社会労働委員会 第2号
- 発言数
- 183 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1958/12/17
会議録
○園田委員長 これより会議を開きます。 内閣提出の最低賃金法案並びに勝間田清一君外十六名提出の最低賃金法案及び家内労働法案の三案を一括して議題とし、審査を進めます。 まず、順次趣旨の説明を聴取いたします。倉石労働大臣。
○倉石国務大臣 ただいま議題となりました最低賃金法案につきまして、その提案理由及び概略を御説明いたします。 終戦以来わが国における労働法制は労働組合法、労働関係調整法、労働基準法など急速に整備されたのでありますが、これらの法制により近代的労使関係が確立され、また産業の合理化を促進し、わが国の経済復興に寄与するところ少くなかったことは、否定し得ない事実であります。 労働基準法は、労働条件の最低基準について詳細な規定を設けているのでありますが、同法に定める最低賃金に関する規定は、今日まで具体的に発動されなかったのであります。これが理由について考えてみますと、まず、終戦後の経済の混乱が最低賃金制の実施華盤をつちかえなかったことが指摘されるのでありますが、さらに基本的には、中小企業、零細企業の多数存在するわが国経済の複雑な構成のもとにあっては、労働基準法に規定する最低賃金制のみによっては、その円滑な実施を期し得ないものが存したからにほかならないからであります。昭和二十五年、労働基準法に基いて設置された中央賃金審議会は、絹人絹織物製造業等四業種に対する最低賃金の実施について、昭和二十九年に政府に答申を行なったのでありますが、これが実現を見るに至らなかったゆえんも、当時の経済情勢とともに、わが国経済におけ中小企業の特異性に存したと言えるのであります。しかしながら、賃金は労働条件のうち最も基本的なものであり、特に賃金の低廉な労働者について今日最低賃金制を実施することは、きわめて有意義であると考えるのであります。最低賃金制の確立は、ただに低賃金労働者の労働条件を改善し、大企業と中小企業との賃金格差の拡大を防止することに役立つのみでなく、さらに労働力の質的向上をはかり、中小企業の公正競争を確保し、輸出産業の国際信用を総持向上させて、国民経済の健全な発展のために寄与するところが大きいのであります。 翻って世界各国に目を転じますと、十九世紀末以来、今日までに四十数ヵ国が最低賃金制を実施し、また国際労働機関においてもすでに三十年前に最低賃金に関する条約が採択され、これが批准国も三十七ヵ国に達していることは御承知の通りであります。経済の復興と労働法制の整備に伴い、わが国の国際的地位は次第に高まり、昭和二十六年には国際労働機関へ復帰し、さらに昭和三十一年には、念願の国際連合への加盟も実現されたのでありますが、また、それゆえに世界各国は、わが国経済、特に労働事情に関心を有するに至っているのであります。なかんずく諸外国において、特に大きな関心を持って注目しているのは、わが国の賃金事情であります。過去においてわが国輸出産業がソーシャル・ダンピングの非難をこうむったのは、わが国労働者の賃金が低位にあると喧伝されたからであります。かかる国際的条件を考えましても、この際最低賃金制を実施することは、きわめて意義があると考えるのであります。しかしながら、諸外国における最低賃金制の実施状況を見ても知り得るごとく、その方式、態様は決して一様のものでなく、それぞれの国の実情に即した方式が採冊されているのであります。従いまして、わが国の最低賃金制もあくまでわが国の実情に即し、産業、企業の特殊性を十分考慮したものでなければならないことはいうまでもないところであります。 政府といたしましては、最低賃金制の大きな意義にかんがみ、最低賃金制のあり方についてはかねてから検討して参ったのでありますが、昭和三十二年七月、中央賃金審議会に、わが国の最低賃金制はいかにあるべきかについて諮問したのであります。同審議会は、その後真剣な審議を重ねられ、同年十二月に至り答申を提出されたのでありますが、その内容については、一部の労働者側委員が賛成できない旨の意見を述べたほかは、他の労、使、公益全委委員が賛成されたのでありまして、さらに答申の提出については、全員が一致されたのであります。同答申は、その基本的考え方として、産業別、規模別等に経済力や賃金に著しい格差があるわが国経済の実情に即しては、業種、職種、地域別にそれぞれの実態に応じて最低賃金制を実施し、これを漸次拡大していくことが適当な方策であると述べているのであります。今日においても、最低賃金制の実施は中小企業の実情にかんがみ、時期尚早であるとの諭も一部にはあるのでありますが、現実に即した方法によってこれを実施するならば、中小企業に摩擦と混乱を生ずるようなことはなく、その実効を期し得られるものであり、むしろ中小企業経営の近代化、合理化等わが国経済の健全な発展に寄与するものと考えるのであります。 以上の見地から、政府といたしましては、中央賃金審議会の答申を全面的に尊重して最低賃金法案を作成し、第二十八回国会及び第三十町国会に提出いたしたのであります。両国会とも、衆議院においては政府原案通り可決されたのでありますが、参議院において審議未了となりましたので、ここに重ねて、同内容の法案を提出いたした次第であります。 次にその主要点について御説明いたします。その第一は、最低賃金の決定は、業種、職種または地域別にその実態に即して行うということであります。最低賃金制の基本的なあり方について、全産業一律方式をとるべきであるとの意見があります。しかしながら、わが国においては、産業別、規模別等によって経済力が相当異なり、また賃金にも著しい格差が存在しているのでありまして、かかる現状において全産業全国一律の最低賃金制を実施することは、ある産業、ある規模にとっては高きに失し、他の産業、規模にとっては低きに失し、これがため一般経済に混乱と摩擦を生じ、本制度の実効を期し得ないおそれがあると考えるのであります。ここに対象となる中小企業の実態を最も適切に考慮して最低賃金を決定し得るごとく、業種、職種、地域別に最低賃金を決定し、漸次これを拡大していくことといたした理由が存するのであります。 第三は、最低賃金の決定について、当事者の意思をでき得る限り尊重し、もって本制度の円滑なる実施をはかるため、次の四つの最低賃金決定方式を採用していることであります。すなわちその第一は、業者間協定に基き、当事者の申請により最低賃金を決定する方式であり、第二は、業者間協定による最低賃金を、一定の地域における同種労使全部に適用される最低賃金として決定する方式であり、第三は、最低賃金に関する労働協約がある場合に、その最低賃金を一定の地域における同種労使全部に適用されるものとして決定する方式であります。これら三つの方式のいずれの場合も、政府は、中央、地方に設けられる労使公益各同数の委員よりなる最低賃金審議会の意見を聞いて最低賃金を決定することといたしております。第四は、以上一ないし三の方式によることが困難または不適当である場合に、行政官庁が最低賃金審議会の調査審議を求めて、その意見を尊重して最低賃金を決定する方式であります。以上のごとく四つの決定方式を採用し、それぞれの業種、職種、地域の実情に即して最低賃金制を実施することとし、もって本制度の円滑にして有効な実施を期した次第であります。 第三は、決定された最低賃金の有効な実施を確保するため必要な限度において、関連家内労働について最低工賃を定めることができることとしたことであります。わが国の中小企業は零細規模のものが多く、その経営は下請的、家内労働的な性格を有するものが多いのであります。しかも、わが国においてはこれら中小企業と併存する関連家内労働者が多数存在し、これら家内労働者の労働条件には劣悪なものが少くないのであります。しかして一般の雇用労働者に最低賃金が適用され、これと関連する家内労働を行う家内労働者の工賃が何ら規制されない場合には、家内労働との関係において最低賃金の有効な実施を確保し得ない事態を生ずるおそれがあるのであります。もとより、家内労働については改善すべき幾多の問題がありますので、政府は家内労働に関する総合的立法のため調査準備を行うとともに、さしあたり本法案中に必要な限度において最低工賃に関する規定を設け、最低賃金制の有効な実施を確保すると同町に、家内労働者の労働条件の改善に資することとした次第であります。 以上が本法案の主要点でありますが、本法の適用範囲は、原則として労働基準法及び船員法の適用あるもの全部とし、これが施行に関する主務大臣は、労働基準法適用関係については労働大臣とし、船員法適用関係については運輸大臣としております。その他最低賃金審議会の設置運営に関する事項、業者間協定締結等に対する援助、勧告及び違反の防止等に関する所要の規定を設けるほか、関係法令に関する整備を行い、もって最低賃金制の円滑なる実施を期しているのであります。 最低賃金制を法制化することは、わが国労働法制止まさに画期的なことであり、かつその意義もきわめて大きいと信ずるのであります。しかしながら、何分にも最低賃金制はわが国においては初めての制度であります。いかにわが国の実情に即した最低賃金制でありましても、これを円滑有効に実施するためには中小企業の経営基盤の育成をはかることが必要であることは申すまでもないことでありまして、政府といたしましては、最低賃金制の実施状況等を勘案しつつ、中小企業対策等について今後とも十分配慮を行なって参りたい所存であります。 また、いかに大きな意義を有する最低賃金制が実施されたとしましても、法制定の趣旨が十分認識されず、本制度が誤まって運用される場合には、労使関係の安定が阻害されるのみならず、社会経済の混乱を招くことになるのであります。政府といたしましては、本制度に対する労使の深い理解と絶大なる協力を期待するとともに、広く国民一般の支援を求め、これが円滑なる運営をはかりたいと存じている次第であります。 以上最低賃金法案の提案理由及び概要でございます。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛同賜わらんことをお願いいたします。
○園田委員長 次に、多賀谷真稔君。
○多賀谷真稔君 ただいま議題になりました最低賃金法案につきまして、その提案理由及び内容の概要について御説明申し上げます。 労働保護につきましては、すでに労働基準法の制定を見、労働時間の制限、女子年少者の保護、安全衛生の管理、災害補償等の法的措置がなされていることは、御承知の通りであります。労働基準法はその冒頭において、「労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない。」とうたっております。しかして労働時間と賃金は労働条件における二つの柱となっており、天井と床の関係にありまして、いかに労働時間の規制が行われても、賃金について何らかの最低保障がなければ労働保護立法も、その意義の大半は失われ、労働者の生活の安定は期し得られないのであります。ここに労働時間がそれ以上に上り得ないように天井を設けたと同様、賃金がそれ以下に低下しないように床板を設ける必要があると思うのであります。 労働基準法が実施されてすでに久しく、この法律の眼目たる最低賃金制度が日の目を見ないことはまことに遺憾であり、本法案は労働基準法をして保護立法としての本来の使命を達成せしめるために、その補完的立法として提出いたした次第であります。最低賃金制は前世紀の末、ニュージーランに実施されて以来、先進諸国に行われ、第二次大戦後の今日においては、インド、ビルマ、フィリピンのアジアの後進国及び中南米諸国に至るまで、四十数カ国において実施され、ILOにおいても一九二八年、第十一回総会において、最低賃金制度の創設に関する条約並びに最低賃金決定制度の実施に関する勧告が採択されているのであります。わが国の労働者の賃金は諸外国に比べて著しく低く、ことに中小企業の賃金は、まことに劣悪なのであります。日本の資本主義は農村の貧困と、中小企業労働者の低賃金を土台として先達し、現在においても独占資本は、中小企業を隷属下に置き、その基盤の上にそびえ立っているのであり、独占資本は経営の危険をほとんど下請の中小資本に転嫁し、中小企業の労働者は、低賃金と長時間労働に苦しんできたのであります。しかも最近における神武以来の好景気もこれらの低賃金労働者に潤わず、企業別労働者の賃金格差はますます拡大し、また本工員と同じ作業をさしながら、きわめて低い賃金で使用する臨時工、社外工という形の労働者を大量に発生せしめ、一たび不況となるや、いち早くこれらの労働者に解雇、賃金引き下げの犠牲がしいられ、社会問題を惹起しつつあるのであります。さらに、わが国の賃金構造の特質の男女別賃金格差の大きいことをあげることができるのであります。同一労働、同一賃金の原則は、賃金決定における大憲章であり、労働基準法の制定と同時に、その条章にもうたわれたところでありますが、婦人労働者は依然として低賃金に押えられ、工場に長年勤めている婦人労働者が、男子見習工よりも安い賃金をもらっている事実を、幾多も指摘することができるのであります。わが国のこの封建的慣習的賃金構成を打破して、現代的賃金構成になし、婦人の経済的地位の向上をはかることが肝要であります。賃金は労働力の再生産を可能にするものでなくてはなりません。しかるに現在の低賃金階属の人々には、労働力の再生産どころか、自己の労働力を消耗し続けているような状態であります。 現在生活保護法による保護を行なっているのでありますが、その被保護世帯の約四割程度が世帯主が就職して働いているのであります。就職しているものに生活保護法の保護をしなければならないという現実は、わが国の賃金のいかに低いかを雄弁に物語るものであり、かかる最低生活水準も維持できないような賃金で人を使用することは、社会正義上も許されないと思うのであります。かような人格をも認めない低賃金の労働者に資質の向上も能率の増進も望み得ず、中小企業もいつまでも劣悪な労働条件に依存し、企業間で互いに価格の引き下げ、コストの引き下げ、賃金の引き下げという形の過当競争を行なっていたのでは、ついにはかえって中小企業崩壊の結果を招来すると思うのであります。本法案はいずれの企業にも賃金の最低線を画することによって、過度の不当競争をなくし、さきに国会で通過した中小企業団体の組織に関する法律、またわが党が提出しております中小企業の産業分野の確保に関する法律案、商業調整法案、中小企業官公需の確保に関する法律案、その他税制、金融等の改正案とともに中小企業の製品の高度化と量産の推進をはかり、わが国の後進的産業構造の近代化を行わんとするものであります。他方、対外的見地よりしても、本法案は必要欠くべからざるものであります。戦前においては、わが国の輸出品、ことに繊維製品に対してはソーシャル・ダンピングの非難があり、戦後においても依然として、その復活の危具が払拭されません。ガット加入に際して、イギリスを初め多くの国が第三十五条を援用し、またアメリカにおいての綿製品、洋食器その他輸入禁次止並びに制限が問題になったことは、御承知の通りであります。本法案は、わが国製品に対する諸外国のソーシャル・ダンピングのおそれを解消し、わが国の貿易の正常な発展に寄与せんとするものであります。さらに本法案は完全雇用への道に通ずるものであります。わが国の雇用問題は完全失業者の問題ではなく、むしろ一千万と数えられている見えざる失業、半失業、失業という名で呼ばれている不完全就労者の問題であります。完全雇用とは単に量の問題だけでなく、質の問題であり、単に職につけばよいというのではなく、少くとも職についた以上は労働力を償う賃金が支払われなければならず、雇用の質的転換をはからなければならないのであります。また雇用の質の向上がなされるならば、家計補助のために労働市場に現われていた多くの者が姿を消し、労働力化率が健全化し、雇用事情が改善されると考えられるのであります。最低賃金の設定は労働時間の短縮、社会保障制度の確立とともに、わが国の非近代的雇用関係を解消し、完全雇用の達成に資するものであります。 以下、内容の概要について述べます。第一に本法案は附則において、労働基準法の最低賃金の条項を一部改正し、その改正した労働基準法の規定に基いて定めたものであります。そこで本法の適用労働者からは、雇用労働者でありましても、労働基準法の適用を受けない船員労働者、公企業体等関係労働法以外の国家公務員は除外し、これらの労働者に対しては別に定めることにいたしたのであります。 第二に、最低賃金の決定は全産業を通じ全国一律方式を採用いたしたのであります。業種別、職種別、地域別に最低賃金を決定すべきであるという意見もあり、その方式を採用している国国もあります。しかしこの業種別、職種別、地域別を採用した国々の多くは、その国の労働組織が産業別組合であり、職種別合であります。これら産業別組合または職種別組合は統一労働協約によって最低賃金を持っており、これらの組合の組織のできない産業、職種の労働者は低賃金で放置され、ここに最低賃金の必要性が唱えられ、かかる方式がとられたのであります。しかるにわが国の労働組織の実態はほとんど企業別組合であり、企業規模の大小によって組織率が変っているのであります。ゆえに、わが国の賃金分布の状態はあらゆる職種にわたって低賃金労働者を発見することができるのであります。さらに、わが国の賃金構造の賃金格差の著しいことを理由に全国一律方式の困難性を指摘していますが、現に産業別、規模別、地域別賃金格差が大きく、最低賃金を業種別、職種別、地域別に決定しているインドやメキシコにおいてこのような形態が賃金の固定化をもたらし、賃金の引き上げにならないとして再検討され、画一的最低賃金の必要に迫られている事実を見ることができるのであります。さらに各国における最低賃金制度の発展の歴史を見ますると、当初苦汗労働分野に限られていたこの制度が漸次全国的全産業的規模に拡大し、一般的低賃金の防止へと発展し、質的変化を遂げつつあることを看過することはできません。以上の事実を総合し、ここに最低賃金は全国一律方式を採用いたしたのであります。 第三に、最低賃金の額は十八才以上一ヵ月八千円といたしたのであります。十五才以上十七才未満の者につきましては別に政令により決定することといたしております。最低賃金額決定の基準は、各国において種々でありますが、われわれは主として厚生省社会局委託による労働科学研究所の最低生活費の研究の結果によったのであります。これによれば昭和二十七年八月—十月間の調査で、住生活及び公租公課、社会保険料を除いて、家族と共同生活をしている軽作業従事の成年男子の労働力の再生産に必要な最低限度の消費単位が七千円でありますので、これに独身者たるの条件を加え、さらにその後のCPIの上昇率、地域差等により修正し、八千円といたしたのであります。しかしながらこの画期的法律を実施するに当り、賃金の階層別分布、その他諸般の社会的経済的情勢を勘案し、経過措置として施行後二カ年間は六千円を実施することといたしました。 第四に、右の金額に達しなくとも使用できるものとして、技能者養成者、精神または身体の障害により著しく労働能力の低位な者、労働者の都合により所定労働時間に満たない労働をした者、所定労働時間の特に短かい者、十五才に満たない労働者の除外例を設けたのであります。 第五に、中央賃金審議会は物価の変動その他により、その金額を百分の五以上増減する必要があると認めたときは、労働大臣に報告しなければならないという規定を設け、労働大臣はその勧告に塞ぎ、その必要な処嗣を講じなければならないといたしたのであります。 以上が本法案の概要でありますが、なお本法案の円滑なる運用をはかるため、一カ年間の調査期間を設け、実態の把握に努め本法案施行に万遺憾なきを期する所存であります。 