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31回国会衆議院1959/04/27

外務委員会 第18号

発言数
142
登壇者
11
会派数
2
開催日
1959/04/27

会議録

櫻内義雄自由民主党

○櫻内委員長 これより会議を開きます。  閉会中審査に関する件についてお諮りいたします。本委員会といたしましては今国会が閉会になりましても、国際情勢に関する件について審査いたしたいと存じますので、この旨議長に申し出たいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

櫻内義雄自由民主党

○櫻内委員長 御異議なければさよう決定いたしました。  なお、閉会中委員を派遣し、実情を聴取する必要が生じました場合におきましては、その人選、派遣地、日数につきましては委員長に御一任いただきたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

櫻内義雄自由民主党

○櫻内委員長 御異議なければさよう取り計らいます。     —————————————

櫻内義雄自由民主党

○櫻内委員長 請願の審査を行います。本委員会に付託せられました請願は本日の請願日程に掲載いたしました通り二十六件であります。  この際、本日の請願日程中第九、第一〇及び第一五ないし第二六を一括議題といたします。同趣旨でありますので、日程第九、第一五についてその趣旨説明を専門員より聴取いたします。佐藤専門員。

佐藤敏人専門員

○佐藤専門員 在日朝鮮人帰国に関する請願(第五一〇号)、請願者東京都新宿区信濃町二十五番地在日本朝鮮人総連合会中央帰国対策委員会委員長李季白、紹介議員岩本信行君外十七名。本請願の要旨、在日朝鮮人六十万の内、最近生活の窮乏著しく、その日の生計はもちろん、子弟の教育もできないほどの状態に陥っているものが多く、従って朝鮮に帰りたいという要望が日増しに高まってきている。ついては、在日朝鮮人総連合会は特に帰国対策委員会を設けて努力をしているから、在日朝鮮人の朝鮮帰国がすみやかに実施できるよう措置されたいというのであります。それから日韓漁業問題解決に関する請願(第九一九号)請願者東京都千代田区神田佐久間町三丁目三十七番地全国水産製品協会理事長小谷権六紹介議員小林絹治君。本請願の要旨は、韓国が一方的に不法な李ラインを設定し、日本漁船を拿捕抑留していることは憤激にたえないところであり、日本水産業界としてはあらゆる手段を尽してこの解決に当っているが、今なお抑留船員全部の送還さえ見ない状態で、政府は過般来日韓会談の外交交渉によって難局打開に努めているが、きわめて難航しているとのことであり遺憾である。ついては、この際漁業協定の締結、公海における安全操業の確保、抑留漁船、船員の送還について、強硬なる態度をもって交渉に当り万全を期せられたいというのであります。

櫻内義雄自由民主党

○櫻内委員長 本件につき質疑の通告がありますので、これを許します。岩本信行君。

岩本信行自由民主党

○岩本委員 ただいま議題になっております請願と同趣旨の陳情書も何百通と出ておると思うわけであります。要するに在日朝鮮人の帰国問題は全国民的な支援、超党派的な支援、すなわち日本人全体が賛意を表している問題でございまして、政府もこの問題については積極的な御尽力があるわけでありますけれども、ただいまジュネーブにおいて日本赤十字と国際委、朝鮮赤十字、こうした間にいろいろないきさつがあるようでございますが、ただいまのほんとうの真相はどういう程度に進んでおるのか、そうしてまた請願、陳情書にありますように早期解決の見通しがあるかどうか、この点についてまずお尋ねをしたい。

板垣修外務事務官(アジア局長)

○板垣政府委員 御承知のように北鮮帰還問題につきましては、日本側といたしましては現場において国際赤十字を入れて北鮮側と話をしたいという希望で、しばしば北鮮側に申し入れをしていたわけでありますが、まず北鮮側がジュネーブに出てくることが問題であったわけであります。この点につきましては幸い北鮮側が条件付でありましたがジュネーブに出て参りまして、会談が始まった次第でございます。  先週の金曜日までで正式会談が六回開かれておりまして、現在までの情勢におきましては、当初北鮮の赤十字側は、いわゆる意思の確認というものはやる必要がないんじゃないかという点、それから国際赤十字の介入は必要ないのじゃないか、主としてこの二点を相当強く主張しておりました。これに対しまして日赤側からいわゆる意思の確認ということが、北鮮側が心配しているような六十万人を一人々々審査区別するという意味の意思の確認ではないのだということを詳細に何回も説明しまして、この点は御承知のように向う側は完全に了解したようでございます。従って日赤側と北鮮側との話し合いは当初危惧されたよりは楽観すべき状態になったわけでありまするが、まだ問題点として残っておりまするのは、相当基本的な面が残っておるわけでありまして、第一には国際赤十字を必ずしも絶対に排除しないというところまでは北鮮側は了解したようでありますが、その介入の程度につきましては、まだこれから相当話し合いをしなくちゃいけないという点がございます。北鮮側としては、現在のところやはり国際赤十字は実際の実務には全然タッチしないように希望しておるようであります。  それから第二点といたしましては、御承知のように帰還者のリストにつきまして朝鮮総連合で作りましたリストをそのまま認めよということを強く主張しておるようであります。  この二点とも日本側といたしましてはそのまま北鮮側の言う通りには認め得ない点がございますので、この点につきましてまた明日第七回の会談が行われますので、なお日本側から十分北鮮側に実情を説明いたしまして、北鮮側の了解を得るように努力をいたしたいと存じております。しかしながら私どもがジュネーブの代表から受け取ります電報から全体を判断いたしますと、そう悲観すべき状態でなくて、時間はかかるかもしれませんけれども、結局話し合いがつくのじゃないかというふうな印象を受けております。

岩本信行自由民主党

○岩本委員 経過を承わりましたが、国際委の介入と申しますか、あっせんと申しますか、日本側の考えておりますあっせんということは、あくまで必要だろうと私ども考えております。そこで今の御答弁によると絶望ではない、こういうことでけっこうでございますが、これはきょうの請願を採択することになろうと存ずるのでありますが、粘り強く、簡単に切り上げないであくまで解決、こういうことで御尽力をわずらわしたい。かつその後の経過については時あるごとに一つ御報告を極力努めていただきたいと思います。

板垣修外務事務官(アジア局長)

○板垣政府委員 御趣旨の通りいたします。

櫻内義雄自由民主党

○櫻内委員長 戸叶里子君。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 請願を委員会で採択する以上は、やはりそれが実現するような努力を払わなければならないと思うわけでございますが、今の北鮮へ帰還したい人の問題につきましては、御答弁がありまして私も大体了承いたしましたけれども、何か数日前に北鮮から新しい提案といいますか、新しいといいますよりもこういうふうな形で帰還を促進してほしいというような申し入れがあったやに新聞で見ておりますけれども、この点はどうなっておりますか。

板垣修外務事務官(アジア局長)

○板垣政府委員 北鮮側の特に新しい提案ということでもないと存じますが、要するに北鮮側の基本的な主張から出て参ります案といたしまして、やはり朝鮮総連合をこの帰国実務に関与させて、名簿などについても必ずしも総連の作ったリストをそのまま認めようというわけでもない。幾分日赤で受け付ける面も認めておるようであります。この点はまだはっきりしておりませんが、いずれにしても総連で作りました十一万七千名というもののリストを主体にして帰国をやったらいいのではないかということが主眼のようであります。その他こまかい、たとえば持ち帰り金の問題とか持ち帰り財産の問題、その点についてはわれわれとしてはまだ審議する段階になっておりません。基本的な問題を片づけましてそういう点について話し合いをしたいと思っております。こういう点につきましては、そういう段階に入れば十分話し合いがつくものと考えております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 今度の問題は、国民みんながやはり帰して上げたいというふうな気持を持っておりますから、案外うまく行くとは思いますけれども、私どもの憂えますことは、韓国側の方のPRが非常にきいているというふうに聞いているわけでございまして、やはり日本側としても国民の意向が帰して上げたいというふうであるということを、もう少しいろいろな形においてジュネーブでPRする必要があるのではないかと思いますが、こういう点について何らか御努力されているでしょうか。

板垣修外務事務官(アジア局長)

○板垣政府委員 この問題につきましては、本件を決定いたしました以後におきまして、相当世界的に広範にわたりましてPRをやっております。現在特にジュネーブにおきましては、日赤の代表団が国際赤十字委員会等関係の向きには十分説明、PRをいたしております。現在の段階におきましてこれ以上日本の主張というものを特に積極的にPRする必要はないかと存じておりますが、随時必要に応じましてPRは現に継続はいたしておりますが、さらに強化することも考えてよろしいかと存じます。いずれにいたしましても日本政府といたしましては、日本側の考えておりますような方式でこれを実行し得るならば、あくまで実行したいと考えておりますし、この点につきまして日本政府が方針を変えるということはない次第であります。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 今おっしゃるところによりますと、PRも十分しているということでございますけれども、私どもの聞く範囲においては、韓国側の方が非常にPRが行き届いているということも聞いているわけで、この点もなお努力中ということでございますので了承いたしまして、なるべく早くこれが解決できるようになお一そうの御努力を願いたいと存じます。  それから韓国に抑留されている漁夫の方の問題でございますが、先ごろお二人の留守家族の方がジュネーブに行かれまして、大へんにいい結果を生んだというようなことを新聞で拝見したわけでございますけれども、その後国際赤十字でどんな手を打たれているか、この点を伺いたいと思います。

板垣修外務事務官(アジア局長)

○板垣政府委員 留守家族代表が行きます前も、この問題につきましてはジュネーブにおります日本側代表が十分国際赤十字に説明をし、この問題の本質、緊急性につきましては国際赤十字委員会は十分納得したものと私どもは報告によって了承いたしております。その後ただいまお話のありました留守家族代表が行きまして非常な効果を上げたということも、私どもは報告に接しております。それに基きまして国際赤十字委員会も早急に何らかの措置をとるように決定したと考えておりまするが、またいろいろと国際赤十字で考えておるんじゃないかという情報は、われわれも持っておりますが、この点は現在の段階におきまして、国際赤十字委員会のやっておること、あるいはやらんとしておることについて過早に動きますることは、この主体になりまする国際赤十字の行動を制約することになりますので、私どもはもう少ししんぼうして、国際赤十字の行動を見守っておるという状況でございます。この点につきましては多少いろいろな北鮮帰還問題と事実上かかわり合いもありますので、時間は多少かかるかもしれませんが、私どもは本質的にはこの問題につきましては心配をいたしておりません。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 国際赤十字の方でも非常に好意的な立場に出てこられたときでもございますので、さらに一歩日本側から前進させる意味におきまして、国際赤十字の了解のもとに何か日本から正式の使節団でも送って、そうして一歩前進させるようなお考えまでいっておられませんか、どうでしょうか。

板垣修外務事務官(アジア局長)

○板垣政府委員 この問題につきましては、政府としてもこれを積極的に取り上げておりますので、ジュネーブにおりまする日本政府の代表にも随時国際赤十字委員会と接触方を訓令しておりますが、これ以上あらためて東京から促進のための使節団を出すことがいいかどうか、この点は時期などもにらみ合せ、また受け取る側の国際赤十字委員会の関係ともにらみ合せて決定をいたしたいと思いまするが、ただいまのところその必要はないように考えております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 韓国側から日韓会談の申し入れがあったやに伺っておりますけれども、そういうことがあったかどうか。そうしてもしもあったといたしましたならば、大体いつごろおやりになるか。そうしてそのときに、もちろん国際赤十字で話題になった今度の帰還問題を取り上げて、なお一そう帰してほしいというような要望を強く述べられると思いますけれども、この点についての内容をちょっと伺いたいと思います。

板垣修外務事務官(アジア局長)

○板垣政府委員 この北鮮帰還問題が起りましてから、日本政府としましてはこの問題はこの問題として、別に本来の日韓会談そのものはできるだけ早く再開したいということにつきましては、外務大臣からもまたわれわれからもしばしば韓国側に申し入れておる次第でございます。これに対しまして韓国側は、また別に早く日韓会談を開けということをしばしば申し入れてきております。この意図が何であるかという点につきましては問題があるわけでございまして、韓国側は無条件と称しておりますが、向うの言説から判断いたしますと、結局ジュネーブにおける北鮮帰還問題をやめて、そのすべてを日韓会談の議題に乗せろということのようでございます。そういたしますとこれはわれわれの趣旨と違いますので、そういう意味での日韓会談は開けない。われわれとしましてはいつでも日韓会談を開くつもりでありますけれども、この個人の帰還先というような意思の自由が別問題ならば、いつでも開くという立場で応酬しております。本日また柳大使が外務省に来るようでありますが、そういう趣旨で交渉をしておるわけであります。日本側といたしましては、こういう人道問題を別にするならば日韓会談はいつでも開くという態度で臨んでおります。従って漁夫の問題につきましても、もし韓国側がこの問題と切り離して、人道問題として日韓間で話し合いをするというならば、われわれは何も拒否する理由はございません。しかしながらこの点は、どうも大村におる不法入国者の問題と引きかえになるおそれもありますので、この点につきましては相当条件をはっきりいたしまして会談を開きませんと、また事態が非常に複雑になりますので、この点につきましては会談を開くにいたしましても、十分韓国側の意図を確かめてから開きたいと考えております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 今おっしゃったことは非常に重大なことだと思います。北鮮帰還問題がだんだん解決しようとしておるときに、日韓会談を開いたためにうまくいかなかったということになると、これはたいへんだと思いますから、その点はやはり十分考慮しておいていただきたいと思います。  きょうは厚生省関係の方がおいでにならないのであるいはおわかりにならないかもしれませんが、先ごろからたびたび政府自身が、留守家族の方々に対しては今までよりも援護をもっと手厚くするというようなことは、言われておるようでございますけれども、具体的にどの程度援護をやられているか、もしおわかりになったらお聞かせいただきたいと思います。といいますのは、この請願を採択する以上は、やはりそうした問題も含めて採択していきたいと思いますので、この点をもう一度確かめてみたいと思います。

