法務委員会 第4号
- 発言数
- 47 件
- 登壇者
- 5 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1958/10/28
会議録
○委員長(野本品吉君) これより本日の委員会を開会いたします。 本日は司法試験法の一部を改正する法律案を議題といたします。 本案につきましては、先般提案の理由の説明を聴取いたしておりますので、これから順次質疑を行うこととし、御質疑のおありの方は御発言を願います。
○棚橋小虎君 ここに参考資料として出願者の合格内訳表とかいろいろなものが出ておりますが、大体これを見ますというと、出願者の総数では年次を追って減ってきておるわけですね。
○政府委員(津田實君) 出願者の総数は順次ふえて参っております。先般差し上げました資料によりますると、昭和十六年ないし十八年ごろが大体二千五百人前後でありましたものが、昭和二十八年ごろから五千人になり、さらに逐次毎年五百人程度ずつふえておりますが、昭和三十三年すなわち本年は七千百九人ということに出願者が相なっております。
○棚橋小虎君 いただいておるこの表の大きいところに、昭和二十八年、二十九年、三十年とだんだん三十三年まであって、その下の方に出願者の合計というこれは千六十五、それから二十九年は七百五十五、三十年は七百二十一、三十一年は六百十一、三十二年は六百七十四、それから三十三年は六百二十七と、こういうふうに減ってきておるのじゃないですか。
○政府委員(津田實君) ちょっと失礼いたしましたが、ただいま御指摘のは司法試験の第一次試験でございます。第二次試験につきましては、しばらく前に資料をお配りいたしたと思っておりますが、白い表紙の参考資料という分の中にまとめてございますが、その十一ページでございます。その方が第二次試験の方に相なっておりますので、主として今回の改正におきまして問題になりますのは第二次試験の方でございます。第一次試験の方は、ただいまのところ全然改正の案を立てておりません次第でございます。
○棚橋小虎君 そうすると、第一次試験の出願者はこういうふうに減っているけれども、第二次試験のやつはふえておるというのですか。その点どうなんですか。
○政府委員(津田實君) さようでございます。御承知の通り第一次試験と申しますのは、大学卒業程度において有するところの一般教養の素養を有しておるかどうかということをためすわけでございますので、学校教育法に定める大学において学士等の称号を得るに必要な一般教養科目の学習を終った者につきましては、この試験を免除いたしておりますのでありまするから、大学の一般教養科目の学習を終らない人々が受ける試験であります。それを受けましてのち第二次試験に進む、こういうことになるわけであります。大学の学士の称号を得るに必要な一般教養科目の学習を終った者につきましては第一次試験を免除いたしまして、直ちに第二次試験を受ける、こういうことになっております。この第一次試験の受験者が減って参りました理由は、必ずしも明確ではございませんが、要するに、おそらくは大学の高学年在学者あるいは卒業者がふえてきたということによるものではないかというふうに考えております。
○棚橋小虎君 それで試験の内容についてお伺いしたいのですが、今度の改正案によるというと、訴訟法の一つを選択科目にしているわけでありますが、大体私は法律というものは刑法とか、民法とかいうようなものは常識ある人だったらば大よそのことは見当がつく、訴訟法というものはちょっと常識ではこれはわからないものなんで、法律のしろうとと、それから専門家との区別は訴訟法を知っているか知っていないかということで分れるというふうに考えてもいいのじゃないかと、そのくらい訴訟法というものはやはり重要なものと思うのでありますが、それを司法試験からして一つをはずしてしまったと、これで果して専門の法律家として差しつかえないものかどうか、この点を一つちょっとお伺いしたいのですがね。
○政府委員(津田實君) 民事訴訟法あるいは刑事訴訟法どちらか一科目を必須科目として選択することができるということにいたしました趣旨は、もちろん御指摘のように訴訟法は非常に技術的な面を多く含んでおる学問でございますので、むろん法曹となって実務につく上におきましては民刑各訴訟法いずれも必ず必要であることは申すまでもないところでございます。ただこの提案いたしました趣旨は、要しまするに、新制大学の在学生の優秀な素質を有するものをなるべく法曹に迎えたいということを目的とした改正でございますが、御承知のように現在新制大学におきましては、四カ年のうち前半二カ年は主として教養科目を履修し、後半二カ年におきまして専門科目を履修するという大体の科目の配当になっております。そこで訴訟法、ことに民事訴訟につきましては、これは主としてこれが新制大学の第四学年に配当される科目になっております。まあ第三学年で履修しておるところも相当ございますが、第四学年において履修するところも相当ありまして、これが完成して履修できるのは、やはり第四学年の終りということになっておるわけでございます。そこで第四学年の六、七月ごろに在学生が受験いたしますと、大体中途において受けなきゃならぬ、こういうことになって参るわけでございます。そこでなるべく在学生に受けやすくするために訴訟法はどちらか一つを選択するようにした方がよくはないか、同時に訴訟法につきましては御承知の通り司法修習生になりまして後二カ年間の修習期間のうちに十分これを履修せしめることになっておりますし、特に実地につきましては、そのときに初めて履修するということになるわけでございますので、これらの訴訟法の不十分な点は司法修習生の修習期間内にこれを十分補充することができるというふうに考えますわけで、主として在学生に受験の機会を与える、合格の機会を与えるために訴訟法は二科目どちらか選択できるようにいたした次第でございます。
