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30回国会参議院1958/10/03

大蔵委員会 第1号

発言数
14
登壇者
4
会派数
3
開催日
1958/10/03

会議録

前田久吉緑風会

○委員長(前田久吉君) ただいまから委員会を開きます。  議事に入る前に、委員の異動を報告いたします。  十月二日付をもって村上義一君が辞任され、その欠員として杉山昌作君が、また、十月三日付をもって山本米治君及び廣瀬久忠君が辞任され、その補欠として前田佳都男君及び松野孝一君が、それぞれ選任されました。   —————————————

前田久吉緑風会

○委員長(前田久吉君) 初めに、調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  本委員会におきましては、従来毎国会、付託議案の審査と並行して、議長の承認を得て、祖税、金融、専売事業等、各般の問題につきまして調査を行なって参りましたが、現下の諸情勢にかんがみまして、今国会におきましても調査を行うことといたし、本院規則第七十四条三の規定によりまして、議長に対し租税及び金融等に関する調査承認要求書を提出することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

前田久吉緑風会

○委員長(前田久吉君) 御異議ないものと認め、さよう決しました。  なお、要求書の作成等については、前例により、委員長に御一任を願います。   —————————————

前田久吉緑風会

○委員長(前田久吉君) 次に、接収貴金属等の処理に関する法律案について、提案理由の趣旨説明を聴取いたします。

佐藤榮作自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) ただいま議題になりました接収貴金属等の処理に関する法律案の提案の理由を御説明いたします前に、私事にわたることでございますが、一言発言をいたしたいし、また皆様方の御了承を得たいと思います。お許しをいただきたいと思います。  明四日出発いたしまして、十月十四日まで、インド、ニューデリーで行われますIMF、世界銀行等の会議に出席することになりました。大へん皆様方に申しわけのない次第でございますが、国会開会中でございますその際に、しかも、開会の劈頭におきまして外国へ参るということ、当委員会の皆様方の御審議の上にも支障を来たすことだと、かように考えまして、恐縮に存じておりますが、昨日も参議院の議運に参りまして、詳細実情を御説明申し上げまして、皆様方の御了承をお願いいたしたのでございます。当委員会におかれまする皆様方におかれましても、今回私がニューデリーに参りますことについて、どうか御了承を賜わりますようお願いいたす次第でございます。  内容等につきましては、詳細に一言触れてみたいと思いますが、今回のIMFその他の総会におきましては、クォータの増額であるとか、あるいは増資の問題であるとか、こういう重要な議案もございますし、さらにまた、日本グループといわれます仲間においての理事の交代の議案もございます。また、日本といたしましては、世銀との借款等の問題があるし、東南諸国に対しての輸出振興の関係からも、東南諸国の要路の人たちと話し合うことが意義があると思います。また、今回の総会が特にアジアで初めて開催されるのでございますので、こういうことも勘案いたしまして、地理的立場等からも、日本が欠席することは望ましくない。過去におきまして、総務である大蔵大臣が全部、万障繰り合して出席して参っておる総会でございますので、こういう点をも皆様方に御説明申し上げまして、特に御了承をお願いしておる次第でございます。  当委員会の皆様方に対して、御審議の上でいろいろ支障を来たすだろうということを、大へん申しわけなく存じます。  なおまた、私不在中は三木企画庁長官が大蔵大臣代理を勤めますので、この点もあわせて御了承をお願いしたいと思います。  説明をいたしますに際しまして、まことに簡単でございますが、皆様方の御了承を心からお願い申し上げます。  次に、法案についての提案の理由を御説明いたします。  接収貴金属等の処理に関する法律案につきまして、提案の理由及び内容の概略を申し上げます。