社会労働委員会 第3号
- 発言数
- 71 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1958/10/16
会議録
○委員長(久保等君) ただいまより社会労働委員会を開会いたします。 この際、小委員会設置に関してお諮りいたします。労働情勢に関する調査の一環として、ILO条約批准等に関する調査を行うため、第二十九回国会において小委員会を設け調査を行なったのでありますが、今期国会中においてもこれが調査を必要と認められますので、前回と同様、国際労働条約批准等に関する小委員会を設けて調査いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(久保等君) 御異議ないと認め、小委員会を設置することに決定いたしました。なお、小委員の数は前回同様八名とし、小委員長及び小委員は委員長の指名といたしたいと存じますか、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(久保等君) 御異議ないと認めます。 それでは小委員長及び小委員を私から指名いたします。 国際労働条約批准等に関する小委員会小委員長藤田藤太郎君。小委員勝俣稔君、柴田栄君、斎藤昇君、草葉隆圓君、山下義信君、片岡文重君、中山福藏君、以上の通りお願いいたします。 ―――――――――――――
○委員長(久保等君) 労働情勢に関する調査の一環として、一般労働行政に関する件を議題といたします。労働大臣から労働行政の基本方針について御説明を願います。
○国務大臣(倉石忠雄君) 第三十回臨時国会が開かれるに当りまして、今後における労働政策の運営について私の所信を申し上げ、各位の御理解と御協力を得たいと存ずるのであります。 まず第一に、最低賃金制について申し上げたいと存じます。 政府は、昨年末提出されました中央賃金審議会の答申を全面的に尊重した最低賃金法案を今国会に提出しているのでありますが、これはわが国経済特に中小企業の実情に即して業種別、職種別、地域別に最低賃金を決定する方式をとり、漸次これを拡大してゆくことを基本的な考え方としているものであります。最低賃金制の実施は、ただに低賃金労働者の保護のみにとどまらず、労働力の質的向上、企業の公正競争の確保、国際信用の維持向上等国民経済の健全な発展のためにもきわめて重要な意義を有するものでありまして、今や世論もそのすみやかなる実現を要望するところとなっておりますので、政府におきましては、本法案が一日もすみやかに成立いたしますことを切に望んでおる次第であります。 次に、雇用失業対策についてでありますが、これは非常に困難な問題であることは申すまでもないのでありまして、政府におきましては、長期経済計画に基いて諸般の財政経済施策を強力に推進するとともに、労働行政の面においても、完全雇用への接近に最大の労力を傾注して参りたいと考えておる次第であります。 このような基本的な考え方の上に立って当面の施策といたしましては、職業安定機関の機能の強化充実を期し、すべての求職者に対し適職をあっせんすることに努め、特に新規労働力として年々労働市場に送り出される学校卒業者の完全就職をはかって参りたいと存ずるのであります。失業対策の問題につきましては、経済調整の過程において発生する失業に対処するため本年度予算において失業対策事業の予算の充実をはかるほか、さらに今回公共事業費等の繰り上げ実施の措置を講ずることといたしたのでありますが、今後におきましても情勢に応じてその対策に万全を期するとともに、現在の失業対策事業を検討して事業の経済的効果をも高めるよう努めて参りたいと考えておるのであります。また、駐留軍離職者対策につきましては、第二十八回通常国会で成立を見ました駐留軍関係離職者等臨時措置法の線に沿いまして諸般の対策を推進し、これが対策に万全を期しておるのであります。 このほか失業保険の五人未満の零細事務所への適用拡張につきましても、第二十八回通常国会において成立を見た失業保険法の一部改正法が十月一日から施行されており、これに基いて零細企業労働者に対する保護に努力して参る所存であります。 次に、わが国産業労働の実情を見ますると、中小零細企業の労働者は大企業の労働者に比し、労働条件の面はもちろん、福利厚生の面でも著しく劣った状態に置かれていることは周知の事実であります。従って、政府といたしましては、中小企業の労働者の福祉の向上、雇用の安定、さらには企業の存立発展をはかるために、退職共済制度を実施すべく目下検討中でありまして、各界の御意見を十分伺った上で成案を得たいと考えておるのであります。 また最近、産業災害は依然として減少せず、なかんずく中小企業における災害の増加と重大災害の発生は見のがしがたい事実であります。ここにおきまして政府は、総理府に臨時産業災害防止懇談会を設置し、各界の意見を聞いて総合的な産業災害防止計画を樹立し、災害防止対策を強力に進めて参る所存であります。次に、わが国の労使関係は、逐年健全化の道をたどってきておりますが、他面なお未成熟の面がかなり多く残存しておりまして、依然として一部労使においては行き過ぎが見られ、労使協力の体制を築き上げようとする努力に欠けるものがあります。特に国権の最高機関たる国会で国民大多数の意思として成立した法律を軽んじ、これを無視するものがありますことはきわめて遺憾にたえないところであります。労使関係のかかる現状にかんがみ、労働秩序の確立をはかり、近代的労使関係の形成を促進することが最も緊要であるとともに、国民の世論の要請にもこたえるゆえんであると考えるのであります。従って、そのためには、労使おのおのがわが国民経済のにない手としての責任を自覚し、共通の基盤の上に立って話し合い、生産性の向上、ひいては国民経済の繁栄に協力し得る体制の確立を促進するとともに、労使はもとより国民全体の労働問題に対する理解と良識をつちかい、よき労働慣行の確立に努めて参りたい所存であります。 次に、賃金問題は労使関係の中心的課題であると同時に、国民経済にとっても重要な問題であります。従って、賃金の決定に当っては、単に労使間の関係のみでなく、広く国民経済的基盤に立って公正に定められなければならないことは申すまでもないところであり、職務給、能率給、定期昇給制等に十分の検討を加え、合理的賃金制度を確立する必要も痛感せられるのであります。このため、労働省におきましては、今後さらに賃金及び労働に関する統計調査の整備をはかり、合理的な賃金制度に対する労使関係者の認識を深め、国民経済の実情に即した公正な賃金が労使間で合理的に定められるような慣行を確立するよう努力して参りたいと考えるのであります。 婦人年少労働者の保護と福祉の向上をはかることはきわめて重要な問題でありますので、未亡人等就業困難な婦人の職業対策を推進するための内職公共職業補導所の拡充強化、家事サービス公共職業補導所の整備充実、さらには、働く婦人の家の増設拡充、あるいはまた、青少年労働者のための各種福祉施設の拡充強化をはかり、婦人年少労働者の保護に特段の努力を払って参る所存であります。 最後に、ILO条約についての考え方について一言申し上げておきたいと存じます。政府といたしましては、ILOの精神並びにその採択した条約を尊重し、その活動に協力するという基本的な態度は従来とも変りないところであります。しかしながら、ILO条約の批准につきましては、個々の条約についてわが国の経済社会の実情と調和を保ちつつ慎重に検討を要すべき問題であることはいうまでもないところであります。 以上簡単でありますが、労働行政についての私の所見を申し述べた次第でありますが、今後とも各方面の御意見を十分拝聴して労働行政を推進して参る所存でありますので、どうぞよろしく御協力賜わらんことをお願い申し上げる次第であります。
○委員長(久保等君) それでは御質疑を願います。
○藤田藤太郎君 ちょっと私からだを悪くして、声を悪くしておりますけれども、今言われた中で、これは具体的にはあとで聞きたいと思うのですけれども、たとえば完全雇用への道を云々とか、それからまた、失業対策ですね、学校卒業者には完全就職をはかって参りたいと、こういうことを言われておるのですけれども、具体的にどう考えておりますか。これは来年度の予算に関係がしてくると思うのです。現状の問題についてどういう具体策をお持ちであるかという説明がなければ僕ら聞いておって理解ができない、これが一つ。 それから公共事業費の繰り上げを実施して云々、経済効果とありますけれども、公共事業費の繰り上げそのものは、経済的な回転においては影響があっても、失業対策にはほとんどもうゼロだというのは労働省の答弁を聞いておってもそうなんだから、これは失業対策にひもつけられてきていることについて、これはちょっと理解ができないから聞いておきたい。 それから次は、駐留軍の措置法、駐留軍関係離職者等臨時措置法というものができて回転することになったが、実際問題としてきょうは質問しますけれども、これは一つもほとんど対策が考慮されていない、基本的な面はこれはあとの質疑に譲りますけれども、一つもう少しこういう上つらをなでたような格好でやってもらっちゃ困るので、もっと具体的に、ここらあたりをちょっと話してもらいたい。それで全体の質疑はあらためてやりますから、今申し上げた点だけは、どういう考えを持っているか、具体的に、これだけ聞いておきたい。