○棚橋小虎君 訴訟法につきましては刑事訴訟法も民事訴訟法も似たようなものだということもありますけれども、それは公判になってからの段階は比較的似たようなものですけれども、しかし刑事訴訟法なんかの捜査とか、あるいは検察庁にある間の段階、あるいはまた検挙するいろいろな方法などについては、これは民事訴訟法とは全然違ったものなので、そういうことをやらずに、すぐ裁判官などになって、あるいは実務家になってやって、果して刑事訴訟法なんか間に合うかどうかということも考えられるので、そういう点はどう考えられますか。
○政府委員(津田實君) もちろん民事訴訟法、刑事訴訟法両者を十分履修せしめ、かつこれを試験するという方法は最善の方法であることは間違いないことだと思うのでございますが、大学の履修程度を考えまして、大学生を受けやすくするために、主としてかような措置になったわけでございます。で、今御指摘になりました刑事訴訟における捜査の面等におきましては、やはりこれは司法修習生の検察実務におきまして、十分習得せしめるということが可能であると考える次第であります。なお昭和四年から昭和二十三年までの間におきましては、民事訴訟法、刑事訴訟法いずれもやはり選択にいたしておりましたわけでありますが、その間の後に司法官試補あるいは司法修習生になった結果を参酌いたしてみましても、必ずしも選択にして、どちらか一科目を選択しなかった人について、その素養が落ちるというような欠陥は見られなかった次第でありますので、今の新制大学の学生とにらみ合せまして、この点は選択科目にして差しつかえないかと判断いたしておるわけでございます。
○棚橋小虎君 新制大学の制度になってから期間が短くなって、専門の法律科目を修習できる十分に期間がないということで、訴訟法などを一つ落したということは一応わかるのですけれども、もし大学在学生の負担を軽減するために試験の方法に改正を加えると、こういうのであったらば、この本法律案の第六条第四項の規定ですね、司法試験管理委員会が試験科目中に相当と認めるものについては、出題範囲を限定できるという規定があるのですけれども、その相当に広げて、ほかの必修科目なんかの出題の範囲を限定するというような方法によっても負担を軽減することはできると思うので、大事な訴訟法を落してしまって、そしてやるということは、どうも賛成できないわけなんですが、そういう方法によって負担を軽減するというのではいけないのですか。
○政府委員(津田實君) 司法試験管理委員会におきます試験科目中、相当と認めるものについてその範囲を定めることができるという今度の改正規定の運用につきましては、いろいろ考えられるところでございますが、これは主として従来におきましても、商法におきましては海商法、保険、こういうようなものは、実際上試験問題として出題されたことがほとんどないというような事実的な慣行ができております。また民事訴訟法につきましても、強制執行権などはほとんど出たことがないというような慣行ができております。そういうような場合、刑事訴訟における再審、非常上告、執行のあたり、このあたりも出たことがないわけです。そういうふうに、おおむね従来も慣行的に出題をしなかった部分を、形式的に範囲から除くというような運用に主としてなるのではないかというふうに考えられますし、試験科目として一科目を挙げながら、その大部分を範囲から除外するというようなことは、司法試験管理委員会がなすべきことではないというふうに考えられるのであります。すなわち各科目におきましては、その基礎理論の面は、当然やはり試験の範囲内に入れるべきであり、基礎理論からはずれたと申すとなんでございますが、基礎理論以外の面につきましては、範囲を制限するというふうに運用していくのが、この法の適当な運用であるというふうに考える次第でありますので、かりに訴訟法一科目入れまして、そのある範囲を限るということにいたしましても、なかなかその基礎理論の部分は範囲を限りにくいというような結果になろうかと考えます。従いましてやはり科目として初めから選択せしめるというのがしかるべきであるというふうに考える次第であります。
○棚橋小虎君 民法なり刑法なり商法なりですね、それ相当な広い範囲を試験から除いても、やはり刑法なら刑法のその全体系というものについては、一応頭に入れておかなくちゃならぬわけだからして、ただこまかいことは、それはもう試験範囲から除くが、受験生の方から言えば、一通り体系的には全体をみなければならぬ、こういうことになるので、この訴訟法の全部を除いてしまうということとは、だいぶその方は違うと思うのですがね、その点はいかがなものですか。