板垣修外務事務官(アジア局長)

○板垣政府委員 釜山における日本人漁夫の留守家族の問題につきましては、これは水産庁で検討いたしておりますが、私どももこの問題が起りました当時、水産庁とも相談いたしまして、もしいろいろな事情から釜山における日本人漁夫の抑留が非常に不当に長引くというような状況になりますれば、やはりこの留守家族の援護強化あるいは差し入れ費用の問題等につきまして、現状よりもう一段強化する必要があるということで検討いたしておりますが、その点につきましてまだ具体的に措置をとる段階には至っていないのじゃないかと私どもは想像いたしております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 外務省にも関係のおありのことでございますから、なお一そうそのことを実現するようにお話になっておいていただきたい、これを要望いたします。

櫻内義雄自由民主党

○櫻内委員長 これより各請願について採否の決定を行います。本日議題といたしました各請願は、その趣旨が妥当と認められますので、これら各請願は、いずれも議院の会議に付して、採択の上、内閣に送付すべきものと決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

櫻内義雄自由民主党

○櫻内委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  なおただいま審査いたしました各請願の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

櫻内義雄自由民主党

○櫻内委員長 御異議なしと認めます。よってさよう取り計らいます。  なお本日までに本委員会に参考送付せられました陳情書は六十五件でございます。御報告いたします。     —————————————

櫻内義雄自由民主党

○櫻内委員長 これより国際情勢について調査を進めます。質疑の通告がありますので、順次これを許します。森島守人君。

森島守人日本社会党

○森島委員 私は簡単に英国との間で結ばれました動力協定の問題について御質問したいと思います。この問題につきましては、それぞれ委員会において専門的な立場から質問、討議がなされたのでございますが、質問の大体の要点、安全性と経済性のいかんということが中心になっておったと思います。私たちもその当時から、何ゆえに安全性や経済性について政府として確たる見通しがないにもかかわらず、それを取り急いで結ばなければならぬかという点について疑問を持っておったのでありますが、その点につきましてまだ私たちの疑問を解明するに至っておりません。ところで私が最近入手しました確実なる情報によりますと、政府は原子炉の買い入れとサケ、マスのカン詰百万ポンドの増額とを引きかえに動力協定を結んで、そうしてコールダーホール型の原子炉を買い取るという方針を決定しておるということは、私はほぼ確実と思われるのでございますが、この点について外務大臣の御所見を承わりたいと思います。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 日英貿易協定、ことにサケ、マスのカン詰と原子炉購入とは全然関係がないことは当然でありまして、どういう原子炉を買うかということは、原子力委員会が十分検討の上きめられることでありまして、そういう点を考慮に置かないで、何か安全性、経済性というようなものを無視してこれを関連させるということはございません。

森島守人日本社会党

○森島委員 私もう一度確かめたいのですが、確かに関連性がございませんと断言できますか。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 直接の関係は何もございません。むろん日本がイギリスから何かよけい物を買いますれば、こちらも売る物が有利になるということは一般的には言えます。しかし、こういう非常に危険なもの——危険でもないのかもしれませんけれども、こういうものの安全性、それをただ貿易協定のために無視して買う、これは全く原子力委員会の決定することでありまして、われわれにはこのコールダーホールがいいとか悪いとか決定できる知識もございませんし、権能もございません。従って直接の関係は何もございません。

森島守人日本社会党

○森島委員 それでは、私ここに外務省の電報の写しを写真版でとってありますので、これを読み上げてみます。これは昭和三十三年の四月八日に東京に到着しました中川臨時代理大使発藤山外務大臣あての第二百十一号という電報の写しであります。これによりますと、「往電第百八十七号に関し、三日、パーシバルの求めにより往訪したところ、(松村、レヴィン同席)原子炉とサケカンについての書簡案は日本側申し入れ通り受諾するが、」云々ということが先にあります。この書簡案なるものは、百万ポンドのサケ、マスのカン詰を増額して買ってほしいということと原子炉の買い入れの関係について直接の関連性があると私は断定しておるのでございますが、この点についてはいかがお考えになりますか。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 むろん、この貿易協定をやります場合に、いろいろな話し合いがあったことは事実だと思います。しかし、それ自身が直接の関連を持って、そうして必ず買うから売るのだというような意味での約束をしたことはないのでありまして、できるだけイギリスの物を買うのがいいのだという立場においては、それはいろいろ話は申したかもしれませんけれども、直接の関連はございません。

森島守人日本社会党

○森島委員 それなら、この電報中に引いてある書簡案なるものはおそらく往電第百八十七号というものを見ればはっきりすると私は思います。書簡案を御提出願えますか。この往電第百八十七号というものの中には、書簡案のことを明記してあるにきまっておるというふうに判断するのでございます。この資料を当委員会にお出し願いたい。委員長に善処を求めたいと思いますが、あらかじめこの辺に関する外務大臣の御所見を伺いたい。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、イギリスと貿易協定をする場合に、サケ、マスのカン詰も売らなければならぬし、なおいろいろなものを売らなければならぬという立場もありますし、従って向うからできるだけ物を買う、向う側もまた買ってもらいたい。当時、原子炉を買うという問題で、イギリスもアメリカも競争をしておったような点もございます。従ってそういう意味で、向う側に対して、ある場合にはそういう程度の話をしたこともあろうかと思いますけれども、今日やっております協定にそういうものが直接の関連を持っていることはございません。

櫻内義雄自由民主党

○櫻内委員長 資料のことは手配をいたします。

森島守人日本社会党

○森島委員 それではもう一つお聞きしたいのでございますが、私はそのほかの資料から見ましても、コールダーホール型の原子炉買い入れの前提として交渉を進めておったという節もうかがわれますし、またどうしても、サケ、マスの百万ポンドの増加ということを条件として、コールダーホール型を輸入することに応諾を与えたということは、私の調べた限りでは、厳として動かされ得ないものと思われるのでございます。  この点についてもう一つ電報を引用いたしますと、これは昭和三十二年の二月十九日に東京に着いておる電報です。第七十二号。これは、やはり中川臨時代理大使から藤山外相あてになっております。この中にも、大体同趣旨とうかがわれることがあるのでございますが、パーシバルの言として、「今回は日本側が別に百万ポンドのサケカンを獲得しており、しかもこれに対する日本のコンセッションはきわめてばく然としておる、原子炉輸入の第一回支払いはおそらく今年度内には不可能かもしれず、従って比率を考える場合には、サケカン詰のコンセッションもある程度考慮に入れることが必要である」と言っておりまするし、やはり三十二年の二月十九日付の中川代理大使から外務大臣あての電報で、最終的には英国から原子炉を買い入れるものであるとの含みで適宜交渉に利用して異存なきやとて回訓を求めてきております。そういたしますと、藤山外務大臣は貿易協定と原子炉の買い入れとは全然関係がないということを当初私にはっきりお答えになりましたが、これを見ますと、非常に日本の国民に対して不安を与え、万が一不幸が発生した場合には非常な大損害をこうむるおそれのあるコールダーホール型の原子炉を、単にサケ、マス百万ポンドと引きかえにしたということは動かされない事実だと私は思う。この点に関しまして、再度御意見がありましたら伺いたい。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 むろん森島さんも外務省においでになりましたので御承知と思いますが、こういう交渉をやります場合に、現地の人が、いろいろ希望的な観測をし、あるいは将来原子炉をイギリスから買い得るチャンスもあるのではないかということを考えてすることは、それはあり得ると思います。しかしこの協定自身が、原子炉と引きかえっこにやったという協定では全然ないことは当然のことでありまして、この原子炉を買うか買わないかということは、外務省が判断すべきではないのでありまして、原子力委員会が公正な立場から判断するのでありますから、外務省が買うと言ったって、原子力委員会が買わないと言えばそれまでのことでありまして、そういうものが、直接の関連でされるということはあり得ないのであります。

森島守人日本社会党

○森島委員 私が疑問に思うのは、このころ、原子炉の買い入れの交渉と並行して貿易協定が行われた。また河野経済企画庁長官が三十二年の十月ごろにジュネーブにガットの会議の代表として行かれましたが、この際にもたくさんの随員がむろん行っております。帰り道にロンドンに寄られたことも事実なのでございまして、私は、藤山さんは外務省がきめることはないと、こうおっしゃいますけれども、何らか政治的な取引でもあったのではないかという印象を深くせざるを得ない。私は、この点について、今の原子力協定と貿易協定とが相関関係にある、とこう判断しておるのでございますが、この点については、やはり依然として否認するという態度をお続けになりますかいなか、私この点も再度お伺いいたします。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 御承知のように、イギリスからコールダーホールを買うというのは、石川原子力委員がジュネーブの会議に行かれたあと帰ってきて、あれがいいのだということを言われたように思っております。従って当時アメリカから買うよりもコールダーホールを買いたいという気持が相当よけいあったと思います。その後さらに研究をすることになったのでありまして、従って今日ようやくコールダーホールを買うという結論に原子力委員会が達しておられるように私ども聞いておりますけれども、当時まだそういう不確定のものであります。ただ交渉に当りまして、貿易拡大その他について、できればイギリスからも買う必要があるのじゃないか、そういうものも将来あるのだろうということは、これは交渉上あり得た。全然ないとは私も申しません。しかしこの日英貿易協定とそれから原子炉を買う、原子力協定は別であります。一般協定でありますから——ということとが直接の関連を持っておるとは私考えておりませんし、また外務省がそういう冒険な取引をすることもできないわけであります。

森島守人日本社会党

○森島委員 私は別に貿易協定自体と原子炉の買い入れ自体とが直接関連を持っておるとは申し上げない。私はサケ、マスのカン詰百万ポンドを買ってもらうということとコールダーホール型の原子炉を買い入れるということ、この二つがバーゲンに使われたということは、私の持っておる資料からいたしますと、これは動かすべからざる事実でございまして、原子力協定の調印の責任者であるあなたとしても、日本国民全体に非常な災害を及ぼすおそれのある原子炉の買い入れについて、さらに国民的立場から慎重なる考慮を払われてしかるべきだ、私はこう存じておるのでございます。あなたの外務大臣としての責任も、コールダーホール型の買い入れを前提として動力協定を結んだという点において非常に重要なものがある、こう私は信じておるのでございまして、いずれこの問題につきましてはいろいろ問題がございますので、決算委員会その他においてお取り上げを願うことになるかもしれません。私も再度またこの問題について発言する権利を留保して、きょうはこの程度でやめておきます。  次に、日中関係についてお聞きしたいのですが、政府は、選挙中を通じましても政治と経済とは切り離してこなければ中共との話し合いには応ずることはできぬ、中国問題、中共問題の解決は困難だという立場をとっておられるのは御承知の通りであります。政治と経済とを切り離すという趣旨はどういうところにあるのでございますか、もっと具体的に御説明を願いたいと思います。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 今日貿易を再開するからすぐ安保条約を廃棄するとか、あるいは日華条約を廃棄するとか、あるいは中共を承認するとか、そういう問題と同時に経済貿易の再開をやるということには、われわれは再度申し上げておりますように反対なんでありまして、そういう立場においてこれはできないこと、申すまでもございません。従ってそういう意味では切り離すということが当然である、別個の話し合いにならなければならぬというふうに思います。

森島守人日本社会党

○森島委員 政府の態度ははっきりいたしましたが、私は昨年の十月ころ藤山さんにこの席で質問をしました。私の抱いておる印象、すなわち佐多君が持って帰った情報によりますと、必ずしも中共は今お話のありましたような安保条約の廃棄、あるいは日華条約の廃棄、あるいは中共の承認というものを求めてないと私は想像する節がある。その点につきましては多分藤山さんも新聞記者会見かあるいは参議院での質問のときに曾祢君から聞いた話だとして、中共の意向は政治、経済が一緒になるといっても、必ずしも今お話したような根本的な問題の解決をはかるところに目標があるのだというふうには考えられないという趣旨の御答弁をされておりますが、この点についてはどういうお考えを持っておられますか。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 社会党の訪中使節団が行かれましたときの当時の考え方からいえば、政治と経済とは全然切り離せないんだ、しかも帰ってこられた直後のわれわれの受けた印象からいいますれば、通商貿易の話をするならば、中共を承認するという前提のもとに来い、あるいは日華条約を廃棄するという前提のもとに来い、あるいは安保条約をやめることを前提として来いというような印象を受けたことは事実でございます。あるいはわれわれが新聞紙上で受けたそういう印象が間違っておったのかもしれませんけれども、われわれは、政治と経済を切り離せないという意味は、そういうふうに受けたわけであります。がしかし、この前も申し上げましたように、参議院における曾祢議員の御質問では、それは違うんだ、つまり一つの話をするときに、政治の話も貿易の話と一緒にする、しかしその話というのは、中共は承認できないんだという話でもいいんだ、あるいは安保条約は廃棄できないんだ、あるいは日華条約は今日本では廃棄できないんだという話でも、その話はやはり政治と経済の話を一緒にするという意味なんだということでありますれば、これは初期に社会党訪中使節団が帰ってこられたときの印象のように、政治と経済とは完全に一体だという印象とは若干違うと思うのです。そういう意味ならば、当時も参議院で私が答弁したように、適当な機会に自民党なり何なりの使節団なりによって、そういう点を確かめてみる必要もあるんじゃないかということを申しておるのであります。実はそういう意味で、社会党の訪中使節団の結果というものについては、これはそういうことは初めからなかったんだといわれるかもしれませんけれども、われわれの受けた印象は、初めはそういう意味であったように思います。若干解釈が変ってきておるように思っております。

