商工委員会 第8号
- 発言数
- 104 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1958/11/04
会議録
○委員長(田畑金光君) これより商工委員会を開会いたします。 委員の異動について報告いたします。 十一月一日、後藤義隆君が辞任し、その補欠として大谷贇雄君が、斎藤昇君が辞任し、その補欠として西田隆男君が、江藤智君が辞任し、その補欠として小沢久太郎君が、また本日大谷贇雄君が辞任し、その補欠として三浦義男君がそれぞれ選任せられました。 —————————————
○委員長(田畑金光君) それではこれより鉱山保安法の一部を改正する法律案及び鉱業法の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。 御質疑のおありの方は、順次、御発言を願います。
○大竹平八郎君 両案の問題に関連をいたしまして、私自身にとっては仕上げの意味で、大臣に一、二点お聞きをいたします。 御承知の通り現在の石炭の不況状況は貯炭がすでに一千万トンをこえているというようなことで、これは顕著な事実であります。しかも本年に入って六十有余の山が閉鎖をして、それから整理人員も一万有余にもなっている。さらに賃金が支払いのおくれているものも、これまた一億万円を突破しているというようなことで、その不況の状況というものは大体わかるのでありますが、しかし一部におきまして、こういう議論もあるわけであります。石炭の不況は何もあえて今日だけではない、最近の例をとってみましても、二十九年の不況時においては整理人員が四万五千にも達した。また賃金支払いの停止をされたものが七億円を突破した。こういう事実を見ると、必ずしもそう深刻ではない、こういうことが一部に言われておるのでありますが、これに対する一つ、大臣の御見解を知りたいと思うのであります。
○国務大臣(高碕達之助君) 整理人員がどうとか、賃金の支払いがどうとかということでありますが、これは量の問題よりも実際からいうと、そういうものがたくさん出るということは何としても防がなければならない、こういうわけであります。ただこの二十九年に比較いたしまして、日本の経済全体が相当に底力がついておるということは事実であります。従いまして、貯炭をした場合にも、これを消費者にある程度お願いする、あるいは金融をつけます場合にも相当金融の力もある、そういうことがありますから、貯炭の量はふえておりますけれども、これを不況の結果、従業員に負わすということはどうしても避けなければならぬ、こういうふうな意味からいたしまして、炭鉱というものは、困っておるけれども、今日従業員を整理してはいけない、こういうことをやり、また中小炭鉱が非常な不況になっておるということは事実でありますが、これに対しましては、悪い炭鉱をかえるというような方針をとるとかいうことにいたしまして、それを順次減していく方向で進みたいと、こう存じております。経済上の力に応じて、そうして従業員に対する犠牲をなるべく少くするように持っていきたい、こういう方針をとっております。
○大竹平八郎君 それから通産省の見方といたしましては、現在行なっておりまする生産調整をこのまま厳格にやり、また業者がそれを守っていき、さらに一番問題の労働争議が多く発生をしなければ、来年の上半期あたりから、漸次なべ底から立ち上がる状況になるというようなことを言われておるのでありますが、この点について、大臣のお考えはいかがでございましょうか。
○国務大臣(高碕達之助君) 私は石炭の長期計画がある以上は、これに沿って進んでいくべきだと、こう考えておりますから、従いまして、今年も異常の、石炭の消費が減退した結果、非常な貯炭をした次第でありますが、当年はこれに対する調整を加えるため、輸入する原料につきまして相当力の強い道を講ずべきだと思いますが、そういう意味におきまして、石炭はある程度、かりに不況が続くとしても、これを本年も実施して予定の計画通りに近い数字に持っていきたい、こう存じております。
○大竹平八郎君 経済企画庁あたりが、本年の下期から大体工業生産が七%ぐらい伸びる、それからさらに季節向きの暖房用の石炭が非常に需要が多くなっていくというような点と、それから出炭の操短、これは大きいところは一五%、大手はやっておるのでありますが、そういう意味において、大体来年度の当初の貯炭が七百万トンぐらいになるというような経済企画庁の見通しなんでありますが、これに対する大臣の見通しはいかがでありましょうか。
○国務大臣(高碕達之助君) 大体私は今より三百万トンばかり減りまして、七百万トン程度に持っていきたいと思っております。
○大竹平八郎君 いま一点お尋ねいたしたいのでありますが、大体この正常な貯炭というものは、これは大臣でなくても、石炭局長でもけっこうでありますが、正常な貯炭というものは、これはいろいろ時期的——時期的というのは景気、不景気の関係がありましょうが、大体標準としてどのくらいを当局としては見ておるのでしょうか。
○国務大臣(高碕達之助君) 大体三月末に、六百五十万トン程度が正常だというふうに数字を考えております。
○大竹平八郎君 その今の正常貯炭の三月末というのは来年の三月ですね。
○国務大臣(高碕達之助君) そうです。
○相馬助治君 議題になっている法案の鉱山保安法の一部を改正する法律案について、衆議院が保安法の根本的再検討を行うようにという付帯決議を付けて、この法案が成立しておりますが、ここで大臣にお尋ねしたいことは、近い将来において、根本的再検討の用意があるかどうか、この点承わりたいと思うのです。本来ならば、具体的に衆議院がさしているのは、監督員の制度を、現在の保安管理者をきめる場合に、従業員の意思が反映していないというところから、制度上従業員の意思が十分反映せしめるようにせよということを内容としているように伺うので、局長に具体的なことを念を押して、その局長のおっしゃっている通り、大臣としては、この問題を通産行政の最高責任者として将来根本的再検討をする意思があるとかないとかという答弁を求めるのが順序なんですが、大臣の出席の時間がきわめて限られているので、ややことが前後しますが、この際、衆議院の付帯決議に対して、どのような答弁をなされ、しかも将来どのようにお考えになっておるか、ことは鉱山夫の人命に関する問題でもありまするから、この際、大臣から明快な御所見を承わっておきたいと思います。
○国務大臣(高碕達之助君) 第一の御質問の鉱業法の改正の問題でありますが、抜本的にこれはやりたいと思います。実は御承知のこの法案は、明治の三十八年に制定されまして以来、多少は変更いたしておりますが、根本的に考え直さなければならぬ点は、当時鉱業法が制定されましたときには、日本の鉱業をできるだけ早く開発せなければならぬというので、先願をもって許可するというふうな方針をとったわけでありますが、今日の情勢から見まして、果してそれでいいかどうか、出願者の資格というものもよほど考慮しなければならないというふうな点と、もう一つは、鉱業権というものは、これは国家が持っているものでありまして、これをある特定の人がある時期に大きな網を張ってしまった、それがためにあぐらをかいて捨てて置かれたということは、はなはだ国家としては迷惑することでありますから、そういう点につきましても考えなければならない。さらに近ごろ問題になっております工業と鉱業——インダストリアルとマイニング——この間の接触がだんだんひどくなって参りまして、鉱業の災害というふうな面から考えましてその間にどういうふうな調整をしなければならないかということが緊急の問題になって参りましたから、あれやこれやの点を考えまして、現在の鉱業法を抜本的に検討しようというので、現に急速に通産省といたしましては、その改正審議会を作りまして、それを本年度中に発足して審議に入りたいということでありまして、できるだけ各方面の意見を徴したいという方針でいるわけでありまして、できるだけ早い機会にこの鉱業法を抜本的に改正いたしたいと存ずる次第であります。 それから第二の鉱山保安法につきまして、実際の保安のやり方が悪い結果、一番の被害をこうむるのは従業員であります。その人が被害をこうむる。従業員の発言がよほど十分保安監督の上に及ぼしていかなければならぬ、こういうことを私は一番痛感する一員でございますが、今日の情勢といたしましては、御承知の、石炭鉱業で一千人以上使っておりますところには保安監督員を置くということになっておりますが、これは一千人以下でも何でも、この石炭鉱業には別に保安委員会というものを置きまして、それには半分の数が従業員、半分が経営者ということで、保安委員会におきましては従業員が半数の発言権を持っておる、こういうことになっておりますが、先般来問題となっておりますことは、保安監督員の中に従業員から入れろと、こういう意見があったのでありますが、これはまだ今日の状態とすれば少し早いのではないだろうか。それよりも保安委員会を十分活用することと、今日まで中央及び地方にありました保安協議会、これが十分活用されていなかったような気分がいたすものでありますから、これを十分活用していけばよかろうと、こういうふうな考えで進みたいと思っております。
○委員長(田畑金光君) この際、委員の異動について御報告いたします。 本日天田勝正君が辞任し、その補欠として阿具根登君が選任されました。 —————————————
○島清君 今従業員の中から保安員を任命したらいいのではないかといったような相馬君の希望的な質問に対して、早いのではないかという大臣の御答弁でございましたが、本質的にはやはりそうすべきであるというふうなお考えで、時期的に早いということなんでしょうか。今の大臣の御答弁の中では、本質的にはそうすべきであるが、時期的に早いのだというふうな印象を受けた。もっともそうあるべきだと思うのです。私たちは時期が早いとは考えておりませんが、本質的にはそうした方がよろしいと思うのですが、本質的にはそうすべきであるというふうな御答弁であるというふうに了解してようございますか。
○国務大臣(高碕達之助君) 現在、通産省といたしましては、鉱業権の所有者というものが全体の責任を持つべきものだと、これに全体の責任を持たしておるわけです。鉱業権の所有者が、千人以上使っておるところに保安監督員を置くという場合には、これは鉱業権の所有者が自発的に従業員を入れるということになりますれば、これはもちろんわれわれはこれを阻止するわけではございませんですが、今鉱業権者に対して、これを入れるということは時期尚早であると、こう思っておりますが、そんなに私どもは差し迫っていないと思います。むしろ中小炭鉱の方に非常に大きな問題があるから、この方は別に保安監督員というものはないわけでございますが、そこにはやはり保安委員会というものがありまして、そこにはどうしても半数の従業員がこれにタッチして、そうして保安の問題については協議すると、こういうことになっておりますから、これで私は十分で、私は今のところそう思っておりません。しかしながら将来におきまして、どうしても大炭鉱においても大きな保安の問題が起きるとか、いろいろなことが起りますれば、それはあらためて考える必要がありますが、現在のところはこの鉱業権者に全体の責任を持たしております関係上、その自発的の行動によってわれわれは監督していきたいこう存じておるわけであります。
