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31回国会衆議院1958/12/22

外務委員会 第2号

発言数
148
登壇者
13
会派数
2
開催日
1958/12/22

会議録

櫻内義雄自由民主党

○櫻内委員長 これより会議を開きます。  国際情勢について調査を進めます。  この際藤山外務大臣より発言を求められておりますのでこれを許します。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 先般来の安保条約に関します状況につきまして、私から簡単に経過を御説明申し上げておきたいと存じます。  十月四日にマッカーサー大使と第一回の会見をいたしまして、その後十月二十二日に第二回の会合をいたしましたことは、すでに御報告を申し上げていると思いますので、省略いたしたいと思いますが、第二回の会合は、問題点の所在等今後討議をすべき題目等につきましていろいろ話し合いをしました。そうしてこれらのものについてお互いに研究をして、そうして今後の会談に臨むということにいたしたわけであります。その後党並びに内閣におきましても、いろいろ議会運営その他の問題等につきまして、時間的に余裕もないので、十分いろいろの問題について御相談する機会もありませんでしたし、また事務的な検討もいたして参る都合もございますので、若干スロー・ダウンされたことは事実でございます。先般第三回の会談を私とマッカーサー大使との間にとり行いましたことは、新聞紙上でも御承知の通りだと思います。この際は条約文の大体の構成につきまして話し合いをいたしたわけでありまして、同時に国連憲章等に準拠する条文等についての話し合いをいたしたわけであります。そしてさらに第四回の会談は、前文等についてお互いに持ち寄って話し合いをしようというようなことを相談いたしまして別れたわけであります。そういう事情で、私どもとしては極力今日まで順調に進んで参るように努力をして参っておりますが、予定は、最初に申し上げましたように、できれば一月二十日前後までに調印をいたしたいということで、努力をいたしておるわけでありまして、現在もそういうつもりで努力をいたしておりますことは当然のことだと思います。ただ経過から見まして、若干おくれるのではないかというような感じを現在では持っております。問題点のそれぞれにつきましては、逐次内閣の方針をきめまして、これに臨んで参りたいと思っておりますが、なお私といたしましては、各方面にこの問題について十分な理解を得ていただくことが必要でありますし、また世論形成の上からいいましても、十分な御理解を得ることによって、正しく判断をしていただくことか必要だと思いまして、そういう面については、できるだけ努力をいたしておるようなわけであります。  はなはだ簡単でありますけれども、以上御報告を申し上げておきます。