終戦後、連合国占領軍は、本邦において政府及び民間から金、銀、白金、ダイヤモンド等の貴金属等を接収したのでありますが、講和条約の発効とともに、これらの貴金属等を政府に引き渡したのであります。そこで、政府といたしましては、さきに、接収貴金属等の数量等の報告に関する法律によって、貴金属等を接収された者から必要な報告を徴し、その内容の調査を進める一方、連合国占領軍から引き渡された貴金属等の調査を実施し、その状況もおおむね明らかになりましたので、これらの接収貴金属等について返還その他の処理をいたしますため、この法律案を提出した次第でございます。  なお、接収貴金属等の処理に関する法律案は、御承知の通り、さきに、第二十六国会において衆議院を通過し、第二十六国会から第二十八国会にわたって参議院において御審議願いましたが、今回提出いたしました法律案の内容は、前回御審議願いました法律案の内容とほぼ同じでございます。  以下、この法律案の概要を御説明申し上げます。  まず第一に、貴金属等を接収された者は、この法律の施行の日から五月以内に、大蔵大臣に対してその接収された貴金属等の返還を請求することとし、接収された者がその請求をしない場合には、接収された貴金属等の所有者が、法律の施行の日から七月以内に、返還の請求を行うことを認める等、返還請求の手続を定めることといたしております。  第二に、返還の請求に対しまして、大蔵大臣は、その接収貴金属等の種類、形状、品位、個数及び重量等を、証拠に基いて認定することとし、認定された貴金属等につきましては、それが大蔵大臣の保管している貴金属等のうちで特定する場合には、そのものを返還し、特定しない場合には、大蔵大臣の保管している貴金属等から特定するものを除いた残りの貴金属等を、認定にかかる貴金属等の種類、形状、品位及び重量のそれぞれの明確度に応じて、その個数または評価額の割合により按分して返還することといたしております。  第三に、この法律により返還される貴金属等につきましては、国、公共企業体、地方公共団体及び日本銀行の所有にかかるものを除き、連合国占領軍から政府が引き渡しを受けて以来返還されるまでの間の管理費用に相当する額として、返還を受けた貴金属等の価額の一割に相当する金額を国に納付させることとしております。  第四に、接収された貴金属等のうちには、交易営団、社団法人中央物資活用協会または社団法人金銀運営会が、戦時中、政府の金、銀、白金又はダイヤモンドの回収方針に基き、政府の委託によって民間から回収したもの、金属配給統制株式会社が政府の指示に基いて、交易営団または中央物資活用協会の回収した貴金属を買い入れたもの、金銀運営会が、戦時中、政府の指示に基き、旧日本占領地域における通貨価値の維持等の目的をもって金製品を輸出するため、旧金資金特別会計から払い下げを受けたもの及び軍需品の製造に従事していた者が、軍需品を製造または修理するため、その材料として、戦時中、旧軍または軍需省から買い入れたものがありますが、これらのものは、すべて国に帰属させるとともに、これらの者に対しては、貴金属等の取得の代金及びその手数料または加工費に相当する金額を、それぞれ交付することといたしております。  第五に、接収貴金属等の処理を慎重かつ適正に行うため、認定、返還、不服の申し立ての処理その他の重要事項につきましては接収貴金属等処理審議会に付議し、その議決に基いて処理することとするとともに、大蔵省管財局に臨時貴金属処理部を設けてその事務を専担させ、処理の万全を期することといたしております。  第六に、国に帰属または返還された貴金属等で一般会計に所属するものは、無償で貴金属特別会計の所属に移して管理することといたしております。  なお、この法律案提出前において百円銀貨の製造の用に供するため、国の所有にかかる接収銀のうち事実関係も権利関係も明白なものに限り、民法の規定に基いて処理いたしました。この点については、さきにIMFに出資するため日本銀行に金を返還いたしました例もございますので、この法律の施行前に返還したものにつきまして、この法律の施行後すみやかにその明細を公告することといたしております。  以上がこの法律案の提案の理由及びその内容の概略でございます。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。