○島清君 先ほどの大竹委員の質問に関連してですが、直接の法案審議とは少し関係が薄いかと思いますけれども、貯炭などの問題と関連をするわけですが、通産省は一時、かままで石炭がまを重油がまに改造させて重油の奨励をされたんですね。それで石炭が計画をオーバーするような増産になりまして、それからまたあわせて石炭を利用するようにということを、まあ通達されたかどうかは知りませんが、そこでエネルギー対策がちょっと混乱状態なんですね。それでさらにそういったような混乱状態に乗じて、石油を扱いまする業者の方からは、やはり重油の方に移向すべきである。重油をもっと活用すべきであるこういう意見もあるわけなんですね。ところが先日の相馬委員のたしか御質問だと思いますが、その御質問に対して、石炭を使わせるのだ、こういうような御答弁のようでしたが、その石炭を使わせるのだというような御方針の具体的な裏づけといたしましては、たとえばかまを石炭がまに変えさせるとかあるいはまた重油の中に粉炭を燃させるというが、具体的にはどうやって業界を指導していかれるおつもりでございますか。
○国務大臣(高碕達之助君) 従前エネルギー対策に対する政府の方針が確立してなかったということは事実でございます。電力が余ったときにはなるべく電力を使え、電力が足りなくなると今度は石炭にしろ、石炭が足りなくなるとまた油にしろ、こういうふうなことがあったことも事実でございます。これはどうも本質的によくないというので、エネルギーの長期対策を講じました結果、どうしてもさしあたり日本といたしますれば石炭というものがあって、それは必ずしも外貨じゃなくてもまかなえるものであるから、このものについて急によけいふやすことも減らすこともできないから、長期の採炭計画を立てる。そうしてエネルギー対策を講じていく、これに対してもし急速にたくさんのエネルギーを要した場合には、そのときには油をもって加減する、また予定以上に石炭の消費が減退した場合、油の輸入をとめるとかいうふうなことで調節しようじゃないか、そういうことはつまりいわゆる炭主油従というふうな名前で呼ばれたのでありますが、必ずしも炭主油従というわけでもございませんけれども、日本の石炭という名の鉱業をある一定の基準で逐次ふやしていこうじゃないか、それに合うように油を加減する、こういうのが現在政府がとっておる方針でございますが、具体的にどうするかと、こういえば、今のところそのまま野放しにいたしますというと、御承知の、現在の油は運賃が非常に安くなった結果でもございましょうが、予想外に安くなっている。安い間は、業者といたしますれば、できるだけ油を使いたいという考えに傾くことは当然だと思っておりまして今日もう石炭をやめて油にするというような議論も相当多いようでありますが、しかし、これは一時的の現象である。従いまして同じ大量消費いたしますところの電力の発電所にいたしましても、油とそれから石炭と併用するということにいたしまして、そのうち何%を石炭に使え、何%を油に使えというように併用の式を今とっておるわけであります。小さな製造業者につきましては、そういう併用の困難な点もあるかと思いますが、そういうところでは、またできるだけ政府の方におきましては、石炭の生産地に近いところにおいては、できるだけ石炭を使うというようなことも考え、指導していく方針でございます。
○相馬助治君 関連して。その問題についてですね、私この前大臣にお尋ねしたときは、基本的な国の政策としての考え方だけをお伺いしたので、具体的なことについては私もお尋ねしていなかったのですが、今、島委員がきわめて具体的なことをお尋ねした。ところがそれに対して大臣のお答えは、一応熱心に御答弁になっておりますが、こういう点に触れていないと思うのですが、この点についてどういうふうにお考えですか、きわめて具体的なことですが、お尋ねいたします。 石炭局や鉱山局が中央において国の燃料の需給関係から、石炭を使わせようという施策を発表して、その方向に指導していっても、かまを許可するのは、地方の通産局長の権限であって、その通産局長は業者の姿をよく見ていて、国のそういう大方針にもかかわらずやはり重油のかまをどんどん許可してしまう。そして中央では石炭局や鉱山局としてもどうにもならぬというのが現実であるというようなことを聞いておるのですが、それは私の理解に間違いがあるかないか、私はないと確信いたしておりますが、そういうような状態ですと、省令か何かを改正して、そういう許可条項を、もっと石炭局あたりの意図が十分反映するように制限をするか、ないしは地方の通産局長からそういう許可権を取り上げてしまうか、方策を講じなければなるまいと思いますが、これに対して大臣どのようにお考えでございますか。
○政府委員(福井政男君) 重油ボイラーの問題につきましては、ただいま相馬先生の仰せのように通産局長が運営をいたしております。この法律につきましては、法律、省令で非常に厳格に運用の内容が書いてありまして、ほとんど通産局長の自由裁量の幅は少い法律になっております。従いまして、運用につきましては、法律で、重油ボイラーを設置することを禁止いたしております精神にのっとりまして運用いたしておると存じておりますが、なお今後私どもこの法律の運用につきましては、法律の趣旨に照らしまして、十分遺憾のないように通産局の者を指導して参りたいと存じております。
○相馬助治君 その答弁は一応よそ行き答弁だと思います。法律はうまく書いてあっても、現に出先の局長がこれを許可して、困ってしまって、本省では許可のときには慎重にやれという通達を出しているはずなんです。そういうふうに通達をもって指導しなければならないということは、やはり法律の不備なのか、それとも国の施策というものが出先の局長に完全に反映しない、あなたたちの行政上、指導上の欠陥なのか、何らかの形があると思います。そういう通達を出した覚えがあるかないか。それは通達でもって解決つくと思うかどうか、局長、もう一度答弁して下さい。
○政府委員(福井政男君) この通達につきましては、法律の制定されました後に、運用方針が通達されておりますが、運用の現実問題につきましては、担当官の会議なり、あるいは通産局長会議をやりますたびに十分の意思の疎通をはかっておる次第でございます。
○委員長(田畑金光君) ちょっと申し上げますが、大臣の時間に制限がございますので、できるだけ一つこの法律案に関連して大臣に質問を願いたいと思います。
○島清君 私は質問を申し上げる前に、委員長にそういうことを申し上げようと思っておりましたが、それでは一点だけ。 エネルギー対策が非常に混乱しておったということはその通りでございますが、これはなるべく石炭を使わせるようにするのだ。ところが業者はあまり石炭を使いたがらない。余る。そうすると、阿部さんみたいに、一千円も安く海外に売るのではないか、売っているのじゃないかという、当然に質問が出てくるわけですが、そうすると、かりにあなたの行政的な指導力によりまして、業界が石炭を十分に使ったといたします。私は石炭を使うことを非常に希望する者の一人ではございますが、そういたしますというと製の生産コストが高くなる。そうしますと、貿易振興の上に影響してくるわけです。日本の商品は、大体世界的にコスト高だと、こういわれておりますので、そういたしますと、直ちに貿易振興の方に影響するわけですが、この、ネルギー対策と、貿易振興との調整をどういうふうにお考えでございますか。
○国務大臣(高碕達之助君) これは終局におきましては石炭を使うことによって、非常な大きな生産原価の負担ということになるということは、はなはだ遺憾に存じますが、石炭の生産原価も逐次下げていって、そうしてその結果、エネルギーの原価におきましても、原油とはそう大きな差のないように持っていきたいと思っておりますが、現在石油の方がいかにも運賃が非常に安い結果、値が安くきておりますが、これが果して続き得るかということは、現在私どもの常識といたしましては考えられないことでございます。そういう異常な場合に対しての考え方でございますが、将来永久にずっとそれでは油を使った方が非常に安くなるということは、はっきり申し上げかねるわけであります。一方、石炭の方も順次原価を下げて参る、こういう方針で進みたいと思っております。
○島清君 満足はしませんけれども、時間の関係もあるようでございますので、きょうはこの程度にして、また適当に大臣の時間をいただきまして、また後日の場面において質問をいたします。
○阿具根登君 大臣の言質を取るのではないのですけれども、私は先般、この委員会において鉱山保安の問題について御質問を申し上げた。そのときには、大臣は、人命尊重を第一に考えなければならない。このためには、たとえば従業員の中から保安調査団を出すことすらも拒むことはできないであろう。お互いの生命をお互いが守るためには、そういうこともあり得るでしょうということをはっきり言明されたと私は思っておりますが、ただいま聞いておれば、保安監督員について時期尚早だ、こういうことを言われたと私は思うのです。そういたしますと、大臣は、実際数十人の人が坑内で生き埋めになって死んでいる。そういうときに、肌で感じたあなたの言葉と、時期がたった今日の言葉とは百八十度転換している。こういうような考えを持つわけであります。どういうわけで保安監督員一名以上のところに、たとえば二名のところに、労使双方から一名出すというのが時期尚早であるか、その点を一つ御説明願いたいと思います。
○国務大臣(高碕達之助君) 今非常にわれわれが急速に解決しなければならない問題と考えておりますことは、中小炭鉱が保安の問題についていつもいろいろな問題を起しているのでございます。中小炭鉱につきましては、これは政府といたしましては、保安監督員を置けということは言っておりませんで保安委員会を開け、こういうことを言っております。保安委員会は従業員が半数出ております。それから半数は経営者が出ておる。従って一番問題になる中小炭鉱については、従業員の生命に対する発言力を従業員が十分持つことができる、こういうふうに思っているわけでございます。保安監督官を置いております炭鉱は千人以上使っている。これは現在のところ、中小炭鉱ほど差し迫って保安の問題については大きな問題が起ってない。しかも、この保安監督員の中に従業員を入れるか入れぬかということは、これは個々の責任を持っている鉱業権者がきめるべきものであって、鉱業権者に政府としては十分の責任を持たしているから、従いまして、幸いにして大炭鉱の方には今差し迫って大きな問題も起っていない、こういうような気もいたしますししますから、ここで政府が命令をしてまでこの保安監督員の中に従業員を入れろということまではやる必要はないと、こう思っておるわけであります。ただし、鉱業権者が自発的に保安監督員の中に従業員から入れるということになりますれば、これは政府は拒否しない。
