科学技術振興対策特別委員会 第6号
- 発言数
- 88 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1959/03/04
会議録
○小金委員長 これより会議を開きます。 科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。本日は、この前決定してありましたコールダーホール改良型原子力発電施設の導入等に関する問題について、参考人より意見を聴取することといたします。御出席の参考人は日本原子力発電株式会社副社長一本松たまき君、東京大学教授藤本陽一君、以上の御両人であります。 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。本日は御多川中のところ、本委員会の調査のためにわざわざ御出席を賜わりまして、まことにありがたく厚くお礼を申し上げます。 先般、日本原子力発電株式会社はコールダーホール改良型発電用原子炉の発注先をイギリスのGECに内定されたことを聞き及んでおるのでありますが、その経済性及び安全性等について、参考人各位の忌憚のない御意見を承わりたいと存じます。なお、御意見の開陳は、おおむね十五分程度として、あとは委員諸君の質疑によりお答えを願いたいと存じます。 まず、一本松参考人より御発言を願います。
○一本松参考人 ただいま御紹介いただきました一本松でございます。 昨年の三月十八日の当委員会におきまして御報告を申し上げまして以来、最近に至りまして、委員長のお話にありましたように、コールダーホール型の発注先を一社にしぼりまして交渉する段階に参りました。GEC、サイモンカーブスというグルーブでありますが、まだこれは決定ではございませんのですが、一社を選んで交渉する段階に入りましたので、この間の事情をかいつまんで申し上げたいと存じます。 原子力発電所につきましては、御承知のように、安全性というような非常に重大な問題がありますので、当初の、昨年以来の大部分はそちらの問題に費されたのでありまして、昨年の四月、五月ごろから、敷地として東海村を候補地といたしたいということにいたしまして、その候補地についてのあらゆる調査を進める、そういうことをいたしました。 第一の問題は気象でございますが、気象につきましては、原子力気象調査会にお願いいたしまして、十分の精密な調査を長期間にわたって実施していただくことになっております。現在も進行中でございます。この委員会は、気象庁の和達長官を最高顧問として御指導願いまして、気象庁の観測部長川畑さんに委員長をやっていただいておるわけでございますが、今日まで進めましたところでは、東海村に特別の気象上懸念すべきところはないように思われております。 次の問題は、現地の状態でありますが、ボーリング等を精細にいたしました結果、当初予期いたしました程度の成績を上げることができておりまして、この点につきましても、大体満足すべきものであるように考えております。 次には海洋の調査でありますが、これも東京大学所属の本間先生にお願いしまして、海流あるいは海底の状況等につきまして綿密な調査をいたしました。それから、同時に、地震に対しましての対策は最も重要でありますので、原子力地震対策委員会というものを作りまして、東大の武藤先生に委員長になっていただきまして、構造学あるいは土木学等、あらゆる権威者を網羅しまして、今原子炉の耐震問題を検討いたしております。今日までのところでは十分安全が期し得るという結論に参っておりますけれども、なお、一社きまりましたならば、その会社の炉につきまして、最近作りました大きな震動実験台がございますので、その実験台において実際的にも確かめて最終的な設計を終る、そういうことにいたすことにいたしたわけであります。六月に、おかげで日米原子力協定ができまして、一応態勢も整いました。いよいよ七月三十一日に当初予定いたしました英国の三つの会社から見積書並びに技術に関するきわめて詳細な資料が提出されました。自来、今日まで数カ月にわたりましてこの技術的検討に主力を注いだわけであります。この間、英国の炉につきましてのいろいろな問題がございました。たとえば、正の係数、あるいはウインズケールの事故のための対策、いろいろな議論がかわされたのでありますけれども、われわれとしましては、それらの点につきまして十分の検討をいたしまして、いろいろな御批判に対してもお答えもし、それを裏づける資料につきましても十分のものを整えておるつもりでございます。九月に御承知のジュネーヴ会議がございまして、この間、英国の炉に対しまして一部の即断といいますか、あるいはまた誤解等がございまして、非常に英国炉の導入に対しての批判の声が高まったのでありますが、これには、われわれの見解を逐次発表し、また英国からも詳細な、正確な報道がなされて、そういう問題も一応片づいて参ったと思っております。十一月になりましてサー・ジョン・コッククロフト氏が見えまして、いろいろな問題に対しましての権威者の見解を発表されましたことは御記憶に新たなことだと存じます。その間、会社といたしましては、さき申しました見積仕様書の技術的部分に対しまして綿密な調査をいたしたのでありますが、われわれの調査だけでは不十分でありますので、先方の技術者と十分意見の交換をする必要がある、疑問の点はあくまでも明らかにしなくちゃならぬ、そういうことで、三つの会社から、多きは十六人、少いのでも九人の専門家が参りまして、われわれの技術陣とそれぞれ一週間ないし二週間の非常なディスカッションを続けまして、それから、それだけで足りませんで、まだその後も逐次問題についての専門家の来朝をお願いしまして検討を進めたわけであります。かようにいたしまして、大体十二月ごろにほぼ技術的な問題につきましての検討を終ったわけでございますが、その結果残りましたのは、一、二の技術上のなお重大な問題を確かめる必要がある、そういう状態で、いよいよ経済性の問題とあわせて総合的な最終結論を出すという段階になって参りまして、本年に入りまして一月十六日にプライス・リスト、値段を書いてあるものを初めて開いたわけであります。従来、値段表を開くというのは一番初めにやることでありますけれども、この原子力の問題につきましては安全の問題が非常に重要でありますので、この問題が解決しなければ値段表を開くにも及ばぬというくらいな考え方で、あくまでもこの技術的安全性の問題に重点を置いた調べ方をいたしたわけであります。それで、一月から、さっき申しました技術上の多少の問題と経済的な問題とをあわせて検討いたしまして、二月の中ごろになりまして、いよいよ会社としましては大体最終的な結論に到達したのであります。 その結論を簡単に申しますと、技術的な問題につきましては、三社にそれぞれの特徴もあり、考え方もいろいろできるのでありますが、この会社はどうも技術的にだめだというような会社はありません。大体大同小異というような程度でありまして、しかも、安全の問題につきましては、各社について十分の信頼が置けるという結論になりました。それで、あとは値段の問題で決定するということになりまして、一番値段の安かった、経済的にも最もよいGECサイモンカーブスの組に一応内定といいますか、この一社にしぼりまして今後の交渉を進めていく、こういうことを考えました。二月二十三日に顧問会——これは学界とか産業界等の技術のエキスパートにお願いいたしまして、われわれの仕事をいつも御相談をしておったのであります。その顧問会にも諮りまして、最終的に御同意を得まして、会社としてもいよいよ最終結論をGECグループにして交渉するという段階をきめて、二月二十四日に新聞発表をいたしました。これは御承知のように、一社を選んで交渉をする段階にきた、その一社はGECグループである、しかし、これはまだ一社にしぼったという段階で、これが決定ではないということを申し上げまして、会社の態度をはっきりさせたわけであります。今日は、なおGECグループと引き続いて——技術的な問題も経済的な問題も若干残っておるわけでありますが、そういう点をこまかく今討議中でございます。今後の見通しは万事順調にいきますならば、三月中くらいにレター・オブ・インデントを書きたいという気持を持っております。それから、米英との技術協定も大体そのころにできるのではないかと考えております。それから、金融につきましても一応の目安を得たい、それで監督官庁の御認可を得まして申請するという段階に入りまして、その第一着手として、原子炉の安全審査部会に資料を提出して安全審査をお願いするという段階に入りたい、かように考えております。御認可を得ましたならば現地の仕事に直接かかりまして、建設期間約四年あまりになると思いますが、昭和三十八年の後半に完成したいというような気持でおります。しかし、将来のことはまだ単な見通しにすぎません。これから、なおそういうことについて御指導をお願いいたしたいと思います。 一応の御説明を終らしていただきます。
○小金委員長 次に、藤本参考人に御発言を願います。
○藤本参考人 私藤本でございます。 きょうは、原子力に関係のあります学者の間で一番議論になっている問題の二、三をお話して、皆様の御参考に供したいと思います。 原子力発電炉は、東海村などに置かれている研究炉と非常に規模が違うということを、まず皆さんに知っていただきたいと思います。たとえば、研究炉でありますと、非常に実用的になった、安全な炉がたくさんございまして、世界じゅうでほとんど事故を起さないで動いている炉をわれわれたくさん知っておりますが、原子力発電炉となりますと、非常に話が違います。私は、原子力発電炉が果して今実用の段階にあるか、あるいは研究の段階にあるか、そのお話をしたいと思います。このために、原子力発電というものの特殊性について、二つの点をあげたいと思います。 第一の点は、原子力開発というのが、原子力兵器、つまり原爆の問題とからんでここまで発達したということであります。そのことは、たとえば、コールダーホール及びコールダーホール改良型炉がどういうものであるかということは、あとで御説明いたしますが、その問題でも、やはり原子力発電と原子爆弾との関係というものを皆さんに十分考えていただきたいと思います。 第二の問題は、原子力発電炉は非常に多量の放射能を扱う装置であるということであります。研究炉も多量の放射能を扱いますが、発電炉は、それと比較にならないほど多量の放射能を扱います。もし、万一その放射能が外に漏れますならば、つまり発電炉が事故を起したならばどういうことになるかということをお考え願いたいわけであります。つまり安全性の問題であります。原子力発電炉はもちろん原爆のように爆発する性質のものでは本質的にないのでありますが、たとえば、中から放射能が漏れ出しますと、中にある放射能は非常に多量であります。しかも、漏れ出したものの汚染をあとから取り去るという作業は非常に困難をきわめますので、原子力発電所の近くの汚染というのは、未来永劫に残るということであります。しかも、その汚染による人間に対する被害というものは決して目に見えませんし、それは直接、すぐに身体の上の障害として現われませんが、子々孫々にわたってその結果が響いてくるということを皆さんに考えていただきたい。従って、原子力発電炉の場合にはまず原爆と結びついて発展したものであるということ、それからもう一つは、もしも災害が起ったならば、それが取り返しのつかないくらい大きな災害になり得るという、その二つの問題をお考えになった上で、実用段階か研究段階かという判断を下す必要があるだろうと思います。コールダーホール改良型の炉が、それでは果して実用段階か研究段階かということを議論する場合に、幾つかの点があるわけでありますが、今日はあまり時間もございませんので、二つだけお話しようと思います。 