○政府委員(津田實君) その点は全く御指摘の通りでございまして、新制大学の四年を終了する際には、少くとも一応完全な民事訴訟法なりなんなりの履修が終っている次第でありますけれども、四年生のごく最初の部分におきましては、全部履修を終らしめることが困難でありますので、それと卒業生との履修程度を比較いたしますると、相当の懸隔が出て参るわけであります。そういたしますと、はなはだ在学生にとって不利なような試験制度に相なるわけでありますので、そこで四年において履修すべき科目につきましては、相当考慮すべきであるというふうなことになって参ったわけであります。でありますので、民事訴訟法なり刑事訴訟法が試験科目にないから、全然それは履修に値しないということでは全くないのでございまして、これはこれに続きますところの司法修習生の二カ年の期間において、理論の面からも実務の面からも、十分練摩させられるわけでございますので、それらの点で補い得るというふうに考えている次第でございます。
○委員長(野本品吉君) ちょっとこの際御参考に申し上げておきます。法務大臣は、要務のため、十二時に退出しなければならぬそうでございますから、それを御了承の上、御質問願いたいと思います。
○棚橋小虎君 それから今度の試験の改正の趣旨が、従来はあまり法律学だけに偏重していること、一般の素養というか、広い視野に立った人材を選ぶようにするためには、こういうふうな改正が必要だと、こういうのですが、それでもやはり今度の改正についても、七科目のうち六科目は法律であって、一科目だけがそれ以外の科目ということになると思うのですが、それで十分改正の目的というか趣旨が達せられるかどうか、その点いかがですか。
○国務大臣(愛知揆一君) おくれまして、まことに申しわけございませんが、ただいまの御指摘はまことにごもっともと思いますが、この際、この司法試験の改正につきまして提案するに至りましたまでの私どもの考え方をちょっと御参考に申し上げたいと思います。 御承知の通りに、司法試験のあり方につきましては従来もとかくいろいろ批判の対象にもなりましたので、法制審議会にお願いをいたしまして一つの御答申をいただいたわけでございまして、率直に申しますと一般的に常識の円満な優秀な、なるべく若い人を法曹界に迎えたいという趣旨から考えますると、一つの割り切った考え方がこの法制審議会の答申には私は出ておると思うのでございます。しかしながら、一度にいわば理想的と申しますか、そういうところに参りますのにも若干の現実的ないろいろの問題もございます。るので、なるべく広くその後におきましても政府としては各方面の御意見を十分に伺いまして、そうして現在の段階におきましてここ当分の間は御提案申し上げましたような案が最善であるというように考えまして提案いたしたような次第でございます。従いまして、一つの考え方から申しますれば法律に偏し過ぎる試験であってはならないという要請と、それから現実にはいろいろ各大学の科目の履修の状況その他から申しまして、なるべくそういう趣旨は取り入れたいけれども、同時に先ほど申しましたような法制審議会の御答申のようなところまでいくのにはいささかどうかと考えましたので、ちょうどその中間をとっておるような格好になりまするので、法律がおろそかにされているではないかという御指摘の点もごもっともと思いまするし、またさりとて、それなら法律は将来司法修習生としての修習の機関があるのであるから、むしろ一般高等常識の方に重点をおきたいという考え方からいえばそのようにもなっておりまするので、そこのところの中間をとるような格好になっておりますことをこの案全体の背景として見ていただきたい、まあこういうふうな考え方になっておりますことをまず申し上げたいと思う次第でございます。
○棚橋小虎君 それから選択科目の中の法律以外の選択科目、たとえば社会政策だとか、経済政策、そういったようなものは試験官のだいぶ思想的な背景がそれぞれ違っているのではないか。そういう場合に、試験委員の考えによっていろいろ左右されるということが多くなるということも考えられるのですが、そういう点については公平にやれるかどうか。そういう見通しがつけられますか、どうか。この点をちょっとお伺いしたい。
