建設委員会公聴会 第1号
- 発言数
- 90 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1958/10/30
会議録
○委員長(早川愼一君) これより公聴会を開会いたします。 首都圏の既成市街地における工業等の制限に関する法律案につきまして、公述人の各位から御意見を拝聴いたしたいと存じます。 この際、一言ごあいさつを申し上げます。公述人の各位には、特に委員会のために御出席を願いましてまことにありがとうございました。当参議院建設委員会は、目下首都圏の既成市街地における工業等の制限に関する法律案につきまして、審査を進めておりますが、本委員会は、一般的関心及び目的を有する重要案件でありますので、各方面の御意見を拝聴し、本法律案審査の参考に資するために、特に今回公聴会を開会した次第であります。 公述人の方々におかれましては、それぞれの立場より本法律案に対する忌憚のない御意をお述べを願いたいと存じます。それではこれから公述人の御意見をお述べを願いたいと思いますが、議事の整理の都合がございますので、公述人の各位の発言時間は、それぞれ御通知申し上げてありますから、その程度にお願いをしたいと思います。なお、公述が終りました際には各委員から質問がございますので、この点も御了承を願いたいと存じます。 それではまず前日本商工会議所中小企業委員長、石田弁工業株式会社の社長石田謙一郎君。
○公述人(石田謙一郎君) 私は東京商工会議所の中小企業委員長をやっておりますものでありますが、この今回の首都圏の既成市街地における工業等の制限に関する法律案に対しまして、私どもは賛成をいたすものであります。 実は、この法律案のできますまでにいろいろ私どもも内容を伺ったのでありますが、その際には最初の案は約三百坪くらいというお話でございました。これには私ども困るというふうな要望をいたしましたところが、今回これが約五百坪ということに変りましたので、これならば大体われわれとしては首肯できるというふうに考えましたので、この点についてははっきりと賛成を申し上げることができると思います。ただ、ここで賛成はいたしまするが、これは私どもはただ無批判にけっこうだと申し上げておるのではないのでありまして、まあ今の東京都の現状を見ますると、こういうふうな制限もやむを得ないというふうな点から御賛成を申し上げたのでありまして、この点を一つ御銘記願いたいと存ずるのであります。そして実際問題として私ども特に中小企業の立場から見ますると、今一番心配しておりますることは、すでに戦前と戦後と姿が変りまして、戦前は大阪の方が非常な生産都市であったのでありますが、戦後はやはり東京の方へ相当に生産というものが移行して参りまして、東京自体が相当大きな生産力を持ち、また持たなければならないような事情にございます。またいろいろ世界各国との輸出その他の問題から見ましても、どうもやはり東京の方がいろんな点で市場の状況を察知しやすいと見えまして、こちらの方へ雑貨なども移って参る傾向が多分にあるように見えるのであります。一例を申し上げますると金属玩具のごときは、今は東京の主要な輸出産業になりまして、各国を超えるような実情であります。これらも戦前の姿からだいぶ変ってきておると思うのでありまして、こういう点から見まして、東京都民というものは、必ずしも観光あるいは文化面のみではなくして、やはり産業人としての性格が強く現われているのではなかろうか、このように考えられるのであります。そのときに産業と都市計画の関連を十分一つお考えいただきたいと思うのであります。 特に私ども商工会議所といたしまして心配いたしておりますることは、現在の東京が地価の高騰あるいは空地の減少等によりまして、その中で何とか少しずつ保って参りますると、小さな工場からやや大きくなることができませんために、どうしても移転をしなければならぬ、その場合にあくまでも残りまするものは、弱小な企業のみになってしまうのであります。この傾向が非常に強いために、いつまでたってもいわゆる工場地帯と申しまするものが、あまり強くない企業には締め出されてしまう。この点が実は心配なのであります。そうしてこういうふうな点からみましても、この首都圏整備という問題は非常に大事なので、私どもその方法については賛成をするのでありまするが、現実にしからばそのような可能のような状況にあるかどうか、この点が相当実は問題だと思うのであります。 今回五百坪以上のものに対しては新設ができないということに対して、私どもは賛成をいたしました理由は、もうすでに東京の現況では、とても、建物があるいは作業面積が五百坪ありますと、付属のいろいろなものを考えますると、土地の広さにしましたら千坪以下ではすまない。さすればこれはなかなか今の状況では千坪以上の工場のための土地を探すということは、中小企業では不可能でありまするし、資本力の弱小な中小企業にとっては特に手に入れにくいのであります。こんな点から考えますればもうすでにできない状況にありますので、これもやむを得ない。ただしかしこのように産業と結びついているという場合に、しからばこのような面積の工場が絶対に東京の中にできないということが、果してよかろうかということになりますと、これまた相当問題だと思うのであります。と申しますのは、東京の中小企業、特に零細企業はみなやはり親工場なりに結びついておりますので、こういうふうな企業が許されないということになりますると、おのずとそこに産業の、ことに工場の発展力というものは制限されてしまうわけであります。この点を実はおそれたのでありまするが、これも今申し上げたような事情から、すでに土地その他が手に入りにくい現況でありますればやむを得ない、というふうに一応会議所としては踏み切って御賛成を申し上げたわけであります。 ここで、私どもは賛成をいたしますると同時に要望を特に一、二お許しを得ていたしておきたいのでありまするが、かねて商工会議所ではこの問題につきましていろいろ御要望をいたしておるのであります。それは、こういうふうに新設を制限すると、同時に当然首都圏整備の目的であるところの衛星都市という問題が巻き起ってくるのでありまするが、この衛星都市の準備が十分であるであろうかどうかということなのであります。まあ、衛星都市と申しましても、東京都の中と同じように地価が高ければ、それはなかなか移転することもできないのであります。それから同時に、いかに衛星都市に工業を持って参りましても、やはり東京といろいろの意味で結びつきを持っております。東京に親工場のある場合もあるでありましょうし、あるいは受注先のある場合もあると思うのであります。こんな点からも、東京とこれからできまする首都圏の中の衛星都市というものの結びつきは非常に緊密でなければならない。しかるに今の状態でありますると、その点が十分進んでおるかどうか、これらの点が非常に問題であろうと思うのであります。私は実は先般生産性本部のチームの一員としてアメリカへ参りましたのでありまするが、この問題はアメリカでも同様非常に困っておるようでありまして、現在の既存の都市の周辺に相当大きな工場地帯を想定してやっておるようでありまするが、アメリカのような土地の広い所でありましても、やはり地価の問題その他では苦しむようでありまして、やはり大きな広い所を自治体その他が確保いたしまして、比較的低廉な価格で提供するというふうなことに努めております。ただこの場合にまず一番先に考えられることは、その土地における電気と水その他の供給であると同時に、道路網の整備ということであります。私どもが今一番この工場の新設禁止について心配いたしまするものは、これからできるであろう工場が、これらの衛星都市に参りましても、果して電気なり水なり電話網、通信網というようなものが十分整備せられて移り得るのかどうかということ、それと同時に、今申し上げました東京との結びつきというもの、これらをお考えいただいて、ぜひ今後の首都圏の整備に御努力を願いたいというふうに考えるのであります。 特に一番問題になりますることは、むしろ東京から衛星都市との結びつきの道路よりも、東京都内の道路網の整備がやはり衛星都市の建設には必要ではないか。端的に申しますると、新宿を出ましてから八王子その他に参ります時間と、むしろ新宿から都内のセンターに参ります時間とあまり違わないのじゃないかと思います。こんな点においてぜひ御考慮をわずらわしていただきたい。首都圏の整備というものは必ずしも郊外における道路ではなくて、むしろ現在の旧東京における道路網の整備、完備というものが先行するのではなかろうか。これがないと、いかに工場を制限いたしましても、非常に移転するところの工場ができにくいのじゃなかろうかというふうに考えられるのであります。こんな点で十分な御考慮をわずらわすことが、この法案を通しましても、この法律そのものを生かすことになるのじゃなかろうか、私どもはこのように考えておるのであります。そうしてこれらの禁止と同時に、国家及び自治体において、工場の移設ないしはそれらの衛星都市における新設禁止に伴いまして、八王子地区あるいは相模原地区、千葉地区、大宮、浦和地区というような所に移されるだろうと思いますので、これらに対しまして金融上の援助とか、あるいは固定資産税の減免などの施策が、当然これはとられるだろうと思いますが、これらを強力に御推進になられたいということ、そうしてしかもこの約束を必ず守るようにしていただきたいということであります。 東京で今起きております問題の一つは、御承知の品川の埋立地の問題であります。これがたしか大正の初め五、六年でありますか、昭和の五、六年でありますか、地租が六十年間免除であったと思います。ところが、戦争のあとにおきまして地租という制度がなくなったために、今度は土地の固定資産税という形で取り上げられてしまった。結局その約束は、工場を品川の埋立地に持っていけば六十年間地租を免除してやるという条件のもとに工場を新設したところが、逆に戦争という一つの姿の過程において固定資産税というものにすりかえられて現在取られておる。これが今相当もめておるのであります。こういうようにやはり事情が変りましたならば、変ったような条件のもとにおいてやはり初めの約束は守っていただきたい、この点が実は必要じゃなかろうか。簡単に申すと、政府なり、自治体を信頼するという意味からも、こんな点が必要じゃなかろうかと考えるのであります。 しかも私どもは新しくできるところの衛星都市ことに工業都市に対しましては、そこの住民あるいは工場その他が十分になってからいろいろの施設を完備をする、ということは一つやらないでいただきたい。むしろできる以前に十分な整備をしていただきたい。それでないと、とても移りにくいのだ。自分たちが参りましても、工場を作りましても、道路そのものがまだ舗装もされていないというような所に参りましては、非常な損害をこうむる。これはやはり区画整理とか工業排水の十分な完備とか、あるいはその他の都市、東京と衛星都市との交通機関の整備というような問題、あるいはまたガスあたりも工場にとっては欠くことのできない問題でありますので、ガスあたりを供給することが十分できるかどうか、こんなことを十分やった上で受け入れていただきたい。またそのような形をぜひとっていただきたい。これが本日問題になっております法律を生かす道ではなかろうか。このように私どもは考えておりますので、この点を要望して申し上げておきます。 それからあくまでもわれわれ中小企業者は国家並びに自治体を信頼して、国法のもとに喜んで工場を移すことのできるように、また事実国及び都市も十分やっておるのだということを現実にお示し願いたいと思うのであります。それはたとえば、これは私どもの知識の不足のためかわかりませんが、どうも東京のような非常に道路の割合に狭い所において、すでに先般来行われておりますように、せっかくある川を埋めましてもその上に建物を立ててしまうというようなこと、こういうようなことになりますると、工場は新設しないけれども、自治体そのものは三十間堀にしろ数寄屋橋にしろああいうふうな道路にしろ、何かわけのわからない形のものにしてしまうということ、これでは何かやはりがまんのちょっとできにくいところもできてくるのではなかろうか。こういう点については十分御考慮願って、自分たちが不便を忍ぶかわり自治体自身も十分努力をしたのだ、という姿をお示し願いたい。これがやはりわれわれがこの法律に対して賛成し、この法律を守ることのできる基盤ではなかろうか、まあ私どもはこのように考えるわけであります。 そうしてこれらの衛星都市の県においても、なお特にお願いしておきたいことは、とかくどちらの場所でも当然でありますが、人口がふえ工場がふえ固定資産税その他がいろいろな形で入ると、いろいろな施設を完備して参ります。たとえば中小企業の工場が移る場合に必要なことは、やはりその工場に働く人たちのためのいろいろなレクリエーションの施設でございます。とかくそのような施設はその自治体に金が入らないとなかなかやってくれませんのでありまするが、今回のこの首都圏というふうな大きな形でやられる場合には、むしろ先にやられるような計画を十分立てておくということを要望しておきたいと思うのであります。たとえば公会堂も必要でありましょうし、体育場も必要であろうと思うのであります。あるいは産業人が活用できる運動場も必要であろうと思うのであります。とかくこういうふうなものがあとから考えられるために十分な施設ができ得ないのであります。これらにつきましても十分御考慮願っておることでありますが、なお重ねて私は要望をいたして、そうして今回の法律については、一応そういうふうな大東京の建設、要するに調和のとれた首都の建設という意味からやむを得ない、という形のもとに賛成をいたしたい。そうしてこの法律を裏づけるために、首都圏のすべての問題については十分国及び自治体が強力に御援助を願って至急やっていただくようにお願いしたい、このように考えて賛成をするものでございます。
○理事(田中一君) ありがとうございました。石田公述人に対して質疑のあります方は御発言願います。 私から一言伺いまするが、首都圏整備委員会は、商工会議所を中心として中小企業に対する問題等について事前に相当打ち合せをしてある、こういう答弁を当委員会でしておる。そこで今の御意見は石田謙一郎君の御意見として、商工会議所の中小企業部の委員長ですかに対しては、今まで整備委員会では、どういうような経緯を経て石田さん個人の今の結論になったのか、相当抵抗があったものと思うのです。抵抗というのはあなたの方でですね。それらのものはどこで話し合いがついて今のような結論になったか、ということの経緯を率直に御説明願いたいと思うのです。
○公述人(石田謙一郎君) この問題は実は私どもといたしましては、やはり東京は文化のみの都市ではない、産業都市であるという見地から、ここでいたずらに、いろいろな衛星都市の建設が未だ十分進んでおりません今日において、禁止だけをすることについては反対だということを、まあ特に中小企業委員会を中心としてあったわけなのであります。しかしいろいろ整備委員会その他からは御説明を伺い、それからわれわれの要望であるところの、三百坪というのは無理じゃなかろうか、まあ三百坪という範囲はまだ完全ではない、中小企業でやはりこのくらいまでは許可をお許し願った方がよかろう、というふうな御要望を申し上げたところが、これが五百坪というふうな線に変って参りましたわけであります。こんな点からもうこれ以上われわれの方がいたずらに東京の中へ工場を新設することを求めたところで、無理じゃなかろうかというふうに委員の空気が変って参りました。そうして、むしろそれよりか回りのいろいろなあるいは大宮浦和地区とか、八王子地区とか相模原地区とか千葉地区とかというふうな問題について、むしろこの方に力を入れていただいて、われわれがそこにやはり小さいながらもできるだけ働く人も工合よく働ける、要するに健康的に働けるような土地を得て移る方がいいのじゃないか、というふうなことに実は変って参りましたのであります。そのためにこの問題については賛成をしたい、そうしてむしろ逆にこの新設に反対するよりは、建設的にその回りの都市の十分な施設をしていただくために、国及び自治体に対して要望しようじゃないか、まあこのような姿に変って参りましたので、本日私は先ほどからの意見を申し上げたわけであります。現在の商工会議所としてはそのような姿に切りかえて参りまして、今後要望等もいろいろ出ると思いますが、むしろ一日も早く衛星都市、特に工業都市として見られておりますところの今あげましたような都市に対して、お力を入れていただきたい、このような運動に切りかえることにきまったわけであります。これが大体の経緯でございます。
