたりの都道府県知事の認可を与える場合についても一つ慎重に取り扱って、日本の医療費の体系を乱さない最小限の範囲で運用をしていただきたいと思います。 次は保険者の審査権の問題であります。これは後々のために保険当局の公式な見解を承わっておきたいと思うのですが、保険者は療養取扱い機関から保険の給付に関する支払いの請求があったときには審査をした上でこれを支払うことになるのですが、その審査をしたということによって、医療機関の請求をした費用の額よりか増額をして支払う場合もある。これは間違っておるから増額をするということもある。しかし間違っていなくて、減点をして支払う場合があり得るわけであります。従ってその減点をする理論的な根拠はどこにあるかということを、この際一つ保険局の公式見解を明白にしておいていただきたいと思うのです。
○太宰政府委員 この療養取扱い機関が保険者にかわりまして療養の給付を取り扱い、それにかかった費用を請求いたしますが、その取り扱いにつきましては、これは大体保険という仕組みから出て参りましたいろいろな条件あるいはある場合においては制約というものもございましょう、そういうようなものに従って給付をかわってやっていただく、そういう仕組みになっておる次第であります。従いましてその取扱い機関から費用の請求がありました場合におきましても、そういう取りきめに応じてなされておるかどうかということを保険者の方で審査をして支払いをする、こういうことになるわけであります。これは当初の契約が、法的な解釈としてそういうような契約になっております関係から、かような規定を設ける必要がある、こういうことでございます。
○滝井委員 審査をする権限は保険者にあることはわかるのですが、それを減点をするという権限は一体どこから出てくるかということです。与えたものを減点をする権限はどこから出てくるかというこの点が今の答弁ではちょっと明白でないのです。実際に薬を十日分与え、注射を十本したといった場合に、薬を五日分に削り、注射を五本に削るというその権限は、一体保険者のどういうところから出てくるかということですね。これは療養取扱い機関がそれぞれ法に基いて、給付に関する費用は契約した、それから保険診療をやりますという申し出をする、これも一つの対等の契約です。その契約のどういうところから減点をし得るという理論が出てくるのかということがどうもわかりかねるのです。これはできれば内閣の法制局あたりの公式な見解をこの際お聞かせ願いたいのですが、局長さんの方で明快な御答弁ができればいいのです。この前もいろいろ非公式に議論をいたしましたように、その場合には審査機関がそれを削減をしたならば、その削減された分については、実際に与えたのだから患者からその分をもらうべきだというお話もある。現在たとえば、本人は別ですが、家族は十本注射を打って百円お金を払ったとすると、請求は一応倍ですから二百円の請求が出ていくわけであります。その場合に家族であるならば、保険者はそれについて百円払うところを半分の五十円に削ってしまう。そうすると五十円になる。ところが患者はすでに百円払っておるわけです。患者から払った百円を、五十円は保険者が削ったのだからつ、一つ患者さんもお医者に行ってもらいなさいとは今言っていないのですね。削る額は、結局審査をされるときに保険医療機関に出たものだけが削られておる。本人の場合は全部削られてしまう。家族の場合は削られていない。少くとも家族の支払った半分は削られていない。こういう矛盾があるわけであります。もし理論的にいって、削られたものについては全部なくなったのだということになれば、家族である場合には、家族が半額支払った分の中から削られた分だけは家族にも返さなければならぬことになるわけでありますが、それは現在行われていないわけであります。行われていないということは、結局保険者が削除するだけの法律的な見解が明確にされていないからこそ、そういううやむやに過ごされておるという一つの理論にもなり得るわけであります。この点、館林医療課長の方では、健康保険にも通ずることですが、保険の方の見解はどういうことなんですか。 〔委員長退席、田中(正)委員長代 理着席〕
○太宰政府委員 お答えいたします。理論上から申しますならば療養取扱い機関と保険者の間には、いろいろな診療取扱いのもろもろの条件をきめて、これは準則という格好で出ておりますが、それに従ってやっていただくということになっております。従いましてその減点とかなんとかいう審査の問題は、当初とりきめました準則に従ってやられておるかどうか、それがやられていないという場合において、準則の照らすところに従ってこれを審査する、こういうことになるわけであります。その根拠は準則、すなわち当初のそういう基準でやるという契約のところにある、かように考えます。 なお被扶養者の場合におきまして、健康保険法の方では大体全額を給付するということではなくして、半分の五割の分についてやる、こういうことでありますから、その方はそれで問題はなくなるわけであります。国民健康保険法の方におきましては、給付全体を割って、五割は一部負担という格好で払うことになっておりますので、従いましてもしそれが不当でありますならば、理論上は当然患者の方から医療機関に戻していただくということになるのが筋であると思います。
○滝井委員 四十条に規定する準則でそういうことになるので削るのだ、こうおっしゃいますが、そこらあたりの理論上の根拠が少し私、納得ができないところがあるのです。いずれこれはもう少し内閣の法制局の見解も機会をあらためて聞かせていただきたいと思います。 次には審査や支払いに関する事務を健康保険団体連合会あるいは社会保険診療報酬支払基金に委託することができることになっておるわけです。実は私、健康保険団体連合会というのは、いわば保険者の団体だから、保険者だと思っておったのです。それは保険者が保険者に委託するという形になるのですが、この場合健康保険団体連合会は保険者の団体で、保険者そのものではないということになるわけなんです。そうしますと、審査権は保険者にあるんだ。そうすると健康保険団体連合会というのは――これは今直感したんですが、健康保険団体連合会は第三者の機関ではないかという感じがするのです。保険者そのものでない。今まで非公式にいろいろ議論をしたところでは、これは保険者だという形で議論をしておったわけですが、今直感するところによると、あなた方も少し思い違いをしておるし、私も思い違いをしておるんじゃないかという感じがするんです。健康保険団体連合会が保険者そのものではないということになると、健康保険団体連合会に審査機関を置くということになれば、第三者のところに置いたということになるような感じがするのですが、これに対する見解はどうですか。
○太宰政府委員 連合会の性格は八十三条以下にございますので明瞭でございます。保険者そのものではありませんが、そのようなものに事務の能率化あるいは公正化をはかる意味において委託することであり、それは社会保険診療報酬支払基金に委托するのと同じでございます。
○滝井委員 今まで少し頭が混乱しておった関係か、保険者そのものだという議論をお互いにしておったようであります。そこで大臣にこの際お尋ねしておきたいのですが、実は「保険者は、共同してその目的を達成するため、国民健康保険団体連合会を設立することができる。」という規定が八十三条にあるわけです。そのときに私は、共同してその目的を達成をするというようならば療養担当者もこれに加えたらどうなんだ、団体を加えたらどうなんだと言ったら、それは必要ないとおっしゃっておったわけなんです。ところが各県に医師特別国保というものが敷衍的にでき始めたわけです。そうすると、その医師特別国保というのは、同じ医師という療養担当者の大部分が集まって国保を作るわけです。そうするとそこの理事者が保険者として国保連合会に入るということになる。これは大臣可能でしょう。
○橋本国務大臣 可能でございます。
○滝井委員 そういうことになりますと、ますます国民健康保険団体連合会の性格というものが、今までわれわれが論議しておった性格とは変った要素を含んでくることになるわけです。医師自身もそこの連合会の幹部にもなり得るという客観情勢が出てきたわけです。そういうところに審査機関を置かれてやられるということになりますと、これはだいぶ理論的に、私自身もいまここで直感したのですが、保険者そのものでないのだ、保険者の集まりだ、しかしその中には医師の団体も入っているのだ、こういう国民健康保険をやる医師の団体が入っている、そうすると、今までのものとは少し違ってくるわけです。そこで、その場合に、その三分の二に達しないと健康保険団体連合会が審査権を持たないわけなんですね。この三分の二ということの中には、保険者の数が三分の二ですから、特別国保も入れば普通の健康保険組合もみな入る、こういう、市町村の保険者でなく、そういうものを全部ひっくるめてやるという意味に解釈して差しつかえありませんね。
○太宰政府委員 その通りでございます。
○滝井委員 そうしますと、あるところは社会保険診療報酬支払基金にいく、あるところは国保の連合会にいくということでなくて、むしろ行政の指導を一貫して、国保団体連合会でやろうというならば、むしろこの際それを一本に統一しておった方が、将来何か問題があってここに置いては工合が悪い、県に置くべきだということになれば県も非常にやりやすくなるのじゃないかと思う。審査機関をばらばらにしておくところに行政を複雑化し、そうして東京都に起ったような汚職の問題が起りやすくなる。三分の二以上保険者が加入しておるところは連合会だ、そうでないところは支払基金だということになりますと、 〔田中(正)委員長代理退席、大石委 員長代理着席〕 同じ審査機関でも、審査の方針が連合会と支払基金と必ずしも同じでないという場合が出てくるわけです。なぜならば、支払基金の方は健康保険的なものの見方をするわけですし、国保の連合会の審査機関は国保的なものの見方をしていくという形が必ず出てくるのです。そうしますと、ある県においては、国保的な審査の仕方は非常にゆるやかだ、どうも基金に持っていったら健保的なものの見方で非常に激しかった、あるいはその逆の場合といったことが出かねないのですね。だから、そういう形になるとすれば、私はむしろどちらか一本にした方がいい。だから、法律的にはこう書いておっても、行政の筋としては一貫した考えでやる方が、あなた方がいろいろ支払いの方針を出す場合においても、あるいは審査の方針を出す場合においても、非常に便利がいいのじゃないかという感じがするのです。これは、法律をこう書いて、一宇も修正まかりならぬとおっしゃるのですから、なかなかどっちか一本にしようということは言いにくいのですが、行政の筋としてはどうですか。
○太宰政府委員 今伺っておりますと、行政の筋としての滝井委員のお考えも私どもわかる点がございます。これは今後行政運営の面においてとくと参考にして考えて参りたいと思います。法律の規定といたしましては、かような条項で、好きな方に委託することができるというふうな程度が今日においてはよかろうと考える次第であります。
○滝井委員 ぜひ一つ、ある程度統一する方が私はいいと思いますので、できる限り漸進的にそういう方向に持っていっていただきたいと思います。 次には療養取扱機関の報告等に関する問題でございますが、厚生大臣または都道府県知事は、四十六条で、療養の給付に関し必要があると認めるときは、それぞれのところに報告を求めたり出頭を求めたりすることができることになるわけなんですが、その場合に、療養の給付に関して療養取扱機関の責任の範囲、開設者の責任の範囲、管理者の責任の範囲が明確でなくてはならぬということなんです。そうしないと、ある場合に療養機関が責任を負わなければならないのに開設者に責任を負わせたり、開設者が責任を負わなければならないのに管理者に責任を負わせたり、管理者が責任を負わなければならないものを国民健康保険医なり国民健康保険薬剤師に責任を負わせるという紛淆が起ってくる可能性があるのであります。そこで私がどうしてそういうことを申すかというと、即ちそのまま、これは鏡のごとく医療協議会に移っていくわけであります。そうすると法律の解釈において、療養の給付に関して、それぞれの責任分野が明確でないと、医療協議会というものはいたずらに混乱をするわけでありますので、この文章ではこれが読めないのです。私はそこに一つの心配がある。前項の規定に関して質問または検査をやる場合には、職員が行ってその身分証を示してやりますが、一体この場合にその責任はだれであるかということで、その責任を持つ人に質問をしてもらわなければならぬということで、そこらあたりを、一体これであなた方はどういう具合に使い分けていくかということなのです。これをこの際明確にしておいていただきたい。これが明確にならないところに療養取扱い機関というその概念が非常にぼやけていると思う。療養の給付に関して、と頭からかぶせてしまっているけれども、その療養の給付ということに関しては、それぞれ責任の分担があって、総合したものが療養給付ということになってくるわけですよ。これがはっきりしないから、われわれは療養取扱い機関というものを、それぞれ開設者は開設者、機関が場所である場合には、場所は場所、管理者の責任は管理者というふうに分けた法文の書き方をすれば、医療協議会でいっても問題はない。しかしこういう形になってくると、なかなか問題になってくるということです。それと同時に、これは健康保険についても言えることなのです。健康保険についてそれぞれ療養担当の規定がありますけれども、これはやはり眼光紙背に徹するように目の玉を大きくして見ても、なかなかどこからどこまでが医者の責任で、どこまでが開設者の責任で、どこからが全体の機関になるかということがわかりかねる。医療法を見てみますと、病院を取り消す場合もあります。開設者の開設そのものを取り消す場合もあって、いろいろな場合が出てきている。とにかくこれは療養給付に関してはそれを全部ひっくるめて区分していないのです。だからその点にこれは非常に問題がありますので、明確な御答弁がなかなかできにくいかと思いますが、この際法案をわれわれが最終的に審議する段階に至っておりますので、保険局の公式な見解をこの際表明していただいて、これが不完全なものでもかまいません。やがて小委員会でも作って根本的な検討をする段階になれば、まとめてさらにこれを、整理していって出すことにすればいいと考えます。一応法案を通すからには、来年の一月一日からこの法案は現実にわれわれの国民生活を規制することになるわけです。一応念のために四十六条における、療養の給付に関して必要と認めるときの、それぞれの機関なり者の責任分担というものの見解を明白にしていただきたい。
○太宰政府委員 療養の取扱い機関というものの概念につきましては、ここで前回に申し上げたかと思いますが、大体この国民健康保険法あるいは健康保険法というものは、当然医療法なり医師法というものをその前提として認めまして、それとの関連においてこういう規定が入り、またそれの運用につきましても当然それぞれの法律というものを、私どもは総合して照らし合せてきめるわけでございます。本法案におきましても、開設者あるいは国民健康保険医、薬剤師というものの分担については、前の方においてすでに明らかになっております。この分と、もとをなします医療法、医師法などとの分との照らし合せにおいて、おのおの責任の分担というものをきめて参るわけでございますから、私どもの考えといたしましては、これによって紛淆を来たすことはない、またそういう紛淆を来たすことのないように運営していくことができるという考えを持っておるわけであります。