○国務大臣(愛知揆一君) この点もまことにごもっともな御質疑でございまして、私どもの考え方といたしましては選択科目を二つの部類に分けまして、法曹界に入ってもらう方に純粋の法律学ではございませんが、それに隣接しておるような社会科学というようなものを選択科目に相当加えて、そのうちの一つを選んでもらうことが適当かと考えたわけでございます。そこで、そういったような社会科学の学問につきましては、いわばイデオロギーと申しますか、これも相当違っておる学説があることは御指摘の通りでございます。そこで、問題は試験考査委員の選び方ということが非常に大切なことになると思うのでございまして、私が試験考査委員の方に御期待をすることは、かりにイデオロギーの違うような学説によってその科目を修習し、これが答案その他に表われて参ります場合におきましても、全体としての論理の積み上げ方あるいは全体として一つの体系を頭に置いての理論構成と申しますか、そういうことが正しいと申しますか、認められまするような場合におきましては、考査委員のイデオロギー等がその学説と違っておりましても、そこに勉強と研究の跡が十分見とられるような場合におきましては、それを評価して点数をつけてもらうというように、試験考査委員の立場としては公正な立場でやっていただけるような方を試験考査委員に選びたい。それによりまして、ただいま御指摘のような御懸念を起さないようにするということをやって参りたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
○棚橋小虎君 これは社会政策とか経済政策というものは、やはり試験委員というものは大ぜいおって、それが一つの答案について各人がそれぞれ採点をして、そうしてその平均点をとって評価点にするというような方法になるわけでありますか、その点を……。
○政府委員(津田實君) その点は従来の科目におきましては、大体論文試験におきましては二題問題を出題いたしておりますが、その二題の各題につきまして、それぞれ全受験者の答案を二人の委員で見て、その採点の結果を平均してその者の得点とするというようなやり方をいたしておりますが、もちろんこの改正後のこの法律科目以外の科目につきましても、さような措置がとられるものと考えております。
○棚橋小虎君 大体わかりましたが、最後に猶予期間について、二年間の猶予期間を設けるというのでありますけれども、それほどの長い間の猶予期間をこれだけとってあれば、すでに研究もできておるということで、そんな長い間猶予期間を設けないでも、すぐ来年からでも実施して差しつかえがなかろうかと考えますが、その点はいかがでございますか。
○国務大臣(愛知揆一君) この点もごもっともな御意見でございまして、これもざっくばらんに申し上げますが、だいぶわれわれとしても考えた点でございます。しかしながら端的に申しますと、この二年間の猶予期間というのは、法制審議会の答申の二年間の猶予期間は必要であるということをここには取り上げたわけでございます。 それからなお、それがどうしてそういうふうに審議会でもお考えになったかという根拠なんでございますが、これはこの法律が幸いにして制定せられました場合に、現在大学の一年に在学している者が二年後におきまして在学生として受けるのが大部分の傾向であろうと思うのでありますが、これから大学に入るところを基準にすると三年の猶予期間になりますし、また一年間ということになりますと、現在二年に在学している者も多少やはり準備に不十分な点もあろうかというようなことから、たまたま審議会の答申も二年になっておりますので、大体大学の現に一年に在学している人から、まあ十分準備をして受けられるようにしてやるのが受験生の立場を考えて一番妥当であろうかと、こういうふうに考えて二年間の猶予期間ということにいたしたわけであります。
○大川光三君 まず法務大臣にお伺いいたしたいのでありますが、その第一点は、本改正案のねらいは一体どこにあるのかという点であります。本法律案の提案理由の説明によりますると、大学の優秀な新卒業生を他の職業分野に逸することを憂慮してこの改正案を提出するに至ったというように見受けられるのでありますが、これはもっぱらその合格者の質の向上を目ざしておるのか、それとも合格者の質の向上とともに、量の増加をもあわせ目ざしておるのかという点をまず伺います。
○国務大臣(愛知揆一君) これは何と申しましても将来性のある優秀な人材を法曹界に迎え入れたい。ここ数年来の傾向から申しまして、御案内のように、ともすると在学生の合格の率が著しく減少しております。こういうことでは将来優秀な若い人を取り入れるということはますます今後ともむずかしくなると思いましたのが、何と申しましてもこの改正の第一の重点でございます。しかしながら、同時に相当数の人たちに合格をしてもらいたいという気持もないではないのでございますが、これはまた御案内のように、司法修習制度というものがございます関係で、その受け入れ態度とこれは表裏しなければ、言うべくして行い得ないことでございますので、これらの点につきましても今後猶予期間がたまたまありまする間に、司法修習制度の方につきましても拡充策を講じ、それと見合って考えて参りたい。大体かように量の方の問題は考えおるわけでございます。