○理事(田中一君) 今のあなたの要望されている五つ、六つの問題点、これは整備委員会の方では、将来どうするというような話し合いはございましたか。たとえば二十三区内、今度の制限区域の道路等の整備の問題、それから新しく伸びていこうとする他の衛星都市、または区域外の工場敷地なら工場敷地というものに対して、整備委員会の方は、具体的にこういう手を打つというようなものがなければ納得されなかったと思うんです。で、そういうことは整備委員会として、整備委員会自身の考え方じゃできない、考え方はできましても具体的に仕事が進むわけではございませんから、そこで各自治団体等とも話をされて納得されたものと思うんですが、そういう点についてはどの辺までの了解を持っておられるんですか。
○公述人(石田謙一郎君) その点につきましては、実は道路網その他については、放射線の問題あるいは環状線の問題等について詳細な御説明を伺ったわけであります。そして私どもは、これはやはり国家及び東京都自体が強力に一つ推進していただきたいという要望をいたしました。それから各衛星都市の問題も実は詳細に伺いまして、むしろ、私どもが察知した限りにおいては、この問題は非常にむずかしいというふうな感じを得たのでございます。というのは国が力を入れたら自治体の方は力を入れなくなってしまう、国家の助成金に待つようになる、各都市、各県たとえば神奈川県でありますとか埼玉県その他が、ついやはり国の助成金に力を入れまして、自分の方で出すのはどうも薄くなるようなきらいがあるのではないか。こんな点を実は心配して、今後はこれについてわれわれもいろいろ要望を申し上げなければならぬじゃなかろうかということを伺いました。 それから十一月一日から、委員会の方で相談部その他の方法でありますか何か設けられて、工場移設、あるいは新設についての相談を受けるというようなこと、これらも実は伺ったわけであります。そして各団地における工場の面積その他の大体約八十万坪ぐらいを予定しておる、あるいはそれ以上の所もあるだろうというふうなこと、そのうちある部分については相当手を打ちつつあるということ、これについて私どもは、一つぜひわれわれが個々に交渉することはできないからということを申し上げたところが、それはやはり何とかいろいろ考えておるんだ、住宅公団に土地を購買させることもあるであろうし、いろいろな形があるけれども、工場を持ってくる人たちに、個個の地主その他との交渉をさせなければならぬようなことは、もうできるだけしないようにするというふうなお話を伺ったわけであります。まあこういうふうな話が数回ありまして、一応中小企業委員会あるいは会議所の議員のメンバーがこういう点を納得いたしましたので、実は今度の新設禁止に対して賛成をしようということに変って参りましたわけであります。
○理事(田中一君) もう一つ伺います。この法律が公布されまして効力が出た場合、制限区域外の土地価というものは上る傾向になるか、あるいは、あなたが今政府並びに整備委員会を信頼して、アメリカへあなたがいらしたときも見てきたというふうに、公共企業体がそのような土地の値上りを押えて、転出する工場等に地価の妥当な価格というものを維持するというようにお考えか、どちらにお考えになりますか。もう一つ、そうしてそれらの土地は、多くは民有地であろうかと思うんです。これは父祖伝来と申しますか土着の人たちの持っている土地が多いか、あるいはこの法律が出たために、直ちに事前に大資本の土地に対する投資が行われて、そうして、たとえば電鉄会社等の買収と申しますか、あるいは手金程度のものをやって、実際に契約を完了するような形がとられるようなことができてきやしないか、というような懸念を持っておられないか。政府並びに自治体を信用なさって賛成なさったのかどうか、その点を伺いたいと思います。
○公述人(石田謙一郎君) この点は一番心配いたしまして、最近の英米における工場地帯の造成というものは、もちろん当然もうすでにその土地そのものの確保を国家がして工場誘致その他をやっておるのでありまして、これはもう当然の姿であります。今回の問題に対しても、私どもといたしましては、当然そういうふうな点については、十分準備をされておられるんじゃないかというふうに考えておるわけであります。ただ土地の価格その他がそのために無理な値上りをするというようなことになりますと、これは工場誘致あるいは新設ということは期待できないわけでありまして、両者とも非常な不利益を招くことに相なるんではなかろうかというふうに考えますので、これはもう当然土地の価格というものは、公正な価格に押えていただく必要があり、そのためには相当思い切った措置をとっていただかない限りはむずかしいんじゃないか。ただお話のように、土地と土地を持つ方々との関係というものは、やはり場所によっては非常に根強いものがございます。この点はもっともなことだと思うのでありますが、これも何らかの方法によって、それらの人たちにも、やはり新しいこの工場都市作りについて、協力できるような形をとらしていただいて、そうして協力できるように、ぜひお願いしたいと思うわけであります。 それから第二のお話の、まあ対象がどうであるかは別といたしまして、大きな力を持つ人たちが、大体予定を立てまして買収をするというようなことも、お話の通りあり得ると思うんです。また私どもはむしろその心配を非常にしておるのであります。しかしこれも、私は今回のような首都圏整備というような大きな問題については、もう少し強力にいろいろな点を法律その他によって出すことも、あるいはあり得るんじゃないかというふうに考えます。このことは、東京都自体がこれ以上どうしても膨張でき得ないとすれば、それに対応する処置をとるのが首都圏整備の法律だろうと思いますが、こういうふうな点からも、やはりその場合にいたずらに見通しと金だけの力で利益を得るということになれば、これはもう問題は別だと思うのであります。しかし、そうでなければ、これは適当な方法をぜひお取りいただくことが望ましいというふうに考えます。ただしかし、これはまあ今の自由経済のもとでは、あるいはその開発によって生ずるであろうところの将来の利益というものを見通してやるということについては、ある程度まで許さなければなりません。ただしそれが不当であるかどうか、そこに問題があると思います。不当でない場合は許すことも、むしろ個々の折衝でいろいろなトラブルが起きるよりは、まだいいんじゃないかと考えております。これはあくまで程度の問題じゃないかというふうに私は考えております。ただお話の国及び自治体を信用して、というお言葉でありますが、これはまあわれわれ特に中小企業者としては、やはり国家と自治体を信頼しまして、そうしてわれわれの不ためにはならない、そういうふうにおやりいただけるんだ、という考え方でおることだけを申し上げておきたいと思うのであります。またそれの信頼を裏切らないようにぜひお願いしたいということを最初から私は申し上げておるわけであります。
○理事(田中一君) 他に御発言ございませんか。ほかに御発言がないようでありますから、では、石田公述人に対する質疑は終了したものと認めます。ありがとうございました。 —————————————
○理事(田中一君) 次に、日本私立大学連盟私立大学振興政策研究委員であり、法政大学常務理事である友岡久雄君にお願いいたします。
○公述人(友岡久雄君) 私は、この法律が立案されました趣意には、心から賛成するものでございますが、まだそれにつきましては、私どもとして一応大学全体の立場といたしまして、また私の大学などの属しております私立大学の立場といたしまして、われわれの意見を申し上げてみたいと思うのです。 全体といたしまして、きわめて一般的なことでありますが、この法律案は非常に読みにくい、こういう感じがいたします。従ってまた理解がしにくいのです。これはまあ私どもの法律を読む能力に欠陥もあるかもしれませんが、どうも立法の趣意が卒直に述べられないで、ああでもない、こうでもないというような規定が多過ぎる感じがいたしまして、ちょっと簡単に法律がのみ込めない印象を与えるのは、この法律案のためにやっぱり遺憾だと思います。 またこの法律案が、他は知りませんけれども、少くとも私どもが知った方法で発表されましてから審議に移されます時間が、あまりに短かすぎるという印象でありまして、それがために私どもといたしましては、これをよく研究して理解を深め、従ってまた意見を述べるにしましても、建設的な意見を述べるという余裕に乏しいのがやはり残念だと、こういうふうに考えます。 その次には一般的にやはり感ずることでありますが、この法律が実施されまた運用されるのに当りまして、少くとも私どもの関係しております大学についてでありますけれども、肝心の点が政令できめるというふうになっておる点が非常に多い。たとえば第二条、これは法律の用語を定義しておるところでありますが、その第三項の教室の定義で、「政令で定める大学を除く」、こういうふうになったままであります。あるいは第八条、これは許可の基準をきめておる条項でありますが、その第一項の第四号で、「その他政令で定める場合に該当するとき。」云々と、こういうようなことは相当に随所にございますが、立法技術上あるいはやむを得ないかと存じますけれども、これは当然何らかの仕方でその内容を周知させる。しかも公式に周知させるということが、この法律案に対する賛否をはっきりさせるために必要じゃないか、こういうふうに考えます。 それからこれもまあ一般的な意見でございまして、概括的なことでございますけれども、大体この法律案が作られますのに当りまして、資料とされました数字等について漏れ承わるところによりますと、この制限区域としての東京都の都区と三鷹、武蔵野市と、こういうような非常に人口が集中する、そういうような地域の人口の増加の最近の平均が二十七万と考えられておる。そのうち七万が自然増で二十万が社会増である。またその二十万の中の十二万が産業等のためにする従業者の増加でありまして、三万人ぐらいが大学とか各種学校とか、そういう就学者の人口増であるというふうに聞いております。 同時にまたこの法律案全体の説明に当りまして、首都圏整備委員会の関係者の方なりその他から大体の推定で承わりますところによりますと、この法律案によりまして、今申し上げましたような社会増をほぼ防止し得るであろう、というふうに考えておられます人数でありますが、産業等の従業者の場合は、二万三、四千人、就学者の場合は九百四十人ぐらいじゃないかというようなことを漏れ承わっております。もしそういうようなことがかりに考えられるといたしますと、約千人ぐらいの年々の増加防止にしか、この法律案で規定される大学の関係では役に立たないのではないかと存じますが、そういうようなことはあとからも申し上げたいと思いますけれども、こういうようなことでありますならば、繁雑な法規等を設けて、すべてを大学の建設等に関しまして一束に縛られますよりは、むしろ解放していただいていいのではないかというふうに考えます。 さらにまあ多少個々的な点に立ち入って考えてみますと、この第二条の定義を下しております第三項の「政令で定める大学」というのには、それではどういうような大学を含められるのであろうかということは、われわれ大学関係者としては当然関心を持つわけでございますので、だんだん伺ってみるところによりますと、一つはもっぱら夜間授業の大学を考えられている。もちろん各種学校も入っておるわけでございますが、第二はその科学技術者の養成を目的とする大学及び各種学校、こういうようなものが考えられているということでございますけれども、実際この夜間授業専門の大学というものは、ごく特別な一、二の例以外にはございませんのでありまして、こういうようなものが特に政令によって除かれるというようなことは、実体がないのを除くというようなことで、ほとんど意味がないのではないかと考えられますが、また科学技術者の養成等は理工系に限られるのであるか、あるいは農業とか医学とかいうようなものも含めてこの際は考えられているのであるか。そういうようなこともやはり大学の運営にとりましては相当に大事な問題でありまして、こういうような点はやはりはっきりさしておいていただきたいと考えますが。 また第八条の許可基準に関するものでございますが、そのうちの第一項第四号、これも「政令で定める場合」ということになっておりますが、どういうような内容が盛られることになりますか。私どもは単に関係の方からそれとなくいろいろお聞きをしたことをあとで総合をしてみまして、私どもなりに一つの案を、こういうことであろうかと想像しておることでございますけれども、そのうちの一つといたしまして既設の大学以外のもので、すでに学校として認められる、あるいは学校法人として認められておるというようなものが、新しく大学を新設するような場合は含まれているかどうか。 また既存の大学が学部とか学科を設置しまして、あるいは定員を増加するというような場合も含まれておるかどうか。また含まれておるとすると、そういうようなものは無条件であるのかどうか。そういうような点も私どもとしては非常に関心を持っておる点であります。さらには技術的な職能的な各種学校のようなものを新設する場合、こういうようなものも含められるのであるかどうか、こういうような点が私どもにはやはり「政令に定めるという場合」何らかの仕方で公式な説明がなされてあらねばならない、こういうふうに考えます。 また第八条の第二項「知事は、第四条第一項ただし書の規定により許可又は不許可の処分をするには、あらかじめ、関係行政機関の長の承認を受けなければならない。」ということがございます。ところで知事の許可の申請につきましては、この法律の第七条が一定の規定をしておりまして、学校で申しますれば、所在地でありますとかその床面積でありますとか、そういうものに関しまして規定されておる通りの申請書を提出すれば、一応その許可の申請としては申請書が整うことになっておりますけれども、文部省の従来の学部や学科の増設とか定員の増加等に関します場合の建築条件は、それが完成しているかあるいはほぼ完成に近い状態にある、ということが大事な条件になっておりまして、従ってこの点では首都圏整備委員会の方の法律では、まだ建築は全然発足していないでも申請書としては適当な申請書となるわけでありますけれども、文部省側の方ではそれはすでに建築が完成しておるか完成状態に近づいておる、ということが条件になっておるとすると、ここには相当に法律上ギャップがあるのじゃないか。そういうような点もこの法律の上でもう少しはっきりとしていただきたいと思います。 全体といたしまして、大学総体に関しまして、特にまた私ども属しております私立大学というものの立場から申しますと、東京都内にあります私立大学の多くは、御存じの通りに最も長いものは百年、さもなくても六、七十年の歴史を持っておるものが多数ございまして、この間種々な経営上の紆余曲折を経まして、今日まで日本における、また東京都を中心とする教育の増進ということにはあらゆる努力を続けて参っておりますために、幸いにいたしまして、その人的な構成もまた物的な施設の上におきましても、日本国中から学生が集まってくるだけの状態に達しつつありますし、また現在特に文部関係の法令で要求されております基準の拡充に鋭意努めつつあるわけであります。従ってこれは日本全国的にもその標準をもって考えますれば、東京都内にあります大学、特に私立大学等は十分に多数の学生を収容いたしまして、ここで教育をし鍛練をするということは、私は十分に意味のあることであり、国家全体のことから考えましても、それはそうあらねばならないというふうに感ずる次第でございますが、この法律案によりますと、いろいろな規定によりまして、そういうような既設の大学も種々緩和規定によりまして便宜を受けているようでありますけれども、大学の立場からは今のような点をよく了解されて、この法律による拘束をはずしていただきたいというのが、私ども大学の立場にあります者の希望でございます。 まあ大体のところ私の意見はそれくらいでございます。
○委員長(早川愼一君) ありがとうございました。それでは友岡公述人に対して御質疑のある方は御質問を願います。
○田中一君 あなたは首都圏整備委員会がこの法律を制定するという計画があることをいつごろ承知いたしましたか。
○公述人(友岡久雄君) 大体今から三週間ぐらい前でございます。
