社会労働委員会 第4号
- 発言数
- 147 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1958/10/21
会議録
○委員長(久保等君) ただいまより社会労働委員会を開会いたします。 初めに、厚生大臣から発言を求められております。これを許可いたします。
○国務大臣(橋本龍伍君) 閣議の関係で少しおそくなりましてどうも恐縮であります。 本日は、国民年金制度要綱に関しまして御説明を申し上げたいのでありますが、それに先だちまして、今までに当委員会において問題になりましたことにつきまして、その後、処理をいたしました若干の案件について簡単に御連絡申し上げたいと思います。 一つは、先般災害救助法というものは古い法律で、このままでいいかどうか、一つ検討したらどうかという御提案がございました。これはぜひそうせねばならぬと思いましてお約束をいたしたのでありますが、省内で責任をもって検討いたしまするために、先般省議の決定をもちまして、臨時災害救助法調査委員連絡会というものを作りまして、厚生省内におきまして会長を厚生事務次官をもってあてまして、あと関係行政機関の職員、学識経験者を委嘱をいたしまして、これはなるべく急速に検討いたしたいと思いまするので、来年の三月末までに一応の結論を出したいと考えておるのであります。委員連絡会の庶務は社会局の施設課でやらせることにいたしまして、さっそく発足をすることにいたしました。当委員会におかれましても、御意見のございますることを、また、この連絡会審議の過程において御指示を願いたいと考えております。これが一つ。 それからもう一つは、同和対策の問題につきましては、本日も別にあとで御質疑があるそうであります。この問題につきましては、前々からいろいろ政府部内でも相談をいたしておったのでありまして、とりあえず十月十七日の閣議決定をもちまして、同和問題閣僚懇談会を設置をいたしました。正式の審議会を作るというようなことは法律問題その他いろいろございまするので、一刻も早く発足する必要があると考えまして、この懇談会を設けたのでございます。懇談会は、法務大臣、大蔵大臣、文部大臣、厚生大臣、農林大臣、通商産業大臣、労働大臣、建設大臣、自治庁長官、内閣官房長官及び総理府総務長官を構成員といたしまして、内閣に設けたものでございます。この懇談会は、はっきりした幹事会を設けまして、幹事は内閣総理大臣が指名する内閣官房副長官、総理府総務副長官、法務省、大蔵省、文部省、厚生省、農林省、通商産業省、労働省、建設省及び自治庁の各事務次官をあてました。懇談会の庶務は内閣官房において処理することにいたしまして急速に発足をいたすつもりでおります。この閣僚懇談会の審議によりまして、さらにこの上のいろいろの問題を考えるということにいたしました。とりあえずこのことだけ御報告を申し上げます。
○藤田藤太郎君 年金に入る前に、今の御発言の第一次の水害対策、要するに、今の大臣の発言の第一回の問題について、この懇談会ですか、審議会ですか、お作りになったという災害対策、要するに、この府県の災害対策が、要するに緊急な指定がされるのは一週間か長くて三週間ぐらい、その期間が切れたあとの処置というものが、どうもどの災害の現地を見ても問題になっておる。この問題は、ぜひ切れたあとの生活の問題や更生の問題や、それから、そういう問題の切れたあとの一定期間どう援護していくか、こういう点を特に私はその懇談会か審議会か知りませんが、そこで検討してもらいたい。これはもう非常に重要な問題ですから、それだけをぜひ要望しておきます。
○国務大臣(橋本龍伍君) 先般の委員会で、山下委員から御発言がありまして、災害救助法も古い法律で、どうもあのまま使っているのだけれども、あれで十分かどうか疑問があるので、長い制度の問題として検討してみるべきだという御発言がありました。もうこれは他からもそういう御意見がございまするし、ごもっともだと思いまして、ぜひそうせねばならぬと思って開いたわけであります。ただいま御発言のございましたことは、災害救助法というものを、ぜひ長い制度として生かす上で大事な問題だと思います。十分検討をいたす議題として考えて参りたいと思います。
○榊原亨君 今日でなくてもけっこうでありますが、静岡の焼津市における水道による赤痢の蔓延についても、厚生省でお調べになりましたところをお知らせをお願いいたします。それはきょうでなくてもけっこうであります。
○委員長(久保等君) それでは、その点は、次回に厚生当局の方からお答えを願うことといたします。 —————————————
○委員長(久保等君) 次に、社会保障制度に関する調査の一環として、国民年金に関する件を議題といたします。まず、厚生当局から御説明を願います。
○国務大臣(橋本龍伍君) ただいま議題となりました厚生省の国民年金制度要綱の第一次案につきまして、その概略を御説明申し上げます。 この案は、社会保障制度審議会の答申や各方面の意見を十分参考にして作ったものでありますが、厚生省といたしましては、これに基きまして、さらに検討を続けるとともに、関係各方面とも折衝をいたしましてその意見の調整をはかりつつ、最終案を固めて、来たる通常国会冒頭に国民年金法案として国会に提出をいたしまして御審議をいただきたいと思っておるのであります。 この案の基本的な考え方は、まず第一に、国民年金制度は醵出を基本として、無醵出制度は経過的及び補完的にのみ認めるという点であります。国民年金制度につきましては、これを無醵出制で実施すべきであるという意見も少くはありませんが、これはその財源が全額国庫負担でありますために、膨大な財政支出を必要として、なかなか実現が困難でありまするし、従って、しいて実行しようとすれば低い給付でがまんせねばならぬようなことに相なるのでありまして、これがこの案におきまして無醵出制をとらなかった大きな理由であります。また、一方、制度の性格上、本人にもある程度の負担をしてもらうことが制度を将来長きにわたって健全に発展せしめるゆえんであることなどを考慮いたしまして、この制度は醵出制を基本とし、醵出制のみをもってしては及び得ないところの、現在すでに老齢、障害、あるいは母子世帯の状態にある者、並びに保険料の醵出能力がなかったために醵出制の年金を受けることができない者等に対してのみ無醵出制をもって補足するという建前をとったのであります。 この案の基本的な考え方の第二は、現行公的年金制度の適用者を除くすべての国民を対象としておるということであります。国民年金制度の対象となるべき者のうちには、貧しいために保険料の醵出できないような者も少くないと考えられます。しかしながら、このような人々こそ年金制度を最も必要とする人々でありまするし、このような人々を除外したのでは、この制度の目的とするところが達せられない結果となることを考慮いたしまして、醵出制という制度の基本的建前をくずさない限度においてこのような人々をも適用対象としたのであります。また、要すなわちいわゆる家庭の主婦をも対象といたしましたのは、老齢、障害、あるいは母子世帯という状態になったときは、夫であると妻であるとを問わず、それぞれの権利として年金を受けられるところに制度の本質的な意義があると考えたからであります。なお、現行公的年金制度の適用者は、国民年金制度の対象からは除外いたしております。これはこれらの人々は、一応すでに現行の公的年金制度によって守られておるという理由によるものでありますが、国民年金制度と現行公的年金制度並びに現行公的年金制度相互間のいわゆる通算調整の問題につきましては、その具体的方法について引き続き検討いたしまして、明年度中に最終的な結論を得たいと考えております。 第三に、この制度の具体的な内容について簡単に御説明申し上げますと、醵出制は二十才から五十九才まで四十年間加入せしめる。保険料は三十四才まで一人月百円、三十五才以上月百五十円としております。また、年金の種類は、老齢年金、障害年金及び母子年金の三種類として、老齢年金は、保険料の醵出期間に応じまして六十五才から原則として月二千円から三千五百円を支給することとし、障害年金は、厚生年金保険の一級及び二級程度の障害に該当する者に対し、二級の場合には老齢年金相当額として最低二千円を支給するものとし、一級の場合にはそれに月五百円の加算を行い、最低月二千五百円を支給することとし、母子年金は、十八才未満の子を有する妻に最低月千二百円、子一人につき四百円、従って、母と子二人という標準母子世帯の場合には月二千円を支給し、また、十八才未満の遺児に対しては最低月六百円を支給する等、それぞれ老齢年金の二分の一及び四分の一相当額を基本額とし、これに子の数に応じて加算した額を支給することにしております。 次に、無醵出制の方は、老齢月千円、障害月千五百円、母子月千円といたしまして、母子については第二子から若干の加算をすることにしております。 なお、醵出制に比べまして要件が若干きつくされておりまして、老齢については七十才からといたしました。障害の程度は、厚生年金保険の一級程度にいたしました。また、母子は十六才未満の子を有する者に限られておるのであります。 第四に、この制度の実施に必要な事務機構についてでありますが、制度の適正かつ円滑な実施をはかりますためには、完備された強力な事務機構を必要といたしますので、中央、地方に必要最小限度の機構を整備して、事業の有機的運営に当らせたいと考えております。 第五に、財政の問題でありますが、国は醵出制年金については、給付額の三分の一及び若干の整理資源を負担することとし、無醵出制年金及び事務費については全額負担することといたしております。 最後に実施時期でありますが、これはすでに申し上げました通り、醵出制及び無醵出制とも昭和三十四年度から実施いたしたいと考えております。ただこの場合、無醵出制については昭和三十四年の九月分から裁定され、醵出制については昭和三十五年の十月ころから保険料の徴収が開始されることになろうと考えております。 以上が、去る九月二十四日公けにいたしました厚生省の第一次案の概要でありますが、この案の骨子をなしておりまする考え方は、恒久的制度たる国民年金の確固たる基礎をこの際、固めておきたいということでありまして、この基礎の上に立って年金給付等制度の内容が、将来の国民経済の発展、国民所得の増大に対応して改善充実されることを可能ならしめるようにしたいと、念願をいたしておる次第でございます。 以上、ごく概略の御説明を申し上げた次第でございまして、御質問によりまして、さらに内容について御審議を願いたいと思います。
○委員長(久保等君) 御質疑を願いたいと思います。
○山下義信君 国民年金の問題は、減税とともに現内閣公約中の最大の課題でありまして、去る五月選挙に、意外にも政府与党が好成績をあげたのは、一にかかってこの国民年金の公約にあると言われておる。それだけに大問題であります。 法案こそまだ出ておりませんが、実はこの臨時国会を通じて論議されるべき重要問題の一つであると私は思っております。今日は、警職法等の政治問題のために煙幕の中にひそんでおりますが、やがて明春の選挙を左右する重大問題になると思っておるのであります。 本日若干の基本的諸問題につきまして、厚生大臣の御所信を伺おうとしますことは、私は決して徒労でないと信じておるのであります。それは、政府のこの第一次案は、一つの案をお示しになったのでありましてまだ決定的に法案そのものにはなっていないわけでありますから、その決定的に固まる前に論議いたしますることは、相互に有益であると思います。また、一部におきましては、政府の方針がどうきまるかということに注目をいたしておるときでもありますから、この際、御所見を伺いますことは私はむだではないと思う。従いまして、私も注意をして質問を申し上げたいと思いますので、大臣におかれても、なるべく具体的に、かつ、明快な御答弁をいただきたいと思います。 第一点は、政府の年金案につきましては、ただいまの大略の御説明にもうかがえますように、いわばこれは暫定的な制度である、で、恒久制度への基礎を築くのだと今おっしゃった。将来これを改善、充実する基を作るのだ、こうおっしゃった。言いかえるというと、この案は理想的な制度ではない。でありますから、現実に即して、まあ実行しやすい案ということになるのでありますが、端的に申し上げますれば、暫定的な制度である。そこで、この暫定的な制度、暫定的な案から理想的な国民年金制度へ移っていく、進んでいく、そういう考え方が、政策がなくちゃならぬ。で、それがこの案の上には見えておらぬのであります。そこで将来、理想的な国民年金制度というのはどういうことを考えておるか。どういうものが政府当局では理想的な国民年金制度と考え、それに到達するのが目標であって今はこれはスタートである、だから、この暫定案でいくのであるけれども、やがては理想的な国民年金制度へ到達するのだということが目標でなくちゃならぬ。これはスタートなんです。目標のないスタートなんてあり得るはずがない。そこで、この暫定案からやがて理想的な国民年金制度へ進んでいく、この国民年金制度の年次計画というようなものでもあるのかどうかということを伺いたいのであります。 同時に、この国民年金制度ができますと、言うまでもなく、医療保障と所得保障の二大柱ができて、多年の要望の所得保障制度の一つの柱が打ち立てられ、わが国における社会保障制度の大体の体系がここでできたこの機会に、社会保障制度の全体を見渡して、全体の制度についてのバランス、あるいは総合的な調整、いろいろと私は再検討して、わが国の社会保障制度の完備をはかっていかなくちゃならぬと考える。それに対してどういうふうな、政府には基本的なこの国民年金制度——この案を実行し、これをスタートとして、将来あるべき理想的な国民年金制度とはどういうものを考えておるのか、また、それに進んでいくプロセス、年次計画はどういうふうに考えられておるのかという諸点につきましてまず、大綱の御所見を承わりたいと思うのです。
○国務大臣(橋本龍伍君) 実は、ただいまの御質問を承わりましたが、山下委員は、私の御説明申し上げましたことについて誤解がおありのようでありますが、実は私は、これを暫定的な制度というふうに考えておりません。で、申し上げましたのは、この案の骨子としている考え方は、恒久的制度である国民年金の確固たる基礎をこの際固めておきたいということでありまして、給付の内容としては、なお不十分でございまするけれども、制度の建前としては、最初のときからこういったふうな考え方でいくということを固めておきたいということでありまして、この制度は暫定的な考え方でなしに、こういう立て方で将来いきたいと考えているのであります。ただこの給付内容につきましては、国民経済の発展、国民所得の増大に対応して、改善、充実をはかることを可能ならしめまするように、この制度が弾力性を持つように、あまり大きな借金のようなものを出だしのときから非常に大きくしようというようないき方を避けますと同時に、こういう立て方に立っての年金の数理計算を五年に一回ずついたしまして、その内容を検討いたしまして、将来の余裕を生ずるに応じて、逐次内容を充実して参りたいと思っております。 内容充実の方向といたしまして、給付金額の問題と、それからもう一つは、たとえば障害年金に対しまする障害の程度でありまするとか、それから母子年金の支給の条件でありまするとか、そういったような問題が出て参ると思いまするけれども、それを漸次充実をして参りたいということでありまして、年金制度の建前といたしましては、これが暫定案でなしに、こういった基本方針に従って伸ばして参りたいと考えておるのでございます。
○山下義信君 私が暫定案と申し上げたのがよほどお気にさわったらしい。私から見ると暫定案に見えるのです。私の批評なんです。あなたがおっしゃったのじゃない。しかし、これが永久不変の制度である、完全無欠の制度であるというお考えではないでしょう。これは、あくまで現状に即して、恩給あり、厚生年金あり、共済組合制度あり、既存の各種の年金制度ある現状に即してその上で国民年金制度をどうするかという考え方でおやりになったのでしょう。永久に恩給もこのまま、永久に厚生年金制度もこのまま存置し、永久に各種の共済年金制度もこのままになさるのですか。私は御所見を伺いましょう。あなたの理想的国民年金制度とは、既存の年金制度の現状をこのままにして、そういう上に立って今第一次案をお立てになったような、これがわが国における国民年金制度の理想的なあり方ですか。そんなことを言っているのはだれがいますか。参考に承わりましょう。もし、それがわが国の理想的な国民年金制度であるとおっしゃるならば、それは橋本厚生大臣の初めてお口になさる新説です。だれも、自他周知のごとく、理想的な国民年金制度とは、あらゆる制度を打って一丸として統一をしてそうして一つの年金制度にありたいということが、だれも考える理想です。職業別も廃止し、いろいろな制約も廃止し、しかもあの厚生年金の支給、その他の年金の支給に当りましても、できるだけ所得の制限を撤廃したいということは、皆理想として持つところでしょう。これが理想案というに至りましては、私は驚くに余りあるのでございます。そういうことをお考えになりませんか。やがて各種の年金を統一して、一本の姿で、全国民がことごとく同じというような年金が考えられるような理想の制度を持ちたいというお考えはお持ちにならないのですか。これが完全無欠な理想案である、これ以上の案はないのである、こういうお考えですか。私は今のような、もし、統一的な国民年金制度を持つというならば、これは現状に即してとりあえずこういう案でスタートをしていこうという批評をするならば、これはお気にさわるか知らぬけれども、暫定案——暫定案がお気に入らなければ、これは一つの現実案といいましょうか、現実案なら少しお気に召すかもしらぬ。
○国務大臣(橋本龍伍君) 御質問の趣旨と、私の答弁と少々食い違っておったようでありますが、私の申し上げましたのは、この今日提案をいたしております国民年金の制度、あれの中にうたっておいたのでありますが、既存の公的年金との関係等については、御説の通り、これは将来の理想として統合調整を考えなければならないのでありますが、今日はとりあえず、そのほかの、それを除いた部分について国民年金というものを考えたという建前であるわけであります。私の申し上げましたのは、厚生省第二案で申し上げましたような意味における国民年金の制度の建前としては、醵出制を基本にして、無醵出制を加味いたします。で、その場合におきまするこの醵出の仕方の問題、また、国庫負担のあり方の問題、それからその年金の立て方の問題、そのバランスのとり方の問題というようなものについては暫定案ではなしに、やはり基本的な構想を立ててそうして漸次内容の充実をはかって参りたいということを私申し上げたのであります。そういうような意味において、国民年金の制度、つまりとりあえずの問題としては、現行公的年金を除いたほかの部分に対して強制的に適用するのを国民年金としてこの際発足をいたしますというふうに申し上げておるのであります。その部分の国民年金の制度というものは、これは暫定案というのでなしに、こういう形で伸ばして参りたいという基本を考えておるということを申し上げたわけであります。そこで、現行の公的年金との関係につきましてはお話の通りでございましてこれはなかなか既得権の関係等がありまして、直ちにこれを総合調整するというわけに参りません。で、実はこの厚生省第一次案を立てますに当りましても、社会保障制度審議会の答申に従って、結局は社会保障制度審議会の答申に従って、現行公的年金制度の適用者を除いたものに新国民年金制度を適用することにいたしたのであります。最初よほど工夫をいたしましたのは、とにかくこの国民年金制度は全国民に適用いたしまして、公的年金の方には二重加入の形にしておいて、現行の公的年金制度の方で適宜それを調整すればしていくということを別に考えるのはどうかということをだいぶ考えてみました。今日の問題としては、いきなりそこまでなかなか割り切れかねますので、この制度といたしましては、一応現行公的年金制度を除いた人々に適用するということにいたしたのであります。で、無醵出制の問題については、これで一応発足できますので、来年度から発足いたしますが、醵出制度の問題につきましては、諸般の準備をいたします上に相当の手間がかかりまして、どうしても醵出の始まりますのは、先ほども申し上げましたように、昭和三十五年の秋ごろからになるかと思いますので、そこで結局、それまでの間に何らか現行公的年金制度との関係、あるいは二重加入でいくなり、あるいは通算でいくなりという関係をきめればよろしい、あとはきまったところで法律を追加していくということにいたしたいと思いまして、次の通常国会に提案をいたしまする法案は、一応ただいま御説明申し上げましたような形でいきまして、そうしてあとは委員会、審議会といったようなもので、各方面からも御意見が出ておりますが、検討いたしました結果、できればまあ来年の夏か秋くらいまでの間に結論を出しまして、それに従って醵出制度の方をもう一度考えていくというふうにいたしたいと考えておるのであります。もちろんその場合におきましても、なかなかもって、恩給でありまするとか、厚生年金でありまするとかの関係を、直ちに割り切ってしまうということはなかなかむずかしいと思います。で、ただし、どうしても少くとも通算その他これとの調整の方法を考えて発足をすることにいたしたいと思います。その上で長い将来の問題といたしましては、やはりものによりまして特別に考えなければならぬ部分もございましょうけれども、現行の公的年金制度とのつり合いのとれた、何らかのとにかく調整措置というものはぜひ考えていく必要があると考えておるのであります。先ほど私の御説明申し上げたのは言葉が少し足らぬようでございますので、大体そういうふうに考えておるのでございます、でそういうふうな総体的な意味から申しますれば、もうまさしくこれは今日の現状に即した暫定措置としていく、こういう建前をとっておるのであります。総体的な問題はまだまだこれからさきいろいろと検討して参らなければならぬと考えております。 なお、ついでに申し上げておきますが、イギリス等でも、最初低額で掛金を取り、低額で支給するというのでスタートをいたしました。ところが、その後だんだん掛金も多くするから給付も多くせいというような、多少退職金的な趣旨を含めた給付の要望が強くなっておるようでございますので、その点は現行の公的年金制度との調整関係を考える上でも、やはり今日スタートをする国民年金制度の上で考えていった方がいいと思いまするので、まだはっきりきめてはおりませんけれども、一応の掛金、一応の給付をきめた上で、掛金を多くして給付を多くする方法であるとか、あるいは給付の開始年令を繰り下げて給付を多くする方法であるとか、こういったようなものを制度の中に取り込んでかかった方がいいのじゃないか、それの方が将来の公的年金との調整の上でもいいのじゃないかと思って、そういう点も考えている次第であります。
