商工委員会 第4号
- 発言数
- 62 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1958/10/23
会議録
○委員長(田畑金光君) これより商工委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 昨二十二日大谷贇雄君が辞任し、その補欠として林屋亀次郎君が選任されました。 —————————————
○委員長(田畑金光君) 本日はまず付託されておる法案について提案理由の説明を聴取し、その審議は後日に譲り、引き続き通商産業政策に関する件、及び経済計画に関する件について調査を進め質疑を行いたいと存じます。 それでは、これより工場排水等の規制に関する法律案について提案理由の説明を願います。
○政府委員(中川俊思君) ただいま議題となりました工場排水等の規制に関する法律案につきまして提案理由を御説明申し上げます。 近年における鉱工業の発展に伴い、工場事業場から排出される汚水に関し各種の問題が発生し、放置を許さない事態に立ち至っております。この問題は、わが国産業構造の高度化に伴う農水産業等の第一次産業と鉱工業等の第二次産業との間における不幸な避くべからざる摩擦現象でありますが、わが国経済の調和のとれた発展をはかるためには、一面において鉱工業の振興対策を強力に推進しなければなりませんとともに、他面その発達過程における他産業ないしは公衆衛生の分野に対するその悪影響をできるだけ軽減しつつその目的を遂行することが必要であることは言を待たないのであります。 政府といたしましても、水質汚濁防止に関しては、関係各省が相集まって数年来検討を続けて参ったのでありますが、本年九月ようやく意見の一致を見たのであります。 その案によれば、経済企画庁長官が、各方面の学識経験者及び関係行政機関の職員より成る水質審議会の議を経て、保護すべき水域を指定し、その水域に適用される水質基準を設定するとともに、他方、工場、事業場、鉱山、水道等に対しては、それぞれの主務大臣がこの水質基準を順守せしめるよう法的措置を講ずることとなったのであります。 この決定に従いまして、経済企画庁においては、その担当すべき部分を実施するため、公共用水域の水質の保全に関する法律案を立案し、今国会に提案いたすこととなったのであります。この法律による水質基準の適用を受けますものとしては、工場、事業場の外に鉱山、下水道、水洗炭業等々があるのでありますが、鉱山、下水道、水洗炭業等につきましてはすでにそれぞれの規制法律が制定せられておりますので、今回いまだ取締法規の定められていなかった工場、事業場について、その主務官庁たる大蔵・厚生・農林・通商産業・運輸の各省が共同してこの工場排水等の規制に関する法律案を立案し、前述の経済企画庁立案の法律案と相呼応して、主務大臣に課せられた責務を完遂するための体制確立に万全を期したい所存であります。 本法案の主要な内容は、次の通りであります。 第一に、この法律は、経済企画庁において定める水質基準の具体的適用範囲のうち製造業、ガス供給業及びこれらに類する事業に関する分野における事業活動に伴って発生して参ります汚水等の処理を適切にすることによりまして、公共用水域の水質の保全をはかることを目的としております。 第二に、この法律は、製造業等の用に供する生産施設のうち汚水等を発生するものを政令で特定施設として指定し、およそ特定施設を設置している者は、その特定施設から排出される汚水等の処理を適切にし、公共用水域の水質の保全に心がけるべき旨を明示しております。 第三に、工場排水等を指定水域に排出する者については、特定施設の設置、変更を行う場合、あるいは、特定施設の使用方法ないしは汚水等の処理方法の変更を行う場合において、事前に主務大臣にその計画を届け出ることとし、主務大臣はその計画が工場排水等を水質基準に適合させるものであるかどうかを検討し、もし問題があれば、汚水等の処理の方法の計画の変更を命じ、さらには特定施設自体に関する計画の変更、廃止等を命じ得ることとしたのであります。なお、新たに指定水域が定まった場合、或いは新たに特定施設が定まった場合等においては、既存の特定施設を設置している者については、経過措置としての届出をさせることとし、実態把握に遺憾のないようにいたしております。 第四に、現に指定水域に排出されている工場排水等が、その水域の水質基準に適合していないときは、主務大臣は、その工場排水等を排出する者に対し、汚水等の処理方法の改善、特定施設の一時停止、その他必要な措置をとるべきことを命令することができることとし、常に水質汚濁の事実が発生しないよう取り締る根拠としたのであります。 第五に、特定施設を設置する者に対しまして、以上のように公共用水域の水質を保全する義務を課しましたにつきましては、その義務の履行を容易にして、本法の実効を上げるため、汚水処理施設に対する固定資産税を免税するとともに、国として汚水処理施設の設置または改善につき必要な資金の確保、技術的な助言その他の援助に努めることとし、さらに主務大臣は、適切な汚水処理技術の研究及びその成果の普及に努めるものとしたのであります。 以上が、この法律案を提出する理由であります。 何とぞ、慎重御審議の上、御賛同あらんことを切望いたす次第であります。 —————————————
○委員長(田畑金光君) それでは次に、水質汚濁防止法案について、提案理由の説明を願います。
○衆議院議員(赤路友藏君) ただいま議題となりました水質汚濁防止法案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。 申し上げるまでもなく、水は国民の生活にとって最も重大な関係を持っており、水質の管理が正しく行われるか否かは、国民の生存と産業の発展にとって、絶大な関係を持っております。国民の福祉のためには、飲料水は清浄にして病源菌及び有毒物質を含まず、魚貝は良好な生活環境を与えられ、農作物は良質の灌漑水に恵まれるよう管理されねばなりません。工業の発展もまた、良質の工場用水を得るか否かによって左右されること論を待ちません。 しかるに、国民の繁栄と福祉にとって至大な関係を有する水質管理の重要性がほとんど無視され、公共用水域が汚濁するに任かされているのがわが国の現状であります。ことに、戦後の都市人口の飛躍的な増大、各種工鉱業の急激な復興発展に伴い、これら関係施設から排出される汚水、廃水等の量が著しく増大し、農水産業はもとより、公衆衛生に及ぼす被害が激増し、これら排水等の放出をめぐる紛争が年とともに激化していることは、最近発生いたしました本州製紙問題、富士フィルム工場の汚水放出による酒匂川の鮎全滅問題を初め幾多の事件が示す通りであります。 以上のように、水質汚濁に基く被害が続出し、それにかかる紛争が激化するにつれ、水質汚濁の防止並びにこれにかかる紛争の解決の急務が痛感されるに至ったのであります。 この法案は、このような事態にかんがみ、水質管理を実現し公共用水域における水質の汚濁を防止するとともに、工場、事業場から排出される廃液等にかかる紛争に関し、あっせん調停及び仲裁を行うことによって公衆衛生の向上と水資源及び水産資源の保護をはかり、あわせて工場、事業場から排出される廃液等にかかる利害関係者間の利害の調整に資することを目的として立案いたしたものであります。 内容を簡単に御説明申し上げますと、まず第一に、効果的に水質汚濁の規制を行うために次のような措置をとることといたしております。 (一) 公共用水域のうち、公衆衛生の向上と水資源及び水産資源保護の見地から水質の清浄を確保する必要がある水域を、その水域の汚濁に密接な関係を有する地域とともに、水質汚濁規制区域として指定することといたしております。 (二) 水質汚濁防止委員会は、前項の規制区域を指定いたしましたときは、関係行政機関の意見を聞いて、当該規制区域にかかる水質汚濁許容基準を定め、これを官報で公示せねばならないことといたしました。同時に、規制区域にかかる水質汚濁許容基準を定めたときは、水質汚濁防止委員会は、当該許容基準に基いて当該区域内の工場、事業場で水質汚濁防止委員会規則で定めるものから、規制区域内の公共用水域に排出される廃液等の汚濁度の許容基準及びその適用期日を定め、当該工場、事業場の事業主に指示するとともに、これを公表しなければならないことといたしております。 (三) 前項の指示に不服がある場合は、その指示を受けた日から三十日以内に、委員会規則の定める手続に従い、異議の申し立てをすることができることとし、申し立てがあった場合は、水質汚濁防止委員会は、申し立てのあった日から三十日以内にこれについて決定し、これを申立人に通知せねばならぬことを規定いたしております。 (四) この法律の規定により廃液等許容基準が定められた工場、事業場主は、廃液等許容基準の適用期日以後は、当該廃液等許容基準を越えて廃液等を規制区域内の公共用水域に排出してはならないことといたしました。そして事業主がこの項の規定に違反したときは、当該事業主に対し、期間を定めて除害施設の設置または改善その他の措置をとるべき旨を命ずることができることを規定いたしました。 (五) 水質汚濁防止委員会は、前項の命令をする場合、廃液等による被害が特に著しいと認めるときは、当該事業主に対し、同項の命令にかかる措置がとられるまでの間、事業の全部または一部の停止を命ずることができるようにいたしております。 (六) 規制区域内において、委員会規則で指定する事業を新規に開始しようとするものは、あらかじめ、その廃液等の処理方式につき水質汚濁防止委員会の許可を受けなければならないことといたしました。従って、これらの事業主は、その許可をうけた後でなければその事業を開始してはならないわけであります。 (七) 清掃法、下水道法その他、この法律に含めることのできなかった法律並びにこれらの法律を実施するための命令の実施を所掌する行政庁は、法令の規定により、規制区域にかかる廃液等の排出を許可し、命令し、または、制限しようとする場合は、当該規制区域につき定められた水質汚濁許容基準によらねばならないことといたしました。この規定にもかかわらず、なお、規制区域内において、水質汚濁許容基準に適合する水質を確保するため必要があると認めるときは、水質汚濁防止委員会は、行政庁に対し、必要な措置をとるべき旨を請求することができることもあわせて規定いたしました。 第二に、パルプ工業、製紙工業、繊維工業、澱粉工業、醸造業その他、その事業の性質上有害な廃液、汚水又は固形物を排出する事業で、別に法律で定めるものの工場、事業場の事業主は、その業務上排出する廃液、汚水又は固形物によって他人に損害を与えたときは、その損害を賠償する責に任ずることとし、いわゆる無過失賠償について規定いたしました。 第三に、紡争の処理についてでありますが、次のように規定いたしました。 (一) まず、あっせん調停についてでありますが、工場、事業場から排出される廃液等による被害に関して紛争が生じたときは、関係当事者は、委員会規則で定める手続に従い水質汚濁防止委員会に対し、紛争の解決につき、あっせんまたは調停を申請することができることとするとともに、右申請があったときは、委員会は当該紛争の解決につき、あっせんまたは調停をしなければならないことといたしました。あっせんまたは調停は、当事者の一方の申請によっても行い得るようにいたしたわけであります。 