最後に一言申上げたいことは、業者間協定をもって法的最低賃金の決定方式にされている政府案についてであります。業者間協定は業者間の競争を公正にするという意味はありますけれども、生活水準の向上を期するという労働立法としてはどうしても容認できないのであります。政府案はわが国の賃金格差の著しいことを理由に、全国一律方式を排除したが、賃金の不均等があればあるほど業者間協定による最低賃金は、その実情に即するの余り、その職業や地域の低賃金をそのまま制度化したにとどまり、さらに競争関係にある他の職業や地域の賃金をくぎづけにし、または引き下げる武器に使われるおそれなしとしないのであります。また最低賃金に関するILO条約は一九二八年いまだ多くの国において実施を見ていない初期の段階において採択された関係上、その最低賃金の決定の内容については各国の自主性にまかしてあるのであります。それを奇貨として賃金を使用者のみで決定さすという全く労働法の原則違反の方式を採用されていることは、ILO条約の精神にもとり、このことはかえって国際社会の信用を失墜する結果になり、依然としてわが国の政府並びに資本家が低賃金と労働強化にその輸出の源泉を求めて業者協定という似て非なる最低賃金制を作ったと非難を受けることは火を見るより明らかであります。かかる点を十分御考慮の上、本法案を御審議し御賛同賜わらんことを望みます。 次に家内労働法案についてその提案理由及び内容の概要について御説明いたします。 わが国の労働基準法は雇用関係にある労働者を対象とするものでありまして、商社、工場または問屋等の業者から委託を受け、その物の製造等を自宅等で行う家内労働者に対しては法の適用がないのであります。わが国の家内労働には陶磁器、漆器の製造業、西陣織を初めとする織物業の伝統的技術による手工業的生産の専業的なものと竹製品、わら工品等の農家の余剰労働力を利用しての副業として発達した副業的なもの、さらに、主として未亡人、半失業者、低賃金労働者の家族等によって行われている被服、手袋、造花、玩具等の製造に見られる家計補助としての内職的なものがあり、これらは資本制工場生産の時代になっても社会の最下層労働として沈澱しているのであります。 家内労働者は労働保護法はもちろん、社会保険立法の恩恵の外にあって、報酬は業者の懇意にまかされ、作業の繁閑、景気の変動の危険も全部負担せしめられているのであります。その労働報酬の劣愚なることは中小企業の工場労働者のそれに比較しても、なお格段の相異があり、しかも作業環境も衛生上きわめて不良にして、これら健康上必要な最低水準にもはるかに達しない劣悪な労働条件をこのまま放置することは、全く社会的問題であり、これが解決は緊要なりと考え、ここに本法案を提出した次第であります。 諸外国におきましても、このような事情にかんがみ、家内労働者を保護するために、最低賃金法の中で規定し、あるいは単独に家内労働法として制定し、あるいは若干の業種の家内労働の禁止をする等、その労働条件の改善に努めてきているのであります。 また、本法案の制定は最低賃金法案との関連において必要性を有するのであります。最低賃金法のみを実施いたしますと、同法は前述したごとく雇用関係のある労働者を適用の対象とする関係上、一般中小企業の労働者と、家内労働者との労働条件の格差は、ますます拡大され、このことは企業間の競争をきわめて不公正にし、かつ経営者は工場を解体し、機械器具を分散して労働者の自宅に持ち帰らせ、家内労働に逃避する危険なしとせず、最低賃金制度の実効を上げるためにも、企業間の公正競争を期する見地からも、本法案は必要なりと考えるのであります。 本法案は大企業労働者、中小企業労働者、零細企業労働者、家内労働者と並ぶわが国の低賃金構造の最低部にあるこれらの労働者の最低労働報酬を保障するものであって、最低賃金法と相待って、わが国労働者の生活水準を引き上げ、労働者の生活の安定と資質の向上をはかり、わが国経済秩序の確立をはからんとするものであります。 以下法案の概要について申し上げます。 第一に、家内労働者とは委託を受けて物品等の製造等に従事し、これに対し報酬を支払われるものをいうと規定いたしまして、その最低労働報酬額は都道府県労働準準局長が物品ごとに決定することにいたしました。 第二に、最低労働報酬額決定の基準は最低賃金法に定める時間労働賃金に当該物品等の製造等に要する標準所要時間を乗じて得た額とすることにいたしました。 第三に、労働時間の制限その他作業環境の規制等の問題がありますが、労働の実態から規制することは事実上困難でありますので、これらは今後の研究に待つことにいたしました。 第四に、機構といたしまして最低労働報酬額その他を審議するため、中央家内労働審議会、地方家内労働審議会を設け、監督組織といたしまして家内労働監督官を置くことにいたしたのであります。 本法の施行は最低賃金法と同じく一カ年後でありますが、調査の必要上家内労働審議会のみを公布と同時に発足いたしますことにいたしたのであります。 何とぞ慎重審議の上、本法案に御賛同賜わらんことを望みます。
○園田委員長 三案についての質疑は後日に譲ることといたします。 —————————————
○園田委員長 社会保障制度及び医療に関する件について調査を進めます。 まず、昨日の厚生大臣の発言についての質疑を許します。大原亨君。
○大原委員 昨日厚生大臣から東京都の前保険課長を中心といたします厚生省内の保険行政全般にわたる汚職問題についての概要のお話がございました。大臣のお話は表面をさっとなでただけでありまして、ほとんど中心的な問題については触れていない。特に国民健康保険の皆保険の発足あるいは国民年金の発足、こういう大きな問題をかかえまして、私は、この今回起きました保険行政の乱脈をきわめた実態、こういうものを徹底的に真相を明らかにいたしまして、原因を究明することが、ほんとうに国民に奉仕する厚生行政を確立する上において大切な問題であると思うのであります。従って私は、そういうふうな観点から逐次厚生大臣にこの保険行政の刷新の問題について御質問申し上げたいと思うのであります。昨日の大臣のお話によりますと、林公夫という前の東京都の保険課長、これは御承知のように地方事務官と称する国家公務員でございますけれども、大臣は、昭和二十七年から一つのポストにおった、こういうふうなお話でございますけれども、私いろいろ調べたところによりますと、昭和二十二年以来同じ。ポストに居すわっておった、こういうふうに私は承知いたしております。十年間の長きにわたって、こういう非常に重要なる権限について同じところに居すわる、こういうふうなことは私は背後においていろいろな問題があると思うのであります。一部では金の力でおったとか、あるいは政治的な背景でおったとか、そういうことがあるのでございますけれども、大臣のきのうのお話はそういう点からまず訂正していただいて、そしてどういう理由でそういうふうに一つのポストに十年間もおったのか、こういう点について一つ大臣の御答弁をいただきたいと思います。
○橋本国務大臣 御答弁申し上げます。今回の問題はまことに申しわけのない次第でございまして、今後十分注意して参らなければならぬと思うのであります。ただいまお話のございました林公夫の関係でございますが、これは昨日申し上げましたように、保険課長に就任いたしましたのは昭和二十七年の十一月でございまして、その前に庶務係長をやっておったことがあるようであります。保険部というのができましたときに、保険課長に就任をいたして、今日に至ったわけでございます。そこで庶務係長時代を入れますと、ただいまお話のございましたように、非常に長い期間になるわけでございます。これは実は異例なことでございまして、私が就任をいたしました際にはもういなかった人でございまするけれども、大体入れかわりぐらいにやめた人でありますが、その後事情を聞きましたところによりますると、厚生省といたしましても先年来林公夫をかえなければならぬということを考えまして働きかけをしたのでありますが、東京都の方は逆に保険部長に栄進をさせたいという強い希望がありまして、最後まで据え置いて、さらに栄進をさせたいという都側の話と、それからこれはもうかえなければならぬという厚生省の意見とがいろいろに食い違いまして、その結果本人もやめる気になり、この六月に退職をしたというのが実情のようでございます。 保険の問題につきましては、制度的にも十分いろいろ検討しなければならぬということを考えまして、内部でいろいろ考えておりまするが、まず現行制度のもとにおいても人事のよどみをなくすということは非常に大事な問題でございますので、かかる異例なことのないように配慮いたしておる次第でございます。
○大原委員 林公夫の勤務の状況は全くでたらめで、自家用車でゴルフ場へ行ったり、毎夜のように派手な宴会が続いたり、また新聞にも出ておりましたが土建会社の重役を三つもやったり、自分の口ききで工事の請負やあるいは水増し、ピンはね、自由自在であった、こういうふうに言われております。御承知のように、新聞で起訴になりました内容は七百万円、こういうふうに言われておりますが、これは捜査が進み、さらに実態が徹底的に糾明されれば、単位一千万円、数千万円に上るだろう、こういうふうに言われておるのであります。一体こういうふうな各都道府県の保険課長は、だれがこれを監督する責任があるのですか。そういう点について一つお尋ねしたい。
○橋本国務大臣 実態的にはまたいろいろな問題についての御質疑があると思いますが、法制的な制度につきまして、保険局長から答弁をいたさせます。
○太宰政府委員 林公夫は地方事務官の籍でおりました。こういう者につきましては地方自治法及びその施行規定によりまして、職員の身分については厚生大臣が見る、ただしその場合においては、あらかじめ都道府県知事の意見を聞く、こういうことになっております。それから業務の指揮監督権は知事にあります。これは保険に関する事務は国の事務でございますから、その場合都道府県知事は国の機関として、機関委任を受けてその業務に関して部下を監督する、こういうことになっております。
○大原委員 そういう法制上の問題については私も一応調査はいたしておりますけれども、去る十二日の都議会におきましても安井都知事は、民生局の例の汚職の問題については、1部の事務が国の委任であり、職員も厚生省が任命した者を受け入れ、監督が不十分になるという制度にも問題がある、こういうふうにして徹頭徹尾逃げております。つまり保険行政の中で言われておるのは東京都の課長、部長、これは地方事務官であり、今のお話のように国家公務員であります。それから各部直府県の保険課長、こういうものにいたしましても、人事と予算については一番いいところは本省が握っていて、そうして業務上のそういうふうな問題についていろいろ責任をおっかぶせる。だからこれは全然監督上は盲点になっているのだ、ということを盛んに繰り返して主張いたしております。こういうふうに林公夫のように、ゴルフに加盟いたしますのも一カ所ニカ所ではない、ゴルフの道具だけそろえるにいたしましても四、五十万円はかかると言われております。そうして自家用車を持っている、出勤常ならぬという、そういうふうな勤務をいたしておりまして、長い間、一つのポストにあった。昭和二十二年に保険裸の庶務係長、これが自然に昇進いたしまして課長になっているというのですから、権限は同じような権限をずっと行なっておる。こういうふうな実態の中でこういう問題が起きているわけですけれども、ではだれが責任をもって監督をしているのか、これは実態的な問題について私はお尋ねをいたしたい。法制上については責任のがれになりますかり、その点については私は後に問題にいたしますけれども、だれが実態を監督しているのですか。
○橋本国務大臣 ただいま御指摘のごさいました点は、この問題を考えています上において、今後戒めていく上において非常に大切な問題であると考え、おります。当面の問題としては自治自体も考えて参りますが、制度自体としてもよほど考えていかなければならないと考えております。東京都議会の方でそういうふうな御議論があったということは昨日私も承わりました。事実の問題といたしまして、厚生省の方といたしましては、日常の業務運営の監督は直接できませんですから、直接監督するといってもできませんし、制度上もできませんし、事実もできませんし、それからまた知事さんの側からいうと、これは任免ちつちょくという点において身分上の点を厚生大臣が握っておるから、まるまるの自分の部下ほどうまく動かせないということも私は事実あるかと思います。よほど考えなければならないと思うのですが、ただ当面の問題といたしては、私が実は省内においてこの問題が起りまして聞いたところによりますと、なぜこういう問題の人を長く置いたのかということにつきましては、厚生省はこう長く聞いてはならないということで異動の案を考えたのですけれども、東京都の側の方で移動させてくれるなというような御要望がありまして、これはまあ大体が内部的には話を勝手にしないで、自治体と相談ずくで人平をやることに法制上もなっておるわけであります。話をまとめて、結局やめてもらうということになったのがこの六月になったのだという話でありました。それで私参りましてからの間の若干の期間でありましたが、ほかの人事でありましても、やはり自治体との関係はなかなかめんどうでございまして、こちらで要望いたしましても話の合わないものがありましたり、いろいろするわけであります。この点の問題につきましては、これはもう制度上としては、それはそれで、今日の保険行政というものは非常に重要な意味を持っており、そうして特殊の技術的な要素を持っており、厚生省が直轄でいろいろ見ていかなければならないという点もございまするので、こういう制度ができておるわけでありますから、この運営について十分心して参りますると同時に制度自身についても私は十分各方面の意見も承わって検討いたして参りたいと考えております。ただいまの運用面の問題につきましては、これはほんとうに両方で所管をしておるような形になっておりますだけに、確かに一本で一つの部下として日常の業務の監督もし、また身分を握っておるものについてやはり十分でない点が私は率直に見てあるように思います。
○大原委員 私の質問に対しましてお答えをいただきたいのですが、地方事務官と称する国家公務員、これは地方自治法の附則の第八条に、当分の間地方事務官とする、こういう出先の厚生事務官についての根拠に基いてあると思うのですが、こういう人が、あげてみればまことにきりがないほど乱脈をきわめておることをやつておるのであるが、日常の勤務あるいは行政事務を行う、そういう内容においてこういうふうに大きな欠陥が出たのだが、だれがこの監督上の責任を負うのか、こういう点、率直に、簡単にお話し願いたいのです。
○橋本国務大臣 先ほど保険局長から答弁いたしました通り、日常の業務についての監督上の責任は都道府県知事が負っておるわけであります。
○大原委員 それではただいま厚生大臣がそういうふうに非常にはっきり御答弁になりましたので、この問題は、私はきょうは東京都知事が御出席になっていないから、これはまたあとの問題といたしまして、糾明をしたいと思うのです。都側の発言とは全く違うことを言っておられる。しかしはっきりいたしました点は、都知事が業務上のそういうふうな実際上については監督の責任があるのだ、こういうことであります。それで大体この問題につきましては、巷間各都道府県ともいわれておるのですが、御承知のように東京都も全面的な皆保険が出てくるが、国民保険課長というのは都の吏員、それから保険課長や船員保険課長は地方事務官と称する国家公務員、保険部長は国家公務員、その上の局長は都の吏員、こういうふうな形になっておる。各都道府県は課長が国家公務員、部長が、民生部長とか、いろいろと名前が違うところがありますけれども、そうなっておる。なおこれは非常に国民生活に関係の深い問題があるので、いわば実際的には都道府県の知事のいろいろの選挙運動とか、政治的な日常活動の一つの足場でもあるわけです。これは実際上あるわけです。私はこの東京都の行政について、いろいろ問題がここから出てくると思いますけれども、そういうところがあるわけであります。ただいまの大臣の御答弁によりまして、都知事が責任があると言われたのですが、安井都知事は都議会において繰り返して——この点はさらに時間があれば詳細に指摘いたしますが、これはほとんどノータッチなのだ、予算についてもタッチできないし、人事についてももちろんタッチできない、こういうことなんです。私はこの点はどうしても実態に即して、内容について明確にしていかなければならぬ問題であると思うのであります。 そこ林公夫の行動についてなんですけれども、きのうも厚生大臣が言われたけれども、監督する者と監督される者がなれ合いだ、たとえば監査なんかにいたしましてもなれ合い監査をやっておる、こういうふうなことが大きな原因だ、こういう意味のことがあったと思うのです。これは林公夫というのが、通常いわゆる常識的な言葉で言えば一番の親分であって、本省の方にも子分がおる、あるいは健康保険組合の中にも子分がおるといった格好で、監査やあるいは工事の施行、請負、あるいは還元融資、そういう問題等をめぐりまして収賄が行われておるということがいわれておるわけです。これは大臣も一部は肯定されておると思うのです。厚生省はそういう保険行政の実態についてどういう行政上の監督をしておられるのですか、その機構と、その実際の様子をお話し願いたい。
○橋本国務大臣 これは保険の仕組み自体が、間違いのないように、非常に監査を厳重にするような形でできておるわけですが、むしろそういうふうな意味合いにおいては、監査の基礎になります資料のとり方でありますとか何とかというようなことについて、非常に手続が繁雑に過ぎるくらいの仕組みをとっておるわけであります。それに従いまして間違いのないようにそれぞれの上司が仕事を監査をいたしますし、中で特殊の監査官がありまして監査をいたしておるわけであります。ですからやはり監査の仕組みとしては相当な仕組みができておるわけでありますが、今回の問題などを見ましても、はなはだけしからぬ話なのでありますが、保険行政というものが一つの技術的な要素を持っておって、はたからあまり興味もないし、知識もあまりないというふうなことで、長くやっている間に自分の子分を健康保険組合に入れて、そして請求書を偽造させて、監査の際にそれを見のがして吸い上げをやるというようなこと、これは一つには非常に大きな人事のよどみというか、同じポストに長くおってなれ合いがやりやすいという人事のよどみが一つ。もう一つはやはり人事が一つの保険の系統といったようなワクの中だけで行われておるという点に非常に大きな欠陥があると考えておるのでございます。そういうふうな点を考えて今後善処をいたして参りたいと思います。 なお監査の仕組み等につきましても、あまりに制度的に繁雑にならず、しかももっと有効にする方法というものを、人事以外にもできるだけいたしてみたいと考えております。
○大原委員 この点は間違いないですか、保険局長のところに監査官が四名いるんですね。しかし四名で全国の健康保険組合や各保険行政について監査するというようなことは非常にむずかしいだろうから、実際上は課長補佐とか本省の係長クラスが同行いたしまして、これが実際上の監査をやっている、こういうふうにいわれているわけですが、これは事実なんですか。 〔委員長退席、田中(正)委員長代理着席〕
○太宰政府委員 大体その通りでございます。
○大原委員 そういう機構がありながら、一般の健康保険組合の中で三百を占めるような非常に大きな保険行政をやっている東京都の当時の林保険課長のやっておったそういう保険行政の監査は、それまでやらなかったんですか。