○多賀谷委員 関連。先ほど国民健康保険団体連合会が第三者的な団体だ、こういうことを滝井委員の方から発言があり、またそれを肯定された発言がありましたけれども、これは法律で明記されておる団体ですから、やはり性格を明らかにしておかなければならぬという意味で質問申し上げたいのですが、第三者というのはどういう意味ですか。
○太宰政府委員 別個の人格を持っておるという意味であります。
○多賀谷委員 別個の人格を持っておることは、保険者でなくて、別個に法人を組織するのですから、そういう意味でしょうけれども、しかしこれはあくまでも保険者の利益を擁護するといいますか、国民健康保険そのものを推進し、運営するのではなく、国民健康保険者の共同体として、保険者そのものの経済行為はやりませんけれども、その保険者の利益擁護のための団体である、こういうことには間違いないでしょう。
○太宰政府委員 この八十二条で「保険者は、共同してその目的を達成するため、」云々ということが書いてございますが、これは当然国民健康保険事業が健全に発達していくという大きな目標をさして努力する、こういうことでございまして、今お話のように、その中において保険者の利益であるとかあるいは被保険者の利益であるとか、あるいは保険取扱い機関の利益とかいうふうな、分れた狭い意味の保険者だけの利益というものを私どもは考えておらないのでございます。
○多賀谷委員 そういたしますと、療養担当者が加入してもいいわけですか。
○太宰政府委員 これは八十三条の規定にありますように、保険者が共同して設立することになります。
○多賀谷委員 なぜ保険者だけに限ったわけですか。健康保険そのものの事業を円滑に運営し、かつその目的を推進するためには、医療担当者がやっても同じでしょう。療養担当者が入っても同じでしょう。
○太宰政府委員 この連合会というものは、保険者が共同してその目的を達成するため作るわけでありまして、療養取扱い機関というものは、保険者がその仕事を運営いたします場合に、医療という特殊性から、お医者さんにかわって養療行為を担当していただく、そういう面で入ってくるわけでございます。ここではその大もとの保険事業全体をよりよくさしていくという意味において、保険者だけの集まり、こういうふうにするのが当然だと考えております。
○多賀谷委員 被保険者であるとか、それから療養担当者であるとかあるいは保険者であるとか、この三者を一体にして扱わなければ、あなたの言う共同してその目的を達成するためにはなりませんよ。保険者のみしか加入を許さないというのですから、その点はこの法律施行に伴う保険者のための行為、こういうように解する以外にはないでしょう。あまりいいように答弁されておりますと、定款なんかであるいは療養担当者とかあるいは被保険者を入れるという問題が起りますと、法律では一応明記されておりますけれども、性格をはっきりされておかなければいけないと思う。ごまかして、あとつじつまの合わぬようなことをされてはいかぬと思う。
○太宰政府委員 根本におきまして保険者と被保険者あるいはその他の者とが対立するという感覚のもとに私どもはこれを規定しておらないのでございます。当然その保険の制度の運営が健全に伸びていくという立場に保険者はあるべきはずだ。従ってそこに保険者と被保険者、あるいは保険者とそれに協力をお願いいたしました療養取扱い機関との間に対立があるものという前提は、私どもは全然としておらないのであります。いわんや国民健康保険の場合におきましては、保険者というものはほとんどその大半は、九分九厘まで市町村であります。市町村というものは当然そこの中におります住民の福祉をこいねがう、これと対立するということは私どもとしては考えておらないのでございます。
○多賀谷委員 そういたしますと、保険者のみの加盟ということを変えまして、被保険者とかあるいは療養担当者を含める、こういうふうにその精神からいえば直してもいいわけですね。
○太宰政府委員 大へん恐縮でございますが、その必要性はないと考えております。
○多賀谷委員 この法律の全般は、やはり保険経済あるいは経済行為、契約、こういう思想に貫かれておるのですね。ですから取り消し行為というもの、契約の解除というものがある。それから申し出の受理というものがある。こういういわば経済行為、しかもその出たり入ったりは自由というものの考え方をしておいて、そうして療養担当者、被保険者は全部保険者である、こういうものの考え方をされるということは、私はやはり矛盾しているのだと思うのです。一方においてはそういう対立的な面をほとんどこの法律の中にうたいながら、しかもそれは経済行為をうたいながら、さらに一方においては保険者の中に、いわば全部大きな目的のために総合されるのだというものの考え方、保険者が入っておれば、被保険者も療養担当者のことも十分考えて行なっておるのだから対立関係はない、こういうものの考え方、これは私は矛盾しておると思うのです。ですからやはりその療養担当者と保険者が契約をするというものの考え方をするならば、これは保険者だけの団体である、こういうようにすっきりされた方がいいと思う。そうでなくて、今度は保険者の中には被保険者も療養担当者も全部含めての考えでおるのだというようなものの考え方、これは現実は違いますが、そういうものの考え方をされるならば、取り消し行為であるとかあるいは申し出の受理であるとか、そういうようなものの考え方をなされない方が皆保険に適しておる、私はこう考えるのですがどうですか。
○太宰政府委員 連合会は保険者が作るわけであります。その保険者が作るという意味は、先ほど申し上げましたように保険制度の運営が健全に伸びていくという意味で、従ってそこの被保険者なり何なりと対立するというようなことは、狭い意味の保険者が自分たちだけの立場の利益擁護ということをしない、そういうことはあり得べからざることである、こういう建前で私どもは考えておるわけであります。それからその取り消しとかなんとかいうことは、これは前の方でも御審議がありましたごとく、こういう一つの保険集団というものを作りまして、そこでこの診療取扱いというものをお医者さんにお願いして、そうしてこれをやっていきます場合において、それの条件なり何なりが合わないという場合におきましては、万やむを得ない場合においてはその集団から退いていただく、こういうこともやむを得ざる場合には私は起ってこようかと思う。そういう場合の措置でありますから、その点と今回のこの八十三条の規定等との間においては、私どもとしては何らの矛盾というものも感じておらないわけであります。
○多賀谷委員 どうも私ははっきりしないのですが、なるほど保険者になる人はいわば公法人ですから、市民の代表的な団体である、こういうことが言える。その面については言えるのですけれども、これはやはり保険経済を行なっておるのですから、そういう場合においては保険者というのは、やはり療養担当者なり被保険者と対立する面もあるわけです。この事業そのものは対立していない。事業そのものは対立していないけれども、この健康保険における保険者というのは対立しておるから、そういうようないろいろの契約事項であるとか、被保険者との関係が出てくるわけですね。ですからそれの連合会であるから、やはり連合会として見るべきである。そうしなければ、なぜ県知事というような第三者を置くか。これは対立でないというなら、これは連合会というものがもう全部第三者であるということになれば、取り消しだって連合会でいい。ところが別個に第三者というものを設けておる。 〔大石委員長代理退席、委員長着席〕 ですから、第八十三条にいう、共同でその目的を達成するためには、なるべく保険者というのは、自分のことだけ考えないで大きく考えてもらいたい、こういう法の趣旨はわかりますけれども、現実に保険者団体連合会というものは保険者だけの加盟しか許さない、こういう現実に立っては、やはり純然たる第三者であるというようなことは今後誤解を招くから避けるべきである、かように私は考えるのですが……。
○太宰政府委員 第三者の、つまり保険者そのものでない、従って取り消しというようなものは知事などにやらせないで、この連合会あたりでやらせたらいいことになるのじゃないかというようなお話がございましたが、これは私どもとしてはそうは考えておりません。この療養取扱い機関なりあるいは国民健康保険医などにお願いして、そういう給付面の実際面を担当していただいておりますけれども、それが集団から除かれるということは、実質上においては相当大きな意味を持つわけであります。国としては、国民健康保険事業が健全に伸びていく、そうして国民皆保険の中核としてこの制度が伸びていくことを指導する立場におきましては、さような重要なる職務をいたしますことについては、当然国の機関という立場において府県知事というものがこれをなすべきでありまして、さようなものを、こういう公法人ではありますけれども、保険者の団体というものに任意にさせるということは、私どもは国民健康保険事業の健全なる運営と推進のためにはよろしくない、かように考えるのであります。ここにありますごとく、この連合会は保険者が作るものでありまして、そうしてその趣旨は保険事業がうまく伸びていくというためにこういうものが一丸となっていろいろな行為をする必要があるという建前から規定しただけのことであります。
○多賀谷委員 ですから結局国民健康保険団体連合会というものは、第三者といっても中正的なものではない。結論を言いますと、対被保険者、対療養担当者との関係においては公正的な、中正的なものでない、こういうことなんですね。
○太宰政府委員 保険者が集まって作るわけでありますが、しかしそれをもって直ちに被保険者と対立するとか、あるいは療養担当者とけんかする、そういうようなことは毛頭考えておらないのでございます。
○多賀谷委員 僕の質問したのに答弁して下さい。そのまま答弁して下さい。実はこれは診療報酬審査委員会、そういうものの性格にかかるから質問しておるわけです。ですから純然たる中正的な、公正的な関係ではない、こうおっしゃっていただけばけっこうなんです。それを何かごまかして答弁をされるから、あとから非常にはっきりしない性格のものになり、さらに診療報酬審査委員会の性格というものがはっきりしない。ですから対療養担当者とか、あるいは対被保険者の関係においては、中正的な第三者ではない、この点を御明確に答弁願いたい。
○太宰政府委員 具体的なある場合においては、療養担当者との間にいろいろな意見を異にするというようなことも起ってくるわけであります。根本の趣旨においては対立……。
○多賀谷委員 中正であるか、公正であるか……。
○太宰政府委員 そういう意味でありますならば、純正の中正ではないと思います。
○滝井委員 今の四十六条から、どうも外に飛んだんですが、四十六条のそれぞれの機関なり開設者、管理者の職務権限と申しますか、その範囲というようなものは、太宰さんの方では医療法、医師法で明白であるとおっしゃるが、医療法、医師法では明白なんだけれども、これが一たび国民健康保険法、健康保険法の段階になってくると、どうも必ずしも文章の上から読んでも明確ではないという感じがするのです。療養の給付に関してという場合には、非常に広いことを含んでおるので、なかなかどうもわかりかねるのです。この問題はきょう論議しておったら、あと三十分しか時間がございませんので、いずれ落ちついたときに、もう少しお互いに議論をしてみたいと思います。 そこで、それとも関連をしてくるのですが、四十八条の一項の四号に、「ただし、当該療養取扱機関の従業者がその行為をした場合において、」とあるが、従業者というものの中に、国民健康保険医なり、国民健康保険薬剤師が含まれるか含まれぬか。
○太宰政府委員 これは含まれると解釈します。
○滝井委員 そうしますと、その場合に療養担当者が含まれるということ、現在の法における療養担当者、新法の国民健康保険医なり、国民健康保険薬剤師が含まれる。それに取扱い機関が相当の注意、監督を尽したときは、これでいいんだ、こういうことになっておるわけです。そうすると、監督を尽さなかったときには、機関が取り消されるわけです。申し出の受理の取り消しを受けるわけであります。ところが、四十九条をごらんになると、そのことは同時に四十条に規定する療養の給付に関する準則に違反したときも取り消されるわけです。これは療養の給付に関する準則というのは、療養担当規程等を含むわけですから、従ってそれは絶えず注意を開設者なり管理者がしておかなければならぬわけなんです。そうするとこの場合は、その注意をしなかったというときには、機関も取り消される、同時にそのやった医師自身の登録の取り消しもあるわけです。このときは両方ともぱっさりお家断絶とともに、人間は路頭に迷う、こういう形になるわけですね。
○伊部説明員 四十八条と四十九条、いずれも同じ文句を使っておるわけでございますけれども、これは四十六条のときに申し上げましたように、「療養の給付に関し」というのを、非常に広い意味に解釈いたしておりますので、四十八条の一号の関係におきましては、療養取扱機関が守るべき準則に違反した場合、四十九条の場合におきましては、国民健康保険医及び国民健康保険薬剤師が守るべき準則に違反した場合、それぞれ読み分ける趣旨でございます。
○滝井委員 趣旨は読み分けるのですが、そのあやまちを犯した者が、保険医が犯したというときには、当然犯させないように善良な管理者の注意がなければならぬ。ところがしていないというときには、機関も取り消されるが本人もやられるということです。同時に二重にいくんだ。これは四十八条、四十九条の読み方はそうなるのです。だからそこらあたりをはっきりしておかぬと、もし一方だけということになれば、医者一方でもいい、機関一方でもいい。この読み方は両方になるのです。
○伊部説明員 お医者さんが医療面に関しまして準則に違反した場合は、四十九条の一号によって取り消されることはあり得るわけであります。その場合におきましては、機関に責任は及ばない形になります。
○滝井委員 けれども、それは医師が個人でやっても、それは使用人の医師です。だから開設者がこれは責任を持たなければならぬ。だから開設者は、善良な管理者の注意をもって医師に注意をしておけば、それは医師だけです。ところが善良な管理者の注意と監督とが尽されたときはいいですが、尽されなかったときはだめなんでしょう。だからそのときには、機関がやられるのか、医者がやられるのか、医者も機関も両方やられるのか、その答えがなければ、医療協議会に持っていったときに、医療協議会は結論は出ません。
○伊部説明員 三十六条の四項によりまして、病院、診療所及び薬局の開設者は、担当する療養を実施するにつき、必要な措置を講じなければならない、という規定がございますが、この趣旨といたしまして、開設者は経済面で、医療面に関しましては管理者が、いろいろな従業者の監督に当らなければならぬ。従いましてその監督に欠ける、その相当の従業者に対する必要な注意、指導を怠ったという場合におきましては、四十八条の一号に該当する場合もあり得ると思います。ただ国民健康保険医あるいは国民健康保険薬剤師が医療面に関して準則を守らなかったという場合におきまして、それが即機関の責任となるわけではない、そういう意味合いにおいて申し上げたのであります。
