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31回国会衆議院1959/03/25

外務委員会 第16号

発言数
112
登壇者
11
会派数
2
開催日
1959/03/25

会議録

櫻内義雄自由民主党

○櫻内委員長 これより会議を開きます。  まず日ソ漁業交渉の問題について水産庁当局より発言を求められておりますので、これを許します。西村政府委員。

西村健次郎農林事務官(水産庁次長)

○西村(健)政府委員 ただいま開かれております日ソの漁業委員会の交渉の経過につきまして、そのごくあらましを御報告申し上げたいと思います。  ただいまの委員会は条約に基く第三回の委員会ということになっております。  去る一月十二日に会議を開きまして、まず最初に議事日程の採択ということで二日ばかり時を費しました。これは議事日程の順序ということで日ソ間に意見の相違がありまして、そこでひまどったわけであります。結局議事日程は二、三日ほど要しまして採択になりました。その後におきまして、まず議事日程の第十一番に入りました。この十一番からが議事日程の実質的な番議内容でありまして、それまでは会議の議事手続のようなものでございます。十一番に入りまして、ここでまずソ連から前年における条約の諸規定及び会議で決定されたことの実施に関する双方の通報ということがありました。ここで一番大きな問題として、ソ連並びに日本側から違反船の通告がありました。これにつきましては一口に申し上げますと、日本側の違反船ここに無許可船の数が非常に多いということで、双方でいろいろ論議を重ねました結果、委員会の最初の決定といたしまして、決議という格好で、「委員会は、条約及び委員会の決定により、サケ、マス漁業につき定められた漁業規定の実施を保障するため、両条約締約国政府が適正かつより効果的な措置をとるよう勧告する。」これは双方双務的なことになっておりますが、実際にはこの違反船というものが日本側に非常に多いわけでありまして、端的に申し上げますと、この点についてより取締りを強化する、そういうことを両国政府に勧告するという決議を採択したわけであります。  そこで議事日程の第十一を終りまして、次に、議事日程の第十二、サケ、マスの資源状態、それから規制区域内における年間総漁獲量の決定及び漁業の規制、この、サケ、マスについて最も実質的な重要な議題に入ったわけです。そこでまずサケ、マスの資源状態ということから論議が始まったわけであります。これが一月二十二日の第八回の本会議であります。ここで双方からサケ、マスの資源状態についての一般的な見解が表明され、さらにこの場におきまして、日本側の見解といたしまして、本年の総漁獲量も一昨年を下回ることはないということをもちまして十六万五千トンというものを委員会に提案したわけであります。これに対してもちろんソ連として何らの反応を示さず、そこで、サケ、マスの資源状態につきまして科学技術小委員会に付託するということに相なったわけでございます。越えて一月二十八日に科学技術小委員会が開かれまして、サケ、マスの資源状態について審議に入ったわけであります。このサケ、マスの資源状態の審議に関しまする科学技術小委員会は、一月二十八日に始まりまして、三月六日に、科学技術小委員会としてのサケ、マスの資源状態についての審議は一応終っております。  この科学技術小委員会で討議しましたことは、第一番目に、サケ、マスの資源状態の評価ということの一般的な問題、第二に、サケ、マスの未成熟魚、まだ成熟してない魚、これの問題、それから第三番目に、マスについての資源の問題、第四番目にシロについての問題、第五番目がベニの問題、第六番目がギン及びマスノスケの問題、第七番目といたしまして、一九五九年、本年におけるサケ、マス資源の一般的な評価、こういうような七項目でありまして、これについて日ソ双方におきまして意見が戦わされたわけでございます。この内容等につきましてはまた後ほど申し上げようと思いますが、三月六日にただいま申し上げましたように科学技術小委員会でサケ、マスの資源状態についての審議が終りまして、直ちに本会議にこれを報告し、同日本会議が科学技術小委員会の報告を採択、同日より次の問題であります規制措置の問題——規制措置と申しますと、漁期の問題とか禁止区域の問題といった実質的な漁業の規制の内容についての問題でございます。この審議に入ったわけでございます。  この審議に入りました際におきまして、すでに新聞等で御承知と思いますけれども、本年ソ連側から、日本の北洋規制区域内におけるサケ、マス漁業の操業区域及び操業の始期及び終期について、非常に重大なる提案があったわけでございます。その内容はすでに新聞等で御存じと思いますので、ここにあらためて申し上げませんが、これにつきましては日本国内においてわれわれといたしましても非常なショックを受けた内容でございます。  次に、三月七日の本会議におきまして、さらにソ連側よりベニザケの規制というような問題も一つ提案がありました。そのほかサケ、マスの問題としましてはえなわ漁業というなわ漁業がございます。これについてのソ連側の提案もございました。話は前後いたしますが、これにつきましては大体日ソ両国間で合意に達しまして、当初ソ連は非常にドラスティックな案を出しましたけれども、結局これにつきましては、日本側がこれ以上はえなわ漁業の規模を増大しないということで合意に達しました。ただ先ほど申し上げましたソ連側の規制措置、禁漁区、漁期についての提案につきましては、その後双方において見解が対立したまま今日に至っているわけでございます。日本側としましては、御承知のようにこれらの規制措置のほかに、この議題十二における最も重要な問題、年間総漁獲量の決定ということにつきまして一日も早く審議に入る必要もありますので、その後本会議から引き続き日ソ両国の委員だけの非公式な会談をしばしば開きまして、局面の打開に努めているわけでございます。さらに一両日前よりは、本会議を開き、この規制措置について引き続き審議を進めているような状態でございます。  ごく簡単に日時的に経過を申し上げますと以上のようなことでございますが、多少内容に入りまして申し上げますと、まずサケ、マスの資源状態ということが実質的に非常に大きな問題として当初審議されたわけでございます。結局サケ、マスの資源状態についての日ソ両国間の見解と申しますか、これは対立したまま平行線をたどった形になっておる。     〔委員長退席、佐々木(盛)委員長代理着席〕 従いまして、先ほどの科学技術小委員会のレポート、本会議に対する報告もおおむねそのような方向で表現されておる次第でございます。この資源状態の問題及び規制措置がやはり総漁獲量の決定と密接不可分の関係にありますもので、いずれにしましても、わが方としては言うべきことを言い、向うのことも聞き、双方の見解が今申し上げましたように対立しているがために非常にひまどっているわけでございますが、まず資源状態につきましてソ連側の基本的な考え方を一口に申しますと、これは生物学的な問題になりますが、資源状態の判断をするために沿岸区域の親魚、川に上ってくる親魚及び産卵して下っていく稚魚によって資源状態を判断すべきである。要するにサケ、マスの淡水生活、河川における生活期の生物学的資料に基いて資源状態は判断すべきだ、これがソ連側の主張であります。日本側としましては、沿岸の生物学的資料を無視することはもちろんできませんが、現在の段階におきましては、これはきわめて不十分で、基礎にできない。さらに一方海洋におけるサケ、マスの生活というものも重要なものである。わが方といたしましては、結局現在の段階におきましては、長い間の漁獲統計を生物学的な基盤で分析して判断することが正しいというような、一つの主張の対立があるわけでございます。そのほか、たとえばソ連側は、沖取り漁業は沿岸漁業にきわめて大きな影響を与えるということを言っておる。あるいは日本の沖取り漁業は、これは相当技術的になりますが、未成熟魚を非常に多くとっている。それから日本がよく、先回の委員会でも言っておりますサケ、マスの未利用資源ということを言うが、これはないというようなこと、それから全体として総漁獲量の決定について一番大きな要素を占めますマスの資源につきましては、ソ連では従来は奇数年が豊漁年で偶数年が不漁年とされておったのでありますが、近年になりますと、豊不漁の反対循環というものが現われてきて、カムチャッカ、オホーツクの方は奇数年が豊漁だが、アムールとか樺太、千島という方はむしろ逆に奇数年が不漁である。従って、本年は豊漁年と一般にはいわれておるけれども、むしろ低位豊漁年であるというようなことをソ連側は言っておるわけでございます。日本側としましては、これらのソ連側の主張に対しまして一々われわれとしての論拠をもちまして反駁しておるわけでございますが、たとえば沖取り漁業が沿岸漁獲に大きな影響を及ぼすということにつきまして、影響が皆無だとはもちろん私どもは申しませんが、その性格及び影響の程度というものの評価につきましては、ソ連側と見解を異にしておるということ、それから沖合いと沿岸との資源を評価する場合には、沿岸の個々の区域について考えてはならない、全般的に総合的に考えるべきではないかというようなこと、それから先ほどのサケ、マスの未利用資源はないということをソ連側は言っておりますけれども、日本側としては、それはあるはずだ、と申しますのは、カムチャッカなり極東水域の幾百の河川にサケ、マスが上るわけでございます。現実にそのうち漁獲として利用されておる河川はごく一部である。従って、ほかの河川に上るサケについてはこれはいたずらに死滅するだけである。従って沖合いで漁獲する場合におきましては、特定の河川のサケ、マスのみをとるのではなく、全般的としてとるわけですから、結局そういう未利用資源というものを沖合いでとり得るというようなことは従来からの日本の主張であります。この点については、日本側としても本年も強く主張しておるわけであります。  さらに沖取り漁業と沿岸漁業との関係につきましては、日本側として従来から言っております沖合いにおけるサケ、マスの死亡というものが、河川に上り成魚となった時期において、従来考えられたよりもはるかに多いのではないかということで、その調査を昨年から始めました。まだ完全なデータではございませんが、中間的なデータをもってこれを裏づけるべく主張もしておる、こういうようなことをいたしております。結局資源状態につきましてはいろいろ問題はありますけれども、いずれにいたしましてもソ連側と日本側との基本的な考え方、見解というものが違っている場合がございますので、先ほど申し上げましたように科学技術小委員会の報告は平行的なものとしてあげられている、こういうことで本会議に報告されたわけでございます。  次に規制措置につきまして、先ほど申し上げましたように、すでに新聞で御承知のような一定のたんざく型の区画を作りまして、そこを操業区域として、しかも漁業の期間を切ってくるという非常にドラスティックな提案が向うからあったわけでございます。これにつきまして私どもとしては、従来からこの漁業条約で予定されているものは禁止区域であります。これは資源の保存のために必要な禁止区域ということでありまして、この条約の精神そのものからいって、公海における漁業の自由ということを基盤にしつつ、そこに必要な資源保存のための規制措置を講じて、禁止区域というものがサケ、マスの生態というものから考えますと河川の沿岸あるいは河川の周辺というもので必要である、昨年まではそういうふうな禁止区域で両国間に合意が達せられたわけであります。ソ連側のことしのような提案は、条約の精神そのものからいってはなはだおもしろくないものであると同時に、実際に資源保存のためにも必要でないものであるということで、わが方としましては従来と同様な沿岸における禁止区域というものを反対提案として出しておるわけでございます。この点につきましては、先ほどの資源状態というものと関連いたしまして、ソ連側は相当強い態度をもってきておる。これは先ほども申し上げましたように、次に来たるべき年間総漁獲量の決定というものの前提要件となる事項だけに、これにつきましては、これからの話し合いがなかなかむずかしいのではないか、こう思っておる次第でございます。  ただいまのところは大体その程度でございますが、ただここで一つ、あるいはこれは経過の報告の一部と思いますけれども、本年におきますソ連側の態度というものは——これは条約上当然であろうと思いますけれども、委員会において全部物事をきめていく、総漁獲量も決定する、他のすべての案件も決定することになっておりますので、あくまで資源論なり、あるいは規制措置なり、全体の一環としまして漁獲量をきめていくということの態度が、むしろ従来より明らかに出ているように私どもは看取されるのであります。この点は条約の本旨からいえば当然なことであります。従いまして委員会といたしましては、現在デッド・ロックと言っては言い過ぎだろうと思いますけれども、一つ一つ問題を片づけるべく両者の委員によりまして毎日おそくまで会議を続け問題を進展させていきたい、こういうふうに考えております。  それからただいまは議題十二まででございますが、このあとに議題十三としましてはニシンの問題、それから議題十四としましてカニの問題、これらの問題が控えておる。その他の二、三の問題もございますが、実質的な問題としましてはサケ、マスのほかに、ニシン及びカニについての審議というものが、大きな議題として残されておるわけであります。これにつきましてはサケ、マスについての議題を終了しました後におきまして——議題の終了といいますか、一応全部の議題に当りましたときにおきまして、これらの問題に入っていく、こういうことにおそらくなろうかというふうに思っております。  大へん簡単でございましたけれども、一応御報告申し上げ、なお御質問がございましたらお答えいたしたいと思います。