○田中一君 政府の方では文部省との折衝を長い間進めてきて一応了解点に達したので、閣議決定をしてこの法律案を出したという答弁をしているのですが、これはむろん私学には法政大学並びに各大学がございますが、法政大学が一番利害関係が深いかもしれませんが、他の大学も経営の将来性の点から見れば、同じような利害が生まれる可能性が多分にあると思います。それでどのくらいの期間があればこの内容について十分相談し、かつまた私学連盟として一つの結論といいますものを発見できると考えておられるか。これはむろん今ここですぐきめなければならぬ問題でもございません。従ってその点はこれは友岡さん個人の御意見でもかまいませんから、御意見を伺いたい。というのは私学連盟として、こういう問題が三週間前に話があったので、あるいはこれから十分に相談して、今御意見のあったように削除してくれとか、ここはこうしてくれという御希望があるならば、十分にその点についての御希望は国会としてもお聞きしなければならぬ点だと思います。そこであえて伺うわけです。
○公述人(友岡久雄君) この問題が正式に日本私立大学連盟の常務理事会で問題になりましたのは、約一ヵ月くらい前でございました。それから文部省の方にも問い合せをいたしますし、首都圏整備委員会の方にもお話を願うようにいたしましたのですが、多少の準備をいたしまして首都圏整備委員会の方から説明を正式に聞きましたのは、つい一週間くらい前でございました。それが私立大学の会合といたしましては初めてくらいの機会でございました。従って、そのとき当時私立大学連盟の全理事が集まりましたけれども、だれもが十分に質問をすることができない、どういうことがこれは問題になっておるのかということを確かめることができませんでした。もっともその前に私は、連盟を代表して首都圏整備委員会の方の意向をよく聞いてみるように、ということを頼まれましたので、それより前に首都圏整備委員会には伺いまして御説明を聞きましたのです。その説明によりまして、既存の大学は種々の緩和条項によって、必ずしも法律案の成文が最初にうたっておるほどの制限はないのだということは聞きましたけれども、私も勉強が不十分でございますので、特に私立大学連盟の理事会に出席をしていただいて、それをみんなに聞かしていただきたいということにいたしましたのは二十五日か六日ごろでございます。そこで初めてまあみんなよくそのことを多少聞くことができましたのですが、やはり十分にそれについて各加盟大学の意見を取りまとめて申し上げるというほどの余裕はありませんでした。
○田中一君 そうすると、首都圏整備委員会の方では、皆さん方の既得権を持っておる学校にはその制限はないのだ、というようにお話しになったのですか。
○公述人(友岡久雄君) 大体の話の趣意はそうでございました。
○田中一君 それはそういうことは全然ないのです。むろん制限の範疇に入ります。しかしながら、まだこれは十分に当委員会でも審議をやっておらないのですけれども、私どもが理解しておりますのは、教室を建てるという予定の用地というものを持っておるならばその範囲はいい、それを出るものはいけないというように私は今まで現在は理解しておるのですが、従って、そういうような御理解を持っておられるのか、それとも既得権は何でもいいという御理解なのですか。
○公述人(友岡久雄君) これは首都圏整備委員会から出向いて説明をされました方のためにも、はっきり申し上げておかなければなりませんが、もちろん今お話のように話がありまして、全然制限がないのだとか、全然自由であるというような話ではありませんでした。許可事項になっておることは、やはり許可を受けてもらわなければならないというお話であったことは間違いがありません。ただ、その許可の条件は比較的われわれが考えておりましたよりは寛大であるというふうに承わっておりますけれども、そのときに感じましたことは、先ほど申し上げましたように、その制限効果というものについてのお見込みがわれわれが漏れ承わっているような程度であるならば、これはもう制限は取り除いていただいても年々三万人くらいの学生の都市集中は、産業等の就業者の増加とは違いまして、比較的秩序を持った良識のある人口層の増加でございまして、従って居住環境がどうであるとか、都市機能が妨害されるとかいうような人口要素にはなりにくいものであり、なおかつその上に、その集まりにも十分な社会的な有益な意義がある、そういうふうにわれわれとしては感じまして、先ほどのようなことを申し上げた次第です。
○田中一君 御意見によりますと、たとえば、こうした制限をしなければならぬという基礎資料が不十分ではないかという御指摘は、私も先般の当委員会で政府を追及しておったのですが、たとえばお説のように人口増の中の自然増、社会増等に対する基礎資料というもの、これは非常に不十分だと言って新しい資料をわれわれはこの整備委員会の方に要求いたしまして、一昨日あたり出ているらしいのです、まだ拝見しませんけれども。そういう点の制限しなければならぬという理由の資料というものは不十分であるということは、あなたもお気づきになっておりましたから、そういう点は。
○公述人(友岡久雄君) 多少気づいておりましたけれども、これもやはり私ども自身の手で研究しようと思いますれば多少の手段がないことはございませんけれども、その時日がほとんどありませんでしたものですから、一般に情報等で承わっている範囲内で申し上げたわけでございます。
○田中一君 現在、夜間学校、夜間専門の学校というものはございますか。お説じゃ、ないというようなお話でございましたが。たとえばこういうことです。昼間、昼間学校を経営しておって、そこでむろん夜間学校というのは、別の学校名でやっている場合でも同じ何と言いますか学校企業の系列の中にあるというものは、これは当然そのものだというような理解をしたいと思います。ただ夜間専門のために校舎を新しく作ってそこでやっているというような、教室で勉強するというようなことはございますか、私学では。
○公述人(友岡久雄君) 私はあまり詳しくは存じませんが、理事会等で皆で話し合いましたところでは現在はないと聞いておりますが。私もないだろうと思います。
○田中一君 この第二条で「政令で定める」というものの中には夜間学校云々というお話が、あなたの御意見ですが、それは首都圏整備委員会の方で、たとえばという例証でそういうことを言ったのですか。
○公述人(友岡久雄君) 全くその通りでございまして、たとえばということでございました。
○田中一君 そうすると、それに対しての私学連盟としては、実体のないものを例としてあげている、というようなあなたの方では不可解な印象で、この点は十分に政府に問いただしてみます。そういうように実体のないものを政府があなた方にそういう説明をしてごまかしていく、という行き方はあり得ないのです。こういう点については十分当委員会でも政府に向って追及して、あなたの御疑念を晴らすようにしたいと思います。 それから第八条の政令できめようという考え方と、それから今あなたのおっしゃっている、先ほど御意見で言った学校教育法で校舎の新設というものができなければ、それに対する許可をしないわけですか。 もう一つ、またこの首都圏の方では、文部省の許可がなければ、むろんこれは申請ができないということになりますから、その辺の矛盾をどうするかというような御意見のようでございましたが、これに対しては首都圏はどういうふうな説明をしておりますか。 それでちょっと友岡さんに申し上げますが、——何もここにこれだけおりましても、遠慮なく——私は野党の人間ですから、十分に伺いますから、私の納得するような形で御意見を開陳願いたいと思うのです。
○公述人(友岡久雄君) 文部省はこの校舎の新設をどういうふうにして許可されるかというと、動機はやはり学部とか学科の増設でありますとか、あるいは定員を増加するということから起ってくるわけでございます。これについては文部省の許可に二つの要件がございまして、一つは大学設置基準の定めるところによりまして、その大学の企図しておりますところが、教員の組織とかあるいは図書その他の設備等が十分であるかどうか、申請の要件が現実にすでに備わっているかどうかを調べることになっております。 それからもう一つ、これは特に私立大学だけに関係のある問題でありますけれども、その大学が申請したことにつきまして、経営能力を持っているかどうかということが問題になるわけなのであります。そうすると、その経営能力は、単にこの青写真を貼付してくるとか、単に収入計画を明らかにしてくるというだけでは満足しないのでありまして、私もその私大審議会の委員を現在まだいたしておりますが、やはり現実に教室が建っている、あるいは土地を入手している、そういうものの登記された証明書がある、そういうようなことまで問題にいたしまして初めて文部省はそれを許可するということになっておりますものですから、で、そうすると、片方の場合でございますと、第七条できめるような申請をいたしますとすると、これは必ずしもすぐ土地を入手しているとか、建築が建っているということであるはずはありませんので、やはりその点一つ研究していただかなければならぬ点があるのではないか、というふうに考えるわけでございます。
○田中一君 ちょっとさっき聞き取れなかったのですが、あなたの御意見のうちで一番最後におっしゃった点で、こういう条項は要らないのではないかという御意見がございましたね。それをちょっともう一ぺんお話し願えませんか。
○公述人(友岡久雄君) これはもうきわめて概括的な意見でございますけれども、一つは、先ほど申しましたように、この法律の企だてるところによりまして防止されると期待される、学校関係の就学者の増加が、まあ千人にも満たない見込みであるというようなことでありますならば、ということが一つ。それからもう一つは、現在の東京にあります大学は、官公立はもちろんのこと私立大学を入れましても、全国的に、人的な要素においても物的な要素においても、最もすぐれているものであって、それにはすでに歴史もまた百年以上もたっているものもある。そういうようなものに全国の青年が集まってくるということは、少しも悪くないのじゃないか。また集まってきた勉強をしようという学生たちは、産業等の従業者の増加とは違いまして良識も持っておりますし、また学園の秩序の中に育てられていくものでありますからして、いわゆる居住環境を悪化させるとかあるいは都市機能を妨げる、というようなことについても同列には考えられないのではないか。そういうような理由も入れまして、全体といたしまして、こういうように煩瑣な法律で縛られないでもいいのじゃないか。大学の方からいうなら、その点では十分社会的にも一つの評価を受けて集まってくる人口でありますから、それは全体としては東京都の人口増加というものの観点からいっても、それほど妨げになることじゃないのじゃないかというのが私の趣旨です。
○田中一君 大体この就学する、そして卒業をした後の分布といいますかね、これは全国から集まってくるのでしょう。そのうちそれの分布状態はどういうことになりますか。やはり卒業すれば、就業したり職を得たり何かして、それだけの数というものは大体において地方に分散されるという傾向なのか。何かそういったような資料はございますか、たとえば法政大学のでもけっこうですけれども。
○公述人(友岡久雄君) それはこの首都圏整備委員会の方でお作りになっております資料も、大体承わっておりますところによりますと、先ほど申し上げましたように、就学による人口増というものが三万人と言っておりますので、従ってたえずそのくらいの人数は、就学者によりまして人口がふえていきますのですから、相当にやはり東京都に残っていく人口があると見なければなるまいと思います。で、これはまあ政府の機関が集中しておりますし、産業の中枢機能がここに集中してきておりますので、やはりそういうことは免れがたいのじゃないかと思っております。
○田中一君 そうすると今の御意見は、卒業する者は三万人くらいで、就学する者が三万人、そして東京に残る者はどれくらいございますか、三万人のうち。
○公述人(友岡久雄君) どうもあまり的確に存じませんですが……。
○田中一君 たとえば三万人が全部東京に、この制限区域内にかりに残るとしても、これはまあ自然の姿なんです。産業構造がそうなっていればそうなるのであって、これを制限するというよりも、これは就職して職場をほかに持てばいいということになるわけなんですね。で、大体そういう資料がもし私学連盟の方にあれば、参考に一つほしいのですが、その点もあったら一つお出し願うように委員長の方にもお願い申し上げたいので、私はもうこれでけっこうです。
○公述人(友岡久雄君) それはさっそく調べまして、ある程度までお答えできると思いますから、提出することができると思います。
○委員長(早川愼一君) ほかに御質疑ございませんか。
○内村清次君 その際に、関連しますが、先ほど、またあなたの御意見、御公述のまとまり方ですね、いわゆる私学の全体の連盟なら連盟としてのまとまり方の要望書あたりを至急出していただきたいと思います。
○委員長(早川愼一君) 御質疑はございませんか。——御質疑はございませんようですから、友岡公述人に対する質疑は終了したものと認めます。 —————————————
○委員長(早川愼一君) それでは中央大学の学生田中啓一君にお願いをします。
○公述人(田中啓一君) 最初に場違いとは存じますが、この法律に関係の深い学生として、また中小企業の父を持つ者として、私見を述べさせて下さいます機会を与えて下さいましたことを深く感謝するものであります。 結論と申しましては、この法律につきましては、条件つきで賛成であります。その理由として、人口の過度集中に伴ういろいろの弊害、たとえば経済的、政治的、教育、衛生、文通等に悪い点を多くもたらすことは当然なことと存じます。それには、これらの行き過ぎの弊害を防止するためにも、何らかの方法が必要ではないかとも思います。 しかしこの法律は、適用いかんによっては憲法違反のおそれがありますし、また中小企業家においては、ある程度の生活権の侵害にもなるおそれがあると思います。しかし国の発展という大局的な立場から、この法律を考えた場合には、やはりこれらの法律は必要ではないかと思います。しかしこれには条件がありまして、関係行政官庁の監督が十分に行われる、その適用も十分に民主的に公平に行われ、また十分納得ができる点においてだけ、この法律の立法趣旨がはえると思うのであります。工場及び学校等の新設には、土地、電気、水道、ガス、交通費の便利等が必要欠くべからざるものと思いますが、これらのことを考えてみますと、この法律が、本来の目的を発揮するには、他の行政法律等の総合的な積極的な援助なくしてはできないと思うのであります。 私は学生でありますので、わがままですが学校について、私見を述べさせていただきたいと思います。 東京は、私たち地方学生にとってあこがれの都会でありますが、これは単に家出息子や家出娘が都会にあこがれるものではなくて、私たち若い者の全体が、都会にあこがれているのが現状であります。しかるに現状は住宅等の絶対数の不足から来る高い生活費を必要としまして、決して楽ではない。アルバイトを強要されるのが悲しい現状なのでありますが、私たち学生が、東京をあこがれるのは、地方大学に比べ施設が充実していること以上に、就職が、地方に比べてより有利であるということが考えられると思います。私は、この法案とはちょっと飛び離れると思いますが、ドイツのように武蔵野近辺に各大学を集めまして、学生の町のようなあれを先生方のお力によって作っていただけたらと考えるのであります。これは大局的に考えた場合には、学校当局も助かると思いますし、また私たち学生も、よりよい環境で勉強できるのではないかと考えるのであります。 それで以上の理由で、この法案には条件つき賛成でありますが、この法案について、二、三の点に、ちょっと疑問がありますので、先生方の御答弁をお願いしたいと思います。よろしいでしょうか。
○委員長(早川愼一君) 質疑があれば、こちらから質問をします。ごく要旨だけを意見としてお述べになって下さい。