森島守人日本社会党

○森島委員 今の御解釈は、しいて社会党の態度を曲解しておるものであります。私は昨年の七月二十幾日かと思いますが、中国の態度をもって三つの原則に帰着された佐多報告に関連しまして、外務大臣の意見を求めたのであります。そのときには、三原則と申しますと、敵視政策をとらぬ——敵視政策をとらぬということを徹底的に突き詰めてみますれば、安全保障条約の廃棄とならざるを得ないと私は理論上思うのです。しかし中国においてはその点についてはゆとりのある態度をとっております。必ずしも安全保障条約を廃棄しろという要求はまともに掲げておりません。  第二点の、二つの中国を認めるような政策をやめてほしいというようなことをいっていますが、これについても同様でございます。台湾政権との間に結ばれました日華平和条約を廃棄するということにならなければ、二つの中国を認める政策をやめるという政策が徹底しないわけであります。これも要求はしておりません。  第三の正常関係を阻害するような政策をとらぬでほしいということにつきましても、これはせんじ詰めていいますと、やはり中共承認ということにならざるを得ない。しかしこれについても中共を直ちに承認しろというような要求は掲げておりません。私は当時藤山外務大臣に慎重な考慮を求めるために、この三つの政策についてただいま申し述べましたような私の解釈を示して善処を求めたのでございますが、その点については、ただいま曾祢君の説明をもとにしまして藤山さんからお話のあった通りだと信じております。そこで私がもう一つ藤山さんに申し上げたことは、中国のほんとうの意図がどこにあるか、政府はいたずらに誤解だ、誤解だといって罪を全部中国に転嫁していますが、これはやめて、中国の真意が果してどこにあるかということを確かめるために、ジュネーブかモスクワ等において両国大使の間で非公式な話し合い——公式な会談でございません、非公式な話し合いをしてはどうかということを私が言ったことは、御記憶の通りだと思う。それに対しまして、現在いかなる具体的なお考えを持っておられるか、一応承わりたいと思います。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 御説明によりますと、そういうこと自体が私は政治と経済を切り離すということなんじゃないかと思うのです。政治と経済を切り離せないんだという御報告は、私はそういう今言ったようなことと違ったような意味の印象を実は受けたのであります。しかし今お話のようなことであれば、政治と経済を切り離して、通商だけの話はできるんだという意味だと思うので、政治と経済を切り離せないと強く言われることは、私は若干誤解を招くゆえんじゃないか、こう思うのです。そういう意味であるのでありますれば、私は参議院でも御答弁申し上げたように、適当な機会があればあるいは自由民主党あたりの使節団が行くことも一つの方法じゃないか、そういう点につきまして、われわれも今後考えていけるんだという感じがいたしておるわけであります。それをどういう時期にどういうふうにやるかという問題につきましては自由民主党の中にもすでに自由民主党の使節団を出したらいいだろうという議論もあるわけでございます。そういう状況でございますから、今後それらの問題について検討して参る、こういうふうに考えております。

森島守人日本社会党

○森島委員 ただいま私の申しましたことを前提といたしますれば、私は必ずしも中共を承認しろというところまでは行き得ない。私はやはり前向きの政策を日本がとって、これについては国連における中共の代表権というものをどうするか、いろいろ問題がございましょうが、要するに敵視政策の根源といわれている岸さんが態度を一変して、中共とは将来必ず正常な国交を開く時期が到来する、中共承認の問題もいずれ時期が解決するという趣旨のもとに、ことさら中共を敵視するような政策をとることをおやめになって、前向きの政策をとられることが必要だと思う。今外務大臣のお考えを聞きましたが、自民党の中ではまだ意見が調整されていないんですか、どうですか。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 自民党の中で特に意見が調整されてないという点はないと思います。自民党としてはやはりいろいろ問題がありますれば、議論をすることは当然でありましょうし、公党としての立場、メンバーとして当然議論はいたしますが、別段自民党の中でいろいろ不統一があるとは考えておりません。

森島守人日本社会党

○森島委員 不統一がないと言われるけれども、安全保障条約問題なんかについては、あなた一人先走って、自民党の中はてんやわんやじゃないですか。それを考えますと、中共の問題については、自民党内には従来特に台湾へ使節団として行かれた方もたくさんおられ、蒋介石政権を盛り立てようというふうな御意見もあるのであります。私は、外務大臣がここで公的な立場においてこれを否定されても、意見の調整はつけ得ないというのが現状だと思いますが、外務大臣としては、外務大臣としてのお立場からすれば、中共問題のごときはなるべく早く片づけて、そうして正常な国交関係とは申しませんが、事実上の国交関係でも回復するという方向に持っていかれるというのが、私は外務大臣としての責務である、こう信じているのでございます。いい時期が来たら何とかするんだ、こういうことでは私は職責を全うしたとは思われぬ。はっきりした考えを打ち出される時期がすでに来ておる。岸さんも私の質問に対しまして、昨年の七月ですよ、もう日中問題について非公式にでも意見を打診する時期はすでに来ているんじゃないかということを申しましたら、岸さんはこれを肯定しておる。それ以来もう十カ月もたっておりますが、これこそは静観々々といって拱手傍観、こう批評するほかない。私は、もっとはっきりした政策をお立てにならなければならぬと思う。それから、大使派遣の問題についても、藤山さんが新聞に御発表になった、これはどういうお考えなんでございますか。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 岸総理初め内閣においても、御承知のように今国会の初めにおきまして、本年度もしチャンスが来るならば、そういうチャンスをつかまえよう、そうして貿易の問題だけは少くとも片づけていこうということは申しておるのでありまして、決してないがしろにしておいたわけではない。ただ、今言ったような、それはお前の誤解だというようなお話でありましたけれども、何か政治と貿易とが切り離せないというような感じもいたしましたので、われわれとしては、そういう現状であればなかなか当分チャンスは来にくいのじゃないかという感じを持ったわけでありますが、その後今お話のような解釈になってきますと、また本年、先ほども申しましたようなことが考えられてくるということをわれわれは考えておるわけであります。むろん国家外交上の問題でありますから、適当な時期を選び、適当なチャンスをつかまえるということは当然なことでありまして、そういうチャンスがどういう時期に来るかということ自体、今申し上げにくいことは御了承いただきたいと思います。

森島守人日本社会党

○森島委員 相変らずの御答弁の繰り返しで、いつかいいチャンスが来るのだ、チャンスは外務省自身でお作りになるのじゃないか、その意味におきまして、私は中共の真意を打診するために非公式な話し合いをおやりになったらどうかということを十カ月前に申し上げておる。それ以来政府としては何らおやりにならなかったということは、中共の問題を軽視しておるとしか私は考えられない。もしお話をされるなら、非公式の話し合いはいつ何どきでもできるのです。非公式な話し合いですから。藤山さんが安全保障条約の問題で昨年二カ月しり切れトンボになったのと違って、いつおやめになっても差しつかえない。私は、即刻中共問題について非公式な話し合いをして、中共の真意を確かめて、この問題に善処されんことを希望してやまない次第であります。

櫻内義雄自由民主党

○櫻内委員長 菊池義郎君。

菊池義郎自由民主党

○菊池委員 先ほどから森島君は、日本が中共に敵視政策をとっておるということをしきりに言っておられますが、日本政府としては、中ソ友好同盟条約の中において日本と米国とを敵国扱いにしておる、この厳然たる文書を、これは全然敵視政策ではないとお考えになりますか、あるいは日本に対する敵視政策であるとお考えになりますか、どうでございましょう、この点を一つお伺いしてみたいと思います。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 中ソ友好同盟条約の中の軍事条項は、もちろん好ましいものではございませんし、表面のあの字句を考えてみますと、あるいは敵視政策という意味にもとれないことはないと思うのですが、しかし、将来われわれとしては貿易等のこともやって参りますので、そういう意味において事を荒立てる必要はないのじゃないかと現在考えております。

菊池義郎自由民主党

○菊池委員 貿易は貿易として、理屈は理屈で、向うの言い分に対してはこちらとしてもはっきりとした意見がなければならぬと思うのでございます。向うでもって日本を敵視政策というならば、日本としても向うのこういった問題をとらえて、敵視政策は中共から始まっているのだということをなぜ言い返すだけの信念と自信がないのか、これは私はなはだ不思議に思うのです。向うはそう言われたからそれでもって感情を害するような子供ではないわけです。百戦練磨の人々です。こういうことは堂々として応酬すべきであろうと思うのですが、どうお考えになりますか。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 むろん応酬すべき点があれば、われわれも応酬いたしておらぬわけではございません。しかしながらいろいろな意味におきまして、こういう問題につきまして、ただ単に機会がない場合にいたずらに声を大にするということだけではいけないのではないかと思っておるわけであります。決して御趣旨に沿わないような態度をとっておるわけではございません。

菊池義郎自由民主党

○菊池委員 チベットの反乱について、ダライ・ラマが言っていることと、それから中共の言っていることとまるで正反対になっておるのです。外務省に入っておりまする情報によって外務省が判断したところによると、どちらが正しいのでございましょうか。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 むろんこういう問題につきまして、私の立場から十分な材料がなくてどちらが正しいとか、正しくないとかいうような簡単な分け方をすることは適当ではないと思いますが、ただ現在の事情から申しますれば、やはり中共側が武力行使をしたということは適当なことではないのではないかというふうに考えられております。われわれもまたそういう現在の事情から申せば、そうではないか、そういうふうに考えております。

菊池義郎自由民主党

○菊池委員 一九五一年にチベットと中共は十七カ条の協定を結んで、国防と外交の権を中共にゆだねるが、そのかわり自治権を擁護してもらうということに話し合いがついておるのです。しかるにチベットに反乱が起ったということは、ゆえなくして反乱が起るはずはない。必ずやその自治権が侵害されておることは常識をもって判断ができると思うのでございます。ダライ・ラマも亡命する必要もないのに亡命するということは、やはりほかには原因はない。要するに自治権が侵害されたと見るほかないと思います。大臣でなくてもどなたでもよろしゅうございますが、情報をつかんでおられる方にお伺いをしたい。

板垣修外務事務官(アジア局長)

○板垣政府委員 チベットの実情につきましては、私どもはインドを中心といたしましていろいろ情報収集をいたしておりまするが、必ずしも十分な情報が集まっておりません。と申しまするのは、インド政府はある程度持っておると思いますけれども、御承知のようなインドの国際的立場、特に中共との関係におきまして、十分情報を外には漏らしておりません。それからわれわれとしては国府関係あるいは香港関係等の情報でございますが、いろいろとそれぞれの立場からの情報が多うございますので、的確な判断は持っておりません。私ども事務当局の判断といたしましては、御承知のようにチベットに関するチベット自体と中共政府との約束、それから中共とインドとの約束によりまして、一九六二年まではあそこの共産化を急がないというような約束があったことは事実でありまするし、それよりも少し早目に中共がチベットに対して共産制度を導入しようとしたことも事実のようであります。それに対しましてチベットの内部から約束が違う、それからそもそもチベット人自体に共産主義をきらう要素もあると思いますので、そういう意味から反乱が起ったのではないかというように判断いたしております。

菊池義郎自由民主党

○菊池委員 こういったような共産国家の帝国主義的なやり方については、日本といたしましてはどこまでもやはり正義の味方として、こういう問題については十二分に検討し、正確な情報をつかんで、しかる後に堂々とその所信を全世界に表明すべきであると思います。ダライ・ラマは最近日本へ亡命したいということを言っているそうですが、日本へやってさましたらこれを保護しますかどうしますか、この点をお伺いしたいと思います。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 まだ日本にやってくるという情報はございません。やってくる場合には、そのときの状況によって保護すべきものは当然保護したい、しなければならぬと思います。

菊池義郎自由民主党

○菊池委員 アメリカで国務長官のダレスがやめて、ハーターがかわりましたが、この更迭によってアメリカの外交政策に相当の変化を来たすという議論、変化はないという議論、まあ世論はまちまちでございます。外務省としてはどういう観測を持っておられますか。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 御承知のようにアメリカの場合におきましては、共和党、民主党との間にも基本的な外交問題の見解についてはそう大きな差はないと思っております。まして同じアイゼンハワー内閣の閣僚になりました以上、基本的な問題についてアメリカが大きな変化を見るということは考えられないと思います。ただむろん外交もその扱います手段方法等が、その当事者によって柔軟性を加えるとかあるいは柔軟性を加えないとか、方法論においてはいろいろございます。従ってそういう意味での変化というものはあり得ると思います。しかし基本的な立場における変化というものはないのではないか、こう考えております。