○大川光三君 ただいまの大臣の御答弁のうちに、まあ数の面からも相当多数人を取りたいという希望がある。しかし一面、司法修習生のいわゆる受け入れ態勢をも勘案しなければならぬという御意思のように今伺いました。私は決して言質をとってとやかく申すわけではないのでありまするけれども、そういう考え方ではいけないということを私は考える。 御承知の通りに、今日わが国の法曹人口というものは、アメリカ等に比べてきわめて劣勢であります。のみならず、年々歳々法曹人口は減少の一途をたどっておるというように伺うのでございまするが、果してそういう面を本改正案が考慮に入れての立案であるかどうかということは、私ども非常に関心を持っておる点であります。ところがたまたま司法修習制度の受け入れ態勢とともに勘案しなければならぬということになりますと、一体この試験は資格試験なのか、採用試験なのかという大きな本質論に触れていかなければならぬと思うのですが、その点に関する大臣の御見解。それと同時に法曹人口の関係につきまして、たとえば在野法曹においては飽和点に達しているかもしれない。しかし、裁判官並びに検察官は現在ともに定員にも満たないような現状でありますし、また今後の法秩序の維持と訴訟促進という面から考えましても、裁判官、検察官の拡充強化ということは私は時代の要請であるとさえ考えておるのでございまして、政府は果してこういう点をも考慮に入れての立案であるかを伺いまして、数字的には津田さんからお伺いしますが、一応大臣からのお考えを伺っておきたいと思います。
○国務大臣(愛知揆一君) 大体ただいまの御意見のように実は私も考えて参りたいと思っておるのでございます。採用試験か資格試験かというお尋ねでございますが、実はこれもせっかくお尋ねが出ましたので、意見を申し上げで恐縮なんでありますが、検察官あるいは裁判官等については、ただいま御指摘の通りでございまして、もっと優秀な人が数多く合格してくれなければ将来の法秩序の維持ということについて相当重要な関心を持たざるを得ないわけでございます。御案内のように、現在の制度では修習生の研修の制度並びに研修所の関係は裁判所の所管になっておる関係もございますので、裁判所等ともこの際できるだけすみやかに相談をまとめまして、研修所の充実ということをぜひやって参りたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
○政府委員(津田實君) 教字の点でございますが、ただいまの弁護士の総数が増加しておるか、減少しておるかという点につきましては、ちょっと数字をつまびらかにいたしておりませんが、ほぼ同数で進んでいるのではないかと思っております。 それから裁判官及び検察官につきましては、やはり大した増加はないが多少は増加しておるというふうに考えられますが、それにいたしましても定員にはまだ相当欠員がある次第でございます。なお、本年は、昨年度までは大体二百五十人ないし二百八、九十人の合格者を第二次試験に出しておりましたのですが、本年は三百四十六名ということになりまして、昨年より六十名の合格者が増加いたしております。この点につきましては、ただいま御指摘のような事情もございまして、本年はとりあえず合格者をふやすという方針を考査委員会でとりまして、かような結果になったと思うのでございまして、これはただいま御指摘のようなことを考慮の上だと考えられるのでございますが、将来ともに徐々にかような措置によって合格者をふやし、従って判、検事の数の充実等がはかられてくるのではないかというふうに考えておる次第でございますが、画期的に合格者の数を増加いたしますることは、ただいま大臣が申しましたように、司法研修所の設備、あるいは教官の陣容等の関係から早急には困難であろうかというふうに考えております。
○大川光三君 津田さんに重ねて—、もしお手元で現在定員数に欠員があるという数字がわかりますれば、検事何人、判事何人ということを御説明いただきたいと思う。大体私どもほぼ常識的な欠員の数はわかりますけれども、明確な数がわかりましたら御発表願いたいし、もし今わかりませんでしたら、他日の機会に一つ御説明をいただきたい。 それと同時に、なお、現在の定員を満たすだけに、法務当局にしても、裁判所当局にしても、満足しておられるのか。いわゆる拡充強化という点についての計画があるのかどうかという点について伺いたい。
○政府委員(津田實君) ただいま詳しい数字は手元にございませんので申し上げかねる次第でございますが、大体の記憶としましては、検事につきましては二、三十名程度の欠員があるというふうに考えております。なお、詳しい数字は次回に資料として差し出す次第でございます。 それから、検察官及び裁判官の増員につきましては、来年度それぞれ計画いたしまして、予算要求をいたしております。検察官につきましては、約百名定員増を要求しておったと思いますが、詳しい数字は百十名くらいになったかと思いますが、詳しい点はちょっと記憶いたしておりません。裁判所につきましても、判事補の定員数を相当増加するように予算折衝をいたしておるように聞いております。
○大川光三君 そういたしますと、御計画通り予算が大蔵省で承認されたという場合に、果して人材資源には御心配ありませんか。