○山下義信君 私は要望しておきますが、こういう制度を生み出してお進めになるには、その背景となるべき基本的な、将来を見渡しての、どうか一つ年次計画のようなものをお持ちを願いたい。たとえば厚生省が国民皆保険計画を持っているかごごとく、やはりこの種の計画につきましては、一つその背景となるべき総合的な年次計画をお持ちを願いたい。そういう計画の上に立ってこれが今日の実施案であるということになりますと、その説得力が、力が違う。この案の持つ力が違うのでありまして、これを一つぜひ御検討を願いたいと思う。 そこで、社会保障制度のことに関連して伺いましたから、この話をしだすと、きりがありませんが、一応お心がまえを聞いておきたいのは、これもきょうすぐ——先ほど私が全体の社会保障制度についてのまた一つ基本的な計画も考えて、ごらんなさいというようなことを言いましたが、これもきょうすぐ御所見承わるのは無理かもわかりませんが、たとえば昭和三十六年度になりますと、この年金制度に投ずるところの経費と、従来の社会保障諸費と合計してどれくらいの社会保障費になるでありましょうか。その辺の目安はついておりますか。私がちょっとつまみ算をいたしまして、恩給等を加えまして、あなたの方の御資料を入れまして、国民年金制度に投ずるところの経費、恩給諸費、その他今日あるところの社会保障諸費を入れますと、約二千八百億、かれこれ三千億に近い予算額になるように思われます。そうすると、三十六年度の総予算がどのくらいになるか知らぬが、いつでも口ぐせに言うておったところの、社会保障の諸費が、やあ先進諸国は二〇%だの何だのとうらやましげに言っておりましたが、ほとんどこれに近いパーセンテージを占めるようになってくる。これは実に膨大な経費を予算の上に占めるようになって、これからの大蔵大臣は、社会保障制度のこともわかったような者でなくちゃ大蔵大臣が勤まらぬようなときがくるでしょう。現橋本厚生大臣のような人でなくちゃ料理ができないようなときがくると思うのでありますが、そういう膨大な予算を占めるようになってくるということは、言いかえますと、福祉国家に漸次歩を進めていくということ、その全体の制度がどうあるべきかということは、当然これは大きなわが国の政治の重要部分、大部分でありますから、いろいろに検討しておかなくちゃなりませんが、ともかく昭和三十六年度における社会保障制度の費用がどのくらいになるという見通しを持っておられますか。
○国務大臣(橋本龍伍君) 総体の問題については、実は私も心しておるのでありますが、いろいろな要素がございますので、まだはっきりしためどを持っておりません。ただ非常に大きな項目でありまする国民皆保険の国民健康保険分の経費の問題、それから国民年金の経費の問題についてだけ御参考に申し上げてみたいと思います。 先般試算をいたしてみましたところによりますと、これも受診率の伸びであるとか何とか、事務費の見方等いろいろ問題がございますが、国保関係の国費が、一体、皆保険ができ上りました昭和三十六年度におきまして大体給付費において二百数十億ぐらい、事務費につきましてやはり数十億、両方合せまして三百億を少しこえるぐらいになるかと思います。 それから国民年金の制度につきましては、この案で計算をいたしまして、昭和三十六年度分で見ました場合に、醵出金に対する国庫補助を醵出時に入れて参るという建前をとります場合には、約六百億円ぐらいに相なりますが、この醵出金に対する国庫補助を、醵出時でなくて給付時に、そのかわり利息を加えた金額で入れるという立て方にいたしますれば、昭和三十六年が四百二、三十億ぐらいに相なろうかと考えておるのでございます。 で、そのほかいろいろな問題がございますが、たとえば、結核の問題等については、今いろいろ考えておりまする対策のあり方の問題でありまするとか、それから、ことに金額として見積る場合に大きな要素になりますのは、環境衛生関係の費用をどれくらい盛って参るかといったような問題でございますが、ただいま山下委員御指摘の、社会保障を中心にいたします厚生省所管の、将来の末長い意味での財政計画というものは、非常に大事な問題だと思って検討はいたしておりますが、今総体の予算としてどれくらいのめどということを申し上げるには、もう少し研究をいたしてみたいと考えております。
○山下義信君 次に参りましょう。 第二に伺いたいと思いますことは、これはもうだれも言っておることなんですから、私も言わしてもらいましょう。これは先ほどの御説明や御答弁の中でも、ちらりとお示しになりましたが、今の月三千五百円の給付、年四万二千円、これは恒久的なものじゃない、漸次充実していくということ、それはそうでしょう。当然のことでありますが、何にしても、今幾らかけて何年かけて幾らもらえるか、この三つが何といったってこれは年金制度のポイントでありますから、だれでも関心をひくので、「三千五百円くれるのだそうだ、百五十円かけて。」、「何年かけて、」、「四十年かけて」、「ほう、」、こういう形で幾らもらえるかというと三千五百円だ。こういうことになる。これはだれでも問題にしますが、私も一応さわっておかなきゃなりませんが、これは少し少額じゃないか、月並みですけれども、伺わなくちゃならぬ。言いかえますというと、この三千五百円という給付じゃ、年金々々と太鼓たたくほどでなくて魅力がないじゃありませんかと伺う、私。魅力がないじゃありませんか。同じ年金制度を実施なさるのならば、魅力のある給付額を一つお考えなすったらどうでしょうか、こう言いたい。また、お気にさわるかもしれませんが、私から言わせれば、三千五百円とは何ぞや、言いかえると生活保護費なんです。生活保護の基準なんです。それは政府の御説明の通りなんです。四十年先の三千五百円、今日に直してみるというと二千円なんです。二千円とは何ぞや、すなわち六十五才以上の老人の生活扶助の基準額、俗にいう動物的生活と言われておるあのみじめな生活の、今日の生活保護法の与える扶助の基準額です。そうすると、せっせと掛金をかけさしておいて四十年もかけさしておいて、そうして六十五才になってもらえるのは何がもらえるのかというと、生活扶助がもらえるんだ。生活扶助を受けるために、生活扶助の金額を受けるために、手前が四十年間金を積み立てていくんだ、こういうことです。そういう金を積み立てなくても、そのときに生活に困っていれば生活扶助がしてもらえるんだ。何のためにかける。四十年かけた者と、一文もかけない者と、四十年先で生活に困っていれば生活扶助をもらえる。こんな魅力のない年金制度じゃ、それは国民が喝采しません、魅力がない。私は魅力がないと思う。それからこれをどういうふうに御返答下さるか。 それからいま一つは、無醵出年金、私はこの給付額が少いということを非難して御質問申し上げる。魅力がないという点で御質問申し上げる。言葉をかえて言うと、この政府案、国民年金という名はりっぱに使っているが、実は生活保護法のすりかえじゃないか、こういう悪口を言って非難をしてみる。無醵出年金の一千円、無醵出年金とは何のためにするか。厚生大臣はどうお考えになるか。経過的とか過渡的とかいうのは、それは客観的なその制度そのものを表現していることなんです。その経過的、過渡的に無醵出制度というものを置く目的は何であるか。無醵出制度をあわせ行う目的は、当面その対象者がいるから、どうにかしてやらなければならぬからということ、いわゆる重大なる無醵出制度をやろうという目的は、国民年金制度というもののうまみを、ごちそうを食べさせてみようじゃないか、こういうことです。目の前に食べさせてみようじゃないか。いかなるいい制度であっても、このうまみを知るのは四十年先である。途中の各種の給付は別として、一応四十年先にならなきゃ果して老後の生活を保障してもらえたか、どれだけ役に立ったかということは四十年先になってみなければわからぬけれども、それじゃわけはわからない。そこで目の前に現実にこのうまみを食べさしてみようというのが無醵出制度の持っておるところの重大な意義なんです。それが千円であって、しかもこれに非常なミーンズ・テストをして、所得制限を加えるというようなことでは私は魅力がないんじゃないか。ですから、醵出制でいうところの三千五百円は、生活保護法の生活扶助の基準額を換算しただけのものである。生活保護法のすりかえじゃないか。魅力がないんじゃないか。無醵出年金制度の方でいうならば、金額の千円はともかくも、あまりこの給付の資格制限をしぼり過ぎちゃいないか、こういう二点を一つ私としては感じますが、厚生大臣はどういうふうにお考えでございましょうか。
○国務大臣(橋本龍伍君) もう山下委員もよく研究して御存じだと思いますが、この三千五百円、千円という金額は、政府が諮問いたしました内閣の社会保険審議会におきまして、一年間いろいろ審議をせられました答申の趣旨を尊重しているわけでございまして、内容につきましての考え方は、答申案に盛られた通りでございます。で、私その採用いたしております要点といたしましては、この国民年金の制度は、もちろん将来の理想といたしましては、完全な所得保障、これだけで食べていかれるということが理想であろうと思いますけれども、当面の問題として、なかなかそこまでいたしかねるのでありまして、やはりこれが生活のよりどころとして相当大きな力になり、これ全部で生活ができなくても、生活のよりどころとして一つの根拠になるというところをねらって、国民年金の制度を創設いたしますることは、十分意味のあることだと考えております。で、イギリスなどでも、なかなか国民年金だけでは食べられませんので、いよいよ収入のない人は、生活保護とあわせてやっておる状態でございます。で、この今回立案をいたしました国民年金の制度にいたしましても、これだけでまるまる食べてはいけないけれども、やはりこれをこの老齢、母子、障害という人々に差し上げることによって、生活の基礎づけというものを相当強くすることができる。で、今までよりも、よほどやはり家庭内においても大事にされるし、安定してものを考えることができると考えておるのでございます。従いましてこの三千五百円の計算の仕方といたしましても、地方における老人単独世帯の金額をとったということは、これはやはり相当の意味があると考えております。で、これをほったらかしておけば、生活保護を受けられるじゃないか、それと同じじゃないかということにつきましては、これはもう国民年金の制度は、いよいよそれだけで、生活しなければならぬという人に生活保護をするというのでなしに、一応はそのいろいろな家庭の関係その他で、食べるだけは食べていける人たちに対してこの国民年金を差し上げるわけでありまして、従いまして、これだけで食べていくんだという建前を考えて、これでは魅力がないというふうなのは、私はお考え過ぎでありまして現在とにかくこのいよいよ生活保護を受けている人たちに対しては、これは国民年金ができても、生活保護の金額を、日本でもやはりイギリスと同じようにやらなければならぬと思いますけれども、そうでないほかの方々にとっては、現在とにかく一応暮しておるんだけれども、その上に、とにかくこれだけの年金があるということは、これはスタートの時期においても、私は相当の魅力と関心を呼び得ると考えておるのでございます。で、なお、この仕組みの内容といたしましては、この百円、百五十円の機械的な合計の金額が、四十年間で六万三千円になります。これを利子を取り合せまして、結局支給開始の六十四の時期に二十四万円になります。それに国庫負担十二万円を合せて、約三十五、六万程度の資金を、六十五才までに、結局年金制度の中で蓄積をいたしまして、それからあと余命のある限り年金を支給していくという行き方でございまして、この内容をごらんいただきましても、この御本人の負担金額として百円、百五十円あたりが限度じゃないかということ。それから国庫負担等をいたしましても、三分の一ぐらいがまあ、当面考えられるやはりこれも限度じゃないかということを考えて参りますと、内容的にも、これはかなり緻密に運用を考えておりまするし、受け取る方からいいましても、今言ったように、これだけで生活保護と同じような意味で受け取るんだということでなしに、一応の生活の上に受け取るんだということを考えたときに、十分意味があると考えております。ただ、ただいま御提言のございました資格制限というものをなるべくやるなというお話は、その通りでございまして、これはまあ、ことにすべり出しの際の財政問題等から考えて、いろいろな意見がございまするけれども、私は国民年金制度というものを考えまする限り、特に所得制限というものを非常に大きくするのはよくないと考えまして、ただいまお話のございましたような趣旨で、その制限の方をなるべく少くするように、今後も最終まで努力をいたしたいと考えております。
○山下義信君 無醵出年金制度の所得制限の点につきまして、一部においては、もっと制限をし、もっと対象者をしぼり、はなはだしきに至っては、たとえば老齢でいうならば、七十五才以上からということにして、できるだけ国庫負担を少くしなくちゃならぬというような説が強いやに承わっておりますが、この無醵出制の年金の受給資格等につきましては、大体この政府案を押し通すというお考えでございましょうか。どういう御方針でございましょうか。
○国務大臣(橋本龍伍君) 無醵出制の年金の問題につきましては、特に当初のすべり出しの来年度からの財政問題として、ただいま御指摘のように、これをもう少ししぼれないかという意見が一部にございます。そのしぼり方の問題といたしましては、この年令七十を七十五才にするという意見がございましたり、それからとにかく家族の中に所得があれば、それで大きく制限をしていくというような意見があったりするのでありますが、これはもうただいまも御指摘の通り、七十才を七十五才にするということは、これはもうほんとうに非常に魅力を減殺するものでございまするし、対象人員もそれでずっと減って参りまするし、なおまた、国民年金制度という建前から申しますると、ことに家族の中の所得というものを、むやみやたらに、所得があるから、これで食っていけるからいいじゃないかというふうなことにいたしますると、国民年金制度の基本がくずれていってしまいまするので、できるだけこの所得制限を少くしたいと思って努力をいたしておるのであります。で、私は今日主張いたしておりまする原案の筋を貫いて参りたいと考えておりまするし、この国民年金の審議にあずかっておる人々の間でも、そういう意見が非常に強いのであります。私も心頼みにいたして、努力をいたしたいと考えております。
○山下義信君 やはり厚生大臣としての確固たる信念のもとに、これはぜひ押し通していかなければならぬという方針の点は、一つこの機会に強調して下さい、私はそういう意味で、本日の質疑が必ずしも無益でないと、こう思う。 そこで、次に伺いたいと思いますことは、言うまでもなく、年金制度の建て方におきまして、今厚生省第一次案は、御説明のごとく、醵出制度をとっておいでになる。多少御説明のときにお触れになりまして、無醵出制についての御所見をお漏らしになりましたが、醵出制がいいか無醵出制がいいかということは、年金制度における言うまでもなく有名な一大論争点なんです。これはほんとうに考えてどっちがいいかということは、私はにわかに即断を許さぬと思う。そこで、今日、皆、醵出制を審議会の五人も、あなたの方も皆おとりになる。わが党の案も一応そうなっております。しかし、ただ単に単純な醵出制ではありません。私が党の案とは別に、個人としては別の意見を持っております。しかし、これは差し控えておきます。私は、無醵出制にも必ず一がいに国の財政負担が非常に膨大になるから——ほとんど今日無醵出制でもって年金制度をやるということになれば、一千億を要するだろう、巨額な経費を要するだろうとこう言う向き、醵出制になると国民は負担が少くて済みますが、やはり百円や百五十円の醵出も一つの税としてこれを考えて予算に計上したら同じことじゃないですか。やはりただそれが幾らか先へ先へとあめのように積え立て方式のような形をとりつつ、長いこと延ばしていきますから、一カ年の醵出額は無醵出制でやる必要経費よりは比較的少額でしょう。しかしながら、この四十年という長期なこの醵出の、しかも積み立て方式にもまことに危険がある。私どもから言わしめると、一応は書いてみた、プリントにしてみた、案としてやってみた。ことしも来年も、百円、百五十円とってみた、三年先に戦争が始まったらどうする。すでに今日の厚生年金制度も実に悲劇を見ておる。多くの労働者から保険料をとり上げて、その労働者も大半行方不明で、今日おそらく発足当時の被保険者である資格を継続しておる労働者というものはきわめて少いでしょう。三割か四割でしょう。大部分はこの年金制度の恩恵を受けないで、もうすでに脱落してしまっている。しかもおそらく今日の厚生年金制度の財政を検討したらば赤字でしょう。非常に大きな大穴があいているのじゃないでしょうか。これも厚生年金法のおそらくどうしても何とかしなくちゃならぬ最大の問題でしょう。これは結局、戦争やインフレによって、いわゆる厚生年金制度というものが非常な悲劇を見てきた。この四十年という長期の国民年金制度の計画も、この間が平穏無事な平和時代が続いてという想定のもとなんです。戦争があったらどうする。一ぺんにこれはつぶれてしまう。インフレがあったらどうする。一ぺんにつぶれてしまう。同時に、結局、これは御承知の、今御説明になりましたように、結局この制度というものは、自分の手で自分の老後のことは考えろ、こういう御趣旨のものなんです。これは私は、年金制度としての制度の基礎になる理論にはならぬと思う。手前のことは手前で考えろ、結局老後の貯金を奨励していると同じことなんです。これはどこかで同僚諸君がこれに触れておったようでありますから私は繰り返しませんが、醵出制をおとりになったという年金制度における理論的根拠いかん。かつまた、私は、無醵出制というものもなかなか味おうてみるというと、一がいにはこれは捨てがたい趣きがある。ことに、今日、厚生年金制度の機構において約七十億も八十億も要るという話なんだ。これはまた、あとで次に私は伺いたいと思うのです。非常に膨大な経費をかける、つまりコストが高くつく、事務費が高くついて事務費をたくさんかけて、そうして給付の貧弱なもので、実にこれは年金制度の何といいますか、まずい、きわめてまずいことで、極力避けなければならぬ。そういう点からしましても、無醵出制というものの私は一つのこの制度というものは、研究してみるべきだと思う。たとえば最近流布されておるところの売上税、私はこれは必ずしも排斥すべきじゃないと思う。こういう点に橋本厚生大臣は一隻眼をお持ちのお方でありますが、この一ぺんきり取るところの売上税、購買力のある者が負担していく、これが年金制度の目的税になっておる。これは実に徴収もしやすいし、そうして税金によって年金制度をまかなわれていく、きわめて簡単にこれは行われる。私はこの醵出制をおとりになりました理論的根拠並びに今一部において唱えられておるところの売上税等を目的税とするところの無醵出年金制はどうであろうかということに対して、厚生大臣の確たる一つ御所見をこの際承わりたいと思う。
○国務大臣(橋本龍伍君) その醵出制、無醵出制の問願は、仰せの通り、十分両方ともいろいろ根拠がある問題でございます。で、私どもの所見の理論的根拠は、詰めて申しまするならば、内閣の社会保障制度審議会の答申せられましたこの醵出制をもとにして無醵出を勘案するというところに述べられたのと同じ趣旨でございます。で、要するに、この制度の立て方の問題といたしましてこの国民年金の制度を立てて参りまするに当って、御当人自身が若くて、そうして仕合せな時期にある程度積み立てをしていくということと、それからもう一つは、所得の再配分という意味を含めて国庫負担で醵出金に対する補助をいたして参るということと、それからそれともう一つは、国家的な制度として全国に強制適用してそうして管理運用していくということをあわせて、そうしてこの国民年金の制度を立てて参りますことがこの財政的な観点から申しましても、給付を最も大きくしやすいし、それからまた、国民年金の制度というものを末長く運用していく建前からしてもよろしいと考えたからでございます。で、先ほども申し上げましたが、その間におきまする御当人の寄与、それから国庫の寄与、また、国家的な制度によって管理運用することによりまするところの寄与というものをあわせて計算をいたしますると、この御当人の百円、百五十円の掛金を機械的に計算したのが六万三千円で、そうしてこれを四十年間運用をいたしまして、利子を合せて二十四万円までふくらませましてこれは国家的な制度で管理運用する利益でありますが、それに、その間におきまする国庫負担十二万円が加わりまして、結局三十五、六万の資源を一人々々について六十五才までに積み立てをして、余命の間、支給をしていくという立て方でございまして、私は決して自分の出したもので自分の老後を見ていくだけのことじゃないというのは、もうこの計算でもわかりますように誤まりでありましてで、いろいろな点を勘案いたしまして、この掛金もきめたのでありますが、それを若い丈夫な時代にお掛けを願いまして、それを国家的の制度によって管理運用することによって初めてこれまでの支給ができるわけです。無醵出の制度というのは確かにこのやり方が簡便であるといったような問題、御指摘のような問題はあると思いまするけれども、全額国庫で見るということによりまして、やはり国庫負担の大きさということと関連をいたしまして、やはり給付金額を十分に伸ばすことができないという不利益があると考えておりますし、それから将来の何と申しまするか、給付を増額いたします要請がだんだんに一般国民所得の増大とからんで出て参ると思うのでありますが、そういうような給付の内容改善のような場合におきましても、やはり醵出制度をとっておきますれば、その際の必要に応じて掛金の増額ということもできますけれども、税は税でとって、かりに目的税であっても、税は税としてとって、給付は給付として出すという形でいきました場合に、なかなかその間のつまり給付の増額の要望に応じて財源を直ちにそれだけ確保するということがうまくいくだろうかというような点、いろいろの点を勘案をいたしまして、主たる理由は社会保障制度審議会の答申に述べられた通りの趣旨によりまして、無醵出制を全面的に採用するということをいたさなかったのであります。
○山下義信君 これは一朝一夕に議論がつきませんから、他日の機会に譲ることにいた、しましょう。要するところ、醵出金でもって将来うまくふくらましてやってみよう、こういう趣旨が醵出制でありますから、これはいろいろの危険なり、また、そんなに筋書き通りいくかいかぬかという問題がありますが、これは他日に譲ることにいたしましょう。それで醵出制をおとりになりました点において、今日の国民の状態では醵出にたえがたいものがおよそ七百万人ほど国民の中にある、こういうことでありますが、大体これは各種の政府の御資料の中に出ておりますが、七百万人というのはどういう見積り方になっておりますか。たとえば生活保護を受けている者とか、所得のない者とか、また、低額所得の者であるとかいうようなものを集めて、およそ醵出能力のないと思われる者が七百万人ということでありますが、内訳はどういうふうなお見込みになっておりますか。
