外務委員会内閣委員会連合審査会 第1号
- 発言数
- 137 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1959/03/11
会議録
○櫻内委員長 これより外務委員会、内閣委員会連合審査会を開会いたします。 私が案件の付託を受けました委員会の委員長でありますので、連合審査会の委員長の職務を行いますから御了承下さい。 外務省設置法の一部を改正する法律案を議題として審査を行います。まず政府側より提案理由の説明を聴取いたします。竹内外務政務次官。 —————————————
○竹内(俊)政府委員 外務省設置法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明いたします。 アジア、中近東、中南米等の諸国の経済的、社会的発展に資するため、これらの諸国に対し、経済上の協力を行うことは、わが国の経済外交の一環として、この数年来、とみに重要性を増しつつあります。外務省におけるこの関係の事務は、従来、アジア局、アメリカ局、欧亜局及び経済局で取り扱われてきたのでありますが、その量の急激な増加に応じて組織を整備し、経済協力に関する事務を総合的かつ能率的に遂行し得るようにするため、この際、経済局に経済協力部を設置し、同部において関係事務を一括処理することといたしたいのであります。 なお、経済協力部を設置することは、外務省の権限を拡大するものではなく、また、同部は、他省庁の機構と何ら重複するものでもありません。すなわち、改正法律案には、所掌事務の規定を二項起す形式をとっておりますが、これは、新たな事務を追加するものでもなく、従来の経済局の所掌事務を整理した上、そのうちから経済協力関係事務を引き出して、これを新たな部に移すための措置にすぎないのであります。 以上をもちまして、本法律案の提案理由を終ります。 何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御採択あられんことをお願いします。
○櫻内委員長 次に質疑の通告がありますので、順次これを許します。前田正男君。
○前田(正)委員 本日は連合審査で、われわれ内閣委員の方から質問をさしてもらうつもりでありますが、実は私まず最初にお伺いいたしたいことは、われわれ内閣委員会の方から外務省の設置法と在外公館の名称及び位置を定める法律等も連合して審査さしてもらいたいということを申し入れておったのでありますが、在外公館の名称及び位置を定めるということはやはり役所の機関を設けるものでありますから、当然これは設置法と同じものであると存ずるのであります。ところがすでに外務委員会では採決をして通されたということでありまして、われわれが今内閣委員会で各省の設置法をやっておりますけれども、各地の役所の支所を設けることとか地方局を設けるとか、そういうものを内閣委員会で設置法として取り扱っておるわけでありまして、当然外務省の政府機関であるところの在外公館というものを設ける法律は、私設置法と同様の取扱いをしなければならぬのではないかと思うのであります。しかし今度はもう採決してしまったそうでありますから、今回は一応その処置を認めることにいたしたいと思いますが、私はそれに関連して質問いたしたい、こう思っておるのであります。それで私が外務省の方にお聞きしたいと思いますことは、この外務省の設置法と在外公館の名称及び位置を定める法律を作られたときに、法制局と十分な御連絡をしてお作りになったと思うのでありますけれども、従来こういうふうな一つの法律の改正でもって、在外公館の位置を定める法律とそれからこういうふうな公務員の給与を改正する法律というのを、外務省としてはやっておられたのかどうか、そういったことを一つお聞きしたいと思います。
○内田政府委員 ただいまの御質問の趣旨はあれでございましょうか、戦前はどうなっていたかということでなくて、戦後のことでよろしいのでございますか。
○前田(正)委員 そうです。
○内田政府委員 戦後のことでございますならば、外務省設置法の中に在外公館のことは別の法律で定めるということがきめられてございまして、それに基きまして在外公館の名称及び位置を定める法律というのが別にできまして、従来ともその二本建でやっております。
○前田(正)委員 従って在外公館の名称を定めるというものは、外務省設置法の中のまた別の法律であって、それをカバーしておるものは外務省の設置法の中に入っておるものじゃないかと思うのです。従って、それから在外公館というものの位置が設置法に基いてできておるのじゃないだろうか、こう思うのですが、当然これは政府機関であるからそうだと思うのであります。ところが、それに基いて今度は、今私がお聞きしようとしておるのは、その在外公館の位置を定める法律と、それから在外公館の公務員の給与に関する法律とを改正するに当って、一つの改正案でもってこれをしようとしておる。二つの法律を一つの改正案でもってやるというようなことは、今まであなたの方でおやりになってきたかどうか、それを一つお聞きしたい。
○内田政府委員 ただいまの御質問でありますが、あれでございますか、一つの法律で二つの法律を改正しておるというふうに……。
○前田(正)委員 そうです。
○内田政府委員 われわれは二つの別々の法律の改正案を出しておるつもりでございます。
○前田(正)委員 いや、在外公館の名称及び位置を定める法律等の一部を改正する法律案というのは、第一条では在外公館の名称及び位置を定める法律を改正し、第二条では在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律を改正する。一つの改正案でもって改正しておるのじゃないですか。これは別々の法律で改正しておるのですか。今度の改正法律案の第一条でもって在外公館の名称及び位置を定める法律を改正し、第二条でもって在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律を改正しておるのじゃないですか。一つの改正案でもって、第一条、第二条でもって二つの法律を改正しておるのじゃないですか。
○内田政府委員 在外公館が設置されますと、それに付随いたしまして当然在勤俸等をきめなければならぬわけでございますので、その意味で一つの法律でやっておるわけでございます。
○前田(正)委員 そういうことは今までずっとあなたの方ではそういうやり方でやっておられるのでしょうか、それをちょっとお聞きしたい。
○内田政府委員 従来ともそういうやり方でやっております。
○前田(正)委員 法制局はどうかな。だれも来ておりませんか。
○櫻内委員長 しばらくお待ちを願います。——それでは前田君の質疑は後刻することにいたしまして……。石山權作君。
○石山委員 私外交問題についてあまり勉強していなかったわけですが、こういう機会に、自民党の外交政策、特に経済界から出て、経済外交をば一つの旗じるしとして外務大臣を勤めていられる藤山さんのお考え等を聞いておきたいと思っております。 藤山さんが内閣にお入りになるとき、世間ではいろいろなことが言われておりました。名門出の経済人が、何を好んで、常にごてごてしている政界などに足入れをするのだろう、こういうことも一般の話し合いだったと思っております。そのとき藤山さんは、何かぞうきんのお話をなさったようですが、ぞうきんというやつは、われわれ階級からしますと、ハンカチの生地と全然違うのですね。ぞうきんというのは絹であってはいかぬのですよ。木綿でなければいかぬ。木綿も、分厚いものを何枚も重ねなければぞうきんの役目をなさぬということです。それから新しい意味では、あなた経済人ですからいいと思うのですが、ほんとうの意味のぞうきんにするなら、合成繊維でなければいかぬのです。あなたがおやりになっておるところをずっと見てみますと、どうも絹のハンカチがちょっとぬれたくらいで、やはりぞうきんになりかねている点があると思うのです。しかももう少し見方を変えて見るとすれば、あなたのは新しい合成時代の繊維じゃなくて、やはりどうも古い、けなされていたスフ時代の繊維なのです。水にあうとぼろぼろする、伸びる、薄くなる、ほすと縮んでしまう、こんな格好なのです。私、なぜこんな変な言い方をしているかと申しますと、一国の外交というものは、ちょいちょい動いちゃいかぬということなのです。特に経済の見通しを立てて、何カ年計画という計画のもとで経済をおやりになる外交とすれば、特にそんなに動くものではないのだ。問題は、ただ政治的のみで見れば、これは相手があるからというわけで、動く可能性はある、これはわかるわけですが、経済になりますと、私はそんなに動いてはならぬと思う。だけど最近のあなたの御発表などを見ますと、どうもそうじゃなくして、ぞうきんの素質がなくてぞうきんになりたがっている。ですからあなたの経済外交というのを私たちから見ると、どうも政治的の考え方、その政治的な考え方も太い筋を通した日本の国の大きな外交というものからでなくして、何かあたりほとりからちょいちょいつつかれるとそのたびに動くような格好が見える。これが私が口を悪くして、あなたは生地がほんとうの木綿あるいは近代の合成繊維でなくしてスフであるなどと言うわけですが、これはあなた自身お感じになっているわけですか。意識してそうあるべきものだ、藤山外交というものは動いていっている方が、スフである方がよろしいのだ、スフのぞうきんが日本の家風に合うのだ、よごれを取るものだ、こういうお考えでやっているのか。第一にそんなところからお聞きしたいと思います。
○藤山国務大臣 私の政界における行動というものが、果してスフであるか絹であるか、あるいは合成繊維であるかということについては、私もむずかしい問題だと思うのでありまして、私自身の性格からきている点もありますが、政界に入りました以上、私は反省していかなければならぬ点がたくさんあると思います。ただ経済外交と申しますか、外交をやってみましてそう思いますのは、やはり今お話のように、ある程度長期にわたる計画を持っていかなければならない、これは当然なことだと思います。従ってわれわれもいろいろな世界の、ことに今日非常に動いている時代でございますから、その動きの状況等を判断しながらも、やはり一つの、日本の経済を発展させるという、また相手国の経済を発展させるという形において、どういう手段方法をとったらいいかということを考えて参らなければならぬこと、もちろんだと思います。ただ経済は、御承知のように現実の問題として、いろいろな過去からの関連もございますし、従って必ずしも理想通りに、あるいは一定の方針通りに、その日々の動きを離れてこれをとり行なっていくわけにいかぬ場合が多いのでありまして、そういう意味において現実に適した方策を、その時々にとって参らなければならぬと思います。従いましてその点だけごらんになると、あるいは若干伸びたり縮んだりというような関係もあり、どうも木綿のような剛直なものでないというお感じがあるかと思いますけれども、私自身必ずしも伸び縮みだけを生命にして外交をやっているつもりではございませんで、やはり一つの大きな線に沿ってやっていく、現実の扱い方としてそれに柔軟性を持たしていくのが適当ではないか、総括的にお答えをいたしますればこういうふうに考えております。