○公述人(田中啓一君) はい。 それでは、第一点としましてこの法案は、憲法二十二条の居住権及び職業選択の自由を侵害するものではないかと僕は考えられるのですけれども、そしてまたそれに関連しまして、二十三条の学問の自由をも侵害するのではないかと思うのであります。 第二点としまして、第二条3項の教室について、この法令によりますと、単に政令で定める学校とありますが、これは私立大学の圧迫と官立大学の育成保護にならないでしょうか。 第三点に、第五条(適用除外)としまして、第一項ただし書の許可を、一度受けた者は、二度と受ける必要はない。こういうふうに書いてありますけれども、いろいろなこの法律の立法趣旨や、また時勢の変化等で、その当時と違った立場が生まれてくると思うのですが、その場合にも、無条件で、この法律の許可なしに設立することができるかどうか、ちょっと疑問に思うのであります。 第四点としまして、第十条第一項に「許可を受けた者が、正当な理由がないのに一年以内に許可を受けた制限施設の新設の工事に着手しないときは、その許可を取り消すことができる。」とありますが、経済的に底の浅い日本、特に資本主義諸国の不況を受けやすい現状において、また中小企業家にとって、銀行等の融資が大企業に比べて非常に恵まれていないと思うのでありますが、この点につきまして、特に中小企業家にとっては、経済的に困却する場合が非常にあると予想されるのですが、このような場合に、一方的にそれを取り消すことができるのですか。またこれらを援助するような具体策があるのですか。 第五点としまして、第十六条の他の法律の適用との関係を述べていますが、建築基準法及び学校教育法とこの法律とが対立した場合には、どちらを取ればよろしいのですか。そのような点でいろいろ疑問が生じるのですが。 最後に、今までの法律には、利権及汚職等が多々生じて、善良なる市民の不満を買っていますが、この法律は、あくまで公平に民主的に運営されることを切に祈り、またこの法律の影響の大きなことを考えますときに、より多くの人々に知っていただくためにも、PR運動がある程度必要ではないかと思うのであります。
○委員長(早川愼一君) 田中公述人に対し、御質疑のある方は御発言を願います。
○田中一君 あなたの公述人としての御出席を希望されたお手紙の理由の中に、中小企業に対する補償の問題を掲げてあった。そこで私はどうしても呼びたいというような気持になったのですが、こうしていろいろ御疑問の点をお述べになりましたが、むろんこれは私権に対する制限ということが眼目になっておる、法律自体。従って、当然それに見合う補償というものが考えられるはずなんです。社会的な事象として。 そこで、あなたは、私権を制限するならば、補償をすべきではないかというような点が、理由の中にあったと思いますが、そういう点は、どういうような御見解を持っておるか伺いたい。
○公述人(田中啓一君) 父の職業に直接タッチしているわけではありませんので、具体的なことはわかりませんけれども、単に希望的条件として述べさしていただければ、この法律によって、被害を受ける方が予想されるわけです。このようになった場合に、具体的な案は、今のところ持っていないのですけれども、十分なる補償が受けられるような法律、及び、そういう被害に対する補償が、十分に行われるように、先生方のお力を得たいと思うのでございますけれども……。
○田中一君 こういう、あなたの私事にわたって、ははなはだ失礼ですけれども、もしあなたがお述べになれるならば伺いたいと思うのは、あなたのお父さんは、どういう仕事をやっておって、それであなたのお父さんが、仕事の環境で、こういう法律の制定があったために、こういうようなことになる。たとえば、むろんこれは増設の問題を制限しておりますが、あなたの仕事が非常によくて、伸びようとするけれども、どうにもならぬということなのか、そういう点、具体的に具体的というか、あなたの持たれておる環境からきたところの補償という問題の、自分ではどうにもならぬから、こうしてくれとか、そういう面をもしお述べになられるなら述べてほしいと思います。 ただそういう批判的に見て、権利に対する侵害をすれば、当然それに対する補償をしなければならないんじゃないかというようなお考えで、こういう理由書にお書きになったのなら、それでけっこうです。
○委員長(早川愼一君) お答えにならなくてもよろしい。
○田中一君 理由書の中に、そういうことが書いてあったものだから、だれか特別なあなたの今の環境で、そういうことをしてほしいというような問題があるならば伺っておきたいという意味なんですから、けっこうでございます。
○委員長(早川愼一君) ほかに御質疑はございませんか。 それでは田中公述人に対する……。
○重盛壽治君 質問ではありませんが、大へんいろいろ意見が出されたので、御意見の分に対しては、私どもこれらを審議、それから決定していく中で、あなたの疑問とされるような問題は解決していきたいと思っていますし、それから、今御答弁申し上げても、納得のいかぬ面もあろうかと思いますけれども、あなたの意見を聞いてわれわれが参考にするという会ですから、やはり一々答弁しません。よろしく委員長の方で……。
○委員長(早川愼一君) 御質疑ございませんか。よろしゅうございますか。重盛委員よろしいですかほかに御質疑もございませんようですから、田中公述人に対する質疑は終了したものと認めます。 大へんありがとうございました。 午前の公聴会は、この程度にして休憩いたしたいと思います。 午前十一時四十四分休憩 —————・————— 午後一時五十七分開会
○委員長(早川愼一君) 午前に引き続き、公聴会を再開いたします。 本日は、御多忙のところ特に当委員会のために御出席いただきまして、まことにありがとうございました。午前の開会の際にも申し上げましたのでありますが、当委員会は、ただいま首都圏の既成市街地における工業等の制限に関する法律案の審査に当っておりますが、本法律案は、一般的関心及び目的を有する重要案件でございまするので、各方面の御意見をお聞きいたしまして、本法律案の審議の参考に資したいと、特に今回、公聴会を開会いたしました次第であります。公述人の方々にはそれぞれのお立場から本法律案に対する忌憚のない御意見をお述べ願いたいと存じます。 それでは、これから公述人の御意見の陳述をお願いいたしますが、議事の整理上、公述人の一人の御発言時間は、あらかじめ御通知申し上げました二十分程度にお願いしたいと思います。なお公述の終りました後に、各委員から質問がございますので、その点、御了承を願いたいと思います。 それでは、まず毎日新聞論説委員の山本正雄君にお願いいたします。
○公述人(山本正雄君) 私が山本でございます。私は結論を先に申しますれば、この法律案に条件付で賛成を申すものであります。 条件付と申しますのは何かといいますと、細かいこの条文の内容というよりも、この法律案では、ここで目的とされている東京都の過大都市になることを抑制するという、この目的を達成するのには、非常に不十分ではないかと思うのであります。そういう意味で、この法律案をいろいろな、こういうこの産業立地政策といいますか、国土計画といいますか、そういうものの一環としての意義を認めたい、が、これだけでは、非常に不十分で、従って私は、むしろこれに加えて、いろいろな点を総合的に施策を実施していただきたい、こういう気持で、そういう意味の条件付の賛成、もっといろいろな手を打たれるその一環として、この法律案の意味を認めたい、こういうことであります。 では、どうしてそういう点で不十分か、あるいはもっとやってもらいたいかというような点を申し述べまして、私の希望をここに現わしたい、こういうふうに考えるわけです。と申しますのは、この都市の集中、過大都市の発生という問題は、非常に原因は深いのだと思うのであります。と言いますのは、なぜ都市に集中するか、この根本的な原因にメスを入れないで、その出てきた結果に対して、これを押えようとするのが、この法律案でありまして、そうでなしに、なぜ都市に集中するかというこの根本的な原因というものを十分お考えを願いたい。と申しますのは、結局都市に集中しているこの過去の統計、東京都の転入人口というものの、なぜ転入したかということを見ますと、大体七割から八割というものは、ここに仕事を見つけたいとか、所得を得たいとか、よりよい所得を得たい、こういう意味で集中されておるわけであります。従ってそれを一片の法律で押えつけようとすることは、非常に末端をとらえて問題にした感じがあるわけでありまして、そういう意味では、もっと全国的な所得の平準化、そのために産業の分散、積極的な地方への工業の分散というものを図られなければ、これはこの一片の法律では、私は非常に不十分である。産業をもっと地方に誘導する、あるいは地方の農業の生産性を高めるとか、こういうような政策を総合的に講ぜられることが私は必要ではないか、こういう点を、さらに当委員会なり国会において、十分お考えを願いたいと思うのであります。 さらに、この法律というものは、一応工業だけを対象にされておるわけであります。もちろん中小企業の問題もありましょうから非常にむずかしい。従って一定の規模以上の産業しか押えられない。まあそういう意味もありましょうが、現在のこの東京都の職業を持っておる人の人口というものを見ましても、第三次産業といいますか、サービスとか、そういう部門、いわゆる第三次産業部門が五八%とか、とにかく六割近いものが、そういう人口によって占められている。ここで問題になる第二次産業というものは三八%、四割弱という状態になっておるわけであります。 そういう意味におきまして、これで押えてみても、地方において非常な低所得に悩む人口というものは、第三次産業というものに最も集中して、第三次産業というものが、過度にふくれ上る可能性が非常に多いのではないか。そういう意味においても、この法律案は、一部分しか規制できないという弱味を持っておる。 もちろん、またこれからの大きな産業というものは、既成の市街地というものでなしに、埋め立て地とか、そういうところに、私はどんどん出て行くのでありますが、この法律案では、埋め立て地というものの立地というものは除くと、そういうところへの工業というものは除外する、こういうような形になっておりますから、非常に部分的な、あるいはこれは非常に、まあ第一着手としての意味はありましょうが、非常に一部分の意味しかない。そういう点の不十分さを認めなければならないと思います。 まあ、これまでの私の意見と多少重複するわけでありますが、最近の産業の立地の傾向というものを見ますれば、部分的に新しい工業というものが八戸とか徳島とか水島とか、そういうところに、新しい工業地帯の芽ばえは出ておりますが、全体の傾向というものを見ますと、産業がいわゆる技術革新その他で、非常に大規模になる、輸送の関係で非常に大きな原料を運ばなければならない。こういう関係から、非常に海岸に立地するという傾向が強いことは御承知の通りであります。海岸に立地し、しかもこの消費地に近づこうという傾向がやはり非常に強いと思う。消費地立地という傾向が強い。そうしますと結局、大都市に集まるという傾向でありまして、部分的なこの新しい工業地帯の芽ばえもありますが、やはり一番大きな流れとしては、都市に集中しようという非常に強い、これは採算というものからして当然でありましょうが、消費地に近づこうという産業立地の傾向というものが強いと思うのであります。 こういう非常に強い流れというものを何とかしてせきとめようとするこの意図というものは、非常にこの法律では私はわかるわけでありますが、ただこの一片の法律だけで、その強い資本主義的な経営、あるいはそういうもとにおける産業立地というものの傾向というものをチェックしていくには、よほど、そういうチェックするだけでなしに、工業を、もっと地方に分散した方が、採算的にも有利であるという条件をやはり政府において作り出してやるという、そういう政策というものが、日本の場合、非常に欠けておるのではないか。こういう点を私は特に皆さんに訴えたいと思うのであります。 また一方に、こういうこの規制というか、都市への集中というものをチェックするという法律だけでなしに、それでは、現在のこの都市の状態、いろいろな集中における結果、都市のいわゆる病状という、病気というような状態が、各方面に出ておることは申すまでもないことであります。しかし、今ある都市におきましても、もっとその中において工夫するといいますか、新しい考え方で政策を実施すれば、まだまだ過剰であるかどうか。この都市における人口過剰という問題も、絶対的なものであると同時に、相対的なものだと思うのであります。 一つの例をあげましても、昭和十五、六年のころの旧市街地の宅地のうちで、なお二割近い住宅用の土地が利用されないままになっておる。これだけのものを利用するという施策をとれば、それだけでも、まだ人口としては八十万とか九十万の収容力はある。これをもっと高層建築なり、高度の利用というものを考えれば、まだまだ収容力はあると思う。百五十万以下の収容力はある。そういう意味におきましては、単に人口が集まるのを防ぐという法律を作られるだけでなしに、現在ある状態というものをまだ改善する余地はあるかないか。改善する余地は、相当いろいろな困難なる条件はあるでしょうが、解決する道は、まだまだ考え方によってはある。 そういう意味で、一方で、人口の集中を抑制する。同時に、現在における都市の状態というものを、いわゆる交通の状態とか、上下水道の状態とか、いろいろ悪条件が出ておりますが、それをまたそのままにしておいて、いや、人口が過剰であるから入れないんだというだけでなしに、現在の条件というものをどう改善するかという努力を、もっと首都圏整備委員会なり政府なりが、どうしてされないのか。そういう点にもっと私は手を打ってもらいたいと、こういうふうに考えるわけであります。 そういうふうに、私の希望とか注文というものは、いろいろあるわけでございます。しかし、さらにこれを繰り返してみますれば、要するに、この法律は、ある意味ではざる法になる可能性も多分にある。法律は出したが実際の効果というものは薄いかもわからない。しかし、それにもかかわらず、国会なり政府というものが、とにかく、そういう国土計画といいますか、首都というものに、人口を集中しないように、そういう新しい考え方の法律案を作られるというこの意味は、一歩前進か、あるいは半歩前進かしれませんが、とにかく新しい前進として私は認めなければならない。だが、その効果というものは、この法律だけでは非常に私は弱いものであろう、こういうふうに思うわけであります。従って、総合的な国土開発計画といいますか、しかも、それは単に法律を作るだけでなしに、相当な予算を組み、あるいは具体的な施策を講ずる、こういうような全体としての計画、あるいは、工場配置法のようなものを作られるとか、ロンドンのように周辺にニュー・タウンを作ることをされるとか、こういうような裏づけがあって、初めてこの法律案というものは意義が生じてくるんではないか。そういう観点から、私は、まあ条件付で、一つの半歩前進の意味で、この法律案に賛成するわけであります。 ただ、これでは効果は非常に弱い。もっといろんな法律なり、あるいは予算というものを積み重ねていかれて、ほんとうに人口の適正配置といいますか、工業の適正配置と、こういうものを資本主義の社会においてもやることは、政府あるいは皆さんが、そのつもりでおられれば、私は不可能ではないと思う。そういう意味において、この法律案に賛成するとともに、今申し上げたいろんな点で、総合的な手をひとつ打っていただきたい。こういう意味で、私は、この法律案に賛成するわけであります。 以上であります。
○委員長(早川愼一君) 山本公述人に対し御質疑のある方は、御発言を願います……。 —————————————
○委員長(早川愼一君) 御質疑がございませんでしたらば、次に、千葉大学の清水馨八郎さんにお願いします。