○国務大臣(橋本龍伍君) 政府委員から答弁させます。
○説明員(小山進次郎君) ただいまお話の七百万人でございますが、大体のめどといたしましては、現在市町村住民税の均等割を免除されております者をつかんでこの程度と押えておるわけでございますが、概数を申し上げますと、およそ十の分類を集積したものでございます。 第一は、学生でございますが、これは約五十七万程度おります。それから第二が生活保護の被保護者でございまして、これが七十八万程度おります。第三が身体障害者で年収十三万円以下の者でございますが、これが五十五万程度おります。それから第四が二十才以上の未婚の女子で、就業しておらない者、これが百三十四万程度おります。第五が寡婦で、十三万以下の所得の者、これが百七十万程度おります。第六が失業とか、病気のため前年度中に所得のなかった男子が百三万程度おります。第七が新たに二十才に達しました無所得者でございますが、これが五十二万程度、第八が以上あげましたもののうちの男子の妻に該当する者が百二十二万程度、それから第九が市町村当局において実際上把握することができない者が百十万程度おります。それから第十がこの者の妻が六十万程度おります。で、以上あげました者の中には相互に若干の重複分がありますので、これを調整いたしますと、以上あげました者の集計が九百二十五万程度になります。で、このうち市町村当局が把握することの不能な者百十二万人と、その妻六十三万人を合せましたものを控除いたしますと、大体七百五十万程度ということになりますので、この者の全部が実際制度をやりました場合に、保険料を納めることができないというふうに実際上扱われるかどうかという点については、なお、吟味したいと思う点が残っておりますけれども、一応これだけは覚悟してかからなくちゃいかぬという趣旨でこれをあげておるわけでございます。
○山下義信君 わかりました。 次は、問題のこの事務機構の点でありますが、約平年度で幾らの費用になるのですかね、七、八十億かかるでしょう、吟味すると。約人員がおよそ一万三千人ですか、その程度の機構ということでありますが、この事務機構につきましては種々に問題があるようであります。あなた方の内部のことはよく存じませんけれども、しかし、世間に聞えただけでも相当な問題があるようであります。厚生省ではもし現在御提出になっておりまするこの機構案、中央に年金局をお持ちになって、地方の各ブロックに地方監理局をお持ちになって、また、各府県に連絡部をお持ちになって、別に年金審査官をお設けになって、全国に年金事務所をお持ちになる。これは全部別の役所をお作りになるお考えですか。こまかいことを聞くようですが、庁舎等も別にして、あるいは新築その他設営を要するものもあるのだろうと思いますが、すべて新たにお作りになるというお考えですか。あるいは現在の機構の上に乗って、建前としてはこういうふうにいくのだけれども、いろいろ現在あるところの各種の保険機構をお使いになるという考え方ですか。あるいは厚生省のこの機構案がこれがいろいろ難点があるならば、さらに別のもっと簡易に、もっと手やすくつく機構でも考えておいでになるのでありましょうか。一体この年金事務をお扱いになる機構というものはどういうところに落ちつくのでしょうか。この機構ができなければさっぱり何にもできぬ、動かぬ。また、この機構の作り方いかんによりましては、先般のあなたの方の第一次案というものがスムーズにいくかいかぬかということも非常に問題になってくる。いろいろな点を御研究になったのだろうと思いますが、一体この年金関係の事務機構というものはどういうふうに厚生大臣はお考えになっておられますか。その点を承わりたいと思うのです。あわせて、あなたの方のお考えでは年金委員というものを五万五千名ですか、これを置いていろいろな仲介その他の協力的な補助的な仕事をさせようというお考えのようであります。これはどういうものを人選なさるお考えでありますか。また、これらに対する事務費の補助も若干はするというお考えでしょうか。これはどの程度の事務費の補助をするというお見積りになっておるのでありましょうか。少し話が小さくなってきましたが、しかし、これは歯車のことですから、この年金制度が動くか動かぬかという重大な点でありますから、承わっておきたいと、かように考えます。私は、年金制度のこの成否のかぎは機構にあると思うのです。これは二千五百円を、百円や百五十円の醵出額の額の争いも大切であるが、機構をどうするかということは、非常に本制度の成否の私は山じゃないかと思う。厚生大臣の確たる御所見を承わりたいと思います。
○国務大臣(橋本龍伍君) 仰せの通りでございまして、これはなかなかむずかしい問題でありまするだけに、やりおおせるためにどうしたらできるだろうかという機構の問題は非常に大切でございます。そこで平年度の予算額でありますが、大体この間作りました案で計算いたしました場合に、五十五億くらい先へ行って金がかかるようになるという考え方でございます。そこでこの機構の問題は、先般出しましたものは、要するに、全部厚生省の統計機関で、そうして新たに人を置いてやるとすればこれくらいかかるということをまあ試算をいたし、また、一応とにかくこれならやれるという機構を考えたのであります。ところが、もちろんこの既存の制度といたしましても、社会保険の出張所でありまするとか、社会福祉事務所でありまするとかあるいはまた、この委員の関係でいきますと、出先委員、民生委員でありまするとか、市町村当局であるとかいろいろなものがありまして、こういった趣旨でさきに示しました機構で扱うことを要すると考えられるような仕事を既存の機構でうまく扱うことができるのならば、これはもうその方がけっこうでありまするので、関係の方面と連絡をしながら事務機構の問題についてはなお今日検討いたしておるところでございます。で、いろいろな問題がございまするが、一つはこの地方自治体にやらしたらいいじゃないかという意見は非常に強いのでありますが、この点に関しましても、しからば府県、市町村を使った場合にまるきり何も、人も予算もやらずに引き受けさせるというわけにいきませんので、一体府県、市町村を使った場合にはどれだけの経費を新規に要求し、どれだけの人数があればできるのだということを自治庁を通じて今確かめております。それからなおこの実際やって参りまする場合に、やはりかりに自治体を使うというようなことであるならば、何らかやはり自治体が利害関係を感ずるような問題でないとほんとうに親身に力を入れて徴収の責任等をとってもらえないじゃないか、で、今日立てておるような制度でこれを自治体に依頼して、うまくいくだろうかといったような問題、これも自治庁その他と連絡をしながら、もう少し糾明する必要がございまするので、これは先般来急速に一つもう一段掘り下げていかなければならぬと思いましてせっかくやっておるところでございます。なお、詳しい問題につきましては小山審議官の方から御説明を申し上げます。
○説明員(小山進次郎君) 先ほどお話がありました年金委員のことでございますが、これは各戸を訪問いたしまして年金印紙の貼布その他を勧めて歩くというような実のある仕事をやっていただきますことを考えておりますので、どちらかと申しますと、そういう仕事に向くような婦人会の世話をしているような人々でありまするとか、あるいは農協等の世話をしておる人々でありまするとか、もしくは自分自身がかつて公務員であって、現在は引退をして恩給その他で暮しているといったような人でありまするとか、そういうような人々を中心にしてお願いをするようなことにいたしたいと、かような考えでございます。
○山下義信君 事務費は、補助費は。
○説明員(小山進次郎君) なお、一つ申し落しましたが、これらの人々に対する実費弁償といたしましては、千五百円程度を一応私どもの案では予定しております。
○山下義信君 私の質疑あと二間で簡単に済ませますが、この百円、百五十円の醵出額ですね。これは比較的若いときに百五十円、まあ少し中年以後になって百円という二つに割ってある、私はこの考え方は醵出制においては、しかも均一制をとられる上においては一つの考え方じゃと思うのでありますが、いずれにしてもこの百円、百五十円の醵出額は、これはしかく簡単な金額ではない、すでに言うまでもなく、答申案からいきますというと金額が多い、私は一部におきましては、この百円、百五十円の毎月の醸金というものは相当の負担になるのじゃないかと思う。ことに今回の年金制度というものを考えてみるというと、言うまでもなく、ある意味においては、これは農民保険とでも言うことができるでしょう。もとより町の事業者、その他の事業者もありまするが、大部分が農民なんですちょうど皆保険、皆保険といっている国保が、実は今日は大都会が残っているから、これが主になるのだけれども、この国民健康保険というものが元来が農漁村が目標である。それがすわりであったように、政府が今回創設しようとしている国民年金法案は、ある意味においては農民保険なん です。その面においては非常に百円、百五十円に難色があるということである。この際私は、厚生大臣の注意を喚起しておきたいと思うが、農民を大部分の対象としようとするこの国民年金制度の創設に当って農民関係に何らの相談がないということに非常に不満を持っていると思うのであります。なるほどそういうことを気がついてみるというと、審議会の委員の中にもその方面の代表者はいない、五人委員の中にもいない、農民代表者、農業関係者、農漁村方面の意向を聞くといったような形のものが見出されない。これは、その面の代表者の納得を求めるためには今後どういう手をお打ちになるか、考えておかなければならぬ。特に農民関係では、言うまでもなく、現金収入のないその方面としては、一家族でもってあるいは七、八百円あるいは千円近くなる、あるいは五百円以上になる月々現金を積み立てていく、このやり方そのものはともかくとして百円、百五十円の金額は重い負担であるということが言われている。ことに一部において実施されました世論調査の中には、この百円、百五十円は相当重いということの声が強いんです。これはよほど考えなくちゃならぬ。ことに均一の醵出制をおとりになり、言うまでもなく、原則はできるだけ低い額を定むべきということは保険学者が定説として言っているところであり、指摘しているところなんです。最低の金額を定めなくちゃならぬということは識者の指摘するところであります。百円、百五十円の負担は非常に重いという声が高いので、これに対して厚生大臣はどういうふうな御所見を持っておいでになるか、もっと醸金額を低くするということはできなかったのであるかどうか。私は国庫負担を三分の一と仕切ったらなんというようなことは申しません。そういうようなことは自他周知のことでやっていることなんで、何かほかの工夫を、考えをして、醵出額を低くすることはできなかったのであろうか、どうであろうかということを伺いたいと思うんです。この程度の醵出はそんなにむずかしくない、そんなに負担でないという見当はどうして立てられたか、どういうところからこの醵出能力を、この程度ならば大部分が苦痛はないということをどこから算定されたかということの御所見を承わりたいと思う。
○国務大臣(橋本龍伍君) 大体は内閣の社会保障制度審議会の答申に従いまして、あの考え方の趣旨を追いながら検討いたしたのでございます。ところが、内閣の社会保障制度審議会の答申では、このただいまお話しのありました負担の問題等いろいろ勘案せられました結果、最初七十五円で発足をする、そうして四十年間は八回改訂をして百三十八円まで取り分を持っていくという考え方であります。従いまして、最初のころは年金財政に相当大きな穴があいて、それをだんだんに埋めていくという立て方でございます。で、これはいろいろ検討をいたしました結果、非常に不健全な行き方であって、現実の問題といたしましても、七十五円を百三十八円まで持っていきまする間の八段階というものは、何ら給付の改善はしないで掛金だけは上げていくということをしなければならぬわけでありまして実際の政治問題としても、これはなかなかむずかしい問題であると思いまするし、それからまた、とにかく、やはり、年金財政に最初穴があいてあとで埋めていくという行き方が不堅実であるということと、それからもう一つは、どうしても、やはり、一般国民所得も上っていくにつれて年金給付の増額という問題が必ず出て参ると思うのでありますが、その際に、年金財政というものが長期にわたって穴埋めをしていかなきゃならぬような非常に大きな借財を負っているというふうな形では、非常に弾力性がなくて、将来の給付改善の要求にも応じがたいというようなことを考えまして、七十五円からだんだん段階を上げて百三十八円にまで持っていくということは、これはどうもとるまい、初めからやはり年金財政というものは勘定の合うようにしてスタートをしていかなきゃならぬということを考えたわけでございます。そういたしました場合に、それじゃならして最初から幾らかの金額をきめて、一本で取るかどうするかということになりました際に、二十才から三十四才まで百円、三十五才以上百五十円というふうに分けたのが主たる理由でございます。その際、それじゃ考え方はそうして通し計算でやるのが理屈に合うとしても、一体取れるだろうかというふうな問題に関しましては、これはまあなかなか困難な問題ではございまするが、七十五円取りまする苦心と、百円なり百五十円なり取りまする苦心というものは、相当違いはいたしましても、やはりまあ似たような努力でとにかくやっていけるんじゃないかということを考えまして、答申の七十五円というものを、百円、百五十円という数字に立てかえたのでございます。
○山下義信君 農民への納得はどうするかという点についての御所見はいかがですか。
○国務大臣(橋本龍伍君) これは、掛金の金額と、それから運用の仕方の問題、国庫補助のあり方、あわせて、結局どれだけの給付ができるかという点の内容を御説明をいたしましてそうして、この百円、百五十円というものの掛金に対しまする協力を求めて参りたいと考えております。現実の問題といたしましては、やはり、そう申しましても、そうそう一般に行き渡ってということがなかなかできかねると思いまするので、そういう点を勘案いたしまして、年金委員というものを考えて、趣旨を説明しながら掛金の勧誘をしていただく。これも、やはり非常に大きな役割は、農村における年金委員の活躍という点に期待をいたしておるわけでございます。
○山下義信君 個々にわたっての醵出金を徴収し、いろいろこれを実施なさるについての御注意はもっともで、ただいまのお話でけっこうなんでありますが、私が要望いたしますのは、政府の考えられたこの制度、あるいは法案化されるその以前において、各種の農業団体の代表者等をお集めになって、この包含される対象は農民が非常に多いのでありますから、それらの農民の代表者機関等とも十分この制度について納得のいくように御相談なさるがいいのではないか、そういう御用意がおありになるでしょうかどうでしょうかということ、農業方面に対する厚生大臣の行き届いたお心配りがあるかどうかということを伺ったので、その点を一つ御答弁をいただいておきたい。
○国務大臣(橋本龍伍君) その点は実は前々から、農業団体でありまするとか、それから婦人会でありまするとか、いろいろ特に御理解を願わなければならない団体につきましては、ぜひ一つ、もう少し案の内容がまとまって参りましたところでお話を申し上げて、御意見もさらに伺い、御協力もお願いいたしたいと考えておるのでありまして、その際、農業団体につきましては、ただいまの御注意を十分に服磨いたしまして、よくお話を申し上げるようにいたしたいと思います。
○山下義信君 問題は次に、これが最後でありますが、積立方式をおとりになる、その積立金を運用してふくらまして、元手よりは、うんと配当してやろう、こういう考え。結局、この積立金の運用が非常に問題になる。運用方法におきましても問題になることは、言うまでもありません。私どもしろうとに考えて、今厚生年金が二千五百億か二千八百億かになっておる。この現在の厚生年金の運用についても問題がある。利息の点、もうけ方においても問題がある。また、自主的の運用のほとんど九牛の一毛であるという点もすでにお互いに問題にしておる。これらの問題も、早くからわれわれは要望いたしております。これが一般の国民年金制度が実施せられ、何でもいろいろ計算されるというと、昭和五、六十年ごろには一兆億になるでしょう。およそ二十年ほどしたら一兆億。八十年ごろには、あなたの方の計算によって見ましても、二兆三千億というような金額になる。その一兆億、二兆億という金をどうして動かします。どういうふうにして運用されますか。想像に描いてみても、私ども百円か二百円しか運用しないような程度では想像がつかぬ。二兆億というような資金を運用する、この日本の国内で。どう運用するんですか。それは、まるで四畳半の中で一丈六尺のなぎなたを振り回すようなことで、運用は不可能じゃありませんか、そういう巨額な資金の運用というものは。何に使ってだれが借りて、二兆…千億どこへ貸しますか。それで、私は、この運用が不可能じゃないかと思うのです、第一点はです。その運用の確信がありますかどうかということを伺いたい。二兆三千億のなぎなたを振り回してみて下さい。そのころには一体一般の金融資金というのはどのくらいあって何%占めるのか存じませんが、そういうことまでもおそらく御計算だろうと思う。ただ寝言のようなことを言うのじゃないでしょうから、いやしくもわが国において制度として実施するには、二兆三千億をどういうようなふうに運用されますか。私は不可能だと思う。それから、これを今度は新しい方式で大蔵省の資金運用部にはまかさないで一つ自主的に運用してみるという御構想と承わる。書いてある、あなたの方の案に。どういうふうに自主的にやりますか。それで非常に有利に運用してみせると書いてある。年資金運用部が六分でしょう。厚生省でもらっておるのは六分ですか。幾らで運用しているか。まあ六分前後でしょう。五分五厘ですか。そのことは橋本さんの方が専門家ですが、今度は、国民年金の積立金は今までよりは高利で回してみせると、こういうお考え。場合によっては一つおれの方では七分くらいの利息に回してみせると、こういうことなんです。どうしてそういうような想定がつきますか。私ども不思議に思うのは、自主的に運用なさることはけっこうだ。わしら大賛成。そうやってもらいたい。それが六分に回る、六分五厘に回る。七分に回るという予想に至っては、あぜんとせざるを得ない。そういう御予定がどこから出ますか。だれも常識で考えていることは、世界的の金利は下る一方です。昭和六十年ごろになりますと、世界が好景気になるというそういうお見込みでしょうか。世界は低金利の方ばかりにいくでしょう。これはあなたの方が専門ですから、あまり講義を聞いていると時間がない、あとの質問に差しつかえがありますから端的に伺いたいのでありますが、漸次金利は低下の世界的な趨勢になっている。おそらく昭和六十年、五十年を待たなくとも日本の金利だって四分、三分、二分五厘くらいまでになる。そういうときにどうして七分の利回りができますか。これができなかったら大事です。あなた方の御計算、あなた方の制度は根本的にうそです。百円、百五十円取るということだけが現実です。これは空想でもなければ、想定でもなければ、ほんとうに国民の財布から出さす、払わせる、これを有利に回してやるのだということは、あなた方のこれは一つの思いなのです。これはうそでしたら保全経済会ですよ、岸保全経済会、橋本副会長、こういうことになる。これを一つ確実に七分に回るか、六分五厘に回るか、有利に回るという計算の上に保険数理がそこに加えられている、これは私は危いと思うのですがね、どういうふうに運用なさいますか。積立金の運用制度、運用方法並びにその利回りのお見通し、利殖のお見通し、これらを承わりたいと思います。
○国務大臣(橋本龍伍君) この運用の利率についてまず申し上げますが、最初の十年間は六分五厘、次の十年間は六分、その後は五分五厘という計算をいたしておるのでございます。今日いろいろ日銀の方々その他とも御相談をいたしまして、この程度が妥当であろうということで、ただいま申し上げました見方で計算いたしておるのでございます。 それから、なおいきなり一兆とか二兆とかいうような資金を運用することはございませんので、この国民年金制度をやります場合の年々の増加額は、ピークのときで約三百億くらいでございます。それが年々運用に回ってくるのでございまして、その三百億くらいの問題は、たとえば水道の起債一つとりましても年に百億こえるくらいのところでございまして、この三百億くらいの年々の増加額の運用というものは、私はもうその運用に困るというようなことはないと考えるのでございます。 なお、この運用のやり方、非常に大きな問題でございます。ただこれだけ年々の蓄積というものが、ただいまお話のございましたような老齢国民年金といわれるほど国内のすみの方にまでしみわたるように出てくるというようなことを考えますときに、これが国内のすみずみから掛金として徴収されまして、預金部に入って、これがただ重要産業資金ということにだけなるというのでは、これはやはり何と申しますか、この単なる給付という問題のみならず、運用の間におきまする、まあ国内の利益均霑という点から考えてみても、やはり考えなければいけないのではないかということを考えまして有利な運用をするということと、まあ年金にふさわしい地方還元をも加味した運用をするというようなことを考えましてやはり年金については、独自の運用の仕方というものを考えたらどうかというのが一応の原案でございます。もちろんこれは厚生省だけでよくし得るところではございませんので、勧進元が厚生省であるといたしましても、ほんとうに国家的な機関により、国家的な人物によって運営をされなければならないことでございまして十分これも一つ、この点についてはなおのこと、今後御意見を承わりながら、その運用の機構なり、また、運用の内容なるものを考えて参りたいと思っておるのでございますが、利息の問題及び運用の仕方、金額等につきまして今日考えております概略は、ただいま申し上げました通りでございます。
○山下義信君 この積立金の運用について、被保険者の意向を反映させることを考慮するという御意向のようですが、今はそれが全然ない。従って厚生年金の現在の積立金の運営にまあいろいろ問題があるかどうかということもわからない、被保険者は。今度はそういう点のないように、この積立金の運営については被保険者の意向を反映するように何らかの工夫を講ずるという御意向のようでありますが、その点はどう考えておられましょうか。