第一の問題はコールダーホール改良型の炉でできましたプルトニウムの問題でございます。コールダーホール改良型というのは、現在コールダーホールで行われている炉のもちろん改良型でありますが、その二つの炉の間には本質的な差があります。どういう差かと申しますと、イギリスのコールダーホール炉は専門的な言葉でいいますと、バーン・アップ、つまり、ウラニウムの燃やし方を割合少く食いとめて、それでプルトニウムの生産をしております。ウラニウムの燃やし方を少くしてプルトニウムを生産しますと、このプルトニウムは軍事用に使いまして、従って、高い値段で軍隊が買ってくれるのだろうと思います。それから改良型の方は、伺いますと、そういう運転方針ではなくして、炉の燃やし方をうんと進めて、つまりウラニウムのバーン・アップをできるだけ長くする、そういう方針のようであります。そうしますと、どういうことになるかというと、そのプルトニウムは、軍事用にはもちろん手を加えなければ使えないようなものになります。そのプルトニウムがわれわれにどういうことを意味するのかということは非常にはっきりしておりません。現在、プルトニウムを平和目的に使うにはどうしたらいいかということは、大へんむずかしい問題であります。それについてはきまった結論がなかなか出ておらないと私は思っております。 それから第二番目は、コールダーホールの安全性であります。安全性というのは、これは学術会議などの見解をごらんになるとおわかりと思いますが、安全性に関しては、われわれは二つの要素を考えます。一つの要素は、炉自身が、その炉の構造上からいって、内在的に安全かどうかという問題、それからもう一つは、炉自身が安全であっても、それが果して安全に運転できるか、つまり、たとえて申しますならば、自動車は安全なように運転手が運転すれば何も事故は起さないのでありますが、たとえば、道が悪かったり、あるいは神風タクシーのごときことをすると事故が起る。そういうわけで、炉自身が果して安全なものかどうかという問題と、それから回りの環境、それからそれを運転する人間、そういうものが果して安全運転に沿っているかどうか、その二つの問題があります。 まず第一の、炉自身が安全かどうかという問題ですが、それについて一番問題になるのは、コールダーホールがプラスの温度係数を持っておることであると思います。今までにプラスの温度係数を持っておる大型の炉は、大へん数が少いのであります。プラスの温度係数というのはどういうことかと申しますと、炉が、あるはずみで燃え出しますと、その燃え方がどんどんひどくなるということであります。従って、内在的な安全性はない、そういうふうに判断しなければならないのじゃないかと思います。そこで、運転によって安全を保障する、そういう方針をとらざるを得ない。だから、コールダーホールの場合にはバーン・アップを進めますと温度係数がプラスになりますので、運転によって安全を保たなければならない、それが非常にむずかしい問題だろうと思います。それから、もう一つ言えますことは、イギリスのコールダーホール炉は、バーン・アップを進めませんので温度係数は著しくプラスにはなりません。しかし、日本で導入を考えられております炉はバーン・アップを進めるので、温度係数はプラスになるわけであります。ところが、そういうバーン・アップを進めた炉が果してどういう動作をするか、そういうことについては、まだ世界じゅうのどこでも全然経験がないわけであります。紙の上では、コールダーホール炉は三千メガワット燃やしたときにどういう動作をするであろうということを想像することはできますが、果して実際にそうなるかどうかということは、まだ経験がないわけであります。 最後に申したいのは、環境の問題であります。たとえば、アメリカの例を引用いたしますならば、人為的な理由で起る事故というものをできるだけ少くするために、アメリカでは、原子炉の設置には非常な慎重さをもって臨んでおります。たとえば、人口稠密のところには大型炉は絶対置かないというような慎重さを持っております。私たちも、それくらいの慎重さは持ちたいと思います。 それから、また、炉の運転をする人の運転経験についても、同じような慎重さが必要であろうと思います。日本の原子炉の技術の浅さを考えますと、果して炉のいい運転手が得られるかどうかということ自身も、今のところは非常に危ないのではないかと思います。 結論を申しますと、私は、コールダーホール炉は将来非常に希望の持てる発電炉のある型である、そう思います。しかし、それはあくまでも可能性にとどまっておりまして、だれもまだそれで発電したことはありませんし、それは非常に有望な炉ではありましょうけれども、研究段階であります。ですから、それを実用段階としてお買いになるか、あるいはそれを将来の発電に備える研究のためにお買いになるか、その点が非常な考え方の分れ道であろうと思います。私は、この際、実用ということよりも、むしろ、研究段階であるということを考えまして、研究炉として最適なものは何かというふうに考えていただきたいと思います。そうすると、現在のコールダーホール改良炉というのが、将来の発電炉につながる研究炉として果して有効なものであるかどうかということは、また別の議論になるだろうと私は考えております。
○小金委員長 以上をもってお二人の参考人の御意見発表は一応終りました。 引き続いて質疑を行います。質疑は通告順によってこれを許します。岡良一君。
○岡委員 コールダーホール改良型も、いよいよ相手国の会社との間に仮契約が行われようというような段階になりまして、こうして二度、三度、この炉の問題で関係の皆さんの御意見を拝聴いたしておるのでありますが、ただいまの御意見に関連いたしまして、若干お尋ねをいたしたいと思います。 昨年、原子力発電所の、特にコールダーホール改良型の敷地は東海村におきめになったのかどうかということを、たしか安川さんに私お尋ねをいたしましたときに、「気象その他の条件を調査した上で決定をしたい」、こうお答えになったと思われます。重ねて、私は「それではもしそれらの諸条件がコールダーホール型を置くのにふさわしくないということならば、敷地の変更もされますか」と、お尋ねをいたしましたところが、「そういたします」、そういうお返事であったわけでございます。それから約一カ年足らずの月日がたっておりますが、ただいまの一本松さんの御報告によると、気象調査の結果は、まだ明確に結論が出ておらない。炉の安全性が、まずその敷地をいずこに決定するかというこつとにあることは、御両所とも御指摘になっておられるところであります。昨年八月から、特にこの気象調査については綿密な御調査があったはずでございますが、この結論はまだ出ておらないのでございますか。
○一本松参考人 ただいまの岡先生のお話の土地の問題でございますが、土地は先ほども申し上げましたように、候補地として東海村をきめまして、今調査を進めております。そういたしませんと、この認可申請もできませんし、最終決定は、いずれも認可を得て決定すべき性質のものと考えております。そういう意味で、まず候補地として決定しておるという段階でありまして、これに関する調査をあらゆる面から進めております。 気象調査のことにつきまして、結論はまだか、こういうお話でありますが、大体半年あまりやりましたのですが、気象というものは一年を通じてやりませんと、最終的な結論にはならないということがありますので、われわれとしては続けてこれをやっております。しかし、今日まで出ましたいろいろな調査の結果を総合して考えますと、われわれが予期したよりはむしろ好適な土地である、そういうふうに伺っております。しかし、まだ最終結論というわけじゃございません。今度の気象調査会というものも、気象庁初め大学の先生等が集まりまして、相当基礎的なところまでも入って調査をしておられますので、時間もかかっております。しかし、それだけに、また精密なものであり、十分信頼のできる結果を出していただけるものと考えております。
○岡委員 JRR一号炉を置きますときにも、東海村の気象の問題、特に逆転層の存在の問題などは相当物議の対象になったわけでございますが、これとは比較にならない大規模な原子炉が置かれることでございますので、私どもも、この気象調査というものには大きな関心がございます。そこで、今おっしゃった権威ある機構によって、さらに基礎的に掘り下げた気象調査が行われているということであれば、ぜひこれは委員長をわずらわしまして、私どもは、この気象調査の中間の報告でも一ついただかねばならないと存じます。 それで、重ねてお尋ねをいたしますが、もし気象調査の結果といたしまして、ここが大型炉を設置するに不適だということになれば、もちろんここにコールダーホール改良型を置くという申請もかなわないことにもなるわけでございます。従って、気象調査の結果がわかるまでは、この設置の申請もなさらない、こういうことになっておるのでございますか。
○一本松参考人 これは気象だけには限りませんが、あらゆる問題につきまして、どうしても東海村ではいけないという結論が出れば、これはわれわれとしても、この東海村を改めるということは、安川社長がこの前も言明されましたし、私たちもさように考えております。しかし、今の気象の問題につきましてわれわれが考えており、また、考えますところでは、さようなことなしにいけるという見通しは持っております。その点、気象の問題につきましては、コールダーホールの炉につきましては、あそこに煙突みたいなものがありまして、そこから出るところのアルゴン四一という量が問題になるわけであります。これは、現在のところでも放射能の許容量に比較いたしまして非常にわずかなもの、実際的には百分の一程度のところをねらってやっておりますので、問題のところはないと考えておりますけれども、この問題は技術的に申しますと、まだアルゴン四一の量を減らす方法も可能なわけでありまして、気象の状況によって、これが致命的な欠陥になるとは考えておりません。
○岡委員 私がお尋ねいたしておるのは、気象調査の結果が、アルゴン四一等に関して許容量以下であるということが、やはり見通しとして、希望的な観測としてではなく、科学的に実証されるということが許可を申請される当然な条件ではないかと考えられますので、これの結果を待って設置の許可申請をなさるのでありますか、この点をお尋ねしておるのであります。
○一本松参考人 ものの調査というものは、やはり万全を期さなくちゃならぬことはもちろんでございますけれども、すべてのことを、みんな実際でやらなくちゃわからぬということになりますと、一年分でも不足だ。非常に台風のひどいときとか、気象の異変のあるときとかいうようなことを考えますと、何年でも調査をしなくちゃならぬということにもなるかと思うのでありますが、そういうふうなことでなしに、われわれは科学的な常識の許す範囲内におきまして、気象庁の専門家の方々に御相談しまして、これで大体間違いなかろうということであれば、私たちは、それをやっていいんじゃないかと考えております。従いまして、気象の調査が一年かかるから、一年後でなければ申請をしないということじゃなしに、ある程度の見通しを得て——単に希望的な観測とかそういうことじゃなしに、実際の理論的にも、実験的にも十分安全のサイドに考えられる、そういうものが十分首肯し得るという状態であるならば、これは許されることではないかと考えております。