○国務大臣(倉石忠雄君) 第一の雇用失業対策でございますが、私どもが立てております新長期経済計画は、やはり一応目標としては完全雇用を目標にして経済政策を立てておるのでありますと、こういう総論的な御説明を申し上げたのでありまして、しからば、それについて五年目の昭和三十七年にどれくらいになる計画であるか、こういうことも一応立てております。あとで具体的にはそういう点について機会を見てどうせ失業問題も論議されるでありましょうから、そういうときに申し上げたいと存じますが、私がここで申し上げておりますのは、その長期経済計画を政府で立てましたのは経済規模の拡大を計画した、それに伴って逐年こういうふうに雇用を増大していく計画である、こういうことを総括的に御説明申し上げたことであります。 それからもう一つの駐留軍のことは、あとでお話があると思いますから……。
○藤田藤太郎君 今言われたのは、政府の五カ年経済政策、これを一歩も出ない、こういうことなんだ。だから、私はこういうことをおやりになるなら、今の失業者をどうするかという問題が新聞ではなかなか宣伝されているようですけれども、どういうことをお考えになっているか、これは資料で出して、これはきょうは質疑をやめますから、先日新聞に発表されたようなことを資料で出して下さい。それから今の失業者がどういう状態であるかということの資料を一つ出して下さい。それから公共事業でどういう工合に労働者の失業者が吸収されているか、現状を一つ資料で出して下さい、きょう。
○国務大臣(倉石忠雄君) 公共事業の繰り上げについては政府でもこういうふうに公共事業を繰り上げることによって、大体第三四半期に延べ人員でこのくらいは吸収する見込みであるという計画を立てておりますから、そういうものを資料として差し上げるようにいたします。
○山下義信君 私もこの際ちょっと伺っておきたいのですが、労働大臣は、先ほどの方針の中にお述べになりましたように、中小企業者に対する福利施策を考えるのだ。新聞等で拝見いたしますと、中小企業の従業員の退職金制一度を考えているということでありますが、先般、社会保障制度審議会におきましては、この労働省の考え方には反対である、賛成しかねるという意味の意見を出しておるわけであります。その審議会の意見の中には、こういう退職金制度を考えることは、一つは年金制度のじゃまになるし、いわゆる年金制度をこういう制度ですりかえようとしておるんだということで、いろいろ難点をあげて意見を出しておるわけであります。その前に、一体、労働省としては、五人未満の中小企業の、いわゆる零細企業の従業員を厚生年金制度にこれを加入させるようにしなくちゃならぬはずじゃないかという意見も出しておるわけであります。そこで伺いたいと思うんですが、これは労働省のお考え方を聞いてからその内容等についてはまた伺わなきゃなりませんけれども、とりあえず伺いたいと思いますことは、第一点は社会保障制度審議会の難色があっても、労働省としては、中小企業の、零細企業の従業員の退職金制度はあくまでもこれをやるつもりかどうか、この国会あるいは次の通常国会に法案として出す考えであるかどうか、という基本的な方針。それから、第二点としては、現在あるところの厚生年金にこの五人未満の零細企業の従業員を加入させるような努力をする考え方があるのかどうか。これはもう全然やらないで今のままでいくつもりであるかどうか。厚生年金加入の問題はどういうふうにこれは取り扱うていく考えであるかというこの二点は、基本的な問題でありますから、この際、労働大臣としてのお考えを聞いておきたいと思います。
○国務大臣(倉石忠雄君) 私どもは、今のお尋ねのことを考え出しましたのは、御承知のように、日本の産業規模の中で比較的大きなものについては、それぞれ末の楽しみを持って職場に精励できるようにだんだん企業内部でもそういう制度が拡充されて参っております。ところが、日本の特殊事情である中小企業、なかんずく零細企業の面におきましては、そういう面が非常に欠けております。そこで、私どもは、やはりせっかく新しい職場を求められた中小企業の従業員の方々にも、できるだけ、そういうような大産業になるべく接近していかれるような、末の楽しみを持って働いてもらうようにしてあげることが政治の大事な目的であると、こういうことをまず考えまして、同時にまた、そういうふうにすることが、今、日本の産業の大部分を占めておる中小企業の側にもやはりよい人が集まってこられるようになるわけでありまして、そういうことが、やはり、日本経済の中核をなしておる中小企業を育成していく上においても必要なことであると、こういう二つの角度から考えておるわけであります。 そこで、この制度と社会保険制度の関係は、御承知のように、この制度は、特に厚生年金保険制度あるいはまた、失業保険制度と重複するというふうな御意見もあります。それからまた、社会保障制度審議会等においてもいろんな御意見があったようでありますけれども、われわれが考えております中小企業の退職金制度というのは、中小零細企業の労働者の転退職等に一定の給付を行うということが主たる目的でございますからして、従って、任意加入の共済制度でございます。従って、大企業の退職年金制度と同様に、社会保険制度とはその性質が全く違っておるのだ、こういうふうに私どもは理解いたしておるわけであります。そこで、この制度と御指摘の厚生年金制度及び失業保険制度との関係について見ますというと、厚生年金保険制度は労働者の老後の生活保障、そういうものを目的といたしておるのでありまして、いわば労働力を失った後にこの年金を支給するいわゆる社会保障制度でございますが、退職共済の方は、退職金制度と同様であって、おもに壮年期における転退職に際しましても一時金を支給すると、こういうことを目的とする制度でありまして、従って、おのずから出発において目的、性格を異にしておる、こういうふうに私どもは考えております。それからまた、そういう所に働いておる人々に厚生年金制度に加入させないつもりであるか、こういうことは、私どもは初めから別に加入させないものであるというふうな考えは持っておらないわけでありまして、おのずから目的の違うものでございますから、そういうふうには考えておりません。そこで、私どもがこれを提唱し始めましてから、いわゆる中小企業、ことに零細企業の経営者などでも、そのわれわれの構想をお聞きになりましてから非常に乗り気になって、自分たちの中小企業経営の経験から見てこれは非常に両方にいいことであると、こういうふうなお考えで乗り気になっておられるのを見ましても、私どもは、やはりこの制度を一つ推進してぜひ成功させたいと、こういうふうに今は考えております。
○山下義信君 制度の性格の違うことはわかっておるのでありますが、それでありましても、厚生年金制度が五人未満の零細企業の従業員に必要であるということは言うまでもないことであって、これへの加入ということを労働省としてはできるだけ努力をしなくちゃならぬはずであって、その上に積み上げて今のような御趣旨のものが、これは内容の可否は、所見は別といたしまして、そういう制度が加えられるということが順序である。従って、厚生年金制度への加入への努力というものは労働省としてはしないのであるかどうかということを伺ったのですが、その御所見はいかがでしょう。 また、いま一つは、今の労働省の考えておる退職金制度については、いろいろと議論もあるわけで、従いましてあなたの方では最近何かそれに関する懇談会のようなものを作られたようでありますが、いろいろ御検討もあるのでありましょうが、一体いつごろ成案を得られて法案として国会に出されるつもりであるかどうか。そういう二点につきまして、もう一言伺いたい。
○国務大臣(倉石忠雄君) 社会保険等すべて、ようやく失業保険が御承知のようなことに法改正していただいてなりまして、その他の社会保険についても、あとう限りわれわれは五人未満の小さな零細企業の者もはいれるように努力を継続してやって参りたい、こういう考えであります。 もう一つのは、この退職金制度についての学識経験者等にお集まりを願って御相談を願うことにいたしておりますが、できるだけ早く成案を得て、来たるべき通常国会には提出をいたしたい、そういう計画のもとに推進しておるわけであります。
○藤田藤太郎君 もう一つだけ聞いておきたいのですが、大臣はILOの条約について述べられておる。私はILO全般についてきょうは触れませんが、労働問題懇談会の小委員会へかけられておった八十七号の批准の可否について小委員会で結論を出されたようでありますが、総会をいつ持たれるか。これは政府とわれわれ委員会との約束があるのですから、政府は八十七号批准についてはその懇談会の結論に従うということが約束なんですから……。大体七月から八月ごろに結論を出すという見通しだったと思うのですが、いまだに総会の結論が出ていないようであります。これはいつごろ結論が出るのか、何らかの都合で引き延ばされているのかどうか、ちょっと僕はそういう疑いも少し持つのですが、どうでございますか。
○国務大臣(倉石忠雄君) 説明員からお答えさせます。
○説明員(大野雄二郎君) 九月二十四日に労働問題懇談会が開かれまして、その席上で小委員会の報告が行われたのでございます。それに対しまして一部の委員さんから、この報告に基いて、今後いかに審議を進めていくかはきわめて重大な問題である、そこでさような重大な問題を決するには少くとも公益委員の大多数の御出席がなければこういうものはすべきでない、従って、早急の機会において少くとも公益委員の多数が御出席できる機会を得て、その席で御審議するよう事務局の方で手配しろ、こういうことでございます。で、各委員これを了承いたしました。すぐ私どもは各委員のところにお手紙を差し上げまして、何日と何日があいていらっしゃるかを二十日までの期間をお聞き申し上げたわけであります。その御返事が集まりましたのを見ますと、どうしても日にちがうまく合わないわけでございます。従いまして、二十日までの期間に適当な日にちを発見することができませんでしたので、いかがいたすか検討いたしましたが、会長の中山先生が今月の十四日にお帰りになりました。従いまして今週中に中山先生のところに伺いまして、その経過を御報告すると同時に、委員先生方の出席できる日にちを確かめて適当な期日を決定するのはなかなかむずかしいので、中山先生と御相談の上、適当な日にちを早急にきめたい、かように存じておる次第でございます。