○国務大臣(橋本龍伍君) それはこの制度を実施する上になかなかいろいろな困難が考えられますが、その実施に当っての国民の協力を確保するという点からいきましても、やはり積み立てただけの金額は将来給付として自分たちに戻ってくるということだけのみならず、その運用の間においても、結局はやはり積み立てた人々の利益になっているのだという筋でなければならぬと思っておりますので、具体的に、それならどういう運用方法をとり、運用割合をとったらいいかということは問題でありますが、趣旨においては、やはりこの積み立てた人たちの利益ということを十分に考えて参らなくちゃならぬものだと考えております。
○山下義信君 別に被保険者の意向を反映するような、そういう機構とか、方法とかということについては御答弁にならなかった、御趣旨だけでありましたが、まあその程度にしておきましょう。 もう一つですね。簡単に。私は重大でありますから、承わりたいのです。これはだめ押しなんです。一部に伝えられるところによりますと、いろいろの年金制の実施について国庫の負担が少し多過ぎる、できるだけこれをしぼろうとする、圧縮しようとするという意向が政府部内の一部にあることなんです。厚生大臣とされては、あるいは万やむを得ない場合には、財政事情が適当な状況になるまでは、あるいは無醵出年金の支給額を、多少これを減額してみるとか、あるいは対象者をしぼるとか、そういうふうなこと、その他の方法によって財政負担をあまりかけないようなふうに、この厚生省第一次案は多少後退しても、まあとにかく実施にはこぎつけたい、そういうような気持もあるやに伝えられておりますが、それは真偽のほどはいかがでしょう。そういうお考えもあるのですか。
○国務大臣(橋本龍伍君) もう国民年金の制度はぜひ実施をさせなければならぬと考えておりますが、ただその際の問題といたしまして、この無醵出年金千円、醵出年金三千五百円という数字はぜひ確保して参りたいと考えて努力をいたしているのであります。
○山下義信君 私の質疑は、国民年金に対する質疑は終了いたしました。 一口私は厚生大臣に申し上げておかなければならぬことがあります。実は先般、私が甲乙二表の採択のときに、こういう案の実施状況についてはいろいろと責任問題を考えなければならぬということを申し上げておきましたが、それとは別にですね、最近の新聞紙上におきましては、東京都の保険課長が非常に膨大な汚職をやっている、そうして健康保険の保険組合等にこれが波及をいたしまして、私どもある筋から聞きますというと、まるで底なしの泥沼のような状態になるだろうという見通しであると聞いております。あるいはこれが取調べが進行するに従って、不幸にも厚生省方面に波及するのではないかといううわさすら立っておるのであります。私は、かかる不祥事のないことがきわめて望ましいことは言うまでもない。こういう事件の起きましたことにつきましては、非常に痛心をいたしておるのでありますが、この際、厚生大臣とされましては、まだ事件の全貌はわかりませんが、しかしながら、すでに前東京都保険課長が逮捕され、その罪状の一部が世間に伝えられ、なおこれが拡大されていくという、この状態に対しまして、この健康保険の行政の上に、何らか一つお考えにならなきゃならぬのではないかと思うのであります。私どもも、いろいろに今日まで耳にいたしておる点があります。これは適当なときに、本委員会におきましてもお取り上げ願って、追及していかなくちゃならぬと考えておりますが、私は、この際、厚生大臣におかれて、保険行政、ことに監督行政の上に非常に御留意相ならなければならぬのではないかと考える。一体、健康保険法の上において、この健保の組合の運営にどれだけ厚生大臣が監督することになっておるか、実際の監督が行われておるか、どういうことになっておるかは存じませんが、巷説紛々たるものがある。この際、保険行政の粛正、あるいは監督の厳正なる実施等につきまして、厚生大臣がどういうことを考えておられるかということを承わっておきたいと思います。
○国務大臣(橋本龍伍君) 東京都の前保険課長の林という人の涜職容疑の件につきましては、目下警察当局において取調べ中でございまして、ただいままでのところ、その詳細を明らかにすることはできないのであります。社会保険行政の監督の責めを負うべき地位にある者が、かくのごとき事件の疑惑を招くような事態を惹起いたしましたことにつきましては、まことに遺憾きわまりないことと存じております。で、当面の問題につきましては、警察当局に連絡をいたしまして、中間の状況を聴取をいたしております。現在のところでは、都道府県知事に委任いたしておりまする行政の関係について問題が起っておるようでございまするが、総体的な監督の責任というものは御承知のようにあるわけでありまして、いずれ事態の内容が明白になれば、十分その責任の所在を明らかにいたしたいと思います。今後とも再びかかることのないように職員を督励いたしまして、今後の万遺憾なきを期して参りたいと存じております。で、現行の制度のもとにおきまする厳正なる行政をいたしますることはもとよりのことでございまするが、なお、行政面のあり方についても、こうした点を防ぐになお有効な措置等については、今後とも制度的にも検討いたして参りたいと考えておる次第でございます。実は最近この問題が出ましてからは、厚生省所管行政のともかく一端につきまして、こういう問題の起きたのは非常に遺憾に存じて、事態の内容を明らかにいたすように連絡をとると同時に、部内の直接の監督、それからまた、都道府県知事に委任いたしておりまする行政の監督につきましても、今後一そう留意をいたして参りたいと考えておる次第でございます。
○紅露みつ君 その問題がよろしいんでしたら、一点年金のことについて伺いたいと思いますが、よろしゅうございますか。 それでは、母子年金のことでございますが、夫が老齢年金の被保険者で、その受給の資格があるという場合に、母子になりました場合にその半額ということについては、これは大へんにどうも納得いたしかねるわけでございます。母子でございますので子供をかかえておるわけでございまして、その主人がなくなったということは、それだけ、全額をもらいましても、なおかつ、苦しい立場に追い込まれる場合に、二分の一ということに減らされるのは大へんこれは酷だと思うのでございまして、婦人全体が今この問題を大へんに重大視しております。で、ちょっと政府のお考えが変ってきたやに、新聞か何かで拝見したようにも思うのでございますが、どのようになっておりましょうか、一つこの機会に伺っておきたいと思います。
○国務大臣(橋本龍伍君) もうまことにごもっともな御意見であります。実はこの母子年金につきまして、老齢年金の半額ということは、現行の恩給でありまするとか、厚生年金などの、つまり遺族扶助料に相当するものが半額であるというところから、社会保障制度審議会で半額の答申をされ、それを踏襲いたしておるわけであります。で、ただ考え方といたしましては、いささか恩給等の遺族扶助料と国民年金の制度とは違うものがあるのは御承知の通りでございまして、いわゆる遺族扶助料というのは遺族である限りずっとおしまいまでもらうわけであります。今回の場合には、要するに、夫が死んでからあと、幼い子供をかかえてそれだけ生活能力が落ちて、生活能力がないとか、あるいは薄弱であるとかという人に対する補いをいたすわけでありまするから、その生活の能力がない、非常に薄弱であるとかないとかいう点に関しまする限り、老齢の状態、母子状態というものも同じようなものでありまして、実はそこは意見のあるところでございます。で、まあいろいろ意見があるのでございますが、今日までのところでは、社会保障制度審議会の答申がほとんど老齢年金が中心でございまして母子年金及び障害年金というものは非常に影の薄いものであったのであります。で、保障制度審議会の答申をもとにしながら、母子年金及び障害年金についてはかなりの程度まで拡充をいたして参りました。今日のところでは、支給の範囲を拡大して参ったというところでございまして、その上さらに基本の二分の一というのを老齢年金並みに持っていくというところについては、まあ今日なお踏み切りかねておる状態でございます。今日のところでは、社会保障制度審議会の答申に対して、障害年金及び母子年金については給付範囲を拡大していくということは相当にいたしたつもりでございますが、遺族扶助料に基準をとったその半分というものをまるまるにするかということについては総体の仕組みの上で今のところ、まだ踏み切りかねておる状態でございまして、十分検討はいたして参りたいと思います。
○紅露みつ君 大臣は、まあこの内容もよく御存じで、御努力いただいていることは私どもも承知しているのでございますが、仰せの通り、これはほかの厚生年金その他の遺族年金とは全く違うのでございまして、小さい子供をかかえているいわゆる母子家庭なんでございますから、どうしても母子家庭である限りは、遺族でありましても特別に配慮していただかなければならない状態だということは、これは明らかなんでありまして、踏み切りかねるという仰せでございますが、どうか一つ踏み切っていただきたい。それから支給の範囲を拡大して下さるということはこれはけっこうでございまして、大いに拡大していただきたいと思いますが、これはぜひとも踏み切っていただきたい。いつまでも母子家庭でおるのではございませんで、一定の年令になれば、これは十八才でございますか、十八才になればもう母子家庭でなくなるのでございますから、そのわずかの間、子供が成長する間、全額給付するということは、これはもうどなたが聞いても私は当然だろうと思うのでございまして、どうか一つ、大臣はかつても所信を貫かれて強い態度をおとりになった御経験もございますが、その強い信念に全国の母子が期待をかけておると思うのでございまして、そんな最悪な場合を招かないように、しかも踏み切っていただきたいということを切にお願い申し上げますが、踏み切れそうでございますか。もし、踏み切れないようでございますならば、全国の母子はこぞって応援を申し上げると思うのでございますが、そんなにむずかしい状態でございましょうか、もう一ぺん伺っておきたい。
○国務大臣(橋本龍伍君) これは正直に申し上げますが、社会保障制度審議会の答申に対しまして、障害年金及び母子年金にしても、給付対象を拡大いたしまするのに相当の努力を今日もいたしておるのでありますが、年金給付額を二分の一というのを老齢年金並みに持っていくのは、今日の状態ではなかなかむずかしい問題だと思うのでございます。御趣旨を十分体しまして努力はいたしたいと考えておりますけれども、今のところ、相当骨の折れる問題の一つと考えております。
○藤田藤太郎君 相当時間もたっておりますので、年金の問題は私もだいぶお話を承わりたいことがあるのですけれども、ただこの年金の問題はあらためてするといたしまして、根本的な問題だけ私一、二伺っておきたいと思います。 第一は、自民党または政府がこの社会保障をこれから推進していく根本的な考え方なんで。たとえば、年金制度にしても、医療制度にしても、それではどういう格好でやっていくのかという問題なんです。医療制度の問題については、一応健康保険、厚生保険、共済保険という格好と、国民健康保険という形のものとが内容充実の段階に今後入っていく。まあ今国会にも国保の問題が出てきているわけです。年金の方にうんと出ていくが、今発表された案の内容には被用者の関係については触れていない。たとえば、厚生年金は三千五百円か八百円、確かな今日の数字はわかりませんのでお教え願いたいのですが、それから恩給の問題、共済年金の問題がある。私は老後を保障していこうというところに年金制度の根本があると思う。こういうものはほっておいて、恩給や共済年金は一応老後の生活を保障するという建前で進んでいく。厚生年金は三千五百円かそこらのところでとまっている。それには手をつけない。今度の年金を見てみましても、四十年かけて三千五百円ぐらいのところにある。それ自身の問題を検討してみますと、私は何と言っても、今日、制度としてここに行われているものを統一して、被用者年金なら被用者年金という形の柱が一つ立って、その他の国民健康保険というようなもの、国民年金という柱が一つ立って、こういうことにおいてならば、国民の私は老後の保障という年金制度の意義があると思う。ところが、その問題、根本的な問題には触れないで、今の三千五百円という額が、厚生年金の対象者や、共済年金や、恩給の対象者はのけて、その他の人を三千五百円という、四十年後の三千五百円という格好の目標をお立てになって、年金をお作りになる。これで、今、文化がだんだん進んでいく世の中において、文化生活や、生活保障というものの見通しをたてて考えておられるのかどうか。この年金の考え方に対して、今の国民の老後の生活を守り、母子生活を守り、身体障害者を守るという、この根本的な問題について、私は少し足らない面があると思う。だから、その点についての意見をまずお聞きしたい。
○国務大臣(橋本龍伍君) 先ほど山下委員からもお話しがございましたが、現行の公的年金の統合調整の問題については、もうまさしく御意見の通りであります。将来の問題として、そういうふうにいくべきだと思いますが、これはなかなか、やはりいろいろ既得権の関係等がございまして、非常に高いものに国民年金をもっていって、これがとれればよろしゅうございますが、なかなかそこまで行きかねる状態におきましては、これにかかわりあって、国民年金の発足を、その方が解決をいたしまするときまで待つというのでは、なかなか時間がかかるのでありまして、そこで、社会保障制度審議会でも、そういう点を勘案されてこの答申を出されましたので、現行公的年金を除いたその残りの人たちにとりあえず適用しながら、次にそれらとの間の通算を考え、さらに総体的に調整を考えていくというふうにいたしたのでございます。で、その将来を考えまして、国民年金の制度を基本にして、ほかの年金との統合調整を、将来はかっていかなければならないということを頭に入れながら、国民年金の制度の中には、一応低額の掛金で低額の給付をするという建前をとりながら、特別に高い掛金で、特別に高い給付をもらう方法、あるいは支給年金をふやして、高い年金をもらう方法といったものを組み入れて参りたいと考えている次第でございます。 で、将来のいろいろな問題でございますが、国民年金の制度というのは、御承知の通り、所得保障の一番基本になる問題でございまして、将来の理想といたしましては、これのみでとにかく一応楽に暮していけるというところまでもっていきたいと思いまするけれども、これはよその、年金が相当発達してやっているところでも、イギリスあたりで見ましても、なかなか国民年金の金額は、生活保護の金額には及ばないようであります。しからば、これだけで飯が食えなければ意味がないかという点については、そうではないと考えるのでありましてまるまる、ほかの収入のない人の生活をささえるためには、生活保護の制度を考える。その保護基準も、将来だんだん上げていかなければなりませんが、そのほかの方方、一応とにかく家族なり、何なりと暮しながら飯の食えていく人たちに対しても、この国民年金の制度を適用できるようにすることによって、生活の基礎というものを、一応今までよりも強くすることができる。そういう意味における国民年金の発足ということを、社会保障制度審議会の答申の趣旨に従いまして、一応老人単独家庭二千円というところに基準を置いて、せめてスタートの時期からそれを確保していきたいという点で発足いたしたわけであります。将来の問題といたしましては、制度の立て方としては、五年に一度ずつ年金財政の検討をいたしまして財政充実をはかりますると同時に、その際、国の経済状態その他から見て、余裕があればそのチャンスにやはり給付改善を考えていきたい。
○藤田藤太郎君 今社会保障制度としての年金を与えていく、これは他の保険制度と関連が非常に深いわけでありますけれども、しかし、私は計画性がなくちゃいかぬと思うのです。政府も長期経済五カ年計画とか、いろいろ計画をお立てになっているわけです。たとえば外国の例をとってなんですけれども、イギリスあたりがとっている保険制度の福祉国家への国家負担のあのスケジュールを一つごらんになったらすぐわかると思うのです。おのずから国民生活の内容をよくしていこうというところに焦点がしぼられて十年ごとに国家負担比率が一割五分とか二割ずつふえていって、最後には七八%の全体の保険経済に対する負担というような計画に基いて保障制度を推進している。今ここで一つの段階の三千五百円、四十年という格好の長い年月を持ちながら三千五百円、これを生活保護法の併給でなしに、こういう制度ができてくるという、結局厚生年金の今の支給が三千五百円から八百円、この年金が四十年たって三千五百円、生活保護法の関係を見てみるとどうなる、こういう工合にして、私はやはり社会保障制度の柱というのは医療制度と年金制度だと思います。これをやはりもっと国民の生活が年金制度と医療制度によって年が寄っても生活が保障される、病気になっても保険制度によって病気がなおしてもらえるという、これが貧乏追放の私は柱だと思う。この柱に対するものの考え方が——それは社会保障制度審議会の答申であったということをおっしゃいました。しかし、私は、その社会保障制度を推進すると盛んに外部に宣伝をして国民に訴えられておる、また、その厚生行政を担当されておる大臣としては、将来の構想と社会保障制度というものはどうあるべきだという考え方があってしかるべきだと思う。こういう状態では、これはもう看板だけに終ってしまう、これは山下委員の質問と重複するかもわかりませんけれども、そういう非常な不満も持つわけです。だから、きょうは時間が過ぎておりますから、これ以上年金の問題は申し上げません。だから、先ほど小山審議官が説明された今度の案をお立てになった際の、たとえば七十才以上はどれだけという、保険経済の回転の積算の基礎をどういう工合に立てられたかという計算の基礎を、どうか資料でお出し願いたい。対象人員の把握の状態その他もっと詳しいことを出してもらわないと、これだけもらっても見当がつかない。これはぜひ一つ出していただきたい。そうしてわれわれもその点で研究をしたいと思う。いいですか。その資料の要求はどうですか。
○国務大臣(橋本龍伍君) 年金財政のいろいろな数理的な計算はいろいろ苦らをいたしておるところでございまして、今日のところでは、まだ数理計算の資料をこちらへ提出するということはちょっと困難でございましてもう少し時期を待っていただきたいと思います。
○藤田藤太郎君 だけれども、先ほど小山審議官は説明されたじゃないですか。町村の窓口を把握した九百二十五万であった、それを調整して七百五十万になる。こういう数字を対象人口として発表されたのじゃないですか。
○説明員(小山進次郎君) 先ほど私が申し上げたのは、これは非常に初歩的な数字でございまして、この程度のものは問題じゃないわけであります。ところが将来にわたって被保険者がどう動くか、あるいは老齢年金、母子年金、障害年金がどういうふうに動くかという数字の計算の資料というものは、すでに先生御存じの通り、社会保障制度審議会が答申をされましても、なおニカ月ほどしてやっとその数字がまとまったという程度にむずかしいものでございまして、まだとてもお出しをするということはできません。
○藤田藤太郎君 それじゃ社会保障制度審議会が積算されたその基礎資料は出せますか。
○説明員(小山進次郎君) それはお手元に国民年金に関する答申がありますが、それに出ております。
○藤田藤太郎君 それはまあ事務的なことですから、あとでそれじゃ話をしましょう。 それからもう一つだけ伺っておきたいと思うのですけれども、この千円を出されるのはミーンズ試験等はどうされるのか。
○説明員(小山進次郎君) ミーンズ・テストをどうするかということが、先ほど来大臣と山下先生との間でいろいろ論議になった問題でございまして、基本的な考え方としましては、大体年金で出すというものにあまりミーンズ・テストを持ち込むということは、どちらかというと原則としては避けるべきだ。従って、ミーンズ・テストの仕としましても、特別にそれ自体新しい方法を考えるというようなことは原則として避けまして、何か既存の制度で一つの基準になっておるというようなものを利用いたしまして、それで固まっておるものを取り込んでいくということを基本にして考えたい。今話題に出ておりますのは、たとえば所得税を納める程度の能力があるかどうかというようなことを一つの基準にして見るとか、あるいはそれに類するような、言葉は必ずしも正確ではございませんが、やや画一的に判定できるようなミーンズ・テストの基準を使っていきたい、かような考え方で検討しておるところでございます。
○委員長(久保等君) それではしばらく休憩いたします。 午後一時九分休憩 —————・————— 午後二時二十二分開会
○委員長(久保等君) 再開いたします。 次に、結核対策に関する件を議題といたします。 御質疑を願います。