○岡委員 ただ、私ども仄聞する資料によりますと、アルゴン四一に関連いたしましても、いまだ許容量以下であるという数字の結論が出ておらないように聞いておるのです。しかも、この許容量は古い許容量であって、最近はその許容量も三分の一以下に切り下げられておるというふうなことも考え合せますと、特に国際的にも放射線の許容量はもう年々引き下げられておるという状況から見ましても、この問題はやはり慎重の上にも慎重を期していくというつもりで実はやっていくべきである。これがだんだん大ざっぱに、大丈夫であろうというような非科学的な結論では、ものがものでございますだけに、やはり会社としても、この点慎重を期さなければいかぬと思っておるのでございます。委員長にぜひ一つお願いしたいが、いずれこの調査の中間的な報告は私どもに公開をしてほしい。これは重要な問題でございますので、ぜひお願いしたい。 その次にはこれも、まあ前々から問題になっておる点ですが、最近英国のメーカーとの間の話し合いで、大体安心ができる、今もそういう御報告がございまして、この一月十三日でしたか、耐震公開実験というものが行われたということも聞いておるのでございます。今の御報告には、大規模な耐震実験装置ができておるということでございますが、この規模は一体どれくらいでございますか。実物の原子炉に対してどの程度の規模で耐震実験をされておるのでございますか。
○一本松参考人 お答えいたします。耐震実験につきましては、建築研究所にお願いいたしまして、従来あります規模の実験をいたしておりました。その実験の規模は、一トンあるいはニトン程度のものをやっておりまして、それ以上のものは現在の実験台ではできなかったわけでございます。しかし、今度のコールダーホールの炉につきましては、原子炉内部にあります黒鉛の積み重ね、そういうものに対しましては十分な試験をする必要がありますので、これを思い切って大規模のものにいたしまして、震動台を新しく作りましたり、この規模は四十トンまでいけるものであります。現在はその半分くらいなもので実験をやっておりますが、これほど大きな実験台は世界にもございません。炉内部の黒鉛の積み重ねの大きさは、大体実物の三分の一程度のものでやっております。このくらいなところまでやりますと、専門家の地震の先生のおっしゃるところによりますと、大体満足すべきものじゃないかというふうに言われております。
○岡委員 実物そっくりの実物大でやらなければならないなどということを申し上げるのは私どももそれは無理だと思いますが、今のところ実験台の大きさは、大体平面で三分の一、高さで十五分の一程度の規模になっておるようでございます。そこで藤本先生にお尋ねいたしますが、特に応力の分布とか不均衡の問題とか、いろいろ地震と関連する問題が起ってくるわけで、この程度の規模のもの——平面で三分の一、高さで十五分の一程度の規模のもので耐震実験を行なって得られた数字というもの、これから実物が安全であるという、いわば相似率が出てくるのかどうか、学問的にそういう根拠があるのかどうか、この点について先生の御所見を聞かしていただきたいと思います。
○藤本参考人 私は、コールダーホールの耐震性の実験の中間報告というのを見せていただきましたが、それによってコールダーホールの炉に対する耐震性がどれくらい実験されているのかというのを知って、それのデータで判断しております。私が考えますところでは現在なされている黒鉛を積み上げた実験が、コールダーホール炉自身とどういうふうに関連を持っておるか、その点が一向に明確になっていない。ことにコールダーホール炉の構造、たとえば、燃料棒はどうなるとか、あるいはパイプがどうなるとか、あるいは循還装置がどうなるとか、そういうことが明らかにならないと、今やってらっしゃる実験とコールダーホール炉の耐震性との間のつながりが出ないのではないかと私は思います。そういう意味で、コールダーホール炉の構造自身を皆さんの学会で発表なすって、その上で議論していただかないと、実験そのものは確かにその通りの答えが出るのでしょうが、それが果してコールダーホール炉のどことどうつながるのか、私には判断のしょうがないと申し上げるほかないのであります。
○岡委員 とにかく、地震が、統計で見ると、過去六十年ほどの間に東海村で百数回起っておるわけでございますが、もちろん、そう強度の地震もありませんし、それから、耐震実験の成果として報告されておるものを見れば、相当大規模の地震でも大丈夫だというようなことを聞かされてはおりまするけれども、しかし、これについても、やはりそれぞれの専門家の意見を聞きますると、いろいろな批判が実はあるわけでございます。何しろ国の予算資金も直接、間接につぎ込まれ、原子力委員会なり総理大臣がその設置の許可をするということになり、また、万一不幸にして事故でもあった場合は、国会としても、そういう事情から国民に大きな責任を持つわけでございますので、この耐震構造というものが、やはり大きく、広く、専門の方なり、われわれなりが納得のできるように、ぜひその機会を作っていただくように、これも一つぜひ委員長の方で御配慮願いたいと思うのであります。 それから、昨年でございましたか、原研の方ヘコールダーホールの改良型について調査を御依頼になって、若干の予算をさいてやっておりますが、あれはどういう調査でございましたか。
○一本松参考人 原子力研究所とはいろいろな問題で密接に関連しておるのでございます。昨年お願いしましたのは、予算の点もありますので、特にお願いしたわけでありますが、これは、主として原子炉の核的特性の計算等を検討していただく、それは原子力発電の方からも協力をいたしますが、主として原研において独自の立場に立って、いろいろわれわれの出しました数字等につきまして計算をして得た結果を出していただいて照合しまして、間違いのないということを期したい、そういう実験でございまして、今日まで非常にいい結果を出していただいておりまして、結果は非常によく、われわれの考えておりますところと一致するような数字と報告とが参っております。 それから、ちょっと先ほどの地震の問題で言い落しましたのですが、規模は四十トンという規模でございまして、その震動は大体〇・七gというのが感じるものです。〇・七gと申しますと、関東大震災のときが、山手で〇・一gというふうにいわれておるのでありますから、相当の、有史以来ないような地震の実験で、左右の震動及び上下動を加味したものは〇・六まで行けると思っております。これは機械の方の性能としましては、二gくらいまでいけるような、非常に強力な震動実験台でございます。
○岡委員 それから、先ほど藤本先生もおっしゃったプラスの温度係数の問題でございまして、どうも、私はやはりこれにこだわっておるのでございます。大体GECでございますが、このプラスの温度係数は自動的な、あるいは人為的なコントロールの操作によってその暴走を避け得る、そういう減速装置と制御装置が十分できて安心できる、こういうことでございますか。
○一本松参考人 正の温度係数の問題は昨年来非常な問題になりまして、われわれとしましても、それに非常な主力を向けまして研究をいたしたわけであります。もちろん、われわれとしてやり得る範囲は、実際の原子炉を持っておらないということから、理論的にわたる点が多いのではありますけれども、しかし、われわれはわれわれなりに、あらゆる計算もできますし、また、それもやって参りました。それから、提出されました実際の原子炉の設計につきまして詳細な検討をいたしました結果では、この正の係数の問題があるということは、これはもうはっきりしたことでありますが、これは実際的にコントロールし得るということにも十分の確信を持つということになりました。これは一つの装置では、その装置が故障を起すというようなこともありますけれども、非常に変ったシステムの、違った系統の安全装置が数段にわたってあるわけでありまして、われわれが現在科学的に考えられる最高の安全度のところまで持ってきておるというふうに考えております。GECの機械につきまして、その装置が十分であるかということでございますが、これは、もちろん一番詳細に調べたところでありまして、これだけのものは備えられておりまして、最終段階におけるエマージェンシー・シャットダウンというものにつきましても、十分信頼し得るものができると考えております。
○岡委員 これは藤本先生の御所見も解わりたいのですが、先ほど先生もおっしゃっておられる。私ども、専門の頭もありませんが、最近のジュネーヴ論文なども若干拾い読みをいたしてみますると、このプラスの温度係数というものについては、特にアメリカの方面では非常に手きびしい批判があることは、一本松さんも御存じの通りであります。中でもC・ロジャース・マッカロー、これはアメリカの原子力委員会に所属している人で、原子炉の安全諮問委員会のメンバーでございますが、この人の所説なんかを見ると、負の温度係数が、この原子炉の安定のための、いわば固有の安定性であるということを強くうたっておる。これは一九五七年の三月に上下両院合同原子力委員会の要請によってAECが出しましたあの報告の中でもはっきりうたわれておる。固有の安定性は負の温度係数である。さらに、この原則を敷衍して、たとえば、マッカロー氏はジュネーヴ論文で、「原子炉の安全性に関して行い得る最善のものは、原子炉及び補助的設備を先天的に安定なように設計すること、言いかえれば、原子炉の正規の運転状態が乱された場合に、制御棒の介入なしに、先天的な安定性によって正規の運転状態に復帰するように設計することであるということは幾ら強調しても過言ではない」と、論文で申しております。さらに引き続いて、「大きな負の温度係数あるいは出力係数を持つ原子炉は運転状態でもそのような性質を備えておる」、そしてまた、彼は非常にこの負の温度係数というものに執着しておりまして、「原子炉が負の温度係数を持つべきだということはあまりにも当然すぎることで、今さらあらためて言い出すには全く陳腐なことになっておる」、こうジュネーヴ論文の中で言っておるわけです。私どもは、せっかくの原子力発電に万一のことがあってはという懸念から、やはりこういう発言には、むとんちゃくではおれないわけです。ここに述べられておる趣旨は、言いかえれば、正の温度係数である。そのために起り得る事故の可能性を予想して、それに対する、いわば予防的ないろいろな装置をつけるなどということは、原子炉の設置の方針としては、言ってみれば邪道だ、まず負の温度係数という原子炉の固有の安定性というものが大前提だということを言っておるわけであります。このような所説が、しかもジュネーヴ会議で堂々と発表されておるということに相なりますると、経験のない日本の国が、なおかつ売り手と買手の関係において示される数字を、経験のない日本の学者が解析をして、そして、それでもってやっていくというような行き方、そのことが、私とすれば、やはり原子炉の固有の安定性というものの立場から見ると軽率な態度ではないか、こう考えられるわけですが、この点、藤本先生、一本松先生の御両者から御所見を承わりたい。
