法務委員会 第7号
- 発言数
- 13 件
- 登壇者
- 4 名
- 会派数
- 1
- 開催日
- 1958/10/23
会議録
○小島委員長 これより会議を開きます。 司法試験法の一部を改正する法律案を議題として、審査を進めます。 質疑の通告がありますので、順次これを許可いたします。 三田村武夫君。
○三田村委員 裁判官、検察官の素質向上、よりよき人材を司法機構に吸収するということは、司法制度多年の懸案でありまして、そのための試験制度の改正は、これまた当委員会においてもしばしば論議されてきたところでありますが、今回この改正案が提出されまして非常にけっこうなことだと思います。当委員会におきまして長い間論議されて参りました裁判制度の機構改革、最高裁判所の機構改革という一つの具体目標をもって提案されました法案でありますから、その審議を通じて当委員会に現われた意見の中にも、裁判官、検察官の素質向上ということは非常に強い要望であったのであります。そういう意味合いにおきまして、せっかく司法試験法を改正されるならば、その改正案の目途とするよりよき人材をより多く吸収するというところに、その焦点がなければならないことは言うまでもないのであります。また、よりよき人材を求めるということ同時に、それと不可分の関係にある現在の司法制度そのものについても、深く考慮を払わなければならない段階に来ているのではないかという気がするのであります。 本日は倉卒の間に私この質問に立ったのでございますから、何らの用意もなく、二、三の点についてお尋ねするのでありますが、二、三日前の新聞でありましたか、司法官会同の席上、田中長官は、判決前の調査官制度を強く強調しておられたようでございます。これも司法機構、裁判機構全体の面からいいますと、当委員会においてもしばしば論議された問題でありますが、よりよき人材を司法機構の中に吸収すると同時に、今申しましたように、司法制度も、その機構、制度の面においても私はよほど掘り下げる必要があると思いますので、いわゆる調査官制度、これが人材吸収という面とあわせ考えまして、どういうふうにこれは考えておられますか。端的に申しますと、私は必ずしも裁判官の数多いことのみを期待するのではなくて、りっぱな裁判官がおって、何人も信頼し得る裁判が適切迅速に行われることが司法制度最大の眼目でありまして、どういう人材をどのように求めてどのような機構制度にすることが国民主権のもとに行れる裁判、検察の能率、効率を高めるかということが、私は非常に重要だと思われるのであります。そういう観点から、しばしば当委員会においても問題になりました調査官制度、これが非常に有意義なものであり、また非常に高率的な存在であり、その価値判断の上に立っても非常にいいものであるならば、同時に考えてみてもいい問題ではないかと私は思うのでございますが、こういう点について法務当局の御所見を伺っておきたいのでございます。ついに当委員会の継続審査となり、国会解散のために廃案となってしまいました最高裁判所機構改革に関する法案の中にもあった問題でありますし、この試験制度改正と同時に、私はあわせ考えなければならない重要な問題だと思いますので、一応法務当局の御所見を伺っておきたいのでございます。
○愛知国務大臣 ただいまの御質問まことにごもっともな点でございまして、私といたしましては、まずよい人が法曹界に入ってもらえるようにということで、まず試験制度の問題から着手したのでございます。同時に、裁判所法の問題につきましても、あらためて鋭意検討を進めているわけでございまして、ただいまの御指摘の通り、前に政府としては最高裁判所の機構の問題等につきまして、国会の御審議を願ったわけでございますが、率直に申しますと、当時の国会の審議の状態を初めといたしまして、各方面における論議の跡を振り返ってみますると、当時の政府案の意図したところは、必ずしも各方面の全面的な御同意を得るに至っていないように、これは率直な私の考えでございますが、考えましたので、別途成案を作りまして、しかるべき機会に御審議を仰ぎたいというふうに考えておるわけであります。 その次に最高裁判所の問題でございますが、当時改正の一つの有力な原因としてあげられておりました事件の処理状況でございますが、これは御承知のように最近大幅に改善せられて参りまして、さらに最近、昨年以降は毎月の既裁事件数がその月の新しく受ける事件数を凌駕しておるというような状態になって参りましたので、こういう点もその後の実情として十分認識をいたしまして、その上に立ってさらに各方面の御意見を十分取り入れた成案を提案いたしたいと考えておるわけでございます。 それから、その次に判決前の調査官の制度の問題でございますが、これもまたざっくばらんに申し上げるのでありますが、田中最高裁長官が所長会同でお話になったように新聞等で承知いたしておるのでございますが、具体的にどういう言い方をされたのか、あるいはその御意見のよって来たるところがどういうものであったのかということにつきましては、まだ私も十分つまびらかにいたしておりませんので、田中さんの御意見に対して、私どもの意見を申し上げる段階にまだ至っていないわけでございます。ただ判決前の調査官制度の拡充というようなことについてはもし伝えられるような意見があるといたしましても、法務省といたしましては、諸般の観点からこれは十二分に慎重な検討を要する問題である、かように考えておる次第であります。