櫻内義雄自由民主党

○櫻内委員長 質疑の通告がありますので、順次これを許します。戸叶里子君。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 私、質問に入ります前に第一にただしたいことは、実は安保条約のその後の経過並びに内容等につきまして、本会議で緊急質問をするように党できまっておりましたけれども、自民党の方のいろいろな御都合で、することができなかったわけでございます。ところが藤山外務大臣は、国会では正式な答弁をなさりませんけれども、外におきましては一生懸命安保条約に対しての理解を深めたい、こういうふうなことで演説をしていらっしゃるようでございますが、外の人たちからの理解なり協力がなければ、安保条約を改正できないというようなものであるならば、私は、そんな自信のないものはおやりにならない方がいいんじゃないか、こういうふうに考えるわけでございます。この点はどういうふうにお考えになるか伺いたいと思います。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 私は安保条約の改定に当りまして、現行の安保条約が、日本のためにとりまして自主性がないという点から、これはどうしても改善して参らなければならぬという確信を持っております。ただいま外の理解がないからというお話があったわけでありますが、これらの問題を扱います上において、正しい理解によって正しい世論ができて参りますことか、私は必要だと思うのであります。もし誤まった理解をされては相ならぬと思うわけでありますから、そういう意味において正しい、できるだけ正確な知識を国民に示して参りますことが必要であると考え、努力をいたしておるようなわけであります。何か外部の御支持がなければできないというようなことではなしに、支持されるかされないかは、正確な判断の上に立ってやっていただきたいというのが、私の希望でございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 ただいまの御答弁ではございましたけれども、外務大臣が外部でいろいろおやりになることは、私どもと立場が違うことですから別にどうとは申しませんけれども、それならばやはり国会の本会議において質問をすることに対しても、正々堂々とお答えになってもいいんじゃないかということを私は考えたものですから、この点をただしたわけでございますが、党内のいろいろな事情もおありのことでございますし、今外務大臣からの簡単ではございますが御説明もございましたから、これ以上は追及しようとは思いません。  そこで、この十九日の委員会におきまして、同僚の議員から安保条約の問題点等につきまして種々質問されたのでございますけれども、肝心なところへ参りますと、外務大臣は世論の帰一するところを待って条約の改定をやっていくんだ、こういうふうな御答弁でございました。私はあれを聞いておりまして非常に不思議に思いましたのは、すでに三回にわたってマッカーサー大使との間の交渉が行われていたわけでございますし、また外務大臣みずからの口からも、今まで三回にわたって問題点等を出し合って、この間は国連の問題点等を話し合ったというふうにお話になったわけでございますけれども、そうだとすると、大事なところは世論の帰一するところを待って、こういう答弁を伺っておりますと、一体この交渉というものは公式な形、フォーマルな形でおやりになっていられるのかあるいはまた非公式な、インフォーマルな形でおやりになっていられるのかということが、まず第一に私の頭に疑問となって出てきたわけであります。  そこで外務大臣にお伺いしたいことは、この条約の交渉ということを今までなすった形は、正式な形でしょうか、それともインフォーマルでしょうか。それからまた今後におきましても同じような形で話し含いを進めていこうとされるのか、この点を伺いたいと思います。と申しますのは、ほかの条約の改定なり話し含いの場合には、いずれも一つの態度をもって臨まれて、この交渉を進めていかれると思うのですけれども、今度の場合は少し違うのじゃないかと思います。この点を伺いたいと思います。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 三回にわたりました私の会談は、申すまでもなく公式の会談でございます。ただ第一回は儀礼的と申しますか、そうした意味においての集まりでありましたことは、もちろんであります。二回以後、問題をしぼりつつ話を公式に進めておりますことも、むろんでございます。この問題を扱いますことは、私としましては、数年前から重光元外務大臣も行かれ、あるいは岸総理も行かれまして、これの改定の必要を日本からも力説いたしておりますので、当然われわれとしては取り上げていくべき問題、また私自身としてただいま申し上げたような確信を持って仕事をいたしておるわけでありますが、しかしながら議会等でもお話のありましたように、事は非常に重大な問題でありますので、正しい理解を得た上で、そうしてやはり問題のありますような点につきましては、これについては議論がいろいろあることも事実でございます。でありますから、それらの事実を聞きながらわれわれも判断をして参る。また議論をされていくうちに、おのずから国民の考え方がきまってくるというようなふうに考えるのは、当然のことだと思うのでありまして、そういう意味において、非常に重要な問題点等についてはできるだけ尽された論議を聞き、またそういうことのためには、若干交渉の順序といたしましてもあと回しになって、比較的問題点のないような帰一されたような問題について、まず話し合いをしていくというのが順序であろうか、こう考えておるのでありまして、私としましては決して非公式な会談をいたしておりますつもりはございません。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 外務大臣は、大事な問題であるから世論の動向を見た上でだんだんに結論に持っていくというお話でございましたけれども、少くとも国と国との条約の改定というような場合には、一定の方針、基本的な方針というものをお持ちになった上で、交渉というものはされるべきではないかと思うのです。いたずらに、こう言ったらこういう反応があったから、こうだとかああだとかいうような行き方というものは、非常に私は間違いを導くものではないかと思います。と申しますのは、今外務大臣がおっしゃいましたように、安保条約の改定に対しましては、最初故重光外務大臣、それから昨年は岸首相、ことしは藤山外務大臣が積極的に一歩進めたわけでございますけれども、その間におきまして、いずれも日本の安全保障をほんとうに将来どうするかというような根本的な考え方に立って、見識ある外交政策というものを立てるのではなくて、むしろ不平等であるから平等にしろという声がある、それではそういうふうなところをやったら、一部の人が喜ぶんじゃなかろうか、日本がアメリカと共同防衛をしたら、まあ何とか国民が安心するんじゃなかろうかというような、そういった末梢的な問題だけに取っ組まれまして、もっと根本的な、安全保障をどうするかというようなこと、そういった改正をするならば、その背後にもっと危険性がひそんでいるのだといったようなことをお考えにならないで、大きな観点の上に立って、交渉を開始しておらないところに、この交渉がぐらぐらしたり、あるいは言うことに一貫性がなかったりするのではないか、こういうふうに考えるわけでございまして、こういう点から考えましたときに、あっちへよろめきこっちへよろめいたりしないようにするには、日本の将来の安全保障ということをもっと考えておやりにならなければならないと思いますが、その点に対してのどれほどの信念がおありになるかを一ぺんお伺いしたいと思うのです。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 申すまでもなく安全保障条約を扱いますために、日本の将来の安全防衛ということを基本的に考えますことはお話の通りであります。今日安全保障条約がありますこと、そのことは日本の現在置かれております立場から申しまして、当然にやはり集団的な安全防衛ということが必要だと考えております。  申すまでもなく、自分を守るということにおいて、自分自身が十分全力をあげてやりますことは当然のことでありますけれども、戦後の日本の状況から見まして、防衛費に巨額の資金を使うことも適当でないと思いますし、また防衛そのものが単に軍事上の防衛ばかりでなく、生活の安定なり、あるいは思想の安定なりというような点も考えあわせて参りますれば、一般経費の配分等につきましても、侵略を受けるからといって防衛力だけにそう過重の負担を加えて参りますことば適当でないと思います。いわんや今日のような防衛力のいろいろな進歩発達の事情から見まして、機動力その他の問題もございますし、それには相当大きな経費を要するのでありまして、その意味からいいますと、各国ともみずからの国を守るためには、必ずしも自国だけではなしに、志を同じゅうする他の国とともに共同防衛の立場をとっておるのでありまして、この点は共産主義の国家においても、共産主義を信奉するグループにおきましても、あるいは自由主義を信奉するグループにおいても同じだと思うのでありまして、従って私は日米安保条約が現在あることが適当であると思っております。また日本とアメリカと手を握って、そして日本を他国からの侵略から守っていくという必要を感じておるわけであります。しかしながら、そういう必要を感じておるとはいいながら、しかし今日の安保条約というものは、御承知のように七年前にできたわけでありまして、日本に防衛力もほとんどなかったという時代であり、あるいは経済も安定いたしておらぬ。あるいは思想的な安定もしておらぬ。戦後のこんとんたる時代にすべてをアメリカにお願いして、そして日本の防衛をしてもらったのだという立場から申しますと、日本の自主性が欠けておることもちろんであります。今日のように日本に若干でも自衛隊ができ、それらの内容も漸次充実して参りましたときには、同じような立場においてできるだけ共同防衛をいたして参ること、また当然だと思います。また同時に、現在あるような安保条約そのものを続けておりますことが、何か全部をアメリカにまかしたというような形において従属的に見られる立場もあるわけでありまして、それこれ考えますれば、日本の防衛というものは、やはり集団的な防衛の必要を感じ、その集団的防衛というものも、私どもの立場からいえば、同じ考え方を持っておりますアメリカ、自由主義陣営の一番有力な国でございますアメリカと結んでいくのが必要であります。しかしその立場をとりながら、あくまでも同じような立場で、自主的に問題が協議していけるような事情に置かなければならぬというので、現在の安保条約といたしましては、必ずしもわれわれのそうした念願にかなっておりませんので、時代の推移とともにこれらのものは当然改正すべきであるという立場から、私としてはこれを取り上げているような次第なのでございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 これまでの藤山外務大臣のいろいろなところのお話を伺っておりましても、そしてまた昨日ですか、毎日新聞で婦人との安保条約の改定問題の座談会を拝見いたしましても、藤山外務大臣はアメリカと深く防衛態勢を整えていくことのみで日本の安全保障があり得るというふうな答えをされているわけでございまして、私はこういう考え方というものは非常に危険ではないかと思うのでございます。と申しますのは、現在米ソの関係からいたしますと、わが国が米国によって安全を保障されるということになりますと、当然他方のソ連に対しては敵対的なものと考えなければならないような形に追い込まれるわけで、そうすればわが国は地理的にいって最も危険な状態になるわけでございまして、国民の感情からするならば一方にあまり深入りして、偏して、年中びくびくしているよりも、そういうふうな形をとらないで、この日本の国の安全を考えるべきではないか。ことに日本の国は特殊な形の国であって、そしてあのいやな戦争の中から立ち上った国なんだから、そうした渦中に入り込むような外交政策はとってほしくないというような考え方を持っている国民が大部分であろということも、外務大臣は御存じにならなければならない、こういうふうに私は考えるわけでございますけれども、なおかつアメリカとの防衛態勢を強めていくことのみが日本を安全にし得る唯一の道であるとお考えになるかどうか、もう一度伺いたいと思います。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 ただいま申し上げましたように、残念ながら世界はまだ第二次大戦後のいろいろな状況から脱しておりませんし、われわれの理想とする軍備制限というような問題もほんとうに力強く進んではおらないという事情にあろうかと思います。また一方におきましてば、中ソの間の防衛同盟条約もあるわけでありまして、そうした点を考えて参つりますと、やはり何らかの空白的な地位に日本が置かれますことは、私は戸叶さんと若干見解の相違になろうかと思いますけれども、日本の現在の位置からいいまして危険性があるのではないか、こういうふうに考えておるのでありまして、そういう立場から申しますと、自由主義を信奉し、かつその自由主義陣営の中で一番有力な国と手を結んで参りますことは、現状において当然のことであろうかと考えておるわけであります。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 外務大臣のおっしゃるのは、今日ではまだ軍備制限もあまり進んでいないし、中ソの間の軍事同盟的なものもあるからというふうな御答弁でございましたけれども、そういうふうな状態でありますだけに、日本の努力、日本の立場というものは非常に重大であって、それだからこそアメリカと一緒になって日本の安全保障を確立するのだというふうな考え方は、私は間違っていると思うのです。むしろもっと世界を大きな平和の中に導いていくような努力、あるいはそういった外交政策をとることこそ、今日の日本に課せられた運命ではないか、またそういう努力をすることが、一番大事ではないかと考えるわけでございます。そういった一方的な陣営とのみ手を結ぼうとする考え方をとることは危険であるということを、私はもう一度申し上げておきたいと思います。  そこでこの安保条約の改定も、大へんにあっちへよろめきこっちへよろめきで、なかなか思うようにならないように見受けておりますし、今藤山外務大臣は何とかして一月二十日くらいまでには出したいというふうなことも、おっしゃったわけでありますけれども、なかなか情勢は必ずしもそういうことは許さないようにも私は伺っているわけでございます。もしかりにこの通常国会に出されなかったといたしましても、今までと同じ形において次の国会まで交渉をずっと進められていくお考えがあるのか、それともまたあらためて出直されようとするのか、この辺を伺いたいと思います。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 今回の改定は、私がワシントンに参りましてダレス国務長官に、日本側から、改定してもらいたいという希望を表明したわけであります。それに対して、今回はとにかく外交交渉でもって話し含いをしてみようということでありましたので、当然私としては外交交渉を続けていくべきであり、またいかなければならぬと考えております。むろん非常に重要な問題であります外交交渉のことでありますから、相互の合意が得られない場合もある場合もありましょう。そういう場合にやむを得ず中絶することはとにかくといたしまして、われわれとしてはこちらから要請して改定を希望して参ったのでありますから、こちらはその気持を体しながら外交交渉をずっと——時間的に多少ずれましても続けていくことは当然のことだと考えております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 次に藤山外務大臣は、先日の安保条約問題全国懇談会というところで、現行安保条約の改定に反対し安保条約そのものを廃棄しようという主張がある。いやしくも国際的約束を一方的に廃棄するなどということは国際信義上できることでない。これを廃棄した後、わが国の安全と独立を守るため、果して実行可能で効果的な具体案などはどこにも見出されない、というようなことをおっしゃっておりますけれども、これほど独断的で無謀な判断は、私ども無視することはできないと思うのでございます。  第一に、いかなる条約でも絶対に変らない、絶対不変というものはないのでございまして、もし同意が成立した条約が国情に合わないような場合には、合意によって廃棄できるということは御承知の通りでございます。正当な理由をもって廃棄を申し出れば廃棄できるのでございますけれども、これに応じないときには、やむなく一方的な廃棄通告で棄廃できるのでございまして、これは国際的な慣例として行われていることもあることは、外務大臣としても御存じだと思うのでございます。従来の先例を見ますと、不平等条約によって利益を得たのは強国であって、弱小国というものはそれによって大して利益を得ておらない。弱小国が廃棄を申し入れましても、強国の方がなかなか聞き入れなかった、こういうふうなことはあったのでございまして、絶対に日本が廃棄を申し入れても、そんなことは全然むちゃなことだというようなことはあり得ないと思いますけれども、これからのいろいろな問題もあることでございますから、外務大臣の御所見をこの際伺っておきたいと思います。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 現行の安保条約には、御承知のように期限等かついておりません。そうして戸叶委員ただいまお話しのように、日本が改定を要求していくことが私は筋道だと思うのであります。従って一方的な条約であれば、それをいきなり廃棄いたしますことはとにかく、条約上むろんいろいろな、ただいまお話のように成立当時との事情が違っております場合に、それを廃棄するよりもそれを改善して参るということに努力することが、国際信義の上からも当然ではないかと思います。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 この問題とは離れまして他の場合でも、この前の全国懇談会で外務大臣がおっしゃったような、一方的に廃棄するということは、国際信義上できることではないというふうなお考えはやはり間違っているのであって、話し合いで、あるいはどうしても言うことを聞かない場合には廃棄もできるんだというふうなお考えはお持ちにならないでしょうか。この問題とは別個の問題として伺ってみたいと思います。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 むろん国際条約を一方的に廃棄することは、私は適当ではないと思います。従いまして、それらの国際条約が時代に応じあるいは実情に即していない場合には、それらのものにつきまして改定要求をして参ることも、これまた当然だと思います。従ってわれわれとしてはその努力を現在続けておるわけでございますが、しかし問題は、要するにそれらの問題を入れるか入れないかという場合には、廃棄するかしないかということでありますが、それらの問題がほんとうに一方的に非常に無理な場合があるというようなことでありますれば、それは世界の世論もあるいは承知してくれるかもしれません。しかしながらただ廃棄をするということだけで、あっるいは廃棄を通告するというようなことは、私はやはり国際信義上好ましいことではない、こう考えております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 国際信義上好ましいことではないとという程度の発言ならまだしもでございますけれども、この間の懇談会等におきましては、非常に強く、かんで吐き捨てるような文句に——私伺ったわけではないから知りませんけれども、かんで吐き捨てるような文句に拝見したわけでありまして、そうした言い方もある程度気をつけていただいた方がいいんじゃないかと思います。  もう一つ私がきょう責めたいことは、現行条約のような不平等条約を押しつけた米国と、これを甘受してきた当時の政府及び与党の行為でありますけれども、これは済んだことといたしましても、ここで問題になることは、あの当時は今日の安保条約というものは平等だ、平等だということを宣伝をしておられたわけでありまして、もちろんその当時には、藤山外務大臣は外務大臣でいらっしゃらないので、岡崎さんが外務大臣でございましたけれども、ともかく平等だということを国民に知らせてきたわけなんです。ところが今日、不平等だから平等にするというようなことを突如として——前からでございます。これができていいかげんのときから、平等が不平等になったわけでございますけれども、一体いつごろから不平等というふうに解釈をなされるようになったか。この点も伺いたいと思います。もちろん、藤山さんは岡崎さんのおっしゃったことは知らない、こういうふうにおっしゃられればそれまででございますけれども、もしもそうだとするならば、岡崎外務大臣が当時平等と言っていたのは、どうも間違っていたんじゃないかというふうなお考えをお持ちになるなら、また別だと思いますけれども、この点を一度はっきりさしておいていただきたい。と申しますのは、当時の速記録を読んでおりますと、はっきり委員の質問に答えまして、これは平等ですということを答えていられるのでありまして、それからいつ不平等になったかというような変化は、速記録を見ましてもどこにもないわけであります。後世の人々がこれを読んだときに、いろいろと考えるだろうと思いますので、この突然変異のことを藤山大臣のお考えから説明していただきたいと思います。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 現行安保条約締結の当時におきまして、岡崎外務大臣が平等と言われましたかどうかの事実は、私は実は存じませんが、しかしおそらく岡崎外務大臣の気持とすれば、当時の日本の国情その他安全を保障する意味においては、これはやむを得ないことであって、日本からどうしても他国の侵略を防ぐためには、アメリカに全部お願いをしなければならぬという日本の考え方からして、アメリカにお願いをしたというような事実の上に立って、平等という言葉を使われたかどうかは知りませんけれども、しかし当時の国力その他から見て、やはりこれが最善の方法であって、しかもその意味においては、平等であったというような意味にとられるような御発言があったのではないかと私は存じております。しかしその後御承知のようにこれらの問題について、公式、非公式にそういう問題か論ぜられたかどうかは私存じませんけれども、しかし少くとも重光外務大臣が行かれ、岸総理が行かれたときには、おそらくこれらの問題につきましては、やはりその後の事情の変化等によりまして、日本の自主的立場をもっと盛り込んでもらわなければ、これは不平等な感じを持つのじゃないかということを言われた、私はそう信じております。従って私としてはいつこれが平等から不平等になったということ、何月何日からということを、実は申し上げかねます。また私自身が外務大臣に就任いたしまして、これらの問題を扱っていまして、やはり日本の今日の現状から見まして、いま少しく自主性を取り戻して参らなければ、必ずしもほんとの意味における平等にはならないのではないかというふうに考えておりますので、私としましては、何月何日からそういう考えになったというわけではございません。外務大臣就任以後、逐次そういう考え方に変ってきておることは事実でございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 藤山外務大臣の御答弁を伺っておりますと、大へん苦しい答弁でございまして、当時の国情から見てやむを得なかったとか、それが最善の方法だったから平等であろうというふうなことは、全く論理が合いませんで、小学校の生徒に聞いてもそんな論理はないといわれるだろうと思うのでございます。この情勢がいつ、何月何日から不平等になったというようなことを、私は聞いているわけではございません。一体そういうふうに教育をしてきておいて、急に、不平等だから今度はこうするんだというような、いつでも国民をごまかしつついくというその不誠実な態度というものは、私は改めていただかなければならない。そうでなければ、国民を非常に欺し、そして国民を危険に陥れるものだということを、よく知っておいていただきたいと思います。これは岡崎外務大臣のお考えでは平等であったけれども、藤山外務大臣になって考えてみれば、あるいは故重光外務大臣のときに考えてみれば、不平等であったということに気づかれたんだ、こういうふうに私は一応了承して、そういうふうな形で今後了解をしていきたいというふうに考えるわけでございます。  そこで次に防衛区域の問題に入りたいと思いますが、防衛区域の問題では二つの点が問題になると思います。その一つは共同防衛区域の問題と、それから在日米軍の行動区域と、二通り考えられるわけで、このことは、十月三十日の外務委員会におきましての私の質問に対して、岸首相がはっきりと答えられたことなのでございます。そこでこの共同防衛地域でございますが、沖縄や小笠原を含めるかどうかにつきましては、政府与党の中でも二つに分れているようでもありますし、それから一昨々日の十九日の外務委員会におきましても、世論の帰一を待ってというふうに藤山外務大臣自身がお答えになっていられるわけでございますけれども、藤山外務大臣のその条約の交渉に当る考え方、藤山外務大臣自身のお考えは、一体——これは入れるとか入れないとかいうふうな、どっちかのお考えをお持ちになっていらっしゃるのじゃないかと思いますけれども、この点をお伺いしたいと思います。私がなぜ最初にフォーマルかインフォーマルかといって聞きましたのは、ここにもあるわけでございまして、少くともこれだけ重大な問題を提示してお互いに討議していく上には、やはりこういうものを入れるとか入れないとかいうような基本的な態度をお持ちにならないということはないと思うのですけれども、この点についてはっきりお伺いしたいと思います。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 沖縄、小笠原を入れるか入れないかという問題については、各方面でいろいろの議論のあることも御指摘の通り事実でございます。またその議論を拝聴しておりまして、おのずから一長一短と申しますか、利害関係のいろいろに錯綜しておることも、また事実でございます。従いまして、私といたしまして最終的に大きな問題を扱いますためには、一般的な世論の帰一によって、その上に立って交渉をすべきは当然のことであるわけであります。私といたしましても、これらの問題を討議いたすような場合、あるいは内閣の方針をきめるというようなときに、全然白紙で臨むというわけには参らぬと思っております。ただ交渉の責任者としての私の立場からは、それらの問題についていろいろな意見を申し述べることは適当でございませんし、外務大臣としてそれらの問題については全く白紙であると申し上げてさしつかえないと思います。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 そうしますと、今のところは白紙であるけれども、もう少しこの問題に限られるような交渉になったときには、一つの態度で臨まれるんだ、こういうふうに了解してもよろしいわけでございましょうか。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 むろん最終的に入れるか入れないかを決定するような討議をされる場合には、私は閣僚の一員として、あるいは政治家として、私個人の意見を申し述べることは当然のことだと思います。しかし、民主主義のことでありますから、交渉当事者としての外務大臣としては、多数の意見に従って最終的にきまったものをやらざるを得ないのではないかと考えております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 私は外務大臣のお考えが何であるかを伺いたいと思いましたけれども、交渉過程にあることでございますし、いろいろとお立場もあろうと思いますから、これ以上のことは追及いたしませんが、そこでアメリカの一九四八年のヴァンデンバーグの決議で、相互援助の相手にならない国とは安全保障は結ばれないということをいっているわけでございまして、その場合日本防衛の義務を明確にしてほしいということを望んだ場合には、日本側の義務とのつり合いをとって、これによって何か双務性を貫きたいということをアメリカは考えていると思うのでございます。そこでお伺いしたいのは、沖縄と小笠原を共同防衛の地域に入れたときと入れないときと、日本側の義務というものは違うかどうか、その点をお伺いしたいと思います。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 私は交渉に当りまして、日本には憲法上の制約があるので海外には出兵できぬということは、はっきり申しております。従いまして、その前提の上に立って、アメリカが日本防衛の義務を負うと同時に、日本が若干の義務を負うようなことになろうかと思うのでありまして、それは大体基地提供ということが義務の内容になるということは、かねてから申し上げておる通りだと思います。具体的な問題として、沖縄、小笠原を入れることによって何か変化があるがということでありますが、これらの問題につきましては、今申し上げたように、いろいろな観点から研究して参らなければならぬのでありますけれども、私は日本の四つの島とその周辺を防衛することが特段の目的でありますので、何か入れるか入れないかによってどう違ってくるかという問題について、現在はっきりしたことを申し上げかねるのでありまして、これらの問題については交渉の過程において、この問題自身をほんとうの話し合いに移して参ったときにはっきりしてくる問題ではないか、こう思っております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 外務大臣の今の御答弁を伺いまして——私は何も無理を言っているわけじゃないのです。沖縄、小笠原を入れるか入れないかによって日本の義務が違うか違わないかということなんですから、入れた場合にはこうなるとか、ああなるとかというのじゃなくて、入れた場合には違うとか、入れても入れなくても同じだとか、こういう結論ぐらいはおわかりになっているんじゃないかと思いますので、この点を伺いたい。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 つまり防衛地域の問題の変更によって特別な義務が新しく出てくるというのでなくて、防衛地域の中における義務がどこまで延長されるか、延長されないかという問題ではないか、こう私は理解しております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 そこでますます共同防衛の地域に沖縄、小笠原を入れても入れなくても、たとえばアメリカとの間のあいまいな言葉とか、条約のワクを広げるとか、緊急事態とかいうことになってきますと、沖縄、小笠原を共同防衛の中に入れても入れなくても、結局結論は、日本の負う義務というものは同じになるのではないか、こういうふうに思うわけでございます。そこでこういうふうないろいろな問題のあるときでございますから、むしろこの際沖縄、小笠原を防衛の地域に入れるとか入れないとかいうような問題を討議される前に、施政権を返還すべきであるということを要求して、その問題を先に片づけていくべきではないか、そのあとで沖縄、小笠原の防衛地域の云々の問題に取り組むべきではないかと私は考えますけれども、この点はいかがでございましょうか。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 私は、現行安保条約の改善問題と施政権の返還という問題は別個に考えるべきだと考えておるわけであります。施政権の返還というものは、やはり外交ルートを通じて常時、安保条約が改正されようと改正されまいと、われわれとしては、アメリカに対してわれわれの意思のあるところを伝え、要求して参るのが適当だと、こう考えております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 その御答弁は前々から聞いておるわけでございますけれども、それでは施政権というものは、私はなかなか返してもらえないと思うのです。こういう時期にこそ、むしろ入れる入れないの問題ではなくて、施政権返還ということを第一の旗じるしとして掲げて交渉していくべきだ、こういうふうに考えますけれども、外務大臣との考えが違うわけで、この点もどうぞ考え直していただきたいということを要望するわけでございます。  そこで在日米軍の行動範囲というものは、もちろんたびたび政府が答弁しておられますように、事前協議の必要があるわけでございますけれども、その場合に在日米軍の行動範囲というものを、今までのように太平洋の安全と平和というふうな形で前文に持っていかれるのか、それともあるいは西太平洋の安全と平和というふうな形で持っていかれるのか、この辺のことも念のために外務大臣のお考えを伺いたいと思います。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 私はできるだけ狭く考えていきたいと考えております。また一般的な世論の動向も西太平洋とか、そういう広範な地域を考えておられるとは考えておりません。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 そこで、この事前協議をいたします場合に、その事前協議がうまくいかなかった場合に、今日の自民党政府で、一体アメリカにノーということか言えるかどうかということを国民は非常に心配しておるわけでございます。また、たといノーということが——こういうふうな協議をした場合にそれは困るというふうなことを言える場合にも、一体どういうところを基準にして、そしてまたどういう基本的態度をもってノーというふうに言えるような事前協議の体制に持っていこうとされるか、この点を伺いたいと思います。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 少くも現在の内閣におきまして、岸総理が言われておりますように、核兵器の持ち込みであるとか、あるいは他国に対して、遠方の作戦行動に出るということに対してノーというようなことは、総理がたびたび言明しておられるわけであります。ただ将来の問題といたしましては、やはり内閣がそれらの問題、いかなる時代のいかなる内閣になりましても、それらの問題に対してノーと言うか、イエスと言うか、私は近ごろそう言っているのでありますが、そのときの国民の判断、国民の意思か強く内閣に作用するかどうか、それ自体が民主主義の議会政治の運営であろうかと、こう考えております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 なかなか、そういうふうにおっしゃいますと、大へんいいように聞えるのですけれども、いざとなりますと、これまでの例を見まして、アメリカから何か言われましたときに、これは日本にとってよくないと思っても、押しつけられたような場合が非常に多いわけで、今度のような問題は、特に緊急事態を要するときに、果してノーと言ってそれがうまくいくものか、あるいはまた言うこと自体に気がねをしてしまうというふうなことが私は非常に起きるのではないかと思いますので、こういう点につきましても、はっきりと条約の中に、そう言えるような状態を明示しておいていただきたいというふうに思いますけれども、置かれるかどうかということも一応確かめておきたいと思います。私どもはこういうふうな行き方は、とても今の政府に信頼できないと思うわけでございますが、そういう点も気をつけなければならないと思うわけです。  そこでこの国連憲章の関係でございますけれども、五十一条との関連で、国連加盟国は兵隊を出すときには、それが緊急やむを得ないときには、あとになってから安保理事会に報告をして、そうしてまた兵隊を退かせなければならないという結論が出れば、それを退けるようになっているわけですけれども、そこで問題になりますのは、沖縄から米軍が出ていくときに、この国連憲章との関係は当然適用されると思いますけれども、これはいかがでございましょうか。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 国連憲章に対する適用は、今お話のように緊急事態がありましたときに、兵力の若干の動きがあった、それは国連に通告しまして、安保理事会の決定に待つことは当然だと思います。沖縄におりますアメリカ軍もまた同じ。国連憲章のワク内で世界のあらゆる国の軍隊がそういう状況に置かれるということは、当然なことだと思います。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 そうしますと、やはり沖縄からアメリカの軍隊が出る場合には、当然国連憲章に基いての行動をとるのだ、こういうふうに了解していいわけですね。——そうしますと、次に沖縄から米軍が出動した場合に、そのあとのからになった地帯を日本にいる米軍が穴埋めをするというような場合も出てくると思うのです。そういうふうなことになりますると、日本が結局沖縄を第一線としての間接基地になろわけでございますけれども、こういうようなこともあり得るとお考えになりましょうか。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 日本におります米軍というものは、日本を防衛するということか第一義であること申すまでもありません。従ってそういう意味においては、われわれとして日本の基地におります米軍が移動する場合に、どういう目的で移動するのか、単純な配置転換であるのか、そういう点については十分協議をすることができると私は考えております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 ちょっと今のおしまいのところがはっきりしなかったのです……。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 つまり日本におります軍隊の平時における配置転換というふうな問題は、これは当然軍の上で行われると思います。ただそれが今のような何らかの事態が起った場合の作戦行動による配置転換かどうかというような場合には、当然協議の対象に入ると思います。また入れたいと私は考えております。でありますから、日本にいる軍隊がハワイに行く。平時の場合にそれが移動するというようなことは、アメリカ軍の当然の移動でありまして、そういうものは何も協議する必要はないと思います。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 そうしますと、平時の場合ならば、沖縄へ日本にいるアメリカの軍隊か補給的な役割で行く場合もあり得る。しかし何か問題が起きたときに、沖縄からアメリカの軍隊が出ていく場合には、当然日本と協議の上で、沖縄へ日本にいるアメリカの軍隊が行くのだ、こういうふうに了承していいわけですね。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 むろん何か起きました場合に、それが作戦行動による配置転換か、あるいはそうでない意味の配置転換かということは、問題があろうと思います。でありますから、そういう点については十分協議することが望ましいと私は考えておりますので、そういうふうに交渉をしてみたい、こう考えているわけであります。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 それではもう一つ伺いたいのですが、沖縄から米軍が出ますときに、国連憲章との関連性は認められる、——沖縄から米軍が出ますときには日本との事前協議というようなことはお考えになっていられると思いますけれども、この点はいかがでございますか。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 むろん今後交渉していろいろなことをわれわれか主張していかなくてはならぬと思うのでありまして、どれだけ問題が話し合いで妥結するかどうかということになりますと、問題かあると思います。私は一〇〇%日本の要求が通るか通らないかということば申し上げかねると思います。しかしながら今申しましたように、われわれとしては、やはり国連憲章に準拠して参ることは、世界のどこの軍隊、また世界のどこの軍隊が事変に対する場合でも同じことなんでありまして、アメリカ軍が沖縄から何らかそうした戦争に応じて出る場合にも、やはり国連加盟国の一人としてそういう義務を負っておるわけでありまして、そういう意味において国連憲章に準拠して参る、こう考えておるわけであります。そうした場合に極東の事態にどういう事態が起るかというような問題、これは常時やはりアメリカと日本との間で話し合いをして参らなければならぬのでありまして、単に防衛ということばかりでなく、極東の安全と平和という問題については、条約上規定されようとされまいと、日本としてはやはり親善関係にあるアメリカとは常時隔意のない意見の交換をして参ることは当然なんでありまして、条約上にもできるだけそうした問題を規定していくと同時に、また態度としてもふだんからそういう問題については、十分お互いに理解し合っていかなければならぬ、こう考えております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 私の質問の核心に答えていて下さらないように私は思うのです。簡単でいいですからお答え願いたいと思いますことは、沖縄から米軍が出る場合に、日本との事前協議をするかどうかということを伺っているのであって、するとかしないとかいうことをお答え願いたいと思います。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 この点はやはり条約地域の問題にも入りましょうし、それからおそらく条約の問題について日本の周辺におきますいろいろな事態に対して、われわれは協議をしたいということを考えております。従ってそういうような問題についてはあらかじめ協議されると思うのでありまして、それ以上向うの問題について何とか申すわけには参らぬかと思います。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 そうしますともう一度念のために伺いたいのですが、結論的に言って、沖縄から米軍がよそへ出る場合には、日本といろいろ話をした上で出てもらうのだ、こういうふうにおっしゃったんでございますね。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 沖縄におりますアメリカ軍隊が、平時に移動するというような問題につきまして、われわれはむろん協議の必要はないと思っております。ただいろいろな作戦や何かに巻き込まれるような場合には、軍隊を動かすという以上に、われわれとしては極東の平和というものに対してアメリカにやはり日本の考え方を十分言って、平素から相談しなければならぬ。これは条約上に規定されるとされないにかかわりませず、当然日米間においては、それらの問題について常時話し合いをしていかなければならぬ。これを必要とするということを私は申し上げたのであります。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 そうすると常時お話し合いをするということはわかりました。そこでやはり条約の中にそういうことを何らか明示なさいますか、なさいませんか、この点をお伺いいたします。そうしておきませんと、ふだんから話をしていたんだから、あのときに緊急事態があって出たけれども仕方がなかったというふうな形にもとれるわけでございまして、やはり沖縄から米軍が出ていく場合には、日本と事前協議をするのだというような形の条文なりあるいは交換公文なり、何らかの形で書いておおきになる必要があると思いますけれども、この点は念のためにもう一度伺いたい。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 今お話しのように、この問題は防衛地域の問題とも関連しておると思いますが、アメリカが自分の軍隊をどう動かすかということ自体は、その防衛地域の関係からも関連してくると思います。従って必ずしも常時相談しなければならぬというようなところまでは私ども考えておりませんが、しかしできるだけ極東の平和と安全のために——米軍が作戦行動に入りますことは、非常に危険なときもあるわけでありますから、そういう問題についてはむろん相談をしなければならぬと思っております。またそういう広範な意味における協議も取り行われることが必要であろうと思っております。ただ一個の軍隊がその中で動くというようなことまで一々干渉するわけにはいかないと思います。