○政府委員(津田實君) 従来、たとえば昨年にいたしますると二百八十六名の合格者がございましたわけでございますが、そのうち裁判官並びに検察官を志望し、採用された者は、おそらく百二十名か百三十名くらいだと思うのでございます。そういたしまして、あとの約百五十名内外は弁護士になったと、こういうことになっております。本年は三百四十六名でありますので、約六十人はふえたわけでございますけれども、そのうち従来の数にさらに増して裁判官、検察官を志望する人が何人あるかということは必ずしも今のところ明確でございませんけれども、それにしても、多くてやはり三十名程度の増加か、あるいは三、四十名増加ということになるのではないかというふうに考える次第であります。かように裁判官、検察官の志願者が必ずしも多くないという原因については、いろいろ検討いたしておる次第でございまするけれども、その要素としてはいろいろなものが考えられるわけでございますけれども、やはり何と申しましても、第一に考えられることは、待遇その他の点で裁判官、検察官に魅力がなくなった、魅力が少くなったということが言われるのではないかと思いますので、いろいろこれらの点につきましても検討いたしまして、多くの優秀者が裁判官、検察官を志願するようにいたしたいと、常々努力いたしておる次第でございますが、なお十分に参りませんので、必ずしも多くの志願者を得られない現状でございます。
○大川光三君 ただいま本年度の合格者が前年に比べて六十名の増加だという御説明をいただきましたが、私の伺っておるのは、もし増員計画の予算が満たされたら、果してそれに匹敵する人材が得られるかという点であります。あるいは弁護士から採用するのも一つの方法でございましょうが、御承知の通りに、弁護士から人を得るということは非常にむずかしいのでございまして、かかって司法修習生から得なければならない。そういたしますと、かりに今年度六十名の増がございましても、なお二年間の修習期間がございますから、一昨年の合格者即本年修習生を終える人からまずとっていかなければならない、こういう結論にならざるを得ないと思います。そこで、私はまあそれ以上結論は申しませんが、全体として考えたいことは、このいわゆる試験制度の改正を契機として、いかにして優秀な者をたくさんとるかということに重点を置いていかなければならない。私どもはそこに大きなこの改正案に対する希望があるのでありまして、なるほど本年六十人とったということ、それは現行法における六十人の合格の増であります。ところが、少くとも試験制度が変ったという、その機会にこそ優秀な者をたくさんとっておかなければならぬし、またいい者をたくさんとれるということが私はこの改正案の特徴だとさえ考えておるのでありまして、この改正を契機にして、大学生の受験者数は一体どれほどふえるだろうか、また合格者数が事実上どれほどふえるだろうかということについてのもし見込みがございますれば、その点を具体的な予測について御意見を伺っておきたい。
○政府委員(津田實君) ただいまのお尋ねの点につきましては、従来も検討いたしたわけでございますが、予測は非常に困難なわけでございます。戦前の旧制大学の学生の数はおよそ見当がつくわけでありますが、そのときに果して学生が何人出願しておったかという点につきましては、資料が焼失いたしておりますので、これをつまびらかにすることができなかったわけでございます。ただ、現在の新制大学を考えました場合に、旧制大学時代の学生と比べますと、法学を専攻しておる課程におきまして、約倍の数の学生が要るということになっておるわけでございます。従いまして、約八千人近くの学生が法学専攻におるわけでありますが、現在そのうちで司法試験を在学中に出願しておる者は約一五%くらいになっておるわけでございます。これが何十パーセントまで増加するかということは予測がつかないわけでありまするけれども、相当数、今度の改正によりまして大学生が受けやすくなるということによって、受けようという意欲が出て参り、従ってそれに見合うだけの合格者が出て参るのではないかというふうに考えております。そこで、合格者の点でございますが、終戦前並びに終戦直後の旧制大学時代におきましては、約四〇数%から五〇%内外の大学生の合格者があったわけでございます。で、もしこの試験を執行いたしまして、幸いにしてこの旧制大学程度の学生の合格率が得られれば、最もこの法律の目的は達したということが言えるのではないか。大学生以外の刻苦勉励をして受験する方々も、これをやはり法曹界に迎える必要が十分あるわけでございますので、大学生の数が非常に増加するということは必ずしも望まなくてもいい、また望むべきではないかと思いますが、少くとも在学生とその他の者との比率が五〇%程度になれば、この法律はある程度目的を達したというふうに考えられると思う次第であります。
○大川光三君 先ほど法務大臣にも申し上げたのですが、この試験は、いわゆる資格試験という前提に立っておる。実は、いろいろ試験官の人にも会って意見を聞きましたが、年によって非常に波があるそうでございますけれども、時によって、非常によくできる年がある。もう全部、たとえば合格標準点の、六十点なら六十点以上の点をやらなければならぬようないい成績の受験者が多い場合もある。それでも、結局従前は、修習生の受入態勢に拘束されて、残念ながら合格者の数を限定しなければならぬということがあって、これは試験官として非常に残念だというようなことを私伺いました。そこで、ただいまの津田さんのお見込みのように、幸いにして試験制度の改正によって合格者の多からんことを熱望しておるのでありますが、もしそういう場合に、やはり依然として司法修習生の受入態勢に制約されて、必ならずも合格者の数を限定するというようなことになっては、人材資源確保のために私は嘆かわしいので、それに対する大臣の御意見をもう一ぺん伺っておきたいと思います。