野溝勝日本社会党

○野溝勝君 ただいま大臣から、接収貴金属等の処理に関する法律案の御説明がございました。法律案に対する提案の説明が大臣から行われたというのは少いのでございまして、今回たまたまこの法律案だけを提案になったような感じがいたします。いずれの法律案にいたしましても、大臣みずから提案の説明をしてもらうことが正しいと思います。今後も、あらゆる機会をとらえて、法律案に対しましては、時間の許す限り、大臣みずから提案説明をしていただきたい。  なお、その前に大臣から、今回通貨基金の問題でインドへ出張されるあいさつ、了解の言葉がございました。まことにけっこうだと思います。この際、私は一言それに関連して申し上げておきたいのです。  今回、国会の命によりまして、私どもは濠洲と日本の親善、それとたまたま東南アジアその他、貿易初め政治、経済、全部を一応調査して参ったのであります。特に私どもが感じたことは、本日この委員会におきましても、東南アジア等に参られました多くの人々が同じく感じたことなんでございます。東南アジアの開発とか、あるいはAA地域の開発とか、いろいろなことが言われておりますが、問題は、賠償金の問題すらも解決しておらぬようなことでは、とても東南アジアの開発とかあるいは提携とかいっても、容易でない。このことを政府、大臣はどういうふうに処理しようとするのか。もちろん、これは総理大臣の意見を聞くのが一番正しいのでございますが、しかし、賠償といい、貿易金融といい、すべて経済的な問題でございます。大蔵大臣といたしましても、特に総理大臣との間に種々話がかわされておると思います。さような点について、特に現地におきましては、行政系統機関だけでなくて、第一線に立っておる貿易業者自体がこの声を高く叫ばれておりましたので、今回あなたがかの地に参るに当りましては、十分この点をまず、こたえる用意をもって臨んでもらいたい、その見解を聞いておきたい。  それから、第二の点は、円の設定あるいは延べ払いということを、鬼の首を取ったみたいに、高碕通産大臣初め政府は貿易政策の第一条件のように言っておりますが、とてもそんなことでは貿易の拡大強化はできない状態なんです。昨日の会議におきまして、わが党の千葉、湯山委員が質問した際に、高碕通産大臣が出まして、また円の延べ払いをばかの一つ覚えのように言いましたが、あなたは一体バンドン会議の際の主張を忘れたかと私が申したのも、そこに意義があるのです。いわば、東南アジアにおきましては、彼のバンドン会議においての言動といい、その説を、高く評価しておるわけであります。それがたまたま通産大臣になり、今日の要職についておるわけなんです。でありますから、より一そうそのバンドン会議当時の意見を具体化に努力し、もっと積極的に大蔵大臣なり総理大臣なりに具申してこの処理並びにかの地域における各国の協力を得、なおよくこれを割り切ってもらえる政策を立てなければならぬと思っておるのです。そういう意味で申し上げたつもりなんです。  それで、今回たまたま大蔵大臣が行かれるに当りまして、今のような点と、それから第三の点は、中共がただ日本商品をボイコットしておるだけでなくて、クレジットといいますか、特に貿易の裏打ちをしている中共が四億ドル、それからソビエトさえ一億ドルの信用設定をして、裏づけいたしまして、自国貿易業者の便宜をはかり、なお、窓口は向うは大体一本でございます。ところが、こちらといたしましては、今も申しました通り、円の設定と延べ払い方式でございます。あとはコマーシャル・ベースでやっていけというのでしょう。とてもそれでは太刀打ちができるものじゃない。そこへ持っていって、日本の商社が幾つもの窓口です。こういう状態にあるわけでございまして、今回大臣が行かれるに当りまして、政府の施策ももちろんでございますが、同時に、商社の調整と申しましょうか、言葉が気にくわなければ整備でもよろしゅうございます。こういう点について、大臣せっかく参った際に、通貨基金の会議ではございますが、特に東南アジアでは大蔵大臣の出張を非常に望んでおります。いい機会だと思いますので、これらの点について十分調査をされ、その結論に対しまして、断固政策として今の内閣が徹底的にその処理に当られんことを、希望するものであります。特に大臣が先ほどあいさつがございましたので、この法案に関連して私の意見を強く申し上げておきます。