○藤田藤太郎君 これはやはり早く開かないといかぬ。政府に責任がある。それは委員の都合だから委員を拘束するわけにいかないけれども、あなたの方でやはり努力をして早く開いて結論を出さなければ、国会の約束の問題なんだから責任があると思う。だから私はやはり早くその結論を出すように努力してもらいたいということを特に強く要請しておきます。 ―――――――――――――
○委員長(久保等君) それでは次に、駐留軍の撤退に伴う労務者の離職対策について御質疑をお願いいたします。
○小柳勇君 今の労働大臣の一般施政方針に対しても相当問題がありますが、特にきょうはこの中の駐留軍離職者対策を中心に質問をいたします。 御存じのように、昭和二十七年に二十万おりました駐留軍労務者が現在八万二千人ぐらいに減って、この減少された人は非常に不遇な生活に陥っておるということは御存じの通りでありますが、二十八国会でも特にその問題が論議されて、離職者対策に対しては特別な立法をされて現在その実施がされつつあると思いますけれども、それが実施されて適用を受けておる者は僅々一割か二割にすぎないような現状です。従って、そういうような現在のこの駐留軍労務者のみじめな生活を考えて、私は特にこの臨時国会でこの駐留軍労務者に対する今後の問題に対していろいろ政府の考えをただしていきたいと思いますけれども、まず、基本的な問題、それから具体的に法律の百五十八号の実施の状況、それから今後の政府の見解、こういうことで三つくらいに分けて質問していきたいと思います。 第一に根本的な問題ですが、一体政府は、これから駐留軍労務者というものが増加する、ふえると考えておるのか。どんどん減少していくと考えておるのか、そういう基本的な問題から一つ政府の見解を表明してもらいたいと思います。
○政府委員(松野頼三君) 基本的には、駐留軍労務者は自然に減る方向だろうと、こういう考えで、昨年以来御承知のごとく、岸・アイク声明以来、日本の基本的方向としては駐留軍というものは漸減する、同時に、労務対策においてもそれにおくれをとらないように、いわゆる特別支給あるいは特別立法というものが昨年の国会で、衆参両院で御通過になった通りであります。従って今後駐留軍の労務者はふえるという考えよりも、現在の数よりも自然に減少する方向だということは、昨年の岸・アイク声明以来の一つの方向だろうと、それに対して政府も対処すべきものであると、こういう基本的考えをもっております。
○小柳勇君 大体今の政府の見解では、だんだん駐留軍労務者というものが減少する、そういう考えですが、現在八万二千ほどおると思いますけれども、そういう労務者が過去一年の間に四万五千も首を切られておる。しかも今度は軍があるいは調達庁が採用しておった労務者というものを民間に切りかえて、そして非常に待遇の悪い処遇をしながら、しょうがないからそういうふうな民間の業者で雇っていけと、同じ駐留軍の仕事というものを現在やりながらその制度を変えて非常に低額な賃金で雇うという方法に切りかえつつあるのですが、こういうようなやり方を今後政府として黙認していくのかどうか。そういう点一つはっきりしておいてもらいたい。
○政府委員(松野頼三君) そういうふうに現在の間接労務をPD切りかえによって請負制度に回し、ある程度労賃を引き下げるというような行いが今日諸所に見られる。現在ございますので、本年の二月以来現在の仕事がなくなるという前提ではございますが、今日継続しておるものはできるだけ現在の労務対策を改悪しないようにという意味で一つ、PD切りかえに関しましては日本の調達庁とアメリカ軍との間の労務契約を円満にいくように、たびたび実は労務委員会あるいは政府は直接調達庁あるいは総理府または外務省を通じてそういうふうに米軍に対して円満な今後の運営を期するように、二月以来交渉いたしております。その結論としてもあるものは出て参りました、あるものはまだ未解決のものもございますが、基本的にはやはり日本の労務対策と十分調整がとれるように、勝手に一米軍の契約だからといってこれは独自の考えでやってもらっては困るということで、そういう方向に調整をしつつあるのでございまして、しかしながら、今日当面の問題として起きておりますのは、二月のころすでに米軍が基本契約としてきめたものとして今日あるものが半年の間にPD切りかえが行われたものもございます。しかし、それは御承知のごとく、二月の交渉以来米軍の方は、これは既定事実だ、調達庁及び日本政府の方は、これはペンニングのものだというので、一つの同じ交渉対象が既定方針でもうきまったものだという解釈と、こちらはまだ調整が今からできるのだという解釈の相違がございまして、七月、八月以来、実はこの問題では、日本政府と米軍の間に何べんも往復文書、交換文書、交渉文書をやっておりますが、しかし、いまだにこの問題は解決しておりません。しかし、要するに、その方向としてはあくまで円満な労務対策ということについては政府としても非常に関心がございますので、この点については各省を通じまして政府としては一致してやって参りたい、まだ完全な円満な見通しまではついておりません。
○小柳勇君 今言われた、一部は大体見通しがついて話し合いもついたと言われたが、その点ここで明らかにできるものがあったならば、委員会だからはっきりしておいてもらいたいと思う。
○政府委員(松野頼三君) 今後の問題については必ず協定する、あるいは協調するということが明らかになりました。今後の問題というのは、米軍の方の会計年度でありますので、日本の会計年度でありませんために、今後のものはわれわれの趣旨の通り必ず協定する、今日起っておる問題は実は二月にすでに決定済みの問題であるということで、一事項、一事項に触れるべき段階になっておりません。ということは、今年のところは二月にすでに既定方針としてきまったものでございますからということで、それはいまだ解決がついておりません。しかし、今後の新しい向うの会計年度、新しい向うの計画については十分協調するということが明らかになったわけであります。
○小柳勇君 そうすると、今後の問題というのは、今十月だけれども、十月以降ということではなくて、来年の六月なら六月以後のことですか、向うの会計年度ということですか。
○政府委員(松野頼三君) 米軍が今後行います新しい計画という意味に解釈されております。
○小柳勇君 PD切りかえの問題については現在なお計画されたものが各地にあるようです。私申すまでもなく、長官知っておられるはずだけれども、そういう不安な労務者が一万も二万もおるにかかわらず、そのことはもうきまったことだと、こういうことですか。
○政府委員(松野頼三君) そういう意味でありません。今後米軍の方で新規計画をするときには、計画をいよいよ実施する、計画をきめるときには日本の政府と十分打ち合せをする、こういう意味であります。
○小柳勇君 私はしかし、根本的にこの労務基本契約なるものがアメリカの政府と、それから日本の政府との間に取りかわされておって、その労務基本契約というものが実は政府が弱腰のために労働者に対してはほとんど保護的役目をしておらない。従って、そういうものが原因して今のPD切りかえのような結果になっておると思うけれども、長官そういう点についてはどういうような見解ですか。
○政府委員(松野頼三君) 必ずしも日本政府の弱腰とは思っておりません。ただいわゆる日本と根本的にはいろいろな国際協定がありますから、この国際協定という前提の前に立ちますと、契約あるいは条約という前に立ちますと、私は日本政府としてはその条約、契約の中において最大限度のことを私たちはやっておる、しかし、その問題が条約及び契約にさかのぼって触れますと、今日の努力というものはなかなかここで障害にぶつかる、こういう意味でありまして全然日本政府が弱腰だ――腰は非常に強いのです、腰は非常に強いのですが、最後の障害になるのは過去におきます契約であります。過去における労務契約というものが厳然としてありますので、新契約をするならばわれわれ政府は相当強い契約を今後もいたそう、しかしながら、その前提となります契約とか、条約というものに抵触する場合は、腰が強かろうが弱かろうが、現実にこの問題の解決が非常に困難だ、こういう現実の問題の前に今日苦労しておるので、腰は私自身、今はこの問題について日本政府というものは非常に強くやっている。交渉における態度、交渉における時期、相当私たちは今日強くやっております。しかし、何と申しましても、契約とか条約というものにさかのぼった過去のものに関しては、それを守らなければならないというところに非常に苦労を今日しております。 なお、個々の計画というものについては、調達庁からもう少し克明に説明申し上げます。