○藤本参考人 私のその点に関する意見を参考までに申させていただきたいと思います。 まず、一番最初に十分お考えおき願いたいことは絶対安全な、すなわち、暴走を絶対しない原子炉は今のところ世の中にないということであります。それは将来技術が進みますと、どういうことをしても絶対に暴走しないという原子炉を作ることができるかもしれませんが、今は絶対安全なすなわちフル・プルーフな原子炉というものはないということをお考えおき願いたいと思います。それから、原子炉が起し得る災害の重大性を考えますと、どういう結論が出るかということは自明だろうと思います。それで、岡先生が御指摘になった、原子炉自身が固有の安定性を持つということは非常に大きな要素であります。それからまた、風向きがどうであろうと、あるいは地震が起ろうと起るまいと、とにかく、人里から離れたところに置くということも、非常に大きな問題だと私は考えております。 正の温度係数に関して一言言わしていただきますならば、私は今、岡先生が御引用になりました論文の趣旨に賛成でありますが、それにつけても、なお、さらに慎重にしていただきたい。なぜかと申しますと、それでは負の温度係数の炉は絶対安全かというと、決してそうではありません。現に負の温度係数を持った炉でも暴走を起している炉の例が幾つかございます。それはどういうところにあるかと申しますと、原子炉というのは、火をとめても急には消えないで余熱が必ずある。そのことをお考え願いたいと思います。それから、原子核的な余熱以外に、化学的な変化が起り得るということを考えますと、負の温度係数にしても、なおかつ絶対安全ではない。正の温度係数にしたら、なおさら固有の安定性がそこなわれると私は考えております。
○一本松参考人 正に温度係数の問題につきまして、これは固有の欠点であるということは、御指摘になった、温度がだんだん上って次々とネズミ算的に故障を大きくしていくという点につきましては全くその通りでありまして、おっしゃる通りでございます。しかし、化学的な問題は、一つの欠点がありましても、その欠点を克服し得るならば非常にいいという実例はたくさんあるわけであります。今、藤本さんが御指摘になった、それじゃマイナスのものなら、その点についてはいいということは確かであるけれども、やはりマイナスのものには、また別のところにおいて、たとえば、あまりにも原子炉が冷え過ぎるとかいうようなこともありますし、また別の意味での欠陥がある。だから、世の中の物理的な、化学的な面からものを考えました場合、ただ一つの欠点のためにそのすべてをきめるということは、いささか無理じゃないかと思うのです。問題はむしろ正の係数が果して安全にコントロールできるものであるかないかということに、問題の重点があるのだと考えます。この点につきましては、われわれも、さっき申しましたような検討をいたしておりますが、先般お見えになりましたイギリスのサー・ジョン・コッククロフト卿も、大丈夫やっていけるということを確言しておられますので、アメリカにおいてはいろいろな御意見がありましても、イギリスにおいてはまたこういう御意見もあるのであります。われわれとしては、これはコントロールし得るという考えのもとに、これがあるためにコールダーホール型はだめだというものではないというように考えております。
○岡委員 原則的に、これは初めてのことでもあり、それはある程度の危険、冒険というものは覚悟してかからねばいかぬが、しかし、それにしても、こうした大規模な動力炉に万一の事故が起った場合の災害があまりにも大きいというところから、念には念を入れる必要があるという建前で、英国のお話をされましたけれども、コッククロフトさんにしたって三千メガワット、一日一トン当りたいての結論を出している。実験的な基礎からの結論ではないのです。現に、今イギリスの石炭庁中央技術研究所長で、一九五四年から五七年までコールダーホール工場の支配人を勤めておったキングズレー・L・ストレッチさんは、原子力発電所の操業の信頼度、ひいてはプラント自体の信頼度がもっとはっきり証明されないうちに、現在建設されつつあるものよりも大きいものを目ざすことが賢明であるかどうか疑わしいということを、十二月の論文を見ると申しておる。それから、現にヒントン卿にしても、〇・二四ペンスの原子力発電の旗を日本で振っていかれた方だが、これも中央電力庁の総裁になられてから、原子力発電については相当慎重な検討を要するという態度をはっきり表明しておる。去年は電力庁は一つも注文を出しておりません。そういうような状態で、やはり経済性の問題、安全性の問題について、英国にも自己批判、反省があるのではないかと考えられるわけです。そういうような事情を考えてみた場合、やはりこの問題は、特に慎重に考えていただかなければならないのではないかと思うのです。ただいろいろ装置を複雑化してやれるのだということじゃなくて、もっと根本的に掘り下げて考えてみてもらいたい。原子炉は全部危ないのだと言い切ってしまえばそれまでであるが、そうはいかないのだから、できるだけ安全を保障するということになれば、英国とアメリカにおいては大きく意見が対立しておる。温度係数のプラスかマイナスかという問題は、やはり炉の安定性の一つの大きなポイントでございますから、事故が起り得る可能性を承知の上で、それが防ぎ得るからということで持ち込むということは小さい炉ならば別といたしまして、大型の炉では、私は慎重を欠くものではないかと考えるわけです。 それから、今度の炉ではコンテイナーを作られないのでしょう。
○一本松参考人 ただいまの岡先生の、慎重にやるようにという御意見に対しましては、全面的に賛成でございまして、われわれとしては、今後におきましても十分慎重に検討を重ねていきたいと思っております。 それから、今のコンテイナーにつきましては、われわれ十分検討をいたしましたが、コールダーホールの炉につきましては、コンテイナーを置く必要はないと考えております。
○岡委員 これもアメリカの方針と非常に大きな食い違いが、英国の場合にある。私ども、出かけてアメリカのコールダーホールの炉も見せてもらいました。アメリカでは、コンテイナーは、今日の大きな動力炉あるいはパイロット・プラントというものには強制的につけさせているといっていいくらいにつけさせているのを私は拝見している。ということは先ほど申しましたロジャース・マッカローが、やはりジュネーヴ論文で書いております。たとえば、その論文を引きますと、「熱出力二十五万キロワット、電気出力六万キロワット」、ですから、今導入を予定されているコールダーホール改良型から見ればはるかに規模の小さいものです。「電気出力六万キロワットの原子炉は約三億キュリーの放射能が残っている、これは三百トンのラジウムに匹敵し、原子炉を一年間運転すると、核分裂性物質の壁は百キログラムに達する、一立方メートル当り一千万分の一ミリグラムを許容量とすると、これは百万立方キロメートルの空気を汚染することになる、言いかえれば、一千キロメートル平方の地域を、高さ一キロメートルにわたってその空気を許容量に汚染する、このような事実に基いて最悪事態を考慮して、放射能物質は、とにかくこれを格納の中に閉じ込めておいて、一般住民の居住地域に広がることを防ぐことは全く切実なことである」、ころ彼は申しておる。従って、シッピングポートにしても、ドレスデンにしても、インディアン・ポイントにしても、P・R・D・Cにしても、ヤンキー・アトミックの大体実用向きの原子力発電所、やはり気密にされたり鋼鉄製のコンテイナーの中に格納されておるということになっております。こういうことにして、これはアメリカの電力会社が作っておるもののようでありますが、アメリカの電力会社は、自己の負担においてやはり公衆の安全を守るという態度に出ておる。それで、一方このコンテイナーがあるかないかということによってどの程度に事故が違うかということは、これは先ほど申しました一九五七年三月のあのAECリポートの中にはっきり書いてある。コンテイナーがあった場合とない場合では、人命の殺傷、空気の汚染あるいは土地の汚染、それによる土地の生産物が使用にたえない、その広がりや損害の額においても、その面積においても、また、その殺傷される人間、障害を受ける人間の数においても格段の差がある。だから、原子炉だけを鋼鉄製のコンテイナーに全部おさめて、これがない場合は、一次、二次、三次として、この障害の事例を数字ではっきり出しておる。そういうような事実から考えまして、やはり今いろいろプラスの温度係数なり、あるいは気象条件において、あるいはまた地震の問題において、まだ私どもとして納得のいきかねる点が多々あるわけですが、これはぜひコンティナーにおさめるベきものじゃないでしょうか。コンテイナーを作るということになれば、非常な経費がかかることかもしれません。しかし、それにしても、すでに外国の著名な権威者が事実について指摘し、外国は事実やっている。それを経験のない日本がやろうというのでありますから、やはり慎重を期しておるアメリカに学んでコンテイナーを置くべきが、公衆の安全を守るためにも親切な行き方ではないかと私は思うわけですが、この点、一本松さんと、それから藤本さん、御両所の御意見を聞かしていただきたい。これは、一般的に実用動力炉を日本に置くという場合、現在の段階においては当然コンテイナーが必要ではないか、私はそう思うのでありますが、御両所の御意見を聞かしていただきたい。
○一本松参考人 コンテイナーの問題につきましては、この前にもここで相当議論になったと思っていろいろお聞きいたしておりますが、要するに、炉の特性によるものと考えております。アメリカ型につきましてはコンテイナーを持っておりますことはお話の通りであります。しかし、イギリスにおきましては、まだ少しもつけておりません。これは、問題は燃料のところにあると思うのであります。アメリカのは濃縮ウランを使いまして、同じ出力にしましても、出力密度というものは非常に高いわけです。また、クーラントは水である、炭酸ガスである、これが大きな特性の差だと思います。一つの例は、濃縮ウランの水冷却で水がなくなる。その反応がきわめて早い。進行すると事故になる。事故があれば相当の放射能が放出されることになります。天然ウランの場合には、必ずしもそういうことでもございません。炭酸ガスというものは非常にイナクティブなガスで、そういう特性の差からきているのが大部分の理由でございます。コールダーホール型につきましては、一次系統と申しますか、いわゆる放射能を帯びた物質の関係しているサーキットと申しますか、回路と申しますか、その部分は非常に強固に閉じ込められて、その外に一歩も出ないようになっておりますので、こういう点も、またガス冷却炉の非常な特質になっております。われわれの考えとしてはむしろコンテイナーというよりも、その一次サーキットというものを確実にする方が、いわゆる安定度は高いという結果も出ております。そういうようなことから、実際的にも、理論的にもコンテイナーというものは要らないものである、そう思います。
○藤本参考人 私は、原子炉が事故を起した場合に、どういう形の事故が起るかということを考えるのが参考になると思います。原子炉で今まで起した事故はどういうものがあるかということは、これはアメリカの場合にも非常によく発表されておりますが、あるいは発表されてない事故もあるかもしれません。それは、私たちデータが入りませんから、わかりませんが、多くの場合には、原子炉が大爆発を起して、原爆のようなふるまいをするということはありません。事故というのは、大てい放射能が漏れる。なかなか気のつかないような漏れ方、つまり、はからなければ——放射能というのは当っても痛くもありませんし、別にすぐに顔がはれるというものでもありませんし、計測しなければわからないものであります。効果はずっとあとになってから、子々孫々になって出ることもあります。そういうことを考える必要があると思います。だから、原子炉で一番起り得る事故というのは、放射能が漏れ出ることを知らなかったという場合が一番多いのじゃないかと思います。多くの事故は機械が動いていると思っていたのが、機械が動いていなかった、あるいは当然やるべきことを運転手がやらなかった、そういう不注意の事故、それから、機械の点検を怠った、そういう事故が大部分でございます。それで、さて、そういうふうに考えますと、私は、アメリカの原子力の学者とほとんど同じ考えでありまして、原子炉のタイプがどうであるかということと、それからコンテイナーの持つ安全性の意義とは別であると思います。原子炉の起り得る事故を考えるならば、どういう形のものであっても、大きな発電炉はやはりコンティナーを入れるべきである、そう思っております。