佐々木盛雄自由民主党

○佐々木(盛)委員長代理 ただいまの発言に関し質疑の通告がありますので、これを許します。床次徳二君。

床次徳二自由民主党

○床次委員 目下漁業交渉は交渉中でありますので、私といたしましては日本側の代表が十分にわが方の意見を主張し、その目的を貫徹せられるよう要望するわけでございますが、一言お尋ねしておきたいと思います。  毎年交渉をいたしているのでありますが、ただいまお話がありましたように、本来科学的に漁獲量というものがきまって、これを基礎に毎年円満に進行すべきが条約の建前だと思いますが、実際面におきましてはそういう結果になっておらない。政治的妥結を毎年繰り返しておるのであります。しかもその結果が毎年々々わが方の漁獲高の制限という形、また規制の強化という形になって結末をつけているという状態に対しましては、はなはだ遺憾な感じを持つのでありまして、国民といたしましてもこの点納得しがたいと思うのであります。  それに関して伺うのでありますが、科学的に各小委員会がそれぞれ努力しておられるのでありますが、今日まで科学的取扱いに関する見解が小委員会において大体一定の方向にまとまりつつあるかどうかということをお伺いいたしたいのであります。常に対立だけしているのか、あるいはある程度まで全般的な立場から見まして一つの共通な結論に向うものがあるのかどうかということについてお尋ねしたいのです。

西村健次郎農林事務官(水産庁次長)

○西村(健)政府委員 結局規制措置は漁獲量を前提として——規制措置と申しますか、全体といたしましては要するにサケ、マスの資源状態の評価というものが前提になるだろうと思います。これにつきまして先ほど申し上げましたように、科学技術小委員会におきましては資源論に関し七つの項目について議論をして、おおむね平行線をたどっているということを申し上げます。遺憾ながらこれらにつきましては一致を見ておるかおらないかということはニュアンスの問題もございます。たとえば沖取り漁業が沿岸漁業に影響を及ぼすかどうかという問題、これにつきまして日本側としては影響は皆無だとは言えない。それは影響があるという言葉で言えば、これは一致しているわけであります。しかし単に影響があるというだけでは問題は片づかないわけであります。日本側としましてはその関係がどういうふうな性格であるか、影響の度合いとか、それから評価、影響の程度というような問題を前提として考えないといけない。そういうところまでこれを具体的にと申しますか考えますと、この沿岸、沖合いの問題もまとまっていない、こう言わざるを得ないということになるわけでございます。もちろん日ソ漁業条約というのは、他の漁業条約と同様に科学的調査に基きまして、政治的という意味でなしに、科学的なべースの上に立っていろいろな措置をきめていくものでありますから、方向としてはその方向にいくべきでありますけれども、先ほども申し上げますように、ソ連は沿岸についてのみの漁業をしている、日本は沖取り漁業をしているということで、本質的に両方の漁業の態様も違いますので、これらが全体として一つの同じ場合において議論ができるようになるということが、今までのところなかなかむずかしい、こういうことが根本的なところであろうかと思います。もちろん将来におきまして、科学的知見が増し、その結果両者において見解の一致するものも出てくることは十分考えられます。こういうふうに私は考えております。

床次徳二自由民主党

○床次委員 本年の科学技術小委員会において、意見の対立しておることはわかったのでありますが、過去において数回毎年々々やはり同様の問題を議しておると思いますが、過去の意見の対立というものの推移から見まして、依然として当初から今日に至るまで毎年々々対立のままにきているのかどうか。

西村健次郎農林事務官(水産庁次長)

○西村(健)政府委員 一般的に申し上げまして、私がただいま申し上げましたように、ソ連は沿岸、ことに淡水域におけるサケ、マスという基本的な態度、日本側はやはり海洋におけるこれまでの漁業としての経験でございます。データもその方からとっております。従いまして、そういう基本的なベースの違いということがありますので、程度とか、具体的な問題、これは違いまするけれども……。     〔佐々木(盛)委員長代理退席、委員長着席〕従来ともソ連と日本側とが生物学論争において、完全な一致をいたしたということには参っておらないのであります。ことしのみ特にきわだって対立しておるということく見る必要もなかろう、こう思っております。

床次徳二自由民主党

○床次委員 従って科学的なデータの上に漁獲量その他規制が行われることになっておる条約上の建前でありながら、実際面におきましては、なかなかその条約上の建前通り実施されていないというところに、はなはだ遺憾な感じを持つわけであります。一つ政府におかれましても、一そうこの間の折衝において新しい進展を見るように努力されんことをこの際要望して質問を終ります。

椎熊三郎自由民主党

○椎熊委員 関連して。今のはサケ、マスに関する委員会の問題を取り上げて、御論議になっておるようですが、それに関連して、北海道で最も関係の深いコンブの問題なんですね。歯舞、色丹が釧路コンブの主産地です。これは領海の問題に引っかかって、そこへとりに行くとたまたま拿捕されるという場合が非常に多い、しかしながら歯舞、色丹は目の前にある島なんですから、そこで零細漁民が自由にコンブを採取できないということになると、これまた非常に大きな問題になる。今度の委員会ではそういう問題にまで触れて論議せられておるのかどうかということなんです。

西村健次郎農林事務官(水産庁次長)

○西村(健)政府委員 今度の委員会におきましては今椎熊委員の御指摘の点については、全然これは討議の対象に上っておりません。

椎熊三郎自由民主党

○椎熊委員 そうすると旧来通り、今までは危険を冒しつつとっておるのですが、そういう状態でことしも続けられていくので、何ら沿岸漁民が保障されないことになるのだが、そういう点を等閑に付しておいていいのかどうか、こういう機会にこそお話し合いがあってしかるべきだと思うのですが、どういうものでしょうか。

西村健次郎農林事務官(水産庁次長)

○西村(健)政府委員 御承知のように、現在の日ソ漁業条約におきまして、条約区域内において規制の対象となる魚種はサケ、マス、ギンザケ、ベニザケ、マスノスケの五種のサケ、マスでございます。そのほかにカニとニシンにつきましてはこれはやはり規制がございます。それだけでございます。コンブとか、そういう海藻の採取あるいは色丹あたりのほかの漁業がございますが、こういう問題は条約の規制の対象にはなっておらないわけでございまして、この点は全然別個の問題で、御承知のように、昨年もたまたま日ソ漁業委員会の第二回の委員会がモスクワに開かれました際にも、委員会の場においてではなく、並行的に門脇大使から向うに申し入れをした、こういうことになっております。私の方としましては、この問題につきましては、従来から一刻も早く、あの辺におきまする零細漁民が安全に操業できるように、そういう日の実現することを強く願っておるわけでございます。

椎熊三郎自由民主党

○椎熊委員 今の問題は、今度の委員会等と別個に外交折衝として従来もやっておるが、今後もそういうことを続けていくというように了解していいわけですね。

西村健次郎農林事務官(水産庁次長)

○西村(健)政府委員 外交折衝になりますと、ここに外務政務次官もおられますけれども、私がそこを申し上げると僣越でございます。私どもとしては、先ほど申したように、従来も外務省にお願いして、その点は強く言っていただく、その点は変りございません。

椎熊三郎自由民主党

○椎熊委員 わかりました。

佐々木盛雄自由民主党

○佐々木(盛)委員 関連して承わっておきたいのでありますが、今度の、突然ソ連の出して参りました禁漁区域の設定並びに漁期の制限の設定、これは非常に重大なものであり、かつまた先刻来の説明を承わりましても、元来の日ソ漁業条約の根本精神をじゆうりんしたものだ、われわれはかように考えるわけです。そこで、今のお話を承わっておりますと、その一番問題の総漁獲量の決定の基礎をなすものは、やはり資源論であると思うのです。ところがこの資源論において、日ソ両国は全く相対立する立場に立っておるわけであります。しかりとするならば、最後の総漁獲量決定のときにも、この資源論というものが持ち込まれていって、そうして根本的に意見が対立してくる、こういうことになる危険性が非常に強いと思うのでありますが、そういうことになる見込みではございませんか。

西村健次郎農林事務官(水産庁次長)

○西村(健)政府委員 逆に申し上げますと、かりに資源論で日ソ間に意見が一致すれば、総漁獲量というものも当然出てくるということもいえるだろう。従いまして、今御指摘のように総漁獲量の決定というものは、やはり資源論というものと密接不可分なものでございますから、資源論でぴったり一致した上でないと、総漁獲量がきまらないということになると、これはなかなか容易なことできまらない、こういうことになるかと思います。その辺に日ソ漁業委員会と申しますか、この交渉の従来からの非常なむずかしさ、条約そのものに書いてある通りになかなかぴたっといかない事情もあるか、こういうふうに考えております。

佐々木盛雄自由民主党

○佐々木(盛)委員 そうすると、最終的にはこれは政治的に話し合いで解決をするということになると思うのです。そのときに十六万五千トンという一昨年の線を割らないで現状維持ができるというような大体のお見込みでありますか。

西村健次郎農林事務官(水産庁次長)