○小柳勇君 この前、私は、国立療養所と、それから民間の療養所と比べてみて、国立療養所の方が非常に医者、看護婦が無理をしておる、従って患者との間も、ほかの国立以外の病院に比べて療養が十分でない、そういう不満を全国で聞くから、厚生省は積極的に乗り出していって、施設の改善なり、その定員の補充、あるいは指導の面で十分にやってもらいたい、ということを要請いたしました。その要請に関連してきょうは二、三質問し、かつ、私の意見を申し述べてみたいと思うんです。今から五日前の新聞ですが、朝日新聞と栃木新聞です。この新聞に大きく取り上げられた問題があります。表題だけ読んでみますと、「三百人の患者に医師二人、〃死の行進〃辞せず、国立足利療養所患者自治会きょう緊急大会」、こういう見出しで栃木新聞が大きく取り上げております。同じ日に、朝日新聞もこの問題を取り上げまして、「医師の増員を要求、国立足利療養所の患者」、こういう見出しで大きく取り上げておりますが、そのあとの方で、その所長である人の話が実は問題であります。長長と書いておりますが、要点を申し上げますと、「患者からの要望は聞いていません。定員八人であるべき医師が現在四人であることも事実ですし、転所する人のあることも事実です。しかし、私としては八方奔走、近日中にあと一人の医師も来てくれることになっております。全国の療養所と比べ、ここなどは良い方で努力はするが、いま直ぐ医師をこれ以上ふやすことは困難です。」と、こういうことをその所長が新聞記者に語っておるのであります。で、中の方をちょっと読んでみますというと、医者が、大体定員としては六人おるべき医者だ。ところが、その医者の中で病気が三名出た。一人は結核を押して現在仕事をやっておられる。所長は業務のために外に出られるために、二人の医者が日常患者に接して治療をやっておられる。たまたま医者が盲腸炎をわずらった。そのためは、その医者は自分で、病気をとめる注射をしながら結核患者の治療をしておられる。まことに、もう人道上見るに見かねた実情である、ということをこの新聞は書いております。そういうことで、現在の医者の定員の査定に対して、もうこういうふうな実情が方々にあると思う、この所長が言っておるように。この療養所などはいい方である、しかも、医者を探そうとするけれども、当分増員の見込みはない、こういうことを医者は言明しておりますが、このような事実を、厚生大臣、御存じかどうか。また、御存じであれば、こういうような直接具体的な例があるが、こういう療養所の医者の定員、看護婦の定員を一体どうしようとされるか。まず第一は、具体的に、そういう問題を御答弁願いたいと思うんです。 第二は、これに関連して、この医者の定員の査定の方法並びに看護婦の定員の査定の方法が医療法の施行規則できまっておりまするが、その医療法の施行規則できまっておる定員に対しても現在満たない。しかも、その定員で査定した医者の欠員を補充できない。それにかかわらず、十月二日の日でしたか、次官通達をもってその定員を減らしてもよろしいという基準減少の通達を出しておられる。その医療法施行規則の定員査定の方法というものは、かつて実際臨床的にお医者さんがこれだけ要るということ、看護婦はこれだけ要るということを基準にして定められた。その医療法の施行規則をさらに下回った基準というものを一方的に次官通達で出しておられる事実を御存じであるかどうか。御存じであるとすれば、一体厚生大臣はどういうふうなお考えで通達を出されたか。これが第二点です。 第三点は、そういうふうな定員の査定で出された。ところが、その前に、療養所長並びに課長協議会というものがございますが、その療養所長並びに課長協議会の決議として、現在の療養所の医者並びに看護婦の定員というものは少い、非常に勤務がひどいから、早急に一つ増員してもらいたいという申し入れがあっておる。その申し入れについて厚生大臣は一体耳にされておるか、また、されておるとしてこういうふうな次官通達を出されたならば、私は、厚生大臣の考えというものが人間的にも問題だと思うが、あるいはその所課長会議の申入しれというものは御存じないかもしれない。その現場を預かる所長やあるいは庶務課長さんが現在の医者の定員や看護婦の定員では仕事ができません、そういうことを言って、しかも、なるべく一つ欠員のある所の医者を補充してもらいたい、それでなければできない、と言っておられるそのことが、私が先日申し上げた国立療養所に行きますというと、定員が不足して労働過重のために患者に対して十分の診療も看護もできないようです、と言ったことに尽きると思うわけです。 従って、あとでまた答弁に対して御質問いたしますけれども、以上三点 の問題について大臣並びに担当官の答弁を求めます。
○国務大臣(橋本龍伍君) 国立病院療養所の医者の定員を埋めますることは非常な大きな問題でございまして御指摘のように、あちらこちらで十分人手が足らないで困っておる次第でございます。先般も山口県の方の療養所で、これは全部専任の医者がいなくなるという事態が起って参りまして、この補充に非常に苦心をいたしている次第でございます。で、根本的な問題といたしましては、この定員を満たすたみにまああらゆる働きかけをしているのでありますが、しかし、そうは申しましても、まああんまりひどいお医者を入れるわけにもいかぬ。で、とにかく、国立病院、療養所として一応信頼し得るに足るお医者さんをできるだけ集めるように骨を折っているのでありますが、やはり一番根本的な障害になりますことは、国家公務員としてのこのお医者の給料の安いことでありましてこれがある程度解決をされませんと、なかなか問題がむずかしいのであります。で、今日のところでは、現在の給与のもとにおいてできるだけいいお医者を得るように、八方手を尽して努力をいたしておりまするが、それからなおもう一つは、別途人事院の方に対しまして、俸給表を改訂して、医者というものについては、その特殊の技術等の状態を考えて、一般公務員に比してもう少し待遇を改善してもらいますることを今別途交渉をいたしている次第でございまして両々相待って、まずとにかく医者の定員を満たしますることをぜひやりたいと考えておりますような次第でございます。 なお、定員の問題に関しまする通牒のことにつきましては、事務当局の方から御説明を申し上げさせたいと思います。それじゃ担当局長を呼んでおりますから、それまでの間そのほかの質問を続けて下さい。
○小柳勇君 今のは、私は具体的に国立足利療養所の問題を研究いたしましたので、こういう新聞に大きく取り上げた問題に対しては、私はここで、委員会で発言した以上、大臣としては早急に、積極的に、具体的に解決に乗り出すほどの積極性があっていいと思うが、これに対して一体どうお考えになるのか。
○国務大臣(橋本龍伍君) もうお医者の定員が満たないということは、総体的に大きな問題でございまするので、ことに小さな療養所で定員が足らぬような所で、数がその上減るというのは大問題でありますから、もちろん御指摘のありまする問題につきましては、何とかして早く解決をしたいと思って骨を折っている次第でございます。
○木下友敬君 今定員を充足ができないということの理由に、大臣は医師の給与が悪いということをあげられまして、もちろん、それも一つの原因になると思う。ところが、実際に当ってみますと、大学の教室等におきまして、現在結核を専攻する学生が少くなってきた。これは事実なんです。これが一番大きな原因であって、結核療養所に結核の研究をしなかった医師を迎えたって実際の役に立たない。員数だけ合わしたって効果がないということも考えられますが、なぜ教室で結核を専攻することを希望する学徒が少くなってきたかということについて、これは私は厚生省にも一部の責任があると思う。もちろん文部省においてもこれは責任があり、大学当局においてもありますが、どうも現在の国民の認識、また青年学徒の認識の上では、厚生関係で結核の問題はもう曲りかどにきた、あるいは厚生問題全体として曲りかどにきて、結核はもう下火になって、そうしてこれからの関心といいますか、興味は、脳血管系統でありますとか、あるいはガンの問題とか、そういうようなところに移っていくのだという印象を非常に与えている。予算面におきましても、また本年の予算の要求を見ましても、ガンのセンターとか、あるいは脳血管の問題のセンターとか、そういうようなことに力を特に入れておられるということが目立つように思うのでございますが、やっぱりまだ結核の死亡者は減ってきたけれども、患者は減っていないのだ。まだ結核は重要な大きな問題であるということを、一つ声を大にして厚生省は叫び続ける必要がありはしないか。きょうまたここで資料をもらいまして、厚生省の努めておられることもいささかわかるのですけれども、まだ努め方が足らぬと思う。結核はすでに終止符が打たれようとしているというような印象を国民にも与えてはいないかということを私は憂えるから……。でない限りは、青年学徒が今のように、もう結核の研究から遠ざかっていくということはあり得ないと思う。で、これは単に俸給の問題、待遇の問題だけでは私は解決つかないと思いますが、御所見を伺っておきたいと思います。
○国務大臣(橋本龍伍君) 厚生省に関しまする限り、結核の問題を軽視しているというような気持は全然ございませんし、今日におきましても、今年度の予算の点から言いましても、これはもう成人病の対策等とはほとんど比較にならないウエートを置いて、金額的にも、内容的にも考えておる次第でございます。 ただまあ、このごろなかなか医科の学生さんたちも、目先が早くなりまして、結核の方は少し、はやらぬというような話を聞くことがあるのでございますが、厚生行政の面におきましては、結核の問題というものは依然として非常に大きな問題であって今日ここまできて、本格的に力を入れれば、初めて、とにかくこれと取り組んで、目に見えた効果を上げることができるところまで参ったと思うのでありますので、今日が結核対策の一番重要な時期だとむしろ考えておる次第でございます。で、御指摘のことにつきましては、これは少くとも厚生省に関しまする限り、予算の要求にいたしましても、何にいたしましても、結核の対策というものについての認識を誤まらないように、なおなお心して参ろうと思います。
○木下友敬君 そこで、なぜ若いお医者さんたちが結核から遠ざかっていくかということは、これはもうお医者さんたちの方にも欠点がありますが、たとえば本年度の要求予算でも、結核病床を増床するという意味においては、一つも要求はなされていない。それで、そういうことを大まかに見ますと、人は、もう結核は病床はあるいは減らすのじゃないかというふうにまで先走って考える傾きがある。だから、そうでなくしてこの間もこの点についてはお話をしましたが、現在の病床を確保していくのだ、また必要とあればいつでもまた増床も辞さないということを一つはっきり言って、結核の戦いがまだ決して済んだのじゃない、こういうことをもっと明瞭にしておかないと、予算の方でも、病床はもう要らないようにやっているし、しかも空床ができたというようなことばかりをはっきりさせるというようなことが、私は原因をなしておると思うから、この点については一つ十分考慮を払っていっていただきたいということを希望しまして、私の関連の質問を終ります。
○小柳勇君 看護婦の点について少し質問しておきますが、今は病院協会というものがあるようでありますが、これが日経連に加入しておる。ただまあそれはそうでなかったら幸いですけれども、この病院経営を、この利益をもうけるために、もうけが多いために、看護婦の定員を減らすことを厚生省に進言して、そして次官通達もあったという巷説——巷間にそういううわささえ流れておるのですよ。で、その病院協会、いわゆる病院経営者の協会が日経連に入っていることを厚生大臣、御存じであるかどうか。また、そういうことで、もちろんそれは動かされはせぬと思うけれども、そういうものに対して、もしそのうわさのように、いろいろ圧力団体として、厚生省などに対して出入りしていろいろの問題を示唆するようなことがあった場合に、一体厚生大臣はどういうお考えをもって措置されていくか、基本的に一つお尋ねしておきたいと思います。
○国務大臣(橋本龍伍君) 民間のいろいろな団体がそれぞれのお考えでいろいろな動きをなさるのに対して、こちらの方でいいの、悪いのということは、これは申し上げかねることでございますが、厚生省としてはいかなる動きがあろうとも、要するにいかなるつながりで、いかなる動機で意見が出ましょうとも、出てきた意見というものを冷静に判断して、とるべきものをとり、とるべからざるものをとらないということが、私は大事な問題だと考えておる次第でございます。ただ、ごく一般論としてどこがどうということを申し上げるのじゃありませんけれども、特に昨年の医療費の問題が起りましてから、ややどうも冷静に、何といいますか、科学的にと申しますか、利害得失の判断でものを論じられる以外に、多少政治的と申しまするか、多少は感情を交えてまでの動きがあるのじゃないかというような感じがする場合もないわけではございませんけれども、私はやはりそういうことは世の中にいろいろありがちなことでございますが、ただ特に国民皆保険をやっていくという上におきましては、お医者の世界というものもほんとうに意見の違いというものはそれぞれにあることでございまするので、それぞれの団体の中で意見は意見として戦わしながら、やはり一つ大きくまとまって、この国民的な要請に対して責任を負うというふうになってほしいと実は考えておる次第でございまして、病院協会にいたしましても、医師会にいたしましても、やはり医者は医者としての考え方で一つ大きくまとまっていってほしいと考えておる次第でございます。われわれのところへ団体が見えられますときも、単独で見えられたり、また、あるいはいろいろいつでも御一緒に見えられたりするような団体もございますが、おのずからこの団体とあの団体とは平素割合つき合いが深いというような話も私耳にいたしますけれども、それでどうこうというふうなことを厚生省が考えるというよりは、それは厚生省としてはどんなことがあろうとも、御意見は御意見として冷静に判断して対処していきたいということと、それからもう一つは、ひたすらやはりお医者の世界はお医者の世界として意見の違いを内部で戦わしながら一つ大きくまとまっていっていただきたいものだということを念願をいたしておる。これだけを申し上げておきたいと思います。
○小柳勇君 病院の問題については、次官並びに担当の弁明をまた求めますが、予算その他の根本的な問題について二、三大臣にお伺いしておきたいと思います。 結核予防法の適用を強力にやるということについては、この前の答弁でも大体了解がつきますけれども、要入院者並びにそういうもののいわゆる十カ年間なり、あるいは五カ年間でも結核に対しては徹底的にやりますという決意、その決意を裏づけるために、一体結核予防法の完全実施に対してどういうふうな予算面の大蔵省に今要請をされ、あるいはこれを実現するためにがんばっておられるか、また、来年度の予算の見通しでも、大体の見当でもあれば……、この前も概括的ないろいろなあれもあったようでございますけれども、もうすでに今日でありますから、一つ御答弁願っておきたいと思うのです。
○国務大臣(橋本龍伍君) ただいま結核予防法の完全実施というお話がございました。私はその点だけ一言申し上げておきたいと思うのであります。 現在の結核予防法というのは非常にりっぱな法律でありまして、われわれはもちろん理想として完全実施を考えております。で、今回われわれの考えておりますることは、その完全実施の線からいうと、後退じゃないかという意見があるのでありますが、それは誤解でございまして、結核予防法は、たとえば予防検診の問題につきましても、これは年令の制限も何もなしに、全国民を一年に一ぺん検診するということに相なっておるわけでありまして、完全実施というためにはもうそれをやらなければならぬのでありますが、実際九千二百万の国民を年令の制限、昔は年令の制限がございましたが、何にもなしに全部とにかく一年に一ぺん検診をやるということは、その担当設備なり技術者の点からいいましても、予算的な問題からいってもとうてい不可能でございます。そういったような面をいろいろ考えまして、結核予防法は非常に理想的な法律ではございますけれども、今まではとにかく何とかして完全実施をやりたいということで、年々、要するに結核予防法、完全実施に必要な予算を要求いたして参ったのでございますが、これはとうてい予算ばかり取ってもやれぬじゃないかということで、むしろやはり、この結核予防法の本旨を生かすための仕事が十分いかなかったうらみがあるのであります。 そこで、いたずらに形の上での完全実施をやるよりも結核予防法に規定しておるところの精神というものは早期に患者を発見して、これを完全になおしてしまうというのがねらいでございますから、それをとにかく実現いたしまするために形からいうと、完全実施を一歩後退するような感じがするのでありますが、重要な感染源を目ざして、その周辺を目ざして重点的に予防検診をし、かつ、そこでつかまえた患者で自力でやっていけない者に対しては、強制入所を命じて、国家の援助でそれを完全になおす、こういうふうにしてそうした患者を減らすということに重点を置いて、来年度予算を要求しながら当面の結核対策を考えておる次第でございます。 なお、詳細のことにつきましては公衆衛生局長から説明をいたさせます。
○説明員(尾村偉久君) 結核対策につきましては、十年計画で一応基本的に解決するということを出しております。このためには五年後に現在の結核患者数を半減する、さらに五年から十年に至る後半の五年間でそのときの三分の一、これはスピードが上るわけですが、そういうふうにいたしまして、現在から少くとも六分の一にしようと、こういう計画でおります。しからばその基礎になります現在の、先ほど木下委員からもお話がございましたように、結核患者数は実際には多数あるにかかわらず、いろいろぼかしておるということを実績をもって示さなければこれは信用を受けないということでございまして、二十八年以来ちょうど五年目になりました今年度の実態調査を先般五月に同じような方法で実施をいたしました。その結果の集計を現在いたしておりまして、相当程度の集計が十月末にはまとまりますが、現在大体の傾向はわかっておりますが、これで大体今打ち出しました十年計画は実施可能であり、また、これは最小限度熱心にやればできると、で、それは外国との比較においてどうなるかといいますと、死亡率におきましては日本は非常に減ったことになっておりますが、昨年度約四万三千人、この結核による死亡数で死亡率の第六位でございますが、この死亡率さえアメリカ、英国等に比べますと、なおかつ、五倍になっております。従いまして、五年後に二分の一にする、さらに十年後に六分の一にするということはこれは可能である、こういう見通しでございます。その現在の結核患者の概数から、今まとまりました大体の実態調査の結果から申しますと、結核患者数が二十八年度に約五百五十三万人という実態調査の結果でありましたのが、大体四百六十万人程度に集計の結果なりそうでございます。これが約九十三万人の減でございます。これは人口増加が六百万人ございまして、それからいいますと、比率において、五年間で結核患者の総数の比率が二割減った、こういうことでございます、これは、五年間で二割減ったのを、またそれを五年間で五割減にする、すなわち半数にする、これは今度の対策によって十分可能である、こういう見通しでございます。 なお、今までの五年間、これまででも、本年度、昨年度二十億以上の金をそれぞれ使っておりますが、これの効果のほどにしては少いのじゃないかということでございますが、その点につきましてもいわゆる重症結核が前より比率は相当減っております。しかし、絶対数が今言いましたように、総結核患者数四百六十万人、国民の総数から言えば非常な数でありますので、減りかけておるということは非常にけっこうなことでありますが、しかし、これを他の疾病の患者数と比べますと、この被害というものは非常に甚大なものでございます。ここが今までの結核が曲りかどにきたというふうに誤解される点である。実際の被害は非常に大きいにもかかわらず、傾向として相当力を入れてきた結核対策のために年々幾分率が減ってきた、これをもって結核問題が相当解決したのではないか、こういうように誤解されるゆえんでございますので、これらの実態を明らかにいたしまして、ことに先ほどお話がございましたように、学生時代にはまだ、医学生といえども世の中の実態を知らぬ、原則だけを聞いておりますので、今のような比率のようなもので誤解をする、ましてや大学の中における教官が、こういうような国民全体にわたっておる被害の甚大な実態を必ずしも知っておらぬ、こういううらみがございまして、この結核に携わる医師さえ得られないということになっておるかと思いますので、これも去る十七日に公衆衛生学の全国の教授、衛生学の教授と、われわれの方で福岡で会合のチャンスを持ちました。その際もこういう意味で、厚生行政の一番重点的な問題を大学教授みずからが常時認識して、学生にこの重大性を教育をしてもらう、これが、やはりこういう結核対策を十年間やるには、厚生省だけではとてもできない問題でございますので、裏づけがなければできませんから、そのようなことも諮ったわけでございますが、さような形で大体十年間、今目標としております数には少くとも減らす、こういう決意で実はやっておるわけでございます。その第一段階である来年度の予算額といたしましては、総額において本年度の額に対する三倍を、もうすでに大蔵省への説明も終りまして、要求中でございます。そこから先はまだ時間的に査定、その他がまだございませんので、見込みはまだ申し上げられませんが、大体そういうような状況でございます。
○小柳勇君 さっき私が結核予防法の完全実施についての質問をしましたのは、大臣が言われたような、そういうばく然としたものでないわけです。毎年国民を全部検診するというようなことでなくして、たとえば要入院患者、あるいは要診療患者が、やはり患者になる、そういうような予防法の精神によって救済されておらぬ、そういう予算すら取っておらぬのじゃないか、足らぬのじゃないか、そういうことを第一に指摘しておるわけです。 それから、まあ机の上ではいろいろそれは数字が出ましょうけれども、実態が、国立療養所の施設の問題なり、あるいは、医者の問題なり、看護婦の給付の問題なりの実態が、あなた方の考えているいわゆる結核撲滅の精神、あるいは結核予防法の法律の精神をずいぶんずれている、その実態に対して、もっと積極的に予算化するなり、あるいはそういうような活動をしなければ実がないのじゃないか、そういうことを大体私は質問をしておるつもりです。まあ具体的に言うと、命令入所の問題についても半年分三十五億、六万三千人分の予算を取っておられるようであるけれども、そういう問題についても、もっと積極的に、そういうものは大体数字的にわかるはずだから、半年と限定しないで、あとの半年も、あるいは来年のこともわかるはずだと思う。そういうものこそほんとうに予算化して、具体的に手を打っていかなければ、やはりこういうような委員会などで弁明しなければならないのじゃないか、そういうことを申し上げている。そういう問題に対する決意をもう少し明らかにしていただきたいと思います。
○説明員(尾村偉久君) 今の御意見の通りでございまして、第一には今の開放患者、すなわち菌を外に出しまして、しかもその開放による危険度の高いというのが相当つかめておるのでございまして、それのために半年分、六万三千人といたしておりますが、これは決して全部十月から以降突如としてこれをやるのでなくして、計算はこうなっておりますが、これを前提にして、これによりまして命令入所として入れる患者、個人をつかみませんとこれはいけないわけでございますが、三十三年度におきましては、わずかこのワクは千三百人分であったわけでございますが、来年度第二の重要政策としております患者の管理、登録を確実にすることは、これは一年分で、むろん四月から許可いたしますれば、必ずやることにいたしております。これによりまして個人々々を、優先的に公費によって入れる患者を具体的につかむということでございまして、このつかんだ患者を半年分に引き直すと六万一二千人ということでございまして、これは傾斜で、つかんだものから入れますので、傾斜いたしますので、予算の組み方はこうなっておりますが、わかったものから逐次入れる、それの平均が半年分六万三千になると、こういう計算でございますので、さよう御了承願いたいと思います。 なお、第三の重点施策である健康診断も、法的には全国民を一応やるようになっておりますが、そうじゃなくて約五千万人、半数でございますが、しかもそのやり方としては、今まで一番受診率が悪くて、しかも一番発病をしているものの率が他より二倍あるいは五倍も高い患者をめぐる周辺の家族、それから中小企業、ことに小企業の従業員ないしはその企業者というようなもの、あるいはいわゆる業態者という、人に接触する小企業者、こういうような階層に今までよりは工夫をこらした方法で、要するに受診しやすく、発見しやすい方法でやるのだけでなくて、これは内容的にやり方を変える内容になっております。そのために診断方法につきましても、ただ、どこへ集まれというおふれ一つじゃ絶対にそういうものは受診できませんので、レントゲン自動車を持ち出しまして、しかも洋服を着たまま簡便に数人集まったところで、こちらから行って仕事の最中にできる、こういうようなことで、レントゲン自動車を初め、出向いてやる方法を講じているわけであります。こういうような形によりまして総合的にこの点を努力をすれば、来年から今のような見込みは立つと、こういうようなつもりでございます。