○阿具根登君 大臣は、最近の一、二の事例だけをもって、そうして災害はいかにも中小炭鉱だけだと、こういうような言葉で発言をしておられると思うんです。この二、三年間の災害をちょっと振り返ってもらいたい。太平洋炭礦で三十八名、茂尻炭鉱で六十数名、三井、三菱で、これはお互いに十数名ずつ数回やっておる。こういうのはお忘れになっておるんですか。こういうことがこの二、三年の間にずっと起きてきておる。おそらく、中小炭鉱と大炭鉱と比べたならば、それは被害の大きいのは大炭鉱の方が多いと思うんです。これをお忘れになって、中小炭鉱で最近、水が出た、あるいは落盤があった、それのみをつかまえて、災害は小炭鉱だけにあるんだというような考えは当らないと私は思うんです。 また、その問題については、千人以上の炭鉱に保安監督員を置いておるということは、これは正しいか正しくないか、もちろん、もっと小さいところにも置かねばいかぬではないかという論議はございます。しかし、議事録で見てみますと、この次には抜本的に保安法を変えるということを言っておられるようでございますから、それは私はそれに譲っていいと思うんです。しかし、この保安監督員なるものの性格を十分一つ考えていただきたい。大臣が言われるように、保安の責任は会社が持っております。そのために保安管理者というものは会社におるわけなんです。保安監督の最高責任者、これはちゃんとおるわけです。そして、あなた方が民主的といわれる保安委員会、保安協議会というのは、諮問機関の存在であって、ほとんど開かれてもおらない。そういうのが実際で、それを活用しろというなら、それもわかる。しかし、それを労使双方から出しておる、労使双方から出さねばならないと法律できめておる。その法律の精神からいくならば、こんな保安監督員——しかもこれは一名以上置いていいようになっておる。それに対して労働者側から一名出す。しかも、一つお間違いのないように聞いていただきたいのは、何もかもなしに労働者からこれを出すというんじゃない。労働者というものが国家試験に通って、そして保安監督の任に十分任じられる人でなければできない、こういうことをはっきり言っておるわけなんです。そうすると、それを何のために時期尚早だと言われるのか。私はこう考える場合に、この二人の保安監督員が——千名以上だったら相当大きな炭鉱です。これを毎日見て回って、そしてここが悪い、あそこが悪いという進言をするに違いございません。それを会社の最高責任者である保安管理者がこうだああだときめていってこそ、完全な法の精神があるのであると私は思うんです。もしも、それが間違いということだったならば、保安監督員はどういう性格を持って、どういう命令権を持っておるか、その点も詳しく御説明願いたい。
○国務大臣(高碕達之助君) 阿具根さんは実際の事情に私よりよく通じておられますから、御意見はよく承わりますが、私の今感じておりますことは、現在、保安管理者というものに責任を持たしておると。で、保安管理者が、いわゆるこれは従業員だ、これは経営者だというふうなことを頭に置いちゃいかぬと思うんです。私は、保安監督員を置くというときには、技術的にも相当資格ある人はどこからでも引っぱる、この方針で進んでもらうということを私は非常に希望いたします。しかしながら、今、政府が、それだけの希望は申しますが、必ず保安監督員の中に従業員から何人置けと、経営者から何人出せと、だれそれは何人出せということを言うのは、あまりに行き過ぎじゃないかと、現在は私はそう考えておるわけでありますが、しかし、あなたの御意見は実際の経験者としてよく承わっておきます。
○阿具根登君 それじゃ大臣にお伺いいたしますが、保安管理者にはだれが命令いたしますか。
○国務大臣(高碕達之助君) 保安管理者は鉱業権者が命令をするわけでございます。
○阿具根登君 保安監督員は。
○国務大臣(高碕達之助君) 同じことでございます。
○阿具根登君 そうでしょう。それだったら、保安監督員を会社が自分の命令系列下に置く、命令する命令権を持っている。あなたは今、だれがどちらの保安監督員じゃなければできないというのはおかしいと、労働者でなければできないとか、あるいは経営者でたければできないとか、あるいは経営者から何名、労働者が何名ということは行き過ぎだとおっしゃっておるわけです。それなら、現在は保安管理者が保案監督員を任命するようになっておるのは、これはもっと行き過ぎじゃありませんか。労働者を入れちゃできない、経営者でなければできないということを、はっきり色分けしておることにたると思うんですがね。
○国務大臣(高碕達之助君) しかし、鉱業権者がその鉱業を持っておって、通産省はそれに全部責任を持たしておるわけです、政府は。それがやるのでありますから、それは自由にやればいいわけですから、その人がやることについては、われわれは何とも言えないわけです。
○阿具根登君 それでは保安委員会も保安協議会もその調子でいけば、鉱業権者が勝手にそれなら保安委員会でも何でもやっていい。なぜそれを二つにお分けになりますか、労働者が半数、経営者が半数と。鉱業権者が全部の責任を持っておるならば、保安委員会も保安協議会も鉱業権者が全部やればいいでしょう。そのかわり保安に対する責任を全部持ってもらう。人間を殺した場合はどうなるかということをはっきりやってもらう。それがこわいからこそ、労働者から半分、経営者から半分というものを任命されておるんじゃありませんか。それじゃ一番の大元の保安管理者はもちろん会社が握っておいてよろしい、会社に責任がある。それから二またになってくるならば、二名のところは一名ずつ、十名のところは五名ずっと、これが法の考え方じゃないでしょうか。私はこの保安管理者というものは、大臣がおっしゃるように、労働者でなければできぬとか経営者でなければできぬということは書いてないと思うんです。どちらから出してもいいと思うんですよ。局長おいでですから局長一つ答弁願います。
○政府委員(小岩井康朔君) 御承知のように、今の鉱山の保安の責任というものは、経営者に全責任を負わしております。従いまして、経営者は法に基きまして保安の機構というものを作るわけです。これが保安管理者以下副管、係員、それぞれみな代理者を置いておりますが、そういう正規の機構で鉱業権者が全責任を持って保安の確立をはかるわけでありますが、この機構の外にありまして、もう一度重複して、この機構が十分動いておるかどうかという点を見るのが保安監督員でありまして、従って保安監督員は、保安管理者以下係員まで監督をすることができるようになっております。これはまさしく二重に見ておるわけでありまして、これは千人以上の山は機構が大きいし、なかなか十分に見かねるというより、むしろ少しでも穴があってはいかぬという保安の万全を期しまして、この二重の体制を行なっております。 そこで、保安監督員は大体鉱業権者の自己規律といいますか、自分でやっていることが間違いないかどうか、もう一度チェックするという機関でありまして、もちろん、今、大臣申し上げましたように、私どもの方では組合側から出せとか、経営者側から選任せよということは申しておりません。どちらから出ましても、十分な資格があれば——これは上級の保安技術職員でありますから、十分の資格を持っておりさえすれば、どちらからでもけっこうであります。従ってむしろ、そういう点からは労使双方の問題になるんではないかというふうにも考えております。私の方といたしましては、別にどちら側から選任をお願いするというような考えは持っておらないわけであります。
○阿具根登君 法ではそうなっておりますよ。法ではどちらから選任せいということにはなっていない。あなたのおっしゃるように、保安監督員は別個の指揮系統にほんとうは入るべきである。ところが、その保安監督員の給料はだれが払っておりますか、指揮命令系統はだれが持っておりますか、保安監督員が鉱業権者に命令をやっておりますか、それとも諸問に応じておりますか、申告をしておりますか。あなたが法を考えておられるのと実際は全く違うじゃございませんか。あなたの考え方でいくならば、あるいは保安監督員というものは第三者であるべきである。そうして通産省なら通産省が任命すべきである。給料ももちろん通産省が払うべきである、そうして保安管理者に対してこの法案はこうやるべきであるということをいうならばいいですよ。ところが、そういう権限は与えておるといいながら手足をもいでしまつて、保安管理者が給料を払って、そうして保安管理者の指揮系統に入っている者が、何で保安監督員の性格がありますか、そこに矛盾があるわけなんです。それだけの矛盾があるならば、なぜそれでは同じ国家検定を通って、そうして同じような対等な資格を持っておる人がなることができないか、こういうことになるわけなんです。ここから解釈すれば、私が言うようにどちらを任命してもいいでしょう。任命する人が自分の部下を任命して、自分が給料を払うのですよ、それは法の一番ずるいやり方です。そういうことができない、法の精神をそのまま、あなたがおっしゃるならば、何もその会社の課長クラスの人がそのことをしなくても、あるいは通産省から行ってもいいでしょう、外部からもって来てもいいでしょう、りっぱな人を、第三者をもってきてそうしてその保安を認めていく、注意していくということならわかりますよ。ところがこれでは全然会社の機構の中に入っておって、そうして生産第一ということになってくると、そうじゃないんだとおっしゃっても、実際それでは年々六百五十人から死んでおるじゃありませんか、毎年々々炭鉱労働者が六百五十人も死んでおる現実をどうするか。そういうことがわかるなら、一歩でも進むと、たとえばそれなら労働者側の国家検定を通った人、その人が保安監督員に一名加わった場合に保安がそれじゃルーズになるかよくなるか、一歩進むか一歩退くか、こう考えてみた場合に、いや国家検定試験に通っておっても、労働者出身の人はこれは保安に対してかえってじゃまになるだろうという人は一人もおらぬだろうと思います。そうするならば政府の立場としては当然私の言っていることを認めざるを得ぬ、こう思うのですが、どうですか。
○政府委員(小岩井康朔君) 私どもがまあ考えておりますのは、現在の機構が、特に保安監督員の機構が現状においてかなり効果を発揮しているのじゃないか。それは先ほどもお話ありましたように、千人以上の鉱山というのは非常に成績がいいのでありまして、むしろ私どもが一番問題にしておりますのは中小炭鉱なんであります。今先生仰せのように、死亡者が大勢出ているじゃないかと、もちろんその通り全体では死亡者が出ておるのでありますが、重大災害でも八〇%は中小が起しておる。ことしに入りましても九月までに八十名ばかり出ておりますが、その八三%はもうすでに中小が占めておる、死亡者の八三%は中小が占めておる、これは数字に間違いはありません。 それともう一つ、ちょっと時間はかかりますけれども、ちょっとそれでは簡単に触れておきますが、私の方で千人以上と千人以下がどんな工合の状態になっているか、ごく簡単に申し上げますと、二十五年に千人以上の方では五百四十三名死亡が出ております。それから千人以下では二百四十一名出ておりますが、現在では、三十二年が、五百四十三名の千人以上の方の死亡者が二百九十三名に減っております。それから千人以下の二百四十一名であったものが今は三百六十名に増加しておる。その数字だけ見ましても、まあ千人以上のいわゆる保安監督員を置いております山におきましては、非常にはっきりした保安の改善が行われておるというふうに見て差しつかえないのじゃないか。そこで私どもは元に戻りまして、現状の保安機構をでき得る限り有効に使っていくように最善の努力を尽す。今ここでこの成績を見まして、特に機構を変える必要もないのじゃないか、かように考えておるわけでございます。