○三田村委員 申し上げるまでもないことでありますが、司法制度の問題は、要するに国民の信頼度の高い司法制度にするということであります。今、法務大臣からお話がありましたが、私も最高裁判所機構改革問題が出てきた当時と比較して、その処理状況が非常に能率的と申しますか、進捗してきておることは承知しておるのです。しかしながら、また一面、十ば一束、門前払いの裁判だという批判もあるのであります。ほとんど上告棄却という形で、十ぱ一束、門前払いしてしまえば、処理件数はどんどん進むのでありますから、そういうことは必ずしも司法に対する国民の信頼度を高めるゆえんではない。しばしばこの委員会でも議論されたのでありますが、戦後すでに十三年、司法制度が整備されたと申しますか、新しい司法制度ができまして、昨年すでに十周年の記念を行なったのであります。そういう観点から申しますと、当委員会における諸般の問題を論議する際いつも気がつくのは、日本の司法制度の中に残っておる古いものと新しい制度といいますか、これを専門的な立場から申しますと、大陸法的な制度機構と英米法的な制度機構のチャンポンがいろいろなところに出てきている、こう思われるのであります。でありますから、せっかくここで司法試験制度を変えられて、よりよき人材を司法部に求めるという御提案がありますならば、同時に司法制度そのものをより効率的な、より信頼度の高いものにすることが必要だ、こう思うのであります。もちろんこの点については法務省当局はせっかく御苦心を払われて、全般的な総合的な研究も進めておられるようでありますが、何と申しましても民主制度の中において一番大事なことは、司法に対する国民の信頼であります。法の秩序とか法の権威とかいいますが、それは単なる抽象的表現であってはいけないので、一審の裁判でも、判決が下った場合に、これを国民が信頼し、納得し、これに服するという、裁判に対する信頼と権威というものが高まってきませんと、幾ら試験制度を変えていい人材をとるといっても、それだけでは司法制度に対する目的は達し得られないと思うのです。でありますから、この機構制度というものと試験制度というものは、やはり不離一体であります。しばしば当委員会でも言われます在野法曹からの人材吸収ということも単なるせりふに終ってしまって、いまだかつて所期の目的を達したことはないように私は思うのであります。司法制度も、ただ試験制度を変えてみたが、結果は同じだということでは何のことかわからぬということを、率直に私は申し上げたいのであります。そういう点も十分御検討のことと思いますが、特に田中長官のあの訓示か、所見の中にありました判決前の調査官制度というものが一体どういう役割をするのか、法務当局はいわば検察行政の裁判を起す段階における責任官庁でありますが、同時に制度機構の上においてはすべての提案着たる立場にあるのでありますから、そういう観点からも私は御意見を伺っておきたいのでございます。今、法務大臣は、田中長官発言に対しては十分検討を加えていくというお話でございましたが、これはその面の専門の調査をやっておられる調査部長もここにおられますが、私は別な機会に最高裁判所、裁判所関係の人の御出席を求めて、十分その立場なり具体的なお考えなり伺いたいと思います。機構制度の面で国会に責任を持たれるのは法務当局である。案として出てくる場合はやはり法務省でありますから、田中長官がああ言われたことが新聞に出ておりますが、なかなか影響は大きいのです。何か裁判官以外のものが裁判に加わるのではないか、これは非常にいいことならいいのでありますが、掘り下げていけば、今の裁判制度のどこかに欠陥があるのじゃないか、欠陥があることを最高裁長官がみずから認めたということも、裏返せば言えるのであります。そういう点における法務当局のお考えを私は重ねて伺っておきたいのであります。 もう少し掘り下げて申しますと、一審強化ということはしばしば言われるのでありますが、どうしたら一審強化ということになるのか、最高裁まで行って、十ぱ一束、玄関払いで事件処理の能率を上げるよりも、国民の立場からより好ましいことは、一審の裁判を信頼するということであります。検察の面においても、裁判の面においても、一審の裁判を信頼するということでありまして、一審の裁判を信頼すれば、従って控訴審も減るし、上告審も減るということになります。そういう面から、ただ試験制度を改めてよりよき人材を求めるということだけでなくて、幾らいい人材がたくさん集まってきても、司法制度の上に欠陥があるなら、何にもならぬということも言えるのであります。