○石山委員 今のお話から聞けば、ちゃんと筋を通しているのだ、しかし現実的には柔軟性を持たなければならぬから動いておるのだ、こういう御答弁だと思うのです。私たち古い書物から受けた日本の経済学というものは、経済というものは政治より上にあるのだ、むしろ政治をあやつっている傾向があるのだ。それは明治、大正からずっと日本の経済史を見てみれば、指導的地位を占めた者の背後を見てみれば、これは気持だけではなくしておのずからうなずかれる実績なんです。あなたがそのような考え方で現実をリードしているというならば、それはある意味では筋が通っている。ただしその意味では、私たちから見れば藤山経済外交に失望を感ずるわけなんです。大いに柔軟作戦をとってもらって、現実的に利益のある外交をとってもらいたいというのが、われわれのような、たとえば民間会社で苦労して育った者の切実な考えなんです。われわれの周辺にいる働く者の切実な気持なんです。しかしそうでなくして、あなたは、非常に昔ながらの本格的な日本の資本の指導者の一人としてそのバック・ボーンをくずさないというところに、私はさっきから申し上げているようなことを言いたいのです。それでは、あなたがほんとうにぞうきんになって、どんなことがあろうともこの混濁した経済界をよくしてやる、それにしてはあなたの現実は私は非常に高踏的だと思うのです。あなたは現実的だとおっしゃるけれども、私たちから見ればそれは高踏的です。もっと私はよごれていただきたいと思う。もっと裸になって、この困難な経済の中に飛び込んでやっていくところに藤山外交の使命があるのではないかと思うのです。たとえば、私たちはあなたの本質は、大体アメリカに協力をして日本の経済をば建て直していこうという本質だろうと思っておりますが、それにしてはなんだか力が弱いじゃありませんか。アメリカと協力していくなら協力していくだけの方便をもっと持っていなければならないはずなんです。たとえば去年あたりからも盛んに問題になっている新潟から出る例の食器の問題、こまかい話をすれば、洋がさの骨あるいはワイシャツ、ブラウス、こういうふうな問題を一つ一つ取り上げてみても、決して現実的じゃないじゃありませんか。これはもちろん日本の通産省のお役人たちの指導の考え方もあるのですが、それを遠くアメリカにおいてあなたの信頼される大使初めの方々が一体何を指導し、何を見てアメリカと経済協力をやろうとしておるのか。これじゃ全然経済協力の格好が出てこないじゃありませんか。出てくるのは防衛分担金の削減、アメリカに対しての藤山外交はそれが第一の任務なんですか。沖縄の問題一つ考えても、あなたたちはどうなんです。あそこに主権があるとかないとかいろんなことをおっしゃっている。守る義務がある、防衛の義務があるとかないとか言っているんですが、そんなことを言っておったって、日本の国土であると信じている沖縄に今行くのに一体ビザはどこからもらうのです。沖縄のビザについては外務省は何の権限もないじゃありませんか。そういう点はどうなんです。あなたはアメリカとの経済協力を日本の経済の発展の基礎になさろうとお考えのようですが、どういうふうに進んでいるのですか。私たちから見れば、こまかい問題を考えるとさっぱり現実的じゃない。あまりに高踏的で、日本の政治をうしろからあやつるためにあなたは外務大臣として内閣に入閣された、そんなふうに見える。昔ながらの古い資本主義の形でおいでになったのかどうか、アメリカとの外交、アメリカとの経済協力等を通じて一つ御説明願いたい。
○藤山国務大臣 私は、御指摘のように、資本主義社会の中におきまする資本家の立場で、ずっと今日までの半生を生きてきておりますので、むろん私の考えからそうした考えを払拭するわけにはいかぬと思います。そういう意味において、今お話しのような御批評も出てくるかと思いますが、現実の外交を扱って参ります場合に、われわれとしてはもちろん今日の日本の経済を維持育成して参る上に、あるいは発展させる上において、少くも現在の段階において、アメリカと緊密な経済的な協力をしていくということは必要なことだと思っております。従ってわれわれとしては、むろんアメリカとの経済協力というものを経済外交の一つの大きな太い線として持っておりますことも、これまた事実であります。ただいま御指摘のようないろいろな問題にぶつかりましたときに、むろんわれわれとしてはその線に沿って日本の利益を主張し、また日本の利益であると同時に、私はそれがやはりアメリカの利益でもあろうかと思っております。従ってそれらの問題の起りましたときに、問題について十分アメリカの理解を得、単にアメリカの政府の理解ばかりでなく、国民的な理解を得ることに努力して参らなければなりませんし、またそうした問題が起りませんときにおきましても、やはりそうした問題について、平素から、日本の産業構造というものが、アメリカと違って、単に大資本、大経営でなくて、産業の八〇%以上が中小企業から成り立っている、しかもそれが輸出商品として大きなウエートを持っているのだというこの問題については、経済外交を推進して参ります上において絶えずわれわれが考えていかなければならぬ点でありますから、そういう意味において、アメリカ側の理解を重視していくだけの努力を絶えず払って参らなければならぬこともちろんであり、今日までも、私どもとしましてはできるだけその努力を続けておるつもりであります。ただ現実の解決の問題として、たとえば燕の洋食器のような場合におきましても、何らかの形である程度協定に達して、四百五十万ダースというような線が打ち出されたわけでありますけれども、そうした線に基いて現実的にそれらのものを伸ばしていくという方法を講じていくことが実際的だと思います。従ってそうした問題を処理する場合には、ある程度の妥協等もしなければならぬことむろんでありまして、たとえば現在行われておりまする綿糸布問題の交渉等につきましても、数量の増加と同時に、やはりその内容の増加の問題もございます。従ってそれらの点についてもやって参りませんければなりませんが、しかし同時にこの綿糸布の規制の措置について話し合って、現実に逐次数量を伸ばしていくというような方法をとっていかざるを得ない、またそれがやはり大きな線に沿っての対米外交の線に乗ってくるものだと思うのでありまして、そういう意味においては、現実の問題を取り扱いますときに、いろいろ話し合いもし、あるいはそれによって、やはり長期にわたって日本のそれらの産業が伸びていき、また輸出がスムーズにいくような処置をして参らなければならぬことは、やはり当然なことだと思います。従ってそういう点については外務省だけでなく、通産行政とあわせて、そうして日本の中小企業が逐次伸びていくような立場において問題の取り上げ方を考えて参らなければならぬ、こういうふうに考えてやっておるわけであります。ただその努力がはなはだ、どうも絹のハンカチだから足らぬとおっしゃられると、私もあるいはまだ足りないかと思いますけれども、方向としてはわれわれはそういうつもりで努力をいたしております。
○石山委員 去年でしたか、鮎川義介さんがあの問題に関して向うをたずねて、いささかの成果をおさめたというように新聞に伝えられておりました。私ときどき考えるのですが、日本の指導的地位にある経済人、あるいは電力開発の外資導入の場合等、それぞれ指導者の方々がたくさんおいでになる、悪いことではないと思います。ただし私は藤山さんがおいでになったときは、一体何をやってこられたのかと思っているのです。ダレスさんといわゆる世界的な構想のもとにおける戦略、戦術というふうなことを話されることも、私はあなたの建前としては当然だと思う。それは大いにやってよろしいと思う。しかしなぜ現実に行われているアメリカとの貿易問題をもっと交渉していただけないのですか。なぜそこで情熱を感じてもらえないのか。話によればあなたは総理大臣勉強をなさっておる、世間でそういわれておるから、そのことの方を一生懸命勉強なさっておられることはわからぬわけではないのですが、経済人としてのあなたがそんなことだけやっておったのでは日本の経済がよくなるわけがない。戦略、戦術だけでよくなるわけではない。やはり自力を養わなければならぬ。自力を養うためにはどういう方途が必要だということをあなたは一番よくおわかりになる。どうもあなたは秀才勉強だけ最近なさっておる。ぞうきんになろうとしてもなり得ないところがある。あなたはやはりもう一歩突き進んで、あなた自身の修養と日本の経済外交というものは同じ格好で熟していくと私は思うのです。そこであなたに勉強してもらいたいと思うのですが、なぜもっと現実的に行われている問題を——わざわざ東京から高いお金をかけて、その人たちが行けばそれだけまた内地がお留守になる。指導階級の人たちをアメリカヘやらなければ問題が解決しない。ダレスさんと会って、その帰りにでももっと親密に大使館の人たちを指導して、ある期間は大丈夫だというくらいにテーマ、指針を与える、向うの経済人の方々と会う、こういう努力をあなたはなさらないじゃないですか。あなたはなさっていないように見えてなりません。もちろんダレスさんと会っていろいろな話をすることがいけないなどと私は申しませんけれども、むしろ日本の場合は世界的な戦略、戦術よりも、たくさんの失業者をかかえている日本、いわゆる厚生関係の費用のたくさん必要な人口をたくさんかかえている日本では、もっと有利な経済上の条件が対米協力の中に生まれなければ、あなたの任務は私は片手落ちだと思っております。そういう意味であなたが私に説明する二、三の事項がおありでございましたら教えていただきたいと思います。