○阿具根登君 ただいまの数字は、もう私は持っておりませんから正しいと思うのですが、それじゃ二十五年ごろの炭鉱の実態と現在の炭鉱の実態を、同じような数字で比較されておって、それでいいかという問題なんです。これは御承知のように大炭鉱は非常な整理をやっておる、その整理をやられて数がものすごく減っておる。それじゃ二十五年の大きな炭鉱の労働者数と現在の大きな炭鉱の数と、中小炭鉱の二十五年の数と現在の数を一つ比較してもらいたいと思うのです。あなたのおっしゃるようなこの比率にはならない。しかしそれにしても二百九十三名からの人が出ておる。その二百九十三名の人が出ておるのに、少しでもそれがまだ減るために、まだ減らせるために一名の保安監督員をきめてくれというのがなぜできないのか、それが私にはわからない。これを減らさぬでいいのか、減らさなきゃならぬはずです。減らそうとするならば、保安監督員を一名ふやしたためにこれがたとえ一名でも三名でも減ったというならば、これは大きな収穫だと思うのです。人間の生命です、それに扶養される家族が数人ついておるはずです。それに少しでも減らすために一人の人間を追加するというのが何で反対されるのか私はわからない。端的に大臣にお尋ねいたしますが、保安監督員が一名以上ということになっているから、二名でも三名でもいいわけです、法律でそうなっているから。それを二名のところには一名、しかも国家検定試験に通った人を入れてくれと。入れれば災害が今よりもふえると思うか、減ると思うか。災害を少しでも減らすためには、一歩前進させるためには入れた方がいいか入れない方がいいか。端的に質問にお答え願いたいと思います。
○国務大臣(高碕達之助君) 生命がまず一番大事であることはその通りでありますが、その結果監督員というものをもっと強化するということも、これはいいだろうと思っておりますが、その中にはそれでは従業員の代表を入れるがいいか悪いかということは、これはこの仕事をやっている人に考えてもらうべきことでありまして、今政府といたしましては、先ほど保安局長が申し上げましたごとく、中小炭鉱の方に非常な重点をおかなければならぬ、こういうふうな点から考えまして、さしあたり今そこまではぜひやらなければならぬというふうな感じは持っていないわけなんでございますが。
○阿具根登君 保安の問題は中小炭鉱にもこれはつながるのですよ。何も千人以上の大炭鉱に保安監督員を一名ふやして、中小炭鉱はやりっぱなしというのじゃないのです。そういう考え方が中小炭鉱にもずっとこれは当然浸透してくるはずなんです。だから私が尋ねておるのは、鉱業権者に保安を一任しておるということをおっしゃるなら、それならもっとそれはそれだけ手放しで御一任になっているならば、もっと罰則やその他がシビアになってこなければならないと私は思うのです、そうじゃないでしょうが。そうじゃない、政府もそれに介入しなければならぬ、人命に関することであるから。だから保安監督官等も配置される、保安監督員ということもきめられたわけです。それならその保安監督員というのは会社の指揮下じゃないはずなんです。実際のところはないはずなんです、その考え方からいけば。これは極端に申し上げると、保安監督官が足りないから、だから保安監督員というものを置いておったと私は見てもいいと思うのです。保安監督官というのをほんとうならば派遣したいと、ずっと派遣しておきたい。しかしそれは予算面からも人数の面からもできないから、それで会社の中から保安監督官に準ずる保安監督員を置くべきだ、というのが私はこの法の本来だと思うのですよ。それならばなぜそれを会社にすべてを一任しなきゃできないのか。従業員からとおっしゃるけれども、私が言っておるのは従業員からという意味じゃないですよ。従業員が推した人なんですよ。従業員の中にはそれだけの資格のない人がおるかもしれません。そのときには従業員が今度は会社側の人を推すかもしれない、おそらく職員が大部分でしょう、これに該当する人は。従業員からでなければできないというのじゃないのですよ。従業員が過半数で推す人を一名入れて下さい。あるいはあなた方が希望していられる会社側の人を推すかもしれない。しかしほんとうに保安に造詣の深い、自分たちが安心して毎日働けるような人を置いてもらいたい。保安管理者というのは生産をまず考えるから、保安ということよりも自分の気に入った、自分に反対をしない、自分の命令に忠実であるような人を任命していく。それもでいいしょう。それも会社の立場からはあるかもしれません。そのかわり労働者が、労働者の中からでなくてもいいですよ、労働者が過半数でこの人を一名入れて下さいという者を入れるのが、どこが悪いのですか。保安という問題だから、保安ということについて、それを入れるために保安がまずくなるとか、会社がそのために莫大な出費が要るんだ、その保安監督員の給料を払い切れぬ、千人以上の炭鉱で払い切れぬのだったら、それはそういう者を推薦した人が払ってもいいと私は思うんですよ。こう思う。しかしそれこそ会社はいやだと言うに違いありません。ほかから給料をもらって保安監督員にするといったら、それこそ会社は反対すると思う。だからそこを考えてもらいたいと思う。何も労働者から資格のない者を入れろ、労働者のイデオロギーだけでこれを入れろとか、そんなばかなことをだれも言ってはいない。自分たち労働者の過半数が、自分たちの生命を預かって守ってくれる、働く場所を毎日回って見てくれる人だから一名入れていただきたい。会社は会社で自分たちの生産本位のことを考えて、自分の好きな人を置くでしょう。それはそれでもいいと言っているのです。その一名ふやすということがなぜできないか。法では一名以上ということをちゃんと書いてある。一名以上ということを書いてある。二名でも三名でも四名でもいいわけです。だからまず保安ということを考えていただくならば、私は大臣にはわかってもらっていると思う。だから二名以上の場合、一名以上になった場合にも、二名の場合には、こんな大多数の働いておる人の総意で一名は出して下さい。一名は会社が自分の一番股肱の臣を任命していいんだから。お互いそれは国家検定試験を通っておるんです。それでどこがまずいとおっしゃるのか、私にはわからない。なぜ悪いのですか、それでも……。
○相馬助治君 関連して。今この鉱山保安法の審議の最終段階に至って、非常に阿具根委員の質問に対する政府側の答弁は私は問題だと思う。私が劈頭にお尋ねしたのは、衆議院側の付帯決議は鉱山保安法の根本的再検討を行えということを申しておるが、これに対して通産大臣はどのようにお考えであるかとその所信を尋ねたところが、事は生命に関することであるから、そしてこの法律はだいぶ古く出たものであるから、大体この辺で根本的再検討の必要を認めるがゆえにその作業を急がせると、こういう本員をきわめて満足させる答弁がなされたわけなんです。従って、私はこういう思いやりのある大臣のもとにおいてならば、この今度の法案も、根本的な問題には融れていないけれども、賛成しなければならないと思って聞いていたのです。ところが、阿具根委員の申していることがわれわれの言う根本的再検討のことなんです。すなわち内容的にいえば、現行法では監督員は会社で一方的にきめて、一人より取らないからどうしても会社の生産計画に左右されて、完全に保安の目的を達していない。また達しないおそれが十分ある。こういうふうな認識に立っているわけなんです。それで保安ということと生産ということとは、本来切り離して考えなければならない立場におかれている概念だと思う。そういうふうな形から、労働組合も、当然保安という自分の身を守るということだけでなくて、積極的な、生産に関連しても保安ということに関する責任があるから、当然従業員の半数あるいはそれを少し負けて三分の一以上ぐらいの者が推した者を一名加えて、この完全を期したらどうなのか。これが私どもの党の基本的なものの考え方なんです。しかしこれをここで強く言うてこのような修正を求めても、会期その他の関係上かなり問題であるから、根本的再検討の中にはこういう精神をくみ入れて作業をしていただくということを考えて、われわれもこの法律に賛成をしようとする気持をもって実はここに臨んでおるのです。ところが今局長の言葉は実に重大だ。わきで大臣が根本的再検討をすると言っているにもかかわらず、やはり中小炭鉱の実態その他からして、現行法をうまくやればおおむね目的を達すると思うから、そういうことを早急には考えていないということをおっしゃっておる。すると大臣は非常に思いやりの深い人ですから、局長がそう言うのに、いやおれはこう言うというわけにはいかないものだから、局長の言葉にあわせて現在のところではまあ局長がおっしゃっている通りですとこういうことになる。そうすると、私に一番先に、事人命に関することであるから根本的再検討を急ぐという、この根本的再検討の内容は何を一体言っていたのか、こういうことになるのです。従ってこれは私が考え方が不一致だということを感情的についているのではなくて、今の政党内閣のもとにおいては大臣のかわる率と局長のかわる率では、大臣のかわる率の方が頻繁で頻度数が高い。そうすると、少しも直す気のない者が局長のところにでんとすわっていてこれでいいのだとこう力んでいたのでは、大臣が幾ら直すつもりだと言っても、問題は全然解決しない。ということになるならば、私どもの党はこの法律案をそうそうやすやすと通過させることは絶対にできない。村に帰って相談し直してこなければならない。こういうことなんです。一つ私の申し上げていることをおわかりいただいて、その上で今の阿具根委員の質問に対して一つ明確なる御答弁をわずらわしたいと思います。
○政府委員(小岩井康朔君) 保安監督員につきましては、もちろん全然関知しないという意味で申し上げているのではないのでありまして、もちろん保安監督員につきましても、いかにして効果が発揮されるかという点につきましては、十二分に検討いたしたいとかように考えております。 一つは現在保安監督員につきましては、鉱業権者の自己規律というところで、大体鉱業権者が自分でチェックするために置いておるという関係で、もちろん勧告簿は置いておくように法できめられておりますけれども、あまり内容につきましてはタッチいたしませんでした。もちろん監督官が現場に参りましたときには、勧告簿の内容を見ることはもちろんありますが、それの内容を提出せしめたりすることは今までやったことはございません。しかし最近問題になりましたので、かなり材料をとってみましたところ、相当効果をあげておる山もありまして、私どもが想像いたしておりました以上に大きい範囲の勧告をやっておる山がございます。従いまして、保安監督員の勧告の内容につきましても、今後さらに一そう入念に内容を見まして、いかにしたら効果が出るかという点につきまして十分に検討いたしてみたい、かように考えております。 なお、千名以下の山につきましても、資料を提出いたしますように、かなり選任いたしておりますけれども、なお今後必要のあります場合には、でき得る限り範囲を広げまして、千人以下の山でありましても必要と思われる山につきましては、相当広範囲に選任をさしていきたい、かように考えております。