○国務大臣(愛知揆一君) まことにごもっともでございまして、私の考えとしては、根本が、優秀な人を量においても多く法曹界に迎えるべきであるという考え方をとっておりますので、現実問題としては、やはり研修所の充実ということをあわせて格段の努力をいたさなければならないと思うわけであります。従来も、御案内のように、研修所は定員というものがなかったわけでございまして、これは、やはり事の性質上、沿革的にもそうであったのではなかろうかと考えるのでございますが、この点は、先ほども申し上げましたように、至急に一つ、裁判所その他関係の向きと協議を進めまして、研修所の充実ということに画期的な努力を払って参りたいと思います。
○大川光三君 津田さんに引き続いて伺いますが、今度は、いわゆる短答式と論文式、口頭試問、こう三つの試験の段階がございますが、私は、自分の希望意見を申し上げますと、論文試験においては相当たくさんの合格者をとるべきだという考えを持っております。優秀な人材を他に散らさないという面から言いましても、論文試験にはたくさんの人を採用する、そうすれば、かりに口述試験で不合格になっても、一年間資格を留保されますから、必ず翌年は口述試験を受ける受験意欲というものは強くなってきて、人材を他に散らさないという政策的な考えがございまして、これは、純法律改正案の議論としては申し上げるべきでないかと思いますけれども、私自身としては、いわゆる試験官が言いまする非常に優秀な者がたくさん出てくるという言葉を合せ考えまして、論文試験においては多数の合格者をとるべしという私の意見であります。その点はいかがでございましょうか。
○政府委員(津田實君) ただいま御指摘の通り、第二次試験は、短答、論文、口述の三つの試験によることになっておりますが、短答式によりましての合格者につきましては、出願者の何割かということになっておるわけでございますが、将来の他の各試験の経験等に徴しまして、大体論文式に移り、論文式を審査すべき対象に、一応目安を置きますと、その五倍程度以上を短答式によってすぐった場合にはその短答式の目的を達し得る、短答式によって不適当な者をすぐることもなく、また優秀者を短答式によって逸してしまうということもないというのが従来の経験によりますところの結果でございますので、論文式試験の約五倍以上の程度のものを短答式ですぐりまして、今度論文式試験に移るわけでございます。そういたしますると、論文式試験につきましては、試験委員によって十分内容の審査が行われると思いますので、少くとも、十分その実力のある者が漏れなく論文試験に合格するという結果が出て参るというふうに考える。そういたしますると、口述試験は、主として論文式試験につきまして、僥倖によって合格した者はないかどうかということを確める程度に行うのが従来の口述試験の実績でございます。おそらく、将来も大体そういう方向になると思うのであります。従いまして、少くとも、論文式試験におきまして実力者を漏れなく合格せしめるということができれば、やはり口述試験に移る人は多くなってくるというふうに考えられる次第でございますので、御指摘のような結果になるじゃないかというふうに考えております。
○大川光三君 先ほど棚橋委員からも御質問があったわけでございますが、私も棚橋委員と同じように、民事訴訟法、刑事訴訟法は、これはやはり必須科目にすべきであるという強い意見を実は持っておるわけであります。そこで、津田さんの御説明では、この法律案の第六条第四項の規定で、出題範囲を限定できるという、これの活用から考えて、もし基礎理念に重点を置いての試験をやるということになりますれば、一体基礎理念というものは、大学の四年の前半で教えるのではないかと、私どもはそう思っております。後半で教えれば別ですけれども、一体基礎理念というものの学校における教え方というものは、どういう時期に教えるのでしょうか。基礎理念を先に教えて、後半で手続法を教えるじゃありませんか。もしそういうことであれば、私はやっぱり基礎理念で試験ができるならば、しかも、四年制の大学の前半においてすでにこれが終了されていなければならぬという感じを持つのですが、これは事務的に一つ教えていただきたい。
○政府委員(津田實君) 大体、お手元に差し出しました資料、「その二」の一ページにございますが、民事訴訟法につきましては、一年ないし三年、主として三年でございますが、に四単位、それから四年に四単位というところが多いわけでございます。中には、民事訴訟法が四年に六単位、あるいは四年に八単位というようなところもございます。また逆に、三年に八単位、四年に四単位というようなところもございますが、まあ大体半分程度は四年に移っておる、四年の科目になっておるのでございます。そこでやはり履修直後においてこの試験を受けさせる、履修途中においてこれを受けさせるということは全体の理論にそれぞれ響くわけでございます。基礎理論を一応履修しておったからといって、直ちにその程度で試験することがその者の実力をためすゆえんかどうかという点に問題があると思われるのであります。 そこで、それと、もう一つは、訴訟法につきましては、たとえば範囲の限定を基礎理論の部分に限るというような限定は非常にしにくいという技術的な問題もあろうかと考えられますので、訴訟法につきましては、後の司法修習生の二カ年の時間に理論的なもの、それから実地ということをあわせて研修することによって、効果的に学理の修得もできるというように考えた次第で、かようにいたしたわけでございます。