そういう点について具体的にどういうお考えをお持ちか、今大臣は前国会まで当委員会で審議されました最高裁判所機構改革の問題についてもいろいろの意見が多くて、なかなか公正にして妥当な結論が出にくい現状である、従って、角度を改めてもう一ぺん再検討を加えたいという御意見のようでありました。私もそうだろうと思いますが、それならどういう角度から再検討を加え、どういう機構制度とこの試験制度をマッチさせていくかということも当然御研究のことと思います。せっかく試験制度を改めていい人材を多く求めようとするのでありますから、たとい人材を求めても、機構制度に穴があれば同じことだということを私は考えざるを得ないので、その点を重ねてお伺いするのであります。今、法務大臣のおっしゃいました最高裁の処理状況も非常に能率的だ、その言葉だけ裏返すと、従って、裁判所機構改革の問題は当分見送ってもいいのじゃないか、こういう意見も成り立つのであります。しかしながら、それだけでは私は納得がいかない。いろいろ現在の裁判の実際のあり方を見ましても、われわれ割り切れない問題がたくさんある。そういう点についてもあわせて、この問題に対する御所見を伺っておきたいのであります。
○愛知国務大臣 司法試験制度の改正案を提案いたしましたのは私といたしましては司法制度全般の改善の一環としてのつもりでございまして、私の考え方といたしましては、この試験制度の改正が実際に行われるのは三十六年からでございますが、その間において、制度の改正につきましても、よい制度ができ上るようにスケジュールとして考えて参りたいと思っております。 それから、最高裁の問題につきましては、先ほど申しましたのは、事件の処理状況をちょっと申し上げたわけでございまして、これも私まだ十分練れた意見として申し上げ得る段階ではないのであります。ただ単に最高裁の判事の定員をどうするかというようなことではなくて、最近のいろいろの状況から見ますると、もっともっと根本的に制度を改善しなければならない。そうでなければ、ほんとうに国民の信頼をつなぎ得るような司法制度にはならないという点においては、ただいまの御意見と私も全く同様に考えるわけであります。 それから、第一審の充実強化ということも仰せの通りでございまして、政府といたしましても、御承知のように、第一審の強化につきましては、すでに若干のものについては実施の段階にも移されておるものも多少はございます。たとえば、高等裁判所の陪席の判事に判事補を充てることができるようにいたしました法律改正などもその一つということが言えると思いますが、なお根本的の解決はすべて今後の研究の課題として残されておるわけでございます。ただいまのところとしては、たとえば会議制の範囲の問題、それから判事補の制度の問題、裁判官の補助機関、簡易裁判所制度の適否というような問題から、さらに参審制度とか、陪審制度というような問題に至りますまで、第一審の充実強化のために考慮すべき諸問題について鋭意検討を進めておるというような状況でございます。さらにまたこの訴訟遅延の原因が那辺にあるかというような実際上の問題についての究明につきましても、調査を進めておるような状況でございます。 それから最後の、先ほどもお尋ねがございました判決前の調査官の問題につきましては、政府委員から所見を申し上げることにいたしたいと思いますが、御承知のように、法務省の機構の上におきましても、こういづたいろいろの司法制度の問題、さらに法務省として責任を明確にして、よい案を作り上げて御審議を願いたいということから、機構の上におきましても、司法制度調査部というものを独立させ、専任の部長を置き、専門家の充実をはかっておるようなわけでございますので、これら全体についての結論を出し、そうして法律案の問題とすれば、私としては、でき上ったものから逐次御審議を願うような順序にいたしたい、こういうふうに大体考えておるわけでございます。
○津田政府委員 ただいまお尋ねの判決前調査制度の問題でございますが、これはかねてより法務省におきましても検討を加えて参ったわけでございますが、先般の売春防止法の改正に伴いまして、さらにその問題の検討を緊急に進めなければならぬということに相なりまして、鋭意検討を進めておるわけでございます。先般の刑事裁判官会同におきまして、この問題がやはり検討されたごとくでありまして、その席上の最高裁判所長官の訓示でございますが、これも新聞等に出ておるようなわけでございます。けれども、その会同の結果並びに最高裁判所長官の訓示の内容につきましては、先ほど大臣も申しましたように、まだつまびらかにいたしていない次第でございます。一応判決前調査制度として考えられますることは、つまり刑の量定に関する情状を、調査官が調査をして、裁判官に報告をするという形のアメリカ等において行われております制度と理解されるわけでありますが、これは御承知のように、陪審制度あるいはアレーンメント制度を採用しておりまするところの刑事手続のもとにおきましては、有罪、無罪の認定と刑に対する情状とは別個に一応区分された手続においてやっておるわけでございます。