櫻内義雄自由民主党

○櫻内委員長 穗積七郎者。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 しばらく国会の審議も休みになりますから、二、三重要な点について外務大臣の報告を受けながら御意見を伺っておきたいと思います。  まず第一に、アメリカとの安保条約改定の問題でございますが、アメリカ国内におきます政治的変化も、これは一々申しませんが相当の動きがある。それから日本の政権を担当しておる自民党内部においても重要な根本問題について、まるで意見の調整ができていない。それにさらに、意見の調整ができていないだけでなくて、その背後にはいろいろな政治的含みもつけ加えられている。さらに東西両陣営の間におきましてはだんだん話し合いの空気が強くなってきていて、特にこの夏における東西両陣営の首脳会談というものも具体的に予見をされているわけです。ですからこの際外務大臣としては、担当してこられたことですからやりたい気持もわからぬことはないけれども、こういう国の内外の諸情勢をごらんになって、私は一ぺんここらで御破算にして出直すべきじゃないかと思うのですが、外務大臣の御意見はどうですか、一つ率直に伺っておきたいと思います。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 党内の問題と申しますか、何か自由民主党の中でいろいろ議論が分れているというお話でありますけれども、むろんこういう問題を扱います場合に、党内各人がそれぞれ自分の意見を申し述べることは、民主的公党として当然なことであります。しかしながら議論の末だんだん固まって、一つの方向を打ち出してくるということもまた民主的公党として当然だと思います。従って現在の段階におきましてはいろいろ議論もありましたでしょうけれども、大体安保条約改定に対する要綱等も党の方で承認されておりますし、その線に沿って私が外交交渉をやりますことに、当然支障はない状況にございます。またアメリカのお話がございましたけれども、先ほど菊池委員にも御答弁申し上げましたように、アメリカの基本的な日本との関係における変化が起ろうとはわれわれ考えておりません。従って、アメリカがダレス長官がかわり、あるいはハーター氏が新国務長官になりましても、アメリカとして日本と安保条約の改定交渉を約束した以上、これを遂行して参ります意思に変化はないと考えておりますので、その意味においてもあれだと思います。国際情勢の全般につきまして、むろんわれわれといたしましても、現在少くも本年度若干話し合いの年であるということは、いろいろな点から申し上げておるところでありまして、従って、外相会談あるいは巨頭会談等が行われて参ると思います。しかしながら、そのこと自体がすぐに現在の安保条約の改定問題を取りやめるというような段階にはないと思うのでありまして、これは私がただ単に自分がこれを取り上げたから、従って私自身の面目とか関連から見てやらなければならぬというようなことではないのでありまして、今申し上げましたような事情のもとに、私は当然この折衝は進めて、一日も早く妥結させるべきだと考えております。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 そうしますと、党内の事情も国際情勢も、あなたのおっしゃるように安保条約改定交渉に支障のない情勢であるということであるならば、あなた個人の願望でなくて、党内情勢やアメリカの動きを見て、一体いつまでに妥結するおつもりでございますか。あなたは先般までは三、四月ごろをめどとして妥結調印をしたいと公然と外務大臣の責任において発表されておる。ところが、われわれがあえて言うのじゃなくて、党内情勢や相手側の動き、国際情勢の動きから、それが事実困難になってきているわけです。従って、あなたは単に外務大臣としてだけでなくて、内閣を代表し、または自民党の党内をまとめていく、それらを含んで、その上に立って、一体いつまでに妥結して調印なさるおつもりか、そのおつもりを一つはっきりしてもらいたいと思うのです。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 この問題はすでに交渉に入っております。従って、私は昨年この交渉を始めます十二月には、一月末の国会再開を大体の目標にして進めて参りたいと申し上げました。またその後の情勢から見て三月もしくは四月と申したわけであります。むろんその目標でやって参ったわけであります。従って、そういう目標を立てて、その時期に合せていくことが絶対に必要だと思うので、そう私は申したのであります。しかし、今度はいよいよ実際の外交折衝にもう入っております。御承知のように、第一回は最初に再開を通告しただけでありますが、一回、二回と折衝に入っております。従って、折衝に入りました以上は、私はできるだけ早い機会に妥結するように進めて参りたいと存じております。ただそれが一週間とか十日とか半月とか——今度は年月になって参ると思いますので、従っていつということは、いよいよ交渉に入っておりますから申し上げかねますけれども、交渉によっては一週間延びることもあり、十日延びることもあろうかと思います。しかし、今の状況で言いますれば、できるだけ早い機会——早い機会と申すのは、半年先とか何とかいう意味じゃないのでありまして、交渉が進展するにつれていくということでありますから、ごく最近の機会、長くとも一カ月なり一カ月半なり、そのうちにはでき上るように努力して参りたい。ただそういう時期に入っておりますから、何月に妥結するということを申す必要はないのであります。あとは交渉上の経緯によって日が延びるか短縮するかというだけのことでございます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 それでは、国会は参議院選挙後に臨時国会が開かれる、それから秋にも、確定はしておりませんが両党の話し合いで臨時国会が予見される。続いて十二月から通常国会になるわけですが、一体そのどの国会に承認を求めるおつもりでございますか。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 大体もし秋に臨時国会が開かれますれば、秋にこれは上程できると思います。六月参議院選挙の後の臨時国会には正確にまだ間に合うとまで申し上げる——批准を求めるに至るかどうかは若干心配があります。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 そういう非常に強気の御意見のようでありますが、それでは具体的内容にわたってちょっとお尋ねいたします。このわれわれの外務委員会の委員長櫻内氏は河野派の参謀で、しかもあなたの出された案とは事実違った意見を持っておる。その外務委員会にかけるわけですけれども、実は第一にお尋ねしたいのは、行政協定の改定の内容について、一体閣内、党内ですでにおまとめになったのかどうか。おまとめになっておるとすれば、もうしなければならない、交渉に入っておるのだから。伺うところによりますと、きょう、あすにもまた藤山・マッカーサー会談をおやりになるようですけれども、そういうことならもう具体的に案が着々とできておるはずだと思うのですが、行政協定改定に対する事前協議並びに分担金の問題だけでなくて、広範に検討、交渉する、こういうことでいるようですが、一つその内容をこの際明らかにしていただきたいと思います。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 条約の方につきましては、今交渉に当ってまず第一に取り上げておるところでございます。条約がまとまるに従いまして行政協定の問題に移っていこうというのが順序であることは当然でございます。  党内におきまして、行政協定につきましてもいろいろ議論のあったことはもちろんでございますけれども、先般それぞれの党の機関の会合において話し合いが行われ、かつまた十四人委員会等もできまして、その席で大体行政協定の検討も終られたわけであります。そういう意味において実情に即した方向に向って進んでいるのではないか、こう考えております。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 ですから、行政協定の交渉と本条約の交渉とは不可分の問題として取り上げるというのが、党内野党の諸君の意見あるいはまた主流派の中でも河野派の強い要望であるわけですね。それをあなたも総理もその原則に立ってやろうということで党内をまとめたような格好で外へ発表されておられるのですが、今お話によると、条約そのものと行政協定と可分であるかのごとき議論でございますけれども、それは不可分なんです、先般のお取りきめは。そしてまた河野派の諸君の言われる不可分で交渉すべきだということについては、当然国民の多くは同意を示しておる。特に行政協定は、言うまでもなく国民生活に直接関係の多い権利義務が——政府を通じてでなくて、国民に直接権利義務の関係が非常に錯綜しておることは今までの経験で明確です。ですから、そういうことであるなら、私の聞いておるのは、具体的にどの点とどの点を取り上げられて検討中である、大体政府の意見はこの方向でいきたいと思っておるということを明確にしていただきたいということです。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 私の言葉が足りなくて、何か可分のようにお聞き取りになったかもしれませんけれども、私どもは本条約と行政協定とは分けて考えておりません。従って、その意味において変っておりません。ただ、今申し上げましたのは、交渉の順序上条約から始めて話し合いをしていく、こういうことを申し上げたのでありまして、決して分けてするのだという立場ではございません。行政協定は、御承知のように広範な問題を含んでおりますので、これについては十分検討をいたさなければなりませんし、外務省としても相当各省の意見等も聞きまして、そうしてそれらの点も収録いたしておりますし、それらについての党のそれぞれの御意見等も伺っておるわけでありまして、そういうものを逐次交渉に移して、条約の方は一応これは事務的に話し合いを進めて、どうせ条約と不可分でありますから、最後には一体にやらなければなりませんが、話し合いの順序としては行政協定を方をあとの話し合いにしながら進めていく、こういうことで始めておるわけでございます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 まだ誤解があるようですが、私の質問は、交渉のテクニックあるいは順序をお尋ねしているのではなくて、本条約と不可分のものとして行政協定の改定の交渉をするのだというその内容についてお尋ねをしているのです。行政協定改定の日本政府側のまとまっているはずである内容について、一体どういう点をどういうふうに変えようとされておるか、それを伺っておるのでございます。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 不可分でありまして、つまり形式的からいえば同時調印、こういう形をとっていきたい、こういうふうに思っております。従って条約の方を一応ある程度話し合いを進めましたら、行政協定の話し合いに進んでいく。そして最後は両方一体になって話し合いをする。そこでその行政協定の内容につきまして、私がかねて二十四条については、どうせ今度は本条約にああいう条項が入るから必要はないだろう。また二十五条のB項というものは削除していくのが適当じゃないかということを申しておったわけであります。その他の問題につきましては、こまかいいろいろな法律関係その他もございます。あるいは税法上の関係もございます。労働関係もございます。いろいろな問題がありますから、これらの問題についてはただ大ざっぱに削除するとか、あるいは大ざっぱにもう負担しないとかというようなことではなくて、もう少しこまかい点についてやはり考えて参らなければならぬので、従ってこれは交渉におきましても相当いろいろな点について議論もございましょうし、ありますので、むろんわれわれ全面的にこれを再検討しておるわけでありますから、そういう意味においてあれでありますけれども、個々の具体的問題についてまだこれをどうするというところまでは申し上げにくいと思います。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 私の申し上げる通り重要なる内容を示す行政協定の改定について、まだ政府内あるいは党内で統一がついてないということですから、だから僕はもう一ぺんお考え直しになったらどうかというのです。それをあなたは一カ月長くても一カ月半後には妥結調印をする見込みだ、こうはっきり言われるわけですけれども、僕はそういうことは党内の事情から見てもできぬだろうし、われわれは正面から反対しているし、国民は非常に危惧と不安を持っておるわけですから、そういうほおかぶりで逃げ込もうというような考え方でなくて、おやりになるなら民主的に政府の方針をはっきりして、そして国民にはっきりそれを示してよく説明をして、その賛否の討論を通して政府の意見をだんだんきめていかれる、こういう順序をとるべきですから、一カ月ないし一カ月半の後には妥結調印をするなんという動きのとれないような考え方を持たれないでやるべきだと思うのです。  それでは次にお尋ねいたしますが、バンデンバーグ決議と憲法の問題は、このバンデンバーグ決議がもし条約の成文の中にその精神が生かされることになる。こうなるというと、われわれはもう明確に憲法違反を生ずる。しかもそれでなくとも安保条約自身につきましても、過般の東京地裁の判決もある。こういうようなことですから、バンデンバーグ決議が条約の中に生かされるということになりますと、これは明確に日本の今の軍隊の性格というものが根本的に変ってくるわけです。ですからその点についてもはっきりした意見の統一がなければ、私は交渉にかかるということは不可能だと思う。これは根本問題です。それらについて私はこの前もこの委員会で、ああいう判決もあり、ましてバンデンバーグ決議が条約の中に生かされるとすれば、違憲の疑いが明確になってくるから、従ってああいう判決で抗争中は、この交渉は少くとも中止すべきだということを言ったわけですが、そのことについて一体どういうふうに統一解釈をしておられるのか、見込みを立っておられるのか。バンデンバーグ決議が条約の中に生かされた場合における憲法との関係、それから司法権との関係、これを明確にしていただきたいと思います。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 党内で何か憲法上の解釈について異論があるようなお話でありますけれども、その点は政府の従来とってきておりました解釈と党の解釈とは一致しておるのでありまして、異論があろうとは私思っておりません。従って砂川判決等に対して党が影響をこうむるということも考えておらないのであります。むろん今回の条約全部は憲法に抵触しない範囲内において締結することを根本の基本的態度といたしておりますので、当然憲法に抵触するようなものができ上ろうとは思っておりません。バンデンバーグ決議につきましては、むろんあの決議の字句その他にこだわって参りますと、あるいは憲法上の問題も出てくるかもしれませんけれども、あの精神そのもの、つまりお互いに自分の国を守ろうという意思を持っておるということ自体、そのことは憲法違反でも何でもないわけで、そういう国同士であるからこそお互いに助け合えるのだというこのバンデンバーグ決議の精神というものは、私は別段憲法に抵触しているとは思っておりません。ただ、そうした問題についての表現についてあやまちがありますと、何か憲法に抵触するような誤解が起っては相なりませんので、そういう点については十分な注意をして参ろう、こう考えております。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 この前も、バンデンバーグ決議が生かされれば、すなわち日本が日本だけでなくてアメリカの安全に対しても共同防衛の義務を持つ、こういう性格的な変化が生ずるわけで、これが違憲であることは明確だということで、実はあなたの解釈は違憲ではないという解釈をしておられるようですが、われわれは違憲だ。しかも判決も出ておるわけですから——バンデンバーグ決議よりさらに軽い安保条約自身についても違憲の判決が出ておる。そのときの取扱い方について解釈問題は二つある。一つはそういう憲法解釈と、それからもう一つは、行政府がそういうことをおやりになる。それから国会が多数をもって無理やりに批准の承認を決定される。しかし司法部がこれに対して違憲判決をしたという場合が予想せられるわけですね。これは単なるわれわれの一方的な解釈ではなくて、現に抗争が行われているわけですから、そういうことについて条約局長が先ほどまでおられたのでちょっと聞こうと思ったのですが、今おられない。条約解釈についてはあなたの解釈と私の解釈とは違いますから、私はあくまで明確なる違憲条約になる、こう思うのです。そこで法制局長官なりあるいは条約局長がきょうおりませんから、その解釈についての質問は留保いたしますが、司法部がこれに対して違憲判決をした場合に一体政府の責任はどういうふうにおとりになるおつもりであるか、これはその取扱い方、処置について事前に伺っておきたいと思うのです。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 むろん砂川判決等と反対の判決が今日まででも多数出ておるわけであります。政府もそうした立場をとっておりますので、政府といたしまして、そういう意味において違憲でないという確信を持って、今日問題を進めておるわけでございます。しかし将来、万一違憲という判決が、正式にそういう場合に起ったらどうするかということでございますが、むろんその起ったことに対する責任というものは、これは安保条約ばかりでなくていろいろな問題にもあろうと思います。責任をとるべきが当然だと存じます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 それでは非常に不明確な態度で、私どもそれでは、政府の態度としては納得できません。ですから、この次の機会に総理自身にも一つ出ていただいて、今の違憲判決があった場合の政府の処置、責任について明らかにしていただきたいと思いますから、あなたも責任者の一人として、よく閣内において意見を統一しておいていただきたいと思います。  きょうはあなたの個人の願望的解釈をお尋ねいたしましたので、あとであれは外務大臣としての意見にすぎなかったというような逃げ口上をされては困りますから、質問を宿題として預けておきますから、よく御討議の上で内閣の責任のある御答弁をお願いいたしておきます。  時間もありませんから、次、にお尋ねいたしますが、条約の地域の問題です。これについては、われわれ仄聞するところによると、すでに櫻内委員長その他から党内でお聞きになっておられると思うのですが、沖縄に緊急事態が起きた場合の住民に対する措置を交換公文その他の中に生かすか生かさぬかという問題のようですが、これらについてはその後一体政府としてはどういうふうにお取扱いになるつもりであるのか、これも念のために伺っておきたいと思います。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 沖縄、小笠原の問題につきましては、私ども世論の動向を聞いて決定するということを申して今日まできておるわけでありますが、大体われわれの推測するところ、世論の動向も、入れない方面に考えておられるように結論をつけておりますので、大体そういう方向で交渉をして参りたいと思います。そうした場合に、沖縄が襲われたときにどうするかという問題が一部から議論があることは、私も承知いたしております。しかしこれらの問題につきまして、交渉の問題でありますので、今後果してそういうすべての方の意見がいれられるかいれられないか、それは今後の問題だと思います。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 もう一つお尋ねしておきますが、内乱条項の削除についての閣内、党内の意見はどういうふうにまとまっておりますか。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 内乱条項につきましては、むろん今回の条約において、現在ありますようなことを変えて参ろうという考え方は持ってないことにおいては党内はまとまっておると私は考えております。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 内乱がもし日本国内において起きた場合において、アメリカ軍との権利義務関係をきめるのは、一体政府の政治的協議事項の中に入るのですか。どういうふうに取り扱われるつもりですか。これは非常に重要な問題でございまして、どの程度のものを内乱というのか。そしてまた、政府の要請と称して無制限にアメリカがこれに関与するということになりますと、おそらくは内政干渉になると思うのです。表面はなるほどアメリカと対等だ、しかも日本の意思は無視されないで協議の上だ、こういうふうになっておりましても、実際の内容というものは、今のような政府のアメリカ一辺倒の追随の魂を持っておられる以上、必要以上にアメリカの内政干渉を誘導する、アメリカの第五列的性格を政府自身がやる、こういうことになりますと、日本は決して国民の期待するようなアメリカとの間に対等の関係を生ずるのではなくて、この条約、この協議によりまして一そうの干渉を受ける、今まで以上にその点は内政干渉を正当化する、そういう危険があるわけですから、そのときの限界を一体どういうふうにきめておられるのか、それを明確にしていただきたいと思います。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 穗積委員の言われますように、われわれはアメリカの第五列的存在でも何でもございませんし、そうアメリカが日本の内政干渉をするということを好んで誘導していくという考えは持っておりません。しかし日本が事実上外国からの間接侵略その他によりまして非常な国内危険のような状況の場合が起りますれば、むろんそうした問題について、侵略と類するような場合には、当然われわれは自分自身がまず自衛の措置をして参らなければならぬのであります。その規模その他につきましては、そのときの判断によってアメリカの援助を求める場合もありましょうし、そのときの状況によって判断すべきものだと思います。どうもお前の態度はいつでも第五列的だから今から信頼できないと言われればそうでありますけれども、われわれそういう考え方は持っておりません。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 以上ちょっと重要な点だけ二、三お尋ねしましても、まだ全く交渉に必要なる確定的な意見がまとまっておられない、また具体化しておられない。ですから、先ほどおっしゃったように、一カ月ないしおそくも一カ月半後には妥結、調印をしたい、する見込みだ、こういうふうなお考えはまるであなたの観念的なる願望にすぎないのであって、われわれとしてはそれに安心をして見ておるわけには参らない。しかも質問、討議を重ねれば重ねるほど、内容につきましては、日本を戦争に近づけせしめる危険のある内容が次から次に出てくるわけであります。従って、私はこの際、先ほど申しましたように、国内、国際情勢を静かにながめられて、あなたは与党の中でも国際的に常識のある方でございますから、どうぞ一つとらわれないで、もう一ぺん再検討されんことを希望しておきます。そうでないと、国内は二つに分れて、ますますしないでもいい激突をし、そして国民は内容を聞かされないでいずれかの意見、イエス、ノーを強要される、こういうようなことになりますから、もう少し内容を明確に具体化して、それを国民にはっきり示して、しかる後に賛否をお聞きになって、ゆるゆるとおやりになる方が、国際情勢から見ても、国内の事情から見ましても、私は適切であると思いますから、他の質問を留保しながら、そのことを忠告申し上げておきたいと思います。  それから、時間がありませんし、あとまだ質問者がございますから、実は日本の中立政策、中国との不可侵条約、ソビエトとの不可侵条約、あるいはまた米日中ソの不可侵条約といいますか、安全保障条約、こういう問題についてお尋ねしたいと思いましたが、きょうは留保いたしておきます。  ただ一つだけ、緊急性のある問題として、在日朝鮮人帰還問題について、二点だけ大臣のお考えを伺っておきたい。この間ジュネーブで北鮮の赤十字代表から提案のありました具体的内容の中で、一つは、赤十字国際委員会がこの問題に介在することについて向うは賛意を表しておる。しかし引き揚げの実務については、これは両当事国の関係団体だけでやっていきたい、こういう考え方が一点。それからもう一つは、相当多数の者が一年ないし二年、短期間の間に引き揚げをするわけですから、その出港いたします港は、新潟にするか、下関にされるか、あるいは神戸にされるか、それは別として、その便宜なところに、北鮮側の代表が、その事務促進のために、その目的に限ってその地域に滞在をすることを願望しておるようです。これは私はあまり日本政府がこだわらないで、促進の大目的は両方とも一緒になっておるわけですから、この点向うの言うことも一理ある点があります。国際委員会は手薄でもあるし、これだけを窓口にして実務をやるわけにいかないから、承認を求めることはけっこうだと思います。こういう方法で、こういうふうでやったらという承認を求め、あるいは事務が終った場合には事後報告をして承認を求める、事前または事後の報告をして国際委員会の承認を求めることはけっこうですが、実務全部を国際委員会が一々こまかい点までタッチしなければいけないというふうにとらわれる必要もないと思う。また朝鮮の赤十字代表の諸君が、出港地に要務を限って滞在することは、私も促進のために差しつかえない便宜の方法ではないかと思う。これは過去の中共からの引き揚げあるいはこちらからの遺骨送還等とは、その量におきましても問題の複揚さからいきましても事情は異なりますから、その点はあまり過去の例にとらわれないで、この際便宜的な弾力性のある態度で臨むべきだと思いますが、この二点についての外務大臣のおおらかなお考えを伺っておきたいと思います。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 実務の問題につきましては、国際赤十字としても、多数の人をよこして実務をとるという能力がない。また経費もないということはわれわれもわかっておりますから、初めからそういう意味ではなく、ただ国際赤十字のワク内において、その監督のもとにやるという立場なんでありますから、国際赤十字委員会から何百人も来て、その実務をとるというような非現実的なことは、私は実は考えておりません。それから日本は船を出さないのでありまして、北鮮もしくは北鮮が使用する船が来るわけであります。その人たちが受け取っていくことでありますから、その船のデッキから一歩も外に出るなというような非常識なことはいたすつもりはむろんございません。ですから、この問題はあまりしかつめらしく論じますと、かどが立つわけでありますけれども、実際引き揚げ事務そのものが円滑に進行できるように措置していくのが妥当だと思います。