○政府委員(小里玲君) 実情を御説明申し上げます。PDの切りかえ問題が大きく取り上げられましたのは、ことしの一月以降でございます。当時、米軍から日本政府に、PD切りかえの計画なるものを申しこして参っておったのでございますが、これが三月の中ごろまでに米軍から言ってきておりましたのが、件数にいたしまして大体八件でございます。そうしてこれによって調達庁が雇用しております労務者が解雇になります数が約全体の二%である、こういうことを言っておったのでございますが、まあ傾向といたしましては、漸次政府雇用の労務者が減少して、これがPDに切りかえられるという傾向が出ておりましたので、政府といたしましてはあらゆる手段を講じまして、これが防止といいまするか、最小限度にとどめてもらいたいという折衝をやって参ったのであります。これは単に調達庁だけではなしに、外務省、内閣その他関係の御協力を得まして、政府全体として米軍と折衝をして参ったのであります。そこでこの三月の十二日に米軍から最終的といいまするか、手紙が日本政府に参りまして今後は日本政府とPD切りかえをやる場合には十分な事前調整をやろう、こういうことをはっきり言って参ったのであります。そこで先ほど総務長官からお話がございましたように、今後十分な事前調整をやろうということは、すでに米軍から日本政府に、これこれこれこれについては切りかえの計画があるのだということを、すでに米軍で計画をきめて日本政府に言ってきておるものについては、もう決定をしておるからこれは十分な事前調整の範囲には入らない、こういう見解をとっておったのであります。私どもといたしましては、アメリカ軍はそういう意向であるけれども、日本政府側としては、計画はなるほど決定をしておるだろうけれども、しかし、まだ実施に移していない事件については、これは十分事前調整をやるという範疇に入れてくれということを強く要請をいたしたのでありますが、この問題については、米軍と日本政府間のはっきりした意見の一致を見ずに今日まできておる、これが実情でございます。 それで米軍から言ってきております八件のうちで、今日まですでに実施をされましたのが六件ございます。これによって政府雇用の労務者が解雇になりました数が千三百八名、そうして八件のうち六件が実施されましたので、あと二件が中止になっております。こういうような経過でございまして、この八件の問題については意見の一致を見ないままに今日まで米軍が実施をやってきた、こういうことになっておりまするが、それ以後の新しい問題といたしまして、米軍が提起をいたしております問題がこれが合計六件ございます。それは簡単に事件を申し上げますると、東京、埼玉管内における軍の施設の清掃業務でございまして、掃除をしたり、きれいにする清掃業、これが一件、二番目に埼玉県の朝霞基地における道路の補修業務。それから三番目に東京管内のバスの輸送関係業務。それから四番目に神奈川県の座間キャンプにおけるモータープールの自動車修理業務、それから五番目に所沢の補給業務。六番目にキャンプ相模のやはり補給業務、こういう案件を米軍からPDに切りかえたいと、しかも、至急に実施をしたい。実施の理由といたしましては、基本的には米軍の配付された予算が非常に少くなった、あるいは日本人の政府雇用の労務者を直接に指揮監督する米側の人員の減少と、こういうことがおもな理由でございますが、これを至急にやりたいという意向を漏らして、九月の初めごろまでは米軍としては早急にこれを実施に移したいということを強く言っておったのであります。これに対しまして、日本政府といたしましては、調達庁、担当官庁といたしましてはもちろんのこと、政府全体として強くこのアメリカのPD切りかえに対する基本的な態度というものに反省を求め、これを最小限度にとどめてもらいたい、しかも、実施に移す場合には、日本政府と納得のいくところまで十分な事前調整をしてもらいたい、こういうことで折衝を続けて参ったのでありまするが、米側は予算、あるいは人員の削減ということでやむを得ずやるのであるから、必ずしも日本政府の言うように、最終的には日本政府の納得のいくところまで了解を解いてからやるということには同意ができないというような態度をとっておったのでございます。こういうふうにいたしまして、つい最近の情勢といたしましては、米側におきましても日本政府側の意向によって十分な検討を加えるということの結果、新しく出ております問題の中で、座間キャンプのモーター・プールの自動車修理業務だけは、これはどうしてもやらざるを得ないということで、これはすでに実施に移したといいまするか、業者と契約を結びまして、労務者の解雇も来月の上旬に実施されることになっております。他の五件につきましては、これは新しい見地からもう一度再検討を加えたい。従って、すぐきょうあすにPDに切りかえるというせんだってごろまでの意向を多少変更いたしまして、もう一度新しい見地のもとに十分な再検討を加えて、その上でどうするかということをきめたい、こういう態度に最近変ってきておるのでございます。まあ日本政府側といたしましては、最初からの方針通り、現実に仕事がありながら、そこに使われておった政府雇用の労務者を首切って、そこで業者にこれを移すと、しかも、業者に雇われる労務者の労働賃金が非常に低下すると、こういうことは労働問題としても、あるいは雇用しておる日本政府の立場としても困るという一貫した態度で米側に今後におきましても折衝を続けて、できるだけこれを阻止し、最小限度にとどめるような努力を続けて参りたい、こういうふうに思っておるわけでございます。一応実情を御説明申し上げました。
○小柳勇君 今政府の事前調整などの努力にはお礼を申し上げますが、特に労働大臣にお尋ねをしておきたいのは、今あいさつの申で、施政方針の中で言われたこの二十八国会で通った離職者等に対する特例、臨時措置の法律に対して万全の措置を講じつつあると言われたが、一体どういうような具体的に何かそういうふうな特別に特例なりあるいは実施についてやっておられる事実があれば、もう少し具体的にお話し願いたいと思います。しかもそれが現在の法律として、われわれとしては、大体一割か二割しか法律については適用されておらないということを具体的に調査しておりますけれども、そういうものについて労働大臣が調べたことがあれば、そういう点も一つもう少し詳細に御返事願いたいと思う。
○国務大臣(倉石忠雄君) 具体的なことは政府委員の方から申し上げます。
○政府委員(百田正弘君) 法律ができましたその後の経過について申し上げたいと思います。 御承知の通りに、あの法律に基く措置は各省にまたがっております。従いましてそれぞれの方から御説明があると思いますが、労働省関係について申し上げますと、第一に職業訓練の問題でございます。これはすでに御承知の通りに、三十三年度におきまして、前年三十二年度におきまする対象人員三千七百というものを三十三年度におきましては一万人に拡大いたしまして、現在実施中であります。さらに職業安定所の機能を活発にいたしまして、これが就職を促進いたしますために、現在まで安定所で努力いたしておりますが、特に法律ができました以降、できるだけ広範囲な地域における就職を可能ならしめるための措置といたしまして、ブロック的ないわゆる公益職業紹介というものを実施いたしました。さらにまた、これのために、たとえば東京都に就職する者のために住所がないというようなことがあって就職ができないという事態をなくしますために、日吉に現在臨時の居住施設も設置いたしておるような状況で、ございまして、最近の状況を申し上げますと、毎月大体安定所を通じて就職いたします者の数は、新規就職者が大体毎月五千人程度あるわけでございます。千百ないし千三百人程度は安定所の紹介によって就職いたしております。なお、このほかに老齢あるいはその他の原因によりまして金融を受け、あるいは事業の免許等を受けて自営しておられる方もございますが、労働省関係といたしまして、最近自動車の運転手、駐留軍自動車の運転手で離職された自動車の運転手に対しまして、労働組合の自動車運送業の許可をいたしまして、現在ある程度の成果をおさめられておるわけでございます。 さらに、今後追浜基地の閉鎖という事態に対処いたしましてこれに対する職業の紹介並びに職業訓練を強化いたしますために、一週間ばかり前の閣議によりまして予備費も支出いたしまして、安定所における職業紹介の強化のために人員を一般、特別、両方を通じて増員いたしますと同時に、特別な求人開拓を実施し、さらに約千三百人程度の職業訓練を実施いたすことに決定いたしました。労働省関係は大体以上でございます。
○小柳勇君 まあ今言われたようなところがわれわれとしても、大体全体的に見れば一割か二割だと判定しているのですが、その他の七割ないし八割の者に対しては一体政府はどういうことでこれを救済しようとしておられるのか、将来の見通しについて責任ある回答をお願いしたいと思う。