佐藤榮作自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(佐藤榮作君) お答えと申すよりも、私の所感もこの機会に申し上げて参りたいと思います。ことに、野溝委員は、最近親しく東南アジア諸国を視察なさいまして、その視察に基いての大へん適切な御批判だと思います。  御指摘の通り、賠償協定が幸いにしてでき上って、賠償の実施に当りまして誠実でなければならないと。これは賠償国として当然の責務だと思います。ところが、この賠償に当りまして、あるいは価格が非常に高い、通常貿易より以上に高いというような非難もあるやに伺います。あるいはまた、一部においては、これは必ずしも賛成するわけではございませんが、賠償の繰り上げ支給であるとか、あるいは賠償物資の中に消耗品も入れてくれ、消費物資も入れてくれ、こういうような希望があるやに聞くのであります。この消費物資を賠償の対象にすることについては、相手国の要望がありますれば、私どもこれを受け入れて差しつかえないと思います。ただ、賠償の繰り上げということになりますと、これはいろいろ議論があるだろうと思います。どこまでも賠償を誠実に実施する、この決意がなければならない。しかも、通常貿易を阻害しない、こういう意味で賠償との二本建で考えていく。これはもう基本的な考え方で、御指摘の通りの御意見に私も賛成するものでございます。  そこで、輸出振興の問題でございますが、なるほど賠償も輸出と関連をいたしまして役立つ効果はございますが、しかし、これはやはり区別をして、賠償は賠償、通常貿易は通常貿易、こういう観点に立っていかなければならないと思います。そこで、円クレジットの設定であるとかあるいは延べ払い方式であるとか、こういうものが考えられ、ものによりましては、賠償を担保にするというような方法も考えられておるようでございます。これも賠償の繰り上げ支給ということにならない範囲におきましては、私ども必ずしもこれに反対するものではございません。そこで、円クレジットやあるいは延べ払いをいたします場合においての基本的な考え方、あるいはまた日本の対外輸出を伸ばすその基本的な考え方は、一体何かと申せば、これはどこまでも良質なものを安い値で売るということであります。これはやはり諸外国との競争に負けないということ。延べ払いであるとか円クレジットはその一方法であり、一手段に過ぎない。この点には十分思いをいたさなければならない。  今日、御指摘になりますように、延べ払いやあるいは円クレジットを設定しておる相手国というものは、いずれも経済の力の非常に弱い国であります。弱い国であるがゆえに、現金払いをしないで、ただいま申し上げるような特別決済方法を考え、基本的にはやはり賠償協定のある国に対する経済協力と申しますか、後進国といわれておるそれらの国をして経済の独立をさせ、しかる後にその国の経済の拡大もはかるが、同時に、日本の経済の拡大もはかるというこの基本的考え、これを忘れてならないことは、これはもう御指摘の通りだと私は確信をいたすのであります。こういう意味におきまして、円クレジットやあるいは延べ払い方式が役立つこと、ただ輸出の数量あるいは金額を上げるというだけでなく、相手国の経済力を強化する、こういう方に役立たす、あるいは民生の安定に寄与する。それが経済発展の基盤である、こういう考え方で取り組んでいく。そうしてどこまでも諸外国に負けないような良質なものを安い値段でとにかく出せるようにする、これが実は基本だと思います。  そういう意味から考えて参りますと、今日までいろいろの円クレジットの設定の方式がございますが、最近締結をいたしましたエジプトと日本の間の取りきめ方式、これなどは今後の一つのモデルとして、私、まず進むべきものではないかと思います。包括的な円クレジットの設定よりも、一応のワクをきめまして、そのワク内でプロジェクトを選定し、そのプロジェクトについての延べ払い方式などを考えていく、こういうのが最も両国に幸いする方法である、かように実は考えておるのであります。  で、競争はどこまでも外国との競争で、日本国内商社の相互の過当競争、これぐらいまずいことはない。こういう意味において、第三点にあげられました過当競争の防止について、過去におきましてもいろいろ指導して参ったことと思いますが、今後は一そうその点に意を用いたい、これが政府の考え方でもございます。  お話しになりました御意見は、あるいは私が申すこととニュアンスとしては幾分違うかとも思いますけれども、基本的なものの考え方につきまして、私、全然同感共鳴するものでございます。ことに、最後にあげられました中共その他の共産国からの資金援助なり、あるいは物資の、輸出品の非常に値段の安いもの、こういうものについての注意も喚起されたのでございます。これらの点は、いろいろ考え方もあろうかと思いますが、果して長続きするものかどうか、これがほんとうに国の力、それをバックにしてやり得るものかどうか、こういう点にももう少し研究をすべきものがあろうかと思います。  いずれにいたしましても、外国の商品に負けないようにやはりりっぱな品物を、価格の点においても質においても負けないようなものを作る、そうして国内の商社が相互に過当競争することの愚を一つ避けたい、かように考えますし、また貿易伸張あるいは賠償の実施に当りましては、どこまでも相手国の経済の拡大に協力する、こういうような効果をもたらすようにこの上とも注意して参りたい、かように考えております。