○藤山国務大臣 もちろんアメリカに参りまして、単に世界戦略であるとか世界政治であるとかだけを話しておるわけではございませんので、昨年参りましたときも、経済方面を担当しておりますジロン次官補とこの問題については二時間ほど話をいたしたわけでありまして、決してそれをないがしろにいたしておるとは思いません。また御指摘のような私の出身の立場から言いましても、そうした努力をすべきが当然だと思っております。従ってできる限りワシントン政府におきましてもそうした問題を取り上げて話をいたしておりますし、また国連等に参りましてニューヨークにおりますときも、機会がありますればむろんアメリカの実業家方面とも会見して、あるいは会合の席上にも出まして、単に中近東の問題だとかあるいは何とかというような政治問題ばかりでなく、日本の最近の経済の状況なりあるいは産業構造なり、そうした問題について懇談をいたす機会がありますれば、できるだけそういうチャンスをつかまえてやっておること、むろんであります。しかし力の足りないところ、あるいは国連等の総会に出ておりますとそういう機会が非常に少いことは事実であろうかとも思います。従って今後ともますますそうしたことをやらなければならぬかと思います。なお同時にやはりワシントン政府にこれらのことを十分認識してもらうばかりでなく、アメリカは御承知のように民間企業も発達し、民間企業の政治的な関連も相当深いわけでありますから、一般業者方面等との連絡を密にしていくということは、これまた非常に必要なことだと思います。それがおのずから議会開会中には上院等に反映いたしまして、そうして上院が何か関税の問題あるいは輸入禁止制限の問題等を取り上げる機会を作って参りますので、従って業者方面の関係においてそれらの問題を平素からやはり話し合いをするというような機会を作って参らなければならず、われわれとしてもそういう機会を作るようにできるだけ民間の方にお願いもし、勧誘もし、また便宜もそういう場合には与えなければならぬと考えておるのであります。先ほど御指摘になりました燕市の問題の点なども、やはり燕市の代表者の方が行っていただいたというようなことが最終的に——必ずしも全部が満足であったとは思いませんけれども、まあ四百五十万ダースというようなことで一応の理解を得られた点だと思います。従って今後やはり御指摘のように、単に大企業の主宰者ばかりでなく中小企業の、現実に日本の輸出貿易を担当しておられるような方々の団体もしくは個人等が行かれる場合に十分便宜をはかり、またその方々が単にワシントンだけでなく各地における生産業者と懇談をする機会を作っていくということは必要だと思いますので、そういう面についてはなお一そう力を入れて参りたいし、今日まででも若干力を入れてきておるつもりでありますけれども、なお今後も力を入れてやって参りたい、こう考えております。
○石山委員 アメリカとの経済的な協力ということは、私は何も表面から見れば拒む必要はないと思う。ただ最近の傾向からしてアメリカとの経済協力ということがゆがめられていると思います。純粋な経済協力でなくして、そこには軍事的な背景がある、いわゆる従属的な関係が打ち出されておる、こういう意見が一方にあるかと思えば、アメリカと日本との経済の立場は、つまり一つの敵対的な面が出てきた、それほど日本の経済というものも成長をしつつあるのだ、今までのように拝みます、頼みますというふうな関係での経済の運行は不可能になりつつある、それだけ日本の経済の実力がついたというふうなことを言って、いろいろな、アメリカの関税との問題をそういうふうな意味で評価している方もあると思います。われわれがいろいろアメリカとの経済的な関係のうちで常に耳の底にこびりついているのは、MSA協定でございます。それは去年度あたりは日本にどういうような影響になっているか知りませんが、経済的な援助はおおむねなくなってきているのではないか。将来もなくなるのではないか。そうしてこれはもっぱら軍事的な援助に変りつつあるのではないか。アメリカは年度は違いますが、去年度のMSA協定によるところの日本の受けた経済的効果というのは、どんなことでございますか。
○藤山国務大臣 アメリカにおきましても、むろんこれらの問題についてはいろいろ議論があるわけでありまして、軍事援助よりも経済援助という議論も相当高まってきております。従って御指摘のように、軍事的援助の方に重点を置いて、経済的援助が将来少くなって(るというようなことは考えられず、むしろ軍事的援助よりも経済的援助の方が重点になってくるような関係が、アメリカの現在の傾向からいえばあるのではないかというふうに見られるのであります。そういうこともわれわれとしては念頭に置いて参らなければならぬわけであります。経済的な援助等につきまして、われわれとしてもできるだけやって参らなければならぬということは申すまでもないことでございます。
○石山委員 昨年度の経済援助の実例は。
○森(治)政府委員 昨年度におきますアメリカの日本に対する経済的援助といたしましては、正確な数字はここに持っておりませんけれども、大体二百五十万ドル程度でございます。そのおもなるものは、御承知の通り、日本の各方面の方々がアメリカに行かれております生産性本部に対する援助でございます。
○石山委員 日本の経済についてはいろいろな見方があると思いますけれども、ことしの財融投資を見ますと増額されました。それから公共事業費を見ますと、これも莫大な、例年にない増額です。これは選挙があるためかどうか知らぬが、そう言われているほど多い。これらが刺激になってなべ底からはい上る一つの活気を与える要素になるだろうと言われているわけですが、しかし、考え方によれば、これはまたインフレを呼ぶ一つの要素にもなるというふうに判定をしている経済学者もあるわけです。ですから、日本の財界が少し刺激するとすぐインフレになる。そうしますと、また例の過当競争が始まるのではないか、過当競争下における貿易——過当競争をあなたが防ぎ得る、大丈夫防げるのだ、そうなれば、これは正当な貿易は可能なのでございますが、今のような姿で、普通言われている低米価、低賃金というふうな、生活要素が低いわけですね。そういう低い要素の中でインフレを防ぐ、そのことによってインフレを防ぐのだ。そうして極端に低いコストで貿易をなさる。時期を見てダンピングをする。これはやはり今までも非難されていましたが、今の経済政策を私見てみますと、これはやはりおととし行われたことと、去年行われたことがまたことしも行われ、来年もそのまま遂行される可能性があるということを言うことができるのではないか。経済人としてのあなたは、いやそんなことはないのだ、インフレを押え得るのだ、そうしてダンピングなどと言われる非難を避けて通常な貿易に持っていけるのだ、こういうふうなことをあなたは貿易関係国等を見ながら説明できるかどうか、一つお知らせ願いたいと思う。
○藤山国務大臣 御承知のように、戦後の日本経済が著しく復興してきましたことは明らかでありまして、これは国民のみんなの努力によってここまで来、外国から来た方も驚き、日本人自身も、ある程度この経済の復興がここまできたことを喜んでおると思います。またそれは日本の経済を非常に堅実にしたと思います。ただしかし何と申しましても、あの廃墟の中から立ち上りました日本経済というものは、なおまだ全体の底が浅いのではないか。従って御指摘のように、若干インフレ的な要素を含んで参りますと、加速度にインフレ的状態に入っていく。または若干緊縮的な方法をとりますと、予想以上の緊縮状態と申しますか、不況状態に陥っていく。そのこと自体は、やはり経済の根が浅い、あるいは資本蓄積も十分でありませんし、砂上に楼閣とは申しませんけれども、やはり地下における基礎工事が完全なところまではまだいっていない。そういう状態でありますから、神武景気となればああいう状態になり、緊縮をすれば失業者がすぐふえてくるというような傾向に陥りやすいこと、現在の日本の経済の現状だと思います。従って、政府がそれらに対して常に細心の注意をして参らなければならぬのだと思います。貿易を伸長いたして参りますことは、要するに物価が安定して、そうして安定的な価格において、むろん製品の品質がよくなるというような条件がございますけれども、価格の面だけから申しますれば、やはり上向き傾向の安定的な形が一番望ましい物価の面における影響だと思うわけです。ただいま御指摘のありましたように、日本が非常に多くの人口をかかえ、多くの失業者を持っておりますので、従って、過当競争に陥る弊というものが随所に今日まで見られております。絶えずそうした非難を外国からもかつております。はた一方から言いますれば、安定的な値段で若干ずつ上向きの値段でありましても、それが安定して参りますれば、おのずから安定した需要を喚起し続けて参ることができると思うのであります。特に不当な価格の安売りをいたしますことは、当然避けて参らなければならぬのでありまして、最近各国から見えられた方々でも、日本の商品は安過ぎる。もっと高くてもいいのではないか。むしろもっと高く売った方が輸出が伸びるのではないかということを言われるのでありますが、私どももある程度そう思います。ことに先進国に対します貿易というものは、日本の品質が今日のように著しく改善されてきておりますときにはそうだと考えます。でありますから、そういう意味において国内の産業政策なり財政金融の問題につきましては、やはり恒常的に増進して参るのには細心の注意がなければならぬと思っております。
○石山委員 日本のインフレが起きやすいという一つの傾向とか、あるいは貿易の頭打ちとかいうふうなことは、それぞれかね合った問題であります。それから生活が低くてインフレが起きるということほど悲惨なことはないわけです。しかし現実にはこれがしょっちゅう行われておるところに、日本経済の底が浅いなどという点があるのかもしれません。しかし貿易の問題が頭打ちをしているから、ある意味ではダンピングせざるを得ないのではないかと私は思うのです。そうした場合に、日米経済協力でちょっと疑惑を持つわけなんです。あなたのやっていられる、いわゆるアメリカ一辺倒などと私はしいて申し上げませんけれども、アメリカの経済協力のみに思いをいたすような考え方に私は疑惑を抱く。日本の経済が不安定だということ、過当競争するということ、ダンピングするということは、結局買ってくれる相手が不足だということに帰着すると思うのです。一ころ岸さんがアメリカに行ったとき、いわゆる東南アジア開発なんというえらい、われわれでさえもちょっと及びもつかないようないい言葉をもって帰ってきたわけですね。それで東南アジア開発などできて、こういうことが非常にうまくいくだろう、こういう構想が非常に宣伝されて、岸ブームというもので一時沸いた時代もありました。そのあとはさっぱりしり切れトンボになって、われわれは国会においても説明を聞く機会がないのですが、その後東南アジア開発問題、円積み立ての問題等は、どういうふうに進展しておるか……。