櫻内義雄自由民主党

○櫻内委員長 戸叶さんに申し上げますが、だいぶ時間が経過いたしましたから……。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 早くやります。  今のところは非常に大事な問題だと思うのです。そこで藤山外務大臣として協議の対象にする、常時協議の対象にできないけれども、というふうな言葉も言われておるわけでございまして、何かそこにあいまいさを私はうかがえるわけなんです。その点をもう少しやはりはっきりしておいていただかないといけないと思いますが、私の了承した範囲内では、平時の場合には沖縄から米軍が出ても、それは米軍のすることだから——しかし何か問題か起きて海外へ出ていく場合には、これは日本にも関係があることだから事前に話をしていくようにしていきたいこういうふうに了承をいたしておきます。違いますか。——違ったら直していただきたいと思います。藤山外務大臣の答弁はあっちにもとれるようなこっちにもとれるような答弁で私非常に頭が悪いせいか、わからないのですけれども、もう少しはっきりと事前に協議をするかしないかということだけ伺っておけばそれでいいのです。もう一度念のために教えていただきたいと思います。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 これは今の防衛地域の問題にも関連しておるということを申し上げるわけであります。アメリカが日本、沖縄の軍隊をどういうふうに動かすかということは、アメリカ自身の考え方でありますし、むろんアメリカが国連憲章に沿って問題を解決していく問題だと思います。しかしながら日本としまして、こうした大きな極東の安全ということは、日本自体に影響してくる問題でありますから、当然政治的にはそれらの状況というものを日本も判断し、またアメリカにもそれを申し入れていかなければならぬと思うのであります。そういうことが取り行われることは、これは申すまでもないわけでありまして、そういうことを申し上げておるわけであります。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 わかりました。そこで結論は大体話し合いのところまで持っていくというふうに了承したわけでございまして、条約の中に入れるか入れないかというような問題は、これからというふうに了承してよろしゅうございますね。  その次に——もう二点だけですから……。核兵器の持ち込みにつきましては、事前協議をするということをたびたび言われておるわけでございますけれども、その場合に絶対に持ち込まないというふうな取りきめをされるのか。それとも日本の許可なくしては持ち込まないというふうな協議対象にするのか。この辺を念のために伺いたいと思います。  さらに時間をセーブする意味におきまして続けて伺いたのですけれども、核兵器持ち込みの場合は、沖縄の場合には、国内に核兵器を持ち込まないという方針の範囲外にあるというふうなことを聞いておりますけれども、この点はどうなんですか。私どもとしては当然沖縄も含めて核兵器を持ち込んではいけないというふうな事前協議をすべきだと思いますけれども、それに対する藤山外務大臣のお考えを伺いたいと思います。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 在日米軍の配備、装備というものを協議事項にいたしていきたいというふうに私どもは考えております。その中に当然核兵器の問題が含まれることになろう、こういうように考えております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 核兵器のことが持ち込まれることはわかっておるのです。ただ絶対に持ち込まないという話に日本は持っていくのか、それとも日本の許可なくしては持ち込めないというふうな形で話を進めていくのかということが一点と、それから沖縄もその場合に含まれるかどうか、つまり日本に持ち込まないというふうな話し合いをするならば、沖縄も当然日本の領土であるから、その対象として扱うかどうか、この二点を簡単でいいですから、お答え願いたい。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 協議のことでありますから、当然日本がノーと言い得ると思っております。従ってその場合に持ち込まないと私は考えております。また沖縄におきます米軍の配備、装備につきましては、協議の対象にはならぬ、こう考えております。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 そうしますと、沖縄は日本の領土である、潜在主権といえども主権があるというふうな形をとっておりながら、沖縄の場合には核兵器は例外として持ち込んでも黙っていなければならない、こういうふうな形になりますと、非常に日本は危険な状態にさらされるわけでございまして、こういう点から見ましても安保条約が持っている内容が、いかに日本の平和というものに反するものであるかということを、私どもはもう一度考え直さなければならないと思うのです。さらに基地から起きるいろいろな問題、こういう点から考えましても、この安保条約の改正というようなことを軽率に取り扱われては、まことに困るわけでございまして、どうかもう一度、もっと大きな日本の安全という観点から出直した外交方針というものを立てていただきたいということを藤山外務大臣に要望いたしまして、まだございますけれども、時間がありませんので、私の質疑を終りたいと思います。

櫻内義雄自由民主党

○櫻内委員長 森島守人君。あらかじめお願いしておきますが、外務大臣は一時まででございますので、質疑者も多うございますから、大体三十分見当で、よろしくお願いします。

森島守人日本社会党

○森島委員 先日来の質問応答で、大西君や佐々木君、戸叶さんから内容にわたって相当詳細に御質問がありましたので、私は安保条約問題、改正に対する政府の基本的といいますか、総合的な立場をお伺いしたいと思います。  第一にお伺いしようと思ったのは、ただいま戸叶さんからお話のありましたフォーマルな形で交渉を始められたか、インフォーマルな形であるかという点でございますが、この点につきましては、藤山外務大臣の御答弁を伺っておりますと、実質的な話し合いには入ってないというふうな言葉もあり、あるいは問題点を取り上げておるので、これまでは正式な話し合いには入っていないのだというふうなお話もあって、政府の基本的態度がきわめて不明快であると私は思うのであります。この点につきましては、すでに御答弁がありましたから、これ以上質問はいたしません。それと申しますのは、日本が太平洋戦争に突入しました直前、御承知の通りワシントンにおいて野村・ハル会談というものが行われた。野村・ハル会談につきましては、当初は野村さんは非公式な会談というふうに了解しておったのであります。ハル長官も非公式な会談である、あらゆる角度から検討して、日米両国が了解点に到達し得るかいなか、これを検討するのだという建前をとっておったにもかかわらず、松岡外務大臣はすでに当初から正式な会談に入ったという建前をとっておりました。その双方の誤解から非常な紛糾を来たしたことがあるのでございまして、私は日米安全保障条約のごとき重要な交渉段階にお入りになる以上、この点をまず明確にしておくことが必要であると存じておる次第であります。  ところで私のお聞きしたいのは、正式な交渉だということでございますが、この話の発端は外務大臣がアメリカへ行かれまして、ダレス長官との話し合いの際いろいろ問題を持ち出され、そして条約の改正を考えてみてもよろしいというダレスの回答があったということでございます。これを外務大臣は直ちに快諾を与えられたのか、あるいは閣議の決定を待って日本の正式な態度を明示せられたのであるか、この点をお聞きしたい。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 私はダレス長官とワシントンで話し合いをしました、そうして私の申した考え方をある程度了承の上、私はダレス長官が外交交渉を東京でやろうということを言われたと思っております。またそれ自体がプレレス・レリースにもそう書かれておるのであります。  そこで今お話しのように、公式の会談か非公式の会談かという問題でありますが、私としては、外務大臣か在日大使と正式に公衆の面前でこの問題を取り上げますのは、やはり公式ではないか、こう思っているわけでございます。そういう意味におきましてむろん公式の会談だということを申し上げておるわけであります。率直に申しまして、私はこの問題をワシントンで話しますときに、すぐ外交交渉に移してくれるというところまでアメリカ側がくるかこないかということについては、行きます前に若干の疑問を持っておったということは、行きます前の私の話でもおわかりいただけると思います。従ってそういう意味においてアメリカ側がこの外交交渉に臨むということをきめてくれた以上、われわれはこの外交交渉に喜んで応じて参らなければならぬと思います。従ってその外交交渉の公式の段階の中にもむろん問題点をしぼるとか、あるいは若干の論議をするとかいうことは、一応予備的だと見られる部面もあるわけでありまして、そういう意味からいいますれば、内閣の態度も問題点をしぼり、その問題点についてきめていくということも、必ずしも私は不適当ではないというふうに考えております。  ただ安保条約そのものをぜひとも日本も、昨年岸・アイク共同声明にありますように、自主的なものに改善していきたいという基本的態度というものは、内閣も当然決定しておりますが、一つ一つの問題について必ずしも全部閣議決定をまだいたしている問題でないことはもちろんでありまして、閣議決定をして交渉をするという段階以後が公式会談だというならば、あるいはその意味においては公式会談ではあるけれども、まだ予備的な折衝の段階だ、こういうことは言えると思います。

森島守人日本社会党

○森島委員 これは非常に重要な外交交渉でありますから、アメリカ側と安保条約改正の交渉を始めるというくらいのことは閣議の了解なり、一歩進めますれば決定がなければ、外務当局だけで独走されるということは、非常に危険があると思うのであります。今日出ているいろいろな事態も、私はここに根本の欠陥があったんだ、こう思っておるのでありまして、この点について閣議において明確な交渉を始めるという方針が御決定になったかどうかという点を一言でいいからお答え願いたいと思います。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 私が安保条約の改定の交渉をマッカーサー大使と始めるということについては、閣議の了解を得ております。

森島守人日本社会党

○森島委員 それじゃ一つお伺いいたしますが、これはなかなかむずかしい問題で、おそらく藤山さんは閣議で了解を求められたときには、自主的に改正するあるいは双務性を回復するんだというふうなことで、いかにもしろうとにもわかりいい御説明をなさって閣議をだましたというといけませんが、むしろ重要性は、自主性を回復するというならば、いかなる点において自主性を回復し、いかなる点において双務性を回復するかということが重要であって、私は抽象的な自主性とか双務性とかを云々することはしろうとだましであって、これは外務省当局としてはきわめて不見識であり、軽率のそしりを免れぬと思うのでございます。私の重要視するのは、日米双方の義務をいかに規定するか、あるいは防衛区域をどうするか、適用区域をどうするかという具体的な問題について少くとも大まかな方針が政府としてきまらぬ以上、外務省当局として交渉を開始するということはきわめて不見識である、こういうふうに存じておるのであります。  岸さんは、警職法の問題については国会の論議を通じて世論に聞くんだということをおっしゃっている。しかしこれは一つの詭弁なんです。国会の論議を通じて世論を聞くというふうなことは、いかにも聞えはいいんですけれども、実際は無視して既成事実を作って、その既成事実を国民に押しつけようというのが、警職法提出の魂胆であったことは、私は明らかであると思います。これで警職法も破れたのだと思っておりますが、あなたの今とっておられる態度も、当初から世論に聞いて、閣内の意見を調整して、党内の意見を調整して初めて交渉に臨むというよりは、あとになって外交懇談会を開いて世論の啓発をやるとか、私は前後の順序が誤まっておると思う。この点はいかにお考えになりますか。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 私はただいま申し上げましたように、私とマッカーサー大使との経過から申しまして、第二回の会合のときに、問題の所在点をお互いの政府がそれぞれきめて研究した点を話し合ったわけであります。従ってその線に沿ってそれぞれの問題を内閣できめてかかっていく、こういうことが当然だと思うのでありまして、そうした問題について、私は今後閣議がそれらの問題について内閣の方針をきめて参ると思っております。

