外務委員会 第14号
- 発言数
- 120 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1959/03/18
会議録
○櫻内委員長 これより会議を開きます。 国際情勢に関して調査を進めます。質疑の通告がありますので、順次これを許します。戸叶里子君。
○戸叶委員 私は藤山外務大臣に対しまして二、三の質疑を試みたいと思います。 まず最初に、けさの新聞にも発表されておりましたように、社会党の使節団と中国人民外交学会との間の共同声明が発表されたわけでございます。そして、この日中の行き詰まりの打開、貿易再開には岸内閣の外交転換というものが望まれているわけでございます。そこでこの際特に中国の方から述べられていることは、中国の敵視政策を中止せよということと、二つの中国を作る陰謀に参加しないこと、もう一つは、日中両国の正常関係の回復を妨げずにそれ相応の措置をとらなければいけないというふうなことがいわれているわけでございますけれども、これに対しまして藤山外務大臣はどうお考えになるかを承わりたいと思います。
○藤山国務大臣 ただいま御質問のありました第一の、岸内閣が敵視政策をとっている。総理がたびたび言明もしておられますし、総理の今日までの言動から申しまして、私は特に岸内閣が中共を敵視しているとは考えておりません。また敵視政策をとっておるとも考えておりません。また第二の点であります、二つの中国の、何か陰謀に加担をしているというようなことはないことむろんでありまして、そうした陰謀に加担している事実もないと考えております。第三点に関しましては、われわれといたしまして、むろん国際情勢の中において過去の歴史的ないろいろな事実もございます。そうしたものの変転というものを見ながらいろいろ対処していくというのが、申すまでもなく外交の現実に即した方法だと考えておりますので、そのように持っていくつもりでございます。
○戸叶委員 今の一、二の問題につきましては、私一々例をあげまして、こういう点でやはり敵視的な考え方ではないかということを申し上げている時間がありませんから、申し上げませんけれども、これまでの国会においての答弁、あるいはまた国会外においての岸首相なりのお話は、大体においてあまり中共に好意を持っているような発言をしておらないと私どもも感ずるわけでございまして、その点を中国も今回指摘されたのではないか、こう考えるわけでございます。そこで今藤山外務大臣が一、二の点を否定されると同時に、第三番目の、正常関係の回復を妨げないで何らかの方法をとるようにということに対しましては、歴史の変転を見た上でというような御答弁でございましたけれども、やはりこの際日本の将来の経済問題、貿易問題ということから考えますれば、何か一つ前進した、政治問題を含めての話し合いというようなところにいくべきではないかというふうに考えますけれども、この点についてはどうお考えになるでしょうか。今までと同じような静観的な立場に立っておられるか、それとも何らかの一歩前進した形をおとりになる考えはないかを承わりたいと思います。
○藤山国務大臣 貿易、経済の面について、われわれが中共との貿易を進めて参りたいという希望を持っておりますことは今日まででもその通りでありますし、今後ともそうであります。従って、静観と申しましたこと自体は、貿易関係を打ち立てないという意味ではないのでありまして、適当な機会がくれば貿易の問題についても話し合いをしたいという考え方を持っておるのでありまして、本年初頭以来私が申しておりますこともその点に触れておると思います。ただ政治的な問題になりますると、先ほども申し上げましたように、いろいろな面においてわれわれは現実に即して問題を考えて参らなければなりませんし、その現実というものは、過去からの相当な積み上げできた経緯を持ってきておるわけでありますから、それらの問題については慎重に考えていかなければならぬ問題、だ、こう存じております。
○戸叶委員 今の藤山外務大臣の御答弁を伺っておりますと、今までの態度と少しも変りないわけでございまして、このままの姿でいきますれば、日中関係の前進ということは、ほとんど私は望めないと思うわけでございますけれども、この点について、たとえばどなたか政府の相当な人と向うの人と政治的な問題を含めて話し合うというところまで持っていくお考えはないかどうか、この点をもう一度伺いたいと思うのでございます。
○藤山国務大臣 私は、大使級の会談ということも申したわけでありまして、経済の問題に関しましては、そういう点について何らかの形で政府も関与して参ることが今後の事態において適当だと考えております。しかしながら政治的問題の話し合いになりますると、それらの問題にかりに触れるにいたしましても、すぐに必ずしも中共側の希望の通り考えられるとは、現在の段階で思っておらぬのでございます。従って今日の段階におきましては経済問題が主であるべきだ、こう考えております。
○戸叶委員 共同コミュニケを見ましてもはっきりいたしましたように、この貿易だけの経済的な問題だけではなくして、今後はやはり国交回復の問題を主としなければ、今後の貿易の再開は望まれないというようなことが強く打ち出されているわけでございまして、今の藤山外務大臣のようなお考えのもとにおきましては、もはや中共の貿易なり何なりの促進はあり得ないというふうに考えるわけでございます。この問題につきまして、藤山外務大臣にこれ以上お聞きしましても今の御答弁以上に出ないといたしますと、今の政府のもとにおきましては日中関係の貿易の打開ということは、今後望めないということになりはしないかということを、私はおそれるものでございます。 そこで、けさ何か赤城官房長官が今度の共同コミュニケに対しまして、国連の動きを見るというようなことを発表されたようでございますけれども、国連の動きを見るということは、すなわち国連において中共が承認されないうちは、日本においても中共を承認しないというふうな考え方であるのか、それとも日本が国連等におきましても、積極的に中共の承認ということのために努力をされようとする考えでいられるのか、この点をもう一度伺いたいと思います。国連加盟国で中共承認の方に出てくる国はどんどん多くなってきておりまして、もうすでに三十三カ国というような数字も見ているわけでございますけれども、この点に対しての外務大臣の御所見を伺いたいと思います。
○藤山国務大臣 われわれとしては、先ほど申し上げましたように、国際情勢を見ながら、しかも過去の歴史的な事実の上に積み重なりました現実の事態というものを、やはりないがしろにもできません。従ってそういう面におきまして、諸般の情勢を見て参らなければならぬ。その中には、むろん国連の中におけるいろいろな各国の動向というようなものも考えていく必要がありましょうし、その議論というようなものも聞いて参る必要もあろうかと存じております。
○戸叶委員 そうすると、やはり外務大臣としては、国連の中のいろいろな議論は聞いていくけれども、日本が積極的に国連において中共承認の方への努力はこの際しないというふうな考え方を持たれているように感じたのでございますけれども、それではいつまでたっても日本と中共との間の国交回復なり、あるいは貿易の再開ということは非常にむずかしいことになると思いますので、この際藤山外務大臣も、もう少し積極的な中共との国交回復への道を開く努力をお払い願いたい、こういうふうに私は考えるわけでございます。この点について、あとから御返事をいただきたいのです。 時間の関係上、次に移りますが、共同声明の中で非常に大切な、そしてまたできることが一つございます。それは「日本があらゆる核兵器の製造、貯蔵、導入を禁止し、日本が自主的に非核武装宣言を行う立場をかちとるようにさせる決意を表明した。」とございます。そしてまた、「双方はアジアおよび太平洋地域に非核武装地区を設け、各関係国とこのための努力を払うことに関して意見が一致した。」ということがございましたけれども、これはもう社会党だけの問題ではなくて、当然のことだと思うわけでございます。参議院の予算委員会等の議論を拝聴いたしておりましても、アメリカが日本に核兵器を持ってきてもどうにもならない、日本の憲法と違うのだからそれは仕方がないというような答弁まで、だんだん発展してきているものですから、国民は非常に不安を感じているわけでございます。そこでむしろこの際、非核武装宣言というものをはっきりと国会において出すべきではないか。国会で一時問題になりましたけれども、それがうやむやになった今日を見ましても、国民が非常に不安な状態にいるわけでございますから、そのくらいのことはおやりになってもいいのではないかと思いますけれども、これに対するお考えのほどを承わりたいと思います。