○太宰政府委員 組合の監査につきましては府県と中央との間に区分がございまして、一つの府県の中だけで事業を営んでおる組合の場合は当該都道府県の保険課において監査しております。本省はこれの上として、ある場合においては共同監査をやる、ある場合にはこれを指揮する、三つ以上の都道府県にまたがるような組合につきましては中央において直接監査をやる、こういうふうな仕組みになっております。 今度の問題を起しました組合は六つございますが、その中の全国薬業健康保険組合は厚生省の監査の対象でございます。他の五つの組合は都の監査の権限のもとにあるわけでございます。
○大原委員 森下というのは全国薬業健康保険の理事といわれておりますが、これは今回の問題に関連しております本省の健康保険課の課長補佐の宮沢の前任者でございますか。
○太宰政府委員 ちょっと記憶は違っているかもしれませんが、たしか前任者か前々任者、その程度かと思います。
○大原委員 もう一つお尋ねしたいと思うのは、本省の小沢前保険課長、これは私個人の感情を無視して、これは非常に大きな問題ですから、いわれていることについて究明したい。小沢前保険課長は、やめることを条件に刑事責任を免れるように措置された、こういうふうに保険行政の中ではいわれているんですが、真相はどうなんですか。
○橋本国務大臣 小沢前保険課長の問題につきましては、参考人としての取調べを受けましてから、私の方といたしましてもこれの処置について検察当局等の意見も率直に伺いまして本人も責任を感じて、前々から辞表を出しておったのでありますが、辞表を受理するのがよろしかろうという意見でございまして、きわめて重要な監督上の責任の問題もございますしいたしますので、やめさせることにいたした次第でございます。
○大原委員 それから課長補佐の是成あるいは宮沢、こういうようにずっと一連の関係の人々が不起訴になっているというのだが、十二月四日付で依願免となっているのですね。これらは厚生大臣としてはどういうような責任があるとお考えですか。
○橋本国務大臣 当人の取調べの内容に関しましては、あまり大きな金額ではないようでありますが、普請の際に何かもらったとかなんとかいうことは一、二あるそうでございまして、ただこれは検察庁の調べでも、偶発的にそのときにもらっておるので、あくどい収賄の意思というようなもので収受したものでないというお認めでございましょう。これは多少問題になる金ではあるけれども、不起訴にするということでありました。ただとにかく職務に関して金銭を収受いたしますということは、これは直接職務に関してということがどれだけ問題になるとかならぬということは別にいたしまして、職務上の関係のある相手から金銭を収受するということはほんとうにいけないことでございまして、不起訴にはなっても、当然やはり監督上の責任を問うべきものと考えまして、当人ももちろん進退伺いを考えておりますので、依頼退職にいたした次第でございます。
○大原委員 ついでにもう一つ明らかにしたいのですが、前保険局長は取調べを受けた、こういわれておるのですが、事実はどうなんですか。
○橋本国務大臣 前保険局長は取調べを受けた事実はございません。
○大原委員 この問題につきましては、職務上の怠慢とかあるいはなれ合い監査とか、監督上の不行き届き、こういうことがこの問題の根源であると思うのです。そうして主客転倒いたしまして、監査をする能力や職務を遂行できる態勢に全然なっていない。これは保険行政の今回の事件の中で大きな問題で、刑事上の問題について私はとやかく言っているのではない。これは独自の機関でやるのだろう。この問題についてはまた別の角度から究明したいと思うのですが、しかしそういうふうに職務が怠慢あるいは職務が遂行できない、あるいはなれ合い監査をやる、こういう態勢が、こういう問題を雪だるまのように汚職事件を大きくしているのではないか。そういう点について厚生大臣はきわめてつつましやかな表現で責任の問題について言われておるけれども、これは非常に大きな問題だと思うのですが、厚生大臣の所信をお伺いしたい。
○橋本国務大臣 私は責任はきわめて重大だと考えております。ただ保険行政の面で——これは疑ってかかるといろいろな問題があると思いますが、保険行政の面では、今日でもやはり監査の仕組みというものは相当きびしくしてあるわけです。ただその実をあげることが大事なわけであります。私は、今日の保険行政につきまして監査の実を上げ得ますように、まず今日の仕組みを動かし、人事の面でもそれがほんとうに能率を上げ得るようにするということが大事な仕事であると考えております。制度自身についてもそう考えますので、まあ昨日も参議院でいろいろお話がございましたが、当面の問題といたしましては、私は今日もなおいろいろな面でなれ合い等が起らないように十分に監督の目を光らせてその実が上るようにやって参ることはもうほんとうに必要だと考えておりますけれども、当面今日保険局の中におきまして、私はそういう面でほんとうにおそれつつしんで、仕事をしていく上で目を光らせて参りますけれども、当面の問題としては、警察から報告を受けましたところに従いまして——ちょっとそれ以外に省内について疑わるべき問題があると考えておりません。ただ問題を起す可能性というものはあり得ると思いますので、私はその点の重大性というものを十分考えて善処をいたしてはおるわけでございます。
○大原委員 あの林公夫の、これは依願免その他人事は厚生大臣がやることになっておる。厚生大臣はあまり知らぬようなことを言われたけれども、前の厚生大臣のときもやはりやっておったはずだ。それがずっとその以後七月十五日になって依願免になっておる。こういう大きな事件を起しておって依願免になるのは、このこと自体が大きな問題ですけれども、それから後に十月十四日に逮捕されております。厚生省においては今まで事件の内情についてうすうす知っておったとか、実際把握しておったようなことを言われるが、そういう依願免という形で、一千査万円をこえるような収賄事件をやった、そして今保険行政の信用を失墜する、あるいは実際にそういう指揮系統、責任系統というものを混乱に陥れた、こういうものに対して依願免というのはどういうことなんですか。
○橋本国務大臣 この六月に退職をいたしました際には、実は私あとから聞いたことでございますが、厚生省としては林公夫の問題について、今回のような判事事件を起しておるというようなことはつゆいささかも存ぜず、しかしいろいろな諸般の関係からいって、当人についてはこれをほかの地位に移すのがよろしいということで、前々からこの人事異動については都の方とも話をしておったそうでありますが、むしろ林公夫氏があそこに非常に長くおったことについては、都の方でなかなか手放さなかったので動かしにくかったのだということを伺っております。そこで、この六月になりましてから当人の方で、何か郷里の方で自治体の選挙に出るとかいうようなことでやめたいという話がありまして、そしてまあたってやめたいならばということで、依願退職にしたのが実情のようでございます。私が就任をいたしました以後のことでございますけれども、七月十五日に依願退職にいたしましたのはそういうような事情で、当人の退職をしたいという願いを受理したということでございます。
○小林(進)委員 ただいまの厚生本省における課長並びに課長補佐の退職問題について、どうも大臣の御答弁が明確でありませんので、私は関連質問でお伺いしたいのでありますが、どうも大臣の御答弁を伺っておりますと、これは日本の官僚制度の美徳と申しますか、何でも自分たちの省内やあるいは同僚、部下の間に起ったことはその事実を内輪に発表して、何とか一つこれを糊塗しあるいはごまかして、そうしてその罪をないように、不正を犯した人を守っていくことが何か美徳である、あるいはそれが官僚道における、何といいますか長い慣習であるかというふうな感じをわれわれは受けるのでありますけれども、そういうようなことのないように、大臣みずからも自分の省内ないしは部下、下僚に起りましたような不正事件は、事実をありのままに明確にして、そうして将来に禍根を断つ、泣いて馬謖を切るというような、そういう私は峻厳なる態度で臨んでもらわなければならないと思います。そういう意味におきまして、私は大臣の御答弁がどうも気に入らない。私は個人の感消にこだわるわけではございませんが、一体保険課長がなぜ依願退職をせられたかというような御説明におきましても、もやもやとしておるのでありまして、何か監督が不行き届きだ、自分の直接の部下の課長補佐にそういう二、三金銭の授受等の不正事件があったから、何か責任等を感じてやめられたのであるというふうな御説明のようでございましたが、ほんとうに単にその監督の不行き届きだけで一体小沢課長がやめられたのかどうか、もしこれが単に監督の不行き届きだけであるならば、その監督の責任を課長だけにとどめて、局長、次官、大臣に及ばないというような、そういう責任のとり方が果して一体官庁行政制度のあり方として正しいか正しくないか、私どもはここまでをどうしてもいま一回追及していかなければならないと思いますし、それはやはり責任問題もあるけれども、若干健保の問題にひっからんで不正と思われる、あるいは李下に冠を正さずでありますけれども、冠を正した程度のやはり疑わしい事項があったから、そのためにやめたというならば、その点も私は明確に言ってもらわなければならないと思います。なお課長補佐二名に一、二何か収賄に近きょうな行為があったというような、ぼさぼさとした言い分でありますけれども、その一、二というものの内容はどういうものか、そういうものもやはり明確に私は示していただいて、そういうことがもしあれば、大臣のお言葉では何か関係のあるようなないような、ただ疑わしいようなことがあったが、やむを得ずして辞職せしめたようなことでありますけれども、そういうようなこともやれば将来全部やめさせるのだということの警告を発する意味においても、私は明確にそういうことの内容を御説明を願いたいと思います。以上二点の問題に対して、御説明をお願いいたします。
○橋本国務大臣 御承知のように検察の取調べの内容につきましては、関係者の方々の間でも秘密を守っておく建前のものでございますし、私は監督上の必要がございまして、検察当局、警察当局にも連絡をとって参りましたが、向うの方からは調書を読ますとかなんとかいうことでなくて、ある程度ないのじゃないか。依願免ということはどういうことなんですか。林天皇は先の生活には心配ないといわれておるじゃないですか。そういうでたらめなことが公然と行われておる。しかも責任の帰趨をのらりくらりとしてたださないということは、私どもは一たん問題が起きた以上は国会としても責任があるし、行政当局としては絶対に許すことができないと思うのですが、御所信をお伺いしたい。
○橋本国務大臣 行政の責任ということは非常に大事な問題でありまして、私は行政の責任を十分負うつもりでございます。今回の事件に関しましても、私は問題が出て参りました際に、世間いろいろに問題はいわれておりまするけれども、ただうわさで処断するわけには参りませんので、検察当局なり警察当局なりから聞いた内容に従って、やはり緩急よろしきを得た処断をしつつ、なおまた先へいってこういう問題が起り得べき状態に対しては十分戒心をいたしておる次第でございます。 なお、林公夫の依願免につきましては、これは私が就任後でございますけれども、その当時は、林公夫が自分でやめたいというので退職の願いを受理したということでございまして、当時そういったような問題があるのを厚生当局は知らずに処理をいたしたわけでございます。
○大原委員 行政管理庁と会計検査院にお尋ねしたいのですが、厚生省はなれ合い監査もあって——これは大臣も認めておる、実際にこういう行政の実態を把握でぎなかった、非常に遺憾である、こういうことを言っておる。しかしその次の問題については、都知事とあるいは大臣の発言、厚生省の見解についてはいろいろ問題があるけれども、行政管理庁は行政監察をやり、あるいは会計検査院は今日までの事態の推移について、監査上あるいは業務執行上、今までこの問題に関係いたしました問題について、どういう点を探知されておるか、あるいはどういうご意見を持っておられるか、一つその二点について両者からお聞かせ願いたい。
○濱野政府委員 大臣がきょうは事故がありますから、私からお答えいたします。 大原さんの指摘されました問題については、まことに残念なことでありますが、組合保険業務につきましてはまだ監察をした経験がないようであります。というのは、御承知の通り私の方の役所では、国家の委任事務あるいは補助金を交付した等の事務につきましては調査するということにとどまっておりますし、本件の問題のごときは、事務費の一部分を国が補助しておる、こういうだけでございまして、事務費が適正に使われているかどうかというものだけの監察程度でございますので、かりに私の方で監察をし得たといたしましても、なかなか刑事事件を起した全貌を監察するということは規定の上からはできないわけでございます。従いまして、まことに遺憾なことでございますけれども、この組合事務つの問題は私の方の権限としてはただいま申し上げた通りであります。 それからその他の問題につきましては、長官も訓示をあらためていたしておりまして、綱紀の粛正、ことに汚職事件は厳正な態度で監察するように、こういう指示をしているわけでございます。
○大原委員 今一般の官庁の中には非常にゴルフ熱が盛んであって、非常に金がかかるということですけれども、これは別にいたしまして、この問題は、地方分権と中央集権が競合して中途半端の形になっておる、こういう盲点の中心にこの事件は起きておる。行政管理庁としては、単に注意したのだが見つからなかったとか、訓示をしたというだけでなしに、私はこれに対しまして行政管理庁としては所見があってしかるべきだと思うのですが、いかがですか。
○濱野政府委員 法律上のことですから局長より御答弁した方がいいかと思いますが、これはお説の通りでありまして、確かに盲点がある。身分は国にある、しかも業務上の指揮、監督は地方の公共団体の長がやるというのでありますから、実際そこに一貫した措置がとれなかった、これは明らかに盲点だと私も思います。私はこの法制の沿革はよくわかりませんけれども、これが一本の姿でつくならばもっとさわやかに、しかも効率的に事務の執行ができるのじゃないか、従って不正事件も起らずに済むのじゃないか、この点につきましてはこの機会に検討させていただきたいと思います。
○大原委員 今の、一本の姿というのはどういう意味ですか。これから保険行政その他年金制度についても非常に問題になって、これに類した問題が出て参ります。そういう年金、保険行政全般について一元的な姿というのは、どういう内容ですか。
○濱野政府委員 一つの例でありますが、過般の厚生年金制度のような問題の場合に、聞くところによると厚生省当局などでは、中央に年金事務局を置き、地方に八局を置き、さらに府県にそれぞれの機関を置き、すっきりした姿で一本の行政を行うというような案もあったそうであります。しかしこれは今の国の財政状態やその他の問題で許されなかった。このような問題につきましていろいろ検討されているわけでございますが こういう出題が財政上許せるならば、たとえば年金制度の厚生省試案というようなものもすっきりした姿になるのではなかろうか、こういうふうに考えているわけでございます。しかしそれは現実の機構並びに運営等につきましてはかなり議論のあるところでございますから、今後よく検討してみたい、こういうわけでございます。
○平松会計検査院説明員 会計検査院は今回の問題に対してどういう検査をしておったかという御質問でございますが、検査院の検査の対象となりますものは、御承知のように国の歳入、歳出に関連のある面だけでございまして、ただいま問題になっておりますもののうち、政府管掌でない健康保険組合に関係する分につきましては権限もありませんし、従いまして検査は全然やっておらない状況でございます。従いまして検査院といたしましては、政府管掌の健康保険関係につきましては毎年検査を実施している状況でございますが、健康保険勘定につきましては、この二、三年はとにかくといたしまして、数年前までは赤字であるというような状況もございましたので、検査の重点といたしましては、保険料の徴収が適正に行われておるかどうか、それから給付の関係の方も適正であるかどうかということに重点を置きまして検査を実施いたしております。この結果につきましては、歳入不足の問題、あるいは保険給付の不適正という問題につきましては、二十五年以来毎年の横査報告に掲記されている状況でございまして、その検査報告に掲記されております中にも、東京都の問題も載っている状況でございます。 今申し上げましたように組合管掌の分につきましては権限はありませんし、国費の関係等を伴わない関係をもちまして、検査を実施しておりません。なお今回の問題に関連いたしましてはっきりした内容はわからないにいたしましても、将来事態の判明に従いまして現在の検査に関連するものが出たといたしますれば、十分それらにつきまして検討もいたしまして、将来そのような事態の起らないよう未然に防ぐ意味の監督を厳重にして参りたいと考えます。
○大原委員 今回の不正事件につきましては厚生大臣と知事の見解も全く変っておる。というのは各都道府県の監査委員会があるけれども、これはほとんど監査していないのです。全部といっていいくらい監査していない、そういうふうに私承知しておるのだが、厚生省も政府委員はそういうふうに理解しておりますか。対象内も対象外も含めて一つただしておきたい。保険行政についてですよ。 〔委員長退席、田中(正)委員長代 理着席〕
○太宰政府委員 府県に監査委員会というものはあるのでございますが、国保関係は相当やっておるようでございますが、ただいま問題になっております健康保険組合につきましては、現実の問題としてはあまりやっておらないように聞いております。
○大原委員 業務上の監督や監査については都道府県知事があるのだけれども、これはやっていない。それから厚生省も実態を把握していないで、問題が起きてあとになってわかってきた、こういう内ですが、こういうことでは全然手放しで何でもできる。勤務上の問題については、東京都知事も言っているように介入できない。もう治外法権だ、保険行政の分野は租界みたいなものだ、そういうことが今までずっと論議された中で言われておる。きょうは都知事にも御出席いただければ明らかになるのだけれども、こういうことは一体どういうことですか。こういう大きな金を扱って将来とも国民健康保険、年金の問題も含んでやっていこうと言っておるのに、こういう態勢で保険行政ができますか。
○橋本国務大臣 健康保険の行政に関しては国の委任事務として都道府県知事に委任しておるのでありまして、治外法権で監査をさせないということは法律上も事実の面でもございませんし、都道府県知事にぜひ職責として委任されました仕事についての監査をお願いをいたしたいと考えております。そのつもりでおるわけでありまして、ただ総体的な監督の責任者といたしまして厚生省としても十分心がけて参るつもりでございます。
○大原委員 それでは一つこの問題は、厚生大臣も事情をお知りになっておらないと思うのだけれども、人事と予算、予算が業務の一番大きなものですが、これは通り抜けなのです。全然都道府県の予算には出てきていないのです。そして日常業務について全然保険課長というものは受け付けないのです。ちゃんと職制としては上役がありますよ。ありましても受け付けていない。それは都知事や各府県の一致した声です。しかもそれじゃ厚生省が自己の責任に基いて監査監察をやっておるかといえば、やっていないのです。あんなに膨大な金を扱う場合に、しかも大きな社会福祉の会計面について中核になるような問題について責任分担を明らかにしなければならないのに、これがはっきりしておらない。こういうことについて将来健康保険は重大な問題についてやっていこうというのに、私どもは絶対に納得できません。これはあとに問題を一つ残しまして、次にいきたいと思います。