○西村(健)政府委員 そうすると政治的解決というお話でございますが、政治的解決という意味はいろいろあろうかと思いますけれども、要するに委員会のべース以外で解決するということが政治的であれば——これは何も、先ほど申しました委員会で決定することも可能だと思います。というのは、やはり資源論の論争につきまして両者の意見が平行しておりましても、委員会におきまして両者が歩み寄りしまして、そのおのおのの多少の妥協ということも考えられる。そうして委員会で総漁獲量をきめるということも、これはもちろん可能であります。資源論について、先ほどのような基本的な考え方が平行線をたどっておりますがゆえに、必ず政治的といいますか、委員会外の、場の外におきまして解決がされるということには私はならないと思います。  そこで十六万五千トンというものは、日本側といたしまして、これは何も政治的な数字として出したわけでございません。一昨年十六万五千トンというものを提案いたしました、その際におけるわが方の主張のべース、その基礎としてのデータを、いろいろ事前において十分検討いたし、さらに本年もこの量を提案する以前におきまして、わが方としての総漁獲量、過去の漁獲実績、あるいはその他のものからあるいは罹網率と申しますか、網にかかるサケの率、こういうものから本年における量はどの程度であるかということを考えました際におきましては、やはり一昨年よりことしの方が資源的には悪いということはどうしても出てこない、むしろほかの数字を出すことによってかえってこれは政治的な数字として扱えるということで、十六万五千というものを出したわけであります。これをどのように固執しますか、これは二国間の話し合いの問題でございまして、私がその点につきまして今お答えするわけにはちょっと参りません。

佐々木盛雄自由民主党

○佐々木(盛)委員 あなたの事務当局の立場はよくわかりますが、その資源論から出てきて規制区域の中にさらに禁漁区域を設けるというソ連側の提案あるいは漁期についても制限をする、そうなりますと、今までの日ソ漁業条約の公海漁業自由の原則というものを根底からくつがえす立場に立っての提案であるとわれわれは考えるわけであります。かりに話し合いによって十六万五千トンをあるいは十五万トンにする、十万トンにするというような交渉になったときに、その前提はどうなんです。いわゆる公海漁業自由という原則をじゅうりんした禁漁区域の設定とかあるいは漁期の制限、こういうものに対して日本側はある程度妥協をするのですか、そういう基本原則には断固としてわが方は応じることはできないという立場をとっていかれるのか、どうです。

西村健次郎農林事務官(水産庁次長)

○西村(健)政府委員 今の点お答え申し上げますが、条約そのものが先ほども多少申し上げましたが、規制区域というものを定めまして、その中で必要な規制措置を行うということになっております。それでたとえば保存のための禁漁区が必要ならば、先ほど申し上げましたように、資源保存のために必要なところにとどめるべきである、これは方式としてはいろいろあろうかと思います。日ソ条約が予定しているものはそういう禁漁区というようなもの、たとえばベニにつきましては相当広い区域が七月二十日以降に設定されておる、こういう方式でやっております。わが方としまして今度ソ連側の提案しましたもの、これについてもちろん私どもの方としては反対しておりますが、むしろ禁漁区という規制区域の中に操業を許される区域をたんざく型に認める、こういうことはやはりソ連としてはおそらくほかのところを広い区域を禁漁区にすることは資源保存のために必要である、おそらくそういう主張でございましょう。そもそも条約の予定しているところとだいぶ違うじゃないか、そういうことになりますと、単なる量的な問題じゃなく、質的な問題——公海自由の原則というものに基いて条約が予想しているところとだいぶ違うということで、日本側としては強くこれに対しては反対の態度を表明しておるわけでございます。

佐々木盛雄自由民主党

○佐々木(盛)委員 そうすると、具体的に今までの条約による規制区域の中にソ連側の提案により新しい禁漁区域が設けられますと、その地域はどうですか、面積、海面というものは、もしソ連の提案を受諾したとするなれば、実際に魚のとれる地域はどのくらい狭められてくるのですか。

西村健次郎農林事務官(水産庁次長)

○西村(健)政府委員 私の聞きましたところで、今正確な数字を持っておりませんが、たしか全体の区域の一八%が操業を認められる区域でございます。ソ連側の当初の提案につきましてはそういうことになろうかと思います。

佐々木盛雄自由民主党

○佐々木(盛)委員 操業を認められる区域が一八%ということは、禁漁区域が約八〇%ということなんですね。そうすると従来条約によって認められておった区域の中の八〇%が禁漁区域になるということでしょう。これは重大な公海自由の原則というものを根本から踏みにじったところの提案であって、これに日本が応ずるというわけには私は原則論からいっても参らないと思うのです。それからもう一つは、かりに八〇%が禁漁区域になったときに、実際問題として十六万五千トンというものはどれくらいに減ってくるのですか。

西村健次郎農林事務官(水産庁次長)

○西村(健)政府委員 これは毎年の漁況が変っておりますし、海流状況等も違いますので、ぴたっとそこへ——日本の北洋における漁業のパターンと申しますか方式と申しますか、まだ年数が浅いものでございますから、たとえば五六年はブルガーニン・ラインの東寄りで操業しておる、五七年は非常に豊漁だ、五八年は昨年、ですから一定の数字はこれというふうになかなか出にくいのでございます。しかし私どもとしては三万トンもとれないのじゃないか、二万七、八千トンか九千トンがあの区域であの期間フルにやるとしましてもとれる最大量であろうと思います。

佐々木盛雄自由民主党

○佐々木(盛)委員 面積において八〇%が禁漁区域になる、また総漁獲量において十六万五千トンが三万トン足らずになる、そういう提案を、向うは科学的根拠を資源論に求めてきておるわけでありますが、いずれにしてもこれは私たちが常識的に判断しまして、彼らのいう資源論とは、要は総漁獲量あるいは漁区や漁期というものを制限するための方便にしかすぎないと私は思うのです。あまりにも従来の日本に許されておった範囲からいって、今度の制限というものは問題外で、私はこういう提案に日本が政治的に応ずるというようなことは、する余地はないと思うのです。そこで万一資源論において双方の意見が合わないときには、政治的な折衝の余地も私は簡単にないと思うのです。またそんなことに容易に妥協をしてはならぬと思うのです。ではもし交渉が妥結しなかった場合には日本の漁民はどうするのです。

西村健次郎農林事務官(水産庁次長)

○西村(健)政府委員 佐々木委員の御質問でございますが、私どもといたしましては現に日ソ漁業委員会、両国の代表が毎日心血を注いで——もちろん両者いろいろなかけ引きもありましょうけれども、まじめに問題を解決をする、これはソ連側も同様でございます。一日も早く問題を解決したい、こういうことでやっておりますので、私どもとしまして、ここで妥結に至らなかったらどうするのだということにつきまして——私どもはそういうことは必ず妥結をする方へ持っていきたい、こういうふうに考えております。

佐々木盛雄自由民主党

○佐々木(盛)委員 ソ連側の先刻来申し上げます提案は、公海漁業自由の原則をじゅうりんしたものであり、従って従来日ソ漁業条約の根本精神を踏みにじったものである、そういう前提にはお立ちになっておるのでありますか。

西村健次郎農林事務官(水産庁次長)

○西村(健)政府委員 私どもとしまして、日本側としましては、このような二〇%足らずのきわめて限定された操業しか認めないというような規制方式というものは条約に予定したことでないし、公海自由の大原則、日ソ漁業条約の根本精神というものに考えても承服できないということについての考えは変っておりません。

佐々木盛雄自由民主党

○佐々木(盛)委員 従って従来の漁区の八〇%までを禁止区域にする、あるいは十六万五千トンがわずかたった三万トンになったならば、日本の漁民たちは一体どうするのか。これは重大な問題です。ソ連側の提案はあなたが先ほどおっしゃったように文字通り非常にドラスティックなあまりにも理不尽きわまるところの提案である。安易な妥協は私はしてもらいたくないと思う。このソ連側の理不尽なる提案の内容をむしろ国民の前に明らかにして、われわれはもっときぜんたる態度を持って臨みたいと思うのでありますが、ソ連側のこういう提案に対しましては容易に応じない、場合によっては決裂しても仕方がない。日本の主張はあくまでも貫徹するのだという強い決意を持ってお臨みになっておりますか。

西村健次郎農林事務官(水産庁次長)

○西村(健)政府委員 今問題になっております規制措置につきまして、日本として非常に強い態度を持つということは、すでに新聞等で御承知だと思います。御承知の通りに日ソ漁業委員会というのは両国の委員の合意によって初めて問題がきまるわけであります。日本側としては現に新聞に報道されますようにソ連側の二〇%程度しか認めないという、そういう規制方針というものについては、これはあくまで承服できない、認めるわけにいかないという強い態度で臨んでおります。

佐々木盛雄自由民主党

○佐々木(盛)委員 あなたに実際問題ではなく条約文だけについて私はお聞きするのですが、万一不幸にして日ソ間の話し合いが円満妥結を見るに至らずして会談がついに決裂をしたというときに、日本の漁船が従来の条約にのっとって出漁したときには法律上これはいかがになりますか。

西村健次郎農林事務官(水産庁次長)

○西村(健)政府委員 条約上の問題につきましては、あるいはこれは外務省の御当局の方から御答弁いただいた方がいいと思います。私どもとしましては先ほどから申しますように、この委員会というもので、できるだけ早い機会に問題を逐一片づけて妥結に持っていく、こういうことで全力を尽しております。もちろん妥結せんがために主張すべき点を譲るというようなことはいたしません。私どもとしましてはそういった合意に達しない、漁獲量も決定しないで出漁せざるを得ないというような事態が発生しないように、これはソ連側も同様であろうと思いますが、今委員会において両国委員がせっかくこの点については努力している次第でございます。

佐々木盛雄自由民主党

○佐々木(盛)委員 せっかく努力してもらっていることに対しては感謝をするわけでありますが、先刻来お話を承わっておっても、ソ連側の提案があまりにも従来の条約を無視した態度に出ている。そこでわが方が従来の態度を堅持し、従来日本が持っておった権限を十分に行使していこうと思いますときに、とても話はまとまらない、私はかように考えるのです。ソ連側の外交方針はややもするといつでもこういう難問題を出しておいて、次の問題の取引にする。つまり資源論というものをぶっつけてきて、これで非常に日本を悩ましておいて、最後には今度は総漁獲量の点について日本と何らかの取引をしようというのが、従来のソ連外交の手です。そういう手にまんまと乗せられないように私はきぜんたる態度を持って臨んでいただきたい。少くとも日本の公海自由の原則を無視したような理不尽なる提案には、理論上これは受け付けることができないという態度を堅持していただきたいと思うのです。そこに条約局長がお見えになっておりますが、今私がさきに質問いたしました万一これが不調に終ったときに、日本の漁民が従来の条約の精神にのっとって出漁した場合においては、条約上はどういうことになりますか。これは条約上違法であるとか違法出漁ということになりますか。

高橋通敏外務事務官(条約局長)

○高橋(通)政府委員 ただいま御指摘の点でございますが、われわれとしましても今次長のお話の通り、何とか話し合いでこれをまとめて、妥結の方へ持っていこうと考えておる次第でございますので、私どもとしましても妥結しない場合に条約上どういうふうなことになるかということは、まだ具体的には考えている次第ではありません。ただいかなる場合にも、われわれは条約の原則は資源の保存でございますから、資源の保存という立場に立って、できるだけこの条約に従った措置を自主的にとっていかなければならない、このように考えておる次第でございます。

佐々木盛雄自由民主党

○佐々木(盛)委員 あなたの言うのは政治論だが、私は法律上、また条約の立場からいって、そういう場合に話がまとまらないからといって従来の条約の精神にのっとって出漁したときに、これは条約違反の罪を日本が背負わなければならぬのかどうか、総漁獲量というものは年々決定することになっておると思うのですが、総漁獲量が不幸にして決定しない場合において、日本の漁船が従前通り出漁した場合においては、それは条約違反になるのかどうか。