○小柳勇君 調査資料については二十八年の調査以来の調査でありますので、でき次第一つ渡していただきたいと思います。 それから次には、現在病床が四万床もあいていると言われているのですけれども、患者は、要入院患者というものは莫大なさっき言われたような数字があるのにもかかわらず、そういう空床があるということは、それはやはり入院すればいろいろと費用がかさむ、費用負担ができない患者が多数おる証拠であると思う。そういうものに対して、これは生活保護法であるとか、あるいはほかの分野であって、厚生省としては手がつかぬとあきらめておられるのか。あるいは積極的に、要入院患者これだけいるのだから、ベットはあいているのだから何とかしなければならぬ、具体的な策をもってこれから乗り出して行かれるのか、その点もう少し具体的に御説明願いたい。
○説明員(尾村偉久君) ことに入院隔離をいたしまして積極的な治療をしなければならぬ患者、これにつきましては、決して結核予防、結核対策の立場から、ほかの制度があるから、普通の他の入院医療を要するほかの疾病と同じように生活保護法にかかる、自動的に入ってくるだろうというようなことは考えておりませんので、これはやはりほかの制度も、むろん既存の社会保険その他のもの、社会保険等は利用はいたします、しかし、根本は結核対策という総合的な立場から利用できるものは利用いたすつもりでございますので、従ってほんとうからいえば、要入院患者全部をつかめれば、個人々々をつかめれば、今のあきベッドは直ちに満員になるという計算になりますが「しかし、実際には個人々々をつかむことと、それから費用の裏づけ、この両者によって初めて埋められるので、来年は先ほどのお話がありましたように、一応今あいております四万五千ベッドを今度来年計画をしている最重要な患者を公費で入れるというこの予算によって裏づけるならば、ちょうど来年はこれは満員にもなるし、活用される。で、その実績によりまして、さらに予算の増額と、ベッドの増加が必要ならば、さらに次年度はそういうふうな形にするということでございまして、このベッド対策の問題と入院医療費の問題は、決して来年の形をそのまま十年間ないし五年間年々積み重ねていったのでは先ほどの計画は必ずしもうまくいかないと思います。とりあえずやります来年の実績によりまして、さらにこれは付加修正する、増加していく、こういう予定でございます。
○委員長(久保等君) 小柳君に申し上げますが、医務局次長並びに医務局総務課長、それから医務局国立病院課長が見えておりますので御質問を願います。
○小柳勇君 もう一つ今の問題ですけれども、その実態を把握できますならば、というような御発言のようですが、私の誤解ならば訂正いたしますけれども、私どもが調査資料を要求しているのは、ただ推定の要入所患者何名でございますという厚生省の言われる推定の数字を求めているのではないのですよ。実際ベッドに入れなければならぬ患者がこれだけおります。従って空床はこれだけありますから、これに対しては各地に出向いて行ってこういうような手段をいたします、そうでなければ私は結核撲滅といってもこれはから念仏であると思う。皆さんが数字を出しておられるその数字というものを私どもは見ているわけです。その数字は、具体的には患者を把握できますならば、というようなことでは私は答弁にならないと思うのです。従ってそういう点はもう少し具体的な、ほんとうに要入所患者というものはこれだけおりますという、個人的に把握したものでなければ私はほんとうの厚生省の数字とはならぬと思うのです、どうですか。
○説明員(尾村偉久君) その点は、先ほどからの実態調査で四百六十万、要入院は三百十万といいます数は、今の先生の言われる推定患者でございます。というのは、これは七万人の統計学の推定に基いた——二十八年もそうでございますが、これの無差別抽出調査でございます。ただし、この場合にはあらゆる職業、それからあらゆる階層を網羅するような正当な抽出調査でございます。これを拡大した推計値にはこれは間違いないのでございますが、しかし、これはあくまでもそういうような数をつかむための、あるいは実態を明らかにするためのものでございまして、具体的な医療措置、あるいに入院措置をやるのはこの患者と、個人個人が、どこの土地のどこのたれ兵衛ということがわからないと措置ができないわけであります。その点からいいますと、この数では直ちにその対策はできないというわけで、来年度に私は御説明いたしました第二の患者管理を今度は非常に重点的にやるということは、今まで医師が結核として届け出られたものが、届けばすることになっているが、それがたまりにたまりまして必ずしもそれが全部追及監視はできておらない、しかも登録票の整理さえもうまくいっておらない、従って死亡した者もまだ生きているようになっている場面もございます。その意味で、患者管理を五年間だけでも病気として認定されたものが今まで数だけでも二百万以上ございますので、この登録票を整理いたしまして管理検診をそこにする。こういうことと、それから先ほど言いました重点的に約五千万検診いたしました中から発見されることを予想されております十数万の発見患者、これをさしあたり来年の対策としてしたい、こういうことでございまして御案内のように、現在登録されている二百万という数は全部個人的にはわかっておらぬのであります。これは来年のこの計画と並行してその通りにやっていこう、こういう形でございます。
○小柳勇君 わかりました。私は部落の話のときにもちょっと触れたいと思ったのですけれども、たとえば自分で医者に検診してもらって発見される者はいいが、あるいはもう病気と知らない、あるいは知っておっても行かない、行けない、そういう村にたくさんの病原菌を持っている人がいると思います。そういう人に対して、またこれは国民として検診しなければならぬけれども、積極的にそういう何か具体的に機会でもあればこれを見つけ出して入所させる、そういうような具体的なプランでもあればお聞かせおきを願いたいと思います。
○説明員(尾村偉久君) ただいまのように無自覚の者もおりますと、これは医師の方に引っかかりませんし、それから有自覚であっても、医者にかかると金がかかるというので、何らかの自分ではおそれはいだいておりながら放置さしておる。それこそ今度の健康診断の重点的な強化というもので、そういう者が一文もかけずに無料で検診をする、この第三の施策のちょうど対象になるわけであります。そういうものを重点的にやっていきたい。そうではなくて、今までのようにいたずらに大企業等で、ほうっておいても企業者が健康診断は自衛の策でもやっている。そういうところにいたずらに公共の方が力を入れんでも、ほうっておいていい。入れるのは今の部落とか、あるいは村落、いろいろな事情で引っ込んでいる者を見つけ出すのに重点を置く、こういうふうにいたしておるわけであります。
○小柳勇君 最後の質問をいたしまして、一番初めの医務局次長に対する質問に入ります。 最後の質問は、今、療養所に、特別会計になるのではないかという心配をしている向きがありますが、大臣は、国立病院のように、結核療養所も特別会計にするような考えは持っておられないと思うが、その点を一つはっきりお答えおき願いたいと思う。 次の質問は、一番初めにいたしました国立足利療養所の医者不足の問題に対して、医務局としては積極的にどういう手を打とうとしておるのか、そういう類似の療養所、すでに医者と患者と一体になって死の行進を始めている療養所もたくさんあると思うが、そういう具体的な問題に対してどういう手を打とうとしておるのか、医務局の方から伺いたい。
○説明員(堀岡吉次君) 御質問の冒頭の特別会計の問題でありますが、これは現在のところ非公式にそういう話が大蔵省から出ている、という程度のものであります。まだ厚生省としてそれに対してどうこうするということは全然研究しておりません。特別会計といいましても、これは独立採算をやるという意味の問題ではなしに、大蔵省は非公式に出しております。それだけの段階でありまして、それをどうこうするということは何も私の方では検討しておりません。 それから、足利療養所の医者陣営不足の問題は、お話のような状況でございまして、非常に申しわけなく存じております。何と申しましても俸給の問題が中心問題でございます。これは国会でも数次にわたって御論議いただいておるところであります。その点につきましては、医療職ということで、先般の給与改訂の際には、医療職については、相当他の一般公務員よりは有利に改訂はされましたけれども、現実に民間あるいは類似の三公社五現業等のお医者さんと比べましては、国立病院、療養所の医者の俸給は、もう低いのは争えない事実であります。そこで、これの改訂につきましてずいぶん人事院と話し合いをしております。先般、御案内のように、一般の職員と千円の差額を初任級で出したらいいのじゃないかということがありましたが、私はこれでは、とてもそのくらいの差では、現に臨床に当られる医者はそういう給与ではとてもだめだということで、諸般の資料をあげまして現在もなお人事院と折衝中であります。 それからもう一つの問題は、医療職の特別の俸給のあり方でありますが、特に療養所、病院等における第一線の診療に当られる医長クラスの先生方の俸給を、たとえば四等級であるのを三等級にしてくれというふうに、いい給与表の適用を受けるような折衝をいたしておるわけであります。そのことが、先般の改訂のときにも相当大幅にわれわれの要求はいれてくれましたが、それをさらにいれてくれますと現実にいい俸給になりますので、そこいらの先生方が一番何と申しましても病院、診療所における治療の中心の先生方であるので、よろしくお願いしたいということで、現実にでき上っている体系の中での改正であります。 それからもう一つは、次年度の予算において折衝中でございますが、住宅不足の問題でございますが、特に東京とか大阪でございますとかいうところは何とかやりくりがつきますが、いなかの方でございますと、その点が非常にわれわれの方としては医師獲得に悩みのある点でございます。そこで、にわかに医師住宅を作るといいましても、なかなか簡単に参りかねる場合もありますので、作ることは作ってもらうことで、大蔵省が所管をいたしておりますので、特別に公営住宅の割当をしてくれという申込みのほかに、私らの方では、民間から住宅を借り上げまして、そうしてそのことによって、それを国が借り上げた住宅としてそこに住まわせるということでもっていなかの方に行ってもらうということを現在折衝中であります。 それからもう一つ、国立病院、療養所へ来られるお医者さんは、給与の問題につきましては、今申し上げたように、要するに安いことは承知で来ておられるわけであります。ところが、非常に大きな一つの魅力は、研究の問題でございまして、そこで何とか研究費を上げたいということで、実は本年度の三十三年度予算におきましては、国立療養所のお医者さんの研究予算は約倍額にいたしてもらったのであります。これは金額としてはべらぼうな金額でも何でもないわけでありますが、しかし、倍額になりますということは、今まで初めてのことでありまして、その点は、大蔵省が目を開いてくれたわけでありますが、それではもちろん足りませんので、さらにこれをふやしまして、そのことによって、そういう研究意欲によって先生方においでを願うというようなことを講じていきたいというふうなことで、大体そういうふうな、申し上げたような手段を尽しまして、八方何とかいたしたい。 それからもう一つ、全然これは私らの予算関係ではございませんが、たとえば、療養所と申しましても、非常に中心的な療養所がございます。たとえば中野でございますとか、あるいは刀根山でございますとか、そういう所は内容も非常にいいわけであります。それで、そういう所に定員を配置しまして、そうして、そこのお医者さんとして近間のなかなかお医者さんの行きにくい療養所へ派遣をする。つまり中野なら中野療養所の医者のままで、非常に採用のしにくい、たとえば、御指摘の足利なら足利の療養所に派遣をする。中野という所のつながりといいますか、そういうことで、まあ言外の妙とでも申しまするか、そういうことによりまして、お医者さんを獲得しまして、そうして他の療養所に行ってもらう。これは未来永劫にそこに行ってもらうということでは、なかなか納得いきませんけれども、一年なり二年行ってもらう。で、療養所は数多くございますが、たとえば、中野でありますとか、刀根山でございますとか、こういう所はお医者さんはいるわけでございます。ところが、御指摘のような所に、非常に行きにくいという所がございますので、そういうふうな手段——これは純粋内部的な操作でもってやる手段でございますが、そういう手段も現在試みておりまして、それらによりましては、一、二成功をおさめておる所もありますので、もう少しこれを悲観的な療養所に波及させまして、そこらが中心になってお医者さんを獲得して、そこの近辺の結びつきの療養所へ出す、こういうようなことも現在試みておるところであります。 いろいろあれこれ並べまして、恐縮千万でありますが、抜本的には、何と申しましても臨床に当られるお医者さんの俸給の大幅な改善ということで、この点につきましては、人事院もだいぶんわかってきてくれておりますが、なかなかそれの根本的な勧告にまで至りませんものですから、遺憾ながら十分な成果をおさめておるとは残念ながら申し上げるわけにはいかぬのでありますが、大体以上のような措置を講じておりますので、御了承を願いたいと思います。
○小柳勇君 それは一つの理由でありましょうけれども、私はそれだけじゃないと思います。やはり医者は技術者ですから、私どももそうでしたけれども、ひまがあって勉強したい、研究したいという医者もたくさんあると思うのです。ところがさっきあなたいなかったのだけれども、前から、定員の査定の基準を十月二日に次官通達をもって定員を減らしておるでしょう。あなたは知っているか知らぬか、それも聞きたいが、十月二日の日に定員査定の基準を下げるような、悪くするような方向の次官通達が出ておる。これをまずあなたが知っておるかどうか、それが知らなければ、これはまあ医者——看護婦の問題もありますが、医者のやつも出ておるのだけれども、長いのですが、そのようなものについて、私は医者の、結核療養所に行きたがらない医者の気持も考えてみて、もしそうであるならば、もう少し定員でもふやしてそうして給与だけでなくて研究をするとか、いろいろのそういうふうなあれが、余裕があれば、あるいは希望される医者もあるのではないかと思うわけです。従って、そういう、単に給与だけの問題でなくて、やはり定員の増とか、あるいは仕事の量を減少してやるとか、そういうことも考えてやらなければならぬと思います。そういう面に対して、まず定員の面に対してもどういうふうにお考えか、そうして次官通達について知られなければあとで勉強してもらうし、私の勉強違いであれば私が訂正いたしますが、看護婦の定員についても一つ研究してお答え願っておきたいと思うわけです。 それと、国立療養所の所長と課長、所・課長協議会という会議がありますね、それの申し合せがあってなされたけれども、そういうものを知りながら、やはり国会で問題にならなければ、あなた方が積極的にそういう現場の所長さんや課長さんの話を聞かぬのではないか、その点を私はただしたい。やはりそういうふうな現場の苦労というものは、問題が大きくならぬと、言ってこないわけです。ある程度まで耐えるわけだ。所長さんも課長さんもいよいよ耐えられないから大臣に会ったり、局長に会ったりするわけですから、そういう場合は積極的にすぐ対策を講じてやる、問題を解決してやるという積極的性が根本対策ではないかと思う。それについてのあなたのお考えを聞かせておいてもらいたい。
○説明員(堀岡吉次君) 十月二日の次官通達は、確かにそういう通達を出しております。これは精神と、それから結核の療養所の標準の医者の数と、それから看護婦の標準の数を医療法によって示したわけであります。これは大体この標準は、現状と非常に大幅な狂いがありますというと、一つの基準でありますので、あまり大幅な開きが現状との間にあるようでありますというと、実はむしろ医療機関側が困る問題がありますので、大体現状に合う程度のものを示したわけであります。で、将来は、だんだんこれは学界とも十分な御相談を申し上げなければなりませんが、改正する時期がくれば改正する。これを出しますにつきましても、日本医師会並びに学界には十分御相談しまして大体この線で、一つ現段階といたしましてはやっていこうということで出したのでありまして、国立病院、療養所は、このことによって定員をふやすとか、減らすとかということは別段何も講じておるわけではございません。それから定員の問題、国立病院、療養所の医療陣の定員の問題でありますが、これは現実に一つの与えられた定員内の問題としましては、できるならば、事務の簡素化等がもしできますならば、それらによって定員の余裕があれば、これは医者の方に振り向けたいということで鋭意目下そういう作業を進めております。 それから所・課長会議の問題は、これはもう絶えずわれわれも出ておりまして、そうして打ちあけた話で恐縮ですが、問題によりましてはむしろ私らの方と一緒になって相談を進めておりまして、まあ非常なむだ話になるかもしれませんが、そういうようなことを相談しながら、現場の人が一体どうしたらよろしいというような意味合いで、現場の方々がそれぞれの方面に訴えられる場合もございます。われわれとして全然知らぬというふうな動きはないわけであります。ほとんど大体だれか責任者が参上いたしております。
○小柳勇君 発言するのも何ですが、最後に今の、医務局次長ですからお医者さんだと思うのですけれども、それも定員が、査定がかつてちゃんと実際例から出されておる。定員が医療法施行規則から出ておるわけです。それを今度は次官通達で出された。その基準は国立療養所には適用いたしませんといっておられますけれども、それはやはり国立療養所の基準でなければ、それを民間の医者に何のために出されるかというと、反問できぬでしょう。そういうことでなくてやはり、しかも現在はいろいろ化学療法、薬だけじゃなくて昔の安静療法から化学療法になって実際化ける化学の方だけでなくて、機械を使う治療もあって、医者の定員というものは、私どもしろうとが見ても、定員はふえるのが当然だと思うのですが、しかも減っておるでしょう。それを私はさっき大臣にただしたわけです。たとえば、日経連にお医者さんたちの協会が入っているから、お医者さんの経営がもうかるように医者や看護婦の定員を減らしたのじゃないか。大臣の答弁としては、いや、そういうことはやりませんと答弁になったが、あなたは医者であるならば、むしろ今から数年前の査定基準から、現在の査定基準では当然医者も看護婦もふえなければならない。それが減っているから、多分あなたは次官通達の方を知らなかったかもわかりませんが、そういうものが出てくるから、私はそのことについてそういうふうに減るような定員査定というものについては納得できないということで質問したわけです。従って、その問題についてもう少し御検討を願いたいと思うし、私どもは国立療養所の医者の足らぬ問題も、やはりそういうところに根本的な問題があるのではないかと思いますから、結核対策については、やはり予算をうんと取らなければならないと同時に、そういうふうな方面も一つ十分厚生省一体となって今後の御努力を願いたいことを言って私の質問を終ります。
○説明員(堀岡吉次君) 私、実は事務屋でありましてお医者でないのであります。十月二日の定員の、定員といいますか、基準の員数、医療者の員数を国立療養所に適用するとかしないとかということを、適用しないというふうにお聞き取り願ったかもしれませんが、もしそうでありましたならば、私の言い間違いで、もちろん適用するのであります。すべての医療機関については、精神と、結核の医療機関についてはこういう基準で医者及び看護婦は置いてもらいたいということであります。そこで、国立病院、療養所は、個個の施設では、御指摘のように、先般のような足利のごとく、こういう基準を下回わるものもございますが、この点は先ほどから申し上げるように、鋭意努力いたしまして充足をはかるつもりであります。看護婦の方では、大体問題なしに、国立病院、療養所はそういうふうに定員をオーバーしております。これはさっきも申し上げましたように、そういう一般的な基準を示しましたのでありまして、先ほども申し上げましたが、これらの数字が、今後もっと改正すべき点があれば、これは十分医師会なり、学界なりにお聞きしまして、相当の根拠をもって改正いたしませんと、軽々にはできるものではない。十分そういうことを考えておりまして将来そういう問題は十分検討していきたいと思います。
○中山福藏君 私は関連事項を一点だけお聞きしておきたい。ただいま結核問題が取り上げられておるのでありますが、この際、大臣に確かめておきたいことは、こういうふうな伝染性の病気に携わっております医者、特に国立病院とか、療養所の医者、こういうものに対しては、先ほど給与の関係をいろいろ質疑応答されましたが、私はかねて普通の医者よりも三倍ぐらいのこれは給料を取るべきであると思っております。ことにらい病患者を取り扱う医者というものは、人事院云々ということで、一律の公務員の給与を与えるようなことでは、これは大へん思い違いだと思う。これは大臣に承わっておきますが、こういうふうな特殊の病気に対して医療の任に当る人間に対しては特別の配慮が必要だと思うのです。これは一つ例をとって申し上げますと、今日、日本に裁判官と検事が非常に足らない。弁護士からこれになるという希望者がほとんどない。なぜかというと、相当の弁護士だったらば、もう比較にならぬくらいのいい給与をいただいておるわけです。裁判官とか、検事とかは、それで非常に志望者が少い。それでもう大がいの裁判官は神経衰弱になって、結局参ってしまって死亡率も、非常に早死にが多いわけです。それと同じようなあんばいに、やはり医者の方にもまたそういう結果が現われておって、ただいま御質問になりました小柳さんのようなことが現われてくるのじゃないかと思うのです。ただこういう点は、人事院がどうだとか、こうだとかいうようなことでなく、根本的なものに触れて一つ御研究にならないと、私はほんとうの病気の療養をせられるという場合、そこに理想的な結果が現われてこないのじゃないかと思うのですがね。これは大臣に特にお尋ねしておきたいのです。らい患者を取り扱う医者の場合はことにそうだと思う。結核もそれに次いだものだと思うのです。一つ大臣の御意見を承わっておきたい。その一点だけお尋ねしておきます。