櫻内義雄自由民主党

○櫻内委員長 佐々木盛雄君。

佐々木盛雄自由民主党

○佐々木(盛)委員 しばらく自然休会に入っておりましたので、その後の事情の変化等に関連して二、三承わっておきたいと思いますが、いよいよ日ソ漁業交渉も最終段階に入ってきたようであります。藤山外務大臣もしばしばソ連当局とも会談されて、日本の主張を強く主張されたようであります。私がまず第一に伺っておきたいことは日本といたしましては、ソ連側のいわゆる外交的かけ引きの手に乗ぜられて、規制措置の点について日本が大幅な譲歩をする、こういうことになったのでは、将来にまた非常な禍根を残し、それをまた突破口としてソ連当局が理不尽な要求をしてくるというようなことも予想されるわけでありますから、私はこの規制措置についての大幅な譲歩をするということについては、日本政府としては当然とるべきでない、かように考えておるわけであります。最後の政治的段階を迎えた今日におきまして、場合によっては規制措置を譲ってもいいじゃないか、そして少しでも漁獲量をふやした方がいいではないかというような、安易な妥協論も中にはあるようでありますが、この点に対する交渉に臨まれる外務大臣の基本的な態度について承わっておきたいと思います。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 規制措置を大幅に譲りますこと、むろん政府として考えておらぬところでありますが、幸いにして、委員会でもって納得のいくような規制措置にだんだん話し合いが縮まっていっておるのが現状だと思います。御承知の通り三本の漁道を作りまして、そのうちの北の漁道については問題は解決したようでございます。南の漁道の問題も、日本側の考え方の通りであります。中のところでその地域等についての若干の妥協があるようであります。そう困難な問題でなしに、委員会の席上で解決するのじゃないか、こう考えております。従って問題は量の問題にかかってくると思うのであります。現在の私からソ連に対する申し入れも、主として量の問題について強く日本側の主張を申し述べておるわけであります。

佐々木盛雄自由民主党

○佐々木(盛)委員 伝えられるところによりますと、赤城官房長官とイシコフソ連漁業相との間に、オホーツク海を禁漁区として、そのかわりに本年度の漁獲量については、十二万トンをソ連も確約をいたしておる、こういうこともいわれておるわけでありますが、この点のいきさつはどうなっておるのか。また中にはそういう赤城長官との約束ならば、赤城長官をソビエトへ派遣しても、この局面の打開をはかったらどうかという説をなすものもあるわけでありますが、これらの点についてのお考えを承わりたい。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 赤城長官とイシコフ漁業相との間に、特に本年の数量の問題において何か確約があったようには聞いておりません。ただ去年の問題を妥結するに当りましても、赤城長官がモスクワに行かれましていろいろ骨を折られまして、いろいろな話し合いをしております。従って本年のように極端に、最初五万トンとかあるいは上げて七万トンとかいうような意味は、まあ予想されないと思うのであります。その間の話し合い等の事情について、自分もこういうことで二人で話し合ったじゃないかというような意味において、去年のことを赤城書簡をもって、ソ連側に反省を促すような材料にしていくことは、適当だと思うのでそういう処置をとつておるわけでありますが、特に数量について本年まで約束されたことはございません。