○滝井委員 どうも私の頭が悪いせいかわからないのですが、一体四十八条と四十九条との適用関係は、いかなる場合においては機関の取り消しになり、いかなる場合においては保険医の取り消しになるかということを明白にしてもらわなければならぬ。私は四十八条の従業者の中に、明らかに保険医なり保険薬剤師が含まれると思います。その含まれておる保険医、保険薬剤師があやまちを犯した、ところが善良な管理者の注意をしておけば問題ないが、していなかったときは、一体それはだれにいくかということになる。だから、そのときには、医師がやられるのか、機関もやられるのか、機関だけなのか医師だけなのかということが明白でないといかない。私はこの規定を読むと、両方だと思う。だからこれは一応善良な管理者の注意を怠れば、大体この文から見ると両方に読めるのですよ。
○伊部説明員 さような場合におきましては、両方の場合ということもあり得ると思います。
○滝井委員 そういう工合にはっきり言ってもらうとよくわかるのです。この法律というものは、こういう工合に健康保険法の療養担当の規定をここに持ってきて全部やっておるために、法律の立て方は健康保険と根本は同じですよ。これをいろいろごまかしておりますが、根本は同じなんです。ただ療養取扱機関と保険医療機関と名前を変えておるだけで、根本はちっとも変っていない。だからほんとうに健康保険の通りに持ってきてもらうと非常によくわかる。ところがそうでないかのごとき粉飾をこらしておるところにこの法案の、悪い言葉で言うと欺瞞性がある。こういう形が出ておるので、どうもぼくらは勉強に非常に時間がかかる。国民健康保険を一ぺん読んで、それから健康保険とよく突き合わしていってみないと、なかなかよくわからないということになる。 時間がないからざっと大事なところだけいきますが、その次は五十三条で療養給付の期間を三年にしぼって、しかも条例で三年をこえることができることになっておるわけです。そこで原則は三年であるということは変らない。条例で三年をこえる例外を認めたのです。そうしますと、転帰がやってきて、その病気がなおらなかった、三年たってなおらなかった、こういうことになりますと、その患者は、たとえば結核で三年たったということであれば、結核についてはもうかかることができないのだ、その保険証では医師に見てもらえないのだ、しかしその他の疾患についてはその保険証で見てもらえる、こういうことなんでしょうね。
○伊部説明員 その通りでございます。
○滝井委員 その場合に、結局その患者というものは、現実に病気になっているということは、結核で困っておるわけです。従って他の病気が起ることもあります。多く結核が中心になっていく。こうなりますと、その保険料の徴収というものが、三年になって、もうあなたはこれでかかれませんぞといったときに、それが世帯主であるという場合には、非常に保険料の徴収が困難になるという事態が一つ出てくるのです。それに対する対策は何かお考えになっておりますか。最近における日本の結核の情勢というものは、青年からすでに壮年、老人と、世帯主に食い込んできていることは、すでに結核白書がこれを示している。こういう三年で転帰がきた後における保険料の徴収の問題ですね。
○太宰政府委員 設例をなさいましたように、たとえば結核というようなもので三年間たちますれば、日本の現状におきましては、そういう方々は経済的にも非常に苦しいボーダー・ライン層に落ちるということが一応予想されるわけであります。そういう保険料を納付することがなかなか困難であるというような場合に際しまするいろいろな手当といたしまして、たとえば七十七条などにありますように、徴収の減免とかあるいは猶予というようなことも起ってこようかと存じます。国保の建前といたしましては、まず五十三条としては一応三年で打ち切るということにしたわけであります。
○滝井委員 皆保険のもとにおいて、結局保険証は持っている、しかし三年が過ぎたために、もはやそれから先は現金だ、こういうことになると、御存じの通り結核というものは五年、十年、十五年と非常に長期にわたって療養するわけです。古賀の療養所にかつて行ったことがありますが、古賀の療養所の歴史とともにあるという患者がある。療養所が創立したときからまだ入院しているという患者がある。こういう人たちは必然的に生活保護になっていくのでしょうが、家に幾分働き手でもいて、食うだけはやっと食っているのだということになると、なかなか生活保護にもいけぬ。皆保険のもとにおいて、今後はこういう思わざる悲劇が出てくる、こういう形が今後あるわけであります。そして同時にそういう悲劇は、保険料の徴収を非常に困難にする部面として出てくる、こういう問題点があるということだけを御指摘しておきたいと思います。 次に五十四条の問題で、保険者が療養の給付を行うことが困難だという場合、いわゆる療養費払い、それから「緊急その他やむを得ない理由により」云々とそこに書いているわけでありますが、この場合を御説明願いたいと思います。
○伊部説明員 療養の給付を行うことが困難であるという場合は、現物給付としての療養の給付が困難であるということでございまして、たとえばこの法律案の中にも、大都市におきまして被保険者証の交付に関し若干期間を置くことができるという特例が設けられているわけでありますが、そういうような場合、あるいはこの法律案によりまして看護、移送ということが現物給付になっております。これは健康保険も同じことでありますけれども、その看護、移送の手段を保険者が直接持っておらない場合というのが該当すると思います。それから被保険者が緊急その他やむを得ない場合というのは、付近に療養取扱機関である病院、診療所、薬局がない場合、あるいはそこまで行くということが医療上できない場合、かような場合と考えております。
○滝井委員 そうしますと、四十八条によって療養取扱機関が申し出の受理を取り消された場合、あるいは保険医が登録を取り消された場合、その扱っている入院患者あるいは外来の患者の取扱いは、緊急その他やむを得ない場合に入るか入らぬか。
○伊部説明員 さような場合は結局病状によって決せられる。それが被保険者側におきまして引き続き当該医療機関の医療を自由診療として受けたいという場合はもちろん別問題でありますが、国保としての保険給付を受けたいという場合におきましては、やはり他の療養取扱機関に行く、ただしその当該患者の病状が非常に緊急であり、あるいは移転をすることができない、あるいは移転をすることが不適当であるという場合におきましては、当然この療養費払いの規定が適用される、こう考えております。
○滝井委員 その認定は、その必要があると認めるときは療養給付にかえて療養費を支給する、その必要ありと認めるのは保険者が認めるわけですね。そうしますと、保険医療機関が取り消される、療養取扱機関が取り消される、保険医が取り消されるということは、全く患者には無関係のことなんです。患者が悪いことをしたわけではない。それが患者は非常に大きな迷惑をこうむる、こういうことなんです。そうしますと、そこに必要があると認める準則と申しますか、今もあなたの言われるように、これは重いのだから動かせぬ、君の病気は僕でなければなおせぬのだ、こう医者から言われれば、患者の方はその医者を信頼してやってきているのですから、動けぬことになってしまうのです。ここらあたりが取り消しや何かの問題と関連してなかなかむずかしいのです。そこでたとえば、いつもよく私が言いますが、大学病院なら大学病院を取り消す。あなた方は取り消すのだとおっしゃるのだけれども、大学病院も当然療養取扱い機関になるわけですから、厚生大臣が文部大臣の所管下にある大学病院を取り消した場合に、大学病院には大学病院でなければできないという患者が来ているのです。そうしますと、これは全部療養費払いになるということになりまして、大学病院の方は取り消されて喜びます。保険の事務はめんどうくさくて金がこなくて弱っている、文部省が事務費をくれぬし困っている。そうするとその取り消したことが、悪い言葉で言うと全く万々歳ということになってしまう。そういう取り消された方が利益だという逆の結果が出てくるとまずいことになると思うのですが、これはこの法律の一つの大きな盲点になっていると思うのですが、この点はどうですか。
○太宰政府委員 申し上げるまでもなく、療養取扱い機関の取り消しをするということは非常に大きなことでございまして、私どもとしてはやむを得ない場合に、最後にそういう処置をとらざるを得なくなったというようなとき以外には、なかなかそう簡単にやっていく筋合いのものではございません。そういう場合におきましては、そこにたまたま入院なり治療に通っております患者は若干の迷惑をこうむりますことは、これは事実問題としてあり得ようかと思いますが、しかしながらその患者と申しますのは、同時に国民健康保険の被保険者でございます。この国民健康保険という一つのグループの中から不適当な人を取り除くということは、とりもなおさずその集団に属します被保険者のためにも利益になるわけでありますから、私どもといたしましてはそういう場合にはやらざるを得ない。従いましてその取り消しの処分がありましたために、たとえばそこに入院をしておった患者があるといたしますならば、これはその先生がいいと思って来られたというような事情は私どもとしては認めるわけには参らない。これは当然その趣旨を話しまして、他の医療機関にかわっていただく。ただし先ほど主管課長が申し上げましたごとく、重症の人で動かすことができないというような人がありました場合においては、これはそれを動かすというようなことまでもするべきではない、かような趣旨で、やむを得ない理由というのは当然そういう措置をとるべきであると思われるような場合に限定してこれを認めたい、かように考えております。
○滝井委員 その次は五十八条です。「傷病手当金の支給その他の保険給付を行うことができる。」ということが五十八条の二項にあるわけです。現在国民健康保険を実施している中で、傷病手当金の支給をやっている例がありますか。
○伊部説明員 市町村におきましてはそういう例はございません。しかしながら現行法におきます特別組合では相当数ございます。
○滝井委員 次は六十七条の「保険給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押えることができない。」こうなっておるわけですが、保険証を貸与するという考え方があるわけです。これは私も経験があるのですが、保険証を同じ年令の人が借りて持ってくるということはあり得るのですが、それは別の条項で、六十五条の「偽りその他不正の行為によって保険給付を受けた者」、この中で処理するのだと思いますが、譲り渡すという中に貸与は入るのですか。
○伊部説明員 被保険者証を貸与するという場合は、滝井先生の仰せの通り六十五条の一項の方で処理するということになっております。六十七条の方はそういう被保険者証の貸与というようなことを全然考えておらない。保険給付を受ける権利というのは、病気になった被保険者その人本人の権利でございますから、この六十五条の条文とは関係がないのであります。
○滝井委員 次には一番大事な最後の連合会の問題は、実は非常に大きな問題がたくさんあるのですが、これは今多賀谷委員からもいろいろ御質問がありましたが、どうも国保ができましてから、医師の方も保険者として国保連合会に加入をしていくということになりますと、この連合会というものに対する考え方というのは今までと違った形が出て参りますことは、連合会の知事認可の基準、それから連合会の財政運営、人的構成、連合会だけでも実は二十項目ぐらい質問要目があるのですが、これはいずれ機会をあらためてゆっくりやらしていただきたいと思います。 次に問題にいたしてお聞きしたい点は、これは大臣にお尋ねをいたしたいのですが、診療報酬審査委員会はこの法律の第八章で一応国民健康保険連合会に置いておりますが、その審査をする委員会の委員は都道府県知事が依嘱をすることになっております。現在一つの審査委員会のあり方に対する不満というものは、この療養取扱い機関から提出をせられた診療報酬請求書の審査を審査機関がやって減点をせられるといった場合に、それを具体的に、第二次的な機関として不平を処理してもらう、不服を処理してもらう機関というものがないわけなんです。そこでこの国民健康保険の審査委員会の中に、まず第一次的には一般的な審査委員会で審査をしてもらって、それで異議がなければそのまま一般的なものが通ってしまう、しかしなおその審査を受けたものについて非常な不平があるというようなものについては、何かそこに同じ審査委員会の権限の中で、同じ権限を審査委員会が委託した特別部会のようなものを作って、その部会が第二次的にもう一ぺん審査をし直して、それが審査委員会の正規の決定になるんだ、こういったものをこの際作っていただくことが必要じゃないか、一応そういう足がかりができれば、将来健康保険なり生活保護のものについても恒久的なものを、もっと高い見地から作る一つの糸口もできるし、国民皆保険になって、新しくこの国民健康保険を初めてやるという医師も農村には相当できてくるわけです。そういう意味で、全国に三十五年度末までにこれを普及するとすれば、保険者も擁護し被保険者の受診率も高めてやり、療養担当者も擁護するという、まあ健康保険で五者五悦といいましたが、三者三悦、喜ぶものにして共同の目的を達成することが必要だと思います。そこで法律は一字一句改正することができないという自民党さんの強い決意があるようでございますから、泣く子と地頭には少数党の社会党は勝てぬようでございます。そこでこの際、泣く子と地頭には勝てないが、大臣一つわれわれの苦衷も察していただいて、一つ九十条に「この章に規定するもののほか、審査委員会に関して必要な事項は、厚生省令で定める。」こう書いてありますから、そこに同じ委員会の権限の中で二審的なものを省令で作るということがおそらく可能だと思うのですが、一つ大臣の御言明ができれば、まあまあ何とか大きな苦情処理の機関はできなくても、審査に関する限りは――これは一番経済の問題につらなっているんです。機関を根こそぎやられる、お家断絶をやられる、その次にはこの経済問題なんです。ですからここらあたりを何か厚生省令できちっとやってもらう、そうしてやったものはこの委員会でできる小委員会に見せてもらう、こういうことにすれば非常に円滑に、泣く子と地頭には勝てないが、まあわれわれも何とか、たえがたきをたえ、忍びがたきを忍ぶということにもなり得るんじゃないかと思うんですが、そこらあたり一つ大臣の御見解を承わりたいと思います。
○橋本国務大臣 審査の問題に関しましては、今日でも御異議がありましたときに、お医者さんが行かれてもう一ぺん見直してというようなことは、事実問題としては担当された方々の間にあるわけでありますが、制度の問題といたしましても、これは民事裁判に行くというようなことは大へんなことでありますから、この審査結果に対して異議があるときに、もう一度調べてもらうということは、事実大いに考えて参らなければならぬ問題だと思います。ただ制度的に規定をいたしますとなると、その構成自体についてもみんなが満足して納得してくれるものでなければなりませんし、よほど考えてみなければならぬと思いますけれども、ただいま滝井委員の仰せられましたことはもうきわめてごもっともなことでありますので、忙しくやっております一般の審査で一応の結果が出ましたときに、これを再審して見直すということについての仕組みにつきましては、これは十分に省令を作ります際に考えて参りたいと思います。