○橋本国務大臣 都道府県に委任されております仕事の中に、政府管掌の健康保険の仕事をやっていただきますことと、それから組合管掌の健康保険についての監査の問題は、法律上の権能の問題もどこまで立ち入ってやるかというようないろいろな問題があると思います。業務上の責任は都道府県知事にお願いしておるわけであります。そこで今予算のお話がございましたが、この政府管掌の健康保険に関します予算がもうほとんどでございまして、組合管掌の健康保険に関します予算というものは、これは不健全組合の補助等のごくわずかなものが出てくるだけでございます。これは都道府県知事にも監督をお願いをいたしておりまするが、政府管掌の健康保険の会計に関しましては、これは会計検査院の監督もあることでございまするし、本省といたしましても、十分心してやっておるつもりであります。ただ問題になりました組合管掌の健康保険の経理の内容の監査の問題につきましては、何分にも相手は大きな大会社でありましたり、あるいは全国的なたとえば薬業組合のようなものであったりいたしまして、これはいろいろな問題があると考えております。結局これは収賄に使われた金といったような、どこから生み出されたかというような点は問題でありますが、被保険者の利益を害するというような格好で組合から出ておるようであります。こうした点を行政監査だけで発見をするためには、よほど大きな組織なりいろいろな点を考えて参らなければならぬと思っておる次第でございます。ただいまの御質問に予算云々等のお言葉がございましたけれども、予算面の問題等は、ただいま申し上げましたように、組合管掌の面に触れておるものはほとんどございませんで、今後組合管掌の点についていろいろの不正を防止するために、どこまで手を入れていくかということにつきましては、現在ありまする法規を正確に運用いたしますために、人事その他十分に心して参りますが、仕組みの問題としては、その間の問題はよほど各方面の御意見等も承わって検討いたして参りたいと思います。
○大原委員 簡単に御質問いたしますが、地方分権と中央集権が競合している。自治法の附則に一行、二行書いてあるのが基礎で、こういう根拠があるわけですけれども、これを一元化するということが責任の分野を明確にするためには必要だと私は思う。それから労働省関係においては、兼任という措置をとっておるところもある。地方事務官と県の吏員を兼任しておる。そういうところもある。これなどはまだ知事の監督が実際上及ぶ。人事について発言権がないところに監督を加えようと思ったってできない。わずかな業務を行うための予算については、大したことはないといっても、この運用の影響するところが大切なんです。だから林天皇といわれておるのが、実際には厚生省の監査を無能力にしているのではないか。この問題はやはり一元化しなければならぬ。これは欠陥は明らかなんです。縄張り争い、セクト主義こういう問題が禍根なんです。そして盲点になっておるのです。私はこの問題については、運営について考慮いたしますというようなことでは納得できない。 もう一つこの際御質問をいたしておくのですが、国民健康保険の問題ですが、五%の調整金があるわけですね。これは将来選挙やその他のいろいろな問題と関連して、やはり大きな問題になってくる。原則的にはあなたの方は、政府の説明によりますと経済的な貧困とか災害とか、こういうことを言われたけれども、しかしこれがやはり運営いかんによってはまだまだ弊害が今のような態勢では起るのじゃないかと思うのです。これはきちんとした、だれが見てもわかるような基準がもうできておるのですか。国民健康保険は実施しようという直前なんです。この点についてちゃんとした資料がありますか。
○橋本国務大臣 この調整交付金の問題につきましては、これは特別交付金等に見られますように、地方のいろいろな説明や陳情が要るというようなことではいけませんので、はっきりした基準によってきまるようにいたしております。そういうことでこの仕組みについては、十分に最近の資料をとって、試算を何べんもやりながらやる必要があると考えまして、七月以来何段かに分けて手分けをいたしております。大体でき上って参っておると思いますが、最近の試算の結果を私今はっきり把握いたしておりませんが、そういう方針で大体今まできめるつもりでずっとやって参りました。あと政府委員からなお追加説明をいたさせます。
○太宰政府委員 ただいま大臣がお答え申しましたように、準備が相当進んでおるのでありますが、私まだ新しいもので、自分の責任上最終的なデータを得たいと思っておりますが、まだ見ておりません。そういう点で、ちょっとお待ちを願います。
○大原委員 これは陳情政治のもとになるわけですけれども、私はこの国民健康保険を年内にでも通そうという心意気があるならば、この資料についても納得できる資料を出していただいて審議が進むようにしてもらいたい。私は協力する意味において要求するのですが、これは今明日中にできただけの資料を出してもらいたい。国民健康保険の調整金を交付する客観的な基準はどうなっておるのか、どういうふうなことでやるのか、こういう点を一つ出していただきたい。 〔田中(正)委員長代理退席、委員長着席〕 それから最後に、これは廉潔をもって鳴る厚生大臣に御質問するのはどうかと思うのですが、しかしやはり厚生行政、保険行政の綱紀を粛正する意味において、疑惑を残してはならぬと思ってお聞きするのです。民生とか保険とか社会、そういうふうな行政は都道府県知事とか、そういう者にとっては一つの政治のスローガンであり、日常活動の一つの基盤なんです。ところが林天皇といわれるのは、あなたの方で転勤させることができぬくらい一面においては政治力を発揮しておる。非常に大きな力を発揮しておることは、現実に十年間同じポストにこういう人がすわっていた、こういうことがはっきり証明しておる。だから私はそういう実態に即して問題を解明するために申し上げるのですけれども、大臣はおそらく東京都知事の安井さんとも親しいし、政治力がどっちがあるか、一つのバロメーターになります。引き続いて予想されておる東さんとも関係が深いと思う。選対委員ということだと思う。それで先般のある会合の席上におきましても——厚生大臣の御答弁といたしましては、公人と個人と分けられると思うのですけれども、国民健康保険法案の審議に間接に関係いたしました問題について、相当重大な発言をしておられるように私は聞き及んでおります。特に今回保険行政についてこういう乱脈をきわめた実態が明らかになったときでもあります。そういう問題についてはもう少し事態をよく調査いたしまして、この点について私は御質問をいたしまして審議いたしたい、こういうふうに考えておりますけれども、そういう厚生行政について廉直をもって鳴る橋本厚生大臣が、そういう面について、私はこの問題については責任があると思っておる、今回のこの事件については。そういう点について、私はあらゆる点において、非常に大切なときであるので、疑義を差しはさまれる余地のないような行動をとっていただきたい、そういう点を私は特に要望いたしておきます。特に私、今回この問題はまだここで締めくくりがついたわけではないので、非常に制度上、機構上、運営上の大問題があります。特にこの業務監督、勤務その他事務処理、そういう問題について、責任の帰趨をさらに明らかにするために、私は委員長に対しまして、東京都知事の都議会における何もありますので、機会を与えていただいて、そして十分私はこの点について究明をいたしまして、将来根底から禍根を絶つ、こういう点を進めていくことが国会議員の大きな国会における任務である、そういうふうに考えますので、委員長にそのことを私申し述べておきまして私の質問を終る次第でございます。
○園田委員長 午後二時まで休憩いたします。 午後零時五十二分休憩 ————◇————— 午後二時三十五分開議
○田中(正)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。 国民健康保険法案及び国民健康保険法施行法案の両案を一括議題とし、審査を進めます。 質疑を継続いたします。滝井義高君。
○滝井委員 昨日国民健康保険法と関連のある医療法なり医師法のいろいろの用語上の問題点や今後の日本の医療を推進していく上に重要な役割を演ずる機関、保険医療機関、療養取扱い機関、そういう機関の概念と申しますか、そういうようなものを御質問をいたしたのですが、どうも非常に多くの問題点を持っておって、必ずしも十分に了解がいかなかったのです。きょうは今後日本の皆保険をになっていくこの国民健康保険法案の条文上の問題点について政府の見解をお尋ねしたいと思うのです。 そのまず第一は、この法律の目的を見てみますと、「社会保障及び国民保健の向上に寄与する」こうなっておるわけです。この一条の精神から予防給付というものが出てくるのか、出てこないのかという点、これを一つ御説明願いたい。
○太宰政府委員 予防給付の問題はひとり国民健康保険のみならず、他の制度におきましても一つの大きな問題で、私ども研究して参らなければならないと存じますが、ただいまの国民健康保険法の建前といたしましては、さような面は特に予防給付という形ではっかまえないで、保健施設としてやって参りたい、かように考えておる次第であります。
○滝井委員 具体的に申しますと、保険施設というと、たとえば直営診療所みたいなものは保健施設になるだろうし、あるいは現在の健康保険組合がやっておる海の家、山の家あるいは保養所、こういうようなものは保健施設になると思うのです。海の家や山の家は広義の予防的な施設になると思うのです。しかしもう少し現在の日本の医療制度を考えてみると、患者がいなければ医者が食えないという制度になっておるわけです。そこでそういう患者がいなければ食えないという制度の中から、乱診乱療というような問題も生まれてくる可能性があるわけであります。そこで患者をなくしても食えるとういことは、やはり今後皆保険をになっていくこの国民健康保険制度というものの中に、ある程度予防的に医師が活躍をし、そして同町に活躍の過程の中で予防的な給付ができるという姿が出ておらなければ、これは近代的な二十世紀の後半における皆保険をになう法律としては私は不完全じゃないかと思うのです。そういう意味においてこの法律は新たに書きかえられたにもかかわらず、これは第三十回の臨時国会のときにおいても指摘をいたしましたが、第一条に相扶共済の精神をのけたのです。相扶共済というものはなるほど少し封建制のにおいのする言葉だという感じがいたしますが、そういう言葉をのけて、そうして社会保障、国民健康保険の向上に寄与するのだということにしたのだろうとは思いますが、予防給付というものをもう少し打ち出してもいいのじゃないかという感じがするのですが、この点はどうお考えですか。
○橋本国務大臣 私は予防給付の問題は何とかして取り入れて参りたいと思っておりますが、ただ今日国民皆保険をやるにつきましては、おくれました分野に対して国民健康保険の制度を全面的にしきたいと考えておる次第でございまして、国民健康保険の制度につきましては社会保障制度審議会からも答申があり、かつまた社会党からも御提案もございますように給付率を七割に上げ、国庫負担を三割に上げるということが非常に必要であるにかかわらず、今日財政的にまだ十分できないような状態でございます。従いまして今日のプログラムといたしましては、医療保障制度審議会を開きまして、いろいろな面の審議をいたして参る中で、保険の内容の改善、しかも治療から予防の方面への発展というものは当然取り入れて参らなければならぬと思っておりますが、当面のプログラムといたしましては、国民健康保険を新法の程度でできるだけ急速に普及をさせまして、そうして同時に医長健康保険の今日提案をいたしておりますものの内容改善をやり、給付率の引き上げ、国庫負担の引き上げ等をやる程度の段階になりましてから、それと並行しながら予防の面を具体的には実施に移す段取りに相なって参ろうかと考えておるのでございまして、それまでの間は結核予防法とか伝染病予防法とかその他の面での仕事を考えて保険へ取り入れるということは大きな課題ではございますが、その前に多少段取りが必要だと考えております。
○滝井委員 予防給付の問題は、今後の皆保険政策を実施する上において、特に農村の中から農村更生運動の一環として昭和十三年に発展をしてきた、あるいはもちろん健兵健民政策ということもありましたが、とにかくそういう農村を基盤に発展をしてきた国民健康保険法が、予防給付というものに大きく眼を開かなければならぬことは私は当然だと思うわけです。そういう点で、今度の法案が予防給付というものをむしろ第二義的にされているところにも、やはり一つの問題点があるという感じがいたすので、今のような質問したわけですが、これはなお一つ御検討をいただきたいと思います。 次にこの法案の三条を見てみますと「国民健康保険を行うものとする。」となっているのですが、「行うものとする」ということは一体どういう意味なのか。行わなければならないということなのか。原則として行う場合によっては行わなくてもよろしい、こういうことなんですか。どういうことなんです。
○太宰政府委員 この意味は、行わねばならないというような気持でございます。
○滝井委員 行わなければならないという気持だということはわかるのですが、気持を聞いているのではなくて、「行うものとする」というのは、一体、行わなければならぬという意味と同じなのかどうかという点です。
○太宰政府委員 同じでございます。
○滝井委員 そうしますと、特別の事情のあるものはやらなくてもいいことになっているのですが、一体特別の事情のあるものというのは、これはどういうことをさして特別の事情のあるものということになるのですか。
○太宰政府委員 これは国が皆保険という大きな政策に乗ってこの法律を実施するわけでございますけれども、ただ全国を見てみますと、離島とその他この国民健康保険法の実施に必要な条件が熟さないところがその場合においてあり得る。さようなものは今後皆保険実施に至るまでに私どもの努力で極力解消して参る所存ではありますけれども、万一そういうようなものが起きました場合においては、そこに義務づけるといいましても実効が伴いませんので、さような特殊な事情があります場合については、その場合においてはやむを得ずその手当をいたす、こういうことになるわけでございます。
○滝井委員 特別の事情があるというのは離島など国民健康保険を実施する諸条件が整備をしないということは、離島という地理的な問題と、財政的に貧弱という財政的な問題と、こういう二つの問題がからまってきていると思うのですが、特別の事情があるものということをもう少し具体的に条件を示す必要があると思うのです。そこでこの特別の事情のあるものは厚生大臣の承認を受けて行わないことになるわけです。従ってこの点もう少しはっきりしておいてもらわぬと、あなた方の恣意によってやるところとやらぬところが出てくるとか、あるいはあなた方が特別な事情はないと言っておっても、実施をする市町村の側において、いや、われわれの方には特別の事情があるんだ、特別の事情があればいいんだということで、特別の事情の解釈についていろいろ問題点が出てくると思う。そこで特別の事情というものは一体いかなるものか、それを全部あげることができないから特別の事情と書いておると思う。しかし今のような離島など条件の整備しないところだということになると、貧弱な町村もこれは整備しないところだということになる。あるいはもっと大都市のようなところでも、被保険者を把握しにくい特別の事情があるということにもなりかねない。そこでそういう点をもう少し具体的に、特別の事情があって、そして厚生大臣が、二十六年の四月一日までにやらなくてもよろしい、その以後当分の間やらなくてもいいのだというものなんです。これは一体どういう条件なのかということが一つと、それから当分の岡というのは——われわれは農地法等で当分の間という言葉がよくあるのを見て、当分の間とは何年だと論議した。ところが私、昔農地委員をやったことがあるのですが、そのときは当分の間とは三、四年、せいぜい五年だというようなことで解釈して、たとえば炭鉱用地なんかの取り上げを、当分の間炭鉱用地として認めて、農地の現実の耕作者にそれを与えるということから除外する、こういうときには、当分の間というのは三、四年、せいぜい五年だ、こういうことだったのです。この当分の間ということは一体どういうことなのか。そういう二点について、もう少し明白に御答弁を願いたいと思います。
○伊部説明員 お答え申し上げます。国民健康保険を行うことが非常に困難だという事情につきましては、ただいま滝井委員からお話がございましたように、一つは財政的な理由がございます。もう一つは、医療機関がない、従って医療給付を行うことができないという場合があると思いますが、この場合に考えておりますのは、離島等と一応は申しましたが、医療機関がないということを考えておるわけであります。そこで財政上の問題につきましては、新法によります財政調整交付金によりまして、保険給付費を保険料負担能力との間に調整ができる。従って、財政上の理由ではこの特別の事情に該当しない。医療機関がないからである。もちろん、医療機関をいろいろな施策によりましてこの間に設置をいたしまして、こういう特別の事情がないようにしなければならぬと考えますけれども、三十六年四月一日になりましても、いろいろな市町村の事情もございましょうし、そういうことが解決できないかもしれない。そういう場合には三項が厚生大臣の承認を受けて適用される。従いまして、そういう趣旨から申しますならば、当分の間の期間につきまして三年であるとか四年であるとか、いろいろなこともございましょうけれども、われわれとしては非常に短かい期間のうちにこういう例外規定がないようにいたしたい、かように考えておる次第でございます。
○滝井委員 非常に具体的になって参りました。そうしますと、医療機関がないという一つのりっぱなものさしができたのですが現在医療機関のない自治体ですね、無医地区ということと、健康保険をやる主体である市町村とは少し違うわけです。そして市はほとんどある。ない町村というのはどのくらいあるのでしょうか。医療機関のない町村というのは私はないのじゃないかという感じがするのですが…。
○太宰政府委員 ちょっと詳細は資料がないので、記憶で申し上げるわけですが、町村といたしましては案外少いと思います。それは最近町村合併が非常に促進しておりますので、そういう意味から申しますれば、町村としてでは少いと思います。いわゆる私どもの方で無医地域というふうな感覚で申しますれば、たしか二百数十カ所くらい残っておるように考えております。
○滝井委員 そうしますと、もう少し正確な表現をすれば、医療機関のその市町村における分布の状態が皆保険のにない手である国民健康保険を実施するについては、どうも客観的に見て適当でないという場合においては行別の事情あるものとして、その地区を当分の間国民健康保険を実施しなくてもいい場合に認めていく、こう解釈すれば割合弾力あるように思えるのですが、そういう解釈でよろしゆうございましようか。
○橋本国務大臣 はなはだ失礼ですけれども、大事な問題なので、もう一度言っていただきたい。