なお、あっせんまたは調停は、委員会規則の定めるところにより、その指定する水質汚濁防止委員会の委員もしくは特別委員または水質汚濁防止委員会の事務局の職員がこれを行うこととなっております。 (二) 仲裁の申請は、双方の合意によらねばならないこととなっております。これは、水質汚濁防止委員会の行う仲裁については、この法律に別段の定がある場合を除いて、仲裁委員を仲裁人とみなして民事訴訟法第八編の規定を適用することとし、その効力を一段と強めることといたしたことによるものであります。 なお、水質汚濁防止委員会による仲裁は、三人の仲裁委員がこれを行うこととし、そのうち少くとも一人は、弁護士法第二章の規定により弁護士となる資格を有する者でなければならないと規定されております。仲裁委員は、水質汚濁防止委員会の委員または特別委員のうちから選ばれることになります。 第四に、以上の主務官庁として、国家行政組織法第三条第二項の規定に基いて、総理府の外局として水質汚濁防止委員会を設置することにいたしました。そしてこの委員会が強力な水質管理機能を発揮することができるよう、現在関係各省に分有されております水質管理、汚水防止に関する権限をできる限りこの委員会に統合することといたしました。なお、この委員会には強力な事務局を置き、全国八ブロックに地方事務所を、置くことになっております。 第五に、水質汚濁防止の完璧を期するため、除害施設に対する助成を行うことといたしました。すなわち、国は、規制区域内の工場、事業場の事業主に対し、当該工場、事業場の除害施設の設置または改善に要する経費の一部を補助し、または当該設置または改善に要する資金の融通についてあっせんをすることができるよう規定するとともに、他方で地方税法及び租税特別措置法の一部を改正して、除害施設に対する固定資産税の免除及び除害施設に対する特別償却の措置を規定いたしました。 第六に、この法律の厳格な実施を保証するために、罰則を規定し、正直者がばかをみることのないよう配慮いたしました。 以上が、本案を提出するに至りました理由及び法案内容の説明であります。 何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さるようお願いいたします。 —————————————
○委員長(田畑金光君) それでは次に、中小企業の産業分野の確保に関する法律案、官公需の中小企業に対する発注の確保に関する法律案及び百貨店法の一部を改正する法律案について、それぞれ提案理由の御説明を願います。
○衆議院議員(田中武夫君) ただいま議題となりました中小企業の産業分野の確保に関する法律案、官公需の中小企業に対する発注の確保に関する法律案及び百貨店法の一部を改正する法律案の三法案について、提案理由を、提案者を代表して御説明申し上げます。 本国会にわが社会党が提案しております幾多の立法の一環として、特に中小企業の適正な経営を確保し大企業による不当な進出を抑制するために、本法律案を提案するものであります。日本における今日の独占資本の形成が、中小企業、農業を犠牲とし、労働者の低賃金を基盤として行われてきたことは、今さら言うを待たないのであります。中小企業が過当競争に悩み、失業のたまり場となって、重大な社会問題化しているのも、わが国経済の顕著なる特徴であります。当面する中小企業の過当競争は、さらに大企業による中小企業分野への進出によって拍車をかけられております。大紡績による既製服、ワイシャツ等の大量生産、鉄鋼大メーカーによる二次製品の加工等々、その進出はあらゆる部門に著しくなって参っております。この過程において中小企業は、いつまでたってもその後進性を回復することができず、中小企業問題は日本産業の構造的欠陥として、ますます大きく社会問題化せざるを得ないでありましょう。わが社会党は、こうした矛盾を克服し、中小企業を近代化して、日本の産業構造の中で適正な地位を与えるため、総合的な経済政策を用意しているのでありますが、その安定した地位を確保するに至るまで、当面の中小企業の困難を打開するため、大企業による中小企業分野への進出を防止しようとするものであります。 そこで、本法律案の内容を御説明申し上げます。本法律案は、以上のような理由から、国民経済上、中小企業の産業分野として適切なものを指定し、その安定をはかるため、その分野への大企業の進出に必要な規制を行なって、経済秩序の確立をはかることにその目的を置いているのであります。そして、まず第一に、製造業、建設業、サービス業に属する業種のうち、中小企業者が五分の四以上を占め、また過去一年間の生産実績の三分の二以上が中小企業によって占められるものについて、その経営が中小企業形態による方が経済的にも社会的にも適切であると考えられる業種を、主務大臣が指定することといたしたのであります。そして第二に、その指定業種に属する事業については、大企業が新規に開業したり、設備の拡張を行うことを禁止しているのであります。さらにまた、現に当該指定業種における大企業の活動によって、中小企業が著しい悪影響を受けている場合にも、それを緩和するため、大企業に規制命令を出し得ることにしているのであります。 第三に、以上の諸制限を回避し、大企業が系列支配等、資本的、人的な支配関係にあるものに、同様の事業活動を行わせる場合も十分に予測され得るので、かかる脱法行為をも、あらかじめ禁止したのであります。かかる脱法行為があった場合、その排除措置をとり得ることは言うまでもありません。 第四には、かかる法の運営の実をあげるには、慎重を要し、かつ中小企業者の意見が十二分に反映されねばなりません。そのため、従来の審議会の構成を改め、各産業分野の代表を法文の上に明記することといたしたのであります。 次に、官公需の中小企業に対する発注の確保に関する法律案について申し上げます。 戦後の経済復興過程を通じて、保守党政府の一貫した独占資本擁護の経済政策によって、経済の集中は促進され、独占資本は再建されましたが、それは一方において、中小企業を犠牲として、初めて可能であったのであります。中小企業は、残されたわずかばかりの市場をめぐって、相互間の過当競争は激化するばかりでありまして、さらに最近は、経済の不況に加えて、大企業による中小企業分野への進出は製造、販売その他あらゆる部門において顕著となり、中小企業者の存立に重大な脅威を与えているのであります。 今日、中小企業問題は、単なる経済問題としてばかりでなく、重大な社会問題化しているのであります。こうした中小企業問題の解決は、根本的には国の財政、金融その他万般におよぶ総合的な施策を待って初めて可能であることは言うまでもありません。その一つの施策として、中小企業の事業活動の分野を可能な限り確保していく措置がとられる必要があると信ずるものであります。中小企業の産業分野を確保するための措置については、別にわが党が今国会に提案しているところでありますが、かかる主要問題に対しては、まず国及び公共企業体等が率先してその範をたれるべきだと考えるものであります。中小企業問題が日本ほど深刻でないアメリカにおいてすら、国防省の総予算のうち一割以上を中小企業に発注しなければならないという規定が実施されております。このことは、わが国における官公需の発注が大企業に偏し、中小企業はほとんど顧みられていないのと比べて、特に重視されねばなりません。昭和三十二年度における国および公共企業体並びに地方公共団体等の物件費の総額は、優に九千億をこえる膨大な額に達しております。かりにこのうち一割を中小企業に確保するとしましても、毎年一千億にのぼる需要が保証されることになるのであります。そこで、まずこの膨大な国及び公共企業体等のなす物資の調達、工事の請負その他の契約について、中小企業に一定の割合を確保せんとするのが、本法律案の目的なのであります。 この法律案の内容の大要は次の通りであります。まず第一に、学識経験者を中心として構成された中小企業官公需確保審議会において、国及び公共企業体が中小企業者となすべき官公需契約の割合を調査審議せしめ、その答申に基いて、内閣総理大臣がその割合を公表することといたしたのであります。第二に、各関係機関にその公表された割合に達するよう努力する義務を負わしめ、その割合を達成せしめるために必要ある場合は、契約の特例を設けて、中小企業者だけに競争入札を行い得ることとしているのであります。第三に、毎会計年度において中小企業者となした官公需契約の実績について、主務大臣または内閣総理大臣に対して報告をなさしめ、加えて定められた官公需契約の割合を達成するため、主務大臣または内閣総理大臣に必要な勧告を行わしめることといたしているのであります。 次に、百貨店法の一部を改正する法律案について申し上げす。 去る二十四国会におきまして、特に百貨店業の事業活動を調整して、中小商業の事業活動の機会を確保するとの目的をもって、一応政府提案による百貨店法の制定をみたのでありますが、施行後の経過を振り返って見まするに、当初の法律の目的は完全に踏みにじられ、逆に既存の百貨店を保護するように運用されて参ったのであります。すなわち、法律の施行後、本年九月現在まで新設、拡張の行われたものは百四十八件、その売場面積は約四十万平方メートルに達しております。これは、小売商店の平均売場面積が約三十平方メートルとして、実は小売商店約一万三千軒に相当し、これを少数の大資本が支配しているのであります。こうした法の目的を逸脱した運用を危惧して、当時、特に衆参両院において付帯決議を行い、公共団体の土地または施設の利用、並びにターミナル施設の設置を禁止し、また中小商業者の利益を阻害するような不公正な事業活動を厳に戒めたのであります。しかし、これらの付帯決議は、保守党政府によってほごのごとく捨て去られ、百貨店の激増を許可したのであります。政府は、むしろ積極的に既存百貨店の保護育成に努力を払い、公正なるべき百貨店審議会また百貨店業者の利益を代弁する機関に堕してしまったのであります。さらに最近、百貨店業者は中小商業者の反対を回避するため、別会社組織による、いわゆるスーパー・マーケットの設立に力を注ぎ、実質的に、百貨店法の脱法行為を公然と行なっているのであります。政府並びに百貨店審議会は、スーパー・マーケットによって死活を問われる中小商業者の猛烈な反対の声に対し、全く耳をかすことなく、これを黙認し続けているのであります。また、百貨店による割賦販売は、日本信販等の組織と結びついて急速に伸び、資本力のない中小商業者を著しく圧迫しつつあります。こうした百貨店業者の不当な事業活動に対し、政府は、法律の目的に沿って中小商業者の利益を擁護するため、効果的な措置をとるべき義務を課せられているにもかかわらず、故意に、法の公正な運用をサボタージュしているのは、きわめて遺憾なことであります。 そこでわが党は、ここに百貨店法の一部を改正する法律案を提出することによって、法の本来の目的を達成せしめんとするものであります。すなわち、百貨店業者による不公正な取引並びに営業行為、百貨店法の目的に逸脱する行為等を法律に明確に規定することによって、百貨店業者の行き過ぎた事業活動を規制し、不当な店舗の拡張を制限し、もって中小商業者の公正な利益を確保せんとするものであります。 その内容のおもなるものは次の通りであります。まず第一に、店舗の床面積について、従来の物品販売業を営むもののほかに、飲食店営業または喫茶店営業を営むものも加算することとし、百貨店の不当な売場面積拡張の手段を封ずることにいたしたのであります。第二に、割賦販売、積立金組織による予約販売その他特定の営業方法に関し、その内容と方法において、中小商業の利益を著しく害するおそれがある場合は、通産大臣の許可を行なってはならないこととしているのであります。第三に、百貨店がその優位な立場を利用して、仕入先たる中小企業者に対し、返品、値引きその他不公正な仕入れ行為を行うことを禁止しているのであります。第四に、百貨店審議会の公正な運営を期すため、学識経験者のほかに中小企業者を代表する委員の任命を明記し、中小企業者の利益を公正に反映させる道を開いているのであります。第五に、国及び地方公共団体など政府関係機関の所有する土地または施設を百貨店業の店舗の用に使用させることを禁止しているのであります。第六に、百貨店業者の別会社組織による百貨店類似行為についても、本法による規制の対象といたしたのであります。そして最後に、百貨店業者の不公正な販売行為、仕入れ行為を効果的に規制するため、特に公正取引委員会にその判断をゆだねることといたしているのであります。 以上がこの法律案の提案理由並びに内容の概要であります。何とぞ慎重御審議の上、早急実現のため御賛成あらんことをお願い申し上げる次第であります。