○藤山国務大臣 御指摘のように貿易を拡大する上においては、アメリカだけが輸出じゃないのでありまして、ことに金融財政的に安定しておりますヨーロッパなりあるいは豪州、ニュージーランド等の方面、そうした方面にやはり輸出貿易の拡大をはかっていかなければならぬことは当然のことだと思います。同時に他面、東南アジアなり中近東、アフリカ方面に対する貿易市場の拡大をはかって参らなければならぬということも、これまた並行的に行なって参らなければなりません。ただ東南アジアに対して考えてみますと、御承知のように政治的に独立したあとまだ経済的な独立を完成いたしておりません。植民地経済の残滓が残っておりまして、いわゆるこれらの国が主として第一次産品をもって国を立て、世界的市場価格の変動によってその経済が左右されるというような状況にあるわけであります。それでありますから、やはり基本的には、これらの国々が経済的な独立を完成するような経済建設計画に協力し、その結果として、それらの人々が生活状態が改善されて、購買力も上ってくるということになりませんと、本格的には貿易の増進ということは非常に困難であろうと思います。従って東南アジアに対する考え方としては、輸出貿易の促進という面とあわせて経済協力というものを考えて参らなければならぬ、それが私どもが今考えておるところでありまして、岸総理が東南アジア開発基金という構想を出されましたのも、その考え方にのっとっておることでございます。われわれとしてはそういう意味で、こうした構想が何らかの形ででき上っていくということを待望いたしますけれども、しかしこれらの問題につきましては、単に経済的事情ばかりでなく、いろいろな問題もございますし、また各国のそれぞれの状態によって、急にはこうした問題が進展はいたしておらぬと思います。ただしかし、世界的にそうした問題が考慮に上っているということは、いわゆる第二世界銀行の構想が打ち出されてみましたり、あるいは国連におきまして後進国開発基金というようなものも考えられてみましたり、あるいはIMFなりの増資というような問題が考えられ、そうしたことで風潮はそこにみんな考えてきているのではないかと思うのであります。でありますから、日本といたしましても、岸構想そのままの原始的な形が果して適当であるかどうかは今日の時代必ずしも判断いたしかねると思いますけれども、できるだけ、今申し上げましたような東南アジアにおける経済建設、そうして政治的独立を全うしたその裏づけとしての自主的な経済が成り立ち得るようにわれわれは努力していかなければならない、それがやはり経済外交の大きな線になっているのではないかと思います。またなっているべきだという考え方で私はやっておりますつもりであります。
○石山委員 東南アジアの中に中国が入らないような御答弁の中身は、あまり当を得たものじゃないと思う。特に今のような皆さんのお考え方で世界の経済の中で船をこいでいると、私は難破する危険性があるのじゃないかと思うのです。たとえばヨーロッパだって、六ヵ国で共同市場を作るとか、経済機構を作るとか、原子力の共同研究をやるとか——もちろんその補助金とか何かで、その国々によって労働人口等私はいろいろ困難があると思うのだけれども、いずれにしても六ヵ国で共同の立場をとろう、経済力を集中する、こういうふうなブロック的に問題を進められてきているということは現実の姿でしょう。アメリカだって北アメリカ、南アメリカ、南北のいわゆる経済圏、東欧は東欧の共産圏というような考え方、そうしますと残されている部分というものは目に見えてきているわけです。それにもかかわらず——もっとも今ジェット機が飛んで、ミサイルがどうだとかということから、太平洋なんかまるで昔の女が手足を洗うたらいのような感じで皆さんが見ているかどうか知らぬけれども、あなたはアメリカのみを主眼として問題を論じて、その実際行動としてこまかいことを克服していく能力に欠けているのが現実の政治だとするならば、これはやはり日本は経済的におくれをとって、どんなに働く人が低賃金で働いてみても、生活水準をうんと引き下げて働いてみても、これは事が知れていると思うのです。いわゆる世界的な大勢にそれたような政治経済のあり方であっては——そういう点ではうちの同僚諸君が常に口を開けば東南アジアの次には中国問題を出すとか、あるいは北ベトナムの問題だとか、朝鮮の問題等を出しておるのを私は聞いておりますが、私でさえもちょっと並べて見てもそういう感じを受けざるを得ないわけです。なぜここだけに目にふたをしているのか。風というやつは南からばかり吹くのじゃない、東からばかり吹くのじゃない。夏になれば北風だってむしろ爽快でしょう。なぜ北風の入ってくる窓をあけないで、片一方だけを開いているか。さっきからいろいろ聞いているが、そっちばかりあなた御説明なさっているが、北にも西にもわれわれの開拓する余地があるのだぞということをなぜあなたは触れないのです。そういう点では慨嘆にたえないのです。きょうたまたまお葬式があるでしょう。あなたたちの大先輩の鳩山さんは困難を克服して北の窓を開いたじゃありませんか。それを考えたらやっぱり考えるべきところがあってもいいと思うのですが、きょうの御答弁を聞いてみましても、北の方にはちっとも触れて下さらぬというのは、どういう量見なのですか。北では全然だめなのですか。一つそういう点もあわせてこの際御説明願いたい。
○藤山国務大臣 ただいまの御質問が、総理の東南アジア開発から出ているように思ったので、そういう御答弁をしたのであります。むろん日本を取り巻いております周囲、ことにソ連等との経済関係というものは、われわれも考えて参らなければならぬ問題でありますことは事実であります。ただ過去におきますいろいろな経緯もございます。やはりわれわれはそういう過去のいろいろな経緯というものを全然見失ってしまうわけにも参らぬ点もございます。従っておのずからそうした問題について、貿易を再開するにいたしましても時期もあり、方法もあるということでありまして、飛躍的にこの問題を扱うということはどうかと思っております。
○石山委員 方法も時期もあるなんて、あなたしょっちゅうおっしゃっておるじゃありませんか。もっとも人を相手にするなら方法も時期もあります。方法、時期という言葉は、その背後には確信のある方法、時期——時期といったってあなた一年待つのも時期ですし、二年待つのも時期ですよ。方法はこういう方法があるのだという方法を出してこそ方法もある。来年やるのだというような背後がなければならない。それをそういうふうな御答弁では国会のまじめな質疑応答にはならぬわけです。実際論からいえば……。そうでしょう。中共でさえも去年七百数十億円の破談をやっておるわけです。あなたのやり方一つでサケ、マスなんかもっと取れるのに、途中でデッド・ロックに乗り上げた格好ですが、これはあなたの人徳のしからしめる結果だと思う。努力が足りないと私は言いたい。それも今までの行きがかりがあって方法、時期——方法、時期という言葉はまことに便利です。しかしそういう上すべりの国会の質疑応答であれば、われわれ何も一生懸命声を高くして論ずる必要がない。もっと国民にこういうところがネックになっているんだと知ってもらう。こういう機会にあなたの方から、われわれみたいに外交に対してしろうとのものに説明することが——われわれ郷里へ帰って農民を相手に、中小企業者を相手にして説明することによって、皆さんの努力というものが理解されるんじゃありませんか。そういう点では、やはりあなたのハンケチはまだ白い。絹なら絹であっても、もっとよごれなければいかぬと思うのです。なぜあなたに、初めて質問に立つ私が特にそういうことを言うかというと、あなたはまだ政界によごれないフレッシュな感覚でいろいろなことを見ていただいているだろうと思うから、特に強くこういうことを言っているのです。切実に求めているものに対して、あなたは一歩乗り出して、自民党の内部の連中を切り捨ててやりなさい。そのくらいの勇気がなければ、この日本の経済なんて立っていかぬじゃありませんか。そういうことを要望しまして、終ります。
○受田委員 簡単率直にお尋ねして、簡単にお答え願います。 あなたは、きょうあなたの先輩であられる鳩山さんの葬儀が午後一時から行われるに当って、お急ぎだろうと思いますから、できるだけ時間を切り詰めてお尋ねいたします。鳩山さんは、あの老躯であり、かつ、不自由なからだを押して、日ソ国交回復に努力せられて実を結ばれた人です。その日ソ交渉という大きな仕事を果された鳩山さんの跡始末を、岸内閣、そしてあなた個人もやっておられるかどうかという問題です。このことについてまずお尋ねし、おしまいに設置法に関係した大事な問題をお尋ねします。 日ソ国交回復の宣言以後、日ソ交渉は進展しておりますでしょうか。ごく簡単に。
○藤山国務大臣 共同宣言以後特に進展いたしておりません。
○受田委員 それは岸内閣及びあなたの怠慢を物語るものであり、鳩山さんの今日の御葬儀に列して、あなたは何とお答えできますか。社会党の協力を得て、自民党の反対分子を押し切って、議員総会にも諮らないで、あの人は勇躍ソ連に乗り込まれたのです。アジアに眼を向けられようとしたあの熱情をあなたは引き受けなければならぬ。具体的に進展しておらぬと言われるけれども、進展させる問題はたくさんあるわけです。具体的に一つ例をあげましょう。たとえば、文化協定の問題、向うから日本に返答を求めてきておられる。これに対してあなたはどういう態度を持っておられるか。マクミラン英首相は、わざわざソ連を訪問されて、特にソ連の首脳部と文化交流に対して、実施細目についての具体的な交渉に今乗り出しておられるのです。文化交流などということは、これは手っとり早くやる問題ではないのですか。マクミランの熱情にあなたは学ぶ必要はありませんか。鳩山さんの霊にこたえる具体的の問題としてお答え願いたい。
○藤山国務大臣 文化協定を締結いたしますことは、私のかねてから申しておるところでありまして、反対いたしておりません。ただいま文化協定を総括的なものとするが、あるいは実質的なものとするかという点で検討をいたしておりますが、最近ほぼそれらの検討が終りましたので、近く交渉は開始されると思います。
○受田委員 そういう問題の具体的な可能性をあなたは今予測しておりますか。
○藤山国務大臣 ただいま申し上げましたように、方式について検討をいたしまして、ある程度結論に達してきておりますので、結論に達しますれば交渉したい、こう思っております。
○受田委員 その結論に達する、ある程度今可能性を持っている具体的な内容をお示し願いたいと思います。
○藤山国務大臣 ただいま申し上げましたように、従来各国と取り結びましたようなごく総括的な文化協定を取り結ぶか、あるいは若干具体的な実施細目を加えたものにするかという問題になるわけであります。そこらの検討は、やはり各省との関係もございますし、そうした問題について協議もいたして参らなければならぬわけでありますから、若干日時がおくれましたことはやむを得ないことだと思いますが、結論を得次第そうした問題を取り上げていきたい、こう考えております。
○受田委員 その内容を一つ一つ具体的に示してもらいたい。たとえば、マクミランが考えたような実施細目か、あるいは総括的なものか、どちらで踏み切ろうとされているか。