○岡委員 この点、いろいろコールダーホール改良型については、一次、二次系統で安全になるような工夫がこらされているからとおっしゃいますが、にもかかわらず、やはり今御指摘のような事故が起り得る可能性はないとは言えないということから、やはりアメリカのコンテイナーの必要性というものが生まれておると思いますので、この点も、私は、やはり厳然としてお考えをお願いしたいと思うわけです。 それから、今、ちょうど私どもに原子力災害に対する損害賠償についての規制法の改正が出ておるわけでありますが、コールダーホール改良型については特に第三者責任保険をどの程度に見積っておられますか。そしてその保険料をどの程度に予算上考えておられますか。
○佐々木政府委員 コールダーホール改良型そのものに対する保険の問題は政府の出資ではございませんので、ただいま予算には計上しておりません。ただ、原子力研究所等に関しましてはただいま御審議をいただいております規制の一部改正が通りまして、現行法が改正されますと、これに加盟しなければなりませんので、その際の予算措置は予備金という形で講ずべきでございます。
○岡委員 原子力発電株式会社の方で、第三者賠償保険を含めて、保険の金額、保険料等についての予算を伺っておるのであります。
○一本松参考人 保険の問題はまだ御承知のようにきまったわけでもございませんが、われわれとしましても、この問題は非常に重要な問題でありますので、今のところは保険業界とも密接な連携をとって、いろいろ案を伺ったり、どういうふうにするかということを考えております。現在の段階では、第一段階としまして、現行法規でやれる限度というものを一応考えまして、そのときの補償額ば、確定したものではございませんが、第三者保険、それから財産保険というようなものを合せて十億とか何とか数字を討議している段階だと伺っております。
○岡委員 原子力局長に聞きますが、教育用の原子炉、研究用の原子炉ならいざ知らず、大型の実用動力炉ということになると、なかなか五億や十億の第三者賠償保険というようなものでは相済むまいと思う。政府はこういう問題について、何かもっと具体的な構想を持っておるかどうか。これは原電の予算にも直接関係する問題であると思います。
○佐々木政府委員 デリケートな問題ですから、正確に申し上げます。コールダーホール改良型の方は、政府として許可いたしまして、現実に建設に着手いたしましてから早くて四年以後に稼働するわけでございますけれども、災害は稼働するまで起ることはないわけでありまして、稼働してから、万が一の場合ほ起る可能性もあるというわけでございますから、それまでの間に、政府としては何らこの問題に対策を講じないということはあり得ないのでありまして、この前原子力の一般協定を衆議院の外務委員会で御審議をいただきました際に、政府の最終的な災害に対する賠償責任をどう考えるかという点を、岡先生でございましたから、非常に追及がございまして、最終的には大蔵大臣の答弁をもって現政府の考えにしたいということで、大蔵大臣に出ていただきまして、大蔵大臣から答弁をいただいたわけでございますが、そのときの結論は、国といたしましても最終的には責任を感じないわけにはいかないものと考えるということでございまして、責任はもちろん感じます。ただ、この問題に関連して——そこまでは大蔵大臣の答弁の最終的な要訳でございますけれども、しかし、私どもの考えでは、それに付帯いたしまして、この問題に関連して、原子炉災害における損害賠償の責任のあり方、無過失責任というものをどう考えるか、あるいは責任周知の問題はどうかといったような問題とか、あるいは原子炉責任保険の能力をこえた事故というものは一体起り得るかどうか——たとえば、英国などは起り得ないという判定で、ただいまのような法案を提出しているわけでございます。ドイツも大体同様でございますが、そういう可能性があるかどうか、こういう可能性も十分考える必要がありますし、そういった問題だけにからんで、各国の実例がどうなっておるかといったような問題を十分研究した上で、結論を出すべきだということで、ただいま研究中なことはこの前も申し上げた通りであります。
○岡委員 そこで、私が問題にしているのは先ほど来お二人の御意見を聞いておりますと、このコールダーホール改良型については、気象の条件なり、耐震的な設計なり、プラスの温度係数の問題なり、コンテイナーがあるべきかどうかという点においてはやはりこの安全性というものに対しては正直のところ疑義を持たざるを得ない。そこで、国が賠償するといったところで、ある個人が不安全なものを作って運転をして、それによる事故に基く災害の損害賠償を国がやらなければならぬ、国民が負担しなければならぬということはあり得ないと私は思う。従って、かりに上原電として今度GECと仮契約を結ばれるというようなことになれば、起り得る事故について、原電としてもやはり責任を持つという決意がなくては、私は仮契約というものは道義的にも考えられないと思うのですが、その点、確信をお持ちでございましょうか。
○一本松参考人 補償の問題でございますが、その前提となります安全の問題につきさまして、不安全なものを国が補償するというようなお話がございました。しかし、これはわれわれとしましてはあらゆる起り得る事故に対しまして詳細な対策を考えましたハザード・リポートと称しておりまするが、安全審査報告のような番数を安全審査部会に提出いたしまして、それを政府の方で十分御審議になって、これでいいということであれば、御了解いたたけるものじゃないか、そういうふうに考えております。しかし、われわれの解釈そのものといたしまして、事故は起り得ないが、万一起った場合は、それに対してわれわれはあとう限りの責任は十分負う、その価の問題は少し表現はむずかしいかもしれませんが、大体われわれの今の考えでは英国あたりで考えております考え方とほほ同じような考え方でおります。それは財産の〇・五%程度の保険をかける、これは決定したわけじゃございませんが、一応考えております。そういたしますと、その保険によって第三者に及ぼす損害に対しても十分カバーし得る。それ以上の事故はわれわれの原子炉では起り得ないと考えております。また、財産につきましても、その範囲内で十分カバーし得るというふうに考えております。
○岡委員 そうすると、大体どの程度の保険にお入りになる予算を御予定でございますか。金額にしまして……。
○一本松参考人 大体今〇・五%と考えております。
○岡委員 百八十億のですか。
○一本松参考人 保険の掛金でございますから、それで何十億になりますか、そういうことはまだわからぬわけでありますが、掛金を今申し上げたわけであります。
○岡委員 契約保険金額はどのくらいですか。
○一本松参考人 まだ保険会社との話し合いが十分進まないわけでございます。ただ英国の例をもって申し上げたわけであります。
○岡委員 この点も、やはりこうしてプライス・リストを開かれる、査定、仮契約をするという形でどんどん建設への道が進められながら、一方、起り得る事故に対して、会社としてその賠償の責任に任ずる態勢が講ぜられないということで、私はこういう方向自体も好ましくないと思うわけですが、これはやはり交渉中でございますか。見通しはどういうことでございますか。
○佐々木政府委員 この問題はもちろん今度の規制法の一部改正が御承認いただけますと、設置の許可を申請いたします際には保険の問題を付加して申請いたしまして、これも審査の結果、妥当であるかどうか、それによってきまるわけでございますけれども、ただいまのところは、御承知のように、少くとも日本にはそういう責任保険体制というものができておりませんので、ただいま保険プールを作っておりますが、これができました暁には、当然原子力発電会社もこれに入るというのが許可の前提条件になろうかと考えております。
○岡委員 しかし、それにしても、あなたのこの前の委員会なんかの話では、保険の契約金額も大体十億か十五億でしょう。それ以上、こういう大きなものは動力炉についての保険金額というものは予想されますか、期待されますか。
○佐々木政府委員 大体この前申し上げましたように、損害保険の各社の資本金並びに積立金等の数パーセントをもって日本における保険金額にいたしたいというふうに大体見込んでおるようでありまして、その数量は、財産保険と合せまして十億から二十億程度になるのじゃなかろうかと思います。それを海外に再保険いたしまして、その再保険の仕方いかんでございますけれども、これが数倍になり得るのであります。そういたしますと、その中で、いわゆる責任保険額というものはどの程度まで見込むかというのは、まだ、もちろんこれからの問題でありますけれども、まあ、英国の例等では五十億が民間保険の付保限度になっておりますので、日本ではどの程度になりますか、これからの計算になりますけれども、大体近いような数字になるのじゃなかろうかという感じを持っております。
○岡委員 とにかく、このコールダーホール改良型については、およそアメリカの原子力専門家はかなり疑惑的であるということになれば、国際的な再保においても、アメリカの保険会社が応じてくれるかどうかという見通しは、私は非常に困難だと思うのだ。一方においてGECと仮契約を結ぶというなら、かりに英国の保険会社との関係において再保険なら再保険をするというような条件もやはり当然考えられていいのじゃないか。ただ一方仮契約で設置を急ぐだけで、これは原子力委員会としても、そういう方向だけを、その姿をそのままに放任さるべきでないと私は思うので、積極的にあっせんの労をとるなりして、契約を裏づける万一の事故に関する補償についての保険というものは、当然考えられてしかるべきだと私は思うのです。そうじゃないのですか。
○佐々木政府委員 この前にも御説明申し上げましたように、本件に関する特殊法令を持っておる国は米国だけでございまして、それ以外の国は、特殊な法令なしにただいままで百幾つかの原子炉を運転しているわけでございますが、それじゃ全然何もなしにやっているかと申しますと、そうじゃなくて、やはり保険にかけて、現行保険法に基く保険プールを作りまして、その保険プールに入って、そして第二次的に特別の単行法を策定するというふうにしているわけです。その額を申し上げますと、米国では二つのプールがありまして、合計六千万ドル、邦貨に直しまして二百十六億円、英国のプールは一千万ポンドでございまして、大体百億円くらいまでは引き受ける能力を持っておるわけでございます。必ずしもそれまで入る必要はないわけでございますが、能力としてはそれだけ持っているわけであります。それで付保限度としては、さっき申しましたように、英国では五十億に限っておるわけでありまして、たとえば、私ども損保協会等から聞いているお話によりますと、海外に対する再保険の問題に関しましては、十分それぞれの先進国と連絡をとりまして、そして、わが方の態勢さえ整えば、これに加盟し得るというような態勢になっておるというふうに承知しているわけでございます。