○委員長(田畑金光君) 速記をとめて。 午後二時十五分速記中止 —————・————— 午後二時三十六分速記開始
○委員長(田畑金光君) 速記を始めて。 それでは三木経済企画庁長官が出席されましたので、公共用水域の水質の保全に関する法律案に関し提案理由の説明をお願いいたします。
○国務大臣(三木武夫君) ただいま議題となりました公共用水域の水質の保全に関する法律案の提案理由並びにその要旨について御説明申し上げます。 近時都市人口の増大、鉱工業の急激な発展にもかかわらず、都市下水道の整備が著しく立ちおくれ、工場事業場等においても汚水処理施設の整備に欠くるところがありましたため河川、湖沼、港湾、沿岸海域その他の公共の用に供される水域が年々汚濁され各種の問題が随所に発生するに至りました。 すなわち、汚濁水の放流に起因して水産業等の関係産業に相当の損害が生ずる等の事例が年々増加する傾向を示しおりまして、この傾向をこのまま放置するときは、産業相互の協和を害し均衡のとれた経済発展を阻害するだけでなく、これに起因して紛争等を惹起し、又公衆衛生の向上をも期しがたいと考えられますので、政府といたしましてはかかる事態に対処する措置として新たに本法を制定し、水質保全のために必要な基本的事項を定め、もって産業の相互協和と公衆衛生に寄与させようとした次第であります。 以上が、この法律案の提案の理由であります。 御承知のように欧米の工業先進国においてはすでに十九世紀以来水質汚濁の規制についてその対策が論議されており、わが国においてもさきに資源調査会から水質汚濁防止に関する勧告がなされ、その後引き続き、政府部内において複雑多岐にわたるこの問題について種々調査研究してきたのでありますが、このたび、成案を得まして提出の運びとなった次第であります。 次に、本法律案の要旨につきまして御説明申し上げます。 第一に、水質基準についてでありますが、本法は各省所管の汚濁水規制に関する各種行政法規に対しいわゆる基本法的な地位に置かれるものでありまして、本法によってこれらの行政法規の運用統一をはかり、直接の取締り等は各行政機関にゆだねることになるのでありますが、この運用統一の基本となるべきものが水質基準でございます。まず経済企画庁長官が公共用水域のうち汚濁による相当の被害が生じまたは生ずるおそれが高い一定の水域を指定水域として指定し、当該水域について水質保全上必要であるとともに具体的に順守可能な水質基準を定め、工場排水等の規制に関する法律(今国会提出)鉱山保安法、下水道法等の主務大臣がこの基準によって現実の取締りを行い、これによって本法の目的とする水質の保全を実現しようと期している次第であります。なおこの基準は公共用水域の水質の保全をはかるための行政上の基準でありますので、当事者の民事上の免責規定ではないのであります。 第二に、水質審議会についてでありますが、経済企画庁の附属機関としてこの審議会を設け指定水域の指定、水質基準の設定等の重要事項についてはこの審議会で慎重審議の上決定することといたしております。なお、水質保全に関しましては、地下水の汚濁等今後の研究に待つべき課題も多々あると考えられますので、公共用水域及び地下水の水質の保全に関する基本的事項を水質審議会の所掌事務に掲げ今後の施策の検討の場といたした次第であります。 第三に、水質汚濁による被害に関する紛争についてでありますが、この種の紛争は近来各地にしばしば見受けられるところでありますが、解決に迅速を要し、また判定に専門的知識を要する等、本来裁判制度になじまない性格を有するため、ややもすれば両当事者の力関係に支配され、必ずしも合理的な方法で解決を見ているとは言いがたいものがあります。これを放置するときは、産業相互間の協和を害するのみならず社会問題化するおそれなしとしないので、水質保全行政の一環として本法に、都道府県知事による和解の仲介制度を設け、紛争処理を合理的な軌道に乗せようとはかったのであります。 最後に本法の施行に伴い経済企画庁において関係行政機関の水質保全行政を調整する等の必要を生じますので、付則において同庁設置法の一部を改正し、関係条文の整理を行なった次第であります。 以上公共用水域の水質の保全に関する法律案の提案理由並びにその要旨をま御説明申し上げたのでありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。 なお、本法と併行して工場及び事業場に対し、直接の規制を行う工場排水等の規制に関する法律案が同時に上程されたことを一言申し添えます。 —————————————
○委員長(田畑金光君) それでは次に、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由の説明を願います。松野総理府総務長官。
○政府委員(松野頼三君) ただいま上程されました私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案理由を説明いたします。 御承知の通り、独占禁止法は、経済民主化法制の主要を一環として、自由かつ公正な競争を促進することによって国民経済の健全な発達をはかる目的をもって昭和二十二年七月に施行されました。 その後、内外情勢の推移に即応して同法は数回にわたって改正され、中でも昭和二十八年の改正におきましては、いわゆる占領法規を再検討するという意味合いで行なったものであります。その後五年の歳月を経過した今日、わが国経済の実情を見ますと、企業数が多すぎるためとかく過当競争の弊に陥りやすく、また、経済基盤が弱いため国際的な景気変動に影響されるところが大きい等の特殊事情があり、さらに最近における技術革新の趨勢に対処して企業の合理化を推進し、国際競争力の培養をはかる必要のあることが指摘されます。 しかしながら、これらの問題を解決していきますためには、どうしても独占禁止政策との調整を必要とする面も多いと思われますので、政府は、この際、わが国における独占禁止政策に所要の検討を加える必要を痛感した次第であります。 そこで、昨年十月、内閣に独占禁止法審議会を設け、わが国経済の実情にてらし独占禁止に関する法制は如何にあるべきかとの諮問を行いましたところ、本年二月同審議会からその答申を受けるに至りました。 政府は、わが国経済の実情なかんずく不況対策、合理化対策の緊要性にかんがみ、右の答申の趣旨を尊重し、その線に沿って本改正案を作成することといたしました。すなわち、本法の建前とする自由競争原理はこれを維持しつつ、当面わが国経済の運営に特に障害となっていると思われる諸点に関し、さしあたり所要の改正を加えることといたしました。 次に、本改正案の内容につきましては、まず不況対策としての実効を期するため現行不況カルテルの規定をいささか緩和し、合理化対策の必要性にかんがみ現在の合理化カルテルの範囲を拡大し、生産過程の合理化をはかる合併の例外を容認し、不公正な取引方法の防止または健全で合理的な取引慣行の確立をはかるため公正取引規約に関する制度を新設し、その反面不公正な取引方法に関する規定の整備強化をはかることといたしました。このように本法を改正することによって一般消費者、中小企業者、農林漁業者等の利益が不当に侵害される弊害はないかどうかという点につきましては、本改正案は制度上も運用上も十分の配慮を加えており、たとえばカルテルの容認は原則として認可制によることとし、しかもその認可の要件として一般消費者、関連中小企業者、関連農林漁業者その他の関連事業者の利益を不当に害するおそれがないことを規定しており、また、その認可の独立機関、中立機関としての公正取引委員会が主務大臣と協議しながら厳正に実施することといたしました。さらに、一度認可したカルテルであっても、経済情勢の変化によって弊害を生じたときは迅速にこれを取り消す制度もあわせ考慮することによってカルテルの弊害規制について万全を期しております。他面、不公正な取引方法の指定制度の厳正な運用によって経済的に優越した地位にある者の支配力乱用行為を取締る等十分弱小企業者の保護をはかることができる建前になっておりますので、本改正によって一般消費者、関連中小企業者、関連農林漁業者等に悪影響を与える心配はないものと考えております。 申し上げるまでもなく独占禁止法は、わが国経済秩序に関する基本法としての性格を持つものでありますので、何とぞ慎重な御審議をお願いいたします。
○委員長(田畑金光君) 以上で法案についての提案理由の説明は終りましたが、これらの法案の審議は後日に譲ることといたします。 —————————————
○委員長(田畑金光君) これより通商産業政策に関する件について調査を進めます、御質疑のある方は、順次、御発言を願います。