○滝井委員 実は今、特別の事情がある場合にやらなくてもいいというのは、医療機関がないということなんだ、こうおっしゃった。そうすると、医療機関のないということは、地区にないということと、町村に医療機関がないということは違うのだ。だから、この国民健康保険をやるときには、その町村に医療機関がないということを一応やはり考えなければならぬ。そうすると町村に医療機関がないという場合は非常に少い、こういうことを私は言った。そうしますと、それはまさにの通りで、局長さんは、われわれの方としては町村合併等で無医地区というものはそんなにないのだ。そうすると、特別の事情というものは、その町村の状態を見て、国民健康保険を実施するだけの普遍的な医療機関の分布がないのだ、そういう場合にはこれは万やむを得ない事情として、特別の事情として、当分国民健康保険の実施を延ばさざるを得ないだろう、こういうことに解釈してよろしいか、こういうことであります。
○橋本国務大臣 わかりました。お説の通りになるかと思いますけれども、そういうふうな部分を考えまして、この無医地区の対策をぜひやりたいと考えております。これは従来やっておったように、ただ学資を出したり何かしたのではうまくいきませんので、今日では積極的に、あるいは日赤その他の都市の基幹病院から出すなり、あるいは郡でまとめた、たとえば国民健康保険の直営診療病院といったようなものがある場合には、それの中から分院を出すとかなんとかという形をやりまして、かまえて三十五年度中にはそういうふうな部分のないようにいたしたいと考えておりますので、まずもってさっき例にあげておりました離島あたりで、どうにもちょっと手がつけられぬというようなよくよくの例外でない限り、この特別の事情というものの適用のある場合はないようにいたしたいと考えております。
○滝井委員 大体これでわかりました。政府の基本的な方針としては、全国的に国民健康保険を三十五年度末までには実施する。しかしその場合において、特別な事情というのは、離島以外はおそらくないことになるだろう、こういう非常に積極的な意思表示が大出によってなされました。一応それで了承したいと思います。 そこで次には「国は、国民健康保険事業の運営が健全に行われるようにつとめなければならない。」それから都道府県は「健全に行われるように、必要な指導をしなければならない。」ことになっておるわけでございます。健全に行われるように努めるということと、必要な指導との関係ですが、これは二割の国庫負担を出し、五分の調整交付金を出すということだから努めるということになるし、それから県はただ国からの——あれは県の行政からいくと国の委任事務じゃないのですね。僕らも福岡県の県会のときに、これはその当時の杉本県と議論知事した、これは委任事務じゃありませんから、補助金は一切出しませんといって大げんかをしたことを記憶しておるのですが、今度は県知事さんの方は登録等の事務をおやりになるわけですね。そうして保険医、保険薬剤師、療養取扱機関の指導もやるわけなんです。療養の給付に関する指導をやるわけです。そうすると、この努めなければならぬということと、必要な指導をしなければならぬという、この国と県との関係ですね。これは一体どういうことになるのでしょう。さいぜん健康保険組合の問題がいろいろ出ました。大原君から出ましたが、やはりこれは一つの行政上の大きな問題点だと思うのです。こういうように、国の責任とそれから都道府県の責任が違ってきておりますが、今度は今までの国民健康保険と違って、この新法においては、知事は国にかわって登録その他のものをやることになるし、それから取扱い機関の関係についても申し入れを受理する、こういう形が出てくる。それから医療協議会等も知事のもとにあるわけです。拒否するにはその議による、そういう関係が出てきますので、四条の、努めなければならぬ、指導しなければならぬ関係、こういうところをもう少しわかりやすく、あなた方の気持をお聞かせ願いたい。これは局長でかまいません。
○太宰政府委員 「国は、国民健康保険事業の運営が健全に行われるようにつとめなければならない。」これは国民健康保険事業の運営について監督ないしその他の責任を岡として持つ、これがこういう表現で出ておるわけであります。 それから第二項の都道府県と申しますのは、これはいわゆる自治体としての都道府県ということになるのでありまして、先ほどちょっとお話があったかと思いますが、都道府県知事というのと違いまして、これは市町村というような小さな自治体を含んでいる大きな意味の段階の都道府県、こういうものがその市町村で国民健康保険を行うにつきまして、その大きな立場から指導をやってもらう、こういう意味で書いておるわけでございます。
○滝井委員 そうしますと、健全に行われるように努めなければならぬというのは、国が国民健康保険の事業については監督権を持つということだし、一方都道府県は、都道府県という自治体として国からいろいろ国保に関する権限を委任された知事としての立場でなくて、いわば一つの自治体として指導していく、こういうことだそうですが、そうしますと、都道府県知事は国保については監督権がありませんか。
○太宰政府委員 都道府県知事は、国の機関として国保の事業が健全に行われるように努めなければならぬということであります。
○滝井委員 そこで都道府県という自治体と、それからその自治体の首長としての知事、これは国の機関ではない場合があり得る。本来の自治体の首長の場合があり得る。それから登録の保険医であるということを登録した者に対して認めたり、あるいは申請を受理するというときは、これは国の委任事務、国の機関としての知事になってきておる。従ってそうなると、都道府県は国民健康保険事業の運営が健全に行われるように指導するが、この場合には自治体そのものなんです。公選の、いわゆる自治体の首長としての知事、それから別に国の機関でいろいろの登録その他の申請を受理する知事というものの国保に対する関係というものはどうなって出てくるのかということなんです。そうすると、都道府県並びに都道府県知事、こういう二つの形がこの都道府県という中には含まれておるのですか。それとも今の太宰さんの御説明のように、この場合の都道府県は、自治体としての都道府県だということになるのですか。どうもそこらあたりもう少し国との関係をはっきりしておかないと——実はどうしてこういう質問をするかと言うと、知事というものは国民健康保険に金は一文も出していない、縁もゆかりもない存在なんです。ところが今度は、こういうものがはっきりいろいろの法律において療養取扱い機関とか、保険医、薬剤師の登録の問題が出てくると、知事というものは今までと違ってぐんと前面に出てくる。そういう点で今までの国民健康保険における知事とは少し違った知事がどこか出てこなければならぬと思うのです。そういう点で、どうも知事というものが一体いかなる責任を国民健康保険に持っておるのかということが、はっきりやはり総則の中に出てこなければならぬような感じが私はするのです。あるいは私はここらあたり法律がしろうとだからかもしれませんが、何かそんな感じがする。これははっきりしておかないと、やはり国民健康保険組合における都道府県知事と厚生省との関係、こういうようなものがあいまいであるのと同じ関係が出てくるのです。現在われわれが都道府県の保険行政を見てみますと、都道府県における民生部長の立場が、国民健康保険に対する民生部長の態度と、健康保険に対する民生部長の態度とは違います。国民健康保険については、健康保険よりかずっと抱いた子になっております。健康保険は負うた子になって、国民健事保険は抱いた子になっておりますよ。それだけ国健康民保険について熱意を持っておる。そうしますと、旧法においてもそういう関係であるから、いわんや新法においてはもっと積極的にそういう点が出てこなければうそだと思います。ここに必要な指導をしなければならぬというような形がはっきり出て参りますと、今までもあったかどうか、ちょっと前の法律を持ってきておりませんが、そういうことになると、何かそこに今までと違った知事、いわゆる民選知事の立場でも出てこなければならぬ、そういう面が出てこなければならぬのじゃないかという感じがしますが、そこらあたりは厚生省の方で都道府県に対する立場に対する意思統一が出てこなければならぬ。あすでもけっこうですから、何かそこらあたりの都道府県と都道府県知事というものの立場をもう少し私たちにわかりやすく御説明を願いたいと思います。これはきょうまとまっておらなければ次回でけっこうです、大事なことですから……。それでは一つ委員長、次回にそこらあたりの構想をはつきりまとめて御説明ができるように準備をしていただきたいと思います。 次に、六条の適用除外の問題です。私たちはいわゆる健康保険なり船員保険なり共済組合等の被保険者を除くことについては異議はございませんが、被扶養者を除かなければならぬという理由、これを一つ御説明願いたいと思います。
○太宰政府委員 これは理論的に申しましても、一つの保険制度というものを実施いたしまして、そこに被保険者あるいは被扶養者というものが対象として出ております限りは、それが他の保険制度とダブるということは、なるべく避けるべきであることはあえて申し上げるまでもないところでございます。特に二重加入の問題につきましては、その理論的の問題のほかにも現実の問題といたしまして、この二重加入になっております方々の受診率というものと、他の場合の二重加入になっていない方の被扶養者の方と比較いたしますと、非常に受診率なり何なりがふくらんでおる、かような点がございます。さような点からいたしまして、この社会保障制度審議会というようなところにおきましても、この二重加入の問題というものは早く割り切るべきである、かような御意見もかねがね承わっておりますので、今回こういうことを避けることにいたしたわけでございます。しかしながら、現在までにそういう二重加入をいたしております方方が突如除かれるということになりましてもいかがかと思いますので、施行法の方におきまして大体三十四年の一月一日現在で、すでに被扶養者になっておる人たちは、三十六年の三月三十一日までは一応そのままにして認めるというような暫定的な経過措置を置いて、その辺のあれをカバーしたわけであります。
○滝井委員 皆保険を実施することになった場合に、できれば一文も金を支払わなくても見れるという形が理想だろうと思うのですが、財政的に日本の大衆は非常に貧しいし、その貧しい大衆を十分に救うだけの国家的な負担というものが社会保障でできないところに、結局機会均等にならないということで、おそらく二重加入を排除することになるような感じがしてくるんですが、これは健康保険の制度と国民健康保険の制度をつき合せることによって理想の形態を具現をしておる形だと思うんです。そういう意味においてこれは理想的な形なんだから、でき得べくんばこういう形をその保険自体がとり得る姿をとることが望ましいと思うんです。時間の関係がありますから、二重加入の問題はそれ以上申しません。 次には六条の八号に、「国立のらい療養所の入所患者その他特別の理由がある者で厚生省令で定めるもの」、こうなっておるんですね。らい療養所に入っておれば、それはそれで国の金で見てくれるから保険は必要ないのですが、そのほかに何か特別な理由があって、厚生省令で定めなければならぬものは具体的にどういうものがありますか。
○太宰政府委員 これは現在におきましても、たとえばらい療養所それ自体につきましても、国立のらい療養所のほかに私立らい療養所というのが数カ町あったと存じます。あるいはまたこのほかに国立の教護院というようなものもございまして、さようなものが特別の理由があるものという中に入ってくると思います。また将来もそういうものがあるいは出てくるかもしれませんので、そういうときの点を考慮して書いたわけであります。さらに外国人などもこの中に入ってくるようになるんじゃなかろうかと思います。
○滝井委員 そうしますと、刑務所なんかに入っておるときはこの中に入りますか。
○伊部説明員 刑務所に入っておる者は、被保険者からは除外いたさない考えでございます。
○滝井委員 五十九条で監獄、労役場その他のこれに準ずる施設に拘禁されたときは保険給付を制限することになっておりますね。そうしますと、これは無期懲役とか懲役十年とか五年とかいろいろ段階があると思います。一年くらいのときもあるでしょう。らい療養所に入っているときは、治療は国か見てくれることになるんですが、刑務所に入っても、これは保険証を使うこいうわけにはいかない。給付の制限では、その間給付を行わないというここなんですが、これはやはり刑務所あだりというもので特別の理由あるものこいうのは、懲役十年、無期というよリなものはこの中に入れなければいかぬのじゃないかというような感じがするのですがね。
○伊部説明員 刑務所に入所しております者につきまして、それをどういう取扱いをいたすかということは、実はいろいろ検討いたしたのでございますけれども、刑務所に入るということ自体は、非常に臨時的なことでございますし、それからもちろん今お話の無期懲役の場合等もありますが、それをどこで引くかということも非常にむずかしい問題でございます。そこでさらに世帯主が入ったような場合におきまして、それが固定資産を持っておるというような場合においては、保険料等の面においてもややこしい問題が起きますので、ともかく被保険者の中に入れる。しかし刑務所に入っておる間は刑務所の中で医療も行われるわけでございますので、保険給付は制限する。しかし、今お話のように、もし無期懲役等のようなケースがありますれば、これは四十四条あるいは保険料の減免規定等の活用によりまして、実体的には不適当なことが起きないように考えて参りたい、こう思っております。
○滝井委員 次には、被保険者の資格を収得した日と、給付を具体的に受けることができる日ですか、資格を取ったからといってすぐ給付がでぎるとは限らないのですね。たとえば何月何日に民健康保険に入る。そうすると、国民健康保険の被保険者の資格はあります。しかしあなたが具体的にこの保険証を持って医者に行ってかかれるのは、これから三ヵ月後でございます、こういうのは市町村の条例であることなんです。ということがあるということは、健康保険の被保険者が解雇される。解雇されたらもう翌日に国民健康保険の被保険者になって、すぐ治療を受け得ないという場合もあり得るし、それから生活保護の医療扶助を受けておる諸君が、医療扶助が打ち切りになって、いわゆる生活保護者でなくなる場合もあるし、医療補助だけ単給の場合は、医療扶助を打ち切られたという場合に、そこに一つの空間が出てくるわけです。その空間というものを皆保険になった場合に一体どう考えるのかということです。これは私は十日かそこらの短かい、せいぜい一カ月くらいの短かいものならいいが、財政的に苦しいというので町村が、資格を取得するというか、言葉が当るかどうかしれませんが、とにかく国民健康保険に入った。しかし入ってもあなたが医者にかかれるのは、これから三ヵ月後でございますよというのは、結核患者のような非常に重い者が入ってきて、すぐあくる日からかかれるのでは大へんだから、しばらく様子を見ます。あるいは病気の人が解雇になって、健康保険が切れて、そこで国保になってくる。病気で解雇になったというときには、すぐ入ってくると大へんなことになる。こういう関係は、あなた方は今後皆保険のもとでどう処理していくかということです。そういう人は、なるほど金がなかったら、生活保護にいけはいいということになるかもしれませんが、生活保護にいくまでには、なおまず財産を持っておる。たんすも持っておるしラジオも持っておる。そして今の生活保護法ではラジオも売ってしまいなさい、たんすも売りなさい、こうなるから、これじゃ大へんだ、こういう期間があるわけです。そういうものの処理を一体どう今後皆保険のときほ政府はされていくのかということです。
○伊部説明員 資格収得の時期は、住所取得をした時期でございます。従ってその日から保険給付を、受けられるわけでございます。この場合事務的には、たとえば被保険者証の交付でございますとか、いろいろなことがございますから、あるいは現実には多少おくれる、ギャップがあり得るわけでありますけれども、いずれにしても療養費の対象にはなるわけであります。そこでただいま滝井委員からお話のございました、市町村によっては転入してから数カ月間だけは給付を押えるようなところがあるということがございます。この点は現在そういう事実がございます。それが、たとえば川口市のように東京都に非常に近接をして国保を始める、東京都はいまだ国保は開始しておらないというような場合におきましては、東京都からの医療給付を目的とする擬装転入は非常に多い、あるいは多いおそれがあるのじゃないか。それは現にそういう規定をなくして初めてそういう結果が生じて、その後そういう条例を入れた市がございます。従ってそういうおそれはあると思うわけでございますが、そういう意味合いにおきまして、こういう条例を設けております。しかしながら、これは川口市の場合におきましても、東京都でもし国保をやれば、医療給付のための転入ということは考えられないわけでありますので、これは国民皆保険の達成されるまでの間の臨時措置と考えるべきものじゃないか。従いまして本法の趣旨としては第八条、当初説明申し上げましたように、その日から資格を取得する。ただし施行法におきまして、その関係に、国民皆保険の達成される昭和三十六年四月一日までの間に若干の経過規定を置いておるわけであります。施行法第二十四条におきまして「市町村は、新法第三十六条第一項の規定にかかわらず、昭和三十六年三月三十一日までの間は、条例の定めるところにより、当該市町村の区域内に住所を有するに至ったため被保険者の資格を取得した者に対して、当該資格を取得した日から起算して六箇月をこえない期間、当該資格を取得した日前に発した疾病若しくは負傷又はこれにより発した疾病に関し、療養の給付の一部を行わないことができる。」この規定で参りますと、ただいまお話のございました雇用関係が切れて健保から国保へ移ったという場合は、この場合は、この場合に該当いたしません。従ってその日から給付をいたす。生活保護の場合においても同様ということに相なります。いずれにいたしましても、この二十四条の趣旨はただいま申し上げましたような趣旨でございますので、まわりが国保をやっておらぬ、中でぽつっと始めたというようなケースにのみ当てはまっていく規定である、こう考えておるわけであります。
○滝井委員 そうしますと、わかりやすく申しますと、同じ市町村の中にAという事業場があって、その事業場で雇用されておった。ところがそのときには健康保険だったが、その事業場を解雇になっちゃった。その解雇になった翌日に市役所に行って、被保険者の資格をもらった。そうすると、もうそのもらった日からこの者は保険証で医師にかかれる、こう理解して差しつかえありませんね。
○伊部説明員 ただいまお話の通りでございます。
○滝井委員 その関係は生活保護についても同じですね。医療扶助を打ち切られた、そしてその翌日市役所で国保の資格をもらった、こういう場合にはもう直ちに、その翌日なら翌日から被保険者にずっと続いてなっていけるんだ。こう理解して差しつかえありませんね。
○伊部説明員 その点もお話の通りであります。
○滝井委員 そうしますと、この法律が成立すれば、今後条例でそういうものを、ある間隔を置くのをやっているのは全部無効になるわけですね。
○伊部説明員 この法律の規定の趣旨と相違しております条例は無効になるわけであります。
○滝井委員 よくわかりました。 次に、国民健康保険の運営協議会は、政府が第三十回の国会へ出したものは必置制ではなかったのですが、今度は義務的に置くことになった。この国民健康保険の運営協議会の運営に関するいろいろ必要な事項は、今度政令で定めることになっておるわけですね。この構想は一体どういうことになるのですか。今までのものと同じような形で、被保険者と公益と療養担当者の三者構成になっておりましたが、人数もやっぱり前のような工合の例記——あれは政令ですか、何か例を示しておりましたね。ああいう形でいくことになるのですか。この運営協議会の政府の構想を一つお聞かせ願いたい。