○藤山国務大臣 核兵器の生産、使用禁止ということは、日本側がすでに国連等におきましてもその態度を明らかにしております。総理がたびたび言明もし、またその点については各国にも呼びかけております。従ってそういう意味において、政府は今日まで努力をいたしております。でありますから、その点に関してはわれわれといたしましても、今日までの外交施策の上においてその面をもってやって参っております。ただお話のような核非武装、中立というような問題になりますれば、十分研究をし、また諸般の情勢を見て参らなければ、そういうこと自体が真にいいのかどうか、極東におけるそうした問題というものは相当な研究の上でなければ、何とも現状において適切な処置であるかどうかということを判断できないと思います。
○戸叶委員 安保条約の改定をした場合に、無断で日本に核兵器を持ち込ませないように話し合いをするように改正するのだ、しかもそういうふうな事前の協議の場合には、ノーと言うだけの余裕も残しておくんだということは、たびたびこの委員会でお答えになっていらっしゃるわけでございます。そうであるといたしますならば、今のうちにはっきりと核兵器は日本は持ち込まない、非核武装地帯を日本を中心として作るのだということを海外に宣明しておけば、アメリカとの安保条約の改正の話し合いの場合にも、非常にやさしく核兵器の持ち込みに対しての反対ができるのではないかと思うのであります。それを今の大臣の御答弁のように、まあいろいろな情勢を見た上で非核武装地帯ということにするというふうな御答弁を伺っておりますと、何かそこにまだ非核武装地帯にするだけの自信がない、持ち込まれるような問題が残っているのではないかといった、私は危惧の念を抱くのでございますけれども、なぜこの非核武装地帯というものをはっきりと日本で打ち出せないのでしょうか、もう一度この点を伺いたいと思います。
○藤山国務大臣 安保条約でもって、核兵器の持ち込みにつきましては装備の中に入れまして、われわれは協議事項として参り、少くも岸内閣が続いております限り、岸総理ははっきりと核兵器を持ち込まない、また自衛隊は核装備をしない、こう言われておりますから、われわれはノーと言うことに相なろうと思っております。そういう状況のもとに今日あるわけでありますが、むろんアメリカは現在でも日本国民の意思に反して、また日本国民の願望を無視して持ち込んでこようとは思っておりません。しかしながら御指摘のような、教カ国寄りまして何らかの宣言をするというような問題についてはこれは相当慎重に考えませんければ、現在の国際情勢の中において果してそういうことが適当であるかどうかということは、十分研究を要する問題だと思います。
○戸叶委員 数カ国寄っての非核武装地帯宣言というものがまだどうかと思うというのでしたら、まず手始めに日本だけそれでは非核武装地帯にするということを国会で宣言して、そのあと他の同じ志を持つ国に話を持っていくというような形もおとりになりませんか、その点も伺いたいと思います。
○藤山国務大臣 国会等の問題につきましては、総理が言われておりますように、国会で御検討を願う問題かと存じております。
○戸叶委員 それは当然国会で検討することでございますけれども、政府の意思がそこにないときには、幾ら国会で検討しょうといたしましても、そのままぬるぬると逃げてしまう程度で終ってしまうわけでございまして、やはり総理なり外務大臣なりがはっきりと非核武装地帯にするというようなお考えをこの際こそお持ちになるべきだと私は考えますので、どうかこの点ももう一度考えておいていただきたいと思います。 もう一問伺いたいことは、使節団とは別の形ではございましたけれども、田崎何がしという人が中共に行っておられるわけです。この方は、相当藤山外務大臣と話し合ったというような証拠もあちこちであるわけでございますけれども、この間何かで藤山さんが全然知らないというふうなことを答弁されております。私どもの伺った限り、相当話し合いがしてあったというふうに聞いておりますけれども、この点はいかがでございましょうか。
○藤山国務大臣 私は先般も申し上げました通り、田崎君をよく知っておりません。また田崎君が今回中共に行かれるときに会ったことはございません。
○戸叶委員 この日中関係の問題につきましては、いずれ使節団が帰りましてからいろいろもう少し具体的に伺いたいと思います。 次に、安保条約の問題で二、三点伺いたいと思います。それは二月二十一日の世界週報で、日米安保条約締結当時の条約局長であった西村さんが、安保条約に対する論説の中で非常に重大なことを言っていられるのを、私は読んだわけでございます。すなわち、日米安保条約の第一条は、アメリカの軍隊は極東における国際の平和と安全に寄与するため使用できると規定している。それに対しまして西村さんは、極東の平和と安全のために使用される合衆国軍隊は極東地域で行動するであろうが、条約上は極東に限定されるものでない、極東の平和と安全のためならば、極東地域のほかに出て行動しても差しつかえないことになるのであるというふうなことを規定されているわけでございます。私たちは今日までこの条項の解釈というものは、日米安保条約による在日米軍の行動範囲というものは、極東の安全と平和のために極東の地域内であるということを考えていたわけでございます。それを、当時の条約局長であって、その間の事情に最も精通した西村さんが、在日米軍は極東の安全と平和のためなら極東以外の地にも軍事行動がとれるというふうな解釈をとっていられるわけでございまして、こういうふうになって参りますと、私たちが今日非常に心配しております米韓とか米台、米比というような関連の問題よりもさらに大きく発展して、SEATOとかあるいはパグダード条約とか、あるいは中近東地域にも非常に関連してくるわけでございます。そこでそれをずっと広げて参りますと、しまいにはNATOにも結びついていくような結果になるわけでございまして、現行日米安全保障条約がこんな全世界的な紛争に巻き込まれるということは、まことに事が重大であると考えるわけでございます。そこで政府は、現行安保条約の在日米軍というものは、極東の平和と安全のために極東以外の地域にも出動できると解釈しているかどうかについて、確定的な意見を伺いたいと思うのでございます。
○藤山国務大臣 現行の安全保障条約が極東の平和と安全という問題について、当時どういう解釈をしたか、また西村条約局長がどういう解釈をしたかということについては、必ずしも私はつまびらかにいたしておりません。ただしかし、極東の平和と安全というものをある程度維持するために、おそらく字句上の問題からすれば、何らか極東を取り巻く地帯というものを含めなければ、極東の安全と平和というものは維持できないというふうに、言辞的に見られないとは思いません。しかし私どもは現在そういう状態が必ずしも適当でないと思いますから、今回改正をいたしまして、そうして一つの協議事項としてそれらの問題を限定していこうというのが、われわれの考え方でございます。
○戸叶委員 そうしますと、いろいろいわれているようでございますけれども、西村さんの言葉を借りますと、いわゆる日本の安全保障条約というものは、憲法の制約があるから特殊な形であって、防衛地域と使用地域と両方に分れているわけだ。先ごろからの国会での質疑応答を見ておりますと、条約適用地域とそれから防衛地域と両方になるわけでございましょうけれども、そこで今度の使用地域と申しますか、防衛地域というものは極東の安全と平和を守るということになりますと、一応極東という定義をおいて、その範囲を越さないという形にするのか、それとも事前に協議さえすれば、極東以外の地にも、極東の平和と安全のためには出るようにするのか、その点をはっきり伺いたいと思います。
○藤山国務大臣 たびたび申し上げておりますように、今回安保条約改正に当りまして政府のとっております態度というのは、日本が他国から直接侵略を受けました場合に、日本が防衛する、自衛力をもって侵略を排除するというのが第一義でありまして、その意味においてアメリカ軍が駐屯することになり、あるいはアメリカ軍が基地を使用することになろうと思います。またその意味におきまして、日本以外の地域に出て参りますときには、これは協議をするわけでございまして、そのときには、少くも日本が他国からの侵略を受ける危険があるような判定がありましたときにのみ、おそらくイエスといわれるのではないかと思うのであります。従いまして、そういう意味においては必ずしも広範な地域に展開されるというふうには、私は相ならぬのではないかというふうに考えております。現行安保条約の解釈はいかようにもできると思いますが、現在われわれが交渉に当ってとっております態度は、今申し上げたような態度であります。
○戸叶委員 もう一度確認いたしますけれども、現行安保条約の話し合いのときには、極東の平和と安全を守る場合には相当広い範囲に在日米軍が出られた、しかし今度の場合には、極東の平和と安全を守るというふうな場合でも、ある程度の限定をするというふうなことでございましたけれども、そうした場合には、この地域とこの地域には出られるけれども、この地域とこの地域には出られないというふうな具体的なことまで話し合っておきめになるのかどうか、この点も伺いたいと思います。