森島守人日本社会党

○森島委員 私は、見解の相違かもしれませんが、藤山さんの今の御答弁は、目下紛糾を来たしておる事態に対する三百代言的な詭弁でしかないと思うので、このような重大な問題を交渉するのに、あらかじめ政府の方針をきめないで、出たとこ勝負でやるということでは、国民は不安でたまらない。ここに国民の抱いておるいろいろな危惧の念もあると思っておるのであります。現に一例を引いてみましょう。日米防衛分担金の問題のごときはいかがでしょう。これは外務大臣とマッカーサー大使との間で話し合いを始めていない。今事務当局間で話し合いをしておるのだということで、このような一つの問題に対してすら、正式会談にかかる前には政府の方針を決定する。それから日本の態度を明らかにするということを必要としておる。事務的の会談を続けられておるという段階でございますから、私はもし藤山さんがマッカーサー大使とお話になるといたしましても、重要問題でありますから、予備的会談を十分にして、十分意思の合致かでき得る見通しがついた場合に、初めて公式な交渉に移すという態度をおとりになるのが至当であって、これは外務省当局もおそらくその意見を持っておるだろうと思うので、私はこの点は、今の御答弁には非常に不十分で満足するわけにはいきません。従って今後もし問題が紛糾してまとまりそうもないと思われる場合には、私はおそらくまとまらぬと思っておりますが、もし今おっしゃったような段階で公式な会談とも思われる、あるいは非公式に話し合いをしているというふうな段階ともとれるというふうな御意見でございますから、そういう段階なら、むしろ私はこの際話し合いの打ち切りをなされてしかるべきものだと思いますが、この点につきましては御答弁を求めません。  それから第二に、私がもう一つお尋ねしたいのは、予算委員会の席上で、安保条約の改正の問題が、改正するといたしますれば必然的に行政協定も改正すべきものだという質問が加藤委員からございました。私の記憶が誤まっておらないならば、当時総理もあなたも、行政協定の改定もやるのだという御答弁をなさったように思っておりますが、これで間違いございませんか。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 安保条約の改定に当りまして、本条約が改定されるということになりますと、それに伴って行政協定の中でもかえなければならぬところがあろうかと思います。ただ安保条約をきめてかかりませんければ、それらの問題にどうしてもいくわけにいかぬこともまた御了解いただけると思うのであります。従って、現在ではそういう段階で安保条約そのものを考えておる次第であります。

森島守人日本社会党

○森島委員 はなはだ仮定な問題について御質問するようですが、今の御答弁を前提としまして、安保条約を改定する、これにつれて行政協定を改定する必要も起ってくるということだけはお認めになったものと思うのでありますが、その場合に、私は非常な重要な問題だと思いますのは、行政協定の改定ですね。新しい行政協定を国会の審議に付する御意思があるかいなか、私は憲法上非常に重要な問題だと思っておりますから、これに対しまして明確な御答弁をお願いいたします。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 安保条約を改定して、必然的にどの程度に行政協定を改定するかという問題は、今後の問題だと思っておりますが、しかし、行政協定の中においても、単純な行政的な部面もあると思いますし、あるいは単純な行政的部面でない問題もあろうかと思います。それらの問題等につきまして、今後よく検討してみたいと思っておりますけれども、単純な行政協定でないような問題については、やはり国会等の承認を得るのがほんとうだと考えております。

森島守人日本社会党

○森島委員 重要な事項と重要にならない事項と、これが分れてできるかできぬかわかりませんが、従来のいきさつからいたしますれば、私は一本でいくと思う。その中に重要な事項も包含するし、重要でない事項も包含すると思いますが、新たにできる行政協定をできると仮定いたしまして、国会の審議に付議するという御答弁を承わりまして、私は非常に本懐に思います。そこで私が申し上げたいのは、条約全体に対する外務当局の今後の態度でございますが、一体協定なるものができましたのは、私の解釈からいたしますと、アメリカ憲法の奇形児なのです。アメリカは、御存じのごとく三権分立が極端にいっております。先般の選挙でもありましたように、立法府はすでに民主党になっておりますが、行政府は依然として共和党。そこで困ったのは、条約は、アメリカの上院においては三分の二の多数の賛成が要るということになっております。ところが、行政府が共和党の手にある、国会が民主党に支配されておる、それは反対の場合も無論ありますが、こういう場合には、わざわざアメリカ政府が政府の権限において締結しました条約が、国会において簡単にいいまして批准を得ないという場合があり得る。この場合を回避するために生まれましたのが協定というもの、アグリーメントという字を使っておる。トリーティという字を使っていないから、国会の承認を必要としないんだというところで生まれたのが、私は協定のアメリカにおける意義だと存じておるのでありますが、高橋さん、条約当局の御意見をちょっと伺いたい。

高橋通敏外務事務官(条約局長)

○高橋(通)政府委員 事務当局といたしましては、条約を、アグリーメントまたはトリーティ、協定、条約、議定書というような名称によって、形式的な見地から国会に出すとか出さぬとかを決定する意向はございません。いかなる名前を付しても内容によっていたします。

森島守人日本社会党

○森島委員 条約局長からも明快な御答弁を伺って私満足なのですが、この前行政協定を国会の審議に付さなかったときには、基本条約がすでにできているから、これに付随したものであるから、これを付議する必要なしときめたのが、当時の政府の態度であったと私は了解しております。しかし、実際安保条約なるものは白紙委任状と同じなのです。法一ヵ条であとこまかいことは、あげて行政協定にまかした。行政協定自体に非常に重要な意味があって、その後日本の官民双方の間において、非常な問題か起きていることは御承知の通りなのです。私は実質的な意義からいえば、当時行政協定も国会の審議に付すべきものであったと信じておるのであります。ところで、私が藤山さんにお説教するといっては相済まぬが、戦前のことをお考え願いたい。戦前には、日本には枢密院があった。枢密院には重要なる外交案件はすべて付議されておった。国会には付議されておりません。この枢密院の権限を現在においてある意味で引き継いだのが、新しい憲法下における日本の国会ではないか。従ってあらゆる重要な問題は国会に付議するのが建前であろうと思う。その意味からいいまして、協定とか覚書とか、あるいは交換公文というふうな名称は捨てて、実質に基いて国会に付議されるということに、外務省当局が御方針を御決定になれば、私は国家のために非常に歓迎すべきであると思うのでございます。将来行政協定が改正されるという場合には必ず国会の審議に付せられんことを切望してやまない次第でございます。  なおついでに、時間がありませんので簡単に伺いたいのですが、昨日の朝日新聞を見ますと、大野伴睦氏が、一昨晩赤坂の料亭へ柳公使を招いて、日韓問題に関して話し合いをしている。この記事が正しいかいなかは知りませんが、もし事実といたしますれば、藤山さんが一昨日この席上で外交は二元的にやらないのだ、こうおっしゃっておるその言明を事実において裏切っておる。私ははなはだ遺憾に存じております。しかも自民党の実力者であるといわれておる河野総務会長もこの会合に出席しておったという事実がございますが、これに対する御見解はどうでございますか。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 私は一昨晩、柳大使と大野氏あるいは河野氏も加わったという、そういう事実があったということを存じておりません。むろん柳大使は御承知のように長く日本におられますし、各方面の方と知己があるので、各方面の方と食事をするというような機会が今日まででもあったと思いますし、またあり得ても別に不思議はないと思います。そのこと自体だけを問題にいたすことは必要がない、こう考えております。

森島守人日本社会党

○森島委員 それではもう一つ申し上げますが、私は皆さんが私的に会合をなさることをとめる権限もなし、とめる意向もございません。しかし大野さんはこの席で、朝日新聞の所報によりますと文化財の返還の問題とか、漁業協定の問題等が進まぬならば、まず日韓両国間の国交の正常化をはかった方がいいじゃないかという、この間うち岸さんが抱いておると伝えられまする見解をそのまま述べておられるようであります。この点については今ここで架空に議論をしてもしょうがないですから、外務大臣においてお取調べになって、もしこういうことがありますれば、厳にこれを慎しむよう厳重にやっていただかなければ、あなたがせっかくやっておられる日韓交渉なるものに思わしからぬ影響を来たすことは当然だ、こう考えておりますので、この点についてはお調べの上で、こういう事実があったかなかったか次回にこの委員会で御説明願いたい、こう思っております。  それではもう一つ私が伺いたいのは、ダレス長官が十六日と思いますが、北大西洋条約の理事会ですかで、非公式な演説をされたというのが新聞に伝わっております。この演説を見ますと、やはり非常な共産圏に対する乱暴な議論をしております。いかにも今後日本の工業力が共産圏に移り得るような危惧を抱いておられますが、私は、アメリカの政策というものはダレス長官の共産圏に対する極端なる危惧の念から出ておると思います。この点につきましては、ヨーロッパにおいてもアメリカの内部においてもいろいろ議論、危惧のありますことは外務大臣も御承知の通りだ、こう存じますが、私は今安全保障条約を改定せんとするアメリカの態度が、このダレス外交によって示されておるような方向で進むといたしますれば、日本国民の危惧する点もまさにこの点にあると思うのであります。このアメリカ外交の極端なる共産圏に対する危惧という点について、外務大臣はいかにお考えになっておりますか。外務大臣は一昨日も国際共産主義の脅威と共産圏諸国との親善関係とは別個の問題だという御見解を御披露になりましたが、私はアメリカに対しても安全保障条約の改定問題を契機といたしましてでも、もう少し突っ込んだ日本の見解をお示しになって、アメリカ当局の反省を求めるというくらいの態度に出られることが適切ではないか、こう存じておるのでありますが、アメリカ外交全般に関する藤山外相の御見解を簡単でよろしゅうございますから、お示し願えたらけっこうだと思います。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 私も新聞紙上で、NATOの秘密会におけるダレス長官の演説というようなものを、どこまでこれがその通りに信じていいかわかりませんけれども、一応拝見したわけであります。むろん過去のいろいろないきさつからいいまして、アメリカが共産圏に対して相当の脅威を感じているということは、私は事実だと思います。またダレス外交がそれを中心にしてやっているということも、これまた事実だと思います。従いましてその精神においてはわれわれと大して違いはないのではないか、こう考えておりますけれども、しかしそのときどきの主張等については、われわれとしては、必要がある場合においては、当然友人としてあるいは緊密な連絡をとっていくとして、率直にものを申さなければならぬというようには思うのでありまして、だれも神様ではありませんから、間違いも起ることでありますし、思い過ごしが起ることもあろうと思うのであります。そういう意味においては、われわれとしても必要があります場合には、絶えず意見の交換をしていかなければならぬ、こう考えております。

森島守人日本社会党

○森島委員 ダレス長官の見解を裏から返してみますと、ソ連や中共が日本を侵略する危険かあるのだ、その結果日本の工業力がそっくりとソ連圏に行くんだというふうな見解のように思われるのでありますが、私一つ率直に伺いたいのは、共産主義の脅威とかそういうふうな抽象的な議論は抜きにしまして、外務大臣としては、中共もしくはソ連からの日本に対する武力的な侵略性というものがあるかないか、この点を一言でいいですから、はっきりとお答え願いたいと思います。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 若干森島委員とお立場が違いますから御返答にならぬかもしれませんけれども、むろん現在世界の各国が膨大な軍備を持っております。持っておりますけれども、どこの国といえども、第三次世界大戦を希望しているところはないと思っております。また軍備を持っていることが第三次世界大戦を防御する、起らないようにお互いにバランスのとれた軍備を持っていくというふうな事情にあるわけであります。従ってそういう状況で平和が続いているわけでありますから、そのバランスがくずれるというようなときには、そういうことか起らぬとも言えぬと思います。また私ども国際共産主義の脅威というものによって国内撹乱等が起らないということを、言い切るわけにはいかぬと思うのでありまして、そういう意味からいって危険性がないとは私は言えないと思っております。ただ現実に今すぐ日本の工業力がそっくりそのまま行くか行かないかというようなことは別としまして、国際共産主義の脅威によって国内撹乱が起り、それか非常な危険な状態になり得るということは、私はそう考えております。

森島守人日本社会党

○森島委員 私は特に言葉を選んで御質問したはずであります。国内撹乱等のことには私は触れておりません。武力による侵略性があるとお認めになるかいなかという点でございまして、この点だけははっきり一言でいいですからお答え願いたいと思います。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 私は少くも現状お互いに第三次世界大戦というものを考えておらぬと思います。それはアメリカにおいてもソ連においてもそうだと思います。従って何か武力的に行動するということは、いかなる地域においてもあまり起り得ないのじゃないか、また起らないためにそういうような軍備のバランスをとった防衛体制をとっているということが言えるのだと思っております。

森島守人日本社会党

○森島委員 あと一問。正月号ですか「外交時報」に藤山さんと細川隆元という評論家の対談が載っております。これを見ますと日中問題にも触れているのですが、藤山さんは、かいつまんで申しますと、日中関係の打開も重要視しておられるようでありますけれども、日米関係の調整がついた後でなければ、日中関係には手をつけ得ないような発言をしておるように思いますが、この点に関しては、日中関係を一体どうお考えになっておりますか。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 中共との貿易関係が、本年の五月に、私どもから申せば誤解の上に立ってああいう状態になっておるということは遺憾であると思います。従いまして将来この問題が解決されなければならぬ問題だということも、私はそう考えております。ただ現在われわれとしては、日中間の貿易問題すらなかなか取り上げていくような国際情勢下にはないし、また中共方面の意向も直ちにそういう状態ではないと考えますので、御異論はあるようでありますが、静観の態度を続けておるわけであります。その静観は必ずしもやらないという意味の静観でないということは、総理もたびたび言明しておられる通りだと思います。私は当面やはり日米間の交渉その他を完全にまとめあげることが必要だ、こう考えておるわけであります。

森島守人日本社会党

○森島委員 ちょっと伺いますが、日米間の安保条約なり問題が片づきますれば、自然日中間の問題を具体的にお取り上げになる御方針である、こう了解して差しつかえございませんか。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 安保条約が片づいてからとか、あるいはそういうことではないのでありまして、やはりいろいろな国際情勢が変ってさましたり、また中共側も十分われわれの気持を了解してくれれば、貿易問題というものは解決していかなければならない、こういうふうに考えておるわけであります。

森島守人日本社会党

○森島委員 それでは中共側の態度につきましては、大体要約して三点あるということは、私この前「人民日報」その他、それから佐多君が行きましたときの報告によっても了承しておる、その通りである。いつか大臣にも申し上げたのですが、要するに三つだと思います。  一つは敵視的な政策をとらないということなんでございます。しかし敵視的な政策をとらないということならば、最も重要なことは、平和条約、日米安全保障条約の廃棄等を望むことが当然だと私は思いますが、中共政府の態度を見ますと、そこまでは言っておりません。その他の事象をとらえまして、敵視政策をやめろと言っているだけで、根本的な問題である安全保障条約の廃棄等は言っておりません。  第二の問題は、二つの中国を認めるような政策はやめろということを言っておりますが、これも根本問題までさかのぼりますれば、理論的には台湾政府との間に結んだ条約を廃棄しろということでなければならぬと思うのです。しかし、これも中共の態度としましてば、そこまで言っておりません。  それから第三の問題の正常関係を阻害するなという点につきましても同様なんです。これはおそらく正常関係を阻害するなという以上は、中共政府を正式に承認しろということまでいかなければつじつまが合わないのですが、そこまでは言っていない。  私はその三点から考えますと、中共政府としてもゆとりを残した態度を持って日本に臨んでおると思うのでありまして、外務当局が、私が今申しましたような分析をやっているか、やっておらぬかは知りませんけれども、十分ゆとりのある政策を持って日本に臨んでおる。そうして岸内閣の対中共政策の転換を求めておるのが現状であろうと私は思っております。しかし、その後中立政策等の問題に関しましても、いろいろな言明もございますので、幾分の変化はあるかも存じませんけれども、根本的な態度としては、岸政府の敵視政策さえ変れば依然として日本人民と手を結んでいこうという政策には、根本的な変化はないと私は確信しておる。その点につきましても、外務省当局としましては、いたずらに静観々々といって拱手傍観的な態度をおとりになることなく、一応安保条約その他の重要問題を控えておられますけれども、中共問題に対しましても十分なる検討を続けていただきたい。なるべく早くこれを打開することに御努力に相なることが、私は目下の急務であると存じておるのでございまして、この点につきまして御所信を承われれば、非常に幸いに存じます。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 ただいま森島委員の言われましたこと、私といたしましては、中共が日本に対してゆとりを持った態度であるとも考えておりません。またそれが相当程度誤解からきている、岸総理のいろいろな言明なり行動というのが、非常に反中共的であるというようなことも、私はある程度誤解ではないかと思っております。従いましてそれらの問題が解消することによって、また解消の道を進むことによって、おのずから打開の道があるのではないかということをわれわれは考えておるわけでありまして、静観ということは、中共と貿易をやらぬという意味で静観をしておるのじゃなくして、そうした誤解もおのずから解け、あるいはゆとりもできてくる、それは単に日本に対してばかりでなく、中共の国際社会におけるいろいろな政策からも影響があろうかと思いますけれども、それらのものを見ながら静観をいたしておるというのが、ただいまの現状なのであります。