○公述人(清水馨八郎君) 私は、都市の地域の法則性を研究しております一地理学徒であります。その観点と、都市市民の市民生活の公共性の尊重という立場から、次のごとき十カ条の理由をあげて、本法律案に賛成の意見を公述したいと思います。なお、時間の関係で、やや抽象的になりがちでありますが、それは、さきにお送りしました六つの参考資料を参照していただければ幸いだと思います。 第一の理由は、従来なされた多くの大都市研究から明らかなごとく、都市機能の分散こそ、近代都市の最も自然な生態であると考えるからであります。何となれば、電話、交通機関の発達進歩により、都市空間のあり方というものが変って参りました。世界的に、近代都市というものは、集中から分散の生態的な過程をたどりつつあります。この自然法則を利用して、かつ、これを助長する本法律案のごとき政策をとって、計画的に構成的に分散を図ることこそ、現在都市計画の理想であると考えるからであります。 第二に、本法律案は首都過大化の結果対策ではなく、原因対策だと考えるからであります。何となれば、従来の首都整備の諸計画が望ましい成果を上げなかったのは、仏を作って魂を入れなかったからであります。すなわち、従来の衛星都市、グリーン・ベルト計画、交通計画、住宅計画等々、いずれも過大化の結果の処理をどうするかを考えても、なぜ過大化するの根本原因からの対策をすることをしなかったのであります。本法律案のごとき、原因療法から先に手を打たねば、現在行なっております衛星都市計画も、交通計画も、いずれも一時の弥縫策に終ることは明らかであります。首都圏整備法に真に魂を入れる最も緊急な法律案と考えるものであります。 第三点は、本法律案は、従来の夜間人口対策から昼間人口対策になるから、特に必要だと考えるものであります。何となれば、都市人口には、明瞭に昼夜の二面が存在することを忘れてはなりません。従来、人口対策というと、夜間におけるところの夜間人口、つまり、居住地における寝床の人口のみが対象となっておりました。そのあり方をいかに処理しても、問題の本質には迫れないし、また、過大化を防げなかったのであります。これに対して、都市では、昼間、人々が機能化しているときの状態、たとえば、交通人口とか活動人口とも言えるでしょう、この昼間人口のあり方いかんが過大化の根本原因となっております。つまり、昼間人口が原因となって、夜間人口は、その結果的な現象であります。したがって、昼間人口吸引機能であるところの学校とか、工場とか、事務所、商店、娯楽施設、これらのうち、郊外化したほうが合理的なもののあり方を、分散によって、その方向を秩序づける本法律案に賛成であります。ただし本法律案が、ややあいまいなきらいがあるので、次の諸点の御配慮を願いたいと思います。 既成市街地では、人口がふえるから過大化するのだというふうに従来考えられておりました。実は、これは逆なのでありますが、私は人口が減るからこそ、過大化するのだという考えを持つものであります。何となれば、産業が過度に集中すればするほど、逆に夜間人口は減少してしまう、つまり丸ノ内一つ考えてみても、産業が集中すればするほど、人口は逆に減っているのであります。たとえば既成市街地全部が工業化したり、学校になったら、人口はふえるかというと実は減るのであります。そこで夜間人口ではなくして、昼間人口の集中を制限しなければならないことは明らかであります。従って昼間人口増加率というものは、夜間人口増加率とは、逆比例しているという、この点を特に注意しなければならないと考えるのであります。 第四点は、通勤ラッシュ交通の混乱の救済になるから大切だと思うのであります。何となれば、首都の交通の混乱は、交通量が増加したばかりでなくして、地域的に交通量が片寄っていることから、問題が発生しているのであります。従って従来のごとく運ぶ努力をするよりも、運ばぬ努力こそ、基本的な考え方だと考えるのであります。それには本法律案のごとく、反対ラッシュ方向に昼間人口吸引機能を育成することであります。このようにすれば、ラッシュにおける上下線に交通量を平均に載せるこの努力をすれば、東京の交通は、今の輸送力だけで十分全都民が坐って通勤、通学できる計算になります。で、一日当りの国鉄、私鉄の交通量の需給関係は、決してアンバランスになっていないという事実を知らなければなりません。従って、ラッシュアワーが最も交通機関がすいているのであります。従って、今の二倍交通量が都市に集中してきても、反対ラッシュ方向に、それが流れるものならば、一向に困らないという計算になります。 第五点は、住宅地域と職場地域、あるいは学校地域といいますか、こういうものが一致することによって、通勤、通学交通が否認され、かつ住宅問題が緩和されるという考えからであります。何となれば、夜間人口が都心から郊外に追いやられたのですから、昼間人口機能である学校、工場、商業、こういうものも、これを追って、追いつつ郊外の住宅に近づかざるを得なくなるのは、きわめて自然の生態であります。で、住職地域が一致することこそ、その間の交通は否定され、むだな時間的、経済的、生理的な交通消費がなくなり、衛星都市は、真にヘルシーの意味の衛星的な都市になり得るのであります。かつ都市の住宅問題も住職の分離、長距離化に重大な原因があると考えられますから、本法律案の施行は、住宅緩和にも役立つものと考えるのであります。 第六の点は、工場が合理化、近代化するためには、その立地上、都市から分散した方が有利であるからであります。何となれば土地利用上、近代工場というものが、中心街にあること自体が不合理なのであります。それは騒音とか、煤煙とかの社会に与える影響ばかりでなく、工場自体としても、地価の上昇に抵抗しなければならないし、地代、水、輸送、通勤などの点で生産能率が年々低下して参ります。従いまして近代工業というものは、今や大都市の市街地にある必要はなく、地方に分散の方向をとり始めているのは事実であります。この傾向性を法によって助長することは、工場と都市自体の近代化を早めることになると考えるからであります。 第七に、学園環境の田園化こそ、学校の近代化であり、教育の本旨であるからであります。何となれば、学校が商業主義を目的とするなら、雑踏の市街、旧市域にある方が有利でありますが、学校は、学徒の教育、訓育を本旨とするもので、これを商業主義の犠牲にしてはならないと考えます。ゆえに学園の田園化、郊外化こそ、望ましい学校のあり方であり、現に私の勤めている千葉大学を初め多くの大学が、都心から遠心的に郊外へ移動して、望ましい教育環境を作り、何ら問題を起しておりません。かつまた多くの既存の官私の大学も、この方向へ再配置の気運を作るためにも、本法律案に賛成であります。 なお本法律案は、既存の学校、工場を強制的に分散する規定ではありません。しかし本法律案施行後、工場とか、学校の分散による効果が現われて参りますれば、心理的にも既存の学校や工場の分散を誘発する可能性があると考えますから、これが本法律案の大切なねらいであると思うのであります。 第八の点は、本法は、市内の市街地価の異常なる高騰の抑制策になり、それが都市地域の健全な発展に寄与すると考えるからであります。何となれば、産業や人口の過度集中が中心街の地価上昇の原因となっております。かくて都心の地価が上昇すれば、それは直ちに周辺郊外の地価へ影響いたします。現在都市問題の根底には、無秩序、野放しの地価の上昇現象があって、都市地域構成の歪曲の原因になっております。先ほどの公述人が申した市内に空閑地がなぜ発生するのか、現在六十万坪もある、そういうものは、みな地価上昇のあおりであります。従って本法律案のごとく、旧市域の土地利用にある種の制限を加えることは、都心の地価上昇を押え、近郊全体にわたる地価形成の適正化となり、都市の健全化に寄与するものと考えます。もし今のままに地価の上昇が続けられるならば、市域からは、住宅はどんどん追いやられて、住宅化に阻止されて参ります。それに反して工場なり、学校なり、あるいは商業施設なり、利潤を追求するものばかりに旧市域は占拠されてしまいます。従って本法律案のごとく、都心地価の冷却作用をするということがまず第一であります。そうすることによって住宅人口を呼び寄せることができる。第三点にあげたような人口をふやすことができるのでありまして、これが過大化を妨げる原因となるのであります。 第九の点は、本法律案施行に対して時期なお早しの論や、周辺地域の受け入れ態勢ができてからなどの反対意見もありますが、上述のごとく本法律案は、首都圏整備の根本的原因対策の一つでありますから、おそきに失することはあっても決して早過ぎることはないと考えるものであります。その効果は、直接的ではありませんが、このような制限法があることは、心理的にも効果がきわめて大きいものと考えて、今こそ実施しなければ、あすではおそ過ぎることを知るべきであると考えるものであります。 第十の点は、本法律案は、ざる法に近いきわめて甘い規定になっております。この法律の第一条の施行の目的にかなうように、さらに強化すべきであると考えるものであります。 その理由の第一は、本法律案を一読して感じられることは、名目は制限するための規定のようですが、あまりにも制限していないのに驚きます。何となれば、各条項とも例外を必ずつけ、政令で定めるものを除くといったような規定があり、そのほか知事許可の特例があり、幾つかの経過措置があげてあって、既存の権益を必要以上に保護しております。制限法案でありながら、非常に甘く遠慮に遠慮を重ねた法案になっておりますので、本法律案の目的趣旨にかなう、生かすためにも、さらに強化すべきであると考えるものであります。 第二の点は、一体この法律の規定に触れる学校や工場が、どれだけあるかと聞きたいくらいであります。資料によって明らかなごとく、五百坪以上の大工場など、ここ二、三年数えるほどしか建設されていないのであります。六百坪以上の学校なども、ここ二、三年、一、二にとどまっておる現状であります。ほとんどこの網にかからない状態になっておる。従って、制限規定というものは、五百坪から三百坪ないしは二百坪に下げるべきであると考えるものであります。 第三の理由は、この法案は既存の検益を制限するのではなく、将来の期待可能性を制限するにとどまり、各企業にとって将来の仮想利潤についての制限であって、区画整理による立ちのきなどと性質が違うものである。ですから、さらに強い制限規定にして、一向さしつかえないと考えるものであります。 第四の理由は、制限を大幅に緩和してしまうことは、大都市の健全化を阻害し、公共の市民の幸福をそこなうことでありますので、この点に立てば、ヒューマニズムを犠牲にしてまで、各企業の将来にわたる利潤まで補償する必要がどこにあるかと言いたいのであります。 終りに、山本公述人も言われましたように、国土計画と地方計画とが相待って進まなければ何にもならないのであります。で、首都圏整備の計画というのは、実は地方計画の一部だと考えます。従って、この地方計画だけを進まして、首都圏をより整備すれば、東京へばかり集まってしまう。やはりこれは国土計画——北海道計画だの九州計画、全体の中の首都圏計画という考え方を持たなければならないことは当然であります。しかしながら、われわれは、集まってきても、決して混乱しない態勢というものは必ずとれるのであります。それこそ首都圏整備の今言ったような法案を次々出すことによって、集まってきても混乱しない態勢は、メカニズムを変えれば当然できるわけであります。それが都市計画的なものの考え方であります。 以上、十ヵ条の賛成理由をあげましたので、十分審議を下さって、本法律案のすみやかなる成立を期待するものであります。以上。
○委員長(早川愼一君) ただいまの清水公述人に対する御質疑のおありの方は、御発言を願います。——それでは、全部の公述人が済みましてから、また御質疑を願うことにします。清水さん御都合よろしゅうございますか、全部済みますのは、もう十分か二十分後ですが。
○公述人(清水馨八郎君) けっこうです。
○委員長(早川愼一君) もうしばらくお待ち願います。 —————————————
○委員長(早川愼一君) 最後に、日本大学教授の鈴木雅次君にお述べ願います。
○公述人(鈴木雅次君) 私の肩書きが先生ということになっておりまするが、先生商売にかわったのは、最近のことでありまするので、いわば場違いの教育者、従って、本法案の重要部分でありまする学校の制限という問題につきましては、触れるのは僣越でありまするから、私は、もっぱら工場制限に限って意見を述べたいと存じます。 過大都市の弊害、これの実に深刻であることは、私どもが関係いたしておりまする港湾であるとか、あるいは道路であるとか、あるいは水の問題であるとか、または都市計画等の問題から考えましても、ほとんど限界にきておる感があります。従って本案のごとき人口過大都市、すなわち人口集中の最も大きな原因と考えられる工業立地の制限ということは、どうしてもこれは、必要な問題であると存ずるのであります。この意味におきまして本案の公布施行は賛成でありまするが、これは山下公述人と同じような、条件付の意見をつけたいと思います。 それは、かりに本法の、この法案の将来対象になり、新規に工場を設立するというような問題が起るとするならば、その原因は、きわめて複雑であります。多岐多端にわたるのであります。その複雑さは、ちょっと、お手元にお配りしたと思いまするが、工場立地の各因子の分析表を差し上げてありまするが、これを見てもわかるのでありまして、この工場立地の右側にあります地方的因子というのは、これはやや広い地域の意味の立地因子のことでありまするが、それの中にも、「社会的因子」あるいは「自然的因子」、さらにこれを分けますと、おのおの数個の因子がありまするが、これは省いてあります。また左の方の「歴史的因子」というのは、これは変遷的な問題でありまするが、これも分けますると、「政治」、「経済」、「技術」、「経営」あるいは「慣習」というふうな多数の因子があります。さらに該当の所在地ずばりの因子を拾いあげますると、これは上に列記してありまするように、実に二十一の、私の気のついた要因だけでも、二十一あげることができるのであります。こういうような平面的の因子の羅列は、かえって推論を誤まるおそれがあるのでありまするが、実はこれに対して順位、軽重をつける、ウェートを付することが必要であります。そうしてそのウエートのものさしは、どこにおくかといいますると、これは「工場立地」の下の方に書いてありまする「製品因子」という分析がありますが、これは結局原単位の問題であります。もちろんいうまでもなく、工場の経営は、現在の段階におきましては、利潤追求が主眼に相なるわけでありますから、当然この原単位も縮小するような、ことに営業の対象によって、ウエートを付すべきであると思うのであります。 まあ、かようにして非常に工場立地については、いろいろの原因が数的には輻湊してくるのでありまして、一、二の因子を引証的に取り上げましても、数字的には、なかなか結論の出ない問題でありまするが、現に将来この法案の対象になるような新規拡張の必要がありと希望するものがあったならば、これはこういうような分析を待たなくても、工場の経営上あるいは原単位の縮小、東京都内にある方が有利である、こういう結論を出しての立地であると思うのであります。従って都内における該当の土地、当該の土地あるいはそれに土地の所有者、あるいはそれに関係する人々の期待利益といいますか、期待価値といいますか、それに対して当然制肘がいくわけであります。これを制限したための損害というものは、補償すべきものであるかどうかということは、私は知りませんが、とにかくさような被害のあることは事実であろうと思うのであります。しかし一方におきましては、公共大衆の大きな損害、すなわち、過大都市の病害、こういうような公衆の利益のために、一部特定人の被害といいまするか、損害も、これはやむを得ない問題であると存ずるのであります。もう一つの見方は、この制限によりまして、東京都内に工場ができなくなる、あるいは作った方がいいか、これを全国的な視野に立って考えてみる必要があります。それは、もっと分析して申し上げますると、今わが国において、最も問題になっておりまする雇用の増大、あるいは国民の総生産所得の増大確保、または配分所得の増大確保、さらに生活水準の確保増大、こういうような全国民の平均、あるいは総合平均、ランプ・サムでありますが、それから見て、果してこういう法案のような趣旨を実行した方がいいか、あるいは今までのように置いた方がいいか、こういう問題がきわめて重要な問題であると思うのであります。 そこで、かような問題を計算する一つの方式が、最近わが国にも紹介されて参りました。これは学問的の問題でありまするが、例のレオンティフ・アナリシスと称する計算方法であります。その示唆に基く計算の方法論というものは、非常なこれは複雑な数学を使うのでありまするが、一応、インパース・マトリックス、あるいはリニヤ・プログレミングの算式を使うことによって、一応その計算方法論が目鼻がつきつつあるのでありまするが、しかし、これを実際に、東京都のこの場合に適用して、計算ができるかと、こう問われまするならば、今の段階では、まだできない。それは、その計算式に使いまする係数であります。これは私どもも投入係数といっておりまするが、それは要するに、この表で申し上げましたように、原単位であります。その原単位の調査が、きわめて複雑多岐であります。というのは、一つの工業の波及する効果というものは、まことに複雑でありまするので、あらゆる産業についての原単位の調査が進んでいないと、せっかく計算方法論は確立しても、計算にかけることはできない、こういうことに相なるのでありまするから、今その数字的の結論を出せといわれましても、今回はできない、日本というか、世界の学問の状態におきましては、おそらくできないだろうということを私は断言するものであります。