○阿具根登君 その保安監督員の任命の仕方について私は言っているわけです。社長が自分の会計監査を自分の子分にさせるようなものじゃないですか。会計課長が自分の子分に会計監査をさせて何がわかりますか。そういう疑いを持たれても仕方がないでしょう。だからちゃんと別個監査という立場があるようになっている。保安監督だってその通りです。この保安管理者というのは保安を管理するだけでなくて、生産の最高責任者ですよ。そういう二重の性格を持っているわけなんです。その二重の性格の中でどちらのほんとうに性格をつけられているかといえば、これは生産に対する大きな責任を持っているわけなんです。だから保安監督員というものを別個な性格を持たせてつけたじゃありませんか。そうするならば実際働いている人の総意によってこれをふやす、法でふやすことができぬとしてあるなら別ですよ、法でふやしていいのですから、これができないということになると何かほかに理由があるでしょう。二百九十三人に減ったからなのだ、それじゃ二百九十三人死んでもいいということになりますよ、二百九十三人ぐらいならば死んでもいいとここで言えますか。二百九十三名でも多過ぎる、だから保安のためにもう一歩前進しようじゃないかというなにで、それをふやしたら保安がかえって乱れる、まだ二百九十三人よりふえるのだという理屈なら私は傾聴いたします。またそれが正しいならばいさぎよく私の意見は引っ込めます。しかし私は一名ふえたから二百九十三人がごそっと減ってしまうというようなことを考えておらぬのですよ、少くとも減るだろう、少くとも前進だという考えを持っているわけなんです。そうするなら、法の大体の考え方がそうでしょう、保安協議会にしたところで保安委員会にしたところで、両方から半数の人間を出してきているじゃありませんか。それが政府の考え方でしょう。それを一番トップは会社側だと、それはわれわれも認めておる。それは別な性格を持たせて鉱山の中を、千名以上の大きな所を毎日々々保安を点検して回る人を二人にする場合に、一人だけこちらのこういう性格の人を出してくれというのが、できぬというのは何かほかに別に理由があるでしょうか。一名ふえるために会社の経理が破綻に瀕する、会社が持ち切れぬというなら持ち切れぬでよろしい、そういう答弁をしていただきたい。一名ふえたからといって保安がちっともよくなりませんということを言われるなら、はっきりそう言ってもらいたい。それ以外に何かありますか。それ以外の理由があるでしょう、あなた方それ以外の理由があるはずだ。法の精神はそうなっておるはずで、それでなかったらこれははっきりと保安監督員は会社側より出すべきだということがこれにあるはずです、それがない。会社側から出せとかあるいは組合側から出せ、そういうのもないというのは、先ほどから言うように、保安の問題につきましてはそういう色をつけぬでもよろしい、こういうことがあると思うのです。法の精神をあなた方自体がゆがめておるじゃないですか。それでなかったら、私が今言っている以外の理由があるならば言っていただきたい。それでなかったらなぜふやすことができないかということを言っていただきたい。ただ五百四十三人が二百九十三人に減ったからというのは理由になりません。
○政府委員(小岩井康朔君) 保安の確保の責任は全部経営者側にありまして、従って保安技術職員というものは保安監督員に限りません、保安管理者以下係員に至るまで全部鉱業権者が選任することになっているわけであります。従って私の方は保安管理者だけをどっちから選びなさいというようなことをきめる必要もなければ、もうすべての技術職員に関して鉱業権者から自由に選任ができるように法体系はなっております。
○阿具根登君 混同せんでおいて下さいよ、保安管理者というのは一名しかおらぬのですよ、局長。保安管理者というのはその職場の長ですよ、所長ですよ、これが保安管理者です。私が言っているのは保安監督員ですよ、保安管理者をだれが出せとか、そんなことを言っておるのじゃないのですよ。保安管理者は御承知の通り一名しかいない。保安監督員は一名以上置いていいようになっているのですよ。それも局長が言うようにどこから得なければいけないということには法律ではなっておらないのです。ところが任命は会社がする、給料は会社が払うようになっているから法の精神と間違っているというのです。それなら法の精神に立ち戻って一名のやつを二名なり三名なり、それは十分できるはずです。それを一方は保安管理者が任命をする。二人にした場合二人とも任命するけれども、一方は実際に働く、命を失っておる人たちの仲間からそれだけの資格を持っている人を、資格のない人をとは言っていませんよ、出すのが何で悪いのか。ですから私があなたに求めている御答弁というのは、それを出して一名ふやせば保安管理がかえってまずくなるというなら、そのまずくなる理由をあげてもらいたい。私はよくなると言っているのだから、二百九十三名が全部減るとは言っていません、少くとも一歩でも二歩でも前進であるというならば、人命尊重からやるべきであると私は言っているのだから、そうじゃないのならそうじゃない、あるいは一名ふやすことによって会社の経理に負担がかかるとか、その他の理由があるならその他の理由をあげてもらいたい。そうじゃないのだったら、あなたの言う御答弁は私の質問に答弁になっておらない。それをはっきり答えてもらいたい。
○政府委員(小岩井康朔君) 私はたびたび申し上げておりますように、むしろ保安監督員はそんなに、先生のおっしゃるようにすぐもう効果が出るということなら、まず保安を確保するのは鉱業権者。……労使双方であります。応責任は全部経営者に負わせておりますけれども、労使双方で保安を確保していただくという面から、労使双方で御相談ができるわけなんでありますが、法は別にどちらから選任せよということをきめておりませんので、考えようによりましては労使双方で一つお話し合いを願って、資格のある者の御選任をいただけばいつでも私の方はお受けする、こういうわけであります。
○阿具根登君 いや私の質問に答えて下さいよ。ふえるのがいいのか悪いのか。ふえればかえって保安に対して支障があるのなら支障があると、私は支障がない、前進だと言っているのだからその点についてはっきり答えてもらいたい。それから労使双方で選任せいというけれども、これだけでは労使双方はこれはけんかになります。労使双方でそういう紛争をあなたはわざわざまき起すようにやるとおっしゃるならそれはよろしい。そういうお考えならそういうお考えでもよろしい。それから労使双方で選任されとなっておるが、労使双方で選任されるということは、労使双方に同じその任命権を与えてあるのかどうかというのを一つお考えいただきたい。これは管理者が命令するのですよ。これは労使双方でとおっしゃるけれども、それは労の方は任命する権利も何もない。労の方にも権利を与えてあるのですか。任命権者は保安管理者だと私は思っているのですが、そうじゃないのですか。御答弁が非常に矛盾しているようですが、お答え願います。
○政府委員(小岩井康朔君) 保安監督員に限りませずすべての保安技術職員は、鉱業権者が選任することになっておるわけであります。
○阿具根登君 それでは答弁になっておらぬじゃないか。何回も私は言っているが、あとの人の質問もあるから一つ率直に答えてもらいたい。保安の問題について保安はどうあるべきかということをやってもらえばいい。私も保安の問題をやっている。ほかの問題をやっているわけじゃない。あなたはほかに言えないことがあるでしょうが。そこまで私は言おうとは思っていないから、もうここまで言っても言わぬのだから、だから私の言っていることに答えてもらえればいいのです。保安監督員は普通の保安係員と同じだというあなたのお考えは詭弁ですよ。保安監督員は特殊な作業を持っている、一般の保安係員と違います。それを一緒くたに言われても困る。保安監督員というのは別個な性格を持っている。さっきあなたのおっしゃったように上に対しても下に対しても命令権を持っている、申告する権利を持っている、特殊な立場でしょうが。私がさっき言った保安監督官が足りないから、足りないからというと語弊がありますけれども、保安監督官にかわるべき現場の職責を持っている、私はこう思うのです。またそれが間違っておったならば保安監督員のところでもう一つやりましょう。だから私の言っておることに答えていただきたいのです。
○政府委員(小岩井康朔君) 保安監督員は、もちろん仰せのように、鉱業権者の正規に持っておる、保安管理者以下の正規の保安機構の外にありまして、保安管理者以下係員までこまかに監督できるようになっているのが保安監督員であります。
○阿具根登君 それだから、あなたは保安係員もほかの連中も全部会社の保安管理者の指揮命令系統でやっているのだと、こういうようにおっしゃるのが普通だと思う。保安監督員は別個な性格を持っているじゃありませんか、そのために保安監督員というのが法律できまっている。保安管理者とか保安係員とか、そういうものはさまっていない、これは会社の機構です。それとこれと混同してもらっては困る。だから、この機構の違う保安監督員に対して一名以上置いていいということになっておるのに、置けばなぜ悪いかということなのです。保安を確保するために、二百九十三人よりうんと減る、一名ふやすよりも減るのだという確信があるならば、それを言っていただきたい、責任を持ってもらいたい、私はこれはふえると思う。それは二百九十三人が三百人になるかもしれませんよ。しかしそのときと次第によっては五百人になることもあるのですから、一概には言えない。しかし私は一人ふやしたから保安がより悪くなったとは、だれが何といっても言えないと思うのです。そうすればなぜ置くのが悪いのか、そこをはっきり言ってもらいたい、なぜ置くのが悪いか、なぜ置くといけないのか、置かないと保安は置いた以上に上るというなら、あなたはここでそれを出してもらいたい、了解すれば私はいつでも引き下りますから。
○政府委員(小岩井康朔君) もちろん私の方は、資格のある者で鉱業権者が選任してくる者でありますれば、一名以上でももちろんけっこうでございます。置いて悪いということはないと思います。
○阿具根登君 だから、それはこういう法に従って一名以上置けるのだから、あなたがそんなこと言わぬでも、そんなこと反対したらおかしいですよ、法律できまったやつを、向うできめてきたやつをよろしゅうございます、それは当り前なことなのです。それをきめるために法律が作ってあるのです。だから、保安管理者だけが任命する者と、今度は働いておる人、実際その犠牲になっている人が過単数で一名推薦した場合には、それも一つ認めてもらいたい、こういうことなのです。それができないという理由がわからぬ、二名でも三名でも持ってきさえすればできるということになるでしょう、これはさまっておるのだから、そんな答弁を聞いておるわけじゃないのです。
○政府委員(小岩井康朔君) 同じようなことになりますですけれども、選任は鉱業権者がいたしますのでありますから、必要があれば一名以上どちら側からでも鉱業権者の選んだ監督員を、しかも資格がありさえすれば私どもの方ではいつでもお受けする、こういうことになるわけであります。ただ私どもの方で監督員は特に強く云々しないという点は、今申し上げましたように、千人以上の山が非常に画期的に改善の方向をとっておるということと、まあ従来の鉱山労働者に保安の確保に対してお力添えをいただくという機構としましては、申告制度があったり、保安委員会があったり、あるいはまあ中央地方の協議会というようないろいろな機構がありまして、これらがまだ十分にその効果を発揮していない、そういう点がありますので、成績が画期的に向上いたしておりますけれども、今後なおそういった面にもう一そう効果あらしめるようにすれば、非常に大きく改善ができるのじゃないか。かように考えておりまして、今保安監督員を組合から選べというはっきりした点につきましては、むしろまあ混乱が起りまして、かえって保安の改善に対しては、もちろん支障になるかどうかわかりませんけれども、あまり大いき期待が持ちにくいのではないか……。いう気がいたしておりますので、既存の制度の運用を十二分に発揮する、そういった方向にあらゆる関係者の努力の結果をいたしたい、かように考えておるわけであります。