○藤山国務大臣 この実施細目的な問題については、若干予算との関係も出てくるわけでありまして、あまり大幅に、その方面には踏み切れないと私は思っております。しかし、やはり若干何かそういう形のものをつけ加えることが必要ではないか、こういうふうに考えているわけであります。従来、御承知のように、各国と文化協定を作りましても、ほとんど予算措置というものができておりません、総括的な問題で。その点は毎年大蔵省にも交渉をいたしておるわけであります。従って、若干そういう考慮は初めからしていく方が適当ではないかというふうに考えているわけであります。
○受田委員 大蔵省と交渉して日ソ交渉の前進をはかるなんということは、前後が転倒しているわけです。せっかくよいチャンスがあるので、国家予算はどのような措置をしてでも、そういう芽がふきそうな分は一つ一つ成功させるような努力をあなたがなさらなければいかぬ。大蔵省と相談してこの大事な日ソ交渉を一歩前進させようというような、仕事をあと回しにするようなことは許されません。この点の信念を伺いたい。
○藤山国務大臣 文化協定を作りますことは、もう初めから申しておるところなんでありまして、今現実に文化協定を作りまして、いかにして文化協定がスムーズに動いていくか——大蔵省と申したのは、従来文化協定をずいぶん作りましたけれども、予算的裏づけがなかなかむずかしい。そういう事情をやはり考慮しながら、しかし、今言ったように、文化協定を作ります以上は、若干でも予算をとるようにわれわれも考えて努力するということは当然のことでありまして、そういう意味で、何も大蔵省だけの鼻息を伺って協定の内容をどうするというほどまでには考えておりませんけれども、実際の問題をやりますときには、そういう考慮も加えていくということをつけ加えて申し上げたのであります。
○受田委員 大蔵省を持ち出されたのが間違いです。大蔵省と相談して日ソ交渉の問題を解決するということは、前後が矛盾する。今日の午後葬儀のある鳩山さんにお報いする意味からも、日ソ交渉の前進に努力しなければならぬ。あなたの熱情を示してもらいたい。あなたは何のかんばせあって鳩山さんの葬儀に列席されますか。昼食を抜いてあなたの葬儀に列しました、そうして私は、委員会でこう信念を吐露しましたと報告する決意はないですか。その意味からもあなたの決意をお聞きしたいわけです。
○藤山国務大臣 私は、昼飯は抜きの予定になっておりますので、別段昼飯を食べるために早く逃げようとは考えておりません。
○受田委員 私、非常に急いであなたにお尋ねして結論を得たいのでございますが、アジア外交に重点を置いておられることは、昨年設置法の改正で次長を置きたいという希望があったことでもわかるわけです。そういう意味からも、日ソ交渉の前進をはかるために、文化交渉以外になおあなたがお考えになっているような問題はないか。まず成功させたい次の日ソ国交前進の具体的問題は……。
○藤山国務大臣 貿易協定はすでに一昨年から締結いたしまして、その運営はスムーズにいっております。また、日ソ通商航海に関する条約等もやっております。だんだんにやって参りますれば——ただいま交渉の途上にあります航空協定は、日本側の意向をぜひとも達してもらいたいというふうに考えておるわけであります。
○受田委員 次は、中国の承認の問題ですけれども、これはやはりアジアに眼を向ける大事な外交のとりでだと思うのです。中国を承認し得ないような大きな原因はどこにあるか、理由はどこにあるかお示し願いたいと思います。
○藤山国務大臣 現在の段階におきまして、いろいろ歴史的な過程がございますので、従って、今直ちに承認するというわけには参らぬと思います。むろん日本は中華民国と正常な関係を持っておりまするし、また国際社会におきましても国連等の関係もございます。そこいらの関係は今日必ずしも日本が中共を即時承認するわけにはいかぬというのが、現実の事態であろう、こう私は考えます。
○受田委員 中国に対しては、英国その他のわれわれと同じ立場に立つ民主主義諸国家も、これを承認しておるのです。従って蒋介石の方がむしろ日本との戦争をした当時の相手方であって、新しく戦後に生まれた中共を国家として承認する。しかも形態その他においても堂々たるアジアの大国であるというときに、何を好んで、これを承認し得ないか、背後にアメリカに対する気がねがありますかどうか、これを伺いたい。
○藤山国務大臣 特にアメリカに対する気がねというものはございませんけれども、しかしやはりアメリカ初め各自由主義国がとっておるいろいろな政策もございます。そこいらのものは現実の問題としてわれわれ考えて参らなければならぬと思います。
○受田委員 アメリカと日本との中国に対する相違点は、アメリカの経済的な関係は、中共に対して国全体の比率からいってあまり大きくない。しかし日本は非常に密接不離だ。人種的に見ても歴史的に見ても、それから距離が非常に接近しておる。そういうようないきさつから考えたときに、アメリカが承認していないから日本がそれに同調するということは筋が通らぬのです。日本は独自の立場で中共に対する政策を用意すべきではないですか。その構想について御答弁願いたい。
○藤山国務大臣 むろん極東に対します日本とアメリカの地位というものが、歴史的にもあるいは地理的にも、あるいは人種的にも違っておることは事実であります。従ってわれわれが日本の政策を立てます上において、その日本の基礎の上に立って問題を考えて参りますことは、これは当然だと思います。
○受田委員 今社会党の淺沼書記長以下使節団が出ておるわけですけれども、国民外交というところでわが党はこの日中国交回復の問題に尽力をしようとしておる。このことについてあなたはよろしいことだと思いますか、あるいはけしからぬことだと考えておりますか。
○藤山国務大臣 民間の方々が、あるいは政治でいえば野党の方々が、外国に親善友好のために旅行され、相互の理解を深められるということ自体については、私としては何も異議もございませんし、適当なことだと考えております。
○受田委員 非常にけっこうな御意見で、そういうところから経済と政治というものを分離して、あなたの方ではわが社会党の代表団の訪中を歓迎しておられるということにおいては敬意を表する次第です。私はこれに関連してあなたにぜひお聞きしておかなければならぬことは、外交の正式のルートというものについて、自民党内部にいろいろな線があるわけです。河野ライン、岸ライン、藤山ライン。たとえば金公使があなたを抜きにしてしばしば岸総理と会談をしておられるということも、あなたは御承知でないかと思うのですが、どうでございましょう。
○藤山国務大臣 金大使がしばしば会談しておるかどうかという事実は存じておりません。ときに総理に会ったというようなことは知っておりますけれども、しばしばかどうかは存じておりません。一国に駐在しております大使は、普通の関係においては外交上の折衝がありますれば、外務大臣を通じていたすのが当然であろうと思います。これはどこにおいてもプロトコールの意味から申してもそうだと思います。ただ個人としてでいろいろ会われることについては、これは別だと考えます。
○受田委員 個人として会談することは、外務省で目をつぶって見ておってもいいわけですか。
○藤山国務大臣 個人として閣僚等の人あるいは社会党の方々が会われますのに、一々外務省が差しとめるというわけには参りませんし、好ましくない結果が起らないように望んでおるだけであります。ことに直接の外交の折衝については、当然外務大臣を通じてやっていただきたい、こう思っております。
○受田委員 ことしの初めに河野氏がマ大使と会談をしている。安保条約改定をめぐる重要な外交政策の話し合いをしておられるようであり、これは報道陣によって明瞭にされているわけです。こういうことはあなたとしては好ましいことであるとお考えですか。
○藤山国務大臣 党内のいろいろの方もしくは民間の方々が各国の大使に会われるということを一々チェックするわけに参りませんし、その会談の内容がどういうことであるかということまでは承知いたさないのでありまして、そういう意味においては、おそらくいろいろな意見の交換はいたすかもしれませんけれども、外交折衝をいたしたことは私は存じておりません。
○受田委員 けさの報道によるならば、昨日自民党の総務懇談会は、安保改定についての一応の構想を発表しておられる。これは河野氏のマ大使会談などと相通ずるものがあると思うのでございますが、あなたの基本構想である行政協定改定の小幅な構想と、河野構想の大幅な構想と、そこに食い違いがあるわけです。あなたは河野構想に対して、従来の藤山構想と比較して、どういう感想を持っておられるのか、ちょっと伺いたいと思います。
○藤山国務大臣 安保改定に対します諸般の問題につきましては、むろん各方面でいろいろな議論がありますことは、これは当然だと思います。また私どもも十分議論を伺った上で最終的な結論を下して、交渉に臨みたいと思っております。われわれとしては参考のためにいろいろな意見を申してはおりますけれども、それに対する反対の意見もあれば、十分傾聴をして参らなければならぬと思うのでありまして、自分自身の考えだけをすべて押しつけていこうという気持はございません。
○受田委員 現在におけるあなたの構想の要旨は、行政協定の二十四条、二十五条の局部的改正ということと、それから安保条約の名称を変えないでやるということ、すなわち日米相互防衛条約にしないという構想かどうか、そこを一つ。それからこの安保条約の改定の時期をどこに置いておられるか、これもあなたの構想を伺いたい。
○藤山国務大臣 条約の方は、御承知のように私は現在の日米安全保障条約の足らざるところを改正していくという建前をとっております。名前の問題は、現在の名前をそのまま使いますかあるいは新条約にふさわしいものを使いますか、その点はまだ最終的に決定はいたしておりませんけれども、精神と申しますか、基本的態度としては現在の安保条約の足らざるところを補っていく、こういう形でやって参りたいと思っております。また行政協定につきましては、われわれとしていろいろな研究をいたしておることは事実でありまして、当然外交の衝に当ります者とすれば、一つばかりでなく、二つ三つの考え方をいろいろ検討して参らなければならぬと思います。しかし最後に御指摘のありました時期等の問題にも関係いたしますけれども、行政協定を相当改善するためには、時間的余裕が——あるいは相当かかるのではないかと思います。そういう意味からいえば、ゆるゆるこれをやるのも一つの方法ではないかということを考えておるのでありまして、そのこと自体まだ最終的結論には達しておりません。また時期につきましては、私としては外交の折衝の任に当っておる者でありまして、いつできればいいんだということでは、現実的に問題の進展をはかってはいけませんから、従って私としては一定の時期までにはぜひとも作り上げるということで、事務当局も激励をいたしておりますし、また党内その他に意見の調整を必要とすることがありますれば、それらの時期に合せて調整をしてもらいたいということを要求するのは当然のことだと思います。そういう意味におきまして、できるだけ早い機会という意味で、四月中ぐらいには一つやり上げたいということは、はっきり申しておるわけであります。
