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30回国会参議院1958/10/21

外務委員会 第4号

発言数
79
登壇者
9
会派数
2
開催日
1958/10/21

会議録

青柳秀夫自由民主党

○委員長(青柳秀夫君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  本日は、国際情勢等に関する調査を議題として、質疑を行うことにいたします。  なお、岸内閣総理大臣は、理事会の申し合せにより、正午ごろまで出席のことになっておりますので、この点お含みの上で、順次御発言を願います。

曾禰益日本社会党

○曾祢益君 私は、日米安全保障条約の問題について、総理大臣に御質問申し上げたいと存じます。私が御質問したい点は、もとより交渉の途中であり、また、交渉そのものもまだ非常に進んでおる段階でもないと思いまするので、条約の条文等のことを問題にするつもりではございません。しかし、この安全保障条約の改定問題は、これは両国ともに大きな問題だと思いますが、特にわが国の立場から見れば、これは非常に重大な問題でございまして、少くとも、政府が言っておられるような抽象的な言葉で言えば、より自主的な、あるいはより相互的なと申しますか、より平等といいますか、そういう日本の立場を明らかにしたような、新しい安全保障協定を日米間に結ぶ、そういうような表現を使っておられまするが、そのことが、大体どういう内容と、どういう意味を持つか、そういう点については、この政府の考え方があらかじめ国民に十分に示され、その国民の理解のもとに交渉が行われることが、私は絶対に必要だと思います。たとえば、どういう点がより自主的、あるいはより相互的な点になるかということは、お互いに外交に関して相当な知識を持っておる者から見れば、これはやはりNATO方式があり、あるいは米韓、米台——台湾ですね、あるいは米比条約、いろいろな条約の型というものが、それぞれあるのであります。より相互的な相互防衛条約という以上は、大体においてこういう内容のものであるということは、これは政府当局者や衆参の外務委員等には、おぼろげながら輪郭はわかります。しかし、国民は何のことかわからぬ、実際の話。しかも、こういう点が何ら国民に示されないままに、交渉が進められるということがあるならば、これは、私は非常に重大なことだと思うのです。ことに今、国民をあげて、ただに国会におけるのみならず、国民をあげての最大の関心事が、いわゆる警察官職務執行法の改正、われわれから見るならば、これは執行法の改悪であるのみならず、警察国家の再現に通ずる危険なる、非常に重大な政府の意図だと思うのでありますが、この問題に国民の視聴が向けられておるその間に、もしも国民の視聴からはずされた間に、国民がどういうことかわからないうちに、安全保障条約の改定がなされるとするならば、これまさに日本のためにも、また、高い立場に立っての日米の関係からいっても、これは非常に不幸な事態である。よもや、政府がわざわざ、そういうような意図で、警職法のカムフラージュのもとに、安保条約を秘密裏に作るというお考えがあろうとは、私たちも想像したくありませんが、結果的に、その改正の基本的な方向、これに関する政府の明確なる方針、これに対応する国民の気持というものを察せずに、安保条約の交渉が、ただひたすら秘密のベールのうちに行われることは、断じてこれは国家のためにとらない。そういう意味から私は御質問いたしたいわけであります。たとえば政府でも、決して内容に全然触れないで来たわけでもないと思います。たとえば三沢における藤山さんの新聞記者会談におけるある種の報道によれば、より民主的、より平等な安保条約ということは、たとえば米台湾、米韓国、あるいは米フィリピン、こういうのもあるのだということも、とにかく話されておるようであります。私は、これは当然だと思う、内容がいい悪いは別として。いやしくも、より自主的な、より相互的な安全保障条約という以上は、今の日米安全保障条約と非常に違ったそういう型、パターンというものがあることは事実である。たとえば、これらの点について、こういう点を改正するのだ、したいのだということは、ただ、より自主的、より平等、より双務的というような抽象論でなくて、具体的に今の安全保障条約のこの条項については、こういう条項が不平等なのだから、こういう点を改めたい、そういういき方でもよし、また、積極的に、米台条約、あるいは米比条約の方から見て、こういう条項を設けたものをやるのだ、こういうことは当然に示されなければならない。それを具体的に申し上げるならば、これは、新聞等に伝えられているところでわれわれが想像して言うのですけれども、よく一般的に保守党の諸君の言われるような、今の安全保障条約の不平等な点として、たとえば、条約に期限がない、期限がなくとも、いわゆるこれを終了し廃棄する条項がない、そういう点を改めるというなら、これも一つのポイントになると思う。それから、たとえば内乱の場合、大規模な擾乱の場合に、日本政府からの頼みがあるならば、日本に駐留するアメリカ軍を内乱鎮圧にも使える、こういう条項、これは幾ら何でも見っともないから、こういうものははずすのだという意見もあるやに聞いておる。あるいは、元来安全保障条約のこれは非常な特色とも言うべき日本に駐留するアメリカの軍隊の駐留の目的というものは、日本に加えられた武力攻撃の際に発動する、使用するというよりも、それより先に、極東の平和と安全のために駐留するということが、むしろ駐留の最大の目的になっておるわけです。そういう点は、これは日本から見るならば、かりにアメリカによって日本が守られたいという立場をとる人でも、どうも極東の平和、安全を守るために日本に駐留されるのは、これはそれこそ不平等であり迷惑だから、そういう点はやめてもらいたいというのなら、それも一つの問題となり得るわけです。それを裏返して言うならば、少くとも日本に駐留するアメリカ軍隊が勝手に海外に出動するというようなことは、これを禁ずるのか、そういう駐留目的からまず除くのか、かりにそれができなくとも、少くともそういう出動は勝手にやらせないという何らかの制約なり、協議というものを設けるというのが、あなた方のおっしゃる自主平等の目的の一つなのか、こういう点がやはりあげられなければならない。さらに、私は例示的に申し上げるのですが、さらに今度は、配備、装備の問題。いわゆる配備と装備についてはあとで議論を進めたいと思いまするが、これをかりに装備に限って言っても、日本に駐留するアメリカ軍隊の装備が、あのままであって、何ら条約上制限されないのは困る、少くとも核兵器については云々という問題、この点を取り上げるのか取り上げないのか、最後に、アメリカによって日本が守られることが望ましいという立場の人から言うならば、今の条約では、アメリカ軍が日本を防衛するという間接の結果は、駐留によって起るかもしらないけれども、それはアメリカの義務にはなってないから、アメリカが日本を防衛する義務をはっきり書くべきだ等々の、いろいろな、いわゆるこれが自主平等ということを言う意味なんだということが、これは条約の形ではなしに、内容的にあってしかるべきである。それがあって、それに対して、大まかに政府はこう考える、こういうことが示されてこそ、その上に立って、私どもの言うような、安全保障条約はそういう自主平等というような立場から、いわゆる手直しをするとかということは根本的に間違いなんで、相対立する軍事同盟はむしろやめて、安全保障条約も解消するという方向、いずれの陣営にもつかないという立場で、双方の陣営を含めた安全保障の新しい体制を作った方がいいという主張が果して正しいのか、それとも、自主平等という建前において、日米の双務的な相互防衛条約を作る方が正しいのか、ということの正しい国民の判断ができると思う。私は、その安全保障の基本的な観念についての論争は、この際しようと思いません。少くとも、ややナイーヴな気持から、まあアメリカに守ってもらうのもよかろろという立場の人が、相互防衛同盟条約的になった場合に、どういう結果が起るのだということから、そのプロなりコンなりがはっきりわかった上に、この問題に対する国民の意思が、意見が発表されるので、そのくらいのことをせずに、いきなり、ただ自主平等であるから政府にまかしておいてくれというようなことで安保条約の改定交渉が進められる、これは、条約のことですから、先般同僚羽生委員も指摘したように、きまってからあとで国会で直すということは、これは国際信義の上からいってもできることじゃない。そういうことがあってはならないと思う。  大へん長いことを申し上げて恐縮でしたが、そういう意味で、私が今例示した点、それぞれについての御意見でなくともけっこうです。総理が自信を持って、自主平等とはこれこれの今の条約をこう直すんだ、あるいは他のパターンから見て、こういう条約を作るのだと、この点を概括的に明らかにされることが必要だと思うので、この点をぜひ総理から、この際、はっきり伺っておきたい。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(岸信介君) 現在の安保条約の成立当時の事情もありましょうが、内容的に見て、アメリカの一方的であるということは、これはもうだれもがよく承知しておるところであります。われわれ国内における体制が、当時と非常に変ってきた状況であり、また日米の関係も、相互の理解と信頼の上の協力という対等な立場に立ってこれを話し合って解決していくという基本的な立場に立って考えてみるというと、私は、安保条約の現在の内容において、あるいは既定の条章の持つ意味において、自主的、対等的な立場から、これを再検討するという時期がきておると考えて、アメリカとの間に基本的な話し合いをしたわけであります。もちろん、この問題について、非常に大きな制約としての日本の憲法、日本憲法の建前からいって、海外に派兵できないという、この動かすべからざる一つの原則の上に立ってこれを考えなければならぬ。従って、従来ありますところの、今いろいろなパターンをお例示になりましたが、そういうものと違う点は、一番大きな違う点は、日本憲法の持っておる制約の範囲内で自主対等な立場における双務的な体制を考えるという点は、これは非常に大きな前提として、今まであるいろいろな国際条約等の持っておる内容や意義と非常に違うという点が前提であります。しこうして、今おあげになりました期限の点であるとか、あるいは防衛の義務の点であるとか、あるいは装備、配備について一方的にできる、使用の点について一方的にできるというようなことが、現在ある安保条約の一方的な、片務的な規定の内容をなしているということは、これはもうすでにおあげになった通りであると思います。これらの点について、両方が、今申しましたように、大前提の日本憲法の制約の範囲内において、そして両方の対等と日本の自主性に立った見地から、今おあげになったような諸点についての検討及び話し合いをされるということが、私は内容においての重要な点にある、かように考えております。今具体的にどういうふうに進行してどういうふうにするのだということは、交渉のまだ段階でございますので、ここで申し上げることは適当でないと思いますが、今私がお答えを申し上げたことによって、大体の政府の方針なり考えというものは明らかになると思います。   —————————————