○滝井委員 大臣が省令を作る場合に考えてみるということでございますので、ぜひ一つそうしていただきたいと思います。 次にもう一つ、診療に対する支払いの期限というものが不明確なんです。従って厚生当局の意向では、支払いの期間というものは法律に入れなかったが、施行規則で何とか善処していきたいという御意見があったのです。大臣もさよう理解しておりますかどうか、この点明確な御答弁を願いたいと思います。
○橋本国務大臣 さよういたしたいと思います。
○滝井委員 これで終りますが、最後に保険医療機関の取り消しや保険医の登録の取り消しをやる、あるいは療養取扱い機関の取り消しをやる場合に、現在健康保険においても国民健康保険においても、患者調査というものが行われております。患者を調査して患者にいろいろなことを聞いて、そうしてそれを係官が文書にしております。文書にして、最後に患者に判を押させるのです。これはある検事か判事の話によれば、明らかに人権侵害だ、だから、こういう行政がもし厚生行政でほんとうに行われておるとすれば、一応国会でそのようなことを明確に厚生当局に警告をしておいてくれということを人権擁護局関係の人が言っておるわけです。この点は私もなるほど考えてみればそういうことがあるなという感じがするのです。この点、患者が判を押しまして、その判を押したことが大したことじゃないと思っておったところが、今度はその判を押したものを持って医療機関に行って、お前の見た患者はこういう判を押しておる、だからお前は取り消しだという一つの有力な材料になった。そこで今度は、患者はそれを聞いて驚いて、医療機関に行って、まことに申しわけなかった、私はそんなものとは知らなかったので判を押しましたといった例がある。そうして、それが同町に裁判所等で問題になり、裁判官は、それは明らかに人権侵害だ、そういう、厚生行政で無理やりに判を押させることはいかぬ、これは警告を一ぺん発しておくべきだという意見を私は内々耳にしたわけなんです。これは、大臣がそういうことを御存じになっておるかどうか知りませんが、丙表ができたりする世の中になっておりますので、この点大臣はどういう御見解を持っておられるのか。まあ現場に行って患者を調査したら、判まで押させなくても、何々の何兵衛がこういうことを言ったんだということを書いて持っていけば、あとからその患者に来てもらえば判まで押させなくてもいいと思うのです。こういうことが行われるので、やはり厚生行政が特高行政と同じだ、こう言われるおそれがあるんですね。この点、大臣どうお考えになりますか。
○橋本国務大臣 事実をよく存じませんけれども、患者についてお医者さんの申告がほんとうかどうかというのを当るのはよくよくの場合でありまして、今までそれを問題にして、多少当ってみなければならなかった事例がまるっきりないでもなかったのだろうと思いますが、そういうふうな場合におきましては、事情を承わった患者さんの立場等につきましても、これは十分心得て、あまりひどいことのないようにいたしたいと思います。まあ一々判までつかないで、お話を伺って突き合せをするということがものの基本でありますしいたしますので、ただいま御指摘のようなことにつきましては、あまり行き過ぎることのないように十分留意して参りたいと思います。
○滝井委員 まだ大事なことがずいぶん抜けておりますが、時間の関係がありましたから、かけ足で大ざっぱに質問さしてもらいました。 まあ保険医療機関の性格、それからその内部における担当者なり管理者なり開設者等の職務の範囲についても多くの疑問がありますし、医療法、医師法それから健康保険法なり国民健康保険法との関係についても一貫した筋がどうも通っていなくて、ときどき脈絡の欠けておるというような点も感ぜられます。一応きょうこの法案に対する最終的な結論が出ましても、一つ絶えざる法案の不備を是正していく真摯な態度を与党なり政府当局が持っていただくことを切に要望して、私の質疑を終らせていただきます。
○園田委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。 引き続き両案を一括して討論に付します。通告がありますのでこれを許します。小林進君。
○小林(進)委員 ただいま政府提案によりまする国民健康保険法案及び国民健康保険法施行法案に対し、日本社会党を代表いたしまして、反対の意思を表明するものでございます。 ただし、その反対は、警職法に対する反対とかあるいは再軍備等に対する反対とはいささか違いまして、同一の方向に足先を向けながらも、わが日本の現在置かれている政治情勢、経済情勢あるいは社会情勢からながめて、この社会保障制度というものはもっと前進することが可能であるにもかかわらず、政府のいまだ医療制度に対する認識の足りなさ、あるいはサボタージュあるいは誤まれる再軍備政策等々によって、われわれが考えておりますほどに前進をしていない点において、われわれは反対をいたすのでございますので、その点一つ御了承を待たいと思うのであります。 申し上げるまでもなく、わが日本の憲法第二十五条には、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」と明確に規定をせられておるのでございまして、特にこの条項に当てはめて、今国民が最も要望いたしておりますることは、貧乏の苦しみそれから病気の苦しみ、死の苦しみからのがれたい、こういう大きな望みを託しておるのでございます。その貧乏の追放と病気の苦しみからのがれたいという、その病気に関する医療保障の問題がこの国民健康保険によって左右せられるのでございまするが、残念ながらこの法律は、いまだ国民が熱望いたしておりまする病気の苦痛、不安からの解放というものは全然満たされておらないのでございます。現在わが日本の置かれておりまする医療制度の現状をどうしても理想に向って前進をしなければならないのでございますけれども、その前進への顕著なる意欲、努力というものが現われていないのでございまして、たとえて申し上げますならば、まず被保険者の立場からわれわれがこの法案を見ましても、療養給付費の五割は依然として被保険者が負担しなければならない。住民は義務として保険料を支払いながらも、一たん自分が病魔に冒されて、さて一つ診療を受けたいというときには、半額の負担を持たなければならない。政府の誤まれる施策によりまして、これは私が言うまでもなく、厚生省みずからの厚生白書に示されておる通りでございまして、終戦後十三年の歳月を経過しながら、貧富の差がいよいよ激しくなり、働きながら食えないという階層は――これは私の主張ではございませんよ、厚生大臣、あなたの発表であります。あなたの発表によって、食えない階層が日に月にふえて、ボーダー・ラインと称するものが一千万人をとにかくオーバーしておるという、そういう人たちが保険料支払いの義務を持ちながらも、一たん病気になればその五割のいわゆる半額の負担が要るということから、みすみす早期治療すれば容易に健康体になり得るものが、その時期を失して死を早めて死んでいく、こういうような形が全国に現われておるのでございまして、言いかえれば現在のこの国民健康保険は、比較的豊かな者が最も貧乏なる者の犠牲において命を長らえ治療を受けておるという形が現われておる。社会保障制度、医療制度というものは、国民の最下層を目当てにして、貧しい者を救済するという立場からこの法律というものが実施されなければならないのに、そういう一番貧しい階層が放棄せられて、より豊かな階級の方々のみその恩典に浴するような、そういう形が少しもこの法案には是正せられておらないのでございまして、こういう点はわれわれはどうしても賛意を表するわけには参りません。 なおまた五人未満の事業所の問題でございますが、これもわが社会党は数年来この改正を要望いたしておりますにかかわらず、これもまた社会保険のいわゆる健康保険の中からはみ出されて、ただ国保にのみ依存するという、同じ雇用関係にありながらも、むしろ俸給も安いあるいは基準法の適用も完全に受けていないという人々の中、これまた最低階層のこれら一番困っている方々に何らの救済の手が差し伸べられておらないような、こういう法案には、われわれは断じて賛意を表するわけにはいかないのでございます。このように被保険者の立場からも、まずわれわれは反対をしなければならないのでございます。 それで今度は保険者の立場からはどうかと申し上げますならば、これもわれわれがしばしば申し上げますように、国民皆保険の声は、すでに国民年金の要望とともに、非常に高まっておりまするけれども、実際はむしろ地方財政の負担を強からしめており、国保を実施しておる町村にあっては、その九割までが地方自治体の犠牲においてこれが行われているというのが現状でございます。厚生大臣は御就任の演説の中にも、福祉国家を建設するというふうな非常に大きな理想論をお掲げになりましたけれども、その現実は国家が放任の形で、地方住民、地方自治体の犠牲において、いたずらに福祉国家の名を政府が私して、ほしいままにしておるというような現状でございまして、私はこの意味におきましても、どうしても自治体の負担を軽くいたしまして、福祉国家を政府の責任において実行するという言葉の通りであるならば、どうしても政府の責任においていま少しこの国保というものを前進をしていただかなければならない。二割の負担とただ五分の調整金を加えたというだけであっては、断じて地方財政の負担を技本的に解決をいたしたということにはなりませんので、われわれはこの点においても、一つ政府のたゆまざる御努力を要望してやまないのであります。なお、今後自治体にさらに国保の義務設置を要求するということになりまするならば、政府はもっと自己の責任の重大さを自覚していただかなければならないと思うのであります。 今港でございまするが、厚生大臣は、軍事費を犠牲にしても社会保障費を増額すべきであるという、非常に当を得た、りっぱな声明を発表せられました。それは国民年金予算に関する問題でございましたが、あの大臣の御声明、新聞発表、これは社会保障全部に関係する御声明であると私は拝聴いたしました。私は大臣を見直しました。非常に心から敬愛をする気持になったのでございますけれども、しかし言明ははなやかなりといえども実質これに伴わずで、(笑声)この点私はまことに残念にたえない次第であります。 今さらわれわれが申し上げるまでもなく、今決算委員会はもめております。グラマンとかロッキードとかの例の機械の問題でございます。グラマンの飛行機一台が三億一千万から四億というのでございますが、それがいかにむだな再軍備であるかということは、われわれが申し上げるまでもなく、あなたの党に所属いたしております有力者山本猛夫君が、これも新聞紙上に発表をいたしました。私は政党人であるとともに国民の代表である。今まさに大陸間弾道弾などの最終兵器の段階において、こういうむだなグラマンやロッキードというがごときものを二百台、三百台も買って、国民の税金を浪費することは、私はこれを聞くにたえず、見るにたえない。しかるがゆえに、国民の立場から私は、決算委員会においてそういうむだな飛行機を買うべきではないということを言うたのである。それが気に入らないということで私を除名あるいは離党せしめるのであれば、私は甘んじてその離党を受けますということを、彼は堂々と新聞に声明を発しておりましたが、この気持は私は厚生大臣に通ずる気持じゃないかと思うのです。大臣、願わくば、再軍備よりも社会保障というあの新聞の声明発表をさらに具体的に、グラマン、ロッキードなどのそういうむだな飛行機を買わないで、どうか一つ国保の費用をいま少し増額し、国民年金保険をさらにやるべきであるというふうな主張を堂々とやっていただきたい。そのときにはわれわれ微力ではありまするけれども、大臣の驥尾に付して、あくまで社会保障完備のために一つ犬馬の労をとることを決して惜しむものではございません。そういう意味におきまして、どうしても地方市町村の財政をむしろ根本的に破壊しつつあるというのが今日の現状でございまするので、五分というがごとき涙金の増額をもって、いわゆる羊頭を掲げて狗肉を売るというような形になっておる、こういう改正には、われわれは保険者の立場からも、やはり御賛成を申し上げるわけにはいかないのであります。 なお第三番目の医療担当者の側からもいろいろの問題が起きておりますることは、わが党の滝井委員その他によって言い尽されておることでありまするので、私はそれをまたここで重複して申し述べることは避けたいと思いまするけれども、たとえていえば、診療費をめぐる紛争の問題も、これも根本的に何ら解決を見ておりません。あるいは診療報酬の支払い期日の問題、これは大臣の今の答弁で政令その他の規則でありますか、それに含めるというお言葉がございましたけれども、こういうこともやはり法文の上に明確に示して、療養担当者の不安を取り除くというふうな親切な立法態度がなければならないと思いまするし、あるいはまた保険医の取り消しの問題とか、あるいは機関の取り消し等の問題も、一方的とは申し上げませんけれども、やはり取り消しを受ける側の弱さがそのまま放置せられて、これに対する苦情処理というふうな救済の機関がやはり法文に明確にされていない点も、われわれが賛成をできない点でございます。 なおそのほか条文の体裁といたしましても、至るところに不備な点が発見されるのでありまして、たとえていえば、療養の機関とか医療の機関とかいうふうな言葉が至るところに使用せられておりまするが、一体機関という言葉は、従来憲法上に用いられた機関という法律用語、あるいは民法、商法等に用いられるそういう機関とは全く概念を異にした、まことにあいまいもこたる便宜的な言葉として用いられておるのでございまして、この医療機関が、あるいは解釈によって開設者であったり、あるいは管理者であったり、ときには病院等の建物であったり、あるいは場所であったり等々、実に不明瞭なごまかしの形ができ上っておるのでございまして、こういう法文としての形式、体裁の上においても多くの欠陥があることもまたわれわれはとうていこれを見のがしておくことができないのでございまして、社会保障の完全なる理想に至る一里塚といたしまして、われわれはあくまでも被保険者もあるいは保険者も、そして療養の担当者も、それは若干の不満はありましょうけれども、三者いずれもがやはり心から協力をいたしまして、そしてその理想に向って喜んでともに手を携えて進んでいけるような立法措置といいますか、それが法案の中に脈々とみなぎっていなければならないと私は思うのでありますけれども、残念ながらそういうようなあたたかい気持が見えていない。療養担当者の立場からも保険者の立場からも、あるいは被保険者の立場からも、どうも不満足きわまるような安易な安上りの法案でございまするので、その意味においても、われわれは残念ながら賛意を表するわけにはいかないのであります。 この意味において、願わくば、政府におかれましても、わが社会党が提出いたしております国庫負担三割、給付率七割というような、こういう現実に即してさらに前進の形体を備えておりまする主張に一日も早く御賛成あられんことを願いまして、私の討論を終りたいと存じます。(拍手)