森島守人日本社会党

○森島委員 岸総理の行動に対して誤解だとか誤解でないという点につきましては、私は見解を異にしておりますけれども、時間がありませんので、これは省略いたします。  私は、現在もし中共の態度が従前と異ならないなら、私がこの前外務大臣にも御考慮願いました通り、あの民間協定を政府間協定に切りかえるというのが、問題妥結の一番いい方法だと思っておるのでございますが、これは一つ勇敢に大転換をされるように、閣内の意見をまとめられることは非常にむずかしいと思いますけれども、外務大臣として十分なる努力を払われんことを切望いたしまして、私の質問を終ります。

櫻内義雄自由民主党

○櫻内委員長 帆足委員。

帆足計日本社会党

○帆足委員 本日は主として安保条約の問題を中心として質疑が行われておりますが、安保条約の問題は結局国防にかかわることでございまして、国防の本義は政治外交にかかるのでございますけれども、同時に兵器並びに立地条件、日本の特殊な立地条件等の問題を正確に把握しておらなければ、この問題を談ずることができないことは、これまで私がしばしば指摘したところでございます。従いましてこの問題を論じますためには原水爆並びに原子科学の現状、ミサイルの発達の状況、原子潜水艦並びに原子航空母艦の発達の状況、人工衛星の現在の状況、小型核兵器の問題並びに日本の特殊な立地条件等について、このうしろに太平洋の地図ぐらに掲げて論議しなければ、これは空理空論といわねばならぬと思うのでございます。従いまして、私どもは政治、外交の見地からこの問題を論ずるとともに、こういう技術的見地からも、このことを共同の議題として検討しておかなければならぬと思うのでございます。そのために、外務大臣とともに防衛庁長官の御出席を要望したのですが、左藤長官は参議院においでになってまだお見えにならないといいますので、政務次官並びに加藤防衛局長が、御出席ということですが、同時に私は先ほど委員長の許可を得まして、去る二十五日アメリカのシアトルで放談をほしいままにしたとか伝えられる第五部長の井本熊男君を参考人として召喚しておりますが、井本君の出席は、どうなりましたか、防衛局長にお尋ねしたいと思います。

加藤陽三防衛庁参事官(防衛局長)

○加藤(陽)政府委員 私は総務課の方から連絡を受けて参ったのでありますが、今聞きますと、井本君は出勤しておらないそうでございます。

帆足計日本社会党

○帆足委員 それでは、あとの質問もありますので、私は基本的問題を三十分質問いたしまして、雑件につきましては、大臣の御退席後にいたします。井本君が本日出席していないことはまことに遺憾でございますから、きょう出席できませんければ、この問題に対しては、事はきわめて重大でありますから、次の機会に優先的に、井本君に対して事情を聴取することに委員長のお許しを願います。井本君欠席のまま問題を進めます。まず第一に公務員は憲法を守る義務があり、同時に政府の指揮に従う義務があるわけでございます。私ども国会議員は、特殊の公務員でありまして、直接国民の意思を代表し、いわば護民官として祖国の平和と憲法を順守しつつ、国政を審議し、批判し、監督するのが任務でございます。防衛庁におきましては、部下の監督において、防衛庁の職員が憲法に反し、あるいは政府の政策に反して勝手に外国で放言することを許可せられておるのであるかどうか、まずこのことをお伺いしたいと思います。

辻寛一自由民主党防衛政務次官

○辻政府委員 政府の意図に反しまして、ほしいままなる放言をすることは、厳に戒めております。

帆足計日本社会党

○帆足委員 しからばお尋ねいたしますが、政府の政策に反し、一属僚がほしいままに特命全権大使であるかのごとき大議論を外国で放談いたしまして、またそれが外国の一部勢力のお気に召しましたために、大々的に新聞に報ぜられるというようなことがありますことは、遺憾とお考えでありますか、それとも大へん喜ぶべき現象とお考えでありましょうか。

辻寛一自由民主党防衛政務次官

○辻政府委員 先般井本陸将がアメリカにおきまして発言をしたと伝えられましたその外電は、非常に遺憾に存じます。従いまして、当人の帰りますのを待ちまして——ちょうどだまたまあの発表がありまして、近く帰るということでございましたので、電話等での照会はやめまして、帰るのを待ち受けました。四日に帰って参りましたので、長官のもとへさっそく呼びまして、その真相を確かめた次第でございます。ところが、あの発言は完全な誤解であるということがはっきりいたしまして、安心をいたしました。

帆足計日本社会党

○帆足委員 これはAPの特電になっておりまして、APといえば世界に名立たる連合新聞の一つでございます。その内容は、彼は「日本は自衛のため原子力兵器が必要である」と豪語し、「向う数年中に日本の自衛隊は改革され、ペントミック師団(核装備師団)を含めることになるかもしれない。」それから長々と論じまして、最後に「原子兵器の使用は」国会などで「政治問題化しているが、日本は恐らく原子兵器を使用する侵略者に対し防衛するため原子兵器を保有しなければならないと私は考えている。」と、まことに堂々たる御所見を発表しておられますが、この井本なる人物は、過去の職業軍人、すなわち敗戦のエキスパートですか、それとも戦後において原子力または世界の情勢を学んだものでありますか、その経歴をちょっとお伺いしたい。

加藤陽三防衛庁参事官(防衛局長)

○加藤(陽)政府委員 井本熊男君は、元陸軍の大佐でございます。

帆足計日本社会党

○帆足委員 敗戦の専門家でございますか。

加藤陽三防衛庁参事官(防衛局長)

○加藤(陽)政府委員 敗戦の専門家というわけではございません。元陸軍の大佐でございます。

帆足計日本社会党

○帆足委員 元陸軍の大佐というのは、昔の思い出なつかしい博物館的な陸軍士官学校とやらを出た経歴の人ですか。

加藤陽三防衛庁参事官(防衛局長)

○加藤(陽)政府委員 陸軍士官学校出身者でございます。

帆足計日本社会党

○帆足委員 そういう爬虫類がのこのこ外国に出かけていって、そうしてこういう爬虫類が原子力の問題、すなわち人類のあけぼの、人類の偉大なる進化と歴史の夜明けに関する問題について、触れるなどということ自体が笑止千万のことであるにかかわらず、しかも彼がもし武士道ということを知るならば、今ごろ月給をもらって傭兵などになるべきでなくて、埼玉県かどこかへ行ってイモでも作ればよいものを、のこのこアメリカへ出かけていって、そうして十何年前に米鬼英鬼と言った口の端もかわかぬものが、武人として恥を知らぬもはなはだしいと思いますが、これは個人の感想でありますから、あえてそれについて答弁を要求いたしませんけれども、感想でなくて、今度は客観的に、科学的にこれを考えますと、公務員がこういう放言をして、幸いにして誤報であった、誤報であったならば、私は、AP通信社にいうて名誉棄損の訴えをするか、または記事取り消しを大きくなさる義務があると思う。私はいつぞや読売新聞において何か人権侵害にかかりましたときに直ちに訴えまして、そうして取り消してもらいました。新聞も気持よくこれを取り扱ってくれました。今日は人権尊重の時代でありますから、井本君がこういう言辞をごうも弄していないのに間違った事実であるとするならば、その善後措置は次官は一体いかようになさるおつもりでありますか。

辻寛一自由民主党防衛政務次官

○辻政府委員 ちょっとお言葉が過ぎるかと思いますが、個人の人格の尊厳を云々される帆足委員が、かりにも一個の人物をとらえて爬虫類という言葉はいかがかと思います。そこでAPは信頼すべき通信社だと思います。しかし私は私の部下をさらに信頼いたしております。従いましてあの発言の内容につきまして問いただしましたところ、こういう実情であります。核兵器云々の問題につきまして向うで新聞記者団に取り囲まれまして、盛んに質問を受けた、そこで日本政府は、しばしば言明をいたしておるように、核兵器は絶対に持たないという基本方針であるから、さようなことについては、私は言明の限りでないということを申し上げた。ところが、それじゃ専門家として、まあ軍人として……。

帆足計日本社会党

○帆足委員 敗戦の専門家……。

辻寛一自由民主党防衛政務次官

○辻政府委員 それはそういうことは別でございます。専門家という意味においてもし核兵器をもって攻撃をしてきた場合に、これを防ぐ兵器としては核をつけておった方が便利とは思わないかといった抽象的な誘導尋問と申しますか、そういうような質問を矢つぎばやにたくさん浴びせかけられたそうです。従いまして、核兵器の攻撃に対してならばそれは持っておった方がいいと思いますという程度のことをお答えしたにすぎません、それ以外のことは断じて申しておりませんとかように井本陸将ははっきり答えております。従いまして私はこの井本陸将の言を信じます。

帆足計日本社会党

○帆足委員 私はこのAPの新聞記事の内容の論理性から見て、井本君のその弁明はそれは自己弁明であって、決して客観的でないという印象を受けます。これは多くの人がそう受けるでしょう。またそういうところに出て井本君がべらべらしゃべるということ自体が、不謹慎であろうと思います。私が爬虫類的と言ったのは、御承知のように今爬虫類というものは存在していないのです。人間もなくなってすぐの死骸というものは尊敬すべきであると同時にまた恐怖を人に感ぜしめるものでありますけれども、ミイラになると、これは考古学の対象になっておそろしくも何もないのです。爬虫類という言葉を私が今引用したのは、これは時代離れという考古学的な表現であって、しかも事態の真相を最も明確にし得るものである。というのは、忠君愛国一本のふしぎな観念のもとに育てられた人たちが、今教育勅語は紙くず箱の中にはうり込まれ、光輝ある国体といわれた国に青い目の軍隊が駐留しておる、これは爬虫類的な古生代を思わせるほどの時代の変化だと思う。しかもわずか一瞬にして音の速力の二十倍のミサイルが、モスクワとワシントンの距離の二倍を飛ぶような世の中になって、人類がまさに月世界に足をとどめようとするときに、今ごろ、のこのこ敗戦の専門家が出てきて、恥知らずにもアメリカで放言するとするならば、これを爬虫類という言葉で表現するよりほかに私はもっと適切な修辞語を知らない。われわれが高等学校でレトリックを学んだゆえんは、かかるときに、国会において事態の真相を国民の前に最も表徴的に、最も比喩的に、明確になさしめるという教育効果をここに現わすためであって、個人の人格の尊厳を無視しようとするものではありません。ですから井本君に対しては、井本君という「君」という名前までつけておるわけであります。そこで先ほどの防衛庁次官のお答えで、井本君を弁護しようという厚い上官の情はわかるのでありますけれども、われわれはこれで納得いたしません。おそらくこの席におるわれらの同僚は、上官の言葉だけでは私は納得することはできないと思う。少くとも不謹慎であった。従いましてこういう印象を内外に大きく与えたことに対して、一体どういう措置を防衛庁としてはなされたか。また井本君に対する譴責処分、及び井本君と同じような軽率なことをするおそれのある予備隊に対して、そういう可能性のある諸君に対して警告をして、厳重に、軍人は長官に従わねばならぬ、長官は内閣の方針に従わねばならぬ、内閣はまた国会の意見に傾聴せねばならぬということを明確にしておくことが、私はこの際必要であると思うのです。従いましてこの際これに対してどういう処分をなされたか、伺っておきたいと思います。

辻寛一自由民主党防衛政務次官

○辻政府委員 非常に微妙な問題であることは承知の通りであるから、この上ともに十分に表現に注意をするようということをよく促しておきました。たとえば、あまりにも巧妙なる比喩をお使いになりまして、私自身が今あなたのお言葉を誤まったような傾きもあります。従いましておそらく井本陸将といたしましては、日本政府が核兵器を持たないというしばしばの言明は十分承知しておりますが、逃げるに逃げられず、いろいろな質問に対して答えましたその表現の方法が、たまたまそのようにAPの通信に誤まり伝えられるおそれがあったのであるから、その点は十二分に、この上とも注意して発言をしなければからぬということを厳重に長官から申し渡した次第でございます。

帆足計日本社会党

○帆足委員 この問題についてこれ以上論議しても、当時の録音機があるわけではなく、従いまして井本君を直接参考人に呼びまして問いただす必要があると思っておりますので、次に移ります。  これは大臣でも次官でも局長でもけっこうですが、終戦直後にアメリカは、日本よアジアのスイッツルなれ、そして日本の中立を、そして日本の非武装を規定する平和憲法を作った。それはアメリカが承認して作ったことであって、そしてそれは、そういう大きな問題が、ただ抽象的に頭の中で、ある日突然と浮かんだということではあるまいと思います。そのときの国際情勢並びに日本の立地的条件及び兵器の水準、何事かを反映してかく行われたことであると思いますが、諸兄は、当時のアメリカの陸軍大臣は、日本はアメリカの前線基地であり補給基地である、しかし一日三百万ドルの大めしを食う民族を戦争のときに永久に補給基地に使おうとは思わない、やがてB29改良型が大量生産されたならば、三年後には占領軍は撤退し、日本は中立を守る、渡洋爆撃機は太平洋の島々を飛び越えて進むであろう、こういうことを当時言うておるわけでありますが、御記憶にあるかどうか。またその憲法ができたときの歴史的背景について思いをいたしたことがあるか、一応お尋ねいたします。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 私は当時アメリカの陸軍がそういう考えを持っておったかどうかということを存じません。

帆足計日本社会党

○帆足委員 驚くべきことであって、戦略の変化に対して一応追跡を試みずして安保条約を論ずるということは、言葉は悪いですけれども、野蛮人か、もっと極端にいえば、私は何事も知らずにこの問題を論議しておるといわれても、そういう攻撃も成り立つほど重要な問題だと思う。やがて今度は平和憲法がだんだんじゃまになってきて、日本はアジアのスイッツルたれという言葉は、そうではなくして、自由世界の尖兵たれ、その先鋭部隊たれ、そうして平和憲法が厄介者扱いにされ、第九条の改正というようなことがアメリカから内政干渉を受けるようになってきた。こういうように情勢が変化したわけです。この情勢の変化は何から来たわけでしょうか、ちょっと防衛庁次官に、メンタルテストのようで恐縮でございますが……。

辻寛一自由民主党防衛政務次官

○辻政府委員 何と申しますか……。終戦後におきまして世界は一体になって平和でいけると考えておりましたが、なかなかそうはいかぬという実情がさようにさせたと私は考えます。