青柳秀夫自由民主党

○委員長(青柳秀夫君) ただいま委員の異動がございましたので、御報告をいたします。  杉原荒太君が委員を辞任されまして、平島敏夫君が補欠選任されました。   —————————————

曾禰益日本社会党

○曾祢益君 私みずからあげました六項目ばかりの問題は、これは一つの例として申し上げたので、一々それについての御意見を今ここで承わるつもりはございません。総理の言われることが、おぼろげながらわかる点もありますが、そうなりますと、こういう結論になりはせぬかと思う。大体アメリカとの相互防衛条約を作る、ただし、ほかの国と違うのは、日本の憲法の特殊性、その憲法の特殊性も、特にこれを一点に集約するならば、海外派兵はできない、その制約さえあれば、相互防衛条約的のものにするのが、いわゆる自主的な、より相互的な改定の方向だと考えてよろしいかどうか。その点についてお答えを願いたい。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(岸信介君) 今お答え申し上げましたように、対等な立場から相互的に考えるということでありますというと、できるだけ相互に安全を保障し合うということが、基本的な考え方にると思います。しかし、今お話の、私がお答え申し上げましたように、日本の憲法の制約という問題が前提となるわけですから、その点におけるところの条項というものをはっきりして、そうしてその範囲内においてわれわれが負う義務なり、あるいはわれわれが日本としてアメリカ側に要求することなり、そういうことが、自然にその制約内において論議の対象になってきます。かように私ども考えております。

曾禰益日本社会党

○曾祢益君 私の質問は非常に具体的で、イエス・オア・ノーしかない。大体においていろいろの型があるけれども、大まかに言えば、相互防衛条約を作る、ただし、日本の憲法の制約のもとに行われる。言いかえるならば、憲法の制約の、特にこの点に関して顕著な制約と思われるのは、海外派兵である、だから海外派兵はしないということをまず軸としながら、しかし、基本的に今までの安全保障条約のようなものではなくして、相互防衛条約的のものを作るのだ、こういうお考えであるかどうかということを伺っておるわけであります。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(岸信介君) 大体そういう方向で考えております。

曾禰益日本社会党

○曾祢益君 これが私は非常に重要な問題であって、それが明らかになるかならないかによって、国民の賛否の議論というものがおのずとそこからはっきりしてくる。問題の核心がそこにあるのだ。と申しますのは、一体この相互防衛的な条約にするということは、簡単に考えるけれども、今までの日本の地位が、防衛的に、外交的に、本質的に違うということです。ただ単に日本が武力を持っていないときにできた安全保障条約だから、過渡的なものだからという以外に、日本の意思によって、ある地域——これはあとで議論しますが、主として日本地域ということになるでしょうが——ある地域についてアメリカという他の国と相互に共同に防衛することを約する形になる、これが一つの大きな点だと思います。一体政府は、その相互防衛という観念そのものを、非常に簡単に考えておられると思うのですが、私は、これが非常な問題の中心だと思う。総理も御承知のように、アメリカの作りました一切のこういったような相互防衛条約を見れば、その中心をなす概念は、簡単に言って、バンデンバーグ決議というものだと思うのです。そのバンデンバーグ決議の精神を入れるか入れないかということは、これは日本としては清水の舞台から飛びおりるか飛びおりないかという重大な決意になるわけです。何となれば、バンデンバーグ決議は二つの意味がある。これを条約の条項に直せば、たとえばNATO条約の第三条とかあるいは米台湾、米韓国、米フィリピン条約の第二条にみんなこの条項がございます。それは一体どういうことかといえば、これは継続的かつ効果的な自助並びに相互援助という、これによって自分の国の防衛力もその意味でこれを維持し発展させる。継続的かつ効果的に自分を守るため、自己援助のため、簡単に言えば軍備を維持し軍備を増強するという基本観念ですね、これを認めるか認めないかという非常な大きな問題。だから相互防衛条約に踏み切るという以上は、まず第一の、日本に防衛力を維持し拡張するという意味と義務というものが条約ではっきり現われてくる。今までの安全保障条約のように、日本が防衛力を持っていない、しかし国際的に危険なる状態がある、だから前文の中で日本が他国を脅かさない程度の自衛力を漸増的に日本がみずから負っていくことを期待するということは、明確には条約上の義務になっていないと思います。そういうことでなしに、はっきり割り切って、日本みずからの防衛力を持ち、維持し、それを強化する。それは日本みずからを守るためのみならず、相互援助の目的で日本の防衛力を維持し、拡張するということを、ここにはっきり約束するかしないか、これなしに、簡単に自主的な立場とかより双務的な立場でこの安全保障条約問題を、言葉は悪いかもしれないけれども、いじくっていくということは、これは全然国民の何も知らないうちに、清水の舞台から飛びおりちまう結果になるのだということを明らかにせにゃいかぬ。それが第一点であります。  それから第二の点は従って、これをさらに具体的に言うと、日本の憲法があっても実質的に日本の憲法の制約を無にするような義務を条約において負うことになりはしないか。表面的には、この条約によって憲法を変えるということはできないことは、だれにもわかっています。しかし、日本の防衛力というものは、そういうどんどん維持し、どんどん拡張し、それも自国の防衛のみならず、他国とも共同して防衛するという意味で持つということは、これは日本の今の憲法じゃできないことだと思うのです。だから、それだけの決意がおありになるかどうか。それから憲法を直接変える効果が、直ちにそのバンデンバーク決議に対応する相互防衛の約束からでないにしても、少くとも軍備の質的強化と軍備を持つ意味が、日本の自国の防衛のためだけでないという非常な大きな別の意味を持ってくるということを私は指摘したいのです。これが第二の点。  第三の点は、そういうことは、言いかえれば、ある限られた条約の地域、これは日本の地域になるか、あるいは西太平洋になるか、これはいろいろあとで条約適用地域の問題から論じなければいけませんけれども、いずれにせよ、両国に加えられた武力攻撃は、これは共通の脅威、共通の危険である、こういうことをはっきり割り切って、それで今までみたいに、まあ簡単に言えば、日本が無力でございまするから、アメリカさんに守ってもらいましょうというのでなくって、はっきりと共通の敵に対して、あるいは、敵という言葉が悪ければ、共通の危険に対して、共同で行動をとる。行動ということは、もちろん軍事的行動を中心とした共同の行動をとる。これは条約上はっきり表われてこなければならない。これは普通の相互防衛条約の場合には、さっきの条項とは別の条項に必ずそういうふうに書いてある。NATOの第五条、米韓条約の第三条、米比条約の第四条、米台湾条約の第五条、全部、両国に加えられたある一定の地域における両国の領土あるいは両国の持っておる軍艦だとか飛行機だとか船舶等々に加えられた脅威なり攻撃は、自動的に、観念上は、他の締約国に加えられたものとみなす。それで、どう行動を発動するかということは、それぞれの憲法の手続によってやるでしょうが、観念においては、一方の国に加えられた攻撃は、他方の国に加えられた攻撃とみなすと、こういう頭の根本的な切りかえを意味する。そこまで割り切って、自主独立相互主義がいいのだからといって、そこまで割り切って、安全保障条約を根本的にそういうふうに変えていくというのが、あなたのほんとうのお考えであるのか。これはその方がいいという国民があるかもしれません。そこまでいくのは危険だという国民もあるかもしれないし、ただ自主独立だというようなことで、そういう非常な大きな意味、インプリケーションのある問題を、事実そのままこういうふうになったということを示さずに、いつの間にか相互防衛条約という形ができておったというのでは、話は済まない。それは、私は正しい政治ではないと思う。これはやはり、国民にその真相と政府の真意と決意を明らかにして、初めてその後に条約の交渉に当るべきであるということは言うを待たないと思います。どういう決意でこの点を考えておられるか、明らかにせられたい。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(岸信介君) 防衛力の増強の問題については、すでにわれわれが国会でしばしば言明しておることで、国力と国情に応じてこれを漸増するという方針で、従来からもこれはずっと貫いております。これが自国の防衛のためにそういうことをしなければならないという、またそれが日本の憲法の限度であるということは、これは今お話の通りでありまして、私どももそう思います。他国の防衛のために、われわれが防衛力を増強するということは、日本の憲法が許しておらないということは、これはもう、私は憲法の前提であるということを言っておるのであります。ただ単に海外への派兵だけでなしに、憲法のこの大きな精神というものは貫かなければならない。これは言うを待ちません。それから、従って両方に加えられておるところの危険に対してとる行動というものは、これもまた憲法上の制約、これまた私は疑問のないところであると思うのであります。ただお話のように、ある条約にきめられた地域というものがあるわけです。それに加えられた一つの危険というものを、共同して、それはお互いに加えられた危険として、これを防衛するということは、これは相互防衛条約の基本的観念でしょう。私は、そういう立場において、相互防衛的な構想は当然考えなければならない、かように思います。