○大竹平八郎君 私は貿易振興と表裏をなす海運関係につきまして、特に三木長官にお尋ねをいたしたいと思っております。 本来ならば、本質的にこれは運輸委員会等において取り上ぐべきであると思うのでございますが、御承知の三十一億五千万ドルの輸出を至上命令といたしまして、政府が全馬力をかけてやっておりますこの貿易の大きな裏づけをなしますものは、言うまでもなく、この海運の問題でございますので、その意味におきまして特にお尋ねをいたしたいのであります。特に三木長官は運輸大臣としての御経験もございますので、この際、明確にお考えをお聞きをするわけなのでありますが、特に私が本委員会においてそのことを持ち出しましたことは、日本海運の現状は、本年のたしか七月でございましたか、運輸省におきまして海運白書なるものを発表したことは御承知の通りでございます。これによりますと、世界の海運が経済活動の非常な停滞状態にかかわりませず、逆にこれは世界的の傾向と言いましょうか、新造船がふえて参っておる。その結果、海運市況は戦後おそらく最低と申してもいいほどの繋船の激増であるとかあるいは新造船解約の続出というような不況に直面しておることをまず白書はうたっておるのであります。ことに日本海運も当然この世界不況に巻き込まれまして、海運企業のいわゆる無配転落というものが続出をいたしておるわけでございます。しかも先行きが小康があるかというと、今の情勢から申しまして、その先行きは一段と不況を深刻化するという予想はございますが、小康ということが認められていないというのは、これは一般業界の一致した意見なのであります。 こういうときに対策としては、業者に対しましていわゆる自主的な企業基盤の強化であるとか、あるいはそれへの措置の問題であるとか、さらには今問題になっております、しばらく停滞しておりました利子の補給の復活の問題、こういうようなものがいろいろ取り上げられていくわけでありますが。この海運白書等を見まするというと、やはり根本は国家の助成が国際収支の改善、それから優秀外航船の拡充という、こういう意味から絶対に必要である、こういうようなことを言われておるのであります。ことに聞くところによりますというと、運輸省が相当な予算、すなわち三十四年度予算に二十三億六千万円、これを利子復活といたして大蔵省に要求をするということも巷間伝えられておるのでございます。 それからこれは単に私どもの考えといたしまして、海運界が自主的にこれを規制をしていくということが根本であることは言うまでもないのでありますが、そういう意味におきまして、戦後の海運の状況というものを見ると、必ずしもそういった自主的な規制という問題よりも、どちらかと言えば非常に政府依存というような傾向が多いように私どもは考えておるのであります。そういう際に、三木経済企画庁長官が先般談話として発表しておりますることは、この合理化審議会が打ち出した合理化案は、海運業者の過当競争停止と経費節減の二点に尽きておる、これは手ぬるい、これくらいで利子補給とかその他の助成策はできない、もっと徹底的に合理化する必要がある。たとえば企業の整理統合というようなことを長官自身が言われておるわけなのでございまして、また長官のいわゆる合理化案というものが業界に非常なセンセーションを起しておる、これも事実なのでありますが、こういう意味におきましてこの際、貿易の振興と表裏をなします海運の不況の現況におきまして、長官の特に一つ御発言を願いまして、そのお考えを率直に一つ御披瀝を願いたいと思うのであります。
○国務大臣(三木武夫君) 日本の海運界が戦争によって根こそぎやられた。そのためそれに対しての国家補償というものをしていないわけです。そういう点でほとんど自己資本というのでなくして、財政あるいは金融によってやっておるところに資本構成というものが非常に弱体なものがあるわけであります。その上へ持ってきて、世界全体の海運の不況というものも非常な大きな波を打つわけであります。日本の海運界というものは非常な不振の状態にある。そこで将来の海運政策ということについては運輸省においてもこれは検討しておるのであります。来年度の十五次計画造船なども、これはやはりそういう将来の海運政策をどうすべきかという見地に立ってやるべきである。同じような惰性でやっておるようなことをずっと続けておる時期では私はないと思う。それは運輸省を中心に検討を加えておることだと思うのでありますが、しかしそれを簡単に国の利子補給とか国家依存とかいうものではなくして、やはり海運界自体が思い切って合理化をやる。合理化というものは今お話のあったように、あるいは整理統合ということもありますが、これはなかなか容易なことでない。しかしその前提として航路協定あるいは共同集貨、これはある程度成功もしておる例もあるわけであります。こういう点で過当競争から来る運賃の非常な引き下げというようなことで、お互いに苦しい海運界が企業採算上不利益をこうむるようなことのないように、やはりできる限り日本の海運業者の間に自主的にこういうものができる。将来はやはり一つの統合ということも、これは考えるべき課題だと思っておりますが、一気に市況がこういうふうにいくわけのものでもありません。やはり前提としてはその合理化の努力を尽して、やはり国としてある程度海運界というものは、海運業に対しては助成をすべきだと私は思う、これは自力といっても限度がありますから。しかしその前提になるものは、やはり世間が見ても、これはやはり思い切って合理化をやったり、あるいは管理費、人件費その他についても、この不況産業のあり方として私は必ずしも満足すべき状態ではないと思う、日本の海運界の姿というものは。それを思い切ってやって、その上に過当競争の弊害を是正するようなことをやって、その上ならば国の助成というものもこれは考えるべきであると思うのでありますが、ただそういう努力が足らなくして国の助成々々と言うことは、国民も納得するものではない。そういう発言をいたしたので、非常に将来の海運政策ということについては運輸省を中心として検討すべき時期が来た。今までのような考え方をずっと続けていくのには、やはり根本的に一体日本の海運政策をどうするかということを考えなければならぬ段階に来ておる。その点は運輸省もこれは検討を加えておるに違いないし、また検討を加えなければならぬ段階であると、こう考えております。 —————————————
○委員長(田畑金光君) この際、委員の異動について御報告いたします。 本日林屋亀次郎君が辞任しその補欠として黒川武雄君が、小沢久太郎君が辞任しその補欠として伊能繁次郎君、吉田萬次君が辞任しその補欠として伊能芳雄君、西田隆男君が辞任しその補欠として山本利壽君がそれぞれ選任されました。 —————————————
○大竹平八郎君 いま一点お尋ねいたしますが、今長官のお話のことは私はよくわかるわけであります。ことに整理統合ということを簡単にやろうと思っても、現行法においてはなかなか簡単にやれるものではない。むしろこれは役所の行政指導ということが中心にならなくてはならぬということは、幸いというか不幸というかしれませんが、現在大体千数百億円の政府資金というものが御承知の通り貸し付けられてあるわけなんでありますので、こういうことを中心に考えますと、行政指導というものが比較的やりやすいのじゃないのか。ただ問題は企業統合と申しますと、今長官の言われた通り、たとえば郵船とか商船とか三井とかいうような、一つの系列下にあります統合ならば割合にやりやすいのじゃないかと思うのでありますが、ただ統合整理とかいってAをBに合せるといっても、これは実際問題としてはなかなかむずかしいのじゃないかと思うのであります。それからいま一つは市中の金融機関が、御承知の通り、戦前のように単一的に船舶界に大きな一つの発言力を持っておる時代ならば、比較的そういった市中金融関係方面からでも自主的に行きやすい面が出てくるのじゃないかと思うのでありますが、それが現在においては非常にむずかしくなっておる。こういうような立場から考えまして、むろん業者のあくまでも自主的な企業熱ということを中心に考えなければなりませんが、かなり行政的な指導ということに重点をもっていかなければ、現在の状況というものは御承知の通り、非常に先ほど申し上げました通り、三十二年一つを見ましても、三十一年に比較いたしまして不況であるにもかかわらず、八十万総トンくらいの増加もしておるというような状態で、今お話の全く過当競争、しかも外国船に非常に圧迫されておる。こういうような状況にございまして、日本の輸出の大宗であります繊維の不況とともに、海運界の不況というものが非常な経済界の二つの大きな問題になっている。従ってこれが貿易の面にも非常に支障を来たす、こういうような状態になっておるのでありますが、特に行政的な指導、今もちょっとお触れになったようでございますが、その点に対していま一度大臣のお答えを願いたい。
○国務大臣(三木武夫君) それは企業合同というようなことはお話の通り、これはなかなか強制するようなことでもないし、やはり簡単なものでもないと思いますが、過当競争の弊害を是正するために、あるいは航路調整でありますとかあるいは共同集荷とか、こういうことは大いに行政指導をやるべきである。そういう実現可能な面において、海運界のいわゆる経営の合理化ということに対しては政府は行政指導をすべきだ。今大竹さんの意見と私も同意見であります。それと海運政策というものは、この段階で政府としてもどうしていくのか、ということは至急に立案をすべき重要な課題の一つである、こう考えております。
○小幡治和君 繊維の不況対策については、昨年から当委員会においても何度も御質問申し上げておったわけですが、その中で特に絹人絹織物の危機の問題については、昨年以来今日まで政府がいろいろ善処されるということでいろいろ御答弁も願いましたけれども、今日までその不況が少しも処理されておらない。今日御承知でもありましょうが、この二十九日に全国の絹人絹織物業者が東京に集まって、不況対策の大会を開くというふうなことまで相なってきているわけでありますけれども、過般来の委員会における大臣のいろいろな御答弁を通じて、その後どうなっているかということを逐次御質問申し上げたいと存じます。 まず第一は過剰織機の処理の問題でありますが、これは内閣におかれましても、三十三年度一万五千台、三十四年度一万五千台合せて三万台を二カ年間に処理する、という方針のもとにそれぞれ予算措置を講じこれたわけであります。すなわち買上価格として政府の補助が二万円、あと残存業者負担金一万円、それにくず鉄代五千円を入れて、三万五千円ということでおきめになったようでありますが、これに対して業界の方としては非常に安過ぎる——それはなぜかといいますと、結局最近の買上織機というものは、従来と違いまして使用年数の少い、かつ割合性能の高いものが今日残っているのだ。またそういう織機というものがこの不況のためにほとんど金融機関の担保になっているので、とても三万五千円で買い上げられましてもその担保を処理することができない。さらに借金を背負っているのでどうにも整理のしようがないというふうな状況でありまして、どうしてももう少し政府の補助金というものを上げてもらいたいということを希望している次第であります。政府は、それは困るということでありましたが、過般の本委員会において通産大臣は、もし予定通りの台数が希望者がない場合は予算が結局余ってしまうわけですから、その予算の使い方の面において、そうなれば予算の範囲内で台数を減らして買上価格を上げてもいいという御答弁があったわけであります。それに対してさらに過般、衆議院の商工委員会においてはその御答弁を否定されたようであります。その点について御質問いたしたいのですけれども、現在一体どれくらい希望者があるのか、それが一つと、それから今年の見通しは一万五千台はとてもないと思うのですが、どれくらいの一体見通しなのかということが第二、それからもし予定の通り一万五千台というものの希望がなかった場合に予算が余ると思うのですが、その場合は実際予算を余すのか、それからそういうような状況になったときに、大臣のいわれた最後において考えてもいいという気持を再び持っていただきたいと思うのですが、その御意思があるかどうか、またその総会結果に基いて来年はもう一ぺん考えてもいい、来年ならば考えてもいいというお気持があるかどうか、まずそれだけのことを一応お尋ね申し上げたいと思います。
○政府委員(中川俊思君) 織機の買い上げの問題につきましては、先般当委員会において大臣からただいま御指摘のようなことがあったということを私ちょっと聞いたのでありますが、その後衆議院の商工委員会におきまして、参議院でこういうことを言ったそうだがどうか、こういう御質問がございまして、大臣としましては、そういうふうになれば、余裕金がうんと出ればそういうことも考えられるけれども、しかし目下のところはそういう考えはないのであって、参議院の方ではただばく然と自分の所見を述べただけであるので、決してそう決定的のものではないのだという意味のお取り消しのような御発言があったようでございます。私はその節に出ておったわけではございませんが、伺いますと、そういうような御説明があったようでございますので、いずれまた当委員会におきましても大臣から前の御答弁に対する取り消しと申しますか、補足的説明があるだろうと思います。この点は一つ御了承を願いまして、目下のところは政府といたしましては二万円以上買い上げるという意思は持っていないわけであります。なお需要の問題につきましては具体的の点については繊維局長より御答弁いたします。