○藤山国務大臣 具体的な地域を限定してということは、必ずしも考えておりません。むしろ具体的な地域を限定するということでなしに、日本が侵略される危険に直接面するような場合、その場合がそうした出動をおそらくイエスという場合だろう、こう考えております。
○戸叶委員 それは次の問題にも関係するかと思いますけれども、今の安保条約の成り立ったいきさつにつきましても、いろいろ西村条約局長が書いていられるわけですけれども、最初アメリカから提示された場合は、一応日本の周辺にアメリカの陸海空軍を駐屯させる権利を与えて、そうして合衆国がこれを受諾する、この措置はもっぱら外部からの武力攻撃に対する日本国の防衛を目的とするということだけを規定したわけで、この場合には日本国の防衛ということが最初は中心であったわけでございますけれども、その後アメリカの方でその内容をさらに変えてきて、極東における国際の平和と安全のために使用できるというふうに使用区域というものをはっきりと設けてきたということが書かれていたわけでございます。そこで今度の交渉におきまして、今外務大臣の言われるようなことであるとするならば、極東の平和と安全というようなことでなしに、むしろ日本の防衛をするために、外部からの侵略に対して防衛をするためにというふうな、最初の話し合いの程度のことを含んでの交渉までに狭めていくべきではないか、こういうふうに考えるのでございますけれども、依然としてやはり極東の平和と安全ということを言われておるとするならば、結局今私が申し上げましたように、西村条約局長がずっと三段階でアメリカから提示された最後のところに持っていかれる危険性があるのであって、極東の平和と安全を守るためということで、在日米軍が出動する場合には、いかに制限をしようといたしましても、非常に広い範囲に使われるのではないかということを憂えるものでございますけれども、今度の改正に当ってせめて日本の防衛ということだけに限るお考えはないかどうか、この点を伺いたいと思います。
○藤山国務大臣 日本が侵略されること自体は、やはり私は極東の平和と安全を脅かすものだと思います。従いまして、極東の平和と安全を維持するということは、そういう意味からいいましても、私ども、言葉の上では、極東の平和と安全を維持するということは必要な場合があり得ると考えております。むろんわれわれとしては、日本が侵略から守られるということのために、どの範囲内において、どの行動が起った場合にかというのは、そのときの判断によって決せらるべき問題ではないか、こう考えております。
○戸叶委員 外務大臣のお話を聞いておりますと、その通りに受け取れない節もたくさんあるわけでございまして、私どもは、今までのアメリカとの交渉の過程なり、発展過程を見ておりますと、非常に拡大して解釈されるような点があるわけで、非常に憂えるわけでございまして、今おっしゃるような立場だとすると、条約区域というものを別に置かないで、日本の本土だけを共同防衛するという形だけでいいのではないか、二つに、共同防衛地域と、それからアメリカ軍が出ていく条約区域というものと分けなくてもいいんじゃないかというふうに考えるわけでございますけれども、この点は意見の食い違うところでございますから、先へ進めたいと思いますが、沖縄、小笠原を防衛区域に入れるかどうかということについて、きのう岸首相は、考慮中であると言われているようですし、外務大臣は、大体入れないというふうにおきめになっているようでございます。党内でもいろいろと意見があるようでございますけれども、今度は、入るとか入らないとかいうような問題よりも、もっと以前の問題として私は聞きたいわけでございますけれども、在日米軍の中にこの沖縄の米軍というものは一体入るのか入らないのかということを伺っておきたいと思います。在日米軍の中に沖縄の兵隊、駐留兵というものは一体入るのか入らないのかということを伺いたいと思います。
○藤山国務大臣 沖縄におります兵隊は入らないと思います。
○戸叶委員 そういたしますと、沖縄への米軍補給というものはアメリカの本土からでなくて、日本の本土から米軍補給ということがなされるというふうに私は考えるわけです。そのときには、この事前協議などは、沖縄から米軍が出動する場合には、日本との事前協議はないと、この前言っていられるわけでございますけれども、そうだとすると、沖縄からの米軍が出ていった場合の補給というものは、日本の本土からするわけです。そうなって参りますと、この事前協議がないから、結局これは日本の本土からの米軍が沖縄を通ってずっと行くことになるのであって、事前協議などというものはあってなきがごときもので、非常に危険にさらされるというふうに考えますけれども、この点はどうお考えになりましょうか。
○藤山国務大臣 普通の場合に、コマーシャル・ベースでもって補給をされるということはあり得ると思います。しかしながら、日本が防衛関係のこの面の上において、特に自衛隊その他が補給するという関係は起り得ないと思います。
○戸叶委員 しかし、やはり問題が起きた場合には、どうしても日本の本土からの兵隊を補給するということになるわけですから、事前協議をしないで沖縄からよそへ持っていかれるということはあり得るわけでございますね。
○藤山国務大臣 沖縄にあります米軍がどういうふうに移動するかは協議の対象にはなっておりませんけれども、日本からそうした戦争状態のもとにありますときに移動する、あるいは作戦的に使われるというような場合には、協議事項に入ると思います。
○戸叶委員 そうしますと、日本から沖縄に移動する場合にも協議事項の対象になりますか。
○藤山国務大臣 それは作戦的に使用される場合と平時の場合と違うと思うわけであります。
○戸叶委員 そうしますと、作戦的に使用される場合には協議の対象になるわけでございましょうか。
○藤山国務大臣 むろん作戦的に使用される場合には協議の対象になると思います。
○戸叶委員 そういうふうにはっきり分れておりましても、平時の場合に、日本から補給されて、そうしてそれが作戦的に使われるというようなこともないとも限らないわけですね。
○藤山国務大臣 非常にむずかしい問題で、平時に兵が移動したのがいつの時期に作戦に使用されるかということは、それはあり得るかと思いますけれども、それは、やはり移動をしたときが平時でありますれば、作戦的に移動したのでなければ、当然平時の移動ということは考えられると思います。
○戸叶委員 外務大臣はそれを大へん簡単のようにお考えになりますけれども、そういうふうな場合というものは、私はこれからよく起るのじゃないかと思う。従って万が一ということも考えておかなければいけませんし、せっかく事前協議でノーと言い得るといいましても、日本から沖縄を通って他に出動した場合には、事前協議も何もなくて、そのまま使われて、日本が戦争の中に巻き込まれる可能性が非常に多いのでございますので、私はその点を念のために言ったわけでございます。 もう一つ、やはり訂正していただきたいと思いますことは、この前、安保条約改定に関連いたしまして、沖縄を共同防衛地域に入れるかどうかの問題と施政権の問題とが関係があるかのように内閣委員会で答弁されております。たとえばもしも沖縄、小笠原を入れた場合には、それだけアメリカの施政権がへこむことになるというふうな答弁をされまして、結局沖縄、小笠原を入れた場合と施政権の問題とを非常に関連深く答弁されているわけでございますけれども、この問題は、施政権の問題とは全然別個なものであって、沖縄に武力攻撃が起きたときに、合衆国の沖縄防衛のための軍事行動に、日本が条約義務として防衛の一端をになうということにはなるかもしれませんけれども、施政権がへこむということにはならないのだということを明確にしておいていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
○藤山国務大臣 防衛地区あるいは条約地域と申しますか、それに沖縄、小笠原を入れることと施政権の返還という問題とは、全然別個の問題だと考えております。従って施政権の返還ということは、通常外交ルートによりまして絶えずアメリカと交渉していくという問題であると私どもは考えております。
○戸叶委員 外務大臣がそういうふうにおっしゃればはっきりしておるわけですけれども、外務大臣も御承知のように、岸首相が、内閣委員会で、はっきりアメリカの施政権がへこむことになるのだ、それだけ日本にある程度施政権が返ってくるような印象を与えているわけでございますから、この点は岸首相とも意見をはっきり統一しておいていただきたい、こういうふうに考えるわけでございます。 それからもう一つ、安保条約の改定をめぐりまして、党内も大へんにもめていらっしゃるようで、藤山外務大臣も大へん御苦労をされておるようでございますけれども、国会もあと四月一ぱい、五月二日までということになりますと、もしもそれが藤山外務大臣がおっしゃるように改定されないというようなときに、休会中にそれを何とかするというようなことは当然なさらないで、むしろ事前に国会に諮った上で改定ということに持ち込まれると思いますけれども、この点を念のために伺っておきたいと思います。