○大川光三君 法律案の提案趣旨説明書の第四項で、例の司法試験考査委員の数の制限を撤廃することにしたというのでありますが、この数の制限の撤廃ということは、考査委員の一科目についての委員をこれはふやすという意味なんでしょうか、減らすという意味なんでしょうか、その点がちょっと説明書では不十分でございますので、御説明をいただきたいと思います。
○政府委員(津田實君) 現在の考査委員の数は一科目につきまして四人以内となっておりますので、減らすことにつきましてはもちろん要らないわけでございます。現に選択科目で受験者の少いものにつきましては、考査委員二人ということもあるわけであります。ところが、今度数の制限を撤廃いたしましたるおもなる理由は、短答式試験につきましては、これは御承知の通り問題の作成が非常に困難なものでございます。また、問題の作成如何によりましては、試験の実質的な成績に相当影響する問題だと思いますので、単に記憶しておるかどうかを試験するというような程度の問題は比較的簡単にできるのでありますけれども、そうではなくて、実際の素養なり知能をためすための試験問題ということになりますと、相当手数がかかるわけであります。そこでさような問題として最も当を得た問題を出すためには、多くの試験委員によって、衆知を集めて問題を作成するという必要がありますので、この短答式については現在の四人ということでは不十分であるということが考えられる次第でございます。 それから同時に口述試験につきましても、今度は試験科目が多少ふえております等の関係もございます。そういたしますると、試験施行の日時の最終日が、他の職業分野の就職試験日前に結果を得る必要があるというような点から、口述試験におきましては、班を分って試験をするのやむを得ない状況でございますので、その班を分つ際に、やはり考査委員の数が多ければ班を多くし、試験期間を短かくするということが可能であります。と同時に、受験者の滞在に関する負担等も考えられるわけでございます。そういう意味で、主として考査委員の数をふやすということを目的にする、この数の制限に関する規定を撤廃する次第でございます。
○大川光三君 最後に、もう一点伺うのでございますが、これも棚橋委員から御指摘があったのでありますが、私はやはり教養科目をもっと強く必須科目として入れるべきであったと、こう思うのです。ただその時期は、口述試験のときにやるのが一番いいのだという考えを持っておったのでありますが、何と申しましても、先ほども申し上げましたように、論文式試験にかかった者は一年間の受験資格を持ちますから、その口述試験で教養科目があっても、これは非常に一年の間に勉強ができるので、私はほんとうの将来の法曹になる人のために、特に、もし論文式筆記試験に受かって不幸にして口述試験に失敗した人が、かえってそれが将来のためになる、その一年間にうんと教養科目を勉強さすべきであるという考え方を持っておったのでありますが、改正案がかようになりますので、これはかたがた先ほどもお話がございましたように、司法修習生の期間において訴訟法の足らざるところは補うと同時に、教養科目についても大いに従前よりも強く教養科目に重点を置いて修習をされなければならぬという考えを持つのであります。もちろん従前においても修習科目が二年間行われるそうでありますけれども、特に教養科目について、今後修習生に対して制度を改めようとするのか、従前通りやろうとするのか、その点に関する御意見を最後に伺っておきたいと思います。
○政府委員(津田實君) 司法修習生の修習期間の修習の内容につきましては、もっぱらこれは最高裁判所の所管するところでございます。しかしながら検察権を持っておりまする法務省側、それから弁護士側すなわち日本弁護士連合会等から、それぞれ教官も出ておるわけでございまするし、また、義務的にも、法務省といたしましては、今度の法律案が制定されましたその趣旨を十分伝えまして、修習内容についても格段の配慮をしてもらうことを強く要望したいというふうに考えておる次第でございます。
○委員長(野本品吉君) ちょっと速記をとめて。
○委員長(野本品吉君) 速記つけて下さい。 別に御発言がなければ、本案に関する本日の質疑はこの程度にとどめまして、次回は十月三十日木曜日午後一時から本案の質疑を続行いたします。 なお、先ほど御質問になりました判検事の定員とその充足の状況につきましての資料は、なるべく早く御提出を願いたいと思います。 本日はこれにて散会いたします。 午前十一時五十二分散会