○伊部説明員 現行の運営協議会に関しましては、運営協議会令という政令が出ておるわけでございまして、これによりますと、「委員の定数は、国民健康保険を行う市町村の条令で、これを定める。 2、前項の委員の定数が五人のときは、次の例によるものとする。一、被保険者を代表する委員二人、二、医師、歯科医師又は薬剤師を代表する委員一人、三、公益を代表する委員一人、3、第一項の委員の定数が五人を越えるときは、一人を増すごとに、前項第二号に該当する委員、同項第一号に該当する委員、同項第三号に該当する委員の順序によって、これを増すものとする。こういうことになっておりますが、今度の政令におきましても現行の構成を踏襲をして参ったらよろしいのじゃなかろうかと考えておるわけでございます。
○滝井委員 この運営協議会の委員を三者構成にして、その委員の数がそれぞれ被保険者なり療養担当者なり公益委員で違うということは、一体どういう理論的な根拠からきておるかということなんですね。私は、これは国民健康保険の運営を円滑にするためにこういうものができておる、いわばこれは参謀本部だと思うのです。それを委員の数がばらばらだというのは、どうもおかしいのですね。たとえば厚生省にある医養協議会というようなもの、あるいは基金の理事と申しますか、ああいうものを見ると、それぞれみんな伝統的に同数を出してきていますよ。ところがこの国民健康保険の運営協議会についてのみばらばらなんですね。私は実は昔市会議員をやったときにもこの委員になったことがあるのですよ。どうしてこう委員の数を違えなければならぬかなと、そのとき考えた。どうもいろいろ市町村の意向を聞いてみると、市町村は医者を非常におそれる状態がある。医者と契約すると大へんだという先入観念があるので、それと同じような先入観念がこの法律の運営協議会にも反映したのかなという感じを実は持っておったのです。しかし、まあその必要はないのじゃないか。むしろ門戸を開放し、機会均等で論義をさせてみる方がいいんじゃないかという感じがするんです。何かそこにそういう数を違えなければならぬ理論的な根拠があれば、これはいいのですが、そうでなければ、むしろ中央社会保険医療協議会みたいに、きちっと同数を、公益代表が四人なら四人、被保険者代表が四人、それから療養担当者の代表が四人なら四人、こういうようにする方がよくはないかという感じがするのです。と申しますのは、今後薬剤師さんと申しますか、保険医療機関の人たちである保険薬局、ここでいえば国保を取り扱う薬局になってくるわけですね、そういうものも新たに入ってくることになります。これは今までと少し趣きが違ってくると思うのです。従って、これはもし国保進展のための重要な頭脳的役割を演ずる参謀本部だとすれば、これは広く門戸を開放して、数を制限しない方がいいのじゃないかと思うのです。これは、今後政令を定めるものですから、今までのものと別の、新しい観点から出ているのですが、大臣、この点はどうお考えになっておりますか。
○橋本国務大臣 立案の過程でこう出て参りまして、私別に強い意見も持っておらないのであります。
○滝井委員 強い意見をお持ちになっていないそうですけれども、運営協議会の委員の構成は今までばらばらなのですよ。均分に中央社会保険医療協議会のように、保険者代表が六人出れば被保険者代表も六人だというふうな構成になっていないのです。それを見ると、一体歴史的にどういうようにやったのでしょうか。
○伊部説明員 これは、委員の定数は条例でこれを定める、従いまして市町村によって数が違うわけでございます。そでこ二項におきまして、「前項の委員の定数が五人のときは、次の例によるものとする。一、被保険者を代表する委員二人、二、医師、歯科医師又は薬剤師を代表する委員一人、三、公益を代表する委員二人」こういう仕組みになっておるわけでございます。そこでこの歴史的な経緯は、多分、この国保といいますものは非常に大きい市もやっておりますれば、非常に小さい村もやっているわけでございます。そうしますと今の人数というものが、非常に小さい村におきましてはたとえば五人程度でよろしいのじゃなかろうかということもいえると思いますし、また医師、歯科医師、薬剤師を代表する委員とされましても、現実に村のお医者さんは一人であるということも考えられて、結局五人にすれば二、二、一ということになるのじゃなかろうか。なお、そもそも運営協議会は先生お話のように三者が集まりまして国保の運営を相談をするわけでございますけれども、これは本来その中で議案を出して多数によって決するというような性格のものじゃないと思いますので、そういう点も考えましてこういう結果になったのじゃなかろうかと思います。なお現実には大部分は三者同等の数になっておるようでございます。
○滝井委員 現実は同等になっていないでしょう。やはり国民健康保険運営協議会令の二条三項、できまっておるわけなんです。「五人を越えるときは、一人を増すごとに、前項第二号に該当する委員、同項第一号に該当する委員、同項第三号に該当する委員」というように増し方まできまっているわけです。だから人数が六人のときは二、二、二になるわけですね。そのほかのときはそうはいかぬわけです。だからこういうことをやったのは、今あなたが言われたのも一つの理由になるかなという感じがするのです。一つの村にたった一人しか医者がいないのだ、だから、まあ一人は必ずおるだろうから、最低は五人にして、三人の委員じゃ一、一、一で少ないから、二、一、二という形になっておるのじゃないかというふうに、今の御説明でその点については納得がいく感じがします。けれども、やはりそれは例外の場合であって、原則はやはり同等に置く方がいいのではないかという感じがするのです。将来こういう政令をお定めになるということは、あなた方でおやりになるのであって、市町村はその出た政令を忠実に条例に移しかえていくのですから——われわれだってこれを主張したことがあるのです。とにかく三、三、三にやりなさいと言ったけれども、いや、そうはいかぬ、ここにちゃんと政令できまっておりますから、こうやられるともうそれはだめです。だからやはり権威のある厚生省の政令なんですから、それでそういう形にする方が、運営協議会というものが何か公益代表と被保険者代表は人数が多いが、療養担当者の方が人数が少いということでは、痛くもない腹を探られる可能性があるので、やはり大局的な見地から、まず第一段階は原則は均等だということにした方がいい。お医者さんが一人しかいないのだというときにはやむを得ぬと思うのです。そういうようなやむを得ぬ事情のときには医者が少くてもよろしいという例外を作っておけば救えると思うのです。初めからその村には医者が一人しかいない場合を予測してこういう書き方をすることはどうもよくないという感じがするのですが、この点どうですか。最後に大臣の御見解を伺いたい。政令を書くときに均分でいく方がいいと思うのです。
○橋本国務大臣 これは大へんごもっともな意見で、ほんとうからいえばみんな入ってもらってもいいくらいな、ちょっと乱暴に思うかもしれませんが、そう思うくらいで、お話のありましたことを十分参酌して考えたいと思います。
○滝井委員 ぜひさように御考慮をお願いいたしたいと思います。 次には、市町村が政令で定める事項について条例を制定したり、これを改廃しようとするときは、都道府県知事に協議をしなければならぬという事項があるわけです。そうすると知事との協議がととのわなかったときにはどういうことになるのですか、これをまず御説明願いたいと思います。
○太宰政府委員 この知事に協議いたしましてととのわないという場合においては、市町村は条例を制定、改廃することができないことになっております。
○滝井委員 この場合の都道府県知事というものは厚生省の代理ですか、国の機関として出てくるのですか。
○太宰政府委員 さようであります。
○滝井委員 そうしますと、結局政令で定める事項に関連をして条例を制定したり改廃しようとするときには、いわば都道府県知事が岡の形で出てくるのですから、国の意思というものは政令になっておるから、政令にそぐわないことは全部だめだ、こういうことになるわけです。私がこの質問をする理由は、診療報酬の単価、今度は単価が十円になりましたから——そういう問題は起らないとはいえないと思いますが、前向までは十一円五十銭なり十二円五十銭、こういうことになっていた。十一円五十銭を十二円五十銭にしたい、自分のところは十二円五十銭にしてやった方がいいんだ、こういう話し合いが療養担当者とまとまって申請するわけです。そうすると、これは多分条例にその単価を十二円五十銭と書かなければならなかったのじゃないかという記憶があるのです。その正確は期しがたいのですが、そういう感じがした。そうすると、国民健康保険はどういうことになっておるかというと、今までは、単価というものは健康保険の単価を参考にしてやることになっているんですね。法律上の文句は幾分違うかもしらぬが、簡単にいうと参考にしてやる、それを基準にしてやるということです。一応それを基準にして協議をするということは、必ずしもその基準の通りでなければならぬということはない。乙地区は十一円五十銭、甲地区は一二円五十銭といったら、乙地区でも十一円五十銭を基準にして話すけれども、それは十円になってもよろしいし、一二円五十銭になってもよろしいはずなんです。その証拠には、十一円五十銭の地区でも、十円とか九円ならよろしいといって許可しておるのです。ところが十二円五十銭になるとだめだといっておる。これは一体どういうことなのかということです。条例の協議ということになるのです。値段を下げる場合はよろしいといっておるのです。全部よろしいといっております。しかし値段を一銭でも上げるという場合はだめですよ。市町村が財政的にも裏づけがあるから大丈夫だといっても、がんとして県は聞かない。県が聞かないというのは、結局国の機関の代理としての知事は聞かない、こういう形になっているのですが、これは一体どういうことになるのか。
○太宰政府委員 現行法は、確かにお話のように健康保険法ぴたりをならわないで、そこに若干のゆとりがあったことはその通りでございますが、新法におきましては、これは健康保険法の規定によって厚生大臣が定めた例によるということにいたしまして、健康保険と同じようにいたすつもりであります。これはまた国民皆保険になって参ります上に、そういう特に国民健康保険自体をその内容を改善していこうという政府の政策といたしましても、そのようにすべきことと存じて、かような規定をいたした次第でございます。
○滝井委員 従って新法では全部健康保険と同じようになるということはわかったわけです。 次には、ちょっと横道に入りますけれども、最近大分県で丙表というものができておるらしい。甲表、乙表のほかに丙表がある。これは何かと思ったら、保健所の治療というものを県で別に作っておるらしい。そして保健所は何か一割か二割引きらしいのです。厚生大臣が甲表、乙表と定めたならば、まずその甲表、乙表で計算をして、そしてそのあとで一割なり、二割引くというのなら話はわかる。ところが初めから二割引きの点数を作っておるらしいのです。こういうことが地方の保険課でてきるのかどうかということなんです。市町村が健康保険をやるときには非常に厳重な——十一円五十銭を十二円五十銭にしても私の方はできますといって許可を求めたのに、まかりならぬ。ところが安い方は今まで許しておった。今度は安い方もできぬことになるだろうと思うのです。しかし大事な本気本元のその例によらなければならぬ健康保険で、保険課が勝手に丙表をやっておる。これは館林君のところでわかっておると思うのですが、どういうことなのですか。
○館林説明員 ただいまの件についてお答え申し上げます。 今お尋ねのございました件につきまして、大分県に照会をいたしておるわけでございます。保健所におきましては、検査を行いましたり、結核の診断等をいたしておるわけでございます。それらの費用は、建前としては実費に該当する程度のものを徴収することになっておるわけであります。大分県のこの事例におきましても、考え方はそのような考え方で作ったもののようでございます。すなわち保健所の性格として、甲表の二割引きというような考え方で、診療報酬といいますか、保健所の取扱いの料金の規定をいたしたいと考えて検討したようでありますが、ただ今回の甲表におきましては、初診時基本診療料、再診時基本診療料というような特殊な形態があるために、これを何割引きというように単純に受け入れて保健町の料金にすることは適当でないというような考え方から、その初診時及び再診時の基本診療料をとらないで、それに伴う部分を実費で徴収するということにいたしておるようでございます。全体としましては甲表に基く料金の八割という扱いにいたしておるようでございまして、右の基本診療料をとらないことに伴いまして、二、三いわゆる甲表と違った取扱いの部分がございますが、考え方は、甲表の二割引きという考え方で料金表が作られておるようでございます。従ってこのような扱いは、健康保険法四十三条の九の第三項に基きまして、都道府県知事が医療機関と特別な契約を結び得る、こういう考え方で処置しておるようでございます。
○滝井委員 今大臣お聞きの通りでございます。一体大臣の監督下にある保健所が勝手に自分で別な、いわば丙表みたいなものを作って、それを、内輪だけならばいいのです。これは、請求書というものは基金に出ていくのですから、だから基金の審査員はそんなものは知らないわけです。審査できない。そのままもうこれはやむを得ぬということでやって通しておるらしいのです。それならば、やはり私は甲表でやられるならば、甲表で、保健所だって診察にくれば初診時の基本診療料はとってよろしいし、初診時の基本診療料の百八十円の二割なら二割を引いて、百八十円を請求するけれども、そのうちの幾ら現金を患者からとったかというところはちゃんと総括表にはあるのですから、そこで自分の方は百八十円の初診料のうち百円しかもらえないのです。百円と、そのほかに二割を引いて、二割は引いのだからとったことになっておるわけです。二割引きと百円、これだけもらいました。そうすると簡単な検査料金はとることはできないのですから、検査料を自分で別に、初診時の基本料をとらぬから、この尿の検査というものが引きょうがない。だから勝手に作るということにもなりかねない。そうなると独走的なものができちゃうんです。もし公的な機関である保健所でそんなことができるというのなら、各個人も、医者の十人なら十人が寄り集まって、われわれも公共性があるんだから知事さん交渉してくれといって団体交渉をやることになります。そしてわれわれも一割引きしょうというような、むちゃな議論をやればそういうこともできることになるのです。それはやっぱり甲表は甲表で請求されて、その中から二割引くという形が——表に出てくるものは、点数は同し甲表が出てきて、お金の面で二割引いたことを総括表で書いておけばいいのですよ。そうしないと、こういう勝手なことを各県でやられ始めたら大変なことになるのです。私は今館林さんが言われた四十三条の九の三項というのがどういうことになるか知らぬけれども、そういう割引が自由自在にできるということになれば、みんな知事と話し合っていいということになるのです。これだけもめておる問題にそんなトラブルの種をまかなくてもいいと思うのです。これは私は厳重に言ってやめさせて甲表でいき、甲表の中から二割を引くなら二割を引くようにすべきだと思う。そうでないと——それでは国立病院の結核療養所の保険の請求書はどういう形で出ておりますか。これもやっぱり割引でやるのですか。そうすると保健所と同じように国立療養所の院長が寄って、勝手に附表を作り得るんでしょう。どうなっておるんですか。
○館林説明員 お尋ねの国立療養所は、普通の診療報酬の請求書と同じ形になっておるわけでございます。御質問のございました大分県が特別にこういうものを結んでおる内容が果して法律上許された範囲であるかどうかということは今検討中でございまして、私どもも報告を得て内容がわかったような次第でございますので、なお検討いたしまして、不適当でございますれば改正させるような措置をとりたいと思います。
○滝井委員 問題は地方庁がそういうことをやる常識なんです。これは大臣の保険行政に対する威令が行われていない証拠なんですよ。甲表乙表というのでこんなに中央で議論をしておるときに、甲表をやれというけれどもおれはきらいだ、保健所はあんなものは不便だという不信任ですよ。簡単に言えば……。だからこの点は、なるほど四十三条の九の三項でやってもいいのかもしれぬけれども、やっぱりその前に大臣にお伺いを立てて、こういうものをやりたいと思うがどうですかと言わなければならぬ。問題になってから、今度報告をとってやるというのではいかぬと思うのです。もう少し行政のえりを正さなければいかぬと思うのです。
○橋本国務大臣 はなはだ恐縮であります。実はやはりあっちこっちで大臣の威信を疑われる事実がなきにしもあらずだったようでありまして御指摘をいただきましたただいまのようなものは、私は非常に不適当だと考えております。これも御指摘のありまするように、ほっておきまするとあちこちでそれこそばらばらで、いろいろになるかもしれません。さっそく善処いたしまして信頼のできる診療報酬の問題に関する処置のできるようにいたしたいと考えております。
○滝井委員 まあぜひ一つそういうことの起らないようにしていただきたいことを御希望申し上げます。 次に、これは保険局長に伺いたいのですが、この十三条三項の解釈ですが、「ただし、その者の世帯に同条各号のいずれにも該当せず、かつ、他の組合が行う国民健康保険の被保険者でない者があるときは、この限りでない。」というのはどういう意味なんでしょうか。たとえば、今度健康保険法が改正になりまして、女中さんなんかは健康保険の被保険者になることはできない、もちろん三親等に限られましたから。昔は女中さんなんかも健康保険の被扶養者に入れておったのです、大ざっぱだったから。ところが健康保険法改正以来非常に厳重になった。そういう意味なんでしょうか。これをもうちょっと具体的に、こういう場合だということをお答え願いたいのです。
○伊部説明員 この場合は、新法によりまする組合の組合員は、保険料の負担をする者でございます。それと同時に給付も受けるわけでございますが、このただし書きの場合は、たとえば今のケースで申しますと、女中さんはちょっと違いますが、一世帯の中で一人だけ健保の被扶養者にはずされた者が残るわけでございます その一人のためにこの健保の被保険者が組合員になることができるという意味でござい事。
○滝井委員 その人が健保の被保険者になることができるというのですか。そうじゃないでしょう。「国民健康保険の被保険者でない者があるときは、この限りでない。」というのは、この国民健康の被保険者になることができるという意味じゃないですか。
○伊部説明員 たとえば、おふろ矢さんがあるといたしまして、おふろ屋の組合がある、そこでおふろ屋の事業が健康保険の適用があると考えまして、健康保険は五人以上でございますから、その同じふろ屋にも健康保険に入るおふろ屋さんと国保に入るおふろ屋さんとあるわけです。そこで、国保に入るおふろ屋さんが組合を作ったという場合に、その世帯主が健康保険に入るおふろ屋さんは当然組合に入るわけです。ところが世帯主は健康保険に入った、その奥さんとか子供は被扶養者になった、ところが同じ世帯内にたとえばおねえさんとかにいさんとかおられて、健康保険の被扶養者にならないという場合において、その健康保険に入っておる世帯員たる健康保険の被保険者たるそのおふろ屋の御主人が、国民健康保険の組合の組合員に、その被扶養者にならない一人のためになることができる。その場合においては組合員になるだけで、被保険者にはその御主人はならない、そういう意味でございます。