○説明員(今井善衛君) お話のように政府といたしましては三十三年度におきまして絹、人絹織機一万五千台を三億円の予算をもって買い上げるということに決定いたしておるのでございますが、その後ただいまお話のように業界における不満足と申しますか、業界においてどうも安過ぎるというふうなことで進捗しておりません。私どもといたしましては業界とせっかく相談しておるのでございますが、業界の首悩部は別といたしまして、個々の組合におきましてまだ必ずしも徹底してないという関係がございます。私どもといたしましてできるだけ既定の方針に基きまして早く処理するということが肝要だと思うのでございますが、御質問の、現在希望者はどれぐらいあるのかという点につきましてお答えいたしますと、先般連合会の方から全国の地区の組合に対しまして現在政府できめておる買い上げ単価、つまりこの補助金とそれから業者の負担金と、それからスクラップ代合計いたしまして三万五千円の単価をもちましてどの程度の希望者があるのかというのに対しまして、各組合の寄せました回答を集計いたしますと七千六百台ということになっております。従いまして一万五千台に対しまして約半分強ということになっております。 次に見通しはどうかというお話がございましたが、ただいま申しました七千六百台というのは、これはこれ以上には減りようがない、つまり最低の台数であると考えられるわけでございます。政府の態度は別に変更はございませんが、場合によりましてもっと高くなるのじゃないかという淡い期待を持っておる業者もあるいは中にはあろうかと思います。従いまして政府の最終的な態度がはっきり徹底するようになりますれば七千六百台に対しましてプラスアルファーの台数の供出が期待せられると思います。従いまして私どもといたしましては少くとも現在の買い上げ単価をもちましても一万台以上のものが出るのじゃないか、かように考えます。ところで一万五千台まで出るかどうかということになりますと、これはやってみなければわからないというふうに申し上げる以外にないと思うのでございますが、私どもといたしましては現在の不況に対しまして一刻も早く実施に移すことが肝要である、かように考える次第でございます。 それからもし一万五千台出ない場合には予算が余るのじゃないかという御質問でございますが、それはそういう事態になればあるいは余るかもしれません。本年度におきましてそれをあとから改正するというふうなことは私としましては適当でない、本年度におきましてはとにかくやはり既定の方針に沿って一刻も早く実施すべきではないか、かように考えるわけでございまして、来年度の問題は来年度の問題としてまた別に考えるべき問題ではないか、かように考えます。
○小幡治和君 今政務次官の御答弁では、大臣の御意向としては参議院の答弁は余ったときはということなんだということなので、また今繊維局長の御答弁も、まあ余った場合にはどうするかは自分としてはわからぬが、自分の個人の気持としては一度きめたものはどうにもしようがないというような程度だと思うのであります。私はここで云々申しませんが、希望として余った場合一つ善処していただきたいということだけをまず申し上げて第二の質問を申し上げたいと思います。 第二の質問といたしましては、今まで大臣に御質問申し上げましたときに、大臣の御答弁では人絹織物を賠償物資にする、それは前大臣のときはまだ賠償物資ということは否定されておったのですけれども、現在の大臣になられまして賠償物資にすることは承知だ、しかしこれは外国との関係もあるので秘密に一つそれは折衝しようということでお引き受けになったのでありますが、その後のそれでは折衝経過というものはどうなっておるか。それからそのときに東南アジア地区との輸入品とのバーター制によって処理しようとか、あるいは円借款を供与して処理しようとか、そういうことを言われたわけなんです。賠償物資の折衝の結果、バーター制あるいは円借款というようなことについて、それではその後どういう経過をたどっているのかということを御質問申し上げたいと思います。
○海野三朗君 関連質問。今の一台三万五千円、ところが銀行から借りている金ははるかにそれ以上になっておるので、そういうところはどういうふうに考えておるか。
○説明員(今井善衛君) これは私どももある程度銀行から借り入れの際にどういう工合に担保になっているのか、多少聞いたことがあるのでございますが、大体まあ機屋さんが銀行から借りております場合にはたとえばその工場なり、あるいは織機なり付属設備なり一括いたしまして担保に提供しているような格好になっておりまして、たとえばこの織機を担保に入れるから幾ら貸せというような格好にはなっていないようでございます。従いまして持っている設備の中には新らしい設備もまた古い設備もある。一台あたりの担保がたとえば七万円だとかあるいは八万円だということはこれはその工場なりあるいは付属設備、あらゆるものを担保にいたしまして借りておるわけでございますが、一つの工場の借入金を織機台数で割ると大体それくらいになる、こういう意味のようでございます。従いまして一台処分することにその担保に、七万円に入っているから、どうのこうのという問題は起らないわけでございます。
○政府委員(中川俊思君) ただいま御質問の人絹等を賠償に繰り入れたらどうかというお話でございますが、これは相手国からの要望がございますれば政府としてその際考えていいのじゃないかというふうに目下考えているわけであります。相手のあることでございますから果して相手がそういうものを要求してくるか、こういうことは今後の折衝に待って決定したいと思っております。 なお、その後の折衝がどうなっておるかということでございますが、これはまだ決定をいたしておりません。そのほか円借款の問題、クレジットの問題でございますが、これも政府といたしましてはそう簡単に決定するわけにもいかないのではないかと思うのでございます。御案内のように東南アジア各国におきまする現在の経済状態等も勘案しなければなりますまいし、こげつき等の問題もございまするから政府として要求があり次第すぐこれに応ずるということも考えなければならぬ問題だと思います。ただ通産省といたしましては私も常に考えておるのでありまするが、いろいろな輸出貿易の促進の点等から考えまして、東南アジアないしは中近東、中南米等に対しましてはできるだけ御説のような方法を講じて輸出を促進したいという考えは持っておるのであります。 通産省だけで決定される問題ではございませんので、政府全般として考慮した上で決定すべきだと、こう考えております。
○小幡治和君 今、政務次官は、相手国の要請があってと言われましたけれども、大臣は、そういうようじゃなくて、むしろ、こちらから働きかけてということで言われたわけなんで、またこれはもう、もちろんこちらから働きかけてそういうふうにしなければ、待っていたんじゃできない仕事なんですから、その点は一つ、こちらから働きかけてやっていることと私たちは思っておるので、その点一つ、さらに御考究をお願い申し上げたいと思います。 それから過般、どこの新聞でしたか、ちょっと忘れましたが、新聞で、インドからの要請でしたか、それで、プラントだけでなくて、繊維とか、そういうものももらいたいというふうな話も、折衝の中にあったというふうなことも、新聞に出ておったようなんですけれども、いろいろ、そういうような情勢で、繊維なんかの処理という問題が、インド初め東南アジアの方で、少し動いてきているような気もするわけなんです。そういう点について、もう少し、何というか、今までそういう方針で、大臣がやると言っておられたのに、さっぱり、それじゃ今申し上げた三つの問題について、何もないじゃ、これじゃ非常に残念だと思うので、その点、もう一ぺん御答弁を願いたいと思います。
○説明員(今井善衛君) 御案内のように、人絹品のうち三銘品につきましては、買い上げの滞貨が非常にございまして、私ども何とかしてこれを、速急に滞貨を処分しなければならぬ、かように考えております。その方法といたしましては、これは通常貿易によるべきことが最も妥当でございますけれども、人絹の三銘品につきましては、従来インドネシアが主として買っておった、ところが、このインドネシアに不幸にして非常な外貨不足がありますために、なかなか通常貿易じゃできない、こういうふうな状態になっておるわけでございまして、私どもといたしましては、この賠償なり、あるいはうまく話がつけば、円クレジットというふうな方法によりまして、滞貨ができるだけ早くはけるということは期待するのでございますが、ただやはり何分にも、相手との意思が合致しなければならないわけでございまして、この賠償の問題につきましては、これは向うからほしいという話になりますれば、われわれとして受ける用意は十分あるわけでございますが、最終的に、向うとしては出てきていない。ただ、まあ何と申しますか、たとえば民間あたりでもって、そういうふうな裏の動きは、若干あると思います。 それからこのほか、円クレジットの問題にいたしましても、これはこちらが与えましたあとにおきまして必ず、何と申しますか、あとで借金が返るというふうな、はっきりしたやり方でなければならぬわけでございまして、その辺につきまして、政府といたしまして、まだ正式な交渉は、全然ないと思いますが、ただお互いに、いろいろの情勢を研究し合っている段階であると、かように考えております。
○小幡治和君 それでは、その次の過剰織機の処理に伴う業界の負担金、これについて長期低利の資金をあっせんするということを大臣は約束されたのでありますが、その後、これはどうなっておりますか、それを承わりたいと思います。
○説明員(今井善衛君) 絹、人絹織機の買い上げの際、一台当り業界の負担金は一万円ということになっておりまして、従いまして、これを業界といたしまして、非常な現在不況にございますので、自己負担のものにつきましても、何か金融の手段に頼らざるを得ないこの際に、できるだけこういう資金の性質にかんがみまして、長期低利のものにしたいというふうに私ども考えておるのでございますが、これは、まあ実施の方法といたしましては、さしあたり商工組合中央金庫というふうなところから普通の金利でもって融通するより仕方がないと思いますが、たとえばこの三十四年度の予算等の問題におきまして、商工中金なり、あるいは中小企業金融公庫に資金が入りますれば、それをもととしまして、長期低利の融資に切りかえ得ると、われわれはさように期待いたしておるのでございます。
○小幡治和君 この点については、実はわれわれ、中小企業金融機関と話し合ったときに、商工中金なり、中小企業金融公庫なりで、六分で五年ということで、一つ業者負担のやつは処理するというようなことになったように聞いておるのですけれども、その点はどうなんですか。
○説明員(今井善衛君) さしあたり、すぐそういうふうにするということじゃございませんで、現在は、やはり商工中金を対象にいたします以上、普通の金利ということになりますので、特段の措置が講ぜられました後に、低利長期のものに切りかえる、かようなことで考えておる次第でございます。