高橋通敏外務事務官(条約局長)

○高橋(通)政府委員 条約違反ということにはならないかと思いますが、しかし条約の趣旨としては、両方でこの程度とれば資源の保存に障害がないというところを両方の意見があったところで出漁してとるということになっているかと思っております。従いまして、漁獲高が全然両方ともきまらないという状態におきましては、これはやはりわれわれの考える自主的な措置及び資源保存の立場に立って、一番妥当と思われる線に従って、またその他の点についてはこの条約できまり、付属書できまった点はそのまま順守して、きまっていない点は法理上の問題、仮定の問題として申し上げるわけでありますが、こちらの自主的立場で、保存上最も妥当な線ということで出漁するほかはないかと思っておる次第であります。ただそれが条約の違反とか、条約がどうなるかということは法律的な問題でありますので、ちょっと考えさせていただきたいと思います。

佐々木盛雄自由民主党

○佐々木(盛)委員 私はもうこれで質問を打ち切っておきますが、どうも水産庁も外務省も非常にこの日ソ漁業交渉に対する見通しが楽観的で、甘いと思うのです。そうして最後の場合においてはいいかげんのことで妥協しようと考えておる。これは私はもってのほかだと思うのです。先刻来申し上げておりますように、とかく日本の外交というものはソ連に対しては非常に軟弱と申しますか、すぐに何でも言うことを聞いてしまう。これではいけないのです。こういうばかげ切った、従来の漁獲量の十六万五千トンを三万トンに制限をしてくるとか、あるいは今までの漁区の八〇%を禁止してしまうというような全く荒唐無稽な提案に対して、そういう無理なことでも、まあいいかげんなところで妥協すればいいというような、まあまあ式な妥協論ではなくして、もっと筋を通して、日本側の正しい主張に立って、場合によっては決裂したっていいです。決裂しようと、イワシやサケによって日本人が死ぬというわけではないのです。しかしこういう日本の自主性を失った屈辱的な外交を続けておったのではだめです。万一の場合に会談が決裂した場合にはどうするのだということ、法理論上も実際問題においても、また現に漁民たちをどうして救ってやるのか、こういうことについて、あなた方はもっと真剣に取り組んでもらいたい。まあまあせっかく話をしておりますからというような、そういうありきたりの考え方では深刻さがないのですよ。万一の場合の漁民の保護の問題も、あるいは日本の権威の問題についてももっと真剣に取り組んでいただきたいということを特に要望いたしまして、私の質問を打ち切っておきます。

櫻内義雄自由民主党

○櫻内委員長 大西正道君。

大西正道日本社会党

○大西委員 今佐々木君からの御意見のように、ソ連の提案に対しては私ども納得できない数々のものがあるのでありますが、こういうふうな非常に不当な提案がされるその根底には、やはり歴史的に考えてみなければならぬ問題があると思う。それは、昨年の漁期を前に控えてのいろいろな話し合いにおきまして、またその以前においても、河野さんが向うといろんな取りきめをした。その取りきめの内容につきましては河野さんの弁明するところとソ連当局の言明するところと食い違っておる。しかし私どもは河野さんの言明を信用したいけれども、どうも信用できないというようなところもあるのであります。それでこういうふうな非常に不当な提案がされるその根底には、やはり歴史的に過去の日ソの漁業会談においての非常に明瞭でない取りきめというものが、こういう今日の事態の大きな原因をなしているのではないか、こういうふうに私は思うのであります。具体的に申せば、わずか一万トンの漁獲量をふやしてもらうためにオホーツク海におけるところの魚をとることを放棄する、こういうふうな先例が今回のような提案の一つの根底になっておるのではないか、こういうことを考えますと、今日までの日ソ交渉の経過を顧みて、外務省におきましてどういうふうな見解を持っておられるか。

竹内俊吉自由民主党外務政務次官

○竹内(俊)政府委員 ただいま大西委員からの御発言にありました過去の日ソ交渉においてそういう原因を作ったかどうかという点については、私はつまびらかにいたしませんが、この交渉はその年度々々において委員会においてものを決定していくのが原則であります。でありますから、たといそういうことが多少あったにしても、公正な資源論及びその他の条件から判断して、一つ一つものをきめていくのが本質であろうと思います。さようなことが非常に大きく原因しているとは思いません。またオホーツク海の問題は一万トンと取りかえてやったというような事実はないのであります。これは全く別個の問題としてオホーツク海の資源論から出た一つの結論でありますから、今後これをどうするかということは、今後に残された問題であると私は理解しております。

大西正道日本社会党

○大西委員 この問題は大臣がいないから、これ以上やりません。  今前質問者の質問におきまして、農林省の水産庁の方では最悪の場合はどうするか、こういう質問に対して、今誠心誠意交渉を続けておるのだからということでありましたが、この前の委員会におきましては、同じような趣旨の質問に対しましては、最悪の場合はこれは自己規制をやって強制出漁をやる、こういうまことに威勢のいい答弁が局長からされた。こういうふうな考えを今なお外務省としては堅持されるかどうか。なおその際もし強制出漁で自己規制をやるといったような場合には、今日本政府が主張しておりますところの十六万五千トンを目標にして自己規制をやるのか、あるいはそれ以外の数量を目標にしておるのか。自己規制をやって強制出漁をやるということを言った以上、いかなる目算のもとにやるのか、これを一つ念のために聞いておきたい。

竹内俊吉自由民主党外務政務次官

○竹内(俊)政府委員 先般当委員会において欧亜局長からお答えしたのは、今大西さんがお述べになったような大体の趣旨だと私ども聞いておりましたが、それは仮定のまた仮定の問題を述べたのでありまして、われわれはそういう決裂の状態が今事実として現われてくるという的確な見通しを持っておるわけではございません。あるいはそういうこともあり得るかもしれない、その場合にはどういう方法が考えられるかという程度のことをお答えしたのであって、従ってその問題から出た具体的なことを質問されましても、今こうこうということを答えるのは適当でないのではないか。しかも今会談が進行中なのでありますから、さようなことは外交当局としてはしばらくお答えしない方がむしろ適当だというふうに考えます。

大西正道日本社会党

○大西委員 仮定の仮定というのは何か私にはわからぬけれども、あれはかなり元気のいい発言であったけれども、軽率ではなかったかというように私は考える。あなたの方も今のこの段階におきましては、円満な解決を目途としておるのだからそういうことには答えられない、こういうことを言っておられる。そういたしますと、前のいろいろなああいう不穏な発言と申しますか少し感情走った発言は妥当でない、こういうふうに訂正されますか。

竹内俊吉自由民主党外務政務次官

○竹内(俊)政府委員 先般の金山局長の発言は仮定のまた仮定でありますから、訂正といっても訂正するほどのことでもないとは思いますが、具体的なことを今お聞きになったわけでありますが、それにはむしろお答えしない方が適当じゃないか、こういう意味であります。     —————————————

櫻内義雄自由民主党

○櫻内委員長 次に移ります。  所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とデンマーク王国との間の条約の締結について承認を求めるの件を議題といたします。  本件について質疑はありませんか。——別に質疑がなければ、これにて本件に対する質疑は終了いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

櫻内義雄自由民主党

○櫻内委員長 御異議なければ、これにて本件に対する質疑は終了いたしました。  本件については別に討論の申し出もございませんので、直ちに採決いたします。  所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とデンマーク王国との間の条約の締結について承認を求めるの件は、これを承認するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

櫻内義雄自由民主党

○櫻内委員長 御異議なしと認めます。よって本件は承認することに決しました。  なお本件に対する委員会報告書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

櫻内義雄自由民主党

○櫻内委員長 御異議なければさよう取り計らいます。     —————————————

櫻内義雄自由民主党

○櫻内委員長 次に国際情勢に関して調査を進めます。質疑の通告がありますので、順次これを許します。帆足計君。

帆足計日本社会党

○帆足委員 もう時間もお昼を過ぎましたので簡単に申し上げますが、在日朝鮮人の帰国の問題ですが、この問題は人道の問題であり、基本的な人権の問題として政府が解決に努力されておりますことにわれわれは敬意を表しておりますが、本来これは人道の広場における問題でありますから、いずれの国とも基本的対立はなかるべき性質の問題でございます。従いまして、これはお互いに理解し合って進みますならば、必ずや明るい見通しがあるものと確信いたしております。特に国際問題につきましては自分の考えだけの独善では何事もうまくいかぬのでありまして、相互に相手の立場を尊重しながら、対等の資格で理解し合って進むという態度が必要だと思います。  このたび島津総裁から朝鮮赤十字に打電されました電報は、慎重に考慮を払いましてその大意を読みますと、多少あいまいな点はありますけれども、合理的な線に歩み寄ろうとする御努力のほども見られますが、多少意余りて言葉足らない点も、電文のことでありますから、ありますので、二、三政府の意向を確かめたいと思います。また政府としても言わんと欲するところを、こういう機会において内外に明らかにされるということは、諸国赤十字との理解を深める上においても有利なことかと存じますので、率直なる御答弁をお願いしたいと思います。  この問題につきまして、先ほど申し上げましたように、人道の問題ですから意見の対立、利害の対立というものは私はないと確信いたしておりますから、きわめて楽観的に問題を見ておるのでありますが、朝鮮赤十字側においてこの問題について多少ちゅうちょし、また難色を示しておる点があるやに見受けられます点をしさいに検討いたしてみますと、第一にはこのたびの帰国の問題は、抑留者や捕虜収容所におけるような問題ではありませんで、正常なる居留民の随時自由な帰国の問題と連関しておりますから、一々に立ち入っていわゆる調査選別をされることは、どうもよろしくないという考えと、国際赤十字が司会をして上から成案を強制しはしないかということについての若干の批判と、それから会談の手順等について多少の意見のずれがあるのではないかと存じます。これらの問題につきましては相互に理解し合い、譲り合えばおおむね解決つくことではあるまいかと存じておりますのでお尋ねいたしますが、第一に朝鮮側が、帰国意思の確認または選別という言葉を使っておりますが、えり分けについて反対であると言っております。これは補虜収容所の問題などと違って自由帰国の問題でありますから、朝鮮側としてこういう要求を出されることは、私はそれなりに合理的論拠のあることであると思います。日本政府もこの点はよく理解されておりまして、調査選別のようなことはしない、ただ帰国意思の確認という言葉、これは日本語で確認ということになっておりますが、これは意味が二つありまして、一つは今の調査選別のようなこと、これはいたさないと政府は明確に意見を表わしておるものとわれわれは理解しております。ただ帰国意思を黙っていては手続ができませんから、自由に帰国意思を表明し、その申請の手続をするということは当然必要になって参りまするが、大量帰国の問題でありますから、その申請手続をだれが見ても異存がないように公平にやりたい、その仕組みにつきましては赤十字としても公平な案があろうが、朝鮮赤十字の意見も聞き、また国際赤十字の意見も聞いて、何人といえども日本政府が不当なる圧力によって帰国手続をしておるのではないというようなことをあかし立てるような仕組みを考えたい、こういうふうに私ども電文を読みまして理解いたしておりますが、そのようなことでありましようか。内外の誤解を解きますために、調査選別などということはしない、そして政府のお考えはこういうような申請手続に関する仕組みの問題であるということをもう少し明確にしておいていただきたいと思います。