○藤山国務大臣 外交交渉のことでありますから、私といたしまして、交渉を担当しておる者としては、できるだけ早くこの交渉をまとめていきたい、こう考えております。ただその時期等につきましては、相手方のある交渉をやることでありますから、必ずしもいつとは申し上げかねると思いますが、私はできるだけ早い時期に、交渉妥結の時期を目標に置いて努力して参るわけでございます。むろんわれわれは今日まで申し上げておる精神を貫いていきたいと考えておりますけれども、交渉のことでありますから、若干それに幅があり得るかとも思います。それらの点については交渉を妥結してみなければ、結果的にはわかり得ないのでありますが、私が交渉に当っております態度は、今日まで約半年にわたって国会で論議を尽しておる問題だと思うので、大体御了承願っておるのではないか、こう考えております。
○戸叶委員 私と藤山外務大臣と立場は全然違うわけですけれども、ただ問題は、国会の開会中でなくて、閉会中にでも仮調印をするとか、本調印をするとかそういうようなことは、これだけ重大な問題ですから、あるべきではない、こう考えるわけですけれども、そういうふうな場合も起り得るというふうにお考えになりますかどうですか、この点伺っておきたいと思います。
○藤山国務大臣 交渉でありますから、交渉を継続して参ります過程において、国会中であったりあるいは国会が終了したりした時期になるか、そこいらの点はむろん交渉のことでありますから、時期的にはいろいろ動いてくることだと思います。がしかし、私が申しておりますことは、私自身今日まで国会等で申しております精神を交渉に当ってできるだけ貫いて参りたいということでありまして、二国間のこの種の条約の交渉でありますから、一字一句最後まで国会等にあるいは国内等に示してやれないことはこれは当然なことだと思います。従ってそうした問題についての交渉締結者としての責任は、当然締結に当った者がとらなければならぬもの、こう思っております。
○櫻内委員長 戸叶君、大体時間が参っておりますから……。
○戸叶委員 それではやめますけれども、大事な条約をなるべく国の閉会中にするというようなやり方というものは、やはりおやめになった方がいいと私は思うわけでございまして、堂々と国会で十分審議をした上で、またすべての人が納得するような形においてしていくべきであって、うるさいからこそこそと休会中にするというような態度は、おやめになった方がいいと思います。 もう一つ北鮮の問題で一点だけ確かめておきたいことは、新聞によりますと、ボアシェ赤十字国際委員長が、十六日日赤の副社長との会談後記者会見で、在日朝鮮人の北鮮帰還問題は赤十字国際委員会の介入を一切排除して、日本と北鮮との間で話し合うようにというようなことを言われたというふうにも聞いておりますけれども、一応北鮮の赤十字と日本の赤十字と話し合って、そしてその上で問題があったときに、国際赤十字委員会に話を持っていくというふうな形をとるように、国際赤十字委員長が考えていられるのではないかと思いますけれども、この点は外務大臣としてどういうふうにお考えになりましょうか。
○藤山国務大臣 今回の問題につきましては、われわれは国際赤十字委員会に依頼をいたしたわけであります。そうしてその依頼をいたしました趣旨は、やはり中立的な機関であり、人道的立場に立つ国際赤十字委員会が、帰還者の意思というものをある程度決定することが問題の紛糾を避けるゆえんだと思います。そういう意味において国際赤十字に依頼をいたしておるのでありまして、その点はわれわれとして堅持して参りたいと思います。また北鮮側の赤十字においても、その趣旨は十分理解されることをわれわれ希望しておるわけであります。
○戸叶委員 北鮮側の方でも、国際赤十字が介入することがいけないということは言ってないわけなんで、国際赤十字の委員長も、今のところ北鮮赤十字と日本の赤十字とが話し合って、そしてその上で国際赤十字が出てもいいというふうな話をしているようでございますが、外務大臣としては、あくまで国際赤十字が出ない限りは日本と北鮮の赤十字との話し合いはさせないというふうなお考えで臨まれるのかどうか、この点も伺いたいと思います。
○藤山国務大臣 北鮮赤十字と日本赤十字との話し合いは、むろん国際赤十字のあっせん及びそのワク内でやるべきだと思います。ただ実際の会談として、国際赤十字の人がいつもその席に立ち合わなければならないというようなことは、必ずしもないと思いますけれども、少くも原則として、国際赤十字のワク内でこの問題が取り上げられておることでありますから、そこで話すことが誤解が起らぬゆえんだ、こう考えております。
○櫻内委員長 床次徳二君。
○床次委員 ただいまの戸叶委員の御質問によりまして、本日の日中共同コミュニケに対して外務大臣の御意見も伺ったのでありますが、なおそれに関連して、数点この際明らかにしておいていただきたい、かように存じますので、質疑をいたす次第であります。 まず、この共同宣言に現われました趣旨の中におきまして、日本とアメリカとの安全保障体制に対しまして、これを粉砕することに対しまして意見の一致を見ておりました。私はこの方針は、今日までわが国がとって参りました外交の基本方針に反するものと思うのでありまするが、これに対する御所見を伺いたいと思う次第であります。
○藤山国務大臣 少くも、私が現在とっております外交方針とは反すると考えております。
○床次委員 次に、原水爆の禁止の問題についてでありますが、双方はこの原水爆に関しまして、あらゆる種類の核兵器の実験、製造、貯蔵、使用というものを全面的に禁止する必要があるということを強調している。この点に関しましては私どもも全く異存がないのでありまして、ぜひかかる全面的な禁止というものが実現せられていくということを強く要望するものであります。すぐにその後段におきまして、いわゆる中立地帯の設置の問題を取り上げておるのでありますが、私どもの見方からいたしますると、今日一部の地方においてかかる中立地帯の存在ということは、必ずしも基本的な理想でありますところの全面的禁止というものに対して貢献するものではないということを考えておるものでありまして、絶対にこれを関連させなければいけないものかどうかということに関しましては、むしろ私どもは否定的な考え方を持っておるのであります。この問題は今日の国際情勢等よりいたしまして、私どもはかかることが必要だと思っておるのでありますが、この点は一般国民におきましても非常に誤解をいたしておるのではないか。正しく理解しておらない向きもあると思いまして、この際外務大臣よりこの全面的禁止の運動、わが国のとっております態度、なおいわゆる非核武装地帯の宣言、みずから武装を放棄するという運動を部分的に続けていくという二つの問題に対して、いかなる関連性をお考えになっておりますか、明らかにせられたいと思う次第であります。これに対する見解を承わりたいと思います。
○藤山国務大臣 床次委員の御指摘のありましたように、今旦核兵器の生産、保有、使用というものは、日本政府といたしましても国連においてこれを提唱いたしておりますし、終局の目的において人類のために禁止さるべきが適当だと考えておるわけでありまして、ただ現在の段階におきまして、いわゆる中立的な政策をとるということについては、現在の国際情勢の中で、しかも非常な大きな武装状態が対立しておりますときに、必ずしもそれが適当な方法であるとは私どもは考えておりませんし、また核兵器の生産、使用を禁止するという問題に参ります上におきましても、果してそうしたものを積み上げていくことが適当な方法であるか。むしろ核兵器の問題というものは、やはり実験から離れましたジュネーブでの一連の結果を持ち、さらに進んでやはり生産、使用禁止から一般の軍縮の方向に進むべきが適当でないかというふうに考えております。
○床次委員 次に、この宣言の中におきましては、両国の政治と経済との問題は切り離すことができないということを述べておるのでありますが、かつては政治と経済というものを切り離して、両方の積み上げ方式をとって参りたいというふうな意見をとっておったのに対しまして、この点ははっきりとしまして、政治と経済との不可分を認めておるのでありますが、しかしながらわが国の今日の態度から申しますると、今日の国際関係、わが国の従来から続けて参りましたところの国際信義等の関係からいたしますると、今直ちに政治と経済とを切り離すことができないといたしまして、両問題をともに中国と交渉するということにはなり得ないと思うのであります。この点から政府が従来とっておりましたいわゆる静観ということが出て参ったものと私どもは解しておるし、またかくあるべきものと思うのであります。すなわち、政治と経済とを切り離すという従来の態度は、そういう意味において私は依然として存続すべきものであるというふうに考えるのでありまして、今日いろいろと国際情勢が変化しているようにとられておりまするが、しかしながらこの建前に対しましては、やはり依然として変化がないということを私ども考えるのでありまして、この点は一つ政府におかれましても明らかにせられたいと思うのでありまするが、所見を伺いたいと思います。