○委員長(田畑金光君) 阿具根君、ちょっと申し上げますが、ほかにも質問者があるので……。
○阿具根登君 まだ時間が十分あるでしょう。
○委員長(田畑金光君) 大臣の出席の時間が、衆議院の連合審査との関係と、参議院の予算委員会の出席の関係があって、非常に制限されておるのです。そのことはあらかじめ申し上げておいたわけですが、だからほかにも質問者がありますので……。
○阿具根登君 わかりました。
○阿部竹松君 議事進行について。今の委員長のお話はよくわかりますが、しかし、あらゆる機会に、あらゆる委員会に、大臣を衆議院の商工委員会とか本会議には一生懸命譲歩してきたのですよ、それはよろしうございましょうと、今まで大臣も無理にこちらへお引きとめしたことは僕はないような気がするのですね。ですから、やはり向うを断わるべきときは向うをお断わりするか、そうでなかったら私ども法案の内容の問題ですから、解釈をお聞きするということであれば、局長さんでもけっこうな場合もありますけれども、やはりそういう点も十分加味して、僕たちも今まで三十三日間大臣に絶対無理を言ったことはございませんから、——僕はそう思っております。ですから、僕たちのやはり問題を論議するときは、そのように大臣の方で配慮願いたいと思います。
○阿具根登君 そこで、私はなるべく早くやめますが、局長が今言っているのはいよいよ問題なのだ。トラブルが起ってかえって保安に支障を来たす、一つそれを説明していただきましょう。これは、保安には一名ふやした方がいいのだ、いいけれどもどういう理由で今のところできないからできないと言うならわかる。ところが、トラブルが起きて保安に支障を来たす、これはどういう考え方ですか。自分たちの生命を守るために、自分たちが一番信頼している人をやるのがこれは民主主義の一番の初歩ですよ。しかもただ感覚的でなくて国家が試験して通った人ですよ。あるいはその従業員の中におらないかもしれない、会社の中にも三人も四人もいるけれども、その中で少くとも非常にこの人は良心的だという人を、あるいは組合から出すかもしれない。それを勝手に片一方にさせておいて、片一方からもう一人出していけば保安にかえって支障を来たす、どういうところに支障を来たしますか、お聞きしましょう。
○政府委員(小岩井康朔君) 私がまあ支障を来たすのではないかというふうに懸念いたします点は、たびたび申し上げておりますように、法はどちらから選べということを言っていないのであります。鉱業権者におまかせしてあるわけであります。それが労使の間で話し合いがつかないという点につきまして、私どもの方ではかなり懸念をいたすわけでありまして、私どもの方は、たびたび申し上げますように、労働者側から経営者が選任して参りましても、資格がありさえすればいつでもお受けするわけでありまして、別にどちらから選べという点もきめてないかわりに、どちらから選びましても資格があればお受けする、そういったことが労使の間でできないという点に私どもの方が多少の懸念を持つ関係で、まあああいった表現をいたしたわけでございます。
○阿具根登君 そこですよ、問題は。どちらから選んでもかまわない、任命してきた人に対して認める、ところが、先ほどから言っているように、任命する人は会社の最高責任者です。なぜそこでそれじゃトラブルが起るかということを考えてもらいたい。おそらく命の危険を感じている人は、自分の命を一番守ってくれそうな資格のある人を選ぶでしょう。本来ならその人が一人でもいいはずなのですな。ところが、この任命権者の言うのは、それをやられたのじゃ自分の方の生産にこれは困るだろう、こういうところで自分の気に入ったのじゃなければ任命しないでしょう。そうしたら法の精神から、はずれるのじゃないですか、それでは保安法じゃないのだ、そうでしょう。保安法で保安監督員をきめたのは、ほんとうに保安を守ってくれる人は、自分の感覚でやるのじゃなくて、みんなの人が、過半数がこの人ならばといっていく人は、どちらかわからない、それをトラブルが起るだろうと、あなたがおっしゃるのは、任命者の考え方が違うから、保安ではなくて、まだほかの要素が入っているから、そういうトラブルが起るだろうということになる。使っている何千人の従業員がこの人だという人ならば、保安そのものから考えるならば、トラブルが起るわけがないでしょう。保安以外の観念が入ってきているから、あなたのおっしゃるトラブルとか何とかという問題があるわけですよ。だから、一名の場合には、そういうことも言える。 それは、実際はそうなんですよ。保安そのものから考えるならば、実際、自分たちの危ない、しかも鉱業権者がえるような資格を持っている人をえるのだから、むちゃを言っているわけではないですよ。一名でもけっこうなはずなんです。ところが、回るのにも、一名では回りにくいだろうし、そういった考え方もあるので、一名ふやすのです。なぜそれを政府が反対しなければならないか。会社が反対するというのならわかりますよ。会社は、保安よりも生産第一という考え方からするならば、反対するでしょう。あなた方が反対するというのは、私にはわからない。会社と同じ考え方ですか。保安の問題についてトラブルが起るというのが、そもそもおかしいじゃないですか。自分たちの命をますます危険にするような保安監督員をえって持ってきますか。実際保安のことを何も知らない人を持ってくるというならば、それはトラブルが起るかもしれません。そうじゃないのだから、自分たちの命の危険を感じているのに、ますます危ないような人をえってくるわけがない。それでどうしてトラブルが起るのか。 トラブルが起るのは、ほかの考え方があるからでしょうが、それは会社側は考えるかもしれませんが、保安の当面の責任者のあなたが、そういうことを考えるのは、おかしいじゃないですか。それはどういうわけですか。
○政府委員(小岩井康朔君) 保安監督員は、既往の機構に対して第三者的に見るというような形になっておるわけでありまして、この監督員を権者が選びますけれども、私どもの方は、鉱業権者の勝手気ままな自由裁量の、自分の方のことばかり考える保安監督員をもし選任してきたような場合に、もちろん私どもの方でも実績を見ておりますから、労働者側でも、非常に、まあ端的に申し上げまして悪い保安監督員でありますれば、経営者に対して、保安委員会を通じて御相談もできますし、またこれは私どもの方でも、十分な職責を果しておりません場合には、これを解任を命令できるようになっておるわけであります。 従って、がりがりの経営者が勝手に自分たちの立場の保安監督員ばかりを常時やっておるというわけではございませんで、十二分に私の方でも、不適任の場合には解任できるようになっておりますし、もちろん解任する場合には、公聴会を開きまして一般の御意見も聞いて、そして解任ができるようになっておるわけで、そう勝手気ままな姿に放任しておるというわけではないのであります。
○阿具根登君 やめたいと思うが、なかなかやめさせてくれぬのですがそういうことを、おやりになったことがありますか。大きな災害の起ったりなんかした場合に、それは、あったこともあるかもしれません、不幸にして、私は知りませんが。あなたの言われるのは、そのときどきで違うじゃありませんか。今までは、鉱業権者に一任しておるのだと、きまったやつは、そのまま認めておるのだと、保安に対しては、鉱業権者に一任しているという、一本やりだったでしょう。 こういう質問をしてくれば、今度、極端な例を持ってきて、自分たちの方で公聴会で云々とおっしゃるけれども、普通の場合に、公聴会でやられたことがありますか。あったならば、いつどこでやったか、教えてもらいたい。そんなことはおそらくやっておらぬ。重要な保安問題が起きたあとのことだと私は思う。また、会社が任命する場合に、これは通産省からおかんむりを振られるというような札つきを任命することはありませんよ。私もそんな悪い者があるということは言っておらないのだから。そうすれば、それじゃ過半数の人が持ってきたやつを、なぜできないと言うのか、一つも理由が合わぬじゃないですか。
○政府委員(小岩井康朔君) 私どもは、その場その場で言っておるわけではございませんでして、保安管理者以下、上級下級の係員に至るまでの技術職員は、すべて保安に関する確保のために、鉱業権者が選任しておりますけれども、今先生の仰せのように、経営者が勝手気ままなことをやっているようなお話がありましたので、まあ、こういったすべて鉱業権者一任に、まかせてはおりますけれども、職責を果せない場合には、私どもの方で、いつでも係員まで解任ができるようになっているという点を指摘したわけでございます。
○阿具根登君 それだから、それはそれでいいのです。それはそうなっておる。ただ、やらないだけのことなんです。それだけ信頼されておるわけなんです。それならば、なぜ労働者から出してくるのを信頼できないのかというのです。労働者から出してくるのが、何回も言うように、詰らぬ人なら、自分の命を託するのだから、そんな者を出しっこないでしょう。あなた方だって、そういう立場になってごらんなさい。ガスが出そうだとか、天盤がゆるんでおるとか、いろいろな問題がある。そういうような場合に、そういうことを注意してくれるのを、何も知らないしろうとを推薦するわけがないでしょう。一番自分たちの職場を理解している、一番保安に関して詳しい、しかも国家試験に通った人、こうなってくると、限られた人になってくるわけなんですよ。なぜその人をやることができないかというのです。堂々めぐりです。今まで言ったのは、その結論が出ないために、さっきから言っておるのです。それさえ言ってくれればいいのだけれども……。 あなた方の考えからいうならば、何もこの人ではだめだということにはならないでしょう。何もだめだという理由は、私は聞いておらない。トラブルの起る理由は、その問題に関してはない。そのほかの考え方が入ってくれば、トラブルがおそらく起るでしょう。あなたが心配しているのは、それでしょうが、それは、われわれがここで心配する問題ではないと思うのです。保安法を審議しているのですね。その後に来るべきものである。だから、何も根本から会社側のやつを排撃して、そうして組合側のやつだけをやれと——これでもいいと思うのだけれども、私らは、そこまでは言っておらないのですよ。それでも主張していいと思うのですよ。通ると思う。自分たちの命をあずけるのだから。しかしそれは、会社機構というものがあり、慣習というものもあるから、任命の場合に、一名ずっと、何でそれが、行き過ぎであるかということなんです。そういうことはあり得ぬと思うのですがね。
○政府委員(小岩井康朔君) 同じようなことを繰り返しになりまして、まことに恐縮なのでありますけれども、私どもの方の理由というのは、幾つかあげているのであります。労働者が保安確保に協力できる機構としまして、申告制度がありますし、保安委員会の制度がありますし、これらを十分に活用していただくということが、まず第一にありますし、全体を通じましては、中央、地方の協議会というようなものもありまして、労働者が十分に入り得る機構というものを現行法で持っておる。それに、千人以上の大鉱山は、成績もきわめて良好な方向に進んでおるし、今は従来の機構をいかに効果を発揮できるかという点に力を結集することで政府側としては十分であるというふうに考えておるわけであります。