しかし、こういうような計算を待たなくても、現実の事実として起っておる問題を、現実を凝視すれば、一応の概念的の結論は得られると思うのであります。それは今日、東京に人口が集まるのは、地方においては食えない、東京においては食える、職がある。こういうことは何を物語るかといえば、結局日本の全体の雇用量の確保増大には、現状の方がいい、こういうことになる。また、従って国民の総生産額、あるいは配分所得、もしくは生活水準というものが、現状のままで規制をしたならば、マイナスになる、こういうことを物語るものでありまして、むずかしい計算を待たなくても、こういうねらいだけはつけられると存ずるのであります。 そこで、この法案を施行したためのマイナスの面が、全国的に見ると起るという懸念がありまするが、これに対する施策は、先ほど山本さんがお話になったことと一致するのでありまするが、他方において、これをカバーするような施策がとられていなければ、片手落ちになる。 その施策を具体的に申しますると、つまり工業立地の面だけについてでありまするが、申し上げますると、これは周辺地区における工業立地の整備施策、これがいかように進むか。もう一つは、その他の地区における工業立地の整備施策が推進される。これがないと、単に東京都内だけの制限をしましても、日本全体の雇用の問題から考えますると、マイナス面が生じてくるおそれがあります。すなわち、地方の場合におきましては、まず第一に、日本においては、何といっても臨海工業地帯が、今後わが国の産業人口を期待いたしておりまする重化学工業の基地に相なることは言うまでもないのでありまするから、これを中核としまして、その周辺に関連の工業、あるいは中小企業または第三次産業というものが興ってくれば、そこに出てきた人口が東京に流れるのを、一応そこにおいて吸収できるということに相なるわけであります。都市の周辺においても、もちろん同じであると思います。幸いに本年の春、都市の周辺地区における整備に関する法律が公布されたのでありまするが、また今日各主務官庁におきまして、明年度の予算案を作成しておるように聞いておりまするが、その内容を漏れ聞くところによりますると、やはり各地方における工業立地の整備に対する施策というものが非常に考えられているように聞いております。こういうようなものが具体的に実施されるということになれば、私の心配しておりました全国的に見ての、この法案の実施に伴う雇用面等の損害は軽減されるであろうと存ずるのであります。 そこで、具体的の問題になりまするが、この法律は、やはり根本的に過大都市の弊害防止という点からいって、どうしても公布施行を期待したい法律でありまするが、その運営に対しては、他の施策の実施とにらみ合せまして、そして国全体としての利害を勘案し、そしてその運営の制限の緩急に一つのタイミングを考える、時間調節を考える、かような運営方法をとって実施されたいのであります。特に、なお具体的に条文について申し上げますれば、経過措置とか、あるいは適用除外の条文が五条あるいは六条にあるようであります。これには議論があると思いまするが、今のような国全体としてのタイミングを合せるということにおきましては、これは必要な条文であると思います。また、さらに本法に属しての法律である施行法とか、いろいろ政令が作成されると思いまするが、それもやはり、時間的調整観念を入れて作成していただきたい、こういうのが私の条件的意見であります。その条件的意見を付しまして、本法の成立を御期待申し上げる次第であります。
○委員長(早川愼一君) ただいま、お三人の公述がありましたが、これに対して御質疑がありましたらば、御発言を願います。
○田中一君 私は今、清水さんと山本さんの御意見を伺わなかったのですが、御提出になっているところの書類で拝見し、また山本さんの場合では、十月十三日の社説としてあなたがお書きになったというように伺っておりますので、それをもとにして一つ御質問をしたいと思うのであります。 今、鈴木先生も含めてお三方は、ことごとくかかる立法が今出るということすらおそきに失するというお言葉があったように伺っておるのであります。また、清水さん並びに山本さんの書いたものにもそういうように出ておりますけれども、むろん、過大都市の防止ということにつきましては、今三人の御意見全くごもっともだと思うのでありますけれども、受け入れ態勢、政治の問題でございますが、それを、この法律の立法化を受け入れる態勢がないと、これはとんでもない問題になるわけです。現に私は、このような都市問題あるいは住宅問題とか道路の問題、かつまた立法がございますが、死文化している法律をたくさん知っております。全然これは動いていない。というのは、単なる予算面の裏付けがあるとかないとかの問題でなくして、政治的な関心を持たないという法律がたくさんあるのであります。これは鈴木先生十分御存じと思いますけれども、全く死文化しておる。当時の法律を出すときには、おそきに失するというような激励の世論の支持を受けながら、法律ができて、さて施行してみますと、それが死文化するということが多いのであります。私は今、お三方共通のその点の御意見でございますから、伺うのですが、今日の政治情勢、経済情勢、あるいは大きくいって今日の規模の産業構造というものが、こういう立法化ということを受け入れる態勢にあるかないかの問題です。と申しますのは、大体都市の形成というものが、鈴木先生もおっしゃっているように、歴史的な因子からくるというものが日本の都市の宿命じゃないかと思うのです。むろん、それにも地方的な因子という、私はよく詳しくはわかりませんけれども、そういう表現も理由の中に言っておりますけれども、都市の膨張ということ、過大都市化ということを他の面で緩和する、押えるという方法はたくさんあるんではないかということです。ただ単にこの法律を作ったから、それがその目的を達するんだということにも私は間違いがうんとあると思う。ということは、死文化される法律がたくさんあったということです。同時にまた、法律がなくても、政治的な行政的な措置によってそれが抑制されるというものもあるんではないかという点でございますけれども、ただ、この法律が出たから、今当面問題になっているところのものはすべて解決するということではむろんないと思いますけれども、もう少し私は伺いたいのは、今この法律を受け入れる情勢が、政治の面におきましても、経済面においても、今がちょうどタイミングが合って非常によろしいのだというような考え方を持っておられるかどうか。おそきに失するという表現は、これはむろん言えます。さて、いつかと申しますと、現在法律が出ておりますから、現在ということを見て、今の受け入れ態勢というものはあるかないかということを一つ伺いたいと思うのです。清水さんに伺いたいと思うのです。
○公述人(清水馨八郎君) 私は、現在大都市の過大化ということを非常に工場に持ってきておりますけれども、世界的なアーバニゼイションというものの人口は、産業革命以来の特に工業の集中というものが都市に人口を集中させましたけれども、決して現在の東京というような独占的支配都市は、工場が非常に集中するから人口が集まったのではないことは明らかであります。現代ではいろいろなものがすべて分化する時代でありますから、工場のうちのプラントの分はどこへいってもいいわけであります。つまりビジネスだけは都市へ集中したい、それからプラントの方は、現在富山であろうとどこであろうと、どこにでもいける立場にあるんですから、これはおそきに失したというのは、しなくても当然合理的な——東京というものには工場というものは本質的に必要ないんです。つまりビジネスというものが集中しさえすれば、工場というものはどこへでもいける立場にある、立地条件のいいところへ。しかしそれを握っておるビジネスは東京へ集まろうとするわけです。ですから、現在東京の過大化を見ますと、三十何パーセントかが工場で、あとの五十何パーセントが商業のように考えておりますけれども、実はそれ以外の無職とか、金を持っておる人とか、学生とか、そういう人を入れれば、これは三〇%ぐらいが工場的な人口であって、あと七〇%というものはそれ以外の人なんです。つまりサービス業的な、そういうものが非常に混乱をしておるんですから、単に工場だけを法律で規制して出しても、それだけでは解決しない。私はこういうような法律を次々出していく、つまり昼間人口という機能的なものを次々出していくわけです。従って第一にこういうような工場をまず出す。その次は何を出すかというと、やはりこれは商業の問題が出てくるわけなんです。商業というものは集中することが合理的なんです。丸の内を川崎へ持っていけ、そういうことを言うんではなくて、集中する方はこれは分散ができないわけなんです。けれども、私はその次の段階として、都心規制法案のようなものを出すことによって、今、丸の内一つでもって全関東の人口をささえている、それを一歩下って、副都心のようなものを育成すれば、つまり衛星的にこの都心を配列するようにすれば、円が自乗に比例して大きくなるんですから、現在の二倍の人口が都心へきても、それはその中でもって合理的になる。このように大東京の過大化は工業の問題ではもうない。 従って商業、ではなぜ商業がこれほど集中するかということになると、国土計画的な観点で、富が集中するところに人は集まるんですから、その富こそ先に北海道開拓とか北陸開拓というところに持っていかなければ、富が先行しない限りは、どうしても集中的になるのであります。その点、私はこういうようにどんどん問題の本質が一般の人にわかってきているんですから、単なる人口ではなく、その昼間人口の集中だというようにわかってきておる際において、こういうような首都圏の内部でも、もちろん国土計画的なやつをやると同時に、首都圏の内部でさえも今より二倍集まってきたって、それを受け入れる態勢というものを合理的にさえすれば何のことはない、もっと入れるわけなんです。そのいう意味でこういうような受け入れ態勢というものは、本質が今までわかっていながら、結果対策だけをやっていた。首都圏の中の原因対策から手を打っていけば、必ずそれは合理化し、それが都市の生態にもかなう道である。それを助長するようなこういう法律をまず出し、次に順々に都心を規制する——都心を規制するというのは非常に強い言い方かもしれませんけれども、実は集中する効果をより多く上げんがための分散なんです。つまりセントラライズド・ディセントラリゼーション、つまり決して分散ではない。要するに受け入れ態勢を整えることによって都市としての合理性を上げることができる。そのようにして夜間人口を外へ追い出したんだから、そっちの方へ持っていって商業機能も幾らか後に下り、工業機能もそっちに近づくことによって規制される。そうしてだんだんと健全化の方向をとることと思うのであります。
○田中一君 もう一ぺん清水さんに伺いますが、この法律だけではその効果は実効はないというのですか。
○公述人(清水馨八郎君) この法律をまず施行することも、その本質に触れた一つの対策になるというわけであります。
○委員長(早川愼一君) 山本先生何か。
○公述人(山本正雄君) 先ほどの御質問は、おそらくこういう意味じゃないかと思うのです。私の了解するところによりますと、まあ国土開発地域というのが日本の全国の八割にもわたって指定されておるにもかかわらず、実際において何が行われているかといえば、まあ灌漑であるとか、農業関係のものがまあまあ多い。あるいはせいぜいダムをどこへ作るかという程度のことで、ほんとうの国土開発というものは、ほとんど、そういう地域は指定されておるが、何にも実際には動いていないじゃないかというような意味のことではないか。そういうことに対して私は多少の反論めいたものを申し上げますれば、今までの日本の行政、あるいは産業行政にしても、非常に縦割りのものが多く、鉄鋼業、繊維工業、船舶の問題、そういうような縦の個々の問題を取り上げて、それがまた行政のおもなものになっている。ところが、そうでなしに、地域として問題にしなければいけないということがだんだんとわかってきた。また一方、産業を実際にやっている経営者としても、もうこのままでは水の問題あるいは地盤の沈下の問題とか、排水の問題とか、そういうところでもう限界にきて、何とかしなければいけないということを経営者みずからが考えるようなことになってきている。今までもいろいろそういう点は言われておりましたが、それはまあまあまだ余裕があった。しかし今やもう工業用水なんという問題は、今どうにも何とかしなければいけないという深刻な差し迫った問題になってきている。そういう意味で、私は今こそタイミングとしても、そういう縦割りの行政だけでなしに、地域的な産業行政なり、産業立地政策というようなものと取り組むべき時期にきているし、そしてまたそういうふうに、そういうことをやる当事者、経営者自身がそういう感じを抱き始めている上に、われわれはまた世論を喚起するなり、いろいろな形でそこに機運を盛り上げていけば、私は今の態勢で、非常に不十分ではありましょうが、そういうものを動かしていける、そういう時期にはきているのじゃないか。この法案が出されるということ自身が、やはりそういう意味を持っているのではないか、そういうふうに私は考えます。
○田中一君 むろんこういう規制をして——あなたのおっしゃった通りなんですよ。では工場はどこへ一体持っていくのかということなんです。工場をどこに持っていくのが一番適正なのか。大きな国土計画の面から見ていけない、いけないというのではなくて、工場はかくかくのところに作るべきであるということの方が先決ではないかという私は考え方を持っているんです。もう、たとえば警察官職務執行法みたいに、あれはいけない、これはいけないという問題ではないんです。今日の憲法はそういうものではございません。従って、さっきも学生の公述人の方が、憲法違反の疑いがあるのじゃないかということも率直に言っておりましたけれども、さて工場をどこへ持っていくか。たとえば東京、首都の周辺の、この産業立地としてはどこが適確なものであるということを示し、かつまた、そこにあるいは道路なり電力なりガス、水道、下水等を整備すれば、おのずからそこにいくのではないかということなんですよ——ということを私は考えておりまして、ちょうど先生のおっしゃることと大体一致するのですけれども、ただこの法律を出したので、この法律が早過ぎるという考え方を持っているんです。逆に言いますと、先行するのは、日本の産業構造をどういう形でもって規制するかということの方が先だと思うのです。むろん資本主義社会でございますから、これはもうそんなことまでやかましく言いますと、これまた憲法違反の問題が起きますし、警職法どころの騒ぎではなくなる。もっと力強い反対も出ると思いますけれども、そういう意味で、先行するものはこれではないのではないかという考え方を持ったものですから伺ったのですが、今お考えを伺いまして、大体私もそのように考えておるわけなんです。ありがとうございました。
○委員長(早川愼一君) 鈴木先生何か……。
○公述人(鈴木雅次君) ただいま田中先生から政治的のタイミングというようなお話がありましたが、これは諸先生の方が御専門でありまして、私どもの申し上げる筋ではないと思いますが、ただ、いろいろ行政面に、この地方におけるあるいは周辺地区における工業立地整備の施策というものが、関係部局で非常に真剣に考えられていること、今日ほどまあ御同慶にたえないときはないと思うのです。非常に敬服しております。これはもう私ども漏れ聞いておるところでありまして、正鵠を得ているかどうか知りませんが、まあそういうことになりますと、田中先生の一方における先行すべき施策というものが真剣に考えられているその時期とタイミングを合せれば、こっちの方の法律も出していいのじゃないか、こういう点が考えられると思います。ただし、関係の各主務省において、これは建設省、運輸省、通産省、ことに指導室なんというものも通産省にできたり、また建設省においては水の問題、運輸省においては港湾というような、いろいろのそれぞれの分野において非常にこのたびは、今回は考えられております。これがまあ大蔵省の査定という問題がありましょうが、最終的には皆さんがおきめ下さる問題である。これをいかようにおきめ下さるかということに——これはまあ今主務省が考えている通りにまるまる通るということは、これは常識的にあり得ないということも、これはやむを得ず考えなければなりませんが、その点に一つ弾力を置くべきである、これが運営において、この法律の運営においてその弾力を吸収すべきである。しかしこの法律の公布、施行ということは、今がタイミングである、こういうふうに考えております。