○小幡治和君 そうすると、この問題も、大臣は、約束されてまだ処理もされていないというふうなことになりますので、一体、いろいろ、こういう不況打開について、お約束願ったことの処理というものが、さっぱり今のところ、されていないじゃないかというような、非常に不満を持つのですけれども、その点については、もう一ぺん、一つよく大臣にも、次官並びに局長からお話し願って、速急に処理していただくようにお願い申し上げたいと思います。 それから、その次に申し上げたいのは、こういうような不況の対策で、そのほかいろいろまだあるわけですが、きょうは関係大臣もおいでになっておりませんので端折っていきますが、こういう繊維不況打開のために、今年いろいろ約束されたことも、なかなかうまくいっておらぬということなんで、いよいよ来年度の予算ということも考えてきつつあられると思うのですけれども、一体、繊維不況打開のために、きのうもここで公聴会を開いて、いろいろ繊維業者並びに繊維関係の労働組合の代表者の人たちと、いろいろ話もし合ったその結論を見ましても、よほどの一つ決意を持って、政府はこれに努力していただかないと、これが非常な長期不況に陥ってしまう。そのために中小商工業というものが、非常にしわ寄せを食って、また労働階級もしわ寄せを食って、ひどいことになるというような結論も出ておるわけなんですから、一体、通産省として、今年は、一応今までのお約束を一つ、早くやっていただくとともに、来年度予算要求の上において、いかなる不況打開の予算要求を今考えられておられるのか、その点を一つ最後にお聞きしたいと思います。 たとえば設備近代化の補助金を大幅に増額しろ、また国の補助率をかえろとか、その他、いろいろ出ておりますが、そういう面についても、繊維局として、来年度予算にどういうふうに考えておるのか、その点を一つお伺いいたしたいと思います。
○説明員(今井善衛君) 来年度予算に、どういう点を考えておるかということでございまするが、この織布段階におきましては、本年に引き続きまして織機の買い上げをやるという意味合いで、織機の買い上げ予算を七億円要求しております。その他の予算につきましては、これは主として中小企業一般の予算になるわけでございまして、お話のように、設備近代化の補助金の増額、あるいは補助率の増加、あるいは中小企業の金融を一般的に改善するという項目の予算になろうと思います。あと、まあ予算関係以外に、私どもといたしましては、特に原料供給段階、それらにつきまして、相当総合的、長期的な対策を立てて不況に対処したい、かように考えております。
○委員長(田畑金光君) この際委員長の方からも、当局に強く要望申し上げますが、この夏以降、当商工委員会は、しばしば委員会を開いて、当面の不況問題について政府の適切な施策を要望して参っておるわけです。繊維の問題、科学の問題、海運、石炭それぞれの産業分野における不況の問題について、大臣はじめ関係者に質問をして、それに対し、大臣も善処を約束して、今日まで来ておるわけです。ことにわれわれとしては、この臨時国会等において、具体的な予算の補正等を通じ、この委員会における答弁等の実行がはかられるものと期待していたわけです。ことに今問題になった織機の買い上げ等の問題、あるいはこれに伴う金融措置の問題等、高碕通産大臣は、明確にこの委員会で善処を約束されているわけです。ところが中川政務次官並びに今井繊維局長の話を聞いておりますと、大臣の本委員会における答弁は、答弁のしっぱなしだということになっているわけで、少くともわれわれは、高碕通産大臣のような練達の士が通産行政を握られたということは、大きな期待を持って、また有力閣僚として、政治的な手腕にも大きな期待をかけて今日まで参っているわけです。ところが今の政務次官や繊維局長の話を聞いておりますと、何一つ実行していない、むしろ答弁が、数歩後退しておる、幾たび委員会を開いても、無意味なことだと思うのです、こういうようなことでは。でありますから、一つ、来週早々、本日の小幡委員から質問された事項は、この夏の当委員会におきまして、通産大臣が明確に答えられておるわけでございますから、この実行について、どれだけの通産大臣としては努力を払ってこられたのか、また現在払いつつあるのか、今後、またこの不況の問題に対して、それぞれの産業分野に対し、どういう具体的な施策をやっていこうとするのか、来週早々の委員会においては、通産大臣の出席を求めて、御答弁を願うとともに、一つ、今後の方針を承わりたいと思いますから、政務次官の方から、よろしく一つお伝え願いたいと思います。
○政府委員(中川俊思君) 御指摘の点は、大臣にお伝えいたします。お伝えいたしますが、通産省として何もやっていないというようなことでございまするが、ただいまも繊維局長からも答弁いたしました通り、織機の買い上げであるとかその他来年度の予算におきましても、不況克服につきましては、財政投融資の面において、商工中金であるとか、あるいは中小企業金融公庫等に対して、相当大幅な増額をする努力はいたしておるわけであります。さらにまたこの不況克服ということは、私が申し上げるまでもなく、ただ繊維業界だけの問題ではございませず、繊維業界の不況克服をしようと思いますれば、経済界全般の立ち直りがよくならなければならない、さらにまた雇用関係におきましても、いろいろな点におきましても、すべてが改善されなければ、一連のみな関連のあることでございまするから、国全般の景気がよくならなければ、これだけがよくなるということは考えられないのではないかと思います。さらにまた、これを飛躍して考えますれば、世界経済の好転ということにもつながるのではないかと思いまするので、日本の経済界だけが、不況に呻吟しておるわけではございません。 従って通産省といたしましてもただいま委員長のお話のありました点は、十分に考慮いたしまして、今日までもやっておるわけでございまするが、ただいま申し上げますような事情で実効が上らない、思うように上らないことは、はなはだ遺憾に存じておる次第であります。しかし御意思のある点は、十分体しまして、今後、さらに一そうの努力を傾注いたしますことをここに申し上げておきたいと思います。
○海野三朗君 この前、大臣としては、一台三万五千円じゃ安過ぎると、それでこれをどういうふうにやってゆくかということを言いましたときに、もしその台数が少ければ、値を上げてもいいというようなことを言った、大臣は確かにここで言った、そういうことを十分考慮しておりますと言うたんでありますが、きょうの次官及び繊維局長の話を聞いてみるというと、なんだか、そいつはもう、一つも実行されていない、そういうふうなことでは、大臣の答弁なり、局長の答弁なりは、当座をただごまかすだけの答弁をしておるのですか、それはどういうふうに考えていますか。 一台三万五千円で品物を、織機を買い入れるというときに、それは安いじゃないかと言ったときに、台数が少ければ、考慮してもよろしいということを、この前、大臣が言われた。それだのに今の話を聞いてみるというと、ちっともそういうことは……衆議院で前言を取り消したというようなこと、そういうことであれば、大臣の答弁というものは出まかせなんであるか、その当座逃れのことであるかどうか、大臣は、そういう考えであっても、局長たちは、どういうふうに考えておるのか、そういうことを一つ、はっきりここで聞かなければならない。それでなければ商工委員というものは、意味をなさんじゃないか、こういうふうに考える。どうなんですか。
○説明員(今井善衛君) 先ほどの政務次官の御答弁を補足することになりますが、私、速記録で大臣の御答弁を拝見したのでございますが、もし予定台数が出ない場合におきましては、予算の範囲内において台数を減らして処理するということも考えられるけれども、これには非常にむずかしい問題もあろうと思います。というふうな答弁を、この席でされたようになっております。 それから衆議院の商工委員会におきましては、参議院でこういう質問があったが、どうなんだというお話に対しまして、この織機の供出をスムーズにやる方法として、そういうふうなことを考えたこともあるけれども、しかしそれについては、いろいろむずかしい問題があるので、既定の方針通り国庫補助金二万円、買い上げ単価三万五千円で実施したいということを言っておられますので、大臣のお心持も先ほど申し上げた通りだと思います。
○阿部竹松君 議事進行についてですが、実は、きょうお隣りの外務委員会でグレート・ブリテンですか、及び北部アイルランド連合王国、こういうむずかしい名前の国と、イギリスとアメリカと原子力協定の議定書を、これが提案になって、これは外務委員会ですから、当然その委員会にかかると思うんです、しかしその内容は、原子力問題ですから、内容は、私ども委員会でいつもやっておる問題だと考えるわけです。従って外務委員の、これは自民党さん、社会党のわれわれ同僚議員も含めて、日本がアメリカ、あるいはソビエト、中共と仲よくしようとか、しないとかいう問題は、これは十分勉強なさっておるから、適当だけれども、しかし内容は、うぬぼれるわけじゃございませんけれども、われわれの方が、事、原子力に関しては詳しいと、こう思っておるわけです。そこで、私、外務委員であればけっこうですが、外務委員でないから、そこへ行って聞くわけにはいきませんし、また藤山さんに聞いても、藤山さんおわかりになるかならぬか、わからぬので、できることならば本日、三木長官は経審長官という立場で来られたのですから、大へん失礼ですが、科学技術庁の長官という立場で若干質問してみたいと、こう考えるわけでありますが、ただ、外務委員会に三木長官が出られるということならば、私その席に行って二つ三つお伺いしたい点があるのですが、きょうは初めの約束と違いますので、そういう点を委員長にお伺いしたいと思います。
○国務大臣(三木武夫君) 当然に条約は外務省がやるのですが、内容はやはり科学技術庁に関係しますから、外務委員会に出席をいたしたいと思います。これは私が出ていきます。織維の問題と原子力とはちょっと……。かためて外務委員会でおやり下されば、その方が便利かと思いますが、御質問受けてもけっこうです。外務委員会にも出席をいたします。
○委員長(田畑金光君) 速記とめて。 〔速記中止〕
○委員長(田畑金光君) 速記起して。ほかに御質問ございますか。
○大竹平八郎君 繊維局長にお伺いしたいですが、昨日、参考人にお尋ねをしたのだが、どうもはっきりした納得の、実はいかないお話だったんだが、時間がなかったので、私は再質問をしなかったのでありますが、繊維の不況、これはむろん、大企業といわず、中小企業といわず、全部に大きな旋風が巻き起っておるのだが、ただでさえ好況時分でもこの中小企業というものは、御承知の通り非常に困っておるわけです、大企業の圧迫によって非常に困っておるわけです。昨日も申し上げた通り、いわゆる中小企業紡績に属するものは、いわゆる新々紡と俗にいうのですが、これは相当な数にあるわけなんです。従って、ある会社のごときは、社長自身が厚子を着て、そして工場に入っていって、工員と一緒に仕事をするということがままあるわけです。そういうような中小企業が今度の不況旋風によって非常な大きな痛手を受けておる。従って私はこの中小企業の、いわゆる新々紡のこの不況による影響の実態、それから労働組合にも入り得ないような従業員というものが新々紡には非常に多いと思う。従ってこれはほんとうの、社長と直接工員が話し合って、いろいろ待遇の改善等しておるというのが従来の例なんで、大企業自体が、鐘紡の一つの例をあげても、今、合理化のために、非常にしわ寄せが工員にきておる。こういうようなときに、その一般の中小紡績というものが、工場自体、同時にその工員が受ける影響というものは、きわめて深刻なものがあると思うのでありますが、その点は、きのうも滝田会長に伺ったんだが、私ども満足な答弁を得なかったのでありますが、繊維局として最近の調査に基く実態を一つ御答弁願いたい。