○岡委員 その点、ただ可能性あるいは期待をするということでは、こういう重大な問題は相済むまいと私は思うのです。佐々木君のおっしゃることも若干間違っているのじゃないかと思うのは、なるほど、アメリカは最高六千万ドルまでは民間の保険に原子炉設置者が入る。それ以上の災害については、五億ドルまでは政府が補償する。英国もこの春になってから、英国の国会で、新しい原子炉の第三者損害賠償については法案が出ておることは御存じだと思う。これでは千四百万ドル、五十億まではどうしても保険に人ってもらう、これもAEAから民間に原子炉を設置するという方向に大きく政策をかえてきたものだから、そこでアメリカ同様に、今度は動力省がその設置の許可をするということになったために、新しい法令を準備し出した。それは、千四百万ドルまでは民間保険と原子炉設置者との契約にするが、それ以上については、やはり国家が見ようという態度を出しておる。ただ、それをどの程度に見るかということが、今英国国会の論議の種になっていると私は聞いている。西ドイツは全然国家補償しないと言われますが、そうじゃない。やはりケース・バイ・ケースで、民間の負担にたえ得ないものについては国が補償しようという方針を検討中です。スイスだって、この間茅君の説明では、政府はしないというけれども、そうじゃない。やはりすることができる。だから、それはそれとしまして、いずれにしても、やはりこの仮契約をやるというなら、もっと期待的に、——英国は五十億やっておりますからといって、それは英国の国内で民間産業が原子炉を設置する場合には、法律上五十億の保険に入らなければならないということにしておる。あるいは百億円保険プールがあるとしたって、一体、それが今、日本のコールダーホールの改良型を得られるときに再保険としてそのプールが利用できるかということは、やはり原子炉を設置する場合に大きな問題点ではないかと思う。そうじゃないでしょうか。
○佐々木政府委員 ちょっと私の説明が足らなくて誤解を招いたかもしれませんが、私は、問題を二つに考えているのでありまして、日本で特殊な保険制度を設けなくとも、現行の保険法等のままで作り得る保険プールが、日本ではどれくらい引き受け能力があり、これが再保険をする可能性ありやいなや、あるいは海外に再保険に出した場合にはどのくらいの再保険が可能になるかという第一段の御質問に対しましては先ほど御説明した通りであります。その可能性は十分にあります。実現の可能性はありますということを申し上げたわけであります。 第二点の、国の補償の最終責任の問題に関しましては先ほど申し上げましたように、これはその後におきまして、あるいはこれと並行して国で考えつつある問題でございます。それに対する政府の考え方、あるいは準備の程度等はこれも、また先ほど御説明した通りでございます。ですから、この二つの問題は密接の関係はございますけれども、一応切り離しても考え得られる問題ではなかろうかという御説明を申し上げたわけでございます。
○岡委員 時間もたちましたので適当に切り上げたいと思いますが、一本松さんからいただいたこの費用でございます。大体迭電端で一キロワット・アワー五円弱ということになっておる。この原子力発電の長期計画を見ると、大体四円二十銭ないし四円七十五銭というところから出発しているわけでございます。これが五円ということになると、原子力発電計画はエネルギーの需給と同時に、経済性ということも非常に強く主張しておられるわけでございますが、この発電計画は大きく変更されなければならぬというようなことになるんじゃないでしょうか。これは一つ石川先生お答え願いたい。
○石川説明員 まだ幾らにつきますかということを伺っておりません。われわれが前に参りましたときに、大体こんなものじゃないかということを、あのときの状況において私御報告申し上げたことはございますが、今回まだ伺っておりません。しかし、電力の料金の問題は、私の方だけできめるわけに参りませんで、やはり電力行政の通産省の方の御管轄でもありますので、よく御相談申し上げまして、電力行政にいかなる影響を及ぼすかというようなことをよく考えまして決定いたしたい、こう考えております。
○岡委員 そうじゃないのです。私のお尋ねしておるのは、この発電用原子力開発のための長期計画、一昨年の十二月十八日のものです。この中では、原子力発電の必要をうたわれる前提といたしまして、あるいはエネルギー源を原子燃料にかえていった方が格安であるということを、石炭なり油の価格と対比しながら、国際収支の改善ができる、同時に、当初において大体四円二十銭ないし四円七十五銭だ、こう言っておられるわけです。ところが、最近新聞なんかで見ると、原電の安川社長の御意見では、五円程度だと言っておられるわけです。一キロワット・アワーで五円か、四円二十銭か、四円七十五銭でおさめられるかということは、コストにおいて相当大きな差異が出てくるわけです。四円二十銭なり四円七十五銭という前提に立って長期にわたって原子力発電の計画を立てられておるが、その基礎的な前提がくずれてきたということになると、長期計画そのものが再検討されなければいかぬのじゃないかと私は思うのですが、その点の御所見を一つ伺っておきたい。
○一本松参考人 ただいま発電コストのお話がございましたが、まだ発電コストは正確なものは出ておりません。目下メーカーと交渉しておる点もありますし、内部で検討をいたしておるところもあるので、最終的なものは出ておりません。しかし、大体の見積り価格もきまりましたし、社内の状態も逐次はっきりしてきておりますので、現状を申し上げるわけでございますが、従来、原子力発電会社といたしまして、しばしば火力に比べて一割くらいは高いであろう、これは初期のものでありますから、やむを得なかろう、現在火力が大体四円五十銭見当になるようでありますので、その一割くらい高い、五円をちょっと切るというようなところで、従来の見込みとそう変ってはおらない、そういうふうに考えております。先ほど四円二十銭というようなお話がございましたが、これはよほど先のことで、初期の段階におきましては四円八十銭余りにつくというような、試算的なものは出ております。これは、どういたしましても最初のものでありますので、準備等に余分の費用がかかります。ことに、今回は安全の面につきまして入念な調査をいたしておりますし、十五万キロワット・アワーが一台であるというような点もございます。そういうような点もありまして、先ほどあらかじめちょっと申し上げましたように、五円弱見当になるように思っておるわけであります。
○岡委員 いずれにしましても、この長期計画には四円二十銭ないし四円七十五銭と書いてあるのです。そういうことでは前提がくずれてくる。原子力発電についての長期計画では、コールダーホール改良型に重点を置くという方針をきめておりまするので、それが事実上五円なら五円ということになれば、そこで前提がくずれてくるということで、再検討の要があるのじゃ、ないかということと、それからもう一つ、火力はまだまだ安くなると私は聞いておる。そうなると、送電端で七十銭なり八十銭なりというコスト差が出てくる。それを需用者、供給を受けておる方の立場に立って考えた場合、そういう価格差をだれがどういうふうに操作してくれるのかということも、一つの問題になる。将来原子力発電が普及されてくればくるほど、当初においてこういう問題についても十分考慮されていかなければならぬ、そう思ってお尋ねしたわけでございます。 次には、それではこの発電原価というものは、前々から資料等でお伺いしておりますが、大体三千メガワット・デー・パー・トンという基準で御計算のようですけれども、この点も、私ども実はまだ果してできるのかできないのかという点で疑義を持っておるわけです。と申しますのは、実は外国のこういう方面の技術的なタレントの人と私昨年会ったときにも、そのつど三千メガワット燃やせるかどうかということを率直に聞いたのです。聞いた場合、残念なことに、ヨーロッパ諸国の権威者の中でも、のっけから否定する人がかなりあったということから、英国の一方的な、できるという、ただ数字の仮定だけで簡単に納得できるのかどうかという点に、私疑義を持っておるわけでございますが、こういうことは私ども専門でない者が申し上げてもなんでございますけれども、たとえば、今度プライス・リストを開かれて、そこでGECに決定をされた、そういう場合に、三千メガワット・デー・パー・トン、これを必ず保証するということ、向うのAEAなり、あるいはメーカーにおいて必ず保証する、厳格にギャランティをするということは文書ではっきりうたわれておりましたか。
○一本松参考人 三千メガワット・デー保証の問題でございますが、これは燃料につきまして確定的な問題はメーカーが責任をもってどこまでも直していく、こういうふうにギャランティいたしております。それから冶金学的、材料的な問題は、AEAが責任を持ってもらえるものと考えております。まだ燃料に関しましてAEAと正式の交渉をいたしておりませんので、この点は、文書等によって最終保証ということではございません。しかし、昨年石川ミッションが参りましたが、それらの関連において考えまして、十分AEAとしては保証してくれるものと考えております。
○岡委員 しかし、やはり仮契約をされるという段階まできた場合は、これは英国がずるいというわけではございませんけれども、よくあの国の文書には期待されるであろうというふうな、非常にあいまいな表現が多いのです。しかし、やはり取引の問題でもございますので、向うでギャランティするという、AEAなりメーカーから、はっきり文書をお受け取りにならないで仮契約されるということは危険じゃないでしょうか。私は、当然はっきり一札を取らるべきだと思うのであります。
○一本松参考人 AEAから燃料についての保証の問題はしばしば書類をもらっております。しかし、今の段階でそれを公表することは困るということもありまして、公式なギャランティを得たということは申し上げられないのでありますが、実際問題としては、これは必ず保証していただけるものと考えております。
○岡委員 こちらは買手でございますし、向うもやはり原子力産業の輸出には大きな関心を寄せておるのだから、買手としては取るだけのものは、やはり取りつけておくということは当然な常識かと思うわけなのです。そういう意味で、やはりはっきり取っておいて仮契約を結ぶということが、買手としての当然な立場じゃないか、当然の権利ではないかと思うわけです。特に三千メガワットは、この間こられたコッククロラトさんにしても、やはり実現の可能性は保証されておるけれども、必ずできるというところまでは言い切っておられないようでございますし、英国自体においても、ジュネーヴ論文なんかを見ましても千三百MWDTまでは行っているようでございますが、しかし、それ以上のものは小規模実験は別として、三千メガワット・デー・パ一・トンというところまでは行っていないというところから見ても、これははっきりとギャランティを取る。取るか取らないかということは大きな問題でもありますので、私は当然取らるべきだと思う。 それから、これは佐々木局長に聞きますが、あなたは、原子力委員会の方では原子燃料は当分国有とするという御方針を、先国会であったか、言われましたね。
○佐々木政府委員 しばらくの間、国または国に準ずる機関で所有すべきである、しかし、情勢が変化して参りますれば、そういう方針を変える、こういうふうに申し上げました。
○岡委員 国に準ずる機関といえば原子燃料公社でしょう。今、こうして一本松さんからお話を承わっておりますと、国あるいは国に準ずる機関が所有すべき燃料が、原電と向うとの交渉に一方的にゆだねられている。これは、あなた方の言明と違うじゃありませんか。もっと、それこそ国なりが責任を持ってギャランティを取るなり何なりすることが、あなた方の仕事のはずだ。そうじゃないですか。
