大蔵委員会 第2号
- 発言数
- 6 件
- 登壇者
- 2 名
- 会派数
- 1
- 開催日
- 1958/10/16
会議録
○委員長(前田久吉君) ただいまから委員会を開きます。 お諮りいたします。木内委員から都合により理事を辞任したい旨の申し出がありましたが、これを許可することに御異議ございませんか。
○委員長(前田久吉君) 御異議ないと認め、さように決定いたしました。 つきましては、直ちにその補欠互選を行いたいと存じます。互選の方法は、成規の手続を省略して、その指名を委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
○委員長(前田久吉君) 御異議ないと認めます。よって委員長は、理事に山本米治君を指名いたします。 —————————————
○委員長(前田久吉君) これより接収貴金属等の処理に関する法律案を議題とします。 前回に引き続き、補足説明を聴取します。
○政府委員(賀屋正雄君) 御質問を受けます前に、私どもの方から補足的に、本日資料を提出いたしましたので、これにつきまして御説明を申し上げたいと思います。 従来、と申しましても、先国会でも特にそうであったのでございますが、この法案に対する一つの批判といたしまして、元来、この貴金属を連合国占領軍によって接収されたのは、戦時中に政府が金、銀、白金等を供出していただいたのでございますが、これに応ぜず、供出を怠った者がそのまま戦後引き続き持っておったところを接収されたのではないか。従って、このような当時の国策に協力しなかった者に対して、今となっては返還する必要ないではないか、こういう御意見が強かったように承わっておるのでございます。しかしながら、私どもは純法律的な立場から、接収は没収ではないので、もとの所有権はそのまま、接収されたとしましても、もとの所有者に残っておるのである、こういう考え方のもとにこの法律を出しておるのでございますが、今申しましたような御批判がありますので、その点、しからばどのような実情にあったかという点につきまして、一つの判断の材料というような意味で、この表をお出しいたしたのでございます。 この表は備考のところに書いてございますように、接収貴金属等の数量等の報告に関する法律という法律を出しまして、報告を取ったものを、事務当局におきまして試算いたしたものでございます。今後この法案が成立いたしました場合には、厳重にこの接収貴金属等処理審議会というもので御審議をいただきまして、返還措置をとりますつもりにいたしておるのでございますので、今後計数には多少の異同を生ずることが予想されますが、一応業種別に分類いたしまして、この計数を金額と業種別に分類してみたものでございます。 一番左側の業種別のところに書いてございますように、法人につきましてごらんいただきますと、たとえば貴金属の売買加工業でありますとか、ダイヤモンドの売買加工業、あるいは鉱山業、金属加工業といったように、本来、金でありますとか銀というような、今回接収されております金属そのものを取り扱う事業を経営しておりました法人が接収されておるということでありまして、これらは戦時中の供出とは何も関係のない事柄でございまして、以下に書いてあります電気機械工業その他の工業におきましても、多かれ少なかれ、本来の事業に必要な範囲内において貴金属を持っておって取られたものが大多数であるというふうに考えられるのでありまして、個人につきましては、やはり貴金属の売買加工業に従事いたしておりました個人が、やはり本来の業務の一つの材料という意味合いにおきまして持っておりました貴金属が接収されたという、これが圧倒的に多い計数となっておるのであります。その他のいろいろな業種につきましても、多かれ少なかれ、そういうことが言えるのでありますが、まあこの中には、戦時中何らかの理由で供出をしなかったもので接収されたものは絶対になかった、絶無であったということも、自信をもって私は言えないとは思いますが、おおむね、この表によってごらんいただきますればおわかりのように、それはあったといたしましても、その二億円の個人の持っておりましたうちのごく小部分にすぎないと。この一つの想像される一事をとらえまして、今回の六百何十億に上る貴金属を処理する法案に対する批判といたしまして、そのような国民感情上この法律案は提出すべきではないという意見は、私どもはちょっと賛成いたしかねるというふうに考える次第でございます。その点を、まず申し上げたいと思うのでございます。 それから、従来こういうこともよく言われたことでございまして、個人についてでございますが、昭和二十一年に財産税等を徴収いたしたのでありますが、接収された貴金属を持っておって今度返された人は、財産税を免れておるのではないか。しかるに、今度非常に値上りしたところでもって、この接収貴金属が返ってくる。それに対してわずか一割の納付金を取っただけで返すということは、やはりこれも国民感情上許せないのではないかということが、よく言われておるのであります。そこで、財産税との関係につきまして若干私どもの考えを申し上げておきたいと存ずるのであります。 財産税法の規定によりますと、接収貴金属に対する財産税の課税方法は二つに分れておるのでございまして、これも前にいつか——前々国会におきまして御説明いたしたところでございますが、一つは、昭和二十一年に勅令で臨時貴金属数量等報告令というのを出しまして、当時貴金属を持っておられる方々にその数量を報告をしていただいたのでございますが、その報告を出した個人で接収された方々は、貴金属が現実に手元に返還されるまでは課税を延期するという措置が法令上とられておるのであります。そうでなくて、第二に、報告を出さなかった個人で接収された人につきましては、課税の延期が認められず、当時財産税の納税義務があったわけでございます。しからば、果して個人で納税したかどうかという点でございますが、これを全体の人たちについて調べますには、なかなか全国に散在いたしておりますし、何分古いことでもございますので、私どももいたしかねたのでございますが、東京都内におきましては調べたのでございまして、東京都内の課税状況を調査いたしましたところが、これは五人についてでございますが、そのうち三人は財産税が課税されておりました。あとの二人は課税されておりません。この課税されておらないということは、必ずしも脱税ということにはならないと思うのでございます。