○藤山国務大臣 政治の問題につきましては申すまでもなく過去の歴史的ないろいろの経緯もございますから、それが積み重なってきた現在の段階を将来どういうふうに考えていくかという問題であり、どういうふうにそれが国際情勢の中において解決されていくかという問題だと思います。また一方からいたしますれば、経済、文化等の交流によりましておのずから親善友好の関係を深めていくということが、問題の解決の一つの方法でもあろうかと思います。従って必ずしも政治と経済とを同時にしなければ将来の問題の打解ができないというふうにはわれわれ考えておらぬのでありまして、おのずからそうした問題は別途に中共側においても考慮してもらうべきではないかと思っております。現に日本以外の国に対してそうした態度をとっておる場合もあるのでありまして、必ずしも日本だけにこの問題について強硬なことを言われますことは、現実というものを中共側で十分認識していないということも言えるのではないか、こう考えております。
○床次委員 次に、今回の宣言の中におきまして沖縄の問題に対しても触れておるのでありますが、私はこの沖縄の問題に関する今回の宣言に含まれた趣旨に対しましては、はなはだ遺憾な感じを持つのであります。大体のその趣旨を申し上げますると、「日本社会党代表団は日本人がいわゆる日米安保条約体制を打破した後」——新聞によりますると、打破を前提として、次に書かれておりまするがごとく、「日本に駐留する米国の軍隊の撤退を要求し、軍事基地を撤廃し、沖縄、小笠原群島などの日本領土の完全な返還を実現させ、日本の独立自主を確立し、さらに」云々、こういうふうに書いてありまして、まず安保体制を打破いたさなければ沖縄の返還もできないというふうに考えておるようでありまするが、私どもの考え方からいたしますると、安保条約の体制を打破いたさなくてもこれを改善しつつ、同時にその間におきましてむしろ沖縄、小笠原の返還ということも実現が可能なのじゃないか、安保条約が改善せられることによりまして、沖縄、小笠原の返還というものがむしろ促進し得るものじゃないか、かように考えるのであります。その点、今回の共同宣言に表われましたものは、私どもから見ますると意外なくらいに、沖縄、小笠原の返還ということに対しまして社会党の方々は相当遠い時間を予想しておられるというふうに考えるのでありまして、即時返還を要望せられておったのがかような態度になったということに対しましては、私ども不可解に思うのであります。現実におきましては、私は、今度の安保条約体制を改善することによりまして、むしろ復帰がすみやかになり得るんだという期待を持てると思うのでありますが、この点に関する御意見を伺いたいと思います。
○藤山国務大臣 安保条約は戦後今日まで日本の安全保障の上において七年間、役に立ってきたと思います。しかしこれを今日の現状に照らして改善し、維持して参りますことが日本の安全を維持する上において一番適当なことだと考えておりますので、そういう意味においてわれわれとしては安保条約の必要論を力説いたしておりますし、これが廃棄ということに対しては反対の立場をとっておること申すまでもありません。 なお沖縄、小笠原の問題につきましては、サンフランシスコ条約でわれわれは規定をいたした、その規定を順守して参ることは当然であります。しかしながら沖縄の施政権の返還という問題に対しましては、われわれとしては先ほども御答弁申し上げましたように、安保条約とは全然別個の立場において、外交交渉で常時これが返還を要求して参ることは当然のことでありまして、事情の変転によってわれわれとしてはそれが達成する時期があることを確信しております。
○床次委員 ただいまの御答弁を伺って安心したのでありますが、われわれは安保条約を破棄いたさなくても、現行におきまして沖縄、小笠原の復帰というものができるのである。むしろ私どもの考え方から見ればよりすみやかにその実現を見られるのだということを信じておりますので、この点は十二分に国民に誤解のないようにしていただきたいものと思うのであります。 なお最後に伺いたいのは、この共同宣言の中におきましては安保条約というのは日米の軍事ブロックである、しかしこの軍事ブロックから日本が脱却いたしまして、完全な中立平和主義をとることがアジアのためにもなるのだということを言っておるのでありますが、反面におきましてソ連と中共との友好条約なるものは、その中におきまして軍事条項を含んでおります関係上、やはり現在はこれは一種の軍事ブロックであると私ども考えておるのでありまして、一方において軍事ブロックを残しながら、日本に対していわゆる平和中立を主張するということに対しましては非常な矛盾があるように思うのであります。あるいは当事者におきましては安全保障条約は軍事ブロックである、中ソの友好条約は軍事ブロックではないのだ、かような考え方を持っておるかと思うのでありますが、この間の事情に対する外務大臣の御見解を伺いたいと思うのであります。なお今日の状態におきましては私どもは軍事ブロックと申しますか、いわゆる集団安全保障体制をそれぞれ持っておりますことが、やはり一つの平和を維持するゆえんである、単純なると申しますか、平和中立主義というものはかえってアジアに対して不安定を増すものである、もちろんわが国に対しましても非常に不安定なものと思うのであります。この点は国会の施政方針におきましても述べられたことと思うのでありますが、この点に関しまして重ねて御意見を伺いたい次第であります。
○藤山国務大臣 中ソ友好同盟条約の中に軍事条項があります。またその対象が日本であるように考えられることもこれは当然のことでありまして、その意味におきまして私どもとしてはこれが軍事的な中ソの関係を規定しておるいわゆる軍事同盟条約とも見て差しつかえないと考えております。われわれとしては日本のような小さな島嶼でしかも自衛力も貧弱なところは、どうしてもやはり自衛の立場から他国の援助を借りる必要があると思うのでありまして、その意味から申せば中共にしてもソ連にしても膨大な軍事力をみずからが持っておるのでありますから、必ずしも二国間で同盟をしなくても、むしろ先に解消されてもいい問題じゃないかというようにも考えております。
○床次委員 最後に北鮮帰還の問題について重ねてお伺いしたいと思います。今日の北鮮帰還の問題に対しまして非常に重大な問題は、在日鮮人のいわゆる帰国意図の確認という問題が非常に大事なんじゃないかと思うのであります。いろいろ陳情書等におきまして相当の申し入れがあるのでありますが、いかなる状態においてこれらの帰国意思を表明しておるかということに対しましては、われわれといたしましては直ちに陳情書、署名等において現われたものだけではこれをそのまま是認することが困難じゃないかと思うのでありまして、やはりこれを公平な立場において確認することが必要だと思うのでありますが、今日ジュネーブにおいて論ぜられておりますところでは、特に北鮮側の主張におきましてはこの帰国意思の確認に対しましては、一方的な申し出をそのまま採用するようにというふうな意向のように見えるのでありますが、この間に関する経緯を御説明いただきたいと思います。 なおわれわれは、赤十字の国際委員会が介入いたしますことに対しましては、この問題を将来きわめて公平に冷静に解決し得るゆえんだと思うのであります。従って、国際委員会の介入ということを非常に重視しておるのでありますが、この点の交渉は今日までいかようになっておりますか、この際御説明いただきたいと思います。
○藤山国務大臣 北鮮帰還の問題につきましては、人道的な立場からいいまして、その本人の意思に従って帰還をさせることが適当であることは申すまでもないのであります。その意思を確認する方法を国際赤十字に一任いたしましたことも、またそれからきておるわけでございます。従ってわれわれとしては、あくまでも国際赤十字に問題のあります意思の確認をしてもらうことを望んでおるわけであります。今日まで国際赤十字には日赤の井上外事部長が行かれて、日本のその趣旨を国際委員会に説明をされまして、委員会においても十分考慮された上、先般の声明も出たわけでございますが、さらに葛西副社長も行かれまして、日本の意のあるところを十分伝えておりますので、現在において国際赤十字としては慎重にその問題を取り上げて検討をいたしておる段階だと考えております。