竹内俊吉自由民主党外務政務次官

○竹内(俊)政府委員 島津社長から北鮮側への三月十九日の返電は、今帆足委員の述べられました大体その通りでございまして、意思の確認をするという真意は、在日朝鮮人を選別する、えり分けるというようなものでは全くないという、自由で公正な意思の表明を重んずる方法によって、その意思を自由に表明できるような方法を選んで、それを重んじて確認方法をやりたい、こういうことを申し入れまして、北鮮側の誤解と申しますか、それに対してそれを解くようにするとともに、この自由な意思の表明の仕組みとして、赤十字国際委員会に仲介を頼むのだという点を明らかにしたわけであります。もう一点は、こういう意思については今お述べになったように双方話し合うことが事を運ぶ上において順調でもあるし、また話し合わなければ明確にならない点もあろうと思うから、電報一本ではどうもそういう点がうまくいかないから、とにかくジュネーブに出てきて話し合うことを望む、こういう二点を明らかにしたわけであります。政府としてもこの島津社長の打電はきわめて妥当である、こう考えております。

帆足計日本社会党

○帆足委員 ただいま政府は立ち入って意思の調査選別という意味の確認はやらないということを明確に伺いましたので、これをわれわれは多とするものでございますが、第二には、国際赤十字は、この問題が基本的人権の問題であって、そして万国赤十字としても理解し、支持せねば、モラル・サポートを与えねばならぬ問題であるということはすでに意思を表明しております。私どもはこの国際赤十字のモラル・サポートに対してこれを多とするものでありますが、そのような雰囲気のもとにおいて国際赤十字が、会談の手順として日朝両赤十字の腹蔵のない会談から始めたらどうであろうか、われわれはその共同の会談の成果をしんぼう強く待っておって、窓を決してふさがない、こういう懇篤な態度に国際赤十字は出ておるようにわれわれは開いております。人道の問題は赤十字社だけの独占物でなくて、あらゆる人道に関する機関が人間の幸福のために働いておりますが、それだけで解決のつかない特殊の問題を赤十字がこれに介入し、各国の赤十字だけで解決のつかない問題を国際赤十字がさらにサポートする、こういうことに手順としてなるのであると思います。すでに国際赤十字の一般的サポートはなされており、また適時における国際赤十字のよき助言も聞いておりますことですから、それらの一般的雰囲気のもとにおいてまず日朝両赤十字が話し合って、そうして問題点を整理したらどうであろう、こういう意思の国際赤十字からの勧めもあることですから、日朝両赤十字の会談から始めて、そうして共通の問題があったときに、これを万国赤十字並びに各国の関連赤十字の協力も得、支持も得る。私はこれで閣議了解の線とびたっと合っていることとも思っております。そういう手順に大体いくものと、島津さんの電報もそういう含みであるものと理解しておりますが、いかがお考えでしょうか。

竹内俊吉自由民主党外務政務次官

○竹内(俊)政府委員 ただいまお述べになった点でわれわれの考えているところと多少ニュアンスが違いますので、誤解等あってはなりませんから明確にしておきたいと思いますが、実はこの問題の起きました、閣議で了解がつきましたその了解を得たのは二月十三日でありますが、二月十六日に北鮮側から、北鮮赤十字でありますが、この問題は二国間の赤十字会談でものをきめようという申し入れがあったわけであります。しかしながらわれわれの考え方は、この問題は人道上の問題でありますかり、政治的な条件なり影響がからむことは厳に戒めなければなりませんので、あくまでもそういう方法から考えますと、赤十字国際委員会において仲介あっせんあるいは指導援助のもとに話し合いをすることが適当である、こういう考えを持っております。そのあと三月六日、再び向うの朴社長から大体同じ意味の書簡が参ったのでありますが、これに対する答えも同様の考え方で返事をしておるわけであります。でありますからまず日朝両赤十字において話をするということはわれわれとしてはとらない。あくまでも国際赤十字委員会の指導、援助あるいは仲介によって日朝両赤十字が話し合いをする、こういう手順をとることがこの問題の解決のためにきわめて適当である、こういう考えを持っております。それから日朝両赤十字の話し合いをすることをもちろん拒むわけではありませんが、そういう手順を踏むことが閣議のきめましたことにも沿うわけでもある、また事柄を円満に運ぶためにも、その方がきわめて妥当であるという考えは今日も変っておりません。

帆足計日本社会党

○帆足委員 先ほどの意思確認、選別の問題は、すでに解決いたしまして明朗になったわけでございますから、そうすると単に会談の手順の問題でございます。従いまして会談の手順ということならば、すでに国際赤十字にわれわれいろいろ申し出て、国際赤十字からも適切な助言があって、しかもその仲人役たる国際赤十字が、一つ姉妹団体で会ったらどうであろうと言っておるのですから、私はこの手順ですなおに会って、それがやはり閣議了解の線に沿うており、広義の意味において国際赤十字が助言し、そのモラル・サポートのもとに姉妹団体は動いておる、こういうふうに理解できるものと思っておりますから、ことさら一つ一つの会談を——三々九度まで仲人がついているか、お部屋の中までのぞくなんという仲人さんが昔はいたものです。お寝床入りなんといって、ふすまの陰で耳を澄ましている、こういうのは悪趣味だと思うのです。私の親戚などは、同じ仲人でもそういう悪趣味でなしに、友人であるかのごとく、いい人がおるから世間を、目を広めるために一つあの青年と会ってみないか、こういうことから始めて、そして人物を知るためにも多くの友を持つ必要がある、こういうことで会わせるというのが近ごろの新タイプの仲人であります。従いましてすでに国際赤十字に日本赤十字も朝鮮もそれから韓国もみんなそこの会員で姉妹団体ですから、兄弟姉妹が会うのに何のはばかるところがあらんやで、上級の国際赤十字はそれをあたたかい目で見、常に報告を聞き、理解し、その雰囲気で会うわけでありますから、小さな字句にとらわれることでなくて、閣議了解の精神において、そしてその会談の途中、あるいは結論について、随時必要に応じて関係赤十字及び韓国赤十字の理解と支援を得るということがよいのではないかと思っております。先日外務大臣の御答弁でも、それは機械的な意味ではない、総体として、そういう精神で国際赤十字の理解のもとに事を進めるという意味であって、一々ガール・フレンドと会っているところを仲人が紋付を着て横へはべっておるという意味ではない、こういうふうに私は伺っておりましたが、その辺のところ、弾力性のある方法で、すなわち上から一定の成案を押しつけるということではなしに、岡赤十字が対等の資格で共通の問題について話し合う、親団体である国際赤十字は、その過程をよく理解しつつ必要なる助言を与える、こういうことでいくべきものであって、これは次官のお考えとそう隔たりはないと思いますけれども、ことさら隔たりを作られるようなことでは困るわけで、どう九民意を尊重してやっていただきたいと思います。

竹内俊吉自由民主党外務政務次官

○竹内(俊)政府委員 ただいまお述べになったようなことならば、大体われわれの考えと近いのでありますが、赤十字国際委員会を媒介役として日朝両国赤十字が話し合うということを拒んでいるわけでは、毛頭ないわけであります。ただこれを抜きにして二国間の交渉という形ではまずい、こういうことを申し上げたので、決して機械的に、こまごましたことまで赤十字国際委員会のすべての指導によって行う、そういう弾力性がない意味ではないということを申し上げます。

帆足計日本社会党

○帆足委員 それでは、不覊奔放な自由恋愛でもないし、封建時代の仲人結婚でもない、その中間的なところでいきたい、こういうようなところで、すなわち国際赤十字の理解と協力のもとにおいて行いたい、そういう精神でいきたい——私はその精神自身には、万国赤十字会員のだれも反対でないと思うのです。しかし、問題はその手順にあり、それからその態度にあるわけですから、一つ日本赤十字と朝鮮赤十字とが対等の資格で、一方が他方に、日本が朝鮮に押しつけるとか、朝鮮が日本に押しつけるということではなしに、人道の広場の問題を虚心たんかいに語り合って、そして中心団体たる国際赤十字の理解とサポートも得る、こういう順序でいっていただけば、おのずから問題は氷解するのではあるまいかと思います。  それから最後に、このように政府並びに日本赤十字が御努力なさっておるところを、日赤の井上外事部長が、この人は関東軍というあだ名があるそうですけれども、しばしば越境されまして、今までもだいぶ外事部長としては権限を越えた御発言がありましたので、各方面から御注意が参っておったのですが、せっかく島津総裁がこういう態度で諸国の理解を求めておりますときに、突如としてまた長文の新聞声明を出しました。その内容におきましても、多少不穏当なものがありますほかに、その会談の手順としても、これから会談を始めようという交渉をしているときに、こういう問題を突如として発表するということはまことに不謹慎なことであって、せっかく葛西副総裁がおられることですから、語りたいことがあれば、葛西副総裁がみずから政治性をも考慮して語られることが当然であるのに、外事部長のこういう不謹慎な発言があるということは、一体赤十字の職員規則に統制があるのであろうかということについて、まことに私は遺憾に思う次第であります。これはやはり総裁、副総裁がおられるので、一職員があまり立ち入った発言をすることは好ましくないと思います。一つ政府当局からも厳重に、赤十字あてにこの点は御忠告のほどお願いしたいと思います。まことにこれは遺憾なことであると思います。またその発言の内容に立ち至っては、時間がありませんから申し上げませんけれども、多少礼を失し、また不穏当なところがある。こういうことは小委員会か何かで、お互いに統計をあげて話し合う問題であるのに、全世界に向けて放送したというごときは、まことに非常識、あきれ返ったことであると思います。井上君の赤十字的論理は、前半の一個間滞在の間は非常な御努力をなさっておりましたが、一週間たってぼつぼつ退屈されて、例の放言癖が始まったことと思われますので、ここら辺で召還するか、箝口令をしくか、どちらかした方がさっぱりしてよろしくないかと思います。葛西さんもおるのですから、外国滞在ももうだいぶ長いことですし、お疲れになったようで、多少ノイローゼ気味であろうと思いますので、ふるさとに帰らせることが適当でなかろうかと思いますが、いかがなものでしょう。

竹内俊吉自由民主党外務政務次官

○竹内(俊)政府委員 御指摘の点は、二十二日の日赤の井上外事部長の新聞声明であろうと存じますが、これは申し上げるまでもなく、日本赤十字側の意見を表明したもので、政府の考え方を伝えたものでもありませんし、また公式には、その通りの発言をしたかどうかということも、われわれは現地からの報告を受けておりませんので、新聞で見ただけでありまして、政府がこれを支持するとかしないとかいう事柄ではないと思います。この声明の内容につきましては、外務省としては大体同意の点が多いのでありますが、部分的には誤解を招くのではないかと懸念される点も多少あります。外務省としては、その事実については全く関知しない点も部分的には相当にあることを申し上げておきたいと思います。  なお井上外事部長の身分に関することは、これは政府の及ばざる点でありまして、せっかくの御要望でありますが、何ともお答えができないと思います。