曾禰益日本社会党

○曾祢益君 どうも僕にはちょっとわからないのですが、一体、日本の憲法の解釈はいろいろありますけれども、政府の解釈によってすら、日本の防衛力は、日本を守るためのみの——まあある種の限定はあるでしょうが——防衛力だ。外国を守るための防衛力であってはならない、これが憲法の解釈だということを、総理も今明瞭に述べられた。もしそうならば、これは少くともバンデンバーグ決議みたいな、継続的かつ効果的の——自助の方はですね、自助の方はかりにあなたの議論によってカバーされるにしても、相互援助ということは、憲法上できないということになるのですね。これは明瞭だと思うのですよ。そうならば、普通の意味のいわゆる相互防衛という観念からはずれることになる。その点は一点の疑いもないと思う。その点をもう一ぺんはっきりお答え願いたい。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(岸信介君) 相互援助と申しましても、私は援助の内容というものはあると思うのです。それが憲法の範囲内において、われわれがそういう場合において、援助し協力するという範囲は私はあると思う。全然相互援助というものが、憲法に違反しなければできないというふうには、私、考えておりません。

曾禰益日本社会党

○曾祢益君 それは岸総理のような明快な頭の人にしてはおかしいのです。二つの観点、一つは防衛力を維持し増強することの目的なんです。それが日本の防衛力、日本を守るための、つまり自助のための防衛力の維持と発展ということと、もう一つは相互援助という目的のやはり維持と発展ということは、はっきり出てきている。それは目的である。どう発動するかということは、先ほど私が分けて言ったように、別の条項なんです。どの区域でどう共同して発動するかというのが次の問題。少くとも日本の憲法から言えば、そういう相互援助の目的を含んで、と言ったらいいでしょう、より正確に言ったら、含んで防衛力を維持し発展させることは憲法上できない。それは明快じゃないかと思います。もしそうなら、相互防衛条約というものは成り立たないと思うのです。  第二に、どういう場合にどの点で共同行動をとるかという、これは別の問題だと思います。防衛力を維持し発展する、防衛力の持っている意味、それが自分のためだけだという、ある意味ではエゴイズムの考えじゃいけないということが、このバンデンバーグ決議なり、アメリカを中心とする西欧側の作っているすべての相互防衛条約の基本精神だ。それを認めるのか認めないのかということは、これはもう交渉の中核、問題の中核をなす点ですから、私は明確にしていただきたいと思う。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(岸信介君) 先ほど来私が明確に申し上げているように、この相互防衛と申しましても、前提は、日本憲法の制約の範囲内ということを、私は厳守しているのでありまして、その範囲内において考えらるべきものである。私は日本の防衛力の維持増強ということが、あくまでも憲法の命じている自衛力の範囲内に限られていると、かように思っております。

曾禰益日本社会党

○曾祢益君 それは、はなはだしつこいようですけれども、問題の点をそらしちゃいけないと思います。重要な点ですからね。憲法の範囲内であるかどうかは、今の戦力についても議論がありますよ。それは別としても、あなた、今までの歴代首相の言い分から言えば、それは日本を守るためなんで、外国のためではない。今度の相互防衛条約を作るという以上は、そういうエゴイズムは許されないというのが基本観念なんです。日本だけ守るんじゃなくて、ある区域に、発動等については憲法の制約もあるでしょう。その国の実力からいって、たとえばアイスランドのごときものは、軍備はあるかないかわからない国ということになっている。基本観念は自分の国だけ守ればいいということじゃなくて、いやしくも防衛力を持つ以上は、これはある国と一緒に共通の目的のために防衛力を維持、発展させるのだ。こういう基本観念がすべての相互防衛条約の基本なんです。あるいはほとんどすべての集団安全保障条約の基礎条件なんです。それは憲法の範囲であるかどうか、発動の問題ではなくて、その点をはっきりしていただきたい。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(岸信介君) 曾祢委員と私の考え方において根本的に違うことは、私どもは憲法の制約というものを第一条件として、前提として考えておる。すべての問題を。今、曾祢委員の御議論を聞いていますというと、それよりも、すでにある相互防衛の援助協定というものをも前提として議論されておる。私どもは、初めから今までの世界、今までの観念とは違ったものが前提で、日本憲法というもののこれはよそに例を見ないところの憲法を持っておるのですから、その制約内ということを前提として、すべての問題を考えていくというのが私どもの考えであります。

曾禰益日本社会党

○曾祢益君 これはもう議論はから回りしているのです。実際のことを言うと、僕らはむしろ現在の防衛力でも憲法のワクを離れていると言っているのですけれども、私の申し上げたいあるいはお聞きしたい点は、そうなると、いいですか、そうなると、あなたがさっき不用意かどうか知らないが、言われたけれども、大体において相互防衛条約なんだ、ただし憲法の制約がある、特に海外派兵はしない、こう言われた。しかし、もし今のあなたの言っていることの通りとすれば、少くとも継続的かつ効果的の自助及び相互援助というような観念は認めない、自助の方はこれは日本の憲法の政府的な解釈によって、陣衛力は増強するかもしれませんけれども、それも条約上の約束にないし、日本の防衛力を維持する問題は、日本だけの防衛のためであって、相互援助というような観念を認めた条約は作らない、こう考えてよろしいですか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(岸信介君) 御質問の趣旨が私よくわからない。私が申し上げておるのは、あくまでも憲法の範囲内において、その間における相互の援助というものもあるだろう、それからわれわれが防衛力を増強するという問題もありましょうし、そういう憲法の範囲内という前提を置いて、すべての問題を解釈しまた、考えるべきだというのが、私の考えであります。

曾禰益日本社会党

○曾祢益君 私は時間を取りたくないから、この点はさらにあとで御質問したい。というのは、総理は、初めは確かに私の言ったように、これはただ憲法解釈——いかに憲法を解釈してみても、日本の防衛力の維持増強は、少くとも日本のためであるならば、ある種の限定された自衛という観念から許されるとしても、日本の憲法の特殊性は、外国との結んでのいわゆる相互援助というような観念での、そのために防衛力を持つなんということは、全然許されていない。これは総理も言われたが、正しい解釈だと思うのです。従って、もしそうならば、今日これはまだできていない条約のパターンを、これ以上議論しませんけれども、私はこの際明瞭に指摘しておきますが、それならば、あとになってNATO条約や米台条約にバンデンバーグ決議みたいなものを入れてきて、あとになって、いやこれは憲法で許された相互援助だなんか言うことは、断然認められません。これはあなたの言葉みずからがそれを証明しておるということを指摘しておいて、この点の論争はあとに譲ります。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(岸信介君) ちょっと私が申し上げておることと、今、曾祢委員のお考えとは非常に食い違っておると思うのですが、私は、すべて憲法の範囲内で物事を考え、またアメリカの方とのすべての交渉の前提として、日本憲法の特殊性というものを前提として話し合いをしているのですから、私はその範囲内において、これはもう今までの相互援助条約やその他のパターンとは非常に違う点があるということを、明瞭に申し上げているわけでありまして、それを前提として、すべての交渉を展開していくということを申し上げているということを御了承願いたい。