従いまして、陪審の答申によりまして、有罪ときまったものにつきまして、その刑の量定に関する情状を、判決前調査として調査官に調査をせしめて、その報告を受けて裁判官が具体的に妥当な刑を言い渡すということはもちろんできるわけでありますが、現在の日本の刑事訴訟法のもとにおきましては、さような手続はございません。すなわち、陪審制度もなし、厳格な意味のアレーンメント制度もありませんので、事実認定の手続と、刑の情状に関する事項の調査手続とを区分することができないような状態になっております。従いまして、検察官におきましては、事実についてはもちろんでありまするけれども、刑の情状についてもこれを立証する責務を負っておりますし、また弁護人におきましても、事実に関してはもちろんでありますが、刑の情状に関しても、証拠を提出することができるわけでございます。しかも、その証拠につきましては、御承知のように、厳格な証拠法に関する制限があるわけであります。たとえば、証人につきましては、原則として反対尋問にさらすということになっておるのです。そういうようなことで、情状の面だけについてそういうことをしないで、直ちに調査官の報告によって裁判をし得るかどうかということにつきましては、現行刑事訴訟法上大きな問題であります。のみならず、これは刑事手続における相当の一大改革となると思われるのであります。従いまして、判決前調査制度を採用することの可否の問題と、さらに、かりに採用することが可といたしましても、現行訴訟法、現行刑事手続等をいかにこれを調整するかという重大問題が残っておるわけであります。従いまして、これは十分に検討いたさなければ、とうていその可否あるいは可としても、その採用ということまでに立ち至らないというふうに考えるわけであります。ただいま大臣が申しましたように、陪審制度の問題とかこういう問題も、検討の一環としてやはり検討すべき事項と相なると思うのであります。しかしながら、これとはまた別に、第一審充実強化ということは当然はからなければならないことでありまして、具体的には、裁判所におきましても、第一審に練達堪能な裁判官を充てるような配慮をいたしておるようでありますけれども、これは運用の面であるわけでありまして、そのほか会議制の拡大とか、現在の判事補制度をどうするかというようないろいろな問題がその過程に横たわっておるわけでございます。従いまして、それらの問題を検討すると同時に、今の調査官制度の問題も考えなければならぬわけでありますが、調査官制度の問題につきましては、さらにもう一つ重要な今の陪審制度等の問題がからんでおるということで、その検討の困難性ということも加わってくる、こういうことになる次第でございます。現在、この関係におきましては、法務省の刑事局におきましても、司法制度調査部におきましても、十分検討いたしておる段階にある次第でございます。
○三田村委員 もう一つ伺っておきます。今の大臣及び政府委員の御説明でわかりましたが、私は先ほど申しましたように、今、調査部長も言われましたが、米英法的な訴訟制度に日本人はなれていないのです。でありますから、陪審制度といいましても、調査官制度といいましても、私は日本の裁判所に取り入れることはなかなか困難だと思うのです。だからといって、今の裁判制度そのままでいいとは言えないのです。これをどうするかということが非常に重要なのであります。たしか田中長官の言葉の中にこういう意見があったと私は思う。つまり、今、津田部長の言われました有罪、無罪の問題は別にして、判決前の調査官制度が必要だという理由の中に、精神科学とか心理的とか法医学とか社会学とか、そういう方面の知識が裁判に要るのだ。そういう意味の知識経験の豊富な調査官が判決前に加わる。これはおそらく刑の量定の意味だろうと思いますが、そうしますと、司法試験制度といずれの関係が出てくる。今直ちに裁判制度の中に田中長官の言うような調査官制度つまり犯罪心理学とか精神科学とか社会学とか、あるいは法医学とか、広範な知識を持った者を入れなければいけないということになると、裁判制度全体に大きな変革を来たす。日本の訴訟制度は、御承知のように、検察官と弁護士と裁判所と三者によって行われています。そのほかに陪審員も加わっておりませんし、また他の知識も加わる余地がないのでありますから、そういたしますと、どこかに米英法的な訴訟制度といいますか、あるいはまた長い間日本の裁判制度の中に残っておる刑事実体法との間にどこかに食い違いが出てきます。しょうがないのです。この点をどう調和させていくかということは、私は非常に重要な課題であろうと思う。ひとりここに司法官の素質向上あるいは豊富なる常識というものを一つの採用試験の条件の中に加えるべき司法試験制度というものが改正されてくるのであります。しかし、田中長官の言うようなことがなお多く幅広く求められるといたしますならば、また別の角度からの検討が必要だ。それから有罪、無罪だけが裁判じゃない。