○政府委員(松野頼三君) 昨年以来、実は相当急激に多数の人員が出ましたので、全部が全部転職あるいは就職ということが完全にできておらぬことは、私たちも非常に努力をいたしておりますが、今後の問題としてなるべくこういうものが事前に調整できるならば、ある場合においての就職あっせんも楽になろう、また、これが今後基本的な方向がきまりますならば、いわゆるこれは産業の誘致という方向に進む以外なかろう、いずれにいたしましても、アメリカ軍の引き揚げというものは自然にふえてくる、同時に仕事も減ってくるという方向を私どもは十分注意しながら、いずれにしても一集団的に大きな失業問題が出るときには、そこに産業の転換誘致をはかる以外にはなかろう、一部のものは一昨年ですか、呉の大きな問題のときには産業誘致ということで人間を吸収できましたし、今後におきましてもやはり一地方において大きな転換がある場合には、産業を誘致する以外は、一々何万人の人の職業から住居まで、すべてを変更することはなかなかできるものじゃないので、将来私どもはこの方向をきめましてその物的、人的計画を事前に米軍に実は調整をしてくれという意味はそこにあったわけで、物的なものでございましょうし、人的なものもあわせて今後の雇用に万全を期して参りたい。ただいま労働者からの御説明のように、追浜の問題はつい先般の閣議で、予備費で職業訓練の予算をとりまて、いずれにしましてもこの問題も相当近いうちには大幅な転換をやらなきやなるまい、こういう方向で今実は工場誘致の方向に進んでおるので、できれば時期に合せるように、米軍においてもなるべくその期間までは労務与えてくれという交渉をしながら、両方からいかないと、なかなか一方的には参りませんので、過去において昨年以来のことはただいま労働省の統計で御説明しましたように、万全だとは私ども思っておりません。しかし、昨年以来急激な変化があって、これについてできるだけの措置はし、法律の趣旨に沿って努力はいたしております。まだ未解決なものはたくさんございます。タクシーの免許なんていうものは、部はできましたけれども、相当希望に満たないこともございましょうし、あるいは神戸地域の新しい仕事に労務者が共同してやる仕事というものに成功したところもございます。従って、全般的にいうならば、百パーセントではございませんが、成功したところ、あるいは成功しておらないところ、それはおのずから業態と仕事にも関係がありますので、私ども万全を期して参りたいが、個々にわたりましてすべてがよかったとはまだ言い切れない、しかし、今後起りますものは何とか万全を期していけるように、物的、人的な準備をして参りたい、これが今日の私どもの基本的な考えです。
○小柳勇君 私どももそういうふうに集団就労の問題については希望しております。従って、そういう方向に政府としても積極的にやってもらいたいと思うが、具体的に一つ総務長官の方でどういうところへどういう話を進めておるか、発表できる程度でけっこうですから……。
○政府委員(松野頼三君) 一番大きな問題は追浜の問題で、御承知のように、あそこは現在軍が使用しているのと、軍の特需契約による自動車工場、また、軍の特需契約による日飛という三つの工場があって、大体総数で一万と称されておりますが、その中でこの三つをどう調整するかというのが第一段階、つい先般は日飛について大幅な実は契約がカットされるという意思表示がございまして、その人員の一部は相模の補給所に転用する、しかし、その半数程度は今日職業がなくなり、これがつい最近出ました具体的な問題で、私どももこれについては、なるべく相模に転用できるものは転用してくれというわけで、この交渉もいたしまして、ことに駐留軍労務対策につきましては、神奈川県知事が地方労務対策委員の委員長をしておりますので、神奈川県知事も私と一緒に来てもらいまして、今後神奈川県の対策と国の対策と合せていこうじゃないかというので、この問題についてお互いに意見を一致して進もう。まず、米軍については、日飛に対して極端な急激な変化をしないようにしてもらいたい、同時に転用できるものはできるだけ転用してもらいたいという方向を一致して、今日調達庁及び政府あるいは神奈川県知事が一致して進めております。これが一つの現実の問題。 第二番目の富士自動車の問題、これは相当労務者が多く、面積も相当ありますので、これは今日継続しておりますが、いずれにしてもだんだん仕事の量が漸減していることは事実であります。同時に、米軍の方も近い将来においては日本政府にこの物件を返還するという意思も大体方向がきまっておる。外務省を通じましてもその方向に今日まずきまったようなわけでありますので、それならばこの時期というものもわれわれの産業の転用とあわせてその時期までは穏便にしてもらいたいという意味で、私どもも来年春、ごろまでには転換産業というものをぼつぼつ実は今日準備しております。もちろん二、三の方からはどういう内容だとか、払い下げ条件はどうだとか、そういう問に合せも今日きておりまして、そういう条件はまだ固まっておりませんので、どこの産業をどうするという名乗りを上げたというわけには参りませんけれども、二、三の方からは内々自分たちが転用を受けたときにはどういう条件があるのか、貸し付けなのか払い下げなのか、物件はどこのものだというようなことをぼつぼつ聞きにきております。これにつきましては、産業転換委員会というものが政府にありますので、これは産業人の中堅層を主体にしておりますが、この委員会に諮って、今日まず産業転用にはいかなる産業がいいかという諮問を進めておりまして、現地も二、三回委員の方が見に行かれました。どちらかといえば、今日具体的に産業転換を進めておるのは追浜の集団地域だと申し上げても過言でありません。可能か不可能か、今日私ども可能な方向に努力しておりますが、今後のことでありますから、地元の横須賀の市会及び市長からもぜひ産業の転換を頼む、このときには固定資産税あるいは市でできるあらゆる便宜を供与するというお話も受けた。また、あそこの出身の衆参議員の方も非常に御心配で、この問題については、超党派的に私どもの方に円満にやってくれ、大きな問題であるというお話も承わっておりまして、実は私どももできるならば一番大きな問題は追浜の問題でありますから、今日これを中心に考えておる、こういうような次第であります。
○小柳勇君 それじゃそういうようなところでその話がつくまでは、今の追浜の労務者諸君は解雇されないと考えていいのかということと、それからそういうことを実施するためには県知事、市長は相当予算が要ると思うけれども取れるか、そういう地方に対して予算はどうするのか、あるいは政府の予算をそういうものに特別に振り向けるという考えを持っておられるか、持っておられるならば具体的に承わりたい。
○政府委員(松野頼三君) 今日、雇用問題は今の契約そのままで参りますとまだ政府が介入するわけには参りません。民間会社とアメリカ軍との契約ですから、これに対して政府が労務を減らせとか減らすなとかいうことは、これは個々の企業体ですから今のままではできません。将来転換になったときにはこうするのだということは政府は考えておりますが、今現在、契約当事者に政府が指図するわけには参りません。しかし、私どもはできるならば一応の退職金、保険金があるうちに次の新雇用でこれを吸収していきたいという方向に政府が努力していく以外なかろう。なお、失業対策事業というものが神奈川県からも具体的に実は提議がございまして、あの労務者にかりに急激に失業が出たときにはあの地域としてこの仕事をしたい、一番身近なのは追浜の海岸補強をしたい。そうすると、同じ場所で同じ仕事ができる、これは七億円くらいかかるそうです。その近くに新しい道路の対策が望まれておる。こうなりますと、十二億くらいの実は事業の計画を神奈川県からは明示されました。従って、これがその方向に進むならば、当然これは労働省及び政府全体の問題ですが、それに対して新しい産業の転換まで、ある意味においてはそういう事業をつなぎながら雇用を安定さしていきたい。そうして私たちのいわゆる新雇用にその方々を採用していきたい、もちろんこの転換産業の場合に政府としてもただ物件だけを払い下げるという意味じゃなしに、労務問題を条件につけて新しい採用をこういうふうにしてくれ、ある地域からこの程度のものは過去の職業の方々が首切られたんだから、この辺は吸収してくれという条件は産業転換の際につけたい。同時に、それが前提でなければ産業転換はただいたずらに物件だけを払い下げるという方向に進んでしまう。こういう考えで具体的にやはり将来はこの産業転換の大きな前提は雇用吸収というものから進むと考えなければいけなかろう、これが大きな私たちの具体的な案です。事業としても神奈川県からは十二億程度のあの地域の職業を吸収するという具体案について十二億ばかりの仕事を県でもやる、国でも手伝ってくれ、こういう御要求をつい先日伺っております
○小柳勇君 そのような県の要請に対して、十二億の要請があったと言われるが、それに対して政府としてどういうふうにお考えであるのかということと、もう一つは、過去の議事録を読んでみるというと、今長官が言われたようなことを毎回のように委員会でも本会議でも言っておるわけです。それにかかわらず、年々歳々そういうような駐留軍労務者の首切りが出ている。しかも出たその労務者の生活というものが、非常にみじめな生活をしている。従って、私はまあここに取り上げて、しかも今度あなたがた安保条約を改定しようとしておるが、それに伴ってまあいろいろと労務者の変動があるだろう、そういうものが心配でならないのだ。単に追浜一基地の問題でなくて、全体的に一体政府としてそういうものを中止せよという、それだけの決意があるのかどうか。しかも今雇用転換される場合には、やはり県なり市なりが相当の予算が要ろうと思うが、そういう予算についても相当の決意をもってあなた方が出すと、そういう話でなければ県だって十分活動できないと思う。従って、もう一回政府の一つほんとうの腹を、この過去の議事録に出ているような、こういう委員会での答弁でなくて、ほんとうにこうやるのだということを、そういうことをもう一回一つお聞かせ願いたい。
○政府委員(松野頼三君) 私が同じことを何遍も実はこの委員会でも申し上げてはなはだ恐縮ですが、今日私たちができる最大限の言葉と、最大限の実は努力を私自信はしておるつもりで、結局私がこれだけ言ってできないところに問題があるのだ。皆さん方がおわかりのように、やはり日本の問題は、国際条約と労務契約というものが基本に過去においてあるものですから、私はこれほど努力しておっても、最後になればその問題にぶつかるというところで一つ御了解いただきたいと思います。それから今の具体的な失業問題ですが、神奈川県知事にしても、政府としても、その問題については十分努力と注意を払うから、予算の交渉は一つ各省別にありますから、建設省の予算もありましょうし、港湾になれば運輸省の予算になりましょうから、各省の次官は私どもの協議会に入っておりますから、協議会を通じて各省にこのことはよく話しておくから、各省別に具体案を出させよう。つい先日も幹事会というのが、各省次官が入っておりますので、次官にその話はしておきましたから、各省来年度の予算の中にそれは入ってくるだろう。同時に、必要ならば労働省の方もそれ相当のお願いをしたい、まあ労働省もこの幹事会に入っておりますから、そういうわけで具体案は今本気で進めておる段階であります。