野溝勝日本社会党

○野溝勝君 これは簡単な意見ですが、なお私は特に大臣に記憶願いたいと思います。私、詳細に申し述べなんだのでございますが、よく各方面の情勢が、ただいまのお話によりまして、現地の声が、また貿易その他賠償金等の問題が、つぶさにあなたの耳に入っておって、私の質問以上に答弁をされた。私もこれ以上申し上げません。ただ、その中で賠償と貿易の問題は別々にしたい。これは原則として賛成なんです。けれども、中には、今お話がありましたように、賠償金を支払うことがなかなか時間的におくれる。そうした場合には、それを早く解決する方法として、先ほど申したような担保の関係で、貿易の問題とあるいはオペレーションをすることができるというような問題もあると思うのです。その点は混同しては相ならぬが、日本の貿易、経済進出で相手国の諒解さえあればよいと信じるので配慮を願いたい、こう思っておるわけでございます。

前田久吉緑風会

○委員長(前田久吉君) 発言中ですが、予算委員会で大臣に……。

野溝勝日本社会党

○野溝勝君 委員長、それは予算委員会が大事か、大蔵委員会か、どっちですか。  それから、第二の点は、後進国という言葉ですね、後進国ということは誤解を招くおそれがある。そうして現地の人々は、後進国、後進国という、これははなはだおもしろくないと言っておるのですから、その点はあなたにも一つ、全閣僚にも、ぜひ御注意願いたいと、かように考えております。