○受田委員 私、今の安保条約及び行政協定の両方の面の具体的なお尋ねは、時間の関係できょうは延期します。 もう一つ、あなたに大事なことが一つある。これは今回の法案改正に伴う大事な問題ですが、公使を大使に昇格させることがたくさん法案に出ているわけです。ところが現在外交官の中で大使、公使という地位にある者の数は六十六名、これは全部認証官です。全公務員の認証官の総数は百二十三名、その過半数は外務官僚が握っている。しかもその外務官僚は大公使の大部分のポストを握っている。従って外務省におれば認証官におおむねなれるという喜びがある。しかしこれは重大な問題が一つあると思う。少くとも認証官の地位にある大公使に対しては、あなたとしては公平にその地位を獲得させるために民間人をどんどん外交官に採用する、また御自身の御出身の実業界などからもどんどんおとりになられて、そうして大公使を任命するということになされるべきだと思うのです。現在の大公使の中で認証官の地位にある大公使が何人おるか、認証官でない大公使が何人おるか、そして外交官出身の大公使と一般民間人出身の大公使の数はどうであるか、及び日本におる外国の大公使で民間人であり、実業界出身である人と外交官僚出身の人の数がどうであるか、これをお示しいただいて次のお尋ねをします。
○藤山国務大臣 詳しいのにつきましては事務当局から申し上げますし、あるいは東京におります外国大公使の経歴等につきましては、後ほど資料としてお出しをしたいと思います。お説のように私どもも外交機能を活発にいたすためにはできるだけ有能な人材を起用して参るということが必要でありますので、ことに最近では独立国がふえて参りまして大公使の数もふえて参りましたから、その中に民間人を入れるという希望は持っております。従ってわれわれとしては、そういう考え方を持ってやっては参っておりますけれども、遺憾ながら民間人の中で適当な人がなかなかございませんし、ある場合には現在の待遇等を振り捨てて、そして新しくなってくるというような勇気のある方も非常に少いのであります。また有能な人は現についておる仕事の関係でもって離したくないというようなこともありまして、そういうことを考えてはおりますけれども、思うにまかせぬ点がたくさんあるのを御了解願いたいと思います。
○受田委員 そこでもう一つ伺いたいのですが、今度の法案を見ますと大使をたくさん置く。そのように大使と公使の名称が必要なのですか。それなら全部公使を大使にしたらいいじゃないですか。
○藤山国務大臣 現在のことになりますと、大使と公使との区別はあまり必要なくなってくるのじゃないか、ことに新しく独立国になりました各国というものは、ほとんど大使を希望しております。公使として残っているのは、最近まで残っていたのでは、北欧三国のような、むしろ昔からの習慣を持っているところですから、おそらく今後公使というものは事実上なくなっていくことになるのじゃないか。しかしながら事実上なくなりますと、大使の中にも一等大使、二等大使、三等大使という形になることが起るのではないかということが考えられますが、しかし名称としては、各国がみな大使を希望しております。これは世界的趨勢であります。新しく国を作りましたところはみな大使ということを言っておりますので、おそらくみなそうなるのではないかと思っております。
○内田政府委員 先ほどの御質問のことにつきまして補足説明をさせていただきます。大公使で認証官でない者とある者とがどういう割合になっているかということでありますが、それは全部認証官であります。 それから現在外務省の大公使でいわゆる外務省出身でない方は、大使で三名、公使で三名の六名であります。 それから在京の外交官の出身のお話でございますが、これは出身別を正確に申し上げるのに十分な自信はございませんが、大体のわれわれの調査では、現在東京におります外交官のうち外務省出身者が四十三名、他省または政治家出身の方が十一名、民間出身が四名、こういう数字になっております。
○受田委員 今の御発表によると、他国の大公使は大体二分の一以上が民間出身で、外務官僚はその三倍になっていない。日本の場合には十一分の一しか民間出身がいない。そこに大きな開きがある。政務次官、あなたが大臣にかわって答弁していただきたいのですが、日本の外交官配置の方針において今重大転換期にきておると思います。すなわち今藤山さんも民間外交、国民外交というものを進めることに御賛成下さった。そこで藤山さんが外交官出身でないという意味においても、この際大公使の任命に当って人を得たらというお話がありましたが、人を得ようと思ったら幾らでもある。藤山さん自身が見つかったじゃないですか、こうした点から政務次官としては外交官の採用方針を今後民間人にウエートを置くかどうかお答え願いたい。
○竹内(俊)政府委員 先ほど外務大臣からお答えいたしました通り、適当な人物がありさえすれば門戸を広くして、今受田委員がお述べになったような趣旨で国民外交と申しますか、特に経済外交が日本の外交の一つの大きな条件になってきた今日の事態に即するように、外交全体の陣容を立て直していきたい、こういう考えを持っておることを申し上げたいと思います。
○受田委員 今経済外交を進める上においても、経済的知識をたくさん持った外交官を育成する必要があると思うのですが、一体外交官試験の試験科目のうちに経済的な科目が含まれているのですか。もう時代は変っている。外交官も法律一本ではだめです。どうしても経済知識というものを身につけていかなければいけないと思うのですが、そこのところをお答え願いたい。
○竹内(俊)政府委員 キャリア制度それ自体にも相当批判がありますし、外務省としてもこの制度については検討を要するものと考えております。ただその試験の場合においては、最近は、お述べになったように経済を非常に大きな条件として試験をいたしておりますので、経済的な知識の豊かな人がどんどん入ってくる傾向には相なっております。
○受田委員 外交官試験の経済の試験科目を一つ言って下さい。
○内田政府委員 外交官試験の必修科目は六科目ございますが、そのうちの一科目は経済でございます。
○受田委員 あとの科目は……。
○内田政府委員 憲法、国際法、外交史、外国語、一般知能。
○受田委員 その経済の科目は、ただその六科目の六分の一としての採点方式をとるわけですか。
○内田政府委員 その通りでございます。
○受田委員 そこにやはり問題がある。経済については、経済学、経済学史、経済政策、こういうものについて相当広範な知識を持って当る必要がある。そういうような該博な経済知識を持って外交官に志願をするという建前をとる必要はないか、御所見を伺いたい。
○内田政府委員 ただいま政務次官もお答えになりましたように、この科目を将来検討する余地はあろうかと思いますが、従前は選択科目という制度もございまして、場合によりましてその選択科目の中に経済関係のものを相当とる余地はあったのでございますが、現在ではこの六科目だけに科目が限定されておりますから、経済の占める地位は、数字的に申せば六分の一ということになるわけでございます。しかし、ただいま申し上げましたように、どの科目も相当重要な科目ばかりでございますので、特にこの中で経済だけに多く重点を置くということが妥当であるかどうかは、現在の制度においては私は疑問と考えます。
○受田委員 それは、憲法にしても外交史にしても大事な問題ではありますけれども、しかしながら、外交官の素養というものは、ただ単に憲法とか外交史とか外国語とか、こういうものに限定されないで、経済の全般について該博な知識を得るという意味からいうならば、経済の単位の比重をさらに一歩前進させるという必要がありはしないか。そうしないと、それでなくてさえ法律一本やりの外交官が外交交渉に当りますから、非常にそこにゆとりがない。外務官僚の外交が今日外交の渋滞を来たしておることはしばしばある。しかも外国へ出て外交官になる方を希望して、国内の外務省に勤めるのをきらっておる。こういう現象なども大事な問題だと思うのです。それは外務省の本省におるより、在外手当なども出て、外国の見物もできるという点もありましょうけれども、もう一つは、外務官僚の古い特権を遺憾なく海外に発散できるという喜びもあるわけです。むしろそういう外務官僚の海外での喜びを押えて、国民外交の片棒もかついで、経済的な交通をはかっていくような外交政策をやろうとするならば、経済的な知識をうんと持って、そして該博な人間性を発散できるような形の外交官の養成が必要じゃないか。その意味から、実業界から外交官を取り上げるということも非常に大事なことだし、政治家から取り上げるということも大事なことだ。そういうものが入りまじって、相互にみがき合って外交が推進できると思うのです。六十六人のうちで法律専門でやってきた人が六十人もおり、たった六人しか一般出身者がおらないというところに、外務省の一つの牙城が形成されておると思う。これは政治的な立場で、政務次官御見解をお聞かせ願いたいと思います。
○竹内(俊)政府委員 先ほどお答えいたしました通り、従来の試験制度その他から参りますと、法律出身者が多いことは事実であります。総合官庁としての外務省は、その点を補強する意味もあって、大蔵省、通産省等から外務省の中に来ていただいて、あるいは書記官、参事官等のポストについて、実際の仕事を協力してやっている面もあることは御承知の通りだと思います。また、法律出身者だから経済知識が非常に希薄だ、こう断定することもどうかと思うのでありまして、たとえば大蔵省あるいは通産省等におります優秀な経済知識の広い方で、調べてみますると法科出身の方も相当多いのであります。要するに学校で何を学んだかということも大切ではありまするが、仕事についてからの勉強次第でも、相当にまた知識が広くなるのでありますから、研修所その他の方法を通してそれらも満たしていきたい、こういう方針で進んでおりますが、原則としては今お述べになったことも重要な条件として考えておる次第であります。
○受田委員 外務省はえ抜きでない、通産省とか大蔵省などから外務省の参事官などを任命しておる、こういうことでございましたが、外務官僚以外の、今あなたが仰せられたような他の省の役人で大公使になっておる人が何人ほどおりますか、その数をお示し願いたい。
○内田政府委員 現在のところ、他省出身で大公使になっている人はまだないと思います。——ちょっと訂正さしていただきますが、現在ワシントンに公使でおられる鈴木公使は大蔵省出身の方ですが、館長としての大公使になっている方はまだないと思います。
○受田委員 政務次官、そういう実態ですから、あなたは大蔵省、運輸省、通産省などからも外務省へ来てもらっているというけれども、実際は外務官僚しか外交官になっていないのですが、どうですか。