○小柳勇君 今言われた将来の問題については、松野長官の努力に期待いたしますが、根本的にやはり労務基本契約が政府と米国政府との間になされているけれども、それが労務者の保護の役目を全然やっておらない。もうもちろん米軍の都合によってすぐ解雇していく。従って、しょうがないからあとでそういうふうな完全雇用をするために政府としては事業を見つけて歩こうという考えに立たれるが、そういうような労務者を保護するという建前で、たとえば行政協定の十二条には、この日本の駐留軍の労務者というものは、日本の労働法で保護されるのだと書いてあるにかかわらず、ほとんど労働者保護の役目をしてないという、そういう点に対して、労働大臣の御見解を承わりたいと思う。
○国務大臣(倉石忠雄君) 駐留軍というものができ始めて以来、先ほどからお話のありましたような労務基本協定というものが相互の間に結ばれました。原則としてその当時から日本の労働はこれを尊重するということは、もう初めから向うも言っておりますし、われわれもそういうことでやって参った。ところが、具体的な問題になりますというと、いろいろ出先のものによって、われわれに対して今の契約について不満を持たれるような事例がときどき起きました。そういうたびにそれぞれこちらの担当の方から先方にも苦情を申し入れ、善処してもらうようにやって参ったわけであります。最近は一ころよりは非常によくなったと私は見ております。しかし、今ありますような、先ほど来お話になりましたような、このPD切りかえというふうな問題は、こういうことは実際まことに困ったことでありますから、労働省側としても、ただいまの総理府にあります協議会等にも要望しまして先方に善処方を強く要望しておる、こういうわけであります。そこで、具体的な事例がしばしばありますから、そういう事例については相互でよく個々の事例を検討して、そうして先方に善処してもらうように、なお、われわれの方から強く要望して現にそういう処置を現在行われておる事例もあるようなわけでありまして、もちろん労働法を先方側に尊重してこれを実施させるということについての方針についてはちっとも変っておらない、前からそういう建前でやって参っておるわけであります。
○小柳勇君 そういうふうにもう労働大臣の口ぶりを聞いておりますと、ちゃんと具体的な例も御存じのようだが、たとえば裁判の判決が出て、解雇を取り消しなさいという判決が出ているにかかわらず、なお、就労さしておらない、あるいは不当労働行為であるということが、労働委員会から判定が出ているにかかわらず、そういうものについて駐留軍は一顧だにしない、ネコだって犬だって二、三日飼えばかわいいのに、人間を、一人の人間をとにかく切りっぱなしで、判決で取り消せということが出たにかかわらず、これを雇用しないというような、そういうものについて政府として抗議したことがあるのかどうか、御返事願いたいと思う。
○政府委員(小里玲君) ただいま御指摘の裁判問題あるいは不当労働行為の問題につきまして、私から御説明申し上げます。従来、裁判所あるいは労働委員会等の決定が下されまして、それの実施をめぐりまして日米間に争いのありましたことは事実でございます。特に米側は、裁判で解雇が無効である、従って、原職に復帰させるべしということが決定をいたしました場合に、これをどう扱っているか、日本政府といたしましては、政府が裁判の拘束を受けることは当然でございまするので、米側に対して原職に復帰さしてもらいたいという要求をそのつどしつこく要請をいたしておるのであります。これは非常にむずかしい法律的な関係もございまするが、米側は現在までのところ一貫して原職復帰を認めないという態度をとっております。従って、これでは日本政府の、解雇になりました労務者に対する措置に困るということで、何とか解決をいたしたいという意図のもとに、これを合同委員会でそれでは折衝しようということで、合同委員会にこれを提訴いたしておるのであります。合同委員会といたしましては、直接本会議でこれを取り上げることをせずに専門的な問題でございまするので、専門委員会を設けてそこで討議をしよう、こういう段階になっておりまして、この問題の解決をするために近く専門委員会を開催する段取りになっております。ただ調達庁といたしましては、裁判で解雇が無効であるということになりますると、調達庁と労務者の間には雇用関係が継続しておる、こういうことに相なりまするので、原職復帰云々の問題は米軍との交渉問題であり、また、合同委員会にかけてやるということになっております。調達庁と労務者の関係におきましては、これを雇用関係が継続したと同じ状態におくということで、従来原職復帰させるまでの間の賃金を払っておるのであります。賃金は払ったからといって根本的には解決をしておらないことは、原職復帰ということが実現されない以上当然でございまするが、それにいたしましても、一応調達庁と労務者の間の雇用関係は継続しておるものと見て、労務者は働いてはおりませんけれども、その間の賃金を払っておる、最近最高裁の判決が確定をいたしたのでございまするが、これに対しましても、近く払うべき賃金は払うということで、そういう方針で取り進めることにいたしております。それから不当労働行為、この問題は最近特に立川の基地で起った問題でございまするが、休憩時間中組合活動をすることができるかどうかということに関しまして、これも日米間の意見が相違をいたしておりまして、従来ずっと折衝を続けておるのでありまするが、この問題につきましては、調達庁と労働組合の労働協約、ただいま現在におきましては労働協約が一応失効いたしておりまするので、形式的には効力はございませんけれども、失効いたしましても従来の労働協約に基いてその線に沿ってやっているということになっておりますが、その協約によりまして、労働組合、労働者の休憩時間、あるいは就業時間後の組合活動は一応原則的にはこれを認める、こういうことになっております。ただその際に、行政協定の第三条に、アメリカ側にその施設の中における管理運営等において相当広範な権限が認められておりまするが、この行政協定第三条の権限と、労働組合活動の休憩時間あるいは就業時間後における自由という問題との調整をいかにするかということで、これを実は新しい労働協約で締結をしようという方向で進んでおるのでございますが、なかなか新しい労働協約が最終結論に管理者と組合側、あるいは米側と日本政府側との意見の一致を見るに至っていないということで まだ締結の段取りになっておりませんのでございますが、いずれにしましても、そういう問題を労働協約に明らかにしようということで現在まで進んでおります。そういうやさきに、立川の基地において米軍側から休憩時間中あるいは就業時間後における組合活動を制限するというような、従来から行われておったような活動すらも制限するというような書簡が出たりいたしまして、この問題については合同委員会でも取り上げて問題を討議したこともございまするが、ただいま在日米軍の司令部、あるいは第五空軍の司令部とこの問題について何らかの解決を出そうということで、本格的に労働協約が結ばれる前においても、具体的問題として何らかの解決を見よう、こういう線で折衝してただいまひんぱんに重ねているわけでございます。具体的な事情は以上のようでございますが、なお、政府といたしましては、労働法に認められた労働者の権利を、たとえ基地内といえども、これをよほどの理由がない限り、制限をすることは困るという線で折衝を続けて参りたいと、こういうふうに思っております。
○小柳勇君 西ドイツでもちょうど駐留軍とドイツ人との雇用関係があると思うのですが、それと今の日本の労務者と米軍との関係についてどうですか、労働法の適用の問題について。
○政府委員(小里玲君) ドイツの具体的な法規なり、あるいは実際問題について、はっきり私つまびらかにいたしておりませんが、日本の現在の制度、あるいは具体的な事情と、ドイツで行われておりまする規定なり、あるいは実際というものとの比較は、ちょっと私はここではっきり申し上げることができないことをはなはだ遺憾といたします。
○小柳勇君 具体的な御返事がないので、その問題は次に質問する機会があると思いますが、私は、日本人が占領された当時のような感覚で、今米軍から使われている――やはり今の労働法の問題もさっき松野長官から懇切丁寧な御答弁があったが、首切りの問題にしても、非常に占領下にあるときと同じような感覚で使われておる。こういうものに対して一体政府はどういうようなことでこの雇用関係を継続しようとされているのか。 それからもう一つ具体的な問題ですけれども、今は調達庁と労務者との関係をずっと関連して質問しましたけれども、日本が直接雇っている労務者がおるわけですね。そういうようなものはほんとうに切り捨て、ごめんで、この法律百五十八号すら適用されない労務者がおるわけですよ。その二つの問題について、もう一度松野長官なり、労働大臣から御返事願いたいと思うのです。