○説明員(今井善衛君) ただいま新々紡について、非常に困っているのじゃないか、その実態を示せというお話でございました。私どもの見るところによりますと、これは繊維業界すべてが悪いのでございます。もちろん、織布業者は、先ほど来お話が出ましたように、非常に悪い状態でございますし、それからそれに糸を供給いたします紡績も、十大紡といわず、新紡といわず、新々紡といわず、一様に悪いのでございまして、特にこの十大紡だからいいというふうに、私どもとしては実は考えられないのでございます。むしろ大きな紡績に比べまして、新々紡の方は、むしろ現在においては競争力が強いというのがおそらく正しい見方じゃないかと、かように考えておるわけでございます。と申しますのは、やはり労働条件等が、大きな紡績とそれから新々紡におきましては違っております。原綿の入手の方は大した変りはないというふうな状態でございますので、この新々紡だから特に悪いという現象は起っていない。これは紡績も一様に悪いというふうに考えるのでございます。ただもちろん、この新々紡も、だからといって、いいということをごうも言っておるわけじゃございませんで、新々紡も非常に苦しいものが多いし、それから十大紡も、過去の蓄積は持っておりますけれども、現状におきましては、非常にやはり苦しい状態にあると、かように考えております。 それから労働組合の問題でございますが、これはきのうも滝田全繊会長にお聞きになっていたようでございますが、全繊の中に入っております新々紡の組合もございますし、入っていない組合もございます。大きな紡績につきましては、これは全部全繊に入っておりますけれども、新々紡においてはまちまちであるということが言えると思います。この全繊に入っておりますのは、むしろ賃金につきましては一般的に高い、それから全繊に入ってない組合の賃金につきましては一般的に低いというふうなことがいえるのではないかと、かように考えております。
○大竹平八郎君 今の局長の御答弁は、私は一つも満足しません。ことに、私が質問申し上げておるのは、むろん大企業がいいとは少しも言っていないので、大企業も旋風の中にある。そうしてその中においてふだんでも、好況時分でも大企業に押えられておる中小企業というのが、さらにこの不況下にあえいでおるということを言ったので、その点はまた後日に譲るといたしまして、その点については、私またこまかく資料を私の方から出して一つ質問を申し上げるとして、いま一点お聞きをしたいことは、この通産省のいわゆる操短勧告等がしばしばにわたって行われておる。この事実がいわゆる多少不況を緩和しておる、こういう事例もあるわけですが、たとえば、われわれは、この行政指導ということがいいことかどうか知らぬが、行政指導の立場でいろいろ通産省がおやりになるのだが、きのうも参考人から話が出ていたのですが、かけ込み増錘が百二十万もある。これが非常に今日の不況に拍車をかけておるということが、ほとんど参考人の一致した意見である。われわれの知るところにおいては、あなたの局長時分ではないのだが、あのかけ込み増錘については、たしか繊維局長名をもって、今後の原綿割当という問題については考慮しないというような意味のたしか通牒が行ったと思うのでありますが、ところがやはり、百二十万錘のかけ込み増錘をした人たちが、結局においては何らかの形で原綿を取ったというようなことが、これは新々紡も入っておりましょうし、新紡も入っておるが、しかし、多くこれはいろいろ金融の面からいたしまして、新々紡は割合にかけ込み増錘の中に入っていなかったという面が非常に多いわけです。ところが、正直者がばかを見たという格好で、せっかく、そういった繊維局長の通牒が出ておるにもかかわらず、かけ込み増錘した百二十万というものが、結局、原綿の割当を受けた。そうしてその通牒を非常に重要視して、尊重をして、そうしてやらなかった者が普通と同じあれだったということと、同時に、百二十万錘の増錘ということによって、先ほど申し上げたように不況に拍車をかけた。こういうことになっておるわけですが、こういう一体、局長通牒というようなものの効力ですね、これは従来そういうような例が今まであったのか。あるいはまた今後といえども、そういう局長の通牒とか、あるいは次官通牒というようなものが出た場合、効力という問題、これはむろん、その村の自主的ないろいろなやり方にもよると思うのでありますが、こういうことに対処をする新紡績というものは、一体どういう態度をとったらいいのか、この点一つ伺いたいと思います。
○説明員(今井善衛君) 私も当時の状況はそれほど詳しくは存じませんけれども、要するに現在の繊維工業設備臨時措置法が国会を通りましたのが三十一年の四月ごろでございまして、実施が三十一年の十月ということになっていたわけでございます。当時、先ほどのお話にもございましたように、この法律を出す準備をいたしましてから、いよいよ施行になるというまでに非常にひまがかかっておったわけでございまして、その間にいわゆるかけ込み増設と申しますか、増設が行われたわけでございます。かけ込みをしない紡機が全体で七百八十万錘でございまして、結局現在はちょうど九百万錘になるという状態になっております。これは紡績の村におきまして、きのうも問題になりましたように、かけ込み増設をしない人たちは、これはかけ込み増設には綿花を割り当てるべきじゃないという強い主張をいたしましたし、かけ込み増設をした者は、それじゃ自分らの企業としてはつぶれてしまうのだという主張が行われまして、かけ込み増設に対しまして、だんだん綿花の割当をふやして参りまして、現状におきましては、本来の設備に対して七五%の綿花を割り当てておるという状態になっております。この局長通牒は、もちろん法律を準備いたしますと同時に出したのでございますが、さりとて、局長通牒をそのまま厳守いたしますと、企業のせっかく設備ができて、金は借りて、ある程度人員も雇っておるというその企業自体が、どうにもならない立場と申しますか、倒れてしまうというふうな関係もございまして、初めから綿を全額やるならば、これはもう正直者はばかを見たと、完全にそういう結果になりますけれども、いろいろ相談いたしまして、過去ちょうど満二年ばかりになりますが、その間に徐々にふやしていった。こういう状態になっておりまして、もちろん、かけ込み増設をしない人たちからいえば非常に不満でございますし、また、かけ込み増設をした人たちから申しましても、非常に初めは微々たる綿花の割当量で、現在は七割五分ということで、これまた非常に不満な状態でございます。私どもからいたしまして、通牒を無視してかけ込み増設をした。それに対してまた綿花を割当せざるを得なかったということは、これは事実私どもといたしましても残念な点はございますけれども、これは実情から申しまして、新しくできました紡績もございますし、あるいは従来の紡機に多少増設したという関係もございまして、それらを企業として立ち得ない状態に追い込むということも、これはどうかということで、現在のような状態になっておる次第でございます。かけ込み増設をどこでやったかということになりますと、むしろ割合は新々紡が多いというふうなことになっております。
○阿部竹松君 けさの新聞に出ておりました二百万トンの石岩をカラチとか、あるいはカルカッタ等、ここへ十一ドルで売るということが新聞に出ておりましたが、これはどなたに御答弁していただけますか。次官はどこに行きました。繊維局長大丈夫ですか。
○委員長(田畑金光君) 今ちょっと医務室に行っております。すぐ呼んできます。
○島清君 それまで待っていますか。それとも、阿部さんのお許しを得て質問してもいいですか。
○阿部竹松君 いいです。
○島清君 繊維の問題に関連いたしまして、三木経審長官に一つお聞きをしておきたいと思うのですが、今、やはり何といいましてもなべ底不況で、不況対策をわれわれも心配し、政府当局もやはり何とかしなければならぬと苦慮しておると思うのです。その頂点に立っておる繊維の問題とわれわれは取り組んでおるわけでございますが、繊維問題の不況克服は、それはそれといたしまして、私は、将来の日本の繊維問題を考えまする場合に、非常に悲観的な説をなすものがおりまして、日本の繊維産業というものがランカシャー的運命をたどるのじゃないかという議論もあるわけでございますが、そこで、将来の繊維産業を立て直していくためにはどうすればよいかということになりますと、体質の改善をしていかなければならないのじゃないかと私は思います。その体質改善の要素の中に、それは全部ではございませんが、原料高、製品安とよくいわれておりまするのは、日本の紡績が、その原綿をアメリカに依存をしておる。その依存度が非常に高いということだと私は思います。それは過剰農産物を買わされて、そうして世界のどこでも買わないようなああいうものをアメリカの一方的な価格の決定によって押しつけられる。そこで、アメリカも便利であるが日本も便利であるというような時代があったことは、私たちも認めますけれども、しかしながら、これは過去のことでございまして、今日ではメキシコあたりでも米綿よりも非常にいい綿が安くて買える。そうしてその綿を買えばよけいに日本の商品が輸出ができる。こういうようなことでございまするならば、アメリカ依存度を体質改善ということで、もうこの辺で一つ考え直してもいいのじゃないか、こう思うわけなんでございますが、経審長官はどのようにお考えでございましょうか。
○国務大臣(三木武夫君) 全般的の問題としては、お話のように、このごろはやはり日本の商品を輸出しようとする場合には、向うの生産物も買わなければ、なかなか輸出ができないような事情がありますから、そういう点で、市場全般についていろいろ検討する必要があることは事実でしょう。しかし、アメリカの綿花は、品質やいろいろな点において、これが直接市場転換を必要とするような事態だと私は思っていません。しかし、全般的にいろいろそういう問題について、輸出増進のために、原料の輸入というものに対して検討を加えるような場合はあり得ると思います。
○島清君 私がお尋ね申し上げておりますることは、アメリカの綿花が高いということです。ですから、その原料を広く世界市場に求めてもいいような段階にきておるのではないか。何も日本だけしか買わないような過剰農産物を押しつけられたような格好で、アメリカだけが価格を決定するような高いものを原料として、そうして日本の貿易、繊維産業を組み立てることは、過去はともかくといたしまして、今日それは直していかなければならぬのではないか。私は、やはり原料を入れて、そうしてその製品を売り出していかなければならぬという、この貿易振興の本質から見まして、やはり安い原料を入れて安い商品を、りっぱな商品を売るというふうな建前に立たなければならぬのじゃないかと思うのです。全般的にもそう思うのですが、なかんずく、今は繊維の問題が論議になっておりまするので、特に繊維に関する限り、米綿の方がそういう形で世界市場よりも高く買わされておる。だから、もっと安い市場を求めるように、そうしたような輸入の体質改善の必要があるのじゃないか、こういうことをお尋ねをしておるわけなんです。