○園田委員長 これにて討論は終局いたしました。 これより採決に入ります。まず、国民健康保険法案について採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○園田委員長 起立多数。よって本案は原案の通り可決すべきものと決しました。 次に、国民健康保険法施行法案について採決いたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○園田委員長 起立多数。よって本案は原案の通り可決すべきものと決しました。 ただいま田中正巳君より、国民健康保険法案に対し附帯決議を付すべしとの動議が提出されました。本動議について趣旨の説明を聴取いたします。田中正巳君。
○田中(正)委員 ただいま採決になりました二法案のうち、国民健康保険法案について、その審議の経過にかんがみまして、自由民主党と日本社会党とはそれぞれ共同いたしまして、次の決議案を提出いたすことに決定をいたしました。 本決議案を朗読いたします。 国民健康保険法案に対する附帯決議案 一、政府は国民皆保険の円満なる実施運営を図るため、医療制度と社会保険制度との調整について根本的検討を加え、可及的速かに所要の立法措置等を講ずること。 二、療養担当者の権利保護、苦情処理のため公正なる中立裁定機関を設置すること。 三、政府は可及的速かに国庫負担率及び療養給付率の引き上げに努力すること。 四、国庫負担の概算交付率を引き上げ、その精算措置を速かに行うとともに、調整交付金算定の基礎となるべき療養給付費の見込額については、実績と相違が生じないよう努め、万一、相違が生じた際は、予算の補正等の措置を考慮すること。 五、保険者の事務費に対する補助については、その実情にかんがみ実質的にその全額を国庫において負担するよう措置すること。 なお、診療報酬支払についてはその期日を明確にするよう行政的措置をとること。 案文は以上の通りでありますが、内容についてはお聞きの通りでありますから、説明を省略させていただきます。 何とぞ満場一致 御賛成あらんことを切にお願いを申し上げます。(拍手)
○園田委員長 採決いたします。本動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔総員起立〕
○園田委員長 起立総員。よって国民健康保険法案に対しましては田中正巳委員の動議のごとき附帯決議を付すことに決しました。 この際厚生大臣より発言を求められておりますので、これを許します。橋本厚生大臣。
○橋本国務大臣 両法案の御審議をいただき、私どもといたしましてまことにありがとうございました。ただいま付せられました決議につきましては、御審議の過程におきましてその御趣旨も十分に承わったのでございまして、この決議を十分に尊重いたしまして善処いたしたいと思います。
○園田委員長 なお右両案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○園田委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。 ―――――――――――――
○園田委員長 この際小委員会設置の件についてお諮りいたします。医療制度に関し調査をなすため、小委員十名よりなる医療制度に関する小委員会を設置することとし、その小委員及び小委員長の選任につきましては、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、これに御異議はありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○園田委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。小委員及び小委員長の指名につきましては、追って公報をもってお知らせいたします。 なお、本小委員会設置の後、小委員及び小委員長から辞任の申し出がありました場合は、委員長に御一任願うこととし、本小委員及び委員長に欠員を生じました場合の補欠選任につきましては、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○園田委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。 本日は、午後再開をして、直ちに総理大臣に対する質問を続行いたします。従って、本会議散会直後、約三時間と予定いたしますが、直ちに本委員会を再開をいたします。それまで休憩をいたします。 午後二時三十一分休憩 ――――◇――――― 午後四時五十八分開議
○園田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 厚生関係の基本施策及び労働関係の基本施策に関し、順次調査を進めることにいたします。 質疑を行います。八木一男君。
○八木(一男)委員 岸内閣総理大臣に未解放部落の問題を解決する問題について、お伺いいたしたいと思います。この問題につきましては、総理大臣もちろん御記憶でございましょうが、本年の三月十一日に、社会労働委員会で詳しく私どもの考え方を申し上げまして、総理大臣から非常に理解ある御答弁をいただいておるわけでございます。その御答弁に従いまして、その実行方のことにつきまして、ぜひ今の総理大臣のお考え方を伺いまして、また要請も申し上げたいと思うわけでございます。 そのときも申し上げましたけれども、この問題は何百年間の問題でありまして、また何百万人もの多くの人の問題であります。こういう問題を私どもはどういう意味でも決して政党の利己心で取り扱うという考え方はございませんで、ほんとうに日本民族が全体になって解決するという、真剣にこの問題をすべての人が協力してやってもらわなければならないと思うわけでございます。総理大臣もこの前、そういう点について全面的に賛成だという御意見を承わったわけでございまして、そういう点につきまして、現在のお考えがそのときと変らないかどうか、一つ御答弁を願いたいと思います。
○岸国務大臣 八木委員に対してこの前お答えをいたしましたと実は同じこの問題に対しては考えを持っております。あの後、内閣の中にこの問題に関する閣僚懇談会を設けまして、この問題に関連してのいろいろの問題を検討せしめ、また来年度の予算の編成に当りましてもその一部等は実現していきたいという気持でせっかく検討いたしております。
○八木(一男)委員 今総理大臣のおっしゃった点について、そのまま率直に、善意に受け取りたいと私は思います。総理大臣もその点で御努力になっている点は、十分私どももいろいろの方からの情報を伺いまして存じておるわけでございますが、しかしまだ非常に不十分な点がございまして、総理大臣がほんとうにやるお気持が、先ほど御言明になりましたようにおありになりますならば、もちろん将来においては大きくでございますが、次の予算、来年度の予算とか来年度の諸法律の関係でさらにつけ加えていただかなければならないし、またつけ加えていただける情勢にあるものがたくさんあるものと思うわけでございます。その点についていろいろとあるわけでございますが、時間も制約されておりますので、一番大切な中心課題について伺いたいと思います。 先ほども総理大臣が言われましたように、閣僚懇談会を設けてこの問題を検討しておると言われました。これはたしか九月の末にそういう御決定になったということを私どもも承わっております。閣僚懇談会を設けて総合的に、これは厚生省一省の問題でなしに、建設省、文部省だけの問題でもない。労働省も通産省もあるいはまた農林省も自治庁も、もちろん大蔵省も関係のある問題だということで、閣僚懇談会をお設けになりましたことは、一歩半歩の確かに前進だと思います。しかしながらこの三百年間のこの大きな問題が、岸内閣がどれだけこれから続けられるか、これは存じませんけれども、いかに長く続きましても、その間だけで解決する問題ではないと思います。そういうことでまた内閣がいつの日か変りまして、それからまた閣僚もその間に入れかえがありましたときに、今閣僚懇談会でいけると言われましても、将来またこの問題が停頓したり、あるいは無理解の人の手によって後退するおそれもあると思うのです。そういうことで、そういうことがないようにぜひそれを恒久的なものにしていただきたい。閣僚懇談会は恒久的なものというのではありません。恒久的にそういう問題を調査をし、施策を研究し、そういう問題に協力すべきだ、これは総理大臣のおっしゃいました言葉の通りに申し上げているわけですけれども、そういう機関が必要であろうと思います。閣僚懇談会を作ったことと別に背反することではございません。閣僚懇談会を作っていただいて、さらにそれを作っていただくと、これが完全になるわけでございまして、この前三月十一日にそういうようなことについて申し上げましたときに、これを必ず作るという御言明をいただいているわけでございます。私はこの前の三月十一日の時点において、そのときの国会でぜひとも法律を出していただきたいというお願いをしたわけでございますが、これは解散の情勢にございましたので御無理であろうかと思ったのです。しかしその後特別国会と臨時国会もございましたし、それから今度通常国会があります。当然その御準備がしていただきたかったわけでございますが、今までなされておりません。そういうことをなされておらないからけしからぬというようなことを申し上げても始まらない問題でございまして、これからでもすぐにでも御準備なさいまして、そういう法律を出していただきたい。そして政府の提案によって実行していただきたいというお願いでございます。内閣自体に所属をした強力な審議機関をぜひ設置をしていただきたいと思いますが、それを急速にしていただきたいと思います。その点についての総理大臣のお考えを伺わせていただきたいと思います。
○岸国務大臣 八木委員の御意見のように、この問題は長い間のきわめて複雑な要素もあり、また地方々々で必ずしも同一の事情にもない。それから扱い方が、変な扱い方をすると、不当に感情的な、かえって逆にもなるおそれもある問題でありますから、実は私この問題に対しては私の郷里の方面の関係もございますし、特に深い関心を持っておるわけでございます。今直ちに今お話のような調査審議会を作ることがいいかどうかにつきましては、一応閣僚懇談会ともよく諮りまして、検討してみたいと思います。御意見としては十分承わっておきますが、今日ここですぐそういう法律を出すということのお約束はお許しを願いたいと思います。これは決していいかげんに逃げるつもりじゃございません。関係の閣僚とも十分一つ検討してみたいと思っております。
○八木(一男)委員 現在政府の提出法案が閣議でおきまりになっておらない。一応閣僚懇談会で検討してから考えようというふうになっている現状を知っておりますので、総理大臣としてそういう御答弁が出るのではないかという心配を実はいたしております。しかしこの前の三月十一日のときには、そういうことを全部申し上げて、総理大臣の方でこれを急速に作るとおっしゃった。ただしこの前の、三回前の国会でございまして、解散前でありますから、その国会に提出なさることは御無理であろうかと私ども思っておりましたけれども、特別、臨時国会がそのままになって、そして今度の通常国会でまだこれから検討するということでは、総理のほんとうに考えられておられるこの問題を解決しようという御熱意に比べますと、それが実行できていないと言わないわけにはいかなくなるわけであります。このことで私は岸さんを攻撃したくないのですけれども、それでもどうしてもそういうことを言わなければならぬことになる。そうではなしに政府の方が――総理は非常に頭もおよろしいと承わっておりますけれども、非常にいろいろの点で施策がたくさんあって、その問題をいつも覚えていらっしゃるわけではなし、この問題を早く取り上げる点に御注意を少し忘れられることも当然あると思います。しかしまた検討された結果、そのときに前の立場に立って必死にその点をお考えにならないと、ほかのことに気がとられるという場合もあると思いますけれども、もし三月十一日に御答弁になった御決心を今おっしゃったように思い出していただくならば、総理大臣の権限をもって、自由民主党の総裁の立場にあられるわけでございますから、そのようなことは即時御決定になられると思う。 そこでこの点について当然予算が関係あるとお考えになると思いますが、審議会の予算というものは、どんなに多くても国家の一兆四千億という膨大な予算、まだ決定していない予算の計画から言えば、それをお入れになる気があれば十分に予算の中にもお入れになれる範囲のものでございます。そういう点で、閣僚懇談会にかかったからということではなしに、もちろん閣議にお諮りになりますでしょうけれども、総理大臣の御決意としてこの通常国会にそういうものを出そう、その前に今予算の検討中だからそういう問題を考えて準備をしていこうというぐらいの御答弁はぜひお願いしたいと思うのです。今までそれができなかった点については、これ以上申しませんが、これからのこと、即時その通りにかかっていただいて、今やろうという決意をぜひ御表明願いたいと思います。
○岸国務大臣 実は私、この前八木委員にお答えをいたしてすぐそういう委員会を作りたいと思いまして閣議に諮ったのです。ところがこれについては関係閣僚の間におきまして、すぐそれを作ることについてはいろいろ検討すべき点がある。すなわちそういう審議会を作るということになれば、いろいろこの問題に関連をしておる民間団体等の首脳部といいますか、関係者等も入れて十分審議を進めていかなければならぬ。そういう点に関してなおもう少し検討してみる必要があるから、とりあえず閣僚懇談会を作って、そしてこの問題に関するそういう問題もあわせて、もう少し関係閣僚の間でいろいろの点を検討してみたいということで、実は閣僚懇談会になったわけでございます。今お話の通り、その後において決してこの問題を等閑に付し、そのままにしておくという意味ではございませんけれども、私、その後閣僚懇談会においてどういうふうに審議され、そしてこの問題について各閣僚がどういうふうに考えておるかということにつきましてもまだ結論的な報告を聞いておりませんから、十分そういうことを確かめた上で善処したいというのが今の私の考えでございます。決して等閑に付したり、あるいはいいかげんにこれを送ろうという考えではございません。