佐々木盛雄自由民主党

○佐々木(盛)委員 次に、先刻来同僚議員からもお話の出ましたチベットの問題でありますが、私は、これはきわめて重大な問題であると考えておるわけでありまして、チベットに対する中共軍の非常な弾圧政策によって、ラマの寺院を破壊したり、あるいはラマの僧侶を多数虐殺をする、信仰の自由を奪う、さらにまたダライ・ラマは政治の指導者でもあるわけでありまして、政治、宗教全般にわたって中共軍が加えたこの弾圧政策というものには、一九五六年のハンガリーに対するソ連の弾圧政策を思わせるものがあるわけであります。われわれは人道上の立場からも、また東アの一員といたしましても、これは見のがしにするわけには参らないと思います。またこのチベット問題がわれわれに与える教訓というものは、まことに重大なるものがあるのでありまして、これによって中共のいわゆる共産主義というものの実態が、われわれの目の前に明らかになったものとして見のがせないところであります。こういう中共のチベットに対する弾圧政策につきまして、日本としてはどういう考え方を持っておるかという政府の見解を明らかにすることが必要ではなかろうか。さらにこの非人道的行為に対して、たとえば国連に提訴するというふうな措置をとることによって、日本が重大な関心を払っておるということを明らかにする必要がありはしないかと思うのです。  藤山さんは去年アラブに起りました民族運動に対しましては、非常な同情を捧げられ、またこれが非常にアラブの諸民族から好感をもって迎えられ、また国連を舞台としての藤山さんのこの間の御活躍は、高く評価されたわけでありますが、このチベット問題の持つ重要性にかんがみまして、藤山さんはどのようなお考えをお持ちになっておるのか。また国連提訴の問題等をも含めて、日本としての見解をこの際明らかにしていただきたい、かように考えるわけであります。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 チベット問題は非常に重要な現在の事件だとわれわれも考えております。お話のようにハンガリー事件以後の共産主義陣営内における不当な行動ではないかと考えております。ただ、これをいかにしていくかという問題については、御承知のようにチベットの地理的な位置から見まして、またチベットと各国との政治的関係というようなものもございまして、現在非常に情報がとりにくいということは御了解いただけると思います。従って、自由主義陣営の人として、総括的に共産主義国のこれらの処置に対してふんまんは持っておりますけれども、事実上こういう問題をどう処置していくかということについてはまだ材料が不足ではないかと思うので、そういう意味において、各国ともまだ今後の問題の処理について、特に何を意思の表示なり発言をいたしておらぬ状況だと思います。そういうことでありますから、われわれとしてむろん十分な注意を払いながら、それらの状況を見まして、そうして今後どういうふうにしたものであるかということを、志を同じゅうする人たちとともに話し合いながらいくのが適当ではないか、こう考えております。

佐々木盛雄自由民主党

○佐々木(盛)委員 私は、今藤山さんの指摘されますような自由主義陣営の一員としては、特に今度のチベット問題というものがあらゆる面から見て非常に重大な影響をもたらすものでありますから、このチベット百二十万の民族に対して限りなき同情を、何らかの具体的方法によって表明するという措置をとられるように、期待をいたしておきたいと思います。  なお藤山さんには後ほど、社会党の淺沼君が北京において発表いたしました談話やあるいは演説等に関連して、先般の自然休会に入る前の当委員会において外務大臣の意向を承わりたいと考えておったわけでありますが、社会党の方から、淺沼稻次郎君の出席に総理大臣や外務大臣の出席を条件としての申し出等がありまして、ついにお流れになっておったのでありますが、私はこの席をかりまして、その問題について、日本の外交政策の基本的な考え方について承わりたいと思います。それに入ります前に、今お忙しいところを法制局の方もお見えになりましたので、ちょっと私は承わっておきたいと思います。それは、私たちとしては社会党の諸君と違って、安保条約の改定は当然必要なことであり、従って可能な限り早期においてその実現を見たいと考えておるわけでありますが、砂川判決の問題もたまたまこの安保条約の改定と相前後しておりまして、これが多かれ少なかれ交渉や日本国民の心理に影響を与えることは事実であります。  そこで一つ外務大臣に政治的な立場から承わっておきたいのでありますが、この砂川判決に対して政府の考え方は、全く別個の独自の考え方をお持ちでありますが、従って最高裁判所の判決もまた政府の期待する通り、われわれの期待する通りの判決が出るものと考えておるわけでありますが、今日米安全保障条約の改定の問題もありますし、もしかりにこれが、全く仮定のことでありますが、東京地裁の判決のごときことになりますれば、日本としては全く驚天動地の重大な事態に逢着するわけでありますから、この際すみやかに最高裁の判決を求めるということが必要であろうと思います。これにつきましては、司法権の独立の立場を侵さない範囲において、行政府といたしましても、事日本の国運に関することでありますから、すみやかな法の判定を得たいという意思表示は当然すべきであろうと思うのであります。なるべく早期に判決が出るということについて政府としても善処される必要があると思いますが、この点についてはいかがでございますか。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 最高裁に跳躍上告を検察当局で検討いたしております。むろん政府の立場としては、できるだけ早くこの判決がおりることを希望しておりますけれども、何か司法権を行政府が束縛するというような形に相なっても、これまたかえって誤解を招くゆえんでありまして、そういう点につきましては、希望として政府がそういうことを持っておりますことは事実でありますが、何かの機会に表明するかどうかということは問題があろうと存じます。

佐々木盛雄自由民主党

○佐々木(盛)委員 もとより司法権を侵そうというような意味は、毛頭ないのでありますが、司法権の独立しておるというものも、司法がすべてに優先しているという意味じゃなかろうと私は思います。そこで、これは単なる予測でもけっこうでありますが、大体この判決はいつごろに最終決定を見そうか、大体のところはいかようなことになっておりますか。これと安全保障条約の改定とは別個なことでありますし、政府は独自の見解に基いて安保条約の改定を進めるべきではありますけれども、これには非常な関連性もあることでありますが、伝えられるところによると、相当先に延びやせぬかというような話もありますが、いかがなことになっておりますか。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 最高裁がこれを処理して参るのでありますから、われわれとしてその時期を予測するわけには参らぬのであります。ただ、こうした問題でありますから、最高裁もできるだけ順序その他を繰り上げて、そうしてこれらの審議に当るということは期待できるのではないかと思うのであります。こういう判決が、かりに審議を始めてからどの程度時間がかかるかということについては、全く申し上げかねると思います。

佐々木盛雄自由民主党

○佐々木(盛)委員 社会党の一部などにおいては、最高裁の判決を待って、その判決があってから後に安保条約の改定に対して交渉を再開すべきであるというような説をなす向きもありますが、政府並びに与党の見解がすでに多数意見であることは、申すまでもないことでありますし、たまたま東京地裁においてかくのごとき少数意見に基く判決があったからといって、これによって政府の安保条約に臨む基本方針に何ら動揺を来たすものじゃない、ちゃんと既定方針に従って進むべきである、かように考えておるわけでありますが、政府もやはりその方針でありますか。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 お説の通り、われわれは砂川判決によって動揺するがごときことがあっては相ならぬと思っております。従って、既定方針通り進めて参りたいと思います。

佐々木盛雄自由民主党

○佐々木(盛)委員 次に、ちょっと法制局に見解を承わっておきたいのでありますが、憲法第八十一条に「最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。」と規定されておりますが、この八十一条の中には、「一切の法律、命令、規則又は処分」——その処分の中に裁判所の判決というものは含まれておるのでありますか、含まれていないのでありますか。

林修三法制局長官

○林(修)政府委員 ちょっと今御質問の御趣旨がはっきり了解しかねたのでございますが、裁判所の判決というものは、結局今の訴訟法上三審制度になっておりまして、一定の理由があれば上級裁判所に上訴できる。上級裁判所では、事実の判断が間違っておる、あるいは法律の判断が間違っておるとすれば、それを破棄することができるわけであります。従って、そういう訴訟手続の順序を経て上級審に持って参りましたものにつきましては、もちろん最終的には最高裁が判断するわけでありますが、最高裁は、下級審の判決が間違っておると思えば、それに対して訂正するということはもちろんできるわけであります。

佐々木盛雄自由民主党

○佐々木(盛)委員 宮沢俊義さんの日本国憲法という本によりますと、裁判所の裁判がここにいう処分に含まれるかどうかについて、学説が二つに分れておることが明らかになっておる。甲説は、裁判所の裁判はここにいう処分に含まれないという説である。乙説によると、裁判所の裁判もここにいう処分に含まれるという説である。この二説が列記されておりますが、政府当局におきましてはこのいずれの説をおとりになっておりますか。

林修三法制局長官

○林(修)政府委員 実はどちらを選ぶの問題は最高裁の権限に関することでございます。最高裁がみずから判断すべきことでございますので、政府が行政府として、これについての政府としてのとかくの見解を申し上げることはちょっと差し控えるべきだと思います。ただ個人的な見解ということになればこれは別でございますけれども、しかし今申しましたように下級審の判決に対しては、その上訴の手続を経てくれば上級審は当然にそれを訂正する権能を持っている。そういう点で実は最高裁としては下級審の判決に対して最終的な判断権を持っておる。かりにまた一応確定したものについても憲法違反の疑いがあれば再審の方法もございます。あるいは非常上告というような方法もございます。そういうような訴訟の手続によっての判断権は、これは最高裁が持っておる、かように考えております。

佐々木盛雄自由民主党

○佐々木(盛)委員 次に、新聞等にもだれかの意見として、今度の安保条約の改定をめぐっての解釈論が出ておったようでありますが、ただいま申し上げました憲法八十一条の一切の法律、命令、規則または処分が憲法に適合するかどうかという中に、条約という事項が欠けておる、これは非常に注目すべきところである、こういうのでありますが、政府の見解とされましては、条約というものがここに列記した法律、命令または処分の中に含まれるかどうですか。

林修三法制局長官

○林(修)政府委員 この点は実はなかなかむずかしい問題でございまして、御承知のように学説は二つに分れております。これは結局条約と憲法との関係で、いわゆる条約優位説をとるか、あるいは憲法優位説をとるかというようなこととも相関連する問題でございます。御承知のように、今申しましたように学説としてはこの八十一条はわざわざ条約という言葉を抜いておること、条約の審査権はないという考え方は、これは相当有力でございます。反面最高裁はあらゆる法令についての審査権を持っている建前であるから、この中の法律あるいは規則あるいは処分という言葉の中でこの条約も読むべきである、こういう学説もまた相当有力に行われております。実はこの問題も最高裁自身の権限に関することでございますので、これについて行政府としての見解を言うことも実はどうかと思うわけでございますが、従来私どもといたしましては、個人的——これはお断わりしておきますが、いわゆる政府の見解としてでなくて、一介の学問の研究家としての見解は、実は申し述べておることもあるわけであります。これは私の前任者の佐藤達夫氏が昭和二十九年の第十九国会でも、個人的意見として実は述べておるところであります。私も大体その見解に賛成しておりますが、そのときの見解といたしましては、いわゆる条約というものはまさにこれは国際法的の約束でございます。国際法的な効力を持っておる。そういう面に関しては、最高裁判所は国際法的な面についての条約の審査権はないというわけではなかろうかと思います。これは八十一条に条約という言葉がないことから考えて、当然そうではなかろうか。しかし条約は同時に日本の法制のもとにおきましては、公布されることによって国内法的な効力を持っております。特にその国内法的な効力と申しましても、条約の性質によって違って参る、あるいは条約の内容によって違って参りますが、国内法的に国民の権利義務を拘束する面があるわけであります。そういうような国内法的な面については最高裁の違憲立法審査権がないとは言い切れないのじゃなかろうか、むしろやはりあると考えてもいいのじゃなかろうか、そういうことを私の前任者の佐藤さんも言っております。これは議論の存するところであります。私も大体その見解に賛成しているわけでありますが、多少疑問はございます。個人的見解でございますが、条約の国内法的効力の面、これは条約の内容によって、その条約が直接に国民の権利義務を拘束している面があるとすれば、その面についてはやはり審査権なしとは言い切れないのではなかろうかと思います。ただしその審査権がありといたしましても、条約の特殊の性質がございますから、直ちにそれが国際法的効力に影響を及ぼすものでもございませんし、そこにはいろいろむずかしい問題がときには発生してくるわけであります。同時に条約については外国の裁判所が考えておるように、一応審査権はあるけれども、政治問題、あるいは統治行為として裁判所は判断すべきではないという学説が相当有力であります。これはいろいろの意見があって、いろいろむずかしい点があるということを御了解願いたいと思います。従来最高裁判所にはもちろんこれに関して結論を出したものはございません。下級審では一、二、個々についての詳しい議論をせずに、たとえば行政協定は有効な条約であるといった高裁の判決もございます。あるいは最高裁の小法廷でございますが、行政協定の解釈をしている判決もございます。そういう判決は一体どういう考え方で行政協定の解釈をするかはっきりわからない点もございますが、そういう判例はあるわけでございます。しかし最高裁のこれに関するはっきりした見解はまだ出ておらないことは御承知の通りでございます。特にこれが最高裁自身の権限に関するものであるだけに、いわゆる政府としての見解を申し上げることは、実は御容赦願いたい、かように考えております。