○佐々木政府委員 これは、英国側の方からも再三燃料契約の主体はだれであるか、あるいは交渉の相手はだれであるかということに関して問い合せがございまして、わが方から、ただいまの段階ではいろいろ準備の都合等もありまして、少くとも交渉の主体は原子力発電会社をもってこれをやりたい、所有の問題に関しましては、情勢の変化せぬ限りは国または国に準ずる機関、といいますと燃料公社、主として燃料公社を考えておりますけれども、燃料公社が所有するという段階にはなっておりません。もし、かりに燃料公社が所有するということにはっきりなった場合には——はっきりなると申しますか、そういうふうに準備等ができた場合には、ただいま発電会社と向うのAEAとの交渉の成果は何ら変更なしにそのまま継承するつもりである、そういう前提のもとに交渉に移りたいという申し入れをしまして、向うでも了承いたしまして、そういう形でただいま交渉いたしております。
○岡委員 この協定で、たとえば核燃料物質については、その完全性、正確性についての保証も十分受け取れないので、従って、万一それに基く事故が起り、災害が生じても、その責任はわが方が負うという免責条項をのんでおるわけでしょう。そうしてみれば、せめて三千メガワットのギャランティを取るくらいは政府でやるべきだ。それを原電にゆだねてしまって、原電と向うのメーカーなりとが話し合いをした結果だけを承認をするというめくら判を押すのでなくて、当然政府がそれだけの免責条項をのんでおるならば、できるだけ完全なるものを輸入する、しかも、その経済効率については三千メガワットを保証するというくらいなものを受け取るということを政府がやるのがほんとうで、条約を結べば、あとは原電に全部まかせてしまうということでは連絡は必要でしようけれども、表向きの建前としては、やはり政府が出ていくというくらいにやっていくのが、あなたが当分国有にすると言われた趣旨だと私は了承しておった。これでは全く本末転倒というか、怠慢だと思うのです。御所見はどうですか。
○佐々木政府委員 燃料の交渉は、三千メガワットどうという問題は根本的な最終的な態度として、もちろん確保すべき問題だと思いますが、単にそれのみでなくて、炉の構造に関連した燃料要素そのもののファクターが非常に多うございまして、型式の問題、あるいは被覆の問題、あるいはプルトニウムを引き受ける価格の問題等、非常に多方面にわたる問題でございまして、ただいまの段階では、少くとも需要者である原子力発電会社、言いかえますと、原子炉そのものに関してディテールまたは技術的交渉を続けました原子力発電会社ならでは深部のことは理解できないというような技術的の問題もありますので、その点に関連して先ほどから御説明申し上げましたように、原子力発電会社が交渉の衝に当ったわけでございます。もちろん、ただいま御指摘のありました根本的な保証等の問題になりますれば、国が、かりに出なくとも、それに対する成果等は十分許認可事項の一つの対象にいたしたいというふうに考えておるわけであります。
○岡委員 それから発電コストの中に、いわゆるプルトニウム・クレジットが入っておるわけであります。一トン当り五千ポンドということになっておりますが、そこで、私ども対米協定の場合に、何としても引き渡したプルトニウムの平和利用ということに対しては強く主張をし、議定書においてその面の確言が得てある。なるほど、英国は協定の中で、軍事利用にしないようなことは言っておりますけれども、一方、日本の長期計画の中では、やはりプルトニウムを用いての、いわゆる高速中性子増殖炉ですか、そういうふうなものの開発ということがはっきり出ておる。ところが、この原子力発電会社の方では、トン当り五千ポンドということで向う側に引き渡すということになっておるわけで、そうなってくると、せっかく運転をして出てくるプルトニウムというものがわが方で利用できないということになってくるわけなんです。長期計画はその点でくずれてしまう。この点は原子力委員会として一体どういうお考えですか。
○一本松参考人 プルトニウムを送り返します場合には五千ポンドで引き取るということを申しておりますが、これは送り返さなくてはならぬという性質のものではありません。将来日本で使うようになれば、日本で使ってもいいそういうことでございます。
○岡委員 それから燃料買い取りの最終的な決定は、最近新聞を見ると、だいぶあとになってから決定されるように伝えられておりますが、そういうわけでございますか。燃料の引き取りの具体的な最終的な決定というものは……。
○一本松参考人 燃料の交渉は、先ほど佐々木局長の言われましたように、当面の交渉を原電の方でやっております。燃料の契約につきましては原子炉のレター・オブ・インデント、つまり炉自体の購入の意思表示をいたしますときに、炉を買いましても燃料が入りませんでは困りますので、イギリスの方から、燃料は十分供給するというレター・オブ・インデントをこちらの方に出す、これが第一段でありまして、第二段は、炉の契約をいたしますときに、買い取りの大体の値段とか契約の項目とか、そういうものの打ち合せをいたします。最終の契約というのは燃料を積み出します一年前に決定する、こういうふうなことであります。従いまして、多少おくれますけれども、実質的にはその前に話し合いを済ませておく、そういう性質のものであります。
○岡委員 そうしますと、かりに来年早々から炉が作られ始める、そこであらかたでき上った、さて、炉が運転する一年前に燃料を引き取る最終的な条件が決定する、そうなりますと、せっかく炉はできた、できればこれは燃料をもらわなければどうにもしようがないという状態で、しかも、そのときに至って燃料自体について、あるいは経済性、安全性の問題というようなものについて疑義が生じてくる可能性がないではないと思う。今でも相当議論があるわけです。そういう事態が予想せられた場合、無理にでも引き取らなければならぬという、やはり日本は買手として、求めて非常に不利な条件に入っていくことを非常に心配されるわけです。その点、われわれの安心できる保証はありますか。
○一本松参考人 ただいまの燃料の価格とか条件等につきましては、イギリスのAEAからしばしば発表しておりますものに、燃料の値段は二万ポンド・ア・トン、一トン当り三千万円ですか、二万ポンドです。二万ポンドを下らない、それより高くならないということをしばしば表明しております。われわれの方にきております文書におきましても、二万ポンドはこえない、ただし、価格にエスカレーション・クローズという条件がついて、おりますのは当然であります。これは今後相当長い期間にわたってこれを上回ることはない、それからまた、買い戻し価格の方につきましても五百万円ですか、五千ポンドが一番低い値段である、こういうことを文書ではっきり書いてあります。従いまして、この炉の契約をいたしますときに、その値段とか条件というものはきまってしまいますので、あと、こまかいいろいろな条件等を含めた本式の契約というのは、炉に燃料を入れ始める一年前にきめる、こういうことになっております。御指摘のような、あとになって吹っかけられるとか、そういうことはないように思われます。本契約のときにそういう条件はきまることになっております。
○岡委員 これはコールダーホールの工場支配人だったストレッチの論文なんか見ると、大体ウランートン当り二万ポンドという価格は、現在のコールダーホールの価格なんです。三千メガワットを一日にバーン・アップしたときの価格ではないのだということをはっきり言っておるようです。そういう点をやはり十分お考えいただいて、価格の問題についても、こっちは買手なんですから、一つ強く考えていただきたいと思う。 それから、かりにこの原子力発電株式会社からコールダーホール改良型を設置するという許可申請が出された場合、原子力委員会はこれをどういうふうにお取り扱いになりますか。
○石川説明員 まず、安全性の問題を先に調べることになるだろうと思っております。その準備はして待っているのです。それから土地の問題等も出て参りましょう。その土地についても判断を加える、そういうふうな順序で進みたいと思っております。経済性の問題はもちろん出て参りましょうから、そのときには、またわれわれはそれを調べまして、そして、それに対して許可を与えるかどうかということをきめたいと思っております。
○岡委員 先ほど来、いろいろ問題があったわけでございますが、耐震設計の方ももっと大規模のものでやる、それから気象条件も専門の諸君が目下鋭意調査中である、その他コンテイナーの問題、私どもの言い分とすれば、コンテイナーの問題もある、プラスの温度係数の問題もある。こういうような問題を、特に目下調査中、研究中の問題を、そのままの形で申請を出されるおつもりですか、また、それを受け取られるおつもりですか。原電と委員会の方の態度をお聞きしたい。
○一本松参考人 炉自体につきましての安全の問題につきましては現在すっかり資料も整っておりますし、問題は解決しておると考えております。その解決された資料は安全審査部会の方に提出するつもりでおります。地震につきましては、なお実験するところが残ってはおりますけれども、それは主として経済的な検討とか、そういうようなことに……。
○小金委員長 一本松さん、ちょっと御発言中ですが、御注意申し上げます。岡委員の質問はいろいろ今まで問題を提起したが、その中で未解決のものがたくさんある。そのままでお出しになるつもりか、逐次解決をしながら全部解決して出すか、全部解決しなくても、できるだけ解決してから出すかというのでありますから、その御返事を願わないと、問題は今たくたん出されたことですから、それをそういう趣旨でお答え願いたい。一つ一つ取り上げられると、また時間ばかりかかりますから、御趣旨を一つそういうふうにとっていただきます。
○一本松参考人 われわれは、今未解決と申しましても、それは安全性という見地から見ました場合には、もう安全にやり得るという見通しを持ったものは、すべての実験が終らなければいけないということではございません。
○佐々木政府委員 役所に対する申請等は岡委員も十分御存じだと思いますけれども、出しました申請書が決して最終的なものというわけではないのでありまして、受け取りました申請書をいろいろなサイトから役所で検討します際にはあるいは不備の点、あるいは未知の点等がございますれば、あくまでもそれはその提出者側に検討をお願いして、そしてそういう資料が十分整うのを待って、これであれば十分であるというところで許可ということになるわけでございまして、出す時期自体は、全部そろわなければ、完全なものでなければ申請できないかと申しますと、必ずしもそういうものではなかろうというふうに考えます。しかし、いやしくも国で許可する際には、完全なものでなくては許可できないわけでございますから、その審議の過程におきましては逐次資料の提出を求めまして審議をしていくという結果になると思います。
○岡委員 それでは最後にお尋ねをいたしますが、その場合、許可の申請が出た、そこで、かりに許可するために安全であるかどうかということを検討する、この検討の経過についてはやはり公開的に関係者の意見を求めるという方針をとられるのか、それとも、別途原子力委員会の内部に付置されてある安全専門部会ですか、そこで取り扱われるのですか。その取扱いはどういうふうになさいますか。
○佐々木政府委員 この問題に関しましては、必ずしも原子力委員会ばかりが最終責任者ではないのでありまして、通産省は、電気事業の認可という建前から、同じ審査を進める予定になっています。詳しくは通産省側から御説明いただきたいと思いますけれども、ただいま私どもの承知しておる範囲では、通産省の方では、やはりコールダーホールの安全性等に関する審査のための機関と臨時的に編成いたしまして、そうしてこの審査を始めるはずでございます。私どもの方も、原子力委員会の下部機関であります原子炉安全審査専門部会でこの問題を取り上げまして、今までは予備審査の段階でありましたけれども、正式な申請がありますれば、正式な審査に入るつもりでございます。その際、通産省側で審議なさいますものと十分連携をとりまして、お互いにわからぬところはさらに資料の提出を求め、両者で十二分に協調しながら検討を進めたいというふうな話し合いに、ただいまなっておるのでございます。