○竹内(俊)政府委員 その点は先ほど来申し上げております通りでありまして、これを将来門戸を広くしてそういう点の調整をはかることが適当であろうという原則は持っているのでありますが、何にせよ適当な人物がなければ充填していくことが困難でありますので、その点については努力していきたいと思います。
○受田委員 大蔵省や通産省、農林省その他の他省にりっぱな外交官候補者がおることは間違いないです。外務省の出身者だけを責任ある大公使にするということが間違いである。現実にお役人であるならば、どの省からでも外交官をとってもいいじゃないですか、どの省から大公使を採用してもいいのではないでしょうか。
○竹内(俊)政府委員 ただいまの御議論は、いろいろな面で、簡単にそうだと断定することは困難であろうと思います。たとえば、他省から来て経済面の担当をしていただいて、外交面で非常にプラスになっていることがあることは事実でありますが、一方また、語学の点とかいろいろな長い間の経験とかいう面においては、本来の外交官の方がはるかに優秀であることは断言してよろしいと思います。そういう点から考えますと、一がいにどっちがどっちと言えないのでありますが、そういう点も加味して、広く柔軟な政策をとって適当な人物を配していく、こういう点で考えていくべきであろうと思います。各国の例もまた大体そういうところを歩いているのではないかと考えます。
○受田委員 外国の例は、今も言われた通り四十三人外務官僚出身がおられるのですが、他官庁よりの人と政治家が十一名、実業家が四名、官房長は今こう言われたわけですが、そうすると三分の一は一般外務官僚以外の人がなっているのです。日本は十一分の一なんですが、それはいかがですか。
○竹内(俊)政府委員 私はそういう正確なことはあまり知らないのでありますが、たとえば私の知っている限りにおいては、外国では、外交官と実業界とが、大公使になる前にも相当交流があるような事実がありますので、全くのしろうとが突然大公使になるという例のことを私は申し上げたのでありまして、そこまでいく間に実業界と交流するというような形式は、日本の官僚制度にはあまりありませんので、そういう点が相当大きい相違かと思います。
○受田委員 その相違を直さなければならぬ。つまり、外交は外務省にまかせるという形に、日本の従来の外交が誤まられた大きなゆえんもそこにあるわけです。広く人材を吸収するという意味からこれは考え直さなければならぬ。あなた御自身では、外務官僚に圧倒されてこれ以上お答えできないと思うので、藤山さんとよく相談されて、大公使の任命権を持っておられるのですから、あなたは補佐役ですから、他の省にある適材からも、あるいは民間人からもどんどん簡抜して、政治家で適切な人がおればその人も取り上げる、そういうようにやってもらいたい。あなた自身も代議士などやめて大使か何かに出られる方がよいかもしれない、そういうふうに清新な気持を外交陣にみなぎらせなければならぬ。外国と比較して初めて日本の陳腐な古い外務官僚の温存主義が見つかったわけです。 そこで私はいま一つ、今度の、在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部改正の問題にも触れてみたいのでありますが、この給与に関する法律の中に在勤俸の改正が出ている。なかなかこまかに出ている。この法案の中に「在勤俸」という「棒」という言葉がある。これは一般職の給与、特別職の給与で、俸と名称がつくのは、基本給、俸給に相当する。そのほかのは手当になっている。外務省の在勤俸という俸給は、これは本俸、すなわち基本給の一部分かどうか、お答え願いたいのです。
○内田政府委員 この前の国会におきまして、受田委員と私の前任者であります田付官房長との間に、その間の問題について質疑応答があったことを承知いたしております。私どもも在勤俸というのはただいま御指摘のように、本俸があって、それ以外の別のものであるから、これは手当ではないかという一つの論理は、決してわからぬわけではございません。しかし私どももちろん手当の要素を在勤俸というものが非常に持っておるということを否定するつもりはございませんけれども、やはり私どもの観念といたしましては、在勤俸というのは、在外に勤務しておるということに対して基本的な俸給的な要素をも持っておるというふうに感じております。たとえば将来、これは現在はございませんが、将来熱帯地手当とか寒冷地手当という制度ができますれば、それはまさに手当というものにふさわしいものであると思いますが、現在の在勤俸は、手当的なものもあると同時に、在外に外交官として勤務するその本質に付着したところのやはり基本的な俸給ではないか、こういう要素が多分にあるのではないかというふうにわれわれは感じております。
○受田委員 一般公務員には、勤務する場所によってつける勤務地手当というものがある、これは手当です。たとえば東京のような都市に住む者、福岡という地方の大きな都市に住む者、そういうものに対して勤務地によって、その勤務地相当の生活をするための手当制度がある。これと今の在勤俸とどう違いますか。
○内田政府委員 われわれはまさにその点において多少違いがあるのではないかと思っております。日本の内地におきまして、ある地域によってそういう特殊の手当がつくというのは、これはまさに手当であろうと思いますが、外交官として在外に勤務いたします場合に、むろんその具体的な家庭の状況その他によっていろいろの差がございますが、依然として、何と申しますか、家庭の本拠は内地にあるという場合も少くないと思いますし、とにかく海外に在勤いたしますそのことから必然的にくるある種の基本的な給与というものを考えなければならないのであります。それが在勤俸ではないか、こういうように考えておるわけであります。
○受田委員 あなたの説明の論理は、給与政策の上からいって、どうも納得できないのですが、海外に本人だけ出ておるという場合には、本人だけしか在勤はないわけですね、家族の在勤はないわけです。そうすれば純然たる本人の在外勤務手当じゃないですか。
○内田政府委員 いや、手当という要素がないとは私は申し上げておりませんが、しかしたとえば基本的なものであるということがやはり重大なことではないか、妻がおりますれば、妻加俸というそれに付随したさらに何ものかがつく、その基本になる俸給的なものとして在勤俸というのは考えるべきではないかというふうに申し上げておるつもりでございます。
○受田委員 これは在勤俸の加俸、こういうところに外務省の今の独特なセクショナリズムが働いているのですね。これは見のがすことのできない、外務官僚の作られた工作であると私は思う。昨年は田付さんは、これは非常に問題があるので、お説の通り俸給の一部と見ることができない、従ってこれは手当ということはお説の通りであるとはっきり言われた、これについて適当な機会に何とかしたいと言われたわけです。あなたと見解が違うわけです。これはどうでしょう。
○内田政府委員 昨年の質疑応答に基きまして、われわれは内部でも非常に議論をいたしまして検討したわけでございます。それから大蔵省とかあるいは法制局等とも十分相談いたしました結果、ただいま申し上げましたように、当時田付官房長が申しましたとこを決してそう否定するつもりはないのでございまして、手当的な要素も非常にあるという考えは持っておりますが、しかし普通に考えられる手当とはまた違う要素を持っているのではないか、そういう考え方でただいま御答弁申し上げておるつもりでございます。
○受田委員 もう一度伺いますが、普通の手当と違う要素ということ、これは重大なことなんです。大公使はそれぞれ本俸は国内でもらっておる。その俸給と同じような要素を持ったものが外国に勤務する者にはある、こういうことは論理的に見て納得できないと私は思うのです。国内で大使、公使の俸給をいただいて、海外でもまた勤務の俸給を別に基本給に応じたものを出すというこの見方は、私には納得できないので、もう一度あなたの基本給の性格を持つという点を論理的に御説明願いたいのです。
○内田政府委員 それは結局外交官として海外に勤務するという特殊の地位からくる一つの基本的な給与ではないか、こういう意味で申し上げておるわけでございます。
○受田委員 海外に勤務することによる特殊な任務、それはどういうことでございますか。
○内田政府委員 外交官として、衣食住はもちろんでございますが、体面あるいはその任務の遂行上必要なる給与、こういう考え方でございます。 ただし、先ほど来申し上げておりますように、手当的な考え方がこの中に入っているのではないかということを全然否定しておるつもりはございませんから、その点は御了承いただきたいと思います。
○受田委員 どちらにウェートが置かれるんですか。つまり俸給の要素が基本で、それに手当の性格も多少含まれておる、こう見るわけですが。
○内田政府委員 われわれの検討いたしました結果は、大体そういう考え方でございます。
○受田委員 そうしますと、外務省だけがそういう特権を確保しておられるわけですが、これは一般の給与政策上考えなければならぬ問題が起きてきた。外国に勤務する者には、俸給と同じ性格を持つ給与が出る、こういうことになる。国内であれば、それはできない。こういう原則論が確立するわけですが、さよう心得てよろしゅうございますか。
○内田政府委員 ちょっと私ただいまの質問の趣旨がよく理解いたしかねますが、要するに、海外において外交官として勤務するその事実に付着した基本的な給与という観念が、在勤俸の中にあるのではないかというふうに考えるわけでございます。
○受田委員 国内において特殊勤務を担当する人々に対する手当が出たり、あるいは勤務地によって手当が出たりする者にはそういうものがない、かようにあなたはお考えですか。
○内田政府委員 それが特殊な場合に、いわゆる手当として出されるのではないかと思います。
○受田委員 特殊の勤務をする職種がありますね。そういう職種に対して特殊勤務手当がついている。それは俸給の要素が全然ない、手当でいいというあなたの解釈。ただ外国に勤務しているがゆえに、あなたがおっしゃった外交官としての品位を保つためにというようなことは私はどうも納得できない。外交官は国内におっても大使、公使の任を持っている。それは外交官としての品位を保つ必要はないのか。国内においてアメリカの大使と向うに行っておった大使が戻って打ち合せをするような場合がある。そういう場合に国内では大公使は外交官としての品位を保つ必要はないかということが起るわけですが、これはどうですか。外国に勤務をするということでそれを俸給と認める、国内であれば認めない。つまり地域が国外である場合にだけ起る問題で、そのほかには起り得ない問題だ、かようにあなたは見解を持っておられるわけですか。