○田中一君 むろん鈴木さんは前もって御相談があったかと存じますけれども、この法案を作るには、むろん国土総合開発審議会の委員であり、かつまた、たくさんの政府の各機関に関係する発言の場所に鈴木さんおられる方ですから、御相談があったものと、私はそう考えておりますけれども……。 そこで、次に伺いたいのは、これを、この法律を出して、それで御承知のように首都圏整備委員会というものは計画屋さん、プラン・メーカーでございます。じゃ政府はそのプランに対して、その企画に対して十分なる予算的なバックアップと、それからこれを実施するための環境を、あらゆる環境ですね、あらゆる環境の地ならしを続けていくかということになりますと、今の段階では不可能であろうというような私は考え方を持っているのです。と申しますことは、この二十三区、武蔵野、三鷹だけにこの制限を加えるとしますと、この二十三区及び武蔵野、三鷹周辺に、周辺にですよ、工場並びに学校が乱立するというおそれが生まれてくるのです。これは日本人の、日本の資本主義のこれは悪いところです。これはどうしても得なところにものを持ってくる。根本的な問題は政府がしてくれないから、自由な立場でもって、それが制限されれば、そのそばに持っていこうと、もう合法、違法のすれすれのところでもって立ちどまっている。そこで利潤を上げようという考え方を持つのは、これはもう当然のことなんです。一方、首都圏という大きな構想のもとに衛星都市その他を考えております。たしか日本橋のあの道路原標の基点から百キロというように私承知しておりますけれども、その百キロが首都圏ということになるはずだと思いますけれども、私は、どこをどう制限しようと、たとえば二十三区並に三鷹、武蔵野を制限すると、それ以外のところに軒並み工場——一番条件のいいところへ、制限された以外の一番条件のいいところへ軒並みに工場が、もし景気がよくなれば、受け入れの経済状態がよくなれば、そこにできるのではないかという危惧を持っておるのです。従って、政治の裏づけというものがなければ、全く絵にかいた計画であり、かつまた、これほど国民が迷惑をするような規制なんというものはあり得ないのです。今日の憲法のもとには、育成こそ求めてあれ、取締りなんということはあっちゃならぬというのが、私どもの考えている憲法を守ろうという立場の原則に立っておるのですが、しかし一歩下って、百歩下ってもいい。公共性という面から見てあるいはまあ私有財産の原則からいっても、公共のために自分の主権というものをあるいは提供しなければならぬという場合もあるという立場から見るならば、政治がそこまで育成するための環境整備をするかどうかという問題にかかってあると思うのです。 そこで、そういう点について、今日の評論家的な立場から三人の先生方に、今日のわが国の年度の予算規模、それから自民党の持っております政策、国内政策、それから国際政策、あるいは今日年々増加しておりますところの自衛隊その他の非生産的な各政策の面から見て、この国民の主権を制限しようというこの法律が、三人の先生方がお考えになっていらっしゃるような成果を上げ得る今日の状態にあるかどうかという点について、はなはだ私も専門家じゃないものですから、先生方に質問するのにちょっと当を得ないかもしれませんけれども、そういう点について、評論家的な御意見でけっこうでございますから、お聞かせ願いたいと思います。
○公述人(清水馨八郎君) ただいまの田中先生のお考えには、私は異論があるわけであります。非常に心配されておりますが、そういうことは、私は一切ないと考えるわけであります。政治的な裏づけがなければ、そんなものはせっかくやったって、受け入れ態勢がなければだめだというようなお考え方のようでございますが、そういう心配が果して起るかどうかということなんでございます。というのは、旧市域に現在工場というものはそれほどないのです。だから、そういう旧市域の、法律にそういうものがあったからといって、果してそういうすぐグリーン・ベルトの外側に乱立するということは、今の日本全体、あるいは世界的な工業の立地面から見ては、そういうことはないのであります。それに触れるような大工場、五百坪以上の大工場というものは、もうすでに、なぜ外へ行くような傾向をとってきたかというと、市街はもう地価が上昇してきて、いろんな点で都心に、市街に工場を持ってくるのは、社会的にも悪いし、また工業の近代化という立場から、これはもう真中に工場がくるはずがないのであります。従って、こういう法案がなくても、受け入れ態勢がなくても、わが国の地方都市というのはみんな受け入れ態勢というものをとって、産業が少しも発達しない、何とかして工場にきてほしい、きてほしいといって、みんな条件を持って、地方にしろ何にしろ、受け入れ態勢をとっているわけでありますから、そういうような裏づけをして、わざわざそれを有利にさせなくても、もう東京のような場合にはそういう心配は一切ない。グリーン・ベルトの外側へ決して行きゃしないのです。そういうわけですから、東京における現在の大工場の実態というものをよくごらんになりますと、決して大工場というものはここにない、外へ出る傾向にあるから、そういうような裏づけなんかは一切なくても、自然の法則に従っていくのでありますから、それをむしろ助長するような法案を作る、それは心理的に非常に効果があり、やがて外へ行った方が、先ほど申したように効果が上れば、現在いるものも徐々に出ていく、工場の用地というものは、坪千五百円から三千円ぐらいのものでなければ、大工場というものは採算が合わないと一般に言っております。そういう地価が都心にあるかどうか、地価が上れば、それを売っても、外へ行った方が、工場が自然に建ってしまいますから、そういうわけで、工場というものはどんどん追い出され、そのあとで今度は住宅というものが追い出される番になる。住宅は五千円ぐらいが基準になりますから、そういう富士山ろくのように遠く山ろくの郊外に転出しなければならぬ。だから真中の方を規制しなければ、あとから来たところの貧乏人や貧困のところは、そういうふうなあおりを食って、裾野の方に退敗する、従って東京の人口は減る。住居というものは非常に離れてしまう危険がある。そういう意味でただいまの御質問に対しては私は心配ないのだ、こういう結論であります。
○委員長(早川愼一君) 他のお二方御意見ございますか。御意見ございましたら御発言を願います。
○公述人(山本正雄君) 私は、多少先ほどのこちらの御意見とは違いまして、やはり産業の立地の傾向というものは、私は二つの力が作用し合っているのだ。一つは、おっしゃいましたように、地価の暴騰とか、工場の立地条件の悪化、たとえば工業用水に困るとか排水に困る、こういう形で都心から外へ出て行こうという遠心的な作用をしていると同時に、なるべく消費地に、物を売る市場に、マーケットに近づきたいという考え方を持っている。この遠心と求心の二つの力というものが作用し合って工場の立地というものはできつつある。両方の作用を勘案して、じゃどこにきめるかというきめ方をしている。だから、たとえば一例を申し上げますれば、今度の富士製鉄が名古屋へ出るにしましても、それじゃ名古屋でなしに、もっと工場に有利なところがあるのじゃないかというのですが、やはりあのねらいは、名古屋という鉄鋼の需要地というものに近づこうという考え方がある。そういう点では、やはり外へ出ようという力と近づこうという作用との両方の間に立地するという可能性が非常に強い。だから、新しい、たとえば八戸なら八戸という工場があって、そこに相当な工場が十とか十五あって、しかし、それに関連した下請の工場とか中小企業ができているかというと、それが整っていない。だから私は、おそらく八戸の発展の限界というものはぼつぼつ近づきつつある。しかも、物を売る市場というものに非常に遠い。港とか電力とか、そういうエレメントは有利であるが、中心から離れている。やはり今後の工場地帯というものは臨海的な、ある人は東北、北陸こういうものを第一ベルト、それから関東から瀬戸内海へずっと行って門司へ行く、これを第二ベルト、その下の四国とか九州とか、このあたりを第三ベルトと言っておりますが、この第二ベルトに集中するということは、工業が発達して、重化学工業に化せば化すほど、そこに集中する非常に強い傾向を持っている、これは争えないことだと思います。 そうして私の結論では、そこへ近づこうとする力と離れようとする力とが関係して、そこへ先ほどの地価というものがあって、周辺の埋立地という問題がどうしても問題になる。そうすると横浜、浦賀あるいは千葉、こういうような埋立地、あるいは四日市の埋立地とか、いろいろな形で、埋立地によって、そういう形でやはり東京の近くというものを選ぶ。そういう意味では、あなたの心配されるように、ほっておいては、私はどうしても都心へ近づく。もちろん、まあそれにはいろいろ問題はありましょうが、やはりそういう意味では、そこの豊洲とか晴海とか、あのあたりでももっと埋め立てるとか、あるいは行徳とか浦安とか、あのあたりを埋め立てるという計画は、御承知のように非常にたくさんある。やはりそこを埋め立てて、四千円なり五千円の地価でも、東京に近づこうという動きが非常にある。この法律は、埋立地は一応除いておりますが、そういう傾向というものは私は無視できないと思う。そういう意味で、先ほど私が言ったように、この法律案に先行すべきものとしては、やはり八戸なら八戸というものがもっと発展する、今のままで置けばあのままになってしまう。だけれども、これを政府がもっと助成するなり、いろいろな有利な条件をそこに与えてやれば、そこに工場はもっと集まるし、工場というものはやはりマケーツトというものと切り離しては考えられない。物を作るだけではこれは何にもならぬ。どこへ売るかということが大事だ。そこに消費というものが起って、形成されて、マーケットと生産というものが相伴って発展しなければいけない。だから、そういう形の新しい都市というものをあそこにも作る、ここにも作るという形で、そこに所得を増大させていくということが、この東京に人口が集まらない一番の根本原因だということを私は先ほど述べたのです。そういう政策というものをやらなければいけないので、これではほんとうの半歩前進にしかならないじゃないか、そういう意味で私は賛成しているわけなのであります。
○公述人(鈴木雅次君) 田中先生の政治的裏づけという意味が実は私よくわかりませんが、私どもの狭い感覚からそんたくいたしますのに、政治的裏づけの重要なる部分は、行政的措置の現実ではないか、あるいはその重要なる部分は予算措置ではないか。これは全部ではありませんが、そうではないかと、まあ私は実はふつつかながらそんたくいたしているのであります。 そこで先生が御指摘になりました、わが国における国土に関するあらゆる計画がありますが、実施との間に非常な幅があるというので、計画通りいかないというような意味のことがお話、御心配になっているようでありますが、これは、ほかの国のこういう何年計画というようなものと、やはり日本の国柄が多少違うのではないか。つまり資金の、資金計画というものが確立しない、国土計画に対する資金計画が確立しておりませんから、どうしても実施ということからは浮いてしまう。その間に差があるということになりますと、学問的なカテゴリーから言いますると、これは遺憾ながら目標計画である、わが国の場合は、と言わざるを得ないのです。実施計画は、これは議員諸公が御決定になる予算が、それがわが国の実施計画である。それ以外に実施計画は形式的にもあり得ないし、実際においてもあり得ないと思います。 そこでタイミングの問題になりますが、現在の予算案というものは、明年度において私どもは、画期的にこの地方における工業立地の整備ということが促進されるだろうという期待を、まあ都合のいいように情報を解釈いたしております。これは間違っているかもしれませんが、思います。そこで、この法案を出すタイムとの平仄はある程度まで合っているのではないかという感じがあるのでありまして、それからもう一つ大きな問題は、御心配になっていると思いますが、やはり、私どもの先ほど御説明申し上げましたことは、わが国の現状を凝視して、即しているつもりであります。すなわち、言いかえれば、自由経済の機構のもとに立っては、やはり工場の経営は経営者の利潤追求が第一である。これは先ほど申し上げたつもりであります。そこで因子の分析をいたしております。また各立地条件のウエートのつけ方もそこに置いておりますので、現在の現実の情勢というものは、これは、これには即した議論のつもりであります。まあさように御了解願いたいと思います。
○田中一君 この法律は、もしこの臨時国会で通りますと、三十四年四月一日施行ということになっているわけなんであります。こういうことを伺うのはどうかと思うのですが、この短かい会期の中にこの法律案が提案をされ、そうして、むろん来年の四月一日まで実施に期間がございますが、何か今この臨時国会で、会期が七日までになっておりますけれども、までに通さなければならぬというような理由を、この法律案をごらんになって、においをちょっとお感じになったのならば、一つ御意見を伺いたいと思うのですが……。
○委員長(早川愼一君) これはどなたでもよろしいのですね。
○田中一君 ええ。なぜ臨時国会に出さなければならなかったかという原因をお感じになったものがあるならば伺いたいと思うのです。ずいぶんむずかしい質問でありますが。そういうような要素はないのじゃないか。四月一日までなら四月一日までにこの法律を制定する形の方が妥当じゃないかというような御意見がある、こういうことなんですか。御承知のように、すでに日本の、ことに東京都周辺の都市というものは、投機的な対象になっていることはもう事実でございます。それも工場、学校、住宅というものの用地としての投機的な対象であります。決してこれは農地とか牧場とかというものの対象になっておらぬということですね。そこで、そういう点から見ても、まあ私どもなどは、四月一日までに法律ができればいいのではないか、その方が無事ではないかというような考えを持っておりますけれども、たとえば土地価の高騰、あるいは投機的な面に利用されるやいなやというような問題も危惧するものですから、こういうむずかしい質問をするわけですが、どなたか一つ。
○公述人(清水馨八郎君) それは、私が先ほども申しておりますように、同じことの繰り返しになるかと思いますけれども、結局おそきに失するのであって、一日も早くこういう法案を通して、何らかの規制をしない限りは、先ほどの、最も重要な市街地価というものが野放しになっている。しかも野放しになっていることから、もう個人の土地というものは、だんだん緑地帯になってしまいます。黙っていれば。つまり地価が上ってくれば、もう株券のようなものなんであります。千円のものは一万円になる。この地価の上昇というものは、一体どうして起ったかというと、人口の大都市集中が、現在六十万行われております。この表によると、三十万だ、二十万だと言っていますけれども、これは誤まった見方であります。先ほどから申しておりますように、人口が減り出した。初め六十万も集中していたやつが、五十万なり四十万なり、ことしは二十万です、社会増は。ということは、これはいよいよ大へんであって、外に向って追い出されたのであって、追い出されたやつは首都圏の外側に行っただけであって、人口が減れば減るだけ東京はいよいよ過大化したことなんであります。従って、東京の都心のすぐ裏側の麹町とか、そういう地帯に、昔は見られなかったような空閑地が至る所にできてしまったということ、これは明らかに都心の地価の上昇のあおりで、もう東京というものは居住地でなくて、利潤空間である。時は金である。時間がたてば地価が上る。だから、その地価の上昇に抵抗する唯一の道は何かというと、乏しい程度の人がこの地価の上昇に抵抗し得る一番唯一の道は、一歩うしろへ下ることである。一歩下ればいいのである。従って、地価の上昇を放置しておけばどんどん交通線は下る。下ることによって抵抗するから、空間は利潤なりということを——空間も金なりです。従ってどこかに手を入れなければうしろに下る。その下げ方も決して同心円的に下らないわけです。必ず交通線を下げる。従って五分下れば地価が下る。その先の方だけの先端、巨大な現象に驚いて、首都圏を三十キロだ、五十キロだ、百キロだというふうに下ってきてしまえば、その間にものすごい空間が残ってしまうのであります。従って私はこういうふうな、ここで私は原因対策である——今までの結果を押し出せば、原因がなぜかわかりもしないで、グリーン・ベルトを引いたら、それをその向うへ越えて、首都は流れていってしまっている。こういう都心を規制するような、旧地域を規制するような法案を出せば、それは心理的に地価の冷却作用になる。 もう一つは、先ほど工業というものは遠心化するのと、もう一つは求心化作用があるのだということを申しましたけれども、山本公述人が言われましたが、確かにその通りでありますが、実は人口、消費地に近いものが望ましいのですけれども、何も消費地のすぐそばの都心に工業がある必要はないのです。幾らか下ったところにいる方がマーケットに近いことになる。現に工場でも人口でも外に向って流れているのですから、外に向って工場というものを近づけた方が、マーケットに近づくことになるわけです。このように何も都心の中に今規制したからといって、それでマーケットの求心性を阻害することは一向にないわけです。むしろ合理的になるというようないろいろな意味で、先ほどからあげましたように、一日も早くこういう規制法案を作って、そうして効果を見ては次々手を打っていかなければ、東京の過大化は救われないものと考えるのであります。