○岡委員 現在、原子力委員会の安全審査専門部会にはコールダーホールの小委員会がありますね。これは何名で構成されておるのですか。どういう方々で構成するのでしょうか。
○藤波説明員 ただいま十三名の委員の方をお願いすることに予定されております。資料がただいま手元にございませんので、全部は覚えておりませんが、原研の杉本さん、電気試験所の山田さん、工業大学の武田先生、青木原研部長、それから地震の関係では那須先生、建築関係では竹山建築研究所長、電気の関係では東大の福田教授と大山助教授、機械の関係では東大の渡辺教授、それから電力中央研究所の後藤さん、原研の久布白さん、そういったような方々であります。
○岡委員 とにかく、今お名前を聞きましても、前々から私ども、いわばその毛並みを承知している方がかなりおられるようであります。これでは公正な結論は出ないと思う。やはりもう少し公けにして、この前の委員会でも松前君が強調しておるけれども、アメリカのごとく教育用の原子炉や訓練用の原子炉まで公聴会云々もどうかと思いますが、これだけのものを、しかも、まだ各国で運転の経験もないものを、また原子炉の経験のない日本がかかろうというのですから、これは国民全体が納得のできるように公開し、しかも信頼し得る人たちによってその安全性なり経済が十分検討されるという、公聴会的なものをぜひ持っていただきたい。そうでないと、原子力全体の将来に陰影をもたらすのではないかと懸念するので、このことを強く私は要望いたします。 それから委員長に申し上げますが、こういうわけで、原子炉の設置は内閣総理大臣の許可事項になっております。しかし、まだいろいろ問題もございますし、これは特に原子炉の損害賠償とも関連をいたしますので、ぜひ原子炉規制法に関連してでもけっこうでございますが、総理大臣の御出席を一つお取りなしを願った上で、この問題もあわせて政府と十分話をしたいと思いますから、この点をお願いいたしまして、私の質問を終ります。
○小金委員長 前田正男君。
○前田(正)委員 私はちょっとおくれて参りましたのと、また時間も詰まっておりますから、ごく簡単な点だけお伺いしておきたいと思うのですが、この問題については、先ほど来岡委員からも質問がありました通り、まだいろいろ問題点がたくさんあると思うのであります。これらの問題点についての政府側としての決定は、もちろん総理大臣及び科学技術庁の長官が責任者であると思いますけれども、それに対しまして重要な意見を決定するのは原子力委員会の仕事であり、また通産大臣の仕事であると思うのであります。そこで、原子力委員会としては、この問題についてはまだ相当問題点があるのでありますから、原子力委員の方が直接その問題の解明に当って、わが国の国家的な立場に基く意見というものをきめなければならぬ、判断を下さなければならぬと思うのであります。ところが、これは前に兼重委員にもこの席から私はお願いしたのでありますけれども、原子力委員会の許可認可事項というような、重要な問題の決定につきまして、先ほどもちょっとお話がありましたが、原子力委員会の部会である安全審査専門部会にこれをはかるというようなことを言っております。けれども、私はそのやり方は違っているのではないかと思います。この前の大学の問題についても兼重さんにお話をしたのでありますけれども、そんな専門部会というような責任のない方、法律によって与えられた権限のない方が一つの結論を出すのは間違っているのではないか。そういう方々からいろいろ専門的な意見を聞かれて、原子力委員としては法律で与えられた権限を持っているのでありますから、それから原子力委員会が判断を下すべきではないか。部会で一つの結論を出して、原子力委員会がその結論を参考にするというようなやり方ではおさまらないと思うのであります。原子力委員会には直接原子力関係の方々がお入りになっておられますから、そういう方々が専門部会の御意見を聞かれて、そうして自分で判断を下すというようにしてこの問題点を解決していただかなければならぬ、こう考えておるのでありますが、石川委員の御意見を伺いたいと思います。
○石川説明員 御質問がよくわかないのでありますが、技術的な問題の解決、これを判断いたしますことはわれわれがやりますけれども、いろいろな種類の技術の御判断をいただかなければならぬわけでありますから、そういう問題につきましてはそういう方の御意見を聞いて決定する。しかし、責任はわれわれが持って決定いたすわけであります。
○前田(正)委員 責任を持って決定してもらえばいいのでありますが、安全であるかどうかについては、地震がどうであるとか、気象がどうであるとか、おのおの専門家の御意見を聞かれる。それはけっこうでありますが、この炉が安全であるかどうかということは原子力委員会が、気象の立場においては大丈夫だ、地震の立場においては大丈夫だと、専門家の意見を聞かれて決定をさるべきである。それをこの前の大学の申請に対しましては、専門部会の方で、これが安全であるとかないとかいうような結論を出して原子力委員会の方に出してこられたそうでありますけれども、そういうのは私は違うのではないかと思う。そういうことは、専門的にここに問題がある、こういう点はこういう問題がある、こういうのが専門部会の仕事であって、許認可については原子力委員会の人が与えられた権限を持っておるのでありますから、そういう専門の意見を聞かれて、これはなるほど気象上においても安全だ、これは地震の上でも安全だ、こういうふうに結論を出していかれるのがほんとうじゃないかと思う。そういうふうに原子力委員会としては運んでいただきたい、こう思っておるわけでございます。 それから、次のもう一つの問題は、先ほどから岡君の指摘されたようなことがコールダーホールの問題についてはあるのでありますが、そのほかに、そのコールダーホールの問題につきましては、これは日本の今後の原子力開発の方針として、このコールダーホール・タイプというふうなものはどういうふうな位置にあるのか、これは経済ベースに乗って、これでずっとやっていくのか、あるいは天然ウランの燃料サイクルでやっていくのか、こういうような意見も前にあったようでありますけれども、先ほど来の御説明を聞きましても、また、最近われわれのところに入った情報を見ましても、そうもいかないような点もあるようであります。それはイギリス自身が低濃縮ウランに切りかえていくというような問題もあり、あるいはまた、値段自身も当初考えたようなわけにもいかないかもしれない。また、イタリアの国際入札等の結果等もあるわけであります。そういった点から、このコールダーホールの改良型というのは、まずどういう観点で、たとえば、実際に持っておるものを共同研究するという観点でこれを許可していこうという立場であるか、それに対して、原発が同時に第二号炉としてアメリカのものを買う、こういう方針をとっておられるようでありますけれども、そういったものに対しても、現在のこのイギリスのコールダーホール・タイプと、次のアメリカから買付の第二号炉との間の関連というような問題も、これは原子力委員会としては一つ御検討願わなければならぬ問題である。これを認可するに当っては、そういうふうなコールダーホールの改良型というものがほんとうに必要であるかどうか、今検討されたのはおもに技術的な問題でありますけれども、これは国家的にいいますならば、これには相当の国家資金というものが、直接ではありませんけれども、開発銀行を通じて融資をしなければならぬ、あるいはまた、外貨の割当をしなければならぬ、こういうふうないろいろな問題があるわけであります。それからまた、電力行政との関係も出てくるわけでありますから、日本の原子力発電のあり方というもの、その中において今度のコールダーホール改良型というものはどういう地位にあるかということの、原子力委員会としての考え方も一つまとめて出していただきたい。従来、安いから、経済性があるからこれを買うのだというような話が新聞なんかでは流れておったことがあるようでありますけれども、必ずしもそうもいかないように思いますので、その辺の問題も一つ原子力委員会としては御検討いただいて、許認可の一つの条件としなければならぬ、こう思うのであります。そういう問題について、どういうふうにして御研究になるかしれませんけれども、原子力委員会としての意見をまとめてもらいたいと思うのです。その点について石川さんはどういうふうに思っておられるか、お聞かせ願いたい。
○石川説明員 価格の問題も安全性の問題も伺ってはおりますけれども、まだわれわれ詳しく聞いておりません。これが経済的に申しましても、安全性から申しましてもよろしいということならば、また将来コールダーホール型を置くというようなことになるかとも存じますけれども、これが高ければ——われわれ、初め長期計画を作りましたときに、安くいくだろうという考え方で、また、そういう説もずいぶん多いものでございますから、そういう考え方から、約半分くらいはこれでいくんじゃないかという考えを持っておりましたけれども、もし値段が非常に高いとか、安全性が非常に悪いとかということがだんだんわかって参りましたら、もう一ぺんこれを考え直していかなければならぬと存じております。 それから、アメリカの方の問題につきましては、今度は動力小試験炉を買っていただきました。それによってわれわれは判断をする経験を積んで参りたいということを考えております。 また、コールダーホールの最初の炉はやはりわれわれが経験を積む一つの試験台という意味も含んでわれわれはやっておる次第でございますから、これによってまた非常に事実が変って参りますれば、われわれの計画もまた変えていかなければならぬと存じます。
○前田(正)委員 その点については、われわれの方も実はこの委員会ではまだ十分討論をしておりません。それはなぜかというと、原子力委員会自身の御意見がまだはっきりしていないようでありますから討論をしておりませんけれども、しかし、いずれ原子力委員会が認可されるにつきましては、そういうふうな考え方も明らかにされて、このコールダーホール・タイプの炉だけで共同研究をされるのか、あるいはまた原発の第二号炉のアメリカ・タイプのものも入れて、イギリス・タイプ、アメリカ・タイプ両方を研究段階にされるのか、あるいはイタリアの国際入札等の結果から、アメリカ・タイプの第二号炉は、すでに実用タイプとしてこれを発注していこうという方針でおるのか、いろいろな問題を御研究願って、一つ態度を明らかにして、御検討願いたい。いずれ、われわれの方からもそういう問題について具体的な御質問をさしていただきたい、こう思っておりますので、どうか一つ原子力委員会としての十分慎重な御検討をお願いいたしまして、私の質問を終ります。
○小金委員長 参考人よりの意見聴取並びに質疑はこの程度にとどめます。 参考人御両所に申し上げます。長い時間にわたり、しかも貴重な御意見を発表していただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして、委員長の私より厚くお礼申し上ます。 本日はこの程度にとどめ、明五日午前十時より核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案について参考人より意見を聴取いたします。なお、本日午後一時半よ理化学研究明の視察を行いますので、委員各位の御参加をお願いいたします。 本日は、これにて散会いたします。 午後零時五十七分散会