○床次委員 この点に関しましては従来の日本国内におけるところの在日朝鮮人の生活状態、また過去の一つの経過というものに顧みまして、国際委員会に対しても十分説明を加えることが必要なんじゃないか。また現在彼らが内地におっていかなる生活をしているかということを明らかにしてもらうことによって、その自由意思を表明するのにどういう手段がいいかということに対しましては、おのずから結論も出ることと思うのでありまして、この点、特に重大に存じますので、慎重に処理していただきたい。この住民の帰国意思がいかなる形において表明されたか、また帰国意思を表明した者が何人あったかということは、今後の帰還業務に対して非常に大きな影響があるし、なお帰還業務が相当進行しました後のわが国内におけるところの各種の問題にもこれは関連してくると思うのでありまして、一つ明瞭な結論が得られますように、この帰国意思の表明というものをきわめて公平に中正な立場において十分確認して、はっきり聴取しておいていただきたい。この前提のもとに、国際委員会においてもわが赤十字代表がその問題の解決の促進に当られるように、特に要望してやまない次第であります。 これで終ります。 —————————————
○櫻内委員長 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のために日本国とデンマーク王国との間の条約の締結について承認を求めるの件を議題とし、政府側より趣旨説明を聴取いたします。竹内外務政務次官 ————————————— —————————————
○竹内(俊)政府委員 ただいま議題となりました所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とデンマーク王国との間の条約の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。 御承知のようにわが国は、さきにアメリカ合衆国及びスエーデンとの間に二重課税防止条約を締結し、去る二月十七日及び二十一日にはパキスダン及びノルウエーとの間にそれぞれ二重課税防止条約を署名いたしましたが、今般さらにデンマーク王国との間に交渉が妥結し、三月十日にコペンハーゲンで本条約に署名した次第であります。 この条約の内容は、基本的には、さきに締結されたスエーデン及びさきに署名され国会に提出されましたノルウエーとの間の租税条約にならうものでありまして、これにより、両国間の経済及び文化関係が一段と緊密化することが期待される次第でございます。 よって、ここにこの条約の締結について御承認を求める次第であります。何とぞ慎重御審議の上、本件につき、すみやかに御承認あらんことを希望いたします。
○櫻内委員長 本件についての質疑は後日に譲ります。 —————————————
○櫻内委員長 次に外務省設置法の一部を改正する法律案、関税及び貿易に関する一般協定の新第三表(ブラジルの譲許表)の作成のための交渉に関する議定書の締結について承認を求めるの件、日本国とカンボディアとの間の経済及び技術協力協定の締結について承認を求めるの件及び日本国とユーゴースラヴィア連邦人民共和国との間の通商航海条約の締結について承認を求めるの件、以上四件を一括議題とし、質疑を行います。質疑の通告がありますので順次これを許します。松本七郎君。
○松本(七)委員 最初に外務省設置法ですが、これはこの前も大臣に伺ったことですが、提案理由の説明の中に、他の省庁の機構とは何ら重複するものではないということが特に強調してあるのですが、何かそういう懸念があるのでしょうか。何も懸念がなければ、こういうことを特にあれする必要はないのですが、とかくそういう部局の統合だとか新設だとかいろいろやる場合には、どうしても——特に経済協力のようなことは外務省だけのことじゃない、ほかの省との関係があることだから、重複する危惧が生ずるのが私はむしろ当然だと思うのですが、どういう点に重複のおそれがあるのか、今度出てきたものではそういう結果にはならなかったということなんだろうと思いますが、その点を少し説明していただきたい。
○内田政府委員 経済協力と一がいに申しますが、その内容については必ずしもその概念がはっきりしておらぬ場合もあると思います。過去の実情から申しまして、たとえば昨年度と申しますか、今実行中の予算におきまして、技術センターの予算が通産省に一部ついておるというような事実もございます。また経済協力の予算をこのたび大蔵省と折衝いたしました際にも、同じような形で外務省からと通産省から予算が提出されまして、遺憾な話でございますが、率直に申しますと両省の間に、これは当然自分の所管であるということで、いろいろ議論が行われたというような事実もございます。そういう点から見まして、確かに経済協力のある段階により、あるいは同時の場合でもある部分によっては、数省間にまたがる仕事があり得るというふうに遺憾ながら考えざるを得ないと思っております。ただわれわれといたしましては、経済協力がことに東南アに対して行われます場合に、いろいろ過去の歴史などから見て、非常な誤解を受けるようなことはぜひ避けなければならぬと思います。また相手国の意思あるいはその経済建設の段階等に応じまして、その意向を尊重しながらやって参るという意味におきまして、やはり外務省がその窓口として統括的に行うということはぜひ必要なことでもあるし、またそうしませんと、この経済協力の問題は円滑に行われないのではないかというふうに考えております。その意味におきまして、経済協力の非常な大事な部門が外交それ自身であり、従って当然外務省が行うべきであるという考え方に立っております。ただ事態の進展に応じまして、当然これは各省の協力を得なければならぬ。こういうふうにも考えておる次第でございまして、いろいろ先般の松本委員の御質問で、もっと非常に割り切った形で他の省に属するものも外務省で一括したらどうかというような御意向のように拝聴いたしましたけれども、外務省が最後まで一本でやるというふうな態勢でいきますためには、外務省自体が非常な膨大な機構も持たなければなりませんし、またそういたしましても、なかなかうまくは参らぬのではないか。やはり窓口は一本化しつつ、外務省が中心となって、関係の省庁と緊密な連絡をとりつつやって参るのが一番いいのではないか、こういうふうに考えておる次第であります。
○松本(七)委員 そうすると、これの構想としては、経済協力の事務は、将来は一切外務省を通じて行うという建前になるのですか。もちろん協力を各省に仰ぐということは、今まででも経済一般の企画は経済企画庁がやる、あるいは実施面は通産省が担当する、財政面は大蔵省、当然こういうものは今後も出てくるだろうと思いますが、その場合における新設の経済協力部というのはどういう位置を占め、どういう役割を果すのか。その点が少しあいまいだと思うのです。それとも一切をここに統合して、事務ばこれを通じてやるということになるのですか。
○内田政府委員 経済協力の実際面におきまして、非常に重要なのは、外国政府との折衝という面だろうと思います。これは当然外務省の出先機関において行われるものと考えております。ただ、その事務を国内において行います場合に、在外公館から得ました情報なり、意向なりを、外務省の経済協力部が中心になりまして、国内的な意味の、たとえばある具体的な会社に頼むとか、あるいは業界にやるという場合には、それぞれ農林省とか、通産省とか、建設省とか、そういうところと協議の上行うということになるのだろうと思います。
○松本(七)委員 これに関連して、外務省の外交官試験とも関係があることになるのですが、経済関係のものが少し弱体じゃないか。それは通産省その他から外務省にきますけれども、これは一時の腰かけのような格好になって、本腰で仕事はできないのじゃないか。やがてはもとの省に帰るのですから、やはり法科万能というか、そういう伝統が災いして、経済協力という面をもっと強力に推し進めなければならない場合、特に外務省にこういう部を作ってやろうとする場合には、外務省における、経済面に知識の豊富な人的な充実ということが当然必要になってくるのじゃないか。いたずらに膨大な機構を作るということではなしに、質的にももう少し向上させる必要があるのじゃないか。そういう点を考えると外交官試験そのものがやはり法科万能に陥っているのじゃないか。それを今後改めていかなければ、機構だけは一応作ってみたけれども内容が伴わないというおそれが多分にあると思うのですが、この点に何か新機軸を出すようなお考えがあるのかないのか。全然そういう点は考慮外のこととして放置されて齢るのか。この点を伺いたいと思います。