○田中一君 戦後、東京の土地価というものの伸びが他の物価と比例して非常に伸び悩んでおった。その後三、四年前、四、五年前と言った方がいいでしょう。国が住宅等に対する投融資の政策を打ち出してから上昇の傾向が見えてきた。しかしながら、現在では多少頭打ちになっているというふうに、当委員会でもたしか住宅公団、あるいは政府当局からも聞いております。なぜそうなったかと申しますと、今、清水公述人は、求めるものがあって土地価が上るんだと、需要があって土地価は上るとおっしゃるけれども、大多数の都民は、自分で土地を買う資金を持たない、これは大部分の者です。そこで、それに対して、土地を買う金も貸してやろう、家を建てる金も貸してやろうという政策が出ておりますために、土地一つに、それも今言う通り百人に百充当しようというのではなくして、百人に一軒くらい、求めている一千人に一軒くらいというような比率で与えられて、しかも千人の者が一軒の家をほしがって土地を求めますと、その一つの土地に対して千人が土地を買いたいという意思表示をしてくるわけです。そのために、いたずらに土地が上ったという傾向があるんです。これは政策です。政策的に上ったという傾向があるのです。これは住宅公団のその方の当面の者も、政府もそのことを言明しております。そういう要素があるであろうと。現に住宅公団にいたしましても、これは国の金を自分で使うのですから、野放図もなく上げる傾向がある。たとえば東京都住宅協会というものも、これも国家資金をもって、これは営利事業ではありませんが、やはりだんだん土地を買いあさって上げるということになっております。そこで、そういう土地価の現状から見て、もしもこのようにすべての事業の制限ということになるならば、都心の住宅を対象とする宅地と考えてもいいんです、あるいは商店を含めてもかまいませんけれども、二十三区内の建物の高さというものは、二十三区といたしますと、おそらく一・五くらいでしょう。一階半くらいしかなっておりません。従って二十三区並びに武蔵野、三鷹の地域にだけに学校、工場というものをもって、これをやってはならないということよりも先に、都心の住宅適地であるところに、あるいは商業地域でも一・五という高さを五なら五という高さにせねばならないというように規制した方が、土地価は下ってくるわけです。私の推定では、これを五にしますと、三鷹、武蔵野も要りません。全部二十三区に入ります。そうしてまだ余裕がございます。そうすれば三鷹、武蔵野、あるいは二十三区の外部には、今規制しようというものも、これも環境さえ許すならば容認してもいいんではないかというふうなことも考えられるわけです。 そこで、最初に申し上げたのは、政治的に、政策的に別の方法をとったならば、それらのものも解決されるのではないかということを伺ったわけなんでございます。そういう意味で、一つ私、今、清水さんの御意見には全面的に理論としては賛成いたします。しかしながら、現実の姿としては、これは承服できないのですが、これは意見でございますから、私の意見並びにあなたの意見ですから、これはやむを得ませんけれども、そういうような気持を持っているのです。今こういうことを申し上げたから、あなたから質問を聞いてまたやられると、あまり僕はそういうことを詳しくないから困りますが、一つ山本さん、私はそういう考えを持っているのですが、山本さんから何か今、私が清水さんに質問した内容は、そういうような現実の姿から見て質問しているわけなんですから、山本さん一つ。委員長からもお願いします。
○委員長(早川愼一君) 山本さん、いかがですか。
○公述人(山本正雄君) 今の後段のお話ですね、その点は私も最初のときに述べているわけです。前に言いましたように、これと関連して産業立地政策が必要だ。それから現在の都市のそういう状態、住宅というものが、住宅地が余っているとか、これをもっと高層化せば、住宅不足とか、住宅難とか、そういう問題も解決されるのじゃないか、そういう現在あるところをもっといろいろな手を打てばまだ解決されるあれがあるし、収容の余力も百万とか百五十万ぐらいはどんどん入れるという点は、まあ前に述べたのでありますけれども、その点は、だからあなたと私は同意見です。そういう政策もあわせて行われなければならないということなんです。 それから先ほどの、何もこの臨時国会でやる必要ないじゃないかという御意見に対しては、そういう考え方もなり立つと思うのでありますが、まあ聞きますところによると、予算でうるさい大蔵省でも、産業立地関係の予算ということになれば、相当どんどん通してくれるというようなことも通産省あたりからも聞きましたし、そういう一つの機運が盛り上っている。しかも、続いて、御承知のように臨海用地の造成公団ですか、そういうものを作るとか、非常になまぬるいけれども、工場配置法のようなものも次の機会に出したいというようなことも言われているように、いろいろなものがそういう機運が出てきている。そういうときに、やはりここでこの法律というものを作って、そういう機運というものをさらに盛り上げていくという意味が私は非常にあると思う。そういう意味で、タイミングとしてはやはりそういう機運が出ることをさらに引っぱっていくという意味の役割がこの法律案にあって、そういう意味で、この委員会でこの問題を取り上げたことに私は敬意を表しているわけなんです。
○田中一君 もう一ぺん清水さんに伺いますが、この提案の理由を伺いますと、こうなっておる。先生もお読みになったと思いますけれども、もう十年もたてば一千万をこえる、一千二百万程度の人口になるということを言っております。それも社会増ということが主因だと言っております。また鈴木さんからお話しのあったように、どっか都会に魅力がある、また就職率が多い、従って事業があるということなんです。そうすると、もし、首都圏の計画には、百キロと聞きましたが、百キロ——私は、それが他のいろいろな意味の立法化あるいは他の行政措置によって十分その目的が達せられることになったならば、私は都市としての環境で許される範囲の産業というものは来てもいいんではないか。逆に、それによって就業率がふえ、健全な大都市の姿になるのではないか、このままでいきますと、百キロが全部人家で埋まってしまいます。人家、工場で埋まってしまいます。今日までの歴史がこれは証明しているところだと思います。強力な手を打たなければだめだということ、強力な手は何かというと、私は計画性ある経済政策ということです。今の自由経済の姿では、これはいずれもある工場は作り、つぶれる、また作り、つぶれるという盛衰はありましょうけれども、埋まってしまうのではないかということなんです。そのもとは何かといいますと、計画性ある経済政策によってのみ解決されるのではないかと思う。ここでそういう意味の、この二十三区並びに武蔵野、三鷹の地域に制限するというような、しいて言えば、職業選択の自由なり——憲法違反的なにおいもするというような手を打つならば、別なもっと積極性ある、建設的な他の立法措置によってこの問題は解決されるのではないか。同時にまた、政策並びに行政措置によって解決されるのではないかというような気が私はするわけなんです。ただ単に現在あるところの、この過大都市化するところの首都をどうするかという問題でなくして、日本全体の問題として考えなければならぬと思う。また、たとえばこの過大化する首都というものを考えて、そして百キロなら百キロという線を引いて、これが首都圏であるというような宣言は、ますます過大化させるという傾向にいくのではないかというような気も私は感ずるわけなんです。こういう点について清水さんの御意見と私はだいぶ違っているのですけれども、もし、お前はしろうと考えだ、おれの方はちゃんと研究してやっておるのだというなら、これは教えていただきたいと思うのです。またここに御提出といいますか、何かいろいろ伺って勉強したいと思いますけれども、私は今そういう気持がしておる。ことに、来年の四月一日から実施する法律案を今通すということになりますと、これが目の前には制限されるということは見えておるのです。半年もない、この半年間にその地価というものがどういう形になるか、所有権なり借地権なんというものがどういう工合に移動するかということを考えますと、私はどうもそれらの点につきましても、多少いやなにおいがするのではなかろうか、こういう工合に邪推しておるわけです。この辺で一つ清水さん、御意見あれば伺いたいと思うのです。
○公述人(清水馨八郎君) 根本的には同じ考えになるのでありますが、日本の人口が大都市に集中し出したのは、これは戦後の日本の東京が唯一の植民地だからであります。ほかに行くべきところがない、行き場がないから、とにかく自由に行けるところは東京だけだということで、次から次にやってくるのですね。そういう問題で人口が集まってくる。それから、先ほど千二百万になってしまうのだと言われましたけれども、私は逆に人口はそんなにならないのだ、ならないことがかえって困るのだということを、先ほどから申しておるわけであります。それから、五十キロだ、百キロだという首都圏の考え方は、確かに大き過ぎるわけです。これは生活圏というものと経済圏というものを混同している考え方なのであります。生活圏はなるべく小じんまりと小さくすれば、先ほど田中先生が言われたように三鷹の中に入り得るわけです。私の経験では、二十五キロとればコミュニテーが形成されるのに、実は首都圏は大事な計画、つまり交通計画というものがないわけです。従って放射線の沿線も単に駅を中心とする一キロくらいの範囲にちょこちょこと固まって、それが一ぱいになるとその向うに行くというので、先端だけどんどん伸びていってしまうわけです。それを平均に同心円的に伸びれば二十五キロで入ってしまうわけであります。だから、今交通計画がないからどんどん先端巨大症になってしまう。それを小さくまとめる努力をなぜしないのかということが大事であります。私は、都市のことをしばらく研究しておりますけれども、都市のことは、割合常識で考えるのとは逆の方向を常にたどっているのであります。銀座の流れやなんかを見ておりますと、個々の人たちは、その流れがどういうふうに流れていくかということに気がつかない。魚は川を見ないのであります。そこで、私たちはそういう流れの方向というものを早くからキャッチして、この法則性を知って、その学問的な裏づけを通して、それを早く政治へ反映し、そうして個々の魚というものは何も知らないうちに危機を脱して、ちゃんとした流れを通っていく、これがほんとうのあり方だと思います。それで都市について、エコロジカルなプロセスというものがどういうふうになるかということを学問的に研究しておりますと、こういうような方向、皆さんが心配するようなことはないのだ、それを助長する政策であると、こう考えておるわけであります。 それから、先ほどの地価と人口の関係でありますが、東京の地価の上昇というものはおっしゃる通り、初めのうちは一般物価よりも低かったのであります。それが昭和二十五年ごろから、がぜん他の物価を押しのけて上昇したということは、明らかに昭和二十五、六年のあれ以後です。都心に巨大なビルが建ち始めたのは朝鮮事変以来で、独占化を進めた東京に人口が流れてきた。それまでの人口はほとんど大したことはなかった。従って三鷹とか、ああいうところの人口が増加してきたのはついこの数年の問題であります。そのように人口が集中してくるから、その人口によって需給関係がくずれるから地価が上ってくる。これがどうしても人口増加と地価の平行線がちゃんと一致しておるのであります。 それからもう一つは、先ほど田中先生がおっしゃったように、公団住宅とか、そういったようなものが需給を満たすわけですが、そういうものがかえって地価の上昇を逆につり上げている。都心では十戸しか取れない予算でも、郊外へ行けば百戸できるとするならば、為政者にとっては、どこへ建ったかというよりも、何戸建ったかが問題でありますから、それで遠くへ向っていく。放射線のまん中の光ヶ丘のニュー・タウンだといって出すと、そのあたりの地価がスペキュレーション化して上る。従って貧乏人は貧困の集中であるから、その分散はまた貧困の分散となって広散化してしまう。そういうふうになってしまって、どんどん過大化する。従って、東京の先端だけ見ると、意外に遠くへ行って、千葉まで行っている、浦和まで行っているといって、遠くへ行っているのを見て、先端に円を描くと、東京はこんなに大きく描けば描くほど狭くなってしまう。つまり放射線の沿線を広くとればとるほど、広く広がった割合には、都心地域というものは狭くなってしまいます。東京は広くとればだんだん狭くなってしまうという現実で、需給関係はどんどんくずれてしまう。最近地価が下ったようですが、下った分は、円周辺は上っているから、総体的には少しも下っていない。東京への人口の集中というものは、依然として六十万の集中が行われております。その六十万が五十万か四十万に下るように見えるのは見せかけ上のもので、それは千葉に入り、埼玉に入って、そうしていなかの方に転出したのじゃなく、遠くへ遠くへやられる。そこで住宅地域と職場地域とがなぜ離れていくのかというような根本的な問題を研究しないで、やはり結果の方を規制するような今までのような考え方というものには疑問を持つわけであります。
○田中一君 でありますから、政治というものが、何といいますか、悪法がその現象を生んでいると考えたいと思うのです。私はそう信じている。清水先生は、現在の現象からそれを科学的に分析して研究なさろうとしていらっしゃるけれども、われわれは、やはりなぜそうなったかという原因ですね、これは相当大きな政治力、悪い政治の姿であるということになるのではないか。また悪い政治のために今日になったというこの首都を、またこのような形でもって、こうしたら一体あとはどうなるかということの解明は行われずして——あなたの言う理論的なものはよくわかる。私もある条件をつけるならば、お説の御趣旨に対しては同感いたしますが、背後にあるところの政治、悪い政治を見つめないで、その分析をすることは間違いではないかということを、私は私の意見として申し上げておるのですが、だから、どうかあなたの現象に対しての分析なり、御研究はいいと思いますが、その背後にあるところの力、たとえば独占資本という言葉を借りてもよろしいし、それから数々の死文化しているいい法律もそれを使おうとしないで、利用しようとしないで、ただ無条件に自由に勝手なままにさせておく。それを住宅公団なり何々公団、住宅金融公庫とかによって拍車をかけていくという点に目を向けていただきたいと私は思う。
○公述人(清水馨八郎君) ですから私は、私たちの理論はそうなんであっても、政治が悪いからそうなるんだというのですから、私たちは政治に参与できないのでありますから、政治に参与する先生方が、悪い政治を直してくれさえすればいいわけであります。
○田中一君 そこまでおっしゃっていただきたかったのです。今の、あなたがいろいろ学問的に研究なさって、結局これは政治が悪いんだという結論をつけていただけると、私はもうそれで……。
○委員長(早川愼一君) 公述人の方々には、長時間にわたりまして貴重なる御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして、厚くお礼を申し上げます。 それでは、建設委員会公聴会はこれにて散会いたしたいと思います。 午後三時五十三分散会