帆足計日本社会党

○帆足委員 それでは最後に、民間のことに対しまして政府があまり出過ぎたことは言わないというその精神は、私も大へんいいことだと思いますから、言うべきことは赤十字に申しますが、赤十字に申しましたところが、赤十字も、これは総裁の全然関知しないところであって、あの発言については、全然赤十字総裁の意思にないものと考えてもらいたい、従って、赤十字総裁の意思は、朝鮮に出したあの電文だけからおくみ取り願いたい、こういうことでございました。竹内さんの御答弁も大体そういう趣旨であったとわれわれは理解いたしますが、問題点が今微妙なところで、国と国との距離が非常に離れておりますから、やはり雑音を立てないで、結局——あとで大西委員からも御質問申しますが、調査選別等はしない、これは明確である。ただ意思表示の仕組み、その手続の仕組みについて、何人の非難も受けないように、公正な方法を考える。それについて朝鮮赤十字と懇談し、また国際赤十字の支持、理解も得たい。それから会談の順序のことは、一般的に国際赤十字のあっせんと申しますか、そういうことは考えておるが、こちらから窮屈に、一つの成案でもって朝鮮赤十字を縛るというような意味でそれを言っておるのでなくて、国際赤十字の中立的、道徳的理解を得たいという心持から出たものであるということは、よくわかりましたが、会談それ自身はそういう雰囲気の中において、常に国際赤十字が主宰せねばならぬことも、立ち会わねばならぬことも、機械的に一つ一つの場合そういうことをせねばならぬこともないわけですから、その点は弾力性のある措置をわれわれとしては切望いたしまして、大西委員からも質問があるそうですから、私はこれで……。

大西正道日本社会党

○大西委員 簡単に申しますが、今自由意思確認の件について、帆足委員の提案を了承されたかのように聞えたのでありますが、何かまた若干食い違いがあるような気もするのでありますが、この点はいかがなんですか。自由意思の確認は、方法はいろいろあろうかと思いますが、いかなる方法においても、そういうふうな北鮮の意思に反してやる必要はない、やらなくてもよろしい、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。

竹内俊吉自由民主党外務政務次官

○竹内(俊)政府委員 帰還意思の確認によって帰還者の何らかのリストを作成いたしますことが実際上必要だ、帰還者がどれぐらい帰りたいのか、健康状態もありましょうし、子供の場合もありましょうし、そういうことがありますから、たとえば率直にいえば百人帰るのだという場合の日本の国内便益の与え方と、千人の場合と、一万人の場合と、十万人の場合と、それぞれ違ってくるわけです。たとえば新潟から乗船するにしても、運輸その他について国内便益を与えます場合には、そういうものがわかっていないと方法がたたない、特にどういうことになりますかはっきりいたしませんが、向うへ帰ってからの生活資金をポンドなりドルなりに取りかえて差し上げるという場合においては、人数いかんによっては、日本の財政上にも外貨にも相当響く問題でありますから、数を的確につかむ、またそれにはどういう人たちが行くのかということでこれらの世話もしましょうし、いろいろなことがありましょうから、そういうことで名簿を作るということはあると思います。その名簿を作成する手順としてどういうことをやるのだということを、むずかしくいえば帰還意思の確認という言葉で言われておるのだと思います。別にやり方についてまだきまったわけではありませんが、抽象的にいわゆるスクリーンする、ふるいにかける、選別するということはしないということは繰り返して申し上げておるわけであります。それを、たとえば市町村ごとに受付の窓口を設けてそこに登録する方法をとったらいいのか、あるいはその他にもっといい方法があればそれも考えようというのが、今の考え方であります。まだ赤十字国際委員会とも相談しておりませんし、いろいろ国内でも相談しなければなりません。的確にはまだきまったわけではありませんが、そういう方法をとるというのが今の考えであります。

大西正道日本社会党

○大西委員 かなり明らかになりましたが、その程度ならばわれわれも賛成ができるのであります。すでに帰還意思を明らかに表明している者は十数万の数に上っておるのでありますが、これに反対する向きはそれは金をやって意思を表明させたんだとか、あるいは一つの権力のもとにそれをさしたんだとか言い触らしている。国際的にも言い触らしている。だから悪くするとその自由意思によるところの帰還の意思の表明に対してまた選別をやるとか、さらにそれに対して何らかの機関を通じてその意思の再確認をやる、こういうことをやりますと、これは非常に危険なことであって、われわれはそれを確認できない、こういうことを言っておるわけです。その点については今了解が得られたようであって、もちろん一万帰るか十万帰るかそれ以上帰るかということについては、いろいろ政治的に援助もしなければならない、手も打たなければならぬのでありますから、それに対しては政府側の確認を求めることは当然であります。そういうふうに自由意思の確認に対して、自主的な自由意思以外に何らか新たなる機関を設け、あるいは手段をもって選別するということはやらないんだ、こういうことを確認すればそれで事は足りるのであります。

竹内俊吉自由民主党外務政務次官

○竹内(俊)政府委員 先ほどお答えいたしたようなことを考えているわけでありますが、新たなる機関という意味がどういう意味か、国際赤十字委員会の協力によって事を進めていくわけでありますが、実際の事務を扱うものは何らかのまとまった機関と申しますかそれを扱うものでなければならぬわけであります。それをあとの機関といって、そういうものを設けるのは反対だということでは理屈が通らないのじゃないかと考えます。でありますから、実務は日赤の組織を通してやるにしても、それがその北鮮帰還という単独の仕事をある期間やるわけであります。それは新しい機関と見るか見ないかという点であろうと思いますが、われわれはそういう程度の機関ならばやむを得ないのであります。

大西正道日本社会党

○大西委員 自由意思の確認ということは、これは個人々々の自由の意思が表明される、その段階のことなんでありまして、それが何千何万集まったのをどういう方法でこれを援護したり何かするかというようなことは、これは当然のことだから、私どもはその前の個人の意思が表明される段階において何らかの機関によってこれが選別されることさえなければよろしい、こういうことを言っておるのでありますから、これを御了解が得られたように思います。ぜひその線は一つくずさないようにお願いをいたしたいのであります。  これに関連しまして在日朝鮮人の韓国側の組織はもちろんのこと、本国政府からのいろいろな指令に基きましていろいろな宣伝を開始いたしておりますが、私の調べた範囲では、中立的な立場にある人さえも何か日本政府が事をかまえて朝鮮人をこの際いびり出しをしておるのだ、こういうようなことを言っておる向きがあるのであります。この点につきましては国際的な新聞の記事なんかを見ましても、韓国政府のあるいは韓国赤十字の働きかけによってそういう点がときどき見える、まことに遺憾です。これは日本政府の宣伝、啓蒙の不足もこういう面に現われておると私は思うのであります。こういう点に対しましてはもちろんのことでありますが、明確に一つこの席を通じてそういうふうなものではないということを、もう一回明らかにしておいていただくことが必要だと思います。

竹内俊吉自由民主党外務政務次官

○竹内(俊)政府委員 その点は当委員会においてしばしばお答えしておる点でありまして、在日朝鮮人は自由なる自己の意思によって帰還するかしないかを本人がきめればいいわけでありまして、何ら拘束するとかいびり出すとかいうことはみじんもないわけであります。これは次第に理解されてきたとわれわれは考えておるのであります。今大西さんからPRが足らないという御注意がありましたが、最近では大体日本の意のあるところが理解されておって、これは全く人道上からの措置であって、日本のとっておる措置は適当であるというふうに世界の世論も傾いておるように理解いたしております。

大西正道日本社会党

○大西委員 私の申し上げておるのは、NANA通信のブラウン氏という人の報道にも非常に露骨に韓国の代弁者のような趣旨が報道されておるのです。こういうのも一報道機関の記事だということでもって見のがすことなく、あまりにも事実を曲げたこういう報道に対しましては、しかるべき対策が必要であろうと思いますが、いかがでしょうか。

竹内俊吉自由民主党外務政務次官

○竹内(俊)政府委員 ただいま御指摘の通信そのものは私読んでいないのでありますが、なるほど最初は韓国側が今大西委員の述べられたような趣旨でだいぶ海外宣伝をやった形跡があるわけであります。わが方としても在外公館を通し、あるいは国内のいろいろな機関を通して世界に対するPRに相当の力を入れまして、先ほど申し述べましたように、最近においては日本の措置が適当であるという考え方が世界的に認められておる、こうわれわれは理解しております。

大西正道日本社会党

○大西委員 具体的にこれに対しての牛は打たぬということですね。それから今も井上外事部長の発言の問題をめぐっていろいろとありましたが、事実がはっきりしないのに、それ以上とやかく申しませんが、やはりそれと関連してこの前にも問題になりましたが、警察が意思の確認——お前は帰るのかというようなことを調べておるということが、以前から言われておるのでありますが、今日こういうふうな警察のこの問題に介入するということは厳に排除されておるのでありましょうかどうでありましょうか。これはすでに公安調査庁でも帰る意思の者は四万人とかなんとかいうようなことを言っておるところを見ますと、ただ単に末端でそういうことを偶発的に調べたのだということ以外に、やはり計画的に一つの調査が企図されたということが、この公安調査庁の四万という数字の発表によって私は裏づけられると思うのであります。だから、こういうことはいろんな誤解を招き、事件のスムーズな発展を阻害するものですから、厳にこういうことのないようにしなければならぬと思いますが、いかがでしょう。

竹内俊吉自由民主党外務政務次官

○竹内(俊)政府委員 井上声明にもその点御指摘の通り、警察の調査では四万から五万の間となっている、こういうふうに言ったと報道されております。果してこの通り言ったかどうかということは、われわれは事実を確認しておりませんから何とも言えませんが、警察がこの問題について帰還者の調査をしておるという事実はわれわれは聞いておりません。また外務省に対してもそういう報告はありません。そういうことをしていないということは聞いているわけであります。また御指摘の、この声明で言いますと、五、六、七の朝連の関係でありますとか、民団の関係でありますとかをここでうたっておりますが、これも外務省といたしましては、かような事実につきましては関知しておりません。

大西正道日本社会党

○大西委員 そういうことをやっていると思わないということでありますが、こういうことはすでにたびたび警告を発したことでありますから、そういうことは絶対やっておらないし、やらないのだ、こういう確認を私は求める必要があろうと思うのです。私の四万というのは、井上外事部長がしゃべったからというのではないのであって、別の機会に公安調査庁の四万という数ははっきりと出ておるのですよ。だから、それに対してそういうことは今後は絶対にしないのだ、させないのだということの確認が私は必要だと思う。

竹内俊吉自由民主党外務政務次官

○竹内(俊)政府委員 その点は外務省から警察当局にさようなことをしないようにという要請はいたしております。事実またそういうことをしていないとわれわれは理解しております。

大西正道日本社会党

○大西委員 それから国内の韓国人が朝鮮人の北鮮帰還を阻止するためにいろいろと運動をやっておる。それを盛り上げるために韓国の三人の国会議員が日本に派遣される、入国の許可を求められるというようなことを私は聞いておるのでありますが、この点についてはどういうことになっておりますか。