佐々木盛雄自由民主党

○佐々木(盛)委員 あなたは政府の憲法解釈というものに対して何か非常に憶病のようでありますが、何もそのことは最高裁の司法権を侵すという意味ではないのでありまして、法治国でありますから、規定された法律に対して時の政府やわれわれがいかなる解釈をするかということを明らかにすることは、ちっとも司法権の独立を侵すゆえんではないと私は思う。さような考え方に立って政府はきぜんたる態度を持って臨まなかったならば、これが合憲なりやいなやはわからないが、それは裁判所が判決を下してくれるのだというものの考え方はいけないと思う。やはり行政府は時の判決に対して統一した解釈を持って臨むべきである。私はかように思います。  そこで私は八十一条に含まれているかいないかというどちらの説をとるかということをなぜ承わるかと申しますと、もし八十一条の中に条約の審査権が含まれているとするならば、そこから出て参りますことは、結局憲法優位論となるわけであります。しかしまた反対の説のごとく、八十一条の中に条約に対する審査権というものがないとするならば、今度は条約が優先してくる。つまり条約優先論が生まれてくるということになるわけであります。従って政府はいかなる説をおとりになっているのか、この点を明らかにすることが基本的な態度ではなかろうか、これも基本的な方針が明らかにならないで、今安保条約の交渉をやっておりますが、それが違憲なりやいなやということは裁判所の判決にまかせたらよろしいという考え方はよろしくないと思うのでありますが、政府はこの二説のいずれをとっておられますか。

林修三法制局長官

○林(修)政府委員 安保条約が違憲であるかどうかということと、この八十一条の解釈をどう考えるかということは私は別問題だと思います。法律に関することについては、私ども政府の一員といたしましては、当然政府の憲法解釈をきめてかかって国務執行をやっていくべきである、かように考えております。ただ八十一条の問題は、まさに最高裁自身の権限に関することでありまして、外部からとかくのことを申しましても、実は政府がこの八十一条をどうきめたからどうなるという問題ではないわけであります。また政府が国務を執行するについて八十一条の解釈がどうだからどうだというものでもないわけであります。実は政府の国務執行について八十一条の解釈をきめなければどうにもならないという問題はないわけでございますので、先ほどのようなことを申したわけでございます。ただ、憲法を研究している一人としての私個人の見解をという御質問になれば、先ほど申しましたように、私といたしましては、いわゆる条約というものは特殊のものでございます。国際法的な規則でございます。憲法は国際法、条約を尊重し順守すべきことを特にうたってもございますし、またその国際法的な約束の面について最高裁は審査権は持たないのではなかろうか、かように考えております。しかし条約は同時に、その内容によっては国内法的に国民の権利義務を同時に拘束する面も日本の法制は持たしております。そういう面については必ず最高裁は違憲審査権が否定されないということは少し言い過ぎではなかろうか。個人的な見解として申し上げれば、ただいま申し上げた通りでございます。これについては政府として、行政府として、八十一条の解釈をきめなければ国務の執行ができないというような問題は実はないわけでございます。その点についての政府としての見解をどうしても申さねばならないことは御容赦願いたい。これは非常にむずかしい問題でございまして、簡単にきめ得ないことで、最高裁がみずからきめればいいことでありますので、さように申したわけでございます。

佐々木盛雄自由民主党

○佐々木(盛)委員 あなたに対する質問はもう一点だけにとどめておきますが、非常に常識的な話ですが、かりに外国と結んだ条約が最高裁の判決によって違憲であるということになったときにおいての、その条約の効力また国内的にどうなるという点は、あなたはどのようにお考えになっておりますか。

林修三法制局長官

○林(修)政府委員 これは条約というものは国際法的なきめでございますので、最高裁がかりにその違憲審査権ありという判断のもとにやりましても、直ちにそれがその条約の効力を無効にするものではないと実は私ども考えております。これはあくまで八十一条の解釈全体の問題に関連して参りますが、八十一条は、いわゆる司法権の延長としての違憲審査権を最高裁に与えているわけであります。いわゆる西独の憲法裁判所のような権限ではございません。従いまして、あくまで司法裁判所としての権限から申せば、具体的な事件についての拘束力しか実はないわけであります。これは法律についても同じことでございます。法律自体が無効になるのではなくて、そういう法律は無効だからこの事件はこう判断するという判断が実は最高裁の判断でございます。しかしそういう判断が下れば、何回法律をそのまま置いても最高裁にいけばすべて無効として判断されますから、国会はその法律の跡始末をつけなければならない、こういうことになると思うのであります。  条約の場合につきましては、これは最高裁はもちろん先ほど申しましたように、国際法的な面についての判断権はないと私は思います。そういう関係から、かりに最高裁が国内法的な面について判断権ありとして、ある条約が違憲である、国内法的な面において違憲であるといっても、先ほど申しましたように、国際法的な点については触れてこない。ただし、そういう最高裁の判断がかりにあったとすれば、政府としては国務を執行する上において、そういう条約を改定するか、廃棄するかという努力をする責任は負わされるという程度だと思います。もちろんそういうことが廃棄される、あるいは改定されるまでについての条約の拘束力というものはむしろ残っている、国際法的には完全にまだ条約として残っている。最高裁がかりに国内法的にそれが違憲であるということを判断いたしましても、条約の国際的な効力の面はこれは残っておる、かように判断いたします。この点は学者も大体同じように考えておると私は思います。

佐々木盛雄自由民主党

○佐々木(盛)委員 その点はけっこうでございます。

櫻内義雄自由民主党

○櫻内委員長 佐々木君、ちょっと申し上げますが、時間が大体参っておりますから、簡単に一つお願いします。

佐々木盛雄自由民主党

○佐々木(盛)委員 要点だけ申し上げます。社会党の中共使節団の北京における言動に関連してのことでありますが、私は私の説を述べることは簡単にいたしまして、外務大臣の所見だけを承わりたいと思います。  そこで淺沼君は非常に重大なことを言っております。アメリカの日本に対するないし台湾に対する政策が非常に帝国主義的である、こう言っております。私はここに規定した帝国主義というものの内容が何かわかりませんけれども、たとえば沖縄をアメリカが占領した、あるいは台湾にアメリカ軍が駐屯していること自体が帝国主義であるかのごとく、また南方に対するアメリカの経済的進出までもが帝国主義であるかのごとく言っている、かようなわけでありますが、それは別といたしまして、従ってアメリカはアジアにおいて帝国主義をたくましゅうしているのであるから、日中が協力してこのアメリカの帝国主義と戦わなければならない、日中共同の敵がアメリカ帝国主義だ、アメリカ帝国主義というものを今日民主政治の形態において実行しているものはアメリカの政府であります、しかりとすればアメリカ政府は日中共同の敵である、こういう立場を社会党はとっているわけであります。われわれはこれとは全く考え方を異にしているわけでありますが、こういう説に対して外務大臣として日本政府はいかなる考え方を持っているのかという点を明らかにしていただきたい。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 お話のように、私どもはアメリカが今日言うがごとき帝国主義の猛威をふるっておるものとは思っておりません。自由主義陣営の同志を助けるという考え方は持っておりますけれども、帝国主義的な猛威をふるって何か他国を侵略するというふうにはわれわれは考えておらぬのであります。従来の意味における帝国主義の猛威をアメリカがふるっておって、それがわれわれにとって何か圧力を加えておるというふうには考えておらぬのであります。

佐々木盛雄自由民主党

○佐々木(盛)委員 全く同感でありまして、今かりに日本がアメリカを日中共同の敵とするということになりましたならば、日本の経済も国防も一瞬にしてついえ去ると思うのであります。まことに淺沼君の言たるやほんとうに日本人としての認識に立っておっしゃったことか。これは中共の国民としての説ならば言うこともわかるわけでありますが、私は日本人の感覚においては全く了解し得ない点だと思うのであります。  次に、先ほども穗積七郎君がくしくも引用しておりましたが、しからば淺沼君は、日本とアメリカとは手を切ってしまって、そうして日本とアメリカとソ連と中共の四カ国の間において日本の中立を保障するような不可侵条約というものを締結すればそれでよろしいんだ、こういうことを言っているわけでありますが、今日の中共とソ連の軍事同盟においてはすでに日本を仮装敵国としているようなわけでございますし、また今日の米ソ関係の鋭い対立関係の中からそのような不可侵条約ができようとも思われません。思われませんが、またかりにできたとしても、われわれはそういう一片の不可侵条約によって日本の運命や日本人の生命、財産を託することはできない。というのはかつて日ソ中立不可侵条約があったにかかわらず、日本がいよいよ敗戦を迎える段階におきましては、御承知のように、ソ連は条約を一方的に破って日本に不法侵略を加えてきた。こういう事実に徴しましてもそのような不可侵条約の紙切れに日本人の運命を託することはできない、かように考えるのでありますが、この社会党の提案に対して外務大臣としての所見を一つこの際ここを通して国民の前に明らかにしていただきたいと思う。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 国民の将来の幸福と安寧とを政治の衝に当っておる者は考えて参らねばならぬ。お話のように条約を作りますことは幾らでも私はできると思います。しかしその条約が忠実に履行されるというのでなければ、条約を作ったほんとうの目的は達しないわけでありまして、これが忠実に履行されぬということの懸念のあるような条約を責任ある当局として作って、そうしてその条約だけで安心だということには絶対考えられないわけであります。従ってそういう意味において私どもはまだソ連、中共、日本、アメリカの四カ国による不侵略条約ができて、それで日本が安心だという状況にはないと思います。

佐々木盛雄自由民主党

○佐々木(盛)委員 従って日本は社会党の言うごとく、あるいは一部の人々の言うような中立政策というようなものは断じてとる方針がない、あくまでも自由主義陣営の一員として、自由主義諸国との強力なる提携、協力によってのみ日本の生存を求めていく、こういうような考え方であろうと思うのでありますが、この中立政策に対する外務大臣の考え方もこの際重ねて明らかにしておいていただきたい。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 私、現在日本が思想的に自由主義陣営におるということははっきりした事実だろうと思います。従って自由主義陣営の人々と仲をよくしていくということが、日本の外交の基本的方針でなければなりません。しかしそうであるからといって、何も共産主義国を敵視する必要はないのでありますから、事情の許す限り仲をよくしていくことも、これまた方針であろうと思います。そういう意味においてわれわれは自由主義陣営の同憂の士と相ともに手を握って、そして国際社会の改善に進んでいくというのが、日本の外交の基本方針であることはむろんでありまして、その中でも特に日本と地理的にもあるいは経済的にも密接な関係を持っておりますアメリカと、できるだけ協調して参るということは必要なことだと思います。ただ協調していくからといっても、何も全部アメリカの言うことを聞くわけでもなし、日本の意見を申し述べることも、これまた当然でありまして、イギリスとアメリカとの関係を考えてみましても、お互いに議論をしながらやっていくのでありますから、私どもは今何か共産陣営と自由主義陣営とは全然別個な中立の立場をとるということは考えられないだろうと思います。

佐々木盛雄自由民主党

○佐々木(盛)委員 それからもう一点承わっておきたいことは、今度の社会党の中共訪問によってわれわれに明らかになったただ一つのせめてものおみやげといえばおみやげと思われるのですが、今まで政治と経済とを分離した立場で話を進めていこうということに双方ともなって、第四次協定まで参っておったわけでございます。しかしこの間の淺沼君の訪問によって、中共当局、政治と経済とは不可分一体のものであってこれを分離することはできない、こういう立場を明らかにしたわけでありまするが、そういうふうに先方が政治、経済の不可分論を唱えて、その前提条件としての台湾問題の解決、あるいは日米安全保障条約の問題等の難問題を持ち出しておるわけであります。従って、この中において日中関係の打開をはかっていくということは、きわめて難事中の難事であろうと私は考えるわけであります。われわれはもとより、共産主義諸国であるといえども経済、貿易の面においては協力するにやぶさかではありませんけれども、きわめてむずかしい局面でありまするからなかなか打開ということは困難であろうと思うのであります。先ほどもだれかの話にありましたが、ときどき藤山さんも党として何か向うへ折衝に行くようなものを出したらどうかという話をされたやに承わっているのでありますが、このむずかしい局面、つまり政治、経済が不可分であるとするならば、今その前提に立って中共側から日本に要求しておることは台湾問題の解決、日米問題の解決であり、こういう難問題の解決を前提としなければならぬというのであるならば、なかなかむずかしいのではないか、おそらく不可能に近い困難ではないかと私は考えるのでありますが、この困難の中でいかようにして処していかれる方針であるか、明らかにしてもらいたいと思います。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 政治と経済が不可分であるということを御質問のようにとりますと、私もこれはむずかしいと思います。ところが先ほど森島委員でありましたか、穗積委員でありましたかにお答え申し上げましたように、参議院における曾祢委員の私に対する質問は、そうではないんだ、日華条約も廃棄するということを現在きめなくてもいいんだ、あるいは安保条約のあれも、もう日本はやめるんですと言っていかなくてもいいんだ、やめられないという事情を説明してもいいんだ、あるいは承認は今できないんだ、承認という態度をきめなければ話し合いには乗れないんだというのではなくて、そうではないんだ、もっとゆとりのある態度なんだということを曾祢委員が私に御質問になったわけです。これは先ほども申しましたように、政治と経済が不可分だというあの言い方からしますと、実は大へんに違いがあるのでありまして、どちらが正確な中共の考え方の解釈か、私どもも実ははなはだ迷わざるを得ない。しかしもし今お話のように、一つのテーブルに向い合ってすわって、今中共は承認できないのだ、あるいは日華条約は破棄できないのだ、しかし貿易のことはやるのだということ自体を話すことが、政治と経済を切り離さないで話すのだという意味なれば、これは前の民間協定をやったときの時代に私は返っていくと思うのでありまして、そういう状況ならばあるいは党の人が使節団等で行っても話ができるのではないかというふうに答弁をいたしたのであります。その点は実は私どもも迷う点でありまして、いずれの解釈が正確なのか、あるいはそういうわからない以上は、党あたりを通じてもう少し社会党の言われた、中共が言われたというのはどういうところにあるかということをはっきりさせることも必要ではないかというふうに考えるわけで、そういうことを申しておるわけであります。