訴訟当事者の立場から申しますならば、懲役一年であるはずのやつが懲役五年——無罪の判決と徴役一年の判決は大して違わぬかもしれませんが、しかしながら、同じ有罪の中でも一年の判決と五年の判決はだいぶ違うのであります。そういう意味からいきますと、ただに有罪、無罪の決定だけでなくて、刑の量定の中にも裁判の重要な部分があるといたしますならば、それをどのように制度機構の中に取り入れていくかということが私は重要な問題だろうと思うのであります。従来、有罪、無罪の、たとえば陪審制度にかわる日本のかっての訴訟制度の中には、証拠の面あるいはまた事実発見の一つの手段として予審制度というものがありました。予審もなくなってしまった。おおむねこういうことになりますので、そこに田中長官の言うような判決前の調査官制度というものが出てくるのだろうと思う。しかしながら、これを制度機構の中に入れてしまうことになると、非常に大きな問題があると思う。そういう点を今直ちにどうということはありませんが、大臣が言われました新しい一つの、でき得るだけ国民の信頼を高める、法の権威、裁判の権威というものを高めていくということが民主制度の大きな柱の一本でありますから、そういう見地から考えますならば、試験制度の改正と同時に、裁判、検察全体の現在の司法制度について十分検討を加えられた上で、全部一まとめにして審議を求められる必要はもとよりありませんが、大臣が言われましたできたものだけでもいいのですが、しかし、これは部分的、ばらばらではいけないので、司法試験の改正だけでも裁判、検察全体の機構制度の中に、一つの新しい方向として全体の調和の中に進めていかれなければいけないと私は考えるのであります。重ねてお尋ねするのでありますが、この問題を取り上げる意味において法務省はどのような用意をしておられるか。長い懸案でありますし、何と申しましても、実際問題として、米英法的な訴訟制度と大陸法的な刑事実体法というものがチャンポンになっていることは、おおうことのできない事実であります。その点をどう調和していかれるか。何らかの構想がありましたならば、この際伺っておきたいと思います。
○愛知国務大臣 まことにごもっともな御発言でございまして、私も全体の扱いとしては全く同感に考えております。たとえば、司法試験の問題にいたしましてもそうでございますし、また田中長官の発言の問題もそうだと思いますが、司法試験の問題につきましては、おかげさまで各方面の大体これならというような意見がまとまりましたので御審議を願っておるわけでございますが、司法制度全体について一つの考え方をできるだけ早い機会に取りまとめまして、それから法律案の形となりますものは、でき上りましたものから逐次提案をする。しかし、これが提案の段階になりましたときには、全体としての構想というものを政府といたしましても明確にいたしまして、その構想の中で個々の各法律案について御審議をいただきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。それからたびたび問題になります判決前の調査制度の問題につきましても、先ほど率直に申し上げましたように、まだ十分田中長官の意見も実は聞いていないわけでございますが、われわれとしては謙虚にその御意見を伺いまして、関連する諸般の制度の中において政府としての考え方というものを取りまとめるようにいたしたいと思います。 —————————————
○小島委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。ただいま審議中の司法試験法の一部を改正する法律案につきまして、参考人の出頭を求め、意見を聴取することといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小島委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。 なお、参考人の人選、出頭の日時等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小島委員長 御異議なしと認め、さよう取り計らいます。 —————————————
○小島委員長 次に、連合審査会開会の申し入れに関する件についてお諮りいたします。ただいま地方行政委員会に付託されております警察官職務執行法の一部を改正する法律案は、本委員会の所管とも関連がありますので、地方行政委員会に対しまして連合審査会の開会を申し入れたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小島委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。 なお、連合審査会開会の日時等に関しましては、地方行政委員長と協議の上、追って公報をもってお知らせすることといたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後零時九分散会