曾禰益日本社会党

○曾祢益君 そこで、もしそういったようなバンデンバーグ決議みたいな条項を認めれば、少くとも憲法上非常な疑義が出るということになると、一体より自主的な形というようなことが、どこで出てくるのか、日米関係から。たかだか基地を提供するだけで、まあ大体これで平等なんだ。向うは兵力を持ってくる、こっちは現物出資で基地だ、こういうような形で、まあまあこれでも自主双務的なんだということにおさめざるを得なくなってくるのではないかと思うのです。もしそうだとすると、日本におけるアメリカ軍の基地というものが、日本を守ってもらうためにだけ基地を提供するということで済むかどうか。これは、私は、どう考えてみても済まなくなるのではないか。だから今安全保障条約にあるアメリカ軍の駐留の目的に、先ほど申し上げたように二つの目的がある。間接ながら日本を守るという目的が一つと、しかしそれよりも、これは朝鮮動乱の最中だったからでもありましょうが、アメリカが日本に基地を持つ理由、おもなる目的は、日本という戦略地点を守るということももちろんあるけれども、むしろそれを利用して、極東の平和と安全のために、つまりアメリカの極東における戦略的な展開に、日本の基地を使おう。そのために駐留する。日本は兵力の方は出しませんから、何とかそれでも平等なおつき合いにしようと思えば、日本の基地というものを、日本を守ってもらうためにアメリカに貸すのではなくて——その分もあるかもしれぬけれども、より多くの意味は、日本を基地として全太平洋かあるいは少くとも西太平洋におけるアメリカの配置に貢献してやるのだから、そういう意味で日本の基地を貸す。つまり海外出動の基地を貸すということを、はっきりと認めなければ、いわゆるアメリカとのバーゲィンといいますか、取引といいますか、自主独立ということを建前にすることはできないのじゃないかと思うのですが、どうですか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(岸信介君) 条約を双務的にし、できるだけ対等な形にするということにつきましては、先ほど申しておるように、その前提としての憲法という制約の範囲内で今考えていくべきである。それをどういうわれわれが内容を持った義務を負うかというようなことは、これは交渉の内容に属する問題であります。従って、今ここでそのことを詳しく申し上げる段階ではないと思います。

曾禰益日本社会党

○曾祢益君 詳しく伺ってはしませんが、自主平等とか双務的という観念でいけば、まずバンデンバーグ決議にぶつかりはしないか、相互援助というためには。もしそれをのがれようとすれば、基地提供という意味が、これははっきりクローズ・アップされてくるのは当然である。その場合には、日本を守ってもらうためにだけいらっしゃって下さいというのでは、これは取引にならないので、やはり現在の安全保障条約のように、日本を守りかつ極東の平和と安全のために日本に駐留を認めるという結果になるおそれが多分にあるということを、私は指摘しているのです。そうなるかならないかという条約のこまかい条項でなくて、自主独立ということでいけば、そういう結果になりはせぬかということを、私はお伺いしているのです。お答えなければけっこうです。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(岸信介君) これは現在の安保条約の内容もございましょうし、われわれが今度新しく結ぼうとする条約において、このわれわれの負うべき義務をどの範囲にするかということは、交渉の段階に待つべきことである。従いまして、今ここで明確にそれに対してのお答えをすることは適当でないと考えるのであります。

曾禰益日本社会党

○曾祢益君 それでは今度は観点を変えまして……

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 ちょっと今のに関連して。今の曾祢さんの質問に関連して、私一言だけお伺いしたいのです。条約の内容に関することは、こまかくお話しになれぬのはよくわかりますが、しかし曾祢さんの聞いておることは非常に大事だと思うのです。特に極東の平和と安全に寄与するということが、再び今度の新条約の中に盛り込まれるのかどうか、単に基地を提供すれば、これで今お話の相互援助の内容をカバーすることなのか、カバーすることと考えられるのか、あるいは新たに今度の条約も同様に、極東の平和と安全に寄与するという考え方が盛り込まれるのかどうか。これは条約の単に技術的な問題ではなくて、私は根本的な問題だと思うのです。それをもし盛り込まれるということになれば、これはもう従来のことともっと違った意味で、非常な大きな意義を持つし、非常に重大なことになると思うのです。これは単に技術的な問題としてお逃げにならぬように。極東の平和と安全に寄与するという、そういう意味のものを盛り込まれるかどうか、これは一つ明瞭にお答えをいただきたい。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(岸信介君) 条約については、まだ具体的に交渉の段階に入って、そういう点まで論議を進めておるわけではございませんで、従って、ここで、まだそれに御返事を申し上げることは、私の意見を申し上げることは、適当でないと思っております。あくまでもわれわれは、先ほど来申し上げているような立場で、具体的内容については、両方の話し合いをもう少し進めてみる必要がある、かように考えております。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 議事進行上、実は私は質問ではないのですが、要望したいのですけれども、この前も藤山外務大臣にそのことは要望いたしましたが、この条約の内容について、こまかく一条一条、ここはどうなる、あそこはどうなるかということをお尋ねするわけじゃない。しかし、日本の国民の運命に、安危に関するような重大なこの条約の問題を、実際上は、もうできてしまったあとに、実はこれができ上ったものでございますというような形で提示されても、それからあと質疑をしても、なかなかこれはどうなるものでもないのです。だから、少くとも基本的な問題については、先ほど曾祢さんが最初に述べられたように、政府としてはこういう態度で、こういう方針で臨むのだ、しかし条約の細目については、手続上の問題もあるから、時間をかしてもらいたい、これならわかる。しかし、憲法の条章に規定された範囲内でということで、全部逃げられてしまうのならば、外務委員会なんかあってなきがごときもので、今日首相にここに出ていただいて、御足労をわずらわす意味もまことに意味ないことになると思うのです。これは私は非常に遺憾だと思うのです。国民の安危に関する重大な問題ですから、私は十分やはり基本的な問題については、見解を吐露されることを、私は議事進行上お願いいたしておきます。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 関連質問をいたします。ただいま総理のお話を聞いておりますというと、海外派兵はしない、憲法の制約の範囲内で、相互援助の基地を日本の方から提供すること、その方法があるというお話ですが、それでは、海外派兵を除いては、今の現行憲法と抵触しない範囲でアメリカにオファーする援助というのはどういうものであるか、それを私は明示していただきたいと思うのであります。例をあげて一つ御説明願わないと、どうも私、納得できない。それを一つ例示していただきたい。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(岸信介君) 具体的なことは、なお、これは十分一つ……。交渉の内容になりますけれども、さっきおあげになりました基地の問題もありましょう。それをどういうふうにするかという問題も、これは交渉の内容に属するものであります。私は、いろいろな点において、やはり援助するというなには成り立つと思っております。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 基地の問題がありましょう、ですけれども、この基地の問題についても、アメリカ軍が単に日本の防衛だけでなくて、外へ出ていくのに使うということになると、これは重大問題になってくる。ほかにいろいろなことがありましょうということになって参りますが、まだあなたは、条約の交渉にはこまかく入っておらぬというお話でございますが、私は、条約のこまかい交渉に関連のある問題ではなくて、具体的に、実質的に、一体憲法の制約の範囲内におけるものが、どういうものがあるかということを御提示を願いたい。これは条約の交渉を離れても、あなたは国民にお示しになることができると思うのであります。そこで私はそれをお伺いしておるのですが、基地の提供以外に、一体どういうことがあるのか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(岸信介君) 考えようによれば、いろいろななにがあると思います。第一、日本みずからの体制なり、日本本来の領土に対して日本が防衛できるという体制を持っておるということ自体が、一つのやはり非常に大きな援助のなにになると思います。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 ちょっと議事進行について。  どうも本国会の本会議以来の総理の意見、答弁を聞いていると、いよいよ堂々めぐりをして、一向議論は進まない。そこで、今みんなから要求をされておるように、もうすでに交渉にも入っておられるのですから、条約改定の基本的な、根本的な方針と、それからそれの全般的な構想、どんなことが改定あるいは新条約に盛られるか、概括的な内容、そういうものを少くとも全般的な構想をまとめて、一ぺん本会議を通じて、あるいは外務委員会に対して、そちらから積極的にまずお示しになるということが、もはやこの段階においては絶対必要だという感じが、これはみんなしておるのだと思うのですね。従って、それを適当な機会に示してもらいたい。いつまでに示していただけるか、お示し願えるかと思いますが、その点を一つ答弁願いたい。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(岸信介君) 私は、この安保条約改定の基本的な方針については、抽象的でありますけれども、述べております。具体的な内容については、これは交渉の段階において、まだ中途であるから、それを公表するのは適当ではないというのが、従来から皆さんに申し上げておる私の考えでありまして、従って、その方針で考えておりますので、今、佐多委員の御指摘にあったようなことに、果して御希望通り沿うことができるかどうか、私としては、ここでお答えをすることはできぬと思います。