○政府委員(松野頼三君) ただいま西ドイツの例を引かれて明確に調達庁からもございませんでしたが、私たちも実は西ドイツと比較すれば事情は違いますが、国柄の、いわゆる国際的立場は違いますけれども、日本と必ずしも同一じゃない、長短はいろいろありましょうけれども、なかなか比較されても私の方も実はなかなか答弁しにくいところはあるのです。それは、基本的に申しますと、やはり今日こうやって運営していって一番大きな問題は、調達庁の間接雇用に関する米軍のいわゆる条約上の問題が現存しております以上は、調達庁及び政府が相当努力しましても、労務の供給の義務はあるけれども、これに対しての権利が非常に薄い。従って、調達庁は労務の提供命令を受け、労務の提供はしますけれども、これに対する実は発言とか、権利とかという条項が今の条項ではある程度思うようにいかない。そのためにまあ労務基本契約というもので補ってはおりますけれども、調達庁自身からいうと、なかなか義務は非常にいろいろな義務がありますけれども、権利として主張すべきところ、あるいは労働条件について発言するというところは非常に少いのじゃなかろうか、この辺が今日いわゆるこれができました、条約ができました当時から今日の日本の経済及び国際的な立場が変ってきたところに非常に実はしわ寄せがきたのじゃなかろうか、まあ採用するときにはある程度、不備でもいわゆる新規雇用者の就職ということでいいのですけれども、これが縮小するときが一番問題になるのではなかろうか。今日考えて参りますと、そういう時間的問題では今日の条約が必ずしもわれわれが言う通りにいかない。一番大きな問題はやはり国際条約、それから調達庁及び米軍との契約義務というものが私は問題が多いと思っております。従って、こうやっても非常に思うようにいかないし、思うようにいってもなかなか通らないというところには、やっぱり法律的不備が私はあると思う。もちろんこれを補うために日米合同委員会の中に労務小委員会というものができております。これは補うためにできたのでありましょうが、これも一つの調整機関であって、いわゆる実施機関じゃありません。実施機関はあくまでも米軍であるために、調整ができたものはけっこうですが、できないものはどうするのだと言われると、どうもこの委員会が権利としてやるには非常にむずかしい問題がある。従って、時間的に、タイミング的に、あるいは個々の事件においては相当実は引き延されておる傾向がなきにしもあらずであると思っております。日本とアメリカの基本条約、基本契約というものを変えなければ、うまくいかないのじゃないか、端的に私はそう考えております。 それからもう一つの点については、調達庁からお答えさせます。
○政府委員(小里玲君) 政府雇用以外のいわゆる米軍が直接雇っております労務者、これは駐留軍離職者等臨時措置法は特別給付金を除きましては一応適用がございます。特別給付金の問題につきましては、これはいろいろの事情がございまして、現在適用になっておりません。労働組合等からはこれも適用せよというような強い要求がございまするが、一応その問題が結論に達しておりませんが、その他の失業対策とか、その他の法律の規定は駐留軍労務者と政府雇用の駐留軍労務者と同じように適用があることになっております。
○小柳勇君 あまり時間をとりましても何ですから、外務大臣に対するいわゆる協約協定上の問題については、次の機会に譲りたいと思います。一、二具体的の問題だけ質問いたしまして私、質問を終りたいと思います。 どんどん失業者が出てくる。このことについては松野長官が初め言われた通りであると思う。そのことについては、とにかく阻止しなければならぬけれども、そういうことで駐留軍が日本から帰っていくことについてはわれわれ賛成であるから、結果的に起るそういうふうなものについて、失業対策について、もう少し予算措置なり、百五十八号の法律を適用するための具体的な予算措置とか、人的配置とか、そういうものについての何か具体的の考慮を払っておれば、その具体的の問題について御説明願いたいと思います。
○政府委員(松野頼三君) 具体的に政府委員からお答えさせます。
○政府委員(百田正弘君) すでに本年度予算におきましても駐留軍の離職者が相当増大するということを見越しまして、先ほど申し上げたように、職業安定機能並びに職業訓練の問題につきまして予算の増額をいたしたわけであります。先ほど申し上げたように、追浜基地の問題につきましては、当初予算におきまして予測していなかった分でございますので、その分につきまして直ちに予備金支出を行なったのであります。来年度におきまして、特にわれわれといたしましては、現在の職業安定機関の措置によっても相当程度の就職が可能であるというふうに先ほども数字をあげて申しましたが、昨年とことしを比べますと、本年度に入ってからの安定所による就職は昨年の件数の二倍になっております。われわれは一そう第一線機関を督励いたしまして、この就職を促進して同時にこれと合してこの臨時措置法にありますように、他の自立更生の援助の問題、あるいは先ほど総務長官からお話がございました企業誘致の問題等と相並行いたしまして、労働省としては職業訓練、職業紹介を通じまして必要な予算措置も講じて参りまして来年度におきましては、特にその職業安定機能の強化のために予算の充実をいたしたい、こういうふうに考えております。
○小柳勇君 たくさん具体的問題はありますけれども、最後に一言いたしますが、いわゆる首切りの問題、PD切りかえの問題など少くとも今八万から十万くらいの駐留軍関係労務者がおるわけです。そういうものの組合があるのですから、当然そういう組合を相手にして政府はもっと話し合う、それは満足のいくようなことはなかなか大へんだと思うのですが、そういうことをやらなければならぬと思う。そのためにさっき労働協約は今解消されましたと言われましたが、駐留軍労働組合と労働協約を結んでもっと話し合いながら、調達庁も松野長官もあるいは労働大臣も、そういうような労働協約の中で安心して働けるような態勢をとる意思はないか、その点を最後に伺います。
○政府委員(松野頼三君) この団体はたしか二つございます。二つともたびたび実は私お会いをし、要求があったときには一ぺんもお断わりしたことはありません。政府としては、実際報告を受ける労務者個々の問題については必ずしも完全ではありませんので、個々について実は具体的の話も聞き、あるいは私たちの役所からの報告も聞き、両方から万全を期して参りたい。私たちも実は駐留軍という特別の労務の問題でありますから、基地内に起った事件についてはやはり労働組合の方が正確に御存じかと思いますので、いつでも御要求に応じ、また、個々の具体的な問題の御報告を承わりたい、こういうわけで両団体とも二回ずつお会いしまして、できるだけ私も詳細に具体的の問題を聞き、解決していきたい、こういうように考えております。それは私のみならず、政府としてもこの問題は国際的の問題でもありますし、特に条件が特殊の問題でもありますので、一般の労務対策というワクのはまらない事件が非常に多いのでありますから、今後この問題については調整をとって参りたい。 なお、労働問題については労働大臣がおられますから、労働大臣から法規上の問題についてはお答えいただきたいと思います。
○政府委員(小里玲君) 先ほど来、日本政府とアメリカ軍と結んでおります労務基本契約という契約がありながら、実際には労務者の保護がなっていないじゃないかというようなおしかりのお言葉がございました。確かに私ども当面の仕事をやっております者といたしましては、労務者の保護が完全に行われておるというふうには考えられないということを申し上げざるを得ないのを遺憾といたします。しかし、占領直後から続いておりました基本契約がようやく昨年の十月に新しく改定されまして、新基本労務契約というものが結ばれまして一応建前上は日米共同管理の原則が、たとえば従来は米軍が労務者に対して「お前は首だ、あした来る必要はない」ということを言われれば、それはそのまま発効するというような状態でございましたが、新しい契約によりまして、それに対して日本政府は米側と十分な調整をして、どうしても最終的な意見の一致を見ない場合には、合同委員会にあげ、合同委員会で結論が出るまで実際の実施が延期されるというような線で、日米共同管理の原則という点を一つの大きな旗じるしといたしまして新しい契約が結ばれたわけでございます。その他、各般にわたって従来から比べますと、非常に改善を見たのでございますが、ただそれの実際の運用ということになりますと、何しろアメリカの軍隊という特殊のああいう社会であり、また、アメリカ人の考え方がわれわれ日本人との考え方の間に相当な相違があるということから、私どもが思っておりまするようなふうには動いていないという面も多々ございます。しかし、繰り返すようでございますが、従来に比べますれば相当改善をされたということははっきり申し上げていいのじゃないかと思います。 御指摘の労働協約のまだ結ばれていないということにつきましても、私どもは一日も早く結びたいということで、強く米軍に折衝をしておるわけでございまするが、現在までまだ結論に到達していない、これもやはりアメリカの考え方とわれわれの考え方、あるいは労働組合の考え方との間に相当な開きがあるというようなことから結論を見るに至っていないというのでございまするが、しかし、あくまでも私どもは現在の契約の中においてできる限りの保護を全うしていきたい、日本政府が労務者の保護という立場から、契約を忠実に実行に移させて、実施をさせてできるだけ労務者を保護し守っていきたいという考えも持っております。労働協約もできるだけ早期に締結をしたいという考えで進んでおるわけでございます。御指摘の点、よく私どもも考えまして今後努力をして参りたいと思っております。