前田久吉緑風会

○委員長(前田久吉君) 引き続き、補足説明を聴取いたします。

賀屋正雄大蔵省管財局長

○政府委員(賀屋正雄君) 委員長から、ただいま提案になっております接収貴金属等の処理に関する法律案の補足説明を聴取するというお話でございますが、先ほど大蔵大臣の提案理由の御説明にもございましたように、今回提出いたしました法律案は第二十六国会におきまして衆議院を通過いたしまして、引き続き二十八国会まで当参議院において御審議をいただいておりました法案と、ほぼ同じ内容のものであるということを申し上げたいのでございまして、従いまして、この法案の各条につきましての詳細な補足説明は、たしか二十八国会におきましても、当委員会におきまして一度いたしております関係もありますので、省略をさせていただきまして、その後ごく一部でございますが、保管貴金属の事実関係において事情の変更がございました点、従いまして、それに基きまして、ごく一部分この法案に手直しをいたしました点のみにつきまして、御説明を申し上げたいと存じます。  この点も、実は先ほど大蔵大臣の御説明の中にあったのでございますが、なお詳細に申し上げますと、政府は連合国占領軍から貴金属等の引き渡しを受けまして以来今日まで、きわめて厳正に保管を行なっておるのでございますが、この間におきまして、例外的な事例といたしまして、一部分保管貴金属をもとの所有権者に返還いたしておるのでございます。その一つは、昭和二十七年の六月にわが国が国際通貨基金に加盟をいたします際に、わが国に割り当てられました出資金といたしまして、約五十五トンの金を出資する必要があったのでございますが、金はすべて戦後連合国占領軍によりまして接収をされておりますので、その出資金の一部に充てるために日本銀行の持っておりました接収金の一部十五トンを解除いたしまして、日本銀行に返しまして、これを政府が買い上げて出資に充当をいたしたのでございます。それから第二には、これはことしの七月の二十五日に閣議決定がございまして、御承知のごとく、昨年臨時通貨法の改正によりまして、百円硬貨といたしまして銀貨を発行することになったのでございます。造幣局におきまして、年間約八十億の製造計画を立てまして製造を続けて参ったのでございますが、七月ごろになりまして手持の銀がきわめて減少いたしまして、私どももちろん、この八十億の製造計画を立てます際には、接収されております、政府がもともと持っておりました銀を使わざるを得ないということは予定をいたしておったのでございますが、まあ造幣局の銀がどうにか、こうにか間に合っているうちにこの法案が通過することを期待しておったのでございますが、不幸にして二十八国会において法案が廃案となりました。そこで、この接収されております、政府が所有権を持っております銀をどうしても使わざるを得ないという事情に立ち至ったのでございます。  その場合におきまして、私どもきわめて慎重な研究を重ねたのでございまして、法制局の意見等も十分聴取いたしまして、もともと前から御説明をいたしておりますように、この接収せられておりまする貴金属は、所有権には接収という事実によって何ら変更を来たしておらない、もともと民法上の所有権はそのまま接収の事実にかかわらず残っている、こういう解釈でございます。ただ、この法律案を出しましたゆえんはどこにあるかと申しますと、法律的な点から申し上げますと、接収せられました貴金属を連合国占領軍が管理中に混合溶解等をいたしておりまして、形がもとのままではない。そういった場合におきましては、接収されました貴金属は多くの人たちの共有関係になっておる。その分割方法につきまして民法の一般原則によることがきわめて繁雑でありますために、この法律で、特別法という意味におきまして、特殊の分け方を規定しておる。そして民間に返します場合におきましては、保管料相当額といたしまして一割の納付金をとる。これも法律が必要であります。そういった意味において、法律的にこの立法の必要があるのでございます。  しからば、接収された形そのままのものが残っておるいわゆる特定物について、法律が果して必要であるかどうかという点でございますが、この点につきましては、私ども、純法律的な解釈から申し上げますれば、先ほど申しましたように、民法上の所有権に基く請求があれば、これは返還すべきものであると考えておるのでございますが、ただ、これも前の法律案、それから今度の法案におきましても、やはりこの法律の対象といたしております。それは、この法律の第二条の第三項に、「保管貴金属」とは、「この法律の施行の際現に大蔵大臣が他人のために管理しているものをいう。」ということにいたしまして、特定しておろうが不特定であろうが、いずれもこれに含めるという法律の建前になっております。これは、敗戦に伴いまして連合国占領軍が進駐して参りまして、こうした貴金属を強制的に接収したと、こういう特殊の事情に基きまして、たまたまそれが講和発効後、政府に管理を移された、こういう異例な事実に基いて返還をすることになるわけでございますので、できれば法律の対象といたしまして、国会の御審議を経、十分事実関係を明らかにしたところで返還するのが適当であろう、こう考えまして、純法律的に申し上げますれば、特定しておりますものにつきましては、民法の規定によりまして返還できるわけでございますが、今申し上げましたような事情に基きまして、この法案の対象にいたしたわけでございます。  