帆足計日本社会党

○帆足委員 これは遺憾なから落第だと思います。と申しますのは、私はそういう一般論を聞いたのではなく、その具体的根拠をお尋ねした。御承知のようにB29改良型が大量生産に向おうとしたときには、太平洋は一またぎのみぞに変りまして、一飛び飛んでなお二時間余裕があるといわれた。そのときには必ずしも日本を必要としないという戦略が成り立っておった。同時に原爆のショックもあったでしょう。とにかくマッカーサー元帥か奥さんに、原爆が落ちたらもう一切はだめだね……。それはマッカーサー元帥が奥様と食堂で話をされたか、または寝室で話をされたか知りませんけれども、そういうエピソードも伝わったくらい広島、長崎での原爆のショックは大きかった。原爆のショックによるその真空の中と、B29渡洋爆撃機の大量生産が、新日本憲法というインスピレーションのような——諸君から言うならば、これは空理空論だ。あまりにも理想主義的だというその憲法を生んだことは、その歴史的背景はそういうものであった。しかるに、それから五年たつかたたない後に、音より速いジェット機ができた。そうしてそのジェット機がB29のうしろに回って落してしまって、朝鮮戦争は混乱となり、やがて妥協に終った。ジェット機は、御承知のように航続距離が当時短かかったけれども速さは音の速力をこえた。従いまして、二つの陣営は敵のあご下のところに防衛基地を持つ具体的必要に迫られた。それが私は砂川の基地を拡大する必要ができ、そうして基地でもって取り巻く必要ができ、基地闘争に数ヵ年明け暮れしたのは、こういうきびしい兵器の変遷の結果だと思うのです。ところが、今われわれはどういうところに来ておるでしょう。そのジェット機は、ことしで戦闘機としての生産は、イギリスでもアメリカでもやめてしまうのです。日本にグラマンとかロッキードを売るとかいうのは、三八式機関銃を、かつてわれわれがシャムに売りつけたのと何ら異なるところはないわけでございます。聰明なる辻防衛政務次官がこのことを御存じないはずはなかろうと思う。そこで今ではミサイルの段階にだんだん移り始めました。そうしてミサイルにはことしの夏ソ連で八千キロ、アメリカで遂にアトラスが一万キロに成功し、さらにソ連では一万四千キロ、と言えばモスクワからワシントンの距離は八千キロですから、その二倍近くを飛ぶミサイル時代に移ろうとしておる。同時に水爆は原爆の破壊力の千倍どころか、最近の新聞によると、百万倍も爆発する能力を持っておるのも理論的にできるようになった、こう伝えられております。こうなってくると、十三年前に距離への勝利であった渡洋爆撃機は、やがて音への勝利であるジェット機に変り、そのときに戦術の大転換が行われた。しかし、再び一万四千キロによって距離への勝利が日程に今まさに上ろうとしておる。これが政治に反映し、外交に反映するまでには、私は二、三年かかると思う。すべて起った事件のあとに人間の大脳皮質にこれが反応し、整理整頓されて、そうして人たちの常識に移るには三年ないし四年の日がかかろうと思う。そういう今大きな戦略の転換期に立っている。その戦略の転換期に立って国防の問題をわれわれは審議しておる。同時にアメリカにおいては共和党が破れて民主党が多数を得ました。二年後の大統領選挙においては、おそらく民主党に傾いていくでしょう。そのことも考えねばならぬ。そういうような状況のもとで、今御審議願っている戦術論や沖縄の問題やその他を考えますると、過去のダレス時代の、砂川基地闘争時代の余韻を含みながらこの問題を論議していると思うのです。それでは困ると思うのです。従いまして今日たとえば中立ということが言われ始めました。これは二つの世界それぞれ思惑があって言っていることは間違いありません。また自由世界は自由世界に属せよといいますけれども、自由世界の中でも中立を叫んでいる国がたくさんあることは皆さん御承知の通りであって、インドでもインドネシアでも中立を叫び、ナセルも中立を叫び、スエーデンも中立を叫んでおります。従って自由世界に属するということと、中立を叫ぶということとは別な範疇であるわけです。そういう点から太平洋を一飛びに飛ぶミサイルが大量生産に向うに連れて、砂川の基地に対する関心が簿らいで、やがて数ヵ年内には、沖縄に対する関心が薄らいでいく日が私は必ずくると思う。そして同時にまたフルシチョフが最近アメリカの上院議員のハンフリーさんに会って言っているのは、今や兵器の進歩はNATOを飛び越してしまって、直ちにテームズ川へでもワシントンヘでもボタン一つで飛べるようになった。従いまして、今後の政治のあり方次第では、東欧並びに西欧諸国を含めて、どうして戦争のない地帯にするか、一種の中立地帯にするかというようなことも論議の余地があるようになってきたということを言っておると新聞は伝えております。私はこの演説のほんとうの原文をまだ読んでおりません。私どもの見通しによりますれば、人類の歴史の重要な段階で、あらしのように兵器の進歩し、科学の進歩いたします時代において、やがて数ヵ年内に月世界に足をとどめるという時代において、どういうふうにこれが移り変っていくかということを見ながら、それに対してテンポを合せることが必要なのであって、この大きな転換期に、私は外務大臣はあせってはならないと思うのです。与党内部におけるいろいろな意見の矛盾のために、政府当局が困惑しておられますことも新聞で読みましたけれども、私は無理からぬことであると思う。こういう大変動が、兵器の、科学の水準において起りつつあるときに、良心的な人たちがいろいろ苦労をしておる。そうして意見の相違が起ることは当然であって、しかりとするならば、見通しをお互いに立てながら、与党野党もっと話し合う必要がありはしないかと思うのです。この問題について、国防の関係は民族の命に関する問題でございます。従いまして野党か徹底的に反対するというような態勢で進んで、果して国防が保てるものでもないでしょう。私どもも皆さんの意見をよく聞きますから、皆さんもまたわれわれの意見をもっとよく聞いてもらいたいと思います。そこで大局から見て、二つの世界が振り上げた手をおろすことかできなくなり、やがては万国軍縮会議、核兵器の国際管理、そして万国平和会議にまで将来は至るような方向に、歴史が流れつつあるとするならば、二つの極が触れ合うところ、歯車の触れ合う摩擦地帯を、一応中立にしようじゃないかという議が次第に濃厚になってくることは、私は歴史の理の当然であると思う。ソ連、中国が日本の中立について発言したことは、ソ連、中国の利害から発言した一面もありましょうけれども、大局から見るならばソ連、中国につけと言ったわけではないのですから、私は政府が言われておるほどあれほど興奮する必要はなかったと思う。それは一つの歴史の法則としてそういう動向が起ってくることは、五年、十年前に比べると非常に大きな声になっておるわけですから、そういう点に対しても、政府当局はやはり謙虚に耳を傾ける必要があったのではないかと私は思っております。議員は質問する呼び出しやっこたることが能ではなくて、国民を代表して自己の意見を政府に突きつけ、国民の前に明らかにすることが議員の任務であると私は思っておりますから、あえて質問だけはいたしませんので、私どもの意見を皆さんよく聞いていただきたいと思います。  時間がありませんので一、二のことをお尋ねいたしますが、とにかくこの問題の審議にはミサイル、水爆、人工衛星の動向について、私は一度参考人を呼んで公聴会を開いていただきたいと思っておりますが、これは理事会並びに委員長の御裁断によることですから、われわれがそのくらい深く考えておるということ、そして与党に劣らず祖国日本を愛しておるということ、そしてわれわれが得た学問の力を外交にも国防にももっと使いたいと思い、そして敗戦のエキスパートや、先ほど私が爬虫類とののしったような過去の人間でなくて、新しく慶応や早稲田や東大で教育された人や、労働組合で苦労した人、そういう人たちの意見も聞いて、この問題は論議すべきであると私どもか思っておることを了としていただきたいのであります。  それから防衛義務を今まではっきり書いてなかったから、新たにアメリカが防衛義務を負うようにすると大臣は言われましたけれども、アメリカの軍事辞典を読んでみますと、たとえば防衛という言葉の定義でもいろいろの定義がある。防衛とはアメリカを守るために、それに重点を置くこと、これはアメリカの陸軍士官学校で最もよく教えておる。自分の女房と人の女房と間違えて、人の女房のためにはだ脱いだりしたら、あとでよい結果はありません。従ってアメリカの女房はアメリカ、われわれの女房はわれわれの祖国、これが一番重要なことだと思う。基地という定義にしましても、向うの防衛辞典を読みますと、基地とは、その前線にあって海綿が水を吸収するごとく、原爆その他の爆撃を吸収せしめて、本土に対する防衛の負担を軽からしむることとある。そういうような定義は、私は戦争のドライな戦略の極致だと思いますけれども、やはり参考にしておく必要があると思う。あるいはまた直接侵略とか、間接侵略とかいう言葉は安易に使いますけれども、その意味するところのものを、もっと分析する必要があるのではあるまいか、従いましてアメリカが防衛すると言いましても、それはアメリカに都合のいい範囲であって、たとえば日満議定書において、われわれは満州を防衛すると言いましたけれども、敗戦の日にはまるで捨て子を捨てるようにして逃げて帰ってしまいました。アメリカでも同じことだと思う。あるいはまた一旦緩急あるときに、数十万のアメリカの軍隊や黒人部隊が日本の国内に駐留したときには、日本人の顔色を見て敵である中国人と錯覚してしまうでしょう。われわれにはアメリカ人もフランス人も大体同じように見えるごとく、彼らにはアジア人は同じように見えるでしょうから、戦争で心が荒廃しているときには、夜中にどんどんたたき起されて、そして妻や女房たちは暴行を受けるということもあり得ることだと思う。それは終戦後にあり得たことです。今後もあり得ないことではないのです。それらのことをいろいろ考えて、そうして諸兄は保守党に属するわけだがら、自由主義の陣営と行動をともにせねばならぬという立場は了としますが、それならそれで、このあらしの時代である日本の安全が保てるように、われわれも立場は違うし、意見は反対であるけれども、これならばまあやっていけようという程度の線を一つ出していただきたい。われわれはわれわれとして勤労者の立場から日本全体のことをやはり考えて、そして話し合って、よいことであるならば一つ協力しようということは、この前レバノンの問題で国際連合に外務大臣がいかれたときは、われわれ社会党は外務大臣と基本的立場を異にするにかかわらず、壮行の辞を送り、激励のあいさつをみなで送ったわけなんです。そういう気持を日本社会党も持っておるのですから、安保条約の審議に対しては——与党が混乱しておられることは、これは与党がばかだったら混乱はしなかったでしょう。やはり与党の諸君も深くお考え下さるようになったために、だんだんだ混乱がひどくなった。これは雨降って地固まるでありまして、この機会に徹底的にこの問題を国会で審議してもらいたい。先ほどの行政協定の問題につきましては、安保条約が忙しいので、この重要な問題が見捨てられておりますが、行政協定につきましても、外務大臣は前の岡崎さんの時代と違って——岡崎さんの時代はほとほと困った。私なんかこんな国会ならこなくてよいとさえ一時は思い詰めたこともあったくらい、岡崎外務大臣という人は厄介者であった。しかし藤山さんはとにかく先ほどの戸叶さんの質問を聞いておりますと、なかなかちょっと要領がよ過ぎて言葉をあいまいにされる点があって、その点は遺憾ですが、それは党内事情であろうとわれわれは惻隠の情で考えまして、とにかく誠実にわれわれの言うことを聞いて下さるし、できるだけとにかく国民と語ろうとしている態度は、私は近ごろの新聞等を見て御努力のほどには敬服しておるわけです。  あと一つ最後にお尋ねしたいことは、とにかく行政協定等の問題についてやはり国会で審議するという約束を守られるかどうか、それから行政協定の問題についてどういう点が問題点であるとお考えになっておられるのか、これを伺いたいと思います。同時にまたできれば、この問題でなかなかこれは国論がまとまらぬと思います。まとまらぬのは国民の意思薄弱のためではなくて、先はどのように国民が目をさまし始めた、十年前にはこれは平等条約であると岡崎さんは言うたんです。しかし聰明な藤山さんは、やはりこれは平等でなかった、あるいは終戦直後でやむを得なかったことではあったけれども、当時の事情としてはやむを得ないことであったけれども不平等であった——外務大臣ですら目をさまされたのですから、国民全体がだんだん問題の真相がわかってき始めておる。従いまして、この協定の改定を今直ちに行うより、もう少し人工衛星や、ミサイルの推移と、アメリカの二年後にくる大統領選挙のことも考えて、民主党が力を得たそれの現われる現われ方、そして今必要があればまず事前協議の問題でしょうから、それは覚書で済むことだと思うのです。あるいはこんなことは自明の理ですから、アメリカが何と言おうと国会で決議して、その運用については事前協議するもの、基本的人権の立場から論理学の立場からそういうふうに理解するということを国会で決議しただけでもよいくらいです。しかし覚書の交換でもして、事前協議はやっぱりせねばならぬというようなことででも一歩前進になるのですから、むしろ私は、条約を下手にいじるより、今の段階では事前協議をするというような覚書でも交換して済むことではあるまいか、そして根本的再検討は一年ぐらいかけて、社会党と自民党とよく語り合って進むようにしたらどうであろうか、こう思います。いつも大臣のお話ばかり聞いておりますから、ときにはこちらが一つ説法することも必要であろうと思いまして、一通り短かい時間でありますが、意見を述べました。それについての外務大臣のお考えを一つ承わりたいと思います。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○藤山国務大臣 懇々といろいろなお説を拝聴いたしまして、鞭撻を受けたところもありますし、御批判を受けたところもあると思いますが、私は、この問題を扱っておりまして、やはり日本の安全の保障という問題は、重要な問題と考えております。従って、政治に携わっているものといたしまして、将来の大きな人類の理想ということ、あるいはそれを達成する意味において、軍縮全般の問題等について努力をいたして参ることは、これは当然だと思っております。ただしかし、現実の事態に即応しましてそれを改善していくということもまた、やはり実際政治の衝に当っておりますものとしては当然やらなければならぬことでありまして、将来の理想を描きながら現実の問題もやはり一歩々々改善をしていくということか、当面の必要な問題だと考えております。従いまして、現行の安保条約の改善を要すべき点があるならば、しかもアメリカ側がそれに対して応じてくれておるのでありますから、その勢力を続けて参りまして、われわれの希望が一〇〇%入らないまでも、五〇%でも六〇%でもその実現を期していくということは、当然やらなければならぬ責務だと思っております。またそれに当りまして広く国民の世論の動向を聞くということ、それは直接聞く場合もありましょうし、または国会の論議等を通じて詳しく伺わしていただく場合もあります。それらのものは、当然民主主義的な政治家としてやらなければならぬことでありますこと申すまでもないのであります。同時に政治家としては、やはり一つの考え方を持ってそれを国民に訴えていくということも、これはいわゆる過去における統制とかなんとかいう意味をはずしまして、政治家の持っている一つの信念としてそれを訴えていくことも私は必要であり、それに対して世論を指導するといっては語弊があると思いますけれども、世論に訴えていくということも必要だと思います。今回の安保条約の改正に当りまして、私がワシントンから帰って参って、実質的にこの報告をいたして後、九月以降各方面で相当の論議も行われております。国会等におきましても、先般の国会にも、外務委員会その他内閣委員会等を通じて、いろいろの論議も私としては公平に拝聴をいたしておるつもりであります。そうした状況のもとに、できるだけ現実の問題を解決していくことによって、一歩でも二歩でもわが国の自衛の安全と、そうしてわが国の自主的な立場を明確にしていくということが必要と思うのでありまして、そういう意味において、今後も努力して、一日も早くこの交渉が妥結に進みますように努力を続ける心情をただいま持っておる次第であります。

帆足計日本社会党

○帆足委員 時間がありませんからこれで失礼しますが、私どもは今までの御審議では、防衛の問題でも、沖縄の問題でも、また出動条件の問題でも、事前協議の問題でも、具体的にはまだ少しも納得しておりませんから、これは徹底的に論議し、追及いたしますから、政府側としても軽率な交渉をアメリカとなさらぬようにお願いしておきます。  最後に、先日藤井公安調査庁長官が不謹慎な言葉を弄しまして、朝日新聞の社説でもこれは大へんけしからぬことであると論じておりまして、私もそのことを質問したかったのですが、時間がありませんから、次長がお見えだそうですからお伝え願いたいのですが、共産圏から日本に対するいろいろな資金の援助があるそうでございますが、その内容を詳細に全部一つ書き出していただきたい。いやしくも香港でアヘン密売をしたその金が来たとか、そういうおとぎ話のようなことは、この際やめてもらいたい。中国はそういうことで金をかせがねばならぬほど貧乏な国ではありません。むしろ公然と来ている金があると思うのです。その金の一覧表を出してもらいたい。中共がアヘン密売で金をかせいで共産党に提供しているというような、そういう常識で考えて荒唐無稽なことをさえずることだけはやめてもらいたい。  それからその次に、アメリカが日本に莫大な軍資金を提供し、憲法第九条の改正を慫慂するなどの、内政干渉はおろか、沖縄にがんばって、日本国民の意思を無視してしりを上げようとせず、安保条約の改定に対しても、藤山さんが互恵平等と言っているのに、なかなかそれに応じようとしていないというような点もありますけれども、内外とも資金的に日本に非常なる援助をしております。そうしてアメリカの——その中にはよきアメリカの精神もあるけれども、腐り果てたアメリカの頽廃主義も入っております。映画などには二十数億円もそういう腐れ果てた蓄積円がたまっておるような状況もあります。われわれはアメリカにもそれからソ連にもいろいろ干渉してもらいたくないと思っております。従いまして、アメリカが出しました内外とものいろいろな資金の一覧表も、両者相対照して公平に見たいと思いますから、提出することを要求します。  それから同時に、最近一部の部分にファッショ的傾向が濃厚であります。公安調査庁の内外また警視庁または検事局などにおいても、旧特高の人間がどのくらい復活しておるか、また拷問の経験のある諸兄がどのくらいおるか。私は拷問のことをもう少しいろいろ聞きたいと思っておりますが、その専門家がだいぶ居直っておられるようであります……。