○小柳勇君 わかりました。で、労働協約については今締結するというお返事がなかったのでありますが、私は重ねて労働協約を締結するように交渉を始められることを要望したいと思うのです。それから昭和二十八年の七月十五日に党派を超越して満場一致でこの本会議で駐留軍労務者についてはもっと守っていかなければならぬという決議がされておるようであります。従って、私は外務関係のいわゆる外務大臣に対する国際的な雇用契約の問題並びにそういうような委員会の今後の要望その他については次の機会あたりに提案いたしたいと思いますけれども、それまでの間やはり非常に不安に働いておりますから、労働省なり調達庁なり、あるいは総務長官はもっと駐留軍労務者と近寄って親切にそういう問題が起らぬように最善の努力をしてもらいたいと思うのです。 以上で私の質問を終ります。
○藤田藤太郎君 私は一、二点だけ、今の小柳委員の質問の中で確認の意味で、一、二点質問したいと思うのです。 第一点は、PDの切りかえについては、松野長官は相当強い決意でこれに当るというこの前の確約がありました。ところが、座間には起きてきておる、こういうことですから、私は今後はPDの切りかえは何といっても合同委員会あり、それからまた国と国との関係、外交の問題もありますけれども、これは何といってもそういうものは不合理、労働省も、対策本部の委員長である長官もそれは不合理であるという建前に立って今後は一切やらない、それだけの決意を持ってこの問題には当りたい、こういう工合に認識していいか、これだけ一つ。
○政府委員(松野頼三君) 藤田さんのおっしゃるようなそういう気持で私はおります。そういう気持でおります。同時に、じゃ言葉がおかしいじゃないか、これは一番御存じの通りですから、私の方もそういう気持で当りますが、いろいろ条約とか、いろいろな条件によってはこの問題が多少例外があるかもしれません。いろいろな条件と申しますのは、かりに申しますならば、労務者が全部組合を作るというような事態も、事例もございまして、そうしてこれならばよろしいという事例もなきにしもあらず、今日まで実施された例もなきにしもあらずであります。しかし、いわゆる不当なPD切りかえというものに対しては、私はあくまで米軍に対してしつこく交渉もいたしましたし、今後ともこの方針は変っておりません。すでに米軍参謀総長とも二回この意思を文書をもって、また、向うからの返事をもらって今日まで着々とその方向に地固めをしております。その方向に変りはございません。
○藤田藤太郎君 その次の問題は、追浜の問題なんだが、追浜の問題は産業誘致をやる努力をしておると、こうおっしゃる、ところが、私の見ているところでは、どうも誘致の問題も努力されている、これは非常にけっこうなんですけれども、いろいろとあの全体の基地の中で、アメリカの基地がどのようにされていくのかということが一つ、それと基地そのものをアメリカがどう扱おうとしているか、片方ではだんだん締め切って首を切っていくというのは、あの基地をアメリカがどういう工合に扱っているか、それですからアメリカと日本の交渉においては、労働者を産業誘致その他で、新しい産業を起して労務者を吸収をするという原則を相手方に認めさして、向うは全部日本の政府の言いなりといいましょうか、希望に応じてあの基地を返す条件を作っていくという工合な私は決意がなかったら誘致の問題もなかなかむずかしいと思う。だからその点は明確にしてアメリカと交渉してもらいたい。日本ばかりでなしに、国と交渉してもらいたい。それでなければ今の努力というものが実を結ぶにもなお一そうの努力が要るのじゃないかと私は思うんです。その点を一つお願いしておきたい。 もう一つの問題は、十二月まで仕事があるのに九月で半分というものを日比の問題なんか首を切っている。こういう状態を私はやはり処理するというところに政府の責任があると思う。だからこの点の御返事と二つ伺いたい。
○政府委員(松野頼三君) 追浜の問題は、日本政府ばかりではこれは解決がつきませんので、正式に外務省を通じましてアメリカ政府、大使館あてに追浜地区のアメリカの計画と日本の計画を申し入れまして、まだ確答はいたしてきませんが、日本の計画の申し入れば外務省を通じて九月正式にいたしました。日本の政府として今後のこの問題についての考えというものを申し入れいたしました。アメリカの方もおのずからそれに対処して返事と交渉があるだろうというわけで、もちろん対米的な交渉も進めております。 もう一つの日比の問題は、日比飛行機とアメリカ軍との特需関係契約でありますが、内容は、いろいろ紛争の種は、御存じの通り、急に作業能率が低下したとか、いろいろ問題があるようでありますが、要するに、この問題は結論的に言えば、仕事の量が減ったということが私は一番大きな、ゼロじゃありませんけれども、だんだん減ってきたという大きな方向にはこれは抗しがたいものだろう。従って、一つの今度の紛争の問題は、非常に作業能率が低下したから契約を取り消すのだという会社側と米軍との契約変更だ、こう認めておりますけれども、政府としてもあながち一契約だけに放置するわけに参りませんし、特需問題そのものが全般的に言うならば、日本とアメリカとの大きな国際的問題でもありますので、一民間会社だけの問題として放置するわけには参りませんので、私の方もそれに関与、介入できる問題については会社側にも話をし、また、米軍にも話をして今日いるわけであります。一番具体的に話をしましたのは、そういう事情ならば、でき得るだけアメリカ軍の仕事のあるところに労務転用をしてくれという話もいたしましたし、あまり急激だからもうしばらく仕事を継続してくれぬかと、こういう話を今しているわけであります。第一点の問題については回答がありました。回答がありましたのは、なるべく労務者を転用するという回答をいたしております。なるべくであって、全員だという返事はいただいておりません。その中の一部の者は転用するという話は承わりましたけれども、全部転用するという話は実はきておりませんので、今後この問題も深刻化する感もいたしますので、具体的に一つ一つ進めて参りたい、こういう考えでございます。
○藤田藤太郎君 今申し上げました第一の問題は、これは日米合同委員会もあることだし、外務省の問題はこの次の問題になると思いますが、どうも見ていて腰がふらふらしていてたよりなくて見ていられぬという感じなんです。それがみんな連なってくる。この日比の問題でも作業能率が下ったから首を切ってしまうなんという、そういう理屈でもって首を切るなんということはけしからぬと思う。だから、そこのところは一つしっかりやってもらいたいと私は思うのです。 それからもう一つの問題は、一週間前に閣議で補正予算を、予備費を使うということを決定したのは具体的にどういう場合にやったか、ちょっと説明がなかったように思うのですが……。
○政府委員(百田正弘君) 予備費総額で千二百二十二万六千円、そのうちで一般会計に属する分が九百四十七万九千円、特別会計に属する分が二百七十四万七千円、その内訳を申しますと、職業紹介機能の整備強化費といたしまして、一般会計において百八十八万五千円、特別会計におきましては百六万八千円、内容といたしましては、先ほど申し上げましたように安定所に臨時職員を増置する、あるいは窓口が足りませんので臨時の窓口を増設する、特別な求人開拓、職業相談を実施するといったような需要、職業訓練の強化拡充費が一般会計において七百五十九万四千円、特別会計におきまして百六十七万九千円、この措置によりまして既設の訓練所に収容するものを含めまして千三百三十五人、この措置によるものが九百九十人、新たに職業訓練を実施する、こういうわけであります。
○藤田藤太郎君 そこで私はこの次の質疑で労働大臣との間に明確にしたい。一般的なきょうの意見がありましたから明確にしたいと思いますが、小柳委員が再々取り上げましたように、私は失業された人の就労対策というものは労働行政の一番大事な柱をなすものだと思っている。先ほど聞いていると、何か少しばかり就労の機会ができたとかできぬとか言っているけれども、ほとんどがもう悲惨な状態にある。特に駐留軍労務者なんかは政府が雇っておったのだから、その点は一つこの次までに明確に駐留軍の今まで失業された失業者に対してどういう措置をとり、どういう工合にどれだけの就労ができて、大まかにどうなったかということを資料として明確に出してもらいたい。これは早急に、一番最初に申し上げました資料要求とあわせて一つこれを出してもらいたい。そうして、その上でいろいろの問題を明らかにしていきたいと思いますので、それだけお願いしておきます。
○委員長(久保等君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(久保等君) 速記を始めて。 本日は外務大臣の出席もございませんので、外務省に対する質疑等も残っておりまするが、本日の本問題に対する質疑はこの程度にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(久保等君) 御異議ないと認めます。 ―――――――――――――
○委員長(久保等君) この際、お諮りいたします。ILO条約批准に関する件について参考人の出席を求め、意見を聴取することにいたしまして、その日時、人選等は委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(久保等君) 御異議ないと認めます。よって委員長は、理事と協議して進めることにいたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後零時四十五分散会