曾禰益日本社会党

○曾祢益君 あと二点だけ、大へん時間を使って恐縮ですけれども、二点だけ、重要ですから続けて御質問いたします。  第一の点は適用区域の問題、第二の点は配備と使用の問題です。  適用区域の問題は、今、駐留の目的の、極東の平和と安全のために駐留させる、させないの問題とまた離れて、適用区域の問題、いやしくも共同防衛になるわけですから、相互防衛になるのですから、アメリカの行動だけでなくて、日本の行動としての適用区域ということは、非常に重要な問題になる。この問題は、この条約を改める以上、あるいは改めて作る以上は、これを逃げるわけにいかない、そこで、いわゆる日本区域という観念が一等狭い観念、一等広いのは世界でしょうけれども、まあおそらく極東とか太平洋地域とか、西太平洋区域とか、いろいろございましょう。しかし、常識的に考えて、政府もまさかそういう広い区域ということをお考えでないと思う。そこで問題となるのは、日本区域ということと関連してだれも考えるのは、日本の潜在主権のある沖縄の問題、沖縄をいわゆる共同防衛区域、条約適用区域に含めるのか含めないのか。沖縄、小笠原と言ってもいいでしょうけれども、何といってもかなめは沖縄です。これは条約の交渉の技術の問題じゃございません。これこそ基本的な問題であって、少くともある意味においては潜在主権を持っている沖縄を観念的に見捨てるわけにいかないという点が一つ、さればとて潜在主権に引きずられて、いわばそれのとりこにされて——日本の潜在主権にとりこにされて、適用区域を広げた場合に、さて沖縄はいかなる地位にあるか。これは非常に大きな問題で、世間に伝えられるいわゆるNEATOになるかならないかということ、少くとも日本の意思も加わって、日本が沖縄に共同防衛区域を広げるということによって、事実上NEATOは結成されるのと同様なんです、日本の意思が加わったNEATOが。従って、沖縄が加わるのか加わらないのか、これを一つはっきりとお聞かせ願いたい。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(岸信介君) この点は、今度の改正問題において、今御指摘のあったように、私は非常に重要な一つの点であると思います。われわれもまだそれについての具体的の交渉に入るまでの段階になっておりませんが、この交渉の段階においては、非常に重要な点であると思います。今お話のように、これらの議論につきましても、十分に私どもそれを頭に置いて、慎重に検討をいたしております。

曾禰益日本社会党

○曾祢益君 これがきまらなければ、どだい交渉に入れないほど重要な問題です。いつまでもきまっていないということは、われわれ了解できない。必ずしも一部の新聞に伝えられるように、藤山さんのワシントンにおけるこの問題の交渉が進んだのは、沖縄を含めることにあらかじめ同意して、その取引によってというふうに考えたくありませんが、政府がきまっていないで交渉に入るなんということは、これは国民が納得できないことです。  そこで一点だけ伺いたい。これは外務当局からでもいいですが、一体、米台、米韓、米比条約等でいろいろアメリカのいわゆる台湾や韓国やフィリピンが共同防衛をやる場合に、アメリカの太平洋や西太平洋における属領なり領土というものを規定しております。それはいろいろな表現を使っております。各条約によって違うんですが、たとえば米台条約では「西太平洋の属領諸島」ということを書いてある。それから米韓条約では、太平洋におけるアメリカの「行政的管理の下にある領域」という言葉を使ってある、米比条約では太平洋の属領というような言葉を使っておる。これらの三つの条約に限ってでけっこうです、各条約の解釈から、一体、沖縄というものは入っておるのか。この条約の適用区域に入っておるのか入っていないのか、この解釈を一つお伺いしたい。

高橋通敏外務省条約局長

○政府委員(高橋通敏君) ただいま御指摘の点でございますが、米台、米比、米韓、いずれも表現の差は多少ございますが、沖縄は入っております。

曾禰益日本社会党

○曾祢益君 これは、わが国の意思にかかわらずできたものでありますし——まあそれでもずいぶん失礼な話だと思いますけれども、施政権を持っておられる関係でこういうことができたと思うのですが、だからこそ、私が今申し上げた、今度日本の意思が加わった共同防衛区域に沖縄が入った場合に、まさに沖縄を環として、いわゆるNEATOが結成されると同様になるのですね。この重大性というものは絶対に強調し過ぎるということはないくらい強調されていいわけです。私は、だからといって、沖縄の施政権返還に怠慢であるとは毛頭考えません。これは日米安保条約の改定交渉なんかということがあればこそ、むしろまず本則として、沖縄の施政権を返還させなければならないということになるのです。そうしてその危険な核兵器、原子力、原水爆の基地をやめさしていくことが基本になる。だから私は、沖縄施政権返還の重要性を決して過小評価するのじゃないが、しかし、現状のまま沖縄を抱いたとき、これを日本の共同防衛区域にしたときの結果というものはいかなるものであるかということが、国民によくわかっていなければならないことを申し上げるのです。私は、政府はその点についてもっと慎重なる考慮をされてうかうかと入るのじゃなくて、政府の意思はどっちだということを、国民に明らかにしてから交渉されるなら交渉さるべきであるということを、強く要望しておきます。  最後に一点だけ。これはもう特に岸総理は岸・アイク声明のときに触れられた問題ですが、いわゆる日本におけるアメリカ軍、この日本におけるアメリカ軍の意味が、日本を守るための場合、あるいは今度の新しい共同防衛の場合、それから場合によっては、それとは無関係でも、日本に基地を持っておって飛び出す場合、いろいろ、まあ三種のアメリカ軍の性格があると思うのです。いずれにしても、日本におけるアメリカ軍の配備と使用については、一体これを制約しなければならないということは、これは常識の示すとろだと思う。それをしも、これは相互防衛に変えるのだから、全部信頼関係でいくのだということでは、いかなる国民といえどもこれは納得しない。そこで問題になるのは、果して今度の条約に当って、そういう米軍の配備並びに装備及び使用について、どういう制約ができるのか、しようとお考えなのか、それをただあなたとアイクとの共同コミュニケ程度に、可能な限りこれを協議するという程度でやっていいのか、また自民党の中には、そんなやぼなことは言わぬ方がいい、日本が核兵器を持って何が悪いかという吉田さんの意見もある。だから核武装のことについてすら、はっきり禁止と書くのはいけないという自民党の一部の意見すらある。そういう国内国外の情勢に立って、この点をどういうふうにされる基本的なお考えであるか。条約の面の問題でありません、これも基本的な問題であるから、この基本的な態度をお示し願いたいと思います。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(岸信介君) 少くともそういう重要な点については、私は事前に協議さして、日本の同意がなければ、そういうことはできないというふうに持っていきたいと思っております。

曾禰益日本社会党

○曾祢益君 これが、少くとも核兵器等については協議さすけれども、政府自身が、場合によったら許すかもしれないというのじゃ、国民の希望する核武装持ち込みの絶対反対にはならない。そこにわれわれは一種の危険を感じるのが一つ。いま一つは、協議条項をはっきり条約に書いた場合に、この前も岡田委員が明瞭に指摘したように、また、多少軍事常識を持っておればだれもわかるように、いわゆるボタン押しの戦争、この際に、一体、事前協議権ということを書いても、やってしまってから反対だと言えなくなる。そうして協議権を条約上に書いたために、かえって事実上は明示的に——いかなる場合でもアメリカが外国とやった場合、これはアメリカから言えば武力攻撃じゃないと言うでしょうけれども、何らかの軍事行動のあおりを、日本が明示的に承認する結果になるような協議条項を設けるのは、かえってどうかという基本的な問題がそこにあると思う。その点もお考えの上で、やはり可能なる限り協議条項というようなものを入れて、まあ体裁を整えるということにされるのかどうかという点を、はっきりしていただきたい。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(岸信介君) 今申し上げておりますように、これはより実質的な、より対等な立場において物を考えるということでありますが、日本が全然関知しない場合において、そういういろいろな危険を伴うような行動がされるということは、これは、私は日本の自主的な立場もあるし、対等の立場から物を考えなければならぬという基本的な考えから言うと、適当でないと思います。従って、技術的にどういうふうにそれを扱っていくかという問題は別として、考え方としては、そういうことに対してわれわれは自主的な判断をするだけの余裕と、判断をするだけの自主的の考慮がされるということにする必要があると思います。