○国務大臣(橋本龍伍君) もうお説ごもっともでございますが、やはり国立の病院、療養所のお医者さんを取りまするためには、どうしても俸給表の適用をいたさなければならぬわけでありますが、決して放置しているわけじゃございませんので、医療に従事いたしまする公務員の給与といたしましては、らいの治療に従事いたしまするものは五号、結核に従事いたしますのに二号、調整号俸があるわけでございます。で、ただどうもこれでは十分でございませんので、それでただいま中山委員から御指摘のような趣旨をくみまして、俸給表の改正をぜひやってもらいたいと思って人事院と相談をいたしております。
○藤田藤太郎君 今の小柳委員の質疑に関連してお尋ねをしたいのですが、この前のとき、私はこういうことをお尋ねしたことがあると思うのです。回復の見込みのない患者に対しては、もう薬も与えなくてもいいというようなことを、厚生省の技官が、北海道で医者を集めて訓示をした。そういうことはありませんということで、そのままになっているわけですけれども、今度また北海道で、聞くところによると、ある患者に対して医者が手術に応じろと、応じなければ、もう給付はせぬ、こういうことを強引に患者に対して言っていると、こういうことを聞くわけなんです。これは事実なのかどうか、そういう点……。どういうわけで同じ結核であっても、手術の必要な人と、手術をしなくてもなおる人とあるか。話を聞くと、この主治医、日々見ている主治医は、手術をしなくてもよろしい、この患者は手術しなくてもなおるんだから、こう言っているのだけれども、何というのですか、厚生省の出先とは言いませんけれども、道庁の嘱託医をしておられる、まあ厚生省の嘱託医もされているのだと思うのですが、小杉という人が強引に、もう給付を差しとめてしまう、こういうことを言っている。だから、そういう関係はどういう工合に指導されているのか。これはまあ二つとも期せずして北海道に起きているのですが、これと関連してのお考えを、少し聞いてみたいと思います。
○説明員(堀岡吉次君) 具体的な問題の御様子でございますが、実はそういうことを私どももまだ聞いておりませんので、まあ想像しますのに、あるいは生活保護の患者か、保険の患者か、どちらかの病状の判断の意見の相違じゃないかと思いますが、具体的に聞いておりませんので、ちょっと申し上げかねるのでございますが。
○藤田藤太郎君 これは生活保護法の、医療扶助を受けている人だと私は思うのです。この前も医療扶助を受けている患者でした。そこで、そういうことは知らないということじゃなしに、あなたは現在お知りにならないんだけれども、まあこういう指導をしているのかどうか、厚生省として……。
○説明員(堀岡吉次君) おそらく私ども御答弁申し上げるのは筋違いかと思いますけれども、今のお話では、生活保護の患者のお話でございますので、具体的に主管局と連絡しまして調べていただきまして、主管局の方から御返事を申し上げるということでお取り計らいをさしていただきたいと思います。
○藤田藤太郎君 こういう指導をしているか、していないかということも、あなたの方では今わからぬから、関係係官から返事をする、こういうことですか。そういう工合に了解していいですね。
○説明員(堀岡吉次君) お話の通り、主管局の方に連絡いたしまして、主管局の方から御返事をさしていただくことにいたします。
○藤田藤太郎君 もう一つお聞きしたいんですけれども、最近、これは北海道、群馬、大阪というところに起きているんですけれども、生活苦のために一部負担が払えないというところから、その一部負担が払えない人に、もう退院しろといって追い出す、こういうことが、こういうところで、今あげましたけれども、群馬、北海道、大阪で行われている、この点についてはどうですか。これは健康保険です。
○説明員(堀岡吉次君) 一部負担ができないからといって、医療保護の扶助、医療を拒否するということは、これは許されません。ただし、生活保護等の一部負担の場合にはどういうふうな関係の取扱いをしていますか、私は主管局が違いますので、十分存じ上げませんので、ただいまの点も、先ほど申し上げたように、主管局に連絡さしていただきまして、後刻御返事申し上げるようにさしていただきたいと思います。
○藤田藤太郎君 これは健康保険の患者ですよ。一部負担というのは、生活保護の一部負担じゃないんです。
○説明員(堀岡吉次君) 私の聞き間違いで恐縮千万なんですが、健康保険でございますそうでございまして保険局の方に連絡いたしまして、おそらく一部負担は、現実に健康保険の本人ならば、初診のときどきぐらいと、あとは入院中の一日二十円でございますが、本人でございますとそれだけの負担になると思います。従いまして、それが払えないからといって、国立病院、療養所では、それに医療を加えないということは絶対にございません。ただ、それを保険の方でどう取り扱いますか、その点は私つまびらかにいたしませんので、先般申し上げましたように、主管局の方に連絡をいたしまして、後刻御連絡を申し上げるようにさしていただきます。
○藤田藤太郎君 まあ、法律できまっているんだから、何とかしていろいろの方法で払ってもらうということは、そういうところに医療扶助というか、生活保護の関係が生まれてくるかどうかわかりませんけれども、その一部負担が払えないということで退院をさすということは、厚生省は方針としてはきめてないと理解していいですね。そこまで強引にやろうとしていないということ。
○説明員(堀岡吉次君) 国立病院、療養所におきましては、一部負担が払えないから退院さすということは、毛頭いたしておりません。
○藤田藤太郎君 そこで、私は厚生大臣にお聞きしたいんですが、今一部負担の問題で少しお話を承わりましたけれども、この前の国会で問題になったのは、健康保険の一部改正の問題、政府管掌の健康保険が赤字が出たから、極端な議論の中には、受益負担ということにして一部負担をおっかぶせて、そのときに一部負担をしてもらうかわりに、政府は、要するに三十億政府管掌の健康保険に毎年出すんだ。今六十億の負債のあるものにつけ加えて、十億ずつ一般会計から見ていくんだ、こういう約束で一部負担が行われ、今年度の予算ではこの三十億、合せて四十億になっておりますが、三十億は消えてしまった。これは被保険者の怒りというものは、私は今まであまりここで議題にいたしませんでしたけれども、非常に大きな怒りでございます。政府は約束をそういう工合に破ったんだから、それは政府管掌の健康保険に黒字が出てきたという理由なんです。事実、黒字が出ています。だから、今度はその一部負担をとって、つけ加えて黒字に応じて医療給付の内容を改善していく、最終的には料金を引き下げる、こういう問題が具体的に厚生行政の中に出てこなければ、私は国民に対して、被保険者に対してうそをついたことになる。これはこの前の厚生大臣のときにも申し上げて、いろいろ考えてみるということになって、そのままずるずると、もう今日十月にきてしまった。これはどうするおつもりなんですか。これは厚生大臣からお聞きしたい。
○国務大臣(橋本龍伍君) 政府管掌の健康保険の財政は、今日相当の余裕を示しております。ただいまお話のございましたように、これはもう常続的に黒字の出る内容をいろいろ考えて参るべきであることは当然でございます。ただ、保険の財政の問題は長い問題でございまするし、とにかく非常に全国の数多くの診療行為を積み上げての支払いの問題でございますから、私はやはり今日この診療報酬の引き上げの問題も、この間から実施したばかりでございまするし、少しく推移を見て参りたいと考えております。政府として、いずれにいたしましても、この推移をながめて参りまして常続的に黒字が出て参りまするときには、今お話のありましたように、漫然と黒字の出るままにすべきものではございませんので、健康保険の内容の問題については、いろいろ考えておる次第でございます。今日しからば給付の内容を改善をするとか、あるいはまた、どこの点をどういうふうにするかということは、いましばらく考えさしていただきたいと思っております。今日のところでは、まだ結論を出してはおりませんけれども、しかし、この料金引き上げの推移等を見まして今後なお常続的に黒字が出るようであれば、何らかやはりこれについての処置を考えなければならぬと思っております。
○藤田藤太郎君 将来、黒字が出れば、またそれが持続すれば考えなきゃならぬというような問題じゃないと思う。三十三年度は四月からすでに入っている。四月からの今年度の会計年度で三十億の金を削減しておいて、約束を果さず、一部では負担する一部負担は持続している。そしてその政府の約束はとっておいて、それで黒字が持続したらどうするというようなことは、議論に私はならぬと思う。そんな議論が立ちますか。どうお考えになっておるか。私はそんな議論じゃないと思うんですよ。そんなら削減するものは全部四月にさかのぼって払い戻しをするということになるんですか。これはもう予算のときの問題なんですけれども、政府は料金を引き下げるとか何とか処置をするとたびたび考えておるんだということを大臣が言明されておったから、われわれは黙っておったんだけれども、いまだに何ら音さたがないから、新しく厚生大臣になられてから相当たちますから、むろん重大な引継事項であろうし、この問題はこの点明確にしてもらわなければならぬ問題だと私たちは考えておる。ただ、黒字が続くとか、見通しがついたら何とか考えようという問題じゃないと思う。私はそう認識している。これは社会党ばかりじゃない、自民党の新議員の方々でも、あの健康保険の激しいときに、そういう約束で、国の一部負担という問題を含めて健康保険法の一部改正が行われた。これは、そういう返事じゃわれわれは納得できない。ここではっきりして下さい。
○国務大臣(橋本龍伍君) 繰り返して申し上げますが、今日いろいろな要望があるわけであります。料率の引き下げということに重点を置いての御意見もございまするし、給付内容の改善、特に予防面のつまり健康診断、特に精神病その他に対する健康診断を含めて、予防的な給付を拡大しようというような御意見もあるわけです。保険財政の問題は長い目でいろいろ考えなければならぬ問題でございますので、保険財政の推移というものをながめてみたいと考えておりまするし、それから常続的に黒字の出て参りますることを、大体これぐらいということをにらみました上においても、しからばそれでいかに措置をすべきかということにつきましては、いろいろ考えなければならぬ問題がございますので、もう少しお待ちを願いたい。今日そういう大きな問題を考えてはおるわけでございますが、結論を申し上げるまでの段階に立ち至っておらないのであります。
○藤田藤太郎君 保険経済ということは大切なことです。むろんわれわれも大切なことだと認識をして保険を見ております。ところが、政府の支出だけは三十三年度取ったのですよ。保険の推移を見るというなら、なぜ取らないで推移を見られないのですか。政府の支出だけはさっと引き上げておいて、そして保険の推移を見てみるということは、そういう私は理屈にはならないと思うのですよ。政府の支出だけは一部負担をお前らはしてくれ、だからこれだけは政府が出すと約束をするというので、確約をしておいて、政府が出したやつはさっと引き上げておいて、保険経済の推移を見るなんていう、そんな返事はどこへいったって通りませんよ。だから、今までの大臣は何とか料金引き下げとか、一部負担の問題とかをどうするとか、または医療内容をどう改善するか、そして被保険者に報いなければならぬというふうに、私はここで発言をされておると思う。それを政府の金だけ引き上げておいて、保険経済の推移を見てから云々なんていう議論が、今の厚生大臣から出るとは私は思わなかった。そういう話じゃないでしょう。それは一つ今の発言は改めてもらいたい。やはり法律改正をするときの約束だから、何とか総合的に相互の分担を処理するために何とかしょうと、それは早急に具体的にこういうことをしたい、今こうしたいということをおっしゃってもらわなければ、その御返答ではわれわれ納得できません。どうですか、大臣。
○国務大臣(橋本龍伍君) 繰り返して申し上げておるのでありますが、もちろん常続的に黒字が出ますときに、何もしないでそのままにして、要りもせぬ金を保険財政の中にためておくということは考えておりません。ただ、しからばこの際、一体どういう措置が最善であるかということは、この保険財政を長い目で推移等を見ながら、また 一体、何が一番要望に沿うゆえんであるかということも考えながら、まだ結論を出しておらないのであります。ですから、いかなる措置をするかということにつきましては、今日まだここで言明をいたすことはできない段階でございます
○藤田藤太郎君 それは怠慢じゃないですか、厚生行政の……。三十億取り消されたのだから、なぜ一部負担は三十億にならないと思うのですか。それもとってしまって、そして経済の中でどうするかということをお考えになるなら、私は話はわかると思うのですよ。だけれども、そういうことはせられないで今日まできて、何とか具体的に考えているからもうしばらく待ってくれということで、前の大臣はそういう発言だったから、それじゃと思って待っておったのだが、ずるずる待って、今度の臨時国会に来た、それなのに今時分——今のときに至って保険経済の推移を見て、具体策がないから一つもうしばらく待ってくれと言う。私は、私ばかりじゃないと思うのですよ、これを聞いている人の気持は同じだと思う。今時分具体策がないからというような話を私は聞こうとは思っていなかった。これはまあ一つ、きょうこの問題は非常に重要な問題ですから、大臣もよく実態をつかんでもらって、この次の厚生部会で明確に一つやってもらわないと、これは私たちも責任があります。これはもう被保険者との関係でわれわれも責任がありますから、明確に一つ、新しい厚生大臣のこの厚生行政の中で、これは被保険者にあれだけ改正案のときに約束した問題ですから、明確にしてもらいたい。きょうはこれでとどめておきますが、この問題はどうか明確にしていただきたい。これだけお願いしておきます。
○勝俣稔君 前の国会で、産休の問題なんでございますけれども、産前産後の看護婦さんや何かの産休の、産前産後の休みをどうしても基準法によってもしなければならない。その場合に、費用が正式にないというので、非常に国立病院、あるいは療養所の看護婦さんなんかの陳情がありまして何らか予算的措置をとろうと、こういうお話がありましたが、その後どういうようになっておりますか。おそらく通常国会にはまたそういう問題が出てくるのじゃないだろうか、こういうように思っておりますが、どうなりましたか。一つ次長からでも……。
○説明員(堀岡吉次君) 産休の問題につきましては、休まれた間のかわりの人を病院なり療養所としては入れなければなりません。それは、要するにその賃金で支払われるということで、賃金の予算をふやしまして、現在は大体申請のありましたものはほとんど全部問題なく金額を配付いたしましてそれでもってやっておるという状況でございます。
○勝俣稔君 そうすれば、まあ今度は通常国会にそういう陳情があったり、いろいろな問題がありましても、今の御答弁の通りにいけば、まあ厚生当局も安心していられるという自信をお持ちなんですか、どうですか。
○説明員(堀岡吉次君) 医務局の運営いたしております国立病院、療養所につきましては、現在の制度で、予算としても大体足りるという考えでありますが、ただこれが、たとえば、保健所の看護婦さんとか、保健婦さん、あるいはその他一般の医療機関の問題に出ました場合には、これはそれぞれのところでそういうような予算措置を講じませんというと、医務局の病院、療養所におけるような操作で足りるかどうかということの御検討を現場でそれぞれ願いまして、それらにおいての予算措置を講じなければ、完全なる解決にはならぬと、こう考えます。
○委員長(久保等君) 本問題に対する本日の質疑は、この程度にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(久保等君) 御異議ないと認めます。 —————————————
○委員長(久保等君) 次に、一般厚生行政に関する件を議題といたします。 麻薬取締り関係についての御質問を含めて願いたいと存じます。
○木下友敬君 麻薬のことで少しお伺いしたいのですが、薬務局長さんおいでになりますね。
○説明員(森本潔君) おります。
○木下友敬君 方々で聞いてみますと、現在麻薬を使っておる人が全国で四万近くあるのではないかというようなことを聞くのです。また、きょうの読売新聞を見ますと、それにも約四万人くらいの麻薬常用者がおるというようなことを書いておりますし、また検挙された数から見ましても、昨年の上半期では四百四十一件で六百三十一人、今年の上半期では七百五十五件の九百七十人というような上昇カーブを描いて麻薬がひそかに常用されておるという状態であるのは、大へんこれは困ったことだと思うのでございます。私は、その麻薬患者の分布の状態というようなものをまずお聞きしたいのです。
○説明員(森本潔君) この麻薬患者は御承知のように、なかなか正確なものはつかみにくいのでございます。と申しますのは、一般の患者と違いまして、表に出れば必ず処罰されるという関係上、なかなか正確な数字がつかめません。それで終戦後、昭和三十二年までにはっきりつかみました数が大体一万人でございます。これは表に出た数が一万人でございまして、いろいろ推定いたしますと、潜在しておるものがなお三方人くらいおるだろう、結局合計して約四万人おるだろうというような推定をしております。 それから、患者の分布の状況でございますが、これは京浜地区、それから阪神地区、北九州、ここが大部分でございます。数字を申し上げますと、東京では約一万五千、それから横浜付近で約五千名、それから大阪付近で九千名、それから神戸で六千名、それから北九州地区に三千名、その他の府県で二千名、一応こういうふうな推定をいたしております。
○木下友敬君 麻薬は大体私らの調べでは、アヘンにして国内で医療用には五十トン——五十トンくらいと聞いておりますが、それに国内の生産はニトンか三トン、ほとんど大部分が外国から輸入されておる、こう思うのです。一体、どういうふうな経路で輸入し、それが、大部分の麻薬常用者というものは密輸入の麻薬を使っておると思うのですが、正式なルートというものは、どういうふうにして輸入しておるか、それが麻薬常用者の方に流れるようなことは万一ないと思いますけれども、そういうおそれのないというような条件が満たされておるかどうか、これも一つ御説明を願いたい。
○説明員(森本潔君) 正規のルートで入れます麻薬は、麻薬と申しますかこれは原料で輸入するわけでございます。アヘンの形で輸入します。それの生産国はインド、イラン、トルコ、これがおもなる生産国でございまして、そこから政府が直接輸入をいたしております。そうして輸入しましたものは、これを特定の製薬会社、これは現在では三社で三工場でございますが、そこで製造する。そうしていろいろの、たとえば、モルヒネでありますとか、塩酸コデインであるとか、燐酸コデインであるとかというような薬用の形に仕上げまして、それを元卸、それから地方の卸、それから小売、それから医療開業医、こういうふうなルートを経ております。そうしてこれらの製造する者、販売する者、扱う者というものは、すべて厚生大臣または知事の免許制によっておるわけでございまして、それ以外の者は取り扱うことができない。さらにこれらのものを取り扱っております営業者におきましては、幾ら、いつ、どこへ出したかということを正確に記録をさしております。でありますから、法律上は、その正規の麻薬が不当な使用に流れるということは一応考えられないわけでございます。しかしながら、絶対にないのかといいますと、これはやはりございまして、一、二の例を申しますと、たとえば、医療機関におきまして医師自身が自分で使う、あるいは麻薬中毒者に施用するというような事例がございます。それから、流通過程におきまして流れた例は今までのところはございませんが、一、二そういう例はございますが、大体正規の麻薬というものは、今申しましたように、真に医療用だけに使われる、かように考えてよかろうと思っております。
○木下友敬君 そういう民間の三社で、アヘンから、たとえば、モルヒネとか、ヘロインというものを作るのを許可しておられるというふうに思うのですが、その会社はどことどこであって、その監督はどういうふうになっておるか、ただ向うで、こういうふうに何キロでき上って、これをどういうふうに分配したということを報告するだけですか、何か特別のそれとも監督する方法を講じているかどうか、そこまでいかぬと、正式のルートからだんだん末端の医療機関などへ行くというのは、きわめてわずかだと思う、精製するもとではどういうふうな監督がやられているか。
○説明員(森本潔君) 最初にこの輸入しましたアヘンは、全部国有でございます。国が一応持っている。そうしてメーカーに出します場合には、大体厚生省におきまして、本年度の麻薬の需要はどのくらいだろうかということを予定いたしまして、それに応じました原料を配給するわけでございます。従いまして、こちらで配給します数量がわかっておりますから、生産数量も確実につかめるということでございまして、その数字は四半期ごとに報告をとり、また立入検査をして確認をしている、こういうことでございます。
○木下友敬君 それで、ヒロポンが大へんはやって、これはもう日本中至るところにヒロポンを使う人が出たために非常に弊害が多かった、そこで政府は、これに強力な手を打って、もう現在ではヒロポン患者というものはほとんどいないでしょう、いるかもわからぬけれども、大へんな効果を上げた。これは目ざましい効果を上げたのですが、ヒロポンの製造というものはきわめて簡単な方法でどこででもできる、従って入手もいたって簡単に入手できた、それさえこのようにりっぱに食いとめることができたのですが、麻薬というやつは、あなたの言われるように、正規のルートの外には流れないと一応考えてもいいかもわからないが、どうせ密輸ということになってくる、密輸ということになれば、これはまあ非常にヒロポンのときよりもっと私は、むしろもとがつかみやすいと思う、非常に簡単にできる。ヒロポンは根源をついて、これをたやすことができたが、密輸といえば船で来るとか、あるいはこれもあとで少し詳しく話してもらいたいのですが、進駐軍を利用した方法だとか、あるいは船を利用するとか、アメリカの兵隊等を利用する、そういうふうなことで入ってくるということですが、なかなかつかむことはむずかしいけれども、ヒロポンのときよりか限られた範囲だから、本気でやるならば、私はもう少し密輸入のもとをつくことができるのじゃないか、そうして効果を上げることができるのじゃないか、また、たとえば、常用しているのも、どこででもやっているのじゃなくして、横浜であるとか、あるいは神戸であるとかという、大体注射をしているような場所はほとんどきまっている、見当がつくというのが実情なんです。それなら、もう少ししっかり取締りをやれば、これは減らすことができると思うのですが、一体、取締りの方法というのは、あるいは取締りの機構というのはどういうふうにしておるか。だんだんふえてくる麻薬常用者に対応して取締りの方法が少しは進歩してきたか、依然として終戦当時のような状態のままにとどまっているかどうか。そういうところもあわせて御説明願いたい。