○八木(一男)委員 実は閣僚懇談会について、私もいういるいろんなところから流れてくる話を伺いました。閣僚懇談会の議長については、岸内閣総理大臣が御自分でおなりになったということも承わっております。そこで岸総理大臣がこの問題に御熱心であるということは十分承知しているわけでございますが、私は閣僚懇談会自体に、ほんとうを言うとあまり期待が持てないのです。というのは、非常にむずかしい問題で、どんな聡明な人でも、北海道の人には実感がこない。東北の人にも実感が薄い。それから関東の人にも薄い。閣僚の中には東日本の人もいるわけです。そういう人たちが閣僚懇談会で、ただ職務がそれに関連のある閣僚であっても、そんな問題はいいんじゃないか、ほかとのバランスだとかへったくれだとか、そういうことを言って、それでこの大事なことが延びてしまう。この問題がわかっていらっしゃるのは、この前の内閣では総理大臣と堀木厚生大臣がわかっておいでになりました。今度の橋本厚生大臣も非常によく御理解がおありになるようでございますが、そういうように閣僚の中では総理大臣も入れて二、三の人なんです。そんなことで、閣僚懇談会というような、無理解な人が大多数を占めるようなところできめたところでできるものではないのです。ですから、総理大臣は何百年の弊害を直そう――これはもちろん各政党、全部の政党の責任であって、今までの歴代の政府の責任であって、これを解決するのはこれからのすべての内閣の責任なんです。ですから、岸内閣の間に一ぺんに全部が解決される問題ではないけれども、岸内閣のときに解決の最初の糸口を確立しておくことが一番肝心だろうと思いますし、それが、総理大臣がそういう御意見をお持ちになり、そういう御表明をなされたことの一つの一番大事なことの実現であろうと思う。それを閣僚懇談会で――岸さん非常に御丈夫でいらっしゃいますけれども、生命というものはわかりませんし、突然、これだけ熱意を持たれた岸さんが――率直に申しますと、ほかの点では岸さんは内閣をやめていただきたいと思いますけれども、この点を果していただかないうちにそういうことになると、この問題では困るのです。ですから、変なことになりましたけれども、即時に、どんな方がなられてもこの問題が忘れ去られない、いつでも審議会から積極的に提議がされて、ぼんやりしている人や無理解な人でもそれを知ってやって下さるような場を作っておいていただきたい。岸さんには政治的に反対の立場で、岸さんの政策には全面的に対立する点が多くて、私も御批判は申し上げております。しかしこの点だけでは、もしほんとうにそれだけやっていただくんだったら、岸さんの長い政治生命の中で一つの大きな功績になるのではないかと思うのです、ほかの点は別といたしまして。それをぜひやっておいていただきたいと思うのです。閣僚懇談会に相談してといったって、そういうことになりますから、これは議長でおられて、総理大臣でおられて、自民党の総裁でおられる岸さんがやろうじゃないかとおっしゃったら、閣僚懇談会で異議のあるようなことは実際にないと思う。それに異議のあるような人だったら、全然自分の知らないことをたなに上げて、人の一生懸命やっていることに水をさすような、そんな人だったら、閣僚の資格はないのです。知っていて反対するならいいが、知らないので怠けているような人はですね。ですから閣僚懇談会というような形式をおとりになっても仕方ありませんけれども、必ずそういうことを急速にはかって、今国会中に審議会の法律を出そう、また今の予算の準備中にその審議会の予算を予算の中に入れておこうというような御表明をぜひお願いしたいと思うのですが、この点いかかでしょうか。
○岸国務大臣 八木委員の御意見につきましては十分尊重して考えます。
○八木(一男)委員 尊重して考えますと言われましたので、時間の関係もありますから残念ながらその点についてはこれ以上言及するのを避けますけれども、再開国会までに必ず御提出になって、再び総理大臣の御出席を要望申し上げ、一生懸命申し上げなくても済むように、一つ再開までに御勉強になっておいていただきたいと思います。 それでその点につきまして厚生大臣に、閣僚懇談会の中で一番関係の深い閣僚として、総理大臣とともに御尽力なさっていただきたいと思いますが、それについて一言……。
○橋本国務大臣 ただいま総理からるるお話がございましたが、私もその線に沿って努力をいたしたいと思います。
○八木(一男)委員 それでは審議会の点につきましてはこれで一時中止をいたしまして、予算の点についてお伺いをいたしたいと思います。 本年度の予算は、時間の関係上、政府から御説明いただくと時間がかかりますので、私大体調べておりますから、私の方から申し上げます。要求をしておいでになるのは、厚生省で要求しておるのが二億一千八百万円、この内容は、隣保館の建設補助費、隣保館の運営の補助費、それから共同浴場の問題、下水の問題、トラホームの問題、そういう問題について二億一千八百万円の要求をしておいでになります。それから文部省でわずか同和教育で二百七十五万円の要求をしておいでになります。それから建設省では、これは一般の不良住宅、改良住宅の問題と込めてでございますが、不良住宅清掃事業補助費として、また改良住宅建設事業補助費としてそれぞれ三億一千二百万円と六億五千万円、合せて九億六千三百万円というものが要求をされておるわけでございます。ただし、この非常に大きい九億六千万円というのも、日本全体の一般の不良住宅、改良すべき住宅と込みでございますので、このうちどの部分が部落問題解決の部分になるのか、これは詳しく伺ってみなければわからないわけでございます。ところで、昨年度、予算を飛躍的に増大していただきたいと申し上げましたときに、そういうふうにしよう、ただし、ことしは間に合わないからこの程度とおっしゃいましたけれども、これでは十分ではないと思うわけでございますが、その点について総理大臣の御意見を伺いたいと思います。
○岸国務大臣 実はこの同和問題に関して、予算的措置をどういう事項についてどういうふうにすべきかということに関しましては、私先ほど来お答えしておるように、従来ごく包括的にこういう点も考える必要がある、こういう点も考える必要があるというようなことは申しておりますけれども、まだ具体的にそれを予算化すような研究まではいたしておりません。今おあげになりましたように、あるいは厚生省、あるいは建設省等のなにが出ておるようであります。従来そういう福祉施設やあるいは健康施設、生活の環境の改善に関する問題があった。それから産業上の、部落の人々に対する生業を指導し、適当になにするという意味において、中小企業やあるいは農林、通産関係において施設すべきことが相当あるのじゃないかと思います。そういう点についてもこれらの関係省に考えるようには言っておりますが、まだ予算的には私承知いたしておりません。
○八木(一男)委員 総理大臣がこまかいところまで御承知にならないことは仕方がないと思います。それだけの、今おっしゃったようなことを関係各省に言っておいでになることはけっこうでございますが、御説明申し上げますと、これは昨年度の予算要求よりは各省ともふえております。しかしふえ方はそう十分なものではございません。大正年間に融和事業十カ年計画というものがございまして、そのとき十カ年で五千万円、一カ年で五百万円という予算が計上されておったわけでございますが、これが大束亜戦争でめちゃくちゃになって、そのまましり切れトンボになったわけであります。換算はどれだけにするかということは専門家にまかせなければなりませんが、大ざっぱにそのときの金額は今にして三百倍と考えますと、その当時の融和事業十カ年計画の一年分が五百万円の三百倍で十五億ということに相なります。大正時代の非常に粗末な少い予算が十五億、ところがこの中で今申し上げました不良住宅改良と改良住宅の建設の点はこれは部落問題だけではありませんので、どのくらいか知りませんが、約三分の一と見ると五億くらいしか計上されていない。去年から積極的に取り上げたものが大正時代の三分の一にすぎないということでございまするから、要求額が非常に少いわけであります。それでこれをふやしていただかなければならないのでございまするが、ことしは予算がもうだいぶ組み立てられているのですから、組みかえでもして直していただきたいと思います。特にそれと同時に必要なことは、大蔵省でいつも要求予算に大きくなたを振られておるわけです。そんなことになりますととんでもないことになると思うのですけれども、今とにかくなたが振られつつあるわけです。少くとも即時この要求額になたが振られないようにすべきだということを、総理大臣から大蔵省あるいは関係各省にそういう指示を与えていただきたいと思います。それからなお予算編成中でございまするから、この予算の少い分についてさらに出すようにということ、それから翌年度においてさらに出すというような御決意、そういうことを表明していただかないと、岸さんの言われていることが言葉ではよくても、実態は少しも伴わないということになると思うので、そういう点についてお考え方を明らかにしていただきたい。
○岸国務大臣 予算の具体的の折衝は、今関係各省と大蔵省においてやっておりまして、どういうふうに査定され、どういうふうに話がまとまるかということは、現在まだ予測を許さぬ状況であります。もちろん国といたしましてやらなければならぬことがたくさんございますし、これらを見合せて、最後の予算の編成を終るわけでございますが、同和事業については、私はできるだけやりたいという考え方は一貫して持っているわけであります。ただ、今お話しのように、まだ具体的にそれぞれの主管省において大蔵省と交渉中でございますから、なるべく認められるように、御趣旨のようにはそれぞれの役所にも申しますけれども、どういうふうにきまりますかは、もう少し見ないとわからぬと思います。
○八木(一男)委員 先ほど総理もお触れになっていただきましたのですが、この三つの問題、環境改善の問題、住宅の問題、同和教育の問題だけに限られております。前にも長い時間かかって申しましたから繰り返すわけではございませんけれども、零細企業の問題、零細農の問題、零細漁業の問題、それから失業者の雇用がうまくいかない問題、わずかに形式的に雇用されている失対労働者とか社外工とか、臨時工の人たちの状態が非常に人間らしいところまでいかないで、めちゃくちゃに押し詰められている問題、それから、そういうものからはずれた人たちに対する社会保障の問題、こういう一番気の毒な人々に十分あたたかい手が差し伸べられるようなところにいっていないで、形式的な社会保険的な、そういうものを負担できる人が受けて、負担できないような人がそうでもないというようなところが多々あるわけでございます。そういう点についても全部施策が盛られなければならないわけでございます。ただまわりの住宅が直っただけだ、隣保館が建っただけ、ふろが建ったということだけでは、この問題が解決しないことは前にも十分申し上げたわけであります。今総理大臣は、通産省あたりにそういうことをおっしゃっていただいたようでありますが、私の知っている範囲では、通産省や農林省、あるいは自治庁や大蔵省あたりでは、そういう総理大臣の御配慮がほとんど響いておらないで、そういうことを積極的に各省で盛り上げていこうという空気が非常に少いように思います。大蔵省は厚生省や建設省の予算要求に少し関心を持っておられるかもしれませんが、農林省、通産省ではほとんどそういう空気が見られません。今度の要求にもそういうことは出ておりません。そういうことは総理大臣の考えに反しておることであって、各省大臣が責任を果していないわけで、内閣の御決定になった方針にも反しておるわけです。そういうことをやりつけてないお役人がそういうことを軽率に取り扱うか、不熱心に取り扱っておるか、また前にやっていないから提出したってまたけられるにきまっておるからといって、ほんとうに自分の任務を果さないというような状態にあるのではないかと思うのです。この点について、即刻そういう施策を立てる準備を各省でやるように一つ御指令を願いたいと思います。それについてのお考えを一つ承わりたいと思います。
○岸国務大臣 この同和問題を扱うには、先ほどもお答え申し上げましたように、活動がまだ十分でございませんが、閣僚懇談会を設けて総合的に、またある程度計画的にやる必要がある。なかなか一年や二年で解決するというような問題じゃございませんことは、これは言うを待たないことであります。そういう意味においてやはり根本的に調査もし、それから強力な政策も樹立していくための審議会を作れというふうなお考えもございました。そこで本年の予算につきましては、そういう見地から見るというと、きわめて不十分であるかとも思いますが、われわれはできるだけのことはいたしたいというつもりで関係各省にも従来申しておるわけであります。あるいは不徹底な面があるかとは思いますが、そういう趣旨におきまして、できる限り各省の各方面において考慮するように申しつけるつもりでございます。
○八木(一男)委員 これから申し上げることは、はなはだ申し上げにくいことをざっくばらんに申し上げるのですが、この問題は超党派的にやらなければいけないと考えまして、私ども日本社会党の中でこの問題を担当し、関心を持っておる者はよほど検討して、自由民主党の方々にお話し合いの場を持っていただくように何回も呼びかけをいたしました。ところが自由民主党の中でやはり同和対策協議会というようなものをお持ちになったようでございますが、そういう申し入れをいたしましたところ、今はその段階でない、研究中だというようなことで、お話し合いに応じておらないわけでございます。また国会対策委員会にも申し上げたこともございますが、お忙しい関係もあって、そういう党と党との正式機関同士のお話し合いもまだ軌道に乗っておりません。そういうことが、ただ忙しいためということだけならけっこうでございますが、それは政党の内部においても、あるいは官庁関係においても、幾分この問題を政治的に取り扱おう、たとえば現内閣のために、あるいは与党である自由民主党のために取り扱おうという考え方を持って動いておる方が少しあるように見受けます。私ども日本社会党としてはそれが絶無とは言えないと思いますので、日本社会党としてはそういうことのないように努めて一年間ずっとやって参りましたけれども、残念ながら少しそういう状況がおありになるように思いますので、どうか政府部内においても、与党の中においても、これはほんとうに胸襟を開いてお互いに話し合って、問題が進むような場を作っていこうじゃないかというふうに、総理大臣であり総裁である岸さんから、そういうふうな空気に育て上げていただきたいと思います。それについての御意見を伺います。
○岸国務大臣 この問題はお話しの通り、私は超党派的に解決していくべきたくさんあるうちの一つの問題であると思います。従いまして、今お話しのような意味において、十分社会党のその問題に関心を持たれ、研究されておる人々と、われわれの方のそういう機関とで連絡をするように、党の方へも話しておきます。
○八木(一男)委員 まだまだ申し上げたいことがたくさんございますが、お約束の時間も一分前になりましたので、残念ながらここで切りたいと思います。さらに先ほど申し上げましたことを総理大臣が御実現になることを強く御要望申し上げまして私の質問を終りたいと思います。
○園田委員長 赤松勇君。