曾禰益日本社会党

○曾祢益君 私は、時間がございませんから、きょうはこれでやめますが、まだまだ幾らもきょうの質疑応答を通じて、私は国民がわからないと思うのです、重要な点が。さらに質問の機会を与えられることを要求し、質問を留保いたしまして、きょうはこれで終ります。

青柳秀夫自由民主党

○委員長(青柳秀夫君) 開会の際申し上げましたように、理事会の申し合せによりまして、総理大臣の御出席は大体正午ごろまでとなっておりますから、お含みの上で御発言を願います。

加藤シヅエ日本社会党

○加藤シヅエ君 私も、きょう質問の時間をいただいていたわけなんでございますけれども、今、曾祢委員から十分に質問をされたはずなんでございますけれども、どうも総理の御答弁を伺っておりますと、私にもまだよく理解ができないのでございます。それで、私ども日米安全保障条約の改定と申しますか、調整と申しますか、こういうような問題は、単に条約上の専門の知識だけで質疑応答がなされるのでは十分でなくて、一般の国民にこれは直接関係のあることでございますから、私をも含めましたしろうとがわかるような言葉で私も伺いますし、総理においても、またしろうとがわかるような言葉で、平易に御答弁を願いたいと思うのでございます。  この間セシル・ブラウン記者と岸総理とのインタビューのことが大へん問題になったのでございますけれども、この問題について、きょう特に私は深く伺うつもうはございません。ただ、私がわかりませんのは、このインタビューを通じまして、岸総理が憲法第九条の戦争放棄の条項を変えるべきだという強い御意思があるということをはっきりとこの会見の中で発表してらっしゃいます。それで、このことと、そして今、曾祢委員といろいろ質疑応答がございました安全保障条約の改定について、特に海外派兵の問題とどういうふうな関係があるかということを私は伺いたいのでございます。それと申しますのは、今度の条約の改定が対等な立場において、いろいろ審議されるというお言葉がございまして、この対等な立場ということは、私どもももとより賛成でございます。けれども、その中で、私ども普通一般の国民から考えますと、国会においても海外派兵は絶対にしない、禁止するというたびたびの決議案も出ておりますことですから、今度の条約がどんなふうに改定されても、事実上の海外派兵はないものだろうと信じているわけでございます。それで、今度の改定について、今の曾祢さんに対する御答弁のお言葉を通じて、あくまでも憲法の範囲内でということを繰り返しおっしゃっていらっしゃいます。憲法の範囲内でということなら、やはり海外派兵ということは文字通り絶対にないという前提だと思うのでございますけれども、それならなぜああいうような時期にブラウン記者と御会見なすって、憲法九条も、これはもう改定すべきだとか、あるいは廃棄すべきだとかいうような総理大臣の意思を発表なさるのか。これは非常に現在の憲法のワクの中で改定なさるのに、一方でこんなものは捨ててしまうのだというようなことをおっしゃることは、非常に日本にとって不利であり、また、矛盾していることじゃないかと思うのでございますけれども、それはどういうお気持でこういうことになったのか、伺いたいと思います。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(岸信介君) ブラウン記者との会見につきましては、いろいろと世間を騒がしたことについては、私は恐縮しておりますけれども、しかし、私の真意並びに私の会見内容は、責任をもって、国会の本会議を通じて、皆様にも、また国民にも明らかにいたしたつもりであります。私は、憲法九条を直ちに廃棄しようというようなことは申しておりません。ただ、私が憲法改正論者であるということを申したこと、それから憲法の改正というものについては、これは重要問題だから調査会を作って慎重に審議している。首相が憲法改正論者と言っているのは九条も含めてか」という質問に対しては、もちろん含めて自分としては改正論者だ、こういうことを申したのが、一切のそのままであります。決してブラウンの放送の内容のような、戦争放棄に関する憲法九条の規定を廃棄するということの時期来たれりというような、私は発言はいたしておりません。しかし、そういうふうに誤まり伝えられたということについては、いろいろな誤解も招いたということは、私は遺憾であるということを申しておるわけであります。ただ、安保条約の改定の問題、その点もブラウン君との会見の中には、私は言うているのですが、安保条約の改定というものには関係ないのだ、憲法改正の問題については、すでに相当長く前からちゃんと手続きをして、憲法調査会もやられているのだ、そういう改定の問題は、あくまでも憲法の範囲内でやることであり、従って、今お話のような海外派兵ということは、日本にはできないのだ、そういう範囲内において考えているのだということを申したわけでございます。

加藤シヅエ日本社会党

○加藤シヅエ君 せんだっての本会議における釈明の言葉も十分伺っておりますのですけれども、あのブラウン記者との会見が、新聞に報道されたような、ああいうようなふうにおっしゃったのではないという、その一応の御説明も承わっておるのでございますけれども、憲法九条をも含めた、戦争放棄の条項をも含めた憲法改正論者であるというお立場を、はっきりおっしゃったわけでございますね。そういう岸総理であるということを、そこにはっきりなさっておいて、そうして今度安全保障条約の改定について、またその当事者としていろいろ御交渉なさるということは、どうしてもアメリカ側から見れば、この総理は、戦争放棄はこれはもう改定する意思があるものという、その認定のもとに話し合うということは、これは常識だと思うのでございます。ことに憲法九条の戦争放棄というような条項は、これはそれを五割くらいどっちに変えるとか、言葉の上でどうするというようなことじゃなくして、放棄するとかしないとか、もうイエスかノーか、ほんとうにはっきりしたことなんでございますから、そういうような意思表示をあのときなさっておいて、そうして今度この安全保障条約についていろいろなさるということに、どうしても私はそこに何か不思議に思う点があるのでございますけれども、どうしてああいうような時期に、憲法改正論者であって、それが第九条も含めてというようなことを特におっしゃる必要があったのか、どうもそれを、私納得できないのでございます。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(岸信介君) それは、前に申し上げましたように、ブラウン君がアメリカに帰るので、私はぜひ会いたいという会見の申し入れがあったのです。そのほかにもロンドン・タイムスやその他の記者で、やはり同様に帰るとか、あるいは帰らなくても、会いたいというような場合におきまして、時間の許す限り私は会っているわけでありまして、そうしてどういうことを質問されるか、どういうような会談の内容になるかというようなことについては、従来の例の通り、実は別に事前にこの事項を文書で取って、そうしてなにするということをやらなかったのです。これは従来ブラウン君だけじゃなしに、今まで私そういう事例が——そうして間違いもなかったわけでありまして、私自身としては、質問されることについて、相当明瞭なことについては、明瞭に申します。言えないことは言えない、こう言う。私自身が憲法改正論者であるということは、日本内地でも知られておりますが、もうすでにそういう意見を——改正論者だ、改正すべきものである、私はそういう考えを持っておるということを、内外において従来も言っておることでありまして、このなにについては、私自身が自由党の憲法調査会の会長もいたしておりましたし、その当時からすでに私の所信は明らかにいたしておるわけであります。私の頭においては、特に不思議なことを私の方から進んで何か強調しているというようなつもりはない。質問に答えるだけの意味において申したわけでありまして、それ以上の意図があるわけでは全然ない。しかし、それが非常に誤解を招いたということについては、外人記者との会見等について、もう少し慎重にすべきじゃないかという、いろいろ御注意もありましたし、私自身も、これについて誤解を生じたことについては、いろいろ影響を及ぼしておることも存じておりまして、今後につきましては、なお慎重にしたい、かように思っております。

加藤シヅエ日本社会党

○加藤シヅエ君 それでは、なお念のために私伺っておくのでございますけれども、極東平和とか、極東の平和維持とか、極東というような言葉が今度の条約の中に現われてくると思うのでございますれども、極東というような言葉と、海外派兵という言葉との関連について、はっきりさしていただきたいと思いますけれども、海外派兵というのは、私どもしろうとが考えておるのは、この日本の国土と、あるいは日本の三海里ですか、この領海と、それだけが日本の国土であって、それ以外には全然日本の兵隊は出ない。こういうふうに了解しているのでございますけれども、今度も海外派兵ということは、安保条約の中でも、そういうことは今の憲法をお守りになって、お認めにならない。そうすれば、今私が申したような日本の領海及び日本の国土以外には、日本の兵隊、自衛隊は出ない、こういうふうに了解してよろしいのでございますか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(岸信介君) 大体そういう考えです。まあ問題の公海というか、領海の範囲内に限るか、公海が入るかという問題は、私はあるだろうと思います。しかし、少くとも外国の、たとえ極東であろうがどこであろうが、外国の領土であるというような所に兵隊を出すということは絶対に考えない。こういう意味で、大体今、加藤委員のお話の通りであります。ただ、公海等の問題がありますから、日本の領土というか、領海内だけだというのは、ちょっと解釈がむずかしいだろうと思います。