○説明員(森本潔君) この麻薬の取締りにつきましては、関係しておりますのが厚生省の麻薬取締官、これが全国で百五十名、これは麻薬Gメンというのでございまして専従しております。それから、府県に麻薬取締員というのが全国合せまして百人、これはいずれも厚生省系統の麻薬専門の取締員でございます。そのほかに警察はもちろん取り締っておる。なお、税関でありますとか、海上保安庁も司法警察官として協力をしてやっておるわけであります。まあ、そうしてやっておるわけでございますが、これがヒロポンと比べまして、取締りが非常にむずかしいというにはいろいろ原因があろうと思うのでありますが、まあ一、二申し上げてみますと、ヒロポンというものの中毒性と、それから麻薬というものの中毒性でございますが、これが相当違います。ヒロポンの場合におきましては、当時取締りも非常に厳重にいたしましたが、まあ啓蒙運動等によりましてヒロポンから使用者が離れていくということが比較的容易であったわけであります。ところが、麻薬になりますと、これはなかなか通常の方法では使用から離れるということが困難でございます。どうしても使用者は、中毒者はこれを入手したいというので、あらゆる方法を使って入手に奔走する。まあ、そういう本質的な困難が一つあると思います。 それから、中毒者が使用します、麻薬は、これは大部分今お話しのように海外から輸入されるものでございます。飛行機あるいは船で来るわけだから、まあそこでつかまえれば一番簡単じゃないかという一つの考え方もあろうと思いますが、実際これをやってみますと、なかなかむずかしいのでございまして、たとえば、船で入ってくるという場合にしましても、あの広い船体の中に、あるいは甲板、倉庫に壁にくり抜いてしまっておくとか、あるいは倉庫の天井に隠すとか、ともかく尋常一様の方法ではこれは発見できません。それから、飛行機で来る場合におきましても、まあトランクの中に二重底を作ってやるというようなことでありましてこれが実際入って参りますのはヘロインでございますが、まあ非常に少量で入ってくるわけでありますが、ともかく入る場所は飛行機あるいは船であるという、そこまではわかりますが、具体的にどこに隠しておるということになると、これは実にむずかしいのでございます。結局これをつかまえますには、変な話でございますが、確実な情報を入手する。まあそれによって捜査をして、初めてまあうまくいくのであります。一生懸命にやっておりますが、なかなかむずかしいものであるという感じがいたします。まあ、最近におきましては、取締りの活動が警察の方におかれましても厳重になりまして、昨年度の約倍くらいの検挙件数をあげる見込みでございますが、徹底的にやるには、なかなかむずかしい、こういう事情がございます。
○木下友敬君 厚生省の麻薬取締官というのが百五十名で、県の職員が百名ということですが、これでは大体その麻薬の事犯に対する取締りの人員としては私は少きに過ぎるんじゃないかと思う。ただ、むずかしい、むずかしいと言うのではなくして、もっと人員をふやしてもらうということが第一の方法じゃないか。それからまた、厚生省の関係あるいは県の取締りに当っておる人、そういう職員以外に警察との関係、どういうふうなセクションで、どういうふうな場合まではこの厚生省あるいは県の人がやり、どこから先は警察がやるとか、何かそこへセクシヨンの関係があるかどうか、これを一つお答え願いたい。
○委員長(久保等君) 警察庁の方から原保安局長も見えておりますので、お知らせしておきます。
○説明員(森本潔君) この三つの捜査機関は別に分担がきまっておるということではございません。しかし、実際の仕事をします上におきまして、おのずと一つの分野ができております。まず最初の、府県におります麻薬取締員でございますが、これは主として営業者、それからあるいは医療機関等正規のルートによって麻薬を扱うところの違反の捜査、それが中心になっております。それから、厚生省関係の麻薬取締官でございますが、これも一般の末端の消費者あるいは所持者等の検挙をいたしますが、重点といたしましては、海外から入ってくるのを押える、まあ大口で一キロとかあるいは二キロとか入って参りますが、そういう大口で入ってくるのをつかまえるというような点に重点を置いてやっております。それから、警察の方は、これは全国の組織がありまして、人員も多うございます。そういう関係で、今申しましたようなこと全部について手広くやっていただいておる。実際上はそういうような区別ができておりますが、法律の上ではこの区分はございません。
○木下友敬君 私はまあこれは、麻薬の密輸を押えることも非常に困難だし、国内でのまた取引をしておるのを押えることもこれは非常に困難だと思うのです。第一、これは具体的な、ヘロインならヘロイン、モルヒネならモルヒネというものを、実際そのものをつかまなければうんと言わぬだろうということ、物的証拠をつかむということにまた非常な困難があるというようなこともわかるんです。しかしもう一つは、これは以前からそうでしたが、売春婦がおるころから赤線区域でこれが非常に使用されたということは事実です。しかも、その赤線で働いておる従業員にはぐれん隊関係がひもついて、わざと中毒患者になしておいて、その女たちはその薬がほしいために一日のうちに相当の金額をかせがねばならぬというので、しゃにむに売春行為をして金をもうけてくる、そのもうけた金で薬を注射してもらうというのが実情だったんだと思う。ところが、売春禁止によりまして、実際は売春婦はないということになっていますけれども、実際はその売春は今でも働いておる。しかも、ぐれん隊は一そうこの麻薬方面で活動を始めるという関係で、このぐれん隊という、非常に組織を持ち、そしてこわい存在であるところのぐれん隊がおるために、この麻薬の摘発というのが一そう困難をきわめておるんじゃないか、こういうふうに思うのです。そこで、そうではあろうけれども、私は少くも売買するぐれん隊の人をつかむことはなかなか困難かもわからないけれども、患者をつかまえることは案外、見やすいんじゃないか、神戸なら神戸、横浜なら横浜の、ある川のへりなどのところでやっておるということですが、そういうところにおる麻薬患者をつかまえることは、これは簡単につかまえられる。その患者をつかまえれば、これはしばらく置いておけば禁断症状が出まして、苦しがるから麻薬患者ということははっきりわかるから、これを保護することはできるんじゃないかと思うんですが、きょうの新聞などを見ますと、厚生省は、これは何ですか、精神衛生法の二十九条ですね、それでそういう麻薬患者を強制収容することができるのだというような、そういう方向へいこうかということをもくろんでおられるということが、きょうの読売に出ておりますが、やはり二十九条でそういう患者をつかまえて、そしてこれを強制収容するというような考えをまとめておられるかどうか。
○説明員(森本潔君) 麻薬中毒者が麻薬を不正に所持したり、あるいは取引をしているということは十分推定されるのでありますが、今お話しのように、現物を持っているということが非常に少うございます。そういう場合をつかまえるのは非常にむずかしいんでございまして、今お話がありましたいわゆる麻薬窟と称せられる所がありますが、実は私も行ってみたのでありますが、取締官あるいは警察官が近づくという徴候が見えますと、そのもの焼き捨てる、あるいは川の中へ捨てるというような方法をとりまして、なかなか物をあげるということは困難でございます。その辺が非常にむずかしい点がございますので、それで今お話しのように、中毒者であるということは比較的わかりやすいんであります。まあそれで、それの処置でございますが、麻薬につきましては、対策としましては、あくまでも取締りの強化徹底、これが正攻法でございます。と同時に、現に推定四万人、あるいは顕在しているのが一万人という麻薬患者が浮かんでいるわけでございます。それでこれに対する、医療更生の道を考えるということが、対策の一つとして非常に重要なことだと思います。この点従来、わが国の麻薬対策としては手落ちがあったと思うのであります。そういう点を検討いたしました結果、精神衛生法の麻薬中毒者も法律によりますと、精神障害者ということになっております。それで、精神衛生法によるところの措置により、すなわち自己を傷つけ、あるいは他人に害を与えるおそれがある場合には、知事が精神鑑定医の鑑定を求めてしかる後に強制収容ができるという規定がございますが、多くの場合、麻薬患者はそれに該当するであろうと考えられますので、今後この強制収容という意味は、十分な医療保護を与える、こういう見地から、ただいま申しました条文の活用をはかってはどうか、こういう考えで検討するわけでございます。
○木下友敬君 そこで、この精神衛生法の二十九条というのを見てみますと、今言われましたように、さかのぼって二十七条で、これは麻薬患者、精神障害者ですけれども、精神障害者ということを通報を受けたり、あるいは申請があったときに初めてこれを診察して二人以上の人が診察して間違いないというときに収容することができるというふうになっている。ところが、二十七条というのも、またさかのぼっていくと、今問題になっている警察官の職務執行法、あれの第三条の規定で、やはり精神障害者、またはその疑い、あるいは泥酔者とかいうような者を保護する意味で、というようなことが書いてありますが、そこで私は、今、保安局長が見えているのですが、どうですか、これから麻薬患者と推定あるいは認められた場合には、警察官は直ちにこれを精神の異常のある者として、これを保護するというような方法を考えられるかどうか、あの条文を見ますと「警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して左の各号の一に該当することが明らかであり、且つ、応急の救護を要すると信ずるに足りる相当な理由のある者を発見したときは、」とりあえず警察とか病院とかあるいは精神病の収容所等にこれを保護するというふうに書いてありますが、これを大体なお読んでいくと、二十四時間以上は入れられないようになっているように思うのです。なおかつ、読み方の誤まりかもわからないけれども、本人が拒絶した場合どうなるかという問題が残ってくるだろうと思う。そういうような問題があるとき、この警職法第三条で、麻薬患者を保護するということを将来やっていく、さっそくやっていく御意思があるかどうか伺います。
○委員長(久保等君) 先ほど警察庁から原保安局長が見えておると申しましたが、町田保安課長でございますので訂正いたします。
○説明員(町田充君) 三条の条文は御承知の通り、「精神錯乱又はでい酔のため、」とこういうふうになっておりますので、麻薬中毒患者であるからといって、ただそれだけの理由で保護の措置をとるということはないと存じます。現場において精神錯乱の状態で他人の生命、身体または財産に危害を及ぼすおそれがある、こういうふうにはっきり認定されるもので、しかも応急の救護を要する、こういう状態にある者に限って保護の措置をとる、こういうふうに運用されるのではないかというように考えます。
○木下友敬君 精神衛生法の第二十四条を見ますと、警職法の第三条の規定により精神障害者またはその疑いのある者を保護した場合云々ということになっているのです。また、その二十四条が、次に二十七条の健康診断の結果を生み出すことになり、その二十七条によって初めて二十九条の自己または他人の身体、生命財産に危害を及ぼすおそれのあるときというようにさかのぼっていかなければならぬということになっているわけです。そうでないと、二十九条というのは警職法の三条、それから精神衛生法の二十四条、二十七条、そういうものをずっと上ってきて二十九条が発動されるということになっていると思うのですが、これに対する薬務局長さんの意見はどうですか。
○説明員(森本潔君) 公衆衛生局長から。
○説明員(尾村偉久君) ただいまの強制収容の問題は、今のお話の通りでございまして、これはあくまで最終的に、強制措置をする最終の要件は、二人以上の精神衛生鑑定医の診察をとらなければいかぬ。その二人の精神衛生鑑定医の意見が合致しておらなければいかぬ。これはまだ別な意見で対立しておったらだめなんで、合致しなければいかぬので、しかもその内容が今のお話の通り医療及び保護のために入院させなければ、その精神障害、この場合には麻薬中毒のために、自身を傷つけ、他人に害を及ぼす、こういう要件が必要で、初めて本人または保護者の同意がなくても強制措置ができて精神病院に入院させることができる、こういうふうになっております。その場合にさかのぼる一つの形として、都道府県知事がまず診察を、まずあらかじめの診察をする、その診察をするひっかかりといたしまして保健所長から知事に届ける。保健所長には、今言いましたような二十四条の警察官からの知らせがある、こういう形になっております。その場合に強制措置以外の方法が二つございまして、それは本人の同意は要らないのでございますが、三十四条の方に精神病院の長、これは鑑定医と今のような手続を経なくとも、精神病院の長が診察の結果、麻薬中毒の疑いがあって、その診断に相当の時日を要する場合には、本人の同意がなくとも、後見人、親権を行う者のみの同意があれば三週間を限度として精神病院に入れることができるわけであります。これはある程度使われるわけであります。むすこがそういうような事態にある、親はぜひ、とにかくとりあえず入れてほしいという場合には三週間までは入れることになっておる。それからもう一つの場合には、麻薬中毒で精神病院等で診断した場合に、医療及び保護のために入院が必要だということを院長が認める場合には、やはりこれは期限を画さずに保護義務者のみの同意で、本人の同意がなくてもこれは期限を付さずに入れることができる、こういうことでございます。この二つの方では今の要件がそろえば必ずしも自己または他人を害するという条項がそろわぬでも、後見人、保護者の同意があれば、この方で相当数は収容ができる、しかし、強制収容、すなわち一切の本人並びに身元のものの同意がなく強制する場合には、冒頭に申し上げましたような相当な制限を付す、こういうことになっております。
○木下友敬君 それで困難なのは、家族であるとかいうようなものの同意を得なければならぬというようなことが非常に困難なんです。実際に今麻薬を使用しておるような連中は、その近くに家族がおろうはずもないし、これはもういよいよ世の中から見離されたような人が麻薬を集まって注射しておるというのが実情なんです。それだから、今言われた二つの条件というものは、この問題の現在の質問の場合には役立たないそれは規定なんです。そういう家族などの承諾を得るというようなことは、もう望まれぬ場合、もうあの辺をごろごろして麻薬を注射しておるというようなものは、これは何らかの手で一つこれを救い上げなければならぬということですが、今の警職法の第三条からいきましても、これを私はすぐ保護して、長い時間治療のために収容するということはできないと思うのです。どれから見ても、また、精神衛生法の二十九条でいこうとしてもこれはできないのがほんとうだろうと思うのです。無理だろうと思うのです。そうすれば、何かここで一つ無理がなくて、ほんとうにすぐでも使えるような方法を一つ考えなければ、二十九条によって、麻薬患者は、これは精神病ではないけれども精神障害者だという断定自体も、これはまた非常に危ないところがある。障害者だと言って言い切ってしまうことも、これはもう学問的に私は問題があると思うのです。そういうことでなくして、ほんとうに麻薬患者の疑いがある場合には、これを強制収容することができる、私はこういうことは人権じゅうりんにはならぬと思うが、一つ勇気を奮ってそのために新しい法律の改正だとかあるいは制定をすべきだと思うのですが、厚生大臣はお眠りのようですが、一つ目をさまして大臣聞いてもらわぬと、何かほかのものは一生懸命やるけれども麻薬患者のことはやらぬということではけしからぬと思うが、どうでしょうか。一つこれは返事をして下さい。
○国務大臣(橋本龍伍君) 麻薬の問題に関しましては、最近特に非常に人数がふえておるとも思いませんけれども、漸次患者の数もふえておるようでありまするし、相変らず、やはり密輸のルートでも押えないと十分に食いとめることができませんので、取り締りに重点を置いて、今後もこれを強化して参りたいと思っております。なお、これの治療の関係の問題でありますが、つかまえてやりましても、十分徹底して、もう今後また麻薬を使いたくなるという性癖がなくなるところまで徹底した治療を十分できませんので、来年度の予算におきましては、二百床ばかりの強制収容をして治療をする療養所を民間に委託して経営をさせたいと思いまして、その予算を要求をいたしておる次第でございます。まだこれで十分ではございませんけれども、これでうまくいくようでございましたら、模様を見て今後さらにこうした施設を考えて参りたいと思っております。
○木下友敬君 新しい施設をして収容して、治療してやるということは同感です。ただそこへ連れてくるための方法ですね。たとえば麻薬患者ということがはっきり登録されておる者を連れてくるのはこれは見つけやすい。そうでなくして、密輸品を常用しているというような者も、それを保護するために私は新しい法律を考えるか、あるいは精神衛生法に一部を加えるとか何とかしないと、今のままで二十九条ですぐこれをつかまえてくるということは、逆にこれは法律の拡大解釈ということになるおそれがあるから、はっきりこれは麻薬患者の場合にはどうだということをはっきりすべきだ。法律を拡大して解釈するということは一番危険なことでございますから、私はそれは拡大解釈というようなことをしないで、精神衛生法の二十九条をあのまま使えるという考え方でなくして、麻薬患者に向って、これこれだということをはっきり書き加えるようなことをはっきりしてもらいたいと思うんですが、そういう意思があるかどうかということをはっきり言ってもらいたいと思う。
○説明員(森本潔君) ただいまの御意見は、単に麻薬中毒者というだけで強制収容し、あるいは治療を加えたらどうか、こういう御意見でございますが、これはよほどむずかしいのじゃないかという感じがいたします。中毒者であって、ここにありますように、自身を傷つけるとかあるいは他人に害を及ぼすというような一つの条件がプラスされないと、別に他人にも迷惑をかけない、それから自分自身を傷つけることもない、違法行為はやっているわけでございますが、それだけで刑罰でなしに、強制収容するということは非常に問題があるのじゃないかと思うのでございます。諸外国の例等も若干調べてみたのでありますが、やはりそういう収容施設をもっております国におきましても、単に中毒者であるというだけで強制収容しているところはないようでございます。やはりそこに何かもう一つの条件が必要じゃないかと考えております。なお、その点につきましても、今後研究はいたしていきたいと思いますけれども、今の感じはそういう感じを持っております。
○木下友敬君 保安課長さん、今の、どうですか。麻薬患者であるからというてすぐこれを保護収容するというようなことは、あなた方のお考えでもやはりこれは無理がありますか。
○説明員(町田充君) 大体厚生省からお答えがありました通り、私どもといたしましても、単に麻薬患者であるというだけの理由で強制収容するとかあるいは保護をするとかいうことは困難かと存じます。警察官職務執行法第三条にもございます通り、自己または他人の生命、身体また財産に対して危害を及ぼすおそれがある、しかも応急の救護を要する、こういう状態になって初めて保護できるというふうな規定になっておりますので、ただ単に麻薬中毒患者であるというようなことだけでは、御指摘のような措置はとれないのじゃないかと考えております。
○木下友敬君 それで念を押しておきますが、他人または自己に、自分のからだに害を及ぼすという、その自分のからだに害を及ぼすという解釈はどんなことですか、切れ物で切るとか、首を吊るとか、そういうことであって、どんどん麻薬をしていって、そうしてそれがだんだん悪いからだになっていくというまでは自分のからだを害するということには解釈しないのでしょうか。
○説明員(町田充君) これは「自己又は他人の生命、身体又は財産に危害を及ぼす」と申しますのは、その現場において現にそういう状態が発生しているということを考えているのでありまして、たとえば、今御指摘の中にも例をおあげになりました自殺をしようとするというふうな、現実に差し迫ったそういう危険がある事態を考えておるのでありまして現に麻薬を打っているわけでもない、しかし、麻薬中毒患者で、ほっておけば長年の間にはからだが失われていく、そこなわれていくというふうな状態にある者を必ずしも考えておるわけではないと考えます。
○木下友敬君 この麻薬患者を見たとき、すぐこれを保護の対象として警職法の三条でこれをすぐ保護収容するということはどうも行き過ぎた、こういうふうにお考えのようである。私はこれは必ずしもそういうふうに萎縮してもらわないで、こういう場合には一つ麻薬の患者は親切をもって保護してやるというようなことまで考えられるのがほんとうだと思うし、この法律でできなければほかに法律を作ってでも麻薬患者には積極的にやってもらいたい、こういうふうなことを考えるのです。ただあなたが今は非常にやかましい警職法の改正のこの時期に当って、麻薬患者に向っても、あれをそのまますぐ収容するというふうなことをしない、人権を非常に尊重するという考えを持っておられることを少しでも知ることは、これは非常に愉快で、あの警職法の改正はおそらくこれはだめだろうけれども、あれに対する考え方も一つそういうふうに、その人権ということを十分考えて、ああいうのはまず練りなおすということにあなたは協力してくれるだろうということを期待して、私の質問を終ります。
○委員長(久保等君) 本問題に対する本日の質疑は、この程度にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(久保等君) 御異議ないと認めます。 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(久保等君) 速記を始めて。 本日はこれにて散会いたします。 午後四時三十二分散会