○内田政府委員 私俸給を専門的に研究したわけではございませんので、ただいまの国内のいろいろなものとの比較でどう考えるかというふうに御質問を受けましても、それに対して自信を持ってお答えする勇気がないのでございますが、ただいま繰り返し申し上げておりますように、これは外交官というものの日本だけの問題ではないと私は思うのでございまして、大体外国において外交官としてやって参る以上は、一つのある特殊な地位を国際的にも認められておりますし、それ相応の、それに付随と申しますか、それと密着した形においての体面維持、体面維持とか品位とかいうと、はなはだ古い表現のようですが、一応外交官というものがこうあるべきだという一つの概念からくる俸給給与というものがあってしかるべきではないか。またそういう考え方で大体一つの国際的な通念も出ているのじゃないか。たとえば今われわれがきめております在勤俸というものを世界の各国の例と比べまして——これは非常に比較がむずかしいのでございまし、国によりまして住宅手当とかいらいろな形の制度をとっておる国もありますから、正確な意味の比較というものは非常に困難でございますが、大体中くらいの給与ということになっております。そういうことから見まして、やはり外交官というものが外国で働いている場合の国際的な相場と申しますか、そういうものを観念して私どもはやはり外交官に密着した一つの給与というふうに考えていいのではないか、こういうふうに考えておるわけであります。
○受田委員 国内でありましたら、そうした品位を保つためとか、あるいは管理監督の地位にある人々のために管理職手当というものがある。これは品位を保持するという要素も入っているわけです。そういうような手当でやはり本俸以外に別に出ておる。それは国外であれば、そういう要素の分は手当として考えて在勤手当というふうに変えて、大公使、外交官としての俸給と、それから俸給以外の手当というものをはっきり区別してもあなたの方としては決してそのために外交上の威信が落ちるというわけはないと思うのです。どうでしょう。
○内田政府委員 それは名称を変えるだけで、別に実質的には差しつかえは——私は変えるだけのことならば、それがいかぬということを申すつもりはございません。しかし実質が同じであるものをことさらに法律改正をして在勤手当となおさなければならぬとも考えておらぬわけでございます。
○受田委員 これは外務省がそういう見解で、田付さんがせっかく考えて、これでやらなければいかぬと言われたのが、今そういうふうに元へ戻って固執されることであるならば、これはまた別の機会に意見の開陳をしてやっていかなければならぬし、そしてあなたの前任者はその点について、これはずいぶん考えなければならぬ問題だということで適切な措置をここでお約束されておるのだが、それもできておらぬということになると、国会に対する御発言がそのときどきによって違う。この前はそれは必要ないのだとおっしゃっておられないですから、これはけっこうだということでないのですから、これはいたずらに時間をかけますので私はおきますが、その意味でもう一つこれを解剖して各国の金額が出ておるのですが、これに対する基準を、あなたの方で外務省令で出されたものがあると思うのです。為替相場等によって、いろいろな状況によって出された外務省令があるはずです。外務人事審議会等できめられた基準をちょっと見せてくれませんか。
○内田政府委員 法律できまっております。
○受田委員 法律できめた方でなくて、各国のそれぞれの為替相場、その土地の物価等を基準にしたものがありましたでしょう。あれを一ついただきたい。 今回の改正案の中の二段目に、イラク、レバノン、ポルトガルと並んで追加されておるわけですが、これは大使、公使いずれの基準でございますか、お答え願いたい。
○内田政府委員 大使、公使の名前の変化によりまして在勤俸は変らないという考え方でございます。従来通りでございます。
○受田委員 そうしますと、基準が変らないということになると、これは公使でも最上まで行けるようにしてありますか。
○内田政府委員 それは大使になりますと、大使の一番上のところまで行ける道は開かれる。その意味においては差がございますが、この地域差の基礎は変らないわけでございます。
○受田委員 私は今法律案の「別表大使館の項中ニュー・ジーランド」の次に掲げてある第二段を示しておるわけです。
○吉田(健三)政府委員 私からお答えいたします。在勤俸の方は、大使というのは認証官で、公使も認証官でございますが、大使の在勤俸は一本でございます。従いまして、大使になられた方は、その地域につきましては同じ在勤俸であります。それから大使館に、特別の交渉をしたりするために補佐をする公使がやはり認証官として配置されることもあります。その場合には、公使の在勤俸をもらうわけであります。これも一本でございます。ただし、大使と公使それぞれの認証官には、先ほどから問題になっております本俸でございますが、これは一号俸からずっとわかれておりまして、その勤務年数とか、経験、学識に応じまして本俸は区別されております。
○受田委員 そうすると大公使には段階もあるわけなんですか、それによって基準が違ってくるわけですか。この表は大使としての一率の段階でやると見てもいいわけですね。
○吉田(健三)政府委員 その通りでございます。
○受田委員 その土地の在勤俸をどうきめるかの地域差の表ですが、これはあなたの方としては、非常に精密な基礎に立っておると思うのですけれども、その基礎になっている各国の物価指数とか、あるいは為替レートとかの総合的な表はないわけですか。
○吉田(健三)政府委員 この在勤俸の基準をきめて参りますときには、まず国連の統計で、国連が各国にいろいろな機関を出しておりますが、その俸給表があるわけでございますが、各国の物価表等が出ております。そういうものも勘案し、それからアメリカその他の大きな国の、各国に長い間の経験で出した比率がございますので、そういう数字を勘案いたしましてきめておる次第でございます。
○受田委員 私がここで指摘したいことは、外務省におったのでは大した利益が上らぬが、外国へ行くと相当もうかるのだ、すなわち在勤俸が出て、これは本人にちゃんと割り当ててある金であるから、適当に節約をして、外交官としての品位を保つことを十分やらないで、けちな外交官などが相当かせいで戻る、こういうことなんです。そのために外交官の品位を始終傷つけておる。つまり与えられた、特にアメリカなら一万八千ドルというような手当を半分もごそっとポケットに入れて戻ってこようとすればできる。これはあなた方が勤務評定をされるのに外国まで一々行くわけにいかぬと思うが、外国では評判になっておるわけです。われわれ外国を旅行したときに、どうも評判がよくないのはけちな外交官です。これは適当に節約しようとすればできるものでないか。御答弁願います。
○内田政府委員 これは多数出ております者の中に、そういう人が絶無であるということを申し上げる自信はございませんが、しかし、ただいま受田委員もおっしゃいますように、そういうけちな態度をしておりますれば、自然にいろんな評判にもなりますし、東京にも聞えて参りますので、そういう方から判断いたしますと、そう数が多いということはないのではないか。例外的にそういう人もおるかもしれませんが、しかし、それは勤務評定という言葉が正しいかどうか存じませんが、やはり自然にその人の将来にも関係して参るということではないかと存じます。
○受田委員 その評判の聞えるのを待って処断されるのもなかなかむずかしいことだし、これをどういうふうに使っているかを一々監視するわけにいかない。相当多額の、本俸の何倍かの金になってくるわけですから、外務省のお役人が外国勤務になると非常に喜ぶのは、この在勤俸の差し繰り、へそくりを作れるのだというところにもある。つまり外務省の本省におれば貧乏しておるが、外国へ行けば穴埋めができるのだという評判は、社会通念になって世に多く知られているわけです。これをあなた方として払拭するためには、在勤俸の取扱いをよほど慎重にしなければならぬ。また本人の勤務評定を常に厳重にしていただかなければいかぬと思うのです。外交官の勤務評定は外務本省でなさっておると思いますが、どういう形でしておられますか。
○竹内(俊)政府委員 一般館員の勤務評定は、もちろん公館長の責任においてそれぞれの形式によってやっているわけでありますが、今お尋ねになった件は、おそらく公館長級のことだろうと思います。それは結局大臣、次官等のところで総合的に判断するという方法で、勤務評定と申しますか、人物、能率全体を見るということをやっている次第であります。今お尋ねのあった、たとえばそういう在勤俸を、やはり品位を保つために、適当に使わないでへそくりを持ってくるというようなことがあるとすれば、そういうことは今官房長が申し上げました通り、本人の将来に関して影響するところがもちろんあるのでありますが、だれがどのくらい一体へそくりを持ってきたかという調査は、なかなか困難だと思います。そういうことはおのずから出てきてわかる問題だと思います。
○受田委員 一時になりますからこれで質問を終りますが、外務省の在外公館にいる勤務者、従業員に対しては、よほど監視を厳重にされないと、地域の居留民などからも非難を受けることになる。その点については、館員の勤務評定は、もちろん在外公館長がやっておられる。そういうものについて適当に調べてみられたことなどもあるわけですか。そして人数が少いから、そこでぐるになって悪いことをしようとすれば、やはりできるわけなんです。公館長をはさんで、みんなで少し節約をしてけちにやって、少しへそくりを持って帰ろうじゃないかと相談すればできるわけなんです。事実われわれは、公館の中にそういうものはないかという疑いを持たれたようなことも時折伺っておるわけです。 もう一つは、そういう在外公館の中に派閥があって、館長閥とそうでない者との間に相剋が起っておる、こういうようなこともあなた方は聞いておるかどうか。在外公館の勤務公務員に対する監視、監督は、一般の者を含めて総合的にやっておるかどうか、これを一つ伺いたい。
○竹内(俊)政府委員 一般館員に対しりては、公館長の責任においてやっておることでありますが、また館全体がそういうことを申し合せてそういうことをやるとはわれわれ毛頭考えていないのでありまして、それはその人たちの人格を信頼して、特に外国に駐在する場合には、相当人を選んでやっておりますから、そういうことはないと確信をしております。またそういったあるかないかの問題等を、それだけに限りませんが、公館全体の能率、あるいはやり方については、特別に査察使を派遣して調査をするという方法もとっております。十分とは申しがたいかもしれませんが、できるだけの努力をして、それらの状態を把握すべくやっておりますことは事実であります。
○受田委員 終ります。
○櫻内委員長 本日は、これにて散会いたします。 午後零時五十七分散会