○赤松委員 総理大臣に四点お伺いしたいと思います。第一点は、実はきのう法務委員会で法務大臣に質問をいたしましたが、満足な御答弁をいただけなかったので、あらためて総理大臣の責任におきましてお答えを願いたいと思います。その第一の点は、勤評をめぐる不当処分の問題です。われわれがあえて不当処分と言うのは、和歌山で起きました事件の中におきまして、校長会と組合の機関とで――集会動員につきまして、最初和歌山の高教組が校長会に対して四・三・三の動員を要請しましたところが、校長会の方の希望もあって、話し合いで一割の出席を許し、しかもその際、双方とも授業に差しつかえのないことを申し合せて、平和裏に、円満裏に、授業に全然差しさわりなくその集会に出席をした。ところがこれに対しまして、地公法違反であるというので、警察が検挙をいたしまして、検察庁が起訴している。同時に、教育委員会はこれに対しまして行政罰をもって、最も苛酷な免職あるいはその他の処分をしておるわけであります。これは単に和歌山の高教組だけではありません。和歌山以外のところにおきましてもやはりこういう問題が出ておる。これは高知の例なんですけれども、高知の場合は、安芸高校では、勤評に反対する目的で学校長に不法交渉を行い、かつ、学校長の勤務命令に違反して授業を放棄し、なお、しばしば公務員としてふさわしくない言動があった、こういう理由で処分を受けております。ところが、調べてみますと、この処分の対象になっております尾崎、西内という両教諭が不法交渉したことは全くない。また公務員としてあるまじき言動も何もない、岡村、蔭山両教諭もそういう事実はない。しかも、これは出張中であった。出張中ですからそういうことはないわけです。こういうように、事実に反する根拠をもって不当な処分が行われておる、こういう場合に果してこれが行政罰あるいは刑事罰の対象となるか。法律論じゃありません。きわめて常識的に総理はどのようにお考えになるでありましょうということを私がお尋ねするゆえんは、昨年の暮れ、やはりこの社会労働委員会に総理に来ていただきまして、たとえば電産の争議等につきましては、その九七%が高裁、最高裁において無罪の判決を受けておる。ところが、職場復帰はできない、その間賃金は全然未払いである、まさに労働者にとりましては死刑の宣告なんです。こういう事態が起らないように何らかの救済の方法はないものかどうか、これをぜひお互いに研究しようではないかと言ったときに、総理も同感の意を表されておったわけであります。今日地公法違反として逮捕され、起訴され、あるいは行政罰を加えられておる。しかも出張中で全然身に覚えがないにもかかわらず、一方的にそういうことが行われておる。これに対しまして総理はどのようにお考えでございましょう。
○岸国務大臣 検察庁やあるいは警察官がその職務を執行するに当りまして、厳正中正でなければならぬことは言うまでもないのでございます。しかしそれぞれの与えられておる権限に基いて、犯罪ありと考えた場合において、それぞれの法規に従って起訴その他のことをすることは、これまた彼らの私は当然の義務であると思うのです。ただ、起訴された者に対しては、いうまでもなく、裁判所が最後の判定をするわけでありまして、もしも無罪の判決があれば国家補償その他の方法によって被告に対してそれぞれこれを補う道もできております。また行政処分につきましては、いろいろこれに対する是正の方法等が講ぜられなければならぬと私は思いますが、今おあげになりました事態そのものを私全然承知いたしませんので、当該の問題について意見を言うことは差し控えますが、いずれにしても、これは法務大臣においても、検察当局に対して、それが行き過ぎのないように考えることは当然であります。同時に、厳正中正な立場で職責は十分果していくように、しかし、検察当局と裁判所が意見を異にするという場合はたくさんあるのでありまして、最後の判決は裁判所できまるわけでありますが、その場合に無罪となり、そういう迷惑をこうむった人に対する国家補償等によってこれは顧慮されるであろう、こう思っております。
○赤松委員 総理のただいまの御答弁は、昨年の暮れ答弁されたことと同じであります。最近いろいろな判決がありまして、多くの起訴事件が公判において無罪になっているという事実がたくさんあります。判例集を持っておりますが、それは煩瑣でありますからやめておきますけれども、そういう事実がたくさんある。これは事件が違いますが、先般岐阜におきまして、殺人犯と誤認して、物的証拠がないのに、これを検挙いたしまして起訴された。ところが、新しい犯人があとから現われたということから、岐阜地検、名古屋地検等で今問題になっておるわけであります。今の勤評の問題とは性質が違いますけれども、しかし、職権の乱用という点においては共通するものがあると思います。片一方、もしそのまま殺人犯人として死刑囚として処罰を受ける、片方は全然事実無根なのに刑事上の責任を問われてその違法性を追及せられるということになって参りますれば、総理の、それは公判廷ではっきりするだろうというような答弁は、血も涙もない御答弁だと思うのです。できればそういうことのないように行政指導をやっていくことが内閣の責任であり、文部省の責任でなければならぬ、こういうふうに思うわけであります。間違っているかどうかわからない、それは裁判でもってはっきりするのだ、政治家としてそういう言い方はないと思う。そのことがなぜそういうような形で現われてくるかといえば、地方公務員法そのものに問題がある、つまり、地方公務員法の解釈の点に問題があるのではなかろうか、こういうふうに思うわけであります。地方公務員法第三十七条には、御承知のごとく、「職員は、地方公共団体の機関が代表する」云々と書いてありまして、その次に「同盟罷業、怠業その他の争議行為をし、又は地方公共団体の機関の活動能率を低下させる怠業的行為をしてはならない。又、何人も」、この点が非常に重要だと思うのです。「又、何人も、このような違法な行為を企て、又はその遂行を共謀し、そそのかし、若しくはあおってはならない。」こう書いてあります。これは当時立法し、昭和二十三年に改正いたしまする際に、私はこれが間違って解釈される危険があると考えましたので、マッカーサー司令部に参りまして、当時公務員の関係を担当しておりましたフーバーに面会をいたしまして、こういう点についての法律上の見解をただしました。また国会におきましてもこの点が非常に議論になりまして、当時法務総裁をやっておりました大橋武夫君も、これは国会におきまして、明確に答弁をしております。すなわち、当時マッカーサー書簡が出ましたが、マッカーサー書簡の中におきましては、「雇用もしくは任命により日本の政府機関又はその従属団体に地位を有するものは、何人といえども、同盟罷業、又は、政府の活動能率を阻害する怠業その他争議行為をしてはならない。」これがすなわち「同盟罷業、怠業その他の争議行為」をしてはならないという三十七条の前段なんです。そのマッカーサー書簡のあとに、「何人といえどもこのような地位をもちながら日本の公衆に対し、このような行動に訴えて公共の信託を裏切るものは」とこう書いてある。これも前段の中に含まれると思うのでございますけれども、ただこの中で、さらにマッカーサー書簡におきまして特に強調いたしておりまする点は、この前段の職員がこういうような争議行為をやった場合には、これは刑事罰でなくて行政罰を、これを予想しておった。今日のように勤務条件に関する問題につきまして検察庁が地方公務員法違反、すなわち六十一条違反ということで検挙をするということはだれも考えてなかった。その当時大橋君の答弁がここにございますけれども、この中におきましてもそういうことは言っていない。それで、刑事罰の対象になったのは「又、何人も、このような違法な行為を企て、又はその遂行を共謀し、そそのかし、若しくはあおってはならない。」これが刑事罰の対象になる。これが一体だれをさしていうかといえば、これは職員そのものをさしていっておるのではないのです。「又はその遂行を共謀し、そそのかし、若しくはあおってはならない。」これは職員以外の者をさしている。当時私どもはこの点において追及をしましたところ、政府の方は速記を中止して、秘密会におきまして、しばしば私どもに言明したことは、これは共産党をさして言っている、共産党をさしておると言っておる。従って、これは職員そのものの勤務条件改善に関するいろいろな諸活動をさして言っておるのではない。そして、これが同盟罷業、または怠業その他の争議行為をした場合には、これは行政罰でもって罰するのであって、刑事罰とは無関係だということを当時政府の方はしばしば言明して参りました。しかるに法律は独走いたします。この間警職法の問題で、前の最高裁の判事の真野さんがここで証言をされておりましたが、法律は独走するということを言っておった。その通りであります。たとえば鉄道公安官を作る場合におきましても、私どもは当時の法務大臣に、これを労働争議に使ってはならない、絶対に使いません、これは朝鮮人の集団暴行に対する防衛のためにやるのだ、こういうことで、当時法務委員会においてそういうことをはっきり申しました。絶対にストライキにはこれをば使わない。ところが今日鉄道公安官はどんどんストライキでなくて、大衆行動の断圧にこれが利用されております。地方公務員法だってそうなんです。地方公務員法だって、これが文部省の指導によりまして、地方自治体、教育委員会におきまして非常に間違った解釈がされておる。それが条例となって現われまして、今日このような事態が生まれておる。当時は総理は国会にいらっしゃいませんでしたから、この間の事情は十分おわかりにならぬと思います。しかし当時はっきりしておることは「六十一条に規定する共謀し、そそのかし、あおり、又はこれ等の行為を企てる等は、不法な意図を実現するための手段、態様であるが、その手段、態様自体が不法な行為の類型を現わしている、と考えることである。つまり、欺罔的、誘惑的、脅迫的方法で他人をして争議行為を遂行せしめる行為のみを処罰の対象とし、平和的、説得的争議行為をよびかけることは、六十一条にいう違法な行為の遂行をそそのかし、あおったことにならない、」こういうのが当時の統一的の見解であったわけであります。しかるに今、日教組に対しましては地方公務員法違反だというのでどんどん各所において検挙が行われておる、これは私は立法の精神をじゅうりんするものであると思う。この点につきまして、幸いあなたの方の党には当時法務総裁をやっておりました大橋君もおるのであります。これは総理もその当時のことを十分お聞き下さればわかると思うのでありますけれども、こういうような立法の精神をじゅうりんするような、歪曲するような、そういうことは私は許されないと思うのでありますけれども、総理の御見解はいかがでございましょう
○岸国務大臣 法律の解釈につきましては、私はお話の通り、立法の趣旨なりあるいは立法当時の国会においての審議の内容、その際における政府の責任ある説明や答弁というものも、もちろん私は重要な資料として法律を解釈しなければならないということは、言うを待たぬと思います。しかし法律を作りました当時と社会的にも事情がいろいろ変ってきて、あるいは立法当時予想しなかったような事態も起って参るわけでありますから、あるいは立法当時予想しなかったような事態に対して、当時は全然考えておらないような事態が起ってきて、これを適用するというような場合も起ってくるだろうと思います。しかしいずれにいたしましても、何か特別の意図を持って、政治的意図を持って法律を解釈するとか運営するとかいうようなことは、これは許されないのでありますから、立法の趣旨や、その精神というものは十分に尊重して法律の解釈をしていくということが、やはり中心になることは当然であろうと思います。
○赤松委員 非常に大事な発言をされておるのですけれども、客観的情勢が変化すれば法律の拡大解釈をやっていいと、そんな理屈には私はならぬと思う。ことにこれは刑事罰を目的として作られた法律ではないのであります。すなわち公務員のその中立性、さらに能率的な事務を増進さすために作られました法律でございますから、従って今の総理のようなお考えでございますと、やはり戦争中の国家総動員式な考え方というものが出て参りまして、客観的情勢の変化によっては、法律の拡大解釈やむを得ないのだ。だから警職法などが危ないのであって、客観的情勢の変化によりまして、いつでもこれは拡大解釈されて、悪用されるという危険がありますから、当時私どもは反対したわけであります。当時の速記録を見ますと、わが党の大矢省三君ははっきりこう言っておる。「公務員は相当な学識を持ちしかも十分テストして採用された常識もあり、判断力もあり、しかも相当に社会的な地位もある人である。これに対してそういう誘惑扇動に乗るという前提に立ってものをこしらえるということは、私は公務員に対する非常な侮辱じゃないかと思う」大矢君がこういうような質問をしておる。これに対しまして大橋国務大臣が答弁をしておる。「公務員がすべてお話のように誘惑扇動には乗らないという前提に立ちますと、かような規定は確かに必要はないと思います。しかし私どもといたしましては、現在の状況から見て、この規定は必要であると考えて載せた次第であります。」こう言っております。この場合に、この大臣の答弁にありますように誘惑、扇動に乗るか乗らないか、つまり誘惑、扇動というのは、そそのかし、共謀し、あるいはあおるというのでございますから、こういう点につきましては今日の検察庁が間違って、法律を誤まって解釈してやっておる。これは、私は先般和歌山に参りまして次席検事と論争いたしましたけれども、次席検事自身が、これは自信がない、われわれは今度の地公法違反でもっていろいろ起訴しておりますけれども、これは公判闘争におきまして必ず白と出る、必ず無罪と出ると確信しております。ところが総理の見解によれば、それは白と出たら出たで仕方がないじゃないかというそうじゃないのです。白と出ることは決定的なんです。問題は、白と出た場合に、その教職員は職場復帰ができないのです。また係争中の期間の賃金はカットされるのです。ここに重大な問題がある。だから法律を執行なさる場合には十分に考えて、そしておやりになる必要があるということを私は申し上げているのであります。時間がありませんから、特にこの際内閣総理大臣に、この立法の過程あるいは立法の精神、こういったものにつきまして御理解を願うために、これを特に強調しておきたいと思うのであります。 その次にお尋ねしたいのは、ILO条約の問題でありますが、これは労働大臣に私はしばしば今日まで質問をしてきた。そうすると労働大臣は、労働問題懇談会の結論が出れば、その結論を見てから考える、こういう答弁を終始して参ったのであります。今日ILOにおきましても、御承知のごとく団結と自由に関する委員会におきましては、日本政府はすみやかにこれを批准すべきである、こういうような結論も出しております。先般私ジュネーヴに参りまして、この方面のいろいろな人に会って参りましたけれども、もう国際的には、どうして日本がこれを批准しないのか、現地の外交官はこの問題が出るたびに肩身の狭い思いをする、今ごろこの問題をジュネーヴの国際会議でもって議論をしなければならぬということは恥しい、こう言っております。もう議論の余地のない問題でありますから、すでにILOにおきまして、こういうような結論が出ておるのでございますけれども、この条約の批准について、内閣総理大臣として、これは単に労働問題だけじゃありません、外交上の重大な問題も含んでおりまするから、総理の責任において御答弁をお願いしたいと思います。
○岸国務大臣 ILO条約の批准という問題に関しましては、日本としましても、できるだけこれを批准する方針のもとに、いろいろと今日までもやってきております。ただ問題の第八十七号というのですか、この問題の批准をするかどうかということは、しばしば国会においても問題になり、これは赤松君の方がよく御承知ですが、今ある日本の国内法との関係において、これをどう調整していくかという問題がありまして、従って労働問題懇談会というものにこれが検討審議を命じて、その結論を待ってやるという方針のもとに、今日まできております。条約を批准し、これに抵触するようなおそれのある国内法は、これを改正したらいいじゃないかという議論も一方において立つと思います。しかし、日本の国内情勢からいって、これらの法制を直ちに修正し改定するということが国内事情に果して適合しているかどうかということにつきましても、各般の事情を調査し、研究する必要があるということで、こういう処置をとっておるわけであります。懇談会においてもその方の専門家なり、各労働問題についてのいろいろ権威の方々が十分に検討されておりますから、その結論を待って政府としては処置する、こういう従来通りの方針でおるわけであります。