加藤シヅエ日本社会党

○加藤シヅエ君 私ども海外派兵をしないということは、公海なんて、太平洋のまん中まで行っても公海なんていうことで、そこまで自衛隊が出ていくというようなことは、そんなふうには考えていないのでございますけれども、そこは、やはりはっきりしていただかないと、大へん心配なんでございますけれども。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(岸信介君) 領海が三海里であるか、十二海里であるか、いろいろな議論はありますけれども、日本のような海で取り囲まれておる土地において、日本の防衛というものを領海だけで、日本が主張しておる三海里の領海だけで主張することはできないと思いますし、そこで公海という問題が入ってくると思いますが、しかし今の、外国に出すというようなことは、外国の領土に出すというようなことは、これは絶対に考えない。

加藤シヅエ日本社会党

○加藤シヅエ君 そういたしますと、たとえば軍艦や、飛行機で、台湾とか、あるいは今問題になっておる金門、馬祖の、その辺の近所をぐるぐる日本の兵隊が回っても、海外派兵しないという、その中に入るのでございますか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(岸信介君) そういうことはわれわれ考えておりません。そういうのは入るわけじゃございません。

加藤シヅエ日本社会党

○加藤シヅエ君 そういたしますと、飛行機や軍艦に乗って、日本の兵隊がそういうような台湾の上空とか、金門、馬祖の上空とかいうような所には、たとえそれが公海の上であっても、あるいは空中であっても、そういう所には、日本の海外派兵はしないという、その決議に基いて、日本の出兵はない、これははっきり明言していただけるのでございますね。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(岸信介君) そういうように思っております。

加藤シヅエ日本社会党

○加藤シヅエ君 そのお言葉は、私ども簡単に伺って、簡単に答えていただきましたから、その通り、ぜひ今度の安全保障条約の面でも、それが協議事項とか何とかいうようなことの余地を残すことなく、今の御答弁の通りに、国民がそれを信頼することができるようにしていただきたいということを、特に私はお願いいたしておきます。特に協議の上でそういうふうなことがあり得るなんていうことはないのでございましょうね。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(岸信介君) 日本の自衛隊が協議の上で出ていくなんていうことはありません。

加藤シヅエ日本社会党

○加藤シヅエ君 どうぞその点は固く守っていただきたいと思います。  それからもう一つ、ブラウン記者との会見のことで、ちょっと私心配するのでございますけれども、社会党が安全保障条約のことについていろいろやかましいことを言う。そうしておそらく多数の国民もいろいろやかましいことを言うけれども、そういうようなものを乗り越えて、はっきりしたものを作るというようなお言葉がここに書いてありますね。「岸総理は、アメリカ合衆国との安全保障条約を改正することについては、社会党、そして恐らくは多数の国民が欲している以上に押し進めたい旨を明らかにした。」こういうお言葉があるのでございますけれども、ほんとうにこういうお言葉があったのでございますか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(岸信介君) その点は、そういう言葉を申したつもりはありませんが、安保条約の改定ということは、これは非常に重要な問題であるから、国内においていろいろな論議があると思う。しかし、自分は日米の基本的な観念に基いて、ぜひこれを改定したいと思うという意思は、私、表明をいたしました。

加藤シヅエ日本社会党

○加藤シヅエ君 お約束の時間が過ぎましたから、私もあまりお引きとめしたくないと思いますから、それではまたこの次の機会になお質問させていただくことを留保して、きょうはお時間が過ぎましたから、これでやめます。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 過日、私が岸総理とブラウン記者との会見の問題について、本会議で質問をいたしましたときに、岸総理は、自分はすでに全文は見たが、それは、ブラウン氏とそれからオキーフ氏との間の対談のものとはだいぶ違うようだ。だからそれをさらに見た上でいろいろお答えをする、こういうお話でございました。それで、それは速記録にはっきり出ているわけでございますが、すでに両方はお比べになったと思う。そういたしますと、このブラウン氏はオキーフ氏との対談において、なお、岸総理が憲法九条を廃棄するという時期がきたということを、非常に強調しているのです。それから、また同時に、私もあのときに申し上げましたように、これはダイナマイト・ステートメントだということを言っているわけです。こういうことを見ますと、どうもあながちブラウン記者が、全然あなたが表現されなかったようなことを、意味をくみ取って自分流の表現をしたとばかりも思えない。これは、むしろあなたが言われたことがどうかということは私どもよくわかりませんけれども、とにかくブラウン氏の態度を通じてみますというと、自分が会見をして得た印象を、あるいは総理が言われたと思うことをコンファームしておる形になっているのですが、この点について、それでもなおかつ総理は、ブラウン氏に話した意味については、御否定をなさっているわけですか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(岸信介君) 私は国会の本会議を通じて、私のブラウン記者との会見をいたしました内容を説明申し上げました。これは私、責任をもって申し上げたことでありまして、これについて、私は全責任を持つことは当然でありますが、ブラウン記者との会談として、ブラウン記者がNBCを通じての通信や、その他オキーフ氏との記者会見において言っておることと、私の国会における説明と違っておる点は、私は、あくまでも私が責任をもって国会で御説明申し上げました通りに、両記者との会見においては言ったのだということを、責任をもってさらに申し上げておきます。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 総理は、自分はああいう言葉でもって言った覚えはないのだということをしきりに強調されております。ところが、ブラウン氏の方は、このオキーフ氏との会見で、いやそれはもうはっきり聞いたのだというふうに言っておるわけです。大へんな食い違いです。こままでは平行線みたようなものだ。それで、国民はどうも総理の言うことをそのまま私は納得しないと思う。そうして総理が、あの会見の場合のようなことは言わないのだということを、なおさら国民にはっきりさせようといたしますならば、私は二つ方法があると思う。一つは、これは誤まりである。まあ捏造や創作ではないかもしれないけれども、重大な誤謬である、だからこの点は取り消せということを要求されることが一つの方法であろうかと思うのであります。その点はいかがでございますか。はっきりと国民にあなたの言われておることの真実性をより強調されるために、ブラウン記者に会見の内容についての取り消しをお求めになるつもりはあるかないか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(岸信介君) 私は、私の会見内容として、今申したような公けの席でもって責任をもって言明いたしております。従って、これは一部の人のいろいろな議論があるかもしれませんけれども、私は、当然国民としては、総理が責任をもって最も責任のある場所を通じて国民に明らかにしておることは、これを信ずるのは当りまえであって、それ以上この問題を論議するということは、私のこの国会において声明をし、説明をしておることについて、何か責任を負わなければならぬということならば、これは私はあくまでも責任を負いますけれども、一記者との会見について、それ以上深入りすることは、私は適当でないという考えを持っております。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 一部がどう思っておるかというお話でございますけれども、これはどうもあまり一部ではないらしいので、一部の人だけが総理の言葉を信じられておるようで、大部分の人は総理の言葉を信じられていないのです。総理が国会で言ったことは間違いないことだ、おれは責任を持つと言われるけれども、総理が国会で言われたこと自体が、国民の間に非常に疑惑を起しておるから、そのもとをただすために、私は、総理が取り消しを要求されるのが、もし総理がほんとうに自分が言わないとするならば、堂々と取り消しを要求されてしかるべきじゃないかと思うが、それをおやりにならない。そうすると、その総理の言葉を国民がよりよく信ずるのではなくして、より疑惑を持つということになり、一そう疑惑に油を注ぐだけだと思う。  それはそれといたしまして、第二の方法としては、われわれもこの問題は重大だと思っておりますので、ブラウン氏が帰って参りましたならば、私どもも会って事情も聞いてみたいと思いますし、また、この問題につきましてはすでに社会党の方では、これは明らかに国民の前に公式に明らかにすべき必要がある、そこでブラウン氏に国会に来てもらいまして、そうして国会においてブラウン氏から、参考人としての発言なりあるいは証人としての証言なりをしてもらうということも起ろうかと思うのでございますが、もし、そういうようなことになりました場合に、総理は、国会におきまして堂々とこれと対決されるつもりがあるかどうか、それをお伺いしておきます。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(岸信介君) もちろん国会の御審議においていろいろな人をお呼びになり、そうして事情をお確かめになるということは、国会自身がおきめになることと思いますので、これに対して私は何らかれこれ申し上げる立場じゃないと思います。私自身は、あくまでも、どこに出ましても、すでに国会を通じて明らかにしておる通りのことは、事実私自身確信をもち、責任をもって申し上げておることでありますから、その内容について、今岡田委員のお話しのように問題があり、それで何だということであるならば、これは幾らでも私責任を持つつもりであります。それ以上のことは、国会がおきめになることであって、私としては、全然そのことについて何ら意見を持っておりません。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 今の総理のお言葉ですと、国会の方で証人としてなりあるいは参考人としてなり、ブラウン氏を呼んだ場合、あなたは堂々とこれと対決をする意思がある、こういうことになると思うのでありますが、そう確認してよろしゅうございますか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(岸信介君) 私は国会の御決定に対しては、これに従うということを申し上げた。ただ、今、岡田委員のお話ですが、これはまあ常識的な話ですが、一国の総理が一記者と対決する、国会において対決するというような言葉は、何かあまり適当でないように思いますけれども、しかし、国会がおきめになりましたことであれば、私が所信をあくまでもありのままに申し上げるということは、これは国会のおきめになった通り、どこにでも出て参ります。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 曾祢さんの質問に関連してちょっと。  米軍の行動に関する事前協議の問題ですが、総理は、先ほど事前協議はぜひやりたいということであった。しかしこれは前の委員会でもわれわれが質疑の際に申し上げましたように、これはもう日本政府が反対である場合に、これを拘束する力を持たない限り、これは単にカムフラージュといいますか、合理化するだけの結果になって、かえって問題の性格からいうと、マイナスになる。従って総理は、今、事前協議はやるようにしたいというお話でありましたが、その場合に、日本政府が賛成なんかされては困るけれども、もちろん反対があった場合、これは相手を規制し、拘束するような形で条約に盛り込まなければ、全然意味がないと思う。単に言葉のあやでないのでありますから、そういう方向に持っていっていただけますか。