櫻内義雄自由民主党

○櫻内委員長 帆足さんに申し上げますが、どうぞ書面で御要求願います。広範にわたりますから……。

帆足計日本社会党

○帆足委員 そういうものの統計を、書面をもって要求しますから、一つ……。

櫻内義雄自由民主党

○櫻内委員長 田中稔男君。——田中君に御相談ですが、大臣は時間がないようですから、途中で切って次会にあとを願うようにしたらどうでしょうか。

田中稔男日本社会党

○田中(稔)委員 それではきょうはやめてこの次にしましょう。

櫻内義雄自由民主党

○櫻内委員長 それでは暫時休憩いたします。     午後零時五十三分休憩      ————◇—————     午後一時二分開議

櫻内義雄自由民主党

○櫻内委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  国際情勢等について調査を進めます。帆足計君。

帆足計日本社会党

○帆足委員 外務省の文化課長と、そのあとでは朝鮮問題についてちょっとお尋ねさしていただきます。  文化課長にお尋ねいたしますことは、すでに前委員会におきましても申し上げておきましたが、国際著作権の問題に関連いたしまして、ビームの問題が、本来ならばもう夏までに解決していなければならないことが、年も押し迫りましてこのような御質問を申し上げますことは、官庁事務の渋滞として私はまことに遺憾と思いますけれども、しばらく御病身でありました文化課長がその後非常な御努力をなさっておるという御誠意のほども先日の委員会で承わりまして、やむを得なかったことであることも了承いたしております。なお再来年は契約の改訂の年にもなっておりますので、すでにロンドンの出張員との間でビームの問題の交渉が開始されておると聞いております。さらに日本政府が海外払いの印税を二%ときめましたことも、日本の今日の現状から見て正当なことでありますし、またこれは行政措置としてきまったことであっても、その背後に法律があるわけでございますから、法定されたものであることもいささかの疑念もありません。従いまして残っておる問題は、早く回答文をまとめて、パリのビーム本部に正式に政府の回答を明らかにすることだろうと思います。すでに解決が年内につくものであるということも電話で承わりましたけれども、今日この段階にきて事務渋滞は一刻もゆるがせにすることができないわけでありますから、関係官庁等とおとりまとめになった結果を、一言だけ文化課長から御答弁願いたいと思います。

片上一郎外務事務官(情報文化局文化課長)

○片上説明員 ただいま御指摘になりましたように、実は政府部内の調整その他で思わざる日時を要しましたので、その点まことに申しわけないと思っておる次第でございます。最近に至りまして問題の焦点、整理点がはっきりいたしまして、関係庁であります文部省、それから外務省の条約局、それから法制局と三者の調整を連日続けました結果、ようやく結論が出ました。現在私の方で口上書をフランス大使館に送るための内部決済手続を至急進めておりますので、一両日中に私どもの方の回答書を送ることができると思っております。回答書の内容は、文部省から過日外務省の方に寄せられました回答書と大体同等でありまして、フランス側の第二次口上書に対する回答の形となっております。  第一点はいわゆる仲介業法がベルヌ条約十三条二項に言う留保及び条件を定める国内法である、そしてその仲介業法に基いて著作物の範囲を定める十四年の勅令八百三十五号、及び仲介業法の施行規則、十四年の内務省令四十三号、及び録音使用料を定める著作物の使用料規定が仲介業法に基いておるということ。  それから第二点は仲介業法の適用は、事務所が国内にあろうがあるいは国外にあろうが、それにはかかわらず、日本内において仲介業を営む者にはすべて適用される。この二点が回答の骨子であります。

帆足計日本社会党

○帆足委員 ただいまの文化課長の御回答で満足いたしました。一つ年内に処理していただくことを重ねてお願いいたします。  それから第二に入国管理局長にお尋ねしたいのですが、これは前回の委員会でお尋ねしまして御回答をいただくことになっておりますので、すなわち大村収容所に関することであります。大村収容所の問題は、御承知のように刑務所ではございませんので、国際的な不幸を扱っておる場所でありますから、できるだけ人道、赤十字精神と外交的配慮をもってよき管理が、すなわち合理的にして人情に富んだ管理が行われることを切望する次第でございます。また先般与党の岩本議員とともに現場を視察いたしまして、所員諸君の御苦労のほどもよく了承いたしております。こいねがわくばここは刑務所ではございませんから、人道的精神をもって一つ適切なる御管理をお願いいたします。  つきましては問題が二つ三つございますが、収容三年間を経過せる者並びに老衰者及び病気の者については国内仮釈放をするというふうに現場でも承わり、また局長からも承わっておりましたが、多少国際情勢に遠慮してそれが不安を感ぜしめるようなことがあるようでございますから、一つ人道の問題と政党政略の問題は別個にお考え下さいまして、人道を尊重する国際連合加盟の独立国にふさわしい態度をとっていただきたいと思います。具体的なことは今ここで一々お尋ねいたしませんが、不安を与えることのないように当局の基本的態度を一つ明らかにしておいていただきたいと思います。  それから委員長に御迷惑をかけますから、時間の都合上一括して申し上げますが、第二は収容所内において北鮮行きの人が第一次的に意見を申し出た人と、第二次的に意見を申し出た人の間がむねが別になっておりますが、私はこの問題については、個人の自由意思の決定によるべしという外務大臣のお考えが正しいのであって、また帰国いたします者にときどき意見が変るということも、意思薄弱として責めるべきでなくして、だれしもあのような環境に置かれれば思い悩むであろうという、正常なる心理学をよく理解された態度に出ていただきたいと思います。従いまして、意思表示をいたしまして相当期間たちました者は、一つのむねにおる便宜を与えることが至当であろうと思いますが、当面ただいますぐ困難でありますならば、いろいろ行事がありますようなときには、彼らが懇談会を一緒にしたい、たとえば婦人の別むねの北朝鮮行きの諸君と男子の別むねの諸君が、建国記念日などには一緒に意見の交換、懇談会などをやりたいというのは無理からぬことでありますから、そういう便宜ぐらいはばかっていただきたい。  それから第三に、最近また密入国します者の中に、親を慕ってやってくるとか、妻が夫を慕ってくるというような例がございます。親子の情のため、また夫婦の愛情のためにはドーヴァー海峡すら泳いで渡るといわれているくらいでございますから、玄界灘を渡って苦しい思いをして参りましても、それが夫婦、親子の情に引かされて参りましたならば、昔ならばこれは教育勅語の美談として表彰されるべきことでございまして、今においても人情の尊重すべきことにおいて変りはございませんので、そういうことにおいてはやはり人道に即した適切な理解を持っていただきたい。もしあなたがどこかに避難されておって、妻と子が川を渡り、高い金を出して船底で苦しんで夫をたずねてきたとするならば、抱きかかえてこれを迎えるというのが、私は人情というものであろうと思います。もちろん親戚縁故関係の範囲の定義とか、あるいはまた縁故をたどって、さまざまな理屈をつけて密入国するたぐい等についての取締りはまた別個の問題でありますけれども、真に親子の間、夫婦の間のような場合には、人情ある措置をとることが至当でないかと思います。  この三点につきまして、一つ局長の最終的な御意見を承わりたい。

勝野康助法務事務官(入国管理局長)

○勝野政府委員 ただいまの御質問にお答えいたします。  最初の、大村収容所は刑務所ではないからという御趣旨でございますが、まことにその通りでございまして、実際はあそこは船待ち場でございますが、国際情勢がこういう関係にありますために、勢い非常に長くなっておるということは、同情にたえないところだと思っております。そこで、人道主義に基いてあの収容所を経営するという御趣旨に対しましては、もちろんその方針でわれわれはぜひやっていかなければならないというふうに存じております。それから、一定の年限を越した者あるいは病気の者は出したらどうか、これもわれわれといたしましては、前からそういう方針でやろうということで運営いたしております。ただその時期、方法につきましては、行政面の上から適当な時期を選んで、われわれとしては無理のないように円滑に措置していきたいということを念願いたしております。  それから第二に、初めに北鮮帰国を申し出た者とあとから申し出た者との懇談の機会を与えたらどうかという御趣旨でございますが、これも収容所の管理行政上差しつかえない限りは、そういうことを許したいと思っております。現在はすでに第一棟の中において、二階の方にあとから申し出た者を実は一緒にいたしておるようなわけでありまして、運動も一緒にしておるような状態になっております。  それから第三に親子の関係あるいは夫婦というものは一緒にさせてやったらどうかという御趣旨でございます。この夫婦の関係、親子の関係は、われわれはもちろん尊敬いたさなければならないのでございますが、いろいろな事情がございまして、われわれとしましてはやはり不法入国者であります以上、夫婦別れておられますならば、ほんとうは本国で一緒になっていただきたいのが、われわれの主張でございます。それと同時に、夫婦の関係でございましても外地でどうしても食べていかれない、生活の本拠が全部日本にあるというような場合には、十分に考慮いたします。しかし非常に多いケースは、女の方がこっちに来られる場合に、日本にもすでに何年かの間日本人の関係の内縁の妻があったりするようなケースか非常に多うございます。こういうことは片一方は内縁、片一方は正式の婚姻になっておりますけれども、非常に長い関係かすでに日本で成り立っておるという場合には、引受人としての夫の方も熱意がありませんし、またそういう者が入ってくると家庭生活が乱れるということもありまして、非常に決断に悩む場合が実は多うございます。それから親子の関係につきましても、未成年あるいは小さい子供でありますれば別でありますが、成年者に達して独立の生計を営み、自分の力で働いていける壮年の若者というものにつきましては——やはり本国でりっぱに独立の生計を営むことのできるというものと十二、三の小さな子供というものは、やはり区別して考えなければならないと思うのでありまして、そういう点について個々のケースによって判断しておるような次第でございます。

帆足計日本社会党

○帆足委員 御答弁大体満足でございまして、一年前に比べますと、出入国管理庁のお考えのほども非常に進歩されましたような印象を受けます。おそらくもとからそうであったのであろうと思いますけれども、お心持がだんだんはっきりして参りまして満足でございます。ちょっと最初のところ聞き落したので、恐縮でございますが、三年越しの者が今も十数名おるようですが、もうおもな会議は済みましたから、きょうここで申したことがすぐ新聞に出るわけでもございませんから、ちょっとお答え願いたいのです。これは即時年内に釈放いたすものと私ども了解しております。  それと、別むねにおる北朝鮮行きの婦人と北朝鮮行きの男子が行事をしますときには懇談の機会を与えていただきたい。  それからもう一つは、先ほどの密入国のことにつきまして親戚関係にいろいろ開通がありますことは、私はごもっともであると思います。ただ北朝鮮系の者は今南朝鮮に参りませんから、そこに問題がありまして、南朝鮮系の者でしたら南朝鮮に帰す、北朝鮮系の者でしたら北朝鮮に帰すというなら論理はわかるのですが、北朝鮮には帰さない、そして南には帰れないということに実際上なっておりますから、それにはやはり一つ適切な理解というものが必要だと思います。内縁の妻関係のことにつきましては全く御説の通りでありまして、ここへきてまた大げんかが始まるのでは困りますから、よく実情調査をして適切な解決策を講じることが必要であろうと思います。今の未解決の三点につきまして御答弁を願います。

勝野康助法務事務官(入国管理局長)

○勝野政府委員 三年以上の者につきましては、今大体おっしゃいました方針のようなふうに実は行政面でやっておりますので、それだけの御答弁でごかんべんいただきたいと思います。

帆足計日本社会党

○帆足委員 安心していいわけですね。その方針は動揺しないわけですね。

勝野康助法務事務官(入国管理局長)

○勝野政府委員 少くとも現在はそういう方針で、私の方はそういうように考えております。

帆足計日本社会党

○帆足委員 国会における御答弁は、もう少し率直でなくてはならぬと思います。私の方も礼儀正しく申しておりますから、そのような方針で——ちょっと聞き取れませんでしたね。ですから原則はとにかく曲げないでそのような方針でいこう、こういうふうに了承していいわけですね。

勝野康助法務事務官(入国管理局長)

○勝野政府委員 そうでございます。

帆足計日本社会党

○帆足委員 それから今の懇談会の点はどうでしょう。

勝野康助法務事務官(入国管理局長)

○勝野政府委員 懇談会もまだ婦女子と全然機会を与えておりませんのか、もうすでに与えているのか、私ちょっと今そこのところ……。

帆足計日本社会党

○帆足委員 あなたのお考えのほどを……。

勝野康助法務事務官(入国管理局長)

○勝野政府委員 収容所の管理行政に差しつかえない限りは、それを認めて差しつかえないと思います。

帆足計日本社会党

○帆足委員 今の御答弁でけっこうだと思うのです。それは私もそういう意味なんです。男の子と女の子を別に夜間にどうこうせいというわけではありませんで、収容所の管理上差しつかえない範囲で、同じ北朝鮮に行く者だけは行事をするときにはそのくらいの便宜は与えてもらいたい。何となれば、これは刑務所ではないから。長官の御答弁を了承いたしましたから、一つ現地とそのように御連絡のほどを願います。またその方が円滑に参っていいと思うのです。また、支障がありますれば、私は自民党の岩本君と一緒に現地に参りまして、その後も岩本君と万事これは超党派的に相談いたしておりますから、何か支障かありました場合は、私の方に申し出て下さいますれば、自民党の同僚議員諸君とも相談いたしまして、またごあっせんもいたしますからお含み願います。  それでは、入国管理局長に対する御質問はこれで終りにいたしまして、最後に今年度は海上保安庁長官並びにその担当の諸兄並びに関係官庁の方にお尋ねいたします。  第一は李ラインの問題でございますが、現地を見て参りまして、当面は三十六計逃げるにしかずと私は考えております。あれは国際政局のこじれがきた、水虫のような場所でございますから、あまりいじくって、そして病体を悪化させてもどうもなりませんから、まあトリコマイシンでもつけておいたらどうだ——私はトリコマイシン療法と申しております。ことしはトリコマイシン療法で、三十六計逃げるにしかず。来年はそういうことで参らなければ、サルチルサンくらいはつけた方がよいのではないかと思っております。しかし、これは何ら戦争ではございません。これは、これこそ海上の穏やかな警察的な適切な措置でございます。従いまして、まずお尋ねしたいのですが、監視船が海軍に突っ込んで参りまして、不当なる銃撃を受けることがございまして、私は水兵さんたちの危険を見るに忍びない思いがいたします。従いまして、簡単な鉄板でもところどころにちょっとあれば、さっと身を伏せることができますから、そのことを要求しましたところ、千八百万円くらいかかるということでございましたが、大蔵省も呼び出しておきましたから大蔵省に——大蔵省などというものは銀行員なんかみたいなものですから、呼び出してちょっと命令しておけばいいのですが、御命令になったかどうか。  それからもう一つは無線電信ですね。これは値段は安いものですが、小さな漁船ですと、なかなか買えないのだそうです。地方庁なり中央なりで多少の補助金でも出してやっておく。そうすれば全部備えるであろうからということが参議院でも主張されまして、取り入れられたというふうに伺いましたけれども、どのような結末になっておるのでありますか。  それから第三に、これはちょっと重要なことですけれども、来年サルチルサン療法をいたさなければならぬということも予想するとしますと、やはり船足の足いスマートな監視艇が四、五隻要ると思うのです。私は自衛隊の費用などというものはこれは床の間の飾りのようなもので、実際に戦争したら大へんなんですから……。それから新日本憲法では、海外派兵は禁止してありますし、国の紛争を武力をもって解決することは禁止してありますから、自衛隊をあまり増強することは憲法違反になることはもう通説でございます。ですから、そういうことでなく、海上警察を能率化して適切な敏速な措置をとることが必要であろう。そのために船足の早い監視船を数隻ふやす必要がありはしないかと思います。これは自衛隊の費用を削ってもやるべきことである。ただ自衛隊から借りてひもつきになりますと、憲法上の疑義もありますし、また向うが自衛隊が出るような誤解を起して——われわれは李承晩政権に対しては友情をもって懇切な態度でいくべきであって、平和の民として、いやしくも興奮したり、粗暴な、軽率なふるまいに出たりしてはならないことはもとよりのことでありますけれども、必要な、スマートな保護措置をとることは必要であろうと思いますので監視艇が必要だ。そうすると、二、三億円か三、四億円か知りませんが、長官に伺いたいのですが、多少の予算が要ると思うのです。これくらいのことはきちっとしておいた方がいいと思うのです。でありませんと、二千人も三千人も一時は釜山に抑留されまして、抑留されて帰った漁夫たちの生活を戸叶さんと一緒にたずねてみると、帰って八ヵ月たってなお足腰たたぬという人すらおるくらいのひどい栄養失調です。私はそういうものを見てみすみす知らぬふりをして、海上保安庁の諸君がラウド・スピーカーで逃げろ逃げろ、帰れ帰れというのを見ましたら、私たちは萬感胸に迫る思いがしました。またそういうことがもとになりまして李承晩政権と日本との間に一そう形勢が悪化する。そうしてそれがアジアの平和にも悪影響を及ぼす、そういうことよりも、そういうことにならないうちにスマートに身をかわして、できればトリコマイシンでいくし、できなければ、ちょっとサルチルサンくらいつけて、ひどくならないようにしておく。そのために数隻の監視船が必要であろうから、この予算をとる必要があると思うのです。実は北朝鮮に目標三十万、当面署名いたして参っておりますのが七万人——ふるさとに朝鮮人を帰さねばならぬという問題も来年は起ってくると思うのです。これも別に、北朝鮮に行く人たちが進歩的であるとか、南朝鮮に行くのは李承晩のやっこであるとか、そんなイデオロギーの問題ではないのです。生活の道を求め、自分の祖国を自分で選択することは、朝鮮も参加してきめたところの国際赤十字のニューデリー会議の決議でもありますし、国際連合憲章の趣旨に沿うことであります。政党政略と関係なしに、朝鮮人の帰国問題は当然取り上げられると思うのです。そういうことをきっかけにして、また李承晩ラインの波が騒ぐ。そしてこちらの不注意のために、みすみす李承晩の方の監視船にいたずらをさせる機会を与えるということになってはまことにお気の毒なことになりますから、やはり監視艇はするべきことはし、所定の位置について置く必要はあろうと思いますから、事を複雑にしないために、足の早い監視艇の五、六隻は絶対に必要だ。そういうことに大蔵省がどだい金を惜しんで、あとで生活保護法でござるの、健康保険を適用するにはどうすればよいかとか苦労なさって、また社会保障費も出し惜しむというようなことなら、私は大蔵省は銀行じゃなくて質屋であると先日言ったわけです。質屋に国政をまかしておくわけには参りません。従いまして国会の空気は、海上保安庁の御苦労、現場を見て支持しておりますから、自衛隊でなしに、海上保安庁として一つこれだけの予算はとっていただきたい。それで保安庁の声がまだ不十分というならば、われわれは与党の諸君と相談いたしまして、皆さんの力になって正当なる国策を守るようにいたしますから、一つ今の三点についてお考えのほどをお伺いしたいと思います。