佐々木盛雄自由民主党

○佐々木(盛)委員 私はこれで質問を打ち切りますが、今曾祢君は——社会党の党内事情を申し上げてまことに失礼でありますが、どちらかと言えば非常に右の方の系統の方でありますし、必ずしも左の方の方とは考え方を一にしていないようであります。しかし曾祢君は外交問題の専門家でもございますし、曾祢君のおっしゃったことをわれわれは信じたい、かように考えるわけでありますが、しかしながら中共の最近の社会主義の建設態勢を見ますと、さほど安易なものではなくして、やはり政経不可分論の根底をなすものは、日華基本条約の何らかの方式によるところの解消、あるいは日米安全保障条約に対する現在のような日本の政策をやめるというようなこと、そういったことを前提条件にしておるのではなかろうかとわれわれは考えるわけであります。しかりとするならば、この際政府からどう呼びかけてみても、それは当然むだなことではなかろうかと考えるわけであります。しかし幸にして曾祢君の言われるごときことが事実だとするならば、私たちは大いに日中の関係を打開する余地があると思いますが、元来は中国の民衆というものは非常に大国の襟度を持っておる国民でありますが、しかし今日きびしい共産主義というものの鉄の規制を受けておりますところの中国の人民というものと、今までわれわれが伝統的に考えておりましたいわゆる大人としての中国人というものとの間には、大きな相違があるのではなかろうかと考えます。ややともすると日本人は同じ善隣の国だ、同文同種の国だ、こういうことから昔のままの友好的な立場を持った国民のように考えておりますが、共産主義というものの社会においてはそういうことは私は許されないのじゃないか、かように考えますから、なかなか困難な問題であろうと思いますが、外務大臣は淺沼団長やその他ともお会いになったのでありますが、そういう話が出なかったものかどうか、またもし曾祢君の言うごとくんば、そこに何らかの日中打開のかぎがないわけではないのでありますから、曾祢君の説が事実を伝えるものとするならば、もう少しよく社会党の使節団とも個人的にも懇談されまして、そうして何らかの打開の方途を発見するという措置をとられることが賢明ではなかろうかと考えるわけであります。われわれはもとより今日中共貿易の持つ日本の世界貿易における重要性というものも、社会党の人たちが言うほど日本にとって日本経済に対する致命的なものであるとは考えておりません。しかしながら、いかなる国とも、特に善隣の国でもありまするし、たとい貿易額が少くても、これらの国と経済的な交流をはかっていくについては決してやぶさかではないわけであります。そういう点につきまして、場合によっては両党首の間に相談してもけっこうでありますし、別にわれわれも社会党のとった態度に対して一から十まで非難攻撃ばかり加えておるわけじゃございません。でありますから、そういうことを曾祢君が言ったことが幸いにして事実とするならば、社会党の訪問ということが日中打開に大きな貢献をなしたことにもなるわけであります。大きな足がかりを与えたことになるわけでありますから、この点につきましては外務大臣としても虚心たんかいに、さらに進んで社会党の使節団の意見なども聞かれて、そしてできますならば打開についての道を発見してもらいたい、かように考えるわけですが、その点についての藤山さんの御意見を最後に承わりまして、私の質問を終っておきます。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 社会党のその問題に対するあれは、曾祢君が参議院の予算総会におきます代表質問で私にそういうことを言われたわけであります。先ほどのこの委員会における森島委員の発言も、その線に沿って発言されておるようであります。淺沼団長が行かれる前に、私のところにもあいさつにおいでいただいたのでありまして、当然帰ってから事情を承わっておきますことは必要だと思っておりました。ただ地方選挙等のため淺沼団長も非常に忙がしいようでありますから、その機を得ておりませんが、適当な機会には、社会党の中共に対する今の政治と経済不可分の問題をどう解釈しておられるかということをもう少しはっきりさせることは必要じゃないかと私も考えておりますので、適当な機会にはそうことをはっきりさせて参りたいと思っております。

櫻内義雄自由民主党

○櫻内委員長 戸叶里子君。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 私、安保条約のことにつきまして伺いたいと思いましたけれども、同僚の穗積委員から大部分お聞きになりましたから、二点だけお伺いしたいと思いますが、その前に申し上げておきたいことは、ここの委員会は討論会でございませんから、私多くのことは申しませんけれども、今佐々木委員のお言葉を聞いておりましても、実際問題として、この淺沼書記長の向うでのいろいろな発言なりあるいは表現なり、そしてまた言葉の裏にある含みなり、そういうようなものをこまかく分析をされないで、ただいたずらに淺沼書記長に対する必要以上の誹謗的な言葉を言われたことに対しては、まことに遺憾だということを私は言わざるを得ないと思うのです。こういう点をはっきりさせる意味におきましても、今度の日中貿易の中絶というものは非常に岸首相に責任があるために、私どもは、はっきりさせるためにも首相並びに外務大臣に来ていただき、淺沼書記長から詳しい事情を聞いた上でこの委員会を通して確かめたいと思ったのですけれども、首相の方でお出にならなかったためにそういう機会が持てなかったということ、まことに遺憾だと思います。  そこで、両陣営にまたがる四カ国の不可侵条約というようなものに対して、それはできないことだというふうなことできめつけておられますけれども、やはり私ども平和を願う者は、そういうふうな方向に持っていく理想なり何なりを持ったならば、それをやるような方向に持っていく努力をするということが必要であって、それはできないというふうな形で行く行き方は少しお考え直しをいただきたい、こういうふうに思うわけでございます。  さらに政治と経済の分離の問題につきまして、不可分であると私どもは考えておるわけですけれども、その点につきましても、今佐々木委員がいろいろ御指摘になりましたが、外務大臣があとからはっきりさせるというふうなことでございまして、ぜひこの点は御努力になって、一歩中国との関係を前進させていただきたい、これを要望いたすわけでございます。  そこで安保条約の内容に入りますが、今度の一応想定された改定の案を見ましたときに、たとえば極東の平和という形で、在日米軍が日本の領域以外に出ていく場合とか、あるいはその他の多くの場合において、事前協議をされるわけでございますけれども、聞くところによりますと、アメリカの軍隊の方で、日本の政府によってその行動が縛られるというようなことはあまり好ましくない、従って事前協議というものもあまり好ましくないというような発言をされているかに伺っておりますけれども、交渉の過程において、そういうふうなことはあったかなかったか、この点も伺いたいと思います。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 日本を基地としてのおそらく作戦の問題だろうと思いますが、これについては事前に協議し、日本の同意のもとに出てくるように強く主張しております。ただいまも御指摘のようなことがあったかないかというような、話の内容において触れるわけには参りませんけれども、アメリカはそういう考え方を持っておるとは思っておりません。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 緊急事態なり、あるいはまた内容等にわたりましても、複雑な場合等も想定されるわけでございますけれども、一体協議をするような機関というものは、大体どういうふうな構想でお作りになろうとしておられますか、この点を伺いたいと思います。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 どうした形で協議機関を作るかということ、条約を締結した後に問題になると思っておりますけれども、少くも現在安保委員会等があるわけであります。そういうような形が適当でないかとはわれわれ考えております。この形の問題につきましては、もう少し研究した上で考えていきたいと思っております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 条約が締結されてから機関というものを考えるというふうなお考えでございますけれども、それではおそいのであって、もしもこの改定を目ざし、しかもそういうふうな機関を作ろうとされるならば、こういうふうな形でということも含んだ上で交渉すべきではないか、こういうふうに考えるので、その点と、もう一つは、安保委員会とおっしゃいますけれども、前の安保委員会の性格と今度の場合とは、すっかり性格が変ってくるんじゃないかと思います。従って、今までのような安保委員会の性格であっては、とても今後の事前協議ということには間に合わなかったり、あるいは日本の意見が十分いれられるということができなかったり、あるいは専門的ないろいろな問題があって気がつかなかったりというようなことが起きるんじゃないかと思いますけれども、この点でどういうふうにお考えになりますか。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 条約ができてから考えるのはおそいじゃないか、ごもっともでありまして、われわれも現在の段階において経過を説明しておるのでありまして、条約ができましたときには、やはりそういう構想も固まっておらなければならぬことは当然なことでありまして、その点はそういう意味に御了承願って差しつかえないと思います。  それから安保委員会のごときものと、ごときものをつけたのでありまして、現在の安保委員会通りには作るとまで今考えておりませんし、また今度はいろいろな面において協議をいたす範囲が相当広くもなって参ります。従って、それらに対応し得る態勢を整えることも必要だと思っておるのでありまして、そのこと自体は条約の進行とともに最終的に決定していかなければならぬと思っております。別に離れて考えておるわけではございません。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 それから期間の問題ですけれども、この期間の問題はだいぶこの委員会で問題にされて、十年というのは長いじゃないか、ほかの米韓、米台、米比のような期間を見ましても、一年前の通告で廃棄になる、そういうふうなことを考えて長過ぎるというふうなことがいわれたのですが、外務大臣としては、十年くらいが適当と思うというだけで、どうして十年においたかというようなことは、今までに御答弁を私いただいておらないと思うのです。そこで十年間の世界の動きというものは非常に速度が早いのですけれども、外務大臣は、今後十年間は大体今の形で進んでいくんだというふうな想定のもとに十年間というふうにお置きになったのかどうか、この点も確かめておきたいと思います。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 十年が短かいか長いか、いろいろ御議論があるところだと思います。われわれとしては今の世界の進み方が非常に早いというのは、科学技術上の面や何かでははっきりそういうことが考えられると思います。しかし残念ながら人の心の上では、必ずしも十年でそう大きな変化も起っておらぬのでありまして、そういう意味から考えますと、安定的に日本の自衛を確定していくというのには、やはり少くとも十年くらいは見て参らなければならぬのではないかというふうに考えるわけであります。むろん今後世界のいろいろな情勢が相当に変化して参るとは考えておりますけれども、それでは戦争が全くなくなってしまうようなところまで十年でいけるかどうかといいますと、残念ながら人間の考え方というものは科学の進歩に伴ってそう並行してすみやかには動いていかぬように思っておりますので、こういう状況が適当ではないか、こう考えております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 科学技術の進歩ということによってやはり世界も大きく動いていくわけでございまして、そういう点から見ますと、目まぐるしいほど急速に動いている世界の情勢というものを見たときには、やはり私は十年ということはお考え直しにならないと後世に悔いを残すだろうということさえも考えるわけでありまして、この点は今後藤山外務大臣としてはもう一度お考え直されるお考えがないかどうかということを確かめたいことが一つと、もう一つは、先ほど穗積委員からもちょっと触れましたけれども、条約適用区域の問題でございます。沖縄、小笠原は大体世論の動向として入れないというようにはっきりおっしゃいましたが、それでは条約の文章としてはどういうふうな形で持っていかれるのか。はっきり沖縄、小笠原は入れないというのか、それとも入れないというふうな含みを持った表現を用いられるのかどうか、この点をお伺いしたいと思います。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 第一問に対しては、私は、現在日本の責任を持って政治をやっているものとして十年くらいが適当ではないかと考えております。少くとも最低十年くらいは必要ではないか、こう考えております。  沖縄、小笠原をかりに入れない場合にどういう表現をとるかということは、これは相当考えて参らなければならぬ問題なのでありまして、いろいろな字句上の問題もありますし、また字句上の使い方によって、入れないという精神が歪曲されても困るわけであります。それらの点はいろいろ慎重に考えながら善処して参りたいと考えております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 字句上の問題が大事だからその点は考慮しながらお書きになるとおっしゃるのですけれども、それでは外務大臣のお考えとしては、沖縄、小笠原を含まない、はっきりそういう表現をお使いになられるのでしょうか、どうでしょうか。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 沖縄、小笠原という固有名詞を出しますか出しませんかは、まだはっきり申し上げられません。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 日本領域に適用するというふうな言葉をもしも使われるといたしますと、そこにいろいろな問題が出てくるわけなんですけれども、そういうふうな非常に大ざっぱな表現をされるかどうか、この点も伺っておきたいと思います。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 かなりはっきりした表現を使っていきたいと思います。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 バンデンバーグの決議その他の点につきましては穗積委員がお聞きになりましたので、あとの質問は時間もありませんから次の機会に回したいと思います。

櫻内義雄自由民主党

○櫻内委員長 以上で本委員会の今国会における一切の案件の審議を終了いたしました。委員長として各委員並びに御関係の各位の御精励と御努力に感謝の意を表します。  本日は、これにて散会いたします。     午後一時二十六分散会

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