○内田政府委員 外務省の現在の陣容が経済的な面において手薄ではないかという御批判は、われわれも耳にしないわけではございません。また外交官試験が、従来ややもすれば法科の方に偏重しておったのではないかという御批判も、一つの御批判としては受けなければならぬかと思います。しかし、われわれとしましては、必ずしもわれわれの気持はそう法科尊重とか、経済の方を軽視しておるというようなつもりはないのでございまして、過去におきましても、相当一橋あたりの出身の方もおられますし、また東大でも経済学部を出た人で外交官になっておる方もかなりあるのでございます。それから今後こういった仕事の進展に伴いまして、外交官試験もさることながら、その間に経済的な知識の豊富な方を外務省員として、ただいまお話のございましたように、一時の腰かけとして外務省にこられるばかりでなく、外務省の陣容として吸収するということも当然考えて参らなければならぬかと思っております。ただ、ただいまお話のございました外交官試験をそのためにかえるかどうかという問題につきましては、今後研究して参りたいというふうに考えております。
○松本(七)委員 今言われた外交官試験を必ずしも受けなくても、経済的な知識の豊富な人で入っている人はたくさんあるわけですが、そういう優秀な者の優遇措置は特に考えられておらないのですか。
○内田政府委員 ただいまの優遇措置というのは、大体どういうことをお考えでございましょうか。われわれはやはり官僚の組織でございますから、特別に、ある人を優遇するということはなかなか参らぬかと思います。
○松本(七)委員 具体的に大使、公使、それから参事官、一、二、三等書記官、課長、課長補佐、理事官、そういうものの外交官試験合格者と、そうでないものとの区別は、大まかな教字でもございましたら、伺わせていただきたい。
○内田政府委員 今ちょっと教字が手元にございませんので、資料として後刻提出いたします。ただいまの御趣旨は、実はほかでも御質問を受けたのでございますが、外務省の、たとえば局長とか課長というものは、全部外交官試験を出ておる者ばかりではないか。外交官試験を通らぬ者でも、もっと登用するということを考えたらどうか、あるいは在外の大公使、参事官というようなハイ・クラスの者でも、外交官試験出でない者をもっとふやす考えはないか、こういう御質問を受けたことがございますので、おそらくその御趣旨ではないかと思いますが、われわれ考え方として決してそう排他的に考えておるつもりはないのでございます。まず本省の方から申し上げますと、なるほど現在本省の局長には外交官試験出でない者はおりません。課長には、現在は一人か二人おりますが、過去においても数名の人がなった例はございます。これは別に試験出以外の者を排他的に考えるというつもりではございませんけれども、しかし実際課長と申しますと、上との接触、また部下を相当現実に把握して仕事をして参るポストでございますので、やはり外務省内において、ある程度経歴を持ち、また訓練も受け、そのほか、人の関係などにおきましても、顔が知れているというと変ですが、よくみんなから知られているというようなことも、そのポストをうまくやって参るための一つの要件になるわけでございまして、もし適当な人がありますれば、いかなる人でも課長のポストにつけて差しつかえないと思いますが、実際問題としましては、なかなか適当な人がなかったというのが実情ではないかと思います。 それから在外の大公使、参事官の問題でございますが、これも適当な——現に参事官クラスにも相当おりますし、また大公使にも、数はそう多くはございませんが、今六、七名おられると思います。これも、この前、藤山大臣もその点について御答弁になっておられましたが、われわれは決して排他的に考えておるわけではございませんが、結果的に申しますと、こちらの方でぜひおいでいただきたいというような方は、なかなか御承認が得られなくて、また自分の方で、変な言葉でございますが、売り込んでこられる方にはなかなか適任者がないというふうなことで、実際上そういうふうになっておるというのが現状ではないかと思います。 それからもう一つ申し添えますと、なるほど現在東京におります外交官などの中で、数的には外交官出身でない人がかなり多いということは事実でございます。約二割くらいはそういう外交官出身でない人がおると思いますが、しかしこの内訳などを調べますと、大体後進国で従来キャリアの外交官を持ちようにも持ち得なかった国が多いのでございまして、大体古い国で外交官の官僚機構と申しますか、そういう制度が確立しておりますような国は、大体において日本に来ております外交官はやはりキャリアなものを使っておる。一般的な傾向としましてはむしろ政治的なコミッティというものがだんだん減って、やはり訓練を受けた専門の外交官を使うというのが、むしろ世界的に見ましても一つの趨勢ではないかというふうに考える次第であります。
○松本(七)委員 今外国の外交官のキャリアの話が出たのですが、いわゆる東欧諸国、社会主義諸国、特にチェコとかポーランド、ああいうところでは制度が変ってから外交官をほとんど一掃するというか、一新するというか、変ってしまったように聞いておるのですが、その事情はおわかりでしょうか。従来のキャリアがどういう扱いを受けるか、新たに外国に派遣されておる社会主義諸国の大公使館員というものが、ほとんどキャリアはいないというふうに聞いております。その日本にいるポーランドやチェコの実情ばかりでなしに、全般的にどういうふうになっておるのか、おわかりでしたら、お答え願いたい。
○内田政府委員 遺憾ながらその点まだ研究いたしておりませんから、後刻よく調査いたしました上で、資料ができましたら提出いたしたいと思います。
○松本(七)委員 それは何名ぐらい昔のキャリアがそのまま仕事に従事しているかというような、数ばかりではなしに、どういうふうな経過を経て交代したかということもあわせてお知らせ願いたいと思います。 今度の経済協力部を作ることによって新たな予算措置はどうなっておりますか。
○内田政府委員 予算といたしましては、大体が振りかえでございますので、新たな人員として四名が認められただけでございますので、予算措置としましてはわずかに百四十五万九千円ということでございます。
○松本(七)委員 それから二十四国会で加盟を承認した国際金融公社はどうなっておるでしょうか。すでに発足したのでしょうか。
○牛場政府委員 発足いたしております。
○松本(七)委員 これに必要な七千五百万ドルの引受額は達成されたのでしょうか。
○牛場政府委員 出資額合計が九百三十二万七千ドルということになっております。現在まで投資が行われておりますのが一千四十一万七千ドルということになっております。
○松本(七)委員 その活動状況はどうなんでしょうか。特に低開発地域の諸国はどういう利益を受けておるか。日本としての努力の実績……。
○牛場政府委員 これは御承知の通り投資先の国の保証を入れないということが特色になっておるわけでありまして、それだけに投資の方からいいますと、リスクが大きいものでございますから、やはりあまり程度の低い国にはなかなかいっておらないのです。ただいままで行われておりますのがオーストラリアに一件、ブラジルに四件、チリーに一件、メキシコに三件、パキスタンに二件という状況でございまして、必ずしもその活動が非常に活発であるという状況ではございません。
○戸叶委員 関連して一問だけ伺いたいのでありますが、東南アジアの日本の出先機関に参りますと、大蔵省とか通産省などで経済関係を担当する通産官とか、そういった方が行っているわけでございますけれども、そういうふうな方々の身分なり何なり、そういうようなことも外務省の経済協力部で扱うようになさるのでしょうか。それとも今まで通り大蔵省から経済担当官は外交官並みの扱いとして派遣されるようにするのでしょうか。そういうものを統一されるのがどうか、この点伺いたいと思います。
○内田政府委員 ただいまの点につきましては、従来と変えようという考えは持っておりません。ただし経済協力の実際の仕事の進行に伴いまして、あるいは別の形で通産省なりそういう関係方面の人にきてもらうということはあり得ることであると思っております。
○戸叶委員 それは経済協力部からの要請によってきてもらうという形をとるのですか。
○内田政府委員 実際問題として官僚の人にきてもらうケースがそう多いかどうか、実は私はむしろ疑問に思っておりますけれども、技官とかその他そういった形で、公務員の身分を持っておる方もきていただくということはあり得ることであろうと思っております。
○松本(七)委員 その次は、ユーゴとの通商協定なんですが、この提案理由の説明に、双方の意見が対立して交渉が中断されたという説明があるのですが、どういう点に見解の相違が出たんでしょうか。具体的に指摘してもらいたいと思います。