板垣修外務事務官(アジア局長)

○板垣政府委員 ただいま韓国から非公式に三人の人が日本に来たい。日本における韓国人の実情を調査のため来たいという名目で申請は来ております。しかし私どもといたしましては、一方釜山の日本人漁夫に対する弁護士派遣の問題もありますので、ただいまのところ向うに何らの返答をいたしておりません。

大西正道日本社会党

○大西委員 そうしますと、釜山における弁護士派遣の問題が許可されればこっちも許可してもいい、こういう含みでありますか、いかがでありますか。

板垣修外務事務官(アジア局長)

○板垣政府委員 この問題は大きな立場で見ますれば、特に何と何とをひっかけるというほどの問題ではないと私は思っております。従って、一方また釜山の弁護士を派遣すれば、これを許可するというところまでひっかけて考えておりませんけれども、まあ一応今のところは、弁護士の問題なり、あるいはまた、別の日本人の韓国に対するその他の目的による入国の問題等、いまだ例もございませんので、そういうような問題について韓国側はどう考えているか。今後の方針等について向うに反省を促しておるという事態で、これとこれとをひっかけるというところまでは実は考えておりません。

大西正道日本社会党

○大西委員 適当な方法によって、朝鮮人の北鮮帰還を実現したい、これが日本政府のみならず、日本国民の一致した意思であります。これに対して、それを阻止しようというような人物は、これは好ましい人物でありますか、好ましい人物でないとお考えでありますか。

竹内俊吉自由民主党外務政務次官

○竹内(俊)政府委員 言論の自由といいますか、そういう原則は、在日の朝鮮人にも許されているわけでありますから、そういう範囲内で反対運動をする、その人の考え方によって反対運動をするということは、これを適当な手段においてやる範囲内においては、これを拘束すべきじゃない、こう考えます。

大西正道日本社会党

○大西委員 好ましくない外国人は、国内におっても外国に撤去を命じ追放するのです。まして日本の国策と相矛盾するようなことを理由に、はっきりと初めから入国を求めてきた者に対して、言論の自由だというようなことでもって入国を許すということは、私はどうかと思うのでありますが、この点についてもう一回反省を求めておくものであります。

竹内俊吉自由民主党外務政務次官

○竹内(俊)政府委員 在日朝鮮人全部がそうだと思いますが、いわゆる日本の入国許可を受けて、査証入国ではないのですから、この点は第三国人としても特殊の地位にある。こういう原則に立って、在日朝鮮人の問題を考えているわけでありますから、他の第三国人の場合と同様の扱いをするということは、そういう建前からすると適当でないのではないかと思います。

大西正道日本社会党

○大西委員 それじゃこの三人の議員が日本国内に入るということに対しては、政府は何らこれに対して拒否したり許可をしたりするような権限はないとおっしゃるのですか。

竹内俊吉自由民主党外務政務次官

○竹内(俊)政府委員 ただいま申し上げましたのは、もともと日本におりまして、平和条約によって朝鮮が独立したために第三国人になったわけであります。これから入ってくる朝鮮人は、もちろん査証入国でありますから、これに対しては第三国人としての正当な扱いをすることは当然であります。

大西正道日本社会党

○大西委員 そうすると鄭雲甲、これは韓国の自由党の代議士、それから在千というのは民主党の代議士、李載というのは無所属の代議士ですが、これはかつては日本に居住しておった人なんですか。

竹内俊吉自由民主党外務政務次官

○竹内(俊)政府委員 日本にかつて居住しておりましても、継続していわゆる居住しておった場合と、本国に帰ってまた査証を受けて入ってくる場合とは、非常に大きな違いがあるのでありまして、これはあくまでも査証入国でありますから、査証入国の第三国人として取り扱うのが当然だと思います。

大西正道日本社会党

○大西委員 だから私が言っているこの朝鮮人は、過去の歴史的な事情から見て、単なる外国人ではない。いろいろな生活保護の適用その他をやっていることは、あなたから言われるまでもない。そんなことを聞いているのではないのであって、北鮮送還阻止のために、在留韓国人の意思を盛り上げるために、李承晩政府の意思を受けてここに入国しようとしている三人の議員に対して、あなた方、日本政府としてはこれを歓迎して許可するかどうかということを言っている。あなた方はそれに対して、自由意思ならば何とも言えないと言われるのはまことにおかしな話です。

竹内俊吉自由民主党外務政務次官

○竹内(俊)政府委員 私はその三人の入国の許可云々ということではなくて、一般論としてお尋ねになった、こう理解してお答えしたわけでありますが、その三人の方が入ってくることに対して許可するしないは政府の権限でありますから、適当の処置をいたしたいと考えます。

大西正道日本社会党

○大西委員 その適当な処置を私は聞いておる、こういう者は入国させるべきではないということを言っておるのですが、いかがですか。適当な処置どころじゃないじゃないですか。これははっきりしておるのですよ。いかがですか。

板垣修外務事務官(アジア局長)

○板垣政府委員 先ほども申し上げましたように、今三人の入国申請は、実は表向きの理由は、在日朝鮮人の調査という名目になっております。従って入ってきて、阻止運動をするのかどうかは申請の目的にはっきり出ていないわけであります。その問題は別といたしまして、ただ今の三人を入れるかどうかという点についての大西委員の御意見は、御意見として私ども伺っておきます。ただ今のところ、入れるかどうかということはまだ決定はいたしておりません。

大西正道日本社会党

○大西委員 表面の理由は在日朝鮮人の実情調査をするということで、これはあなたも言っておるように表面の理由だ。その真意は明らかに向うの新聞にも、正式の発表にも——これは北鮮への帰還を阻止するために指導するためのオルグなんです。こういう者を入国させるということは、これは日本の政府のやらんとしておるところの政策の阻止を考えるのですから、こういう者は好ましからざる者であるとして入国を許可しないというのが当然のことじゃないですか、大西委員の意見は意見として聞くなんて、そういうことを言う必要はないと思うのです。何らかまだこれに政治的な考慮を払う余地があるのですか、私は即刻こういう者に対しては好ましくないということをお答えになってしかるべきだと思うのです。何に対してそうびくびくしておるのですか。

板垣修外務事務官(アジア局長)

○板垣政府委員 びくびくしておるというわけでは毛頭ございません。しかしこれは今絶対に入れないと言い切るほどの大きな問題とは考えていないのであります。しかし入れるという含みはほとんどないというふうに御理解になってもかまいません。

大西正道日本社会党

○大西委員 なかなか気の大きいところを見せていただいたようでけっこうですが、一つ気の大きいところで押し切ってもらいたいと思うのですよ。気の大きいところを見せてもらって、そういう意思がないということになればけっこうです。  それから今度は、この前竹内政務次官からも報告がありましたが、日本弁護士会から向うの裁判が非常に不当だということでもってこれの調査をするとか、あるいはもっと端的にいえば、弁護に当りたい、こういうので韓国に入国をしたい、こういうことについての申し入れに対していろいろなやりとりがあったけれども、いまだ正式の許可がきていない、こういうことであったわけでございます。その後時日もたっておりますが、どのようになっておりますか。

竹内俊吉自由民主党外務政務次官

○竹内(俊)政府委員 先般当委員会で、この問題について大西委員からの御質問があってお答えいたしたのでありますが、その際に、この問題は今まで外務省としては内面指導的なことでやってきたが、もうここまでくれば表面に出て援助すべきだ、こういう考えのもとに、今方法を考えておりますとお答えしたのでありますが、あのお答えしたあくる日に、当方から口上書をもって韓国代表部に弁護士の渡航に関しての許可についての申し入れをいたしたのであります。内容はここにありますが、長くなりますので、もし必要があれば後刻……。

大西正道日本社会党

○大西委員 その結果は……。

竹内俊吉自由民主党外務政務次官

○竹内(俊)政府委員 その結果は、まだ向うから返答がございません。この内容は、向う側は、裁判所の許可書の添付がない限り申請書は不備であって、受け付けることができない、この点が向うの主張のおもな点でございます。外務省としては、これに対して、決定の通り、留守家族代表からの、大韓民国釜山法院院長に対する二名の選任許可願を送付するから、韓国代表部が右許可願を前記法院に対して送達するとともに、その返事をもらいたいということで、公式に申し入れたわけでありまして、何らかの返事があるべきでありますが、まだその返答が参っておりません。

大西正道日本社会党

○大西委員 これで最後ですが、初めの目的は、向うの裁判の状況も調べたいし、抑留漁夫の弁護もしたい、こういう趣旨であったのでありますが、これは考え方によっては、日本政府としましては李承晩ラインというものは認めてないので、従いまして、あそこで拿捕されたものは、裁判にかけられること自体が不法なことである、われわれは認めていないのであります。そういう建前をとっている限りにおいて、その裁判の内容が公正に行われているかどうか、その弁護のためにここに弁護士を派遣するための交渉をやるということは、考え方によっては、裁判にかけられること自体を認めた、すなわち李承晩ラインによって拿捕されることはやむを得ない、こういうふうなことになりかねないと私は思うのであります。われわれは、そうではない、二段がまえで、それはそれとして不法性をなじりながら、しかも現実に裁判にかけられている者に対して、あまりにもひどい仕打ちに対しては、これに対しての弁護をしたい、こういうような気持はわかるのである、そういう答弁であろうと思うけれども、影響するところは、やはり日本政府は李承晩ラインを認めた、そうしてその裁判の罪の軽重を争うのであるというふうな宣伝の具に供せられはしないか、この点を私はおそれるのでありますが、それらに対してどういう配慮がありますか。

竹内俊吉自由民主党外務政務次官

○竹内(俊)政府委員 李承晩ラインは日本としては認めていないことはお説の通りでありますから、この裁判そのものも、裁判に付すること自体が不法であるという点が弁護のおもなる拠点であろうと考えます。でありますから、そういう朝鮮の一方的な国内法規によって、国際的に認められていないことをしておる点を向うの法廷において主張するということも意味があることである。これは李ラインを認める、認めないということの弁論もそこになされるというふうに考えますので、今御心配になったように、李ラインを認めるということにはならない、こういう考え方をしております。

大西正道日本社会党

○大西委員 この要請は漁業会社からの要請であり、それに対して政府がいろいろの援助をしておるわけでありますが、そういうふうな弁護士の派遣、あるいは日本弁護士会のそういう決定に対しては、今おっしゃったような内容に立ち入って十分の打ち合せがしてございますか。将来そういうことをおやりになって、おっしゃったような、誤解がないようにされるお考えがありますか。

竹内俊吉自由民主党外務政務次官

○竹内(俊)政府委員 先般この弁護士の方が外務省にも来られましたし、万全かどうかはちょっと申し上げにくいと思いますが、連絡、打ち合せと申しますか、そういう点で話し合っていることは事実であります。弁護士としては、これはもちろん無罪を主張するわけでありまして、無罪のおもなる弁護の主点は、今申し上げたようなところにある、こういうことでありますから、日本国が李ラインを認めたという印象を与えることは万々なかろう、こう考えます。