御承知のように、財産税というものは貴金属だけではございませんで、当時その個人が持っておりました財産の全部を総合いたしまして、そのうちから債務を差し引きまして、さらにこの基礎控除額といたしまして十万円という金額がきめられておりました。それをこえたものだけが課税されるのでありまして、従いまして、課税されなかったものはこの基礎控除の範囲内であったというものもあるわけでございますので、必ずしも全部が脱税というふうには言い得ないと思うのであります。 ところで、しからば、かりに、この財産税を納めなかったことが不都合であるという前提をとりまして、それなら数字がどの程度になるかということでございますが、ここに今の表に立ち返ってごらんをいただきますと、民間に返します貴金属は、全体のうちで法人が三十九億、個人が約二億というふうになっておるのでございます。それに第三の、日本銀行が売り戻しの条件付で買いましたものが約三億ということであります。ところで、財産税は、法人は当時課税の対象といたしておらなかったのでありまして、個人だけを対象といたしたのであります。それから、日本銀行売り戻し付の金製品、これは個人でありますが、これは所有権が財産税課税当時日本銀行にあったのでありますから、これも課税の対象となっておらないのでありまして、わずか二億のものについて財産税が問題になるわけでございます。しかも、この二億円につきましても、基礎控除という点を考慮に入れますと、十万円。当時の基礎控除の十万円は、現在の貨幣価値に直して考えますと、まあ三百万円くらいには相当すると思うのでございまして、この表でごらんいただきますように、金額的に五百万円をこえるものがわずかに六件という程度でございますので、この個人に財産税を課すると、今になってあとから課税すると——納めた者もあるわけでございますが、それでもなお課税するとかりにいたしましても、ごくわずかな人についてそういうことが起るにすぎないのでありまして、まあそれが第一点と、 それから、しからば、先ほど申し上げましたように、報告を出しております方々は課税が延期されておる。返還になったときに課税するということを申し上げましたが、それれら財産税の課税を、財産税当時の低い評価額ではなくして、返ってきたときの時価でもって財産税を課税したらどうかという議論が一つ出てくるわけでございます。財産税は、御承知のように、一つのポイント、時期をとらえまして、そのとき現在において個人が持っておりましたあらゆる財産を総合いたしまして課税したわけでございまして、具体的には、昭和二十一年の三月三日現在の財産を課税の対象といたしたのでございます。従いまして、財産税というものはそういう課税をするもともとの法律でございますので、接収貴金属等で課税を延期されておるものだけを調査時期を異にして課税するということはできないのでありまして、やはり同じようなケースで、たとえば在外財産でありますとか、賠償指定施設があとから返ってきたというようなもの等、約十四ばかりあるのでございますが、これらはいずれも自分の手元に返ってきたときに課税するという建前をとっておりますが、これもすべて調査時期、すなわち二十一年三月三日現在における時期をとらえまして課税しておるのであります。 まあ、今申しましたように、財産税というものが、そういうふうに一定の時期をとらえまして、そのときの財産を総合して課税するのでありますから、そのうちの一部分だけを評価の時期を変えるというのは不合理であるのでありますが、のみならず、財産税で、先ほど申し上げましたような十万円という基礎控除、あるいは財産税の税率そのものは幾つかの——私もはっきり記憶をいたしておりませんが、幾つかの、最低は二〇%から最高の税率は九〇%というふうに段階を刻んで規定されておったのでありますが、そういった基礎控除でありますとか、税率の刻み方等も当時の貨幣価値をもとにして刻まれておったのでございまして、その基礎控除なり税率の規定を適用いたしますのに、今の評価額を持ってきてはおかしな結果を生ずるということも言えると思うのであります。 それから第三に、しからば、接収貴金属の返還を受ける者に対しては、当時の財産税法による財産税はまあかりにかけないとしても、それにかわる何らかの税をかけたらどうか、こういう御意見も出てくるかと思います。まあ今申し上げましたように、ごくわずかの個人についてでありますから、そういったことは公平の観念にも失すると思うのでありますが、たといその点を目をつぶりましても、私どもの考えは、租税を、こういった返還貴金属を返還されたものだけに対して特別の税を設けるということ自体が、理論的におかしいのではないか。実際上のみならず、理論的にも筋が通らないのではないか、こういうふうに考えるのであります。と申しますのは、もちろん租税というものは担税力に応じて課税すべきものでありまして、接収貴金属は自分の持っております貴金属が自分の手元に返るにすぎないというのでありまして、それが返ってきたからといって、その個人の担税力がそれだけふえた、こういうふうにはとれない、こういうふうに思うのであります。 もう一つ実際的な点を申し上げますと、この連合国占領軍によって貴金属の接収を受けました者は、その当時個人で貴金属を持っておりました者のうち、ごく一部の者にすぎなかったのでございます。それは先ほども申し上げました勅令でありますところの臨時貴金属数量等報告令というので報告を徴取いたしました。ところが、全国で報告を出した人が約一万人あったわけであります。ところが、この報告を出した人の中で、具体的に現実に接収されました個人はわずかに七人にすぎなかったのであります。こういうことになっておりまして、原因のいかんは問わず、現実はそういうふうになっておりますので、この少数の者だけについて特に財産税を課税するというのは、税というものは本来普遍的に、かつ公平に課税すべきものであるという建前からいたしまして、こういった税を設けるのはいかがなものであろうかというふうに考えるのであります。 大体、以上申し上げまして、これらは当然御質問によってお答えすべき点であろうかとも思うのでありますが、この表をお配りいたしましたことに関連いたしまして、一応御説明申し上げた次第であります。
○委員長(前田久吉君) 質疑のある方は御発言願います。——別に御発言もなければ、本日はこの程度として、次回は十月二十一日午前十時より開きます。 本日は、これにて散会いたします。 午後二時三分散会