○牛場政府委員 これはただ一点だけであったのでありまして、それは為替管理の問題でありまして、この条約自体には為替管理の規定を入れておりません。入れますと非常にまた複雑なものになりますので、入れておらないのでありますが、交換公文におきまして、国際通貨基金の原則に従うということをうたっておるのであります。これを日本側から申し出ましたところが先方は当初は非常に反対いたしまして、ユーゴは大体外国と為替管理に関してそういう約束をしたことはないし、国際通貨基金にはどうせ入っておるのだから、その原則をさらにうたうということはさも日本側が、ユーゴの為替管理に対して不信の念を持っておるというような感じを受けるので絶対に困るということを申しました。そのために昭和三十一年の夏から二年間交渉を中断いたしておったわけであります。ところが昨年の秋から交渉が始まりましたが、向う側も、日本側の言う通りの案文でもって、そういうことをうたうということに同意いたしましたので、そのほかの問題はすらすらといった次第でございます。
○松本(七)委員 第二条に書いてある「入国、旅行、居住及び滞在の権利に関して、最恵国待遇を与えられる。」ということがあるのですが、これは具体的にはどういう待遇になるのでしょうか。最恵国の一般の基準について説明していただきたいと思います。
○牛場政府委員 日本側の規則は御承知のことと思いますが、ユーゴ側におきましては、わが国の出入国管理令というようなものはございませんで、内務省の訓令という格好で外国人の出入国を規制しております。入国の条件につきましては特に制限がありません。査証の取りつけも比較的容易でございます。しかし治安上の見地から普通一カ月以上の滞在期間を認める査証が発給されたことはないのであります。従って入国後長期滞在するためには、滞在期間の延長の許可を得なければならないということでございます。その点におきまして、今度の条約においては、ほかの国の国民よりも悪い待遇を受けないということが約束されております。
○松本(七)委員 そうすると、議定書の三項の「第二条第一項の最恵国待遇の規定は、旅券及び査証に関する事項には適用せず、」云々とあるのですが、「国内法令に基いて決定する」ということになると、今の第二条の第一項の最恵国待遇の事項が事実上は無効になるという結果になるのでしょうが、そうすると、ユーゴ側からの要請でこの議定書第三項というものはできたのですか。
○牛場政府委員 わが国におきましては、一般的な国際慣行に基きまして、旅券の相互免除、査証の相互免除、それから査証料の相互免除などを関係国と約束する方針でございます。これはいずれも相互主義に基くということが条件になっておりますので、最恵国待遇の規定に基いてこれを無条件に振り出されるということは適当でない次第でございます。そこで、これを最恵国待遇の範囲から除くというのが本項の趣旨でございます。旅券、査証ということは入国とは不可分の関係にあるわけではございません。入国する際には、相手国の官憲は、旅券、査証の所持者でも入国を拒否できる立場にあるわけであります。従って、旅券、査証があるからといって必ず入国できるということになっておらない。そこで、入国に関する規定と旅券、査証ということとは不可分の関係にはないということが言えると思うのであります。そこで、本条約の入国に関する最恵国待遇といいますのは、上陸拒否の理由、たとえば犯罪人、麻薬関係者、狂人というような者について上陸を拒否できる。あるいは入国申請書の提出のような手続事項については最恵国待遇ということになっておるわけでありますが、旅券、査証につきましては、この条項によりまして除外しておるということであります。
○松本(七)委員 この第二条の関連ですが、ユーゴスラビアでは個人の不動産の取得または鉱業に従事するという点は、どの程度許されているのですか。また外国人がこれを取得することが可能かどうか。
○牛場政府委員 原則として土地は国有でございますし、それから事業も国営でございます。従いまして、土地は遺産相続というような特殊な場合を除きましては、外国人には取得できないことになっております。
○松本(七)委員 農地の場合は、今原則として国有と言われましたけれども、むしろ私有を尊重しているのではないですか。それで、最近はだんだん私有の面積を広げておるように聞いておるのですが、この点はどうですか。
○牛場政府委員 農地につきましてもやはり集団農場が原則になっておりますが、自作農を少しは認めるようになっておりまして、ただいま御意見の通り、最近はそちらの方は少し拡大してきているというような状況もあるようでございます。
○松本(七)委員 ユーゴの集団農場の場合の土地の所有権というものは、やはり個人に認めるという点が強く出てきているのではないかと思いますが、その点はどうですか。
○牛場政府委員 集団農場はやはり集団農場として土地を持っておるという形になっておると思います。
○松本(七)委員 それから、領事館の設置が定めてあるのですが、これは相互に置くということでしょうか。
○牛場政府委員 これは相互に置くという趣旨でございます。しかしもちろん、片一方が置けば片一方は必ず置かなければならないという義務を規定したわけではございません。
○松本(七)委員 それから第十二条では、陸上交通、海上交通、航空及び郵便、電信、電話こういうものを容易にするための適当な措置を講ずるという規定がございますが、航空協定の締結は考えられておるのでしょうか。
○牛場政府委員 航空はこの条約から除外しております。これは別に結ぶのが慣例になっておりますので除外してございますが、ただいまのところ航空協定を結ぶ予定はございません。先方の航空会社もまだ極東の方に航路を開いておらないわけでございます。
○松本(七)委員 その後のソ連との航空協定の問題はどういうふうになっておりましょうか。
○竹内(俊)政府委員 ソ連との航空協定は、当方から要望事項を申し入れましたが、先方からそれに対する具体的な返答がまだありませんので、その返答を待ってまた交渉が開始されるわけであります。
○松本(七)委員 返答を待ってというけれども、モスクワまでの乗り入れが可能性があるのでしょうか。どう予想されておりますか。
○竹内(俊)政府委員 モスクワまでの乗り入れば困難だという観測も成り立ちますが、向うからの回答がまだありませんので、今それを軽々に予断せずに、当方の希望をさらに強く申し述べていきたいという態度で臨んでいるわけであります。
○松本(七)委員 日本側としては、モスクワ乗り入れができなければ航空協定は一切締結しないという方針ですか。
○竹内(俊)政府委員 向う側の回答がどう出てきますか、それによってさらに交渉するわけでありますが、当方の希望としては、モスクワまでの乗り入れを強く要請するという態度で臨んでいるわけであります。
○松本(七)委員 それから、社会主義諸国では、領海内の無害航行は一定の条件のもとに許されているわけですが、ユーゴスラビアでは領海内の無害航行は自由でしょうか。
○牛場政府委員 自由になっております。
○松本(七)委員 最近ユーゴでは国家財政がきわめて逼迫しているということが言われているのですが、政府は、今度の条約の原則上、両国間の友好及び相互協力、それから衡平と相互利益の原則に基いて今後は関係を深めていこうというわけですが、借款の要請でもあった場合にはこれに応ずる用意があるのでしょうか。
○牛場政府委員 ユーゴ側は、本条約の締結の機会でもございますので、日本との関係を密接にしたいという希望を非常に持っているようでございまして、現在日本にセルビア共和国の副首相が参っておりまして、多分民間の各会社といろいろ話をしている様子でございます。また政府に対しましても、一つできるだけ好意的に資本財の輸出についてクレジットを与えてくれという要請があるのでございます。しかしながら、まだ具体的に話が詰まってきておりませんので、借款を与えるか与えないかというような段階までは参っておりません。それから一般論といたしましては、たとえばインドに与えましたような一般的な借款は与えにくいと思います。やはり具体的なプロジェクトのきまりましたときに、それに対する資本財の輸出に対して、輸出入銀行を通じて延べ払いを認めるということになると思います。総額としましては、もちろん、ただいまの日本の状況からいいましても、また先方の状況からいいましても、あまり大きなことはまだむずかしいのではないかと思っております。
○松本(七)委員 それから最後に第三条の規定ですが、いずれの締約国の国民も、他方の締約国の領域内での軍事服役は免除されるということになるわけですが、これは国際法上認められた一般原則であるわけですが、志願兵として参加する場合には国際法上許されるものでしょうか。あるいは国内法でこれを特に禁止または許可するという例が外国にはあるでしょうか。
○牛場政府委員 詳しいことは後ほど調べてお答えいたしたいと思います。私ども知っておる限りでは、どうも国内的に外国へ行って兵役に志願することを取り締る法令はないように考えます。
○松本(七)委員 これはあとではっきりした答弁を願います。 それではきょうはこの程度にしておきます。
○櫻内委員長 本日はこれにて散会いたします。 午前十一時五十一分散会