○国務大臣(三木武夫君) 特にアメリカの綿花が高いというわけではないということであります。しかし、まあ品質はいいということはお認めになっておる。そういうことで、今、通産省などにおいて、そういうことはどういうふうに検討されておるかは存じませんが、やっぱりそういう、今お話しになったようなことは、いろんな問題においてあると思います。東南アジアでもそうです。そういう点で、今後そういう輸入を輸出と結びつけて検討をするということに対しては賛成であります。しかし、アメリカも、これまた日本の一番の輸出先でありますから、アメリカ自身が——そういうことで、まあいきなり米綿をほかの方へ、輸入先を変えるということに対して、そういうことを的確に私はここでお答えはまだできません。
○島清君 どうも少し……。やっぱり御用意がなかったようでございまして、御質問申し上げるのは遠慮すべきだったと思うんですが、品質の点においては、むしろメキシコ綿の方がよろしいと、それから価格においても安いと、こういうことだけはこの委員会で通産省の方から言明をしてもらっているんですが、しかしながら、それを通産省があえてできないということは、あなたの分野に属するわけです。国の財政状態といいますか、何といいますか、それからできないと、こう言うんですね、今までは。で、今まではそうであったかもしれないが、ここらで、貿易振興を唱える政府としては、そういったような輸出入の体質改善が必要じゃないか。そこまで踏み切らなかったら、それは貿易振興というものはただ念仏を唱えるだけで、実効を期待することができないんじゃないかということを、私たちはそれを心配いたしまするがゆえに、また、なるほどアメリカの方にもそれは日本商品が輸入をされておりまするけれども、しかしながら、アメリカからの輸出入の関係からいたしますると、それは私が申し上げるまでもなくして、むしろ片貿易に近いような輸出入の関係でございますから、だから、ここらで一つ三木長官、しかも非常な進歩的な三木長官としては、ここらあたりから一つ根本的に体質改善に踏み出されてももういいころじゃないかと、こう思いましたのでお尋ねしたんでしたが、いずれまた……。
○国務大臣(三木武夫君) よく検討を加えます。
○島清君 それでは、今度は繊維局長の方へお尋ねをいたします。 局長、きのうあなたは、操短の実績がこの不況に大へんな貢献をしたというて自画自賛をされたんですが、しかしながら、私たちの見るところによると、操短が一年も続いて、そして不況克服のために非常な効果をもたらしてきておるとは思えないんです。これは私は、あなたたちの方が操短の勧告をやらなくても、命令しなくっても、経済の自律作用によってこの程度のことはできていたんじゃないかと私は思うんです。しかしながら、経済の自律作用のみにまかされないところが、要するにあなたたちの任務があり、行政指導があるわけなんです。 そこで、私たちの聞いたところによるというと、操短を勧告して、そして動かない機械ですか、封印をするんですか、ところが、この他の機械については、それはもうフルに操業ができるようになって、稼働ができるようになっておると、そこでその機械を、今まで二台動いておったものが、かりに一つにされると、そうすると、それに時間が延長され、労働の過剰が行われている、こういうふうに機械が動いておるんであると、こういうふうに言われておるんですが、実際的にはどうなんでございますか。
○説明員(今井善衛君) 操短の効果につきましては、自画自賛したわけじゃごうもないのでございます。ただ、この操短を始めます際に、短期決戦、従来はまあ三カ月ないし六カ月ぐらい続けますれば、大体の効果が出るということであったのでございますが、今の繊維産業の構造の変化と申しますか、非常に不況の原因が根深いと思いますが、そういうふうな関係からいたしまして、一年操短をやっておりましてもかような状態で、操短の何と申しますか、当初予期した程度の早さでは解決できておりませんけれども、漸次ノーマルな在庫に近づいているということを昨日申し上げたわけでございます。 それからもう一つ、操短のやり方でございますが、大体紡績で申しますと、精紡段階と申しますか、最終段階について封緘を行なっておりまして、それに付属するような前紡段階につきましては、これは大体最終段階が操短されれば、それに伴ってやはり操業が短縮されるという前提で、最小のポイントを押えてやっておるような状態でございます。紡績のような段階におきましては、これはそれによりまして大体所期の効果が上っておる。別にそれによりまして、労働時間に影響するようなこともないと、かように考えております。 ところで、今お話の操短をすることによって従来よりも多少労働時間が延びたようなケースがあるんじゃないかという問題は、これは織布等につきましては、つまりその中小企業の段階におきましては、多少そういう問題もあるというふうに考えております。たとえば、三割封緘したにもかかわらず生産はそれよりもふえておると、これは実際やみ生産というふうな形も若干行われておりましょうし、あるいはまた操業時間も若干延ばして生産をよけいに上げようというふうな向きもあるようでございます。私どもこの点につきましては、できるだけこの操短の効果を上げるように監視と申しますか、今後やはり中小企業につきましては、出荷等についての検査の制度を厳重にしていかなければならぬ。あわせて労働時間の問題につきましては、特に織布部門につきましては、労働省にお願いいたしまして、たとえば二交代、十六時間操業の場合には、それをできるだけ厳守させるように厳重にやってほしいという要望を出しておりまするし、現場におきましてもそういうつもりでやっていただいているわけでございます。
○島清君 委員長の方から指を一本さしていただいて、あと一問で打ち切ろうということですので、協力をさしていただく意味において一点だけお尋ねしますが、昨日の参考人の方々の御意見を承わってみましても、非常に繊維産業懇談会の方に問題を持ち込んで、御期待をしておるようでありますが、ややもすると、ちょっと言いにくいことでございまするけれども、申し上げますると、何か繊維局あたりも、結局は業者のまた代弁みたいなことをしておるんじゃないか、在庫と言ったって、統計なんかろくなものは作り切らぬのじゃないか、こういうことの陰口を聞くわけなんです。そこで繊維産業懇談会というものが、この前の御説明を承わりますと、構成人員は十五名ですか、ところが業界代表の方々が十名で、学識経験者が五名だと、こういうんです。業界の方々が多くて学識経験者の方が少いということになりますと、それはもう業界の方々に指導されて、私は学識経験者の方々の意見というようなものは支配的にならないと思うんです。そういう場合に、私はむしろ学識経験者の方をなるべくよけいにして、業者の声を参考程度に聞くのじゃなければ指導性を持ち得ないと思うんです。私が仄聞するところによりますと、土屋さんのようなりっぱな方方が入っていかれるようでありますが、その人も五名の中に入るのでございまするから、細々としての私は声にしかならないと思うのですね。ですから、今からでもおそくはないのですが、私はそういうような形にその懇談会は切りかえられるべきであり、もしそうでないとすれば、そういう配慮のもとによって私は運営されなければならないのじゃないかと思うのですが、そういうようなことについて考えられたことがあるかどうか、考えられてまたできない事情でもあるのかどうか、この際お聞きしておきたいと思います。 さらにまた、きのう、日本の商品、なかんずく繊維製品が海外の市場において非常に安売り競争をやっておる。安売り競争をやって、それで扱いまする商社が喜べばよろしいのでございまするけれども、しかしながら、安売り競争をされて、安く買わされた外国の商社がちっとも喜ばない。なぜならば、日本商品はいつ何どき下げられるかわかりませんから不安で扱えない、こういうような状態。そこで安売り競争をして損をしたものが巨大であり、人によりますというと二百億から二百五十億にもなるのじゃないかといわれておるのですが、繊維局長はその推定はわからぬとおっしゃられました。そこで、きのうは参考人として業界代表を呼んでおりますので、あるいは言いにくかったかと思いますが、通商行政をお扱いになります、しかも繊維の総元締めであられる局長がわからぬでは、推定がしにくいとおっしゃったのでは、私は貿易政策も何も立たないと思うのですね。ですから、われわれの見るところによりますというと、そういうロスがあるならば、ちゃんとした貿易政策をもって指導すれば、そういったようなロスが出ないで、そして今のような繊維業界におけるところの混乱もある程度防げたのじゃないか、こう思いまして、非常に遺憾にたえないわけですが、繰り返すようで、はなはだ恐縮でございますが、もう一ぺんその点をあわせて一つ御説明を願えませんか。
○説明員(今井善衛君) 第一の御質問の繊維懇談会の出席者の構成がどうも業者の方に片寄り過ぎておって、学識経験者の意見が十分発揮できないのじゃないかというお話でございますが、これは一応ごもっともでございまして、私ども学識経験者の意見を十分活用するつもりでございます。ただこの十分の業界代表と申しましても、これは非常に御承知のように繊維業界がたくさん分れておりまして、従いまして各業界から大体一人ということになっておるわけでございまして、たとえば原料段階においても、紡績なり、あるいは毛紡績なり、あるいはスフ製造、人絹製造というように分れております。それから織布につきましても、これが、絹、人絹、綿、綿スフ、あるいは毛というように分れておりまして、従いまして一つの業界からたくさん出ておって、そのためにこうなったというような次第ではございません。 それからまた、きのうもお話がございましたように、たとえば綿関係あるいは毛関係の天然繊維の関係、それから人絹スフという化学繊維の関係と、これが考え方が非常に違っておりまして、従いまして、その調整をどうしてもする必要がある。従いまして、業界の人たちに最小限度出てもらわないとこの調整も、話し合いもなかなかむずかしいという関係で、私ども最小限度にしぼりまして、あの程度になっておるのでございまして、ただ運用に当りましては、十分学識経験者に行司の役目になっていただきまして、業界相互の意見の違いというものを調整していきたい、その意見を役所としても重んじていきたいと、かように考えております。 それからもう一つ、繊維製品の安売りによって、得らるべき外貨が非常に失われておるのではないか、その額の推定はどうかというお話でございますが、実はこの額の推定は非常に困難でございまして、私ども実はこの席でも何もないのでございます。比較的うまく売られておる場合もございますし、日本人同士で非常に安売りをしておるものもございまして、これは業種によってそれぞれ違うわけでございます。ただ、いずれにいたしましても、日本人同士の安売りというのは、これは何とか直さなければいかぬということで、私どもといたしましても、できるだけ対策を練っていきたいと思います。
○委員長(田畑金光君) 他に御発言もなければ、本日の委員会はこれで……。 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(田畑金光君) 速記を起して。 本日の委員会は、これで散会いたします。 午後四時二十八分散会