ところが、先ほど来申し上げましたように、通貨政策という国の別の国家的な要請から、銀を必要としたということによりまして、政府が接収されたものである、しかもそれが特定しておるということで、証拠がはっきりとしておるものにつきましては、例外的に一部これを使うのは差しつかえなかろう、こういう考え方のもとに、百円硬貨を製造いたします必要の銀といたしまして、約四百三十六トンほどのものを一般会計、造幣局特別会計等に引き渡した次第でございます。その点が事実関係において相違のあった点でございます。  で、ただし、こういうふうな取扱いをいたしても、万が一にもこの措置によりまして、他の民間の方々等に権利の侵害を生ずるというようなことがあってはいけないというふうに考えまして、これに対する救済的な規定といたしまして、付則に一つの項を設けたのでございまして、これがお手元の法案の三十六ページにございます付則の第七項でございまして、「大蔵大臣は、政令で定めるところにより、連合国占領軍から政府に引き渡された」保管貴金属のうち、「昭和二十七年四月二十八日からこの法律の施行の日の前日までの間に返還したものの明細を、この法律の施行後すみやかに、公告しなければならない。」、こういう規定を設けまして、先ほど申し上げましたIMF出資のために日本銀行へ返還いたしました金約十五トン、それから百円硬貨製造のために政府に引き渡しました銀四百三十六トンの明細を公告をいたしまして、万が一にも民間の権利侵害にならないようにという措置を講じた次第でございます。この点が、今回提出いたしました法案と、さきに御審議をいただきました法案との、一つの大きな相違点でございます。  それに伴いまして、つけ加えて御説明をいたしておきたいと思います。お手元にお配りしてあるかと思いますが、接収貴金属等返還見込調という横に数字を並べてございます表がございます。二十八国会におきましてもたびたび申し上げましたように、接収貴金属は幾らあるかというときに、七百三十億という数字をたびたび申し上げておりますが、この表で一番下の所でごらんいただきますように、六百七十四億円ということになっております。七百三十億円がこの六百七十四億円に変った点について御説明をいたします。前に七百三十億ということを申し上げてお配りいたしましたときは、この貴金属等の評価を昭和三十一年一月にいたしたものを、そのまま採用いたしておるのでございます、これは注の一の所に書いてございますように。ところが、この表は、本年の六月の価格に評価をし直したわけでございます。この両者の価格を比べてみますと、銀について申し上げますれば、三十一年一月には、一キロ一万五百円いたしておりましたものが、三十三年六月には、一万二百六十円というふうに値下りいたしております。それから、白金につきましては、三十一年一月が百四十二万円、一キロ当り百四十二万円でございましたものが、三十三年六月には、一キログラム当り七十四万円ということで、約半分の価格に値下りをいたしておるのでございます。その他若干の変更がございますが、ダイヤモンドにつきましては、その後評価をいたしておりませんので、かつて昭和二十五年でございますが、連合国軍が管理しておりました間に鑑定をいたしました価格一カラット——いろいろなものがございますが、平均いたしまして四万五千円というのをそのまま採用いたしております。それから、金につきましては四百五円という数字は変っておりません。これは戦後の単価は、IMF協定の建値によるものでございまして、時価はこれよりも若干上でございますが、一応そのオーソライズされた価格を採用いたしております。こういった関係で、評価の違いによりまして、七百三十億と申しておりましたものが、実は七百十八億と、約十二億ばかり減少したわけでございます。ところが、七百十八億と六百七十四億との差額がまだ四十四億あるわけでございます。この四十四億が、つまり、ただいま御説明申し上げました百円硬貨の製造のために政府に返還いたしました銀四百三十六トン分の価格でございます。  繰り返して申しますと、評価による減少が十二億、百円硬貨製造のために接収を解除いたしました銀が四十四億、合計五十六億円が七百三十億から減少いたしまして、この六百七十四億という数字が出た次第でございます。  従いまして、民間分が幾らあるかというときに、私どもよく四十三億円という数字を申し上げました。それに買い戻し条件つきで、日本政府が買っております分が三億、これを合せまして四十六億ということを申し上げたのでございますが、これが評価の関係で若干変って参りまして、この最後の欄にございますように、民間分としましては四十一億円という数字に減少いたした次第でございます。  以上、簡単でございますが、補足的に御説明を申し上げました次第でございます。

前田久吉緑風会

○委員長(前田久吉君) 本案の質疑は後日に譲ります。  ちょっと、速記をとめて下さい。

前田久吉緑風会

○委員長(前田久吉君) 速記をつけて下さい。  次回は十月九日午後一時より開会いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午前十一時二十二分散会

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