安西正道海上保安庁長官

○安西政府委員 ついせんだって前の島居がやめまして私が後任に参りました。島居長官時代に帆足先生初め当委員会の先生方が九州地方をお回りになりまして、われわれの巡視船に対して御同情ある御理解をいただきましたことは、その後現地にも申しまして、現地の巡視船の一同はほんとうに感激いたしまして、また張り切って業務にいそしんでおりますので、その点厚くお礼を申し上げたいと存じます。  なお、あの際お話がございましたように、当時李承晩ラインにつきましては、何分私の方の巡視船の数が全体的に不足しておりますので、三隻ずつ哨戒するというような計画でおりましたが、御指摘によりまして他の管区から巡視船を派遣いたしまして、現在では常時四隻をもって日本の漁船の保護をやっておるという状況でございます。  なおその際にお話がございまして、ただいま先生から御指摘のありました巡視船の保護装置でございますが、これにつきましては、巡視船の最も重要な部分でございます船橋と無線室を取り巻く鋼鉄板を張りたいという計画を立てまして、十一月の六日に大蔵省に対して合計千七百八十六万円の予備金を要求いたしておりますが、まだ事務的折衝につきましては要求を出したという程度でございまして、目下来年度予算の問題でいろいろ大わらわになっておりますので、事務的にさらに一歩を進めるという段階ではございませんが、この面につきましては今後この数字に基いて大蔵当局と折衝する考えでございます。  それから第二点の漁船の無線施設の問題でございますが、ことに小型漁船につきましては無線施設がない、そのために、向うの警備艇が出て参りましてもなかなか連絡できないで、不幸にしてつかまるという事例が間々ございまして、われわれの方としても、そういう場合におきましては、巡視船を督励して、できるだけ連絡をして、つかまらないように努力はいたしておるわけでありますが、漁船に対する無線施設の問題につきましては水産庁が主管でございますので、水産庁の方にお尋ねいただきたいというようにお願い申し上げたいと存じます。  それから巡視船の増強の問題でございますが、御指摘のございましたように、われわれの巡視船は宗谷を入れまして全体で九十三ばいでございますか、そのうち李承晩ラインにさいております巡視船が十三隻でございます。もう少し巡視船があればもっと十分な保護ができるのじゃないかと考えておりますが巡視船につきましては一ぱい建造いたしますにも一億五千万から二億、三億という数字でございまして、一挙にわれわれの要望するような巡視船を建造することは、なかなか達成できない状況でございますが、来年度につきましては相当足の早い巡視船につきまして相当多額の予算を請求しておるような状況でございます。われわれといたしましても、せっかく努力いたしまして、船足の早い十分な装備を持った巡視船を建造していきたいと考えております。

帆足計日本社会党

○帆足委員 どれくらいの費用がかかりますか。簡単に、結論だけでけっこうです。

安西正道海上保安庁長官

○安西政府委員 二十八億でございます。

帆足計日本社会党

○帆足委員 何隻ですか。

安西正道海上保安庁長官

○安西政府委員 大型巡視船については八隻でございます。

帆足計日本社会党

○帆足委員 今の巡視船の増加のことですが、これは大体多少なりとも実現の見込みがありますか。それとも大蔵省が非常に頑迷で解決つかない状況ですか、ちょっと参考のために交渉の経過を……。

安西正道海上保安庁長官

○安西政府委員 事務的な交渉は進めておるのでございますが、まだ査定を受けておりませんので、大蔵省がどういう考えであるかということについては承わっておりません。ただこの一年、二年、大型巡視船につきましては、三百五十トン型の巡視船を一隻ずつ建造しておるというような状況でございます。一隻作りますにも相当の予算が要りますので、大蔵省とも前々から何か財源措置を講じて、そしてたくさん作ってほしいというような申し入れはいたしておりますし、大蔵省もある程度私の方の事情は了解してくれているように考えております。

帆足計日本社会党

○帆足委員 私は、その点につきましては自衛隊の経費が多過ぎると思うのです。グラマンとかロッキードとか符に立たぬ新撰組のちょんまげのようなものを、われわれの台所まで売り込みにきているのです。そうしてこれは昔の三八式機関銃、小銃をトルコに売ったとかシャムに売ったとかいうことと同じことで、そういうことに経費を使うより、現実に必要なことをスマートに処置し得るように経費を使った方が正しいと思う。従って皆さん方が自信を持って主張して、そうして大蔵省が聞かなければ、現場に行きましたわれわれか、超党派的に大蔵省に一つ言うて聞かせますから御連絡を願います。この委員会におきましても、皆さんにわれわれは報告書を差し出しましたことは御承知の通りです。それで聞かなければ一つ玄界灘の潮風の当るところに連れて参りまして、そこで潮風に当って頭を冷やしていただくようにしたらどうでしょう。従いましてきょうの速記録をお見せ下さいまして緊急な措置をしていただきたい。というのは、私は朝鮮人の引き揚げの方の責任者ですから、そのために漁民の諸君を犠牲にしたくないのです。この措置は必ずしておかなければならぬ。それも絶対に李承晩氏を挑発するようなことはしてはなりません。しかしわが身を守るだけのことは警察行為としていたさねばならぬと思っておりますから、いやしくも長官になられた以上は、腹をきめて交渉していただきたい。また外務委員並びに外務委員会に対して経過を一、二度電話でもけっこうですからわれわれに連絡をしていただきたい。この点については、当時団長格で行かれた自民党の岩本外務委員に私はきょうのことはよく連絡いたしておきますから、さよう御承知おきを願いたいと思います。  それから、時間もありませんので、今の無線電信についての補助のことにつきまして水産庁の御意見と、それから最後に、これは戸叶さんが最も責任を負わねばならない立場ですが、向うの婦人から陳情のありました、収容所に入って帰還後病気中の生活保護の問題です。それと就職あっせんの問題について、もう一段の御努力をしてもらいたい。これはそういう方々の奥さんたちが集まって旅館に見えられて私どもも聞きましたし、戸叶さんにも懇々として頼んだことです。病気が長いので困ってしまった、その病気中の生活保護と就職あっせんについて、中央だけでできなければ地方と協力し合って、また今すぐいろいろな関係上、ワク上できなければ、運用でもって何らかの力になってあげるような措置を講じてあげていただきたい。さっきの無線電信のことと一緒に御答弁願います。

中村正路農林技官(水産庁生産部海洋第二課長)

○中村説明員 まず最初に小型無線のことでございますが、小型無線につきましては、実は来年度の予算で要求しておるわけです。まだ内示があすあたりだと思います。どういうふうになってきますかわかりませんが、私どもの方としましては、極力来年度予算に計上されるように努力したいと思います。  それからなお水産庁の監視船につきましては、十二月に入りましてから——それまで四隻が黄海方面に出ておったのでございますが、二隻と、それから水産庁の沿岸取締り船を一隻あの方面に手配しまして、現在七隻が——これは李ラインばかりではございません、中共方面についても自粛ラインを犯さないような指導もやっておるわけでございますが、三隻ほどふやしております。  それから最後にお尋ねの病気帰還者の問題、それと就職の問題でございますが、就職のあっせんにつきましては、その後さらに私の方で運輸省それから労働省と連絡をとりまして、船員局長並びに職業安定局長名で、それぞれ関係の方へ再度残りの未就職者について極力ごあっせん願いたいという依頼状を出しまして、私の方からもこういうふうに依頼してあるからということを地方庁の水産課並びに関係団体の方に出しておる。それから病気治療中の人でございますが、それにつきましては、地方庁を通じていろいろ照会しておったわけでございます。いろいろ督促しまして、どうやら数字が出そろってあらましの集計が先週の末に済んだところでございます。御参考までにそれをちょっと申し上げますと、今年度に入りまして帰ってきました九百二十二人のうち四百八十五人が何らかの病気で入院または通院したという回答が来ておりますが、これは地方庁を何回も督促して非常にせかしておりますので、若干は落ちたものもあるのではないかと思っております。この四百八十五名のうち、すでに病気がなおった方が三百八十一名、十一月十五日現在でございますが、まだ通院あるいは入院している方が百四人、このうち九十人の方が船員保険に入っておりまして、その方からの傷病手当が入っております。さらに残りの十四人のうち、お二人が生活扶助の適用を受けておる。こういうような回答を受けております。

帆足計日本社会党

○帆足委員 これが最後ですが、それでは今の無線のことは値段は大したことでありませんけれども、これは国策の犠牲ですから、大蔵省が問題にするならば補助金の額を多少減らしてでも通過すれば、それが誘い水になって全部買うし、また漁業組合で無理に買おせるということもそれを機会にできますから、私はぜひともこれをやっていただきたいと思います。それでなおかつ大蔵省が言うことを聞かぬようならこれも一つ玄界灘に一ぺん連れていっていいと思います。と申しますのは、アメリカの極東軍の司令部の方で、対韓国対策を水虫のようにいつもしめらさしておいた方がいい、極東はしめらさしておくという戦略かあるそうです。しめらさせられたんでは、それをもって再軍備のあれにしようとか、安保条約を有利にしようとかいう戦略をやっているということもわれわれ論文で読んでおりますから、しめらされては困りますから、やはり乾燥さしていただきたい。従いまして、問題はすべて合理的に筋道の通るようにしておく必要がある。必要以上に李承晩を憎む必要もありません。しかしなすべきことはまたなしておく、これが平和のための態度で、常に明朗であることが必要である。従ってなすべきことはせねばならぬから、やはり小型無線機は、きちっと備えるものは備えておく。国際的紛争はできるだけ少い方がいい。そのうちにやがて月世界に人工衛星でも着くようになれば、人類は戦争の夢からさめる日も来るでしょうから、数年のしんぼうでございますから、事を複雑にしないで、そのためにぜひとも、これが困難でしたら外務委員会の方に報告していただきたい。  それから今の病気中の問題については、戸叶さんから関連質問があると思いますが、重ねて通牒を発して、できるだけの世話をしていただきたいと思います。ありがとうございました。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 関連いたしまして一言伺いたいと思いますが、私ども九州に参りまして、そのとき李承晩ラインをめぐっての問題については、すでに海上保安庁につきましても、帆足委員からいろいろお聞きになりましたので私は省きますが、ただ一つ水産庁の方にお伺いをいたしたいのは、今帆足委員もお触れになりました病気中の人の生活保護の問題ですが、これは帆足委員も指摘されましたように、どうぞもう少し徹底的に親切にやっていただきたいということが一つでございます。  それからもう一つは、私、帰りまして当時問題にしたのですが、留守家族が自分の夫なりあるいは兄弟なり、捕われた人に慰問品を送るときのことでございますけれども、慰問品を送るために大蔵省から補助がありますけれども、それが送料に非常にたくさんの金額をとられてしまって、十分いいものが送れないということを現地で非常に嘆かれておったわけでございます。さらにまた親戚などで二個、三個一月に送りたいといっても、それは日本の方の官庁で受け付けないというふうなことが問題にされまして、その点も私はいろいろお聞きしたのでございますけれども、当時日赤の方がおいでになりまして、それは非公式の懇談会だったと思いますが、日赤でまとめて送るようねことも考えていいというようなお話がございましたけれども、その後そういうふうなお話し合いはなさいましたかどうかということと、さらに二個なり三個なり送ってもいいというような方法はお考えになっていらっしゃるかどうかという二点をお伺いしたいと思います。

中村正路農林技官(水産庁生産部海洋第二課長)

○中村説明員 差し入れ品のことでございますが、差し入れ品につきまして、あれが向うに行ってから実際は金にかわって、それで生命をつないでおるというような実態でございますので、できるだけたくさん送れるようにしたい、私たちはそう考えておりますが、実は韓国の方では一ヵ月の必要以上のものは没収するというようなことで、たとえば味の素のようなものは百グラム入りですか、一カン以上はいけないというような制限をつけておるわけでございます。せっかく送りましても、御本人のところに届かないで没収されてしまう。のみならず、場合によってはそういうことのためにしばらく差し入れ品が渡されるのがストップする、過去にもそういうことがあったようでございますが、そういうことがありますので、私どもの方としましては、何らかの方法で韓国側のその制限を緩和してもらってからでないと、ただ差し入れ品をふやしても意味がないのじゃないか、こういうふうに考えておるようなわけであります。それから送料のことも航空便で送っておりますので相当かかっておるわけでございますが、これをまとめて日赤等を通じて送るという話は、実はだいぶ以前にそういう話がありまして、それでこういうことについて韓国側に運んでいきたいがどうかという話を外務省を通じてお願いしたわけでございますが、韓国の方で、自分の方では給与は十分なんだ、そういう必要はないのだということで、向うに受け入れられないで今日まできているというような実情でございます。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 韓国側が言うのはそうかもしれませんけれども、実際に抑留されて帰ってきた人のお話を聞きますと、ほんとうにひどい生活をしているわけで、ようやく内地からの慰問品を売ることによって、あるいは慰問に入ってきたものによって辛うじて自分たちの健康を保っているというような話を聞くわけでございます。そこで韓国が何と言おうとも、何らかの形で、留守家族の身になってみれば、もう少し送ってやりたいという気持でしょうし、健康保持という点からもそれは当然必要だと思うのです。ですからそういう点は正式に、外務省なり何なりで交渉の中で取り上げてもらうとか、あるいは水産庁で一ぺん韓国のこちらの出先機関に行くとか、あるいはそれができなければ外務委員会の私どもと一緒にそういうことの陳情に行くとか、それはぜひやるべきだというふうなことを言わせに行くとか、そういうふうな積極的な、一歩前進的なお考えになってぜひ実現していただきたいと思うのでございますけれどもいかがでしょうか。

中村正路農林技官(水産庁生産部海洋第二課長)

○中村説明員 外務省とも連絡をとりまして、できるだけやってみたいと思います。

戸叶里子日本社会党

○戸叶委員 ぜひそうしていただきたいと思います。

櫻内義雄自由民主党

○櫻内委員長 本日はこれで散会いたします。     午後一時五十一分散会

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