○滝井委員 私は女中さんのことを言ったが、その場合と大体ケースが似ていますね。片一方は組合かどうかというだけのことでございましょう。その場合に保険料の徴収の決定の所得は一体どういう工合に見るかということです。今言った、にいさんなりねえさんが無所得だ。従ってそのふろ屋の組合に入っている弟さんから養われているんだという場合に、ただ単なる組合員になった弟さんの所得をもって、そのおねえさんの保険料を決定することになるのか。そういう場合の保険料の決定の方式を一体どういう工合にきめるかということです。
○伊部説明員 その場合は所得を二分の一に減額をして保険税を課します。
○滝井委員 そうすると、これは組合の場合だったのですが、私が健康保険の被保険者である、私のうちの女中は国民健康保険の被保険者になるんだ、こういうような場合には、その女中さんの所得が基準になってやることになるのですか、それとも今言ったように私の所得を基準にして国民健康保険の保険料を決定して、その二分の一が女中さんのものになるのですか。女中さんそのものの所得でしくのですか。世帯主は私ですよ。
○伊部説明員 国民健康保険税法上の世帯は、生計を同一にしておるということでありますので、ただいまの女中の場合は生計を同一にしておるものではない。従って女中として単独に被保険者になる、そこでその所得の基礎になりますのは滝井先生の出されるお手当、それだけが所得の基礎になる、こういうことでございます。
○滝井委員 そうすると前の場合とちょっと違うわけですね。よくわかりました。 次には十七条で、組合を設立しようとするときには十五人以上の発起人が規約を作って、組合員となるべき者が三百人以上の同意を得て行うことになるわけです。そうするとここに三百人という数が出てきたわけです。三百人以上あれば組合の保険経済というものは成り立つという見通しがなければ三百人という数は出てこないと思うのですが、そういう見通しのもとにこれが出てきたものかどうかということです。
○伊部説明員 ここで三百人という数が出て参りましたのは、健康保険法におきましても、三百人以上の被保険者があるときは組合を作ることができるという規定がございますので、それと平仄を合したわけでございます。
○滝井委員 行政の実態は、被保険者の数が三百人では、今は健康保険組合の設立を許さないのです。これは保険局長、千人になっているはずなんです。三百人では現在の日本の給与所得者の状態ではとても健康保険組合を作ってもやっていけないというのが厚生省の認識なんでしょう。従って一応原則は千人以上に厚生省の内規か何かでやっておると思うのです。そうしますと、ここでは国民健康保険組合が三百人ちょっとこえればできるというわけです。もしそれが、厚生省が健康保険組合でさえも——健康保険組合というのは所得が、少くとも大企業で一定しているということを意味するのです。そうするとこれはいわば同じような業態の人が寄っておるので、必ずしもその所得が非常にいいとは限らない。だからこの三百人というのは、私はもし健康保険に右へならへしておったならば、この数は少い。少くともこれは千人以上に上げるべきではないかという感じがするのですが、これは保険局長、あなたの所管ですが、どうなんですか。法律はなるほど三百人になっておるのですが、行政の実態というものは千人になっておるはずです。
○太宰政府委員 こういう組合を作ります場合においては、当然その組合があと運営がうまくいくということが必要でございますので、知事がその辺のことを十分に調べました上で認可することをきめるわけでございます。そこでここの三百人以上云々ということは、知事に認可申請を出します際の一つの手続に必要な規定でございますので、三百人以上あれば直ちに知事が認可しなければならぬということでございませんので、そういう手続の意味で、そのような点は健康保険法と一致さしてできたわけでございます。もちろん健康保険組合の運営につきましては、申請が出ました後に知事が、果してうまくいくかどうかという点については十分審益して認定するわけでございます。
○滝井委員 これは過渡的なもので、将来認めないことになるのだろうと思いますので、それ以上申しませんが、こういう点はやはり行政の実態というものが非常に変ってきておるので、再考の余地のあるところじゃないかと思います。その場合に、この十七条の三項で組合を作る場合に市町村長の意見を聞くことになっておるわけです。そこでこの意見を聞く場合に、「当該組合の設立によりこれらの市町村の国民健康保険事業の運営に支障を及ぼさないと認めるとき」となっておるわけです。組合を作るときは、必ずしもその個々の市町村内部に住んでおる同種の事業の従事者が組合を作るとは限らないわけです。広くその県下全般の同業者が寄って組合を作る場合もあり得るわけです。そうしますと、十個の市町村に関係をする者が組合を作った場合には、十人の市町村長の意見を聞いて回る、こういう形になるわけです。その場合に、一体国がこういう皆保険の政策を打ち出した段階ではどういうことになるかというと、市町村長というものは、これはノーですよ。イエスとは言わない。なぜならば、やはり組合でも作ってやろうかというようなものは、その市町村においても財政的に見れば市民税を納めておる人とか、所得税を納めておるとかいう、少しレベルが高くなるかもしれません。そうすると市町村長としてはノーという形になる。そうするとこれは意見を聞くだけになって、意見を聞いて、市町村長が、ある市町村長はよろしいと言うし、ある市町村長はいやだと言う、こういうばらばらの場合も出てくるだろうし、全部いやだという場合も出るし、全部よろしいという場合も出るだろうと思う。そうすると知事はやっぱり困るのですね。それでこういう規定はきわめて民主的ないい規定のようにありますけれども、もし組合をほんとうに推進せられようとするなら、何か少し親切味のない条文のような感じがするのですが、こういう条文をお作りになった意図、それから市町村長の意見がばらばらになったときには、一体知事はどういうことになるのかということです。問題は市町村の国民保険の事業の運営に支障を及ぼさぬということによって、知事は意見を聞いて認可するかどうかをきめることになると思うのです。この点、あなた方はこの条文の運営をどうお考えになっておるのか。
○太宰政府委員 私どもは今後といえども、組合として伸ばしていくに適当なものがございましたならば、それはやはり認めていくつもりでございます。ただし何と申しましても国民健康保険の本体は、市町村が保険者である場合がそうでございますので、その方の市町村の保険事業というものに支障を来たすようなことがありまするならば、これは十分に考慮して参らねばならぬ、かように考えておるわけでございます。さような点からいたしまして、かりにここに一つの組合がぜひ認可をしてもらいたいという申請がありました場合におきましても、それに該当いたしまする市町村の長がどういう意見を持っておるかというようなことも聞いてみたい。それからもちろんその市町村の意見は、かりにそれが数カ町村になります場合には、必ずしも同一の意見が出てくるとは限らないわけですが、これはやはりその場合におきまして、府県知事が自分の職責として一番是と信ずるところに従って、これの是非を認可するかどうかということをきめなければならない、こういうふうな仕組みにしておるわけでございます。
○滝井委員 これはこの条文を具体的に運営をするときの知事の態度なり当該市町村長の態度によってきまることで、一応この条文の運命は将来の運営を見てからにしたいと思います。 次に十九条の二項「組合員の世帯に属する者を包括して被保険者としないことができる。」という場合は一体どういう場合ですか。
○伊部説明員 第十九条二項の趣旨は、家族を除く、つまり組合員だけが被保険者になるという場合でございまして、現在ございますのは看護婦の組合がその例でございます。看護婦さんだけが入っておる、そういう場合でございます。
○滝井委員 もう少し具体的に説明してくれませんか。「組合員の世帯に属する者を包括して被保険者としないことができる。」ということは看護婦さんの組合に、看護婦さんの世帯に属するものを全部かけないようにするのだ、こういう意味ですか。
○伊部説明員 そういうことでございます。その方が業務上あるいは労働条件上都合がよろしいという場合においては、そういう道も開きます、こういうことでございます。
○滝井委員 次に三十六条の「療養の給付」のところが、診察以下移送までの六つの場合の療養の給付を行うわけですが、その場合に二項で、四号から六号までに定める給付は政令で定める場合と保険者が必要と認める場合に限って行うことになっておるわけです。その場合の、四号から六号までを政令で定める場合とは一体どういう場合でしょうか。
○伊部説明員 緊急の場合その他保険者が必要と認める手続をとるいとまがない場合、政令でそういう場合を包括的に認める、こういう趣旨でございます。
○滝井委員 そうしますと、入院とか看護、移送という場合には、緊急な場合においては必ず保険者が給付をやるのだということを政令には書いておるわけですね。
○伊部説明員 現在政令はないわけですが、書くといたしますればそういうことになると思います。
○滝井委員 第三十六条の四号から六号までは、保険者が必要と認める場合に限って給付を行うわけですね。ところが五号と六号は医師の意見を聞いて行うことになっておるのですね。そうすると四号の病院、診療所への収容というのは入院ですが、入院にどうして医師の意見を聞かないのですか。むしろ入院ということは、あなたは病院に入った方がよいのですよと言われることは、保険者よりか医師の意見によってきめられていくのです。保険者が、君入院したまえといったって、お医者さんが入院しないでもよいのですよといえば、患者は入院しないのです。そうすると三十六条の六項では、五号と六号に定める給付は、医師、歯科医師の意見を聞いて行うものとするということは、聞かなければならぬということなのです。ところが大事な入院は聞かなくてもよいというふうにしたのは一体どういう理由なのかということなのです。
○伊部説明員 三十六条の三項にございますように、一号から四号までに掲げる療養は、医師、歯科医師、薬剤師、この場合におきましては医師または歯科医師が担当されるわけでございます。従いまして当然医師の意見に基いておるということが前提になっておるわけでございます。ところが、五号及び六号に関しましては、これが必ずしも医師の担当するところではない場合もあるわけでございます。つまり、たとえば移送のケースをとってみますと、移送は要するに動かすということでございますから、とにかく盲腸の疑いがある、歩行困難である、そこでほうってはおけないということでお医者さんのところへ連れていくということもあるわけでございます。従いまして、その連れていく相手先が、非常に緊急な場合でしょうから、国民健康保険医あるいは国民健康歯科医師でない場合もあり得る。そこで、この場合だけ特に「医師又は歯科医師の意見を聞いて行う」、「聞いて行う」というのは、今申し上げましたようなケースで、聞いてから行なったのでは間に合わぬわけでありますので、この場合に「聞いて行う」というのは、事前または事後において意見を聞いてきめる、こういう趣旨でございます。
○滝井委員 三十六条の三項に療養は医師が担当するのだ、その担当するのは第一項の第一号から第四号までなんだ、だから診察から入院まで、一号から四号まで入っておるから、従って入院だけは当然だからやる必要はないのだという解釈は、それはどうも納得いかないのです。と申しますのは、療養の給付を行うものはだれが行うかというと、給付は、先日来論議するように、保険者が行う、保険者が給付を行いますぞと言ってから、初めて療養を担当するのは医師なのです。だから、先に決定がなければ入院というものはできない。給付を行う方が入院をさせます、注射をしてあげます、こう言わなければやれないのです。そうしますと、その必要を認めるのは保険者が認める。そうすると、あとの方の看護やら移送は医者が認める。健康保険法においてはそういうことにはなっていないのです。健康保険法は四十三条に「前項第四号乃至第六号ノ給付ハ保険者ガ必要アリト認ムル場合二於テ為スモノニ限ル但シ命令ヲ以テ定ムル場合ハ此ノ限二在ラズ」、こういうように四号から六号までは保険者が必要と認める場合に行うだけで、医者の意見なんか聞くことはない。ところがこちらは五号と六号は医者の意見を聞く、その二つだけは医者の意見を聞いた、だが一番大事なところだけは聞くことにしていないのです。そうしますと、これは結局四号から六号までを保険者が認める場合に、五号と六号と医者の意見を聞いたならば、四号も私は聞いても差しつかえないんじゃないかと思うのです。なぜ入院だけを医者の意見を聞くようにしなかったか。もし医者の意見を聞くことによって診療費が上るという、そういう何か隠れた意図があるというのならば、またそういう御答弁をしてもらえば、それはそれで納得がいくのです。ところが問題は健康保険法の四十三条の立て方とこっちの立て方とが、二項においては四十三条の条文と一致しているのです。新法の二項は一致している。ところが六項というものは全く違ったものが出てきている。こういうように、やはり一つの保険局という同じ局で行う行政、しかもそれの療養の給付というものがこういうようにものの見方が違ってくるということは、こういう場合はやっぱり納得がどうもいかぬところがあるのですが、非常にこまかいことを言うようになるのですが、ここらあたりが一番大事なところです。局長さんは健康保険と国保と両方所管しておる。あなたは国保だけですからわが城を守ればいいが、局長は二つの城にまたをかけて住んでいるのだから、局長さんの方の意見はどうでしょう。国民健康保険法と健康保険法が違っておるということなんですが。
○太宰政府委員 できまするならば健康保険法、国民健康保険法とも、こういうような面につきましては同じような体制でいくことが私はほんとうは望ましいと思います。しかし今日国民健康保険法を早急に制定いたしまして、皆保険体制をぜひとも完遂するという至上命令のもとにおきまして本法案を提出いたしたわけでありまするが、今日の段階におきましては、ここに出しましたようなことが必要であると考えて出しておるわけでございます。第六項の件は、給付自体は第二項の方で規定されておるわけであります。第六項の件は、その給付をなします場合において、この国民健康保険医というものの意見を聞いておるひまがないというようなことから、さようでないような医師または歯科医師の意見を聞いて行なっても差しつかえない、こういうふうにいたしたわけでございます。第四号の給付につきましては、その三項にございますように、この療養は医師、歯科医師、国民健康保険医が担当しておるわけでありますから、さような点からして、第六項の方については第四号に関する規定を落したものと考えます。
○滝井委員 そうしますと、これは一番大事なところだからはっきりしておきたいのですが、三十六条の三項で一号から四号まで、すなわち入院も含めて療養の給付は医師が担当するのです。当然保険者は入院のときには医師の意見を聞くのだ、だから六項において四号、すなわち入院を除外をして五号、六号については意見を聞く、こういうようにやった、こう解釈して差しつかえありませんか。
○太宰政府委員 その通りで差しつかえございません。ただ療養の給付とお話がありましたが、第三項では療養を医師が担当しているわけでありますから、その辺はちょっと……。
○滝井委員 療養を医師が担当するので、当然入院の場合は医師の意見を聞く、だから六項に入れていないのだ、こう解釈いたします。 そこで、その解釈は健康保険の解釈とは違うということです。健康保険では、これは高田さんと私との問答ですが、四号から六号までのものは当然医師の意見を聞くべきだと私は主張した。ところが高田さんは当時、これは保険者が必要と認める場合にやるのだということで、保険者に限って、医師の意見を聞く必要がないということの答弁があったように記憶しておる、またそういう状態で行政を指導している。これは医療課長、念のためにあなたの意見を聞いておきたいのですが、そうでしょう。医師の意見を聞く必要はない、保険者が決定できるものだと思います。健康保険についてはそうでしょう。医師の意見を聞きますか。
○館林説明員 入院につきましては、今日医師の意見に基いて患者に指導して入院が行われているわけでございます。昔は入院について一々保険者の承認を求める手続をとっておりましたけれども、近年その手続をとらずに現実に入院が行われているわけでございます。
○滝井委員 そうしますと、健康保険の場合においても医師の意見を聞いてやる、こういうふうに初めてきょうは統一ができたわけです。それは一つはっきり速記にとどめて、今後間違いのように、保険局の国民健康保険課も、それから入院の審査その他をやられる医療課もお忘れなくして下さい。これで太宰局長の城は二つとも一本になったことにします。 次に、もう一回念のために新しい国民健康保険を運営をしていく療養担当者なり、保険者なり、被保険者が必要だと思いますので、一応太宰さんの解釈をきちんと速記に載せておいていただきたいと思うのですが、それは保険者は療養の給付を行うわけです。それから保険医療機関は療養の給付を担当するわけです。この違いはどういうことになるのか。これを一つ少しはっきり御答弁を願いたいと思います。
○太宰政府委員 療養の給付と申しますのは、保険者対被保険者との間の概念であります。これは保険法上の概念でございますが、ただ現物給付でこれをいたします場合においては、保険者がこの給付をいたしますためにお医者さんにお願いしてやっていただく、これは公法上の委託契約みたいな形になると思います。そういう面からいたしまして、医療機関は、この場合におきますれば療養取扱い機関でございますが、これは療養の給付を担当すると申しますか、取り扱う、こういうふうな規定をいたした次第であります。
○滝井委員 それから今度の新法では療養は医師が担当するのですが、療養を担当するということと、診療に従事するということは同じことですか、違うことですか。
○太宰政府委員 いずれの場合におきましても、その事実行為としての医療行為をつかまえておるわけでございますが、健康保険法には診療、調剤というような規定がたしかあったと思いますが、こちらの方はそれもございます。それが主でございますが、医師の責任において行う医療行為を総称いたしまして、つまり事実行為としての医療行為を総称して療査、こういう言葉でつかまえたわけでございます。
○滝井委員 健康保険における診療に従事するということは、国民健康保険における療養を担当することと同じなんですね。実態は同じということでしょう。それは違いますか。
○太宰政府委員 こちらの方が少し広くなったように私ども考えております。それは第一項の第一号から第四号までに定める療養ということになっておりまして、「病院又は診療所への収容」というようなものがやはり医師の担当ということに相なっております。そういうことは事実行為としての医療行為、こういう意味でつかまえておるわけであります。診療という概念が私どもの解釈でいきますと、その辺からいきますとこちらの方が若干広くなっておる、こういうふうに解釈いたします。
○滝井委員 三十六条の四項に「療養を実施するにつき、必要な措置を講じなければならない。」ということになっておるわけです。これは開設者がやることになるのですが、必要な措置とは具体的に一体どういうことなんですか。
○太宰政府委員 これは要するに事実行為としての医療を担当する者は保険医でございまして、この療養取扱いの機関全体といたしまして、保険医の行います療養行為を中心にして、いろいろなその他の行為と相まちまして、その療養取扱い機関としての委託にこたえることができるわけであります。さような意味から、それに必要ないろいろな措置というのは、具体的に申しますれば人的、物的な設備を整える、あるいは給食、看護、そういうようなものまでもやります。同町にそこに働いております職員、従業員の指導と訓練、そういうもろもろのものを総称するわけでございます。