大西正道日本社会党

○大西委員 それからもう一つ、抑留された留守家族の二人がジュネーブに立つわけでありますが、これはまことに御苦労なことであろうと思うのであります。これに対しまして赤城官房長官が、先般、こういうことを日赤がやらせるということはどうもけしからぬ、今さらお涙ちょうだいをしてもそういうことは意味がないということを言ったということで、新聞にかなり大きく出ておるのでありますが、これは私は何かの誤解ではなかろうかと思うのであります。しかし、全然そういうことのないのにああいう記事は出ないと思うのでありますが、こういうことをもし考えているとすれば、これはまさに留守家族に対する十分な思いやりとはいえないと思うのであります。これに対して、あなたもあの記事は見られただろうと思いますが、訂正されますか、どうですか。

竹内俊吉自由民主党外務政務次官

○竹内(俊)政府委員 実は赤城官房長官がどういうことを言われたか、私実は旅行していまして見ていないのでありますが、抑留されております家族か、向うの赤十字の代表者に会って意のあるところを申し述べて、その不法な行為に対して反省を求めるということが——もちろん赤十字は政府を代表するものではありませんが、この問題の解決のために私は有効であると考えますので、お二人がジュネーブに参りますことは私は相当に意味がある、こう考えております。

櫻内義雄自由民主党

○櫻内委員長 戸叶里子君。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 私は一、二点外務当局に伺っておきたいと思うのですが、実はルバング島の日本の元の兵隊さんの放った銃弾が水牛を殺したという事件は、よく調べてみたところが、そのたまは日本のものではなかったということがはっきりしたということが、けさの新聞に出ているわけでございます。そうなってみますと、結局この山の中にフィリピンの脱走した人かあるいはどこかの人がいて、そして銃弾を使ったということが考えられるわけでございますけれども、今までフィリピン側としても、日本の脱走兵が山奥に隠れていて、そして来るもの、ぶつかるものに対して銃弾を放っているのだというような考え方をしていたわけでございますけれども、今度の発表によりますと、フィリピンの日本の大使館から厚生省を通して、このたまは日本の物でなかったというふうに言ってきた、こういうふうに新聞に出ていたわけでございます。そこで、外務省としてもフィリピンと日本の国民との感情をやわらげるといいますか、非常にフィリピンがいろいろ日本の国に対してのそういうような感情を持っているわけでございますけれども、そういうふうなものをなくす意味においても、はっきりと日本のたまでなかったというようなことを正式にフィリピンの大使館なり何なりにお申し出になったかどうか、そしてそれについてどういうような方法を考えておられるか。なお、日本兵二人を連れてくるためにはどういうふうな手段を外務省として考えておられるか、確かめておきたいと思います。

板垣修外務事務官(アジア局長)

○板垣政府委員 ただいまお話のように、銃弾を調べてみました結果によりますると、当時山の中に入った日本兵が持っておった銃では使えない銃弾であるということだけはわかったわけであります。しかし、すぐ、それでは山の中におるのが日本人じゃないというところまで確認するのはまだ早いと思います。しかし、いずれにいたしましてもあそこにおるのは完全に疑いなく日本人だということに対しては幾分の疑惑が出たわけでございますので、今お話のような点につきましては、フィリピン側も、従来の状態よりは少し疑問の点があるということになって参ったと思います。この点につきまして、フィリピン側と話し合いをするところまではまだ進んでおりません。  それから、今後の救出方法でございまするが、ともかく、銃弾だけではこれが日本人であるかあるいはその他の者であるかわかりませんが、いずれにしましてもこれを救出し、あるいは確認する努力はしなくちゃならぬと思うわけであります。御承知のように、現在は連絡箱を作るとかビラをまくとかいうような方法でやっておりますけれども、これだけでは十分ではないという結論がほぼ出ましたので、別途の方法で、たとえば親戚だけでやる、あるいは昔の旧友だけで小規模の調査隊を派遣してやるというようなことにつきまして、ただいま厚生省の方におきまして研究中であります。もし派遣することになれば、来月の下旬ころにでもまず第一隊を派遣いたしたいということについて検討中であります。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 今アジア局長のおっしゃった通り、ほんとうに日本の残留兵であるかどうかということは確認されないわけでございますけれども、やはり誠意だけは尽して、今おっしゃったような方法で調べていただくことは、これは当然だと思うわけです。けれども、フィリピン側としては、当然日本の残留兵が放ったたまではないかというような情報が非常に伝わっているんじゃないかと思いまして、これが日比の感情を悪くするのじゃないか。それにもかかわらず、外務省の方で、まだその点については正式にフィリピン側と、日本のたまでなかったというような話し合いをしていないというお話でありますけれども、こういう点はやはり正式機関を通して、一応たまはそうではなかった、しかし、これから日本兵がいるかどうかを確実な方法で捜査したいから御協力を願う、こういうふうに一つのけじめをつけていきませんと、フィリピンの国民の中には、やはり日本の兵隊がたまを放ったのではないかというような疑心暗鬼も持たれると思いますので、その点は正式機関を通してはっきりさせる必要があると思いますが、いかがでございましょうか。

板垣修外務事務官(アジア局長)

○板垣政府委員 銃弾の検出の結果がわかりましたのは、ここ一両日のことでございますので、私の承知している現在の段階においてはまだやっていないと思いますが、まあ一両日中にやることになると思います。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 そういうことはなるべく早くしていただきたいと思います。  それからもう一つですけれども、北ベトナムの方から九人の方が帰ってこられたわけで、私どももまことに喜んでいるわけでございますけれども、その中でも残念なことには、一人の方が、しかも上陸寸前に自殺をされた。この方は沖縄の人で、沖縄に寄ってみて、沖縄がアメリカからすっかり占領された形で、英語が話せなければ就職もできないとか、親がなくなられたとかで、あまりの日本の変りように驚いて、非常なショックを受けたというようなことも、いろいろな情報を集めてみますと感じられるわけでございます。そこで、私は二つのことを考えるのでございますけれども、こういうふうな方たちに情報を知らせておかなかったということの政府の責任と、それからもう一つは、やはりそういうふうな方が早く引き揚げ得るような努力をもっとしなければいけないということと、それからもう一つは、沖縄が自分の郷里であって、しかも沖縄に寄っていろいろ聞いているのですけれども、そして沖縄の肉親と会いながら、門司まで連れてこられなければならないというところにも、非常に矛盾があるのじゃないか。もしも沖縄の人であるならばそのまま沖縄に上陸させてあげたらよかったのじゃないかと思いますけれども、もしもその方が生きて日本に帰ってきた場合に、また沖縄に行くとするならば、何らかの手続をしていかなければならないのかどうか、この点も伺いたいと思います。

板垣修外務事務官(アジア局長)

○板垣政府委員 私も詳細なことにつきましてつまびらかにいたしませんが、故国に上陸寸前において自殺をされたことは、まことに気の毒に存じます。今御指摘の通り、ことに沖縄などのような変った情勢というものについて、やはり事前に周知をさせるということの必要も、確かにあろうと思いました。その点について手抜かりがありましたが、今後の処置におきまして十分留意をいたしたいと存じます。  なお、私もなぜ沖縄でおろせなかったのかどうか、その辺の事情はわかりませんが、これは日赤当局、厚生当局とも、その辺の事情をよく確かめたいと思います。  それから、日本から沖縄に入る場合は、手続につきましてはやはり向うの軍政府当局の許可が要るのだろうと思いますが、この点は、そういう場合には簡単に許可がとれるものと思いますけれども、そういう手続が必要ではないかというふうに私どもは考えております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 アジア局長も、なぜおろせなかったのだろうかということに対しての疑問をお持ちになると思いますけれども、私も、当然自分の郷里に帰っていながら、そのまま連れてきてまたお帰しをするというようなことは非常に手数の要ることであって、やはり沖縄の人が沖縄に帰ったのですから、沖縄におけるアメリカの政策に気がねをすることなく、もう少しあたたかい扱いをしてあげたならば自殺をしなかったのじゃないか。日本の政府のあり方というものが少し沖縄のアメリカ軍政府に対して気がねし過ぎて、こういう気の毒なことをしたのじゃないかと私は思いますが、この点はもう少し詳しくよくお調べになって、この委員会を通してお知らせを願いたい。こういうことを私はお願いいたしますが、いかがでございましょうか。

板垣修外務事務官(アジア局長)

○板垣政府委員 これはアメリカの政策に気がねしたとかいう問題ではなくて、手続上の問題だろうと想像いたしますが、何分事情を今つまびらかにいたしませんので、至急、関係の向きとともに、事情を確認いたしまして、お答えをいたしたいと思います。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 またこういうような問題も起きるといけませんから、その点を重々お考えになっておいていただきたいと思います。  それから、帰国者の方のお話によりますと、なお確定された残留邦人が二十数人いるし、そしてまた山の奥には日本人が四、五十人は確かにいるというようなことを言われているわけでございますけれども、御承知のように北ベトナムと日本とは国交も回復しておりません。どういうような形でそういう方々の引き揚げを御努力なさるか。こういう方の御家族の身になってみれば、一日も早く帰ってきてほしい、もう終戦後十三年にもなっているのに何しているんだというような気持になるのは、当然のことだと思います。そこでこういう方々の引き揚げに対しましては、これは厚生省だけにまかせられない問題だと思います。外交上の問題、たとえば今の政府が南ベトナムとだけ賠償を結ぶなんということになりますと、この引き揚げにも非常に大きな影響を及ぼしてくることになるわけでありまして、やはり何らかの手を打たなければ、厚生省だけの手ではこれらの方々の引き揚げということもむずかしいと思いますけれども、どういうふうなことをお考えになっていらっしゃるか、この点も念のために伺いたいと思います。

板垣修外務事務官(アジア局長)

○板垣政府委員 御承知のように北鮮、中共、北ベトナム、こういう日本と外交関係のない国々からの邦人の引き揚げにつきましては、遺憾ながら政府といたしましては外交関係がないために直接の話し合いをしませんでしたし、またできなかった実情であります。従ってこういう地域からの引き揚げにつきましては、日赤を中心といたしまして、その他の友好団体の協力も得まして、従来円滑に引き揚げを実施して参りました。今度の北ベトナムの問題につきましても、日赤が中心となりまして、先般現地で北ベトナム当局と邦人引き揚げに関する協定ができたことは御承知の通りであります。これに基いてさしあたり最近帰ってきた者、今後もぼつぼつと——現在はぼつぼつとしか出てこないようでありますが、帰国希望者が出て参りますれば、それは帰してもらうということにつきまして、向う側とも十分に話し合いがついておりますから、その点につきましては、日本政府は直接北ベトナム政府当局と話ができないのは残念でございますけれども、今申し上げましたような日赤その他の団体の力によりまして、大体の道はできたものと私どもは考えております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 帰ってきた方々がこんなに多数いることをはっきり言われたわけでございますから、大体の話はついたから大丈夫だろうというような形でなくして、なお何らかの形で御努力願いたいということを要望いたしまして、私の質問を終ります。

櫻内義雄自由民主党

○櫻内委員長 本日はこれにて散会いたします。     午後一時十三分散会      ————◇—————

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