○阿具根登君 重大な発言をお聞きしたのです。 私は、資料を持ってきておらないけれども、各国の炭鉱の保安状況を一つ比較していただきたい。大炭鉱だけで二百九十三人、小炭鉱を合せて六百五十人殺しておいて、これで十分だとおっしゃるのか。あなたは炭鉱の労働者とか、鉱山の労働者は、死ぬのがあたりまえだと思っているのですか。保安が、これで十分だと、どうして言えますか。また、人数からいっても、二百九十三人大炭鉱だけで死んでいるといっているじゃありませんか。それで保安が十分だと、どの口で言えますか。また、炭鉱労働者、鉱山労働者の前で、それを言ってみなさい。これだけ死んでいるのに、保安がこれで十分だと言えますか、そういうことが。 大臣、どうです。こういう保安局長で、保安が守られますか。これで十分ですか。大臣、どうです。これだけ死んで、殺されて、これで保安が十分だと言えますか。私の言っているのは、十分だと言っておるわけじゃないですよ。一歩前進でもあり、二歩前進でもあるというならば、認めてもいいじゃないか、それを認めるために、重大な問題が起ってくるなら別だと言っている。それがないのに、なぜ、保安がこれでよろしい、十分だと言えるのですか。大臣の御答弁を願いましょう。六百五十人から殺しておって、これで十分だという保安の考え方ならば、それでまた私どもは、考え直さなければいけないと思うのです。
○国務大臣(高碕達之助君) 先ほどの保安局長の申しました、二十五年に五百四十五名が、今日二百九十三名になったということは、これは幾らか——幾らかよくなっているわけでありますけれども、二百九十三名も——これは、一人も殺さぬようにするということが元来の目的である、こう存ずるわけでありまして、これでも私は、外国の炭鉱と比較して、決してそんなに成績がいいとは存じておりませんですから、まだまだ、これからこの保安の仕事は、十分にやっていきたい、こう存じております。 先ほど保安局長の答弁申しましたように、政府といたしましても、監督官を出して、さらにこれを強化して、十分保安の監督をやらしたいと、こう思っておりますが、ただいまのところ、この炭鉱経営ということからいえば、保安ということを第一義にしていくということのために、あるいは大きく生産が減退するというふうなことになっても困ると思うので、こういうような点は、やっぱり多少考慮しなければならない点があるだろうと思っておりますが、私は事情をよく存じませんから、私の言うことは多少間違っているかもしれませんが、常識論でございますから、その意味でお聞き願いたいと思います。 そういうわけでございますが、しかしながら、政府の保安監督官を強化すると同時に、現在ある保安監督員というものにつきましても、これはさらに検討して、さらに強化して、もっと働かすようにしたいと思いますと同時に、保安協議会というものも、あってなきがごときようなやり方をやつちゃいかん。これをさらに強化して、そして保安の実績を上げたいと、こう存じておるわけでございますが、いろいろの事情がございますから、私ども今日お願い申し上げたいことは、今政府の意のあるところを御了承願いまして、現状において、できるだけこれを強化していく、そしてそこに大きな欠陥があるということになれば、これはさらに今の保安監督員というものにつきましても、これを増員するなり、あるいはこれを従業員が選んだ人を必ずこれに入れろということを政府が命令するということも、あるいは考えなければならぬかと存じておりますが、ただいまのところでは、そこまでいっていないと、こういうわけでありますから、ここで強化するという程度につきまして、監督官の制度を十分活用するということに努力いたしたいと思っております。その活用ができないということになれば、さらに考慮させていただきたいと思っております。
○上原正吉君 阿具根委員と局長、大臣の問答を拝聴して感じましたことですが、現行法でも、労働者側から選んで保安監督員を任命することは差しつかえない、こう了承したのですが。 そこで、阿具根委員その他の方々の発言も、ごもっともと思われることが多いので、政府としては、阿具根委員その他の主張されることが、実現できるように、これは行政指導で実現し得る道が、法律上は開けておると思うのです。ですから、そういう努力を大いに、今後重ねられるというお約束ができるかどうか。
○国務大臣(高碕達之助君) 今のお説でございますが、私は、これは行政指導といたしまして——法律をもって、どうこうということはできませんですから、行政指導といたしまして、阿具根委員のおっしゃったような点につきましても、十分考慮していきたいと思っております。
○阿部竹松君 今の上原先生の質問に対する御答弁ですが、行政指導でできるとおっしゃったのですか、できないとおっしゃったのですか、もう一度。お声が低かったので。
○国務大臣(高碕達之助君) これは、法をもってきめないで、行政措置によって、なるべく御希望に沿うように持っていきたい、こう存じております。
○阿具根登君 水掛け論になりますから、私は、もうやめますが、行政指導でできれば、もうとうにできておるはずです。 今まで、私は五年半になりますが、五年半のうちに、炭鉱の保安問題について、この委員会で発言しなかったことはありません。その都度、行政指導で保安委員会を頻繁に開くとか、あるいは保安協議会をどうするとか、あるいは監督官をやるとか言われるけれども、現在だって、監督官が、組合に行った所が、だれがありますか。監督官は、会社だけです。そうしてすぐ会社と一緒に、クラブへ行ったりなんかしておる。現在でもそうです。ほんとうの保安は、だれですか、ほんとうに命を失っているのは、だれですか。保安監督官が、まず組合に行って、そうして組合の意見を聞かれる、あるいは会社に行って聞かれるというならいいですけれども、今まで何十回やったかわかりません。 しかしまだ、皆さんも御存じのように、たとえば甲種炭鉱なら甲種炭鉱のどこに、どういうような保安上の問題があるかということは、全部秘です。全部秘密でいっている。組合も知らない。働く人間は知らないですよ。そういうことで保安が守れるわけがない。だから、保安監督員をふやしなさい。一番こわいのは、保安監督員に、この炭鉱でどこが一番悪いのだということがわかるのが、一番こわい。それならばこそ、保安監督員というものを出さなければできない。大臣は良心的に言っておると私は思います。 しかし、これは今までの行政指導というものを見てきた場合に、それは、会社に対しての行政指導は相当やっておるように私は聞いております。しかし、組合に対してほんとうに今まで接触されて、ほんとうに保安問題についてやられたことはないんです。それで、組合員が保安に関して協力するというようなことを言っておられる。保安に対して協力するのじゃない。自分の命が危ないから、自分たちが、一番保安の問題を考えておるわけなんです。それを、何か保安は、ほかの人だというような考え方の答弁になっておる。行政指導でどういうようにおやりになるか。行政指導で、大臣の方から、一名以上の保安監督員の場合は、組合から過半数で推薦するような人があったら、それを入れろというような御指導になるのですか——私は、そう思うのですが、そうですが。そう解釈してよろしゅうございますか。
○国務大臣(高碕達之助君) 保安の問題は重大であるから、被害を受ける人は、とにかく従業員であって労働者であるのだ、そういう人が、安心し得るような人の意見をよく聞いて、この保安員というものを任命しなければならぬから、なるべくそれを聞いてやるようにしてもらいたい、こういうことは、これは私は、行政指導で当然やるべきことだと思います。
○阿部竹松君 今まで阿具根委員の質問に対して、最後に大臣が行政指導でやれるとおっしゃったから、私はもう、ほとんど大臣に質問はございません。 それを私どもは、必ず法文にうたってもらわなければならぬということは、今まで、あまりに法律が、あってなきがごとくであり、あるいは完全に実施されておらぬし、阿具根委員も指摘したように、なくなるのが大体一年六百名、七百名ですね。それでまあ、年とったから死んでもいいとか、若いから死んでもいいということにはなりませんけれども、特に交通事故でなくなるのは、小さい子供さんとか、あるいはもちろん青年期の人もおりますけれども、扶養家族のない人も非常に多いわけです。炭鉱でなくなるのは、大体最前線ですから、ほとんどなくなる人は、扶養家族を持っている人です。ですから、計数上は、何名何名というけれども、これは大問題です。家族も路頭に迷わなければならぬということで、大問題ですが、しかし今大臣の御答弁でよろしゅうございます。一カ年に五万人以上のけが人が出るのですから、そういうことは直ちに実施していただきたいと思う。 そこで、その点は、それでよろしゅうございますが、その次に、これは本問題と直接関係ありませんけれども、この法案の、あれは三十三条にきまっておって、二十一条のことをやるのですね——監督員のきめ方は三十三条で、どういうことをしなければならぬということは、二十一条ですね。
○政府委員(小岩井康朔君) 大へん恐縮でございますが、どういう御質問の内容ですか、三十三条を二十一条でやると申しますと。
○阿部竹松君 いや、三十三条に保安監督員という項目がございまして、保安監督員のやる仕事は、二十一条に規定してございますから、そうすると、その仕事をやるために、まあ阿具根委員の指摘したような内容を行政指導でやられると、こういうふうに解釈するわけですが。
○政府委員(小岩井康朔君) 三十三条も二十一条も、監督官のやらなきゃならないことが書いてあるのでありまして、先生のおっしゃっておりますのは、監督員選任の指導をどうするかということだろうと思いますが、まあその点は、大臣仰せられましたように、できる得る限りまあ鉱業権者に、労働者の意見を十分に聞いて尊重するようにという方法で指導していくことになっております。
○阿部竹松君 私は、そんなことを聞いているのじやございませんよ。大臣の答弁でけっこうなんですよ。あなた大臣を上回るような答弁は、総理大臣がやるべきであって、あんた少し出しゃばりすぎる。そう思いませんか。 とにかく阿具根委員の指摘したように、保安監督員の扱いについては、行政指導でできるのじゃなかろうかという上原先生の質問に対して、大臣は、それはやりましょうという御答弁なんですからね。ですから、それで私はよろしゅうございますと、こういうことで、それで私らの念願としては、これは法の内容にうたってもらわなければ、なかなか案がみのらぬのではないかというつもりもございましたけれども、国会の会期もあと一両日でございますから、この改正案には賛成であって、なおかつ、よりよきものにしたいというのが、相馬委員なり、阿具根委員なり、先日の島委員なり、ほかの方々からの発言なんですから、それで私、けっこうなんです。内容について伺いましたが、あなたの御答弁では、私の質問とは全然違っておるので、しかし、それもよろしゅうございます。 私、もう大臣に質問ございません。あと局長さんでけっこうでございます。
○委員長(田畑金光君) 他に、大臣に対する御質疑ございませんか。——大臣帰ってもらっていいですね。 他に御発言もなければ、これにて両法案に対する質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(田畑金光君) 御異議ないと認めます。 ちょっと、速記をとめて。 午後三時二十五分速記中止 —————・————— 午後三時四十三分速記開始