○滝井委員 そうしますと、そこの機関において診療に従事する——「業務に従事する」とこれはなっておりますが、業務に従事する国民健康保険医なり国民健康保険薬剤師が、このレントゲンは悪い、この顕微鏡は古い、国保の医師として療養を実施するについてどうも欠けたところがある、こういうことで強い要求が出てくれば、当然義務的にそれは取りかえなければならぬ、こういうことなんですね。
○太宰政府委員 義務的に云々ということになると、これは少し場合によりまして行き過ぎになろうかと思います。とにかく療養取扱機関といたしまして、保険者の委託にこたえてその責めを果す、それに必要な人的、物的な設備を整えるということは、当然なすべきことであろうかと存ずるわけであります。しかしその場合におきましても、その中心をなしますものは、そごに勤務しておるお医者様、つまり国民健康保険医の事実上の医療行為であるところの療養というものがその中心をなすという意味におきまして、かような規定をいたしたわけでございます。
○滝井委員 私が今言ったのは、このレントゲンはもう古くて悪い、今国立第二病院で起っておるように、どうもラジウムの被害が多くて困るのだ、すみやかにこれはやってもらわなければ医療の遂行ができないのだ、こういう問題なんです。私はそれを当然やらなければならぬのじゃないかと思うのです。国民健康保険の保険医、保険薬剤師に対して必要な措置を講じなければならぬと、こう書いたからには、開設者はやっぱりそれだけの責任を持たなければならぬのじゃないかと思うのです。これは療養担当者が中心になっておるというけれども、経済立法なんですから、実際は開設者が中心なんですからね。その場合における医療法十五条における管理者との関係はどうなるのか。
○太宰政府委員 これは医療法の規定を排除する意味は毛頭ございませんので、医療法に規定されておりますがごとく、その医療の面に関しては開設者のかわりに管理者が全責任を持ってやる、こういうことになると思います。
○滝井委員 医療法にはこういう療養を実施するにつき必要なる措置というものは管理者がやることになっておるのです。ここでは開設者になっておる。こういう具体的な療養上の最高責任を持つ者は、一応病院なり診療所、薬局においては私は管理者だと思う。ところがここで開設者が出てきてそういう療養上の問題をやるということはどういう意味からここに出てきたのですか。
○太宰政府委員 ここで開設者が必要な措置を講じます中身にはいろいろなものがございまして、経済的なものも中に含まれておるわけであります。さような意味において、開設者を管理者というふうにかえることはこの際適当ではないわけであります。しかしその場合におきましても、事医療に関する面におきましては、ここに開設者と書いておきましても、当然これは医療法の規定というものがございますので、管理者がそれをやるということは、当然のこととしての話でございます。
○滝井委員 次には、五号の被保険者証を提出することを要しない場合、「被保険者が第一項第一号から第四号までに定める給付を、受けようとするときは、自己の選定する療養取扱機関に被保険者証を提出して、そのものについて受けるものとする。ただし、厚生省令で定める場合に該当するときは、被保険者証を提出することを要しない。」こうなっております。その被保険者証の提出を要しない場合とはどういう場合ですか。
○太宰政府委員 たとえて申しますると、保険薬局で調剤いたしますような場合に、医師の処方せんを持っていけばそれでよろしい、あえてその際に被保険者証を提出しなくてもいい、こういうような場合がこれに該当するかと思います。
○滝井委員 そういう場合のほかに、たとえば緊急の場合なんというものは入らないのですか。たとえば療養費払いというものは保険証を提出しなくてもいいわけです。保険の給付は現金であとで行われるわけですね。そういう場合は入らないのですか。
○太宰政府委員 その場合は入りません。その場合は療養費払いでやっておるわけであります。
○滝井委員 そうしますと、結局薬局に処方せんを持っていって薬をもらう、そういう場合には保険証を出さなくてもいいのだ、そうしますと薬局は何によって被保険者であるということを見ますか。処方せんに被保険者の記号番号、氏名というものを詳しく書きますか。
○館林説明員 処方せんには記号番号を書いてございます。
○滝井委員 もし医者が処方せんに記号番号を落しても、これは有効なんですね。書かなくても有効なんですね。医者の出す処方せんには必ずしも記号番号を書かなければならぬことはないでしょう。普通の処方せんでもいいわけです。そうしますと薬剤師の方は保険証を見ずに、医師から出てきた処方せんで全部やるということになると、療養担当規程をごらんになると、受診資格の確認というのがあります。保険医薬局、これは全部広義の保険医療機関に入りますが、これは当然確かめなければならぬでしょう。そうすると処方せんというものは、必須の条件の記号番号がなくても処方せんとして通用するというのですね。そうしますと、今のように、薬剤師に行ったときに保険証を提出しなくてもいいということになると、薬剤師というものは大へんなことになるのじゃないですか。
○館林説明員 保険で扱います処方せんは、記号番号を記入することになっておりますので、必ず処方せんに記号番号が書いてございます。
○滝井委員 そうしますと、その場合は薬剤師は例外なく、保険証を見なくても、処方せんだけで全部保険の請求をやる、こういうことになるわけですね。そうして薬剤師はあとに医師が書くように、何月何日から何月何日まで薬をやったということを保険証に書かなくても、処方せんだけで自分の請求書をどんどん被保険者であるという、その処方せんに書いてある記号番号で確認をされることになってやっていく、こう解釈して差しつかえないですか。
○館林説明員 その通りでございます。普通、保険証は医療機関、医師、歯科医師のもとに診療中残っておりますので、それを一々受け取って処方せんに添えて出すという扱いをいたしませんで、医療機関に残したままで記号番号をもってこれにかえるという扱いをいたしております。
○滝井委員 普通の医療機関においては、歯を見てもらうときには医師が別にその者に、あなたは資格があるという別の一枚の紙を書いて判を押してあげますよ。そうすると薬局はそれをしなくてもいいということになると、これは処方せんの偽造といいますか、もし医師が書き忘れたときには、もうそれまでですからね。またあとに返って書いてもらうか何かしなければならぬという問題も出てくるわけですね。これは事務の簡素化のために、それだけが必須の要件だ、処方せんに記号番号さえあれば保険証の代用だ、こういうことを確認をしてはっきりしておけば、またそれでいいとは思いますがね。そうすると医療機関の間だけ仮証明を出す、こういう行き方ですね。そういうことは差しつかえないですね、今後ともずっと……。 次は三十九条の四項なのですが、「前三項の場合において、当該医師若しくは歯科医師又は薬剤師が、この法律の規定により国民健康保険医又は国民健康保険薬剤師の登録を取り消され、二年を経過しないものであるときは、都道府県知事は、第一項の登録を拒み、又は同項の登録があったものとみなさないこととすることができる。」という、この二年というのは、これは何か根拠があって持ってきたものですか。それとも健康保険法にこういう規定があるから、この際はここは健康保険でという規定をこのまま入れておこうという、こういう簡単な気持なのですか。現行法の国民健康保険をはこれはどういうことになっておったのですか。二年というものを持ってきた理由と、それから今までの国民健康保険法ではどうなっておったのか、その二点です。
○伊部説明員 二年という数字は健康保険の例によったものでございます。医師、歯科医師の登録というのは、この場合以外は当然登録という取扱いになりますので、当然登録されない要件として二年ということを定めたわけでございます。現行法におきましては、市町村長の定める医師、歯科医師、薬剤師その他の者ということになっておりますが、現行法の実際の取扱いは、毎年更新をしておる例が多いようでございます。
○滝井委員 ここらあたりは、私非常に健康保険のまねをしてきたという感じがするのですが、大した問題でないから次に進みます。 この三十九条の五項で、保険医、保険薬剤師の登録の取り消しというものが、国民健康保険医や国民健康保険薬剤師の地位に影響を及ぼさないわけですね。この場合に、登録を健保の保険医や保険薬剤師が取り消された場合に、そのまま影響を及ぼさないことになっておるが、その場合に事務的な手続も何も要らない、こういうふうに理解して差しつかえありませんか。
○伊部説明員 三十九条五項の関係におきましては、事務手続も何も要らない。実は三十九条二項によりまして、申出の受理のときに当該医師、歯科医師または薬剤師につき前項の登録があったものとみなす、という規定がございますから、その登録があったとき、その瞬間において別段の申出がない限り、登録があったものとみなすということに相なります。そこで五項の規定は、本来は念のための規定でございます。五項がなくても、すでに受理のときにみなされておりますから影響を及ぼさないわけでございますが、念のために五項の規定が入っておる、こういうことでございます。
○滝井委員 そうしますと、健康保険が取り消されても五項には影響を及ぼさないし、そのときにまたあらためて事務的な手続は何ら必要としない。それからもう一つお尋ねしたいのは、国民健康保険を取り扱う療養取扱い機関、それから国民健康保険医、国民健康保険薬剤師、これらの者は一たび取扱い機関となり、一たび登録をしたならば無期限ですね。
○伊部説明員 無期限でございます。
○滝井委員 よくわかりました。 次には四十一条で、療養の給付に関して厚生大臣または都道府県知事の指導を、国民健康保険医や国民健康保険薬剤師及び療養取扱い機関は受けることになっておるわけです。この場合健康保険法では、四十三条の七ではっきり区分をしておるわけです。保険医療機関及び保険薬局は、療養の給付に関し指導を受けるわけです。それから保険医、保険薬剤師は健康保険の診療または調剤に関して厚生大臣または都道府県知事の指導を受けるのです。ところが今回は、四十一条は区分がないのですね。療養の給付に関して三者が、保険医、保険薬剤師も療養取扱い機関も、国民健康保険法では療養の給付に関して指導を受けなければならない。健保は分けたが国保は分けていないのです。これは一体どういうことなのですか。
○伊部説明員 この場合の「療養の給付に関し」は非常に広く解釈をしておるわけでございます。そこで国民健康保険医、国民健康保険薬剤師と療養取扱い機関とは、それぞれその任務を異にしており、それに関する準則も相違をいたしておるわけでありまして、四十一条の場合におきましても国民健康保険医、国民健康保険薬剤師は具体的な事実行為としての、つまり保険医、保険薬剤師として守るべき事項に関して、療養取扱い機関は取扱い機関として守るべき事項に関して指導を受ける、こういう趣旨でございます。この「療養の給付に関し」ということで整理をいたしましたのは、四十六条におきまして療養の給付に関し必要と認めるときは療養取扱い機関に対して報告を求める、あるいは国民健康保険医に関しましてもいろいろなことを聞くことができるという規定があるわけでございますので、その規定の例にならいまして、「に関し」と広く読んでおるわけでございます。
○滝井委員 やはり機関は機関のそれぞれ職務権限があるし、その機関の中で働く医師には医師の職務権限があると思うのです。厚生大臣なり都道府県知事が指導しようとするならば、健康保険でさえも分けてくれたのですから、やはりここらあたりはもう少し親切に条文というものはしてやる必要があると思うのです。特に今後素朴な医師を対象にしてこういう法律を実施していくわけなんですから、もう少し親切にここらあたりは書く必要があると思うのです。目の色を変えて条文を読んでおるわれわれでも、目の色が変っておるせいかわからないのです。山の中の澄んだ泉のような目で読むとわかるのかもしれませんが、どうもわれわれにはなかなかわかりかねる。健康保険でさえも「療養の給付に関し」ということは、これは保険医療機関と保険薬局について「関し」であって、保険医、保険薬剤師は「診療又は調剤に関し」ときちんと区分されておるのです。ところが何もかも、みそもくそも一緒に網をぶっかけて、お前らこれでやるのだといえば、あなた方は便利でしょう。われわれは四十一条で何でもやれるのだということになれば、保険医は何もかも覚えなければならない、こういうことになるのです。なるほど療養の給付に関しては、解釈はこういう工合に、機関は機関のことをやるのだ、それから保険医の方なり保険薬剤師はそれぞれの給付に関する限りはやるのだとおっしゃるけれども、この条文は全部厚生大臣と知事が指導することになっておるわけです。そういう点、どうもこれは正直にいってわかりにくいところなんです。 次には四十二条の、療養取扱い機関が善良な管理者と同一の注意をもってその支払いを受けることに務めたときには、未収金というものは最終的に保険者の責任になる、こういう意味なんですが、その場合の療養取扱い機関は善良なる管理者と同一の注意を持ったということなんですね。普通の場合、善良な管理者の注意をもってということはよく言われることなんです。しかし未払いの金を取り立てるのに善良な管理者の注意ということは一体どういうことか。高利貸しが取り立てるように激しく取り立てることが善良なる管理者の注意なのか、それとも窓口に一回来て未払いがあった。そのうち二回、三回とやって来たのに二回、三回も未払いであった。そのとき、一回目に未払いのとき窓口で払えと言った。二回目はさらに強く払って下さい、一回目の未払いも払って下さい。三回目に来たときも一回目、二回目をお払いなさいと言った、それでもなお払わないのだ。これは善良な管理者の注意になるのかならぬのかということなんです。ここらあたりは今後一番争いのもとになるところです、末端にいった場合に。われわれが法律を審議する場合に、善良な管理者の注意をもってやったから、これは市町村長さん、あなた方の責任ですぞと言っても、それはもう少し先生方がやってもらわなければ困りますよと言われればそれまでですよ。これはへまをすると水掛け論になる可能性がある。ここらあたりの、善良な管理者と同一の注意をもって支払いを受けることに努めるということは、一体どういう態度なのか、どの程度の催促をすればいいのか、たとえば善良なる管理者と同一の注意というのを、一、二回催促して、くれないときは、おそらくこれは書留郵便なんかで内容証明つきでやらなければだめだぞという市町村長も出てこないとも限らない。また市町村長と療養担当者との間に争いの種をまくようなことになってはいかぬ。従って、この質疑を通じて政府の見解というものを明白にしておかなければいかぬと思うのです。これを一つ明白にしてもらいたいと思うのです。
○太宰政府委員 療養取扱い機関が患者からどの程度にその一部負担金などについて徴収していただくか。これはなかなかいざとなりますとむずかしい問題でございまして、ここに善良なる管理者と同一の注意といいまするのは、大体民法の規定などから出てくることが予想せられるのでありまするが、しかしそれによりますと、通例はある場合によっては訴訟を起すというぐらいまでのこともして請求するということが、善良なる管理者の注意義務の中に入ると思うのでありますが、この療養取扱い機関の場合においては、もちろんそういうようなところまでは要求しないつもりでおります。その前のどの段階でやるかということは、これはなかなか一概には言えませんが、しかしさればといって、それをそのままにして個々の場合の認定にまかすということになりますと、お話のように第一線の方でいろいろその間の摩擦ということも起きょうかと存じますので、これは関係の向きともいろいろ相談して、その意見などもよく聞きまして、通牒等でできるだけその基準を明らかにして参りたい、かように考えておるわけでございます。
○滝井委員 この場合には、機関の側に責任がある場合と被保険者の側に責任のある場合とがある。しかも被保険者の方に責任がある場合には、被保険者自体の家庭の財政状態というものも非常に影響してくると思うのです。従って善良なる管理者の注意をもってやっても、相手方がほんとうに払えなかったのだというときには、なるほど貧しい者には減免規定もあります。もちろん貧しいということは相対的なものです。なかなか認定というものはむずかしい。ボーダー・ライン層が昨年の統計では千百十三万人、二百四十六万世帯、九人に一人の割合で日本におるのだ。そうすると、このボーダー・ラインの全部を減免するということでは、とても保険経済は持ちません。そうすると、何か医師の側における善良なる管理者としての注意を怠るということは、大体こういうような場合だ、それから相手方、被保険者の側で払えないという認定をする場合には大体こういうような条件の場合なんだというようなことを今太宰さんが言われるように十分検討して、一つの内規というか何か作ってもらわぬと、これはおそらく争いの争点はここになってくると思う。医師の方が、もう取り立てることはめんどくさい、取り立てなければ患者がうんと来るのだといって、患者の引き寄せのために取り立てないというものが出てくるかもしれぬという意見が質問であった。そういう場合も防止するということで、善良なる管理者ということを持ってきたと思う。そこでそういう場合に具体的にどう防止するかということを考えてもらいたいと思うのですが、できればこの法案が通るまでに、ここで大臣から厚生当局の意見として、最終的に善良なる管理者としての同一の注意を払うという場合の、被保険者側の責めに帰するもの、それから担当者側の責めに帰するようなものを、もう少し何とか具体的に、少くとも大ざっぱな線でもいいから示してもらいたいと思うのですが、大臣どうでしょうか。
○橋本国務大臣 実は前からそういうふうなことをせにゃならぬと考えておったのでありますが、二十九国会に提案いたしました法律がそこまで書いてなしに審議になっておりまして、国会の御注意によりまして先般これが入ったわけであります。従ってはなはだ恐縮でありますが、十分に掘り下げた心がまえもできておりませんのが現状であります。そこで私は非常に急いで御返事をすることがいいか悪いか疑問だと思いますが、今日まででも、とにかくまとめる基準がございますならばなるべく早くそれを表明をいたしておりますが、こうした問題でありますから、両三日の期限にとらわれずに、少し幅広く御相談をいたしまして、ほんとうに妥当で実施し得るようなものを、おくれてもまた検討して参りたいと思っております。
○滝井委員 国民健康保険を三十五年末までに実施ができないという特別な事情は、たとえば離島のようなものなんだという程度で私はかまわぬと思うのです。そのくらいの非常に大ざっぱなところでもかまわぬと思いますが、これはできれば一両日のうちに、この法案が衆議院を通過する最終段階になって、大臣からでも、大ざっぱに言ってこういうところくらいを中心に考えているという程度でいいと思いますから、それは最終段階でけっこうですから、忘れないように御答弁願いたいと思いますが、それはできますか。
○橋本国務大臣 そういたすつもりであります。
○滝井委員 これから四十三条に入るのでありますけれども、明日継続させてもらいます。
○田中(正)委員長代理 次回は明十八日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後五時八分散会