○赤松委員 条約の批准に伴う国内法の改正の問題について、にわかにそれをやることが国内情勢として許すかどうかというお話でございましたが、そういう情勢上の認識の問題になりますと、相当議論の余地があると私は思うのです。ただ、時間がありませんから、そこまで触れませんけれども、この際はっきり答えておいていただきたいことは、しばしば労働大臣が答弁をされておりまする労働問題懇談会の結論が出た場合に、たとえば批准すべきである、それに伴って国内法の改正をやるべきである、こういう結論が出た場合には、それに従うのかどうか、そのことだけ一つこの際お伺いしておきたいと思います。
○岸国務大臣 懇談会の結論がそういうふうに出まするならば、十分それを尊重して政府としては処置していきたいと思います。
○赤松委員 尊重するということは、実行するというふうに受け取ってよろしゅうございますか。
○岸国務大臣 今お答え申し上げましたように、私は尊重するということを申しております。必ずその通りに実行するということは、政府としての責任において決定しなければならぬと思います。懇談会でこうした審議をして権威ある人たちに研究さしておるのでありますから、私は十分に尊重して処置する、こういうことをお答え申し上げておきます。
○赤松委員 これは総理、パーセントの問題じゃないと思うのです。一〇〇%はだめだけれども七〇%くらいは何とかするつもりだというようなことではないと思うんですよ、少くともこの条約に関する限りは。従って、尊重するということは、これは実行するんだ、こういうふうに私ども理解しておきたいと思うのでありますが、どうでございますか。これは実は、あなたの御答弁なり私の質問なりというものは、すぐILOの方に伝わるのです。一つはっきりこの際態度を表明しておいていただきたい。
○岸国務大臣 政府の責任者として私は、それを尊重して処置するということは、国際的に響きましても、十分意味を持っておると思います。
○赤松委員 そういう押し問答を重ねておっても、時間の浪費ですから、私は岸総理のように臨時国会を全部空白にするというような忍耐心はございませんので、この際さらに話を進めていきたいと思うのであります。 警職法の廃案に伴いまして、政府が非常に重大な法案だと言っておりました国民健康保険法、ただいま政府の非常に強い御要望がございまして、私ども御協力を申し上げましたが、とにかくこれが通りました。しかしこれも岸総理の責任だと私は思う。これが流産になって、新しく通常国会に提出をしなければならなくなった。最低賃金法だってそうだと思う。労働大臣が苦心惨たんして、一生懸命に作って、そしてこの臨時国会ではどうしても通したい、こう考えて出した。ところが、あなたが自民党の代議士会で勇敢にぶってしまった。他の法案を犠牲にしてでも警職法は必ず通すなどと言うもんですから、まだそのままになるどころか、警職法もつぶれ、みんなつぶれちゃった。ですから私は労働大臣にも責任があると思う。そういう場合には、最低賃金法を通すために、むしろ総裁のそういうような行き過ぎをあなた自身がセーブしなければならぬ。ところが総裁は代議士会で言い切っちゃった。総裁ですから、私が鈴木委員長のそばにおるならば、あれは一〇〇%言わせないで、五〇%くらいにして、あとの五〇%は、ちゃんと両党首会談やその他があるのですから、そこで譲り合うような線は残しておくのでありますけれども、あなたはそこで勇敢に言わぬでもいいことまで言っちゃった。他の法案を犠牲にしてでも私はこの警職法を通すために大いにがんばる、わあっというようなことになっちゃった。ところが警職法までつぶれちゃった。あなたは笑っておられますけれども、これを国民は何と思っておるか。自民党の中でどういう批判が起きておるか。全くこれは重大な問題です。一切の法案を犠牲にして、しかも警職法までつぶして、そしてそれを担当する所管大臣が辞任一つしない。総理大臣自身が反省の色一つも見せない。こんなばかな政治というものがあるでしょうか。この間新聞のコントに何と載っておるか。やめないで下さい、毛沢東殿、岸首相。こう書いてある。お前さんがやめると私までやめねばならぬ。これは諷刺なんです。国民の考えていることをコントの形で率直に言っておる。NHKに三木鶏郎がおらぬからいいようなものだけれども、あれがおってごらんなさい。ぼろくそに言われる。全く国民はみなあきれ果てておる。いつあなたがその責任をおとりになるか。きょう公安委員長が出てきましたならば、公安委員長に対しまして、一つこの勤評の問題と関連して警職法の問題に関して彼らの責任を追及して、そうして当然彼は政治家でございますから、その進退出所をば明らかにするその時期はいつであるかということを聞きたかったのでございますが、おそれをなして、ついにこの委員会に姿を現わさぬ。内閣総理大臣は内閣を統率なさる地位におられます。あなたはこの問題についてこういうように、あなたの隣におられる倉石労働大臣もたった一つの重要法案であるところの最低賃金法案を流産させて、何とか今月一つ通してくれ、二、三日の間に何とかしてくれ、そんなことを言われましても、はあそうですかというわけには参りません。事態は非常に重大でございます。あなたの党の中で混乱が起きると同じように、国民の中におきましても相当高い批判がある、この際総理の御見解を承わっておきたいと思います。
○岸国務大臣 臨時国会におきまして私どもぜひ成立せしめたいと思って提案をいたしました諸法案が、ついに成立を見るに至らなかったことは返す返すも遺憾に考えております。私は、かくのごとき事態に処して、赤松委員の、内閣総理大臣の責任をとれというお言葉は、おそらく岸内閣に総辞職しろ、あるいは解散をして国民に信を問えというような意味を持たしての御質問かとも思いますが、もちろん内閣が最後の責任をとるというのは、総辞職し、もしくは自分の方で国民の信を進んで問うて善処するというような道が、民主的に最後の責任をとる道であることは言うまでもないのでありますが、しかしいかなる場合においても、責任あれば必ずそういう道をとるべきかどうかは、これは私は政治的に大いに考慮しなければいかぬと思います。私はこの前の臨時国会において、これらの法案が成立しなかったことについては、要するに国会の運営が正常化されておらなかったところにその原因があると思います。そうしてまたこの正常化が長く行われなかったということになると、民主政治そのものを破壊する結果になると私は考えたのであります。従って、私があの場合に最も責任を持って処理しなければならぬことは、将来に向って、国会はほんとうに審議の場所である。従ってわれわれは国会の審議を通じて、国民に自分たちの所信を訴え、またこの二大政党の運営については、両党とも互譲の精神をもって、この国会を運営していくという、この原則を樹立して、将来ともこういう事態を繰り返さないようにすることが必要であると考えまして、鈴木委員長と会談をして、将来の国会正常化について両党で考えてみて、最も必要であり、こうすることが適当であるということについて申し合せをしたことは、赤松委員の御承知の通りであります。私の今日の心境から申しますと、これらの必要であると考えて提案をいたしました諸法案は、さらに提案をする。警職法につきましても、国民の世論の趨向等も私は謙虚な気持で十分に考える、また同時に、この提案についての取扱い等についても十分慎重に考えて、適当な時期にさらに国会に提案して、御審議を得て成立せしめるということが必要であると私は考えております。これらの問題につきましては、それぞれ主管大臣におきましても、そういう心がまえのもとに検討をし、将来は、ことに国会の運営の正常化されたこの状況において、両党互譲の精神をもって審議を慎重に円満に行なって、そうして成立せしめるものは成立せしめるし、またたとい少数党であっても、その議論に耳を傾けるべきことは十分耳を傾ける、そうして国会の運営を正常化していく、そういうことを実現することが私の責任を果す上において最も必要であると考えて、実は鈴木委員長とも話をした次第であります。
○赤松委員 われわれの民主主義のルールという観念からいきますと、重要法案がみなつぶれちゃった。警職法もつぶれちゃった。その場合、あなたは今議会の解散か総辞職かというように問題を提起されましたけれども、私はその際あなたの口から議会の解散ということが出るというのは、全く民主主義のルールに反すると思う。というのは、自己の失敗で、自己の責任において重要法案がつぶれちゃった。その場合とるべめ内閣の責任は、内閣を総辞職する。総辞職をして、あとは選挙管理内閣を作り、その選挙管理内閣で衆議院の解散をやるというなら話がわかるのでありますけれども、自己の失敗を議会になすりつけて、そうして内閣は総辞職しないで、そのまま議会の解散をやるということは、民主主義のルールに全く反しておる、こういうふうに私は考えるわけであります。 それからそういうようなあなたのお考えであるから、あなたの統率される国務大臣の中に、重要な補正予算に対して反対投票をするような人が出てくる。笑いごとではありませんよ。世界じゅうにこんな事例がありますか。もしこれが正常な、ノーマルな政治状態ならば、そうして良心のある内閣ならば、これは重大な政治問題として世に指弾をされると同時に、みずから進退出所を明らかにしなければならぬ。それをあなた、今日までほうってある。あの補正予算を上程した日の議事録はまだ配付になっていないですよ。なぜ配付になっていないか。ほかに理由があるかもわかりませんけれども、まさか閣僚が自分の作った予算案に対しまして反対投票をする、そんなことが議事録に載せられますか。しかしやがては載せなければならぬでしょうけれども、今日、すでに一ヵ月も前の議事録が配付にならない。こんな醜態がありますか。私はその大臣を責める前に、あなた自身が責任政治をやっていないから、こういうようにだんだん内閣全体のたががゆるみ、その責任感が希薄になり、予算に反対投票をするとは何ですか。私がもしあなたのお作りになった予算に対して賛成投票をしたならば、私は統制委員会にでもかけられて、これは除名ものです。それくらいの責任感をお互いに持たなければ、どうして今日この苦難な政治を背負って立っていけますか。これは笑いごとではありません。こういうような一例を見ても、この際もっとあなた自身政治に対する責任感をしっかり持っていただいて、そして国民がすっきりするような形において、この今だんだん不信が増大してきておるところの政府、及び多数党が多く占めておるところの国会に対する不信をぬぐっていかなければならぬと思う。私は、解放をする場合は、選挙管理内閣はあなたでなくて、それは石井さんかだれかわかりません。とにかく選挙管理内閣ができて、その管理内閣が解散をやる。解散をやった場合に、国民として考えなければならぬことは、今日三分の一と三分の二のこのバランスを欠いた国会の議席の中では、私はほんとうに国会の正常化というものはできないと思う。どうしても多数党が横暴になる。だからこの三分の一と三分の二のバランスをとっていく、そして国会の正常化の基礎を作る。これが衆議院解散の一番大きな意義ではないか、こういうように考えるわけであります。ことに安保条約の交渉等につきましても、あなたは昨年の六月からずっとおやりになっておる。この間も帝国ホテルの七階のロビーでもって、マッカーサー大使と非常に重大な打ち合せをされておる。きょうもわが党が緊急質問を行おうとするのは、どうしてそういうような一年以上も、ことに沖縄、小笠原を防衛範囲に含むというような重大な問題について、その中間報告を国会においてなさらないか。ただこそこそ国民の目に見えない場所において、何かやみからやみのやみ外交をやっておられる、私はそうであってはならぬと思う。この際岸総理はすべて一つ裸になったつもりで出直していただきたい、こういうように思うわけであります。 最後に私は、来年度の社会保障及び労働政策の中で一番重点を置いて、これこそ何としても実現をしたい、実行したい、社会保障政策と労働政策の中で特に重点的に推進をしたいと思われるものがありまするならば、来年度のあなたの社会保障並びに労働に対する政策の重点を一つこの際明らかにしていただきたいと思います。
○岸国務大臣 社会保障制度につきましては、すでにわが自由民主党が国民に公約をいたしております国民年金を三十四年度から実施を実現するということに中心を置いて考えたいと思います。労働政策につきましては、これもまたいろいろやるべきことはありますが、私は特に日本の労働者のうち恵まれておらない、また労働条件が非常によくない、しかも数において相当多くあり、日本の産業構造からいっても重要な地位を持っておる中小企業の労働者に対する諸施策をぜひ推進をしたい。労働大臣にもその点におきましていろいろと話をしておりますが、あるいはこの法制の上から申しますと、最低賃金法の問題にいたしましても、特にこの日本の中小企業の特殊事情から、そういうことが考えられておることも御承知の通りであります。あるいはまたこの中小企業の従業員の退職共済制度の問題につきましても、すでに相当な研究もされておりまして、これが推進をぜひともはかっていきたい、かように考えておりまして、最も日の当らないと申しますか、恵まれておらない、労働条件のよくない、しかも数においても多く、また社会構成の上からいっても、産業構造の上からいっても重要な中小企業の労働者につきましては、特にできるだけこれらのことを考えていきたい、かように思っております。
○赤松委員 まだ質問はたんさん残っておりますけれども、委員長との約束もございますので、国会正常化の範を示すという意味におきまして、遺憾ながらこれで質問を打ち切りたいと思います。
○園田委員長 多賀谷真稔君。
○多賀谷委員 私は昨日から、日本専売公社における労働紛争の質問をすべく、専売公社総裁、副総裁、職員部長を呼んでおるわけでありますけれども、いまだに出頭をされません。しかも現在専売公社関係における労働紛争は、不当労働行為事件が二件申し立てを受けております。さらに調停案が六件調停委員会にかかっており、さらにたばこの在庫の状態が十日分しかないという状態である。またその品種におきましては、もう底をついておる、こういう状態にもかかわらず、いまだにお見えにならないということは非常にけしからぬと考えるわけであります。今後委員長において十分善処されんことをお願いします。
○園田委員長 多賀谷君の御意見は了承いたしました。再三要求をいたしましたが、団体交渉に関連する予算その他の折衝で出席いたしておりません。厳重に警告を発します。 本日はこの程度にとどめます。次会は来たる二十三日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会する予定であります。 これにて散会いたします。 午後六時十五分散会 ――――◇―――――