○委員長(田畑金光君) 速記を起して。
○阿部竹松君 ただいま論議の的となっております二法案とは別個の問題ですが、前回の委員会で、石炭局長から御答弁ありました古洞調査費ですね、本年度の二百万円、それから明年度、明後年度合せて五千百万円ですか、それが数字をあげて御答弁されたわけですが、これは含めて予算決定してございますか。
○説明員(樋詰誠明君) 本年度の二百万円の流用は、これは古洞調査、それから、それに伴う出水指定という保安関係の問題でございますが、これは大蔵省とも話ができまして、大体流用することに確定いたしましたが、来年度の二千八百万円、並びに三十五年度の二千三百万円、これは一応こういう計画で、二年半で古洞調査を完成したいから、ぜひ五千三百万円の経費が要るのだということで、大蔵省の方と予算折衝中でございます。 もちろん大蔵省は、来年度の予算編成につきまして、査定の作業を進めているところでございまして、それに対して、どのくらいよこすということは言っておりませんが、私どもといたしましては、要求は来年度二千八百万円ということで要求して、できるだけ実際作業に支障のないというような金額は獲得するように、今後努力していきたい、かように考えております。
○阿部竹松君 次に、これは通産省の保安監督員ですが、大臣、これはあなたでも間に合う答弁ですから……。例年々々、これは問題になりますが、これは予算と関係があるのです。小さい数字は、私よく存じておりませんけれども、三百人内外の監督員がございまして、それで来年こそ、予算を獲得して万全を期する、こういうのが毎年毎年、前の水田さんなり前尾さんなりの約束だったわけです。私よく内容は知りませんし、野党ですから、特に予算の問題はわかりませんけれども、現われてきた数字は、一向よくなっておらぬわけです。ですから、高碕さんは毎回申し上げるのですが、第一の副総理、実力者ですから、本年は大丈夫かという言明がございましたが、こういう点については、どういうようにお考えになっておられるのかということが第一点と、それからもう一点は、話が違いますけれども、今問題になっております監督員制度ですね、これは最前、阿具根委員は社長の監督を係長がやるようなものだ、あるいは会計課長がやるようなものだというお話がございましたが、実際問題として、この法文を見ますと、高碕通商産業大臣がやっておる行為を、ここがいいとか悪いとか、こうしなさいということを、つまり一課長がやるように、ずっと下の人が、保安監督員をやっているわけです。これじゃ、法文上はうまくできているけれども、通産大臣、ここが悪いとか、ここを直しなさいと課長が言ったら、直ちに首を切ってしまいますね、あなたは。そういうことになっているから、使用者側の方に入れるとか入れぬとか論争になりましたけれども、実際これは、あなたが責任を持って、通産省の経費であるかどうかは別として、そういうところでやらなければ、これは完全な僕は保安監督員としての機能は発揮することができないというように考えておるわけです。これのじゃまをしているのは、小岩井保安局長だと、そううわさされておるのですが、そういう制度になりませんか。保安局長、これを持ってくると、予算を取れぬものだから、びっくりしてしまって、なるべく経営者にやってもらいたいということを一言明したやに承わったが、それは、うそだと思うがそういううわさが飛ぶほど、予算が少いから、監督員がでたらめである、こういうことなんですが、これはいかがでしょうかね。
○国務大臣(高碕達之助君) 政府が、これをやるほんとうの仕事というものは、やっぱり保安の問題だと思います。生産の問題は、みな下部で一生懸命やってくれますから、そういう意味から申しまして、保安の方に対する経費というものにつきましても、これは十分要求する必要がある、こういうふうに思っておりまして、微力、どの程度できるかわかりませんが、私の全精力を尽して、予算の獲得に努力したいと思っております。 それから第二の問題につきましては、そういう考え方があると思います。保安が大事であるということになりますれば、全然これを政府の機構において、全部行なってしまうということも、これは一つの考え方であると思います。そこに至りますまでは、今の現在の状態等も相当考えていかなければならない。今の、阿部委員のおっしゃった保安関係だけは、全部政府がやるということは、これは有力なお考えだと思います。
○阿部竹松君 その次に、今度の鉱山保安法改正に当って、保安協議会に諮らなかったということです。もちろん、第四十五条によって協議会というものができておって、四十六条には、こういう規則だということになっております。しかし私は、この保安協議会というものは必ずしも保安法改正をかけなさいということは規定しておりません。しかし四十名も四十五名も、大学校の先生から始まってその道の権威者を網羅しておるわけです。にもかかわらず、こういう大問題を一つもかけておらぬということについては、私は大問題だと思う。それで今度は、これは一ぺんもかけておりませんでした、こういう御答弁があったのですけれども、これは、私はけしからぬと思うのですね。こういうことはかけなさいということは、法的根拠はないけれども、これは協議会で、討論に一ぺんもかけてない。そしていよいよ答弁になると、保安委員会もございます、中央保安協議会もございます。地方にもございますというような答弁です。さて問題が起きて、これにかけましたかというとかけてない。全然利用していない。こんなのだったら、なくしてしまったらよろしい。 この運営について大臣の御見解を承わっておきたいと思います。
○国務大臣(高碕達之助君) 今回の改正につきましては、非常に急いだ結果、そういう手落ちがあったことは、まことに残念でございますが、いやしくも保安協議会というものが、学識経験者等を入れてある以上は、地方、中央を論ぜずに、こういう問題は、当然今後かけるべきだと存じております。
○阿部竹松君 その議長さんが高碕さん、あなたなのですよ、議長さんがね。 それと同時に、この保安法改正は急いだといっても、これはだいぶ前から、警職法と違いまして、だいぶ前から論議になっておるわけです。そういう御答弁では、僕は納得できませんけれども、しかし答弁の責任者である保安局長さんは、なぜこの種の機関にかけなかったかということをお尋ねしたいと思うのですがね。
○政府委員(小岩井康朔君) 今回、中央協議会に保安法の改正をお諮りしませんでした理由は、決して私ども、協議会を粗略にしておる意味でも、別に悪意があったわけでもございません。内容の主たるものが国会からの御要求によりまして、侵掘した場合に変災が起るので、それが監督官でも、とめられるようにというのを中心にいたしております。そのほかこれに関連した災害防止のほんの二、三点でありまして、特にお諮りをしなくともという気持が一つと、従来の省令でありますと、これは通産省として出します関係で、省令の改正につきましては、もちろん必ずお諮りしております。そういった関係で、ちょっと今まで法の改正につきましては、従来もやりましたが、かけたことはございませんでしたが、仰せのように、もちろん民主的な機関でありますし、これが大きく広範囲に改正されるような場合でございましたら、今後は、必ずお諮りするようにいたします。範囲にかかわらず、改正の場合には、今後ぜひとも中央協議会にお諮りするように考えたいと存じております。
○委員長(田畑金光君) それでは、本問題に関する質疑は、この程度にし、これより両案を一括して討論に入ります。 御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。 なお付帯決議の御意見のある方は、討論中にお述べを願います。
○椿繁夫君 鉱山保安法の一部を改正する法律案について、付帯決議を付して私は賛成いたしたいと思います。 この前数回のこの委員会で討議の中心になりましたのは、鉱山保安をいかにして確保するかということが中心であったように思います。本日大臣から、保安監督員の選任に当っては、管理責任者である鉱業権者が労働者の信頼するに足る有資格者を選任せしむるように行政指導を強力に行う旨の御答弁がございましたので、これを信頼して、以下申し述べますような付帯決議を付したいと思います。読み上げます。 鉱山保安法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は今回の鉱山保安法改正の趣旨を体し、保安監督員及び保安協議会の制度を十分に活用するとともに、保安に関し鉱山労働者の意思を適切に反映せしめ、人命尊重の観念の徹底化をはかり、特に最近の中小炭鉱における災害の頻発にかんがみ巡回監督を強化し、もって災害防止に万全を期すべきである。 さらに鉱業法の一部を改正する法律案についても、以下申し述べますような付帯決議を付して賛成いたしたいと思います。 政府は現行鉱業法を全面的に検討し、すみやかにこれが改正案を準備すべきであるが、その際最近の経済上、社会上の諸情勢の推移にかんがみ、鉱業権の内容並びにその設定方法、鉱区の調整、他権益との調整等の諸問題をも十分検討して本法が真に鉱物資源の合理的開発に資し得るように配慮すべきである。右提案をいたします。
○委員長(田畑金光君) 他に御発言もなければ、これにて討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(田畑金光君) 御異議ないと認め、これより採決いたします。 鉱山保安法の一部を改正する法律案及び鉱業法の一部を改正する法律案を一括して問題に供します。 両案を衆議院送付の原案通り可決することに、賛成の方は挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(田畑金光君) 全会一致であります。 よって両案は、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。 次に、椿委員提出の付帯決議案を問題に供します。 本決議案を委員会の決議とすることに、賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(田畑金光君) 全会一致と認めます。 よって本決議案を委員会の決議とすることに決定いたしました。 次に、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(田畑金光君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。 この際、高碕通商産業大臣より発言を求められておりますので、これを許可いたします。
○国務大臣(高碕達之助君) 今回、政府が提出いたしました鉱山保安法の一部を改正する法律案並びに鉱業法の一部を改正する法律案につきまして、連日、きわめて熱心に御審議を願いましたことを、ここに厚く御礼申し上げます。両法案とも、ただいま御報告の付帯決議をつけていただきましてこれにつきましては、政府は、付帯決議の趣旨を尊重して実行いたしたいと思います。特に、今回の鉱山保安法の一部改正の趣旨につきましては、保安の万全を期するために、保安監督員及び保安協議会の制度を活用するとともに、保安監督員の選任につきましても、鉱山勤務者の意思を適切に反映せしむるよう行政指導をいたしていきたいと存じます。 ありがとうございました。
○委員長(田畑金光君) 本日の委員会は、これにて散会いたします。 午後四時三分散会