岸信介自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(岸信介君) 私が事前の協議をするようにしたいということを申しておるのは、決してただ形式的な協議ということじゃなしに、日本自体の自主的な立場で、日本の意見というものが十分に協議において尊重されるような形においての協議でなければ意味をなさないと思います。

羽生三七日本社会党

○羽生三七君 それはぜひやっていただきます。ぜひそうして下さい。

佐多忠隆日本社会党

○佐多忠隆君 資料要求ですから両大臣は私はもう要りませんから。資料要求を一つ、行政協定の実施状況と運営上の意見、特に不合理または不備と思えるような点、こういうものを一つまとめたものを御提出願いたい。それから、どうもずっと聞いておりますと、憲法の解釈、特に第九条に対する政府の統一的な見解その他がはっきりしませんので、具体的にこの政府の統一見解、特にそれがどういうふうに変遷をしてきたかということが明瞭にわかるような資料にまとめて御提出願いたい。それから第三は、自衛隊の現有勢力、それから配置、訓練と、さらに将来の防衛力増強の計画、それから日本の国土内での行動展開能力、そういうものについての資料、それから沖縄におけるアメリカ軍の配備の状況の資料、それから先ほどどうも曾祢委員その他で議論になってはっきりしないんですが、新しい条約の適用区域の問題について、非常に重要な問題が出てきますので、沖縄、小笠原を適用区域に含めた場合、あるいは含めない場合の利害得失を、これは事務的でいい、どういうふうにお考えになっているか、明瞭に一つ示していただきたい。あとの政治的な判断は、ここで大臣といろいろ意見を交換することといたします。  以上です。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 これはただいままでの問題と違うのでありますが、実は、朝鮮人の帰国の問題です。  最近、北鮮系の朝鮮総連等において、北鮮に帰りたい人を帰してくれという要求が政府にもなされておるわけであります。また、国会議員に対しましても、いろいろ、それを大いにやってくれというお話もあります。それから、さらに県議会であるとか、あるいは市会などでも、それを促進するようにという決議を行なった所もあるように聞いております。  で、この問題は、まあ私ども終戦後のいろいろな状況から考えてみまして、特にまた、最近の経済状態のもとにおける朝鮮の方々の日本におけるいろいろな位置その他から見ましても、ここでやはり、帰りたいという希望がありましたならば、何らかの方法でその帰る人たちを政府の方でも早く帰れるようにしてあげることがいいのではないかと思うのであります。特にこれは、まあいろいろ政治上の問題もありましょうけれども、しかし、人道的に考えてみましたならば、これは何ら、日本から引き揚げたい、帰りたいというものを拒否する理由は、私はないと思う。そういう点から、政府はこれをどういうふうな御措置をとられるか。帰国について、積極的に政府としても進めるように、何らかの処置をとられるかどうか、それをお伺いしたい。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(藤山愛一郎君) 北鮮帰国者の問題につきましては、私どもも先般、連盟の方にお目にかかって、御意向は承わったわけです。まあ、政府がどうするか、人道上の問題でもありますから、原則として、帰国を阻止するという考え方は持っておりません。しかし、事務的にはいろいろ、政府がこれをどういうふうに扱って、相談するかという、今、いろいろの問題がからんできますので、そういう点は、しばらく研究をしてみないといけない点じゃないかと思うのでありまして、そういう意味で、連盟の方の御意向は、私どもも伺いましたけれども、今、いろいろ研究いたしております。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 では、外務大臣にさらにもう一点その問題でお伺いしますが、まあいろいろむずかしい事情というのは、日韓会談の成り行きとの関連だろうと私は想像をいたしますが、どうも、そもそも帰りたいという者に対して、これを帰すことはけしからぬのだとか、あるいは、それが今の日韓会談の障害になるとか言う方が、私は非常におかしいと思う。この問題は、私は赤十字が引き受けてやるということになりますれば、これはもうそんな政治問題をからませないでできる問題だと考えておるのであります。それもどうもいかぬのだと、それが大きな交渉上の障害になるんだと言うならば、そう言う方が非常に無理じゃないか。どうか一つ、そういう点は政府でも十分にお考え願いたい。というのは、多くの朝鮮の人々が帰りたい、これを日本政府がとめないで、そうして積極的に帰るのを促進する方法をとるということになりますれば、今日国内においてありますところの日本人と朝鮮人との間のいろいろな感情上の問題、利害の衝突もあります、そういう問題が漸次少くなって、かえって大局的に見れば、日本と朝鮮との両国民の間の融和といいますか、あるいは親善関係を進める上に役に立ちますから、そういう点から、この問題はやはり根本的に考えてみれば、帰りたいという人を帰さぬことはできない問題でもありまするし、また、帰った方が積極的に日本と朝鮮との関係を、まあ一時そういう日韓会談に障害があるということも考えられますけれども、根本的に見れば、将来全体として、よりいい友好関係になるのでありますから、基本的にはそういう方針を進めるんだということを、一つはっきりとさしていただきたいと思います。

藤山愛一郎自由民主党外務大臣

○国務大臣(藤山愛一郎君) 先ほどお答えいたしましたように、基本的に無理に引きとめておくというような考え方は持っておりません。しかし、この不法入国者以外、一般在留民の送還ということについては、いろいろ事務上の問題等もございますので、政府としては相当慎重に考えませんと、すぐ政府がそれに事務的に応諾するというわけにいかぬような船腹の問題その他いろいろございますから、すぐコミットできない場合がある。

岡田宗司日本社会党

○岡田宗司君 今のお話ですと、事務上のようですけれども、私は事務上の問題はむしろ容易なんじゃないか。問題は、日韓会談とからんでくるんで厄介な問題があるんだと思っておるんですが、しかし、これはからませる方が無理なんで、日本の方でまあどうも向うでからましてくるんだから延ばすんだというようなことでなく……。事務上の問題の方は、そうむずかしい問題じゃない、実は北鮮の外務大臣の方でも、船の問題、あるいはそれに要する費用の問題等についても、向う側で出してもいいという態度さえ明らかにしておるのでありますから、まあそれは今両国国交回復をしておらぬのでありますから、いろいろその点ではむずかしい問題があろうけれども、国際赤十字を通じてやるということになりますれば、事務上の問題も、従来からの引き揚げの慣例その他から見て、できると思うのでありますから、それは一つどんどんと進めるようにお願いしたいと思います。

青柳秀夫自由民主党

○委員長(青柳秀夫君) 本日は、これにて散会いたします。    午後零時二十八分散会

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